IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーチャード セラピューティクス(ヨーロッパ)リミテッドの特許一覧

特表2024-533361自己免疫疾患を治療または予防するための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】自己免疫疾患を治療または予防するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/28 20150101AFI20240905BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 5/0789 20100101ALI20240905BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20240905BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 5/16 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 5/44 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
A61K35/28
C12N5/10 ZNA
C12N5/0789
C12N15/86 Z
C12N15/11 Z
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/85 Z
C12N7/01
C12N15/867 Z
A61P37/02
A61K35/545
A61P3/10
A61P17/14
A61P19/08
A61P7/06
A61P1/16
A61P9/00
A61P17/00
A61P25/00
A61P1/04
A61P7/00
A61P21/00
A61P5/16
A61P5/14
A61P43/00 105
A61P13/12
A61P19/02
A61P27/16
A61P21/04
A61P27/02
A61P17/06
A61P35/00
A61P5/44
A61K48/00
C12N15/09 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515336
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022076137
(87)【国際公開番号】W WO2023039489
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,836
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521529868
【氏名又は名称】オーチャード セラピューティクス(ヨーロッパ)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフェ,ジア,エル.
(72)【発明者】
【氏名】マークス-ブルース,ジョナサン,シメオン
(72)【発明者】
【氏名】ガスパー,ボビー
(72)【発明者】
【氏名】サグー,パーヴィンダー
(72)【発明者】
【氏名】レッキ,キアラ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA92X
4B065AA92Y
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AA97X
4B065AB01
4B065AC12
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA02
4C084ZA33
4C084ZA34
4C084ZA36
4C084ZA51
4C084ZA55
4C084ZA68
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA92
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZB07
4C084ZB15
4C084ZB21
4C084ZB26
4C084ZC06
4C084ZC08
4C084ZC35
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB44
4C087BB65
4C087CA12
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA02
4C087ZA33
4C087ZA34
4C087ZA36
4C087ZA51
4C087ZA55
4C087ZA68
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA92
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB15
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZC06
4C087ZC08
4C087ZC35
(57)【要約】
自己免疫疾患を有するか、またはそれを発症するリスクのある対象を治療するための組成物及び方法が本明細書に記載される。本開示の組成物及び方法を使用して、患者は、CD4+CD25+調節T(Treg)細胞(例えば、Foxp3プロモーター)において活性である系統特異的転写調節エレメントの制御下で、自己抗原結合部分(例えば、キメラ抗原受容体)を発現するように遺伝子修飾される多能性造血細胞を提供され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫疾患の治療または予防を必要とする患者においてそれを行う方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団を前記患者に投与することを含み、前記核酸カセットが、CD4+CD25+調節T(Treg)細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記方法。
【請求項2】
自己免疫疾患を有すると診断された患者において自己反応性エフェクター免疫細胞の集団の活性及び/または増殖を抑制する方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団を前記患者に投与することを含み、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記方法。
【請求項3】
自己免疫疾患を有すると診断された患者において自己反応性エフェクター免疫細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団を前記患者に投与することを含み、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記方法。
【請求項4】
自己免疫疾患を有すると診断された患者において自己免疫応答から内因性組織を保護する方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団を前記患者に投与することを含み、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記方法。
【請求項5】
自己免疫疾患を有すると診断された患者において炎症を低減させる方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団を前記患者に投与することを含み、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記方法。
【請求項6】
前記多能性造血細胞が、造血幹細胞(HSC)または造血前駆細胞(HPC)である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記多能性造血細胞が、胚幹細胞である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記多能性造血細胞が、人工多能性幹細胞である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記多能性造血細胞が、リンパ系前駆細胞である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記多能性造血細胞が、CD34+細胞である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記多能性造血細胞の集団が、前記患者に全身投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記多能性造血細胞の集団が、前記患者に静脈内注射によって投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記多能性造血細胞が、前記患者に対して自己由来である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記多能性造血細胞が、前記患者に対して同種異系である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記多能性造血細胞は、前記患者とHLAが一致している、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記多能性造血細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含むウイルスベクターを用いてエクスビボで形質導入される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記多能性造血細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含むポリヌクレオチドを用いてエクスビボでトランスフェクトされる、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記多能性造血細胞が、前記細胞のゲノム内の標的位置で一本鎖切断または二本鎖切断を触媒するヌクレアーゼを前記細胞に送達することによって得られる、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ヌクレアーゼが、前記細胞のゲノム内の前記標的位置にハイブリダイズするガイドRNA(gRNA)と組み合わせて前記細胞に送達される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ヌクレアーゼが、クラスター化された規則的な間隔の短い回文構造の反復(CRISPR)関連タンパク質である、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記CRISPR関連タンパク質が、CRISPR関連タンパク質9(Cas9)またはCRISPR関連タンパク質12a(Cas12a)である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞が前記ヌクレアーゼと接触している間に、前記細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含む鋳型ポリヌクレオチドと更に接触する、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記鋳型ポリヌクレオチドが、相同組換えを促進するために、前記標的位置に対して5’に位置する核酸配列及び前記標的位置に対して3’に位置する核酸配列に十分に類似する核酸配列をそれぞれ有する5’相同性アーム及び3’相同性アームを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドが、前記細胞を、前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターと接触させることによって、前記細胞に送達される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、Foxp3プロモーターを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記Foxp3プロモーターが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記Foxp3プロモーターが、転写因子Nr4a及び/またはFoxoに特異的に結合する、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS1エンハンサーを含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記CNS1エンハンサーが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、もしくは配列番号8の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記CNS1エンハンサーが、転写因子AP-1、NFAT、Smad3、及び/またはFoxoに特異的に結合する、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS2エンハンサーを含む、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記CNS2エンハンサーが、配列番号9、配列番号10、配列番号11、もしくは配列番号12の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記CNS2エンハンサーが、転写因子Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及び/またはc-Relに特異的に結合する、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS3エンハンサーを含む、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記CNS3エンハンサーが、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記CNS3エンハンサーが、転写因子Foxo及び/またはc-Relに特異的に結合する、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS0エンハンサーを含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記CNS0エンハンサーが、配列番号17、配列番号18、配列番号19、もしくは配列番号20の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記CNS0エンハンサーが、転写因子Satb1及び/またはStat5に特異的に結合する、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記自己抗原結合タンパク質が、一本鎖ポリペプチドである、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記自己抗原結合タンパク質が、キメラ抗原受容体(CAR)である、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記自己抗原結合タンパク質が、多鎖タンパク質である、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記自己抗原結合タンパク質が、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、またはF(ab’)分子である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記自己免疫疾患が、I型糖尿病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、若年性関節炎、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、視神経脊髄炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、またはウェゲナー肉芽腫症である、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記自己抗原が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、アクアポリン4、アクチン、チューブリン、ミオシン、トロポミオシン、ビメンチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ヘパリン、ラミニン、コラゲナーゼ、カルジオリピン、グルコセレブロシド、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、エノラーゼ、アルドラーゼ、酸性ホスファターゼ、アネキシン33kDa、アネキシン67kDa、シトクロムP450C、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、リボヌクレアーゼ、ヒストンII A、二本鎖DNA、一本鎖DNA、トランスフェリン、フェツイン、第II因子、第VII因子、フィブリン、フィブリノーゲン、C1、C1q、インターロイキン2、インターロイキン10、インターロイキン4、インターフェロンγ、TNFαR、HSP60、HSP65、GAD、インスリン、IA-2、ZnT8、MBP、AchR、ミオグロブリン、サイログロブリン、ヘモグロビンA、スペクトリン、TB PPD、LPS、MuSK、LRP4、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、チロトロピン受容体、または甲状腺で発現されるタンパク質である、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記自己免疫疾患が、多発性硬化症であり、前記自己抗原が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記自己免疫疾患が、I型糖尿病であり、前記自己抗原が、インスリン、GAD-65、IA-2、またはZnT8である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記自己免疫疾患が、関節リウマチであり、前記自己抗原が、コラーゲンII、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、またはHSP65である、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記自己免疫疾患が、重症筋無力症であり、前記自己抗原が、AChR、MuSK、またはLRP4である、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記自己免疫疾患が、狼瘡であり、前記自己抗原が、ヒストンII Aである、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記自己免疫疾患が、甲状腺機能低下症であり、前記自己抗原が、甲状腺で発現されるタンパク質である、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記自己免疫疾患が、グレーブス病であり、前記自己抗原が、前記チロトロピン受容体である、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記自己免疫疾患が、尋常性天疱瘡であり、前記自己抗原が、二本鎖DNAである、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記自己免疫疾患が、乾癬であり、前記自己抗原が、二本鎖DNAである、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
前記自己免疫疾患が、視神経脊髄炎であり、前記自己抗原が、アクアポリン4である、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
前記多能性造血細胞の集団を前記患者に投与すると、前記投与された細胞またはその子孫が、CD4+CD25+Treg細胞に分化する、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記患者が、哺乳動物であり、前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項1~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記哺乳動物が、ヒトであり、前記細胞が、ヒト細胞である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
医薬組成物であって、(i)自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団であって、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記多能性造血細胞の集団、及び(ii)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含む、前記医薬組成物。
【請求項60】
前記多能性造血細胞が、HSCまたはHPCである、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記多能性造血細胞が、胚幹細胞である、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記多能性造血細胞が、人工多能性幹細胞である、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記多能性造血細胞が、リンパ系前駆細胞である、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記多能性造血細胞が、CD34+細胞である、請求項59~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記多能性造血細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含むウイルスベクターを用いてエクスビボで形質導入される、請求項59~64のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記多能性造血細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含むポリヌクレオチドを用いてエクスビボでトランスフェクトされる、請求項59~64のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項67】
前記多能性造血細胞が、前記細胞のゲノム内の標的位置で一本鎖切断または二本鎖切断を触媒するヌクレアーゼを前記細胞に送達することによって得られる、請求項59~64のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項68】
前記ヌクレアーゼが、前記細胞のゲノム内の前記標的位置にハイブリダイズするgRNAと組み合わせて前記細胞に送達される、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項69】
前記ヌクレアーゼが、CRISPR関連タンパク質である、請求項67または68に記載の医薬組成物。
【請求項70】
前記CRISPR関連タンパク質が、Cas9またはCas12aである、請求項69に記載の医薬組成物。
【請求項71】
前記細胞が前記ヌクレアーゼと接触している間に、前記細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含む鋳型ポリヌクレオチドと更に接触する、請求項67~70のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項72】
前記鋳型ポリヌクレオチドが、相同組換えを促進するために、前記標的位置に対して5’に位置する核酸配列及び前記標的位置に対して3’に位置する核酸配列に十分に類似する核酸配列をそれぞれ有する5’相同性アーム及び3’相同性アームを含む、請求項71に記載の医薬組成物。
【請求項73】
前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドが、前記細胞を、前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターと接触させることによって、前記細胞に送達される、請求項71または72に記載の医薬組成物。
【請求項74】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、Foxp3プロモーターを含む、請求項59~73のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項75】
前記Foxp3プロモーターが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項74に記載の医薬組成物。
【請求項76】
前記Foxp3プロモーターが、転写因子Nr4a及び/またはFoxoに特異的に結合する、請求項74または75に記載の医薬組成物。
【請求項77】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS1エンハンサーを含む、請求項59~76のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項78】
前記CNS1エンハンサーが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、もしくは配列番号8の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項77に記載の医薬組成物。
【請求項79】
前記CNS1エンハンサーが、転写因子AP-1、NFAT、Smad3、及び/またはFoxoに特異的に結合する、請求項77または78に記載の医薬組成物。
【請求項80】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS2エンハンサーを含む、請求項59~79のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項81】
前記CNS2エンハンサーが、配列番号9、配列番号10、配列番号11、もしくは配列番号12の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項80に記載の医薬組成物。
【請求項82】
前記CNS2エンハンサーが、転写因子Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及び/またはc-Relに特異的に結合する、請求項80または81に記載の医薬組成物。
【請求項83】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS3エンハンサーを含む、請求項59~82のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項84】
前記CNS3エンハンサーが、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項83に記載の医薬組成物。
【請求項85】
前記CNS3エンハンサーが、転写因子Foxo及び/またはc-Relに特異的に結合する、請求項83または84に記載の医薬組成物。
【請求項86】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS0エンハンサーを含む、請求項59~85のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項87】
前記CNS0エンハンサーが、配列番号17、配列番号18、配列番号19、もしくは配列番号20の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項86に記載の医薬組成物。
【請求項88】
前記CNS0エンハンサーが、転写因子Satb1及び/またはStat5に特異的に結合する、請求項86または87に記載の医薬組成物。
【請求項89】
前記自己抗原結合タンパク質が、一本鎖ポリペプチドである、請求項59~88のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項90】
前記自己抗原結合タンパク質が、CARである、請求項59~89のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項91】
前記自己抗原結合タンパク質が、多鎖タンパク質である、請求項59~88のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項92】
前記自己抗原結合タンパク質が、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、またはF(ab’)分子である、請求項91に記載の医薬組成物。
【請求項93】
前記自己抗原が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、アクチン、チューブリン、ミオシン、トロポミオシン、ビメンチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ヘパリン、ラミニン、コラゲナーゼ、カルジオリピン、グルコセレブロシド、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、エノラーゼ、アルドラーゼ、酸性ホスファターゼ、アネキシン33kDa、アネキシン67kDa、シトクロムP450C、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、リボヌクレアーゼ、ヒストンII A、二本鎖DNA、一本鎖DNA、トランスフェリン、フェツイン、第II因子、第VII因子、フィブリン、フィブリノーゲン、C1、C1q、インターロイキン2、インターロイキン10、インターロイキン4、インターフェロンγ、TNFαR、HSP60、HSP65、GAD、インスリン、IA-2、ZnT8、MBP、AchR、ミオグロブリン、サイログロブリン、ヘモグロビンA、スペクトリン、TB PPD、LPS、MuSK、LRP4、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、チロトロピン受容体、または甲状腺で発現されるタンパク質である、請求項59~92のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項94】
請求項59~93のいずれか1項に記載の医薬組成物を含むキットであって、前記キットが、前記キットの使用者に、自己免疫疾患を有するヒト患者に前記医薬組成物を投与するように指示する添付文書を更に含む、前記キット。
【請求項95】
前記添付文書が、前記キットの使用者に、請求項1~58のいずれか1項に記載の方法を実施するように指示する、請求項94に記載のキット。
【請求項96】
自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットであって、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記核酸カセット。
【請求項97】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、Foxp3プロモーターを含む、請求項96に記載の核酸カセット。
【請求項98】
前記Foxp3プロモーターが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項97に記載の核酸カセット。
【請求項99】
前記Foxp3プロモーターが、転写因子Nr4a及び/またはFoxoに特異的に結合する、請求項97または98に記載の核酸カセット。
【請求項100】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS1エンハンサーを含む、請求項96~99のいずれか1項に記載の核酸カセット。
【請求項101】
前記CNS1エンハンサーが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、もしくは配列番号8の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項100に記載の核酸カセット。
【請求項102】
前記CNS1エンハンサーが、転写因子AP-1、NFAT、Smad3、及び/またはFoxoに特異的に結合する、請求項100または101に記載の核酸カセット。
【請求項103】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS2エンハンサーを含む、請求項96~102のいずれか1項に記載の核酸カセット。
【請求項104】
前記CNS2エンハンサーが、配列番号9、配列番号10、配列番号11、もしくは配列番号12の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項103に記載の核酸カセット。
【請求項105】
前記CNS2エンハンサーが、転写因子Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及び/またはc-Relに特異的に結合する、請求項103または104に記載の核酸カセット。
【請求項106】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS3エンハンサーを含む、請求項96~105のいずれか1項に記載の核酸カセット。
【請求項107】
前記CNS3エンハンサーが、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項106に記載の核酸カセット。
【請求項108】
前記CNS3エンハンサーが、転写因子Foxo及び/またはc-Relに特異的に結合する、請求項106または107に記載の核酸カセット。
【請求項109】
前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS0エンハンサーを含む、請求項96~108のいずれか1項に記載の核酸カセット。
【請求項110】
前記CNS0エンハンサーが、配列番号17、配列番号18、配列番号19、もしくは配列番号20の核酸配列、またはそれと少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項109に記載の核酸カセット。
【請求項111】
前記CNS0エンハンサーが、転写因子Satb1及び/またはStat5に特異的に結合する、請求項109または110に記載の核酸カセット。
【請求項112】
前記自己抗原結合タンパク質が、一本鎖ポリペプチドである、請求項96~111のいずれか1項に記載の核酸カセット。
【請求項113】
前記自己抗原結合タンパク質が、CARである、請求項96~112のいずれか1項に記載の核酸カセット。
【請求項114】
前記自己抗原結合タンパク質が、多鎖タンパク質である、請求項96~111のいずれか1項に記載の核酸カセット。
【請求項115】
前記自己抗原結合タンパク質が、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、またはF(ab’)分子である、請求項114に記載の核酸カセット。
【請求項116】
前記自己抗原が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、アクチン、チューブリン、ミオシン、トロポミオシン、ビメンチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ヘパリン、ラミニン、コラゲナーゼ、カルジオリピン、グルコセレブロシド、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、エノラーゼ、アルドラーゼ、酸性ホスファターゼ、アネキシン33kDa、アネキシン67kDa、シトクロムP450C、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、リボヌクレアーゼ、ヒストンII A、二本鎖DNA、一本鎖DNA、トランスフェリン、フェツイン、第II因子、第VII因子、フィブリン、フィブリノーゲン、C1、C1q、インターロイキン2、インターロイキン10、インターロイキン4、インターフェロンγ、TNFαR、HSP60、HSP65、GAD、インスリン、IA-2、ZnT8、MBP、AchR、ミオグロブリン、サイログロブリン、ヘモグロビンA、スペクトリン、TB PPD、LPS、MuSK、LRP4、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、チロトロピン受容体、または甲状腺で発現されるタンパク質である、請求項96~115のいずれか1項に記載の核酸カセット。
【請求項117】
請求項96~116のいずれか1項に記載の核酸カセットを含む、ウイルスベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、XML形式で電子的に提出されている配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。当該XMLコピーは、2022年8月24日に作成され、51139-032WO2_Sequence_Listing_8_24_22という名称であり、25,567バイトのサイズである。
【0002】
本開示は、遺伝子修飾された多能性造血細胞に由来する調節T細胞による自己免疫疾患を治療するための方法、及びかかる方法で使用され得る組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
調節T(Treg)細胞は、免疫応答を抑制する上で重要な役割を果たし、それによって恒常性及び自己寛容を維持するT細胞のサブセットである。Treg欠損症または機能不全は、いくつかの自己免疫疾患の病理に関与しており、Treg細胞療法は、これらの疾患のための潜在的な治療パラダイムとして調査されている。Treg細胞療法の開発は、Treg細胞の耐久性、安定性、実行可能性、製造、及び投薬量に関連する困難によって妨げられている。自己免疫疾患の治療のための改善されたTreg細胞療法の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、自己免疫疾患の治療のための組成物及び方法に関する。第1の態様では、本開示は、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性細胞の集団を患者に投与することによって、自己免疫疾患の治療または予防を必要とする患者(例えば、ヒト患者などの哺乳動物患者)においてそれを行う方法を提供する。核酸カセットは、CD4+CD25+調節T(Treg)細胞において活性である(すなわち、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)と比較して、Treg系統の細胞において優先的に活性である)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結していてよい。
【0005】
更なる態様では、本開示は、自己免疫疾患を有すると診断された患者(例えば、ヒト患者などの哺乳動物患者)において自己反応性エフェクター免疫細胞の集団の活性及び/または増殖を抑制する方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性細胞の集団を患者に投与する工程を含む、方法を提供する。核酸カセットは、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結していてよい。
【0006】
別の態様では、本開示は、自己免疫疾患を有すると診断された患者(例えば、ヒト患者などの哺乳動物患者)において自己反応性エフェクター免疫細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性細胞の集団を患者に投与する工程を含む、方法を提供する。核酸カセットは、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結していてよい。
【0007】
別の態様では、本開示は、自己免疫疾患を有すると診断された患者(例えば、ヒト患者などの哺乳動物患者)において自己免疫応答から内因性組織を保護する方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性細胞の集団を患者に投与する工程を含む、方法を提供する。核酸カセットは、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結していてよい。
【0008】
別の態様では、本開示は、自己免疫疾患を有すると診断された患者(例えば、ヒト患者などの哺乳動物患者)において炎症を低減させる方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性細胞の集団を患者に投与する工程を含む、方法を提供する。核酸カセットは、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結していてよい。
【0009】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、多能性細胞は、多能性造血細胞(例えば、造血幹細胞(HSC)または造血前駆細胞(HPC))である。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、胚幹細胞である。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、人工多能性幹細胞である。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、リンパ系前駆細胞である。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、CD34+細胞(例えば、HSC)である。
【0010】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞の集団は、患者に全身投与される。例えば、多能性造血細胞の集団は、患者に静脈内注射によって投与され得る。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞の集団は、患者に局所投与される。
【0011】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、患者に対して自己由来である。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、患者に対して同種異系である(例えば、HLAが一致した同種異系細胞)。
【0012】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞(例えば、HSC、HPC、胚幹細胞、人工多能性幹細胞、リンパ系前駆細胞、及び/またはCD34+細胞)は、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含むウイルスベクターを用いてエクスビボで形質導入される。
【0013】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、レトロウイルス科ファミリーウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、及びポックスウイルスからなる群から選択されるウイルスベクターで形質導入される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターは、アルファレトロウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。
【0014】
いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターは、中央ポリプリン帯、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び、3’-自己不活性化LTRを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、偽型ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型レトロウイルス科ファミリーウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、偽型レンチウイルスベクターである。
【0016】
いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、RD114ウイルス、マウス白血病ウイルス(MLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、ヒトフォーミーウイルス(HFV)、ウォールアイ皮膚肉腫ウイルス(WDSV)、セムリキ森林ウイルス(SFV)、狂犬病ウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、シンノンブルウイルス(SNV)、チェリーねじれリーフウイルス(ChTLV)、サルT細胞白血病ウイルス(STLV)、マソン・ファイザーサルウイルス(MPMV)、リスサルレトロウイルス(SMRV)、ラウス関連ウイルス(RAV)、藤浪肉腫ウイルス(FuSV)、トリ癌腫ウイルス(MH2)、トリ脳脊髄炎ウイルス(AEV)、アルファモザイクウイルス(AMV)、トリ肉腫ウイルスCT10、及びウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)から選択されるウイルス由来のエンベロープタンパク質を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、VSV-Gエンベロープタンパク質を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞(例えば、HSC、HPC、胚幹細胞、人工多能性幹細胞、リンパ系前駆細胞、及び/またはCD34+細胞)は、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含むポリヌクレオチドを用いてエクスビボでトランスフェクトされる。
【0019】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、カチオン性ポリマー、ジエチルアミノエチルデキストラン、ポリエチレンイミン、カチオン性脂質、リポソーム、リン酸カルシウム、活性化デンドリマー、及び/または磁気ビーズを使用してトランスフェクトされる。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクション、スクイーズポレーション(squeeze-poration)、ソノポーレーション、オプティカルトランスフェクション(optical transfection)、磁気フェクション、及び/またはインペールフェクション(impalefection)によってトランスフェクトされる。
【0020】
いくつかの実施形態では、核酸カセットは、転移性エレメントの一部である。いくつかの実施形態では、核酸カセットは、多能性造血細胞のデオキシリボ核酸(DNA)分子への組み込みのためのトランスポザーゼ認識及び切断エレメントを含む。いくつかの実施形態では、DNA分子は、核DNA分子またはミトコンドリアDNA分子であり、トランスポザーゼ認識及び切断エレメントは、核DNA分子またはミトコンドリアDNA分子への組み込みを促進する。
【0021】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、細胞のゲノム内の標的位置で一本鎖切断または二本鎖切断を触媒するヌクレアーゼを細胞に送達することによって得られる。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、細胞のゲノム内の標的位置にハイブリダイズするガイドRNA(gRNA)と組み合わせて細胞に送達される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、クラスター化された規則的な間隔の短い回文構造の反復(CRISPR)関連タンパク質である。例えば、いくつかの実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、CRISPR関連タンパク質9(Cas9)またはCRISPR関連タンパク質12a(Cas12a)である。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである。
【0022】
いくつかの実施形態では、細胞がヌクレアーゼと接触している間に、細胞は、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む鋳型ポリヌクレオチドと更に接触する。いくつかの実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、相同組換えを促進するために、標的位置に対して5’に位置する核酸配列及び標的位置に対して3’に位置する核酸配列に十分に類似する核酸配列をそれぞれ有する5’相同性アーム及び3’相同性アームを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドは、細胞を、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターと接触させることによって、細胞に送達される。
【0024】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターは、AAV、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、またはレトロウイルス科ファミリーウイルスである。
【0025】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターは、レトロウイルス科ファミリーウイルスである。いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスは、レンチウイルスベクター、アルファレトロウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするレトロウイルス科ファミリーウイルスは、中央ポリプリン帯、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターは、組み込み欠損性のレンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAVrh74からなる群から選択されるAAVである。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、Foxp3プロモーターを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列を有する。
【0029】
配列番号1
TTCCCATCCACACATAGAGCTTCAGATTCTCTTTCTTTCCCCAGAGACCCTCAAATATCCTCTCACTCACAGAATGGTGTCTCTGCCTGCCTCGGGTTGGCCCTGTGATTTATTTTAGTTCTTTTCCCTTGTTTTTTTTTTTTCAAACTCTATACACTTTTGTTTTAAAAACTGTGGTTTCTCATGAGCCCTATTATCTCATTGATACCTCTCACCTCTGTGGTGAGGGGAAGAAATCATATTTTCAGATGACTCGTAAAGGGCAAAGAAAAAAACCCAAAATTTCAAAATTTCCGTTTAAGTCTCATAATCAAGAAAAGGAGAAACACAGAGAGAGAGAAAAAAAAAACTATGAGAACCCCCCCCCACCCCGTGATTATCAGCGCACACACTCATCGAAAAAAATTTGGATTATTAGAAGAGAGAGGTCTGCGGCTTCCACACCGTACAGCGTGGTTTTTCTTCTCGGTATAAAAGCAAAGTTGTTTTTGATACGTGACAGTTTCCCACAAGCCAGGCTGATCCTTTTCTGTCAGTCCACTTCACCAAGGTGAGTGTCCCTGCTCTCCCCTACCAGATGTGGGCCCCATTGGAGGAGATGGCAGGGAGGTAGGCACGGCGGGGGGGTCAGGGGCCCTCTGGTACAGTGGGATGTACCCAGCTACCGTGATTCCAGCCAGGTAAGGTCT
【0030】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列を有する。
【0031】
配列番号2
GCTTCAGATTCTCTTTCTTTCCCCAGAGACCCTCAAATATCCTCTCACTCACAGAATGGTGTCTCTGCCTGCCTCGGGTTGGCCCTGTGATTTATTTTAGTTCTTTTCCCTTGTTTTTTTTTTTTCAAACTCTATACACTTTTGTTTTAAAAACTGTGGTTTCTCATGAGCCCTATTATCTCATTGATACCTCTCACCTCTGTGGTGAGGGGAAGAAATCATATTTTCAGATGACTCGTAAAGGGCAAAGAAAAAAACCCAAAATTTCAAAATTTCCGTTTAAGTCTCATAATCAAGAAAAGGAGAAACACAGAGAGAGAGAAAAAAAAAACTATGAGAACCCCCCCCCACCCCGTGATTATCAGCGCACACACTCATCGAAAAAAATTTGGATTATTAGAAGAGAGAGGTCTGCGGCTTCCACACCGTACAGCGTGGTTTTTCTTCTCGGTATAAAAGCAAAGTTGTTTTTGATACGTGAC
【0032】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列を有する。
【0033】
配列番号3
GCTTCAGATCCCTTCTTCTGTTCAACCCAGCGATCCTCCAACGTCTCACAAACACAATGCTGTCTCTACCTGCCTCGGGATGCCTTTGTGATTTGACTTATTTTCCCTCAGTTTTTTTTTTCTGACTCTACACACTTTTGTTTAAGAAATTGTGGTTTCTCATGAGCCCTGTTATCTCATTGATACCTTTTACCTCTGTGGTGAGGGGAAGAAATCATATTTTCAGATGACTTGTAAAGGGCAAAGAAAAAACCCAAAATTTCAAAATTTCCGTTTAAGTCTCATAAGAAAAGAATAAACAAAGTAAGAGAGCAAAGAAAAAAAAACTACAAGAACCCCCCCCCCACCCTGCAATTATCAGCACACACACTCATCAAAAAAAAATTGGATTATTAGAAGAGCGAGGTCTGCGGCTTCCAC
【0034】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列を有する。
【0035】
配列番号4
GCTTCAGATTCTCTTTCTTTCCCCAGAGACCCTCAAATATCCTCTCACTCACAGAATGGTGTCTCTGCCTGCCTCGGGTTGGCCCTGTGATTTATTTTAGTTCTTTTCCCTTGTTTTTTTTTTTTCAAACTCTATACACTTTTGTTTTAAAAACTGTGGTTTCTCATGAGCCCTATTATCTCATTGATACCTCTCACCTCTGTGGTGAGGGGAAGAAATCATATTTTCAGATGACTCGTAAAGGGCAAAGAAAAAAACCCAAAATTTCAAAATTTCCGTTTAAGTCTCATAATCAAGAAAAGGAGAAACACAGAGAGAGAGAAAAAAAAAACTATGAGAACCCCCCCCCACCCCGTGATTATCAGCGCACACACTCATCGAAAAAAATTTGGATTATTAGAAGAGAGAGGTCTGCGGCTTCCAC
【0036】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、転写因子Nr4a及び/またはFoxoに特異的に結合する。
【0037】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS1エンハンサーを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列を有する。
【0039】
配列番号5
TTTAAGTCTTTTGCACTTGAAAATGAGATAACTGTTCACCCCATGTTGGCTTCCAGTCTCCTTTATGGCTTCATTTTTTCCATTTACTGCAGAGGTCAAAAGTGTGGGTATGGGAGCCAGACTGTCTGGAACAACCTAGCCTCAACTCAA
【0040】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列を有する。
【0041】
配列番号6
AAGTCCTTTCCTACTTGAAAATGAGATAAATGTTCACCTATGTTGGCTTCTAGTCTCTTTTATGGCTTCATTTTTTCCATTTACTATAGAGGTTAAGAGTGTGGGTACTGGAGCCAGACTGTCTGGGACAAACCCAGCGTCACCCCAA
【0042】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列を有する。
【0043】
配列番号7
TAGATTACTCTTTTCTTGTGGGGCTTCTGTGTATGGTTTTGTGTTTTAAGTCTTTTGCACTTGAAAATGAGATAACTGTTCACCCCATGTTGGCTTCCAGTCTCCTTTATGGCTTCATTTTTTCCATTTACTGCAGAGGTCAAAAGTGTGGGTATGGGAGCCAGACTGTCTGGAACAACCTAGCCTCAACTCAAGTCATCTGTGTGAATTTTACCCAGGCTCTTAACCTCTCTGTACCTCCATTTCCTCGTATGTACTGTGATGATTATAACAGTACCTACCTCAGAGGATCTTTCTGAGGATTATTTTTATTAATGATGGTAGGTGCTCAGCACAAGGCC
【0044】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列を有する。
【0045】
配列番号8
TAGGTTAGTCTTTTTTTCTGTGGCTTCTGTCTCTGGTTTTGTGCTTAGAAAGTCCTTTCCTACTTGAAAATGAGATAAATGTTCACCTATGTTGGCTTCTAGTCTCTTTTATGGCTTCATTTTTTCCATTTACTATAGAGGTTAAGAGTGTGGGTACTGGAGCCAGACTGTCTGGGACAAACCCAGCGTCACCCCAAGCCCTATGTGTGATTTTTAGCCAGGCACTTAACCTCTCCATACCTCCATTTCCTCATATGTACTGCAATGGTTATAATAGTACCTTCCTCAGGAGTCTTTGTTTAGATTAAAATTTTTAACCACAGTAAATACTTAGCACAAGGCC
【0046】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、転写因子AP-1、NFAT、Smad3、及び/またはFoxoに特異的に結合する。
【0047】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS2エンハンサーを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列を有する。
【0049】
配列番号9
CAGATGGACGTCACCTACCACATCCGCTAGCACCCACATCACCCTACCTGGGCCTATCCGGCTACAGGATAGACTAGCCACTTCTCGGAACGAAACCTGTGGGGTAGATTATCTGCCCCCTTCTCTTCCTCCTTGTTGCCGATGAAGCCCAATGCATCCGGCCGCCATGACGTCAATGGCAGAAAAATCTGGCCAAGTTCAGGTTGTGACAACAGGGCCCAGATGTAGACCCCGATAGGAAAACATATTCTATGTCCCAGAAACAACCTCCATACAGCTTCTAAGAAACAGTCAAACAGGAACGCCCCAACAGACAGTGCAGGAAGCTGGCTGGCCAGCCCAGCCCTCCAGGTCCCTAGTACCACTAGACAGACCATATCCAATTCAGGTCCTCTTTCTGAGA
【0050】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列を有する。
【0051】
配列番号10
CAGATGGACATCACCTACCACATCCACCAGCACCCATGTCACCCCACCTGGGCCAAGCCTGCTGCAGGACAGGGCAGCCAGTTCTCGGAACGAAACCTGTGGGGTGGGGTATCTGCCCTCTTCTCTTCCTCCGTGGTGTCGATGAAGCCCGGCGCATCCGGCCGCCATGACGTCAATGGCGGAAAAATCTGGGCAAGTCGGGGGCTGTGACAACAGGGCCCAGATGCAGACCCCGATATGAAAACATAATCTGTGTCCCAGAAACATCCCCCATTCAGCTTCTGAGAAACCCAGTCAGAAAGGGACGTCCCAACAGACAGTGCAGGAAGCCGGCTGCCCAGCCCGGCCCTCTAGGTCCTCTACCCCCAGACAGATCATCTCCA
【0052】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列を有する。
【0053】
配列番号11
TGGGTTTTGCATGGTAGCCAGATGGACGTCACCTACCACATCCGCTAGCACCCACATCACCCTACCTGGGCCTATCCGGCTACAGGATAGACTAGCCACTTCTCGGAACGAAACCTGTGGGGTAGATTATCTGCCCCCTTCTCTTCCTCCTTGTTGCCGATGAAGCCCAATGCATCCGGCCGCCATGACGTCAATGGCAGAAAAATCTGGCCAAGTTCAGGTTGTGACAACAGGGCCCAGATGTAGACCCCGATAGGAAAACATATTCTATGTCCCAGAAACAACCTCCATACAGCTTCTAAGAAACAGTCAAACAGGAACGCCCCAACAGACAGTGCAGGAAGCTGGCTGGCCAGCCCAGCCCTCCAGGTCCCTAGTACCACTAGACAGACCATATCCAATTCAGGTCCTCTTTCTGAGAATGTA
【0054】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列を有する。
【0055】
配列番号12
GGGCTTGTCATAGTGGCCAGATGGACATCACCTACCACATCCACCAGCACCCATGTCACCCCACCTGGGCCAAGCCTGCTGCAGGACAGGGCAGCCAGTTCTCGGAACGAAACCTGTGGGGTGGGGTATCTGCCCTCTTCTCTTCCTCCGTGGTGTCGATGAAGCCCGGCGCATCCGGCCGCCATGACGTCAATGGCGGAAAAATCTGGGCAAGTCGGGGGCTGTGACAACAGGGCCCAGATGCAGACCCCGATATGAAAACATAATCTGTGTCCCAGAAACATCCCCCATTCAGCTTCTGAGAAACCCAGTCAGAAAGGGACGTCCCAACAGACAGTGCAGGAAGCCGGCTGCCCAGCCCGGCCCTCTAGGTCCTCTACCCCCAGACAGATCATCTCCATGTCCCTGTCTGAGAATGTA
【0056】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、転写因子Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及び/またはc-Relに特異的に結合する。
【0057】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS3エンハンサーを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列を有する。
【0059】
配列番号13
CCCGGGGCCCAGAATGGGGTAAGCAGGGTGGGGTACTTGGGCCTATAGGTGTCGACCTTTACTGTGGCATGTGGCGGGGGGGGGGGGGGGGGCTGGGGCACAGGAAGTGGTTTATGGGTCCCAGGCAAGTCTGACTTATGCAGATATTGCAGGGCCAAGAAAATCCCCACTCTCCAGGCTTCAGAGATTCAAGGCTTTCCCCACCCC
【0060】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列を有する。
【0061】
配列番号14
CCCTGGGCCCAGGATGGGGCAGGCAGGGTGGGGTACCTGGACCTACAGGTGCCGACCTTTACTGTGGCACTGGGCGGGAGGGGGGCTGGCTGGGGCACAGGAAGTGGTTTCTGGGTCCCAGGCAAGTCTGTGACTTATGCAGATGTTGCAGGGCCAAGAAAATCCCCACCTGCCAGGCCTCAGAGATTGGAGGCTCTCCCC
【0062】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列を有する。
【0063】
配列番号15
GTGAGGCCCGGGGCCCAGAATGGGGTAAGCAGGGTGGGGTACTTGGGCCTATAGGTGTCGACCTTTACTGTGGCATGTGGCGGGGGGGGGGGGGGGGGCTGGGGCACAGGAAGTGGTTTATGGGTCCCAGGCAAGTCTGACTTATGCAGATATTGCAGGGCCAAGAAAATCCCCACTCTCCAGGCTTCAGAGATTCAAGGCTTTCCCCACCCCTCCCAATCCTCATCCCGATAG
【0064】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列を有する。
【0065】
配列番号16
GTGAGGCCCTGGGCCCAGGATGGGGCAGGCAGGGTGGGGTACCTGGACCTACAGGTGCCGACCTTTACTGTGGCACTGGGCGGGAGGGGGGCTGGCTGGGGCACAGGAAGTGGTTTCTGGGTCCCAGGCAAGTCTGTGACTTATGCAGATGTTGCAGGGCCAAGAAAATCCCCACCTGCCAGGCCTCAGAGATTGGAGGCTCTCCCCGACCTCCCAATCC
【0066】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、転写因子Foxo及び/またはc-Relに特異的に結合する。
【0067】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS0エンハンサーを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列を有する。
【0069】
配列番号17
TCCCCTGAGGTCCACCACCATTTCCCCAGAGGGCTGGATCACGGGGGGTAGCTATTCTTCAACAGCACTTCAAATCAGCAGCAGCACACAGGCCTTAAAACAATAATAAGTTGAAATGTATTTGCTAGGAAAGTCACCGACCTACAAAGAAAACCTTATCGCTGATCTAGCAGCGCACACCAGCCTCCCCTTTGCAAGAGCTGAGATCAAAAGATAAAGAAGCTATCAAAAAGCCATCTGCCCACTTAAAATAACATCTCAAGTCACGTTGGGAACCACAAACATGGGGCCAGCTACCAAAACAATTGTCTAAATGAACTACTTCAATTTCTCCTTAAAACCACCCATGTATTTTAAAAGAAAAACACCCTCTCCACCCACCTTGGCACGGCAAGGTTTTGATTTGTCTGTTCCCTTCCTTTCACATTCTTGAAAATGACCAAACTT
【0070】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列を有する。
【0071】
配列番号18
AGTTTGGTCATTTTAAAGAGTGTGAAAGGCAGAGAACAGAGAAATCAAAACCTTGCAGGGCCAAGGTGGGTGGAGAGGGTGTTTTTCTTTTAACATACATGGGCGGTTTTAAGGAGAAATTGAAGCAGCCTGTTCAGACAATTGTTTTGGTATCTGGCCCCAGGTCTGTGGTTCCTAACATGACTTGTGATATTATTTTAAGTGGGCAGATGGCTTTTTGATAGCTTCTTTATCTTTCGATCTCAGCTCTTGCAAAGGGGAGGTTGGTGCTCATTGCAAGATCAGCGATAAGGGTTTCTTTGTAGGTCGGTGGCTTTCTTGGTGAGTACATTTCAACATATTATTGTTTTAGAACCTGTGTGCTGCCAGTGACTTGCAGCACTGTTGAAGACTAGCCACCCTTTGTGACCTAGCCCTCTTGGGAAATGGCGGAGGATCTCAGGG
【0072】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列を有する。
【0073】
配列番号19
CAGTGGGCCTGTGGCCAACGATTCTGAAGCCCTCTACAGCAGGCCTCCCACAGATAAGAAAAGGGATCCCCTGAGGTCCACCACCATTTCCCCAGAGGGCTGGATCACGGGGGGTAGCTATTCTTCAACAGCACTTCAAATCAGCAGCAGCACACAGGCCTTAAAACAATAATAAGTTGAAATGTATTTGCTAGGAAAGTCACCGACCTACAAAGAAAACCTTATCGCTGATCTAGCAGCGCACACCAGCCTCCCCTTTGCAAGAGCTGAGATCAAAAGATAAAGAAGCTATCAAAAAGCCATCTGCCCACTTAAAATAACATCTCAAGTCACGTTGGGAACCACAAACATGGGGCCAGCTACCAAAACAATTGTCTAAATGAACTACTTCAATTTCTCCTTAAAACCACCCATGTATTTTAAAAGAAAAACACCCTCTCCACCCACCTTGGCACGGCAAGGTTTTGATTTGTCTGTTCCCTTCCTTTCACATTCTTGAAAATGACCAAACTTCAGTACTCAACTGTCTTATCTTCCAGAAAGGGCTCCCACAACTGCCGATGGAATAAGAAGTGATTGAAATGCAGGCGATTCTGGGGGC
【0074】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列を有する。
【0075】
配列番号20
CGGCTGTCATGGGAACCCTGTCTGTAAGATGCGACAGTTTGGGTAAAGGAGTTTGGTCATTTTAAAGAGTGTGAAAGGCAGAGAACAGAGAAATCAAAACCTTGCAGGGCCAAGGTGGGTGGAGAGGGTGTTTTTCTTTTAACATACATGGGCGGTTTTAAGGAGAAATTGAAGCAGCCTGTTCAGACAATTGTTTTGGTATCTGGCCCCAGGTCTGTGGTTCCTAACATGACTTGTGATATTATTTTAAGTGGGCAGATGGCTTTTTGATAGCTTCTTTATCTTTCGATCTCAGCTCTTGCAAAGGGGAGGTTGGTGCTCATTGCAAGATCAGCGATAAGGGTTTCTTTGTAGGTCGGTGGCTTTCTTGGTGAGTACATTTCAACATATTATTGTTTTAGAACCTGTGTGCTGCCAGTGACTTGCAGCACTGTTGAAGACTAGCCACCCTTTGTGACCTAGCCCTCTTGGGAAATGGCGGAGGATCTCAGGGTATATCCCTTACCTGTGGGAGCCCTATCAGAGGGCTTC
【0076】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、転写因子Satb1及び/またはStat5に特異的に結合する。
【0077】
いくつかの実施形態では、核酸カセットは、リボスイッチに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、リボスイッチへのリガンドの結合は、核酸カセットの発現を誘導する。いくつかの実施形態では、リボスイッチへのリガンドの結合は、核酸カセットの発現を抑制する。
【0078】
いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、一本鎖ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、キメラ抗原受容体(CAR)である。
【0079】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体は、抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインは、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメイン、及び任意に1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、一本鎖抗体断片(例えば、一本鎖Fv分子(scFv))である。
【0082】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD28、CD8、IgG1/IgG4、CD4、CD7、またはIgDヒンジドメインである。
【0083】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD28ヒンジドメインである。
【0084】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28、CD3ゼータ、CD8、FcRIγ、CD4、CD7、OX40、またはMHC(H2-Kb)膜貫通ドメインを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、CD66d、DAP10、及びDAP12細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される。
【0087】
いくつかの実施形態では、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つは、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインである。
【0088】
いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、CD83、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、BTLA、及びTollリガンド受容体細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される。
【0089】
いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つは、CD28細胞内シグナル伝達ドメインである。
【0090】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体は、N末端リーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、N末端リーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインのN末端リーダー配列は、キメラ抗原受容体の細胞処理及び細胞膜への局在化中に、抗原認識ドメインから切断される。
【0091】
いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、多鎖タンパク質である。いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、またはF(ab’)分子である。
【0092】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、I型糖尿病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、若年性関節炎、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、視神経脊髄炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、またはウェゲナー肉芽腫症である。
【0093】
いくつかの実施形態では、自己抗原は、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、アクアポリン4、アクチン、チューブリン、ミオシン、トロポミオシン、ビメンチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ヘパリン、ラミニン、コラゲナーゼ、カルジオリピン、グルコセレブロシド、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、エノラーゼ、アルドラーゼ、酸性ホスファターゼ、アネキシン33kDa、アネキシン67kDa、シトクロムP450C、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、リボヌクレアーゼ、ヒストンII A、二本鎖DNA、一本鎖DNA、トランスフェリン、フェツイン、第II因子、第VII因子、フィブリン、フィブリノーゲン、C1、C1q、インターロイキン2、インターロイキン10、インターロイキン4、インターフェロンγ、TNFαR、HSP60、HSP65、GAD、インスリン、IA-2、ZnT8、MBP、AchR、ミオグロブリン、サイログロブリン、ヘモグロビンA、スペクトリン、TB PPD、LPS、MuSK、LRP4、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、チロトロピン受容体、または甲状腺で発現されるタンパク質である。
【0094】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、多発性硬化症であり、自己抗原は、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質である。
【0095】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、I型糖尿病であり、自己抗原は、インスリン、GAD-65、IA-2、またはZnT8である。
【0096】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、関節リウマチであり、自己抗原は、コラーゲンII、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、またはHSP65である。
【0097】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、重症筋無力症であり、自己抗原は、AChR、MuSK、またはLRP4である。
【0098】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、狼瘡であり、自己抗原は、ヒストンII Aである。
【0099】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、甲状腺機能低下症であり、自己抗原は、甲状腺で発現されるタンパク質である。
【0100】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、グレーブス病であり、自己抗原は、チロトロピン受容体である。
【0101】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、尋常性天疱瘡であり、自己抗原は、二本鎖DNAである。
【0102】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、乾癬であり、自己抗原は、二本鎖DNAである。
【0103】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、視神経脊髄炎であり、自己抗原は、アクアポリン4である。
【0104】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞の集団を患者に投与する前に、先駆細胞の集団を患者またはドナーから単離し、先駆細胞を拡大し、エクスビボで遺伝子修飾して、患者に投与される細胞の集団を得る。いくつかの実施形態では、先駆細胞は、CD34+HSCであり、先駆細胞は、HSC機能的可能性の実質的な損失なしに拡大される。いくつかの実施形態では、患者またはドナーから先駆細胞を単離する前に、患者またはドナーに、1つ以上の多能性造血細胞動員剤を投与する。
【0105】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞の集団を患者に投与する前に、内因性多能性造血細胞の集団は、1つ以上のコンディショニング剤を患者に投与することによって、患者において切除される。
【0106】
いくつかの実施形態では、本方法は、多能性造血細胞の集団を患者に投与する前に、1つ以上のコンディショニング剤を患者に投与することによって、患者における内因性多能性造血細胞の集団を切除することを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、1つ以上のコンディショニング剤は、非骨髄破壊性コンディショニング剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上のコンディショニング剤は、患者におけるCD34+細胞の集団を枯渇させる。いくつかの実施形態では、枯渇したCD34+細胞は、リンパ系前駆細胞である。いくつかの実施形態では、1つ以上のコンディショニング剤は、抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CD117、HLA-DR、CD34、CD90、CD45、またはCD133に結合する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CD117に結合する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、細胞毒素にコンジュゲートされている。
【0108】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞の集団を患者に投与すると、投与された細胞またはその子孫は、CD4+CD25+Treg細胞に分化する。
【0109】
いくつかの実施形態では、患者は、哺乳動物であり、細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ヒトであり、細胞は、ヒト細胞である。
【0110】
別の態様では、本開示は、(i)自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性細胞(例えば、多能性造血細胞)の集団を含む医薬組成物を提供する。核酸カセットは、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメント、及び(ii)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤に作動可能に連結していてよい。
【0111】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、多能性細胞は、多能性造血細胞(例えば、HSCまたはHPC)である。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、胚幹細胞である。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、人工多能性幹細胞である。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、リンパ系前駆細胞である。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、CD34+細胞(例えば、HSC)である。
【0112】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含むウイルスベクターを用いてエクスビボで形質導入される。
【0113】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス科ファミリーウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、及びポックスウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターは、アルファレトロウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。
【0114】
いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターは、中央ポリプリン帯、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び、3’-自己不活性化LTRを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、偽型ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型レトロウイルス科ファミリーウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、偽型レンチウイルスベクターである。
【0116】
いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、RD114ウイルス、マウス白血病ウイルス(MLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、ヒトフォーミーウイルス(HFV)、ウォールアイ皮膚肉腫ウイルス(WDSV)、セムリキ森林ウイルス(SFV)、狂犬病ウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、シンノンブルウイルス(SNV)、チェリーねじれリーフウイルス(ChTLV)、サルT細胞白血病ウイルス(STLV)、マソン・ファイザーサルウイルス(MPMV)、リスサルレトロウイルス(SMRV)、ラウス関連ウイルス(RAV)、藤浪肉腫ウイルス(FuSV)、トリ癌腫ウイルス(MH2)、トリ脳脊髄炎ウイルス(AEV)、アルファモザイクウイルス(AMV)、トリ肉腫ウイルスCT10、及びウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)から選択されるウイルス由来のエンベロープタンパク質を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、VSV-Gエンベロープタンパク質を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含むポリヌクレオチドを用いてエクスビボでトランスフェクトされる。
【0119】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、カチオン性ポリマー、ジエチルアミノエチルデキストラン、ポリエチレンイミン、カチオン性脂質、リポソーム、リン酸カルシウム、活性化デンドリマー、及び/または磁気ビーズを使用してトランスフェクトされる。いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクション、スクイーズポレーション、ソノポーレーション、オプティカルトランスフェクション、磁気フェクション、及び/またはインペールフェクションによってトランスフェクトされる。
【0120】
いくつかの実施形態では、核酸カセットは、転移性エレメントの一部である。いくつかの実施形態では、核酸カセットは、多能性造血細胞のデオキシリボ核酸(DNA)分子への組み込みのためのトランスポザーゼ認識及び切断エレメントを含む。いくつかの実施形態では、DNA分子は、核DNA分子またはミトコンドリアDNA分子であり、トランスポザーゼ認識及び切断エレメントは、核DNA分子またはミトコンドリアDNA分子への組み込みを促進する。
【0121】
いくつかの実施形態では、多能性造血細胞は、細胞のゲノム内の標的位置で一本鎖切断または二本鎖切断を触媒するヌクレアーゼを細胞に送達することによって得られる。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、細胞のゲノム内の標的位置にハイブリダイズするガイドRNA(gRNA)と組み合わせて細胞に送達される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、クラスター化された規則的な間隔の短い回文構造の反復(CRISPR)関連タンパク質である。いくつかの実施形態では、CRISPR関連タンパク質は、CRISPR関連タンパク質9(Cas9)またはCRISPR関連タンパク質12a(Cas12a)である。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである。
【0122】
いくつかの実施形態では、細胞がヌクレアーゼと接触している間に、細胞は、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む鋳型ポリヌクレオチドと更に接触する。いくつかの実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、相同組換えを促進するために、標的位置に対して5’に位置する核酸配列及び標的位置に対して3’に位置する核酸配列に十分に類似する核酸配列をそれぞれ有する5’相同性アーム及び3’相同性アームを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドは、細胞を、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターと接触させることによって、細胞に送達される。
【0124】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターは、AAV、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、またはレトロウイルス科ファミリーウイルスである。
【0125】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターは、レトロウイルス科ファミリーウイルスである。いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスは、レンチウイルスベクター、アルファレトロウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするレトロウイルス科ファミリーウイルスは、中央ポリプリン帯、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターは、組み込み欠損性のレンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ、gRNA、及び/または鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAVrh74からなる群から選択されるAAVである。
【0127】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、Foxp3プロモーターを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列を有する。
【0129】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列を有する。
【0130】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列を有する。
【0131】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列を有する。
【0132】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、転写因子Nr4a及び/またはFoxoに特異的に結合する。
【0133】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS1エンハンサーを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列を有する。
【0135】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列を有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列を有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列を有する。
【0138】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、転写因子AP-1、NFAT、Smad3、及び/またはFoxoに特異的に結合する。
【0139】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS2エンハンサーを含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列を有する。
【0141】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列を有する。
【0142】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列を有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列を有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、転写因子Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及び/またはc-Relに特異的に結合する。
【0145】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS3エンハンサーを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列を有する。
【0147】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列を有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列を有する。
【0149】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列を有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、転写因子Foxo及び/またはc-Relに特異的に結合する。
【0151】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS0エンハンサーを含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列を有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列を有する。
【0154】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列を有する。
【0155】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列を有する。
【0156】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、転写因子Satb1及び/またはStat5に特異的に結合する。
【0157】
いくつかの実施形態では、核酸カセットは、リボスイッチに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、リボスイッチへのリガンドの結合は、核酸カセットの発現を誘導する。
【0158】
いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、一本鎖ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、キメラ抗原受容体である。
【0159】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体は、抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインは、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメイン、及び任意に1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、一本鎖抗体断片(例えば、一本鎖Fv分子(scFv))である。
【0162】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD28、CD8、IgG1/IgG4、CD4、CD7、またはIgDヒンジドメインである。
【0163】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD28ヒンジドメインである。
【0164】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28、CD3ゼータ、CD8、FcRIγ、CD4、CD7、OX40、またはMHC(H2-Kb)膜貫通ドメインを含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインを含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、CD66d、DAP10、及びDAP12細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される。
【0167】
いくつかの実施形態では、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つは、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインである。
【0168】
いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、CD83、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、BTLA、及びTollリガンド受容体細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される。
【0169】
いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つは、CD28細胞内シグナル伝達ドメインである。
【0170】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体は、N末端リーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、N末端リーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインのN末端リーダー配列は、キメラ抗原受容体の細胞処理及び細胞膜への局在化中に、抗原認識ドメインから切断される。
【0171】
いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、多鎖タンパク質である。いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、またはF(ab’)分子である。
【0172】
いくつかの実施形態では、自己抗原は、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、アクアポリン4、アクチン、チューブリン、ミオシン、トロポミオシン、ビメンチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ヘパリン、ラミニン、コラゲナーゼ、カルジオリピン、グルコセレブロシド、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、エノラーゼ、アルドラーゼ、酸性ホスファターゼ、アネキシン33kDa、アネキシン67kDa、シトクロムP450C、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、リボヌクレアーゼ、ヒストンII A、二本鎖DNA、一本鎖DNA、トランスフェリン、フェツイン、第II因子、第VII因子、フィブリン、フィブリノーゲン、C1、C1q、インターロイキン2、インターロイキン10、インターロイキン4、インターフェロンγ、TNFαR、HSP60、HSP65、GAD、インスリン、IA-2、ZnT8、MBP、AchR、ミオグロブリン、サイログロブリン、ヘモグロビンA、スペクトリン、TB PPD、LPS、MuSK、LRP4、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、チロトロピン受容体、または甲状腺で発現されるタンパク質である。
【0173】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の医薬組成物を含むキットを提供する。キットは、キットの使用者に、自己免疫疾患を有するヒト患者に医薬組成物を投与するように指示する添付文書を更に含み得る。添付文書は、キットの使用者に本明細書に記載の方法を実施するように指示し得る。
【0174】
別の態様では、本開示は、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを提供する。核酸カセットは、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結していてよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、Foxp3プロモーターを含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号1の核酸配列を有する。
【0177】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号2の核酸配列を有する。
【0178】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号3の核酸配列を有する。
【0179】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、配列番号4の核酸配列を有する。
【0180】
いくつかの実施形態では、Foxp3プロモーターは、転写因子Nr4a及び/またはFoxoに特異的に結合する。
【0181】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS1エンハンサーを含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号5の核酸配列を有する。
【0183】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号6の核酸配列を有する。
【0184】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号7の核酸配列を有する。
【0185】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、配列番号8の核酸配列を有する。
【0186】
いくつかの実施形態では、CNS1エンハンサーは、転写因子AP-1、NFAT、Smad3、及び/またはFoxoに特異的に結合する。
【0187】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS2エンハンサーを含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号9の核酸配列を有する。
【0189】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号10の核酸配列を有する。
【0190】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号11の核酸配列を有する。
【0191】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、配列番号12の核酸配列を有する。
【0192】
いくつかの実施形態では、CNS2エンハンサーは、転写因子Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及び/またはc-Relに特異的に結合する。
【0193】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS3エンハンサーを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号13の核酸配列を有する。
【0195】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号14の核酸配列を有する。
【0196】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号15の核酸配列を有する。
【0197】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、配列番号16の核酸配列を有する。
【0198】
いくつかの実施形態では、CNS3エンハンサーは、転写因子Foxo及び/またはc-Relに特異的に結合する。
【0199】
いくつかの実施形態では、1つ以上の系統特異的転写調節エレメントは、CNS0エンハンサーを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号17の核酸配列を有する。
【0201】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号18の核酸配列を有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号19の核酸配列を有する。
【0203】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列と少なくとも85%同一(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列と少なくとも90%同一(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列と少なくとも95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一)である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、配列番号20の核酸配列を有する。
【0204】
いくつかの実施形態では、CNS0エンハンサーは、転写因子Satb1及び/またはStat5に特異的に結合する。
【0205】
いくつかの実施形態では、核酸カセットは、リボスイッチに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、リボスイッチへのリガンドの結合は、核酸カセットの発現を誘導する。
【0206】
いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、一本鎖ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、キメラ抗原受容体である。
【0207】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体は、抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインは、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメイン、及び任意に1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、一本鎖抗体断片(例えば、一本鎖Fv分子(scFv))である。
【0210】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD28、CD8、IgG1/IgG4、CD4、CD7、またはIgDヒンジドメインである。
【0211】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD28ヒンジドメインである。
【0212】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28、CD3ゼータ、CD8、FcRIγ、CD4、CD7、OX40、またはMHC(H2-Kb)膜貫通ドメインを含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、CD66d、DAP10、及びDAP12細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される。
【0215】
いくつかの実施形態では、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つは、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインである。
【0216】
いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、CD83、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、BTLA、及びTollリガンド受容体細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される。
【0217】
いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つは、CD28細胞内シグナル伝達ドメインである。
【0218】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体は、N末端リーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、N末端リーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインのN末端リーダー配列は、キメラ抗原受容体の細胞処理及び細胞膜への局在化中に、抗原認識ドメインから切断される。
【0219】
いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、多鎖タンパク質である。いくつかの実施形態では、自己抗原結合タンパク質は、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、またはF(ab’)分子である。
【0220】
いくつかの実施形態では、自己抗原は、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、アクアポリン4、アクチン、チューブリン、ミオシン、トロポミオシン、ビメンチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ヘパリン、ラミニン、コラゲナーゼ、カルジオリピン、グルコセレブロシド、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、エノラーゼ、アルドラーゼ、酸性ホスファターゼ、アネキシン33kDa、アネキシン67kDa、シトクロムP450C、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、リボヌクレアーゼ、ヒストンII A、二本鎖DNA、一本鎖DNA、トランスフェリン、フェツイン、第II因子、第VII因子、フィブリン、フィブリノーゲン、C1、C1q、インターロイキン2、インターロイキン10、インターロイキン4、インターフェロンγ、TNFαR、HSP60、HSP65、GAD、インスリン、IA-2、ZnT8、MBP、AchR、ミオグロブリン、サイログロブリン、ヘモグロビンA、スペクトリン、TB PPD、LPS、MuSK、LRP4、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、チロトロピン受容体、または甲状腺で発現されるタンパク質である。
【0221】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の核酸カセットを含むウイルスベクターを提供する。
【0222】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス科ファミリーウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、及びポックスウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターは、アルファレトロウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。
【0223】
いくつかの実施形態では、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターは、中央ポリプリン帯、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び、3’-自己不活性化LTRを含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、偽型ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型レトロウイルス科ファミリーウイルスからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、偽型レンチウイルスベクターである。
【0225】
いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、RD114ウイルス、マウス白血病ウイルス(MLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、ヒトフォーミーウイルス(HFV)、ウォールアイ皮膚肉腫ウイルス(WDSV)、セムリキ森林ウイルス(SFV)、狂犬病ウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、シンノンブルウイルス(SNV)、チェリーねじれリーフウイルス(ChTLV)、サルT細胞白血病ウイルス(STLV)、マソン・ファイザーサルウイルス(MPMV)、リスサルレトロウイルス(SMRV)、ラウス関連ウイルス(RAV)、藤浪肉腫ウイルス(FuSV)、トリ癌腫ウイルス(MH2)、トリ脳脊髄炎ウイルス(AEV)、アルファモザイクウイルス(AMV)、トリ肉腫ウイルスCT10、及びウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)から選択されるウイルス由来のエンベロープタンパク質を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、偽型ウイルスベクターは、VSV-Gエンベロープタンパク質を含む。
【図面の簡単な説明】
【0227】
図1A】A及びBは、PoC研究のために、構成的プロモーターの制御下でキメラ抗原受容体(CAR)の発現を可能にするように設計されたレンチウイルスベクター構築物の概略図である。Aは、レンチウイルス構築物設計の基本構成成分を示す概略図である。既知の抗原特異性を有する抗体からの重鎖及び軽鎖配列を連結することによって、一本鎖可変断片(scFv)を作製した。CARの検出を容易にするために、Hisタグを導入した。第2世代CARシグナル伝達ドメインを、調節T細胞機能との適合性のために選択した。PoC研究のために、インビトロアッセイの最適化を可能にし、インビボでCAR生物学の安全性及び機能を試験するために、無関係な抗原(Ag)に対する特異性を有するscFv(B)を選択した。RRE(Rev応答エレメント)、cPPT(中央ポリプリン帯)、EFS(伸長因子1aショート結合配列)、VL(可変軽鎖)、VH(可変重鎖)、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)。
図1B図1Aの続き。
図2A】ヒトT細胞株における抗原特異的CARの発現を示す一連のグラフである。Jurkat T細胞を、レンチウイルスベクター(MOI5)で形質導入して、抗原特異的CAR(aAg-CAR)を発現させた。ストレプトアビジン-PEコンジュゲートで染色する前に、50,000pg/mlのビオチン化CARリガンド(全タンパク質)とともに細胞をインキュベートすることによってフローサイトメトリー(FC)によって評価される、72時間後のCAR発現を示す一連のグラフである。FCプロットは、生Jurkat T細胞に対してゲーティングされており、非形質導入細胞(陰性対照)及び形質導入細胞を示している。CARリガンドの滴定を使用して、平均蛍光強度(MFI)として定量化された受容体発現を評価した。
図2B】ヒトT細胞株における抗原特異的CARの発現を示す一連のグラフである。Jurkat T細胞を、レンチウイルスベクター(MOI5)で形質導入して、抗原特異的CAR(aAg-CAR)を発現させた。異なるレベルのAg特異的CARを発現するJurkat T細胞のライブラリを生成するために使用されるMOI滴定を示す一連のグラフである。導入遺伝子ベクターコピー数(VCN)(左のグラフ)をddPCRによって測定し、一方で、CAR細胞%を(a)に概説したように定量化した。
図2C】ヒトT細胞株における抗原特異的CARの発現を示す一連のグラフである。Jurkat T細胞を、レンチウイルスベクター(MOI5)で形質導入して、抗原特異的CAR(aAg-CAR)を発現させた。使用されるMOIの尺度としてMFIとして定量化された、FCによるCAR発現を評価することによってVCNの増加に伴うCAR発現の増加が確認されたことを示すグラフである。
図3A】ヒトT細胞株におけるインビトロでの抗原特異的CAR機能の確認を示すグラフである。異なるレベルのaAg-CARを発現する形質導入されたJurkat T細胞(図2A~2Cに示す形質導入効率)を、インビトロで24時間、増加量のCARリガンドで処理した。平均蛍光強度(MFI)として定量化された、発現T細胞活性化マーカー、CD69(左のグラフ)及びCD25(右のグラフ)のFC分析によって評価されるCAR機能を示す一連のグラフである。
図3B】ヒトT細胞株におけるインビトロでの抗原特異的CAR機能の確認を示すグラフである。異なるレベルのaAg-CARを発現する形質導入されたJurkat T細胞(図2A~2Cに示す形質導入効率)を、インビトロで24時間、増加量のCARリガンドで処理した。培養されたJurkat T細胞からの上清を収集し、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によってIL-2産生について評価した実験の結果を示すグラフである。データポイントは、平均+/-SEMを表す(n=3)。
図4A】形質導入された一次マウスT細胞が機能的な抗原特異的CARを発現することを示すグラフである。精製したCD4CD25ナイーブ脾臓T細胞を、aAg-CARの発現のためのレンチウイルスベクター(MOI10)を添加する前に、CD3/CD28マイクロビーズを使用してインビトロで活性化した。72時間後に、aAg-CARの発現がFC分析によって確認されたことを示す一連のグラフである。プロットは、生CD4T細胞に対してゲーティングされている。非形質導入細胞は、陰性対照として使用した。。
図4B】形質導入された一次マウスT細胞が機能的な抗原特異的CARを発現することを示すグラフである。精製したCD4CD25ナイーブ脾臓T細胞を、aAg-CARの発現のためのレンチウイルスベクター(MOI10)を添加する前に、CD3/CD28マイクロビーズを使用してインビトロで活性化した。生CD4T細胞の%として定量化された形質導入細胞の%を示す(n=4)。
図4C】形質導入された一次マウスT細胞が機能的な抗原特異的CARを発現することを示すグラフである。精製したCD4CD25ナイーブ脾臓T細胞を、aAg-CARの発現のためのレンチウイルスベクター(MOI10)を添加する前に、CD3/CD28マイクロビーズを使用してインビトロで活性化した。C及びDは、形質導入されたCD4CD25T細胞を、インビトロで48時間、増加濃度のCARリガンドで処理した実験の結果を示す。T細胞活性化は、MFIとして定量化されたFCによるCD69(右のグラフ)及びCD25(左のグラフ)発現を測定することによって評価した(C)。培養された細胞からの上清は、IL-2分泌について並行して評価した。データポイントは、平均+/-SEMを表す(n=4)(D)。
図4D】形質導入された一次マウスT細胞が機能的な抗原特異的CARを発現することを示すグラフである。精製したCD4CD25ナイーブ脾臓T細胞を、aAg-CARの発現のためのレンチウイルスベクター(MOI10)を添加する前に、CD3/CD28マイクロビーズを使用してインビトロで活性化した。C及びDは、形質導入されたCD4CD25T細胞を、インビトロで48時間、増加濃度のCARリガンドで処理した実験の結果を示す。T細胞活性化は、MFIとして定量化されたFCによるCD69(右のグラフ)及びCD25(左のグラフ)発現を測定することによって評価した(C)。培養された細胞からの上清は、IL-2分泌について並行して評価した。データポイントは、平均+/-SEMを表す(n=4)(D)。
図5】A及びBは、インビトロでのCARの活性化後に、形質導入された一次マウス調節T細胞が免疫抑制性サイトカイン、IL-10を分泌することを示すグラフである。精製したCD4CD25Tregを、発現aAg-CARのためのレンチウイルス形質導入(MOI10)の前に、CD3/CD28マイクロビーズを使用してインビトロで活性化した。Aは、72時間後に、aAg-CARの発現がFC分析によって確認されたことを示すグラフである。プロットは、生CD4T細胞に対してゲーティングした。Bは、形質導入されたCD4CD25Tregを、培地単独または10μgのCARリガンドにおいて48時間培養した実験の結果を示すグラフである。上清を収集し、IL-10分泌を定量化した。バーは、示される個別のデータポイントを有する平均+/-SEMを表す(n=4)。対応のないT検定によって評価される統計的有意性:**p=0.0019
図6A】形質導入されたマウス骨髄HSCの移植が、再構築された免疫区画内で優先的なFoxP3プロモーター指向性導入遺伝子発現を有する調節T細胞の生成をもたらすことを示す。系統-BM細胞を単離し、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するように設計されたレンチウイルス構築物で形質導入した。移植の10週間後、GFPの発現を再構築された免疫区画内で評価した。Tregプロモーター設計を示す概略図である。構築物内の保存された非コード配列(CNS)ドメイン1、2、及び3、Foxp3プロモーター、ならびに3’UTR配列エレメントは、Treg区画内の導入遺伝子発現を向上させ、一方で、他の免疫サブセット内の導入遺伝子発現を制限するように設計される。プロモーター活性は、GFPの発現によって評価した。
図6B】形質導入されたマウス骨髄HSCの移植が、再構築された免疫区画内で優先的なFoxP3プロモーター指向性導入遺伝子発現を有する調節T細胞の生成をもたらすことを示す。系統-BM細胞を単離し、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するように設計されたレンチウイルス構築物で形質導入した。移植の10週間後、GFPの発現を再構築された免疫区画内で評価した。移植動物の脾臓に由来するCD4CD25調節T細胞におけるGFP発現プロファイルを示す代表的なFCプロットである。
図6C】形質導入されたマウス骨髄HSCの移植が、再構築された免疫区画内で優先的なFoxP3プロモーター指向性導入遺伝子発現を有する調節T細胞の生成をもたらすことを示す。系統-BM細胞を単離し、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するように設計されたレンチウイルス構築物で形質導入した。移植の10週間後、GFPの発現を再構築された免疫区画内で評価した。FCによって示される免疫細胞で評価されるFoxp3プロモーターの活性を示す。GFP発現は、MFIとして定量化した。個別のデータポイントは、平均+/-SEMを表すバーでの生物学的複製を表す(n=4)。BM(骨髄)、DP(二重陽性)、SP(単一陽性)、MLN(腸間膜リンパ節)、pLN(末梢リンパ節)。
図7A】形質導入されたマウス骨髄HSCの移植が、インビボでCAR発現調節T細胞の生成をもたらすことを示す。系統-BM細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現させた。移植の10週間後、CAR発現を免疫区画全体で評価した。骨髄キメラマウスにおけるTreg発達及び機能の変化を、エクスビボで測定した。Tregプロモーター設計の構成成分を示す概略図である。プロモーター活性は、抗原特異的CARの発現によって評価した。
図7B】形質導入されたマウス骨髄HSCの移植が、インビボでCAR発現調節T細胞の生成をもたらすことを示す。系統-BM細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現させた。移植の10週間後、CAR発現を免疫区画全体で評価した。骨髄キメラマウスにおけるTreg発達及び機能の変化を、エクスビボで測定した。移植動物の脾臓に由来するCD4CD25調節T細胞におけるCAR発現プロファイルを示す代表的なFCプロットである。
図7C】形質導入されたマウス骨髄HSCの移植が、インビボでCAR発現調節T細胞の生成をもたらすことを示す。系統-BM細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現させた。移植の10週間後、CAR発現を免疫区画全体で評価した。骨髄キメラマウスにおけるTreg発達及び機能の変化を、エクスビボで測定した。エクスビボでのFC分析によって評価された、CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現する脾臓調節T細胞の同等の数及び表現型が検出されることを示す一連のグラフである。脾臓当たりの調節細胞の総数を定量化した(左のグラフ)。転写因子Foxp3及び表面マーカーCD25を含む主要な調節T細胞遺伝子の発現レベルを、それぞれMFI(中央及び右のグラフ)として定量化した。個別のデータポイントは、平均+/-SEMを表すバーでの生物学的複製を表す(CAR-n=4、CAR+n=6)。統計的差異は、対応のないT細胞検定によって評価したが、有意差は検出されなかった。
図8A】CARを発現する形質転換されたマウス骨髄HSC由来Tregが、無関係な導入遺伝子を発現するTregと同等の免疫抑制性活性を有することを示す。系統-BM細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現させた。移植の10週間後、調節T細胞を末梢免疫器官から単離し、インビトロで免疫機能の変化について評価した。CAR発現Tregを、細胞トレーサーバイオレットで標識されたエフェクターT細胞を用いてTregを培養することによって、免疫抑制性能力について評価した実験の結果を示す。エフェクターT細胞を、対照CAR-またはAg-CAR+Tregの存在下で、CD3/CD28マイクロビーズで96時間刺激した。代表的なヒストグラムは、示される実験条件のための細胞トレーサー色素プロファイルを示す。
図8B】CARを発現する形質転換されたマウス骨髄HSC由来Tregが、無関係な導入遺伝子を発現するTregと同等の免疫抑制性活性を有することを示す。系統-BM細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現させた。移植の10週間後、調節T細胞を末梢免疫器官から単離し、インビトロで免疫機能の変化について評価した。細胞トレーサー色素の希釈によって増殖性応答を定量化した実験の結果を示す。データは、分裂を受けている、細胞トレーサーで標識された細胞のパーセンテージ、すなわち「増殖%」として表される。個別のデータポイントは、平均+/-SEMを表すバーでの生物学的複製を表す(CAR-n=4、CAR+n=6)。統計的有意性は、細胞の各々の同等の比について対応のあるT検定によって評価したが、有意差は検出されなかった。
図9A】形質導入されたマウス骨髄HSC由来Tregが、抗原特異的CAR刺激によって活性化され得、向上した免疫抑制可能性を示すことを示す。系統-BM細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg特異的(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(対照CAR-)を発現させた。移植の10週間後、調節T細胞を末梢免疫器官から単離し、CARリガンドを用いてインビトロで48時間培養して、活性化を評価した。10μgのCARリガンドによる刺激後のCD25発現レベルの変化を示す代表的なヒストグラムを示す。
図9B】形質導入されたマウス骨髄HSC由来Tregが、抗原特異的CAR刺激によって活性化され得、向上した免疫抑制可能性を示すことを示す。系統-BM細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg特異的(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(対照CAR-)を発現させた。移植の10週間後、調節T細胞を末梢免疫器官から単離し、CARリガンドを用いてインビトロで48時間培養して、活性化を評価した。CD25レベルは、MFIとして対照CAR-及びCAR+発現調節T細胞において定量化される。
図9C】形質導入されたマウス骨髄HSC由来Tregが、抗原特異的CAR刺激によって活性化され得、向上した免疫抑制可能性を示すことを示す。系統-BM細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg特異的(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(対照CAR-)を発現させた。移植の10週間後、調節T細胞を末梢免疫器官から単離し、CARリガンドを用いてインビトロで48時間培養して、活性化を評価した。C及びDは、対照(黒い円)及びCAR発現Treg(白い正方形)を、CD3/CD28マイクロビーズの不在下(C)または存在下(D)で10μgのCARリガンドに48時間曝露した実験の結果を示す。上清を収集し、IL10分泌をELISAによって決定した。統計的有意性は、対応のあるT検定によって評価し、p値が示されている。
図9D】形質導入されたマウス骨髄HSC由来Tregが、抗原特異的CAR刺激によって活性化され得、向上した免疫抑制可能性を示すことを示す。系統-BM細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg特異的(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(対照CAR-)を発現させた。移植の10週間後、調節T細胞を末梢免疫器官から単離し、CARリガンドを用いてインビトロで48時間培養して、活性化を評価した。C及びDは、対照(黒い円)及びCAR発現Treg(白い正方形)を、CD3/CD28マイクロビーズの不在下(C)または存在下(D)で10μgのCARリガンドに48時間曝露した実験の結果を示す。上清を収集し、IL10分泌をELISAによって決定した。統計的有意性は、対応のあるT検定によって評価し、p値が示されている。
【0228】
定義
本明細書で使用する場合、用語「多能性細胞」とは、2つ以上の分化細胞型に発達する能力を保有する細胞を意味する。例えば、多能性細胞は、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、栓球(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞、及びT細胞)などの、造血系統の2つ以上の分化細胞型に発達する能力を保有する多能性造血細胞であり得る。多能性造血細胞の例は、ESC、iPSC、リンパ系前駆細胞、及びCD34+細胞である。
【0229】
本明細書で使用する場合、用語「幹細胞」及び「未分化細胞」とは、複数の細胞型に分化する発達能力を有する、未分化の、または部分的に分化した状態にある細胞を意味する。幹細胞は、その機能的可能性を維持しながら、増殖し、かかる幹細胞をより多く生じさせることが可能である。幹細胞は、非対称的に分裂することができ、これは、不可避的非対称性分化として既知であり、ある娘細胞が、親幹細胞の機能的可能性を保持しながら、他の娘細胞が、親細胞とは異なる、いくつかの他の特定の機能、表現型、及び/または発達可能性を発現する。娘細胞自体は、増殖し、その後、1つ以上の成熟細胞型に分化する子孫を産生するように誘導されることができ、一方で、親の発達可能性を有する1つ以上の細胞も保持することができる。分化細胞は、多能性細胞に由来してもよく、多能性細胞自体が多能性細胞などから由来する。代替的に、集団内の幹細胞のいくつかは、2つの幹細胞に対称的に分裂することができる。したがって、用語「幹細胞」とは、特定の状況下にて、より特殊化または分化した表現型に分化する発達可能性を有し、ある特定の状況下にて、実質的に分化されることなく増殖する能力を保持する細胞の任意のサブセットを意味する。いくつかの実施形態では、幹細胞という用語は一般に、子孫(descendant)(子孫(progeny)細胞)が、分化により、例えば、胚細胞及び組織の進行性多様化において生じる、完全に個別の特徴を獲得することにより、多くの場合に異なる方向に特殊化する、自然に存在する親細胞を意味する。いくつかの分化細胞はまた、より大きな発達可能性の細胞を生じさせる能力を有する。かかる能力は、天然であってよく、または様々な因子で処理した際に、人工的に誘導されてよい。幹細胞として始まる細胞は、分化した表現型に進行し得るが、次いで、「反転」し、幹細胞の表現型を再発現するように誘導され得る。この用語は多くの場合、当業者により、「脱分化」、または「リプログラミング」、または「レトロ分化」と呼ばれる。
【0230】
本明細書で使用する場合、用語「造血幹細胞」及び「HSC」とは、自己複製して、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、栓球(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞、及びT細胞)を含むが、これらに限定されない、多様な系統の成熟血液細胞に分化する能力を有する、未成熟血液細胞を意味する。かかる細胞は、CD34+細胞を含み得るか、または含み得ないことが当該技術分野において既知である。CD34+細胞は、CD34細胞表面マーカーを発現する未成熟細胞である。ヒトにおいて、CD34+細胞は、上で定義される幹細胞の性質を有する細胞のサブ集団を含むと考えられるのに対し、マウスにおいて、HSCは、CD34-である。加えて、HSCはまた、長期再増殖HSC(LT-HSC)及び短期再増殖HSC(ST-HSC)を意味する。LT-HSC及びST-HSCは、機能的可能性、及び細胞表面マーカー発現に基づき分化される。例えば、ヒトHSCは、CD34+、CD38-、CD45RA-、CD90+、CD49F+、及びlin-(CO2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD11B、CD19、CD20、CD56、CD235Aを含む成熟系統マーカーに陰性である)であり得る。マウスにおいて、骨髄LT-HSCは、CD34-、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamf1/CD150+、CD48-、及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL-7raを含む成熟系統マーカーに陰性である)であり得るのに対し、ST-HSCは、CD34+、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamf1/CD150+、及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL-7raを含む成熟系統マーカーに陰性である)であり得る。加えて、ST-HSCは、恒常性条件下にて、LT-HSCよりも休止しておらず(すなわち、より活性であり)、より増殖性である。しかしながら、LT-HSCは、より大きな自己複製可能性を有する(すなわち、それらは成人期を通して生残し、連続したレシピエントを通して連続的に移植することができる)のに対し、ST-HSCは、限定的な自己複製を有する(すなわち、それらは限定的な期間のみ生残し、連続的な移植可能性を保有しない)。これらのHSCのいずれかを、本明細書に記載の方法のいずれかで使用することができる。任意に、ST-HSCは、非常に増殖性であり、したがって、分化した子孫をより素早く生じさせることができるため、有用である。
【0231】
本明細書で使用する場合、用語「造血前駆細胞」及び「HPC」とは、自己複製して、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、栓球(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞、及びT細胞)を含むが、これらに限定されない、多様な系統の成熟血液細胞に分化する能力を有する、未成熟血液細胞を意味する。造血前駆細胞の例としては、リンパ系前駆細胞及び骨髄系前駆細胞が挙げられる。
【0232】
本明細書で使用する場合、用語「胚幹細胞」及び「ES細胞」とは、好適な条件下でインビトロ培養液中で維持可能な、胚盤胞の内部細胞塊に由来する、胚由来の全能性または多分化能幹細胞を意味する。ES細胞は、例えば、内胚葉、外胚葉、または中胚葉の、3つの脊椎動物の胚芽層のいずれかの細胞内に分化することが可能である。ES細胞は、好適なインビトロ培養条件下にて、無期限に増殖する能力もまた特徴とする。ES細胞は、例えば、Thomson et al.,Science 282:1145(1998)に記載されており、その開示は、胚幹細胞の構造及び機能性に関するため、参照により本明細書に組み込まれている。
【0233】
本明細書で使用する場合、用語「人工多能性幹細胞」、「iPS細胞」、及び「iPSC」とは、分化した体細胞から直接誘導可能な多分化能幹細胞を意味する。ヒトiPS細胞は、リプログラミング因子の特定のセットを、例えば、Oct3/4、Soxファミリー転写因子(例えば、Sox1、Sox2、Sox3、Soxl5)、Mycファミリー転写因子(例えば、c-Myc、1-Myc、n-Myc)、Kruppel-様ファミリー(KLF)転写因子(例えば、KLF1、KLF2、KLF4、KLF5)、及び/またはNANOG、LIN28、及び/またはGlis1などの関連転写因子を含み得る、非多能性細胞に導入することによって生成され得る。ヒトiPS細胞はまた、例えば、miRNA、転写因子の作用を模倣する低分子、または系統特定因子の使用によって生成され得る。ヒトiPS細胞は、3つの脊椎動物の胚芽層、例えば、内胚葉、外胚葉、または中胚葉のいずれかの細胞に分化する能力を特徴とする。ヒトiPS細胞は、好適なインビトロ培養条件下にて、無期限に増殖する能力もまた特徴とする。ヒトiPS細胞は、例えば、Takahashi and Yamanaka,Cell 126:663(2006)に記載されており、その開示は、iPS細胞の構造及び機能性に関するため、参照により本明細書に組み込まれている。
【0234】
本明細書で使用する場合、用語「自己由来」とは、個体自身の細胞、組織、核酸分子などから得られるかまたはこれらに由来する、細胞、組織、核酸分子、もしくは他の物質を意味する。例えば、本明細書に記載の1つ以上のタンパク質を発現する細胞の集団(例えば、多能性細胞の集団)の文脈において、自己由来細胞は、療法を受けている患者から得られ、次いで、1つ以上の目的のタンパク質の発現を指令するベクターで形質導入またはトランスフェクトされる細胞を含む。
【0235】
本明細書で使用する場合、用語「同種異系」とは、同一種の異なる対象から得られるかもしくはそれに由来する細胞、組織、核酸分子、または他の物質を意味する。例えば、本明細書に記載の1つ以上のタンパク質を発現する細胞の集団(例えば、多能性細胞の集団)の文脈において、同種異系細胞は、(i)療法を受けていない対象から得られ、次いで、(ii)1つ以上の所望のタンパク質の発現を指令するベクターで形質導入またはトランスフェクトされる細胞を含む。語句「発現を指令する」とは、発現する1つ以上のタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含めることを意味する。ポリヌクレオチドは、目的のタンパク質の発現を向上させる、追加の配列モチーフを含有し得る。
【0236】
本明細書で使用する場合、用語「HLAが一致した」とは、多能性造血幹細胞移植療法を必要とするレシピエントに造血幹細胞移植片を提供するドナーなどの、ドナーとレシピエントとの間で、HLA抗原のいずれもがミスマッチしていない、ドナーとレシピエントのペアを意味する。内因性T細胞及びNK細胞は、入ってくる移植片を異物として認識する可能性が低く、したがって、移植組織に対して免疫応答をマウントする可能性が低いため、HLAが一致した(すなわち、6つの対立遺伝子の全てが一致する)ドナーとレシピエントのペアは、移植片拒絶のリスクが低下する。
【0237】
本明細書で使用する場合、用語「HLAがミスマッチした」とは、多能性造血幹細胞移植療法を必要とするレシピエントに造血幹細胞移植片を提供するドナーなどの、とりわけ、HLA-A、HLA-B、HLA-C、及びHLA-DRに対して、少なくとも1つのHLA抗原が、ドナーとレシピエントとの間でミスマッチした、ドナーとレシピエントのペアを意味する。いくつかの実施形態では、あるハプロタイプは一致しており、他のものはミスマッチしている。内因性T細胞及びNK細胞は、HLAがミスマッチしたドナーとレシピエントのペアの場合、入ってくる移植片を異物として認識する可能性が高く、かかるT細胞及びNK細胞は、したがって、移植組織に対して免疫応答をマウントする可能性が高いため、HLAがミスマッチしたドナーとレシピエントのペアは、HLAが一致したドナーとレシピエントのペアと比較して、移植片拒絶のリスクが増加する可能性がある。
【0238】
本明細書で使用する場合、用語「機能的可能性」とは、造血幹細胞などの多能性細胞に関する場合、以下を含む幹細胞の機能的性質を意味する:1)多能性(これは、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、栓球(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞、及びT細胞)を含むが、これらに限定されない、複数の異なる血液系統に分化する能力を意味する)、2)自己複製(これは、幹細胞が、母細胞と同等の可能性を有し、更に、個体の寿命を通して、疲弊を伴わずに繰り返し生じることができる能力を有する、娘細胞を生じさせる能力を意味する)、ならびに3)幹細胞またはその子孫が幹細胞ニッシェにホーミングし、生産的かつ持続的な細胞成長及び分化を再確立する際に、移植レシピエントに再導入される能力。
【0239】
本明細書で使用する場合、用語「切除する」、「切除すること」、「切除」、「調節する」、「コンディショニング」とは、インビボまたはエクスビボでの細胞の集団における1つ以上の細胞の枯渇を意味する。本開示のいくつかの実施形態では、治療用の細胞の集団などの治療用組成物を対象に投与する前に、患者(例えば、本明細書に記載の疾患のための治療を受ける患者)内で、内因性細胞を切除するのが望ましい場合がある。これは、例えば、新しく投与される細胞に、細胞が生着し得る環境を提供するために、有益であり得る。内因性細胞の集団の切除は、例えば、標的細胞で発現される抗原に結合する抗体または抗体-薬物コンジュゲートを使用し、その後、標的細胞の殺傷を行って、特定の細胞型を選択的に標的にする方法で実施され得る。更に、または代替的に、切除は、特定の細胞型に局在化せず、代替的に、様々な異なる細胞で細胞毒性効果を発揮することが可能な細胞毒素を使用する、非特異的な方法で実施され得る。切除の例としては、インビボまたはインビトロでの細胞の集団における細胞の少なくとも5%(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれ以上)の枯渇が挙げられる。細胞のサンプル内で細胞計数を定量化することは、例えば、計数チャンバ、Coulterカウンター、フローサイトメトリー、または当該技術分野において既知の他の細胞計数方法の使用による、様々な細胞計数技術を使用して実施され得る。
【0240】
本開示の組成物及び方法に従って、患者における細胞の集団を「除去」するために(すなわち、治療のために患者を「調節する」ために)使用され得る例示的な薬剤としては、アルキル化剤、例えば、窒素マスタード(例えば、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、またはメルファラン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、またはストレプトゾシン)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、トリアジン(例えば、ダカルバジンまたはテモゾロミド)、またはエチレンイミン(例えば、アルトレタミンまたはチオテパ)が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つ以上のコンディショニング剤は、内因性CD34+HSCまたはHPCの集団などの、特定の内因性多能性細胞の集団を選択的に標的にして切除する、非骨髄破壊性コンディショニング剤である。例えば、1つ以上のコンディショニング剤としては、シタラビン、抗胸腺細胞グロブリン、フルダラビン、またはイダルビシンを挙げることができる。
【0241】
本明細書で使用する場合、用語「調節する」及び「コンディショニング」とは、対象が、細胞の集団(例えば、CD34+細胞などの多能性細胞の集団)を含有する移植組織を受けるために準備されるプロセスを意味する。かかる操作は、例えば、内因性細胞(例えば、とりわけ内因性CD34+細胞)を選択的に枯渇させることによって、細胞移植組織の生着を促進し、それによって、外因性細胞移植組織によって埋められる空孔を作り出す。本明細書に記載の方法によれば、対象は、内因性細胞(例えば、とりわけCD34+細胞)を切除することが可能な1つ以上の薬剤、放射線療法、またはこれらの組み合わせを対象に投与することによって、細胞移植組織操作のためにコンディショニングされ得る。本開示の組成物及び方法と組み合わせるのに有用なコンディショニングレジメンは、骨髄破壊性であっても、非骨髄破壊性であってもよい。当該技術分野において周知の他の細胞切除の薬剤及び方法(例えば、抗体及び抗体-薬物コンジュゲート)も使用され得る。
【0242】
本明細書で使用する場合、用語「骨髄破壊性」または「骨髄破壊」とは、典型的には、細胞毒性剤または放射線への曝露により、造血系を実質的に不全にする、または破壊する、コンディショニング編成を意味する。骨髄破壊は、造血系を破壊する、高用量の細胞毒性剤または全身放射線によりもたらされる、完全な骨髄破壊を包含する。
【0243】
本明細書で使用する場合、用語「非骨髄破壊性」または「骨髄抑制性」とは、宿主由来の、実質的に全ての造血細胞を除去しない、コンディショニング編成を意味する。
【0244】
造血幹及び/または前駆細胞の文脈において本明細書で使用する場合、用語「動員」とは、細胞が典型的に存在する幹細胞ニッシェ(例えば骨髄)から末梢循環に、かかる細胞を放出することを意味する。「動員剤」とは、幹細胞ニッシェから末梢循環への、造血幹及び/または前駆細胞の放出を誘導することが可能である薬剤である。
【0245】
本明細書で使用する場合、用語「膨張剤」とは、所与の細胞型の、エクスビボでの増殖を促進可能な物質を意味する。したがって、「造血幹細胞膨張剤」または「HSC膨張剤」とは、エクスビボで造血幹細胞の集団の増殖を促進することが可能な物質を意味する。造血幹細胞膨張剤としては、細胞が造血幹細胞の機能的可能性を保持するように、造血幹細胞の集団の増殖を引き起こすものが挙げられる。本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る例示的な造血幹細胞膨張剤としては、限定されないが、米国特許第8,927,281号及び同第9,580,426号に記載されるものなどのアリール炭化水素受容体アンタゴニスト、及び特に、化合物SR1が挙げられ、これらの各々の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る追加の造血幹細胞膨張剤としては、化合物UM-171及び米国特許第9,409,906号に記載される他の化合物が挙げられ、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。造血幹細胞膨張剤としては、US2017/0037047に記載される化合物などの化合物UM-171の構造及び/または立体異性体バリアントを更に含み、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。本開示における使用に好適な追加の造血幹細胞膨張剤としては、とりわけ、例えば、WO2000/023567に記載されるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、例えば、トリコスタチンA、トラポキシン、トラポキシンA、クラミドシン、酪酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド、スベラニロヒドロキサム酸、m-カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキサミド、HC-トキシン、Cyl-2、WF-3161、デプデシン、及びラジシコールが挙げられ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0246】
本明細書で使用する場合、用語「T細胞」とは、細胞媒介性免疫において中心的な役割を果たすリンパ球のタイプを意味する。T細胞は、細胞表面上のT細胞受容体(TCR)の存在によって、B細胞及びNK細胞などの他のリンパ球と区別され得る。T細胞受容体は、主要組織適合性複合体(MHC)内の遺伝子によってコードされる自己分子に関連する抗原を認識することによって、T細胞に抗原特異性を付与する。抗原は、抗原提示細胞(APC)、ウイルス感染細胞などの表面上でMHC分子とともに表示され得る。T細胞のいくつかのサブセットがあり、各々が異なる機能(例えば、エフェクターT細胞、調節T細胞、Tヘルパー細胞、細胞毒性T細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT)、及びガンマデルタT細胞(γδT細胞))を有する。
【0247】
本明細書で使用する場合、用語「調節T細胞」または「Treg細胞」とは、免疫系を調節し、自己抗原に対する耐性を維持し、自己免疫疾患を予防する免疫抑制性T細胞のサブ集団を意味する。例えば、Treg細胞は、他のT細胞集団の増殖及び/またはエフェクター機能を抑制する能力を有する。Treg細胞は、その独自の表面タンパク質提示に基づいて区別され得る。例えば、Treg細胞は、CD4、CD25、FOXP3、及び/またはCD17バイオマーカーを発現するT細胞であり得る。Treg細胞は、例えば、IL-2/IL-2受容体依存性メカニズムを介して、及び阻害性サイトカイン(例えば、IL-10、IL-35、及びTGF-β)の産生によって、その免疫抑制性効果を実行する。
【0248】
本明細書で使用する場合、用語「自己反応性エフェクター細胞」または「自己反応性エフェクター免疫細胞」とは、免疫エフェクター応答の促進(例えば、標的に対する免疫応答の促進)に関与し、自己抗原を認識する細胞を意味する。自己反応性エフェクター免疫細胞の例としては、B細胞、T細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。
【0249】
本明細書中で使用する場合、用語「細胞型」とは、遺伝子発現データに基づいて統計的に分離可能な表現型を共有する細胞群を指す。例えば、一般的な細胞型の細胞は、同様の構造及び/または機能的特徴、例えば、同様の遺伝子活性化パターン及び抗原提示プロファイルを共有している場合がある。一般的な細胞型の細胞としては、生体内の一般的な組織(例えば、上皮組織、神経組織、結合組織、もしくは筋肉組織)から分離される細胞、及び/または一般的な臓器、組織系、血管、もしくは他の構造及び/または領域から分離される細胞を挙げることができる。
【0250】
本明細書で使用する場合、用語「自己抗原結合タンパク質」とは、対象(例えば、ヒト対象などの哺乳動物対象)において内因性に発現される抗原に特異的に結合するタンパク質(例えば、一本鎖タンパク質または複数のポリペプチドサブユニットからなるタンパク質)を意味する。自己抗原結合性タンパク質の例は、自己免疫疾患を有する対象において内因性に発現される抗原に特異的に結合する、キメラ抗原受容体及び一本鎖抗体断片などの一本鎖タンパク質である。自己抗原結合性タンパク質の追加の例は、自己免疫疾患を有する対象において内因性に発現される抗原に特異的に結合する、T細胞受容体及び全長抗体などの多鎖タンパク質である。
【0251】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」(Ab)とは、特定の抗原に特異的に結合するか、またはそれと免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子を意味し、キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重、三重、及び四重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ)、ならびに例えば、Fab’、F(ab’)、Fab、Fv、rlgG、及びscFv断片を含む抗体の抗原結合断片を含むが、これらに限定されない、抗体のポリクローナル形態、モノクローナル形態、遺伝子操作された形態、及び他の方法で修飾された形態を含む。更に、別段の指示がない限り、用語「モノクローナル抗体」(mAb)とは、標的タンパク質に特異的に結合することが可能であるインタクトな分子及び抗体断片(例えば、Fab及びF(ab’)断片など)の両方を含むことを意味する。Fab及びF(ab’)断片は、インタクトな抗体のFc断片を欠き、動物の循環からより迅速に消失し、インタクトな抗体よりも少ない非特異的な組織結合を有し得る(参照により本明細書に組み込まれているWahl et al.,J.Nucl.Med.24:316(1983)を参照されたい)。
【0252】
用語「抗原結合断片」とは、本明細書で使用する場合、標的抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を意味する。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって果たされ得る。抗体断片は、Fab、F(ab’)、scFv、SMIP、ダイアボディ、トリアボディ、アフィボディ、ナノボディ、アプタマー、またはドメイン抗体であり得る。抗体の「抗原結合断片」という用語に包含される結合断片の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。(i)Fab断片、V、V、C、及びC1ドメインからなる一価断片、(ii)F(ab’)断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片、(iii)V及びC1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのV及びVドメインからなるFv断片、(v)V及びVドメインを含むdAb、(vi)VドメインからなるdAb断片(Ward et al.,Nature 341:544-546,1989)、(vii)VまたはVドメインからなるdAb、(viii)単離された相補性決定領域(CDR)、ならびに(ix)任意に合成リンカーによって結合され得る2つ以上の単離されたCDRの組み合わせ。更に、Fv断片の2つのドメイン、V及びVが別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え方法を使用して、V領域及びV領域がペアになって一価分子を形成する単一タンパク質鎖として作製されることを可能にするリンカーによって結合され得る(一本鎖Fv(scFv)として既知であり、例えば、Bird et al.,Science 242:423-426(1988)、及びHuston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883(1988)を参照されたい)。これらの抗体断片は、当業者に既知の従来の技術を使用して得ることができ、断片は、インタクトな抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングすることができる。抗原結合断片は、組換えDNA技術、インタクトな免疫グロブリンの酵素的もしくは化学的切断、またはいくつかの実施形態では、当該技術分野において既知の化学的ペプチド合成操作によって産生することができる。
【0253】
本明細書で使用する場合、用語「VH」とは、Fv、scFv、またはFabの重鎖を含む抗体の免疫グロブリン重鎖の可変領域を意味する。「VL」への言及は、Fv、scFv、dsFv、またはFabの軽鎖を含む免疫グロブリン軽鎖の可変領域を意味する。抗体(Ab)及び免疫グロブリン(Ig)は、同じ構造特徴を有する糖タンパク質である。抗体は、特定の標的に対する結合特異性を示すが、免疫グロブリンは、抗体及び標的特異性を欠く他の抗体様分子の両方を含む。天然抗体及び免疫グロブリンは、通常、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖で構成される。天然抗体の各重鎖は、アミノ末端に可変ドメイン(VH)、続いて多数の定常ドメインを有する。天然抗体の各軽鎖は、アミノ末端(VL)に可変ドメインを有し、カルボキシ末端に定常ドメインを有する。
【0254】
本明細書で使用する場合、用語「相補性決定領域」(CDR)とは、軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方において見出される超可変領域を意味する。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。当該技術分野において理解されるように、抗体の超可変領域を表すアミノ酸位置は、当該技術分野において既知の文脈及び様々な定義に応じて変化し得る。可変ドメイン内のいくつかの位置は、これらの位置が、ある基準のセットの下では超可変領域内とみなされ得る一方で、異なる基準のセットの下では超可変領域外とみなされ得るという点で、ハイブリッド超可変位置とみなすことができる。これらの位置のうちの1つ以上はまた、伸長超可変領域において見出され得る。本明細書に記載の抗体は、これらのハイブリッド超可変位置における修飾を含み得る。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、4つのフレームワーク領域を含み、これらは主にβシート構成を採用し、3つのCDRによって接続され、CDRは、βシート構造に連結するループを形成し、ある場合にはその一部を形成するループを形成する。各鎖内のCDRは、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順序でFR領域によって密接に近接して一緒に保持され、他の抗体鎖由来のCDRとともに、抗体の標的結合部位の形成に寄与する(参照により本明細書に組み込まれているKabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health,Bethesda,Md.1987)を参照されたい)。本明細書で使用する場合、免疫グロブリンアミノ酸残基の番号付けは、別段の指示がない限り、Kabat et al.の免疫グロブリンアミノ酸残基番号付けシステムに従って行われる。
【0255】
本明細書で使用する場合、用語「可変領域CDR」とは、配列または構造ベースの方法を使用して同定されるCDRまたは相補性決定領域内のアミノ酸を含む。本明細書で使用する場合、用語「CDR」または「相補性決定領域」とは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非隣接抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616,1977、及びKabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242,1991、Chothia et al.,(J.Mol.Biol.196:901-917,1987)、ならびにMacCallum et al.,(J.Mol.Biol.262:732-745,1996)によって記載されており、定義は、互いに比較した場合、アミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。用語「CDR」とは、例えば、配列比較に基づいてKabatによって定義されるCDRであり得る。
【0256】
本明細書で使用する場合、用語「フレームワーク領域」または「FW領域」とは、CDRに隣接するアミノ酸残基を含む。FW領域残基は、とりわけ、例えば、ヒト抗体、げっ歯類由来抗体(例えば、マウス抗体)、ヒト化抗体、霊長類化抗体、キメラ抗体、抗体断片(例えば、Fab断片)、一本鎖抗体断片(例えば、scFv断片)、抗体ドメイン、及び二重特異性抗体に存在し得る。
【0257】
本明細書で使用する場合、用語「ヒンジ領域」とは、抗体またはその抗原結合断片の文脈において、抗体またはその抗原結合断片のFab領域などの抗体またはその抗原結合断片の抗原結合部分(複数可)と、抗体またはその抗原結合断片のFc領域などの抗体またはその抗原結合断片のアイソタイプを指示する抗体またはその抗原結合断片の一部分との間に位置する、抗体またはその抗原結合断片(例えば、IgG2抗体またはその抗原結合断片)のドメインを意味する。例えば、モノクローナル抗体の文脈において、ヒンジ領域は、CH1ドメインをCH2及びCH3ドメインに接続する、各重鎖のほぼ中心に位置するポリペプチドである。抗体またはその抗原結合断片のヒンジ領域は、抗体またはその抗原結合断片の鎖間に化学的連結を提供し得る。例えば、モノクローナル抗体では、ヒンジ領域内のシステイン残基は、鎖間ジスルフィド結合を形成し、それによって重鎖間に明示的な共有結合を提供する。本明細書で使用する場合、抗体ヒンジ領域は、Kabat et al,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health,Bethesda,Md.1987)の番号付けシステムに従って番号付けされ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0258】
本明細書で使用する場合、用語「二重特異性抗体」とは、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する抗体(例えば、モノクローナル抗体、多くの場合、ヒト化抗体またはヒト化抗体)を意味する。例えば、結合特異性のうちの1つは、自己抗原(例えば、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)に対して指向され得、他のものは、任意の他の抗原、例えば、細胞表面タンパク質、受容体、受容体サブユニット、組織特異的抗原、ウイルス由来タンパク質、ウイルスコードされたエンベロープタンパク質、細菌由来タンパク質、または細菌表面タンパク質などに指向され得る。
【0259】
本明細書で使用する場合、用語「キメラ」抗体とは、ラットまたはマウスなどの1つの供給源生体の免疫グロブリンに由来する可変ドメイン配列(例えば、CDR配列)、及び異なる生物(例えば、とりわけ、ヒト、別の霊長類、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、ネコ、イヌ、モルモット、ウシ科ファミリーのメンバー(とりわけ、ウシ、バイソン、バッファロー、エルク、及びヤクなど)、雌ウシ、ヒツジ、ウマ、またはバイソン)の免疫グロブリンに由来する定常領域を有する抗体を意味する。キメラ抗体を産生するための方法は、当該技術分野において既知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれているMorrison,Science.229(4719):1202-7(1985)、Oi et al.BioTechniques.4:214-221(1986)、Gillies et al.J.Immunol.Methods.125:191-202(1985)、米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、及び同第4,816,397号を参照されたい。
【0260】
本明細書で使用する場合、用語「ダイアボディ」とは、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体を意味し、各ポリペプチド鎖は、同じペプチド鎖上のV及びVドメインの分子内会合を可能にするには短すぎるリンカー(例えば、5つのアミノ酸で構成されるリンカー)によって結合されたV及びVドメインを含む。この構成は、ホモ二量体構造を形成するように、各ドメインを別のポリペプチド鎖上の相補的ドメインとペアになるように強制する。したがって、用語「トリアボディ」とは、3つのペプチド鎖を含む三価抗体を意味し、それらの各々は、同じペプチド鎖内のV及びVドメインの分子内会合を可能にするために、非常に短いリンカー(例えば、1~2つのアミノ酸で構成されるリンカー)によって結合された1つのVドメイン及び1つのVドメインを含有する。その天然構造に折り畳むために、このように構成されたペプチドは、典型的には、適切な折り畳みを可能にするために、隣接するペプチド鎖のV及びVドメインを空間的に互いに近接して配置するように三量体化する(参照により本明細書に組み込まれているHolliger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-48,1993を参照されたい)。
【0261】
本明細書で使用する場合、「二重可変ドメイン免疫グロブリン」(「DVD-Ig」)とは、リンカーを介して2つのモノクローナル抗体の標的結合可変ドメインを組み合わせて、四価の二重標的化単剤を作製する抗体を意味する。(参照により本明細書に組み込まれているGu et al.,Meth.Enzymol.,502:25-41,2012)。本明細書に記載のDVDの軽鎖において使用するための好適なリンカーとしては、Gu et alの30ページの表2.1に同定されているものが挙げられる。
【0262】
本明細書で使用する場合、用語「ヒト抗体」とは、タンパク質の実質的に全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、C、Cドメイン(例えば、C1、C2、C3)、ヒンジ、(V、V))が、ヒトにおいて実質的に非免疫原性であり、わずかな配列の変化または変異のみを有する抗体を意味する。ヒト抗体は、ヒト細胞内で(例えば、組換え発現によって)、または機能的に再配列されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/または軽鎖)遺伝子を発現することが可能である非ヒト動物または原核もしくは真核細胞によって産生され得る。更に、ヒト抗体が一本鎖抗体である場合、それは天然のヒト抗体において見出されないリンカーペプチドを含み得る。例えば、Fvは、重鎖の可変領域及び軽鎖の可変領域を接続する、2~約8個のグリシンまたは他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含み得る。かかるリンカーペプチドは、ヒト起源のものとみなされる。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用するファージディスプレイ方法を含む、当該技術分野において既知の様々な方法によって作製され得る。参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第4,444,887号及び同第4,716,111号、ならびにPCT公開WO1998/46645、WO1998/50433、WO1998/24893、WO1998/16654、WO1996/34096、WO1996/33735、及びWO1991/10741を参照されたい。ヒト抗体はまた、機能的な内因性免疫グロブリンを発現することが不可能であるが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して産生され得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、PCT公開WO98/24893、WO92/01047、WO96/34096、WO96/33735、米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、同第5,885,793号、同第5,916,771号、及び同第5,939,598号を参照されたい。
【0263】
本明細書で使用する場合、用語「ヒト化」抗体とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、または抗体の他の標的結合サブドメインなど)である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を意味する。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、CDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応する。FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものであってもよい。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列の少なくとも一部分を含み得る。抗体ヒト化の方法は、当該技術分野において既知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Riechmann et al.,Nature 332:323-7,1988、Queen et alの米国特許第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、及び同第6,180,370号、EP239400、PCT公開WO91/09967、米国特許第5,225,539、EP592106、及びEP519596を参照されたい。
【0264】
本明細書で使用する場合、用語「霊長類化抗体」とは、霊長類由来抗体からのフレームワーク領域、ならびに非霊長類源の抗体からの他の領域、例えば、CDR及び/または定常領域を含む抗体を意味する。霊長類化抗体を産生するための方法は、当該技術分野において既知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,658,570号、同第5,681,722号、及び同第5,693,780号を参照されたい。例えば、本明細書に記載の霊長類化抗体またはその抗原結合断片は、非霊長類抗体またはその抗原結合断片のCDRを、霊長類の1つ以上のフレームワーク領域を含有する抗体またはその抗原結合断片に挿入することによって産生され得る。
【0265】
本明細書で使用する場合、用語「モノクローナル抗体」とは、任意の真核、原核、またはファージクローンを含む、単一のクローンに由来する抗体を意味し、それが産生される方法によらない。
【0266】
本明細書で使用する場合、用語「scFv」とは、抗体からの重鎖及び軽鎖の可変ドメインが結合されて1つの鎖を形成している一本鎖Fv抗体を意味する。scFv断片は、リンカーによって分離された抗体軽鎖(VL)の可変領域(例えば、CDR-L1、CDR-L2、及び/またはCDR-L3)及び抗体重鎖(VH)の可変領域(例えば、CDR-H1、CDR-H2、及び/またはCDR-H3)を含む単一のポリペプチド鎖を含有する。scFv断片のVL及びVH領域を結合するリンカーは、タンパク質生成アミノ酸で構成されるペプチドリンカーであり得る。scFv断片のタンパク質分解に対する耐性を増加させるように(例えば、D-アミノ酸を含有するリンカー)、scFv断片の溶解度を向上させるために(例えば、ポリエチレングリコール含有リンカーもしくは反復グリシン及びセリン残基を含有するポリペプチドなどの親水性リンカー)、分子の生物物理的安定性を改善するために(例えば、分子内もしくは分子間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含有するリンカー)、またはscFv断片の免疫原性を減弱させるために(例えば、グリコシル化部位を含有するリンカー)、代替的なリンカーが使用され得る。scFv分子は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,892,019号、Flo et al.、(Gene 77:51、1989)、Bird et al.、(Science 242:423、1988)、Pantoliano et al.、(Biochemistry 30:10117、1991)、Milenic et al.、(Cancer Research 51:6363、1991)、及びTakkinen et al.、(Protein Engineering 4:837、1991)に記載されている。scFv分子のVL及びVHドメインは、1つ以上の抗体分子に由来し得る。また、当業者は、本明細書に記載のscFv分子の可変領域が、それらが由来する抗体分子とはアミノ酸配列が異なるように修飾され得ることも理解するであろう。例えば、一実施形態では、アミノ酸残基で保存的置換または変化をもたらすヌクレオチドまたはアミノ酸置換が作製され得る(例えば、CDR及び/またはフレームワーク残基において)。代替的にまたは加えて、変異がCDRアミノ酸残基に作製され、当該技術分野で認識される技術を使用して抗原結合を最適化する。scFv断片は、例えば、参照により本明細書に組み込まれているWO2011/084714に記載されている。
【0267】
本明細書で使用する場合、用語「キメラ抗原受容体」(「CAR」)とは、所与の抗原(例えば、自己抗原)を認識し、それに特異的に結合する1つ以上の抗原認識領域(例えば、1つ以上のCDR)を含有する組換えポリペプチドを意味する。本明細書に記載のCARは、一般に、少なくとも細胞外抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、及び本明細書に定義される刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも呼ばれる)を含有する。刺激分子は、T細胞受容体複合体に関連するゼータ鎖であってよい。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、以下に記載されるように、少なくとも1つの共刺激分子に由来する1つ以上の機能的シグナル伝達ドメインを更に含有する。共刺激分子は、例えば、4-1BB(すなわち、CD137)、CD27、及び/またはCD28を含有し得る。いくつかの実施形態では、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、及び刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメインを有するキメラ融合タンパク質を含有する。CARは、例えば、細胞外抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、ならびに共刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメインを有するキメラ融合タンパク質を含有し得る。いくつかの実施形態では、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、ならびに1つ以上の共刺激分子(複数可)に由来する2つの機能的シグナル伝達ドメイン、及び刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを有するキメラ融合タンパク質を含有する。いくつかの実施形態では、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、ならびに1つ以上の共刺激分子(複数可)に由来する少なくとも2つの機能的シグナル伝達ドメイン、及び刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを有するキメラ融合タンパク質を含有する。CARは、CAR融合タンパク質のアミノ末端にリーダー配列を含有し得る。いくつかの実施形態では、CARは、細胞外抗原認識ドメインのN末端にリーダー配列を更に含有し、これは、CARの細胞処理及び細胞膜への局在化中に、抗原認識ドメイン、例えば、(scFv)から切断され得る。誤解を避けるために、本明細書で使用する場合、用語「細胞内ドメイン」及び「細胞質ドメイン」とは、同じ意味で用いられる。
【0268】
用語「シグナル伝達ドメイン」とは、セカンドメッセンジャーを生成することにより、またはかかるメッセンジャーに応答することによってエフェクターとして機能することにより、定義されたシグナル伝達経路を介して細胞活性を制御するために、細胞内で情報を伝達することによって作用するタンパク質の機能的部分を意味する。本明細書に記載のCARは、様々な形態で存在し得る抗体またはその抗体断片を含有し得る。例えば、抗原認識ドメインは、例えば、単一ドメイン抗体断片(sdAb)、一本鎖抗体(例えば、scFv)、及びヒト化抗体を含む隣接ポリペプチド鎖の一部として発現され得る(Harlow et al.,1999,In:Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY、Harlow et al.,1989,In:Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.、Houston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883、Bird et al.,1988,Science 242:423-426)。
【0269】
本明細書で使用する場合、用語「ヒンジドメイン」とは、CARの文脈において、適切な細胞/細胞接触、抗原結合、及び活性化を可能にするために、抗原認識ドメインをT細胞表面から離れるように位置させる役割を果たすCARの細胞外部分を意味する。CARは、一般に、抗原認識ドメインと膜貫通ドメインとの間に1つ以上のヒンジドメインを含む。ヒンジドメインの例としては、CD28、CD8(例えば、CD8α)、IgG1/IgG4(ヒンジ-Fc部分)、CD4、CD7、及びIgDに由来するものが挙げられる。
【0270】
本明細書で使用する場合、用語「膜貫通ドメイン」とは、細胞外抗原認識ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを融合させ、CARをT細胞の形質膜にアンカーするCARの一部分を意味する。膜貫通ドメインの例としては、CD28、CD3ゼータ、CD8(例えば、CD8α)、FcRIγ、CD4、CD7、OX40、及びMHC(H2-Kb)に由来するものが挙げられる。
【0271】
本明細書で使用する用語としての「刺激分子」とは、T細胞シグナル伝達経路の少なくともいくつかの態様について刺激的な方法でTCR複合体の一次活性化を制御する一次細胞質シグナル伝達配列(複数可)を提供するT細胞によって発現される分子を意味する。一態様では、一次シグナルは、例えば、ペプチドが負荷されたMHC分子とのTCR/CD3複合体の結合によって開始され、これは、増殖、活性化、分化などを含むが、これらに限定されない、T細胞応答の媒介をもたらす。刺激的な方法で作用する一次細胞質シグナル伝達配列(「一次シグナル伝達ドメイン」とも呼ばれる)は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして既知であるシグナル伝達モチーフを含有し得る。本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例としては、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」としても既知である)、及びCD66dに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の例示的なCAR分子において、本開示の任意の1つ以上のCAR分子における細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内シグナル伝達配列、例えば、CD3ゼータの一次シグナル伝達配列を含む。本開示の特定のCARにおいて、CD3ゼータの一次シグナル伝達配列は、ヒト配列、または非ヒト種、例えば、マウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの同等の残基である。
【0272】
本明細書で使用する用語としての「細胞内シグナル伝達ドメイン」とは、分子の細胞内部分を意味する。細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有細胞、例えば、CAR Treg細胞の免疫抑制機能を促進するシグナルを生成し得る。例えば、Treg細胞における免疫抑制機能の例としては、自己反応性エフェクター免疫細胞の活性及び/または増殖の抑制が挙げられる。
【0273】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。例示的な一次細胞内シグナル伝達ドメインとしては、一次刺激または抗原依存性シミュレーションに関与する分子に由来するものが挙げられる。実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激細胞内ドメインを含み得る。例示的な共刺激細胞内シグナル伝達ドメインとしては、共刺激シグナルまたは抗原非依存性刺激に関与する分子に由来するものが挙げられる。例えば、CAR Tregの場合、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体の細胞質配列を含み得、共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共受容体または共刺激分子からの細胞質配列を含み得る。
【0274】
一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして既知であるシグナル伝達モチーフを含み得る。ITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例としては、CD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD66d、DAP10、及びDAP12に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0275】
本明細書で使用する場合、「ゼータ」、または代替的に「ゼータ鎖」、「CD3ゼータ」もしくは「TCRゼータ」は、GenBank Acc.No.BAG36664.1として提供されるタンパク質、または非ヒト種、例えば、マウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの同等の残基として定義され、「ゼータ刺激ドメイン」、または代替的に「CD3ゼータ刺激ドメイン」もしくは「TCRゼータ刺激ドメイン」は、T細胞活性化に必要な初期シグナルを機能的に伝達するのに十分であるゼータ鎖の細胞質ドメインからのアミノ酸残基として定義される。一態様では、ゼータの細胞質ドメインは、GenBank Acc.No.BAG36664.1の残基52~164、またはその機能的オルソログである非ヒト種、例えば、マウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの同等の残基を含む。
【0276】
「共刺激分子」とは、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによって、T細胞による共刺激応答、例えば、限定されないが、増殖を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを意味する。共刺激分子は、効率的な免疫応答に必要とされる抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激分子としては、MHCクラスI分子、BTLA及びTollリガンド受容体、ならびにOX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)及び4-1BB(CD137)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0277】
共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内部分に由来し得る。共刺激分子は、以下のタンパク質ファミリーにおいて表すことができる:TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、及び活性化NK細胞受容体。かかる分子の例としては、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、及びCD83と特異的に結合するリガンドなどが挙げられる。細胞内シグナル伝達ドメインは、それが由来する分子の細胞内部分全体、もしくは天然の細胞内シグナル伝達ドメイン全体、またはその機能的断片を含み得る。
【0278】
本明細書で使用する場合、用語「自己免疫疾患」とは、自らの免疫系が自らの組織を誤って攻撃することに起因する疾患の群を意味する。自己免疫障害の非限定的な例としては、I型糖尿病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、若年性関節炎、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、視神経脊髄炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、ならびにウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0279】
本明細書で使用する場合、用語「炎症」とは、感染性因子(例えば、病原体)、毒素、腫瘍細胞、刺激物、及びストレスによる細胞傷害に対するシグナル媒介性応答を意味する。急性炎症は、有害な刺激(例えば、病原体、損傷した細胞、がん/腫瘍細胞、ストレス、または刺激物)から身体を防御及び保護するために重要であるが、慢性及び不適切に高い炎症は、組織破壊(例えば、自己免疫、炎症性疾患、神経変性疾患、または心血管疾患において)を引き起こす可能性がある。炎症は、流体の蓄積(浮腫)及び白血球の動員を伴う毛細血管拡張の結果を表す。本明細書で使用する目的のために、炎症の増加または低下は、白血球の動員の増加もしくは低下、及び/または免疫細胞活性の増加もしくは低下(例えば、T細胞極性化、T細胞活性化、樹状細胞活性化、好中球活性化、好酸球活性化、好塩基球活性化、T細胞増殖、B細胞増殖、単球増殖、マクロファージ増殖、樹状細胞増殖、NK細胞増殖、ILC増殖、肥満細胞増殖、好中球増殖、好酸球増殖、好塩基球増殖、細胞傷害性T細胞活性化、単球の循環、末梢血造血幹細胞、マクロファージ極性化、マクロファージ食作用、マクロファージADCP、好中球食作用、単球食作用、肥満細胞食作用、B細胞食作用、好酸球食作用、樹状細胞食作用、マクロファージ活性化、抗原提示(例えば、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞の抗原提示)、抗原提示細胞の遊走(例えば、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞の遊走)、リンパ節免疫細胞ホーミング及び細胞移出(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞、もしくはマクロファージのリンパ節ホーミング及び移出)、NK細胞活性化、NK細胞ADCC、肥満細胞脱顆粒化、NK細胞脱顆粒化、ILC活性化、ILC ADCC、ILC脱顆粒化、細胞傷害性T細胞脱顆粒化、好中球脱顆粒化、好酸球脱顆粒化、好塩基球脱顆粒化、好中球動員、好酸球動員、NKT細胞活性化、B細胞活性化、調節T細胞分化、樹状細胞成熟、HEVの発生、または異所性もしくは三次リンパ器官(TLO)の発生のうちの1つ以上)によって評価される。本開示の組成物及び方法は、自己免疫疾患を有すると診断された対象または自己免疫疾患に罹患していない対象における炎症を低減させるために投与され得る。
【0280】
本明細書で使用する場合、用語「白血球動員」とは、循環系から、組織損傷、感染、傷害、またはストレスの部位への白血球の移動または遊走を意味する。組織内の血流から炎症性病巣への白血球動員は、炎症性応答の成功をマウントするために基本的であり、好中球輸送が損なわれる状態のクラスである白血球接着欠損症に罹患している患者の再発感染及び乏しい生存率によって証明されるように、自然免疫応答の不可欠な部分を形成する。単球はまた、それらのマクロファージへの発達中に、感染または組織損傷の不在下においてこのプロセスを使用する。白血球動員は、主に、白血球輸送を制御する分子が優先的に発現される後毛細血管細静脈で行われる。白血球動員のプロセス中、白血球は血管内皮に接着し、その後、化学遊走物質(例えば、ケモカイン)によって駆動される経内皮遊走によって循環を離れる。これは、血管外遊出として既知のプロセスである。
【0281】
本明細書で使用する場合、用語「発現する」とは、以下の事象のうちの1つ以上を意味する:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば、転写による)、(2)RNA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’末端プロセシングによる)、(3)RNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳、ならびに(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。タンパク質産物をコードする遺伝子の文脈において、用語「遺伝子発現」などは、用語「タンパク質発現」などと同じ意味で用いられる。対象における目的の遺伝子またはタンパク質の発現は、例えば、対象から得られるサンプルにおける、対応するタンパク質をコードするmRNAの量もしくは濃度の増加(例えば、本明細書に記載の、もしくは当該技術分野において既知のRNA検出操作、例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)及びRNA seq技術を使用して評価されるような)、対応するタンパク質の量もしくは濃度の増加(例えば、本明細書に記載の、もしくは当該技術分野において既知のタンパク質検出方法、例えば、とりわけ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して評価されるような)、及び/または対応するタンパク質の活性の増加(例えば、酵素の場合、本明細書に記載の、もしくは当該技術分野において既知の酵素活性アッセイを使用して評価されるような)を検出することによって明らかにすることができる。本明細書で使用する場合、上記の事象のうちの1つ以上、または全てが、細胞内または細胞が存在する培地中で検出され得る場合、細胞は、目的の遺伝子またはタンパク質を「発現する」とみなされる。例えば、目的の遺伝子またはタンパク質は、(i)細胞もしくは細胞の集団による、mRNA鋳型などの対応するRNA転写産物の産生(例えば、本明細書に記載のRNA検出操作を使用する)、(ii)RNA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’末端プロセシング、例えば、本明細書に記載のRNA検出操作を使用する)、(iii)RNA鋳型のタンパク質産物への翻訳(例えば、本明細書に記載のタンパク質検出操作を使用する)、及び/または(iv)タンパク質産物の翻訳後修飾(例えば、本明細書に記載のタンパク質検出操作を使用する)を検出することができる場合、細胞または細胞の集団によって「発現される」とみなされる。
【0282】
本明細書で使用する場合、用語「核酸カセット」とは、遺伝子産物(例えば、本明細書に記載の遺伝子産物)をコードする組換え核酸(例えば、DNAまたはcDNA)を意味する。遺伝子産物は、RNA、ペプチド、またはタンパク質であり得る。遺伝子産物についてのコード領域に加えて、核酸カセットは、プロモーター、エンハンサー(複数可)、脱安定化ドメイン(複数可)、応答エレメント(複数可)、レポーターエレメント(複数可)、インスレーターエレメント(複数可)、ポリアデニル化シグナル(複数可)、及び/または他の機能的エレメントなどの、発現を促進または向上するための1つ以上のエレメントを含み得るか、またはそれらに作動可能に連結していてよい。本開示の実施形態は、任意の既知の好適なプロモーター、エンハンサー(複数可)、脱安定化ドメイン(複数可)、応答エレメント(複数可)、レポーターエレメント(複数可)、インスレーターエレメント(複数可)、ポリアデニル化シグナル(複数可)、及び/または他の機能的エレメントを利用することができる。
【0283】
本明細書で使用する場合、用語「作動可能に連結される」とは、第2の分子に結合される第1の分子を意味し、分子は、第1の分子が第2の分子の機能に影響を及ぼすように配置される。2つの分子は、単一の切れ目のない分子の一部であってもよく、そうでなくてもよく、隣接していてもよく、隣接していなくてもよい。例えば、プロモーターが細胞内の目的の転写可能なポリヌクレオチド分子の転写を調節する場合、プロモーターは、転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に連結している。更に、転写調節エレメントの2つの部分は、一方の部分の転写活性化機能が他方の部分の存在により悪影響を受けないようにそれらが結合している場合、互いに作動可能に連結している。2つの転写調節エレメントは、リンカー核酸(例えば、介在非コード核酸)によって互いに作動可能に連結していてよく、または介在ヌクレオチドが存在せずに互いに作動可能に連結していてよい。
【0284】
本明細書中で使用する場合、用語「転写調節エレメント」とは、目的の遺伝子の転写を少なくとも部分的に制御する核酸を指す。転写調節エレメントは、遺伝子転写を制御するか、または制御するのを支援するプロモーター、エンハンサー、及び他の核酸(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含み得る。転写調節エレメントの例は、例えば、Mantel et al.,J.Immunol.176(6):3593-602(2006)、Lee et al.,Exp.Mol.Med.50(3):e456(2018)、Kim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)、Zheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)、Tone et al.,Nat.Immunol.9(2):194-202(2008)、Dikiy et al.,Immunity.54(5):931-946(2021)、Kawakami et al.,Immunity.54(5):947-961(2021)、及びGoeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185(Academic Press,San Diego,CA,1990)に記載されており、これらの開示は、それらの全体が参照により組み込まれている。
【0285】
本明細書で使用する場合、用語「系統特異的」とは、別の細胞型よりも特定の細胞型に対して選択的であることを意味する。例えば、用語「系統特異的転写調節エレメント」とは、特定の細胞型において見出される遺伝子の転写を少なくとも部分的に制御する核酸を意味する。系統特異的転写調節エレメントの例としては、Treg細胞の明確な特徴であるFoxp3遺伝子の転写を制御するFoxp3プロモーター、CNS1エンハンサー、CNS2エンハンサー、CNS3エンハンサー、及びCNS0エンハンサーが挙げられる。
【0286】
本明細書で使用されるとき、用語「プロモーター」とは、RNAポリメラーゼが結合するDNA上の認識部位を指す。ポリメラーゼは、核酸カセットの転写を駆動する。本明細書に記載の組成物及び方法とともに使用するのに好適な例示的なプロモーターは、例えば、Mantel et al.,J.Immunol.176(6):3593-602(2006)、Lee et al.,Exp.Mol.Med.50(3):e456(2018)、Kim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)、及びZheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)に記載されている。更に、用語「プロモーター」とは、生物学的な系において自然に存在しない調節DNA配列である合成プロモーターを意味し得る。合成プロモーターは、自然に存在しないポリヌクレオチド配列と組み合わせた、自然に存在するプロモーターの一部を含有し、様々な核酸カセット、ベクター、及び標的細胞型を使用して組換えDNAを発現するように最適化され得る。
【0287】
本明細書で使用する場合、用語「エンハンサー」とは、転写開始部位に対するエンハンサーの距離または配向に関係なく、転写の効率を高めることができる調節エレメントのタイプを意味する。したがって、エンハンサーは、転写開始部位の上流もしくは下流に、またはプロモーターからかなりの距離に位置され得る。エンハンサーはまた、物理的及び機能的にプロモーターと重複し得る。プロモーター配列(例えば、Foxp3プロモーター配列)を含む多数のポリヌクレオチドはまた、エンハンサー配列(例えば、CNS1エンハンサー配列)を含有する。
【0288】
本明細書で使用する場合、用語「Foxp3プロモーター」とは、Treg細胞におけるFoxp3遺伝子の転写をオンにするプロモーターを意味する。例示的なヒトFoxp3プロモーターとしては、例えば、配列番号1に記載される核酸が挙げられ、これはMantel et al.,J.Immunol.176(6):3593-602(2006)に記載されている。ヒトFoxp3プロモーターの別の例としては、配列番号2に記載される核酸が挙げられ、これはKim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)に記載されている。例示的なマウスFoxp3プロモーターとしては、例えば、配列番号3に記載される核酸が挙げられ、これはZheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)に記載されている。配列番号3のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトFoxp3プロモーターの更なる例としては、配列番号4に記載される核酸が挙げられる。Foxp3プロモーター核酸の追加の例としては、上記核酸配列に関して少なくとも70%の同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸が挙げられる。
【0289】
本明細書で使用する場合、用語「CNS0エンハンサー」とは、Treg細胞におけるFoxp3遺伝子の転写効率を増加させるエンハンサーを意味する。例えば、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るCNS0エンハンサーとしては、転写因子Satb1及び/またはStat5を動員するものが挙げられる。例示的なマウスCNS0エンハンサーとしては、例えば、配列番号17に記載される核酸が挙げられ、これはKawakami et al.,Immunity.54(5):947-961(2021)に記載されている。配列番号17のヒトゲノムへのアラインメントとして、例示的なヒトCNS0エンハンサーには、例えば、配列番号18に記載される核酸が含まれる。マウスCNS0エンハンサーの別の例としては、配列番号19に記載される核酸が挙げられ、これはDikiy et al.,Immunity.54(5):931-946(2021)に記載されている。配列番号19のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS0エンハンサーの更なる例としては、配列番号20に記載される核酸が挙げられる。CNS0エンハンサー核酸の追加の例としては、上記核酸配列に関して少なくとも70%の同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸が挙げられる。
【0290】
本明細書で使用する場合、用語「CNS1エンハンサー」とは、Treg細胞におけるFoxp3遺伝子の転写効率を増加させるエンハンサーを意味する。例えば、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るCNS1エンハンサーとしては、転写因子AP-1、NFAT、Smad3、及び/またはFoxo(例えば、Foxo1及びFoxo3)を動員するものが挙げられる。CNS1エンハンサーは、Treg細胞の末梢誘導及び粘膜免疫寛容に寄与すると考えられている。例示的なヒトCNS1エンハンサーは、例えば、Kim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)に記載されているように、ヒトFoxp3遺伝子座のFoxp3転写開始部位に関して、核酸-500~+100を含有する。例示的なマウスCNS1エンハンサーとしては、例えば、配列番号5に記載される核酸が挙げられ、これはTone et al.,Nat.Immunol.9(2):194-202(2008)に記載されている。配列番号5のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS1エンハンサーの追加の例としては、配列番号6に記載される核酸が挙げられる。マウスCNS1エンハンサーの別の例としては、配列番号7に記載される核酸が挙げられ、これはZheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)に記載されている。配列番号7のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS1エンハンサーの更なる例としては、配列番号8に記載される核酸が挙げられる。CNS1エンハンサー核酸の追加の例としては、上記核酸配列に関して少なくとも70%の同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸が挙げられる。
【0291】
本明細書で使用する場合、用語「CNS2エンハンサー」とは、Treg細胞におけるFoxp3遺伝子の転写効率を増加させるエンハンサーを意味する。例えば、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るCNS2エンハンサーとしては、転写因子Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及び/またはc-Relを動員するものが挙げられる。CNS2エンハンサーは、機能的Treg細胞において高度に脱メチル化されており、T細胞受容体刺激に応答して、及びTreg細胞増殖中に、Foxp3発現の安定性に関与すると考えられている。例示的なヒトCNS2エンハンサーは、例えば、Kim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)に記載されているように、ヒトFoxp3遺伝子座のFoxp3転写開始部位に関して、核酸+2,022~+2,721を含有する。例示的なマウスCNS2エンハンサーとしては、例えば、配列番号9に記載される核酸が挙げられ、これはKawakami et al.,Immunity.54(5):947-961(2021)に記載されている。配列番号9のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS2エンハンサーの追加の例としては、配列番号10に記載される核酸が挙げられる。マウスCNS2エンハンサーの別の例としては、配列番号11に記載される核酸が挙げられ、これはZheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)に記載されている。配列番号11のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS2エンハンサーの更なる例としては、配列番号12に記載される核酸が挙げられる。CNS2エンハンサー核酸の追加の例としては、上記核酸配列に関して少なくとも70%の同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸が挙げられる。
【0292】
本明細書で使用する場合、用語「CNS3エンハンサー」とは、Treg細胞におけるFoxp3遺伝子の転写効率を増加させるエンハンサーを意味する。例えば、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るCNS3エンハンサーとしては、転写因子Foxo(例えば、Foxo1及びFoxo3)及び/またはc-Relを動員するものが挙げられる。CNS3エンハンサーは、Foxp3発現に必要とされるTCR刺激を閾値化する役割を果たし、末梢及び胸腺Treg細胞の生成に重要であると考えられている。例示的なヒトCNS3エンハンサーは、例えば、Kim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)に記載されているように、ヒトFoxp3遺伝子座のFoxp3転写開始部位に関して、核酸+4,301~+4,500を含有する。例示的なマウスCNS3エンハンサーとしては、例えば、配列番号13に記載される核酸が挙げられ、これはKawakami et al.,Immunity.54(5):947-961(2021)に記載されている。配列番号13のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS3エンハンサーの追加の例としては、配列番号14に記載される核酸が挙げられる。マウスCNS3エンハンサーの別の例としては、配列番号15に記載される核酸が挙げられ、これはZheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)に記載されている。配列番号15のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS3エンハンサーの更なる例としては、配列番号16に記載される核酸が挙げられる。CNS3エンハンサー核酸の追加の例としては、上記核酸配列に関して少なくとも70%の同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸が挙げられる。
【0293】
本明細書で使用する場合、用語「調節配列」とは、遺伝子(複数可)の転写または翻訳を制御する、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。かかる調節配列は、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Perdew et al.,Regulation of Gene Expression(Humana Press,New York,NY,(2014))に記載されている。
【0294】
参照ポリヌクレオチド配列または参照ポリペプチド配列に対する「配列同一性割合(%)」とは、必要であれば、配列をアラインメントし、ギャップを導入して、最大の配列同一性の割合を達成した後、参照ポリヌクレオチド配列または参照ポリペプチド配列内の核酸またはアミノ酸と同一である候補配列内の核酸またはアミノ酸の割合と定義される。核酸またはアミノ酸配列同一性割合を決定する目的のアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、またはMegalignソフトウェアなどの、一般に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の能力の範囲内の様々な方法で達成することができる。当業者は、比較されている配列の全長にわたる最大のアラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインメントするのに適切なパラメータを決定することができる。例えば、配列同一性割合の値は、配列比較コンピュータプログラムBLASTを使用して生成されてよい。一例として、所与の核酸配列またはアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対する所与の核酸配列またはアミノ酸配列Aの配列同一性割合(これは代替的に、所与の核酸配列またはアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれ対するある特定の配列同一性割合を有する所与の核酸配列またはアミノ酸配列Aと言い換えることができる)は、以下のように計算される:
100×(分数X/Y)
式中、Xは、A及びBのプログラムのアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラム(例えば、BLAST)によって同一の一致としてスコアリングされたヌクレオチドまたはアミノ酸の数であり、Yは、Bにおける核酸の総数である。核酸またはアミノ酸配列Aの長さが核酸またはアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAの配列同一性割合は、Aに対するBの配列同一性割合と等しくないと理解される。
【0295】
本明細書で使用する場合、用語「阻害剤」とは、標的分子に結合する、及び/または、別の場合においては、標的分子の活性を抑制する剤(例えば、低分子、ペプチド断片、タンパク質、抗体、またはその抗原結合断片)を意味する。
【0296】
本明細書で使用する場合、用語「内因性」とは、特定の生体(例えば、ヒト)または生体内の特定の位置(例えば、器官、組織、または細胞、例えば、ヒト細胞)に自然に見出される分子(例えば、ポリペプチド、核酸、または補因子)を表す。
【0297】
本明細書で使用する場合、用語「外因性」とは、特定の生体(例えば、ヒト)または生体内の特定の位置(例えば、器官、組織、または細胞、例えば、ヒト細胞)に自然に見出されない分子(例えば、ポリペプチド、核酸、または補因子)を表す。外因性物質としては、生体またはそこから抽出された培養物質に対して外部源から提供されるものが挙げられる。
【0298】
本明細書で使用する場合、用語「形質導入」及び「形質導入する」とは、細胞内にウイルスベクター構築物またはその一部を導入し、それに続いて細胞においてベクター構築物またはその一部によってコードされる核酸カセットを発現させる方法を意味する。
【0299】
本明細書で使用する場合、用語「ポロキサマー」とは、ポリオキシエチレンの2つの親水性鎖が隣接する、ポリオキシプロピレンの中心の疎水性鎖で構成される、非イオン性の三元ブロックコポリマーを意味する。ポロキサマーは、「プルロニクス」または「シンペロにクス」(BASF)の商品名でもまた既知である。ブロックコポリマーは、以下の式によって表すことができる:HO(CO)(CO)(CO)H。ポリマーブロックの長さは、カスタマイズすることができる。結果的に、多くの異なるポロキサマーが存在する。本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用するのに好適なポロキサマーとしては、少なくとも約10,000g/mol、少なくとも約11,400g/mol、少なくとも約12,600g/mol、少なくとも約13,000g/mol、少なくとも約14,600g/mol、または少なくとも約15,000g/molの平均分子量を有するものが挙げられる。ブロックコポリマーの合成は、あるバッチから別のバッチへの、自然な変動度に関連しているため、上で引用した数値(及び、所与のポロキサマーを特徴付けるために本明細書で使用するもの)は、合成の際に正確に到達可能でなくてもよく、平均値は一定の程度で異なる。したがって、本明細書で使用する場合、用語「ポロキサマー」は、別段に明示されていないのであれば、用語「ポロキサマー」(ポロキサマーの混合物としても呼ばれる、いくつかのポロキサマーの実体を表す)と同じ意味で用いることができる。本明細書で使用する場合、ポロキサマー(複数可)のモノマー単位または分子量の数と関係する用語「平均」とは、全てが同一の組成物、及びしたがって同一の分子量を有するポロキサマーを、技術的に産生することができない結果である。最先端の方法に従って産生されたポロキサマーは、ポロキサマーの混合物として存在し、各々は、それらの分子量に関して変動性を示すが、混合物は全体として本明細書で明記される分子量を平均している。BASF及びSigma Aldrichは、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用するためのポロキサマーの好適な供給元である。
【0300】
本明細書で使用する場合、例えば、スタウロスポリンなどのタンパク質キナーゼC(PKC)阻害剤の文脈において、用語「バリアント」とは、参照薬剤と比較して1つ以上の修飾を含む薬剤を意味し、(i)参照薬剤の機能的性質(例えば、PKC活性を阻害する能力)を保持し、及び/または(ii)細胞(例えば、CD34+細胞などの本明細書に記載の型の細胞)内で参照薬剤に変換される。スタウロスポリンなどの低分子PKC阻害剤の文脈において、参照化合物の構造バリアントとしては、1つ以上の置換基の包含及び/または位置により、参照化合物とは異なるバリアント、ならびに構造異性体(例えば、位置異性体)または立体異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマー)などの参照化合物の異性体であるバリアント、ならびに参照化合物のプロドラッグが挙げられる。干渉RNA分子の文脈において、バリアントは、親干渉RNA分子と比較して、1つ以上の核酸置換を含有し得る。
【0301】
本明細書で使用する場合、ヒストンの脱アセチル化を阻害する薬剤とは、直接の相互作用、または細胞内で産生されたヒストン脱アセチル化酵素の量の低減を引き起こすこと、もしくはヒストン脱アセチル化酵素とアセチル化ヒストン基質との間の相互作用を阻害することなどによる間接的手段のいずれかにより、ヒストン脱アセチル化酵素の活性、より具体的には、その酵素活性を減衰または防止することが可能な物質または組成物(例えば、低分子、タンパク質、干渉RNA、メッセンジャーRNA、または他の自然もしくは合成化合物、またはウイルス、もしくは複数の物質で構成される他の材料などの組成物)を意味する。ヒストン脱アセチル化酵素の酵素活性を阻害することは、ヒストン脱アセチル化酵素がヒストン残基(例えば、ヒストンタンパク質内のモノ、ジ、もしくはトリメチル化リジン残基、モノメチル化アルギニン残基、または対称/非対称ジメチル化アルギニン残基)からのアセチル基の除去を触媒する能力を低減させることを意味する。好ましくは、ヒストン脱アセチル化を阻害する薬剤が、別の関連しない生物学的効果を産生するために必要とされる阻害剤の濃度よりも低い濃度で、ヒストン脱アセチル化酵素がヒストン残基からアセチル基を除去する能力を低減させるように、かかる阻害は特異的である。
【0302】
本明細書で使用する場合、用語「ヒストン脱アセチル化酵素」及び「HDAC」とは、ヒストンのN末端において、リジン残基のε-アミノ基からの、アセチル基の除去を触媒する酵素のファミリーのいずれか1つを意味する。文脈によって別段の指示がない限り、用語「ヒストン」とは、任意の種由来のHI、H2A、H2B、H3、H4、及びH5を含む任意のヒストンタンパク質を意味することを意味する。ヒトHDACタンパク質または遺伝子産物としては、HDAC-1、HDAC-2、HDAC-3、HDAC-4、HDAC-5、HDAC-6、HDAC-7、HDAC-8、HDAC-9、HDAC-10、及びHDAC-11が挙げられるが、これらに限定されない。
【0303】
本明細書で使用する場合、「プロスタグランジンE受容体シグナル伝達を活性化する」化合物などは、明記した化合物と接触していないプロスタグランジンE受容体発現細胞における、プロスタグランジンE受容体シグナル形質導入活性と比較して、明記した化合物と接触したプロスタグランジンE受容体発現細胞において、プロスタグランジンE受容体のシグナル形質導入活性を増加させる能力を有する化合物を意味する。プロスタグランジンE受容体シグナル形質導入を測定するために使用され得るアッセイは、例えば、WO2010/108028に記載されており、その開示がプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の評価方法に関するため、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0304】
本明細書で使用する場合、用語「トランスフェクション」とは、外因性DNAを原核または真核宿主細胞に導入するために一般に使用される多種多様な技術のいずれか、例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクション、ヌクレオフェクション、スクイーズポレーション、ソノポーレーション、オプティカルトランスフェクション、磁気フェクション、インペールフェクションなどを意味する。
【0305】
本明細書で使用する場合、用語「ベクター」は、核酸ベクター(例えば、プラスミドなどのDNAベクター)、RNAベクター、ウイルス、または、他の好適なレプリコン(例えば、ウイルスベクター)を含む。外因性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを原核細胞または真核細胞に送達するために、様々なベクターが開発されている。かかる発現ベクターの例は、例えば、WO1994/011026に記載されており、その開示は、目的の遺伝子の発現に好適なベクターに関するため、参照により本明細書に組み込まれている。本明細書に記載の組成物及び方法とともに使用するのに好適な発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列、ならびに例えば、タンパク質の発現及び/または哺乳動物細胞のゲノムへのこれらのポリヌクレオチド配列の組み込みに使用する追加の配列エレメントを含有する。本明細書に記載のタンパク質(複数可)の発現のために使用され得るベクターとしては、遺伝子転写を指令する、プロモーター及びエンハンサー領域などの制御配列を含有するプラスミドが挙げられる。加えて、本明細書に記載のタンパク質(複数可)の発現に有用なベクターは、対応する遺伝子(複数可)の翻訳速度を向上させるか、または遺伝子転写から生じるmRNAの安定性もしくは核外搬出を改善する、ポリヌクレオチド配列を含有し得る。かかる配列エレメントの例は、5’及び3’非翻訳領域、IRES、ならびに発現ベクターで担持される遺伝子または遺伝子の効率的な転写を指令するためのポリアデニル化シグナル部位である。本明細書に記載の組成物及び方法とともに使用するのに好適な発現ベクターは、かかるベクターを含有する細胞を選択するためのマーカーをコードするポリヌクレオチドもまた、含有することができる。好適なマーカーの例は、とりわけ、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ノーセオスリシン、またはゼオシンなどの抗生物質に耐性をコードする遺伝子である。
【0306】
本明細書で使用する場合、用語「プラスミド」とは、その中に追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る、染色体外環状二本鎖DNA分子を意味する。プラスミドは、ベクターのタイプであり、連結している別の核酸を輸送することが可能な核酸分子である。ある特定のプラスミドは、それらが導入される宿主細胞において自己複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌プラスミド及びエピソーム性哺乳動物プラスミド)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それによって、宿主ゲノムとともに複製される。ある特定のプラスミドは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指令することが可能である。
【0307】
本明細書で使用する場合、用語「対象」及び「患者」とは、同じ意味で用いられ、本明細書に記載の自己免疫疾患などの疾患を発症するリスクのある、もしくは有すると診断されている、及び/または治療を受けている生体(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)を意味する。
【0308】
本明細書で使用する場合、用語「投与すること」、「投与」などは、任意の効果的な経路により、患者に、治療剤(例えば、多能性細胞(例えば、胚幹細胞、人工多能性幹細胞、またはCD34+細胞)の集団といった、細胞の集団)を直接与えることを意味する。例示的な投与経路は、本明細書に記載されており、とりわけ、静脈内注射などの全身投与経路が挙げられる。
【0309】
本明細書で使用する場合、「治療」及び「治療すること」とは、有益な、または所望の結果、例えば臨床的結果を得るためのアプローチを意味する。有益な、または所望の結果としては、検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、1つ以上の兆候または症状の軽減または寛解;疾患または症状の程度の減少;疾患、障害、または症状の状態の安定化(すなわち、悪化しないこと);疾患または症状の拡大の予防;疾患または症状の進行の遅延または減速;疾患または症状の寛解または緩和;及び(部分的または完全)緩解を挙げることができるが、これらに限定されない。疾患または症状を「寛解すること」または「緩和すること」とは、治療の不在下における程度または時間経過と比較して、疾患、障害、または症状の程度及び/または望ましくない臨床兆候が減少させられ、及び/または進行の時間経過が減速または延長させられることを意味する。「治療」はまた、治療を受けていない場合の予測される生存と比較して、生存を延長することも意味し得る。治療を必要とする者としては、症状または障害を既に有する者、及び症状または障害を発症する傾向にあるか、または発症するリスクのある者、ならびに症状または障害を予防する必要がある者が挙げられる。
【0310】
本明細書で使用する場合、用語「医薬組成物」とは、本明細書に記載の自己免疫疾患などの、哺乳動物に影響を与える特定の疾患または症状を予防、治療、または制御するために、哺乳動物、例えば、ヒトなどの対象に投与され得る治療剤(例えば、多能性造血細胞(例えば、胚幹細胞、人工多能性幹細胞、リンパ系前駆細胞、またはCD34+細胞)の集団などの細胞の集団)を含有する組成物を意味する。
【0311】
本明細書中で使用する場合、用語「薬学的に許容される」とは、過度の毒性、刺激、アレルギー反応及び他の問題となる障害がなく、妥当なベネフィット/リスク比を有し、哺乳動物(例えば、ヒト)などの対象の組織との接触に好適な化合物、物質、組成物、及び/または剤形を指す。
【0312】
本明細書で使用する場合、用語「サンプル」とは、対象から単離された試験体(例えば、血液、血液構成成分(例えば、血清または血漿)、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、組織(例えば、胎盤または真皮)、膵液、絨毛膜サンプル、及び細胞)を意味する。サンプルという用語はまた、mRNAまたはcDNA含有サンプルなどの調製または処理されたサンプルに関連し得る。
【0313】
本明細書で使用する場合、用語「約」とは、参照量に対して30%ほど(例えば、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%)まで変化する量を意味する。
【0314】
本発明で使用する場合、用語「アルキル」とは、1~6個、またはそれ以上の炭素原子を有するものなどの、一価の、任意に分岐したアルキル基を意味する。この用語は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルなどの基により例示される。
【0315】
本明細書で使用する場合、用語「低級アルキル」とは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0316】
本明細書で使用する場合、用語「アリール」とは、1つの環(例えばフェニル)、または複数の縮合環(例えばナフチル)を有する、6~14個の炭素原子の、不飽和芳香族炭素環基を意味する。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチル、フェナントレニルなどが挙げられる。
【0317】
本明細書で使用する場合、用語「アラルキル」及び「アリールアルキル」は同じ意味で用いられ、アリール部分を含有するアルキル基を意味する。同様に、用語「アリール低級アルキル」などは、アリール部分を含有する低級アルキル基を意味する。
【0318】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルアリール」とは、ベンジル、フェネチルなどを含むアリール置換基を有するアルキル基を意味する。
【0319】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール」とは、単環式の複素環式芳香族、または、二環式もしくは三環式の縮合環複素環式芳香族基を意味する。複素環式芳香族基の具体例としては、任意に置換されたピリジル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフリル、2,3-ジヒドロジベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2-a」ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4-b]ピリジル、ピリド[3,2-b]ピリジル、ピリド[4,3-b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、ベンゾキノリルなどが挙げられる。
【0320】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルヘテロアリール」とは、2-フリルメチル、2-チエニルメチル、2-(1H-インドール-3-イル)エチルなどを含む、ヘテロアリール置換基を有するアルキル基を意味する。
【0321】
本明細書で使用する場合、用語「低級アルケニル」とは、好ましくは2~6個の炭素原子を有し、少なくとも1または2個の、アルケニル不飽和部位を有するアルケニル基を意味する。例示的なアルケニル基は、エテニル(-CH=CH)、n-2-プロペニル(アリル、-CHCH=CH)などである。
【0322】
本明細書で使用する場合、用語「アルケニルアリール」とは、2-フェニルビニルなどを含む、アリール置換基を有するアルケニル基を意味する。
【0323】
本明細書で使用する場合、用語「アルケニルヘテロアリール」とは、2-(3-ピリジニル)ビニルなどを含む、ヘテロアリール置換基を有するアルケニル基を意味する。
【0324】
本明細書で使用する場合、用語「低級アルキニル」とは、好ましくは2~6個の炭素原子を有し、少なくとも1~2個の、アルキニル不飽和部位を有するアルキニル基を意味し、好ましいアルキニル基としては、エチニル(-C≡CH)、プロパルギル(-CHC≡CH)などが挙げられる。
【0325】
本明細書で使用する場合、用語「アルキニルアリール」とは、フェニルエチニルなどを含む、アリール置換基を有するアルキニル基を意味する。
【0326】
本明細書で使用する場合、用語「アルキニルヘテロアリール」とは、2-チエニルエチニルなどを含む、ヘテロアリール置換基を有するアルキニル基を意味する。
【0327】
本明細書で使用する場合、用語「シクロアルキル」とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチルなどといった、3~8個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル基を意味する。
【0328】
本明細書で使用する場合、用語「低級シクロアルキル」とは、単環(例えば、シクロヘキシル)、または複数の縮合環(例えば、ノルボルニル)を有する、3~8個の炭素原子の飽和炭素環式基を意味する。好ましいシクロアルキルとしては、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボニルなどが挙げられる。
【0329】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロシクロアルキル」とは、1つ以上の環炭素原子が、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子で置き換えられているシクロアルキル基を意味する。例示的なヘテロシクロアルキル基は、ピロリジニル、ピペリジニル、オキソピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、オキソピペラジニル、チオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、オキサゼパニル、チアゼパニル、ジオキソチアゼピニル、アゾカニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルなどである。
【0330】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルシクロアルキル」とは、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルプロピルなどを含む、シクロアルキル置換基を有するアルキル基を意味する。
【0331】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルヘテロシクロアルキル」とは、2-(1-ピロリジニル)エチル、4-モルホリニルメチル、(1-メチル-4-ピペリジニル)メチルなどを含む、ヘテロシクロアルキル置換基を有するC-Cアルキル基を意味する。
【0332】
本明細書で使用する場合、用語「カルボキシ」とは、基-C(O)OHを意味する。
【0333】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルカルボキシ」とは、2-カルボキシエチルなどを含む、カルボキシ置換基を有するC-Cアルキル基を意味する。
【0334】
本明細書で使用する場合、用語「アシル」とは、基-C(O)R[式中、Rは例えば、他の置換基の中でも、C-Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、またはC-Cアルキルヘテロアリールであってよい。]を意味する。
【0335】
本明細書で使用する場合、用語「アシルオキシ」とは、基-OC(O)R[式中、Rは例えば、他の置換基の中でも、C-Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、またはC-Cアルキルヘテロアリールであってよい。]を意味する。
【0336】
本明細書で使用する場合、用語「アルコキシ」とは、基-O-R[式中、Rは例えば、他の置換基の中でも、任意に置換されたC-Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、またはC-Cアルキルヘテロアリールなどの、任意に置換されたアルキル基である。]を意味する。例示的なアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、フェノキシなどが挙げられる。
【0337】
本明細書で使用する場合、用語「アルコキシカルボニル」とは、基-C(O)OR[式中、Rは例えば、他の可能な置換基の中でも、水素、C-Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、またはC-Cアルキルヘテロアリールである。]を意味する。
【0338】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルアルコキシカルボニル」とは、2-(ベンジルオキシカルボニル)エチルなどを含む、アルコキシカルボニル置換基を有するアルキル基を意味する。
【0339】
本明細書で使用する場合、用語「アミノカルボニル」とは、基-C(O)NRR’[式中、R及びR’の各々は独立して、例えば、他の置換基の中でも、水素、C-Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、またはC-Cアルキルヘテロアリールであってよい。]を意味する。
【0340】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルアミノカルボニル」とは、2-(ジメチルアミノカルボニル)エチルなどを含む、アミノカルボニル置換基を有するアルキル基を意味する。
【0341】
本明細書で使用する場合、用語「アシルアミノ」とは、基-NRC(O)R’[式中、R及びR’の各々は独立して、例えば、他の置換基の中でも、水素、C-Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、またはC-Cアルキルヘテロアリールであってよい。]を意味する。
【0342】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルアシルアミノ」とは、2-(プロピオニルアミノ)エチルなどを含む、アシルアミノ置換基を有するアルキル基を意味する。
【0343】
本明細書で使用する場合、用語「ウレイド」とは、基-NRC(O)NR’R”[式中、R、R’、及びR”の各々は独立して、例えば、他の置換基の中でも、水素、C-Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、C-Cアルキルヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであってよい。]を意味する。例示的なウレイド基としては、R’及びR”が、それらが結合する窒素原子とともに、3~8員のヘテロシクロアルキル環を形成する部分が更に挙げられる。
【0344】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルウレイド」とは、2-(N’-メチルウレイド)エチルなどを含む、ウレイド置換基を有するアルキル基を意味する。
【0345】
本明細書で使用する場合、用語「アミノ」とは、基-NRR’[式中、R及びR’の各々は独立して、例えば、他の置換基の中でも、水素、C-Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、C-Cアルキルヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであってよい。]を意味する。例示的なアミノ基としては、R及びR’が、それらが結合する窒素原子とともに、3~8員のヘテロシクロアルキル環を形成し得る部分が更に挙げられる。
【0346】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルアミノ」とは、2-(1-ピロリジニル)エチルなどを含む、アミノ置換基を有するアルキル基を意味する。
【0347】
本明細書で使用する場合、用語「アンモニウム」とは、正に荷電した基-NRR’R”[式中、R、R’、及びR”の各々は独立して、例えば、他の置換基の中でも、C-Cアルキル、C-Cアルキルアリール、C-Cアルキルヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであってよい。]を意味する。例示的なアンモニウム基としては、R及びR’が、それらが結合する窒素原子とともに、3~8員のヘテロシクロアルキル環を形成する部分が更に挙げられる。
【0348】
本明細書で使用する場合、用語「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素原子を意味する。
【0349】
本明細書で使用する場合、用語「スルホニルオキシ」とは、基-OSO-R[式中、Rは水素、C-Cアルキル、ハロゲンで置換されたC-Cアルキル(例えば、-OSO-CF基)、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、及びC-Cアルキルヘテロアリールである。]を意味する。
【0350】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルスルホニルオキシ」とは、2-(メチルスルホニル)エチルなどを含む、スルホニルオキシ置換基を有するアルキル基を意味する。
【0351】
本明細書で使用する場合、用語「スルホニル」とは、基「-SO-R」[式中、Rは水素、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキル、ハロゲンで置換されたC-Cアルキル(例えば、-SO-CF基)、C-Cアルキルアリール、またはC-Cアルキルヘテロアリールである。]を意味する。
【0352】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルスルホニル」とは、2-(メチルスルホニル)エチルなどを含む、スルホニル置換基を有するアルキル基を意味する。
【0353】
本明細書で使用する場合、用語「スルフィニル」とは、基「-S(O)-R」[式中、Rは水素、C-Cアルキル、ハロゲンで置換されたC-Cアルキル(例えば、-SO-CF基)、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、またはC-Cアルキルヘテロアリールである。]を意味する。
【0354】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルスルフィニル」とは、2-(メチルスルフィニル)エチルなどを含む、スルフィニル置換基を有するC-Cアルキル基を意味する。
【0355】
本明細書で使用する場合、用語「スルファニル」とは、基-S-R[式中、Rは例えば、他の置換基の中でも、アルキル、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、またはC-Cアルキルヘテロアリールである。]を意味する。例示的なスルファニル基は、メチルスルファニル、エチルスルファニルなどである。
【0356】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルスルファニル」とは、2-(メチルスルファニル)エチルなどを含む、スルファニル置換基を有するアルキル基を意味する。
【0357】
本明細書で使用する場合、用語「スルホニルアミノ」とは、基-NRSO-R’[式中、R及びR’の各々は独立して、他の置換基の中でも、水素、C-Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、C-Cアルキルアリール、またはC-Cアルキルヘテロアリールであってよい。]を意味する。
【0358】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルスルホニルアミノ」とは、2-(エチルスルホニルアミノ)エチルなどを含む、スルホニルアミノ置換基を有するアルキル基を意味する。
【0359】
個別の置換基の定義による別段の制約がない限り、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」などの基のような上で説明した基は、任意に、例えば、価数が可能とするのであれば、アルキル(例えば、C-Cアルキル)、アルケニル(例えば、C-Cアルケニル)、アルキニル(例えば、C-Cアルキニル)、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール(例えば、C-Cアルキルアリール)、アルキルヘテロアリール(例えば、C-Cアルキルヘテロアリール)、アルキルシクロアルキル(例えば、C-Cアルキルシクロアルキル)、アルキルヘテロシクロアルキル(例えば、C-Cアルキルヘテロシクロアルキル)、アミノ、アンモニウム、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、ウレイド、アリール、ヘテロアリール、スルフィニル、スルホニル、アルコキシ、スルファニル、ハロゲン、カルボキシ、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロなどから選択される置換基などの、1つ以上の置換基で置換され得る。いくつかの実施形態では、置換は、ビシナルな官能性置換基が関与し、したがって、例えば、とりわけラクタム、ラクトン、環式無水物、アセタール、チオアセタール、及びアミナールを形成する状況などの、隣接する置換基が閉環を受ける置換である。
【0360】
本明細書で使用する場合、用語「任意に縮合した」とは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールなどの、環系で縮合可能な環式の化学基を意味する。任意に縮合した化学基に縮合可能な例示的な環系としては、例えば、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、インドリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、インダニル、ナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、インドリニル、イソインドリニル、2,3,4,5-テトラヒドロベンゾ[b]オキセピニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテニル、クロマニルなどが挙げられる。
【0361】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される塩」とは、塩が形成される非イオン化親化合物の所望の生物学的活性を保持する、本明細書に記載の化合物の塩などの塩を意味する。かかる塩の例としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)により形成される酸付加塩、ならびに、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸などの、有機酸により形成される塩が挙げられるが、これらに限定されない。化合物はまた、式-NR、R’、R”[式中、R、R’、及びR”の各々は独立して、例えば、水素、アルキル、ベンジル、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルキルアリール、C-Cアルキルヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルなどであってよく、Zは、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、-O-アルキル、トルエンスルホネート、メチルスルホネート、スルホネート、ホスフェート、カルボキシレート(例えば、ベンゾエート、サクシネート、アセテート、グリコレート、マレエート、マレート、フマレート、シトレート、タータラート、アスコルベート、シンナモエート、マンデロエート、及びジフェニルアセテート)などの対イオンである。]の四級アンモニウム塩などの、薬学的に許容される四級塩として投与され得る。
【0362】
本明細書に記載の構造組成物としては、互変異性体、幾何異性体(例えば、E/Z異性体及びcis/trans異性体)、エナンチオマー、ジアステレオマー、ならびにラセミ体、加えて、薬学的に許容されるそれらの塩もまた挙げられる。かかる塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩または重硫酸塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、酢酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸塩などの薬学的に許容される酸により形成される酸付加塩が挙げられる。
【0363】
本明細書で使用する場合、1つ以上の立体中心を有する化合物の、立体化学構成を示さない化学構造式は、示した化合物の立体異性体のいずれか1つ、または、1つ以上のかかる立体異性体の混合物(例えば、示した化合物のエナンチオマーもしくはジアステレオマーのいずれか1つ、または、エナンチオマーの混合物(例えば、ラセミ混合物)もしくはジアステレオマーの混合物)を包含するものとして解釈される。本明細書で使用する場合、1つ以上の立体中心を有する化合物の立体化学構成を具体的に示さない化学構造式は、示した特定の立体異性体の、実質的に純粋な形態を参照するものとして解釈される。「実質的に純粋な」形態とは、例えば、当該技術分野において既知のクロマトグラフィー及び核磁気共鳴技術を使用して評価すると、85%を超える純度、例えば、85%~99%、85%~99.9%、85%~99.99%、または85%~100%の純度、例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、または100%の純度を有する化合物を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0364】
本開示は、とりわけ、I型糖尿病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、若年性関節炎、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、視神経脊髄炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、ならびにウェゲナー肉芽腫症などの自己免疫疾患を治療するための組成物及び方法を提供する。本開示の組成物及び方法に従って、患者(例えば、ヒト患者)は、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性細胞(例えば、多能性造血細胞)の集団を投与され得る。核酸カセットは、前述の症状のうちの1つ以上などの自己免疫疾患を治療または予防するように、CD4+CD25+調節T(Treg)細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結していてよい。治療的治療の文脈において、多能性造血細胞は、疾患のうちの1つ以上の兆候を軽減するために、及び/または疾患に関連する根底にある分子病理を治療するために、例えば、自己反応性エフェクター免疫細胞の集団の活性及び/または増殖を抑制するか、自己反応性エフェクター免疫細胞のアポトーシスを誘導するか、内因性組織を自己免疫応答から保護するか、または炎症を低減させるために、患者に投与され得る。
【0365】
本開示の組成物及び方法は、Treg細胞療法を使用して自己免疫疾患を治療する現在の方法と比較して、顕著な利点を提供する。今日まで、ヒトポリクローナルTreg細胞は、自己免疫疾患を治療するための臨床試験において使用されている。しかしながら、ポリクローナルTreg細胞療法は、Treg細胞のインビボでの拡大及び持続性の欠如、ならびにTreg細胞の標的組織に対する特異性の欠如のために、無効であることが証明されている。ポリクローナルTreg細胞の特異性の欠如を克服するために、Treg細胞は、特定の抗原を認識することができるキメラ抗原受容体または抗原特異的T細胞受容体を含む受容体を発現するように遺伝子操作されている。これらの進歩にもかかわらず、自己免疫疾患を治療するための現在のTreg細胞療法の使用に関連している障害のうちの1つは、患者に直接投与されるTreg細胞の耐久性である。現在の研究は、細胞がインビボでわずか3~5年しか持続しない可能性があることを示唆しており、これは慢性自己免疫疾患の観点から特に懸念されるものである。本開示の組成物及び方法は、Treg細胞の特異的抑制可能性と造血幹細胞遺伝子療法の証明された耐久性とを組み合わせることによって、自己免疫疾患を治療するために、遺伝子操作された抗原特異的Treg細胞を使用するための既存のパラダイムを改善する。特に、本開示の組成物及び方法は、インビボでの造血細胞の分化の際に、Treg細胞において優先的に発現される抗原結合タンパク質を含むように遺伝子操作されている多能性造血細胞を提供する。多能性造血細胞は、多様な系統の成熟血液細胞に分化することができる一方で、抗原結合タンパク質は、CD4+CD25+調節Treg細胞において優先的に活性である系統特異的転写調節エレメント(例えば、Foxp3プロモーター)の発現に起因して、Treg細胞において特異的に発現される。
【0366】
本開示の組成物及び方法はまた、自己抗原結合タンパク質発現の組織特異的調節を提供することによって、Treg細胞に改善された安定性を付与し得る。したがって、自己抗原結合タンパク質の発現は、Treg細胞表現型に応答性である。対照的に、患者に直接投与される抗原特異的Treg細胞は、Treg細胞において活性であり、エフェクターT細胞になる系統特異的転写調節エレメントを失い得る。したがって、自己免疫疾患に罹患している患者へのTreg細胞の直接投与は、免疫応答を抑制するよりもむしろ免疫応答を更に活性化するリスクと関連付けられる。
【0367】
本開示の組成物及び方法はまた、製造及び実行可能性に関して利点を提供し得る。直接Treg細胞療法は、Treg細胞の単一のマーカーが現在存在しないため、多量の細胞に対してマルチパラメータ細胞選別を必要とし、重大な製造上の課題をもたらしている。更に、自己免疫疾患を有する患者は、Treg細胞が少なく、機能が乏しいため、自己由来Treg細胞療法のための重大な製造上の課題をもたらしている。本開示の組成物及び方法によって提供されるように、造血幹細胞は、明確な製造手順及び適正製造基準を有する。
【0368】
更に、造血幹細胞の投薬量が十分に確立されている一方で、効果的なTreg細胞の投薬量は、不明なままであり、各疾患に対して異なる可能性が高い。患者に直接投与されるTreg細胞の長期有効性はまた、複数回用量、及び結果として複数のコンディショニングレジメンを必要とし得る。
【0369】
自己免疫疾患を治療する方法
自己免疫疾患は、自らの組織に対する自らの免疫系の不適切な攻撃の結果である。これらの疾患は、自己抗原に対する反応性を誤って示すTリンパ球及びBリンパ球によって媒介される。調節T(Treg)細胞は、「自己」主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質及び他の良性抗原と交差反応性である免疫細胞の活性を阻害するために進化しており、それによって免疫系を調節し、自己抗原に対する寛容を維持し、自己免疫疾患を予防する。Treg細胞は、その独自の表面タンパク質の提示に基づいて区別され得るT細胞の不均一なクラスを表す。Treg細胞の最もよく理解された集団としては、CD4+、CD25+、FoxP3+Treg細胞、及びCD17+Treg細胞が挙げられる。Treg細胞が自己反応性エフェクター免疫細胞(例えば、エフェクターT細胞、B細胞、及びNK細胞)の抑制を媒介する正確なメカニズムは、進行中の調査の対象であるが、Treg抑制機能は、接触依存性の細胞間クロストークメカニズムを介して、ならびにIL-10、IL-35、及びTGF-βなどの阻害性サイトカインの分泌を介して生じると考えられている。ある特定のクラスのTreg細胞が、標的T細胞における増殖誘導性サイトカインIL-2の産生を阻害し、更に、IL-2に対するCD25(IL-2受容体のサブドメイン)の親和性により、自己反応性細胞からIL-2を隔離し得ることも示されている。更に、CD4+、CD25+、FoxP3+Treg細胞も、B細胞が豊富な領域に存在し、T2細胞活性を減弱させるその能力とは無関係に、免疫グロブリン産生を直接抑制することが可能であることが示されている。
【0370】
Treg細胞療法は、自己免疫疾患のための潜在的な治療パラダイムとして調査されているが、Treg細胞療法による1つの問題は、Treg細胞がその表現型(例えば、CD25+表現型)を失う傾向があることである。したがって、Treg細胞は、その抑制機能を失い、自己反応性エフェクター免疫細胞(例えば、エフェクターT細胞)に変換し、免疫応答の活性化及び自己免疫疾患の悪化をもたらす可能性がある。
【0371】
本開示の組成物及び方法は、自己免疫疾患の治療のために造血系統の多様な細胞に分化することができる多能性造血細胞(例えば、HSC)などの多能性細胞を提供することによって、この問題に対する解決策を提供する。例えば、多能性造血細胞は、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、栓球(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞、及びT細胞)に分化し得る。本明細書に記載の多能性造血細胞は、標的組織への局在化を提供する自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む。多能性造血細胞は、造血系統の複数の細胞型に分化することができるが、自己抗原結合タンパク質の発現は、Treg細胞に分化する細胞に制限される。自己抗原結合タンパク質のTreg特異的発現は、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを、CD4+CD25+Treg細胞において優先的に活性である転写調節エレメントの制御下に置くことによって達成される。自己抗原結合タンパク質は、Treg細胞を自己免疫の部位に存在する自己抗原に指向することができ、それによって、自己免疫疾患を治療するためにこれらの部位にTregサプレッサー機能を集中させる。
【0372】
分化したTreg細胞の上流にある多能性造血細胞(例えば、HSC)を患者(例えば、自己免疫疾患に罹患しているヒト患者)に送達する利点は、自己抗原結合タンパク質の発現を制御するCD4+CD25+Treg特異的転写調節エレメントに起因して、Treg細胞が自己反応性エフェクター免疫細胞(例えば、エフェクターT細胞)に変換される場合に、HSC由来のTreg細胞が自己抗原結合タンパク質の発現を停止することである。対照的に、自己抗原結合タンパク質を発現し、患者(例えば、自己免疫疾患に罹患しているヒト患者)に直接送達されるTreg細胞は、その表現型を失い、自己抗原結合タンパク質を発現し続ける自己反応性エフェクター免疫細胞に変換する可能性がある。自己抗原結合タンパク質を発現する自己反応性エフェクター免疫細胞(例えば、エフェクターT細胞)は、自己免疫の部位に指向され、免疫応答の活性化及び自己免疫疾患の悪化をもたらす。したがって、本開示の組成物及び方法は、自己免疫疾患の治療に顕著な利点を提供する。
【0373】
本開示の組成物及び方法を使用して治療され得る例示的な自己免疫疾患としては、とりわけ、I型糖尿病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、若年性関節炎、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、視神経脊髄炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、ならびにウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0374】
多発性硬化症を治療する方法
多発性硬化症(MS)は、脳及び脊髄における神経細胞の絶縁被覆が損傷している自己免疫脱髄疾患である。この損傷は、神経系の一部の伝達能力を破壊し、持続的な神経学的損傷をもたらす。MSを有する患者は、例えば、しびれまたは刺痛、脱力感、めまい、ふるえ、協調性の欠如、不安定な歩行、視力の問題、痛み、及び倦怠を含む幅広い兆候を示し得る。
【0375】
本開示の組成物及び方法を使用して、患者、例えば、MSに罹患しているヒト患者は、多能性造血細胞(例えば、HSC)などの多能性細胞の集団を投与され得、多能性細胞の集団は、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質に結合するタンパク質(例えば、キメラ抗原受容体)をコードする核酸カセットを含み、核酸カセットは、CD4+CD25+Treg細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している。多能性造血細胞は、疾患の1つ以上の兆候を寛解させ、疾患の進行を減速もしくは停止させ、及び/または疾患の1つ以上の根底にある生理学的原因を治療し得る。
【0376】
I型糖尿病を治療する方法
糖尿病は、血糖値の正常な調節を妨げるインスリン欠損症を特徴とする重度の自己免疫疾患である。インスリンは、膵臓のランゲルハンス島(β-島細胞)内のβ細胞によって産生されるペプチドホルモンである。インスリンは、グルコース利用、タンパク質合成、中性脂質の形成及び貯蔵を促進し、脳及び筋肉組織のエネルギーの主な供給源である。I型糖尿病は、インスリン産生を排除または低減させ、最終的に高血糖症及びケトアシドーシスをもたらす、膵臓のβ-島細胞の破壊をもたらす自己免疫反応によって引き起こされる。I型糖尿病の兆候の例としては、口渇の増加、頻繁な排尿、極度の空腹、体重減少、倦怠、及び視朦が挙げられる。I型糖尿病の慢性高血糖症は、眼、腎臓、神経、及び血管における顕著な、かつ多くの場合、荒廃的な長期合併症にも関連している。
【0377】
本開示の組成物及び方法を使用して、患者、例えば、I型糖尿病に罹患しているヒト患者は、多能性造血細胞(例えば、HSC)などの多能性細胞の集団を投与され得、多能性細胞の集団は、インスリン、GAD-65、IA-2、またはZnT8に結合するタンパク質(例えば、キメラ抗原受容体)をコードする核酸カセットを含み、核酸カセットは、CD4+CD25+Treg細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している。多能性造血細胞は、疾患の1つ以上の兆候を寛解させ、疾患の進行を減速もしくは停止させ、及び/または疾患の1つ以上の根底にある生理学的原因を治療し得る。
【0378】
関節リウマチを治療する方法
関節リウマチは、関節の内側を覆っている滑膜が炎症性になる自己免疫疾患である。経時的に、炎症は関節組織を破壊し、障害をもたらす可能性がある。関節リウマチの兆候の例としては、炎症、倦怠、脱力感、ならびに関節の痛み、腫れ、及び/または圧痛が挙げられる。
【0379】
本開示の組成物及び方法を使用して、患者、例えば、関節リウマチに罹患しているヒト患者は、多能性造血細胞(例えば、HSC)などの多能性細胞の集団を投与され得、多能性細胞の集団は、コラーゲンII、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、またはHSP65に結合するタンパク質(例えば、キメラ抗原受容体)をコードする核酸カセットを含み、核酸カセットは、CD4+CD25+Treg細胞において活性である1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している。多能性造血細胞は、疾患の1つ以上の兆候を寛解させ、疾患の進行を減速もしくは停止させ、及び/または疾患の1つ以上の根底にある生理学的原因を治療し得る。
【0380】
自己抗原結合タンパク質の系統特異的発現のための細胞
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る細胞としては、更なる分化を受けることが可能な細胞が挙げられる。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る細胞の1つの型は、2つ以上の分化細胞型に発達する能力を保有する多能性細胞である。多能性細胞の例としては、造血系統の2つ以上の分化細胞型に発達する能力を有する多能性造血細胞が挙げられる。本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る多能性造血細胞としては、例えば、HSC、HPC、ESC、iPSC、リンパ系前駆細胞、及びCD34+細胞が挙げられる。HSCは、自己複製して、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、栓球(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞、及びT細胞)を含むが、これらに限定されない、多様な系統を含む成熟血液細胞に分化する能力を有する、未成熟血液細胞である。
【0381】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて多能性造血細胞(例えば、HSC)を使用する1つの利点は、これらの細胞がTreg細胞に分化する能力を有することである。多能性造血細胞はまた、Treg細胞とは異なる系統の血液細胞に分化することができる一方で、本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、自己抗原結合タンパク質は、Treg細胞に分化する細胞において優先的に発現され得る。本開示の組成物及び方法は、CD4+CD25+Treg細胞において優先的に活性である系統特異的調節エレメントを有する自己抗原結合タンパク質の発現を制御することによって、Treg細胞における自己抗原結合タンパク質の優れた特異性を達成し得る。
【0382】
系統特異的転写調節エレメント
Foxp3転写因子の発現は、Treg細胞の特有の特徴であり、これらの細胞によって表示される免疫抑制表現型の多くに関与する。転写調節エレメント(例えば、Foxp3プロモーター、CNS1エンハンサー、CNS2エンハンサー、CNS3エンハンサー、及び/またはCNS0エンハンサー)によるFoxp3発現の調節は、Treg細胞媒介性免疫応答の恒常性を維持するために重要である。本開示の組成物及び方法は、Foxp3転写調節エレメントなどのTreg特異的転写調節エレメントを利用して、本明細書に記載されるように、特にTreg細胞において、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットの発現を駆動する。
【0383】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る転写調節エレメントは、互いに作動可能に連結した様々な部分を含有し得る。例えば、本明細書に記載の転写調節エレメントは、Foxp3プロモーター、またはその機能的部分を含有し得る。Foxp3プロモーターは、Treg細胞におけるFoxp3遺伝子の転写をオンにする。転写因子は、本明細書に記載されるように、Foxp3プロモーター領域に結合し、Foxp3遺伝子をトランス活性化し得る。Foxp3プロモーター領域に結合する転写因子の例としては、Lee et al.,Exp.Mol.Med.50(3):e456(2018)に記載されているように、Foxo転写因子ファミリーメンバー(例えば、Foxo1及びFoxo3)、及びNr4a核受容体ファミリーメンバー(例えば、Nr4a1(Nur77)、Nr4a2、及びNr4a3)が挙げられる。ヒトFoxp3プロモーター領域を含有する例示的な調節エレメントは、例えば、配列番号1に記載され、Mantel et al.,J.Immunol.176(6):3593-602(2006)に記載されているように、ヒトFoxp3遺伝子座のFoxp3転写開始部位に関して、核酸-511~+176を含有する。ヒトFoxp3プロモーター領域を含有する調節エレメントの別の例は、Kim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)に記載されているように、配列番号2に記載されている。マウスFoxp3プロモーター領域を含有する例示的な調節エレメントは、例えば、Zheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)に記載されているように、配列番号3に記載されている。配列番号3のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトFoxp3プロモーター領域を含有する調節エレメントの更なる例が、配列番号4に記載されている。本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせるのに有用な追加の核酸調節エレメントとしては、上記の核酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸分子が挙げられる。
【0384】
Foxp3のTreg特異的発現の根底にあるメカニズムは、保存された非コード配列(CNS)などの他のシス調節エレメントを伴い得る。
【0385】
更に、または代替的に、本明細書に記載の転写調節エレメントは、CNS1エンハンサー、またはその機能的部分を含有し得る。CNS1は、Treg細胞の末梢誘導及び粘膜免疫寛容に寄与する、形質転換成長因子-β(TGF-β)応答エレメントを含有する。CNS1の欠失は、腸関連リンパ組織におけるTreg細胞集団を著しく低減させることが示されている。転写因子は、本明細書に記載されるように、CNS1エンハンサー領域に結合し、Foxp3遺伝子をトランス活性化し得る。CNS1エンハンサー領域に結合する転写因子の例としては、Lee et al.,Exp.Mol.Med.50(3):e456(2018)に記載されているように、AP-1、NFAT、Smad3、及びFoxo(例えば、Foxo1及びFoxo3)転写因子が挙げられる。ヒトCNS1エンハンサー領域を含有する例示的な調節エレメントは、例えば、Kim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)に記載されているように、ヒトFoxp3遺伝子座のFoxp3転写開始部位に関して、核酸-500~+100を含有する。マウスCNS1エンハンサー領域を含有する例示的な調節エレメントは、例えば、Tone et al.,Nat.Immunol.9(2):194-202(2008)に記載されているように、配列番号5に記載されている。配列番号5のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS1エンハンサー領域を含有する調節エレメントの追加の例が、配列番号6に記載されている。マウスCNS1エンハンサー領域を含有する調節エレメントの別の例は、Zheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)に記載されているように、配列番号7に記載されている。配列番号7のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS1エンハンサー領域を含有する調節エレメントの更なる例が、配列番号8に記載されている。本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせるのに有用な追加の核酸調節エレメントとしては、上記の核酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸分子が挙げられる。
【0386】
更に、または代替的に、本明細書に記載の転写調節エレメントは、CNS2エンハンサー、またはその機能的部分を含有し得る。CNS2は、機能的Treg細胞においてのみ高度に脱メチル化されるCpG島を含有する。CNS2の脱メチル化は、Treg細胞系統へのコミットメントの最も決定的なマーカーであるとみなされている。CNS2は、T細胞受容体刺激に応答して、及びTreg細胞増殖中に、Foxp3発現の安定性に関与する。転写因子は、本明細書に記載されるように、CNS2エンハンサー領域に結合し、Foxp3遺伝子をトランス活性化し得る。CNS2エンハンサー領域に結合する転写因子の例としては、Lee et al.,Exp.Mol.Med.50(3):e456(2018)に記載されているように、Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及びc-Relが挙げられる。ヒトCNS2エンハンサー領域を含有する例示的な調節エレメントは、例えば、Kim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)に記載されているように、ヒトFoxp3遺伝子座のFoxp3転写開始部位に関して、核酸+2,022~+2,721を含有する。マウスCNS2エンハンサー領域を含有する例示的な調節エレメントは、例えば、Kawakami et al.,Immunity.54(5):947-961(2021)に記載されているように、配列番号9に記載されている。配列番号9のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS2エンハンサー領域を含有する調節エレメントの追加の例が、配列番号10に記載されている。マウスCNS2エンハンサー領域を含有する調節エレメントの別の例は、Zheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)に記載されているように、配列番号11に記載されている。配列番号11のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS2エンハンサー領域を含有する調節エレメントの更なる例が、配列番号12に記載されている。本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせるのに有用な追加の核酸調節エレメントとしては、上記の核酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸分子が挙げられる。
【0387】
更に、または代替的に、本明細書に記載の転写調節エレメントは、CNS3エンハンサー領域、またはその機能的部分を含有し得る。CNS3は、Foxp3発現に必要とされるTCR刺激を閾値化する役割を果たし、末梢及び胸腺Treg細胞の生成に重要である。転写因子は、本明細書に記載されるように、CNS3エンハンサー領域に結合し、Foxp3遺伝子をトランス活性化し得る。CNS3エンハンサー領域に結合する転写因子の例としては、Lee et al.,Exp.Mol.Med.50(3):e456(2018)に記載されているように、Foxo(例えば、Foxo1及びFoxo3)及びc-Relが挙げられる。ヒトCNS3エンハンサー領域を含有する例示的な調節エレメントは、例えば、Kim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)に記載されているように、ヒトFoxp3遺伝子座のFoxp3転写開始部位に関して、核酸+4,301~+4,500を含有する。マウスCNS3エンハンサー領域を含有する例示的な調節エレメントは、例えば、Kawakami et al.,Immunity.54(5):947-961(2021)に記載されているように、配列番号13に記載されている。配列番号13のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS3エンハンサー領域を含有する調節エレメントの追加の例が、配列番号14に記載されている。マウスCNS3エンハンサー領域を含有する調節エレメントの別の例は、Zheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)に記載されているように、配列番号15に記載されている。配列番号15のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS3エンハンサー領域を含有する調節エレメントの更なる例が、配列番号16に記載されている。本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせるのに有用な追加の核酸調節エレメントとしては、上記の核酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸分子が挙げられる。
【0388】
更に、または代替的に、本明細書に記載の転写調節エレメントは、CNS0エンハンサー、またはその機能的部分を含有し得る。CNS0は、Treg細胞特異的エンハンサーである。転写因子は、CNS0エンハンサー領域に結合し、Foxp3遺伝子をトランス活性化し得る。CNS0エンハンサー領域に結合する転写因子の例としては、Lee et al.,Exp.Mol.Med.50(3):e456(2018)及びKawakami et al.,Immunity.54(5):947-961(2021)に記載されているように、Satb1及びStat5が挙げられる。クロマチンオーガナイザーであるSatb1は、CNS0に結合し、胸腺Treg細胞分化の早期段階でFoxp3遺伝子ならびにCtla4及びIl2raなどの他のTreg細胞関連遺伝子のTreg細胞特異的エンハンサーを活性化するための先駆因子として機能することが見出された。Satb1は、閉じたクロマチンに結合し、Foxp3遺伝子座の後成的な状態を平衡を保った状態に改変することによって、他の転写因子が調節エレメントに結合することを可能にする。マウスCNS0エンハンサー領域を含有する例示的な調節エレメントは、例えば、Kawakami et al.,Immunity.54(5):947-961(2021)に記載されているように、配列番号17に記載されている。配列番号17のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS0エンハンサー領域を含有する例示的な調節エレメントが、配列番号18に記載されている。マウスCNS0エンハンサー領域を含有する調節エレメントの別の例は、Dikiy et al.,Immunity.54(5):931-946(2021)に記載されているように、配列番号19に記載されている。配列番号19のヒトゲノムへのアラインメントとして、ヒトCNS0エンハンサー領域を含有する調節エレメントの更なる例が、配列番号20に記載されている。本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせるのに有用な追加の核酸調節エレメントとしては、上記の核酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれ以上の配列同一性)を有する核酸分子が挙げられる。
【0389】
転写調節の追加の方法
追加の転写調節エレメントは、本明細書に記載されるように、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットの発現を調節するために、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る。例えば、核酸カセットの発現は、低分子活性化因子または薬物誘導剤の存在下において、DNA結合ドメイン及び薬物結合ドメインを含有するキメラ転写因子の結合時に核酸カセットの発現を促進または防止する、DNA結合ドメインなどの作動可能に連結された調節配列エレメントによって、転写レベルで制御され得る。薬物誘導性系の例は、参照により本明細書に組み込まれているTristan-Manzano et al.,Front.Immunol.11:2044(2020)に記載されている。
【0390】
操作されたリボスイッチもまた、本明細書に記載の核酸カセットの転写を制御するために、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る。これらの調節エレメントは、代謝産物または金属イオンをリガンドとして結合し、リガンド結合に応答して代替的な構造を形成することによってmRNA発現を制御することができる。本開示の組成物及び方法を使用して、リガンドなどの外因性薬剤は、リボスイッチに作動可能に連結している核酸カセットの転写を誘導し得る。例示的なリボスイッチは、参照により本明細書に組み込まれているStrobel et al.ACS Synth.Biol.9(6):1292-1305(2020)に記載されている。誘導因子リガンドの例としては、テトラサイクリン、テトラサイクリン誘導体、ラパマイシン、テオフィリン、及びグアニンが挙げられる。誘導因子リガンドの追加の例は、参照により本明細書に組み込まれているTickner et al.Pharmaceuticals.14(6):554(2021)に記載されている。
【0391】
自殺遺伝子安全性スイッチは、本明細書に記載の核酸カセットを含む多能性造血細胞などの遺伝子修飾された細胞の持続性及び生存を制御するために、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る。例えば、核酸カセットは、形質導入された遺伝子修飾された細胞(例えば、核酸カセットを含むレンチウイルスベクターで形質導入された多能性造血細胞)の選択的クリアランスのために、誘導性カスパーゼ9系(iCasp9)または単純ヘルペスチミジンキナーゼ(HSV-TK)などの自殺遺伝子安全性スイッチに作動可能に連結していてよい。iCasp9の誘導は、二量体薬物AP1903などの低分子の投与に依存する。二量体化は、形質導入細胞におけるアポトーシスの急速な誘導をもたらし、アポトーシス経路の構成成分とフレーム内で連結した薬物結合ドメインで構成されるキメラタンパク質は、非治療用低分子二量体の投与後、形質導入細胞の条件付きの二量体化及びアポトーシスを可能にすることができる。HSV-TKと組み合わせたガンシクロビルなどのヌクレオシドアナログも、アポトーシスを誘導するために使用することができる。例示的な自殺遺伝子安全性スイッチは、Jones et al.Front.Pharmacol.5:254(2014)に記載されており、その開示は、参照により組み込まれている。
【0392】
更に、阻害性RNA(RNAi)配列は、Treg細胞における核酸カセットの転写を制御するために、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る。例えば、RNAiは、マイクロRNA-17(miR-17)などのマイクロRNAを標的にするために使用され得る。miR-17は、参照により本明細書に組み込まれているYang et al.Immunity.45(1):83-93.(2016)に記載されているように、EosなどのFoxp3共調節因子を標的にすることによってTreg細胞抑制活性を減少させることが示されている。miR-17を標的にすることは、遺伝子修飾されたTreg細胞の抑制機能を最適化し、潜在的な炎症促進性または病原性細胞活性を制限する。
【0393】
自己抗原結合タンパク質
多能性細胞(例えば、多能性造血細胞)に由来するTreg細胞は、本明細書に記載されるように、細胞が組織特異的自己抗原に結合し、自己免疫の部位に輸送されることを可能にし、特にTregサプレッサー機能を疾患部位に集中させる自己抗原結合タンパク質を発現し得る。本開示の組成物及び方法と組み合わせるのに有用な自己抗原結合タンパク質の例としては、対象において内因性に発現される抗原に特異的に結合する一本鎖タンパク質(例えば、キメラ抗原受容体及び一本鎖抗体断片)及び多鎖タンパク質(例えば、T細胞受容体、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、及びF(ab’)分子)が挙げられる。
【0394】
自己抗原結合タンパク質は、本明細書に記載されるように、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、アクアポリン4、アクチン、チューブリン、ミオシン、トロポミオシン、ビメンチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ヘパリン、ラミニン、コラゲナーゼ、カルジオリピン、グルコセレブロシド、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、エノラーゼ、アルドラーゼ、酸性ホスファターゼ、アネキシン33kDa、アネキシン67kDa、シトクロムP450C、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、リボヌクレアーゼ、ヒストンII A、二本鎖DNA、一本鎖DNA、トランスフェリン、フェツイン、第II因子、第VII因子、フィブリン、フィブリノーゲン、C1、C1q、インターロイキン2、インターロイキン10、インターロイキン4、インターフェロンγ、TNFαR、HSP60、HSP65、GAD、インスリン、IA-2、ZnT8、MBP、AchR、ミオグロブリン、サイログロブリン、ヘモグロビンA、スペクトリン、TB PPD、LPS、MuSK、LRP4、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、チロトロピン受容体、及び甲状腺で発現されるタンパク質などの自己抗原に結合され得る。自己抗原の追加の例は、Quintana et al.,J.Autoimmun.17(3):191-7(2001)及びRiedhammer et al.,Front Immunol.6:322(2015)に記載されており、これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0395】
抗体
本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る抗体としては、対象(例えば、ヒト対象)において内因性に発現される抗原に特異的に結合することが可能である、重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)もしくはそのリガンド結合部分、重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、またはその任意の部分などであるが、これらに限定されない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含む任意のタンパク質またはペプチド含有分子が挙げられる。例えば、免疫グロブリン分子のうちの2つ以上の部分は、例えば、アミド結合、チオエーテル結合、炭素-炭素結合、ジスルフィド架橋を介して、またはリンカー、例えば、本明細書に記載の、もしくは当該技術分野において既知のリンカーによって、互いに共有結合し得る。
【0396】
本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る例示的な抗体としては、ポリクローナル形態、モノクローナル形態、遺伝子操作された形態、及び他の方法で修飾された形態の抗体、例えば、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、及びヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重、三重、及び四重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ)、ならびに抗体の抗原結合断片が挙げられる。
【0397】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るキメラ抗体は、ラットまたはマウスなどの1つの供給源生体の免疫グロブリンに由来する可変ドメイン配列(例えば、CDR配列)、及び異なる生物(例えば、とりわけ、ヒト、別の霊長類、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、ネコ、イヌ、モルモット、ウシ科ファミリーのメンバー(とりわけ、ウシ、バイソン、バッファロー、エルク、及びヤクなど)、雌ウシ、ヒツジ、ウマ、またはバイソン)の免疫グロブリンに由来する定常領域を有し得る。キメラ抗体を産生するための方法は、当該技術分野において既知である。例えば、Morrison,Science.229(4719):1202-7(1985)、Oi et al.BioTechniques.4:214-221(1986)、Gillies et al.J.Immunol.Methods.125:191-202(1985)、米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、及び同第4,816,397号を参照されたい。
【0398】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るヒト抗体としては、タンパク質(例えば、CDR、フレームワーク、C、Cドメイン(例えば、C1、C2、C3)、ヒンジ、(V、V))の実質的に全ての部分が、ヒトにおいて実質的に非免疫原性であり、わずかな配列変化または変異を有するのみである抗体が挙げられる。ヒト抗体は、ヒト細胞内で(例えば、組換え発現によって)、または機能的に再配列されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/または軽鎖)遺伝子を発現することが可能である非ヒト動物または原核もしくは真核細胞によって産生され得る。更に、ヒト抗体が一本鎖抗体である場合、それは天然のヒト抗体において見出されないリンカーペプチドを含み得る。例えば、Fvは、重鎖の可変領域及び軽鎖の可変領域を接続する、2~約8個のグリシンまたは他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含み得る。かかるリンカーペプチドは、ヒト起源のものとみなされる。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用するファージディスプレイ方法を含む、当該技術分野において既知の様々な方法によって作製され得る。米国特許第4,444,887号及び同第4,716,111号、ならびにPCT公開WO1998/46645、WO1998/50433、WO1998/24893、WO1998/16654、WO1996/34096、WO1996/33735、及びWO1991/10741を参照されたい。ヒト抗体はまた、機能的な内因性免疫グロブリンを発現することが不可能であるが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して産生され得る。例えば、PCT公開WO98/24893、WO92/01047、WO96/34096、WO96/33735、米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、同第5,885,793号、同第5,916,771号、及び同第5,939,598号を参照されたい。
【0399】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るヒト化抗体としては、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、または抗体の他の標的結合サブドメインなど)である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態が挙げられる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、CDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応する。FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものであってもよい。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列の少なくとも一部分を含み得る。抗体ヒト化の方法は、当該技術分野において既知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Riechmann et al.,Nature 332:323-7,1988、Queen et alの米国特許第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、及び同第6,180,370号、EP239400、PCT公開WO91/09967、米国特許第5,225,539、EP592106、及びEP519596を参照されたい。
【0400】
本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る抗体の例示的な抗原結合断片としては、例えば、Fab’、F(ab’)、Fab、Fv、rlgG、scFv、SMIP、ダイアボディ、トリアボディ、アフィボディ、ナノボディ、アプタマー、またはドメイン抗体が挙げられる。これらの抗体断片は、当業者に既知の従来の技術を使用して得ることができ、断片は、インタクトな抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングすることができる。抗原結合断片は、組換えDNA技術、インタクトな免疫グロブリンの酵素的もしくは化学的切断、またはいくつかの実施形態では、当該技術分野において既知の化学的ペプチド合成操作によって産生することができる。
【0401】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る一本鎖Fv(scFv)分子としては、抗体からの重鎖及び軽鎖の可変ドメインが結合されて1つの鎖を形成している抗体が挙げられる。scFv断片は、リンカーによって分離された抗体軽鎖(VL)の可変領域(例えば、CDR-L1、CDR-L2、及び/またはCDR-L3)及び抗体重鎖(VH)の可変領域(例えば、CDR-H1、CDR-H2、及び/またはCDR-H3)を含む単一のポリペプチド鎖を含有する。scFv断片のVL及びVH領域を結合するリンカーは、タンパク質生成アミノ酸で構成されるペプチドリンカーであり得る。scFv断片のタンパク質分解に対する耐性を増加させるように(例えば、D-アミノ酸を含有するリンカー)、scFv断片の溶解度を向上させるために(例えば、ポリエチレングリコール含有リンカーもしくは反復グリシン及びセリン残基を含有するポリペプチドなどの親水性リンカー)、分子の生物物理的安定性を改善するために(例えば、分子内もしくは分子間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含有するリンカー)、またはscFv断片の免疫原性を減弱させるために(例えば、グリコシル化部位を含有するリンカー)、代替的なリンカーが使用され得る。scFv分子は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,892,019号、Flo et al.、(Gene 77:51、1989)、Bird et al.、(Science 242:423、1988)、Pantoliano et al.、(Biochemistry 30:10117、1991)、Milenic et al.、(Cancer Research 51:6363、1991)、及びTakkinen et al.、(Protein Engineering 4:837、1991)に記載されている。scFv分子のVL及びVHドメインは、1つ以上の抗体分子に由来し得る。また、当業者は、本明細書に記載のscFv分子の可変領域が、それらが由来する抗体分子とはアミノ酸配列が異なるように修飾され得ることも理解するであろう。例えば、一実施形態では、アミノ酸残基で保存的置換または変化をもたらすヌクレオチドまたはアミノ酸置換が作製され得る(例えば、CDR及び/またはフレームワーク残基において)。代替的にまたは加えて、変異がCDRアミノ酸残基に作製され、当該技術分野で認識される技術を使用して抗原結合を最適化する。scFv断片は、例えば、参照により本明細書に組み込まれているWO2011/084714に記載されている。
【0402】
抗体CDRに対して構造及び溶媒接触性が類似するBC、DE、及びFG構造ループを含有する、第10のフィブロネクチンIII型ドメイン(10Fn3)などの抗体様タンパク質足場もまた、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る。
【0403】
キメラ抗原受容体
CAR Treg細胞は、多能性細胞(例えば、多能性造血細胞)などの先駆細胞を操作することによって産生され得る。操作された多能性造血細胞は、本明細書に記載されるように、分化細胞がTreg細胞である場合、自己抗原などの標的抗原に特異的であるCARを発現する細胞に分化することができる。CD4+CD25+Treg細胞(例えば、Foxp3プロモーター)において活性である系統特異的転写調節エレメントによるCAR発現の制御は、CARのTreg特異的発現を可能にする。
【0404】
構造的に、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含有し得る。抗原認識ドメインは、所与の抗原(例えば、自己抗原)を認識し、それに特異的に結合することによって、標的細胞に対する特異性を付与する抗体またはその抗体断片を含有し得る。本明細書に記載の方法と組み合わせて使用され得る抗原認識ドメインの例としては、単一ドメイン抗体断片(sdAb)、一本鎖抗体(例えば、scFv)、及びヒト化抗体が挙げられる。ヒンジドメインは、適切な細胞/細胞接触、抗原結合、及び活性化を可能にするために、抗原認識ドメインをT細胞表面から離れるように位置させる。本明細書に記載の方法と組み合わせて使用するための例示的なヒンジドメインとしては、CD8(例えば、CD8α)、CD28、IgG1/IgG4(ヒンジ-Fc部分)、CD4、CD7、及びIgDに由来するものが挙げられる。膜貫通ドメインは、細胞外抗原認識ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを融合させ、CARをT細胞の形質膜にアンカーする。本明細書に記載の方法と組み合わせて使用するための例示的な膜貫通ドメインとしては、CD3アルファ、CD3ベータ、CD3イプシロン、CD3ゼータ、CD4、CD5、CD8(例えば、CD8α)、CD9、CD16、CD22、CD27、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD152、CD154、PD-1、CD4、FcRIγ、CD7、OX40、及びMHC(H2-Kb)に由来するものが挙げられる。細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有Treg細胞の免疫抑制機能を促進するシグナルを生成し、一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び任意に1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含有し得る。例示的な一次細胞内シグナル伝達ドメインとしては、一次刺激または抗原依存性シミュレーションに関与する分子に由来するものが挙げられる。例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、CD66d、DAP10、及びDAP12に由来し得る。例示的な共刺激細胞内シグナル伝達ドメインとしては、共刺激シグナルまたは抗原非依存性刺激に関与する分子に由来するものが挙げられる。例えば、共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、CD83、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、BTLA、またはTollリガンド受容体に由来し得る。
【0405】
多能性造血細胞は、本明細書に記載の、または当該技術分野において既知の様々なゲノム編集技術のいずれかによって、特定の自己抗原に特異的に結合する抗原受容体をTreg細胞上に発現するように遺伝子修飾され得る。キメラ抗原受容体をコードする遺伝子を組み込むように多能性造血細胞ゲノムを修飾するための例示的な技術としては、CRISPR/Cas、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、及びARCUS(商標)プラットフォームが挙げられる。
【0406】
ウイルス形質導入の方法
ポロキサマーを使用する形質導入
ポロキサマーは、形質導入効率を向上させるために、本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る。使用され得るポロキサマーとしては、2,050g/mol超のポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量(例えば、約2,055g/mol、2,060g/mol、2,075g/mol、2,080g/mol、2,085g/mol、2,090g/mol、2,095g/mol、2,100g/mol、2,200g/mol、2,300g/mol、2,400g/mol、2,500g/mol、2,600g/mol、2,700g/mol、2,800g/mol、2,900g/mol、3,000g/mol、3,100g/mol、3,200g/mol、3,300g/mol、3,400g/mol、3,500g/mol、3,600g/mol、3,700g/mol、3,800g/mol、3,900g/mol、4,000g/mol、4,100g/mol、4,200g/mol、4,300g/mol、4,400g/mol、4,500g/mol、4,600g/mol、4,700g/mol、4,800g/mol、4,900g/mol、または5,000g/molのポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量)を有するものが挙げられる。
【0407】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、2,250g/mol超のポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量(例えば、約2,300g/mol、2,400g/mol、2,500g/mol、2,600g/mol、2,700g/mol、2,800g/mol、2,900g/mol、3,000g/mol、3,100g/mol、3,200g/mol、3,300g/mol、3,400g/mol、3,500g/mol、3,600g/mol、3,700g/mol、3,800g/mol、3,900g/mol、4,000g/mol、4,100g/mol、4,200g/mol、4,300g/mol、4,400g/mol、4,500g/mol、4,600g/mol、4,700g/mol、4,800g/mol、4,900g/mol、または5,000g/molのポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量)を有する。
【0408】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、2,750g/mol超の、ポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量(例えば、約2,800g/mol、2,900g/mol、3,000g/mol、3,100g/mol、3,200g/mol、3,300g/mol、3,400g/mol、3,500g/mol、3,600g/mol、3,700g/mol、3,800g/mol、3,900g/mol、4,000g/mol、4,100g/mol、4,200g/mol、4,300g/mol、4,400g/mol、4,500g/mol、4,600g/mol、4,700g/mol、4,800g/mol、4,900g/mol、または5,000g/molの、ポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量)を有する。
【0409】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、3,250g/mol超のポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量(例えば、約3,300g/mol、3,400g/mol、3,500g/mol、3,600g/mol、3,700g/mol、3,800g/mol、3,900g/mol、4,000g/mol、4,100g/mol、4,200g/mol、4,300g/mol、4,400g/mol、4,500g/mol、4,600g/mol、4,700g/mol、4,800g/mol、4,900g/mol、または5,000g/molのポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量)を有する。
【0410】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、3,625g/mol超のポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量(例えば、約3,700g/mol、3,800g/mol、3,900g/mol、4,000g/mol、4,100g/mol、4,200g/mol、4,300g/mol、4,400g/mol、4,500g/mol、4,600g/mol、4,700g/mol、4,800g/mol、4,900g/mol、または5,000g/molのポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量)を有する。
【0411】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約2,050g/mol~約4,000g/mol(例えば、約2,050g/mol、2,055g/mol、2,060g/mol、2,065g/mol、2,070g/mol、2,075g/mol、2,080g/mol、2,085g/mol、2,090g/mol、2,095g/mol、2,100g/mol、2,105g/mol、2,110g/mol、2,115g/mol、2,120g/mol、2,125g/mol、2,130g/mol、2,135g/mol、2,140g/mol、2,145g/mol、2,150g/mol、2,155g/mol、2,160g/mol、2,165g/mol、2,170g/mol、2,175g/mol、2,180g/mol、2,185g/mol、2,190g/mol、2,195g/mol、2,200g/mol、2,205g/mol、2,210g/mol、2,215g/mol、2,220g/mol、2,225g/mol、2,230g/mol、2,235g/mol、2,240g/mol、2,245g/mol、2,250g/mol、2,255g/mol、2,260g/mol、2,265g/mol、2,270g/mol、2,275g/mol、2,280g/mol、2,285g/mol、2,290g/mol、2,295g/mol、2,300g/mol、2,305g/mol、2,310g/mol、2,315g/mol、2,320g/mol、2,325g/mol、2,330g/mol、2,335g/mol、2,340g/mol、2,345g/mol、2,350g/mol、2,355g/mol、2,360g/mol、2,365g/mol、2,370g/mol、2,375g/mol、2,380g/mol、2,385g/mol、2,390g/mol、2,395g/mol、2,400g/mol、2,405g/mol、2,410g/mol、2,415g/mol、2,420g/mol、2,425g/mol、2,430g/mol、2,435g/mol、2,440g/mol、2,445g/mol、2,450g/mol、2,455g/mol、2,460g/mol、2,465g/mol、2,470g/mol、2,475g/mol、2,480g/mol、2,485g/mol、2,490g/mol、2,495g/mol、2,500g/mol、2,505g/mol、2,510g/mol、2,515g/mol、2,520g/mol、2,525g/mol、2,530g/mol、2,535g/mol、2,540g/mol、2,545g/mol、2,550g/mol、2,555g/mol、2,560g/mol、2,565g/mol、2,570g/mol、2,575g/mol、2,580g/mol、2,585g/mol、2,590g/mol、2,595g/mol、2,600g/mol、2,605g/mol、2,610g/mol、2,615g/mol、2,620g/mol、2,625g/mol、2,630g/mol、2,635g/mol、2,640g/mol、2,645g/mol、2,650g/mol、2,655g/mol、2,660g/mol、2,665g/mol、2,670g/mol、2,675g/mol、2,680g/mol、2,685g/mol、2,690g/mol、2,695g/mol、2,700g/mol、2,705g/mol、2,710g/mol、2,715g/mol、2,720g/mol、2,725g/mol、2,730g/mol、2,735g/mol、2,740g/mol、2,745g/mol、2,750g/mol、2,755g/mol、2,760g/mol、2,765g/mol、2,770g/mol、2,775g/mol、2,780g/mol、2,785g/mol、2,790g/mol、2,795g/mol、2,800g/mol、2,805g/mol、2,810g/mol、2,815g/mol、2,820g/mol、2,825g/mol、2,830g/mol、2,835g/mol、2,840g/mol、2,845g/mol、2,850g/mol、2,855g/mol、2,860g/mol、2,865g/mol、2,870g/mol、2,875g/mol、2,880g/mol、2,885g/mol、2,890g/mol、2,895g/mol、2,900g/mol、2,905g/mol、2,910g/mol、2,915g/mol、2,920g/mol、2,925g/mol、2,930g/mol、2,935g/mol、2,940g/mol、2,945g/mol、2,950g/mol、2,955g/mol、2,960g/mol、2,965g/mol、2,970g/mol、2,975g/mol、2,980g/mol、2,985g/mol、2,990g/mol、2,995g/mol、3,000g/mol、3,005g/mol、3,010g/mol、3,015g/mol、3,020g/mol、3,025g/mol、3,030g/mol、3,035g/mol、3,040g/mol、3,045g/mol、3,050g/mol、3,055g/mol、3,060g/mol、3,065g/mol、3,070g/mol、3,075g/mol、3,080g/mol、3,085g/mol、3,090g/mol、3,095g/mol、3,100g/mol、3,105g/mol、3,110g/mol、3,115g/mol、3,120g/mol、3,125g/mol、3,130g/mol、3,135g/mol、3,140g/mol、3,145g/mol、3,150g/mol、3,155g/mol、3,160g/mol、3,165g/mol、3,170g/mol、3,175g/mol、3,180g/mol、3,185g/mol、3,190g/mol、3,195g/mol、3,200g/mol、3,205g/mol、3,210g/mol、3,215g/mol、3,220g/mol、3,225g/mol、3,230g/mol、3,235g/mol、3,240g/mol、3,245g/mol、3,250g/mol、3,255g/mol、3,260g/mol、3,265g/mol、3,270g/mol、3,275g/mol、3,280g/mol、3,285g/mol、3,290g/mol、3,295g/mol、3,300g/mol、3,305g/mol、3,310g/mol、3,315g/mol、3,320g/mol、3,325g/mol、3,330g/mol、3,335g/mol、3,340g/mol、3,345g/mol、3,350g/mol、3,355g/mol、3,360g/mol、3,365g/mol、3,370g/mol、3,375g/mol、3,380g/mol、3,385g/mol、3,390g/mol、3,395g/mol、3,400g/mol、3,405g/mol、3,410g/mol、3,415g/mol、3,420g/mol、3,425g/mol、3,430g/mol、3,435g/mol、3,440g/mol、3,445g/mol、3,450g/mol、3,455g/mol、3,460g/mol、3,465g/mol、3,470g/mol、3,475g/mol、3,480g/mol、3,485g/mol、3,490g/mol、3,495g/mol、3,500g/mol、3,505g/mol、3,510g/mol、3,515g/mol、3,520g/mol、3,525g/mol、3,530g/mol、3,535g/mol、3,540g/mol、3,545g/mol、3,550g/mol、3,555g/mol、3,560g/mol、3,565g/mol、3,570g/mol、3,575g/mol、3,580g/mol、3,585g/mol、3,590g/mol、3,595g/mol、3,600g/mol、3,605g/mol、3,610g/mol、3,615g/mol、3,620g/mol、3,625g/mol、3,630g/mol、3,635g/mol、3,640g/mol、3,645g/mol、3,650g/mol、3,655g/mol、3,660g/mol、3,665g/mol、3,670g/mol、3,675g/mol、3,680g/mol、3,685g/mol、3,690g/mol、3,695g/mol、3,700g/mol、3,705g/mol、3,710g/mol、3,715g/mol、3,720g/mol、3,725g/mol、3,730g/mol、3,735g/mol、3,740g/mol、3,745g/mol、3,750g/mol、3,755g/mol、3,760g/mol、3,765g/mol、3,770g/mol、3,775g/mol、3,780g/mol、3,785g/mol、3,790g/mol、3,795g/mol、3,800g/mol、3,805g/mol、3,810g/mol、3,815g/mol、3,820g/mol、3,825g/mol、3,830g/mol、3,835g/mol、3,840g/mol、3,845g/mol、3,850g/mol、3,855g/mol、3,860g/mol、3,865g/mol、3,870g/mol、3,875g/mol、3,880g/mol、3,885g/mol、3,890g/mol、3,895g/mol、3,900g/mol、3,905g/mol、3,910g/mol、3,915g/mol、3,920g/mol、3,925g/mol、3,930g/mol、3,935g/mol、3,940g/mol、3,945g/mol、3,950g/mol、3,955g/mol、3,960g/mol、3,965g/mol、3,970g/mol、3,975g/mol、3,980g/mol、3,985g/mol、3,990g/mol、3,995g/mol、または4,000g/mol)の、ポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量を有する。
【0412】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約2,750g/mol~約4,000g/mol(例えば、約2,750g/mol、2,755g/mol、2,760g/mol、2,765g/mol、2,770g/mol、2,775g/mol、2,780g/mol、2,785g/mol、2,790g/mol、2,795g/mol、2,800g/mol、2,805g/mol、2,810g/mol、2,815g/mol、2,820g/mol、2,825g/mol、2,830g/mol、2,835g/mol、2,840g/mol、2,845g/mol、2,850g/mol、2,855g/mol、2,860g/mol、2,865g/mol、2,870g/mol、2,875g/mol、2,880g/mol、2,885g/mol、2,890g/mol、2,895g/mol、2,900g/mol、2,905g/mol、2,910g/mol、2,915g/mol、2,920g/mol、2,925g/mol、2,930g/mol、2,935g/mol、2,940g/mol、2,945g/mol、2,950g/mol、2,955g/mol、2,960g/mol、2,965g/mol、2,970g/mol、2,975g/mol、2,980g/mol、2,985g/mol、2,990g/mol、2,995g/mol、3,000g/mol、3,005g/mol、3,010g/mol、3,015g/mol、3,020g/mol、3,025g/mol、3,030g/mol、3,035g/mol、3,040g/mol、3,045g/mol、3,050g/mol、3,055g/mol、3,060g/mol、3,065g/mol、3,070g/mol、3,075g/mol、3,080g/mol、3,085g/mol、3,090g/mol、3,095g/mol、3,100g/mol、3,105g/mol、3,110g/mol、3,115g/mol、3,120g/mol、3,125g/mol、3,130g/mol、3,135g/mol、3,140g/mol、3,145g/mol、3,150g/mol、3,155g/mol、3,160g/mol、3,165g/mol、3,170g/mol、3,175g/mol、3,180g/mol、3,185g/mol、3,190g/mol、3,195g/mol、3,200g/mol、3,205g/mol、3,210g/mol、3,215g/mol、3,220g/mol、3,225g/mol、3,230g/mol、3,235g/mol、3,240g/mol、3,245g/mol、3,250g/mol、3,255g/mol、3,260g/mol、3,265g/mol、3,270g/mol、3,275g/mol、3,280g/mol、3,285g/mol、3,290g/mol、3,295g/mol、3,300g/mol、3,305g/mol、3,310g/mol、3,315g/mol、3,320g/mol、3,325g/mol、3,330g/mol、3,335g/mol、3,340g/mol、3,345g/mol、3,350g/mol、3,355g/mol、3,360g/mol、3,365g/mol、3,370g/mol、3,375g/mol、3,380g/mol、3,385g/mol、3,390g/mol、3,395g/mol、3,400g/mol、3,405g/mol、3,410g/mol、3,415g/mol、3,420g/mol、3,425g/mol、3,430g/mol、3,435g/mol、3,440g/mol、3,445g/mol、3,450g/mol、3,455g/mol、3,460g/mol、3,465g/mol、3,470g/mol、3,475g/mol、3,480g/mol、3,485g/mol、3,490g/mol、3,495g/mol、3,500g/mol、3,505g/mol、3,510g/mol、3,515g/mol、3,520g/mol、3,525g/mol、3,530g/mol、3,535g/mol、3,540g/mol、3,545g/mol、3,550g/mol、3,555g/mol、3,560g/mol、3,565g/mol、3,570g/mol、3,575g/mol、3,580g/mol、3,585g/mol、3,590g/mol、3,595g/mol、3,600g/mol、3,605g/mol、3,610g/mol、3,615g/mol、3,620g/mol、3,625g/mol、3,630g/mol、3,635g/mol、3,640g/mol、3,645g/mol、3,650g/mol、3,655g/mol、3,660g/mol、3,665g/mol、3,670g/mol、3,675g/mol、3,680g/mol、3,685g/mol、3,690g/mol、3,695g/mol、3,700g/mol、3,705g/mol、3,710g/mol、3,715g/mol、3,720g/mol、3,725g/mol、3,730g/mol、3,735g/mol、3,740g/mol、3,745g/mol、3,750g/mol、3,755g/mol、3,760g/mol、3,765g/mol、3,770g/mol、3,775g/mol、3,780g/mol、3,785g/mol、3,790g/mol、3,795g/mol、3,800g/mol、3,805g/mol、3,810g/mol、3,815g/mol、3,820g/mol、3,825g/mol、3,830g/mol、3,835g/mol、3,840g/mol、3,845g/mol、3,850g/mol、3,855g/mol、3,860g/mol、3,865g/mol、3,870g/mol、3,875g/mol、3,880g/mol、3,885g/mol、3,890g/mol、3,895g/mol、3,900g/mol、3,905g/mol、3,910g/mol、3,915g/mol、3,920g/mol、3,925g/mol、3,930g/mol、3,935g/mol、3,940g/mol、3,945g/mol、3,950g/mol、3,955g/mol、3,960g/mol、3,965g/mol、3,970g/mol、3,975g/mol、3,980g/mol、3,985g/mol、3,990g/mol、3,995g/mol、または4,000g/mol)のポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量を有する。
【0413】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約3,250g/mol~約4,000g/mol(例えば、約3,250g/mol、3,255g/mol、3,260g/mol、3,265g/mol、3,270g/mol、3,275g/mol、3,280g/mol、3,285g/mol、3,290g/mol、3,295g/mol、3,300g/mol、3,305g/mol、3,310g/mol、3,315g/mol、3,320g/mol、3,325g/mol、3,330g/mol、3,335g/mol、3,340g/mol、3,345g/mol、3,350g/mol、3,355g/mol、3,360g/mol、3,365g/mol、3,370g/mol、3,375g/mol、3,380g/mol、3,385g/mol、3,390g/mol、3,395g/mol、3,400g/mol、3,405g/mol、3,410g/mol、3,415g/mol、3,420g/mol、3,425g/mol、3,430g/mol、3,435g/mol、3,440g/mol、3,445g/mol、3,450g/mol、3,455g/mol、3,460g/mol、3,465g/mol、3,470g/mol、3,475g/mol、3,480g/mol、3,485g/mol、3,490g/mol、3,495g/mol、3,500g/mol、3,505g/mol、3,510g/mol、3,515g/mol、3,520g/mol、3,525g/mol、3,530g/mol、3,535g/mol、3,540g/mol、3,545g/mol、3,550g/mol、3,555g/mol、3,560g/mol、3,565g/mol、3,570g/mol、3,575g/mol、3,580g/mol、3,585g/mol、3,590g/mol、3,595g/mol、3,600g/mol、3,605g/mol、3,610g/mol、3,615g/mol、3,620g/mol、3,625g/mol、3,630g/mol、3,635g/mol、3,640g/mol、3,645g/mol、3,650g/mol、3,655g/mol、3,660g/mol、3,665g/mol、3,670g/mol、3,675g/mol、3,680g/mol、3,685g/mol、3,690g/mol、3,695g/mol、3,700g/mol、3,705g/mol、3,710g/mol、3,715g/mol、3,720g/mol、3,725g/mol、3,730g/mol、3,735g/mol、3,740g/mol、3,745g/mol、3,750g/mol、3,755g/mol、3,760g/mol、3,765g/mol、3,770g/mol、3,775g/mol、3,780g/mol、3,785g/mol、3,790g/mol、3,795g/mol、3,800g/mol、3,805g/mol、3,810g/mol、3,815g/mol、3,820g/mol、3,825g/mol、3,830g/mol、3,835g/mol、3,840g/mol、3,845g/mol、3,850g/mol、3,855g/mol、3,860g/mol、3,865g/mol、3,870g/mol、3,875g/mol、3,880g/mol、3,885g/mol、3,890g/mol、3,895g/mol、3,900g/mol、3,905g/mol、3,910g/mol、3,915g/mol、3,920g/mol、3,925g/mol、3,930g/mol、3,935g/mol、3,940g/mol、3,945g/mol、3,950g/mol、3,955g/mol、3,960g/mol、3,965g/mol、3,970g/mol、3,975g/mol、3,980g/mol、3,985g/mol、3,990g/mol、3,995g/mol、または4,000g/mol)のポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量を有する。
【0414】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約3,625g/mol~約4,000g/mol(例えば、約3,625g/mol、3,630g/mol、3,635g/mol、3,640g/mol、3,645g/mol、3,650g/mol、3,655g/mol、3,660g/mol、3,665g/mol、3,670g/mol、3,675g/mol、3,680g/mol、3,685g/mol、3,690g/mol、3,695g/mol、3,700g/mol、3,705g/mol、3,710g/mol、3,715g/mol、3,720g/mol、3,725g/mol、3,730g/mol、3,735g/mol、3,740g/mol、3,745g/mol、3,750g/mol、3,755g/mol、3,760g/mol、3,765g/mol、3,770g/mol、3,775g/mol、3,780g/mol、3,785g/mol、3,790g/mol、3,795g/mol、3,800g/mol、3,805g/mol、3,810g/mol、3,815g/mol、3,820g/mol、3,825g/mol、3,830g/mol、3,835g/mol、3,840g/mol、3,845g/mol、3,850g/mol、3,855g/mol、3,860g/mol、3,865g/mol、3,870g/mol、3,875g/mol、3,880g/mol、3,885g/mol、3,890g/mol、3,895g/mol、3,900g/mol、3,905g/mol、3,910g/mol、3,915g/mol、3,920g/mol、3,925g/mol、3,930g/mol、3,935g/mol、3,940g/mol、3,945g/mol、3,950g/mol、3,955g/mol、3,960g/mol、3,965g/mol、3,970g/mol、3,975g/mol、3,980g/mol、3,985g/mol、3,990g/mol、3,995g/mol、または4,000g/mol)のポリオキシプロピレンサブユニットの平均モル質量を有する。
【0415】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、40質量%超(例えば、約41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、またはそれ以上)の平均エチレンオキシド含有量を有する。
【0416】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、50質量%超(例えば、約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、またはそれ以上)の平均エチレンオキシド含有量を有する。
【0417】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、60質量%超(例えば、約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、またはそれ以上)の平均エチレンオキシド含有量を有する。
【0418】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、70質量%超(例えば、約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、またはそれ以上)の平均エチレンオキシド含有量を有する。
【0419】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約40%~約90%(例えば、約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%)の平均エチレンオキシド含有量を有する。
【0420】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約50%~約85%(例えば、約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、または85%)の平均エチレンオキシド含有量を有する。
【0421】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約60%~約80%(例えば、約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%)の平均エチレンオキシド含有量を有する。
【0422】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、10,000g/mol超(例えば、約10,100g/mol、10,200g/mol、10,300g/mol、10,400g/mol、10,500g/mol、10,600g/mol、10,700g/mol、10,800g/mol、10,900g/mol、11,000g/mol、11,100g/mol、11,200g/mol、11,300g/mol、11,400g/mol、11,500g/mol、11,600g/mol、11,700g/mol、11,800g/mol、11,900g/mol、12,000g/mol、12,100g/mol、12,200g/mol、12,300g/mol、12,400g/mol、12,500g/mol、12,600g/mol、12,700g/mol、12,800g/mol、12,900g/mol、13,000g/mol、13,100g/mol、13,200g/mol、13,300g/mol、13,400g/mol、13,500g/mol、13,600g/mol、13,700g/mol、13,800g/mol、13,900g/mol、14,000g/mol、14,100g/mol、14,200g/mol、14,300g/mol、14,400g/mol、14,500g/mol、14,600g/mol、14,700g/mol、14,800g/mol、14,900g/mol、または15,000g/mol)の平均モル質量を有する。
【0423】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、11,000g/mol超(例えば、約11,100g/mol、11,200g/mol、11,300g/mol、11,400g/mol、11,500g/mol、11,600g/mol、11,700g/mol、11,800g/mol、11,900g/mol、12,000g/mol、12,100g/mol、12,200g/mol、12,300g/mol、12,400g/mol、12,500g/mol、12,600g/mol、12,700g/mol、12,800g/mol、12,900g/mol、13,000g/mol、13,100g/mol、13,200g/mol、13,300g/mol、13,400g/mol、13,500g/mol、13,600g/mol、13,700g/mol、13,800g/mol、13,900g/mol、14,000g/mol、14,100g/mol、14,200g/mol、14,300g/mol、14,400g/mol、14,500g/mol、14,600g/mol、14,700g/mol、14,800g/mol、14,900g/mol、または15,000g/mol)の平均モル質量を有する。
【0424】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、12,000g/mol超(例えば、約12,100g/mol、12,200g/mol、12,300g/mol、12,400g/mol、12,500g/mol、12,600g/mol、12,700g/mol、12,800g/mol、12,900g/mol、13,000g/mol、13,100g/mol、13,200g/mol、13,300g/mol、13,400g/mol、13,500g/mol、13,600g/mol、13,700g/mol、13,800g/mol、13,900g/mol、14,000g/mol、14,100g/mol、14,200g/mol、14,300g/mol、14,400g/mol、14,500g/mol、14,600g/mol、14,700g/mol、14,800g/mol、14,900g/mol、または15,000g/mol)の平均モル質量を有する。
【0425】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、12,500g/mol超(例えば、約12,600g/mol、12,700g/mol、12,800g/mol、12,900g/mol、13,000g/mol、13,100g/mol、13,200g/mol、13,300g/mol、13,400g/mol、13,500g/mol、13,600g/mol、13,700g/mol、13,800g/mol、13,900g/mol、14,000g/mol、14,100g/mol、14,200g/mol、14,300g/mol、14,400g/mol、14,500g/mol、14,600g/mol、14,700g/mol、14,800g/mol、14,900g/mol、または15,000g/mol)の平均モル質量を有する。
【0426】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約10,000g/mol~約15,000g/mol(例えば、約10,000g/mol、10,100g/mol、10,200g/mol、10,300g/mol、10,400g/mol、10,500g/mol、10,600g/mol、10,700g/mol、10,800g/mol、10,900g/mol、11,000g/mol、11,100g/mol、11,200g/mol、11,300g/mol、11,400g/mol、11,500g/mol、11,600g/mol、11,700g/mol、11,800g/mol、11,900g/mol、12,000g/mol、12,100g/mol、12,200g/mol、12,300g/mol、12,400g/mol、12,500g/mol、12,600g/mol、12,700g/mol、12,800g/mol、12,900g/mol、13,000g/mol、13,100g/mol、13,200g/mol、13,300g/mol、13,400g/mol、13,500g/mol、13,600g/mol、13,700g/mol、13,800g/mol、13,900g/mol、14,000g/mol、14,100g/mol、14,200g/mol、14,300g/mol、14,400g/mol、14,500g/mol、14,600g/mol、14,700g/mol、14,800g/mol、14,900g/mol、または15,000g/mol)の平均モル質量を有する。
【0427】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約11,000g/mol~約15,000g/mol(例えば、約11,000g/mol、11,100g/mol、11,200g/mol、11,300g/mol、11,400g/mol、11,500g/mol、11,600g/mol、11,700g/mol、11,800g/mol、11,900g/mol、12,000g/mol、12,100g/mol、12,200g/mol、12,300g/mol、12,400g/mol、12,500g/mol、12,600g/mol、12,700g/mol、12,800g/mol、12,900g/mol、13,000g/mol、13,100g/mol、13,200g/mol、13,300g/mol、13,400g/mol、13,500g/mol、13,600g/mol、13,700g/mol、13,800g/mol、13,900g/mol、14,000g/mol、14,100g/mol、14,200g/mol、14,300g/mol、14,400g/mol、14,500g/mol、14,600g/mol、14,700g/mol、14,800g/mol、14,900g/mol、または15,000g/mol)の平均モル質量を有する。
【0428】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約11,500g/mol~約15,000g/mol(例えば、約11,500g/mol、11,600g/mol、11,700g/mol、11,800g/mol、11,900g/mol、12,000g/mol、12,100g/mol、12,200g/mol、12,300g/mol、12,400g/mol、12,500g/mol、12,600g/mol、12,700g/mol、12,800g/mol、12,900g/mol、13,000g/mol、13,100g/mol、13,200g/mol、13,300g/mol、13,400g/mol、13,500g/mol、13,600g/mol、13,700g/mol、13,800g/mol、13,900g/mol、14,000g/mol、14,100g/mol、14,200g/mol、14,300g/mol、14,400g/mol、14,500g/mol、14,600g/mol、14,700g/mol、14,800g/mol、14,900g/mol、または15,000g/mol)の平均モル質量を有する。
【0429】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約12,000g/mol~約15,000g/mol(例えば、約12,000g/mol、12,100g/mol、12,200g/mol、12,300g/mol、12,400g/mol、12,500g/mol、12,600g/mol、12,700g/mol、12,800g/mol、12,900g/mol、13,000g/mol、13,100g/mol、13,200g/mol、13,300g/mol、13,400g/mol、13,500g/mol、13,600g/mol、13,700g/mol、13,800g/mol、13,900g/mol、14,000g/mol、14,100g/mol、14,200g/mol、14,300g/mol、14,400g/mol、14,500g/mol、14,600g/mol、14,700g/mol、14,800g/mol、14,900g/mol、または15,000g/mol)の平均モル質量を有する。
【0430】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、約12,500g/mol~約15,000g/mol(例えば、約12,500g/mol、12,600g/mol、12,700g/mol、12,800g/mol、12,900g/mol、13,000g/mol、13,100g/mol、13,200g/mol、13,300g/mol、13,400g/mol、13,500g/mol、13,600g/mol、13,700g/mol、13,800g/mol、13,900g/mol、14,000g/mol、14,100g/mol、14,200g/mol、14,300g/mol、14,400g/mol、14,500g/mol、14,600g/mol、14,700g/mol、14,800g/mol、14,900g/mol、または15,000g/mol)の、平均モル質量を有する。
【0431】
ポロキサマーP288、P335、P338、及びP407
本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るポロキサマーとしては、適切な化学式HO(CO)(CO)(CO)H[式中、x及びyの合計は約236.36であり、zは約44.83である。]を有する、「ポロキサマー288」(当該技術分野においては、「P288」及びポロキサマー「F98」とも呼ばれる)が挙げられる。P288の平均分子量は、約13,000g/molである。
【0432】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、式HO(CO)(CO)(CO)H[式中、x及びyの合計は約220~約250であり、zは約40~約50である。]のバリアントなどの、P288のバリアントである。いくつかの実施形態では、ポロキサマーの平均分子量は、約12,000g/mol~約14,000g/molである。
【0433】
本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るポロキサマーとしては、適切な化学式HO(CO)(CO)(CO)H[式中、x及びyの合計は約73.86であり、zは約56.03である。]を有する、「ポロキサマー335」(当該技術分野においては、「P335」及びポロキサマー「P105」とも呼ばれる)が更に挙げられる。P335の平均分子量は、約6,500g/molである。
【0434】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、式HO(CO)(CO)(CO)H[式中、x及びyの合計は約60~約80であり、zは約50~約60である。]のバリアントなどの、P335のバリアントである。いくつかの実施形態では、ポロキサマーの平均分子量は、約6,000g/mol~約7,000g/molである。
【0435】
本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るポロキサマーとしては、適切な化学式HO(CO)(CO)(CO)H[式中、x及びyの合計は約265.45であり、zは約50.34である。]を有する、「ポロキサマー338」(当該技術分野においては、「P338」及びポロキサマー「F108」とも呼ばれる)が更に挙げられる。P335の平均分子量は、約14,600g/molである。
【0436】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、式HO(CO)(CO)(CO)H[式中、x及びyの合計は約260~約270であり、zは約45~約55である。]のバリアントなどの、P338のバリアントである。いくつかの実施形態では、ポロキサマーの平均分子量は、約14,000g/mol~約15,000g/molである。
【0437】
本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得るポロキサマーとしては、適切な化学式HO(CO)(CO)(CO)H[式中、x及びyの合計は約200.45であり、zは約65.17である。]を有する、「ポロキサマー407」(当該技術分野においては、「P407」及びポロキサマー「F127」とも呼ばれる)が更に挙げられる。P335の平均分子量は、約12,600g/molである。
【0438】
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、式HO(CO)(CO)(CO)H[式中、x及びyの合計は約190~約210であり、zは約60~約70である。]のバリアントなどの、P407のバリアントである。いくつかの実施形態では、ポロキサマーの平均分子量は、約12,000g/mol~約13,000g/molである。
【0439】
明確にするために、用語「平均モル質量」及び「平均分子量」は、本明細書では同じ意味で用いられ、同じ量を指す。本明細書に記載のポロキサマーの平均モル質量、エチレンオキシド含有量、及びプロピレンオキシド含有量は、Alexandridis and Hatton,Colloids and Surfaces A:Physicochemical and Engineering Aspects 96:1-46(1995)に開示されている方法を使用して決定することができ、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0440】
タンパク質キナーゼCモジュレーターを使用する形質導入
様々な薬剤を使用して、PKC活性及び/または発現を低減させることができる。メカニズムによって制限されることなく、かかる薬剤は、Aktシグナル伝達を刺激すること、及び/またはコフィリンを脱リン酸化状態に維持することによってウイルス形質導入を増強することができ、それによってアクチン解重合を促進する。このアクチン解重合事象は、ウイルスベクターの、標的細胞の核内への侵入を阻害する物理的障壁を取り除く役割を果たし得る。
【0441】
スタウロスポリン及びそのバリアント
いくつかの実施形態では、PKCの活性及び/または発現を低減させる物質は、PKC阻害剤である。PKC阻害剤は、スタウロスポリン、またはそのバリアントであってよい。例えば、PKC阻害剤は、式(I)で表される化合物
【化1】
[式中、Rは、H、OH、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアシルオキシ、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルキルアミノ、任意に置換されたアミド、ハロゲン、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたアシル、任意に置換されたアルコキシカルボニル、オキソ、チオカルボニル、任意に置換されたカルボキシ、またはウレイドであり、
は、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、または任意に置換されたアシルであり、
及びRは各々独立して、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、もしくは任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換され任意に縮合したアリール、任意に置換され任意に縮合したヘテロアリール、任意に置換され任意に縮合したシクロアルキル、もしくは任意に置換され任意に縮合したヘテロシクロアルキルであるか、またはR及びRは、それらに結合する原子とともに結合し、任意に置換され任意に縮合したヘテロシクロアルキル環を形成し、
は、O、NR、またはSであり、
は、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、または任意に置換されたC2-6アルキニルであり、
各Xは独立して、ハロゲン、任意に置換されたハロアルキル、シアノ、任意に置換されたアミノ、ヒドロキシル、チオール、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアシルオキシ、任意に置換されたアルコキシカルボニル、任意に置換されたカルボキシ、ウレイド、任意に置換されたアルキルスルホニル、任意に置換されたアリールスルホニル、任意に置換されたヘテロアリールスルホニル、任意に置換されたシクロアルキルスルホニル、任意に置換されたヘテロシクロアルキルスルホニル、任意に置換されたアルキルスルファニル、任意に置換されたアリールスルファニル、任意に置換されたヘテロアリールスルファニル、任意に置換されたシクロアルキルスルファニル、任意に置換されたヘテロシクロアルキルスルファニル、任意に置換されたアルキルスルフィニル、任意に置換されたアリールスルフィニル、任意に置換されたヘテロアリールスルフィニル、任意に置換されたシクロアルキルスルフィニル、任意に置換されたヘテロシクロアルキルスルフィニル、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換され任意に縮合したアリール、任意に置換され任意に縮合したヘテロアリール、任意に置換され任意に縮合したシクロアルキル、または、任意に置換され任意に縮合したヘテロシクロアルキルであり、
各Yは独立して、ハロゲン、任意に置換されたハロアルキル、シアノ、任意に置換されたアミノ、ヒドロキシル、チオール、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアシルオキシ、任意に置換されたアルコキシカルボニル、任意に置換されたカルボキシ、ウレイド、任意に置換されたアルキルスルホニル、任意に置換されたアリールスルホニル、任意に置換されたヘテロアリールスルホニル、任意に置換されたシクロアルキルスルホニル、任意に置換されたヘテロシクロアルキルスルホニル、任意に置換されたアルキルスルファニル、任意に置換されたアリールスルファニル、任意に置換されたヘテロアリールスルファニル、任意に置換されたシクロアルキルスルファニル、任意に置換されたヘテロシクロアルキルスルファニル、任意に置換されたアルキルスルフィニル、任意に置換されたアリールスルフィニル、任意に置換されたヘテロアリールスルフィニル、任意に置換されたシクロアルキルスルフィニル、任意に置換されたヘテロシクロアルキルスルフィニル、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換され任意に縮合したアリール、任意に置換され任意に縮合したヘテロアリール、任意に置換され任意に縮合したシクロアルキル、または、任意に置換され任意に縮合したヘテロシクロアルキルであり、
【化2】
は、任意に存在する結合を表し、
nは、0~4の整数であり、
mは、0~4の整数である。]、
またはその塩である。
【0442】
干渉RNA
本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る例示的なPKC調節剤としては、PKC遺伝子発現を減少させる、短鎖干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、及び/またはマイクロRNA(miRNA)などの干渉RNA分子が挙げられる。干渉RNA分子を産生するための方法は当技術分野において既知であり、例えば、WO2004/044136及び米国特許第9,150,605号に詳細に記載されており、これらの各々の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0443】
HDAC阻害剤を使用する形質導入
様々な薬剤を使用して、ウイルス形質導入中に核酸カセットの発現を増加させるために、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害することができる。理論に拘束されることを望まないが、ウイルスベクターからの核酸カセット発現の低減は、ヒストン脱アセチル化によって行われるベクターゲノムの後成的なサイレンシングによって引き起こされ得る。ヒドロキサム酸は、これらの酵素の活性部位内でカチオン性亜鉛に結合する、ヒドロキサメートの官能性により、これらの酵素を阻害する、特にロバストなクラスのHDAC阻害剤を表す。例示的な阻害剤としては、トリコスタチンA、及びボリノスタット(Marks et al.,Nature Biotechnology 25,84 to 90(2007)、Stenger,Community Oncology 4,384-386(2007)に記載されているN-ヒドロキシ-N’-フェニル-オクタンジアミド、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている)が挙げられる。他のHDAC阻害剤としては、Drugs of the Future 32(4):315-322(2007)に記載されているパノビノスタットが挙げられ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0444】
ヒストン脱アセチル化酵素のヒドロキサム酸阻害剤の追加の例としては、Bertrand,European Journal of Medicinal Chemistry 45:2095-2116(2010)に記載されている、以下に示される化合物が挙げられ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0445】
ヒドロキサメート置換基を含有しない他のHDAC阻害剤も開発されており、バルプロ酸(Gottlicher,et al.,EMBOJ.20(24):6969-6978(2001)及びBalasubramanian et al.,Cancer Letters 280:211-221(2009)に記載されているモセチノスタット(N-(2-アミノフェニル)-4-[[(4-ピリジン-3-イルピリミジン-2-イル)アミノ]メチル]ベンズアミド)が含まれ、これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。ヒドロキサメートとは異なる化学官能性を利用する他の低分子阻害剤としては、Bertrand,European Journal of Medicinal Chemistry 45:2095-2116(2010)に記載されているものが挙げられ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0446】
本発明の組成物及び方法とともに有用な、ヒストンアセチル化の化学的モジュレーターの追加の例としては、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC8、HDAC9、HDAC10、Sirt1、Sirt2、及び/またはHATのモジュレーター、例えば、ブチリルヒドロキサム酸、M344、LAQ824(ダシノスタット)、AR-42、ベリノスタット(PXD101)、CUDC-101、スクリプタイド、フェニルブチル酸ナトリウム、タスキニモド、キシノスタット(JNJ-26481585)、プラシノスタット(SB939)、CUDC-907、エンチノスタット(MS-275)、モセチノスタット(MGCD0103)、ツバスタチンA HCl、PCI-34051、ドロキシノスタット、PCI-24781(アベキシノスタット)、RGFP966、ロシリノスタット(ACY-1215)、CI994(タセジナリン)、ツバシン、RG2833(RGFP109)、レスミノスタット、ツバスタチンA、BRD73954、BG45、4SC-202、CAY10603、LMK-235、ネクスツラスタットA、TMP269、HPOB、カンビノール、及びアナカルド酸が挙げられる。
【0447】
いくつかの特定の実施形態では、HDAC阻害剤は、スクリプタイドである。
【0448】
シクロスポリンを使用する形質導入
いくつかの実施形態では、本開示の治療用細胞は、シクロスポリンA(CsA)またはシクロスポリンH(CsH)などのシクロスポリンの存在下で細胞を形質導入することによって産生される。
【0449】
いくつかの実施形態では、シクロスポリンの濃度は、細胞と接触した場合、約1μM~約10μM(例えば、約1μM、1.1μM、1.2μM、1.3μM、1.4μM、1.5μM、1.6μM、1.7μM、1.8μM、1.9μM、2μM、2.1μM、2.2μM、2.3μM、2.4μM、2.5μM、2.6μM、2.7μM、2.8μM、2.9μM、3μM、3.1μM、3.2μM、3.3μM、3.4μM、3.5μM、3.6μM、3.7μM、3.8μM、3.9μM、4μM、4.1μM、4.2μM、4.3μM、4.4μM、4.5μM、4.6μM、4.7μM、4.8μM、4.9μM、5μM、5.1μM、5.2μM、5.3μM、5.4μM、5.5μM、5.6μM、5.7μM、5.8μM、5.9μM、6μM、6.1μM、6.2μM、6.3μM、6.4μM、6.5μM、6.6μM、6.7μM、6.8μM、6.9μM、7μM、7.1μM、7.2μM、7.3μM、7.4μM、7.5μM、7.6μM、7.7μM、7.8μM、7.9μM、8μM、8.1μM、8.2μM、8.3μM、8.4μM、8.5μM、8.6μM、8.7μM、8.8μM、8.9μM、9μM、9.1μM、9.2μM、9.3μM、9.4μM、9.5μM、9.6μM、9.7μM、9.8μM、9.9μM、または10μM)である。
【0450】
プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子を使用する形質導入
いくつかの実施形態では、本開示の治療用細胞は、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子の存在下で細胞を形質導入することによって産生される。
【0451】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、WO2007/112084またはWO2010/108028に記載されている化合物などの低分子であり、これらの各々の開示は、それらがプロスタグランジンE受容体シグナル伝達活性化因子に関係するため、参照により本明細書に組み込まれている。
【0452】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、有機低分子、プロスタグランジン、Wnt経路アゴニスト、cAMP/PI3K/AKT経路アゴニスト、Ca2+セカンドメッセンジャー経路アゴニスト、一酸化窒素(NO)/アンギオテンシンシグナル伝達アゴニストなどの低分子、またはメベベリン、フルランドレノリド、アテノロール、ピンドロール、ガボキサドール、キヌレン酸、ヒドララジン、チアベンダゾール、ビククリン、ベサミコール、ペルボシド、イミプラミン、クロルプロパミド、1,5-ペンタメチレンテトラゾール、4-アミノピリジン、ジアゾキシド、ベンフォチアミン、12-メトキシドデセン酸、N-ホルミル-Met-Leu-Phe、ガラミン、IAA94、クロロトリアニセン、及び/またはこれらの化合物のいずれかの誘導体から選択される化合物などのプロスタグランジンシグナル伝達経路を刺激することが既知の別の化合物である。
【0453】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、プロスタグランジンE受容体に結合し、及び/またはこれと相互作用し、典型的には、プロスタグランジンE受容体と関連する下流シグナル伝達経路のうちの1つ以上を活性化もしくは増加させる、自然に存在するもしくは合成化学分子またはポリペプチドである。
【0454】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、プロスタグランジン(PG)A2(PGA2)、PGB2、PGD2、PGE1(アルプロスタジル)、PGE2、PGF2、PGI2(エポプロステノール)、PGH2、PGJ2、ならびにそれらの誘導体及び類似体からなる群から選択される。
【0455】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、PGE2またはdmPGE2である。
【0456】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、15d-PGJ2、デルタl2-PGJ2、2-ヒドロキシヘプタデカトリエン酸(HHT)、トロンボキサン(TXA2及びTXB2)、PGI2類似体、例えば、イロプロスト及びトレプロスチニル、PGF2類似体、例えば、トラボプロスト、カルボプロストトロメタミン、タフルプロスト、ラタノプロスト、ビマトプロスト、ウノプロストンイソプロピル、クロプロステノール、オエストロファン、及びスーパーファン、PGE1類似体、例えば、11-デオキシPGE1、ミソプロストール、及びブタプロスト、ならびにCoreyアルコール-A([3aa,4a,5,6aa]-(-)-[ヘキサヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-2H-シクロペンタ/b/フラン-5-イル][1,1’-ビフェニル]-4-カルボキシレート)、Coreyアルコール-B(2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン,5-(ベンゾイルオキシ)ヘキサヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)[3aR-(3aa,4a,5,6aa)])、及びCoreyジオール((3aR,4S,5R,6aS)-ヘキサヒドロ-5-ヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン)である。
【0457】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、プロスタグランジンE2(PGE2)などのプロスタグランジンE受容体リガンド、または、その類似体もしくは誘導体である。プロスタグランジンとは、一般に、本明細書に記載の、及び当該技術分野において既知の5炭素環を含む、20個の炭素原子を含有する脂肪酸に由来するホルモン様分子を意味する。PGE2「類似体」または「誘導体」の実例としては、16,16-ジメチルPGE2、16-16ジメチルPGE2 p-(p-アセトアミドベンズアミド)フェニルエステル、11-デオキシ-16,16-ジメチルPGE2、9-デオキシ-9-メチレン-16,16-ジメチルPGE2、9-デオキシ-9-メチレンPGE2、9-ケトフルプロステノール、5-トランスPGE2、17-フェニル-オメガ-トリノールPGE2、PGE2セリノールアミド、PGE2メチルエステル、16-フェニルテトラノールPGE2、15(S)-15-メチルPGE2、15(R)-15-メチルPGE2、8-イソ-15-ケトPGE2、8-イソPGE2イソプロピルエステル、20-ヒドロキシPGE2、ノクロプロスト、スルプロストン、ブタプロスト、15-ケトPGE2、及び19(R)ヒドロキシPGE2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0458】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、9位がハロゲンで置換されたPGE2に類似の構造を有するプロスタグランジン類似体または誘導体(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているWO2001/12596を参照されたい)、ならびに、その全体が参照により本明細書に組み込まれているUS2006/0247214に記載されているものなどの、2-デカルボキシ-2-ホスフィニコプロスタグランジン誘導体である。
【0459】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、非PGE2ベースのリガンドである。いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、CAY10399、ONO_8815Ly、ONO-AE1-259、またはCP-533,536である。非PGE2ベースのEP2アゴニストの追加の例としては、かかる剤のその開示に関して参照により本明細書に組み込まれているWO2007/071456に開示されている、カルバゾール及びフルオレンが挙げられる。非PGE2ベースのEPアゴニストの実例としては、AE5-599、MB28767、GR 63799X、ONO-NT012、及びONO-AE-248が挙げられるが、これらに限定されない。非PGEベースのEPアゴニストの実例としては、ONO-4819、APS-999 Na、AH23848、及びONO-AE1-329が挙げられるが、これらに限定されない。非PGE2ベースのEP4アゴニストの追加の例は、WO2000/038663、米国特許第6,747,037号、及び同第6,610,719号に見出すことができ、これらの各々は、かかるアゴニストのそれらの開示について参照により組み込まれている。
【0460】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、Wntアゴニストである。Wntアゴニストの実例としては、Wntポリペプチド、及びグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。プロスタグランジンEP受容体シグナル伝達経路を刺激する化合物としての使用に好適なWntポリペプチドの実例としては、Wnt1、Wnt2、Wnt2b/13、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt5a、Wnt5b、Wnt6、Wnt7a、Wnt7b、Wnt7c、Wnt8、Wnt8a、Wnt8b、Wnt8c、Wnt1Oa、Wnt1Ob、Wnt11、Wnt14、Wnt15、またはこれらの生物学的に活性な断片が挙げられるが、これらに限定されない。プロスタグランジンEP受容体シグナル伝達経路を刺激する薬剤としての使用に好適なGSK3阻害剤は、GSK3aまたはGSK3に結合し、GSK3aまたはGSK3の活性を低下させる。GSK3阻害剤の実例としては、米国特許第6,057,117号及び同第6,608,063号、ならびにUS2004/0092535及びUS2004/0209878に例示されているような、BIO(6-ブロモインジルビン-3-オキシム)、LiCl、LiCO、または他のGSK-3阻害剤、ならびにATP競合、選択性のGSK-3阻害剤であるCHIR-911及びCHIR-837(それぞれ、CT-99021/CHIR-99021及びCT-98023/CHIR-98023とも呼ばれる)(Chiron Corporation(Emeryville,CA))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0461】
CHIR-99021の構造は、
【化3】
またはその塩である。
【0462】
CHIR-98023の構造は、
【化4】
またはその塩である。
【0463】
いくつかの実施形態では、方法は、細胞をGSK3阻害剤と接触させることを更に含む。
【0464】
いくつかの実施形態では、GSK3阻害剤は、CHIR-99021またはCHIR-98023である。
【0465】
いくつかの実施形態では、GSK3阻害剤は、LiCOである。
【0466】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、ジブチリルcAMP(DBcAMP)、ホルボールエステル、フォルスコリン、スクラレリン、8-ブロモ-cAMP、コレラ毒素(CTx)、アミノフィリン、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、ノルエピネフィリン、エピネフィリン、イソプロテレノール、イソブチルメチルキサンチン(IBMX)、カフェイン、テオフィリン(ジメチルキサンチン)、ドーパミン、ロリプラム、イロプロスト、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、及び血管作動性腸ポリペプチド(VIP)、ならびにこれらの薬剤の誘導体からなる群から選択される薬剤などの、cAMP/P13K/AKTセカンドメッセンジャー経路を通してシグナル伝達を増加させる薬剤である。
【0467】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、Bapta-AM、フェンジリン、ニカルジピン、及びこれらの薬剤の誘導体からなる群から選択される薬剤などの、Ca2+セカンドメッセンジャー経路を通してシグナル伝達を増加させる薬剤である。
【0468】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、L-Arg、ニトロプルシドナトリウム、バナジン酸ナトリウム、ブラジキニン、及びこれらの誘導体からなる群から選択される薬剤などの、NO/アンギオテンシンシグナル伝達を通してシグナル伝達を増加させる薬剤である。
【0469】
ポリカチオン性ポリマーを使用する形質導入
いくつかの実施形態では、本開示の治療用細胞は、ポリカチオン性ポリマーの存在下で細胞を形質導入することによって産生される。いくつかの実施形態では、ポリカチオン性ポリマーは、ポリブレン、硫酸プロタミン、ポリエチレンイミン、またはポリエチレングリコール/ポリ-L-リジンブロックコポリマーである。
【0470】
いくつかの実施形態では、ポリカチオン性ポリマーは硫酸プロタミンである。
【0471】
いくつかの実施形態では、細胞は、形質導入操作の間に、膨張剤と更に接触する。細胞は例えば、多能性造血幹細胞であってよく、膨張剤は、当該技術分野において既知の、または本明細書に記載の多能性造血幹細胞膨張剤などの、多能性造血幹細胞膨張剤であってよい。
【0472】
追加の形質導入エンハンサー
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、形質導入操作の間に、細胞を、mTORシグナル伝達を阻害する薬剤と更に接触させる。mTORシグナル伝達を阻害する薬剤は、mTORシグナル伝達の他のサプレッサーの中でも、例えば、ラパマイシンであり得る。
【0473】
本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る追加の形質導入エンハンサーとしては、例えば、タクロリムス及びベクトフシンが挙げられる。
【0474】
スピノキュレーション
本開示のいくつかの実施形態では、形質導入に対して標的化された細胞は、(例えば、本明細書に記載の1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて)ウイルスベクターにより培養しながら、例えば遠心分離によりスピンすることができる。「スピノキュレーション」プロセスは、例えば、約200xg~約2,000xgの求心力とともに生じ得る。求心力は、例えば、約300xg~約1,200xg(例えば、約300xg、400xg、500xg、600xg、700xg、800xg、900xg、1,000xg、1,100xg、もしくは1,200xg、またはそれ以上)であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、約10分~約3時間(例えば、約10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、95分、100分、105分、110分、115分、120分、125分、130分、135分、140分、145分、150分、155分、160分、165分、170分、175分、180分、またはそれ以上)スピンされる。いくつかの実施形態では、細胞は、室温で、例えば、約25℃の温度でスピンされる。
【0475】
スピノキュレーション工程を伴う例示的な形質導入手順は、例えば、Millington et al.,PLoS One 4:e6461(2009)、Guo et al.,Journal of Virology 85:9824-9833(2011)、O’Doherty et al.,Journal of Virology 74:10074-10080(2000)、及びFederico et al.,Lentiviral Vectors and Exosomes as Gene and Protein Delivery Tools,Methods in Molecular Biology 1448,Chapter 4(2016)に記載されており、これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0476】
発現のためのウイルスベクター
ウイルスゲノムは、哺乳動物細胞への外来性遺伝子の効率的な送達に使用され得るベクターの豊富な源を提供する。ウイルスゲノムは、かかるゲノム内に含有されるポリヌクレオチドが、通常、普遍形質導入または特殊形質導入によって哺乳動物細胞の核ゲノムに組み込まれるため、遺伝子送達のための特に有用なベクターである。これらのプロセスは、天然のウイルス複製サイクルの一部として生じ、遺伝子の組み込みを誘導するためにタンパク質または試薬を追加する必要がない。ウイルスベクターの例は、レトロウイルス(例えば、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクター)、アデノウイルス(例えば、Ad5、Ad26、Ad34、Ad35、及びAd48)、パルボウイルス、コロナウイルス、マイナス鎖RNAウイルス、例えば、オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病及び水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹及びセンダイ)、プラス鎖RNAウイルス、例えば、ピコルナウイルス及びアルファウイルス、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型及び2型、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス)、及びポックスウイルス(例えば、ワクシニア、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、鶏痘及びカナリアポックス)を含む二本鎖DNAウイルスである。他のウイルスとしては、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポーバウイルス、ヘパドナウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトフォーミーウイルス、及び肝炎ウイルスが挙げられる。レトロウイルスの例は、トリ白血病肉腫、トリC型ウイルス、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、オンコレトロウイルス、HTLV-BLV群、レンチウイルス、アルファレトロウイルス、ガンマレトロウイルス、スプーマウイルスである(Coffin,J.M.,Retroviridae:The viruses and their replication,Virology,Third Edition(Lippincott-Raven,Philadelphia,(1996)))。他の例は、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルス、マウス乳腺腫瘍ウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒヒ内在性ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、マソン-ファイザーサルウイルス、サル免疫不全ウイルス、サル肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、及びレンチウイルスである。ベクターの他の例は、例えば、McVey et al.,(US 5,801,030)に記載されており、その教示が参照により本明細書に組み込まれている。
【0477】
レトロウイルスベクター
本明細書に記載の方法及び組成物に使用される送達ベクターは、レトロウイルスベクターであり得る。本明細書に記載の方法及び組成物に使用され得るレトロウイルスベクターの一種は、レンチウイルスベクターである。レンチウイルスベクター(LV)は、レトロウイルスのサブセットであり、広範囲の分裂及び非分裂細胞型を高い効率で形質導入し、核酸カセットの安定な長期間の発現を与える。LVをパッケージングし、形質導入するための最適化戦略の概要は、Delenda,The Journal of Gene Medicine 6:S125(2004)に提供されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0478】
レンチウイルスベースの遺伝子移入技術の使用は、目的の核酸カセットが収容される高度に欠失したウイルスゲノムを保有する組換えレンチウイルス粒子のインビトロでの産生に依存する。特に、許容細胞株における、(1)パッケージング構築物、すなわち、RevとともにGag-Pol前駆体を発現するベクター(トランスで代替的に発現される)、(2)一般に、異種性の性質のエンベロープ受容体を発現するベクター、ならびに(3)全てのオープンリーディングフレームが欠けているウイルスcDNAで構成されるが、発現される配列が挿入される、複製、キャプシド化及び発現のために必要とされる配列を維持する移入ベクターのトランスでの共発現を介して、組換えレンチウイルスは回収される。
【0479】
本明細書に記載の方法及び組成物に使用されるLVとしては、5’-長末端反復(LTR)、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位(SD)、デルタ-GAGエレメント、Rev応答エレメント(RRE)、3’-スプライス部位(SA)、伸長因子(EF)1-アルファプロモーター、及び、3’-自己不活性化LTR(SIN-LTR)のうちの1つ以上を挙げることができる。レンチウイルスベクターは、任意に、その開示が、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)に関するために、参照により本明細書に組み込まれている、US6,136,597に記載されているような、中央ポリプリン帯(cPPT)及びWPREを含む。レンチウイルスベクターは、例えば、以下に提供されるようなものを含み得る、pHR’骨格を更に含み得る。
【0480】
DNA分子及び/または形質導入細胞を発現するために、Lu et al.,Journal of Gene Medicine 6:963(2004)に記載されているLentigen LVが使用され得る。本明細書に記載の方法及び組成物に使用されるLVとしては、5’-長末端反復(LTR)、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位(SD)、デルタ-GAGエレメント、Rev応答エレメント(RRE)、3’-スプライス部位(SA)、伸長因子(EF)1-アルファプロモーター、及び、3’-自己不活性化LTR(SIN-LTR)を挙げることができる。任意に、これらの領域のうちの1つ以上が、同様の機能を発揮する別の領域で置換されることが、当業者には速やかに明らかとなるであろう。
【0481】
エンハンサーエレメントを使用して、修飾DNA分子の発現を増加させるか、または、レンチウイルス組み込みの効率を増加させることができる。本明細書に記載の方法及び組成物に使用されるLVとしては、nef配列を挙げることができる。本明細書に記載の方法及び組成物に使用されるLVとしては、ベクター組み込みを向上させる、cPPT配列を挙げることができる。cPPTは、(+)-鎖DNA合成の第2の起点として作用し、その天然HIVゲノムの中心にて、部分的な鎖の重なり合いを導入する。移入ベクター骨格におけるcPPT配列の導入により、核輸送、及び標的細胞のDNAに組み込まれるゲノムの総量が著しく増加した。本明細書に記載の方法及び組成物に使用されるLVとしては、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)を挙げることができる。WPREは、転写レベルで作用し、転写産物の核外搬出を促進することによって、及び/または新生の転写産物のポリアデニル化の効率を高めることによって、細胞内のmRNAの総量を増加させる。LVにWPREを付加することで、インビトロ及びインビボの両方で、いくつかの異なるプロモーターからの核酸カセット発現のレベルを実質的に改善する。本明細書に記載の方法及び組成物に使用されるLVとしては、cPPT配列及びWPRE配列の両方を挙げることができる。ベクターとしては、単一のプロモーターから複数のポリペプチドの発現を可能にする、IRES配列もまた挙げることができる。
【0482】
IRES配列に加えて、複数のポリペプチドの発現を可能にする他のエレメントが有用である。本明細書に記載の方法及び組成物に使用されるベクターとしては、2つ以上のポリペプチドの発現を可能にする複数のプロモーターを挙げることができる。本明細書に記載の方法及び組成物に使用されるベクターとしては、2つ以上のポリペプチドの発現を可能にするタンパク質切断部位を挙げることができる。2つ以上のポリペプチドの発現を可能にするタンパク質切断部位の例は、Klump et al.,Gene Ther.;8:811(2001),Osborn et al.,Molecular Therapy 12:569(2005),Szymczak and Vignali,Expert Opin Biol Ther.5:627(2005)、及びSzymczak et al.,Nat Biotechnol.22:589(2004)に記載されており、これらの開示が、2つ以上のポリペプチドの発現を可能にするタンパク質切断部位に関するため、参照により本明細書に組み込まれている。将来的に同定される複数のポリペプチドの発現を可能にする他のエレメントが有用であり、本明細書に記載の組成物及び方法とともに使用するのに好適なベクター内で利用され得ることが、当業者には速やかに明らかとなるであろう。
【0483】
本明細書に記載の方法及び組成物に使用されるベクターは、臨床グレードのベクターであり得る。
【0484】
エクスビボでのトランスフェクションの方法
本明細書に記載の1つ以上のタンパク質の治療有効細胞内濃度を哺乳動物細胞において達成するために使用され得る1つのプラットフォームは、これらの薬剤をコードする遺伝子の安定な発現を介するものである(例えば、哺乳動物細胞の核またはミトコンドリアゲノムへの組み込みによる)。これらの遺伝子は、対応するタンパク質の一次アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドである。かかる外来性遺伝子を哺乳動物細胞に導入するために、これらの遺伝子は、ベクターに組み込まれ得る。ベクターは、転換、トランスフェクション、直接的な取り込み、プロジェクタイルボンバードメント(projectile bombardment)、及びリポソーム中のベクターの封入を含む様々な方法によって、細胞へと導入され得る。細胞をトランスフェクトまたは形質転換する好適な方法の例は、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、感染、リポフェクション、及び直接的な取り込みである。かかる方法は、例えば、Green et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Fourth Edition(Cold Spring Harbor University Press,New York(2014))、及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley&Sons,New York(2015))により詳細に記載されており、これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0485】
本開示の治療用タンパク質をコードする遺伝子はまた、かかる薬剤をコードする遺伝子を含有するベクターを、細胞膜リン脂質に対して標的にすることによって、哺乳動物細胞に導入され得る。例えば、全ての細胞膜リン脂質に親和性を持つウイルスタンパク質であるVSV-Gタンパク質にベクター分子を連結させることによって、ベクターを細胞膜の細胞外表面上のリン脂質に対して標的にすることができる。このように、構築物は、当業者に周知の方法を使用して産生され得る。
【0486】
哺乳動物RNAポリメラーゼによる、本開示の1つ以上の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチドの認識及び結合は、遺伝子発現にとって重要である。したがって、RNAポリメラーゼを動員し、転写開始部位での転写複合体の集合を促進する転写因子に対して高い親和性を示す配列エレメントをポリヌクレオチド内に含めてよい。かかる配列エレメントとしては、例えば、哺乳動物プロモーターが挙げられ、その配列は、特定の転写開始因子、及び最終的にはRNAポリメラーゼによって認識され、結合され得る。哺乳動物プロモーターの例は、Smith et al.,Mol.Sys.Biol.,3:73、オンライン出版に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0487】
1つ以上の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチドが、哺乳動物細胞の核DNAに組み込まれると、このポリヌクレオチドの転写は、当該技術分野において既知の方法によって誘導され得る。例えば、発現は、外部の化学試薬、例えば、哺乳動物プロモーターへの転写因子及び/またはRNAポリメラーゼの結合を調節し、したがって遺伝子発現を制御する薬剤に哺乳動物細胞を曝露することによって誘導され得る。化学試薬は、例えば、プロモーターに結合しているリプレッサータンパク質を除去することによって、哺乳動物プロモーターへのRNAポリメラーゼ及び/または転写因子の結合を促進するように機能し得る。代替的に、化学試薬は、化学試薬の存在下でプロモーターの下流に位置する遺伝子の転写速度を高めるように、RNAポリメラーゼ及び/または転写因子に対する哺乳動物プロモーターの親和性を向上させるように機能し得る。上記のメカニズムによるポリヌクレオチド転写を強化する化学試薬の例は、テトラサイクリン及びドキシサイクリンである。これらの試薬は市販されており(Life Technologies,Carlsbad,CA)、確立された手順に従って遺伝子発現を促進するために哺乳動物細胞に投与され得る。
【0488】
本明細書に記載の組成物及び方法に使用するためのポリヌクレオチドに含まれ得る他のDNA配列エレメントは、エンハンサー配列である。エンハンサーは、DNAが転写開始部位での転写因子及びRNAポリメラーゼの結合に好ましい三次元配向をとるように、目的の遺伝子を含有するポリヌクレオチドの立体構造変化を誘導する別のクラスの調節エレメントを表す。したがって、本明細書に記載の組成物及び方法に使用するためのポリヌクレオチドは、1つ以上の治療用タンパク質をコードするものを含み、更に、哺乳動物エンハンサー配列を含む。現在、多くのエンハンサー配列が、哺乳動物遺伝子から既知であり、例は、哺乳動物グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリンをコードする遺伝子からのエンハンサーである。本明細書に記載の組成物及び方法に使用するためのエンハンサーとしては、真核細胞に感染することが可能なウイルスの遺伝物質に由来するエンハンサーも挙げられる。例は、複製起点の後期側にあるSV40エンハンサー(bp100~270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側にあるポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーである。真核生物遺伝子転写の活性化を誘導する追加のエンハンサー配列は、Yaniv et al.,Nature 297:17(1982)に開示されている。本明細書に記載の組成物及び方法に使用するためのエンハンサーの更なる例としては、Lee et al.,Exp.Mol.Med.50(3):e456(2018)、Kawakami et al.,Immunity.54(5):947-961(2021)、Kim et al.,J.Exp.Med.204(7):1543-51(2007)、Zheng et al.,Nature.463(7282):808-12(2010)、Tone et al.,Nat.Immunol.9(2):194-202(2008)、及びDikiy et al.,Immunity.54(5):931-946(2021)に記載されているように、CNS1、CNS2、CNS3、及びCNS0エンハンサーが挙げられる。
【0489】
発現及び送達のための細胞
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る細胞としては、更なる分化を受けることが可能な細胞が挙げられる。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る細胞の1つの型は、2つ以上の分化細胞型に発達する能力を保有する多能性細胞である。多能性細胞の例としては、造血系統の2つ以上の分化細胞型に発達する能力を有する多能性造血細胞が挙げられる。本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る多能性造血細胞の例としては、HSC、HPC、ESC、iPSC、リンパ系前駆細胞、及びCD34+細胞が挙げられる。
【0490】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る細胞としては、造血幹細胞及び造血前駆細胞が挙げられる。造血幹細胞(HSC)は、自己複製して、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、栓球(例えば、巨核芽球、血小板産生巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞、及びT細胞)を含むが、これらに限定されない、多様な系統を含む成熟血液細胞に分化する能力を有する、未成熟血液細胞である。ヒトHSCは、CD34+である。加えて、HSCはまた、長期再増殖HSC(LT-HSC)及び短期再増殖HSC(ST-HSC)を意味する。これらのHSCのうちのいずれかを、本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用することができる。
【0491】
HSC及び他の多能性前駆細胞は、血液製剤から得ることができる。血液製剤は、身体、または造血起源の細胞を含有する身体の器官から得られる産物である。かかる源としては、非分画性の骨髄、臍帯、胎盤、末梢血、または動員末梢血が挙げられる。前述の粗または非分画性血液産物の全ては、いくつかの方法で、HSCまたはリンパ系前駆細胞の特徴を有する細胞について濃縮することができる。例えば、成熟すればするほど、分化細胞は、それらが発現する細胞表面の分子に基づいて、選択されることができる。血液製剤は、CD34+細胞を正に選択することによって分画され得、CD34+細胞は、自己複製、多能性が可能であり、移植レシピエントに再導入されると、造血幹細胞ニッシェにホーミングし、生産的かつ持続的な造血を再度確立することができる造血幹細胞のサブ集団を含む。かかる選択は、例えば、市販されている磁気性の抗CD34ビーズ(Dynal,Lake Success,NY)を使用して達成される。リンパ系前駆細胞も、それらが発現するマーカーに基づいて単離することができる。非分画性の血液製剤は、ドナーから直接得ることができるか、または冷凍保存庫から回収することができる。HSC及びリンパ系前駆細胞はまた、ES細胞、iPS細胞、または他のリプログラミングされた成熟細胞型の分化によって得ることができる。
【0492】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る細胞としては、同種異系細胞及び自己由来細胞が挙げられる。同種異系細胞を使用する場合、細胞は、任意に、細胞処理を受ける対象とHLAが一致していてもよい。
【0493】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る細胞としては、CD34+/CD90+細胞、及び、CD34+/CD164+細胞が挙げられる。これらの細胞は、より高いパーセンテージのHSCを含有する場合がある。これらの細胞は、Radtke et al.Sci.Transl.Med.9: 1-10,2017、及びPellin et al.Nat.Comm.1-: 2395,2019に記載されており、これらの各々の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0494】
本明細書及び上記に記載の細胞は、例えば、本明細書に記載の様々な方法論を使用して、本明細書に記載の自己抗原結合タンパク質(例えば、一本鎖タンパク質(例えば、キメラ抗原受容体もしくは一本鎖抗体断片)または多鎖タンパク質(例えば、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、もしくはF(ab’)分子))を発現するように遺伝子修飾されてよい。細胞が生理学的または好適なレベルの自己抗原結合タンパク質を発現するように適合されると、これらの細胞は治療的有用性を有し、本明細書で「本開示の治療用細胞」と呼ばれる。
【0495】
遺伝子編集技術
上記に加えて、多能性細胞(例えば、多能性造血細胞)などの細胞への目的の遺伝子の組み込みに使用され得る様々なツールが開発されている。標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドを標的細胞に組み込むために使用され得るかかる方法の1つは、トランスポゾンの使用を伴う。トランスポゾンは、トランスポザーゼ酵素をコードし、5’及び3’切除部位に隣接する目的のポリヌクレオチド配列または遺伝子を含有するポリヌクレオチドである。トランスポゾンが細胞に送達されると、トランスポザーゼ遺伝子の発現が開始し、トランスポゾンから目的の遺伝子を切断する活性酵素がもたらされる。この活性は、トランスポザーゼによるトランスポゾン切除部位の部位特異的認識によって媒介される。いくつかの例では、これらの切除部位は、末端反復または逆位末端配列であり得る。目的の遺伝子はトランスポゾンから切除されると、細胞の核ゲノム内に存在する同様の切除部位の、トランスポザーゼによって触媒される切断によって哺乳動物細胞のゲノムに組み込むことができる。これにより、相補的な切除部位で切断された核DNAに目的の遺伝子が挿入され、その後、目的の遺伝子を哺乳動物細胞ゲノムのDNAに結合するホスホジエステル結合の共有結合ライゲーションによって組み込みプロセスが完了する。ある特定の場合では、トランスポゾンは、標的遺伝子をコードする遺伝子が最初にRNA産物に転写され、次いで、DNAに逆転写された後に、哺乳動物細胞ゲノムに組み込まれるようなレトロトランスポゾンであり得る。例示的なトランスポゾン系は、ピギーバックトランスポゾン(例えば、WO2010/085699に詳細に記載されている)及びスリーピングビューティートランスポゾン(例えば、US2005/0112764に詳細に記載されている)であり、これらの各々の開示は、それらが目的の細胞への遺伝子送達に使用するためのトランスポゾンに関係するため、参照により本明細書に組み込まれている。
【0496】
細胞(例えば、多能性造血細胞)のゲノムへの標的遺伝子の組み込みのための別の有用なツールは、元々、ウイルス感染に対する細菌及び古細菌の適応防御メカニズムとして進化した系である、クラスター化された規則的な間隔の短い回文構造の反復(CRISPR)/Cas系である。CRISPR/Cas系は、プラスミドDNA内の回文構造反復配列及びCRISPR関連タンパク質(Cas;例えば、Cas9またはCas12a)を含む。DNA及びタンパク質のこのアンサンブルは、最初に、外来DNAをCRISPR遺伝子座に組み込むことによって、標的配列の部位特異的DNA切断を指向する。次に、これらの外来配列を含有するポリヌクレオチド、及びCRISPR遺伝子座の反復スペーサーエレメントは、ガイドRNAを作製するために宿主細胞内で転写され、その後、ガイドRNAは標的配列にアニールして、この部位にCasヌクレアーゼを局在化することができる。このように、高度に部位特異的なCas媒介性DNA切断は、外来ポリヌクレオチドにおいて起こすことができる。なぜなら、Casを標的DNA分子に密接に近接させる相互作用は、RNA:DNAハイブリダイゼーションによって支配されるからである。結果として、目的の任意の標的DNA分子を切断するようにCRISPR/Cas系を設計することができる。この技術は、真核生物ゲノムを編集するために利用されており(Hwang et al.Nature Biotechnology 31:227(2013)、その開示は参照により本明細書に組み込まれている)、DNAを切断した後に、標的遺伝子をコードする遺伝子を組み込むために造血幹細胞ゲノムを部位特異的に編集する効率的な手段として使用することができる。遺伝子発現を調節するためのCRISPR/Casの使用は、例えば、WO2017/182881及びUS8,697,359に記載されており、これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0497】
多能性造血細胞においてゲノムDNAを部位特異的に切断した後に目的の遺伝子を組み込むための代替的な方法としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の使用が挙げられる。CRISPR/Cas系とは異なり、これらの酵素は、特定の標的配列に局在させるためにガイドポリヌクレオチドを含有しない。代わりに、標的特異性は、これらの酵素内のDNA結合ドメインによって制御される。ゲノム編集用途におけるZFN及びTALENの使用は、例えば、Urnov et al.Nature Reviews Genetics 11:636(2010)、及びJoung et al.Nature Reviews Molecular Cell Biology 14:49(2013))に記載されており、これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0498】
標的遺伝子をコードするポリヌクレオチドを標的細胞のゲノムに組み込むために使用され得る追加のゲノム編集技術としては、ゲノムDNAを部位特異的に切断するように合理的に設計され得るARCUS(商標)メガヌクレアーゼの使用が挙げられる。かかる酵素について確立されている、規定された構造活性相関を考慮すると、標的遺伝子をコードする遺伝子を哺乳動物細胞のゲノムに組み込むために、これらの酵素を使用することは有利である。所望の位置でDNAを選択的に切断して、標的遺伝子を標的細胞の核DNAに部位特異的に組み込むことを可能にするヌクレアーゼを作製するために、一本鎖メガヌクレアーゼを、ある特定のアミノ酸位置において修飾することができる。これらの一本鎖ヌクレアーゼは、例えば、米国特許第8,021,867号及び同第8,445,251号に広く記載されており、これらの各々の開示は、ゲノム編集のための組成物及び方法に関するものとして、参照により本明細書に組み込まれている。
【0499】
多能性細胞動員を促進する薬剤
本開示のいくつかの実施形態では、自己免疫疾患のために治療されている対象(例えば、自己由来細胞集団の場合)から、またはドナー(例えば、同種異系細胞集団の場合)から、多能性細胞(例えば、多能性造血細胞)を単離する前に、対象またはドナーに、骨髄などの幹細胞ニッシェから末梢循環への多能性造血細胞(例えば、CD34+HSC及びHPC)の遊走を刺激する1つ以上の動員剤を投与する。本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る例示的な細胞動員剤は、本明細書に記載され、当該技術分野において既知である。例えば、動員剤は、C-X-Cモチーフケモカイン受容体(CXCR)2(CXCR2)アゴニストであってよい。CXCR2アゴニストは、Gro-ベータ、またはその切頭バリアントであってよい。Gro-ベータ及びそのバリアントは、例えば、米国特許第6,080,398号、同第6,447,766号、及び同第6,399,053号に記載されており、これらの各々の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。更に、または代替的に、動員剤は、プレリキサホルまたはそのバリアントなどのCXCR4アンタゴニストを含み得る。プレリキサホル及び構造的に類似の化合物は、例えば、米国特許第6,987,102号、同第7,935,692号、及び同第7,897,590号に記載されており、これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。更に、または代替的に、動員剤は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を含み得る。幹細胞ニッシェから末梢循環への多能性造血細胞(例えば、CD34+HSC及び/またはHPC)の動員を誘導する薬剤としてのG-CSFの使用は、例えば、US2010/0178271に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0500】
細胞生着を向上させる薬剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞の集団(例えば、CD34+細胞)を患者に投与する前に、患者にCD34+細胞の内因性集団を切除する薬剤を投与して、投与されたCD34+細胞が患者に生着することを可能にすることができる。コンディショニング剤の例としては、患者における多種多様な造血細胞を枯渇させる骨髄破壊性コンディショニング剤が挙げられる。例えば、その患者は、アルキル化剤、例えば、窒素マスタード(例えば、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、またはメルファラン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、またはストレプトゾシン)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、トリアジン(例えば、ダカルバジンまたはテモゾロミド)、またはエチレンイミン(例えば、アルトレタミンまたはチオテパ)で前処置され得る。いくつかの実施形態では、患者は、内因性CD34+HSCまたはHPCの集団などの、特定の内因性細胞の集団を選択的に切除するコンディショニング剤を投与される。
【0501】
いくつかの実施形態では、コンディショニング剤は、抗体またはその抗原結合断片を含む。抗体またはその抗原結合断片は、CD117、HLA-DR、CD34、CD90、CD45、またはCD133(例えば、CD117)に結合し得る。抗体またはその抗原結合断片は、細胞毒素にコンジュゲートされ得る。
【0502】
いくつかの実施形態では、患者は、投与された細胞の生着を容易にするのを助けるために、プロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子で前処置される。プロスタグランジンE受容体シグナル伝達活性化因子は、例えば、プロスタグランジン(PG)A2(PGA2)、PGB2、PGD2、PGE1(アルプロスタジル)、PGE2、PGF2、PGI2(エポプロステノール)、PGH2、PGJ2、ならびにそれらの誘導体及び類似体からなる群から選択され得る。
【0503】
いくつかの実施形態では、細胞の生着を容易にするのを助けるために使用されるプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、PGE2またはdmPG2である。
【0504】
いくつかの実施形態では、細胞の生着を容易にするのを助けるために使用されるプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、15d-PGJ2、デルタl2-PGJ2、2-ヒドロキシヘプタデカトリエン酸(HHT)、トロンボキサン(TXA2及びTXB2)、PGI2類似体、例えば、イロプロスト及びトレプロスチニル、PGF2類似体、例えば、トラボプロスト、カルボプロストトロメタミン、タフルプロスト、ラタノプロスト、ビマトプロスト、ウノプロストンイソプロピル、クロプロステノール、オエストロファン、及びスーパーファン、PGE1類似体、例えば、11-デオキシPGE1、ミソプロストール、及びブタプロスト、ならびにCoreyアルコール-A([3aa,4a,5,6aa]-(-)-[ヘキサヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-2H-シクロペンタ/b/フラン-5-イル][1,1’-ビフェニル]-4-カルボキシレート)、Coreyアルコール-B(2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン,5-(ベンゾイルオキシ)ヘキサヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)[3aR-(3aa,4a,5,6aa)])、及びCoreyジオール((3aR,4S,5R,6aS)-ヘキサヒドロ-5-ヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オン)である。
【0505】
いくつかの実施形態では、細胞の生着を容易にするのを助けるために使用されるプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、プロスタグランジンE2(PGE2)などのプロスタグランジンE受容体リガンド、またはその類似体もしくは誘導体である。プロスタグランジンとは、一般に、本明細書に記載の、及び当該技術分野において既知の5炭素環を含む、20個の炭素原子を含有する脂肪酸に由来するホルモン様分子を意味する。PGE2「類似体」または「誘導体」の実例としては、16,16-ジメチルPGE2、16-16ジメチルPGE2 p-(p-アセトアミドベンズアミド)フェニルエステル、11-デオキシ-16,16-ジメチルPGE2、9-デオキシ-9-メチレン-16,16-ジメチルPGE2、9-デオキシ-9-メチレンPGE2、9-ケトフルプロステノール、5-トランスPGE2、17-フェニル-オメガ-トリノールPGE2、PGE2セリノールアミド、PGE2メチルエステル、16-フェニルテトラノールPGE2、15(S)-15-メチルPGE2、15(R)-15-メチルPGE2、8-イソ-15-ケトPGE2、8-イソPGE2イソプロピルエステル、20-ヒドロキシPGE2、ノクロプロスト、スルプロストン、ブタプロスト、15-ケトPGE2、及び19(R)ヒドロキシPGE2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0506】
いくつかの実施形態では、細胞の生着を容易にするのを助けるために使用されるプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、9位がハロゲンで置換されたPGE2に類似の構造を有するプロスタグランジン類似体または誘導体(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているWO2001/12596を参照されたい)、ならびに、その全体が参照により本明細書に組み込まれているUS2006/0247214に記載されているものなどの、2-デカルボキシ-2-ホスフィニコプロスタグランジン誘導体である。
【0507】
いくつかの実施形態では、細胞の生着を容易にするのを助けるために使用されるプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、非PGE2ベースのリガンドである。いくつかの実施形態では、細胞の生着を容易にするのを助けるために使用されるプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、CAY10399、ONO_8815Ly、ONO-AE1-259、またはCP-533,536である。非PGE2ベースのEP2アゴニストの追加の例としては、かかる剤のその開示に関して参照により本明細書に組み込まれているWO2007/071456に開示されている、カルバゾール及びフルオレンが挙げられる。非PGE2ベースのEPアゴニストの実例としては、AE5-599、MB28767、GR 63799X、ONO-NT012、及びONO-AE-248が挙げられるが、これらに限定されない。非PGEベースのEPアゴニストの実例としては、ONO-4819、APS-999 Na、AH23848、及びONO-AE1-329が挙げられるが、これらに限定されない。非PGE2ベースのEP4アゴニストの追加の例は、WO2000/038663、米国特許第6,747,037号、及び同第6,610,719号に見出すことができ、これらの各々は、かかるアゴニストのそれらの開示について参照により組み込まれている。
【0508】
いくつかの実施形態では、細胞の生着を容易にするのを助けるために使用されるプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、Wntアゴニストである。Wntアゴニストの実例としては、Wntポリペプチド、及びグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。プロスタグランジンEP受容体シグナル伝達経路を刺激する化合物としての使用に好適なWntポリペプチドの実例としては、Wnt1、Wnt2、Wnt2b/13、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt5a、Wnt5b、Wnt6、Wnt7a、Wnt7b、Wnt7c、Wnt8、Wnt8a、Wnt8b、Wnt8c、Wnt1Oa、Wnt1Ob、Wnt11、Wnt14、Wnt15、またはこれらの生物学的に活性な断片が挙げられるが、これらに限定されない。プロスタグランジンEP受容体シグナル伝達経路を刺激する薬剤としての使用に好適なGSK3阻害剤は、GSK3aまたはGSK3に結合し、GSK3aまたはGSK3の活性を低下させる。GSK3阻害剤の実例としては、米国特許第6,057,117号及び同第6,608,063号、ならびにUS2004/0092535及びUS2004/0209878に例示されているような、BIO(6-ブロモインジルビン-3-オキシム)、LiCl、LiCO、または他のGSK-3阻害剤、ならびにATP競合、選択性のGSK-3阻害剤であるCHIR-911及びCHIR-837(それぞれ、CT-99021/CHIR-99021及びCT-98023/CHIR-98023とも呼ばれる)(Chiron Corporation(Emeryville,CA))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0509】
いくつかの実施形態では、細胞の生着を容易にするのを助けるために使用されるプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、ジブチリルcAMP(DBcAMP)、ホルボールエステル、フォルスコリン、スクラレリン、8-ブロモ-cAMP、コレラ毒素(CTx)、アミノフィリン、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、ノルエピネフィリン、エピネフィリン、イソプロテレノール、イソブチルメチルキサンチン(IBMX)、カフェイン、テオフィリン(ジメチルキサンチン)、ドーパミン、ロリプラム、イロプロスト、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、及び血管作動性腸ポリペプチド(VIP)、ならびにこれらの薬剤の誘導体からなる群から選択される薬剤などの、cAMP/P13K/AKTセカンドメッセンジャー経路を通してシグナル伝達を増加させる薬剤である。
【0510】
いくつかの実施形態では、細胞の生着を容易にするのを助けるために使用されるプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、Bapta-AM、フェンジリン、ニカルジピンからなる群から選択される薬剤、及びこれらの薬剤の誘導体などの、Ca2+セカンドメッセンジャー経路を通してシグナル伝達を増加させる薬剤である。
【0511】
いくつかの実施形態では、細胞の生着を容易にするのを助けるために使用されるプロスタグランジンE受容体シグナル伝達の活性化因子は、L-Arg、ニトロプルシドナトリウム、バナジン酸ナトリウム、ブラジキニン、及びこれらの誘導体からなる群から選択される薬剤などの、NO/アンギオテンシンシグナル伝達を通してシグナル伝達を増加させる薬剤である。
【0512】
投与経路
本明細書に記載の組成物は、静脈内などの様々な経路のうちの1つ以上によって、または骨髄移植の手段によって、患者(例えば、自己免疫疾患に罹患しているヒト患者)に投与され得る。任意の所与の場合における投与に最も好適な経路は、投与される特定の組成物、患者、薬学的製剤化方法、投与方法(例えば、投与時間及び投与経路)、患者の年齢、体重、性別、治療される疾患の重症度、患者の食事、及び患者の排泄速度に依存し得る。複数の投与経路を使用して、一度に単一の患者を治療することができ、または患者は、最初に1つの投与経路を介して治療を受け、第2の診察中に、例えば、1週間後、2週間後、1ヶ月後、6ヶ月後、もしくは1年後に別の投与経路を介して治療を受けることができる。組成物は、対象に1回投与され得るか、または細胞は、週、月、もしくは年当たりに1回以上(例えば、2~10回)投与され得る。
【0513】
ドナー細胞の選択
いくつかの実施形態では、治療を受けている患者は、患者に再投与される前に、本開示の1つ以上の治療用タンパク質を発現するようにその後に修飾される細胞(例えば、多能性造血細胞(例えば、CD34+造血幹細胞または前駆細胞)などの多能性細胞)を提供するドナーである。かかる場合、取り出した細胞(例えば、造血幹細胞または前駆細胞)は、例えば、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットの組み込みに続いて、対象に再注入されてよく、その結果、細胞は、その後、造血組織にホーミングし、生産的造血を確立してよく、それによって、患者において欠陥または欠損している細胞株を増殖または再増殖してよい。治療を受けている患者が細胞ドナーとしても機能する場合、移植された細胞(例えば、造血幹細胞または前駆細胞)は、移植片拒絶を受ける可能性が低い。このことは、注入した細胞が患者に由来し、患者により発現されるのと同じHLAクラスI及びクラスII抗原を発現するという事実に由来する。代替的に、患者及びドナーは、別個であってよい。いくつかの実施形態では、患者及びドナーは関連しており、例えば、HLAが一致していてもよい。本明細書に記載されるように、移植レシピエント内の内因性T細胞及びNK細胞が、入ってくる造血幹細胞または前駆細胞移植片を異物として認識する可能性が低く、したがって、移植組織に対して免疫応答をマウントする可能性が低いため、HLAが一致したドナーとレシピエントのペアは、移植片拒絶のリスクが低下する。例示的なHLAが一致したドナーとレシピエントのペアは、家族でのドナーとレシピエントのペア(例えば、兄弟のドナーとレシピエントのペア)などの、遺伝上関連のあるドナー及びレシピエントである。いくつかの実施形態では、患者及びドナーは、HLAがミスマッチしており、これは、少なくとも1つのHLA抗原、特にHLA-A、HLA-B、及びHLA-DRに関して、ドナーとレシピエントとの間でミスマッチであるときに生じる。移植片拒絶の可能性を低減させるために、例えば、あるハプロタイプはドナーとレシピエントとの間で一致していてもよく、他はミスマッチしていてもよい。
【0514】
医薬組成物及び投薬
患者に、本開示の1つ以上の治療用タンパク質を一緒に発現する細胞の集団を投与する場合、投与される細胞の数は、例えば、所望のタンパク質(複数可)の発現レベル、患者、薬学的製剤化方法、投与方法(例えば、投与時間及び投与経路)、患者の年齢、体重、性別、治療される疾患の重症度、及び患者が内因性多能性細胞(例えば、とりわけ、内因性CD34+細胞、造血幹細胞または前駆細胞などの多能性造血細胞)を切除するための薬剤で治療されているかどうかに依存し得る。投与される細胞の数は、例えば、1×10細胞/kg~1×1012細胞/kg、またはそれ以上(例えば、1×10細胞/kg、1×10細胞/kg、1×10細胞/kg、1×1010細胞/kg、1×1011細胞/kg、1×1012細胞/kg、またはそれ以上)であり得る。細胞は、未分化状態で、またはミクログリアへの部分的もしくは完全な分化後に投与され得る。多能性細胞の数は、任意の好適な剤形で投与され得る。
【0515】
細胞は、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、及び/または賦形剤と混合され得る。本開示の組成物及び方法と組み合わせて使用され得る例示的な担体、希釈剤、及び賦形剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2012,22nd ed.)及びThe United States Pharmacopeia:The National Formulary(2015,USP 38 NF 33)に記載されている。
【実施例
【0516】
以下の実施例は、本明細書に記載の組成物及び方法をどのように使用、製造、及び評価し得るかについての説明を当業者に提供するために提示し、純粋に本開示を例示することを意図するものであり、本発明者らが自身の開示とみなすものの範囲を限定することを意図しない。
【0517】
[実施例1.概念実証(PoC)研究のための、構成的プロモーターの制御下でキメラ抗原受容体(CAR)の発現を可能にするためのレンチウイルスベクター構築物の設計。]
目的
この研究の目的は、PoC研究のために、構成的プロモーターの制御下でキメラ抗原受容体(CAR)の発現を可能にするためのレンチウイルスベクター構築物を設計することであった。レンチウイルスベクター構築物は、それが細胞(例えば、本明細書に記載の造血幹細胞由来の調節T細胞)に抗原結合能力を付与するために使用され得るように、所望の抗原に特異的に結合するCARを発現するように設計された。
【0518】
材料及び方法
レンチウイルスベクター構築物は、以下のエレメント:Rev応答エレメント(RRE)、中央ポリプリン帯(cPPT)、伸長因子1aショート結合配列(EFS)プロモーター、Kozakコンセンサス配列、一本鎖可変断片(可変軽鎖(VL)、リンカー、可変重鎖(VH)、及び第2世代CARシグナル伝達ドメイン(CD28ヒンジドメイン、CD28膜貫通(TM)及びシグナルドメイン、ならびにCD3ζシグナルドメイン)を含む)をコードするコード領域、ならびにウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)を組み込むことによって設計された。既知の抗原特異性を有する抗体からの重鎖及び軽鎖配列を連結することによって、一本鎖可変断片を作製した。CARの検出を容易にするために、Hisタグを導入した。第2世代CARシグナル伝達ドメインを、調節T細胞機能との適合性のために選択した。
【0519】
結果
上記のエレメントは、本開示のレンチウイルスベクター構築物に組み込まれ得る例示的な構成成分の例示を提供する、図1Aに示される。図1Bには、上に論じられるエレメントを使用して産生された例示的なレンチウイルスベクター構築物が示されている。図1Bが示すように、産生されたレンチウイルスベクター構築物は、RRE、cPPT、EFSプロモーター、Kozakコンセンサス配列、抗原特異性及び第2世代CARシグナル伝達ドメインを有するscFvをコードするコード配列、ならびにWPREを含んでいた。図1Bにおいて産生される構築物を、その後、以下の実施例2~9に記載されるPoC研究で使用した。これらの実施例の目的のために、インビトロアッセイの最適化を可能にし、インビボでCAR生物学の安全性及び機能を試験するために、無関係な抗原(Ag)に対する特異性を有するscFvを選択した。
【0520】
[実施例2.ヒトT細胞株における抗原特異的CARの発現、続くフローサイトメトリーを使用する発現レベルの評価。]
目的
この研究の目的は、ヒトT細胞株において抗原特異的CARを発現させ、次いで、フローサイトメトリーを使用して発現レベルを評価することであった。
【0521】
材料及び方法
Jurkat T細胞を、非形質導入またはレンチウイルスベクター(感染多重度、MOI5)で形質導入して、抗原特異的CAR(αAg-CAR)を発現させた。72時間後、CAR発現を、ストレプトアビジン-PEコンジュゲートで染色する前に、50,000pg/mlのビオチン化CARリガンド(全タンパク質)とともに細胞をインキュベートすることによって、フローサイトメトリー(FC)によって評価した。次いで、CARリガンドの滴定を実施して、平均蛍光強度(MFI)として定量化された受容体発現を評価した。
【0522】
0~5の範囲のMOI滴定を使用して、異なるレベルのAg特異的CARを発現するJurkat T細胞のライブラリを生成した。ベクターコピー数(VCN)を液滴デジタルPCR(ddPCR)によって測定し、使用されるMOIの尺度としてのCAR細胞%をFCを使用して定量化した。
【0523】
Jurkat T細胞を、0~5の範囲の異なるMOIを有するレンチウイルスベクターで形質導入して、抗原特異的CAR(αAg-CAR)を発現させた。72時間後、使用されるMOIの尺度としてのCAR発現を、ストレプトアビジン-PEコンジュゲートで染色する前に、0pg/mlまたは50,000pg/mlのいずれかのビオチン化CARリガンド(全タンパク質)とともに細胞をインキュベートすることによって、FCによって評価した。
【0524】
結果
結果として、本発明者らは、レンチウイルスベクター(MOI5)で形質導入されたJurkat T細胞が、抗原特異的CAR(αAg-CAR)を発現したことを観察した(図2A)。FCプロットは、生Jurkat T細胞に対してゲーティングされており、非形質導入細胞(陰性対照)及び形質導入細胞を示し、CAR発現細胞の割合は、表面結合CARリガンド(CAR-R-PE-A)を有する細胞に対してゲーティングすることによって決定した。図2Aはまた、pgにおけるCARリガンドの滴定を使用して、平均蛍光強度(PE MFI)によって定量化された受容体発現を評価したことを示す。形質導入細胞は、ほとんどのリガンド濃度(わずかに10未満~10の範囲)にわたって非形質導入細胞と比較してより高いPE MFIを有することが観察された。また、形質導入細胞についてのPE MFIは、リガンド濃度の増加に伴って増加した。
【0525】
本発明者らはまた、ddPCR(図2B)によって測定したJurkat T細胞における導入遺伝子ベクターコピー数(VCN)が、0~5の範囲のMOI滴定の増加に伴って増加することを観察した。MOI滴定の尺度としてのCAR細胞%を、MOI滴定を使用して生成されたJurkat T細胞のライブラリにおいて定量化し、生αAg-CAR+細胞の%がMOI滴定の増加に伴って増加することが観察された。更に、本発明者らは、FC(図2C)を介して、CAR発現の尺度であるPE MFIが、1~5の範囲の全てのMOI値において、リガンドの0pg/mlと比較してリガンドの50,000pg/ml濃度でより高いことを観察した。
【0526】
[実施例3.ヒトT細胞株における抗原特異的CAR機能のインビトロでの機能の確認]
目的
この研究の目的は、ヒトT細胞株における抗原特異的CAR機能の発現後の機能をインビトロで確認することであった。
【0527】
材料及び方法
Jurkat T細胞を、異なるレベルのαAg-CARを発現させるためにレンチウイルスベクターで形質導入し(形質導入効率を図2に示す)、インビトロで24時間、増加量のCARリガンドで処理した。その後、CAR機能を評価するためにFCを実施した。CAR機能は、0~5の範囲の異なるMOI滴定における発現T細胞活性化マーカー、CD69及びCD25のレベルとして測定した。加えて、培養されたJurkat T細胞からの上清を収集し、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によってIL-2産生について評価した。
【0528】
結果
結果として、本発明者らは、ここでFCを介して平均MFIとして測定したCD69発現(図3A、左のグラフ)が、MOI値(1~5の範囲)の増加に伴って、及びリガンド濃度(0.01μg~10μg)の増加に伴って増加することを観察した。また、本発明者らは、CD25発現が、MOI値(1~5の範囲)の増加に伴って、及びリガンド濃度(0.01μg~10μg)の増加に伴って増加することを観察した。更に、図3Bに示されるように、ELISAを介して測定された、培養されたJurkat細胞によって産生されるIL-2のレベルは、MOI値(1,3,5)の増加に伴って、及びリガンド濃度(0μg~10μg)の増加に伴って増加していた。まとめると、これらのデータは、ヒトT細胞における形質導入後の抗原特異的CAR機能を確認している。
【0529】
[実施例4.一次マウスT細胞における抗原特異的CARの発現、続くフローサイトメトリーを使用する発現レベルの評価、ならびにフローサイトメトリー及び酵素結合免疫吸着アッセイを使用する機能レベルの評価]
目的
この研究の目的は、一次マウスT細胞において抗原特異的CARを発現させ、続いて、フローサイトメトリーを使用して発現レベルを評価し、フローサイトメトリー及び酵素結合免疫吸着アッセイを使用して機能レベルを評価することであった。
【0530】
材料及び方法
精製したCD4CD25ナイーブ脾臓T細胞を、αAg-CARの発現のためのレンチウイルスベクター(MOI10)を添加する前に、CD3/CD28マイクロビーズを使用してインビトロで活性化した。72時間後、αAg-CARの発現をFC分析によって確認した。いくつかの細胞は、陰性対照として機能するように形質導入されなかった。
【0531】
形質導入されたCD4CD25T細胞を、インビトロで48時間、増加濃度のCARリガンドで処理した。MFIとして定量化された、FCによるCD69及びCD25発現を測定することによって、T細胞活性化を評価した。培養された細胞からの上清は、IL-2分泌についてELISAを介して並行して評価した。
【0532】
結果
結果として、本発明者らは、形質導入されたCD4CD25ナイーブ脾臓T細胞が、形質導入細胞の右上象限におけるFC輪郭(28.77%)の存在から明らかなように、非形質導入細胞と比較してより高いリガンド結合を示したことを観察した(図4A)。ここで、TCRb Brilliant Violet78濃度は、T細胞を同定するために使用され、CAR発現細胞の割合は、表面結合CARリガンド(CAR-R-PE-A)を有する細胞に対してゲーティングすることによって決定した。プロットは、生CD4T細胞に対してゲーティングされている。非形質導入細胞は、陰性対照として使用した。αAg-CAR形質導入細胞の%を、生CD4T細胞(n=4)の%として定量化した(図4B)。生αAg-CARCD4T細胞の%は、形質導入MOI10においてより高く、形質導入MOI0(非形質導入細胞)においてほとんど無視できることが観察され、生αAg-CARCD4T細胞の%の増加が、αAg-CARをコードするレンチウイルスベクターでの形質導入の直接的な結果であることが示唆された。
【0533】
本発明者らは、ここでFCを介して平均MFIとして測定したCD25発現(図4C、左のグラフ)が、非形質導入細胞(円)よりも形質導入細胞(正方形)においてより高く、リガンド濃度(0.01μg~10μg)の増加に伴って増加することを更に観察した。また、本発明者らは、ここでFCを介して平均MFIとして測定したCD69発現(図4C、右のグラフ)が、非形質導入細胞(円)よりも形質導入細胞(正方形)においてより高く、リガンド濃度(0.1μg~10μg)の増加に伴って増加することを観察した。更に、ELISAを介して測定した培養された細胞によって産生されたIL-2のレベル(図4D)は、形質導入、及びリガンド濃度(0μg~100μg)の増加に伴って増加した。まとめると、これらのデータは、一次マウスT細胞の形質導入が、機能的な抗原特異的CARの発現をもたらすことを実証している。
【0534】
[実施例5.一次マウス調節T細胞における抗原特異的CARの発現、続くフローサイトメトリーを使用する発現レベルの評価、及び酵素結合免疫吸着アッセイを使用する機能レベルの評価]
目的
この研究の目的は、一次マウス調節T細胞において抗原特異的CARを発現させ、続いて、フローサイトメトリーを使用して発現レベルを評価し、酵素結合免疫吸着アッセイを使用して機能レベルを評価することであった。
【0535】
材料及び方法
精製したCD4CD25調節T細胞(Treg)を、αAg-CARを発現するためのレンチウイルス形質導入(MOI10)の前に、CD3/CD28マイクロビーズを使用してインビトロで活性化した。72時間後、FCを実施して、αAg-CARの発現を確認した。
【0536】
形質導入されたCD4CD25Tregを、培地単独または10μgのCARリガンドにおいて48時間培養した。上清を収集し、IL-10分泌をELISAで定量化した。
【0537】
結果
結果として、本発明者らは、図5Aの右上象限におけるFC輪郭(32.43%)の存在から明らかであるように、レンチウイルス形質導入後にCD4CD25TregがαAg-CARを発現したことを観察した。ここで、TCRb Brilliant Violet78濃度は、T細胞を同定するために使用され、CAR発現細胞の割合は、表面結合CARリガンド(CAR-R-PE-A)を有する細胞に対してゲーティングすることによって決定した。プロットは、生CD4T細胞に対してゲーティングされている。
【0538】
また、本発明者らは、ELISAを介して測定した形質導入されたCD4CD25Tregによって産生されるIL-10のレベル(図5B)が、より高いリガンド濃度(0μg対10μg)で増加することを観察し、IL-10分泌のレベルがCAR機能の結果であることを示唆していた。CAR発現は、リガンド結合をもたらし、より多くのIL-10を産生する。ここで、IL-10(pg/ml)濃度は、リガンドの量(μg)に対してプロットされている。バーは、示される個別のデータポイントを有する平均+/-SEMを表す(n=4)。対応のないT検定によって評価される統計的有意性:**p=0.0019。
【0539】
まとめると、これらのデータは、抗原特異的CARを発現するための一次マウスTreg細胞の形質導入が、機能的なCAR構築物を発現する形質導入Treg細胞をもたらすことを実証している。
【0540】
[実施例6.形質導入されたマウス骨髄HSCの移植を介する、再構築された免疫区画内で優先的なFoxP3プロモーター指向性導入遺伝子発現を有する調節T細胞の生成]
目的
この研究の目的は、形質導入されたマウス骨髄造血幹細胞(HSC)の移植を介して、再構築された免疫区画内で優先的なFoxP3プロモーター指向性導入遺伝子発現を有する調節T細胞を生成することであった。
【0541】
材料及び方法
系統-骨髄(系統-BM)細胞を単離し、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するように設計されたレンチウイルス構築物で形質導入した。移植の10週間後、GFPの発現を再構築された免疫区画内で評価した。レンチウイルス構築物を、保存された非コード配列(CNS)ドメイン1、2、及び3(CNS1、CNS2、及びCNS3)、Foxp3プロモーター、緑色蛍光タンパク質(GFP)のためのコード配列、ならびに3’UTR配列エレメントを含有するように設計した。Treg区画内の導入遺伝子発現を向上させ、一方で、他の免疫サブセット内の導入遺伝子発現を制限するように、この構築物を設計した。その後、移植動物の脾臓に由来するCD4CD25調節T細胞においてFCを実施し、GFP発現を測定した。FCを再び実施し、免疫細胞におけるFoxp3プロモーターの活性を測定した。
【0542】
結果
結果として、本発明者らは、保存された非コード配列(CNS)ドメイン1、2、及び3(CNS1、CNS2、及びCNS3)、Foxp3プロモーター、緑色蛍光タンパク質(GFP)のためのコード配列、ならびに3’UTR配列エレメントを含有するレンチウイルス構築物(図6A)を得、その結果、レンチウイルス構築物は、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現することができた。
【0543】
本発明者らは、図6Bの右上領域におけるFC輪郭(75.08%)の存在から明らかなように、移植動物の脾臓に由来するCD4CD25調節T細胞におけるGFP発現を観察した。ここで、CD4-Brilliant Violet60マーカーの検出は、T細胞を同定するために使用され、GFP発現細胞の割合は、GFP(GFP-FITC-A)に対してゲーティングすることによって決定する。
【0544】
本発明者らはまた、GFPレベル(MFI)として測定したFoxp3プロモーター活性が、免疫細胞の型及び組織タイプ(胸腺、脾臓、MLN(腸間膜リンパ節)、及びpLN(末梢リンパ節)におけるB細胞、T細胞、単球、及び好中球)に基づいて変化することを観察した(図6C)。最高のGFPレベルは、胸腺、脾臓、MLN、及びPLNにおけるCD4CD25調節T細胞で観察される。ここで、GFPレベル(MFI)は、特定の組織/細胞型における免疫細胞の各タイプに対してプロットされている。個別のデータポイントは、平均+/-SEMを表すバーでの生物学的複製を表す(n=4)。図の略語:BM(骨髄)、DP(二重陽性)、SP(単一陽性)。
【0545】
まとめると、これらのデータは、発現がFoxP3プロモーターによって駆動されるとき、形質導入されたマウス骨髄HSCの移植が、Treg細胞におけるGFPの優先的な発現をもたらすことを実証している。
【0546】
[実施例7.形質導入されたマウス骨髄造血幹細胞(HSC)の移植後の、インビボでのCAR発現調節T細胞の生成]
目的
この研究の目的は、形質導入されたマウス骨髄造血幹細胞(HSC)の移植後にインビボでCAR発現調節T細胞を生成することであった。
【0547】
材料及び方法
系統-骨髄(系統-BM)細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現させた。移植の10週間後、CAR発現を免疫区画全体で評価した。
【0548】
レンチウイルス構築物を、保存された非コード配列(CNS)ドメイン1、2、及び3(CNS1、CNS2、及びCNS3)、Foxp3プロモーター、抗原特異的CAR(αAg-CAR)または無関係な導入遺伝子(CAR-)のためのコード配列、ならびに3’UTR配列エレメントを含有するように設計した。その後、移植動物の脾臓に由来するCD4CD25調節T細胞においてFCを実施し、CAR発現を測定した。
【0549】
FCをエクスビボで実施して、骨髄キメラマウスにおけるTreg発達及び機能の変化を測定した。脾臓当たりの調節細胞の総数、転写因子、Foxp3、及び表面マーカーCD25を含む主要な調節T細胞遺伝子の発現レベルを測定した。
【0550】
結果
結果として、本発明者らは、保存された非コード配列(CNS)ドメイン1、2、及び3(CNS1、CNS2、及びCNS3)、Foxp3プロモーター、抗原特異的CAR(αAg-CAR)または無関係な導入遺伝子(CAR-)のためのコード領域、ならびに3’UTR配列エレメントを含有するレンチウイルス構築物(図7A)を得、その結果、レンチウイルス構築物は、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現することができた。
【0551】
本発明者らは、結合したCARリガンド濃度が高い右上象限におけるFC輪郭(75.69%)の存在から明らかなように、移植動物の脾臓に由来するCD4CD25調節T細胞におけるCAR発現を観察した(図7B)。ここで、CD4-Brilliant Violet60マーカーの検出は、T細胞を同定するために使用され、CAR発現細胞の割合は、表面結合CARリガンド(CAR-R-PE-A)を有する細胞に対してゲーティングすることによって決定した。
【0552】
更に、本発明者らは、エクスビボでのFC分析によって評価される、CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現する脾臓調節T細胞の数及び表現型を比較した(図7C)。CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現する脾臓調節T細胞の同等の数及び表現型を検出した。脾臓当たりの調節細胞の総数を定量化し、CAR+群とCAR-群との間に有意差は観察されなかった(左のグラフ)。ここで、細胞計数は、CAR導入遺伝子発現に従ってプロットされている。転写因子Foxp3及び表面マーカーCD25を含む主要な調節T細胞遺伝子の発現レベルを、それぞれMFI(中央及び右のグラフ)として定量化しているが、両方の場合においてCAR+群とCAR-群との間に有意差は見出されなかった。ここで、Foxp3レベル(MFI)及びCD25レベル(MFI)は、CAR導入遺伝子発現に従ってプロットされている。
【0553】
個別のデータポイントは、平均+/-SEMを表すバーでの生物学的複製を表す(CAR-n=4、CAR+n=6)。統計的差異は、対応のないT細胞検定によって評価したが、有意差は検出されなかった。
【0554】
[実施例8.Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現するレンチウイルス構築物を用いるマウス骨髄造血幹細胞(HSC)の形質導入後の、CAR発現調節T細胞の生成、続くそれらの免疫抑制可能性の評価]
目的
この研究の目的は、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現するレンチウイルス構築物を用いるマウス骨髄造血幹細胞(HSC)の形質導入後に、CAR発現調節T細胞を生成し、続いて、細胞トレーサーバイオレット増殖アッセイを使用してそれらの免疫抑制可能性を評価することであった。
【0555】
材料及び方法
系統-骨髄(系統-BM)細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現させた。移植の10週間後、調節T細胞を末梢免疫器官から単離し、インビトロで免疫機能の変化について評価した。CAR発現Tregを、細胞トレーサーバイオレットで標識されたエフェクターT細胞を用いてTregを培養することによって、免疫抑制性能力について評価した。エフェクターT細胞を、対照CAR-またはAg-CAR+Tregの存在下で、CD3/CD28マイクロビーズで96時間刺激した。増殖性応答は、細胞トレーサー色素の希釈によって測定した。
【0556】
結果
結果として、本発明者らは、CAR-(図8A、右上)及びAg-CAR+Treg(図8A、右下)の両方が免疫抑制性能力を有し、各ピークが細胞分裂を表すヒストグラムプロファイル内のピークの数によって示される、細胞トレーサーバイオレットで標識されたエフェクターT細胞の増殖を低減させることができたことを観察した。代表的なヒストグラムは、示される実験条件のための細胞トレーサー色素プロファイルを示す。
【0557】
また、本発明者らは、エフェクターT細胞に対するTregの濃度が増加するにつれて、エフェクターT細胞の増殖性能力%が低下することを観察した(図8B)。増殖性応答は、細胞トレーサー染料の希釈によって定量化した。データは、分裂を受けている、細胞トレーサーで標識された細胞のパーセンテージ、すなわち「増殖%」として表される。個別のデータポイントは、平均+/-SEMを表すバーでの生物学的複製を表す(CAR-n=4、CAR+n=6)。統計的有意性は、細胞の各々の同等の比について対応のあるT検定によって評価したが、有意差は検出されなかった。
【0558】
[実施例9.Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現するレンチウイルス構築物を用いるマウス骨髄造血幹細胞(HSC)の形質導入後の、CAR発現調節T細胞の生成、続くそれらの抗原特異的免疫抑制可能性の評価]
目的
この研究の目的は、Treg(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(CAR-)を発現するレンチウイルス構築物を用いるマウス骨髄造血幹細胞(HSC)の形質導入後に、CAR発現調節T細胞を生成し、続いて、CARによって付与される抗原特異的免疫抑制性機能を評価することであった。
【0559】
材料及び方法
系統-骨髄(系統-BM)細胞を単離し、レンチウイルス構築物で形質導入して、Treg特異的(Foxp3)プロモーターの制御下で抗原特異的CAR(CAR+)または無関係な導入遺伝子(対照CAR-)を発現させた。移植の10週間後、調節T細胞を末梢免疫器官から単離し、CARリガンドを用いてインビトロで48時間培養して、活性化を評価した。CD25発現レベルを、CD25-PE-Cy7-Aリガンドを使用して、対照CAR-Treg及びαAg-CAR+Tregの両方において10μgのCARリガンドを用いて刺激した後、FCを介して測定した。その後、対照CAR-Treg及びαAg-CAR+Tregの両方を、CD3/CD28マイクロビーズの不在下または存在下で10μgのCARリガンドに48時間曝露した。上清を収集し、IL-10分泌をELISAによって決定した。
【0560】
結果
結果として、本発明者らは、対応するリガンドで刺激すると、αAg-CAR+Treg(右)が、対照CAR-Tregと比較してCD25のはるかに高い発現を有することを観察した(図9A)。ここで、表面結合CD25-PE-Cy7-Aによって決定される、異なるレベルのCD25を発現する細胞の数(計数)を示す。CD25レベルは、平均MFIとして、対照CAR-及びCAR+発現調節T細胞において定量化される(図9B)。
【0561】
また、本発明者らは、CD3/CD28マイクロビーズの不在下(図9C)または存在下(図9D)で10μgのCARリガンドに48時間曝露した後、αAg-CAR+Treg(正方形)が、対照CAR-Treg(円)と比較してより多くのIL-10(pg/ml)を分泌することを観察した。αAg-CAR+Treg(正方形)は、10μgのCARリガンドに曝露した後により多くのIL-10(pg/ml)を分泌したが、リガンドへの曝露の前後に、対照CAR+Tregによって分泌されるIL-10の量に有意差はなかった。統計的有意性は、対応のあるT検定によって評価し、p値が示されている。
【0562】
[実施例10.自己免疫疾患の治療のための自己抗原結合タンパク質を発現する多能性細胞の生成]
自己抗原結合タンパク質を発現する多能性造血細胞(例えば、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)、胚幹細胞(ESC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、リンパ系前駆細胞、またはCD34+細胞)などの多能性細胞を作製するための例示的な方法は、形質導入によるものである。例えば、本明細書に記載のFoxp3プロモーターなどの好適なプロモーター、本明細書に記載のCNS1、CNS2、CNS3、及び/またはCNS0エンハンサーなどの好適なエンハンサー、ならびに自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含有するレトロウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター、アルファレトロウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクター)は、本明細書に記載の、または当該技術分野において既知のベクター産生技術を使用して操作することができる。レトロウイルスベクターが操作された後、レトロウイルスを使用して、多能性造血細胞(例えば、HSC、HPC、ESC、iPSC、リンパ系前駆細胞、またはCD34+細胞)を形質導入して、自己抗原結合タンパク質を発現する多能性造血細胞の集団を生成することができる。
【0563】
自己抗原結合タンパク質を発現する多能性造血細胞を作製するための追加の例示的な方法は、トランスフェクション技術である。本明細書に記載の、及び当該技術分野において既知の分子生物学操作を使用して、例えば、プロモーター、1つ以上のエンハンサー、及び自己抗原結合タンパク質を含有するプラスミドDNAを産生することができる。例えば、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸は、当該技術分野において既知のPCRベースの技術を使用してヒト細胞株から増幅され得るか、または自己抗原結合タンパク質をコードする核酸は、例えば、固相ポリヌクレオチド合成操作を使用して合成され得る。次いで、核酸、プロモーター、及びエンハンサー(複数可)は、例えば、好適な制限エンドヌクレアーゼ媒介性切断及びライゲーション手順を使用して、目的のプラスミドにライゲーションすることができる。プラスミドDNAが操作された後、プラスミドを使用して、例えば、エレクトロポレーションまたは本明細書に記載の別のトランスフェクション技術を使用して、多能性造血細胞(例えば、HSC、HPC、ESC、iPSC、リンパ系前駆細胞、またはCD34+細胞)をトランスフェクトして、コードされたタンパク質(複数可)を発現する多能性造血細胞の集団を生成することができる。
【0564】
[実施例11.自己免疫疾患に罹患している患者への治療用組成物の投与]
本明細書に開示される方法によれば、患者、例えば、ヒト患者は、自己免疫疾患の兆候を低減もしくは軽減させるように、及び/または疾患の根底にある生化学的病因を標的にするように、治療され得る。このために、患者は、例えば、多能性造血細胞(例えば、HSC、HPC、ESC、iPSC、リンパ系前駆細胞、またはCD34+細胞)などの、例えば、多能性細胞の集団を投与され得、CD4+CD25+調節T(Treg)細胞において活性である系統特異的転写調節エレメントの制御下で自己抗原結合タンパク質を発現する。多能性造血細胞の集団は、患者に、例えば、全身的に(例えば、静脈内に)投与され得る。細胞は、治療有効量、例えば、1×10細胞/kg~1×1012細胞/kg、またはそれ以上(例えば、1×10細胞/kg、1×10細胞/kg、1×10細胞/kg、1×1010細胞/kg、1×1011細胞/kg、1×1012細胞/kg、またはそれ以上)で投与され得る。
【0565】
細胞の集団が患者に投与される前に、1つ以上の薬剤が、例えば、本明細書に記載のコンディショニング剤の投与によって、患者の内因性造血細胞集団を切除するために患者に投与され得る。
【0566】
治療の成功は、様々な臨床的指標によってモニターされ得る。本開示の組成物を使用する自己免疫疾患の効果的な治療は、例えば、(i)少なくとも1年間の持続的な疾患緩解などの持続的な疾患緩解、(ii)患者における炎症の低減もしくは痛みの軽減の観察、及び/または(iii)患者における組織損傷の低減の観察として明らかになり得る。
【0567】
本発明の例示的な実施形態
本発明の例示的な実施形態を、以下に列挙される段落に記載する。
1.自己免疫疾患の治療または予防を必要とする患者においてそれを行う方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団を前記患者に投与する工程を含み、前記核酸カセットが、CD4+CD25+調節T(Treg)細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記方法。
【0568】
2.自己免疫疾患を有すると診断された患者において自己反応性エフェクター免疫細胞の集団の活性及び/または増殖を抑制する方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団を前記患者に投与する工程を含み、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記方法。
【0569】
3.自己免疫疾患を有すると診断された患者において自己反応性エフェクター免疫細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団を前記患者に投与する工程を含み、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記方法。
【0570】
4.自己免疫疾患を有すると診断された患者において自己免疫応答から内因性組織を保護する方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団を前記患者に投与する工程を含み、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記方法。
【0571】
5.自己免疫疾患を有すると診断された患者において炎症を低減させる方法であって、自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団を前記患者に投与する工程を含み、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記方法。
【0572】
6.前記多能性造血細胞が、造血幹細胞(HSC)または造血前駆細胞(HPC)である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0573】
7.前記多能性造血細胞が、胚幹細胞である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0574】
8.前記多能性造血細胞が、人工多能性幹細胞である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0575】
9.前記多能性造血細胞が、リンパ系前駆細胞である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0576】
10.前記多能性造血細胞が、CD34+細胞である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0577】
11.前記多能性造血細胞の集団が、前記患者に全身投与される、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0578】
12.前記多能性造血細胞の集団が、前記患者に静脈内注射によって投与される、実施形態11に記載の方法。
【0579】
13.前記多能性造血細胞が、前記患者に対して自己由来である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0580】
14.前記多能性造血細胞が、前記患者に対して同種異系である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0581】
15.前記多能性造血細胞は、前記患者とHLAが一致している、実施形態14に記載の方法。
【0582】
16.前記多能性造血細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含むウイルスベクターを用いてエクスビボで形質導入される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0583】
17.前記ウイルスベクターが、レトロウイルス科ファミリーウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、及びポックスウイルスからなる群から選択される、実施形態16に記載の方法。
【0584】
18.前記ウイルスベクターが、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターである、実施形態17に記載の方法。
【0585】
19.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態18に記載の方法。
【0586】
20.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターが、アルファレトロウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、実施形態18に記載の方法。
【0587】
21.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターが、中央ポリプリン帯、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む、実施形態17~20のいずれか1つに記載の方法。
【0588】
22.前記ウイルスベクターが、偽型ウイルスベクターである、実施形態17~21のいずれか1つに記載の方法。
【0589】
23.前記偽型ウイルスベクターが、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型レトロウイルス科ファミリーウイルスからなる群から選択される、実施形態22に記載の方法。
【0590】
24.前記偽型ウイルスベクターが、偽型レンチウイルスベクターである、実施形態23に記載の方法。
【0591】
25.前記偽型ウイルスベクターが、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、RD114ウイルス、マウス白血病ウイルス(MLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、ヒトフォーミーウイルス(HFV)、ウォールアイ皮膚肉腫ウイルス(WDSV)、セムリキ森林ウイルス(SFV)、狂犬病ウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、シンノンブルウイルス(SNV)、チェリーねじれリーフウイルス(ChTLV)、サルT細胞白血病ウイルス(STLV)、マソン・ファイザーサルウイルス(MPMV)、リスサルレトロウイルス(SMRV)、ラウス関連ウイルス(RAV)、藤浪肉腫ウイルス(FuSV)、トリ癌腫ウイルス(MH2)、トリ脳脊髄炎ウイルス(AEV)、アルファモザイクウイルス(AMV)、トリ肉腫ウイルスCT10、及びウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)から選択されるウイルス由来のエンベロープタンパク質を含む、実施形態22~24のいずれか1つに記載の方法。
【0592】
26.前記偽型ウイルスベクターが、VSV-Gエンベロープタンパク質を含む、実施形態25に記載の方法。
【0593】
27.前記多能性造血細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含むポリヌクレオチドを用いてエクスビボでトランスフェクトされる、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0594】
28.前記多能性造血細胞が、カチオン性ポリマー、ジエチルアミノエチルデキストラン、ポリエチレンイミン、カチオン性脂質、リポソーム、リン酸カルシウム、活性化デンドリマー、及び/または磁気ビーズを使用してトランスフェクトされる、実施形態27に記載の方法。
【0595】
29.前記多能性造血細胞が、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクション、スクイーズポレーション、ソノポーレーション、オプティカルトランスフェクション、磁気フェクション、及び/またはインペールフェクションによってトランスフェクトされる、実施形態27または28に記載の方法。
【0596】
30.前記核酸カセットが、転移性エレメントの一部である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0597】
31.前記核酸カセットが、前記多能性造血細胞のデオキシリボ核酸(DNA)分子への組み込みのためのトランスポザーゼ認識及び切断エレメントを含む、実施形態30に記載の方法。
【0598】
32.前記DNA分子が、核DNA分子またはミトコンドリアDNA分子であり、前記トランスポザーゼ認識及び前記切断エレメントが、前記核DNA分子または前記ミトコンドリアDNA分子への組み込みを促進する、実施形態31に記載の方法。
【0599】
33.前記多能性造血細胞が、前記細胞のゲノム内の標的位置で一本鎖切断または二本鎖切断を触媒するヌクレアーゼを前記細胞に送達することによって得られる、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0600】
34.前記ヌクレアーゼが、前記細胞のゲノム内の前記標的位置にハイブリダイズするガイドRNA(gRNA)と組み合わせて前記細胞に送達される、実施形態33に記載の方法。
【0601】
35.前記ヌクレアーゼが、クラスター化された規則的な間隔の短い回文構造の反復(CRISPR)関連タンパク質である、実施形態33または34に記載の方法。
【0602】
36.前記CRISPR関連タンパク質が、CRISPR関連タンパク質9(Cas9)またはCRISPR関連タンパク質12a(Cas12a)である、実施形態35に記載の方法。
【0603】
37.前記ヌクレアーゼが、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである、実施形態33または34に記載の方法。
【0604】
38.前記細胞が前記ヌクレアーゼと接触している間に、前記細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含む鋳型ポリヌクレオチドと更に接触する、実施形態33~37のいずれか1つに記載の方法。
【0605】
39.前記鋳型ポリヌクレオチドが、相同組換えを促進するために、前記標的位置に対して5’に位置する核酸配列及び前記標的位置に対して3’に位置する核酸配列に十分に類似する核酸配列をそれぞれ有する5’相同性アーム及び3’相同性アームを含む、実施形態38に記載の方法。
【0606】
40.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドが、前記細胞を、前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターと接触させることによって、前記細胞に送達される、実施形態38または39に記載の方法。
【0607】
41.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードする前記ウイルスベクターが、AAV、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、またはレトロウイルス科ファミリーウイルスである、実施形態40に記載の方法。
【0608】
42.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードする前記ウイルスベクターが、レトロウイルス科ファミリーウイルスである、実施形態41に記載の方法。
【0609】
43.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスが、レンチウイルスベクター、アルファレトロウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである、実施形態42に記載の方法。
【0610】
44.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードする前記レトロウイルス科ファミリーウイルスが、中央ポリプリン帯、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む、実施形態42または43に記載の方法。
【0611】
45.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードする前記ウイルスベクターが、組み込み欠損性のレンチウイルスベクターである、実施形態40に記載の方法。
【0612】
46.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードする前記ウイルスベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAVrh74からなる群から選択されるAAVである、実施形態40に記載の方法。
【0613】
47.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、Foxp3プロモーターを含む、実施形態1~46のいずれか1つに記載の方法。
【0614】
48.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態47に記載の方法。
【0615】
49.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態48に記載の方法。
【0616】
50.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態49に記載の方法。
【0617】
51.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列を有する、実施形態50に記載の方法。
【0618】
52.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態47に記載の方法。
【0619】
53.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態52に記載の方法。
【0620】
54.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態53に記載の方法。
【0621】
55.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列を有する、実施形態54に記載の方法。
【0622】
56.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態47に記載の方法。
【0623】
57.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態56に記載の方法。
【0624】
58.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態57に記載の方法。
【0625】
59.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列を有する、実施形態58に記載の方法。
【0626】
60.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態47に記載の方法。
【0627】
61.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態60に記載の方法。
【0628】
62.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態61に記載の方法。
【0629】
63.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列を有する、実施形態62に記載の方法。
【0630】
64.前記Foxp3プロモーターが、転写因子Nr4a及び/またはFoxoに特異的に結合する、実施形態47~63のいずれか1つに記載の方法。
【0631】
65.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS1エンハンサーを含む、実施形態1~64のいずれか1つに記載の方法。
【0632】
66.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態65に記載の方法。
【0633】
67.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態66に記載の方法。
【0634】
68.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態67に記載の方法。
【0635】
69.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列を有する、実施形態68に記載の方法。
【0636】
70.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態65に記載の方法。
【0637】
71.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態70に記載の方法。
【0638】
72.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態71に記載の方法。
【0639】
73.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列を有する、実施形態72に記載の方法。
【0640】
74.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態65に記載の方法。
【0641】
75.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態74に記載の方法。
【0642】
76.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態75に記載の方法。
【0643】
77.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列を有する、実施形態76に記載の方法。
【0644】
78.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態65に記載の方法。
【0645】
79.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態78に記載の方法。
【0646】
80.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態79に記載の方法。
【0647】
81.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列を有する、実施形態80に記載の方法。
【0648】
82.前記CNS1エンハンサーが、転写因子AP-1、NFAT、Smad3、及び/またはFoxoに特異的に結合する、実施形態65~81のいずれか1つに記載の方法。
【0649】
83.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS2エンハンサーを含む、実施形態1~82のいずれか1つに記載の方法。
【0650】
84.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態83に記載の方法。
【0651】
85.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態84に記載の方法。
【0652】
86.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態85に記載の方法。
【0653】
87.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列を有する、実施形態86に記載の方法。
【0654】
88.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態83に記載の方法。
【0655】
89.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態88に記載の方法。
【0656】
90.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態89に記載の方法。
【0657】
91.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列を有する、実施形態90に記載の方法。
【0658】
92.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態83に記載の方法。
【0659】
93.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態92に記載の方法。
【0660】
94.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態93に記載の方法。
【0661】
95.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列を有する、実施形態94に記載の方法。
【0662】
96.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態83に記載の方法。
【0663】
97.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態96に記載の方法。
【0664】
98.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態97に記載の方法。
【0665】
99.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列を有する、実施形態98に記載の方法。
【0666】
100.前記CNS2エンハンサーが、転写因子Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及び/またはc-Relに特異的に結合する、実施形態83~99のいずれか1つに記載の方法。
【0667】
101.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS3エンハンサーを含む、実施形態1~100のいずれか1つに記載の方法。
【0668】
102.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態101に記載の方法。
【0669】
103.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態102に記載の方法。
【0670】
104.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態103に記載の方法。
【0671】
105.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列を有する、実施形態104に記載の方法。
【0672】
106.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態101に記載の方法。
【0673】
107.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態106に記載の方法。
【0674】
108.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態107に記載の方法。
【0675】
109.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列を有する、実施形態108に記載の方法。
【0676】
110.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態101に記載の方法。
【0677】
111.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態110に記載の方法。
【0678】
112.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態111に記載の方法。
【0679】
113.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列を有する、実施形態112に記載の方法。
【0680】
114.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態101に記載の方法。
【0681】
115.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態114に記載の方法。
【0682】
116.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態115に記載の方法。
【0683】
117.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列を有する、実施形態116に記載の方法。
【0684】
118.前記CNS3エンハンサーが、転写因子Foxo及び/またはc-Relに特異的に結合する、実施形態101~117のいずれか1つに記載の方法。
【0685】
119.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS0エンハンサーを含む、実施形態1~118のいずれか1つに記載の方法。
【0686】
120.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態119に記載の方法。
【0687】
121.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態120に記載の方法。
【0688】
122.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態121に記載の方法。
【0689】
123.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列を有する、実施形態122に記載の方法。
【0690】
124.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態119に記載の方法。
【0691】
125.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態124に記載の方法。
【0692】
126.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態125に記載の方法。
【0693】
127.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列を有する、実施形態126に記載の方法。
【0694】
128.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態119に記載の方法。
【0695】
129.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態128に記載の方法。
【0696】
130.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態129に記載の方法。
【0697】
131.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列を有する、実施形態130に記載の方法。
【0698】
132.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態119に記載の方法。
【0699】
133.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態132に記載の方法。
【0700】
134.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態133に記載の方法。
【0701】
135.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列を有する、実施形態134に記載の方法。
【0702】
136.前記CNS0エンハンサーが、転写因子Satb1及び/またはStat5に特異的に結合する、実施形態119~135のいずれか1つに記載の方法。
【0703】
137.前記核酸カセットが、リボスイッチに作動可能に連結している、実施形態1~136のいずれか1つに記載の方法。
【0704】
138.前記リボスイッチへのリガンドの結合が、前記核酸カセットの発現を誘導する、実施形態137に記載の方法。
【0705】
139.前記自己抗原結合タンパク質が、一本鎖ポリペプチドである、実施形態1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0706】
140.前記自己抗原結合タンパク質が、キメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態1~139のいずれか1つに記載の方法。
【0707】
141.前記キメラ抗原受容体が、抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態140に記載の方法。
【0708】
142.前記1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインが、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメイン、及び任意に1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態141に記載の方法。
【0709】
143.前記抗原認識ドメインが、一本鎖抗体断片であり、任意に、前記一本鎖抗体断片が、一本鎖Fv分子(scFv)である、実施形態141または142に記載の方法。
【0710】
144.前記ヒンジドメインが、CD28、CD8、IgG1/IgG4、CD4、CD7、またはIgDヒンジドメインである、実施形態141~143のいずれか1つに記載の方法。
【0711】
145.前記ヒンジドメインが、CD28ヒンジドメインである、実施形態144に記載の方法。
【0712】
146.前記膜貫通ドメインが、CD28、CD3ゼータ、CD8、FcRIγ、CD4、CD7、OX40、またはMHC(H2-Kb)膜貫通ドメインを含む、実施形態141~145のいずれか1つに記載の方法。
【0713】
147.前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを含む、実施形態146に記載の方法。
【0714】
148.前記1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、CD66d、DAP10、及びDAP12細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される、実施形態142~147のいずれか1つに記載の方法。
【0715】
149.前記1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つが、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインである、実施形態148に記載の方法。
【0716】
150.前記1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、CD83、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、BTLA、及びTollリガンド受容体細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される、実施形態142~149のいずれか1つに記載の方法。
【0717】
151.前記1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つが、CD28細胞内シグナル伝達ドメインである、実施形態150に記載の方法。
【0718】
152.前記キメラ抗原受容体が、N末端リーダー配列を含む、実施形態141~151のいずれか1つに記載の方法。
【0719】
153.前記抗原認識ドメインが、N末端リーダー配列を含む、実施形態141~152のいずれか1つに記載の方法。
【0720】
154.前記抗原認識ドメインの前記N末端リーダー配列が、前記キメラ抗原受容体の細胞処理及び細胞膜への局在化中に、前記抗原認識ドメインから切断される、実施形態153に記載の方法。
【0721】
155.前記自己抗原結合タンパク質が、多鎖タンパク質である、実施形態1~138のいずれか1つに記載の方法。
【0722】
156.前記自己抗原結合タンパク質が、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、またはF(ab’)分子である、実施形態155に記載の方法。
【0723】
157.前記自己免疫疾患が、I型糖尿病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、甲状腺機能低下症、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、若年性関節炎、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、視神経脊髄炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、またはウェゲナー肉芽腫症である、実施形態1~156のいずれか1つに記載の方法。
【0724】
158.前記自己抗原が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、アクアポリン4、アクチン、チューブリン、ミオシン、トロポミオシン、ビメンチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ヘパリン、ラミニン、コラゲナーゼ、カルジオリピン、グルコセレブロシド、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、エノラーゼ、アルドラーゼ、酸性ホスファターゼ、アネキシン33kDa、アネキシン67kDa、シトクロムP450C、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、リボヌクレアーゼ、ヒストンII A、二本鎖DNA、一本鎖DNA、トランスフェリン、フェツイン、第II因子、第VII因子、フィブリン、フィブリノーゲン、C1、C1q、インターロイキン2、インターロイキン10、インターロイキン4、インターフェロンγ、TNFαR、HSP60、HSP65、GAD、インスリン、IA-2、ZnT8、MBP、AchR、ミオグロブリン、サイログロブリン、ヘモグロビンA、スペクトリン、TB PPD、LPS、MuSK、LRP4、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、チロトロピン受容体、または甲状腺で発現されるタンパク質である、実施形態1~157のいずれか1つに記載の方法。
【0725】
159.前記自己免疫疾患が、多発性硬化症であり、前記自己抗原が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質である、実施形態157に記載の方法。
【0726】
160.前記自己免疫疾患が、I型糖尿病であり、前記自己抗原が、インスリン、GAD-65、IA-2、またはZnT8である、実施形態157に記載の方法。
【0727】
161.前記自己免疫疾患が、関節リウマチであり、前記自己抗原が、コラーゲンII、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、またはHSP65である、実施形態157に記載の方法。
【0728】
162.前記自己免疫疾患が、重症筋無力症であり、前記自己抗原が、AChR、MuSK、またはLRP4である、実施形態157に記載の方法。
【0729】
163.前記自己免疫疾患が、狼瘡であり、前記自己抗原が、ヒストンII Aである、実施形態157に記載の方法。
【0730】
164.前記自己免疫疾患が、甲状腺機能低下症であり、前記自己抗原が、甲状腺で発現されるタンパク質である、実施形態157に記載の方法。
【0731】
165.前記自己免疫疾患が、グレーブス病であり、前記自己抗原が、前記チロトロピン受容体である、実施形態157に記載の方法。
【0732】
166.前記自己免疫疾患が、尋常性天疱瘡であり、前記自己抗原が、二本鎖DNAである、実施形態157に記載の方法。
【0733】
167.前記自己免疫疾患が、乾癬であり、前記自己抗原が、二本鎖DNAである、実施形態157に記載の方法。
【0734】
168.前記自己免疫疾患が、視神経脊髄炎であり、前記自己抗原が、アクアポリン4である、実施形態157に記載の方法。
【0735】
169.前記多能性造血細胞の集団を前記患者に投与する前に、先駆細胞の集団が、前記患者またはドナーから単離され、前記先駆細胞が、前記患者に投与される前記細胞の集団を得るために拡大され、エクスビボで遺伝子修飾される、実施形態1~168のいずれか1つに記載の方法。
【0736】
170.前記先駆細胞が、CD34+HSCであり、前記先駆細胞が、HSC機能的可能性の実質的な損失なしに拡大される、実施形態169に記載の方法。
【0737】
171.前記患者または前記ドナーからの前記先駆細胞の単離前に、前記患者または前記ドナーが、1つ以上の多能性造血細胞動員剤を投与される、実施形態169または170に記載の方法。
【0738】
172.前記多能性造血細胞の集団を前記患者に投与する前に、内因性多能性造血細胞の集団が、1つ以上のコンディショニング剤を前記患者に投与することによって、前記患者において切除される、実施形態1~171のいずれか1つに記載の方法。
【0739】
173.前記方法が、前記多能性造血細胞の集団を前記患者に投与する前に、1つ以上のコンディショニング剤を前記患者に投与することによって、前記患者における内因性多能性造血細胞の集団を切除する工程を含む、実施形態1~171のいずれか1つに記載の方法。
【0740】
174.前記1つ以上のコンディショニング剤が、非骨髄破壊性コンディショニング剤である、実施形態172または173に記載の方法。
【0741】
175.前記1つ以上のコンディショニング剤が、前記患者におけるCD34+細胞の集団を枯渇させる、実施形態172~174のいずれか1つに記載の方法。
【0742】
176.前記枯渇したCD34+細胞が、リンパ系前駆細胞である、実施形態175に記載の方法。
【0743】
177.前記1つ以上のコンディショニング剤が、抗体またはその抗原結合断片を含む、実施形態172~176のいずれか1つに記載の方法。
【0744】
178.前記抗体または前記その抗原結合断片が、CD117、HLA-DR、CD34、CD90、CD45、またはCD133に結合する、実施形態177に記載の方法。
【0745】
179.前記抗体または前記その抗原結合断片が、CD117に結合する、実施形態178に記載の方法。
【0746】
180.前記抗体または前記その抗原結合断片が、細胞毒素にコンジュゲートされている、実施形態177~179のいずれか1つに記載の方法。
【0747】
181.前記多能性造血細胞の集団を前記患者に投与すると、前記投与された細胞またはその子孫が、CD4+CD25+Treg細胞に分化する、実施形態1~180のいずれか1つに記載の方法。
【0748】
182.前記患者が、哺乳動物であり、前記細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態1~181のいずれか1つに記載の方法。
【0749】
183.前記哺乳動物が、ヒトであり、前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態182に記載の方法。
【0750】
184.医薬組成物であって、(i)自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットを含む多能性造血細胞の集団であって、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記多能性造血細胞の集団、及び(ii)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含む、前記医薬組成物。
【0751】
185.前記多能性造血細胞が、HSCまたはHPCである、実施形態184に記載の医薬組成物。
【0752】
186.前記多能性造血細胞が、胚幹細胞である、実施形態184に記載の医薬組成物。
【0753】
187.前記多能性造血細胞が、人工多能性幹細胞である、実施形態184に記載の医薬組成物。
【0754】
188.前記多能性造血細胞が、リンパ系前駆細胞である、実施形態184に記載の医薬組成物。
【0755】
189.前記多能性造血細胞が、CD34+細胞である、実施形態184~188のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0756】
190.前記多能性造血細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含むウイルスベクターを用いてエクスビボで形質導入される、実施形態184~189のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0757】
191.前記ウイルスベクターが、レトロウイルス科ファミリーウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、及びポックスウイルスからなる群から選択される、実施形態190に記載の医薬組成物。
【0758】
192.前記ウイルスベクターが、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターである、実施形態191に記載の医薬組成物。
【0759】
193.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態192に記載の医薬組成物。
【0760】
194.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターが、アルファレトロウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、実施形態192に記載の医薬組成物。
【0761】
195.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターが、中央ポリプリン帯、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む、実施形態191~194のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0762】
196.前記ウイルスベクターが、偽型ウイルスベクターである、実施形態191~195のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0763】
197.前記偽型ウイルスベクターが、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型レトロウイルス科ファミリーウイルスからなる群から選択される、実施形態196に記載の医薬組成物。
【0764】
198.前記偽型ウイルスベクターが、偽型レンチウイルスベクターである、実施形態197に記載の医薬組成物。
【0765】
199.前記偽型ウイルスベクターが、VSV、RD114ウイルス、MLV、FeLV、VEE、HFV、WDSV、SFV、狂犬病ウイルス、ALV、BIV、BLV、EBV、CAEV、SNV、ChTLV、STLV、MPMV、SMRV、RAV、FuSV、MH2、AEV、AMV、トリ肉腫ウイルスCT10、及びEIAVから選択されるウイルス由来のエンベロープタンパク質を含む、実施形態196~198のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0766】
200.前記偽型ウイルスベクターが、VSV-Gエンベロープタンパク質を含む、実施形態199に記載の医薬組成物。
【0767】
201.前記多能性造血細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含むポリヌクレオチドを用いてエクスビボでトランスフェクトされる、実施形態184~189のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0768】
202.前記多能性造血細胞が、カチオン性ポリマー、ジエチルアミノエチルデキストラン、ポリエチレンイミン、カチオン性脂質、リポソーム、リン酸カルシウム、活性化デンドリマー、及び/または磁気ビーズを使用してトランスフェクトされる、実施形態201に記載の医薬組成物。
【0769】
203.前記多能性造血細胞が、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクション、スクイーズポレーション、ソノポーレーション、オプティカルトランスフェクション、磁気フェクション、及び/またはインペールフェクションによってトランスフェクトされる、実施形態201または202に記載の医薬組成物。
【0770】
204.前記核酸カセットが、転移性エレメントの一部である、実施形態184~189のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0771】
205.前記核酸カセットが、前記多能性造血細胞のDNA分子への組み込みのためのトランスポザーゼ認識及び切断エレメントを含む、実施形態204に記載の医薬組成物。
【0772】
206.前記DNA分子が、核DNA分子またはミトコンドリアDNA分子であり、前記トランスポザーゼ認識及び前記切断エレメントが、前記核DNA分子または前記ミトコンドリアDNA分子への組み込みを促進する、実施形態205に記載の医薬組成物。
【0773】
207.前記多能性造血細胞が、前記細胞のゲノム内の標的位置で一本鎖切断または二本鎖切断を触媒するヌクレアーゼを前記細胞に送達することによって得られる、実施形態184~189のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0774】
208.前記ヌクレアーゼが、前記細胞のゲノム内の前記標的位置にハイブリダイズするgRNAと組み合わせて前記細胞に送達される、実施形態207に記載の医薬組成物。
【0775】
209.前記ヌクレアーゼが、CRISPR関連タンパク質である、実施形態207または208に記載の医薬組成物。
【0776】
210.前記CRISPR関連タンパク質が、Cas9またはCas12aである、実施形態209に記載の医薬組成物。
【0777】
211.前記ヌクレアーゼが、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである、実施形態207または208に記載の医薬組成物。
【0778】
212.前記細胞が前記ヌクレアーゼと接触している間に、前記細胞が、前記自己抗原結合タンパク質をコードする前記核酸カセットを含む鋳型ポリヌクレオチドと更に接触する、実施形態207~211のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0779】
213.前記鋳型ポリヌクレオチドが、相同組換えを促進するために、前記標的位置に対して5’に位置する核酸配列及び前記標的位置に対して3’に位置する核酸配列に十分に類似する核酸配列をそれぞれ有する5’相同性アーム及び3’相同性アームを含む、実施形態212に記載の医薬組成物。
【0780】
214.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドが、前記細胞を、前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターと接触させることによって、前記細胞に送達される、実施形態212または213に記載の医薬組成物。
【0781】
215.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードする前記ウイルスベクターが、AAV、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、またはレトロウイルス科ファミリーウイルスである、実施形態214に記載の医薬組成物。
【0782】
216.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードする前記ウイルスベクターが、レトロウイルス科ファミリーウイルスである、実施形態215に記載の医薬組成物。
【0783】
217.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスが、レンチウイルスベクター、アルファレトロウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである、実施形態216に記載の医薬組成物。
【0784】
218.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードする前記レトロウイルス科ファミリーウイルスが、中央ポリプリン帯、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む、実施形態216または217に記載の医薬組成物。
【0785】
219.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードする前記ウイルスベクターが、組み込み欠損性のレンチウイルスベクターである、実施形態214に記載の医薬組成物。
【0786】
220.前記ヌクレアーゼ、前記gRNA、及び/または前記鋳型ポリヌクレオチドをコードする前記ウイルスベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAVrh74からなる群から選択されるAAVである、実施形態214に記載の医薬組成物。
【0787】
221.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、Foxp3プロモーターを含む、実施形態184~220のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0788】
222.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態221に記載の医薬組成物。
【0789】
223.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態222に記載の医薬組成物。
【0790】
224.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態223に記載の医薬組成物。
【0791】
225.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列を有する、実施形態224に記載の医薬組成物。
【0792】
226.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態221に記載の医薬組成物。
【0793】
227.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態226に記載の医薬組成物。
【0794】
228.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態227に記載の医薬組成物。
【0795】
229.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列を有する、実施形態228に記載の医薬組成物。
【0796】
230.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態221に記載の医薬組成物。
【0797】
231.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態230に記載の医薬組成物。
【0798】
232.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態231に記載の医薬組成物。
【0799】
233.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列を有する、実施形態232に記載の医薬組成物。
【0800】
234.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態221に記載の医薬組成物。
【0801】
235.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態234に記載の医薬組成物。
【0802】
236.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態235に記載の医薬組成物。
【0803】
237.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列を有する、実施形態236に記載の医薬組成物。
【0804】
238.前記Foxp3プロモーターが、転写因子Nr4a及び/またはFoxoに特異的に結合する、実施形態221~237のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0805】
239.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS1エンハンサーを含む、実施形態184~238のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0806】
240.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態239に記載の医薬組成物。
【0807】
241.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態240に記載の医薬組成物。
【0808】
242.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態241に記載の医薬組成物。
【0809】
243.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列を有する、実施形態242に記載の医薬組成物。
【0810】
244.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態239に記載の医薬組成物。
【0811】
245.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態244に記載の医薬組成物。
【0812】
246.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態245に記載の医薬組成物。
【0813】
247.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列を有する、実施形態246に記載の医薬組成物。
【0814】
248.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態239に記載の医薬組成物。
【0815】
249.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態248に記載の医薬組成物。
【0816】
250.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態249に記載の医薬組成物。
【0817】
251.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列を有する、実施形態250に記載の医薬組成物。
【0818】
252.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態239に記載の医薬組成物。
【0819】
253.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態252に記載の医薬組成物。
【0820】
254.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態253に記載の医薬組成物。
【0821】
255.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列を有する、実施形態254に記載の医薬組成物。
【0822】
256.前記CNS1エンハンサーが、転写因子AP-1、NFAT、Smad3、及び/またはFoxoに特異的に結合する、実施形態239~255のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0823】
257.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS2エンハンサーを含む、実施形態184~256のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0824】
258.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態257に記載の医薬組成物。
【0825】
259.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態258に記載の医薬組成物。
【0826】
260.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態259に記載の医薬組成物。
【0827】
261.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列を有する、実施形態260に記載の医薬組成物。
【0828】
262.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態257に記載の医薬組成物。
【0829】
263.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態262に記載の医薬組成物。
【0830】
264.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態263に記載の医薬組成物。
【0831】
265.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列を有する、実施形態264に記載の医薬組成物。
【0832】
266.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態257に記載の医薬組成物。
【0833】
267.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態266に記載の医薬組成物。
【0834】
268.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態267に記載の医薬組成物。
【0835】
269.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列を有する、実施形態268に記載の医薬組成物。
【0836】
270.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態257に記載の医薬組成物。
【0837】
271.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態270に記載の医薬組成物。
【0838】
272.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態271に記載の医薬組成物。
【0839】
273.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列を有する、実施形態272に記載の医薬組成物。
【0840】
274.前記CNS2エンハンサーが、転写因子Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及び/またはc-Relに特異的に結合する、実施形態257~273のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0841】
275.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS3エンハンサーを含む、実施形態184~274のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0842】
276.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態275に記載の医薬組成物。
【0843】
277.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態276に記載の医薬組成物。
【0844】
278.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態277に記載の医薬組成物。
【0845】
279.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列を有する、実施形態278に記載の医薬組成物。
【0846】
280.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態275に記載の医薬組成物。
【0847】
281.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態280に記載の医薬組成物。
【0848】
282.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態281に記載の医薬組成物。
【0849】
283.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列を有する、実施形態282に記載の医薬組成物。
【0850】
284.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態275に記載の医薬組成物。
【0851】
285.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態284に記載の医薬組成物。
【0852】
286.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態285に記載の医薬組成物。
【0853】
287.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列を有する、実施形態286に記載の医薬組成物。
【0854】
288.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態275に記載の医薬組成物。
【0855】
289.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態288に記載の医薬組成物。
【0856】
290.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態289に記載の医薬組成物。
【0857】
291.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列を有する、実施形態290に記載の医薬組成物。
【0858】
292.前記CNS3エンハンサーが、転写因子Foxo及び/またはc-Relに特異的に結合する、実施形態275~291のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0859】
293.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS0エンハンサーを含む、実施形態184~292のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0860】
294.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態293に記載の医薬組成物。
【0861】
295.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態294に記載の医薬組成物。
【0862】
296.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態295に記載の医薬組成物。
【0863】
297.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列を有する、実施形態296に記載の医薬組成物。
【0864】
298.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態293に記載の医薬組成物。
【0865】
299.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態298に記載の医薬組成物。
【0866】
300.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態299に記載の医薬組成物。
【0867】
301.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列を有する、実施形態300に記載の医薬組成物。
【0868】
302.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態293に記載の医薬組成物。
【0869】
303.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態302に記載の医薬組成物。
【0870】
304.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態303に記載の医薬組成物。
【0871】
305.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列を有する、実施形態304に記載の医薬組成物。
【0872】
306.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態293に記載の医薬組成物。
【0873】
307.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態306に記載の医薬組成物。
【0874】
308.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態307に記載の医薬組成物。
【0875】
309.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列を有する、実施形態308に記載の医薬組成物。
【0876】
310.前記CNS0エンハンサーが、転写因子Satb1及び/またはStat5に特異的に結合する、実施形態293~309のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0877】
311.前記核酸カセットが、リボスイッチに作動可能に連結している、実施形態184~310のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0878】
312.前記リボスイッチへのリガンドの結合が、前記核酸カセットの発現を誘導する、実施形態311に記載の医薬組成物。
【0879】
313.前記自己抗原結合タンパク質が、一本鎖ポリペプチドである、実施形態184~312のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0880】
314.前記自己抗原結合タンパク質が、CARである、実施形態184~313のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0881】
315.前記キメラ抗原受容体が、抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態314に記載の医薬組成物。
【0882】
316.前記1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインが、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメイン、及び任意に1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態315に記載の医薬組成物。
【0883】
317.前記抗原認識ドメインが、一本鎖抗体断片であり、任意に、前記一本鎖抗体断片が、scFvである、実施形態315または316に記載の医薬組成物。
【0884】
318.前記ヒンジドメインが、CD28、CD8、IgG1/IgG4、CD4、CD7、またはIgDヒンジドメインである、実施形態315~317のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0885】
319.前記ヒンジドメインが、CD28ヒンジドメインである、実施形態318に記載の医薬組成物。
【0886】
320.前記膜貫通ドメインが、CD28、CD3ゼータ、CD8、FcRIγ、CD4、CD7、OX40、またはMHC(H2-Kb)膜貫通ドメインを含む、実施形態315~319のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0887】
321.前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを含む、実施形態320に記載の医薬組成物。
【0888】
322.前記1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、CD66d、DAP10、及びDAP12細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される、実施形態316~321のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0889】
323.前記1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つが、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインである、実施形態322に記載の医薬組成物。
【0890】
324.前記1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、CD83、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、BTLA、及びTollリガンド受容体細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される、実施形態316~323のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0891】
325.前記1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つが、CD28細胞内シグナル伝達ドメインである、実施形態324に記載の医薬組成物。
【0892】
326.前記キメラ抗原受容体が、N末端リーダー配列を含む、実施形態315~325のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0893】
327.前記抗原認識ドメインが、N末端リーダー配列を含む、実施形態315~326のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0894】
328.前記抗原認識ドメインの前記N末端リーダー配列が、前記キメラ抗原受容体の細胞処理及び細胞膜への局在化中に、前記抗原認識ドメインから切断される、実施形態327に記載の医薬組成物。
【0895】
329.前記自己抗原結合タンパク質が、多鎖タンパク質である、実施形態184~312のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0896】
330.前記自己抗原結合タンパク質が、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、またはF(ab’)分子である、実施形態329に記載の医薬組成物。
【0897】
331.前記自己抗原が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、アクチン、チューブリン、ミオシン、トロポミオシン、ビメンチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ヘパリン、ラミニン、コラゲナーゼ、カルジオリピン、グルコセレブロシド、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、エノラーゼ、アルドラーゼ、酸性ホスファターゼ、アネキシン33kDa、アネキシン67kDa、シトクロムP450C、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、リボヌクレアーゼ、ヒストンII A、二本鎖DNA、一本鎖DNA、トランスフェリン、フェツイン、第II因子、第VII因子、フィブリン、フィブリノーゲン、C1、C1q、インターロイキン2、インターロイキン10、インターロイキン4、インターフェロンγ、TNFαR、HSP60、HSP65、GAD、インスリン、IA-2、ZnT8、MBP、AchR、ミオグロブリン、サイログロブリン、ヘモグロビンA、スペクトリン、TB PPD、LPS、MuSK、LRP4、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、チロトロピン受容体、または甲状腺で発現されるタンパク質である、実施形態184~330のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0898】
332.実施形態184~331のいずれか1つに記載の医薬組成物を含むキットであって、前記キットが、前記キットの使用者に、自己免疫疾患を有するヒト患者に前記医薬組成物を投与するように指示する添付文書を更に含む、前記キット。
【0899】
333.前記添付文書が、前記キットの使用者に、実施形態1~183のいずれか1つに記載の方法を実施するように指示する、実施形態332に記載のキット。
【0900】
334.自己抗原結合タンパク質をコードする核酸カセットであって、前記核酸カセットが、CD4+CD25+Treg細胞において活性である(すなわち、Treg系統の細胞において特異的に活性であり、他の細胞型(例えば、他の造血細胞)において活性ではない)1つ以上の系統特異的転写調節エレメントに作動可能に連結している、前記核酸カセット。
【0901】
335.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、Foxp3プロモーターを含む、実施形態334に記載の核酸カセット。
【0902】
336.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態335に記載の核酸カセット。
【0903】
337.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態336に記載の核酸カセット。
【0904】
338.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態337に記載の核酸カセット。
【0905】
339.前記Foxp3プロモーターが、配列番号1の核酸配列を有する、実施形態338に記載の核酸カセット。
【0906】
340.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態335に記載の核酸カセット。
【0907】
341.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態340に記載の核酸カセット。
【0908】
342.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態341に記載の核酸カセット。
【0909】
343.前記Foxp3プロモーターが、配列番号2の核酸配列を有する、実施形態342に記載の核酸カセット。
【0910】
344.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態335に記載の核酸カセット。
【0911】
345.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態344に記載の核酸カセット。
【0912】
346.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態345に記載の核酸カセット。
【0913】
347.前記Foxp3プロモーターが、配列番号3の核酸配列を有する、実施形態346に記載の核酸カセット。
【0914】
348.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態335に記載の核酸カセット。
【0915】
349.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態348に記載の核酸カセット。
【0916】
350.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態349に記載の核酸カセット。
【0917】
351.前記Foxp3プロモーターが、配列番号4の核酸配列を有する、実施形態350に記載の核酸カセット。
【0918】
352.前記Foxp3プロモーターが、転写因子Nr4a及び/またはFoxoに特異的に結合する、実施形態335~351のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0919】
353.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS1エンハンサーを含む、実施形態334~352のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0920】
354.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態353に記載の核酸カセット。
【0921】
355.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態354に記載の核酸カセット。
【0922】
356.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態355に記載の核酸カセット。
【0923】
357.前記CNS1エンハンサーが、配列番号5の核酸配列を有する、実施形態356に記載の核酸カセット。
【0924】
358.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態353に記載の核酸カセット。
【0925】
359.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態358に記載の核酸カセット。
【0926】
360.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態359に記載の核酸カセット。
【0927】
361.前記CNS1エンハンサーが、配列番号6の核酸配列を有する、実施形態360に記載の核酸カセット。
【0928】
362.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態353に記載の核酸カセット。
【0929】
363.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態362に記載の核酸カセット。
【0930】
364.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態363に記載の核酸カセット。
【0931】
365.前記CNS1エンハンサーが、配列番号7の核酸配列を有する、実施形態364に記載の核酸カセット。
【0932】
366.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態353に記載の核酸カセット。
【0933】
367.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態366に記載の核酸カセット。
【0934】
368.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態367に記載の核酸カセット。
【0935】
369.前記CNS1エンハンサーが、配列番号8の核酸配列を有する、実施形態368に記載の核酸カセット。
【0936】
370.前記CNS1エンハンサーが、転写因子AP-1、NFAT、Smad3、及び/またはFoxoに特異的に結合する、実施形態353~369のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0937】
371.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS2エンハンサーを含む、実施形態334~370のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0938】
372.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態371に記載の核酸カセット。
【0939】
373.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態372に記載の核酸カセット。
【0940】
374.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態373に記載の核酸カセット。
【0941】
375.前記CNS2エンハンサーが、配列番号9の核酸配列を有する、実施形態374に記載の核酸カセット。
【0942】
376.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態371に記載の核酸カセット。
【0943】
377.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態376に記載の核酸カセット。
【0944】
378.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態377に記載の核酸カセット。
【0945】
379.前記CNS2エンハンサーが、配列番号10の核酸配列を有する、実施形態378に記載の核酸カセット。
【0946】
380.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態371に記載の核酸カセット。
【0947】
381.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態380に記載の核酸カセット。
【0948】
382.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態381に記載の核酸カセット。
【0949】
383.前記CNS2エンハンサーが、配列番号11の核酸配列を有する、実施形態382に記載の核酸カセット。
【0950】
384.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態371に記載の核酸カセット。
【0951】
385.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態384に記載の核酸カセット。
【0952】
386.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態385に記載の核酸カセット。
【0953】
387.前記CNS2エンハンサーが、配列番号12の核酸配列を有する、実施形態386に記載の核酸カセット。
【0954】
388.前記CNS2エンハンサーが、転写因子Runx、Foxp3、Ets-1、CREB、Stat5、NFAT、及び/またはc-Relに特異的に結合する、実施形態371~387のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0955】
389.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS3エンハンサーを含む、実施形態334~388のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0956】
390.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態389に記載の核酸カセット。
【0957】
391.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態390に記載の核酸カセット。
【0958】
392.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態391に記載の核酸カセット。
【0959】
393.前記CNS3エンハンサーが、配列番号13の核酸配列を有する、実施形態392に記載の核酸カセット。
【0960】
394.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態389に記載の核酸カセット。
【0961】
395.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態394に記載の核酸カセット。
【0962】
396.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態395に記載の核酸カセット。
【0963】
397.前記CNS3エンハンサーが、配列番号14の核酸配列を有する、実施形態396に記載の核酸カセット。
【0964】
398.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態389に記載の核酸カセット。
【0965】
399.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態398に記載の核酸カセット。
【0966】
400.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態399に記載の核酸カセット。
【0967】
401.前記CNS3エンハンサーが、配列番号15の核酸配列を有する、実施形態400に記載の核酸カセット。
【0968】
402.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態389に記載の核酸カセット。
【0969】
403.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態402に記載の核酸カセット。
【0970】
404.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態403に記載の核酸カセット。
【0971】
405.前記CNS3エンハンサーが、配列番号16の核酸配列を有する、実施形態404に記載の核酸カセット。
【0972】
406.前記CNS3エンハンサーが、転写因子Foxo及び/またはc-Relに特異的に結合する、実施形態389~405のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0973】
407.前記1つ以上の系統特異的転写調節エレメントが、CNS0エンハンサーを含む、実施形態334~406のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0974】
408.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態407に記載の核酸カセット。
【0975】
409.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態408に記載の核酸カセット。
【0976】
410.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態409に記載の核酸カセット。
【0977】
411.前記CNS0エンハンサーが、配列番号17の核酸配列を有する、実施形態410に記載の核酸カセット。
【0978】
412.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態407に記載の核酸カセット。
【0979】
413.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態412に記載の核酸カセット。
【0980】
414.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態413に記載の核酸カセット。
【0981】
415.前記CNS0エンハンサーが、配列番号18の核酸配列を有する、実施形態414に記載の核酸カセット。
【0982】
416.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態407に記載の核酸カセット。
【0983】
417.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態416に記載の核酸カセット。
【0984】
418.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態417に記載の核酸カセット。
【0985】
419.前記CNS0エンハンサーが、配列番号19の核酸配列を有する、実施形態418に記載の核酸カセット。
【0986】
420.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、実施形態407に記載の核酸カセット。
【0987】
421.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、実施形態420に記載の核酸カセット。
【0988】
422.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意に、前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列と少なくとも96%同一、97%同一、98%同一、99%同一、またはそれ以上である核酸配列を有する、実施形態421に記載の核酸カセット。
【0989】
423.前記CNS0エンハンサーが、配列番号20の核酸配列を有する、実施形態422に記載の核酸カセット。
【0990】
424.前記CNS0エンハンサーが、転写因子Satb1及び/またはStat5に特異的に結合する、実施形態407~423のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0991】
425.前記核酸カセットが、リボスイッチに作動可能に連結している、実施形態334~424のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0992】
426.前記リボスイッチへのリガンドの結合が、前記核酸カセットの発現を誘導する、実施形態425に記載の核酸カセット。
【0993】
427.前記自己抗原結合タンパク質が、一本鎖ポリペプチドである、実施形態334~426のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0994】
428.前記自己抗原結合タンパク質が、CARである、実施形態334~427のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0995】
429.前記キメラ抗原受容体が、抗原認識ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態428に記載の核酸カセット。
【0996】
430.前記1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインが、1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメイン、及び任意に1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態429に記載の核酸カセット。
【0997】
431.前記抗原認識ドメインが、一本鎖抗体断片であり、任意に、前記一本鎖抗体断片が、scFvである、実施形態429または430に記載の核酸カセット。
【0998】
432.前記ヒンジドメインが、CD28、CD8、IgG1/IgG4、CD4、CD7、またはIgDヒンジドメインである、実施形態429~431のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【0999】
433.前記ヒンジドメインが、CD28ヒンジドメインである、実施形態432に記載の核酸カセット。
【1000】
434.前記膜貫通ドメインが、CD28、CD3ゼータ、CD8、FcRIγ、CD4、CD7、OX40、またはMHC(H2-Kb)膜貫通ドメインを含む、実施形態429~433のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【1001】
435.前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを含む、実施形態434に記載の核酸カセット。
【1002】
436.前記1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOS)、CD66d、DAP10、及びDAP12細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される、実施形態430~435のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【1003】
437.前記1つ以上の一次細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つが、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインである、実施形態436に記載の核酸カセット。
【1004】
438.前記1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、CD83、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、BTLA、及びTollリガンド受容体細胞内シグナル伝達ドメインからなる群から選択される、実施形態430~437のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【1005】
439.前記1つ以上の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのうちの少なくとも1つが、CD28細胞内シグナル伝達ドメインである、実施形態438に記載の核酸カセット。
【1006】
440.前記キメラ抗原受容体が、N末端リーダー配列を含む、実施形態429~439のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【1007】
441.前記抗原認識ドメインが、N末端リーダー配列を含む、実施形態429~440のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【1008】
442.前記抗原認識ドメインの前記N末端リーダー配列が、前記キメラ抗原受容体の細胞処理及び細胞膜への局在化中に、前記抗原認識ドメインから切断される、実施形態441に記載の核酸カセット。
【1009】
443.前記自己抗原結合タンパク質が、多鎖タンパク質である、実施形態334~426のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【1010】
444.前記自己抗原結合タンパク質が、全長抗体、二重可変免疫グロブリンドメイン、ダイアボディ、トリアボディ、抗体様タンパク質足場、Fab断片、またはF(ab’)分子である、実施形態443に記載の核酸カセット。
【1011】
445.前記自己抗原が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、アクチン、チューブリン、ミオシン、トロポミオシン、ビメンチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ヘパリン、ラミニン、コラゲナーゼ、カルジオリピン、グルコセレブロシド、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、エノラーゼ、アルドラーゼ、酸性ホスファターゼ、アネキシン33kDa、アネキシン67kDa、シトクロムP450C、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チロシナーゼ、リボヌクレアーゼ、ヒストンII A、二本鎖DNA、一本鎖DNA、トランスフェリン、フェツイン、第II因子、第VII因子、フィブリン、フィブリノーゲン、C1、C1q、インターロイキン2、インターロイキン10、インターロイキン4、インターフェロンγ、TNFαR、HSP60、HSP65、GAD、インスリン、IA-2、ZnT8、MBP、AchR、ミオグロブリン、サイログロブリン、ヘモグロビンA、スペクトリン、TB PPD、LPS、MuSK、LRP4、免疫グロビンのFc部分、シトルリン化ペプチド、カルバミル化ペプチド、チロトロピン受容体、または甲状腺で発現されるタンパク質である、実施形態334~444のいずれか1つに記載の核酸カセット。
【1012】
446.実施形態334~445のいずれか1つに記載の核酸カセットを含む、ウイルスベクター。
【1013】
447.前記ウイルスベクターが、レトロウイルス科ファミリーウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、ヘルペスウイルス、及びポックスウイルスからなる群から選択される、実施形態446に記載のウイルスベクター。
【1014】
448.前記ウイルスベクターが、レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターである、実施形態447に記載のウイルスベクター。
【1015】
449.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態448に記載のウイルスベクター。
【1016】
450.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターが、アルファレトロウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、実施形態448に記載のウイルスベクター。
【1017】
451.前記レトロウイルス科ファミリーウイルスベクターが、中央ポリプリン帯、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、5’-LTR、HIVシグナル配列、HIV Psiシグナル5’-スプライス部位、デルタ-GAGエレメント、3’-スプライス部位、及び3’-自己不活性化LTRを含む、実施形態447~450のいずれか1つに記載のウイルスベクター。
【1018】
452.前記ウイルスベクターが、偽型ウイルスベクターである、実施形態447~451のいずれか1つに記載のウイルスベクター。
【1019】
453.前記偽型ウイルスベクターが、偽型アデノウイルス、偽型パルボウイルス、偽型コロナウイルス、偽型ラブドウイルス、偽型パラミクソウイルス、偽型ピコルナウイルス、偽型アルファウイルス、偽型ヘルペスウイルス、偽型ポックスウイルス、及び偽型レトロウイルス科ファミリーウイルスからなる群から選択される、実施形態452に記載のウイルスベクター。
【1020】
454.前記偽型ウイルスベクターが、偽型レンチウイルスベクターである、実施形態453に記載のウイルスベクター。
【1021】
455.前記偽型ウイルスベクターが、VSV、RD114ウイルス、MLV、FeLV、VEE、HFV、WDSV、SFV、狂犬病ウイルス、ALV、BIV、BLV、EBV、CAEV、SNV、ChTLV、STLV、MPMV、SMRV、RAV、FuSV、MH2、AEV、AMV、トリ肉腫ウイルスCT10、及びEIAVから選択されるウイルス由来のエンベロープタンパク質を含む、実施形態452~454のいずれか1つに記載のウイルスベクター。
【1022】
456.前記偽型ウイルスベクターが、VSV-Gエンベロープタンパク質を含む、実施形態455に記載のウイルスベクター。
【1023】
他の実施形態
記載された開示の様々な改変及び変形は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本開示は、特定の実施形態に関連して記載されているが、特許請求される本開示はかかる特定の実施形態に必要以上に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者には明らかである、本開示を実行するための記載された様式の様々な改変は、本開示の範囲内にあることが意図される。
【1024】
他の実施形態は、特許請求の範囲内である。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
【配列表】
2024533361000001.xml
【国際調査報告】