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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】パッチ
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/02 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240905BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20240905BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240905BHJP
【FI】
C09J175/02
A61K47/34
A61K9/70 401
C09J7/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515464
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 GB2022052261
(87)【国際公開番号】W WO2023037099
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】2112812.9
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524088618
【氏名又は名称】メッドヘラント リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ハドルトン
(72)【発明者】
【氏名】ガビット ヌラムベトフ
(72)【発明者】
【氏名】バシリキ ニコラオウ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ロス
【テーマコード(参考)】
4C076
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076AA74
4C076AA81
4C076AA85
4C076AA93
4C076AA95
4C076BB31
4C076CC01
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD55
4C076DD65
4C076EE23
4C076EE27
4C076EE53
4C076FF03
4C076FF34
4C076GG01
4J004AA14
4J004BA02
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004FA09
4J040EF061
4J040EF281
4J040GA31
4J040JB04
4J040JB09
4J040KA14
4J040KA23
4J040KA26
4J040NA02
(57)【要約】
【課題】材料が可能な限り少ないが全体として同じ接着特性及び送達特性を保持しているPSAを提供する。
【解決手段】架橋されたシリル含有テレケリックポリウレアポリマーを含有する接着組成物であって、G´及びG´´が、0.1rad/sの周波数において25℃で1000Pa未満である、接着組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されたシリル含有テレケリックポリウレアポリマーを含有し、G´及びG´´が、0.1rad/sの周波数において25℃で1000Pa未満である、接着組成物。
【請求項2】
前記接着組成物が、100rad/sの周波数において25℃で50,000Pa未満のG´及びG´´を有する、請求項1に記載の接着組成物。
【請求項3】
前記接着組成物が、25℃において、0.01~100rad/sの間の少なくとも1つの周波数で0.90~1.10のtanデルタを有し、前記tanデルタが、0.01rad/s~100rad/sの間のすべての周波数について1.10を超えない、請求項1又は2に記載の接着組成物。
【請求項4】
前記接着組成物の前記tanデルタが、25℃において、0.01~100rad/sの間の少なくとも1つの周波数で0.95~1.05であり、かつ、前記tanデルタが、0.01rad/s~100rad/sの間のすべての周波数について1.05を超えない、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項5】
前記テレケリックポリウレアが、式(IV)
【化1】
に従う構造を有し、
式中、
は、ポリエーテルであり;
及びRは、それぞれ独立にスペーサであり;
nは、1~100の範囲の整数であり;
mは、0~1の範囲の整数であり;
pは、0~10の範囲の整数であり;かつ
mとpの合計が、>0である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項6】
ポリエーテルが、2000Da~10,000Daの範囲の重量平均分子量を有し、典型的には、前記ポリエーテルが、2500Da~8000Daの範囲の重量平均分子量を有し、より典型的には、前記ポリエーテルが、3000Da~6000Daの範囲の重量平均分子量を有し、最も典型的には、前記ポリエーテルが、3500Da~5000Daの範囲の重量平均分子量を有する、請求項5に記載の接着組成物。
【請求項7】
前記ポリエーテルが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はこれらの組み合わせである、請求項5又は6に記載の接着組成物。
【請求項8】
前記ポリウレアが、式(VII)又は(VIII):
【化2】
に従う構造を有し、
式中、
は、ポリエーテルであり、
は、スペーサであり、
Lは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されるリンカーであり、これらはそれぞれ随意に置換されていてよく、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択され、これらはそれぞれ随意に置換されていてよく、
は、水素、随意に置換されているアルキル、随意に置換されているアルケニル、随意に置換されているアルキニル、随意に置換されているアリール又は随意に置換されているヘテロアリールから選択され、
nは、1~100の範囲の整数であり、かつ
jは、0~2の範囲の整数である、
請求項5~7のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項9】
前記スペーサが、随意に置換されているアルキル、随意に置換されているアルコキシル、随意に置換されているアルケニル、随意に置換されているアルキニル、随意に置換されているアリール又は随意に置換されているヘテロアリールから選択される、請求項5~8のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項10】
前記組成物が、粘着剤を含有しない、請求項1~9のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項11】
前記接着組成物が、圧力感受性接着剤である、請求項1~10のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項12】
架橋されたシリル含有テレケリックポリウレアを含有する接着組成物であり、
前記架橋されたシリル含有テレケリックポリウレアが、
(a)第1の試薬を第2の試薬と反応させてテレケリックポリウレアを形成する工程、ここで、それぞれ、前記第1の試薬は、少なくとも1つのポリエーテルジアミン、又は少なくとも1つのポリエーテルジイソシアネートを含み、前記第2の試薬は、少なくとも1つのジイソシアネート又は少なくとも1つのジアミンを含む、
(b)工程(a)からの前記テレケリックポリウレアを、シリル含有種と反応させて、シリル末端テレケリックポリウレアを形成する工程、及び、
(c)前記シリル末端テレケリックポリウレアを架橋する工程
を含む方法によって製造され、
前記第1の試薬は、前記第2の試薬に対して、2mol%~100mol%未満の範囲で過剰に提供される、接着組成物。
【請求項13】
前記第1の試薬が、ポリエーテルジアミンであり、前記第2の試薬が、ジイソシアネートである、請求項12に記載の接着組成物。
【請求項14】
前記ジイソシアネートが、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項12又は13に記載の接着組成物。
【請求項15】
前記ジイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、ビス-(4-シクロヘキシルイソシアネート)又はこれらの組み合わせから選択される、請求項14に記載の接着組成物。
【請求項16】
前記第1の試薬が、前記第2の試薬に対して、5mol%~90mol%の範囲で過剰に提供される、請求項12~15のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項17】
前記第1の試薬が、前記第2の試薬に対して、10mol%~80mol%の過剰で提供される、請求項16に記載の接着組成物。
【請求項18】
前記第1の試薬が、前記第2の試薬に対して、10mol%~30mol%の過剰で提供される、請求項17に記載の接着組成物。
【請求項19】
前記第1の試薬が、前記第2の試薬に対して、15mol%~20mol%の過剰で提供される、請求項18に記載の接着組成物。
【請求項20】
前記第1の試薬が、前記第2の試薬に対して、40mol%~60mol%の過剰で提供される、請求項16に記載の接着組成物。
【請求項21】
第1の試薬の、第2の試薬への添加の速度が、1分あたり10mol%以下である、請求項12~20のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項22】
前記第2の試薬が、前記第1の試薬に、一連の工程で添加される、請求項12~21のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項23】
前記一連の工程が、1~10回の範囲の添加を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
それぞれの工程で、さらなる第2の試薬が実質的に存在しなくなるまで反応を行う、請求項22又は23に記載の接着組成物。
【請求項25】
前記ポリエーテルジアミンが、2000Da~10,000Daの範囲の重量平均分子量を有し、典型的には、前記ポリエーテルジアミンが、2500Da~8000Daの範囲の重量平均分子量を有し、より典型的には、前記ポリエーテルジアミンが、3000Da~6000Daの範囲の重量平均分子量を有し、最も典型的には、前記ポリエーテルジアミンが、3500Da~5000Daの範囲の重量平均分子量を有する、請求項12~24のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項26】
前記ポリエーテルジアミンが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)又はこれらの組み合わせを含む、請求項12~25のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項27】
前記方法は、溶媒を用いずに実行される、請求項12~26のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項28】
前記プロセスの温度が、10℃~100℃の範囲である、請求項12~27のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項29】
前記テレケリックポリウレアが、湿分硬化される、請求項12~28のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項30】
架橋テレケリックポリウレアを含む組成物を製造する方法であり、
前記方法は:
(a)第1の試薬を第2の試薬と反応させてテレケリックポリウレアを形成する工程、ここで、それぞれ、前記第1の試薬は、少なくとも1つのポリエーテルジアミン又は少なくとも1つのポリエーテルジイソシアネートを含み、前記第2の試薬は、少なくとも1つのジイソシアネート又は少なくとも1つのジアミンを含み、
(b)工程(a)からの前記テレケリックポリウレアを、シリル含有種と反応させて、シリル末端テレケリックポリウレアを形成すること、及び、
(c)前記シリル末端テレケリックポリウレアを架橋すること
の工程を含み、
前記第1の試薬が、前記第2の試薬に対して、2mol%~100mol%未満の範囲で過剰に提供される、方法。
【請求項31】
請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物を含む経皮薬物送達パッチであり、前記組成物が、経皮薬物送達に適している1又は複数の薬物をさらに含む、経皮薬物送達パッチ。
【請求項32】
前記パッチが:
基材;及び
前記基材に適用された請求項19~26のいずれか一項に記載の組成物の層
を有し、
前記組成物が、経皮薬物送達に適した1又は複数の薬物を含む、請求項31に記載の経皮薬物送達パッチ。
【請求項33】
裏張りライナー、
剥離ライナー、及び
請求項19~26のいずれか一項に記載の組成物の層
を有し、
前記組成物が、経皮薬物送達に適している1又は複数の薬物を含む、請求項31又は32に記載の経皮薬物送達パッチ。
【請求項34】
前記薬物が、親水性である、請求項31~33のいずれか一項に記載の経皮薬物送達パッチ。
【請求項35】
前記薬物が、疎水性である、請求項31~33のいずれか一項に記載の経皮薬物送達パッチ。
【請求項36】
病気を治療する方法であって、請求項31~35のいずれか一項に記載の経皮薬物送達パッチを使用者の皮膚に適用する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着組成物、典型的には経皮薬物送達(経皮ドラッグデリバリー)パッチとして用いられる接着組成物;この組成物を含む経皮薬物送達パッチ;上記組成物及び上記パッチを製造する方法;病気をこのパッチを用いて処置する方法、並びにそのような組成物の、圧力感受性接着剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力感受性接着剤(PSA)は、十分な圧力とともに基材に適用されたときに基材への結合を形成する材料である。そのような材料は、広範囲の用途を有する。それらは、慣用的なオフィス用途(例えば接着性ラベル)で用いることができ、かつより特定の場面で、例えば乗り物トリムのために用いることができる。しかしながら、特に興味深い用途の一つは、皮膚パッチであり、典型的に経皮薬物送達のために設計されるものである。パッチは、皮膚の上に押し付けてよく、PSAが皮膚に接着し、パッチが離れ落ちることが防止される。
【0003】
そのようなPSAには種々の要件が存在する。明らかに、接着剤は、皮膚から時期尚早に離れ落ちることが防止されるように十分に強い必要がある。しかしながら、PSAは、痛み(例えば毛が抜けること又は皮膚が損傷されることによる痛み)を引き起こすことなくパッチの除去を可能にすることが望ましい。さらには、多くの接着剤によって皮膚の上に残される残渣は、使用者にとって不快であり、したがって、これは、最小化される必要がある。
【0004】
近年、接着剤として機能するだけでなく、皮膚への送達のための化合物の貯蔵体としても機能するPSAが開発されている。いくつかのPSA組成物は、優れた接着特性を有するだけでなく、多くの量の薬物を貯蔵できることが見いだされている。さらに、いくつかのPSAは、優れた薬物送達プロファイルを示し、種々の異なる薬物(異なる溶解性を有する種々の異なる薬物)との良好な適合性を有する。
【0005】
そのようなPSAの1つの例が、WO2017/0077284号に示されている。しかしながら、いくつかの場合に、最も良い結果が、粘着剤を提供したときに達成されることが見いだされていた。当業者には理解されるように、組成物中に導入される材料が多くなるほど、組成物の製造がより高価になる。さらに、組成物の複雑さが増加することは、ヘルスケア分野で用いられる場合に、組成物のための規制承認を得ることがより困難なものとなる。追加の材料は、時間の経過とともに分解し、又は時間とともに組成物から漏出し、組成物の特性が変化する。
【0006】
接着組成物は、ダールキスト(Dahlquist)基準及び/又はチャンウィンドウ(Chang’sウィンドウ)によって、下記で規定されるようにして定義されうる:
・ダールキスト基準:接着剤の弾性率は、基材との良好な接着性接触を形成するために、25℃かつ~1rad/sで0.3MPa(3×10ダイン/cm)未満である必要がある。
・チャンウィンドウ:チャンは、接着剤のタイプは、粘弾性ウィンドウの位置に応じて、4つのクアドラントに分類できることを提案した。クアドラント1(左上)は、高G´、低G´´で特徴づけられ、古典的な接着剤に対応する。クアドラント2(右上)は、高G´、高G´´で特徴づけられ、高せん断PSA(中程度の剥離強度、非常に高いせん断及び耐性)に対応し、例えば、高性能テープの用途を有する。クアドラント3(左下)は、低G´及び低G´´で特徴づけられ、取り外し可能な医療用途のための取外し可能PSA(クリーンリムーバブル)に対応する。クアドラント4(右下)は、低G´及び高G´´で特徴付けられ、例えばラベルなどのための低温PSA(低せん断、非常に高い剥離)に対応する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
材料が可能な限り少ないが全体として同じ接着特性及び送達特性を保持しているPSAを製造することが望ましい。本発明は、この課題を解決すること、又は少なくともこの課題に対する改善を提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様では、架橋シリル含有テレケリックポリウレアポリマーを含む接着組成物が提供され、G´及びG´´が、25℃において0.1rad/sの周波数で1000Pa未満である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
G´及びG´´は、本分野で慣用的に用いられるレオロジー特性の計測値である。レオロジーは、材料の変形及び流れを調べるものである。これは、ポリマー特性と物品性能との間の直接的な関連性を確立するために用いることができる。レオロジーパラメータは、平行プレート系を用いて計測でき、せん断ひずみ(γ)及びせん断応力(τ)は、下記のとおりにして実験的に決定される:
γ=Fγω
τ=FτT
式中、Fγ(=R/d)は、せん断ひずみ因子;Fτ(=2/πR)は、せん断応力因子;ωは、角変位;Tは、ねじり力;Rは、プレートの半径、dは、せん断ギャップである。
【0010】
複素動的せん断弾性係数(G)、貯蔵弾性係数(G´)、及び損失又は塑性弾性係数(G´´)並びに損失係数(tanδ)は、下記のとおりに定義される:
【数1】
【0011】
したがって、G´及びG´´は、当業者に知られているレオメータ及び標準プロトコルを用いて計測できる。G´及びG´´が計測される温度及び周波数は、得られる値に影響する。この場合、G´及びG´´の値は、0.1rad/sの周波数かつ25℃で得られる。例えば、当業者は、G´及びG´´が0.5rad/s及び25℃で計測される場合、ポリマーが11,000未満のG´及びG´´を有することを理解するであろう。
【0012】
本件発明者は、上記で規定される接着組成物が、優れた薬物貯蔵体及び薬物送達システムとして働くだけでなく、優れた接着特性も示すことを見出した。これらの特性は、接着特性を向上させるための添加剤の必要なしで、組成物を接着パッチにすることを可能にするものである。本発明に係る組成物は、圧力感受性接着剤が有用な用途である医療及び非医療の用途の両方で、圧力感受性接着剤として有用でもある。例えば、食品製造及び包装、電気及び医療サプライで有用である。
【0013】
本発明の追加的な又は代替的な側面において、接着組成物は、100rad/sの周波数で25℃において、50,000Pa未満のG´及びG´´を有する。
【0014】
本発明の追加的な又は代替的な側面において、接着組成物は、0.01~100rad/sの間の少なくとも1つの周波数で25℃において、0.90~1.10のtanデルタを有し、tanデルタは、0.01rad/s~100rad/sのすべての周波数に関して1.10超でない。
【0015】
当業者に知られているように、tanデルタは、粘弾性挙動の2つの部分の比を記載している。下記が適用される:
1.理想的な弾性挙動δ=0°に関して。粘性部分はない。したがって、G´´=0で、そしてtanδ=G´´/G´=0である。
2.理想的な弾性挙動δ=90°に関して。弾性部分はない。したがって、G´=0であり、それにより、tanデルタ=G´´/G´の値は、ゼロで割り算することになるため、無限に近づく。
【0016】
本発明の代替的又は追加的な態様において、接着組成物のtanデルタは、0.01~100rad/sの少なくとも1つの周波数で25℃において0.95~1.05であり、tanデルタは、0.01rad/s~100rad/sのすべての周波数に関して1.05未満である。
【0017】
いくつかの態様では、架橋シリル含有テレケリックポリウレアを、下記の工程を含む方法によって製造する:
(a)第1の試薬を第2の試薬と反応させてテレケリックポリウレアを形成すること、ここで、それぞれ、第1の試薬は、少なくとも1つのポリエーテルジアミン又は少なくとも1つのポリエーテルジイソシアネートを含み、第2の試薬は、少なくとも1つのジイソシアネート又は少なくとも1つのジアミンを含む;(b)工程(a)からのテレケリックポリウレアを、シリル含有種と反応させて、シリル末端テレケリックポリウレアを形成すること;並びに、(c)シリル末端テレケリックポリウレアを架橋すること、ここで、第1の試薬は、第2の試薬に対して、2mol%~100mol%未満の範囲で過剰に提供される。
【0018】
本記載でさらに記載されるのは、架橋シリル含有テレケリックポリウレアを製造する方法であり、この方法は、下記の工程を含む:(a)第1の試薬を第2の試薬と反応させてテレケリックポリウレアを形成すること、ここで、それぞれ、第1の試薬は、少なくとも1つのポリエーテルジアミン又は少なくとも1つのポリエーテルジイソシアネートを含み、第2の試薬は、少なくとも1つのジイソシアネート又は少なくとも1つのジアミンを含む;(b)工程(a)からのテレケリックポリウレアをシリル含有種と反応させて、シリル末端テレケリックポリウレアを形成すること;並びに、(c)シリル末端テレケリックポリウレアを架橋すること;ここで、第1の試薬は、第2の試薬に対して、2mol%~100mol%未満の範囲で過剰に提供される。
【0019】
本件発明者らは、第1の試薬(すなわちポリエーテルジアミン又はポリエーテルジイソシアネート)が第2の試薬(すなわちジイソシアネート又はジアミン)に対して過剰で提供されるように重合プロセスを調節することによって、得られる組成物が、優れた薬物貯蔵体及び薬物送達システムとして働くだけでなく、優れた接着特性も示すことを見出した。これらの特性は、接着特性を向上させるための添加剤の必要なく、組成物を接着パッチにできるようなものである。
【0020】
疑念を回避するために、本開示で用いられる「過剰」への言及は、モル過剰に言及しており、すなわち、第1の試薬の第2の試薬に対するモル比が1:1よりも大きいことである。さらに、本記載における、例えば第1及び第2の試薬に関する、「過剰」への言及は、プロセス中で用いられるこれらの試薬の合計量に言及しており、所与の第1及び第2の試薬に関連する反応基(例えばアミン及びイソシアネート)の一部が反応しないことが許容される。そのため、第1の試薬の、第2の試薬と比較したモル過剰の割合は、下記の式を用いて算出される:
((100/N)―100
は、反応器に添加される第1の試薬のモル数であり、Nは、反応器に添加される第2の試薬のモルの数である。
【0021】
当業者に理解されるように、ジアミン及びジイソシアネートは、2つのアミン部及び2つのイソシアネート部をそれぞれ有している一方で、所定の試薬サンプルにおいて、これらの部の一部が分解しており又はそうでなくともウレア形成に参加しない場合がある。この割合は、異なる試薬に関して異なっており、しかしながら、当業者は、この挙動を考慮して、必要に応じてその算出を適合させることができる。
【0022】
当業者に理解されるように、ポリエーテルジアミンとジイソシアネートとの反応から得られるポリウレアは、それぞれ対応するポリエーテルジイソシアネートと対応するジアミンとの反応によって得られるポリマーと本質的に同一である。これらの反応はいずれも、それぞれの試薬の間の一連のウレア結合を形成する。
【0023】
本記載で用いられる用語「架橋」は、組成物中でのポリマーの、直接的(ポリマー対ポリマー)又は間接的(ポリマー対ポリマーの中間的橋渡し種)な共有相互作用に言及することを意図しており、これは、典型的には、隣接するポリマー又は中間橋渡し種の特定のポリマー側鎖基(又は末端基)と他の対応する側鎖基(又は末端基)との間の反応の結果としてもたらされる。これは、触媒を用いて、かつ/又は共反応体、例えば水、の存在下で達成され得る。さらに、高温、放射線、例えば紫外(UV)放射線又は電子ビーム(EB)放射線を使用してもよく、それによって、架橋反応が促進される。触媒を用いる場合、少なくとも1つの触媒は、典型的には、組成物中に、組成物の0.001~5重量%、より典型的には0.01~3重量%の範囲の量で、存在する。触媒は、組成物中に残留してよく、又は、使い果たされてよく、又は、架橋プロセスの間に変化してよい。触媒の典型的な例は、架橋促進剤であり、例えば、チタニウム(IV)ブトキシドである。
【0024】
本記載で用いられる用語「硬化」は、組成物の構成要素を、一緒に、硬化された材料の所望の特性が得られるまで、架橋することとして理解される。本発明におけるこの架橋は、典型的には、上記のシリル末端テレケリックポリウレアの複数のシリル基の間で起こる。
【0025】
工程(a)で形成されるテレケリックポリウレアは、直鎖ポリウレアであることが典型的である一方で、テレケリックポリウレアのいくつかが、少なくとも部分的に分岐であることもありうる。したがって、ポリウレアは、工程(c)において架橋することができる2超の末端基を有してよい。しかしながら、テレケリックポリウレアに関して最も慣用的なものは直鎖である。
【0026】
用語「テレケリックポリウレア」は、本分野でのその通常の意味を有することが意図されており、すなわち、その反応性末端基を介して更なる重合又は他の反応を行うことができるポリマー又はオリゴマーを意味する。
【0027】
典型的には、第2の試薬として用いられるジイソシアネート及びジアミン種は、2つのイソシアネート基及び2つのアミン基をそれぞれ有し、これらの基は、スペーサに結合している。イソシアネート基及びアミン基は、典型的には、このスペーサの末端に位置している。ジイソシアネート及び/又はジアミンのいくつかが、単一のイソシアネート又はアミン基のみを有してもよい。しかしながら、そのようなモノ置換種の濃度は、典型的には、低く、例えば、5重量%未満、より典型的には1重量%未満である。
【0028】
用語「スペーサ」は、本分野におけるその通常の意味を有することが意図されている。特に、これは、構造中における2つの基の間の共有結合を提供する部分を記載する。このスペーサの主な機能は、2つの基を互いから所定の距離で離すことである。したがって、スペーサの化学は、所望の間隔形成が達成されかつ第1と第2の試薬の間の反応に悪影響を及ぼさないとの条件のもとで、柔軟である。スペーサの選択に特別な制限はないが、典型的には、ポリマーではない。
【0029】
典型的には、スペーサは、ポリエーテルではない。スペーサは、それぞれ随意に置換されていてよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択されてよい。これらのうち、アルキル、アリール、及びヘテロアリール基が、最も典型的に用いられる。多くの場合、スペーサは、アルキル基又はアリール基である。多くの場合、スペーサは、アルキル基であろう。このアルキル基は、C~C20の長さであってよく、より典型的にはC~C15、よりさらに典型的にはC~C10である。このアルキル基は、直鎖、分岐、又は環状のアルキルであってよい。このアルキル基は、S、N及びOから選択される1以上のヘテロ原子を有してよい。スペーサ基の典型的な例としては、イソホロン、フェニル又はビフェニル、シクロヘキシル又はビシクロヘキシル、及びC~Cのアルキル(例えば、エチル、プロピル、ブチル、又はヘキシル)が挙げられ、これらのぞれぞれは、随意に置換されてよい。
用語「随意に置換」は、本記載における種に対する構造的修飾であって対象の種の機能に対して物質的に影響しないものを意味することを意図している。
【0030】
ジイソシアネートは、典型的には、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、又はこれらの組み合わせから選択される。当業者に理解されるように、2つのイソシアネート基を有する広範囲の分子を用いてよく、ただし、この分子は、ポリエーテルジアミンに存在するイソシアネート基とアミン基との間の分子間相互作用を阻害する基を有しない。
【0031】
しかしながら、ジイソシアネートの典型的な例は、イソホロン、ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、ビス-(4-シクロヘキシルイソシアネート)又はこれらの組み合わせから選択されてよい。
【0032】
同様に、ジアミンは、典型的には、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、又はこれらの組み合わせから選択される。当業者に理解されるであろうように、2つのアミン基を有する広範囲の分子を用いてよく、ただし、この分子は、アミン基とポリエーテルジイソシアネートに存在するイソシアネート基との間の分子間相互作用を阻害する基を含有しない。
【0033】
しかしながら、ジアミンの典型的な例は、イソホロンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノナフタレン、ジフェニルメタンジアミン、ヘキサメチルジアミン、ビス-(4-シクロヘキシルアミン)又はこれらの組み合わせから選択されてよい。
【0034】
上記で説明したように、第1の試薬は、第2の試薬に対して過剰で提供される。多くの場合、過剰の上限は、95mol%、90mol%、85mol%、80mol%、75mol%、70mol%、65mol%、60mol%、又は55mol%から選択される。さらに、対応する下限は、多くの場合、5mol%、10mol%、15mol%、20mol%、25mol%、30mol%、35mol%、40mol%、又は45mol%からそれぞれ選択される。多くの場合、第1の試薬は、第2の試薬に対して、5mol%~90mol%の範囲の過剰で提供される。より典型的には、第1の試薬は、第2の試薬に対して、10mol%~80mol%よりも少ない過剰で提供される。さらにより典型的には、第1の試薬は、第2の試薬に対して、10mol%~30mol%よりも少ない過剰で提供される。いくつかの実施態様では、第1の試薬が、第2の試薬に対して、15mol%~20mol%よりも少ない過剰で提供される。他の場合には、第1の試薬が、第2の試薬に対して、40mol%~60mol%よりも少ない過剰で提供されてよい。
【0035】
さらに、多くの場合、第2の試薬が、第1の試薬に添加される。さらに、第1の試薬と第2の試薬との間の反応は、典型的には、これらの試薬を徐々に合わせることによって進行し、典型的には滴下様式で徐々に合わせることによって進行する。疑念を回避する観点から、この徐々の滴下は、典型的には、20mol%min-1以下、より典型的には、10mol%min-1以下であり、いくつかの例では、5mol%min-1以下である。多くの場合、添加の速度は、1mol%min-1~15mol%min-1、より典型的には3mol%min-1~12mol%min-1、最も典型には5mol%min-1~10mol%min-1である。
【0036】
さらに、多くの場合、第2の試薬は、第1の試薬に、一連の工程で添加される。したがって、第2の試薬の第1の量を、第1の試薬に添加してよく、実質的に更なる第2の試薬が存在しなくなるまで反応させてよい。これに続いて、第2の試薬の後の第2の量を反応混合物に添加してよい。このプロセスを複数回で繰り返してよく、それにより、本方法が、1~10回の添加、2~8回の添加、さらにはより典型的には3~6回の添加、かつ多くの場合には4又は5回の添加を伴ってよい。この種の添加は、本開示において、「段階的」添加として言及される。これは、本開示で言及される工程(a)~(c)と混同されるべきではなく、これらは、ポリマー製造プロセスにおける異なる工程を特徴づけるものである。あり得る態様では、それぞれの後の添加で存在する第2の試薬の質量が、前の添加よりも少ない。いくつかの場合には、後の質量が、第2の試薬の前の量で用いられたものの約半分である。当業者には理解されるように、第2の試薬のそれぞれの添加は、さらなる鎖の延長を促進し、前の工程で形成されたポリマー中間体のモル数が低減される。そして、このポリマー中間体は、第2の試薬のさらなる部分が反応できる基礎を形成する。疑念を回避する観点から、第1の試薬は、段階的な添加が採用されるすべての工程で用いられる第2の試薬の合計に対して過剰で提供される。それぞれの工程は、典型的に、実質的な完了にまで進行するようにされる。これは、当業者に知られている種々の様式で監視することができ、例えば、試験サンプルのスペクトル中における特徴的なシグナルの消失を動的に監視することによって可能である。
【0037】
上記で説明したように、第1の試薬は、ポリエーテルジアミン又はポリエーテルジイソシアネートである。典型的には、第1の試薬は、2000Da~10,000Daの範囲の重量平均分子量を有する。多くの場合、第1の試薬は、2500Da~8000Daの範囲の重量平均分子量、より典型的には、3000Da~6000Daの範囲の重量平均分子量、最も典型的には3500Da~5000Daの範囲の重量平均分子量を有する。
【0038】
ポリエーテルジアミン及びポリエーテルジイソシアネートは、いずれも、ポリエーテル部分を有し、両末端において、それぞれ、アミン基及びイソシアネート基で終端している。通常、ポリエーテル部分は、式(I)に従う構造を有する」
【0039】
【化1】
【0040】
式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択され、これらは随意に置換されていてよく、lは、2~100の範囲の整数である。典型的には、Rは、アルキル又はアルケニルであり、より典型的にはアルキルである。通常、Rは、小さい基であり、C~C10の範囲の長さ、より典型的にはC~Cの長さ、さらにより典型的にはC~Cの長さ、いくつかの場合にはC~Cの長さを有する。通常、Rは、C、C又はCの基であり、最も典型的には、C又はCの基である。多くの場合、Rは、メチル、エチル、プロピル、及びブチルから選択され、より典型的には、エチル又はプロピルである。
【0041】
さらに、多くの場合にはエーテルモノマーの単一のタイプのみがポリエーテル部分に用いられる一方で、種々の異なるモノマーを追加的に用いてよい。例えば、異なるエーテルモノマーの混合物を用いてよく、それによって、ポリエーテル部分の構造中に異なるエーテルモノマー単位を含んでいるポリエーテル部分を形成してよい。ポリエーテル部分は、ポリエーテルサブユニットの1若しくは複数のブロック及び/又は追加的なポリマーサブユニットを含むコポリマーであってよい。したがって、交互のコポリマー及びブロックコポリマーも、適切なポリエーテル部分として想定される。例えば、ポリエーテル部分は、ポリ(プロピレングリコール)部分及びポリ(エチレングリコール)部分を含んでよい。代替的には、ポリエーテル部分は、エチルエーテル及びプロピルエーテルのモノマーの混合物から形成されたコポリマーであってよく、それによって、これらの2つのモノマーの交互のコポリマーが形成されてよい。
【0042】
いくつかの例では、ポリエーテル部分は、ポリオキシメチレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(1,2-ブチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、又はこれらの組み合わせから選択される。これらのうち、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)又はこれらの組み合わせが、最も典型的には用いられる。本開示で用いられる「これらの組み合わせ」への言及は、コポリマー及びポリマーの混合物の両方を包含することを意図している。ポリエーテルは、典型的に、エーテルモノマー(最も典型的にはエチレングリコール及び/又はプロピレングリコール)のみから形成される一方で、ポリエーテル部分が、追加的に、その構造中に、非エーテルモノマーを含有してよい。ポリエーテル中でのこれらのモノマーの濃度は、通常は、エーテルモノマーと比較して、比較的小さい。典型的には、ポリエーテル部分に存在する非エーテルモノマーの濃度は、20%mol以下であり、より典型的には、10%mol以下であり、さらにより典型的には5%mol以下であり、慣用的には、1%mol以下である。いくつかの態様では、ポリエーテル部分が、エーテルモノマーからのみ形成されている。
【0043】
上記のジイソシアネート又はジアミンに加えて、第2の試薬も、1又は複数の追加的なジイソシアネート又はジアミンをさらに有してよい。当業者に理解されるように、プロセス中にさらなるモノマーを導入することは、それがイソシアネート基又はアミン基のいずれを有している場合、結果として得られるテレケリックポリウレア中にそのモノマーが挿入される結果をもたらす。これらのモノマーは、それ自身を、テレケリックポリウレアの構造中に挿入するであろう。
【0044】
工程(a)で形成されるテレケリックポリウレアは、第1の試薬としてのポリエーテルジアミン又はポリエーテルジイソシアネートのいずれかを用いて形成されてよいが、典型的な場合では、第1の試薬が、ポリエーテルジアミンである。したがって、典型的な場合では、第2の試薬が、ジイソシアネートである。
【0045】
多くの場合には、本発明の第1の態様の方法を、溶媒無しで実行する。多くの状況下で、第1及び/又は第2の試薬が、試薬及び溶媒の両方の役割を有することができ、別個の溶媒の必要が省かれる。これは、医療用途における使用に関して組成物を製造する場合に、そのような製品に課される厳格な規制に起因して、特に有用であり、この用途では、低レベルの不純物でさえも、承認を阻害し得る。
【0046】
工程(a)及び(b)におけるプロセスは、少なくとも典型的には、触媒を必要としない。
【0047】
本発明の第1の態様のプロセスは、特別な温度に限定されない。しかしながら、当業者に理解されるように、重合反応の反応速度は(多くの化学反応と同様に)、部分的に、プロセスの温度によって決定される。したがって、典型的な場合では、プロセスの温度が、5℃~150℃の範囲であり、より典型的には、10℃~100℃の範囲である。いくつかの態様では、プロセスを、室温で(例えば、15℃~30℃の範囲で)実行してよい。
【0048】
架橋されたシリル含有ポリエーテルポリウレアを形成するために、工程(b)で形成されるシリル末端テレケリックポリエーテルポリウレアを硬化させる必要があり、それにより、隣接するシリル末端テレケリックポリエーテルポリウレア分子のシリル基を一緒に接続させる。そのような反応を促進するための多数の方法が存在し、例えば、放射線硬化、熱硬化、及び湿分硬化(湿気硬化)がある。これらのプロセスのそれぞれで、適切な触媒を用いてよい。しかしながら、典型的な場合には、テレケリックポリウレアが、湿分硬化される。
【0049】
工程(a)の重合反応は、工程(b)の開始までに終了してよく、すなわち、シリル含有種の導入までに終了してよく、このシリル含有種は、伸長鎖の末端部で、末端アミン又はイソシアネートと反応する。シリル含有種は、典型的には、アミン若しくはアルコールであり(この場合、末端イソシアネートと反応することが意図される)、又は、イソシアネートである(この場合、末端アミンと反応することが意図される)。アミンは、通常、第1級アミンであり、第2級アミンも想定される。通常は、シリル含有種は、反応し、それによって、ポリウレアの末端部のそれぞれにシリル基を形成する。多くの状況下で、シリル含有種は、式(II)に従う式を有する:
【0050】
【化2】
【0051】
式中、
は、シリル基を含み、
Aは、アミン、アルコール、又はイソシアネートのいずれかであり、かつ
Lは、随意のリンカー又は架橋基である。
【0052】
当業者に理解されるように、リンカー又は架橋基は、2つの基を一緒に接続する。疑念を回避するために、このリンカーは随意のものであり、したがって、単結合によって、AとRが一緒に直接に結合してもよい。リンカーの特徴に関して、これがシリル含有種の反応を阻害しない限りは、実質的な制限はない。典型的には、Lは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択され、これらはそれぞれ、随意に置換されていてよい。リンカーの典型的な例は、アルキル及びアリール基であり、通常は、リンカーは短く、通常、C~C10の範囲である。
【0053】
は、典型的に、式(III)に従う構造を有する:
【0054】
【化3】
【0055】
式中、Rは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択され、これらのそれぞれは、随意に置換されていてよく;jは、0~2の範囲の整数である。いくつかの状況下では、jは、1又は2である。最も典型的には、Rは、独立に、アルキル基であり、典型的には、C~Cのアルキル基である。これらのうち、ブチル、プロピル、エチル及びメチルが、好ましい。多くの場合、Rは、独立に、エチル又はメチルのいずれかであり、多くの場合、Rはメチルである。
【0056】
多くの場合、架橋されたシリル含有テレケリックポリウレアを製造するための方法は、溶媒無しで行われる。この方法の利点の1つは、試薬それ自体が、反応のための溶媒として機能し得るという点である。これは、商業的な観点から有利であり、なぜならば、プロセスが比較的少ない材料を必要とするからであり、さらには、構造的な観点からも有利であり、なぜならば、残留する溶媒が、架橋ポリウレア中に、硬化プロセスの間に入り込まないからである。
【0057】
場合により、シリル基をポリウレアに適用した後で、残留するシリル化剤が、溶液中に存在する。これは、下流の用途において問題を引き起こすことがあり、したがって、多くの場合、プロセスは、この残留するシリル化剤を除去する工程を含む。種々の試薬を用いてこの除去を達成してよく、用いられる化合物の選択は、用いられるシリル化剤の特定の選択に依存して種々であろう。例えば、本発明で用いることができる慣用的なシリル化剤は、(3-イソシアノプロピル)トリメトキシシランであり、多くの場合、「IPTMS」と略される。過剰なIPTMSを除去するために、典型的な化合物は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランであり、多くの場合、APTMSと略される。これらの2つの成分は、反応して、末端でシリル化された種を形成し、これも、工程(b)で架橋されてよい。そのようなプロセスは、典型的には、工程(c)の前であってしかしながら工程(b)の後に行われる。
【0058】
架橋シリル含有テレケリックポリウレアを製造する方法は、典型的には、10℃~100℃の範囲の温度で行われる。より典型的には、温度は、40℃~90℃の範囲であり、より典型的には、50℃~75℃である。これよりも低い温度では、混合物の攪拌速度が最適なものよりも低くなり、比較的高い温度の場合には、エネルギー消費が、商業的に実際的でなくなり始める。
【0059】
本発明で用いられる硬化プロセスは、(上記の工程(c))、特に限定されない。当業者に理解されるように、多数の技術が存在し、それによって、シリル基の架橋をもたらし、そのようにして、相互に結合したシリル含有ポリマー鎖のマトリックスが形成される。例えば、硬化プロセスは、放射線硬化又は湿分硬化を用いることができる。硬化の選択は、多くの場合、架橋ポリマーに導入される材料の選択に依存する。例えば、組成物を薬物送達に用いる場合、送達される薬物が熱的に安定でない場合(したがって実際的な湿分硬化プロセスに供することができない場合)には、放射線硬化法を用いてよい。逆に、添加剤が放射線安定性を有しない場合、湿分硬化法が用いられるであろう。しかしながら、典型的には、湿分硬化プロセスが用いられるであろう。そのようなプロセスは、当業者に知られている。
【0060】
多くの場合、本発明のプロセスで形成されるシリル含有非架橋ポリウレアは、2,000cP(センチポアズ)~55,000cPの範囲の、より典型的には、4,000cP~45,000cP、さらにより典型的には、8000cP~40,000cP、最も典型的には、15,000cP~35,000cPの、回転粘度計、例えばブルックフィールド粘度計を用いて計測される、(80℃で計測される)粘度を有する。
【0061】
本発明の第2の態様で提供されるのは、本発明の第1の態様に係るプロセスによって得られる架橋ポリウレアを含有する接着組成物である。
【0062】
本件発明者が見出したところでは、本発明の接着組成物は、優れた経皮薬物送達特性を有し、また、PSAとしての優れた接着特性を示す。実際に、そのような架橋ポリウレアの特性は、粘着剤を用いる従来技術におけるポリマー組成物の特性(例えば、WO2017/077284、40~44ページで特定されているものを参照)と、少なくとも同等である。
【0063】
多くの場合、架橋シリル含有テレケリックポリウレアのそれぞれが、式(IV)に従う構造を有する:
【0064】
【化4】
【0065】
式中、Rは、上記で規定されたポリエーテルであり、
は、上記で規定されたスペーサであり、
は、スペーサ又はポリエーテルであり、
nは、1~100の範囲の整数であり、
mは、0~1の範囲の整数であり、
かつpは、0~10の範囲の整数であり、
mとpの合計は、>0である。
【0066】
多くの場合、Rは、R及びRのいずれとも異なる。典型的には、pは、0又は1であり、最も典型的には、pは0である。さらに、多くの場合、mは、1である。通常、Rは、スペーサである。さらに、nは、典型的に、5~90の範囲であり、より典型的には、10~80であり、さらにより典型的には、20~70である。
【0067】
上記で説明したように、本発明の態様に係る方法を用いたポリマーの製造によって、経皮薬物送達手段で用いるために優れた物理特性を有する組成物をもたらすポリウレアの混合物が、形成される。ポリウレアは、典型的に、この構造を含有し、すなわち、この構造が、ポリウレア中に存在する。
【0068】
通常、架橋シリル含有ポリウレアは、式(V)に係る構造を有する:
【0069】
【化5】
【0070】
式中、R、R、R、n及びpは、上記で規定されたとおりであり、
は、スペーサであり、
は、R、R及びRとは異なる。
【0071】
多くの場合、シリル末端テレケリックポリウレアは、式(VI)に従う構造を有する:
【0072】
【化6】
【0073】
式中、R、R、R、R、n、m及びpは、上記で規定されたとおりである。
【0074】
多くの場合、シリル末端テレケリックポリウレアは、式(VII)又は(VIII)に従う構造を有する:
【0075】
【化7】
【0076】
式中、R、R、L、R、R、n及びjは、上記で規定されたとおりであり、
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールから選択され、これらのそれぞれは、随意に置換されていてよい。最も典型的には、Rが、水素又はC~Cのアルキルであり、より典型的には、水素、メチル又はエチルであり、最も典型的には、水素である。
【0077】
典型的な場合では、組成物が、圧力感受性接着剤(PSA)である。当業者に理解されるように、圧力感受性接着剤は、非反応性接着剤であり、これは、圧力がそれに適用されたときに、表面に対する物理的な結合を形成する。
【0078】
多くの場合、組成物は、粘着剤を実質的に有しない。用語「実質的に有しない」が典型的に意味するのは、組成物の5重量%未満が粘着剤であるということである。より典型的には、組成物の3重量%未満が粘着剤であり、多くの場合、2%未満、最も多くの場合、1%未満である。通常、粘着剤が存在しない。用語「粘着剤」は、組成物の粘着性を変化させる組成物を記述することを意図しており、典型的には、向上した接着特性を組成物に付与する。粘着剤は、典型的には、本発明のポリマーと同じ機能は有していない。本発明では、架橋ポリマーのみの接着特性で、種々のPSA用途に関して十分である。したがって、追加の粘着剤は必要ではない。典型的な粘着剤としては、粘着性樹脂が挙げられる。粘着性樹脂の例としては、限定されないが、フェノール修飾テルペン樹脂(典型的にはポリテルペン)、炭化水素樹脂(典型的には、炭化水素が芳香族特性を有しており、すなわち、1又は複数の芳香族基を有する)、ロジンエステル樹脂、修飾ロジンエステル樹脂、及びアクリル樹脂が挙げられる。
【0079】
さらに、粘着剤及び類似の成分を除くことができることは、より有利なプロセス温度を用いることができることを意味する。さらに、組成物中に比較的少ない材料が存在することで、浸出性化合物(例えば薬物など)のプロファイルが、比較的清浄となり、なぜならば、浸出され得る材料が比較的少ないからである。
【0080】
典型的には、事前硬化された組成物が、1,000~55,000cPの範囲の、典型的には6,000~40,000cPの、さらにより典型的には、8,000~35,000cPの、(80℃で計測される)粘度を有する。いくつかの態様では、組成物の粘度が、シリル含有非架橋ポリウレアのそれよりも低くてよい。
【0081】
さらに、典型的な場合では、組成物が、可塑剤を実質的に含有しない。すなわち、他のタイプの添加剤を用いることができる。追加的な添加剤を、当業者に知られているように、組成物中に導入してよく、例えば、浸透促進剤(すなわち、薬物が皮膚バリアを超えて移動する能力を調節する種)、pH調節剤、及び界面活性剤であり、ただし、これらの追加的な成分は、組成物の薬物送達特性又は接着特性を阻害しないことが条件となる。浸透促進剤の典型的な例としては、限定されないが、プロピレングリコール、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、エタノール、オクタデカノール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0082】
いくつかの態様では、組成物が、酸化防止剤を実質的に含有しない。
【0083】
本発明のさらなる態様で提供されるのは、本発明の第2の態様の組成物を含有する経皮薬物送達パッチであり、組成物が、経皮薬物送達のために適している1又は複数の薬物を含む。本発明者らが見出したところでは、これらの組成物は、貯蔵体として、かつ経皮送達可能な薬物のための送達手段として良好に機能し、かつ、優れた接着特性を提供する。
【0084】
本発明で用いられる用語「薬物」は、生物学的に活性な物質に言及することを意図している。薬物が製造される元となる化合物のタイプは特に限定されない。本発明で用いられる薬物は、典型的には、小分子薬物である。しかしながら、比較的大きい分子及び高分子も想定され、例えば、ペプチド及びタンパクなどの生物的物質が挙げられる。用語「薬物」は、生物学的に活性な物質の、薬学的に許容可能な塩も包含することを意図している。さらに想定されるところでは、薬物は、身体に、物理的な影響、例えば加熱又は冷却を提供してよく、これは、治療効果を有しうる。用語「薬物」は、また、健康のために有用な化合物を包含することも意図しており、例えば、ビタミン、機能性食品、メントール、カプサイシン、カンナビジオール(CBD)などである。そのような化合物は、必ずしも病気そのものを治療するものではなく、健康を維持するために有用である。
【0085】
用語、「小分子薬物」は、1000Da未満、より典型的には700Da未満、最も典型的には500Da未満の分子量を有する合成化学プロセスによって典型的に製造される化合物を包含することを意図している。
【0086】
典型的には、パッチは:基材、基材に適用された本発明の第2の態様に係る組成物の層、を有し、組成物が、経皮薬物送達のための1又は複数の薬物を含む。基材は、典型的には、接着性ではない表面を有し、これは、使用者がパッチを取り扱うことを可能にする。典型的には、基材は、裏張りライナーである。当業者に理解されるように、裏張りライナーは、パッチの作用成分が適用される、材料の層である。本件の場合には、裏張りライナーは、パッチの取り扱いを可能にする非接着性表面を提供する。典型的には、裏張りライナーは、実質的に非多孔性であり、すなわち、これは、組成物からの成分が裏張り層を通って浸出することを防止する。裏張りライナーは、パッチに対して構造的な支持を提供することができ、それによって、パッチがその形状を保持し、又は少なくとも過度な構造的変形に対抗することが、保証される。しかしながら、非多孔性の裏張りライナーも想定され、いくつかの態様では、裏張りライナーが、柔軟な材料、例えば伸縮性の織物、でできていることが有利である。
【0087】
通常、パッチは、裏張りライナー、剥離ライナー、及び、本発明の第2の態様に係る組成物の層を有し、組成物が、経皮薬物送達のために適している1又は複数の薬物を含有する。当業者に理解されるように、剥離ライナーは、パッチの作用成分をそれ自体と裏張りライナーとの間で挟む材料の層である。剥離ライナーも、接着性でない表面を有し、それにより、パッチを、使用の前に容易に取り扱うことができるようになっている。剥離ライナーは、典型的には、パッチの作用層から清浄にはがすことができる材料から形成されており、接着性の作用層を、使用者への付着のために、露出させる。したがって、剥離ライナーの接着品質は、典型的には低く、それにより容易な除去が保証されるようになっており、しかしながら、使用の前に層の位置を保持するためには十分である。裏張りライナー及び剥離ライナーは、組成物の層に隣接しているが、1又は複数の中間的な材料シートを、裏張りライナーと組成物の層との間、かつ/又は、剥離ライナーと組成物の層との間に配置してよい。しかしながら、多くの場合、裏張りライナー及び剥離ライナーは、組成物の層に直接に隣接している。パッチの組み立てに関して特定の方法又は順番はない。しかしながら、多くの場合、組成物が、剥離ライナーに提供され、そして、これを、後に、裏張りライナーに付着させる。
【0088】
本発明のパッチ中に含めてよい薬物の選択に関して特定の制限はない。しかしながら、典型的な場合には、用いられる薬物が、疎水性である。疎水性の薬物の典型的な例としては、下記が挙げられる:アポモルヒネ、アルテミシニン、アルテスナート、アスピリン、アザチオプリン、アゼラスチン、ビソプロール、ブプレノルフィン、カリトロール、カルシフェロール、カンナビノイド、カプサイシン、カルバマゼピン、セチリジン、クロルヘキシジン、クロベタゾン酪酸エステル、クロニジン、クロトリマゾール、シクロスポリン、デスロラタジン、デキサメタゾン、ジフルコルトロン吉草酸エステル、ジクロフェナクエポラミン、エルゴタミン、ドネペジル、β-エストラジオール、フェンブフェン、フェンタニル、フルルビプロフェン、ゲストデン、ヒドロコルチゾン、イブプロフェン、インドメタシン、ヨウ素、イベルメクチン、ケトプロフェン、ラモトリギン、レボメントール、レボノルゲストレル、ロラタジン、メラトニン、ナプロキセン、ノルエルゲストロミン、ノルエチステロン、ペニシリン、ピロキシカム、プラミペキソール、プラジカンテル、プレドニゾロンプリロカイン、プロゲステロン、プロピルチオウラシル、キニジン、リスペリドン、サルブタモール、サリチル酸メチル、サルサラート、サキナビル、シンバスタチン、テリパラダチド、テストステロン、テトラベナジン、トリアムシノロン、トリメトプリム、及びバレニクリン。
【0089】
代替的には、薬物は、親水性であってよい。親水性の薬物の典型的な例としては、下記が挙げられる:アシクロビル、アロプリノール、アモキシシリン、カフェイン、セフトリアキソン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドーパミン、塩酸ドーパミン、ドキシサイクリン、フルオキセチン、ウルオロウラシル、ガバペンチン、ゲンタマイシン、ラミブジン、リドカイン、メトトレキサート、ニコチン、ナイスタチン、パラセタモール、ペニシラミン、硝酸銀、クエン酸スフェンタニル、テモゾロミド、テトラサイクリン、及びトリアムシノロン。1つの態様では、薬物が、リドカインであってよい。また、薬物が、1又は複数のカンナビノイドを含有することも想定される。
【0090】
薬物は、典型的に、組成物中に、組成物の、0.1重量%~40重量%の量で存在し、より典型的には、組成物の1%~35%、さらにより典型的には組成物の5重量%~30重量%、より典型的には、組成物の8~20重量%で、さらにより典型的には、組成物の10~15重量%、かつ多くの場合には組成物の約12.5%で存在する。
【0091】
本発明の態様では、本発明の第1の態様に係る組成物を含有する圧力感受性接着剤が提供される。1つの好ましい態様は経皮薬物送達に関連する一方で、本発明の第2の態様の組成物は、それ自体、圧力感受性接着剤として有用である。したがって、本発明の第2の態様の組成物を、PSAを必要とする広範囲の種々の用途に用いることができる。典型的な用途としては、限定されないが、グルー、ラベル、テープ、保護フィルム、医療デバイス(例えば、EKGモニター及び傷処置包帯)、皮膚パッチ、すなわち、活性薬剤を含有していなくてよい(しかしながら、種々の物理的効果、例えば加熱又は冷却感覚を提供するように設計されている剤を含有してよい)パッチ、ノートパッド、自動車トリム、などが挙げられる。
【0092】
本発明のさらなる態様では、病気を処置する方法が提供され、これは、本発明の第3の態様に係るパッチを使用者に適用する工程を含む。この方法を用いて処置できる病気のタイプに特段の制限はない。唯一の制限は、特定の疾患を処置するために用いられる薬物が、皮膚に適用されたときに、効果を示すことであろう。本発明の組成物のための典型的な用途としては、下記から選択される病気の処置が挙げられる:鎮痛、高血圧、依存、例えばニコチン中毒、ホルモンのバランス不全、がん、例えば皮膚がん、細菌性、ウィルス性、又は真菌性の感染症、アルツハイマー病、気分障害、パーキンソン病、代謝性疾患、組織瘢痕、又はこれらの組み合わせ。
【0093】
さらに、本発明の処置の方法は、ワクチンの送達のためのものであってよく、かつ/又は、傷治癒を改善するためのものであってよい。
【0094】
本発明の態様でさらに提供されるのは、治療で用いるための組成物又はパッチである。典型的に、本発明の組成物又はパッチで治療できる疾病は、下記である:鎮痛、高血圧、依存、例えばニコチン中毒、ホルモンのバランス不全、がん、例えば皮膚がん、細菌性、ウィルス性、又は真菌性の感染症、アルツハイマー病、気分障害、パーキンソン病、代謝性疾患、組織瘢痕、又はこれらの組み合わせ。最も典型的には、本発明の組成物及びパッチは、鎮痛の治療で用いるためのものである。さらに、本発明の組成物及びパッチは、ワクチンの送達手段として、かつ/又は傷治癒を向上させる手段として用いることもできる。
【0095】
本開示で提供される数値は、用語「約」で修飾されることが意図される。さらに、範囲の開示は、その範囲、その範囲の上限下限の間の特定の値、かつ特に、この上限下限の間の整数を開示することが意図されている。
【0096】
さらに、特徴が、本発明の部分に「含まれる」と記載される場合であっても、本開示で記載されるすべての特徴は、本発明の部分がその特徴「からなる」又は「から本質的になる」ことも想定されうる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図面の説明
【0098】
図1は、カンナビジオールを有する配合F14及びF3からの合成膜(Strat-M)を通るカンナビジオール(CBD)の浸透を示す。
【0099】
図2は、バレニクリンを有する配合F14及びF4からの人間の皮膚を通るバレニクリンの浸透を示す。
【0100】
図3は、本発明に係る種々の組成物に関する、貯蔵弾性率G´プラトーでの、%ひずみを示す。
【0101】
図4は、例示組成物(D5.2)に関する、異なる角周波数での、9922(130μm)及び9942(50μm)厚でのG´、G´´を示す。
【0102】
図5は、例示組成物(D5.3)に関する、異なる角周波数での、9942(50μm)及び9922(130μm)厚でのG´、G´´を示す。
【0103】
図6は、種々のポリマー組成物に関する粘度を示す。
【0104】
図7は、種々のポリマーについての、厚み9942(50μm)での、定常ひずみ(%)γ=1.0%(25℃)における、周波数掃引実験を示す。
【0105】
図8は、周波数掃引実験の間のtanδ変化を示す。
【0106】
図9は、D5.0、D5.2及びD5.4組成物の間の周波数掃引比較を示しており、高い角周波数での種々のG´及びG´´のトレンドを強調している。実験は、定常ひずみ(%)γ=1.0%(25℃)で実行された。
【0107】
図10は、種々の組成物に関する低い角周波数及び高い角周波数でのG´値を示す。低周波数でのG´は、接着性を示し、高周波数は、脱結合プロセスを示す。
【0108】
図11は、周波数掃引実験による温度の効果を示す。
【0109】
図12は、異なる分子量の開始材料から形成された組成物のレオロジー比較を示す。
【0110】
図13(a)及び(b)は、25℃でかつ0.01rad/s(a)及び0.05rad/s(b)の周波数での種々の組成物の粘弾性ウィンドウの、接着剤に関する黒線で示されるChang粘弾性ウィンドウに対する比較を示す。点線は、ダールキスト基準に対応する。
【0111】
図14は、種々のS-PURE変形態様に関する転がり球粘着試験(ローリングボールタックテスト)の結果を示す。
【0112】
図15は、本発明の種々の組成物に関する、90°剥離試験の結果を示す。
【実施例
【0113】
スキーム1は、本発明に係るポリマーの製造方法の例示的な態様を示す。ジイソシアネートを、ポリエーテルジアミンに、段階的な様式で、工程(i)で添加して、第1のジアミン中間体のみが形成されるようにした。そして、この中間体を、再び、工程(ii)において、さらなるジイソシアネートと、再び段階的な様式で、反応させてよく、それによって、第2の中間体のみが生成されるようにする。工程(ii)を、繰り返し行ってよく、この場合、それぞれの回で、前工程のジアミン生成物が、開始材料として働き、これに、ジイソシアネートが添加される。このようにして、値kは、理論的に、工程(ii)が繰り返されるごとに、2倍+1で増加する。換言すると、開始k値がkであり、新たなk値がkであるとすると、kは、2k+1におよそ等しいといえる。kが過度に大きくなると、すなわち、例えば約100又は150であると、これは、望ましくなく、なぜならば、多くの場合、ポリマーが、過度な粘度を有し、実際的に用いることができないからである。それぞれの工程で添加されるジイソシアネートの合計量は、それぞれの回で約半分に低減され、なぜならば、前工程からの前駆体ジアミンが後のジアミンの構造中に取り込まれることに伴って、中間体のモル数がそれぞれの回で減少するからである。
【0114】
最後に、工程(iii)で、ポリマーの伸長を、トリメトキシシリルイソシアネートの添加を介して終わらせる。スキーム1では、ポリ(プロピレングリコール)ジアミン、トルエンジイソシアネート、及びトリメトキシシリルプロピルイソシアネートを用いて、プロセスを説明している。
【0115】
【化8】
【0116】
スキーム1で見られるとおり、本発明のポリウレアは、種々の工程で合成される。PSAの異なるバージョンの接着特性を、2つの接着試験、90°剥離及びループタック(ループ粘着)、によって比較した。本発明のポリマーを、既存の、配合中における粘着剤を必要とするポリマーパッチ技術と、比較した。結果を下記の表に示す。
【0117】
【化9】
【0118】
スキーム2に示されているプロセスは、代替的な方法であり、ジアミンが、ジイソシアネートに添加される。スキーム1の工程(i)と同じ例示的な試薬が、工程(iv)で用いられた。しかしながら、工程(v)では、エチル基が、ポリマー構造中に、エチレンジアミンモノマーを用いて導入された。結果として得られるジイソシアネートを、次いで、さらなる量の工程(iv)からのジアミンと、複数の段階的添加で、工程(vi)において反応させる。工程(vi)で実行される段階的添加の数は、数平均整数値qを決定する。最後に、ポリマー伸長を、トリメトキシシリルプロピルアミンを用いて終了させた。
【0119】
例1-シリル末端ポリウレアの製造
4707.67gのポリエーテルアミン(Jeffamine D-4000(商標)、ポリオキシプロピレンジアミン)の容器に、124.26gのイソホロンジイソシアネートを添加し、その間に75°の温度で攪拌した。溶液を、連続的に混合し、サンプリングして、-NCO結合濃度を、それがもはや検出されなくなるまで、監視した。さらなるイソシアネートが検出されなくなったときに、工程を、さらなる59.02gのイソホロンジイソシアネートの添加によって繰り返し、さらなるイソシアネートが検出されなくなるまで反応させた。このプロセスを、さらに2回、後のそれぞれの工程でそれぞれ28.04g及び13.32gのイソホロンジイソシアネートで、繰り返した。すべてのジイソシアネートが反応したときに、64.86gの3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランを反応容器に添加し、反応させて、シリル末端ポリウレアを形成した。2.83gの(3-アミノプロピル)トリメトキシシランを添加して、任意の残留するイソシアネート種と反応させた。
【0120】
比較として、表1は、ポリマー組成物を示しており、これらでは、シリル末端ポリウレアは、上記の方法で、しかしながら過剰のポリエーテルアミンなしで形成され、イソホロンジイソシアネートの一回の添加のみを用いた。
【0121】
第1の試薬の、第2の試薬と比較したパーセントモル過剰は、下記の式を用いて算出される:
イソホロンジイソシアネートの一回添加に関する、又はイソホロンジイソシアネート添加のそれぞれの第1工程に関する式は、
【0122】
【化10】
【0123】
残りの工程に関して、必要な場合には、イソホロンジイソシアネートのモルは、下記で算出される:
【0124】
【化11】
【0125】
式中、mポリエーテルアミンは、容器中に添加されたポリエーテルアミンの質量、Aは、用いたポリエーテルアミンの、分析の材料証明で提供された、合計アミン含有量である。
【0126】
実施例2-粘着剤を有しない接着組成物(F1)の製造
9.9gの例1のシリル末端ポリウレアを含有する容器に、0.1gのチタン(IV)ブトキシドを添加した。混合物を、55℃にまで加熱し、PET基材上で、加熱ブレードの下を通過させることによって、130ミクロンの薄フィルムとして、キャストした。このフィルムを、80℃の温度で、6分間にわたって、50%超の相対湿度を有する高湿雰囲気中で、保持した。液体ポリウレアの薄層が、圧力感受性接着剤の形態へと架橋された。
【0127】
例3-粘着剤を有する接着組成物(F2)の製造
19.8gのArakawa KE311粘着剤樹脂を有する容器を120℃に窒素雰囲気下において加熱した。加熱した樹脂に、79.2gの実施例1のシリル末端ポリウレアを添加し、120℃で3時間にわたって、混合物が均一になるまで、攪拌した。そして、容器を、80℃にまで冷却し、1gのチタン(IV)ブトキシドを添加し、溶液を、PET基材の上で、加熱ブレードの下を通過させることによって、130ミクロンの薄フィルムとして、キャストした。フィルムを、80℃の温度で、6分間にわたって、50%超の相対湿度を有する高湿度雰囲気中で保持した。液体ポリウレアの薄層が、圧力感受性接着剤の形態へと架橋された。
【0128】
例4-粘着剤を有する接着組成物(F3)の製造
39.6gのArakawa KE311粘着剤樹脂を有する容器を120℃に窒素雰囲気下において加熱した。加熱した樹脂に、59.4gの実施例1のシリル末端ポリウレアを添加し、120℃で3時間にわたって、混合物が均一になるまで、攪拌した。そして、容器を、80℃にまで冷却し、1gのチタン(IV)ブトキシドを添加し、溶液を、PET基材の上で、加熱ブレードの下を通過させることによって、130ミクロンの薄フィルムとして、キャストした。フィルムを、80℃の温度で、6分間にわたって、50%超の相対湿度を有する高湿度雰囲気中で保持した。液体ポリウレアの薄層が、圧力感受性接着剤の形態へと架橋された。
【0129】
例5-粘着剤を有する接着組成物(F4)の製造
49.5gのArakawa KE311粘着剤樹脂を有する容器を120℃に窒素雰囲気下において加熱した。加熱した樹脂に、49.5gの実施例1のシリル末端ポリウレアを添加し、120℃で3時間にわたって、混合物が均一になるまで、攪拌した。そして、容器を、80℃にまで冷却し、1gのチタン(IV)ブトキシドを添加し、溶液を、PET基材の上で、加熱ブレードの下を通過させることによって、130ミクロンの薄フィルムとして、キャストした。フィルムを、80℃の温度で、6分間にわたって、50%超の相対湿度を有する高湿度雰囲気中で保持した。液体ポリウレアの薄層が、圧力感受性接着剤の形態へと架橋された。
【0130】
ステンレス鋼プレート上での20分の90°剥離試験:
接着強度を、180°剥離試験によって、ステンレス鋼プレート上で、FINAT技術マニュアル、第6版、2001で公開されているFINAT法No.1に記載されているようにして、評価する。FINATは、自己接着性ラベルの製造業者及び転換業者のための国際連合である。この試験の原理を下記に示す。
【0131】
矩形ストリップ(25mm×175mm)の形態の試験試料を、硬化された上記で得た組成物でコーティングされたPETキャリアから切り出した。この試験試料を、その調製の後で、24時間にわたって、23℃の温度で、かつ50%相対湿度雰囲気中に、保存する。そして、これを、その長さの2/3にわたって、ステンレス鋼プレートで構成される基材に固定する。得られたアセンブリを、20分間にわたって、室温で静置する。そして、これを、引張試験機械に配置し、この機械は、自由端部として残されている矩形ストリップの末端部から出発して、ストリップを、90°の角度で、かつ300mm/分の分離速度で、剥離又は脱結合できる。この機械は、これらの条件下においてストリップが脱結合されるために必要な力を計測する。
【0132】
ループタック試験
矩形ストリップ(25mm×175mm)の形態の試験試料を、硬化された上記で得た組成物でコーティングされたPETキャリアから切り出した。この試験試料を、その調製の後で、24時間にわたって、23℃の温度で、かつ50%相対湿度雰囲気中に、保存する。このストリップの2つの末端部を結合し、それにより、ループを形成し、その接着表面が外側に向くようにする。2つの結合した末端部を、引張試験機械の可動式ジョーに配置し、この機械は、300mm/分の変位速度を、垂直軸に沿って課すことができ、前後に動くことができる。垂直位置に配置されたループの下方部を、第一に、25mm×30mmの水平ガラスプレートと、一辺あたり約25mmの平方領域にわたって接触させる。この接触が起こったあとで、ジョーの変位方向を逆向きにする。粘着性(タック)は、ループが完全にプレートから脱結合するために必要な力の最大値である。
【0133】
転がり球タックテスト(ローリングボールタックテスト)
パッチの粘着性を、PSTC-6試験法規格に適合するChemInstruments RBT-100ランプを用いて決定した。ボールベアリングを、テスト基材として用いた。サンプルを切断して150mm×25mm試験領域が提供されるようにし、ボールがストリップに沿って移動する距離を記録した。3計測の平均(n=3)は、統計的に強固な接着の値として許容された。
【0134】
粘度
組成物の粘度を、ブルックフィールド粘度計を用いて、スピンドル番号27及びThermoselを用いて決定した。80℃での組成物を、事前加熱されたるつぼに添加した。それぞれの計測に10.5gが必要であった。計測値を、機器によって、1分毎に、10分間にわたって記録した。試験を、合致した結果が観察されるまで繰り返した。これらの10回の合致した結果の平均を、計測されたバッチに関する粘度値として報告した。
【0135】
レオロジー分析
レオロジー分析を、Anton Parr MCR 302レオメータで、計測平行プレート構成(直径25mm)で、25℃において実行した。すべての振動掃引実験に関して、25mm直径の硬化した接着性ディスクを用いた。振幅掃引計測を、ひずみ(%)範囲γ=0.01~710%を用いて、定常角周波数ω=10rad/sで、実行した。周波数掃引実験を、角周波数範囲ω=0.5~100rad/sで、かつ定常ひずみ(%)γ=1.0%で実行した。少なくとも3計測(n=3)の平均を、統計的に強固な試行として許容した。
【0136】
【表1】
【0137】
F4~F9は、不安定であった。すなわち、相分離が、1週間の室温での保存の後で、起こる。
【0138】
例6-種々の添加剤で調製された配合物
配合物F10は、実施例1に従って、しかしながら追加のジイソシアネートなしで、調製されたシリル末端ポリウレアである。配合物F11~F15は、種々の量のイソホロンジイソシアネートが反応に添加され、それにより第1級アミンのイソシアネートに対するモル過剰が種々になっている組成物である。接着フィルムを、実施例2と同様にして形成した。
【0139】
【表2】
【0140】
上記データで見られるとおり、第1級アミンのモル過剰が減少するとともに、組成物の接着特性が増加する。粘着剤の不在にもかかわらず、同等の接着特性が達成される。さらに、組成物は安定である。
【0141】
【表3】
【0142】
上記のデータで見られるとおり、ジイソシアネートの、アミン含有反応器への添加速度は、得られる接着剤の剥離、タック性、及び粘度に影響する。
【0143】
【表4】
【0144】
表4中のデータで示されるように、本発明の組成物は、粘着剤の必要なく、多くの既存の経皮薬物パッチと同等の接着性を提供する。
【0145】
この新規な接着剤の主要な用途の1つは、経皮パッチの製造における使用なので、疑似薬物の、人間皮膚模造膜(Strat-M)を通る浸透性を調べた。2つの異なる接着剤タイプ(粘着剤あり及びなし)で作製されたカンナビジオールパッチの浸透速度を比較した。図1及び2で見られるとおり、接着剤配合から粘着剤を除いたものは、人間皮膚模造膜を通る薬物の浸透性に影響しなかった。
【0146】
例7-シリル末端ポリウレア(カンナビジオールを有するF14)
5gのカンナビジオール、2gのチタン(IV)ブトキシド、12gのジエチレングリコールモノエチルエーテル、3gのオクタデカノールを、78gのシリル末端ポリウレアを含有する容器に添加した。混合物を、80℃で、120rpmで30分間にわたって攪拌することによって均一化した。均一化された後で、混合物を、PET基材上で、加熱ブレードの下を通過させることによって、130ミクロンの薄フィルムとして、キャストした。フィルムを、80℃の温度で、5分間にわたって、50%超の相対湿度を有する高湿度雰囲気中で保持した。液体混合物のフィルムは、添加剤とともにカンナビジオールを含有する圧力感受性接着剤へと架橋された。
【0147】
例8-粘着剤を有するシリル末端ポリウレア(カンナビジオールを有するF3)
46.8gの水素化ロジンエステル(Arakawa KE311)粘着剤樹脂及び31.2gのシリル末端ポリウレアを有する容器を、120℃に、窒素雰囲気中で加熱した。混合物を、120rpmで3時間にわたって攪拌して、均一化した。そして、容器を80℃に冷却した。5gのカンナビジオール、2gのチタン(IV)ブトキシド、12gのジエチレングリコールモノエチルエーテル、3gのオクタデカノールを、78gの均一化されたシリル末端ポリウレア及びArakawa KE311粘着剤樹脂を有する容器に添加した。混合物を、80℃で、120rpmで、30分間にわたって攪拌して、均一化した。均一化された後で、混合物を、PET基材上で、加熱ブレードの下を通過させることによって、130ミクロンの薄フィルムとして、キャストした。フィルムを、80℃の温度で、5分間にわたって、50%超の相対湿度を有する高湿度雰囲気中で保持した。液体混合物のフィルムは、添加剤とともにカンナビジオールを含有する圧力感受性接着剤へと架橋された。
【0148】
例9-合成膜での浸透実験
0.5cmサンプルディスクを上記配合物の母ロールから切り出し、Strat-M(商標)膜に付着させた。得られた試験試料を、拡散セル(Franzセル)内に配置して、Strat-M(商標)膜を通って浸透したカンナビジオールの量を、24時間にわたって計測した。受容溶液及び拡散セルは、36℃で保持した。受容溶液サンプルを、拡散セルから一定間隔で取得し、HPLC機器で、検証済みの方法を用いて分析した。図1参照。
【0149】
例10-シリル末端ポリウレア(バレニクリンを有するF14)
0.15gのバレニクリン、0.2gのチタン(IV)ブトキシド、0.3gのプロピレングリコール、0.5gのジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.5gのジメチルスルホキシドを、8.35gのシリル末端ポリウレアを含有する容器に添加した。混合物を、80℃で、120rpmで、30分間にわたって攪拌して均一化した。均一化された後で、混合物を、PET基材上で、加熱ブレードの下を通過させることによって、130ミクロンの薄フィルムとして、キャストした。フィルムを、80℃の温度で、5分間にわたって、50%超の相対湿度を有する高湿度雰囲気中で保持した。液体混合物のフィルムは、添加剤とともにバレニクリンを含有する圧力感受性接着剤の形態へと架橋された。
【0150】
例11-粘着剤を有するシリル末端ポリウレア(バレニクリンを有するF4)
4.175gの水素化ロジンエステル(Arakawa KE311)粘着剤樹脂、及び4.175gのシリル末端ポリウレアを有する容器を、120℃に、窒素雰囲気下で加熱した。混合物を、120rpmで3時間にわたって攪拌して均一化した。そして、容器を80℃に冷却した。0.15gのバレニクリン、0.2gのチタン(IV)ブトキシド、0.3gのプロピレングリコール、0.5gのジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.5gのジメチルスルホキシドを、8.35gのシリル末端ポリウレアを有する容器に添加した。今や8.35gの均一化されたシリル末端ポリウレアを有する容器に、水素化ロジンエステル(Arakawa KE311)粘着剤樹脂を添加した。混合物を、80℃で、120rpmで30分間にわたって攪拌して均一化した。均一化された後に、混合物を、PET基材上で、加熱ブレードの下を通過させることによって、130ミクロンの薄フィルムとして、キャストした。フィルムを、80℃の温度で、5分間にわたって、50%超の相対湿度を有する高湿度雰囲気中で保持した。液体混合物のフィルムは、添加剤とともにバレニクリンを含有する圧力感受性接着剤の形態へと架橋された。
【0151】
例12-ヒト皮膚での浸透実験
0.5cmサンプルディスクを、上記配合物の母ロールから切り出し、750μmのヒト皮膚に付着させた。得られた試験試料を、拡散セル(Franzセル)内に配置して、ヒト皮膚を通って浸透したバレニクリンの量を、24時間にわたって計測した。受容溶液及び拡散セルは、36℃で保持した。受容溶液サンプルを、拡散セルから一定間隔で取得し、HPLC機器で、検証済みの方法を用いて分析した。図2参照。
【0152】
例13-S-PURE合成
本発明に係る追加的な接着組成物を、下記に記載するようにして調製した。S-PUREは、本発明の接着剤の商品名である。
【0153】
S-PURE D5.0の合成
Jeffamine D-4000(商標)(アミン含有量:0.49、4700g、1.18mol、1等量)を、反応容器中に投入し、85+-2℃に、乾燥窒素下で、初期攪拌速度120rpmで加熱した。必要な温度に到達したあとで、攪拌速度を180rpmに増加し、IPDI(121.58g、0.55mol、0.47等量)を、計量ポンプを用いて、流速20mL/分で添加し、添加が5分と7分の間であるようにした。混合物を、IPDI添加の開始から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPTMS(235.79g、1.19mol、0.99等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、IPTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最後に、APTMS(10.30g、0.06mol、0.05等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、再び、APTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最終生成物を、FT-IRによって分析して、残留イソシアネート基の不在を確認し、窒素ブランケット下で保存した。
【0154】
S-PURE D5.1の合成
Jeffamine D-4000(商標)(アミン含有量:0.49、4700g、1.18mol、1等量)を、反応容器中に投入し、85+-2℃に、乾燥窒素下で、初期攪拌速度120rpmで加熱した。必要な温度に到達したあとで、攪拌速度を180rpmに増加し、IPDI(121.58g、0.55mol、0.47等量)を、計量ポンプを用いて、流速20mL/分で添加し、添加が5分と7分の間であるようにした。混合物を、IPDI添加の開始から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(57.75g、0.26mol、0.22等量)の第2の添加を、流量11mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から15分にわたって反応させた。そして、IPTMS(134.45g、0.70mol、0.59等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、IPTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最後に、APTMS(5.87g、0.03mol、0.03等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、再び、APTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最終生成物を、FT-IRによって分析して、残留イソシアネート基の不在を確認し、窒素ブランケット下で保存した。
【0155】
S-PURE D5.2の合成
Jeffamine D-4000(商標)(アミン含有量:0.49、4700g、1.18mol、1等量)を、反応容器中に投入し、85+-2℃に、乾燥窒素下で、初期攪拌速度120rpmで加熱した。必要な温度に到達したあとで、攪拌速度を180rpmに増加し、IPDI(121.58g、0.55mol、0.47等量)を、計量ポンプを用いて、流量20mL/分で添加し、添加が5分と7分の間であるようにした。混合物を、IPDI添加の開始から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(57.75g、0.26mol、0.22等量)の第2の添加を、流量11mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(27.43g、0.12mol、0.10等量)の第3の添加を、流量5.2mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPTMS(86.32g、0.47mol、0.40等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、IPTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最後に、APTMS(3.77g、0.02mol、0.02等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、再び、APTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最終生成物を、FT-IRによって分析して、残留イソシアネート基の不在を確認し、窒素ブランケット下で保存した。
【0156】
S-PURE D5.3の合成
Jeffamine D-4000(商標)(アミン含有量:0.49、4700g、1.18mol、1等量)を、反応容器中に投入し、85+-2℃に、乾燥窒素下で、初期攪拌速度120rpmで加熱した。必要な温度に到達したあとで、攪拌速度を180rpmに増加し、IPDI(121.58g、0.55mol、0.47等量)を、計量ポンプを用いて、流量20mL/分で添加し、添加が5分と7分の間であるようにした。混合物を、IPDI添加の開始から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(57.75g、0.26mol、0.22等量)の第2の添加を、流量11mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加からから工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(27.43g、0.12mol、0.10等量)の第3の添加を、流量5.2mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(13.03g、0.06mol、0.05等量)の第4の添加を、流量2.5mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPTMS(63.46g、0.35mol、0.30等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、IPTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最後に、APTMS(2.77g、0.01mol、0.01等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、再び、APTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最終生成物を、FT-IRによって分析して、残留イソシアネート基の不在を確認し、窒素ブランケット下で保存した。
【0157】
S-PURE D5.4の合成
Jeffamine D-4000(商標)(アミン含有量:0.49、4700g、1.18mol、1等量)を、反応容器中に投入し、85+-2℃に、乾燥窒素下で、初期攪拌速度120rpmで加熱した。必要な温度に到達したあとで、攪拌速度を180rpmに増加し、IPDI(121.58g、0.55mol、0.47等量)を、計量ポンプを用いて、流量20mL/分で添加し、添加が5分と7分の間であるようにした。混合物を、IPDI添加の開始から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(57.75g、0.26mol、0.22等量)の第2の添加を、流量11mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加からから工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(27.43g、0.12mol、0.10等量)の第3の添加を、流量5.2mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(13.03g、0.06mol、0.05等量)の第4の添加を、2.5mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(6.19g、0.03mol、0.03等量)の第5の添加を、流量1.2mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPTMS(52.60g、0.30mol、0.25等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、IPTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最後に、APTMS(2.30g、0.01mol、0.01等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、再び、APTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最終生成物を、FT-IRによって分析して、残留イソシアネート基の不在を確認し、窒素ブランケット下で保存した。
【0158】
S-PURE D5.5の合成
Jeffamine D-4000(商標)(アミン含有量:0.49、4700g、1.18mol、1等量)を、反応容器中に投入し、85+-2℃に、乾燥窒素下で、初期攪拌速度120rpmで加熱した。必要な温度に到達したあとで、攪拌速度を180rpmに増加し、IPDI(121.58g、0.55mol、0.47等量)を、計量ポンプを用いて、流量20mL/分で添加し、添加が5分と7分の間であるようにした。混合物を、IPDI添加の開始から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(57.75g、0.26mol、0.22等量)の第2の添加を、流量11mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(27.43g、0.12mol、0.10等量)の第3の添加を、流量5.2mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(13.03g、0.06mol、0.05等量)の第4の添加を、流量2.5mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(6.19g、0.03mol、0.03等量)の第5の添加を、流量1.2mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(2.94g、0.01mol、0.01等量)の第6の添加を、流量0.6mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPTMS(47.44g、0.28mol、0.24等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、IPTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最後に、APTMS(2.07g、0.01mol、0.01等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、再び、APTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最終生成物を、FT-IRによって分析して、残留イソシアネート基の不在を確認し、窒素ブランケット下で保存した。
【0159】
S-PURE D5.6の合成
Jeffamine D-4000(商標)(アミン含有量:0.49、4700g、1.18mol、1等量)を、反応容器中に投入し、85+-2℃に、乾燥窒素下で、初期攪拌速度120rpmで加熱した。必要な温度に到達したあとで、攪拌速度を180rpmに増加し、IPDI(121.58g、0.55mol、0.47等量)を、計量ポンプを用いて、流量20mL/分で添加し、添加が5分と7分の間であるようにした。混合物を、IPDI添加の開始から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(57.75g、0.26mol、0.22等量)の第2の添加を、流量11mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(27.43g、0.12mol、0.10等量)の第3の添加を、流量5.2mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(13.03g、0.06mol、0.05等量)の第4の添加を、流量2.5mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(3.09g、0.01mol、0.01等量)の第5の添加を、流量0.6mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPTMS(58.04g、0.33mol、0.28等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、IPTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最後に、APTMS(2.53g、0.01mol、0.01等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、再び、APTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最終生成物を、FT-IRによって分析して、残留イソシアネート基の不在を確認し、窒素ブランケット下で保存した。
【0160】
S-PURE D6.2Aの合成 -比較
Jeffamine D-4000(商標)(アミン含有量:0.49、4463.1g、1.12mol)とJeffamine D-2000(商標)(アミン含有量:1.01、240.6g、0.12mol)の90:20モル比の混合物を、反応容器中に投入し、85℃+-2℃に、乾燥窒素下で、攪拌速度120rpmで、加熱した。必要な温度に到達したあとで、攪拌速度を180rpmに増加し、IPDI(128.28g、0.72mol、0.58等量、ポリ(エーテルアミン)の合計モルに対する値)を、計量ポンプを用いて、流速20mL/分で添加し、添加が5分と7分の間であるようにした。混合物を、IPDI添加の開始から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(60.93g、0.34mol、0.27等量、ポリ(エーテルアミン)の合計モルに対する値)の第2の添加を、流量11mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(28.94g、0.16mol、0.13等量、ポリ(エーテルアミン)の合計モルに対する値)の第3の添加を、流量5.2mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(13.75g、0.08mol、0.06等量、ポリ(エーテルアミン)の合計モルに対する値)の第4の添加を、流量2.5mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPDI(6.53g、0.04mol、0.03等量、ポリ(エーテルアミン)の合計モルに対する値)の第5の添加を、流量1.2mL/分で、添加が4分と6分の間に起こるようにして行った。混合物を、IPDIの添加から工程全体が15分を要するようにして、反応させた。そして、IPTMS(55.50g、0.27mol、0.22等量、ポリ(エーテルアミン)の合計モルに対する値)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、IPTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最後に、APTMS(2.42g、0.01mol、0.01等量)を、シリンジを用いてバルクで添加し、反応が、再び、APTMSの添加から20分間にわたって進行するようにした。最終生成物を、FT-IRによって分析して、残留イソシアネート基の不在を確認し、窒素ブランケット下で保存した。
【0161】
D4000:IPDIの種々の組成及び比を、下記にまとめる。
【0162】
【表5】
【0163】
表5:S-PURE接着組成物を調製するための条件
【0164】
例14-接着パッチの調製
チタン(IV)ブトキシド触媒(1%)を、上記のS-PURE組成物の代表量に添加し、得られた混合物を、RK K-コントロールコーターセットを用いて、80℃で、Kバーを用いて広げた。得られたパッチを、1.5分の流れ及び更なる3.5分の加熱に供して、プレポリマーの硬化を誘導した。硬化を、5分の合計時間の後で評価した。
【0165】
例15-振幅掃引実験
下記の表は、貯蔵弾性率(G´)プラトーでのひずみ(%)(>30%)範囲を示す。高いひずみ(%)で、サンプルの滑りが観察され、粘弾性特性を更に計測することはできなかった。結果を図3に示し、下記の表6に示す。
【0166】
【表6】
【0167】
パッチ厚みの効果は、9922(130μm)>9942(50μm)で調べた。周波数掃引実験を、(すでに見いだされたLVER領域によって決定される)定常ひずみ(%)γ=1.0%で実行した。予期されるように、結果が示すところでは、厚みにおける増加は、比較的高いG´をもたらし、これは、比較的硬くかつ比較的弾性のある材料であることを示す。厚みにおける差異にもかかわらず、サンプルは、ω=100rad/sまで同様の粘弾性プロファイルを示し、G´の値は、G´´の値とほぼ同様である。G´値における連続的な増加は、変形の頻度の増加によって現れ、これは、ポリマー絡み合いの存在に帰属する。S-PURE D5.2及びD5.3配合に関する結果を、図4及び5にそれぞれ示す。
【0168】
種々の平均架橋間分子量(Mc)の効果を、種々の分子量を有するポリマーから形成した配合物を分析することによって調査した。最初に、粘度計を用いて、分子量における差異を評価した。比較的高いIPDI対Jeffamine(商標)D4000比から形成されたポリマーは、段階的成長重合プロセスの間に比較的長いポリマー鎖を有しており、これは、比較的高い平均分子量をもたらし、したがって、比較的高い粘度をもたらす。結果を、図6に示す。
【0169】
周波数掃引試験を、異なるS-PURE変形態様において、9942(50μm)の厚みで実行した。図7の結果は、比較的分子量の高いS-PURE変形態様が、比較的低いG´値を有していることを示し、これは、比較的柔らかく、比較的濡れ性が高く、かつしたがって比較的高い接着表面であることを示す。一般に、ポリマーの平均分子量は、平均架橋間分子量(Mc)に類似することが予期され、これの増加は、比較的低い架橋密度をもたらす。D5.0は、定常的なレオロジープロファイルを示し、G´値は、角周波数の増加によってプラトーに達した。これは残りの配合物とは対照的であり、これらでは、G´は、変位の周波数によって増加し続け、ポリマーの絡み合い及び比較的高い平均分子量の結果である。さらに、D5.5は、比較的高い分子量を有しており、最も低いG´及びG´´を示した。これらの値は、~1.1の周波数で交差し、接着剤が粘性流体に変化し、G´´が、G´を超えつづける。これは、tanδの値によっても示され、D5.5に関して>1であり、比較的低い分子量S-PURE変形態様に関して比較的低く<1であり、これらは、比較的高い粘弾性のタイプの特性を示した(図8)。
【0170】
G´及びG´´の、高い角周波数での異なる傾向は、図9で示され、分子量における増加が、2つの値を、「平行」な様式で、互いに近づけ、しかしながら、交差して流体状の状態に変化しない。G´値の全体的なチャートを、低い角周波数(接着性を示す)及び高い角周波数(剥離を示す)で、図10に示す。
【0171】
温度の影響を、D.5.3 9942サンプルに関しても、それらの根粘弾性挙動を25℃と37℃で比較することによって調査した。結果を、図11に示す。温度における増加は、G´及びG´´値の両方を低下させることによって、粘弾性特性に影響しうる。温度上昇にも関わらず、粘弾性プロファイルは、同一のままであり、高い角周波数においてG´はG´´に接近し、交差することはなく、これは、実験周波数において共有架橋ネットワークは破壊されないことを示す。温度の増加によるG´における減少は、ポリマー鎖の比較的大きい自由体積に帰属され、これは、それらに、水素結合の熱破壊とともに、比較的高い移動性を与える。
【0172】
最後に、Jeffamine D-4000(商標)及びJeffamine D-2000(商標)の混合物を含有するS-PURE配合物(D6.2A)を、Jeffamine(商標)D4000を含有するもの(D5.2)と、同じ厚さ(9942)で、比較した。周波数掃引結果は、D6.2が、鎖あたりの比較的多いウレア部分の結果として、比較的良好な接着性を有していた。高い角周波数で、D6.2AのG´値は、比較的高く、これは、D5.2よりも高い剥離強度を示す。
【0173】
まとめた結果を、下記の表7及び8に示す。
【0174】
【表7】
【0175】
【表8】
【0176】
G´及びG´´の値に基づいて、粘弾性ウィンドウは、0.01と0.05rad/sで達成された(図13(a)及び(b))。粘弾性ウィンドウに関して下記の座標を用いた:G´:G´´=>(100、0.5)、(100、100)、(0.5、0.5)及び(0.5、100)又は(100、0.01)、(100、100)、(0.01、0.01)及び(0.01、100)。接着剤のタイプを評価するために、粘弾性ウィンドウを、Chang粘弾性ウィンドウ及び良好な接着性に関するダールキスト基準に対して、比較した。0.5rad/sの周波数は、皮膚上で接着剤が受ける変位に等しい。
【0177】
図13(a)及び(b)によれば、すべてのS-PURE変形態様が、良好なPSAに関するダールキスト基準を満たし、良好な接触効率を有する。驚くべきことに、分子量が増加すると(5.0=>5.5)、粘弾性ウィンドウが、下左のクアドラント3に移動し、これは、医療用途のための取り外し可能PSAに特徴的であり、低いG´を特徴とし、その大部分は、Changウィンドウの範囲を超える。
【0178】
S-PURE組成物に関する接着性及び転がり球タック試験を評価し、下記の表9並びに図14及び15に示す。
【0179】
【表9】
【0180】
パッチをステンレス鋼表面から剥がすために要する力は、添加されるIPDIの量の増加(D5.0からD5.5へ)によって増加する。結果が示すところでは、90°剥離接着試験は、異なるS-PURE配合物を区別するための方法として用いることができる。ボールがランプを出た後で移動した平均距離は、粘着性の増加とともに減少する。添加されるIPDIの量が高いほど、S-PUREのタック性が比較的大きくなり、ボールの移動距離が小さくなる。しかしながら、S-PUREの変形態様の間のタック性における差異は、S-PURE変形態様を区別するためにこのパラメータを用いることができるほどに十分に大きくはなかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14
図15
【国際調査報告】