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  • 特表-薬学的組成物およびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】薬学的組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K45/06
A61P35/00
A61P35/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515562
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 CN2022086053
(87)【国際公開番号】W WO2023035611
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/117692
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090220
【氏名又は名称】シャンハイ アリスト ファーマシューティカルズ カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ルオ, フイビン
(72)【発明者】
【氏名】リー, チン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA35
4C084MA37
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物、ならびにEGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止するための医薬の製造における上記薬学的組成物の使用を提供する。本開示の薬学的組成物は、副作用がほとんどなくかつ優れた安全性とともに、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC))に対する優れた治療効果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項2】
前記薬学的に受容可能な塩は、メシル酸塩である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、80mg~400mg、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである、請求項1または請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、80mg、160mg、240mgまたは320mgである、請求項1~3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、80mgである、請求項1~4のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、160mgである、請求項1~4のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、240mgである、請求項1~4のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記薬学的組成物は、錠剤またはカプセル剤の製剤形態で存在する、請求項1~7のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記薬学的組成物の各単位製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、10mg~400mg、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである、請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記薬学的組成物の各単位製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、20mg~320mgである、請求項8または請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記薬学的組成物の各単位製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mgである、請求項8~10のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記薬学的組成物の各単位製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、40mgである、請求項8~11のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の第2の治療剤をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記第2の治療剤は、化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫治療薬から選択される、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止するための医薬の製造における、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩、および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物の使用。
【請求項16】
前記薬学的に受容可能な塩は、メシル酸塩である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、80mg~400mg、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである、請求項15または請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、80mg、160mg、240mg、または320mgである、請求項15~17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、80mgである、請求項15~18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
前記薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、160mgである、請求項15~18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
前記薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、240mgである、請求項15~18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
前記薬学的組成物は、錠剤またはカプセル剤の製剤形態で存在する、請求項15~21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
各単位製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、10mg~400mg、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
各単位製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、20mg~320mgである、請求項22または23に記載の使用。
【請求項25】
各単位製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mgである、請求項22~24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
各単位製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、40mgである、請求項22~25のいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
前記薬学的組成物は、少なくとも1種の第2の治療剤をさらに含む、請求項15~26のいずれか1項に記載の使用。
【請求項28】
前記第2の治療剤は、化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫治療薬から選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記疾患は、がん、例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項15~28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
前記疾患は、局所進行性非小細胞肺がんまたは転移性非小細胞肺がんである、請求項15~29のいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
前記疾患は、処置未経験の非小細胞肺がんまたは以前に処置したことのある非小細胞肺がんである、請求項15~29のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
前記EGFRエキソン20挿入変異は、EGFR D770_N771insX変異、EGFR V769_D770insX変異、EGFR H773_V774insX変異およびEGFR P772_H773insX変異から選択される少なくとも1つ、例えば、EGFR D770_N771insSVD、EGFR V769_D770insASV、EGFR H773_V774insNPHおよびEGFR D770_N771insNPGから選択される少なくとも1つである、請求項15~31のいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止する方法であって、必要性のある患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法。
【請求項34】
疾患を処置および/または防止する方法であって、EGFRエキソン20挿入変異陽性を有する患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法。
【請求項35】
局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、必要性のある患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法。
【請求項36】
局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、EGFRエキソン20挿入変異陽性が確認された患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法。
【請求項37】
局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、EGFRエキソン20挿入変異を有する患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法。
【請求項38】
局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、以前に全身性の抗腫瘍治療を受けたことがないEGFRエキソン20挿入変異陽性が確認された患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法。
【請求項39】
局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、以前に全身性の抗腫瘍治療を受けた後に進行性の疾患を有するEGFRエキソン20挿入変異陽性が確認された患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法。
【請求項40】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を、80mg~400mg、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgの用量で投与する工程を包含する、請求項33~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を、80mg、160mg、240mgまたは320mgの用量で投与する工程を包含する、請求項33~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を、80mgの用量で投与する工程を包含する、請求項33~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を、160mgの用量で投与する工程を包含する、請求項33~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を、240mgの用量で投与する工程を包含する、請求項33~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を、qd、bidまたはtidで投与する工程を包含する、請求項33~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を、1日に1回、前記患者に投与する工程を包含する、請求項33~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を、絶食状態下で前記患者に投与する工程を包含する、請求項33~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を、朝に絶食状態下で前記患者に投与する工程を包含する、請求項33~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を前記患者に経口投与する工程を包含する、請求項33~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
フルモネルチニブをメシル酸塩の形態で投与する工程を包含する、請求項33~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を、錠剤またはカプセル剤の製剤形態で投与する工程を包含する、請求項33~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を単位製剤で投与する工程を包含する、請求項33~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記単位製剤は、10mg~400mg、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記単位製剤は、20mg~320mgのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項52または請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記単位製剤は、20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mgのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記単位製剤は、40mgのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項52~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
少なくとも1種の第2の治療剤を投与する工程をさらに包含する、請求項33~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記第2の治療剤は、化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫治療薬から選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記疾患は、がん、例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項33~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
腫瘍の外科的切除の前または後に、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を前記患者に投与する工程を包含する、請求項33~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記疾患は、局所進行性の非小細胞肺がんまたは転移性の非小細胞肺がんである、請求項33~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記疾患は、処置未経験の非小細胞肺がんまたは以前に処置したことのある非小細胞肺がんである、請求項33~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記EGFRエキソン20挿入変異は、EGFR D770_N771insX変異、EGFR V769_D770insX変異、EGFR H773_V774insX変異およびEGFR P772_H773insX変異から選択される少なくとも1つ、例えば、EGFR D770_N771insSVD、EGFR V769_D770insASV、EGFR H773_V774insNPHおよびEGFR D770_N771insNPGから選択される少なくとも1つである、請求項33~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記患者は、ヒト患者である、請求項33~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記患者は、18~75歳の間である、請求項33~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、顕著な非扁平上皮細胞組織像を有する組織学的にまたは細胞病理学的に確認された原発性非小細胞肺がん(NSCLC)を有する、請求項33~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、最後の抗腫瘍治療後に放射線学上の疾患の進行を有する、請求項33~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、臨床検査によってEGFRエキソン20挿入変異陽性が記録されている、請求項33~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記患者は、局所進行性または転移性のNSCLCを有し、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、最後の全身性の抗腫瘍治療の間または後に、放射線学上のまたは病理学的な疾患の進行を有すると確認される、請求項33~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記患者は、局所進行性または転移性のNSCLCを有し、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、以前に全身性の抗腫瘍治療を受けたことがない、請求項33~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、少なくとも1つの測定可能な病変を有する、請求項33~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、臨床検査によって示されるとおりの十分な器官機能を有する、請求項33~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、ECOG PS(米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス)スコア 0~1を有する、請求項33~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
許容可能な安全性プロフィールを有する、請求項33~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
部分奏効を提供する、請求項33~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
安定病態を提供する、請求項33~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
標的病変における腫瘍収縮を提供する、請求項33~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
コンピューター断層撮影検査(CT)および/または磁気共鳴画像法(MRI)のような腫瘍放射線検査によって評価される場合、標的病変における腫瘍収縮を提供する、請求項33~77のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、治療上有効な量のフルモネルチニブ(furmonertinib)またはその薬学的に受容可能な塩、および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物に関する。本開示はまた、上皮増殖因子レセプターエキソン20挿入(EGFR Exon 20Ins)変異(本明細書中以降、ときおりEGFRエキソン20挿入変異ともいわれる)によって媒介される疾患を処置および/または防止するための医薬の製造における上記薬学的組成物の使用に関する。本開示はまた、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止する方法であって、患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
全世界で、肺がんは常に、罹患率および死亡率が最も高く、ヒトの健康および生命に深刻な害を及ぼす悪性腫瘍であり、2018年には全世界で176万人の人々が肺がんで死亡している。非小細胞肺がん(NSCLC)は、全ての肺がんのうちのおよそ80~85%を構成する。上皮増殖因子レセプター(EGFR)変異は、NSCLCにおける最も広く研究された標的である;EGFR変異は、西洋およびアジアのNSCLC患者において、それぞれ17%および50%を構成する。EGFRの遺伝的変異の中で、一般的な感受性の変異は、エキソン19の欠失およびエキソン21の点変異(L858R)であり、全てのEGFR変異のうちの85%~90%を構成する。EGFRエキソン20挿入変異(EGFR Exon 20Ins)は、EGFR変異における変異の別の主要なクラスであり、全てのEGFR変異タイプのうちのおよそ1~10%、および全てのNSCLC患者のうちの1~2%を構成する。これらの挿入変異は、不均質であり、762~774の間の複数のアミノ酸位置で起こり、1~7個のアミノ酸の挿入を生じ、そのうちのいくらかは、局所で複製される。今日までに、122のEGFRエキソン20挿入変異が見出されており、最も一般的なサブタイプは、D770_N771insX変異(25.5%)、V769_D770insX変異(24.6%)、およびH773_V774insX変異(22.6%)である。
【0003】
長年にわたって、非常に多くの標的化薬が、NSCLCにおけるEGFR変異に対して開発されてきた。例えば、第1世代は、EGFR感受性変異に対する可逆的チロシナーゼインヒビター(TKI)、ゲフィチニブおよびエルロチニブであり、第2世代は、不可逆的共有結合インヒビター、アファチニブであり、第3世代は、薬物耐性変異EGFR T790Mに対するインヒビターオシメルチニブである。これらは、非常に良好な臨床効果を有する。しかし、EGFR-TKIの第1世代および第2世代は、EGFRエキソン20挿入変異を処置するにあたって、本質的に有効でない。さらに、代表的なEGFR感受性変異およびT790M薬物耐性変異とは異なり、EGFRエキソン20挿入変異は、全てのFDA承認EGFR-TKI(オシメルチニブを含む)に対して不十分にしか応答しない。
【0004】
EGFRエキソン20挿入変異に対するEGFRインヒビターはまた、現在臨床開発段階にあり(例えば、ポジオチニブ、TAK-788(モボセルチニブ)など)、臨床試験において潜在的な治療効果を示している。これらの薬物はある程度の有効性を示すが、その有効性は限定的であり、EGFRエキソン20挿入変異に対する治療的有効性を改善するには、より多くの研究が必要とされることを示唆する。現在、EGFRエキソン20挿入変異に対する低分子標的化薬は世界的に承認されておらず、従って、臨床的ニーズは大きい。
以下の式(I)によって表されるN-{2-{[2-(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ}-6-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-5-{[4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ピリジン-3-イル}アクリルアミド(「フルモネルチニブ」ともいわれる)は、特許、CN105315259Bにおいて記載されており、以下の式(I)の化合物のメシル酸塩(「フルモネルチニブメシル酸塩」ともいわれる)は、特許、CN107163026Bにおいて記載されており、フルモネルチニブメシル酸塩は、第3世代EGFR-TKIインヒビターとして商品化されており、EGFR感受性変異およびT790M薬物耐性変異によって媒介される疾患を処置するために主に使用される。フルモネルチニブメシル酸塩のフェーズI上昇試験は、フルモネルチニブメシル酸塩を1日に1回、20mg~240mgの投与量レベルで経口摂取する場合、耐容性および安全性が良好であり、被験体の有害事象は、軽度および中程度であり、用量制限毒性は生じず、用量関連毒性反応は生じないことを明らかに示す;フェーズIIb臨床試験は、フルモネルチニブメシル酸塩の80mg 1日用量の経口投与が、以前に全身性の抗腫瘍治療を受けた後に進行性の疾患を有する、EGFR T790M陽性の進行性非小細胞肺がんを有する患者に対して比較的良好な抗腫瘍効果を示し、疾患進行を緩和または安定化し得ることを明らかに示した。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許第105315259号明細書
【特許文献2】中国特許第107163026号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本開示は、いくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の使用を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態において、活性化合物としてのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、EGFRエキソン20挿入変異を効果的に阻害し得るので、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止するために使用され得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、ある特定の用量において活性化合物として有用であり、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患、特に、非小細胞肺がんが処置および/または防止され得、上記疾患の処置および/または防止は、副作用がほとんど付随せず、かつ安全性において優れている。
【0009】
より具体的には、本開示は、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩、および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0010】
本開示はまた、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止するための医薬の製造における、本開示の上述の薬学的組成物の使用を提供する。
【0011】
本開示の組成物は、錠剤またはカプセル剤の製剤形態で存在し、各単位製剤において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、10mg~400mgである。
【0012】
本開示の薬学的組成物が、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止するために使用される場合、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量は、80mg~400mgであり得る。今回、上述の錠剤またはカプセル剤の量を調節することによって、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量は、容易に調節され得る。
【0013】
本開示はまた、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止する方法であって、必要性のある患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法を提供する。
【0014】
本開示の上記の処置方法において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量が80mg~400mgであることは望ましい。
【0015】
本開示はまた、EGFRエキソン20挿入変異陽性を有する患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、疾患を処置および/または防止する方法を提供する。
【0016】
本開示はまた、局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、必要性のある患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法を提供する。
【0017】
本開示はまた、局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、EGFRエキソン20挿入変異陽性が確認された患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法を提供する。
【0018】
本開示はまた、局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、EGFRエキソン20挿入変異を有する患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法を提供する。
【0019】
本開示はまた、局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、以前に全身性の抗腫瘍治療を受けたことがないEGFRエキソン20挿入変異陽性が確認された患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法を提供する。
【0020】
本開示はまた、局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、以前に全身性の抗腫瘍治療を受けた後に進行性の疾患を有するEGFRエキソン20挿入変異陽性が確認された患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩、あるいはフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物は、EGFRエキソン20挿入変異に対して優れた阻害活性を有し、臨床試験は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩、あるいは本開示のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物が、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC))に対して優れた治療効果を示すことを示す。
【0022】
さらに、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩、あるいは本開示のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物が、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止するために使用される場合、副作用は小さく、安全性は優れている。
【0023】
本開示の薬学的組成物は、適切なサイズおよび特定の量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含むことによって、活性成分の適切な含有量を有する製剤へと調製され得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本開示の実施形態は、特定の実施形態を参照しながら、以下でより詳細に記載されるが、当業者は、以下で記載されるその特定の実施形態が本開示の例証に過ぎず、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきでないことを理解する。それどころか、本開示は、全ての代替、改変および均等物を網羅することが意図され、これらは、添付の特許請求の範囲によって規定されるとおりの本開示の範囲内に含まれ得る。
【0025】
別段特定されなければ、本開示の実施形態は、任意の様式で組み合わされてもよく、それによって得られる技術的解決策の転換、改変、および変更はまた、本開示の範囲に含まれる。
【0026】
フルモネルチニブは、当該分野で公知の化合物であり、特に、化学名: N-{2-{[2-(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ}-6-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-5-{[4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ピリジン-3-イル}アクリルアミドとともに、特許CN105315259Bにおいて記載されている;構造式は、式(I)において示される化合物である。
【化2】
【0027】
いくつかの実施形態において、上記疾患の処置のための活性化合物は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩である。従って、いくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、単独で使用されてもよいし、組成物中に含まれることによって使用されてもよく、その場合、上記組成物は、必要に応じて、所望であれば薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。
【0028】
本開示は、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0029】
「薬学的に受容可能なキャリア(pharmaceutically acceptable carrier)」とは、ヒトへの使用に適した1種またはこれより多くの適合性の固体または液体の充填剤またはゼラチン様物質を意味し、十分な純度のものであり、かつ十分に低毒性であるべきである。上記キャリアは、「アジュバント」としても公知である。「適合性(compatibility)」とは、上記組成物中の各構成要素が、本開示の化合物と、および互いと、上記化合物の薬物効果を顕著に低減することなく混合され得ることを意味する。受容可能なキャリアのいくつかの例としては、セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびその誘導体、酢酸セルロースおよびその誘導体、酢酸セルロースなど)、ゼラチン、タルク、固体の滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム/カルシウム、水素化植物油、フマル酸ステアリルナトリウム)、硫酸カルシウム、植物油(例えば、ダイズ油、ゴマ油、ラッカセイ油、オリーブ油など)、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、マンニトール、ソルビトールなど)、乳化剤、湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、抗酸化剤、保存剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
上記薬学的組成物は、当該分野で周知の方法(例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、湿式粉砕、乳化、および凍結乾燥プロセス)によって調製され得る。
【0031】
上記薬学的組成物は、錠剤またはカプセル剤の製剤形態で存在し、製剤中、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアと混合され、本開示において、上記キャリアはまた、「アジュバント」として公知であり、上記キャリアとしては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない: (a)充填剤または可溶化剤、例えば、微結晶性セルロース、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、コロイド性シリカ、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム;(b)結合剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、コポビドン、スクロースおよびアカシア、コーンスターチ;(c)保水剤、例えば、グリセリンなど;(d)崩壊剤、例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、コロイド性シリカ、微結晶性セルロース、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプンまたはコーンスターチ、α化デンプン、アルギン酸、ある種の複合シリケート(complex silicate)および炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂など;(e)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、アニオン性もしくは非イオン性界面活性剤、シクロデキストリンなど;(f)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなど);(g)吸着剤、例えば、カオリン、コロイド性シリカ、イオン交換樹脂など;ならびに(h)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、水素化植物油など、あるいはこれらの混合物。上記カプセル剤および上記錠剤はまた、緩衝化剤を含み得る。錠剤およびカプセル剤は、コーティングもしくはシェル物質(例えば、腸溶性コーティング)または当該分野で公知の他の物質で、コーティングまたはマイクロカプセル化(microencapsulate)され得る。
【0032】
用語「薬学的に受容可能な塩」は、フルモネルチニブおよび比較的非毒性の薬学的に受容可能な酸または塩基から調製される塩である。塩基付加塩は、フルモネルチニブと、純粋な溶液中または適切な不活性溶媒中の十分量の薬学的に受容可能な塩基とを接触させることによって得られ得る。代表的な塩基付加塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、四級アンモニウムカチオン(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、テトラメチル四級アンモニウム、テトラエチル四級アンモニウムなど)で形成される塩;アミン塩(アンモニア(NH)、一級、二級、または三級アミンと形成される塩(例えば、メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチルアミン塩など)を含む)が挙げられる。さらに、酸付加塩は、フルモネルチニブと、純粋な溶液中または適切な不活性溶媒中の十分量の薬学的に受容可能な酸とを接触させることによって得られ得る。上記薬学的に受容可能な酸塩は、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、および硝酸塩);および有機酸塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンジルスルホン酸塩(benzylsulfonate)、コハク酸塩、クエン酸塩、および酒石酸塩)を含む。具体的には、Bergeら, 「Pharmaceutical Salts」, Journal of Pharmaceutical Science 66: 1-19 (1977)、または「Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use」(P. Heinrich Stahl and Camille G. Wermuth, ed., Wiley-VCH, 2002)に参照がなされ得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、「治療上有効な量」とは、非毒性であるが、所望の効果をなおも達成する十分量の薬物または薬学的に活性な薬剤に言及する。上記有効な量は、患者の年齢、体重および状態に、ならびに特定の活性物質にも依存して個人間で変動し、個々の症例における適切な有効量は、慣用的試験に鑑みて当業者によって決定され得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「活性な構成要素(active component)」、「活性物質(active substance)」、または「活性薬剤(active agent)」とは、目的の障害、疾患、または状態を処置するにあたって有効である化学的実体に言及する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「患者」、「個体」、または「被験体」は、ヒト、動物、脊椎動物、哺乳動物、齧歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科動物(例えば、マウス)、イヌ科動物(例えば、イヌ)、霊長類、類人猿(anthropoid)(例えば、サル(monkey)または類人猿(ape))、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)を含む。いくつかの実施形態において、「患者」は、ヒトである。
【0036】
本明細書で使用される場合、「処置」とは、治療的処置または緩和的手段をいう。具体的状態が関わる場合、処置とは、(1)疾患もしくは障害の1もしくはこれより多くの生物学的症状発現を軽減する、(2)(a)障害を引き起こすもしくは障害に寄与する生物学的カスケードにおける1またはこれより多くの点または(b)障害の1もしくはこれより多くの生物学的症状発現、に干渉する、(3)障害と関連する1もしくはこれより多くの症状、効果、または副作用、または障害もしくはその処置と関連する1もしくはこれより多くの症状、効果、もしくは副作用を改善する、あるいは(4)疾患もしくは障害の1もしくはこれより多くの生物学的症状発現の進行を遅らせることに言及する。「処置」はまた、上記処置を受けることがない場合の予測される生存と比較した生存の増大に言及し得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「防止(prevention)」とは、疾患または障害を獲得するかまたは発生させるリスクの低減に言及する。
【0038】
いくつかの実施形態において、フルモネルチニブの薬学的に受容可能な塩は、フルモネルチニブのメシル酸塩、すなわち、フルモネルチニブメシル酸塩である。
【0039】
いくつかの実施形態において、本開示の薬学的組成物は、錠剤またはカプセル剤の製剤形態で存在する.
【0040】
いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物の各単位製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、10mg~400mg、例えば、20mg~320mgである。具体的含有量として、例えば、それは、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。1つの実施形態において、それは、20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、40mgまたは80mg、例えば、40mgであり得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、80mg~400mg、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである。例示的実施形態として、それは、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、80mg、160mgまたは240mg、例えば、240mgである。
【0042】
いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物が、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止するために使用される場合、上記組成物は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の用量が80mg~400mgであるように、患者に投与される。具体的用量として、例えば、それは、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgもしくは400mgであり得る。例示的実施形態として、それは、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、80mg、160mgまたは240mg、例えば、240mgであり得る。本開示の一実施形態において、上記用量は、1日用量である。
【0043】
いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、上記薬学的組成物が患者に投与される場合に、上記患者によって摂取される薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の総量に言及する。例えば、薬学的組成物が、錠剤またはカプセル剤の製剤形態で存在する場合、上記薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)が投与される場合に、全ての製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の総量に言及する。
【0044】
患者に投与される場合、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量が単位製剤あたりフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量以上であることは、当業者によって理解される。当業者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量および各単位製剤中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量に基づいて、1日あたりに投与されるために必要な製剤の総量を計算し得る。例えば、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が錠剤中に含まれる場合、各単位製剤(各錠剤)中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は40mgであり、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量が240mgである場合、1日あたりに投与されるために必要な製剤(錠剤)の総量は、6錠である。
【0045】
いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物は、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患の処置および/または防止のために、1日あたり1回、2回または3回(例えば、1日に1回)投与される。
【0046】
いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物は、少なくとも1種の第2の治療剤をさらに含み得る。上記第2の治療剤として、それは、化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫治療薬から選択され得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、上記化学療法薬として、以下が例示され得る: 白金薬物(例えば、オキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ジシクロプラチン(dicycloplatin)、ロバプラチン(lobaplatin)、四硝酸三白金(triplatinum tetranitrate)、フェナントレンプラチン(phenanthreneplatin)、ピコプラチン(picoplatin)、ミリプラチン、サトラプラチン(satraplatin))、フルオロピリミジン誘導体(例えば、ゲムシタビン、カペシタビン、アンシタビン、フルオロウラシル、テガジフール(tegadifur)、ドキシフルリジン、テガフール、カルモフール、トリフルリジン、テガフール)、カンプトテシン(例えば、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、7-エチルカンプトテシン、イリノテカン、トポテカン)、タキセル(例えば、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセルおよびドセタキセル)、ビンブラスチン(ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン)、アントラセン(エピルビシン、アミシン(amycin)、ルビドマイシン、ピラルビシン、アムルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アクラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン、ピキサントロン)、抗生物質、ポドフィルム(podophyllum)、代謝拮抗物質抗腫瘍薬、ペメトレキセド、カルムスチン、メルファラン、エトポシド、テニポシド、マイトマイシン、イホスファミド、シクロホスファミド、アザシチジン、メトトレキサート、ベンダムスチン、リポソームアミシン、アクチノマイシンD(ダクチノマイシン)、ブレオマイシン、ピンヤンマイシン(pingyangmycin)、テモゾロミド、ダカルバジン(decarbazine)、ペプロマイシン、エリブリン、プリナブリン(plinabulin)、サパシタビン(sapacitabine)、トレオスルファン、153Sm-EDTMP、およびエンセキダル(encequidar)のうちの1種またはこれより多くのもの。
【0048】
いくつかの実施形態において、上記第2の治療剤は、白金薬物のうちの1種またはこれより多くのものであり、上記白金薬物としては、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、四硝酸三白金、フェナントレンプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン、ミリプラチン、ロバプラチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
いくつかの実施形態において、上記化学療法薬は、エトポシド、イリノテカン、シスプラチン、カルボプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、トポテカン、パクリタキセル、、ドセタキセル、テモゾロミド、ビノレルビン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、アミシン、ビンクリスチン、ベンダムスチン、ファルモルビシン、メトトレキサート、アムルビシン(amrubjcin)、テガフール、ギメラシル、オテラシル、テガフールのうちの1種またはこれより多くのものから選択される。
【0050】
いくつかの実施形態において、上記標的化抗腫瘍薬として、プロテインキナーゼインヒビターが列挙され得る。それらの中でも、上記プロテインキナーゼインヒビターとしては、チロシンキナーゼインヒビター、セリンおよび/またはスレオニンキナーゼインヒビター、およびポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)インヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。上記インヒビターの標的としては、ファスシン-1タンパク質、HDAC(ヒストンデアセチラーゼ)、プロテアソーム、CD38、SLAMF7(CS1/CD319/CRACC)、RANKL、EGFR(上皮増殖因子レセプター)、未分化リンパ腫(ALK)、MET遺伝子、ROS1遺伝子、HER2遺伝子、RET遺伝子、BRAF遺伝子、PI3Kシグナル経路、DDR2(ジスコイジンドメインレセプター2)遺伝子、FGFR1(線維芽細胞増殖因子レセプター1)、NTRK1(神経栄養因子チロシンキナーゼタイプ1レセプター(neurotrophic tyrosine kinase type 1 receptor))遺伝子、およびKRAS遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。上記標的化抗腫瘍薬の標的としてはまた、COX-2(エポキシダーゼ2(epoxidase-2))、APE1(アプリン-アピリミジンエンドヌクレアーゼ)、VEGFR(血管内皮増殖因子レセプター)、CXCR-4(ケモカインレセプター-4)、MMP(マトリクスメタロプロテイナーゼ)、IGF-1R(インスリン様増殖因子レセプター)、エズリン、PEDF(色素上皮由来因子)、AS、ES、OPG(骨防御因子(bone protective factor))、Src、IFN、ALCAM(活性化白血球接着分子(activated leukocyte cell adhesion molecule))、HSP、JIP1、GSK-3β(グリコーゲン合成キナーゼ3β)、サイクリンD1(細胞周期調節因子タンパク質)、CDK4(サイクリン依存性キナーゼ)、TIMP1(組織メタロプロテイナーゼインヒビター)、THBS3、PTHR1(副甲状腺ホルモン関連タンパク質レセプター1)、TEM7(ヒト腫瘍血管内皮マーカー7)、COPS3、およびカテプシンKが挙げられる。列挙され得る標的化抗腫瘍薬としては、以下のうちの1またはこれより多くのものが挙げられるが、これらに限定されない: イマチニブ、スニチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、サラカチニブ、パゾパニブ、トラベクテジン、レゴラフェニブ、セジラニブ、ボルテゾミブ、パノビノスタット、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、アパチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、カボザンチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ、アルモネルチニブ(Almonertinib)、オシメルチニブ、オルムチニブ(Olmutinib)、アレクチニブ、ブリガチニブ、ロルラチニブ、トラメチニブ、ラロトレクチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、セルメチニブ、ソラフェニブ、オルムチニブ、サボリチニブ、フルキンチニブ(Fruquintinib)、エントレクチニブ(Entrectinib)、ダサチニブ、エンサルチニブ(Ensartinib)、レンバチニブ、イタシチニブ(itacitinib)、ピロチニブ(Pyrotinib)、ビニメチニブ、エルダフィチニブ(Erdafitinib)、アキシチニブ、ネラチニブ、コビメチニブ、アカラブルチニブ(Acalabrutinib)、ファミチニブ(Famitinib)、マシチニブ(Masitinib)、イブルチニブ、アンロチニブ(Anlotinib)、ロシレチニブ(rociletinib)、ニンテダニブ、レブラミド、LOXO-292、ボロラニブ(Vorolanib)、ベムセンチニブ、カプマチニブ(capmatinib)、エントレクチニブ、TAK-931、ALT-803、パルボシクリブ、ファミチニブL-リンゴ酸塩、LTT-462、BLU-667、ニンゲチニブ(ningetinib)、チピファルニブ(tipifarnib)、ポジオチニブ、DS-1205c、カピバセルチブ(capivasertib)、SH-1028、メトホルミン、セリシクリブ、OSE-2101、APL-101、ベルゾセルチブ(berzosertib)、イデラリシブ(idelalisib)、レロシクリブ(lerociclib)、セララセルチブ(ceralasertib)、PLB-1003、トミボセルチブ(tomivosertib)、SKLB-1028、D-0316、LY-3023414、アルリチニブ(allitinib)、MRTX-849、AP-32788、AZD-4205、リフィラフェニブ(lifirafenib)、バクトセルチブ(vactosertib)、ミベブレシブ(mivebresib)、ナパブカシン、シトラバチニブ(sitravatinib)、TAS-114、モリブレシブ(molibresib)、CC-223、リボセラニブ(rivoceranib)、CK-101、LXH-254、シモチニブ(simotinib)、GSK-3368715、TAS-0728、マシチニブ(masitinib)、テポチニブ(tepotinib)、HS-10296、AZD-4547、メレスチニブ(merestinib)、オラプラセドペゴル(olaptesed pegol)、ガルニセルチブ(galunisertib)、ASN-003、ゲダトリシブ(gedatolisib)、デファクチニブ(defactinib)、ラゼルチニブ(lazertinib)、CKI-27、S-49076、BPI-9016M、RF-A-089、RMC-4630、AZD-3759、アントロキノノール、SAF-189s、AT-101、TTI-101、ナプチニブ(naputinib)、LNP-3794、HH-SCC-244、ASK-120067、CT-707、エピチニブスクシネート(epitinib succinate)、テセバチニブ(tesevatinib)、SPH-1188-11、BPI-15000、コパンリシブ(copanlisib)、ニラパリブ、オラパリブ、ベリパリブ、タラゾパリブトシル酸塩、DV-281、シレマドリン(Siremadlin)、テラグレナスタット(Telaglenastat)、MP-0250、GLG-801、ABTL-0812、ボルテゾミブ、ツシジノスタット、ボリノスタット、レスミノスタット(resminostat)、エパカドスタット(epacadostat)、タゼメトスタット(tazemetostat)、エンチノスタット(entinostat)、モセチノスタット(mocetinostat)、キシノスタット(quisinostat)、LCL-161、およびKML-001。いくつかの実施形態において、上記標的化抗腫瘍薬は、以下のうちの1種またはこれより多くのものである: ソラフェニブ、エルロチニブ、アファチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、カボザンチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ(Dacomtinib)、オシメルチニブ、アレクチニブ、ブリガチニブ、ロルラチニブ、トラメチニブ、ラロトレクチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、セルメチニブ、オルムチニブ、サボリチニブ、フルキンチニブ、エントレクチニブ、ダサチニブ、エンサルチニブ、レンバチニブ、イタシチニブ、ピロチニブ、ビニメチニブ、エルダフィチニブ、アキシチニブ、ネラチニブ(Niratinib)、コビメチニブ、アカラブルチニブ、ファミチニブ、マシチニブ、イブルチニブ、アンロチニブ、ニンテダニブ。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記第2の治療剤は、抗体薬である。とりわけ、上記抗体薬が狙う標的としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない: PD-1、PD-L1、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、血小板由来増殖因子レセプターα(PDGFR-α)、血管内皮増殖因子(VEGF),ヒト上皮増殖因子レセプター-2(HER2)、上皮増殖因子レセプター(EGFR)、ガングリオシドGD2、B細胞表面タンパク質CD20、B細胞表面タンパク質CD52、B細胞表面タンパク質CD38、B細胞表面タンパク質CD319、B細胞表面タンパク質CD30、およびB細胞表面タンパク質CD19/CD3のうちのいずれか1種またはこれより多くのもの。
【0052】
いくつかの実施形態において、上記抗体薬は、PD-1レセプターとそのリガンドPD-L1との間の相互作用についてのインヒビターである;本開示の一実施形態において、上記抗体薬は、細胞傷害性Tリンパ球抗原4インヒビターである。本開示の一実施形態において、上記抗体薬は、血小板由来増殖因子レセプターα(PDGFR-α)インヒビターである。
【0053】
いくつかの実施形態において、上記PD-1レセプターとそのリガンドPD-L1との間の相互作用についてのインヒビターは、プログラム細胞死レセプター(programmed death receptor)1(PD-1)に結合するおよび/もしくはPD-1の活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分、またはプログラム細胞死リガンド(programmed death ligand)1(PD-L1)に結合するおよび/もしくはPD-L1の活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分(例えば、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体)である。本開示の一実施形態において、上記抗体もしくはその抗原結合部分は、(a)抗PD-1モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント(これは、ヒトPD-1に特異的に結合しかつヒトPD-L1とヒトPD-1との間の結合を遮断する);または(b)抗PD-L1モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント(これは、ヒトPD-L1に特異的に結合しかつヒトPD-L1とヒトPD-1との間の結合を遮断する)である。
【0054】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-1またはPD-L1抗体は、抗PD-1またはPD-L1モノクローナル抗体である。
【0055】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-1またはPD-L1抗体は、ヒト抗体またはマウス抗体である。
【0056】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、デュルバルマブ、トリパリマブ(JS-001)、シンチリマブ(Sintilimab)(IBI308)、カムレリズマブ(Camrelizumab)、チスレリズマブ(Tislelizumab)(BGB-A317)、ゲプタノリマブ(Geptanolimab)(GB226)、リズマブ(Lizumab)(LZM009)、HLX-10、BAT-1306、AK103(HX008)、AK104(Akesobio)、CS1003、SCT-I10A、F520、SG001、およびGLS-010のうちのいずれか1種またはこれより多くのものから選択され得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KL-A167、SHR-1316、BGB-333、JS003、STI-A1014(ZKAB0011)、KN035、MSB2311、HLX-20、およびCS-1001のうちのいずれか1種またはこれより多くのものから選択され得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、トリパリマブである。
【0059】
本開示の一実施形態において、上記抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)インヒビターは、抗CTLA-4抗体である。本開示の一実施形態において、上記抗CTLA-4抗体は、抗CTLA-4モノクローナル抗体である。
【0061】
いくつかの実施形態において、上記抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ、トレメリムマブ、AGEN-1884、BMS-986249、BMS-986218、AK-104、およびIBI310のうちのいずれか1種またはこれより多くのものから選択され得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、上記抗CTLA-4抗体は、イピリムマブである。
【0063】
いくつかの実施形態において、上記血小板由来増殖因子レセプターα(PDGFR-α)インヒビターは、抗PDGFRα抗体である。本開示の一実施形態において、上記抗PDGFRα抗体は、抗PDGFRαモノクローナル抗体である。
【0064】
いくつかの実施形態において、上記抗PDGFRα抗体は、オララツマブである。
【0065】
いくつかの実施形態において、上記抗体薬としてはまた、ベバシズマブ、ラムシルマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ(Cotuximab)、ニモツズマブ、パニツムマブ、ネシツムマブ、ジヌツキシマブ(Dinutuximab)、リツキシマブ、イブリツモマブ、オファツムマブ、オビヌツズマブ、アレムツズマブ、ダラツムマブ、ゲムツズマブ、エロツズマブ、ブレンツキシマブ、イノツズマブオゾガマイシン、ブリナツモマブのうちのいずれか1種またはこれより多くのものが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0066】
いくつかの実施形態において、免疫治療薬として、以下が列挙され得る:1種またはこれより多くのインターフェロン(インターフェロンα、インターフェロンα-1b、インターフェロンα-2b)、インターロイキン、テムシロリムス、エベロリムス、リダフォロリムス(ridaforolimus)、およびテムシロリムス。
【0067】
いくつかの実施形態において、第2の治療剤が使用される場合、上記第2の治療剤の量は、当業者によって所望されるように調節され得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止するための医薬の製造における上述の薬学的組成物の使用が提供される。
【0069】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される使用において、フルモネルチニブの薬学的に受容可能な塩は、フルモネルチニブのメシル酸塩、すなわち、フルモネルチニブメシル酸塩である。
【0070】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される使用において、本開示の薬学的組成物は、錠剤またはカプセル剤の製剤形態で存在する。
【0071】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される使用において、各単位製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、10mg~400mg、例えば、20mg~320mgである。具体的含有量として、それは、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。例示的な具体的含有量として、それは、20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、40mgまたは80mg、例えば、40mgであり得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される使用において、上記薬学的組成物中で、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、80mg~400mg、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgである。例示的な含有量として、それは、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、80mg、160mgまたは240mg、例えば、240mgであり得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される使用において、上記薬学的組成物は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の用量が80mg~400mgであるように患者に投与される。具体的用量として、それは、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。例示的な用量として、それは、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、80mg、160mgまたは240mg、例えば、240mgであり得る。本開示の一実施形態において、上記用量は、1日用量である。
【0074】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される使用において、上記薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、上記薬学的組成物が患者に投与される場合に、患者によって摂取される薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の総量に言及する。例えば、薬学的組成物が錠剤またはカプセル剤の製剤形態で存在する場合、上記薬学的組成物中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)が投与される場合に、全ての製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の総量に言及する。
【0075】
本明細書で記載される使用において、患者が投与される場合、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量は、単位製剤あたりのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量以上であることが、当業者によって理解される。当業者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量および各単位製剤中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量に基づいて、1日あたり投与されるために必要な製剤の総量を計算し得る。例えば、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が錠剤中に含まれ、各単位製剤(各錠剤)中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が40mgである場合、およびフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量が240mgである場合、1日あたり投与されるために必要な製剤(錠剤)の総量は、6錠である。
【0076】
いくつかの実施形態において、上記EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患は、がん、例えば、肺がんであり、さらには、非小細胞肺がん(NSCLC)であり得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、上記EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患は、局所進行性の非小細胞肺がんまたは転移性の非小細胞肺がんである。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患は、処置未経験の非小細胞肺がんまたは以前に処置したことのある非小細胞肺がんである。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「処置未経験の(treatment-naive)」とは、本開示のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を受ける前に、別の治療剤(化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬または免疫治療薬が挙げられるが、これらに限定されない)での処置が使用されていない状態、あるいは全身性の抗腫瘍治療が施されていない状態に言及する。本明細書で使用される場合、用語「以前に処置された(previously-treated)」とは、本開示のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を受ける前に、別の治療剤(化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬または免疫治療薬が挙げられるが、これらに限定されない)での処置が使用されていない状態、または全身性の抗腫瘍治療が施されているが、後に上記疾患が進行してしまった状態に言及する。「以前に処置された」という場合には、上記患者は、他の治療剤への耐性を発生させていてもよいし、薬物耐性を発生していなくてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記EGFRエキソン20挿入変異は、EGFRタンパク質のアミノ酸762~774の領域における複数のアミノ酸挿入変異によって特徴づけられる、すなわち、エキソン20挿入変異部位は、アミノ酸762~774の領域に位置する。例えば、上記EGFRエキソン20挿入変異は、EGFR D770_N771insX変異、EGFR V769_D770insX変異、EGFR H773_V774insX変異およびEGFR P772_H773insX変異から選択される少なくとも1つであり、例えば、上記EGFRエキソン20挿入変異は、EGFR D770_N771insSVD、EGFR V769_D770insASV、EGFR H773_V774insNPHおよびEGFR D770_N771insNPGから選択される少なくとも1つである。
【0081】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される使用において、上記薬学的組成物は、少なくとも1種の第2の治療剤をさらに含み得る。本明細書で記載される使用において、上記第2の治療剤は、化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫治療薬から選択され得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される使用において、上記第2の治療剤は、本開示の上述の第2の治療剤である。
【0083】
いくつかの実施形態において、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止する方法であって、患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法が提供される。
【0084】
いくつかの実施形態において、疾患を処置および/または防止する方法であって、EGFRエキソン20挿入変異陽性を有する患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法が、提供される。
【0085】
いくつかの実施形態において、局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、必要性のある患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法が、提供される。
【0086】
いくつかの実施形態において、局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、EGFRエキソン20挿入変異陽性が確認された患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法が、提供される。
【0087】
いくつかの実施形態において、局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、EGFRエキソン20挿入変異を有する患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法が、提供される。
【0088】
いくつかの実施形態において、局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、以前に全身性の抗腫瘍治療を受けたことがないEGFRエキソン20挿入変異陽性が確認された患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法が、提供される。
【0089】
いくつかの実施形態において、局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)を処置する方法であって、以前に全身性の抗腫瘍治療を受けた後に進行性の疾患を有するEGFRエキソン20挿入変異陽性が確認された患者に、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する方法が、提供される。
【0090】
処置方法のいくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、80mg~400mgの用量で投与される。具体的用量として、それは、例えば、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。例示的な用量として、それは、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、80mg、160mgまたは240mg、例えば、240mgであり得る。本開示の一実施形態において、上記用量は、1日用量である。
【0091】
処置方法のいくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が患者に投与される頻度は、1日あたり1回(qd)、1日あたり2回(bid)、または1日あたり3回(tid)、例えば、1日あたり1回である。
【0092】
処置方法のいくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、絶食状態下で、例えば、朝に絶食状態下で患者に投与される。
【0093】
処置方法のいくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、患者に経口投与される。
【0094】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法において、フルモネルチニブは、メシル酸塩の形態で投与される。
【0095】
処置方法のいくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、錠剤またはカプセル剤の製剤形態で投与される。
【0096】
処置方法のいくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、各単位製剤の製剤形態で投与される。単位製剤の量を調節することによって、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量は、上記の範囲の中にある。
【0097】
処置方法のいくつかの実施形態において、各単位製剤(例えば、錠剤またはカプセル剤)中に、上記フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量は、10mg~400mg、例えば、20mg~320mgである。具体的含有量として、それは、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mgまたは400mgであり得る。例示的な具体的含有量として、それは、20mg、40mg、80mg、160mg、240mgまたは320mg、例えば、40mgまたは80mg、例えば、40mgであり得る。
【0098】
患者が投与される場合、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量が単位製剤あたりのフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量以上であることは、当業者によって理解される。当業者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量および各単位製剤中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量に基づいて、1日あたりに投与されるために必要な製剤の総量を計算し得る。例えば、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が錠剤中に含まれ、各単位製剤(各錠剤)中のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の含有量が40mgである場合、およびフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の1日用量が240mgである場合、1日あたりに投与されるために必要な製剤(錠剤)の総量は、6錠である。
【0099】
処置方法のいくつかの実施形態において、少なくとも1種の第2の治療剤は、患者にさらに投与され得る。処置方法のいくつかの実施形態において、上記第2の治療剤として、それは、化学療法薬、標的化抗腫瘍薬、抗体薬および免疫治療薬から選択され得る。
【0100】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記第2の治療剤は、本開示の上述の上記第2の治療剤である。
【0101】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記疾患は、がん、例えば、肺がんであり、さらには、非小細胞肺がん(NSCLC)であり得る。
【0102】
処置方法のいくつかの実施形態において、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩は、腫瘍の外科的切除の前または後に、患者に投与される。
【0103】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記疾患は、局所進行性の非小細胞肺がんまたは転移性の非小細胞肺がんである。
【0104】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記疾患は、処置未経験の非小細胞肺がんまたは以前に処置したことのある非小細胞肺がんである。
【0105】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記EGFRエキソン20挿入変異は、EGFRタンパク質のアミノ酸762~774の領域における複数のアミノ酸挿入変異によって特徴づけられる、すなわち、エキソン20挿入変異部位は、アミノ酸762~774の領域に位置し、例えば、EGFRエキソン20挿入変異は、EGFR D770_N771insX変異、EGFR V769_D770insX変異、EGFR H773_V774insX変異およびEGFR P772_H773insX変異から選択される少なくとも1つであり、例えば、上記EGFRエキソン20挿入変異は、EGFR D770_N771insSVD、EGFR V769_D770insASV、EGFR H773_V774insNPHおよびEGFR D770_N771insNPGから選択される少なくとも1つである。
【0106】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記患者はヒト患者である。
【0107】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記患者は、18~75歳の間である。
【0108】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に顕著な非扁平上皮細胞組織像を有する組織学的にまたは細胞病理学的に確認された原発性非小細胞肺がん(NSCLC)を有する。
【0109】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、最後の抗腫瘍治療の後に放射線学上の疾患の進行を有する。
【0110】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、臨床検査によってEGFRエキソン20挿入変異陽性が記録されている。
【0111】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記患者は、局所進行性の非小細胞肺がんまたは転移性の非小細胞肺がんを有し、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、最後の全身性の抗腫瘍治療の間または後に、放射線学上のまたは病理学的な疾患の進行を有すると確認される。
【0112】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記患者は、局所進行性の非小細胞肺がんまたは転移性の非小細胞肺がんを有し、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、以前に全身性の抗腫瘍治療を受けたことがない。
【0113】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、少なくとも1つの測定可能な病変を有する。
【0114】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、臨床検査によって示されるとおりの十分な器官機能を有する。
【0115】
処置方法のいくつかの実施形態において、上記患者は、フルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩での処置を開始する前に、ECOG PS(米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)パフォーマンスステータス)スコア試験に供され、例えば、ECOG PSスコア 0~1である。
【0116】
いくつかの実施形態において、上記処置方法は、許容可能な安全性プロフィールを有する。
【0117】
いくつかの実施形態において、上記処置方法は、部分奏効(PR)の治療有効性を提供し得る。
【0118】
いくつかの実施形態において、上記処置方法は、安定病態(SD)の治療有効性を提供し得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、上記処置方法は、標的病変における腫瘍収縮を提供し得る。
【0120】
いくつかの実施形態において、上記処置方法において、コンピューター断層撮影検査(CT)および/または磁気共鳴画像法(MRI)のような腫瘍放射線検査によって評価される場合、標的病変における腫瘍収縮が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0121】
図1図1。試験実施例3における腫瘍容積変化の曲線。
【実施例
【0122】
実施例
略語の説明
PR:部分奏効; SD:安定病態; 未経験:処置未経験; DCR:病勢コントロール率; DOR:奏効期間(Duration of response); DepOR:奏効深度(Depth of response); PFS:無増悪生存; OS:全生存; CNS ORR:中枢神経系客観的奏効率; CTCAE:有害事象共通用語基準; RECIST1.1:固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors guidelines)(バージョン1.1); ctDNA:循環腫瘍DNA; NYHA:ニューヨーク心臓協会; AJCC:米国合同がん委員会(American Joint Committee on Cancer); CYP3A4:シトクロムP450 3A4; QTc:補正QT間隔。
【0123】
I.調製実施例
フルモネルチニブメシル酸塩、40mg、標準錠剤の調製
製剤: フルモネルチニブメシル酸塩 46.76mg、微結晶性セルロース 44.73mg、ラクトース 68.2mg、クロスカルメロースナトリウム 13mg、ポリエチレングリコール4000 17.8mg、コロイド性シリカ 10.9mg、フマル酸ステアリルナトリウム 2.7mg、塩化ナトリウム 8.67mg、および40mgのフルモネルチニブがその中に含まれる。
【0124】
プロセス: 前処理のためにアジュバントおよび医薬品有効成分を篩い分けし、均一に混合し、湿式造粒のために適切な量のポリエチレングリコール4000を添加し、湿式造粒のために篩い分けし、湿った顆粒を乾燥させ、造粒のために篩い分けし、コロイド性シリカおよびフマル酸ステアリルナトリウムを添加し、均一に混合し、次いで、打錠して、錠剤を得る。
【0125】
II.活用実施例(activity example)
1.細胞生存度
試験実施例1: ヒト皮膚がんA431の接着性細胞(野生型EGFR)に対する増殖阻害活性
【0126】
インビトロで野生型EGFRタンパク質を発現するヒト皮膚がんA431の接着性細胞に対する化合物(フルモネルチニブメシル酸塩)の増殖阻害活性を、スルホローダミンB法(SRB法)によって決定した。
【0127】
細胞供給源: A431細胞を、Shanghai Dobio Biology Technology Incから購入した。
【0128】
A431細胞を、10% ウシ胎仔血清を含むDMEM完全培養培地中で培養した。対数増殖期にあるA431細胞を採取し、5000 細胞/135μLの完全培養培地/ウェルという細胞密度に従って、96ウェルプレートに接種し、そのプレートを、37℃で5% COを含む一定温度のインキュベーターの中に入れ、24時間培養して、上記細胞の完全な接着を確実にした。上記化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に予め溶解して、10mM ストック溶液を調製し、次いで、上記化合物を、DMSOおよび完全培養培地で逐次的に希釈した。上記細胞を接種した96ウェルプレートを取り出し、そのプレートのうちの1つを、無増殖コントロール群(0時間で細胞増殖なしの培養培地コントロール群)として単独で取り出した;他の96ウェルプレートに関しては、15μLの異なる濃度の上記化合物を、各ウェルに添加して、最終濃度、2500nM、625nM、156.25nM、39.06nM、9.77nM、2.44nM、0.61nM、0.15nM、0.04nM、0.01nMを達成し、3つの複製ウェルを各化合物濃度に対して設定し、陰性コントロール(細胞含有、化合物非含有培養培地コントロール)を設定し、各ウェルにおけるDMSO濃度は、0.5%であった。
【0129】
取っておいた無増殖コントロール群の培養を、直ぐに終了させ、他の96ウェルプレートを、37℃において5% COを含むインキュベーターにさらに入れ、72時間培養し、次いで、終了させた。培養法の終了は、以下のとおりであった: 50μLの予め冷却した(4℃) 50% 水性トリクロロ酢酸溶液を各ウェルに添加し、4℃で1時間維持し、精製水で少なくとも5回洗浄し、空気中で自然乾燥またはオーブン中60℃で乾燥させた。
【0130】
4mg/mL SRB溶液を、1% 氷酢酸を含む精製水中に製剤化した。上記SRB溶液のうちの100μLを、各ウェルに添加し、室温で1時間染色した。その上清を廃棄し、残留物を1% 氷酢酸で少なくとも5回洗浄して、非特異的結合を除去し、使用するために乾燥させた。150μLの10mM トリヒドロキシメチルアミノメタンヒドロクロリド溶液(Tris-HCl溶液)を、溶解のために各ウェルに添加し、波長510nmでの光学密度(photometric density)値(OD値)を測定し、そのデータを収集して、細胞増殖阻害率を計算した。
【0131】
細胞増殖阻害率=[(OD72時間陰性コントロール群-OD72時間化合物投与群)/(OD72時間陰性コントロール群-OD無増殖コントロール群)]×100%。
【0132】
そのデータを、GraphPad Prism 8.3ソフトウェアを使用して分析し、非線形的S字曲線回帰と適合させて、用量効果曲線を得、IC50値を、表1に示されるようにそこから計算した。
【表1】
【0133】
試験実施例2: Ba/F3 EGFR D770_N771insSVD、Ba/F3 EGFR V769_D770insASV、Ba/F3 EGFR H773_V774insNPH安定トランスフェクト細胞に対する増殖阻害活性
【0134】
マウスpro-B細胞Ba/F3においてインビトロでEGFRエキソン20挿入を安定して発現するBa/F3 EGFR D770_N771insSVD、Ba/F3 EGFR V769_D770insASV、Ba/F3 EGFR H773_V774insNPH細胞に対する上記化合物(フルモネルチニブメシル酸塩)の増殖阻害活性を、CellTiter Glo法によって決定した。
【0135】
細胞供給源: Shanghai WuXi AppTec New Drug Development Co. Ltdから市販されているBa/F3 EGFR D770_N771insSVD、Ba/F3 EGFR V769_D770insASV、およびBa/F3 EGFR H773_V774insNPH細胞。
【0136】
Ba/F3 EGFR D770_N771insSVD、Ba/F3 EGFR V769_D770insASV、およびBa/F3 EGFR H773_V774insNPH細胞を、10% ウシ胎仔血清を含むRPMI1640完全培養培地中で培養した。対数増殖期にあるBa/F3 EGFR D770_N771insSVD、Ba/F3 EGFR V769_D770insASV、Ba/F3 EGFR H773_V774insNPH細胞を採取し、2000 細胞/50μLの完全培養培地/ウェルという細胞密度に従って、384ウェルプレートに接種し、そのプレートを、37℃で5% COを含む一定温度のインキュベーターの中に入れ、24時間培養した。上記化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に予め溶解して、10mM ストック溶液を調製し、次いで、上記化合物を、DMSOおよび完全培養培地で逐次的に希釈した。上記細胞を接種した384ウェルプレートを取り出し、上記化合物をTecan HP D300とともに添加して、最終濃度、2500nM、625nM、156.25nM、39.06nM、9.77nM、2.44nM、0.61nM、0.15nM、および0.04nMを達成し、2つの複製ウェルを各化合物濃度に対して設定し、細胞非含有培養培地コントロール群を設定し、0.2% DMSOが添加された細胞のコントロール群を設定した。
【0137】
37℃で72時間、5% CO中での培養を継続した後、25μL CellTiter-Glo試薬(ルシフェラーゼATP生物発光検出試薬、Promegaから市販、Cat # G7573)を各ウェルに添加し、1000rpmで30秒間振盪を行い、インキュベーションを室温で10分間行い、発光強度が安定した後、発光強度(Lum)をマイクロプレートリーダーで測定した。各濃度での細胞増殖に対する上記化合物の阻害率を計算した。
【0138】
細胞増殖阻害率=(Lum最大-Lum化合物)/(Lum最大-Lum最小)×100%(Lum最大は、最大発光強度であり、Lum化合物は、上記化合物の発光強度であり、Lum最小は、最小発光強度である)。
【0139】
そのデータを、XL-fit 5.0ソフトウェアを使用することによって分析し、非線形的S字曲線回帰と適合させて、用量効果曲線を得、IC50値を、表2に示されるようにそこから計算した。
【表2】
【0140】
その結果は、フルモネルチニブメシル酸塩がBa/F3 EGFR D770_N771insSVD、Ba/F3 EGFR V769_D770insASV、およびBa/F3 EGFR H773_V774insNPH安定トランスフェクト細胞に対して良好な増殖阻害活性を有することを示した。
【0141】
2.インビボ試験
試験実施例3: HuPrime(登録商標)肺がんLU0387腫瘍モデルにおけるフルモネルチニブメシル酸塩の抗腫瘍効果の試験
【0142】
この試験を、HuPrime(登録商標)肺がんLU0387(EGFR H773_V774insNPH変異を有する)を皮下異種移植したBALB/c雌性ヌードマウス動物モデルにおいてフルモネルチニブメシル酸塩の抗腫瘍効果を評価および試験するために使用した。
【0143】
実験動物: BALB/cヌードマウス、雌性、7~8週齢(腫瘍細胞を接種したときのマウスの週齢)、体重18.1~24.7g、Jiangsu GemPharmatech Co. Ltdから購入。
【0144】
動物モデル作製および無作為群分け: 腫瘍組織を、HuPrime(登録商標)肺がん異種移植モデルLU0387腫瘍保有マウスから収集し、直径2~3mmを有する腫瘍ブロックへと切断し、Balb/cヌードマウスの右前肩甲骨皮下に接種し、接種の日付は、2020年6月16日であった。平均腫瘍容積が197.56mmになったときに、上記動物を腫瘍サイズに従って無作為に群分けし、その群分けの日付は、2020年7月15日、すなわち、腫瘍が切り替わった後29日(29日目)であった。群分けの日を0日目と定義した。
【0145】
実験スキーム: BALB/cヌードマウスに、HuPrime(登録商標)モデルLU0387腫瘍ブロックを皮下接種し、ヒト肺がん皮下移植片腫瘍モデルを確立した。その実験を、フルモネルチニブメシル酸塩の20mg/kg群、30mg/kg群、および50mg/kg群、ならびにビヒクル群(ここで各群は、8匹の動物を含む)に分け、10μL/gの投与容積を経口投与し、ビヒクル群に同じ量のビヒクルを投与し、投与を1日に1回行い、3週間継続した。全実験の間に、マウスの腫瘍サイズを各週に2回測定し、毒性反応の存在があるか否かを観察した。有効性を、相対的腫瘍増殖阻害(TGI)に関して評価した。
【0146】
腫瘍容積(TV)を、以下によって計算した:
TV=1/2×a×b×b(ここでaおよびbは、それぞれ、腫瘍の長さおよび幅を表した)。
【0147】
相対的腫瘍増殖阻害(TGI): 腫瘍増殖阻害(TGI)は、以下の式に基づく、処置に対する腫瘍応答の指標のうちの1つである: TGI(%)=(1-(T-T)/(V-V))×100%、
:分析日の数字に相当する実験群の平均腫瘍容積; T:動物を群分けした日に相当する実験群の平均腫瘍容積; V:分析日の数字に相当するビヒクル群の平均腫瘍容積;およびV:動物を群分けした日に相当するビヒクル群の平均腫瘍容積。
【0148】
3つの実験群および1つのビヒクル群の腫瘍容積変化の曲線を、図1に示した。
【0149】
その結果は、フルモネルチニブメシル酸塩がHuPrime肺がんLU0387皮下異種移植片BALB/c雌性ヌードマウス動物モデルにおいて良好な抗腫瘍効果を示すことを示した。
【0150】
3.臨床試験
a.プロトコール
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0151】
b. 結果
【表4】
【0152】
結論: フルモネルチニブメシル酸塩は、160mg QD.の用量でEGFRエキソン20ins変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対して良好な抗腫瘍効果を有し、240mg QDの用量でEGFRエキソン20ins変異を有する処置未経験のまたは以前に処置したことのあるNSCLCに対して優れた抗腫瘍効果を有する。
【0153】
c. 安全性プロフィール
160mg~240mgの用量でのフルモネルチニブメシル酸塩の長期間投与は、十分な耐容性を示し、観察された安全性事象は、消化管におけるおよび皮膚上の有害反応、ならびに肝臓および腎臓に関連する臨床検査異常を主に含んだ; 他の特異的有害事象(AE)カテゴリーは観察されなかった; AE重篤度はわずかであり、大部分はCTCAEグレード1~2であった。臨床試験は、長期間にわたる160mg~240mgの用量での投与が比較的良好な安全性を有することを示した。
【0154】
産業上の利用可能性
本開示は、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物、ならびにEGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止するための医薬の製造における上記薬学的組成物の使用を提供する。本開示はまた、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患を処置および/または防止する方法であって、治療上有効な量のフルモネルチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が患者に投与される方法を提供する。本開示の薬学的組成物は、副作用がほとんどなく、優れた安全性とともに、EGFRエキソン20挿入変異によって媒介される疾患(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC))に対して優れた治療効果を示す。
図1
【国際調査報告】