(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電極、これを含む二次電池、及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20240905BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20240905BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240905BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240905BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/02 Z
H01M4/62 Z
H01M4/139
H01M4/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515489
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 KR2022014927
(87)【国際公開番号】W WO2023059039
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0131944
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0049210
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ナム-ジョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ク-スン・チュン
(72)【発明者】
【氏名】サン-ミン・カク
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドン-オ・シン
(72)【発明者】
【氏名】キ-ソク・イ
(72)【発明者】
【氏名】クァン-ホ・ユ
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB20
5H050DA10
5H050DA11
5H050GA03
5H050GA05
5H050GA10
5H050GA22
5H050GA27
5H050GA28
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA03
5H050HA13
5H050HA14
(57)【要約】
電極集電体と、前記電極集電体の上に位置し、活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーを含む電極層と、を備え、前記電極層が、1.1以下の定量化バインダー比(QBR:Quantified Binder Ratio)を有し、前記定量化バインダー比(QBR)は、下記の数式により定義される、電極、これを含む二次電池、及びエネルギー貯蔵装置が開示される:QBR=Bs/Bf(上記の数式中、Bsは、前記電極層の最外郭の表面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの電極層の表面領域におけるフッ素含量の平均値を示し、Bfは、前記集電体と対面する前記電極層の界面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの電極層の底面領域におけるフッ素含量の平均値を示す)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極集電体と、
前記電極集電体の上に位置し、活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーを含む電極層と、
を備え、
前記電極層が、1.1以下の定量化バインダー比(QBR)を有し、
前記定量化バインダー比(QBR)は、下記の数式により定義され、
QBR=Bs/Bf
Bsは、前記電極層の最外郭の表面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの電極層の表面領域におけるフッ素含量の平均値を示し、Bfは、前記電極集電体と対面する前記電極層の界面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの電極層の底面領域におけるフッ素含量の平均値を示す、電極。
【請求項2】
前記導電材が、炭素系物質、金属物質、導電性ウィスカー、導電性金属酸化物、導電性高分子、又はこれらのうちの2種以上を含む、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記フッ素含有バインダーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項1に記載の電極。
【請求項4】
前記活物質は、正極活物質又は負極活物質である、請求項1に記載の電極。
【請求項5】
前記活物質の含量が85~98重量部であり、前記導電材の含量が0.5~5重量部であり、前記フッ素含有バインダーの含量が0.5~10重量部である、請求項1に記載の電極。
【請求項6】
前記電極集電体が、少なくとも一面に導電性プライマー層をさらに含む、請求項1に記載の電極。
【請求項7】
前記電極層が、0.95~1.05の定量化バインダー比(QBR)を有する、請求項1に記載の電極。
【請求項8】
前記電極が、直径(Φ)10mmファイ以下の耐屈曲性を有する、請求項1に記載の電極。
【請求項9】
前記電極の耐屈曲性が、測定標準JIS K5600-5-1の方法に準拠して評価される、請求項8に記載の電極。
【請求項10】
前記電極の耐屈曲性が、
100mm×50mmの長方形状の電極サンプルを製造するステップと、
2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mm、16mm、20mm、25mm、32mmの直径をそれぞれ有する測定棒を用意し、これらのうち、直径が最も大きな測定棒を用いて前記電極サンプルを測定棒に接触させた後、前記電極サンプルの両方の端を持ち上げるときに前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じるか否かを判断するステップと、
前記判断するステップにおいて、ひび割れが生じなければ、次に直径が大きな測定棒を用いて前のステップと同様に前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じるか否かを判断するステップを繰り返し行って、前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じない測定棒の最小の直径値を耐屈曲性として決定するステップと、
を経て評価される、請求項8に記載の電極。
【請求項11】
前記フッ素含有バインダーの結晶化度が、10%以下である、請求項1に記載の電極。
【請求項12】
前記電極層が、乾式電極フィルムである、請求項1に記載の電極。
【請求項13】
請求項1に記載の電極を製造する電極の製造方法であって、
活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーを含む混合物を製造するステップと、
前記混合物を70℃~200℃の範囲、かつ常圧以上の圧力下で混錬して混合物塊状体を製造するステップと、
前記混合物塊状体を粉砕して電極用の混合粉体を得るステップと、
前記電極用の混合粉体を複数のロールの間に投入してカレンダリング加工して、電極用のフィルムを形成するステップと、
前記電極用のフィルムを金属集電体の上にラミネーションするステップと、
を含む、電極の製造方法。
【請求項14】
前記混錬して混合物塊状体を製造するステップが、常圧以上の圧力下のニーダーにおいて行われる、請求項13に記載の電極の製造方法。
【請求項15】
前記ラミネーションするステップにおいて、前記電極用のフィルムの圧縮比が、30~50%である、請求項13に記載の電極の製造方法。
【請求項16】
前記電極用のフィルムの圧延率が、20%以下である、請求項13に記載の電極の製造方法。
【請求項17】
前記電極用のフィルムの金属集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度の増加率が、5~30%である、請求項13に記載の電極の製造方法。
【請求項18】
前記ラミネーションするステップが、25~250℃のラミネーションロールにより行われる、請求項13に記載の電極の製造方法。
【請求項19】
請求項13から18のいずれか一項に記載の製造方法により製造される電極。
【請求項20】
正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在しているセパレーターを含み、前記正極及び前記負極の少なくとも一方が、請求項1から12のいずれか一項に記載の電極である、二次電池。
【請求項21】
請求項20に記載の二次電池を単位電池として含むエネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極、これを含む二次電池、及びこの製造方法に関し、具体的には、電極層の厚手方向に均一なバインダー分布を有する電極、これを含む二次電池、及びこの製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2021年10月5日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0131944号及び2022年4月20日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0049210号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近の化石燃料の使用の急増には目を見張るものがあり、これに伴い、代替エネルギー、清浄エネルギーの使用へのニーズが急激に伸びており、その一環として最も盛んに研究が行われている分野が電気化学を用いた発電・蓄電の分野である。現在のところ、このような電気化学的なエネルギーを用いる電気化学素子の代表例として、二次電池が挙げられ、益々その使用領域が広がりつつある傾向にある。このような二次電池に代表されるリチウム二次電池は、モバイル機器のエネルギー源のみならず、最近では、大気汚染の主な原因の一つであるガソリン車両、ディーゼル車両など化石燃料を用いる車両に代え得る電気自動車、ハイブリッド電気自動車の動力源としての使用が実用レベルに至っており、グリッド(Grid)化を通じた電力補助電源などの用途にも使用領域が広がりつつある。
【0004】
このようなリチウム二次電池の製造工程は、大きく、電極の製造工程、電極組立体の製造工程、化成(フォーメーション)工程の3段階に分けられる。前記電極の製造工程は、再び、電極合剤の混合工程、電極のコーティング工程、乾燥工程、圧延工程、スリット(切断)工程、巻き取り工程などに分けられる。
【0005】
これらの中でも、電極合剤の混合工程は、電極において実際に電気化学反応が起こる電極活性層の形成のための成分を配合する工程であって、詳細には、電極の必須要素である電極活物質とその他の添加剤である導電材と充填材と、粉体同士の間の結着と集電体への接着のためのバインダー、及び粘度の付与と粉体の分散のための溶媒などを混合して流動性を有するスラリーの形状に製造するものである。
【0006】
このようなスラリーを電気伝導性がある集電体の上に塗布する電極コーティング工程と、電極合剤スラリーに含有されていた溶媒を取り除くための乾燥工程と、が行われ、追加的に電極が圧延されて所定の厚さに電極が製造される。
【0007】
このような電極製造工程においては、スラリー液をコーティングし、乾燥オーブンにおいて早い時間内に乾燥を行うが故に、バインダーが電極の表面にマイグレーションして電極層の厚手方向へのバインダーの分布が一様ではないという欠点を有しており、これにより、集電体との接着力が低下してしまうという問題を抱えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題を解決するためのものであって、電極層の厚手方向に均一なバインダー分布を有する電極、これを含む二次電池、及びこの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題を解決するために、本発明の一側面によれば、下記の態様の電極が提供される。
【0010】
第1態様によれば、電極集電体と、前記電極集電体の上に位置し、活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーを含む電極層と、を備え、前記電極層が、1.1以下の定量化バインダー比(QBR:Quantified Binder Ratio)を有し、前記定量化バインダー比(QBR)は、下記の数式により定義されることを特徴とする電極が提供される。
【0011】
QBR=Bs/Bf
【0012】
上記の数式中、Bsは、前記電極層の最外郭の表面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの電極層の表面領域におけるフッ素含量の平均値を示し、Bfは、前記集電体と対面する前記電極層の界面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの電極層の底面領域におけるフッ素含量の平均値を示す。
【0013】
第2の態様によれば、前記導電材が、炭素系物質、金属物質、導電性ウィスカー、導電性金属酸化物、導電性高分子、又はこれらのうちの2種以上を含む第1態様に記載の電極であり得る。
【0014】
第3の態様によれば、前記フッ素含有バインダーが、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene;PTFE)を含む第1態様又は第2の態様に記載の電極であり得る。
【0015】
第4の態様によれば、前記活物質は、正極活物質又は負極活物質である第1態様から第3の態様のうちのいずれか一つの態様に記載の電極であり得る。
【0016】
第5の態様によれば、前記活物質の含量が85~98重量部であり、前記導電材の含量が0.5~5重量部であり、前記フッ素含有バインダーの含量が0.5~10重量部である第1態様から第4の態様のうちのいずれか一つの態様に記載の電極であり得る。
【0017】
第6の態様によれば、前記電極集電体が、少なくとも一面に導電性プライマー層をさらに含む第1態様から第5の態様のうちのいずれか一つの態様に記載の電極であり得る。
【0018】
第7の態様によれば、前記電極層が、0.95~1.05の定量化バインダー比(QBR)を有する第1態様から第6の態様のうちのいずれか一つの態様に記載の電極であり得る。
【0019】
第8の態様によれば、前記電極が、直径(Φ)10mm以下の耐屈曲性を有する第1態様から第7の態様のうちのいずれか一つの態様に記載の電極であり得る。
【0020】
第9の態様によれば、前記電極の耐屈曲性が、測定標準JIS K5600-5-1の方法に準拠して評価される第8の態様に記載の電極であり得る。
【0021】
第10の態様によれば、前記電極の耐屈曲性が、100mm×50mmの長方形状の電極サンプルを製造するステップと、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mm、16mm、20mm、25mm、32mmの直径をそれぞれ有する測定棒を用意し、これらのうち、直径が最も大きな測定棒を用いて前記電極サンプルを測定棒に接触させた後、前記電極サンプルの両方の端を持ち上げるときに前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じるか否かを判断するステップと、前記判断するステップにおいて、ひび割れが生じなければ、次に直径が大きな測定棒を用いて前のステップと同様に前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じるか否かを判断するステップを繰り返し行って、前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じない測定棒の最小の直径値を耐屈曲性として決定するステップと、を経て評価される第8の態様又は第9の態様に記載の電極であり得る。
【0022】
第11の態様によれば、前記フッ素含有バインダーの結晶化度が、10%以下である第1態様から第10態様のうちのいずれか一つの態様に記載の電極であり得る。
【0023】
第12の態様によれば、前記電極層が、乾式により製造される第1の態様から第11の態様のうちのいずれか一つの態様に記載の電極であり得る。
【0024】
第13の態様によれば、活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーを含む混合物を製造するステップと、前記混合物を70℃~200℃の範囲、かつ常圧以上の圧力下で混錬して混合物塊状体を製造するステップと、前記混合物塊状体を粉砕して電極用の混合粉体を得るステップと、前記電極用の混合粉体を複数のロールの間に投入してカレンダリング加工して、電極用のフィルムを形成するステップと、前記電極用のフィルムを金属集電体の上にラミネーションするステップと、を含むことを特徴とする第1の態様から第12の態様のうちのいずれか一つの態様の電極の製造方法が提供される。
【0025】
第14の態様によれば、前記混錬して混合物塊状体を製造するステップが、常圧以上の圧力下のニーダーにおいて行われる第13態様に記載の電極の製造方法であり得る。
【0026】
第15の態様によれば、前記ラミネーションするステップにおいて、前記電極用のフィルムの圧縮比が、30~50%である第13の態様又は第14の態様に記載の電極の製造方法であり得る。
【0027】
第16の態様によれば、前記電極用のフィルムの圧延率が、20%以下である第13の態様から第15の態様のうちのいずれか一つの態様に記載の電極の製造方法であり得る。
【0028】
第17の態様によれば、前記電極用のフィルムの集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度の増加率が、5~30%である第13の態様から第16の態様のうちのいずれか一つの態様に記載の電極の製造方法であり得る。
【0029】
第18の態様によれば、前記ラミネーションするステップが、25~250℃のラミネーションロールにより行われる第13の態様から第17の態様のうちのいずれか一つの態様に記載の電極の製造方法であり得る。
【0030】
第19の態様によれば、第13の態様から第18の態様のうちのいずれか一つの態様の製造方法により製造されることを特徴とする電極が提供される。
【0031】
第20の態様によれば、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在しているセパレーターを含み、前記正極及び前記負極の少なくとも一方が、第1の態様から第12の態様のうちのいずれか一つの態様の電極であることを特徴とする二次電池が提供される。
【0032】
第21の態様によれば、第20の態様に記載の二次電池を単位電池として含むエネルギー貯蔵装置が提供される。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一態様による電極は、溶媒を乾燥させる工程なしに活物質、導電材、フッ素含有バインダーなどの構成物質を均一に混合し、電極用のフィルムを製造した後、集電体とラミネーションして製造されるので、厚手方向のバインダーの分布を均一にしてバインダーの分布ムラに起因する接着力の減少、電極層の表面における導電性の低下及びこれに伴う充放電速度の低下などの欠点を有効に改善することができる。
【0034】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の内容とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図3】本発明の一態様による電極用のフィルムの製造工程の模式図である。
【
図4】本発明の一態様による電極ラミネーション工程の模式図である。
【
図5】実施例1の電極に対する電極層の表面から集電体の方向への距離における、EDSマッピングの結果から抽出分析された電極層のバインダーのフッ素成分の正規化された強度の変化を示すグラフである。
【
図6】比較例1の電極に対する電極層の表面から集電体の方向への距離における、EDSマッピングの結果から抽出分析された電極層のバインダーのフッ素成分の正規化された強度の変化を示すグラフである。
【
図7】実施例1及び比較例1において製造された電極を備えた二次電池の0.1Cの放電容量を基準とした0.33C、0.5C、1C、2C、2.5C及び3Cの放電容量の百分率値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明についての理解を深めるために本発明についてさらに詳しく説明する。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。
【0038】
この明細書において使われる用語は、単に例示的な実施形態を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。
【0039】
また、本明細書の全般にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するわけではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0040】
本発明の一側面によれば、電極集電体と、前記電極集電体の上に位置し、活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーを含む電極層と、を備え、前記電極層が、1.1以下の定量化バインダー比(QBR:Quantified Binder Ratio)を有する電極が提供される。
【0041】
前記QBRは、下記の数式により定義される。
【0042】
QBR=Bs/Bf
【0043】
上記の数式中、Bsは、前記電極層の最外郭の表面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの電極層の表面領域におけるフッ素含量の平均値を示し、Bfは、前記集電体と対面する前記電極層の界面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの電極層の底面領域におけるフッ素含量の平均値を示す。
【0044】
図1は、本発明の一態様による電極の概略図である。
図1を参照すると、電極10は、電極集電体12と、前記電極集電体12の上に位置し、活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーを含む電極層11と、を備える。
【0045】
前記電極層11は、全体の層厚dを基準として、電極層の最外郭の表面から前記電極層の全体の層厚dの15%以内までの電極層の表面領域11sと、前記集電体と対面する前記電極層の界面から前記電極層の全体の層厚dの15%以内までの電極層の底面領域11fと、を有する。
【0046】
上記の数式のQBRにおいて、Bsは、電極層の表面領域11sにおけるフッ素含量の平均値を意味し、Bfは、電極層の底面領域11fにおけるフッ素含量の平均値を意味する。
【0047】
このとき、QBRは、下記の方法により計算し得る。
【0048】
まず、QBRを確認しようとする電極を選定し、アルゴンイオンミリング(Ar ion milling)を用いて選定された電極の端面を準備する。この後、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)設備のエネルギー分散型X線分光(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)検出器(detector)を用いて、作製された電極の端面の電極層内の構成成分をEDSマッピング(mapping)する。
【0049】
EDSマッピングの結果から電極層の厚手方向にラインプロファイル(line profile)を抽出し、抽出したラインプロファイル結果のうち、電極層の表面領域のフッ素含有バインダーのフッ素含量の平均値Bs及び電極層の底面領域のフッ素含有バインダーのフッ素含量の平均値Bfを抽出し、下記式を用いてQBRの数値を計算する。
【0050】
QBR=Bs/Bf
【0051】
このとき、前記電極層の表面領域は、電極層の厚手方向に最外郭の表面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの領域であり、前記電極層の底面領域は、集電体と対面する電極層の界面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの領域である。
【0052】
図2は、電極層のQBR値を計算する概略図である。
図2を参照すると、X軸は、電極層の層厚、すなわち、表面から集電体の方向への距離を示し、Y軸は、フッ素成分の強度を示す。Aラインは、電極の端面の電極層内のフッ素成分をEDSマッピングして抽出されたフッ素含有バインダーのフッ素成分の強度を示し、Bラインは、Aラインの傾向を示すすう勢線(傾向線)であって、LOWESS平滑方式、すなわち、局所的に重み付けされた散布図平滑化(Locally-Weighted Scatterplot Smoother)方式により平滑化(smoothing)させて示した線である。
【0053】
前記QBR値は、電極層の底面領域に含有されているフッ素含有バインダーの含量に対する表面領域に含有されているフッ素含有バインダーの含量の割合を用いて、フッ素含有バインダーが電極層内に厚手方向に分布している均一度を示す数値である。このとき、フッ素含有バインダーの含量は、使用されたフッ素含有バインダーが含有するフッ素成分を用いて類推することが可能になる。
【0054】
前記QBR値は、1.1以下であり、本発明の一態様によれば、前記QBR値は、0.95以上、0.97以上、1.03以下、1.05以下であり得、かつ、0.95~1.05であり得る。
【0055】
前記QBR値が1.1を超える場合に、フッ素含有バインダーが電極の表面にマイグレーションして電極層の底面領域に含有されているフッ素含有バインダーの含量に比べて、表面領域に含有されているフッ素含有バインダーの含量が高く、その結果、電極層の厚手方向へのバインダーの分布が一様ではないため、集電体に近い部分のバインダーの含量が低くなって集電体と電極層との接着力が減少し、電極層の表面における導電性及びこれによる充放電速度も低下する虞があるため不利である。
【0056】
本発明の一態様によれば、前記電極は、正極又は負極であり得、前記活物質は、正極活物質又は負極活物質であり得る。
【0057】
前記正極活物質としては、リチウム遷移金属酸化物又はリチウム金属鉄リン酸化物、金属酸化物の形態であれば格別限定されず、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や1種又はそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2-xO4(ここで、xは、0~0.33である)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、LiV3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-xMxO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B又はGaであり、x=0.01~0.3である)で表わされるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-xMxO2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、Zn又はTaであり、x=0.01~0.1である)又はLi2Mn3MO8(ここで、M=Fe、Co、Ni、Cu又はZnである)で表わされるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn2O4;リチウム金属リン酸化物LiMPO4(ここで、Mは、M=Fe、CO、Ni、又はMnである);LiNi1-x-y-zCoxM1yM2zO2(M1及びM2は、互いに独立して、Al、Ni、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群から選択されたいずれか一種であり、x、y及びzは、互いに独立して、酸化物組成元素の原子分率であって、0<x<0.5、0<y<0.5、0<z<0.5、0<x+y+z≦1である)、ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などが挙げられるが、これらにのみ何ら限定されるものではない。
【0058】
また、前記負極活物質としては、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe’yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si)、周期律表の第1族、第2族、第3族元素、ハロゲン;0≦x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SiO、SiO/C、SiO2などのシリコン系酸化物;SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4及びBi2O5などの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料などが使用可能である。
【0059】
本発明の一態様によれば、前記電極は、正極であり得、したがって、活物質は、詳しくは、正極活物質であり得、さらに詳しくは、リチウム遷移金属酸化物、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物の一部がAl又は他の遷移金属などで置換された酸化物、リチウム鉄リン酸塩などであり得る。
【0060】
前記導電材は、当該電池に化学的な変化を引き起こさずに、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、炭素系物質、金属物質(金属粉末又は金属繊維)、導電性ウィスカー、導電性金属酸化物、導電性高分子など、又はこれらのうちの2種以上が使用可能である。炭素系物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、デンカブラック、アセチレンブブラック、ケッチェンブラック、スーパー-P、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバー、カーボンナノファイバーなどが挙げられ、金属物質としては、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などが挙げられ、導電性ウィスカーとしては、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、二酸化チタンウィスカー、酸化ケイ素ウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、シリコンカーバイドウィスカー、アルミナウィスカーなどが挙げられ、導電性金属酸化物としては、酸化チタンなどが挙げられ、導電性高分子としては、ポリフェニレン誘導体などが挙げられ、これらは単独にて、又は2種以上の混合物として使用可能である。
【0061】
本発明の一態様によれば、導電材の均一な混合と伝導性の向上のために、活性炭、黒鉛、カーボンブラック、及びカーボンナノチューブからなる群から選択されるいずれか1種以上を含み得、さらに詳しくは、カーボンブラック、又は活性炭を含み得る。
【0062】
前記フッ素含有バインダーとしては、フッ素含有ポリマーが使用可能であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene;PTFE)を含み得る。また、前記フッ素含有バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレンを単独にて含むか、あるいは、ポリテトラフルオロエチレンにさらにポリビニリデンフルオライド(PVdF:polyvinylidene fluoride)、ポリビニリデンフルオライド・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP:polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)などのPVdF系共重合体のうちの1種以上をさらに含み得る。
【0063】
本発明の一態様において、前記電極層中のフッ素含有バインダーの結晶化度は、10%以下であり得、又は前記電極層中のフッ素含有バインダーの結晶化度は、0%~10%、又は0%~5%、又は0%~3%、又は0%~1.2%、又は0%~0.5%、又は0.5~1.2%であり得る。
【0064】
本発明の一態様に記載の前記結晶化度(Xc)は、示差走査熱量分析装置(differential scanning calorimetry;DSC)を用いて測定可能であり、結晶化時に最も高いエンタルピーを示す時点における温度(ピーク温度)を基準とし得る。具体的には、前記結晶化度は、DSCにおいて実測された溶融エンタルピー(ΔHm)値を理論上の完全結晶(結晶化度100%)の溶融エンタルピー(ΔHm
0)(平衡融解熱量)の値で割って%にて表したものであって、下記の関係式1により計算され得る。ここで、理論的な完全結晶の溶融エンタルピー値(ΔHm
0)については、ポリマーハンドブック(polymer handbook)(J. Brandrup等、2003年)やPolymer誌など学術論文などを参照されたい。例えば、PTFEの理論的な完全結晶の溶融エンタルピー値は、85.4J/g(Polymer誌第46巻(2005年)の8872~8882)である。一方、通常、DSCなど高分子の熱分析は、米国材料試験協会(ASTM:American Society for Testing and Materials)D 3418-21により測定及び計算され得る。
【0065】
[関係式1]
Xc(%)=(ΔHm÷ΔHm
0)×100
【0066】
本発明の一態様によれば、前記活物質の含量は、85~98重量部であり、前記導電材の含量は、0.5~5重量部であり、前記フッ素含有バインダーの含量は、0.5~10重量部であり得る。また、前記活物質の含量は、90~98重量部であり、前記導電材の含量は、0.5~5重量部であり、前記フッ素含有バインダーの含量は、0.5~5重量部であり得る。
【0067】
前記活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーの含量がこのような範囲を満たす場合に、フッ素含有バインダーが以降の混錬工程において十分な繊維化が行われて混合物塊状体を形成することができ、粉砕工程を用いて形成された混合粉体の成形により電極フィルムが製造され易く、電極フィルムの物性を確保することができ、活物質の含量が確保されて容量の減少の問題が防がれ、十分な伝導性を確保することができる。
【0068】
一方、場合によっては、前記電極層に電極の膨張を抑える成分である充填剤がさらに投入され得、前記充填剤は、当該電池に化学的な変化を引き起こさずに、繊維状の材料であれば、特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体と、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が用いられる。
【0069】
前記集電体は、電池に化学的な変化を引き起こさずに、高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅又はアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などにより表面処理を施したものなどが使用可能である。集電体はまた、その表面に微小な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多種多様な形態のものが採用可能である。
【0070】
さらには、前記集電体としては、表面において抵抗を低め、接着力を向上させるための導電性プライマー層を全体的に又は部分的にコーティングしたものが使用可能である。ここで、前記導電性プライマー層は、導電性物質とバインダーを含み得る。前記導電性物質は、導電性を帯びる物質であれば、格別限定されず、例えば、炭素系物質、金属物質(金属粉末又は金属繊維)、導電性ウィスカー、導電性金属酸化物、導電性高分子などであり得る。炭素系物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、スーパー-P、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバー、カーボンナノファイバーなどが挙げられ、金属物質としては、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などが挙げられ、導電性ウィスカーとしては、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、二酸化チタンウィスカー、酸化ケイ素ウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、シリコンカーバイドウィスカー、アルミナウィスカーなどが挙げられ、導電性金属酸化物としては、酸化チタンなどが挙げられ、導電性高分子としては、ポリフェニレン誘導体などが挙げられ、これらは、単独にて又は2種以上の混合物として使用可能である。
【0071】
前記導電性プライマー層用のバインダーは、溶剤に溶け得るフッ素系バインダー(PVDF及びPVDF共重合体を含む)又はアクリル系バインダーであり得、スチレンブタジエンゴム(SBR;Styrene Butadiene Rubber)などの水系バインダーなどを含み得る。
【0072】
電極の可撓性は、耐屈曲性により評価され得る。
【0073】
本発明の一態様によれば、前記電極の耐屈曲性は、直径(Φ)10mm以下、又は直径(Φ)8mm以下、又は直径(Φ)5mm以下、又は直径(Φ)2~8mm、又は直径(Φ)2~5mm、又は直径(Φ)2~4mmであり得る。
【0074】
前記耐屈曲性は、測定標準JIS K5600-5-1の方法に準拠して評価され得、具体的には、前記製造された電極を様々な直径の測定棒に接触させた後、両方の端を持ち上げることにより、ひび割れの発生有無とひび割れが生じない最小の直径を測定して得られる。
【0075】
本発明の一態様によれば、前記電極の耐屈曲性は、100mm×50mmの長方形状の電極サンプルを製造するステップと、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mm、16mm、20mm、25mm、32mmの直径をそれぞれ有する測定棒を用意し、これらのうち直径が最も大きな測定棒を用いて前記電極サンプルを測定棒に接触させた後、前記電極サンプルの両方の端を持ち上げるとき、前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じるか否かを判断するステップと、前記判断するステップにおいて、ひび割れが生じなければ、次いで、直径の大きな測定棒を用いて前のステップと同様に前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じるか否かを判断するステップを繰り返し行って、前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じない測定棒の最小の直径値を耐屈曲性として決定するステップと、を経て評価され得る。
【0076】
本発明の一態様によれば、前記バインダーが繊維化されて前記活物質、導電材を結着することができる。前記電極において、活物質、導電材を結着する手段として、繊維化されたバインダーを含み得、このような繊維化されたバインダーは、途切れの現象が従来の繊維化されていないバインダーに比べてあまり見られず、長手方向への伸び性に優れていて、電極層及びこれを含む電極それ自体の柔軟性を向上させることができる。前記バインダーの繊維化工程については、後述する電極の製造方法の欄において具体的に述べる。
【0077】
本発明の一側面によれば、活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーを含む混合物を製造するステップと、前記混合物を70℃~200℃の範囲、かつ常圧以上の圧力下で混錬して混合物塊状体を製造するステップと、前記混合物塊状体を粉砕して電極用の混合粉体を得るステップと、前記電極用の混合粉体を複数のロールの間に投入してカレンダリング加工して、電極用のフィルムを形成するステップと、前記電極用のフィルムを金属集電体の上にラミネーションするステップと、を含むことを特徴とする本発明の電極の製造方法が提供される。
【0078】
以下、本発明による電極の製造方法についてさらに詳しく説明する。
【0079】
まず、活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーを含む混合物を製造する。
【0080】
このとき、前記混合物を製造するための混合は、前記活物質、導電材、及びフッ素含有バインダー樹脂が均一に分布できるように行われることであり、パウダー状に混合されるため、これらの単なる混合を可能にする方法であれば、格別限定されずに、多種多様な方法により混合され得る。但し、本発明の電極は、分散媒を用いない乾式混合により製造されるため、前記混合は、乾式混合により行われ得、ブレンダーなどの機器に前記物質を投入して行われ得る。
【0081】
また、前記混合は、均一性を確保するために、混合機において5,000rpm~20,000rpmにて30秒間~2分間、詳しくは、10,000rpm~15,000rpmにて30秒間~1分間混合して製造され得る。
【0082】
前記フッ素含有バインダーは、前記混合粉体を製造するステップにより微小繊維化が可能であり、前述したように、QBRの計算のためにフッ素を含有するものであれば、特定のものに何ら限定されるものではない。前記微小繊維化は、高分子重合体を細分割する処理をいい、例えば、機械的なせん断力などを用いて行われ得る。このようなフッ素含有バインダーの具体例としては、前述したように、フッ素含有ポリマーが挙げられ、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene;PTFE)を単独にて含むか、あるいは、ポリテトラフルオロエチレンにさらにPVdF(polyvinylidene fluoride)、PVdF-HFP(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)などのPVdF系共重合体のうちの1種以上をさらに含み得る。
【0083】
次いで、前記混合物を70℃~200℃の範囲、かつ常圧以上の圧力下で混錬して混合物塊状体を製造する。
【0084】
従来公知の技術においては、バインダー樹脂を繊維化するためにジェットミルでのような高せん断ミキシングが行われたが、前記ミキシングにより活物質が微粉化され、形成された繊維が切断される虞があるという問題が生じるため、本発明においては、高せん断ミキシングではなく、低せん断混錬の方法を用いて上記の問題を解消している。
【0085】
前記混錬は、特定の方法に何ら限定されるものではない。本発明の具体的な一実施形態において、前記混錬は、例えば、ニーダー(kneader)などの練り合わせ機を用いて行われ得る。
【0086】
このような混錬は、前記フッ素含有バインダーが繊維化されながら前記活物質及び導電材粉体を結合又は連結することにより、固形分100%の混合物塊状体を形成するステップである。
【0087】
具体的には、前記混錬は、10rpm~100rpmの速度に制御され得る。例えば、前記混錬は、前記範囲内において20rpm以上又は70rpm以下の速度に制御され得る。前記混錬は、3分間~30分間行われ得る。例えば、前記範囲内において40rpm~70rpmの速度にて3分間~20分間行われ得る。一方、前記混錬は、せん断率が10/s~500/sの範囲に制御され得る。本発明の具体的な一実施形態において、前記混錬は、3分間~20分間行われ得、せん断率は、30/s~100/sの範囲に制御され得る。
【0088】
また、このような混錬ステップは、高温及び常圧以上の圧力条件下で行われ得、さらに詳細には、常圧よりも高い圧力条件下で行われ得る。さらに具体的には、前記混合物の混錬は、70℃~200℃の範囲、詳しくは、90℃~150℃において行われ得る。
【0089】
前記温度範囲を逸脱して低い温度において行う場合、混錬時にフッ素含有バインダーの繊維化及び混錬による塊状化が円滑に行われず、その結果、カレンダリング時にフィルム化が行われ難く、過剰に高すぎる温度において行う場合には、フッ素含有バインダーの繊維化が急激に起こり、この後、過剰なせん断力により既に形成された繊維が切断されてしまう虞があるという問題があるため好ましくない。
【0090】
また、前記混錬ステップは、常圧以上、詳しくは、1~100気圧の圧力(蓋体圧力)下、さらに詳しくは、2~80気圧の圧力下で行われ得、又は1kgf/cm2~100kgf/cm2の圧力下、又は2kgf/cm2~80kgf/cm2の圧力下で行われ得る。前記圧力範囲を満たす場合に、過剰なせん断力と圧力が加えられて形成された繊維が切断されたり、混合物塊状体の密度が過剰に高過ぎてしまったりするという問題が防がれることが可能になる。すなわち、本発明によれば、高せん断ミキシングの代わりに、高温及び常圧以上の圧力条件における低せん断ミキシング工程を行うとき、本発明が意図している効果を成し遂げることができる。
【0091】
次いで、前記混合物塊状体を粉砕して電極用の混合粉体を得る。
【0092】
具体的には、前記混錬を用いて製造された混合物塊状体を直ちにカレンダリング処理する場合もあるが、この場合、混合物塊状体を押圧して薄いフィルム状に製造しなければならず、これにより、フィルムの密度が過剰に高過ぎたり均一なフィルムが得られなくなったりするという問題が生じる虞があるため、本発明によれば、前記製造された混合物塊状体は、前記粉砕ステップを経る。
【0093】
このとき、前記粉砕ステップは格別限定されないが、ブレンダー又はグラインダーなどの機器において行われ得、前記粉砕ステップは、具体的には、5,000rpm~20,000rpmの速度にて30秒間~10分間、詳しくは、10,000rpm~18,000rpmの速度にて30秒間~2分間行われ得る。
【0094】
前記粉砕速度及び時間を満たす場合に、十分な粉砕が行われてフィルム状にするのに適切な大きさの粉体を形成することができ、混合物塊状体において微粉が多量生じるという問題を防ぐことができる。必要に応じて、一定の大きさを超える場合や一定の大きさ未満の粉体を濾し取るための分級工程を経る。
【0095】
次いで、前記電極用の混合粉体を複数のロールの間に投入してカレンダリング加工して、電極用のフィルムを形成する。
【0096】
図3を参照すると、電極用のフィルムを形成する工程100は、複数のロール110が互いに離れて配置されており、隣り合うロール100の間に先のステップにおいて得られた電極用の混合粉体120を投入し、ロール100を向かい合う方向に回転させることにより、混合粉体120が圧延されて粉体シーティングステップを経てシート状ないしフィルム状130に成形され、この後、複数回のカレンダリングを用いて最終的に目標とする厚さを有する電極用のフィルムとして得られる。
【0097】
具体的には、このようなカレンダリングは、前記電極用の混合粉体をフィルム状に加工することであって、例えば、50μm~300μmの平均厚さを有するようにフィルム状に製造するステップであり得る。
【0098】
このとき、前記カレンダリングは、例えば、対面して存在するロールにより行われ得、このとき、ロールの温度は、50℃~200℃であり得、ロールの回転速度比は、1.0~5.0の範囲に制御され得る。
【0099】
このようなカレンダリングステップまで進めると、電極合剤の役割を果たす乾式電極フィルムが製造されることが可能になる。このような乾式電極フィルムは、従来にはフリースタンディング(free standing)フィルムと称することもあった。
【0100】
このようにして製造される乾式電極フィルムは、溶媒を含まないことから、流動性がほとんどないため取り扱い易く、所望の形状に加工して多種多様な形態の電極製造に利用されることが可能である。のみならず、本発明の乾式電極フィルムを電極の製造に用いると、溶媒の取り除きのための乾燥工程が省略可能であるので、電極の製造工程性を大幅に改善することができるだけではなく、既存の乾式電極の製造において問題視されていた活物質の割れの現象や繊維化されたフッ素含有バインダーの途切れなどの問題を解消することができる。
【0101】
一方、本発明において、前記乾式電極フィルムは、空隙率が20%~50%であり得、前記範囲内において、好ましくは、前記範囲内において、40%以下又は30%以下の値に制御され得る。前記空隙率がこのような範囲を満たす場合、電解液を含浸し易くて寿命特性、出力特性が改善されることが可能であり、同じ容量を発現するための体積が増加しなくても済むことから、体積に比べてエネルギー密度が改善されることが可能になる。
【0102】
本発明の一態様に記載の前記空隙率は、乾式電極フィルムの見かけ密度を測定し、各構成成分の実際の密度と組成を基準として計算した実際の密度を用いて下記式2により求め得る。
【0103】
[式2]
空隙率(%)={1-(見かけ密度/実際の密度)}×100
【0104】
次いで、前記電極用のフィルムを金属集電体の上にラミネーションする。
【0105】
前記ラミネーションステップは、先のステップにおいて得られた電極用のフィルムを集電体の上に所定の厚さに圧延及び貼着するステップであり得る。前記ラミネーションも同様に、ラミネーションロールにより行われ得、このとき、ラミネーションロールは、25℃~250℃の温度に保たれ得る。
【0106】
本発明の一態様によれば、前記電極用のフィルムの圧縮比は、30~50%、又は35~50%、又は40~50%であり得る。
【0107】
前記電極用のフィルムの圧縮比は、ラミネーションの瞬間に電極用のフィルムが圧縮される厚さの比率として定義可能であり、下記式3により表わされる。
【0108】
[式3]
圧縮比(%)=Tp/T1×100
式3中、
Tpは、ラミネーションステップにおける電極用のフィルムの押し付け厚さを意味し、
T1は、ラミネーションステップの前の電極用のフィルムの厚さを意味する。
【0109】
本発明においては、ラミネーションステップにおいて、圧縮比を特定の範囲を満たすように調節することにより、電極用のフィルムの適切な密度及び空隙率、並びに電極用のフィルムと集電体との優れた接着力を提供することができる。
【0110】
前記電極用のフィルムの圧縮比が30~50%の範囲を満たす場合、電極用のフィルムに印加される圧力が十分であるため電極用のフィルムと集電体との接着力が改善され、ラミネーション工程の後、前記電極用のフィルムが集電体から剥離されてしまうという問題が防がれることが可能になり、電極用のフィルムの密度が必要以上に増加して目標とする空隙率に比べて低い空隙率を示したり集電体が損なわれたりするという問題が解消されることが可能になる。
【0111】
本発明の一態様において、前記集電体の両面に電極用のフィルムをラミネーションする場合、前記式3の圧縮比(%)は、下記式4を意味し得る。
【0112】
[式4]
30≦(T1+0.5Tc-0.5Tgap)/T1×100≦50
式4中、T1は、ラミネーションステップの前の電極用のフィルムの厚さを意味し、Tcは、集電体の厚さを意味し、Tgapは、第1の圧延ロールと第2の圧延ロールとの間隔を意味する。
【0113】
また、ラミネーションステップを行った電極用のフィルムの圧延率は、20%以下、又は18%以下、又は15%以下、又は5%~15%、又は6%~15%、又は7%~15%、又は9%~13%範囲であり得る。
【0114】
ここで、圧延率は、ラミネーションステップの前の電極用のフィルムの厚さに対するラミネーションステップの後の電極用のフィルムの厚さの比率として定義可能であり、下記式5により書き表される。
【0115】
[式5]
圧延率(%)=(T1-T2)/T1×100
前記式5中、
T1は、ラミネーションステップの前の電極用のフィルムの厚さを意味し、
T2は、ラミネーションステップの後の電極用のフィルムの厚さを示す。
【0116】
前記圧延率が上述した範囲を満たす場合、電極用のフィルムの適切な密度及び空隙率、並びに電極用のフィルムと集電体との接着力を実現することができる。
【0117】
前記電極用のフィルムの集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度の増加率は、下記式6により表わされる:
【0118】
[式6]
見かけ密度の増加率(%)=(D2-D1)/D1×100
前記式6中、
D1は、ラミネーションステップの前の電極用のフィルムの見かけ密度(g/cm3)を示し、
D2は、ラミネーションステップの後の電極用のフィルムの見かけ密度(g/cm3)を示す。
【0119】
前記電極用のフィルムの集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度の増加率は、5~30%、又は7~25%、又は10~20%であり得る。このとき、前記D1及びD2は、2.75g/cm3~3.5g/cm3の範囲であり得る。一方、電極用のフィルムの見かけ密度の増加率が前記範囲を満たす場合、電極用のフィルムと集電体との接着力が改善されることが可能になり、空隙率が目標の範囲を逸脱したり、正極活物質又は集電体が損なわれたりするという問題が防がれることが可能になる。
【0120】
電極用のフィルムの集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度は、ラミネーションの前の電極用のフィルムの重さと厚さを測定し、ラミネーションの後の電極の重さと厚さを測定し、集電体の重さと厚さを除いたフィルムの重さと厚さを求めて計算し得る。
【0121】
また、前記乾式電極フィルムの活物質ローディング量は、3mAh/cm2~15mAh/cm2であり得、詳しくは、4mAh/cm2~10mAh/cm2であり得る。
【0122】
ここで、前記活物質のローディング量は、下記式7により計算した値である。
【0123】
[式7]
活物質のローディング量(mAh/cm2)=活物質の容量(mAh/g)×乾式電極フィルム内の活物質の重さ含量比(wt%)×乾式電極フィルムの単位面積当たりの重さ(g/cm2)
【0124】
また、前記乾式電極フィルムと集電体との間の界面抵抗は、5Ω・cm2以下、詳しくは、2Ω・cm2以下であり得る。ここで、前記界面抵抗は、ンマルチプローブ(MP:Multi Probe)抵抗の測定方法を用いて電極に100μAの電流を印加し、複数本の探針の間において測定される電位差であって、乾式電極フィルムと集電体層との間の抵抗値を測定して計算され得る。前記界面抵抗の範囲を満たす場合、以降に製造される二次電池の電池性能を改善することができる。
【0125】
図4は、本発明の一態様に従って集電体の両面に電極用のフィルムをラミネーションするステップの模式図である。すなわち、前記ラミネーションステップ200は、先のステップにおいて得られた電極用のフィルム230を一対のラミネーションロール210を用いて集電体220の上に所定の厚さに圧延、貼り付けて最終的に電極240が得られる。
【0126】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記乾式電極の製造方法により製造された乾式電極が提供される。また、前記乾式電極を含む二次電池であって、前記乾式電極は正極であり、前記正極、負極、及びセパレーターを含む電極組立体がリチウム含有非水系電解質と併せて電池ケース(円筒型ケース、角型ケース、パウチなど)に内蔵されている二次電池、及びこれを単位電池として含むエネルギー貯蔵装置が提供される。
【0127】
このとき、前記二次電池及びエネルギー貯蔵装置の具体的な構造などは従来公知の通りであるため、この明細書中ではその説明を省略する。
【0128】
一方、本発明の一実施形態によれば、乾式電極の製造装置であって、活物質、導電材、及びフッ素含有バインダーを含む合剤原料物質を混合するブレンダーと、前記混合物を混錬して混合物塊状体を製造するニーダー(kneader)と、前記混合物塊状体を粉砕して電極用の混合粉体を形成する粉砕機と、前記電極用の混合粉体を乾式電極フィルムとして形成するカレンダー(calender)と、前記乾式電極フィルムを集電体の少なくとも一面に位置させ、ラミネーションするラミネーションロールと、を含む乾式電極の製造装置が提供される。
【0129】
前記ブレンダーは、原料物質を混合する混合機であって、上記において説明した通り、1000rpm~10000rpmの速度にて合剤原料物質を混合し得る。
【0130】
前記ニーダーは、本発明においてフッ素含有バインダーの繊維化及び合剤原料物質の分散装置であって、ニーダーにおける混錬を用いて混合物が混合物塊状体として得られる。このとき、本発明による結果を得るためのニーダーは、70℃~200℃の範囲、常圧以上の圧力条件に設定され得る。詳しくは、90℃~180℃、1~100気圧の圧力条件、さらに詳しくは、2~80気圧の圧力条件に設定され得る。
【0131】
前記粉砕機は、このような混合物塊状体を粉砕して、電極用の混合粉体を形成する装置であって、同様に、粉砕機としてブレンダーが使用可能であり、又はグラインダーなどが使用可能である。
【0132】
前記カレンダーは、前記電極用の混合粉体をフィルム状に成形する装置であって、例えば、対面する一対のローラーであり得、これらの間隔からフィルムの厚さを調節し得る。
【0133】
前記ラミネーションロールは、前記カレンダーにより成形される乾式電極フィルムを集電体の少なくとも一面に貼り付け、圧延する役割を果たす。
【0134】
このようなカレンダーとラミネーションロールにより本発明による乾式電極フィルムの空隙率が決定され得る。
【0135】
すなわち、本発明による乾式電極の製造装置は、ニーダーと粉砕機を含むところに特徴がある。
【0136】
前記ブレンダー、ニーダー、カレンダー、ラミネーションロールの具体的な構造などは従来公知の通りであるため、この明細書中ではその具体的な説明を省略する。
【0137】
以下、本発明について具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は色々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記において詳述する実施例に限定されるものであると解釈されてはいけない。本発明の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0138】
実施例1
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガンアルミニウムオキサイド(NCMA,Li[Ni0.88Co0.07Mn0.04]Al0.01O2)96g、導電材としてのカーボンブラック1g及びフッ素含有バインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3gをブレンダーに投入し、10,000rpmにて1分間ミキシングして混合物を製造した。ニーダーの温度を150℃に安定化させ、前記混合物をニーダーに入れた後、2kgf/cm2の蓋体圧力下で50rpmの速度にて5分間作動させて混合物塊状体を得た。前記混合物塊状体をブレンダーに投入し、10,000rpmにて30秒間粉砕し、1mmの目開きをもったシーブで分級して電極用の混合粉体を得た。この後、製造された電極用の混合粉体をラップカレンダー(ロール直径:88mm、ロール温度:100℃)に投入して電極用のフィルムを製造した。前記電極用のフィルム2枚をカーボンブラック及びアクリル系バインダーが重量比5:6にて混合された伝導性プライマー層がコーティングされたアルミニウム箔(19μm)の両面に位置させ、150℃に保たれるラミネーションロール(圧縮ロール)を用いてラミネーションして電極(正極)を製造した。
【0139】
このとき、前記ラミネーションステップにおいて、前記電極用のフィルムの圧縮比が35.6%であり、前記電極用のフィルムの圧延率が16.4%であった。
【0140】
このとき、前記電極用のフィルムの圧縮比は、ラミネーションの瞬間に電極用のフィルムが圧縮される厚さの比率として定義され、下記式3により計算した。
【0141】
[式3]
圧縮比(%)=Tp/T1×100
式3中、
Tpは、ラミネーションステップにおける電極用のフィルムの押し付け厚さを意味し、
T1は、ラミネーションステップの前の電極用のフィルムの厚さを意味する。
【0142】
また、前記電極用のフィルムの圧延率は、ラミネーションステップの前の電極用のフィルムの厚さに対するラミネーションステップの後の電極用のフィルムの厚さの比率として定義され、下記式5により計算した。
【0143】
[式5]
圧延率(%)={(T1-T2)/T1}×100
前記式5中、
T1は、ラミネーションステップの前の電極用のフィルムの厚さを意味し、
T2は、ラミネーションステップの後の電極用のフィルムの厚さの比率を示す。
【0144】
最終的に製造された電極の全体の厚さは、175μmであり、電極活物質層の層厚は、77μmであり、電極の空隙率は、25.1%であった。
【0145】
このとき、電極の空隙率は、電極の体積と重さから集電体の体積と重さを除いて電極活物質層のみの見かけ密度を測定し、各構成成分の実際の密度と組成を基準として計算した実際の密度を用いて下記式2により各電極の実際の空隙率を求めた。
【0146】
[式2]
空隙率(%)={1-(見かけ密度/実際の密度)}×100
【0147】
前記電極用のフィルムの集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度の増加率は、19%であった。
【0148】
このとき、電極用のフィルムの集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度の増加率は下記式6により計算され、電極用のフィルムの集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度は、ラミネーションの前の電極用のフィルムの重さと厚さを測定し、ラミネーションの後の電極の重さと厚さを測定し、集電体の重さと厚さを除いたフィルムの重さと厚さを求めて計算した。
【0149】
[式6]
見かけ密度の増加率(%)={(D2-D1)/D1}×100
式6中、
D1は、ラミネーションステップの前の電極用のフィルムの見かけ密度(g/cm3)を示し、
D2は、ラミネーションステップの後の電極用のフィルムの見かけ密度(g/cm3)を示す。
【0150】
実施例2
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガンアルミニウムオキサイド(NCMA,Li[Ni0.88Co0.07Mn0.04]Al0.01O2)96g、導電材としてのカーボンブラック1g及びフッ素含有バインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3gをブレンダーに投入し、10,000rpmにて2分間ミキシングして混合物を製造した。ニーダーの温度を150℃に安定化させ、前記混合物をニーダーに入れた後、2kgf/cm2の蓋体圧力下で50rpmの速度にて5分間作動させて混合物塊状体を得た。前記混合物塊状体をブレンダーに投入し、10,000rpmにて30秒間粉砕し、1mmの目開きをもったシーブで分級して電極用の混合粉体を得た。この後、製造された電極用の混合粉体をラップカレンダー(ロール直径:88mm、ロール温度:100℃)に投入して電極用のフィルムを製造した。前記電極用のフィルム2枚をカーボンブラック及びアクリル系バインダーが重量比5:6にて混合された伝導性プライマー層がコーティングされたアルミニウム箔(19μm)の両面に位置させ、150℃に保たれるラミネーションロール(圧縮ロール)を用いてラミネーションして電極(正極)を製造した。
【0151】
このとき、前記ラミネーションステップにおいて、前記電極用のフィルムの圧縮比が35.1%であり、前記電極用のフィルムの圧延率が16.0%であった。
【0152】
また、最終的に製造された電極の全体の厚さは、174μmであり、電極活物質層の層厚は、77.5μmであり、電極の空隙率は、25.6%であった。
【0153】
前記電極用のフィルムの集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度の増加率は、18%であった。
【0154】
実施例3
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガンアルミニウムオキサイド(NCMA,Li[Ni0.88Co0.07Mn0.04]Al0.01O2)96g、導電材としてのカーボンブラック1g及びフッ素含有バインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3gをブレンダーに投入し、10,000rpmにて1分間ミキシングして混合物を製造した。ニーダーの温度を150℃に安定化させ、前記混合物をニーダーに入れた後、2kgf/cm2の蓋体圧力下で25rpmの速度にて5分間作動させて混合物塊状体を得た。前記混合物塊状体をブレンダーに投入し、10,000rpmにて30秒間粉砕し、1mmの目開きをもったシーブで分級して電極用の混合粉体を得た。この後、製造された電極用の混合粉体をラップカレンダー(ロール直径:88mm、ロール温度:100℃)に投入して電極用のフィルムを製造した。前記電極用のフィルム2枚をカーボンブラック及びアクリル系バインダーが重量比5:6にて混合された伝導性プライマー層がコーティングされたアルミニウム箔(19μm)の両面に位置させ、150℃に保たれるラミネーションロール(圧縮ロール)を用いてラミネーションして電極(正極)を製造した。
【0155】
このとき、前記ラミネーションステップにおいて、前記電極用のフィルムの圧縮比が36.0%であり、前記電極用のフィルムの圧延率が16.8%であった。
【0156】
また、最終的に製造された電極の全体の厚さは、176μmであり、電極活物質層の層厚は、78.5μmであり、電極の空隙率は、24.8%であった。
【0157】
前記電極用のフィルムの集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度の増加率は、18%であった。
【0158】
比較例1
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガンアルミニウムオキサイド(NCMA,Li[Ni0.88Co0.07Mn0.04]Al0.01O2)300g、導電材としてのカーボンブラック0.7g、フッ素含有バインダーとしてのポリビニリデンフルオライド(PVDF)1.56gを分散媒としてのN-メチルピロリドン(NMP)と併せてミキサーに投入し、30,000rpmにて60分間ミキシングしてスラリー混合物を製造した(製造されたスラリーの固形分は70%であり、粘度は、概ね8,000~20,000cpsであった)。製造されたスラリーをアルミニウム箔(19μm)の上に落とした後、アプリケーター(50~300um)を用いてスラリーを均一にコーティングした。均一にコーティングされたスラリーは、100℃の乾燥チャンバーに入れ、分散媒を蒸発させ、目標のローディング(Target Loading)が合っているか否かを確認した。集電体の背面に同一のコーティング及び乾燥を行った。このようにして製造されたコーティング電極は、ロールプレスを用いて目標の厚さ及び目標の空隙率(Target Porosity)を合わせて電極(正極)を製造した。
【0159】
最終的に製造された電極の全体の厚さは、174μmであり、電極活物質層の層厚は、76μmであり、電極の空隙率は、25.2%であった。
【0160】
比較例2
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガンアルミニウムオキサイド(NCMA,Li[Ni0.88Co0.07Mn0.04]Al0.01O2)96g、導電材としてのカーボンブラック1g及びフッ素含有バインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3gをブレンダーに投入し、10,000rpmにて1分間ミキシングして混合物を製造した。ニーダーの温度を150℃に安定化させ、前記混合物をニーダーに入れた後、2kgf/cm2の蓋体圧力下で10rpmの速度にて1分間作動させて混合物塊状体を得た。前記混合物塊状体をブレンダーに投入し、10,000rpmにて30秒間粉砕し、1mmの目開きをもったシーブで分級して電極用の混合粉体を得た。この後、製造された電極用の混合粉体をラップカレンダー(ロール直径:88mm、ロール温度:100℃)に投入して電極用のフィルムを製造した。前記電極用のフィルム2枚をカーボンブラック及びアクリル系バインダーが重量比5:6にて混合された伝導性プライマー層がコーティングされたアルミニウム箔(19μm)の両面に位置させ、150℃に保たれるラミネーションロール(圧縮ロール)を用いてラミネーションして電極(正極)を製造した。
【0161】
このとき、前記ラミネーションステップにおいて、前記電極用のフィルムの圧縮比が37.5%であり、前記電極用のフィルムの圧延率が17.7%であった。
【0162】
また、最終的に製造された電極の全体の厚さは、178μmであり、電極活物質層の層厚は、79.5μmであり、電極の空隙率は、26.4%であった。
【0163】
前記電極用のフィルムの集電体とのラミネーションの前後の見かけ密度の増加率は、20%であった。
【0164】
比較例3
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガンアルミニウムオキサイド96g、導電材としてのカーボンブラック1g及びフッ素含有バインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3gをブレンダーに投入し、5,000rpmにて20分間ミキシングして電極用の混合粉体を得た。この後、製造された電極用の混合粉体をラップカレンダー(ロール直径:88mm、ロール温度:100℃)に投入して電極用のフィルムの製造を試みたものの、ラップカレンダーへのフィーディングが行われ難くて、フィルムの成形が行われなかった。
【0165】
性能の評価
実施例1~3、比較例1、及び比較例2において製造された電極及び前記電極を備えた二次電池に対して下記の評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
【0166】
このとき、実施例1~3、比較例1、及び比較例2において製造された電極を備えた二次電池は、下記のような方法により製造した。
【0167】
銅箔の上に70μmの厚さにリチウム金属を蒸着して負極を製造した。
【0168】
前記実施例1~3、比較例1、及び比較例2において製造された電極を正極とし、正極と前記製造された負極との間にポリエチレン膜(膜厚:20μm)を用いて電極組立体を製造した。前記電極組立体を電池ケースに内蔵した後、エチレンカーボネート、ジメチレンカーボネート、及びジエチルカーボネートが1:2:1(体積比)で混合された溶媒にLiPF6が1Mで溶けている液体電解液を用いて、注液、密封することにより二次電池を製造した。
【0169】
(1)定量化バインダー比(QBR:Quantified Binder Ratio)
アルゴンイオンミリング(Ar ion milling)を用いて実施例1~3、比較例1、及び比較例2の電極の端面を準備した。
【0170】
SEM設備のEDSデテクターを用いて作製された電極の端面の電極層内の構成成分をEDSマッピング(mapping)した。測定領域は、電極コーティング層の全体を含み、集電体領域が一部含まれ、画像ピクセル1024にて横/縦のアスペクト比(aspect ratio)4のサイズで測定した。EDSマッピングの測定は、SEMの加速電圧5kVの条件下で最小10フレーム以上測定を行って、Li、Hを除いた活物質、導電材、バインダー、集電体の成分に対してデータを測定した。
【0171】
EDS駆動ソフトウェア(Oxford社製Aztec)を用いてEDSマッピング結果から電極層の厚手方向にEDSピークのデコンボリューションされた(EDSピークの畳み込みを解いて得た)ラインプロファイル(line profile)を抽出した。抽出したラインプロファイル結果のうち、電極層の表面から集電体の方向への電極層のバインダー成分の正規化された強度の変化を示すグラフから、電極層の表面領域のフッ素含有バインダーのフッ素含量の平均値(Bs)及び電極層の底面領域のフッ素含有バインダーのフッ素含量の平均値(Bf)を抽出し、下記式を用いてQBRの数値を計算した。
【0172】
QBR=Bs/Bf
【0173】
このとき、前記電極層の表面領域は、電極層の厚手方向に最外郭の表面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの領域であり、前記電極層の底面領域は、集電体と対面する電極層の界面から前記電極層の全体の層厚の15%以内までの領域である。
【0174】
図5は、実施例1の電極に対する電極層の表面から集電体方向への距離における、EDSマッピングの結果から抽出分析された電極層のフッ素含有バインダーのフッ素成分の正規化された強度の変化を示すグラフである。実施例1の電極の電極層の表面領域のフッ素含有バインダーのフッ素含量の平均値(Bs)は、0.98として、電極層の底面領域のフッ素含有バインダーのフッ素含量の平均値(Bf)は、0.99として、QBRの数値は、0.99として計算された。
【0175】
図5中、Aラインは、実際に測定されたフッ素含有バインダーのフッ素成分の全体を1に正規化(normalize)したときの各深さ方向における強度を示し、Bラインは、Aラインの傾向を示すすう勢線であって、LOWESS平滑方式、すなわち、局所的に重み付けされた散布図平滑化(Locally-Weighted Scatterplot Smoother)方式により平滑化(smoothing)させて示した線であり、Cラインは、常に1の値を示す線である。
【0176】
図6は、比較例1の電極に対する電極層の表面から集電体の方向への距離における、EDSマッピングの結果から抽出分析された電極層のフッ素含有バインダーのフッ素成分の正規化された強度の変化を示すグラフである。比較例1の電極の電極層の表面領域のフッ素含有バインダーのフッ素含量の平均値(Bs)は、1.13、電極層の底面領域のフッ素含有バインダーのフッ素含量の平均値(Bf)は、0.91として、QBRの数値は、1.24として計算された。
【0177】
図5において定義した通り、
図6中、Bラインは、Aラインの傾向を示すすう勢線であって、LOWESS平滑方式、すなわち、局所的に重み付けされた散布図平滑化(Locally-Weighted Scatterplot Smoother)方式により平滑化(smoothing)させて示した線であり、Cラインは、常に1の値を示す線である。
【0178】
(2)接着力
実施例1~3、比較例1、及び比較例2の電極を幅20mm、長さ100mmに裁断して電極サンプルを用意した。
【0179】
スライドガラスの上に55mmの長さの両面接着テープを貼り付け、ラミネーターを用いて前記用意された実施例1と比較例1の電極サンプルをそれぞれスライドガラスとラミネーションした。
【0180】
万能試験機(UTM)を用いて、電極サンプルの電極層と集電体との接着力を測定した。(90°剥離実験、ロードセル:10N、速度:100mm/min)
(3)セル抵抗
1)0.1秒
前述した通り、実施例1~3、比較例1、及び比較例2において製造した電池に対して充/放電測定装置(設備名、韓国のPNEソリューション株式会社製)を用いて充/放電特性を比較した。各電池は、25℃において初期の1サイクルの間に0.1Cの定電流(CC)にて4.2Vとなるまで充電し、この後、定電圧(CV)にて充電して充電電流が0.05C(限流値)となるまで充電した。この後、30分間放置した後、0.1Cの定電流(CC)にて2.5Vとなるまで放電し、再び30分間放置した。この後、3サイクルの間に0.33Cの定電流の充電と0.33Cの定電流の放電と30分間の放置とを繰り返し行い、最後の放電は、直前の放電容量の半分となる時点で中止した。この後、2.5Cの定電流にて10秒間放電しながら、0.1秒おきに電圧の変化を記録した。30分間の放置ステップが終わるときの開回路電圧(OCV)をV0とし、2.5Cの定電流(I)にて0.1秒放電された時点で記録された電池電圧をVとしたとき、0.1秒の抵抗(R)は、下記のようにして計算される。
R=(V-V0)/I
2)10秒
前述した通り、0.1秒の抵抗を計算した方法と同一の測定条件と方法により行って、2.5Cの定電流にて10秒放電された時点で記録された電池電圧を上記の式に代入すれば、10秒の抵抗を計算することができる。
【0181】
(4)放電容量
前述した通り、実施例1及び比較例1において製造された電極を備えた二次電池を25℃において0.33Cの定電流(CC)にて4.2Vとなるまで充電し、この後、定電圧(CV)にて充電して充電電流が0.05C(限流値)となるまで充電を行った。この後、30分間放置した後、0.1Cの定電流(CC)にて2.5Vとなるまで放電した。再び30分間放置した後、放電時の電流を0.33C、0.5C、1C、2C、2.5C及び3CにCレートを変化させたことを除いては同一の条件下で充電、放置、及び放電をした。このとき、0.1Cの放電容量を基準として0.33C、0.5C、1C、2C、2.5C及び3Cの放電容量の百分率値(容量(正規化))を
図7及び表1に示す。
【0182】
(5)耐屈曲性
耐屈曲性は、測定標準JIS K5600-5-1方法に準拠して評価された。
【0183】
具体的には、実施例1~3、比較例1、及び比較例2において製造された電極を用いて100mm×50mmの長方形状の電極サンプルを製造し、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mm、16mm、20mm、25mm、32mmの直径をそれぞれ有する測定棒を用意し、これらのうち、直径が最も大きな測定棒を用いて前記電極サンプルを測定棒に接触させた後、前記電極サンプルの両方の端を持ち上げるとき、前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じるか否かを判断した。
【0184】
前記判断するステップにおいて、ひび割れが生じなければ、次に直径が大きな測定棒を用いて前のステップと同様に前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じるか否かを判断するステップを繰り返し行って、前記電極サンプルの合剤フィルムのひび割れが生じない測定棒の最小の直径値を耐屈曲性として決定した。
【0185】
(6)電極層中のフッ素含有バインダーの結晶化度
実施例1~3、比較例1、及び比較例2において製造された電極の電極層中のフッ素含有バインダーの結晶化度の測定のための試料をそれぞれ用意した。各試料に対して、前記結晶化度(Xc)は、TAインスツルメント社製の示差走査熱量分析装置(differential scanning calorimetry;DSC)に試料約5mg~12mgを秤量して投入し、窒素雰囲気下で、25~360℃の温度範囲において10℃/分の速度にて昇温させながら温度に応じた溶融熱(Δ融熱)を測定した。
【0186】
TAインスツルメント社製のTROISプログラムを用いて溶融時に最も高いエンタルピーを示す時点における温度(ピーク温度)を基準として融点(Tm)と溶融エンタルピー(ΔHm)を分析した。各試料の結晶化度は、DSCにおいて実測された溶融エンタルピー(ΔHm)値を理論上の完全結晶(結晶化度100%)の溶融エンタルピー(ΔHm
0)の値で割って%にて表したものであって、下記の関係式1により計算した。
【0187】
[関係式1]
Xc(%)=(ΔHm÷ΔHm
0)×100
【0188】
フッ素含有バインダーとして用いられたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の理的な完全結晶の溶融エンタルピー値(ΔHm
0)ば85.4J/gとし、Polymer誌第46巻(2005年)の8872~8882ページを参照した。
【0189】
【0190】
【0191】
上記の表1及び表2を参照すると、QBRが1.1以下である実施例1~3の正極が、QBRが1.24である比較例1及びQBRが1.12である比較例2の正極に比べて改善された接着力を示しており、実施例1~3の正極の電極層に含まれているフッ素含有バインダーの結晶化度は10%以下に制御されており、実施例1~3の正極を適用した二次電池は、比較例1~2の正極を適用した二次電池と比較してセル抵抗が低く、実施例1の正極を適用した二次電池は、比較例1の正極を適用した二次電池と比較して充電速度別の放電容量が高い値を示していることを確認することができた。
【国際調査報告】