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特表2024-533431リパーゼ阻害剤を含む高吸収性ハイドロゲル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】リパーゼ阻害剤を含む高吸収性ハイドロゲル
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/34 20170101AFI20240905BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 31/365 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K47/34
A61K45/00
A61P3/04
A61P3/10
A61P1/16
A61P29/00
A61P1/10
A61K31/365
A61P43/00 121
A61K45/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515592
(86)(22)【出願日】2022-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 SG2022050640
(87)【国際公開番号】W WO2023038575
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/261,026
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090839
【氏名又は名称】ジュニオン ラブズ ピーティーイー. リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JUNION LABS PTE. LTD.
【住所又は居所原語表記】2 Tukang Innovation Grove #08-09, Jtc Medtech Hub Singapore 618305,Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ルゥォ ジンナン
(72)【発明者】
【氏名】バオ ホンチィェン
(72)【発明者】
【氏名】リー ブォ フゥァイ モーゼス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA37
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD05
4C076DD28
4C076EE16
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38
4C084AA17
4C084AA18
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZA66
4C084ZA70
4C084ZA75
4C084ZB11
4C084ZC35
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA17
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZA66
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZB11
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、患者が経口摂取する際に、胃空間を一時的に占有することにより、患者の摂食量を減少させることができ、また、酵素阻害により、患者の食物に対する吸収を減少させることができる医薬組成物に関する。本発明の組成物は、親水性ポリマー及び架橋剤からなる架橋親水性ポリマーと、リパーゼ阻害剤とを含む。架橋親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)が20以上であり、弾性率(G')の値が100Pa~10000Paであり、かつ該組成物の架橋親水性ポリマーとリパーゼ阻害剤との重量比が10より大きい。本発明はさらに該組成物を形成する方法、該組成物を含むカプセル、該組成物又はカプセルを用いた肥満、糖尿病前病変、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、慢性特発性便秘の治療、カロリー摂取の低減又は血糖制御の改善方法、及びそれらの医療用途に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
リパーゼ阻害剤、及び親水性ポリマーと架橋剤で形成された架橋親水性ポリマーを含み、
前記架橋親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)が20以上であり、弾性率(G')の値が100Pa~10000Paの範囲であり、
前記架橋親水性ポリマーと前記リパーゼ阻害剤の重量比は10より大きい、ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
前記架橋親水性ポリマーはハイドロゲルである、ことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記架橋親水性ポリマーは粉末形態であり、粉末粒径範囲は0.01mm~5mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記親水性ポリマーは多糖類、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、エチレン無水マレイン酸ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、架橋ポリエチレンオキサイド、澱粉グラフトポリアクリロニトリル、及びそれらのいずれかの共重合体から選択される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記親水性ポリマーは多糖類であって、
前記多糖は以下の化合物又はその誘導体、
デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン、アミロース、デキストラン、キチン、プルラン、ジェランガム、キシラン、カラギーナン、寒天、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、ペクチン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酸化セルロース、カルボキシメチルセルロース、ガラクトマンナン、アルギン酸塩、キトサン、シクロデキストリン、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン、皮膚素、及び天然又はジアセチル化形態のグルコサミン残基を有する多糖及びその任意混合物から選択される、ことを特徴とする以上のいずれかの請求項に記載の組成物。
【請求項6】
前記架橋剤は少なくとも二つの反応性基を含み、前記少なくとも二つの反応性基はそれぞれ、ヒドロキシル基、ビニル基、アクリル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アミド基、カルボン酸基、エステル基、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、ことを特徴とする以上のいずれかの請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記架橋親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)は、20~200の範囲である、ことを特徴とする以上のいずれかの請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記架橋剤が、第一置換可能な脂肪族部分を含むスペーサー架橋剤であり、前記第一置換可能な脂肪族部分の各末端に、少なくとも二つのカルボン酸基を含む第二部分で末端封止されている、ことを特徴とする以上のいずれかの請求項に記載の組成物。
【請求項9】
前記スペーサー架橋剤は、下記式(I)を含み、
A-L-Z-L-A (I)
ここで、Zは前記第一置換可能な脂肪族部分であり、
Aは、少なくとも2つのカルボン酸基を含む前記第二部分であり、
Lは連結基である、ことを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第一置換可能な脂肪族部分は、少なくとも2個の水酸基を有する第一置換可能な脂肪族分子から誘導され、少なくとも2個のカルボン酸基を有する前記第二部分は、少なくとも3個のカルボン酸基を有する第2分子から誘導される、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
前記リパーゼ阻害剤は、リプスタチン、テトラヒドロリポスタチン(オルリスタット)、FL-386、WAY-121898、BAY-N-3176、バリラクトン、エステラスチン(esterastin)、エベラクトンA、エベラクトンB、RHC80267、セチリスタット、及びそれらの任意の混合物から選択される、ことを特徴とする以上のいずれかの請求項に記載の組成物。
【請求項12】
アミラーゼ阻害剤、グルコシダーゼ阻害剤、又はそれらの任意の混合物をさらに含む、ことを特徴とする以上のいずれかの請求項に記載の組成物。
【請求項13】
前記アミラーゼ阻害剤及び/又は前記グルコシダーゼ阻害剤は、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール、エミグリテート、カミグリボース、プラディマイシンQ、サルボスタチン、及びそれらの任意の混合物から選択される、ことを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記架橋親水性ポリマーと、前記アミラーゼ阻害剤及び/又は前記グルコシダーゼ阻害剤との組成重量比が、10より大きい、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、ことを特徴とする以上のいずれかの請求項に記載の組成物。
【請求項16】
前記薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、潤滑剤、結合剤、成膜剤、湿潤剤又は乳化剤、及びそれらの任意の混合物から選択する、ことを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記賦形剤と前記リパーゼ阻害剤の重量比の範囲は、0.01~2である、ことを特徴とする請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物を形成する方法であって、
リパーゼ抑制剤と、架橋親水性ポリマーとを接触させるステップを含み、
前記架橋親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)が20以上であり、弾性率(G')の値が100Pa~10000Paの範囲であり、
ここで、前記架橋親水性ポリマーと前記リパーゼ阻害剤との重量比は、10より大きい、ことを特徴とする組成物を形成する方法。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物を含む、ことを特徴とするカプセル。
【請求項20】
所望の被験者における肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性特発性便秘の治療、摂取カロリーの低減又は血糖コントロールの改善方法であって、
請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物又は請求項19に記載のカプセルの治療有効量を被験体に投与する、ことを特徴とする方法。
【請求項21】
肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性特発性便秘の治療、摂取カロリーの低減又は血糖コントロールの改善を目的とする、ことを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物又は請求項19に記載のカプセル。
【請求項22】
肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性特発性便秘の治療、摂取カロリーの低減又は血糖コントロールの改善のための医薬の製造、を特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物又は請求項19に記載のカプセルの使用。
【請求項23】
前記組成物が経口投与されたか、又は経口投与されるべきである、ことを特徴とする請求項20に記載の方法、請求項21に記載の組成物、又は請求項22に記載の使用。
【請求項24】
経口投与されたか又は経口投与されるべき請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物の単位剤形は、前記架橋親水性ポリマー400mg~55000mg、前記リパーゼ阻害剤10mg~1000mg、任意選択の前記アミラーゼ阻害剤及び/又はグルコシダーゼ阻害剤10mg~1000mg、任意選択の前記薬学的に許容される賦形剤20mg~2000mgを含む、ことを特徴とする請求項20に記載の方法、請求項21に記載の組成物、又は請求項22に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者が経口摂取する際に、胃空間を一時的に占有することにより、患者の摂食量を減少させることができ、また、酵素阻害により、患者の食物の吸収を減少させることができる組成物に関する。本発明の組成物は、親水性ポリマー及び架橋剤からなる架橋親水性ポリマーと、リパーゼ阻害剤とを含み、該架橋親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)が20以上であり、かつ弾性率(G')の値が100Pa~10000Paであり、該組成物の架橋親水性ポリマーとリパーゼ阻害剤との重量比が10より大きい。本発明はさらに該組成物を形成する方法、該組成物を含むカプセル、該組成物又はカプセルを用いて肥満、糖尿病前病変、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、慢性特発性便秘、カロリー摂取の低減又は血糖制御の改善方法及びその医学用途に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満とは体内の脂肪が多すぎて健康に悪影響を及ぼす可能性がある状態である。肥満は様々な疾患に関連し、特に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、2型糖尿病、心臓血管疾患、閉塞性睡眠無呼吸、あるタイプの癌及び骨関節炎である。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、後期の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。NAFLDは肝臓脂肪の蓄積に起因する。この堆積が炎症や損傷を引き起こすとNASHと呼ばれ、それは肝臓瘢痕を引き起こし、生命を脅かす潜在的な疾患であり、肝硬変と呼ばれる。世界範囲において、肥満及びNASHはいずれも上昇傾向を呈し、現在一般的に保守治療方法を採用し、例えば生活方式の変更及び飲食ガイドであり、しかし効果が悪い。
【0003】
減量手術は肥満及びNASH治療のために長期的な体重減少を促進する方法である。減量手術は患者が一回で摂取する食物の量を制限し、又は患者が吸収する栄養物質を減少し、又は両者を同時に行うことにより、患者の消化システムを変化させる。減量手術は、長期間のダイエットや肥満関連疾患の改善に極めて有効であることが確認された。肥満やメタボリックシンドロームを罹患している患者の多くは、脂肪変性、脂肪性肝炎、線維症などNASHの全成分を減少させる上で大きなメリットがあることが減量手術により実証された。研究により、評価可能な生検患者において、84%に達する患者の減量手術は線維症を悪化させずにNASHを解決することができる。しかし、減量手術は合併症という欠点がある。減量手術の死亡率は1%未満であるが、非致死性不良事象がより一般的である。研究によれば、総合併症の発生率は23%に達し、再手術率は12%に達する。これらのリスクは、高い費用、限られた取得及びエラー情報を加え、減量手術の作用範囲を大幅に制限する。
【0004】
近年、減量手術に対応していない患者や、減量手術を望まない患者に対して、減量手術と同様の代替治療方法が開発されている。その一つが内視鏡ダイエット療法(EBTs)である。EBTsの動作原理は減量手術に類似し、胃内バルーン、胃縫合及び胃折り畳み、内視鏡磁気吻合、吸引治療、間欠的な胃出口梗塞、胃/十二指腸/空腸バイパスライナー、及び小腸への介入を使用し、超重量患者だけでなく、糖尿病患者にも注目する。EBTsの侵襲性は減量手術より明らかに低く、且つ肥満及びその関連疾患の治療に有効であることが証明されたが、それは依然として患者が侵襲性の医療プログラムを受け入れる必要があり、いくつかの患者の採用拒否を引き起こす。
そのため、新たな、非侵襲的な肥満の治療方法を必要とし、減量手術の有効性を利用し、患者の一回の摂食量を制限し且つ患者が吸収する栄養物質を制限し、肥満及びNASHを治療又は予防する。
【発明の概要】
【0005】
一方、本発明は医薬組成物を提供し、リパーゼ阻害剤、及び親水性ポリマーと架橋剤で形成された架橋親水性ポリマーを含む。
上記架橋親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)が20以上であり、弾性率(G')の値が100Pa~10000Paの範囲である。
ここで、上記架橋親水性ポリマーと上記リパーゼ阻害剤の重量比は10より大きい。
【0006】
有利なことには、患者が該組成物を経口摂取する際に、患者の食物の吸収を酵素阻害により減少させつつ、胃空間を一時的に占有することにより、患者の摂食量を減少させることができる。
【0007】
有利なことには、肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)又は慢性特発性便秘の治療、又はカロリー摂取の低減又は血糖コントロールの改善において、上記組成物と相乗効果を有する。摂取した架橋親水性ポリマーは胃に膨潤して食欲を低下させ又は食物摂取量を低減させ、且つリパーゼ抑制剤は食物脂質吸収を低減させ、それにより身体がカロリーを吸収するのを低減させる。
この組成物を患者が経口摂取すると、親水性ポリマーが胃内の水や胃液を吸収して膨潤する。膨潤した親水性ポリマー粒子は、弾性率が20よりも十分に高いため、胃内で固体塊を形成する。これは、胃内バルーンと同様に、患者に満腹感を与え、食物の摂取量を減少させる。従って、親水性ポリマーの高媒体摂取率(MUR)が20以上であることは、必要な膨潤サイズを達成するために必要な親水性ポリマーの量が少ないことを意味する、非常に重要である。しかも、胃内バルーンとは異なり、膨潤した親水性粒子からなる固形塊は、胃から自然に排出される。固体塊が独立した多数の粒子から構成されており、これらの粒子が胃から自然排出されるからである。
【0008】
一つの実施例において、架橋親水性ポリマーは、粒径0.01mm~5mmの範囲の粉末状で存在する。有利なことには、該種類の粒径は架橋親水性ポリマーが胃から自然に排出されることに寄与する。
【0009】
有利なことには、該組成物におけるリパーゼ阻害剤は腸管におけるリパーゼ酵素と結合することができ、それにより食物トリグリセリドがモノグリセリドと脂肪酸に加水分解することを阻止し、それにより人体に吸収されるカロリーを減少させる。胃/十二指腸/空腸バイパスライナーと同様に、患者の食物脂肪の吸収を減少させることができる。
【0010】
より有利なことには、リパーゼ阻害剤は直接ダイエットの利点を提供するほか、NASHの治療にも役立つ。リパーゼ阻害剤は血清中の脂肪多糖、骨膜タンパク質と腫瘍壊死因子-αのレベルを低下させ、アディポネクチンなどの保護性内分泌細胞因子のレベルを増加させる。これらのリパーゼ阻害剤の摂食による変化は、NASHの改善を促すことが報告されている。
【0011】
リパーゼ阻害剤の一例としては、オルリスタット(Orlistat)が挙げられる。オルリスタットは、テトラヒドロリプスタチン(tetrahydrolipstatin)とも呼ばれ、リプスタチン(Lipstatin)の飽和誘導体であり、細菌ストレプトミセストキシトリチニ(Streptomyces toxytricini)から分離して得られた膵リパーゼの天然阻害剤である。その主な機能は、リパーゼ阻害剤として飲食中の脂質の吸収を効果的に防止することにより、カロリー摂取を低減することである。また、脂肪含有食品とともに摂取する時、オルリスタットはトリグリセリドの加水分解を部分的に抑制し、モノグリセリド(monoacylglyceride)や遊離脂肪酸のその後の吸収を低減することができる。治療用量(食事と共に服用120mg)で投与した場合、脂肪吸収の阻害(摂取脂肪の約30%)は、200カロリー程度のカロリー不足をもたらす可能性がある。
【0012】
オルリスタットは60-720ミリグラム/日経口摂取すれば、II型糖尿病を効果的に治療及び予防することができ、且つヘモグロビンA1cのレベルを効果的に低下させる。しかしながら、オルリスタットは、大腸下部を通過する際に、未吸収の食物脂肪が多量の非吸収性の食物固体から物理的に分離され、肛門からの脂質の漏れを引き起こすという悪影響が知られている。このため、胃腸の膨張、脂肪・油性便の増加、排便の増加、便急迫、失禁、腹痛等の胃腸管への副作用が生じ、オルリスタットを投与した被験者に大きな不快感を与えている。これらの副作用は、全てのリパーゼ阻害剤に共通する可能性がある。
【0013】
上記組成物によれば、リパーゼ阻害剤を使用することによる肛門からの脂質の漏れなどの既知の副作用を効果的に低減することができる。有利なことには、理論的制約を受けずに、患者に架橋親水性ポリマー及びリパーゼ阻害剤を投与することで、患者の摂食量を減少し且つ患者の摂取物に対する吸収を減少することができ、同時に肛門からの脂質の漏れを防止することができ、リパーゼ阻害剤に関連する副作用を最大限に減少する。
【0014】
1つの実施例において、架橋剤が、第一置換可能な脂肪族部分を含むスペーサー架橋剤である。該第一置換可能な脂肪族部分の各末端に、少なくとも二つのカルボン酸基を含む第二部分で末端封止されている。
【0015】
有利なことには、架橋剤がスペーサー架橋剤である場合、架橋親水性ポリマーは、非化学的及び物理的な相互作用のみで会合するポリマーに比べて、より安定で強固なネットワークを形成することができる。有利なことには、スペーサー架橋剤を用いることにより、架橋親水性ポリマーから形成され得るハイドロゲルの三次元構造を胃内に維持することができ、それにより排出所要時間を遅延させる。該スペーサー架橋剤は、まず、水酸基を2個以上有するスペーサー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))と、カルボキシル基を2個以上有する分子(例えば、クエン酸(CA))とを反応させることにより調製することができる。そして、このスペーサー架橋剤は、水酸基を有する親水性ポリマーと反応させることができる。長い親水性架橋剤を用いることにより、ポリマーのネットワークが疎なハイドロゲルを形成することができ、膨潤率が高く、高い機械的強度(膨潤状態の弾性率で測定)を得ることができる。
【0016】
有利なことには、上記架橋親水性ポリマーは、特定の媒体摂取率(MUR)、弾性率を有し、かつ、リパーゼ阻害剤に対して特定の重量比を有する。胃占有容積をより良好に制御し、従来知られているランダム架橋ハイドロゲルよりも胃滞留・排出性に優れている。
【0017】
1つの実施例において、該組成物はさらにアミラーゼ阻害剤、グルコシダーゼ阻害剤、又はそれらの任意の混合物を含むことができる。
【0018】
有利なことには 、該組成物におけるアミラーゼ阻害剤及び/又はグルコシダーゼ阻害剤の存在は、食事カロリーの吸収をさらに低減することができる。
【0019】
一方、本発明は上記組成物を形成する方法を提供し、リパーゼ抑制剤と、架橋剤で架橋された親水性ポリマーとを接触させるステップを含む。
ここで、架橋された親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)が20以上であり、弾性率(G')の値が100Pa~10000Paの範囲である。
ここで、架橋された親水性ポリマーとリパーゼ阻害剤との重量比は10より大きい。
【0020】
一方、本発明は、上記組成物からなるカプセルを提供する。
【0021】
一方、本発明は、肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性特発性便秘の治療、摂取カロリーの低減又は血糖コントロールの改善を目的とする被験者への有効投与量の組成物又は上記で定義したカプセルの投与を含む治療方法を提供する。
【0022】
一方、本発明の提供する上記定義の組成物又は上記定義のカプセルは、肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、又は慢性特発性便秘の治療、カロリー摂取の減少、又は血糖制御の改善に用いられる。
【0023】
一方、本発明は、肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性特発性便秘の治療、カロリー摂取の低減又は血糖コントロールの改善のための薬物の製造における、上記で定義された組成物又は上記で定義されたカプセルの用途を提供する。
【0024】
定義:
本明細書で使用される次の語及び用語は、指定された意味を有するものとする。
特に記載のない限り、基又は基の一部である[アルキル基]とは、直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を意味し、好ましくはC-Cアルキル基である。好適な直鎖及び分岐鎖C-Cアルキル置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、2-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該基は末端基又は架橋基であってもよい。
【0025】
[アルコキシ基]とは、ここで定義する、酸素と単結合したアルキル基を意味する。該基は末端基又は架橋基であってもよい。該基が末端基であれば、アルキル基を介して分子の残部に結合する。
【0026】
[ヘテロアルキル基]とは、鎖中に好ましくは炭素数2~6であり、S、O、P及びNから選ばれるヘテロ原子で1個以上置換された直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。例えば、アルキルエーテル、第2級アルキルアミン、第3級アルキルアミン、アミド、硫化アルキル等が挙げられる。ヘテロアルキル基としては、例えば、ヒドロキシ-C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル基、アミノ-C~Cアルキル基、C~Cアルキルアミノ-C~Cアルキル基、及びジ(C~Cアルキル)-アミノ-C~Cアルキル基などが挙げられる。該基は末端基又は架橋基であってもよい。
【0027】
[ヘテロシクロアルキル基]とは、少なくとも1つの環に、窒素、硫黄、酸素から選ばれるヘテロ原子(好ましくは1~3個のヘテロ原子)を少なくとも1つ含む飽和単環、二環又は多環を意味する。各環は、3~10員環であることが好ましく、4~7員環であることがより好ましい。ヘテロシクロアルキル基の置換基としては、ピロリジル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチオフリル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリノ基、1,3-ジアザパン(1,3-diazapane)、1,4-ジアザパン(1,4-diazapane)、1,4-オキサゼパン(1,4-oxazepane)、1,4-オキサチアパン(1,4-oxathiapane)等が挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は、通常、C~C12ヘテロシクロアルキル基である。ヘテロシクロアルキル基は、3~8個の環原子を含んでいてもよい。ヘテロシクロアルキル基は、N、O及びSからなる群からそれぞれ独立して1~3個のヘテロ原子を含んでいてもよい。該基は末端基又は架橋基であってもよい。
【0028】
本明細書にいう“置換可能”は、該用語の指す基は無置換であってもよく、1つ又は複数の独立して以下から選択される基で置換されてもよいことを意味する。アシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、チオアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルキルヘテロアルキル基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアミノ基、ハロゲン、カルボキシル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルキニル基、アルキニルオキシ基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、ヘテロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アルケニルオキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルキニル基、ハロゲン化アルケニルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、ニトロアルキル基、ニトロアルケニル基、ニトロアルキニル基、ニトロヘテロシクロ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルケニルアミン基、アミノアルキル基、アルキニルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシカルボニル基、アルコキシシクロアルキル基、アルコキシヘテロアリール基、アルコキシヘテロシクロアルキル基、アルケノイル基(alkenoyl)、アルキノイル基(alkynoyl)、アシルアミノ基、ジアシルアミノ基、アシルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、ヘテロシクロ基、ヘテロシクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキルアルケニル基、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシ基、 ヘテロシクロアルケニルオキシ基、ヘテロシクロオキシ基、ヘテロシクロアミノ基、ハロゲン化ヘテロシクロアルキル基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフェニル基(alkylsulfenyl)、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アシルチオ基、アミノスルホニル基、ホスホノ基及びホスフィニル基等のリン含有基、スルフィニル基、スルフィニルアミノ基、スルホニル基、スルホニルアミノ基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアミノ基、アリールヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロアリールアルケニル基、ヘテロアリールアルキニル基、ヘテロアリールヘテロアルキル基、ヘテロアリールアミノ基、ヘテロアリールオキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルキルヘテロアリール基、アリールオキシ基、アリールスルホニル基、シアノ基、シアネート基、イソシアネート基、-C(O)NH(アルキル基)、-C(O)N(アルキル基)である。
【0029】
[基本的に]とは、[完全に]を排除するものではなく、例えば、[基本的にYを含まない]組成物は、Yを全く含まなくてもよい。なお、[基本的に]とは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜省略することができる。
【0030】
特に説明しない限り、用語“含む”/“包含”及びその意味変体は“開放性”又は“包含性”言語を表すことを意図し、それは列挙された要素を含むだけでなく、追加の、列挙されていない要素を含むことを許可する。
【0031】
本明細書で使用されるように、製剤成分濃度の文脈において、「約」という用語は、一般的には、ステートメント値の+/-5%、より一般的には、ステートメント値の+/-4%、より一般的には、ステートメント値の+/-3%、より一般的には、ステートメント値の+/-2%、さらには、より一般的には、ステートメント値の+/-1%、またさらにより一般的には、ステートメント値の+/-0.5%を指す。
【0032】
本開示では、いくつかの実施例を範囲の形式で開示することができる。範囲形式の説明は、単に便宜及び簡潔を目的とするものであり、開示されている範囲の範囲の変更不可能な制限として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記述は、可能なすべてのサブ範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているものとみなされるべきである。例えば、1から6までの範囲の記述は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6等のサブ範囲と、1、2、3、4、5及び6等の範囲内の単一の数字とを明示的に開示しているものとみなす。どの範囲幅に対しても適用する。
【0033】
いくつかの実施例は、本明細書で広く一般的に説明することもできる。一般的な開示内に含まれるより狭いオブジェクトクラス及びサブクラスのグループの各々も、本開示の一部を構成する。これは、削除された資料が本明細書に具体的に記載されているか否かにかかわらず、何らかの主題を種類物から除去するための付帯条件付き又は否定的な制限を有する実施形態の一般的な説明を含む。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は医薬組成物を提供し、リパーゼ阻害剤、及び親水性ポリマーと架橋剤で形成された架橋親水性ポリマーを含む。
上記架橋親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)が20以上であり、弾性率(G')の値が100Pa~10000Paの範囲である。
ここで、上記架橋親水性ポリマーと上記リパーゼ阻害剤の重量比は10より大きい。
【0035】
該架橋親水性ポリマーは、ハイドロゲルであってもよい。該架橋親水性ポリマーは高吸収性ポリマー(SAP)ハイドロゲルであってもよい。
【0036】
該ハイドロゲルは、液体を含む架橋親水性ポリマーであってもよい。ハイドロゲルは、液体中で膨潤する架橋親水性ポリマーであってもよい。液体は、水を含む液体であってもよい。例えば、水、緩衝液、胃液、擬似胃液、又はこれらの任意の混合物であってもよい。
【0037】
該ハイドロゲルは、ポリマー繊維水溶液の物理的又は化学的安定化により得ることができる。物理的安定化は、水素結合、疎水相互作用、連鎖絡み合いにより達成できる。これらの相互作用は一般に可逆的であるため、物理的相互作用を主体とする架橋親水性ポリマーから形成されたハイドロゲルは容易に流動又は分解する。これに対して、化学架橋は共有結合で構成されており、化学架橋された親水性ポリマーを含んで形成されたハイドロゲルは、一般に、より安定で剛性の高いネットワークを形成することができる。架橋剤の架橋度や種類は、得られるハイドロゲルの保水度、機械的強度、分解率などの物性に影響する。
【0038】
このハイドロゲルは、親水性で水分子との水素結合により水溶液の架橋ポリマー鎖を吸収できるネットワークである。ハイドロゲル中に水分子を残存させることができるので、その過程でハイドロゲルを元の体積の何倍も膨潤させることができる。架橋により親水性ポリマー鎖を一体に保持し、三次元固体を形成するため、ハイドロゲルネットワークは水中でその構造完全性を保持することができる。高吸収性ポリマーハイドロゲル(SAP)は、自身の質量に対して極めて多量の液体を吸収・保持することができるハイドロゲルである。脱イオン水や蒸留水の中で、SAPはその重量の300倍(それ自体の体積の30~60倍)を吸収し、99.9%まで液体になることができる。
【0039】
ハイドロゲルの総吸収能及び膨潤能は、ゲルを形成する架橋剤の種類及び架橋の程度により制御することができる。例えば、約0.1g/mL未満のタップ密度を有する低密度架橋SAPは、一般的に、より高い吸収能及びより大きな膨潤度を有し、それにより、より柔らかく、より粘性のあるハイドロゲルを形成する。対照的に、架橋密度が約0.2g/mLを超えると、SAPの吸水性と膨潤性は低くなるが、ゲル強度は高く、中圧でも粒子形状を維持することができる。
【0040】
親水性ポリマーは多糖類、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、エチレン無水マレイン酸ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、架橋ポリエチレンオキサイド、澱粉グラフトポリアクリロニトリル、タンパク質、糖タンパク質、タンパク質多糖類及びそれらのいずれかの共重合体から選択される。
【0041】
親水性ポリマーは多糖類であってもよい。上記多糖類としては、以下の化合物が挙げられる。デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン、アミロース、デキストラン、キチン、プルラン、ジェランガム、キシラン、カラギーナン、寒天、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、ペクチン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酸化セルロース、カルボキシメチルセルロース、ガラクトマンナン、アルギン酸塩、キトサン、シクロデキストリン、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン、皮膚素、及び天然又はジアセチル化形態のグルコサミン残基を有する多糖及びその任意混合物。上記多糖類としては、以下の化合物から選択される誘導体が挙げられる。デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン、アミロース、デキストラン、キチン、プルラン、ジェランガム、キシラン、カラギーナン、寒天、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、ペクチン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酸化セルロース、カルボキシメチルセルロース、ガラクトマンナン、アルギン酸塩、キトサン、シクロデキストリン、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン、皮膚素及び天然又はジアセチル化形態のグルコサミン残基を有する多糖及びその任意の混合物。
【0042】
環境保護への関心が高まる中、生分解性材料を用いた高吸収性ハイドロゲルの開発が研究の焦点となっている。好適な生分解性親水性ポリマーとしては、アルギン酸塩、デンプン、セルロース誘導体等の多糖類が挙げられる。多糖類は、生体適合性に優れているため、より安全に摂取することができる。
【0043】
多糖類は、少なくとも一つのカルボキシメチル基を含むことができる。
該糖は、カルボキシメチルセルロースであってもよい。
カルボキシメチルセルロース(CMC)又はセルロースガムは、セルロースの主鎖を構成するグルコピラノースモノマーの水酸基の一部と結合したカルボキシメチル基(-C-CH-COOH)を有するセルロース誘導体である。CMCはセルロースとクロロ酢酸のアルカリ触媒反応によって合成することができる。反応後、精製工程を行い、食品、医薬品、歯磨剤(歯磨き粉)用の純CMCを得る。
【0044】
CMCは、アイスクリームをはじめとする各種製品のエマルジョンを安定化させるための粘度調整剤や増粘剤として食品に応用することができる。CMCも多くの非食品製品の構成部分であり、例えば歯磨き粉、下剤、ダイエット薬、水性塗料、洗剤、紡績スラリー、再利用可能な加熱パック、各種の紙製品などである。CMCを使用する主な理由は、高粘度で毒性がなく、また、繊維の主な由来が柔らかい木材パルプやコットンリンターであるため、一般にアレルギー性が低いとされているからである。
【0045】
カルボキシメチルセルロースの置換度は、約0.6~約1.0、約0.6~約0.8、又は約0.8~約1.0の範囲とすることができる。
【0046】
CMCの機能性はセルロース構造の置換度、セルロース主鎖構造の鎖長、及びカルボキシメチル置換基のクラスタリング程度に依存することができる。置換度が0.6~1.0の範囲であると、より良好な乳化性が得られ、酸や塩に対する耐性が向上する。
【0047】
多糖類は、25℃で1%(wt/wt)水溶液として、約1000cpsよりも大きい粘度、約2000cpsよりも大きい粘度、約3000cpsよりも大きい粘度、約5000cpsよりも大きい粘度、約7000cpsよりも大きい粘度、又は約10000cpsよりも大きい粘度を有することができる。多糖類は、25℃で1%(wt/wt)水溶液として、約1000cpsから約12000cps、約1000cpsから約5000cps、約1000cpsから約10000cps、約5000cpsから約10000cps、約10000cpsから約12000cps、又は約10000cpsから約12000cpsの粘度範囲を有することができる。
【0048】
多糖分子量の多分散指数は10未満、5未満又は2未満であってもよい。多糖類の多分散度は1~10程度である。
【0049】
親水性ポリマー間の架橋は、親水性ポリマー間で直接行ってもよいし、架橋剤を用いて行ってもよい。
【0050】
架橋剤は、親水性ポリマーそのものであってもよい。架橋された親水性ポリマーの架橋剤が親水性ポリマーそのものである場合には、親水性ポリマーは、架橋剤として、親水性ポリマーの全部又は一部が自己架橋しているとみなすことができる。親水性ポリマーは異なるセグメントを含むことができ、各セグメントは単独で架橋剤とすることができる。
【0051】
架橋剤としては、多官能性架橋剤を用いることができる。架橋剤としては、二官能性架橋剤でも三官能性架橋剤でもよい。
【0052】
架橋剤は、ヒドロキシル基、ビニル基、アクリル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アミン基、カルボン酸基、エステル基及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも2つの反応基を含んでいてもよい。
【0053】
架橋剤としては、スチレン、ビニル-トルエン、飽和C-C-カルボン酸ビニルエステル、アルキル基の炭素数が2以上のアルキルビニルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸エステル、共役ジオレフィン、アレン、ハロゲン化オレフィン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、モノエチレン不飽和C-C-カルボン酸エステル、N-ビニルラクタム、アルコキシ化モノヒドロキシ飽和アルコールから選ばれるアクリル酸及びメタクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルモルホリン、N-ビニルホルムアミド、ハロゲン化ジアルキルジアリルアンモニウム(dialkyldiallylammonium halide)、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルイミダゾリン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル及びそれらの任意の組み合わせから独立して選択される少なくとも2つの反応基グループを含むことができる。
【0054】
架橋剤は、ポリビニルアルコール、メチレンビス(アクリルアミド)、ポリエチレングリコール、キトサン、ビスマレイミド及びそれらの任意の混合物から選択することができる。
【0055】
架橋剤は、カルボン酸基を少なくとも2つ有していてもよい。
【0056】
架橋された親水性ポリマーの架橋剤としては、クエン酸、シュウ酸、ピロメリット酸(pyromellitic acid)、ブタンテトラカルボン酸、ベンゾキノンテトラカルボン酸及びこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
架橋剤が、第一置換可能な脂肪族部分を含むスペーサー架橋剤である。該第一置換可能な脂肪族部分の両端に、少なくとも二つのカルボン酸基を含む第二部分で末端封止されている。
このスペーサー架橋剤は、下記式(I)を含む。
A-L-Z-L-A (I)
ここで、Zは第一置換可能な脂肪族部分である。
Aは、少なくとも2つのカルボン酸基を含む第二部分である。
Lは連結基である。
【0058】
第一置換可能な脂肪族部分又はZは、少なくとも二つの水酸基を有する第一置換可能な脂肪族部分分子から誘導され得る。ここで、「誘導」とは、第一置換可能な脂肪族部分子の少なくとも2つの水酸基が、以下のようにさらに定義される第2分子と反応して、式(I)中の連結基Lの一部を形成する反応により、第一置換可能な脂肪族部分が形成されることを意味する。
【0059】
第一置換可能な脂肪族分子は直鎖状分子であってもよく、且つ各末端はいずれも水酸基で封鎖される。
【0060】
第一置換可能な脂肪族分子の分子量の範囲は、約0.1kDa~約100kDa、約0.1kDa~約0.2kDa、約0.1kDa~約0.5kDa、約0.1kDa~約1kDa、約0.1kDa~約2kDa、約0.1kDa~約5kDa、約0.1kDa~約10kDa、約0.1kDa~約20kDa、約0.1kDa~約50kDa、約0.2kDa~約0.5kDa、約0.2kDa~約1kDa、約0.2kDa~2kDa、約0.2kDa~5kDa、約0.2kDa~約10kDa、約0.2kDa~約20kDa、約0.2kDa~約50kDa、約0.2 kDa~約100kDa、約0.5kDa~約1kDa、約0.5kDa~2kDa、約0.5kDa~5kDa、約0.5kDa~約10kDa、約0.5kDa~20kDa、約0.5kDa~約50kDa、約0.5kDa~約100kDa、約1kDa~2kDa、約1kDa~約5kDa、約1kDa~約10kDa、約1kDa~約20kDa、約1kDa~約50kDa、約1kDa~約100kDa、約2kDa~約5kDa、約2kDa~約10kDa、約2kDa~約20kDa、約2kDa~約50kDa、約2kDa~約100kDa、約5kDa~約10kDa、約5kDa~約20kDa、約5kDa~約50kDa、約5kDa~約100kDa、約10kDa~約20kDa、約10kDa~約50kDa、約10kDa~約100kDa、約20kDa~約50kDa、約20kDa~約100kDa、約50kDa~約100kDaであり得る。
【0061】
このような分子量を有するスペーサー架橋剤のような長い親水性スペーサー架橋剤を用いることにより、膨潤時の引張弾性率の測定で高い強度を得ながら、ポリマーネットワークがより緩やかな架橋親水性ポリマーを形成することができる。ポリマーネットワークがより緩やかであるとハイドロゲルがより大きな膨潤率を有し、それはネットワークの多糖鎖がさらに互いに離れることを許可し、それによりポリマーネットワークをより大きく膨潤させる。
【0062】
クエン酸のような短い架橋剤を用いると、2本の多糖鎖を連結する第3の多糖鎖を介して2本の多糖鎖を一定の距離で連結することができる。但し、連結基の長さはランダムである。このため、一般に、連結基の長さは、連結される多糖鎖の近接度を決定する。複数の架橋剤は多糖の一本鎖のランダムな点に接続することができるため、短い架橋剤を用いて多糖鎖を緊密に接続して緻密なポリマーネットワークを形成することができる。これに対して、長いの親水性架橋剤を用いる場合には、長いの親水性架橋剤の長さによって、2つの多糖鎖間の距離が決定される。長い親水性架橋剤を用いることにより、長い親水性架橋剤の長さに応じた固定鎖長で多糖鎖が互いに連結されるため、ポリマーネットワークをより緩やかにすることができる。
【0063】
ハイドロゲルの強度は、親水性ポリマー鎖間の相互作用の程度に依存する。クエン酸等の短い架橋剤を使用する場合、その長さが短いため、架橋剤の一端が多糖鎖と反応すると、他端は同一の多糖鎖内でのみ反応するか、或いは第1多糖鎖に近い他の多糖鎖と反応する。これにより、形成可能な架橋ネットワークが著しく制限される。多糖鎖自体が長く比較的固定されているため、一端で多糖鎖と反応する短架橋剤の流動性は低い。この限られた流動性は、架橋剤の他端があちこちに移動するのを阻止し、それにより、同一の多糖鎖内、または互いに近接した第1の多糖鎖と架橋した第2の多糖鎖間で架橋が形成される。分子内架橋により膨潤率は低下するが、引張弾性率は顕著に増加しないので望ましくない。
【0064】
一方、長い親水性架橋剤を用いると、その柔軟性のため、架橋剤の一端が多糖鎖と反応すると、他端はあちこちに移動して第1多糖鎖から著しく離れた多糖鎖と反応することができる。したがって、長い親水性架橋剤を使用した場合、第2多糖鎖は、第1多糖鎖とまだ架橋されていない異なる鎖である可能性が高い。これにより、短い架橋剤を用いたときに観察された低流動性という限界を克服することができた。また、同じ多糖鎖内や2本の多糖鎖の間で複数回の架橋が起こることは考えにくいため、架橋剤の使用量を減らすことができるが、ポリマーのネットワーク構造は強いままである。
【0065】
第一置換可能な脂肪族分子は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0066】
第一置換可能な脂肪族分子は、置換可能なアルキル基又は置換可能なヘテロアルキル基を含んでいてもよい。置換可能なアルキル基は、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、チオアルコキシ基、カルボキシアミドの置換基で置換されていてもよい。また、置換可能なヘテロアルキル基としては、エーテルでもアミンでもよい。
【0067】
第一の置換可能な脂肪族分子は親水性ポリマーであってもよい。
【0068】
第一の置換可能な脂肪族分子としては、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルアルコールからなる群から選択され、それぞれが少なくとも2つの水酸基を含んでいる。
【0069】
第一の置換可能な脂肪族部分又はZは、次のような構造を持つことができる。
【化1】
ここで、Qは、-CH-、-O-或-NH-である。
Rは、水素、-OH、置換可能なC-Cアルキル基、-C(O)OM、-C(O)NR、又は置換可能なヘテロシクロアルキル基である。
及びRは独立した水素又は置換可能なC-Cアルキル基である。
MはR、Na、又はKである。
pは1から6の範囲の整数である。
nは2から2000の範囲の整数である。
かつ、*は、その部分が、スペーサー架橋剤の残りの部分と連結する位置を示す。
Rは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基である。R は、水素又はメチル基であることができる。
Rは、-C(O)OH、-C(O)ONa、又は-C(O)OKである。
置換可能なヘテロシクロアルキル基のヘテロ原子としては、Nが挙げられる。
該置換可能なヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子Nを含んでいてもよく、該N原子を介して置換可能な脂肪族の残部に結合していてもよい。
Rは、2-ピロリドン、3-ピロリドン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、モルホリン、及びジアジンからなる群から選択される。
RはC(O)NRであってもよく、RがC(O)NRである場合、R及びRは共に水素であってもよい。
pは、整数1、2、3、4、5、又は6である。
nは、以下の範囲の整数とすることができる。2~5、2~10、2~20、2~50、20~100、2~200、2~500、2~1000、2~2000、5~10、5~20、5~50、5~100、5~200、5~500、5~1000、5~2000、10~20、10~50、10~100、10~200、10~500、10~1000、10~2000、20~50、20~100、20~200、20~500、20~1000、20~2000、50~100、50~200、50~500、50~1000、50~2000、100~200、100~500、100~1000、100~2000、200~500、200~1000、200~2000、500~1000、500~2000又は1000~2000である。
【0070】
第一の置換可能な脂肪族部分又はZは、次のような構造を持つことができる。
【化2】
Rは、水素又は置換可能なC-Cアルキル基である。
nは、2~2000の範囲の整数である。
かつ、*は、その部分が、スペーサー架橋剤の残りの部分と連結する位置を示す。
【0071】
第一の置換可能な脂肪族分子は、少なくとも2個の水酸基を更に有するポリエチレングリコールであってもよいし、ポリプロピレングリコールであってもよい。
【0072】
ポリエチレングリコール(PEG)は、水及び有機溶媒に可溶な両親媒性ポリエーテルである。 PEGは広範囲の分子量で取得しやすく、無毒であり、且つ米国食品薬物監督管理局(the US Food and Drug Administration,FDA)に承認される。長い親水性架橋剤としては、多分散指数が低く、且つ両末端に活性基を有する変性PEGを使用することができ、使用するPEGの鎖長によって異なる物性のハイドロゲルを製造することができる。
【0073】
少なくとも2つのカルボン酸基を含む第2部分又はAは、3つのカルボン酸基を含む第2分子から誘導され得る。ここで、「誘導」とは、少なくとも3つのカルボン酸基を有する第2分子のカルボン酸基の1つが反応して式(I)の連結基Lの一部を形成する際に、少なくとも2つのカルボン酸基を含む第2部分を形成することを意味する。
【0074】
少なくとも3つのカルボン酸基を有する第2分子は、クエン酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、及びベンゾキノンテトラカルボン酸からなる群から選択され得る。
少なくとも2つのカルボン酸基を含む第2部分又はAは、
【化3】
ここで、*は、その部分が、スペーサー架橋剤の残りの部分と連結する位置を示す。
Lは、アミド類、エステル類、酸無水物類、チオエステル類から独立して選択されていてもよい。
【0075】
有利なことに、PEGは広範囲の分子量で容易に得られ、無毒であり、米国食品薬物監督管理局(FDA)によって承認された。両末端にCA反応基を有する変性PEGは、長い親水性架橋剤として用いることができ、PEG鎖長の違いによって物性の異なるハイドロゲルを製造することができる。
【0076】
架橋された親水性ポリマーは、粉末の形態であってもよく、その粉末粒子径は、約0.01mm~約5mm、約0.01mm~約0.02mm、約0.01mm~約0.05mm、約0.01mm~約0.1mm、約0.01mm~約0.2mm、約0.01mm~約0.5mm、約0.01mm~約1mm、約0.01mm~約2mm、約0.02mm~約0.05mm、約0.02mm~約0.1mm、約0.02mm~約0.2mm、約0.02mm~約0.5mm、約0.02mm~約1mm、約0.02mm~約2mm、約0.02mm~約5mm、約0.05mm~約0.1mm、約0.1mm~約0.2mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約2mm、約0.1mm~約5mm、約0.2mm~約0.5mm、約0.2mm~約1mm、約0.2mm~約2mm、約0.2mm~約5mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約2mm、約0.5mm~約5mm、約1mm~約2mm、約1mm~約5mm、又は約2mm~約5mmであってもよい。
【0077】
上記で定義された架橋性親水性ポリマーは生分解性及び/又は生体適合性である。上記で定義される架橋型親水性ポリマーは、多糖類であるカルボキシメチルセルロースと、各末端が水酸基で封鎖されたポリエチレングリコールに由来する第一置換可能な脂肪族部分と、クエン酸に由来する第二部分とを含むことができる。カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びクエン酸はいずれも独立した生物分解性及び/又は生物適合性であり、したがって、形成された架橋親水性ポリマーも生物分解性である。
【0078】
架橋親水性ポリマーは生体適合性であり、動物や人に安全に摂取されることができる。架橋親水性ポリマーは、摂取する動物や人に悪影響を与えない。
【0079】
架橋親水性ポリマーは液体と接触するとハイドロゲルを形成することができる。
【0080】
このハイドロゲルのレオロジー特性や機械的強度弾性率G'値の範囲は、約100Pa~約10000Pa、約100Pa~約500Pa、約100Pa~約1000Pa、約100Pa~約2000Pa、約100Pa~約5000Pa、約500Pa~約1000Pa、約500Pa~約2000Pa、約500Pa~約5000Pa、約500Pa~約10000Pa、約1000Pa~約2000Pa、約1000Pa~約5000Pa、約1000Pa~約10000Pa、約2000Pa~約5000Pa、約2000Pa~約10000Pa、又は約5000Pa~約10000Paである。
【0081】
特定の弾性率値は、ハイドロゲル摂取後の満腹感の発生に寄与し、野菜中の太い繊維による満腹感に類似している。
【0082】
該ハイドロゲルの媒体取り込み率(MUR)は、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも90、又は少なくとも100とすることができる。該ハイドロゲルの媒体取り込み率の範囲は、約20~約200であってもよい。この媒体は模擬胃液(SGF)であってもよい。
【0083】
少なくとも約70質量%、約80質量%、約90質量%、又は100質量%のハイドロゲルは、0.1mmから約2mmの範囲の大きさを有する粒子の形態の架橋親水性ポリマーを含むことができる。
【0084】
少なくとも約70質量%、約80質量%、約90質量%、又は100質量%のハイドロゲルは、400μmから約800μmの範囲の大きさを有する粒子の形態の架橋親水性ポリマーを含むことができる。
【0085】
ハイドロゲルのタップ密度の範囲は、約0.2g/mL~約2.0g/mL、約0.2g/mL~約0.5g/mL、約0.2g/mL~約1.0g/mL、約0.5g/mL~約1.0g/mL、約0.5g/mL~約2.0g/mL、又は約1.0g/mL~約2.0g/mLであり得る。
【0086】
このハイドロゲルの乾燥重量減少範囲は、約20%(wt/wt)以下、約10%(wt/wt)以下、約5%(wt/wt)以下、約2%(wt/wt)以下、又は約1%(wt/wt)以下の損失とすることができる。ハイドロゲルの乾燥重量減少範囲は、0.1%(wt/wt)~20%(wt/wt)であってもよい。
【0087】
粒子状の架橋親水性ポリマー試料で測定するとき、ハイドロゲルのG'値の範囲は約100Pa~約10000Paであり、媒体取り込み率は少なくとも20であり、ハイドロゲルは約500Pa~10000Paの範囲のG'値と少なくとも50の媒体取り込み率とを有してもよく、少なくとも80%質量の粒子サイズの範囲は0.1mm~2mmであり、タップ密度の範囲は0.5g/mL~1.0g/mLであり、乾燥重量減少率は10%(wt/wt)以下である。
【0088】
この組成物は、リパーゼ阻害剤を含有することができる。
リパーゼ阻害剤は、腸管におけるリパーゼ活性を低下させる物質であってもよい。脂肪が存在すると、膵臓はリパーゼを分泌する。リパーゼ阻害剤の主な作用は消化管による脂肪の吸収を減少させることである。脂肪は便とともに排出され、吸収されずにカロリーの源とならず、個体の体重を減少させる。
【0089】
リパーゼ阻害剤は、脂肪の吸収量に影響を与えるが、特定の種類の脂肪の吸収を阻害しない。同様に、リパーゼ阻害剤は血液に吸収されない。リパーゼ阻害剤は、腸管内のリパーゼと結合し、食物トリグリセリドがモノグリセリド及び脂肪酸に加水分解するのを防止することができる。これにより、食事中の脂肪の吸収が低減される。リパーゼ阻害剤は、リパーゼ上の活性セリン部位に共有結合可能である。この共有結合は強く、リパーゼ阻害剤が依然としてリパーゼに付着している可能性があることを意味する。リパーゼ阻害剤は、個人が1日に摂取するカロリーの40%が脂肪由来である場合に最適な効果を発揮する。リパーゼに結合したリパーゼ阻害剤は脂肪よりも消化管から速やかに排出されるため、リパーゼ阻害剤は1食分に摂取した全脂肪の30%の吸収を阻止することができる。
【0090】
該リパーゼ阻害剤は、以下の成分から選択される。
・テトラヒドロリポスタチン又はオルリスタット(Orlistat)[(2S,3S,5S)-5-[(S)-2-ホルムアミド-4-メチル-バレリルオキシ基]-2-ヘキシル-3-ヒドロキシ-ヘキサデカン酸1、3酸ラクトン]([(2S,3S,5S)-5-[(S)-2-formamido-4-methyl-valeryloxy]-2-hexyl-3-hydroxy-hexadecanoic 1,3 acid lactone])、
・リプスタチン(lipstatin)[(2S,3S,5S,7Z,10Z)-5-[(S)-2-ホルムアミド-4-メチル-バレリルオキシ基]-2-ヘキシル-3-ヒドロキシ-7,10-ヘキサデカジエン酸1,3ラクトン]([(2S,3S,5S,7Z,10Z)-5-[(S)-2-formamido-4-methyl-valeryloxy]-2-hexyl-3-hydroxy-7,10-hexadecadienoic 1,3 acid lactone])、
・FL-386[1-(トランス-4-イソブチルシクロヘキシル)-2-(フェニルスルホニルオキシ)エテノン]([1-(trans-4-isobutylcyclohexyl)-2-(phenylsulfonyloxy)ethenone])、
・WAY-121898[4-メチルピペリジン-1-カルボン酸4-フェノキシフェニルエステル]([4-methylpiperidine-1-carboxylic acid 4-phenoxyphenyl ester])、
・BAY-N-3176[N-[3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル-]N'-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]尿素]([N-[3-chloro-4-(trifluoromethyl)phenyl-]N'-[3-(trifluoromethyl)-phenyl]urea])、
・バリラクトン[N-ホルミル-L-バリン-(S)-1-[[(2S,3S)-3-ヘキシル-4-オキソ-2-オキセタニル]メチル]ヘキシルエステル]([N-formyl-L-valine-(S)-1 -[[(2S, 3S)-3-hexyl-4-oxo-2-oxetanyl]methyl]hexyl ester])、
・エステラーゼ阻害剤[(2S,3S,5S,7Z,10Z)-5-[(S)-2-アセトアミド-3-カルバモイルプロピオニルオキシ]-2-ヘキシル-3-ヒドロキシ-7,10-ヘキサデカジエンラクトン]([(2S,3S,5S,7Z,10Z)-5-[(S)-2-acetamido-3-carbamoylpropionyloxy]-2-hexyl-3-hydroxy-7,10-hexadecadienoic lactone])、
・エベラクトンA[(3S,4S)-4-[(1S,5R,7S,8R,9R,E)-8-ヒドロキシ1,3,5,7,9-ペンタメチル-6-オキソ-3-ウンデシニル]-3-メチル-2-オキセタノン]([(3S,4S)-4-[(1S,5R,7S,8R,9R,E)-8-hydroxy 1,3,5,7,9-pentamethyl-6-oxo-3-undecenyl]-3-methyl-2-oxetanone])、
・エベラクトンB[(3S,4S)-3-エチル-4-[(1S,5R,7S,8R,9R,E)-8-ヒドロキシ-1,3,5,7,9-ペンタメチル-6-オキソ-3-ウンデシニル]-2-オキセタノン]([(3S,4S)-3-ethyl-4-[(1S,5R,7S,8R,9R,E)-8-hydroxy-1,3,5,7,9-pentamethyl-6-oxo-3-undecenyl]-2-oxetanone])、
・RHC80267[1,6-ジ(O-(カルバモイル)シクロヘキサノンオキシム)ヘキサン]([1,6-di(O-(carbamoyl)cyclohexanone oxime)hexane])、
・セチリスタット(ATL-962)[2-(ヘキサデシルオキシ)-6-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-ケトン]([2-(hexadecyloxy)-6-methyl-4H-3,1-benzoxazin-4-ketone])、
及びそれらの任意の混合物である。
【0091】
該架橋親水性ポリマーとリパーゼ阻害剤との組成重量比は、約10よりも大きく、約20よりも大きく、約50よりも大きく、約100よりも大きく、約200よりも大きく、約500よりも大きく、又は約1000よりも大きくすることができる。該架橋親水性ポリマーとリパーゼ阻害剤との組成重量比の範囲は、約10~約20、約10~約50、約10~約100、約10~約200、約10~約500、約10~約1000、約20~約50、約20~約100、約20~約200、約20~約500、約20~約1000、約50~約100、約50~約200、約50~約500、約50~約1000、約100~約200、約100~約500、約100~約1000、約200~約500、約200~約1000、約500~約1000である。
【0092】
該組成物はさらにアミラーゼ阻害剤、グルコシダーゼ阻害剤又はそれらの任意の混合物を含むことができる。
【0093】
アミラーゼ阻害剤及び/又はグルコシダーゼ阻害剤は腸管酵素であってもよく、消化を担当する酵素を抑制することにより炭水化物の吸収を緩和する。アミラーゼ及び/又はグルコシダーゼは加水分解により大きな炭水化物からグルコースを放出することができる。アミラーゼは複雑な澱粉をオリゴ糖に加水分解することができ、グルコシダーゼは小腸内のオリゴ糖、三糖及び二糖をグルコース及び他の単糖に加水分解することができる。これらの酵素を抑制することにより、複雑な炭水化物の消化速度を低下させることができる。炭水化物はグルコース分子に分解されないため、吸収されるグルコースは少ない可能性がある。アミラーゼ阻害剤及び/又はグルコシダーゼ阻害剤を用いる短期的な効果は血糖レベルを低下させ、長期的な効果は糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを低下させる。
【0094】
該アミラーゼ阻害剤は、グルコシダーゼ阻害剤であってもよい。
該アミラーゼ阻害剤及び/又はグルコシダーゼ阻害剤は以下の成分から選択される。
・アカルボース[4,6-ジデオキシ-4-[[[1S-(1α,4α,5β,6α)]-4,5,6-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-2-シクロヘキセン-1-yl]アミノ]-α-D-グルコピラノシル-(1.fwdarw.4)O-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-D-グルコース]([4,6-dideoxy-4-[[[1S-(1α,4α,5β,6α)]-4,5,6-trihydroxy-3-(hydroxymethyl)-2-cyclohexen-1-yl]amino]-α-D-glucopyranosyl-(1.fwdarw.4)O-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-glucose])、
ボグリボース[2(S),3(R),4(S),5(S)-テトラヒドロキシ-N-[2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-エチル]-5-(ヒドロキシメチル)-1(S)-シクロヘキサミン]([2(S),3(R) ,4(S),5(S)-tetrahydroxy-N-[2-hydroxy-1-(hydroxymethyl)-ethyl]-5-(hydroxymethyl)-1(S)-cyclohexamine])、
・ミグリトール[1,5-ジデオキシ-1,5-[(2-ヒドロキシエチル)イミノ]-D-グルシトール]([1,5-dideoxy-1,5-[(2-hydroxyethyl)imino]-D-glucitol])、
・エミグリテート[1,5-ジデオキシ-1,5-[2-(4-エトキシカルボニルフェノキシ)エチルイミノ]-D-グルシトール]([1,5-dideoxy-1,5-[2-(4-ethoxycarbonylphenoxy)ethylimino]-D-glucitol])、
・MDL-25637[2,6-ジデオキシ-2,6-イミノ-7-(β-D-グルコピラノシル)-D-グリセロ-L-グロヘプチトール]([2,6-dideoxy-2,6-imino-7-(β-D-glucopyranosyl)-D-glycero-L-guloheptitol])、
・カミグリボース[1,5-ジデオキシ-1,5-(6-デオキシ-1-O-メチル-α-D-グルコピラノース-6-イルイミノ)-D-グルシトール]([1,5-dideoxy-1,5-(6-deoxy-1-O-methyl-α-D-glucopyranos-6-ylimino)-D-glucitol])、
・プラディマイシンQ[1,5,9,11,14-ペンタヒドロキシ-3-メチル-8,13-ジオキソ-5,6,8,13-テトラヒドロベンゾ[a]ナフタセン-2-カルボン酸]([1,5,9,11,14-pentahydroxy-3-methyl-8,13-dioxo-5,6,8,13-tetrahydrobenzo[a]naphthacene-2-carboxylic acid])、
・サルボスタチン(salbostatin)[1,2-ジデオキシ-2-[2(S),3(S),4(R)-トリヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-5-シクロヘキセン-1(S)-イルアミノ]-L-グルコピラノース]([1,2-dideoxy-2-[2(S),3(S),4(R)-trihydroxy-5-(hydroxymethyl)-5-cyclohexene-1(S)-ylamino]-L-glucopyranose])、
及びそれらの任意の混合物である。
【0095】
架橋親水性ポリマーとアミラーゼ阻害剤及び/又はグルコシダーゼ阻害剤との組成重量比は、約10よりも大きく、約20よりも大きく、約50よりも大きく、約100よりも大きく、約200よりも大きく、約500よりも大きく、又は約1000よりも大きくすることができる。架橋親水性ポリマーアミラーゼ阻害剤及び/又はグルコシダーゼ阻害剤の組成重量比の範囲は、約10~約20、約10~約50、約10~約100、約10~約200、約10~約500、約10~約1000、約20~約50、約20~約100、約20~約200、約20~約500、約20~約1000、約50~約100、約50~約200、約50~約500、約50~約1000、約100~約200、約100~約500、約100~約1000,約200~約500、約200~1000、又は約500~約1000である。
【0096】
該組成物はさらに薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。
用語“薬学的に許容される賦形剤”は以下を含むがそれらに限定されない。溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤、抗真菌剤、等張化剤、遅延吸収剤、希釈剤、充填剤、増粘剤、崩壊剤、乳化剤、滑沢剤、結合剤、着色剤、造膜剤、防腐剤、安定化剤、湿潤剤、塩(浸透圧を変える、又は緩衝剤とする)、可塑剤、抗接着剤、不透明剤等、及びこれらの混合物である。このような媒体又は製剤の薬物活性物質への使用は、当該分野において公知である。従来の媒体や製剤は、組成物と相溶しないものでなければ、治療用組成物や治療・予防方法に使用することが考えられる。また、補助活性化合物を添加してもよい。
【0097】
賦形剤は、以下のものから選択することができるが、これらに限定されるものではない。トラガントガム、アカシア、コーンスターチ、又はゼラチン等の製剤である。リン酸二カルシウム等の賦形剤である。コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、アルギン酸等の崩壊剤である。ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤である。ショ糖、乳糖、又はサッカリン等の甘味剤である。又はハッカ、冬青油又はチェリー調味料等の調味料である。単位剤型がカプセルである場合には、上記タイプの材料に加えて、液体担体を含むことができる。その他の各種の材料はコーティングとして存在してもよく、又は他の方法で用量ユニットの物理的形態を変えて存在してもよい。例えば、セラック及び/又は糖で錠剤、丸剤又はカプセルをコーティングすることができる。シロップ剤又はエリキシル剤は類似物を含むことができ、例えば、甘味料としてのショ糖であり、防腐剤としてメチルパラベン及びプロピルパラベンであり、染料及びチェリー又はオレンジのような調味料である。もちろん、いずれの単位剤型を調製するためのいずれの材料も薬学的に純粋であり、且つ使用される用量において基本的に無毒である。また、この類似体を徐放性製剤及び製剤に添加することができる。
【0098】
一つの実施例において、該賦形剤は経口投与の賦形剤であってもよい。
充填剤又は希釈剤としては、デンプン、ラクトース、マンニトール、セルロース誘導体、微結晶セルロース、デキストラン、粉砂糖等が挙げられる。異なるレベルのラクトースは、ラクトース水和物、DTラクトース(直打法)、無水ラクトース、FlowlacTM(Meggle Productsから取得することができる)、PharmatoseTM(DMVから取得することができる)などを含むがそれらに限定されない。様々なグレードの澱粉には、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、米澱粉、小麦澱粉、プレ糊化澱粉(Signet Chemical Corporationの市販PCS PC10由来)及び1500澱粉、Colorcon由来LMグレード(低含水率グレード)1500澱粉、 完全プレ糊化澱粉 (Essex Grain Productsの市販National 78-1551由来)等が含まれるが、これらに限定されない。異なるセルロース化合物としては、結晶セルロース及び粉末セルロースを用いることができる。結晶セルロース製品の例としては、CEOLUSTMKG801、AvicelTMPH101、PH102、PH301、PH302とPHF20、PH-1 12微結晶セルロースPH1 14、及び微結晶セルロースPH1 12が挙げられるが、これらに限定されない。他の有用な希釈剤としては、クロスカルメロース、糖アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二塩基性リン酸カルシウム、及び三塩基性リン酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(KlucelTM-LF)、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EXF)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒプロメロース(MethocelTM)、ポリビニルピロリドン又はポビドン(PVP-K25、PVP-K29、PVP-K30、PVP-K90)、PlasdoneTMS630(コポリビドン)、アラビアゴム末、ゼラチン、グアーガム、カルボマー(例えば、CarbopolTM)、メチルセルロース、ポリメタクリレート、及び澱粉を含むことができるが、これらに限定されない。
【0100】
崩壊剤は、カルメロースカルシウム(Gotoku Yakuhin Co.,Ltd.由来)、カルボキシメチルスターチナトリウム(Matsutani Kagaku Co.,Ltd.、Kimura Sangyo Co.,Ltd.など由来)、架橋カルメロースナトリウム(Ac-di-solTM、FMC-Asahi Chemical Industry Co.,Ltd.由来)、架橋ポビドンを含むことができるが、これらに限定されない。商用架橋ポビドン製品の例としては、架橋ポビドン、KollidonTMCL[BASF(ドイツ)製]、PolyplasdoneTMXL、XI-10、INF-10[ISP社(米国)製]、及び低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含むことができるが、これらに限定されない。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの例としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースLH11、LH21、LH31、LH22、LH32、LH20、LH30、LH32及びLH33(いずれもShin-Etsu Chemical Co.,Ltd.製)が挙げられるが、これらに限定されない。他の有用な崩壊剤としては、A型澱粉グリコール酸ナトリウム、コロイダルシリカ200、及び澱粉が挙げられる。
【0101】
着色剤は、治療剤の種類や投与量などを示すための色で製剤に付与することができる。適当な着色剤は天然及び/又は人工材料、例えばFD&C着色剤であり、天然濃縮果汁であり、酸化チタン、シリカ、酸化鉄、酸化亜鉛等の顔料及びこれらの組合せ等が挙げられる。
【0102】
潤滑剤としては、フマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearyl fumerate)、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミチン酸、タルク、カルナバワックス、ステアリン酸カルシウムナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウム(sodium or magnesium lauryl sulfate)、せっけんカルシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリオキシエチレンモノステアリン酸、ケイ酸カルシウム、シリカ、水添植物油、油脂、ステアリン酸及びこれらの組合せが挙げられる。
【0103】
流動化助剤は、混合粉体の流動性を向上させ、剤型の重量変化を小さくするために、1種又は2種以上を用いることができる。他の有用な流動化助剤はシリカ、タルク及びその組み合わせを含むがそれらに限定されない。
【0104】
最終的な製剤が固形であれば、コーティングしてもしなくてもよい。また、フィルム形成ポリマー、湿潤剤/乳化剤、可塑剤、粘着防止剤、遮光剤等のその他の賦形剤でコーティングしてもよい。
【0105】
フィルム形成ポリマーは、以下のものを含むことができるが、これらに限定されない。メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース(hydroxymethyethyl celluloses)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等を含む可溶性アルキル又はヒドロアルキルセルロース誘導体のようなセルロース誘導体である。セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテート三量体、メチルヒドロキシプロピルセルロースフタレート、フタル酸ポリビニルアセテート等のような酸性セルロース誘導体である。エチルセルロース及びその類縁体、デキストリン、澱粉及びその誘導体などの不溶性セルロース誘導体である。炭水化物をベースとするポリマー及びその誘導体である。アラビアガム、キサンタンガム、アルギン酸塩、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸エステル(polymethacrylates)及びそれらの誘導体(EudragitTM)などの天然ガムである。キトサン及びその誘導体である。シェラック及びその誘導体である。ワックス及び脂肪族物質である。
【0106】
湿潤剤・乳化剤は次のようなものである。ケノデオキシコール酸、1-オクタンスルホン酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシンナトリウム塩、ドデシル硫酸リチウム、水和物コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SLS又はSDS)等のアニオン性界面活性剤である。セチルピリジニウム塩化物水和物、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の陽イオン界面活性剤である。N-デカノイル-N-メチルグルカミン、オクチルa-D-グルコピラノシド、N-ドデシルb-D-マルトシド(DDM)等の非イオン性界面活性剤である。ポリソルベート等のポリオキシエチレンソルビタンエステルである。本発明の主題に特に適した非イオン性界面活性剤の種類は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド単位の「ブロック共重合体」であるポロキサマーから製造することができる。特に関心のあるポロキサマーの分子量は5000~15500で、特に注目されている。特に、Pluronic(登録商標)F68やポロキサマー188のように、商品名Pluronic(登録商標)で販売されているポロキサマーは、常温で固体の形態で存在するものである。ソルビタンエステル、特に、Tween(登録商標)20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート又はポリソルベート20)又はTween(登録商標)80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート又はポリソルベート80)のようなTween(登録商標)の商品名で販売されるポリオキシエチレン化ソルビタンエステルも使用できる。
【0107】
可塑剤としては、クエン酸アセチルトリブチル、リン酸エステル、フタル酸エステル、アミド、鉱物油、脂肪酸及びエステル、グリセリン、トリアセチン又は糖、脂肪族アルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、及びセトステアリルアルコール(cetostearyl alcohol)、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール等の脂肪族アルコールが挙げられる。
【0108】
薬学的に許容される賦形剤は、充填剤又は希釈剤、崩壊剤、着色剤、潤滑剤、結合剤、増粘剤、成膜剤、湿潤剤又は乳化剤及びそれらの任意の混合物から選択することができる。
【0109】
薬学的に許容される賦形剤は、微結晶セルロース、デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、シリカ、コロイダルシリカ200、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンK30、ポロキサマー(例えばPluronic(登録商標)F68)、フマル酸ステアリルナトリウム及びそれらの任意の混合物から選択することができる。
【0110】
薬学的に許容される補助材料は湿潤剤又は乳化剤であってもよい。架橋剤により架橋された親水性ポリマーにリパーゼ阻害剤を混合する場合、リパーゼ阻害剤を溶解するための湿潤剤及び/又は乳化剤が必要である。
【0111】
賦形剤とリパーゼ阻害剤との重量比は、約0.01~約2、約0.01~約0.02、約0.01~約0.05、約0.01~約0.1、約0.01~約0.2、約0.01~約0.5、約0.01~約1、約0.02~約0.05、約0.02~約0.1、約0.02~約0.2、約0.02~約0.5、約0.02~約1、約0.02~約2、約0.05~約0.1、約0.05~約0.2、約0.05~約0.5、約0.05~約1、約0.05~約2、約0.1~約0.2、約0.1~約0.5、約0.1~約1、約0.1~約2、約0.2~約0.5、約0.2~約1、約0.2~約2、約0.5~約1、約0.5~約2又は約1~約2の範囲である。
【0112】
本発明はまた、リパーゼ阻害剤を架橋剤で架橋された親水性ポリマーと接触させる工程を含む、上記組成物の形成方法を提供する。架橋親水性ポリマーの媒体取り込み率(MUR)が少なくとも20であり、弾性率(G’)値が100Pa~10000Paの範囲であり、架橋親水性ポリマーとリパーゼ阻害剤との重量比が10を超える。
【0113】
この接触工程は、混合又はスプレーであってもよい。
該混合工程は、第1の部分を形成するために、リパーゼ阻害剤を充填剤又は希釈剤及び/又は崩壊剤と物理的に混合することを含むことができる。該混合工程は、さらに、結合剤又は造膜剤と、湿潤剤又は乳化剤とを水に溶解して第2の部分を形成することを含むことができる。
該混合工程は、混合物を形成するために第1の部分に第2の部分を追加することをさらに含むことができる。
該混合物は、さらに混練、造粒及び/又は押出されて、ペレットを形成してもよい。
該混合工程は、さらに、ペレットを乾燥し、篩分することを含むことができる。
該混合工程は、さらに、ペレットと架橋親水性ポリマーとを混合することを含んでいてもよい。
該噴霧工程は、粒子状の架橋親水性ポリマーに、リパーゼ阻害剤、結合剤又は造膜剤、及び湿潤剤又は乳化剤を含有する結合剤溶液を噴霧して被覆粒子を形成することを含むことができる。
該噴霧工程は、被覆粒子と潤滑剤とを混合して被覆粒子混合物を形成することをさらに含んでいてもよい。
該噴霧工程は、被覆粒子混合物を乾燥し、篩い分けることをさらに含むことができる。
【0114】
本発明はまた、上記に定義された方法により得られる組成物を提供する。
本発明はまた、上記のように定義された組成物を含むカプセルを提供する。
各用量単位は上記組成物を含むことができ、その用量範囲は、約400mg~約5500mg、約400mg~約750mg、約400mg~約1000mg、約400mg~約1250mg、約400mg~約1500mg、約400mg~約1750mg、約400mg~約2000mg、約400mg~約3000mg、約750mg~約1000mg、約750mg~約1250mg、約750mg~約1500mg、約750mg~約1750mg、約750mg~約2000mg、約750mg~約3000mg、約750mg~約5500mg、約1000mg~約1250mg、約1000mg~約1500mg、約1000mg~約1750mg、約1000mg~約2000mg、約1000mg~約3000mg、約1000mg~約5500mg、約2000mg~約3000mg、約2000mg~約5500mg又は約3000mg~約5500mgである。
カプセルは、ゼラチンからなり、被験者に経口投与するために用いることができる。
【0115】
本発明はまた、肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)又は慢性特発性便秘の治療、摂取カロリーの低減又は血糖コントロールの改善を目的とする被験者に、上記で定義された治療有効投与量の組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0116】
本明細書で使用される“治療”という用語は、いかなる方式で疾患状態又は症状を改善し、疾患の発生を予防し、又は疾患又は他の不良症状の進行を予防し、阻害し、遅延又は逆転する任意及び全ての用途を指す。
【0117】
当業者は、この組成物の有効で無毒な用量レベル、及びこの組成物が適用される疾患又は状態の治療に適した投与パターンを決定することができる。
【0118】
さらに、当業者に自明なことは、この組成物を所定の日数内に1日にどれだけ服用するかなど、従来の治療コース測定試験を用いて最適な治療コースを決定できることである。
【0119】
この組成物は、単独で投与することができる。あるいは必要に応じて、本発明の組成物は、医薬製剤、動物用製剤又は工業用製剤として投与することができる。本組成物はまた、薬学的に許容される塩を含む適切な塩として存在することができる。
【0120】
1つの実施例では、この組成物は経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。例えば、この組成物は、不活性希釈剤又は吸収性食用担体と共に経口投与することができる。この組成物及び他の成分は、ハードシェル又はソフトシェルのゼラチンカプセルに入れて、打錠するか、又は個人の食事に直接取り入れてもよい。経口投与治療のために、この組成物は、賦形剤と組み合わせて、摂取可能な錠剤、口錠、糖錠、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ビスケット等の形態で使用することができる。
【0121】
有利なことには、胃腸外組成物を単位剤形に配合して、投与及び投与量の均一性を容易にする。本文で使用する場合、「単位剤形」とは、被治療個体の単一用量に適した物理的に離散的な単位をいう。所定の用量を含む各組成物の各単位は、所望の治療効果を得るために所望の医薬用賦形剤と組み合わされるように計算される。
【0122】
この組成物は、便宜的かつ効果的な投与のために、適切な薬学的に許容可能な賦形剤と共に、用量単位に有効な量で配合することができる。補足的有効成分を含む組成物の場合、その用量は、上記成分の常用用量及び投与方法を参照して決定することができる。
【0123】
単位剤形は、例えば、丸薬、タブレット、カプセル、トローチ、フレーク又はビスケットのような固体形態であってもよく、溶液又は乳剤のような液体形態であってもよい。
【0124】
所期の効果を達成するために、膨潤度によって、単位剤型あたりの架橋親水性ポリマーの使用量の範囲は、約400mg~55000mg、約400mg~約1000mg、約400mg~約1500mg、約400mg~約2000mg、約400mg~約2500mg、約400mg~約3000mg、約400mg~約5000mg、約400mg~約10000mg、約400mg~約25000mg、約1000mg~約1500mg、約1000mg~約2000mg、約1000mg~約2500mg、約1000mg~約3000mg、約1000mg~約5000mg、約1000mg~約10000mg、約1000mg~約25000mg、約1000mg~約50000mg、約1500mg~約2000mg、約1500mg~約2500mg、約1500mg~約3000mg、約1500mg~約5000mg、約1500mg~約10000mg、約1500mg~約25000mg、約1500mg~約55000mg、約2000mg~約2500mg、約2000mg~約3000mg、約2000mg~約5000mg、約2000mg~約10000mg、約2000mg~約25000mg、約2000mg~約55000mg、約2500mg~約3000mg、約2500mg~約5000mg、約2500mg~約10000mg、約2500mg~約25000mg、約2500mg~約55000mg、約3000mg~約5000mg、約3000mg~約10000mg、約3000mg~約25000mg、約3000mg~約55000mg、約5000mg~約10000mg、約5000mg~約25000mg、約5000mg~約55000mg、約10000mg~約25000mg、約10000mg~約55000mg又は約25000mg~約55000mgである。
【0125】
所期の効果を達成するために、単位剤型あたりのリパーゼ阻害剤の使用量は、約10mg~約1000mg、約10mg~約20mg、約10mg~約50mg、約10mg~約100mg、約10mg~約200mg、約10mg~約500mg、約20mg~約50mg、約20mg~約100mg、約20mg~約200mg、約20mg~約500mg、約20mg~約1000mg、約50mg~約100mg、約50mg~約200mg、約50mg~約500mg、約50mg~約1000mg、約100mg~約200mg、約100mg~約500mg、約100mg~約1000mg、約200mg~約500mg、約200mg~約1000mg又は約500mg~約1000mgである。
【0126】
所期の効果を達成するために、単位剤型あたりのアミラーゼ阻害剤及び/又はグルコシダーゼ阻害剤の使用量は、約10mg~約1000mg、約10mg~約20mg、約10mg~約50mg、約10mg~約100mg、約10mg~約200mg、約10mg~約500mg、約20mg~約50mg、約20mg~約100mg、約20mg~約200mg、約20mg~約500mg、約20mg~約1000mg、約50mg~約100mg、約50mg~約200mg、約50mg~約500mg、約50mg~約1000mg、約100mg~約200mg、約100mg~約500mg、約100mg~約1000mg、約200mg~約500mg、約200mg~約1000mg又は約500mg~約1000mgである。
【0127】
所期の効果を達成するために、単位剤型あたりの医薬用賦形剤の使用量の範囲は、約20mg~約2000mg、約20mg~約50mg、約20mg~約100mg、約20mg~約200mg、約20mg~約500mg、約20mg~約1000mg、約50mg~約100mg、約50mg~約200mg、約50mg~約500mg、約50mg~約1000mg、約50mg~約2000mg、約100mg~約200mg、約100mg~約500mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約2000mg、約200mg~約500mg、約200mg~約1000mg、約500mg~約2000mg又は約1000mg~約2000mgである。
【0128】
固体形態の単位剤形は、さらに、薬学的に許容される賦形剤でコーティングされてもよい。単位剤型のコーティングは流動層処理器(fluid bed processor)において底部噴霧、頂部噴霧又は接線噴霧アタッチメントを用いて行うことができる。単位剤形の流動性、作業性及び他の特性は、単位剤形にコーディングされる適切な薬学的に許容される賦形剤を選択し、噴霧速度及び流動化の程度のようなプロセス変数を変更することによって容易に制御することができる。
【0129】
一つの実施例において、この組成物は、単剤又は多剤で投与されてもよい。一つの実施例において、この組成物は、単剤、二剤、三剤又は四剤で投与される。別の実施例において、該組成物は以下の間隔で投与することができるがこれらに限定されない。1時間ごと、1日ごと、1日2回ごと、1日3回ごと、1日4回ごと、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、2ヶ月ごと、1ヶ月ごと、又はそれらの組み合わせである。
【0130】
一般的に、24時間あたりの有効用量の範囲は、約0.001mg~約500mg/kg体重、約0.001mg~約0.01mg/kg体重、約0.001mg~約0.1mg/kg体重、約0.001mg~約1mg/kg体重、約0.001mg~約10mg/kg体重、約0.001mg~約100mg/kg体重、約0.01mg~約500mg/kg体重、約0.01mg~約0.1mg/kg体重、約0.01mg~約1mg/kg体重、約0.01mg~約10mg/kg体重、約0.01mg~約100mg/kg体重、約0.1mg~約500mg/kg体重、約0.1mg~約1mg/kg体重、約0.1mg~約10mg/kg体重、約0.1mg~約100mg/kg体重、約1mg~約500mg/kg体重、約1mg~約10mg/kg体重、約1mg~約100mg/kg体重、約10mg~約500mg/kg体重、約10mg~100mg/kg体重である。より好適には、24時間当たりの有効投与量は、約10mg~約500mg/kg体重、約10mg~約250mg/kg体重、約50mg~約500mg/kg体重、約50mg~約200mg/kg体重、又は約50mg~約100mg/kg体重である。
【0131】
通常の有効投与量は、週1回ごと、週2回ごと、週3回ごと、1日ごと、1日2回ごと、又は1日3回ごととすることができる。
【0132】
従来の有効用量は、1日に2回又は3回であってもよく、各剤は、上記で定義されたように、1、2、3、4または5個の単位剤形を含むことができる。
【0133】
各剤は、約1g~約6g、約1g~約2g、約1g~約3g、約1g~約4g、約1g~約5g、約2g~約3g、約2g~約4g、約2g~約5g、約2g~約6g、約3g~約4g、約3g~約5g、約3g~約6g、約4g~約5g、約4g~約6g、又は約5g~約6gの上記定義のような組成物を含むことができる。
【0134】
各剤は、2~8個単位剤形、2~3個単位剤形、2~4個単位剤形、2~5個単位剤形、2~6個単位剤形、2~7個単位剤形、3~4個単位剤形、3~5個単位剤形、3~6個単位剤形、3~7個単位剤形、3~8個単位剤形、4~5個単位剤形、4~6個単位剤形、4~7個単位剤形、4~8個単位剤形、5~6個単位剤形、5~7個単位剤形、5~8個単位剤形、6~7個単位剤形、6~8個単位剤形、又は7~8個単位剤形の上記で定義した組合せ物を含むことができる。
【0135】
1剤当たり約2.25gの上記定義の組成物を含むことができ、4つの単位剤形で投与され、カプセル形態の各単位剤形は、上記定義の組成物を約0.5625g含むことができる。
【0136】
1剤当たり約2.24gの上記定義の組成物を含むことができ、4つの単位剤形で投与され、カプセル形態の各単位剤形は、上記定義の組成物を約0.56g含むことができる。
【0137】
1剤当たり約2.16gの上記定義の組成物を含むことができ、4つの単位剤形で投与され、カプセル形態の各単位剤形は、上記定義の組成物を約0.54g含むことができる。
【0138】
この組成物は、食前に投与することができる。食前約10分~約1時間、約10分~約20分、約10分~約30分、約10分~約45分、約20分~約30分、約20分~約45分、約20分~約1時間、約30分~約45分、約30分~約1時間、又は約45分~約1時間に投与することができる。
【0139】
この組成物は、水と共に服用することができる。この組成物は、約100mL~約700mL、約100mL~約250mL、約100mL~約500mL、約250mL~約500mL、約250mL~約700mL、又は約500mL~約700mLの水で投与される。
【0140】
本発明の組成物は、他の既知の疾患や症例の治療に併用することができる。該組成物を含む活性剤の組み合わせは相乗的に作用することができる。
被験者は以下のリスク又は以下の疾患を有する動物に限定されず、例えば肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)又は慢性特発性便秘である。また、被験者には、カロリーの減少や血糖コントロールの改善が求められている。一つの実施例において、動物は人間である。
【0141】
本発明はまた、上記定義の組成物を提供し、肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)又は慢性特発性便秘の治療、また、カロリーの減少や血糖コントロールのために用いられる。
【0142】
本発明はまた、上記定義の組成物が肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)又は慢性特発性便秘の治療、また、カロリーの減少や血糖コントロールのための薬物の調製における用途を提供する。
【0143】
健康な被験体を減量又は体形改善する方法であって、上記のように定義された組成物を被験体に経口投与する工程を含む方法も提供する。
【0144】
「実施例」
本発明の非限定的な実施例は、具体的な実施例を参照してさらに詳細に説明されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
「材料」
カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム塩はアシュランド社(Ashland Inc.)から得られた。ポリエチレングリコール(PEG)はシグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich)から購入し、改質せずに使用した。クエン酸(CA)は東京化成工業株式会社(Tokyo Chemical Industry,TCI)から得られ、改質せずに使用した。対照のオルリスタットカプセルゼニカル(120mg)はロシュ(Roche)(ロット番号:M2383M3)から購入した。オルリスタットの活性薬物成分(API)は「浙江海正薬業股▲ふん▼有限公司」から購入した。賦形剤の微結晶セルロース(MCC)、ポリビニルピロリドン(PVP K30)、カルボキシメチルスターチナトリウム(CMS-Na)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)はアシュランド社(Ashland Inc.)から購入した。架橋ポリアクリレートSAP(Waste Lock(登録商標)770)はM2ポリマーテクノロジーズ(M2 Polymer Technologies)から購入した。医薬品の製造及び試験に関連するその他の化学物質は、シグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich)から購入し、そのまま使用した。
【0145】
実施例1: 合成
架橋剤の合成
クエン酸(CA,1g)を10mLの脱イオン水に溶解する。ポリエチレングリコール(PEG,10g)を秤量してCA溶液と混合する。十分に溶解した溶液を、シリコーンオイルバスを備えたロータリーエバポレーター(IKA)のフラスコに入れる。回転フラスコ中の溶液を100℃で0.5時間加熱した後、オイルバスの温度を120℃まで徐々に上げる。凝縮を用いない場合は、フラスコ中の水を2時間後に全て蒸発させ、フラスコ中に粘稠な黄色ペーストを発生させる。室温(RT)まで冷却した後、得られた粘稠ペーストを脱イオン水(DI)に溶解して50mL溶液とし、そのうち1.0mL(20mgCAに相当する)をさらなる架橋反応に用いる。
【0146】
高吸収性ポリマー(SAP)の調製
1Lビーカーに脱イオン水(700ミリリットル)を加え、ANGNIモータスターラーで60rpmの回転数で攪拌する。同量のクエン酸含有量(CA20mg相当)を有するスペーサー架橋剤溶液を水に添加する。その後、溶液にCMC(10g)を加え、120rpmで2時間、室温で攪拌した後、60rpmで24時間攪拌する。最後の均質溶液をステンレストレイに注ぎ、溶液の厚さが2cm未満である。トレイを50℃のコンベクションオーブン(Lantian)に24時間放置する。オーブンからトレイを取り出し、乾燥させたCMCシートを逆さにし、トレイをオーブンに戻し、重量変化が観察されなくなるまで、50℃で12~24時間維持する。
【0147】
完全に乾燥した後、切断粉砕機(Philips)によりCMC片を粉砕する。粒状物を0.1mmから2mmの粒径に篩い分け、トレイ上に広げ、120℃のコンベクションオーブン(Binder)中で2~4時間架橋する。得られた架橋重合体ハイドロゲルを脱イオン水で4時間以上洗浄し、洗浄液を2回交換して未反応試薬を除去する。洗浄段階では、ネットワークの弛みを増加させることにより、ハイドロゲルの媒体取り込み能力を増加させる。洗浄後、ハイドロゲルをトレイに置き、重量変化が見られなくなるまで50℃のオーブン(Lantian)で12~24時間放置する。乾燥したハイドロゲル重合体を粉砕し、粒径が0.1mm~1mmになるように篩い分ける。
【0148】
組成物及びカプセルの調製:方法1
本発明の方法の第1ステップは、以下の実施例2-4、6-7に従って薬物ペレットを調製することである。実施例2の式Aの例では、オルリスタット(API,120g)、微結晶セルロース(MCC,93.6g)、カルボキシメチルスターチナトリウム(CMS-Na,7.2g)を乾燥混合機(深セン市信宜特科技有限公司)で1時間混合してA部を得る。ポリビニルピロリドン(PVP K30,12g)とドデシル硫酸ナトリウム(SDS,7.2g)を精製水100mlに溶解し、均質化処理してB部を得る。A部分にこのB部分を加え、湿式ミキサー(深セン市信宜特科技有限公司)を用いて混練する。得られたペーストは造粒され、押出機に通される。その後、押出物を球形化装置(spheronizer)(深セン市信宜特科技有限公司)に通してペレットを形成する。得られた湿ったペレットは、タルクとともに流動層乾燥機(深セン市信宜特科技有限公司)で30℃で30分間乾燥した後、ふるいにかけられる。粒径0.1~0.8mmの部分を薬物ペレットとして収集する。
調製した架橋カルボキシメチルセルロース(X-CMC)SAP顆粒(2kg)を薬物ペレット(240.24g)と混合して十分に均質化する。得られた顆粒混合物を実施例2に示す量で硬質ゼラチンカプセル(温州華旭の機械を使う)に注入し、更に試験又は評価のために適切に密封する。
【0149】
組成物及びカプセルの調製:方法2
上記2段階の処理に加えて、リパーゼ阻害剤を含む結合剤溶液をSAP顆粒の表面にコーティングすることにより、組成物及びカプセルを得る方法がある。すなわち、オルリスタット(API,120g)、ポリビニルピロリドン(PVP K30,30g)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS,8g)を精製水300mLに溶解し、均質化処理して結着剤溶液を得る。調製されたSAP乾燥顆粒(400g)を底部から流動床(深セン市信宜特科技有限公司)のチャンバに吹き込み、結合剤溶液を頂部から噴霧し、且つSAP顆粒と均一に混合する。30°Cで20分間乾燥させた後、薬剤を塗布したSAP顆粒を底から収集し、フマル酸ステアリルナトリウム(2g)と混合する。粒径0.1~0.8mmの部分を集め、実施例5に示した量で硬質ゼラチンカプセル(温州華旭の機械を使う)に注入し、更に試験又は評価のために適切に密封する。
【0150】
平衡膨潤試験
水媒体に30分間浸漬した固体試料について、媒体摂取測定を行う。37%塩酸7mL、2gNaCl及び3.2gペプシンを脱イオン(DI)水で混合して標準擬似胃液(SGF)を調製する。 固体が溶解した後、さらに水を加えて体積を1Lにする。DI水8部とSGF1部を混合して希釈SGF(Di-SGF)を調製した後、乾燥したSAPを含む丸剤/カプセルが水と共に摂取された胃液をシミュレーションする。
Di-SGF中のSAPの媒体摂取率(MUR)は以下の方法で測定する。乾燥したガラス漏斗をホルダーに載せ、40gの精製水を漏斗に注ぐ。漏斗のネック部に液滴が検出されなくなると(約5分)、漏斗を乾燥した空ガラスビーカー(ビーカー#1)に入れ、該ビーカーを秤(tared scale)にセットして空デバイスの重量(W1)を記録する。Di-SGF溶液40gを以上の定義で調製し、ビーカー#2に入れる。秤量紙を用いてSAP0.25gを精秤する。ビーカー#2にSAPを入れ、マグネチックスターラーにて、渦流を発生させずに30分間軽く撹拌する。懸濁液を生成した後に撹拌棒を取り外し、漏斗をホルダーに置き、且つ懸濁液を漏斗に注ぎ、10±1分間水切りする。水切り後の材料を入れた漏斗をビーカー#1内にセットして秤量する(W2)。媒体摂取率(MUR)は、式MUR=(W2-W1)/0.25により算出する。測定は3回繰り返す。
【0151】
機械的強度試験
SAPハイドロゲルの粘弾性を以下の方法で測定する。上述の平衡膨潤のMUR試験方法により新たにハイドロゲルを調製する。簡単に言えば、0.25gのSAP粉末を40gのDi-SGF溶液に浸し、30分間攪拌する。膨潤した懸濁液をろ過漏斗に注いで10分間水切りし、得られたハイドロゲルを回収してレオロジー試験を行う。
Peltier板を備えた直径40mmの上下平板(クロスハッチングのパターン)レオメーター(TA Discovery HR-30)を用いて小変形振動測定を行う。すべての測定は、Peltierセンサーを使用して、25度で4mmの間隔で行う。0.1rad/sec~50rad/secの周波数範囲で弾性率G’を求め、歪みを0.1%に固定する。レオメーターを用いてハイドロゲルに対して走査周波数試験を行い、角周波数10rad/sにおける値を測定する。測定を3回繰り返す。報告されたG’の値は3回の測定結果の平均値である。
【0152】
薬物溶出試験方法
USP40-NF35(オルリスタットカプセル)による薬物溶出試験を行う。簡単に言えば、液体媒体で満たされた溶解カップにカプセルを浸す。温度と攪拌速度は以下のように設定する。一定時間経過後、溶液5mLを抽出してろ過し、HPLCによる定量測定を行い、活性薬物成分(API)濃度を分析する。
具体的には、次のパラメータを使用する。
媒体:水に3%ドデシル硫酸ナトリウムと0.5%塩化ナトリウムを加える。媒体10L当たりn -オクタノールを1-2滴添加し、リン酸でpHを6.0に調整する。溶出媒体体積は900mLに固定する。
撹拌速度:75rpm
撹拌時間:45分間
移動相:アセトニトリルと水(860:140)
標準溶液:オルリスタット基準(RS)約13mgを100mLメスフラスコに移す。アセトニトリル2mLに溶解し媒体で体積を希釈する。
試料溶液:測定対象溶液の一部は、0.2μmの孔径を有する適切なフィルターに通す。
流速:2.0mL/分間
試料注入量:50ml
相対標準偏差:2.0%未満
溶解したオルリスタット(C2953NO)の標識量のパーセンテージは、次式で計算される:
結果=(r/r)×(C/L)×V×100
=試料溶液からのピーク応答
=標準溶液からのピーク応答
=標準溶液濃度(mg/mL)
L=標示値(mg/カプセル)
V=媒体体積、900mL
許容範囲:>標識量の75%(Q)以上のオルリスタット(C2953NO)が溶解した。
【0153】
実施例2 製剤A
[表1]
製剤Aの成分
【0154】
実施例3 製剤B
[表2]
製剤Bの成分
【0155】
実施例4 製剤C
[表3]
製剤Cの成分
【0156】
実施例5 製剤D
[表4]
製剤Dの成分
【0157】
実施例6 製剤E
[表5]
製剤Eの成分
【0158】
実施例7 製剤F
[表6]
製剤Fの成分
【0159】
実施例8:製剤Aの評価
対照のオルリスタットカプセルゼニカル(ロシュ)と比較して、製剤Aは、模擬胃液水溶液(SGF)と接触すると速やかに分解・膨潤する高吸収性ポリマー(SAP)ハイドロゲルを約90%含有している。膨潤率に寄与しない約10%の薬物ペレットがあっても、製剤Aの媒体摂取率(MUR)は重量で約117.8であり、純SAPハイドロゲルに近い。このことから、SAPとオルリスタット薬物ペレットの結合はSAPの胃酸性環境での吸水能力に影響を与えない。従って、SAPハイドロゲルは、オルリスタットと共に胃占有器具の一種であることが確認された。同様の結論は、架橋カルボキシメチルセルロース(X-CMC)の代わりにポリアクリレートSAPを用いた製剤B(後述する)によっても得られる。
USP40-NF35(オルリスタットカプセル)薬物溶出度試験方法に基づき、対照のオルリスタットカプセルゼニカルと製剤Aとの体外溶出度(DS)はいずれも45分程度であり、且つ(100%から110%)に非常に近く、いずれも>75%の耐性要求を通過する。すなわち、添加したSAPハイドロゲルは、オルリスタットの溶出やバイオアベイラビリティー特性に影響を与えない。
【0160】
実施例9:製剤B-Fの評価
本開示の他の実施例は、他の非多糖類SAPハイドロゲルを使用すること、及び、炭水化物からのカロリー摂取を減少させるために、アミラーゼ又はグルコシダーゼ阻害剤のような追加の活性薬剤成分(APIs)を加えることを含む。実施例3及び実施例4に記載された製剤B及び製剤Cは、それぞれ、そのような実施例に関する詳細な構成要素を提供する。同様に、実施例1で説明したものと同様の錠剤及びカプセル化プロセスを採用する。
実施例5の製剤Dでは、SAPハイドロゲルが直接リパーゼ阻害剤でコーティングされており、これにより、調製プロセスが最適化され、薬剤の分散の均一性が向上する。
実施例6及び実施例7の製剤E及び製剤Fは、それぞれ60mg用量のオルリスタットカプセルの詳細な成分を提供し、薬物ペレットのAPI濃度はそれぞれ40%及び30%である。60mgの市販オルリスタットカプセルはグラクソ・スミスクライン社(GSK)からのもので、ブランドはAlli(登録商標)であり、すでに米国食品薬物監督管理局(FDA)の承認を得て、非処方(OTC)ダイエット製品として販売されている。
表7から分かるように、製剤B-Fの溶出度(DS)、MUR、G’などの基本的性質は製剤Aと類似しており、このことから、この発明の組成物が多機能性と柔軟性を有することが証明された。
[表7]
製剤A-Fのオルリスタット溶出度(DS)、媒体取り込み率(MUR)及び弾性率(G’)特性の比較
【0161】
実施例10 賦形剤の効果
オルリスタットの溶出度、MUR及びG’の値を測定し、さらに、製剤Aに対する賦形剤の影響を調べるため、直交実験を行う。具体的には、製剤A中の賦形剤の使用量はそれぞれ異なり、表8に示すように、崩壊剤(CMS-Na)と界面活性剤(SDS)濃度が製剤の溶出特性に与える影響はより顕著であることが分かる。しかし、表8中のすべてのサンプルは要求通りに75%の溶出度要求をクリアした。サンプル中のSAPの全体的な物性は、MUR105-130とG’1650-1850Paの間の狭い範囲で安定している。
[表8]
賦形剤の使用量を変化させた製剤Aの、オルリスタット溶出度(DS)、媒体取り込み率(MUR)及び弾性率(G’)特性
【0162】
実施例11:人間ボランティアによる丸剤製剤Aの研究
肥満と消化管への副作用の治療におけるSAPハイドロゲルとリパーゼ阻害剤の相乗効果を検証するために、2名の中年の健康な男性ボランティアに、製剤Aと対照的なオルリスタットカプセルゼニカルの試験を実施し、ボランティアは12週間の通常の平均混合食事を受けた。製剤Aの投与には、ボランティアIが500mlの水とともに4カプセル(SAP2gとオルリスタット120mgを合計用量として含む)を食前30分以上服用した。志願者IIは、製造者の指示に従い、ゼニカルカプセル(120mgオルリスタットを含む)を服用した。表9に示すように、12週間後には、同じ初期体格指数(BMI)を持っていたにもかかわらず、ボランティアIはボランティアIIと比較して体重が著しく減少した(それぞれ5.6%と3.4%)。2人のボランティアが同じ量のリパーゼ阻害剤を服用したことを考慮すると、ボランティアIの著しい減量は、SAPハイドロゲルに起因すると考えられ、これは胃容積を占める器具としてボランティアIの摂取カロリーを減少させるのに役立つ。
ボランティアに対し、脂肪便の定量的評価(糞便脂肪%)及び定性的評価(QOLスコア)を含むオルリスタットの副作用評価を行った。対照結果は、製剤Aが対照例より顕著な優位性を示した:ボランティアIの糞便脂肪%は15%から19%にわずかに増加したが、同じオルリスタット投与量では、ボランティアIIの糞便脂肪%はほぼ2倍に増加した。
[表9]
製剤Aとゼニカルの人体への影響の比較
※Wは週
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明は、肥満症、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、慢性特発性便秘の治療、及びカロリー摂取の減少又は血糖制御の改善に用いることができる。
明らかなことは、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、前述の開示を読んだ後に、本発明の様々な他の修正及び変更が当業者にとって自明であり、そのような修正及び変更はすべて、添付の請求項の範囲内に入ることを意図していることである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
リパーゼ阻害剤、及び親水性ポリマーと架橋剤で形成された架橋親水性ポリマーを含み、
前記架橋親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)が20以上であり、弾性率(G')の値が100Pa~10000Paの範囲であり、
前記架橋親水性ポリマーと前記リパーゼ阻害剤の重量比は10より大きい、ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
前記架橋親水性ポリマーはハイドロゲルである、ことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記架橋親水性ポリマーは粉末形態であり、粉末粒径範囲は0.01mm~5mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記親水性ポリマーは多糖類、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、エチレン無水マレイン酸ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、架橋ポリエチレンオキサイド、澱粉グラフトポリアクリロニトリル、及びそれらのいずれかの共重合体から選択される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記親水性ポリマーは多糖類であって、
前記多糖は以下の化合物又はその誘導体、
デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン、アミロース、デキストラン、キチン、プルラン、ジェランガム、キシラン、カラギーナン、寒天、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、ペクチン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酸化セルロース、カルボキシメチルセルロース、ガラクトマンナン、アルギン酸塩、キトサン、シクロデキストリン、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン、皮膚素、及び天然又はジアセチル化形態のグルコサミン残基を有する多糖及びその任意混合物から選択される、ことを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記架橋剤は少なくとも二つの反応性基を含み、前記少なくとも二つの反応性基はそれぞれ、ヒドロキシル基、ビニル基、アクリル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アミド基、カルボン酸基、エステル基、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記架橋親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)は、20~200の範囲である、ことを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記架橋剤が、第一置換可能な脂肪族部分を含むスペーサー架橋剤であり、前記第一置換可能な脂肪族部分の各末端に、少なくとも二つのカルボン酸基を含む第二部分で末端封止されている、ことを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記スペーサー架橋剤は、下記式(I)を含み、
A-L-Z-L-A (I)
ここで、Zは前記第一置換可能な脂肪族部分であり、
Aは、少なくとも2つのカルボン酸基を含む前記第二部分であり、
Lは連結基である、ことを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第一置換可能な脂肪族部分は、少なくとも2個の水酸基を有する第一置換可能な脂肪族分子から誘導され、少なくとも2個のカルボン酸基を有する前記第二部分は、少なくとも3個のカルボン酸基を有する第2分子から誘導される、ことを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記リパーゼ阻害剤は、リプスタチン、テトラヒドロリポスタチン(オルリスタット)、FL-386、WAY-121898、BAY-N-3176、バリラクトン、エステラスチン(esterastin)、エベラクトンA、エベラクトンB、RHC80267、セチリスタット、及びそれらの任意の混合物から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
アミラーゼ阻害剤、グルコシダーゼ阻害剤、又はそれらの任意の混合物をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記アミラーゼ阻害剤及び/又は前記グルコシダーゼ阻害剤は、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール、エミグリテート、カミグリボース、プラディマイシンQ、サルボスタチン、及びそれらの任意の混合物から選択される、ことを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記架橋親水性ポリマーと、前記アミラーゼ阻害剤及び/又は前記グルコシダーゼ阻害剤との組成重量比が、10より大きい、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、潤滑剤、結合剤、成膜剤、湿潤剤又は乳化剤、及びそれらの任意の混合物から選択する、ことを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記賦形剤と前記リパーゼ阻害剤の重量比の範囲は、0.01~2である、ことを特徴とする請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1、11のいずれか1項に記載の組成物を形成する方法であって、
リパーゼ抑制剤と、架橋親水性ポリマーとを接触させるステップを含み、
前記架橋親水性ポリマーの媒体摂取率(MUR)が20以上であり、弾性率(G')の値が100Pa~10000Paの範囲であり、
ここで、前記架橋親水性ポリマーと前記リパーゼ阻害剤との重量比は、10より大きい、ことを特徴とする組成物を形成する方法。
【請求項19】
請求項1~3、11~13、15のいずれか1項に記載の組成物を含む、ことを特徴とするカプセル。
【請求項20】
所望の被験者における肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性特発性便秘の治療、摂取カロリーの低減又は血糖コントロールの改善方法であって、
請求項1~3、11~13、15のいずれか1項に記載の組成物の治療有効量を被験体に投与する、ことを特徴とする方法。
【請求項21】
肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性特発性便秘の治療、摂取カロリーの低減又は血糖コントロールの改善を目的とする、ことを特徴とする請求項1の組成物
【請求項22】
肥満、糖尿病前期、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性特発性便秘の治療、摂取カロリーの低減又は血糖コントロールの改善のための医薬の製造、を特徴とする請求項1~3、11~13、15、16のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項23】
前記組成物が経口投与されたか、又は経口投与されるべきである、ことを特徴とする請求項21に記載の組成物
【請求項24】
経口投与されたか又は経口投与されるべき請求項12、13、15、16のいずれか1項に記載の組成物の単位剤形は、前記架橋親水性ポリマー400mg~55000mg、前記リパーゼ阻害剤10mg~1000mg、任意選択の前記アミラーゼ阻害剤及び/又はグルコシダーゼ阻害剤10mg~1000mg、任意選択の前記薬学的に許容される賦形剤20mg~2000mgを含む、ことを特徴とする請求項21に記載の組成物
【国際調査報告】