(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】測定ストラット
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B25J9/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515662
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 GB2022052281
(87)【国際公開番号】W WO2023037110
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン マーク アングッド
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジェームズ フック
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS17
3C707LS02
3C707LT17
(57)【要約】
測定ストラット(30)が説明されている。測定ストラット(30)は、機械(例えば、ロボットアーム)の相対的に移動可能な2つの支持部材(33)の間の距離間隔を測定するためのものである。ストラット(30)は、2つの支持部材(33)の間で取り外し可能に結合可能であり、支持部材(33)の相対的な動きによってストラット(30)に発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、支持部材(33)の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されるように適合されている。支持部材のうちの少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されることによって、互いに向かう支持部材の過剰な相対運動の少なくとも一部を吸収することができ、それによって、ストラットをその最小動作範囲を超えて圧縮しようとすることによってストラットに生じる損傷を防止するのに役立つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の相対的に移動可能な2つの支持部材の間の距離間隔を測定するための測定ストラットであって、前記ストラットは、前記2つの支持部材の間で取り外し可能に結合可能であり、前記支持部材の相対的な動きによって前記ストラット内に発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、前記支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されるように適合される、測定ストラット。
【請求項2】
機械の相対的に移動可能な2つの支持部材の間の距離間隔を測定するための測定ストラットであって、前記ストラットは、前記2つの支持部材の間で取り外し可能に結合可能であり、前記支持部材の少なくとも1つから分離された場合に当該ストラットを捕捉するように適合された専用のつなぎ綱を有する、測定ストラット。
【請求項3】
機械の相対的に移動可能な2つの支持部材の間の距離間隔を測定するための測定ストラットであって、前記ストラットは、前記2つの支持部材の間で取り外し可能に結合可能であり、前記支持部材の一方に他方よりより強く結合するように適合される、測定ストラット。
【請求項4】
前記ストラットは、前記支持部材の相対的な動きによって前記ストラット内に発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、前記支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されるように適合される、請求項2または3に記載の測定ストラット。
【請求項5】
前記ストラットは、前記支持部材の相対的な動きが前記ストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えて前記ストラットを操作しようとするときに、前記支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されるように適合される、請求項1または4に記載の測定ストラット。
【請求項6】
前記支持部材の相対的な動きによって前記ストラット内に発生する前記圧縮力は、前記支持部材の相対的な動きが前記ストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えて前記ストラットを操作しようとするとき、前記所定の閾値よりも大きくなる、請求項1、4または5に記載の測定ストラット。
【請求項7】
前記所定の動作範囲は、前記ストラットが機械的損傷を引き起こす可能性が高い動作範囲である、請求項5または6に記載の測定ストラット。
【請求項8】
前記所定の閾値は、関連する前記支持部材に対する前記ストラットの角度とは実質的に独立しているか、または少なくとも、任意の前記角度について、前記ストラットが機械的損傷を受ける可能性がある圧縮力より小さい、請求項4から7のいずれか1項に記載の測定ストラット。
【請求項9】
前記支持部材は支持面を含み、前記ストラットは、前記支持部材の前記支持面を押し、かつ前記支持面の上をスライドするように適合された結合部を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の測定ストラット。
【請求項10】
前記ストラットの前記結合部は、前記支持部材の前記支持面が受け入れられる凹部を提供する、請求項9に記載の測定ストラット。
【請求項11】
前記ストラットの前記結合部は、概して、凹状またはカップ状または雌形を有し、前記支持部材の前記支持面は、概して、凸状または少なくとも部分的に球状または雄形を有する、請求項9または10に記載の測定ストラット。
【請求項12】
前記支持部材の前記支持面は、少なくとも部分的な球面支持面であり、前記支持面の球面部分の中心は、前記支持部材に結合されたときの前記ストラットの測定点を画定するか、または測定点と一致する、請求項9、10または11に記載の測定ストラット。
【請求項13】
前記結合部の結合角度は所定の閾値より大きい、請求項9~12のいずれか一項に記載の測定ストラット。
【請求項14】
前記結合部は、前記結合部の周囲面の上に隆起または突出して、前記支持面に対する結合を形成する複数の接触特徴を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の測定ストラット。
【請求項15】
前記結合部は、前記支持面に対する運動学的または疑似運動学的な結合を形成する3つの前記接触特徴を含む、請求項14に記載の測定ストラット。
【請求項16】
各接触特徴の接触角は、所定の閾値、例えば摩擦角より大きい、請求項14または15に記載の測定ストラット。
【請求項17】
前記結合部は、前記2つの支持部材の相対的な動きの間に前記ストラットに発生する圧縮力が、前記ストラットの結合部における接触特徴を介して前記支持面に作用し、正味の分離力を生成するように適合される、請求項14、15または16に記載の測定ストラット。
【請求項18】
前記ストラットの通常の動作中、前記分離力は、前記ストラットを前記支持面に保持する結合力より小さく、前記分離力は、前記ストラットが機械から分離されるように、前記圧縮力が前記ストラットを保持する前記結合力を克服するまで前記ストラット内で増加する圧縮力と共に増加する、請求項17に記載の測定ストラット。
【請求項19】
前記結合力が磁気結合力である、請求項18に記載の測定ストラット。
【請求項20】
前記周囲面は、前記ストラットの移動および/または回転に起因する分離プロセス中に任意の追加の接触特徴が作られた場合、前記元の接触特徴のいずれも依然として前記支持面と接触していることに加え、任意の前記追加の接触特徴が、依然として前記分離プロセスを完了させることを可能にする正味の分離力をもたらすように適合される、請求項17、18または19に記載の測定ストラット。
【請求項21】
前記ストラットは、前記ストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えて前記ストラットを操作しようとする前記支持部材の任意の相対的な動きのうちの少なくとも一部を吸収するように適合される、請求項1~20のいずれかに記載の測定ストラット。
【請求項22】
前記ストラットは、前記支持部材のうちの少なくとも1つから部分的に分離することによって、前記相対的な動きの少なくとも一部を吸収するように適合される、請求項21に記載の測定ストラット。
【請求項23】
前記ストラットは、前記支持部材の相対的な動きによってストラットに発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、前記支持部材の少なくとも1つから完全に分離されるように適合される、請求項1~22のいずれか一項に記載の測定ストラット。
【請求項24】
前記ストラットが機械的ストラットである、請求項1~23のいずれか一項に記載の測定ストラット。
【請求項25】
前記ストラットは、受動測定ストラットである、請求項1~24のいずれか一項に記載の測定ストラット。
【請求項26】
前記ストラットは、相対移動可能な2つの支持部材のうちの一方におけるエンコーダスケールと、前記相対移動可能な2つの支持部材のうちの他方における読み取りヘッドとを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の測定ストラット。
【請求項27】
前記ストラットによって測定される前記距離間隔は、1次元距離間隔、2次元距離間隔、および3次元距離間隔のうちの1つであり、好ましくは1次元距離間隔である、請求項1~26のいずれか一項に記載の測定ストラット。
【請求項28】
機械を特徴付けるためのキットであって、請求項1~27のいずれか一項に記載の測定ストラットと、前記測定ストラットが結合可能である支持部材、または少なくとも、前記測定ストラットが少なくとも部分的に分離されるように適合された任意の支持部材と、を含む、キット。
【請求項29】
前記機械を特徴付けることは、前記機械を較正すること、前記機械を検証すること、前記機械の健全性チェックを実行すること、および前記機械を設定すること、のうちの1つまたは複数を含む、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
機械を特徴付ける方法であって、前記機械における前記相対的に移動可能な支持部材の間に、請求項1~27のいずれか一項に記載の測定ストラットを結合することと、一連の移動を実行するように前記機械を制御することと、前記一連の移動中に前記ストラットから測定データを収集することと、前記収集された測定データを用いて前記機械を特徴付けることと、を含む、方法。
【請求項31】
機械を特徴付ける方法であって、機械における相対的に移動可能な支持部材の間に請求項3に記載の測定ストラットを結合することと、一連の移動を実行するように機械を制御することと、一連の移動中に前記ストラットから測定データを収集することと、収集した前記測定データを用いて機械を較正することと、を含み、より強い結合を有する端部は、可動の支持部材に結合され、他方の端部は、機械を制御してそのときアクティブな支持部材を互いに相対的に移動させることによって、複数の固定の支持部材に順番に結合され、それによって、異なる結合強度のために、前記ストラットが可動支持部材に結合されたままであるが、前記固定の支持部材から分離され、次いで、可動支持部材に依然として結合されているストラットを移動させて、さらなる一連の移動を実行するために前記固定の支持部材の別のものに結合するように機械を制御する、方法。
【請求項32】
前記機械を特徴付けることは、前記機械を較正すること、前記機械を検証すること、前記機械の健全性チェックを実行すること、および前記機械を設定すること、のうちの1つまたは複数を含む、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記機械は、座標位置決め機械を含む、請求項30、31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記座標位置決め機械は、非直交運動学的機械および/または平行運動学的機械を含む、請求項30~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記座標位置決め機械は、ロボットアームを含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記相対的に移動可能な支持部材は、固定支持部材と移動可能な支持部材である、請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記機械の構造は、一組のモデルパラメータによって特徴付けられ、前記機械を較正することは、既存の一組のモデルパラメータよりも前記機械の前記幾何学形状をより良く特徴付ける新しい一組のモデルパラメータを決定することを含む、請求項30~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
コンピュータまたは機械コントローラによって動作するとき、前記コンピュータまたは前記マシンコントローラに、請求項30~37のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項39】
請求項30~37のいずれか一項に記載の方法を実行するようにコンピュータまたは機械コントローラを制御するためのコンピュータプログラム命令を格納した、コンピュータ可読媒体。
【請求項40】
請求項30~37のいずれか一項に記載の方法を実行するように機械を制御するように構成された、マシンコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ストラットに関する。このような測定ストラットまたは複数のそのような測定ストラットは、例えば、多関節ロボットまたは測定アームなどの座標位置決め機械を較正するために用いることができる。
【背景技術】
【0002】
多関節ロボットは、組み立て、溶接、接着、塗装、ピックアンドプレース(例えば、プリント回路基板用)、包装と表示、パレット積載、製品検査など、さまざまな製造用途で一般的に用いられている。このロボットは、用途が広く頑丈で、届く範囲が広く移動の柔軟性が高いことから、実稼働環境での使用に最適である。
【0003】
多関節ロボット(または略して“ロボット”)は、添付の図面の
図1に概略的に示され、固定ベース2から可動フランジ3まで延在する多関節ロボットアーム1を備え、フランジ3がツール(またはエンドエフェクタ)4を支持している。典型的には、フランジ3は、ツール4を都合よく交換できるようにする結合部を備えており、それによって、用途に応じて様々なツールないしエンドエフェクタを用いることができる。用途の例としては、グリッパー、真空カップ、切削工具(機械的切削工具とレーザー切削工具の両方を含む)、穴あけ工具、フライス工具、バリ取り工具、溶接工具、その他の特殊工具がある。
【0004】
アーム1は、横回転関節6とインライン回転関節7との混合によって接続された複数のセグメント5を含み、一方の端から他方の端への機械的リンク機構を形成する。
図1に示される例では、3つの横回転関節6および3つのインライン回転関節7があり、横回転関節6とインライン回転関節7とで交互に合計6つの回転関節が形成される。最後の横回転関節6とフランジ3との間に追加のインライン回転関節7を設けることもでき、この場合には、ツール4をその長手方向軸の周りに都合よく回転させて、合計7つの回転関節を作ることができる。
【0005】
どのようなタイプの非デカルト機械でもその較正は重要な課題であり、特に、
図1に示すような、相互に固定されておらず、複雑な仕方で組み合わせてツールを可動範囲に配置することができる複数の回転関節を有した多関節アームの場合に当てはまる。デカルト機械の較正は、通常、より簡単である。このような機械には、直交配置で相互に固定された3つの明確に定義された軸があり、各軸はほぼ相互独立しているからである。多関節ロボットの場合、それぞれの軸の位置と向きは他の軸の位置と向きに依存しており、そのため機械の姿勢ごとに較正が異なる。
【0006】
多くの較正技術は、該当する機械のパラメトリックモデルを特定するという共通の目標を持っており、そこでは、複数のパラメータが機械構造を特徴づけるために用いられる。未較正の値は、最初に機械構造の開始点としてこれらのパラメータに割り当てられる。較正中、機械は、(機械パラメータのそのときの推定に基づいて)さまざまな異なる姿勢に移動する。姿勢ごとに、較正された測定装置を用いて実際の姿勢を測定し、それによって、想定される機械の姿勢と実際の機械の姿勢との間の誤差の指標を決定できる。次に、機械を較正する作業は、公知の数値最適化または誤差最小化手法を用いて、誤さを最小化する機械のさまざまなパラメータ値の組を決定することになる。
【0007】
図1に示すようなロボットの場合、これらの機械パラメータには、各セグメント5の長さ、各回転関節6、7の回転角度オフセット(エンコーダからの角度に実際の角度を与える較正済みオフセットを加えたもの)などのさまざまな幾何学的パラメータ、および関節の適合性や摩擦などのさまざまな機械的パラメータが含まれる場合がある。これらの機械パラメータのすべてが分かっている状態で適切に較正されると、さまざまな関節6、7がロボットコントローラ8によって異なるそれぞれの位置に動くように命令されたときにツール4が実際にどの位置にあるかをより確実に予測することが可能である。換言すれば、そのような較正から得られる機械パラメータは、機械構造のより正確な特性評価をもたらす。
【0008】
一般的な座標位置決め機械、特にロボットアームの較正に関連するこれらの概念は、特許文献1および特許文献2でより詳細に検討されている。
【0009】
ロボットアームを較正するために、一般的に“ボールバー”と呼ばれる長さ測定バーを用いることが以前から検討されている。そのようなボールバーの例は、Renishaw plcによって製造および販売されているQC20-Wワイヤレスボールバーである。
図2は、
図1と同様のロボットアームの工具中心点(TCP)を較正するためにボールバー10を用いることを示している。この方法では、ボールバー10は、機械のベースに固定された第1のボールバーマウント12と、ロボットアーム自体に取り付けられた第2のボールバーマウント14との間に取り付けられる。従って、この例では、
図1のツール4は、ボールバー10の一方の端のボールが配置される磁気カップを有したボールバーマウント14に置き換えられている。ロボットアームがTCPの周りを回転するように命令されると、TCPは、ほぼ固定されたままであるが、較正誤差によってわずかに移動する。ボールバー10による長さ測定値Lは、前述の誤差最小化手法を用いてTCP座標を補正するための較正データとして用いることができる。これは、特許文献1により詳細に記載されている。
図3は、ボールバー10が取り付けられたままで、ボールバー10を(既存の機械パラメータに基づいて)名目上一定の長さに保ちつつ、ロボットアームが可動範囲内でより広い動きを実行するように制御される別のタイプの較正動作を示している。再び、ボールバー10による長さ測定値Lを用いて、機械パラメータを更新しロボットの全体的な較正を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2019/162697号公報
【特許文献2】国際公開第2021/116685号公報
【特許文献3】国際公開第2017/021733号公報
【発明の概要】
【0011】
本出願人は、ロボットアームが、較正動作中に
図2および
図3に示されるような動きを実行するように制御されているとき、特に、
図3に示されるようなより大きな動きのために、ボールバー10がその通常の動作範囲を超えて不注意に駆動され得るリスクがあることを認識している。これは、そのときの機械パラメータの誤差(ロボットアームの端部、従って、ボールバー10の移動端部が予期される場所にないような)、または較正動作のためのロボットコントローラ8のプログラミング誤差、または例えば、(較正動作の一部であるかどうかにかかわらず)ジョイスティックコントローラを用いてロボットアームを手動で制御するときのヒューマンエラー、またはこれらの組み合わせに起因する場合がある。ボールバー10をその通常の動作範囲を無理に超えさせようとすることは、ボールバー10に内部損傷を引き起こし、高価になるボールバー10の交換および/または修理を必要とし、場合によっては、より重要なことに、ボールバー10が用いられている製造設備における製造手順の中断や遅延を引き起こす可能性がある。
【0012】
従って、本出願人は、実際には必然的に発生し、ボールバーに損傷をもたらす可能性のある、上述したような有害事象に対してより回復力のあるボールバー(または他のタイプの長さ測定バーまたは測定ストラット)を製造することが望ましいことを認識している。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、機械における相対的に移動可能な2つの支持部材の距離間隔を測定するための測定ストラットが提供され、ストラットは、2つの支持部材の間で取り外し可能に結合可能であり、支持部材の相対的な動きによってストラット内に発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に(または少なくとも一部が)分離されるように適合される。
【0014】
支持部材の相対的な動きによって支柱に発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されることによって、互いに向かう支持部材の過剰な相対的な動きの少なくとも一部を吸収することができ、それによって、上述したような有害事象によってストラットに損傷が引き起こされるのを防ぐのに役立つことができる。
【0015】
本発明の第1の態様の代替的な(および概して同等の)記述として、機械における相対的に移動可能な2つの支持部材の距離間隔を測定するための測定ストラットが提供され、ストラットは、2つの支持部材の間で取り外し可能に結合可能であり、支持部材の相対的な動きがストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えてストラットを操作しようとするときに、支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に(または少なくとも一部が)分離されるよう適合される。
【0016】
本発明の第1の態様の代替的な(および概して同等の)記述として、機械における相対的に移動可能な2つの支持部材の間の距離間隔を測定するための測定ストラットが提供され、ストラットは、2つの支持部材の間で取り外し可能に結合可能であり、支持部材の少なくとも1つへの結合部を含み、この結合部は、ストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えてストラットを操作しようとする支持部材の任意の相対的な動きの少なくとも一部を吸収するように適合される。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、機械における相対的に移動可能な2つの支持部材の間の距離間隔を測定するための測定ストラットが提供され、ストラットは、2つの支持部材の間で取り外し可能に結合可能であり、支持部材の少なくとも1つから分離された場合にストラットを捕捉するように適合された専用のつなぎ綱を有する。
【0018】
専用のつなぎ綱機能を用いると、ストラットが機械から切り離された場合に捕捉され、ストラットに損傷が生じるのを防ぐのに役立つ。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、機械における相対的に移動可能な2つの支持部材の間の距離間隔を測定するための測定ストラットが提供され、ストラットは、2つの支持部材の間で取り外し可能に結合可能であり、他の支持部材よりも支持部材の一方により強く結合するように適合される。
【0020】
非対称または等しくない結合強度を用いることによって、ストラットが他端で分離されても一方の端で結合されたままであることを可能にし、それによってストラットが落下して損傷するのを防ぐことができる。この機能はまた、以下でより詳細に説明するように、手動での介入を必要とせずに、較正プロセスをより簡単に自動化することを可能にする。
【0021】
ストラットは、支持部材の相対的な動きによってストラットに発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されるように適合され得る。
【0022】
ストラットは、支持部材の相対的な動きがストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えてストラットを操作しようとするときに、支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されるように適合され得る。
【0023】
支持部材の相対的な動きによってストラット内に発生する圧縮力は、支持部材の相対的な動きがストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えてストラットを操作しようとするとき、所定の閾値よりも大きくなり得る。
【0024】
所定の動作範囲は、ストラットがその範囲を超えると機械的損傷を被りそうな動作範囲であり得る。
【0025】
所定の閾値は、関係する支持部材に対するストラットの角度の影響は実質的に受けないものとすることができる。この点で、ストラットが関係する支持部材に対して作る角度は、ストラットが可動範囲内を移動するにつれて変化する。ストラットは、所定の閾値が、ストラットが機械的損傷を受ける可能性がある圧縮力よりも常に(すなわち、関係する支持部材に対するストラットの任意の角度に対して)小さくなるように適合され得、その結果、角度に関係なく、ストラットは損傷する前に常に分離される。これらの考慮事項は、ストラットの通常の動作中に遭遇する可能性が高い任意の角度、すなわち作業角度ないし動作角度にのみ適用する必要がある。
【0026】
支持部材は、支持面を含むことができ、ストラットは、支持部材の支持面を押し、かつ支持面の上をスライドするように適合された結合部を含むことができる。
【0027】
ストラットの結合部は、支持部材の支持面が受け入れられる凹部を提供し得る(または提供するように適合され得る)。
【0028】
ストラットの結合部は、概して凹状またはカップ状または雌の形状を有し得る。支持部材の支持面は、概して凸状または少なくとも部分的に球状または雄状の形状を有し得る。
【0029】
支持部材の支持面は、少なくとも部分的な球面支持面であってもよく、支持面の球面部分の中心は、支持部材に結合されたときのストラットの測定点を画定するか、またはそれと一致する。
【0030】
ストラットは、機械に設けられた少なくとも部分的な球面支持面を押し、かつその上をスライドするように適合された結合部を備えてもよく、球面支持面の中心は、ストラットの測定点を画定する。
【0031】
結合部は、支持面への結合を形成するために、結合部の周囲面の上に隆起または突出する複数の接触特徴を含むことができる。
【0032】
結合部は、支持面に対する運動学的または疑似運動学的結合を形成するそのような3つの接触特徴を含み得る。
【0033】
結合部は、2つの支持部材の相対的な動きの間にストラットに発生する圧縮力が、ストラットにおける結合部の接触特徴を介して支持面に作用し、正味の分離力を生成するように適合され得る。
【0034】
接触特徴は、各接触特徴の接触角が所定の閾値より大きく、例えば摩擦角より大きいように配置され得る。接触角は、接触特徴を介して作用する力と、(接触特徴と支持部材との間の)接触点での内向きの面法線との間の角度として定義され得る。
【0035】
接触特徴は、結合部の結合角度が所定の閾値より大きくなるように配置され得る。結合角度は、接触特徴(または支持部材上の接触特徴によって形成された接触点)を含む平面と、測定ストラットの長手方向軸に垂直な平面との間の角度として定義され得る。
【0036】
ストラットの通常の動作中(すなわち、所定の動作範囲内で動作するとき)、分離力は、ストラットを支持面に保持する結合力よりも低くてもよい。分離力は、一般に、ストラットが機械から分離されるように、ストラットを保持する結合力を克服するまで、ストラット内で発生する圧縮力の増加に伴って増加し得る。
【0037】
結合力は、磁気結合力であり得る。
【0038】
周囲面(またはストラットの端面)は、ストラットの移動および/または回転(すなわち、ストラットが完全に分離する前)に起因する分離プロセス中に(周囲面と支持面との間の)任意の追加の接触特徴が作られた場合、元の接触特徴に加えてそのような任意の追加の接触特徴が、依然として分離プロセスを完了させるのに十分な正味の分離力をもたらすように適合され得る。
【0039】
ストラットは、ストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えてストラットを操作しようとする支持部材の任意の相対的な動きの少なくとも一部を吸収するように適合され得る(結合部を有し得る)。
【0040】
ストラットは、支持部材の少なくとも1つから部分的に分離すること、例えば支持部材に沿ってスライドすることによって、そのような相対的な動きの少なくとも一部を吸収するように適合され得る。
【0041】
ストラットは、支持部材の相対的な動きによってストラットに発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、支持部材の少なくとも1つから完全に分離されるように適合され得る。
【0042】
ストラットは、機械的ストラットであり得る。
【0043】
ストラットは、(ストラット伸縮の目的のために外部機械が必要となる、その伸縮のための内部駆動手段が無い)受動的な測定ストラットであり得る。
【0044】
ストラットは、相対的に移動可能な2つの支持部材の一方にエンコーダスケールを含み、相対的に移動可能な2つの支持部材の他方に読み取りヘッドを含み得る。
【0045】
ストラットによって測定される距離間隔は、一次元距離間隔、二次元距離間隔、または三次元距離間隔であり得、好ましくは一次元距離間隔であり得る。
【0046】
本発明の別の態様によれば、本発明のいずれかの態様による測定ストラットと、測定ストラットが結合可能である支持部材、または少なくとも、測定ストラットが少なくとも部分的に分離されるように適合された任意の支持部材と、を備える、機械を特徴付けるためのキットが提供される。この点で、機械を特徴付けることは、機械を較正すること、機械を検証すること、機械の健全性チェックを実行すること、および機械を設定することのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0047】
本発明の別の態様によれば、機械の相対的に移動可能な支持部材間に本発明のいずれかの態様による測定ストラットを結合することと、一連の移動を実行するように機械を制御することと、一連の移動中にストラットから測定データを収集することと、収集された測定データを用いて機械を特徴付けることとを含む、機械を特徴付ける方法が提供される。
【0048】
本発明の別の態様によれば、機械の相対的に移動可能な支持部材間に本発明の第3の態様による測定ストラットを結合することと、一連の移動を実行するように機械を制御することと、一連の移動中にストラットから測定データを収集することと、収集した測定データを用いて機械を較正することと、を含む、機械を特徴付ける方法が提供され、ここで、より強い結合を有する端部は、可動支持部材に結合され、他方の端部は、機械がそのときアクティブな支持部材を互いに相対的に移動させるように制御することによって、複数の固定支持部材に順番に結合され、それによって、異なる結合強度のために、ストラットが可動支持部材に結合されたままであるが、固定支持部材から分離され、次いで、機械を、可動支持部材に依然として結合されているストラットを移動させて、一連の移動のさらなる移動を実行するために固定支持部材の別のものに結合するように制御する。
【0049】
機械を特徴付ける方法は、機械を較正する方法、機械を検証する方法、機械の健全性チェックを実行する方法、および機械を設定する方法のうちの1つまたは複数であると見なすことができる。
【0050】
機械は、座標位置決め機械を含み得る。
【0051】
座標位置決め機械は、非デカルト機械および/または平行運動学的機械を含み得る。
【0052】
座標位置決め機械は、ロボットアームを含み得る。
【0053】
相対的に可動の支持部材は、固定支持部材(例えば、機械ベースまたは固定プラットフォームに支持される)および可動支持部材(例えば、機械のエンドエフェクタまたは可動プラットフォームに支持される)であり得る。
【0054】
機械の構造は、モデルパラメータの組によって特徴付けられ得、機械を較正することは、既存のモデルパラメータの組よりも機械の構造をよりよく特徴付ける新しいモデルパラメータの組を決定することを含み得る。
【0055】
本発明の別の態様によれば、本発明のいずれかの態様による方法を実行するように機械を制御するように構成された機械コントローラが提供される。
【0056】
本発明の別の態様によれば、コンピュータまたはマシンコントローラによって実行されるとき、コンピュータまたはマシンコントローラに本発明のいずれかの態様による方法を実行させるコンピュータプログラムが提供される。プログラムは、担持媒体に担持され得る。担持媒体は記憶媒体であり得る。担持媒体は伝送媒体であり得る。
【0057】
本発明の別の態様によれば、本発明のいずれかの態様による方法を実行するためのコンピュータまたは機械コントローラを制御するためのコンピュータプログラム命令をその中に格納した、コンピュータが読み取り可能な媒体が提供される。
【0058】
用語“測定ストラット”は、
図2および
図3を参照して上記で用いられる用語“ボールバー”ではなく、本発明の実施形態に関連して本明細書で用いられることに留意されたい。しかしながら、これらの用語は、一般に、機能的に同等であると見なすことができる。Renishaw plcのQC20-Wなどのボールバーは、容量性測定トランスデューサシステムに基づいており、比較的短い測定範囲で高精度になるように設計されている。ロボットアームを較正する方法で使用される場合、そのような機械に関連付けられたより大きな範囲およびタイプの動きに対応するために、より広い範囲の測定および/または移動を有することが有用であり得、“ボールバー”でなく“測定ストラット”という用語が、単に便宜上この文脈で用いられる。しかしながら、本発明を具現化する測定ストラットは、測定または移動の特定のどのような範囲に、または測定ストラットの長さへの変化を測定する特定のどのような方法(例えば、容量性とエンコーダ)に、限定されないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
ここで、例として、添付の図面が参照される。
【
図1】
図1は、上述され、多関節ロボットの形態における座標位置決めアームの概略図である。
【
図2】
図2は、同様に上述され、
図1に示されるタイプの多関節ロボットの較正を実行するためにボールバーを用いる方法を示す。
【
図3】
図3は、同様に上述され、
図1に示されるタイプの多関節ロボットの較正を実行するためにボールバーを用いる別の方法を示す。
【
図4】
図4は、機械における2つの支持部材の間に結合された、以前に検討されたタイプの測定ストラットの概略図である。
【
図5】
図5は、
図4の測定ストラットのよりコンパクトな概略図であり、より内部的な詳細も示している。
【
図6】
図6は、
図5の測定ストラットで用いられる結合構成に関連する力の概略図である。
【
図7】
図7は、
図5と同等の形態で提示される、本発明の実施形態による測定ストラットの概略図である。
【
図8】
図8は、
図7の測定ストラットで用いられる結合構成に関連する力の概略図である。
【
図9】
図9は、ストラットの結合特徴によって、作られた接触点を含む平面 の角度、およびこの角度が結合部の設計パラメータとしてどのように用いられ得るかを示している。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態を構成するものおよび構成しないものに関するさらなる洞察を提供する概略図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態を構成するものおよび構成しないものに関するさらなる洞察を提供する概略図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態を構成するものおよび構成しないものに関するさらなる洞察を提供する概略図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態を構成するものおよび構成しないものに関するさらなる洞察を提供する概略図である。
【
図14】
図14は、ストラットの長手方向軸に沿って見た、ストラットの結合特徴における3つの接触点の1つの可能な配置の概略図である。
【
図15】
図15は、ストラットの長手方向軸に沿って見た、ストラット結合特徴の3つの接触点の代替配置の概略図である。
【
図16】
図16は、部分的に分離された状態にある
図7のストラットの概略図である。
【
図18】
図18は、完全な分離を防止する追加の接触特徴が作られた、部分的に分離された状態の
図17のストラットを示す。
【
図20】
図20は、完全な分離を防止する追加の接触特徴が作られた、部分的に分離された状態の
図7のストラットを示す。
【
図23】
図23は、専用のつなぎ綱機構を有する測定ストラットの概略図である。
【
図24】
図24は、その上端で機械から分離されたが、つなぎ綱機構によって捕捉された、
図23の測定ストラットを示す。
【
図25】
図25は、非対称結合強度機構を有する測定ストラットの概略図である。
【
図26A】
図26Aは、機械較正方法の一部としての非対称結合強度機構の使用を示す。
【
図26B】
図26Bは、機械較正方法の一部としての非対称結合強度機構の使用を示す。
【
図26C】
図26Cは、機械較正方法の一部としての非対称結合強度機構の使用を示す。
【
図26D】
図26Dは、機械較正方法の一部としての非対称結合強度機構の使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以前に検討されたタイプの測定ストラット20を
図4に概略的に示す。測定ストラット20は、2つの支持部材23の間に結合されるように示されている。支持部材23は、座標位置決め機械によって互いに対して移動可能であり、この例の座標位置決め機械は、
図1から
図3を参照して上述したようなロボットアーム1であり、一連の回転関節6、7によって移動可能なフランジ3を有し、第1の支持部材23は、ステムを介してフランジ3に固定される。測定ストラット20自体は、第2の部材24(また、円筒の形態)内で伸縮可能にスライドする第1の部材22(同じく円筒の形態)を有する。
【0061】
図5は、
図4の測定ストラット20のよりコンパクトな概略図であり、測定ストラット20が支持部材23と結合するのにどのように適合されるかをより明確に示している。支持部材23は、概略球形であり、例えば、それぞれがボールの形態であり、それぞれが、測定ストラット20が結合するように適合された少なくとも部分的な球形の凸状支持面を有する。測定ストラット20のそれぞれの端部には、それが結合されている支持部材23の凸状ないし球状(ボール状)の支持面の形状に対応する、逆の概して凹状ないしカップ状の形状を有する結合特徴25が設けられている。このようにして、結合特徴25は、支持部材23の支持面が雄型/雌型の結合構成において受け入れられる凹部を提供するように適合される。ストラット20の結合特徴25は、結合構成における雌側を提供し、一方、機械1の支持部材23は、結合構成における雄側を提供し、雄部分は結合されたときに雌部分に受け入れられる。
【0062】
面と面の接触を作る、結合特徴25内の面に直接押圧する支持部材23を有するのではなく、より点状の接触を作るための、結合特徴25内に個別の接触特徴を設けることができる。その結果、
図5は、この実施形態における結合特徴25が3つの接触特徴29を備えることを示しており、その結果、支持部材23がこれらの接触特徴29に対して着座し、それによって3つの場所に面と点の接触を作っている。接触特徴29は、下側面から突出し、それによって突出部を形成し、下側面に埋め込まれた3つの小さなボールによって都合よく設けることができる。これらの接触特徴29によって作られた3つの接触点は、結合の運動学的形態を作り、測定ストラット20が機械に結合されるたびに、支持部材23が、既知の反復可能な位置で対応する結合特徴25内に着座することを可能にする。さらに、支持部材23の支持面が正確に球面であると仮定すると、測定ストラット20は、有利には、固定点(すなわち、支持部材23の球面支持面の中心)の周りで正確に回転し、これは、(複数の可能な静止位置に起因して)結合に関連付けられた過剰制約および対応する位置不確実性が存在するであろう非運動学的形態の結合の場合には当てはまらないものとなり得る。実際には、支持部材23は、単一の点ではなく、小さな表面積にわたって接触特徴29のそれぞれに接触し、そのため、結合は、完全な運動学的ではなく“疑似運動学的”であると見なすことができるが、運動学的設計原理は依然として適用されると見なすことができる。また、結合特徴25内に接触特徴29が存在するため、支持部材23との接触は、接触特徴29を介して行われ、接触特徴29を取り囲む面を介して行われないことから、結合特徴25の内面は、凹状球形を有する必要はなく、例えば、平らなものであり得ることも理解できる。
【0063】
支持部材23は、有利には、磁性材料(例えば、鉄金属)で少なくとも部分的に形成され、磁石27は、結合特徴25の一部として、または結合特徴25に近接して、測定ストラット20の各端部に設けられ、それによって、測定ストラット20は、測定ストラット20と支持部材23との間に作用する、(少なくとも部分的に)結果として生じる引力によって所定の位置に保持される。磁石の代わりにばねまたは他の形態の弾性部材を用いて、引力による保持力または結合力を生み出すことができる。
【0064】
図5に示されるように、この例の測定ストラット20は、互いに近接し、測定ストラット20の第1および第2の部材22、24と共にそれぞれ移動する2つのプレートの間の静電容量の変化の測定に依存する、容量測定センサ21を有する。また、測定ストラット20は、
図2および
図3を参照して上述したボールバー10と一般的に機能的に同等であるが、結合部構成は逆であり、機械における支持部材23はボール状であり、測定ストラット20の結合部における結合特徴25は、逆というよりも、概してカップ状であることがわかる。
【0065】
安全で安定した結合を作るには、通常、接触特徴29(または運動学的結合特徴)を測定ストラット20の長手方向軸28の周りに対称に配置する。
図6に示されるように、2つの支持部材23を互いに向かうように駆動することによってストラット内に圧縮力Fが発生すると、支持部材23の球面支持面における各接触特徴29を介して対応する力Fが作用する。この力Fは、それぞれ半径方向および接線方向で球面支持面に作用する、2つの直交成分FrおよびFtに分解することができる。接触特徴29は、測定ストラット20の長手方向軸28の周りに対称に配置されていることから、力は釣り合いがとれており、長手方向軸28に垂直な方向に作用する力は正味ゼロとなる。従って、測定ストラット20が横方向に、すなわち、長手方向軸28に垂直な方向に移動する動きはなく、測定ストラット20は、支持部材23によって安定して保持される。これは、結合が安定している(および自己安定している)という理由で、従来は望ましいこととみなされている。
【0066】
図7は、ロボットアーム1などの座標位置決め機械の支持部材33の間に結合された、本発明の実施形態による測定ストラット30の概略図である。
図7に示されるほとんどの部品は、概して、
図5に示される同等の部品に対応し、同様の部品の参照番号は10だけ異なる(例えば、
図5のストラット部材24は、概して、
図7のストラット部材34と同等であり、
図5および7の支持部材23および33についてそれぞれ同様である)。従って、どのような共通の構成要素の詳細な説明は必要とされない。
【0067】
図7の測定ストラット30は、ストラット長さの変化が、第2のストラット部材34に配置された読み取りヘッド31と対になった、第1のストラット部材32に配置されたエンコーダスケール33を用いて測定されるという点で、
図5の測定ストラット20と異なる。支持部材33の間の距離間隔が変化するにつれて、ストラット30の長さが対応して変化することにより、第1のストラット部材32は、第2のストラット部材34に対してスライドし、この動きは、エンコーダスケール33上を移動する読み取りヘッド31によって測定される。このような測定構成は、読み取りヘッド31とエンコーダスケール33の長さを利用して、典型的には、
図5のストラット20に示される容量センサ構成2 1よりも大きな測定範囲をもたらすことができる。
【0068】
しかしながら、より重要なことは、
図7の測定ストラット30は、測定ストラット30と機械の支持部材33との間の結合構成において、
図5の測定ストラット20とは異なることである。
図7の測定ストラット30に関して、一方の端部の接触特徴39(または運動学的結合特徴)は、測定ストラット30の長手方向軸38の一方の側、すなわち、
図7に示されるように、意図的に、概略図の長手方向軸38の下に配置される。従って、全体として考慮すると、接触特徴39は、長手方向軸38と一致するのではなく、長手方向軸38からオフセットされる。
【0069】
この効果は、
図6と同等の
図8の力図に示されている。2つの支持部材33を互いに向かうよう駆動することによってストラット内に圧縮力Fが発生すると、支持部材33の球面支持面における各接触特徴39(接触点)を介して対応する力Fが作用する。接触特徴39は、この場合測定ストラット30の長手方向軸38の周りに対称的に配置されていないため、力は、
図6と同様の釣り合いはとれていない力Fの接線成分Ftは横方向に作用するが、長手方向軸38の反対側の接触点による釣り合い力ないし相殺力Ftはもはや存在しない。下部接触特徴39は、実際には、ストラット30の端部が横方向に移動し始めるとすぐに、これは、他方の端部の周りのストラット30の回転として実現され、次に、それによって下部接触特徴39が支持部材33の表面から離れるように持ち上がるようにして、上部接触特徴39だけが接触したままであるような、何らかの効果を有するものとして
図8に示されていない。
【0070】
力Fが小さい値の間は、力Fの接線成分Ftは、測定ストラット30が所定の位置に留まるような磁石37からの引力がどのよう値であっても、それに打ち克つには不十分である。しかしながら、測定ストラット30で発生する圧縮力Fが増加するにつれて、力Fの接線成分Ftは、最終的に、磁石37の作用によるどのような引力にも打ち克つのに十分になり、その結果、測定ストラット30の端部が横方向(長手方向軸38に対して垂直)に移動するようになり、支持部材33から分離され得る。
【0071】
それ故、本発明の実施形態によるストラット結合構成は、この分野における通常の慣行に反して、自然な不安定効果を有するように意図的に設計される。測定ストラット30の通常の使用中における、測定ストラット30で発生する圧縮力Fの適度な増加は、例えば、一方の支持部材33が他方に向かって加速することによって引き起こされる。もちろん、測定ストラット30が通常の使用中に機械から分離されないことが望ましいので、上述の磁気結合効果および分離効果は互いに相対的に設定し、それによって、通常の使用中に典型的に発生する圧縮力がストラット30を支持部材33から分離させるのに十分でないようにすることができる。
【0072】
ストラット30で発生する圧縮力Fのより有意な増加は、ストラット30の通常のまたは意図された動作範囲を超えて互いに向かう支持部材33の相対的な動きによって引き起こされる。例えば、
図7に示されるように、第1のストラット部材32の止め部材42が第2のストラット部材34の対応する止め部材44に突き当たって移動される場合、一方の支持部材33の他方への追加のあらゆる相対的な移動は、ストラットにおいて急速かつ有意な圧縮力Fを発生させ、予防策の無い内部損傷をもたらす可能性を高くする。しかしながら、磁気結合効果と分離効果は、互いに対して制御または釣り合いをとることができ、それによって、上記のような有害事象の間に典型的に発生する圧縮力が十分に大きく、ストラット30に損傷が引き起こされる前に、ストラット30を支持部材33から分離させることができる。
【0073】
図9を参照すると、接触特徴39、または支持部材33上の接触特徴39によって作られた接触点を含む平面49を考慮し、この平面49が測定ストラット30の長手方向軸38に垂直な平面46と作る角度θの適切な値を特定することが有効である。結合角度として本明細書(添付の特許請求の範囲を含む)で言及されるこの角度θは、測定ストラット30の設計パラメータと見なすことができる。
図5の結合構成では、平面49は、ストラット2 0の長手方向軸28に対して正確に垂直であるように、すなわち、結合角度θが0度となるように配置される。しかしながら、本発明が具現化されたストラット30には、ゼロでない結合角θが用いられる。1つの特定の実施態様における結合角度θの適切な値は、用いられる磁石37の特定の強度について20度と決定された。これは、この角度が、損傷が生じやすくなる前に常にストラット30が支持部材33から分離されるようにするが、あまりにも早くストラット30がいとも簡単に分離されることはないことが実験的に見出されたからである。
【0074】
しかしながら、この特定の例によって意図される制限はなく、圧縮力がストラットに内部損傷を引き起こす危険性が十分に大きくなる前にストラットの離脱をもたらす場合、どの角度でも適切であることを理解されたい。損傷を被り易くなる前に確実にストラット30が分離されるという目的を達成するために、例えば、用いられる材料および関連する支持面の滑らかさを考慮して、ストラットの適切な設計パラメータを決定することは、比較的簡単な設計作業である。例えば、上述した、
図9に示され角度θは、分離挙動に及ぼす影響を決定するために修正することができる設計パラメータとして用いることができる。適切なパラメータを決定するために、数学モデリングを用いることもできる。角度θは、接触特徴39を軸38に近づけることによって小さくすることができ、逆に、接触特徴39を軸38から遠ざけることによって大きくすることができる。球形支持部材33の直径はまた、3つの接触特徴39がすべて球形支持部材33と接触しているときに、軸38が球形支持部材33の幾何学的中心に対してどこにあるかを制御するために用いることができるため、結合部の設計パラメータとして用いることもできる。
【0075】
どの結合構成が本発明の実施形態で用いるのに適しており、どの結合構成が適していないと見なされるかをよりよく理解するために、以下に、
図10~
図14に示される例を参照する。
【0076】
図10に示される構成では、接触特徴39の一方は長手方向軸38上に正確に配置され、他方の接触特徴39は、球形支持部材33の幾何学的中心を通る、軸38に垂直である平面上に正確に配置される。この場合、下部接触特徴39では、全体の力Fが半径方向の力成分(Fr)無しに接線方向(Ft)に作用して、ストラット30に横方向のモーメントを加えるため、分離効果を有さない。同様に、上部接触特徴39では、これは正確に軸38上にあるため、全体の力Fは、いかなる接線力(Ft)も無く、半径方向(Fr)に作用して、ストラット30に横方向のモーメントを加える。
【0077】
仮に、
図10の上部接触特徴39が、製造公差に起因して気付かずに軸38からごくわずかずれて配置されていたとしても、実際には、摩擦によって、本発明で求められるような分離効果を生じさせることはない。“摩擦角”の概念は、ここでは、有用な設計上の考慮事項となり得る。
図8を参照して、力Fと半径方向成分Frとの間に形成される角度φ (これはまた、接触点での力Fと内向きの表面法線との間に形成される角度でもある)を検討する。接触角として本明細書(添付の特許請求の範囲を含む)で言及されるこの角度φは、接触特徴39と支持面との間に作用する摩擦が克服される前に、特定の閾値角度を超えることが求められる。この閾値角度は、本明細書では“摩擦角”と称される。接触角φが閾値角(摩擦角)を下回る場合は、摩擦によって接触特徴39が支持面に沿ってスライドするのが妨げられ、一方、接触角φが閾値(摩擦角)を上回る場合は、接線力成分Ftは摩擦の影響を克服するのに十分であり、接触特徴39は支持部材33の支持面に沿ってスライドする。しかしながら、全体的な分離効果に関しては、達成すべきバランスがある。一方、接線力成分Ftは、接触特徴39が軸38からさらに離れて移動するのにつれて大きくなる。一方、接線的に作用する一定の力を考慮すると、そのような力の不安定化の影響は、(軸38に垂直に作用する力が小さいため)接触特徴39が軸38からさらに離れて移動するにつれて減少する。
【0078】
以上のように、
図10に示される配置は、本発明の実施形態を構成するものではない。同様の考慮事項が、
図11に示される配置構成に適用される。下部接触特徴39が分離力を生じると考えるかもしれないが、実際には、下部接触特徴39から可能となるどのような接線力の寄与があっても、上部接触特徴39は、
図10を参照して上述したのと同じ理由でスライドしない。いずれにせよ、任意の小さなスライド運動は、(ストラット30の他端周りの回転に起因して)下部接触特徴39を支持面から持ち上げ、それ以上の効果をもたらさない。
【0079】
軸38の周りに非対称的な配置構成であるにもかかわらず、
図12の配置構成はまた、上部接触特徴39が下部接触特徴39に対して軸38の反対側にあるため、本発明の実施形態を構成しない。その結果、接触特徴39のうちの1つは、加えられる力Fの方向とは完全に反対方向において“上り坂”を移動する必要があり、これは不可能である。
図12では、最終的に何らかの形態の平衡に達することになり、その結果、ストラット30は増大する力Fが加えられても結合されたままであり、最終的に損傷に至る。
【0080】
最後に、
図13の配置構成は、左側接触特徴39が
図8を参照して説明したのと同じ理由で分離効果を生じさせる一方で、右側接触特徴39は何の効果ももたらさないため、本発明の実施形態を構成する。
図13の配置構成では、支持部材33は、ストラット30の側部に効果的に結合され、この結合は、上述の磁気結合力がストラット30を所定位置に保持するのに十分である限り、効果的に機能する。
【0081】
純粋に一般的ガイダンスであり、添付の特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲に対するどのような限定を意味するものではないが、(上記で定義される)結合角度θの適切な値は、5度~90度の範囲、より好ましくは8度~60度の範囲、より好ましくは12度~45度の範囲、より好ましくは15度~30度°の範囲、より好ましくは18度~24度の範囲、より好ましくは約20度の範囲にある。ストラット30が支持部材33からの分離過程にある(または開始する)ときに支持部材33の支持面とスライド接触したままである、少なくとも接触部材(例えば、接触部材39)について、(上記で定義される)接触角φの適切な値は、90度未満かつその接触部材と支持面との間のスライド接触に関連付けられた摩擦角より大きく、より好ましくは、摩擦角より5度大きい角度と70度の間の範囲であり、より好ましくは摩擦角より10度大きい角度と60度の間の範囲であり、より好ましくは摩擦角より15度大きい角度と50度の間の範囲内である。あるいは、接触角φの好適な値は、5度~70度の範囲内、より好ましくは10度~60度の範囲内、より好ましくは15度~50度の範囲内であるとすることができる。
【0082】
上述の概略図は、単純化のために2つの接触特徴39のみを示す、結合構成の2次元概略図であるが、実際には、支持部材33との運動学的結合を形成するために3つの接触特徴39が存在する。
図14は、ストラット30の長手方向軸38に沿って見た、支持部材33に対するこれら3つの接触特徴39の1つの可能な配置構の概略図である。そのような接触点39の三角形配置では、一対の接触点39は、三角形の長手方向軸38を通過する平面48に関して対称に配置され、残りの(単一の)接触点39は平面48上にある。一対の接触点39は、残りの(単一の)接触点39よりも軸38に近接して配置される。
【0083】
3つの接触特徴39の代替の配置構成が
図15に示されており、この三角形配置は、単一の接触点39が一対の接触点39よりも軸38に近く、
図14と比較して事実上に逆さまになっている。いずれの配置構成(
図14または
図15)も適切であるが、
図14の配置構成は、ストラット30が支持部材33から分離する過程にあるときに、2つの接触特徴39が支持部材33と接触したままであり、(接触点39の三角形配置が平面48について対称でない場合にも発生し得る)ストラット30がその長手方向軸38の周りでねじれたり回転したりする傾向がなく、より予測可能で制御された分離につながるため、好ましいと言える。
【0084】
図7からは、測定ストラット30の右側端部(すなわち、オフセット結合構成を有する端部)の結合特徴35の内面が、測定ストラット30が結合されている支持部材33にぴったりに対応した形状を有し、少なくとも、2つの接触特徴39の間および最も右の(軸38から離れている)接触特徴39の右側まで、実質的に一定の隙間を作ることが明らかである。これによって、磁石37が支持部材33に対して近接して位置することが可能となり、それによって強力な磁気結合力を生成することができる。しかしながら、接触特徴39の反対側(軸38により近い)では、結合特徴35の内面35aは、内面35aと支持部材33との間に隙間が広がる形状とされている。これは、測定ストラット30が分離の過程にあるとき(すなわち、測定ストラットが支持部材に沿ってスライドし始めたが、依然として接触しており、支持部材33から切り離されないまたは分離されてはいない)、分離中に作成されたあらゆる付加的な接触が、本明細書に記載の関連する基準またはガイダンスを確実に満たすようにするためである。
【0085】
この点において、
図16は、上部ないし最も内側の接触特徴39(または
図14に示されるような接触特徴39の上部または最も内側の対)が、支持部材33の支持面に沿って既に部分的にスライドし、支持部材33から分離しようとしている位置に達したときの(磁石37からの磁気結合力が、重力に対して支持部材33上のストラット30を保持するのに十分でなくなったときの)測定ストラット30を示している。
図16に示される状態では、元の接触特徴39は、もはやすべて支持部材33に完全に結合されていない(接触または支持されていない)が、ストラット30は、ある程度(この例では、接触特徴39のうちの1つまたは一対を介して)依然として支持部材33と接触しているため、ストラット30は、一部または部分的に分離されていると説明することができる。示される例では、この分離が発生する前に、内面35aによって付加的な接触が作られておらず、それによって、分離挙動は、接触特徴39と支持部材33の支持面との間の相互作用によってのみ決定される。しかし、そのような付加的な接触はまた、妨げられることなくスライドを続けさせることができる限り(それによって、ストラット30が完全に分離されるのを防ぎ)、周囲の内面35aが、分離が生じる前に支持部材33と接触することもあり得る。
【0086】
図17は、内面35aが実質的にその全範囲にわたって支持部材33の球形輪郭に倣い、全体にわたって実質的に一定の隙間を有する例示的な測定ストラット30aを示している。これは、ストラット30aが分離されつつあるときに内面35aと支持部材33との間に十分な隙間がある限り、依然として潜在的に有効な配置構成であり、それによって、仮に付加的な接触が作られた場合、この付加的な接触が分離の障害を生じさせない(例えば、接触角が上述の摩擦角よりも大きい場合に)。しかし、
図18に示されるように、十分な隙間がない場合、磁気結合が、ストラット30aが支持部材33から解放されるのに十分弱まる前に、付加的な接触特徴39aが作られることがあり、この突起の接触特徴39aは、ストラット30aが分離するのを防ぐ。支持部材33がさらに互いに向かって相対的に動くと、ストラット30aに損傷が引き起こされる可能性がある。
【0087】
図16に戻ると、ストラット30の右側の端部が、支持部材33の互いに向かうさらなる相対的な動きがそれほど無く(または全く無く)、支持部材33から外れて落ちる場合、ストラット30の左側の端部は、左側の支持部材33に結合されたままであり、その結果、ストラット30は、左側の支持部材33の周りで時計回りに回転することに留意されたい。これは、ストラット30と支持部材33との間の分離された端部で接触することなく、ストラット30が完全に分離された状態にある
図19に示されている。図示のような内面35aの形態では、ストラット30は、右側支持部材33とそれ以上接触することなく、重力下で機械から完全に外れて落ちる(分離する)ことができる。これはまた、支持部材33が互いに向かってさらに相対的に動くが、その速さがストラット30が重力下で外れて落ちるときにストラット面35aを支持部材33と接触させ続けるのに十分な速さでない場合にも当てはまる。但し、支持部材33が互いに向かってより速く相対的に動き、それによってストラット表面35aが支持部材33と接触したままである場合、
図18と同様の方法で突起の接触特徴39aが作られる可能性がある。しかし、この形態のストラット端面35aであっても、(ストラットがその動作範囲の最小限度に達した後)支持部材33の互いに向かう相対的な動きの少なくとも一部は、オフセットした結合特徴によって既に吸収されているため、
図5のようなストラット20と比較して、いくつかの利点が達成されている。過剰な移動は、ストラット30が完全に結合された状態から部分的に分離された(または部分的に結合された)状態に移動することによって吸収されているが、
図20に示されるように、ストラット30のさらなる(完全な)分離が防止され得る。また、支持部材33の間の相対的な速い動きは、この動きが、重力の助けを借りずにまたは重力に抗してさえ、ストラット30を横向きに投げ出すようにし、また、支持部材33にさらに妨害となる危険性を避ける場合、いくつかの状況で役立ち得る。
【0088】
しかし、好ましくは、内面35aの輪郭形状は、(支持部材33の間の相対的な動きの速度にかかわらず)いかなる機械の動きに対しても、およびいかなるストラットの向きに対しても妨害とならないように(
図20のような状態に到達する前にストラット30を支持部材33から引き離すのに重力に頼る必要がないように)成形されるべきである。内面35aのそのような輪郭形状の例を
図21に概略的に示す。内面35aは、(ストラット30が依然として部分的に結合された状態にあるときに)分離の過程の間に作られたどのような付加的な接触特徴が、支持部材33の支持面の周りをよりゆっくりと移動するように成形され、さらに、ストラット30がさらに他の支持部材33の周りをずっと回転しているため、付加的な接触特徴を通る圧縮力Fは、かすめる接触のようになり、それによって、(上記で定義される)接触角が閾値角(例えば、摩擦角)を超えたままであり、また、いかなる妨害接触39aも作られることなく、ストラット30の完全な切り離しないし分離が起こり得るように成形される。
【0089】
結合特徴35のための他の多くの可能な設計は、当業者には容易に明らかとなる。例えば、
図22は、比較的単純な形態の結合特徴35を示し、接触特徴39の間および外側の接触特徴39までも、(上記で定義されたように)結合角度20度、および実質的に平坦な端面35aで配置された接触特徴39を有する。この実施形態から明らかなように、結合特徴35は、結合部が接触特徴39によってのみ画定されるため、支持部材33の球面に対応するカップまたは凹形状を有すると言える部分を有する必要はない。最も内側の接触特徴39は、軸38に比較的近いので、(上記で定義される)それらの接触角は比較的小さいが、低い摺動摩擦(および結果として低い摩擦角)を有する適切な材料では、この形態は実際にはうまく機能することが見出されている。さらに、平面35aが分離動作中に支持部材33と接触し、それによって付加的な接触特徴(または接触点)を作る場合、この付加的な接触特徴に関連する接触角は依然として閾値(摩擦角)を上回るため、ストラット内の圧縮力Fが維持されまたは大きくなった場合、ストラットは支持部材33からスライドし続け、それによって、損傷が生じる前にストラットを機械から完全に分離することができる。なお、ストラット30がその幅に対して長いほど、近位端部(すなわち、分離する端部)での支持部材33における同じ横方向変位のためにストラットの遠位端部の周りの回転角度は、小さくなる。従って、平面35aの角度の変化は、分離動作中に小さくなるため、平面35aと支持部材33の球面との間の接触点は、2つの支持部材33は、互いに向かって駆動されるときほとんど静的なままであり、特に、(
図18または
図20に示される例に従って)妨害を引き起こし始め得る位置まで面の周りを移動しない。それ故、
図21に示されるような曲面35aは必要なく、
図22に示されるような平面35aで十分である。
【0090】
本発明を具現化する測定ストラットは、好ましくは受動測定ストラットであり、これは、アクチュエータまたはモータ、またはそれ自体を伸長および引っ込めるための他の手段を有さないことを意味する。ストラットは、純粋に測定ストラットであり、駆動ストラットではなく、駆動と測定の組み合わせたストラットでもない。その代わりに、測定ストラットは、(上述のロボットアーム1など)それ自体の駆動手段を有する別個の独立した機械に接続されることを意図しており、ストラットは機械の2つの部分の間の距離間隔を受動的に測定するものである。上述のように、ストラットで発生する圧縮力は、外部機械の動きによって、また、機械がストラットに外的に作用してそれに圧縮力を作用することによって生成される。これによって、支持部材の支持面での作用によって分離力が生じ、ストラットを機械から分離させる。
【0091】
例えば、本発明が、(例えば、特許文献3に記載されているような)2つの相対的に移動可能なプラットフォーム間の六脚配置で接続された6つの能動(駆動)ストラットを有する六脚機械との関連でどのように有効であるかは、当業者には明らかではない。これは、プラットフォームが、能動ストラットを介する場合を除いて互いに対して空間的に制約されず、その結果、例えばストラットが伸長され、それによって少なくともそのような移動中にストラット内に圧縮力が発生するとき、その圧縮力がストラットに内部損傷を引き起こすほど十分ではないからである。さらに、上述のオフセットストラット結合配置構成が用いられ、それによって、(例えば)移動プラットフォームが予期しない障害物に直面した場合に1つまたは複数のストラットが分離される場合、プラットフォームはもはや完全に支持されず、それ自体が機械台に落下し、プラットフォームおよびその上に支持されるツールまたは測定プローブに損傷を引き起こす可能性があり、これは、ストラット自体に損傷を引き起こすことが望ましくない場合と同様に望ましいことではない。
【0092】
上記に記載されたオフセット結合配置構成が、ストラットの両端に設けられ得ることが理解できる。また、支持部材は、通常、実際に球形支持面を形成する部分だけでなく、場合によっては、機械または機械ベースに対して相対的に固定された関係で支持面を保持するのに用いられる任意の補助的な剛性固定部材も含むと見なされるべきであることに留意されたい。例えば、ストラットが(支持面を画定する)球から分離された場合、球を機械に接続する剛性ステムに捕捉されるだけでは不十分であり、その結果、支持部材のさらなる相対的な動きが依然として損傷を引き起こす可能性があることになる。ストラットは、(別の状況では、ストラットに損傷を引き起こす可能性がある)圧縮力が除かれたたとき、および/または支持部材のさらなる相対的な動きが、(合理的な制限内、例えば、球形支持面の直径などの支持部材の代表的な寸法に匹敵する距離内でのまたはその程度の動きで)ストラット内で再び発生する潜在的な損傷を与える圧縮力をもたらさないとき、支持部材から“分離”されたと見なされ得る。
【0093】
上述のように、本発明を具現化する測定ストラットは、支持部材の相対的な動きによってストラット内に発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されるように、特に適合される。このようにして、支持部材の互いに向かう過剰な、あらゆる相対運動の少なくとも一部を吸収することができ、それによって、ストラットをその通常の動作範囲を超えて圧縮しようとすることによってストラットに生じる損傷を防止するのに役立つことができる。本発明の実施形態は、可動マウント14が固定マウント12に向かって駆動される場合にストラット10が分離され易い、例えば
図2に示されるような構成と対照的であるが、それはストラット10がマウント14に対して極端な角度になることが起こるからであり、
図3に示されるような他の角度ではそうではない。本発明の一実施形態による測定ストラットでは、上述の閾値(その閾値を超えると、ストラットは、支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されるように適合される)は、好ましくは、ストラットが(支持部材の間で支持される)可動範囲内を移動するとき、または少なくとも(そのような角度のために)ストラットが機械的損傷を受ける可能性のある圧縮力の下に留まるときに、関連する支持部材に対してストラットが作る角度とは実質的に独立している。これは、
図2の構成には当てはまらない。
【0094】
上述の実施形態は、本発明の第1の態様に関するものと見なすことができる。次に、機械における2つの支持部材33の間に結合された測定ストラット30を示す
図23および
図24を参照して、本発明の第2の態様の実施形態を説明する。この実施形態は、第1の態様に関する上述の実施形態に極めて密接に基づいており、同様の参照番号は同様の部品を参照し、これらの同様の部品のさらなる説明は必要とされない。
図23および
図24のストラット30は、ストラット30と機械との間、例えば、ストラット30とロボットアーム1のエンドエフェクタ3との間に、使用中接続されるつなぎ綱36を備えていることによって、これまでの実施形態とは異なる。
【0095】
図23および
図24のつなぎ綱36は、本出願人によって特定された問題を解決するために提供されるものであり、ストラットの最小動作範囲を超える機械の動きによって引き起こされるストラット損傷の第1の態様に関する問題に関連している。この点について、本出願人は、特に、
図3を参照して説明されているようなロボットアームの大規模な動きの場合、ストラットの最大動作範囲を超える機械の動きによって引き起こされるストラット損傷のリスクもあることを理解している。この潜在的な問題は、第1および第2のストラット部材32および34にそれぞれ関連付けられた止め部材41および43を示す
図23を参照して説明することができる。
図23に示される構成では、ストラット30は、止め部材41が止め部材43に到達したときに発生するその最大延長まで延長されており、従って、さらなる延長が防止される。
図23に示される状態から、エンドエフェクタ3に取り付けられた支持部材33がストラット30の他端で支持部材33からどの方向でも遠ざかるよう移動する場合、不可避の結果として、ストラット30が上端または下端のいずれかで機械から分離される。ストラット30は、上部の支持部材33を介して機械によって支持されたままであるため、下端で分離されることは、一般的には問題にはならない。しかし、ストラット30が重力の下で機械テーブル2に自由落下し、損傷が引き起こされる可能性があるため、上端で分離されることは問題である。
【0096】
それ故、本出願人は、上記の問題に対する新規の解決策を考案した。これは、ストラット30に専用のつなぎ綱36を備えることであり、これは、存在し得、かつ、つなぎ綱として部分的に(しかし最適ではない)作用し得る電力または制御のケーブルなど他の可能な接続とは異なるものである。専用つなぎ綱36は、つなぎ綱結合特徴36aおよび36bを介してストラット30と機械1に取り外し可能に結合できるように適合される。
図24に示されるように、機械1が不注意に制御されてエンドエフェクタ3に上向きの動きMを与え、それがストラット30の動作範囲によって収容できるよりも大きい、支持部材33の間の分離をもたらす場合、ストラット30は、上部の(移動する)支持部材33から(この例では)切り離される。しかし、ストラット30は、たとえ、上部の(移動する)支持部材33に結合されなくなったため、直接使用可能な状態でなくなっても、つなぎ綱36を介して機械1に取り付けられたままであり、それによって、機械ベッド2に落下して損傷するのを防ぐことができる。つなぎ綱36自体が完全に延び、それによって、さらなる上向きの動きMがストラット32を下部の(固定された)支持部材33からも分離させるようにしているときでさえ、ストラット部材32は依然としてつなぎ綱36を介して機械1に取り付けられたままである。このようなつなぎ綱36は、ストラット30の下端が取り外された後に、機械の別の部品に衝突するリスクを伴う揺れを防ぐために、ストラット30の両端に設けることができる。つなぎ綱36は、十分に柔軟であり、それによって、例えば、ストラット30からの測定値に影響を及ぼし得る力をストラット30に与えることによる、ストラット30と機械との間の通常の相互作用に対する有意な干渉を及ぼさないようにしている。
【0097】
第2の態様のつなぎ綱特徴は、第1の態様のオフセット結合特徴とは独立して用いることができることに留意されたい。換言すれば、第2の態様のつなぎ綱特徴は、例えば、第1の態様のオフセット結合特徴を有しない、
図4および
図5に示されるようなストラットと組み合わせて用いることができる。
【0098】
次に、ロボットアーム1のような機械における2つの支持部材33の間で結合された測定ストラット30を示す
図25および
図26を参照して、本発明の第3の態様に係る実施形態を説明する。この実施形態は、第1および第2の態様に関する上述の実施形態に極めて密接に基づいており、同様の参照番号は同様の部品を参照し、これらの同様の部品のさらなる説明は必要とされない。
図25および
図26のストラット30は、以下でより詳細に説明されるように、非対称磁気結合強度を備えてことによって、これまでの実施形態とは異なる。本態様は、第2の態様を参照して上述した問題に関連し、ストラットの最大動作範囲を超える機械の動きに関連した、本出願人によって特定された問題を解決するものである。この態様の実施形態はまた、本出願人によって特定された別の技術的問題、すなわち、ボールバーまたは他の形態の測定ストラットを含む典型的な較正手順が、典型的には、特に、ボールバーまたはストラットをある装着位置から、例えば機械ベッド上の別の装着位置へ移動させるための重要な、手動が介在することを伴うことであり、これは、非効率性およびオペレータのミスのリスク(例えば、ストラットを間違った装着位置に移動させる)をもたらす。
【0099】
それに応じて、
図25の測定ストラット30は、一方の端部に、他方の端部に設けられた磁石37bよりも高い磁気強度を有する磁石37aを備える。これは、ストラット部材34の磁石37bと比較して、ストラット部材32の磁石37aのより大きな形態によって
図25に示されるが、実際には、より高い磁気強度は、必ずしも物理的により大きな磁石を必要としない。より強い磁石37aを有する端部は、移動支持部材33(すなわち、ロボットアーム1のフランジ3に固定されている支持部材)に結合され、これによって、2つの支持部材33の間の距離間隔がストラット30の動作範囲によって扱うことができる範囲を超えて増加する場合に、ストラット30の(機械ベッド2に固定された支持部材33に結合された)下端部が、上部(移動)端部の磁石37aのより強い磁気結合強度のために、ストラット30の上端部より前に先ず分離することが確実になる。それ故、ストラット30は、上部支持部材33から振れてもよいが、下部で先ず分離することは、ストラットがその上端で分離する場合に機械ベッド2に衝突するよりも好ましい。
【0100】
この例では、ロボット1に接続された端部がより強い結合強度を有するが、特に、ストラットがロボット1の上に配置されている場合、より強い結合強度がロボット1に結合されていない端部に与えられるように、これを逆転させることができる。従って、(重力に対して)上の端部がより強い結合部を備えている場合、好ましいと考えられ、それによって、分離されるのが(重力に対して)下の端部であり、上の端部は支持されたままになる(そしてストラットが落下しない)。
【0101】
安全機能としてのその使用に加えて、上述したような意図しない事象に対処するために、非対称結合強度の考え方は、例えば、
図26Aから
図26Dを参照して説明される、較正方法の一部として、より意図的に用いることもできる。
図26Aは、移動支持部材33mと第1の固定支持部材33aとの間に結合された
図25のストラット30を示している。この構成では、機械(例えば、ロボットアーム)は、例えば、較正方法の一部として測定データを収集するために、
図2および
図3を参照して説明されたような一連の動きを実行していた可能性がある。この一連の動きに続いて、較正方法では、次に、ストラット30を第1の固定支持部材33aから分離し、代わりに第2の固定支持部材33bに結合する必要がある。これは、本発明のこの態様を利用して、
図26Bから
図26Dに示される一連の工程に示されるように達成することができる。
【0102】
図26Bに示されるように、ロボットアーム1は、先ず、上部支持部材33 mを移動させて、第1の下部支持部材33aの上側で鉛直になるようにし、それによってストラット30を垂直姿勢に配置する。次に、
図26Cに示されるように、ロボットアーム1は、上部支持部材33mの制御された上向きの動きを実行し、それによって、ストラット30がその最大延長範囲に達し、その後、それ以上延長することができないために分離される。この実施形態では、非対称結合強度のために、ストラット30は、その上端部で結合されたままであり、代わりにその下端部で分離し、それによって、ストラット30は、上部支持部材33mを介してロボットアーム1によって支持されたままである(および移動可能である)。従って、
図26Dに示されるように、ロボットアーム1は、ぶら下がっているストラット30を第2の支持部材33bに移動させ、次いで、下降させてストラット30の下端部が第2の支持部材33bに結合するように、制御することができる。これに続いて、較正方法のさらなるステップを実行して、より多くの較正データを収集することができる。
【0103】
このように、第3の態様に係る非対称結合強度特徴を用いることによって、ストラット30を1つの支持部材33aから次の支持部材33bに移動させるために手動操作を必要とせず、プロセスをより効率的に、より迅速に、およびオペレータエラーが発生しにくくする。すでに上述したように、本発明のこの態様は、磁気結合力の使用に限定されず、吸引性の保持力ないし結合力を生成するために、磁石の代わりにばねまたは他の形態の弾性部材を用いることができる。純粋に一般的なガイダンスとしてであり、また、添付の特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲に対する任意の限定を意味するものではないが、ストラット30の一方の端部の結合部は、他方の端部の結合部よりも少なくとも1.2倍強く、または少なくとも1.2倍強く、または少なくとも2倍強く、または少なくとも5倍強く、または少なくとも10倍強くすることができる。しかしながら、より小さい結合強度はまた、通常の使用中にストラット30を結合し続けるのに必要な所定の値を上回り、より大きい結合強度は、ストラット30と支持部材33との間にあまりにも多くの摩擦を生じさせることを回避するために所定の値を下回るべきであり、当業者は、関係する用途に応じて何が適切であるかを容易に決定することができる。
【0104】
第3の態様の非対称結合強度特徴は、第1の態様のオフセット結合特徴および第2の態様のつなぎ綱特徴とは独立して用いることができることに留意されたい。換言すれば、第3の態様の非対称結合強度特徴は、例えば、第1の態様のオフセット結合特徴も第2の態様のつなぎ綱特徴も有さない、
図4および
図5に示されるようなストラットと組み合わせて用いることができる。
【0105】
第1の態様、第2の態様、および第3の態様の特徴は、任意の組み合わせ共に用いることもできる。例えば、第1の態様に関連付けられたオフセット結合特徴は、ストラット30のいずれかの端部で、
図25のストラット30に適用され得る。または、第3の態様に関連した非対称結合強度特徴を、
図23および
図17のストラット30に、両方向性で重ねて適用することができる。
【0106】
また、第1、第2、および第3の態様は、それらがすべて共通の技術的課題を解決するという意味で統一されていると考えることができ、この課題は、ストラットをその通常の動作範囲外で動作させようとしたときにストラットへの損傷を回避することであることに留意されたい。
【0107】
ロボット(または他のタイプの座標位置決め機械)の動作を制御するための機械コントローラも提供される。機械コントローラは、専用の電子制御システムであり得、および/またはコンピュータプログラムの制御下で動作するコンピュータを含み得る。例えば、機械コントローラは、座標位置決め機械に低水準命令を与えるためのリアルタイムコントローラと、リアルタイムコントローラを操作するためのPCとを備えることができる。
【0108】
座標位置決め機械の動作は、その機械上で動作するプログラムによって制御され、特に、
図1に概略的に示されるコントローラなどの座標位置決め機械コントローラ上で動作するプログラムによって制御されることが理解される。そのようなプログラムは、コンピュータ可読媒体に格納することができ、または、例えば、インターネットウェブサイトから提供されるダウンロード可能なデータ信号などの信号で具体化することができる。添付の特許請求の範囲は、それ自体で動作プログラムをカバーするものとして、またはキャリア上の記録として、または信号として、または任意の他の形式で理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の相対的に移動可能な2つの支持部材の間の距離間隔を測定するための測定ストラットであって、前記ストラットは、前記2つの支持部材の間で取り外し可能に結合可能であり、(a)前記支持部材の相対的な動きによって前記ストラット内に発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、前記支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されるように適合され、および/または(b)前記支持部材の少なくとも1つから分離された場合に当該ストラットを捕捉するように適合された専用のつなぎ綱を有し、および/または(c)前記支持部材の一方に他方よりより強く結合するように適合される、測定ストラット。
【請求項2】
前記ストラットは、前記支持部材の相対的な動きが前記ストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えて前記ストラットを操作しようとするときに、前記支持部材の少なくとも1つから少なくとも部分的に分離されるように適合される、請求項1に記載の測定ストラット。
【請求項3】
前記支持部材の相対的な動きによって前記ストラット内に発生する前記圧縮力は、前記支持部材の相対的な動きが前記ストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えて前記ストラットを操作しようとするとき、前記所定の閾値よりも大きくなる、請求項1に記載の測定ストラット。
【請求項4】
前記所定の動作範囲は、前記ストラットが機械的損傷を引き起こす可能性が高い動作範囲である、請求項2または3に記載の測定ストラット。
【請求項5】
前記所定の閾値は、関連する前記支持部材に対する前記ストラットの角度とは実質的に独立しているか、または少なくとも、任意の前記角度について、前記ストラットが機械的損傷を受ける可能性がある圧縮力より小さい、請求項1に記載の測定ストラット。
【請求項6】
前記支持部材は支持面を含み、前記ストラットは、前記支持部材の前記支持面を押し、かつ前記支持面の上をスライドするように適合された結合部を備える、請求項1に記載の測定ストラット。
【請求項7】
前記ストラットの前記結合部は、前記支持部材の前記支持面が受け入れられる凹部を提供する、請求項6に記載の測定ストラット。
【請求項8】
前記ストラットの前記結合部は、概して、凹状またはカップ状または雌形を有し、前記支持部材の前記支持面は、概して、凸状または少なくとも部分的に球状または雄形を有する、請求項6に記載の測定ストラット。
【請求項9】
前記支持部材の前記支持面は、少なくとも部分的な球面支持面であり、前記支持面の球面部分の中心は、前記支持部材に結合されたときの前記ストラットの測定点を画定するか、または測定点と一致する、請求項6に記載の測定ストラット。
【請求項10】
前記結合部の結合角度は所定の閾値より大きい、請求項6に記載の測定ストラット。
【請求項11】
前記結合部は、前記結合部の周囲面の上に隆起または突出して、前記支持面に対する結合を形成する複数の接触特徴を含む、請求項6に記載の測定ストラット。
【請求項12】
前記結合部は、前記支持面に対する運動学的または疑似運動学的な結合を形成する3つの前記接触特徴を含む、請求項11に記載の測定ストラット。
【請求項13】
各接触特徴の接触角は、所定の閾値、例えば摩擦角より大きい、請求項11に記載の測定ストラット。
【請求項14】
前記結合部は、前記2つの支持部材の相対的な動きの間に前記ストラットに発生する圧縮力が、前記ストラットの結合部における接触特徴を介して前記支持面に作用し、正味の分離力を生成するように適合される、請求項11に記載の測定ストラット。
【請求項15】
前記ストラットの通常の動作中、前記分離力は、前記ストラットを前記支持面に保持する結合力より小さく、前記分離力は、前記ストラットが機械から分離されるように、前記圧縮力が前記ストラットを保持する前記結合力を克服するまで前記ストラット内で増加する圧縮力と共に増加する、請求項14に記載の測定ストラット。
【請求項16】
前記結合力が磁気結合力である、請求項15に記載の測定ストラット。
【請求項17】
前記周囲面は、前記ストラットの移動および/または回転に起因する分離プロセス中に任意の追加の接触特徴が作られた場合、前記元の接触特徴のいずれも依然として前記支持面と接触していることに加え、任意の前記追加の接触特徴が、依然として前記分離プロセスを完了させることを可能にする正味の分離力をもたらすように適合される、請求項14に記載の測定ストラット。
【請求項18】
前記ストラットは、前記ストラットの所定の動作範囲の最小限度を超えて前記ストラットを操作しようとする前記支持部材の任意の相対的な動きのうちの少なくとも一部を吸収するように適合される、請求項1に記載の測定ストラット。
【請求項19】
前記ストラットは、前記支持部材のうちの少なくとも1つから部分的に分離することによって、前記相対的な動きの少なくとも一部を吸収するように適合される、請求項18に記載の測定ストラット。
【請求項20】
前記ストラットは、前記支持部材の相対的な動きによってストラットに発生する圧縮力が所定の閾値よりも大きいときに、前記支持部材の少なくとも1つから完全に分離されるように適合される、請求項1に記載の測定ストラット。
【請求項21】
前記ストラットが機械的ストラットである、請求項1に記載の測定ストラット。
【請求項22】
前記ストラットは、受動測定ストラットである、請求項1に記載の測定ストラット。
【請求項23】
前記ストラットは、相対移動可能な2つの支持部材のうちの一方におけるエンコーダスケールと、前記相対移動可能な2つの支持部材のうちの他方における読み取りヘッドとを含む、請求項1に記載の測定ストラット。
【請求項24】
前記ストラットによって測定される前記距離間隔は、1次元距離間隔、2次元距離間隔、および3次元距離間隔のうちの1つであり、好ましくは1次元距離間隔である、請求項1に記載の測定ストラット。
【請求項25】
機械を特徴付けるためのキットであって、請求項1に記載の測定ストラットと、前記測定ストラットが結合可能である支持部材、または少なくとも、前記測定ストラットが少なくとも部分的に分離されるように適合された任意の支持部材と、を含む、キット。
【請求項26】
前記機械を特徴付けることは、前記機械を較正すること、前記機械を検証すること、前記機械の健全性チェックを実行すること、および前記機械を設定すること、のうちの1つまたは複数を含む、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
機械を特徴付ける方法であって、前記機械における前記相対的に移動可能な支持部材の間に、請求項1に記載の測定ストラットを結合することと、一連の移動を実行するように前記機械を制御することと、前記一連の移動中に前記ストラットから測定データを収集することと、前記収集された測定データを用いて前記機械を特徴付けることと、を含む、方法。
【請求項28】
機械を特徴付ける方法であって、機械における相対的に移動可能な支持部材の間に請求項1に記載の測定ストラットを結合することと、一連の移動を実行するように機械を制御することと、一連の移動中に前記ストラットから測定データを収集することと、収集した前記測定データを用いて機械を較正することと、を含み、前記ストラットは前記支持部材の一方に他方よりより強く結合するように適合され、より強い結合を有する端部は、可動の支持部材に結合され、他方の端部は、機械を制御してそのときアクティブな支持部材を互いに相対的に移動させることによって、複数の固定の支持部材に順番に結合され、それによって、異なる結合強度のために、前記ストラットが可動支持部材に結合されたままであるが、前記固定の支持部材から分離され、次いで、可動支持部材に依然として結合されているストラットを移動させて、さらなる一連の移動を実行するために前記固定の支持部材の別のものに結合するように機械を制御する、方法。
【請求項29】
前記機械を特徴付けることは、前記機械を較正すること、前記機械を検証すること、前記機械の健全性チェックを実行すること、および前記機械を設定すること、のうちの1つまたは複数を含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記機械は、座標位置決め機械を含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項31】
前記座標位置決め機械は、非直交運動学的機械および/または平行運動学的機械を含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項32】
前記座標位置決め機械は、ロボットアームを含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項33】
前記相対的に移動可能な支持部材は、固定支持部材と移動可能な支持部材である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項34】
前記機械の構造は、一組のモデルパラメータによって特徴付けられ、前記機械を較正することは、既存の一組のモデルパラメータよりも前記機械の前記幾何学形状をより良く特徴付ける新しい一組のモデルパラメータを決定することを含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項35】
コンピュータまたは機械コントローラによって動作するとき、前記コンピュータまたは前記マシンコントローラに、請求項27または28に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項36】
請求項27または28に記載の方法を実行するようにコンピュータまたは機械コントローラを制御するためのコンピュータプログラム命令を格納した、コンピュータ可読媒体。
【請求項37】
請求項27または28に記載の方法を実行するように機械を制御するように構成された、マシンコントローラ。
【国際調査報告】