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特表2024-533425製鉄及び製鋼プラント用の直接還元鉄の生産方法
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  • 特表-製鉄及び製鋼プラント用の直接還元鉄の生産方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】製鉄及び製鋼プラント用の直接還元鉄の生産方法
(51)【国際特許分類】
   C21B 13/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
C21B13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515574
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022062354
(87)【国際公開番号】W WO2023036475
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】21196359.0
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴルツェル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】グラント,ミカエル
【テーマコード(参考)】
4K012
【Fターム(参考)】
4K012DA03
4K012DA05
(57)【要約】
【解決手段】 NH含有ガス供給物(24a)がガス改質器(25)に供給され、そこで改質されることにより水素含有還元性ガス(25a、25b)が得られ、その少なくとも一部分が直接還元反応器(1)に供給され、そこで鉄鉱石(2)が還元性ガス(25a、25b)による直接還元に付されることにより直接還元鉄(30)が得られ、水素含有還元性ガス(25a)の改質時、ガス供給物(24a)中のNHが解離反応2NH→N+3Hに付される、直接鉄鉱石還元プロセス。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ ガス供給物(24a)をガス改質器(25)に供給するステップと、
・ 水素含有還元性ガス(25a、25b)を得るために前記ガス供給物(24a)を前記ガス改質器(25)で改質するステップと、
・ 前記還元性ガス(25a、25b)を前記ガス改質器(25)から排出するステップと、
・ 鉄鉱石(2)を直接還元反応器(1)に供給するステップと、
・ 前記還元性ガス(25a、25b)の少なくとも一部を前記直接還元反応器(1)に供給するステップと、
・ 直接還元鉄(30)を得るために前記直接還元反応器(1)で前記鉄鉱石(2)を前記還元性ガス(25a、25b)による直接還元に付すステップと、
・ 前記直接還元反応器(1)から前記直接還元鉄(30)を排出するステップと、
を含む直接鉄鉱石還元プロセスであって、
・ 前記ガス改質器(25)への前記ガス供給物はNHを含有することと、
・ 前記ガス改質器(25)で前記ガス供給物(24a)中のNHは解離反応(1)
2NH→N+3H (1)
に付されることと、
を特徴とする、直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項2】
前記直接還元反応器(1)が連続直接還元反応器である、請求項1に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項3】
前記ガス改質器(25)が触媒的改質器である、請求項1又は2に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項4】
前記ガス改質器(25)がニッケル又はニッケル合金含有触媒を含む、請求項3に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項5】
前記改質プロセスが部分酸化を介して達成される、請求項1又は2に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項6】
前記ガス改質器(25)への前記ガス供給物(24a)が少なくとも1種の炭化水素(20)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項7】
前記ガス改質器(25)への前記ガス供給物(24a)が、ガス状炭化水素、特定的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、及びペンタンからなる群から選択されるガス状炭化水素からなる群から選択される炭化水素(20)、又は前記炭化水素の2種以上の組合せ、好ましくは天然ガスを含む、請求項6に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項8】
前記ガス改質器(25)への前記ガス供給物(24a)がスチームをさらに含む、請求項6又は7に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項9】
前記ガス改質器(25)への前記ガス供給物(24a)がCOを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項10】
前記ガス改質器(25)から排出された前記還元性ガス(25a、25b)が、前記直接還元反応器(1)に供給される前に加熱される、請求項1~9のいずれか一項に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項11】
前記還元性ガス(25a、25b)が、600℃~1100℃、好ましくは750℃~1100℃、より好ましくは950℃~1050℃の温度で前記直接還元反応器(1)に供給される、請求項1~10のいずれか一項に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項12】
前記直接還元反応器(1)からの煙道ガス(5)又はその画分が、前記ガス改質器(25)を加熱するための燃料として使用される、請求項1~11のいずれか一項に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項13】
前記直接還元反応器(1)が、シャフト炉、好ましくは移動床シャフト炉及び流動床シャフト炉からなる群から選択されるもの、より好ましくは向流移動床シャフト炉である、請求項1~12のいずれか一項に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項14】
前記直接還元鉄が、前記直接還元反応器(1)から取り出された後でブリケット化される、請求項1~13のいずれか一項に記載の直接鉄鉱石還元プロセス。
【請求項15】
直接還元鉄(30)が、請求項1~13のいずれか一項に記載の直接鉄鉱石還元プロセスを利用して生産され、且つ任意に前記直接還元鉄がブリケット化された後、鋼が電気アーク炉で前記直接還元鉄(30)から生産される、鋼の生産プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接還元による鉄の生産に関する。
【背景技術】
【0002】
生産鉄の融点未満での鉄鉱石中の酸化鉄の還元により鉄を生産するプロセスは、直接還元プロセスとして知られる。それにより得られる生産物は、直接還元鉄又はDRIとして知られる。非常に高い比表面積を有するその構造に起因して、直接還元鉄は海綿鉄とも呼ばれる。
【0003】
実用上、DRIは、多くの場合、当技術分野で熱間ブリケット化鉄又はHBIといわれるより緻密なブリケットにコンパクト化される。実際には、非コンパクト化DRIの比表面積が高いため、自然燃焼を受けやすくなり、したがって、それが水と反応すると輸送が危険になる。不動態化は、DRIをかなり低い比表面積を有するかなり緻密なブリケットにブリケット化することにより、少なくとも部分的には達成される。
【0004】
本発明は、より具体的には、還元性ガスが鉄還元反応器又は炉の外部で生成される直接還元プロセスに関する。
【0005】
かかる直接還元プロセスの既知の例は、ウィーベルグ・ゼーダーフォルス(Wiberg-Soderfors)プロセス、ミドレックスプロセス、HYL ZRプロセス、HYL IIIプロセス、アームコプロセス、NSCプロセス、プロファープロセス、HYL I及びHYL IIプロセス、フィオールプロセス、並びにHIBプロセスである。
【0006】
これらの既知の直接還元プロセスの大多数では、天然ガスは、鉄還元反応器から排出されたスチーム及び/又はガス状還元生成物により触媒床で改質されて還元性ガスを生成し、これは鉄還元反応器に供給されて鉄鉱石中の酸化鉄と反応し、還元金属鉄を発生する。液状炭化水素、重質残留物、又は石炭をガス化する部分酸化プロセスもまた、還元性ガスの生成のために提案されてきた。
【0007】
両方の場合とも、COとHとを含有する還元性ガスが得られる。
【0008】
直接還元プロセスは、好適な鉄鉱石並びに割安な天然ガス、非コーキング石炭、及び/又は再生可能エネルギー源、たとえば水力発電電力を利用できる地域で、これまでとくに関心が払われてきた。
【0009】
鉄鋼産業でCO排出を低減する動きが本格化するので、非石炭ベース直接還元プロセスの重要性が増すことが予想される。
【0010】
しかしながら、DRI生産の、又はより一般的にはDRI生産及び鋼生産用電気アーク炉(EAF)での後続溶融の、CO排出を低減するニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、CO排出が低減されたかかる直接還元プロセス及び対応する鋼生産プロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
それに対して、本発明は、新しい直接鉄鉱石還元プロセスを提案する。
【0013】
前記プロセスによれば、ガス供給物はガス改質器に供給される。ガス改質器では、前記ガス供給物は、ガス改質器から排出される水素含有還元性ガスを得るために改質される。
【0014】
鉄鉱石は、直接還元反応器に供給される。還元性ガスの少なくとも一部もまた、直接還元反応器に供給される。前記直接還元反応器内では、鉄鉱石は、還元性ガスとの反応による内蔵酸化鉄の還元に付される。こうして得られた直接還元鉄は、直接還元反応器から排出される。
【0015】
本発明によれば、ガス改質器に供給されるガス供給物は、NHを含有する。ガス改質器では、ガス供給物中のNHは、下記解離反応を受ける。
2NH→N+3H (1)。
【0016】
水素含有還元性ガスはこうして得られる。
【0017】
前記水素含有還元性ガスは、ガス改質器から排出されるとともに、前記水素含有還元性ガスの少なくとも一部は、直接還元反応器に供給される。
【0018】
直接還元反応器では、還元性ガス中に存在する水素は、直接還元による鉄鉱石中の酸化鉄の金属鉄への還元用の還元剤として作用する。
【0019】
還元性ガス中の窒素は、バラストガスとして作用し、直接還元に関与しない。直接還元反応器内では、ガス組成物は還元性があり、したがって、NOx形成に資することはない。NOxは、環境にきわめて望ましくない汚染物質である。
【0020】
ガス改質器に供給されるアンモニアは、いずれの起源のものであってもよい。好ましい実施形態によれば、アンモニアは、低カーボンフットプリントの水素を用いて生産され、且つ/又は再生可能エネルギー源を用いて生産される。そのため、アンモニアは、有利にはブルー水素を用いて、又はより好ましくはグリーン水素を用いて生産される。
【0021】
直接還元反応器で現在使用されている還元剤を100%グリーン水素に置き換えることが可能であれば、伝統的高炉/BOFルートと対比してDRI/EAFルートによりCO排出を潜在的に63%~95%低下可能であろう。
【0022】
しかしながら、グリーン水素の入手可能性は、水力発電力、風力、ソーラーパワー、潮力、及び/又はさらには議論の余地はあるにしても原子力であるかにかかわらず、地域の持続可能エネルギー資源に依存する。
【0023】
製鋼でグリーン水素を使用する生態学的利益をそれほど持続可能でないエネルギー源を有する他の地域に拡大することが望ましいであろう。
【0024】
本発明によれば、これは、アンモニアを生産するためにグリーン水素が使用されるという点で、及び以上に記載のように直接還元反応器で還元剤としての使用のために前記水素がアンモニアから回収されるという点で、達成されうる。
【0025】
アンモニアは水素よりも簡単に輸送できるので、本発明は、製鉄及び製鋼でグリーン水素のより広範にわたる費用効果的使用を可能にする。
【0026】
同一の利点は、それほどではないにせよ、アンモニアを生産するためにブルー水素が使用されるときに得られる。
【0027】
アンモニア解離により得られるとともに直接還元反応器で還元剤として使用される水素は、DRI生産での還元剤としてのCO及び/若しくは炭化水素ベース水素又は他の高カーボンフットプリント水素の使用を部分的に又は完全に置き換えることが可能である。
【0028】
好ましい実施形態によれば、直接還元反応器は連続直接還元反応器である。
【0029】
ガス改質器は、有利には触媒的ガス改質器、特定的にはたとえばニッケル又はニッケル合金を含有する触媒を有するガス改質器である。
【0030】
ガス改質器へのガス供給物は、NHに加えて少なくとも1種の炭化水素を含みうる。ガス供給物は、特定的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタンなどのガス状炭化水素からなる群から選択される炭化水素、又は前記炭化水素の2種以上の組合せ、たとえば、天然ガスを含む。
【0031】
かかる炭化水素含有ガス供給物がガス改質器で改質されたとき、得られる還元性ガスはCOをさらに含有し、これは直接還元反応器で直接還元による鉄鉱石中の酸化鉄の金属鉄への還元用のさらなる還元剤として作用する。
【0032】
ガス改質器へのガス供給物はまた、スチーム及び/又はCOも含みうる。
【0033】
ガス改質器へのガス供給物は、たとえば、ガス改質器へのガス供給物が直接還元反応器からのCO含有煙道ガス又はそのCO含有画分を含むとき、COを含有しうる。
【0034】
還元性ガスは、典型的には周囲温度超の温度、たとえば700~900℃でガス改質器から排出される。有用実施形態によれば、直接還元反応器に供給される排出還元性ガスの少なくとも一部は、直接還元反応器に導入される前にさらに加熱されうる。ガス改質器を加熱するために及び/又は直接還元反応器の上流で排出還元性ガスを加熱するために、好ましくは、現場で利用可能な廃熱が使用される。
【0035】
還元性ガスは、特定的には600℃~1100℃、好ましくは750℃~1100℃、より好ましくは950℃~1050℃の温度で直接還元反応器に有利に供給される。
【0036】
「トップガス」ともいわれる直接還元反応器からの煙道ガス又はその画分はまた、ガス改質器を加熱するための燃料としても使用されうる。そのため、具体的実施形態によれば、直接還元反応器の煙道ガスの一画分は、ガス改質器を加熱するための燃料として使用されるとともに、前記煙道ガスの他の一画分は、ガス改質器のガス供給物に添加される。他の燃料、たとえば、未解離アンモニアを含むものは、ガス改質器を加熱するための燃料として使用されうる。
【0037】
直接還元反応器はシャフト炉でありうる。本発明で使用するのに好適なシャフト炉の例としては、移動床シャフト炉及び流動床シャフト炉が挙げられる。向流移動床シャフト炉では、ガス相は、鉄鉱石の固形装入物に対して向流で流動し、DRIは、かかる移動床シャフト炉のとくに有用な例である。
【0038】
反応器で生産されて反応器から排出された直接還元鉄は、HBIを得るためにブリケット化されうる。
【0039】
反応器で生産されて反応器から排出された直接還元鉄は、任意にHBIにブリケット化された後、鋼を生産するために使用されうる。
【0040】
本発明はまた、鋼の生産プロセスもカバーし、その際、直接還元鉄は、本発明に係る直接鉄鉱石還元プロセスを利用して、任意にHBIにブリケット化されて生産され、鋼は、たとえば電気アーク炉で、前記直接還元鉄から生産される。
【0041】
本発明は、本明細書ではDRI反応器ともいわれる直接還元反応器、好ましくは連続操作DRI反応器で、低い/低減されたCO排出量で、直接還元鉄(DRI)を生産する方法又はプロセスに関し、その際、水素(H)は、任意に一酸化炭素(CO)との組合せで、鉄鉱石に含有される酸化鉄の還元用の還元剤として作用する。鉄鉱石は、たとえば、鉄鉱石ランプ及び/若しくは鉄鉱石ペレット又はそれらの混合物の形態でありうる(これ以降では識別することなく「鉄鉱石」といわれる)。還元剤として使用される水素の少なくとも一部は、ガス改質器でアンモニア(NH)の解離により生産される。
【0042】
ガス改質器は、非触媒的サーマルガス改質器であっても触媒的ガス改質器であってもよい。触媒的ガス改質器は、たとえば、触媒としてニッケル又はニッケル合金を含有しうる。
【0043】
ガス改質器へのガス供給物は、H及び/又はCO及び/又はCO及び/又はHOと共に、ガス状炭化水素(たとえば天然ガス)との組合せで、アンモニアを含有しうる。
【0044】
反応:
(a)CH+HO⇔CO+3H
(b)CH⇔C(s)+2H
(c)CO+CH⇔2H+2CO
(d)C(s)⇔[C]
(e)3Fe+[C]⇔Fe
(式中、[C]は、鉄と共に固溶体に溶解された炭素を表す)
(f)3Fe+CO(g)⇔2Fe+CO2(g),T=400~700℃
(g)2Fe+2CO(g)⇔6FeO+2CO2(g),T=700~900℃
(h)FeO+CO(g)⇔Fe+CO2(g),T=850~1000℃
(i)3Fe+H2(g)⇔2Fe+H(g),T=400~700℃
(j)2Fe+2H2(g)⇔6FeO+2H(g),T=700~900℃
(k)6FeO+6H2(g)⇔6Fe+6H(g),T=850~1000℃
【0045】
DRI生産及びEAFでの後続溶融は、この鋼生産方法に典型的な現在の排出量未満に組合せDRI反応器/EAFのCO排出量を低減するために、還元剤として低炭素又は再生可能水素の使用を必要とするであろう。
【0046】
グリーン水素の入手可能性は地域の資源に依存し、それは水力発電力、風力、ソーラーパワー、潮力、及び/又はさらには原子力であるかにかかわらず、産業量のグリーン水素の入手可能性を持続可能エネルギーに富む地域に限定するおそれがある。グリーン水素を効率的且つ安全に輸送する方法が見いだされない限り、産業活動、特定的には製鋼からのCO排出を軽減するグリーン水素の使用は、依然としてかかる地域に限定されるであろう。
【0047】
世界中に効率的且つ安全に水素を輸送するためのより有望な方法の1つは、1個の窒素原子に化学結合された3個の水素原子で作られたアンモニアの形態を取る。ブルー水素から作られたアンモニアは、本明細書ではブルーアンモニアともいわれ、グリーン水素からのアンモニアは、グリーンアンモニアともいわれる。
【0048】
次いで、ブルー又はグリーン水素でありうる水素は、アンモニアをユーザー地域に輸送するために使用される輸送の方法/手段のカーボンフットプリントを保つように及び吸熱アンモニア分解/解離反応に使用されるエネルギーをできる限り低くするようにしかるべき注意が払われる限り、アンモニア、特定的にはブルー又はグリーンアンモニアを分解することにより回収可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、本発明に係る直接鉄鉱石還元プロセスの実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
ガス供給物ストリーム24は、ストリーム24に対する割合で0%vol超且つ100%vol(アンモニアのみ)まで、好ましくは50%vol~100%volのアンモニア19を含有する。
【0051】
ガス供給物ストリーム24は、炭化水素含有ガス20、たとえば、天然ガス若しくはコークス炉ガス又はそれらの混合物などをさらに含みうる。炭化水素含有ガス20中の天然ガス及びコークス炉ガスの各々の割合は、0~100%volでありうる。ストリーム24中の炭化水素含有ガス20の割合は、0%vol~50%volで変動可能である。ガス供給物ストリーム24はまた、特定的にはストリーム24に対して0%vol~50%volの割合で、追加のガス状水素21(たとえばグレーH、好ましくはブルーH、より好ましくはグリーンH)を含有しうる。ガス供給物ストリーム24はまた、追加のスチーム22も含有しうる。かかる追加のスチームは、改質用ストリーム24に対してそれに含まれるいずれのガス状炭化水素含有ガス20(たとえば、天然ガス及び/又はコークス炉ガス)も含めて、ストリーム24中に好適量の水素原子を提供するように添加されうる。ガス供給物ストリーム24はまた、ストリーム24に対する割合で0%vol~50%volで変動可能な改質ガス23を含有しうる。ガス供給物ストリーム24はまた、ガス改質器25での還元性ガス生産の効率を改善するために又はこうして生産された還元性ガスの組成を調整するためにガス供給物ストリーム24に有利に添加可能ないずれの他のガスも含有しうる。
【0052】
ガス供給物ストリーム24の成分の割合の和は、厳密にガス供給物ストリーム24に対して100%volになること、及びガス供給物ストリーム24に対するアンモニア以外のいずれの化合物の割合の和も100%vol未満になり、残部はアンモニアであること(合計で100%volを形成すること)は、分かるであろう。
【0053】
ガス改質器25では、ガスストリーム24のアンモニアは、解離反応(m):
【数1】
を受ける。
【0054】
ガスストリーム24がメタンなどの炭化水素を含有するとき、前記炭化水素は、スチーム改質器又はドライ改質器でありうるガス改質器25で化学反応する(反応(a)及び(c)を参照されたい)。
(a)CH+HO⇔CO+3H
(b)CH⇔C(s)+2H
(c)CO+CH⇔2H+2CO
(d)C(s)⇔[C]
(e)3Fe+[C]⇔Fe
【0055】
触媒は、反応のキネティクスを増加させるためにガス改質器25で使用可能である。特定的には、ニッケル又はニッケル合金ベース触媒は、反応((m)及び/又は(a)及び/又は(c))の反応速度を増加させるためにガス改質器25に存在可能である。さらに、DRI反応器1で生産される金属鉄は、解離反応(m)用の触媒として有用でありうるが、反応(a)及び/又は(c)にも有用でありうる。
【0056】
ガス改質器25で発生された還元性ガス25a、25bは、DRI反応器1に供給される。
【0057】
DRI反応器1には、鉄鉱石2がさらに装入される。
【0058】
例示実施形態では、DRI反応器1は移動床反応器であり、その場合、鉄鉱石2は、反応器のトップでDRI反応器1に供給され、次いで、DRI反応器1内を下方に移動する。
【0059】
DRI反応器1内では、鉄鉱石2は還元性ガス3aと接触される。結果として、未還元鉄鉱石の混合物、部分還元鉄鉱石、及び金属鉄(DRI)が得られる。
【0060】
還元性ガス3aが鉄鉱石2と接触したときに起こる反応は、DRI反応器1に供給された還元性ガスストリーム25cの組成に依存し、反応(f~h)及び(i~k)に記載される。
(f)3Fe+CO(g)⇔2Fe+CO2(g),T=400~700℃
(g)2Fe+2CO(g)⇔6FeO+2CO2(g),T=700~900℃
(h)6FeO+6CO(g)⇔6Fe+6CO2(g),T=850~1000℃
(i)3Fe+H2(g)⇔2Fe+H(g),T=400~700℃
(j)2Fe+2H2(g)⇔6FeO+2H(g),T=700~900℃
(k)6FeO+6H2(g)⇔6Fe+6H(g),T=850~1000℃
【0061】
DRI反応器1は、直接鉱石還元反応に好適な温度範囲内に鉄鉱石2及び還元性ガス3aを維持するために加熱手段を備えうる(図示せず)。
【0062】
トップガス5は、100℃~600℃、好ましくは250℃~500℃、より好ましくは300℃~450℃の温度でDRI反応器1のトップを離れる。
【0063】
トップガス5は、ダストキャッチャー及び/又はスクラバー6で脱塵されうる。[図1]に例示される有利な実施形態によれば、任意に脱塵されたトップガス6aは、次いで、熱回収システム7に移動し、そこでトップガスの温度は、25℃~100℃、ただし好ましくは25℃~40℃の温度に低減される。熱回収システム7で回収されたエネルギーは、さまざまな目的のいずれかで、たとえば、限定されるものではないが、スチームを作製するために又はガス改質器25で使用されうる空気及び/若しくは燃料を予熱するために使用可能である。冷却されたトップガス7aは、任意に脱水されて、脱水及び冷却されたガスストリーム8aを生成する。
【0064】
冷却及び脱水されたトップガスストリーム8aは、ストリーム11及びストリーム9aにスプリットされる。
【0065】
ストリーム11の流量は、ストリーム8aの0~100%volでありうるが、ただし好ましくはストリーム8aの20%vol~90%vol、より好ましくはストリーム8aの30%vol~80%volである。可燃性ガス、たとえば、天然ガス8b及び/又はさらにはアンモニア8cは、必要に応じてストリーム11の発熱量を修正するためにストリーム11に添加されうる。ストリーム11は、ガス改質器25にひいてはその中で行われる化学反応にも熱を提供するために、ガス改質器25の11a、11b、11cにより図に提示される1つ又は複数の燃焼チャンバーで燃やされる。DRI反応器1からのトップガスの画分を含有しない代替可燃性ガスは、ガス改質器25を加熱するために使用されうる。任意の熱交換器12は、ガス改質器25の上流のストリーム11を予熱するために使用されうる。例示実施形態では、燃焼チャンバー11a、11b、及び11cから出る煙道ガス13a、13b、及び13cは、任意の熱交換器12を通り抜けてストリーム11を予熱するとともにより冷たい煙道ガスストリーム13を生成し、その後、後者は、スタック14に流れて大気15中に出る。天然ガス、コークス炉ガス、又はいずれかの他のガス状炭化水素が混合物11の一部として使用される場合、煙道ガス13は、COを含有するであろうから、これは大気15中への放出前にストリーム13から好ましくは抽出されるべきである(抽出は示されていない)。
【0066】
例示実施形態では、冷却及び脱水されたトップガスストリーム8aの他の一部は、コンプレッサー9で圧縮されて圧縮ストリーム9aを生成する。
【0067】
ストリーム9aは、真空圧力スイング吸着(VPSA)機又は圧力スイング吸着(PSA)機を用いてストリーム9aからCOを分離してCOリーンストリーム10aを生成するために、2~10Bar(すなわち、200~1000kPa)、好ましくは4~8Bar(すなわち、400~800kPa)の圧力である必要がある。さらなる選択肢は、化学吸収ユニットを用いて、たとえば、アミンの使用を介して、ストリーム9aからCOを分離してCOリーンストリーム10aを生成することである。COはまた、高分子メンブレンを利用して又は深冷分離を介して、ストリーム9aから分離可能である。
【0068】
COは、ガス改質器25での還元性ガスの生成に有利に寄与し、反応(c)に関与するので、CO分離ステップ10はまた、省略されうるか、又はステップ10でストリーム9aから除去されるCOの量は、限定されうる。その場合には、反応(b)を回避又は限定するために、しかるべき注意が払われるであろう。
【0069】
DRI反応器1は、有利には100~400kPaゲージ、より好ましくは100~200kPaゲージの圧力で操作される。
【0070】
例示実施形態では、ストリーム10aは、アンモニア含有ガス供給物ストリーム24に添加される。天然ガス、コークス炉ガス、他の炭化水素含有ガス、又はそれらの混合物20もまた、ストリーム24の一部、典型的にはストリーム24の0%vol~50%volの量である。水素(グレーH、好ましくはブルーH、より好ましくはグリーンH)21もまた、ストリーム24に対して0%vol~50%volの割合でストリーム24に含まれうる。追加のスチーム22は、特定的には、ガス改質器25での炭化水素改質に役立つように所要によりストリーム24に添加されうる。
【0071】
改質ガス23もまた、ストリーム24に対して0%~50%の割合でストリーム24に含まれうる。
【0072】
ストリーム24は、任意にストリーム10aの添加と共に、複数のサブストリーム24aでガス改質器25に供給され、反応(1)並びに任意に前記サブストリームの組成に依存して反応(a)及び(c)の1つ以上を利用することにより、ガス改質器25で還元性ガスを生成する。
【0073】
得られる還元性ガス25a及び25bは、DRI反応器1で鉄鉱石を還元するのに好適である。
【0074】
本発明のとくに有利な際立った実施形態によれば、ストリーム24のアンモニア19は、グリーン(又は低炭素)アンモニア19であり、そのため、従来の炭化水素ベースDRI操作と比較してCO排出量/カーボンフットプリントの著しい低減を付与する。
【0075】
ストリーム24は、予熱されたガスストリーム24aを生成するために熱交換器12で任意に予熱される。かかる予熱は、ガス改質器25の燃焼チャンバーから出た過剰の熱を有利に利用するので、ガス改質器25を加熱するのに必要とされる追加のエネルギーを低減する。
【0076】
任意に予熱されたガス混合物24aは、触媒を利用して反応(1)、(a)、及び(c)に従ってガスストリーム24aをDRI反応器1での鉄鉱石2の還元に好適な還元性ガス25a及び25bに改質するガス改質器25で改質される。
【0077】
還元性ガス25a及び25bは、DRI反応器1の上流で追加のガス状炭化水素23b及び/又は酸素23aと任意に混合されて最終還元性ガス25cの組成及び温度がさらに調整された後、DRI反応器1のバッスル管3に導入される。混合物25cがDRI反応器1に導入される温度は、600℃~1100℃、好ましくは750℃~1100℃、より好ましくは950℃~1050℃でありうる。これは、DRI反応器1内での還元反応のキネティクスを増加させるうえで望ましい。バッスル管は、DRI反応器1の外周の周りに一様に最終還元性ガス25cを分配するマニホールドとしての働きをする。
【0078】
DRI反応器1のボトムで、DRI反応器1の上側部分からの未還元、部分還元、及び完全還元鉄鉱石の混合物4は、反応(f)~(k)が実質的に完了した後、鉄鉱石のすべてが実質的に還元された熱間金属DRI26aに実質的に変換された。DRI26a中の鉄分の85%~99%、好ましくは90%~97%、より好ましくは94%~97%は、金属鉄であり、残りの鉄は、非金属酸化鉄(Fe)の形態である。
【0079】
たとえ原理的に望ましいとしても、鉄鉱石を完全に反応させてそれに含まれる鉄の100%を金属鉄として得ることは、現実には一般に非実用的である。というのは、そうして得たとしても、DRIプロセスの生産性が有意に低減し、プロセスの還元性ガス消費が有意に増加するからである。したがって、鉄鉱石還元の程度に関して妥協点を探すべきである。
【0080】
熱間DRI26aは、円錐状冷却用ゾーン26に入り、そこでDRI反応器1からの排出後のDRIの即時使用に依存する温度に冷却用ガス27で冷却される。DRI30が400℃~800℃、より好ましくは600℃~800℃の範囲内の温度で隣接EAF(図示せず)にただちに装入される場合、熱間DRIにすでに存在する顕熱をうまく利用しつつEAFへのDRI30の安全輸送に必要な温度への冷却に限定することが有利である。代替的に、熱間DRIは、ブリケット(HBI)として形成される前に限定された冷却に付すことが可能である。かかるブリケット化は、DRIを貯蔵及び/又はDRI反応器1から離れて位置する(EAF)現場への輸送により好適なものにする。
【0081】
冷却用ガス27は、熱間DRI26aと反応しないように実質的にイナートでありうる。冷却用ガス27はまた、冷却しつつDRIに所望の性質を付与するガスでありうるか又はそうしたガスを含有しうる。かかるガスの例は、反応(b)に従って分解してDRI中に炭素を堆積可能な天然ガスであり、その際、炭素は固溶体として鉄に溶解する。上述したように、炭素は、DRIの溶融時にEAFプロセスに操作上及びエネルギー節約上の利益を付与する。冷却用ガス27はまた、トップガス5の一部分も含みうる。
【0082】
DRI反応器1の冷却用ゾーン26のトップで、冷却用ガス27は、スペント冷却用ガスストリーム28として冷却用ゾーン26から抽出され、その後、ストリーム28は冷却されてから、冷却用ゾーン26のボトムでの再注入のためにメイクアップ冷却用ガスで強化され圧縮される。
【0083】
DRI30は、その後続使用に最も適する温度で円錐状冷却用ゾーン26のボトムで抽出される。
【0084】
本発明の利点及び際立った特徴は、以下を含む。
1.炭素担持炭化水素を部分的又は完全に置き換えるためにブルー又はグリーンアンモニアを使用可能であるので、DRI反応器並びに製鉄及び製鋼プラントのCO排出量が低下する。
2.低排出DRIを生産する方法としてブルー又はグリーンアンモニアによりブルー又はグリーン水素を部分的又は完全に置き換える。
3.(ブルー/グリーン)水素と比較して、(ブルー/グリーン)アンモニアは、より簡単に貯蔵可能であり、且つグリーン水素を生産する天然資源/十分な天然資源を有していない世界中の地域に輸送可能である。
【0085】
輸送に必要とされる液状水素の温度が極低温(-253℃)であるため、液状水素は、調製及び長い航海での貯蔵に非常にコストがかかる。液状アンモニアは(-33℃)で沸騰する。液状アンモニアは、その輸送及び貯蔵温度がより高いため、輸送にそれほどコストがかからない。そのうえ、世界スケールの既存のインフラでは、NHは、液状水素と比較してより簡単に入手可能である。
1.アンモニアは、ガス状炭化水素、たとえば、天然ガス、コークス炉ガス、スチーム、及びシンガスと90%volまでのアンモニアの割合で混合可能であるとともに、反応(e)を介して所望の制御可能量の溶存炭素(固溶体中)及び/又は炭化鉄(FeC)を有利に含有するDRIを依然として生産する。DRIの所望の炭素含有率は、DRIの最終使用に依存する。
2.DRI反応器は、改質プロセスで従来のガス状成分(炭化水素、天然ガス、コークス炉ガス、及び他の炭素含有ガス)を100%アンモニア解離生成物に置き換えることにより、直接CO排出が100%フリーの状態で有利に操作可能である。
3.水素は、単位体積(Nm)当たり限定量の熱/熱エネルギーのみを担持/輸送可能な軽質ガスである。したがって、水素は、未還元鉄鉱石、還元鉄鉱石、又は完全還元鉱石4の混合物への熱伝達用の伝熱媒体として効果的でない。したがって、DRI反応器への還元性ガスとしての100%水素の供給は、100℃に近い低トップガス温度をもたらすであろう。DRIトップガスは多くの水蒸気を含有するので、かかる湿分の凝縮が発生しうるという危険性が存在する。従来のDRI操作は、300~600℃の範囲内のトップガス温度を呈する。
【0086】
アンモニアがガス改質器で解離すると、生成された水素と窒素との混合物が得られる。水素と比較して、窒素は、単位体積(Nm)当たり有意により多量の熱/熱エネルギーを担持/輸送可能である。DRI反応器への還元性ガスとして供給される水素と窒素との混合物(及び任意に他の成分)は、DRI反応器への熱エネルギーの供給用の効果的伝熱媒体として使用可能であるので、以上に記載の問題は簡単に回避可能である。
【0087】
注釈:
とくに指示がない限り、ガスストリーム中の化合物のパーセンテージは、体積パーセンテージ(%vol)である。
【0088】
連続操作DRI反応器/プロセスとバッチDRI反応器/プロセスとは、区別される。
【0089】
連続操作DRI反応器に注入されるガスストリームは、DRI反応器の操作時に一般に継続して注入される。
【0090】
本発明に係る方法の実施形態
本発明は、鉄鉱石中に含有される酸化鉄を還元するために還元性ガスとして水素(H)を用いて、(好ましくは連続)DRI反応器で、直接還元鉄(DRI)を生産する方法を含み、その方法では、水素の少なくとも一部は、ガス改質器で窒素(N)及び水素(H)へのアンモニア(NH)の解離(反応(1))により生産される。
【0091】
本方法での使用に好適な連続DRI反応器は、当技術分野で公知である。
【0092】
そのため、アンモニア含有ストリームは、DRI反応器の上流で解離反応(1)に付され、そして水素及び窒素を含有する解離生成物ストリームは、DRI反応器に注入され、その際、解離反応により生成された水素が、DRI反応器内の鉄鉱石中の酸化鉄の還元用の還元剤として使用される。
【0093】
DRI反応器の上流でアンモニア含有ストリームが付され解離反応(1)は、非触媒的又は触媒的でありうる。
【0094】
反応のための熱エネルギーは、たとえば、以上に記載の燃焼ヒーター中での燃焼により提供されうる。
【0095】
解離生成物(還元性ガス)ストリームの温度は、DRI反応器の上流のストリームに燃料及び/又は酸化剤を注入することによりDRI反応器の上流で調整されうる。
【0096】
アンモニア解離により発生された水素以外の水素もまた、鉄鉱石中の酸化鉄の還元用の還元性ガスとしてDRI反応器に注入されうる。
【0097】
アンモニア解離により発生されない水素は、以上に挙げた解離生成物ストリームとは別々にDRI反応器に注入されうる。アンモニア解離により発生されない水素もまた、アンモニア含有ストリーム及び/又は解離生成物ストリームと混合されうる。
【0098】
このサプリメント水素は、好ましくは、低カーボンフットプリントを有し、たとえば、再生可能エネルギー源からの電気で電解により生成された水素である。
【0099】
他の有用な一サプリメント水素源は、コークス炉ガスである。
【0100】
さらなるサプリメント水素源は、シンガスである。
【0101】
最後の2種のガスはまた、酸化鉄の還元用の還元剤としても有用なCOも含有する。
【0102】
本方法のある実施形態によれば、COは、以上に記載のアンモニアの解離により発生されたHに加えてさらなる還元剤としてDRI反応器で使用される。
【0103】
前記COは、解離生成物ストリームとは別々にDRI反応器に注入されうる、及び/又は解離生成物ストリームと混合されうる。
【0104】
有用なCO源は、コークス炉ガス、シンガス、及びDRI反応器からのリサイクルトップガスである。
【0105】
そのため、CO含有ガス、たとえば、コークス炉ガス及び/又はシンガスは、解離生成物ストリームと混合されうる。
【0106】
好ましくは、COとHとの混合物を含むシンガスは、発生される。
【0107】
CO含有シンガスは、好ましくは、炭化水素、特定的にはガス状炭化水素、たとえば、CH/天然ガスのドライ改質又はスチーム改質により、好ましくは触媒的ドライ改質又は触媒的スチーム改質により発生される。シンガスはまた、好ましくは燃焼酸化剤として酸素を用いて、炭化水素ガスの部分酸化によっても形成可能である。
【0108】
シンガスは、アンモニア解離とは別々に生成されうるとともに、生成されたシンガスは、解離生成物ストリームと混合されうる。
【0109】
ガス状炭化水素もまた、典型的にはスチーム及び/又はCOと一緒に、ガス改質器に注入されうるとともに、ガス改質器内でアンモニア解離と一緒にシンガスへの改質を受ける。
【0110】
ガス状炭化水素、特定的にはCH/天然ガスは、ガス改質器に別々に供給されうるか、又はアンモニア含有ストリームと混合されうる。
【0111】
本方法では、H及びある特定の実施形態では有意レベルのCOを含有するDRI反応器により発生されたトップガスは、DRI反応器内での酸化鉄の還元用の追加/サプリメント還元性ガスとして使用可能である。
【0112】
トップガス中に存在するH及び任意にCOは、特定的には、DRI反応器への導入前にガス改質器を加熱するために及び/又はガス改質器に供給されるガスを予熱するために及び/又は還元性ガスを予熱するために、燃料として使用されうる。
【0113】
本発明との関連では、「トップガス」という表現は、前記反応器で鉄鉱石の直接還元に使用された後にDRI反応器から排出されたスペント還元性ガスを意味する。
【0114】
トップガス中に存在するH及び任意にCOはまた、たとえば、前記H及び任意のCOと、ガス改質器へのアンモニア含有ストリームと、又はDRI反応器の上流の解離生成物ストリームと、を混合することにより、DRI反応器に還元性ガスとしてリサイクルされうる。
【0115】
及び任意のCOの濃度を増加させるために、トップガスが燃料として使用される前及び/又は還元性ガスとしてリサイクルされる前、水は典型的には凝縮によりトップガスから除去される。
【0116】
同様に、トップガスが有意量のCOを含有するとき、トップガスが燃料として使用される前及び/又は還元性ガスとしてリサイクルされる前、特定的にはトップガスが還元性ガスとしてリサイクルされる前、COもまた、トップガスから除去されうる。
【0117】
鉄鉱石は、特定的には、ランプ及び/又はペレットの形態でDRI反応器に供給されうる。
【0118】
生成されたDRIは、ブリケット化に付されうる。
【0119】
生成されたDRIは、ブリケット化されるか否かにかかわらず、典型的には鋼の生産に使用される。
図1
【国際調査報告】