(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】グロメット
(51)【国際特許分類】
F16L 5/02 20060101AFI20240905BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240905BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20240905BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
F16L5/02 A
F16J15/10 N
F16J15/10 U
H02G3/22
B60R16/02 622
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515609
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2022073189
(87)【国際公開番号】W WO2023036584
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524091526
【氏名又は名称】レオニ ワイヤリング システムズ フランス エスエーエスユー
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク マテ
【テーマコード(参考)】
3J040
5G363
【Fターム(参考)】
3J040EA01
3J040EA15
3J040EA17
3J040FA06
3J040HA03
3J040HA30
5G363AA01
5G363AA03
5G363AA12
5G363BA01
5G363BA07
5G363CB08
(57)【要約】
密閉リップ(4)を備えたグロメットであって、密閉リップ(4)は、軸方向(A)に延びる長手方向軸の周りに延びており、密閉リップ(4)が圧縮可能であるように構成されたばねセクション(10)を有する、グロメット。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉リップ(4)を有し、
- 前記密閉リップ(4)が、軸方向(A)に延びる長手方向軸(L)の周りに延び、
- 前記密閉リップ(4)が、前記密閉リップ(4)が圧縮可能であるように構成されたばねセクション(10)を有する、
グロメット(2)。
【請求項2】
前記ばねセクション(10)がばね機能を実現し、それにより前記密閉リップ(4)が少なくとも前記軸方向(A)に圧縮可能である、
請求項1に記載のグロメット(2)。
【請求項3】
前記密閉リップ(4)が機械的負荷を受けたときに、取付面(6)上に追加の設置スペースが必要とされず、代わりに、前記ばねセクション(10)が圧縮され、かくして前記取付面(6)上の前記密閉リップ(4)が拡張されることなく前記機械的負荷を吸収するように、前記ばねセクション(10)が、前記密閉リップ(4)の圧縮を可能にするように構成されている、
請求項1又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項4】
前記密閉リップ(4)が半径方向(R)外側に接続される内側本体(14)を有し、
前記密閉リップ(4)が、前記ばねセクション(10)に付加され、取り付け後に取付面(6)に直接接触する端部セクション(20)を備え、
前記ばねセクション(10)が、前記内側本体(14)を前記端部セクション(20)に回動可能に接続する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項5】
前記端部セクション(20)が負荷の間に拡張されず、したがって前記取付面(6)上により多くの設置スペースを必要とせず、代わりに、前記端部セクション(20)が前記取付面(6)上で変化しない位置に留まるか又は前記取付面(6)上で内側に移動するように前記ばねセクション(10)が弧を描くように、前記密閉リップ(4)が構成される、
請求項4に記載のグロメット(2)。
【請求項6】
前記端部セクション(20)が取付面(6)に取り付けられたときに前記半径方向(R)に転がり及び/又は滑り運動を行い、それによって前記ばねセクション(10)を変形させ、前記密閉リップ(4)を前記軸方向(A)に圧縮するように、前記端部セクション(20)が丸められる、
請求項4又は5に記載のグロメット(2)。
【請求項7】
前記ばねセクション(10)は、前記密閉リップ(4)が、非圧縮状態において前記軸方向(A)に広がり、圧縮状態において前記半径方向(R)に外側に膨らむように、構成されている、
請求項1~6のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項8】
前記ばねセクション(10)は、前記グロメット(2)内部の容積が維持又は増加されるように外側に膨らむように構成され、前記容積は、前記グロメット(2)と取付面(6)との間に囲まれる容積として定義される、
請求項7に記載のグロメット(2)。
【請求項9】
前記密閉リップ(4)が前記長手方向軸(L)に対して角度(W)で延び、前記角度(W)は非圧縮状態において2°から30°の範囲内である、
請求項1~8のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項10】
前記ばねセクション(10)がばね状であり、前記ばねセクション(10)は、互いに接続し、その結果、前記ばねセクション(10)を全体として関節状又はヒンジ状にする、複数のセグメント(22)を有する、
請求項1~9のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項11】
前記セグメント(22)の少なくとも2つが、回動を容易にするために、接続点において、曲げ、折り目、段差、肩部、切り欠き、溝等が形成されるように、前記接続点において互いに回動可能に接続され、
及び/又は、
前記セグメント(22)の少なくとも2つが、回動を容易にするために、接続点において、前記ばねセクション(10)が前記半径方向(R)に測定したときに減少した厚さを有するように、前記接続点において互いに回動可能に接続されている、
請求項10に記載のグロメット(2)。
【請求項12】
前記ばねセクション(10)が、前記長手方向軸(L)に沿った断面で見た場合に、段差の付いた形状又は蛇行した形状である、
請求項1~11のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項13】
前記密閉リップ(4)が端部セクション(20)を備え、前記端部セクション(20)は、塊状セクションとして構成され、前記半径方向(R)で測定した場合に前記ばねセクション(10)よりも厚い、
請求項1~12のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項14】
前記塊状セクションが、前記長手方向軸(L)に沿った断面において球状又は滴状である、請求項13に記載のグロメット(2)。
【請求項15】
前記塊状セクションが4mmから5mmの範囲の厚さ(D)を有する、
請求項13又は14に記載のグロメット(2)。
【請求項16】
前記ばねセクション(10)が1.5mmから3mmの範囲の厚さ(D)を有する、
請求項1~15のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項17】
壁(8)に取り付けられるように構成され、
前記壁(8)にケーブル、ライン又は導管(16)を通すための少なくとも1つのソケット又は孔(18)を有する、
請求項1~16のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項18】
前記密閉リップ(4)がEPDM製である、
請求項1~17のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項19】
前記密閉リップ(4)が前記長手方向軸(L)に関して回転対称である、
請求項1~18のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項20】
前記ばねセクション(10)が組付け後も圧縮されたままとなり、したがってプレテンションがかけられるように、壁(8)内又は壁(8)上に固定するためのインサート(26)を有する、
請求項1~19のいずれか一項に記載のグロメット(2)。
【請求項21】
前記密閉リップ(4)が、前記インサートの対応する数の固定要素を収容するために、多数の膨らみを備える、
請求項20に記載のグロメット(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロメットに関し、特に、ケーブル、ライン又は導管を密閉状態で壁に通すために使用されるグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
グロメットは、様々な方法で使用され、特定の用途に関係なく、2つの構成要素の間にシールを形成し、2つの構成要素の間に生じる隙間を閉鎖したり、覆ったりするために常に使用される。例えば、車両では、ケーブルが車両のエンジンルームから車内のダッシュボードまで引き回されている。エンジンルームは壁によって車内から分離されており、ケーブルはこの壁を通って引き回される。このため、壁にはケーブルを引き回す穴が設けられている。その後、グロメットが密閉のために穴の中に挿入され、前記グロメットはケーブルが挿入される貫通部を備える。このようにして、ケーブルは壁と直接接触せず、グロメットがパイプと壁の間の空間を満たし、壁の2つの反対の側の2つの空間を互いに密閉する。
【0003】
一般的に、特に自動車分野では、グロメットは、媒体、例えば流体又は気体の通過に対する耐漏れ性の点で、及び/又は、音に対する耐漏れ性の点で、特に高い要件を満たす必要があり、また、常に高い機械的要件や、設置スペースの制限によるグロメットの寸法に対する要件も満たす必要がある。これらの要件は、グロメットの設計において相反する目的をもたらすことさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような背景から、改良されたグロメットを規定することが本発明の目的である。特に、このグロメットは、媒体及び/又は音の通過に対して可能な限り良好に密閉を形成し、可能な限り良好に機械的負荷に耐え、さらに可能な限り設置スペースをとらない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、請求項1による特徴を備えたグロメットによって解決される。有利な設計、さらなる発展及び変形は、従属項の主題である。
【0006】
本発明の核となる考えは、特に、前述の要件を満たすために、特殊な密閉リップを備えたグロメットを設計することである。この密閉リップ、特にその形状、特にその断面は、組付け時に、また必要であればその後機械的負荷がかかった場合にも、特定の、特に有利な方法で密閉リップが圧縮可能であるように設計され、すなわち特に、可能な限り最良の密閉が依然として実現されるが、高い機械的柔軟性で、また取付面上の特に小さな設置スペースで実現されるように設計される。
【0007】
ここで記載されるグロメットは、密閉リップを有する。密閉リップは、取付面、例えば壁の側面との密閉接触を確立するために使用される。壁は例えば金属板である。密閉リップは、好ましくは、軸方向に延びると同時に半径方向に対して垂直な長手方向軸の周りを環状に延びる。本発明によれば、密閉リップは、特にグロメットの壁内又は壁上への組み付け、すなわち取り付けの間に、密閉リップが圧縮可能である(すなわち圧縮できる)ように構成されたばねセクションを有する。ばねセクションにより、密閉リップは「ばね密閉リップ」とも呼ばれる。ばねセクションがあるため、密閉リップは単純な傾斜路として設計されておらず、より複雑な形状をしている。
【0008】
「圧縮可能」という用語は、特に「押圧運動によって変形可能」、「押し潰し可能」、「圧潰可能」又は「折りたたみ可能」を意味すると理解される。したがって、密閉リップは、特に軸方向に機械的な負荷がかかった場合、また特に組み付けの間に、それ自体が圧縮又は圧潰するように設計される。逆に、密閉リップ又は少なくともばねセクションは好ましくは弾性を有し、それにより負荷が減少すると、密閉リップは再び、好ましくはばねセクションのばね作用により自動的に除圧される。こうして密閉リップは再び展開、拡張又は除圧される。
【0009】
密閉リップは好適には円錐形又は釣鐘形であり、特に第1近似的にそうである。好ましくは、密閉リップは長手方向軸に関して回転対称である。グロメットは、好ましくは、密閉リップが内側本体を完全に取り囲むように、密閉リップが特に半径方向外向きに接続される内側本体を有する。好適な実施形態では、内側本体は、密閉以外のグロメットのさらなる機能を実行するために、例えば、内側本体の一部としてのソケット又は孔によるケーブル、ライン又は導管の密閉保持のために機能する。内側本体は、任意の数の、例えば1つ又は2つ、或いはそれ以上のソケット又は孔を有することができる。しかしながら、内側本体の存在や正確な設計、それがソケット又は孔を備えるかどうかは、本例では重要ではない。
【0010】
グロメット、特にその密閉リップは、圧縮状態、すなわち負荷状態と、非圧縮状態、すなわち無負荷状態とを有する。グロメットを組み付ける間、前記グロメットは常に圧縮され、好ましくは組み付けられた状態でも圧縮されたままとなり、それにより密閉リップは取付面に対して永久的に押し付けられ、かくして密閉効果を発揮する。このようにして、密閉リップは、組み付けられた状態において、ばねセクションによって、いわばプレテンションされる。
【0011】
ばねセクションは特に円周方向に配置され、長手方向軸の周り、特に内側本体の周りを環状に延びる。ばねセクションは有利なことに、特に軸方向にばね機能を実現し、それにより密閉リップを少なくとも軸方向に圧縮することができる。したがって、ばねセクションは、全体的にばねのような態様で設計され、特に長手方向軸に沿った断面で見た場合に、ばねの態様で適宜作用する。長手方向軸に沿った前記断面は、一方では半径方向によって、他方では軸方向によってスパンされ、長手方向軸が横たわる断面平面に由来する。以下において単に断面に言及する限り、それぞれの文脈がそうでないことを示さない限り、長手方向軸に沿った断面を意味する。
【0012】
本発明は、特に、グロメットが原理的に、グロメットの内側本体から特定の角度で突出し、取付面に密封式にもたれる、円周状の傾斜した形状の密閉リップを備えて設計され得るという観察に基づいている。特に組付け時に軸方向に機械的負荷を受けると、密閉リップは広げられ、又は発散されてさらに開かれ(典型的には、内側本体に対する角度が大きくなる)、その結果、密閉効果を発現する。密閉リップの実際の傾斜した形状はほぼ維持され、密閉リップは角度が異なるだけである。しかしながら、これによりグロメットの直径が大幅に大きくなり、それに対応する設置スペースを占有する。組付け状態での軸方向の機械的負荷についても同様である。加えて、このようなグロメットは、半径方向、すなわち軸方向に垂直な方向の機械的負荷を十分に吸収できない場合があり、このような場合には、取付面から持ち上がって密閉効果を失う危険性がある。
【0013】
これとは対照的に、本明細書で記載されるばねセクションは、有利なことに、密閉リップに機械的負荷がかかったときに、取付面に追加の設置スペースを必要としないように、密閉リップの圧縮を可能にするように構成されている。代わりに、ばねセクションは、特に軸方向に圧縮され、その結果、取付面上の密閉リップが拡張されることなく、すなわち少なくとも著しく拡張されることなく、機械的負荷を吸収する。
【0014】
グロメットは、例えば、ダッシュパネルグロメットであり、車両のエンジンルームから当該車両の内部のダッシュパネルにケーブル、ライン又は導管を引き回す際の密閉のためのものである。しかしながら、本発明はこのような用途に限定されるものではなく、本発明の概念はどのようなグロメットにも使用することができる。
【0015】
好適な実施形態において、グロメットは、第2の密閉リップ又はカウンター密閉リップを備え、前記第2の密閉リップは、組み付けられた(すなわち取り付けられた)状態において、壁が2つの密閉リップの間に挟まれるように壁の反対側に配置され、それにより壁に対して両側からシールを形成する。しかしながら、前記第2の密閉リップの存在と正確な設計は、ここでは関係ない。第2の密閉リップは、単純な傾斜した形状の密閉リップであってもよいが、有利には、グロメットが2つのばね密閉リップを有するように、本明細書に記載されるようなばね密閉リップとして構成することもできる。好適な一実施形態では、第2の密閉リップはばね密閉リップの直径よりも大きな直径を有するが、第2の密閉リップは他の寸法であってもよい。好ましくは、第2の密閉リップはばね密閉リップと同じ材料から作られ、両方の密閉リップは一体、すなわちモノリシックに製造される。
【0016】
好ましくは、密閉リップは端部セクションを備え、この端部セクションはばねセクションに付加され、取り付け後に取付面と直接接触する。既に示したように、グロメットは、好ましくは、密閉リップが半径方向外側に接続される内側本体を有する。さらに好ましくは、ばねセクションは内側本体を端部セクションに回動可能に接続する。特に、ばねセクションは、圧縮状態で圧潰され、したがって特に全体的に、好ましくは半径方向外向きに膨らんだリンク又はヒンジとして作用する。
【0017】
密閉リップが端部で丸みを帯びていることが好都合であり、特に、取付面との接触を容易にするために端部セクションが丸みを帯びていることが好都合である。好ましくは、端部セクションは、取付面に取り付けられたときに密閉リップが半径方向に転がり運動を行い、それによってばねセクションが変形し、密閉リップが軸方向に圧縮されるように、丸みを帯びている。言い換えれば、取り付け時に、ばねセクションは、半径方向に傾けられてたわみ、その結果変形する(すなわち圧縮される)。その結果、密閉リップは軸方向に圧縮される。代替的に、又は追加的に、同じ効果で、密閉リップは、機械的負荷を受けると、取付面上を滑るように、すなわち滑り運動を行うように、端部で丸められるが、有利なことに、端部セクションは、予め負荷をかけられたばねセクションによって取付面に押し付けられ続けるので、密閉効果を失うことはない。好ましくは、密閉リップ、特にその端部セクションの転がり及び/又は滑り運動は、半径方向内向きであり、それにより、取付面上の設置スペースを減少させる。
【0018】
好適な実施形態では、断面で見たときの端部セクションは、丸みを帯びている又は凸状である外向き(すなわち、外側及び取付面に向かう)面と、平坦又は凹状であるが、凸状又は丸みを帯びていてもよい内向き(すなわち、長手方向軸及びグロメットの内側に向かう)面とを有する。取り付け時、外向き面は取付面に係合し、圧縮時に前記取付面を横切って転がり又は滑り、その結果、端部セクションは内向きに転がり及び/又は滑り、内向きセクションは取付面から離れるように回動する(シャベル動作に類似)。
【0019】
好適な実施形態では、端部セクションは、非圧縮状態で既に内側に回転され、特に、圧縮時にさらに内側に回転される。「内側に回転される」という用語は、端部セクションが取付面に対して内側に傾斜していること、特に、断面で見たときに、端部セクションに沿った密閉リップの半径が取付面に向かって減少していることを意味すると理解される。このように、端部セクションは、いわば予め回転されており、これにより端部セクションの内側への動きが支持される。
【0020】
密閉リップは、好適には、長手方向軸に沿った断面で見た場合に、端部で球状又は滴状の形状を有することによって丸みを帯びている。丸みを帯びた設計のため、負荷がかかると端部セクションは取付面上を転がり及び/又は滑り、それにより、ばねセクションは半径方向に駆動され、したがって膨らむ。特に、ばねセクションは引き離される。
【0021】
特に好ましい設計は、密閉リップが、非圧縮状態(すなわち無負荷状態)では軸方向に、特に円筒、円錐、又は漏斗のように広げられ(すなわちフレア状にされ)、圧縮状態(すなわち負荷状態)では半径方向に、好ましくは外側に、したがって軸方向に垂直に膨らむように、ばねセクションが構成されているものである。より具体的には:ばねセクション、すなわちばねセクションの少なくとも一部又は一セグメントは、負荷時に湾曲した形状をとる。ばねセクションは、好ましくは非圧縮状態では膨らまず、好ましくは直線状である。したがって、ばね効果は、負荷がかかるとばねセクションが半径方向に膨らみ、それによって密閉リップを軸方向に圧縮するという事実によって正確に実現される。この膨らみは、好ましくは、直線状の構成から膨らみを形成することによって、又は既に存在する膨らみを大きくする、すなわち曲率半径を小さくすることによって達成される。このことは、密閉リップが、端部セクションが負荷の際に拡張しないように構成され、したがって取付面により多くの設置スペースを必要としないという特別な利点を有する。その代わりに、ばねセクションは、端部セクションが取付面上で変化しない位置に留まるか、又は取付面上で内側に、特に内側本体に向かって移動するように、アーチ状になっている。これにより、取付面上の必要な設置スペースは少なくとも維持されるか、又は縮小される。
【0022】
「漏斗状」及び「釣鐘状」という用語は、一般に、長手方向軸に対する密閉リップの斜めの経路及び向きを意味し、その結果、密閉リップは、長手方向軸の周囲を通過する際に、全体として漏斗状又は釣鐘状の形状をとる。言い換えれば、密閉リップは長手方向軸に対して角度を成して延び、前記角度は好ましくは非圧縮状態で2°~30°の範囲にある。しかしながら、密閉リップ自体が、断面において漏斗形状又は釣鐘形状を得るために変化する厚さを有することを意味するものではない。実際には、密閉リップが、長手方向軸の方をほぼ向く内壁と、その反対方向をほぼ向く外壁とを有する実施形態が好ましい。断面で見た場合に、内壁は好ましくは外壁の輪郭に沿った輪郭を有する。密閉リップは厚さを有し、この厚さは非圧縮状態で半径方向に測定される。一般的な材料強度(すなわち、内壁及び/又は外壁に垂直に測定された厚さ)は、好ましくは、非圧縮状態から圧縮状態へ、又はその逆へ移行する際に実質的に変化しない。
【0023】
ばねセクションは、半径方向に外側に膨らむ(そして圧縮状態で凸状になる)か、又は内側に膨らむ(そして圧縮状態で凹状になる)。外側に膨らむこと(すなわち凸状の湾曲)が好ましい。言い換えると、好適な実施形態では、ばねセクションは、密閉リップが取り付けられたとき、したがって一般に圧縮されたときに外側に膨らむように構成される。特に、ばねセクションは、グロメット内部の容積が維持又は増加されるように外側に膨らむように構成される。この容積は、グロメットと取付面の間に囲まれた容積として定義される。これは、膨らみのない場合や内側に膨らむ場合よりも大きな容積がグロメット内部で利用可能であり、その結果、グロメットの音響特性が改善され、特に音に対する密閉性が向上するという利点がある。
【0024】
湾曲形状は、ばねセクションの内壁と外壁が同じ方向に湾曲するような形状である。言い換えれば、ばねセクションは一方向にのみ膨らみ、したがって、いわば折り畳まれる。これは、発泡体又は同様のものなどの大部分が柔らかい材料に見られ得るような、圧搾された状態とは正反対である。このような圧搾は、好ましくは起こらないか、少なくとも密閉リップの圧縮の主なメカニズムではない。その代わりに、ばねセクションは膨らみが生じるように折り畳まれる。再度言い換えれば、ばねセクションの内壁と外壁は、圧縮時に同じ方向(両方が半径方向外側又は両方が半径方向内側)に移動する。
【0025】
好ましくは、ばねセクションはばね状であり、複数の(すなわち少なくとも2つの)セグメント(ジョイントとも呼ばれる)を有し、これらのセグメントは互いに接続されるため、ばねセクションは全体として関節又はヒンジ式となる。ばねセクションは、好ましくは、2つ、3つ又は4つのセグメントを有するが、用途に応じて、原則的に他の数も適している。セグメントの1つは第1のセグメントで、このセグメントは内側本体に接続されている。もう1つのセグメントは第2のセグメントで、第1のセグメントに接続されている。第2のセグメントは、取付面に接触する最後のセグメントであるか、又は既に述べたように第3のセグメント又は端部セクションに接続され、それによって第1のセグメントと第3のセグメント又は端部セクションとを連結する。適宜セグメントを追加することもできる。特に、2つのセグメントが互いに回動可能に接続されることにより、ばねセクションの先述の膨らみが可能になる。好ましくは、膨らみは主にセグメントの回動(すなわち、セグメントの互いに対する相対運動)によって達成され、個々のセグメント自体の変形によって達成されることは少ない。好適な実施形態では、セグメントの少なくとも2つ(好ましくは全て)が、接続点(又は支点)において互いに回動可能に接続され、その結果、前記接続点において、回動を容易にするために、曲げ、折り目、段差、肩部、切り欠き、溝などが形成される。前記曲げ、折り目、切り欠き、溝などは、好ましくは、長手方向軸の周りを環状に延びる。代替的に又は追加的に、セグメントの少なくとも2つは、前記接続点において、回動を容易にするために、半径方向で測定したときにばねセクションが減少した厚さを有するように、接続点において互いに回動可能に接続される。言い換えると、好適な実施形態では、ばねセクションの厚さは、セグメントの他の部分の厚さに比べて接続点で減少する。このような厚みの減少は、例えば、接続点又はその周辺のテーパーセクション、例えば溝又は切り欠きで実現され、又は、曲げ、折り目、段差又は肩部によって実現され、曲げ、折り目、段差又は肩部は、好ましくは、内壁上の曲げ、折り目、段差又は肩部の内側部分が外壁上の前記曲げ、折り目、段差又は肩部の外側部分に対して軸方向及び相対的にシフトされる千鳥配置が達成されるように、内壁上の輪郭が外壁の輪郭に対して軸方向及び相対的に変位されるか又はオフセットされるように構成される。
【0026】
有利な実施形態では、ばねセクションは、少なくとも非圧縮状態において、長手方向軸に沿った断面で見たときに段差の付いた形状である。非圧縮状態では、複数の段差が存在する場合、段差は好ましくは同じ方向を向いている。圧縮状態では、セグメントは、好ましくは、蛇行形状に、又は概ねジグザグの経路に圧潰し、その結果、セグメントは、既に上述したように、交互に反対方向を向くか、又は代替的に、内側又は外側に一緒に膨らむ。
【0027】
有利な実施形態では、ばねセクションは、少なくとも非圧縮状態において、長手方向軸に沿った断面で見たときに蛇行した形状である、すなわち蛇行形状を有する。ここでは特に、ばねセクションの各セグメントは単一の曲げを形成する。そして、曲げは湾曲方向が交互となるように並んでいる。圧縮状態では、蛇行形状が半径方向に伸張され、軸方向に圧縮されるように、セグメントは好ましくは圧潰する。このようにして、それぞれの曲げは、半径方向の内側又は外側に変形し、その結果、蛇行形状は概ね維持される。代替的に、段差に関連して既に述べたように、すべての曲げが内側又は外側に膨らみ、それにより蛇行形状は失われ、いわば解消される。
【0028】
特に実用的な実施形態では、密閉リップは、塊状セクションとして構成された端部セクションを備える。塊状セクションは、好ましくは、ばねセクションが変形する一方で塊状セクションは変形せず、ばねセクションを変形させた結果として単に変位するように構成される。好適な実施形態に従ってこれを達成するために、半径方向で測定した場合、塊状セクションはばねセクションよりも厚い。密閉リップはこのように端部で厚くなり、塊状セクションはこのようにばねセクションよりも大きな厚さを有し、厚さは断面及び半径方向、すなわち長手方向軸に垂直な方向で測定される。好ましくは、厚さは、少なくとも密閉リップの外壁上で増加され、より好ましくは凸状の輪郭によって増加され、その結果、上述したように丸みを帯びた端部セクションが形成される一方、同時に塊状セクションを得るために端部セクションでの厚さが増加される。特に、「塊状」という用語は、ばねセクションと比較した場合の塊状セクションの厚さの増加及び/又は体積の増加を指すものと理解される。好適な実施形態では、これはまた、塊状セクションがばねセクションよりも重い(すなわち、より大きな質量を有する)ことをもたらすが、必ずしもそうである必要はない。例えば、別の好適な実施形態では、塊状セクションは、ばねセクションの材料よりも密度が低い材料から作られ、それによって、ばねセクションよりも厚く、好ましくはより体積が大きいが、必ずしも重くはない塊状セクションが実現される。好ましくは、ばねセクションの端部は、少なくとも非圧縮状態において長手方向軸から最も離れている端部である。塊状セクションがばねセクションの端部に付加されていない場合、前記端部は好ましくは自由端である。
【0029】
塊状セクションは、既に上述したように、密閉リップの端部セクションの特に好ましい実施形態である。塊状セクションは、ばねセクションよりも広い厚さを有する。有利には、塊状セクションは、長手方向軸に沿った断面が球形又は滴形であり、それにより密閉リップは全体的に端部が丸みを帯びている。
【0030】
特に塊状セクションとして構成された場合、端部セクションはばねセクションとともに、有利な機械的特性を有する塊状-ばねシステムを形成する。
【0031】
塊状セクションはばねセクションよりも厚いので、負荷がかかるとばねセクションは主に変形し、特に圧縮されるが、塊状セクションは大きく変形しないので、グロメットの密閉効果が維持される。密閉リップの変形における2つのセクション(塊状セクションとばねセクション)のこれらの異なる機能に従って、ばねセクションを「第1変形ゾーン」、塊状セクションを「第2変形ゾーン」とも呼ぶ。塊状セクションは必ずしもそれ自体が変形するわけではないが、ばねセクションの変形に大きく影響する。特に、この設計では、密閉リップの軸方向の変形が半径方向の変形よりも優先され、半径方向の変形、ひいては半径方向の突出が有利に制限されるため、設置スペースが節約される。したがって、密閉リップは半径方向に主に拡張せず、軸方向に圧縮され、ばねセクションはいわば軸方向に一緒に折り畳まれ、これにより密閉リップの半径方向への拡張が制限される。
【0032】
塊状セクションは好適には4mmから5mmの範囲の厚さを有する。この厚さは、好ましくは、断面及び半径方向、すなわち長手方向軸に垂直な方向で測定される。
【0033】
ばねセクションは、好適には1.5mmから3mmの範囲の厚さを有する。厚さは、好ましくは、断面及び半径方向、すなわち長手方向軸に垂直な方向で測定される。
【0034】
1つの有用な実施形態では、グロメットは、壁内又は壁上に取り付けられるように構成され、ケーブル、ライン又は導管を壁に通すための少なくとも1つのソケット又は孔を、特に内側本体の一部として有する。代替的に、グロメットに他の機能的構成要素を埋め込むためにソケット又は孔を使用することもできる。グロメットのソケット又は孔は、必ずしも密閉リップと同心である必要はなく、非同心に配置され、長手方向軸と平行に且つ長手方向軸から半径方向に距離を置いて延在することもできる。
【0035】
好ましくは、密閉リップ、密閉リップ及び内側本体、又はグロメット全体は弾性材料から作られる。好適には、弾性材料はプラスチック、好ましくはEPDMであり、その結果、少なくとも密閉リップはEPDM(すなわちエチレン-プロピレン-ジエンゴム)で作られる。好ましくは、内側本体もEPDM製であり、さらに、好都合なことに、密閉リップと一体的に、すなわちモノリシックに作られる。全体として、グロメットは、好ましくは、少なくとも主にゴム及び/又は熱可塑性プラスチックで作られる。グロメットのいくつかの実施形態は、1つ又は複数のインサート(下記参照)を含む場合があり、これらのインサートは必ずしも弾性材料から作られる必要はなく、むしろ好ましくは剛性材料、例えばPP、PE、ABS、金属又は他の材料から作られる。
【0036】
また、グロメットが、組付け後もばねセクションが圧縮されたままとなることでプレテンションがかけられるように、グロメットを取付面、すなわち壁内又は壁上に固定するためのインサート(第1のインサート)を有する実施形態も有利である。この目的のために、インサートは好ましくは多数の固定要素を備える。特に好適な実施形態では、固定要素は、グロメットを壁上又は壁内に留めるためのクリップとして構成される。インサートは、好適には、密閉リップ及び場合によっては内側本体よりも剛性の高い材料で作られる。それぞれのクリップはアンダーカット部を形成する頭部を有し、これによりクリップ全体がかかりとして形成される。グロメットが壁内又は壁上に取り付けられるとき、インサートは壁の片側から穴に押し通され、頭部が押し通された後、反対側で半径方向外側にはね返り、係合することでグロメットを壁に引っ掛ける。密閉リップ自体は壁の穴に押し通されることはなく、単に片側に押し付けられて圧縮されるだけである。組み付けられた状態で、一方の密閉リップと他方の1つ又は複数の頭部が壁の両側に配置され、それにより壁がそれに応じてクランプされる。圧縮されたばねセクションのばね作用により、グロメットは特に強固に壁に取り付けられる。
【0037】
有利な実施形態では、密閉リップは(ばねセクションの膨らみとは異なる)多数の膨らみを備え、上述のインサートの対応する数の固定要素を収容する。膨らみは別として、密閉リップは好ましくは長手方向軸に関して回転対称である。膨らみの数は、例えば3個であるが、2個、4個、或いはそれ以上など、他の数も原則として適している。膨らみは好ましくは密閉リップの周囲に均等に配置される。各膨らみは、グロメットの内側に、固定要素、例えば上述のクリップ又はその一部を、好ましくは少なくとも非圧縮状態で収容するための小さな容積を提供する。好適な実施形態において、固定要素は、取り付け時に膨らみから解放され、密閉リップの反対側の壁に係合し、その結果、圧縮状態において固定要素は膨らみにもはや存在しない。
【0038】
有利な実施形態では、前記インサートは、特に密閉リップと比較して剛性が高く、グロメットの機械的安定化の役割を果たす。このような機能は、上述の固定機能とは別に、対応するインサートで実現することもできる。
【0039】
好適な実施形態では、グロメットは、グロメット内部の空気容積を制限し、それによってその音響挙動を改善するためのインサート(第2のインサート)を有する。このようなインサートは、好ましくは板状であり、長手方向軸に対して垂直に延びる。好ましくは、インサートは内側本体の任意のソケット又は孔を取り囲む。前記インサートは、好ましくは、前述した固定及び/又は機械的安定性のためのインサートとは別個のものであるが、同一であってもよい。
【0040】
特に1つの有利な点は、密閉リップの特殊な形状が、特に機械的負荷の方向とは本質的に無関係に、密閉リップの軸方向の変形を主に引き起こすことである。同時に、密閉リップの特殊な形状はまた、半径方向の変形を制限する。これにより、例えばグロメットによって保持されるケーブル、ライン又は導管の移動による機械的負荷を吸収する際に、グロメットが取付面上で拡張したり発散したりするのを有利に最小限に抑えることができる。グロメットが機械的な負荷を受けて取付面に押し付けられると、取付面上のグロメットの半径方向外方への過度の拡張が防止される。機械的負荷に応じて、ばねセクションは有利にばねのように圧縮され(これには上述の半径方向への膨らみも含まれ得る)、又は除圧され、それによってグロメットの特に強い並進を吸収しつつ、最適な密閉を維持することが可能となる。密閉リップと取付面との間の密閉効果は、厳しい境界条件にもかかわらず、このようにして維持される。
【0041】
さらなる利点は、特にグロメット、特に密閉リップについて、例えば既に上述したように、特に小さな寸法、特に厚みが可能であることである。これにより材料が節約される。
【0042】
特に、特に塊状セクションを有する実施形態では、密閉リップと取付面との接触面積が増大し、その結果、より良好な密閉が得られるというさらなる利点がある。塊状セクションは特にばねセクションよりも厚いか又は体積が大きいので、塊状セクションは対応する質量、例えば10g~15gも有し、次いで、取り付けられた状態におけるグロメットの重力に対する向きにもよるが、密閉リップが上方から取付面に配置されることを条件として、すなわち重力によって支持されることにより、密閉にさらに寄与する。しかしながら、エンジンルームと車両内部との間のグロメットの場合、長手方向は通常、車道と平行に、重力に対して垂直に延びる。
【0043】
さらなる利点は、すでに何度か述べたように、特にグロメットに必要な設置スペースを最小限に抑えることができることである。自動車メーカーは、グロメットがはみ出さないように、取付面、例えば金属板の表面上の限られたエリアを常時指定している。ここで記載される密閉リップの特殊な形状は、特に小さな設置スペースで、特に高いレベルの密閉を保証する。
【0044】
別の利点は、密閉リップ、特に端部セクションが取付面に直接接触することで、媒体、特に水や音に対する耐漏れ性が特に高くなることである。
【0045】
別の利点は、特に、傾斜した形状の密閉リップのみを有するグロメットと比較して、組付け時に必要な力が小さいため、グロメットの組付けが容易であることである。このことは、グロメットを組み付ける作業員の疲労軽減につながる。
【0046】
課題はまた、特に、取付面に対する密閉のために上述のグロメットを使用することによっても解決される。さらに、課題は、特に、上述のグロメットの製造方法及び上述のグロメットの取付け方法によっても解決される。グロメットに関する説明は、前記の使用及び2つの方法にも適宜適用される。
【0047】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照してより詳細に説明する。前記図面は複数の図を含み、以下のように概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図6】
図1のグロメットの密閉リップの断面斜視図。
【
図7】非圧縮状態の
図1のグロメットの部分断面図。
【
図9】
図1のグロメットの代替実施形態(断面図及び非圧縮状態)。
【
図11】
図1のグロメットの別の代替実施形態(断面図及び非圧縮状態)。
【
図12】
図1のグロメットの別の代替実施形態(断面図及び非圧縮状態)。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図には、特殊な密閉リップ4を備えたグロメット2のいくつかの可能な実施形態が示されている。密閉リップ4は、組付け時、及び必要に応じて組付け後に機械的負荷がかかった場合にも、独特の方法で圧縮可能であるように設計されている。特殊な密閉リップ4により、グロメット2は高い耐漏れ性を確保する一方、なおも柔軟性があり、最小限の設置スペースしか必要としない。
【0050】
グロメット2の密閉リップ4は、取付面6、例えば壁8の側面、例えば金属板との密閉接触を確立するために使用される。本例では、密閉リップ4は、軸方向Aに延びると同時に半径方向Rに垂直な長手方向軸Lの周りを環状に延びる。密閉リップ4は、特にグロメット2を壁8内又は壁8上に組み付ける間、すなわち取り付ける間、密閉リップ4が圧縮可能であるように構成されたばねセクション10を有する。ばねセクション10により、密閉リップ4は「ばね密閉リップ」とも呼ばれる。ばねセクション10のため、密閉リップ4は単純な傾斜路として設計されておらず、例えば
図5~13、特に
図6の近接図に示すように、より複雑な形状を有している。
【0051】
ここに示す密閉リップ4は、
図4の側面図、
図5及び7~13の断面図、並びに再び
図6の詳細図に見られるように、第1近似的に円錐形又は釣鐘形である。ここに示す実施形態では、密閉リップ4は長手方向軸Lに関して回転対称であり、
図12及び13では、この対称性は多数の膨出部12によってのみ破られている。グロメット2は、密閉リップ4が半径方向外向きに接続される内側本体14を任意選択的に有し、それにより密閉リップ4は内側本体14を完全に取り囲む。本実施形態では、内側本体14は、密閉以外のグロメット2のさらなる機能を実施するために、例えば、内側本体14の一部としてのソケット又は孔18によるケーブル、ライン又は導管16(例えば
図5参照)の密閉保持のために機能する。内側本体14は、任意の数のソケット又は孔18を有することができ、
図1、2、3及び5では、2つのソケット又は孔18が見える。
【0052】
グロメット2、より具体的にはその密閉リップ4は、
図8、10及び13に示す圧縮状態、すなわち負荷状態と、
図7、9、11及び12に示す非圧縮状態、すなわち無負荷状態とを有する。グロメット2の組付け中、前記グロメット2は常時圧縮され、組み付けられた状態でも圧縮されたままであるため、密閉リップ4は取付面6に永久的に押し付けられ、密閉効果を発現する。こうして密閉リップ4は、例えば
図8、10及び13に示すように、組み付けられた状態でばねセクション10によっていわばプレテンションをかけられる。
図11のグロメット2に対する密閉リップ4の圧縮は、基本的に
図10の場合と同じである。
【0053】
ばねセクション10の可能な実施形態は、
図6の断面図に詳細に示されているが、その特殊な形状及びその変形は、残りの図にも明確に示されている。ばねセクション10は円周方向のものであり、長手方向軸Lの周りを環状に、また内側本体14の周りを環状に延びる。ばねセクション10は、特に軸方向Aにおいてばね機能を実現し、それにより密閉リップ4は少なくとも軸方向Aにおいて圧縮することができる。したがって、ばねセクション10は、全体的にばねのように設計され、特に
図5~13に示すように長手方向軸Lに沿った断面で見た場合に、ばねのように作用する。長手方向軸Lに沿った前記断面は、一方では半径方向Rによって、他方では軸方向Aによってスパンされ、長手方向軸Lが横たわる断面平面に由来する。
【0054】
密閉リップ4の特殊な形状は、グロメット2が、原理的に、グロメット2の内側本体14から特定の角度で突出し、取付面6に密閉式にもたれる、円周状の傾斜した形状の密閉リップを備えて設計できるという観察に基づいている。特に組付け時に、軸方向Aに機械的な負荷がかかると、傾斜した形状の密閉リップは、実際の傾斜した形状の密閉リップの形状はほぼ保持されたまま、広げられるか又は発散してさらに開く。しかしながら、これはグロメット2の直径を大幅に増大させ、対応する設置スペースを占有する。組み付けられた状態での軸方向Aの機械的負荷についても同様である。さらに、このようなグロメット2は、半径方向Rの機械的負荷を十分に吸収できない場合があり、このような場合には、取付面6から持ち上げられて密閉効果を失う危険性がある。
【0055】
これとは対照的に、ここに記載されるばねセクション10は、有利なことに、密閉リップ4が機械的負荷を受けたときに取付面6に追加の設置スペースを必要としないように、密閉リップ4の圧縮を可能にする。代わりにばねセクション10は、特に軸方向Aに圧縮され、その結果、
図7と8を互いに比較した場合、及び
図9と10、
図12と13を比較した場合に明らかなように、取付面6上の密閉リップ4が、少なくとも顕著に拡張することなく、機械的負荷を吸収する。
【0056】
ここに示す実施形態では、密閉リップ4は端部セクション20を備え、この端部セクション20はばねセクション10に付加され、取り付け後に取付面6と直接接触する。密閉リップ4は、半径方向Rの外側で内側本体14に接続され、ばねセクション10は、内側本体14を端部セクション20に回動可能に接続する。したがって、ばねセクション10は、圧縮状態で圧潰し、全体として半径方向外側に膨らむリンク又はヒンジとして機能する。
【0057】
ここに示す全ての実施形態において、密閉リップ4は端部において丸みを帯びており、より具体的には、端部セクション20は、取付面6との接触を容易にするために丸みを帯びている。端部セクション20は、密閉リップ4が、取付面6に取り付けられたときに半径方向Rに転がり及び/又は滑り運動を行い、それによってばねセクション10を変形させ、密閉リップ4を軸方向Aに圧縮するように、丸みを帯びている。密閉リップ4の、具体的にはその端部セクション20の転がり及び/又は滑り運動は、半径方向Rの内向きであり、それによって取付面6上の設置スペースを減少させる。
【0058】
断面で見たときの端部セクション20は、一般に、全ての図に見られるように丸みを帯びた又は凸状である外向き(すなわち、外側及び取付面に向かう)面と、
図12及び13のように平坦であるか又は凹状(図示せず)であるが、他の図のように丸みを帯びた又は凸状であってもよい内向き(すなわち、長手方向軸L及びグロメット2の内側に向かう)面とを有する。取り付け時に、外向き面は取付面6に係合し、圧縮時に前記取付面6を横切って転がり及び/又は滑り、その結果、端部セクション20は内向きに転がり及び/又は滑り、内向きセクションが取付面6から離れるように回動する(シャベル動作に類似する)。
図5~11に示す実施形態では、密閉リップ4は、断面で見たときに、端部が球状又は滴状の形状を有することによって丸みを帯びている。
【0059】
この例では、ばねセクション10は、密閉リップ4が非圧縮(すなわち無負荷)状態において円錐又は漏斗のように軸方向Aにおいて広がり(すなわちフレア状になり)、圧縮(すなわち負荷)状態において半径方向Rに膨らむように構成される。より具体的には、ばねセクション10は、
図8、10及び13を参照すると、負荷がかかると湾曲した形状になる。
図7、9、11及び12から明らかなように、ここに示したばねセクション10は、非圧縮状態では膨らまない。したがって、ばねセクション10が荷重を受けると半径方向Rに膨らみ、それによって密閉リップ4が軸方向Aに圧縮されるという事実によって、ばね効果が正確に実現される。取付け後に取付面6に直接接触する密閉リップ4の端部セクション20は、負荷を受ける際に拡張しないので、取付面6により多くの設置スペースを必要としない。その代わりに、ばねセクション10は、端部セクション20が取付面6上で実質的に変化しない位置に留まるように弧を描く。非圧縮状態において、密閉リップ4は、長手方向軸Lに対して角度Wをなしており、当該角度Wは、ここに示す実施形態では、2°~30°の範囲内である。
【0060】
本実施形態の密閉リップ4は、ほぼ長手方向軸Lの方向を向く内壁21と、ほぼ反対方向を向く外壁23とを有する。断面で見ると、内壁21は、外壁23の輪郭に沿った輪郭を有する。図から分かるように、密閉リップ4は、非圧縮状態で半径方向Rに測定される厚さDを有する。
【0061】
湾曲形状は、ばねセクション10の内壁21と外壁23とが同じ方向に湾曲しているような形状である。言い換えれば、ばねセクション10は一方向にのみ膨らんでおり、したがって、いわば折り畳まれている。これは圧搾とは正反対であり、圧搾はここでは起こらない、又は少なくとも密閉リップ4の圧縮の主なメカニズムではない。その代わりに、ばねセクション10はいわば膨らみを生じるように折り畳まれる。再び言い換えれば、ばねセクション10の内壁21と外壁23は、圧縮時に同じ方向(両方が半径方向外側又は両方が半径方向内側)に移動する。
【0062】
ばねセクション10は、ここに示した実施形態のように半径方向Rに外側に膨らむか(そして、圧縮された状態で凸状になる)、或いは、ここに明示的に示していない代替案のように内側に膨らむ(そして、圧縮された状態で凹状になる)。言い換えれば、ばねセクション10は、密閉リップ4が取り付けられたとき、したがって一般に圧縮されたときに外側に膨らむように構成されている。これはまた、グロメット2の内部で、膨らみのない場合よりも、或いは内側に膨らんだ場合よりも、より多くの容積が利用可能となり、音響的な挙動が改善される。
【0063】
ここに示すばねセクション10は、互いに接続する複数のセグメント22(ジョイントとも呼ばれる)を有し、全体としてばねセクション10を関節又はヒンジ式にするという点で、ばね状である。ばねセクション10は、好ましくは2つ(
図9~13)、3つ(
図5~8のように)又は4つ(図示せず)のセグメント22を有するが、用途に応じて他の数も適している。セグメント22の1つは第1のセグメント22であり、内側本体14に接続されている。別のセグメント22は第2のセグメント22であり、第1のセグメント22に接続されている。第2のセグメント22は、取付面6と接触するための最後のセグメント22であるか、又は、既に説明したように、第3のセグメント22又は端部セクション20に接続され、それによって、第1のセグメント22と第3のセグメント22又は端部セクション20とを連結する。さらなるセグメント22を適宜追加することができる。2つのセグメント22は互いに回動可能であるように互いに接続され、その結果、ばねセクション10の記載された膨らみを可能にする。膨らみは主にセグメント22の回動によって達成され、個々のセグメント22自体の変形によって達成されることは少ない。
【0064】
ここに示す実施形態では、セグメント22のいくつかは、接続点25において互いに回動可能に接続されており、その結果、前記接続点25において、回動を容易にするために、曲げ、折り目、段差、肩部、切り欠き、溝又は同様のものが形成されている。ここに示すすべての実施形態では、段差又は肩部が各接続点25に形成されている。代替案として、又は追加的に(ここに示すように)、接続点25におけるばね10セクションは、回動を容易にするために、減少した厚さDを有しており、すなわち、厚さDは、セグメント22における他の厚さDと比較して、接続点25において減少している。ここに示す実施形態では、このような厚さDの減少は、内壁21上の輪郭が軸方向Aにおいて、外壁23の輪郭に対して変位されるかオフセットされ、その結果千鳥配置が達成されるように構成された段差又は肩部によって実現され、ここで、内壁21上の段差又は肩部の内側部分は、軸方向Aにおいて、外壁23上の前記段差又は肩部の外側部分に対してシフトされている(しかしながら、軸方向Aにおけるこのような変位又はオフセットは、半径方向Rにおいて低減された厚さを達成するために厳密に必要というわけではない)。
【0065】
図7~13の例示的な実施形態では、ばねセクション10は、少なくとも非圧縮状態において、長手方向軸Lに沿った断面で見たときに段差付きの形状である。
図8、10及び13に示す圧縮状態では、既に上述したように、セグメント22は外側に一緒に膨らんでいる。
【0066】
ここに示す実施形態では、端部セクション20は塊状セクションとして構成されており、この塊状セクションは、半径方向Rで測定したときにばねセクション10よりも厚い。したがって、密閉リップ4は端部で厚くなっており、塊状セクションはばねセクション10よりも大きな厚さDを有し、厚さDは断面及び半径方向Rで測定される。塊状セクションは、ばねセクション10とともに、有利な機械的特性を備えた塊状-ばねシステムを形成する。
【0067】
塊状セクションはばねセクション10よりも厚いので、負荷が加わったときにばねセクション10は主に変形して具体的には圧縮されるが、塊状セクションは大きく変形しないので、グロメット2の密閉効果は維持される。密閉リップ4の変形における2つのセクションのこのような異なる機能に従って、ばねセクション10は「第1の変形ゾーン」とも呼ばれ、塊状セクションは「第2の変形ゾーン」とも呼ばれる。両変形ゾーンは、
図7及び8においてそれぞれの矩形枠で示され、それぞれの機能、すなわち軸方向変形AD及び半径方向変形RDに関する機能は、対応する矢印で示されている。塊状セクションは必ずしもそれ自体が変形するわけではないが、ばねセクション10の変形に大きく影響する。特に、この設計では、密閉リップ4の軸方向の変形ADが半径方向の変形RDよりも優先され、半径方向の変形RD、ひいては半径方向の突出が制限される。したがって、密閉リップ4は半径方向Rに優勢に拡張せず、軸方向Aに圧縮され、ばねセクション10はいわば軸方向Aに一緒に折り畳まれ、これにより密閉リップ4の半径方向Rへの拡張が制限される。
【0068】
既に示したように、ここに示すグロメット2は、密閉リップ4が半径方向R外側に接続される内側本体14を有する。ばねセクション10は、内側本体14を塊状セクションに回動可能に接続し、圧縮状態で圧潰するリンク又はヒンジとして機能する。
【0069】
密閉リップ4は、例えばEPDM(すなわち、エチレン-プロピレン-ジエンゴム)製である。任意選択的に、内側本体14もEPDM製である。さらに(ここに示すように)、内側本体14と密閉リップ4は一体的に、すなわちモノリシックに作られる。
【0070】
ここに示すグロメット2はまた、組付け後にばねセクション10が圧縮されたままであり、かくしてプレテンションがかけられるような方法で、それぞれのグロメット2を壁8内又は壁8上に固定するためのインサート26(第1のインサート)を有する。この目的のために、インサート26は、グロメット2を壁8上又は壁8内に留めるための多数のクリップ28を有する。インサート26は、密閉リップ4よりも剛性の高い材料で作られている。それぞれのクリップ28はアンダーカット部を形成する頭部30を有し、これによりクリップ28は全体としてかかりとして形成される。グロメット2が壁8内に又は壁8上に取り付けられるとき、インサート26は壁8の一方の側から穴に押し通され、頭部30が押し通された後、他方の側で半径方向R外側にはね返り、係合することによって、グロメット2を壁8に引っ掛ける。密閉リップ4自体は、壁8の穴に押し通されることはなく、単に片側に押し付けられて圧縮されるだけである。組み付けられた状態で、一方の密閉リップ4と他方の頭部30は壁8の反対側に配置され、壁8はそれに応じてクランプされる。圧縮されたばねセクション10のばね作用により、グロメット2は特にしっかりと壁に取り付けられる。
【0071】
図12及び13の実施形態では、密閉リップ4は多数の膨出部12を備え、少なくとも
図12に示す非圧縮状態で、対応する数の固定要素、ここではクリップ28を収容する。
図13において、固定要素は取り付け時に膨出部12から解放され、密閉リップ4の反対側の壁8に係合する。
【0072】
ここで、前記インサート26は、密閉リップ4に比べて剛性が高く、グロメット2の機械的安定化の役割も果たす。しかしながら、このような機能は、上述の固定機能とは別に、対応するインサートで実現することもできる。
【0073】
さらに、ここに示すグロメット2は、グロメット2内部の空気容積を制限し、それによって音響特性を改善するために、別のインサート32(第2のインサート)を任意選択的に有する。このようなインサート32は
図3で見ることができる。インサート32は板状で、長手方向軸Lに対して垂直に延び、内側本体14の任意のソケット又は孔18を取り囲む。
【0074】
インサート26、32はそれぞれ純粋に任意であり、それぞれのデザインはここに示したものとは全く異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
2 グロメット
4 密閉リップ
6 取付面
8 壁
10 ばねセクション
12 膨らみ
14 内側本体
16 ケーブル、ライン又は導管
18 ソケット又は孔
20 端部セクション(特に塊状セクション)
21 内壁
22 セグメント
23 外壁
25 接続点
26 インサート(第1のインサート)
28 クリップ
30 頭部
32 インサート(第2のインサート)
A 軸方向
AD 軸方向変形
D 厚さ
L 長手方向
R 半径方向
RD 半径方向変形
W 角度
【手続補正書】
【提出日】2024-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉リップ(4)を有し、
- 前記密閉リップ(4)が、軸方向(A)に延びる長手方向軸(L)の周りに延び、
- 前記密閉リップ(4)が、前記密閉リップ(4)が圧縮可能であるように構成されたばねセクション(10)を有する、
グロメット(2)。
【請求項2】
前記ばねセクション(10)がばね機能を実現し、それにより前記密閉リップ(4)が少なくとも前記軸方向(A)に圧縮可能である、
請求項1に記載のグロメット(2)。
【請求項3】
前記密閉リップ(4)が機械的負荷を受けたときに、取付面(6)上に追加の設置スペースが必要とされず、代わりに、前記ばねセクション(10)が圧縮され、かくして前記取付面(6)上の前記密閉リップ(4)が拡張されることなく前記機械的負荷を吸収するように、前記ばねセクション(10)が、前記密閉リップ(4)の圧縮を可能にするように構成されている、
請求項1又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項4】
半径方向(R)外側に前記密閉リップ(4)が接続される内側本体(14)を有し、
前記密閉リップ(4)が、前記ばねセクション(10)に付加され、取り付け後に取付面(6)に直接接触する端部セクション(20)を備え、
前記ばねセクション(10)が、前記内側本体(14)を前記端部セクション(20)に回動可能に接続する、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項5】
前記端部セクション(20)が負荷の間に拡張されず、したがって前記取付面(6)上により多くの設置スペースを必要とせず、代わりに、前記端部セクション(20)が前記取付面(6)上で変化しない位置に留まるか又は前記取付面(6)上で内側に移動するように前記ばねセクション(10)が弧を描くように、前記密閉リップ(4)が構成される、
請求項4に記載のグロメット(2)。
【請求項6】
前記端部セクション(20)が取付面(6)に取り付けられたときに前記半径方向(R)に転がり及び/又は滑り運動を行い、それによって前記ばねセクション(10)を変形させ、前記密閉リップ(4)を前記軸方向(A)に圧縮するように、前記端部セクション(20)が丸められる、
請求項
4に記載のグロメット(2)。
【請求項7】
前記ばねセクション(10)は、前記密閉リップ(4)が、非圧縮状態において前記軸方向(A)に広がり、圧縮状態におい
て半径方向(R)に外側に膨らむように、構成されている、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項8】
前記ばねセクション(10)は、前記グロメット(2)内部の容積が維持又は増加されるように外側に膨らむように構成され、前記容積は、前記グロメット(2)と取付面(6)との間に囲まれる容積として定義される、
請求項7に記載のグロメット(2)。
【請求項9】
前記密閉リップ(4)が前記長手方向軸(L)に対して角度(W)で延び、前記角度(W)は非圧縮状態において2°から30°の範囲内である、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項10】
前記ばねセクション(10)がばね状であり、前記ばねセクション(10)は、互いに接続し、その結果、前記ばねセクション(10)を全体として関節状又はヒンジ状にする、複数のセグメント(22)を有する、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項11】
前記セグメント(22)の少なくとも2つが、回動を容易にするために、接続点において、曲げ、折り目、段差、肩部、切り欠き、溝等が形成されるように、前記接続点において互いに回動可能に接続され、
及び/又は、
前記セグメント(22)の少なくとも2つが、回動を容易にするために、接続点において、前記ばねセクション(10)
が半径方向(R)に測定したときに減少した厚さを有するように、前記接続点において互いに回動可能に接続されている、
請求項10に記載のグロメット(2)。
【請求項12】
前記ばねセクション(10)が、前記長手方向軸(L)に沿った断面で見た場合に、段差の付いた形状又は蛇行した形状である、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項13】
前記密閉リップ(4)が端部セクション(20)を備え、前記端部セクション(20)は、塊状セクションとして構成され
、半径方向(R)で測定した場合に前記ばねセクション(10)よりも厚い、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項14】
前記塊状セクションが、前記長手方向軸(L)に沿った断面において球状又は滴状である、請求項13に記載のグロメット(2)。
【請求項15】
前記塊状セクションが4mmから5mmの範囲の厚さ(D)を有する、
請求項
13に記載のグロメット(2)。
【請求項16】
前記ばねセクション(10)が1.5mmから3mmの範囲の厚さ(D)を有する、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項17】
壁(8)に取り付けられるように構成され、
前記壁(8)にケーブル、ライン又は導管(16)を通すための少なくとも1つのソケット又は孔(18)を有する、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項18】
前記密閉リップ(4)がEPDM製である、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項19】
前記密閉リップ(4)が前記長手方向軸(L)に関して回転対称である、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項20】
前記ばねセクション(10)が組付け後も圧縮されたままとなり、したがってプレテンションがかけられるように、壁(8)内又は壁(8)上に固定するためのインサート(26)を有する、
請求項1
又は2に記載のグロメット(2)。
【請求項21】
前記密閉リップ(4)が、前記インサートの対応する数の固定要素を収容するために、多数の膨らみを備える、
請求項20に記載のグロメット(2)。
【国際調査報告】