(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】交換可能光学系および治療薬
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20240905BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61F2/16
A61F9/007 170
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515581
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022043014
(87)【国際公開番号】W WO2023039138
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090770
【氏名又は名称】カリフォルニア・レーシック・アンド・アイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・ピー・バーネット
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC13
4C097DD09
4C097DD10
4C097EE02
4C097EE03
4C097EE09
4C097SA03
4C097SA06
4C097SA08
4C097SA10
(57)【要約】
交換可能光学システムは、眼内に固定され得る眼内ベースを備える。この眼内ベースは、1つまたは複数のカプラと支持構造部とを備える。1つまたは複数のカプラは、交換可能光学系または治療薬に対して解除可能に結合し、磁性材料を含み得る。支持構造部は、ハプティックと主要構造部とを備えることが可能であり、この主要構造部は、1つまたは複数のカプラを介して結合される交換可能光学系または治療薬を物理的に支持する。いくつかの例では、眼内ベースは、主要構造部の中または上に固定レンズを備え得る。交換可能光学系は、対応する1つまたは複数のカプラを備えることが可能であり、これらのカプラは、磁性材料から形成され得る。治療薬は、磁性粒子の形態であることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能光学系または治療薬に対して解除可能に結合するための1つまたは複数のカプラと、
前記1つまたは複数のカプラを介して前記眼内ベースに対して結合される場合に、前記交換可能光学系または治療薬を物理的に支持するための支持構造部と
を備える、眼内ベース
を備える、交換可能光学システム。
【請求項2】
前記交換可能光学系をさらに備え、前記交換可能光学系は、1つまたは複数の対応するカプラを備える、請求項1に記載の交換可能光学システム。
【請求項3】
前記眼内ベースは、前記支持構造部の上または中に二次レンズをさらに備える、請求項2に記載の交換可能光学システム。
【請求項4】
前記交換可能光学系はウェーブフロントガイド光学系を備え、前記二次レンズは一次倍率を提供する、請求項3に記載の交換可能光学システム。
【請求項5】
前記眼内ベース上の第1の基準セットと、
前記交換可能光学系上の第2の基準セットと
をさらに備える、請求項2に記載の交換可能光学システム。
【請求項6】
前記1つまたは複数のカプラのそれぞれが磁性材料を含む、請求項1に記載の交換可能光学システム。
【請求項7】
前記1つまたは複数のカプラは、前記支持構造部上に磁気リングを備える、請求項6に記載の交換可能光学システム。
【請求項8】
前記支持構造部は、
眼内に前記眼内ベースを固定的に結合するためのハプティックと、
主要構造部と
を備える、請求項1に記載の交換可能光学システム。
【請求項9】
前記1つまたは複数のカプラは、前記主要構造部の外周部上に位置する、請求項8に記載の交換可能光学システム。
【請求項10】
前記支持構造部は眼内レンズを備え、前記主要構造部は前記眼内レンズのレンズを備える、請求項8に記載の交換可能光学システム。
【請求項11】
前記主要構造部上に基準をさらに備える、請求項8に記載の交換可能光学システム。
【請求項12】
前記治療薬をさらに備える、請求項1に記載の交換可能光学システム。
【請求項13】
前記治療薬は磁性粒子を含む、請求項12に記載の交換可能光学システム。
【請求項14】
前記磁性粒子は、ポリマーコーティングおよびポリエチレングリコールシェルを有するマグネタイトコアを備える、請求項13に記載の交換可能光学システム。
【請求項15】
前記磁性粒子は、
リポソームシェルと、
前記リポソームシェル内に位置する磁気強磁性流体と、
前記リポソームシェル内に位置する薬物コアまたは治療薬コアと
を備える、請求項13に記載の交換可能光学システム。
【請求項16】
前記1つまたは複数のカプラは、前記支持構造部のハプティック上に位置する磁性材料を、または前記支持構造部の上に位置する磁気リングを備える、請求項13に記載の交換可能光学システム。
【請求項17】
レンズと、
前記レンズ上に位置する1つまたは複数の磁石と
を備える、交換可能光学系。
【請求項18】
前記レンズの外周部内に穴をさらに備える、請求項17に記載の交換可能光学系。
【請求項19】
前記レンズ上に基準をさらに備える、請求項17に記載の交換可能光学系。
【請求項20】
前記1つまたは複数の磁石は、眼内ベースの対応する1つまたは複数のカプラに対して結合するように位置合わせされた位置に配設される、請求項17に記載の交換可能光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
眼内レンズ(IOL)は、眼内に移植されるレンズである。IOLの種類には、白内障手術を実施せずに移植されるように設計された有水晶体眼内レンズと、白内障手術との組合せにおいて移植されるように設計された偽水晶体眼内レンズとがある。有水晶体IOLは、水晶体嚢と虹彩との間の溝空間内に位置することが可能であるか、または代替的には虹彩と角膜との間の前眼房内に位置し得る。最も一般的に使用される偽水晶体IOLは、後眼房IOLであり、この後眼房IOLは、眼の内部の水晶体嚢内においてレンズを定位置に保持することを可能にするハプティックを備える。IOLの移植は、多くの場合は外科センターにて眼科外科医により実施されるが、眼科医の医院でも医院内手術室にて実施することができる。医院内手術は特に有水晶体IOLの場合には一般的であるが、レーザ屈折矯正手術もほぼ同様に医院内において実施されることが典型的である。偽水晶体IOLの分野は、近遠の両方において視力の低下がみられる老視の問題に対処することが増えつつある。現在、老視は、保険補償の範囲内において白内障手術を受けることができない。
【0003】
IOLは、その分野の成長と共に、現在の保険補償の適用内に含まれている眼鏡または何らかの着用可能な屈折矯正形態物を用いてもグレアおよびかすみ目がある場合の代替策として、老視への対処にますます使用されていく可能性がある。レーザ屈折矯正手術レベルのQOVを達成し、技術の改善に伴いレンズに対して段階的変更を行うことを可能にするために、完全にカスタム化およびアップグレードすることが可能なIOL設計手段に対して必要性が非常に高まっている。白内障屈折矯正手術では、天然の眼球水晶体を多焦点IOLまたは焦点深度拡張型(EDOF)IOLに置換する。白内障屈折矯正手術は、例えば高精度での個別対応が可能なLASIK(レーザ角膜内切削形成術)などの角膜屈折矯正手術の精度をまだ達成できていない。さらに、現行では、白内障摘出およびIOL移植においてはウェーブフロントガイドによる精度がない。
【0004】
ウェーブフロントガイドアプローチは、術前の高次収差を考慮したアブレーションプロファイルを指すものであり、この場合の最終目的は、収差の誘発を回避させ、収差が存在する場合にはそれを解消することである。一般的に、これは、眼に関するすべての変数が判明している場合に、例えばLASIKおよびPRKなどのレーザ屈折矯正手術と共に使用される。レーザアブレーションプロファイルは、術前に収差測定の結果にしたがって計算され、例えば術中などにおいて使用するためにレーザシステムに転送される。眼に対して施される唯一の修正は、角膜の形状に対するものである。現行では、これは、2つの理由により白内障手術において実施しにくいタスクとなっている。主な理由としては、眼内においてIOLが最終的に位置することになる有効レンズ位置を決定することが難しい。前後位置のわずかな変化により、レンズの合計倍率が大きく変化する。さらに、外科手術により誘発されるチン小帯脆弱症と、白内障主要部切開によりもたらされる角膜乱視の変化とのそれぞれにより、レンズ位置および角膜曲率が変化し得る。さらに、IOLにおいては先験的にあらゆるカスタマイズされた非点収差補正および高次収差補正が除外される、IOLが水晶体嚢内においてX面、Y面、Z面内で変位する可能性によって除外される。
【0005】
ウェーブフロントガイドによるIOL最適化を実現することができないことに加えて、現行のIOLシステムは、非最適IOLが配置された場合に補正を容易化することができないだけでなく、アップグレードを容易化することもできない。IOLの交換は、最も熟練した外科医であっても眼の構造体に対して大きな外傷を結果としてもたらす非常に難しい手技である。そのため、IOLの交換は最終手段と考えられている。しかし、従来のIOLの除去および交換を繰り返すことは、容易な手技ではない場合があり、結果として併発症をもたらす恐れがある。例えば、従来のIOLの場合のIOL交換には、水晶体嚢を離断することと、広げられたレンズを角膜または強膜を通して回収することとが必要になる。いずれの回収アプローチ(角膜を通過するまたは強膜を通過する)も、眼およびその繊細な構造体に対して非常に高い外傷性を有する。ほとんどの外科医は、IOLの交換ではなく、LASIKまたは他のレーザ屈折矯正手術を角膜に対して実施する。しかしこれもまた、手技毎に角膜組織がアブレーションを被るため、無限に反復可能なものではない。レーザ屈折矯正手術を繰り返すことにより、角膜拡張および眼内上皮増殖を含む多数の併発症がもたらされる恐れがある。これはまた、若年層の患者であっても眼表面疾患を誘発するおそれがあり、したがって白内障手術を受けるさらに高齢の患者の多くにおいては理想的なものとは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
比較的無制限に交換することが可能な光学系およびウェーブフロントガイドレンズの最適化を可能にするシステムに対する必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
眼内におけるレンズおよび/または治療薬の革新的な適用および交換を可能にし得る、交換可能光学系および治療薬について説明する。
【0008】
交換可能光学システムは、眼内に固定され得る眼内ベースを備える。眼内ベースは、1つまたは複数のカプラと支持構造部とを備える。1つまたは複数のカプラは、磁性材料もしくは他の解除可能固定材料から、またはそのような構造体からなり得る。例えば、解除可能カプラは、フックアンドループカプラ、衣類にタグを固着するタギングガンに使用されるものなどの記憶材料固定要素、ボタンファスナ、ねじタイプ固定具、カフリンクと同様のヒンジベース固定具、吸引カップベース機構、接着剤、または任意の他の可逆的固定手段の形態であることが可能である。
【0009】
磁気固定は、二次光学系が結合されるベース要素が水晶体嚢内に位置し、磁気二次光学系が嚢内のIOLに物理的に直接接触することなく磁力により前嚢を通して結合することが可能となるため、特に魅力的である。また、磁気引力は、最小限の力により二次光学系が一次光学系から係合解除され得るため、理想的な作用である。したがって、磁気カプラまたは他のタイプの解除可能カプラの場合には、水晶体嚢を保持する繊細なチン小帯に対する損傷を考慮することが重要となり得る。支持構造部は、ハプティックと、1つまたは複数のカプラを介して結合される交換可能光学系または治療薬を物理的に支持する主要構造部とを備え得る。いくつかの例では、眼内ベースは、主要構造部の中または上に固定レンズを備え得る。
【0010】
本概要は、以下の詳細な説明においてさらに説明されるコンセプト中から選ばれたものを簡単に紹介するために設けられている。本概要は、特許請求される主題の最も重要な特徴または必須の特徴を特定することを意図されるものでもなく、特許請求される主題の範囲を限定するために用いられるように意図されるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】移植可能眼内レンズと治療薬適用とに適した交換可能光学システムを示す図である。
【
図1B】移植可能眼内レンズと治療薬適用とに適した交換可能光学システムを示す図である。
【
図2-1】交換可能光学システムを設置することのできる眼内の様々な位置を示す図である。
【
図2-2】交換可能光学システムを設置することのできる眼内の様々な位置を示す図である。
【
図3A】眼内ベースに対して結合するためのクリップを有する交換可能光学系の斜視図である。
【
図3B】眼内ベースに対して結合するためのクリップを有する交換可能光学系の平面図である。
【
図4】眼内ベースに対して結合するためのスクリューマウントを有する交換可能光学系の斜視図である。
【
図5】ポストアンドクリップ結合部を有する交換可能光学システムの一部の側面図である。
【
図6A】複数の積層されたレンズを有する交換可能光学システムを示す図である。
【
図6B】複数の積層されたレンズを有する交換可能光学システムを示す図である。
【
図6C】複数の積層されたレンズを有する交換可能光学システムを示す図である。
【
図6D】複数の積層されたレンズを有する交換可能光学システムを示す図である。
【
図7A】複数の積層されたレンズを有する別の交換可能光学システムを示す図であり、眼内ベースの別の例を示す図である。
【
図7B】複数の積層されたレンズを有する別の交換可能光学システムを示す図であり、送達システムを使用した眼内ベースおよび第1の光学系の上への第2の光学系の設置を示す図である。
【
図8】送達スリーブ内において同軸方向に引っ張ることが可能なフックからなる光学系送達システムを示す図である。
【
図9A】光学系またはハプティックの正確な三次元回転配向を可能にし得る基準設計を示す図である(Rotation: 回転)。
【
図9B】光学系またはハプティックの正確な三次元回転配向を可能にし得る基準設計を示す図である。
【
図10】磁気交換可能眼内レンズを有する一例の交換可能光学システムを示す図である。
【
図11】磁気交換可能接眼レンズを有する交換可能光学システムの別の例を示す図である。
【
図12A】交換可能光学システムのためのハプティック設計の例を示す図である。
【
図12B】交換可能光学システムのためのハプティック設計の例を示す図である。
【
図12C】交換可能光学システムのためのハプティック設計の例を示す図である。
【
図12D】交換可能光学システムのためのハプティック設計の例を示す図である。
【
図13A】回転可能レンズを有する交換可能光学系の側面図である。
【
図13B】回転可能レンズを有する交換可能光学系の平面図である。
【
図14】治療薬送達を伴う交換可能光学システムの一例を示す図である。
【
図15】交換可能光学システム上において治療薬を送達するために使用され得る磁性リポソームまたは磁性ナノ粒子の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
眼内におけるレンズおよび/または治療薬の革新的な適用および交換を可能にし得る、交換可能光学系および治療薬について説明する。
【0013】
図1Aおよび
図1Bは、移植可能眼内レンズと治療薬適用とに適した交換可能光学システムを示す図である。
図1Aおよび
図1Bに示すように、交換可能光学システムは、眼内に固定可能な眼内ベース100を備える。この眼内ベース100は、1つまたは複数のカプラ(例えばカプラ110)と支持構造部120とを備える。1つまたは複数のカプラは、磁性材料もしくは他の解除可能固定材料から、またはそのような構造体からなり得る。この例では、単一のリング形状カプラ110が示される。
【0014】
図1Aを参照すると、交換可能光学システム130が、交換可能光学系(例えば140-A、140-B)を支持する眼内ベース100を備え、眼内に固定され得る。上述のように、眼内ベース100は、1つまたは複数のカプラ(例えばカプラ110)と支持構造部120とを備え得る。1つまたは複数のカプラ、この場合においてはリング形状カプラ110は、交換可能光学系140-A、140-Bに対して眼内ベース100を解除可能に結合するために使用される。支持構造部120は、眼内に眼内ベース100を縫着するかまたは他の方法で固定するためのハプティック150と、主要構造部160(円形構造部であってもよい)とを備えることが可能であり、この主要構造部160は、直接的に1つまたは複数のカプラを介してまたは間接的に、交換可能光学系140-A、140-Bを物理的に支持するために使用され得る。
【0015】
【0016】
図示するシナリオでは、主要構造部160は、交換可能光学系140-A、140-Bが眼内ベース100の外周部の近位表面上に載置されるように、中央が開口している。他の実装形態では、主要構造部160は透明表面を有し、交換可能光学系140-A、140-Bはこの透明表面の上に載置される。また、任意には、支持構造部120は、主要構造部160の中または上にレンズまたはIOL(図示せず)を備えることが可能である。いくつかの例では、支持構造部120は、眼の水晶体嚢中の穴を通過して延伸するように使用され得る1つまたは複数の突出部を備えることが可能である(例えば
図2Bの延長部222および
図11Aのテンションリング延長部1125などを参照)。かかる例のいくつかにおいては、カプラが突出部の端部に配設され得る。このカプラは、ベースのためのカプラまたはベースのための追加的なカプラであってもよい。
【0017】
交換可能光学系140-A、140-Bは、レンズ170および1つまたは複数の対応するカプラ180を備え得る。交換可能光学システム130を適用するために、眼内ベース100は眼内に展開され得る。次いで、交換可能光学系140-A、140-Bの一方が展開され、配向/位置合わせされ、カプラ110、180(磁石/磁性材料として図示される)を使用して眼内ベース100に対して結合され得る。位置合わせは、眼内ベース、眼、または眼内のいくつかの構造部のいずれかに対する径方向位置合わせを含み得る。1つまたは複数の交換可能光学系(例えば光学系140-A、140-B)は、例えば
図9Aおよび
図9Bに示すものなどの径方向位置合わせを支援する基準を備え得る。また、位置合わせは、眼内ベース、眼、または眼内のいくつかの構造部のいずれかに対する深度位置合わせを含み得る。
【0018】
いくつかの例では、眼内ベース100のカプラ110の個数よりも多数のまたは少数の「対応するカプラ」180が存在する。例えばベースのカプラが複数のポイントカプラであり、光学系のカプラが単一のリング形状部であってもよい。図示するシナリオでは、1つの交換可能光学系140-Aが、リングの形状を有する単一の対応するカプラ180を有して示され、他方の交換可能光学系140-Bが、2つの対応するカプラ180を有して示され、これらの2つの対応するカプラ180は、眼内ベース100のリング形状カプラ110に対していずれも結合するように位置決めされている。眼内ベース100と交換可能光学系140-A、140-Bとの間の結合は、例えば磁気的方法、摩擦利用による方法、または化学的方法などの様々な方法で実現することができる。図示するシナリオでは、磁気結合が示される。
【0019】
当然ながら、リング形状カプラ110が1つの例である一方において、眼内ベースに位置する1つまたは複数のカプラは、眼内ベースの1つまたは複数のカプラの第1のカプラが眼内ベースの一方の側部において近位表面に(すなわち眼から外方へ向く表面に)配設され、1つまたは複数のカプラの第2のカプラが眼内ベースの別の側部において近位表面に配設される2ポイント結合を利用することによって結合が実現されるような、磁性材料から形成された2つのカプラであってもよい。この場合には、対応する1つまたは複数のカプラは、ベースに対して交換可能光学系を配向および結合するような様式で、交換可能光学系に配設される。例えば、対応する1つまたは複数のカプラは、眼内ベースの1つまたは複数のカプラに対して結合するように位置合わせされた位置に配設される。
【0020】
上述のように、1つまたは複数のカプラ110および対応する1つまたは複数のカプラ180は、磁性材料から形成することが可能である。この磁性材料は、任意の適切な強磁性体または強磁性材料であることが可能である。磁性材料は、例えばMRIなどの強力な外部磁場に対する感受性を最小限に抑えるまたは回避するように(例えば撮像による移動または干渉を回避/最小限に抑制)サイズ設定および形状設定される。
【0021】
本明細書に含まれる例は、磁石であるまたは磁性を有するカプラを参照とするが、いくつかの実装形態では、他のタイプの解除可能カプラ(例えば化学ベース、機械ベース、または摩擦ベースの)を使用することも可能である点を理解されたい。また、これらの磁気カプラを使用することにより、いくつかの治療薬の適用がさらに可能になる。
【0022】
実際に、
図1Bを参照すると、この同じ眼内ベース100を使用して治療薬190を適用することが可能である。図示するシナリオでは、治療薬190は眼内ベース100に対して結合され得る。いくつかの例では、治療薬190は、眼内ベース100が眼内において展開されると適用される。いくつかの例では、治療薬190は、初回の展開前に適用され、任意には次いで展開後に再び適用され得る。
【0023】
図2A~
図2Eは、交換可能光学システムを設置することのできる眼内の様々な位置を示す。
図2A~
図2Cは、交換可能光学システムの眼内ベースが眼の水晶体嚢内に位置決めされる例を示す。
図2Aを参照すると、交換可能光学システム210の眼内ベース200が、眼の水晶体嚢212内に位置決めされ得る。磁気結合を利用することにより、交換可能光学系215(または治療薬)が、眼の溝空間216へと展開され得る(およびさらには以降においてこの溝空間216から除去され得る)。
図2Bを参照すると、延長部222を有する眼内ベース220が、眼の水晶体嚢212内に位置決めされ得る。延長部222(または他の突出構造部)は、水晶体嚢212中の1つまたは複数の穴を通過して溝空間216内へと延在することができる。例えば、延長部222が突出して通過することのできる開口は、白内障手術により形成されるものであってもよい。いくつかの例では、小さな開口が、これらの延長部222が突出して通過し得るように作製されてもよい。磁気カプラ、機械カプラ、または化学カプラが、溝空間216まで展開される(およびさらには以降においてこの溝空間216から除去される)交換可能光学系225を結合させるために、延長部222の端部に設けられてもよい。
図2Cを参照すると、交換可能光学システム230が、水晶体嚢212内に完全に位置決めされ得る。
【0024】
図2Dを参照すると、いくつかの例では、交換可能光学システム240が、虹彩242の奥および水晶体嚢212の手前において溝216内に完全に位置決めされ得る。
図2Eを参照すると、いくつかの例では、交換可能光学システム250が、角膜252の奥および虹彩242の手前の前眼房内に位置決めされ得る。
図2Dおよび
図2Eに示す例は、有水晶体(天然の水晶体を有した)患者の場合に効果を有し得る。有利には、眼内ベースが前眼房内に(
図2Eに示すように)または溝空間内に(
図2Dに示すように)固定される場合に、白内障手術が不要となる場合がある。
【0025】
これらの位置のいずれにおいても、システムの重量がチン小帯の強度を大きく上回る場合には、房水中を浮遊するデバイスの空気嚢または空気部分を眼内ベース内に組み込むことができる。例えば船舶設備、プール玩具、およびボディボードにおいて使用されるシールドフォームを有する圧縮可能フォームブイなどである本発明のこの浮力構成要素は、永続的に組み込むことができる。代替的には、このデバイスは、ガスまたは水よりも軽量な任意の材料で充填された嚢として機能するリザーバを有することが可能である。これにより、充填度合いに基づいて調節可能な浮力を与えることができる。
【0026】
上述のように、1つまたは複数のカプラ110(および対応する1つまたは複数のカプラ180)は、磁性材料もしくは他の解除可能固定材料から、またはそのような構造体からなり得る。例えば、解除可能カプラは、フックアンドループカプラ、衣類にタグを固着するタギングガンに使用されるものなどの記憶材料固定要素、ボタンファスナ、ねじタイプ固定具、カフリンクと同様のヒンジベース固定具、吸引カップベース機構、接着剤、または任意の他の可逆的固定手段の形態であることが可能である。
【0027】
図3Aおよび
図3Bは、眼内ベースに対して結合するためのクリップを有する交換可能光学系のそれぞれ斜視図および上面図を示す。
図4は、眼内ベースに対して結合するためのスクリューマウントを有する交換可能光学系の斜視図を示す。
図5は、ポストアンドクリップ結合部を有する交換可能光学システムの一部の側面図を示す。
【0028】
図3Aおよび
図3Bを参照すると、交換可能光学系300が、眼内ベースのカプラ(図示せず)に対して装着可能なクリップ310を有し得る。いくつかの例では、交換可能光学系300は、例えば眼内ベースの主要構造部内などへの確実な嵌着を支援するためのリブ320を備え得る。
【0029】
図4を参照すると、交換可能光学系400が、眼内ベースの対応するカプラ(図示せず)に対して固定するためのスクリューマウント410を有し得る。いくつかの例では、交換可能光学系400は、例えば眼内ベースのカプラおよび主要構造部の中などへの確実な嵌着を支援するためのプロング420を備え得る。
【0030】
図5を参照すると、交換可能光学系510が、ポスト530およびニチノールクリップ540を使用して眼内ベース520に対して結合され得る。
【0031】
ベースと交換可能光学系との間の(または2つの交換可能光学系の間の)あらゆる直接連結に関して、結合機構は、前嚢破嚢の範囲内に位置することが望ましい。これにより、水晶体嚢212外部の交換可能光学系(例えば
図2Bの交換可能光学系225)と水晶体嚢内の眼内ベース(例えば
図2Bの眼内ベース220)との間の直接連結が可能になる。代替的には、フェムト秒レーザまたは他の高精度外科プラットフォームにより、一次破嚢のみならず、結合機構(例えば延長部222)が通過して突出し得る前嚢中の2つ以上の小さい二次開口をさらに形成することができる。このように結合機構が通過して突出し得る二次開口を形成するためにフェムト秒レーザまたは他の高精度外科プラットフォームを使用することは、例えばトーリックIOLの場合に有用な、ある特定の軸に対してレンズを位置合わせする二次的役割を果たし得る。実際に、フェムト秒レーザまたは他の高精度外科プラットフォームは、IOLが通過する必要のある軸位置にある破嚢に隣接して2つの追加の穴を形成するために使用することができる。
【0032】
磁性材料の代替としてまたは追加として使用することのできる様々な結合機構が存在する。いくつかの例では、交換可能光学系は、形状記憶材料構成要素を有する固定要素を有することが可能であり、この固定要素は、前嚢中に形成された穴を貫通する眼内ベースに位置する穴を通り配置され得る。衣類にタグを装着するために使用されるタギングガンと同様に、T字アームは、光学系-ハプティック接合部中の穴に押し通された場合に撓曲し、この穴を通過すると開位置へと戻る。
【0033】
当業者には明らかなことであるが、この構成は多数の点で修正可能である。例えばいくつかの例では、T字アーム固定要素は、眼内ベースに組み込まれ、水晶体嚢を通り溝空間内に突出し得る。交換可能光学系は、T字固定要素が通過して突出する穴を有し得る。これは、水晶体嚢狭窄により水晶体嚢が一次光学系中の穴に対して位置ずれを生じる場合に好ましいオプションとなり得る。T字固定要素が水晶体嚢を越えて突出されることにより、嚢狭窄が発生した場合でも結合機構に対するアクセスの維持が確保されるため有用である。さらに、T字形状固定要素は、形状記憶ポリマーおよび形状記憶金属を含む様々な記憶材料から作製することが可能である。既述の固定要素に適した記憶ポリマーとしては、ポリノルボルネン、ポリカプロラクトン、ポリエン、ナイロン、ポリシクロオクテン(PCO)、PCOおよびスチレン-ブタジエンゴムの混合物、ポリビニルアセテート/ポリビニリデンフルオライド(PVAc/PVDF)、PVAc/PVDF/ポリメチルメタクリレート(PMMA)の混合物、ポリウレタン、スチレンブタジエンコポリマー、ポリエチレン、トランスイソプレン、ポリカプロラクトンおよびn-ブチルアクリレートの混合物、ならびにこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。既述の固定要素に適した記憶金属としては、ステンレス鋼、コバルト、ニッケル、クロム、モリブデンチタン、ニチノール、タンタル、白金イリジウム合金、金、マグネシウム、またはそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。さらに、他の端部形状がT字形状固定要素に対して使用されてもよい点を理解されたい。例えば、端部形状は、円形、三角形、またはこの端部が貫通固定され得る穴よりも大きい任意形状であってもよい。
【0034】
いくつかの例では、眼内ベースまたは交換可能光学系は、前嚢切開部または前嚢中に形成された二次穴のいずれかを通り突出するポストを有し得る。ポスト突出を伴うかかる一実施形態では、交換可能光学系が次いでこれらのポストを貫通して取り付けられ、弾性バンドが交換可能光学系を覆いポスト上に配置され、それにより交換可能光学系を定位置に保持し得る。交換可能光学系を保持する弾性バンドは、ゴムバンドが歯科ブレースのブラケットに対してワイヤを定位置に保持する様式と同様に機能し得る。ポスト突出の他の実装形態では、ポストはねじを取り付けることができるねじ山を有し得る。別の実装形態では、ポストは、コッタピンまたは記憶材料を貫通配置させ得る穴を備え得る。別の実装形態では、ポストはレバーアームを備え得る。カフリンクと同様に、ポストは、上下方向に直線状であり得るか、またはヒンジにて回転された場合にT字形状を成すかのいずれかである。この構成は、形状記憶を伴わないが、代わりに機械ヒンジのみを伴う。シャツ用カフと同様の特徴部を有する交換可能光学系が、直線状位置にある場合に、固定要素の上に螺着されることが可能であり、次いで定位置に置かれた後に、ヒンジは、ポストが直線状ではなくT字形状を成すように回転されることが可能であり、それにより交換可能光学系および眼内ベースが共に保持される。
【0035】
いくつかの例では、眼内ベースおよび交換可能光学系は、例えば十分な低摩擦力を有するように設計された場合などに、スナップボタン構成を利用することができる。
【0036】
いくつかの例では、眼内ベースおよび交換可能光学系は、ポストと組み合わせてツイストオン機構(twist on mechanism)を使用することが可能である。この場合に、ポストはT字形状端部またはL字形状端部を備え、ポストが他方のパーツの開口を通過すると、交換可能光学系は回転されて、それにより各ポストの端部は眼内ベースおよび交換可能光学系を定位置に保持するための表面に掛止され得る。例えば、あるポスト要素がL字形状を成し、このポストにより通過されるスロットがこのL字形状部の水平方向成分よりも若干大きい程度にとどまる場合に、眼内ベースおよび交換可能光学系が相互に対して回転されると、L字形状部の前縁部はこのポストにより通過されるスロットのエッジを越えて移動され、それにより眼内ベースおよび交換可能光学系が共に保持される。いくつかの例では、形状記憶材料が組み込まれ得る。例えば、L字形状部は最端部に突出部を有し得る(例えばセリフが非常に強調されたL字形状など)。L字形状部の端部に位置するこの突出部は、切欠部に隣接する穴に嵌入し得る(例えば一部のボールペンにおいて採用されるものと同様に)。したがって、L字形状部がこの切欠部に挿通されると、L字形状部の端部の突出部はこの切欠部のエッジに当接し、妨げにならぬように若干屈曲されることによって回転し続けることが可能となる。L字形状部上の突出部が切欠部に隣接する穴に到達し、定位置に収まるように十分に回転されると、これによりL字形状部は眼内ベースおよび交換可能光学系と再び同一平面を成すことが可能となる。いくつかの例では、交換可能光学系およびL字形状ポストが共に、記憶形状特性を有する材料から形成され得る。
【0037】
図6A~
図6Dは、複数の積層されたレンズを有する交換可能光学システムを示す。
図6Aは、眼内ベース610および複数の光学系(第1の光学系621および第2の光学系622からなる)を備える交換可能光学システム600の分解図を示す。眼内ベース610は、眼に対する固定連結のために縫着され得るハプティックリング640を有する支持構造部630を有し得る。1つまたは複数のカプラが、この支持構造部上に位置し得る。例えば、1つまたは複数のカプラは、支持構造部の外周部の上に配設されたまたはこの外周部に沿って延在するポイントソースまたはリング(例えば白色破線650で示されるものなど)であることが可能である(例えば
図11Aおよび
図11Bをさらに参照)。
図6Bを参照すると、眼内ベース610は眼内に(例えば溝空間内に)配設され得る。
図6Cに示すように、第1の光学系621は眼内ベース610に対して解除可能に装着され得る。代替的にはいくつかの例では、第1の光学系621(または第3の光学系)が、眼内ベース610に対して固定的に装着されるか、または眼内ベースに組み込まれる(例えば
図10のレンズ1060を参照)。次いで
図6Dに示すように、第2の光学系622が、第1の光学系621の上において眼内ベース610に対して解除可能に装着され得る。いくつかの例では、眼内ベース610からの磁力は、これらの両光学系を結合するために十分な力となる。いくつかの例では、これら2つの光学系をこのように位置決めすることにより、1つまたは複数のカプラの少なくとも一部分が、これら2つの(またはそれ以上の個数の)光学系のそれぞれに対して専用的な役割を果たすことが可能となる。いくつかの例では、第1の光学系621は、第2の光学系622を結合させるための1つまたは複数のカプラを備える。いくつかの例では、第1の光学系621は眼内ベース610に対して固定的に装着され、支持構造部上のカプラは第2の光学系622の装着のために構成される。
【0038】
図7Aおよび
図7Bは、複数の積層されたレンズを有する別の交換可能光学システムを示す。
図7Aは、眼内ベースの別の例を示し、
図7Bは、送達システムを使用した眼内ベースおよび第1の光学系の上への第2の光学系の設置を示す。
【0039】
図7Aを参照すると、眼内ベース710が、眼に対して固定連結するために縫着され得るハプティック730を有する支持構造部720を有し得る。1つまたは複数のカプラが支持構造部720上に位置し得る。例えば、1つまたは複数のカプラは、支持構造部の外周部の上に配設されたまたはこの外周部に沿って延在するポイントソースまたはリング(例えば白色破線740で示されるものなど)であることが可能である(例えば
図11Aおよび
図11bをさらに参照)。
【0040】
図7Bを参照すると、レンズ750が、強膜770中の小切開部を貫通するツール(光学系送達システム760)を介して眼内ベース710へと容易に設置され得る。光学系送達システム760が、同軸方向に引っ張ることが可能なフックまたは他の精密手段を備えることが可能であり、それにより光学系の導入後または交換後における角膜乱視の変化および眼の構造部に対する損傷を最小限に抑制するように切開を最小限にすることが可能となる。光学系送達システムは、例えば二次レンズ750などを収容する新規の光学系を収容する水晶体嚢を同軸状に格納し、最小限の切開部を通り進入することができる。
図7Bに示すように、眼の内部において眼内ベース710の位置付近に来ると、光学系送達システム760は、溝空間内にほぼ近い位置にこの水晶体嚢を放出することができる。フック(
図8を参照)は、この水晶体嚢または二次レンズを操縦して眼内ベースの710に対して適切に配向させるために使用され得る。いずれかの時点において、新規の光学系750を眼内ベースに対して結合することが可能となる。この時点においては、フックは、眼内ベースに対して新規の光学系を適切に配向するために任意に使用することができる。基準マーカが、配向および位置合わせを容易にするために使用されてもよい(例えば光コヒーレンストモグラフィ(OCT)下において使用可能な
図9Aおよび
図9bを参照)。いくつかの例では、交換可能光学系(例えばレンズ750)はアパーチャを備えることが可能であり、このアパーチャは光学系送達システムの手段により掛止され得る。
【0041】
この図示するシナリオでは、レンズ750は二次光学系であるが、本方法は第1の光学系(例えば光学系621)およびさらには交換用の第2の光学系(例えば
図6Dに示すように第2の光学系622の設置後にこの光学系622を交換するために)の場合にも実施が可能である。
【0042】
図8は、光学系送達システムの動作を示す。
図8を参照すると、光学系送達システム810はフック815を備えることが可能であり、このフック815は、光学系送達システム810の送達スリーブ内において眼中へと同軸方向に引っ張られ得る。第1のステップでは、フック815は延伸位置にあることが可能である。図示するように第2のステップでは、フック815は、抜き取りが可能になるように光学系820の外周部内の穴825に係合し得る。図示するように第3のステップでは、次いでフック815は、光学系送達システム810内へと同軸方向に引っ張られて戻され、それにより光学系820を送達スリーブに向かって運び得る。ある時点において、フック815は光学系送達システム810内に完全に引き込まれることが可能となり、この時点においては、光学系820は、例えばステップ4に示すように強制的に内側へ折りたたまれ、光学系送達システム810内へとフックと共に引き込まれ得る。
【0043】
図9Aおよび
図9Bは、光学系またはハプティックの正確な三次元回転配向を可能にし得る基準設計を示す。基準は、展開後におけるレンズまたは他の光学系の配向を支援するために、レンズまたは他の光学系の上に配置、エッチング、または描画ことができる。基準マーカは、IR、超音波、蛍光、x線、MRI等による検出に適した材料からなるものであることが可能である。一実装形態では、これらの基準は、眼球反応解析器(ocular response analyzer、ORA)(例えば光コヒーレンストモグラフィ(OCT))により検出可能なものであることが可能である。基準マーカは、正確な有効レンズ位置(ELP)を決定するために使用され得る。対応するマーカが、いくつかの例としては眼内ベースのハプティックに、オプションレンズ上に、または支持構造部上に設置され得る。いくつかの例では、対応する基準設計が、眼内ベースに配設され得る(例えば
図1Aの主要構造領域160上に)。
【0044】
図9Aを参照すると、基準はL字形状を有し得る。L字形状部のアームは変更可能である。L字形状基準のサイズおよび形状が判明している場合には、見かけ上の長さが三次元におけるレンズまたは光学系の回転を通知するために使用され得る。
図9Bを参照すると、基準は目玉形状を有することが可能である(例えば1つの点が円内に位置する)。特に、目玉形状を使用することにより、基準の一部をレンズまたは光学系の反対側にプリントすることが可能になり得る。レンズまたは光学系の両側に位置する基準により、円に対する点のより明白な動きが生み出され、それにより三次元空間内におけるレンズまたは光学系の配向をより正確に把握することが可能になり得る。
【0045】
レンズ受けシステムまたはハプティック受けシステムの一方の側にプリントされた数個のL字形状基準(例えば
図9Aに示すような)、または前後方向に見た場合におけるレンズの一方の側の円およびこの円内に位置するレンズの他方の側の点(例えば
図9Bに示すような目玉を形成する)により、任意のティルトにおける高感度計測が可能になる。L字アームの長さまたは円に対する点の位置を視覚化することにより、レンズレシーバまたはハプティックレシーバの位置を判定することが可能となる。
【0046】
いくつかの実装形態では、基準は、交換可能光学系および眼内ベースの両方の上に設けられ、これらはOCTを利用して読み取られ得る。これらの基準は、眼の固定的特徴(例えば角膜トポグラフィ/トモグラフィにより事前記録された結膜血管パターン、生体計測データ等)に対して読み取られ得る。次いで、OCTはハプティック上への光学系の配置をガイドし得る。基準は、交換可能光学系が除去されるときに眼内ベースが移動した場合に、眼内ベースのリアルタイムトラッキングを支援する。交換可能光学系が位置変更または交換される場合に、OCTデバイスは、どのような位置変更が必要であるかをこれらの基準を用いてリアルタイムで計算することができる。
【0047】
上述のように、交換可能光学システムは、眼内ベースのための様々な構造部を備えることが可能である。さらに、眼内ベースのカプラは、様々な位置に配設され、様々な形状で構成されることが可能である。以下の例は、磁気結合部を有する眼内ベースを有する交換可能光学システムに関するものであるが、実施形態はそのようなシステムに限定されない。
【0048】
図10は、磁気交換可能眼内レンズを有する一例の交換可能光学システムを示す。
図10を参照すると、交換可能光学システム1000が、ハプティック1020および円形磁石カプラ1030を有する眼内ベース1010と、交換可能光学系1040とを備え得る。交換可能光学系1040は、外周部に沿って対応する円形磁石1050を有する磁気光学系であることが可能である。
【0049】
図示するシナリオでは、ハプティック1020は2つのC字形状ループハプティックの形態である。いくつかの例では、眼内ベース1010はレンズ1060をさらに備えることが可能である。例えば、眼内ベース1010は、従来のIOLと同様であることが可能であるが、1つまたは複数のカプラ(例えばここでは外周部に配設された磁石の形態である)をさらに備える。次いで、磁気光学系1040が展開され、任意の正確な配向へと回転され、例えば
図9Aおよび
図9Bに示すような基準を用いて位置合わせされ、眼内ベース構造体1010に対して結合され得る。いくつかの例では、交換可能光学系1040は、場合によっては数年間にわたり展開されない場合があり、および/またはより正確なレンズを展開するために数年後に交換される場合がある。磁気光学系(例えば交換可能光学系1040)の展開、回転、および結合を可能にする眼内ベース構造体1010は、例えば正確なトーリック乱視矯正などにおいては有利となり得る。さらに、追加のレンズを付加するおよび/または交換可能光学系1040を交換することが可能であるため、侵襲性のより高い手術の後にさらなる矯正レンズを追加する、事後の数年後に矯正レンズを追加する、または例えば特別に作製されたレンズもしくは三次元印刷レンズなどのより正確なレンズを展開することが可能である。
【0050】
図11A~
図11Dは、磁気交換可能接眼レンズを有する交換可能光学システムの別の例を示す。
図11A~
図11Dを参照すると、交換可能光学システム1100では、眼内ベース1110がオプションのテンションリング延長部1125および2つ以上のカプラ1130を有する嚢テンションリング1120を備え得る。
図2Bに関連して上述したように、例えばテンションリング延長部1125などの1つまたは複数の突出部を利用することにより、嚢テンションリング1120は、2つ以上の磁気アーム(例えばカプラ1130を有するテンションリング延長部1125)がAhmedセグメントと同様に前嚢切開部を貫通して出現し、これによって溝空間内への光学系の配置を可能にするように設計され得る。代替的には、嚢テンションリングは、嚢テンションリングが前嚢切開部外へと突出せず嚢内に留まるように設計されることも可能である。いくつかの例では、カプラ1130に加えてまたはカプラ1130の代替として、二次磁石リング1140が備えられることが可能であり、これは、
図11Cおよび
図11Dに示すように磁気光学系1150に対して360度ドッキングプラットフォームを提供し得る。すなわち、
図11Cに示すように、対応するカプラを有する光学系が展開されることが可能となり、嚢テンションリング1120のアーム上のカプラ1130(および/または任意には二次磁石リング1140)と光学系1150上の対応するカプラとの間の引力により、光学系1150が定位置において解除可能に保持され得る。
【0051】
図12A~
図12Dは、交換可能光学システムのためのハプティック設計の例を示す。眼内ベースの支持構造部が、様々な異なる形状およびパターンのハプティックを有して実装され得る。
図6Aおよび
図7Aに示す形状、
図10に示すような2ループ型C字形状ハプティック、ならびに
図11Aに示す嚢テンションリング構成に加えて、他のハプティック形状を使用することができる。例えば、
図12Aは、円形ハプティックパターン1215を有する眼内ベース1210設計と磁気結合光学系1220とを有する交換可能光学システム1200を示す。
図12Bは、Gore Akreosレンズと同様の二次強膜縫着レンズを促進し得るハプティック設計1245を有する眼内ベース1240設計と磁気結合光学系1220とを有する交換可能光学システム1230を示す。
図12Cは、4プロング型ハプティックアーム1265を有する眼内ベース1260設計と磁気結合光学系1220とを有する交換可能光学システム1250を示す。
図12Dは、ループ型ハプティック1285を有する眼内ベース1280設計と磁気結合光学系1220とを有する交換可能光学システム1270を示す。
【0052】
白内障手術により、角膜の形状、ならびにレンズの光学的性質および有効レンズ位置が変化する。適切な位置に正確に位置決めされたとしても、レンズが術後に変位することは珍しいことではない。本明細書において説明されるような交換可能光学システムは、これらの問題に対処し得る。第1に、磁気光学系と磁気ハプティックレシーバとの間に水晶体嚢を介してこの嚢を挟むことにより、システムが水晶体嚢に対して回転または変位する可能性はより低下する。第2に、ウェーブフロントガイドによるカスタム眼内レンズを3D印刷するなどのいくつかの実施形態では、レンズハプティックシステムを有する眼内ベースによって水晶体嚢に傷痕が残り得ることがより意味のあるものとなり得る。水晶体嚢が収縮すると、眼内ベースの最終有効レンズ位置が判明する。基準を備えることによって、白内障手術後にウェーブフロントスキャンにより角膜の形状を計算することが可能となり、基準により有効レンズ位置を判定することが可能となり、このデータはあらゆる変数が取得された場合にはカスタムレンズを3D印刷するために使用することが可能となる。次いで、このカスタムレンズは、以降において所定の仕様にしたがって装着され得る。これにより、ウェーブフロント最適化された単焦点眼内レンズを印刷することが可能になるのみならず、さらにウェーブフロント最適化された多焦点眼内レンズおよび焦点深度拡張型眼内レンズをカスタマイズすることも可能となる。さらに、眼内ベースは、レンズを最新バージョンのレンズと交換する(replace/exchange)ことが可能であるため、将来バージョンのレンズに対する前方互換性を有するシステムを実現する。
【0053】
いくつかのかかる例では、一次倍率を提供するレンズが眼内ベースと共に展開され(例えば
図10に関連して説明されるレンズ1060を参照)、ウェーブフロントガイド光学系がレンズ1060を有する眼内ベースに対する装着のために二次的に送達され得る。ウェーブフロントガイド光学系(「第2のレンズ」)は、はるかにより小さい切開部を通り展開されることが可能であり、ICL手術およびLASIKと同様に医院ベースの手術に適し得る。すなわち、二次光学系が十分に小さい角膜切開部を通じて展開され得るかまたは以前の外科切開部へのアクセスが可能であり、角膜への再進入によってさらなる変化が生じる可能性が最小限に抑えられ得る。これにより、一次レンズおよびハプティックシステムは、単に磁気システムを用いることにより現行のIOLと同様に嚢内で展開されることが可能となる。水晶体嚢が完全に収縮した二次期間において、基準は有効レンズ位置を提示する。さらに、眼の長さのトポグラフィ/トモグラフィ計測値およびウェーブフロント計測値を利用することにより、これらに対してあらゆる光学変数を制御することが可能となる。必要に応じて、二次光学系を送達するために角膜を穿刺することによって誘発される乱視の度合いを、この誘発される乱視に対処するように調節されたカスタム光学系設計により制御することが可能となる。したがって、有効レンズ位置(ELP)と、いずれのカスタムレンズまたは非カスタムレンズが眼にとって理想的であるかとを、先験的に判定することが可能となる。
【0054】
専用の光学系が、既述の交換可能光学システムの一部として眼内ベースに対して適用されることが可能である。
図13Aおよび
図13Bは、回転可能レンズを有する交換可能光学系のそれぞれ側面図および平面図を示す。レンズ収容システムが、眼内ベースのレンズおよび交換可能光学系の回転を可能にする回転設計部に対して設けられる。
図13Aを参照すると、交換可能光学系1300のための設計体は、眼内ベース1330のカプラ1320を装着することが可能な結合フレーム1310と、眼内ベース1330の開口内に嵌着し得る固定本体1340と、回転本体1350とを有することが可能であり、この回転本体1350は、固定本体1340と回転本体1350との間の結合に応じて一次元回転または二次元回転することが可能である。
【0055】
前述のように、眼内ベースは、交換可能光学系の送達を支援するためだけではなく、さらに治療薬送達のための表面を提供するためにも使用され得る。
図14A~
図14Cは、治療薬送達を伴う交換可能光学システムの一例を示す。
【0056】
磁性リポソームまたは磁性ナノ粒子が、交換可能光学システムの磁気構成要素と組み合わされて使用され得る。
【0057】
デバイスのハプティックまたは光学システムに対して直接的に薬物送達ポリマーインプラントまたはリザーバを組み込むことに加えて、眼内ベースの磁気構成要素は、デバイスに対して磁性ナノ粒子および磁性リポソームを結合する手段を提供する。これらの磁性リポソームまたは磁性粒子は、デバイス上に事前装填され、術時または術後に投与されてもよい。
【0058】
磁性リポソームまたは磁性ナノ粒子は、眼内に展開する前の磁気眼内ベースに対して結合することが可能である。代替的にはまたは追加的には、リポソームまたはナノ粒子は、眼内に磁気眼内ベースを展開した後に硝子体内アプローチ、チン小帯横断アプローチ、嚢内アプローチ、または前房内アプローチを介して導入し、眼内の磁気眼内ベースに対して結合することが可能である。磁性粒子は、抗生物質、ステロイド、および非ステロイド抗炎症薬(NSAID)を含むがこれらに限定されない治療薬を送達するために使用することが可能である。これらの治療薬は、
図15A~
図15Cに示すものなどのように眼内ベースに対する装着を容易にするように構成することが可能である。磁気眼内ベースは、通常の流出通路を経由して眼から迅速に退出する代わりに、磁性粒子が分解し、連結を維持するために十分な磁気引力がもはや存在しない箇所へと強磁性流体を放出するまで、それらの磁性粒子をハプティックシステム上に留置させることが可能である。
【0059】
上述のように、治療薬を送達するために使用される磁性粒子は、様々な形態の眼内ベースに対して適用され得る。
図14Aを参照すると、嚢テンションリングの形態である眼内ベース1410が、磁性粒子を引き寄せる磁性材料で形成されるまたは被覆されることが可能である。いくつかの例では、例えば抗生物質用の領域1412、ステロイド用の領域1414、およびNSAID用の領域1416など、それぞれ異なる領域がそれぞれ異なる治療薬を適用されることが可能である。当然ながら、これらの治療薬は、様々な治療薬が眼内ベース1410の表面中にわたって分布するように適用されてもよい。
【0060】
図14Bを参照すると、レンズを有するまたは有さない眼内ベース1420が、磁性粒子1430を装着するために使用される磁気カプラ/リング1422を備えることが可能である。したがって、磁性粒子1430は、リング1422の周囲において展開および装着され得る。
【0061】
図14Cを参照すると、磁気ハプティック1442を有する眼内ベース1440が、磁性粒子1450を装着するために使用され得る。
【0062】
図15Aを参照すると、磁性粒子が、ポリマーコーティングおよびポリエチレングリコールシェルを有するマグネタイトコアから形成され得る。これらのマグネタイトコアは、磁性粒子を磁気眼内ベースへ吸引させることにより比較的精密な展開を可能にさせ得る。複数の磁性粒子が存在する場合には、磁性粒子と磁気眼内ベースとの間における引力は低下する。磁気眼内ベース上の磁気の強度、ならびにマグネタイトの濃度、ポリマー粒子の粒径、および分解速度により、局所的投与量をさらに微調整するために滞留時間を調節することが可能である。ある特定の実施形態では、ポリマー分解速度は、薬物放出速度に対して調整され得る。これにより、薬物の大半またはさらにはすべてが引力低下により送達された後に、磁性粒子が解離され得る。
【0063】
図15Bを参照すると、ある磁性粒子が、単一のポリマー粒子内に
図15Aに示すような単一のマグネタイトコアではなく複数の磁性粒子を有することが可能である。
【0064】
図15Cを参照すると、磁性粒子が、強磁性流体コアを有するリポソーム粒子として形成され得る。治療薬が、リポソームシェル、リポソームシェル内の磁気強磁性流体、およびリポソームシェル内の薬物コアまたは治療薬コアを備え得る。磁気強磁性流体および薬物コアまたは治療薬コアは、リポソームシェル内部において組み合わされることが可能である。強磁性流体および治療薬がリポソームシェル内において組み合わされることにより、薬物または治療薬の放出が強磁性流体の放出と同時に発生し得る。いくつかの実装形態では、強磁性流体放出速度は、薬物の大半が放出された場合に、リポソームと眼内ベースとの間における引力度が、リポソームが解離し次いで眼外へと小柱網を経由して自由に流出し得るレベルまで低下するような薬物放出速度へと調整され得る。
【0065】
遊離鉄が網膜にとって有害であることが知られているため、磁性ナノ粒子は例えばBerlex Laboratories IncのFerridex(登録商標)などの現行の鉄ベースMRI造影剤とほぼ同様に生体適合性シェル内に収容される。これらのナノ粒子は、眼球外の磁石が除去された場合に、小柱網を経由して眼外へと自由に退出することが十分可能な粒径を有する。次いで、これらのナノ粒子は、現行において臨床利用されている他の鉄ベースナノ粒子と同様に肝臓により除去される。
【0066】
磁性ナノ粒子の生体適合性シェルのための生体適合性材料は、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリレートポリマー、ヒアルロナーゼポリマー、コラーゲン膜、多孔性HA/TCPセラミック複合材料、ヒドロキシアパタイト骨セメント、PVP/PMMA、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイトコートコラーゲン線維、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト(HAp)、ホスホリルコリン(PC)、シリコーン、超高分子量ポリエチレン、ポリエチレン、アクリル、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、テフロン(登録商標)、ダクロン、アセタール、ポリエステル、シリコーン-コラーゲン複合材料、ポリアルデヒド、ポリ塩化ビニル、シリコーン-アクリレート、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(グリコリドラクチド)、ポリ(グリコール酸)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、デスアミノチロシルチロシンエチルエステル、ポリジオキサノン、フィブリン、ゼラチン、ヒアルロナン、リン酸三カルシウム、ポリグリコリド(PGA)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、トリメチレンカーボネート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(N-ビニル 2-ピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、n-ビニル-2-ピロリドン、メタクリル酸、メチルメタクリレート、無水マレイン酸、ポリカプロラクトン、ポリ(アミノ酸)、ポリ(L-リジン)、ポリ(l-オルニチン)、ポリ(グルタミン酸)、ポリシアノアクリレート、ポリホスファゼン、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、クラウンエーテル、シクロデクストリン、シクロファン、エチレングリコール、メチルアクリレート、パラ-キシリレン、生物分解性コポリマー、コポリマー表面コーティング、澱粉ポリマー、ポリ乳酸、セロハン、チロシンポリカーボネートラクチドおよびグリコリドポリマー、コラーゲン、PTFE、シリコーン、ケラチンベース材料、繊維複合材料、具体的には炭素繊維および炭素粒子、ポリマー複合材料、人工/天然複合材料、ガラス-セラミック/金属複合材料、ガラス-セラミック/非金属複合材料、歯科用複合材料、ヒドロゲル、持続放出型フォーム、ならびにポリマー担体からなる群より選択され得る。
【0067】
いくつかの実装形態によれば、磁性ナノ粒子としては、金属酸化物およびポリマー生成物またはリポソーム生成物が含まれ得る。リポソームの例としては、卵黄Lホスファチジルコリン(EPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルリン(DMPC)、l,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DPPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DOPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DSPC)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DLPC)、1、2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1-パルミトイル-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファルタノールアミン(DSPE)、ホスファチジン酸、飽和脂質および不飽和脂質の両方を有するホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジル誘導体、カルジオリピン、13-アシル-y-アルキルリン脂質、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジペンタデカノイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジアラキドイルホスファチジルコリン、ジベヘノイルホスファチジルコリン、ジトリコサノイルホスファチジルコリン、ジリグノセロイルファチジルコリン、ならびにホスファチジルエタノールアミンを含むがこれらに限定されない、脂肪酸、脂肪酸誘導体、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、コレステロール誘導体、ステロイド誘導体、油、ビタミン、およびテルペンからなる群より選択される成分が含まれ得る。
【0068】
ポリマー生成物(例えばナノ粒子のマトリックスを形成する)は、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(イソプロピルアクリルアミド-co-1-ビニルイミダゾール)、ポリ(N、N-ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N、N-ジメチルアクリルアミド)、ポリ(l-ビニルイミダゾール)、ポリ(アクリル酸ナトリウム)、ポリ(メタクリル酸ナトリウム)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(HEMA)、ポリ(N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)(DMAEMA)、ポリ(Nトリス(ヒドロキシメチル)メチルアクリルアミド)、ポリ(l-(3-メタクリロキシ)プロピルスルホン酸)(ナトリウム塩)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(N-アクリルオキシスクシンイミド)、ポリ(N-ビニルカプロラクタム)、ポリ(l-ビニル-2-ピロリドン)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-l-プロパンスルホン酸)(ナトリウム塩)、ポリ((3-アクリルアミドプロピル)塩化トリメチルアンモニウム)、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレン酸化物、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリスチレン、ポリウレタンおよびポリウレタンコポリマー、合成セルロース、ポリアクリル酸、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、エチレン酢酸ビニル、ならびにこれらのコポリマーおよび混合物からなる群より選択され得る。
【0069】
有利には、既述の眼内ベースにより、光学系のカスタマイズおよび交換ならびに治療薬の送達が可能となる。
【0070】
構造的特徴および/または行為に固有の表現において主題を説明したが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は上述の具体的な特徴または行為に必ずしも限定されない点を理解されたい。むしろ、上述した具体的な特徴および行為は特許請求の範囲の実装例として開示され、他の均等な特徴および行為が特許請求の範囲内に含まれるように意図される。
【符号の説明】
【0071】
100 眼内ベース
110 カプラ
120 支持構造部
130 交換可能光学システム
140 交換可能光学系
140-A 交換可能光学系
140-B 交換可能光学系
150 ハプティック
160 主要構造部、主要構造領域
170 レンズ
180 カプラ
190 治療薬
200 眼内ベース
210 交換可能光学システム
212 水晶体嚢
215 交換可能光学系
216 溝空間、溝
220 眼内ベース
222 延長部
225 交換可能光学系
230 交換可能光学システム
240 交換可能光学システム
242 虹彩
250 交換可能光学システム
252 角膜
300 交換可能光学系
310 クリップ
320 リブ
400 交換可能光学系
410 スクリューマウント
420 プロング
510 交換可能光学系
520 眼内ベース
530 ポスト
540 ニチノールクリップ
600 交換可能光学システム
610 眼内ベース
621 第1の光学系
622 第2の光学系
630 支持構造部
640 ハプティックリング
650 白色破線
710 眼内ベース
720 支持構造部
730 ハプティック
740 白色破線
750 レンズ、二次レンズ、光学系
760 光学系送達システム
770 強膜
810 光学系送達システム
815 フック
820 光学系
825 穴
1000 交換可能光学システム
1010 眼内ベース、眼内ベース構造体
1020 ハプティック
1030 円形磁石カプラ
1040 交換可能光学系、磁気光学系
1050 円形磁石
1060 レンズ
1100 交換可能光学システム
1110 眼内ベース
1120 嚢テンションリング
1125 テンションリング延長部
1130 カプラ
1140 二次磁石リング
1150 磁気光学系
1200 交換可能光学システム
1210 眼内ベース
1215 円形ハプティックパターン
1220 磁気結合光学系
1230 交換可能光学システム
1240 眼内ベース
1245 ハプティック設計
1250 交換可能光学システム
1260 眼内ベース
1270 交換可能光学システム
1280 眼内ベース
1285 ループ型ハプティック
1300 交換可能光学系
1310 結合フレーム
1320 カプラ
1330 眼内ベース
1340 固定本体
1350 回転本体
1410 眼内ベース
1412 領域
1414 領域
1416 領域
1420 眼内ベース
1422 磁気カプラ/リング
1430 磁性粒子
1440 眼内ベース
1442 磁気ハプティック
1450 磁性粒子
【国際調査報告】