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特表2024-533349ワイヤレス電力システムにおける受信器障害に対する送電器保護
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力システムにおける受信器障害に対する送電器保護
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20240905BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20240905BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J50/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515289
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-03
(86)【国際出願番号】 US2022042955
(87)【国際公開番号】W WO2023039100
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/242,102
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ガネーシャ, ジャヤンティ
(72)【発明者】
【氏名】カナカサバイ, ヴィスワナサン
(72)【発明者】
【氏名】タティコンダ, スバッラオ
(57)【要約】
本開示は、ワイヤレス電力送信装置がワイヤレス電力受信装置の障害を検出するためのシステム、方法、および装置を提供する。様々な実装形態は、一般に、ワイヤレス電力システムにおける障害の検出および軽減に関する。いくつかの態様では、ワイヤレス電力送信装置の伝送(TX)コントローラは、ワイヤレス電力送信装置における電力伝送測定値または計算に基づいてワイヤレス電力受信装置の障害を検出することができる。これらの技術により、ワイヤレス電力送信装置は、例を挙げるとすれば、ワイヤレス電力受信装置の開回路またはサーモスタット障害などの障害、を検出することができる。ワイヤレス電力の伝送中、ワイヤレス電力送信装置は、障害を検出し、ワイヤレス電力の伝送を停止することができる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電器によって実行される方法であって、
前記送電器から受電器へ送信するための電力を生成するステップと、
前記送電器において生成された前記電力に関連する電圧および電流の測定値に少なくとも部分的に基づいて、1つまたは複数の電力伝送期間における1つまたは複数の電力伝送量を計算するステップと、
前記1つまたは複数の電力伝送量が電力伝送フェーズ中に閾値を下回るときに、前記送電器によって前記受電器の障害から保護するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の電力伝送期間のうちの第1の電力伝送期間中の前記1つまたは複数の電力伝送量のうちの少なくとも第1の電力伝送量が前記閾値を下回るときに前記障害を検出するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の電力伝送期間のうちの第2の電力伝送期間の間に前記送電器の動作ポイントを変更するステップと、
前記第2の電力伝送期間における前記1つまたは複数の電力伝送量のうちの第2の電力伝送量を計算するステップと、
前記第1の電力伝送量および前記第2の電力伝送量が前記閾値を下回った場合に、前記障害を検出するステップと、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記動作ポイントが、前記送電器によって生成された前記電力の動作周波数であり、
前記第1の電力伝送期間中に第1の動作周波数で前記電力を生成するステップと、
前記第2の電力伝送期間中に第2の動作周波数で前記電力を生成するステップと、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の電力伝送期間のそれぞれについて前記送電器の動作ポイントを変更するステップと、
前記送電器において生成された前記電力の電圧および電流の測定値に基づいて、前記複数の電力伝送期間に対応する複数の電力伝送量を決定するステップと、
前記複数の電力伝送量が前記閾値を下回っていることに基づいて、前記障害を検出するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の電力伝送量が前記閾値を下回ったままである障害検出期間の後に前記障害を検出するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の電力伝送量の閾値量が前記電力伝送フェーズ中に前記障害検出閾値を下回った後に前記障害を検出するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記障害から保護するステップが、前記送電器からの電力の送信を停止するステップを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記障害から保護するステップが、前記送電器が前記障害を検出したことを示すために前記受電器に障害検出メッセージを伝達するステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つまたは複数の電力伝送量を計算するステップが、
電力伝送期間中に1つまたは複数の送信器電力測定値を取得するために、前記送電器の一次コイルに結合されたインバータの出力における前記電圧および前記電流を測定するステップと、
前記電力伝送期間に関連付けられた前記1つまたは複数の送信器電力測定値の平均に基づいて送信器電力を計算するステップと、
前記1つまたは複数の電力伝送量の電力伝送量を計算するステップであって、前記電力伝送量は、前記送信器電力と前記送電器に関連する予想電力送信損失との間の差に基づいて計算されるステップと、
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記電力伝送期間が、前記送電器に結合された交流(AC)電源の1つまたは複数の半サイクルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記送電器が前記受電器から電力制御メッセージを受信し続けているかどうかにかかわらず、前記受電器の前記障害を検出するステップをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
所定の障害検出閾値と、
前記1つまたは複数の電力伝送量に基づく係数と、
前記送電器の一次コイルに関連する測定電流に基づく係数と、
構成可能なオフセット値と、
とからなる群から選択される少なくとも1つの要素に基づいて前記閾値を設定するステップをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記測定値のいずれか1つが過電流閾値を上回る電流を示す場合に前記障害を検出するステップをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記送電器から受電器への伝送のための電力を生成するように構成された送電器回路と、
送信コントローラであって、
前記送電器において生成された前記電力に関連する電圧および電流の測定値に少なくとも部分的に基づいて、1つまたは複数の電力伝送期間における1つまたは複数の電力伝送量を計算するように構成され、
電力伝送フェーズ中に前記1つまたは複数の電力伝送量が閾値を下回るときに前記受電器の障害から保護するように構成される、送信コントローラと、
を含む、送電器。
【請求項16】
前記送信コントローラが、前記1つまたは複数の電力伝送期間のうちの第1の電力伝送期間中の前記1つまたは複数の電力伝送量のうちの少なくとも第1の電力伝送量が前記閾値を下回っている場合に、前記障害を検出するように構成される、請求項15に記載の送電器。
【請求項17】
前記送信コントローラが、
前記1つまたは複数の電力伝送期間のうちの第2の電力伝送期間の間、前記送電器回路の動作ポイントを変更し、
前記第2電力伝送期間における前記1つまたは複数の電力伝送量のうちの第2電力伝送量を計算し、
前記第1電力伝送量および前記第2電力伝送量が前記閾値を下回った場合に、前記障害を検出する
ように構成される、請求項16に記載の送電器。
【請求項18】
前記動作ポイントが、前記送電器回路によって生成される前記電力の動作周波数であり、
前記送信コントローラが、前記第1の電力伝送期間中に、前記送電器回路に、第1の動作周波数で前記電力を生成させ、
前記第2の電力伝送期間中に、前記送電器回路に、第2の動作周波数で前記電力を生成させる
ように構成される、請求項17に記載の送電器。
【請求項19】
前記送信コントローラが、
複数の電力伝送期間のそれぞれについて前記送電器回路の動作ポイントを変更し、
前記送電器回路のインバータにおける電圧および電流の測定値に基づいて、前記複数の電力伝送期間に対応する複数の電力伝送量を決定し、
前記複数の電力伝送量が前記閾値を下回っていることに基づいて前記障害を検出する
ように構成されている、請求項15に記載の送電器。
【請求項20】
前記送信コントローラが、前記複数の電力伝送量が前記閾値を下回ったままである障害検出期間の後に、または前記電力伝送フェーズ中に前記複数の電力伝送量の閾値量が前記閾値を下回った後に、前記障害を検出するように構成される、請求項19に記載の送電器。
【請求項21】
前記送信コントローラが、前記送電器回路に前記電力の生成を停止させることによって前記障害から保護するように構成される、請求項15から20のいずれか一項に記載の送電器。
【請求項22】
前記送信コントローラが前記障害を検出したことを示すために前記受電器に障害検出メッセージを伝達するように構成された通信ユニットをさらに含む、請求項15から21のいずれか一項に記載の送電器。
【請求項23】
前記送電器の一次コイルに結合された前記送電器回路のインバータと、
前記インバータに結合され、前記インバータの出力に関連する前記電圧および前記電流をそれぞれ測定するように構成された電圧センサおよび電流センサと、
をさらに含む、送電器であって、
前記送信コントローラは、
前記電力伝送期間に関連付けられた前記1つまたは複数の送信器電力測定値の平均に基づいて送信器電力を計算し、
前記1つまたは複数の電力伝送量の電力伝送量を計算するように構成され、前記電力伝送量が、前記送信器電力と前記送電器に関連する予想電力送信損失との差に基づく、
請求項15から22のいずれか一項に記載の送電器。
【請求項24】
前記電力伝送期間が、前記送電器に結合された交流(AC)電源の1つまたは複数の半サイクルを含む、請求項23に記載の送電器。
【請求項25】
前記送信コントローラが、前記送電器の通信ユニットが前記受電器からメッセージを受信し続けるかどうかにかかわらず、前記障害を検出するように構成される、請求項15から24のいずれか一項に記載の送電器。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、「ワイヤレス電力システムにおける障害検出」と題され、本出願の譲受人に譲渡された、2021年9月9日に出願された米国仮出願第63/242,102号の優先権利益を主張する。前述の出願の開示は、この特許出願の一部とみなされ、参照によりこの特許出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、ワイヤレス電力に関する。より具体的には、本出願は、ワイヤレス電力システムの障害検出に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス電力システムは、ワイヤレス電力送信装置(送電器、またはPTxと呼ぶこともある)およびワイヤレス電力受信装置(受電器、またはPRxと呼ぶこともある)を含むことができる。例えば、ワイヤレス電力送信装置は、カウンタートップまたは他の平坦な表面上に設置されてもよいし、あるいはその中に含まれてもよい。ワイヤレス電力受信装置は、例を挙げるとすれば、ブレンダー、ケトル、エアフライヤ、ミキサ、またはトースタなどのような、コードレス電気器具に含まれてもよい。ワイヤレス電力送信装置は、二次コイルが一次コイルに近接して配置されたときにワイヤレス電力受信装置の二次コイルに電圧を誘起し得る電磁場を生成する一次コイルを含んでもよい。この構成では、電磁場は、二次コイルに電力をワイヤレスで伝送することができる。電力は、一次コイルと二次コイルとの間の誘導結合または共振結合を使用して伝送されてもよい。ワイヤレス電力受信装置は、受信した電力を供給してコードレス電気器具を動作させることができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示のシステム、方法、および装置はそれぞれ、いくつかの革新的な態様を有し、そのうちの1つだけが本明細書に開示された望ましい属性を単独で担うわけではない。
【0005】
本開示に記載の主題の1つの革新的な態様は、ワイヤレス電力システムの送電器による方法として実装され得る。本方法は、ワイヤレス電力システムの送電器から受電器へ送信するための電力を生成するステップを含むことができる。本方法は、少なくとも部分的に、送電器において生成された電力に関連する電圧および電流の測定値に基づいて、1つまたは複数の電力伝送期間の1つまたは複数の電力伝送量を計算するステップを含むことができる。本方法は、1つまたは複数の電力伝送量が電力伝送フェーズ中に閾値を下回る場合に、受電器の障害を送電器によって防ぐことを含むことができる。
【0006】
本開示に記載の主題の別の革新的な態様は、ワイヤレス電力システムの送電器として実装され得る。送電器は、送電器から受電器へ送信するための電力を生成するように構成された送電器回路を含むことができる。送電器は、送電器において生成された電力に関連する電圧および電流の測定値に少なくとも部分的に基づいて、1つまたは複数の電力伝送期間の1つまたは複数の電力伝送量を計算するよう、および電力伝送フェーズ中に1つまたは複数の電力伝送量が閾値を下回るときに受電器の障害を防ぐように構成された、送信コントローラを含むことができる。
【0007】
本開示に記載の主題の1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。以下の図の相対寸法は、縮尺通りに描かれていない場合があることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的なワイヤレス電力送信装置および例示的なワイヤレス電力受信装置を含む例示的なワイヤレス電力システムのブロック図を示す。
図2】例示的なワイヤレス電力送信プロセスのメッセージフロー図を示す。
図3】例示的なワイヤレス電力送信装置を概念的に示すブロック図である。
図4】例示的なワイヤレス電力受信装置を概念的に示すブロック図である。
図5A】開回路障害を伴う例示的なワイヤレス電力受信装置を概念的に示すブロック図である。
図5B】サーモスタット障害を伴う例示的なワイヤレス電力受信装置を概念的に示すブロック図である。
図6】送信コントローラが電力測定値に基づいて障害を検出することができる例示的なワイヤレス電力送信装置を概念的に示すブロック図である。
図7】ワイヤレス電力送信装置における測定値に基づいてワイヤレス電力受信装置の障害を検出する送信コントローラを概念的に示すブロック図である。
図8】交流電流サイクルに関連する電力伝送期間を概念的に示すタイミング図を示す。
図9】ワイヤレス電力受信装置の障害を検出するために様々な電力伝送期間中に動作ポイントを調整する送信コントローラを概念的に示すタイミング図である。
図10】ワイヤレス電力受信装置の障害を検出するための例示的なワイヤレス電力送信装置におけるプロセスの例示的な動作を示すフロー図である。
図11】ワイヤレス電力システムで使用するための例示的な装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図の相対寸法は、縮尺通りに描かれていない場合があることに留意されたい。
【0010】
以下の記載は、本開示の革新的な態様を説明する目的のための特定の実装形態に関する。しかしながら、当業者は、本明細書の教示が多数の異なる方法で適用され得ることを容易に認識するであろう。記載された実装形態は、ワイヤレス電力を送信または受信するための任意の手段、装置、システム、または方法で実施することができる。
【0011】
ワイヤレス電力システムは、表面と一体化されているか、そうでなければ表面に配置されたワイヤレス電力送信装置(送電器、またはPTxと呼ぶこともある)を含むことができる。ワイヤレス電力システムは、ワイヤレス電力受信装置(受信器、またはPRxと呼ぶこともある)を含んでもよい。ワイヤレス電力送信装置は、磁場を介してワイヤレス電力受信装置内の二次コイルに電力をワイヤレスに送信するように構成された一次コイルを含んでもよい。いくつかの実装形態では、ワイヤレス電力送信装置は、カウンタートップに取り付けられた一次コイル、またはコードレス電気器具を配置することができる表面に埋め込みまたは形成された一次コイルを含むことができる。コードレス電気器具は、ワイヤレスで受電するためのワイヤレス電力受信装置を含んでもよい。ワイヤレス電力受信装置の二次コイルは、磁場からワイヤレスエネルギーを取得し、それを受電回路に供給することができる。受電回路は、エネルギーを変換し、それを利用して負荷を充電または給電することができる。ワイヤレス電力受信装置は、可変負荷(例を挙げるとすれば、ブレンダー、加熱要素、ファンなど)を有するコードレス電気器具に含まれるか、またはそれと一体化され得る。
【0012】
電力伝送フェーズ中に、ワイヤレス電力受信装置は、通信チャネルを介してワイヤレス電力送信装置に電力制御通信を周期的に伝達することができる。電力制御通信は、例を挙げるとすれば、存在または状態、を示すことができる。例えば、電力制御通信は、電力要求、(フィードバックなしで存在を示すための)ヌル通信、または受電器フィードバックを含むことができる。状況によっては、ワイヤレス電力受信装置に関連する障害にもかかわらず、通信チャネルが適切に機能し続ける場合がある。例えば、ワイヤレス電力送信装置およびワイヤレス電力受信装置は、近距離無線通信(NFC)、Bluetooth(商標)、または電力伝送回路が故障しても機能し続けることができる他の通信技術を介して、通信することができる。したがって、いくつかのシナリオでは、ワイヤレス電力受信装置は、ワイヤレス電力受信装置内の受電回路の全部または一部が適切に機能していない場合でも、通信チャネルを介してワイヤレス電力送信装置に電力制御通信を伝達し続けることができる。ワイヤレス電力送信装置は、それ自体およびコードレス電気器具を異常状態から保護することができる。本開示で想定される異常状態の例には、例を挙げるとすれば、開回路(障害とも呼ぶ)をもたらす直列要素障害、通信損失、または制御ユニットもしくはセンサの破損、が含まれる。いくつかの例では、コードレス電気器具は、加熱要素、温度ヒューズ、または他の要素が故障し、その結果、電気器具内に開回路が生じているかどうかを知る手段を持たない場合がある。いくつかのタイプのコードレス電気器具(例えば、ウォーターケトルなど)は、基本通信が負荷の動作から独立している基本制御アーキテクチャ(タイプ1制御アーキテクチャと呼ぶ)を実装することができる。いくつかの例では、コードレス電気器具は、負荷切断スイッチの開回路障害、コンバータ内の開ダイオード、ヒューズの断線、または開リレー接点などの障害を経験する可能性がある。本開示の技術がなければ、ワイヤレス電力送信装置は、ワイヤレス電力受信装置の金属部品によって吸収されるワイヤレス電力を送信し続けることになる。これは、数ある潜在的に危険な結果の中でも、過熱、ワイヤレス電力受信装置の損傷、または火災につながる可能性がある。
【0013】
本開示は、ワイヤレス電力送信装置がワイヤレス電力受信装置の障害を検出するためのシステム、方法、および装置を提供する。様々な実装形態は、一般に、ワイヤレス電力システムにおける障害保護に関する。いくつかの態様では、ワイヤレス電力送信装置の伝送(TX)コントローラは、ワイヤレス電力送信装置における電力伝送測定値または計算に基づいてワイヤレス電力受信装置の障害を検出することができる。これらの技術により、ワイヤレス電力送信装置は、例を挙げるとすれば、ワイヤレス電力受信装置の開回路またはサーモスタット障害などの障害、を検出することができる。ワイヤレス電力の伝送中、ワイヤレス電力送信装置は、障害を検出し、ワイヤレス電力の伝送を停止することができる。本開示の技術を用いることにより、ワイヤレス電力送信装置は、ワイヤレス電力送信装置が、ワイヤレス電力受信装置の通信ユニットから電力制御通信を受信するか否かにかかわらず、障害を検出することができる。
【0014】
いくつかの態様では、ワイヤレス電力送信装置は、ワイヤレス電力送信装置における測定値に基づいて、ワイヤレス電力受信装置の障害(開回路障害など)を検出することができる。例えば、ワイヤレス電力送信装置は、送電器回路の構成要素(インバータなど)における電圧および電流の測定値を取得することができる。ワイヤレス電力送信装置は、電圧および電流の測定値に基づいて平均送信器電力を計算することができる。いくつかの実装形態では、ワイヤレス電力送信装置は、例えばワイヤレス電力送信装置の構成要素に関連する予想電力送信損失のような、ワイヤレス電力送信装置の既知の特性に基づいて、平均送信器電力を調整することができる。ワイヤレス電力送信装置は、平均送信器電力と予想電力送信損失との差である電力伝送量(送信電力と呼ぶこともある)を計算することができる。電力伝送量が予想よりも低い(例えば、障害検出閾値よりも低い)場合、ワイヤレス電力送信装置は、ワイヤレス電力受信装置が受信器内に開回路障害を有していると判定することができる。開回路障害は、ワイヤレス電力受信装置の(負荷または整流器などにおける)受電器回路の障害を含み得る。いくつかの実装形態では、電力伝送量は、ワイヤレス電力送信装置による障害検出がワイヤレス電力受信装置の障害検出技術に依存しないように、ワイヤレス電力送信装置における測定値に基づいてもよい。電力伝送量が障害検出閾値を下回っている場合、ワイヤレス電力送信装置は、ワイヤレス電力受信装置の故障を疑うことができる。
【0015】
いくつかの態様では、ワイヤレス電力送信装置は、1つまたは複数の動作パラメータ(例を挙げるとすれば、動作周波数、動作電圧、または動作デューティ(デューティサイクルと呼ぶこともある)など)を調整し、電力伝送量が障害検出閾値を下回ったままであるかどうかを判定することができる。ワイヤレス電力送信装置は、電力伝送量が障害検出閾値を下回る場合、1つまたは複数のインスタンスに基づいて障害を判定することができる。各インスタンスは、障害の表示であり得る。いくつかの実装形態では、ワイヤレス電力送信装置は、障害検出期間にわたって異なる動作パラメータを試みることができる。ワイヤレス電力送信装置は、表示の閾値量の後、または電力伝送量が障害検出閾値を下回ったままである障害検出期間の後、に障害を判定することができる。
【0016】
いくつかの態様では、ワイヤレス電力送信装置は、1つまたは複数の障害処理動作を実施することができる。いくつかの実装形態では、ワイヤレス電力送信装置は、障害メッセージをワイヤレス電力受信装置に伝達することができる。ワイヤレス電力受信装置は、負荷の動作を停止し、障害のユーザインターフェース表示を提供するか、またはそうでなければ継続的なワイヤレス電力伝送から生じる潜在的に危険な状況を防ぐための障害メッセージに反応することができる。
【0017】
本開示に記載の主題の特定の実装形態は、以下の潜在的な利点のうちの1つまたは複数を実現するために実装することができる。ワイヤレス電力受信装置の障害は、ワイヤレス電力送信装置によって検出され、過熱、損傷、または火災を防止することができる。本開示に記載の障害検出は、ワイヤレス電力受信装置によって実行される障害検出技術を補完または置換することができる。ワイヤレス電力受信装置が障害検出技術を有していても、これらの受信器側の技術が故障する可能性がある。したがって、ワイヤレス電力受信装置の障害を検出するための送信器側の技術が、ワイヤレス電力システムの安全性を向上させることができる。
【0018】
本開示における例は、キッチンシステムにおいて使用されるワイヤレス電力に基づくが、本技術は、他のタイプのシステムにも適用可能である。例えば、本技術は、例を挙げるとすれば、家電製品、電子デバイス、ファン、スペースヒータ、スピーカシステム、エアコンプレッサ、園芸用機器、または電気自動車の構成要素、に関連するワイヤレス電力システムと共に使用され得る。
【0019】
図1は、例示的なワイヤレス電力送信装置および例示的なワイヤレス電力受信装置を含む例示的なワイヤレス電力システムのブロック図を示す。図1において、破線は、電気回路線を表す実線と区別するための通信を表す。
【0020】
ワイヤレス電力システム100は、ワイヤレス電力送信装置102およびワイヤレス電力受信装置118を含む。ワイヤレス電力送信装置は、一次コイル104を含む。一次コイル104は、送電器回路106(電力信号発生器と呼ぶこともある)に関連付けられてもよい。一次コイル104は、ワイヤレス電力(ワイヤレスエネルギーと呼ぶこともある)を伝送するワイヤコイルであってもよい。一次コイル104は、誘導または磁気の共鳴場を使用してワイヤレスエネルギーを送信することができる。送電器回路106は、ワイヤレス電力を準備するための構成要素(図示せず)を含んでもよい。例えば、送電器回路106は、1つまたは複数のスイッチ、ドライバ、直列コンデンサ、整流器、インバータ、または他の構成要素を含むことができる。
【0021】
いくつかの実装形態では、送電器回路106、TXコントローラ108、および他の構成要素(図示せず)は、まとめて送電器ユニット110と呼ぶ場合がある。送電器ユニット110の一部またはすべては、ワイヤレス電力を制御して1つまたは複数のワイヤレス電力受信装置に送信するための本開示の特徴を実装する集積回路(IC)として具現化されてもよい。TXコントローラ108は、マイクロコントローラ、専用プロセッサ、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはその他任意の適切な電子デバイスとして実現され得る。
【0022】
電源112は、ワイヤレス電力送信装置102内の送電器ユニット110に電力を供給することができる。いくつかの実装形態では、電源112は、交流(AC)電力を直流(DC)電力に変換することができる。例えば、電源112は、外部電源から交流電力を受け取り、その交流電力を送電器回路106が使用する直流電力に変換する変換器を含んでもよい。代替的または追加的に、送電器回路106の構成要素(インバータなど)は、DC電力をAC電力に変換することができる。
【0023】
TXコントローラ108は、第1の通信インターフェース114に接続される。第1の通信インターフェース114は、第1の通信コイル116に接続される。いくつかの実装形態では、第1の通信インターフェース114および第1の通信コイル116は第1の通信ユニット124と総称されてもよい。いくつかの実装形態では、第1の通信ユニット124は近距離無線通信(NFC)をサポートすることができる。NFCは、13.56メガヘルツ(MHz)のキャリア周波数でデータ伝送を行う技術である。第1の通信ユニット124はまた、任意の適切な通信プロトコルをサポートすることができる。
【0024】
ワイヤレス電力受信装置118は、二次コイル120、整流器126、受信(RX)コントローラ128、第2の通信インターフェース132、負荷コントローラ136、負荷130、およびメモリ(図示せず)を含むことができる。いくつかの実装形態では、負荷130はまた、負荷の速度またはトルクなどの少なくとも1つのパラメータを制御するための駆動装置(図示せず)を含むことができる。いくつかの実装形態では、整流器126は除外されてもよい。いくつかの実装形態では、直列スイッチ(図示せず)が二次コイル120と直列に含まれてもよい。異なる構成要素として示されているが、いくつかの構成要素は、同じハードウェアにパッケージ化または実装されてもよい。例えば、いくつかの実装形態では、RXコントローラ128および負荷コントローラ136は、単一のコントローラとして実装されてもよい。RXコントローラ128、負荷コントローラ136、またはそれらの任意の組み合わせは、マイクロコントローラ、専用プロセッサ、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、または任意の他の適切な電子デバイスとして実装されてもよい。
【0025】
TXコントローラ108は、ワイヤレス電力受信装置118の存在または近接を検出することができる。この検出は、ワイヤレス電力送信装置102における第1の通信インターフェース114の周期的なpingプロセス中に起こり得る。pingプロセス中に、第1の通信インターフェース114はまた、ワイヤレス電力受信装置118が近接している場合に、(第1の通信コイル116を介して)第2の通信インターフェース132に(第2の通信コイル134を介して)電力を供給することができる。第2の通信インターフェース132は、RXコントローラ128を「ウェイクアップ」して起動し、応答信号を第1の通信インターフェース114に送り返すことができる。電力伝送の前に、ハンドシェイク処理が行われてもよく、その間、TXコントローラ108は、数ある情報の中でもとりわけ、受信器の電力定格に関連するデータ構成を受信することができる。
【0026】
コードレス電気器具が異なれば、負荷タイプ、負荷状態、および電力要件も異なるし、または特定の電圧および周波数にある電力を必要とする場合もある。例えば、コードレスブレンダーは、モータ速度を制御するためのユーザ選択可能な複数の負荷状態を有する可変モータ負荷を含むことができる。いくつかの実装形態では、コードレス電気器具は、ユーザ選択可能な負荷状態またはユーザ選択可能な負荷動作パターンを有することができる。負荷状態に応じて、コードレスブレンダーは、動作するための異なるレベルの電力を必要とする場合がある。別の例では、コードレスケトルは、温度を制御するための異なる負荷状態を有する抵抗負荷を含むことができる。さらに別の例では、エアフライヤは複合負荷デバイスであってもよく、様々な動作時にヒータ、ファン、またはその両方を動作させることができる。各タイプの負荷(モータ、抵抗負荷、ヒータ、ファン、またはそれらの任意の組み合わせなど)は、現行負荷状態または負荷状態に基づいて動作するための異なる量の電力を必要とする場合がある。さらに、コードレス電気器具は、それらの負荷タイプまたは負荷状態に応じて、異なる一次コイル励起周波数(ワイヤレス電力伝送周波数など)で一次コイルから受信コイルまで、異なるレベルの電圧利得を呈することができる。例えば、所望の負荷電圧を達成するために、コードレスブレンダーは、第1の負荷状態のための第1の動作周波数、例えば低速モータ速度設定で、最も良好に動作することができる。しかしながら、負荷状態が変化すると、コードレスブレンダーは、第1の動作周波数で動作したときに同じ負荷電圧を達成しない場合がある。例えば、第1の動作周波数は、コードレスブレンダーが第1の負荷状態(低速設定など)に設定されているときに第1の電圧利得を容易にし得るが、第1の動作周波数は、コードレスブレンダーが第2の設定(高速設定など)に設定されているときにはより低い電圧利得を提供する場合がある。
【0027】
電圧利得を変化させ得る別の要因は、電力伝送中の二次コイル120と一次コイル104との位置合わせに基づく。電圧利得は、一次コイル104に印加される電圧と二次コイル120によって受信される電圧との比に関して測定することができる。ワイヤレス電力送信は、一次コイルと二次コイルとが最適に位置合わせされる場合により効率的である。逆に、一次コイルおよび二次コイルが位置ずれしている場合、効率が低下する(または電力送信が停止する)可能性がある。適切に位置合わせされると、一次コイルおよび二次コイルは、ワイヤレス規格によって所定の量までワイヤレスエネルギーを伝送することができる。例えば、適切な位置合わせにより、一次コイルは、30ワット(W)から2.2キロワット(KW)までの範囲の電力を伝達することができる。位置合わせは電力送信効率に影響を及ぼすため、ワイヤレス電力送信装置は、ワイヤレス電力受信装置との自身の位置合わせに基づいてワイヤレス電力量を修正することができる。
【0028】
TXコントローラ108は、自身がワイヤレス電力受信装置118に供給するワイヤレス電力の特性を制御することができる。ワイヤレス電力受信装置118を検出した後、TXコントローラ108は、ワイヤレス電力受信装置118から構成データを受信することができる。例えば、TXコントローラ108は、ワイヤレス電力受信装置118とのハンドシェイク処理中に構成データを受信してもよい。
【0029】
いくつかの実装形態では、ワイヤレス電力受信装置118は、コードレスブレンダー、コードレスケトル、コードレスジューサーなどのコードレス電気器具に含まれてもよい。ワイヤレス電力受信装置118は、二次コイル120と、整流器126と、RXコントローラ128とを含むことができる。二次コイル120が一次コイル104と位置合わせされると、二次コイル120は、一次コイル104から受信したワイヤレス電力信号に基づいて誘起電圧を生成することができる。コンデンサは、二次コイル120と整流器126との間に直列にあってもよい。整流器126は、誘起電圧を整流し、誘起電圧を負荷130に供給することができる。負荷130は、可変モータ負荷、可変抵抗負荷、または可変誘導加熱負荷などの任意の適切な負荷であってもよい。負荷は、追加の電子ドライブ(図示せず)を含むことができる。
【0030】
RXコントローラ128は、整流器126および第2の通信インターフェース132に動作可能に結合されてもよい。第2の通信インターフェース132は、第2の通信コイル134を介してワイヤレス通信するための変調回路および復調回路を含むことができる。したがって、RXコントローラ128は、NFC通信を使用して第2の通信インターフェース132を経由し第1の通信インターフェース114にフィードバックコントローラ122とワイヤレス通信することができる。代替的または追加的に、RXコントローラ128は、負荷変調を使用して、二次コイル120を含む帯域内通信リンク(図示せず)を介して通信することができる。
【0031】
負荷コントローラ136は、負荷130および第2の通信インターフェース132に動作可能に結合されてもよい。負荷コントローラ136は、負荷状態の変化を検出することができる。例えば、負荷コントローラ136は、温度セレクタおよびモータ速度セレクタなどのユーザ選択可能な負荷状態への変更を検出することができる。負荷コントローラ136はまた、電力推定値に基づいて負荷電圧基準および負荷状態を決定することができる。負荷コントローラ136はまた、ワイヤレス電力送信装置102と通信するために、負荷状態、負荷電圧基準、および任意の他の適切な情報をRXコントローラ128または第2の通信インターフェース132に提供することができる。RXコントローラ128は、負荷130に利用可能な測定された負荷電圧を示すフィードバック情報をさらに決定し、提供することができる。いくつかのフィードバックメッセージでは、フィードバック情報は、負荷130に必要な電圧を示す基準電圧を含むことができる。いくつかのフィードバックメッセージでは、フィードバック情報は負荷に必要な電力を含むことができる。RXコントローラ128と負荷コントローラ136とは別々に示されているが、これらはワイヤレス電力受信装置118の同じ構成要素に含まれていてもよい。
【0032】
図2は、例示的なワイヤレス電力送信プロセスのメッセージフロー図を示す。図2を参照すると、ワイヤレス電力送信装置102は、待機モードでワイヤレス電力受信装置118が充電エリアに位置していることを検出する(S200)。ワイヤレス電力送信装置102がワイヤレス電力受信装置118を検出する方法は様々であり、本開示における特定の方法に限定されない。一例として、ワイヤレス電力送信装置102は、特定の周波数のアナログpingを周期的に発信し、この検出電流、共振シフト、またはキャパシタンス変化に基づいて、ワイヤレス電力受信装置118が充電エリアに位置していることを検出することができる。別の例として、ワイヤレス電力送信装置102が周期的に検出信号を送信し、ワイヤレス電力受信装置118が応答信号(例えば、コントロールエラーパケットまたは信号強度パケット)を送信することができる。ワイヤレス電力送信装置102は、検出信号に続く所定時間内に応答信号を受信することに基づいて、ワイヤレス電力受信装置118が充電エリアに位置することを検出することができる。さらに別の例として、ワイヤレス電力受信装置118は、探索信号またはアドバタイズ信号をワイヤレス電力送信装置102に送信することができる。探索信号またはアドバタイズ信号は、従来、短距離無線周波数通信(NFCまたはBluetoothTMなど)を使用して送信することができる。ワイヤレス電力送信装置102は、探索信号またはアドバタイズ信号の受信に基づいて、ワイヤレス電力受信装置118を検出することができる。
【0033】
いくつかの実装形態では、ワイヤレス電力送信の準備ステップとして、ワイヤレス電力送信装置102は、任意選択的に、ワイヤレス電力受信装置に情報要求信号を送信することができる(S210)。情報要求信号は、ワイヤレス電力受信装置118のIDと要求電力情報とを要求する信号であってもよい。一例として、情報要求信号は、データパケットメッセージの形態で送信されてもよい。別の例として、情報要求信号は、ワイヤレス電力送信装置102とワイヤレス電力受信装置118との間で、予め定められた規格に従ったデジタルpingの形態で送信されてもよい。ワイヤレス電力受信装置118は、情報要求信号に応じて、任意でIDおよび構成情報をワイヤレス電力送信装置102に送信することができる(S220)。例えば、構成情報は、要求電力量またはワイヤレス電力受信装置118に供給される最大電力量を含むことができる。いくつかの実装形態では、構成情報は、負荷または負荷の動作に関連する定格電力値を含むことができる。いくつかの実装形態では、構成情報は時間パラメータも含むことができる。例えば、時間パラメータは、ワイヤレス電力受信装置が定格電力値に基づいて動作を完了する予想時間を示すことができる。いくつかの実装形態では、情報要求信号ならびにIDおよび構成情報は、NFCまたはBluetoothなどの(ワイヤレス電力信号とは別個の)帯域外通信を使用して伝達され得る。
【0034】
ワイヤレス電力送信装置102は、IDおよび構成情報に基づいて、電力送信のためのパラメータ(動作ポイントと称する)を構成し、ワイヤレス電力受信装置118に対してワイヤレス電力送信を行う(S230)。例えば、ワイヤレス電力送信装置は、IDおよび構成情報に基づいて電力送信契約を作成することができ、電力送信契約に従ってワイヤレス電力送信を制御することができる。ワイヤレス電力送信装置102が、ワイヤレス電力受信装置へのワイヤレス電力送信を開始してから終了するまでに行う処理は、(ワイヤレス)電力伝送フェーズ235と呼ぶことができる。いくつかの実装形態では、ワイヤレス電力受信装置118は、受信したワイヤレス電力を、例を挙げるとすれば、加熱要素、モータ、またはバッテリ、の外部負荷に供給することができる。いくつかの実装形態では、ワイヤレス電力受信装置118の動作は、外部負荷およびユーザ構成可能な設定に基づいてもよい。例えば、動作は、水の沸騰、パンのトースト、または食品の調理を含むことができる。他の例では、動作は、バッテリまたは他のエネルギー貯蔵デバイスを所望のレベルまで充電することに基づいてもよい。
【0035】
ワイヤレス電力送信装置102は、電力送信のためのパラメータを監視することができ、パラメータのいずれかが規定の限界を超えた場合にワイヤレス電力送信を中止することができる。あるいは、ワイヤレス電力受信装置118の要求により、S230のワイヤレス電力送信プロセスを終了することができる。例えば、ワイヤレス電力受信装置118は、ワイヤレス電力受信装置118の動作が完了した場合に、ワイヤレス電力送信装置102に対してワイヤレス電力送信の終了を要求する信号を送信することができる。
【0036】
電力伝送フェーズ235の間、ワイヤレス電力受信装置118は、周期的に電力制御通信をワイヤレス電力送信装置102に送信する(S240-1、S240-2、S240-3、およびS240-4に示す)。電力制御通信の例は、例を挙げるとすれば、制御エラーパケット(CEP)、電力要求メッセージ、またはステータスメッセージ、を含むことができる。これは、ワイヤレス電力送信装置102からワイヤレス電力受信装置118に送信される電力量を制御するため、すなわち電力制御を行うためである。
【0037】
本明細書に記載するように、ワイヤレス電力受信装置118の受信電子機器が故障しているにもかかわらず、ワイヤレス電力受信装置118が電力制御通信を送信し続ける状況が存在する。電力制御通信は帯域外通信チャネルを介して通信ユニットによって送信され得るので、ワイヤレス電力受信装置118によるワイヤレス電力の適切な受信および処理を妨げる可能性があるハードウェア障害にもかかわらず、通信は動作可能であり得る。例えば、負荷(加熱要素など)に開回路障害を起こす可能性があるし、電子機器(整流器など)に開回路障害を起こす可能性があるし、サーモスタット障害により過熱状況を検出できない可能性があるし、あるいは受信器の他の障害によりワイヤレス電力送信を処理するのに失敗する可能性がある。一方、ワイヤレス電力受信装置118は、ワイヤレス電力送信装置102がワイヤレス電力の送信を継続する要求と解釈し得る電力制御通信を送信し続けることができる。本開示によれば、ワイヤレス電力送信装置102は、そのような障害を検出し(S245)、ワイヤレス電力送信を停止するように動作することができる(S250)。本開示は、ワイヤレス電力受信装置118が電力制御通信を送信し続けるか否かにかかわらず、ワイヤレス電力送信装置102がワイヤレス電力受信装置118の障害を検出することができるいくつかの技術を含む。
【0038】
図3は、例示的なワイヤレス電力送信装置300を概念的に示すブロック図である。ワイヤレス電力送信装置300は、図1および図2をそれぞれ参照して説明したワイヤレス電力送信装置102の一例であり得る。ワイヤレス電力送信装置300は、AC電源として示されている電源302を含むことができる。しかしながら、電源302は、DC電源または任意の他の適切な電源であってもよい。電源302は、整流器304(ブリッジ整流器とも、または他の関連用語で呼ぶ場合がある)に接続されてもよい。整流器304は、コンデンサ306に接続されてもよい。整流器304は、第1のスイッチ316および第2のスイッチ318にDC電力を供給することができる。第1のスイッチ316および第2のスイッチ318は、直流電力から交流電圧を生成するインバータ311を共に構成する。第1のスイッチ316および第2のスイッチ318は、例を挙げるとすれば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、であってもよい。第1のスイッチ316には第1のパルス幅変調器(PWM)ドライバ312が接続され、第2のスイッチ318には第2のPWMドライバ314が接続されてもよい。TXコントローラ108は、第1のPWMドライバ312および第2のPWMドライバ314に接続されてもよい。TXコントローラ108は、例を挙げるとすれば、所望の動作周波数、動作デューティ、または動作周波数、に従って、ワイヤレス電力送信を引き起こすようにPWMドライバ312および314を制御することができる。ワイヤレス電力送信装置300は、電源302と一次コイル322との間の経路に他の構成要素(コンデンサ320など)を含んでもよい。整流器304、コンデンサ306、インバータスイッチ316と318、およびコンデンサ320は、まとめて送電器(PTx)回路350と呼ぶ場合がある。TXコントローラ108は、PTx回路350の1つまたは複数の構成要素を制御して、ワイヤレス電力の伝送を管理する。
【0039】
TXコントローラ108は、通信ユニットを介してワイヤレス電力受信装置と通信をやり取りすることができる。通信ユニットは、通信インターフェース326、通信コントローラ(図示せず)、または通信コイル328に接続された他の構成要素を含むことができる。いくつかの実装形態では、通信インターフェース326および通信コイル328は、NFC通信プロトコルを使用して通信するように構成される。いくつかの実装形態では、通信インターフェース326およびTXコントローラ108は、共通のプロセッサまたはチップに併設されてもよい。
【0040】
TXコントローラ108は、一次コイル322に近接するワイヤレス電力受信装置を検出することと、TXコントローラ108がワイヤレス電力受信装置から情報を受信する間のハンドシェイク処理を行うこと、とができる。TXコントローラ108は、通信インターフェース326を介して情報を受信することができる。いくつかの実装形態では、情報は、異なる基準結合係数(K係数)におけるワイヤレス電力受信装置の動作周波数、ワイヤレス電力受信装置の負荷電圧および負荷電力などの、1つまたは複数の基準制御パラメータを含むことができる。いくつかの実装形態では、情報は、ワイヤレス電力受信装置に関連する可変負荷の負荷タイプおよび負荷状態を示すことができる。負荷状態は、電気器具の負荷電圧と対応する負荷電力との結合状態を表す。TXコントローラ108は、この情報を利用して、ワイヤレス電力受信装置が動作することを可能にする特性を有するワイヤレス電力を供給することができる。例えば、TXコントローラ108は、動作パラメータを決定し、動作パラメータに基づいて第1および第2のPWMドライバ(それぞれ312および314)を制御することによってワイヤレス電力を供給することができる。PWMドライバ(それぞれ312および314)は、第1のスイッチ316および第2のスイッチ318を動作させることができる。第1のスイッチ316および第2のスイッチ318は、動作パラメータに応じたワイヤレス電力をワイヤレス電力受信装置の二次コイルに伝送する方法で一次コイル322に通電することができる。
【0041】
本開示の技術によれば、TXコントローラ108は、PTx回路350を介して伝送されるワイヤレス電力の量を監視することによって、ワイヤレス電力受信装置における障害を検出することができる。ワイヤレス電力送信装置300は、測定ユニット308を含むことができる。測定回路308は、PTx回路350を介して1つまたは複数の特性(例えば、電圧、電流、またはその両方)を測定することができる。いくつかの実装形態では、測定回路は、整流器(例えば、図3に示す電源302側か、ワイヤレス電力送信回路側のいずれか)に接続されてもよい。いくつかの実装形態では、測定ユニット308は、整流器304またはインバータ311を通る電圧および電流を測定するように構成されてもよい。本開示でさらに記載するように、測定値は、電力伝送フェーズ中の電力伝送量を決定するために使用されてもよい。いくつかの実装形態では、電力伝送量が閾値未満である場合、TXコントローラ108は、ワイヤレス電力受信装置が障害状態(開回路障害など)を経験したと推測することができる。代替的または追加的に、一次コイル322を通る電流の任意の測定が過電流閾値(瞬時過電流状態など)を上回っている場合、TXコントローラ108は、ワイヤレス電力受信装置が障害状態を経験したと推測することができる。
【0042】
図4は、例示的なワイヤレス電力受信装置400を概念的に示すブロック図である。ワイヤレス電力受信装置400は、図1図2および図3を参照して説明したワイヤレス電力受信装置118の一例であり得る。ワイヤレス電力受信装置400は、二次コイル402を含む。二次コイル402は、整流器404およびコンデンサ406に接続されてもよい。いくつかの実装形態では、二次コイル402は、直列コンデンサ(図示せず)、直列スイッチ(図示せず)、または他の電気部品を介して整流器404に接続される。整流器404は、直列スイッチ(図示せず)を介して負荷408またはエネルギー貯蔵デバイス(バッテリなど、図示せず)に電気的に結合されてもよい。いくつかの実装形態では、負荷408(加熱要素など)の種類によっては、整流器404、コンデンサ406、またはその両方がワイヤレス電力受信装置に存在しない場合がある。ワイヤレス電力受信装置400は、通信ユニット432を含むことができる。ワイヤレス電力受信装置400はまた、第2の通信コイル428を含み得る通信インターフェース426を含むことができる。通信インターフェース426は、RXコントローラ424に接続されてもよい。
【0043】
受信器コントローラ424は、様々な情報を受信し、制御誤差値、電力要求値、または他のフィードバックを決定して、通信ユニット432を介してワイヤレス電力送信装置に通信することができる。図4において、点線は、電気回路線を表す実線と区別するための制御線または情報線を表す。制御線または情報線は、ワイヤレス電力受信装置400の受信器コントローラ424と他の構成要素との電気的接続を含むことができる。いくつかの実装形態では、受信器コントローラ424は、負荷408に接続された負荷コントローラ(図示せず)から、負荷設定、電力要件、または電力推定値、を示す情報を受信することができる。受信器コントローラ424はまた、整流器404に接続された電圧センサ414から電圧情報を受信することができる。電圧情報は、負荷408に利用可能な電圧を示すことができる。しかしながら、例示的なワイヤレス電力受信装置400のいくつかの実装形態では、電圧センサ414は故障する場合があるか、または存在しない場合がある。
【0044】
また、RXコントローラ424は、通信インターフェース426を介してワイヤレス電力送信装置と通信することができる。いくつかの実装形態では、RXコントローラ424は、メモリ(図示せず)から構成データを取得することができる。構成データは、通信インターフェース426によってワイヤレス電力送信装置に送信されてもよい。RXコントローラ424はまた、負荷コントローラ(図示せず)またはユーザインターフェース(図示せず)から、負荷状態および/または電力推定値を示す情報を取得することができる。ワイヤレス電力の伝送前、伝送中、または伝送後の様々な時点において、通信インターフェース426は、例を挙げるとすれば、前述の構成データ、電圧測定情報、結合情報、電力要求情報、負荷電圧情報、負荷状態、をワイヤレス電力送信装置に送信することができる。負荷設定は、例を挙げるとすれば、温度設定、調理時間、またはモータ速度設定など、ユーザが選択可能な設定であってもよい。いくつかの実装形態では、構成データは、負荷408の動作に関連する定格電力値および時間パラメータを含むことができる。例えば、時間パラメータは、負荷設定に基づいて水を沸騰させる、パンを焼く、または食品を調理する予想時間を示すことができる。場合によっては、RXコントローラ424は、本明細書で記載するように、ハンドシェイク処理中に構成データの一部またはすべてを送信コントローラに送信することができる。場合によっては、RXコントローラ424は、フィードバック情報をワイヤレス電力送信装置に送信することができる。フィードバック情報は、負荷状態、基準電圧、負荷に対する電力推定もしくは要求、結合係数情報、負荷電圧情報、(例示的なワイヤレス電力受信装置400によって検出された場合の)障害状態、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。ワイヤレス電力送信装置のTXコントローラ(図示せず)は、フィードバック情報に基づいて、ワイヤレス電力受信装置400に伝送されているワイヤレス電力を修正することができる。通信インターフェース426は、所定の通信スロット中にワイヤレス電力送信装置にメッセージを伝達するように構成されてもよい。例えば、通信スロットは、同期ユニット(図示せず)、クロック、または他のデバイスに基づいて決定され得る。例えば、通信スロットは、ワイヤレス電力送信装置にスイッチングがないときに発生することがあり、(二次コイル402において)コイル検知電圧がゼロであるときに決定され得る。
【0045】
図5Aおよび図5Bを参照してさらに説明するように、例示的なワイヤレス電力受信装置400には、過熱を引き起こす可能性のあるいくつかの障害がある。典型的には、RXコントローラ424は、(例示的なワイヤレス電力受信装置400において)これらの障害を検出し、通信インターフェース426にエンド電力伝送パケットを送信させることができる。通信インターフェース426は帯域外通信チャネルを使用し、場合によっては残りの受信器構成要素とは別個に給電され得るので、通信インターフェース426は、受信器回路の構成要素(例えば、二次コイル402、整流器404、電圧センサ414、または負荷408)に障害が発生した場合でも機能し続けることが可能である。RXコントローラ424は、(通信信号からの)バイアス電力によって通電され、受信器回路に障害がある場合でも動作し続けることができる。本開示の技術を使用して、ワイヤレス電力送信装置は、ワイヤレス電力受信装置に障害が発生したことを(送信器側で)判定することができる。検出され得る技術の例は、開回路障害(図5Aを参照して説明)およびサーモスタット障害(図5Bを参照して説明)を含むことができる。
【0046】
図5Aは、開回路障害508を有する例示的なワイヤレス電力受信装置501を概念的に示すブロック図である。ワイヤレス電力受信装置501は、図4の対応する構成要素を参照して説明したように、二次コイル402、整流器404、コンデンサ406、電圧センサ414、RXコントローラ424、通信インターフェース426、および通信コイル428を有する。場合によっては、例えばワイヤレス電力受信装置501がある種の負荷に電力を供給するためにAC電圧を使用することができる場合は、整流器404が存在しなくてもよい。しかしながら、負荷(図4に負荷408として示す)には、開回路障害508があり得る。例えば、負荷の加熱要素または他の回路に破損があり、負荷が部分(第1の負荷部分408Aおよび第2の負荷部分408Bとして示す)に分割される可能性がある。開回路障害は、電気が受信器回路(二次コイル402と負荷408A/408Bとの間)を通過するのを妨げる。ワイヤレス電力送信装置はエネルギーを伝送するとき、開回路障害508のために、負荷408A/408Bによる収集および利用ができない。その結果、そのエネルギーは、存在するのであれば、コンデンサ406によって吸収される可能性があり、コンデンサ406の電圧は危険なレベルまで上昇して、コンデンサおよび他の関連する受信器構成要素の障害を引き起こす可能性がある。さらに、多くの単純な電気器具では、電圧センサが存在しないことがあり、受信器コントローラ424は、開回路障害または危険なレベルへの電圧上昇を検出することができない可能性がある。コンデンサ406および整流器404が存在しなかったとしても、開回路障害を有する電気器具は、それ自体の開回路障害を検出する手段がないため、送信器からの電力を要求し続ける。ユーザ体験に悪影響を与えるこのような電気器具の障害についてユーザに向けての表示はない。
【0047】
図5Bは、サーモスタット障害を伴う例示的なワイヤレス電力受信装置502を概念的に示すブロック図を示す。ワイヤレス電力受信装置502は、図4の対応する構成要素を参照して説明したように、二次コイル402、任意選択の整流器404、任意選択のコンデンサ406、電圧センサ414、RXコントローラ424、通信インターフェース426、および通信コイル428を有する。図5Bでは、負荷408は加熱要素を含むことができる。ワイヤレス電力受信装置502は、負荷408が特定の温度に達したときにRXコントローラ424に通知するように、または負荷408が過熱しているときにRXコントローラ424に通知するように構成された、サーモスタットセンサ512を含むことができる。例えば、サーモスタットセンサ512は、バイアス電圧514に接続されたバイメタルストリップ516で構成されてもよい。サーモスタットセンサ512は、他の構成要素(例を挙げるとすれば、抵抗器、接地接続、発光ダイオードなどで、簡潔にするために省略)を含むことができる。バイメタルストリップ516は、特定の範囲の温度の存在下で不均一に曲がるように構成され得る。温度が特定のレベルに達すると、バイメタルストリップ516は、バイアス電圧514に接続された回路を開くのに十分に曲がるはずであり、これにより、信号(ピンライン上の電圧など)が変更され、変更された信号がRXコントローラ424に送信される。しかしながら、バイメタルストリップ516またはバイアス電圧514は故障する可能性がある。例えば、バイメタルストリップ516が回路を閉じると予想される一定のレベルよりも温度が高くなっても、バイメタルストリップ516は回路を開くのに十分なほどに曲がらない場合がある。バイアス電圧514の電源は、回路に十分に電力を供給しないかもしれない。サーモスタットセンサ512における他のタイプの障害もあり得る。RXコントローラ424は、故障したサーモスタットセンサ512から過熱信号を受信しないため、RXコントローラ424は、通信インターフェース426を介してワイヤレス電力送信装置に電力要求またはフィードバックメッセージを伝達し続けることができる。これに応じて、本開示の技術がなければ、ワイヤレス電力送信装置はワイヤレス電力を配給し続け、潜在的に危険なレベルまでさらなる加熱を引き起こす可能性がある。
【0048】
図6は、送信コントローラ108が電力測定値に基づいて障害(例えば、図5Aおよび図5Bを参照して説明したもの)を検出することができる例示的なワイヤレス電力送信装置600を概念的に示すブロック図を示す。ワイヤレス電力送信装置600は、図3を参照して説明したように、電源302、PTx回路350(例を挙げるとすれば、インバータ、コンデンサを含む1つまたは複数の構成要素など)、TXコントローラ108、および一次コイル322を含むことができる。TXコントローラ108は、電力伝送量を決定するためにPTx回路350の測定値を取得するように構成され得る。例えば、TXコントローラ108は、電力伝送期間(AC主電源の半サイクルなど)中にPTx回路350のインバータ(図示せず)の出力電圧および出力電流の測定値を取得することができる。TXコントローラ108は、測定された電圧および電流を乗算して、送信器電力測定を取得することができる。TXコントローラ108は、対応する電力伝送期間におけるいくつかの送信器電力測定値を平均することによって、平均送信器電力(平均送電器電力とも呼ぶ)を計算することができる。平均送信器電力は、一次コイル322からワイヤレス電力受信装置の二次コイルに、実際にどれだけの電力が伝送されるかを表すことができる。ワイヤレス電力受信装置に開回路障害がある場合、電力伝送量は閾値よりも低くてもよい。いくつかの実装形態では、TXコントローラ108は、PTx回路350に関連する平均送信器電力と予想電力送信損失との間の差に基づいて電力伝送量を計算することができる。予想電力送信損失は、例を挙げるとすれば、一次コイル322に関連する損失、ワイヤレス電力送信装置のフェライト、PTx回路350の構成要素の損失、を含むことができる。電力伝送量は、平均送信器電力から予想電力送信損失を減算することによって計算することができる。平均送信器電力が予想電力送信損失に(値において)近い場合、電力伝送量は低いか、0であり得る。そのような状況では、TXコントローラ108は、一次コイル322を介してワイヤレス電力受信装置に電力が伝送されていないと推測することができる。TXコントローラ108が、ワイヤレス電力受信装置から通信を受信したが電力が伝送されていない場合、TXコントローラ108は、ワイヤレス電力受信装置の受電回路に開回路障害があると推定することができる。
【0049】
いくつかの実装形態では、TXコントローラ108は、動作ポイントを変更し、電力伝送量を再計算して開回路障害を確認することができる。障害を検出した後、TXコントローラ108は、一次コイル322を介したワイヤレス電力の送信を停止することができる。いくつかの実装形態では、TXコントローラ108は、障害検出メッセージをワイヤレス電力受信装置に伝達することもできる。
【0050】
図7は、ワイヤレス電力送信装置における測定値に基づいてワイヤレス電力受信装置の障害を検出する送信コントローラ708を概念的に示すブロック図である。TXコントローラ708は、PTx回路に関する測定値を取得することができる。例えば、TXコントローラ708は、PTx回路のインバータに関連付けられた電圧センサおよび電流センサからインバータ電圧および電流情報712を取得することができる。いくつかの実装形態では、インバータ電圧および電流情報712は、電力伝送期間中にインバータの出力において測定することができる。電力伝送期間は、PTx回路に結合された交流(AC)電源(図3を参照して説明した電源302など)の1つまたは複数の半サイクルであってもよい。半サイクルは、インバータを使用して伝送される平均電力を測定するために使用される最小期間であってもよい。電力伝送期間タイマ714は、送信器電力測定718を決定するための測定期間およびタイミングを調整することができる。
【0051】
電力伝送期間のインバータ電圧と電流情報712、および電源の交流(AC)周波数を使用して、TXコントローラ708は、送信電力測定718を決定することができる。平均電力伝送量730(
と呼ぶことがある)は、電力伝送期間に関連する送信電力測定値の平均として計算することができる。式(1a)は、平均電力伝送量を求める式を示す。

ここで、
は電源のAC周波数であり、
は瞬時インバータ電圧であり、
は瞬時インバータ電流であり、
は時間および電力伝送期間(AC電源の半サイクルなど)に関する積分動作を表す。サンプリング時間が「Ts」であり、半ACサイクルに「n」個のサンプルを含む離散時間領域における上記の式は、式(1b)に示すように表すことができる。
【0052】
TXコントローラ708はまた、予想電力送信損失728を減算することによって平均電力伝送量730を調整することもできる。予想電力送信損失728は、送信器特性722に基づくことができる。式(2)は、予想電力送信損失728(
)の計算例を示している。
ここで、
は一次コイルに関連する損失であり、
はPTx回路の他の構成要素に関連する損失であり、
はワイヤレス電力送信装置のフェライトにおける損失である。
【0053】
TXコントローラ708は、障害検出閾値738を決定することができる。障害検出閾値は、電力伝送量730(電力伝送量730の係数など)に基づいてもよいし、構成可能なオフセット値に基づいてもよい。ブロック750において、TXコントローラ708は、電力伝送量730と障害検出閾値738とを比較することができる。電力伝送量730(予想電力送信損失728に基づいて調整された平均送信電力)が障害検出閾値738を下回る場合、TXコントローラ708は、ワイヤレス電力受信装置の障害が検出されたと判定することができる。あるいは、電力伝送量730が障害検出閾値738を下回っていない場合、TXコントローラ708は、障害を判定せず、電力伝送フェーズを継続することができる。式(3)は、ブロック750の比較例を示す。障害が検出されるのは以下の場合である。
ここで、
は障害検出閾値738である。
【0054】
場合によっては、TXコントローラ708は、障害が検出されたと判定する前に、障害検出閾値を下回っている電力伝送量の複数のインスタンスを記録することができる。例えば、(連続する電力伝送期間にわたって)電力伝送量の閾値量が障害検出閾値を下回った後に障害が検出されてもよい。いくつかの実装形態では、TXコントローラ708は、電力伝送量の第1のインスタンスが障害検出閾値を下回った後に、動作パラメータ(動作周波数など)を調整することができる。動作パラメータを変更した後に電力伝送量が障害検出閾値を下回ったままである場合、TXコントローラ708は、障害が検出されたと判定することができる。第1のインスタンスによって、TXコントローラ708は障害を疑うことができ、この障害は、障害検出閾値を下回っている電力伝送量の第2の(または複数の)インスタンスによって確認することができる。いくつかの実装形態では、TXコントローラ708は、電力伝送フェーズ中の複数の電力伝送期間にわたって動作パラメータを調整することができる。電力伝送期間のそれぞれの電力伝送量が障害検出期間にわたって障害検出閾値を下回ったままである場合、TXコントローラ708は、障害が検出されたと判定することができる。
【0055】
図8は、交流電流サイクルに関連する電力伝送期間を概念的に示すタイミング図を示す。図8において、AC電圧グラフ800は、AC電圧曲線802を示す。AC電圧曲線802は、ワイヤレス電力送信装置に給電する主端子からのAC電圧(本明細書ではAC主電源またはAC主電圧と呼ぶ)を表すことができる。AC主電圧は、それぞれ図1図3、および図6を参照して説明した電源112または電源302の一例であってもよい。例えば、AC主電源周波数は50Hzであってもよい。図8において、DC電圧グラフ804は、DC電圧曲線806を示す。DC電圧曲線806は、ワイヤレス電力送信装置内の整流器の後に利用可能な整流電圧を表すことができる。DC電圧曲線806はまた、より小型の整流器の出力を表すことができ、この整流器は、AC主電源を利用し、ワイヤレス電力送信装置内の他の電子機器に電力を供給するバイアス電源ユニットに接続している。線808は、AC電圧曲線802およびDC電圧曲線806が同時に0ボルトの電圧(ゼロ電圧またはゼロクロスイベントとも呼ぶ)を有するポイントを示す。
【0056】
ワイヤレス電力送信装置は、AC電圧曲線802または整流DC電圧曲線806を表す信号をTXコントローラ108に供給することができる同期ユニットを含むことができる。AC主電源電圧がゼロ(ゼロクロッシングとも呼ぶ)であるすべてのポイントの近くで、TXコントローラ108は、PWMドライバを無効にして他の動作のためのタイムスロットを作ることによって、短時間(例えば、約300マイクロ秒、約1ミリ秒、または任意の他の適切な期間、電力伝送を停止することができる。他の動作は、例を挙げるとすれば、NFCを使用するワイヤレス電力送信装置とワイヤレス電力受信装置との間のデータ通信、K係数決定プロセス、または異物検出(FOD)動作、を含むことができる。いくつかの実装形態では、これらのインスタンス中にワイヤレス電力送信装置への電力伝送がないことは、ワイヤレス電力受信装置に対してクロックとして機能して、ワイヤレス電力送信装置とその動作を同期させることができる。このため、ワイヤレス電力送信装置は、ワイヤレス電力受信装置と同期して連携することができる。いくつかの実装形態では、線808として示されるゼロクロスイベントは、定期的に再発する通信スロットに指定され、このスロットの間、ワイヤレス電力受信装置は帯域外チャネルを使用してワイヤレス電力送信装置と通信する。通信スロット間の時間は、電力伝送期間と呼ぶことができる。例えば、電力伝送期間810A、810B、810C、および810Dはそれぞれ、AC電圧曲線の半サイクルに関連付けられる。
【0057】
図9は、ワイヤレス電力受信装置の障害を検出するために様々な電力伝送期間中に動作ポイントを調整する送信コントローラを概念的に示すタイミング図900を示す。タイミング図900は、ワイヤレス電力送信装置102とワイヤレス電力受信装置118との間のワイヤレス伝送プロセスの一部を示す。簡潔にするために、識別、ハンドシェイク、および構成のフェーズは図9から省略されている。むしろ、図9は、識別、ハンドシェイク、および構成のフェーズの後に生じる電力伝送フェーズ905に焦点を当てている。電力伝送フェーズ905の間、ワイヤレス電力送信装置102は、ワイヤレス電力受信装置118から電力制御通信909、912、922、932、および942を周期的に受信することができる。例えば、電力制御通信909は、ワイヤレス電力受信装置118からワイヤレス電力送信装置102への電力要求メッセージを含むことができる。第1の電力伝送期間911(例えば、AC電源の1つまたは複数の半サイクル)中、ワイヤレス電力送信装置102のTXコントローラは、第1の動作ポイント910を使用してワイヤレス電力送信装置102に電力を送信させることができる。図7を参照して説明したように、TXコントローラは、その電力伝送期間の電力伝送量が障害検出閾値を下回っていると判定することができる。その後、TXコントローラは、第2の電力伝送期間921中に第2の動作ポイント920を用いてワイヤレス電力送信装置102に電力を送信させることができる。例えば、第1の動作ポイント910は第1の動作周波数f1を使用することができ、第2の動作ポイント920は第2の動作周波数f2を使用することができる。第2の電力伝送期間921中の電力伝送量が障害検出閾値を下回ったままである場合、TXコントローラは、ワイヤレス電力受信装置118の開回路障害があると判定してもよい。いくつかの実装形態では、TXコントローラは、障害検出基準が満たされるまで、連続する電力伝送期間911、921、931、および941に対して異なる動作ポイントを使用し続けることができる。図9は、第3の電力伝送期間931中に使用される第3の動作ポイント930(第3の動作周波数f3など)と、第4の電力伝送期間941中に使用される第4の動作ポイント940(第4の動作周波数f4など)とを示す。
【0058】
いくつかの実装形態では、障害検出基準は、電力伝送量が閾値を下回る電力伝送期間の閾値量に基づいてもよい。いくつかの実装形態では、障害検出基準は、電力伝送量が障害検出閾値を下回る結果となった異なる動作ポイントの閾値量に基づいてもよい。さらに他の実装形態では、障害検出基準は、障害検出期間970の満了であってもよい。
【0059】
障害検出基準が満たされると、ワイヤレス電力送信装置102は、ワイヤレス電力受信装置118の障害が検出されたと判定することができる。ワイヤレス電力送信装置102は、ワイヤレス電力送信の停止980をすることができる。いくつかの実装形態では、ワイヤレス電力送信装置102は、ワイヤレス電力送信装置102のユーザインターフェースを介して障害の表示を提示することができる。いくつかの実装形態では、ワイヤレス電力送信装置102は、障害検出メッセージ985をワイヤレス電力受信装置118に送信することができる。ワイヤレス電力受信装置118は、ワイヤレス電力受信装置118のユーザインターフェースを介して障害の表示を提示することができる。
【0060】
図10は、ワイヤレス電力受信装置の障害を検出するための例示的なワイヤレス電力送信装置におけるプロセス1000の例示的な動作を示すフロー図である。簡潔にするために、動作は、装置によって実行されるものとして説明される。プロセス1000の動作は、本明細書に記載のワイヤレス電力送信装置によって実施され得る。例えば、プロセス1000は、ワイヤレス電力送信装置のいずれか1つ、またはTXコントローラのいずれか1つによって、または本明細書の図のいずれかを参照して説明された装置によって、実行されてもよい。
【0061】
ブロック1010において、装置は、ワイヤレス電力受信装置から電力要求メッセージを受信することができる。
【0062】
ブロック1020において、装置は、ワイヤレス電力送信装置の一次コイルを介して送信するための電力を生成することができる。
【0063】
ブロック1030において、装置は、ワイヤレス電力送信装置における測定値に基づいて、1つまたは複数の電力伝送期間中に1つまたは複数の電力伝送量を決定することができる。
【0064】
ブロック1040において、装置は、障害検出閾値を下回る1つまたは複数の電力伝送量に少なくとも部分的に基づいて、ワイヤレス電力受信装置の障害を検出することができる。
【0065】
図11は、ワイヤレス電力システムで使用するための例示的な装置のブロック図である。いくつかの実装形態では、装置1100は、本明細書に記載のワイヤレス電力送信装置(ワイヤレス電力送信装置102など)であってもよい。いくつかの実装形態では、装置1100は、本明細書の図のいずれかを参照して説明したワイヤレス電力送信装置102または300のいずれか1つ、またはTXコントローラ108のいずれか1つの一例であってもよい。装置1100は、プロセッサ1102(場合によっては、複数のプロセッサ、複数のコア、複数のノード、またはマルチスレッドの実装などを含む)を含むことができる。装置1100はまた、メモリ1106も含むことができる。メモリ1106は、システムメモリであってもよいし、または本明細書に記載のコンピュータ可読媒体の可能な具現物のいずれか1つまたは複数であってもよい。装置1100はまた、バス1111(例えば、PCI、ISA、PCI-Express、HyperTransport(登録商標)、InfiniBand(登録商標)、NuBus(登録商標)、AHB、AXIなど)を含むことができる。
【0066】
装置1100は、複数の一次または二次のコイル(コイルアレイ1164など)を管理するように構成された1つまたは複数のコントローラ1162を含むことができる。いくつかの実装形態では、コントローラ1162(複数可)は、プロセッサ1102、メモリ1106、およびバス1111、の中に分散させることができる。コントローラ1162(複数可)は、本明細書に記載の動作の一部または全部を実行することができる。例えば、コントローラ1162(複数可)は、例えば本明細書に記載の送信コントローラのいずれかのような、送信コントローラであってもよい。
【0067】
メモリ1106は、図1図10を参照して説明した実装形態の機能を実施するためにプロセッサ1102によって実行可能なコンピュータ命令を含むことができる。これらの機能のいずれか1つは、ハードウェア内またはプロセッサ1102上に部分的に(または全体的に)実装されてもよい。例えば、機能は、特定用途向け集積回路、プロセッサ1102に実装された論理、周辺デバイスまたはカード上のコプロセッサなどにおいて実装されてもよい。さらに、具現物は、より少ない構成要素、または図11に示されていない追加の構成要素を含むことができる。プロセッサ1102、メモリ1106、およびコントローラ1162(複数可)は、バス1111に結合することができる。バス1111に結合されているものとして示されているが、メモリ1106はプロセッサ1102に結合されてもよい。
【0068】
図1図11および本明細書に記載の動作は、例示的な実装形態の理解を助けることを意図した例であり、潜在的な実装形態を制限したり、特許請求の範囲を制限したりするために使用されるべきではない。いくつかの実装形態は、追加の動作、より少ない動作、並列または異なる順序での動作、およびいくつかの異なる動作、を実行することができる。
【0069】
前述の開示は、例示および説明を提供するが、網羅的であること、または開示された正確な形態に態様を限定することを意図するものではない。変更および変形は、上記の開示に照らして行われてもよいし、または態様の実施から取得されてもよい。本開示の態様を様々な例に関して説明してきたが、任意の例からの態様の任意の組み合わせも本開示の範囲内である。本開示の例は、教育目的のために提供される。代替的に、または本明細書に記載の他の例に加えて、例は、以下の実装オプション(参照用の条項とする)の任意の組み合わせを含む。
条項
【0070】
条項1.ワイヤレス電力送信装置によって実行される方法であって、ワイヤレス電力受信装置から電力要求メッセージを受信することと、ワイヤレス電力送信装置の一次コイルを介して伝送するための電力を生成することと、ワイヤレス電力送信装置における測定値に基づいて1つまたは複数の電力伝送期間中の1つまたは複数の電力伝送量を決定することと、1つまたは複数の電力伝送量が障害検出閾値を下回っていることに基づいて、ワイヤレス電力送信装置がワイヤレス電力受信装置の障害を検出することと、を含む方法。
【0071】
条項2.障害を検出することが、1つまたは複数の電力伝送期間のうちの第1の電力伝送期間中に1つまたは複数の電力伝送量のうちの第1の電力伝送量を決定することと、第1の電力伝送量が障害検出閾値を下回っているという判定に基づいて第1の障害表示を検出することと、を含む、条項1に記載の方法。
【0072】
条項3.第1の障害表示を検出したことに応答して、1つまたは複数の電力伝送期間のうちの第2の電力伝送期間の間にワイヤレス電力送信装置の動作ポイントを変更することと、第2電力伝送期間中の1つまたは複数の電力伝送量のうちの第2の電力伝送量を決定することと、第2の電力伝送量が障害検出閾値を下回っているという判定に基づいて第2の障害表示を検出することと、第1の表示および第2の表示に基づいて障害を検出することと、をさらに含む、条項2に記載の方法。
【0073】
条項4.動作ポイントが、一次コイルを介した伝送のために生成された電力の動作周波数であり、第1の電力伝送期間中に第1の動作周波数で電力を生成することと、第2の電力伝送期間中に第2の動作周波数で電力を生成することと、をさらに含む、条項3に記載の方法。
【0074】
条項5.複数の電力伝送期間のそれぞれについてワイヤレス電力送信装置の動作ポイントを変更することと、ワイヤレス電力送信装置における測定値に基づいて複数の電力伝送期間に対応する複数の電力伝送量を決定することと、複数の電力伝送量が障害検出閾値を下回っていることに基づいて障害を検出することと、をさらに含む、条項1に記載の方法。
【0075】
条項6.複数の電力伝送量が障害検出閾値を下回ったままである障害検出期間の後に障害を検出することを、さらに含む、条項5に記載の方法。
【0076】
条項7.ワイヤレス電力送信装置とワイヤレス電力受信装置との間の電力伝送フェーズ中に、複数の電力伝送量の閾値量が障害検出閾値を下回った後に障害を検出することをさらに含む、条項5に記載の方法。
【0077】
条項8.動作ポイントが、動作周波数、動作電圧、および動作デューティからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、条項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
条項9.障害を検出したことに応答して、一次コイルを介した電力の伝送を停止することをさらに含む、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
条項10.障害を検出したことに応答して、障害検出メッセージをワイヤレス電力受信装置に伝達することをさらに含む、条項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
条項11.1つまたは複数の電力伝送量を決定することは、1つまたは複数の電力伝送量の電力伝送量のそれぞれについて、対応する電力伝送期間中に一次コイルに結合されたインバータに関連する電圧および電流を測定することと、対応する電力伝送期間中に電圧および電流に基づいて入力電力を計算することと、入力電力とワイヤレス電力送信装置に関連する予想電力送信損失との差に基づいて電力伝送量を決定することとを含む、条項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
条項12.1つまたは複数の電力伝送期間が連続期間であり、1つまたは複数の電力伝送期間のそれぞれが、インバータに結合された交流(AC)電源の1つまたは複数の半サイクルを含む、条項11の方法。
【0082】
条項13.ワイヤレス電力送信装置が一次コイルとは別の通信ユニットを介してワイヤレス電力受信装置からメッセージを受信し続けるかどうかにかかわらず、ワイヤレス電力受信装置の障害を検出することをさらに含む、条項1から12のいずれか一項に記載の方法
【0083】
条項14.ワイヤレス電力送信装置であって、ワイヤレス電力受信装置から電力要求メッセージを受信する通信ユニットと、一次コイルと、一次コイルを介して送信するための電力を生成するように構成された電力信号発生器と、ワイヤレス電力送信装置における測定値に基づいて1つまたは複数の電力伝送期間における1つまたは複数の電力伝送量を決定するように構成され、1つまたは複数の電力伝送量が障害検出閾値を下回っていることに基づいてワイヤレス電力受信装置の障害を検出するように構成された送信コントローラと、を含む、ワイヤレス電力送信装置。
【0084】
条項15.送信コントローラが、1つまたは複数の電力伝送期間のうちの第1の電力伝送期間中に、1つまたは複数の電力伝送量のうちの第1の電力伝送量を決定し、第1の電力伝送量が障害検出閾値を下回っているという判定に基づいて第1の障害表示を検出するように構成される、条項14に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0085】
条項16.送信コントローラが、第1の障害表示を検出したことに応答して、1つまたは複数の電力伝送期間のうちの第2の電力伝送期間の間にワイヤレス電力送信装置の動作ポイントを変更し、第2の電力伝送期間中の1つまたは複数の電力伝送量のうちの第2の電力伝送量を決定し、第2の電力伝送量が障害検出閾値を下回っているという判定に基づいて第2の障害表示を検出し、第1の表示および第2の表示に基づいて障害を検出する、ように構成される、条項15に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0086】
条項17.動作ポイントは、一次コイルを介した伝送のために生成された電力の動作周波数であり、送信コントローラは、電力信号発生器に、第1の電力伝送期間中に第1の動作周波数で電力を生成させ、電力信号生成器に、第2の電力伝送期間中に第2の動作周波数で電力を生成させるように構成される、条項16に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0087】
条項18.送信コントローラが、複数の電力伝送期間のそれぞれについて電力信号発生器の動作ポイントを変更し、ワイヤレス電力送信装置における測定値に基づいて、複数の電力伝送期間に対応する複数の電力伝送量を決定し、複数の電力伝送量が障害検出閾値を下回っていることに基づいて障害を検出するように構成されている、条項14に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0088】
条項19.送信コントローラが、複数の電力伝送量が障害検出閾値を下回ったままである障害検出期間の後に障害を検出するように構成される、条項18に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0089】
条項20.送信コントローラが、ワイヤレス電力送信装置とワイヤレス電力受信装置との間の電力伝送フェーズ中に複数の電力伝送量の閾値量が障害検出閾値を下回った後に障害を検出するように構成される、条項18に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0090】
条項21.動作ポイントが、動作周波数、動作電圧、および動作デューティからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、条項18から20のいずれか一項に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0091】
条項22.送信コントローラが、障害を検出したことに応答して、一次コイルを介した電力の送信を電力信号発生器に停止させるように構成される、条項14から21のいずれか一項に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0092】
条項23.送信コントローラが、障害を検出したことに応答して、障害検出メッセージをワイヤレス電力受信装置に伝達するように構成された通信ユニットをさらに含む、条項14から22のいずれか一項に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0093】
条項24.電力信号発生器のインバータと、インバータに結合され、インバータに関連する電圧および電流をそれぞれ測定するように構成された電圧センサおよび電流センサとをさら含む、ワイヤレス電力送信装置であって、送信コントローラが、1つまたは複数の電力伝送量のそれぞれの電力伝送量について、対応する電力伝送期間中の電圧および電流に基づいて入力電力を計算し、入力電力とワイヤレス電力送信装置に関連する予想電力送信損失との差に基づいて電力伝送量を決定するようにさらに構成される、条項14から23のいずれか一項に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0094】
条項25.1つまたは複数の電力伝送期間は連続した期間であり、1つまたは複数の電力伝送期間のそれぞれは、インバータに結合された交流(AC)電源の1つまたは複数の半サイクルを含む、条項24のワイヤレス電力送信装置。
【0095】
条項26.送信コントローラが、通信ユニットがワイヤレス電力受信装置からメッセージを受信し続けるかどうかにかかわらず、障害を検出するように構成される、条項14から25のいずれか一項に記載のワイヤレス電力送信装置。
【0096】
本開示に記載の主題の別の革新的な態様は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに上述の機能のいずれか1つを実行させる命令を格納したコンピュータ可読媒体として実装することができる。
【0097】
本開示に記載の主題の別の革新的な態様は、上述の機能のいずれか1つを実装するための手段を有するシステムとして実装することができる。
【0098】
本開示に記載の主題の別の革新的な態様は、上述の方法のいずれか1つからの1つまたは複数の動作を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを有する装置として実装することができる。
【0099】
本明細書で使用される場合、項目のリスト「のうちの少なくとも1つ」または「のうちの1つまたは複数」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例えば、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、aのみ、bのみ、cのみ、aとbの組み合わせ、aとcの組み合わせ、bとcの組み合わせ、およびaとbとcの組み合わせの可能性を網羅することを意図している。
【0100】
本明細書に開示の実装形態に関連して説明された様々な例示的な構成要素、論理、論理ブロック、モジュール、回路、動作、およびアルゴリズムプロセスは、本明細書に開示された構造およびその構造的均等物を含む、電子ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくはハードウェアまたはファームウェアまたはソフトウェアの組み合わせ、として実装され得る。ハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアの互換性は、機能の観点から一般的に説明されており、上述の様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびプロセスに示されている。そのような機能がハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアのいずれにおいて実装されるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課される設計制約に依存する。
【0101】
本明細書に開示の態様に関連して記載された様々な例示的な構成要素、論理、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用されるハードウェアおよびデータ処理装置は、汎用シングルチップまたはマルチチップのプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはその他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェア構成要素、または本明細書に記載された機能を実行するように設計されたこれら任意の組み合わせを用いて実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサまたは任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。いくつかの実装形態では、特定のプロセス、動作、および方法は、所与の機能に固有の回路によって実行されてもよい。
【0102】
上述したように、本明細書に記載の主題のいくつかの態様は、ソフトウェアとして実装されてもよい。例えば、本明細書に開示された構成要素の様々な機能、または本明細書に開示された方法、動作、プロセスまたはアルゴリズムの様々なブロックまたはステップは、1つまたは複数のコンピュータプログラムの1つまたは複数のモジュールとして実装されてもよい。そのようなコンピュータプログラムは、本明細書に記載のデバイスの構成要素を含むデータ処理装置によって実行される、またはその動作を制御するための、1つまたは複数の有形のプロセッサ可読またはコンピュータ可読記憶媒体上にエンコードされた非一時的なプロセッサ実行可能命令またはコンピュータ実行可能命令を含むことができる。限定ではなく例として、そのような記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または命令もしくはデータ構造の形態でプログラムコードを記憶するために使用され得る任意の他の媒体を含むことができる。上記の組み合わせも記憶媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0103】
本開示に記載の実装形態に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであるかもしれず、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の実装形態に適用されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図するものではなく、本開示と、本明細書に開示された原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0104】
さらに、別個の実装形態の文脈で本明細書に記載されている様々な特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実施されてもよい。逆に、単一の実装形態の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実装形態において別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施されてもよい。このように、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、当初はそのように特許請求され得るが、特許請求された組み合わせからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、その組み合わせから削除することができ、特許請求された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形を対象とすることができる。
【0105】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序または連続した順序で実行されること、または示されたすべての動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。さらに、図面は、フローチャートまたはフロー図の形式で、1つまたは複数の例示的なプロセスを概略的に示すことができる。しかしながら、図示されていない他の動作は、概略的に示されている例示的なプロセスに組み込むことができる。例えば、1つまたは複数の追加の動作を、図示のいずれかの動作の前、後、同時に、またはその間に実行することができる。状況によっては、マルチタスク処理および並列処理が有利な場合がある。さらに、上述の実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装形態においてそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載されたプログラム構成要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。

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図5A
図5B
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【国際調査報告】