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特表2024-533440固形化粧品製品を含む交換可能なカプセルのための携帯装置、カプセル、及びその使用
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  • 特表-固形化粧品製品を含む交換可能なカプセルのための携帯装置、カプセル、及びその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】固形化粧品製品を含む交換可能なカプセルのための携帯装置、カプセル、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A45D40/00 H
A45D40/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515642
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022075059
(87)【国際公開番号】W WO2023041423
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】2109733
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521559669
【氏名又は名称】クレアシオン アンリ ジャック
【氏名又は名称原語表記】CREATIONS HENRY JACQUES
【住所又は居所原語表記】2438 route de Bagnols 83920 La Motte - France
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クレモナ、アンヌ-リーズ
(72)【発明者】
【氏名】トレマー、クリストフ
(57)【要約】
本発明は、固形化粧品又は香料製品を含む交換可能なカプセル(2)を受容するための携帯装置(1)に関するものであり、当該装置(1)は、当該カプセル(2)を受容するように相補的に形状設定及びサイズ設定された凹部(4)を有するレセプタクル(3)を備え、当該装置(1)は、当該凹部(4)を開閉するためのシステム(7)を備えており、当該システムには、当該カプセル(2)を保持するための手段が提供されており、当該手段は、取り外し可能であるように提供され、また、選好的にはボールキャッチの形態の、当該カプセル(2)を備えた相補的スナップ締結手段(26)と係合するように形状設定された、スナップ締結手段(5)の形態、選好的には溝(6)の形態である。本発明はまた、固形化粧品又は香料製品を含むカプセル(2)にも、及び当該カプセル(2)の内側に含まれる対応する製品に応じて、スキンケア、メイクアップ用途、芳香用途のためのカプセル(2)が提供された当該装置(1)の使用にも関するものである。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形化粧品又は香料製品を含む交換可能なカプセル(2)を受容するための携帯装置(1)であって、前記装置(1)が、前記カプセル(2)を受容するように相補的に形状設定及びサイズ設定された凹部(4)を有するレセプタクル(3)を備え、前記装置(1)が、前記凹部(4)を開閉するためのシステム(7)を備えており、前記凹部(4)が、前記カプセル(2)から取り外し可能であるように提供された保持手段を含み、前記保持手段が、前記カプセル(2)に備えた相補的スナップ締結手段(26)と係合するように形状設定されたスナップ締結手段(5)を含み、
-前記開閉システム(7)が、右蓋(70)及び左蓋(71)を備え、前記右蓋(70)及び前記左蓋(71)が、開位置から前記凹部(4)を覆う閉位置へと、及び逆もまた同様に、前記レセプタクル(3)に対して摺動可能に装着されていることと、
-前記開閉システム(7)が、
-前記右蓋(70)に固定された第1のラック(700)と、
-前記左蓋(71)に固定された第2のラック(710)と、
-歯付き中央ホイール(72)であって、前記レセプタクル(3)内に回転可能に装着され、前記第1のラック(700)及び前記第2のラック(710)と噛合し、前記右蓋(71)及び前記左蓋(70)を分離させるように前記右蓋(71)及び前記左蓋(70)を開く際に、及び前記蓋を近付けるように前記蓋を閉じる際に、同時の線形駆動を与える、歯付き中央ホイール(72)と、を備えることと、を特徴とする、携帯装置(1)。
【請求項2】
前記装置(1)の前記凹部(4)において前記カプセル(2)を保持するための前記手段が、ボールキャッチの形態の、少なくとも3つのスナップ締結手段(5)、選好的には4つのスナップ締結手段(5)、より選好的には8つのスナップ締結手段(5)を含むことと、前記カプセル(2)には、3つのオリフィス、選好的には4つのオリフィス、又はより選好的には8つのオリフィス、さもなければ少なくとも1つの溝(6)であって、前記溝(6)が、前記カプセル(2)の外周に提供されている、少なくとも1つの溝(6)から選択される、前記キャッチのボールと係合する相補的スナップ締結手段(26)が相互に提供されていることと、を特徴とする、請求項1に記載の携帯装置(1)。
【請求項3】
前記装置(1)の前記凹部(4)において前記カプセル(2)を保持するための前記手段が、ボールキャッチの形態の前記カプセル(2)の前記相補的スナップ締結手段(26)の各々と係合するように形状設定されたスナップ締結手段(5)を含むことと、前記スナップ締結手段(5)が、3つのオリフィス、選好的には4つのオリフィス、又はより選好的には8つのオリフィス、あるいは少なくとも1つの溝(6)から選択されることと、前記カプセル(2)には、ボールキャッチの形態の3つの相補的スナップ締結手段(26)、選好的には4つのスナップ締結手段(26)、より選好的には8つのスナップ締結手段(26)が相互に提供されていることと、を特徴とする、請求項1に記載の携帯装置(1)。
【請求項4】
前記スナップ締結手段(5)が、ボールキャッチの形態の前記カプセル(2)の前記相補的スナップ締結手段(26)の各々と係合するように形状設定された少なくとも1つの溝(6)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の携帯装置(1)。
【請求項5】
前記スナップ締結手段(5)が、前記凹部(4)の内輪郭に上方又は下方へ機械加工された少なくとも1つの溝(6)であって、前記少なくとも1つの溝(6)が、前記カプセル(2)を挿入するための当接部としての役割を果たす、少なくとも1つの溝(6)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の携帯装置(1)。
【請求項6】
前記凹部(4)が、前記凹部(4)の前記内輪郭に上方及び下方へ機械加工された2つの溝(6)であって、前記2つの溝(6)が、頂部及び底部のそれぞれからの2つの位置に沿って前記カプセル(2)を挿入する際の止め具としての役割を果たす、2つの溝(6)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の携帯装置(1)。
【請求項7】
前記開閉システム(7)が、
-2つの左右対の摺動接続ロッドの形態の右レバー(701)及び左レバー(711)であって、右接続ロッド及び左接続ロッドの各々が装着されており、一方の端部では、前記右蓋(70)及び前記左蓋(71)にそれぞれ固定された同じピン(702、712)の周りに、及びそれに沿って摺動し、反対側の端部では、前記レセプタクル(3)に固定された接続ピン(703、713)の周りを回転する、右レバー(701)及び左レバー(711)と、
-弾性ブレード(704、714)であって、前記レセプタクル(3)に装着されて固定され、前記開位置に向かって前記右蓋(71)及び前記左蓋(70)から離れるように、前記レバー(701、711)のそれぞれの前記端部に復元力を及ぼすばねを形成する、弾性ブレード(704、714)と、を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の携帯装置(1)。
【請求項8】
前記開閉システム(7)が、前記右レバー(701)及び前記左レバー(711)の前記対の右接続ロッド及び左接続ロッドの各々の変曲点を含み、前記変曲点を越えると、前記弾性ブレード(704、714)によって及ぼされた前記復元力が、前記左右の蓋(70、71)の前記閉位置への収束を確実にすることを特徴とする、請求項7に記載の携帯装置(1)。
【請求項9】
前記携帯装置(1)の構成要素のうちの一方又は他方が、チタン又はその誘導体、選好的にはグレード5チタン、金又は赤金、鋼、アルミニウム、炭素、プラスチック、ポリ(メタクリル酸メチル)から選択される材料に基づくことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の携帯装置(1)。
【請求項10】
固形製品を含む交換可能なカプセル(2)であって、請求項3~6のいずれか一項に記載の携帯装置(1)の保持手段を介して前記カプセル(2)を収容し、保持し、固定することができ、前記カプセル(2)が、前記携帯装置(1)の前記スナップ締結手段(5)と係合するように形状設定された相補的スナップ締結手段(26)が外側に提供された中空シェル(20)を備えることを特徴とする、交換可能なカプセル(2)。
【請求項11】
前記相補的スナップ締結手段(26)の各々が、少なくとも1つの溝(6)の形態の前記スナップ締結手段(5)と係合するボールキャッチであって、前記溝(6)が、前記凹部(4)の内輪郭に上方又は下方へ機械加工されている、ボールキャッチであることを特徴とする、請求項10に記載の交換可能なカプセル(2)。
【請求項12】
前記中空シェル(20)が、固形香料、メイクアップパウダ、固形メイクアップリムーバ、固形石鹸、固形シャンプー、又は固形デオドラントから選択される前記固形製品を内側に含むことを特徴とする、請求項10又は11に記載の交換可能なカプセル。
【請求項13】
前記カプセル(2)の前記中空シェル(20)の内側に含まれる対応する製品に応じて、自分を清潔にする、スキンケア、メイクアップ用途、又は芳香用途のために、請求項10~12のいずれか一項に記載のカプセル(2)が提供された、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、及び香料、並びにボディケア及び美容製品の分野に関するものである。
【0002】
本発明は、携帯装置であって、開閉システムを有し、また、固形製品、特に固形化粧品製品又は固形香料、を含む交換可能なカプセルを受容することを意図しており、並びに当該カプセルが、固形製品、特に固形化粧品製品又は固形香料を含み、当該カプセルが、本発明による当該開閉システムを有する装置内の所定の位置に位置付けて保持することができる、携帯装置に関するものである。
【0003】
本発明の意味の範囲内で、「固形製品」、「固形組成物」、又は「固形物質」という用語は同義であり、固体形態のあらゆるタイプの化粧品、特にバルム又はコンパクトパウダ、並びに、あらゆるタイプの固体形態の香料製品、最も特に固形香料だけでなく、特にコンパクトバルムとしてのあらゆる形態の固形デオドラント、並びに外用の、固形石鹸などの皮膚用の、又は固形シャンプーなどの毛髪用の、更にはバルムなどの髭用の、あらゆるタイプのボディケア製品、並びに、コンパクトメイクアップパウダ又は固形メイクアップリムーバなどの審美的用途のあらゆるタイプの美容製品、を包含する。
【0004】
かかる固体の美容若しくは香料製品、又はボディケア製品は、限定的ではなく選好的に、外用的に適用され得、本質的には皮膚及び毛髪に接触し得る。
【背景技術】
【0005】
固体形態の香料などの化粧品及び香料における固形製品の存在は、長年にわたって知られている。しかしながら、固形香料の使用には実用性が欠如しているため、液体形態の、具体的にはデオドラントなどの気化若しくは噴霧形態の、又はエアロゾルによって散布されるガス形態の芳香剤が出現して普及してきたが、今日、固形香料は、もはや消費者の共通の習慣の一部ではない。
【0006】
しかしながら、最近のリニューアルにより、多数のブランドが固形香料を提供しているが、概して、取り外し可能なカバーが提供された箱の形態で、価値の低い品質の基本的な容器であり、特に高級品の分野で製作及び開発されることもある。
【0007】
固形香料の使用における実用性の欠如を軽減しようとする目的で、複数の装置が導入されてきた。しかしながら、固形香料の使用及び普及を制限する特定の技術的問題が残っている。
【0008】
固形香料の使用における実用性の欠如に対処するために使用される装置の大部分は、弁又は摺動システムを有しており、その開閉は、ユーザの手によって作動させる。
【0009】
国際公開第2010/85500号は、一方が使用するためのものであり、他方が、全てを使用した後に充填するためのものである2つの異なるレセプタクル内に、とりわけ、特に固体形態2種の化粧物質を含むことを意図した、略管形状の又は丸み付けされた縁部を有する直方体形状の携帯装置を開示している。したがって、この装置は、再使用可能であるように提供され、2つのレセプタクルのうちの一方を他方の再充填レセプタクルによって再充填することを可能にし、2つのレセプタクルは、互いに独立している。追加的に、2つのレセプタクルは、互いに対して取り外し可能に取り付けられることによって互いに当接する。
【0010】
仏国特許第3083449号は、皮膚などの人間の角質材料に芳香を与えることを目的とする、いくつかの芳香固形組成物を含むことを目指したハウジングの形態の携帯装置を開示している。かかる装置は、1種以上の組成物を組み込んだ取り外し可能な要素を受容するように形状設定された凹部が提供された本体を備える。追加的に、この装置は、特にヒンジを介して関節接合されたカバーの形態の、弁を開閉するためのシステムを備える。
【0011】
米国特許第10925374号もまた、美容製品を含む交換可能なカプセルを受容することを意図した携帯装置を開示しており、当該装置は、当該取り外し可能なカプセルを受容するように相補的に形状設定及び寸法設定された凹部を有するレセプタクルを備え、当該装置は、当該弁凹部を開閉するためのシステムを備える。
【0012】
また、米国特許第7014045号も知られており、この特許文献は、基部要素と、第1のカバー及び第2のカバーを有する一対のカバーであって、第1のカバー及び第2のカバーが、基部要素に枢動可能に連結されている、一対のカバーと、を備える、美容ハウジングを記載している。
【0013】
固形香料を含む既知の装置の例として、固形芳香性物質を受容するための凹部を有する容器を実装する、「DIPTYQUE(登録商標)」社の「EAU CAPITALE(登録商標)」コレクションにも言及され得る。この装置は、コンパクトと同じ方法で、弁によって開閉するためのシステムを備える。この装置は、磁石システムによって閉じられる。このケースの凹部の底部の所定の位置において補充品を保持するために、特に磁石付きの、取り外し可能な固定具が使用される。
【0014】
「STAG SOLID COLOGNE(登録商標)」という名称で「ALWIS AND XAVIER ENTERPRISE(登録商標)」によって、及び「SOLID PERFUME」という名称で「JUNIPER RIDGE(登録商標)」によって実装された他の装置は、使い捨て可能である、取り外し可能なカバーを有する金属トレイの形態であり、固形芳香性物質を直接含むことを意図している。製品が消費されると、消費者は、空のトレイを取り外して、新しいトレイを購入しなければならない。
【0015】
「SOLID PERFUME」という名称で「Le LABO(登録商標)」によって開発された装置は、円筒形容器の形態であり、固形芳香性物質のカプセルを含むことを意図した凹部を備えた第1の部分と、枢動可能に装着されたカバーを形成する第2の部分と、に分けられ、その閉鎖システムには、磁石付き止め具が提供されている。カプセルは、凹部の底部に配置された磁石によって装置において保持される。
【0016】
同様に、「SUAVECITO(登録商標)」によって開発された「HAVANA TOBACCO FRAGRANCE SOLID COLOGNE(登録商標)」装置も知られており、これは、固形芳香性物質を含むことを目的とした箱の形態をとっている。開閉システムが枢動システムに対応して、箱の残りの部分に対するカバーの回転を確実にする。カプセルもまた、固形香料カプセルを収容する凹部の底部に配置された磁石によって装置において保持される。
【0017】
簡潔には、既存の装置は、その携帯性のためにコンパクトである場合、ハウジングの残りの部分に対してカバーをオフセットさせることによって、枢動又は回転による開口を確実にするように、両手を用いて開口する必要がある。追加的に、既知の装置の凹部においてカプセルを保持することは、しばしば、単一の磁石では不安定であり、装置の輸送中に、特にバッグ内での、更にはコンパクト装置のためのポケット内での衝撃により、カプセルを移動させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述したことを考慮すると、本発明が解決しようとする課題は、技術、創造力、スタイル、及び品質を組み合わせた、自身に芳香を与える方法によって、化粧品の、特に香料の固形組成物の使用を改善することができる携帯装置を開発することである。
【0019】
目的は、最小限の重量で強度及び長寿命を提供するが、機能的である、すなわち、化粧品であっても香料であっても、それが含む製品の全ての使用機能を満たす、小型で極めて軽量な物体を作り出すことである。加えて、本発明は、固形香料容器の迅速かつ信頼性の高い位置決めが提供された、携帯型のコンパクトな装置を使用することで、日常生活において使い易いだけでなく、持ち運びもできる、一群の芳香剤を提供することを想定している。
【0020】
これを行うために、本発明は、単一の運動で両側を同時に開閉するシステムを有する携帯装置を目標とする。かかる携帯装置は、固形化粧品及び固形香料などの固形製品を含む交換可能なカプセルを受容することを意図している。
【0021】
追加的に、本発明による携帯装置は、改善された開閉システムを備えており、かつ、交換可能であるように提供されたカプセルを収容し、一方で、空気及び埃などの外部要素に敏感な香料などの組成物及びその天然成分を保護する、装置の全ての機能及び特徴を組み込んでいる。
【0022】
本発明による装置は、コンパクトな装置を通して、固形の、すなわち非流動性の組成物の日常的な使用上の問題を解決し、一方で、自身に芳香を与える習慣をそれ自体が更新し、したがって、新しい姿勢及び新しい生活様式を作り出すことを可能にする。
【0023】
本発明による携帯装置は、ユーザが持ち運ぶことができるコンパクトな装置によって、あらゆる日常的な生活状況において、「自分の」香料の簡単な使用を誰にでも提供する。本発明は、輸送中に落下又は衝撃が生じた場合に破損する、割れる、又は損傷する高い可能性を更に有する、あらゆる関連するリスク又は制約、特に液体又はエアロゾル芳香剤の容器に関する、特に航空運輸に関連する安全上の制約を伴うことなく、1種以上の化粧品及び/又は香料組成物を持ち歩くことを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によれば、もたらされる課題に対する解決策は、第1に、固形化粧品又は香料製品を含む交換可能なカプセルを受容するための携帯装置に関するものであり、当該装置は、当該カプセルを受容するように相補的に形状設定及びサイズ設定された凹部を有するレセプタクルを備えており、当該装置は、当該凹部を開閉するためのシステムを備えており、当該凹部は、当該カプセルから取り外し可能であるように提供された保持手段を含み、当該保持手段は、当該カプセルを備えた相補的スナップ締結手段と係合するように形状設定されたスナップ係合手段を備える。
【0025】
かかる装置は、
-開閉システム(7)が、右蓋(70)及び左蓋(71)を備え、当該蓋が、開位置から当該凹部(4)を覆う閉位置へと、及び逆もまた同様に、当該レセプタクル(3)に対して摺動可能に装着されていることと、
-当該開閉システム(7)が、
-右蓋(70)に固定された第1のラック(700)と、
-左蓋(71)に固定された第2のラック(710)と、
-歯付き中央ホイール(72)であって、当該レセプタクル(3)内に回転可能に装着され、当該第1のラック(700)及び当該第2のラック(710)と噛合し、当該右蓋(71)及び当該左蓋(70)を分離させるように当該右蓋(71)及び当該左蓋(70)を開く際に、及び当該蓋を近付けるように当該蓋を閉じる際に、同時の線形駆動を与える、歯付き中央ホイール(72)と、を備えることと、を特徴とする。
【0026】
1つの非限定的な実施形態によれば、当該装置の凹部において当該カプセルを保持するための手段は、ボールキャッチの形態の、少なくとも3つのスナップ締結手段、選好的には4つのスナップ締結手段、より選好的には8つのスナップ締結手段を備え、当該カプセルには、3つのオリフィス、選好的には4つのオリフィス、又はより選好的には8つのオリフィス、さもなければ少なくとも1つの溝であって、当該溝が、当該カプセルの外周に提供された、少なくとも1つの溝から選択される、当該キャッチのボールと係合する相補的スナップ締結手段が相互に提供されている。
【0027】
選好的な実施形態によれば、当該装置の凹部において当該カプセルを保持するための手段は、3つのオリフィス、選好的には4つのオリフィス、又はより選好的には8つのオリフィス、あるいは少なくとも1つの溝から選択される、ボールキャッチの形態のカプセルの当該相補的スナップ締結手段の各々と係合するように形状設定されたスナップ締結手段を備えることができ、当該カプセルには、ボールキャッチの形態の3つの相補的スナップ締結手段、選好的には4つのスナップ締結手段、より選好的には8つのスナップ締結手段が相互に提供されている。
【0028】
一実施形態によれば、当該スナップ締結手段は、ボールキャッチの形態のカプセルの当該相補的スナップ締結手段の各々と係合するように形状設定された、少なくとも1つの溝を含み得る。
【0029】
一実施形態によれば、スナップ締結手段は、当該凹部の内輪郭に上方又は下方へ機械加工された少なくとも1つの溝であって、当該少なくとも1つの溝が、当該カプセルを挿入するための当接部としての役割を果たす、少なくとも1つの溝を含み得る。
【0030】
一実施形態によれば、凹部は、当該凹部の内輪郭に上方及び下方へ機械加工された2つの溝であって、当該2つの溝が、頂部及び底部のそれぞれからの2つの位置に沿って当該カプセルを挿入する際の止め具としての役割を果たす、2つの溝を含み得る。
【0031】
一実施形態によれば、開閉システムは、
-2つの左右対の摺動接続ロッドの形態の右レバー及び左レバーであって、右接続ロッド及び左接続ロッドの各々が装着されており、一方の端部では、当該右蓋及び当該左蓋にそれぞれ固定された同じピンの周りに、及びそれに沿って摺動し、反対側の端部では、当該レセプタクルに固定された接続ピンの周りを回転する、右レバー及び左レバーと、
-弾性ブレードであって、当該レセプタクルに装着されて固定され、開位置に向かって右蓋及び左蓋から離れるように、レバーのそれぞれの端部に復元力を及ぼすばねを形成する、弾性ブレードと、を備え得る。
【0032】
一実施形態によれば、開閉システムは、右レバー及び左レバーの当該対の右接続ロッドの及び左接続ロッドの各々の変曲点を含み得、その変曲点を越えると、当該弾性ブレードによって及ぼされた当該復元力が、当該左右の蓋の当該閉位置への収束を確実にする。
【0033】
一実施形態によれば、当該携帯装置の構成要素のうちの一方又は他方は、チタン又はその誘導体、選好的にはグレード5チタン、金又は赤金、鋼、アルミニウム、炭素、プラスチック、ポリ(メタクリル酸メチル)から選択される材料に基づき得る。
【0034】
本発明はまた、固形製品を含む交換可能なカプセルであって、本発明による携帯装置の保持手段を介して当該カプセルを収容し、保持し、固定することができ、当該カプセルが、当該携帯装置の当該スナップ締結手段と係合するように形状設定された相補的スナップ締結手段が外側に提供された中空シェルを備えることを特徴とする、交換可能なカプセルの第2の主題にも関するものである。
【0035】
一実施形態によれば、当該相補的スナップ締結手段の各々は、少なくとも1つの溝の形態のスナップ締結手段と係合するボールキャッチであって、当該溝が、当該凹部の内輪郭に上方又は下方へ機械加工されている、ボールキャッチであり得る。
【0036】
一実施形態によれば、当該中空シェルは、固形香料、メイクアップパウダ、固形メイクアップリムーバ、固形石鹸、固形シャンプー、又は固形デオドラントから選択される当該固形製品を内側に含む。
【0037】
また、本発明の別の第3の主題は、当該カプセルの中空シェルの内側に含まれる対応する製品に応じて、自分を清潔にする、スキンケア、メイクアップ用途、又は芳香用途のために、本発明によるカプセルが提供された、本発明による装置の使用でもある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明及びその利点は、添付の図面を参照しながら、以下の説明及び非限定的な実施形態を読むことでより良く理解されるであろう。
【0039】
図1】特に閉位置にある装置を示す、本発明による携帯装置の一実施形態の斜視図を概略的に示す。
図2】交換可能なカプセルが保持される、特に開位置にある当該携帯装置を示す、図1と同様の図を概略的に示す。
図3】カプセルが凹部に保持された状態で開位置にある携帯装置の長手方向中央平面に沿った断面図を概略的に示す。
図4】特にその凹部内にボールキャッチの形態で8つのスナップ締結手段を備えた保持手段を示す、一実施形態による、閉位置にある当該携帯装置の図3と同様の図を概略的に示す。
図5】特にボールキャッチの形態の相補的スナップ締結手段を示す、一実施形態による、交換可能なカプセルの斜視図を概略的に示す。
図6】特にボールキャッチの形態の当該相補的スナップ締結手段を示す、図5の横方向中央断面に沿った図を概略的に示す。
図7】特に溝の形態の当該相補的スナップ締結手段を示す、交換可能なカプセルの別の実施形態の横方向中央断面に沿った図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、交換可能なカプセル2(以下「カプセル」)を受容することを意図した携帯装置1に関するものである。
【0041】
具体的には、当該カプセル2は、化粧品又は香料タイプの固形製品を含む。上述したように、当該固形製品は、固体形態のあらゆるタイプの化粧品、特にバルム又はコンパクトパウダ、並びに、固体形態のあらゆるタイプの香料製品、最も特に固形香料だけでなく、特にコンパクトバルムとしてのあらゆる形態の固形デオドラント、並びに外用の、固形石鹸などの皮膚用の、又は固形シャンプーなどの毛髪用の、更にはバルムなどの髭用の、あらゆるタイプのボディケア製品、並びに、コンパクトメイクアップパウダ又は固形メイクアップリムーバなどの審美的用途のあらゆるタイプの美容製品、であり得る。
【0042】
かかる固体の美容若しくは香料製品、又はボディケア製品は、限定的ではなく選好的に、外用的に適用され得、本質的には皮膚及び毛髪に接触し得る。
【0043】
より具体的には、当該カプセル2は、当該固形製品を含むように中空シェル20を備える。
【0044】
一実施形態によれば、当該シェル20の内面は、特に当該シェル20の内側の固形製品の抵抗を高めるように形状設定された、山部21を備え得る。図3及び図5は、シェル2の底部22内に提供された山部の実施例を示す。
【0045】
一実施形態によれば、底部22は、直線状であり得、すなわち、シェル2の下壁25と平行又は実質的に平行であり得る。
【0046】
別の実施形態によれば、図6及び図7から分かるように、底部22は、カプセル2の中心に向かう下方への傾斜を有する。
【0047】
追加的に、底部22は、凹状であり得る。
【0048】
更に、シェルは、当該底部22の周りに環状様式で延在する内壁23を備える。一実施形態によれば、当該内壁23は、当該底部22を通過する平面に対して傾斜し得る。換言すれば、内壁は、外壁24に対して平行ではなく、傾斜を有する。追加的に、この傾斜は、当該底部22から分かれて延在している。簡潔には、内壁23は、カプセル2の開口部に近付くにつれて縮小する。したがって、この傾斜は、底部23において、当該開口部よりも大きい内径を与え、当該カプセル2に含まれる固形製品の抵抗を高める。
【0049】
追加的に、当該カプセル2は、交換可能であるように提供されており、すなわち、当該携帯装置1に対して取り外し可能に装着される。この交換可能な性質は、カプセル2を当該携帯装置1に位置付けて、特に製品を使い切ったときに、そこから取り外すことを可能にするだけでなく、異なる組成物を含むカプセル2を反転させることによって製品を変えることも可能にする。
【0050】
これを行うために、当該携帯装置1は、凹部4を有するレセプタクル3を備える。
【0051】
当該レセプタクル3は、任意の形状、特に略直方体形状を有し得る。このレセプタクル3は、携帯装置1の基部又は中央本体としての役割を果たす。
【0052】
この点に関して、装置1の携帯性は、ユーザが把持すること、並びに取り扱うことを可能にするだけでなく、特にバッグの中に又は例えばハンドバッグタイプの1つの荷物の中に、さもなければポケット又はパウチの中に保管することも可能にする寸法及び質量に対応する。したがって、携帯装置1は、コンパクトであることを意図している。
【0053】
より具体的には、凹部4は、当該カプセル2を受容するように相補的に形状設定及び寸法設定されている。換言すれば、凹部4の内側寸法は、カプセル2の外部寸法に対応し、当該カプセル2を当該凹部4内に挿入することを可能にする隙間を有する。追加的に、カプセル2の挿入は、凹部4内を滑らせる又は摺動させることによって実行することができる。
【0054】
更に、凹部4及びカプセル2は、任意の形状を有し得る。選好的な実施形態によれば、凹部4は、円形断面を有し、一方で、カプセル2は、略円筒形状を有する。
【0055】
当該凹部4は、行き止まりであるが、選好的には貫通して提供することができ、携帯装置1を反転させることによって、カプセル2を、頂部から又は底部からの2つの方向に挿入することを可能にする。
【0056】
より具体的には、本発明によれば、当該凹部4は、当該カプセル2を保持するための手段を備えており、この保持手段は、取り外し可能であることを意図している。したがって、保持手段は、カプセル2を挿入して、特に携帯装置1の輸送中に及びその取り扱い中に、当該カプセルをレセプタクル3に固定した状態に保つことを可能にし、一方で、特に変える又は交換するために、カプセル2を引き抜く可能性を確実にする。
【0057】
有利には、本発明は、保持手段が、当該カプセル2を備えた相補的スナップ締結手段26と係合するように形状設定されたスナップ締結手段5を備えることを提示している。簡潔には、カプセル2は、当該カプセル2と凹部4との間でスナップ締結機構によって凹部4において保持される。したがって、このスナップ締結は、取り外し可能な様式でカプセル2を係止することを確実にする。
【0058】
当該スナップ締結手段5は、任意のタイプのものであり得る。例えば、スナップ締結手段5は、インターロック、特に雄型及び雌型部品、バヨネット、などによって機能することができる。
【0059】
一実施形態によれば、当該装置1の凹部4において当該カプセル2を保持するための手段は、ボールキャッチの形態の少なくとも3つのスナップ締結手段5、選好的には4つのスナップ締結手段5、より選好的には8つのスナップ締結手段5を備える。加えて、当該カプセル2には、3つのオリフィス、選好的には4つのオリフィス、又はより選好的には8つのオリフィス、あるいは少なくとも1つの溝6であって、当該溝6が、当該カプセル2の外周に提供された、少なくとも1つの溝6から選択される、当該キャッチのボールと係合する相補的スナップ締結手段26が相互に提供されている。
【0060】
かかる構成は、特に図7において見ることができ、図中、カプセル2の外周に、すなわち、その外周壁に沿ったくぼみに配置された溝6を断面において見ることができる。追加的に、溝6は、装置1のボールキャッチの反対側のこの横縁部の下部に提供され、この場合、凹部4の下部に位置付けられる。
【0061】
別の選好的な実施形態によれば、当該装置1の凹部4において当該カプセル2を保持するための手段は、3つのオリフィス、選好的には4つのオリフィス、又はより選好的には8つのオリフィス、あるいは少なくとも少なくとも1つの溝6から選択される、ボールキャッチの形態のカプセル2の当該相補的スナップ締結手段26の各々と係合するように形状設定されたスナップ締結手段5を備える。更に、当該カプセル2には、ボールキャッチの形態の3つの相補的スナップ締結手段26、選好的には4つのスナップ締結手段26、より選好的には8つのスナップ締結手段26が相互に提供されている。
【0062】
追加的に、ボールキャッチは、カプセル2の周りに一体化されて、その外周に位置する。かかる構成は、特に図5及び図6において見ることができ、ボールキャッチの形態の相補的スナップ締結手段26を示している。
【0063】
一実施形態によれば、凹部4は、当該凹部4の内輪郭に上方又は下方へ機械加工された少なくとも1つの溝6を含む。この溝は、当該カプセル2を挿入するための支持止め具として作用する。その場合、この単一の溝は、例えば携帯装置1の表面の一方又は他方だけから、選好的にはその上に位置付けられた表面から、凹部4へのカプセル2の単一の挿入方向を確実にする。
【0064】
選好的な実施形態によれば、凹部4は、当該凹部4の輪郭に上方及び下方へ機械加工された2つの溝を備える。当該2つの溝は、頂部及び底部のそれぞれから2つの位置に当該カプセル2を挿入するための支持止め具としての役割を果たす。換言すれば、携帯装置1のいずれかの面からカプセル2を導入することが可能である。
【0065】
この場合では、凹部4は、貫通凹部であるように提供されることに気付くであろう。
【0066】
一実施形態によれば、スナップ締結手段5は、当該凹部4の内輪郭に上方又は下方へ機械加工された少なくとも1つの溝6、選好的には2つの溝を含み、当該少なくとも1つの、選好的には2つの溝6は、当該カプセル2の挿入方向における止め具としての役割を果たす。
【0067】
選好的には、スナップ締結手段5は、凹部4の下部に位置する溝6を備えており、カプセル2の対応するキャッチが、当該カプセル2の反対側の外周の下部に位置付けられることを可能にする。
【0068】
別の実施形態によれば、凹部4は、当該凹部4の内輪郭に上方及び下方へ機械加工された2つの溝6であって、当該2つの溝6が、頂部及び底部のそれぞれからの2つの位置に沿って当該カプセル2を挿入する際の止め具としての役割を果たす、2つの溝6を備える。
【0069】
いずれの場合でも、ボールキャッチは、通常知られており、「ボールプッシャ」とも称される。ボールキャッチは、止まり穴を形成する中空円筒形フランジを備えており、その中で、圧縮ばねがフランジの底部と当接する。開口側には、ボールが位置付けられて、ばねの圧縮の影響の下で周縁の縁部面を支持し、その開口部寸法は、当該ボールの直径よりも小さく、当該ボールが当該フランジから放出されるのを阻止する。加えて、フランジの内径は、当該ボールの直径と等しく又は実質的に等しく、当該ボールの支持が実行されている間、当該ボールがフランジの内側に向かって滑る、回転する、又は摺動することを可能にし、次いで、当該ボールがフランジの当該縁部面と面一になるまで内側に押される。次いで、支持を止めた時点で、ばねがボールを外向きに押し戻す。次いで、ボールが再度突出する。
【0070】
したがって、ボールは、突出することによって対応するオリフィス又は溝6、選好的には対応する溝6に挿入されて、凹部4においてカプセル2を係止することを確実にする。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも3つのスナップ締結手段5が存在し得る。凹部4の周りに分配されたこれらの3つのスナップ締結点は、凹部4の内側を回転、傾斜、又は振動させることなく、少なくとも当該凹部4においてカプセル2を保持することを確実にする。追加的に、少なくとも3つのスナップ締結手段5は、少なくとも当該凹部4の対称軸の両側に三角形の様式で分配されている。
【0072】
追加的に、論理的には、カプセル2は、当該相補的スナップ締結手段26が互いに独立している場合、特にそれらがオリフィス又はボールキャッチである場合に、凹部4が備えるスナップ締結手段5と同じ数の、相補的スナップ締結手段26を備え得る。
【0073】
反対に、溝6の形態の相補的スナップ締結手段26の場合には、単一の溝6を使用して、装置1の3つのスナップ締結手段5に係合することができる。この構成は、特に、ユーザの好みで、カプセル2を任意の角度で回転させて凹部4内で再位置決めすることを可能にする。
【0074】
別の実施形態によれば、カプセル2の保持を向上させるために、当該携帯装置1の凹部4において当該カプセル2を保持するための手段5は、少なくとも4つのスナップ締結手段5を備える。その場合、同じく相補的スナップ締結手段が独立している場合、当該カプセル2には、4つの相補的スナップ締結手段26が提供される。
【0075】
反対に、溝6の形態の相補的スナップ締結手段26の場合には、単一の溝6を使用して、装置1の4つのスナップ締結手段5に係合することができる。
【0076】
選好的な実施形態によれば、図4から分かるように、当該携帯装置1の凹部4において当該カプセル2を保持するための手段5は、8つのスナップ締結手段5を備えており、一方で、同じく相補的スナップ締結手段が独立している場合、当該カプセル2には、8つの相補的スナップ締結手段26が提供される。8つのスナップ締結手段5によるかかる構成は、特に図4において見ることができる。この構成は、カプセル2を最適に保持するだけでなく、ユーザが当該カプセルに含まれる固形組成物の使用中に当該カプセル2を押圧した場合の強度も確実にする。
【0077】
反対に、溝6の形態の相補的スナップ締結手段26の場合には、単一の溝6を使用して、装置1の8つのスナップ締結手段5に係合することができる。
【0078】
反対に、別の選好的な実施形態によれば、当該装置1の凹部4において当該カプセル2を保持するための手段は、3つのオリフィス、反対に、選好的には4つのオリフィス、又はより選好的には8つのオリフィス、あるいは少なくとも1つの溝6、当該凹部4の内輪郭に上方又は下方へ機械加工された選好的には少なくとも1つの溝6、より選好的には2つの溝6から選択される、ボールキャッチの形態のカプセル2の当該相補的スナップ締結手段26の各々と係合するように形状設定されたスナップ締結手段5を備える。この構成では、当該カプセル2には、ボールキャッチの形態の3つの相補的スナップ締結手段26、選好的には4つのスナップ締結手段26、より選好的には8つのスナップ締結手段26が相互に提供されている。
【0079】
更に、カプセル2の取り外し可能なスナップ締結は、ユーザが、当該カプセル2を角度的に再位置決めして、手段5と26との間の角度に従って、特に当該カプセルに含まれる製品の片側の不規則な使用に基づいて当該カプセルを回転させることを可能にし、このタイプの不規則性は、通常、右利き又は左利きのユーザの使用に起因して生じる。この場合、ユーザは、単に凹部4からカプセル2を取り外し、回転させて再位置決めすることを必要とする。
【0080】
一実施形態によれば、スナップ締結手段5は、当該凹部5の周りに規則的に分配されている。したがって、スナップ締結手段5は、一定の間隔で、さもなければ1つ又は複数の対称性に従って、1本以上の対称軸に沿って、又は対称中心に従って、当該凹部4の内壁上で離間させることができる。
【0081】
特に、スナップ締結手段5が偶数の場合、2つのスナップ締結手段5は、選好的には直径方向に対向している。
【0082】
一実施形態によれば、スナップ締結手段5は、当該携帯装置1の中心の長手方向中央平面において、当該凹部4に対して上部及び/又は下部に位置付けられている。それぞれの様式では、相補的スナップ締結手段26は、当該カプセル2の中心の長手方向中央平面において、当該カプセル2に対して上部及び/又は下部に位置付けられている。図6及び図7は、当該カプセル2の下部に位置付けられた相補的スナップ締結手段26を示す。
【0083】
より具体的には、本発明によれば、当該携帯装置1は、当該凹部4を開閉するためのシステム7(以下「システム」)を備えている。
【0084】
より具体的には、システム7は、右蓋70及び左蓋71を備える。蓋70、71は、開位置から当該凹部4を覆う閉位置へと、及び逆もまた同様に、当該レセプタクル3に対して摺動可能に装着されている。
【0085】
特に、蓋70、71の開位置では、凹部全体4にアクセス可能である。換言すれば、開位置にある蓋70と71との間の間隔は、少なくとも等しい、選好的には凹部4よりも大きい、実際にはカプセル2よりも大きい寸法を有する。
【0086】
蓋70、71の同時の開閉を確実にするために、当該システム7は、右蓋70に固定された第1のラック700と、左蓋71に固定された第2のラック710と、を備える。
【0087】
加えて、システム7は、当該レセプタクル3内に回転可能に装着された中央歯付きホイール72を備える。特に、ホイール72は、当該凹部4の周りに回転可能に装着されている。
【0088】
加えて、ホイール72は、当該第1のラック700及び当該第2のラック710と噛合して装着され、当該右蓋70及び当該左蓋71を分離させるように当該右蓋70及び当該左蓋71を開く際に、及び当該蓋を近付けるように当該蓋を閉じる際に、同時の線形駆動を与える。
【0089】
したがって、開く及び/又は閉じる間、その右ラック700(又はそれぞれ、その左ラック710)に固定された右蓋70(又は左蓋71)のユーザによる作動は、他方の左ラック710(又はそれぞれ、他方の右ラック700)を駆動する歯付きホイール72を回転させることを可能にし、それ自体が他方の左蓋71(相互に、他方の右蓋70)に固定される。したがって、片手で装置1を開閉する可能性を提供する、2つの蓋70、71を同期的に開くことが得られる。
【0090】
一実施形態によれば、システム7は、2つの左右対の摺動接続ロッドの形態の、右レバー701及び左レバー711を備える。加えて、右接続ロッド及び左接続ロッドの各々が装着されており、一方の端部では、当該右蓋70及び当該左蓋71に固定された同じピン702、712の周りに、及びそれに沿って摺動する。反対側の端部では、レバー701、711の2つの接続ロッドの各々が、当該レセプタクル3に接続するためのピン703、713の周りに回転するように装着されている。特に、レバー701、711は、一方の端部に細長いノッチを有し、それぞれの摺動ピン702、712の周りに摺動することを確実にし、一方で、反対側の端部は、対応するピン703、713上を回転するように装着されている。
【0091】
したがって、レバー70、71のそれぞれの組み立てによって得られた機構は、2バー機構と同様であり、特に、弾性ブレード704、714の本質的に直線状の推力を、レバー70、71の摺動と組み合わせられた回転運動に変換する。
【0092】
追加的に、選好的な実施形態によれば、図3及び図4から分かるように、レバー701、711は、略L字形状であり、直角又は実質的に直角の分岐を備え、回転ピン703、713上を回転するように装着された反対側の端部から延在している。
【0093】
加えて、システム7は、当該レセプタクル3に装着されて固定された弾性ブレード704、714を備える。これらのブレード704、714は、凹部4の両側の右側及び左側にそれぞれ位置付けられている。加えて、当該弾性ブレード704、714は、レバー701、711のそれぞれの端部に復元力を及ぼすばねを形成し、開位置に向かって右蓋70及び左蓋71から離れる。
【0094】
したがって、図4から分かるように、閉位置では、レバー701、711がそれらのそれぞれのブレード704、714を圧縮し、図3から分かるように開位置への弾性復帰により押し戻して、開くことを容易にする。追加的に、弾性ブレード704、714は、蓋70、71の最大進行に従う当該開位置への弾性復帰を確実にするように構成されている。
【0095】
更に、開ストロークの終了は、任意のタイプの当接部によって得られ得る。特に、進行止め具は、レバー701、711のそれぞれの摺動ピン702、712に当接する細長いノッチによって得ることができる。
【0096】
反対に、図4から分かるように、閉位置で係止することを確実にするために、システム7の特定の構成は、接続ロッドを有するレバー701、711の機構により、ブレード704、714の当該復元力が、対応するレバー701、711の分岐を蓋70、71の底部に向かって押すことを確実にするジオメトリを誘導することを可能にする。
【0097】
特に、レバー701、711の運動は、変曲点又は平衡点を有し、それを越えると、復元力が接続ロッド機構を開位置又は閉位置へと枢動させ、すなわち、当該レバー701、711の各々について、接続ロッドを互いに対して押し戻させる、又は復元させる。
【0098】
したがって、一実施形態によれば、システム7は、右レバー701及び左レバー711の当該対の右接続ロッド及び左接続ロッドの各々の変曲点を含み、それを越えると、当該弾性ブレード704、714によって及ぼされた当該復元力が、当該右蓋70及び左蓋71の当該閉位置への収束を確実にする。追加的に、当該変曲点を越えたこの力は、蓋70、71を閉位置に係止することを確実にする。
【0099】
結果として、蓋70、71を係止解除するために、ユーザは、単に変曲点を通過するように推力を及ぼし、その場合、その復元力が、携帯装置1を完全に開かせるまで、当該蓋70、71を摺動させることを確実にする。したがって、本発明は、機構の所与の変曲点を通過して携帯装置1を開閉した後に適用される、半自動的な運動を得ることを可能にする。
【0100】
上述したように、本発明はまた、かかる交換可能なカプセル2を含む携帯装置1にも関するものである。
【0101】
本発明は、様々な上述した構成要素の材料が、あらゆるタイプ、特に金属、複合材、プラスチック、又はセラミックマトリックス複合材料であり得ることを提示している。
【0102】
様々な実施形態によれば、当該携帯装置1の構成要素のうちの一方又は他方は、チタン又はその誘導体、選好的にはチタン、金又は赤金、鋼、アルミニウム、炭素、プラスチック、ポリ(メタクリル酸メチル)から選択される材料に基づいている。
【0103】
選好的には、選択される材料は、当該グレード5チタンであり、すなわち、機械的強度と、耐久性と、延性との間の妥協点を与え、また、容易な機械加工性及び溶接性を確実にする、アルミニウム-バナジウムとの合金である。追加的に、機構だけでなくカプセル2にも使用されるこのグレード5チタンは、その堅牢性、耐腐食性及び耐摩耗性、その生体適合性、その低い密度、などのその複数の物理的及び機械的特性が認められている。グレード5チタンはまた、これらの要素間の化学的相互作用などを伴わずに、特に美容及び香料製品の成分との互換性を有する。
【0104】
本発明はまた、交換可能であることを意図した当該カプセル2にも関するものである。
【0105】
上述したように、当該カプセル2は、携帯装置1の保持手段5により、収容し、保持し、固定することができる。
【0106】
当該カプセル2は、中空シェル20を備える。
【0107】
追加的に、当該シェル20は、当該携帯装置1の上述した構成要素と同様の材料の選択において作製することができる。
【0108】
更に、当該シェル20には、当該携帯装置1の当該スナップ締結手段5と係合するように適合された相補的スナップ締結手段26が外側に提供されている。
【0109】
対応する実施形態を参照すると、当該相補的スナップ締結手段26の各々は、ボールキャッチの形態のスナップ締結手段5と係合する溝6である。かかる一実施形態は、特に図7において見ることができる。
【0110】
代替的に、対応する実施形態を参照すると、当該相補的スナップ締結手段26の各々は、溝6の形態のスナップ締結手段5と係合するボールキャッチである。かかる一実施形態は、特に図6において見ることができ、直径方向に対向した様式でカプセル2に一体化された2つのボールキャッチを示している。
【0111】
更に、上述したように、当該カプセル2は、固形物、好ましくは美容又は香料製品を含む。
【0112】
様々な実施形態によれば、カプセル2の当該中空シェルは、固形香料、メイクアップパウダ、固形メイクアップリムーバ、固形石鹸、固形シャンプー、又は固形デオドラントから選択される当該固形製品を内側に含む。
【0113】
したがって、先に説明したように、本発明はまた、先に説明したようにカプセル2が提供されたときの携帯装置1の使用にも関するものである。意図した使用は、非限定的に、当該カプセルの中空シェルの内側に含まれる対応する製品に応じて、自分を清潔にする、スキンケア、メイクアップ用途、又は芳香用途のためである。
【0114】
実際には、本発明は、その携帯装置1及びその交換可能なカプセル2を通して、ユーザが1日を通して自分の必要性に基づいて容易に交換することを可能にする。各々が異なるカプセル2内にあるいくつかの化粧品又は芳香剤を輸送することが可能であり、その場合、所望の使用に依存して、カプセルを反転させて収容して、それを装置1内で保持する。カプセル2のこの変更は、スナップ留めが解除されて凹部4から外れるまで反対側を押圧することによって、導入の方向並びに当該携帯装置1の蓋70、71の開閉を間違えるリスクを伴わずに、ストレスなく容易に行われる。
【0115】
関連した様式では、想定される材料の信頼性は、コンパクトな装置1を得ることを可能にし、特にその低重量のため、その携帯性が高められる。
【0116】
更に、カプセルの丈夫な材料は、返却及びリサイクルサービスを構想することを可能にする。
【0117】
したがって、本発明による携帯装置1は、刷新された芳香方法を提供し、固形化粧品及び特に固形香料の使用を現代化及び改革し、したがって、新たな習慣及び意識を生じさせる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】