IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司の特許一覧

特表2024-533347非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置
<>
  • 特表-非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置 図1
  • 特表-非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置 図2
  • 特表-非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置 図3
  • 特表-非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置 図4
  • 特表-非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置 図5
  • 特表-非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置 図6
  • 特表-非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置 図7
  • 特表-非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置 図8
  • 特表-非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置 図9
  • 特表-非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0569 20100101AFI20240905BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20240905BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240905BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M10/0569
H01M10/0568
H01M4/38 Z
H01M4/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515169
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 CN2022089821
(87)【国際公開番号】W WO2023206216
(87)【国際公開日】2023-11-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100140305
【弁理士】
【氏名又は名称】宮▲崎▼ 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】ワン ハンセン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ チェンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ファン シェンユアン
(72)【発明者】
【氏名】フー ボービン
(72)【発明者】
【氏名】シエ チャンディー
(72)【発明者】
【氏名】リャオ シャンジュー
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
5H050AA07
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB11
5H050CB12
(57)【要約】
本願は、非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置を提供する。非水電解液はオルト炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステル及びリチウム塩を含み、質量含有量を基準にして、オルト炭酸エステルの含有量は10%~80%であり、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルの少なくとも一方がフッ化物である。オルト炭酸エステルの中心炭素原子は4つの酸素原子に繋がるアルキル基またはハロゲン化アルキル鎖に繋がることで、酸素原子の孤立電子対に対して電子吸引の役割を果たし、酸素原子の周囲の立体障害を増加させ、リチウムイオンとの結合エネルギーを弱め、陰イオン分解によって支配されるSEI膜の形成を促進する。陰イオン分解によって形成される高度に無機的なSEI膜成分は、デンドライト状から塊状への金属リチウムの析出の変化を促進し、腐食反応の発生を緩和させ、さらに、金属リチウム二次電池のサイクル寿命と安全性を向上させることができ、フッ素化された鎖状炭酸エステルまたは環状炭酸エステルは、金属リチウム電池の安全性とサイクル性をさらに促進する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水電解液であって、オルト炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステル及びリチウム塩を含み、質量含有量を基準にして、前記オルト炭酸エステルの含有量は10%~80%であり、前記鎖状炭酸エステルと前記環状炭酸エステルの少なくともの一つはフッ化物である非水電解液。
【請求項2】
前記非水電解液中の前記オルト炭酸エステルの質量含有量は15~50%であり、好ましくは、20~30%である請求項1に記載の非水電解液。
【請求項3】
前記オルト炭酸エステルの質量と前記リチウム塩との質量比は1:3~3:1であり、好ましくは、1:1.5~1.5:1である請求項1または2に記載の非水電解液。
【請求項4】
前記鎖状炭酸エステルの質量含有量は1%~80%であり、好ましくは、4%~40%であり、さらに好ましくは、20%~30%であり、
及び/又は、前記環状炭酸エステルの質量含有量は1~80%であり、好ましくは、4%~40%であり、さらに好ましくは、20%~30%であり、
及び/又は、前記リチウム塩の質量含有量は10%~70%であり、好ましくは、15~40%であり、さらに好ましくは、20~30%である請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解液。
【請求項5】
前記鎖状炭酸エステルと前記環状炭酸エステルの一方はフッ化物であり、好ましくは、前記環状炭酸エステルはフッ素化環状炭酸エステルである請求項1~4のいずれか1項に記載の非水電解液。
【請求項6】
前記オルト炭酸エステルは、式Iに示される構造を有する化合物、式IIに示される構造を有する化合物または式IIIに示される構造を有する化合物からなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化1】
【化2】
【化3】
ただし、R1~R4、R6及びR7は、それぞれ独立してC1~C10のアルキル基またはC1~C10のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、R5、R8及びR9は、それぞれ独立してC1~C10のアルキレン基またはC1~C10のハロゲン化アルキレン基のうちのいずれかを示し、
好ましくは、前記オルト炭酸エステルは式Iに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、且つR1~R4は、それぞれ独立してC1~C10のアルキル基またはC1~C10のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、
さらに好ましくは、前記オルト炭酸エステルは、オルト炭酸テトラメチル、オルト炭酸テトラエチル、オルト炭酸テトラプロピル、オルト炭酸テトラブチル、オルト炭酸テトラペンチル、オルト炭酸テトラヘキシル、オルト炭酸テトラヘプチル、オルト炭酸テトラオクチル、オルト炭酸テトラノニル、オルト炭酸テトラデシル、フルオロオルト炭酸テトラメチル、フルオロオルト炭酸テトラエチル、フルオロオルト炭酸テトラプロピル、フルオロオルト炭酸テトラブチル、フルオロオルト炭酸テトラペンチル、フルオロオルト炭酸テトラヘキシル、フルオロオルト炭酸テトラヘプチル、フルオロオルト炭酸テトラオクチル、フルオロオルト炭酸テトラノニル、フルオロオルト炭酸テトラデシルからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる請求項1~5のいずれか1項に記載の非水電解液。
【請求項7】
前記鎖状炭酸エステルは式IVに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化4】
ただし、R10とR11は、それぞれ独立してハロゲン基、C1~C5のアルキル基またはC1~C5のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、
好ましくは、前記鎖状炭酸エステルは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、プロピルブチルカーボネート、プロピルペンチルカーボネート、ブチルペンチルカーボネート、フルオロジメチルカーボネート、フルオロジエチルカーボネート、フルオロジプロピルカーボネート、フルオロジブチルカーボネート、フルオロジペンチルカーボネート、フルオロエチルメチルカーボネート、フルオロメチルプロピルカーボネート、フルオロブチルメチルカーボネート、フルオロメチルペンチルカーボネート、フルオロエチルプロピルカーボネート、フルオロエチルブチルカーボネート、フルオロエチルペンチルカーボネート、フルオロプロピルブチルカーボネート、フルオロプロピルペンチルカーボネート、フルオロブチルペンチルカーボネートからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる請求項1~6のいずれか1項に記載の非水電解液。
【請求項8】
前記環状炭酸エステルは式Vに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化5】
ただし、R12~R15は、それぞれ独立してハロゲン基、C1~C3のアルキル基またはC1~C3のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、
好ましくは、前記環状炭酸エステルは、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる請求項1~7のいずれか1項に記載の非水電解液。
【請求項9】
前記リチウム塩は、ジフルオロスルホニルイミドリチウム、ジフルオロメチルスルホニルイミドリチウム、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化ヒ酸リチウム、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム、ビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム、ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウムからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる請求項1~8のいずれか1項に記載の非水電解液。
【請求項10】
前記オルト炭酸エステルはオルト炭酸テトラメチルまたはオルト炭酸テトラエチルであり、前記鎖状炭酸エステルはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、フルオロジメチルカーボネート及びフルオロジエチルカーボネートのうちのいずれかであり、前記環状炭酸エステルは、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネートのうちのいずれかから選ばれ、前記リチウム塩はジフルオロスルホニルイミドリチウムまたはジフルオロメチルスルホニルイミドリチウムであり、
好ましくは、前記オルト炭酸エステルはオルト炭酸テトラメチルであり、前記鎖状炭酸エステルはジメチルカーボネートであり、前記環状炭酸エステルはフルオロエチレンカーボネートであり、前記リチウム塩はジフルオロスルホニルイミドリチウムまたはジフルオロメチルスルホニルイミドリチウムから選ばれる請求項1~9のいずれか1項に記載の非水電解液。
【請求項11】
正極シート、負極シート、電解液及びセパレータを含み、前記電解液は請求項1~10のいずれか1項に記載の非水電解液であり、前記負極シートは金属リチウムを含む二次電池。
【請求項12】
前記負極シートは集電体と負極活性層を含み、前記負極活性層は金属リチウムまたはリチウム合金であり、好ましくは、前記リチウム合金は錫、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銀、金、ガリウム、インジウム、箔、ホウ素、炭素、及びシリコンのうちのいずれか及び金属リチウムを含む請求項11に記載の二次電池。
【請求項13】
請求項11または12に記載の二次電池である二次電池を含む電池モジュール。
【請求項14】
請求項13に記載の電池モジュールである電池モジュールを含む電池パック。
【請求項15】
二次電池または電池モジュールまたは電池パックを含み、前記二次電池は請求項11または12に記載の二次電池から選ばれ、前記電池モジュールは請求項13に記載の電池モジュールであり、または前記電池パックは請求項14に記載の電池パックである電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池技術の分野に関し、特に非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラルの大きな背景の下で、交通電動化は一般的な傾向である。しかし、動力電池エネルギー密度の不足及びそれに伴う「走行距離の不安」は、より高いエネルギー密度の二次電池システムの開発を促進する。ここで、金属リチウム二次電池のリチウム負極は極めて低い電極電位(-3.04V vs.SHE)と極めて高い比容量(3860 mAh/g)を有するため、現在の二次電池が動力電池エネルギー密度を高める最適な選択である。
【0003】
しかしながら、金属リチウムは非常に活性な金属として、電解液と連続的な副反応を起こし、不均一な固体電解質界面層(SEI)を形成し、デンドライト状リチウムの成長を誘導し、サイクル中に大量の電気化学的活性を失う「失活リチウム」の形成を引き起こし、容量の急速な減衰を引き起こし、深刻な安全リスクをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置を提供し、金属リチウム二次電池のサイクル性を向上させるために使用される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1の態様は、非水電解液を提供し、非水電解液はオルト炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステル及びリチウム塩を含み、質量含有量を基準にして、オルト炭酸エステルの含有量は10%~80%であり、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルの少なくとも一方がフッ化物である。
【0006】
本願の非水電解液中のオルト炭酸エステルの中心炭素原子は4つの酸素原子に繋がり、各酸素原子はまたアルキル基またはハロゲン化アルキル鎖に繋がり、アルキル基またはハロゲン化アルキル鎖は酸素原子の孤立電子対に対して電子吸引の役割を果たし、酸素原子の周囲の立体障害を増加させ、リチウムイオンとの結合エネルギーを弱め、電解液中のリチウムイオンの溶媒和シース層におけるリチウム塩中の陰イオンの関与を大幅に増加させ、陰イオン分解によって支配されるSEI膜の形成を促進する。陰イオン分解によって形成される高度に無機的なSEI膜成分は、デンドライト状から塊状への金属リチウムの析出の変化を促進し、失活リチウムの形成を抑制し、金属リチウム析出の比表面積を減少させ、腐食反応の発生を緩和させ、さらに、金属リチウム二次電池のサイクル寿命と安全性を向上させることができる。鎖状炭酸エステルは、主に、電解液の粘度を低下させ、浸潤性及びイオン伝動能力を向上させる役割を果たす。フッ素化された鎖状炭酸エステルまたはフッ素化された環状炭酸エステルは、金属リチウム負極表面で分解して金属リチウム析出形態に有利なフッ化リチウムなどの無機成分を形成し、不動態化層を速やかに形成し、さらに金属リチウム電池の安全性とサイクル性を改善する。また、オルト炭酸エステルを主な溶剤の一つとして使用する非水電解液は80℃で金属リチウムと反応を起こして金属リチウム表面を効果的に不動態化する保護層を生成し、これは、全電池が回路を遮断し、副反応のさらなる発生を阻止し、金属リチウム二次電池の熱安全性の向上に役に立つ。
【0007】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記非水電解液中のオルト炭酸エステルの質量含有量は15~50%であり、好ましくは、20~30%である。オルト炭酸エステルの質量を上記範囲内に制御することにより、SEI膜成分が陰イオン分解によって支配されるSEI膜を主とすることを効果的に促進するとともに、その使用による電解液の粘度が大きすぎる問題を回避する。
【0008】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記オルト炭酸エステルの質量とリチウム塩の質量比は1:3~3:1であり、好ましくは、1:1.5~1.5:1である。さらにオルト炭酸エステルを十分に利用してできるだけ多くの陰イオン分解によって支配されるSEI膜を形成する。
【0009】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記鎖状炭酸エステルの質量含有量は1%~80%であり、好ましくは、4%~40%であり、さらに好ましくは、20%~30%である。上記使用量範囲内の鎖状炭酸エステルは、オルト炭酸エステルの添加による粘度を低下させるために使用され、リチウムイオンの輸送効果をさらに改善する。
【0010】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記環状炭酸エステルの質量含有量は1~80%であり、好ましくは、4%~40%であり、さらに好ましくは、20%~30%である。上記使用量範囲内の環状炭酸エステルは、オルト炭酸エステルの添加による粘度を低下させるために使用され、リチウムイオンの輸送効果をさらに改善する。
【0011】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記リチウム塩の質量含有量は10%~70%であり、好ましくは、15~40%であり、さらに好ましくは、20~30%である。リチウム塩を利用して金属リチウムの表面で厚さがより適切で、構造と性能により優れたSEI膜成分を形成し、サイクル性能をさらに向上させる。
【0012】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルのうちの一方はフッ化物である。2種のフッ素化炭酸エステルを同時に使用することで電解液の浸潤が難しくなり、二次電池の長期安定サイクルに影響を及ぼすことを避けることができる。好ましくは、上記環状炭酸エステルはフッ素化環状炭酸エステルであり、フッ素化環状炭酸エステルが負極界面で分解して金属リチウムサイクルに有利なフッ化リチウムを生成する。
【0013】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記オルト炭酸エステルは、式Iに示される構造を有する化合物、式IIに示される構造を有する化合物または式IIIに示される構造を有する化合物からなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化1】
【化2】
【化3】
ここで、R1~R4、R6及びR7は、それぞれ独立してC1~C10のアルキル基またはC1~C10のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、R5、R8及びR9は、それぞれ独立してC1~C10のアルキレン基またはC1~C10のハロゲン化アルキレン基のうちのいずれかを示す。
【0014】
好ましくは、上記オルト炭酸エステルは式Iに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、且つR1~R4は、それぞれ独立してC1~C10のアルキル基またはC1~C10のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、さらに好ましくは、オルト炭酸エステルは、オルト炭酸テトラメチル、オルト炭酸テトラエチル、オルト炭酸テトラプロピル、オルト炭酸テトラブチル、オルト炭酸テトラペンチル、オルト炭酸テトラヘキシル、オルト炭酸テトラヘプチル、オルト炭酸テトラオクチル、オルト炭酸テトラノニル、オルト炭酸テトラデシル、フルオロオルト炭酸テトラメチル、フルオロオルト炭酸テトラエチル、フルオロオルト炭酸テトラプロピル、フルオロオルト炭酸テトラブチル、フルオロオルト炭酸テトラペンチル、フルオロオルト炭酸テトラヘキシル、フルオロオルト炭酸テトラヘプチル、フルオロオルト炭酸テトラオクチル、フルオロオルト炭酸テトラノニル、フルオロオルト炭酸テトラデシルからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる。オルト炭酸エステルは上記で挙げられた具体的な物質から選択することができ、オルト炭酸エステルの分子量が小さいほど、その粘度が低くなり、リチウム塩に対する溶解能力が良くなる。
【0015】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記鎖状炭酸エステルは式IVに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化4】
ただし、R10とR11は、それぞれ独立してハロゲン基、C1~C5のアルキル基またはC1~C5のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、好ましくは、鎖状炭酸エステルは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、プロピルブチルカーボネート、プロピルペンチルカーボネート、ブチルペンチルカーボネート、フルオロジメチルカーボネート、フルオロジエチルカーボネート、フルオロジプロピルカーボネート、フルオロジブチルカーボネート、フルオロジペンチルカーボネート、フルオロエチルメチルカーボネート、フルオロメチルプロピルカーボネート、フルオロブチルメチルカーボネート、フルオロメチルペンチルカーボネート、フルオロエチルプロピルカーボネート、フルオロエチルブチルカーボネート、フルオロエチルペンチルカーボネート、フルオロプロピルブチルカーボネート、フルオロプロピルペンチルカーボネート、フルオロブチルペンチルカーボネートからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる。上記各鎖状炭酸エステルの粘度は環状炭酸エステルに対して小さく、特に小分子量の鎖状炭酸エステルは、電解液の粘度をより効果的に低下させ、電解液の浸潤性とイオン伝動率を向上させることができる。
【0016】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記環状炭酸エステルは式Vに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化5】
ただし、R12~R15は、それぞれ独立してハロゲン基、C1~C3のアルキル基またはC1~C3のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、好ましくは、環状炭酸エステルは、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる。そのうちのフッ素化環状炭酸エステルは、負極界面で分解して金属リチウムサイクルに有利なフッ化リチウムなどの関連する無機成分を生成するのにより役に立ち、電池サイクル性能をより良く改善する。
【0017】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記リチウム塩は、ジフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)、ジフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiTFSI)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiBETI)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウム(LiDFOB)からなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる。上記各リチウム塩は、それぞれ独自の優位性を持っており、その中でフルオロスルホニルイミドリチウムは高い熱分解温度を有し、水に対してより敏感ではなく、さらに電池の安全性能を一定の程度で向上させることができる。
【0018】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記オルト炭酸エステルはオルト炭酸テトラメチルまたはオルト炭酸テトラエチルであり、鎖状炭酸エステルはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、フルオロジメチルカーボネート及びフルオロジエチルカーボネートのうちのいずれかであり、環状炭酸エステルは、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネートのうちのいずれかから選ばれ、リチウム塩はジフルオロスルホニルイミドリチウムまたはジフルオロメチルスルホニルイミドリチウムである。さらに好ましくは、上記オルト炭酸エステルはオルト炭酸テトラメチルであり、鎖状炭酸エステルはジメチルカーボネートであり、環状炭酸エステルはフルオロエチレンカーボネートであり、リチウム塩はジフルオロスルホニルイミドリチウムまたはジフルオロメチルスルホニルイミドリチウムから選ばれる。上記各物質の組み合わせ方式により、それぞれの作用効果を十分に発揮した上で、さらに相乗効果を発揮し、金属リチウム二次電池のサイクル性と安全性を向上させることができる。
【0019】
本願の第2の態様は、正極シート、負極シート、電解液及びセパレータを含む二次電池を提供し、該電解液は上記いずれかの非水電解液であり、負極シートは金属リチウムを含む。本願の非水電解液は負極シートに対する腐食性が小さく、それを備える二次電池の安全性、サイクル性をさらに向上させる。
【0020】
第2の態様の任意の実施形態において、上記負極シートは集電体と負極活性層を含み、負極活性層は金属リチウムまたはリチウム合金であり、好ましくは、上記リチウム合金は錫、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銀、金、ガリウム、インジウム、箔、ホウ素、炭素、及びシリコンのうちのいずれか及び金属リチウムを含む。
【0021】
本願の第3の態様は、第2の態様によるいずれかの二次電池である二次電池を含む電池モジュールを提供する。
【0022】
本願の第4の態様は、第3の態様によるいずれかの電池モジュールである電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0023】
本願の第5の態様は、二次電池または電池モジュールまたは電池パックを含む電気装置を提供し、二次電池は第2の態様によるいずれかの二次電池であり、電池モジュールは第3の態様によるいずれかの電池モジュールであり、電池パックは第4の態様によるいずれかの電池パックである。
【発明の効果】
【0024】
本願の非水電解液の構成により、本願の二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置はいずれも高い安全性とサイクル性を備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確的に説明するために、以下、本願の実施例に使用する必要がある図面を簡単に説明し、明らかで、以下で説明する図面はただ本願のある実施例だけであり、当業者にとって、創造的な作業なしに更にこれらの図面に基づいてその他の図面を取得することができる。
図1】本願の一実施形態による二次電池を示す模式図である。
図2図1に示す本願の一実施形態による二次電池を示す分解図である。
図3】本願の一実施形態による電池モジュールを示す模式図である。
図4】本願の一実施形態による電池パックを示す模式図である。
図5図4に示す本願の一実施形態による電池パックを示す分解図である。
図6】本願の一実施形態による二次電池を電源として使用する電気装置を示す模式図である。
図7】本願の実施例1によるLi-Liボタン電池の異なる電流密度での充放電サイクルのテスト結果を示す図である。
図8】本願の実施例1によるLi-Liボタン電池の室温でのインピーダンステスト結果を示す図である。
図9】本願の実施例1によるLi-Liボタン電池の80℃環境で3時間放置した後のインピーダンステスト結果を示す図である。
図10】本願の実施例1による液状金属リチウム二次電池のサイクル電圧曲線図であり、電池セルのサイクルの環境温度を25℃に設定し、0.5Cのレート(即ち70mA)で充放電サイクルを行う。充放電のカットオフ電圧をそれぞれ3.65Vと2.80Vに設定する。
【0026】
図面では、図面は実際の縮尺で描画されていない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面と実施例を組み合わせて本願の実施形態をさらに詳しく説明する。以下の実施例の詳細な説明と図面は本願の原理を例示的説明するために使用され、本願の範囲を制限するためのものではなく、即ち、本願は説明される実施例に制限されない。
【0028】
以下、図面を適切に参照して本願の非水電解液、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置を具体的に開示した実施形態を詳しく説明する。しかし、不必要な詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られている事項の詳細な説明、実際の同じ構造の重複した説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者が本願を十分に理解するために提供され、請求項の範囲に記載の主題を限定するものではない。
【0029】
本願で開示された「範囲」は下限と上限の形態で限定され、所定の範囲は1つの下限と1つの上限を選択して限定され、選択された下限と上限によって特別な範囲の境界が限定される。このように限定される範囲は、境界値を含むものであっても、境界値を含まないものであってもよく、且つ任意に組み合わせることができ、即ち、任意の下限は任意の上限と組み合わせて1つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータに対して60-120と80-110の範囲がリストされている場合、60-110と80-120の範囲も予想されると理解される。なお、最小範囲値1と2、最大範囲値3、4及び5がリストされていると、以下の範囲、1-3、1-4、1-5、2-3、2-4及び2-5はすべて予想できる。本願では、他の説明がない限り、数値の範囲「a-b」は、aからbまでの任意の実数の組み合わせの省略表現を示し、aとbの両方が実数である。例えば数値範囲「0-5」は、本明細書でリストされている「0-5」の間のすべての実数を示し、「0-5」は、ただこれらの数値の組み合わせの省略表現である。また、あるパラメータが≧2の整数を示すと、該パラメータは、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などの整数であることを開示したことに相当する。
【0030】
特別な説明がない限り、本願の全ての実施形態及び好ましい実施形態は互いに組み合わせて新しい技術的解決手段を形成することができる。
【0031】
特別な説明がない限り、本願の全ての技術的特徴及び好ましい技術的特徴は互いに組み合わせて新しい技術的解決手段を形成することができる。
【0032】
特別な説明がない限り、本願の全てのステップは順番に行っても、ランダムに行ってもよく、順番に行うことが好ましい。例えば、前記方法はステップ(a)と(b)を含むのは、前記方法が順番に行われるステップ(a)と(b)を含んでもよく、順番に行われるステップ(b)と(a)を含んでもよいことを示す。例えば、以上で言及された前記方法は、ステップ(c)を含んでもよいのは、ステップ(c)を任意の順番で前記方法に加えることができることを示し、例えば、前記方法はステップ(a)、(b)及び(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)及び(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)及び(b)を含んでもよい。
【0033】
特別な説明がない限り、本願で言及された「備える」と「含む」は、非限定的なものであっても、限定的なものであってもよいことを示す。例えば、前記「備える」と「含む」は、リストされていない他の成分をさらに備えるまたは含むことができ、リストされた成分のみを備えるまたは含むことができる。
【0034】
特別な説明がない限り、本願において、「または」という用語は包括的なものである。例えば、「AまたはB」という単語は、「A、B、またはAとBの両方」を示す。より具体的に、以下の、Aが真(または存在する)で且つBは偽(または存在しない)である条件、Aは偽(または存在しない)であるが、Bが真(または存在する)である条件、またはAとBの両方とも真(または存在する)である条件のいずれかがいずれも「AまたはB」という条件を満たす。
【0035】
発明者は、電解液の設計と最適化により、金属リチウム負極のサイクル性と安全性を大幅に向上させることができ、金属リチウム二次電池を実現するためのコアと鍵であることを発見した。近年、高濃度電解液、局所高濃度電解液、各種のリチウム塩を混合した電解液、パーフルオロ電解液などの様々な電解液の設計思想が提案されている。これらの設計方法は、金属リチウムの成長をデンドライト状から塊状に変化させ、セパレータの貫通による短絡のリスクを大幅に低減し、同時に金属リチウム析出の比表面積を低下させ、さらに腐食反応を緩和し、金属リチウム負極のサイクル性能を向上させる。しかしながら、これらの設計ルートは、コストが高く、サイクル性がまだ不十分であるなどの問題がある。このため、さらに電解液の処方をさらに最適化することは、金属リチウム二次電池サイクル性と安全性を向上させ、その商業化を実現する上で重要なポイントである。
【0036】
本願の第1の態様は、オルト炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステル及びリチウム塩を含む非水電解液を提供し、質量含有量を基準にして、オルト炭酸エステルの含有量は10%~80%であり、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルの少なくとも一方がフッ化物である。
【0037】
本願の非水電解液中のオルト炭酸エステルの中心炭素原子は4つの酸素原子に繋がり、各酸素原子はまたアルキル基またはハロゲン化アルキル鎖に繋がり、アルキル基またはハロゲン化アルキル鎖は酸素原子の孤立電子対に対して電子吸引の役割を果たし、酸素原子の周囲の立体障害を増加させ、リチウムイオンとの結合エネルギーを弱め、電解液中のリチウムイオンの溶媒和シース層におけるリチウム塩中の陰イオンの関与を大幅に増加させ、陰イオン分解によって支配されるSEI膜の形成を促進する。陰イオン分解の支配によって形成される高度に無機的なSEI膜成分は、デンドライト状から塊状への金属リチウムの析出の変化を促進し、失活リチウムの形成を抑制し、金属リチウム析出の比表面積を減少させ、腐食反応の発生を緩和させ、さらに、金属リチウム二次電池のサイクル寿命と安全性を向上させることができる。鎖状炭酸エステル又は環状炭酸エステルは、主に、電解液の粘度を低下させ、浸潤性及びイオン伝動能力を向上させる役割を果たす。さらに、オルト炭酸エステルに結合されないリチウムイオンの移動能力が高まり、形成されたSEI膜の形成効率が最適化される。フッ素化環状炭酸エステルまたはフッ素化鎖状炭酸エステルは、金属リチウム負極表面で分解して金属リチウム析出形態に有利なフッ化リチウムなどの無機成分を形成し、不動態化層を速やかに形成し、さらに金属リチウム電池の安全性とサイクル性を改善する。
【0038】
本願では、オルト炭酸エステルの含有量は10%~80%範囲内にあり、添加剤ではなく、非水電解液の主な溶剤の一つとして見なすことができる。非水電解液の濃度を適度にし、さらに溶媒和エネルギーを低下させ、リチウムイオンの輸送効果、及び二次電池の高サイクル性能を確保することができる。また、オルト炭酸エステルを主な溶剤の一つとして使用する非水電解液は80℃で金属リチウムと反応を起こして金属リチウムの表面を効果的に不動態化できる保護層を生成し、これは、全電池が回路を遮断し、副反応のさらなる発生を阻止し、金属リチウム二次電池の熱安全性の向上に役に立つ。
【0039】
オルト炭酸エステルを非水電解液の主な溶剤の一つとして使用する場合、オルト炭酸エステルの粘度は他の2種の炭酸エステルの粘度より高いため、その使用量が多すぎることで非水電解液の濃度が高過ぎて、リチウムイオンの輸送効果に影響を及ぼすことを避けるために、第1の態様のいくつかの実施形態において、上記非水電解液中のオルト炭酸エステルの質量含有量は15~50%であり、好ましくは、20~30%である。オルト炭酸エステルの質量を上記範囲内に制御することにより、該オルト炭酸エステルを利用してリチウムイオン溶媒和環境を改善し、溶媒和エネルギーを低下させ、陰イオンが溶媒和に関与する割合を高め、SEI膜成分が陰イオン分解によって支配されるSEI膜を主とすることを効果的に促進するだけでなく、その使用による電解液の粘度が大きすぎるという問題を回避し、さらにリチウムイオンの効率的な輸送及び二次電池の高サイクル性能を確保する。
【0040】
前述のように、オルト炭酸エステルの使用により、SEI膜の形成が変化し、オルト炭酸エステルを十分に利用してリチウム塩中のリチウムイオンの結合形式を調整するために、第1の態様のいくつかの実施形態において、上記オルト炭酸エステルの質量とリチウム塩の質量比は1:3~3:1であり、好ましくは、1:1.5~1.5:1である。さらにオルト炭酸エステルを十分に利用してできるだけ多くの陰イオン分解によって支配されるSEI膜を形成する。
【0041】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記鎖状炭酸エステルの質量含有量は1%~80%であり、好ましくは、4%~40%であり、さらに好ましくは、20%~30%である。上記使用量範囲内の鎖状炭酸エステルは、オルト炭酸エステルの添加による粘度を低下させるために使用され、リチウムイオンの輸送効果をさらに改善する。
【0042】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記環状炭酸エステルの質量含有量は1~80%であり、好ましくは、4%~40%であり、さらに好ましくは、20%~30%である。上記使用量範囲内の環状炭酸エステルは、オルト炭酸エステルの添加による粘度を低下させるために使用され、リチウムイオンの輸送効果をさらに改善する。
【0043】
第1の態様のいくつかの実施形態において、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルのうちの一方はフッ化物であり、2種のフッ素化炭酸エステルを同時に使用することで電解液の浸潤が難しくなり、二次電池の長期安定サイクルに影響を及ぼすことを避けることができる。好ましくは、上記環状炭酸エステルはフッ素化環状炭酸エステルであり、フッ素化環状炭酸エステルが負極界面で分解して金属リチウムサイクルに有利なフッ化リチウムを生成する。
【0044】
第1の態様のいくつかの実施形態において、上記リチウム塩の質量含有量は10%~70%であり、好ましくは、15~40%であり、さらに好ましくは、20~30%である。上記含有量のリチウム塩は金属リチウムの表面に厚さがより適切で、構造と性能により優れたSEI膜成分を形成することができ、さらにサイクル性能を向上させる。
【0045】
本願に適用されるオルト炭酸エステルはよく使用されているオルト炭酸エステル系物質から選択することができ、第1の態様のいくつかの実施形態において、上記オルト炭酸エステルは、式Iに示される構造を有する化合物、式IIに示される構造を有する化合物または式IIIに示される構造を有する化合物からなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化6】
【化7】
【化8】
ただし、R1~R4、R6及びR7は、それぞれ独立してC1~C10のアルキル基またはC1~C10のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、R5、R8及びR9は、それぞれ独立してC1~C10のアルキレン基またはC1~C10のハロゲン化アルキレン基のうちのいずれかを示す。
【0046】
好ましくは、上記オルト炭酸エステルは式Iに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、且つR1~R4は、それぞれ独立してC1~C10のアルキル基またはC1~C10のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、さらに好ましくは、オルト炭酸エステルはオルト炭酸テトラメチル、オルト炭酸テトラエチル、オルト炭酸テトラプロピル、オルト炭酸テトラブチル、オルト炭酸テトラペンチル、オルト炭酸テトラヘキシル、オルト炭酸テトラヘプチル、オルト炭酸テトラオクチル、オルト炭酸テトラノニル、オルト炭酸テトラデシル、フルオロオルト炭酸テトラメチル、フルオロオルト炭酸テトラエチル、フルオロオルト炭酸テトラプロピル、フルオロオルト炭酸テトラブチル、フルオロオルト炭酸テトラペンチル、フルオロオルト炭酸テトラヘキシル、フルオロオルト炭酸テトラヘプチル、フルオロオルト炭酸テトラオクチル、フルオロオルト炭酸テトラノニル、フルオロオルト炭酸テトラデシルからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる。オルト炭酸エステルは上記で挙げられた具体的な物質から選択することができ、オルト炭酸エステルの分子量が小さいほど、その粘度が低くなり、リチウム塩に対する溶解能力が良くなる。
【0047】
鎖状炭酸エステルは非水電解液によく使用されている溶剤種類であり、当業者は通常の鎖状炭酸エステルから選択することができ、第1の態様のいくつかの実施形態において、上記鎖状炭酸エステルは式IVに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化9】
ただし、R10とR11は、それぞれ独立してハロゲン基、C1~C5のアルキル基またはC1~C5のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、上記ハロゲン化はフルオロ、クロロまたは臭素化であってもよく、好ましくは、フルオロである。好ましくは、鎖状炭酸エステルはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、プロピルブチルカーボネート、プロピルペンチルカーボネート、ブチルペンチルカーボネート、フルオロジメチルカーボネート、フルオロジエチルカーボネート、フルオロジプロピルカーボネート、フルオロジブチルカーボネート、フルオロジペンチルカーボネート、フルオロエチルメチルカーボネート、フルオロメチルプロピルカーボネート、フルオロブチルメチルカーボネート、フルオロメチルペンチルカーボネート、フルオロエチルプロピルカーボネート、フルオロエチルブチルカーボネート、フルオロエチルペンチルカーボネート、フルオロプロピルブチルカーボネート、フルオロプロピルペンチルカーボネート、フルオロブチルペンチルカーボネートからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる。上記各鎖状炭酸エステルの粘度は環状炭酸エステルに対して小さく、特に小分子量の鎖状炭酸エステルは、電解液の粘度をより効果的に低下させ、電解液の浸潤性とイオン伝動率を向上させることができる。
【0048】
環状炭酸エステルは非水電解液によく使用されている溶剤種類であり、当業者が通常の環状炭酸エステルから選択することができ、第1の態様のいくつかの実施形態において、上記環状炭酸エステルは式Vに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化10】
ただし、R12~R15は、それぞれ独立してハロゲン基、C1~C3のアルキル基またはC1~C3のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示す。上記ハロゲン化はフルオロ、クロロまたは臭素化であってもよく、好ましくは、フルオロである。好ましくは、環状炭酸エステルはエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる。そのうちのフッ素化環状炭酸エステルは、負極界面で分解して金属リチウムサイクルに有利なフッ化リチウムなどの関連する無機成分を生成するのにより役に立ち、電池サイクル性能をより良く改善する。
【0049】
本願のリチウム塩が電解液によく使用されているリチウム塩から選択されてもよい。第1の態様のいくつかの実施形態において、上記リチウム塩はジフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)、ジフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiTFSI)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiBETI)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウム(LiDFOB)からなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる。上記リチウム塩は、それぞれ独自の優位性を持っており、その中でフルオロスルホニルイミドリチウムは高い熱分解温度を有し、水に対してより敏感ではなく、さらに電池の安全性能を一定の程度で向上させることができ、特にジフルオロスルホニルイミドリチウムが金属リチウムの表面により良いSEI膜成分を形成することができる。
【0050】
上記オルト炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステルの相乗効果を十分に発揮するために、第1の態様のいくつかの実施形態において、上記オルト炭酸エステルはオルト炭酸テトラメチルまたはオルト炭酸テトラエチルであり、鎖状炭酸エステルはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、フルオロジメチルカーボネート及びフルオロジエチルカーボネートのうちのいずれかであり、環状炭酸エステルはフルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネートのうちのいずれかから選ばれ、リチウム塩はジフルオロスルホニルイミドリチウムまたはジフルオロメチルスルホニルイミドリチウムである。さらに好ましくは、上記オルト炭酸エステルはオルト炭酸テトラメチルであり、鎖状炭酸エステルはジメチルカーボネートであり、環状炭酸エステルはフルオロエチレンカーボネートであり、リチウム塩はジフルオロスルホニルイミドリチウムまたはジフルオロメチルスルホニルイミドリチウムから選ばれる。上記各物質の組み合わせ方式により、それぞれの作用効果を十分に発揮した上で、さらに相乗効果を発揮し、金属リチウム二次電池のサイクル性と安全性を向上させることができる。
【0051】
[二次電池]
【0052】
二次電池は、充電電池または蓄電池とも呼ばれ、電池が放電後に充電により活性材料を活性化させて使用し続ける電池を指す。
【0053】
通常の場合で、二次電池は正極シート、負極シート、セパレータ及び電解液を含む。電池充放電過程では、活性イオン(例えばリチウムイオン)が正極シートと負極シートとの間に往復に吸蔵と脱出する。セパレータは正極シートと負極シートとの間に設けられ、主に正と負極の短絡を防止する役割を果たし、同時に、イオンを通過させることができる。電解液は正極シートと負極シートとの間にあり、イオンを伝導する役割を果たす。
【0054】
本願の第2の態様は、二次電池を提供し、正極シート、負極シート、電解液及びセパレータを含む。該電解液は上記いずれかの非水電解液であり、負極シートは金属リチウムを含む。本願の非水電解液は負極シートに対する腐食性が小さく、それを備える二次電池の安全性、サイクル性を向上させる。
【0055】
[負極シート]
【0056】
負極シートは、負極集電体及び負極集電体の少なくとも1つの表面に設けられる負極活性層を含む。
【0057】
例として、負極集電体は、自体の厚さ方向に対向する2つの表面を有し、負極活性層は負極集電体の対向する2つの表面のいずれか一方または両方に設けられる。
【0058】
第2の態様の任意の実施形態において、上記負極シートは集電体と負極活性層を含み、負極活性層は金属リチウムまたはリチウム合金であり、好ましくは、上記リチウム合金は錫、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銀、金、ガリウム、インジウム、箔、ホウ素、炭素、及びシリコンのうちのいずれか及び金属リチウムを含む。
【0059】
[正極シート]
【0060】
正極シートは通常、正極集電体及び正極集電体の少なくとも1つの表面に設けられる正極膜層を含み、正極膜層は正極活性材料を含む。
【0061】
例として、正極集電体は、自体の厚さ方向に対向する2つの表面を有し、正極膜層は正極集電体の対向する2つの表面のいずれか一方または両方に設けられる。
【0062】
いくつかの実施形態において、正極集電体には金属箔シートまたは複合集電体が採用することができる。例えば、金属箔シートとして、銅箔を用いることができる。複合集電体は、高分子材料基材層と高分子材料基材層の少なくとも1つの表面に形成される金属層を含む。複合集電体は、金属材料(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)に形成することによって形成されることができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、正極活性材料には本分野において周知の電池用正極活性材料が採用することができる。例として、正極活性材料は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩、リチウム遷移金属酸化物及びそのそれぞれの変性化合物、硫黄単体や、酸素、二酸化炭素、窒素などを含むガス電極などの材料の中の少なくとも1つを含むことができる。本願はこれらの材料に制限されず、他の電池正極活性材料として使用できる従来の材料を使用してもよい。これらの正極活性材料は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。リチウム遷移金属酸化物の例として、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMnO、LiMn)、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM333と略称することもできる)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略称することもできる)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25(NCM211と略称することもできる)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2(NCM622と略称することもできる)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM811と略称することもできる)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えばLiNi0.85Co0.15Al0.05)及びその変性化合物などの中の少なくとも1つを含むが、これらに制限されない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例として、リン酸鉄リチウム(例えばLiFePO(LFPと略称することもできる))、リン酸鉄リチウムと炭素の複合材料、リン酸マンガンリチウム(例えばLiMnPO)、リン酸マンガンリチウムと炭素の複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素の複合材料の中の少なくとも1つを含むが、これらに制限されない。
【0064】
いくつかの実施形態において、正極膜層は、結着剤をさらに含むことが好ましい。例として、結着剤はポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び含フッ素アクリレート樹脂の中の少なくとも1つを含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、正極膜層はさらに導電剤を含むことが好ましい。例として、導電剤は超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、コーチンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーの中の少なくとも1種を含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、以下のように正極シートを製造することができ、上記の正極シートを製造するための成分、例えば正極活性材料、導電剤、結着剤任意の他の成分を溶剤(例えばN-メチルピロリドン)に分散し、正極スラリーを形成し、正極スラリーを正極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスなどの工程を経た後、正極シートを得ることができる。
【0067】
[セパレータ]
【0068】
いくつかの実施形態において、二次電池にさらにセパレータが含まれる。本願はセパレータの種類に対して特別に制限されず、任意の公知の良好な化学的安定性と機械的安定性を有する多孔質構造セパレータを選択することができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンの中の少なくとも1つから選ばれることができる。セパレータは、特に制限されず、単層の薄膜であってもよく、多層の複合薄膜であってもよい。セパレータが多層の複合薄膜である場合、各層の材料は、特に制限されず、同様でも、異なってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、正極シート、負極シート及びセパレータは巻回プロセスまたはラミネートプロセスによって電極アセンブリを製造することができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、二次電池は外装を含んでもよい。該外装は、上記電極アセンブリ及び電解質を封止するために使用できる。
【0072】
いくつかの実施形態において、二次電池の外装は、例えば硬質プラスチックシェル、アルミニウムシェル、スチールシェルなどのハードシェルであってもよい。二次電池の外装は、パウチソフトバッグなどのソフトバッグであってもよい。ソフトバッグの材質は、プラスチックであってもよく、プラスチックとして、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。
【0073】
本願は、二次電池の形状に対して特に制限されず、円柱形、角形またはその他の任意の形状であってもよい。例えば、図1は角形構造の二次電池5の一例である。
【0074】
いくつかの実施形態において、図2を参照し、外装は、ハウジング51とカバープレート53を含むことができる。ハウジング51は底板と底板に接続される側板を含むことができ、底板と側板が収納室を形成するように囲むことができる。ハウジング51は収納室に連通される開口を有し、カバープレート53は、前記収納室を閉鎖するように前記開口に覆われることができる。正極シート、負極シート及びセパレータは巻回プロセスまたはラミネートプロセスによって電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は前記収納室内に封止される。電解液が電極アセンブリ52内に浸潤する。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は1つまたは複数であってもよく、当業者は具体的な実際の必要に応じて選択することができる。
【0075】
いくつかの実施形態において、二次電池は電池モジュールとして組み立てることができ、電池モジュールに含まれる二次電池の数は1つまたは複数であってもよく、具体的な数について、当業者は電池モジュールの応用と容量に応じて選択できる。
【0076】
図3は電池モジュール4の一例である。図3を参照し、電池モジュール4では、複数の二次電池5は電池モジュール4の長さ方向に沿って順次に配列して設置される。無論、他の任意の方式で配布されてもよい。さらに該複数の二次電池5をファスナーで固定することができる。
【0077】
好ましくは、電池モジュール4は、収納スペースを有する外部ケースをさらに含んでもよく、複数の二次電池5は該収納スペースに収納される。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記電池モジュールはさらに、電池パックとして組み立てることもでき、電池パックに含まれる電池モジュールの数は1つまたは複数であってもよく、具体的な数について、当業者は電池モジュールの応用と容量に応じて選択できる。
【0079】
図4及び図5は電池パック1の一例である。図4及び図5を参照し、電池パック1には、電池箱と電池箱内に設けられる複数の電池モジュール4が含まれてもよい。電池箱は上箱体2と下箱体3を含み、上箱体2は下箱体3に覆われることができ、電池モジュール4を収納するための閉鎖空間を形成する。複数の電池モジュール4は任意の方式で電池箱内に配布されることができる。
【0080】
また、本願はさらに、本願によって提供された二次電池、電池モジュール、または電池パックの中の少なくとも1種を含む電気装置を提供する。前記二次電池、電池モジュール、または電池パックは前記電気装置の電源として使用でき、前記電気装置のエネルギー貯蔵ユニットとしても使用できる。前記電気装置としては、モバイル機器(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどを含むが、これらに制限されない。
【0081】
前記電気装置として、その使用必要に応じて二次電池、電池モジュールまたは電池パックを選択できる。
【0082】
図6は電気装置の一例である。該電気装置は純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車、またはプラグインハイブリッド電気自動車などである。該電気装置の二次電池の高出力と高エネルギー密度に対する需要を満たすために、電池パックまたは電池モジュールを用いることができる。
【0083】
[実施例]
【0084】
以下、本願の実施例を説明する。以下で説明する実施例は例示に過ぎず、本願を解釈するためにのみ使用され、本願を制限するためのものとして理解すべきではない。実施例に具体的な技術または条件が示されない場合、当該分野の文献に記載されている技術または条件に従って、または製品の明細書に従って実行する必要がある。用いられる試薬または機器にメーカーが示されない場合、市販によって購入できる従来の製品である。
【0085】
実施例1。
【0086】
オルト炭酸エステルに基づく液状金属リチウム二次電池の電解液の調製
【0087】
オルト炭酸テトラエチル1.23g、LiFSIリチウム塩1.25g、ジメチルカーボネート(DMC)1.24g、及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)1.24gを計量し、清澄且つ透明な溶液を形成するまで、室温で混合して十分に撹拌することにより、金属リチウム二次電池のサイクルに使用できる電解液を得ることができる。
【0088】
電気化学的性能テスト
【0089】
50μmの銅張金属リチウム箔を負極と正極として、ポリエチレン多孔質膜をセパレータとして使用してボタン電池を構成する。上記の調製された電解液を注入してセパレータと電極の表面を完全に浸潤させる。組み立てた対称電池は、Solartron電気化学ワークステーションを使用して、低電流密度から高電流密度までの異なる電流密度での充放電サイクルについてテストし、結果を図7に示す。図中で、該対称電池に対して電流密度がそれぞれ4mA/cm、6mA/cm、8mA/cm、10mA/cm、20mA/cm、面容量密度が2mAh/cmのサイクルを行い、各電流密度で三回サイクルする。該電解液が10mA/cmの高電流密度で安定したサイクルを保持することができ、20mA/cmの超高電流密度で、過電位は不安定であるが、依然としてサイクルを保持することができることが分かり、オルト炭酸エステルと鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステルとの組み合わせにより、イオン伝動率と金属リチウムの安定した析出、剥離を同時に実現する相乗効果を果たすことを説明する。
【0090】
上記組成のLi-Liボタン電池について、Solartron電気化学ワークステーションを使用して室温でインピーダンステストを行い、テスト周波数範囲を1MHz-1Hz、交流電圧振幅を5mVに設定し、ボタン電池の電気的化学インピーダンス曲線を得て、室温でインピーダンステストを行い、結果を図8に示す。該電池が非常に小さいバルク相と界面インピーダンスを有することが分かり、さらに該電解液が高電流サイクルを行うことができることを証明する。該ボタン電池を80℃環境で3時間置いた後、そのインピーダンスを改めてテストし、図9に示される。このときその界面抵抗が大幅に増加し、電池が完全に回路を遮断することを発見できる。電池を開いてガス発生テストを行い、明らかなガス成分の生成が見つけられなく、金属リチウムの表面が灰黒色を呈し、これは、この温度で電解液が金属リチウムと反応することでその表面を迅速に不動態化し、電池の過電流を阻止し、副反応のさらなる発生を抑制し、電池の熱安全性を向上させることを説明する。
【0091】
液状金属リチウム二次電池の製造とテスト
【0092】
正極製造:正極活性材料であるリン酸鉄リチウム(LiFePO)、導電剤であるアセチレンブラック、結着剤であるPVDFを、98:1:1の質量比で混合し、溶剤であるNMPを加えて均一になるまで撹拌し、正極スラリーを得て、正極スラリーを正極集電体アルミニウム箔の両面に均一に塗布して、室温で乾いてオーブンに移して乾燥し続け、次に正極シートとして40mm*50mmの長方形に切り取って、正極面容量は3.5mAh/cmである。
【0093】
セパレータ:ポリエチレン多孔質膜を使用する。
【0094】
負極製造:50μmのリチウム箔をロールプレスで12μmの銅箔に被覆し、次に41mm*51mmの長方形に切り取って、負極シートとして準備する。
【0095】
電池の組み立て:1枚の切り取った正極と2枚の切り取った負極をマッチし、中央に上記セパレータを使用して正と負極を隔離し、アルミフィルムバッグに包んでラミネート乾電池セルを構成し、0.3gの上記調製された電解液を注入し、アルミフィルムバッグを真空熱圧着して封止し、少なくとも12時間静置後、室温でラミネート電池セルに対してインピーダンステストを行い、電気的化学インピーダンススペクトルにおける半円弧の右側抵抗の実数部のインターセプトを切り取って、該数値は電池の内部抵抗を反映する。インピーダンステストの終了後、サイクルテストを開始できる。このような方法によって製造されたラミネート電池定格容量は140mAhである。
【0096】
電池セルのサイクル:電池セルのサイクルの環境温度を25℃に設定し、0.5Cのレート(即ち70mA)で充放電サイクルを行う。充放電のカットオフ電圧をそれぞれ3.65Vと2.80Vに設定する。
【0097】
以上の電池のサイクル電圧曲線を図10に示す。電池サイクル曲線は10回のサイクル後に充放電容量が安定になり、定格容量を解放し、100%のサイクルクーロン効率を有することが分かる。サイクル保持率が80%に低下すると、サイクル数を記録する。
【0098】
液状リチウム金属二次電池のガス発生テスト
【0099】
上記で製造されたラミネート電池セルを示差電気化学質量分析計(DEMS)に接続し、該テスト方法は、電池セルのサイクル過程でその場でそのガス発生の状況を検出することができる。ラミネート電池セルに対して0.5Cレートで1回サイクルし、このサイクル中の電池セルのガス発生量を記録して比較することができる。
【0100】
液状リチウム金属二次電池用ホットボックスの安全性テスト
【0101】
正極製造:正極活性材料であるニッケルマンガンコバルト酸リチウム(NMC)、導電剤であるアセチレンブラック、結着剤であるPVDFを、98:1:1の質量比で混合し、溶剤であるNMPを加えて均一に撹拌し、正極スラリーを得て、正極スラリーを正極集電体アルミニウム箔の両面に均一に塗布して、室温で乾いてオーブンに移して乾燥し続け、次に正極シートとして40mm*50mmの長方形に切り取って、正極面容量は3.5mAh/cmである。
【0102】
セパレータ:ポリエチレン多孔質膜を選択する。
【0103】
負極製造:50μmのリチウム箔をロールプレスで12μmの銅箔に被覆し、次に41mm*51mmの長方形に切り取って、負極シートとして準備する。
【0104】
以上で製造された10枚の切り取った正極と20枚の切り取った負極をマッチし、中央に上記セパレータを使用して正と負極を隔離し、アルミフィルムバッグに包んでソフトパック乾電池セルを構成し、3gの調製された電解液を注入し、アルミフィルムバッグを真空封止し、このような方法によって製造されたソフトパック電池の定格容量は1.4Ahである。少なくとも12時間静置後、0.5Cレートで電池セルを満充電(4.3V)に充電する。満充電状態にあるソフトパック電池をホットボックスに置いて、電池セルが熱暴走するまで、30℃から、5℃ごとに30min保温し、該温度は電池セルの熱暴走温度である。
【0105】
実施例2-34及び比較例1-8の製造とテスト方法は実施例1と同様であり、詳細について表1を参照する。
【0106】
【表1】
【0107】
実施例1、実施例5-6、実施例28~29のデータを比較して分かるように、オルト炭酸テトラエチルは、オルト炭酸テトラメチル、オルト炭酸テトラプロピル、フルオロオルト炭酸テトラメチル、2,2-ジメトキシ-1,3-ジオキソランと比較して、金属リチウム電池のサイクル寿命に対する改善が最も明らかである。
【0108】
実施例1、実施例8-11及び比較例6を比較して分かるように、オルト炭酸エステル添加量が30%以下である場合、電池の内部抵抗を大幅に増加しなく、初期サイクル中にガス発生量が明らかに増加するという問題が発生しないだけでなく、かえってガス発生を一定の程度で抑制する。しかし、オルト炭酸エステルの添加量が多すぎると、金属リチウム電池のサイクル寿命に影響を与え、これは、オルト炭酸エステル含有量が高過ぎると、電池の内部抵抗が大きすぎて、サイクル中のリチウム塩の消費速度が速くなり、サイクル寿命が80%以下の含有量のサイクル寿命よりも短いためである。
【0109】
実施例1と実施例12~15を比較して分かるように、リチウム塩の濃度が低過ぎまたは高過ぎると、サイクル寿命を悪化させる。これは、リチウム塩濃度が高いほど、陰イオンがリチウムイオン溶媒和に関与する度合いが高くなり、陰イオン分解によって形成されるSEI膜の形成に有利であり、さらにサイクル寿命を延長するが、リチウム塩濃度が高過ぎると、効果的なSEI膜が小さくなり、さらにサイクル寿命の改善に影響を与えるためである。
【0110】
実施例1と比較例3-9を比較して分かるように、オルト炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステルのいずれかが存在しないと、電池サイクル寿命に致命的な影響を与え、これは、オルト炭酸エステルは弱い溶媒和、高陰イオン関与度の溶媒和構造を促進し、鎖状炭酸エステルは、電解液の粘度を低下させ、浸潤性とイオン伝動率を高めることを担当し、フッ素化環状炭酸エステルは、金属リチウムサイクルにより有利な成分を分解して形成することを担当するためである。3つの相乗効果は不可欠である。
【0111】
実施例1、実施例34及び比較例10を比較して分かるように、鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステルの中で、1つの溶剤がフッ素化炭酸エステルであり、もう1つの溶剤が非フッ素化炭酸エステルである必要がある。これは、フッ素化炭酸エステルが分解して生成したフッ化リチウムなどのフッ素含有成分は、金属リチウムの優れたサイクルを促進することができ、2種の溶剤がフッ素化炭酸エステルであると電解液の浸潤が非常に難しく、電池の長期安定サイクルを妨害するためである。
【0112】
上記実施例1の熱暴走温度が150℃であり、比較例6の熱暴走温度が140℃であり、比較実施例1と比較例6を比較して分かるように、オルト炭酸エステルを添加した後、三元を正極材料とする金属リチウム二次電池ホットボックスの安定性が向上し、これは、高温でオルト炭酸エステル分子が金属リチウムの表面に反応し、表面を迅速に不動態化し、さらなる放熱反応の発生を抑制するためである。
【0113】
また、すべての実施例では、金属リチウム電池のガス発生量はいずれも0.2mL未満であり、該ガス発生量の範囲内で電池のサイクル寿命と安全に悪い影響を与えない。
【0114】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱しない限り、様々な改善を行うとともに、同等物でその中の部材を置き換えることができる。特に、構造の衝突がない限り、各実施例に言及された各技術的特徴は任意の方式で組み合わせることができる。本願は本明細に開示された特定の実施例に制限されず、請求の範囲内にある全ての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0115】
1 電池パック
2 上箱体
3 下箱体
4 電池モジュール
5 二次電池
51 ハウジング
52 電極アセンブリ
53 トップカバーアセンブリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水電解液であって、オルト炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステル及びリチウム塩を含み、質量含有量を基準にして、前記オルト炭酸エステルの含有量は10%~80%であり、前記鎖状炭酸エステルと前記環状炭酸エステルの少なくともの一つはフッ化物である非水電解液。
【請求項2】
前記非水電解液中の前記オルト炭酸エステルの質量含有量は15~50%であり、好ましくは、20~30%である請求項1に記載の非水電解液。
【請求項3】
前記オルト炭酸エステルの質量と前記リチウム塩との質量比は1:3~3:1であり、好ましくは、1:1.5~1.5:1である請求項1または2に記載の非水電解液。
【請求項4】
前記鎖状炭酸エステルの質量含有量は1%~80%であり、好ましくは、4%~40%であり、さらに好ましくは、20%~30%であり、
及び/又は、前記環状炭酸エステルの質量含有量は1~80%であり、好ましくは、4%~40%であり、さらに好ましくは、20%~30%であり、
及び/又は、前記リチウム塩の質量含有量は10%~70%であり、好ましくは、15~40%であり、さらに好ましくは、20~30%である請求項1または2に記載の非水電解液。
【請求項5】
前記鎖状炭酸エステルと前記環状炭酸エステルの一方はフッ化物であり、好ましくは、前記環状炭酸エステルはフッ素化環状炭酸エステルである請求項1または2に記載の非水電解液。
【請求項6】
前記オルト炭酸エステルは、式Iに示される構造を有する化合物、式IIに示される構造を有する化合物または式IIIに示される構造を有する化合物からなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化1】
【化2】
【化3】
ただし、R1~R4、R6及びR7は、それぞれ独立してC1~C10のアルキル基またはC1~C10のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、R5、R8及びR9は、それぞれ独立してC1~C10のアルキレン基またはC1~C10のハロゲン化アルキレン基のうちのいずれかを示し、
好ましくは、前記オルト炭酸エステルは式Iに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、且つR1~R4は、それぞれ独立してC1~C10のアルキル基またはC1~C10のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、
さらに好ましくは、前記オルト炭酸エステルは、オルト炭酸テトラメチル、オルト炭酸テトラエチル、オルト炭酸テトラプロピル、オルト炭酸テトラブチル、オルト炭酸テトラペンチル、オルト炭酸テトラヘキシル、オルト炭酸テトラヘプチル、オルト炭酸テトラオクチル、オルト炭酸テトラノニル、オルト炭酸テトラデシル、フルオロオルト炭酸テトラメチル、フルオロオルト炭酸テトラエチル、フルオロオルト炭酸テトラプロピル、フルオロオルト炭酸テトラブチル、フルオロオルト炭酸テトラペンチル、フルオロオルト炭酸テトラヘキシル、フルオロオルト炭酸テトラヘプチル、フルオロオルト炭酸テトラオクチル、フルオロオルト炭酸テトラノニル、フルオロオルト炭酸テトラデシルからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる請求項1または2に記載の非水電解液。
【請求項7】
前記鎖状炭酸エステルは式IVに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化4】
ただし、R10とR11は、それぞれ独立してハロゲン基、C1~C5のアルキル基またはC1~C5のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、
好ましくは、前記鎖状炭酸エステルは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、プロピルブチルカーボネート、プロピルペンチルカーボネート、ブチルペンチルカーボネート、フルオロジメチルカーボネート、フルオロジエチルカーボネート、フルオロジプロピルカーボネート、フルオロジブチルカーボネート、フルオロジペンチルカーボネート、フルオロエチルメチルカーボネート、フルオロメチルプロピルカーボネート、フルオロブチルメチルカーボネート、フルオロメチルペンチルカーボネート、フルオロエチルプロピルカーボネート、フルオロエチルブチルカーボネート、フルオロエチルペンチルカーボネート、フルオロプロピルブチルカーボネート、フルオロプロピルペンチルカーボネート、フルオロブチルペンチルカーボネートからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる請求項1または2に記載の非水電解液。
【請求項8】
前記環状炭酸エステルは式Vに示される構造を有する化合物の中のいずれかの1種または多種から選ばれ、
【化5】
ただし、R12~R15は、それぞれ独立してハロゲン基、C1~C3のアルキル基またはC1~C3のハロゲン化アルキル基のうちのいずれかを示し、
好ましくは、前記環状炭酸エステルは、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる請求項1または2に記載の非水電解液。
【請求項9】
前記リチウム塩は、ジフルオロスルホニルイミドリチウム、ジフルオロメチルスルホニルイミドリチウム、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化ヒ酸リチウム、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム、ビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム、ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウムからなる群のうちのいずれかの1種または多種から選ばれる請求項1または2に記載の非水電解液。
【請求項10】
前記オルト炭酸エステルはオルト炭酸テトラメチルまたはオルト炭酸テトラエチルであり、前記鎖状炭酸エステルはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、フルオロジメチルカーボネート及びフルオロジエチルカーボネートのうちのいずれかであり、前記環状炭酸エステルは、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、ジフルオロプロピレンカーボネートのうちのいずれかから選ばれ、前記リチウム塩はジフルオロスルホニルイミドリチウムまたはジフルオロメチルスルホニルイミドリチウムであり、
好ましくは、前記オルト炭酸エステルはオルト炭酸テトラメチルであり、前記鎖状炭酸エステルはジメチルカーボネートであり、前記環状炭酸エステルはフルオロエチレンカーボネートであり、前記リチウム塩はジフルオロスルホニルイミドリチウムまたはジフルオロメチルスルホニルイミドリチウムから選ばれる請求項1または2に記載の非水電解液。
【請求項11】
正極シート、負極シート、電解液及びセパレータを含み、前記電解液は請求項に記載の非水電解液であり、前記負極シートは金属リチウムを含む二次電池。
【請求項12】
前記負極シートは集電体と負極活性層を含み、前記負極活性層は金属リチウムまたはリチウム合金であり、好ましくは、前記リチウム合金は錫、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銀、金、ガリウム、インジウム、箔、ホウ素、炭素、及びシリコンのうちのいずれか及び金属リチウムを含む請求項11に記載の二次電池。
【請求項13】
請求項11に記載の二次電池である二次電池を含む電池モジュール。
【請求項14】
請求項13に記載の電池モジュールである電池モジュールを含む電池パック。
【請求項15】
二次電池または電池モジュールまたは電池パックを含み、前記二次電池は請求項11または12に記載の二次電池から選ばれ、前記電池モジュールは請求項13に記載の電池モジュールであり、または前記電池パックは請求項14に記載の電池パックである電気装置。
【国際調査報告】