(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】機械制御およびセンサデータの評価のための制御装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G05B19/05 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515425
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 EP2022074765
(87)【国際公開番号】W WO2023041384
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021123762.9
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドットリンク,ディートマー
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA04
5H220BB12
5H220CC09
5H220CX04
5H220JJ12
5H220JJ13
5H220KK01
5H220KK08
5H220MM06
(57)【要約】
【課題】異なるセンサからのさまざまなセンサデータを効果的に記録および考慮しながら効果的な機械制御を可能にする、改善された機械制御およびセンサデータの評価のための制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置(10)は、機械制御のための基本および複合センサ(18)への第1のインターフェースと、センサデータの評価のためのセンサへの第2のインターフェースとを有する。さらに、制御装置(10)は、少なくとも第1のユーザプログラム(A)と第2のユーザプログラム(B)とを実行するオペレーティングシステムが実行される中央処理装置(16)を有する。第1のユーザプログラムは、基本および複合センサ(18)の評価に基づいて制御機能を実行する機械制御のためのユーザプログラムである。第2のユーザプログラムは、第2のインターフェースを介して受信したセンサデータを評価するセンサデータの評価のためのユーザプログラムである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械制御およびセンサデータの評価のための制御装置(10)であって、
機械制御のための基本および複合センサ(18)への第1のインターフェース(12)と、
センサデータの評価のためのセンサ(22)への第2のインターフェース(24)と、
中央処理装置(16)と、
前記中央処理装置(16)を使用してユーザプログラムを実行するためのオペレーティングシステムと、を備え、
前記ユーザプログラムは、少なくとも第1のユーザプログラム(A)と第2のユーザプログラム(B)とを含み、
前記第1のユーザプログラム(A)は、前記基本および複合センサ(18)の評価に基づいて制御機能を実行する機械制御のためのユーザプログラムとされ、
前記第2のユーザプログラム(B)は、前記第2のインターフェース(24)を介して受信したセンサデータを評価するセンサデータの評価のためのユーザプログラムとされている、制御装置。
【請求項2】
前記第2のユーザプログラム(B)は、前記評価されたセンサデータを前記第1のユーザプログラム(A)で利用できるようにされている、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1のユーザプログラム(A)は、前記評価されたセンサデータを機械制御のために使用するように構成されている、請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記オペレーティングシステムは、前記第1のユーザプログラム(A)と前記第2のユーザプログラム(B)とを互いに並行して実行するように構成されている、請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1のインターフェース(12)は、フィールドバスを介するI/O通信用のインターフェース、特に標準化されたIO‐Linkインターフェースである、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1のインターフェース(12)は、前記制御装置(10)のモジュールであり、内部バス接続を介して前記中央処理装置(16)に結合されている、請求項1または請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第2のインターフェース(24)は、リアルタイム対応インターフェースである、請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第2のインターフェース(24)は、標準化されたIPベースのインターフェース、特にOPC-UAインターフェースである、請求項1または請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記第2のインターフェース(24)は、有線および/または無線インターフェースである、請求項1または請求項7に記載の制御装置。
【請求項10】
内部データインターフェースをさらに備え、前記第1のユーザプログラム(A)および前記第2のユーザプログラム(B)は、前記内部データインターフェースを介して互いに接続されている、請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
作業メモリをさらに備え、前記オペレーティングシステムは、前記作業メモリ内の共通メモリ領域を前記第1のユーザプログラム(A)と前記第2のユーザプログラム(B)とに割り当てるように構成されている、請求項1に記載の制御装置。
【請求項12】
第3のインターフェースをさらに備え、前記第3のインターフェースは、前記基本および複合センサ(18)の前記センサデータおよび/または前記評価されたセンサデータを前記制御装置の外部の装置、特にクラウドデバイスに、好ましくはフィルタリングして送信するように構成されている、請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御装置は、安全コントローラであり、前記第1のユーザプログラム(A)は、安全関連の機械制御を提供し、前記第2のユーザプログラム(B)は、安全関連のセンサデータの評価を提供する、請求項1に記載制御装置。
【請求項14】
前記制御装置は、前記基本および複合センサ(18)のフェールセーフ評価および/またはフェールセーフセンサデータの評価を確実にする少なくとも1つの安全関連機器を有する、請求項1に記載制御装置。
【請求項15】
前記オペレーティングシステムは、さらに、前記第1のユーザプログラム(A)と前記第2のユーザプログラム(B)とは独立して、非安全関連の機械制御および/またはセンサデータの評価を実行する第3のユーザプログラムを実行するように構成されている、請求項1に記載制御装置。
【請求項16】
前記第2のユーザプログラム(B)は、前記センサデータにランダムにアクセスするように構成されている、請求項1に記載制御装置。
【請求項17】
前記オペレーティングシステムは、さらなる制御装置との接続を確立するように構成され、前記センサデータの評価は、前記さらなる制御装置上で前記第2のユーザプログラム(B)によって部分的に実行される、請求項1に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械制御およびセンサデータの評価のための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御装置(以下、「コントローラ」とも称する)は、一般に、オートメーション技術の分野で知られている。制御装置は、技術システム、機械、またはプロセスを制御し調整する。プログラマブルロジックコントローラ(PLC)が、その柔軟性と適応性により、プロセスおよびオートメーション技術における複雑なまたは動的に変化する制御および調整タスクのために、確立されている。単純なプログラマブルロジックコントローラは、(メインプロセッサを備えた)少なくとも1つの中央処理コンポーネント、少なくとも1つの入力コンポーネント、および1つの出力コンポーネントからなる。
【0003】
センサは、入力コンポーネントに接続され、制御対象の技術システムまたは機械の状態またはその周囲の状態を検出する。中央処理コンポーネントは、入力コンポーネントによって取得されたセンサデータを評価し、出力コンポーネントに転送される制御コマンドを生成する。出力コンポーネントは、制御コマンドに基づいて技術システムまたは機械を制御する対応するアクチュエータに接続されている。
【0004】
入力コンポーネントに接続された基本センサおよび複合センサは、基本および複合 (basic and composite) センサと称されることがある。基本センサは、物理量を測定し、その物理量を電気量に変換するために使用されるセンサ装置である。基本センサには、例えば、近接センサまたは反射光バリアなどがある。複合センサは、例えば光グリッドなど、1つのハウジングにいくつかの基本センサを組み合わせたものである。したがって、基本および複合センサは、特定の値を表示するか、または定義された状態(2値状態)を示す。オートメーション技術で知られている基本および複合センサには、例えば、光スキャナ、光グリッド、近接センサ、超音波センサ、充填レベルセンサ、または同様の装置がある。
【0005】
基本および複合センサに加えて、オートメーション技術においてはスマートセンサがますます使用されている。スマートセンサ(センサシステム)は、測定変数自体を準備および処理し、ネットワーク対応インターフェースで複雑なデータを提供することができる。スマートセンサには、例えば、オブジェクトの検出および識別が含まれ、アクセスおよびエリア監視システムを実現するために、複雑なプロセスを記録することができる。スマートセンサは、それに応じて、複雑なセンサデータを評価し、それを機械制御に関連した入力信号に変換する強力な評価機器とアプリケーションとを必要とする。
【0006】
特別な評価装置は、いくつかのセンサからのデータをリンクさせ、集約された出力信号(sensor data fusion; センサデータの融合)を提供するために、対応するネットワークインターフェースを介していくつかのスマートセンサに接続することができる。専用の評価装置によって実行されるスマートセンサのセンサデータの評価は通常、機械制御システムの基本および複合センサによって記録される信号から独立している。むしろ、このデータは、基本/複合センサからの入力信号と、スマートセンサのセンサデータの評価から集約された出力信号と、の両方を受信する制御装置でのみリンクされる。この場合、集約された出力信号は一般に、特定の状態を示す通常の入力信号と同様に、制御装置によって処理される。
【0007】
例えば、特許文献1は、いくつかのセンサによるオブジェクトの検出を示している。特許文献1では、全検出結果(集約された出力信号)を、検出に基づいて機械制御を実行する上位レベルの制御装置に転送するために、少なくとも2つのセンサがデータバスを介してネットワーク接続されている。
【0008】
特許文献2は、多数のセンサ接続を有する安全コントローラと、安全コントローラに接続されたいくつかのセンサで監視エリアを安全に監視する方法とを示している。安全コントローラは、接続されたさまざまなセンサからセンサデータを受信するので、2値信号などの単純なセンサデータの送信から、複雑なセンサの生データ全体の送信まで、あらゆる可能性が考えられる。受信されたセンサデータは、設定された重み付けを考慮しながら、計算によって共通のオブジェクト検出信号に変換される。共通のオブジェクト検出信号は、安全コントローラの安全出力を介して出力される。
【0009】
特許文献3は、いくつかのセンサからのセンサデータが評価装置(マスタIO‐Link)によって記録および評価され、評価された信号がマシンコントローラ(PLC)に提供されるシステムを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2005 020 028 A1号明細書
【特許文献2】独国特許第10 2010 007 520 B3号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2019 116 664 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の背景に対し、本発明は、異なるセンサからのさまざまなセンサデータを効果的に記録および考慮しながら効果的な機械制御を可能にする、改善された制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、機械制御のための基本および複合センサへの第1のインターフェースと、センサデータの評価のためのセンサへの第2のインターフェースと、中央処理装置(単に「処理装置」ということがある)と、中央処理装置を使用してユーザプログラムを実行するためのオペレーティングシステムと、を備え、ユーザプログラムは、少なくとも第1のユーザプログラムと第2のユーザプログラムとを有し、第1のユーザプログラムは、基本および複合センサの評価に基づいて制御機能を実行する機械制御のためのユーザプログラムであり、第2のユーザプログラムは、第2のインターフェースを介して受信したセンサデータを評価するセンサデータの評価のためのユーザプログラムである、機械制御およびセンサデータの評価のための制御装置が提供される。
【0013】
したがって、本発明の思想は、機械制御とセンサデータの評価とを1つの装置に結合することである。この目的のために、制御装置は、さまざまなユーザプログラムの実行を可能にするオペレーティングシステムを備える。第1のユーザプログラム(以下、PLCアプリケーションとも称する)は、機械制御のためのオートメーションタスクを行う標準的な制御プログラムである。第1のユーザプログラムは、例えば、よく知られたIPO(入力‐処理‐出力)モデルに従って動作し、このIPOモデルでは、入力状態が最初に記録および処理され、次に出力状態が設定される。したがって、第1のユーザプログラムは、プログラマブルロジックコントローラ上で通常実行することができるプログラムである。
【0014】
第1のユーザプログラムに加えて、オペレーティングシステムは、第2のインターフェースを介して受信したセンサデータを評価する第2のユーザプログラムも実行する。第1のユーザプログラムとは対照的に、第2のユーザプログラムは、それ自体は制御プログラムではなく、例えば信号処理またはパターン認識のアルゴリズムを含むデータ処理プログラムである。したがって、第2のユーザプログラムは、制御装置の制御対象機械を直接制御するように設計されているのではなく、センサデータからアプリケーション関連または制御関連の情報を導き出すためにセンサデータを処理するように設計されている。導き出された情報は、次に、機械を直接制御するために第1のユーザプログラムによって使用することができる。
【0015】
したがって、本発明にかかる制御装置は、異なるタスクを実行し、異なる入力ソースから供給される少なくとも2つのユーザプログラムを実行する。1つのユニットに統合する利点は、追加のインターフェースなしに、制御システムからのデータ(オートメーションデータ)と複合センサ(スマートセンサ)からのセンサデータとを結合、交換、および比較できることである。これは、最初に複合センサからのセンサデータを(2値)状態信号に結合する必要なしに、均一な評価を実行できることを意味する。したがって、複合センサのセンサデータの評価のための別個の評価装置を、設置やコミッショニングにかかる一切の費用を含め、省くことができる。
【0016】
複合センサからのセンサデータは、制御装置によって受信した基本および複合センサからの入力信号を考慮して評価することも可能である。換言すれば、集約された信号間だけでなく、生センサデータのレベルでも、センサデータの融合を行うことができる。それにより、センサデータの融合は、別のレベル、例えばピュアデータレベル、特徴レベル、および/または決定レベルで実行することができる。これにより、評価の質を大幅に向上させることができる。さらに、異なるレベルでのデータ融合なしではまったく不可能であったであろう結果を達成することができる。
【0017】
センサデータの融合のさらなる利点は、アプリケーションにおける柔軟性、センサ検出能力および/または信頼性の向上、センサ測定精度の向上または視野の拡大、曖昧さまたはオクルージョンの解消、および信号を融合して複雑な評価信号を形成する低コストのセンサを使用することによる高価なセンサの節約である。
【0018】
両方のユーザプログラムは同一のオペレーティングシステム上で実行されるため、オペレーティングシステムの機能を使用して2つのユーザプログラム間のデータ交換を可能にすることができる。これにより、リアルタイムで拡張データ評価を実行することができる。さらに、データは、評価中に直接同期させることができる。
【0019】
最後に、本発明にかかる制御装置の既に知られている標準化されたセンサ、アクチュエータ、および通信手段を再利用し、それらを複合センサからのデータと結合することができる。
【0020】
したがって、本発明にかかる制御装置は、機械制御とセンサデータの評価とを1つのユニットに(同一の装置としてのハウジングに)結合し、それにより、共通のオペレーティングシステム上で実行される別個のユーザプログラムによって2つのタスク(機械制御/センサデータの評価)が実現される。機械制御およびセンサデータの評価の両方のための既存のユーザプログラムを再利用できる。このようにして、効果的な機械制御が総合的かつ効率的に実現できる。したがって、冒頭で述べた目的が完全に解決される。
【0021】
さらなる改良形態において、第2のユーザプログラムは、評価されたセンサデータを、その評価されたセンサデータを機械制御のために使用することができる第1のユーザプログラムで利用できるようにする。
【0022】
したがって、第1のユーザプログラムは、第2のユーザプログラムによって決定されたセンサデータの評価の結果に直接アクセスでき、それを機械制御に使用することができる。これにより、機械制御が、より効率的、総合的、かつ柔軟になる。
【0023】
さらなる改良形態において、オペレーティングシステムは、第1のユーザプログラムと第2のユーザプログラムとを並行して実行する。
【0024】
したがって、オペレーティングシステムは、ユーザプログラムを並行実行するように構成されている。並列実行により、2つのユーザプログラムは、他方のプログラムからのデータに簡単にかつ遅延なくアクセスすることができる。さらに、並行処理の効率的な実行のためのハードウェア構成を最適に活用することができる。例えば、IPO手順で入出力プロセス中に通常発生する計算の一時停止は、センサデータの評価のためのアルゴリズムを実行することにより活用できる。これにより、制御装置が全体としてより効率的になる。
【0025】
さらなる改良形態において、第1のインターフェースは、フィールドバスを介するI/O通信用のインターフェース、例えばIO‐Linkインターフェースである。
【0026】
したがって、基本および複合センサは、第1のインターフェースを介して公知の方法で制御装置に接続することができる。したがって、制御装置は、既存の構造を利用することができる。これにより、本発明にかかる制御装置は、センサすなわち基本および複合センサを介して制御装置に接続されているモジュールではなく制御装置そのものを交換することで、既存のシステムに容易に統合することができる。したがって、基本および複合センサで構成される既存のセンサ配置は、変更することなく引き続き使用することができる。他方、スマートセンサは、実際の制御関連のセンサ技術は変更せずに、既存のシステムに簡単に後付けできる。IO‐Linkは、産業環境において、センサやアクチュエータと通信するための世界的に標準化されたIO技術である。
【0027】
さらなる改良形態において、第1のインターフェースは、制御装置のモジュールであり、内部バス接続を介して中央処理装置に結合されている。
【0028】
それにより、新規の制御装置を実現するためには処理装置のみを交換すればよい。既存の入力モジュール(および/または出力モジュール)は同じままにすることができる。
【0029】
さらなる改良形態では、第2のインターフェースは、リアルタイム対応インターフェースである。
【0030】
リアルタイム対応インターフェースを介してセンサデータを受信することにより、センサデータをリアルタイムで評価し、評価されたセンサデータをリアルタイムで第1のユーザプログラムにリンクすることができる。これにより、基本およびネットワークセンサデータとスマートセンサからのデータとの組み合わせを必要とする複雑なシナリオであっても実現することが簡単になる。
【0031】
さらなる改良形態において、第2のインターフェースは、標準化されたIPベースのインターフェース、例えばOPC-UA(オープンプラットフォーム通信統合アーキテクチャ)インターフェースである。
【0032】
IPベースのインターフェースは、標準化されたインターフェースを介するさまざまなセンサ(および他のコンポーネント)の接続、およびさまざまな種類のデータの交換を可能にする。したがって、制御装置の接続性は、そのようなインターフェースを介して向上させることができ、その結果、制御装置は、ほぼあらゆる量の複雑なデータを受信することもできる。
【0033】
さらなる改良形態において、第2のインターフェースは、有線(ケーブルベース)および/または無線(無線ベース)のインターフェースである。
【0034】
したがって、制御装置は、特定の種類のデータ伝送に限定されず、さまざまな接続を介してセンサからデータを取得することができる。これにより、センサは制御装置に簡単に接続することができる。
【0035】
さらなる改良形態において、第1のユーザプログラムと第2のユーザプログラムは、内部データインターフェースを介して互いに接続されている。
【0036】
内部データインターフェースを介して、第1のユーザプログラムと第2のユーザプログラムは、効率的、迅速、頑健、かつ安全に互いにリンクさせることができ、プロセス間通信(IPC)といった、一般的なオペレーティングシステムの公知の仕組みをこの目的のために使用することができる。したがって、機械制御のための基本および複合センサをスマートセンサと組み合わせることの実現は簡単である(クロスレベルのセンサデータ融合)。
【0037】
さらなる改良形態において、制御装置は、作業メモリを有し、オペレーティングシステムは、作業メモリ内の共通メモリ領域を第1のユーザプログラムと第2のユーザプログラムとに割り当てる。
【0038】
共有メモリ領域にアクセスすることで、第1のユーザプログラムと第2のユーザプログラムとの間の内部データインターフェースを簡単に実現することができる。この内部データインターフェースは遅延のないものにできる。これにより、第1のユーザプログラムおよび第2のユーザプログラム間の高速かつ信頼性の高い通信がリアルタイムであっても可能になる。
【0039】
さらなる改良形態において、制御装置は、制御装置が基本および複合センサのセンサデータおよび/または評価されたセンサデータを制御装置の外部の装置に送信する第3のインターフェースを有する。外部の装置は、クラウドデバイスとすることができる。データは最初にフィルタリングされてもよい。
【0040】
この構成により、各スマートセンサを外部の装置自体に接続する必要なく、センサデータ分析の結果を他の装置またはクラウドに転送することができる。評価された基本および複合センサに関する情報は、IPベースのネットワークで提供することもできる。したがって、制御装置は、ゲートウェイとして、また必要に応じてフィルタとして構成することができ、センサデータの評価からの情報と、ネットワーク内の評価された基本および複合センサに関する情報と、の両方を選択的に提供することができる。制御装置内の可能なフィルタ装置は、センサからの生データが外部装置に送信されることを防止できる。これにより、機密センサデータが社内の影響範囲を離れることがなく、ひいてはデータ主権を向上させる。第3のインターフェースは、第2のインターフェースに対応することができる。
【0041】
さらなる改良形態において、制御装置は、安全コントローラであり、第1のユーザプログラムは、安全関連の機械制御を提供し、および/または第2のユーザプログラムは、安全関連のセンサデータの評価を提供する。
【0042】
安全コントローラは、セーフティクリティカルなシステムにおいて使用される場合に、必要なレベルの安全性と可用性とを確保するために、入力コンポーネント、処理コンポーネント、および出力コンポーネントを特別に設計したコントローラである。安全制御の場合、機械制御のためのユーザプログラムの実行は、特定の基準に従って行われなければならず、特別な要件と規範的な仕様を満たさなければならない。同じことが安全性重視のセンサデータの評価にも当てはまり、これは、セーフティクリティカルなシステムに対する特定の規範的要件の対象である。安全関連の機械制御または安全関連のセンサデータの評価を実施するユーザプログラムの変更には、定期的に再認定の必要性が伴う。したがって、既存のユーザプログラムを使用し続けられるように、ユーザプログラムへの変更はできるだけ少なくすることが望ましい。第1のユーザプログラムと第2のユーザプログラムは最初に分離して互いに独立させることができるため、提案された制御装置上の既存のユーザプログラムを変更することなく使用し続けることが可能である。これにより、安全コントローラを簡単かつコスト効率良く実現できる。
【0043】
さらなる改良形態において、制御装置は、基本および複合センサのフェールセーフ評価および/またはフェールセーフセンサデータの評価を確実にする少なくとも1つの安全関連機器を有する。
【0044】
したがって、制御装置は、安全関連のユーザプログラムを実行できるようにする少なくとも1つの装置を有する。これには、例えば、入力と出力を含む、ユーザプログラムの安全関連の実行を担うコンポーネントの冗長な設計が含まれていてもよい。別の装置が外部から安全性重視の設計を確実にすることも考えられる。
【0045】
さらなる改良形態において、オペレーティングシステムは、第1のユーザプログラムと第2のユーザプログラムとは独立して、非安全関連の機械制御および/またはセンサデータの評価を実行する第3のユーザプログラムを実行することができる。
【0046】
この設計により、例えば、第1のユーザプログラムおよび第2のユーザプログラムと並行して別のユーザプログラムを実行することができる。第3のユーザプログラムは、安全関連の機能を一切実行しない標準(ST)ユーザプログラムとすることができる。安全関連のユーザプログラムと非安全関連のユーザプログラムとを一貫して分離することには、これらのコンポーネントを互いに完全に独立して開発および認証できるという利点がある。
【0047】
さらなる改良形態において、第2のユーザプログラムは、センサデータに自由にアクセスできる。
【0048】
したがって、第2のユーザプログラムは、インターフェースへの特定の種類のアクセスに限定されない。むしろ、第2のユーザプログラムによってアクセスを自由に選択することができるため、第2のユーザプログラムは、必要に応じてデータを受信および提供できる。したがって、第2のユーザプログラムは、センサデータの周期的な処理に依存していない。
【0049】
さらなる改良形態において、オペレーティングシステムは、さらなる制御装置への接続を確立することができ、第2のユーザプログラムは、さらなる制御装置上でセンサデータの評価を部分的に実行することができる。
【0050】
この構成によれば、第2のユーザプログラムは別の制御装置と連携することが可能になる。この連携には、いくつかの制御装置上で第2のユーザプログラムを分散して実行することが含まれる。あるいは、第2のユーザプログラムは、他の制御装置上の対応するユーザプログラムとともに動作することができる。このようにして、計算集約的なセンサデータの評価をいくつかの制御装置に分散させることができる。これにより、既存の制御システムネットワークにセンサデータの評価を後付けすることが可能になる。
【0051】
上述の特徴および以下に説明する特徴は、それぞれの場合に示された組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせまたは単独でも使用できることを理解されたい。
【0052】
本発明の実施の形態の例を図面に示し、以下の説明でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、従来技術にかかる産業用制御システムの模式図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一つの実施の形態にかかる制御装置を備えた産業用制御システムの模式図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一つの実施の形態にかかる制御装置の内部構造の模式図を示す。
【
図4】
図4は、本発明のさらなる実施の形態にかかる制御装置の内部構造の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1を参照して、公知の産業用制御システムを以下に簡単に説明する。制御システム1は、モジュール式のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)2を備え、これは、いくつかの入力および出力モジュール3と、中央処理装置4とを有する。基本および複合センサ5ならびにアクチュエータ6が、入出力モジュール3に接続されている。基本および複合センサ5は、技術システムまたは機械またはその環境の状態に応じて入力信号を生成し、その入力信号を入力モジュールに送信する。入力モジュールによって取得された入力信号を受信する処理装置4は、それらを評価し、それらを組み合わせて、アクチュエータ6を制御するために使用される出力信号を生成する。
【0055】
さらに、
図1に示される産業用制御システムは、測定変数を独立して準備および処理する、いわゆるスマートセンサ7を備える。準備および処理は、制御装置2から分離し、スマートセンサ7が接続されている評価装置8によって実行される。評価装置8は、評価の結果を使用して、制御装置2に対する入力信号を生成する。入力信号は、例えばさらなる入力モジュールを介して制御装置2で受信することができる。評価装置8によって提供される入力信号は、基本および複合センサからの入力信号と種類が対応しており、接続された基本および複合センサ5からの信号と同じ方法で制御装置2によって処理することができる。換言すれば、スマートセンサ7は、別個の評価装置8による前処理によって、制御装置2によって通常のセンサとして認識される。したがって、入力信号がスマートセンサ7から来るという事実は、説明された配置においては、制御装置2には区別できない。同様に、別個の評価装置8は、基本および複合センサによって提供された入力信号を認識しない。したがって、スマートセンサ7は、評価装置8によって実際の機械制御システムから切り離されている。
【0056】
対照的に、
図2は、本開示の一つの実施の形態にかかる制御装置を備えた産業用制御システムを示す。ここでは、制御システム全体を参照符号100、制御装置を参照符号10で示す。
【0057】
制御装置10の基本構造は、上述の制御装置2の基本構造に対応する。制御装置10もまた、入力モジュールと出力モジュールとを備えたモジュール式のプログラマブルロジックコントローラである。一例として、ここでは、4つの入力モジュール12と1つの出力モジュール14とが示されている。さらに、制御装置10は、ここでは図示しないバスを介して入力および出力モジュール12、14に結合された処理装置16(中央処理装置16ともいう)を備える。中央処理装置16の構造と機能については、より詳細に以下で説明する。制御装置10は、ここに示される構成に限定されず、さらなるモジュールやコンポーネントを含むことができることを理解されたい。同様に、制御装置10は、モジュール式の制御装置に限定されず、入力モジュール、出力モジュール、および処理装置を含む任意の制御装置とすることができる。
【0058】
さまざまな基本および複合センサ18が、入力モジュール12(第1のインターフェース)を介して制御装置10に接続されている。基本および複合センサ18は、デジタルまたはアナログのインターフェース(I/O)を介して、またはI/O通信用に提供される特別なフィールドバスインターフェース(例えば、I/Oリンク)を介して、入力モジュール12に結合することができる。基本および複合センサ18は、物理量を測定し、それを電気量に変換するために使用されるコンポーネントである。基本センサの例には、光スキャナ、近接センサ、超音波センサ、レベルセンサ、再帰反射型センサ、または同様の装置がある。複合センサは、1つのハウジング内にいくつかの基本センサを組み合わせて形成されるセンサを指し、例えば、物理変数の組み合わせ測定に基づく光グリッドや同様の装置である。
【0059】
アクチュエータ20は、制御装置10の出力モジュール14に接続することができる。アクチュエータ20は、対応する出力信号に応じて制御機能を実行する。これは、例えば、ここで示されるようにモータ制御とすることができる。種々の実施の形態において、アクチュエータ20は、機械の電源に配置され、制御装置10からの出力信号に応じて機械の電源を切るコンタクタとすることができる。「出力信号に応じて」とは、出力信号が存在しない場合、アクションがトリガーされること、すなわち、出力信号が存在しない場合、コンタクタが非通電になることを意味することもある。
【0060】
処理装置16は、入力信号に応じて出力信号を生成する。この目的のために、処理装置16は、第1のユーザプログラムAを実行する。第1のユーザプログラムA(以下、PLCアプリケーションとも称する)は、通常、規定数の命令を周期的に処理する。最初のステップで、PLCアプリケーションは、入力のプロセスイメージ(PII)を読み込むことができる。PIIは、入力モジュールに取得時に存在する信号の状態を反映する。次に、PLCアプリケーションは、命令ごとに処理され、それにより、処理装置16は、もはや入力(入力モジュール)自体にはアクセスせず、メモリに格納されているPIIにのみアクセスする。処理中に出力(出力モジュールの出力信号)が変更される場合、これはまず、特別なメモリ領域、いわゆる出力のプロセスイメージ(PIO)で行われる。PIOからの状態は、PLCアプリケーションからの最後の命令の後にのみ、実際の出力(出力モジュール)に渡される。出力後、新しいPIIの読み込みから別のサイクルが始まる。
【0061】
通常の制御装置とは対照的に、提案された制御装置10の中央処理装置16は、さらなるユーザプログラムB(第2のユーザプログラム)を実行する。第2のユーザプログラムBは、センサデータを評価するために使用される。センサデータは、この場合、スマートセンサ22から取得することができる。スマートセンサ22は、複合センサのデータを提供し、特別な、特に標準化されたIPインターフェースを介してそれを利用可能にするセンサである。スマートセンサの一例として、撮影した画像素材をデジタル形式で複合センサのデータとして(例えば連続的なデータストリームとして)提供するカメラシステムがある。他のスマートセンサは、例えば、さまざまな個々の値を有するタプルを連続的または離散的データストリームまたはデータテレグラム内のセンサデータとして出力するレーダーシステムである場合もあり、タプルは、オブジェクトの位置、動き、外輪郭、または別の特性を表す。
【0062】
一般に、スマートセンサのセンサデータは、センサの種類によってサイズが数キロバイトまたはメガバイトにさえなる場合があり、オブジェクトデータ、センサ出力データ、センサパラメータ、ならびに構成および診断データに大別することができる。センサデータは、第2のインターフェース24を介して制御装置10に提供される。第2のインターフェース24は、第1のインターフェース(入力モジュール)とは種類が異なる。第2のインターフェース24は、IPベースのネットワーク26への接続を確立するための標準化されたIPベースのインターフェースであってもよい。例えば、第2のインターフェース24は、OPC-UA(オープンプラットフォーム通信統合アーキテクチャ)インターフェースとすることができる。OPC-UAは、産業オートメーション分野における通信およびデータ交換のための規格の集合である。OPC-UAは、機械間データの転送だけでなく、インターフェースおよびデータのセマンティクスも記述するために使用することができるため、アーキテクチャ全体がサービス指向になる。
【0063】
第2のインターフェース24は、有線伝送媒体または無線ベースの伝送媒体への接続を確立することができ、より大量のデータを送信することができる。さらに、第2のインターフェース24は、TSNまたはMQTTといった、定義され保証された伝送特性を備えたリアルタイム対応インターフェースとすることができる。
【0064】
制御装置10に送信されたセンサデータは、第2のユーザプログラムBによって読み込まれて処理される。第2のユーザプログラムBは、いくつかのセンサからのセンサデータを記録して処理することが可能である。処理には、例えばパターン認識や画像データ処理のためのアルゴリズムなど、さまざまなアルゴリズムの実行が含まれる。さらに、異なるセンサからのデータをマージすることができる。
【0065】
センサデータの評価は、ナビゲーションタスクのための3D点群の生成とその転送とを含むことができる。種々の実施の形態において、センサデータの評価は、オブジェクトの検出、オブジェクトパラメータ(サイズ、方向、速度)の決定、またはオブジェクトの分類を含むことができる。さらに、センサデータの評価は、オブジェクト間の距離の動的決定と、ロボット制御用経路計画のためにこの情報を提供することと、を含むことができる。センサデータの評価は、これらの例に限定されず、センサデータからアプリケーションまたは制御関連の情報を抽出できる他のデータ処理方法を含んでいてもよいことを理解されたい。
【0066】
複雑で計算集約的なセンサデータの評価の場合、必要に応じて計算能力を追加することが有用である場合がある。これにより、モジュール式制御のコンセプトでは、複雑で計算集約的なセンサデータの評価をいくつかの制御装置(コントロールヘッド)に分散することが可能になる(スケーラビリティ)。スケーラビリティは、センサデータの評価のためのユーザプログラムを、異なるパフォーマンスカテゴリのコントローラ上で実行できるように設計することで、さらに高めることができる。
【0067】
センサデータの評価の結果は、PLCアプリケーションで利用できるようにしたり、第2のインターフェースまたは別のインターフェースを介して他の装置に送信したりすることができる。センサデータの評価の結果は、例えば、接続されたアクチュエータ用のスイッチオフ情報を含むことができ、これは、追加の入力信号としてPLCアプリケーションに提供される。したがって、センサデータの評価の結果は、PLCアプリケーションを介して機械制御に直接影響を与えることができる。さらに、センサデータの評価の結果は、さらなる処理のために、または診断目的のために、他の装置に送信することもできる。
【0068】
第1のユーザプログラムAおよび第2のユーザプログラムBは、内部データインターフェースを介して互いにリンクさせてもよい。内部データインターフェースは、プロセス間/スレッド間インターフェースまたは共有メモリ領域への共有アクセスによって実現されるインターフェースとすることができる。センサデータの評価の結果は、内部データインターフェースを介してPLCアプリケーションで利用できるようになる。第2のユーザプログラムBが、第2のインターフェース24からセンサデータを読み込んだ後、それを生データとしてPLCアプリケーションで利用できるようにすることも考えられる。
【0069】
逆に、第2のユーザプログラムBは、センサデータの評価において基本および複合センサ18からのデータを考慮するために、基本および複合センサ18からのデータにアクセスすることが可能である。後者は、スマートセンサ22からのデータをベースおよび複合センサ18からのデータと合わせる(merge)ことができ、これを使用して、ベースおよび複合センサ18からのデータを他の装置またはクラウド26に転送することもできる。したがって、独自のIPインターフェースを通常持たない基本および複合センサ18が、IPベースのネットワーク28において自身のデータを提供することもできる。
【0070】
また、スマートセンサ22は、さらなる評価のために、IPベースのネットワーク28を介して他の装置に直接データを送信してもよい。計算集約的アルゴリズム(例えば、センサデータからさらなる情報を抽出するための機械学習に必要なアルゴリズム)は、クラウド26で実行することができる。リアルタイム要件の対象とならない評価は、この目的に特に適している。スマートセンサ22からのデータは、外部装置によって、また制御装置10によって選択的に処理できることも考えられる。これにより、非機密センサデータのみを外部装置に送信し、機密センサデータを制御装置10によって内部で処理することが可能になる(data sovereignty; データ主権)。
【0071】
スマートセンサ22と、基本および複合センサ18を含む制御装置10とに加えて、構成および診断装置30もIPベースのネットワーク28に接続することができる。スマートセンサ22は、これらの装置と直接通信することができる。さらに、第2のインターフェース24を備えた制御装置10は、基本および複合センサ18が診断情報および/または構成情報を提供できるようにする。これは、制御システム100の均一かつ全体的な構成および診断を改善するのに役立つ。
【0072】
図3は、本発明の一つの実施の形態にかかる制御装置10の内部構造の模式図を示す。内部構造は、ここでは、制御装置10のアーキテクチャの個々の態様が概念的に層に割り当てられた層モデルとして示されている。
【0073】
最下層S1は、制御装置10が外部装置およびその周辺機器に接続されるインターフェースを備える。これには、入力モジュール(第1のインターフェース)、出力モジュール、およびIPベースのインターフェース(第2のインターフェース)が含まれる。これらのインターフェースを介して、制御装置10は、接続されたセンサ(基本および複合センサ18およびスマートセンサ22の両方を含む)からデータを受信する。
【0074】
第2の層S2は、物理的な処理装置を含み、本質的に中央処理装置(プロセッサ)とシステムリソース(メモリなど)とで構成される。処理装置は、プロセスおよびスレッドの並行実行を可能にし、ひいてはプログラムの同時実行を促進する、マルチコアプロセッサまたはマルチコアマイクロコントローラとすることができる。この層は、安全制御システムのフェールセーフ性を確保することができる任意の安全関連機器を含むこともできる。安全関連機器は、冗長性および多様性の機能を含むことができる。
【0075】
第3の層S3は、制御装置10のオペレーティングシステムを形成する。オペレーティングシステムは、ユーザプログラムの読み込み、実行、中断、および終了、プロセッサ時間の管理および割り当て、ならびにメモリ空間の割り当ておよび管理を可能にする、種々のプログラムから構成されている。さらに、オペレーティングシステムは、ユーザプログラムがハードウェアコンポーネントにアクセスできるようにするハードウェアドライバを含むことができる。安全コントローラの場合、オペレーティングシステムは、フェールセーフ性の向上に寄与する追加の機能を有していてもよい。本開示にかかる制御装置10の場合、オペレーティングシステムは、異なる種類の2つのユーザプログラムを実行するように少なくとも構成され、オペレーティングシステムは、2つのユーザプログラムを並行して実行できることが好ましい。
【0076】
最上層S4は、機械制御のための少なくとも1つのユーザプログラムAとセンサデータの評価のための1つのユーザプログラムBとを有するユーザプログラムによって形成されている。第1のユーザプログラムAは、一連の命令を次々に順次実行するPLCアプリケーションであることが好ましく、サイクルの最初の命令は、入力を読み取ることを含み、サイクルの最後の命令は、出力に出力することを含む。他方、第2のユーザプログラムBは、周期的または連続的にセンサデータを処理することができる。第2のユーザプログラムBは、第2のインターフェースにランダムにアクセスしてもよく、それを介してセンサからのデータを受信することができる。ランダムアクセスとは、ユーザプログラムBがいつでも第2のインターフェースからデータを要求できることであると理解されたい。したがって、ユーザプログラムBは、センサデータの特定の、特に周期的な処理に限定されない。例えば、第2のユーザプログラムBは、評価結果または生データの連続的な出力を提供することができる。センサデータの評価自体は、センサデータからアプリケーションまたは制御関連の情報を抽出するために、接続されたセンサの種類に応じてさまざまなアルゴリズムを含むことができる。
【0077】
オペレーティングシステムは、第1のユーザプログラムAと第2のユーザプログラムBとを並行して実行してもよい。さらに、オペレーティングシステムは、(ここでは横向きの白矢印で示される)内部インターフェースを提供でき、それを介して第1のユーザプログラムAは、本質的に遅延なく、第2のユーザプログラムBとデータを交換することができる。例えば、データがユーザプログラムAからユーザプログラムBに、またはその反対にのみ転送されるなど、データが一方向にのみ交換されることも考えられる。このようにして、少なくとも1つのユーザプログラムの独立性を実現できる。さらに、オペレーティングシステムは、ここでは縦矢印によって示されるように、ユーザプログラムとそれぞれのインターフェースとの間のデータ交換を確実にする役割を担う。
【0078】
オペレーティングシステムは、少なくとも2つのユーザプログラムを実行でき、図示されたインターフェースへのデータフローを可能にする限り、特定の種類のオペレーティングシステムに限定されない。オペレーティングシステムは、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)であってもよく、またはリアルタイムまたはほぼリアルタイムでのユーザプログラムの実行を可能にする機能を有する。この文脈において、リアルタイムとは、オペレーティングシステムが、ユーザプログラムからの要求またはインターフェースを介する信号の到着を所定の時間内に確実かつ決定論的に処理できることを意味する。
【0079】
図4は、本開示のさらなる実施の形態にかかる制御装置10の内部構造の模式図を示す。図示の構造は、本質的に、
図3を参照して説明したものと同じ層モデルに基づいている。
【0080】
図3に示される構造とは対照的に、インターフェースおよびユーザプログラムは両方とも、これらのコンポーネントの互いに対する定義された独立性を確立するために、安全関連および非安全関連のユーザプログラムまたはインターフェースに分割されている。分離によって、制御装置は標準機能ST(標準)と安全関連機能FS(フェールセーフ)との両方を効率的に実行することができる。原則として、標準ST機能は、フェールセーフFS制御システムによっても実行することができるが、機能安全の観点からデータと評価との間の相互干渉を回避できるように、それらの役割を担うユーザプログラムを分離させることは理に適っている。別々に設定されなければならないインターフェースにも同じことが当てはまる。それ以外の場合、層S2およびS3は、安全性重視のアプリケーションのために均一に構成されるべきであるため、変更されない。
【0081】
図4の構成によれば、機械制御のためのユーザプログラムAおよびセンサデータの評価のためのユーザプログラムBは、ともに、FSユーザプログラムとSTユーザプログラムとして提供される。換言すれば、ユーザプログラムの種類ごとに、FSバリアントおよびSTバリアントを提供することができる。言うまでもなく、すべてのバリアントが常に利用可能である必要はない。同じことが、それぞれFSインターフェースとSTインターフェースとを含むインターフェースにも当てはまる。1つのFSインターフェースのみが利用可能であることも考えられる。しかしながら、FS要素とST要素とを一貫して分離することには、FSコンポーネントをSTコンポーネントから完全に独立させることができるという利点がある。この原理は、ここで示されるユーザプログラム間の内部データインターフェースにも反映されている。やはり、FSユーザプログラムとSTユーザプログラムとの間に接続があってはならない。
【0082】
図4に示されるアーキテクチャにより、セーフティクリティカルな制御機能と通常の制御機能との両方を含む制御装置を柔軟かつ簡単に実現できる。
【0083】
以上に開示された実施の形態は、本発明の例示的な実施の形態である。種々の実施の形態の個々の特徴を、他の実施の形態でも使用できることを理解されたい。原則として、本発明はここに示される実施の形態によって限定されず、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【国際調査報告】