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特表2024-533362AXLデコイ受容体を一次治療として使用する局所進行又は転移性膵臓腺がんを治療する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】AXLデコイ受容体を一次治療として使用する局所進行又は転移性膵臓腺がんを治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20240905BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
A61K38/17
A61K31/337
A61K31/7068
A61P35/00
A61P1/18
A61P43/00 121
C07K19/00 ZNA
C07K14/705
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515339
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 US2022043234
(87)【国際公開番号】W WO2023039254
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/243,113
(32)【優先日】2021-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522265866
【氏名又は名称】アラヴィヴ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARAVIVE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア,ゲイル
(72)【発明者】
【氏名】ラングワラ,レシュマ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA41
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086EA17
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA28
4H045FA74
4H045GA25
4H045GA30
4H045GA31
(57)【要約】
ヒト患者における膵管腺がんの治療のための組成物及び方法であって、対照に比較して病態安定/奏効(例えば、全奏効率(ORR))、より長いPFS、及びOSを達成するために決定されたレジメンに従う一次治療としての単剤療法としての、又はナブパクリタキセル及びゲムシタビンとの併用での、可溶性AXLバリアントポリペプチドの治療的投与量の投与を含む組成物及び方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における膵管腺がんを治療するための方法であって、ゲムシタビンと併用でナブパクリタキセルを投与された患者に比較して病態安定を達成すると決定されたレジメンに従う一次治療としてのナブパクリタキセル及びゲムシタビンと併用での可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与を含む、方法。
【請求項2】
患者における膵管腺がんを治療するための方法であって、ゲムシタビンと併用でナブパクリタキセルを投与された患者に比較してより長い無増悪生存期間を達成すると決定されたレジメンに従う一次治療としてのナブパクリタキセル及びゲムシタビンと併用での可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与を含む、方法。
【請求項3】
ナブパクリタキセル及びゲムシタビンと併用での前記可溶性AXLバリアントポリペプチドの効果が相乗的である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
患者における膵管腺がんを治療するための方法であって、ゲムシタビンと併用でナブパクリタキセルを投与された患者に比較して病態安定を達成すると決定されたレジメンに従う一次治療としての可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与を含む、方法。
【請求項5】
患者における膵管腺がんを治療するための方法であって、ゲムシタビンと併用でナブパクリタキセルを投与された患者に比較してより長い無増悪生存期間を達成すると決定されたレジメンに従う一次治療としての可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与を含む、方法。
【請求項6】
前記可溶性AXLバリアントポリペプチドがAXL膜貫通ドメインを欠き;機能的なフィブロネクチン(FN)ドメインを欠き;1つ又は複数のIg1ドメイン及び任意選択で、1つ又は複数のIg2ドメインを有し;且つ
1)Gly32Ser、Asp87Gly、Val92Ala、及びGly127Arg、
2)Glu26Gly、Val79Met、Val92Ala、及びGly127Glu、並びに
3)Gly32Ser、Ala72Val、Asp87Gly、Val92Ala、及びGly127Arg
からなる群より選択される野生型AXL配列(配列番号1)の一連のアミノ酸改変を有し、
前記改変が、増殖停止特異的タンパク質6(GAS6)に対する前記AXLポリペプチドの結合親和性を増加させる
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記可溶性AXLバリアントポリペプチドが、Fc領域に融合している、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記患者に投与される前記可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与量が、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0mg/kg、約10.5、約11.0、約11.5、約12.0、約12.5、約13.0、約13.5、約14.0、約14.5、約15.0、約15.5、約16.0、約16.5、約17.0、約17.5、約18.0、約18.5、約19.0mg/kg、約19.5、約20.0mg/kg、約25.0mg/kg、及び約30.0mg/kgからなる群より選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ナブパクリタキセル及びゲムシタビンの投与量が、約25、約50、約75、約100、約125、約150、約175、約200、約225、約250、約275、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、約500mg/kg、約525、約550、約575、約600、約625、約650、約675、約700、約725、約750、約775、約800、約825、約850、約875、約900、約925、約950、約975、約1000、約1025、約1050、約1075、約1100、約1125、約1150、約1175、約1200、約1225、約1250、約1275、約1300、約1325、約1350、約1375、約1400、約1425、約1450、約1475、及び約1500mg/mからなる群より選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与量が、毎週2回投与される15mg/kgであり、ナブパクリタキセルの投与量が、毎週1回の125mg/mであり、ゲムシタビンの投与量が、毎週1回の1000mg/mである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年9月11日に出願された米国仮特許出願第63/243,113号に対する優先権を主張するものであり、上記仮特許出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本出願には、「紙のコピー」(PDFファイル)の形式の配列表、及び参照配列(配列番号1及び2)がコンピュータ可読形式で入っているファイル(ST26フォーマットテキストファイル)が含まれており、本明細書に提出されている。配列表は、37 C.F.R.1.822に定められているアミノ酸の標準的な3文字コードを使用して示されている。
【0003】
連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発に関する記載
本研究は、テキサス州がん予防・研究機関(Cancer Prevention & Research Institute of Texas)、New Company Product Development Award DP150127の支援を受けた。アメリカ合衆国テキサス州は、本出願に基づいて発行される特許について権利を有しうる。
【背景技術】
【0004】
膵管腺がん(PDAC)は、米国(US)では12番目に多いがんである。診断時の年齢中央値は、70歳であり、症例のほぼ90%が、55歳を過ぎて発症する。米国では2021年に、推定60,430名が、膵臓がんと診断されて、48,220名より多くの人々が、この疾患により死亡するとされる(American Cancer Society. Cancer Facts and Figures,2021)。膵臓がんは、すべての主要がんで最大の死亡率を有する。それは現在、米国では肺がん及び結腸がんに続くがん関連死亡原因の第三位である。局所、領域、遠隔疾患、及び全ステージの5年生存率はそれぞれ、29%、11%、3%、及び8%である。
【0005】
手術、放射線療法及び化学療法が、生存期間を延長する、又は症状を緩和する治療選択であるが、治癒に至ることはめったにない。膵臓がんが診断時に膵臓以外に転移していることが多いことを考えると、腫瘍の外科的切除は、膵臓がんと診断された患者の20%未満において可能となる。化学療法(そして時には放射線)でのアジュバント療法が、再発のリスクを低下する場合がある。進行疾患では、化学療法(時には標的薬物療法と併用で)が、生存期間を延長する場合がある。
【0006】
標的療法及び免疫療法は、まだ膵臓治療レジメンに完全には統合されていない。アクショナブル変異が、膵臓腺がんで同定されたが、これらの変異は、極めて稀であり、関連の治療は、患者のほんの一部に限られる。
【0007】
膵臓腺がん患者の大多数で、ゲムシタビンと併用されるナブパクリタキセルをはじめとする化学療法での全身治療が、標準治療である。全米総合がん情報ネットワーク(National Comprehensive Cancer Network)のガイドラインによれば、0又は1の米国東海岸がん臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG-PS)を有する転移性疾患の患者は、ナブパクリタキセル及びゲムシタビン、フォルフィリノックス(FOLFIRINOX)、又は改変フォルフィリノックスが一次(1L)治療として考慮されるべきである(全米総合がん情報ネットワークガイドライン、膵臓腺がん、バージョン2.2021)(National Comprehensive Cancer Network Guidelines,Pancreatic Adenocarcinoma,Version 2.2021)。
【0008】
進行膵臓がんの対象67名でのナブパクリタキセル(100、125及び150mg/m2)+ゲムシタビンの第1/2相試験において、ナブパクリタキセル125mg/m2で治療された対象の群では、PR率が、48%であり、さらなる20%の患者が、16週以上の間、病態安定(SD)を示し、PFS中央値は、7.9か月(95%CI 5.8~11.0)であった。全生存期間中央値(OS)は、12.2か月(95%CI 8.9~17.9)であった。150mg/m2で観察された用量制限毒性は、対象1名で敗血症及び好中球減少症であり、対象2名でグレード3AEの疲労感及び白血球減少症であった。任意のグレードの最も一般的な治療関連の有害事象(AE)は、貧血(98%)、白血球減少症(91%)、好中球減少症(89%)、血小板減少症(83%)、疲労感(76%)、脱毛(76%)、感覚性ニューロパチー(63%)、及び吐気(48%)であった。これらの治療関連AEのほとんどが、グレード1及び2であった。具体的には、ナブパクリタキセル関連に帰属するグレード3以上の非血液学的AEは、疲労感(21%)及び感覚性ニューロパチー(15%)であった。グレード3以上の治療関連血液学的AEのうち、好中球減少症(67%)、白血球減少症(44%)、及び血小板減少症(23%)が、最も一般的であった(Von Hoff,D.,J Clin Oncology.,29:4548-4554,2011)。
【0009】
これらの結果に基づき、無作為化オープンラベル第三相試験が、転移性膵臓腺がんの患者における1L治療としてのゲムシタビン vs ゲムシタビン+ナブパクリタキセルの有効性及び安全性を評価するために実施された。合計で861名の対象が、無作為化された。この試験は、主要評価項目を満たし、併用での8.5か月のOS vs ゲムシタビン単独での6.7か月のOSであった(HR 0.72;p<0.0001)。OSは、糖鎖抗原19-9(CA19-9)レベルの低下に関連づけられた。CA19-9レベルの50%超の低下を有した対象は、62%客観的奏効率(ORR)及び13.6か月のOSを有したが、CA19-9レベルが50%未満の低下であった対象は、33%ORR及び6.5か月のOSを有した。無増悪生存期間中央値は、ゲムシタビン群の3.7か月に比較して、ナブパクリタキセル-ゲムシタビン群では5.5か月であり(進行又は死亡のハザード比 0.69(95%CI 0.58~0.82;P<0.001))、独立した再調査による奏効率は、23%vs7%であった(P<0.001)。
【0010】
最も多く報告された、併用に関連する非血液学的AEは、疲労感(54%)、脱毛(50%)、及び吐気(49%)であった。ナブパクリタキセルの中止につながる末梢神経障害の発生率は、8%であり、投与量減少につながる発病率は、10%であった。SAEを持つ患者の割合は、2つの治療群で類似していた(ナブパクリタキセル+ゲムシタビンで50%、及びゲムシタビン単独で43%)。致命的事象が、各治療群の対象の4%で報告された。敗血症(全グレード)は、肺炎(4%vs1%)と同様に、ゲムシタビン群よりもナブパクリタキセル+ゲムシタビン群(5%vs2%)でより多く報告された(Von Hoff,D.,New England Journal of Medicine,369:1691-1703,2013)。
【0011】
近年の発展にもかかわらず、膵管腺がんの治療における無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率、及び全生存期間という3種の有効性評価項目の改善を達成する新規な全身治療の開発には、依然として満たされない要求が存在する。
【0012】
参照による援用
特許文献13/554,954;13/595,936;13/714,875;13/950,111;14/712,731;14/650,852;14/650,854;14/910,565;米国特許出願公開第2011/022125号;米国特許出願公開第2013/056435号;米国特許出願公開第2012/069841号;米国特許出願公開第2013/074809号;米国特許出願公開第2013/074786号;米国特許出願公開第2013/074796号;米国特許出願公開第2015/0315553
【発明の概要】
【0013】
1つの態様では、本発明は、ヒト患者における膵管腺がんの治療のための方法であって、対照に比較して病態安定/奏効(例えば、全奏効率(ORR))、より長い無増悪生存期間(PFS)、及び全生存期間(OS)を達成するために決定されたレジメンに従う一次治療としての可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与を含む方法を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、ヒト患者における膵管腺がんの治療のための方法であって、対照に比較して病態安定/奏効(例えば、全奏効率(ORR))、より長いPFS、及びOSを達成するために決定されたレジメンに従う一次治療としてのナブパクリタキセル及びゲムシタビンと併用された可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、ナブパクリタキセル及び/又はゲムシタビンの治療活性への相加的又は相乗的利益を提供しうる。
【0015】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLポリペプチドは可溶性AXLバリアントポリペプチドであり、前記可溶性AXLバリアントポリペプチドは、AXL膜貫通ドメインを欠き、機能的なフィブロネクチン(FN)ドメインを欠き、1つ又は複数のIg1ドメインを有し、1つ又は複数のIg2ドメインを有し、前記AXLバリアントポリペプチドは、野生型AXLに比較して、AXLバリアントポリペプチドのGAS6に対する結合親和性の増加をもたらす。
【0016】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLポリペプチドは可溶性AXLバリアントポリペプチドであり、前記可溶性AXLバリアントポリペプチドは、AXL膜貫通ドメインを欠き、機能的なフィブロネクチン(FN)ドメインを欠き、1つのIg1ドメインを有し、機能的なIg2ドメインを有し、前記AXLバリアントポリペプチドは、野生型AXLに比較して、AXLバリアントポリペプチドのGAS6に対する結合親和性の増加を示す。
【0017】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドは、Fcドメインを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、バリアントポリペプチドは、AXL細胞内ドメインを欠く。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドはさらに、機能的なフィブロネクチン(FN)ドメインを欠き、前記バリアントポリペプチドは、そのポリペプチドのGAS6に対する結合親和性の増加を呈する。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、野生型AXL配列に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、野生型AXL配列(配列番号1)の1)15~50の間、2)60~120の間、及び3)125~135の間からなる群より選択される領域内の少なくとも1つのアミノ酸改変を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、野生型AXL配列(配列番号1)の19、23、26、27、32、33、38、44、61、65、72、74、78、79、86、87、88、90、92、97、98、105、109、112、113、116、118、若しくは127の位置に少なくとも1つのアミノ酸改変又はそれらの組み合わせを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、1)A19T、2)T23M、3)E26G、4)E27G又はE27K、5)G32S、6)N33S、7)T38I、8)T44A、9)H61Y、10)D65N、11)A72V、12)S74N、13)Q78E、14)V79M、15)Q86R、16)D87G、17)D88N、18)I90M又はI90V、19)V92A、V92G又はV92D、20)I97R、21)T98A又はT98P、22)T105M、23)Q109R、24)V112A、25)F113L、26)H116R、27)T118A、28)G127R又はG127E、及び29)G129E並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸改変を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:(a)グリシン32;(b)アスパラギン酸87;(c)バリン92;及び(d)グリシン127。
【0022】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:(a)アスパラギン酸87及び(b)バリン92。
【0023】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:(a)グリシン32;(b)アスパラギン酸87;(c)バリン92;(d)グリシン127及び(e)アラニン72。
【0024】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:アラニン72。
【0025】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドのグリシン32残基がセリン残基で置換されるか、アスパラギン酸87残基がグリシン残基で置換されるか、バリン92残基がアラニン残基で置換されるか、若しくはグリシン127残基がアルギニン残基で置換されるか、又はそれらの組み合わせである。
【0026】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチド残基のアスパラギン酸87残基がグリシン残基で置換されるか、若しくはバリン92残基がアラニン残基で置換されるか、又はそれらの組み合わせである。
【0027】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドのアラニン72残基がバリン残基で置換される。
【0028】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドのグリシン32残基がセリン残基で置換されるか、アスパラギン酸87残基がグリシン残基で置換されるか、バリン92残基がアラニン残基で置換されるか、グリシン127残基がアルギニン残基で置換されるか、若しくはアラニン72残基がバリン残基で置換されるか、又はそれらの組み合わせである。
【0029】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:(a)グルタミン酸26;(b)バリン79;(c)バリン92;及び(d)グリシン127。
【0030】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドのグルタミン酸26残基がグリシン残基で置換されるか、バリン79残基がメチオニン残基で置換されるか、バリン92残基がアラニン残基で置換されるか、若しくはグリシン127残基がアルギニン残基で置換されるか、又はそれらの組み合わせである。
【0031】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドは、野生型AXLポリペプチド(配列番号1)のアミノ酸領域19~437、130~437、19~132、21~121、26~132、26~121及び1~437からなる群より選択される少なくともアミノ酸領域を含み、そこにおいて1つ又は複数のアミノ酸改変が前記アミノ酸領域で起こる。
【0032】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:(a)グリシン32;(b)アスパラギン酸87;(c)アラニン72;及び(d)バリン92。
【0033】
いくつかの実施形態では、AXLバリアントポリペプチドのグリシン32がセリン残基で置換されるか、アスパラギン酸87がグリシン残基で置換されるか、アラニン72がバリン残基で置換されるか、バリン92がアラニン残基で置換されるか、又はそれらの組み合わせである。
【0034】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、Fcドメインをさらに含む融合タンパク質であり、前記AXLバリアントは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:(a)グリシン32;(b)アスパラギン酸87;(c)アラニン72;及び(d)バリン92。
【0035】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、Fcドメインを含む融合タンパク質であり、そこにおいてグリシン32がセリン残基で置換されるか、アスパラギン酸87がグリシン残基で置換されるか、アラニン72がバリン残基で置換されるか、バリン92がアラニン残基で置換されるか、又はそれらの組み合わせである。
【0036】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、Fcドメインを含む融合タンパク質であり、前記AXLバリアントは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:(a)グリシン32;(b)アスパラギン酸87;(c)アラニン72;(d)バリン92;及び(e)グリシン127。
【0037】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、Fcドメインを含む融合タンパク質であり、そこにおいてグリシン32がセリン残基で置換されるか、アスパラギン酸87がグリシン残基で置換されるか、アラニン72がバリン残基で置換されるか、バリン92がアラニン残基で置換されるか、グリシン127がアルギニン残基で置換されるか、又はそれらの組み合わせである。
【0038】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLポリペプチドは、Fcドメインを含む融合タンパク質であり、機能的なFNドメインを欠き、前記AXLバリアントは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:(a)グリシン32;(b)アスパラギン酸87;(c)アラニン72;(d)バリン92;及び(e)グリシン127。
【0039】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントは、Fcドメインを含む融合タンパク質であり、機能的なFNドメインを欠き、そこにおいてグリシン32がセリン残基で置換されるか、アスパラギン酸87がグリシン残基で置換されるか、アラニン72がバリン残基で置換されるか、バリン92がアラニン残基で置換されるか、グリシン127がアルギニン残基で置換されるか、又はそれらの組み合わせである。
【0040】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、Fcドメインを含む融合タンパク質であり、機能的なFNドメインを欠き、Ig2ドメインを欠き、前記AXLバリアントは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:(a)グリシン32;(b)アスパラギン酸87;(c)アラニン72及び(d)バリン92。
【0041】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントは、Fcドメインを含む融合タンパク質であり、機能的なFNドメインを欠き、Ig2ドメインを欠き、そこにおいてグリシン32がセリン残基で置換されるか、アスパラギン酸87がグリシン残基で置換されるか、アラニン72がバリン残基で置換されるか、バリン92がアラニン残基で置換されるか、又はそれらの組み合わせである。
【0042】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、Fcドメインを含む融合タンパク質であり、機能的なFNドメインを欠き、Ig2ドメインを欠き、前記AXLバリアントは野生型AXL配列(配列番号1)に対して以下の位置にアミノ酸の変更を含む:(a)グリシン32;(b)アスパラギン酸87;(c)アラニン72;(d)バリン92;及び(e)グリシン127。
【0043】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントは、Fcドメインを含む融合タンパク質であり、機能的なFNドメインを欠き、Ig2ドメインを欠き、そこにおいてグリシン32がセリン残基で置換されるか、アスパラギン酸87がグリシン残基で置換されるか、アラニン72がバリン残基で置換されるか、バリン92がアラニン残基で置換されるか、グリシン127がアルギニン残基で置換されるか、又はそれらの組み合わせである。
【0044】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、GAS6に対して、少なくとも約1×10-8M、1×10-9M、1×10-10M、1×10-11M又は1×10-12Mの結合親和性を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、野生型AXLポリペプチドの親和性よりも、少なくとも約5倍強い、少なくとも約10倍強い、又は少なくとも約20倍強いGAS6に対する結合親和性を示す。
【0046】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドはリンカーをさらに含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ又は複数の(GLY)SER単位を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、1、2、3又は5つの(GLY)SER単位を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つの(GLY)SER単位を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、Fcドメイン、リンカーを含む融合タンパク質であり、機能的なFNドメインを欠き、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する(本明細書では「AVB-S6-500」と呼ぶ)。AVB-S6-500はまた、文献の中で出願者により「AVB-500」及び「バチラキセプト(batiraxcept)」と呼ばれてきた。
【0048】
いくつかの実施形態では、患者に投与される可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与量は、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0mg/kg、約10.5、約11.0、約11.5、約12.0、約12.5、約13.0、約13.5、約14.0、約14.5、約15.0、約15.5、約16.0、約16.5、約17.0、約17.5、約18.0、約18.5、約19.0、約19.5、約20.0mg/kg、約20.5mg/kg、約21.0mg/kg、約21.5mg/kg、約22.0mg/kg、約22.5mg/kg、約23.0mg/kg、約23.5mg/kg、約24.0mg/kg、約24.5mg/kg、約25.0mg/kg、約25.5mg/kg、約26.0mg/kg、約26.5mg/kg、約27.0mg/kg、約27.5mg/kg、約28.0mg/kg、約28.5mg/kg、約29.0mg/kg、約29.5mg/kg、及び約30.0mg/kgからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、15mg/kgの週投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、10mg/kgの週投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、5mg/kgの週投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、2.5mg/kgの週投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、1mg/kgの週投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに25mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに20mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに15mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに10mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに5mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに2.5mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに1mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。
【0049】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドと共に患者に共投与される(co-administrated)ナブパクリタキセル及びゲムシタビンの投与量は、約25、約50、約75、約100、約125、約150、約175、約200、約225、約250、約275、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、約500mg/kg、約525、約550、約575、約600、約625、約650、約675、約700、約725、約750、約775、約800、約825、約850、約875、約900、約925、約950、約975、約1000、約1025、約1050、約1075、約1100、約1125、約1150、約1175、約1200、約1225、約1250、約1275、約1300、約1325、約1350、約1375、約1400、約1425、約1450、約1475、及び約1500mg/mからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、ナブパクリタキセルは、125mg/mの週投与量で30又は40分かけてIV注入として投与されることになり、ゲムシタビンは、1000mg/mの週投与量で30又は40分かけてIV注入として投与されることになる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
定義
本明細書において特に定義されていない限り、本発明と関連して使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈から特に必要とされない限り、単数形の用語には複数形が含まれ、複数形の用語には単数形が含まれるものとする。一般に、本明細書に記載の細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学及びタンパク質化学及び核酸化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される用語体系並びにそれらの技術は、当該技術分野で一般的に使用され、周知のものである。本発明の方法及び技術は、一般に、当該技術分野で周知の従来の方法に従って、且つ、特に断らない限り、本明細書全体を通して引用及び議論されている様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載されているように実行される。例えば、参照により本明細書に援用される、Green and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2012)を参照されたい。酵素反応及び精製技術は、当該技術分野で一般的に達成されるか、又は本明細書に記載されるように、製造業者の仕様に従って実行される。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、及び医薬品化学及び医薬化学に関連して使用される用語体系、並びにそれらの実験室での手順及び技術は、当該技術分野で一般的に使用され、周知のものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、医薬品調製、製剤、及び送達、並びに対象の治療に使用される。
【0051】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書において交換可能に使用されて、2つ以上のアミノ酸残基のポリマーを意味する。この用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣物であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び非天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。「抗体」及び「抗体(複数)」という用語は、本明細書において交換可能に使用されて、多くの場合抗原と呼ばれる別の分子と相互作用する、かつ/又はそれに結合することができるポリペプチドを意味する。抗体には、例えば「抗原結合ポリペプチド」又は「標的分子結合ポリペプチド」が含まれうる。本発明の抗原は、例えば本発明に記載の任意のポリペプチドを含むことができる。
【0052】
「単離された分子」という用語(分子が、例えばポリペプチド、ポリヌクレオチド、又は抗体である場合)は、誘導体化の起源又は供給源のおかげで、(1)天然の状態で単離された分子を随伴する天然では会合する成分と会合しない分子、(2)同じ種からの他の分子を実質的に含まない分子、(3)異なる種からの細胞により発現される分子、又は(4)天然に存在しない分子、である。したがって、化学合成された分子、又は天然で起源とする細胞と異なる細胞系で発現される分子が、天然で会合する成分から「単離される」ことになる。分子は同じく、当該技術分野において周知の精製技術を利用して、単離により天然で会合する成分を実質的に含まないようにさせてもよい。分子の純度又は均質性は、当該技術分野において周知の複数の手段によりアッセイされてもよい。例えば、ポリペプチド試料の純度は、当該技術分野において周知の技術を利用してポリペプチドを視覚化するために、ポリアクリルアミドゲル電気泳動と、ゲルの染色と、を利用してアッセイされてもよい。特定の目的では、より高い分解度が、HPLC又は精製のための当該技術分野において周知の他の手段を利用することにより提供されてもよい。
【0053】
試料の少なくとも約60%~75%が、単一種のポリペプチドを呈する場合、タンパク質又はポリペプチドは、「実質的に純粋である」、「実質的に均質である」、又は「実質的に精製されている」。実質的に純粋なポリペプチド又はタンパク質が、典型的にはタンパク質試料の約50%、60%、70%、80%若しくは90%w/w、より通常は約95%を構成することになり、例えば99%を超えて純粋であることになる。タンパク質純度又は均質性は、タンパク質試料のポリアクリルアミドゲル電気泳動、続いてゲルを当該技術分野で周知の染色剤で染色して単一のポリペプチドバンドを視覚化すること、などの当該技術分野で周知の複数の手段により示されてもよい。特定の目的では、より高い分解度が、HPLC又は精製のための当該技術分野において周知の他の手段を利用することにより提供されてもよい。
【0054】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を意味する。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、並びに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合しているα-炭素を有する化合物を意味し、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムがある。そのような類似体は、修飾されたR基(例えばノルロイシン)又は修飾されたペプチド主鎖を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化合物を意味する。アミノ酸を表すために本発明で使用される1文字はすべて、当該分野で日常的に使用され、一般に認められているアミノ酸記号に従って用いられ、例えば、Aはアラニンを意味し、Cはシステインを意味するなどである。アミノ酸は該当する位置の前後に1文字で表され、元のアミノ酸(位置の前)から変化したアミノ酸(位置の後)への変化を表す。例えば、A19Tは、19位のアミノ酸のアラニンがスレオニンに変化していることを意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「腫瘍」という用語は、悪性か良性かを問わず、すべての新生物細胞の成長及び増殖、並びにすべての前がん性及びがん性の細胞及び組織を意味する。「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」及び「腫瘍」という用語は、本明細書で言及されているように相互に排他的ではない。
【0056】
「がん」、「新生物」、及び「腫瘍」という用語は、本明細書において交換可能に使用されて、細胞増殖に対する制御の著しい消失を特徴とする異常な増殖表現型を示すような、自律的で無秩序な増殖を示す細胞を意味する。一般に、本出願における検出、分析、分類又は治療の対象となる細胞には、前がん細胞(例えば良性)、悪性細胞、前転移性細胞及び非転移性細胞が含まれる。
【0057】
「原発腫瘍」という用語は、悪性か良性かを問わず、すべての新生物細胞の増殖及び増殖、並びに細胞の自律的で無秩序な増殖が始まった解剖学的部位、例えば元のがん性腫瘍の臓器に位置するすべての前がん性及びがん性の細胞及び組織を意味する。原発腫瘍には転移は含まれない。
【0058】
がんの「病理」には、患者の健康を損なうすべての現象が含まれる。これには、異常又は制御不能な細胞増殖、原発腫瘍の増殖及び形成、転移、隣接細胞の正常な機能への干渉、サイトカイン又は他の分泌物の異常なレベルでの放出、炎症反応又は免疫反応の抑制又は悪化、リンパ節などの周辺又は遠隔の組織又は臓器の新生物、前悪性腫瘍、悪性腫瘍、浸潤が含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用される場合、「がんの再発」及び「腫瘍の再発」という用語、並びにそれらの文法的な変異形は、がんの診断後に新生物細胞又はがん性細胞がさらに増殖することを意味する。特に、再発は、がん性組織においてさらなる増殖が起こる場合に起こりうる。「腫瘍の広がり」も同様に、腫瘍の細胞が局所又は遠隔の組織及び臓器に播種した場合に発生し、したがって、腫瘍の広がりは腫瘍の転移を包含する。「腫瘍浸潤」は、腫瘍の増殖が局所的に広がって、正常な臓器機能を圧迫、破壊、又は阻止することによって、関係する組織の機能を損なう場合に生じる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「転移」という用語は、元のがん性腫瘍の臓器に直接つながっていない臓器又は体の部位におけるがん性腫瘍の増殖を意味する。転移には微小転移も含まれると理解されることになり、微小転移とは、元のがん性腫瘍の臓器(例えば原発腫瘍を含む臓器)に直接つながっていない臓器又は体の部位に、検出不能な量のがん性細胞が存在することである。転移はまた、がん細胞が元の腫瘍部位(例えば原発腫瘍部位)からの離れることや、がん細胞が体の他の部位に移動及び/又は浸潤することなど、プロセスのいくつかの段階として定義されうる。
【0061】
がんの性質に応じて、適切な患者試料が採取される。本明細書で使用される場合、「がん性組織試料」という語句は、がん性腫瘍から得られる任意の細胞を意味する。転移していない固形腫瘍(例えば原発腫瘍)の場合、典型的には外科的に切除された腫瘍から組織試料は得られ、従来の技術で検査用に調製されることになる。
【0062】
「早期がん」又は「早期腫瘍」とは、浸潤性若しくは転移性ではないがん、又はステージ0、1、若しくは2のがんに分類されるがんを意味する。がんの例としては、がん、リンパ腫、芽腫(髄芽腫及び網膜芽腫を含む)、肉腫(脂肪肉腫及び滑膜細胞肉腫を含む)、神経内分泌腫瘍(カルチノイド腫瘍、ガストリノーマ、膵島細胞がんを含む)、中皮腫、神経鞘腫(聴神経腫を含む)、髄膜腫、腺がん、メラノーマ、白血病又はリンパ球系腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例としては、膀胱がん(例えば、尿路上皮膀胱がん(例えば、移行細胞又は尿路上皮がん、非筋層浸潤性膀胱がん、筋層浸潤性膀胱がん、及び転移性膀胱がん)及び非尿路上皮膀胱がん)、扁平細胞がん(例えば、上皮扁平細胞がん)、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺の腺がん及び肺の扁平上皮のがん腫を含む肺がん、腹膜のがん、肝細胞がん、消化器がん、脾臓がんを含む胃(gastric)又は胃(stomach)がん、膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、肝細胞がん、乳がん(転移性乳がんを含む)、結腸がん、直腸がん、大腸がん、子宮内膜又は子宮がん、唾液腺がん、腎臓(kidney)又は腎臓(renal)がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝臓がん、肛門がん、陰茎がん、メルケル細胞がん、菌状息肉症、精巣がん、食道がん、胆道の腫瘍、並びに頭頸部がん、並びに血液悪性腫瘍が挙げられる。
【0063】
「抵抗性又は難治性がん」は、例えば、化学療法、手術、放射線療法、幹細胞移植、及び免疫療法をはじめとする過去の抗がん治療に反応しない腫瘍細胞又はがんを意味する。腫瘍細胞は、治療の開始時に抵抗性若しくは難治性でありうるか、又はそれらは、治療の間に抵抗性若しくは難治性になる場合がある。難治性腫瘍細胞としては、治療の開始時に反応しない腫瘍、又は最初の短期間は反応するが治療に反応することができない腫瘍が挙げられる。難治性腫瘍細胞としてはまた、抗がん治療での治療に反応するが次回の治療に反応することができない腫瘍が挙げられる。本発明の目的では、難治性腫瘍細胞はまた、抗がん治療での治療により阻害されるように見えるが、治療が中止された後、5年まで、時には10年まで、又はより長時間までに再発する腫瘍を包含する。抗がん治療は、化学療法剤のみ、放射線のみ、標的療法のみ、手術のみ、又はそれらの組み合わせを利用しうる。説明を容易にするためであり限定ではなく、難治性腫瘍細胞が抵抗性腫瘍細胞と交換可能であるであることは、理解されることになる。いくつかの実施形態では、がんは標準治療に抵抗性である。いくつかの実施形態では、がんは化学療法抵抗性がんである。いくつかの実施形態では、がんは白金製剤抵抗性がんである。
【0064】
「腫瘍免疫」とは、腫瘍が免疫認識及びクリアランスを回避するプロセスを意味する。したがって、治療概念として、腫瘍免疫は、そのような回避が弱まったとき「治療」され、腫瘍は免疫系によって認識され、攻撃される。腫瘍認識の例としては、腫瘍結合、腫瘍縮小、及び腫瘍クリアランスが挙げられる。
【0065】
本明細書で使用される「試料」とは、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/又は生理学的特徴に基づいて特徴付け及び/又は同定される細胞及び/又は他の分子実体(entity)を含有する、対象となる(of interest)対象及び/又は個体から得られる、又はそれに由来する組成物を意味する。例えば、「疾患試料」という語句及びその変異形は、特徴付けられる細胞及び/又は分子実体を含有することが予想されるであろう、又はそれが知られている、対象となる対象から得られる任意の試料を意味する。試料としては、組織試料、初代又は培養細胞又は細胞株、細胞上清、細胞溶解物、血小板、血清、血漿、硝子体液、リンパ液、滑液、濾胞液、精液、羊水、乳汁、全血、血液由来細胞、尿、脳脊髄液、唾液、痰、涙、汗、粘液、腫瘍溶解物、組織培養液、均質化組織、腫瘍組織などの組織抽出物、細胞抽出物及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
「組織試料」又は「細胞試料」とは、対象又は個体の組織から得られる類似した細胞の集合体を意味する。組織又は細胞試料の供給源は、対象の、新鮮な、凍結された、且つ/又は保存された臓器、組織試料、生検及び/又は吸引物からの固形組織;血液又は血漿などの任意の血液成分;脳脊髄液、羊水、腹水、又は間質液などの体液;妊娠又は発育の任意の時期の細胞でありうる。組織試料は、初代又は培養細胞又は細胞株である場合もある。任意選択で、組織又は細胞試料は疾患組織/臓器から得られる。例えば、「腫瘍試料」は、腫瘍又は他のがん組織から得られる組織試料である。組織試料は、混合された細胞型の集団(例えば、腫瘍細胞及び非腫瘍細胞、がん細胞及び非がん細胞)を含みうる。組織試料には、保存料、抗凝固剤、緩衝液、固定剤、栄養素、抗生物質など、自然界では本来組織と混ざり合わない化合物が入っている場合がある。
【0067】
「検出」という用語は、直接的及び間接的な検出を含む、いずれの検出手段も包含する。
【0068】
本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語は、例えば、予測、診断、及び/又は予後の指標を意味し、試料で検出することができる。バイオマーカーは、ある特定の分子的、病理学的、組織学的、且つ/又は臨床的特徴によって特徴付けられる疾患又は障害(例えばがん)の特定のサブタイプの指標として機能しうる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは遺伝子である。バイオマーカーには、ポリヌクレオチド(例えばDNA及び/若しくはRNA)、ポリヌクレオチドコピー数の変化(例えばDNAコピー数)、ポリペプチド、ポリペプチド及びポリヌクレオチドの修飾(例えば翻訳後修飾)、炭水化物、並びに/又は糖脂質をベースとする分子マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本明細書で使用される場合、「治療」とは、有益な、又は所望の臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的では、有益な、又は所望の臨床結果としては、1つ又は複数の症状の緩和;疾患の程度の軽減;疾患の広がり(例えば転移、例えば肺又はリンパ節への転移)を予防又は遅延させること;疾患の再発を予防又は遅延させること;進行の安定化、遅延又は緩徐化;疾患状態の改善;寛解(部分又は完全にかかわらず);及び生活の質を改善すること、のうちの任意の1つ又は複数が挙げられるが、それらに限定されない。同じく「治療」により包含されるのは、増殖性疾患の病理学的結果を減らすことである。本発明の方法は、治療のこれらの態様の任意の1つ又は複数を企図する。
【0070】
治療することとは、緩和;寛解;症状の軽減若しくは病態を患者にとってより忍容性にすること;悪化若しくは衰えの速度を緩徐にすること;又は悪化の最終点を衰弱の少ないものにすることなどの任意の客観的又は主観的なパラメーターを含む、がんの治療又は改善又は予防の成功を示す任意の指標を意味しうる。症状の治療又は改善は、医師による診察の結果を含む、客観的又は主観的なパラメーターに基づきうる。したがって、「治療すること」という用語は、症状又は状態を予防若しくは遅延させるため、緩和するため、又はその発症を停止若しくは阻止するための本発明の化合物又は薬剤の投与を含む。「治療効果」という用語は、対象の疾患、疾患の症状又は疾患の副作用を減らす、消失させる、又は予防することを意味する。
【0071】
「相乗効果」という語句は、有効成分が一緒に用いられる場合に達成される効果が、有効成分を別々に使用することで生じる効果の合計より大きいことを意味する。
【0072】
「持続的な反応」は、治療中止後も腫瘍増殖を抑える効果が持続することを意味する。例えば、腫瘍の大きさは、投与フェーズの開始時と比較して同じ場合もあり、又は小さいままの場合もある。いくつかの実施形態では、持続的な反応は、持続期間が、治療期間と少なくとも同じ期間、治療期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍、又は3.0倍である。
【0073】
本明細書で使用される場合、「がんの再発を少なくする、又は抑制すること」とは、腫瘍若しくはがんの再発又は腫瘍若しくはがんの進行を少なくする、又は抑制することを意味する。本明細書に開示のように、がんの再発及び/又は進行には、限定されないが、がんの転移が含まれる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「完全奏効」又は「CR」は、標的の病変がすべて消失することを意味する。
【0075】
本明細書で使用される場合、「部分奏効」又は「PR」は、対象病変の最長径の合計(SLD)、ベースラインのSLDを基準として、少なくとも30%減少したことを意味する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「病態安定」又は「SD」は、治療開始以降最小のSLDを基準として、PRとみなされるのに充分な対象病変の縮小もなく、PDとみなされるのに充分な増加もないことを意味する。
【0077】
本明細書で使用される場合、「進行」又は「PD」とは、治療開始以降に記録された最小のSLDを基準にして、対象病変のSLDが少なくとも20%増加すること、又は1つ又は複数の新しい病変が存在することを意味する。
【0078】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存期間」(PFS)は、治療中及び治療後に、治療されている疾患(例えば、がん)が悪化しない期間の長さを意味する。無増悪生存期間には、患者が病態安定を経験した期間だけでなく、患者が完全奏効又は部分奏効を経験した期間が含まれうる。
【0079】
ここで使用される「全奏効率」又は「客観的奏効率」(ORR)は、完全奏効(CR)率と部分奏効(PR)率の合計を意味する。
【0080】
本明細書で使用される場合、「全生存期間」(OS)とは、ある集団の中で、特定の期間が経過した後に生存している可能性が高い個体の割合を意味する。
【0081】
医薬品組成物は、顆粒や、タブレット剤、丸剤、坐薬、カプセル剤、懸濁液、膏薬、ローションなどの様々な形態で調製することができる。治療的に活性のある化合物を含有する組成物を構成するために、経口及び局所使用に適した医薬グレードの有機又は無機担体及び/又は希釈剤を使用することができる。当技術分野で公知の希釈剤には、水性媒体、植物性及び動物性油脂が含まれる。安定剤、湿潤乳化剤、浸透圧を変化させるための塩又は適切なpH値を確保するための緩衝剤、及び皮膚浸透促進剤が、補助剤として使用できる。
【0082】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、一般的に安全で、毒性がなく、望ましい医薬組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、ヒトの医薬用途と同様に獣医学での用途に許容される賦形剤も含む。そのような賦形剤は、固体、液体、半固体、又はエアゾール組成物の場合には気体であることができる。
【0083】
組成物、担体、希釈剤及び試薬に言及するとき、「薬学的に許容される」、「生理学的に忍容される」という用語及びそれらの文法的な変異は、交換可能に使用され、組成物の投与を禁ずることになる程度にまで望ましくない生理学的効果を生じることなく、材料が、ヒトに対して又はヒトに投与できることを表す。
【0084】
「投薬単位」は、治療される特定の個人に対する単位的な投与量として好適な物理的に分離された単位を意味する。各単位には、必要な医薬担体と共に、所望の治療効果(単数又は複数)を発揮するように計算された量の活性化合物(単数又は複数)を含めることができる。投薬単位の形態の仕様は、(a)活性化合物(単数又は複数)の独自の特性及び達成すべき特定の治療効果(単数又は複数)、及び(b)そのような活性化合物(単数又は複数)を調合する技術に固有の制限によって決めることができる。
【0085】
「対象」、「個人」、及び「患者」という用語は、本明細書において交換可能に使用されて、治療のために評価されている、かつ/又は治療されている哺乳類を意味する。一実施形態では、哺乳類はヒトである。したがって、「対象」、「個人」、及び「患者」という用語は、限定されないが、卵巣又は前立腺の腺がん、乳がん、膠芽腫を含むがんを有する個人を包含し、がん組織を除去するための切除(手術)を受けたもの又はその候補であるものも含まれる。対象はヒトであってよいが、他の哺乳類、特にヒト疾患の実験室モデルとして有用な哺乳類、マウス、ラットなども含まれる。
【0086】
「診断」という用語は、本明細書において使用されて、ウイルス感染の特定など、分子的又は病理学的状態、疾患又は状態の特定を意味する。
【0087】
「治療有効量」とは、乳がん又は卵巣がんを治療するために被験者に投与されたときに、そのようながんの治療に影響を及ぼすのに充分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、例えば、選択された可溶性AXLポリペプチド又は抗がん治療薬、がんの病期、患者の年齢、体重及び/又は健康状態、並びに処方する医師の判断などによって様々でありうる。どのような場合でも、適切な量は、当業者によって容易に確認することができる、又は日常的な実験によって決定することが可能である。
【0088】
「治療有効性を判定すること」という語句及びその変異形には、治療が対象に利益をもたらしていると判定するためのいずれの方法も含まれうる。「治療有効性」という用語及びその変異形は、一般に、疾患に伴う1つ又は複数の徴候又は症状の緩和によって示され、当業者によって容易に判定することができる。「治療有効性」は又は、疾患の標準又は非標準治療に典型的に伴う毒性の徴候及び症状の予防又は改善を意味することもある。治療効果の判定することは、通常、適応及び疾患に特異的であり、治療が患者に有益な効果をもたらしていることを判定するための、当該技術分野で公知又は利用可能ないずれの方法も含みうる。例えば、治療有効性の証拠としては、疾患又は適応の寛解が挙げられるが、それらに限定されない。さらに、治療有効性には、患者の生活の質の向上、予測対象生存率の向上、うつ病の減少、適応症の再発率の低下(寛解期間の延長)など、対象の全般的な健康状態の改善も含まれうるが、これらに限定されない(例えば、Physicians’Desk Reference(2010)を参照)。
【0089】
がん又は腫瘍の場合は、有効量の薬物は、がん細胞の数を減らす;腫瘍サイズを小さくする;末梢器官へのがん細胞の浸潤を抑制する(すなわち、ある程度遅くする、若しくは望ましくは止める);腫瘍転移を抑制する(すなわち、ある程度遅くする、若しくは望ましくは止める);腫瘍の増殖をある程度抑制する;且つ/又は障害に伴う1つ又は複数の症状をある程度緩和する効果を有しうる。有効量は1回又は複数回の投与で投与することができる。本発明の目的上、有効量の薬物、化合物、又は医薬組成物は、直接的又は間接的に予防的又は治療的処置を達成するのに充分な量である。臨床の文脈で理解されるように、有効量の薬物、化合物、又は医薬組成物は、他の薬物、化合物、又は医薬組成物と併用して達成される場合もあれば、されない場合もある。したがって、「有効量」は、1つ又は複数の治療剤を投与するという文脈で考慮され、1つ又は複数の他の薬剤と併用して、所望の結果が達成されうる、又は達成される場合、単一の薬剤は有効量で投与されると考えることができる。
【0090】
本明細書で使用される場合、「併用して」は、ある治療手法(treatment modality)を別の治療手法に加えて施行することを意味する。したがって、「併用して」は、ある治療手法を、個人に他の治療手法を施行する前、間、又は後に施行することを意味する。
【0091】
「併用」、「併用療法」及び「併用製品」は、特定の実施形態では、第1の治療薬と、本明細書で使用される化合物の患者への同時(concurrent)投与を意味する。いくつかの実施形態では、併用製品は非同時(non-concurrently)に投与される。併用して投与される場合、各成分を同時に(at the same time)投与することも、又は異なる時点で任意の順序で順次投与することもできる。したがって、各成分は別々に、しかし所望の治療効果がもたらされるように時間的に充分に近接して投与することができる。
【0092】
本発明の医薬組成物を用いた既知のがん治療薬の「同時(Concomitant)投与」とは、既知の薬物と本発明の組成物の両方が治療効果を有するような時間に、薬物とAXLバリアントを投与することを意味する。そのような同時投与には、本発明の化合物の投与に関して、薬物の同時(concurrent)(すなわち同時(at the same time))投与、前投与、又は後投与が含まれる。当業者であれば、本発明の特定の薬物及び組成物について、投与の適切なタイミング、順序及び投与量を決定することは困難ではないであろう。
【0093】
AXL又はそのリガンドGAS6の「阻害剤」、「活性化薬剤」及び「調節剤)」は、受容体又はリガンドの結合又はシグナル伝達のインビトロ及び生体内アッセイ、例えば、リガンド、受容体、アゴニスト、アンタゴニスト、並びにそれらのホモログ及び模倣物を使用して同定された、それぞれ、阻害分子、活性化分子又は調節分子を意味するように使用される。AXL/GAS6の機能を調節するために、所望の薬理活性を有するその化合物が、生理学的に許容される担体中で宿主に投与されてもよい。治療剤は、経口、局所、非経口、例えば静脈内、皮下、腹腔内、ウイルス感染による、血管内など、様々な方法で投与されてもよい。静脈内送達は、特に対象となる。導入の手法に応じて、その化合物は様々な方法で製剤化されてもよい。製剤中の治療活性化合物の濃度は約0.1~100重量%で様々であってもよい。
【0094】
例示的な実施形態
AXL、MER、Tyro3及びGAS6、並びに関連の経路が、国際公開第2011/091305号、並びに米国特許出願第13/554,954号及び同第13/595,936号に記載されており、それらの特許出願のすべてが、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に援用される。AXL受容体及びその活性化リガンドGAS6は、ヒトのがんにおける転移及び治療抵抗性を進行させる有力な因子である。このシグナル伝達軸は、治療介入の魅力的な標的となるが、内因性GAS6とAXLとの強力なピコモル結合親和性(14~33pM)及び低分子AXL阻害剤のプロミスキュイティーが、歴史的にAXLの特異的且つ強力な阻害にとっての障害となってきた。AVB-S6-500は、AXLの高感受性及び高特異性の阻害剤であり、GAS6に対して93~324フェムトモルの見かけの結合親和性を有し、それは野生型(WT)AXLのおよそ200倍高い結合親和性である。AVB-S6-500は、AXLの唯一のリガンドであるGAS6に結合し、AXLとそれの相互作用を阻害し、それによりインビトロでAXLがシグナル伝達する高転移性細胞の浸潤及び遊走を劇的に減らし、侵襲性の高いヒトのがんの前臨床モデルにおいて転移性疾患を阻害する。
【0095】
AVB-S6-500の薬物動態(PK)及び毒物動態、並びに増殖停止特異的6タンパク質(GAS6)の薬力学(PD)が、単回及び反復投与後のマウス(腹腔内[IP]及び静脈内[IV]経路)及びサル(IV経路)において研究されてきた。AVB-S6-500のPKプロファイルは、2つの並行した排出経路:通常のIgGクリアランスと、飽和可能であり典型的な2-コンパートメントモデルと適合する第二の系列と、による標的介在性の薬物消失(TMDD)と適合性がある。カニクイザルでの低投与量(5mg/kg未満)では、クリアランスが高く、半減期が短いが、5mg/kgを超える投与量では、クリアランスがより低く、半減期がより長く、分布容量がより大きい。TMDDモデルを利用すると(Dirks,N.A.,Clinical Pharmacokinetics,633-659,2010)、有効性があると推定されたヒト投与量は、1mg/kg(GAS6レベルがベースラインより少なくとも90%低い状態を確実に保持するために)~20mg/kg(GAS6の99%消失を確実にして、正常レベルに比べたがん患者でのGAS6レベルの3倍増加を可能にするために)の範囲内になりうる。このモデルは、ファースト・イン・ヒューマン投与を選択するために利用され、計画と臨床観察との良好な一致を示した外部検証が、公表されている(Bonifacio,l.,Clinical and Translational Science,1-8,2019)。
【0096】
3か月マウス試験では、25、50、及び100mg/kgの投与量での緩やかなボーラスIV注入としてのAVB-S6-500の毎週2回投与は、忍容性が良好で、少なくとも100mg/kg/投与量(200mg/kg/週)の無有害作用量(NOAEL)をもたらした。死亡はなく、体重又は臓器重量への毒物動態的に有意な治療関連臨床兆候又は影響がなかった。NOAEL 200mg/kg/週までの投与量で、AVB-S6-500の投与に関連する有意な臨床観察、尿検査パラメーターの変化、眼科的兆候、及び肉眼又は顕微鏡観察はなかった。
【0097】
3か月サル試験では、毎週投与される50、100、及び150mg/kg投与量での30分IV注入としてのAVB-S6-500の毎週1回の投与は、忍容性が良好で、少なくとも150mg/kg/投与量のNOAELをもたらした。死亡はなく、150mg/kg/投与量までの投与量でのAVB-S6-500の投与に関連する、体重、臨床観察、尿検査パラメーター、臓器重量、及び眼科的検査への毒性学的に有意な治療関連臨床兆候又は影響はなく、有意な肉眼又は顕微鏡観察はなかった。非用量依存的な臨床病理学的変化が認められ、それらはヒトAVB-S6-500タンパク質へのサルの免疫反応と一致した。
【0098】
AVB-S6-500が、健常志願者における単盲検プラセボ対照ファースト・イン・ヒューマン第1相単一用量漸増及び反復投与(RD)試験で評価された。1、2.5、5、及び10mg/kgの単一投与量コホート、並びに5g/kgで毎週1回、4週間投与される1つのRDコホートが評価された。対象は、60分かけてIV注入として投与されたプラセボ(通常の生理食塩水)又はAVB-S6-500のいずれかで治療された。AVB-S6-500は、すべての投与量で忍容性が良好であった。投与量に関連するAE又はSAEはなく、最大耐量(MTD)に達しなかった。実験室値に基づく任意のAEが正常範囲外になるのは、一時的であり、投与量に関連しなかった。
【0099】
AVB-S6-500が、白金製剤抵抗性再発卵巣がんを持つ対象においてパクリタキセル又はペグ化リポソームドキソルビシンのいずれかと併用されたPh1b試験において評価された。対象53名が、AVB-S6-500を10~20mg/kgの範囲の投与量で、医師が選択した化学療法と併用で2週ごとに1回投与された。用量制限毒性は、観察されなかった。加えて、2020年7月からの全投与量での全対象にわたる集約的安全性データの再調査で、試験の任意のコホートに参加した対象により経験された毒性が試験下での個々の化学療法及び疾患の予測された毒性プロファイルと一致することが、示された。AVB-S6-500の先行の試験からの臨床データに基づき、対象の少なくとも10%で観察された毒性としては、疲労感(26%)、輸液反応(21%)、貧血(21%)、及び吐気(13%)が挙げられた。すべての輸液反応は、グレード1又は2であり、適合する重篤基準はなく、すべてが後遺症なく解消されている。
【0100】
Ph1b卵巣がん試験では、予備試験データから、より良好な臨床転帰を有したAVB-S6-500の初回投与後により高いAVB-S6-500トラフレベルを有したそれらの対象で、潜在的暴露-PFS反応関連性が示された。AVB-S6-500の5~25mg/kgのシミュレーションでは、15mg/kgの投与量がこの集団でPFSへの利益の大部分を獲得する暴露を生じることになることが、示唆された。高投与量は、同様のPFSを有すると予測され、暴露に対する反応のプラトーが示唆された。15mg/kgの対象5名全員が、臨床有益性を有し、1名は完全奏効(CR)、2名は部分奏効(PR)、2名はSDであった。AVB-S6-500は、非臨床モデルにおいて現在、臨床開発中の他の抗AXL低分子と比較すると、薬理試験で優れた抗腫瘍有効性を有し、毒性を呈していない(Kariolis,m.R.,The Journal of Clinical Investigation,183-198,2017)。AVB-S6-500は、マウスへの腫瘍接種及び小腫瘍の定着後4~7日以内にこれらのモデルにおいて投与された場合に、腫瘍細胞の退縮を引き起こす。しかし、AVB-S6-500は、インビトロ及び正常な生理学的(ストレスのない)条件下で直接の細胞傷害性がない。前身のAXLデコイ受容体タンパク質MYD1 Fc(AXL-S6-1 hIgG)によるAXLシグナル伝達の調節は、上皮マーカーE-カドヘリンの発現を増加させ、AXLデコイタンパク質が生体内で間葉系から上皮への表現型転換を引き起こしたことと一致した(同論文)。間葉系表現型の復帰が、増殖阻害、スフェロイド形成能の抑制、及びアポトーシスの誘導を引き起こすことが報告されている(Azmi,A.S.,BMC Systems Biology,7:85,2013)(Ludwig,Can Res,1-30,2017)。これは、乳がん、膵臓がん及び卵巣がんモデルにおける、AXLシグナル伝達と、デオキシリボ核酸(DNA)損傷への細胞反応との関連性を示した前身のタンパク質で実行された併用療法試験と一致する。この損傷は、ドキソルビシン及びゲムシタビン試験などの細胞傷害性化学療法と併用で増加することが観察された(Kariolis,m.R.,The Journal of Clinical Investigation,183-198,2017)。したがって、ストレスを受けた細胞(間葉系表現型から上皮表現型への転換及び/又は細胞傷害剤との併用による)においてAXL/GAS6経路を阻害することが、生体内の細胞死につながると思われる。
【0101】
生体内試験により、膵臓モデルにおいて、そしてゲムシタビンとの併用ではさらに、AXLシグナル伝達とDNA損傷への細胞反応との関連性が示されたKariolis,m.R.,The Journal of Clinical Investigation,183-198,2017)。したがって、ストレスを受けた細胞においてAXL/GA6経路を阻害することが、生体内で細胞死につながると思われる。
【0102】
膵臓マウスモデルにおいて、転移発生の減少が、AVB-S6-500単剤療法で観察された。転移性腫瘍重量及び数の有意な減少が、ゲムシタビンと併用された場合の膵臓(PDA1-1)モデルにおいて観察された。加えて、生存期間が延長し、線維化が実質的に減少しており、このことは、線維化が腫瘍細胞への薬物及びT細胞の接近を阻害することにより共投与された化学療法剤又は免疫療法の有効性を低下させる可能性があることを考えると(Provenzano,2013)、この治療困難ながんにおける重大な知見である。
【0103】
本発明の方法は、ヒト患者における膵管腺がんの治療のための方法であって、対照に比較して病態安定/奏効(例えば、全奏効率(ORR))、より長い無増悪生存期間(PFS)、及び全生存期間(OS)を達成するために決定されたレジメンに従う一次治療としての可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与を含む方法を含む。
【0104】
本発明はさらに、ヒト患者における膵管腺がんの治療のための方法であって、対照に比較して病態安定/奏効(例えば、全奏効率(ORR))、より長いPFS、及びOSを達成するために決定されたレジメンに従う一次治療としてのナブパクリタキセル及びゲムシタビンと併用された可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、ナブパクリタキセル及び/又はゲムシタビンの治療活性への相加的又は相乗的利益を提供しうる。
【0105】
いくつかの実施形態では、その方法は、対照に比較して無増悪生存期間を延長する。いくつかの実施形態では、その方法は、対照に比較して全生存期間を延長する。いくつかの実施形態では、その方法は、対照に比較して改善された無増悪生存期間を達成する。いくつかの実施形態では、その方法は、対照に比較して改善された、第二の後続治療までの時間を達成する。いくつかの実施形態では、その方法は、FOSI及び/又はEQ-5D-5Lによる判定で、生活の質への悪影響を有さないことが決定されている。
【0106】
さらにいくつかの実施形態では、本発明の治療実体は、活性治療剤、すなわち、他の様々な薬学的に許容される成分を含む医薬組成物として投与されることが多い(Remington’s Pharmaceutical Science,15.sup.th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1980を参照)。好ましい形態は、意図された投与方法及び治療適用に依存する。組成物はまた、所望の製剤に応じて、動物又はヒトへの投与のための医薬組成物を製剤化するために一般的に使用されるビヒクルとして定義される、薬学的に許容される、毒性のない担体又は希釈剤を含むことができる。希釈剤は、混合物の生体活性に影響を及ぼさないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、ブドウ糖液、及びハンクス液がある。さらに、医薬組成物又は製剤はまた、他の担体、アジュバント、又は非毒性、非治療的、非免疫原性安定剤などを含むことができる。
【0107】
非経口投与の場合、本発明の組成物は、生理学的に許容される希釈剤中の物質の溶液又は懸濁液の注射による投薬として、水、油、生理食塩水、グリセロール、又はエタノールなどの滅菌液体でありうる医薬品担体と共に投与することができる。追加として、湿潤剤又は乳化剤、界面活性剤、pH緩衝物質などの補助物質を組成物中に存在させることができる。医薬組成物の他の成分は、石油、動物、植物、又は合成由来のもの、例えばピーナッツ油、大豆油、及び鉱物油である。一般的に、プロピレングリコールやポリエチレングリコールなどのグリコールは、特に注射用溶液の場合に好ましい液体担体である。抗体及び/又はポリペプチドは、有効成分の持続的な放出を可能にするように製剤化できるデポ注射又はインプラント製剤の形で投与することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、10mMのトリス、210mMのスクロース、51mMのL-アルギニン、0.01%のポリソルベート20からなる、HCl又はNaOHでpH7.4に調整された水性バッファーで中に調合された1mg/mLのポリペプチドを含む。
【0108】
典型的には、組成物は、液体溶液又は懸濁液のいずれかとして注射剤として調製され、注射前の液体ビヒクル中の溶液又は懸濁液に適した固体形態も調製されうる。また、その調製物は、前述のように、アジュバント効果を高めるために、リポソームやポリラクチド、ポリグリコリド、又はコポリマーなどの微粒子に乳化又はカプセル化することもできる。Langer,Science 249:1527,1990及びHanes,Advanced Drug Delivery Reviews 28:97-119,1997。本発明の薬剤は、有効成分の持続的放出又はパルス放出を可能にするように製剤化できるデポ注射剤又はインプラント調製物の形態で投与することができる。
【0109】
他の投与方法に適した追加の製剤には、経口、鼻腔内、肺用製剤(pulmonary formulations)、坐剤、及び経皮適用がある。
【0110】
医薬組成物は一般的に、無菌で、実質的に等張であり、米国食品医薬品局(FDA)のすべての適正製造基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)規制に完全に準拠して製剤化される。好ましくは、本明細書に記載のポリペプチド組成物の治療有効量は、実質的な毒性を生じることなく治療有益性をもたらすことになる。
【0111】
本明細書に記載のタンパク質の毒性は、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手順、例えば、LD50(集団の50%に対する致死量)又はLD100(集団の100%に対する致死量)を測定することによって求めることができる。毒性と治療効果の投与量比が治療指数である。これらの細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒトでの使用に毒性のない投与量範囲を設定する際に利用することができる。本明細書に記載のタンパク質の投与量は、好ましくは、毒性がほとんど又は全くない有効投与量を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、使用される剤形や用いられる投与経路に応じて、その範囲内で変えることができる。正確な製剤、投与経路及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択することができる。(例えば、Fingl et al.,1975,In:The Pharmacological Basis of Therapeutics,Ch.1を参照)。
【0112】
いくつかの実施形態では、患者に投与された可溶性AXLバリアントポリペプチドの投与量は、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0mg/kg、約10.5、約11.0、約11.5、約12.0、約12.5、約13.0、約13.5、約14.0、約14.5、約15.0、約15.5、約16.0、約16.5、約17.0、約17.5、約18.0、約18.5、約19.0、約19.5、約20.0、約20.5、約21.0、約21.5、約22.0、約22.5、約23.0、約23.5、約24.0、約24.5、約25.0、約25.5、約26.0、約26.5、約27.0、約27.5、約28.0、約28.5、約29.0、約29.5、及び約30.0mg/kgからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、15mg/kgの週投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、10mg/kgの週投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、5mg/kgの週投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、2.5mg/kgの週投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、1mg/kgの週投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに25mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに20mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに15mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに10mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに5mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに2.5mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドは、14日ごとに1mg/kgの投与量で30又は60分かけてIV注入として投与されることになる。
【0113】
いくつかの実施形態では、可溶性AXLバリアントポリペプチドと共に患者に共投与されるナブパクリタキセル及びゲムシタビンの投与量は、約25、約50、約75、約100、約125、約150、約175、約200、約225、約250、約275、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、約500mg/kg、約525、約550、約575、約600、約625、約650、約675、約700、約725、約750、約775、約800、約825、約850、約875、約900、約925、約950、約975、約1000、約1025、約1050、約1075、約1100、約1125、約1150、約1175、約1200、約1225、約1250、約1275、約1300、約1325、約1350、約1375、約1400、約1425、約1450、約1475、及び約1500mg/mからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、ナブパクリタキセルは、125mg/mの週投与量で30又は40分かけてIV注入として投与されることになり、ゲムシタビンは、1000mg/mの週投与量で30又は40分かけてIV注入として投与されることになる。
【実施例
【0114】
実施例1
局所進行又は転移性膵臓腺がんを持つ患者におけるAVB-S6-500+ナブパクリタキセル及びゲムシタビンの第1b/2相無作為化試験
注入のためのAVB-S6-500溶液(20mg/mL AVB-S6-500、0.01%ポリソルベート80、10%リン酸一、二-ナトリウム、9%スクロース、pH7.0)は、現行の適正製造基準(Good Manufacturing Practices)に従って包装及び標記されて、10mL滅菌溶液を含有する20mLバイアル中で臨床現場に供給されることになる[総AVB-S6-500含量はバイアルあたり200mgである]。AVB-S6-500の容量は、対象の体重に従って調整され、注入前に希釈される。
【0115】
3種の薬物すべてが投与される日に、投与の順序は、最初AVB-S6-500注入、続いて少なくとも30分の観察期間があり、その後、ナブパクリタキセル、その直後にゲムシタビンである。AVB-S6-500(15mg/kg)が、各28日サイクルの1及び15日目に1時間のIV注入により投与されることになる。対象は、輸液反応のリスク及び重症度を減らすために、AVB-S6-500の投与前に抗H1アンタゴニスト(抗H1)及び抗H2アンタゴニスト(抗H2)(任意にステロイド)での前投薬を受けることになる。ナブパクリタキセル(125mg/m2)が、各28日サイクルの1、8、及び15日目に30~40分のIV注入により投与されることになる。ナブパクリタキセルの直後に、ゲムシタビン(1000mg/m2)が、各28日サイクルの1、8、及び15日目に30分のIV注入により投与されることになる。コルチコステロイド、ジフェンヒドラミン、及びH2アンタゴニストでの適切な前投薬(組織の実践により、強く推奨されるIV抗ヒスタミン及びステロイドと共に)が、ナブパクリタキセル及びゲムシタビンの投与前に投与されるべきである。この併用は、1L膵臓腺がんの治療における標準治療であり、標準の商業的供給源から供給されることになる。
【0116】
第1b相
この試験の第1b相部分は、局所進行、再発、又は転移性1L膵臓腺がんの対象におけるナブパクリタキセル及びゲムシタビンとの併用のAVB-S6-500の安全性、忍容性、及び予備的有効性(preliminaly efficacy)を評価するための、多施設オープンラベル単回治療群計画である。サイクル1を完了した最初の6名の対象の安全性再調査が、実行されることになる。安全性基準が、これらの対象6名で許容されるならば、Ph1bコホートが、対象およそ20名までを登録することになる。対象は、組織学的又は細胞学的に確定された膵臓腺がんを有する18歳以上であることになる。除外基準としては、とりわけ、ナブパクリタキセル若しくはゲムシタビンでの過去の治療、又は任意の他の研究薬との同時治療;膵島細胞新生物;サイクル1の1日目より以前の6か月以内に治療目的で化学療法(ネオアジュバント又はアジュバント)、手術、又は照射線治療の最終投与を受けたこと;基底細胞若しくは扁平上皮細胞皮膚がん、表在性膀胱がん、又は前立腺、子宮頸部、若しくは乳房の上皮内がん以外の、過去3年以内の過去の悪性腫瘍;及びAVB-S6-500での試験への過去の参加が挙げられる。
【0117】
Ph1bの主目的は、局所進行、再発、又は転移性1L膵臓腺がんを持つ対象においてナブパクリタキセル及びゲムシタビンと併用されたAVB-S6-500の、治験責任者判定による確定及び未確定ORRにより決定されたとおり安全性及び忍容性、並びに予備的有効性を評価することである。第1b相試験の副次的目的は、1)治験責任者判定によりPFS及びDORを評価すること;2)AVB-S6-500の薬物動態(PK)プロファイルを評価すること;3)治療前及び治療中の薬力学的GAS6血清レベルを評価すること;並びに4)AVB-S6-500の潜在的免疫原性を評価すること、である。Ph1bの探索的目的は、CA19-9状態により有効性を評価すること;腫瘍AXL及び/又はGAS6状態と、臨床反応又はAVB-S6-500の抗腫瘍活性との相関と、の関連性を評価すること;前治療血清のsAXL/GAS6比及び前治療sAXL/GAS6の他の数学的変換を評価すること;並びに前治療IHCレベル及び他の潜在的に関係するタンパク質を評価すること、である。
【0118】
GAS6、AXLレベル、及び他の潜在的に関係するバイオマーカーのための前治療血清及びIHC(入手可能な場合)は、主要及び副次的有効性評価項目との関連性について探索されることになる。この探索は、(PFS及びOS反応)のCox比例ハザード回帰モデリングにおける潜在的に説明のできる変数としてそれらのバイオマーカーを用いることを含むことになる。AVB-S6-500濃度、sAXL、GAS6、及びバイオマーカー評価の分析のための血液試料(血清)が、投与に対する以下のタイムポイントで対象から採取されることになる:サイクル1の1及び15日目、並びに治療の1日目、終了時、並びに各後続サイクルの間の30日追跡調査。各タイムポイントで、血液試料(8mL)が、実験室マニュアルに記載されたとおり、血清分離管に採取されて処理されることになる。1本の試料8mLが、PK、PD、ADA、及び血清バイオマーカーを分析するのに充分であろう。
【0119】
対象は、放射線医学的進行、臨床的増悪、インフォームドコンセント撤回、死亡、又は許容されない毒性を認めるまで、治療を継続することになる。ナブパクリタキセル及びゲムシタビンでの治療が停止されたら、単剤としてのAVB-S6-500が、進行、臨床的増悪、インフォームドコンセント撤回、死亡、又は許容されない毒性を認めるまで継続されてもよい。ナブパクリタキセル及びゲムシタビンでの治療の持続時間は、治験責任者の裁量によることになる。対象はすべて、インフォームドコンセントの撤回まで、又は3年までの生存追跡期間の終了まで、OSについて追跡されることになる。
【0120】
ナブパクリタキセル及びゲムシタビンと併用されたAVB-S6-500の安全性及び忍容性が、少なくともサイクル1を完了した最初の6名の対象で評価されてり、対象20名がサイクル1を完了した後に評価されることになる。最初の6名の対象のうちの2名以上が、以下のAEを経験した場合、試験が終了することになる。最初の20名の対象におけるAE率が、ナブパクリタキセル及びゲムシタビン併用でのバックグランド毒性率を超える場合、低投与量のAVB-S6-500が、この試験のために評価されるべきかどうかが、決定されることになる。
【0121】
表1に示されるように、AVB-S6-500関連死はなく(N=21)、グレード4又は5有害作用を有した患者はなく、グレード3有害事象を有した患者は6名、注入関連反応を有した患者は3名であり、患者2名は、疲労感及び敗血症によるAVB-S6-500の中止を有した。ナブパクリタキセル及びゲムシタビン群におけるグレード4有害作用を有した患者は2名であった。
【0122】
予備試験での抗腫瘍活性が、表2に示される。3か月目には、併用療法が、PDACでの現行の標準治療を越える改善された有効性を提供する。
【0123】
5.4、7.3、7.4、及び9.2か月無増悪の際の治療にも反応を有した患者は4名である。
【0124】
前治療血清sAXL/GAS6バイオマーカー分析が、表3に示される。PDACでは現在、実行可能なバイオマーカーが限定されており、表3のデータから、sAXL/GAS6がより多くのPDAC患者を標的化及び対処するための貴重なバイオマーカーでありうることが、示唆される。
【0125】
第2相
試験のPh2部分が、AVB-S6-500と、ナブパクリタキセルと、ゲムシタビンと、を併用された場合のPh1bからの臨床活性の証拠及び忍容される安全性プロファイルに基づいて開始されることになる。この試験のPh2部分は、局所進行、再発、又は転移性1L膵臓腺がんの対象において、ナブパクリタキセル及びゲムシタビンと併用されたAVB-S6-500vsナブパクリタキセル及びゲムシタビン、で有効性を比較するための多施設無作為化オープンラベル2群計画である。対象およそ60名が登録され、2つの治療群:A群(AVB-S6-500+ナブパクリタキセル及びゲムシタビン、n=30);B群(ナブパクリタキセル及びゲムシタビン、n=30)のうちの一方に1:1で無作為化されることになる。無作為化は、スクリーニングで局所進行疾患vs転移性疾患により層別化されることになる。
【0126】
Ph2の主目的は、局所進行、再発、又は転移性1L膵臓腺がんを持つ対象においてナブパクリタキセル及びゲムシタビンと併用されたAVB-S6-500の、治験責任者判定のPFSにより決定されたとおり有効性を評価することである。第2相試験の副次的目的は、1)さらなる有効性評価項目(例えば、ORR、DOR、DCR、OS)を評価すること;2)AVB-S6-500の安全性及び忍容性を評価すること;3)AVB-S6-500のPK及びPDプロファイルを評価すること;並びに4)AVB-S6-500の免疫原性を評価すること、である。Ph1bの探索的目的は、CA19-9状態により有効性を評価すること;腫瘍AXL及び/又はGAS6状態と、臨床反応又はAVB-S6-500の抗腫瘍活性との相関と、の関連性を評価すること;前治療血清のsAXL/GAS6比及び前治療sAXL/GAS6の他の数学的変換を評価すること;並びに前治療IHCレベル及び他の潜在的に関係するタンパク質を評価すること、である。
【0127】
AVB-S6-500(15mg/kg)は、各28日サイクルの1及び15日目に投与されることになり、ナブパクリタキセル及びゲムシタビンは、1、8、及び15日目に投与されることになる。サイクル1の1日目のAVB-S6-500の初回投与は、無作為化の3日以内に施されなければならない。対象は、放射線医学的進行、臨床的増悪、インフォームドコンセント撤回、死亡、又は許容されない毒性を認めるまで、治療を継続することになる。ナブパクリタキセル及びゲムシタビンでの治療が停止された場合、単剤としてのAVB-S6-500が、進行、臨床的増悪、インフォームドコンセント撤回、死亡、又は許容されない毒性を認めるまで継続されてもよい。ナブパクリタキセル及びゲムシタビンでの治療の持続時間は、治験責任者の裁量によることになる。客観的な放射線医学的進行以外の理由で中止する任意の患者は、放射線医学的進行が観察されるまで、計画された客観的腫瘍評価を受け続けるべきである。対象はすべて、インフォームドコンセントの撤回まで、又は3年までの生存追跡期間の終了まで、OSについて追跡されることになる。
【0128】
画像評価が、訪問の遅延にかかわらず、放射線医学的進行が実証されるまで、又は対象が新しい抗がん治療を開始するまで、最初の12か月間はPh1bのサイクル1の1日目から、又はPh2の無作為化日から8週ごとに(±7日)、その後、12週ごとに(±7日)、スクリーニングの際に得られるべきである。画像試験のためのタイミングは、カレンダー日に従うべきであり、サイクル遅延に調整されないことになる。試験を通して、スクリーニング及び試験中の評価に同じ評価手法(assessment modality)が用いられるべきである。造影剤での胸部、腹部、及び骨盤のCT(又は造影剤アレルギーの場合にはMRI)が、好まれる。スクリーニングでは、胸部、腹部、及び骨盤の画像が、必要とされる。臨床的に必要であれば、腫瘍病変を有する解剖学的エリアのさらなる画像が得られてもよい。後期タイムポイントでは、胸部、腹部、骨盤、及び腫瘍病変エリアが、試験を通して追跡されるべきである。疾患評価は、治験責任者判定によるRECIST v1.1に基づくことになる。
【0129】
試験の主要有効性評価項目は、どちらが最初であろうと、Ph1bのAVB-S6-500の初回投与又はPh2での無作為化日と、放射線医学的に実証された進行又は死亡と、の時間間隔として定義されたPFSである。この評価項目は、RECIST v1.1を通して治験責任者により判定されることになる。
【0130】
OSは、AVB-S6-500の初回投与と、任意の原因による死亡と、の時間間隔として定義される。任意の新しい抗がん治療を開始した対象は、OSについての追跡を継続することになる。生存状態は、EOT後3年までの間、12週間隔(±2週間)で取得されることになる。
【0131】
RECIST v1.1を通した治験責任者判定によるORRは、PR又はCRの反応を有する対象の割合として定義される。未確定ORRでは(第1b相分析)、確定スキャン(confirming scan)は必要ない。確定ORRでは(第2相分析)、確定スキャンは、反応を示した最初のスキャンから4週より以前であることはできない。
【0132】
DORの評価は、がんの進行又は対象の死亡まで最初の反応日から測定された(RECIST v1.1を通して治験責任者による)確定CR又はPRを有する対象を含むことになる。DORは、任意の確定CR又はPRを有さない対象には含まれないことになる。
【0133】
DCRは、RECIST v1.1を通して治験責任者により、確定CR若しくはPR、又はSD≧16週の疾患反応を有する対象の割合と定義される。
【0134】
Ph1bでは、PFS及びOSは、事象/打ち切り日-初回投与日+1として日数で計算されることになる。Ph2では、PFS及びOSは、事象/打ち切り日-無作為化日+1として日数で計算されることになる。両方の相で、DORは、PFS事象/打ち切り日-初回CR又はPR反応日+1として日数で計算されることになる。PFS、OS、及びDORでは、持続時間の値が、日数の持続時間を30.4375で除算することにより月単位に変換されることになる。
【0135】
本明細書に引用されている刊行物及び特許はすべて、個々の刊行物又は特許が参照により援用されることが具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書に援用され、その刊行物が引用されている関連する方法及び/又は材料を開示及び説明するために参照により本明細書に援用される。刊行物の引用は、出願日前のその開示のためであり、先行発明によって本発明がそのような刊行物に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈すべきではない。さらに、示された発行日は、独立して確認する必要がありうる実際の発行日と異なる場合がある。
【0136】
本開示を読むと当業者には明らかなように、本明細書に説明及び図示された個々の実施形態はそれぞれ、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離する、又はそれと組み合わせることができる個別の構成要素及び特徴を有する。記載された方法はいずれも、記載された事象の順序でも、論理的に可能な他の順序でも実施することができる。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のものであると理解される。
【0137】
前述の発明は、理解を明確にする目的で、例示及び例によってある程度詳細に説明されているが、本発明の教示に照らして、特定の変更及び改変が趣旨から逸脱することなくそれに対して行われうること、又は添付の請求項によってのみ限定されることになる本発明の範囲を限定することを意図していないことは、当業者には容易に明らかであろう。
【0138】
当業者であれば、ルーチンにすぎない実験のみを使用して、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識し、又は把握することができるであろう。このような均等物は、添付の請求項に包含されることを意図している。
【0139】
配列表
添付の配列表に記載されている核酸及びアミノ酸配列は、37 C.F.R.1.822で定められているように、ヌクレオチド塩基の標準的な文字略語及びアミノ酸の3文字コードを使用して示されている。
配列番号1 - ヒトAXLポリペプチドのアミノ酸配列
MGRVPLAWCLALCGWACMAPRGTQAEESPFVGNPGNITGARGLTGTLRCQLQVQGEPPEVHWLRDGQILELADSTQTQVPLGEDEQDDWIVVSQLRITSLQLSDTGQYQCLVFLGHQTFVSQPGYVGLEGLPYFLEEPEDRTVAANTPFNLSCQAQGPPEPVDLLWLQDAVPLATAPGHGPQRSLHVPGLNKTSSFSCEAHNAKGVTTSRTATITVLPQQPRNLHLVSRQPTELEVAWTPGLSGIYPLTHCTLQAVLSNDGMGIQAGEPDPPEEPLTSQASVPPHQLRLGSLHPHTPYHIRVACTSSQGPSSWTHWLPVETPEGVPLGPPENISATRNGSQAFVHWQEPRAPLQGTLLGYRLAYQGQDTPEVLMDIGLRQEVTLELQGDGSVSNLTVCVAAYTAAGDGPWSLPVPLEAWRPGQAQPVHQLVKEPSTPAFSWPWWYVLLGAVVAAACVLILALFLVHRRKKETRYGEVFEPTVERGELVVRYRVRKSYSRRTTEATLNSLGISEELKEKLRDVMVDRHKVALGKTLGEGEFGAVMEGQLNQDDSILKVAVKTMKIAICTRSELEDFLSEAVCMKEFDHPNVMRLIGVCFQGSERESFPAPVVILPFMKHGDLHSFLLYSRLGDQPVYLPTQMLVKFMADIASGMEYLSTKRFIHRDLAARNCMLNENMSVCVADFGLSKKIYNGDYYRQGRIAKMPVKWIAIESLADRVYTSKSDVWSFGVTMWEIATRGQTPYPGVENSEIYDYLRQGNRLKQPADCLDGLYALMSRCWELNPQDRPSFTELREDLENTLKALPPAQEPDEILYVNMDEGGGYPEPPGAAGGADPPTQPDPKDSCSCLTAAEVHPAGRYVLCPSTTPSPAQPADRGSPAAPGQEDGA
配列番号2 - 例示的な可溶性AXLバリアントポリペプチド-Fc融合体
EESPFVSNPGNITGARGLTGTLRCQLQVQGEPPEVHWLRDGQILELVDSTQTQVPLGEDEQGDWIVASQLRITSLQLSDTGQYQCLVFLGHQTFVSQPGYVRLEGLPYFLEEPEDRTVAANTPFNLSCQAQGPPEPVDLLWLQDAVPLATAPGHGPQRSLHVPGLNKTSSFSCEAHNAKGVTTSRTATITVLPQQGGGGSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【配列表】
2024533362000001.xml
【国際調査報告】