(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】スクリュー圧縮機用小型可変容積インデックスバルブ
(51)【国際特許分類】
F04C 18/16 20060101AFI20240905BHJP
F04C 28/14 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F04C18/16 N
F04C28/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515162
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2021049919
(87)【国際公開番号】W WO2023038633
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507189747
【氏名又は名称】ヒタチグローバルエアパワー ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バットドルフ,ジョナサン ディー
(72)【発明者】
【氏名】藤元 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン, クリスチャン
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA03
3H129AA17
3H129BB52
3H129CC15
3H129CC25
3H129CC80
3H129CC87
(57)【要約】
スクリュー圧縮機と、そのための小型可変容積インデックスバルブと、が提供される。この小型可変容積インデックスバルブは、スクリュー圧縮機の圧縮チャンバの圧縮チャンバ出口端に隣り合って配置されている線形バルブ部材と、線形バルブ部材に結合され、圧縮チャンバの圧縮チャンバ出口端に沿って半径方向に線形バルブ部材を移動させるように配向することにより、ガスが圧縮チャンバから出る半径方向位置を調整するアクチュエータ構造と、を備え、アクチュエータ構造が、スクリュー圧縮機のスパイラルバルブの位置に基づいて線形バルブを移動させるように、スクリュー圧縮機のスパイラルバルブのシャッターに結合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮チャンバを規定する圧縮機ハウジングを有するスクリュー圧縮機用の小型可変容積インデックスバルブであって、
前記圧縮チャンバの圧縮チャンバ出口端に隣り合って配置されている線形バルブ部材と、
前記線形バルブ部材に結合され、前記圧縮チャンバの前記圧縮チャンバ出口端に沿って半径方向に前記線形バルブ部材を移動させるように配向することにより、ガスが前記圧縮チャンバから出る半径方向位置を調整するアクチュエータ構造と、
を備え、
前記アクチュエータ構造が、前記スクリュー圧縮機のスパイラルバルブの位置に基づいて前記線形バルブ部材を移動させるように、前記スクリュー圧縮機の前記スパイラルバルブのシャッターに結合されている、小型可変容積インデックスバルブ。
【請求項2】
前記アクチュエータ構造が、
前記線形バルブ部材上に設けられた歯状領域と、
前記線形バルブ部材の前記歯状領域に係合する歯状ギアと、
を備え、
前記歯状ギアが、前記スパイラルバルブの前記シャッターから延びるシャフトに結合されている、請求項1に記載の小型可変容積インデックスバルブ。
【請求項3】
前記線形バルブ部材が、半円筒形状を有する、請求項1に記載の小型可変容積インデックスバルブ。
【請求項4】
前記線形バルブ部材が、前記圧縮機ハウジングに形成されている半径方向ボアに挿入される、請求項1に記載の小型可変容積インデックスバルブ。
【請求項5】
前記線形バルブ部材が、前記半径方向ボアの中心線から前記圧縮チャンバ出口端に向かってオフセットするように、前記半径方向ボアに挿入される、請求項4に記載の小型可変容積インデックスバルブ。
【請求項6】
圧縮チャンバ出口端を有する圧縮チャンバおよび前記圧縮チャンバと連通する複数のバイパスポートを規定する圧縮機ハウジングと、
前記圧縮チャンバと連通する前記複数のバイパスポートに隣り合って配置され、回転位置に基づいて、前記複数のバイパスポートのうちの1つまたは複数を選択的に開閉するように構成されているシャッターを備えるスパイラルバルブと、
小型可変容積インデックスバルブであり、
前記圧縮チャンバの前記圧縮チャンバ出口端に隣り合って配置されている線形バルブ部材と、
前記線形バルブ部材に結合され、前記圧縮チャンバの前記圧縮チャンバ出口端に沿って半径方向に前記線形バルブ部材を移動させるように配向することにより、ガスが前記圧縮チャンバから出る半径方向位置を調整するアクチュエータ構造と、
を備えた、小型可変容積インデックスバルブと
を備え、
前記アクチュエータ構造が、当該スクリュー圧縮機の前記スパイラルバルブの位置に基づいて前記線形バルブ部材を移動させるように、当該スクリュー圧縮機の前記スパイラルバルブの前記シャッターに結合されている、
スクリュー圧縮機。
【請求項7】
前記アクチュエータ構造が、
前記線形バルブ部材上に設けられた歯状領域と、
前記線形バルブ部材の前記歯状領域に係合する歯状ギアと、
を備え、
前記歯状ギアが、前記スパイラルバルブの前記シャッターから延びるシャフトに結合されている、請求項6に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項8】
前記線形バルブ部材が、半円筒形状を有する、請求項6に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項9】
前記線形バルブ部材が、前記圧縮機ハウジングに形成されている半径方向ボアに挿入される、請求項6に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項10】
前記線形バルブ部材が、前記半径方向ボアの中心線から前記圧縮チャンバ出口端に向かってオフセットするように、前記半径方向ボアに挿入される、請求項9に記載のスクリュー圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクリュー圧縮機、特に、圧縮機容積インデックスを変更可能な制御機構を有するスクリュー圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、スクリューガス圧縮機が知られていると考えられる。従来技術においては、スクリュー圧縮機が圧縮機ハウジングを含み、モータ(たとえば、永久磁石ロータ/ステータモータ)の使用によって、2つの圧縮スクリューの一方(たとえば、第1の圧縮スクリュー)を駆動し得る。2つの圧縮スクリューのうち、第2の圧縮スクリューは、モータにより駆動される圧縮スクリューに対して機械的に結合され得る。したがって、第2の圧縮スクリューは、第1の圧縮スクリューにより駆動され得る。従来技術においては、ガスが入口を通じて圧縮機に引き込まれ、2つの圧縮スクリューが回動するとそれらの間で圧縮され、ガス入口および圧縮スクリューの下流にある出口を通じて出力され得る。
【0003】
いくつかの従来技術において、ガス圧縮機は、ガスがハウジングから出ることで圧縮スクリューの長さに沿った過加圧または過圧縮を制御または防止し得るように、圧縮機ハウジングまたはロータカウリングに形成されている1つまたは複数のバイパスポートまたはバルブ開口を提供する機械的容量制御機構を含む場合がある。従来技術において、1つまたは複数のバイパスポートまたはバルブ開口は、当該バイパスポートから脱離して当該バイパスポートのうちの1つまたは複数がバイパスチャンバと連通し得るようにする点まで回転するシャッターによって、当該バイパスポートまたはバルブ開口の開閉を制御することにより圧縮機の圧縮長を変更するスパイラルバルブに隣り合って配置され得る。
【0004】
ただし、いくつかの従来技術において、機械的容量制御機構が備わるスクリュー圧縮機の断熱効率は、システムから逆流して圧縮機に供給されているガスの再圧縮に用いられる動力の量だけ低下する可能性がある(圧縮不足)。さらに、可変容量機構によって圧縮機容量が低下すると、比出力(動力/容積の単位)が増大する。
【0005】
従来技術においては、容量制御機構によって決まる有効長に適した値へと圧縮機Vi(容積インデックス)が補正されると、比出力が低下し得る。ただし、従来技術の可変Vi機構は高価であり、圧縮機エンベロープを著しく増大させ、複雑な制御システムを必要とする。
【0006】
さらに、従来技術においては、圧縮機製造業者が場合により、Viが最適化されたガス圧以外のガス圧の生成に圧縮機の使用を許可するが、これによっても断熱効率が低下する。このように、従来技術のシステムでは、コストの増加または機能の低下のいずれかの可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示の態様は、スクリュー圧縮機用の小型可変容積インデックスバルブを含んでいてもよい。この小型可変容積インデックスバルブは、スクリュー圧縮機の圧縮チャンバの圧縮チャンバ出口端に隣り合って配置されている線形バルブ部材と、線形バルブ部材に結合され、圧縮チャンバの圧縮チャンバ出口端に沿って半径方向に線形バルブ部材を移動させるように配向することにより、ガスが圧縮チャンバから出る半径方向位置を調整するアクチュエータ構造と、を備えていてもよく、アクチュエータ構造が、スクリュー圧縮機のスパイラルバルブの位置に基づいて線形バルブを移動させるように、スクリュー圧縮機のスパイラルバルブのシャッターに結合されている。
【0008】
本開示の他の態様は、圧縮チャンバ出口端を有する圧縮チャンバおよび圧縮チャンバと連通する複数のバイパスポートを規定する圧縮機ハウジングと、圧縮チャンバと連通する複数のバイパスポートに隣り合って配置され、回転位置に基づいて、複数のバイパスポートのうちの1つまたは複数を選択的に開閉するように構成されているシャッターを備えるスパイラルバルブと、小型可変容積インデックスバルブと、を有するスクリュー圧縮機を含んでいてもよい。小型可変容積インデックスバルブは、圧縮チャンバの圧縮チャンバ出口端に隣り合って配置されている線形バルブ部材と、線形バルブ部材に結合され、圧縮チャンバの圧縮チャンバ出口端に沿って半径方向に線形バルブ部材を移動させるように配向することにより、ガスが圧縮チャンバから出る半径方向位置を調整するアクチュエータ構造と、を備えていてもよく、アクチュエータ構造が、スクリュー圧縮機のスパイラルバルブの位置に基づいて線形バルブを移動させるように、スクリュー圧縮機のスパイラルバルブのシャッターに結合されている。
【0009】
本開示の付加的な態様では、アクチュエータ構造が、線形バルブ部材上に設けられた歯状領域と、線形バルブ部材の歯状領域に係合する歯状ギアと、を有し、歯状ギアが、スパイラルバルブのシャッターから延びるシャフトに結合されていてもよい。
【0010】
本開示の付加的な態様では、線形バルブ部材が、半円筒形状を有していてもよい。
【0011】
本開示の付加的な態様では、線形バルブ部材が、圧縮機ハウジングに形成されている半径方向ボアに挿入されていてもよい。
【0012】
本開示の付加的な態様では、線形バルブ部材が、半径方向ボアの中心線から圧縮チャンバ出口端に向かってオフセットするように、半径方向ボアに挿入されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示のさまざまな特徴を実現する一般的な構成を説明する。図面および関連する記述は、本開示の例示的な実施態様を説明するために与えるものであって、本開示の範囲を限定するものではない。図面の全体を通して、参照要素間の対応関係を示すため、参照番号を再利用する。
【
図1】本開示の例示的な実施態様に係る、スクリュー圧縮機の斜視図である。
【
図2】
図1に示す本開示の例示的な実施態様に係る、スクリュー圧縮機の側面図である。
【
図3】
図1に示す本開示の例示的な実施態様に係る、スクリュー圧縮機の端面図である。
【
図4】
図1に示す本開示の例示的な実施態様に係る、スクリュー圧縮機の上面図である。
【
図5】
図3の線V-V’に沿うスクリュー圧縮機の断面図である。
【
図6】
図3の線VI-VI’に沿うスクリュー圧縮機の断面図である。
【
図7】
図3の線VII-VII’に沿うスクリュー圧縮機の断面図である。
【
図8】
図4の線VIII-VIII’に沿うスクリュー圧縮機の断面図である。
【
図9】
図2の線IX-IX’に沿うスクリュー圧縮機の断面図である。
【
図10】
図2の線X-X’に沿うスクリュー圧縮機の断面図である。
【
図11】
図8に示す小型可変Viバルブの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明は、本開示の図面および例示的な実施態様のさらに詳細を提供する。明瞭化のため、図面間で重複する要素の参照番号および説明については省略する。本明細書の全体を通して使用する用語は、例として提供するものであり、何ら限定を意図するものではない。たとえば、用語「自動(automatic)」の使用には、本開示の実施態様を実施する当業者の所望の実施態様に応じて、完全自動の実施態様または実施態様の特定の態様に対するユーザまたはオペレータの制御を伴う半自動の実施態様を含み得る。さらに、「第1(first)」、「第2(second)」、「第3(third)」等の一連の用語は、単に表示を目的として明細書および特許請求の範囲で使用することができ、記載された順序で発生する記載された動作または項目に言及することに限定されないものとする。動作または項目は、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる順序に並べることも可能であるし、並列または動的に実行することも可能である。
【0015】
上記説明の通り、いくつかの従来技術において、機械的容量制御機構が備わるスクリュー圧縮機の断熱効率は、システムから逆流して圧縮機に供給されているガスの再圧縮に必要な動力の量だけ低下する可能性がある。さらに、可変容量機構によって圧縮機容量が低下すると、比出力が増大する。これに対処するため、従来技術のシステムでは、容量制御機構によって決まる圧縮機の有効長に基づいて圧縮機容積インデックス(Vi)を調整するメカニズムを使用するようにしてもよい。ただし、従来技術の可変Vi制御機構は高価であり、圧縮機エンベロープを著しく増大させ、複雑な制御システムを必要とする。
【0016】
これらの問題に対処するため、本開示の例示的な実施態様は、機械的容量制御システムによって決まる最大容量低減で得られる容量に対してViを最適化し得るように、(Viを決定する)排気ポートの下縁を高くすることにより排気ポートのサイズを小さくすることができるCVVV(小型可変Viバルブ)を含んでいてもよい。いくつかの例示的な実施態様において、CVVVは、下方に移動した場合にポートの下縁を効果的に下げることで排気ポートのサイズを大きくし、機械的容量制御システムによって決まる新たな高容量に対してViを最適化するようにロータハウジング排気面に組み込まれている半径方向スライドバルブを含んでいてもよい。
【0017】
本開示において説明する通り、CVVVは、排気ポートの片側または両側に適用可能であり、また、既に存在するスパイラルバルブ機構上のピニオンと接触するラックギアによる作動、または、電気ステッピングモータ、リニアモータ、空気シリンダ、油圧シリンダ、もしくは類似機器を用いた作動が可能となるように構成されていてもよい。いくつかの例示的な実施態様において、単一のバルブを使用することはコスト上の利益となり得る一方、2つのバルブでは性能が向上し得る。バルブは、排気ポートから半径方向に開閉するため、通常は使用されない空間を利用する。それは当該エリアは、排気ガスの通常の経路として使用されるためである。
【0018】
また、CVVVの可変性によれば、さまざまな圧力でのガスの生成に対して、Viを最適化するコスト効率の良い方法となり得る。この用途では、ラックアンドピニオン機構ではなく、上掲の他のさまざまな方法のうちの1つによってCVVVが作動する可能性が最も高くなる。
【0019】
図1は、本願の例示的な実施態様に係る、スパイラルバルブ構造を有するスクリュー圧縮機100の斜視図である。さらに、
図2~
図4はそれぞれ、本願の例示的な実施態様に係る、スクリュー圧縮機100の側面図、端面図、および上面図である。図示のように、スクリュー圧縮機100は、圧縮機内側構造を囲み、圧縮チャンバ3(
図1~
図4には示さず、
図5~
図8に示す)を構成する圧縮機ハウジング10を具備する。ハウジング10は、スクリュー圧縮機100を支持するとともにフロア等の支持プラットフォームへのスクリュー圧縮機100の固定を可能にする1つまたは複数の取り付けブラケットまたは足部2を具備していてもよい。たとえば、足部2は、可搬式支持プラットフォームまたはトレーラへのスクリュー圧縮機100の取り付けを可能にし得る。
【0020】
また、ハウジング10は、主ガス流入口26と、主ガス流排気出口28と、を規定する。矢印は、スクリュー圧縮機100を通るガス流を示すためのものである。また、圧縮機ハウジング10は、(
図5~
図8に示す)圧縮機内側構造から圧縮機100を囲むエリアまでの駆動軸15の通過を可能にし得る。
【0021】
駆動軸15は、モータまたはエンジンに対する機械的結合によってスクリュー圧縮機100を駆動するのに用いられるようになっていてもよい。スクリュー圧縮機100は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等のICエンジン、または当業者には明らかと考えられるその他任意の種類のエンジンにより駆動されるようになっていてもよい。また、スクリュー圧縮機100は、電気モータまたは当業者には明らかと考えられる回転動力を供給する任意の種類の機械により駆動されるようになっていてもよい。
【0022】
さらに、アクチュエータモジュール5が圧縮機ハウジング10に取り付けられ、圧縮機ハウジング10内に配置されている(
図5~
図8に示す)スパイラルバルブ構造を制御するようになっていてもよい。後述の通り、アクチュエータモジュール5は、スパイラルバルブに結合されているギアボックスに結合された電気モータを具備していてもよい。また、アクチュエータモジュール5は、自動、ユーザ入力に部分的に基づく半自動、またはユーザ入力に完全に基づく手動にて当該アクチュエータモジュール5を制御するオンボード制御ロジックを含み得る統合プロセッサコンポーネントを具備していてもよい。また、アクチュエータモジュール5は、
図6~
図10に示すように、小型可変Viバルブ(CVVV)の制御に用いられるようになっていてもよい。
【0023】
図5~
図8は、スクリュー圧縮機の断面図である。具体的に、
図5~
図7はそれぞれ、
図3の線V-V’、線VI-VI’、および線VII-VII’に沿うスクリュー圧縮機の断面図である。さらに、
図8は、
図4の線VIII-VIII’に沿うスクリュー圧縮機の断面図である。
【0024】
圧縮機ハウジング10は、ユニットが組み立てられて機能する際に、ツインスクリューガス圧縮機100のスクリュー7、9をそれぞれ含む2つの隣接ボア6および8を規定する圧縮チャンバ3を構成する。図示のように、一方のスクリュー7(駆動スクリューとしても知られる)が被駆動ギア210に搭載され、駆動ギア205によりシャフト15に対して機械的に結合されている。また、シャフト15には、スクリューガス圧縮機を駆動するモータまたはエンジンが結合されている。他方のスクリュー7(被駆動スクリューとしても知られる)は、駆動スクリュー9により駆動される。両スクリュー7、9はそれぞれ、ころ軸受等の軸受群225または当業者には明らかと考えられるその他任意の種類の軸受もしくはブッシュにより支持されていてもよい。
【0025】
さらに、いくつかの例示的な実施態様においては、スクリューの一方が雌型ローブ構成を有し、スクリューの他方が雄型ローブ構成を有していてもよい。言い換えると、スクリューの一方が雌型圧縮スクリューであってもよく、他方のスクリューが雌型圧縮スクリューと適合する雄型圧縮スクリューであってもよい。たとえば、駆動スクリュー9が雄型圧縮スクリューであってもよく、被駆動スクリュー7が雌型圧縮スクリューであってもよい。当業者には明らかと考えられるように、本願の例示的な実施態様はこの構成に限定されず、いくつかの例示的な実施態様が代替構成を有していてもよい(たとえば、駆動スクリュー9が雌型圧縮スクリューであってもよく、被駆動スクリュー7が雄型圧縮スクリューであってもよい)。
【0026】
圧縮機ハウジング10の端部には、(
図1~
図4に示す)入口26と流体連通する出口28を含む。ガス流チャネル215、220が各ボア6、8を入口26と接続することにより、ガスが各ボア6、8に流れ込むようにしてもよい。また、各ボア6および8は、数字12a~12eによって一体的に表される1つまたは複数のバイパスポートを備える。図示のバイパスポート12a~12eは、被駆動スクリュー7と関連付けられているボア6に形成されている。さらに、駆動スクリュー9と関連付けられているボア8に同様のバイパスポートが形成されているが、本明細書には示していない。図示のように、各バイパスポート12a~12eは、軸24に沿って回転可能なスパイラルバルブ20を含むバイパスチャンバ22と流体連通する。バイパスポート12a~12eと関連付けられている各ボア6、8の長さをバイパスウィンドウ245と称する場合もある。
【0027】
上述の通り、圧縮機ハウジング10は、ガス入口26およびガス出口28を有する。圧縮機ハウジング内では、ガス流チャネル215、220が入口26と圧縮チャンバ3との間の流体連通を提供する。圧縮チャンバ3の各ボア6、8においてスクリュー7および9が回動すると、圧縮チャンバ3の内側でガスが圧縮される。圧縮チャンバ3は、圧縮チャンバ入口230、235と圧縮チャンバ出口端240との間に延びる長さを有する。その後、圧縮ガスがガス出口28から出力される。矢印は、圧縮チャンバ3を通るガス流を示している。
【0028】
図6~
図8に示すように、スパイラルバルブ20は、当該スパイラルバルブ20の回転位置に応じてバイパスポート12a~12eのブロック(閉鎖)または開放を選択的に行うシャッター335を具備する。バイパスポート12a~12eのうちの1つまたは複数がスパイラルバルブのチャンバ22と流体連通し得るようになる点までスパイラルバルブ20が回動すると、圧縮チャンバ3の長さが小さくなるため、圧縮チャンバの有効圧縮容積が小さくなり得る。
【0029】
図6に示すように、バイパスポート12c~12eは流れを示し、バイパスポート12aおよび12bは流れを示さない。少なくとも1つのバイパスポート12c~12eが開放されている状態で、圧縮チャンバ3の有効圧縮長は、圧縮チャンバ出口端240に最も近い開放バイパスポートと圧縮チャンバ出口端240自体との間の距離により規定される。
【0030】
このように有効圧縮容積が小さくなると、トルクが低下し、動力が節約され、効率が高くなるとともに、ガス圧縮機の構成部品の寿命が長くなる。ただし、圧縮容量が低下すると、システムから逆流するガスの再圧縮に動力が使用されるため、断熱効率が低下する可能性もある。
【0031】
スパイラルバルブ20は、当該スパイラルバルブ20のシャッター335の回転および位置を制御するアクチュエータモジュール5に結合されている。図示のように、アクチュエータモジュール5は、ギアボックス330に対して機械的に結合されているモータ325を具備する。ギアボックス330は、モータ325をスパイラルバルブ20に対して機械的に結合する。このため、モータからのトルクがギアボックス330によって、スパイラルバルブ20のシャッター335に伝達され、これによりシャッター335が回転し得る。モータ325は、スパイラルバルブの回転速度および回転位置の正確な制御を可能にする電気アクチュエータモータであってもよい。
【0032】
アクチュエータモジュール5は、圧縮機ハウジング10に取り付けられ、圧縮機ハウジング10内に配置されているスパイラルバルブ構造を制御するようになっていてもよい。また、アクチュエータモジュール5は、自動、ユーザ入力に部分的に基づく半自動、またはユーザ入力に完全に基づく手動にてモータ325のモジュールを制御するオンボード制御ロジックを含み得る統合プロセッサコンポーネントを具備していてもよい。
【0033】
スパイラルバルブ20は、その軸24に沿って、(バイパスポートがすべて開放される)完全開放位置から(バイパスポートがすべて閉鎖される)完全閉鎖位置および両者間のすべての点まで回転(または、作動)し得る。
図6~
図8においては、圧縮チャンバ3からバイパスチャンバ215、220までのガスの部分的迂回を可能にする点までスパイラルバルブ20が回転したかのように流れを示している。具体的には、バイパスポート12c~12eによって、圧縮チャンバ3からバイパスチャンバ215、220までガスが流れ得る。ガス流は、矢印により表される。
【0034】
また、本開示の例示的な実施態様は、小型可変Viバルブ605(CVVV)を含むが、
図6~
図8においてはこれを長円で強調している。CVVV605は、スパイラルバルブ20のシャッター335から延びる回転軸610に結合されている歯状ギア615に対して機械的に結合されたバルブ部材620を具備する。CVVV605については、以下により詳しく論じる。
【0035】
図9および
図10は、
図2の線IX-IX’およびX-X’に沿うスクリュー圧縮機の断面図である。
図9および
図10の断面図は、主ガス流出口28および圧縮チャンバ出口端240を示すスクリュー圧縮機の端面図を与える。また、
図9および
図10は、小型可変Viバルブ(CVVV)605を示している。さらに、CVVV605の拡大図を
図11および
図12に示す。
【0036】
上述の通り、CVVV605は、スパイラルバルブのシャッターから延びる回転軸610に結合されている歯状ギア615に対して機械的に結合されたバルブ部材620を具備する。いくつかの例示的な実施態様において、バルブ部材620は、圧縮チャンバ出口端240に隣り合って圧縮チャンバ3へと垂直上方に延びる線形部材である。さらに、延伸した場合は、圧縮チャンバ出口端の面を横切って半径方向にバルブ部材620が延び、ガスが圧縮チャンバ3から出る半径方向位置を変更し得る。バルブ部材620は、円筒形状または半円筒形状を有していてもよい。たとえば、バルブ部材620は、半円上の断面を有していてもよい。さらに、バルブ部材620は、圧縮機ハウジング10に形成されている半径方向ボア625の中心線から圧縮チャンバ出口端240に向かってオフセットするように、半径方向ボア625に配置または挿入されていてもよい。ボア625におけるオフセットによって、圧縮チャンバ出口端240に対する良好な封止動作が実現され得る。
【0037】
たとえば、バルブ部材620は、両側で円周の一部に対して開いているわずかに大きな円筒状ボアの内側に摺動し得るより小さな円筒の固有の封止特性を利用することによって、円筒それぞれの側で2つの封止面が形成されるようにしてもよい。いずれかの方向への圧入によって、大きい方の円筒状ボアに対して小さい方の円筒が封止され、通路が封止されてバルブの周りの流れが止まる。さらに、バルブ部材620の中心線は、いずれの方向からの圧力に対しても封止面が存在するように、排気面から十分に離れた位置にオフセットされている。このため、バルブ部材620のシールは、所望の流路の下方に含まれ、当該方向の如何なる流れをも止める。このように、バルブ部材620は、円筒が半径方向にわずかに移動できるようにして、軸方向の封止を保ちつつ半径方向の封止特性を提供できるように設計されたシールを構成していてもよい。
【0038】
バルブ部材620は、圧縮機の効率を低下させるようなボイドを排気面に生じさせないようにしつつ排気面内に配置され得るように、片側が平坦である。バルブ部材620の一部がロータボア中に存在するため、バルブプラグ材料の使用により、ロータの頂点を越えて低圧スレッドに至るガス漏れの原因となるロータボアの表面の如何なるボイドをも埋めることができる。また、バルブプラグ材料の使用によって、ロータの動きと干渉しないようにバルブの配向を維持するようにしてもよい。バルブの作動側の周りのキャビティは、封止することも可能であるし、圧力を逃がすため開放することも可能である。圧力を逃がすために開放する場合は、製造および組み立てがより容易になる。
【0039】
いくつかの例示的な実施態様において、バルブ部材620は、歯状ギア615に係合することにより歯状ギア615の回転に基づいて上方に直線移動する歯状領域630を含むアクチュエータ構造を有していてもよい。歯状ギア615は、スパイラルバルブ20のシャッター335から延びるシャフト610に結合されている。この構成によれば、シャッター335の回転を制御するアクチュエータモジュール5によって、バルブ部材620の位置の制御が可能となり得る。さらに、圧縮チャンバ3の長さを制御するシャッター335の配向ごとにバルブ部材620が最適に配置されるように、バルブ部材620の位置がシャッター335に対して調整されるようになっていてもよい。
【0040】
CVVV605の例示的な実施態様は、スパイラルバルブ20のシャッター335に結合されている歯状ギア615に係合する歯状領域630を有するバルブ部材のアクチュエータ構造に限定されない。他の例示的な実施態様において、CVVV605は、シャッター335に結合されている油圧シリンダ、空気圧ピストン、またはステッピングモータ等の線形アクチュエータを特徴とするアクチュエータ構造を含んでいてもよい。
【0041】
いくつかの例示的な実施態様において、CVVV605は、1つのバルブ部材で実現することも可能であるし、2つのバルブ部材で実現することも可能である。たとえば、圧縮チャンバ出口端240の雄側にバルブ部材が1つ配置され、圧縮チャンバ出口端240の雌側にもバルブ部材が1つ配置されていてもよい。ただし、使用するバルブ部材620が所望の流れを可能にする十分な大きさである場合は、片側に1つのバルブ部材があればよい。単一バルブの構成が許容され得るのは、雄型および雌型スクリューのローブ305/310/315/320が噛み合い、同じ圧縮チャンバに接続されているためである。
【0042】
本発明は、種々改良および代替形態の影響を受けやすいが、その特定の実施形態を一例として図面に示しており、本明細書において詳しく説明している。ただし、特定の実施形態に関する本明細書の説明は、本発明を開示の特定の形態に制限する意図ではないことが了解されるものとする。さらに、例示的な実施態様は、工業用の場所にも固定的な場所にも限定されない。車両、トレーラ等の可搬式構造にスクリュー圧縮機100を搭載することによって、可搬式構成が実現され得る。
【0043】
以上の詳細な説明では、略図、模式図、および例を使用して、機器および/またはプロセスの例示的な種々実施態様を示した。このような略図、模式図、および例が1つまたは複数の機能および/または動作を含む限り、さまざまな構造によって、このような略図または例における各機能および/または動作を個別的および/または集合的に実現することができる。特定の例示的な実施態様を説明したが、これらの実施態様は、一例として提示しているに過ぎず、保護の範囲を制限する意図ではない。実際、本明細書に記載の新規方法および装置は、多様な他の形態にて具現化されていてもよい。さらに、保護の思想から逸脱することなく、本明細書に記載の機器およびシステムの形態をさまざまに省略、置換、および変更可能である。添付の特許請求の範囲およびそれぞれの同等物は、保護の範囲および思想に含まれるような形態または改良を網羅することが意図される。
【国際調査報告】