(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】自動診断分析装置における在庫ハンドリングのための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01N35/10 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515151
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022042631
(87)【国際公開番号】W WO2023038893
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ラシャンス,スティーブン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ロッツ,ジェラード,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,フィリップ,トーマス
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC02
2G058CD23
2G058CE01
2G058CF06
2G058ED35
(57)【要約】
分析前システムによって調製された生体試料を分析する分析装置、及び分析前システムによって調製された試料を受け取った分析装置を動作させる方法。分析装置は、自動化されており、複数のマルチチャネルピペッタによってサービスされる複数のモジュールを備えた処理デッキを有する。マルチチャネルピペッタによって使用され、そこから分注されるピペットチップの高容量に起因して、処理デッキは、複数のシュートを有するピペット分注アセンブリを有し、従って、マルチチャネルピペッタは、ピペットチップをシュートの中に廃棄するために待機する必要がない。複数のシュートは、ピペットチップがそれを通って処理デッキの下方の廃棄物収容部に落下することを可能にする。処理デッキはまた、マルチチャネルピペッタによって使用される消耗品ピペットチップのビンを収容する複数の引出しを備える。シュートの場所によって全ての引出しが同じ深さを有することができないので、引出しのいくつかは複数のビンを有し、いくつかは1つのみのビンを有する。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析装置であって、
ハウジングと、
少なくとも1つのモジュールを備える処理デッキと、
を備え、
前記少なくとも1つのモジュールのそれぞれが、乾燥試薬消耗品を受け取る第1の場所と、湿潤試薬消耗品を受け取る第2の場所と、処理プレート消耗品を受け取る第3の場所とを備え、前記処理プレート消耗品は、磁気抽出器と協働するように構成され、前記磁気抽出器は、前記処理デッキの下に配置されると共に前記処理プレート消耗品から標的物質を抽出するために前記処理プレート消耗品と位置合わせされ、
前記処理デッキは、複数のチップシュートを更に備え、前記複数のチップシュートは、それぞれ、前記少なくとも1つのモジュールのうちの1つの中に配置されるか又はそれに隣接して配置され、前記シュートは、廃棄されるピペットチップが廃棄物収容部によって受け取られるように、該ピペットチップを前記処理デッキの下方に搬送し、
前記ハウジングは、複数の引出しを収容し、前記引出しを前記処理デッキの下方に配置し、前記引出しは、前記分析装置内での使用のためにピペットチップを受け取り、
前記チップシュートと位置合わせして配置された引出しは、前記処理デッキ上の前記チップシュートのための空間を提供するために、前記チップシュートと位置合わせされていない引出しほど前記処理デッキの下に延在しない、自動分析装置。
【請求項2】
自動ピペッタを更に備え、前記自動ピペッタは、前記複数の引出しのうちの1つから取得されたピペットを使用して、試料容器から試料を吸引し、使用済みのピペットチップを前記複数のシュートのうちの1つの中に廃棄するか、又は前記処理プレート内の抽出管から試料を吸引し、
前記複数の引出しは、前記複数の引出し及びその中の前記ピペットが前記処理デッキからアクセス可能であるように、前記処理デッキに対して開放している、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記磁気抽出器は、
空洞を画定するハウジングと、
前記ハウジングの前記空洞内に移動可能に配設された隣接する永久磁石の列と、
前記永久磁石の列に接続され、前記永久磁石の列を前記空洞の内外に移動させるように構成される駆動機構と、
前記空洞の対向する側部に配設される列で前記ハウジングから延在する複数の加熱要素と、
加熱要素のそれぞれの列に隣接してそれぞれ配設されるトラフを画定するドリッププレートと、
を更に備え、
前記永久磁石を第1の位置から第2の位置に移動させることは、各永久磁石がそれぞれの加熱要素と位置合わせするように、前記永久磁石の列を該加熱要素の列の間に直接配設する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように適合され、前記加熱要素は、それぞれ、凹部を画定し、該凹部は、前記磁気抽出器の上方に配設される前記処理プレートの抽出管を受けて保持するように構成され、前記加熱要素は、電源に接続され、該電源は、前記処理プレートが前記加熱要素の上に配置されると、前記処理プレートによって保持される前記ピペットチップが前記ドリッププレートの前記トラフの中に延在するように、前記加熱要素を加熱する、請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記処理プレートは、在庫ロボットによって前記磁気抽出器上に配置される、請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記自動分析装置で使用される消耗品を受け入れる消耗品貯蔵部を更に備える、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記消耗品は、処理プレート、乾燥試薬プレート、液体試薬プレート、及び増幅カートリッジからなる群から選択される、請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのモジュールは、前記磁気抽出器に隣接する乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションを更に備え、前記磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように構成され、前記処理プレートは、それぞれの乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションに配置される乾燥試薬プレート及び液体試薬プレートに対して、前記少なくとも1つのモジュール内でより低く配置される、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記処理プレートはピペットチップを担持する、請求項1~請求項8のいずれか1つに記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記処理デッキの上に配置される在庫ロボットが、前記複数の引出しのうちの1つの中の前記ピペットチップにアクセスすることができる、請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記シュートと位置合わせされる前記引出しは、ピペットチップの1つのラックを受ける1つのビンを有し、前記シュートと位置合わせされない前記引出しは、ピペットチップの2つのラックを受ける2つのビンを有する、請求項10に記載の自動分析装置。
【請求項12】
ピペットチップの前記1つのラックは、同じ容積のピペットチップを担持する、請求項11に記載の自動分析装置。
【請求項13】
ピペットチップの各ラックは、或る特定の容積のピペットチップを担持するが、ピペットチップの1つのラックの前記或る特定の容積は、異なるラックの前記或る特定の容積と同じか又は異なり得る、請求項12に記載の自動分析装置。
【請求項14】
前記引出しは、ピペットチップラックを前記引出しに装填するために、及びピペットチップラックを前記引出しから取り外すために、前記処理デッキの下から引くことができる、請求項13に記載の自動分析装置。
【請求項15】
前記処理デッキは、複数のモジュールを備える、請求項1~請求項14のいずれか1つに記載の自動分析装置。
【請求項16】
各モジュールは前記シュートを有し、前記シュートは前記処理デッキから下向きに延在する、請求項15に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動診断分析装置における在庫ハンドリングのための装置及び方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年9月7日に出願された米国仮特許出願第63/241,351号の優先権及び利益を主張するものであり、その内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。本願は、2016年4月22日に出願された米国仮出願第62/326,259号の出願日の利益を主張する、2017年2月17日に出願されたPCT/US2017/018346号の米国国内段階出願として2018年9月26日に出願された米国特許出願第16/088,531号に関連し、その開示は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
生物学的試料の診断検査は、疾病を迅速且つ効果的に診断及び治療するための医療産業の取り組みにおいて有益である。そのような診断検査を実施する臨床検査室は、ますます増加する需要を伴って、既に数百又は数千の試料を毎日受け取っている。そのような大量の試料を管理するという課題は、試料分析の自動化によって支援されてきている。自動化された試料分析は、典型的には、診断結果を得るために生物学的試料に対して多段階プロセスを実行する一般的に自己完結型システムである自動分析装置によって行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在のいくつかの自動臨床分析装置は、提供された試料に対して実行可能な一連の自動検査又はアッセイをユーザに提供する。加えて、試料が検査室に到着したとき、分析の準備ができていないことがよくある。自動分析装置で検査するための試料を調製するために、検査技師は、典型的には、試料のアリコートを、検査室によって受け取られた一次容器から分析装置に適した二次容器に移す。更に、技師は、典型的には、試料と対になる検査特異的試薬又は希釈剤を選択することができるように、試料に対してどのような検査を行うべきかを知っていなければならない。これは時間がかかる可能性があり、作業者の誤り及び伝染病への曝露につながる可能性がある。
【0005】
分析のための試料を調製するのを助け、更に、検査室の試料の受け取りと分析装置の検査結果との間の作業フローから作業者を排除することを意図する分析前システム(Pre-analytical systems:プレアナリティカルシステム)も存在する。しかしながら、これらのシステムの多くは、依然として、分析前システムに試料を装填する前、試料が分析前システムによって調製された後、及び分析装置が分析を完了した後等に、有意な技師の関与を必要とする。
【0006】
例えば、一部の分析前システムは、試料のアリコートを一次容器から二次容器に自動的に移送することができる。しかしながら、そのようなシステムでは、しばしば技師が第1の容器及び第2の容器の識別コードをシステムにロードする前に手動で照合する必要があり、これには時間がかかる可能性があり、誤りを生じやすい。
【0007】
加えて、これらのシステムの多くは、1つ以上の分析装置と統合することができず、また逆に、分析装置は、そのようなシステムと統合することができない。これに関して、試料を分析前システムから分析装置へ、そして分析が完了して分析装置から保管場所へ手動で移送するために、技師が存在しなければならない。これには、熟練の労働者が熟練のいらないタスクを行う必要があり、ダウンタイムを最小限にするために、分析前システム及び分析装置内の試料の進行について技師が常に注意し、試料の準備ができたときに試料を移送するように技師が備えなければならないという点で、気を散らすものとなるおそれがある。
【0008】
更に、現在の分析前システムは、一般に、分析装置が試料を評価する際とは異なる速度で試料を調製し、これにより、分析前システムと分析装置との間の統合が更に複雑なものとなる。これに関して、技師は、分析装置への手動での移送のために試料の全バッチが蓄積されるまで、分析前システムによって調製された試料を継続的に追跡する必要があり得る。あるいは、技師が一部のバッチを分析装置に移送する場合があり、これにより、分析装置の生産性が低下する可能性がある。
【0009】
従って、現在の自動化された分析前システム及び分析装置は臨床検査室にとって有益であるが、様々なシステムをより良好に統合及び自動化する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、試料の処理及び分析のためのデバイス、システム、及び方法について記載する。特に、高スループットシステムに含まれる分析装置が記載される。1つの実施の形態において、高スループットシステムはまた、第2の分析装置と、第1の分析装置及び第2の分析装置の両方と統合された分析前システムとを含むことができる。これらの構成要素(すなわち、分析装置及び分析前システム)は、モジュール式であり、特定の検査室の診断ニーズに適合するように、いくつかの異なる構成で統合することが可能である。
【0011】
本明細書に記載の特定の分析装置は、概して、垂直配置で複数のデッキ又はレベルを有する。1つのデッキは、様々なアッセイ用の消耗品を保管することができ、液体廃棄物を含む消耗品廃棄物を収容することができる。1つの実施の形態において、システムを再装填することなく、長期間(例えば、連続で24時間以上)にわたって分析装置が動作することを可能にするのに十分な消耗品を分析装置内に保管することができる。そのようなシステムは、24時間の間に一度だけ補充してそこから廃棄物を除去すればよく、補充及び保守のスケジュール決めが容易となる。このデッキはまた、分析物、例えば、DNA標的を検出する検出器を備えることができる。
【0012】
別のデッキは、並んで配置される複数の処理モジュールを備えることができる。これらの処理モジュールのそれぞれは、それらの構造及び機能に関して同様に構成することができる。1つの実施の形態において、各処理モジュールは、各処理モジュールが他の処理モジュール上で実行されるアッセイと同時に異なるアッセイを実行することができるように、幅広いアッセイを行うことが可能である。これに関して、各処理モジュールは、特定の時点での処理ニーズに応じて任意の数のアッセイを行うように、自動的に指定及び再指定することができる。例えば、各処理モジュールは、第1のアッセイ、第2のアッセイ、又は第3のアッセイのうちのいずれかを行うことが可能であり得るが、第1の処理モジュールが第1のアッセイを行うように指定され、第2の処理モジュールが第2のアッセイを行うように指定され、第3の処理モジュールが第3のアッセイを行うように指定されてもよく、各アッセイは異なる。しかしながら、これらのアッセイが完了すると、例えば、第1の処理モジュール、第2の処理モジュール、及び第3の処理モジュールのそれぞれが同じアッセイを同時に実行するように、処理モジュールのうちのいずれか1つが異なるアッセイを行うように自動的に再指定することができる。従って、分析装置は、特定のアッセイのための十分な消耗品がそのハウジング内に在庫されているという条件で、リアルタイムのニーズに適応する順応性がある。
【0013】
各処理モジュールは、複数のピペットチャネルが関連付けられたマルチチャネルピペッタを有することができる。加えて、分析装置は、十分な消耗品が利用可能であるかどうかを判断するために在庫検査を周期的に行い、消耗品を在庫と処理デッキとの間で行き来させ、試料容器を分析前システムと分析装置との間で行き来させる、在庫ロボットを有することができる。より具体的には、在庫ロボットは、電子又は光電子在庫スキャナと、試料容器シャトル、増幅カートリッジ(amplification cartridge)、液体試薬プレート、乾燥試薬プレート、及び試料処理プレートを含む、種々の消耗品をハンドリングするように構成されるエンドエフェクタとを備える。
【0014】
マルチチャネルピペッタは、それぞれ、複数の液体ハンドリングアセンブリを有し、各液体ハンドリングアセンブリは、ピペットアセンブリを備える。また、処理デッキを介して分析装置から使用済みのピペットチップ(消耗品廃棄物)を廃棄するシステムも本明細書に記載される。
【0015】
本開示は、他の態様の中でもとりわけ、ハウジングと処理デッキとを備える自動分析装置に関する。或る特定の実施の形態において、処理デッキは、少なくとも1つのモジュールを備え、少なくとも1つのモジュールのそれぞれは、(1)乾燥(dry)試薬消耗品を受け取る第1の場所と、(2)湿潤(wet)試薬消耗品を受け取る第2の場所と、(3)磁気抽出器(magnetic extractor)と協働するように構成される処理プレート消耗品を受け取る第3の場所とを備える。いくつかの実施の形態において、磁気抽出器は、処理デッキの下方に配置(位置決め)され、処理プレート消耗品と位置合わせして(並んで)処理プレート消耗品から標的物質を抽出する。或る特定の実施の形態において、処理デッキは、それぞれが少なくとも1つのモジュールのうちの1つに配置される複数のシュート(chute)を更に備え、シュートは、廃棄されたピペットチップを、廃棄物収容部によって受け取られるように処理デッキの下方に搬送する。他の実施の形態において、処理デッキは、分析装置において使用するためのピペットチップを保持する複数の引出し(drawer)を更に備え、チップシュートに隣接する引出しは、チップシュートに隣接しない引出しよりも短く、処理デッキ上にチップシュートのための空間を提供する。いくつかの実施の形態において、本明細書において提供される自動分析装置は、複数の引出しのうちの1つから取得されたピペットを使用して試料容器から試料を吸引し、使用済みのピペットチップを複数のシュートのうちの1つに廃棄する自動ピペッタを更に備える。
【0016】
いくつかの実施の形態において、本明細書において提供される自動分析装置の磁気抽出器は、他の態様の中でもとりわけ、空洞を画定する(規定する、有する)ハウジングと、ハウジングの空洞内に移動可能に配設された隣接する永久磁石の列と、永久磁石の列に接続され、永久磁石の列を空洞の内外に移動させるように構成される駆動機構と、空洞の対向する側部に配設された列でハウジングから延在する複数の加熱要素と、加熱要素のそれぞれの列に隣接してそれぞれ配設されたトラフ(trough:樋状部、溝部、細長容器部)を画定するドリッププレートとを更に備える。或る特定の実施の形態において、永久磁石を第1の位置から第2の位置に移動させることにより、永久磁石の列が加熱要素の列の間に直接配設され、各永久磁石がそれぞれの加熱要素と位置合わせする。
【0017】
いくつかの実施の形態において、本明細書において提供される自動分析装置の磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように構成される(適合される)。他の実施の形態において、加熱要素はそれぞれ、磁気抽出器の上方に配設された処理プレートの抽出管を受けて保持するように構成される凹部を画定する。更に他の実施の形態において、加熱要素は、処理プレートが加熱要素の上に配置されると、処理プレートによって保持されたピペットチップがドリッププレートのトラフの中に延在するように、加熱要素を加熱する電源に接続される。或る特定の実施の形態において、処理プレートは、ロボットアームによって磁気抽出器上に配置される。
【0018】
いくつかの実施の形態において、本明細書において提供される自動分析装置は、自動分析装置で使用される消耗品(消耗アイテム)を受け入れる消耗品貯蔵部を更に備える。或る特定の実施の形態において、消耗品(消耗アイテム)は、処理プレート、乾燥試薬プレート、液体試薬プレート、及び増幅カートリッジのうちのいずれか1つ以上であり得る。
【0019】
いくつかの実施の形態において、少なくとも1つのモジュールは、磁気抽出器に隣接する乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションを更に備える。他の実施の形態において、磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように構成される(適合される)。或る特定の実施の形態において、処理プレートは、それぞれの乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションに配置される乾燥試薬プレート及び液体試薬プレートに対して、少なくとも1つのモジュール内でより低く配置される。
【0020】
本開示の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面を考慮するとより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の1つの実施形態による、高スループット診断システムのキャビネットの正面斜視図である。
【
図2】本開示の1つの実施形態による、
図1のシステムの第1の分析装置の正面部分透視図であり、その外部ハウジング及びその中の或る特定の構成要素が無い状態を示す図である。
【
図4A】本開示の1つの実施形態による第1のピペットチップの斜視図である。
【
図4B】本開示の1つの実施形態による第2のピペットチップの斜視図である。
【
図5】本開示の1つの実施形態による試料容器シャトルの斜視図である。
【
図6】本開示の1つの実施形態による処理プレートの斜視図である。
【
図7】本開示の1つの実施形態による乾燥試薬プレートの斜視図である。
【
図8】本開示の1つの実施形態による液体試薬プレートの斜視図である。
【
図9】本開示の1つの実施形態による増幅カートリッジの上面図である。
【
図10A】本開示の1つの実施形態による消耗品貯蔵部の背面斜視図である。
【
図10B】本開示の1つの実施形態による廃棄物貯蔵部の背面斜視図である。
【
図10C】本開示の1つの実施形態によるピペットチップ引出しの正面斜視図である。
【
図11A】本開示の1つの実施形態による処理デッキの上面図である。
【
図11B】本開示の1つの実施形態による、
図11Aの処理デッキの第1の処理モジュールの上面図である。
【
図11C】
図11Aの処理デッキの試料容器保持アセンブリによって係合されている試料容器の概略図である。
【
図12A】本開示の1つの実施形態による、
図11Bの処理モジュールの抽出器の正面斜視図である。
【
図12C】抽出器及び処理プレートの代替の実施形態の斜視図である。
【
図13A】本開示の一実施形態による在庫ロボットの正面斜視図である。
【
図13B】本開示の1つの実施形態による、
図13Aのロボットのエンドエフェクタの図である。
【
図14A】本開示の一実施形態による液体ハンドリングアセンブリの正面図である。
【
図14B】
図14Aの液体ハンドリングアセンブリのマルチチャネルピペッタの正面斜視図である。
【
図15】本開示の方法を実装するのに好適な例示の構成要素を含む、
図2の分析装置を伴うコンピューティングシステムの一例示のアーキテクチャのブロック図である。
【
図16】本開示の1つの実施形態による、
図2の分析装置を使用する方法のフロー図である。
【
図17A】本開示の別の実施形態による分析装置の正面図である。
【
図18A】
図17Aの分析装置の正面斜視図であり、外部スキンを含むが前部ドアが無い状態を示す図である。
【
図21】
図19の処理デッキの下に配設された本開示の廃棄物シュートの斜視図である。
【
図22】異なる移動距離でキャビネットから延在し、異なる数のビンを有するチップ引出しを備える、
図1に示されたキャビネット(例えば、
図1のキャビネット2000)の代替的な一実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において使用される場合、「約」、「概して」、及び「実質的に」の用語は、完全(absolute)からの僅かな逸脱が、そのように修飾された用語の範囲内に含まれることを意味することを意図し、そのような逸脱は、修飾された用語の意味を変化させるものではない。また、以下の説明において、左、右、前、後、上及び下等の特定の方向を指すとき、そのような方向は、例示的な動作中に以下で説明するシステムに面するユーザの視点に関して説明されることを理解されたい。
【0023】
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、単数及び複数の指示対象の両方を含む。
【0024】
図1は、第1の分析装置2000と、第2の分析装置4000と、仮特許出願第62/296,349号の優先権を主張する、2017年2月17日に出願されたPCT/US2017/018358号の国内段階出願である米国特許出願第16/077,875号(「’875出願」)に記載され、それらの開示の全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする、分析前システム等の分析前システム10とを備える、高スループットシステム00を示す。分析装置2000、4000及び分析前システム10は、モジュール式であり、互いに物理的に接続及び接続解除することができ、また、互いに電子的に接続及び接続解除することができる。第1の分析装置2000は、第2の分析装置4000とは、それらが行う動作及びアッセイに関して異なるが、第2の分析装置4000は、第1の分析装置2000と全く同じものとし、その結果、分析前システム10が同じ分析装置のうちの少なくとも2つに結合し得ることを理解すべきである。分析前システム10のモジュール性は、そのように構成された任意の分析装置に結合することを可能にすることも理解すべきである。図示されているように、第1の分析装置2000及び第2の分析装置4000は、分析前システム10の対向する側部(両側部)に直線的配置で配設されている。分析前システム10及び分析装置2000、4000は、この物理的配置となるように構成されているが、分析前システム10は、3つ以上の分析装置を収容するように構成することができ、分析前システム10及び分析装置2000、4000は、例えばL字型等の他の物理的配置で配置することができるように構成され得ることが想定される。
【0025】
分析前システムに関連する分析装置
図2に示されているように、第1の分析装置は、分析前システム10のいずれかの側に結合することができる。これに関して、分析前システム10の試料容器シャトル輸送アセンブリ300aは、分析装置2000がシステム10の右側に位置する場合には分析装置2000の左側に向かって延在し、あるいは、分析前システム10の試料容器シャトル輸送アセンブリ300bは、分析装置2000がシステム10の左側に位置する場合には分析装置2000の右側に向かって延在する。そのようなアセンブリ300a、300bは、図示のように分析装置の入口(threshold)に隣接して終端し得る。しかしながら、いくつかの実施形態においては、そのようなアセンブリ300a、300bは、分析装置の入口を横断して分析装置2000内に延在してもよい。以下で更に説明される在庫ロボット2300は、試料容器シャトル2030が分析装置2000のどちら側に送達されるかにかかわらず、そのようなアセンブリ300a、300bから試料容器シャトル2030を取り出すことができる。
【0026】
構造フレーム
図2及び
図3に更に示されているように、分析装置2000は、試料の処理及び分析のための様々なデッキ又はレベルを支持及び画定するように構成される、金属製管類のセグメント等のいくつかの支持構成要素から構成される、構造フレーム2011を備える。そのようなデッキは、検出/分析デッキ2012、在庫デッキ2014、処理デッキ2016、及び液体ロボットハンドリングデッキ2018を備えることができる。しかしながら、分析装置2000の水平方向の長さ又は垂直方向の高さを低減するために、より多くの又はより少ないデッキを実装してもよい。分析装置2000はまた、
図1に示されているように、その内部構成要素を取り囲むハウジング又はシェル2010を備える。
【0027】
デッキの関係
検出/分析デッキ2012は、分析装置2000の底部付近に配設され、在庫デッキ2014の下に位置する。在庫デッキ2014は、処理デッキ2016と検出/分析デッキ2012との間に配設される。処理デッキ2016は、在庫デッキ2016と液体ハンドリングロボットデッキ2018との間に配設される。液体ハンドリングロボットデッキ2018は、分析装置2000の上部付近に配設される。検出/分析デッキ2012、在庫デッキ2014、及び処理デッキ2016は、それぞれ、分析装置2000の前部に位置し、分析装置2000の後部に達する前に終端して、分析装置2000の左右方向の長さにわたるとともに検出/分析デッキ2012、在庫デッキ2014、及び処理デッキ2016と交差するように分析装置2000の高さに沿って延在する空間を提供する。在庫ロボット2300は、前述の3つのデッキのそれぞれに在庫ロボット2300がアクセスできるように設けられた空間内に配設される。
【0028】
消耗品
図4A~
図8は、血液、粘液、痰、尿、糞便、液体ベースの細胞学的試料等を含むいくつかのカテゴリーの試料に対する広範なメニューのアッセイを行うために自動的にハンドリングされて利用され得る様々な消耗品を示す。そのようなメニューは、クラミジア・トラコマチス、淋菌、膣トリコモナス、B群溶血レンサ球菌、腸内細菌(例えば、カンピロバクター、サルモネラ、赤痢菌、大腸菌、志賀赤痢菌)、及び腸内寄生虫(例えば、ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウム、赤痢アメーバ)、並びに血液ウイルス負荷(例えば、HIV、HCV、及びHBV)の判断を伴うアッセイも含む。そのような広範なメニューのアッセイを行う能力は、消耗品設計によって部分的にサポートされる。そのような消耗品には、ピペットチップ、試料容器、試料容器シャトル、処理プレート、乾燥試薬プレート、液体試薬プレート、及び増幅カートリッジが含まれる。
【0029】
ピペットチップ
ピペットチップ2020は、第1のピペットチップ2020a(
図4A)及び第2のピペットチップ2020b(
図4B)を含む。第1のピペットチップ2020aは、第2のピペットチップ2020bよりも大きい。例えば、第1のピペットチップ2020aは、1mLチップであり得て、第2のピペットチップ2020bは、175μLチップであり得る。しかしながら、分析装置2000は、必要に応じて任意のサイズのピペットチップを収容することができる。
【0030】
試料シャトル及び試料容器
試料容器シャトル2030(
図5)は、’875出願のシャトル284と同様であり、試料容器03を収容するようにそれぞれ構成された収容部2032を備える。図示されている特定のシャトル2030は、6つの収容部2032の2つの列を備え、合計12個の収容部を備える。しかしながら、任意の数の収容部2032を設けることができる。例えば、シャトル2030は、12個の収容部2032の2つの列を備え、合計24個の収容部を備えることができる。図示されている特定の分析装置2000において、試料のバッチは、合計24個の試料容器に相当する合計24個の試料を含むことができる。しかしながら、分析装置2000は、単一の試料が1回の実行で2回以上処理及び分析される、二重レーンのアッセイ又は他の複数レーンのアッセイを行ってもよい。従って、合計24個の試料のいくつかのバッチは、その合計試料数を得るのに合計12個の試料容器のみでよい場合がある。従って、各シャトル2030に全試料バッチの半分を収容させることにより、二重レーンのアッセイ又は他の複数レーンのアッセイに効率的に適応する順応性が分析装置に提供される。
【0031】
シャトル2030はまた、在庫ロボット2300と係合するための第1の横方向開口部2034と、中に配設される容器03に試料容器保持アセンブリ(以下で説明する)がアクセスすることを可能にするように対応する収容部2032と交差する第2の横方向開口部2036とを備える。試料容器03は、’875出願の第3のタイプの容器03と同じである。これに関して、試料容器03は、貫通可能なシール09を有するキャップを備える。
【0032】
処理プレート
処理プレート2040(
図6)は、プレート本体2041を備える。係合部材2049は、プレート本体2041の上面から延在する。そのような係合部材2049は、係合ノッチ2042を備える。従って、ノッチ2042は、プレート本体2041の上方に、かつプレート本体2041の側部に対して内側に配置される。これにより、以下で更に説明するエンドエフェクタ2360等のエンドエフェクタが、プレート本体2041の上方から処理プレート2040を把持することが可能となる。しかしながら、プレート2040のいくつかの実施形態においては、ノッチ2042は、本体2041の側面内に延在することができ、これにより、在庫ロボット2300が本体2041の周囲から処理プレート2400に係合することが可能となる。
【0033】
プレート本体2041は、少なくとも部分的に、複数の抽出管2044、混合ウェル2046、及びピペットチップ保持ステーション2047を画定する。各抽出管2044は、それと位置合わせされた、対応する混合ウェル2046及びピペットチップ保持ステーション2047を有する。抽出管2044は、混合ウェル2046よりも本体2041の中線の近くに位置し、混合ウェル2046は、ピペットチップ保持ステーション2047よりも本体2041の中線の近くに位置する。抽出管2044は、本体2041によって画定される開口部を有し、本体2041の底面2043から延在する管本体2045を有する。管本体2045は、円錐回転面等の外側回転面を画定する。また、ピペットチップ保持ステーション2047は、本体2041によって画定される開口部と、底面2043から延在するスリーブ2048とを有する。そのようなスリーブ2048は、処理プレートが動かされたとしても、ピペットチップ2020がその中に配設されているときにはピペットチップ2020を安定に保つ。抽出管2044、混合ウェル2046、及びピペットチップホルダ2047の2つの列が設けられ、互いに平行に配置される。図示されている特定の実施形態において、処理プレート2040は、6つの抽出管2044、混合ウェル2046、及びピペットチップ保持ステーション2047の2つの列を備え、12個の試料がその中で処理されることを可能にする。しかしながら、これより多くすることや少なくすることも想定される。例えば、処理プレート2040は、12個の抽出管2044、混合ウェル2046、及びピペットチップ保持ステーション2047の2つの列、又は更にそのようなものの単一の列を備えることができる。処理プレート2040は、その側面又は他の表面に、分析装置2000がプレートを識別するのに役立つバーコード等の識別子を備える。
【0034】
乾燥試薬プレート
乾燥試薬プレート2050(
図7)は、プレート本体2051を備える。係合ノッチ2052が、本体2051の側面2053内に延在し、これにより、在庫ロボット2300は、乾燥試薬プレート2050の任意の2つの対向する側部から乾燥試薬プレート2050に係合することができる。プレート本体2051は、複数の乾燥試薬コンパートメント2054を画定する。貫通可能な膜(図示せず)が、これらのコンパートメント2054のそれぞれの上に配置され、プレート本体2051に封着され、その結果、膜が貫通されて1つのコンパートメントへのアクセスが得られる場合、残りのコンパートメントは封止されたままとなる。これにより、別のバッチの試料のために必要となるまでプレート2050を保管することができる。図示されているように、合計96個の試薬コンパートメント2054があり、24個の試料バッチに対して4つの別個の実行のために試薬プレート2050が利用されることを可能にする。しかしながら、この総数は変化し得る。乾燥試薬プレート2050はまた、その側面2053又は他の表面上に、分析装置2000がプレートを識別するのに役立つバーコード等の識別子を備える。
【0035】
1つの実施形態において、2つの乾燥試薬プレート2050、すなわち、第1の乾燥試薬プレート又は抽出試薬プレート2050a及び第2の乾燥試薬プレート又は増幅試薬プレート2050bが、各アッセイに利用される(
図10C参照)。これに関して、抽出試薬プレート2050aには、溶解バッファー及び抽出ビーズが装填され、増幅試薬プレート2050bには、マスターミックス試薬が装填される。
【0036】
同じプレート2050内の各試薬コンパートメント2054には、試薬プレートがアッセイ固有となるように、同じ試薬が装填される。従って、分析装置2000によって2つ以上のアッセイが行われる場合、そのアッセイに固有の試薬をそれぞれ有する別個の試薬プレートが利用される。従って、分析装置2000によって行われる1つのアッセイに対して、少なくとも2つの乾燥試薬プレート2050が利用される(例えば、1つの抽出試薬プレート2050a及び1つの増幅試薬プレート2050b)。同様に、2つの異なるアッセイが分析装置2000によって行われる場合、少なくとも4つの乾燥試薬プレート2050が利用される(例えば、2つの抽出試薬プレート2050a及び2つの増幅試薬プレート2050b)。抽出乾燥試薬プレート2050a及び増幅乾燥試薬プレート2050bは別個のものとして説明されているが、それらを組み合わせて単一の試薬プレートとし得ることが想定される。
【0037】
液体試薬プレート
液体試薬プレート2060(
図8)は、上面及び下面、並びにそれらの間に延在する側面2062によって画定されるプレート本体2061を備える。係合ノッチ2064が、本体2061の側面2062内に延在し、それにより、在庫ロボット2300が液体試薬プレート2060をその任意の2つの対向する側部から係合することが可能となる。液体試薬プレート2060は、4つの処理列2066に編成された複数の試薬コンパートメント2066を備える。これらの列2066のそれぞれは、4つのコンパートメント2066a~2066dを含み、各コンパートメントは、試料処理ステップのための試薬を保持する。例えば、各処理列2066は、再構成バッファー用の第1のコンパートメント2066aと、洗浄バッファー用の第2のコンパートメント2066bと、溶出バッファー用の第3のコンパートメント2066cと、中和バッファー用の第4のコンパートメント2066dとを含む。これらのコンパートメント2066a~2066dは、それらが使用される順序で配置される。しかしながら、それらは他の配置であってもよい。加えて、各コンパートメント2066は、試料の全バッチ、例えば、合計24個の試料のバッチを処理するのに十分な試薬を保持する。貫通可能な膜(図示せず)が、これらのコンパートメント2066のそれぞれの上に配置され、プレート本体2061に封着され、その結果、膜が貫通されて1つのコンパートメントへのアクセスが得られる場合、残りのコンパートメントは封止されたままとなる。これにより、別のバッチの試料のために必要とされるまで液体試薬プレート2060を保管することができる。液体試薬プレート2060はまた、その側面2062又は他の表面上に、分析装置2000がプレートを識別するのに役立つバーコード等の識別子を備える。
【0038】
増幅カートリッジ
増幅カートリッジ2070(
図9)は、BD MAX(商標)システム(ニュージャージー州、フランクリンレイクのBecton Dickinson社)と関連付けられたBD MAX(商標)PCRカートリッジと同様であり、米国特許第7,332,130号、同第7,998,708号、同第8,105,783号、同第8,440,149号、同第8,709,787号、同第8,765,076号に記載されており、これらの開示の全体は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。増幅カートリッジ2070は、入口ポート2073、マイクロ流体チャネル(図示せず)、ワックス弁2074、増幅チャンバ2075、及び通気孔2076を備える。処理された試料は、入口ポート2073を介してカートリッジ2070に挿入され、マイクロ流体チャネルを下って増幅チャンバ2075内に移動する。通気孔2076は、試料がチャネルを下って移動するときに空気が逃げることを可能にする。ワックス弁2074は、溶融されると、試料の増幅がチャンバ2075内で起こり得るように、チャンバ2075を封止する。チャンバ2075を部分的に画定する透明又は半透明の窓は、検出器がチャンバ2075内の分析物又は標的の存在を検出することを可能にする。
【0039】
増幅カートリッジ2070はまた、カートリッジ2070の側面内に延在する係合ノッチ2072を備える。これらのノッチ2072は、カートリッジ2070の対向する側部でカートリッジ2070内に延在し、カートリッジの中線に向かって内方にテーパ状となっている。加えて、ノッチ2072は、入口ポート2073及び通気孔2076を含むカートリッジの側部に隣接する側部に位置する。これにより、ノッチ2072がこれらの構造と干渉することが防止される。ノッチ2072は、カートリッジ2070がロボット2300によって運ばれ得るように、在庫ロボット2300が増幅カートリッジ2070に係合することを可能にする。しかしながら、いくつかの実施形態においては、増幅カートリッジ2070は、そのようなノッチ2072を有さなくてもよく、ロボットグリッパとの係合のための他の機構を採用してもよい。ノッチ2072と交差するカートリッジ2070の下面2079は、以下で更に説明されるように、また、
図13Dに示されているように、ロボットの係合ポスト2365の輪郭に合致するように斜角が付けられるか又は別様に輪郭形成され、これにより、ノッチ2072の周囲の下面2079に、ロボットの係合を更に補助する凹部又は窪み2077が形成される。増幅カートリッジはまた、その上面2078又は下面2079上に、分析装置2000がカートリッジを識別するのに役立つバーコード等の識別子を備える。
【0040】
消耗品の設置(staging)
図10A~
図10Cは、在庫デッキ2014及び処理デッキ2016内での消耗品の設置の様々な態様を示す。在庫デッキ2014は、消耗品貯蔵部2110(
図10A)等の少なくとも1つの消耗品貯蔵部を備える。在庫デッキ2014はまた、廃棄物貯蔵部2130(
図10B)等の少なくとも1つの廃棄物貯蔵部を備える。処理デッキ2016はまた、複数のピペットチップ引出しアセンブリ2140(
図10C)を備える。消耗品貯蔵部2110、廃棄物貯蔵部2130、及びピペットチップ引出し2140は、それぞれ、分析装置2000によって利用される様々な消耗品をユーザが装填及び装填解除することができるように、分析装置2000の前部からユーザによってアクセス可能である。
【0041】
消耗品貯蔵部
図10Aに示されているように、消耗品貯蔵部2110は、基部2119から垂直に延在するカラム2118から水平に延在する支持構造体又は梁2114を備える。支持構造体2114は、個々の消耗品のためのコンパートメントを画定し、その結果、消耗品は、カラム2118の第1の側からコンパートメント内に装填され、カラム2118の第2の側から装填解除することができる。例えば、支持構造体2114は、
図10Aに示されているように、乾燥試薬プレート2050又は液体試薬プレート2060を摺動可能に受けて支持することができる。そのようなプレート2050及び2060は、バーコード等の識別子がシステム2000の内部に向かって面するように、ユーザによってカラム2118の前側からそれらのそれぞれのコンパートメント内に摺動させて入れることができる。以下で更に説明される在庫ロボット2300は、識別子をスキャンして特定のプレートを識別し、必要に応じてカラム2118の裏側から適切なプレート2050、2060を取り外すことができる。これに関して、システム2000が、ロボット2300からの補助により、在庫の確認を行い、消耗品がユーザによって装填された順序を自動的に判断することができることから、プレート2050及び2060等の消耗品は、任意の順序でユーザによって装填されてもよい。加えて、支持構造体2114は、プレート2050、2060をその下端において保持し、その結果、その開口部2052、2064が露出し、それによって、ロボット2300が、それらのそれぞれの個別のコンパートメントからの除去のために、選択されたプレートに係合することを可能にする。また、図示されているように、増幅カートリッジ2070は、消耗品貯蔵部2110の上端において、それぞれのカートリッジ保管コンパートメント2116内に積み重ねることができる。カートリッジ2070は、システム2000の前側から保管コンパートメント2116内にユーザによって積み重ねられ、ロボット2300によってそこから取り外され得る。
【0042】
1つの実施形態において、消耗品貯蔵部2110は、貯蔵部2110が補充のために引出しのように引き出されることを可能にするトラックのセットに取り付けることができる。空気圧ピストン(図示せず)が、貯蔵部2110を開くのを補助することができ、また、貯蔵部2110が過度に急速に閉じて消耗品を所定の位置から押し出すのを防止するための減衰を提供することもできる。他の実施形態において、貯蔵部2110は、ドア2112がユーザに向かって揺動して開くことができ、補充のために貯蔵部を露出させることができるように、ヒンジ留めされ得る。
【0043】
廃棄物貯蔵部
廃棄物貯蔵部2130(
図10B)は、分析装置2000の前部でユーザによってアクセスされるドア2132を備える。ドア2132に平行な開口部2136を有する廃棄物コンパートメント2134が、ドア2132の裏側に取り付けられる。貯蔵部2130はまた、廃棄物コンパートメント2134から延在する棚2138を備える。この棚2138は、図示されているように、その上に使用済みの処理プレート2040が在庫ロボット2300によって積み重ねられることを可能にする。貯蔵部2130はまた、処理デッキ2016上に位置する1つ以上の液体廃棄物収容部2260(
図11B参照)と連通し得る開口部2136内に液体容器を収容することができる。廃棄物貯蔵部2130は、貯蔵部2130が空にするために引出しのように引き出されることを可能にするトラックのセットに取り付けることができる。空気圧ピストン(図示せず)は、貯蔵部2130を開くのを補助することができ、また、貯蔵部2130が過度に急速に開いて処理プレート2040にぶつかるのを防止するための減衰を提供することもできる。代替的に、貯蔵部2130は、空にするためにユーザに向かって揺動して開くように、ヒンジで連結され得る。
【0044】
代替的な実施形態においては、ロボットが使用済みのピペットを廃棄するシュートが設けられる。本明細書に記載されるのは、処理デッキを介して分析装置から使用済みのピペットチップ(消耗品廃棄物)を廃棄するシステムである。処理デッキ上に複数の開口部を有するシュートアセンブリは、廃棄されたピペットを処理デッキの上方で動作する複数のマルチチャネルピペッタのうちの1つから受け取る。マルチチャネルピペッタは、それぞれ、複数の液体ハンドリングアセンブリを有し、各液体ハンドリングアセンブリは、ピペットアセンブリを備える。シュートには、分析装置内に配備された複数のピペットアセンブリがアクセス可能である。シュートは、処理デッキ上に配設され、解放された使用済みのピペットチップを受け取り、それらの使用済みのピペットチップ及び廃棄されたピペットチップを廃棄物受容器に向ける。1つの例示的な実施形態においては、3つのマルチチャネルピペッタに適応する3つのシュートがあり、各マルチチャネルピペッタは3つのピペットアセンブリを有する。この構成において、左側のシュートには、システム内の左側のマルチチャネルピペッタ及び中央のマルチチャネルピペッタが到達することができる。中間のシュートには3つ全てのマルチチャネルピペッタが到達することができ、処理デッキの右側のシュートには中央及び右側のマルチチャネルピペッタが到達することができる。シュートアセンブリは、装置内に取外し可能に固定されており、装置が修理を必要とする場合には取り外すことができる。
【0045】
処理デッキはまた、マルチチャネルピペッタ内のピペットアセンブリの漏れについて試験するために使用することができるコンプライアントパッドを備える。動作中、ピペットチップが取り付けられたピペッタは、コンプライアントパッドと接触させられる。ピペットアセンブリが吸引モード又は圧力モードのいずれかで操作される場合、ピペットアセンブリは、漏れについて試験される。いずれのモードにおいても、チップがコンプライアントパッドと接触しているときに圧力が一定のままであれば、漏れはない。
【0046】
ピペットチップ引出し
ピペットチップ引出しアセンブリ2140(
図10C)は、チップ引出し2142を備える。チップ引出し2142は、側壁2144と横壁2145とを備える、概して箱状の構造体であり、横壁2145は、複数のピペットチップを担持(保持、支持)するピペットチップラック(pipette tip rack)を受ける1つ以上の開口部を備える。図示されている実施形態においては、2つのピペットチップラック(図示せず)を受けるためにチップ引出し2142の横壁2145に2つの開口部がある。1つの例示的な実施形態においては、引出しは、ラックを受けるビン(bin:容器部)を有する。第1のラックが第1のピペットチップを備えることができ、第2のラックが第2のピペットチップを備えることができる。ピペットチップ引出し2142は、空のチップラックの取外し及び新しいチップラックの補充のために引出し2142が分析装置2000から部分的に引き出されることを可能にする1つ以上のトラック2148に取り付けられる。ドア(図示せず)を引出し2142の一端に取り付けることができ、これにより、引出し2142が閉じられたときに、ドアが分析装置の外側シェルの一部を形成する。空気圧ピストン2149が引出し2142を開くのを補助することができ、また、引出し2142が過度に急速に開閉するのを防止するための減衰を提供することもできる。
【0047】
1つの例示的な実施形態において、引出しのうちの少なくともいくつかは、複数のビンを伴って構成され、各ビンは、公称容積(例えば、1mL、175μL等)を有するピペットチップを受ける。処理デッキにシュートを収容するために、引出しのうちのいくつかは、それらの引出しが処理デッキのシュートまで戻るように、ビンを1つのみ有する。これらの引出しは短いので、2つのビンを収容する引出しほど遠くに引き出すことはできない。
【0048】
処理モジュール
処理モジュール/レーン
図11Aは、並んで配置された複数の処理モジュール2200を備える処理デッキ2016を示す。図示されているように、処理デッキ2016は、3つの処理モジュール、すなわち、第1の処理モジュール2200a、第2の処理モジュール2200b、及び第3の処理モジュール2200cを備える。しかしながら、分析装置2000は、特定の研究室のスループットの需要及び空間要件に対応するために、より多くの又はより少ない処理モジュール2200を備えることができる。処理モジュール2200a~2200cは、それらの物理的配置に関して同様に構成され、それらの間の違いは、隣接するモジュールによって共有され得る試料容器保持アセンブリ2210として機能するジョーアセンブリを有するシャトルプラットフォームに対するそれらの場所である。例えば、第1の処理モジュール2200a及び第2の処理モジュール2200bは両方とも、第1の試料容器保持アセンブリ2210abを利用して、そのための試料容器03を保持することができ、第2の処理モジュール2200b及び第3の処理モジュール2200cは両方とも、第2の試料容器保持アセンブリ2210bcを利用して、そのための試料容器03を保持することができる。
【0049】
各処理モジュール2200は同様に構成されるが、各処理モジュール2200は、各処理モジュール2200が別の処理モジュールにおいて同時に行われるアッセイとは異なるアッセイを実行することができるように、幅広いアッセイを行うことができる。これに関して、各処理モジュール2200は、特定の時点における処理ニーズに応じて、任意の数のアッセイタイプを行うように自動的に指定及び再指定することができる。例えば、第1の処理モジュール2200aは第1のアッセイを行うように指定され、第2の処理モジュール2200bは第2のアッセイを行うように指定され、第3の処理モジュール2200cは第3のアッセイを行うように指定されてもよく、各アッセイは異なる。しかしながら、それらのアッセイが完了すると、処理モジュール2200a~2200cのうちのいずれか1つは、異なるアッセイを行うように自動的に再指定することができ、従って、第1の処理モジュール2200a、第2の処理モジュール2200b、及び第3の処理モジュール2200cのそれぞれは、例えば、同じアッセイを実行する。従って、分析装置2200は、特定のアッセイのための十分な消耗品がそのハウジング2010内に在庫されるという条件で、リアルタイムのニーズに適応する順応性がある。
【0050】
代替的な実施形態において、処理デッキ2016は、
図19に示されている処理デッキ4016として再構成される。
図11Aに示されているものと同様に、
図19は、並んで配置された複数の処理モジュール4200a~4200cを備える処理デッキ4016を示す。図示されているように、処理デッキ4016は、3つの処理モジュール、すなわち、第1の処理モジュール4200a、第2の処理モジュール4200b、及び第3の処理モジュール4200cを備える。しかしながら、分析装置2000は、特定の研究室のスループットの需要及び空間要件に対応するために、より多くの又はより少ない処理モジュール4200を備えることができる。処理モジュール4200a~4200cは、それらの物理的配置に関して同様に構成され、それらの間の違いは、隣接するモジュールによって共有され得る試料容器保持アセンブリ4210ab、4210bcとして機能するジョーアセンブリを有するシャトルプラットフォームに対するそれらの場所である。例えば、第1の処理モジュール4200a及び第2の処理モジュール4200bは両方とも、第1の試料容器保持アセンブリ4210abを利用して、そのための試料容器03を保持することができ、第2の処理モジュール4200b及び第3の処理モジュール4200cは両方とも、第2の試料容器保持アセンブリ4210bcを利用して、そのための試料容器03を保持することができる。
【0051】
各処理モジュール4200は同様に構成されるが、各処理モジュール4200は、各処理モジュール4200が別の処理モジュールにおいて同時に行われるアッセイとは異なるアッセイを実行することができるように、幅広いアッセイを行うことができる。これに関して、各処理モジュール4200は、特定の時点における処理ニーズに応じて、任意の数のアッセイタイプを行うように自動的に指定及び再指定することができる。例えば、第1の処理モジュール4200aは第1のアッセイを行うように指定され、第2の処理モジュール4200bは第2のアッセイを行うように指定され、第3の処理モジュール4200cは第3のアッセイを行うように指定されてもよく、各アッセイは異なる。しかしながら、それらのアッセイが完了すると、処理モジュール4200a~4200cのうちのいずれか1つは、異なるアッセイを行うように自動的に再指定することができ、従って、第1の処理モジュール4200a、第2の処理モジュール4200b、及び第3の処理モジュール4200cのそれぞれは、例えば、同じアッセイを実行する。従って、分析装置4200は、特定のアッセイのための十分な消耗品がそのハウジング2010内に在庫されるという条件で、リアルタイムのニーズに適応する順応性がある。
【0052】
処理モジュールの例
図11Bは、第1の処理モジュール2200aを示しており、他の処理モジュールの例証となるものである。第1の処理モジュール2200aは、概して、第1の試料容器保持アセンブリ2210ab(第2の処理モジュール2200bによって共有される)と、乾燥試薬ステーション2220と、液体試薬ステーション2230と、抽出器2240と、増幅カートリッジステーション2250と、ピペット引出し2140と、廃棄物収容部2260とを備える。これらの構成要素は、任意の構成で配置することができる。しかしながら、図示されている実施形態においては、乾燥試薬ステーション2220及び液体試薬ステーション2230は、処理デッキ2016の後端に位置し、互いに隣接して配設される。第1の抽出器2240a及び第2の抽出器2240bは、試薬ステーション2220及び2230に隣接して位置し、増幅カートリッジステーション2250と試薬ステーション2220、2230との間に配置される。これにより、それらの間の液体の効率的な移動が可能となる。ピペットチップ引出し2140は、処理デッキ2016の前部に位置し、ユーザがそこに容易にアクセスすることを可能にする。処理モジュール2200aは、好ましくは、第1のピペットチップ2020aを担持する第1のピペットチップラック2022aと第2のピペットチップ2020bを担持する第2のピペットチップラック2022bとをそれぞれ保持する、3つのピペットチップ引出し2140を備える。ピペットチップ2020のこの量により、処理モジュール2200aが、補充することなく、約12回のアッセイ実行を行うことが可能となる。試料容器保持アセンブリ2210abは、抽出器2240a、2240b及び試薬プレートステーション2220、2230の側部に、かつ第1の処理モジュール2200aと第2の処理モジュール2200bとの間に配設される。また、第1の処理モジュール2200aと第2の処理モジュール2200bとの間には、廃棄物収容部2260がある。廃棄物収容部により、使用済みのピペットチップを処理デッキ2016の上方から廃棄物貯蔵部2130の中に廃棄することが可能となる。廃棄物収容部2260はまた、液体廃棄物を廃棄物貯蔵部2130内のボトル又は何らかの他の容器の中に廃棄することを可能にする液体廃棄物入口(図示せず)を備えることができる。
【0053】
図19はまた、i)乾燥試薬プレート4050と、ii)液体試薬プレート4060と、iii)抽出器4240と、増幅カートリッジ4070と、液体廃棄物ポート4260とを有する各モジュールを示す。乾燥試薬プレート4050、液体試薬プレート、抽出器、及び増幅カートリッジは、在庫ロボット4300によって処理デッキ4016の上及び周囲に移動される。処理デッキ4016は、複数の引出し4140a~4140jを有する。各引出しは、消耗品ピペットチップを収容する。引出し4140a、4140b、4140d、4140f、及び4140h、4140iは、すべて、ビンが2つ以上のサイズのピペットチップを収容することを可能にする深さを有する。1mLの公称容積を有するピペットチップの1つのビンと、175μLの公称容積を有するピペットチップの第2のビンとを有する引出し(4140a)が、
図23Aに示されている。1mLの公称容積を有するピペットチップのビンを1つのみ有する引出し(4140c)が、
図23Bに示されている。
【0054】
図19はまた、漏れ検出パッド4805a及び4805bを示す。これらのパッド4805a、4805bは、コンプライアント材料から作製され、ピペッタセンブリのいずれかに漏れが生じているかどうかを検出するために使用される。ピペットアセンブリは、ピペットアセンブリ2470上のピペットチップ2020を接触パッド4805a、4805bと接触させることによって試験される。ピペッタセンブリは、正圧又は負圧を使用することによって、漏れについて試験される。負圧が使用される場合、部分真空がピペットアセンブリ2470上に引かれる。ピペットチップがパッドと接触している間に、引かれた真空が実質的に一定のままでない場合、漏れが示される。同様に、正圧が使用される場合、正圧がピペットアセンブリに導入される。正圧が維持されない場合、これも漏れを示す。漏れが検出されると、オペレータに対して漏れ状態が警告される。
【0055】
試料容器保持アセンブリ
試料容器保持アセンブリ2210abは、クランプアセンブリ2212を含み、アリコートが容器03から吸引される間、シャトル2030及びシャトル2030内の容器03を保持するように、クランプアセンブリ内に配設されるシャトル2030に向かってクランプアセンブリ2212が閉じられるという点で、’875出願の試料容器保持アセンブリ1100と同様である。これに関して、クランプアセンブリ2212は、
図11Cに最も良好に見られるように、クランプアセンブリ2212が試料容器03の底端部でスカート07に係合するために閉じられるとき、シャトル2030内の第2の横方向開口部2036を通って突出するように構成される係合部材2214を備える。これらの係合部材2214は、容器03が吸引中にシャトル2030から不意に外れることを防止するように、それぞれの容器03のスカート07内に貫通/噛合する。しかしながら、保持アセンブリ1100とは異なり、保持アセンブリ2210abは、シャトル2030が静置される静止プラットフォーム2216を有し、一方、保持アセンブリ1100は、移動コンベヤ1116を利用する。従って、シャトル2030をクランプアセンブリ2210ab内の適所に搬送するコンベヤの代わりに、在庫ロボット2300は、シャトル2030をクランプアセンブリ2212内の適所に配置する。
図19の処理デッキはまた、容器保持アセンブリ4210ab及び4210bcを示す。
図19に示されている処理デッキは、複数のピペットシュート4800a、4800b、及び4800cを有する。各シュートは、上側アセンブリ4801及び下側アセンブリ4802を有する。下側アセンブリ4802は、後述するようにブラケット4810を使用して処理デッキ4016の下方に取り付けられる。上側アセンブリ4801は、処理デッキ4016に固定される。
図20を参照すると、ピペットシュート4800a~4800cは、処理デッキ4016の下方でその中に解放されたピペットチップを廃棄物ビン4134内に搬送する。引出し4140a~4140jは、チップシュート4800a~4800cの配置に適応するように処理デッキ4016上に配置される。これに関して、1ビン引出し4140c、4140e、及び4140gは、2ビン引出し4140a、4140b、4140d、4140f、4140h、及び4140iよりも小さい深さを有する。シュート4800a~4800cの範囲は、
図20の処理デッキの側面図及び
図21に示されている処理デッキの斜視切欠図に示されている。
図20において、シュート4140eの上部は、ピペットチップ引出し4140eで隠れて見えない。支持ブラケット4810が
図20に示されている。ブラケット4810は、シュート4800a~4800cを処理デッキに固定する方法を提供し、分析装置が保守を必要とする場合にシュートアセンブリを取り外すことを可能にする。シュート4800a~4800cの範囲もまた、
図21に見ることができる。角度が付けられたシュートにより、シュートを、マルチチャネルピペッタ2440a~2440cによってアクセス可能とするが、廃棄されたピペットチップを中央収容部4134に誘導することが可能となるものとすることができる。
図22は、ハウジング2010を有するが、本明細書における
図19~
図21並びに
図23a及び
図23bに記載される引出し構成を有する分析装置2000を示す。分析装置は、分析装置の前部からアクセス可能な消耗品キャビネット4110及び廃棄物キャビネット4130を有する。
【0056】
試薬プレートステーション
乾燥試薬プレートステーション2220及び液体試薬プレートステーション2230は、それぞれ、デッキ2016の表面から延在する、一対のレール等の支持構造(図示せず)によって画定される収容部を備えることができる。そのような収容部は、各プレートが正確な場所に配置されることを確実にするのに役立つように、対応する試薬プレートを受けることができる。図示されているように、処理モジュール2200aは、1つの乾燥試薬プレートステーション2220及び1つの液体試薬プレートステーション2230を備える。分析装置2000は、典型的には、行われるアッセイ毎に2つの乾燥試薬プレート2050a、2050bを利用するため、乾燥試薬プレート2050a、2050bは、動作中に交換される。しかしながら、試薬プレート2050a、2050bのそれぞれが一度に処理デッキ2016上に配置されることを可能にするために、更なる乾燥試薬プレートステーションが処理モジュール2200aに組み込まれ得ることが想定される。処理モジュール2200aはまた、増幅カートリッジ2070が在庫ロボット2300によって正確に配置されることを可能にする、陥凹支持構造を含むことができる。
【0057】
抽出器
抽出器アセンブリは、
図12A及び
図12Bに示されているように、2つの抽出器、すなわち、第1の抽出器2240a及び第2の抽出器2240bを備える。各抽出器2240a、2240bは、ハウジング2242と、プリント回路基板2247(「PCB」)と、モータ2244と、駆動機構2246と、永久磁石2241と、加熱要素2248とを備える。他の例示的な抽出器アセンブリは、BD MAX(商標)システム(ニュージャージー州、フランクリンレイクのBecton Dickinson社)の抽出器を備え、米国特許第8,133,671号に記載されており、その開示の全体は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。永久磁石2241は、駆動機構2246に取り付けられ、ハウジング2242内に配設される。永久磁石2241は、隣接する磁石2241a、2241bの6つの対を形成するように、6つの磁石の2つの列に配置される。磁石2241a、2241bのこの並んだ対は、処理プレート2040内の磁気ビーズの磁気引力を、単一の磁石の磁気引力よりも増強することが分かっている。磁石2241の列は、駆動機構2246に移動可能に接続され、モータ2244によって動作させられる駆動機構2246を介して、ハウジング2242の上部における開口部を通してハウジング2242の内外に移動可能である。
【0058】
PCB2247及び加熱要素2248は、ハウジング2242の両側部に接続される。加熱要素2248は、6個ずつ2列に配置され、ハウジング2242の上方に延在する。各加熱要素2242は、処理プレートの抽出管2045の回転外面に適合する幾何学的形状を有するカップ状構造を形成する凹部2249を画定する。これにより、加熱要素2248がそのような回転面に直接接触して熱を抽出管2045に伝達することが可能となり、また、処理プレート2040が抽出器2240によって安定して支持されることが可能となる。加えて、抽出器2240a、2240bの幅は、処理プレートがそれによって保持されるときに、ピペットチップ2020がピペットチップ保持ステーション内に配置され、抽出器2240によるいかなる干渉もなく処理プレート2040を通って延在することができるようなものである。モータ2244が動作すると、永久磁石2241の列は、加熱要素2248と隣接する抽出ウェル2045との間の空間2243の中へ上方に移動され、その中に配設され得る磁気ビーズを引き寄せることができる。
【0059】
図12C及び
図12Dは、本開示の更なる実施形態による抽出器2240’及び処理プレート2040を示す。前述したように、処理プレートは、プレート本体2041の両側部に係合ノッチ2042を備えることができる。しかしながら、係合ノッチ2042がプレート本体2041の側部に配置される代わりに、処理プレート2040は、好ましくは、プレート本体2041の上面から延在する係合部材2049を備える。そのような係合部材2049は、係合ノッチ2042を備える。従って、処理プレート2040は、プレート本体2041の上方でプレート本体2041の側部に対して内側にノッチ2042を配置する。これにより、エンドエフェクタ2360は、プレート本体2041の側部ではなく上方から処理プレート2040を把持することができ、それにより、以下でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ2360は、ほとんど隙間のない空間で動作することができる。
【0060】
抽出器2240’は抽出器2240と同様であるが、抽出器2240’がドリップトレイ2280を備える点で異なる。ドリップトレイ2280は、図示されているように、中間部材2088によって接続されたトラフ部材(樋状部材)2281a、2281bを備える。中間部材2088は、抽出器2240’の両側部の間に延在し、
図12Dに最も良好に示されているように、抽出管2045が抽出器2240’の加熱要素2248に係合することができるように、抽出管2045及び混合ウェル2046が通って延在するための開口部を備える。加えて、中間部材2088は、概して、処理プレート本体2041がその上に静置することを可能にする平坦な上面を有するため、処理プレート2040を支持するのに役立つ。各トラフ部材2281a、2281bは、外側シールド2082と、内側シールド2084と、下側シールド2086とを備える。内側シールド2084は、中間部材2088に接続され、そこから下向きに延在し、その結果、処理プレート2040が抽出器2240’に取り付けられるとき、内側シールド2084は、
図12Dに最も良く示されているように、加熱要素2248とピペットスリーブ2048の列との間に位置する。下側シールド2086は、外側シールド2082及び内側シールド2084に接続し、それらの間に延在する。外側シールド2082は、下側シールド2082から上向きに延在する。この構成は、ピペットチップ2020がピペットスリーブ2048のそれぞれの1つに配設されるときに、ピペットチップ2020の列を受けるようにサイズ決めされるトラフを形成する。これに関して、トラフ部材2281a、2281bは、再使用のためにピペットスリーブ2048内に保管され得るピペットチップ2020からの汚染を防止するのに役立つ、システム2000内のバリアを形成する。
【0061】
図12Eは、抽出器2240’を備える第3の処理モジュール2210cを示す。処理プレート2040は、上記抽出器2240’に取り付けられる。抽出器2240’及び処理プレート2040は、乾燥試薬プレート2050及び液体試薬プレート2060と、デッキ上のピペットチップシュート2135及び増幅カードステーション2070との間に配設される。しかしながら、図示されているように、処理プレート2040は、概して、これらの周囲の構成要素よりも処理デッキ2016上でより低く位置する。しかしながら、システム2000の全体的なサイズを節約するのを助けるために、これらの構成要素と処理プレート2040との間の左右のクリアランスは最小である。従って、エンドエフェクタ2360が、抽出器2240’上に処理プレート2040を配置し、そこから処理プレート2040をピックアップするのに十分なクリアランスを有することは困難であり得る。これに関して、処理プレート2040は、エンドエフェクタ2360が処理プレート2040をピックアンドプレースするのに十分なクリアランスを提供する係合部材2049を提供する。また、図示されているように、細長い開口部2017が、処理デッキ2016の表面を通って延在し、これにより、処理プレート2040に取り付けられた再使用可能なピペットチップ2020がそれを通って延在することが可能となる。ドリップトレイのトラフ部材2281a、2281bは、そのような開口部2017と位置合わせされ、ピペットチップ2020からのドリップによってシステム2000が汚染されないように遮蔽する。
【0062】
検出器
各処理モジュール2200a~2200cは、関連付けられた検出器2270を有し、
図10Aに示されている実施形態においては、それぞれ、分析装置2000の底部における検出/分析デッキ2012内に位置する。例えば、第1の処理モジュール2200aは第1の検出器2270aに関連付けられ、第2の処理モジュール2200bは第2の検出器2270bに関連付けられ、第3の処理モジュール2200cは第3の検出器2270cに関連付けられる。処理デッキ2016の下の検出器2270a~2270cの場所は、検出器2270a~2270cを可能性のある汚染物質から隔離するのに役立つ。例示的な検出器は、BD MAX(商標)システム(ニュージャージー州、フランクリンレイクのBecton Dickinson社)の検出器であり、米国特許第8,133,671号に記載されており、その開示の全体は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。検出器2270a~2270cのそれぞれは、リーダヘッド2271及びサーモサイクラ2275を備える。リーダヘッド2271は、発光器と、増幅カートリッジ2070のチャンバ2075内の蛍光プローブの存在を検出するように構成される検出器(図示せず)とを備える。サーモサイクラ2275は、増幅カートリッジ2070を受けるように構成される凹部2277を有する可動プラットフォーム2276を備える。サーモサイクラ2275は、増幅カートリッジ2070の内容物、例えば、精製されたDNAを所定の温度まで周期的に加熱して、そのような内容物の増幅を補助する加熱要素(図示せず)を有する。リーダヘッド2271は、そのリーダが下方向を指すように、分析装置2000の構造から懸架される。サーモサイクラ2275は、リーダヘッド2271の下に配設され、モータ2278と、プラットフォーム2276を垂直方向に移動させて増幅カートリッジ2070をリーダヘッド2271に押し付ける駆動ねじとを備える。サーモサイクラ2275とリーダヘッド2271との間に存在する空間は、在庫ロボット2300がサーモサイクラ2275上に増幅カートリッジ2070を配置することを可能にするのに十分に広い。
【0063】
消耗品のハンドリング
図13A~
図13Dは、本開示の1つの実施形態による在庫ロボット2300を示す。在庫ロボット2300は、分析装置2000内の全ての消耗品の在庫調べをするのを助け、また、分析装置2000内の全ての消耗品をハンドリングする。加えて、在庫ロボット2300は、試料容器03を有するシャトル2030を分析装置2000と分析前システム10との間で行き来させるように、分析装置2000から分析前システム10の中に到達することができる。これに関して、分析装置2000のハウジングは、その左側又は右側に、ロボット2300が通って到達することを可能にするようにサイズ決めされた側部開口部を備えることができる。在庫ロボット2300は、トラック部材2310、本体/ポスト2320、ショルダ2330、第1のアーム部材2340、第2のアーム部材2350、及びエンドエフェクタ又はハンド2360を備える。
【0064】
ロボットアーム
トラック部材2310は、分析装置2000の一方の側から他方の側まで左右方向に延在し、前述の前方に位置するデッキ2012、2014、及び2016よりも分析装置2000の後端の近くに位置する。本体2320は、トラック部材2310に摺動可能に取り付けられ、そこから直角に延在する。本体2320は、キャリッジ2322を介してトラック部材2310に結合される。キャリッジ2322及びトラック部材2310は、本体2320が単一の軸に沿って左右方向に並進することを可能にするリニアモータを形成する。分析装置2000に実装することができるリニアモータの一例は、Festoリニアモータアクチュエータ(「FLMA」)(独国、エスリンゲン・アム・ネッカーのFesto AG & Co. KG社)である。しかしながら、トラック部材2310に沿って本体2320を駆動する、ベルト及びプーリ機構等の他の駆動機構が想定される。
【0065】
ショルダ2330は、ショルダ2330を本体2320の垂直軸に沿って駆動することができるように、本体2320に摺動可能に取り付けられ、これはまた、リニアモータ又は何らかの他の駆動機構によって実現することができる。ショルダ2330は、第1のアーム部材2340がショルダ2330及び第1のアーム部材2340の両方によって共有される垂直軸の周りを回転可能であるように、第1のアーム部材2340の一端において第1のアーム部材2340に取り付けられる。第2のアーム部材2350は、第2のアーム部材2350が、アーム部材2340及び2350の両方によって共有される垂直軸の周りを回転することができるように、第1のアーム部材2340の他端に接続される。エンドエフェクタ2360は、第1のアーム部材2340から離れた第2のアーム部材2350の端部に接続され、エンドエフェクタ2360及び第2のアーム部材2350によって共有される垂直軸の周りを回転可能である。
【0066】
エンドエフェクタ
エンドエフェクタ2360は、本体2362と、本体2362に結合される一対の可動フィンガ2363a、2363bとを備える。可動フィンガ2363a、2363bは、
図13Aに示されているように、物品を把持又は解放するために、ともに接近又は離間するように移動するように動作可能である。これに関して、可動フィンガ2363a、2363bは、概ね動作中に平行のままである。本体2360は、概してフィンガ2363a、2363bから離れる方向に面する本体2362の表面に、バーコードスキャナ等の1つ以上の識別子リーダ2366を備える。本体2362は、第2のアーム部材2350に対して約180度回転することが可能であり、それにより、そのような識別子リーダ2366が、分析装置2000の前部に面し、在庫デッキ2014又は他の場所に位置する消耗品をスキャンすることが可能になる。本体2362はまた、その底面に識別子リーダを備えることができ、その結果、そのようなリーダは、上向きの識別子、例えば、増幅カートリッジ2070上に位置し得る識別子を読み取ることができる。
【0067】
フィンガ2363a、2363bは、特に、様々な異なる消耗品と係合するように構成される。これに関して、フィンガ2363a、2363bは、第1の係合機構2361及び第2の係合機構2364を備える。第1の係合機構2361は、図示されているように、一方のフィンガ2363から他方のフィンガ2363に向かって内側に延在する、タブ又は突出部である。第1の係合機構2361は、それぞれ、プレート2040、2050、2060の係合ノッチ2042、2052、2062、及びシャトル2030の第1の横方向開口部2034内に嵌合するようにサイズ決めされる。動作中、フィンガ2363a、2363bが消耗品上に閉じられると、第1の係合機構2361は、対応する消耗品のノッチ又は開口部内に延在して、消耗品が落下するのを防止し、一方、フィンガ2363a、2363b自体は、消耗品の側面をクランプして、そのような物品を更に制御及び保持する。図示されているように、各フィンガ2363a、2363bは、好ましくは、フィンガの把持部内で消耗品が不意に回転することを防止するのに役立つ2つの係合機構2361を備える。
【0068】
第2の係合機構2364は、概して、第1の係合機構2361に対してフィンガ2363a、2363bの反対側に位置し、下向きに延在するポスト又はダブテール2365を備える。ポスト2365は、
図13Cに最も良好に示されているように、係合機構2364の略平面状の底面2366から延在し、そこから外向きにテーパ状となり、円錐台形回転面を形成する。これらのポスト2365は、増幅カートリッジ2070内の対応するノッチ2072と係合する。上述したように、増幅カートリッジ2070は、窪み2077を形成する各ノッチ2072の周りに傾斜面又は輪郭面を備える。動作中、ポスト20365がそれぞれのノッチ2072内に摺動すると、ポスト2365は最終的にこの窪み2077に到達する。窪み2077に到達すると、ポスト2365は、
図13Dに示されているように、適合する様式で窪み2077内に受けられる。これは、窪み2077がポストの回転面に適合するときに、カートリッジ2070が分析装置2000の周りを移動するための安定したプラットフォームを提供するのに役立つ。更に、ポスト2365のフレア又はテーパは、カートリッジ2070が落下するのを防止するのに役立つ。
【0069】
図13Bに示されているように、各フィンガ2363a、2363bは、3つの係合機構2364を備える。しかしながら、より多くの又はより少ない係合機構2364が想定されるが、各フィンガ2363a、2363bが単一の第2の係合機構2364を備えることが好ましい。これにより、垂直軸の周りで不意に回転して側面がフィンガ2363aと平行でなくなり得る増幅カートリッジ2070にフィンガ2363が十分に係合することを可能にする。これは、2つ以上の係合機構2364を有するフィンガ2363a、2363bにとって、著しくより困難な作業であり得る。なぜなら、そのようなカートリッジ2070が不意に回転した場合に、機構2364のうちの少なくともいくつかが、増幅カートリッジ2070の対応するノッチ2072と適切に位置合わせすることができない場合があるからである。
【0070】
また、各フィンガ2363a、2363bは、水平軸の周りを下向き又は上向きに曲がることができるように柔軟であってもよいが、接触するほど容易に降伏しないように十分に弾性である。そのような柔軟性は、第2の係合機構2364を含む、終端付近の長さに沿って、各フィンガ2363a、2363bに付与することができる。これにより、フィンガ2363a、2363bは、カートリッジ2070がフィンガ2363a、2363bに対して平行とならないように水平軸の周りで傾斜させることができる増幅カートリッジ2070に係合するように自動的に調整することができる。
【0071】
液体のハンドリング
図14A及び
図14Bは、本開示の1つの実施形態による液体ハンドリングロボット2400を示す。液体ハンドリングロボット2400は、液体ハンドリングロボットデッキ2018において、処理デッキ2016の上方に懸架される。液体ハンドリングロボット2400は、分析装置2000の一方の側から他方の側まで左右方向に延在するトラック部材2405を備える。複数のマルチチャネルピペッタ2440が、キャリッジ2420及び横方向アーム2430を介してトラック部材2405に接続される。アーム2430は、キャリッジ2420に接続され、キャリッジ2420は、アーム2430がトラック部材2405に対して横方向に延在するように、トラック部材2405に摺動可能に接続される。キャリッジ2420及びトラック部材2405は、マルチチャネルピペッタ2440及びアーム2430がトラック部材2405に沿って左右方向に駆動されることを可能にする、リニアモータを形成する。そのようなリニアモータの一例は、Festoリニアモータアクチュエータ(「FLMA」)(独国、エスリンゲン・アム・ネッカーのFesto AG & Co. KG社)である。図示されているように、各処理モジュール2200に対して1つのマルチチャネルピペッタ2440がある。従って、この特定の実施形態においては、3つのピペットアセンブリ、すなわち、第1のマルチチャネルピペッタ2440a、第2のマルチチャネルピペッタ2440b、及び第3のマルチチャネルピペッタ2440bがある。第1のマルチチャネルピペッタ2440aは第1の処理モジュール2200aに対応し、第2のマルチチャネルピペッタ2440bは第2の処理モジュール2200bに対応し、第3のマルチチャネルピペッタ2440cは第3の処理モジュール2200cに対応する。しかしながら、より多くの又はより少ないマルチチャネルピペッタ2440が可能であり、処理モジュール2200の数に基づく。
【0072】
マルチチャネルピペッタ
図14Bは、マルチチャネルピペッタ2440a~2440cの代表例である、本開示の一実施形態によるマルチチャネルピペッタ2440を示す。マルチチャネルピペッタ2440は、バックプレーンコネクタ2450と、バックプレーンコネクタ2450に接続される複数の液体ハンドリングアセンブリ2442とを備える。図示の実施形態においては、3つの液体ハンドリングアセンブリ24742、すなわち、第1の液体ハンドリングアセンブリ2442a、第2の液体ハンドリングアセンブリ2442b、及び第3の液体ハンドリングアセンブリ2442cがある。しかしながら、これよりも多い場合も少ない場合も想定される。各液体ハンドリングアセンブリ2442a~2442cは、メインボードアセンブリ2460a~2460c及びピペットアセンブリ2470a~2470cを備える。液体ハンドリングアセンブリ2442a~2442cは、互いに近接して隣接した状態でバックプレーンコネクタ2450に接続される。
【0073】
各メインボードアセンブリ2460は、データ、電力、及び正/負の空気圧を対応するピペットアセンブリ2470に提供するのに役立つ。図示の実施形態においては、3つのピペットアセンブリ2460、すなわち、第1のピペットアセンブリ2460a、第2のピペットアセンブリ2460b、及び第3のピペットアセンブリ2460cがある。これらのアセンブリ2460a~2460cは、それぞれの液体ハンドリングアセンブリ2442a~2442cに対応する。各メインボードアセンブリ2460は、’875出願の
図27A及び
図27Bに記載され示されるメインボードアセンブリ1401と同様である。これに関して、各メインボードアセンブリ2460は、PCB、正圧入力部及び負圧入力部、バルブ、並びに入力部及びバルブと連通する液体/気体導管等の様々な構成要素が内部に配設されたハウジング2462を備える。メインボードアセンブリ2460a~2460cはまた、ハウジング2462の一方の側の垂直レール2464と、モータ2466と、駆動シャフト(図示せず)とを備えるz駆動機構を備える。駆動シャフトは、ハウジング2462内に配設される。
【0074】
各ピペットアセンブリ2470は、各ピペットアセンブリ2470がそのそれぞれのメインボードアセンブリ2460にヒンジ接続されず、複数のヒンジ位置に回転しないことを除いて、’875出願の
図17A~
図17Dのピペットアセンブリ502並びに
図27A及び
図27Bのピペットアセンブリ1402と同様である。各ピペットアセンブリ2470は、回転が拘束され、モータ2466を介して垂直レール2464に沿って垂直z方向に移動する。従って、第1のピペットアセンブリ2470a、第2のピペットアセンブリ2470b、及び第3のピペットアセンブリ2470cは、垂直又はz方向に独立して移動することができる。その他の点では、ピペットアセンブリ2470は、特にそのピペットチャネルアセンブリ(図示せず)及びピペットチップエジェクタアセンブリ2472に関して、ピペットアセンブリ502及び1402と同様に構築される。
【0075】
バックプレーンコネクタ2450は、バックプレーンコネクタ2450が、図示される第1のアセンブリ2442a、第2のアセンブリ2442b、及び第3のアセンブリ2442c等の複数の液体ハンドリングアセンブリ2442を取り付けるように構成されることを除いて、’249出願の
図29A及び29Bのバックプレーンコネクタ1600と同様である。これに関して、バックプレーンコネクタ2450は、各液体ハンドリングアセンブリ2442のメインボードアセンブリ2470a~2470cに接続し、必要な電力、圧力、及びデータ信号を液体ハンドリングアセンブリ2442a~2442cに供給するためのイーサネット、マルチピン、正圧入力コネクタ、及び負圧入力コネクタ等のいくつかのコネクタ(図示せず)を備える。これは、複数の液体ハンドリングアセンブリ2442がそのように近接して接続された状態で、絡まり得て管理することが困難であり得る外部ケーブル配線を低減又は排除するのに役立つ。
【0076】
自動化
図15は、分析装置2000のコンピューティングシステムの概略的なアーキテクチャを示す。コンピューティングシステム2510は、高スループットシステム00のコンピューティングシステム図を示す’249出願の
図26のシステム1300内のサブシステムとすることができる。これに関して、機器間バス2504及びワークフローコンピューティングデバイス2540は、’249出願の
図26に示されているバス1320及びコンピューティングデバイス1330と同じである。加えて、コンピューティングデバイス2510は、コンピューティングデバイス1360と同様であり、分析装置2000内のその入力部及び出力部とともに、本明細書でより詳細に説明される。
【0077】
コンピュータ制御デバイス2510は、任意の汎用コンピュータとすることができ、プロセッサ2512、メモリ2514、及び汎用コンピュータ制御デバイスに典型的に存在する他のコンポーネントを含むことができる。しかしながら、コンピュータ制御デバイス2510は、特定のコンピューティングプロセスを実行するための特殊なハードウェアコンポーネントを含むことができる。プロセッサ2512は、市販のCPU等の任意の従来のプロセッサとすることができる。あるいはまた、プロセッサ2512は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)又は他のハードウェアベースのプロセッサ等の専用コンポーネントとすることができる。
【0078】
メモリ2514は、プロセッサ2512によって実行可能な命令2516を含む、プロセッサ2512によってアクセス可能な情報を格納することができる。メモリ2514は、プロセッサ2512によって取り出され、操作され、格納され得るデータ2518を含むこともできる。メモリ2514は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD-ROM、書き込み可能なメモリ、及び読み出し専用メモリ等の、プロセッサ2512によってアクセス可能な情報を格納することができる任意の非一時的なタイプのものとすることができる。
【0079】
命令2516は、機械コード等の直接的に、又はスクリプト等の間接的に、プロセッサ2512によって実行される命令の任意のセットとすることができる。これに関して、用語「命令」、「アプリケーション」、「ステップ」、及び「プログラム」は、本明細書では相互交換可能に使用することができる。命令2516は、プロセッサ2512による直接処理のためのオブジェクトコード形式で、又は要求に応じて解釈されるか、又は事前にコンパイルされた独立したソースコードモジュールのスクリプト又はコレクションを含む任意の他のコンピューティングデバイス言語で格納することができる。
【0080】
分析装置2000の1つの実施形態において、コンピューティングシステム2510は、いくつかの命令のセットを含むことができる。例えば、行われる各アッセイは、在庫チェックを行い、そのアッセイのための適切な試薬及び他の消耗品を取り出すように在庫ロボット2300を動作させる命令を含み得る、それと関連付けられたいくつかの命令のセットを有することができる。別の例において、命令のセットは、分析のために試料を処理することを補助するように、特定のマルチチャネルピペッタ2440によって行われる動作のシーケンスを決定することができる。
【0081】
データ2518は、分析装置2000に特に関連するディスプレイインタフェース2500、又は高スループットシステム00全体に関連する’875出願の
図1及び
図26のディスプレイインタフェース1332上に表示され得るグラフィカルユーザインタフェース(「GUI」)を介して入力及び閲覧することができる。データ2518は、在庫ロボット2300のエンドエフェクタ2360上のスキャナ2366又は分析前システム10内のスキャナ等のスキャナから入力することもできる。データはまた、例えば、特定の消耗品の場所及び空気品質等の分析装置内で生じる或る特定の状態及び活動に関する情報を取得するために、光学センサ、温度センサ等のセンサによって取得することもできる。
【0082】
このデータ2518は、フィールド実装又はリレーショナルデータベースにおける特定の識別コード(例えば、バーコードシリアル番号)にデジタル的にタグ付けすることができ、これはまた、メモリ2514に格納することもできる。これは、分析装置2000が分析装置3000内の様々な消耗品を追跡するのに役立ち、ユーザ入力の必要なしにプロセッサ命令2516の実行中にプロセッサ2512に或る特定の情報を提供するのに役立つ。例えば、液体試薬プレート2060は、その外側表面上に位置するバーコードと関連付けられ得る識別コードを有し得て、その識別コードは、格納された試薬のタイプ及びどの試薬が既に利用されたか等の或る特定の格納されたデータとともにデータベース内でタグ付けされ得る。これにより、分析装置がその在庫をチェックして、いつ試薬及び他の消耗品が残り少なくなっているか、又は更なるアッセイを行うのに不十分であるかを判断することが可能となる。別の例において、シャトル2030は、患者名、行われるアッセイ、処理パラメータ等、シャトル2030によって担持される試料容器03のそれぞれを伴うデータ等の或る特定の格納されたデータとともに、データベース内でタグ付けされ得る、識別コードを有してもよい。更なる例においては、分析が完了すると、アッセイの結果は、データベース内の特定の試料と関連付けることができ、従って、ユーザは、ワークフローコンピューティングデバイス2540へのアクセスを介して、結果を容易に取り出すことができ、そのような結果は、デバイス2510によってそこに通信され得る。
【0083】
図20は、プロセッサ2512、メモリ2514、及びコンピュータ制御デバイス2510の他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に示しているが、コンピュータ制御デバイス2510、プロセッサ2512、及び/又はメモリ2514は、それぞれ複数のプロセッサ、コンピュータ制御デバイス、及びメモリから構成することができ、同一の物理的ハウジング内に格納されてもされなくてもよい。例えば、メモリ2514は、コンピュータ制御デバイス2510のものとは異なるハウジングに配置されたハードドライブ又は他の記憶媒体とすることができる。従って、プロセッサ2512、コンピュータ制御デバイス2510、及びメモリ2514への参照は、並列に動作しても動作しなくてもよい、プロセッサ、コンピュータ制御デバイス、及びメモリの集合への参照を含むことを理解すべきである。
【0084】
ディスプレイインタフェース
ディスプレイインタフェース2520は、具体的には、分析装置2000と関連付けられてもよく、分析装置2000に関する情報のみを表示してもよく、また、分析装置2000の構造に統合されてもよい。しかしながら、ディスプレイインタフェース2520は、任意選択であり(
図15では、破線によって示される)、
図1に示されている実施形態においては、代わりに、全体システムディスプレイインタフェース1332が利用されるため、含まれない。しかしながら、ディスプレイインタフェース2520が含まれる場合、インタフェース2520は、ハウジング2010のフロントパネルに結合された、又は分析装置2000から離れて配置されたモニタ、LCDパネル等とすることができる。ディスプレイインタフェースは、GUI、ユーザプロンプト、ユーザ命令、及びユーザに関連し得る他の情報を表示することができる。
【0085】
入力インタフェース
ユーザ制御/入力インタフェース2530は、ユーザがGUIをナビゲートすることを可能にし、ここでもまた、
図1のディスプレイインタフェース1332によって提供される全体システム入力インタフェースとは別個の構成要素として任意選択で設けられてもよい。しかしながら、ユーザ制御/入力インタフェース2530が設けられる場合、そのようなインタフェースは、例えば、タッチパネル、キーボード、又はマウスであり得る。加えて、入力インタフェース2530は、プロンプト等を表示する同じデバイスが、ユーザが該プロンプトに応答することを可能にする同じデバイスであるように、ディスプレイインタフェース2520に統合することができる。
【0086】
図15に示されているように、コンピュータ制御デバイス2510は、第2の分析装置4000及び分析前システム10等の高スループットシステム00の構成要素の全てを統合し、特に検査室の検査室情報システム(「LIS」)と統合するために利用される、ワークフローコンピューティングデバイス2540に接続されてもよい。従って、分析前システム10内で生じる分析装置2000に関連する情報は、ワークフローコンピューティングデバイス2540を介して分析装置2000に通信することができる。同様に、分析装置2000から生じる分析前システム10に関連する情報は、コンピュータ制御装置2500を介してワークフローコンピューティングデバイス2540に通信することができ、ワークフローコンピューティングデバイス2540は、その情報を分析前システム10に通信する。そのような情報はまた、患者情報等、ワークフローコンピューティングデバイス2540によってLISから取得された情報で補足され得る。
【0087】
コンピュータ制御装置はまた、分析装置3000内の複数の構成要素に接続され、命令及びデータ等の情報を相互に共有する。内部バスを介してコンピュータ制御装置と接続される構成要素のうちのいくつかは、処理モジュール2200a~2200c、在庫ロボット2300、検出器2270a~2270c、及び液体ハンドリングロボット2400のそれぞれを含む。コンピュータ制御デバイス2510とのそのような接続は、コンピュータ制御デバイス2510がそのような構成要素に命令を提供し、そこから情報を受信することを可能にする。例えば、在庫ロボット2300は、コンピュータ制御デバイス2510から命令を受信して、或る特定の消耗品を取り出し、それらを特定の場所に配置することができ、在庫情報をコンピュータ制御デバイス2510に通信することができる。従って、分析装置2000の内部構成要素によって行われる動作は、概して、分析装置2000が完全に自動化されることでプロセッサ2512によって提供される命令の結果である。
【0088】
方法
ステップ1:指示を受信する
分析装置2000の動作の方法(
図16)において、分析装置2000は、ワークフローコンピューティングデバイス2540からアッセイの指示を受信することができる(2602)。そのような指示は、試料のバッチがそれによって前処理され、分析の準備ができたときに、分析前システム10からワークフローコンピューティングデバイス2540に最初に通信されてもよい。これに関して、分析前システム10は、シャトル2030に全バッチを装填することができ、このバッチは、この実施形態においては、シャトル2030毎に12個の試料容器03の2つのシャトル2030を含む。そのようなシャトル2030は、’875出願の
図12Aのドッキングステーション260に置かれる。
【0089】
ステップ2:在庫調べをする(Inventory)
指示が分析装置2000によって受信されると、在庫ロボット2300は、指示されたアッセイを行うのに十分な量の消耗品があるかどうかを判断するために消耗品の在庫調べをする(2604)。そのような在庫は、在庫ロボット2300によって実行され得る。これに関して、指示が受信されると、在庫ロボット2300は、エンドエフェクタ2360を処理デッキ2016の下の在庫デッキ2014に向かって移動させる。エンドエフェクタ2360は、識別子リーダ2366が在庫デッキ2014の方を向くように、約180度回転される。次いで、在庫ロボット2300は、その中に配置された消耗品をスキャンして、どの消耗品が分析装置2000内に装填されているかを判断する。次いで、分析装置2000は、指示されたアッセイを行うのに十分な消耗品が存在するか否かを判断する。消耗品の在庫を監視するための他の自動化された装置も想定される。消耗品在庫を追跡するためのそのような他の自動化された方法は、当業者によく知られており、本明細書においては詳細に説明しない。
【0090】
在庫ロボット2300は、指示が受信される度に消耗品をスキャンしなくてもよい。その代わりに、分析装置2000は、ユーザを介して分析装置2000に入力された消耗品を追跡する。例えば、ユーザが消耗品を装填すると、在庫ロボット2300は消耗品をスキャンし、それらをメモリ2514内のデータベースに記録する。分析装置2000は、消耗品が使用されたときを追跡する。従って、分析装置2000は、プロセッサ2512を介して、そのメモリ2514内のデータベースをスキャンして、どの消耗品が使用されたか、及び使用されなかったかを判断して完全な集計を得ることによって、指示に応答して消耗品の在庫を調べることができる。
【0091】
1つの例において、クラミジア等の特定のアッセイ標的の存在を同定するためのアッセイ指示は、例えば、分析装置2000によって受信される。分析装置2000は、アッセイを行うために分析装置2000内にどの試薬が存在しなければならないかを把握している。加えて、分析装置2000は、ピペットチップ2020、処理プレート2040、及び増幅カートリッジ2070等の他の消耗品のいずれを使用しなければならないかを把握している。そのような情報は、そのメモリ2514に予めプログラムされてもよい。分析装置2000は、そのメモリ2514内のデータベースをスキャンするか、又は在庫ロボット2300を利用して、必要な消耗品が利用可能であることを検証する。
【0092】
利用可能な消耗品が、指示されたアッセイを行うのに不十分である場合、ユーザに通知され(2620)、これは、ディスプレイ1332又は2520上に表示されるアラート、モバイル端末へのプッシュ型通知、又は電子メールの形態であり得る。異なるアッセイを必要とする他の試料が分析装置2000による処理の準備ができており、アッセイを行うのに十分な消耗品がある場合、分析装置2000は、ユーザが分析装置2000に必要な消耗品を装填するまでのダウンタイムを回避するように、代わりにそれらの容器03を受けることができる。
【0093】
ユーザが消耗品を装填し、ワークシフトの開始時又は消耗品が不十分であるという警告に応答して等、そのような消耗品が分析装置2000によって受け取られる(2622)と、ユーザは分析装置2000の前部を通して消耗品を装填する。従って、ユーザは、ピペットチップ2020をピペット引出し2142に、試薬プレート2050及び2060、増幅カートリッジ2070及び/又は処理プレート2040を消耗品貯蔵部2110に装填することができる。十分な消耗品を装填して、分析装置2000が24時間連続して実行できるようにすることができる。
【0094】
そのような消耗品がユーザによって装填されると、分析装置2000は、在庫デッキ2014がドアセンサ等を介してアクセスされたことを認識する。次いで、在庫ロボット2300は、在庫スキャンを自動的に行い、分析装置2000に装填された任意の新しい消耗品を識別することができる。試薬プレート2050、2060、処理プレート2040、チップラック2022、及び増幅カートリッジ2070等の消耗品上に位置する識別子は、試薬プレート2050及び2060の場合の試薬等、消耗品が何であるか、及びそれらが何を収容するかを判断するために使用される。
【0095】
ステップ3:試料容器を取り出す
分析装置2000が、アッセイを行うのに十分な消耗品があり、処理モジュール2200のうちの1つが利用可能であると判断すると、分析装置2000は、その準備完了をワークフローコンピューティングデバイス2540に通信する。ワークフローコンピューティングデバイス2540は、次いで、分析前システム10に通知し、分析前システム10は、それに応答して、試料容器03を収容するシャトル2030をシャトル輸送アセンブリ300上に装填し、それを分析装置2000へ向けて送る。シャトル2030は、分析装置2000の入口に到達する直前に停止してもよい。しかしながら、いくつかの実施形態においては、シャトル2030は、分析装置2000の中に直接搬送されてもよい。
【0096】
次いで、在庫ロボット2300は、分析前システム10に向かって移動し、分析前システム10内に到達する(2606)。エンドエフェクタ2360は、第1の係合機構2361が第2の横方向開口部2036内に受けられるように、シャトル2030を把持する。シャトル2030は、次いで、分析装置2000の中に、かつ指定された処理モジュール2200に隣接するシャトル保持アセンブリ2210に輸送され、シャトル2030を静止プラットフォーム2216上に配置する。次いで、クランプアセンブリ2212は、係合部材2214が第2の横方向開口部2034を通って延在し、それぞれの容器03のスカート07の中に貫通し、それによって、容器03をマルチチャネルピペッタ2440による吸引のための定位置に保定するように閉じる。
【0097】
ステップ4:消耗品及びアリコートを設置する
試料容器03が十分に保持されると、処理モジュール2200には適切な消耗品が設置される。これに関して、在庫ロボット2300は、2つの処理プレート2040を取り出し、各プレート2040の抽出管2044がそれぞれの抽出器2240a、2240bの加熱要素2248によって受けられるように、1つのプレートを各抽出器2240a、2240b上に配置する。在庫ロボット2300はまた、第1の乾燥試薬プレート2050a及び液体試薬プレート2060を取り出し、それらをそれぞれ乾燥試薬ステーション2220及び液体試薬ステーション2230に配置する。典型的に、液体試薬プレート2050及び乾燥試薬プレート2060は、シャトル2030によって担持される試料の数よりも多い数の試薬を提供する。従って、分析装置2000は、シャトル2030が分析装置の中に配置される度に試薬プレートを設置しなくてもよい。加えて、在庫ロボット2300は、第2の係合機構2364を介してノッチ2072に係合することによって、在庫デッキ2014から増幅カートリッジ2070を取り出す。増幅カートリッジ2070は、入口開口部2073が抽出器2240aに隣接して配置されるように、増幅カートリッジステーション2250に配置される。
【0098】
その後、マルチチャネルピペッタ2440は、第1のピペットチップ2020aを、3つのピペットアセンブリ2470a~2470cのそれぞれに対して1つのチップとなるように、取り出す。ピペットチップ2020で試料容器の貫通可能なシール09を穿孔し、その中の試料を吸引することによって、試料容器03のそれぞれからアリコートが取り出される(2607)。アリコートは、処理プレート2040のそれぞれの抽出管2044内に吸引される。各混合管2044にアリコートが注入された後、マルチチャネルピペッタ2440は、後の使用のために、ピペットチップ2020aを隣接するチップ保持ステーション2047に挿入する。これは、アリコートが各容器03から抽出されるまで行われる。シールが貫通していないため等、アリコートを取り出すことができないような誤動作がある場合、分析装置2000は、その情報をそのメモリ2514に保持し、従って、その情報を分析前システム10に通信することができ、分析前システム10は、’875出願で論じられているように、欠陥のある試料を適切に編成する。
【0099】
ステップ5:試料容器シャトルを戻し、別の試料容器を取り出す
シャトル2030内の各試料容器03からアリコートが取り出されると、分析装置2000は、シャトル2030を分析前システム10に戻す(2608)ことをワークフローコンピューティングデバイス2540に通信する。ワークフローコンピューティングデバイス2540は、この通信を分析前システム10に中継し、分析前システム10は、バッチの他の半分を収容する別のシャトル2030をシャトル輸送アセンブリ300に移動させる。分析装置2000内で、クランプアセンブリ2212がシャトル2030を解放し、在庫ロボット2300がシャトル2030をシャトル輸送アセンブリ300の戻りレーンに配置することによって、使用済みの容器03を収容するシャトル2030を分析前システム10に戻す。次いで、在庫ロボット2300は、バッチの第2のシャトル2030に係合し、それを移動させ(2610)、それをシャトル保持アセンブリ2210に輸送し、そこで、それは、保持され、バッチの残りのアリコートが吸引される。アリコートが処理プレート2040の残りの抽出管2044に移送されると、シャトル2030は、再び、在庫ロボット2300を介して分析前システム10に戻される。
【0100】
いくつかの実施形態においては、二重レーンアッセイが、分析装置2000によって行われてもよく、各試料容器03からのアリコートが、1つではなく2つの抽出管2044の中に吸引される。そのような実施形態においては、12個の試料容器03の単一のシャトル2030が、それぞれ12本の抽出管2044を有する2つの処理プレート2040を満たす。従って、この実施形態においては、在庫ロボット2300は、アッセイのために1つのシャトル2030のみを取り出し、任意の更なるシャトル2030を取り出さない。
【0101】
ステップ6:試料を処理する
処理プレート2040に試料のアリコートが注入されると、分析装置2000は試料を処理する(2612)。手順は、アッセイに関わらず概ね同じである。方法に関してはそれほど大きな違いはなく、利用される試薬が異なる。従って、処理モジュール2200は、幅広いアッセイを行うことができる。処理は、概して、DNA標的等の分析物の抽出、単離、及び増幅を含む。
【0102】
抽出は、DNAに結合するように構成された磁気ビーズを含有し得る乾燥溶解剤を再構成することを含む。これに関して、マルチチャネルピペッタ2440は、処理プレート2040内のピペットチップ保持ステーション2047から以前に使用されたピペットチップ2020aを取り上げる。マルチチャネルピペッタ2440は、概して、複数のピペットアセンブリ2470a~2470cを備えるが、単一のピペットアセンブリ2470は、以前に使用されたピペットチップ2020aを処理プレート2040から取り出すために、他のピペットアセンブリ2470から独立して、対応するzレール2464に沿って駆動することができる。チップ2020aが取り出されると、ピペットアセンブリ2470は、液体試薬プレート2060内の再構成バッファーのシールを穿刺し、バッファーのアリコートを取り出し、それを乾燥試薬プレート2050aに移送し、そこで、コンパートメント2044のうちの1つの上のシールを穿刺し、コンパートメント2054にバッファーを注入し、溶解剤を再水和させる。再構成された溶解剤は、次いで、吸引され、抽出管2044に移送される。これは、全ての抽出管2044に溶解剤及び磁気ビーズが注入されるまで繰り返される。
【0103】
次いで、抽出器2240a~2240cは、抽出管2044と接触する加熱要素2248を介して抽出管2044及びその中の内容物を加熱する。混合物がインキュベートされる間、在庫ロボット2300は、第1の乾燥試薬プレート2050を処理モジュール2200から取り外し、第2の乾燥試薬プレート2050bを在庫デッキ2014から取り出し、それを乾燥試薬プレートステーション2220に配置する。
【0104】
インキュベーションが完了すると、抽出器2240a、2240bのモータ2244は、永久磁石2241をそれらのそれぞれのハウジング2242の外に移動させ、それらを抽出管2044に隣接して配置し、そこで、抽出されたDNAが付着した磁気ビーズが管2044の側部に引き寄せられる。次いで、マルチチャネルピペッタ2440は、試薬プレート2060から洗浄バッファーのアリコートを取り出し、管の混合物をすすぎ落とす。磁石2241は、それらのハウジング2242内に戻され、上清は、混合管から除去され、在庫デッキ2014内の液体廃棄物ボトルと連通する液体廃棄物入口を介して廃棄される。中和バッファーは、液体試薬プレート2060から、抽出管2044に隣接する処理プレート2040内の混合ウェル2046に移送される。次いで、ピペッタ2440は、液体試薬プレート2040から溶出バッファーを取り出し、溶出バッファーを抽出管2044の中に分注し、単離されたDNAから磁気ビーズを分離する。磁石2241が所定の位置に戻され、溶出液が吸引されて混合ウェル2046に移され、そこで中和バッファーと混合される。次いで、中和された試料は、第2の乾燥試薬プレート2050b内でマスターミックスを再構成するために使用される。混合物は、次いで、マルチチャネルピペッタ2440及び第2のピペットチップ2020bを介して、増幅カートリッジ2070の中に装填され、これは、混合物をカートリッジ2070の入口開口部2073の中に吸引することによって、カートリッジ2070に注入する。増幅カートリッジ2070は、バッチ全体を受け入れることができる。
【0105】
ステップ7:増幅/分析/検出する
その後、在庫ロボット2300のエンドエフェクタ2360は、カートリッジ2070に係合し、それを処理モジュール2200に関連付けられた検出器2270に搬送する。在庫ロボット2300は、カートリッジ2070を大きく傾けることなく、カートリッジ2070をサーモサイクラ2275のプラットフォーム2276上に配置する。これは、少なくとも、カートリッジ2070が、エンドエフェクタ2360のフィンガ2363a、2363bよりも低く配置されるように、懸架されるか、又は担持されるため、可能である。フィンガ2363a、2363bがカートリッジ2070よりも低く配置された場合、カートリッジ2070をエンドエフェクタ2360から落下させなければならない場合がある。次いで、モータ2278がサーモサイクラ2275を上昇させて、カートリッジ2070をリーダ2271に押し付ける。次いで、カートリッジ2070は、アッセイ標的を増幅するためにサーモサイクルに供される。リーダ2271は、カートリッジ2070のチャンバ2075内のアッセイ標的の存在を検出する(2614)。
【0106】
ステップ8:廃棄して繰り返す
検出が完了すると、結果はワークフローコンピューティングデバイス2540に通信される。使用済みの増幅カートリッジ2070は、在庫ロボット2300を介して、廃棄物貯蔵部2130又は分析装置2000内の他の場所にあり得る増幅カートリッジ廃棄物貯蔵部に移動される(2616)。在庫ロボット2300はまた、プレート2040を廃棄物貯蔵部2130の棚2138上に積み重ねることによって、使用済みの処理プレート2040を廃棄する。乾燥試薬プレート2050及び液体試薬プレート2060は、別のアッセイで使用するために、消耗品貯蔵部2110内のそれぞれのコンパートメントに戻される。乾燥試薬プレート2050及び液体試薬プレート2060は、概して、4回のアッセイ実行において使用することができる。コンピューティングデバイス2510は、プレート2050又は2060が何回使用されたかを追跡し、分析装置2000は、プレート2050、2060を廃棄物貯蔵部2130内に配置することによって、それらの最終実行後にこれらのプレートを自動的に廃棄する。消耗品が廃棄されると、処理モジュール2200は別のアッセイを行うことができる(2618)。
【0107】
一度に複数のアッセイ
処理モジュール2200のそれぞれは、適切な消耗品がそのハウジング2010内に在庫されている場合、任意の所与の時間にアッセイメニュー上の任意のアッセイを行うことができる。これにより、分析装置2000は、スループットを最適化するために順応性をもって応答することができる。例えば、第1の処理モジュール2200aは、いくつかの実行に対して第1のアッセイを行っていてもよい。しかしながら、第1のアッセイとは異なる第2のアッセイを必要とする試料のバックログが分析前システム10内にある場合、第1の処理モジュール2200aを使用して、第2のアッセイを実行することによってそのような試料を処理及び分析するのを補助することができる。これは、分析装置2000が分析前システム10と常に通信しているので、ユーザからの補助なしに分析装置2000によって自動的に行われてもよい。
【0108】
本開示から逸脱することなく、上述の特徴の多数の変形、追加、及び組合せを利用することができる。例えば、
図17A~
図17Cは、本開示の別の実施形態による分析装置3000を示す。分析装置3000は、複数の処理モジュール3200a~3200cを有する処理デッキ3016と、把持エンドエフェクタ3360を有する在庫ロボット3300と、複数のマルチチャネルピペッタ3440a~3440cを備える液体ハンドリングロボットと、消耗品保管エリア3014と、分析物を検出する検出器3270a~3270cとを備えるという点で、分析装置2000と同様である。加えて、分析装置3000は、前述のピペットチップ2020、シャトル2030、処理プレート2040、液体試薬プレート2060、乾燥試薬プレート2050、及び増幅カートリッジ2070等の分析装置2000と同じ消耗品を利用する。しかしながら、分析装置3000は、消耗品保管部3014及び検出器3270a~3270cの配置に関して、並びに或る特定の消耗品貯蔵部に関して異なる。
【0109】
特に、分析装置2000は、在庫デッキ2014の下に位置する検出/分析デッキ2012を備える。しかしながら、分析装置3000は、これらのデッキを垂直方向ではなく水平方向に分離する。従って、分析装置3000は、在庫セクション3014及び検出/分析セクション3012を備える。図示の特定の実施形態においては、在庫セクション3014は分析装置300の左側に配置され、検出/分析セクションは分析装置3000の右側に配置される。
【0110】
在庫セクション3014は、第1の消耗品貯蔵部3110、第2の消耗品貯蔵部3120、及び廃棄物貯蔵部3130を備える。第1の貯蔵部3110は、試薬プレート2050及び2060並びにカートリッジ2070等の消耗品を受け取り、保管するという点で貯蔵部2110と同様である。第2の貯蔵部3110は、第1の貯蔵部3110と廃棄物貯蔵部3130との間に位置する。
【0111】
図18Cに最も良好に示されている第2の貯蔵部3120は、壁3122と、壁3122に対向して配置された垂直ロッド/カラムとによって画定される垂直コンパートメントを有する。これらのコンパートメントは、処理プレート2040のスタックを受けるようにサイズ決めされる。ロッド3124は、ロボット2300がそれぞれのスタックからプレート2040を取り出すことができるように、処理プレート2040が十分に露出されることも可能にしながら、処理プレート2040のスタックが倒れることを防止するのに役立つ。
【0112】
廃棄物貯蔵部3130は、廃棄物貯蔵部2130と概ね同じである。廃棄物貯蔵部3130は、分析装置300の在庫セクション3140の側方の境界を画定し、未使用の消耗品と検出/分析セクション3012とを分離するのに役立ち、これは、いずれかの領域から生じる任意の潜在的な汚染を隔離するのに役立ち得る。
【0113】
検出/分析セクション3012は、廃棄物貯蔵部3130(1つの実施形態においては、廃棄物は増幅カートリッジである)、液体廃棄物貯蔵部3170、及び複数の検出器3270を備える。廃棄物貯蔵部3160は、ユーザが貯蔵部3160を空にするまで、廃棄物、例えば使用済みの増幅カートリッジ2070を受け取って収容するための開口部を有する。増幅廃棄物貯蔵部3160は、分析装置3000の内外への制御された移動のために、1つ以上のレールに摺動可能に取り付けられてもよい。液体廃棄物貯蔵部3170は、液体廃棄物が処理デッキ3016から廃棄され得るように、ホース又は何らかの他のチャネルデバイス(図示せず)を介して処理デッキ3016に接続される。検出器3270a~3270cは、検出器2270a~2270cと同じであり、それぞれ、サーモサイクラ3275及びリーダヘッド3271を備える。検出器3270a~3270cは、第2の検出器3270bが第3の検出器3270cの真上に配置され、第1の検出器が第2の検出器3270bの真上に配置されるように、垂直配置で位置する。検出器3270a~3270cは、在庫ロボット3300のグリッパ3360によるアクセスのために同じ方向に開く。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの検出器3270は、別の検出器と同じ水平面上に位置し、それに対して直角に配置されてもよい。
【0114】
図18A~
図18Cは、本開示の別の実施形態による分析装置3000’を示す。分析装置3000’は分析装置3000と同様であるが、アクセスを容易にするために1つ以上の消耗品貯蔵部が移動可能であるという違いがある。例えば、
図18Bに示されているように、第2の消耗品貯蔵部3120は、ユーザが処理プレート2040の補充のために垂直コンパートメントのそれぞれにアクセスできるように、引出しのように移動可能であってもよい。
図18Cに示されている別の例においては、第1の廃棄物貯蔵部3110及び第2の廃棄物貯蔵部3120は、移動可能な消耗品在庫3142を形成するように、移動可能な基部3144上に配置されてもよい。これに関して、基部3144は、第1の消耗品貯蔵部3110及び第2の消耗品貯蔵部3120の両方が消耗品の補充のためにシステム3000’の外側の位置に移動され得るように、レール(図示せず)上で摺動可能であってもよい。更なる例においては、カルーセル型消耗品在庫(図示せず)は、垂直軸の周りで回転可能な複数のコンパートメントを備えることができる。そのようなカルーセル型在庫は、その中に保管された消耗品がロボット3300によるアクセスのために配置されることも可能にしながら、補充のためにそのコンパートメントをユーザに対して露出させるように回転されてもよい。
【0115】
分析装置3000’はまた、
図18Aに示されているように、第1の貯蔵部3110及び第2の貯蔵部3120、固体廃棄物貯蔵部3130、液体廃棄物貯蔵部3170、並びに増幅廃棄物貯蔵部3160等の様々な貯蔵部を移動させるか又は取り外すことができるように、その前面に開口3012を備える、ハウジング3010を備える。ハウジング3010にヒンジ接続され得るドア3014は、ユーザがそのような貯蔵部にアクセスすることを可能にするために開く。
【0116】
本明細書に記載の分析装置の1つの例は、i)ハウジングと、ii)エンドエフェクタを備えるロボットアームであって、エンドエフェクタは、a)関節アームに回転可能に接続される本体と、b)本体に結合され、第1の方向において互いに対して移動可能である第1のフィンガ及び第2のフィンガであって、フィンガのそれぞれは、第1のフィンガ及び第2のフィンガのそれぞれから内向きに、かつ第1のフィンガ及び第2のフィンガの他方に向かって突出する係合機構を有し、係合機構は、物品の凹部に係合するように構成され、凹部は、係合機構が物品とそのように係合されるときにロボットアームが第1のフィンガ及び第2のフィンガから懸架される物品を担持することができるように、係合機構を受けるように構成される、第1のフィンガ及び第2のフィンガとを備える。分析装置はまた、iii)分析装置によって評価される試料を担持する試料容器を運ぶシャトルを受けるための少なくとも1つのシャトルプラットフォームを有し、シャトルプラットフォームは、開位置から閉位置に自動的に移動するジョーアセンブリを有し、ジョーアセンブリは、ジョーアセンブリが開位置にあるときにシャトルによって担持される試料容器の底部に接触せず、ジョーアセンブリが閉位置にあるときに試料容器の底部に係合する係合部材を備える。分析装置はまた、試料容器から試料を吸引する自動ピペッタを有することができ、シャトルプラットフォームのジョーアセンブリは、自動ピペッタが試料容器から試料を吸引するときに閉じられる。ロボットアームは、シャトルプラットフォームのジョーアセンブリが開位置にあるときに、シャトルをシャトルプラットフォーム上に配置する。自動分析装置はまた、磁気抽出器を有してもよい。磁気抽出器は、i)空洞を画定するハウジングと、ii)ハウジングの空洞内に移動可能に配設された隣接する永久磁石の列と、iii)永久磁石の列に接続され、永久磁石の列を空洞の内外に移動させるように構成された駆動機構と、iv)空洞の対向する側部に配設された列でハウジングから延在する複数の加熱要素とを備えることができる。磁石を第1の位置から第2の位置に移動させることは、各永久磁石がそれぞれの加熱要素と位置合わせするように、磁石の列を加熱要素の列の間に直接配置する。磁気抽出器はまた、加熱要素のそれぞれの列に隣接してそれぞれ配設されるトラフを画定するドリッププレートを有してもよい。
【0117】
磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように適合させることができ、加熱要素はそれぞれ、磁気抽出器の上方に配設される処理プレートの抽出管を受けて保持するように構成される凹部を画定し、加熱要素は、処理プレートが加熱要素の上に配置されると処理プレートによって保持されるピペットチップがドリッププレートのトラフの中に延在するように、加熱要素を加熱する電源に接続される。分析装置の動作において、処理プレートは、ロボットアームによって磁気抽出器上に配置される。いくつかの例においては、ロボットアームは、ロボットフィンガの係合機構を処理プレートから上向きに延在する係合部材と係合させることによって、処理プレートを磁気抽出器上に搬送し、上向きに延在する係合部材は、ロボットフィンガが第1の係合位置にあるときに係合機構を受ける開口部を有し、ロボットフィンガは、第1の係合位置では、係合機構が係合部材と係合するにはロボットフィンガ間の距離が離れすぎる第2の位置よりも互いに接近している。いくつかの実施形態においては、ロボットフィンガは、ロボットフィンガから下向きに延在する第2の係合機構を有する。1つの例においては、ロボットアームから下向きに延在する機構は、そこから延在する逆円錐台状の突出部を伴う、ポストを備える。動作時、逆円錐形機構は、自動分析装置内の第1の場所から第2の場所に輸送される消耗品内の対応するノッチに係合する。自動分析装置は、自動分析装置において使用するための消耗品を受ける消耗品貯蔵部を更に備えることができる。消耗品の例としては、処理プレート、乾燥試薬プレート、液体試薬プレート及び増幅カートリッジが挙げられる。いくつかの実施形態においては、ロボットアームはスキャナを有し、ロボットアームは、スキャナを使用して消耗品上のコードを読み取ることによって、消耗品貯蔵部内に保管された消耗品を取り出す。1つの例においては、消耗品貯蔵部は、第1の側から消耗品を受け取り、ロボットアームは、消耗品貯蔵部の第2の側から消耗品を取り出す。1つの例においては、分析装置は、1つ以上の処理モジュールを有し、処理モジュールは、シャトルプラットフォームと、磁気抽出器とを有する。分析装置が複数の処理モジュールを有する例においては、2つの隣接する処理モジュールが1つのシャトルプラットフォームを使用する。1つの例においては、処理モジュールは、磁気抽出器に隣接する乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションを有し、磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように適合され、処理プレートは、それぞれの乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションに配置される乾燥試薬プレート及び液体試薬プレートに対して、処理モジュール内でより低く配置される。
【0118】
別の態様においては、自動診断システムにおいて使用する処理プレートは、i)複数の抽出管、混合ウェル、及びピペットチップ保持ステーションを画定するプレート本体であって、抽出管、混合ウェル、及びピペットチップ保持ステーションはそれぞれ、プレート本体の上面を通して延在する開口部を画定する、プレート本体と、ii)係合部材の垂直部分内に開口部を有する、プレート本体の上面から垂直に上向きに延在する係合部材であって、開口部は、プレート本体の周縁に面し、そのような開口部は、自動輸送デバイスの係合機構を受けるように構成される、係合部材とを備える。1つの例においては、処理プレートは、上面と、下面と、縁部とを有し、縁部は、上面と下面との間に延在し、プレート本体の周縁を画定する。別の例においては、自動診断システムにおいて使用する処理プレートは、i)上面と、下面と、縁部とを有するプレート本体であって、縁部が上面と下面との間に延在し、プレート本体の周縁を画定する、プレート本体と、ii)プレート本体の上面にあり、プレート本体を通って延在し、閉鎖端で終端する複数セットの開口部とを備える。例えば、各セットは、i)底面から延在し、上面を通って延在する管開口部を画定する、管本体を有する、抽出管と、ウェルと、ピペットチップを受けて保持するように構成される、ピペットステーションとを有する。1つの例においては、抽出管、ウェル、及びピペットステーションの各セットは、一列に位置合わせされ、ピペットステーションは、プレート本体の少なくとも1つの側部上の縁部に最も近く、抽出管及びウェルは、処理プレートの周縁から更に離れて配置される。
【0119】
1つの例においては、係合部材は、プレート本体の上面から垂直に上向きに延在し、係合部材の垂直部分に開口部を有し、開口部は、プレート本体の周縁に面し、そのような開口部は、自動輸送デバイスの係合機構を受けるように構成される。
【0120】
また、本明細書には、物品を担持するためのエンドエフェクタを備えたロボットアームを有する在庫ロボットが記載され、エンドエフェクタは、i)関節アームに回転可能に接続された本体と、ii)本体に結合され、そこから延在する少なくとも2つのフィンガであって、少なくとも2つのフィンガのうちの一方は、少なくとも2つのフィンガのうちの他方に対して移動可能である、少なくとも2つのフィンガとを有する。少なくとも2つのフィンガのそれぞれは、物品のそれぞれの凹部に係合するために、少なくとも2つのフィンガのうちの他方に向かって第1の方向に延在する第1の突出部を有する。それぞれの凹部は、第1の方向に対して下方向に延在する第2の突出部を有する少なくとも2つのフィンガのそれぞれの突出部のうちの1つを受けるように構成される。第2の突出部は、物品の上部の凹部に係合するためのものであり、凹部は、第2の突出部を受けるように構成される。
【0121】
また、本明細書には、物品を担持するためのエンドエフェクタを備えたロボットアームを有する自動分析装置が記載されている。エンドエフェクタは、i)関節アームに回転可能に接続された本体と、ii)本体に結合され、そこから第1の方向に延在し、第1の方向を横断する第2の方向に互いに対して移動可能である第1のフィンガ及び第2のフィンガであって、フィンガのそれぞれは、そこから第2の方向に延在する第1の係合機構と、第1のフィンガ及び第2のフィンガから下向きに延在する第2の係合機構とを有し、第2の係合機構は、物品の上部に配設される凹部に係合するように構成され、凹部は、ロボットアームが物品を第1の場所から第2の場所に運ぶときに、第1のフィンガ及び第2のフィンガから物品を懸架するように、第2の係合機構を受けるように構成される、第1のフィンガ及び第2のフィンガとを備える。
【0122】
また、本明細書には、i)上にエンドエフェクタを有するロボットアームを備える在庫ロボットであって、エンドエフェクタは、関節アームに回転可能に接続された本体を備える、在庫ロボットと、ii)本体の第1の側から本体から延在する複数の把持フィンガであって、本体は、垂直軸上で回転可能である、複数の把持フィンガと、iii)在庫ロボットによって物品に近接させられるようにエンドエフェクタ上に配置されたスキャナであって、在庫ロボットは、物品上に配設され、把持フィンガが延在する場所以外の位置でエンドエフェクタ上に位置する識別情報をスキャンする、スキャナとを有する自動分析装置が記載される。分析装置はまた、i)空洞を画定するハウジングと、ii)ハウジングの空洞内に移動可能に配設される永久磁石の隣接する列と、iii)永久磁石の列に接続され、永久磁石の列を空洞の内外に移動させるように構成される、駆動機構と、iv)空洞の対向する側部に配設される列でハウジングから延在する複数の加熱要素であって、加熱要素はそれぞれ、磁気抽出器の上方に配設される処理プレートの抽出管を受けて保持するように構成される凹部を画定し、加熱要素を加熱する電源に接続される、加熱要素とを有する、磁気抽出器を有する。動作中、磁石を第1の位置から第2の位置に移動させることは、各永久磁石がそれぞれの加熱要素と位置合わせするように、磁石の列を加熱要素の列の間に直接配設する。磁気抽出器はまた、ハウジングから延在する複数の加熱要素と、加熱要素のそれぞれの列に隣接してそれぞれ配設されたトラフを画定するドリッププレートと、消耗品処理プレートを受けるように適合された消耗品貯蔵部とを有し、処理プレートはその上に機械可読ラベルを備え、処理プレートは第1の側から消耗品貯蔵部内に配置され、消耗品上の機械可読ラベルは在庫ロボットスキャナによって消耗品貯蔵部の第2の側から読み取られる。1つの例においては、在庫ロボットは、処理プレートを得るために消耗品貯蔵部に移動され、消耗品貯蔵部内の物品上のラベルをスキャンし、取り出される消耗品を識別すると、消耗品貯蔵部から消耗品を取り外し、処理プレートによって保持されたピペットチップがドリッププレートのトラフ内に延在するように、それを磁気抽出器上に配置する。
【0123】
また、本明細書には、生体試料の自動分析装置を動作させる方法であって、i)分析用の試料容器を運ぶシャトルラックを分析装置ハウジングに隣接する場所に配置することと、ii)エンドエフェクタを備えるロボットアームを、エンドエフェクタが分析装置に隣接する位置に並進し、ロボットの他の部分が分析装置内に留まるように移動させることと、iii)第1のフィンガ及び第2のフィンガの係合機構がラックシャトル内の対応するスロットに入るように、第1のフィンガ及び第2のフィンガをラックシャトルに向かって前進させることであって、ラック内のスロット間の距離が、フィンガがスロット内に挿入されたときに本体から延在するフィンガ間の距離に対応することと、iv)係合部材がスロット内に前進すると、ロボットアームのフィンガを互いに近づくように並進させて、分析前システム内に配置されたシャトルラックを把持することと、v)ロボットアームを使用して、シャトルラックを分析装置に隣接する位置から分析装置内に移動させることとを含む、方法が記載される。1つの例においては、エンドエフェクタは、そこから延在する第1のフィンガ及び第2のフィンガを伴う本体を有し、各フィンガは、その上に係合機構を有し、第1のフィンガ及び第2のフィンガは、本体内のチャネル内に配設され、ロボットによって、ともにより近くに、又は更に離れて並進することができる。1つの例においては、分析装置と、分析のために試料が調製された隣接する分析前システムとの間に物理的アクセスが存在し、分析は、分析装置内で生じ、ロボットアームは、隣接する分析前システムからシャトルラックを取り出し、それを分析装置内に運ぶ。方法はまた、i)ロボットアームを使用して、分析装置内に運ばれたシャトルラックをシャトル保持プラットフォーム上に配置することであって、シャトル保持プラットフォームは、開位置及び閉位置を伴うジョーアセンブリを有し、ジョーアセンブリは、シャトルラックがシャトル保持プラットフォーム上に配置されると、開位置にあることと、ii)把持フィンガとシャトルラックとの間の張力を解放し、エンドエフェクタから延在する把持フィンガをシャトルラック内のスロットから引き出すことと、iii)把持フィンガが引き出された後、ジョーアセンブリを閉位置に移動させ、それによって、ジョーアセンブリが閉位置にあるときにジョーアセンブリの係合部材をシャトル内の試料容器の下側部分に対して固定することと、iv)ロボットピペッタを使用して、ピペットチップを試料容器に挿入することと、v)ロボットピペッタを使用して、試料容器内の試料の少なくとも一部を吸引することと、vi)ジョーアセンブリが閉位置にある間、ピペットチップを試料容器から引き出すこととを含むことができる。試料容器からピペットチップを引き出した後、ジョーは開位置に移動され、方法は、vii)第1のフィンガ及び第2のフィンガの係合機構が、シャトルラック内の対応するスロットに進入するように、エンドエフェクタの第1のフィンガ及び第2のフィンガをシャトルラックに向かって前進させることであって、シャトルラック内のスロット間の距離は、フィンガがスロットに挿入されると、本体から延在するフィンガ間の距離に対応することと、viii)係合部材がスロットの中に前進させられた後、分析前システム内に位置するシャトルラックを把持するように、フィンガをともにより近くに並進させることと、ix)シャトルラックをシャトル保持プラットフォームから分析装置に隣接する場所に戻るように輸送することと、x)シャトルラックをエンドエフェクタから解放することと、xi)エンドエフェクタを分析装置内に後退させることとが続く。
【0124】
別の例においては、生体試料の自動分析装置を動作させる方法は、i)第1の場所に配置された物品の上方の場所に、在庫ロボットのロボットアームのエンドエフェクタを移動させるステップであって、エンドエフェクタは、チャネル内に位置し、チャネル内で直線的に移動可能な第1のフィンガ及び第2のフィンガを有する本体を有し、フィンガは、その上に係合機構を有する、ステップと、ii)第1のフィンガ及び第2のフィンガを、それらの間の距離が、物品の本体から上向きに延在する突出部である係合部材の間の距離よりも大きくなるように、離して並進させるステップであって、係合部材は、物品の周縁に対して内側寄りに配置され、物品の周縁に面する開口部を有する、ステップと、iii)フィンガのそれぞれから延在する係合機構が、係合部材内の対応する開口部と位置合わせするように、エンドエフェクタを移動させるステップと、iv)係合部材開口部に係合するように、第1のフィンガ及び第2のフィンガを相互に向かって移動させるステップと、v)物品の本体がフィンガの下に配設されるように、物品を持ち上げるステップと、vi)物品を第2の場所に移動させるステップとを含む。
【0125】
更なる例においては、係合機構は、第1のフィンガ及び第2のフィンガのそれぞれから内向きに、かつ第1のフィンガ及び第2のフィンガの他方に向かって突出する、第1の係合機構、又はフィンガのそれぞれから下向きに延在する、第2の係合機構のうちの1つであって、フィンガから下向きに延在する機構は、そこから延在する逆円錐台状の突出部を伴うポストを備える。更なる例においては、第1の場所は消耗品貯蔵部である。消耗品貯蔵部は、その上面に係合部材を備える第1の物品を収容することができる。この例示的な方法は、vii)エンドエフェクタを第1の物品の上面の上で移動させることと、viii)第2の係合機構が第1の物品の上面の対応する係合部材と係合するように、エンドエフェクタを物品の上面の上で下降させることとを更に含み得る。消耗品貯蔵部はまた、物品の本体の上面内にあり、それを通って延在する複数セットの開口部を備える第2の物品を収容することができ、開口部は、閉鎖端で終端し、各セットは、a)底面から延在し、上面を通って延在する管開口部を画定する管本体を有する抽出管と、b)ウェルと、c)ピペットチップを受けて保持するように構成されるピペットステーションであって、抽出管、ウェル、及びピペットステーションの各セットは、一列に位置合わせされ、ピペットステーションは、プレート本体の少なくとも1つの側面上の縁部に最も近く、抽出管及びウェルは、処理プレートの周縁から更に離れて配置される、ピペットステーションと、d)上面の内側にあり、その上面から延在する係合部材であって、上面の周縁に面する開口部を有する、係合部材とを備え、方法は、エンドエフェクタを第1の物品の上面にわたって移動させることを更に含む。方法は、ix)エンドエフェクタの係合機構を係合部材と位置合わせするステップと、x)係合機構を係合部材に挿入するステップと、xi)第1のフィンガ及び第2のフィンガを互いに近づくように並進させて係合部材を把持するステップと、xii)第2の物品を第2の場所に運ぶステップとを含むことができる。
【0126】
1つの例において、エンドエフェクタを水平方向に前進させて、フィンガを対応する凹部内に移動させる。エンドエフェクタがスキャナを備える実施形態においては、本方法は、i)在庫ロボットに消耗品貯蔵部から物品を取り出すように命令することと、ii)消耗品貯蔵部内の物品上の機械可読ラベルをスキャンすることと、iii)ラベル情報が、在庫ロボットが取り出すように命令された物品と一致するかどうかを判断することと、iv)一致していると判断された場合、エンドエフェクタのアームを物品上の係合部材と係合させ、在庫ロボットを使用して物品を消耗品貯蔵部から第2の場所に輸送することとを更に含む。
【0127】
1つの態様には、自動分析装置であって、ハウジングと、少なくとも1つのモジュールを有する処理デッキとを有し、少なくとも1つのモジュールのそれぞれが、乾燥試薬消耗品を受け取る第1の場所と、湿潤試薬消耗品を受け取る第2の場所と、処理プレート消耗品を受け取る第3の場所とを備え、処理プレート消耗品は、処理デッキの下に配置されるとともに処理プレート消耗品から標的物質を抽出するために処理プレート消耗品と位置合わせされる磁気抽出器と協働するように構成される、自動分析装置が記載される。この態様に加えて、処理デッキは、複数のチップシュートを有し、複数のチップシュートは、それぞれ、少なくとも1つのモジュールのうちの1つの中に配置されるか又はそれに隣接して配置される。シュートは、廃棄されるピペットチップが廃棄物収容部によって受け取られるように、該ピペットチップを処理デッキの下方に搬送する。ハウジングは、複数の引出しを収容し、引出しを処理デッキの下方に配置する。引出しは、分析装置内での使用のためにピペットチップを受け取る。チップシュートと位置合わせして配置された引出しは、処理デッキ上のチップシュートのための空間を提供するために、チップシュートと位置合わせされていない引出しほど処理デッキの下に延在しない。
【0128】
更なる態様においては、分析装置は、自動ピペッタを備える。自動ピペッタは、複数の引出しのうちの1つから取得されたピペットを使用して、試料容器から試料を吸引し、使用済みのピペットチップを複数のシュートのうちの1つの中に廃棄するか、又は処理プレート内の抽出管から試料を吸引し、複数の引出しは、複数の引出し及びその中のピペットが処理デッキからアクセス可能であるように、処理デッキに対して開放している。
【0129】
更なる態様においては、磁気抽出器はまた、空洞を画定するハウジングと、ハウジングの空洞内に移動可能に配設された隣接する永久磁石の列と、永久磁石の列に接続され、永久磁石の列を空洞の内外に移動させるように構成される駆動機構と、空洞の対向する側部に配設される列でハウジングから延在する複数の加熱要素とを有する。この態様において、永久磁石を第1の位置から第2の位置に移動させることは、各永久磁石がそれぞれの加熱要素と位置合わせするように、永久磁石の列を該加熱要素の列の間に直接配設する。磁気抽出器はまた、加熱要素のそれぞれの列に隣接してそれぞれ配設されるトラフを画定するドリッププレートを有することができる。
【0130】
更なる態様においては、磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように適合され、加熱要素は、それぞれ、磁気抽出器の上方に配設される処理プレートの抽出管を受けて保持するように構成される、凹部を画定し、加熱要素は、処理プレートが加熱要素の上に配置されると、処理プレートによって保持されるピペットチップがドリッププレートのトラフの中に延在するように、加熱要素を加熱する電源に接続される。
【0131】
更なる態様においては、処理プレートは、在庫ロボットによって磁気抽出器上に配置される。
【0132】
更に別の態様においては、分析装置は、自動分析装置で使用される消耗品を受け入れる消耗品貯蔵部を有する。
【0133】
更に別の態様においては、消耗品は、処理プレート、乾燥試薬プレート、液体試薬プレート、及び増幅カートリッジからなる群から選択される。
【0134】
更なる態様においては、少なくとも1つのモジュールは、磁気抽出器に隣接する乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションを更に備え、磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように適合され、処理プレートは、それぞれの乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションに配置される乾燥試薬プレート及び液体試薬プレートに対して、少なくとも1つのモジュール内でより低く配置される。
【0135】
1つの態様においては、処理プレートはピペットチップを担持する。
【0136】
1つの態様においては、処理デッキの上に配置される在庫ロボットが、複数の引出しのうちの1つの中のピペットチップにアクセスすることができる。
【0137】
1つの態様においては、シュートと位置合わせされる引出しは、ピペットチップの1つのラックを受ける1つのビンを有する。シュートと位置合わせされない引出しは、ピペットチップの2つのラックを受ける2つのビンを有する。
【0138】
ピペットチップの1つのラックは、同じ体積のピペットチップを担持する、請求項11に記載の自動分析装置。別の態様においては、ピペットチップの各ラックは、或る特定の容積のピペットチップを担持するが、ピペットチップの1つのラックの或る特定の容積は、異なるラックの或る特定の容積と同じか又は異なり得る。別の態様においては、引出しは、ピペットチップラックを引出しに装填するために、及びピペットチップラックを引出しから取り外すために、処理デッキの下から引くことができる。
【0139】
更なる態様においては、処理デッキは、複数のモジュールを備え、各モジュールは、処理デッキ上のモジュールから下向きに延在するシュートを有する。
【0140】
上記から、また種々の図面を参照することにより、当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に対して或る特定の変更を加えることもできることが理解されよう。本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示は、当該技術が許容する限り広範なものであり、明細書もそのように読まれることが意図されることから、本開示はそれらの実施形態に限定されないことが意図される。従って、上述の記載は、限定として解釈すべきではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈すべきである。当業者であれば、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲及び趣旨内で他の変更形態が想起されよう。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析装置であって、
ハウジングと、
少なくとも1つのモジュールを備える処理デッキと、
を備え、
前記少なくとも1つのモジュールのそれぞれが、乾燥試薬消耗品を受け取る第1の場所と、湿潤試薬消耗品を受け取る第2の場所と、処理プレート消耗品を受け取る第3の場所とを備え、前記処理プレート消耗品は、磁気抽出器と協働するように構成され、前記磁気抽出器は、前記処理デッキの下に配置されると共に前記処理プレート消耗品から標的物質を抽出するために前記処理プレート消耗品と位置合わせされ、
前記処理デッキは、複数のチップシュートを更に備え、前記複数のチップシュートは、それぞれ、前記少なくとも1つのモジュールのうちの1つの中に配置されるか又はそれに隣接して配置され、前記シュートは、廃棄されるピペットチップが廃棄物収容部によって受け取られるように、該ピペットチップを前記処理デッキの下方に搬送し、
前記ハウジングは、複数の引出しを収容し、前記引出しを前記処理デッキの下方に配置し、前記引出しは、前記分析装置内での使用のためにピペットチップを受け取り、
前記チップシュートと位置合わせして配置された引出しは、前記処理デッキ上の前記チップシュートのための空間を提供するために、前記チップシュートと位置合わせされていない引出しほど前記処理デッキの下に延在しない、自動分析装置。
【請求項2】
自動ピペッタを更に備え、前記自動ピペッタは、前記複数の引出しのうちの1つから取得されたピペットを使用して、試料容器から試料を吸引し、使用済みのピペットチップを前記複数のシュートのうちの1つの中に廃棄するか、又は前記処理プレート内の抽出管から試料を吸引し、
前記複数の引出しは、前記複数の引出し及びその中の前記ピペットが前記処理デッキからアクセス可能であるように、前記処理デッキに対して開放している、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記磁気抽出器は、
空洞を画定するハウジングと、
前記ハウジングの前記空洞内に移動可能に配設された隣接する永久磁石の列と、
前記永久磁石の列に接続され、前記永久磁石の列を前記空洞の内外に移動させるように構成される駆動機構と、
前記空洞の対向する側部に配設される列で前記ハウジングから延在する複数の加熱要素と、
加熱要素のそれぞれの列に隣接してそれぞれ配設されるトラフを画定するドリッププレートと、
を更に備え、
前記永久磁石を第1の位置から第2の位置に移動させることは、各永久磁石がそれぞれの加熱要素と位置合わせするように、前記永久磁石の列を該加熱要素の列の間に直接配設する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように適合され、前記加熱要素は、それぞれ、凹部を画定し、該凹部は、前記磁気抽出器の上方に配設される前記処理プレートの抽出管を受けて保持するように構成され、前記加熱要素は、電源に接続され、該電源は、前記処理プレートが前記加熱要素の上に配置されると、前記処理プレートによって保持される前記ピペットチップが前記ドリッププレートの前記トラフの中に延在するように、前記加熱要素を加熱する、請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記処理プレートは、在庫ロボットによって前記磁気抽出器上に配置される、請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記自動分析装置で使用される消耗品を受け入れる消耗品貯蔵部を更に備える、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記消耗品は、処理プレート、乾燥試薬プレート、液体試薬プレート、及び増幅カートリッジからなる群から選択される、請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのモジュールは、前記磁気抽出器に隣接する乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションを更に備え、前記磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように構成され、前記処理プレートは、それぞれの乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションに配置される乾燥試薬プレート及び液体試薬プレートに対して、前記少なくとも1つのモジュール内でより低く配置される、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記処理プレートはピペットチップを担持する、
請求項8に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記処理デッキの上に配置される在庫ロボットが、前記複数の引出しのうちの1つの中の前記ピペットチップにアクセスすることができる、請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記シュートと位置合わせされる前記引出しは、ピペットチップの1つのラックを受ける1つのビンを有し、前記シュートと位置合わせされない前記引出しは、ピペットチップの2つのラックを受ける2つのビンを有する、請求項10に記載の自動分析装置。
【請求項12】
ピペットチップの前記1つのラックは、同じ容積のピペットチップを担持する、請求項11に記載の自動分析装置。
【請求項13】
ピペットチップの各ラックは、或る特定の容積のピペットチップを担持するが、ピペットチップの1つのラックの前記或る特定の容積は、異なるラックの前記或る特定の容積と同じか又は異なり得る、請求項12に記載の自動分析装置。
【請求項14】
前記引出しは、ピペットチップラックを前記引出しに装填するために、及びピペットチップラックを前記引出しから取り外すために、前記処理デッキの下から引くことができる、請求項13に記載の自動分析装置。
【請求項15】
前記処理デッキは、複数のモジュールを備える、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項16】
各モジュールは前記シュートを有し、前記シュートは前記処理デッキから下向きに延在する、請求項15に記載の自動分析装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0140
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0140】
上記から、また種々の図面を参照することにより、当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に対して或る特定の変更を加えることもできることが理解されよう。本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示は、当該技術が許容する限り広範なものであり、明細書もそのように読まれることが意図されることから、本開示はそれらの実施形態に限定されないことが意図される。従って、上述の記載は、限定として解釈すべきではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈すべきである。当業者であれば、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲及び趣旨内で他の変更形態が想起されよう。
尚、出願当初の請求項は以下の通りであった。
[請求項1]
自動分析装置であって、
ハウジングと、
少なくとも1つのモジュールを備える処理デッキと、
を備え、
前記少なくとも1つのモジュールのそれぞれが、乾燥試薬消耗品を受け取る第1の場所と、湿潤試薬消耗品を受け取る第2の場所と、処理プレート消耗品を受け取る第3の場所とを備え、前記処理プレート消耗品は、磁気抽出器と協働するように構成され、前記磁気抽出器は、前記処理デッキの下に配置されると共に前記処理プレート消耗品から標的物質を抽出するために前記処理プレート消耗品と位置合わせされ、
前記処理デッキは、複数のチップシュートを更に備え、前記複数のチップシュートは、それぞれ、前記少なくとも1つのモジュールのうちの1つの中に配置されるか又はそれに隣接して配置され、前記シュートは、廃棄されるピペットチップが廃棄物収容部によって受け取られるように、該ピペットチップを前記処理デッキの下方に搬送し、
前記ハウジングは、複数の引出しを収容し、前記引出しを前記処理デッキの下方に配置し、前記引出しは、前記分析装置内での使用のためにピペットチップを受け取り、
前記チップシュートと位置合わせして配置された引出しは、前記処理デッキ上の前記チップシュートのための空間を提供するために、前記チップシュートと位置合わせされていない引出しほど前記処理デッキの下に延在しない、自動分析装置。
[請求項2]
自動ピペッタを更に備え、前記自動ピペッタは、前記複数の引出しのうちの1つから取得されたピペットを使用して、試料容器から試料を吸引し、使用済みのピペットチップを前記複数のシュートのうちの1つの中に廃棄するか、又は前記処理プレート内の抽出管から試料を吸引し、
前記複数の引出しは、前記複数の引出し及びその中の前記ピペットが前記処理デッキからアクセス可能であるように、前記処理デッキに対して開放している、請求項1に記載の自動分析装置。
[請求項3]
前記磁気抽出器は、
空洞を画定するハウジングと、
前記ハウジングの前記空洞内に移動可能に配設された隣接する永久磁石の列と、
前記永久磁石の列に接続され、前記永久磁石の列を前記空洞の内外に移動させるように構成される駆動機構と、
前記空洞の対向する側部に配設される列で前記ハウジングから延在する複数の加熱要素と、
加熱要素のそれぞれの列に隣接してそれぞれ配設されるトラフを画定するドリッププレートと、
を更に備え、
前記永久磁石を第1の位置から第2の位置に移動させることは、各永久磁石がそれぞれの加熱要素と位置合わせするように、前記永久磁石の列を該加熱要素の列の間に直接配設する、請求項1に記載の自動分析装置。
[請求項4]
前記磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように適合され、前記加熱要素は、それぞれ、凹部を画定し、該凹部は、前記磁気抽出器の上方に配設される前記処理プレートの抽出管を受けて保持するように構成され、前記加熱要素は、電源に接続され、該電源は、前記処理プレートが前記加熱要素の上に配置されると、前記処理プレートによって保持される前記ピペットチップが前記ドリッププレートの前記トラフの中に延在するように、前記加熱要素を加熱する、請求項3に記載の自動分析装置。
[請求項5]
前記処理プレートは、在庫ロボットによって前記磁気抽出器上に配置される、請求項4に記載の自動分析装置。
[請求項6]
前記自動分析装置で使用される消耗品を受け入れる消耗品貯蔵部を更に備える、請求項1に記載の自動分析装置。
[請求項7]
前記消耗品は、処理プレート、乾燥試薬プレート、液体試薬プレート、及び増幅カートリッジからなる群から選択される、請求項6に記載の自動分析装置。
[請求項8]
前記少なくとも1つのモジュールは、前記磁気抽出器に隣接する乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションを更に備え、前記磁気抽出器は、その上に処理プレートを受けるように構成され、前記処理プレートは、それぞれの乾燥試薬ステーション及び液体試薬ステーションに配置される乾燥試薬プレート及び液体試薬プレートに対して、前記少なくとも1つのモジュール内でより低く配置される、請求項1に記載の自動分析装置。
[請求項9]
前記処理プレートはピペットチップを担持する、請求項1~請求項8のいずれか1つに記載の自動分析装置。
[請求項10]
前記処理デッキの上に配置される在庫ロボットが、前記複数の引出しのうちの1つの中の前記ピペットチップにアクセスすることができる、請求項2に記載の自動分析装置。
[請求項11]
前記シュートと位置合わせされる前記引出しは、ピペットチップの1つのラックを受ける1つのビンを有し、前記シュートと位置合わせされない前記引出しは、ピペットチップの2つのラックを受ける2つのビンを有する、請求項10に記載の自動分析装置。
[請求項12]
ピペットチップの前記1つのラックは、同じ容積のピペットチップを担持する、請求項11に記載の自動分析装置。
[請求項13]
ピペットチップの各ラックは、或る特定の容積のピペットチップを担持するが、ピペットチップの1つのラックの前記或る特定の容積は、異なるラックの前記或る特定の容積と同じか又は異なり得る、請求項12に記載の自動分析装置。
[請求項14]
前記引出しは、ピペットチップラックを前記引出しに装填するために、及びピペットチップラックを前記引出しから取り外すために、前記処理デッキの下から引くことができる、請求項13に記載の自動分析装置。
[請求項15]
前記処理デッキは、複数のモジュールを備える、請求項1~請求項14のいずれか1つに記載の自動分析装置。
[請求項16]
各モジュールは前記シュートを有し、前記シュートは前記処理デッキから下向きに延在する、請求項15に記載の自動分析装置。
【国際調査報告】