(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】皮膚障害を処置するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/164 20060101AFI20240905BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20240905BHJP
A61K 31/225 20060101ALI20240905BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240905BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240905BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240905BHJP
A61K 31/66 20060101ALI20240905BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20240905BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240905BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20240905BHJP
A61K 8/42 20060101ALN20240905BHJP
A61K 8/49 20060101ALN20240905BHJP
A61Q 19/00 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
A61K31/164
A61K31/19
A61K31/225
A61P17/02
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K9/06
A61K31/66
A61K31/56
A61K45/00
A61K31/343
A61K8/42
A61K8/49
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515367
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022042753
(87)【国際公開番号】W WO2023038968
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520477485
【氏名又は名称】ザ・トラスティーズ・オブ・インディアナ・ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】セーン,チャンダン・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,サシュワティ
(72)【発明者】
【氏名】シンハ,ミトゥン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ,ナンディニ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076BB31
4C076CC19
4C076FF70
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC841
4C083AC842
4C083CC05
4C083EE13
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA28
4C084MA63
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC202
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA05
4C086DA08
4C086DA34
4C086GA02
4C086HA30
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA01
4C206DB48
4C206GA03
4C206GA25
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA48
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
治療有効量の、細菌セラミダーゼ阻害剤および/またはセラミドを含む組成物を、影響を受けた組織に投与することによって、皮膚状態の処置を必要とする哺乳動物における皮膚状態を処置するための組成物および方法が開示される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物リパーゼ活性の阻害剤、
セラミド、リン脂質、スフィンゴ脂質、コレステロール、遊離脂肪酸、およびトリグリセリドからなる群から選択される表皮脂質、および
薬学的に許容される担体
を含む、組成物。
【請求項2】
阻害剤が、セラミダーゼ阻害剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
抗微生物剤をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
抗微生物剤が、抗生物質である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
表皮脂質が、セラミド、任意選択で長鎖ジヒドロセラミドである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
セラミドが、
【化1】
[式中、Rは、-(CH
2)
18~29(CH
3)、-(CHOH)(CH
2)
18~29(CH
3)または-(CH
2)
18~30O(CO)(CH
2)
7(CH=CH)CH
2(CH=CH)(CH
2)
4CH
3である]
の一般構造を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
セラミダーゼ阻害剤が、セラミダスチンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
局所適用のためのクリームとして製剤化される、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
皮膚状態の処置を必要とする哺乳動物における皮膚状態を処置する方法であって、哺乳動物に、治療有効量の請求項1に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項10】
皮膚状態が、創傷であり、投与ステップが、創傷に前記組成物を局所適用することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
皮膚状態が、損なわれたバリア機能であり、投与ステップが、創傷に前記組成物を局所適用することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
創傷が、微生物病原体に感染している、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
微生物病原体が、シュードモナス・エルギノーサである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
細菌病原体による感染の危険性があるかまたは細菌病原体に感染している創傷を処置する方法であって、創傷に関連する組織を、
治療有効量のセラミダーゼ阻害剤、および
1つまたは複数のセラミド
を含む組成物と接触させるステップを含む、方法。
【請求項15】
セラミダーゼ阻害剤が、セラミダスチンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
セラミドが、
【化2】
[式中、Rは、-(CH
2)
18~29(CH
3)、-(CHOH)(CH
2)
18~29(CH
3)または-(CH
2)
18~30O(CO)(CH
2)
7(CH=CH)CH
2(CH=CH)(CH
2)
4CH
3である]
の一般構造を有する、請求項14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年9月9日に出願された米国仮特許出願第63/242,059号に対する優先権を主張し、その開示内容は本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
政府支援の記載
この発明は、National Institutes of Healthによって授与されたDK114718、DK125835、GM108014およびNS042617の下の政府支援で行われた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
皮膚は、内部環境と外部環境との間の自然のバリアとして作用し、したがって、機械的および化学的傷害、微生物、および紫外線損傷に対する保護などの必須の生物学的機能において重要な役割を果たす。ヒトの皮膚は、外側の表皮および下にある真皮という2つの主要な層で主に構成される。
【0004】
表皮は、真皮を覆い、外部環境と直接接触する。真皮は、脱水および外部攻撃に対して体を保護する主要な役割を有する。表皮を構成する細胞は、脂質ドメインによって境界が定められる。分化の過程で、その役割が表皮の生存層の細胞膜の流体構造の生成にあるリン脂質は、脂肪酸、コレステロールおよびセラミドから主になる混合物(スフィンゴ脂質)によって徐々に置き換えられる。これらの脂質は、表皮の、特に表皮の最も外側の層である角質層の、「バリア」特性を担う。
【0005】
表皮脂質は、生存表皮において主に合成される。表皮脂質は、リン脂質、スフィンゴ脂質、コレステロール、遊離脂肪酸、およびトリグリセリドで主に構成される。セラミドは、細胞シグナル伝達において最も重要な役割を果たし、かつヒト表皮において細胞増殖、分化およびアポトーシスに関連する、スフィンゴ脂質のクラスである。表皮脂質は、角質細胞間脂質の多層構造を維持するのに必要である。表皮脂質はまた、表皮の「バリア」機能に寄与し、水分喪失/加湿の課題の克服に寄与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、宿主皮膚脂質と、皮膚創傷微小環境においてそれらを代謝することが可能な細菌因子との間の相互作用に関連する課題に対処する。このような相互作用は、創傷閉鎖障害に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
一態様では、本開示は、損なわれたバリア機能に関連する皮膚状態を処置するための組成物に関する。より詳細には、本開示は、セラミドを含む表皮脂質の枯渇により、バリア機能が最適には及ばない、皮膚状態を対象とする。一実施形態では、セラミドの枯渇は、特に真皮創傷の場合の、皮膚組織の病原体感染の結果である。一実施形態では、損なわれたバリア機能を示す組織は、治療有効量の細菌セラミダーゼ阻害剤および任意選択で1つまたは複数のセラミドを含む、医薬組成物で処置される。
【0008】
別の態様では、本開示は、皮膚状態の処置を必要とする哺乳動物の皮膚に、治療有効量の、細菌セラミダーゼ阻害剤および/またはセラミドを含む組成物を投与することによって、皮膚状態の処置を必要とする哺乳動物における皮膚状態を処置する方法に関する。一実施形態では、本方法は、1つまたは複数のセラミドの投与とともに、1つまたは複数の細菌セラミダーゼ阻害剤を同時に投与するステップを含む。細菌セラミダーゼ阻害剤およびセラミドは、同時にまたは逐次的に投与され得る。逐次的に投与される場合、細菌セラミダーゼ阻害剤およびセラミドは、最初に投与された化合物が依然として有効である時間枠内に投与される。
【0009】
本開示のさらなる実施形態、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から、および本開示の実施を通じて明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1A~1Fは、誘導性細菌セラミダーゼが、宿主皮膚セラミドを枯渇させることを示す。
図1A:慢性創傷バイオフィルム感染のブタモデルの時系列の概略図。
図1B:バイオフィルムに感染したブタ創傷における細菌セラミダーゼ(bcdase)の誘導。レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)によって収集した、自発感染(SI)および野生型P.エルギノーサ(P.aeruginosa)(PAwt)感染ブタ創傷表皮(感染後d7)におけるbcdase発現のリアルタイムqPCR分析。データは、平均±SEM、(n=5)として提示される。
図1C:PAΔcerバイオフィルムは、分泌bcdase活性が欠損していた。データは、平均±SEM、(n=6)として提示される。遺伝子bcdase発現データについて
図8Aを参照。[NBD-CER - C12-NBD-セラミド、NBD-DA - NBD-ドデカン酸]。
図1D:SI、またはP.エルギノーサのセラミダーゼ変異体(PAΔcer)に感染した創傷と比較した、PAwtバイオフィルムに感染したブタ創傷におけるセラミドの枯渇。データは、平均544±SEM、(n=6)として提示される。
図1E:LC/MS/MS標的化リピディドミック(lipididomic)アプローチによって測定した場合の、PAwt、またはPAΔcerに曝露されたブタ皮膚脂質におけるセラミドの枯渇。細菌に曝露されていない同じ皮膚脂質をシャム対照として使用した。階層的クラスター分析により、皮膚脂質(n=6)におけるセラミドの19種の下方制御が明らかになった。特異的に影響を受けた個々のセラミドは、
図9A~9Sに示される。
図1F:経表皮水分喪失(TEWL)によって測定した、皮膚創傷のバリア機能の機能回復は、PAwtバイオフィルム感染後に損なわれた。データは、平均±SEM(n=6)として提示される。‡p<0.05(PAΔcerと比較)、および*p<0.05(SIと比較)。
【
図2A】
図2A~2Cは、宿主脂質が、PAwtバイオフィルム凝集体形成を促進することを示す。皮膚脂質は、接種の24時間後にインビトロポリカーボネート膜バイオフィルム系においてバイオフィルム凝集体形成を誘導した。宿主脂質に応答したPAwtバイオフィルムにおけるEPSの存在量の増加が観察された。
図2A:WGA染色を使用したバイオフィルム凝集体の定量化。データは、平均±SEM、n=10として提示される。
図2Bおよび2C:宿主脂質は、病原体PAwtにおいてバイオフィルム遺伝子発現を誘導する。データは、平均±SEM、(n=5)として提示される。
【
図3A】
図3A~3Jは、宿主長鎖セラミドのバイオジェネシスが、PAwtバイオフィルム感染の条件下で損なわれることを示す。
図3A:長鎖セラミドバイオジェネシス経路の概要が示される。
図3B:qPCRによって測定した、SIまたはPAΔcerと比較した、PAwtに感染した創傷部位の皮膚組織におけるCerS3の下方制御。データは、平均±SEM(n=5~7)として提示される。
図3C:PAwtは、皮膚脂質におけるジヒドロセラミド(C18DHCer)のレベルを低下させた。LC/MS/MS標的化リピドミックアプローチによる測定。データは、平均±SEM(n=6)として提示される。
図3D:標準治療の一部として陰圧創傷療法(NPWT)を受けた慢性創傷患者からの創傷流体収集。
図3E~3F:環状diGMPが豊富なヒト創傷流体中のジヒドロセラミドのより低いレベル。環状di-GMPは、PAバイオフィルム感染のマーカーである(n=5)。
図3G:バイオフィルム誘導性miR-106bは、宿主CerS3を標的とする。
図3H:qPCRによって測定した場合の、PAwtバイオフィルムに感染したヒトケラチノサイト(HK)における上昇したmiR-106b。データは、平均±SEM(n=5~6)として提示される。miR-106bは、RNAHybrid(商標)アルゴリズムに従って、CerS3位置331~355の3’-UTRを標的とすることが予測される。
図3I:miR-106bは、ヒトケラチノサイト(HK)においてpmiR-標的-Cers-3’-UTRをサイレンシングした。FL、ホタルルシフェラーゼ;RL、レニラルシフェラーゼ。データは、平均±SEM(n=4)である。
図3J:miR-106bは、ヒトケラチノサイト(HK)においてCerS3タンパク質発現をサイレンシングした。データは、平均±SEM(n=6)として提示される。
【
図4】
図4は、創傷部位の皮膚PPARδ発現が、PAwtバイオフィルム感染に応答して下方制御されることを示す概略図である。
【
図5】
図5は、その増強されたセラミダーゼ系を作動させ、それを維持するために細菌が使用する宿主脂質因子の盗用に依存するPAバイオフィルム形成に関連するメカニズムを示す。
【
図6A】
図6A~6Cは、bcdaseの変異についてのPAΔcerの検証を示す。bcdaseは、PAΔcerにおいて検出されなかった。データは、平均±SEM、(n=4)として提示される。感染後d7およびd14についてのSI、PAwtまたはPAΔcer創傷の創傷からのCFUカウント。データは、平均±SEM、(n=4~6)として提示される。16S rRNA可変領域の次世代シークエンシング(NGS)によって測定した場合の、感染後の創傷部位からの他の細菌種の中のシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(PA)の存在量。データは、平均±SEM、(n=4)として提示される。PAwtまたはPAΔcerに感染した創傷におけるバイオフィルム構造の証拠。
図6D:SIまたはPAΔcerと比較した、PAwtに感染した創傷における増加したPAバイオフィルムマトリックス。ブタd14創傷組織は、PAバイオフィルムマトリックス成分特異的pel(緑色)抗体およびDAPI(青色)で免疫染色された。データは、平均±SEM、(n=5)として提示される。
図6E:皮膚脂質への曝露は、PAwtにおいてbcdase発現を誘導したが、このような誘導は、枯渇した皮膚脂質に曝露されたPAwtにおいて減衰する。データは、平均±SEM、(n=4~6)として提示される。
図6F:仮説的に、宿主皮膚脂質は、シュードモナス転写活性化因子SphRの上方制御を介してPAwtにおいてbcdase発現を誘導する。
図6G:皮膚脂質への曝露は、PAwtにおいてSphR発現を誘導した。データは、平均±SEM、=5~6)として提示される。
【
図7A】
図7A~7Uは、セラミド枯渇およびセラミダスチン救済に関する。
図7A~7S:皮膚脂質における、LC-MS/MSによって測定した場合の、セラミド枯渇。適用可能な場合、細菌への曝露後、脂質を、標的化アプローチを介して抽出および分析した。こうして得られたデータを、3群間で有意差を有する脂質を具体的に特定するために、R3.5.3を使用するANOVAによる分析に供した。ANOVAによって試験した場合に有意性を有するものを、0.05のFDRカットオフを有するテューキー-HSDを使用する事後分析に供した。これらの閾値を通過した群差を有する脂質を、箱ひげ図として示した。皮膚セラミドは、脂肪アシルタイプ、スフィンゴイド骨格タイプ、およびスフィンゴイド骨格長-脂肪アシル長の形式に従う標準的命名法を使用して表示されている。NS=Cer2(非ヒドロキシ脂肪酸を有する、スフィンゴイド骨格);NP=Cer3(非ヒドロキシ脂肪酸、フィトスフィンゴイド骨格);NH=Cer8(非ヒドロキシ脂肪酸、6-ヒドロキシスフィンゴイド骨格);NDS=Cer10(非ヒドロキシ脂肪酸、ジヒドロキシスフィンゴイド骨格);AS=Cer5(α-ヒドロキシ脂肪酸、スフィンゴイド骨格);AP=Cer6(α-ヒドロキシ脂肪酸、フィトスフィンゴイド骨格)。Y軸の値は、cps(1秒あたりのカウント)における強度である。
図7T:ヒトケラチノサイト(HK)膜セラミドは、抗セラミド(赤色)抗体およびDAPI(青色)による免疫染色に基づいて、PAwtによる感染に感受性であることが見出されたが、PAΔcer感染したケラチノサイトの単層ではそうではなかった。
図7U:PA bcdase阻害剤であるセラミダスチンは、PAwtバイオフィルム感染に応答したケラチノサイトセラミドの枯渇を救済した。ヒトケラチノサイト(HK)を、セラミダスチン(10μg/ml)を含有するPAバイオフィルムと共培養した細胞の馴化培地(25%v/v)で24時間処理した。
【
図8A】
図8A~8Nは、セラミド枯渇を示す。
図8A~8L バイオフィルム感染ケラチノサイト馴化培地(CM)に曝露された皮膚脂質における、LC-MS/MSによって測定した場合の、セラミド枯渇。示されるように、PA bcdaseの重要性を試験するために、CMは、セラミダスチン(CST)を含有した。脂質を、材料および方法に記載されるように、非標的化アプローチを使用して抽出および分析した。結果として生じたデータを、R3.3を使用して分析した。すべての群の分析について、ウィルコクソン符号付順位和検定法を使用し、多重比較について、p<0.05での有意性を用いて、クラスカル・ウォリスとその後のベンジャミーニ・ホッホベルク補正を実施した。皮膚セラミドは、脂肪アシルタイプ、スフィンゴイド骨格タイプ、およびスフィンゴイド骨格長-脂肪アシル長の形式に従う標準的命名法を使用して表示されている。NS=Cer2(非ヒドロキシ脂肪酸を有する、スフィンゴイド骨格);NP=Cer3(非ヒドロキシ脂肪酸、フィトスフィンゴイド骨格);NH=Cer8(非ヒドロキシ脂肪酸、6-ヒドロキシスフィンゴイド骨格);NDS=Cer10(非ヒドロキシ脂肪酸、ジヒドロキシスフィンゴイド骨格);AS=Cer5(α-ヒドロキシ脂肪酸、スフィンゴイド骨格);AP=Cer6(α-ヒドロキシ脂肪酸、フィトスフィンゴイド骨格)。Y軸の値は、mol%におけるものである。(M)デジタル創傷画像および面積測定が示される。データは、平均±SEM、(n=6)として提示される。p<0.05(PAΔcerと比較)および*p<0.05(SIと比較)。
【
図9A】
図9A~9Iは、バイオフィルム形成における皮膚セラミド分解生成物の、可能性のある役割を示す。
図9A~9B:メタノール-クロロホルム法によって達成した、皮膚脂質の枯渇。データは、平均±SEM、n=5として提示される。皮膚脂質は、SEMによって決定した場合、インビトロポリカーボネート膜バイオフィルム系におけるバイオフィルム凝集体形成を誘導した。広視野が示される。
図9C:PAwt+ビヒクル(PBS);
図9D、PAwt+皮膚脂質;
図9E、PAwt+枯渇した脂質;
図9F、PAΔcer+ビヒクル(PBS)
図9G、PAΔcer+皮膚脂質。スケールバー=1μm、10,000×倍率。黄色の点は、濃密なEPS形成に印をつける。黄色の矢頭は、EPS線維を識別する。LB培地中のPAwtまたはPAΔcerの増殖曲線。
図9H:データは、平均±SEM、n=8として提示される。皮膚脂質を補充されたまたは皮膚脂質なしのM9最小培地中のPAwtまたはPAΔcerの増殖曲線。
図9I:データは、平均±SEM、n=12~16として提示される。*p<0.05(PAwtと比較)。
【
図10A】
図10A~10Iは、さらなる実験結果を示す。
図10A:qPCRによって測定した、PAΔcer感染創傷上皮と比較した、LCMキャプチャーPAwt感染創傷上皮におけるCerS3の下方制御;データは、平均±SEM(n=5)として提示される。
図10B~10G)ヒト慢性創傷流体中のジヒドロセラミドレベルは、PAwtバイオフィルムの環状diGMPマーカーと負に相関する(n=5)。
図10H:慢性創傷患者の人口統計学的特徴。
図10I:CerS3 3’UTRベクターマップ。
【
図11A】
図11A~11Oは、さらなる実験結果を示す。
図11A:PPARδプロモータールシフェラーゼレポーターのベクターマップ。
図11B~11C:PPARδは、CerS3発現を推進する。qPCRによって測定した場合の、PPARδアゴニスト(GW501516、1μmol/ml)またはアンタゴニスト(GSK0660、1μmol/ml)で処理されたヒトケラチノサイト(HK)におけるCerS3発現。データは、平均±SEM(n=5)として提示される。
図11D~11F:S-1-P処理HKにおけるDNAメチルトランスフェラーゼの上方制御。データは、平均±SEM(n=8)として提示される。
図11G~11J:S-1P処理HKにおけるヒストン脱アセチル化酵素の誘導。データは、平均±SEM(n=8)として提示される。
図11K~11N)S-1P処理HKにおける他のヒストン脱アセチル化酵素。有意な変化は観察されなかった(NS)。データは、平均±SEM、(n=8)として提示される。
図11O:S-1-P(5μmol/ml)で処理されたHKにおけるmiR-106b発現。データは、平均±SEM(n=8)として提示される。
【
図12A】
図12A~12Cは、PPARδがABCA12発現を推進することを示す。
図12A~12B)PPARδは、ヒトケラチノサイト(HK)においてABCA12発現を推進する。qPCRによって測定した場合の、PPARδアゴニスト(GW501516、1μmol/ml)またはアンタゴニスト(GSK0660、1μmol/ml)で(24時間)処理されたHK。データは、平均±SEM(n=5)として提示される。
図12C:PAΔcer qPCRと比較した、PA LCMキャプチャーPA感染創傷上皮におけるABCA12の下方制御;データは、平均±SEM(n=5)として提示される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本開示がさらに記載される前に、この開示は、記載される特定の実施形態に限定されず、それ自体、当然変わり得ることが理解されるべきである。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、限定することは意図されないことも理解されるべきである。
【0012】
別段定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての特許、出願、公開された出願および他の刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。このセクションに記載される定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、または他の刊行物に記載される定義に反するか、またはそうでなければ該定義と矛盾する場合、このセクションに記載される定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義に対して優先される。本発明を記載し、特許請求する際、以下の用語は、以下に記載される定義に従って使用される。
【0013】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上特に明記されていない限り、複数の指示対象を含む。用語「含む(including)」、「含有する」、および「含む(comprising)」は、それらのオープンで、非限定的な意味で使用される。
【0014】
用語「約」は、本明細書で使用される場合、記載される値または値の範囲より10パーセント大きいまたは小さいことを意味するが、任意の値または値の範囲を、このより広い定義のみに限定することは意図されない。用語「約」が先行する各値または値の範囲はまた、記載される絶対的な値または値の範囲の実施形態を包含することが意図される。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「精製された」および同様の用語は、天然または自然環境において分子または化合物に通常関連する混入物が実質的にない形態における分子または化合物の単離に関する。本明細書で使用される場合、用語「精製された」は、絶対的な純粋性を必要としない;むしろ、それは、相対的定義として意図される。用語「精製されたポリペプチド」は、核酸分子、脂質および炭水化物を含むがこれらに限定されない他の化合物から分離されているポリペプチドを記載するために本明細書で使用される。
【0016】
用語「単離された」は、言及される材料が、その元の環境(例えば、それが自然に存在する場合は、自然環境)から取り出されることを必要とする。例えば、生存動物中に存在する自然に存在するポリヌクレオチドは、単離されていないが、自然系における共存材料の一部または全部から分離された同じポリヌクレオチドは、単離されている。
【0017】
本明細書で使用される場合、さらなる指定のない用語「患者」は、医師の監視ありまたはなしで治療的ケアを受ける、任意の温血脊椎動物の飼いならされた動物(例えば、以下に限定されないが、家畜、ウマ、ネコ、イヌおよび他のペットを含む)およびヒトを包含することが意図される。
【0018】
用語「阻害する」は、活性、応答、状態、疾患、または他の生物学的パラメータの減少を指す。これは、以下に限定されないが、活性、応答、状態、または疾患の完全な除去を含み得る。これはまた、例えば、天然または対照レベルと比較した場合の、活性、応答、状態、または疾患の10%の低下を含み得る。したがって、低下は、天然または対照レベルと比較した場合の、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、またはそれらの間の任意の量の低下であり得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「セラミド」は、スフィンゴシンおよび脂肪酸からなり、かつ
【0020】
【0021】
[式中、Rは、脂肪酸の飽和または不飽和アルキル鎖であり、任意選択で、脂肪酸鎖は、脂肪酸鎖の遊離末端への基-O(CO)(CH2)7(CH=CH)CH2(CH=CH)(CH2)4CH3の結合によって伸長される]
の一般構造を有する、蝋状脂質分子のファミリーを定義する。
【0022】
セラミダーゼは、セラミドの、スフィンゴシンおよび脂肪酸への分解を触媒する。
本明細書で使用される場合、「セラミダーゼ阻害剤」は、中性/アルカリ性細菌セラミダーゼなどのセラミダーゼに対して阻害活性を示す任意の化合物である。細菌セラミダーゼ阻害剤は、細菌セラミダーゼ阻害剤を生成する微生物を使用して得ても、または化学合成を通じて得てもよい。セラミダスチンは、米国特許第8,263,369号に記載される例示的な細菌セラミダーゼ阻害剤であり、その開示内容は、本明細書に明示的に組み込まれる。セラミダスチンの構造は以下である:
【0023】
【0024】
用語「制御放出」は、本明細書で使用される場合、製剤からの薬物放出の様式およびプロファイルが制御される製剤を指す。これは、即時型だけでなく、非即時型の放出製剤を含み、非即時型の放出製剤は、持続放出および遅延放出製剤を含むが、これらに限定されない。用語「持続放出」(「延長放出」とも呼ばれる)は、長期間にわたる薬物の漸進的な放出を提供し、長期間にわたる実質的に一定のレベルの薬物をもたらし得る薬物製剤を指すためにその従来の意味で本明細書において使用される。用語「遅延放出」は、製剤の投与と、製剤からの薬物の放出との間に時間遅延が存在する薬物製剤を指すためにその従来の意味で本明細書において使用される。「遅延放出」は、長期間にわたる薬物の漸進的な放出を含んでも、または含まなくてもよく、したがって、「持続放出」であっても、またはなくてもよい。用語「長期」放出は、本明細書で使用される場合、薬物製剤が、少なくとも2時間、3時間、4時間、時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、48時間、49時間、50時間、51時間、52時間、53時間、54時間、55時間、56時間、57時間、58時間、59時間、60時間、61時間、62時間、63時間、64時間、65時間、66時間、67時間、68時間、69時間、70時間、71時間、72時間、73時間、74時間、75時間、76時間、77時間、78時間、79時間、80時間、81時間、82時間、83時間、84時間、85時間、86時間、87時間、88時間、89時間、90時間、91時間、92時間、93時間、94時間、95時間、96時間、97時間、98時間、99時間、100時間、101時間、102時間、103時間、104時間、105時間、106時間、107時間、108時間、109時間、110時間、111時間、112時間、113時間、114時間、115時間、116時間、117時間、118時間、119時間、または120時間、治療レベルの活性成分を送達するように構築および配置されることを意味する。
【0025】
「賦形剤」は、組成物に添加され、意図される投薬量で治療効果を発揮することが意図されない、任意の不活性成分を指すが、それは、製品の送達を改善するように作用し得る。賦形剤のさらなる特徴は、参照により本明細書に組み込まれる、米国医薬品局医薬品評価研究センター(US Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research(2005年5月))によって発行されたGuidance for Industry Nonclinical Studies for the Safety Evaluation of Pharmaceutical Excipientsに見出され得る。
【0026】
「薬学的に許容される担体」は、記載される発明の組成物の製剤化および投与に使用できる任意の実質的に非毒性の担体を指し、その中で、記載される発明の製品は、安定し生体利用可能を維持する。薬学的に許容される担体は、それを、処置される対象への投与に好適なものとするのに十分に高純度かつ十分に低毒性のものでなければならない。さらに、それは、活性薬剤の安定性および生体利用性を維持するべきである。薬学的に許容される担体は、液体または固体であってよく、所与の組成物の活性薬剤および他の成分と組み合わされた場合に、計画された投与様式で、所望のバルク、粘稠性などを提供するように選択される。
【0027】
「低下した」または「低下させること」は、度合い、強度、程度、サイズ、量、密度または数の縮小、減少、減衰または減退を指す。
「局所的」は、適用の点における、またはその直下における医薬組成物の投与を指す。用語「局所的に」「局所投与」および「局所的に適用すること」は、上皮表面を含む、組織または細胞の1つまたは複数の表面上に医薬組成物を送達することを指すために互換的に使用される。組成物は、液体の場合、注ぐ、滴下する、またはスプレーすることによって;軟膏、ローション、クリーム、ゲルなどの場合、擦り込むことによって;粉末の場合、振りかけることによって;液体またはエアロゾル組成物の場合、スプレーすることによって;または任意の他の適切な手段によって適用され得る。局所投与は、一般に、全身的効果ではなく局所的効果を提供する。
【0028】
「処置する」または「処置すること」は、疾患、状態または障害の進行を阻止する、実質的に阻害する、遅らせるまたは逆転させること、状態の臨床的または審美的症状を実質的に改善すること、疾患、状態、または障害の臨床的または審美的症状の出現を実質的に予防すること、および有害なまたは不快な症状から保護することを含む。「処置する」または「処置すること」は、以下のうちの1つまたは複数を達成することをさらに指す:(a)障害の重症度を低下させること、(b)処置される障害に特徴的な症状の発症を制限すること、(c)処置される障害に特徴的な症状の悪化を制限すること、(d)障害を以前に有していた患者において障害の再発を制限すること、および(e)障害の症状を以前に示した患者において症状の再発を制限すること。
【0029】
本明細書で使用される場合、薬物の「有効な」量または「治療有効量」は、非毒性であるが、所望の効果を提供するのに十分な薬物の量を指す。「有効な」量は、個体の年齢および全般的状態、投与様式などに応じて、対象ごとに、またはさらには対象内で時間とともに変わる。したがって、正確な「有効量」を特定することが常に可能であるとは限らない。しかし、任意の個体の場合の適切な「有効な」量は、日常的な実験を使用して、当業者によって決定され得る。
【0030】
「創傷治癒剤」は、皮膚または他の体組織が傷害後にそれ自体を修復する、複雑なプロセスを促進する薬剤を指す。正常な皮膚では、表皮(表面層)および真皮(より深い層)は、外部環境に対する保護バリアを形成する。そのため、用語「創傷治癒剤」は、創傷治癒プロセスを促進する任意の物質を指す。
【0031】
実施形態
本開示は、微生物病原体が、複雑なバイオフィルムを生成するために、宿主皮膚脂質を利用しなければならないという発見を対象とする。したがって、抗バイオフィルム戦略は、必ずしも常に微生物自体を標的とする必要はない。特に微生物病原体による宿主の感染の危険性が増強される状況下で、微生物病原体によって利用される宿主脂質を標的とすることは、このような感染を予防または処置するための有効な戦略であり得る。一実施形態では、抗バイオフィルム戦略は、宿主皮膚脂質の微生物利用を妨げる薬剤および抗微生物剤の両方の投与を含む。一実施形態では、微生物病原体の病原性セラミド分解メカニズムに干渉するまたはそれを阻害する薬剤を投与するステップを含む、微生物病原体感染を処置または予防する方法が提供される。
【0032】
一実施形態では、関連する水分喪失/加湿の課題を有するバリア機能の喪失を示す損傷組織を処置する方法が提供され、損傷組織を、リン脂質、スフィンゴ脂質、コレステロール、遊離脂肪酸、およびトリグリセリドからなる群から選択される表皮脂質の外部供給源と接触させる。一実施形態では、損傷組織を、セラミドを含む組成物と接触させる。一実施形態では、組織は、病原性微生物病原体による現在または以前の感染の結果として損傷している。
【0033】
一実施形態によれば、微生物リパーゼの阻害剤と、1つまたは複数の表皮脂質とを含む、組成物が提供される。一実施形態では、組成物は、セラミダーゼ阻害剤を含む。一実施形態では、組成物は、セラミダーゼ阻害剤と、1つまたは複数のセラミドとを含む。したがって、一実施形態では、本開示は、微生物の病原性セラミド分解メカニズムを阻害する方法だけでなく、修復された皮膚のバリア機能を救済するために宿主セラミドを補充して、機能的創傷閉鎖を可能にする方法を提供する。セラミダーゼ阻害剤は、一実施形態では、セラミダーゼの酵素活性に干渉する化合物である。このような化合物は、セラミダスチン、またはヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEAを含み得る。一実施形態では、セラミダーゼ阻害剤は、例えば、セラミダーゼをコードする核酸に結合する干渉RNAを含む、セラミダーゼの発現に干渉する薬剤である。
【0034】
したがって、一実施形態では、局所投与のために製剤化された医薬組成物が提供され、組成物は、細菌セラミダーゼ阻害剤および薬学的に許容される担体を含む。一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、ゼロより大きく約10重量%までの量の細菌セラミダーゼ阻害剤を含む。例えば、セラミドの総量は、組成物の総重量に基づいて、ゼロより大きく約9重量%まで、ゼロより大きく約8重量%まで、ゼロより大きく約7重量%まで、ゼロより大きく約6重量%まで、ゼロより大きく約5重量%まで、ゼロより大きく約4重量%まで、ゼロより大きく約3重量%まで、ゼロより大きく約2重量%まで、ゼロより大きく約1重量%までであり得る。一実施形態では、組成物は、セラミド、リン脂質、スフィンゴ脂質、コレステロール、遊離脂肪酸、およびトリグリセリドから選択される1つまたは複数の表皮脂質をさらに含む。
【0035】
一実施形態によれば、本開示の組成物を構成するセラミダーゼ阻害剤は、1つまたは複数のセラミドまたはその誘導体をさらに含む。一実施形態では、組成物のセラミドは、一般式:
【0036】
【0037】
[式中、Rは、4~32の範囲から選択される炭素原子の飽和または不飽和脂肪族鎖であり、任意選択で、Rは、-(CH2)18~29(CH3)、-(CHOH)(CH2)18~29(CH3)または-(CH2)18~30O(CO)(CH2)7(CH=CH)CH2(CH=CH)(CH2)4CH3である]
を有する。一実施形態では、セラミドは、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド3B、セラミド4、セラミド5、セラミド1A、セラミド6II、セラミドAP、セラミドEOP、セラミドEOS、セラミドNP、セラミドNG、セラミドNS、セラミドAS、ジラウリン酸セラミドNS、およびそれらの混合物からなる群から選択される。場合によっては、セラミドは、セラミド-EOS、セラミド-NS、セラミド-NP、セラミド-EOH、セラミド-AS、セラミド-NH、セラミド-AP、セラミド-AH、セラミド-OS、セラミド-OH、(疑似)セラミド、例えば、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、セチルオキシプロピルグリセリルメトキシプロピルミリスタミド、N-(1-ヘキサデカノイル)-4-ヒドロキシ-L-プロリン(1-ヘキサデシル)エステル、およびヒドロキシエチルパルミチルオキシヒドロキシプロピルパルミタミド、およびそれらの混合物を含み、またはこれらから選択されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、任意選択で1つ、2つ、またはそれより多くの他のセラミドと組み合わせて、セラミドEOPを含み得る。例えば、場合によっては、組成物は、セラミドの組み合わせ、例えば、セラミドEOP、セラミドNP、セラミドAPの組み合わせを含む。
【0038】
セラミドおよびセラミド誘導体は、以下に限定されないが、SN-1位でリン酸化を受けないであろう、SN-1位の誘導体、例えば、1-クロロおよび1-ベンゾイルセラミド、ならびにセラミダーゼによる分解を受けないであろう、SN-2位(アミド結合)における誘導体、例えば、メチルカルバメート基または2-O-エチル置換基を含む。さらに、これらのセラミド類似体の細胞透過性形態が利用可能である。これらの細胞透過性セラミドおよび/または誘導体の例は、2~10個の炭素を含有し、SN-2位において短鎖脂肪酸を有する(C6セラミド)。C6-セラミドの例は、N-ヘキサノイル-D-erythro-スフィンゴシンである。セラミドは、自然源から単離されてもよく、または化学合成されてもよい。一実施形態では、セラミドは、市販のクリーム、ローション、スプレー、ゲル、フォームまたは軟膏中にすでに製剤化されている。市販の組成物の例としては、Promius Pharmaによって生成されるEpiCeram(登録商標)、CERAVE(登録商標)(New York、NY)またはCERAMEDX(登録商標)(Santa Barbara、CA)が挙げられる。一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、ゼロより大きく約10重量%までの量の1つまたは複数のセラミドを含む。例えば、セラミドの総量は、組成物の総重量に基づいて、ゼロより大きく約9重量%まで、ゼロより大きく約8重量%まで、ゼロより大きく約7重量%まで、ゼロより大きく約6重量%まで、ゼロより大きく約5重量%まで、ゼロより大きく約4重量%まで、ゼロより大きく約3重量%まで、ゼロより大きく約2重量%まで、ゼロより大きく約1重量%までであり得る。
【0039】
一実施形態では、本開示の組成物は、ステロールを含む。例示的なステロールとしては、コレステロール、硫酸コレステリル、酢酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、およびフィトステロールが挙げられる。組成物中のステロールの総量は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~約20重量%まで変わり得る。例えば、コレステロールの総量は、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上、1.0重量%以上および/または20重量%以下、15重量%以下、13重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2.5重量%以下(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であり得る。
【0040】
組成物は、水、例えば、精製水を含み得る。組成物中の水の総量は、クレンジング組成物の総重量に基づいて、約30~約95重量%まで変わり得るが、典型的には約30~約95重量%である。場合によっては、水の総量は、組成物の総重量に基づいて、約30~約90重量%、約30~約85重量%、約30~約80重量%、約35~約90重量%、約35~約85重量%、約35~約80重量%、約40~約90重量%、約40~約85重量%、約40~約80重量%、約45~約90重量%、約45~約85重量%、約45~約80重量%、約50~約90重量%、約50~約85重量%、約50~約80重量%、約55~約90重量%、約55~約85重量%、約55~約80重量%、約60~約90重量%、約60~約85重量%、約60~約80重量%、約65~約90重量%、約65~約85重量%、または約65~約80重量%である。
【0041】
一実施形態では、組成物は、脂肪酸化合物、例えば、不飽和または飽和の脂肪酸または脂肪酸誘導体をさらに含む。不飽和または飽和脂肪酸としては、以下に限定されないが、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、ペンタデカン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ベヘン酸、ジホモリノール酸、アラキドン酸およびリグノセリン酸が挙げられる。脂肪酸誘導体は、脂肪アルコールの脂肪酸エステル、脂肪アルコール誘導体の脂肪酸エステル(このような脂肪アルコール誘導体が、エステル化可能なヒドロキシル基を有する場合)、脂肪アルコールおよび脂肪アルコール誘導体以外のアルコールの脂肪酸エステル、ヒドロキシ置換脂肪酸、およびそれらの混合物を含むと定義される。脂肪酸誘導体の非限定的な例としては、共役リノール酸、リシノール酸、モノステアリン酸グリセロール、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸エチル、ステアリン酸セチル、パルミチン酸セチル、ポリオキシエチレンセチルエーテルステアレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテルステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテルステアレート、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、ジステアリン酸ポリオキシエチレン、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸トリメチロールプロパン、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、セバシン酸ジメチル、PEG-15ココエート、PPG-15ステアレート、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、PEG-8ラウレート、PPG-2イソステアレート、PPG-9ラウレート、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
組成物中の脂肪化合物の総量は、組成物の総重量に基づいて、例えば、約0.1~約25重量%まで変わり得る。例えば、脂肪化合物の総量は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~約25重量%、約0.1~約20重量%、約0.1~約15重量%、約0.1~約10重量%、約0.1~約8重量%、約0.1~約6重量%、約0.5~約25重量%、約0.5~約20重量%、約0.5~約15重量%、約0.5~約10重量%、約0.5~約8重量%、約0.5~6重量%、約1~約25重量%、約1~約20重量%、約1~約15重量%、約1~約10重量%、約1~約8重量%、または約1~約6重量%、約1.5~約25重量%、約1.5~約20重量%、約1.5~約15重量%、約1.5~約10重量%、約1.5~約8重量%、または約1.5~約6重量%、約2~約25重量%、約2~約20重量%、約2~約15重量%、約2~約10重量%、約2~約8重量%、または約2~約6重量%、約2.5~約25重量%、約2.5~約20重量%、約2.5~約15重量%、約2.5~約10重量%、約2.5~約8重量%、または約2.5~約6重量%、約3~約25重量%、約3~約20重量%、約3~約15重量%、約3~約10重量%、約3~約8重量%、または約3~約6重量%、約3.5~約25重量%、約3.5~約20重量%、約3.5~約15重量%、約3.5~約10重量%、約3.5~約8重量%、または約3.5~約6重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であり得る。追加としてまたは代替として、脂肪化合物の総量は、組成物の総重量に基づいて、0.1~25重量%、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~10重量%、0.1~8重量%、0.1~6重量%、0.1~25重量%、0.5~20重量%、0.5~15重量%、0.5~10重量%、0.5~8重量%、0.5~6重量%、1~25重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、1~8重量%、または1~6重量%、1.5~25重量%、1.5~20重量%、1.5~15重量%、1.5~10重量%、1.5~8重量%、または1.5~6重量%、2~25重量%、2~20重量%、2~15重量%、2~10重量%、2~8重量%、または2~6重量%、2.5~25重量%、2.5~20重量%、2.5~15重量%、2.5~10重量%、2.5~8重量%、または2.5~6重量%、3~25重量%、3~20重量%、3~15重量%、3~10重量%、3~8重量%、または3~6重量%、3.5~25重量%、3.5~20重量%、3.5~15重量%、3.5~10重量%、3.5~8重量%、または3.5~6重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であり得る。
【0043】
組成物の脂肪化合物の非限定的な例は、油、鉱油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪アルコール誘導体、脂肪酸誘導体(例えば、アルコキシル化脂肪酸、または脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、または脂肪酸のプロピレングリコールエステル、または脂肪酸のブチレングリコールエステル、またはネオペンチルグリコールおよび脂肪酸のエステル、または脂肪酸のポリグリセロール/グリセロールエステル、またはエチレングリコールおよび脂肪酸のグリコールジエステルもしくはジエステル、または脂肪酸および脂肪アルコールのエステル、短鎖アルコールおよび脂肪酸のエステル)、グリセリルエステル(グリセロールエステル)、脂肪アルコールのアルキルエーテル、脂肪アルコールのアルキルエーテルの脂肪酸エステル、アルコキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステル、アルコキシル化脂肪アルコールのアルキルエーテルの脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエステル、ヒドロキシ置換脂肪酸、ワックス、トリグリセリド化合物、ラノリン、およびそれらの混合物を含み、またはこれらから選択されてもよい。場合によっては、1つまたは複数の脂肪化合物は、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸のエステル、および/または脂肪アルコールのエステル(例えば、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、およびステアリン酸ステアリル(「セチルエステル」と呼ばれる混合物))を含んでもよく、またはこれらから選択されてもよい。追加としてまたは代替として、1つまたは複数の脂肪化合物は、炭化水素、脂肪アルコール、脂肪アルコール誘導体、脂肪酸、脂肪酸誘導体、脂肪エステル、脂肪エーテル、油、ワックスなどを含んでもよく、またはこれらから選択されてもよい。一例では、1つまたは複数の脂肪化合物は、直鎖状、分岐状、および/または環状の炭化水素、例えば、環状C6~C16アルカン、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、およびイソパラフィン、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカンおよびイソデカンである。さらに、直鎖状または分岐状炭化水素は、揮発性または不揮発性流動パラフィン、ワセリン、液体ワセリン、ペトロラタムポリデセン、水添ポリイソブテン、およびスクアランなど、16個を超える炭素原子を有する鉱物、植物、動物または合成起源の炭素原子および水素原子のみからなり得る。
【0044】
一実施形態では、組成物は、1つまたは複数のポリオールを含む。1つまたは複数のポリオールは、2~15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を有するポリオールから選択されてもよい。組成物中に使用され得る例示的なポリオールは、アルカンジオール、例えば、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、カプリリルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオール、および4-メチル-1,2-ペンタンジオール;グリコールエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-イソ-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-イソ-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、1-メチル-1-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-イソ-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、およびジプロピレングリコールモノ-イソ-プロピルエーテル;ソルビトール;ソルビタン;トリアセチン;およびそれらの混合物を含み、かつ/またはこれらから選択されてもよい。
【0045】
1つまたは複数のポリオールは、グリコールまたはグリコールエーテル、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらのエーテルのモノメチル、モノエチルおよびモノブチルエーテル、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテル、ならびにジエチレングリコールのアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールのモノエチルエーテルまたはモノブチルエーテルであり得る。一例では、1つまたは複数のポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、カプリリルグリコール、グリセリン、およびそれらの混合物を含み、またはこれらから選択される。別の例では、組成物は、カプリリルグリコール、グリセリン、およびそれらの混合物を含み、またはこれらから選択される。
【0046】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、約10重量%未満、好ましくは約9重量%未満、好ましくは約8重量%未満、好ましくは約7重量%未満、好ましくは約6重量%未満、好ましくは約5重量%未満、好ましくは約4重量%未満、好ましくは約3重量%未満、好ましくは約2重量%未満、または好ましくは約1重量%未満の量のプロピレングリコールおよび/またはエトキシジグリコールを有する。あるいは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、10重量%未満、好ましくは9重量%未満、好ましくは8重量%未満、好ましくは7重量%未満、好ましくは6重量%未満、好ましくは約5重量%未満、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、または好ましくは1重量%未満の量のプロピレングリコールおよび/またはエトキシジグリコールを有し得る。一例では、組成物に、プロピレングリコールおよび/またはエトキシジグリコールがないまたは実質的にないように、1つまたは複数のポリオールは、プロピレングリコールおよび/またはエトキシジグリコールを含まない。
【0047】
組成物中のポリオールの総量は、組成物の総重量に基づいて、例えば、約0.1~約25重量%まで変わり得る。例えば、ポリオールの総量は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~約25重量%、約0.1~約20重量%、約0.1~約15重量%、約0.1~約10重量%、約0.1~約8重量%、約0.1~約6重量%、約0.5~約25重量%、約0.5~約20重量%、約0.5~約15重量%、約0.5~約10重量%、約0.5~約8重量%、約0.5~6重量%、約1~約25重量%、約1~約20重量%、約1~約15重量%、約1~約10重量%、約1~約8重量%、または約1~約6重量%、約1.5~約25重量%、約1.5~約20重量%、約1.5~約15重量%、約1.5~約10重量%、約1.5~約8重量%、または約1.5~約6重量%、約2~約25重量%、約2~約20重量%、約2~約15重量%、約2~約10重量%、約2~約8重量%、または約2~約6重量%、約2.5~約25重量%、約2.5~約20重量%、約2.5~約15重量%、約2.5~約10重量%、約2.5~約8重量%、または約2.5~約6重量%、約3~約25重量%、約3~約20重量%、約3~約15重量%、約3~約10重量%、約3~約8重量%、または約3~約6重量%、約3.5~約25重量%、約3.5~約20重量%、約3.5~約15重量%、約3.5~約10重量%、約3.5~約8重量%、または約3.5~約6重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であり得る。追加としてまたは代替として、ポリオールの総量は、組成物の総重量に基づいて、0.1~25重量%、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~10重量%、0.1~8重量%、0.1~6重量%、0.1~25重量%、0.5~20重量%、0.5~15重量%、0.5~10重量%、0.5~8重量%、0.5~6重量%、1~25重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、1~8重量%、または1~6重量%、1.5~25重量%、1.5~20重量%、1.5~15重量%、1.5~10重量%、1.5~8重量%、または1.5~6重量%、2~25重量%、2~20重量%、2~15重量%、2~10重量%、2~8重量%、または2~6重量%、2.5~25重量%、2.5~20重量%、2.5~15重量%、2.5~10重量%、2.5~8重量%、または2.5~6重量%、3~25重量%、3~20重量%、3~15重量%、3~10重量%、3~8重量%、または3~6重量%、3.5~25重量%、3.5~20重量%、3.5~15重量%、3.5~10重量%、3.5~8重量%、または3.5~6重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であり得る。
【0048】
組成物は、1つまたは複数の乳化剤を含み得る。例えば、乳化剤は、単独でまたは混合物として、および任意選択で共乳化剤とともに使用される、両性、陰イオン性、陽イオン性または非イオン性乳化剤であり得る。乳化剤は、取得しようとするエマルションに応じて適切な様式で選択される。
【0049】
場合によっては、非イオン性界面活性剤は、ポリオールの、例えば8~24個の炭素原子を含有する飽和または不飽和鎖を有する脂肪酸とのエステル、およびそれらのアルコキシル化誘導体;C8~C24のポリエチレングリコールエステル;C8~C24のソルビトールエステル;C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪酸または酸の糖(スクロース、グルコース、アルキルグリコース)エステル、およびそれらのアルコキシル化誘導体;糖およびC8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪アルコールまたはアルコールのエーテル;およびそれらの混合物から選択されてもよい。一例では、非イオン性界面活性剤は、酸化エチレンの、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸のエステルとの付加物、およびそれらの混合物から選択されるエトキシル化脂肪エステルである。好適であり得るエトキシル化脂肪エステルの例としては、9~100個のオキシエチレン基を含有するもの、例えば、PEG-9~PEG-50ラウレート(CTFA名として:PEG-9ラウレート~PEG-50ラウレート);PEG-9~PEG-50パルミテート(CTFA名として:PEG-9パルミテート~PEG-50パルミテート);PEG-9~PEG-50ステアレート(CTFA名として:PEG-9ステアレート~PEG-50ステアレート);PEG-9~PEG-50パルミトステアレート;PEG-9~PEG-50ベヘネート(CTFA名として:PEG-9ベヘネート~PEG-50ベヘネート);ポリエチレングリコール100EOモノステアレート(CTFA名:PEG-100ステアレート);およびそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
場合によっては、組成物は、スペーサーによって頭部基を通じて互いに連結される親水性頭部基および親油性基によって構成される、同一または異なる2つの界面活性剤部分を有し得る、二量体界面活性剤などの乳化剤を含み得る。例えば、1つまたは複数の乳化剤は、名称CERALUTIOMでSasol社によって販売されるもの、例えば、CERALUTION H:ベヘニルアルコール、ステアリン酸グリセリル、クエン酸ステアリン酸グリセリルおよびジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム、CERALUTION F:ラウロイルラクチレートナトリウムおよびジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム、CERALUTION C:水、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、セテアレス-25、ジココイルエチレンジアミンPEG-15硫酸ナトリウム、ラウロイルラクチレートナトリウム、ベヘニルアルコール、ステアリン酸グリセリル、クエン酸ステアリン酸グリセリル、アラビアゴム、キサンタンガム、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベンを含んでもよく、またはこれらから選択されてもよい。一実施形態では、組成物の乳化剤は、ラウロイルラクチレートナトリウムからなるか、またはラウロイルラクチレートナトリウムから本質的になる。別の実施形態では、組成物の乳化剤は、非イオン性乳化剤または陰イオン性乳化剤などの1つまたは複数のさらなる乳化剤とともに、ラウロイルラクチレートナトリウムを含む。
【0051】
組成物中の乳化剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、例えば、約0.001~約25重量%まで変わり得る。例えば、脂肪化合物の総量は、組成物の総重量に基づいて、約0.001~約25重量%、約0.001~約20重量%、約0.001~約15重量%、約0.001~約10重量%、約0.001~約8重量%、約0.001~約6重量%、約0.005~約25重量%、約0.005~約20重量%、約0.005~約15重量%、約0.005~約10重量%、約0.005~約8重量%、約0.005~6重量%、約0.01~約25重量%、約0.01~約20重量%、約0.01~約15重量%、約0.01~約10重量%、約0.01~約8重量%、または約0.01~約6重量%、約0.05~約25重量%、約0.05~約20重量%、約0.05~約15重量%、約0.05~約10重量%、約0.05~約8重量%、または約0.05~約6重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であり得る。一例では、組成物中の乳化剤の総量は、典型的には、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9または1.0重量%~5、6、7、8、9、または10重量%の量である。
【0052】
組成物は、典型的な市販の製品よりも少ない量の乳化剤を有するように製剤化され得る。例えば、組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.001~約6重量%、約0.001~約5重量%、約0.001~約4重量%、約0.001~約3重量%、約0.001~約2重量%、約0.001~約1重量%、約0.005~6重量%、約0.005~約5重量%、約0.005~約4重量%、約0.005~約3重量%、約0.005~約2重量%、約0.005~約1重量%、約0.01~約6重量%、約0.01~約5重量%、約0.01~約4重量%、約0.01~約3重量%、約0.01~約2重量%、または約0.01~約1重量%、約0.05~約6重量%、約0.05~約5重量%、約0.05~約4重量%、約0.05~約3重量%、約0.05~約2重量%、または約0.05~約1重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)の範囲の総量の乳化剤を有し得る。追加としてまたは代替として、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.001~6重量%、0.001~5重量%、0.001~4重量%、0.001~3重量%、0.001~2重量%、0.001~1重量%、0.005~6重量%、0.005~5重量%、0.005~4重量%、0.005~3重量%、0.005~2重量%、0.005~1重量%、0.01~6重量%、0.01~5重量%、0.01~4重量%、0.01~3重量%、0.01~2重量%、または0.01~1重量%、0.05~6重量%、0.05~5重量%、0.05~4重量%、0.05~3重量%、0.05~2重量%、または0.05~1重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)の範囲の総量の乳化剤を有し得る。
【0053】
本明細書に記載される組成物は、1つまたは複数のシリコーン油を含み得る。シリコーン油の非限定的な例としては、ジメチコン、シクロメチコン、ポリシリコーン-11、フェニルトリメチコン、トリメチルシリルアモジメチコン、およびステアロキシトリメチルシランが挙げられる。場合によっては、組成物は、ジメチコン、および任意選択でさらなる油、例えばさらなるシリコーン油を含む。典型的には、1つまたは複数のシリコーン油は、不揮発性シリコーン油である。いくつかの実施形態では、シリコーン油は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ペンダントでありかつ/またはシリコーン鎖の末端にあり、基がそれぞれ2~24個の炭素原子を含有する、アルキルまたはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン、またはフェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサンまたは(2-フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケートである。
【0054】
組成物中の1つまたは複数のシリコーン油の量は、組成物の総重量に基づいて、例えば、約0.1~約25重量%まで変わり得る。例えば、シリコーン油の総量は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~約25重量%、約0.1~約20重量%、約0.1~約15重量%、約0.1~約10重量%、約0.1~約8重量%、約0.1~約6重量%、約0.5~約25重量%、約0.5~約20重量%、約0.5~約15重量%、約0.5~約10重量%、約0.5~約8重量%、約0.5~6重量%、または約0.5~5重量%、約1~約25重量%、約1~約20重量%、約1~約15重量%、約1~約10重量%、約1~約8重量%、約1~約6重量%、または約1~5重量%、約1.5~約25重量%、約1.5~約20重量%、約1.5~約15重量%、約1.5~約10重量%、約1.5~約8重量%、約1.5~約6重量%、または約1.5~5重量%、約2~約25重量%、約2~約20重量%、約2~約15重量%、約2~約10重量%、約2~約8重量%、約2~約6重量%、または約2~5重量%、約2.5~約25重量%、約2.5~約20重量%、約2.5~約15重量%、約2.5~約10重量%、約2.5~約8重量%、約2.5~約6重量%、または約2.5~5重量%、約3~約25重量%、約3~約20重量%、約3~約15重量%、約3~約10重量%、約3~約8重量%、約3~約6重量%、または約3~5重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)の範囲であり得る。
【0055】
追加としてまたは代替として、シリコーン油の総量は、組成物の総重量に基づいて、0.1~25重量%、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~10重量%、0.1~8重量%、0.1~6重量%、0.5~25重量%、0.5~20重量%、0.5~15重量%、0.5~10重量%、0.5~8重量%、0.5~6重量%、または0.5~5重量%、1~25重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、1~8重量%、1~6重量%、または1~5重量%、1.5~25重量%、1.5~20重量%、1.5~15重量%、1.5~10重量%、1.5~8重量%、1.5~6重量%、または1.5~5重量%、2~25重量%、2~20重量%、2~15重量%、2~10重量%、2~8重量%、2~6重量%、または2~5重量%、2.5~25重量%、2.5~20重量%、2.5~15重量%、2.5~10重量%、2.5~8重量%、2.5~6重量%、または2.5~5重量%、3~25重量%、3~20重量%、3~15重量%、3~10重量%、3~8重量%、3~6重量%、または3~5重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であり得る。
【0056】
1つまたは複数の保存剤が、本明細書に記載される組成物中に含まれてもよい。好適な保存剤としては、以下に限定されないが、グリセリン含有化合物(例えば、グリセリンまたはエチルヘキシルグリセリンまたはフェノキシエタノール)、ベンジルアルコール、パラベン(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベンなど)、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA二ナトリウム、ソルビン酸カリウム、および/またはグレープフルーツ種子抽出物、またはそれらの組み合わせが挙げられる。2つ以上の保存剤が組成物中に含まれてもよい。他の保存剤は、当業者に公知であり、サリチル酸、DMDMヒダントイン、ホルムアルデヒド、クロルフェニスム(Chlorphenism)、トリクロサン、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、ソルビン酸、メチルイソチアゾリノン、デヒドロ酢酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、クオタニウム-15、ステアラルコニウムクロリド、亜鉛ピリチオン、メタ重亜硫酸ナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン、ジグルコン酸クロルヘキシジン、ポリアミノプロピルビグアニド、塩化ベンザルコニウム、亜硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、クエン酸、ニーム油、精油(各種)、乳酸、およびビタミンE(トコフェロール)を含む。一例では、組成物は、EDTA二ナトリウム、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、酢酸トコフェロール、および/またはそれらの混合物を含み、またはこれらから選択される、複数の保存剤を有する。
【0057】
保存剤は、任意選択で、組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%~約5重量%、約0.15%~約1重量%、または約1重量%~約3重量%の範囲の量で含まれる。
組成物は、組成物の全体的なpHを増加または減少させるために1つまたは複数のpH調整剤を含み得る。例えば、1つまたは複数の酸が、組成物のpHを減少させるために含まれてもよい。組成物のpHを減少させるのに好適な酸の例としては、以下に限定されないが、クエン酸、酢酸などが挙げられる。組成物は、組成物のpHを減少させるために、1つまたは複数の塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを含み得る。組成物のpHを調整するのに好適な追加のまたは代替の酸および塩基は、当業者に容易に公知である。
【0058】
組成物は、望ましくは、約4~約7、好ましくは約4.5~約6.5または約5.5~約6.5のpHのpHを有し得る。追加としてまたは代替として、組成物のpHは、4~7、好ましくは4.5~6.5、または好ましくは5.5~6.5の範囲であり得る。一例では、組成物のpHは、6または約6である。
【0059】
組成物中のpH調整剤の量は、最終組成物および/または生成物の所望のpHに基づき得る。例えば、pH調整剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、約0.05~約20重量%の範囲であり得る。場合によっては、pH調整剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、約0.05~約15重量%、約0.5~約10重量%、約1~約5重量%、約1.5~約4重量%、または約2.0~約3重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)である。追加としてまたは代替として、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.05~15重量%、0.5~10重量%、1~5重量%、1.5~4重量%、または2.0~3重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)の範囲の量のpH調整剤を含み得る。
【0060】
組成物は、1つまたは複数の増粘剤を含み得る。増粘剤の量は、組成物中の他の成分および組成物についての所望の粘度に依存し得る。例えば、組成物は、組成物の粘度が、20の毎分回転数(RPM)でスピンドル数5を用いたBrookfieldレオメーターを使用して、25℃の温度で、約1,000cP~約100,000cP、約5,000cP~約50,000cP、約10,000~約50,000cP、または約15,000cP~約45,000cPであるような量の増粘剤を含み得る。追加としてまたは代替として、組成物の粘度は、20RPMでスピンドル数5を用いたBrookfieldレオメーターを使用して、25℃の温度で、1,000cP~100,000cP、5,000cP~50,000cP、10,000~50,000cP、または15,000cP~45,000cPであり得る。
【0061】
増粘剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~約20重量%、約0.1~約10重量%、約0.1~約9重量%、約0.2~約9重量%、約0.3~約9重量%、約0.4~約8重量%、約0.5~約5重量%、約1~約20重量%、約1~約5重量%、または約1~約3重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)の量であり得る。追加としてまたは代替として、増粘剤は、組成物の総重量に基づいて、0.1~20重量%、0.1~10重量%、0.1~9重量%、0.2~9重量%、0.3~9重量%、0.4~8重量%、0.5~5重量%、1~20重量%、1~5重量%、または1~3重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)の量であり得る。さらに、増粘剤の量は、組成物の総重量に基づいて、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、または1.5重量%~2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または20重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であり得る。
【0062】
1つまたは複数の増粘剤は、キサンタンガム、グアーガム、ビオサッカリドガム、セルロース、アカシアセネカガム、スクレロチウムガム、アガロース、ペクチン、ゲランガム、ヒアルロン酸であり得る。さらに、1つまたは複数の増粘剤は、ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリレーツコポリマー、ポリアクリルアミド、カルボマー、およびアクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10~30)クロスポリマーから選択されるポリマー増粘剤を含み得る。一例では、組成物は、ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムおよび/またはポリアクリル酸ナトリウムを含む。別の例では、組成物は、ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム、キサンタンガム、カルボマー、およびそれらの混合物の少なくとも1つを含み、またはこれらから選択される。
【0063】
記載される発明の組成物は、皮膚において局所的に濃縮された活性薬剤を保持するのに有効なマイクロカプセル化成分を含有し得る。いくつかの実施形態によれば、マイクロカプセル化成分は、リポソームを含む。いくつかの実施形態によれば、マイクロカプセル化成分は、ポリマーを含む。いくつかの実施形態によれば、マイクロカプセル化成分は、リポソームとポリマーとの複合体、またはポリマーソームを含む。マイクロカプセル化成分の他の例としては、以下に限定されないが、ミセル、逆ミセル、エマルション、マイクロエマルションなどが挙げられる。
【0064】
リポソームは、一般に、水性コアを取り囲む疎水性二重層を形成するリン脂質およびコレステロールからなるサブミクロンの球形小胞として知られている。これらの構造は、多種多様な治療剤とともに使用されており、それ自体の疎水性特性(例えば、二重層捕捉)または親水性特性(例えば、水性区画における捕捉)に部分的に基づいて、リポソーム内に薬物を捕捉することを可能にする。リポソームは、一般に、制御放出のために、および脂質カプセル化化合物の薬物標的化のために使用される(Betageriら、Liposome Drug Delivery Systems、Technomic Publishing Co.,Inc.、Lancaster、Pa.、1993)。
【0065】
典型的には、リポソーム中などに、薬物、活性治療剤または医薬組成物をカプセル化することは、薬物の生体内分布のパターンおよび薬物動態を変更し得る。ある特定の場合に、リポソームカプセル化は、薬物毒性を低下させることが見出されている。例えば、長期循環リポソーム製剤は、主に肝臓および脾臓において、単核貪食細胞系の臓器による取り込みを回避し得る。いくつかの実施形態によれば、このような長期循環リポソームは、リポソームと、リポソーム取り込みにおいて役割を果たす血漿成分との間の相互作用を妨げるように作用する、可撓性の水溶性ポリマー鎖の表面被覆を含み得る。いくつかの実施形態によれば、このようなリポソームは、この被覆なしで、飽和長鎖リン脂質およびコレステロールで構成され得る。
【0066】
例示的なリポソームは、リポソーム形成脂質を含む脂質層を含み得る。脂質は、リポソームの主な包装/捕捉/構造要素を提供する少なくとも1つのホスファチジルコリンを含み得る。ホスファチジルコリンは、主にC16またはより長い脂肪酸鎖を含む。鎖長は、リポソーム構造、完全性、および安定性を提供する。任意選択で、脂肪酸鎖の1つは、少なくとも1つの二重結合を有し得る。本明細書で使用される場合、用語「ホスファチジルコリン」は、以下に限定されないが、大豆PC、卵PCジエライドイルホスファチジルコリン(DEPC)、レシチン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、水添大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、1-パルミトイル-2-オレオホスファチジルコリン(POPC)、ジベヘノイルホスファチジルコリン30(DBPC)、およびジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)を含む。
【0067】
本開示のある特定の特徴は、明確にするために別個の実施形態の文脈で記載されるが、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。逆に、本開示の様々な特徴は、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載されるが、別個にまたは任意の好適なサブコンビネーションで提供されてもよい。可変要素によって表される化学基に関する実施形態のすべての組み合わせは、このような組み合わせが、安定な化合物(すなわち、単離され、特徴付けされ、生物学的活性について試験され得る化合物)である化合物を包含する程度まで、本開示によって具体的に包含され、ありとあらゆる組み合わせが個別にかつ明示的に開示されているかのように本明細書に開示される。さらに、このような可変要素を記載する実施形態に列挙される化学基のすべてのサブコンビネーションも、本開示によって具体的に包含され、化学基のありとあらゆるこのようなサブコンビネーションが個別にかつ明示的に本明細書に開示されているかのように本明細書に開示される。
【実施例】
【0068】
実施例1
セラミダスチンは、シュードモナス・エルギノーサ感染によるセラミド喪失を防止する
方法
動物
動物を、12時間の明暗サイクル下で、食料および水を自由に与えて飼育した。
【0069】
細菌株。
シュードモナス・エルギノーサ野生型株(PAwt)、シュードモナス・エルギノーサセラミダーゼ変異体(PAΔcer)を、37℃にてルリア寒天(LA)プレート上でまたは低塩化ナトリウムを有するルリアブロス(LBNS)で増殖させた。
【0070】
ブタ全層熱傷およびバイオフィルム創傷モデル
飼いならされたヨークシャー雌性ブタを傷つけ、感染させて、慢性創傷バイオフィルムモデルを確立した。8個の全層熱傷創傷(5.08×5.08cm(2×2インチ))をブタの背部上に作製した。熱傷後3日目に、創傷に、PAwt、またはPAΔcer株(CFU105/ml)のいずれかを、慢性創傷に豊富にあることが知られている別のグラム陰性細菌であるアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)19606(CFU106/ml)とともに接種した。対照創傷を、250μlの滅菌PBSを用いて偽接種によって処理した。対照創傷は誘導性感染を受けず、皮膚ミクロフローラによりコロニー形成させた。これらの創傷を、自発感染(SI)と呼ぶ。創傷を、接種後56日まで追跡した。シュードモナス・エルギノーサ(PA)、アシネトバクター・バウマニ(ACIN)および皮膚ミクロフローラからなる慢性多微生物ブタ創傷バイオフィルム感染において、PAは、優勢な種として現れる。経表皮水分喪失(TEWL)ブタおよび生検ブタの2セットのブタを使用した。TEWLブタは、接種後0日目、7日目、14日目および56日目にTEWLデータ収集のためにのみ使用した。生検ブタは、細菌接種後7、14、35および56日目に生検収集のためにのみ使用した。ブタを接種後56日で安楽死させた。6mm滅菌使い捨てパンチ生検ツールを使用して、生検を収集した。それぞれの独立したブタ創傷を、ブタ創傷実験についての1つの「n」とみなす。表1は、使用したブタの総数を含む。
【0071】
【0072】
走査型電子顕微鏡画像化。
試料をグルタルアルデヒド固定緩衝液中に収集し、段階的エタノールで脱水し、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、Ted Pella Inc.)で処理し、一晩放置して乾燥させた。走査前に、試料をマウントし、金で被覆した。試料の画像化を、電界放出銃電子源を備えたFEI(商標)NOVA nanoSEM走査型電子顕微鏡(FEI(商標)、Hillsboro、OR)を使用することによって行う。
【0073】
経表皮水分喪失(TEWL)測定。
DermaLab Combo(商標)(cyberDERM inc.、Broomall、PA)を使用して、創傷からの経表皮水分喪失を測定した。TEWLを、g(m2)-1 h-1で測定した。Dermalab Comboは、コンピュータおよびプローブを有する主要測定ユニットからなる。TEWLプローブは、垂直方向に互いに近くに位置した2つの湿度センサーを有し、TEWLを、センサー間の湿度勾配から決定する。プローブを、ブタ皮膚表面上に置く。皮膚から放出された、蒸発した水を、プローブ中のセンサーによって検出し、測定して、TEWL値を与える。
【0074】
細菌セラミダーゼ活性アッセイ。
シュードモナスセラミダーゼ活性アッセイを、Ohnishiから適合させた。PAwtおよびPAΔcer株を、37℃にて低塩化ナトリウムを有するルリアブロス(LBNS)中で一晩増殖させた。PAwtおよびPAΔcer馴化培地を、0.2μmフィルターを使用する濾過によって一晩増殖培養物から得た。培地(500μl)を、15mmolのC12-NBD-セラミドとともに16時間インキュベートした。反応を、85°で10分間加熱することによって停止した。溶液を、SpeedVac(Thermo Electron Corporation、Savant DNA120 SpeedVac Concentrator)を使用して蒸発させ、50μlのクロロホルム/メタノール(2:1v/v)中で再構成し、その後、10分間の超音波処理浴が続いた。溶液を1,500×gで5分間遠心分離し、上清を薄層クロマトグラフィー(TLC)プレートに使用および適用し、これをクロロホルム/メタノール/アンモニア(90:15:1v/v)で展開した。酵素の作用によって放出されたNBD-ドデカン酸、および残存NBD-セラミドを、TLCによって分離し、aZure GelDoc(aZure biosystems c600)を使用して画像化した。濃度測定法によるバンドの定量化のために、Image J(NIH)ソフトウェアを使用した。
【0075】
ヒト対象、および慢性創傷からの流体収集。
この研究に参加している対象は、標準的臨床ケアの一部として陰圧創傷療法(NPWT)を受けている慢性創傷患者であった。患者の人口統計学的特徴および創傷関連情報を
図12Iに提示する。NPWTドレッシング(スポンジ)を細胞単離および創傷流体収集のために各患者から収集した。創傷ドレッシングを食塩溶液で洗浄することによって、NPWTドレッシングから創傷流体を得た。ヘルシンキ宣言プロトコールに従い、患者は、彼らの書面による同意書を提出した。ヒト創傷流体中の環状ジグアニレート(c-di-GMP)のレベルを、製造業者の説明書に従って、c-di-GMP ELISAキット(MyBioSource,Inc.、San Diego、CA)を使用して測定し、ヒトアルブミンELISA Kit(Abcam)を使用して測定したアルブミンレベルに対して正規化した。C-di-GMPは、PAバイオフィルム感染のマーカーであり、したがって、c-di-GMPが豊富な創傷流体をリピドミック分析に使用した。
【0076】
ヒト創傷流体試料のリピドミック分析。
創傷流体試料を遠心分離して、あらゆる細片および細胞を除去し、次いで、血漿について記載されるように処理した。脂質を、内部標準の存在下、メタノール:ジクロロメタン中で試料から抽出した。抽出物を窒素下で濃縮し、0.25mLのジクロロメタン:メタノール(50:50)中の10mM酢酸アンモニウム中で再構成した。抽出物をインサートに移し、nano PEEKチュービングおよびSciex SelexIon-5500 QTRAPを用いたShimazdu LCで実施される、インフュージョン-MS分析のためにバイアル中に入れた。試料を、ポジティブモードおよびネガティブモードの両方のエレクトロスプレーにより分析した(分析をMetabolon(登録商標)によって行った)。5500 QTRAPスキャンを、合計1,100を超えるMRMを用いたMRMモードで実施した。個々の脂質種を、標的化合物およびそれらの割り当てられた内部標準のピーク面積比を取得し、次いで、試料に添加した内部標準の濃度を掛けることによって定量化した。脂質クラスの濃度を、クラス内のすべての分子種の合計から計算し、脂肪酸組成を、個々の脂肪酸によって構成される各クラスの割合を計算することによって決定した。
【0077】
LC ESI-MS/MSを使用した皮膚セラミドのリピドミック分析。
スフィンゴリピドームの標的化分析を行った。簡潔に述べると、500pmolの各スフィンゴ脂質内部標準混合物(Avanti)をブタ創傷端組織に添加し、脂質を改変Bligh-Dyerプロトコールによるものとした。結果として生じた混合物を超音波処理して、凝集体を分散させ、遠心分離して、微粒子を除去し、澄んだ上清を新しいガラス管に移し、乾燥させ、メタノール(600μl)中で再構成した。抽出された脂質を、超高速液体クロマトグラフィーシステムであるShimadzu NexeraでKinetix C18カラム(50×2.1mm、2.6μ)(Phenomenex)を使用して分離し、線形勾配(溶媒A、58:41:1のCH3OH/水/HCOOH 5mmギ酸アンモニウム;溶媒B、99:1のCH3OH/HCOOH 5mmギ酸アンモニウム、3.5分の20~100%Bおよび4.5分の100%B、流速0.4ml/分、60℃)を使用して溶出した。QTRAP 6500機器(SCIEX)を使用したタンデム質量分光法とともにエレクトロスプレーイオン化を使用して、スフィンゴ脂質を検出および定量化した。個々のスフィンゴ脂質を、前駆体→生成物MRM対を使用してモニターした。QTRAP 6500質量分析システムによるスフィンゴ脂質の検出のためのパラメータは、以下の通りである:カーテンガス:30;CAD:高;イオンスプレー電圧:5500V;ソース温度:500℃;ガス1:40;ガス2:60;デクラスタリングポテンシャル:80V。衝突エネルギーはトランジションごとに異なった。MRMトランジションおよび衝突エネルギーは、調査したアナライトに応じて異なった。
【0078】
非標的化リピドミクスを、以前に公開されたように行った。簡潔に述べると、様々な細菌を、スナップキャップチューブ中で3mlのトリプティックソイブロス(TSB)中で6時間培養した。細菌によって使用済みのすべての培地試料を、滅菌リン酸緩衝食塩水(PBS)で1:1に希釈し、その後、リパーゼアッセイを実施した。上清をヒートブロック中で80℃に20分間加熱することによって、使用済み培地試料の熱不活性化対照を調製し、その後、アッセイに使用される1:1希釈を実施した。真空下にてspeedvac中で30分間乾燥させた0.6mg(500μlの1.25mg/mlストック)の総心臓抽出物を取得することによって、脂質を調製した。脂質を、改変BlighおよびDyer法によりこの混合物から抽出した。250μlの反応体積からの脂質を、1mlのメタノールおよび0.5mlのクロロホルムを使用し、その後、10μlのSPLASHリピドミクス内部標準ミックス(Avanti Polar Lipids)を添加して抽出し、室温で10分間インキュベートした。相分離した混合物から、底部の疎水性有機相(底部相)を、新しいガラス管に移した。脂質を含有する有機相を窒素流下で乾燥させ、脂質を、250ulの注入溶媒(5mM酢酸アンモニウムを含有する、MeOH/CH2Cl2、50:50)中で再度可溶化した。最後に、脂質を、以前開示されたように、MS/MSALLアプローチの使用により分析した。簡潔に述べると、MS/MSALLを、25分にわたり流速9ul/分でShimadzu SIL-20ACXRを使用する直接注入によるSciex Triple-TOF 5600+を使用して実施した。
【0079】
試料を、流量勾配を使用して注入した。質量範囲(m/z100~1200)における脂質を分析するために使用した実験パラメータは、ポジティブイオン化モード:CUR 30、GS1 16、GS2 40、TEM 150、累積時間5000ms、CAD 4、CE 38 CES 5、DP 80およびネガティブイオン化モード:CUR 30、GS1 16、GS2 40、TEM 100、累積時間3000ms、CAD 4、CE -45、CES 5、DP -80であった。データ分析を以前記載されたように実施し、セラミド含有量をmol%値で報告した。
【0080】
スフィンゴシン-1-ホスフェート(S-1-P)のリピドミック分析。試料調製:
試料をPrecellysチューブ中で秤量し、これに0.5nmolのd17:1-Pを有する20μlのISセラミド/スフィンゴ脂質混合物I(LM-6002 Advanti Polar Lipids、USA)を添加した。ホモジナイゼーションのために200μlの水を添加した。全体積を収集し、ガラスバイアルに移し、750μLの2:1(v/v)比のメタノール/クロロホルムを添加した。混合物を超音波処理し、次いで、ヒーティングブロック中で48℃にて一晩インキュベートした。室温で冷却した後、75μLのメタノール中の1M KOHを試料に添加し、次いで、超音波処理し、ヒーティングブロック中で37℃にて2時間インキュベートした。冷却後、試料を13,000gで8分間遠心分離し、上清を新しい微小遠心分離管に移し、乾燥するまで真空濃縮した。抽出物を200μLの80:20移動相A/B中で再構成した。次いで、5分間超音波処理し、13,000rpmで8分間遠心分離し、上清をHPLCバイアルに移した。HPLC/MS-MS分析:S-1-PレベルをHPLC/MS-MSによって定量化した。分離を、Xterra C18(2.1×150mm、μm)カラムを使用するAgilent Rapid Res 1200 HPLCシステムで実施した。移動相Aは、10nMのギ酸アンモニウムおよび0.1%ギ酸であり、移動相Bは、1:1(v/v)のイソプロパノール:アセトニトリル中の10nMのギ酸アンモニウムおよび0.1%ギ酸である。初期条件は、85:15のA:Bであり、その後、8分で0:100までの線形勾配が続き、20分まで保持した。カラム再平衡化を、21分で85:15のA:Bに戻すことによって実施し、30分まで保持した。カラム流速は0.3mL/分であった。S-1-Pについての保持時間は11.3分であった。
【0081】
分析:
アナライトを、エレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いたAgilent 194 6460トリプル四重極質量分析計を利用するMS/MSによって定量化した。定量化は、多重反応モニタリング(MRM)に基づくものであった。ESIポジティブモードを、d18:1-P塩基について30Vの衝突エネルギー(CE)を用いた380.4~264.4のトランジション、および内部標準d17:1-Pについて30VのCEを用いた366.4~250.4のトランジションを用いて使用した。135Vのフラグメンターエネルギーおよび80msのドウェルタイムを使用した。ソースパラメータは以下の通りであった:窒素ガス温度=325℃および流速=10L/分、ネブライザー圧力=50psi、シースガス温度=250℃、シースガス流速=7L/分、およびキャピラリー電位=3.5kV。すべてのデータを、Agilent MassHunter B.03ソフトウェアを用いて収集および分析した。定量化は、内因性分子の存在のためにd18:1-Pおよびd17:1-P塩基をPBSに添加することによる、0.25~2500ng/mLの濃度範囲を用いた、5点標準曲線に基づくものであった。標準曲線を線形関数に適合させ、相関係数>0.99を得た。S-1-Pアッセイ法をMerrillから適合させた。
【0082】
細菌16S rRNAについての次世代シークエンシング。
ブタ創傷端組織を、組織粉砕機(6770 Freezer/Mill)を使用して粉砕した。各試料中の微生物DNAは、Illumina MiSeqシークエンサーを使用してMicrogenDx Incによって配列決定された。フォワードプライマーおよびリバースプライマーを使用して、細菌中の16S遺伝子について、標的配列を検出および増幅した。標的化配列がPCRを使用して増幅される場合に提供されるフォワードプライマーおよびリバースプライマーに結合した固有の識別配列である「タグ」によって、MiSeqシークエンサーで実行される場合に、試料は互いに区別された。PCR後、プールしたDNAの精製を、Agencourt AmpureビーズおよびQiagen Mineluteキットの両方を使用して小断片を除去することによって行った。DNAを定量化し、配列決定用に調製した。最後に、DNAライブラリーを、MiSeqシークエンサーで実行する。配列決定読み取りを、データ分析中に品質および長さについて分析した。データ分析パイプラインは、2つの主要な段階であるノイズ除去およびキメラ検出段階と、微生物多様性分析段階とからなった。ノイズ除去およびキメラ検出段階の間、ノイズ除去を、短い配列、シングルトン配列、およびノイズ読み取りを除去するための様々な技術を使用して実施した。219個の低品質読み取りを除去し、キメラ検出を、キメラ配列の除去の助けとなるように実施した。品質スコアまたは品質測定基準または適切な長さを下回るあらゆる読み取りを廃棄した。16S rRNAの可変領域の高品質配列決定読み取りを、MicrogenDxのキュレートデータベースと比較した。データベースは、18500種の固有の細菌からなる。
【0083】
細胞培養。
ヒトケラチノサイトを、10%FBS、100IU/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン、10mmol/lのL-グルタミンを補充したDMEM増殖培地中で、標準的培養条件下(95%空気および5%CO2からなる加湿雰囲気中で37℃)で増殖させた。
【0084】
インビトロのヒトケラチノサイト-シュードモナスバイオフィルム共培養。
細菌バイオフィルムを、Andersonから適合させた方法に従って、ヒトケラチノサイト細胞と共培養した。ヒトケラチノサイト細胞のコンフルエント培養物に、抗生物質のない培養培地中で、PAwtまたはPAΔcer(105CFU/ml)の細菌培養物を接種した。プレートを、37℃および5%CO2で1時間インキュベートした。1時間後、0.4%アルギニンを補充した新しいDMEM(抗生物質なし)をプレートに添加した。7~8時間後、細胞を回収した。共培養培地を、0.2μmフィルターを使用して濾過し、セラミダスチン実験に使用した。ヒトケラチノサイトを、セラミダスチン(10μg/ml)を含有するPAwtバイオフィルムと共培養した細胞の馴化培地(25%v/v)で24時間処理した。
【0085】
インビトロのシュードモナスバイオフィルムモデル。
ポリカーボネート膜上のインビトロバイオフィルム培養を、Zhao(Wound Repair Regen 2010;18(5):467~77)から適合させた。インビトロバイオフィルムを、ブタ皮膚脂質ありまたはなしのポリカーボネート膜(PCM)上で24時間増殖させた。接種の24時間後、バイオフィルムを、SEM、リアルタイムqPCRを使用したmRNAのために、またはコムギ胚芽凝集素(WGA染色)のために処理した。
【0086】
ブタ皮膚からの脂質の単離。ブタの背から得たブタ皮膚の4cm×4cm×0.25cm(高さ/幅および深さ)切片を、外科用ハサミおよびメスを使用して3mm3以下のかたまりに切断した。こうして得られた組織を、プローブソニケーター(QSonica Q 500)を使用して超音波処理した。組織および超音波処理したホモジネートを、処理中40℃以下の温度で維持するように注意した。ホモジナイゼーションのこの処理後、脂質を、改変BlighおよびDyer法を使用して400μLのホモジネートから抽出した。簡潔に述べると、1mLのメタノールをホモジネートに添加し、その後、バッチ超音波処理が続いた。その後、0.5mlのクロロホルムを混合物に添加し、その後、再度超音波処理が続いた。角質層の高疎水性脂質種の抽出を可能にするために、こうして得られた混合物を480℃で4時間インキュベートした。混合物を6000×gで15分間遠心分離して、細片をペレット化して取り除き、こうして清澄化された抽出物を新しいガラスバイアルに移した。その後、さらなる1mLのクロロホルムを混合物に添加し、その後、10秒間ボルテックスした。次いで、2mLの水をこの混合物に添加して、疎水性相および親水性相を分離した。相の分離をよりよく可能にするために、混合物を再度ボルテックスし、6000×gで15分間遠心分離した。ガラスパスツールピペットを使用して、底部有機層を注意深く取り出し、新しいガラスバイアルに移した。残存抽出物を、1mLのクロロホルムを用いて再抽出し、遠心分離し、新しい底部有機相を、最初の抽出物の有機相と合わせた。こうして得られた疎水性脂質抽出物を、熱を使用せずに真空濃縮器により乾燥させた。次いで、乾燥した脂質抽出物を500μLの1:1メタノール:ジクロロメタン中で再構成し、その後の研究に使用した。
【0087】
ブタ皮膚からの脂質の枯渇。
ブタ皮膚組織を、低温粉砕機を使用して粉砕した。1gのブタ組織をPBSにゆっくりと添加した(10%w/v比)。混合物を、プローブソニケーターを4℃で使用してホモジナイズした。400μLのホモジネートを取得し、1mlのメタノールを添加し、その後、超音波処理浴が続いた。0.5mlのクロロホルムを混合物に添加し、その後、再度超音波処理が続いた。混合物のインキュベーションを48℃で一晩行った。翌日、混合物を4300rpmで20分間遠心分離した。こうして清澄化された抽出物を新しいガラスバイアルに移した。さらなる1mLのクロロホルムを混合物に添加し、その後、10秒間ボルテックスした。疎水性相および親水性相を分離するために、2mlの水をこの混合物に添加した。相の分離をよりよく可能にするために、混合物を再度ボルテックスし、4300rpmで20分間遠心分離した。ガラスパスツールピペットを使用して、上部層を注意深く取り出し、新しいガラスバイアルに移した。残存抽出物を、1mLのクロロホルムを用いて再抽出し、遠心分離し、新しい上部相を取り出し、最初の抽出物と合わせた。
【0088】
脂質定量化アッセイ。
脂質の枯渇を、製造業者のマニュアルに従って、Lipid Assay Kit(中性脂質)(abcam)、Lipid Assay Kit(不飽和脂肪酸)(abcam)を使用して定量化した。
【0089】
レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)。
凍結組織ブロックを8μm切片に切断した。切片(2~3枚)を、それぞれRNAZap処理した熱可塑性物質(ポリエチレンナフタレート)被覆ガラススライド(PALM Technologies、Bernreid、Germany)上にマウントし、使用まで-80℃で保持した。必要な場合、切片を解凍し、以下の固定剤:95%エタノール、10%中性緩衝ホルマリン、またはアセトンのうちの1つの中で1分間固定し、カタパルトした。バイオフィルム感染および対照創傷組織の表皮層を、Cells-Direct RNAキット(Invitrogen)で提供される溶解緩衝液中でキャプチャーした。この後に、RNA抽出および逆転写、およびリアルタイムPCRを使用したmRNA定量化が続いた。
【0090】
免疫組織化学および免疫細胞化学。
OCT包埋創傷組織ブロックを、クライオスタットを使用して切片化した。凍結切片の免疫組織化学染色を、以下の一次抗体:抗セラミド(Enzo Life Sceince、MID 15B4;希釈1:100)、α-PPARδ(Abcam、希釈:1:200)、α-ABCA12(Abcam、希釈:1:200)を使用して実施した。蛍光検出を可能にするために、切片を、適切なAlexa Fluor(登録商標)488(緑色、Molecular Probes)、Alexa Fluor(登録商標)564(赤色、Molecular Probes)コンジュゲート化二次抗体とともにインキュベートした。切片をDAPI(Sigma)で対比染色した。免疫細胞化学のために、細胞をIC固定緩衝液(eBioscience)で固定し、10パーセント正常ヤギ血清(Vector Laboratories)でブロッキングし、一次抗体および二次抗体とともにインキュベートし、DAPIで対比染色した。モザイク画像を、Zeiss Axiovert 200 M、倒立蛍光顕微鏡法または共焦点顕微鏡法(LSM880)を使用して収集した。画像分析を、Zen(Zeiss)ソフトウェアを使用して実施して、蛍光強度(蛍光ピクセル)を定量化した。
【0091】
ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色。
OCT切片を冷却アセトン中で3分間固定した。切片(10μm厚さ)をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。OCT切片をアセトンで固定し、次いで、水で洗浄した。切片をヘマトキシリンで5分間染色し、水中で洗浄し、エオシンで2分間対比染色した。切片を段階的アルコールで脱水し、キシレンで洗浄し、その後、マウントした。
【0092】
ナイルレッド染色。
ナイルレッド染色法を、Greenspanから適合させた。アセトン中のナイルレッド(Thermo Scientific)のストック溶液(1mg/ml)を調製した。OCT創傷組織切片をPBSによって洗浄し、ナイルレッド溶液(1:100希釈)で10分間染色した。切片をPBS中で洗浄し、DAPIで染色し、マウントした。
【0093】
コムギ胚芽凝集素(WGA)染色。
細菌バイオフィルムを有するPCMディスクを、寒天プレートからガラススライドに移した。コムギ胚芽凝集素、Alexa Fluor(商標)488コンジュゲート(Invitrogen)1mg/mlストック溶液をPBS中で希釈した。PCMディスクをコムギ胚芽凝集素(希釈1:200)で10分間染色した。次いで、PCMディスクをマウントし、AIRYscan検出器を備えたZeiss LSM 880顕微鏡で画像化した。
【0094】
定量的RT PCR。
ブタ創傷組織を、組織粉砕機(6770 Freezer/Mill)を使用して粉砕し、全RNAをmiRVana(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出した。cDNAを、SuperScript(商標)III First-Strand Synthesis System(Invitrogen)またはSuperScript(商標)VILO(商標)cDNA Synthesis Kit(Invitrogen)を使用して作製した。定量的またはリアルタイムPCR(TaqmanまたはSybr Green)アプローチを、mRNA定量化に使用した。
【0095】
ウエスタンブロット分析。
ウエスタンブロットを、抗PPARδ(Thermo Scientific、1:500)、抗CerS3(Origene、1:500)に対する抗体を使用して実施した。β-アクチン(Sigma Aldrich、1:5000)をハウスキーピングとして使用した。
【0096】
PPARδトランス活性アッセイ。
ヒトケラチノサイト細胞を、Lipofectamine LTX(Thermo Fisher Scientific)を使用して、5μmolの長鎖セラミド、C18:0およびC24:0(Avanti Polar Lipids Inc.、Alabama)で処理した。細胞をトランスフェクションから48時間後に収集し、核タンパク質を、製造業者のプロトコールに従って、Nuclear Extraction Kit(RayBiotech)を使用して抽出した。PPARδトランス活性を、製造業者の説明書に従って、PPAR delta Transcription Factor Assay Kit(abcam)を使用して測定した。
【0097】
DNMT3B活性アッセイ。
ヒトケラチノサイト細胞を、5μmolのスフィンゴシン-1-ホスフェート(Avanti)で48時間処理した。細胞を収集し、DNMT3B活性を、製造業者の説明書に従って、EpiQuik DNMT3B Activity/Inhibitor Screening Assay Core Kit(EPIGENTEK)を使用し、アッセイのための陽性対照として組換えDNMT3Bタンパク質(ACTIVE MOTIF)を使用して測定した。
【0098】
PPARδプロモーターアッセイ。
PPARδプロモーターアッセイを、以前記載されたように行った。mNP-Luc(PPARデルタプロモーター)は贈与されたものであった(Addgeneプラスミド番号16532;http://n2t.net/addgene:16532;RRID:Addgene_16532)。PLUS(商標)Reagent(Thermo Fisher Scientific)とともにLipofectamine(商標)LTX Reagentを使用して、ヒトケラチノサイト細胞を、PPARδプロモーターレポーター構築物で共トランスフェクトし、5μmolの長鎖セラミド、C:18およびC:24(Avanti Polar Lipids Inc.、Alabama)で処理した。培地をトランスフェクションから48時間後に収集し、分泌されたGLucおよびSEAPの活性を、製造業者のプロトコールに従って、Secrete-Pair Dual Luminescence Assay Kit(GeneCopoeia)を用いてBertholdルミノメーター(Berthold Technologies)を使用して測定した。正規化されたプロモーター活性を、GLuc活性のSEAP活性に対する比として提示している。
【0099】
miR-標的3’-UTRルシフェラーゼレポーターアッセイ。
HaCaTケラチノサイトを、miRIDIAN模倣物-miR-106bでトランスフェクトし、その後、miR標的PPARδ-3’-UTRプラスミド(NM_006238、Genecopoeia HmiT105061-MT06)またはCerS3-3’-UTRプラスミド(NM_178842、Genecopoeia HmiT095486-MT06)によるトランスフェクションが続いた。ルシフェラーゼアッセイおよび正規化を、二重ルシフェラーゼレポーターアッセイ系(Promega)を使用して実施した。正規化を、レニラプラスミドとの共トランスフェクションによって達成した。データを、ホタル:レニラルシフェラーゼの比として提示する。
【0100】
ヒトケラチノサイトへのmiRNA送達。
ヒトケラチノサイト細胞のトランスフェクションを、記載されるように実施した。簡潔に述べると、トランスフェクションの24時間前に、ケラチノサイトを、抗生物質のないDMEM培地中に播種した。DharmaFECT1トランスフェクション試薬(Dharmacon;Lafayette、CO)を使用して、100nMのmiR-106b(Dharmacon;Lafayette、CO)で細胞をトランスフェクトした。非標的化miRNA陰性対照のトランスフェクションを、対照群について実施した。72時間後、細胞を回収/再播種した。
【0101】
PPARδプロモーターについてのバイサルファイトシークエンシング。
PCR生成物をゲル抽出し(GenElute Gel Extraction Kit、Sigma、カタログ番号NA1111-1KT)、Sangerシークエンシングを、ABI 3730 Genetic Analyzerを使用して行った。分析を、Sequencher 5.4.5(Gene Codes Corporation、MI)を使用して行った。結果を、精製DNAをpGEM-T Easy Vector System II(Promega、カタログ番号A1380)にクローニングし、その後、配列決定することによって確認した。
【0102】
DNAのバイサルファイト変換。
スフィンゴシン-1-ホスフェート(5μM、48時間)でトランスフェクトされたHaCaTケラチノサイトからのDNAのバイサルファイト変換を、製造業者のプロトコールに従って、Cells-to-CpG Bisulfite Conversion Kit(Thermo Fisher Scientific、部品番号:4445555)を使用して実施した。細胞を溶解し、DNAを、PCRチューブ中で変性試薬を使用して、50℃で10分間変性させた。(1)65℃で30分間、(2)95℃で1.5分間、(3)65℃で30分間、(4)95℃で1.5分間、(5)65℃で30分間、および(6)4℃で最大4時間の条件下のPCR反応におけるバイサルファイトを含有する変換緩衝液による処理により、変性DNA試料中で非メチル化シトシンをウラシルに変換した。この後、結合カラム中の変換されたDNAの塩の除去および脱スルホン、一連の洗浄ステップ、および次いでDNAの溶出が続いた。変換されたDNAを、さらに使用するまで20℃で保存した。
【0103】
定量化および統計分析。
データ分析を、平均±SEMとして提示される、スチューデントのt検定(両側)を使用して実施した。平均、SEMおよびスチューデントの対応のあるt検定分析を、Microsoft Excel 2010中のイン-ビルト関数を使用して行った。複数の群の間の比較を、GraphPad Prism 8.4.2中のANOVAイン-ビルト関数を使用して検定した。p<0.05を統計的に有意とみなした。
結果
創傷感染およびバイオフィルム形成は、宿主皮膚セラミドを枯渇させる。確立された前臨床ブタ慢性創傷バイオフィルムモデル(
図1A)では、PAセラミダーゼの発現は、PAwtによる感染後7日目に3桁分誘導された(
図1B)。対照創傷は、誘導性感染を受けず、自然皮膚ミクロフローラによりコロニー形成させた。これらの創傷を、自発感染(SI)と呼ぶ。細菌セラミダーゼは、宿主セラミドの破壊を引き起こすことが知られている。PAセラミダーゼの重要性を決定するために、セラミダーゼ欠損PA株(PAΔCer)を研究した。変異体細菌株におけるセラミダーゼ(bcdase)遺伝子の喪失を、qRT PCRを使用して検証した(
図6A)。セラミダーゼ活性の喪失は、蛍光セラミド類似体を使用する薄層クロマトグラフィー(TLC)によって測定した場合、PAΔCerにおいて明らかであった(
図1C)。PA感染を、CFUアッセイによって確認した(
図6B)。細菌種およびそれらの存在量を特定するために、16S rRNA(可変領域)次世代シークエンシング(NGS)を実施した。PA感染を、NGSシークエンシングに基づいてさらに確認した(
図6C)。初期感染は多微生物(PA+AB)であったが、時間が経つにつれ、PAは、バイオフィルムにおける優勢種になった(
図6C)。細菌バイオフィルム凝集体の形成を、走査型電子顕微鏡法(SEM)、およびPAバイオフィルムマトリックス成分特異的抗体pelによる染色を使用して検証した(
図9C~9G)。
【0104】
【0105】
皮膚セラミドのバイオフィルム依存性喪失は、PAwtでは明らかであったが、PAΔCerではそうではなかった(
図1D)。インビトロ研究により、宿主皮膚脂質への曝露は、PAwtにおいてbcdaseを強力に誘導することが特定された;このような誘導は、枯渇した皮膚脂質に曝露されたPAwtでは減衰した(
図6E)。誘導性bcdaseは、シュードモナスSphR遺伝子の誘導に関連していた(
図6Fおよび6G)。SphRは、bcdaseの転写活性化因子として機能することが知られている。皮膚セラミドのバイオフィルム依存性喪失を、リピドミクスアプローチを用いて特徴付けた。19種の長鎖皮膚セラミドは、PAwtによるバイオフィルム感染に応答して枯渇することが観察されたが、PAΔCerではそうではなかった(
図1F、7A~7S)。主成分分析(PCA)により、PAwtに応答した皮膚セラミドの存在量は、PAΔCerおよびシャム曝露に応答した皮膚セラミドレベルのクラスターとは統計的に異なることが明らかになった。PAwtバイオフィルム感染後のケラチノサイトセラミドの喪失に対処するメカニズム研究を、インビトロで行った(
図7T)。PAセラミダーゼの阻害剤であるセラミダスチンは、PAwtバイオフィルム感染によって引き起こされる喪失に対してケラチノサイトセラミドを救済した(
図7U)。セラミダスチンによるセラミドの救済に関する一致したデータが、バイオフィルム馴化培地で処理された、抽出された皮膚脂質に関するエクスビボ研究で観察された(
図8A~L)。
【0106】
感染の3つの群すべて(SI、PAwtおよびPAΔCer)における創傷を、56日の期間にわたって研究した。この期間の間、これらの創傷のすべては、創傷面積測定(
図8M~N)だけでなく、組織学によっても明らかなように、完全に閉鎖された。皮膚バリア機能、すなわち、皮膚バリア完全性を、経表皮水分喪失(TEWL)を測定することによって研究した。PAwtバイオフィルム感染の条件下では、皮膚セラミドの枯渇は、上昇したTEWLに関連していた(
図1F)。皮膚バリア機能におけるこのような損傷は、PAΔCerに応答して観察されなかった(
図1F)。これらの所見は、bcdaseの誘導と、修復された皮膚がバリア完全性を回復させることができないこととの間の因果関係を確立する。
【0107】
皮膚脂質は、bcdaseを介してバイオフィルムを増大させる。
天然または脂質枯渇(
図9A~B)の皮膚組織抽出物の研究により、バイオフィルム形成の増大における脂質の明らかな役割が実証された。バイオフィルム形成に対する皮膚セラミドの分解の重要性を試験するために、抽出された脂質を、bcdaseが十分であるまたは欠損している細菌に添加した。皮膚脂質抽出物の添加は、SEMおよびEPS染色によって測定した場合、PAwtにおけるバイオフィルム形成を著しく増強した。このような増大は、PAΔCerでは弱まった。これは、バイオフィルム形成における皮膚セラミド分解生成物の、可能性のある役割を示す(
図9C~D)。バイオフィルム形成中に、細菌は、クオラムセンシング(QS)を使用して、抗生物質耐性などの挙動を調整する。PAでは、QSは、主要なQS系であるpqsRおよびrhlR26を含む、一連の小分子受容体によって推進される。バイオフィルム凝集体に関する構造的観察と一致して、pqsRおよびrhlRの発現は、宿主脂質で処理されたPAwtバイオフィルムにおいて、同じ処理条件下のPAΔCerと比較して、著しく高かった(
図2Bおよび2C)。しかし、栄養ブロス中でプランクトン状態においてPAΔCerおよびPAwtの増殖速度に有意差は観察されなかった(
図9H)。しかし、宿主脂質の存在下では、PAΔCerの増殖の増加が観察された(
図9I)。これは、PAΔCerがより速い増殖を示したインビボの観察と一致している。PAwtは、宿主の存在下で比較的遅く増殖したが、PAwtは、青色のフェナジン(ピオシアニン)形成、WGA染色およびpqsR遺伝子の発現の増加によって実証されるように、バイオフィルム形成の増加を示した。PqsR/mvfRは、ピオシアニン形成に必要とされることが知られている。ピオシアニンは、PA28への細胞外DNA結合を促進することによってバイオフィルム形成に寄与する。したがって、これらのデータは、微生物病原体が、単独で複雑な脅威を開始することができないこと、および微生物病原体が、複雑なバイオフィルムを生成するために宿主皮膚脂質を利用しなければならないことを実証した。
【0108】
創傷バイオフィルムは、宿主皮膚CerS3を下方制御し、ジヒドロセラミドを枯渇させる。皮膚セラミド恒常性は、長鎖セラミドを生成するCerS3依存性生合成経路に依存する(
図3A)。創傷バイオフィルム感染は、PAwt感染創傷においてCerS3発現を下方制御することによってセラミド生合成を損なったが、PAΔCerではそうではなかった(
図3B、10A)。弱まった皮膚CerS3発現は、PAwt感染に曝露されたブタ皮膚組織における長鎖ジヒドロセラミドレベルの枯渇に関連していた(
図3C)。PAバイオフィルムの存在を決定するために、環状di-GMPを、慢性創傷患者からの創傷流体中のサロゲートマーカーとして使用した。前臨床ブタ研究からの本発明者らの所見と一致して、慢性創傷患者からの創傷流体の調査により、長鎖ジヒドロセラミドレベルの低下と、PAバイオフィルムマーカー環状di-GMPのレベルの上昇との間の密接な相関が明らかになった(
図3E~3F、10B~10H)。したがって、diGMPによって示されるPAバイオフィルムは、ジヒドロセラミドのより低いレベルに関連していた。
【0109】
miR-106bは、病原性役割を有する創傷端皮膚組織におけるバイオフィルム誘導性のものとして特定される。miR-106bは、PAwtによって引き起こされるバイオフィルム感染に応答して誘導されたが、PAΔCerによってはそうではなかった(
図3G~3H)。CerS3は、miRNAによる転写後遺伝子サイレンシングを受ける。RNAHybrid(商標)分析により、CerS3の3’-UTRは、miR-106bによって標的化される可能性があることが明らかになった(
図3I~3J)。このような予測の生物学的検証を、ヒトケラチノサイトで行った。miR-106b模倣物の送達は、CerS3 3’-UTRレポーター活性を有意に低下させた(
図3I、10I)。この所見と一致して、miR-106b模倣物は、CerS3タンパク質発現を減少させた(
図3J)。
【0110】
バイオフィルム依存性セラミド枯渇後のPPARδ活性の抑制。
転写因子のペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)ファミリーでは、PPARδは、特にセラミド感受性である。バイオフィルムの影響を受けたセラミド枯渇組織では、PPARδ発現は下方制御された。このような影響は、PAΔCer感染の条件下では観察されず、このことは、皮膚セラミド枯渇の原因としての働きを示した(
図4)。根底にあるメカニズムに対処するために、ヒトケラチノサイトバイオフィルム感染に関する研究を行った。ブタ研究からの所見と一致して、バイオフィルム感染は、PPARδ発現を弱めた。このような影響は、PAセラミダーゼ阻害剤であるセラミダスチンの存在下で救済された。皮膚セラミドは、主に長鎖(≧C18)である。したがって、C18およびC24セラミドを、PPARδ機能を調節するそれらの能力について試験した。ヒトケラチノサイトでは、これらの長鎖セラミドは、PPARδトランス活性化および転写を誘導した。ケラチノサイトにおいて、PPARδアゴニストGW501516は、CerS3の発現を増加させ(
図11B)、一方、そのアンタゴニストGSK0660は、CerS3の発現を弱めた(
図11C)。これらの所見は、ケラチノサイトにおけるセラミドによるPPARδの直接的調節を実証する証拠を構成する。
【0111】
スフィンゴシン-1-ホスフェートは、PPARδプロモーターをメチル化する。皮膚セラミドは、細菌セラミダーゼによってスフィンゴシンに分解される。スフィンゴシンは、スフィンゴシン-1ホスフェート(S-1-P)にリン酸化され、これは、生理活性脂質であり、遺伝子調節をエピジェネティックに下方制御し得る。したがって、本発明者らの実験系においてPPARδを調節するS-1-Pのありそうな役割を試験した。創傷バイオフィルム感染のブタ前臨床モデルにおいて、S-1-Pのレベルの上昇が、PAwt感染後に検出されたが、PAΔCer感染後には検出されなかった。この所見は、検出されたS-1-Pが、bcdaseの作用を受けた皮膚セラミドの分解生成物であることを示した。標準的培養条件下では、ヒトケラチノサイトが、生理活性スフィンゴ脂質S-1-Pで処理された場合、PPARδの遺伝子発現が弱まった。PPARδのこのような下方制御が、エピジェネティックに調節されたかどうかを決定するために、PPARδプロモーターのCpGメチル化を研究した。
【0112】
S-1-Pは、プロモーターメチル化を引き起こした。このような増加したPPARδプロモーターメチル化は、DNAメチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)の増大した触媒活性に関連していた。エピジェネティック調節因子に対するS-1-Pの影響の調査により、DNAメチル化およびヒストン脱アセチル化に有利に働く遺伝子発現に対するより広範囲の影響が明らかになった。S-1-PによるmiR-106bの誘導は、S-1-PがPPARδを減衰させ得る、さらなるエピジェネティックメカニズムを構成する(
図11O)。
【0113】
PPARδは、バイオフィルム誘導性miR-106bの新規標的である。バイオフィルム誘導性でもあるPPARδ標的化miRの探索は、候補としてmiR-106bの特定をもたらした。miR-106b模倣物の送達は、mRNAレベルおよびタンパク質レベルの両方でPPARδレベルを損なった。PPARδを、3’UTRルシフェラーゼレポーターアッセイによってmiR-106bに対する標的としてさらに検証した。したがって、体系的な研究により、ケラチノサイトにおけるバイオフィルム誘導性miR-106bの標的としてPPARδが確立された。
【0114】
表皮脂質トランスポーターABCA12は、創傷バイオフィルム感染後に損なわれた。皮膚セラミドは、すべての皮膚脂質の推定50%を担っている。他の皮膚脂質は、皮膚バリア機能を可能にするのに重要な役割を果たす。これら2つは、皮膚の健康を相互作用的に維持することが知られている。ABCA12は、その転写がPPARδ依存性であるが(
図12Aおよび12B)、表皮ケラチノサイト脂質トランスポーターである。創傷部位ABCA12発現は、PAwtによるバイオフィルム感染に応答して減衰したが、SIまたはPAΔCerではそうではなかった。ABCA12のこのような下方制御は、皮膚脂質分布の明らかな変化に関連していた。創傷部位表皮では、極性脂質および中性脂質のレベルは、PAwtによるバイオフィルム感染に応答して急激に低下したが、SIまたはPAΔCerによってはそうではなかった。ヒトケラチノサイトに対するメカニズム追跡研究により、PAwtによるバイオフィルム感染に応答したABCA12の喪失は、セラミダスチンによって防止されたことが明らかになり、このことにより、喪失は、bcdaseの作用を受けたケラチノサイトセラミドの分解生成物によって引き起こされることが実証された。このような所見は、PAΔCerによる感染に応答したABCA12の喪失の防止と一致していた。
図5は、メカニズム概要を提示する。
【0115】
広範囲の脂質を代謝する誘導性酵素を備えて、PAは、宿主細胞結合を促進するため、および宿主免疫防御を回避するために、宿主脂質を利用することが知られている。自然免疫防御系のマクロファージでは、PAは、PAの内在化を助ける、スフィンゴ脂質が豊富なラフトを生成する宿主脂質セラミドの放出を引き起こす酸性スフィンゴミエリナーゼ活性を増強する。肺では、PAリポキシゲナーゼ(pLoxA)は、宿主アラキドン酸-ホスファチジルエタノールアミンを酸化して、気管支上皮フェロトーシスを引き起こし、気道バイオフィルムを確立する。病原性微生物が宿主脂質を利用する能力を損なうように、宿主脂質が先制的に準備され得るという考えが、結果として現れた。PAバイオフィルム感染創傷組織における3桁分の細菌セラミダーゼの誘導により、バイオフィルムの影響を受けた創傷における治癒応答におけるその重要性を試験する体系的調査が求められた。
【0116】
Wound Healing Societyは、皮膚創傷治癒の最も関連のある前臨床モデルとしてブタモデルの研究を推奨する。現在の研究は、インビボにおける免疫適格ブタにおける慢性創傷バイオフィルム感染の確立されたモデルの研究に基づく。このアプローチは、シュードモナス・エルギノーサ(PA)およびアシネトバクター・バウマニからなる誘導性多微生物創傷バイオフィルムの確立をもたらす。ブタの正常皮膚フローラによってコロニー形成された非感染皮膚創傷は、ベースライン対照として機能し、自発感染(SI)と呼ばれた。このモデルでは、当業者は、創傷が慢性になるにつれ、PAが、優勢株としての地位を確立することを理解する。
【0117】
皮膚は、バリア防御を提供する主要な機能を果たす。皮膚バリアの喪失は、感染およびアレルゲンへの脆弱性を増加させる。損なわれた皮膚バリア機能はまた、アトピー性皮膚炎、乾癬、接触皮膚炎、およびいくつかの特定の遺伝的障害に関連している。皮膚のバリア機能を可能にする中心的なものは、皮膚セラミドである。皮膚のセラミド恒常性は、生合成経路と異化経路との間の動的バランスに依存する。PAwtによるバイオフィルム感染が、修復された皮膚のバリア機能を損なうが、PAΔCerではそうではないという観察は、セラミド枯渇が、治癒中のバリア機能の回復障害に関与することを示す直接的証拠を提供する。CerS3は、長鎖皮膚セラミド合成の主要触媒として認識される。バイオフィルム誘導性miR-106bは、CerS3の転写後遺伝子サイレンサーとして認識される。
【0118】
PAは、宿主脂質を活用して、バイオフィルム形成を増強する。皮膚ブタ脂質の添加は、脱脂質に感受性のある様式でバイオフィルム形成を増大させた。バイオフィルムのこのような増大はPAΔCerでは存在しなかったため、脂質自体はトリガーではなかった。バイオフィルム形成は、PAのクオラムセンシング(QS)経路に関連している。現在の研究は、セラミド分解生成物が、SphRを誘導可能であることを実証する。PAの抗生物質耐性中に、SphRは、クオラムセンシングVqSM-SphR相互作用に関与している。この経路は、皮膚脂質がQSを誘導し得る、ありそうなメカニズムを表す。宿主皮膚脂質の転写調節において、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体PPARδは、中心的役割を果たす。このハブは、本明細書に開示される所見によって明らかになったパラダイムにおける中心的プレイヤーとして現れた。皮膚における基礎PPARδ活性は、セラミドによって推進される。上記のような、PAバイオフィルム依存性増幅ループは、皮膚セラミドを枯渇させ、こうして、PPARδ活性を低下させた。そのループの一部として、セラミドがスフィンゴシンに異化されると、S-1-Pが生成された。S-1-Pは、PPARδ発現をエピジェネティックにサイレンシングした。P.エルギノーサによって引き起こされる炎症に続発する肺傷害に、セラミド由来スフィンゴシンおよびS1Pが、直接関与している。興味深いことに、セラミドはまた、抗微生物剤として作用し得る。スフィンゴシンは、S.アウレウス(S.aureus)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)を効果的に死滅させ、P.エルギノーサを中程度に死滅させた。スフィンゴシンは、整形外科のインプラント材料上のスタフィロコッカス・エピデルミディスバイオフィルムを防止および排除した。スフィンゴシンは、細菌膜カルジオリピンに結合し、増殖を制限する。細菌増殖遅延は、バイオフィルム形成に固有である。スフィンゴシンの誘導体であるS-1-Pの上昇は、より高いバイオフィルム形成に関連している。
【0119】
PPARδを下方制御するための第3のメカニズムは、PAバイオフィルム誘導性miR-106bによって与えられた。これは、バイオフィルムの運命を高めるために、皮膚PPARδを無能にし、したがって、宿主代謝プロセスを乗っ取るための、PAバイオフィルムによってうまく調整された取り組みと考えられ得る。特に興味深いのは、この全体的な事象のカスケードが、宿主脂質によって引き起こされるという観察である。それは、皮膚のバリア機能におけるPPARδの機能的重要性に関係するため、PPARδのアゴニストの局所適用が、傷害後にこのような機能の回復を加速することが知られている。
【0120】
PPARδによって転写調節される、ATP結合カセット(ABC)トランスポーターABCA12は、生物膜を横断する様々な脂質の能動輸送に関与するタンパク質の高度に保存された群をコードする。表皮ケラチノサイトでは、PPARδは、ABCA12を上方制御する。PAバイオフィルム感染に応答した皮膚創傷部位PPARδの喪失は、損なわれたABCA12発現に関連していた。修復された皮膚による傷の覆いが達成されている創傷部位では、このABCA12欠損表皮はまた、脂質の存在量において損なわれていたことが認められた。このような病理学的徴候はまた、損なわれた皮膚バリアに低ABCA12が関連している、先天性魚鱗癬において報告されている。これは、バイオフィルム感染歴を有する創傷が、閉鎖されたように見えるが、その部位がバリア機能において欠損しているため、機能的には閉鎖されていないという実証と一致している。損なわれたバリア機能を特徴とする、バイオフィルム感染歴を有する閉鎖された創傷部位は、引張強さが弱く、生体力学的に欠損していることが知られている。この観察は、バリア機能が欠損している皮膚が体への病原性アレルゲンの侵入を許容する窓として作用するという報告と総合すると、このような影響を受けた部位が、創傷常習性および全般的健康への他の脅威になりやすい可能性があるという理解を示す。
【0121】
皮膚創傷の状況では、病原性PAバイオフィルム形成は、宿主脂質因子の盗用に依存し、細菌はこの宿主脂質因子を使用して、その増強されたセラミダーゼ系(他の状況では弱い)を作動させ、それを維持する。PAバイオフィルム形成は、その微小環境に高度に応答性であり、そのため、皮膚創傷の状況では、それは、セラミド分解生成物を利用して、バイオフィルム凝集体を増大させた。このプロセスは、宿主脂質に応答した細菌セラミダーゼの大量の誘導によって開始された。スフィンゴシンおよびS-1-Pなどのこのような代謝の下流生成物は、それぞれ、セラミダーゼの誘導およびPPARδの阻害に直接関与していた。PAバイオフィルムはまた、miR-106bの誘導を介してPPARδをサイレンシングした。低PPARδは、ABCA12発現を制限し、これは、皮膚脂質恒常性の破壊をもたらす。皮膚のバリア機能はこうして損なわれた。感染および創傷の再発の危険性に関する皮膚の機能的欠損におけるこのような欠陥の重要性は、さらなる考察の理由となる。
【0122】
本開示の態様は、以下の列挙される項目のいずれかにおける実施形態として記載され得る。記載される実施形態のいずれも、実施形態が互いに矛盾しない程度に、任意の他の記載される実施形態と関連して使用可能であることが理解される。
【0123】
項目1.治療有効量の細菌セラミダーゼ阻害剤およびセラミドを含む、組成物。
項目2.組成物が、スキンケア組成物である、先行する項目1に記載の組成物。
項目3.組成物が、医薬組成物である、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0124】
項目4.組成物が、制御放出組成物であるように製剤化される、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
項目5.少なくとも1つの成分が、マイクロカプセル化される、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0125】
項目6.細菌セラミダーゼ阻害剤が、微生物から得られる、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
項目7.細菌セラミダーゼ阻害剤が、セラミダスチンである、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0126】
項目8.セラミドが、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEAである、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
項目9.創傷治癒剤をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0127】
項目10.皮膚に許容される1つまたは複数の賦形剤をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
項目11.ステロールをさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0128】
項目12.コレステロールであるステロールをさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
項目13.精製水をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0129】
項目14.共役リノール酸および/またはステアリン酸グリセリルである脂肪酸をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
項目15.スクアレンである脂肪化合物をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0130】
項目16.グリセリンであるポリオールをさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
項目17.PEG-100ステアレートおよび/またはフェノキシエタノールである乳化剤をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0131】
項目18.ジメチコンであるシリコーン油をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
項目19.EDTA二ナトリウム、ソルビン酸、およびクエン酸からなる群から選択される保存剤をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0132】
項目20.クエン酸および水酸化カリウムからなる群から選択されるpH調整剤をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
項目21.キサンタンガムである増粘剤をさらに含む、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0133】
項目22.組成物が、クリーム、ローション、セラム、バーム、ゲル(局所適用のため)、顆粒、粉末、ペースト、液体製剤、シロップ、溶液、エマルション、および懸濁液から選択される局所製剤である、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
【0134】
項目23.組成物の1つまたは複数の成分が、マイクロカプセル化される、先行する項目のいずれかに記載の組成物。
項目24.皮膚状態の処置を必要とする哺乳動物における皮膚状態を処置する方法であって、皮膚状態の処置を必要とする哺乳動物における皮膚状態に、治療有効量の、細菌セラミダーゼ阻害剤およびセラミドのうちの少なくとも1つを含む組成物を投与するステップを含む、方法。
【0135】
項目25.投与するステップが、組成物の局所投与を含む、先行する項目24に記載の方法。
項目26.皮膚状態が、加齢皮膚である、先行する項目24~25のいずれかに記載の方法。
【0136】
項目27.皮膚状態が、糖尿病皮膚である、先行する項目24~25のいずれかに記載の方法。
項目28.皮膚状態が、創傷である、先行する項目24~25のいずれかに記載の方法。
【0137】
項目29.皮膚状態が、哺乳動物の下肢上の創傷である、先行する項目24~25のいずれかに記載の方法。
項目30.皮膚状態が、慢性創傷である、先行する項目24~25のいずれかに記載の方法。
【0138】
項目31.皮膚状態が、開放創傷である、先行する項目24~25のいずれかに記載の方法。
項目32.開放創傷が、多微生物バイオフィルム感染を含む、先行する項目24~25のいずれかに記載の方法。
【0139】
項目33.開放創傷が、低下したセラミドを含む、先行する項目24~32のいずれかに記載の方法。
項目34.開放創傷が、シュードモナス・エルギノーサを含むバイオフィルム感染を含む、先行する項目24~33のいずれかに記載の方法。
【0140】
項目35.開放創傷が、熱傷である、先行する項目24~34のいずれかに記載の方法。
項目36.皮膚状態が、閉鎖創傷である、先行する項目24~35のいずれかに記載の方法。
【0141】
項目37.閉鎖創傷が、熱傷である、項目36に記載の方法。
項目38.皮膚状態が、2週間未満閉鎖されている閉鎖創傷である、先行する項目35~36のいずれかに記載の方法。
【0142】
項目39.哺乳動物が、ヒト、霊長類、ラット、マウス、ウサギおよびモルモット、イヌ、ネコ、およびウマからなる群から選択される、先行する項目24~38のいずれかに記載の方法。
【0143】
項目40.哺乳動物が、ヒトである、先行する項目24~39のいずれかに記載の方法。
項目41.投与される組成物が、処置される皮膚における皮膚バリア機能を増加させる、先行する項目24~40のいずれかに記載の方法。
【0144】
項目42.投与される組成物が、処置される皮膚における経表皮水分喪失を低下させる、先行する項目24~41のいずれかに記載の方法。
項目43.投与される組成物が、処置される皮膚における皮膚バリア機能を増加させ、皮膚バリア機能が、皮膚バリア完全性である、先行する項目24~42のいずれかに記載の方法。
【0145】
項目44.細菌セラミダーゼ阻害剤が、組成物の総重量に関して、約0.001重量%~約10重量%の範囲の量で投与される、先行する項目24~43のいずれかに記載の方法。
【0146】
項目45.細菌セラミダーゼ阻害剤が、組成物の総重量に関して、約0.01重量%~約5重量%の範囲の量で投与される、先行する項目24~44のいずれかに記載の方法。
項目46.細菌セラミダーゼ阻害剤が、組成物の総重量に関して、約0.1重量%~約0.5重量%の範囲の量で投与される、先行する項目24~45のいずれかに記載の方法。
【0147】
項目47.セラミドが、組成物の総重量に関して、約0.001重量%~約10重量%の範囲の量で投与される、先行する項目24~46のいずれかに記載の方法。
項目48.セラミドが、組成物の総重量に関して、約0.01重量%~約5重量%の範囲の量で投与される、先行する項目24~47のいずれかに記載の方法。
【0148】
項目49.セラミドが、組成物の総重量に関して、約0.1重量%~約0.5重量%の範囲の量で投与される、先行する項目24~48のいずれかに記載の方法。
項目50.陰圧創傷療法が、処置に付随する、先行する項目24~49のいずれかに記載の方法。
【0149】
項目51.微生物病原体リパーゼ活性の阻害剤、
セラミド、リン脂質、スフィンゴ脂質、コレステロール、遊離脂肪酸、およびトリグリセリドからなる群から選択される表皮脂質、および
薬学的に許容される担体
を含む、組成物。
【0150】
項目52.項目1~23の成分のいずれかを個別にまたは組み合わせてさらに含む、項目51に記載の組成物。
項目53.任意選択で、抗微生物剤が抗生物質である、抗微生物剤をさらに含む、項目51または52に記載の組成物。
【0151】
項目54.表皮脂質が、
【0152】
【0153】
[式中、Rは、-(CH2)18~29(CH3)、-(CHOH)(CH2)18~29(CH3)または-(CH2)18~30O(CO)(CH2)7(CH=CH)CH2(CH=CH)(CH2)4CH3である]
の一般構造を有するセラミドである、項目51~53のいずれか一項に記載の組成物。
【0154】
項目55.セラミダーゼ阻害剤が、セラミダスチンまたはヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEAである、項目51~54のいずれか一項に記載の組成物。
項目56.組成物が、局所適用のための、クリーム、軟膏、バーム、ローションまたはペーストとして製剤化される、項目51~55のいずれか一項に記載の組成物。
【0155】
項目57.セラミダーゼ阻害剤が、その開示内容が本明細書に明示的に組み込まれる、公開された米国出願第20180369211号および同第20110251197号に開示されるものを含む、任意の公知のセラミダーゼ阻害剤から選択される、項目1~55のいずれか一項に記載の組成物。
【0156】
項目58.損なわれたバリア機能に関連する皮膚状態の処置を必要とする哺乳動物における、損なわれたバリア機能に関連する皮膚状態を処置する方法であって、前記哺乳動物に、治療有効量の項目1~23および51~57の組成物のいずれかを投与するステップを含む、方法。
【0157】
項目59.皮膚状態が、創傷であり、投与ステップが、前記組成物を創傷に局所適用することを含み、任意選択で、創傷が、微生物病原体に感染しており、任意選択で、微生物病原体が、シュードモナス・エルギノーサである、項目58に記載の方法。
【0158】
項目60.細菌病原体による感染の危険性があるかまたは細菌病原体に感染している創傷を処置する方法であって、前記創傷に関連する組織を、治療有効量の項目1~23および51~57の組成物のいずれかと接触させるステップを含む、方法。
【0159】
項目61.前記創傷に関連する組織を、局所適用される組成物と接触させ、任意選択で、創傷が、微生物病原体に感染しており、任意選択で、微生物病原体が、シュードモナス・エルギノーサである、項目60に記載の方法。
【0160】
他のバリエーションまたは実施形態は、上の記載から当業者には明らかである。したがって、上述の実施形態は、特許請求される発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。開示されるすべての参考文献は、その全体が参照により明示的に組み込まれる。
【国際調査報告】