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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】自動車用ロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/90 20140101AFI20240905BHJP
   E05B 77/34 20140101ALI20240905BHJP
   E05B 79/20 20140101ALI20240905BHJP
   E05B 79/16 20140101ALI20240905BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20240905BHJP
   E05B 81/06 20140101ALN20240905BHJP
【FI】
E05B81/90
E05B77/34
E05B79/20
E05B79/16
B60J5/00 N
E05B81/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515145
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 DE2022100618
(87)【国際公開番号】W WO2023036362
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021123251.1
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スゼジェニー, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】シファー, ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】イナン, オマー
(72)【発明者】
【氏名】ロイシュ, マヌエル
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ10
2E250JJ48
2E250KK02
2E250LL01
2E250PP04
2E250PP05
(57)【要約】
本発明は、本質的に回転ラッチ(1)と爪部(2)とからなるロック機構(1,2)を装備した自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックに関する。また、少なくともロック機構(1,2)のロックを解除するための電動駆動装置(3,4)が設けられている。加えて、緊急事態が発生した場合にロック機構(1,2)のロックを解除するために、手動負荷可能な緊急作動要素(11)が設けられており、前記緊急作動要素(11)は、少なくとも一部がロック用ハウジング(7,8,9)の外側に配置され、少なくとも1つの伝達要素(12)によってロック機構(1,2)に作用して緊急解除操作を行う。本発明によれば、緊急作動要素(11)は、伝達要素(12)と組み合わせて、ロック用ハウジング(7、8、9)内の少なくとも1つの貫通孔(13)を介してトリガレバー(5)に結合される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に回転ラッチ(1)と爪部(2)とからなるロック機構(1,2)と、
少なくとも前記ロック機構(1,2)を開放するための電動駆動部(3,4)と、
前記ロック機構(1,2)を緊急開放するための手動で作動可能な緊急動作要素(11)と、
を備えた自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックにおいて、
前記緊急操作要素(11)は、少なくとも部分的にロックハウジング(7,8,9)の外側に配置され、前記緊急開放するための前記ロック機構(1,2)上の少なくとも1つの伝達要素(12)によって動作し、 前記緊急動作要素(11)は、前記伝達要素(12)に接続されたトリガレバー(5)に、前記ロックハウジング(7,8,9)内の少なくとも1つの貫通孔(13)を介して接続されていることを特徴とする、自動車用ロック。
【請求項2】
前記緊急動作要素(11)は、前記貫通孔(13)を介して少なくとも部分的に係合することを特徴とする、請求項1に記載の自動車用ロック。
【請求項3】
前記貫通孔(13)は、少なくとも1つのシール(14)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車用ロック。
【請求項4】
前記貫通孔(13)は、前記ロックハウジング(7,8,9)の乾燥室ハウジング(8,9)に配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項5】
前記貫通孔(13)は、回転/摺動貫通孔として設計されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項6】
前記伝達要素(12)は、前記トリガレバー(5)に接続されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項7】
前記伝達要素(12)は、前記ロック用ハウジング(7,8,9)に装着された伝達レバーとして構成されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項8】
前記伝達要素(12)は、前記ロック用ハウジング(7,8,9)の外側に装着され、貫通孔(13)を貫通していることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項9】
前記緊急動作要素(11)は、たとえば、ピンやスライダとして剛直に設計されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項10】
前記緊急動作要素(11)は、たとえば、ケーブル又はボーデンケーブルのように柔軟に設計されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、実質的に回転ラッチおよび爪部からなるロック機構と、少なくともロック機構を開放するための電動駆動装置と、ロック機構を緊急に開放するための手動で作動可能な緊急作動要素とを備えた自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックに関し、緊急作動要素は、ロック用ハウジングの外側に配置され、緊急開放のためのロック機構に少なくとも1つの伝達要素を介在させて操作する。
【0002】
[0002]今日、自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックは、利便性の理由から、少なくともロック機構を開放するために、電動駆動装置を装備することがますます多くなっている。このため、このような自動車用ロックは、電気式ロックとも呼ばれる。従って、ロック機構は、通常、たとえば、ロック機構を開放するために外部ドアハンドルに機械的に結合されていない。その代わりに、外側ドアハンドルを作動させると、センサが作動し、これが制御ユニットを介して使用されて電動駆動装置を作動させ、これがロック機構を開放する。この目的のために、電動駆動装置は、通常、直接的にまたは間接的にトリガレバーに動作する。トリガレバーは、通常、ロック機構が閉鎖されたときに、回転ラッチとのラッチ係合から爪部を持ち上げるために使用される。これにより、以前に回転ラッチによって捕捉されていたロックボルトが解除される。対応する車両ドアは、それに応じて開放することができる。
【0003】
[0003]このような電気式ロックは、外部ドアハンドルに対する操作者の力を実質的に必要とせず、また動作時に穏やかで静かであることから、実際にそれ自体が証明されている。しかしながら、その操作を確実に行うためには、電動駆動装置に十分な電気エネルギを供給する必要がある。この時点での問題は、通常1つ以上のバッテリの形で車両内部に置かれているメインエネルギ源が、長期間の非作動の後または欠陥のために、完全にまたは部分的に放電されることである。その結果、当該自動車のロックを解除することができなくなる。それにもかかわらず、緊急作動を可能にするために、従来技術において種々のアプローチが追求されている。
【0004】
[0004]たとえば、DE102019127109A1は、レバーチェーンを緊急に作動させるための緊急エネルギ源を備えた、緊急作動を伴う自動車用ロックを記載している。この目的のために、レバーチェーンは緊急操作レバーを有しており、この緊急操作レバーは、通常位置では操作不能であり、かつ緊急操作駆動装置によって緊急操作レバーチェーンを閉鎖するように少なくともその操作位置に運ばれる。これは、レバーチェーンの簡単かつ費用効果的な緊急作動を提供することを意図している。しかしながら、電動駆動装置および緊急用エネルギ源に必要な設計努力は重要ではない。さらに、少なくとも部分的に放電された緊急用電源による誤動作を完全に除外することはできない。
【0005】
[0005]WO2019/076402A1によるさらなる先行技術において、この手順は、ロック機構を緊急に開放するための操作レバーチェーンが自動車ドア用ロックに実装されるようなものである。また、通常操作時に操作レバーチェーンを直接または間接的にブロックし、緊急開放のために解除する制御要素もある。制御要素は、駆動要素を備えた電気モータを装備する。さらに、制御要素は、任意選択的に、操作レバーチェーンをハンドルに結合するための可撓性接続要素を遮断または解除することができる。この場合も、最終的には緊急操作用の操作レバーチェーンに接続して追加の電動駆動装置が実装されることになり、設計上の複雑さが増すことになる。
【0006】
[0006]米国特許第2011/0107800A1号に係る一般的な従来技術において、ロック用ハウジングの外側にロック用シリンダが設けられ、緊急操作要素として実現されている。ロック用シリンダに挿入されたキーは、電動駆動装置の代替として、ロック機構の緊急開放に使用することができる。この目的のために、ロック用シリンダはコネクティングロッドを介してトリガレバーに結合される。
【0007】
[0007]先行技術は、例えば、電動駆動装置またはそれを給電する自動車用バッテリまたはメインエネルギ源の故障の場合に、ロック機構の緊急動作を実現することに関して、一般的かつ基本的に証明されている。しかしながら、独自の駆動力、操作レバーチェーンおよび緊急用電源を備えた複雑な解決策が、しばしばこの場所に普及される。一般的な従来技術が、ロック用ハウジングの外側で手動操作される緊急操作要素を使用する場合、この場所における基本的な問題は、水分または汚れが、伝達要素としてのコネクティングロッドおよび関連する強制開放を介してロックハウジングの内側に浸透して、電動駆動装置に到達し得ることである。このため、電動駆動装置に損傷を与えるおそれがある。
【0008】
[0008]コストおよび重量の理由から、このような電動駆動装置は、プラスチックで作られた部品またはギアと共に動作することが多い。この時点でロック用ハウジングに浸透する汚れまたは水分は、そのようなプラスチックギアホィールに研磨による損傷を引き起こし、永久的な機能障害または完全な故障さえ引き起こす可能性がある。本発明は、全体としてこれを改善しようとするものである。
【0009】
【概要】
【0010】
[0009]本発明は、単純で機能的かつ費用対効果の高い設計を考慮に入れて、長期間にわたるスケールであっても永続的な機能性が確保されるように、自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックをさらに開発するという技術的課題に基づいている。
【0011】
[0010]この技術的問題を解決するために、本発明は、この種の自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックにおいて、緊急操作要素が、伝達要素に接続してトリガレバーに結合され、ロック用ハウジングに少なくとも1つの貫通孔が介在されることを提案する。
【0012】
[0011]ロック用ハウジングの貫通孔は、汚れも湿気もロック用ハウジングを貫通できないように設計し実現することができる。これは、貫通孔が少なくとも1つのシールを有する本発明の有利な実施形態にさらに当てはまる。さらに、貫通孔がロック用ハウジングのドライルームハウジング部品内に配置される場合、この状況において特に有利であることが証明されている。また、緊急操作要素が少なくとも部分的に貫通孔を延ばす場合にも有利である。
【0013】
[0012]実際、本発明の特に好ましい変形例は、ロックハウジングがドライルームハウジング部品とウェットルームハウジング部品とに分割されることを提供する。ロック機構は、ウェットルームハウジング部品内に置かれ、一方、電動駆動装置は、ロック用ハウジングのドライルームハウジング部品内に置かれる。典型的には電動駆動装置によって作動される、ロック機構を電動で開放するためのトリガレバーは、この特定の配置の結果として、2つの部品に設計することができ、トリガレバーの1つのレバー部品は、ロック用ハウジングのドライルームハウジング部品内に配置され、ここでは、電動駆動装置と相互作用する。他方、トリガレバーの別の第2のレバー部品は、ロック用ハウジングのウェットルームハウジング部品内に置かれ、直接的または間接的に爪部に作用して、それを回転ラッチとの係合から持ち上げてロック機構を開放する。両方のレバー部品は、互いに回転可能に固定されて結合され、通常、回転式貫通孔を介してシールと係合し、シールは、ロック用ハウジングのドライルームハウジング部品とウェットルームハウジング部品とを分離し、埃、湿気等に対するシールを確保する。
【0014】
[0013]その結果、ロック用ハウジングのドライルームハウジング部品は、その設計により、既に汚れ及び湿気の侵入から保護されている。本発明によれば、これはまた、提供される追加の緊急操作要素を考慮して適用される。これは、緊急操作要素が、ロック用ハウジングのドライルームハウジング部品内に置かれた貫通孔を介して、伝達要素に接続されたトリガレバーに結合されているからである。これにより、ロック用ハウジングのドライルームハウジング部品内に置かれたトリガレバーのレバー部品に伝達要素を介在させることにより、緊急操作要素を動作させることができる。
【0015】
[0014]係るレバー部品は、ロック用ハウジングのウェットルームハウジング部品の対応するレバー部品に対して密封されており、また、伝達要素を含む緊急操作要素は、ロック用ハウジングの同様に密封された貫通孔を介して、ロック用ハウジングのドライルームハウジング部品内のトリガレバー又はトリガレバーのレバー部品を操作するので、ロック用ハウジングのドライルームハウジング部品全体、特にドライルームハウジング部品の密閉設計が観察される。電動駆動装置は、ロック用ハウジングの関連するドライルームハウジング部品内に置かれるので、その機能は、長い時間スケールにわたっても損なわれない。これは、電動駆動装置の構成部品である個々のまたは全てのギアホイール、ウォームギアなどが、全体的または部分的にプラスチックから製造されている場合にも当てはまる。さらに、ロック用ハウジングのドライルームハウジング部品から離れて保持される湿気は、長い時間スケールであっても、ここに置かれる電気モータの永久的な機能を危険にさらすことがない。
【0016】
[0015]ロックハウジングのドライルームハウジング部品およびウェットルームハウジング部品は、一方ではハウジング用シェル内に、他方ではハウジング用カバー内に画定され、それぞれがプラスチックから形成されており、分割壁によって互いに分離されており、分割壁は、一般的には、上述した回転式フィードスルーのみを有し、トリガレバーの2つのレバー部品が回転固定されて密閉されるように結合されている。これらが主な利点である。
【0017】
[0016]さらに有利な実施形態では、ロック用ハウジングの貫通孔は、回転式/摺動式貫通孔として設計される。これは、緊急操作要素が、トリガレバー上の伝達要素を回転および/または押すことによって操作できることを意味する。これは、貫通孔が、この状況における回転運動と摺動運動の両方を可能にするからである。ロック機構の緊急操作または緊急開放のために、回転運動および摺動運動の組合せも可能であり、本発明に従って構成される。
【0018】
[0017]別の方法によれば、伝達要素を問題のトリガレバーに接続することができる。これに関連して、伝達要素がトリガレバー上に成形され、両方が構造ユニットまたは一体構成部品を形成することも可能である。また、伝達要素が、ロック用ハウジングの中または上に装着された伝達レバーとして設計される場合、有利であることが証明されている。たとえば、伝達要素は、ロック用ハウジング内に装着された直線的に後退可能なスライダとして設計することができ、このスライダは、緊急操作要素の助けによって作動されると、ロック機構の緊急開放のためレバーを作動させる。
【0019】
[0018]しかしながら、代替として、問題の伝達レバーをロック用ハウジングの外側に装着することもできる。この場合、通常、伝達レバーがロック用ハウジングの貫通孔に達するように設計される。2つのレバー部品がロック用ハウジングのドライルームハウジング部品とウェットルームハウジング部品との間の分割壁を通して捩れ防止結合を提供するトリガレバーの場合と同様に、同等の密封された回転式貫通孔を実現することができる。
【0020】
[0019]緊急操作要素自体は、たとえば、ピンまたはスライダとして設計された剛性要素とすることができる。基本的に、緊急操作要素は、柔軟性を有するように設計することもできる。この場合、緊急操作要素は、限定するものではなく実施例として、ケーブルまたはボーデンケーブルである。原理的には、上記の2つの変形例を互いに組み合わせることもできる。この場合、緊急操作要素は、ピンまたはスライダの形態の剛性構成要素と共に設計され、ケーブルまたはボーデンケーブルの形態の可撓性構成要素も有する。
【0021】
[0020]その結果、機能的に信頼性があり耐久性があり、簡単で費用効果の高い緊急操作システムを提供する自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックが得られる。これは、緊急操作要素が、ロック用ハウジングの外側、たとえば、ドアパネルのカバーや車外ミラー等の後方に置かれており、電動駆動装置が故障した場合に、使用者が手動で容易に作動させることができるからである。緊急操作要素は伝達要素を操作し、従って緊急開放のためのロック機構を操作し、ロックハウジングに少なくとも1つの貫通孔を介在させることによって問題の伝達要素に結合されるので、ロック用ハウジングの完全な密封を実現し、改装することができる。このことは、電動駆動装置とトリガレバーの少なくとも1つのレバー部品とが置かれているロック用ハウジングのドライルームハウジング部品に特に当てはまる。これらが主な利点である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
[0021]以下、例示的な実施形態のみを示す図面を用いて本発明をより詳細に説明する。以下の図に示す。
図1図1は、ハウジングカバーを取り外した第1の変形例における本発明に係る自動車用ロックの概略図を示す。
図2図2は、図1と同等の表現を有するさらなる第2の実施形態を示す。
図3A図3Aは、異なる図における第3の実施形態の変形例を示す。
図3B図3Bは、異なる図における第3の実施形態の変形例を示す。
図4A図4Aは、異なる図で再びさらなる設計の変形例を示す。
図4B図4Bは、異なる図で再びさらなる設計の変形例を示す。
【0023】
[詳細な説明]
[0022]図面は、自動車ドア用ロックに限定されない自動車用ロックを示す。この目的のために、自動車用ロックまたは自動車ドア用ロックは、実質的に図1にのみ示される回転ラッチ1および爪部2からなるロック機構1、2を有する。加えて、基本的な設計は、電動駆動装置3、4を含み、この電動駆動装置3、4は、トリガレバー5に作用し、ロック機構1、2の閉鎖状態で爪部2を回転ラッチ1とのラッチ係合から持ち上げる。
【0024】
[0023]電動駆動装置3,4は、電気モータ3と、電気モータ3によって出力側に駆動される駆動ホィール4またはギアホィールとから実質的に構成される。本実施形態によれば、駆動ホィール4は、トリガレバー5に面する表面に三次元的に延びる螺旋状の外形部を有している。その結果、駆動ホィール4が回転することにより、駆動ホィール4に取り付けられたトリガレバー5は、外形部を介してその軸6を中心に旋回して、ロック機構1,2を、すなわち図1で示される反時計回り方向に開放する。これにより、ロック機構1,2が閉鎖された状態において、爪部2は回転ラッチ1との係合から持ち上げられ、回転ラッチ1に係合されていたロックボルトが解除される。自動車ドアは、自動車ドア用ロックの一部であり、図示されていないが、電気モータによって開放される。
【0025】
[0024]ロック機構1,2の電動開放を開始するためには、通常、図示しないが電気モータ3に作用してセンサに問い合わせる制御部が設けられている。センサは、外側ドアハンドル上のスイッチとすることができる。外側ドアハンドルが操作される場合、スイッチの作動は、制御ユニットがこれを開放信号として解釈することを確実にし、従って電気モータ3を作動させて、前述のようにトリガレバー5が図1に示される反時計回り方向に旋回するように駆動ホィール4を回転させるようにする。もちろん、これは実施例としてのみ適用される。これは、ロック機構1、2の電気的な開放または電動による開放を、たとえば、制御ユニットのユーザ側の識別要素による質問/応答ダイアログに従って、センサなしでも行うことができるためである。
【0026】
[0025]図示された自動車ドア用ロックは、全体としてロック用ハウジング7、8、9内に収容され、当該ロック用ハウジング7、8、9内に収納されている。ロック用ハウジング7、8、9は、ハウジング用シェル7およびハウジング用カバー9を有し、これらは、特に図3Bに示すことができる。ハウジング用シェル7およびハウジング用カバー9は、分割壁8によって互いに分離されている。このようにして、分割壁8に接続されたハウジング用シェル7は、湿った部屋のハウジング部品7、8を形成する。さらに、ハウジング用カバー9に接続して分割壁8によって画定され、説明されるロック用ハウジング7、8、9の乾いた部屋のハウジング部品8、9を認識することができる。
【0027】
[0026]ロック機構1、2は、主に湿った部屋のハウジング部品7、8に配置されていることがわかる。ロック用ハウジング7、8、9のウェットルームハウジング部品7、8は、図示しないロックボルトがロック機構1、2の回転ラッチ1と相互作用するために入る入口マウスがこの点で実現されるので、環境の影響および湿気から保護されない。これに対して、ロック用ハウジング7、8、9のドライルームハウジング部品8、9は、このような環境の影響に対して実質的に密封されている。これは、図1に見られるように、トリガレバー5がドライルームハウジング部品8、9にレバー部品を有していることに起因する。このレバー部品は、ウェットルームハウジング部品7、8のトリガレバー5の他のレバー部品に回転不能に結合されている。トリガレバー5は、ロック用ハウジング7、8、9のウェットルームハウジング部品7、8とドライルームハウジング部品8、9との唯一の接続部である分割壁8の密封回転貫通孔10を貫通して密封されている。これにより、ウェットルームハウジング部品7、8に侵入した水分や塵埃がドライルームハウジング部品8、9に到達するのを防止することができる。このようにして、特に、電動駆動装置3,4は、環境の影響から永久的に保護され、その機能的信頼性も長期間にわたって提供される。
【0028】
[0027]本発明による自動車ドア用ロックの基本的な構造は、手動で作動される緊急操作要素11も含む。図2図3A図3B図4A図4Bの様々な例示的実施形態から分かるように、緊急操作要素11は、少なくとも部分的にロック用ハウジング7、8、9の外側に配置される。また、緊急操作要素11は、緊急開放用のロック機構1,2に少なくとも1つの伝達要素12を介在させて操作する。伝達要素12は、トリガレバー5に接続されているものである。図1による変形例において、伝達要素12とトリガレバー5とが一体構成部品5、12を形成するように設計されている。対照的に、図2に示される変形例の伝達要素12は、トリガレバー5に接続されたロック用ハウジング7、8、9に装着されたスライダである。図3Aおよび図3Bによる変形例は、ロック用ハウジング7、8、9の外側に装着された伝達レバーを伝達要素12として使用する。図4Aおよび図4Bに示される例示的実施形態は、同等である。
【0029】
[0028]現在、本発明にとって決定的かつ本質的であるのは、緊急操作要素11が、ロックハウジング7、8、9に少なくとも1つの貫通孔13を介在させて、伝達要素12と接続してトリガレバー5に結合されているという事実である。図1の変形例において、図1および図2に示すように、緊急操作要素11が少なくとも部分的に貫通孔13を貫通するように進行することが可能である。この場合、貫通孔13は、いかなる場合にも、ロック用ハウジング7、8、9の緊密な閉鎖が貫通孔13の領域で観察されるように、シール付きまたはシールなしで設計される。しかしながら、図3Aおよび図3Bによる例示的な実施形態で観察されるように、原則的に、貫通孔13は追加の別個のシール14を有することもできる。
【0030】
[0029]また、貫通孔13は、ロック用ハウジング7、8、9のドライルームハウジング部品8、9内に設けられている。その結果、貫通孔13を介してロック用ハウジング7、8、9のドライルームハウジング部品8、9内に塵埃や水分が侵入することがない。
【0031】
[0030]貫通孔13は、図1および図2による例示的な実施形態に示されるように、摺動式貫通孔であってもよい。しかしながら、図3A図3B図4A図4Bに示すように、原則的に、この場所では、貫通孔13のような回転式貫通孔も考えられる。これに関連して、回転式//摺動式貫通孔の組み合わせも可能である。
【0032】
[0031]伝達要素12がロック用ハウジング7、8、9の外側に装着された伝達レバーとして設計されている場合には、図3A図3B図4A図4Bの例示的な実施形態に従って、当該伝達レバーが貫通孔13に係合するように手順が実行される。その結果、伝達レバー又は伝達要素12を出力側で且つロック用ハウジング7、8、9の外側で緊急操作要素11と容易に結合して作動させることができる。
【0033】
[0032]緊急操作要素11は、たとえば、図1に示すように、ピンまたはスライダとして厳密に設計することができる。さらに、例えば図2図3A図3Bおよび図4A図4Bの例示的な実施形態に詳細に示されるように、緊急操作要素11がケーブルまたはボーデンケーブルとして柔軟に設計されるような変形も考えられる。
【0034】
[0033]緊急操作要素11は手動で作動させることができる。この目的のために、緊急操作要素11は、カバーの背後に置かれてもよく、このカバーを部分的に緩めた後にアクセス可能になる。カバーは、手動で作動可能な緊急操作要素11が、電動駆動装置部3、4の故障時にアクセス可能であり、ロック機構1、2の緊急開放のためにユーザによって作動可能であることが保証される限り、ドアの内部カバー、外部カバー、外部ミラーのカバーなどとすることができる。
【0035】
【符号の説明】
【0036】
1,2…ロック機構、
1…回転ラッチ、
2…爪部、
3,4…駆動装置、
3…電気モータ、
4…駆動ホィール、
5…トリガレバー、
5,12…構成部品、
6…軸、
7,8,9…ロック用ハウジング、
7,8…ウェットルームハウジング部品、
8,9…ドライルームハウジング部品、
7…ハウジングシェル、
8…分割壁、
9…ハウジングカバー、
11…緊急動作要素、
12…伝達要素、
13…貫通孔。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
【国際調査報告】