(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】繊維質原料の処理方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20240905BHJP
C08J 11/08 20060101ALI20240905BHJP
D06M 11/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B29B17/02
C08J11/08 ZAB
D06M11/00 120
D06M11/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515537
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 FI2022050588
(87)【国際公開番号】W WO2023037048
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522360965
【氏名又は名称】インフィニティッド ファイバー カンパニー オイ
【氏名又は名称原語表記】INFINITED FIBER COMPANY OY
【住所又は居所原語表記】Tekniikantie 14 Espoo Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】シレン,サカリ
(72)【発明者】
【氏名】ストイエルンベルグ,マルティン
【テーマコード(参考)】
4F401
4L031
【Fターム(参考)】
4F401AA02
4F401AA22
4F401AB07
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4L031AA02
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4L031BA11
4L031BA12
4L031CA01
4L031CA02
4L031DA00
(57)【要約】
本発明の例示の態様に従えば、セルロース系繊維およびポリエステル系繊維を含む繊維質原料を処理する方法であって、原料を酸処理および洗浄作業に供する工程と、洗浄された第1の改質繊維質原料をアルカリ処理に供して、ポリエステル系繊維の少なくとも一部を溶解し、固形物を溶解された材料を含む水性液相から分離する分離に供される第2の改質繊維質原料を形成する工程と、分離の固形物を回収する工程と、回収された第2の改質繊維質原料を洗浄に供する工程と、液相を、マイクロ膜を用いた第1のろ過工程に供して、第1の水性透過液を得る工程と、第1の透過液を、ナノ膜を用いた第2のろ過工程に供して、第2の透過液を得る工程と、第2の水性透過液を回収する工程と、該第2の透過液をアルカリ処理工程にリサイクルする工程とを含む方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース系繊維およびポリエステル系繊維を含む繊維質原料を提供する工程と、
該原料を水性酸媒体中でpH5未満の酸処理に供して第1の改質原料を得る工程と、
該第1の改質原料を水で行う洗浄作業に供する工程と、
洗浄された第1の改質繊維質原料を、アルカリ蒸解液中でpH7を超えるアルカリ処理に供して、ポリエステル系繊維の少なくとも一部を溶解し、第2の改質繊維質原料を形成する工程と、
第2の改質繊維質原料を分離に供して、溶解物を含む水性液相から固形物を分離する工程と、
分離の固形物を回収する工程と、
回収された第2の改質原料を、水または水性液体で行われる洗浄作業に供する工程と、を含む繊維質原料を処理する方法において、
液相は、マイクロ膜を用いた第1の膜ろ過工程に供されて、第1のリジェクト画分および第1の水性透過液が得られ、
第1の透過液は、ナノ膜を用いた第2の膜ろ過工程に供されて、第2のリジェクト画分および第2の透過液が得られ、
第2の水性透過液が回収され、
第2の水性透過液がアルカリ処理工程にリサイクルされることを特徴とする方法。
【請求項2】
以下の水性流:
洗浄作業の洗浄水、
分離工程の水性液相、
第1の膜ろ過工程の第1の水性透過液、および
第2の膜ろ過工程の第2の水性透過液、
の少なくとも1つを、任意に、第1および第2のリジェクト画分の少なくとも1つと一緒に、湿式空気酸化に供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
任意選択で湿式空気酸化後に、第2の水性透過液に加えて、以下の水性流:
洗浄作業の洗浄水、
分離工程の水性液相、および
第1の膜ろ過工程の第1の水性透過液
の少なくとも1つをアルカリ処理工程にリサイクルすることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第2の水性透過液を第1の改質繊維質原料のアルカリ処理工程にリサイクルすることを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
水性酸媒体中、水性無機酸または有機酸、特に硫酸のような水性鉱酸中で、特に50~100℃、好ましくは60~95℃、好適には>70℃の範囲の温度で、酸処理を実施することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1の改質原料が、乾燥重量パルプの5重量%未満、特に乾燥重量パルプの1重量%未満、たとえば、乾燥重量パルプの0.5重量%未満であるように、洗浄作業を実施することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
水性アルカリ媒体中で、アミン、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、またはアルカリ土類金属炭酸塩のような無機塩基および有機塩基から選択される少なくとも1種のアルカリ剤を用いて、アルカリ処理を実施することを含み、前記アルカリ剤は、少なくとも20g/L、たとえば25~100g/LのNaOHに相当するアルカリ度を与える量で存在し、前記アルカリ処理は、特に、100~150℃の温度で実施される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
パルプ化プロセスの白液を少なくとも部分的に使用してアルカリ処理を実施することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第2の改質繊維質原料を分離に供し、フィルタプレス、スクリュープレスまたはドラムフィルタなどのフィルタ、または遠心分離機において、水相から固形物を分離することを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第1の膜ろ過工程を、0.025~10μmの平均孔径(孔直径)または50~500kDaの分子量カットオフを有する膜を用いて実施することを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
第2の膜ろ過工程を、50~1000Da、好ましくは50~500Da、好適には50~300Daの平均分子量カットオフを有する膜を用いて実施する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
洗浄作業の洗浄水、
ろ過工程の水性濾液、
第1の膜ろ過工程の第1の水性透過液、および
第2の膜ろ過工程の第2の水性透過液
から選択される水性流を、特に蒸発によって、前記水性流をアルカリ処理工程に再利用する前に、少なくとも20g/L、例えば25~100g/LのNaOH、好適には60~90g/LのNaOHに相当する有効アルカリ度に濃縮することを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
第2のリジェクト画分の少なくとも一部を、第2のナノ膜ろ過工程において透析ろ過に供することを含み、前記透析ろ過は、たとえば、水または流出液、濾液もしくは上澄み液などのプロセス工程の水性流を用いて実施される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
テレフタル酸塩、着色顔料、および他の有機炭素の少なくとも1つを含む、第1ならびに第2のリジェクト画分の少なくとも1つ、好ましくは両方を回収し、任意に、たとえば生物学的精製または湿式空気酸化を使用する、またはパルプ工場統合でさらなる処理に供することを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
混合色繊維製品を含む繊維質原料を提供することを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
分離の固形物を、漂白のために、たとえば、オゾン、過酸化物およびペルオキソ化合物の群から選択される酸化剤または酸化剤の組合せ、または亜ジチオン酸ナトリウム等の還元剤またはそれらの組合せを用いて実施される漂白のために、回収することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
原料の乾燥重量で少なくとも0.1重量%、特に少なくとも1重量%、最も好適には2~8重量%、好適には2~15重量%、最大25重量%のポリエステル繊維を含む繊維質原料を提供することを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
分離の固形物を溶解に供することを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
セルロース溶媒を使用して、および/または誘導体化剤の存在下で、分離の固形物を溶解に供することを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
分離の固形物を、セルロースカルバメートドープおよび/またはセルロースカルバメートの調製における出発原料として使用することを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
分離の固形物は、1重量%未満、特に0.5重量%未満のテレフタル酸塩およびそのポリマを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
アルカリ処理にリサイクルされる分離工程の水性液相に由来する蒸発液は、430nmにおける吸光度の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の減色を示す、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
アルカリ処理にリサイクルされる分離工程の水性液相に由来する蒸発液は、少なくとも60重量%、好適には少なくとも65重量%、好ましくは約70重量%の着色顔料およびセルロース系分解物およびポリエステル系分解物に基づく全有機炭素の減少を示す、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
原料の乾燥重量で1%未満のテレフタル酸塩およびそのポリマ、特に原料の乾燥重量で0.5%未満のテレフタル酸塩およびそのポリマ、および原料の乾燥重量で少なくとも95%のセルロース系繊維を含む、請求項1~23に記載の方法で得ることができる固形物。
【請求項25】
セルロース系繊維は、好ましくは綿繊維である、請求項24に記載の固形物。
【請求項26】
セルロース系繊維は、酸の工程とアルカリの工程の両方の後の最終粘度が200~500ml/g、好ましくは250~500ml/g、好適には250~450ml/g、特に300~350ml/gの範囲である、請求項24または25に記載の固形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース系繊維およびポリエステル系繊維を含む繊維質原料の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、繊維製品の約95%がリサイクル可能であるにもかかわらず、消費者使用後の繊維製品廃棄物のほとんどが焼却や埋め立てに回されている。機械的にリサイクルされるのは、消費者使用以前の廃棄物のごく一部だけである。2016年初頭から、欧州連合(EU)では使用済み繊維製品の埋め立て処分が禁止されている。そのためEU諸国では、再利用もリサイクルもできない繊維製品やその原料は、一般的にエネルギー生産工場で焼却されている。
【0003】
当然、リサイクルが望ましい。衣料用繊維製品市場は、主として、綿かポリエステルのどちらかに基づくものであり、どちらも環境に影響を与えている。たとえば、綿花の栽培には、農薬や人工肥料だけでなく、膨大な量の水が必要である。コットンの世界的な需要は、未使用素材を生産するための地球の資源を大幅に上回っている。そのため、消費者使用後の繊維製品廃棄物をリサイクルすることが不可欠である。再利用可能な繊維を得るために繊維製品材料を処理することは知られており、たとえば国際公開第2013/124265号には、分散と沈殿とによるセルロース含有材料の再生が記載されている。
【0004】
綿ベースの繊維製品廃棄物材料のリサイクルで使用される1つのプロセスは、国際公開第2018/197756号に記載されており、このプロセスでは、繊維製品材料は、アルカリ抽出で処理され、次いで、繊維製品ベースの材料の少なくとも部分的な溶解を引き起こすために酸でさらに処理される。
【0005】
リサイクルに利用されるもう一つの既知の技術は、繊維の加水分解である。一般的には、ボタンやジッパーなどの金属や硬いポリマ片を機械的に除去することが先行して行われる。たとえば、国際公開第2010/124944号には、セルロースの加水分解プロセスが開示されている。
【0006】
リヨセルプロセスは、セルロース系出発原料を第1世代のイオン液体であるNMMOに溶解することによりセルロースを再生するプロセスである。リヨセルプロセスから発展したIoncell-Fは、最近開発されたイオン液体を溶媒として用いた出発原料の溶解を含む再生プロセスである(国際公開第2014/162062号)。一方、BioCelSolプロセスは、出発原料の酵素処理を利用する。しかし、これらのプロセスはいずれも木材から繊維製品を作ることに焦点を当てている。
【0007】
化学的に分離されたセルロース繊維の画分は、その後、カルバメート化または紡糸を含む様々な目的に使用することができる。
【0008】
溶解パルプのような高品質のバージンセルロース原料からカルバメートセルロースを製造する方法は、米国特許第7662953号明細書から知られている。米国特許第8066903号明細書には、カルバメートセルロースの多相溶解技術が示されており、溶解に低温を適用する方法と、まず低濃度の希釈アルカリで塊を濡らし、次に高濃度で強く冷やしたアルカリで溶液を調製する方法が教示されている。
【0009】
セルロース繊維および他の繊維ならびに非繊維要素を含む繊維製品材料からセルロース繊維を分離するための機械的および化学的プロセスの組合せを含む分離方法が、欧州特許出願公開第3511448号明細書に記載されている。このようなプロセスでは、繊維製品材料はまず、より大きな非繊維異物を除去するために細断される。次に、残りの繊維成分を機械的に処理して非セルロース繊維からセルロース繊維を分離した後、セルロース繊維に化学処理を施してセルロース繊維上に依然として残っている非セルロース繊維を除去する。
【0010】
ポリエステルおよびセルロース組成物からセルロース性部分を分離するためのプロセスは、国際公開第2020/013755号に記載されている。この出願には、ポリエステルおよびセルロース含有組成物を含む原料組成物、分離のための工程から得られるセルロース系組成物、分離のための工程から得られるポリエステル加水分解生成物を含む混合物、パルプ、溶解パルプ、紙パルプ、再生セルロース系繊維製品、および紙製品からセルロース系部分を分離するための工程が記載されている。分離工程では、ポリエステル/セルロース組成物をアルカリ溶液を含む加水分解液と接触させる。ポリエステルの加水分解生成物は、分離プロセスの一部として形成され、アルカリ溶液中に蓄積する。
【0011】
米国特許第4345039号明細書は、ポリエステル/綿繊維製品廃棄物からポリエステル繊維を回収する方法を開示している。本方法では、混合繊維製品を無水HClガスで処理するが、このガスはポリエステルにはダメージを与えないものの、セルロース系材料をセルロース系粉末に分解し、塩素化炭化水素を生じる。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、先行技術に関連する問題の少なくともいくつかを克服し、セルロース系繊維およびポリエステル系繊維を含む繊維質原料を処理する方法を提供することである。
【0013】
本発明は、独立請求項の特徴によって定義される。いくつかの具体的な実施形態は従属請求項に定義されている。
本発明の第1の態様に従えば、繊維質原料を処理する方法であって、セルロース系繊維およびポリエステル系繊維を含む繊維質原料を提供する工程と、該原料を水性酸媒体中でpH5未満の酸処理に供して第1の改質原料を得る工程と、該第1の改質原料を水で行う洗浄作業に供する工程と、洗浄された第1の改質繊維質原料を、アルカリ蒸解液中でpH7を超えるアルカリ処理に供して、ポリエステル系繊維の少なくとも一部を溶解し、第2の改質繊維質原料を形成する工程と、第2の改質繊維質原料を分離に供して、溶解物を含む水性液相から固形物を分離する工程と、分離の固形物を回収する工程と、回収された第2の改質原料、すなわち分離された固体原料を、水または水性液体で行われる洗浄作業に供する工程と、分離の固形物を、水または水性液体で実施される洗浄作業に供し、液相、すなわち分離および/または前の洗浄工程からの水性液相を、マイクロ膜を用いた第1の膜ろ過工程に供して、第1のリジェクト画分および第1の水性透過液を得る工程と、第1の透過液を、ナノ膜を用いた第2の膜ろ過工程に供して、第2のリジェクト画分および第2の透過液を得る工程と、第2の水性透過液を回収する工程と、第2の水性透過液をアルカリ処理工程にリサイクルする工程とを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の少なくともいくつかの実施形態に従った繊維質原料の処理プロセスを示す。
【
図2】mg/lの全有機炭素(TOC)を水回収率、すなわち重量減少%に対してプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述したように、繊維質原料を処理する方法を提供することが本発明の目的である。本発明によって、驚くべきことに、ポリエステルの解重合から生じる加水分解生成物を膜ろ過によりアルカリ蒸解液から除去し、アルカリ処理工程にリサイクルできる透過液を提供し、それにより繊維質原料を処理するのに必要なアルカリの量の点で経済性を改善できることが見出された。
【0016】
図1は、セルロース系繊維およびポリエステル系繊維を含む繊維質原料を水性酸媒体中で酸処理に供して第1の改質原料を得、次いで水で洗浄し、任意に湿式空気酸化20からの水性流(220および320から排出される湿式酸化処理リジェクト物および任意に湿式酸化処理リジェクト物50を除く)で洗浄することによって得られる繊維10は、アルカリ蒸解工程100に供され、それによってポリエステル系繊維の少なくとも一部が溶解して第2の改質繊維質原料を形成し、これが分離200に導かれる、本発明の少なくともいくつかの実施形態に従うプロセスを示す。繊維200の分離後、水性濾液の少なくとも一部を任意に湿式空気酸化20に供することができる。水性210の流れは、任意選択で、洗浄200の前にアルカリ蒸解100の後に第2の改質繊維質原料の流れに方向転換される大きな繊維質粒子を除去するためにスクリーニングされる。任意選択のスクリーニングの後、水性流210は、精密ろ過ユニット220のマイクロ膜にわたる精密ろ過に供され、リジェクト液と第1の水性透過液が提供される。第1のリジェクトは、任意のリジェクト濃縮ユニット(400)に導くことができる。第1の水性透過液は、ナノろ過ユニット230においてナノ膜を横切ってナノろ過に導かれ、リジェクト70は、320および400から来る水性透過液と混合することによって、透析ろ過に導かれる。精密ろ過(220)から得られた水性透過液の少なくとも一部は、任意で湿式酸化処理に導くことができる。リジェクト液は、ナノろ過ユニット340においてさらなるナノ膜を横切ってさらなるナノろ過工程に導かれ、透過液は、濃縮ユニット240、たとえば機械的蒸気再圧縮ユニットに導かれ、透過液の少なくとも一部は、任意選択で湿式酸化処理に導くことができ、その後アルカリ溶液を含む濃縮透過液がアルカリ蒸解工程100に導かれる。分離工程200の後、第2の改質繊維質原料は、洗浄水30が添加される1つ以上の洗浄工程300に導かれる。処理された繊維質原料40が得られる。洗浄段階から得られた水性液の少なくとも一部は、任意に湿式空気酸化処理20に供される。水性流310は、任意選択で、より大きな繊維質粒子を除去するためにスクリーニングされ、任意選択で、1つ以上の洗浄工程300に入る第2の繊維質原料に方向転換される。任意選択のスクリーニング後、水性流310は、精密ろ過ユニット320において、精密ろ過膜を横切る精密ろ過に供され、リジェクトおよび第1の水性透過液を提供する。第1の水性透過液は、ナノろ過ユニット340のナノ膜を介したナノろ過に導かれ、リジェクトは任意のリジェクト濃縮400に導かれる。320から得られた水性透過液およびリジェクトの少なくとも一部は、湿式酸化処理に導くことができる。ナノろ過ユニット340は、任意に、リジェクトの少なくとも一部を透析ろ過するための水性流のための入口500を有する。たとえばテレフタル酸塩または顔料を含むアルカリリジェクト50は、ナノろ過ユニット340から除去され、任意選択でさらに湿式空気酸化20に供される。透過液は、ナノろ過ユニット340から濃縮ユニット240に導かれる。340からの透過液の少なくとも一部は、任意に湿式酸化処理に向けることができる。透過液が濃縮された後、回収された水60は濃縮ユニットから除去され、さらなる使用に向けられ、アルカリ溶液を含む濃縮透過液はアルカリ蒸解工程100に向けられる。
【0017】
図2は、本発明の少なくともいくつかの実施形態に従えば、重量減少(WR)%に対して全有機炭素(TOC)mg/Lをプロットしたグラフである。重量減少(WR)%は、WRが、ろ過工程に入る供給物の質量からろ過工程の透過物に含まれる液体の質量の百分率を記述するので、システムの分離効率を決定する。したがって、WRは回収水の量を表す。WR%が最適より高い場合、膜を通過する不純物の浸透が急速に増加し、アルカリ回収の利点を上回る。グラフは、TOCに関して、WR%が好ましくは最大70%であることを示している。一実施形態に従えば、WR%は50~80%の範囲にあり、60~95%のTOC低減が得られる。一実施形態に従えば、第1のナノろ過工程(ナノ膜ろ過)で形成される透過液の最大量は、WRが70%で得られるTOC低減レベルが70%で得られる。第1ナノろ過工程で回収した透過液は、濃縮せずにそのまま利用できる。TOC低減率が高いほど、回収されるアルカリの絶対量は少なくなる。とはいえ、WRが高いほど濃縮液中の不純物、すなわちリジェクトが増加し、膜表面積を増加させる必要性が生じ、膜の圧力上昇と閉塞により膜の寿命が短くなる。さらに、WRの増加は、ギ酸や乳酸のような短鎖有機酸の減少の著しい減少につながり、これらはスピンバス循環中に濃縮される。WRの減少は、ひいては回収アルカリ量の減少にもつながる。さらに、低WRろ過工程のリジェクトを透析ろ過に供すると、得られた透過液の蒸発濃縮の必要性が増大する。このように、WRとTOCの低減を最適化することにより、活性アルカリの不純物をできるだけ含まないリサイクルを達成し、なおかつ高品質の回収量を得ることを目的としている。高品質には、不純物、着色顔料などが酸およびアルカリ処理工程での化学的消費量や形成される繊維の品質に影響を与えないようにするために、不純物の量が少ないことが必要である。本明細書では、TOCはSFS-EN 1484:1997規格に従って測定され、この規格ではTOCは非パージ性有機炭素と定義されている。
【0018】
本発明の例示的な態様に従えば、セルロース系繊維およびポリエステル系繊維を含む繊維質原料を処理する方法であって、原料を水性酸媒体中で酸処理に供して第1の改質原料を得る工程と、第1の改質原料を、水で行う洗浄作業に供する工程と、洗浄された第1の改質繊維質原料を、アルカリ蒸解液中でアルカリ処理に供して、ポリエステル繊維の少なくとも一部を溶解し、第2の改質繊維質原料を形成する工程と、第2の改質繊維質原料を分離に供して、溶解物質を含む水性液相から固形物を分離する工程と、分離の固形物を回収する工程と、回収された第2の改質原料、すなわち、第2の改質繊維質原料を、水または水性液体を用いて実施される洗浄作業に供し、洗浄された固形物および洗浄液を含む液相が得られる工程と、液相(単数または複数)を、マイクロ膜を用いた第1の膜ろ過工程に供して、第1のリジェクト画分および第1の水性透過液を得る工程と、第1の透過液をナノ膜を用いた第2の膜ろ過工程に供し、第2のリジェクト画分と第2の透過液を得る工程と、第2の水性透過液を回収する工程と、第2の水性透過液をアルカリ処理工程にリサイクルする工程とを含む方法が提供される。
【0019】
したがって、各実施形態は、繊維質原料を処理する方法に関する。一実施形態において、本方法は、セルロース系繊維およびポリエステル系繊維を含む繊維質原料を提供する工程と、この原料を水性酸媒体中でpH5未満の酸処理に供して第1の改質原料を得る工程と、第1の改質繊維質原料を、水を用いて行う洗浄作業に供する工程と、洗浄された第1の改質繊維質原料を、アルカリ蒸解液中でpH7以上のアルカリ処理に供して、ポリエステル繊維の少なくとも一部を溶解し、第2の改質繊維質原料を形成する工程と、第2の改質繊維質原料を分離に供して、溶解物を含む水性液相から固形物を分離する工程と、分離の固形物を回収する工程と、回収された第2の改質原料を、水または水性液体を用いて実施される洗浄作業に供する工程と、液相をマイクロ膜を用いた第1の膜ろ過工程に供して第1のリジェクト画分と第1の水性透過液とを得る工程と、第1の透過液をナノ膜を用いた第2の膜ろ過工程に供して第2のリジェクト画分と第2の透過液とを得る工程と、第2の水性透過液を回収する工程と、第2の水性透過液をアルカリ処理工程にリサイクルする工程とを含む。
【0020】
実施形態において、本方法は、セルロース系繊維およびポリエステル系繊維、ならびに任意に着色料、顔料、染料、有機物および/または無機物を含む繊維質原料を提供する工程を含む。好ましい実施形態において、繊維質原料は、原料の乾燥重量で少なくとも0.1重量%、特に少なくとも1重量%、最も好適には2~8重量%、好適には2~15重量%、最大25重量%のポリエステル繊維を含む。
【0021】
実施形態において、本方法は、原料を水性酸媒体中、5未満のpHで酸処理に供することを含む。好ましくは、本方法は、水性無機酸または有機酸、特に硫酸のような水性鉱酸中で、特に50~100℃、好ましくは60~95℃、好適には>70℃の範囲の温度で、好適には100℃以下の温度で、好適には大気圧で酸処理を実施し、第1の改質原料を得ることを含む。典型的な実施形態において、水性酸媒体は、水1リットル当たり3~6gの酸を含む。酸処理後の第1の改質原料は、好ましくは6~15%のコンシステンシを有する。好適には、酸処理はセルロースを加水分解し、その分子量および多分散性を低下させ、繊維質原料中に存在する酸可溶性金属および酸可溶性窒素、リンおよび塩素含有化合物ならびに酸性水溶性有機物(たとえば繊維製品仕上げ剤)の少なくとも一部、好ましくは大部分を溶解する。実施形態の目的のために、酸可溶性金属の大部分は、典型的には、原料の乾燥重量で0.3重量%未満である。実施形態の目的のために、酸可溶性窒素、リンおよび塩素含有化合物の大部分は、典型的には、原料の乾燥重量で0.05重量%未満である。実施形態の目的のために、酸性の水溶性有機物の大部分は、典型的には、原料の乾燥重量で1.0重量%未満である。
【0022】
実施形態において、第1の改質原料は、水を用いて実施される洗浄作業に供される。好ましくは、本方法は、第1の改質原料が乾燥重量パルプの5重量%未満、特に乾燥重量パルプの1重量%未満、たとえば、乾燥重量パルプの0.5重量%未満であるように、典型的には、洗浄工程が、酸(および任意の溶解セルロース由来不純物である全溶解有機炭素(TOC)乾燥重量パルプの1.5重量%未満、非セルロース由来溶解有機物乾燥重量パルプの0.5重量%未満、および無機物乾燥重量パルプの0.2重量%未満)の後続工程への持ち越しを最小限にするように実施されるように洗浄作業を実施することを含む。実施形態において、洗浄作業において無機物および有機炭素の持ち越しも低減され、アルカリリサイクルプロセスの性能がさらに向上する。洗浄後、第1の改質原料は好ましくは脱水され、好適には30~60%のコンシステンシにされる。酸性処理後のパルプ乾燥重量は、セルロースとポリエステル(PES)の乾燥重量である。非セルロースまたは非ポリエステル繊維の残留物が存在することもある。
【0023】
実施形態において、洗浄作業の後、本方法は、洗浄された第1の改質繊維質原料を、アルカリ蒸解液中、好ましくは50~200℃、好ましくは95~140℃、典型的には100~120℃、好適には110℃の範囲の温度で、30分~240分、典型的には60分~180分、好ましくは60分~120分の間、典型的には0.1~3bar(g)の範囲の圧力で、ポリエステル繊維の少なくとも一部を溶解し、特に6~15%のコンシステンシの第2の改質繊維質原料を形成する。好ましい実施形態において、本方法は、水性アルカリ媒体中で、アミン、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属硫化物、硫化アンモニウム、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属硫化物およびそれらの混合物のような無機塩基および有機塩基から選択される少なくとも1種のアルカリ剤を用いて、アルカリ処理を実施することを含み、前記アルカリ剤は、少なくとも20g/L、たとえば25~100g/LのNaOH、好適には60~90g/LのNaOHに相当するアルカリ度を与える量で存在し、前記アルカリ処理は、特に、100~150℃の温度で実施される。一実施形態において、本方法は、パルプ化プロセスの白液を少なくとも部分的に使用してアルカリ処理を実施することを含む。
【0024】
実施形態に従えば、本方法は、第2の改質繊維質原料を分離に供し、溶解物質、未溶解微粒子および残留繊維を含む水性液相から固形物を分離することをさらに含む。好ましい実施形態において、本方法は、第2の改質繊維質原料を分離に供し、フィルタプレス、スクリュープレスまたはドラムフィルタなどのフィルタ、または遠心分離機において、水相から固形物を分離することを含む。
【0025】
実施形態において、本方法は、分離の固形物を回収することをさらに含む。好ましい実施形態において、本方法は、回収された第2の改質原料を、水または水性液体、特に100℃までの温度で実施される洗浄作業に供することを含む。好適には、洗浄は、置換洗浄およびプレス装置で行われる
【0026】
さらなる実施形態において、本方法は、第1のリジェクト画分および第1の水性透過液を得るために、液相を、マイクロ膜、好適には1つ以上の膜を用いた第1の膜ろ過工程、特に固体粒子をろ過する工程に供することを含む。実施形態において、第1の膜ろ過工程の前に、好適には、固形物分離工程から液相に残った繊維質物質の一部、特に大部分が、任意のスクリーニング段階で液体から除去される。典型的な実施形態において、第1の膜ろ過工程は、10~99℃の範囲の温度、たとえば10~90℃、好適には50~95℃または35~60℃の範囲の温度で行われる。ろ過工程の温度が高ければ高いほど、粘度が高くなり、その結果、流束値が向上する。ろ過から得られる透過液は、熱を回収できる高エネルギー画分である。マイクロ膜は、一般に、後続のナノ膜ユニットを保護するために、未溶解の微粒子の大部分を除去するのに適した孔径を有する膜ユニットで構成される。フィルタタイプは、クロスフローチューブラータイプ、ダイナミッククロスフローフィルタ、またはそれらの組み合わせが好ましい。他のタイプとしては、キャピラリータイプやスパイラルタイプのフィルタが考えられる。フィルタ材料は、高分子膜、セラミック、またはセラミックコーティングを施したスチールとすることができる。好ましい実施形態において、第1の膜ろ過工程、典型的には精密ろ過工程は、0.025~10μmの平均孔径(孔直径)または50~500kDaの分子量カットオフを有する膜、好適には1つ以上の膜を用いて実施される。精密ろ過工程で使用される圧力は、好ましくは2~6barg、典型的には3~5bargの範囲である。流束は、典型的には10~400dm3/m2・hの範囲であり、より典型的には100~350dm3/m2・hの範囲である。一実施形態に従えば、精密ろ過工程における重量減少は80~99%、典型的には90~97%である。精密ろ過は、好ましくは約50~95℃の高温で行われる。第1のリジェクト画分は、典型的には、精密ろ過膜の分解能よりも高い平均粒径(0.025~10um)を有する未溶解粒子を含み、たとえば、第1のリジェクト画分は、残留未溶解セルロースおよびセルロース由来の粒子、原料中に存在する残留未溶解非セルロース系粒子、着色顔料およびそれらの凝集物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属硫化物アルカリ土類金属リン酸塩アルカリ土類金属ケイ酸塩沈殿物、および好適には遷移金属水酸化物、遷移金属炭酸塩、遷移金属硫化物、遷移金属リン酸塩、遷移金属ケイ酸塩沈殿物、およびそれらの混合物を含んでよい。第1の水性透過液は、典型的には、たとえば以下のような、溶解した有機分子またはその未溶解の微粒子を含む:着色顔料、ナトリウム塩の形態のテレフタル酸塩、エチレングリコールなどのアルコール、樹脂、ワックス、カルボン酸、およびヒドロキシ酸とそのナトリウム塩の形態の遊離脂肪酸、および、主に溶解した、水酸化物、炭酸塩、硫化物、リン酸塩、ケイ酸塩などの形態の、少量の2価および/もしくは3価の陽イオンなどの無機イオン、または、硫酸塩、塩化物、ケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩のような陰イオンが、溶解している、および/または微粒子およびセルロースまたはセルロース由来の微粒子または非セルロース微粒子のような未溶解の微粒子またはナノ粒子の形態の、精密ろ過膜の分解能よりも小さい平均粒子径(<0.025~10um)を有するもの。実施形態において、典型的には上述の組成物を含む第1のリジェクト画分は、好ましくはクラフトパルプ工場の統合化学回収プロセスで利用される廃水回収および処理に向けられるか、あるいは化学的および生物学的廃水処理プロセスに向けられる。
【0027】
実施形態において、本方法は、第2のリジェクト画分および第2の透過液を得るために、第1の透過液を、ナノ膜、好適には1つ以上の膜を用いた第2の膜ろ過工程、特に溶存分子をろ過する工程に供することを含む。好ましくは、第2の膜ろ過工程は、10~70℃の範囲の温度、好適には35~60℃の範囲の温度、特に50~60℃の範囲の温度で行われる。ナノ膜は、典型的には、残存する未溶解の微粒子および溶解した不純物の少なくとも一部、好適には大部分を除去し、第2の透過液を化学的に精製して、たとえば第1の改質原料のアルカリ処理にリサイクルすることに着目した、適切な分子量カットオフを有する膜ユニットで構成される。ナノ膜の種類は、アルカリ安定性材料を含むスパイラル型膜が好ましい。典型的な実施形態において、第2の膜ろ過工程は、50~1000Da、好ましくは50~500Da、好適には50~300Daの平均分子量カットオフを有する膜、好適には1つ以上の膜を用いて実施される。ナノろ過工程で使用される圧力は、好適には10~60bargの範囲であり、典型的には15~35bargの範囲である。流束は、典型的には2~90dm3/m2・hの範囲であり、より典型的には4~35dm3/m2・hの範囲である。一実施形態に従えば、ナノろ過工程における重量減少は40~85%、典型的には60~80%である。第2の透過液は、典型的には、第1の透過液と同じ組成の不純物を含むが、濃度は低減されている。ナノろ過の主な目的は、混合色原料から抽出される着色顔料のアルカリ量を低減し(減色)、ポリエステル由来の加水分解生成物の量を低減し(テレフタル酸の低減)、セルロース由来の有機化合物の量を低減し(有機炭素の低減、TOCの低減)、同時にケイ酸塩のような溶存無機物の量を低減することであり、これにより水酸化ナトリウムのようなリサイクル可能な活性アルカリ種の収率が最大化される。活性アルカリ種である水酸化ナトリウムの全回収率は、好ましくは、少なくとも80%である。一実施形態において、第2のリジェクト画分は、好ましくはクラフトパルプ工場の統合化学回収プロセスで利用される廃水回収および処理に向けられるか、あるいは化学的および生物学的廃水処理プロセスに向けられ、任意にテレフタル酸塩および有機酸のような選択された有機物は分離され、商業的に利用することが可能であり、前記第2の画分は、典型的には、テレフタル酸塩、着色顔料およびそれらの凝集物、ポリエチレンテレフタレート由来のような他のセルロース由来もしくはポリエステル由来の加水分解生成物、非セルロース由来もしくは非ポリエステル由来の不純物、またはケイ酸ナトリウムのような無機物を含む。
【0028】
実施形態において、本方法は、第2の水性透過液を回収することを含む。好ましい実施形態において、第2の水性透過液は、過剰の水を除去することによって回収され、濃縮され、内部リサイクルのために、活性アルカリ濃度、たとえば水酸化ナトリウム濃度の適切なレベルを調整する。一実施形態において、この方法は、水酸化ナトリウムなどの活性アルカリの適切な濃度を有する第2の水性透過液をアルカリ処理工程にリサイクルする工程を含む。
【0029】
さらなる実施形態において、本方法は、以下の水性流:
・洗浄作業の洗浄水、
・分離工程の水性液相、
・第1の膜ろ過工程の第1の水性透過液、および
・第2の膜ろ過工程の第2の水性透過液、
の少なくとも1つ、好ましくは1つ以上を、任意に、第1および第2のリジェクト画分の少なくとも1つ、好ましくは1つまたはそれ以上と一緒に、湿式空気酸化に供することを含む。湿式空気酸化の間、前述の水性流中の懸濁物質または溶解物質の少なくとも一部は、高温で気体酸素、オゾン、過酸化水素またはそれらの混合物によって酸化される。湿式酸化処理は、穏やかな条件下で既に水性流体中の色(顔料)を破壊することが可能である。一実施形態において、145℃、5barの酸素での処理が、必要な減色に達するのに十分である。減色は酸素圧を上げることで促進できる。着色顔料は酸化分解され、顔料の可視色を提供する顔料分子の共役構造が破壊される。色の除去に加えて、湿式酸化は、水性流体中に存在するカルボン酸のようなセルロース由来の化合物を分解する。これはC6-C4酸の顕著な減少として検出できる。C1-C2酸の濃度はそれに応じて増加した。酸化処理は同時に媒体中の活性アルカリを消費する。テレフタル酸の酸化には、180℃より高い温度と、15barより高い酸素圧(180℃の場合)が必要である。
【0030】
実施形態において、本方法は、任意選択で湿式空気酸化後に、第2の水性透過液に加えて、以下の水性流:
・洗浄作業の洗浄水、
・分離工程の水性液相、および
・第1の膜ろ過工程の第1の水性透過液
の少なくとも1つ、好ましくは1つ以上をアルカリ処理工程にリサイクルすることを含む。
【0031】
湿式酸化を、好ましくはナノ膜の前に第1の水性透過液に対して実施することにより、精製前処理としてのナノ膜の能力が向上する。
【0032】
特定の実施形態において、本方法は、第2の水性透過液を第1の改質繊維質原料のアルカリ処理工程にリサイクルすることを含む。減色および有機炭素の低減は、回収されたアルカリのリサイクルを可能にする。着色顔料および有機炭素の低減がなければ、前記汚染物質はプロセス中に蓄積し、その結果、あるプロセス段階から後続の段階への持ち越しが高くなる。たとえば、漂白段階への色顔料や有機炭素の持ち越しが多すぎると、活性漂白剤の消費量が増えたり、漂白製品の白色度が低下したりする。第2の水性透過液は、典型的には、水酸化ナトリウムのような精製された活性アルカリ種を含み、溶解した有機分子またはそれらの未溶解微粒子、たとえば、以下のようなものが減少している:色顔料、ナトリウム塩の形態のテレフタル酸塩、エチレングリコールなどのアルコール、ナトリウム塩の形態のカルボン酸およびヒドロキシ酸、および少量の2価および/または3価の陽イオンなどの無機イオン、主に溶解した水酸化物、炭酸塩、硫化物、リン酸塩またはケイ酸塩の形態、または硫酸塩、塩化物、ケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩のような陰イオンが溶解したもの、および/またはセルロースまたはセルロース由来の微粒子、またはナノろ過膜の分解能(50~1000Da)よりも平均粒径が小さい非セルロース性微粒子のような微粒子や未溶解の微粒子またはナノ粒子の形態で溶解したもの。
【0033】
さらなる実施形態において、本方法は、洗浄作業の洗浄水、ろ過工程の水性濾液、第1の膜ろ過工程の第1の水性透過液、および第2の膜ろ過工程の第2の水性透過液から選択される1つまたは複数の水性流を、特に蒸発によって、前記水性流をアルカリ処理工程に再利用する前に、少なくとも20g/L、例えば25~100g/LのNaOH、好適には60~90g/LのNaOH含有量に相当する有効アルカリ度に濃縮することを含む。実施形態において、1つまたは複数の水性流が回収され、一緒に混合され、蒸発により濃縮されて過剰の水が除去される。
【0034】
実施形態において、本方法は、第2のリジェクト画分の少なくとも一部を、第2のナノ膜ろ過工程において透析ろ過に供することを含み、前記透析ろ過は、たとえば、水または流出液、濾液もしくは上澄み液などのプロセス工程の水性流を用いて実施される。ダイアフィルタリング(Diafiltering)は、典型的には、第2のリジェクト画分からのアルカリの回収を最大化するために実施される。
【0035】
一実施形態において、本方法は、テレフタル酸塩、着色顔料、および他の有機炭素の少なくとも1つを含む、第1ならびに第2のリジェクト画分の少なくとも1つ、好ましくは両方を回収し、任意に、たとえば生物学的精製または湿式空気酸化を使用する、またはパルプ工場統合でさらなる処理に供することを含む。テレフタル酸塩を含有する1つまたは複数の画分のさらなる処理。実施形態において、第1および/または第2のリジェクト画分は、好ましくはクラフトパルプ工場の統合化学回収プロセスで利用されるように、または代替的に化学的および/または生物学的廃水処理プロセスで利用されるように、廃水回収および処理に向けられる。
【0036】
特定の実施形態において、本方法は、混合色繊維製品を含む繊維質原料を提供することを含む。好ましい実施形態において、本方法は、分離の固形物を、漂白のために、たとえば、オゾン、過酸化物およびペルオキソ化合物の群から選択される酸化剤または酸化剤の組合せ、または亜ジチオン酸ナトリウム等の還元剤またはそれらの組合せを用いて実施される漂白のために、回収することを含む。漂白は、繊維質原料が混合色繊維製品を含む実施形態において、色を除去するのに特に好ましい。
【0037】
実施形態において、本方法は、分離の固形物を溶解に供することを含み、好ましくは、本方法は、セルロース溶媒を使用して、および/または誘導体化剤の存在下で、分離の固形物を溶解に供することを含む。好適なセルロース溶媒としては、従来のリヨセルプロセスで使用されるNMMO(N-メチルモルホリンN-オキシド)、またはリヨセルタイプ繊維もしくは変性リヨセルタイプ繊維を製造するプロセスで使用するのに好適なイオン液体ベースのセルロース溶媒;金属アンミン錯体、たとえばキュプロプロセスまたはシュバイツァー試薬で使用される銅アンミン錯体、酒石酸鉄錯体、またはジンコクセン試薬((トリ(エチレンジアミン)水酸化亜鉛溶液);水酸化ナトリウムまたは亜鉛酸ナトリウムが挙げられる。前述の各溶媒は、有機表面活性剤および/または尿素および/またはチオ尿素とともに、または有機表面活性剤および/または尿素および/またはチオ尿素なしで使用することができる。好適な誘導体化剤としては、たとえば、ビスコースまたはモダールプロセスにおける二硫化炭素、またはセルロースカルバメートプロセスにおける尿素が挙げられる。
【0038】
さらなる実施形態において、本方法は、分離の固形物を、セルロースカルバメートドープの調製における出発原料として使用することを含む。実施形態において、分離の固形物は1重量%未満、特に0.5重量%未満のテレフタル酸塩を含む。実施形態において、テレフタル酸塩の一部は、そのポリマの形態で、たとえば、対応するポリエステルのポリマの形態で、たとえば、原料と蒸解試薬との間の不完全な接触に起因する蒸解釜内の蒸解液のチャネリングに起因して存在し得る。典型的には、テレフタル酸塩を0.5重量%未満含む固形物は、セルロースカルバメートポリマの調製、およびそれに続くセルロースカルバメートドープおよびセルロースカルバメートポリマからのセルロースカルバメート紡糸ドープの調製における出発原料として好適である。実施形態において、アルカリ処理にリサイクルされる分離工程の水性液相に由来する蒸発液は、430nmにおける吸光度の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の減色を示す。スピンバス循環中の着色顔料の含有量が低ければ低いほど、次の洗浄工程、さらに次の漂白工程に質量によって運ばれる持ち越しの量は少なくなる。従って、たとえば、着色顔料の含有量が低いと、漂白剤の消費量が減少する。着色顔料の中には、高温でスピンバスに溶解するものもあり、それらは灰汁含有量が減少する間、水で除去する必要がない。
【0039】
実施形態において、洗浄作業の洗浄水、ろ過工程の水性濾液、第1の膜ろ過工程の第1の水性透過液および第2の膜ろ過工程の第2の水性透過液から選択される1つ以上の水性流を、前記水性流をアルカリ処理工程にリサイクルする前に濃縮することによって、特に蒸発させることによって、提供される濃縮液は、90重量%の着色顔料およびセルロース系分解生成物に基づく全有機炭素の減少を示す。従って、実施形態において、蒸発した濃縮溶液は、少なくとも60重量%、好適には少なくとも65重量%、好ましくは約70重量%の着色顔料およびセルロース系分解物およびポリエステル系分解物に基づく全有機炭素の減少を示す。
【0040】
さらなる実施形態は、上述の実施形態の方法によって得られる固形物に関する。一実施形態において、方法によって得られる固形物は、原料の乾燥重量で1%未満のテレフタル酸塩およびそのポリマ、特に原料の乾燥重量で0.5%未満のテレフタル酸塩およびそのポリマ、および原料の乾燥重量で少なくとも95%のセルロース系繊維を含む。さらなる実施形態において、セルロース系繊維は好ましくは綿繊維である。特定の実施形態において、セルロース系繊維は、酸の工程とアルカリの工程の両方の後の最終粘度が200~500ml/g、好ましくは250~500ml/g、好適には250~450ml/g、特に300~350ml/gの範囲である(改訂ISO 5351に従ったCED粘度測定に基づく)。
【0041】
以下の非限定的な例は、本発明の少なくともいくつかの実施形態を示す。
実施例1 化学的前処理
【0042】
8.8%の非セルロース系繊維(主にポリエステルおよび微量のナイロン)を含む、CED粘度750ml/g(改訂ISO 5351)のリサイクル混合色選別綿繊維製品廃棄物を機械的に細断し、布構造を平均サイズ6mmの繊維を有する断片の形態に分解した。細断された材料(バッチサイズ295kgの風乾細断繊維製品廃棄物)は、中程度のコンシステンシを持つ木質繊維ベースのパルプ処理用に設計された中程度のコンシステンシのループを持つ蒸解釜で酸前処理された。ループの主要部分は、スタンドパイプと関連する中コンシステンシポンプで構成された。第1の酸性段階では、細断された原料は95℃の硫酸で70分間処理され、10対1の液体対固体の比率が適用され、初期酸チャージは5.0g/L、蒸解終了時の最終酸濃度は4.3g/Lであった。最終洗浄液のpH値は、乾燥酸処理物1kgあたり0.6gの遊離硫酸に相当する洗浄濾液で測定して3.2であった。酸性蒸解液中の中程度のコンシステンシのパルプスラリーは、ケミカルミキサを通して循環され、供給パイプの上部に戻された。ループ内の流量は、ポンプの回転数を調整し、流れの一部をスタンドパイプの下部に戻すことによってループをバイパスすることによって制御した。バイパスは繊維懸濁液に適した制御弁で調整した。酸処理物の粘度は315ml/gであった(改訂ISO 5351に従ったCED粘度測定に基づく)。酸性段階での平均収率は、オーブン乾燥物の固形分89%であった。
【0043】
第2のアルカリ段階において、洗浄され酸処理された繊維質原料は、中濃度ポンプを備えた圧力反応器中で、水酸化ナトリウムを用いて110℃で120分間化学処理され、13対1の液体対固体比が適用され、初期アルカリチャージは71.7g/Lであり、蒸解終了時の最終アルカリ濃度は63.7g/Lであった。アルカリ段階での平均収率は、オーブン乾燥物の固形分86%であった。
【0044】
アルカリ処理した繊維質原料を分離に供し、溶解物と未溶解粒子とを含む水性液相から固形物を分離した。回収された原料は、さらに水で洗浄された。分離された固形物は、スクリュープレスを用いて乾燥物含量55重量%まで脱水された。分離回収された水性液相は、以下の組成を有していた:pH値13.4、導電率250mS/cm、固形物質の総濃度740mg/L(空隙率1μmの膜を用いた重量測定による)、濁度210NTU、吸光度8.8(VIS分光光度計で測定した波長430nmの溶液の吸光度として決定した色)、TOC 15000mg/L、水酸化ナトリウムとしての全有効アルカリ63.7g/L(塩酸による酸塩基滴定と終点の電位差検出による)、ギ酸濃度2.4g/L、乳酸濃度1.0g/L、3,4-ジデオキシペントン酸濃度1.3g/L、テレフタル酸濃度4.5g/L、β-(グルコ)イソサッカリン酸濃度7.6g/L、α-(グルコ)イソサッカリン酸濃度2.8g/L、カルシウム(Ca)濃度53ppm、マグネシウム(Mg)濃度20ppm未満、鉄(Fe)濃度30ppm未満、リン(P)濃度20ppm未満、銅(Cu)濃度2ppm未満、ケイ素(Si)濃度50ppm未満、アルミニウム(Al)濃度100ppm未満、マンガン(Mn)濃度5mg未満。
【0045】
上記の組成で回収された水性液相は、マイクロ膜による第1のろ過に導かれた。Optifilter CR-250がマイクロ膜用の装置として機能した。Optifilter CR-250は、膜表面のクロスフロー速度を高めるために膜間にロータを備えた2枚の平板膜を有していた。孔径0.05μm、総ろ過面積0.09m2の膜を使用した。Optifilter CR-250の透過液は、ナノ膜を用いた第2のろ過工程に導かれた。Optifilter CR-250で使用されたろ過圧力は2barで、目標流束は200LMH(リットル/m2/時)であった。ろ過温度は52~60℃で、供給量は50Lであった。ろ過は可能な限り高いWR(重量減少率)まで行われた。圧力2bar、WR84%までの平均流束は230LMHであった。マイクロ膜を通過した透過液は、以下の組成を有していた:pH値13.4、導電率240mS/cm、吸光度6.4(VIS分光光度計で測定した波長430nmの溶液の吸光度として決定された色)、TOC 13760mg/L、水酸化ナトリウムとしての全有効アルカリ63.0g/L(塩酸による酸塩基滴定と終点の電位差検出による)、ギ酸濃度2.4g/L、乳酸濃度1.0g/L、3,4-ジデオキシペントン酸濃度1.3g/L、テレフタル酸濃度4.5g/L、β-(グルコ)イソサッカリン酸濃度7.6g/L、α-(グルコ)イソサッカリン酸濃度2.8g/L、カルシウム(Ca)濃度50ppm未満、マグネシウム(Mg)濃度20ppm未満、鉄(Fe)濃度30ppm未満、リン(P)濃度20ppm未満、銅(Cu)濃度2ppm未満、ケイ素(Si)濃度50ppm未満、アルミニウム(Al)濃度100ppm未満、マンガン(Mn)濃度5mg未満。
【0046】
上記の組成を有するマイクロ膜による精密ろ過から得られた回収水性液体透過液は、ナノ膜による2回目のろ過に導かれた。ナノろ過は、流量循環測定ユニットを備えたSEPAろ過モジュールで行い、分子量100Da、膜面積1.6m2のスパイラル巻き膜を選択した。WR50%、WR60%、WR70%、WR80%における平均流束は、それぞれ~14LMH、~13LMH、~11LMH、~7LMHであった。ろ過圧力は20barで、目標流束は15LMH(リットル/m2/時)であった。ろ過温度は50℃であった。WR70%のナノ膜を通過した透過液は、以下の組成を有していた:pH値13.6、導電率260mS/cm、吸光度0.37(VIS分光光度計で測定した波長430nmの溶液の吸光度として決定された色)、TOC 3450mg/L、水酸化ナトリウムとしての全有効アルカリ58.6g/L(塩酸による酸塩基滴定と終点の電位差検出による)、ギ酸濃度2.7g/L、乳酸濃度1.3g/L、3,4-ジデオキシペントン酸濃度0.9g/L、テレフタル酸濃度0.6g/L、β-(グルコ)イソサッカリン酸濃度2.1g/L、α-(グルコ)イソサッカリン酸濃度0.8g/L、カルシウム(Ca)濃度50ppm未満、マグネシウム(Mg)濃度20ppm未満、鉄(Fe)濃度30ppm未満、リン(P)濃度20ppm未満、銅(Cu)濃度2ppm未満、ケイ素(Si)濃度50ppm未満、アルミニウム(Al)濃度100ppm未満、マンガン(Mn)濃度5mg未満。WR70%において第1段階でマイクロ膜、第2段階でナノ膜を用いたろ過で得た透過液は、計算上TOC低減率77%、減色率95%以上であった。
【0047】
開示された本発明の実施形態は、本明細書に開示された特定の構造、プロセス、工程、または材料に限定されるものではなく、関連する技術分野における通常の当業者によって認識されるであろうそれらの等価物に拡張されることを理解されたい。 また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみに使用され、限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0048】
本明細書全体を通して、一実施形態または実施形態への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて様々な箇所で「一実施形態において」または「実施形態において」という表現が現れるが、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。たとえば、約、実質的になどの用語を用いて数値に言及する場合、正確な数値も開示される。
【0049】
本明細書で使用される場合、複数の項目、構造要素、構成要素、および/または材料は、便宜上、共通のリストで示されることがある。しかしながら、これらのリストは、リストの各部材が別個の固有の部材として個々に識別されるものとして解釈されるべきである。したがって、このようなリストの個々の部材は、反対の指示なしに、共通のグループにおけるそれらの提示にのみ基づいて、同じリストの他の部材の事実上の同等物として解釈されるべきではない。さらに、本発明の様々な実施形態および実施例が、その様々な構成要素の代替案とともに本明細書で言及される場合がある。このような実施形態、実施例、および代替案は、互いの事実上の等価物とは解釈されず、本発明の別個の自律的な表現と見なされるべきである。
【0050】
さらに、記載された特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。以下の説明では、本発明の実施形態の十分な理解を提供するために、長さ、幅、形状などの例のような多数の具体的な詳細が提供される。しかしながら、関連技術分野の当業者であれば、本発明は、具体的な詳細の1つ以上がなくても、または他の方法、構成要素、材料などを用いても実施できることを認識するであろう。他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造、材料、または操作は詳細に示されず、または説明されない。
【0051】
上述の実施例は、1つまたは複数の特定の用途における本発明の原理を例示するものであるが、形態、使用法および実施の細部における多数の変更が、発明能力を行使することなく、本発明の原理および概念から逸脱することなくなされ得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、以下に記載する特許請求の範囲による以外は、本発明を限定することを意図していない。
【0052】
本明細書では、「含む(comprise)」および「有する(include)」という動詞は、引用されていない特徴の存在を除外することも要求することもない開放的な限定として使用される。従属請求項に記載された特徴は、特に明示しない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、本書を通じて「a」または「an」、すなわち単数形の使用は、複数形を排除するものではないことを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、繊維質材料のリサイクル、特に、セルロース系繊維およびポリエステル系繊維を含む原料繊維質材料を機械的および化学的に処理した後にセルロースカーバメートドープから新たな繊維を得る衣服および繊維製品のリサイクルにおいて産業上の応用を見出す。
【図】
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【国際調査報告】