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特表2024-533418アクティブベルトシステム及びシミュレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】アクティブベルトシステム及びシミュレータ
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/02 20060101AFI20240905BHJP
   G09B 9/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G09B9/02
G09B9/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515554
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 IB2022058149
(87)【国際公開番号】W WO2023037206
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021000023453
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090046
【氏名又は名称】レベル・ダイナミクス・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】REBEL DYNAMICS S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】トデスキーニ,ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】ラ ムーラ,フランチェスコ
(57)【要約】
シミュレータにおける車両のシミュレーション中に、乗客又は運転手に荷重を伝達するためのアクティブベルトシステム(1)であって、アクティブベルトシステム(1)は、肩から胸部の下に向かって腹部まで通過して運転手を取り囲むのに適した第1上部ベルト(21)と第2上部ベルト(22)とを備える。本システムはまた、そのような第1及び第2上部ベルト(21、22)を拘束するのに適した閉機構(3)と、接続システム(6’)とを備える。接続システム(6’)は、第1上部ベルト(21)と係合可能な右端部(61)と、第2上部ベルト(22)と係合可能な左端部(62)とを有するリアベルト要素(6)を有しており、それにより、前記リアベルト要素(6)は、運転手を背中から通過して取り囲むのに適している。さらに、サイドベルト(65、65’)は、前記右端部と左端部(61、62)との間の任意の位置でリアベルト要素(6)に接合される。アクティブベルトシステム(1)はまた、第1上部ベルト(21)及び/又は第2上部ベルト(22)の長さ及び接続システム(6’)の長さを能動的に変更し、それに応じて運転手に伝達される荷重を変更するように、制御可能な荷重を前記第1及び第2上部ベルト(21、22)のそれぞれ及び接続システム(6’)に適用するのに適した作動システム(8)を備える。シミュレータは、フレームと、シートと、アクティブベルトシステム(1)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シミュレータにおける車両のシミュレーション中に、乗客又は運転手に荷重を伝達するためのアクティブベルトシステム(1)であって、
前記運転手を取り囲むのに適しており、肩から胸部の下に向かって腹部まで通過する、第1上部ベルト(21)及び第2上部ベルト(22)であって、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)のそれぞれは、それぞれの下端部(220、220’)において、第1閉端子(51)と第2閉端子(52)とをそれぞれ有する、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2の上部ベルト(22)と、
前記第1閉端子(51)及び前記第2閉端子(52)と係合可能な第1閉シート(31)と第2閉シート(32)とを有する閉機構(3)と、
前記第1上部ベルト(21)と係合可能な右端部(61)と、前記第2上部ベルト(22)と係合可能な左端部(62)とを有するリアベルト要素(6)であって、それにより、前記リアベルト要素(6)が背中から通過して前記運転手を取り囲むのに適する、前記リアベルト要素(6)と、
前記右端部(61)と前記左端部(62)の間の任意の位置で前記リアベルト要素(6)に接合されているサイドベルト(65、65’)と
を有する接続システム(6’)と
を備えており、
前記アクティブベルトシステム(1)は、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)のそれぞれ及び前記接続システム(6’)に制御可能な荷重を適用するのに適した作動システム(8)を備えており、前記作動システム(8)は、調整要素(80)と、前記第1上部ベルト(21)及び/又は前記第2上部ベルト(22)の長さ及び前記接続システム(6’)の長さを能動的に変更し、したがって前記運転手に伝達される前記荷重を変更するように、前記調整要素(80)を作動させるのに適した能動手段(81)とを有する、アクティブベルトシステム(1)。
【請求項2】
前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)のそれぞれは、それぞれの上端部(210、210’)において、第1連結端子(41)と第2連結端子(42)とをそれぞれ有しており、前記第1連結端子(41)と前記第2連結端子(42)とは、前記シミュレータのフレーム又は前記調整要素(80)の1つに固定されるのに適している、
請求項1に記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項3】
前記サイドベルト(65、65’)のそれぞれは、それぞれの自由端において、前記調整要素(80)の1つに拘束されるのに適しており、
前記能動手段(81)は、前記サイドベルト(65、65’)のそれぞれの長さを能動的に変更するように、前記調整手段(80)を作動させるのに適している、
請求項1又は2に記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項4】
前記リアベルト要素(6)は、前記右端部(61)と前記左端部(62)との間で優先的に伸長する方向に沿って延びる単一のベルト要素である、
請求項1~3の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項5】
前記リアベルト要素(6)は
第1交差端部(601)及び第2交差端部(602)によって区切られた中央部分(600)と、
前記第1交差端部(601)と前記右端部(61)との間で延びている第1分岐ベルト要素(621、621’、621’’)と、
前記第2交差端部(602)と前記左端部(62)との間で延びている第2分岐ベルト要素(622、622’、622’’)と
を有しており、
前記第1分岐ベルト要素(621、621’、621’’)と前記第2分岐ベルト要素(622、622’、622’’)とはそれぞれ、前記第1交差端部(601)及び前記第2交差端部(602)から放射状に延びており、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)と共にそれぞれ、前記運転手の臀部と接触するのに適した交差面を特定する、
請求項1~3の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項6】
前記接続システム(6’)は、前記交差面の面積を最大にするように、前記第1分岐ベルト要素(621、621’、621’’)と前記第1上部ベルト(21)との間、及び前記第2分岐ベルト要素(622、622’、622’’)と前記第2上部ベルト(22)との間にそれぞれ配置される、例えば布製の充填部分(67、68)を有する、
請求項5に記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項7】
前記リアベルト要素(6)は、互いに平行で優先的に伸長する方向で、前記右端部(61)と前記左端部(62)との間に延びる複数のベルト(70、71、72)を有しており、それにより、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)と共に、前記複数のベルト(70、71、72)は、前記運転手の背中及び臀部と接触するのに適したリア面を特定する、
請求項1~3の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項8】
前記接続システム(6’)は、前記リア面の面積を最大にするように、前記複数のベルト(70、71、72)の間に配置される、例えば布製の充填部分(67、68)を有する、
請求項7に記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項9】
前記調整要素(80)の動作を制限するように、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)のそれぞれの最大長さ及び前記接続システム(6’)の最大長さを確立するのに適した機械的ロックデバイスを備える、
請求項1~8の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項10】
前記作動システム(8)は、単方向構成の操作に適しており、前記調整要素(80)は、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)のそれぞれの長さ及び前記接続システム(6’)の長さを減少させるのに適しており、前記運転手/乗客への所定の予荷重状態に関する、前記運転手/乗客に伝達される荷重を増加させる、
請求項1~9の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項11】
前記作動システム(8)は、両方向構成の操作に適しており、前記調整要素(80)は、前記運転手/乗客への所定の予荷重状態に関する、前記運転手/乗客に伝達される荷重をそれぞれ増加又は減少させるように、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)のそれぞれの長さ及び前記接続システム(6’)の長さを減少させること、及び前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)のそれぞれの長さ及び前記接続システム(6’)の長さを増加させること、の両方に適している、
請求項1~10の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項12】
前記アクティブベルトシステム(1)は、骨盤の上方を通過して前記運転手を取り囲むのに適した第1中央ベルト(23)と第2中央ベルト(24)とを備えており、前記第1中央ベルト(23)と前記第2中央ベルト(24)とは、それぞれの遠位端部(230、230’)において、第1中央連結端子(43)と第2中央連結端子(44)をそれぞれ有しており、前記第1中央連結端子(43)と前記第2中央連結端子(44)とは、前記シミュレータの前記フレーム、又は前記調整手段(80)の1つに固定されるのに適しており、
前記能動手段(81)は、前記第1中央ベルト(23)及び/又は前記第2中央ベルト(24)の長さを能動的に変更するように、前記調整要素(80)を作動させるのに適している、
請求項1~11の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項13】
前記アクティブベルトシステム(1)はまた、脚の間を通過して前記運転手を取り囲むのに適した第1下部ベルト(25)と第2下部ベルト(26)とを備えており、前記第1下部ベルト(25)及び前記第2下部ベルト(26)のそれぞれは、下部ベルトのそれぞれの下端部(250、250’)において、第1下部連結端子(45)と第2下部連結端子(46)とをそれぞれ有しており、前記第1下部連結端子(45)と前記第2下部連結端子(46)とは、前記シミュレータの前記フレーム又は前記シートに固定されるのに適しており、
前記第1下部ベルト(25)及び前記第2下部ベルト(26)のそれぞれは、前記閉機構に拘束されている、
請求項1~12の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項14】
前記アクティブベルトシステム(1)は、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)のそれぞれ、及び前記リアベルト要素(6)のための手動調整手段(100)、例えばスライドバックルを備えており、
前記手動調整手段(100)は、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)のそれぞれの長さ及び前記リアベルト要素(6)の長さを手動で変更するために操作されるのに適している、
請求項1~13の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項15】
前記アクティブベルトシステム(1)は、前記調整手段(80)が作用する方向を一定に保つように、シミュレータの前記シート又は前記フレームに固定されるのに適しており、前記第1上部ベルト(21)及び前記第2上部ベルト(22)のそれぞれの摺動及び前記接続システム(6’)の摺動を安定させるのに適した、ベルトガイド要素(99)、例えばシングルローラ又はダブルローラを有するベルトガイドを有するブラケットを備える、
請求項1~14の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)。
【請求項16】
フレームと、
シートと、
前記フレーム及び/又は前記シートと協働するのに適した請求項1~15の何れか1つに記載のアクティブベルトシステム(1)と
を備える、シミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレータにおけるシミュレーション中、例えば車両シミュレータにおける運転シミュレーション中の運転手又は乗客、より概して、適切な車両シミュレータによってシミュレーションされる車両の乗客、例えば遊園地に属するアトラクション車両、航空宇宙車両等の乗客、に慣性荷重を伝達するためのアクティブベルトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両シミュレータは、車両の挙動をできるだけ忠実に模倣した動的刺激を運転手又は乗客に伝達するように、技術的解決策及びロボットシステムを採用している。
【0003】
これらのシステムの最も重要な側面の1つは、低周波数且つ静的時の車両加速度によって引き起こされる慣性荷重を、運転手/乗客にも伝達する必要性である。これらの荷重の伝達を管理することが難しい限りにおいて、ほとんどのシミュレータは、単にフィルタリングすることによって、これらの成分を犠牲にしている。
【0004】
しかし、これらの成分を同様に伝達しようと試みるシステムがあるが、時には欠点を伴う。
【0005】
主にエリート市場用が意図されているシステムのいくつかは、ドライビングポジションに接続された1つ以上のロボットシステムの動作を使用している。加速度を長時間伝達する必要があるため、これらのデバイスには、非常に長いストロークと相まって、かなりの動的性能が要求される。特に、これらのデバイスは、幾分扱いにくく、高出力システムの設置を伴い、ほとんどの場合、意図した目的には不適当な性能のため正当でないことが多い高コストである。
【0006】
前者よりも安価且つ単純な第2の解決策は、所望の慣性力に基づく直接的な身体刺激の伝達を伴う。このモードは、不定時間であっても、力が一定の方向に運転手の身体に伝達されることを可能とし、典型的には、シートにおける能動デバイスによって、及び/又は装着された安全ベルトによって実行される。
【0007】
シートの能動デバイスの使用は、1つ以上の空圧クッションの使用を伴い得、当該クッションは、シミュレータのシートパッドの内側に位置する特定の凹部に挿入され、圧縮空気及び電子制御バルブシステムによって実行される。
【0008】
しかし、そのような解決策にはいくつかの問題がある。
【0009】
不都合なことに、使用される空圧システムは、応答時間が限られており、伝達される力に関する調整が不十分である。
【0010】
さらに、シートと運転手との接触点は、運転手が実際の運転中に知覚するものを必ずしも反映しておらず、運転手は、結果的には潜在的に正しい力を経験するが、シートとの相互作用という触覚的な観点からは矛盾しており、これにより、ミュレーションの全体的な効果が妥協され得る。
【0011】
さらに、不都合なことに、これらのシステムは、ハウジングのシート及びパッドの形状に影響され、その効果と汎用性とが損なわれ得る。
【0012】
市場の他の解決策は、空圧パッドの代わりに、シートと一体又は内部にある可動式機械システムを採用することによって、運転手への荷重伝達を達成している。例えば、運転手とシートとの間の接触面の一部は、移動及び/又は回転が可能な作動パネルに置き換えられる。これらのパネルの複合的な動作により、運転手の身体を特定の方向に押すことが可能となる。
【0013】
不利なことに、これらの解決策でさえ、最適な触覚的フィードバックは得られない。
【0014】
さらに、不都合なことに、そのような解決策は、明らかに複雑でコストが高く、シートの実質的な変更を要求し、異なるシートに対する汎用及び適応に費用が掛かる。
【0015】
アクティブシートを使用する解決策に代わるものとして、アクティブセーフティベルトシステムが使用されており、以下では単純に「アクティブベルトシステム」と称される。
【0016】
先行技術のアクティブベルトシステムは、モータスポーツの安全ベルトを出発点として使用しており、安全性と没入感との理由のため、多かれ少なかれ拘束されるスポーツシートと組み合わせられる。実際のレーシングカーで一般的に使用されている安全ベルトは、数が4~6の通常のテクニカルファブリック製のベルトからなっており、関連付けられる同じ数のアンカポイント(実際、通常は4~6)がある。用語アンカポイントは、モータスポーツ分野におけるそのような安全ベルトが、車両のフレーム又は内部の保護ロールバーに固定されるポイントを指す。
【0017】
これらのベルトは、特殊なバックルによって長さが調整可能であり、一方の端部が車両のフレーム又はロールバーに取り付けられることができ、第2の端部が閉機構に挿入できる、終端部が設けられている。
【0018】
特に、4点レイアウトのモータスポーツ安全ベルトは、運転手の肩を越えて胸の下に向かって腹部まで通過する2つの上部ベルトと、骨盤の領域で運転手を囲む2つの中央ベルトとを含む。
【0019】
6点レイアウトのモータスポーツ安全ベルトはまた、運転手の脚の間を通過する追加の2つの下部ベルトを含む。
【0020】
シミュレータ用アクティブベルトシステムの分野で知られているこれらの解決策は、そのようなレイアウトの上部ベルトの1つ以上に張力をかけることを目的として、種々の適用形態を実施すると同時に、上述の安全ベルトの最初のベルトの形状、数、配置を維持すること想定している。そのようなシステムはまた、1つ以上の固定アンカポイントが任意に、例えばバネ等の曲げ要素への接続に置き換えられ得る一方で、バックルによってベルトの長さを受動的に調整する。このようにして、シートとベルトとの間の相対的な移動は、典型的に縦方向の圧縮の一定の力を運転手の胴に適用する。
【0021】
代替のシステムは、シートを固定させたままとするベルトの実施のみを提供する。
【0022】
よりモジュール化された汎用性のあるシステムは、それぞれの上部ベルト及び/又はそれぞれの中央ベルトに関連する専用の張力システムを提供する。
【0023】
前述の既知の解決策は、車両の縦の挙動による慣性荷重の伝達には有効であるが、不利なことに、横の荷重の伝達ができない。
【0024】
さらに不都合なことに、荷重が伝達される運転手との接触面が極めて小さく、その結果、シミュレーション中の圧力分布は、均一でない、又は現実を表現したものでない。
【0025】
その結果、荷重の触覚的なフィードバックは、効果がなく、現実に起こっていることと矛盾する。
【0026】
したがって、先行技術の参照で記載された欠点を克服できるアクティブベルトのシステムを提案する必要性が強く感じられる。特に、ドライビングシミュレーションの没入感を高め、運転手/乗客のために、特に横方向における静的且つ低周波数の慣性荷重の性能を高める必要性が感じられる。
【発明の概要】
【0027】
これらの要求は、添付の独立請求項に係るアクティブベルトシステム及びシミュレータによって満たされる。従属請求項には、本発明の好ましい又は有利な実施形態が記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
アクティブベルトシステム及びシミュレータの特徴及び利点は、添付の図を参照して例示的且つ非限定的な目的で与えられる、そのいくつかの好ましい実施形態の以下の説明から明らかとなる。
【0029】
図1】本発明の実施形態に係るアクティブベルトシステムの正面図を示す。
【0030】
図2】本発明の実施形態に係るアクティブベルトシステムが拘束されたシートの斜視図を示す。
【0031】
図3図1に示された閉機構の詳細図を示す。
【0032】
図4a】本発明の実施形態に係るアクティブベルトシステムの接続システムの背面図を示す。
【0033】
図4b】本発明の代替の実施形態に係るアクティブベルトシステムの接続システムの背面図を示す。
【0034】
図5a】本発明の代替の実施形態に係るリアベルト要素の背面図を示す。
図5b】本発明の代替の実施形態に係るリアベルト要素の背面図を示す。
図5c】本発明の代替の実施形態に係るリアベルト要素の背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
上記の図を参照すると、参照符号1は、その全体において、シミュレータにおける車両のシミュレーション中に乗客又は運転手に荷重を伝達するためのアクティブベルトシステムを示している。
【0036】
本発明によれば、添付の図1を参照すると、アクティブベルトシステム1は、
【0037】
第1上部ベルト21及び第2上部ベルト22と、
【0038】
閉機構3と、
【0039】
リアベルト要素6とサイドベルト65、65’とを有する接続システム6’と
を有する。
【0040】
前述の第1上部ベルト21と第2上部ベルト22とは、運転手を取り囲むのに適しており、肩から胸の下に向かって腹部まで通過している。
【0041】
これら第1上部ベルト及び第2上部ベルトのそれぞれは、それぞれの下端部220、220’において、第1閉端子51と第2閉端子52とをそれぞれ有する。
【0042】
閉機構3は、第1閉端子51と第2閉端子52とを収容するのに適した第1閉シート31と第2閉シート32とを有する。
【0043】
好ましくは、前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト22のそれぞれは、それぞれの下端部210、210’において、第1連結端子41と第2連結端子42とをそれぞれ有する。
【0044】
好ましくは、そのような第1連結端子41と第2連結端子42とは、シミュレータのフレーム又は調整要素80の1つに固定されるのに適している。
【0045】
本発明によれば、既に述べたように、接続システム6’は、
【0046】
第1上部ベルト21と係合可能な右端部61と、第2上部ベルト22と係合可能な左端部62とを有するリアベルト要素6であって、それにより運転手を背中から通過して取り囲むのに適している、リアベルト要素6と、
【0047】
前記右端部61と前記左端部62との間の任意の位置でリアベルト要素6に接合されているサイドベルト65、65’と
から成る。
【0048】
一実施形態によれば、サイドベルトは、右端部61及び左端部62自体を除いた、前記右端部61と前記左端部62との間の任意の位置でリアベルト要素6に取り付けられている。
【0049】
好ましくは、閉機構3はまた、前記第1閉シート31及び前記第2閉シート32のそれぞれを前記第1閉端子51及び前記第2閉端子52との係合から解放するクイックリリースシステムを有する。
【0050】
本発明によれば、前記アクティブベルトシステム1は、第1上部ベルト21及び/又は第2上部ベルト22のそれぞれ及び接続システム6’への荷重を制御するのに適した作動システム8を有する。
【0051】
作動システム8は、調整要素80と、第1上部ベルト21及び/又は第2上部ベルト22の長さ及び接続システム6’の長さを能動的に変更し、したがって運転手に伝達される荷重を変更するように、前述の調整要素80を作動させるのに適した能動手段81とを有する。
【0052】
好ましくは、調整要素80は、電動バックル、又は電動スプール、又はドラム、又はアクティブスライドである。
【0053】
好ましくは、能動手段81は、前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト22のそれぞれの長さ及び接続システム6’の長さを変更するために、調整要素80に操作可能に接続された、回転電気モータ、又はギアモータ、又はリニアモータ、又は空圧ピストン、又は油圧ピストンである。
【0054】
有利な実施形態によれば、サイドベルト65、65’のそれぞれは、調整要素80の1つにそれぞれの自由端で結合されるのに適しており、能動手段81は、サイドベルト65、65’のそれぞれの長さを能動的に変更するように、前記調整要素80を作動させるのに適している。
【0055】
言い換えると、好ましくは、作動システム8は、サイドベルト65、65’を直接短く又は長くさせる際に、運転手への荷重の伝達に作用する。したがって、好ましくは、作動システム8は、サイドベルト65、65’の長さの変更を通り越して、間接的にリアベルト要素6に作用する。
【0056】
例えば図5aに示される本発明の実施形態によれば、リアベルト要素6は、優先方向に沿って延びる単一のベルト要素であり、右端部61と左端部62との間で延びている。
【0057】
例えば添付の図5bに示される代替の実施形態によれば、リアベルト要素6は
【0058】
第1交差端部601及び第2交差端部602によって区切られている中央部分600と、
【0059】
前記第1交差端部601と右端部61との間に延びる第1分岐ベルト要素621、621’、621’’と、
【0060】
前記第2交差端部602と左端部62との間に延びる第2分岐ベルト要素622、622’、622’’と
を有しており、
【0061】
前記第1分岐ベルト要素621、621’、621’’と前記2分岐ベルト要素622、622’、622’’とは、前記第1交差端部601及び第2交差端部602からそれぞれ放射状に展開しており、第1上部ベルト21及び第2上部ベルト22とそれぞれ、運転手の臀部と接触するのに適した交差面を特定する。
【0062】
好ましくは、前記交差面は「V」字形である。
【0063】
本発明の実施形態によれば、図4aを参照すると、サイドベルト65、65’は、前述の第1交差端部601及び第2交差端部602においてリアベルト要素6に接合されている。
【0064】
代替の実施形態によれば、図4bを参照すると、サイドベルト65、65’は、交差面の中央においてリアベルト要素6に接合されている。
【0065】
有利な実施形態によれば、接続システム6’は、運転手の臀部と接触する前記交差面の面積を最大にするように、前記第1分岐ベルト要素621、621’、621’’と前記第1上部ベルト21との間、及び前記第2分岐ベルト要素622、622’、622’’と前記第2上部ベルト22との間にそれぞれ配置された、例えば布製の充填部分67、68を有する。
【0066】
図5cに示される本発明のさらなる実施形態によれば、リアベルト要素6は、複数のベルト70、71、72を有する。前記複数のベルト70、71、72は、互いに平行で優先的に伸長する方向で、前記右端部61と前記左端部62との間で延びており、それにより、前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト22と共に、前記複数のベルト70、71、72は、運転手の背中及び臀部と接触するのに適したリア面を特定する。
【0067】
好ましくは、前記複数のベルト70、71、72は、その間の平行で優先的に伸長する方向に対して垂直な方向に沿って、その間に間隔をあけている。
【0068】
有利な変形例によれば、接続システム6’は、前記リア面の面積を最大にするように前記複数のベルト70、71、72の間に配置された、例えば布製の充填部分67、68を有する。
【0069】
好ましくは、リアベルト要素6の右端部61と左端部62とはそれぞれ、前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト22と固定して係合可能であり、例えば縫い付けられている。
【0070】
代替的に、リアベルト要素6の右端部61と左端部62とはそれぞれ、例えばバックルによって、前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト22に取り外し可能に係合可能である。
【0071】
好ましくは、アクティブベルトシステム1は、調整要素80の動作を制限するように、前記第1上部ベルト21及び第2上部ベルト22のそれぞれの最大長さ及び接続システム6’の最大長さを確立するのに適した機械的ロックデバイスを有する。
【0072】
好ましくは、作動システム8は、調整要素80が前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト22の長さ及び接続システム6’の長さを減少させるのに適した、単方向構成の操作に適しており、運転手/乗客への所定の予荷重状態に関する、運転手に伝達される荷重を増加させる。
【0073】
代替的に、作動システム8は、調整要素80が前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト21、22のそれぞれの長さ及び接続システム6’の長さを減少、及び好ましくは最大で機械的ロック装置によって確立される最大長さまで増加、させるのに適した、両方向構成の操作に適している。このようにして、運転手/乗客への所定の予荷重状態に関する、運転手/乗客に伝達される荷重をそれぞれ増加又は減少させることが可能となる。
【0074】
実施形態によれば、作動システム8は、運転手/乗客への予荷重を決定する前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト22の所定の長さ及び接続システム6’の所定の長さに関して、前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト22の長さ及び接続システム6’の長さを増加及び/又は減少させるような方法で能動手段81を制御するように構成された電子処理制御ユニットを有する。
【0075】
例えば図1に示される実施形態によれば、アクティブベルトシステム1はまた、骨盤の上方を通過して運転手を取り囲むのに適した第1中央ベルト23と第2中央ベルト24とを有する。
【0076】
前記第1上部ベルト23及び前記第2上部ベルト24のそれぞれは、それぞれの下端部240、240’において、第1中央連結端子53と第2中央連結端子54とをそれぞれ有する。
【0077】
そのような実施形態によれば、閉機構3はしたがって、前記第1中央連結端子53及び前記第2中央連結端子54と係合可能な第3閉シート33と第4閉シート34とを有する。
【0078】
これらの中央ベルト23、24はまた、作動システム8によって実施されてもよく、そうでなければ、受動的に運転手/乗客への荷重の伝達に寄与し、フレームに拘束されてもよい。
【0079】
特に好ましくは、第1中央ベルト23と第2中央ベルト24とは、それぞれの遠位端部230、230’において、第1中央連結端子43と第2中央連結端子44とをそれぞれ有する。
【0080】
前記第1中央連結端子43と前記第2中央連結端子44とは、シミュレータフレーム、又は調整手段80の1つに固定されるのに適しており、能動手段81は、第1中央ベルト23及び/又は第2中央ベルト24の長さを能動的に変更するように、前記調整要素80を作動させるのに適している。
【0081】
さらなる実施形態によれば、アクティブベルトシステム1はまた、脚の間を通過して運転手を取り囲むのに適した第1下部ベルト25と第2下部ベルト26とを有する。
【0082】
特に、前記第1下部ベルト25及び前記第2下部ベルト26のそれぞれは、下部ベルトのそれぞれの下端部250、250’において、シミュレータフレーム又はシートに固定されるのに適した第1下部連結端子45と第2下部連結端子46とをそれぞれ有する。
【0083】
前記第1下部ベルト25及び前記第2下部ベルト26のそれぞれは、閉機構3に拘束される。
【0084】
特に好ましくは、前記第1下部ベルト25及び前記第2下部ベルト26のそれぞれは、下部ベルトのそれぞれの上端部260、260’において、第1下部閉端子55と第2下部閉端子56とをそれぞれ有しており、この実施形態によれば、閉機構3は、前記第1下部閉端子55及び前記第2下部閉端子56とスナッピングによって係合可能な第5閉シート35と第6閉シート36とを有する。
【0085】
したがって、この実施形態によれば、閉機構は、下部ベルトから解放され得、代わりに下部ベルトは、フレーム又はシートに拘束されたままである。
【0086】
代替的に、前記第1下部ベルト25及び前記第2下部ベルト26のそれぞれは、閉機構3に永久的に、例えば取り外し不能に固定されている。
【0087】
言い換えると、この変形例によれば、下部ベルトは、閉機構と一体として形成され、そこから解除され得ない。
【0088】
これらの下部ベルトによって、閉機構はしたがって、フレーム又は座席に拘束されたままとさせられる。
【0089】
例えば図1、4a、4bに示す変形例の実施形態によれば、アクティブベルトシステム1はまた、運転手の胸部を通過して第1上部ベルト21と第2上部ベルト22とを互いに接続させるのに適した補助接続部10を有する。
【0090】
好ましくは、アクティブベルトシステム1はまた、前記第1上部ベルト21及び第2上部ベルト22のそれぞれ、及びリアベルト要素6のための手動調整手段100、例えばスライドバックルを有する。
【0091】
これらの手動調整手段100は、前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト22のそれぞれの長さ及びリアベルト要素6の長さを手動で変更するために操作されるのに適している。
【0092】
そのような手動調整手段は好ましくは、前記第1中央ベルト23及び前記第2中央ベルト24のそれぞれの長さ及び前記第1下部ベルト25及び前記第2下部ベルト26のそれぞれの長さも手動で変更するように操作されるのに適している。
【0093】
図2に示された実施形態を参照すると、アクティブベルトシステム1は、シミュレータのシート又はフレームに固定されるのに適し、調整手段80が作用する方向を一定に保つように、前記第1上部ベルト21及び前記第2上部ベルト22のそれぞれのスライド及び前記接続システム6’のスライドを安定させるのに適した、ベルトガイド要素99、例えばシングルローラ又はダブルローラを有するベルトガイドを有するブラケットを有する。
【0094】
一実施形態によれば、閉機構3は、シミュレータのフレーム又はシートと一体の少なくとも1つのアンカポイントに固定されるのに適している。特に、ロック機構3は、例えば、手動調整手段を用いて受動的にのみ調整可能なベルトによるシート又はシミュレータフレームとの接続によって、少なくとも部分的に非能動的で調整可能な方法で拘束される。そのような受動的にのみ調整可能なベルトは、前記第1中央ベルト23及び前記第2中央ベルト24、又は前記第1下部ベルト25及び前記第2下部ベルト26のうちの1つ以上であり得る。
【0095】
この発明の対象はまた、この発明に係り、前段落で説明された、フレームと、シートと、少なくとも1つのアクティブベルトシステム1とを有するシミュレータである。
【0096】
好ましくは、シミュレータには、当該分野の専門家に知られており、本明細書ではそのようなものとして説明されない、ディスプレイとアクチュエータとが備えられている。
【0097】
例えば、シミュレータは、車輪付き車両、又は航空宇宙車両、又は海軍輸送手段、又は同様のものを運転するためのシミュレータである。代替的に、シミュレータは、例えば、ジェットコースターのシート、又は4D映画館のシートに座る乗客への荷重をシミュレートできるシステムである。
【0098】
革新的に、本発明は、先行技術のシステムの欠点を見事に克服している。
【0099】
革新的に、実際、本発明は、シートに座っている乗客に、垂直方向、縦方向、及びとりわけ横方向の成分を有する生じた力を伝達することを可能とし、シミュレーションの没入感を相当高めている。
【0100】
さらに有利なことに、本発明は、運転手が静的且つ低周波数の慣性荷重を知覚することが可能となる任意のシミュレータの能力を向上させる。
【0101】
有利なことに、本発明は、車両の実際の使用中における荷重の伝達のシミュレーションをより忠実にさせる。実際、本発明の対象であるアクティブベルトシステムは、車両シート内部の能動的要素を使用せず、ベルトを刺激手段としてのみ使用する。シートは、実際の通常の挙動のもとで生じるように、運転手を閉じ込める手段として、及び拘束反応の源として受動的に作用する。
【0102】
したがって、都合の良いことに、本発明は、種々のシートと併せての使用に適応可能であり、サイドベルト要素の通過を可能にするためにシートに最小限の変更しか必要としない。
【0103】
特に、極めて有利な方法において、本発明は、特にリアベルト要素6によって、及びさらに効果的にサイドベルト65、65’によって、運転手の胴に調整可能な力を適用することを可能にする。
【0104】
さらなる利点によれば、本発明に係るアクティブベルトシステムは、シートに向けられる任意の方向に任意に向けられる合力を得るために、作動システム8と接続システム6’の追加との相乗的な組み合わせにより、それぞれのベルトに独立した力を適用することが可能となる。
【0105】
なおさらなる利点によれば、アクティブベルトシステムは、その成分が連続的に、広い振幅範囲で、低遅延で変調される力を発生させることを可能にし、動的、静的、及び低周波数フィードバックの組み合わせを運転手に伝達する。
【0106】
革新的に、本発明は、横方向の力の伝達の触覚的表現を改善する。
【0107】
有利なことに、機械的ロックシステムの存在により、安全ベルトの機能、特に緊急時に胴体を効果的に保持する能力を維持することが可能になる。
【0108】
有利なことに、本発明の対象であるアクティブベルトシステムのそれぞれのベルトに専用の方法で作用する作動システムは、市場の異なるシステム間の即応性と整合性とを高める。
【0109】
有利なことに、交差部分と充填部分とを有する接続システムの変形例は、運転手/乗客の臀部との接触面を最大にすることを可能とし、圧力及び慣性荷重の分布を改善させる。
【0110】
有利なことに、充填部分は、接続システムのより大きい人間工学と抵抗力とを確実にする。
【0111】
便利なことに、さらに、ベルトガイド要素は、ベルトに対する支持を提供し、一定の引っ張り方向を発生させる。
【0112】
有利なことに、最後に、そのような発明により、ドライビングシミュレータの有効性を著しく改善させ、その操作に根本的な影響を与えることが可能となる。先行技術の最初の説明では、既知のシミュレータが、当該発明により解決される問題によって、設計、コスト、及び性能においていかに強い影響を受けているかが示されている。その結果、本明細書で説明されたアクティブベルトシステムは、シミュレータで採用される場合、その設計仕様、最終性能、設計、及びコストに根本的な影響を与え得る。
【0113】
当業者は、特定のニーズを満たすために、本発明の実施形態にいくつかの変更を行うこと、又は機能的に同等な他の要素で代用することをなし得る。
【0114】
これらの変形例はまた、以下の特許請求の範囲によって定義される保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
【国際調査報告】