IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ ハーシー カンパニーの特許一覧

特表2024-533410減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法
<>
  • 特表-減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法 図1A
  • 特表-減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法 図1B
  • 特表-減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法 図2
  • 特表-減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法 図3
  • 特表-減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法 図4
  • 特表-減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法 図5
  • 特表-減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法 図6
  • 特表-減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法 図7
  • 特表-減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】減糖ミルクチョコレート菓子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 1/40 20060101AFI20240905BHJP
   A23G 1/54 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A23G1/40
A23G1/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515528
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022076359
(87)【国際公開番号】W WO2023044305
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/243,990
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397007354
【氏名又は名称】ザ ハーシー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】セント ジョン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シャオイン
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB01
4B014GB04
4B014GG06
4B014GG11
4B014GG14
4B014GK03
4B014GK07
4B014GL06
4B014GL10
4B014GL11
4B014GP27
(57)【要約】
本開示は、アルロースなどの少なくとも1種の希少糖を含む、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子および菓子製品、当該菓子および菓子製品が望ましいレオロジー特性および官能特性、ならびに経時的に安定した粘度を有するそれらの製造方法に関する。本開示はまた、アルロースなどの少なくとも1つの希少糖を含む糖含量を低減したミルクチョコレート菓子の製造中の濃化を防止し、経時的に安定した粘度を維持することにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖含量を低減したミルクチョコレート菓子製品であって、
脂肪と、
少なくとも1種の希少糖、または少なくとも1種の希少糖と少なくとも1種の標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料であって、前記少なくとも1種の希少糖が、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、D-マンノース、トレハロース、およびコージビオースからなる群より選択される甘味料と、
乳成分と、
カカオ成分と、
乳化剤/界面活性剤と、
任意のバルクフィラーおよび/または香料と、を含み、
前記ミルクチョコレート菓子製品は、NCA/CMA Casson回帰モデルを使用した場合、40℃で500~10,000cpの安定した塑性粘度を有し、NCA/CMA Casson回帰モデルを使用した場合、40℃で1~150ダイン/cmの安定した降伏値を有し、
前記塑性粘度が約100°F(38℃)~約120°F(49℃)の温度で少なくとも1か月間安定している、ミルクチョコレート菓子製品。
【請求項2】
さらに、40℃、20rpmでの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計による測定)が1,000~15,000cpである、請求項1に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【請求項3】
前記少なくとも1種の希少糖がアルロースを含み、前記乳化剤/界面活性剤が、レシチン、PGPR、AMP、およびそれらの組み合わせまたは混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【請求項4】
前記アルロースの表面積が、25ミクロンのミルクチョコレートのロール精製アルロースの70%未満である(粒度分布分析により推定)、請求項3に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【請求項5】
脂肪含量が約30重量%以上である、請求項3に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【請求項6】
水分含量が約1.5重量%未満である、請求項3に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【請求項7】
前記乳化剤/界面活性剤が、含有量が約0.2重量%~約0.9重量%のレシチン、含有量が約0.1重量%~約0.3重量%のPGPR、またはレシチンとPGPRとの組み合わせを含み、前記組み合わせのレシチンの含有量が約0.6重量%であり、PGPRの含有量が約0.2重量%である、請求項3に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【請求項8】
前記乳化剤/界面活性剤が、含有量が約0.1重量%~約0.7重量%のAMP、またはAMPとPGPRとの組み合わせを含み、前記組み合わせのAMPの含有量が約0.4%であり、PGPRの含有量が約0.3重量%である、請求項3に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【請求項9】
糖含量を低減したミルクチョコレート菓子製品を製造する方法であって、
脂肪と、少なくとも1つの希少糖、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料とを混合して脂肪/甘味料混合物を得ることであって、前記少なくとも1つの希少糖が、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、およびD-マンノースからなる群から選択されることと、
前記脂肪/甘味料混合物を精製して45μm未満の粒子サイズとすることと、
水および乳化剤/界面活性剤を前記脂肪/甘味料混合物に添加し、乾燥することと、
無糖チョコレート、ミルクチョコレート菓子用の少なくとも1つの乳成分、およびチョコレート製造成分を別々に混合してチョコレート混合物を得、前記チョコレート混合物を精製して45μm未満の粒子サイズとすることと、
前記精製された脂肪/甘味料混合物と前記精製されたチョコレート混合物とを組み合わせることとを含み、
前記ミルクチョコレート菓子製品は、NCA/CMA Casson回帰モデルを使用した40℃での安定した塑性粘度が500~10,000cpであり、NCA/CMA Casson回帰モデルを使用した40℃での安定した降伏値が1~150ダイン/cmであり、
前記塑性粘度が、少なくとも約100°F(38℃)~約120°F(49℃)の温度で少なくとも1か月安定している、方法。
【請求項10】
さらに、前記ミルクチョコレート菓子製品の40℃、20rpmにおける見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計により測定)が1,000~15,000cpである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの希少糖がアルロースを含み、前記乳化剤/界面活性剤がレシチン、PGPR、AMP、およびそれらの組み合わせまたは混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記アルロースの表面積が、25ミクロンのミルクチョコレートのロール精製アルロースの70%未満である(粒度分布分析により推定)、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
脂肪含量が約30重量%以上である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
総含水量が約1.5重量%未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記乳化剤/界面活性剤が、含有量が約0.2重量%~約0.9重量%のレシチン、または含有量約0.1重量%~約0.3重量%のPGPR、またはレシチンとPGPRとの組み合わせを含み、前記組み合わせのレシチンの含有量が約0.6重量%であり、PGPRの含有量が約0.2重量%である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記乳化剤/界面活性剤が、含有量が約0.1重量%~約0.7重量%のAMP、またはAMPとPGPRとの組み合わせを含み、前記組み合わせのAMPの含有量が約0.4重量%であり、PGPRの含有量が約0.3重量%である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの希少糖、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料を含むミルクチョコレートの濃化を防止または抑制する方法であって、前記方法が、
前記少なくとも1つの希少糖の粒子の総表面積を減少させること、約30重量%以上の量の脂肪を添加すること、乳化剤/界面活性剤を前記ミルクチョコレートに過剰投入すること、および/または前記ミルクチョコレートの総水分を1.5%未満に調整することを含み、前記少なくとも1つの希少糖が、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、D-マンノース、トレハロース、およびコージビオースからなる群から選択され、
前記ミルクチョコレートは、NCA/CMA Casson 回帰モデルを使用した40℃で安定した塑性粘度が500~10,000cpであり、NCA/CMA Casson 回帰モデルを使用した40℃で安定した降伏値が1~150ダイン/cmであり、
前記塑性粘度は、約100°F(38℃)~約120°F(49℃)の温度で少なくとも1か月間安定している、方法。
【請求項18】
さらに、前記ミルクチョコレートの40℃、20rpmでの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計により測定)が1,000~15,0000cpである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記希少糖がアルロースである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記アルロースの表面積が、25ミクロンのミルクチョコレートのロール精製アルロースの70%未満(粒度分布分析によって推定される)である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記乳化剤/界面活性剤が、レシチン、PGPR、AMP、およびそれらの組み合わせまたは混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記乳化剤/界面活性剤が、含有量が約0.2重量%~約0.9重量%のレシチン、または含有量約0.1重量%~約0.3重量%のPGPR、またはレシチンとPGPRとの組み合わせを含み、前記組み合わせのレシチンの含有量が約0.6重量%であり、PGPRの含有量が約0.2重量%である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記乳化剤/界面活性剤が、含有量が約0.1重量%~約0.7重量%のAMP、またはAMPとPGPRとの組み合わせを含み、前記組み合わせのAMPの含有量が約0.4重量%であり、PGPRの含有量が約0.3重量%である、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2021年9月14日に出願された米国仮特許出願第63/243,990号の利益を主張し、その全内容は参照により本願に援用される。
[技術分野]
【0002】
本開示は、一般に、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子および菓子製品、ならびにそれらの製造方法に関する。本開示はまた、アルロースなどの少なくとも1つの希少糖を含む糖含量を低減したミルクチョコレート菓子および菓子製品の製造中の濃化を防止する方法にも関する。
[背景]
【0003】
消費者がより健康的なスナックの選択肢を求める中、健康的な食事のトレンドにより、無糖/減糖のカテゴリーにおけるイノベーションが推進されている。ミルクチョコレートは、米国で消費される最も人気のあるチョコレートまたはチョコレートキャンディである。したがって、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子は、広くアピールできるであろう。ミルクチョコレートの場合、砂糖の低減は一般的に糖アルコールを使用して行われるが、これが望ましくない下剤効果を引き起こすことがある。さらに、糖アルコールを含むミルクチョコレートは、ほとんどの国で「アイデンティティ基準」(Sol)のハードルを満たさない。つまり、「アイデンティティ基準」チョコレートでは糖アルコールが許可されていないため、糖アルコールを含むミルクチョコレートには「ミルクチョコレート」と表示できない。結果として、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子製品のための非ポリオール糖代替品を見つけることが望まれている。
[概要]
【0004】
本開示は、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子およびミルクチョコレート菓子製品を提供する。本開示のミルクチョコレート菓子および菓子製品は、脂肪と、少なくとも1つの希少糖(希少糖同士の組み合わせを含む)または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料と、乳成分と、カカオ成分と、乳化剤/界面活性剤と、任意のバルクフィラーおよび/または香料とを含む。少なくとも1つの希少糖は、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、D-マンノース、トレハロース、およびコージビオースからなる群から選択される。ミルクチョコレート菓子製品は、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で500~10,000cpの安定した塑性粘度を有し、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で1~150ダイン/cmの安定した降伏値を示す。ミルクチョコレート菓子製品はさらに、40℃および20rpmで1,000~15,000cpの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計で測定)を有し得る。
【0005】
本開示による、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子製品を製造する方法は、脂肪と、少なくとも1つの希少糖(希少糖同士の組み合わせを含む)または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料とを混合して脂肪/甘味料混合物を得ることと、脂肪/甘味料混合物を精製して45μm未満の粒子サイズとすることと、脂肪/甘味料の混合物に水および界面活性剤を加えて乾燥させることとを含む。少なくとも1つの希少糖は、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、およびD-マンノースからなる群から選択される。別途、無糖チョコレート、ミルクチョコレート菓子用の乳成分、およびチョコレート製造成分を混合してチョコレート混合物を得、そのチョコレート混合物を精製して45μm未満の粒子サイズとする。精製された脂肪/甘味料混合物と精製されたチョコレート混合物を組み合わせる。ミルクチョコレート菓子製品は、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で500~10,000cpの安定した塑性粘度を有し、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で1~150ダイン/cmの安定した降伏値を示す。ミルクチョコレート菓子製品はさらに、40℃および20rpmで1,000~15,000cpの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計で測定)を有し得る。
【0006】
希少糖を含む安定したミルクチョコレート菓子を製造する他の方法には、ミルクチョコレートの脂肪レベルを(重量比)30%以上に増やすこと、ミルクチョコレートに乳化剤/界面活性剤を過剰投入すること、およびミルクチョコレートの総水分を1.5%(重量比)未満にすることが含まれる。
【0007】
本開示は、少なくとも1つの希少糖を含むミルクチョコレートの濃化を防止または抑制する方法も提供する。この方法は、少なくとも1つの希少糖の粒子の総表面積を減少させること、約30重量%以上の量の脂肪を添加すること、および/またはミルクチョコレートの総水分を1.5%未満に調整することを含む。ミルクチョコレートはNCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で500~10,000cpの安定した塑性粘度を有し、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で1~150ダイン/cmの安定した降伏値を示す。ミルクチョコレートはさらに、40℃および20rpmで1,000~15,000cpの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計により測定)を有し得る。いくつかの例では、少なくとも1つの希少糖は、他の希少糖と組み合わされるか、または少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質と組み合わされる。いくつかの例では、少なくとも1つの希少糖は、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、D-マンノース、トレハロース、コージビオースからなる群から選択される。
【0008】
実施形態の様々な利点は、以下の明細書および添付の特許請求の範囲を読み、以下の図面を参照することによって、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aおよび図1Bは、アルロースを含有する濃厚ミルクチョコレートを示す。
図1B図1Aおよび図1Bは、アルロースを含有する濃厚ミルクチョコレートを示す。
図2図2は、本開示による、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子製品の製造工程を示す図である。
図3図3は、本開示による、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子製品の製造工程を示す図である。
図4】前処理された精製アルロースおよびカカオバターの結晶領域を示すSEM顕微鏡写真である。
図5】水およびレシチンで処理した後の粉砕アルロースおよびカカオバターの結晶領域を示すSEM顕微鏡写真である。
図6】本開示のチョコレート菓子製品の初期見かけ粘度と50℃で4週間保存した後の見かけ粘度との比較を示すグラフである。
図7】本開示のチョコレート菓子製品の初期塑性粘度と50℃で4週間保存した後の塑性粘度との比較を示すグラフである。
図8】本開示のチョコレート菓子製品の初期降伏値と50℃で4週間保存した後の降伏値との比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子およびミルクチョコレート菓子製品、ならびにそれらの製造方法を提供する。希少糖は、消費者が望む味および食感の特性を提供しながら、栄養表示の糖含量レベルを下げることを可能にする甘味成分である。成功するには、少なくとも1つの希少糖(希少糖同士の組み合わせを含む)を含むミルクチョコレートが、典型的なチョコレート加工システム内で機能する典型的なミルクチョコレートと同様のレオロジー特性、つまり流動特性を備えている必要がある。少なくとも1つの希少糖を含むミルクチョコレートは、NCA/CMA Casson回帰モデルを使用した典型的なミルクチョコレートの40℃での塑性粘度および降伏値、それぞれ500~10,000cpおよび1~150ダイン/cmの範囲、を満たす必要がある。本開示の目的上、「ミルクチョコレート菓子(milk chocolate confection)」または「ミルクチョコレート菓子(milk chocolate confections)」および「ミルクチョコレート菓子製品(milk chocolate confectionery product)」または「ミルクチョコレート菓子製品(milk chocolate confectionery products)」は互換的に使用される。
【0011】
本発明者らは、アルロースなどの少なくとも1つの希少糖で甘味付けされたミルクチョコレートは、中程度の温度(100°F(38℃)~120°F(49℃))で長期間保持された後の典型的なミルクチョコレートと粘度が著しく異なることを発見した。たとえば、アルロースなどの少なくとも1種類の希少糖で甘味付けされたミルクチョコレートは、わずか数日間で油分がかなり分離した濃厚で乾燥した塊になり、再均質化すると、ミルクチョコレートは、ミルクチョコレートの製造直後に観察された粘度よりも、7日間にわたって7%~200%以上高い粘度を維持することが観察されている。レオロジー特性(すなわち、見かけ粘度および塑性粘度および降伏値)が典型的なチョコレートの許容範囲を超えて増加した場合、あるいは測定された特性が最初の2週間の保存で200%以上増加すると、加工が困難になるか、またはチョコレートが使用できなくなる可能性がある。アルロースのみで甘味付けされたミルクチョコレートを示す図1Aおよび図1Bを参照されたい。
【0012】
この問題に対処するために、本開示は、少なくとも1つの希少糖を含むミルクチョコレートの濃化を防止または抑制する方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの希少糖(希少糖同士の組み合わせを含む)、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料の粒子の総表面積を減少させること、約30重量%以上の量の脂肪を添加すること、ミルクチョコレートに界面活性剤を過剰投入すること、およびミルクチョコレートの総水分を1.5%未満に調整することを含む。本開示の少なくとも1つの希少糖を含むミルクチョコレート菓子または菓子製品は、前述の方法で作成し、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃でそれぞれ500~10,000cpまたは600~10,000cp、または1,000~10,000cpおよび1~150ダイン/cmの安定した塑性粘度および安定した降伏値を有するであろう。本開示のミルクチョコレート菓子製品はまた、40℃および20rpmで1,000~15,000cpの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計で測定)を有し得る。
【0013】
本開示は、脂肪と、少なくとも1つの希少糖、希少糖同士の組み合わせ、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料と、無脂乳成分と、カカオ成分と、食用乳化剤/界面活性剤と、任意のバルクフィラーおよび/または香料とを含むミルクチョコレート菓子を提供し、チョコレートは、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40度でそれぞれ500~10,000cp、または600~10,000cp、または1,000~10,000cp、および1~150ダイン/cmの安定した塑性粘度および降伏値を有する。
【0014】
粘度は、流体の流れに対する抵抗の測定値である。異なる速度で運動する粒子間の摩擦の大きさを表す量である。粘度は、特定の用途におけるチョコレートの有用性に直接影響を及ぼす。所定の品質パラメータを達成するには、チョコレートまたは菓子のコーティング製品は特定の流動特性を有する必要がある。粘度は、ICA Method46に従ってブルックフィールド粘度計によって測定される。データから、NCA/CMA Casson回帰モデルを使用して、塑性粘度、チョコレートの流れに対する抵抗、および降伏値、流れを誘発するのに必要な応力を計算できる。本開示の目的上、粘度は「塑性粘度」を指し、「レオロジー」および「レオロジー特性」は、見かけの粘度または塑性粘度または降伏値(yield value)(「イールド(yield)」と互換的に使用される)のいずれかによって説明される全体的な流動挙動を指す。
【0015】
見かけ粘度値は、特定のせん断速度における特異なデータポイントを表し、流動挙動がせん断条件に依存するチョコレートなどの材料に広く使用される。製菓業界では、この値は標準温度(40℃)で測定された20rpmでの粘度として定義され、チョコレート間の相対的な流動挙動を比較するための単一のデータポイントとして使用される。本開示のミルクチョコレート菓子製品は、40℃および20rpmで1,000~15,000cpの範囲、または3,000~12,000cpまたは4,000~10,000cpの範囲の見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計で測定)を有し得る。本開示のミルクチョコレート菓子製品はさらに、500~10,000cp、または600~10,000、または1,000~10,000cpの範囲の40℃での塑性粘度(NCA/CMA Casson回帰によって計算)を有する。さらに、本開示のミルクチョコレート菓子製品の塑性粘度および降伏値は、約10°F(38℃)~約120°F(49℃)の温度で少なくとも1か月間安定している。
【0016】
チョコレートの粘度は通常、同心円筒形状のブルックフィールド粘度計を使用して、最も一般的にはSC4-27スピンドルを使用して、測定される。通常、機器には、試験中に温度を40℃に設定するための、ウォータージャケット付き小型サンプルアダプターなどの何らかの温度制御方法が備わっている。粘度計は伝統的に、定義された時間、低せん断速度でチョコレートを予備せん断し、その後徐々にせん断速度を最大値まで上げ、最大値で短時間保持し、その後最初の低せん断速度まで徐々に下げるようにプログラムされている。一般的な方法では、約5~8分間5 1/sの予備せん断速度を使用し、2 1/s~50 1/sに上げ、50 1/sで1分間保持し、その後50 1/s~2 1/sに戻す。40℃という試験温度は業界全体で比較的一定であるが、残りの試験パラメータ(せん断速度や保持時間など)は、実験室、機器、および/または個々のチョコレートサンプルに応じてわずかに変動し得る。
【0017】
データから、見かけ粘度、塑性粘度、および降伏値などのレオロジー値を得ることができる。チョコレートの見かけ粘度は、ブルックフィールド粘度計で測定される20rpmの値として定義され、通常はセンチポアズ(cp)で報告される。せん断速度のSI単位は毎秒(1/s)であるが、ブルックフィールドなどの一部の機器は1分あたりのスピンドル回転数(rpm)でプログラムされている。スピンドルおよびカップの形状および寸法を使用して、2つの単位間で変換可能である。せん断速度の上昇ランプおよび下降ランプの両方がある場合、通常、下降ランプの20rpmの値が見かけの粘度として報告される。さらに、塑性粘度および降伏値を計算するために、データは通常、全米菓子協会/チョコレート製造者協会(NCA/CMA)Cassonモデルに当てはめられる。塑性粘度は流れに対する抵抗として定義され、チョコレートが一度動くとどれだけ容易に流れ続けるかを示す指標であり、センチポアズで報告される。降伏値は、流れを開始するために必要な応力(面積あたりの力)であり、通常はダイン/cmで報告される。せん断粘度および降伏は、エンロービングやモールディングなどのさまざまな工程に対するチョコレートの適合性を示すものであるため、製菓業者にとって重要である。チョコレートの使用目的は、最適なせん断粘度および望ましい降伏値に影響を与える。そのため、保存中にチョコレートのレオロジー特性が(使用目的に基づく)最適値から大幅に増加すると、使用できなくなる可能性がある。
【0018】
本開示のミルクチョコレート菓子製品が安定しているという点での安定性とは、許容可能なレオロジー特性、すなわち、約100°F(38℃)~約120°F(49℃)の温度での流動性を少なくとも約1か月間保有および/または維持することを指す。
【0019】
本開示のミルクチョコレート菓子製品は、カカオ成分を含む。カカオは、テオブロマカカオの木の果実に由来するカカオを指し、カカオ豆、カカオマス、カカオ固形分、カカオバターまたはカカオリカー、およびそれらの組み合わせを指すこともある。
【0020】
本開示のミルクチョコレート菓子製品は乳成分を含む。乳成分には、スキムミルク、ホエー、クリーム、乳脂肪、および乳タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
本開示のミルクチョコレート菓子製品は、少なくとも1つの希少糖(希少糖同士の組み合わせを含む)、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料を含む。少なくとも1つの希少糖は、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、D-マンノース、トレハロース、およびコージビオース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。本開示の目的のために、標準的な炭水化物の糖質は、本開示において有用な、様々な程度の甘味強度を有する一般的な炭水化物の糖質であり、当技術分野で典型的に使用されるもののいずれであってもよく、スクロース(例えば、サトウキビまたはビート由来)、デキストロース、フルクトース、ラクトース、マルトース、グルコースシロップ固形分、コーンシロップ固形分、転化糖、加水分解乳糖、蜂蜜、メープルシュガー、ブラウンシュガー、糖蜜など、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。少なくとも1つの標準的な炭水化物甘味料、好ましくはスクロース、は結晶または粒子としてチョコレート中に存在するであろう。
【0022】
成分、特に甘味料、の粒子サイズ、より具体的にはアルロースなどの少なくとも1種の希少糖の粒子サイズは、チョコレートの粘度に影響を与える可能性がある。粒子サイズは、当業者に知られている様々な技術によって測定することができる。これらの技術には、MALVERN(登録商標)およびSYMPATEC(登録商標)光散乱技術、マイクロメーターを使用した測定、および顕微鏡を使用した測定などが含まれる。本明細書で特に指定しない限り、少なくとも1つの希少糖、希少糖同士の組み合わせ、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料、およびミルクチョコレート菓子の粒度分布に言及する場合、測定はSYMPATEC(登録商標)レーザー光散乱技術を使用して行った。さらに、本明細書で特に指定しない限り、完成したチョコレートの粒子サイズに言及する場合、測定はマイクロメーターを使用して行った。いくつかの例では、少なくとも1つの希少糖、希少糖同士の組み合わせ、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせ、無脂乳固形分、および無脂カカオ固形分を含む甘味料の粒子サイズは、特定のレオロジー特性を維持するために、所定の特定の範囲内にある。
【0023】
本発明者らは、アルロースなどの少なくとも1つの希少糖を含むミルクチョコレート菓子の加工および/または製造中に、チョコレートが固まって硬く乾燥した塊になることを発見した。伝統的なミルクチョコレートの加工には、無糖チョコレート、糖類(通常はスクロースおよびラクトース)、粉乳、脂肪(カカオバター、乳脂肪または他の適切な脂肪など)および香料を混合すること、混合物のサイズを小さくする(ロールリファイニング、メディアミリング、または他の適切なサイズ縮小技術)こと、および追加の脂肪および界面活性剤を加えて混合物をコンチングすることが含まれる。この工程により、無脂肪粒子(カカオ、ミルク、および糖類)の安定した懸濁液が得られる。しかし、アルロースなどの希少糖を少なくとも1つ含むミルクチョコレートは安定せず、懸濁液が流動できなくなるほど濃厚になる傾向がある。これは菓子製造における問題である。この理論に束縛されたくはないが、そのような濃化は、希少糖粒子(例えば、アルロース:アルロース粒子の相互作用)間、または希少糖と脂肪および/または乳成分(例えば、アルロース:脂肪/ミルクの相互作用)との間に形成されるネットワークの形成によるものである可能性がある。本発明者らは、本開示のようにミルクチョコレートと組み合わせて使用されるアルロースなどの少なくとも1種の希少糖の表面積を減少させること、高脂肪系を使用すること、乳化剤/界面活性剤を過剰投入すること、および/またはアルロースなどの少なくとも1種の希少糖を含むミルクチョコレート菓子の水分を減少させることによって、濃化および他の望ましくないレオロジー特性の発生の問題を軽減または実質的に減少でき、アルロースなどの少なくとも1種の希少糖を含むミルクチョコレートの塑性粘度および降伏値を安定化させることができることを発見した。
【0024】
アルロースなどの少なくとも1つの希少糖粒子の表面積をより小さくするには、参照により本明細書に援用される米国特許第5,464,649号に記載されている方法、またはメランジェ工程、ボールミル、空気分級、および他の既知の方法などの代替のサイズ縮小技術を含む他の方法を使用できる。すなわち、米国特許第5,464,649号に記載されている工程に関しては、脂肪と、少なくとも1つの希少糖、希少糖同士の組み合わせ、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料とを混合し、次いで粒子サイズ縮小工程を行う、典型的には、図2に示すように、少なくとも1つの希少糖を含む甘味料をロールリファイニングまたはミリングする。ロールリファイニング工程では、脂肪(カカオバターなど)と甘味料をバッチミキサー2で混合して混合物4を形成し、その後、少なくとも1対のロールリファイナー(6、8)のニップを通過させて、約50ミクロンより小さい粒子を有する混合物10を生成する。微粒子を溶解し、より大きな結晶を丸くする目的で、少なくとも1つの希少糖、希少糖同士の組み合わせ、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料の1~10重量%の量の水を混合物10に添加する。
【0025】
あるいは、混合物10を、当業者に公知の手順に従って、まず甘味料をミル18で精製し、次に甘味料を脂肪またはその組み合わせとブレンダー30で混合することによって調製することもできる。
【0026】
塊になるのを防ぐために、乾燥前に乳化剤/界面活性剤を混合物10に添加する。したがって、少量の水、好ましくは1~5重量%の存在下で、乾燥工程全体を通して撹拌しながら、乳化剤/界面活性剤、例えばレシチンを好ましくは1重量%未満の量で添加すると、塊になるのが防止されるであろう。乾燥工程では、バッチ式および連続式乾燥機の両方で、流動性があり、塊になっていないペーストが得られる。バッチ乾燥の場合、典型的なチョコレートコンチェ12で良好な結果が得られる。典型的な乾燥時間は、約120°F~約160°F(49℃~約71℃)の温度で約60分~約120分である。連続乾燥については、パドルドライヤー14が成功していることが証明されている。パドルドライヤーの典型的な乾燥時間は、許容可能な結果を得るために120°F~約180°F(49℃~約71℃)の温度で約40~約120分である。両方の乾燥工程により、塊がなく、流動性があり、粘度が低い甘味料/脂肪ペースト16が得られる。好ましくは、本開示によれば、乾燥により、甘味料/脂肪ペースト中に10~24%(w/w)の脂肪を有する製品が生成される。水分含量は0.2重量%未満であることが好ましい。二次的なサイズ縮小工程は必要ない。次に、このペーストを、最終的な粒子サイズの仕様に合わせて縮小された他の成分に添加する。この最終混合物はコンチングされ、特定の脂肪レベルに標準化される。
【0027】
甘味料の表面積を所望通りに減少させるには、水/界面活性剤の添加中に存在する他の菓子成分を使用できる。これらの成分には、チョコレートリカー、カカオパウダー、および乳脂肪が含まれる。
【0028】
少なくとも1つの希少糖、希少糖同士の組み合わせ、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料の粒子サイズの表面積を減少させる別の方法は、標準炭水化物シロップを乾燥させながら、少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質の過飽和溶液の結晶化を制御することによるものである。
【0029】
追加の方法では、認められているあらゆる粉砕技術によって、少なくとも1つの希少糖、希少糖同士の組み合わせ、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料のサイズを小さくする必要がある。Micropul ACMミルは、典型的なロールリファイニングと比較して、超微粒子および総表面積を削減しながら、甘味料の粒子サイズを望ましい範囲内に縮小する。甘味料のサイズが縮小されたら、特定のサイズより小さい粒子を物理的に除去することで、総表面積をさらに小さくすることができる。空気分級では、軽い小さな粒子と重い大きな粒子との重量差を利用して、小さな粒子をうまく分離できる。サイズを縮小した甘味料から超微粒子を除去するには、スクリーニングなどの他の方法も可能である。
【0030】
少なくとも1つの希少糖、希少糖同士の組み合わせ、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料の粒子サイズを調整することとは別に、表面積を減少させる別の方法は、任意のまたはすべての成分を高密度化することである。特に、乾燥乳固形分は大幅に高密度化することができる。通常、チョコレートには噴霧乾燥させた全脂粉乳(WMP)および噴霧乾燥させた無脂乳固形分(NFMS)が使用される。低密度、高多孔質のスポンジ状粒子は、噴霧乾燥工程によって作成される。粉末の密度は、噴霧乾燥工程を部分的に変更するか、乾燥製品をさらに加工することによって、特に高密度の状態まで高めることができる。
【0031】
一例では、無脂乳固形分は、前処理されて、構造を圧縮し、乳固形分中に存在するラクトースのかなりの部分を結晶化させる。かさ密度(充填時)は、好ましくは0.7g/mlを超えるべきであり、非晶質状態から結晶状態へのラクトースの変換度は、好ましくは30%を超え、より好ましくは70%を超える。したがって、脱脂粉乳はさまざまな方法で調製できる。
【0032】
噴霧乾燥の前にラクトース結晶化工程を導入することにより、乾燥粉末の密度が大幅に増加する。ラクトースを事前に結晶化することで、ラクトースは、スプレードライヤーに高密度のアルファ一水和結晶状態で入り、多孔質の非晶質状態で膨らまない。ラクトースがNFMSの50%を超えると、NFMSの全体的な密度が増加する。
【0033】
通常の噴霧乾燥粉末の場合、粉末を再度湿らせて加圧乾燥することで密度を高めることができる。NFMSを水中に分散させ(NFMSに対して15~30重量%の水が添加される)、メランジャーまたはロールリファイナーのいずれかで加圧下で乾燥させる。二次乾燥工程は、最終的な水分を3%未満にするのに役立つ。この工程中に、非晶質ラクトースは溶解され、結晶状態で乾燥される。他の固形分も加圧され、乾燥されて、よりつぶれた、多孔質の少ない状態になる。
【0034】
さらなる方法では、脱脂噴霧乾燥粉乳を二軸押出機内で十分な熱および水で圧縮して、タンパク質構造を崩壊させ、非晶質ラクトースを結晶化させることもできる。
本開示のいくつかの例では、甘味料の粒子のサイズは実質的に60ミクロン未満である。他の例では、実質的にすべての粒子のサイズが50ミクロン未満である。さらなる例では、実質的にすべての粒子のサイズが45ミクロン未満である。「実質的にすべて」とは、粒子の少なくとも80%を指す。糖類の総表面積は水処理により大幅に減少した。多くの直径6ミクロン未満の砂糖の結晶(「微粒子」と呼ばれる)が水に溶解していた。乾燥中に、溶解した砂糖はより大きな砂糖の結晶上で再結晶する。この再結晶化が、結晶の合計サイズを大幅に増加させることなく、より大きな結晶を丸くする。これにより、糖類の総表面積がほぼ50%減少し、微粒子の数が減少する(SYMPATEC(登録商標)データから測定および計算)。表面積を計算するために、発明者らは、SYMPATEC(登録商標)分析で生成されたデータを使用した。総体積のパーセンテージは、さまざまな直径の粒子間で報告される。粒子の直径が報告されている直径の中央にあると仮定すると、サンプルの総表面積を計算できる。いかなる理論にも束縛されたくないが、表面積の減少により、アルロース結晶がネットワークを形成する機会が大幅に減少し、したがってミルクチョコレートの濃化が防止される。本開示の1つ以上の例において、6.0μm以下の少なくとも1つの希少糖粒子の粒子サイズ分布は、約15%以下である。他の例では、6.0μm以下の少なくとも1つの希少糖粒子の粒子サイズ分布は、約13%以下、または約11%以下である(SYMPATEC(登録商標)により測定)。総表面積もほぼ50%減少する。
【0035】
本明細書で使用する場合、特に指定しない限り、すべてのパーセンテージは、チョコレートに対する成分の重量に基づいて計算される。たとえば、ある成分が10%含まれている場合、チョコレート100g中にその成分が10g含まれていることを意味する。
【0036】
本発明者らはまた、高い脂肪含量が、アルロースなどの少なくとも1つの希少糖を含むミルクチョコレート菓子の安定したレオロジー特性に寄与することを発見した。したがって、本開示のミルクチョコレート菓子製品の脂肪含量は、約30重量%以上と比較的高い。いくつかの例では、本開示のミルクチョコレート菓子製品は、約36重量%以上、約38重量%以上、または約40重量%以上の脂肪含量を有し得る。本明細書で使用する脂肪とは、通常チョコレートに使用できるトリグリセリド、ジグリセリド、およびモノグリセリドを指す。脂肪には、カカオバター、圧搾カカオバター、圧搾カカオバター、溶剤抽出カカオバター、精製カカオバターなどの天然油脂、およびパーム油、パーム核油、シア油、ヒマワリ油、ベニバナ油、イリペ油などが含まれるがこれらに限定されないカカオバター代替品が含まれる。
【0037】
アルロースなどの少なくとも1種の希少糖を含み、糖含量を低減し、望ましいレオロジー特性を有し、安定した塑性粘度および降伏値を維持する本開示のミルクチョコレート菓子の別の特徴は、水分含量が低いことである。これに関して、本開示のミルクチョコレート菓子製品は、微量の水を含むことができる。アルロースなどの希少糖を少なくとも1つ含むミルクチョコレートは、加工および製造中に濃くなり、水分が1,5%を超えると使用できなくなる。流動要件を満たし、加工中のミルクチョコレートの濃化を防ぐために、本開示では、水分レベルを1.5重量%未満に下げるための措置を講じる。より具体的には、ミルクチョコレート菓子製品の総水分含量は、約1.2重量%以下である。いくつかの例では、水分含量は、約1.0重量%以下、または約0.8重量%以下、または約0.6重量%以下である。
【0038】
本開示のミルクチョコレート菓子製品は、乳化剤/界面活性剤を含む。本開示の目的上、用語「乳化剤」および「界面活性剤」は互換的に使用され、用語「乳化剤/界面活性剤」は、「乳化剤」もしくは「界面活性剤」、または「乳化剤および界面活性剤」の両方を指す。安全で適切な乳化剤/界面活性剤の例は、当技術分野で通常使用されるもののいずれかであり得、大豆、ベニバナ、トウモロコシなどの植物源由来のレシチン、ホスファチジルコリンもしくはホスファチジルエタノールアミンのいずれかまたは両方が豊富に含まれる分別レシチン、ポリグリセロールポリリシノール酸(PGPR)、モノグリセリドおよびジグリセリド、モノグリセリドおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEMとも呼ばれる)、食用油脂のモノグリセリドおよびジグリセリドのリン酸一ナトリウム誘導体、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ヒドロキシル化レシチン、グリセロールおよびプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、脂肪および脂肪酸のプロピレングリコールモノエステルおよびジエステル、またはUSFDAが定義するソフトキャンディカテゴリとして承認され得る乳化剤/界面活性剤を含む。さらに、本開示で使用できる他の乳化剤/界面活性剤には、ポリグリセロールポリリシノール酸(PGPR)、リン脂質アンモニウム(AMP)を含むホスファチジン酸のアンモニウム塩、スクロースエステル、カラスムギ抽出物など、およびチョコレートまたは同様の脂肪/固体系に適していることが判明した任意の乳化剤、または乳化剤の総量が1重量%を超えないことを条件とする任意のブレンドが含まれる。本開示での使用に好ましい乳化剤/界面活性剤は、レシチン、分画レシチン、PGPR、AMP、モノグリセリドおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)、およびこれらの任意の1つの乳化剤/界面活性剤または乳化剤/界面活性剤の混合物の最大レベルが1重量%の乳化剤/界面活性剤の組み合わせまたは混合物である。チョコレートが作られたら、少量の乳化剤/界面活性剤を加えてよく混ぜる。次に、レオロジー測定が行われる。この手順は、塑性粘度および降伏値が下がらなくなるまで続けられる。乳化剤/界面活性剤の推奨レベルは、塑性粘度および降伏値が最小になるレベルである。最も一般的な乳化剤/界面活性剤である大豆レシチンは、塑性粘度および降伏値をある程度まで下げる。ミルクチョコレートの場合、チョコレートメーカーは、塑性粘度および降伏値を最小限に抑えるには、約0.3重量%~0.4重量%のレシチンが最適なレシチン量であることを発見した。レシチンは最適な使用レベルを超えると、降伏値の増加を引き起こす。チョコレートメーカーは、より高い降伏値によって下流工程で問題が発生する可能性があるため、この最適レベルを超えるレシチンを追加しない。本発明者らは、塑性粘度および降伏値を最小限に抑えるための従来のミルクチョコレートの最適レベルよりも高いレベルが、アルロースミルクチョコレートの濃化を防止することを発見した。たとえば、少量のアルロースミルクチョコレート(AMC)が研究室で調製された。塑性粘度および降伏値を最小限に抑えるためのレシチンおよびPGPRレベルは、コンチング終了時のチョコレートの流動特性に基づいて、それぞれ0.3重量%および0.1重量%であると最初に決定された。このAMCは時間とともに濃化した。しかしながら、レシチンおよびPGPRレベルをそれぞれ0.9重量%および0.3重量%に増加させた場合、AMCは時間が経っても濃化しなかった。いくつかの例では、本開示のミルクチョコレート菓子製品に使用される乳化剤/界面活性剤は、含有量が約0.2重量%~約0.9重量%、約0.3重量%~約0.7重量%、または約0.4重量%~約0.6重量%であるレシチンを含む。いくつかの例では、本開示のミルクチョコレート菓子製品に使用される乳化剤/界面活性剤は、含有量が約0.1重量%~約0.3重量%であるPGPRを含む。さらにいくつかの他の例では、本開示のミルクチョコレート菓子製品に使用される乳化剤/界面活性剤は、レシチン含有量が約0.6重量%、PGPR含有量が約0.2重量%であるレシチンとPGPRとの組み合わせを含む。
【0039】
他の例では、本開示のミルクチョコレート菓子製品に使用される乳化剤/界面活性剤は、含有量が約0.1重量%~約0.7重量%、または0.5重量%~0.7重量%であるAMPを含む。追加の例では、本開示のミルクチョコレート菓子製品に使用される乳化剤/界面活性剤は、レシチンとAMPとの組み合わせを含む。
【0040】
本開示のチョコレートは、任意の成分をさらに含んでもよい。これらの任意の成分には、無脂乳固形分、無脂カカオ固形分、砂糖代替品、増量剤とも呼ばれるバルクフィラー(例えば、トウモロコシ繊維、ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、イヌリン、糖アルコール、炭酸カルシウムなど)、天然および人工香料(例えば、バニリン、スパイス、コーヒー、エチルバニリン、塩、褐色ナッツミート、天然バニラなど、およびこれらの混合物)、酸化防止剤(例えば、TBHQ、トコフェロールなどの防腐剤)、プロテインなどが含まれる。
【0041】
いくつかの例では、チョコレートは、コーティングについてはマイクロメーターで測定して45ミクロン未満、ソリッドバーおよび斬新な形状については40ミクロン未満のサイズを有する実質的にすべての粒子を含む。
【0042】
本開示のミルクチョコレート菓子製品には、例えば、キャンディーバー、ベーキングチョコレート、チョコレートチップ、アイスクリームバー、冷蔵デザート、またはミルクチョコレートが成分である他の食品が含まれる。これらの食品では、ミルクチョコレートは、通常レベルの標準的な糖含量のチョコレートを含むがアルロースなどの希少糖を少なくとも1つ含む典型的なミルクチョコレート菓子に関連付けられたレオロジー流動特性を備えている。アルロースなどの少なくとも1種の希少糖を使用して糖含量を低減したミルクチョコレート菓子製品の製造は、加工および/または製造中の濃化および不安定な粘度のために予想外の問題を抱えていた。本発明者らは、そのような濃化および不安定な粘度は、アルロースなどの少なくとも1つの希少糖を含む甘味料の表面積を減少させること、高脂肪系を使用すること、チョコレートに乳化剤/界面活性剤を過剰投入すること、および/または水分レベルを1.5重量%未満に減らすことによって防止され、エンロービング、モールディング、または押出成形に適したレオロジー特性を有する、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子製品が得られることを発見した。
【0043】
望ましいレオロジー特性および官能特性を得て維持するために、本開示のミルクチョコレート菓子およびミルクチョコレート菓子製品は、脂肪と、少なくとも1つの希少糖または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質の組み合わせを含む甘味料とを混合して脂肪/甘味料混合物を得ること、脂肪/甘味料混合物を精製して45μmの粒子サイズとすること、そして水および乳化剤/界面活性剤を脂肪/甘味料混合物に添加し、乾燥すること、無糖チョコレート、ミルクチョコレート用乳成分、およびチョコレート製造成分を別々に混合してチョコレート混合物を得ること、チョコレート混合物を精製して45μmの粒子サイズとすること、および精製された脂肪/甘味料混合物と精製されたチョコレート混合物とを混合することによって調製され得る。少なくとも1つの希少糖は、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、D-マンノース、トレハロース、およびコージビオースからなる群から選択される。ミルクチョコレート菓子またはミルクチョコレート菓子製品は、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃および20rpmで1,000~15,000cpの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計で測定)、および40℃で500~10,000、または600~10,000、または1,000~10,000cpおよび1~150ダイン/cmの塑性粘度および降伏値をそれぞれ有する。
【0044】
標準的な炭水化物甘味料の表面積は、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書で上記に記載されている米国特許第5,464,649号に記載されているように、水の添加および再結晶操作によって減少させることができる。
【0045】
図3は、本開示によるミルクチョコレート菓子製品を調製するための工程を概略的に示す。脂肪(カカオバターなど)と、アルロースなどの少なくとも1つの希少糖を含む甘味料とをバッチミキサー2内で混合する。混合物は、その後、複数のロールリファイナー(6、8)のニップを通過させることによって精製され、好ましくは約60ミクロン未満の甘味料/脂肪粒子(少なくとも1つの希少糖、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物甘味料/脂肪粒子との組み合わせ)を含む混合物10’を生成する。本開示の工程のこの特定の例では、水および乳化剤/界面活性剤が甘味料/脂肪混合物に添加され、例えばコンチ12(またはパドルドライヤー)内での乾燥工程を経て、水分含量が1.5重量%未満の脂肪分が25重量%の甘味料/脂肪ペースト16’が得られる。
【0046】
上述の甘味料/脂肪ペーストの調製とは別に、他のミルクチョコレート製造材料を別途調製してもよい。追加の成分には、無脂乳固形分、増量剤、カカオパウダー、香料、および脂肪が含まれるが、これらに限定されない。図3に関して、チョコレートリカー、無脂乳固形分および無水乳脂肪(AMF)、カカオバター、増量剤、および香料をバッチミキサー2’で混合し、続いて複数のロールリファイナー(8’)のニップを通過させることによって精製し、好ましくは約50ミクロンより小さい粒子を有する混合物22を生成する。
【0047】
次いで、甘味料/脂肪ペースト16’を加熱しながらコンチ24内で混合物22と混合して、チョコレートに最終的な所望の粘度を与えることができる。次いで、追加の脂肪および乳化剤、例えばレシチン、無水乳脂肪、およびカカオバターを、図3に示すように、標準化工程で添加し、チョコレートの粘度を最終仕様に調整し、糖含量を低減した、塑性粘度が約500~10,000cP、降伏値が約1~150ダイン/cm(NCA/CMA Cassonによって計算)のミルクチョコレート菓子を製造する。
【0048】
本開示のチョコレートは、バー全体がチョコレートのみから構成されるソリッドバーで使用できる。ソリッドバーは、幾何学的形状、例えば、円、長方形、または正方形であることが好ましい。
【0049】
本開示のチョコレートはさらに、コーティングとして使用できる。本明細書で使用する「コーティング」という用語は、チョコレートで覆われているか、または包まれている食品を指す。コーティングできる様々な食品には、果物(例えば、チェリー、イチゴ、バナナなど)、マシュマロ、ケーキ、クッキー、トフィー、ピーナッツバター、キャラメル、ナッツ、レーズン、ヌガー、焼き菓子、アイスクリームバー、キャンディーバー、プリン、クリームなどが含まれる。したがって、本明細書で使用する場合、含有物を含むソリッドバーはコーティングの一種である。
【0050】
本開示のチョコレートは、ソリッドバーおよびコーティングとして使用することとは別に、先に定義したような斬新な形状を作製するのに使用することもできる。
甘味料に少なくとも1種の希少糖を組み込むことにより糖含量を低減し、本開示の方法に従って製造されたミルクチョコレート菓子製品は、望ましい流動特性と、少なくとも24時間~1か月間安定した粘度を有する。独特の組成物および方法により、本開示のチョコレートは、モールディングおよびエンロービングの両方における流動要件を満たす。[実施例]
本開示の糖含量を低減したミルクチョコレート菓子を、以下の実施例に関連してさらに説明するが、これらの実施例は例示として提示するものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0051】
実施例1:加水処理により表面積を低減させる
アルロースミルクチョコレートは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,464,649号に記載された工程によって調製された。配合を以下の表1に示す。アルロースとカカオバター(脂肪分23重量%で2000グラム)とを混合し、Buhler300mmロールリファイナーで粒子サイズ25ミクロン(手持ち式マイクロメーターで測定)まで粉砕した。別に、1500グラムの無糖チョコレート、無脂乳固形分、およびバニリン(別名「その他」)を以下の配合の比率で混合し、Buhler300mmロールリファイナーで20ミクロンに粉砕した。
【0052】
【表1】
【0053】
アルロース/カカオバター(すなわち脂肪)混合物を2つの別々のバッチ、すなわちバッチAおよびバッチBに分割した。2つのバッチを8クォートタイプのグローブ(Globe)ミキサーに入れた。2つのバッチには異なる処理が行われた。
【0054】
バッチA:2重量%の水および0.3重量%のレシチンを添加。
バッチB:0.3%レシチンを添加。
ボウルを115°F(46℃)の水浴に置き、ミキサーの速度を1に設定した。
【0055】
バッチA(水を加えた混合物)が乾燥したら(3時間の処理後)、適量の無糖チョコレート/無脂乳固形分/バニリン粉砕混合物をバッチAに加えた。バッチAの混合物を115°F(46℃)で2時間コンチングした。この時点で、残りの脂肪および界面活性剤を加え、両方のバッチをさらに30分間混合した。次に、サンプルを115°F(46℃)に設定されたホットボックスセット内に保存した。
【0056】
バッチBの混合物を3時間コンチングした。次に、適量の無糖チョコレート/無脂乳固形分/バニリン粉砕混合物をバッチBに加えた。混合物を115°F(46℃)で2時間コンチングした。その時点で、残りの脂肪および界面活性剤をバッチBに添加し、両方のバッチをさらに30分間混合した。次に、サンプルを115°F(46℃)に設定されたホットボックスセット内に保存した。
【0057】
一方、希少糖としてアルロースを含む別の2,000グラムのミルクチョコレートサンプルを準備した。成分を総脂肪含量24%で混合し、Buhler300mmロールリファイナーを使用して粉砕した。粉砕した混合物を8クォートタイプのグローブ(Globe)ミキサーの中で、ミキサー速度を1に設定して115°F(46℃)で3時間コンチングした。3時間後、残りの脂肪および界面活性剤を加え、バッチをさらに30分間混合した。その後、サンプルを115°F(46℃)で保存した。
【0058】
結果:
処理前後の精製アルロースおよびカカオバター(CB)バッチの粒度分布を以下の表2に示す。初期の精製アルロース/CBはわずかに粗く、SYMPATEC(登録商標)レーザー回折工程で測定した場合、6.2mm未満の粒子は18%のみで、32mm未満の粒子は83%であった(これは通常、手持ちのマイクロメーターの読み取り値と一致すると考えられる)。加水サンプルは、米国特許第5,464,649号に記載されている工程の典型的なものであった。83%の点は大幅に増加しなかったが(32mm~34mm)、微粒子はアルロースの体積の18%からわずか11%に減少した。さらに、レーザー回折(SYMPATEC(登録商標))データから計算された表面積は、1.50cm/gr~0.86cm/grへの表面積の減少、または表面積の43%の減少を示した。これには、結晶が球形であるという仮定が含まれるが、実際には球形ではない。したがって、これは表面積の減少を過小評価していることになる。前処理サンプルの結晶は非常に角張っていてギザギザしているため、溶解したアルロースの再結晶を加えて丸みを帯びた後処理サンプルの結晶とは対照的に、報告されているよりも大きな表面積を有することになる。
【0059】
【表2】
【0060】
図4および図5に示すサンプルのSEM顕微鏡写真は、追加および処理の影響をさらに明らかにしている。前処理された精製アルロースおよびカカオバターの顕微鏡写真(図4)は、微細な結晶の海に囲まれたいくつかの大きな結晶の典型的な領域を示している。加水サンプルの顕微鏡写真(図5)は、微粒子が大幅に減少し、より大きな結晶はより丸みを帯びていることを示している。これらの丸い結晶は、典型的な粉砕された結晶よりも表面積が小さくなる。
【0061】
完成したミルクチョコレート
以下の表3に示すように、最初の3つのバリアントは粒子サイズの目標内にあった。タブレットチョコレートの場合は19~22mmが許容される。加水処理されたアルロースミルクチョコレートの結果は予想通りであった。サンプルの降伏値が低いのは、加水工程の典型である。水を添加していない製品のNCA/CMA Casson回帰によって計算された降伏値(YV)および塑性粘度(PV)は、著しく高かった。従来の方法で処理したサンプルでは、さらに高いレオロジー結果が得られた。
【0062】
【表3】
【0063】
以下の表4は、見かけ粘度、塑性粘度、および降伏値の経時変化を示している。水を加えたサンプルでは値の増加は見られなかった。アルロースを他の成分とは別に粉砕し、水で処理しなかったサンプルでは、7日間で見かけ粘度、塑性粘度の両方、および降伏値が大幅に増加(50%)した。従来の方法で加工されたアルロースミルクチョコレートは、最初は比較的高いレオロジー特性を有していたが、1日後にはミルクチョコレートが濃すぎて測定値を取得できなかった。
【0064】
【表4】
【0065】
実施例2:ミルクチョコレートに乳化剤を過剰投入する
以下の表5に示す基本配合で9キログラムのアルロースミルクチョコレートを調製した。
【0066】
【表5】
【0067】
工程は伝統的な混合/精製/コンチェ法であった。最初のバッチの脂肪レベルは26%であった。混合物を、Buhler300mmラボスケールロールリファイナーを使用して粉砕した。バッチを25ミクロンの粒子サイズ(手持ち式マイクロメーター)まで粉砕した。得られた粉砕材料を6つの等しいバッチに分割した。各バッチを、ミキサー速度を1に設定した8クォートタイプのグローブ(Globe)オービタルミキサーでコンチングした。水浴を45℃に設定した。バッチを少なくとも4時間コンチングした。コンチェサイクルの開始時に、残りの脂肪を追加した。コンチェが終了する30分前に、界面活性剤を添加した。各バッチには、異なる量のレシチンとPGPRとを追加した。その後、サンプルを120°F(49℃)で保存した。
【0068】
結果:
以下の表6に示すように、PGPRパーセンテージに関係なく、レシチンのパーセンテージが高いほど、時間ゼロでの塑性粘度がより低いチョコレートが得られた。レシチンは、典型的なチョコレートでは約0.3~0.4%である最適使用レベルを超えて添加すると、降伏値が増加し、塑性粘度には影響を及ぼさないことが知られていることに注意することが重要である。以下の表6の例では、レシチンは0.70%もの高いレベルでも塑性粘度を低下させ続けた。降伏値に対するPGPRの影響はレシチンの影響よりも強く、PGPRパーセンテージが高いほど時間ゼロでの降伏値が低下する傾向を示している。レシチンのパーセンテージも降伏値に影響を与えるが、程度はそれほど大きくない。
【0069】
すべてのバリアントの塑性粘度は、120°F(49℃)で2週間保存した後に増加し、レシチン含有量が最も高いバリアントで最も低くなった。バリアント5および3の降伏値は保存期間中に減少したが、降伏値の低下は一般にチョコレートの加工に悪影響を及ぼさないため、これは許容範囲であると考えられる。バリアント2、4、および6は2週間後に完全に固化したため、粘度データを収集できなかった。データは、アルロースチョコレート中の乳化剤/界面活性剤のレベルが高いと、顕著な濃化が防止されることを示唆している。
【0070】
【表6】
【0071】
実施例3:ミルクチョコレートに乳化剤を過剰投入する
実施例1に記載の配合を有する100ポンドのアルロースミルクチョコレートを、実施例2に記載の伝統的な工程で製造した。成分を140クォートタイプのホバート(Hobart)ミキサーで脂肪分25%になるようにバッチ処理し、プレリファイナーとしてBuhler300mm3本ロールリファイナーを使用し、仕上げリファイナーとしてBuhler600mm3本ロールリファイナーを使用して粉砕した。リファイナーフレークを容量150ポンドのマッカーターパグミルコンチェに入れた。残りの脂肪はコンチングサイクルの開始時に追加した。4時間後、界面活性剤であるレシチンおよびPGPRをそれぞれ0.3%および0.1%で添加し、30分間混合させた。最終的なミルクチョコレートを、容量200ポンドの垂直タンク、容積式ポンプ、およびタンクをポンプに接続する直径1.5インチのステンレス鋼パイプで構成されるシステムに充填した。パイプもポンプからタンクの上部まで30フィートのループ状に配線された。システムは、温度が117°F(47℃)に一定に保たれた部屋に設置された。ポンプがオンになり、ミルクチョコレートがパイプを通って流れ、システム内を循環した。短時間後、ポンプがオフになり、システムは停止した。3週間後、垂直方向に5フィートの長さのパイプの底にあるバルブを開けた。パイプ内のアルロースミルクチョコレートの粘性により、ミルクチョコレートがパイプから流出するのが妨げられた。ポンプが作動し、パイプが激しく振動して流れを開始させた。流れ始めたら、追加の0.3%レシチンおよび0.1%PGPRをミルクチョコレートに加え、システム内で90分間混合させた。システムを再び3週間休止させた。同じバルブを開くと、アルロースミルクチョコレートがパイプから自由に流れ、濃化が起こらないことがわかった。低界面活性剤レベルのチョコレートおよび高界面活性剤レベルのチョコレートからのレオロジーデータを以下の表7に示す。
【0072】
【表7】
【0073】
実施例4:アルロースミルクチョコレート菓子にレシチンを過剰投入し、中程度のレベルのPGPRを添加する
以下のアルロースミルクチョコレート配合(界面活性剤添加前)に基づいて4つの6キログラムのチョコレートバッチを製造した。
【0074】
【表8】
【0075】
各バッチを23%の脂肪分で混合し、Buhler300mmロールリファイナーで、手持ち式マイクロメーターで測定した粒子サイズが約20ミクロンになるまで精製した。精製後、各バッチを4つの1.5kgのボウルに分割し、50℃の水浴を用いて速度1に設定した8クォートタイプのグローブ(Globe)ミキサー中で脂肪分23.7%~24.8%で3.5時間コンチングした。各ボウルには、コンチェの開始時に12.5gのカカオバターが加えられた。乳化剤/界面活性剤は、以下の表8に従って、レシチン含有量が0.3%~1%、PGPRが0.3%~0.5%となるように添加された。
【0076】
「最初の脂肪」の添加順序は、すべての界面活性剤がコンチェの開始時に添加されたことを示す。「両方」は、界面活性剤の半分(レシチンの50%およびPGPRの50%)がコンチェの開始時に添加され、残りの半分が3.5時間の標準化工程中に添加されたことを示す。「コンチェの終わり」は、界面活性剤のすべてが3.5時間で添加されたことを示す。約4時間後にすべてのチョコレートがコンチェから外された。粘度は、最初と、50℃で3週間保存した後に測定された。結果を以下の表8に示す。
【0077】
【表9】
【0078】
結果は、高いレベルのレシチン(0.45%超)および中程度のレベルのPGPR(0.1%~0.3%)を含むアルロースミルクチョコレート菓子の粘度レベルは、コンチェの開始時および終了時に乳化剤/界面活性剤を添加すると、安定していたことを示している。レシチンレベルが低く、PGPRレベルが高い菓子、および/またはコンチェの開始時に乳化剤/界面活性剤が添加されている菓子は、レオロジー特性が不安定であった。コンチェ工程の開始時に乳化剤/界面活性剤を添加すると特性が不安定になる例外は、菓子に非常に高いレベルのレシチン(1.0%)が含まれる場合である。
【0079】
実施例5:リン酸アンモニウム(AMP)およびPGPRを使用した砂糖ゼロのアルロースミルクチョコレート
以下のプレミックス配合を使用して、1200グラムのチョコレートを製造した。
【0080】
【表10】
【0081】
プレミックスをバッチ処理し、Buhler300mmロールリファイナーで、手持ち式マイクロメーターで測定した粒子サイズが約20ミクロンになるまで精製した。精製された物質を50℃で3.5時間コンチングした。AMPおよび残りのカカオバターをコンチングの開始時に加えた。3.5時間のコンチング終了後、PGPR、AMF、および香料を加え、さらに30分間混合を続けてチョコレートの製造を完了した。出来上がったチョコレートは、水分含量1.16%、脂肪分35.5%、見かけ粘度3900cp、塑性粘度1865cp、降伏値21.1ダイン/cmであった。チョコレートは、50℃で4週間放置してもゲル化することなく安定していた。
【0082】
実施例6:アルロース菓子の脂肪含量を増加させる
以下の精製アルロースモデルチョコレート配合に基づいて、6つの2キログラムバッチのチョコレートを作成した。
【0083】
【表11】
【0084】
成分を、生地のような粘度が達成されるまで、20クォートタイプのグローブ(Globe)ミキサーで24.5%の脂肪分でブレンドし、精製されるまで50℃の加熱キャビネット内に保持した。混合物をBuhler300mmロールリファイナー上で40℃で精製し、手持ち式マイクロメーターで測定しておよそ20~25ミクロンの粒子サイズにした。精製したフレークを直接ミキサーに戻した。次いで混合物を、50℃の水浴を用いて速度1に設定した8クォートタイプのグローブ(Globe)ミキサー内で24.5%の脂肪分でコンチングした。バッチは最終脂肪レベルまで3時間半で標準化され、およそ4時間でコンチェから取り外された。
【0085】
各バッチを0.3%レシチンおよび0.1%PGPRで標準化した。以下の表は、標準化中に追加されたカカオバターおよび乳脂肪を総質量のパーセンテージとして示している。
【0086】
【表12】
【0087】
粘度は、初期と、50℃で4週間保存した後とに測定した。結果を以下の表9に示す。
【0088】
【表13】
【0089】
さらに、本開示は、以下に詳述する追加の注記および実施例を含む。
【0090】
第1項。脂肪と、少なくとも1つの希少糖、希少糖同士の組み合わせ、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料と、乳成分と、カカオ成分と、乳化剤/界面活性剤と、任意のバルクフィラーおよび/またはフレーバーと、を含む、糖含量を低減したミルクチョコレート菓子製品であって、少なくとも1種の希少糖は、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、D-マンノース、トレハロース、およびコージビオースからなる群より選択され、当該ミルクチョコレート菓子製品は、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で500~10,000cpの安定した塑性粘度を有し、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で1~150ダイン/cmの安定した降伏値を有する。
【0091】
第2項。ミルクチョコレート菓子が、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で600~10,000cpの安定した塑性粘度を有し、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で1~150ダイン/cmの安定した降伏値を有する、第1項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0092】
第3項。ミルクチョコレート菓子が、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で1,000~10,000cpの安定した塑性粘度を有し、NCA/CMA Casson回帰モデルを用いた場合、40℃で1~150ダイン/cmの安定した降伏値を有する、第1項に記載のミルクチョコレート菓子。
【0093】
第4項。さらに、40℃、20rpmにおける見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計による測定)が1,000~15,000cpである、第1項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0094】
第5項。さらに、40℃、20rpmにおける見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計による測定)が3,000~12,000cpである、第1項または第2項に記載のミルクチョコレート菓子。
【0095】
第6項。さらに、40℃、20rpmにおける見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計による測定)が4,000~10,000cpである、第3項に記載のミルクチョコレート菓子。
【0096】
第7項。少なくとも1種の希少糖がアルロースを含む、第1項~第5項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0097】
第8項。6.0μm以下のアルロースの粒子の粒度分布が約15%以下である、第7項記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0098】
第9項。6.0μm以下のアルロースの粒子の粒度分布が約13%以下である、第8項記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0099】
第10項。6.0μm以下のアルロースの粒子の粒度分布が約11%以下である、第8項記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0100】
第11項。粒子サイズが約50μm以下の粒子が丸い結晶である、第1項~第10項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0101】
第12項。アルロースの表面積が、25ミクロンのミルクチョコレートのロール精製アルロースの70%未満である、第1項~第11項のいずれかに記載のミルクチョコレート菓子製品(粒度分布分析により推定)。
【0102】
第13項。アルロースの表面積が、25ミクロンのミルクチョコレートのロール精製アルロースの50%未満である、第1項~第12項のいずれかに記載のミルクチョコレート菓子製品(粒度分布分析により推定)。
【0103】
第14項。脂肪含量が約30重量%以上である、第1項~第13項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0104】
第15項。脂肪含量が約36重量%以上である、第14項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0105】
第16項。脂肪含量が約38重量%以上である、第15項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0106】
第17項。脂肪含量が約40重量%以上である、第16項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0107】
第18項。総水分含量が約1.5重量%未満である、第1項~第17項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0108】
第19項。総水分含量が約1.2重量%未満である、第1項~第18項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0109】
第20項。総水分含量が約1.0重量%以下である、第18項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0110】
第21項。総水分含量が約0.8重量%以下である、第18項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0111】
第22項。総水分含量が約0.6重量%以下である、第18項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0112】
第23項。乳化剤/界面活性剤が、含有量が約0.3重量%~0.7重量%のレシチンを含む、第1項~第22項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0113】
第24項。総レシチン含有量が約0.4重量%~0.6重量%である、第23項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0114】
第25項。乳化剤/界面活性剤が、含有量が約0.1重量%~約0.3重量%のPGPRを含む、第1項~第22項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0115】
第26項。乳化剤/界面活性剤が、レシチンとPGPRとの組み合わせを含み、レシチンの含有量が約0.6重量%、PGPRの含有量が約0.2重量%である、第1項~第22項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0116】
第27項。乳化剤/界面活性剤が、約0.1重量%~約0.7重量%の含有量のAMPを含む、第1項~第22項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0117】
第28項。乳化剤/界面活性剤が、AMPとPGPRとの組み合わせを含み、AMPの含有量が約0.4重量%であり、PGPRの含有量が約0.3重量%である、第1項~第22項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0118】
第29項。塑性粘度が、約100°F(37.78℃)~約120°F(48.89℃)の温度で少なくとも1か月間安定している、第1項~第28項のいずれか一項に記載のミルクチョコレート菓子製品。
【0119】
第29項。糖含量を低減したミルクチョコレート菓子製品を製造する方法であって、脂肪と、少なくとも1つの希少糖、または少なくとも1つの希少糖と少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質との組み合わせを含む甘味料とを混合して脂肪/甘味料混合物を得ることと、脂肪/甘味料混合物を精製して45μm未満の粒子サイズとすることと、脂肪/甘味料混合物に水および界面活性剤を加えて乾燥させることと、無糖チョコレート、ミルクチョコレート菓子用の乳成分、およびチョコレート製造成分を別々に混合してチョコレート混合物を得るとともに、チョコレート混合物を精製して45μm未満の粒子サイズとすることと、精製脂肪/甘味料混合物と精製チョコレート混合物とを混合すること、とを含み、少なくとも1つの希少糖は、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、およびD-マンノースからなる群から選択され、ミルクチョコレート菓子製品は、NCA/CMA Casson回帰モデルを使用した40℃での塑性粘度が500~10,000cpであり、NCA/CMA Casson回帰モデルを使用した40℃での降伏値が1~150ダイン/cmである方法。
【0120】
第26項。さらに、ミルクチョコレート菓子製品の40℃、20rpmでの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計により測定)が1,000~15,000cpである、第25項に記載の方法。
【0121】
第27項。菓子製品ミルクチョコレートの40℃、20rpmでの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計で測定)が3,000~12,000cpである、第25項または第26項に記載の方法。
【0122】
第28項。ミルクチョコレート菓子製品の40℃、20rpmでの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計により測定)が4,000~10,000cpである、第27項に記載の方法。
【0123】
第29項。ミルクチョコレート菓子製品の40℃、20rpmでの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計により測定)が14,000~15,000cpである、第27項に記載の方法。
【0124】
第30項。少なくとも1つの希少糖がアルロースを含む、第25項~第29項のいずれか一項に記載の方法。
【0125】
第31項。6.0μm以下のアルロースの粒子の粒度分布が、約15%以下である、第30項に記載の方法。
【0126】
第32項。6.0μm以下のアルロースの粒子の粒度分布が、約13%以下である、第30項に記載の方法。
【0127】
第33項。6.0μm以下のアルロースの粒子の粒度分布が、約11%以下である、第30項に記載の方法。
【0128】
第34項。粒子サイズが約50μm以上のアルロースの粒子が丸い結晶である、第25項~第33項のいずれか一項に記載の方法。
【0129】
第35項。アルロースの表面積が、粒度分布分析によって推定されるように、ロール精製アルロースの70%未満である、第25項~第34項のいずれか一項に記載の方法。
【0130】
第36項。ミルクチョコレート菓子製品の脂肪含量が、約30重量%以上である、第25項~第35項のいずれか一項に記載の方法。
【0131】
第37項。脂肪含量が約36重量%以上である、第36項に記載の方法。
【0132】
第38項。脂肪含量が約38重量%以上である、第36項に記載の方法。
【0133】
第39項。脂肪含量が約40重量%以上である、第36項に記載の方法。
【0134】
第40項。ミルクチョコレート菓子製品の総水分含量が約1.5重量%未満である、第25項~第39項のいずれか一項に記載の方法。
【0135】
第40項。ミルクチョコレート菓子製品の総水分含量が約1.2重量%未満である、第25項~第39項のいずれか一項に記載の方法。
【0136】
第41項。ミルクチョコレート菓子製品の総水分含量が約1.0重量%以下である、第40項に記載の方法。
【0137】
第42項。ミルクチョコレート菓子製品の総水分含量が約0.8重量%以下である、第40項に記載の方法。
【0138】
第43項。ミルクチョコレート菓子製品の総水分含量が約0.6重量%以下である、第40項に記載の方法。
【0139】
第44項。ミルクチョコレート菓子製品の総レシチン含有量が0.5重量%を超える、第25項~第43項のいずれか一項に記載の方法。
【0140】
第45項。ミルクチョコレート菓子製品の総レシチン含有量が0.7重量%を超える、第44項に記載の方法。
【0141】
第46項。ミルクチョコレート菓子製品の総レシチン含有量が0.9重量%を超える、第44項に記載の方法。
【0142】
第47項。ミルクチョコレート菓子製品の総PGPR含有量が0.3重量%を超える、第25項~第46項のいずれか一項に記載の方法。
【0143】
第48項。塑性粘度が約100°F(37.78℃)~約120°F(48.89℃)の温度で少なくとも1か月間安定している、第25項~第47項のいずれか一項に記載の方法。
【0144】
第49項。少なくとも1つの希少糖の粒子の総表面積を減少させること、脂肪を約30重量%以上の量で添加すること、および/またはミルクチョコレートの総水分を1.5%未満に調整することを含む少なくとも1種の希少糖を含むミルクチョコレートの濃化を防止または抑制する方法であって、ミルクチョコレートは、NCA/CMA Casson回帰モデルを使用した40℃での塑性粘度が500~10,000cp、NCA/CMA Casson回帰モデルを使用した40℃での降伏値が1~150ダイン/cmである方法。
【0145】
第50項。ミルクチョコレートの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計により測定)がさらに、40℃、20rpmで1,000~15,000cpである、第49項に記載の方法。
【0146】
第51項。ミルクチョコレートの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計により測定)がさらに、40℃、20rpmで3,000~12,000cpである、第49項または第50項に記載の方法。
【0147】
第52項。ミルクチョコレートの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計により測定)がさらに、40℃、20rpmで4,000~10,000cpである、第51項に記載の方法。
【0148】
第53項。ミルクチョコレートの見かけ粘度(ブルックフィールド粘度計により測定)がさらに、40℃、20rpmで14,000~15,000cpである、第51項に記載の方法。
【0149】
第54項。少なくとも1つの希少糖が他の希少糖と組み合わされるか、または少なくとも1つの標準的な炭水化物の糖質と組み合わされる、第49項~第53項のいずれか一項に記載の方法。
【0150】
第55項。少なくとも1つの希少糖が、アルロース、タガトース、アロース、ソルボース、アピオース、リボース、L-ラムノース、L-フルクトース、D-マンノース、トレハロース、およびコージビオースからなる群から選択される、第49項~第54項のいずれかに記載の方法。
【0151】
第56項。少なくとも1つの希少糖がアルロースを含む、第49項~第55項のいずれか一項に記載の方法。
【0152】
第57項。6.0μm以下のアルロースの粒子の粒度分布が、約15%以下である、第56項に記載の方法。
【0153】
第58項。6.0μm以下のアルロースの粒子の粒度分布が、約13%以下である、第56項に記載の方法。
【0154】
第59項。6.0μm以下のアルロースの粒子の粒度分布が、約11%以下である、第56項に記載の方法。
【0155】
第60項。粒子サイズ約50μm以上のアルロースの粒子が丸い結晶である、第49項~第59項のいずれか一項に記載の方法。
【0156】
第61項。アルロースの表面積が、粒度分布分析によって推定されるように、ロール精製アルロースの70%未満である、第49項~第60項のいずれか一項に記載の方法。
【0157】
第62項。ミルクチョコレートの脂肪含量が、約30重量%以上である、第49項~第61項のいずれか一項に記載の方法。
【0158】
第63項。ミルクチョコレートの脂肪含量が、約36重量%以上である、第62項に記載の方法。
【0159】
第64項。ミルクチョコレートの脂肪含量が、約38重量%以上である、第62項に記載の方法。
【0160】
第65項。ミルクチョコレートの脂肪含量が、約40重量%以上である、第62項に記載の方法。
【0161】
第66項。ミルクチョコレートの総水分含量が約1.5重量%未満である、第49項~第65項のいずれか一項に記載の方法。
【0162】
第67項。ミルクチョコレートの総水分含量が約1.2重量%未満である、第49項~第66項のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
第68項。ミルクチョコレートの総水分含量が約1.0重量%以下である、第49項~第67項のいずれか一項に記載の方法。
【0164】
第69項。ミルクチョコレートの総水分含量が約0.8重量%以下である、第68項に記載の方法。
【0165】
第70項。ミルクチョコレートの総水分含量が約0.6重量%以下である、第68項に記載の方法。
【0166】
第71項。ミルクチョコレートの総レシチン含有量が0.5重量%を超える、第49項~第70項のいずれか一項に記載の方法。
【0167】
第72項。ミルクチョコレートの総レシチン含有量が0.7重量%を超える、第71項に記載の方法。
【0168】
第73項。ミルクチョコレートの総レシチン含有量が0.9重量%を超える、第72項に記載の方法。
【0169】
第74項。ミルクチョコレートの総PGPR含量が0.3重量%を超える、第49項~第73項のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
第75項。塑性粘度が約100°F(37.78℃)~約120°F(48.89℃)の温度で少なくとも1か月間安定している、第49項~第74項のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprise)」および「含む(include)」およびそれらの変形は、非限定的なものであることを意図しており、項目の連続した列挙またはリストは、この技術の装置および方法でも有用である可能性がある他の同様の項目を除外するものではない。同様に、用語「できる(can)」および「できる(may)」およびそれらの変形は、非限定的なものであることを意図しており、例が所定の要素または特徴を含むことができる、または含み得るという記載は、それらの要素や特徴を含まない本技術の他の例を排除するものではない。
【0172】
本明細書で使用される場合、製剤の成分の濃度との関連で、「約(about)」という用語は、通常記載の値の+/-5%、より一般的には記載の値の+/-4%、より一般的には記載値の+/-3%、より一般的には記載値の+/-2%、さらに一般的には記載値の+/-1%、さらに一般的には記載値の+/-0.5%を意味する。
【0173】
前述の明細書は例示的な実施形態を図示および説明しているが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であり、その要素を等価物で置き換えることができることは当業者には理解されよう。さらに、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本開示は、本発明を実施するための最良の形態として開示された特定の例に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての例を含むことが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】