(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】核酸の脂肪酸コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20240905BHJP
C12N 15/115 20100101ALI20240905BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240905BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240905BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240905BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240905BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240905BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N15/115 Z ZNA
C12N15/113 Z
A61K47/54
A61P43/00 105
A61K31/7088
A61K31/713
A61K31/7105
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515579
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 US2022076198
(87)【国際公開番号】W WO2023039522
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090725
【氏名又は名称】ガーディアン セラピューティクス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN THERAPEUTICS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】チュー、シューハオ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC26
4C076CC41
4C076DD41
4C076EE59
4C076FF31
4C084AA13
4C084NA12
4C084NA13
4C084ZB21
4C086AA01
4C086EA16
4C086NA12
4C086NA13
4C086ZB21
(57)【要約】
本開示は、脂肪酸部分および核酸部分を含むコンジュゲートに関し、脂肪酸部分は、ポリエチレングリコール(PEG)およびグルタミン酸基を介して、核酸にコンジュゲートされる。核酸部分は、アプタマーまたはそのバリアント、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CpGオリゴヌクレオチド、ならびにmRNA、siRNA、shRNA、マイクロRNA、lncRNA、saRNA、環状RNAなどの治療用RNAであってもよい。コンジュゲートを製造する方法およびその使用も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸部分および少なくとも一つの脂肪酸部分を含むコンジュゲートであって、前記脂肪酸部分が前記核酸部分の一方の末端にコンジュゲートされ、前記脂肪酸部分が-(CH
2)
a-COOHを含み、式中、aが12~26の整数である、コンジュゲート。
【請求項2】
少なくとも一つの追加のカルボキシル基を含む、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
少なくとも一つまたは二つの追加のカルボキシル基を含む、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
前記脂肪酸部分が、少なくとも一つのエチレングリコール基(-(OCH
2CH
2)-)を含む、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
前記脂肪酸部分が、1~10つのエチレングリコール基を含む、請求項4に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
前記脂肪酸部分が、少なくとも一つのポリエチレングリコール(PEG)基を含む、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記脂肪酸部分が、少なくとも一つのアミド基(-NH-CO-)を含む、請求項1、請求項4、または請求項6に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
前記脂肪酸部分が、少なくとも一つの-(OCH
2CH
2-OCH
2CH
2-NH-CO)-基を含む、請求項7に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
前記脂肪酸部分が、少なくとも一つの-(CO-CH
2-OCH
2CH
2-OCH
2CH
2-NH)-基を含む、請求項7に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
前記脂肪酸部分が、少なくとも一つのグルタミン酸基を含む、請求項1、請求項4、請求項6または請求項7に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
前記脂肪酸部分が、
【化1】
を含む、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
前記グルタミン酸基がγ-グルタミン酸基である、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
前記脂肪酸部分が、
【化2】
を含む、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
前記脂肪酸部分が、ピペラジン基を含む、請求項1、請求項4、請求項6、請求項7または請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
前記脂肪酸部分がピペラジン-2-カルボン酸基(
【化3】
)を含む、請求項14に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
前記脂肪酸部分が、
【化4】
基を含む、請求項14に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
前記脂肪酸部分が、
【化5】
基を含む、請求項14に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
前記脂肪酸部分が、
【化6】
(式I)の構造を含み、
式中、nは12~26の整数であり、
ブロックAは、
【化7】
【化8】
または
【化9】
であり、
naは、0または1であり、
ブロックBは、-(OCH
2CH
2)-または-(CO-CH
2-OCH
2CH
2-OCH
2CH
2-NH)-であり、
nbは、1~10の整数であり、
ブロックCは、
【化10】
であり、
ncは、0または1である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
前記脂肪酸部分が、GTFA-1’、GTFA-2’、またはGTFA-3’を含む、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
核酸分子が、アプタマーまたはそのバリアント、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CpGオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、マイクロRNA、lncRNA、mRNA、アンチセンスRNA、saRNA、環状RNAなどを含む、治療用核酸である、請求項1~19のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
前記治療用核酸が、アプタマーまたはそのバリアントである、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
前記アプタマーが少なくとも一つの修飾を含み、前記修飾がヌクレオシド修飾または骨格修飾であってもよい、請求項21に記載のコンジュゲート。
【請求項23】
前記アプタマーが少なくとも一つのヌクレオシド修飾を含み、前記修飾が2’-O-メチル修飾である、請求項22に記載のコンジュゲート。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の治療有効量のコンジュゲートと、一つ以上の治療的に許容可能な担体と、を含む、組成物。
【請求項25】
核酸配列および少なくとも一つの脂肪酸部分を含むアプタマーを含む組成物であって、前記アプタマーの前記核酸配列の5’末端がDBCO基を有する、組成物。
【化11】
【請求項26】
前記脂肪酸部分が、前記アプタマーの前記核酸配列の前記5’末端に共有結合している、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記脂肪酸部分が、GTFA-1、GTFA-2、またはGTFA-3を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記アプタマーが、修飾ヌクレオシドを含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記アプタマーが、少なくとも一つの2’-O-メチル修飾ヌクレオシドを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
一般式
【化12】
(式II)を含む脂肪酸部分であって、
式中、nは12~26の整数であり、
ブロックAは、
【化13】
【化14】
または
【化15】
であり、
naは、0または1であり、
ブロックBは、-(OCH
2CH
2)-または-(CO-CH
2-OCH
2CH
2-OCH
2CH
2-NH)-であり、
nbは、1~10の整数であり、
ブロックCは、
【化16】
であり、
ncは、0または1であり、
ブロックDは、核酸に共有結合的に結合することができる官能基を含み、
ndは、0または1である、脂肪酸部分。
【請求項31】
ブロックDが、アジド基、アルキン基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、またはアミノ基を含む、請求項30に記載の脂肪酸部分。
【請求項32】
ブロックDが、R
d-N
3であり、式中、R
dが、アルキル基、アミノアルキル基、アミン基、および/またはアルコキシル基を含む、請求項30に記載の脂肪酸部分。
【請求項33】
ブロックDが、
【化17】
【化18】
または
【化19】
である、請求項32に記載の脂肪酸部分。
【請求項34】
前記脂肪酸部分が、GTFA-1、GTFA-2、またはGTFA-3である、請求項30に記載の脂肪酸部分。
【請求項35】
配列番号1によって提示される核酸配列と、配列番号1の配列の一方の末端にコンジュゲートされた脂肪酸部分と、を含むポリヌクレオチドであって、前記脂肪酸部分が、オクタデカン二酸、GTFA-1、GTFA-2およびGTFA-3からなる群から選択される、ポリヌクレオチド。
【請求項36】
配列番号3によって提示される核酸配列と、配列番号3の5’末端にコンジュゲートされたパルミチン酸と、を含む、請求項35に記載のポリヌクレオチド。
【請求項37】
配列番号4によって提示される核酸配列と、配列番号4の5’末端にコンジュゲートされたGTFA-1と、を含む、請求項35に記載のポリヌクレオチド。
【請求項38】
配列番号5によって提示される核酸配列と、配列番号5の5’末端にコンジュゲートされたGTFA-3と、を含む、請求項35に記載のポリヌクレオチド。
【請求項39】
請求項35~38のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドと、薬学的に許容可能な担体と、を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月10日に出願された米国仮出願第63/242,679号に対する優先権およびその利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(配列表への参照)
本出願は、XML形式で電子的に提出された配列表と共に出願されている。2022年9月8日に作成された前述のXMLコピーは、GBT-003WO.XMLと名付けられ、サイズは17,707バイトであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
核酸系治療薬は、古典的な小分子アプローチでは標的とされない疾患および遺伝子を標的とする薬剤の新規カテゴリーを表す。核酸系薬剤の開発の主な課題の一つは、そのインビボ安定性、半減期、クリアランス、および組織分布を強化し、したがって、薬剤の治療有効性を増加させることである。
【0003】
化学修飾されたヌクレオシドは、核酸分子への組み込みに日常的に使用され、例えばヌクレアーゼ抵抗性、薬物動態、または標的に対する親和性などの一つ以上の特性を強化する。一部の事例では、化学部分などの追加の修飾は、核酸化合物の効力および有効性を改善するために、核酸治療薬にコンジュゲートされる。
【0004】
ヒト血清アルブミンの長い血液循環特性は、魅力的な薬剤半減期の延長を可能にする技術を提供する。アルブミン結合を増加させる一つの戦略は、アルブミンに結合することができる脂肪酸コンジュゲートを用いて標的薬剤を修飾することである。一つの成功例は、グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1 RA)であるセマグルチドである。ヒトGLP-1は、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)酵素によって急速に分解され、短い半減期をもたらす。94%相同体を有するヒトGLP-1類似体であるセマグルチドは、二つの構造改変、すなわち、Glyの2位の非タンパク質原性アミノ酸2-アミノイソ酪酸(Aib)での置換、および短いポリエチレングリコール(PEG)スペーサーおよびγ-グルタミン酸リンカーを介したLys-26の側鎖へのオクタデカン二酸の付着を含む。18-炭素脂肪酸部分の存在は、血清アルブミンに対する高い結合親和性をもたらし、これはヒトにおいて約7日間の半減期に変換される(非特許文献1)。
【0005】
同様に、脂肪酸コンジュゲーションを含む脂質コンジュゲーションは、siNRAなどの治療用核酸に影響を与えることが示されている(例えば、非特許文献2)。
本開示は、治療用核酸、例えば、アプタマーおよび低分子RNA分子への新規脂肪酸コンジュゲーションに関する。かかる脂肪酸部分は、血液中の修飾アプタマーの半減期の延長などのインビボ有効性に影響を与える。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Witteloostuijn et al., Half-life extension of biopharmaceuticals using chemical methods: Alternatives to PEGylation. Chem Med Chem., 2016, 11(22):2474-2495
【非特許文献2】Biscans et al., The valency of fatty acid conjugates impact siRNA pharmacokinetics, distribution, and efficacy in vivo. J. Control Release, 2019, 302:116-125
【発明の概要】
【0007】
本発明は、核酸治療薬の性能を増加させるために、例えば、インビボ半減期を延長するために、核酸-脂肪酸コンジュゲートを作製するために使用され得る新規の脂肪酸を提供する。
【0008】
本発明は、核酸部分と、脂肪酸部分が核酸部分に共有結合している少なくとも一つの脂肪酸部分とを含むコンジュゲート、ならびにその組成物および使用方法を提供する。脂肪酸部分は、コンジュゲートの核酸部分の特徴、例えば半減期を修飾する。
【0009】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、-(CH2)a-COOHを含み、式中、aは12~26の整数である。コンジュゲートは、少なくとも一つの追加のカルボキシル基を含んでもよい。一部の実施例では、コンジュゲートは、一つまたは二つの追加のカルボキシル基を含んでもよい。一実施形態では、コンジュゲートは、一つの追加のカルボキシル基を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは二つの追加的なカルボキシル基を含む。
【0010】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つのエチレングリコール基(-(OCH2CH2)-)を含む。一部の実施例では、脂肪酸部分は、1~10個のエチレングリコール基、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のエチレングリコール基を含む。
【0011】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つのポリエチレングリコール(PEG)基を含む。脂肪酸部分は、少なくとも一つのアミド基(-NH-CO-)をさらに含んでもよい。
【0012】
一実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つの-(OCH2CH2-OCH2CH2-NH-CO)-基を含む。
別の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つの-(CO-CH2-OCH2CH2-OCH2CH2-NH)-基を含む。
【0013】
さらに別の実施形態では、脂肪酸部分は少なくとも一つのグルタミン酸基を含む。一部の実施例では、グルタミン酸基はγ-グルタミン酸基である。
一実施形態では、脂肪酸部分は、
【0014】
【0015】
を含む。別の実施形態では、脂肪酸部分は、
【0016】
【0017】
を含む。
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、ピペラジン-2-カルボン酸基(
【0018】
【0019】
)、
【0020】
【0021】
基、および
【0022】
【0023】
基などのピペラジン基を含む。
一実施形態では、コンジュゲートは、以下の構造を含む脂肪酸部分を含み、
【0024】
【0025】
(式I)、
式中、nは12~26の整数であり、
ブロックAは、
【0026】
【0027】
【0028】
または
【0029】
【0030】
であり、
naは、0または1であり、
ブロックBは、-(OCH2CH2)-または-(CO-CH2-OCH2CH2-OCH2CH2-NH)-であり、
nbは、1~10の整数であり、
ブロックCは、
【0031】
【0032】
であり、
ncは、0または1である。
非限定的な例として、コンジュゲートは、GTFA-1、GTFA-1’、GTFA-2、GTFA-2’、GTFA-3およびGTFA-3’からなる群から選択される脂肪酸部分を含む。
【0033】
本コンジュゲートの核酸部分は、アプタマーまたはそのバリアント、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CpGオリゴヌクレオチド、siRNA、マイクロRNA、lncRNA、mRNA、アンチセンスRNA、saRNA、環状RNAなどを含むがこれらに限定されない、治療用核酸である。
【0034】
一部の実施形態では、核酸部分は、アプタマーまたはそのバリアントである。アプタマーは、約15~100個のヌクレオチド、約15~75個のヌクレオチド、または約15~50個のヌクレオチド、または約15~30個のヌクレオチド、または約20~50個のヌクレオチド、または約20~30個のヌクレオチドを含む。
【0035】
一部の実施形態では、アプタマーは、ヌクレオシド修飾および骨格修飾などの少なくとも一つの化学修飾を含む。
別の態様では、本発明は、核酸-脂肪酸コンジュゲートを含む組成物、および治療剤のための組成物を使用する方法を提供する。
【0036】
一部の実施形態では、本発明は、核酸分子の半減期を延長する方法を提供し、方法は、核酸分子を脂肪酸部分で修飾することを含む。
別の態様では、本発明は、以下の一般式を含む脂肪酸部分を提供する:
【0037】
【0038】
(式II)、
式中、nは12~26の整数であり、
ブロックAは、
【0039】
【0040】
【0041】
または
【0042】
【0043】
であり、
naは、0または1であり、
ブロックBは、-(OCH2CH2)-または-(CO-CH2-OCH2CH2-OCH2CH2-NH)-であり、
nbは、1~10の整数であり、
ブロックCは、
【0044】
【0045】
であり、
ncは、0または1であり、
ブロックDは、核酸部分に共有結合的に結合することができる官能基を含み、
ndは、0または1である。
【0046】
一部の実施形態では、脂肪酸部分のブロックDは、アジド基、アルキン基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、またはアミノ基を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分のブロックDは、Rd-N3であり、式中、Rdは、アルキル基、アミノアルキル基、アミン基、および/またはアルコキシル基を含む。一部の実施例では、ブロックDは、
【0047】
【0048】
【0049】
または
【0050】
【0051】
である。非限定的な例として、脂肪酸部分は、GTFA-1、GTFA-1’、GTFA-2、GTFA-2’、GTFA-3、またはGTFA-3’である。
別の態様では、本発明は、配列番号1によって提示される核酸配列と、配列番号1の一方の末端にコンジュゲートされた脂肪酸部分と、を含むポリヌクレオチドを含むコンジュゲートを提供する。非限定的な例として、コンジュゲートは、BT500(配列番号3)、BT600(配列番号4)、およびBT700(配列番号5)である。一部の実施形態では、コンジュゲートを含む組成物が提供され、コンジュゲートは、BT500(配列番号3)、BT600(配列番号4)、またはBT700(配列番号5)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、アルブミンに結合する脂肪酸コンジュゲートBT500、BT600、およびBT700を示す。BT100を対照として試験する。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本開示の一つ以上の実施形態の詳細は、以下の添付の説明に記載される。本明細書に記載の材料および方法と類似または同等の任意の方法および材料を、本開示の実施または試験に使用することができるが、好ましい材料および方法をこれから記述する。本開示のその他の特徴、目的、および利点は、説明から明らかであろう。説明において、単数形は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数も含む。本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、他に定義されない限り、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合は、本説明が優先される。
【0054】
はじめに
部分と、例えば小治療用核酸分子などの核酸分子とのコンジュゲーションは、核酸の特徴を改変するために、例えば、体内での半減期、安定性、標的への結合、機能的有効性などを増加させるために有用である。合成後標識および様々なコンジュゲーション化学物質を介して直接的または間接的に他の機能性分子を核酸にコンジュゲートする技術は、大きく進歩している。例えば、クリックケミストリーは、生体分子コンジュゲーションに有用な最も堅牢かつ効率的なケミストリーの一つであり、タンパク質およびDNA/RNAコンジュゲーションで広く使用されている。
【0055】
遊離脂肪酸は、ヒト血清アルブミン(HSA)と結合することができることが観察された(Curry S. et al., Fatty acid binding to human serum albumin: new insights from crystallographic studies. Biochim Biophys Acta, 1999, 1441: 131-140)。HSAは血液中に豊富であり、薬物代謝に重要な役割を果たす(Bhattacharya, A. A., et al., Crystallographic analysis reveals common modes of binding of medium and long-chain fatty acids to human serum albumin. J Mol Biol., 2000, 303: 721-732)。ほとんどの薬剤はHSAに結合し、血液循環および組織移植のために解離される(Ghuman, J. et al. Structural basis of the drug-binding specificity of human serum albumin. J Mol Biol., 2005, 353:38-52)。HASへの結合の機能により、脂肪酸は、薬剤の血液保持時間、すなわち半減期の延長に非常に有用なツールとなる。多くの研究は、脂肪酸と、例えばペプチドおよびsiRNAなどの治療剤とのコンジュゲーションが、吸収速度を遅延させ、循環期間を延長させ、タンパク質分解から保護し得ることを実証している(例えば、Troiber, C. et al., Stabilizing effect of tyrosine trimers on pDNA and siRNA polyplexes. Biomaterials, 2013, 34: 1624-1633、およびHackett, M. J., et al., A dicarboxylic fatty acid derivative of paclitaxel for albumin-assisted drug delivery. J Pharm Sci., 2012, 101:3292-3304)。C16脂肪酸のコンジュゲーションは、GLP-1ペプチドの半減期の有意な増加をもたらしたと報告された(Madsen, K. et al. Structure-activity and protraction relationship of long-acting glucagon-like peptide-1 derivatives: importance of fatty acid length, polarity and bulkiness. J Med Chem, 2007, 50, doi: 10.1021/jm070861j)。脂肪酸コンジュゲーションは、この効率および臨床的に非毒性効果のために、治療薬(例えば、ペプチド、DNA、およびRNA)の半減期および安定性を延長するための有用な戦略として開発されてきた。
【0056】
脂肪酸の長さおよび構造は、異なる治療薬に影響を与える可能性がある。脂肪酸と活性治療薬とのコンジュゲーションは、複雑な工程を必要とする。多くの場合、治療薬中の官能基は、その化学的特性および物理的特性、例えば、その構造的立体配座により制限される。脂肪酸中の活性部位も、それらの用途を制限する可能性がある。この障害を克服するために、活性基を脂肪酸および/または治療薬に導入することができる。修飾は、薬剤および脂肪酸をコンジュゲートするための分子修飾またはリンカーを介して達成することができる。
【0057】
本開示は、修飾脂肪酸の類似体、および核酸分子、特に低核酸分子、例えばアプタマー、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CpGオリゴヌクレオチド、siRNA、siRNA、マイクロRNA、lncRNA、mRNA、アンチセンスRNA、saRNAなどへの脂肪酸コンジュゲーションのための最適化されたコンジュゲーション戦略を提供する。本開示の脂肪酸様分子(本明細書では「脂肪酸部分」と呼ばれる)は、二つ以上のカルボキシル基などの一つ以上の官能基、ならびにアジド基、アルキン基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、およびアミノ基などの追加の活性基を含む。
【0058】
定義
特許請求の範囲となる本開示の主題をより明確かつ簡潔に説明するために、以下の定義が特定の用語について提供され、これは以下の説明および添付の特許請求の範囲で使用される。本明細書全体を通して、特定の用語の例証は、非限定的な実施例とみなされるべきである。
【0059】
本明細書で使用される場合、「脂肪族」という用語は、完全に飽和している、もしくは一つ以上の不飽和単位を含有する直鎖(すなわち、非分岐)もしくは分枝、置換もしくは非置換の炭化水素鎖、または完全に飽和している、もしくは一つ以上の不飽和単位を含有する(ただし芳香族ではない)置換もしくは非置換の単環式、二環式、もしくは多環式の炭化水素環、またはそれらの組み合わせを意味する。一部の事例では、脂肪族基は、2~50個の脂肪族炭素原子、または2~20個の脂肪族炭素原子、または8~30個の脂肪族炭素原子、または10~20個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪族基は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、または30個の脂肪族炭素原子を含有する。本開示によれば、脂肪族基としては、直鎖または分枝、置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル基、およびそれらのハイブリッドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用される場合、「結合」という用語は、高分子間(例えば、タンパク質と核酸間)の配列特異的かつ非共有結合的な相互作用を指す。全体として相互作用が配列特異的である限り、結合相互作用のすべての構成要素が配列特異的である必要はない(例えば、DNA骨格中のリン酸残基と接触する)。こうした相互作用は、一般的に10 6 M 1以下の解離定数(Kd)によって特徴付けられる。「親和性」という用語は、結合強度を指し、結合親和性の増加は、より低いKdと相関する。
【0061】
本明細書で使用される場合、「分子量」という用語は、本明細書で使用される場合、概して、材料の質量または平均質量を指す。ポリマーまたはオリゴマーの場合、分子量は、バルクポリマーの相対平均鎖長または相対鎖質量を指すことができる。分子の分子量は、コンジュゲートの式中の各原子の原子量に各原子の数を掛けた和として計算されてもよい。また、質量分析、NMR、クロマトグラフィー、光散乱、粘度、および/または当技術分野で公知の任意の他の方法によって測定されてもよい。分子量の単位は、g/mol、ダルトン(Da)、または原子質量単位(amu)であってもよいことが当技術分野で公知であり、1g/mol=1Da=1amuである。
【0062】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、活性剤(例えば、治療用核酸)と、不活性または活性の担体との組み合わせを指し、組成物を、インビボまたはエクスビボでの診断または治療用途に対して特に好適なものにする。医薬組成物中の担体は、活性成分と適合性があり、それを安定化することができるという意味で、許容可能でなければならない。一つ以上の可溶化剤は、活性剤の送達のための医薬担体として利用され得る。薬学的に許容可能な担体の例としては、剤形として使用可能な組成物を達成するために、生体適合性ビヒクル、アジュバント、添加剤、および希釈剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の担体の例としては、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、およびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体または賦形剤」という用語は、概して安全であり、非毒性であり、生物学的またはその他の方法で望ましくないものでもない、医薬組成物の調製に有用な担体または賦形剤を意味し、獣医学的使用ならびにヒト医薬使用に許容可能な担体または賦形剤を含む。本明細書および特許請求の範囲で使用される「薬学的に許容可能な担体または賦形剤」は、一つおよび二つ以上のそのような担体または賦形剤の両方を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、および油/水または水/油エマルションなどのエマルション、ならびに様々なタイプの湿潤剤などの標準的な医薬担体のいずれかを包含する。一部の実施例では、組成物および製剤はまた、安定化剤および防腐剤を含み得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な」という用語は、生理学的に忍容性があり、典型的には、ヒトに投与されたときに好ましくない反応を生じさせない分子実体および組成物を指す。好ましくは、本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な」という用語は、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されるか、または米国薬局方、もしくは動物、より具体的にはヒトで使用する、または非経口製品での使用が安全であると一般的に認識される、他の一般的に認識されている薬局方に列挙されることを意味する。
【0065】
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療」という用語は、治療的処置および予防的または予防的処置の両方を指す。それらは、病態、疾患進行、疾患の原因物質(例えば、細菌またはウイルス)、または他の異常な状態の有害作用の予防、治癒、逆転、減弱、緩和、最小化、抑制、または停止を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「治療薬」という用語は、対象に投与されたとき、治療効果を有する、および/または所望の生物学的効果および/もしくは薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。一部の実施形態では、治療薬は、疾患、障害、および/または状態の一つ以上の症状または特徴を軽減、改善、緩和、阻害、予防、発症の遅延、重症度の低減、および/または発生率の低減に使用され得る任意の物質である。治療薬の例としては、低分子薬剤、化学療法剤、免疫療法剤、治療用抗体およびその断片、毒素(例えば、免疫毒素)、放射性同位体、酵素(例えば、標的部位で細胞毒性薬剤にプロドラッグを切断する酵素)、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫調節剤、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(またはCpG ODN)、核酸分子(例えば、mRNA分子、cDNA分子、マイクロRNA分子、siRNAまたはshRNAなどのRNAi分子、saRNA、またはlncRNA分子)、キレート剤、ホウ素化合物、光活性剤および染料が含まれてもよいが、これらに限定されない。治療薬はまた、健康な細胞と比較して、標的細胞を放射線療法に対してより感受性にするために放射線増感剤として作用するキレート剤に結合された金属、金属合金、金属間またはコアシェルナノ粒子を含んでもよい。
【0067】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は概して、所望の生物学的応答に影響を与えるための本開示のアプタマーの量を指す。こうした応答は、疾患または障害の症状の改善、低減、予防、または除去を含むがこれらに限定されない、有益な結果である場合がある。したがって、アプタマーまたは方法の各活性成分の総量は、癌の治療を含むがこれに限定されない、必要とする対象において意義のある利益を示すのに十分である。治療有効量は、一つ以上の予防投与または治療投与を介して投与されてもよい。「治療有効レベル」が単剤投与される単一成分に適用される場合、この用語は、その組成物のみを指す。組み合わせに適用される場合、この用語は、組み合わせて、連続的に、または同時投与されるかどうかにかかわらず、治療効果を生じさせる活性組成物の組み合わせ量を指す。必要とされる正確な量は、例えば、対象の種、年齢、および全身状態、治療される状態の重症度、特定の対象抗原、免疫学的応答の場合、例えば、抗体を合成する対象の免疫系の能力、および所望の保護の程度、ならびに投与様式に応じて、対象によって変化する。任意の個々の事例における適切な「有効」量は、当業者によって決定されてもよい。したがって、「治療有効量」は、典型的には、日常的な試験を通して決定され得る、比較的広い範囲に収まる。
【0068】
本明細書で使用される場合、「患者」、「個人」、または「対象」という用語は、互換的に使用され、ヒトおよび非ヒト動物を含むことが意図される。例示的なヒト対象としては、癌、特にHCCに罹患しているヒト患者が挙げられる。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば、非哺乳類(ニワトリ、両生類、爬虫類など)、および哺乳類(非ヒト霊長類、家畜動物および/または農業に有用な動物(ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ブタなど)、ならびに齧歯類(マウス、ラット、ハムスター、モルモットなど))を含む。
【0069】
組成物
脂肪酸-核酸コンジュゲート
本開示は、脂肪酸-核酸コンジュゲートに関する。本明細書に開示されるコンジュゲートは、少なくとも一つの脂肪酸部分および核酸部分を含み、脂肪酸部分は、核酸にコンジュゲートされる。脂肪酸部分は、核酸の一つの末端にコンジュゲートされることが好ましい。コンジュゲートは、脂肪酸部分を含まない核酸単独と比較して、延長された半減期を有する。本明細書に記載の脂肪酸-核酸コンジュゲートを含む組成物も提供される。
【0070】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲート」という用語は、直接的または間接的な共有結合または非共有結合相互作用によって連結される二つ以上の実体(例えば、部分)を指すために使用される。一部の実施形態では、相互作用は共有結合である。一部の実施形態では、共有結合相互作用は、リンカー部分により介在される。一部の実施形態では、相互作用は、非共有結合性である(例えば、電荷相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理的吸着、ホストゲスト相互作用、疎水性相互作用、スタッキング相互作用、「粘着性配列」によるなどの水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁気相互作用、静電相互作用、双極子-双極子相互作用など)。
【0071】
本明細書で使用される場合、「部分」という用語は、対応する試薬と比較して一つ以上の原子を欠く分子または化合物(例えば、コンジュゲート)の特定の部分または官能基を意味する。例えば、式「H--X--H」の試薬が別の試薬と反応し、反応生成物の一部となる場合である。
【0072】
本開示によれば、「核酸」、「オリゴヌクレオチド」、および「ポリヌクレオチド」という用語は、いかなる点においても限定するものとみなされるべきではなく、本明細書では互換的に使用される場合がある。核酸分子は、一緒に共有結合した少なくとも二つのヌクレオチドからなるヌクレオチドのポリマーである。核酸分子は、DNA(デオキシリボヌクレオチド)、RNA(リボヌクレオチド)、ならびに組み換えRNAおよびDNA分子、またはヌクレオチド類似体を使用して生成されたDNAもしくはRNAの類似体である。核酸は、一本鎖または二本鎖、直線状または円形であってもよい。この用語はまた、開示される抽出方法を使用して回収され得る天然由来のRNAまたはDNA、またはインビトロで人工的に合成される人工DNAまたはRNA分子(すなわち、合成ポリヌクレオチド)などの核酸の断片を含む。核酸の分子量はまた、限定されず、数個の塩基対(bp)~数百個の塩基対、例えば、約2個のヌクレオチド~約1,0000個のヌクレオチド、または約10個のヌクレオチド~5,000個のヌクレオチド、または約10個のヌクレオチド~約1,000個のヌクレオチドの範囲内で任意選択的であってもよい。「オリゴヌクレオチド」は、関連する核酸分子が典型的には約100未満の塩基を含む場合に使用される。「ポリヌクレオチド」は、関連する核酸分子が典型的には約100個以上の塩基を含む場合に使用される。全ての用語は、DNA、RNA、修飾もしくは合成DNAもしくはRNA(合成および天然由来の塩基類似体、ジデオキシもしくは他の糖、チオールもしくは他の非天然もしくは天然のポリマー骨格を含むがこれらに限定されない核酸を含む)、またはDNAおよび/もしくはRNAにハイブリダイズすることができるポリマーを含有する他の核酸塩基を意味するために使用される。したがって、この用語は、本明細書で言及され使用される核酸の長さを定義または制限すると解釈されるべきではなく、核酸塩基が結合するポリマー骨格の性質を制限するためにこの用語を使用するべきでもない。核酸の種類としては、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびCpGオリゴヌクレオチド、アプタマーおよびそのバリアントなどのオリゴヌクレオチド、ならびにマイクロRNA、siRNA、shRNA、lncRNAおよびsaRNA、mRNA、ならびにcDNAなどの低分子RNA分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書で使用される場合、「脂肪酸部分」という用語は、コンジュゲートとの関連で分子またはラジカルを指し、分子またはラジカルは脂肪酸を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、脂肪酸のカルボキシル基に加えて、少なくとも一つの追加のカルボキシル基を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、脂肪酸のカルボキシル基に加えて、一つの追加のカルボキシル基を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、脂肪酸のカルボキシル基に加えて、二つの追加のカルボキシル基を含む。
【0074】
一部の実施形態では、コンジュゲートの分子量は、少なくとも5KDa、例えば、5K~10KDa、10K~20KDa、20K~30KDa、30K~40KDa、または40K~50KDaである。
【0075】
一部の実施形態では、コンジュゲートは、少なくとも一つのカルボキシル基(-COOH)、例えば、一つのカルボキシル基、二つのカルボキシル基、または三つのカルボキシル基を有する。
【0076】
アプタマーなどの核酸分子は、アプタマーのその標的への結合などの核酸の機能が悪影響を受けない限り、任意選択のリンカーを介して末端-COOHを除く脂肪酸部分の任意の適切な位置にコンジュゲート化されて、コンジュゲートを形成してもよい。一部の実施形態では、核酸、例えば、アプタマーは、脂肪酸部分の末端に結合している。核酸が脂肪酸部分にコンジュゲートされた後、脂肪部分の末端の水素または官能基が核酸で置換される。
【0077】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、核酸分子の一方の末端にコンジュゲートされる。一部の実施例では、脂肪酸部分は、核酸の5’末端にコンジュゲートされる。他の実施例では、脂肪酸部分は、核酸の3’末端にコンジュゲートされる。
【0078】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、リンカーを介して対象の核酸にコンジュゲートされる。本明細書に記載される脂肪酸部分は、より一般的に使用される脂肪酸残基よりも前記生体分子の半減期をはるかに大きく増加させることが見出されている。一部の実施形態では、脂肪酸部分はアルブミンに結合する。一部の実施形態では、脂肪酸部分および核酸を含むコンジュゲートは、低い腎クリアランスを有する。一部の実施形態では、コンジュゲートは、核酸単独よりも低い腎クリアランスを有する。
【0079】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、本明細書に記載される核酸分子に共有結合している。脂肪酸を核酸に結合する方法は特に限定されない。核酸に対する脂肪酸は、直接またはリンカー(連鎖領域)を介して結合されてもよい。一部の実施形態では、脂肪酸を核酸に結合するために使用されるリンカーは、核酸を含む。一部の実施形態では、脂肪酸を核酸に結合するために使用されるリンカーは、核酸を含まない。例示的なリンカーとしては、-O-P(=O)(OH)-O-、-O-CO-O-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH-、-NH-(CH2)n1-、-S-(CH2)n1-、-CO-(CH2)n1-CO-、-CO-(CH2)n1-NH-、-NH-(CH2)n1-NH-、-CO-NH-(CH2)n1-NH-CO-、-C(=S)-NH-(CH2)n1-NH-CO-、-C(=S)-NH-(CH2)n1-NH-C-(=S)-、-CO-O-(CH2)n1-O-CO-、-C(=S)-O-(CH2)n1-O-CO-、-C(=S)~O-(CH2)n1-O-C-(=S)-、-CO-NH-(CH2)n1-O-CO-、-C(=S)-NH-(CH2)n1-O-CO-、-C(=S)-NH-(CH2)n1-O-C-(=S)-、-CO-NH-(CH2)n1-O-CO-、-C(=S)-NH-(CH2)n1-CO-、-C(=S)-O-(CH2)n1-NH-CO-、-C(=S)-NH-(CH2)n1-O-C-(=S)-、-NH-(CH2CH2O)n3CH(CH20H)-、-NH-(CH2CH2O)n2-CH2-、-NH-(CH2CH2O)n2CO-、-O-(CH2)n3-S-S-(CH2)n4-O-P(=0)2-、-CO-(CH2)n3-O-CO-NH-(CH2)n4-および-CO-(CH2)n3-CO-NH-(CH2)n4-が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本開示によれば、コンジュゲートの核酸は、オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)およびCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN))、アプタマーまたはそのバリアント、アンチセンスRNA、低分子RNA、RNAi剤、低分子干渉核酸(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)分子、長鎖ノンコーディングRNA(長鎖ncRNA、lncRNA)、低分子活性化RNA(SaRNA)、マイクロRNA(miRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、環状RNAなどでもよい。核酸分子は、治療用核酸である。
【0081】
「オリゴヌクレオチド」は、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体の短いポリマーを指す。オリゴヌクレオチドは、10~200個のヌクレオチドの長さ、または10~100個のヌクレオチドの長さ、10~50個のヌクレオチドの長さ、または50~100個のヌクレオチドの長さであってもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10個のヌクレオチド、11個のヌクレオチド、12個のヌクレオチド、13個のヌクレオチド、14個のヌクレオチド、15個のヌクレオチド、16個のヌクレオチド、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド、19個のヌクレオチド、20個のヌクレオチド、21個のヌクレオチド、22個のヌクレオチド、23個のヌクレオチド、24個のヌクレオチド、25個のヌクレオチド、26個のヌクレオチド、27個のヌクレオチド、28個のヌクレオチド、29個のヌクレオチド、30個のヌクレオチド、31個のヌクレオチド、32個のヌクレオチド、33個のヌクレオチド、34個のヌクレオチド、35個のヌクレオチド、36個のヌクレオチド、37個のヌクレオチド、38個のヌクレオチド、39個のヌクレオチド、40個のヌクレオチド、41個のヌクレオチド、42個のヌクレオチド、43個のヌクレオチド、44個のヌクレオチド、45個のヌクレオチド、46個のヌクレオチド、47個のヌクレオチド、48個のヌクレオチド、49個のヌクレオチド、または50個のヌクレオチドを含んでもよい。「CpGオリゴデオキシヌクレオチド(またはCpG ODN)」は、シトシン三リン酸デオキシヌクレオチド(「C」)、続いてグアニン三リン酸デオキシヌクレオチド(「G」)からなるCpGモチーフを含有する短い一本鎖DNA分子である。「p」は、連続するヌクレオチド間のホスホジエステルリンクを指す。CpG ODNは、Toll様受容体9(TLR-9)に結合して活性化するTh-1型免疫刺激剤の新しいクラスである。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、RNAを変化させ、いくつかの別個の機構を介してタンパク質発現を低減、回復、または修飾することができる、短い合成一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドである。
【0082】
「RNAi剤」は、標的mRNA配列を認識し、標的特異的RNA干渉(RNAi)を誘導する配列を含む核酸分子である。RNAi剤は、一本鎖オリゴヌクレオチドまたは二本鎖オリゴヌクレオチドであってもよい。RNAi剤は、siRNA(短い阻害性RNA)、shRNA(短いまたは小さなヘアピンRNA)、dsRNA(二本鎖RNA)、およびマイクロRNAなどであってもよい。
【0083】
「低分子RNA」は、転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)、クロマチン依存性遺伝子サイレンシング(CDGS)、またはRNA活性化(RNAa)を介して細胞質および核の両方で遺伝子発現を調節することができる短い(約18~30個のヌクレオチド)非コードRNA分子である。低分子RNAには、マイクロRNA(miRNA)、siRNA、およびPiwi相互作用RNA(piRNA)の三つの主なクラスがある(例えば、Farazi et al., the growing catalog of small RNAs and their association with distinct Argonaute/Piwi family members. Development. 2008;135(7):1201-1214)。
【0084】
「mRNA」は、遺伝子のDNA鎖の一本鎖に相補的である一本鎖RNA分子を指す。これは、遺伝子コードをそれらの対応するタンパク質に翻訳するための遺伝子コードおよびテンプレートを提供する。
【0085】
「アプタマー」は、特定の標的分子に結合し、標的の活性、構造、または機能を調節する生体分子を指す。アプタマーは、核酸またはアミノ酸系であってもよい。本開示の文脈において、アプタマーは核酸アプタマーである。
【0086】
一部の実施形態では、本コンジュゲートの核酸は、治療用核酸である。本明細書で使用される場合、「治療用核酸」という用語は、治療剤として使用される核酸分子を指す。例示的な治療用核酸としては、アプタマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、mRNA、cDNA、siRNAまたはshRNAなどのRNAi分子、およびsaRNAなどが挙げられる。
【0087】
一部の実施形態では、核酸部分は、活性化核酸部分またはアンチセンス核酸部分である。
一部の実施形態では、本コンジュゲートの核酸は、有効性および特異性の強化を促進するように修飾されてもよく、および/または安定性を改善するように修飾されてもよい。修飾(例えば、化学修飾)および/またはコンジュゲートの様々な組み合わせを使用して、本コンジュゲートの核酸を修飾してもよい。ヌクレオチド類似体を使用して、糖および/または骨格修飾リボヌクレオチド、例えばホスホチオエート基、2’OH基での糖修飾、例えば2’-フルオロ、2’-アミノおよび/または2’-チオ修飾を含む核酸を修飾してもよい。特に例示的な修飾としては、2’-フルオロ-シチジン、2’-フルオロ-ウリジン、2’-フルオロ-アデノシン、2’-フルオロ-グアノシン、2’-アミノ-シチジン、2’-アミノ-ウリジン、2’-アミノ-アデノシン、2’-アミノ-グアノシン、2-アミノプリン、2’-アミノ-ブチリル-ピレン-ウリジン、および2,6-ジアミノプリン、4’位、例えば4-チオ-ウリジン、ならびに/または5’位、例えば5-アミノ-アリル-ウリジン、5-ブロモ-ウリジン、5-ヨード-ウリジン、5-メチル-シチジン、5-フルオロ-シチジン、5-フルオロ-ウリジンおよび5-リボ-チミジンが含まれる。追加の修飾残基としては、デオキシ脱塩基、イノシン、N3-メチル-ウリジン、N6,N6-ジメチル-アデノシン、プソイドウリジン、プリンリボヌクレオシド、リバビリン、ロック核酸(LNA)、および/またはペプチド核酸(PNA)が挙げられる。
【0088】
アプタマー
好ましい一実施形態では、本コンジュゲートの核酸は、アプタマー、例えば、SELEXによって特定され、高親和性で特定の標的に結合するアプタマーである。標的は、タンパク質、ペプチド、核酸分子、脂質、糖、化合物、細胞、組織、細菌、および他の分析物であってもよい。
【0089】
アプタマーは、特定の標的分子に結合し、標的の活性、構造、または機能を調節することの多い生体分子を指す。アプタマーはしばしば、抗体と類似の特徴を有し、「化学的抗体」と呼ばれる。アプタマーは、核酸系またはアミノ酸系、すなわち、核酸アプタマーまたはペプチドアプタマーのいずれかであり得る。核酸アプタマーは、古典的なワトソン・クリック塩基対以外の相互作用を介して、標的分子に対する特異的結合親和性を有する。核酸アプタマーは、高親和性で選択された標的に特異的に結合することができる。一部のアプタマーは、結合を介して、標的の機能を妨げる可能性がある。
【0090】
本開示のアプタマーは、合成オリゴヌクレオチドである。典型的な核酸アプタマーは、およそ10~15kDaのサイズであり、ナノモル親和性~準ナノモル親和性でその標的に結合し、密接に関連する標的と区別する。核酸アプタマーの標的は、タンパク質、核酸分子、ペプチド、小分子、および全細胞であってもよいが、これらに限定されない。
【0091】
核酸アプタマーは、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、または混合リボ核酸とデオキシリボ核酸(DNA/RNAハイブリッド)であってもよい。アプタマーは、一本鎖であってもよい。アプタマーに好適なヌクレオチドの長さは、約15~約150個のヌクレオチドの範囲であり、様々な他の好ましい実施形態では、15~30個のヌクレオチド、20~25個のヌクレオチド、20~45個のヌクレオチド、30~100個のヌクレオチド、30~60個のヌクレオチド、25~70個のヌクレオチド、25~60個のヌクレオチド、40~60個のヌクレオチド、25~40個のヌクレオチド、30~40個のヌクレオチド、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40個のヌクレオチドのいずれか、または30~50個のヌクレオチド、40~70個のヌクレオチド、または50~100個のヌクレオチドの長さを有する。一部の実施形態では、アプタマーは、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70個のヌクレオチドの長さであってもよい。他の実施形態では、アプタマーは、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100個のヌクレオチドの長さであってもよい。しかしながら、配列は、アプタマーと標的との相互作用に適応することができるように、十分な柔軟性を有して設計することができる。
【0092】
「ヌクレオチド」という用語は、核酸の単量体、複素環式塩基、糖、および一つ以上のリン酸基からなる化合物を指す。塩基はプリンおよびピリミジンの誘導体であり、糖はデオキシリボースまたはリボースのいずれかであるペントースである。
【0093】
本明細書で使用される場合、「修飾」という用語は、核酸、例えば、オリゴヌクレオチドを化学試薬と化学的に反応させる技術を指す。核酸は、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で修飾されてもよい。修飾には、2’-位糖修飾、5-位ピリミジン、修飾、8-位プリン修飾、外環アミンでの修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモまたは5-ヨード-ウラシルの置換、骨格修飾、ホスホロチオエートまたはリン酸アルキル修飾、メチル化、イソ塩基イソシチジンおよびイソグアニジンなどの異常な塩基対の組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない。修飾はまた、キャッピングなどの3’および5’修飾を含み得る。核酸分子はまた、所望の生物学的特性を有する部分へのコンジュゲーションによって修飾されてもよい。こうした部分には、化合物、ペプチドおよびタンパク質、炭水化物、抗体、酵素、ポリマー、薬剤、ならびにフルオロフォアが含まれ得るが、これらに限定されない。一部の実施例では、ポリヌクレオチドは、コレステロール、ジアルキルグリセロール、ジアシルグリセロールなどの親油性化合物、またはPEG(ポリエチレングリコール)などの非免疫原性の高分子量化合物もしくはポリマー、またはポリアミノアミン(PAMAM)、およびデキストランもしくはポリオキサゾリン(POZ)などの多糖類を含むがこれらに限定されない他の水溶性の薬学的に許容可能なポリマーとコンジュゲートされる。修飾は、例えば、核酸分子のインビボ安定性を増加させること、または分子の送達を強化もしくは媒介することを意図する場合がある。
【0094】
アプタマーは、一価または多価のいずれかであってもよい。アプタマーは、単量体、二量体、三量体、四量体、または他の高多量体であってもよい。個々のアプタマー単量体を連結して、多量体アプタマー融合分子を形成してもよい。非限定的な例として、結合オリゴヌクレオチド(すなわちリンカー)は、ランダムアプタマーの5’-アーム領域と3’-アーム領域の両方に相補的な配列を含有するように設計されて、二量体アプタマーを形成してもよい。三量体または四量体アプタマーについては、小さな三量体または四量体(すなわち、Holliday接合型様)DNAナノ構造を操作して、ランダムアプタマーの3’アーム領域に相補的な配列を含み、従ってハイブリダイゼーションを介して多量体アプタマー融合を生成する。さらに、3~5個または5~10個のdTリッチヌクレオチドを、アプタマー結合モチーフ間の一本鎖領域としてリンカーポリヌクレオチド内に操作することができ、これにより、細胞リガンドまたは受容体との多価相互作用を協調および相乗作用するための複数のアプタマーの柔軟性および自由が提供される。あるいは、多量体アプタマーはまた、ビオチン化アプタマーをストレプトアビジンと混合することによって形成され得る。
【0095】
本明細書で使用される場合、「多量体アプタマー」または「多価アプタマー」という用語は、複数の単量体単位を含むアプタマーを指し、単量体単位の各々は、それ自体がアプタマーであり得る。多価アプタマーは、多価結合特性を有する。多量体アプタマーは、ホモ多量体またはヘテロ多量体であってもよい。「ホモ多量体」という用語は、同じ種類の複数の結合単位を含む多量体アプタマーを指し、すなわち、各単位は、同じ標的分子の同じ結合部位に結合する。「ヘテロ多量体」という用語は、異なる種類の複数の結合単位を含む多量体アプタマーを指し、すなわち、各結合単位は、同じ標的分子の異なる結合部位に結合するか、または各結合単位は、異なる標的分子上の結合部位に結合する。したがって、ヘテロ多量体は、異なる結合部位で一つの標的分子に結合する多量体アプタマー、または異なる標的分子に結合する多量体アプタマーを指すことができる。異なる標的分子に結合するヘテロ多量体はまた、多選択性多量体と称され得る。
【0096】
核酸アプタマーは、一連の連結ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含む。「核酸」という用語は、最も広い意味において、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物および/または物質を含む。これらのポリマーは、ポリヌクレオチドと呼ばれることが多い。本発明の例示的な核酸分子またはポリヌクレオチドとしては、D-核酸またはL-核酸のいずれか、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸(β-D-リボ構成を有するLNA、α-L-リボ構成を有するα-LNA(LNAのジアステレオマー)を含むLNA)、2’-アミノ官能基化を有する2’-アミノ-LNA、および2’-アミノ官能基化を有する2’-アミノ-α-LNA)またはそのハイブリッドを含むが、これらに限定されない。
【0097】
核酸アプタマーは、リボ核酸、デオキシリボ核酸、または混合リボ核酸とデオキシリボ核酸であってもよい。アプタマーは、一本鎖のリボ核酸、デオキシリボ核酸、または混合リボ核酸とデオキシリボ核酸であってもよい。
【0098】
アプタマーは、インビトロ選択(Ellington and Szostak、In vitro selection of RNA molecules that bind specific ligands. Nature. 1990; 346: 818-822)またはSELEX(Tuerk and Gold, Systematic evolution of ligands by exponential enrichment: RNA ligands to bacteriophage T4 DNA polymerase; Science, 1990, 249: 505-510)のいずれかと呼ばれるプロセスを使用して、標的分子(例えば、対象のタンパク質)に対して生成され得る。この方法は、高度に特異的な結合標的分子を有する核酸分子のインビトロでの進化を可能にする。SELEX法は、例えば、米国特許 第7,087,735号、米国特許第5,475,096号および米国特許第5,270,163号に記載され、それらの各々の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。核酸アプタマーは、当技術分野で公知の方法を使用して合成することができる。例えば、開示されたアプタマーは、当技術分野で公知の標準オリゴヌクレオチド合成技術を使用して合成されてもよい。
【0099】
一部の実施形態では、アプタマーは、少なくとも一つの化学修飾を含む。一部の実施形態では、化学修飾は、糖位置での核酸の化学的置換、リン酸位置での化学的置換、および塩基位置での化学的置換から選択される。他の実施形態では、化学修飾は、修飾ヌクレオチドの組み込み、3’キャッピング、高分子量の非免疫原性化合物へのコンジュゲーション、親油性化合物へのコンジュゲーション、およびリン酸骨格へのホスホロチオエートの組み込みから選択される。好ましい実施形態では、高分子量の非免疫原性化合物はポリアルキレングリコールであり、ポリエチレングリコール(PEG)であることがより好ましい。別の分子、通常は薬剤または治療用タンパク質へのPEGの共有結合のプロセスは、PEG化として知られている。PEG化は、PEGの反応性誘導体と標的分子とのインキュベーションによって日常的に達成される。薬剤または治療用タンパク質へのPEGの共有結合は、宿主の免疫系から薬剤をマスクし、それによって、低減された免疫原性および抗原性を提供し、腎クリアランスを低減することによってその循環時間を延長する薬剤の流体力学的サイズ(溶液のサイズ)を増加させることができる。PEG化はまた、疎水性薬剤およびタンパク質に対する水溶性を提供することができる。
【0100】
一部の実施形態では、P(O)O基が、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、P(O)NR2(「アミダート」)、P(O)R、P(O)OR’、COもしくはCH2(「ホルムアセタール」)、または3’-アミン(-NH-CH2-CH2-)によって置き換えられる核酸アプタマーが提供され、式中、各RまたはR’は独立して、Hまたは置換もしくは非置換アルキルである。連鎖基は、-O-、-N-、または-S-連鎖を介して隣接するヌクレオチドに結合することができる。核酸アプタマー中の全ての連鎖が同一である必要はない。
【0101】
非限定的な例として、核酸アプタマーは、D-リボースまたはL-リボース核酸残基を含むことができ、また限定されないが、2’-O-メチル修飾ヌクレオシドを含む少なくとも一つの修飾リボヌクレオシドを含むことができ、5’ホスホロチオエート基を含むヌクレオシド、コレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基に連鎖された末端ヌクレオシド、ロックされたヌクレオシドと、脱塩基性ヌクレオシド、逆位デオキシヌクレオシドまたは逆位リボヌクレオシド、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオシド、2’-アミノ修飾ヌクレオシド、2’-アルキル修飾ヌクレオシド、モルホリノヌクレオシド、ヌクレオシドを含むホスホロアミダートまたは非天然塩基、またはそれらの任意の組み合わせである。あるいは、核酸アプタマーは、分子の全長まで、少なくとも2個の修飾リボヌクレオシド、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個またはそれ以上の修飾リボヌクレオシドを含み得る。修飾は、核酸分子中のこのような複数の修飾デオキシヌクレオシドまたはリボヌクレオシドの各々に対して同じである必要はない。
【0102】
本発明のアプタマーは、核酸塩基(多くの場合、当技術分野では単に「塩基」と称される)の修飾または置換を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「非修飾」核酸塩基または「天然」核酸塩基は、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾核酸塩基には、5-メチルシトシン(5-me-C)などの他の合成核酸塩基および天然核酸塩基、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチルならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2-プロピルならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(疑似ウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルアナール、他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ、 特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルならびに他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-ダザアデニンおよび3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンが含まれる。さらなる核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号に開示されている核酸塩基、Modified Nucleosides in Biochemistry, Biotechnology and Medicine, Herdewijn, P. ed. Wiley-VCH, 2008; The Concise Encyclopedia of Polymer Science And Engineering, pages 858-859, Kroschwitz, J. L, ed. John Wiley & Sons, 1990、Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613によって開示されているもの、およびSanghvi, Y S., Chapter 15, dsRNA Research and Applications, pages 289-302, Crooke, S. T. and Lebleu, B., Ed., CRC Press, 1993によって開示されているものが挙げられる。
【0103】
一部の実施形態では、核酸アプタマーは、二本鎖の特徴の一つ以上の領域を含む。こうした二本鎖領域は、第二またはさらなるアプタマーまたはオリゴヌクレオチド分子との内部自己相補性または相補性から生じてもよい。一部の実施形態では、二本鎖領域は、4~12、4~10、4~8個の塩基対の長さであってもよい。一部の実施形態では、二本鎖領域は、5、6、7、8、9、10、11または12個の塩基対の長さであってもよい。一部の実施形態では、二本鎖領域は、ステム領域を形成してもよい。二本鎖の特徴を有するかかる伸長ステム領域は、核酸アプタマーを安定化するように機能し得る。本明細書で使用される場合、「二本鎖の特徴」という用語は、二つの核酸分子の任意の長さにわたって、それらの配列が、長さの50パーセント超の塩基対(標準または非標準)を形成することを意味する。
【0104】
アプタマーは、ヌクレアーゼおよび他の酵素活性からの保護を提供するようにさらに修飾されてもよい。アプタマー配列は、当技術分野で公知の任意の適切な方法によって修飾することができる。例えば、ホスホロチオエートを骨格に組み込むことができ、5’修飾ピリミジンをDNAアプタマーのssDNAの5’末端に含めることができる。RNAアプタマーについては、例えば、2’-デオキシ-NTPまたは2’-フルオロ-NTPによるリボース骨格の2’-OH基の置換などの修飾ヌクレオチドを、T7 RNAポリメラーゼ変異体を使用してRNA分子に組み込むことができる。これらの修飾アプタマーのヌクレアーゼに対する耐性は、マウス血清由来の精製ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼのいずれかをインキュベートすることによって試験することができ、アプタマーの完全性はゲル電気泳動によって分析することができる。
【0105】
一部の実施形態では、かかる修飾核酸アプタマーは、修飾ヌクレオチドを完全に、または修飾ヌクレオチドのサブセットで合成されてもよい。修飾は、同一であっても異なっていてもよい。全てのヌクレオチドは修飾されてもよく、全てが同じ修飾を含有してもよい。全てのヌクレオチドが修飾され得るが、異なる修飾を含有してもよく、例えば、同じ塩基を含有する全てのヌクレオチドは、一つのタイプの修飾を有してもよく、一方で、他の塩基を含有するヌクレオチドは、異なるタイプの修飾を有してもよい。例えば、全てのプリンヌクレオチドは、一つのタイプの修飾(または非修飾)を有してもよく、一方で全てのピリミジンヌクレオチドは、別の異なるタイプの修飾(または非修飾)を有してもよい。このようにして、オリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドのライブラリは、本明細書に開示される修飾の任意の組み合わせを使用して生成される。
【0106】
本発明の特定の実施形態によると、アプタマーのバリアントおよび誘導体が提供される。「誘導体」という用語は、「バリアント」という用語と同義的に使用され、基準アプタマーまたは開始アプタマーに対して何らかの方法で修飾または変更された分子を指す。アプタマーバリアントの核酸配列は、基準配列または開始配列と比較して、ヌクレオチド配列内の特定の位置に置換、欠失、および/または挿入を有してもよい。通常、バリアントは、基準配列と少なくとも約50%の同一性(相同性)を有し、好ましくは、基準配列と少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%同一(相同性)である。
【0107】
一部の実施形態では、アプタマーは、脂肪酸部分に共有結合するために使用され得る官能基で修飾される。官能基は、アプタマーの3’末端または5’末端に付加され得る。一部の実施形態では、追加のリンカー基またはヌクレオチド置換を、コンジュゲーションのためにアプタマーに添加してもよい。
【0108】
一部の実施形態では、アプタマーの5’末端は、ジベンゾシクロオクチン(DBCO)基を有する:
【0109】
【0110】
DBCO基は、アジド基との銅を含まないクリックケミストリー反応を起こす場合がある。
一部の実施形態では、本開示のアプタマーのバリアント模倣体が提供される。本明細書で使用される場合、「バリアント模倣体」という用語は、活性化配列を模倣するであろう一つ以上の核酸を含有するものである。バリアント模倣体の核酸配列は、天然由来の核酸、または代替的に非天然核酸を含んでもよい。
【0111】
脂肪酸部分
本開示によれば、脂肪酸部分は、アプタマーなどの核酸にコンジュゲートされる。脂肪酸部分は、天然脂肪酸または脂肪酸様分子であってもよい。
【0112】
一部の実施形態では、脂肪酸または脂肪酸部分の分子量は、少なくとも500Da、例えば、500~1KDa、1K~1.5KDa、1.5K~2KDa、2K~2K2.5KDa、または2.5K~3KDaである。
【0113】
脂肪酸は、メチル末端(-CH3)、炭化水素鎖(R)(「脂肪族尾部」とも呼ばれる)、および末端カルボキシル基(-COOH)からなる典型的なRCOOH構造を有するカルボン酸である。炭化水素鎖は、4~30個の炭素原子を含んでもよく、飽和であっても不飽和であってもよく(少なくとも一つの二重結合または三重結合を有する)、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖を有してもよい。これらは、CN:p n-xのように概略式としてしばしば示され、CNは、炭素原子の総数を表し、pは、二重結合の数であり、xは、メチル末端(n)からの第一の二重結合の位置を示す(IUPAC-IUB Commission, Eur J Biochem 1977, 79:11-21)。一部の実施形態では、脂肪酸は、偶数の炭素原子の直鎖からなり、鎖の長さに沿って、鎖の一方の末端に水素原子を有し、他方の末端にカルボキシル基(-COOH)を有する。
【0114】
脂肪酸は、その構造、生理学的役割、および生物学的効果に関していくつかの群に分けることができる。脂肪酸は、それらの構造に従って飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸として分類することができる。脂肪酸様分子は、特定の炭素原子が他の原子または原子の基によって置換されてもよく、かつ置換されてもよい修飾脂肪酸を指す。脂肪酸様分子は、コンジュゲーション戦略をより良好に促進するために修飾される。非限定的な例として、天然脂肪酸は、アミノ末端を含有するように修飾されてもよい。他の実施例では、脂肪酸分子は、コンジュゲーション反応を促進するための一つ以上の親水性基を含んでもよい。
【0115】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはアラルキル基を含む。このアルキル基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基は、約10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個以上の炭素原子を含んでもよい。
【0116】
一部の実施形態では、アルキル基は、約10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれ以上の炭素原子を含有する。
【0117】
特定の実施形態では、脂肪酸部分領域は、飽和または不飽和、線状または分枝、置換または非置換の脂肪族鎖を含んでもよい。
一部の実施形態では、脂肪酸部分領域は、一つ以上の不飽和炭素結合を含有してもよい。一部の実施形態では、不飽和結合はすべて、同じ鎖内に含有される。
【0118】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基を含んでもよい。一部の実施形態では、アルキルは、2~100個の炭素原子、または2~50個の炭素原子、または10~50個の炭素原子、または2~30個の炭素原子、または10~30個の炭素原子、または12~20個の炭素原子を有する。
【0119】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を有する分枝炭化水素または非分岐炭化水素を指す。
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、少なくとも一つの炭素-炭素三重結合を有する分枝炭化水素または非分岐炭化水素を指す。
【0120】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」のようなより大きな部分の一部として使用され、合計5~30個の環員を有する単環式、二環式、または多環式環系を指し、系中の少なくとも一つの環は芳香族である。
【0121】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれ以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、10個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、11個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、12個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、13個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、14個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、15個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、16個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、17個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、18個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、19個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、20個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、25個以上の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、30個以上の炭素原子を含有する。
【0122】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、-(CH2)a-COOHを含み、式中、a=12~26である。一部の実施形態では、a=16である。他の実施形態では、a=18である。
【0123】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、以下の少なくとも一つのエチレングリコール基:-(OCH2CH2)を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、1~10個のエチレングリコール基を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、1個、2個、3個、4個、または5個のエチレングリコール基を含む。
【0124】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つのポリエチレングリコール(PEG)基:-(OCH2CH2)b-を含み、式中、b=1~10である。一部の実施形態では、b=4である。
【0125】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つのアミド基(-NH-CO-)を含む。
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つの-(OCH2CH2-OCH2CH2-NH-CO)-基を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、1、2、3、4または5つの-(OCH2CH2-OCH2CH2-NH-CO)-基を含む。
【0126】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つの-(CO-CH2-OCH2CH2-OCH2CH2-NH)-基を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、1~10つの(CO-CH2-OCH2CH2-OCH2CH2-NH)-基を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、二つの-(CO-CH2-OCH2CH2-OCH2CH2-NH)-基を含む。
【0127】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくともアミノ酸基、またはその誘導体/類似体を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つのグルタミン酸基、またはその誘導体/類似体、例えば
【0128】
【0129】
を含む。一部の実施形態では、グルタミン酸基はγ-グルタミン酸基
【0130】
【0131】
である。
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、ピペラジン基を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、ピペラジン-2-カルボン酸基
【0132】
【0133】
を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、
【0134】
【0135】
基を含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、
【0136】
【0137】
基を含む。
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、アジド(-N3)基を含む。
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、以下の一般式を含み、
【0138】
【0139】
(式I)、
式中、nは12~26の整数であり、
ブロックAは、
【0140】
【0141】
【0142】
または
【0143】
【0144】
であり、
naは、0または1であり、
ブロックBは、-(OCH2CH2)-または-(CO-CH2-OCH2CH2-OCH2CH2-NH)-であり、
nbは、1~10の整数であり、
ブロックCは、
【0145】
【0146】
であり、
ncは、0または1である。
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、以下の一般式を含み、
【0147】
【0148】
(式II)、
式中、nは12~26の整数であり、
ブロックAは、
【0149】
【0150】
【0151】
または
【0152】
【0153】
であり、
naは、0または1であり、
ブロックBは、-(OCH2CH2)-または-(CO-CH2-OCH2CH2-OCH2CH2-NH)-であり、
nbは、1~10の整数であり、
ブロックCは、
【0154】
【0155】
であり、
ncは、0または1であり、
ブロックDは、核酸に共有結合的に結合することができる官能基を含み、
ndは、0または1である。
【0156】
一部の実施形態では、ブロックDは、アジド基、アルキン基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、またはアミノ基を含む。一部の実施形態では、ブロックDは、Rd-N3であり、Rdは、アルキル基、アミノアルキル基、アミン基、および/またはアルコキシル基を含む。一部の実施形態では、ブロックDは、
【0157】
【0158】
【0159】
または
【0160】
【0161】
である。
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、-(CH2)16-COOHを含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つの-(OCH2CH2-OCH2CH2-NH-CO-CH2)-基をさらに含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、少なくとも一つのγ-グルタミン酸基をさらに含む。非限定的な例としては、
【0162】
【0163】
の構造を有するGTFA-1、
【0164】
【0165】
の構造を有するGTFA-1’、
【0166】
【0167】
の構造を有するGTFA-3、または
および
【0168】
【0169】
の構造を有するGTFA-3’が挙げられる。
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、-(CH2)16-COOHを含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、一つのポリエチレングリコール(PEG)基をさらに含む。一部の実施形態では、脂肪酸部分は、ピペラジン-2-カルボン酸基をさらに含む。非限定的な例としては、以下の構造を有するが挙げられる:
【0170】
【0171】
の構造を有するGTFA-2、または
【0172】
【0173】
の構造を有するGTFA-2’が挙げられる。
脂肪酸コンジュゲートの合成
本明細書に開示される核酸分子は、天然核酸および合成核酸または修飾核酸を包含する。修飾核酸は、核酸に新しいまたは強化された特徴(例えば、安定性の改善)を提供するために、例えば塩基修飾、骨格修飾などの一つ以上の修飾を有する。核酸分子および脂肪酸は、当技術分野で公知の任意の適切な方法で合成することができる。次いで、核酸および脂肪酸は、当技術分野で公知の任意の適切な方法を介して結合することができる。非限定的な例では、核酸および脂肪酸は、アジド-アルキン環化付加などのクリックケミストリーを介して結合される。
【0174】
「クリックケミストリー」という用語は、選択的であり、かつ単純な反応条件および溶媒下で副生成物がほとんどまたは全くない高収率で進行する様々な反応を網羅する。本明細書で使用される場合、「クリックケミストリー」という用語は、1,2,4-トリアゾールを形成するために、アジドと末端アルキンとの間のヒュスゲン環化付加または2,3-ジポーラ環化付加を指す。本明細書で使用される場合、「環化付加」という用語は、二つ以上のπ-電子系(例えば、不飽和分子または同じ分子の不飽和部分)を組み合わせて、結合多重度の正味減少がある環状生成物を形成する化学反応を指す。環化付加では、π電子を使用して新しいシグマ結合を形成する。環化付加の生成物は、「付加物」または「環化付加物」と呼ばれる。[3+2]環化付加物およびディールス・アルダー反応を含むがこれらに限定されない、異なるタイプの環化付加物が当技術分野で公知である。[3+2]環化付加は、2,3-双極子環化付加物とも呼ばれ、1,3-双極子と親双極子の間で発生し、典型的には五員複素環の構築に使用される。「[3+2]環化付加」という用語はまた、Bertozzi et al. J. Am. Chem. Soc., 2004, 126:15046-15047によって記載される、アジドとシクロオクチンおよびジフルオロシクロオクチンの間の「無銅」 [3+2] 付加環化も網羅する。ヒュスゲン環化付加を促進するために使用できる任意の試薬を、クリックケミストリー試薬として使用することができる。一部の実施形態では、クリックケミストリー試薬は、ピリジルアジドを含む。一部の実施形態では、クリックケミストリー試薬は、ピコリルアジドを含む。限定されないが、ピコリルアジドの任意の異性体を使用することができる。
【0175】
一部の実施形態では、脂肪酸部分は、核酸配列の5’末端に共有結合される。その他の実施形態では、脂肪酸部分は、核酸配列の3’末端に共有結合される。
一部の実施形態では、コンジュゲートは、
【0176】
【0177】
(式III)の一般式を有し、式中、nは、12~26の整数であり、
ブロックAは、
【0178】
【0179】
【0180】
または
【0181】
【0182】
であり、
naは、0または1であり、
ブロックBは、-(OCH2CH2)-または-(CO-CH2-OCH2CH2-OCH2CH2-NH)-であり、
nbは、1~10の整数であり、
ブロックCは、
【0183】
【0184】
であり、
ncは、0または1であり、
ブロックEは任意のリンカーであり、
neは、1~10の整数である。
【0185】
一部の実施形態では、ブロックEは、DBCOとアジドとの間のクリックケミストリー反応によって形成される基である。一部の実施形態では、ブロックEは、
【0186】
【0187】
を含む。
一部の実施形態では、脂肪酸-核酸コンジュゲートは、1)例えば、ヌクレオチド配列の一方の末端にDBCO基を付加することなど、核酸を修飾して活性基を加えることと、2)脂肪酸部分を一つ以上の官能基、例えば、本開示の実施例1で考察される脂肪酸部分で合成することと、3)脂肪酸部分の官能基と核酸との間の化学反応を介して脂肪酸-核酸コンジュゲートを合成することと、という一般的な工程に従って生成されてもよい。反応混合液をさらに処理して、脂肪酸-核酸コンジュゲートを単離してもよい。
【0188】
一部の実施形態では、抗VWFアプタマーの脂肪酸コンジュゲーションが、本開示によって提供される。抗VWFアプタマーは、ポリヌクレオチド配列:NH2-mGmCmCmAmGmGmGmAmCmCmUmAmAmGmAmCmAmCmAmUmGmUmCmCmCmUmGmGmC-idT(配列番号1、BT100)を含んでもよく、式中、「NH」は5’-ヘキシルアミンリンカーホスホロアミダイトであり、「idT」は逆方向デオキシチミジンであり、「mN」は2’-O-メチル含有残基である。非限定的な例として、BT100の脂肪酸コンジュゲーションは、ポリヌクレオチド配列:(5’-)パルミチン酸-リンカー-mGmCmCmAmGmGmGmAmCmCmUmAmAmGmAmCmAmCmAmUmGmUmCmCmCmUmGmGmCidT (-3’) (配列番号3、BT500)を含む。
【0189】
別の例として、BT100の脂肪酸コンジュゲーションは、ポリヌクレオチド配列:(5’-)GTFA-1-リンカー-mGmCmCmAmGmGmGmAmCmCmUmAmAmGmAmCmAmCmAmUmGmUmCmCmCmUmGmGmCidT (-3’) (配列番号4、BT600)を含む。
【0190】
別の例として、BT100の脂肪酸コンジュゲーションは、ポリヌクレオチド配列:(5’-)GTFA-3-リンカー-mGmCmCmAmGmGmGmAmCmCmUmAmAmGmAmCmAmCmAmUmGmUmCmCmCmUmGmGmCidT (-3’) (配列番号5、BT700)を含む。
【0191】
医薬組成物および投与方法
別の態様では、本開示は、本開示の核酸-脂肪酸コンジュゲートを含む医薬組成物を提供する。コンジュゲートの核酸は、治療用核酸である。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも一つの薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤をさらに含む。
【0192】
組成物は、非経口投与、経腸投与、経口投与、または他の適切な経路などの特定の投与経路用に製剤化されてもよい。非経口投与は、注射によって、または埋め込みカテーテルの挿入によって実施されてもよく、これには静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮下(SC)、経皮注射、硬膜外注射、大脳内(大脳内)投与、脳室内(大脳室内)投与、羊膜外投与、鼻腔内投与、動脈内、心臓内、骨内注入(IO)、腹腔内注入または注射、経皮拡散、経腸経路および胃腸経路、局所投与および経口経路を含むが、これに限定されない。
【0193】
さらに、本開示の医薬組成物は、カプセル、錠剤、丸剤、顆粒剤、凍結乾燥物、粉末、もしくは座薬を含むがこれらに限定されない固体形態、または溶液、懸濁液、もしくは乳剤を含むが限定されない液体形態で作製されてもよい。医薬組成物は、無菌製造、滅菌などの従来の医薬操作を受けることができ、および/または従来の不活性希釈剤、ケーク形成剤、等張化剤、潤滑剤、もしくは緩衝剤、ならびに防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、および緩衝液などのアジュバントを含有することができる。
【0194】
一部の実施形態では、注射用途に適した医薬組成物には、典型的には、滅菌水溶液(水溶性)または分散液、および滅菌注射用溶液または分散液を即時調製するための滅菌散剤が含まれ得る。
【0195】
静脈内投与については、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合において、組成物は注射のために滅菌される。好ましい医薬製剤は、製造および保管の条件下で安定である。一般に、関連する担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、並びにそれらの好適な混合液を含有する溶媒または分散媒であり得る。例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径を維持することによって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性が維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成され得る。多くの場合において、例えば糖類、例えばマンニトールなどのポリアルコール、アミノ酸、ソルビトール、または塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含むことが好ましいであろう。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含むことによってもたらされ得る。一部の実施形態では、溶解性を改善し、活性成分の投与および放出を支援するために、分解または凝集からのコンジュゲート生成物の安定化を促進するために、組換えアルブミンなどの多機能賦形剤を製剤プロセスに組み込まれてもよい。(BioPharm International, 2012, 23(3):40-44)。
【0196】
特定の注射用組成物は、等張水溶液または懸濁液であり、座薬は、有利なことに、脂肪エマルションまたは懸濁液から調製される。前記組成物は、滅菌されてもよく、および/または例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤、または乳化剤、溶液プロモーター、浸透圧を調節するための塩、および/または緩衝液などのアジュバントを含有してもよい。
【0197】
滅菌注射用溶液は、必要に応じて上記に列挙される成分のうちの1つまたは組み合わせと、必要な量の活性化合物を適切な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌によって調製することができる。概して、分散液は、活性化合物を、塩基性分散媒を含有する滅菌ビヒクル、および上に列記される物質から必要とされる他の成分と組み合わせることにより調製される。滅菌注射用溶液の調製用の滅菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、真空乾燥法および凍結乾燥法である。当該方法により、すでに滅菌ろ過されたその溶液から、活性成分と任意の追加の所望の成分の粉末が得られる。
【0198】
経口組成物は概して、不活性希釈剤、または食用担体を含む。経口治療用投与の目的に対し、活性化合物は、賦形剤と組み込まれて、錠剤、トローチ、またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態で使用されてもよい。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の成分、または類似した性質の化合物のいずれかを含有してもよい:例えば微結晶性セルロース、トラガカントガムもしくはゼラチンなどの結合剤;例えばデンプンもしくはラクトースなどの賦形剤、例えばアルギン酸、Primogel、もしくはコーンスターチなどの崩壊剤;例えばステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesなどの潤滑剤;例えばコロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;例えばスクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤;または例えばペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香味料などの香味剤。経口送達のための製剤は、有利なことには、胃腸管内の安定性を改善するため、および/または吸収を強化するための薬剤を組み込まれてもよい。
【0199】
吸入による投与については、組成物は、適切な噴射剤、例えば二酸化炭素などのガス、またはネブライザーを含有する加圧容器またはディスペンサーからエアロゾルスプレーという形態で送達されることが好ましい。肺は、治療薬の全身送達のための広い表面積を提供することに注目されたい。
【0200】
一部の実施形態では、医薬組成物は、例えば、静脈内、経粘膜、または経皮手段による全身投与のために製剤化される。
経皮用途に好適な組成物は、好適な担体を用いた本開示のコンジュゲートの有効量を含む。経皮送達に適した担体には、宿主の皮膚を通過するのを助けるための吸収性の薬理学的に許容可能な溶媒が含まれる。例えば、経皮装置は、裏打ち部材と、化合物を任意選択的に担体とともに含む貯蔵部と、任意選択的に宿主の皮膚に化合物を長時間にわたり制御された所定の速度で送達するためのバリアを制御する速度と、装置を皮膚に固定するための手段と、を含む包帯の形態である。
【0201】
実施形態において、医薬組成物は皮下投与用に製剤化される。
使用方法
別の態様では、本開示のコンジュゲートを患者に投与することを含む、そのような治療を必要とする患者における疾患または障害を治療するための方法が本明細書で提供される。
【0202】
脂肪酸コンジュゲート核酸および脂肪酸コンジュゲート核酸を含む組成物は、様々な異なる医薬、治療、診断、および生物医学の用途で使用することができる。本脂肪酸修飾は、核酸(例えば、アプタマー)の効力および有効性を改善し、経口送達の可能性を明らかにするとともに、皮下投与および静脈内投与を強化する。本脂肪酸コンジュゲーションは、治療用核酸の効力を増加させて、より低い用量の投与を可能にし、これが毒性および免疫原性の可能性を低減する場合がある。本脂肪酸コンジュゲーションは、安定性を増加させ、より少ない頻度の投与を可能にする場合がある。
【0203】
非限定的な例として、脂肪酸コンジュゲート核酸および脂肪酸コンジュゲート核酸を含む組成物は、治療用途での使用がある。
疾患または障害の非限定的な例としては、血管形成障害、心血管障害、脳卒中、神経変性障害、癌、遺伝性障害、および奇病などが挙げられる。
【0204】
一部の実施形態では、本治療方法は、疾患または障害の症状の発症を変化させる場合がある。
一態様では、本開示は、対象に治療有効量の本開示のコンジュゲートを投与することによって、上述の疾患または障害を対象において予防するための方法を提供する。疾患のリスクがある対象は、例えば、診断アッセイまたは予後アッセイのいずれかまたは組み合わせによって特定することができる。予防剤の投与は、疾患または障害が予防される、または代替的にはその進行が遅延するように、疾患または障害に特徴的な症状の発現の前に発生することができる。
【0205】
一実施形態では、対象は、本開示のコンジュゲートの初回用量および一回以上の維持用量を投与される。維持用量は、概して初回用量よりも低く、例えば、初回用量の半量である。維持レジメンは、1日当たり体重1kg当たり0.01mg~100mgの範囲の用量、例えば、1日当たり体重1kg当たり100、10、1、0.1、0.01、0.001、または0.00001mgで対象を治療することを含み得る。維持用量は、2日、5日、10日、または30日毎に1回以下投与されることが好ましい。さらに、治療レジメンは、特定の疾患の性質、その重症度、および患者の全体的な状態に応じて、様々な期間にわたって継続する場合がある。好ましい実施形態では、投与量は、1日1回以下、例えば、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上、例えば、5日または8日毎に1回、送達されてもよい。治療後、患者は、状態の変化、および病態の症状の軽減についてモニタリングされ得る。化合物の投与量は、患者が現在の投与量レベルに著しく応答しない場合は増量してもよく、または病態の症状の軽減が観察された場合、病態が除去された場合、または望ましくない副作用が観察された場合には減量し得る。
【0206】
一部の実施形態では、BT100(例えば、BT500、BT600およびBT700)の脂肪酸コンジュゲーションを使用して、VWF抗原に結合することができる。一部の実施形態では、コンジュゲートは、原発性虚血性脳卒中および一過性脳虚血発作(TIA)を有する患者における脳卒中およびTIA、ならびに脳卒中再発を治療および/または予防するために使用され得る。例えば、治療および予防方法は、BT500、BT600、またはBT700を一つ以上の抗血栓薬と組み合わせて使用する。
【0207】
均等物および範囲
当業者は、日常的な実験作業のみを使用して、本明細書に記載される本開示による具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認できるであろう。本開示の範囲は、上記の記述に制限されることを意図されるものではなく、添付の特許請求の範囲に記述される通りである。
【0208】
特許請求の範囲において、「a」、「an」、および「the」などの物品は、特段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り、一つ以上を意味し得る。グループの一つまたは複数のメンバーとの間に「または」を含むクレームまたは説明は、グループメンバーの一つ、1以上、またはすべてが、文脈から逆のまたはそうでないことが示されていない限り、所与の製品またはプロセスに存在し、採用され、またはそうでなければ関連する場合に満足されると考えられる。本開示は、グループのちょうど一つのメンバーが所与の製品またはプロセスに存在し、使用され、または関連する実施形態を含む。本開示はまた、二つ以上の、またはグループメンバー全体が所与の製品またはプロセスに存在し、使用され、または関連する実施形態も含む。
【0209】
また、「含む」という用語は、開放的であることが意図され、追加の要素またはステップの包含を許可するが、必要とはしないことに留意されたい。本明細書において「含む(comprising)」という用語が使用されるとき、それゆえ、「から成る(consisting of)」という用語も包含され、開示される。
【0210】
範囲が与えられる場合は、終点が含まれる。さらに、別段の示唆がない限り、または文脈および当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈が別途明確に示さない限り、本開示の異なる実施形態で記載された範囲内の任意の特定の値または部分範囲から、範囲の下限の単位の10分の1までを仮定することができることが理解されるべきである。
【0211】
さらに、先行技術に含まれる本開示の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のうちのいずれか一つ以上から明示的に除外され得ることが理解されるべきである。こうした実施形態は当業者に公知であるとみなされるため、除外が本明細書に明示的に記載されていない場合でも除外され得る。本開示の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の抗生物質、治療成分、または活性成分、任意の製造方法、任意の使用方法など)は、先行技術の存在に関連するか否かにかかわらず、任意の理由により、任意の一つ以上の特許請求の範囲から除外することができる。
【0212】
使用された言葉は、限定ではなく説明するための言葉であり、そのより広範な態様における本開示の真の範囲および趣旨から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲の範囲内で変更が行われ得ることが理解されるべきである。
【0213】
本開示は、いくつかの説明された実施形態に関して、ある程度の長さかつある程度の詳細を述べて説明されてきたが、任意のかかる詳細、または実施形態、または任意の特定の実施形態に限定されるべきではなく、先行技術を考慮して、最も広い解釈による特許請求の範囲の提供し、したがって、本開示の意図された範囲を効果的に包含するように、かかる添付の特許請求の範囲を参照しながら解釈されるべきである。
【実施例】
【0214】
以下の実施例は、例示目的で提供され、限定する目的で提供されるものではない。
実施例1:例示的な脂肪酸部分の合成方法
GTFA-1合成
【0215】
【0216】
工程1:
無水THF(25ml)中の化合物A1(2.46g、9.4mmol)および化合物A2(940mg、9.4mmol)の溶液に、T3P(9ml、EA中50%、14mmol)およびDIPEA(3.3ml、18.8mmol)を0℃で添加した。反応混合液を1時間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物を分取HPLCにより精製して、化合物A3(2.8g、8.1mmol)を得た。LCMS:346 [M+H]+。
【0217】
工程2:
化合物A3(2.7g、7.8mmol)を50mlのメタノールに溶解し、HCl(20ml、ジオキサン中4N、80mmol)を0℃で添加した。反応混合液を室温で3時間撹拌し、濃縮して化合物A4(2.2g、7.8mmol)を得た。LCMS:246 [M+H]+。
【0218】
工程3:
無水THF(30ml)中の化合物A4(1.5g、5.2mmol)および化合物A1(1.4g、5.3mmol)の溶液に、T3P(4.6ml、EA中50%、7.8mmol)およびDIPEA(3.6ml、20.8mmol)を0℃で添加した。反応混合液を1時間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物を分取HPLCにより精製して、化合物A5(2.2g、4.5mmol)を得た。LCMS:491 [M+H]+。
【0219】
工程4:
化合物A5(2.2g、4.5mmol)を30mlのメタノールに溶解し、HCl(12ml、ジオキサン中4N、48mmol)を0℃で添加した。反応混合液を室温で4時間撹拌し、濃縮して化合物A6(1.7g、4mmol)を得た。LCMS:391 [M+H]+。
【0220】
工程5:
無水THF(15ml)中の化合物A6(1.4g、3.3mmol)および化合物A7(1.1g、2.6mmol)の溶液に、T3P(3ml、EA中50%、5mmol)およびDIPEA(2.3ml、13.2mmol)を0℃で添加した。反応混合液を1.5時間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、粗化合物A8(2.3g)を得て、これをさらに精製することなく次のステップに使用した。LCMS:798 [M+H]+。
【0221】
工程6:
30mlのDCM中の化合物A8(2.3g)の溶液に、DBU(1mL)を加えた。得られた混合液を、室温で2時間攪拌し、次いでDCM(100ml)で希釈し、水(50mL*2)で洗浄した。有機相を濃縮し、残留物を水(20mL)で溶解し、MTBE(50mL)で抽出した。水相を分取HPLCにより精製して、化合物9(1.2g、2.1mmol)を得た。LCMS:576 [M+H]+。
【0222】
工程7:
無水DMF(10ml)中の化合物A9(1.0g、1.74mmol)および化合物A10(640mg、1.73mmol)の溶液に、T3P(1.5ml、EA中50%、2.6mmol)およびDIPEA(605μ、3.48mmol)を0℃で添加した。反応混合液を1時間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物を分取HPLCにより精製して、化合物11(1.4g、1.5mmol)を得た。LCMS:928 [M+H]+。
【0223】
工程8:
化合物A11(1.4g、1.5mmol)を10mlのDCMに溶解し、TFA(5ml)を0℃で添加した。反応混合液を室温で3時間撹拌し、濃縮した。残留物を分取HPLCにより精製して、最終生成物GTFA-1(850mg、1.04mmol)を得た。C38H69N7O12 LCMS:816 [M+H]+。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ:13.00-11.00(br,2H),8.00-8.02(m,1H),7.88-7.85(m,1H),7.77-7.74(m,1H),7.66-7.63(m,1H),4.15-4.09(m,1H),3.88(s,2H),3.86(s,2H),3.59-3.51(m,8H),3.44-3.43(m,2H),3.41-3.38(m,2H),3.33-3.25(m,4H),3.21-3.13(m,4H),2.17-2.06(m,6H),1.95-1.88(m,1H),1.75-1.70(m, 1H),1.68-1.63(m,2H),1.47-1.45(m,4H),1.22(s,24H).
GTFA-2合成
【0224】
【0225】
【0226】
【0227】
工程1:
無水DMF(4ml)中の化合物B1(160mg、0.5mmol)および化合物B2(150mg、0.6mmol)の溶液に、T3P(500μl、EA中50%、0.84mmol)およびDIPEA(260μl、1.5mmol)を0℃で添加した。反応混合液を30分間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物を分取HPLCにより精製して、化合物B3(200mg、0.37mmol)を得た。LCMS:548 [M+H]+。
【0228】
工程2:
化合物3(200mg、0.37mmol)を2mlのジオキサン中に溶解し、HCl(2ml、ジオキサン中4N、8mmol)を添加した。反応混合液を室温で40分間撹拌し、濃縮して、化合物B4(180mg、0.36mmol)を得た。LCMS:448 [M+H]+。
【0229】
工程3:
無水DMF(4ml)中の化合物4(180mg、0.36mmol)および化合物B5(135mg、0.36mmol)の溶液に、T3P(400μl、EA中50%、0.67mmol)およびDIPEA(260μl、1.5mmol)を0℃で添加した。反応混合液を1時間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物を分取HPLCにより精製して、化合物B6(135mg、0.17mmol)を得た。LCMS:800 [M+H]+。
【0230】
工程4:
化合物B6(135mg、0.17mmol)を4mlのMeOH中に溶解し、NaOH(1ml、水中4N、4.0mmol)を添加した。反応混合液を室温で1時間撹拌し、減圧下でMeOHを除去した。残留物を水で希釈し、0℃まで冷却し、HCl(2ml、2N、4.0mmol)を添加した。混合液をDCMで抽出し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、化合物B7(130mg、0.16mmol)を得た。LCMS:786 [M+H]+。
【0231】
工程5:
化合物B7(130mg、0.16mmol)を2mlのDCMに溶解し、TFA(1ml)を加えた。反応混合液を室温で1時間撹拌し、濃縮して、最終生成物GTFA-2(110mg、0.15mmol)を得た。C35H63N5O11 LCMS:730 [M+H]+。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.60-4.35(m,2H),4.21-4.15(m,1H),3.79-3.61(m,20H),3.54-3.45(m,1H),3.41-3.38(m,2H),3.35-3.28(m, 1H),3.05-2.93(m, 1H),2.80-2.70(m,1H),2.43-2.33(m,4H),1.68-1.60(m,4H),1.22(m,24H).
GTFA-3合成
【0232】
【0233】
【0234】
工程1:
無水THF(50ml)中の化合物C1(3.83g、9mmol)および化合物C2(1.5mg、9mmol)の溶液に、T3P(7.5ml、EA中50%、1.3当量)およびDIPEA(5ml、3当量)を0℃で添加した。反応混合液を30分間撹拌し、化合物C2(100mg)を加えた。反応混合液を50分間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、次のステップに使用する化合物C3(約4.2g)の粗生成物を得た。LCMS:538 [M+H]+。
【0235】
工程2:
DCM(20mL)溶液中の0℃の化合物C3(約4.2g)の粗生成物の溶液に、DBU(3mL、19.7mmol)を滴加した。反応混合液を室温で30分間攪拌し、水で希釈した。水層をDCMで抽出した。組み合わせたDCM層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物にブラインを添加し、MTBEで洗浄した。ブライン層をDCMで抽出した。組み合わせたDCM層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して、次のステップに使用する化合物C4(約2g)の粗生成物を得た。LCMS:316 [M+H]+。
【0236】
工程3:
EtOAc(150ml)中の化合物C4(約2g)および化合物C5(1.7g、4.4mmol)の粗生成物の溶液に、T3P(7.5ml、EA中50%)およびDIPEA(7mL)を0℃で添加した。反応混合液を30分間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、次のステップに使用する化合物C6(約3.6g)の粗生成物を得た。LCMS:683 [M+H]+。
【0237】
工程4:
DCM(6mL)中の0℃の化合物C6(約3.6g)の粗生成物の溶液に、DBU(1mL、6.5mmol)を滴加した。反応混合液を室温で10分間攪拌し、DCM(100mL)およびブライン(40mL)で希釈した。ブラインをDCMで抽出し、組み合わせたDCM層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物に水を添加し、ヘキサンで洗浄した。水層をNaClで飽和させ、EtOAcで抽出した。組み合わせたEtOAc層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して、次のステップに使用する化合物C7(約1.6g)の粗生成物を得た。LCMS:461 [M+H]+。
【0238】
工程5:
EtOAc(200ml)中の化合物C7(約1.6g)および化合物C5(1.18g、3.06mmol)の粗生成物の溶液に、T3P(4mL、EA中50%)およびDIPEA(3mL)を0℃で添加した。反応混合液を180分間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、次のステップに使用する化合物C8(約2.5g)の粗生成物を得た。LCMS:828 [M+H]+。
【0239】
工程6:
DCM(3mL)中の0℃の化合物C8(約2.5g)の粗生成物の溶液に、DBU(0.3mL、1.98mmol)を滴加した。反応混合液を室温で2時間撹拌し、DCM(100mL)およびブライン(40mL)で希釈した。ブラインをDCMで抽出し、組み合わせたDCM層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物に水を添加し、ヘキサンで洗浄した。水層をNaClで飽和させ、EtOAcで抽出した。組み合わせたEtOAc層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して、次のステップに使用する化合物C9(約1.5g)の粗生成物を得た。LCMS:606 [M+H]+。
【0240】
工程7:
DCM(60ml)中の化合物C9(約1.5g)および化合物C1(0.89g、2.1mmol)の粗生成物の溶液に、T3P(3mL、EA中50%)およびDIPEA(2mL)を0℃で添加した。反応混合液を120分間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、次のステップに使用する化合物C10(約2.4g)の粗生成物を得た。LCMS:1013 [M+H]+。
【0241】
工程8:
DCM(2mL)中の0℃の化合物C10(約2.4g)の粗生成物の溶液に、DBU(0.3mL、1.98mmol)を滴加した。反応混合液を室温で2時間撹拌し、DCM(100mL)およびブライン(40mL)で希釈した。ブラインをDCMで抽出し、組み合わせたDCM層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物に水を添加し、ヘキサンで洗浄した。水層をNaClで飽和させ、EtOAcで抽出した。組み合わせたEtOAc層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して、次のステップに使用する化合物C11(約1.49g)の粗生成物を得た。LCMS:780 [M+H]+。
【0242】
工程9:
DCM(30ml)中の化合物C9(約1.49g)および化合物C12(0.584g、2.1mmol)の粗生成物の溶液に、T3P(2mL、EA中50%)およびDIPEA(2mL)を0℃で添加した。反応混合液を60分間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合液を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物を、EtOAc/メタノール(20:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物C13(1.58g)を無色の油として得た。LCMS:572[M+2H]+。
【0243】
工程10:
化合物C13(807mg、0.7mmol)をジオキサン(3mL)中に溶解し、HCl(6ml、ジオキサン中4N、2.4mmol)を添加した。反応混合液を室温で6時間撹拌し、濃縮して、化合物GTFA-3(576mg)を得た。C44H78N8O16 LCMS: 975 [M+H]+.1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ:13.00-11.00(br,3H),8.01-8.03(m,1H),7.90-7.85(m,3H),7.68-7.65(m,1H),4.25-4.21(m,1H),4.14-4.09(m,1H),3.91(s,2H),3.86(s,2H),3.57-3.52(m,10H),3.46-3.36(m,8H),3.29-3.25(m, 2H),3.21-3.16(m,4H),2.18-2.05(m,8H),2.04-1.7(m,4H),1.47-1.45(m,4H),1.22(s,24H).
実施例2:BT100への脂肪酸コンジュゲーション
BT100のコア配列(配列番号1)を三つの異なる脂肪酸とコンジュゲートして、それぞれBT500、BT600、およびBT700を作製した。
【0244】
DBCO部分を、BT100のアミノ末端に最初に組み込んだ。5’アミノ基(アミノ修飾剤C6)を有するHPLC精製BT100を、100mMホウ酸ナトリウム緩衝液pH8.0中、室温で一晩、2.5モル当量のDBCO-Sulfo-NHSエステル(CAS#1400191-52-7、Broadpharm、カタログ番号BP-22289)と反応させた。
【0245】
陰イオン交換HPLCによって精製した後、pH調整なしで、DBCO標識BT100を、2.5モル当量のパルミチン酸、GTFA1、またはGTFA3と室温で一晩反応させた。BT500(BT100へのパルミチン酸コンジュゲート)、BT600(BT100へのGTFA1コンジュゲート)、またはBT700(BT100へのGTFA3コンジュゲート)を、陰イオン交換HPLC精製後に得た。
【0246】
BT500:DBCO標識アプタマー配列(BT100)を、アジドパルミチン酸、末端に窒素を有する飽和C16脂肪酸、および他方の末端に一つの遊離カルボキシル基(-COOH)と相互作用させた。DBCO部分はアジドと反応して安定なトリアゾールを生成し、一つの末端に一つの遊離COOH基を有するC16脂肪酸コンジュゲートアプタマーを形成する(BT500、配列番号3)。
【0247】
【0248】
BT600:DBCO標識BT100を、短いポリエチレングリコール(PEG)スペーサーおよびγ-グルタミン酸リンカー(GTFA-1)を通してオクタデカン二酸と結合させ、ビカルボキシル脂肪酸を含有するコンジュゲート(BT600、配列番号4)を形成した。得られた脂肪酸BT100アプタマー化合物は、二つの遊離COOH基を含有する。
【0249】
【0250】
BT700:DBCO標識BT100は、三つの遊離COOHを含有するトリカルボキシル脂肪酸(GTFA-3)(化学式:C44H78N8O16)とコンジュゲートされ、BT700(配列番号5)を形成する。
【0251】
【0252】
【0253】
実施例3:カニクイザルにおける脂肪酸コンジュゲートのPK-PD曝露
アプタマー分布(半減期)およびインビボでの有効性に対する脂肪酸コンジュゲーションの影響を定義するために、薬物動態および薬力学(PK-PD曝露)パラメータを試験する。
【0254】
すべての薬物動態(PK)試験をカニクイザルで行った。PK読み出しに加えて、脂肪酸コンジュゲーションはBT100活性を変化しないことを示唆するPK読み出しと良好に相関したPFA100(PD)読み出しも有する。40kペグ化BT100(配列番号2)であるBT200を比較に使用した。
【0255】
動物実験は、動物飼育倫理の承認およびガイドラインに従って実施された。
BT500を、静脈内注射(iv)を介して1mg/kg(n=3)で、または代替的に皮下注射(sc)を介して1mg/kgで動物に投与した(n=3)。REAADS vWF活性およびvWF抗原レベルを、投与前、並びに投与後48時間、72時間、96時間、および168時間で測定した(表2および3)。血小板機能解析器100(PFA100)は、こうした時点で収集された血液サンプルのせん断応力下での一次止血を、BT500の機能性についてのPD結果として評価した(表4)。読み出しは、BT500がGp1BへのvWFA1結合を遮断し、血小板機能を阻害することができ、したがって、PFA100読み出しが正常値である<100秒から最大約300秒まで増加したことを示す。読み出しは、BT100およびBT200の投与で観察されたものと同等である。
【0256】
【0257】
【0258】
【0259】
BT600を、静脈内注射(iv)を介して1mg/kg(n=2)で、または代替的に皮下注射(sc)を介して3mg/kgで動物に投与した(n=2)。REAADS vWF活性およびvWF抗原レベルを、投与前、並びに投与後48時間、72時間、96時間、および168時間で測定した(表5および6)。
【0260】
【0261】
【0262】
BT600は、静脈内注射または皮下注射のいずれかによって少なくとも24時間持続し得る(表7)。
【0263】
【0264】
BT100投与(表8)と比較して、BT600の半減期が延長される。
【0265】
【0266】
40k PEGコンジュゲートBT100アプタマーであるBT200を投与されたサルおよびヒトの両方におけるFVIIIおよびvWF抗原レベルの増加とは対照的に、BT600投与(例えば、sc(皮下注射))は、血中FVIIIレベルにもvWF抗原レベルにも影響を与えない(Zhu et al., The development and characterization of a long acting anti-thrombotic von Willebrand factor (VWF) aptamer, Thromb Haemost., 2020, 18(5): 1113-1123; https://isth2021.abstractserver.com/program/#/details/presentations/2661; and https://isth2021.abstractserver.com/program/#/details/presentations/1327)(表9)。
【0267】
【0268】
BT700を、静脈内注射(iv)を介して1mg/kg(n=2)で、または代替的に皮下注射(sc)を介して2mg/kgで動物に投与した(n=2)。BT700活性を、投与前、ならびに投与後0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間、48時間、および72時間で、UV-HPLCによって測定した(表10および11)。
【0269】
【0270】
【0271】
血小板機能解析器100(PFA100)は、こうした時点で収集された血液サンプルのせん断応力下での一次止血を、BT700の機能性についてのPD結果として評価した(表12)。読み出しは、BT700もGp1BへのvWFA1結合を遮断し、血小板機能を阻害することができ、したがって、PFA100読み出しが正常値である<100秒から最大約300秒まで増加したことを示す。読み出しは、BT100およびBT200の投与で観察されたものと同等である。
【0272】
【0273】
BT100およびBT200を、比較のために静脈内注射(iv)を介して3mg/kgで動物に投与した(表13および14)。
【0274】
【0275】
【0276】
実施例4:BT600経口バイオアベイラビリティ
カニクイザルに、5mg/kg用量での経口投与(po)を介してBT600コンジュゲートを直接給餌した。BT600を、経口摂取のために、吸収促進剤であるナトリウムN-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸(SNAC)と共製剤化した(5mg/kg BT600 + 150mg SNAC)。BT600の経口投与は、試験した動物において1ng/mL程度のBT600を検出できる蛍光ハイブリダイゼーションHPLC法を使用した生体分析アッセイによる全身曝露をもたらした(表15および16)。
【0277】
【0278】
【0279】
低いバイオアベイラビリティ(0.2%)が検出され、BT600の血漿濃度は、PFA100アッセイに影響を与えるには低すぎる。しかしながら、組織分布は低いものの、BT600の長い半減期が試験した動物で観察される。
【0280】
実施例5:アルブミンに結合する脂肪酸コンジュゲート
アミン結合を介してアルブミンでコーティングされたCM5チップを使用した。センサーチップを、FC-2ヒトアルブミン、FC-3マウスアルブミン、およびFC-4ウシアルブミンでコーティングした。FC-1を対照として使用した。アプタマーおよび脂肪酸コンジュゲートBT500、BT600、およびBT700をチップの表面上に流した。(
図1に示すように)BT100を対照として使用した。
【0281】
この単純な1:1ラングミュア相互作用モデルに基づいて、会合定数(ka)、解離定数(kd)、および平衡解離定数(KD)を計算し、比較した。有意な結合は観察されず、曲線あてはめはBT100に適用されず、一方で三つの脂肪酸コンジュゲートBT500、BT600、およびBT700すべてがヒトアルブミンへの結合を示した(表17)。BT100はアルブミンに結合しないため、サルでは半減期が最も短い。BT500は、アルブミンに対して低い親和性を有するが(
図1)、アルブミンの低い結合は依然として、BT100と比較してBT500により長い半減期をもたらす。BT600およびBT700はアルブミンに対して高い親和性を有し、したがって半減期がはるかに長い(
図1)。
【0282】
【配列表】
【国際調査報告】