(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】連続ウェブ状の膜電極アセンブリの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0286 20160101AFI20240905BHJP
H01M 8/0273 20160101ALI20240905BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20240905BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240905BHJP
C25B 13/04 20210101ALI20240905BHJP
C25B 11/032 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M8/0286
H01M8/0273
C25B9/23
C25B1/04
C25B13/04 301
C25B11/032
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515524
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2022074361
(87)【国際公開番号】W WO2023036690
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021123475.1
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516186234
【氏名又は名称】グリナリティ・ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Industriegebiet Sud E11, 63755 Alzenau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レーラタナファニト,サラユト
(72)【発明者】
【氏名】バンゲル,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ズッフスランド,イェンス-ペーター
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K011AA11
4K011BA03
4K011BA04
4K021AA01
4K021BA02
4K021DB43
4K021DC01
4K021DC03
5H126AA13
5H126BB06
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5H126HH01
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5H126JJ00
5H126JJ02
5H126JJ03
5H126JJ08
5H126JJ09
5H126JJ10
(57)【要約】
本発明は、燃料電池、水電解セル、電気化学コンプレッサー、および電気化学センサーでの使用に適した、多層で連続的なウェブの膜電極アセンブリ(11、45)を効率的、自動化、精密かつコスト効率よく製造するための第1および第2の方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続ウェブの形態の膜電極アセンブリ(11)の製造方法であって、前記膜電極アセンブリ(11)の各々は、陽極と陰極との間に配置された膜を有する層アセンブリ(7)と、枠状シールによって取り囲まれている前記層アセンブリ(7)の内側領域が露出するように、前記層アセンブリ(7)の少なくとも外縁を取り囲む枠状シールとを有し、当該製造方法は、
第1のシール材(1)をロール材として提供する工程であって、前記第1のシール材(1)が第1の保護フィルム(3)上に配置されている、工程と、
第2のシール材(8)をロール材として提供する工程であって、前記第2のシール材(8)が第2の保護フィルム(9)上に配置されている、工程と、
前記第1の保護フィルム(3)が損傷しないように、前記第1のシール材(1)から第1の枠状の部分シール(6)を生成する工程と、
前記第1の部分シール(6)上に第1のキャリアフィルム(2)を配置する工程と、
前記第2の保護フィルム(9)が損傷しないように、前記第2のシール材(8)から第2の枠状の部分シール(8a)を生成するする工程と、
前記第1の保護フィルム(3)を剥がしながら、第1の搬送媒体上に配置されているウェブ状の搬送材上に、前記第1の枠状の部分シール(6)を供給して堆積する工程と、
陽極、陰極およびそれらの間の膜からなる層アセンブリ材(4)をロール材として提供する工程と、
前記層アセンブリ材(4)から層アセンブリ(7)を所定サイズに切断する工程と、
搬送材上に配置されている前記第1の枠状の部分シール(6)上に、層アセンブリ(7)を堆積する工程と、
前記第1の枠状の部分シール(6)の窓状の切り込みと前記第2の枠状の部分シール(8a)の窓状の切り込みとが一致するように配置されてアセンブリ(10)が得られるように、前記第2のキャリアフィルム(9)を除去しながら、前記第1の枠状の部分シール(6)上に配置されている前記層アセンブリ(7)上に、前記第2の枠状の部分シール(8a)を供給し堆積する工程であって、ここで、前記第1の部分シール(6)、前記層アセンブリ(7)および前記第2の部分シール(8a)が互いの上に配置された後、接着剤または放射線硬化性剤が、互いの上に配置されている前記第1および第2の部分シール(6、8a)の間に配置されるように、前記第1のシール材(1)上および/または前記第2のシール材(8)上に、接着剤が配置されるか、または放射線硬化性剤が配置される、ところの工程と、
前記接着剤を熱的に活性化させるか、または前記放射線硬化性剤を放射線硬化させる工程と、
連続ロール材として、枠状のシールを有する膜電極アセンブリ(11)を得るべく、前記ウェブ状の搬送材上に配置されたアセンブリ(10)を圧縮する工程と
を備える膜電極アセンブリ(11)の製造方法。
【請求項2】
第1および第2の枠状の部分シール(6、8a)を生成する工程は、回転打ち抜き、平打ち抜き、またはレーザー切断によって、前記第1のシール材(1)および前記第2のシール材(8)から窓状の切り込みを形成することにより実行される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1のシール材(1)および前記第2のシール材(8)は反対方向に案内され、および/または
前記第1の部分シール材(6)および前記第2の部分シール材(8a)は、前記接着剤が熱活性化するかまたは前記放射線硬化性剤が放射線硬化する前に、一対のローラーを介して案内されることにより、予め固定され、少なくともひとつのローラーが弾性材により実装されている、先行する請求項の一つに記載の製造方法。
【請求項4】
前記熱活性化または放射線硬化および圧縮は、熱エネルギーおよび圧力または放射線および圧力が前記アセンブリ(10)に印加される固定具(30)を通じて前記アセンブリ(10)を案内することによって実現される、先行する請求項の一つに記載の製造方法。
【請求項5】
前記固定具(30)は、80℃から160℃、好ましくは100℃から140℃の温度に加熱され、熱エネルギーが対称的または非対称的に印加されるか、または450nmから100nm、好ましくは420nmから365nmの波長範囲の放射線が、前記アセンブリ(10)の露出した上面および露出した下面に照射される、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記固定具(30)によって前記アセンブリ(10)に印可されている前記圧力が、0.05MPaから10MPa、好ましくは0.15MPaから5MPa、より好ましくは0.25MPaから3MPaである、請求項4または5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記圧縮は、0.006秒から60秒、好ましくは0.2秒から120秒、より好ましくは0.25秒~5秒の間実行され、および/または
前記層アセンブリ材(4)からの層アセンブリ(7)の所望のサイズへの前記切断は、前記枠状の第1および第2の部分シールによって囲まれる前記層アセンブリ(7)の面積が、前記第1および第2の部分シール(6、8a)の前記窓状の切り込みよりも大きくなるように実行され、および/または
切断された前記層アセンブリ(7)は、それが前記第1の枠状の部分シール(6)上に堆積される前に、搬送媒体上に搬送され、個々の層アセンブリ(7)が互いに間隔をあけられるように、第1の搬送媒体から第2の搬送媒体上へ搬送される、先行する請求項の一つに記載の製造方法。
【請求項8】
前記層アセンブリ材(4)は、層アセンブリキャリアフィルム(5)をさらに有し、前記層アセンブリ(7)の所定のサイズへの切断は、前記層アセンブリキャリアフィルム(5)が2つに切断されないように行われる、先行する請求項の一つに記載の製造方法。
【請求項9】
前記層アセンブリキャリアフィルム(5)は、前記層アセンブリ(7)が前記第1の枠状の部分シール(6)上に堆積される前に、90°を超える角度、好ましくは105°を超える角度、より好ましくは120°を超える角度で、前記層アセンブリ(7)から除去される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1のシール材(1)における前記第1の枠状の部分シール(6)の生成中に、追加で、前記第1の部分シール(6)、前記層アセンブリ(7)、および前記第2の部分シール(8a)を機械方向(M)において互いに対して整列させるために、基準マークが生成され、および/または
当該製造方法は、前記第1の搬送媒体の幅を前記第1のキャリアフィルム(2)の幅に調整する工程を有し、および/または
前記第1の搬送媒体のウェブ速度は、0.1m/分と100m/分との間、好ましくは0.5m/分と50m/分との間、より好ましくは1m/分と40m/分との間であり、および/または
圧縮後に前記膜電極アセンブリ(11)は冷却され、および/または
前記第1の保護フィルム(3)が前記第1のシール材(1)の露出面側に設けられ、および/または前記第2の保護フィルム(9)が前記第2のシール材(8)の露出面側に設けられ、前記第1の保護フィルム(3)および/または前記第2の保護フィルム(9)を前記第1または第2の枠状の部分シール(6)から取り外す際に、前記枠状の部分シール(6、8a)は高い精度の位置決めで案内され、および/または
前記アセンブリ(10)の圧縮後、前記膜電極アセンブリ(11)は最終的な輪郭で切断され、および/または
最終的な輪郭の切断の有無にかかわらず、前記膜電極アセンブリ(11)は、前記第1のキャリアフィルム(2)上に残るか、またはピースグッズとして単一化され、前記第1のキャリアフィルム(2)から分離されて積み重ねられ、および/または
各膜電極アセンブリ(11)が明確にラベル付けまたはマーキングされ、前記ラベルが一貫性および品質の同定のためにチェックされ、および/または
各処理シーケンスの後に、得られた前記膜電極アセンブリ(11)の品質が検査システムによってチェックされ、部品に欠陥がある場合には、後続のさらなる処理工程で、欠陥のある膜電極アセンブリ(11)を検出し、選別できるように、欠陥マークが、好ましくはラベリングに付される、ことを特徴とする先行する請求項の一つに記載の製造方法。
【請求項11】
連続ウェブの形態の膜電極アセンブリ(45)の製造方法であって、前記膜電極アセンブリ(45)の各々は、陽極と陰極との間に配置された膜を有する層アセンブリ(7)と、枠状シールによって取り囲まれている前記層アセンブリ(7)の内側領域が露出するように、前記層アセンブリ(7)の少なくとも外縁を取り囲む枠状シールと、ガス拡散層(12)とを有し、当該製造方法は、
陽極、陰極、およびそれらの間に配置された膜、ならびに前記膜電極アセンブリ(11)の少なくとも外縁を取り囲むシール枠を有する、ロール材の形態の膜電極アセンブリ(11)を提供する工程と、
前記膜電極アセンブリ(11)の第1の面側に第1のガス拡散層(12)を配置し、および/または前記膜電極アセンブリ(11)の第2の面側に第2のガス拡散層(12)を配置する工程と
を備える膜電極アセンブリ(45)の製造方法。
【請求項12】
前記第1のガス拡散層(12)および/または前記第2のガス拡散層(12)を配置する前に、前記膜電極アセンブリ(11)の前記第1の面側のエッジ領域および/または前記膜電極アセンブリ(11)の前記第2の面側のエッジ領域に、接着剤、接着促進剤または両面接着フィルムが適用されるか、または前記枠状シールが軟化される、ことを特徴する請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
特に100~200℃、好ましくは140~180℃の温度を印加し、0.5~5MPa、好ましくは1.0~5.0MPaの圧力を印加しながら、前記膜電極アセンブリ(11)の前記第1および/または第2の面上に、前記第1および/または第2のガス拡散層(12)を固定する工程を含む、請求項12に記載の製造方法。[請求項25]前記膜電極アセンブリ(11)の搬送方向と前記第1のガス拡散層(12)の搬送方向とが反対方向、および/または水平方向である、請求項22から24のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第1および第2のガス拡散層(12)を備える前記膜電極アセンブリ(45)が、封止固定ユニット内に配置され、かつ、前記膜電極アセンブリ(45)のそれぞれのガス気密性が試験ガスを用いて決定され、および/または
前記アセンブリ(10)の前記圧縮の後、または前記膜電極アセンブリ(11)の前記第1の面上に前記第1のガス拡散層(12)を配置し、かつ、固定した後、および/または、前記膜電極アセンブリ(11)の前記第2の面上に前記第2のガス拡散層(12)を配置し、かつ、固定した後、前記膜電極アセンブリ(11)が最終的な輪郭で切断され、および/または
前記膜電極アセンブリ(11、45)は、最終的な輪郭で切断されるか、または切断されずに、第2のキャリアフィルム(48)上に残るか、またはピースグッズとして単一化され、前記第2のキャリアフィルム(48)から分離され、かつ、積み重ねられ、および/または
各膜電極アセンブリ(45)には一意的にラベルまたはマークが付けられ、前記ラベルが、一貫性および品質を同定するのにチェックされ、および/または
各工程シーケンスの後、得られた前記膜電極アセンブリ(45)の品質が検査システム(40、43)によりチェックされ、部品に欠陥がある場合、部品の欠陥の検出および後続のさらなる処理工程での選別が可能となるように、欠陥マークが、好ましくは前記ラベルに付される、ことを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池、水電解セル、電気化学コンプレッサーおよび電気化学センサーでの使用に適した、多層で連続的なウェブ状の膜電極アセンブリを、効率的に、自動的に、正確に、およびコスト効率よく製造するための第1および第2の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膜電極アセンブリを製造する方法は、先行技術により知られている。例えば、欧州特許第1629559号には、触媒で被覆された膜、いわゆるCCM(触媒被覆膜)を製造する方法が記載されている。CCMは、CCMの使用時に反応ガスが反応領域から環境中に逃げないように、シールとして機能するエッジ材からなる周縁部を有する。上述した方法の欠点は、触媒被覆膜が連続シートとして使用され、膜表面の大部分がエッジ材で覆われていることである。言い換えれば、膜とエッジ材との間のオーバーラップ領域が非常に大きいため、膜の活性領域の大部分が使用できず、その結果、膜の利用率が非常に低くなり、コスト高につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の課題は、連続ウェブの形態で多層膜電極アセンブリを製造するための、効率的で、自動化され、正確で、同時に費用効果的な方法を提供することであり、この方法はまた、高い技術的努力なしに、簡単に実施することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するための手段は、独立請求項によって提供される。従属請求項は、本発明の有利なさらなる展開および実施形態に関する。
【0005】
よって、本発明は、膜電極アセンブリが連続ウェブの形態で製造される、以下に詳細に説明する方法によって解決する。膜電極アセンブリはそれぞれ、陽極と陰極との間に配置された膜を有する層アセンブリからなる。さらに、層アセンブリの少なくとも外縁を囲む枠状のシールが設けられ、枠状のシールで囲まれた層アセンブリの内側領域が露出する。言い換えれば、陽極と陰極との間に膜が導入されて層アセンブリが形成され、その層アセンブリの露出した窓状の部分が枠状のシールで囲まれるように、窓枠形状のシールで囲まれる層アセンブリを形成する膜電極アセンブリが与えられる。
【0006】
本方法は、最初に、フレーム形状またはフレーム状ガスケットを製造するための第1のガスケット材をロール状材料として提供するステップを含む。従って、シール材は当初、シール部分としてではなく、ロール状に巻かれた連続材として存在する。第1のシール材は第1の保護フィルム上に配置され、この保護フィルムもロール材中に存在する。
【0007】
同様に、第2のシール材もロール材として提供される。第1のシール材と同様に、第2のシール材も保護フィルム上、すなわち第2の保護フィルム上に配置される。第1のシーリング材と第2のシーリング材は、同じであっても異なっていてもよく、それにより、類似点または相違点は、化学組成および/または幾何学的要因に関連し得る。第1および第2のシール材から製造されるシール枠が、反応ガスもしくは反応液、または膜電極アセンブリを使用する反応中に生成されるガスもしくは液体の望ましくない漏れを防止することは、本発明にとって不可欠である。
【0008】
次に、第1の保護フィルムが損傷しないように、第1のシール材から第1の枠状部分シールを生成するステップが実行され、その結果、生成された第1の枠状部分シールは依然として第1の保護フィルム上に配置される。
【0009】
同様に、第2の枠状部分シールも第2のシール材から製造される。ここでも、第2の保護フィルムが損傷しないように、第2の枠状部分シールが製造され、その結果、第2の部分シールは第2の保護フィルム上に残る。
【0010】
本発明による部分シールを製造することは、それぞれの保護フィルムを切断することがないため、部分シールを続けて連続的に処理することができ、かつ、それらを別々に保管、備蓄または搬送する必要がないため有利である。
【0011】
次に、第1のキャリアフィルムが第1の部分シール上に配置される。キャリアフィルムは、有利なことにカバーフィルムを有することができ、このカバーフィルムは、第1のキャリアフィルムが第1の部分シール上に配置される前に除去される。
【0012】
次に、製造された第1の枠状部分シールは、第1の保護フィルムを除去した状態で、第1の搬送媒体に供給され、その上に堆積される。第1の搬送媒体は、詳細には限定されないが、好ましくは、真空搬送ベルトの形態とすることができ、これにより、第1の部分シールを効果的に、簡単、迅速かつ確実に搬送することができ、逸脱を防止することができる。搬送媒体は、部品の搬送が必要な場合に適宜設けることができる。
【0013】
さらなる方法ステップにおいて、陽極、陰極および介在膜からなる層アセンブリ材がロール材として提供される。これは、陽極、陰極および膜が、まだ用途に適した幾何学的寸法に切断されていないが、陽極、陰極および介在膜の連続層が層アセンブリの形態で存在するロール材が使用されることを意味する。これにより、膜電極アセンブリ(以下、MEAともいう)の連続生産が促進される。特に、層アセンブリ材は、損傷を効果的に防止することができる別のキャリアフィルムなどの搬送媒体上に配置することができる。キャリアフィルムは、層アセンブリ材のより良い搬送のために接着層を有することができる。
【0014】
次に、層アセンブリ材から層アセンブリが切断され、これらは搬送材上に配置された第1の枠状部分シール上に堆積される。切断は、切断ツール、パンチなどの従来の器具によって行うことができる。切断された層アセンブリを第1の枠状部分シール上に堆積させた後、第2の枠状部分シールを供給し、第1の枠状部分シール上に配置された層アセンブリ、すなわち層アセンブリの露出した上側に堆積させ、これにより第2の保護フィルムもここで除去される。
【0015】
このようにして、第1の枠状部分シールと第2の枠状部分シールは、シール枠の形態で層アセンブリを周方向に取り囲み、層アセンブリは内部で露出している。換言すれば、第一の枠状部分シールの窓状部分と第二の枠状部分シールの窓状部分とが一致して配置され、その間にそれぞれ層アセンブリが配置される。いわゆるアセンブリが作成され、それによってアセンブリは、第1の部分シール、層アセンブリ、第2の部分シールの順に構成される。陽極、陰極および介在膜からなる層アセンブリがどのように第一部分シール上に配置されるかによって、第一部分シールまたは第二部分シールに対する陽極または陰極の向きは変わり得る。
【0016】
良好なシール効果を達成するために、第1の部分シール、層アセンブリおよび第2の部分シールが互いに1つずつ上に配置された後、接着剤または放射線硬化性剤が、互いに1つずつ上に配置された第1および第2の部分シールの間に配置されるように、接着剤が第1のシール材上および/または第2のシール材上に配置され、または放射線硬化性剤が第1のシール材上および/または第2のシール材上に配置される。
【0017】
次いで、第1および第2の部分シールから形成された枠状シールのシール効果は、接着剤の熱活性化または放射線硬化性剤の放射線硬化によって達成され、このステップの間に、第1および第2の部分シールを層アセンブリと接続させるために、アセンブリの圧縮がさらに行われる。このようにして、枠状のシールを有する膜電極アセンブリが、第1のキャリア材上の連続ロールとして得られ、この連続ロールは、ウェブ状の搬送材上に配置され、連続プロセスでさらに処理されるか、または保管のために搬送され得る。
【0018】
従って、本発明によれば、膜電極アセンブリの連続ウェブを製造するための方法が提供され、この方法は、膜電極アセンブリの効果的で、自動化され、技術的および論理的に扱いやすい製造に関して先行技術に優る利点を示し、連続的で、従って時間効率のよいコンポーネントガイダンスおよび処理が常に保証される。
【0019】
本発明によれば、陽極、陰極および陽極と陰極との間に位置する膜、特に陽子を伝導できる膜からなる複合体とみなせる触媒被覆膜が存在する膜電極アセンブリが製造される。触媒でコーティングされた膜は、連続ウェブの形態、言い換えればロール状(連続ウェブを巻き取った後)である。膜アセンブリは、特別に設計されたシーリングフレームによって取り囲まれており、シーリングフレームは、陽極、陰極、膜をそれらの端部で取り囲むように設計されている。つまり、第1および第2の部分シールが接続された後、それぞれの膜アセンブリの陰極、陽極および膜は、それらの外縁で枠状のシールによって四方を囲まれる。枠状のシールまたはシール枠とは、額縁または窓枠のような形状を有し、シール枠のそれぞれの内側縁の間に膜電極アセンブリの内側の自由な内側領域を有するシール構造を意味すると理解され、額縁または窓枠を切り取ったような形状を有する。この内側領域では、陰極、陽極および膜の少なくとも重なった部分が露出しており、したがってシール枠によって覆われていない。ここで、シール枠は、陽極、陰極および膜の端部にのみ接触することができ、または、陽極、陰極および/または膜は、MEAの層厚方向、すなわちMEAの層の配列方向において部分的に重なり合うことができる。層厚方向は、MEAの積層方向、すなわち陽極、膜および陰極の配列方向にも対応する。封止フレームは、第1の部分封止部と第2の部分封止部とから形成され、これらの部分封止部は、接着剤によって、または塗布された放射線硬化性剤の放射線硬化およびアセンブリの圧縮によって、特に材料結合で接着され、したがって機械的に安定である。
【0020】
本発明に従って製造された膜電極アセンブリは、例えば、燃料電池、水電解セル、電気化学コンプレッサーおよび電気化学センサーに使用することができる。
【0021】
連続的かつ時間効率的な工程管理の観点から有利な更なる展開例によれば、第1および第2の枠状部分シールの製造は、第1のシール材および第2のシール材から窓状の切り抜き部を回転打ち抜き、平打ち抜き、またはレーザー切断することによって行われる。上述の工程は非常に低損失で、高精度が特徴である。
【0022】
さらに有利には、第1のシール材と第2のシール材は反対方向に案内される。これは、省スペースな加工方法という利点がある。
【0023】
第1の部分シールと第2の部分シールは、接着剤の熱活性化または放射線硬化性剤の放射線硬化の前に、一対のローラー(そのうちの少なくとも第1のローラーは弾性材で設計されている)を通してそれらを案内することによって、第1の部分シールと第2の部分シールを予め固定することによって、特に効率的に接合される。弾性材は、第1および第2の部分シールの間のエアポケットが効果的に防止されるように、部分シールを互いに押し付けるように促すために使用することができる。
【0024】
互いに接合されるべきアセンブリの個々の部品の逸脱を防止するために、熱活性化または放射線硬化および圧縮は、熱エネルギーおよび圧力または放射線および圧力がアセンブリに印加される固定具を通じてアセンブリをガイドすることによって行われることが好ましい。この結果、膜電極アセンブリの屑量が減少する。
【0025】
熱活性化を特に効率的にし、それによってアセンブリの損傷を防止するために、固定具は好ましくは80℃から160℃、より好ましくは100℃から140℃の温度に加熱され、熱エネルギーは対称的または非対称的に印加することができる。放射線硬化性剤が使用される場合、450nmから100nm、好ましくは420nmから365nmの波長範囲の放射線が、好ましくは選択され、製造される製品、すなわちまだ硬化していないアセンブリ材の露出した上側および露出した下側に適用される。露出した側とは、搬送材上にないアセンブリの側であると理解される。最も単純な場合、放射線は、第2の部分シールの露出した上側から供給される。
【0026】
固定具によってアセンブリに加えられる圧力が0.05MPa~10MPa、好ましくは0.15MPa~5MPa、さらに好ましくは0.25MPa~3MPaであると、良好なシール特性の観点から特に有利である。10MPaまでの圧力範囲では、第1の部分シールと第2の部分シールを一緒に圧縮して、空気の混入のないシール枠を形成することができ、これにより、圧力が低いほど、シール材や場合によってはアセンブリの構成部品への損傷をより効果的に回避することができる。上記の利点を考慮すると、0.25MPaから3MPaの圧力が特に適している。
【0027】
圧縮が0.006秒から60秒、好ましくは0.2秒から120秒、より好ましくは0.25秒から5秒行われると、ここでも有利である。
【0028】
さらに有利なさらなる展開によれば、層アセンブリ材からの層アセンブリの切断は、枠状の第1および第2の部分シールによって囲まれる層アセンブリの領域が、第1および第2の部分シールの窓状の切り込みよりも大きくなるように行われる。この結果、層アセンブリの部分領域が部分シールと重なり、特に良好な層結合が形成され、層アセンブリとシール枠との間の漏れが効果的に防止される。
【0029】
好ましくは、切断された層アセンブリは、第1の枠状部分シール上に堆積される前に搬送媒体に搬送され、個々の層アセンブリが間隔をあけて配置されるように、第1の搬送媒体から第2の搬送媒体に搬送される。間隔をあけることは、第1の部分シール上への層アセンブリの正確なフィッティングアレンジメントを改善するために有利であり、その結果、膜電極アセンブリが後で使用されるときに、層アセンブリの大きさが最大の内部領域を触媒反応に使用することができる。
【0030】
さらに有利には、層アセンブリ材が層アセンブリキャリアフィルムを含むため、層アセンブリ材を歪みなく効果的に搬送することができる。ここで、層アセンブリの切断は、層アセンブリキャリアフィルムが切断されないように行われ、これにより、層アセンブリの連続加工が促進される。
【0031】
さらに有利なさらなる展開によれば、層アセンブリキャリアフィルムは、層アセンブリが第1の枠状部分シール上に堆積される前に、90°を超える角度、好ましくは105°を超える角度、より好ましくは120°を超える角度で層アセンブリから除去される。層アセンブリキャリアフィルムを90℃以上の角度で剥離すると、層アセンブリの構成要素の変形または(部分的な)剥離が特に良好に防止され、したがって特に優しい。角度を大きくすればするほど、層アセンブリキャリアフィルムをより容易に、より効率的に除去することができる。
【0032】
さらに有利には、第1のシール材における第1の枠状の部分シールの作成中に、第1の部分シール、層アセンブリおよび第2の部分シールを機械方向において互いに対して位置合わせするために、基準マークが追加的に作成される。基準マークは、部分シールの窓状の切り込みの位置を正確に決定できるように設けられ、その結果、膜と部分シールとの間のオーバーラップ面積を最小にする。また、基準マークを設けることにより、適切なプロセス制御によって、第1の部分シール上に配置される層アセンブリ(触媒被覆膜)を分離し、個々の層アセンブリを互いに間隔をあけることが容易になる。
【0033】
配置されるアセンブリの構成要素の互いに対する位置決めを容易にするために、本方法は、第1の搬送媒体の幅を第1のキャリアフィルムの幅に調整するステップをさらに含む。これは、搬送媒体上の構成要素(第1の部分シール)の案内が、それによって局所的に制限されることを意味する。例えば、真空ベルトコンベアが搬送媒体として使用される場合、それに適用される真空の幅は、搬送される構成要素に特別に適合させることができ、それにより、空気のためのバイパスが防止され、空気漏れが発生せず、真空を特に安定させることができるので、第1の枠状の部分シールの位置は、逸脱に対して特に良好に安定させられる。
【0034】
処理時間を節約すると同時に逸脱防止搬送を確実にするために、第1の搬送媒体のウェブ速度は、特に0.1m/分~100m/分、好ましくは0.5m/分~50m/分、さらに好ましくは1m/分~40m/分である。
【0035】
さらに、膜電極アセンブリに対する温度の影響による結果的な損傷を特に効果的に防止するために、膜電極アセンブリが圧縮後に冷却されることがさらに有利に提供される。
【0036】
第1及び/又は第2の部分シール材を保護するために、好ましくは、第1の保護フィルムが第1のシール材の露出面に設けられ、及び/又は第2の保護フィルムが第2のシール材の露出面に設けられ、第1の保護フィルム及び/又は第2の保護フィルムを枠状部分シールから除去する間に、枠状部分シールが正確な位置に案内される。第1および/または第2の保護フィルムの除去は、好ましくは、第1および/または第2の部分シールが製造された後に行われる。保護フィルムには、シール材の汚染を防ぐという利点がある。
【0037】
さらに有利には、アセンブリを圧縮した後、膜電極アセンブリを最終の輪郭で切断することができる。
【0038】
膜電極アセンブリのさらなる加工がどのように意図されるかに応じて、最終の輪郭カットの有無にかかわらず、膜電極アセンブリはキャリアフィルム上に残り続けるか、またはピースグッズとして単一化され、キャリアフィルムから分離され、積み重ねられる。
【0039】
生成された膜電極アセンブリの品質を向上させるために、各膜電極アセンブリに明確なラベルまたはマークが付けられ、ラベルは、一貫性と品質の同定をチェックするのに有利である。
【0040】
さらに、各方法シーケンスの後に、得られた膜電極アセンブリの品質が検査システムによってチェックされ、部品に欠陥がある場合には、欠陥マークが、好ましくはデータマトリックス/QRコード(登録商標)のようなマークに対して適用されることによって、欠陥部品が認識され、後続のさらなる処理工程で選別され得ることが、品質向上の観点から有利である。
【0041】
さらに有利なことに、各膜電極アセンブリは一意的にラベル付けまたはマーキングされ、ラベルは、一貫性と品質の同定のためにチェックされる。
【0042】
さらに有利には、各方法シーケンスの後に、得られた膜電極アセンブリの品質を検査システムによってチェックすることができ、部品に欠陥がある場合には、欠陥部品を認識し、後続のさらなる処理ステップにおいて選別することができるように、好ましくはマークに対して欠陥マークを適用することができる。
【0043】
さらに本発明によれば、膜電極アセンブリを製造するための第2の方法も与えられる。本発明による第2の方法においても、膜電極アセンブリは、陰極と陽極との間に膜を構成し、さらに枠状シールとガス拡散層とを有する層アセンブリを備えた連続ウェブの形態で得られ、枠状シールは、層アセンブリの少なくとも外縁を取り囲み、枠状シールによって取り囲まれた層アセンブリの内側領域が露出するようになっている。
【0044】
これにより、本方法は、陰極、陽極、およびその間に配置された膜と、膜電極アセンブリの少なくとも外縁を取り囲むシール枠とを有するロール材の形態の膜電極アセンブリを提供するステップを与える。膜電極アセンブリは、上述した本発明の第1の方法に従って製造することができ、その後、第1のキャリアフィルム上に配置される。したがって、本発明による第1の方法のそれぞれの有利なさらなる実施形態、利点および効果は、本発明による第2の方法にも適用される。
【0045】
さらに、本発明による第2の方法は、膜電極アセンブリの第1の側面に第1のガス拡散層を配置すること、および/または膜電極アセンブリの第2の側面に第2のガス拡散層を配置することを含む。特に、第1のガス拡散層または第2のガス拡散層を配置する前に、第1のキャリアフィルムが存在する場合には、これを除去することができる。
【0046】
有利なことに、ガス拡散層を備えた膜電極アセンブリは、例えば、第1のガス拡散層を配置した第2のキャリアフィルム上にさらに案内され得る。これにより、ロール材としての膜電極アセンブリによる連続プロセスが改善される。
【0047】
本発明による第2の方法におけるロール材としての膜電極アセンブリの使用およびロール材としてのさらなる処理により、本発明による第2の方法はまた、迅速で、信頼性が高く、安価であり、ほぼ自動化された方法で実施することができるという事実によって特徴付けられる。
【0048】
特に、膜電極アセンブリは、各側、すなわち陰極側および陽極側のそれぞれの外側層としてガス拡散層を含むことができる。ガス拡散層は、貯蔵ユニットにおいてピースグッズとして提供され得るか、またはガス拡散層は、ガス拡散層が使用される前に、ロール材として提供されるガス拡散層のロールからピースグッズに分離され得る。この場合、ガス拡散層は、好ましくは、少なくとも分離後に、第2のキャリアフィルム上に配置される。ガス拡散層を提供するために、有利なさらなる展開による方法は、膜電極アセンブリの第1の側に第1のガス拡散層を配置すること、および/または膜電極アセンブリの第2の側に第2のガス拡散層を配置することを含む。第1の面は、例えば、陰極側とすることができ、その結果、第2の面は陽極側となる。あるいは、第1の面を陽極側とし、第2の面を陰極側とすることもできる。ガス拡散層は、膜電極アセンブリのそれぞれの面側に反応ガスを分散させる役割を果たす。
【0049】
有利には、第1のガス拡散層および/または第2のガス拡散層を膜電極アセンブリの第1の面のエッジ領域および/または膜電極アセンブリの第2の面のエッジ領域に配置する前に、接着剤、接着促進剤または両面接着フィルムが塗布され、それによってガス拡散層の接着が改善される。別の実施形態によれば、この目的のために、枠状シールを軟化させることもできる。接着フィルムが使用される場合、接着剤は、例えば、空気硬化性接着剤、熱活性化性接着剤、光活性化性接着剤、UV活性化性接着剤、または2成分系接着剤から選択することができ、それによって、0.1~10mgcm-1の接着剤量が有利に使用されるか、または塗布される接着剤層の層厚が1~30pmである。接着剤がUV活性化可能な接着剤である場合、活性化UV光の波長は、有利には100nm~440nm、好ましくは300nm~400nm、より好ましくは350nm~420nmの範囲であり、特に395nmである。UV強度も有利には1~30W/cmの範囲であり、露光時間は接着フィルムの幅に応じて約0.003秒~60秒とすることができ、露光幅は有利には塗布された接着剤の幅に適合される。本発明による方法のこの実施形態では、ガス拡散層を優しく塗布することができるので、ガス拡散層の折り曲げ、ひいてはガス拡散層の損傷が回避され、なおかつガス拡散層の正確な位置決めが可能である。
【0050】
ガス拡散層の恒久的な位置決めを改善し、その後ガス拡散層の位置的に正確な固定を可能にするために、本方法は、有利には、特に100~200℃、好ましくは140~180℃の温度を適用することによって、さらに有利には0.5~5MPa、好ましくは1.0~5.0MPaの圧力を適用することによって、膜電極アセンブリの第1および/または第2の面上に第1および/または第2のガス拡散層を固定することを含む。
【0051】
ガス拡散層を正確に適合して配置するために、枠状シールの窓状の切り抜きまたは膜電極アセンブリの基準マークの位置が検出され、第2の搬送媒体上の第1のガス拡散層の位置決めまたは窓状の切り抜きの位置が検出されることがさらに有利に提供される。または、機械方向(これは、膜電極アセンブリの搬送方向に対応する)および機械横方向(これは、膜電極アセンブリの表面拡大方向における機械方向に垂直な方向に対応する)における膜電極アセンブリの第1の面の基準マークの位置が適合される。
【0052】
本方法をさらに容易にするために、特にその空間的なコンパクト化のためにも、さらに有利なさらなる展開によれば、膜電極アセンブリの搬送方向および第1のガス拡散層の搬送方向は、ガス拡散層および膜電極アセンブリが一緒にされる前に、それらが反対方向であり、および/または水平であるように選択される。
【0053】
最終的に製造される膜電極アセンブリの品質を向上させるために、本方法は、特に、ガス気密性の試験も含むことができ、この場合、第1および第2のガス拡散層を備える膜電極アセンブリは、封止固定ユニット内に配置され、膜電極アセンブリのそれぞれのガス気密性は、試験ガスを用いて決定される。このガス気密性試験は、膜電極アセンブリの連続搬送工程に組み込むことができ、高機能膜電極アセンブリの簡便かつ時間短縮の製造が向上する。
【0054】
さらに有利には、アセンブリを圧縮した後、または膜電極アセンブリの第1の面上に第1のガス拡散層および/または膜電極アセンブリの第2の面上に第2のガス拡散層を配置して固定した後、膜電極アセンブリを最終的な輪郭で切断することができる。
【0055】
膜電極アセンブリのさらなる方法がどのように意図されるかに応じて、最終的な輪郭カットを有する又は有しない膜電極アセンブリは、(第2の)キャリアフィルム上に残り続けるか、又はピースグッズとして単一化され、キャリアフィルムから分離され、積み重ねられる。
【0056】
生成された膜電極アセンブリの品質を向上させるために、各膜電極アセンブリに明確なラベルまたはマークが付けられ、ラベルは、一貫性と品質の同定をチェックするのに有利である。
【0057】
さらに、各方法シーケンスの後に、得られた膜電極アセンブリの品質が検査システムによってチェックされ、部品に欠陥のある場合には、欠陥マークが、好ましくはデータマトリックス/QRコードのようなマークに対して適用されることによって、欠陥部品が認識され、その後のさらなる加工作業において選別され得ることが、品質向上の観点から有利である。
【0058】
さらに有利なことに、各膜電極アセンブリは一意的にラベル付けまたはマーキングされ、ラベルは、一貫性と品質の同定のためにチェックされる。
【0059】
さらに有利には、各方法シーケンスの後に、得られた膜電極アセンブリの品質を検査システムによってチェックすることができ、部品に欠陥がある場合には、欠陥部品を認識し、後続のさらなる処理工程で選別することができるように、好ましくはマークに対して欠陥マークを付けることができる。
【0060】
本発明の更なる詳細な利点及び特徴は、図面を参照した以下の実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による3層膜電極アセンブリを製造するための方法のステップを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態による5層膜電極アセンブリを製造する方法のステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の本質的な態様および構成要素のみを図に示す。他のすべての態様は、明確にするために省略されている。さらに、同一の参照符号は同一の装置部品/構成要素を示す。
【0063】
図1は、燃料電池、水電解セル、電気化学コンプレッサーおよび電気化学センサーで使用するための3層連続ウェブの形態の3層膜電極アセンブリを製造するための方法ステップを、概略化した装置によって詳細に示しており、膜電極アセンブリは、第1および第2の部分シールと触媒被覆膜(CCM)とからなるシール枠を含んでいる。方法ステップはモジュール1から4に分かれている。この方法は、高速で、信頼性が高く、コスト効率が高い。
【0064】
モジュール1では、第1のシール材1が第1のローラー20からロール材として供給される。第1のシール材1は、その上側に第1の保護フィルム3を備えている。第1のシール材1は、最初に調整され、すなわち、機械横方向Qに対して皺のない状態に配置され、装置の幅に対して中央に配置される。次に、第1の保護フィルム3とともに配置された第1のシール材1は、第3のローラー23aと回転カッター23b(フラットダイカッターまたはレーザーカッターでもよい)とからなる切断装置23に供給される。次いで、第2のローラー21からカバーフィルム2a付きの第1のキャリアフィルム2が供給され、カバーフィルム2aを除去してさらにローラー21aに巻き取った後、第1のシール材1及び第1のキャリアフィルム2をガイドローラー22(一対のローラー)上に案内することにより、第1のシール材1が第1のキャリアフィルム2上に配置される。そして、シール材1のシール材屑を含む保護フィルム3を剥がしながら、剥離ローラー23cを介して第1のシール材1から第1の部分シール6を形成し、この第1の部分シール6は、枠状又は窓枠状の形状を有するため、第1の部分シール6の内周縁内に窓状の切り込みが形成される。シール材が切り取られた第1の保護フィルム3は、第4のローラー24に巻き取られる。
【0065】
モジュール2では、まずマーキング装置25によって第1の部分シール6に基準マークが付けられ、マーキングチェック装置25aによって作成されたマーキングがチェックされる。基準マークは、例えば、パンチング、切断またはレーザー照射によって付けることができる。本方法の有利なさらなる展開例として、窓状の切り抜きが作成されるのと同じ工程で、同じツールによって第1の部分シール6に基準マークが追加作成される。1つの工程で、特に回転切断工程で同じツールを使用して、第1のシール材1に窓状の切り抜きと基準マークを同時に作成することにより、窓状の切り抜きに対する基準マークの正確な位置決めが達成される。基準マーク、ひいては窓状の切り込みの正確な位置は、好ましくはカメラシステムを用いて記録される。基準マークは、センサーまたはカメラシステムを介して後続の工程で検出することができ、他のすべての構成要素、すなわち層アセンブリ7および第2の部分シール8aの位置合わせのためのクロックとして機能し、したがって層アセンブリ7および第2の部分シール8aを第1の部分シール6に対して機械方向Mに位置合わせするためのクロックとして機能する。このようにして、下流側の部品、すなわち層アセンブリ7と第2の部分シール8aの位置合わせに関して、非常に安定したプロセス制御が実現される。基準マークは、カメラおよび/またはセンサーによって検出することができ、層アセンブリ7および第2の部分シール8aを同期させ、タイミングを合わせるための信号を生成する。さらに、層アセンブリ7と第2の部分シール8aが第1の部分シール6に対して正確に位置決めされるように、層アセンブリ7と第2の部分シール8aの送り速度を制御することができる。層アセンブリ7の位置は、特に、機械方向Mにおける層アセンブリ7のエッジを検出し、第1の部分シール6の基準マークの信号と同期可能な信号に変換するカメラシステムによって決定される。
【0066】
さらに、陽極、陰極および介在膜からなる層アセンブリ材4が、ロール材の形態で第5ローラー26から供給される。層アセンブリ材4は、装置の幅に対して機械横方向Qの中央に配置される。機械横方向Qにおける層アセンブリ材4の正確な位置は、追加のガイドローラー22を使用することによって微調整することができる。層アセンブリ材4は、層アセンブリキャリアフィルム5上に供給され、この層アセンブリ材4は、第6のローラー27aと回転カッター27bとからなる切断装置27に供給され、この切断装置27において、層アセンブリ材4から層アセンブリ7が製造され、そのフォーマットは、第1の部分シール6の窓状の切り込みに適合される。特に、層アセンブリ7のフォーマットは、層アセンブリ7の周縁部に第1の部分シール6とのオーバーラップ領域が形成されるように、第1の部分シール6の窓状の切り抜き部のフォーマットよりも大きくなるように選択される。特に、オーバーラップ領域は、層アセンブリ7と枠状シールの気密アセンブリを形成するのに十分大きく、層アセンブリ7の活性領域の損失を最小限に抑えるのに十分小さくなるように選択される。オーバーラップ面積は、好ましくは0.5mmから6mmの範囲であり、より好ましくは1mmから3mmの範囲である。
【0067】
層アセンブリキャリアフィルム5上に配置されたままの層アセンブリ7をガイドローラー22を介して案内することにより、層アセンブリキャリアフィルム5を剥がしながら層アセンブリ7を第1の部分シール6上に配置し、これを第7のローラー28で巻き取る。枠状の第1の部分シール6における層アセンブリ7の正確な位置決めは、第1の部分シール6に付された基準マークに対して層アセンブリ7を位置合わせすることによって達成される。
【0068】
モジュール3では、このように、第1のキャリアフィルム上に第1の部分シール6があり、その上側に層アセンブリ7が配置されている。
【0069】
モジュール3では、第2のシール材8が、第8のローラー28aから第2の保護フィルム9上に供給される。モジュール1とモジュール3の比較から分かるように、第1のシール材1と第2のシール材8は反対方向に案内され、これにより装置の特にコンパクトな設計とレイアウトが達成される。第2のシール材8は、第9ローラー29aと回転カッター29bからなる切断装置29に供給され、切断装置29において、第2のシール材8から第2の保護フィルム9を除去することにより、第2の部分シール8aが製造される、その際、第1の部分シール6の窓状の切り込みが、切断装置29で製造された第2の部分シール8aの窓状の切り込みの上に重なるようにする。層アセンブリは、膜の可能な限り大きな面積が枠状の部分シール6、8aの内側に露出するように、窓状の切り込みの内側に配置される。第2の保護フィルム9は、剥がされた後、第10のローラー29cに巻き取られる。第1の部分シール6について既に説明したように、第2の部分シール8aにも、第1の部分シール6上への第2の部分シール8aの位置決めを容易にするために、基準マークを設けることができる。
【0070】
第1の部分シール6、層アセンブリ7および第2の部分シール8aは、この順序でB方向に1つずつ上に積み重ねられ、本発明の意味におけるアセンブリ10を形成する。
【0071】
モジュール4において、第1および第2の部分シール6、8aは、固定具30において、特に、センサーDによって現在までに製造された層アセンブリ7をチェックした後に、層アセンブリ7と共に固定される。この目的のために、接着剤は、第1の部分シール6、層アセンブリ7および第2の部分シール8aが互いの上に配置された後に、接着剤が、互いの上に配置されている第1および第2の部分シール6、8aの間に配置されるように、第1のシール材1上および/または第2のシール材8上に配置される。その後、接着剤は熱的に活性化され、例えば、加熱された一対の押圧ジョーとして設計することができる固定具30内でアセンブリ10が圧縮され、キャリアフィルム2上の連続ロールとしてフレーム形状のシールを有する膜電極アセンブリ11が得られる。接着剤は、層アセンブリ7およびシール枠の、物理的に接着され、機械的に安定し、気密な複合体を得るために使用される。
【0072】
部分シールを固定し、シール枠を製造するための一対の押圧ジョー、または固定するための一対の任意のローラーは、異なる材料で製造することができ、材料は、特に、金属、ゴム、ゴム引きされた金属、または被覆された金属の群から選択される。材料はまた、連続ウェブアセンブリ10が押圧ジョーまたはローラーに付着しないように選択される。押圧ジョーまたはローラーの材質は、固定時に圧力が均質に分布し、部分シールおよび層アセンブリのオーバーラップ部分の厚さの差が均等になるように設計される。コーティングは、例えばバイトンやPTFEから選択される。
【0073】
さらに、一対の押圧ジョーの上下の押圧ジョーの温度、又は一対のローラーの上下のローラーの温度は、異なっていてよい。特に、それぞれの下部要素の温度は40℃と160℃の間、好ましくは50℃と140℃の間であり、それぞれの上部要素の温度は80℃と200℃の間、好ましくは100℃と180℃の間である。さらに、特に一対の押圧ジョーまたは一対のローラーは、0.05MPaと10MPaの間、好ましくは0.15MPaと5MPaの間、さらに好ましくは0.25MPaと3MPaの間の圧力を発生させる。このようにして、接着剤の十分な活性化が達成され、層アセンブリと第1および第2の部分シールとの間の物質的に接着された気泡のない接続が達成される。
【0074】
本方法の有利なさらなる展開例として、一対の押圧ジョーがレール上を移動するように配置されている。これにより、2つの部分シールのシール工程が連続ウェブの機械方向Mへの移動に追従するので、連続工程制御が容易になる。連続的なプロセス制御は特に効率的であり、また、ウェブの周期的な停止と開始という意味でのウェブの移動の中断が回避されるため、方法の精度が向上する。
【0075】
方法のさらに有利な展開例において、層アセンブリと第1および第2の部分シールの複合体、いわゆるアセンブリは、冷却されたコンベアベルト上の一対の押圧ジョーまたは一対のローラー間に固定された後に冷却される。この工程は、接着剤を硬化させ、部分シールの切断能力を向上させる。
【0076】
連続ロールとして得られた枠状シールを有する膜電極アセンブリ11は、その後、第11のローラー29dに巻き取ることができる。これは、膜電極アセンブリ11が第1のキャリアフィルム2上に依然として存在するため、可能である。
【0077】
有利なことに、例として提供された装置A、B、C、E、FおよびGにおいて、データマトリクスコード(DataMatrixCode)が適用され、かつ、制御され得る。この目的のために、例えば、装置Aにおいてデータマトリクスコードを適用することができ、装置Bにおいてデータマトリクスコードのチェックを行うことができ、装置CにおいてQC-CCM、すなわち光学検査システムによる膜電極アセンブリ7(CCM)の品質管理を行うことができ、装置EにおいてQC-3-L、すなわち光学検査システムによる3層膜電極アセンブリ7(CCM)の品質管理を行うことができる。すなわち、例えば光学検査システムによる3層MEA(両面)の品質管理であり、これにより、層アセンブリと第1および第2の部分シールの複合体の品質および/またはガス漏れ試験が可能になる。さらに、欠陥マーキング用装置Fを設けることもでき、および/または欠陥マーク検証を装置Gで実施することもできる。
【0078】
図1に示すように、この方法は、3層膜電極アセンブリ(陽極および陰極を有する膜)の連続ウェブの製造につながり、プロセス制御における効率、自動化および輸送の点で、従来の方法に対する利点を示し、連続的な、したがって時間効率的なコンポーネントガイダンスおよび処理を常に保証する。
【0079】
製造された3層膜電極アセンブリ11では、陽極、陰極、および陽極と陰極との間に位置する膜、特に陽子伝導膜の複合体とみなされる触媒被覆膜が与えられる。触媒被覆膜は、連続ウェブ、言い換えればロール状(連続ウェブを巻き取った後)であり、特別に設計されたシール枠によって取り囲まれている。
【0080】
図2は、燃料電池、水電解セル、電気化学コンプレッサーおよび電気化学センサーに使用するための5層連続ウェブの形態の5層膜電極アセンブリ45の製造のための方法ステップを、概略化した装置によって詳細に示しており、膜電極アセンブリ45は、ガス拡散層とともに、第1および第2の部分シールおよび触媒被覆膜(CCM)を含むシール枠を有する。方法ステップはモジュール5から8に分かれている。この方法は、高速で、信頼性が高く、コスト効率が高く、ほぼ自動化できる。
【0081】
図2に示す方法では、
図1に示す概略化した第1の方法および装置に従って製造された3層膜電極アセンブリ11を使用することができる。ここで不可欠なことは、使用する膜電極アセンブリが、膜と、膜の対向する側で膜を挟む陽極および陰極と、膜を囲むシール枠とを有し、第1のキャリアフィルム2に支持されたロール材として存在することである。
【0082】
モジュール5において、連続ロール材として得られた膜電極アレイ11は、第11ローラー29d上の第1キャリアフィルム2上に存在し、第11ローラー29dから繰り出され、それらのアセンブリがセンサーHによってチェックされ、第1接着剤塗布装置31に供給され、膜電極アレイ11の露出した上面に、フレーム状シールの少なくとも部分領域を覆う接着剤が塗布され、その後、接着剤の硬化装置32において硬化される。接着剤塗布装置31と硬化装置32の間の縦線は保護装置32aを表し、接着剤が早期に固化しないように保護する。
【0083】
接着剤は、特に、空気硬化型接着剤、熱活性化型接着剤、光活性化型接着剤、紫外線活性化型接着剤、または2液型接着剤の群から選択される。接着剤は、単一の塗布システムによって、あるいは2つの塗布システムによって、それぞれがL字型の接着剤パターンを塗布することによって、あるいは複数の塗布システムによって、それぞれが線状の接着剤パターンを塗布することによって、枠状シールの窓状切り込みの周縁部に塗布することができる。塗布システムは、当業者には周知のシステムであり、窓状の切り込みの周縁部に接着剤を塗布するのに適したポンプとノズルのシステムとして理解することができる。
【0084】
次に、モジュール6aにおいて、第2のキャリアフィルム48が、保護のためのカバーフィルム49が設けられた第13のローラー46から繰り出される。カバーフィルム49は、一対のローラー22を通過する際に除去され、第14のローラー47で巻き取られる。
【0085】
さらに、モジュール6aにおいて、準備され調整されたガス拡散層12が、マガジン33から第2のキャリアフィルム48に移され、ガス拡散層塗布装置34に供給され、このガス拡散層塗布装置34において、ガス拡散層12が、接着剤が設けられた膜電極アセンブリ11の上面に供給され、押圧装置38で押圧される。押圧装置38を通過した後、第1キャリアフィルム2は剥離され、第12ローラー29eに巻き取られる。
【0086】
次に、モジュール6bの膜電極アセンブリが第2の接着剤塗布装置35に供給され、そこで接着剤が膜電極アセンブリの露出した第2の上面側に塗布される。次いで、さらなるガス拡散層12がマガジン36から、接着剤が塗布された膜電極アセンブリの第2の上面側に供給される。その後、ガス拡散層12は、第15ローラー38によって膜電極アセンブリ11に押し付けられる。膜電極アセンブリ11とガス拡散層12は、真空搬送ベルト37によって第1の上面側に保持され、ガス拡散層12を有する膜電極アセンブリ11がさらに搬送される間保持され、膜電極アセンブリ11の下側と下側のガス拡散層12が露出する。
【0087】
さらに、部分シールの窓状の切り込みの位置がセンサーHによって検出され、真空コンベアベルト37上の第1のガス拡散層12の位置決めが、機械方向Mおよび機械横方向Qにおける窓状または枠状の切り込みの位置に適合され得る。これにより、第1のガス拡散層12の窓状の切り込みに対する正確な位置決めが可能となり、高出力密度で長寿命の複合体が得られる。
【0088】
モジュール7では、ガス拡散層12を備える膜電極アセンブリの最終的な輪郭の切断が、キャリアフィルム1が損傷しないように、ひいてはガス拡散層12を備える膜電極アセンブリが依然として第1のキャリアフィルム1上に配置されるように、切断装置39によって実施される。膜電極アセンブリは、切断装置39によって互いに分離されて単一化のために準備されるか、または分離されずにロール材として利用され続けることができる。さらに、品質管理はカメラシステム40によって行われ、このカメラシステム40は、切断品質と窓状の切り込みの寸法をチェックするカメラで構成され、その結果、妥当な正しいツールの使用が保証される。
【0089】
ガス拡散層12を備えた膜電極アセンブリ45は、搬送媒体41上で搬送され、第2キャリアフィルム48は、第16ローラー42上で巻き取られることによって膜電極アセンブリから除去され、完成した膜電極アセンブリ45は、カメラシステム43によってモジュール8内で最終品質管理された後、その品質が十分でない場合には選別されるか、品質が十分である場合には、さらなる加工または貯蔵のために貯蔵容器44にストックされる。別のカメラシステム43を、連続ウェブの上下に取り付けることもでき、層アセンブリと第1の部分シールの位置合わせ、および層アセンブリと第2の部分シールとの位置合わせをチェックする。これにより、第1および第2の部分シールの窓状の切り込みが一致して配置されていることが保証される。さらに、このカメラシステムは、シワや気泡がないことに関して、エッジフィルムの予備固定の品質をチェックすることができる。さらに、追加のカメラ(QCカメラ)により、層アセンブリと第1および第2の部分シールの密封された複合体の品質を、気泡やしわがないことに関してチェックすることができる。
【0090】
また、
図2に示す方法またはこの方法を実施するための概略化された装置によれば、この方法は、現在では5層(陰極、陽極および2つのガス拡散層を有する膜)である膜電極アセンブリの連続ウェブの製造をもたらし、プロセス制御における効率、自動化および輸送の点で、従来の方法に対する利点を示し、これにより、連続的な、したがって時間効率的なコンポーネントガイダンスおよび処理が常に確保される。
【0091】
製造された5層膜電極アセンブリでは、触媒被覆膜とガス拡散層が存在し、これらは正確に位置決めされている。5層膜電極アセンブリは、ロール上の連続ウェブの形態であるか、またはさらなる処理のためにサイズに切断することができる。
【0092】
図2に示す装置は、最終的な輪郭カットを有する3層膜電極アセンブリを提供するために代替的に使用することができる。この場合、ガス拡散層はマガジン33および36から搬送されない。
【0093】
本発明の上述の詳細な説明に加えて、その補足的な開示のために、
図1および
図2の図面を明示的に参照する。
【符号の説明】
【0094】
1 第1シール材
2 第1キャリアフィルム
2a カバーフィルム
3 第1保護フィルム
4 層アセンブリ材
5 層アセンブリキャリアフィルム
6 第1部分シール
7 層アセンブリ材
8 第2シール材
8a 第2の部分シール
9 第2の保護フィルム
10 アセンブリ
11 膜電極アセンブリ
12 ガス拡散層
20 第1ローラー
21 第2ローラー
21a 他のローラー
22 ガイドローラー
23 切断装置
23a 第3ローラー
23b 回転刃
23c 剥離ローラー
24 第4ローラー
25 マーキング装置
26 第5ローラー
27 切断装置
27a 第6ローラー
27b 回転カッター
28 第7ローラー
28a 第8ローラー
29 切断装置
29a 第9ローラー
29b 回転刃
29c 第10ローラー
29d 第11ローラー
29e 第12ローラー
30 固定具
31 第1接着剤塗布装置
32 硬化装置
32a 保護装置
33 マガジン
34 ガス拡散層塗布装置
35 第2接着剤塗布装置
36 マガジン
37 真空搬送ベルト
38 第15ローラー
39 切断装置
40 カメラシステム
41 搬送媒体
42 第16ローラー
43 カメラシステム
44 保管容器
45 ガス拡散層付き膜電極アセンブリ
46 第13ローラー
47 第14ローラー
48 第2キャリアフィルム
49 カバーフィルム
A データマトリクスコードを適用する装置
B データマトリクスコードをチェックする装置
C 膜電極アレイの品質管理装置
D センサー
E 3層膜電極アレイの品質管理装置
F 欠陥マーキング装置
G 欠陥マーク検証装置
H センサー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続ウェブの形態の膜電極アセンブリ(11)の製造方法であって、前記膜電極アセンブリ(11)の各々は、陽極と陰極との間に配置された膜を有する層アセンブリ(7)と、枠状シールによって取り囲まれている前記層アセンブリ(7)の内側領域が露出するように、前記層アセンブリ(7)の少なくとも外縁を取り囲む枠状シールとを有し、当該製造方法は、
第1のシール材(1)をロール材として提供する工程であって、前記第1のシール材(1)が第1の保護フィルム(3)上に配置されている、工程と、
第2のシール材(8)をロール材として提供する工程であって、前記第2のシール材(8)が第2の保護フィルム(9)上に配置されている、工程と、
前記第1の保護フィルム(3)が損傷しないように、前記第1のシール材(1)から第1の枠状の部分シール(6)を生成する工程と、
前記第1の部分シール(6)上に第1のキャリアフィルム(2)を配置する工程と、
前記第2の保護フィルム(9)が損傷しないように、前記第2のシール材(8)から第2の枠状の部分シール(8a)を生成するする工程と、
前記第1の保護フィルム(3)を剥がしながら、第1の搬送媒体上に配置されているウェブ状の搬送材上に、前記第1の枠状の部分シール(6)を供給して堆積する工程と、
陽極、陰極およびそれらの間の膜からなる層アセンブリ材(4)をロール材として提供する工程と、
前記層アセンブリ材(4)から層アセンブリ(7)を所定サイズに切断する工程と、
搬送材上に配置されている前記第1の枠状の部分シール(6)上に、層アセンブリ(7)を堆積する工程と、
前記第1の枠状の部分シール(6)の窓状の切り込みと前記第2の枠状の部分シール(8a)の窓状の切り込みとが一致するように配置されてアセンブリ(10)が得られるように、前記第2の
保護フィルム(9)を除去しながら、前記第1の枠状の部分シール(6)上に配置されている前記層アセンブリ(7)上に、前記第2の枠状の部分シール(8a)を供給し堆積する工程であって、ここで、前記第1の部分シール(6)、前記層アセンブリ(7)および前記第2の部分シール(8a)が互いの上に配置された後、接着剤または放射線硬化性剤が、互いの上に配置されている前記第1および第2の部分シール(6、8a)の間に配置されるように、前記第1のシール材(1)上および/または前記第2のシール材(8)上に、接着剤が配置されるか、または放射線硬化性剤が配置される、ところの工程と、
前記接着剤を熱的に活性化させるか、または前記放射線硬化性剤を放射線硬化させる工程と、
連続ロール材として、枠状のシールを有する膜電極アセンブリ(11)を得るべく、前記ウェブ状の搬送材上に配置されたアセンブリ(10)を圧縮する工程と
を備える膜電極アセンブリ(11)の製造方法。
【請求項2】
第1および第2の枠状の部分シール(6、8a)を生成する工程は、回転打ち抜き、平打ち抜き、またはレーザー切断によって、前記第1のシール材(1)および前記第2のシール材(8)から窓状の切り込みを形成することにより実行される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1のシール材(1)および前記第2のシール材(8)は反対方向に案内され、および/または
前記第1の部分シール材(6)および前記第2の部分シール材(8a)は、前記接着剤が熱活性化するかまたは前記放射線硬化性剤が放射線硬化する前に、一対のローラーを介して案内されることにより、予め固定され、少なくともひとつのローラーが弾性材により実装されている、
請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記熱活性化または放射線硬化および圧縮は、熱エネルギーおよび圧力または放射線および圧力が前記アセンブリ(10)に印加される固定具(30)を通じて前記アセンブリ(10)を案内することによって実現される、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記固定具(30)は、80℃から160℃、好ましくは100℃から140℃の温度に加熱され、熱エネルギーが対称的または非対称的に印加されるか、または450nmから100nm、好ましくは420nmから365nmの波長範囲の放射線が、前記アセンブリ(10)の露出した上面および露出した下面に照射される、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記固定具(30)によって前記アセンブリ(10)に印可されている前記圧力が、0.05MPaから10MPa、好ましくは0.15MPaから5MPa、より好ましくは0.25MPaから3MPaである、請求項4または5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記圧縮は、0.006秒から60秒、好ましくは0.2秒から120秒、より好ましくは0.25秒~5秒の間実行され、および/または
前記層アセンブリ材(4)からの層アセンブリ(7)の所望のサイズへの前記切断は、前記枠状の第1および第2の部分シールによって囲まれる前記層アセンブリ(7)の面積が、前記第1および第2の部分シール(6、8a)の前記窓状の切り込みよりも大きくなるように実行され、および/または
切断された前記層アセンブリ(7)は、それが前記第1の枠状の部分シール(6)上に堆積される前に、搬送媒体上に搬送され、個々の層アセンブリ(7)が互いに間隔をあけられるように、第1の搬送媒体から第2の搬送媒体上へ搬送される、
請求項1、2、4、および5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記層アセンブリ材(4)は、層アセンブリキャリアフィルム(5)をさらに有し、前記層アセンブリ(7)の所定のサイズへの切断は、前記層アセンブリキャリアフィルム(5)が2つに切断されないように行われる、
請求項1、2、4、および5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記層アセンブリキャリアフィルム(5)は、前記層アセンブリ(7)が前記第1の枠状の部分シール(6)上に堆積される前に、90°を超える角度、好ましくは105°を超える角度、より好ましくは120°を超える角度で、前記層アセンブリ(7)から除去される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1のシール材(1)における前記第1の枠状の部分シール(6)の生成中に、追加で、前記第1の部分シール(6)、前記層アセンブリ(7)、および前記第2の部分シール(8a)を機械方向(M)において互いに対して整列させるために、基準マークが生成され、および/または
当該製造方法は、前記第1の搬送媒体の幅を前記第1のキャリアフィルム(2)の幅に調整する工程を有し、および/または
前記第1の搬送媒体のウェブ速度は、0.1m/分と100m/分との間、好ましくは0.5m/分と50m/分との間、より好ましくは1m/分と40m/分との間であり、および/または
圧縮後に前記膜電極アセンブリ(11)は冷却され、および/または
前記第1の保護フィルム(3)が前記第1のシール材(1)の露出面側に設けられ、および/または前記第2の保護フィルム(9)が前記第2のシール材(8)の露出面側に設けられ、前記第1の保護フィルム(3)および/または前記第2の保護フィルム(9)を前記第1または第2の枠状の部分シール(6)から取り外す際に、前記枠状の部分シール(6、8a)は高い精度の位置決めで案内され、および/または
前記アセンブリ(10)の圧縮後、前記膜電極アセンブリ(11)は最終的な輪郭で切断され、および/または
最終的な輪郭の切断の有無にかかわらず、前記膜電極アセンブリ(11)は、前記第1のキャリアフィルム(2)上に残るか、またはピースグッズとして単一化され、前記第1のキャリアフィルム(2)から分離されて積み重ねられ、および/または
各膜電極アセンブリ(11)が明確にラベル付けまたはマーキングされ、前記ラベルが一貫性および品質の同定のためにチェックされ、および/または
各処理シーケンスの後に、得られた前記膜電極アセンブリ(11)の品質が検査システムによってチェックされ、部品に欠陥がある場合には、後続のさらなる処理工程で、欠陥のある膜電極アセンブリ(11)を検出し、選別できるように、欠陥マークが、好ましくはラベリングに付される、ことを特徴とする
請求項1、2、4、および5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
連続ウェブの形態の膜電極アセンブリ(45)の製造方法であって、前記膜電極アセンブリ(45)の各々は、陽極と陰極との間に配置された膜を有する層アセンブリ(7)と、枠状シールによって取り囲まれている前記層アセンブリ(7)の内側領域が露出するように、前記層アセンブリ(7)の少なくとも外縁を取り囲む枠状シールと、ガス拡散層(12)とを有し、当該製造方法は、
陽極、陰極、およびそれらの間に配置された膜、ならびに前記膜電極アセンブリ(11)の少なくとも外縁を取り囲むシール枠を有する、ロール材の形態の膜電極アセンブリ(11)を提供する工程と、
前記膜電極アセンブリ(11)の第1の面側に第1のガス拡散層(12)を配置し、および/または前記膜電極アセンブリ(11)の第2の面側に第2のガス拡散層(12)を配置する工程と
を備える膜電極アセンブリ(45)の製造方法。
【請求項12】
前記第1のガス拡散層(12)および/または前記第2のガス拡散層(12)を配置する前に、前記膜電極アセンブリ(11)の前記第1の面側のエッジ領域および/または前記膜電極アセンブリ(11)の前記第2の面側のエッジ領域に、接着剤、接着促進剤または両面接着フィルムが適用されるか、または前記枠状シールが軟化される、ことを特徴する請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
特に100~200℃、好ましくは140~180℃の温度を印加し、0.5~5MPa、好ましくは1.0~5.0MPaの圧力を印加しながら、前記膜電極アセンブリ(11)の前記第1および/または第2の面上に、前記第1および/または第2のガス拡散層(12)を固定する工程を含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記膜電極アセンブリ(11)の搬送方向と前記第1のガス拡散層(12)の搬送方向とが反対方向、および/または水平方向である、請求項
11から
13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記第1および第2のガス拡散層(12)を備える前記膜電極アセンブリ(45)が、封止固定ユニット内に配置され、かつ、前記膜電極アセンブリ(45)のそれぞれのガス気密性が試験ガスを用いて決定され、および/または
前記アセンブリ(10)の前記圧縮の後、または前記膜電極アセンブリ(11)の前記第1の面上に前記第1のガス拡散層(12)を配置し、かつ、固定した後、および/または、前記膜電極アセンブリ(11)の前記第2の面上に前記第2のガス拡散層(12)を配置し、かつ、固定した後、前記膜電極アセンブリ(11)が最終的な輪郭で切断され、および/または
前記膜電極アセンブリ(11、45)は、最終的な輪郭で切断されるか、または切断されずに、第2のキャリアフィルム(48)上に残るか、またはピースグッズとして単一化され、前記第2のキャリアフィルム(48)から分離され、かつ、積み重ねられ、および/または
各膜電極アセンブリ(45)には一意的にラベルまたはマークが付けられ、前記ラベルが、一貫性および品質を同定するのにチェックされ、および/または
各工程シーケンスの後、得られた前記膜電極アセンブリ(45)の品質が検査システム(40、43)によりチェックされ、部品に欠陥がある場合、部品の欠陥の検出および後続のさらなる処理工程での選別が可能となるように、欠陥マークが、好ましくは前記ラベルに付される、ことを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の製造方法。
【国際調査報告】