IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フーダン ユニバーシティーの特許一覧

特表2024-533365高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア
<>
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図1
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図2
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図3
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図4
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図5
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図6
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図7
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図8
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図9
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図10
  • 特表-高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディア
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240905BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240905BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/01 207
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515364
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 CN2022128128
(87)【国際公開番号】W WO2023226296
(87)【国際公開日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】202210579344.7
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518384803
【氏名又は名称】フーダン ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】FUDAN UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】朱 云▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】白 辰瑶
【テーマコード(参考)】
2C056
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB08
2C056EB29
2C056EB35
2C056EB40
2C056EB58
2C056EC79
2C056FB05
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA34
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA04
4F042BA10
4F042BA12
4F042DF07
4F042DF32
4F042DF34
(57)【要約】
本発明は、高効率のOLED画素層のプリント方法に関し、以下のステップを含む予備配置駆動波形におけるジェットオリフィスごとに噴射するインク滴の体積、速度を測定し、体積が標準体積予備配置パーセント以上ずれているインク滴に対応するジェットオリフィスは閉じられて、画素マイクログルーブ内のインク滴の有効堆積範囲を計算し、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度及びプリント基板の運動速度を計算し、プリント回数を計算し、有効堆積範囲にカバーするジェットオリフィスの数、1つのジェットオリフィスから噴射されるインク滴の数、およびインク滴の体積に基づいて、プリントするたびに駆動されるジェットオリフィスと、前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の数を確認し、選択されたジェットオリフィスを駆動してインクを噴射し、画素マイクログルーブにインク滴を堆積させ、プリントを継続する必要があるかどうかを判断し、必要がなければプリントを終了し、必要があればインクジェットプリントヘッドをx方向に移動させるか、プリント基板をy方向に移動させ、プリントが終了するまで対応するジェットオリフィスを駆動してインクを噴射して次のプリントを行う。既存技術に比べて、本発明はプリント効率が高いという利点がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高効率のOLED画素層のプリント方法であって、
予備配置駆動波形におけるジェットオリフィスごとに噴射するインク滴の体積、速度を測定し、体積が標準体積予備配置パーセント以上ずれているインク滴に対応するジェットオリフィスは閉じられて、
インク滴の体積、速度、堆積位置、堆積時間間隔、及び画素マイクログルーブの濡れ性、幾何構造から画素マイクログルーブ内でのインク滴の有効堆積範囲を計算し、
生産タクト、インク粘度からインクジェットプリントヘッドのプリント頻度とプリント基板の運動速度を計算し、
画素マイクログルーブの幾何構造、ジェットオリフィスのインクジェット状況、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度、プリント基板の運動速度からプリント回数を計算し、
有効堆積範囲がカバーするジェットオリフィス数、1つのジェットオリフィスから噴射されるインク滴数、およびインク滴の体積に基づいて、プリントするごとに駆動するジェットオリフィスと前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴数を確認し、
選択したジェットオリフィスを駆動してインクを噴射し、インク滴を画素マイクログルーブに堆積させ、
プリントを継続する必要があるかどうかを判断し、必要がなければプリントを終了し、必要があればインクジェットプリントヘッドをx方向に移動させるか、プリント基板をy方向に移動させ、プリントが終了するまで対応するジェットオリフィスを駆動してインクを噴射して次のプリントを行う、という以上のステップを含むこと、を特徴とする高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項2】
前記予備配置パーセントは±5%であること、を特徴とする請求項1に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項3】
前記ジェットオリフィスのインクジェット状況は、ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積、ジェットオリフィスの作動状態を含むこと、を特徴とする請求項1に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項4】
前記ジェットオリフィスの作動状態は、正常、散布スプレー、斜めスプレーを含むこと、を特徴とする請求項3に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項5】
前記インクジェットプリントヘッドをx方向に移動させるか、プリント基板をy方向に移動させる1回の移動距離は、隣接するジェットオリフィスピッチの整数倍であること、を特徴とする請求項1に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項6】
前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の数は、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度、プリント基板の運動速度によって確認されること、を特徴とする請求項1に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項7】
前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の数は、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度に比例し、プリント基板の運動速度に反比例すること、を特徴とする請求項6に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項8】
ホストコンピュータと、プリントコントローラと、モーションコントローラと、インクジェットプリントヘッドと、プリント基板とを備え、前記ホストコンピュータは請求項1~7のいずれかに記載の方法に従って制御情報を送信し、プリントコントローラとモーションコントローラを制御し、プリントコントローラは前記制御情報に従ってインクジェットプリントヘッドのインクジェットを制御し、モーションコントローラは前記制御情報に基づいてインクジェットプリントヘッドとプリント基板の動きを制御すること、を特徴とする高効率のOLED画素層のプリント装置。
【請求項9】
前記プリントコントローラはインクジェットプリントヘッドのインクジェットを制御することは、ジェットオリフィスの選択と駆動と、ジェットオリフィスからの体積、速度、噴射角度が要求に合ったインク滴を噴射することを制御することを含むこと、を特徴とする請求項8に記載の高効率のOLED画素層のプリント装置。
【請求項10】
プログラムが保存されて、前記プログラムが実行されるとき、請求項1~7のいずれかに記載の方法を実現すること、を特徴とするストレージメディア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLEDインクジェットプリント技術の分野に関し、特に、高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディアに関する。
【背景技術】
【0002】
デバイスの表示効果を保証するために、OLED画素層プリントは画素マイクログルーブに堆積したインク滴の体積とインク分布に正確な要求がある。ヘッドの製造誤差により、各ジェットオリフィスは同じ駆動波形で噴射する液滴の体積に一定のばらつきがある。各画素マイクログルーブ内のインク滴の体積を同じにするために、通常、各ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積を一定範囲内に保つために、ジェットオリフィスごとに異なる駆動波形を用いる方法が採用されている。さらに、各画素マイクログルーブに対して、異なるジェットオリフィスを用いるインク滴を噴射することにより、画素マイクログルーブ内に堆積するインク滴の総体積の安定を保証する。
【0003】
高解像度のヘッドでは、ヘッドごとに何千ものジェットオリフィスがあり、ジェットオリフィスごとに独立して駆動波形を制御すると、その制御システムが非常に複雑になる。また、異なるジェットオリフィスからインク滴を噴射することで、画素マイクログルーブ内のインク滴の総体積不滅を満たすことは、プリント効率の低下、ジェットオリフィスの組み合わせのアルゴリズムの複雑化、異なるタイミングでのインク滴の乾燥性能の不均一化などの問題を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術が有する欠点を克服するために、高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディアを提供し、プリント効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は以下の技術的方案によって達成することができる。
【0006】
高効率のOLED画素層のプリント方法である、以下のステップを含む。
予備配置駆動波形におけるジェットオリフィスごとに噴射するインク滴の体積、速度を測定し、体積が標準体積予備配置パーセント以上ずれているインク滴に対応するジェットオリフィスは閉じられて、
インク滴の体積、速度、堆積位置、堆積時間間隔、及び画素マイクログルーブの濡れ性、幾何構造から画素マイクログルーブ内でのインク滴の有効堆積範囲を計算し、
生産タクト、インク粘度からインクジェットプリントヘッドのプリント頻度とプリント基板の運動速度を計算し、
画素マイクログルーブの幾何構造、ジェットオリフィスのインクジェット状況、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度、プリント基板の運動速度からプリント回数を計算し、
有効堆積範囲がカバーするジェットオリフィス数、1つのジェットオリフィスから噴射されるインク滴数、およびインク滴の体積に基づいて、プリントするごとに駆動するジェットオリフィスと前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴数を確認し、
選択したジェットオリフィスを駆動してインクを噴射し、インク滴を画素マイクログルーブに堆積させ、
プリントを継続する必要があるかどうかを判断し、必要がなければプリントを終了し、必要があればインクジェットプリントヘッドをx方向に移動させるか、プリント基板をy方向に移動させ、プリントが終了するまで対応するジェットオリフィスを駆動してインクを噴射して次のプリントを行う。
【0007】
前記予備配置パーセントは±5%である。
【0008】
前記ジェットオリフィスのインクジェット状況は、ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積、ジェットオリフィスの作動状態を含む。
【0009】
前記ジェットオリフィスの作動状態は、正常、散布スプレー、斜めスプレーを含む。前記ジェットオリフィスの作動状態が正常であるとは、ジェットオリフィスから液滴が完全で体積が安定した液滴を噴射し、垂直方向の落ち点精度誤差が±5μm/1mm(1mmとはジェットオリフィスと基板の距離)であることをいう。前記ジェットオリフィスの作動状態の散布スプレーとは、ジェットオリフィスから噴射する液滴の大きさが不均一で、かつ、四方に発散することであり、主にジェットオリフィス周辺の腐食、波形の圧力の不安定で、液滴の張力と粘性とジェットオリフィス表面の融解性との不整合などの複数の要因によるものである。前記ジェットオリフィスの作動状態の斜めスプレーとは、ジェットオリフィスから体積の安定した液滴を噴射し、一定の傾斜角をもって基板に噴射することであり、通常、落ち点誤差が±5μm/1mmを超え、主な原因はジェットオリフィス表面の腐食によるものである。
【0010】
前記インクジェットプリントヘッドをx方向に移動させるか、プリント基板をy方向に移動させる1回の移動距離は、隣接するジェットオリフィスピッチの整数倍である。
【0011】
前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の数は、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度、プリント基板の運動速度によって確認される。
【0012】
前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の数は、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度に比例し、プリント基板の運動速度に反比例する。
【0013】
高効率のOLED画素層のプリント装置であり、ホストコンピュータと、プリントコントローラと、モーションコントローラと、インクジェットプリントヘッドと、プリント基板とを備え、前記ホストコンピュータは上記の方法で、制御情報を送信し、プリントコントローラとモーションコントローラを制御し、プリントコントローラは前記制御情報に従ってインクジェットプリントヘッドのインクジェットを制御し、モーションコントローラは前記制御情報に基づいてインクジェットプリントヘッドとプリント基板の動きを制御する。
【0014】
前記プリントコントローラはインクジェットプリントヘッドのインクジェットを制御することは、ジェットオリフィスの選択と駆動と、ジェットオリフィスからの体積、速度、噴射角度が要求に合ったインク滴を噴射することを制御することを含む。
【0015】
ストレージメディアであり、プログラムが保存されて、前記プログラムが実行されるとき、上述の方法が実現される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、従来技術と比較する、以下の効果を有する。
【0017】
(1)本発明はヘッドのすべてのジェットオリフィスに同じ駆動波形を採用して、制御システムが簡単で、制御の複雑度を低減した。
【0018】
(2)本発明は、インク特性、基板特性及びプリント条件に基づいて、まず有効堆積範囲を定義し、あるジェットオリフィスに対応する噴射されるインク滴が有効堆積範囲内にあれば、ヘッドの高周波噴射特性を利用して、プリントのプロセスに同じジェットオリフィスからある画素マイクログルーブ内に複数の液滴を連続的に噴射することができ、異なるタイミングで噴射されるインク滴の乾燥性能のばらつきを軽減することができる。
【0019】
(3)本発明のプリント方法では、有効堆積範囲のカバーするジェットオリフィス数を増やし、インクジェットプリントヘッドを移動させ、インクジェットプリントヘッドの噴射頻度を上げ、またはプリント基板の運動速度を下げるだけで、1つの画素マイクログルーブ内に堆積するインク滴の選択範囲を増やし、プリント回数を減らし、プリント効率を高め、簡単かつ効率的にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の方法のフローチャートである。
図2】OLED画素層インクジェットプリント装置の概略図である。
図3】OLED画素層インクジェットの成形プロセスの概略図である。
図4】OLED画素層インクジェットの最終的に形成する画素層の概略図である。
図5】OLED画素層インクジェットプリント誤差の累積概略図である。
図6】画素マイクログルーブ内に堆積するインク滴の体積誤差を解消する方法の概略図である。
図7図4の方法のプリントプロセスを示す概略図である。
図8】ジェットオリフィスピッチの異なる相補的なジェットオリフィスの組み合わせを示す図である。
図9】画素マイクログルーブ内の有効堆積範囲の概略図である。
図10】高効率のOLED画素層のプリント方法の概略図である。
図11】1つの画素マイクログルーブの長辺の有効堆積範囲がジェットオリフィス数をカバーする方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図面及び具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。本実施例は本発明の請求項を前提として実施する、詳細な実施形態と具体的な操作手順を示したが、本発明の範囲は下記の実施例に限定する。
【0022】
図2に示すように、OLED画素層インクジェットプリント装置は、110ホストコンピュータ、120プリントコントローラ、130モーションコントローラ、140インクジェットプリントヘッドと170プリント基板を含む。ホストコンピュータはプリントコントローラとモーションコントローラを制御し、インクジェットプリントプロセス全体のコマンド送信を担当する。プリントコントローラ130は、インクジェットプリントヘッド140を制御し、ジェットオリフィス150の選択と駆動と、ジェットオリフィス150からの体積、速度、噴射角度が要求に合ったインク滴160を噴射することを制御することを含む。モーションコントローラ130は、インクジェットプリントヘッド150とプリント基板170の動きを制御して、噴射されるインク滴160が基板170上の画素マイクログルーブ180内に堆積するようにする。
【0023】
OLED画素層のインクジェット成形プロセスは、図3に示すように、プリント基板170の画素マイクログルーブ1801、1802、1803内に一定の速度と体積を有する複数のインク滴1601、1602、1603、1604などが堆積する。画素マイクログルーブ内のインク滴の数は複数でもよく、インク滴の数は画素マイクログルーブ内に堆積する液体の総体積や1つのインク滴の体積などの要因によって決まる。インク滴1601、1602、1603、1604などは、図4に示すように、画素マイクログルーブ1801、1802、1803などに一定の速度で衝突して融合し、最終的に蒸発して画素マイクログルーブ内に画素層2601、2602、2603を形成する。
【0024】
ジェットオリフィスの製造誤差により、同じ駆動波形で、異なるジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積誤差は±5%以内である。図5に示すように、各画素マイクログルーブに40pLのインクを堆積させる必要があると仮定すると、各ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積は10±0.5pLである。ジェットオリフィス1501から噴射するインク滴の体積が10.5pLであり、画素マイクログルーブ1801の全部がジェットオリフィス1501から噴射するインク滴で満たされている場合、画素マイクログルーブ1801内に堆積するインク滴の総体積は42pLである。ジェットオリフィス1502から噴射するインク滴の体積が9.5pLであり、画素マイクログルーブ1802の全部がジェットオリフィス1502から噴射するインク滴で満たされている場合、画素マイクログルーブ1802内に堆積するインク滴の総体積は38pLである。画素マイクログルーブ1801と1802の堆積するインク滴の総体積は40pLの需要値に対して5%ずれているが、画素マイクログルーブ1801と画素マイクログルーブ1802の間の堆積するインク滴の総体積は10%異なり、OLEDデバイスの性能要求をはるかに超えている。
【0025】
画素マイクログルーブ内のインク滴の総体積誤差を低減する方法の一つとして、異なるジェットオリフィスから噴射されるインク滴をある画素マイクログルーブ内に堆積させる方法がある。図6に示すように、ジェットオリフィス1501から噴射するインク滴の体積が10.5pL、ジェットオリフィス1502から噴射されるインク滴の体積が9.5pLであるとすると、画素マイクログルーブ1801と1802は、いずれもジェットオリフィス1501とジェットオリフィス1502からそれぞれ2滴ずつインク滴を噴射する。したがって、画素マイクログルーブ1801と1802内に堆積するインク滴の総体積はいずれも40pLである。しかし、実際のインクジェットプリントのプロセスでは、一度に複数組のインク滴の体積が相補的なジェットオリフィスの組み合わせを見つけることが困難であるため、一回のプリント時に、それと相補的なジェットオリフィスの組み合わせが見つからずに多数のジェットオリフィスが空いてしまい、インクジェットプリント全体の効率が低下してしまう。また、この方法を採用すると、プリント回数が増加し、プリント効率が低下する。図7に示すように、ジェットオリフィス1510、1520は相補的なジェットオリフィス組である、1回目のプリント時にジェットオリフィス1510、1520から噴射されるインク滴はそれぞれ画素マイクログルーブ1810、1820内に落ちる。2回目のプリント時には、インクジェットプリントヘッド140は、ジェットオリフィス1520が画素マイクログルーブ1810に位置合わせるように距離を移動する、その後、ジェットオリフィス1520が画素マイクログルーブ1810にインク滴を堆積させる。3回目のプリント時には、インクジェットプリントヘッド140が再び移動して、ジェットオリフィス1510が画素マイクログルーブ1820に位置合わせ、その後、ジェットオリフィス1510が画素マイクログルーブ1820にインク滴を堆積させる。このことから、1組のインク滴の体積が相補的なジェットオリフィスの組み合わせに対して、1つのジェットオリフィスが対応する画素マイクログルーブに2滴のインク滴を堆積する場合、2つの画素マイクログルーブに対応するプリントを完了するには3回のプリントが必要であることがわかる。図8に示すように、相補的なジェットオリフィス組み合わせ2510、2520、2530が2つのジェットオリフィスのピッチが異なる場合、これら3組のジェットオリフィス組み合わせが対応する画素のプリントを完了するには、インクジェットプリントヘッド140を最大6回移動させる必要があるかもしれなく、これら3組のジェットオリフィス組み合わせのジェットオリフィスをそれぞれ画素マイクログルーブに1回位置合わせする。そのため、ジェットオリフィスの組み合わせが多くなると、プリント回数が急速に増加し、プリント効率が大幅に低下する。
【0026】
本発明は、図1に示すように、高効率のOLED画素層のプリント方法を提案する。
【0027】
1つの実施形態では、高効率のOLED画素層のプリント方法は、以下のステップを含む。
【0028】
ある設定された駆動波形でインクジェットプリントヘッドの各ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積、速度を測定し、体積が標準体積の5%以上ずれているインク滴に対応するジェットオリフィスを閉じる。
【0029】
インク滴の体積、速度、堆積位置、堆積時間間隔、及び画素マイクログルーブの濡れ性、幾何構造から画素マイクログルーブ内でのインク滴の有効堆積範囲を計算する。図9に示すように、画素マイクログルーブ1830と1840の有効堆積範囲はそれぞれ1830’と1840’である。
【0030】
生産タクト、インク粘度からインクジェットプリントヘッドのプリント頻度とプリント基板の運動速度を計算する。
【0031】
画素マイクログルーブの幾何構造、ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積、ジェットオリフィスの作動状態、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度、プリント基板の移動速度に基づいてプリント回数を計算し、前記ジェットオリフィスの作動状態は、正常、散布スプレー、斜めスプレーを含む。
【0032】
有効堆積範囲がカバーするジェットオリフィス数、1つのジェットオリフィスから噴射されるインク滴数、およびインク滴の体積に基づいて、プリントするごとに駆動するジェットオリフィスと前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴数を確認する。
【0033】
図8に示すように、ジェットオリフィスの配列方向をx方向で、基板の運動方向をy方向とする。画素マイクログルーブ1830の長辺の方向がx方向に位置合わせるように基板方向を調整する。ある位置で、インクジェットプリントヘッド140のジェットオリフィス1501、1502、1503、1504が画素マイクログルーブ1830に対応する有効堆積範囲1830’内をカバーし、有効堆積範囲がカバーしたジェットオリフィス数は4である。
【0034】
図10に示すように、ある噴射頻度と運動速度において、1つのジェットオリフィスがプリントのプロセスに画素マイクログルーブ1830に3つのインク滴を噴射することができる。つまり、1つのジェットオリフィスから噴射するインク滴の数は3である。
【0035】
各画素マイクログルーブに40pLのインクを堆積させる必要がある場合、各ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積は10±0.5pLの範囲であり、1回のプリントプロセスでは、1601-1、1601-2、…、1604-3など12個のインク滴の中から4滴を選択する、各画素マイクログルーブに堆積されるインクの体積要求に合うことができる。
【0036】
インクジェットプリントヘッド130の高頻度インクジェットの特性を利用して、有効堆積範囲1830’のプリント領域を通過する際に、選択されたジェットオリフィス1501、1502、1503、1504を駆動してインクを噴射し、選択された4滴のインク滴を画素マイクログルーブ1830内に堆積させる。
【0037】
プリントを継続する必要があるかどうかを判断し、必要がなければプリントを終了し、必要があればインクジェットプリントヘッドをx方向に隣接ジェットオリフィスピッチの整数倍の距離だけ移動させるか、プリント基板をy方向に隣接ジェットオリフィスピッチの整数倍の距離だけ移動させ、プリントが終了するまで対応するジェットオリフィスを駆動してインクを噴射して次のプリントを行う。
【0038】
図11に示すように、本実施例ではインクジェットプリントヘッドを移動させて繰り返しプリントを行う。インクジェットプリントヘッド140をx方向に移動させて繰り返しプリントを行うことで、画素マイクログルーブの長辺の有効堆積範囲がカバーするジェットオリフィス数mを倍増させることができる。1回目のプリント時、インクジェットプリントヘッド140のジェットオリフィス1501、1502、1503、1504は画素マイクログルーブ1830に対応する有効堆積範囲1830’内をカバーする。1回目のプリントが終わった後、x方向に隣接するジェットオリフィスピッチの整数倍を移動し、ジェットオリフィス1511、1512、1513、1514が有効堆積範囲1830’内にカバーするようにして、2回目のプリントを行う。
【0039】
仮に、各画素マイクログルーブの長辺の有効堆積範囲がm個のジェットオリフィスをカバーすると仮定すると、プリントのプロセスに各画素マイクログルーブの幅方向がプリント領域を通過するときに1つのジェットオリフィスからn個のインク滴を噴射できるならば、各画素マイクログルーブに対してm*n個のインク滴を選択して、その堆積インクの体積要求を満たすことができる。さらに、各画素マイクログルーブの長辺の有効堆積範囲がジェットオリフィス数mをカバーし、プリントのプロセスに各画素マイクログルーブの幅方向がプリント領域を通過するときに1つのジェットオリフィスが噴射できるインク滴数nを一定の方法でさらに向上させることができる。プリントプロセス全体では、インクジェットプリントヘッドをx方向に1回(すなわちプリント回数が2回である)移動させる場合、各画素マイクログルーブの長辺の有効堆積範囲がジェットオリフィスをカバーする数はm個から2mに増加し、再びインクジェットプリントヘッドをx方向に1回(すなわちプリント回数が3回である)移動させる場合、mは3mに増加する。インクジェットプリントヘッドの噴射頻度を上げることも、プリント基板の運動速度を下げることも、プリントのプロセスに各画素マイクログルーブ幅方向がプリント領域を通過するときに1つのジェットオリフィスから噴射するインク滴の数nを上げることができる。例えば、噴射頻度を2倍に上げたり、基板の運動速度を1/2に下げたりすると、nは2nに増加できる。mとnを増加する方法を組み合わせると、各画素マイクログルーブ内に堆積するインク滴の選択範囲が大幅に向上し、プリント効率が向上する。
【0040】
これらの機能をソフトウェア機能ユニットとして実現し、独立した製品として販売または使用する場合は、1つのコンピュータ読み取り可能なストレージメディアに保存することができる。このような理解に基づいて、本発明の請求項は本質的に、または先行技術に寄与する部分、あるいは本発明の請求項の部分は、1つのストレージメディアに保存されたソフトウェア製品の形で具現化することができ、その中には、1つのコンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワークデバイスなどであってもよい)が本発明の様々な実施形態で説明された方法のステップの全部または一部を実行できるようにする命令が含まれている。前述のストレージメディアには、USBメモリー、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリー(ROM,Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリー(RAM,Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスクなど、プログラムコードを保存できる様々な媒体がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高効率のOLED画素層のプリント方法であって、
予備配置駆動波形におけるジェットオリフィスごとに噴射するインク滴の体積、速度を測定し、体積が標準体積予備配置パーセント以上ずれているインク滴に対応するジェットオリフィスは閉じられて、
インク滴の体積、速度、堆積位置、堆積時間間隔、及び画素マイクログルーブの濡れ性、幾何構造から画素マイクログルーブ内でのインク滴の有効堆積範囲を計算し、
生産タクト、インク粘度からインクジェットプリントヘッドのプリント頻度とプリント基板の運動速度を計算し、
画素マイクログルーブの幾何構造、ジェットオリフィスのインクジェット状況、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度、プリント基板の運動速度からプリント回数を計算し、
有効堆積範囲がカバーするジェットオリフィス数、1つのジェットオリフィスから噴射されるインク滴数、およびインク滴の体積に基づいて、プリントするごとに駆動するジェットオリフィスと前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴数を確認し、
選択したジェットオリフィスを駆動してインクを噴射し、インク滴を画素マイクログルーブに堆積させ、
プリントを継続する必要があるかどうかを判断し、必要がなければプリントを終了し、必要があればインクジェットプリントヘッドをx方向に移動させるか、プリント基板をy方向に移動させ、プリントが終了するまで対応するジェットオリフィスを駆動してインクを噴射して次のプリントを行う、という以上のステップを含むこと、を特徴とする高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項2】
前記予備配置パーセントは±5%であること、を特徴とする請求項1に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項3】
前記ジェットオリフィスのインクジェット状況は、ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積、ジェットオリフィスの作動状態を含むこと、を特徴とする請求項1に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項4】
前記ジェットオリフィスの作動状態は、正常、散布スプレー、斜めスプレーを含むこと、を特徴とする請求項3に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項5】
前記インクジェットプリントヘッドをx方向に移動させるか、プリント基板をy方向に移動させる1回の移動距離は、隣接するジェットオリフィスピッチの整数倍であること、を特徴とする請求項1に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項6】
前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の数は、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度、プリント基板の運動速度によって確認されること、を特徴とする請求項1に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項7】
前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の数は、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度に比例し、プリント基板の運動速度に反比例すること、を特徴とする請求項6に記載の高効率のOLED画素層のプリント方法。
【請求項8】
ホストコンピュータと、プリントコントローラと、モーションコントローラと、インクジェットプリントヘッドと、プリント基板とを備え、前記ホストコンピュータは請求項に記載の方法に従って制御情報を送信し、プリントコントローラとモーションコントローラを制御し、プリントコントローラは前記制御情報に従ってインクジェットプリントヘッドのインクジェットを制御し、モーションコントローラは前記制御情報に基づいてインクジェットプリントヘッドとプリント基板の動きを制御すること、を特徴とする高効率のOLED画素層のプリント装置。
【請求項9】
前記プリントコントローラはインクジェットプリントヘッドのインクジェットを制御することは、ジェットオリフィスの選択と駆動と、ジェットオリフィスからの体積、速度、噴射角度が要求に合ったインク滴を噴射することを制御することを含むこと、を特徴とする請求項8に記載の高効率のOLED画素層のプリント装置。
【請求項10】
プログラムが保存されて、前記プログラムが実行されるとき、請求項に記載の方法を実現すること、を特徴とするストレージメディア。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLEDインクジェットプリント技術の分野に関し、特に、高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディアに関する。
【背景技術】
【0002】
デバイスの表示効果を保証するために、OLED画素層プリントは画素マイクログルーブに堆積したインク滴の体積とインク分布に正確な要求がある。ヘッドの製造誤差により、各ジェットオリフィスは同じ駆動波形で噴射する液滴の体積に一定のばらつきがある。各画素マイクログルーブ内のインク滴の体積を同じにするために、通常、各ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積を一定範囲内に保つために、ジェットオリフィスごとに異なる駆動波形を用いる方法が採用されている。さらに、各画素マイクログルーブに対して、異なるジェットオリフィスを用いるインク滴を噴射することにより、画素マイクログルーブ内に堆積するインク滴の総体積の安定を保証する。
【0003】
高解像度のヘッドでは、ヘッドごとに何千ものジェットオリフィスがあり、ジェットオリフィスごとに独立して駆動波形を制御すると、その制御システムが非常に複雑になる。また、異なるジェットオリフィスからインク滴を噴射することで、画素マイクログルーブ内のインク滴の総体積不滅を満たすことは、プリント効率の低下、ジェットオリフィスの組み合わせのアルゴリズムの複雑化、異なるタイミングでのインク滴の乾燥性能の不均一化などの問題を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術が有する欠点を克服するために、高効率のOLED画素層のプリント方法、装置及びストレージメディアを提供し、プリント効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は以下の技術的方案によって達成することができる。
【0006】
高効率のOLED画素層のプリント方法である、以下のステップを含む。
予備配置駆動波形におけるジェットオリフィスごとに噴射するインク滴の体積、速度を測定し、体積が標準体積予備配置パーセント以上ずれているインク滴に対応するジェットオリフィスは閉じられて、
インク滴の体積、速度、堆積位置、堆積時間間隔、及び画素マイクログルーブの濡れ性、幾何構造から画素マイクログルーブ内でのインク滴の有効堆積範囲を計算し、
生産タクト、インク粘度からインクジェットプリントヘッドのプリント頻度とプリント基板の運動速度を計算し、
画素マイクログルーブの幾何構造、ジェットオリフィスのインクジェット状況、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度、プリント基板の運動速度からプリント回数を計算し、
有効堆積範囲がカバーするジェットオリフィス数、1つのジェットオリフィスから噴射されるインク滴数、およびインク滴の体積に基づいて、プリントするごとに駆動するジェットオリフィスと前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴数を確認し、
選択したジェットオリフィスを駆動してインクを噴射し、インク滴を画素マイクログルーブに堆積させ、
プリントを継続する必要があるかどうかを判断し、必要がなければプリントを終了し、必要があればインクジェットプリントヘッドをx方向に移動させるか、プリント基板をy方向に移動させ、プリントが終了するまで対応するジェットオリフィスを駆動してインクを噴射して次のプリントを行う。
【0007】
前記予備配置パーセントは±5%である。
【0008】
前記ジェットオリフィスのインクジェット状況は、ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積、ジェットオリフィスの作動状態を含む。
【0009】
前記ジェットオリフィスの作動状態は、正常、散布スプレー、斜めスプレーを含む。前記ジェットオリフィスの作動状態が正常であるとは、ジェットオリフィスから液滴が完全で体積が安定した液滴を噴射し、垂直方向の落ち点精度誤差が±5μm/1mm(1mmとはジェットオリフィスと基板の距離)であることをいう。前記ジェットオリフィスの作動状態の散布スプレーとは、ジェットオリフィスから噴射する液滴の大きさが不均一で、かつ、四方に発散することであり、主にジェットオリフィス周辺の腐食、波形の圧力の不安定で、液滴の張力と粘性とジェットオリフィス表面の融解性との不整合などの複数の要因によるものである。前記ジェットオリフィスの作動状態の斜めスプレーとは、ジェットオリフィスから体積の安定した液滴を噴射し、一定の傾斜角をもって基板に噴射することであり、通常、落ち点誤差が±5μm/1mmを超え、主な原因はジェットオリフィス表面の腐食によるものである。
【0010】
前記インクジェットプリントヘッドをx方向に移動させるか、プリント基板をy方向に移動させる1回の移動距離は、隣接するジェットオリフィスピッチの整数倍である。
【0011】
前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の数は、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度、プリント基板の運動速度によって確認される。
【0012】
前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の数は、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度に比例し、プリント基板の運動速度に反比例する。
【0013】
高効率のOLED画素層のプリント装置であり、ホストコンピュータと、プリントコントローラと、モーションコントローラと、インクジェットプリントヘッドと、プリント基板とを備え、前記ホストコンピュータは上記の方法で、制御情報を送信し、プリントコントローラとモーションコントローラを制御し、プリントコントローラは前記制御情報に従ってインクジェットプリントヘッドのインクジェットを制御し、モーションコントローラは前記制御情報に基づいてインクジェットプリントヘッドとプリント基板の動きを制御する。
【0014】
前記プリントコントローラはインクジェットプリントヘッドのインクジェットを制御することは、ジェットオリフィスの選択と駆動と、ジェットオリフィスからの体積、速度、噴射角度が要求に合ったインク滴を噴射することを制御することを含む。
【0015】
ストレージメディアであり、プログラムが保存されて、前記プログラムが実行されるとき、上述の方法が実現される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、従来技術と比較する、以下の効果を有する。
【0017】
(1)本発明はヘッドのすべてのジェットオリフィスに同じ駆動波形を採用して、制御システムが簡単で、制御の複雑度を低減した。
【0018】
(2)本発明は、インク特性、基板特性及びプリント条件に基づいて、まず有効堆積範囲を定義し、あるジェットオリフィスに対応する噴射されるインク滴が有効堆積範囲内にあれば、ヘッドの高周波噴射特性を利用して、プリントのプロセスに同じジェットオリフィスからある画素マイクログルーブ内に複数の液滴を連続的に噴射することができ、異なるタイミングで噴射されるインク滴の乾燥性能のばらつきを軽減することができる。
【0019】
(3)本発明のプリント方法では、有効堆積範囲のカバーするジェットオリフィス数を増やし、インクジェットプリントヘッドを移動させ、インクジェットプリントヘッドの噴射頻度を上げ、またはプリント基板の運動速度を下げるだけで、1つの画素マイクログルーブ内に堆積するインク滴の選択範囲を増やし、プリント回数を減らし、プリント効率を高め、簡単かつ効率的にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の方法のフローチャートである。
図2】OLED画素層インクジェットプリント装置の概略図である。
図3】OLED画素層インクジェットの成形プロセスの概略図である。
図4】OLED画素層インクジェットの最終的に形成する画素層の概略図である。
図5】OLED画素層インクジェットプリント誤差の累積概略図である。
図6】画素マイクログルーブ内に堆積するインク滴の体積誤差を解消する方法の概略図である。
図7図4の方法のプリントプロセスを示す概略図である。
図8】ジェットオリフィスピッチの異なる相補的なジェットオリフィスの組み合わせを示す図である。
図9】画素マイクログルーブ内の有効堆積範囲の概略図である。
図10】高効率のOLED画素層のプリント方法の概略図である。
図11】1つの画素マイクログルーブの長辺の有効堆積範囲がジェットオリフィス数をカバーする方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図面及び具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。本実施例は本発明の請求項を前提として実施する、詳細な実施形態と具体的な操作手順を示したが、本発明の範囲は下記の実施例に限定する。
【0022】
図2に示すように、OLED画素層インクジェットプリント装置は、ホストコンピュータ110、プリントコントローラ120、モーションコントローラ130、インクジェットプリントヘッド140とプリント基板170を含む。ホストコンピュータはプリントコントローラとモーションコントローラを制御し、インクジェットプリントプロセス全体のコマンド送信を担当する。プリントコントローラ10は、インクジェットプリントヘッド140を制御し、ジェットオリフィス150の選択と駆動と、ジェットオリフィス150からの体積、速度、噴射角度が要求に合ったインク滴160を噴射することを制御することを含む。モーションコントローラ130は、インクジェットプリントヘッド10とプリント基板170の動きを制御して、噴射されるインク滴160がプリント基板170上の画素マイクログルーブ180内に堆積するようにする。
【0023】
OLED画素層のインクジェット成形プロセスは、図3に示すように、プリント基板170の画素マイクログルーブ1801、1802、1803内に一定の速度と体積を有する複数のインク滴1601、1602、1603、1604などが堆積する。画素マイクログルーブ内のインク滴の数は複数でもよく、インク滴の数は画素マイクログルーブ内に堆積する液体の総体積や1つのインク滴の体積などの要因によって決まる。インク滴1601、1602、1603、1604などは、図4に示すように、画素マイクログルーブ1801、1802、1803などに一定の速度で衝突して融合し、最終的に蒸発して画素マイクログルーブ内に画素層2601、2602、2603を形成する。
【0024】
ジェットオリフィスの製造誤差により、同じ駆動波形で、異なるジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積誤差は±5%以内である。図5に示すように、各画素マイクログルーブに40pLのインクを堆積させる必要があると仮定すると、各ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積は10±0.5pLである。ジェットオリフィス1501から噴射するインク滴の体積が10.5pLであり、画素マイクログルーブ1801の全部がジェットオリフィス1501から噴射するインク滴で満たされている場合、画素マイクログルーブ1801内に堆積するインク滴の総体積は42pLである。ジェットオリフィス1502から噴射するインク滴の体積が9.5pLであり、画素マイクログルーブ1802の全部がジェットオリフィス1502から噴射するインク滴で満たされている場合、画素マイクログルーブ1802内に堆積するインク滴の総体積は38pLである。画素マイクログルーブ1801と1802の堆積するインク滴の総体積は40pLの需要値に対して5%ずれているが、画素マイクログルーブ1801と画素マイクログルーブ1802の間の堆積するインク滴の総体積は10%異なり、OLEDデバイスの性能要求をはるかに超えている。
【0025】
画素マイクログルーブ内のインク滴の総体積誤差を低減する方法の一つとして、異なるジェットオリフィスから噴射されるインク滴をある画素マイクログルーブ内に堆積させる方法がある。図6に示すように、ジェットオリフィス1501から噴射するインク滴の体積が10.5pL、ジェットオリフィス1502から噴射されるインク滴の体積が9.5pLであるとすると、画素マイクログルーブ1801と1802は、いずれもジェットオリフィス1501とジェットオリフィス1502からそれぞれ2滴ずつインク滴を噴射する。したがって、画素マイクログルーブ1801と1802内に堆積するインク滴の総体積はいずれも40pLである。しかし、実際のインクジェットプリントのプロセスでは、一度に複数組のインク滴の体積が相補的なジェットオリフィスの組み合わせを見つけることが困難であるため、一回のプリント時に、それと相補的なジェットオリフィスの組み合わせが見つからずに多数のジェットオリフィスが空いてしまい、インクジェットプリント全体の効率が低下してしまう。また、この方法を採用すると、プリント回数が増加し、プリント効率が低下する。図7に示すように、ジェットオリフィス1510、1520は相補的なジェットオリフィス組である、1回目のプリント時にジェットオリフィス1510、1520から噴射されるインク滴はそれぞれ画素マイクログルーブ1810、1820内に落ちる。2回目のプリント時には、インクジェットプリントヘッド140は、ジェットオリフィス1520が画素マイクログルーブ1810に位置合わせるように距離を移動する、その後、ジェットオリフィス1520が画素マイクログルーブ1810にインク滴を堆積させる。3回目のプリント時には、インクジェットプリントヘッド140が再び移動して、ジェットオリフィス1510が画素マイクログルーブ1820に位置合わせ、その後、ジェットオリフィス1510が画素マイクログルーブ1820にインク滴を堆積させる。このことから、1組のインク滴の体積が相補的なジェットオリフィスの組み合わせに対して、1つのジェットオリフィスが対応する画素マイクログルーブに2滴のインク滴を堆積する場合、2つの画素マイクログルーブに対応するプリントを完了するには3回のプリントが必要であることがわかる。図8に示すように、相補的なジェットオリフィス組み合わせ2510、2520、2530が2つのジェットオリフィスのピッチが異なる場合、これら3組のジェットオリフィス組み合わせが対応する画素のプリントを完了するには、インクジェットプリントヘッド140を最大6回移動させる必要があるかもしれなく、これら3組のジェットオリフィス組み合わせのジェットオリフィスをそれぞれ画素マイクログルーブに1回位置合わせする。そのため、ジェットオリフィスの組み合わせが多くなると、プリント回数が急速に増加し、プリント効率が大幅に低下する。
【0026】
本発明は、図1に示すように、高効率のOLED画素層のプリント方法を提案する。
【0027】
1つの実施形態では、高効率のOLED画素層のプリント方法は、以下のステップを含む。
【0028】
ある設定された駆動波形でインクジェットプリントヘッドの各ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積、速度を測定し、体積が標準体積の5%以上ずれているインク滴に対応するジェットオリフィスを閉じる。
【0029】
インク滴の体積、速度、堆積位置、堆積時間間隔、及び画素マイクログルーブの濡れ性、幾何構造から画素マイクログルーブ内でのインク滴の有効堆積範囲を計算する。図9に示すように、画素マイクログルーブ1830と1840の有効堆積範囲はそれぞれ1830’と1840’である。
【0030】
生産タクト、インク粘度からインクジェットプリントヘッドのプリント頻度とプリント基板の運動速度を計算する。
【0031】
画素マイクログルーブの幾何構造、ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積、ジェットオリフィスの作動状態、インクジェットプリントヘッドのプリント頻度、プリント基板の移動速度に基づいてプリント回数を計算し、前記ジェットオリフィスの作動状態は、正常、散布スプレー、斜めスプレーを含む。
【0032】
有効堆積範囲がカバーするジェットオリフィス数、1つのジェットオリフィスから噴射されるインク滴数、およびインク滴の体積に基づいて、プリントするごとに駆動するジェットオリフィスと前記ジェットオリフィスから噴射されるインク滴数を確認する。
【0033】
図8に示すように、ジェットオリフィスの配列方向をx方向で、基板の運動方向をy方向とする。画素マイクログルーブ1830の長辺の方向がx方向に位置合わせるように基板方向を調整する。ある位置で、インクジェットプリントヘッド140のジェットオリフィス1501、1502、1503、1504が画素マイクログルーブ1830に対応する有効堆積範囲1830’内をカバーし、有効堆積範囲がカバーしたジェットオリフィス数は4である。
【0034】
図10に示すように、ある噴射頻度と運動速度において、1つのジェットオリフィスがプリントのプロセスに画素マイクログルーブ1830に3つのインク滴を噴射することができる。つまり、1つのジェットオリフィスから噴射するインク滴の数は3である。
【0035】
各画素マイクログルーブに40pLのインクを堆積させる必要がある場合、各ジェットオリフィスから噴射されるインク滴の体積は10±0.5pLの範囲であり、1回のプリントプロセスでは、1601-1、1601-2、…、1604-3など12個のインク滴の中から4滴を選択する、各画素マイクログルーブに堆積されるインクの体積要求に合うことができる。
【0036】
インクジェットプリントヘッド140の高頻度インクジェットの特性を利用して、有効堆積範囲1830’のプリント領域を通過する際に、選択されたジェットオリフィス1501、1502、1503、1504を駆動してインクを噴射し、選択された4滴のインク滴を画素マイクログルーブ1830内に堆積させる。
【0037】
プリントを継続する必要があるかどうかを判断し、必要がなければプリントを終了し、必要があればインクジェットプリントヘッドをx方向に隣接ジェットオリフィスピッチの整数倍の距離だけ移動させるか、プリント基板をy方向に隣接ジェットオリフィスピッチの整数倍の距離だけ移動させ、プリントが終了するまで対応するジェットオリフィスを駆動してインクを噴射して次のプリントを行う。
【0038】
図11に示すように、本実施例ではインクジェットプリントヘッドを移動させて繰り返しプリントを行う。インクジェットプリントヘッド140をx方向に移動させて繰り返しプリントを行うことで、1つの画素マイクログルーブの長辺の有効堆積範囲がカバーするジェットオリフィス数mを倍増させることができる。1回目のプリント時、インクジェットプリントヘッド140のジェットオリフィス1501、1502、1503、1504は画素マイクログルーブ1830に対応する有効堆積範囲1830’内をカバーする。1回目のプリントが終わった後、x方向に隣接するジェットオリフィスピッチの整数倍を移動し、ジェットオリフィス1511、1512、1513、1514が有効堆積範囲1830’内にカバーするようにして、2回目のプリントを行う。
【0039】
仮に、各画素マイクログルーブの長辺の有効堆積範囲がm個のジェットオリフィスをカバーすると仮定すると、プリントのプロセスに各画素マイクログルーブの幅方向がプリント領域を通過するときに1つのジェットオリフィスからn個のインク滴を噴射できるならば、各画素マイクログルーブに対してm*n個のインク滴を選択して、その堆積インクの体積要求を満たすことができる。さらに、各画素マイクログルーブの長辺の有効堆積範囲がジェットオリフィス数mをカバーし、プリントのプロセスに各画素マイクログルーブの幅方向がプリント領域を通過するときに1つのジェットオリフィスが噴射できるインク滴数nを一定の方法でさらに向上させることができる。プリントプロセス全体では、インクジェットプリントヘッドをx方向に1回(すなわちプリント回数が2回である)移動させる場合、各画素マイクログルーブの長辺の有効堆積範囲がジェットオリフィスをカバーする数はm個から2mに増加し、再びインクジェットプリントヘッドをx方向に1回(すなわちプリント回数が3回である)移動させる場合、mは3mに増加する。インクジェットプリントヘッドの噴射頻度を上げることも、プリント基板の運動速度を下げることも、プリントのプロセスに各画素マイクログルーブ幅方向がプリント領域を通過するときに1つのジェットオリフィスから噴射するインク滴の数nを上げることができる。例えば、噴射頻度を2倍に上げたり、基板の運動速度を1/2に下げたりすると、nは2nに増加できる。mとnを増加する方法を組み合わせると、各画素マイクログルーブ内に堆積するインク滴の選択範囲が大幅に向上し、プリント効率が向上する。
【0040】
これらの機能をソフトウェア機能ユニットとして実現し、独立した製品として販売または使用する場合は、1つのコンピュータ読み取り可能なストレージメディアに保存することができる。このような理解に基づいて、本発明の請求項は本質的に、または先行技術に寄与する部分、あるいは本発明の請求項の部分は、1つのストレージメディアに保存されたソフトウェア製品の形で具現化することができ、その中には、1つのコンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワークデバイスなどであってもよい)が本発明の様々な実施形態で説明された方法のステップの全部または一部を実行できるようにする命令が含まれている。前述のストレージメディアには、USBメモリー、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリー(ROM,Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリー(RAM,Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスクなど、プログラムコードを保存できる様々な媒体がある。
【国際調査報告】