(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】時計ムーブメントの慣性要素
(51)【国際特許分類】
G04B 17/06 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G04B17/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515294
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022075097
(87)【国際公開番号】W WO2023036928
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベラン, ラウル
(57)【要約】
【解決手段】
時計ムーブメント(200)用の、慣性要素(1)、特にてん輪(1)であって、慣性要素は、
常磁性または反磁性である、及び
15μΩ×cmより大きい、好ましくは20μΩ×cmより大きい電気抵抗率を有する、
第一素材製であるまたは第一素材を含む、外縁(11)を含む、
慣性要素(1)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ムーブメント(200)用の、慣性要素(1)、特にてん輪(1)であって、前記慣性要素は、
常磁性または反磁性である、及び
15μΩ×cmより大きい、好ましくは20μΩ×cmより大きい電気抵抗率を有する、
第一素材製であるまたは第一素材を含む、外縁(11)を含む、
慣性要素(1)。
【請求項2】
前記第一素材は、金属素材であり、100μΩ×cmより小さい、または200μΩ×cmより小さい、または1000μΩ×cmより小さい電気抵抗率を有する、
請求項1に記載の慣性要素(1)。
【請求項3】
前記第一素材は、
100μΩ×cmから10
3μΩ×cmの間の電気抵抗率を有する導電体、または
10
3μΩ×cmから10
13μΩ×cmの間の電気抵抗率を有する半導体素材、または
10
13μΩ×cmより大きい電気抵抗率を有する、絶縁体、である、
請求項1に記載の慣性要素(1)。
【請求項4】
前記慣性要素(1)は、前記外縁に接続されるアーム(13)または支持部を含み、前記アームまたは前記支持部は、前記第一素材製であるまたは前記第一素材を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の慣性要素(1)。
【請求項5】
前記慣性要素(1)は、アーム(13)または支持部に接続されるハブ(12)を含み、前記ハブは、前記第一素材製であるまたは前記第一素材を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の慣性要素(1)。
【請求項6】
前記慣性要素(1)は、前記アームまたは前記支持部に接続されるハブ(12)を含み、前記ハブは、前記第一素材製であるまたは前記第一素材を含む、
請求項4に記載の慣性要素(1)。
【請求項7】
前記第一素材は、
- CuAl7Si2、または
- CuNi15Sn8、または
- 無鉛真鍮(とりわけCuZn21Si3P)、または
- NiP、または
- チタンまたはチタン合金、または
- Co40Cr20Ni16Mo7(Phynox)、または
- ZrO
2またはAl
2O
3といったセラミック、または
- シリコン、または
- ルビー、または
- ガラス、
である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の慣性要素(1)。
【請求項8】
前記外縁(11)は、連続形状を、特に連続環状形状を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の慣性要素(1)。
【請求項9】
前記慣性要素(1)は、特に前記外縁(11)は、異なる素材製の、特に半導体素材または絶縁体製の、複数の部分を含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の慣性要素(1)。
【請求項10】
前記慣性要素は、一体鋳造である、または構成要素の組立の結果である。
請求項1から9のいずれか一項に記載の慣性要素(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の慣性要素(1)、及びまたは
20μΩ×cmより大きい電気抵抗率を有する素材製の、常磁性または反磁性ひげぜんまい(21)、及びまたは
20μΩ×cmより大きい電気抵抗率を有する素材製の、常磁性または反磁性ひげ玉(22)及びまたは添え板(25)を有する、ひげぜんまい(21)、及びまたは
常磁性または反磁性素材製の、特にジルコニアといったセラミック製、または常磁性鋼または表面硬化常磁性鋼または被覆常磁性鋼製の、慣性要素真(23)、及びまたは
前記慣性要素(1)用の軸受フランジを有さない、慣性要素真(23)、及びまたは
前記第一素材製の、または前記第一素材を含む、プレート(24)、特に二重プレート(24)、
を含む、
発振器(2)。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の慣性要素(1)、及びまたは請求項11に記載の発振器(2)と、
常磁性または反磁性素材製の、特にジルコニアといったセラミック製、または常磁性鋼または表面硬化常磁性鋼または被覆常磁性鋼製の、真(311、321)、及びまたは
常磁性または反磁性素材製の、特にCuAl7Si2、またはCuNi15Sn8、または無鉛真鍮(とりわけCuZn21Si3P)、またはNiP、またはチタンまたはチタン合金、またはCo40Cr20Ni16Mo7(Phynox)、またはZrO
2またはAl
2O
3といったセラミック、またはシリコン、またはガラス、またはルビー製の、プレート(312、322)
を含む、少なくとも1つの脱進機部品(31、32)を含む、脱進機システム(3)と、
を含む、
調速システム(100)。
【請求項13】
慣性要素(1)及びまたは発振器(2)と、
常磁性または反磁性素材製の、特にジルコニアといったセラミック製、または常磁性鋼または表面硬化常磁性鋼または被覆常磁性鋼製の、真(311、321)、及びまたは
常磁性または反磁性素材製の、特にCuAl7Si2、またはCuNi15Sn8、または無鉛真鍮(とりわけCuZn21Si3P)、またはNiP、またはチタンまたはチタン合金、またはCo40Cr20Ni16Mo7(Phynox)、またはZrO
2またはAl
2O
3といったセラミック、またはシリコン、またはガラス、またはルビー製の、プレート(312、322)
を含む、少なくとも1つの脱進機部品(31、32)を含む、脱進機システム(3)と、
を含む、
調速システム(100)。
【請求項14】
磁場に対する抵抗、及びまたは
停止磁場強度値、
を向上させるための、請求項1から10のいずれか一項に記載の慣性要素(1)または請求項11に記載の発振器(2)または請求項12または13に記載の調速装置(100)の、時計ムーブメント(200)または時計(300)への使用。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の慣性要素(1)、及びまたは
請求項11に記載の発振器(2)、及びまたは
請求項12または13に記載の調速装置(100)、
を含む、時計ムーブメント(200)。
【請求項16】
慣性要素(1)、及びまたは
発振器(2)、及びまたは
調速システム(100)、
を含む、時計ムーブメント(200)であって、
前記時計ムーブメント及びまたは前記慣性要素及びまたは前記発振器及びまたは前記調速システムの前記部品は、前記ムーブメントが、20000G以上の、または35000G以上の、停止が発生する磁場強度値を有するように配置されるまたは構成される、
時計ムーブメント(200)。
【請求項17】
請求項15または16に記載の時計ムーブメント(200)及びまたは請求項12または13に記載の調速システム(100)及びまたは請求項11に記載の発振器(2)及びまたは請求項1から10のいずれか一項に記載の慣性要素(1)を含む、
時計(300)、特に腕時計(300)。
【請求項18】
慣性要素(1)、及びまたは
発振器(2)、及びまたは
調速システム(100)、及びまたは
時計ムーブメント(200)
を含む、時計(300)、特に腕時計(300)であって、
前記時計及びまたは前記時計ムーブメント及びまたは前記慣性要素及びまたは前記発振器、及びまたは前記調速システムの前記部品は、前記時計が、20000G以上の、または35000G以上の、停止が発生する磁場強度値を有するように配置されるまたは構成される、
時計(300)、特に腕時計(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計ムーブメントの慣性要素、特にてん輪に関する。本発明はまた、当該慣性要素を含む、発振器に関する。本発明は更に、当該発振器または当該慣性要素を含む、調速システムに関する。本発明は更に、当該発振器または当該慣性要素または当該調速システムを含む、時計ムーブメントに関する。本発明は最後に、当該時計ムーブメントまたは当該発振器または当該慣性要素または当該調速システムを含む、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、NIHS規格(NIHS-90-10)が、通常使用される磁気耐性小型時計について、小型時計は4800A/m(60G)の磁場内で停止してはならず、その残留効果は、(20mmを超える取付直径の場合)1日あたり30秒を超えてはならないことを規定することについて言及する。特別な小型時計については、磁気の問題を、ミューメタル、パーマロイ、または軟鉄製の磁気遮蔽によってムーブメントを包含することで解決することが推奨される。しかしながら、このような解決策は、数多くのサイズ、デザイン、及び審美的制約を提示する。
【0003】
特許文献1は、時計ムーブメントを開示し、調速部材の「耐磁性」ひげぜんまいと「耐磁性」金属真の組み合わせを通じた、3000G、または4000Gを超える、磁場値での停止について言及する。
【0004】
特許文献2は、耐磁性のひげぜんまい、アンクル本体、及びガンギ車を有する小型時計が、機械的性能(計時性及び可動部の経年劣化)を損なうことなく、停止することなく約1T(10000G)の磁場に抵抗することを可能にする、てん真(その体積に、非均一の、固有の磁気的諸特性を示す、磁気的に不均一の一体鋳造真)の特定の構造を提案する。
【0005】
特許文献3は、制御された環境下での熱処理により表面硬化された真に関する。段落[0010]において、「本発明の目的は...磁場に対する感受性を制限することと、時計産業における耐摩耗性及び耐衝撃性の要件と両立可能な改善された耐久性を得ることの両方を達成することができる枢動ピンを提案する」と規定する。しかしながら、当該文献においては、あらゆる磁場でのムーブメントの停止について何ら言及はない。
【0006】
特許文献4は、耐磁性であり、磁場に、特に32kA/m(400G)を超える磁場に曝された場合の時計の動作に影響を与えないという利点を提供する、セラミック素材製の真に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】スイス国特許出願公開第716862号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2979139号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2757423号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第3258325号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“Theorie d’horlogerie” (時計理論)、C.-A. Reymondin et al.、la Federation des Ecoles Techniques
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術から既知の時計装置を改善し、上述の問題を改善可能な、慣性要素を提供することである。特に、本発明は、時計ムーブメントが、磁場へ曝された後の1日あたり1秒より小さな残留効果を保証しつつ、強力な磁場、特に8000G、または15000G、または20000G、または30000Gの強度を有する磁場下でも、停止することなく機能することを可能にする、慣性要素を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、慣性要素は請求項1で定義される。
【0011】
慣性要素の実施形態は、請求項2から10で定義される。
【0012】
本発明によれば、発振器は請求項11で定義される。
【0013】
本発明によれば、調速システムは請求項12または13で定義される。
【0014】
本発明によれば、使用は請求項14で定義される。
【0015】
本発明によれば、時計ムーブメントは請求項15または16で定義される。
【0016】
本発明によれば、時計は請求項17または18で定義される。
【0017】
添付の図面は、例として、時計の実施形態を、特に調速システムの実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
図2は、
図1の時計の調速システムの実施形態の、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
時計300の実施形態を、
図1及び2を参照して以下に詳細に説明する。時計300は、例えば小型時計であり、特に腕時計である。時計300は、外部環境から自身を保護するために、時計ケーシングまたはケース内に搭載されることが意図される、時計ムーブメント200を含む。時計ムーブメント200は、機械式ムーブメントであっても、特に自動式ムーブメントであってもよく、ハイブリッドムーブメントであってもよい。
【0020】
時計ムーブメント200は、調速システム100を含む。
【0021】
調速システム100は、発振器2と脱進機システム3を含む。
【0022】
発振器2は、慣性要素1を含む。
【0023】
(
図1及び2に示すような)伝統的発振器の場合、発振器はまた、ひげぜんまい21を含み、慣性要素1は、時計ムーブメントのフレーム上で旋回されるてん輪1である。
【0024】
慣性要素は、第一素材製の、または第一素材を含む、外縁11を含む。第一素材は、
- 常磁性または反磁性である、及び
- 15μΩ×cmより大きい、好ましくは20μΩ×cmより大きい、電気抵抗率を有する。
【0025】
有利には、第一素材は、金属素材であり、100μΩ×cmより小さい、または200μΩ×cmより小さい、または1000μΩ×cmより小さい、電気抵抗率を有する。
【0026】
更に有利には、第一素材は、100μΩ×cmと103μΩ×cmの間の、または103μΩ×cmと1013μΩ×cmの間の、または1013μΩ×cmより大きい、電気抵抗率を有する。
【0027】
外縁11を除き、慣性要素1は、
- ハブ12、及びまたは
- アーム13
を含む。
1以上のこれらの要素は、好ましくは、第一素材を含む、または好ましくは、第一素材製である。有利には、外縁、ハブ、及びアームは一体である、または一体として製造され、このため同一の第一素材製である。
【0028】
ハブ12は、好ましくは、時計ムーブメントのフレーム上で慣性要素1を旋回させることを可能にする慣性要素真23を受けるための孔を含む。
【0029】
アーム13は、ハブ12を外縁11へ機械的に連結することを可能にする。アームは、好ましくは、細長い形状を有する。特に、アームは、真23に対して半径方向にまたは実質的に半径方向に延長する。アームは、例えば支持部など、ハブ12を外縁11へ機械的に連結するまたは固定することを可能にするあらゆる他の要素により代替可能である。このような支持部は、中空でなくてもよい、即ち真23の軸方向に平行な軸方向に貫通不可能である、即ち自身を通過するあらゆる開口を有さない。代替として、このような支持部は、開口されてもよい、即ち自身を通過する開口を含んでもよい。慣性要素の特定の実施において、支持部は、特に、円板形状を示してもよい。
【0030】
慣性要素の特定の実施において、支持部は、ハブとしての役割を果たしてもよく、このためハブと一致してもよい。代替としてまたは追加で、外縁は、支持部としての役割を果たすまたは支持部と一致してもよく、このため中空でないまたは開口された円板を形成してもよい。このように、支持部、ハブ、及びまたは外縁は、第一素材製または第一素材を含んでもよい。特に、ハブ、支持部、及び外縁は、一体であってもよい。更なる代替として、慣性要素は、
- ハブ、
- 支持部、
- 外縁
が一体となった、円板を含んでもよい。
【0031】
有利には、第一素材は、
- CuAl7Si2、または
- CuNi15Sn8、または
- 無鉛真鍮(とりわけCuZn21Si3P)、または
- NiP、または
- チタンまたはチタン合金、または
- Co40Cr20Ni16Mo7(Phynox)、または
- ZrO2またはAl2O3といったセラミック、または
- シリコン、または
- ルビー、または
- ガラス、
である。
【0032】
外縁11は、好ましくは、連続形状を有する(即ち、外縁を形成する素材内に維持されたままで、軸23周りに完全な回転を行うことが可能である)、特に
図1及び2に示すように、連続環状形状を有する。有利には、連続形状の、特に連続環状形状の外縁は、単一素材製、好ましくは高い電気抵抗率の(例えば、20μΩ×cmを越える電気抵抗率の)金属合金といった、単一の導電体製である。代替的に、慣性要素1は、特に外縁11は、異なる素材製の、特に半導体材料または電気絶縁体製の、複数の部分を含んでもよい。これら素材のそれぞれ、またはこれら素材のいくつか、またはこれら素材の一つは、第一素材を構成してもよい。部分は、自身を支持することが意図される構造上に、適合されるまたは配置される、中空でない部分であってもよい。
【0033】
代替的に、外縁11は、中断されたまたは非連続形状、特に中断された環状形状または非連続環状形状を有してもよい。
【0034】
有利には、慣性要素は、一体鋳造である。しかしながら、代替として、慣性要素は、複数要素の組立により形成されてもよい。
【0035】
ひげぜんまい21は、好ましくは、20μΩ×cmより大きい電気抵抗率を有する、常磁性または反磁性素材製である。代替としてまたは追加で、ひげぜんまい21は、20μΩ×cmより大きい電気抵抗率を有する、常磁性または反磁性素材製の、特にチタンまたはチタン合金製の、ひげ玉22及びまたは添え板25を有する。
【0036】
発振器2はまた、慣性要素真23を含む。慣性要素真23は、好ましくは、常磁性または反磁性素材、特にジルコニアといったセラミック製、または常磁性鋼または表面硬化常磁性鋼、または被覆常磁性鋼製である。
【0037】
代替としてまたは追加で、慣性要素真23は、有利には、慣性要素1用の軸受フランジを有さない。このようなフランジは、通常、慣性要素の真への組立中に、とりわけ打ち込み中に、真に対して慣性要素を停止させる留め具を形成するために、慣性要素真上に設けられる。
【0038】
発振器2は更に、第一素材製のまたは第一素材を含むプレート24を、特に二重プレート24を含む。プレート24は、有利には、特に打ち込みにより、慣性要素の真23に取り付けられる。
【0039】
図1を参照して説明された上述の伝統的発振器の代替として、発振器は、弾性変形可能構造の弾性変形を介して、慣性要素をフレームに対して旋回可能にする、弾性変形可能構造上に搭載された、慣性要素を含んでもよい。
【0040】
上述の慣性要素1及びまたは発振器2とは別に、調速システム100は、1以上の脱進機部品31、32、特にガンギ車31とアンクル32とを含む、脱進機システム3を含む。
【0041】
ガンギ車31は、好ましくは、プレート312と真311とを含む。真311は、プレート312内に収容、特に打ち込まれ、時計ムーブメントのフレーム上でガンギ車31を旋回させることを可能にする。真311は、有利には、常磁性または反磁性素材、特に例えばジルコニアといったセラミック製、または常磁性鋼または表面硬化常磁性鋼または被覆常磁性鋼またはPhynox製である。プレート312は、有利には、常磁性または反磁性素材、特にCuAl7Si2またはCuNi15Sn8または無鉛真鍮CuZn21Si3PまたはNiPまたはチタンまたはチタン合金またはCo40Cr20Ni16Mo7(Phynox)またはZrO2またはAl2O3といったセラミック、またはシリコンまたはルビーまたはガラス製である。
【0042】
アンクル32は、好ましくは、プレート322と真321とを含む。真321は、プレート322内に収容、特に打ち込まれ、時計ムーブメントのフレーム上でアンクル32を旋回させることを可能にする。真321は、有利には、常磁性または反磁性素材、特に例えばジルコニアといったセラミック製、または常磁性鋼または表面硬化常磁性鋼または被覆常磁性鋼またはPhynox製である。プレート322は、有利には、常磁性または反磁性素材、特にCuAl7Si2またはCuNi15Sn8または無鉛真鍮CuZn21Si3PまたはNiPまたはチタンまたはチタン合金またはCo40Cr20Ni16Mo7(Phynox)またはZrO2またはAl2O3といったセラミック、またはシリコンまたはルビーまたはガラス製である。
【0043】
上述の解決策は、2つの構成で比較された。第一構成は、強磁場(2Tまたは20000G以上)への暴露後の、少ない残留効果を得ることを目的とする。第一構成は、ムーブメント(常磁性ひげぜんまい、CuBe製の、即ち銅-ベリリウム合金、特に2%のベリリウムを有する銅-ベリリウム合金製のてん輪)、常磁性または反磁性素材製の、この場合はそれぞれジルコニア、Phynox、及びPhynox製の、調速システムの3つの真(てん真、アンクル軸、脱進機ピニオン)からなる。このような第一構成において、20000Gの強度を有する磁場において、磁場下での停止が典型的に発生することが注記され、これは例外的であり、従来技術文献(特に特許文献1と特許文献2と、上述の規格)で記載された磁場強度よりも大幅に高い。第二構成において、例えばCuZn21Si3P(第一構成にかかるCuBe製のてん輪の代替として、上述の解決策の1つにかかるいわゆる「Ecobrass」)の、無鉛真鍮製のてん輪の使用もまた、以下に詳細に説明するように、ムーブメントの停止を引き起こす磁場の強度の限界値を、60%以上(35000Gより高くへ)、増加させることを可能にする。出願人による試験は、当該予期せぬ効果は磁場内でのてん輪の運動により誘発される渦電流を介したエネルギー散逸の減少により説明可能であることを実証する傾向にあり、無鉛真鍮「Ecobrass」は、CuBeの電気抵抗率よりも少なくとも2倍高い電気抵抗率を示す。NiP、シリコン、セラミック(ジルコニア等)、またはガラスといった、より高い電気抵抗率の素材の使用は、より高い停止閾値の到達を可能にすることが見込まれる。しかしながら、磁場内の停止閾値は、電気抵抗率と直線的に進展はしない。性質は、他の事項に加えて、構成に(そして特に他の部品に使用される素材、及びまたはてん輪等での渦電流の発生を可能にする部品の存在の可能性に)、またてん輪の形状(連続外縁または非連続外縁)に、依拠する。驚くべきことに、また思いがけず、磁場下での停止閾値の増加は、金属素材の抵抗率が増加するときに、非常に顕著である。(特に半導体または絶縁体の使用により)抵抗率を数桁増加させると、比例的にではないが、磁場条件下での停止閾値を更に増加させる可能性がある。
【0044】
特に無鉛真鍮製のてん輪の使用による影響を分析するため、脱進機と発振器(真、てん輪)の多様な部品変形例を有するムーブメントを使用して、磁場下での停止の性能測定を行った。
【0045】
特に第一構成において、「耐磁性」真が設けられた、第一ムーブメント構成の磁場下の停止への抵抗は、15000Gを超え、超電導磁石を用いた、磁場下での停止が発生する実効強度を判断するための測定は、約10T(100000G)の磁場強度の到達を可能にすることを注記する。
【0046】
<試験した構成>
試験は、2つのムーブメント構成に関し、両者は、3つのパーツ(文字盤と針とを有するムーブメント)について試験が行われた(表1)。2つの構成のムーブメントは、NbZr合金製の常磁性ひげぜんまい、常磁性NiP製のアンクル及びガンギ車プレート、無鉛真鍮「Ecobrass」製のてん輪のプレートを含む。ムーブメントはまた、自動巻き上げ機、スペーサ、及び(真鍮製の基板を有する)文字盤、それに針を含む。
【0047】
【表1】
表1:試験した構成(様々な部品を構成する素材)
【0048】
第一構成を出発点として、CuBe製のてん輪を、無鉛真鍮「Ecobrass」製のてん輪で代替することの潜在的影響を評価することが行われた。
【0049】
<プロトコル>
測定は、磁場の均一性が<±2%の、12T(120000G)までの磁場を適用するため、Oxford Instrumentsの超電導磁石により行われた。作業領域の温度は、20±2℃である。
【0050】
15000Gを超える磁場強度に到達可能にする超電導磁石は、試料の目視を可能としない、という欠点を有する。
【0051】
このため、磁場下での停止は、磁場の様々な強度レベルにおける状態キャプチャで検知された。
- 磁場への暴露前に、ピースは、最適巻き上げ状態(0.5巻き)に巻き上げられ、初期状態キャプチャh0が得られた(基準クロノグラフH0と平行な、00h00でのムーブメントの作動開始)。この初期状態は、E0=h0-H0=0と見做される。
- 所定の磁場の強度への暴露後、特に磁場下での少なくとも20分の機能後、ピースh1と(磁場外に置かれた)基準クロノグラフH1の第二状態キャプチャが得られ、状態は、E1=h1-H1である。
【0052】
検討中の停止検知基準は、状態E1に基づく。取り扱い及び読み上げに関連して、各状態キャプチャについて不確実性の±1分を考慮して、また磁場下の強い歩度ドリフトはこれら状態キャプチャに無視可能な影響しか与えない(磁場下の歩度として1日当たり±5000秒の歩度を考慮すると、測定の30分にわたるドリフトは、約100秒である)と仮定して、E1>-2分の場合、磁場下で停止が無いと見做される。実務上、磁場下の停止のサインは、明らかであり、疑いの余地はないことが注記される。特に、測定された状態差異は、2つの母集団にグループされる。
- 停止無しに対応する、0を中心とする(0から-2分の間の値であり、平均及び標準偏差は、20回の測定にわたり、-0.2±0.5分である)母集団と、
- 磁場下での停止に対応する、-20分を中心とする(-19から-31分の間の値であり、平均及び標準偏差は、11回の測定にわたり-20.5±6.0分である)母集団。
【0053】
当該方法は、異なる平坦域の間で、異なる磁場強度で、連続する暴露を実施することが必要であることを意味する。2T(20000G)の初期磁場が適用され、その後、強度は、0.25Tまたは0.5T(2500Gまたは5000G)で徐々に増加され、最大磁場で少なくとも3分間安定化される。測定は、複数のムーブメントにわたり、同時になされる。
【0054】
<結果>
CuBe製のてん輪の、第一構成:
第一構成の測定のまとめは、磁場下での停止が、2.25Tから2.50T(22500Gと25000Gの間)で発生することを明確に示す。
【0055】
無鉛真鍮「Ecobrass」製のてん輪の、第二構成:
当該構成での唯一の停止は、4Tへの暴露後に示された。3.5Tと4T(35000Gから40000G)の間の、良好な動作は、無鉛真鍮「Ecobrass」製のてん輪、特に無鉛真鍮「Ecobrass」製のてん輪/プレートの組は、第一構成を超える顕著な改善が得られることを明確に示す。
【0056】
このため、試験構成において3つの耐磁性真(てん真、アンクル軸、脱進機ピニオン)があるときに、無鉛真鍮「Ecobrass」製のてん輪により、約60%の限界磁場強度の追加改善が得られる。
【0057】
てん真のみがジルコニア製で、他の2つの真が標準素材(無鉛鋼Finemac)製である場合、CuBe製のてん輪を、無鉛真鍮「Ecobrass」製のてん輪で代替することは、上述の表1の第一構成で測定されたものよりも低い磁場強度値から、ムーブメントを停止させる磁場の強度を倍増させることが可能である。このため、この場合、磁場下の停止の意味で、約2倍の改善が得られる。
【0058】
残留1日当たり歩度(磁場の適用に続く、1日当たり歩度の変動)について、100000Gでの暴露後、1日当たり約1秒の残留歩度が測定された(これは測定誤差内である)。この場合であっても、動作は良好である。
【0059】
結果は、ひげぜんまいと真について、特に調速機(てん輪、アンクル、ガンギ車)の真について、好ましい形状と常磁性または反磁性素材の使用、そしててん輪とそのプレートについては特定の素材の使用、を組み合わせることが非常に有利であることを示す。てん輪の素材の変更の効果は、思いがけないものであり、驚くべきものである。手掛かりは、てん輪とプレートに通常用いられるCuBeよりも、無鉛真鍮は高い抵抗率を有するという事実により与えられる。
【0060】
これは、てん輪-ひげぜんまい発振器といった、磁場内で回転する導電性部品は、渦電流と称される、誘導電流の受容体であるためである。
【0061】
体積の単位で、渦電流の形態で散逸される電力は、以下の数式で与えられる。
【0062】
【0063】
ここでfは磁場変動正弦曲線の周波数であり、Bmaxは正弦波磁場の振幅であり、ρeは素材の電気抵抗率であり、eは(Bに垂直に測定された)厚みである。Bmaxは、電界を発生する、磁場の可変部分の振幅と見做されるべきである。全電力は、P=p×Vであり、ここでVは渦電流に曝される体積である。
【0064】
推定によれば、CuBe製の連続外縁のてん輪を有する時計(第一構成)に適用された、1Tの外部磁場について、4Hzで作動中の調速システム内での渦電流を介した損失は、ガンギ車で得られる電力の半分より大きいことを示す。複雑な発振器形状について、有限要素解析のみが、正確な値を提供可能である。しかしながら、これは渦電流を理由とした損失を最大限制限するために必要な手段を変えることはない。上記数式は、外縁と、可能な場合はてん輪のアームと同様にプレートとに、可能な限り高い電気抵抗率の常磁性または反磁性素材、例えばセラミック、ガラス(Zerodur)または非ドープシリコン、を使用することを提案する。しかしながら、得られた結果は、驚くべきことに、導電性であるがより抵抗率の高い素材の使用により、特に
図1及び2に示すように連続外縁について、実質的な改善を得ることをすでに可能にすることを示している。
【0065】
<素材の選択>
上述のように、渦電流の発生に関連した散逸効果は、部品の電気抵抗率と反比例し、磁場内の調速システムの性能に悪影響を及ぼすことに寄与する。このため、高い電気抵抗率の素材を用いることで、当該損失を除去または少なくとも制限することが可能であるように見える。
【0066】
例えば(「Ecobrass」としても知られる)合金CuZn21Si3Pといった、無鉛真鍮は、約2から3倍高い(表2)抵抗率を有する一方で、同等な単位体積当たり質量(このため当該部品の同じ寸法について、同等なてん輪慣性)を保持することで、銅ベリリウム(CuBe)を超える利点を有する。
【0067】
このため、磁場下で調速システムが曝されるエネルギー損失は、CuBeに関して無鉛真鍮「Ecobrass」を用いることで、2から3倍減少されることを期待することが可能になる。結果は、当該効果が、移動磁場下の停止の強度に関して、立証されたことを示す。
【0068】
【表2】
表2:様々な素材の、単位体積当たり質量と電気抵抗率の比較
【0069】
表2は、少なくともてん輪の外縁または慣性要素を製造するために、他の導電体、または半導体素材または絶縁体を検討することの利点も示す。一般的に、導電体は、1から103μΩ×cmの間の電気抵抗率を、半導体素材は、103から1013μΩ×cmの間の電気抵抗率を、絶縁体は1013μΩ×cmを超える電気抵抗率を示すと推定される(換算率1Ω×m=108μΩ×cm)。
【0070】
ムーブメントの時計部品を製造するために用いられる素材のうち、電着NiP、Si、及びジルコニアZrO2は、とりわけ無鉛真鍮製の部品の性能よりも、より良い性能を得るために、特に有利であるとみられる。しかしながら、このような場合、例えば慣性を増加させるために半導体または絶縁体に堆積された金セグメントの使用といった、低抵抗率金属素材の使用は回避されるべきである。実際、このような使用は、磁場条件下で得られた慣性要素の性能に対して非常に有害である。
【0071】
また、渦電流を介した散逸を限定するために中断されたまたは非連続形状の外縁を使用すること、または異なる素材製のまたは異なる素材を含む複数の部分を含む、特に導電体製の部分の間に介在された半導体素材または絶縁体を含む、外縁を使用すること、も有利である。
【0072】
例えば、異なる素材製のまたは異なる素材を含む、直角放射状方向の部分またはセグメントにより形成された環状外縁を使用することが有利であることもある。代替として、外縁が、(てん輪の真23の軸方向に平行な軸方向に重ねられた)異なる素材の層または部分の連続により形成されることが、例えば異なる電気抵抗率を有する素材の層の、例えば絶縁体と導電体の交互の層の、連続した成長により形成された外縁が、有利であることもある。代替として、外縁が、てん輪の真23に対して半径方向に重ねられた異なる素材の層または部分の連続により形成されることが有利であることもある。更なる代替として、外縁が、異なる素材の、特に異なる電気抵抗率を有する素材の複合材料により形成される、例えば金属導電体が浸透された、連続したネットワークを形成する絶縁セラミックマトリクスの複合材料により形成されることが有利であることもある。
【0073】
上述の研究及び試験により、ジルコニア製のてん輪を有する構成の、磁場下での停止への抵抗に対する、てん輪の素材の影響を、その電気的性質に即して、強調することがとりわけ可能となった。高抵抗率素材の使用は、磁場下での停止の非常に高い値を得ることへの、即ち磁場への抵抗の意味でより良い性能を得ることへの、要であるように見える。
【0074】
連続外縁を有するてん輪の素材を、CuBeの抵抗率(6~8μΩ・cm)の二倍、または三倍(22μΩ・cm)の抵抗率を示す、無鉛真鍮「Ecobrass」へ変更することは、試験を行った2つの変形例において、それぞれ60%と100%の、非常に著しい改善を可能にする。(耐磁性-常磁性または反磁性-素材製の調速機の3つの真、連続外縁を有するてん輪、及び無鉛真鍮「Ecobrass」製のプレートを含む)修正された型番の動力機構で得られた磁場下での停止の値は、35000Gより大きく、これは真に特筆すべきである。加えて、
図1及び2に示すような、一体成形の、同一素材製の、連続環状外縁が設けられた一種の金属から成るてん輪の使用は、非連続外縁または切断外縁または二種の金属から成る外縁を有するてん輪に関連した複雑な機械加工や釣り合わせを扱う必要なく、通常の製造、釣り合わせ、及び組立方法を活用することができる。連続外縁を有する一種の金属から成るてん輪用の、高い電気抵抗率の、特に20μΩ×cmより高い低効率の金属素材の、特に無鉛真鍮、例えばCuZn21Si3P無鉛真鍮の選択は、驚くべきことに、渦電流を減少させることにより、磁場下での時計ムーブメントの挙動を非常に著しく改善することを可能にする。
【0075】
外縁の素材を、NiP、シリコン、セラミック、またはガラスといった、より導電性の低い(より抵抗性の)素材へ変更することは、磁場下での停止の観点から、非常に高い磁場強度に対して低感度の時計を得るために、予期されている。
【0076】
上述の解決策の結果、本発明によれば、発振器2は、好ましくは、発振器及びまたはムーブメント及びまたは時計が、20000G以上の、または35000G以上の、停止が発生する磁場強度値を有するよう、配置された及びまたは構成された部品を含む。
【0077】
同様に、本発明によれば、調速システム100は、好ましくは、調速システム及びまたはムーブメント及びまたは時計が、20000G以上の、または35000G以上の、停止が発生する磁場強度値を有するよう、配置された及びまたは構成された部品を含む。
【0078】
同様に、本発明によれば、ムーブメント200は、好ましくは、ムーブメントが20000G以上の、または35000G以上の、停止が発生する磁場強度値を有するよう、配置された及びまたは構成された部品を含む。
【0079】
同様に、本発明によれば、時計300は、好ましくは、時計が20000G以上の、または35000G以上の、停止が発生する磁場強度値を有するよう、配置された及びまたは構成された部品を含む。有利には、時計は、ムーブメントを包含する(特にミューメタル、パーマロイ、または軟鉄製の)磁気遮蔽を含まない。
【0080】
当該停止が発生する磁場強度値は、上述のプロトコルに関連する停止検知基準に従って定義される。いずれにせよ、当該プロトコルは、発振器単体に、または調速システム単体に、または時計ムーブメント単体に、または時計に対して、(必要に応じた修正を含めて)適用される。
【0081】
このように、上述の慣性要素、発振器、または調速システムは、
- 磁場に対する抵抗、及びまたは
- 停止磁場強度値、
を向上させるために、時計ムーブメントまたは時計内に使用可能である。
【0082】
実施形態や変形例が何であれ、外縁は、検討対象である外縁の場所にかかわらず、同一または実質的に同一の(てん輪旋回軸を通過する平面内での)断面形状を有してもよい。例えば、外縁は、不平衡及びまたは慣性を調節する手段の高さにおける、
- (てん輪の軸に対して)半径方向に外縁を通過して延長し、調節ねじを受けることが意図される、ねじ穴、及びまたは
- (てん輪の軸に対して)半径方向に延長し、調節ナットを受けることが意図される、外縁に固定されたスタッド、
といった、自身の断面の変化のみを有してもよい。
代替的に、外縁は、不平衡及びまたは慣性を調節する手段を有さず、外縁の場所にかかわらず同一または実質的に同一の断面形状を有してもよい。
【0083】
実施形態や変形例が何であれ、外縁は、
- 全てん輪を含む、より小さい半径Rの第一円筒と、
- (第一円筒と同軸の)0.9×Rより大きな半径を有する、第二円筒と、
の間に含まれてもよい。
【0084】
特に、段やスタッドといった、不平衡及びまたは慣性を調節する手段の高さでの断面の変化を除き、外縁の環状部は、
- 全てん輪を含む、より小さい半径Rの第一円筒と、
- (第一円筒と同軸の)0.9×Rより大きな半径を有する、第二円筒と、
の間に含まれてもよい。
【0085】
実施形態や変形例が何であれ、外縁は、てん輪の旋回軸周りの慣性モーメントの少なくとも85%を構成してもよい。
【0086】
特に、段やスタッドといった、不平衡及びまたは慣性を調節する手段の高さでの断面の変化を除き、また不平衡及びまたは慣性を調節する手段を除き、外縁の環状部は、てん輪の旋回軸周りの慣性モーメントの少なくとも85%を構成してもよい。
【0087】
実施形態や変形例が何であれ、てん輪は、好ましくは、
- 外縁と、
- ハブと、
- ハブへ外縁を機械的に連結するアームと、
- 任意で、てん輪の不平衡及びまたは慣性を調節する手段、
のみを含む構成を有する。
【国際調査報告】