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特表2024-533442冷却部材、当該冷却部材を含む電池モジュールおよび電池パック
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  • 特表-冷却部材、当該冷却部材を含む電池モジュールおよび電池パック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】冷却部材、当該冷却部材を含む電池モジュールおよび電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20240905BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/6568
H01M50/204 401H
H01M10/625
H01M10/647
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515663
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 KR2022016372
(87)【国際公開番号】W WO2023096178
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0165251
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0170979
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サンヒョン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ブム・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ハン・キ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ウォン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョク・ナムグン
(72)【発明者】
【氏名】ウォンヘ・ク
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031EE04
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT04
5H040AY06
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
本発明の一実施例による冷却部材は、上部板と、下部板と、前記上部板と前記下部板との間の内部空間に内蔵された冷却水とを含み、前記上部板と前記下部板の周縁には密封部が形成され、前記密封部の内側には結合溝が形成され、前記密封部の外側には締結部材によって結合された締結部が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部板と、下部板と、前記上部板と前記下部板との間に形成された内部空間に内蔵された冷却水とを含む冷却部材であって、
前記上部板と前記下部板の周縁には、密封部が形成され、
前記密封部の内側には、結合溝が形成され、
前記密封部の外側には、締結部材によって結合された締結部が形成される冷却部材。
【請求項2】
前記密封部が形成された前記上部板と前記下部板との間には、密封部材が位置する、請求項1に記載の冷却部材。
【請求項3】
前記結合溝には、前記上部板が前記下部板に導入されることによって、または前記下部板が前記上部板に導入されることによって形成された第1湾入部が形成される、請求項1に記載の冷却部材。
【請求項4】
前記冷却部材には、冷却水の流れを案内する流路形成溝が形成される、請求項1に記載の冷却部材。
【請求項5】
前記流路形成溝には、前記上部板が前記下部板に導入されることによって、または前記下部板が前記上部板に導入されることによって形成された第2湾入部が形成される、請求項4に記載の冷却部材。
【請求項6】
前記冷却部材には、冷却水の流入による前記冷却部材の形状の変形を防止する変形防止溝が形成される、請求項1に記載の冷却部材。
【請求項7】
前記変形防止溝には、前記上部板が前記下部板に導入されることによって、または前記下部板が前記上部板に導入されることによって形成された第3湾入部が形成される、請求項6に記載の冷却部材。
【請求項8】
前記冷却部材には、前記上部板が前記下部板に導入されることによって、または前記下部板が前記上部板に導入されることによって形成された湾入部が形成され、
前記湾入部は、深さを有し、前記深さの延びる方向は、前記冷却部材内部の冷却水の流れ方向と垂直である、請求項1に記載の冷却部材。
【請求項9】
前記湾入部は、前記上部板が変形した上部湾入部と、前記下部板が変形した下部湾入部とを含み、
前記上部湾入部の上面の最低点は、前記湾入部が形成されていない前記下部板の上面より下方に位置する、請求項8に記載の冷却部材。
【請求項10】
前記上部湾入部の上面の最低点は、前記湾入部が形成されていない前記下部板の下面より下方に位置する、請求項9に記載の冷却部材。
【請求項11】
前記湾入部は、前記上部板が変形した上部湾入部と、前記下部板が変形した下部湾入部とを含み、
前記上部湾入部の外径の最大値は、前記下部湾入部の内径の最小値より大きい、請求項8に記載の冷却部材。
【請求項12】
前記下部板は、物性の異なる少なくとも2つの素材を含む、請求項1に記載の冷却部材。
【請求項13】
前記冷却部材は、前記上部板と前記下部板との間に形成された内部空間に冷却水を注入するための入口ポートおよび前記内部空間から冷却水を排出するための出口ポートをさらに含み、
前記入口ポートおよび出口ポートは、外部の熱交換器に連結され、
前記入口ポートおよび出口ポートを通して前記冷却部材の冷却水が循環する、請求項1に記載の冷却部材。
【請求項14】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体の上部に位置する冷却部材であって、
上部板と、下部板と、前記上部板と前記下部板との間に形成された内部空間に内蔵された冷却水とを含む前記冷却部材において、
前記下部板は、開口部を含み、
前記下部板の上面は、前記下部板のカバーフィルムによってカバーされ、
前記カバーフィルムの外郭形状は、前記下部板の外郭形状と実質的に同一であり、
前記カバーフィルムは、前記下部板より融点の低い素材で製造され、
前記カバーフィルムは、所定の温度以上で溶融することによって、前記下部板の開口部を開放する冷却部材。
【請求項15】
前記カバーフィルムは、前記下部板と付着する、請求項14に記載の冷却部材。
【請求項16】
前記カバーフィルムの厚さは、0.5mm~1.0mmである、請求項14に記載の冷却部材。
【請求項17】
前記カバーフィルムは、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリフェニレンオキシド(PPO)の中から選択される1つ以上の素材で製造される、請求項14に記載の冷却部材。
【請求項18】
前記上部板および前記下部板の周縁には、密封部が形成され、
前記密封部の外側には、外郭締結部が形成される、請求項14に記載の冷却部材。
【請求項19】
前記密封部が形成された前記上部板と前記下部板との間には、帯状密封部材が位置する、請求項18に記載の冷却部材。
【請求項20】
前記密封部の内側には、前記上部板と前記下部板との結合を補完する結合溝が形成される、請求項18に記載の冷却部材。
【請求項21】
前記結合溝の少なくとも一部には、結合締結部が形成される、請求項20に記載の冷却部材。
【請求項22】
前記結合締結部が形成された前記カバーフィルムと前記上部板との間には、リング状密封部材が位置する、請求項21に記載の冷却部材。
【請求項23】
前記冷却部材には、冷却水の流れを案内する流路形成溝が形成される、請求項14に記載の冷却部材。
【請求項24】
前記流路形成溝の一部には、流路形成締結部が形成され、
前記流路形成締結部が形成された前記カバーフィルムと前記上部板との間には、リング状密封部材が位置する、請求項23に記載の冷却部材。
【請求項25】
前記冷却部材には、冷却水の流入による前記冷却部材の形状の変形を防止する変形防止溝が形成される、請求項14に記載の冷却部材。
【請求項26】
前記変形防止溝の一部には、変形防止締結部が形成され、
前記変形防止締結部が形成された前記カバーフィルムと前記上部板との間には、リング状密封部材が位置する、請求項25に記載の冷却部材。
【請求項27】
前記冷却部材には、溝が形成され、
前記溝は、前記上部板と前記下部板との結合を補完するための結合溝、冷却水の流れを案内する流路形成溝、または冷却水の流入による前記冷却部材の形状の変形を防止する変形防止溝を含み、前記溝の少なくとも一部には、クリンチング結合が形成される、請求項14に記載の冷却部材。
【請求項28】
前記冷却部材は、前記上部板と前記下部板との間に形成された内部空間に冷却水を注入するための入口ポートおよび前記内部空間から冷却水を排出するための出口ポートをさらに含み、
前記入口ポートおよび前記出口ポートは、外部の熱交換器に連結され、
前記入口ポートおよび前記出口ポートを通して前記冷却部材の冷却水が循環する、請求項14に記載の冷却部材。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか一項に記載の冷却部材を含む電池モジュール。
【請求項30】
請求項1~28のいずれか一項に記載の冷却部材を含む電池パック。
【請求項31】
前記電池パックは、モジュールレス構造の電池モジュールを含む、請求項30に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2021年11月26日付の韓国特許出願第10-2021-0165251号および2021年12月2日付の韓国特許出願第10-2021-0170979号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、冷却部材、そしてこれを含む電池モジュールおよび電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
現代社会では、携帯電話、ノートパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラなどの携帯型機器の使用が日常化されるにつれ、このようなモバイル機器に関連する分野の技術開発が活発になっている。また、充放電可能な二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリン車両などの大気汚染などを解決するための方策で、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)などの動力源として用いられていることから、二次電池に対する開発の必要性が高まっている。
【0004】
現在商用化された二次電池には、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、このうち、リチウム二次電池は、充放電が自由であり、自己放電率が低く、エネルギー密度が高いというメリットがあり、最も多く注目されている。
【0005】
一方、小型デバイスに用いられる二次電池の場合、主に2個~3個の電池セルが使用されるか、自動車などのような中大型デバイスに用いられる二次電池の場合には、多数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュール(Battery module)が使用される。中大型電池モジュールは、できるだけ小さい大きさと重量で製造されることが好ましいので、高い集積度で積層可能であり、容量対重量が小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に用いられている。
【0006】
一方、電池モジュールに装着された電池セルは、充放電過程で多量の熱を発生させることがあり、過充電などの理由でその温度が適正温度より高くなる場合、性能が低下することがあり、温度上昇が過度の場合、爆発または発火の危険がある。電池モジュールの内部で発火現象が発生すれば、電池モジュールの外部に高温の熱、ガスまたは火炎が放出されうるが、この時、1つの電池モジュールから放出された熱、ガス、スパークまたは火炎などは、電池パック内で狭い間隔をおいて隣接した他の電池モジュールに伝達され、これによって電池パック内で連続的な熱暴走現象が発生しうる。
【0007】
このような熱暴走現象を防止するために、従来の電池モジュールには冷却部材または放熱部材などが提供されたりもし、最近は、冷却水を注入した水冷式冷却部材または水冷式放熱部材の適用が試みられている。冷却水が提供されない従来の空冷式冷却部材の場合には、ファンの位置によって冷却部材に温度勾配が形成されることで電池セル積層体が均等に冷却できない問題があったが、水冷式冷却部材は、冷却水によって冷却部材の温度が比較的一定に維持可能なため、冷却部材の温度偏差が最小化されるというメリットがある。
【0008】
水冷式冷却部材は、上部板および下部板を接合することによって形成され、上部板および下部板の間の空間に冷却水が収容される。従来は、水密性を確保するために、主に溶接などの方法を用いて上部板および下部板を結合した。しかし、上部板および下部板の物性が互いに異なったり、上部板および下部板の少なくとも1つが物性の異なる素材などを部分的に含む場合には、溶接によって上部板および下部板がよく結合されなかったり、接合工程中に上部板および下部板が損傷しうるので、水冷式冷却部材に使用可能な素材が制限される問題があった。したがって、従来技術のこのような問題を解決できる技術が必要なのが現状である。
【0009】
これとともに、このような熱暴走現象を防止するために、従来の電池モジュールには、電池モジュール内に火災の発生が確認されると、ノズルなどを通して冷却水を注入することによって火災を鎮圧する注水システムが適用されたりもした。しかし、電池モジュール100または電池パック1000の外部に配置されたタンクから冷却水などを注入することは、火災発生有無の確認、冷却水注入有無の決定および冷却水伝達のような複数の段階を経ることになるので、火災を鎮圧するのに適切なタイミングを合わせることが難しかった。
【0010】
したがって、電池モジュール100または電池パック1000の内部発火時、適時適所に冷却水が投入されることによって、熱暴走現象を迅速に鎮圧できる新たな技術が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、多様な素材および多様な設計の適用が可能な冷却部材、そしてこれを含む電池モジュールおよび電池パックを提供することである。
【0012】
また、本発明が解決しようとする課題は、電池モジュール100または電池パック1000の内部発火時、適時適所に冷却水を投入可能な冷却部材、これを含む電池モジュールおよび電池パックを提供することである。
【0013】
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施例による冷却部材は、上部板と、下部板と、前記上部板と前記下部板との間の内部空間に内蔵された冷却水とを含み、前記上部板と前記下部板の周縁には密封部が形成され、前記密封部の内側には結合溝が形成され、前記密封部の外側には締結部材によって結合された締結部が形成される。
【0015】
前記密封部が形成された前記上部板と前記下部板との間には密封部材が位置することができる。
【0016】
前記結合溝には、前記上部板が前記下部板に導入されることによって、または前記下部板が前記上部板に導入されることによって形成された第1湾入部が形成される。
【0017】
前記冷却部材には、冷却水の流れを案内する流路形成溝が形成される。
【0018】
前記流路形成溝には、前記上部板が前記下部板に導入されることによって、または前記下部板が前記上部板に導入されることによって形成された第2湾入部が形成される。
【0019】
前記冷却部材には、冷却水の流入による前記冷却部材の形状の変形を防止する変形防止溝が形成される。
【0020】
前記変形防止溝には、前記上部板が前記下部板に導入されることによって、または前記下部板が前記上部板に導入されることによって形成された第3湾入部が形成される。
【0021】
前記冷却部材には、前記上部板が前記下部板に導入されるか、前記下部板が前記上部板に導入されることによって形成された湾入部が形成され、前記湾入部は、深さを有し、前記深さの延びる方向は、前記冷却部材内部の冷却水の流れ方向と垂直であってもよい。
【0022】
前記湾入部は、前記上部板が変形した上部湾入部と、前記下部板が変形した下部湾入部とを含み、前記上部湾入部の上面の最低点は、前記湾入部が形成されていない前記下部板の上面より下方に位置することができる。
【0023】
前記上部湾入部の上面の最低点は、前記湾入部が形成されていない前記下部板の下面より下方に位置することができる。
【0024】
前記湾入部は、前記上部板が変形した上部湾入部と、前記下部板が変形した下部湾入部とを含み、前記上部湾入部の外径の最大値は、前記下部湾入部の内径の最小値より大きい。
【0025】
前記下部板は、物性の異なる少なくとも2つの素材を含むことができる。
【0026】
前記冷却部材は、前記上部板と前記下部板との間の内部空間に冷却水を注入るための入口ポートおよび前記内部空間から冷却水を排出するための出口ポートをさらに含み、前記入口ポートおよび出口ポートは、外部の熱交換器に連結され、前記入口ポートおよび出口ポートを通して前記冷却部材の冷却水が循環することができる。
【0027】
本発明の他の実施例による冷却部材は、複数の電池セルが積層された電池セル積層体の上部に位置し、上部板と、下部板と、前記上部板と前記下部板との間の内部空間に内蔵された冷却水とを含み、前記下部板は、開口部を含み、前記下部板の上面は、前記下部板のカバーフィルムによってカバーされ、前記カバーフィルムの外郭形状は、前記下部板の外郭形状と実質的に同一であり、前記カバーフィルムは、前記下部板より融点の低い素材で製造され、前記カバーフィルムは、所定の温度以上で溶融することによって、前記下部板の開口部を開放する。
【0028】
前記カバーフィルムは、前記下部板と付着できる。
【0029】
前記カバーフィルムの厚さは、0.5mm~1.0mmであってもよい。
【0030】
前記カバーフィルムは、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリフェニレンオキシド(PPO)の中から選択される1つ以上の素材で製造される。
【0031】
前記上部板と前記下部板の周縁には密封部が形成され、前記密封部の外側には外郭締結部が形成される。
【0032】
前記密封部が形成された前記上部板と前記下部板との間には帯状密封部材が位置することができる。
【0033】
前記密封部の内側には、前記上部板と前記下部板との結合を補完する結合溝が形成される。
【0034】
前記結合溝の少なくとも一部には結合締結部が形成される。
【0035】
前記結合締結部が形成された前記カバーフィルムと前記上部板との間にはリング状密封部材が位置することができる。
【0036】
前記冷却部材には、冷却水の流れを案内する流路形成溝が形成される。
【0037】
前記流路形成溝の一部には流路形成締結部が形成され、前記流路形成締結部が形成された前記カバーフィルムと前記上部板との間にはリング状密封部材が位置することができる。
【0038】
前記冷却部材には、冷却水の流入による前記冷却部材の形状の変形を防止する変形防止溝が形成される。
【0039】
前記変形防止溝の一部には変形防止締結部が形成され、前記変形防止締結部が形成された前記カバーフィルムと前記上部板との間にはリング状密封部材が位置することができる。
【0040】
前記冷却部材には溝が形成され、前記溝は、前記上部板と前記下部板との結合を補完するための結合溝、冷却水の流れを案内する流路形成溝、または冷却水の流入による前記冷却部材の形状の変形を防止する変形防止溝を含み、前記溝の少なくとも一部にはクリンチング結合が形成される。
【0041】
前記冷却部材は、前記上部板と前記下部板との間の内部空間に冷却水を注入するための入口ポートおよび前記内部空間から冷却水を排出するための出口ポートをさらに含み、前記入口ポートおよび前記出口ポートは、外部の熱交換器に連結され、前記入口ポートおよび前記出口ポートを通して前記冷却部材の冷却水が循環することができる。
【0042】
本発明のさらに他の実施例による電池モジュールは、上述した冷却部材を含むことができる。
【0043】
本発明のさらに他の実施例による電池パックは、上述した冷却部材を含むことができる。
【0044】
前記電池パックは、モジュールレス構造の電池モジュールを含むことができる。
【発明の効果】
【0045】
実施例によれば、冷却部材は、機械的締結方式を適用することによって、多様な素材を含むように設計可能である。
【0046】
また、実施例によれば、冷却部材は、電池モジュール100または電池パック1000の内部発火時、その一部を開放して適時適所に冷却水を投入することによって、電池モジュール100または電池パック1000の内部火災を迅速に鎮圧し、連続的な熱暴走現象を防止することができる。
【0047】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の一実施例による冷却部材を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施例による冷却部材に含まれている下部板の斜視図である。
図3図1の冷却部材の部分拡大図である。
図4図3のA-A切断面を示す図である。
図5図3のB-B切断面に適用されたクリンチング結合を示す写真である。
図6図5の断面構造が形成される過程を示す図である。
図7】本発明の一実施例による冷却部材に形成された湾入部の位置を示す上面図である。
図8】本発明の他の実施例による冷却部材を示す斜視図である。
図9図8の冷却部材における締結部の位置を例示する斜視図である。
図10図8の冷却部材の部分拡大図である。
図11図8の冷却部材に含まれている下部板を示す図である。
図12図8の冷却部材に含まれている下部板とカバーフィルムとの結合を示す図である。
図13図8の冷却部材のC-C切断面を示す図である。
図14】本発明のさらに他の実施例による電池パックを示す分解斜視図である。
図15図14による電池パックに含まれている電池モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、添付した図面を参照して、本発明の様々な実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は以下に説明したもの以外に種々の異なる形態で実現可能であり、本発明の範囲はここで説明する実施例によって限定されない。
【0050】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0051】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に拡大または縮小して示したものであるので、本発明の内容が図示のものに限定されないことは自明である。以下の図面においては、様々な層および領域を明確に表現するために各層の厚さを拡大して示した。そして、以下の図面においては、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0052】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあると説明する時、これは相当する層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「直上」にある場合のみならず、その間にさらに他の部分がある場合も含むと解釈されなければならない。これとは逆に、相当する層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「直上」にあると説明する時には、その間に他の部分がないことを意味することができる。また、基準となる部分の「上」にあるというのは、基準となる部分の上方または下方に位置するものであり、必ずしも重力の反対方向に向かって「上」に位置することを意味するわけではない。一方、他の部分の「上」にあると説明するのと同様に、他の部分の「下」にあると説明することも上述した内容を参照して理解されるであろう。
【0053】
また、特定の部材の上面/下面はどの方向を基準とするかによって異なって判断されうるので、明細書全体において、「上面」または「下面」は、当該部材においてz軸上向かい合う2面を意味するものと定義する。
【0054】
さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0055】
また、明細書全体において、「平面上」とする時、これは当該部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは当該部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0056】
以下、本発明の一実施例による冷却部材について説明する。
【0057】
図1は、本発明の一実施例による冷却部材を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施例による冷却部材に含まれている下部板の斜視図である。図3は、図1の冷却部材の部分拡大図である。図4は、図3のA-A切断面を示す図である。
【0058】
図1を参照すれば、本実施例の冷却部材500は、電池セルをはじめとする電池モジュール(100、図15参照)または電池パック(1000、図14参照)の内部温度を下げるために提供されるものである。冷却部材500は、冷媒または冷却水が注入される水冷式冷却部材500であってもよい。冷却部材500が水冷式で提供されることによって、冷却部材500の冷却効率は均一に維持可能であり、電池モジュール100または電池パック1000内の電池セルが均等に冷却できる。この時、冷却部材500に使用される冷却水は、公知の1つまたはそれらの混合物を使用することができ、冷却部材500の内部において流路に沿って移動することによって電池セルの熱を放出できるものであれば、公知のいずれを使用してもよい。
【0059】
冷却部材500は、電池セルの熱を放出するために、電池セル積層体の一面上に配置される。冷却部材500は、電池セル積層体の複数の電池セルに近く位置するように、電池セル積層体の積層方向と平行に配置される。具体的には、冷却部材500は、電池セル積層体の上部に位置することができる。しかし、必ずしもその限りではなく、設計により、冷却部材500は、電池セル積層体の下部に位置するか、または側部に位置してもよい。
【0060】
冷却部材500の大きさは、冷却部材500が適用される電池セル積層体の大きさに合わされる。一例として、冷却部材500は、1つの電池セル積層体に対応するように提供され、この時、冷却部材500の長さは、前記電池セル積層体の長さに合わされるか、若干のマージンをおいて大きくまたは小さく形成され、前記冷却部材500の幅は、前記電池セル積層体の幅に合わされるか、若干のマージンをおいて大きくまたは小さく形成されてもよい。他の例として、冷却部材500は、複数の電池セル積層体に対応するように提供され、この時、冷却部材500の長さおよび幅は、複数の電池セル積層体の長さおよび幅に合わされるか、若干のマージンをおいて大きくまたは小さく形成されてもよい。ここで、冷却部材500は、電池モジュール100の内部に位置することができるが、電池モジュール100の外部において電池パック1000の内側に位置することも可能である。
【0061】
冷却部材500は、冷却部材500の外形を形成する上部板510および下部板520と、冷却部材500の内部に冷却水を注入する入口ポート/出口ポート530とを含むことができる。
【0062】
冷却部材500は、上部板510と下部板520の周縁を結合することによって形成される。冷却部材500の周縁部分には、冷却部材500の上部板510および下部板520の周縁を結合することによって形成された密封部540が位置することができる。冷却部材500で結合された上部板510と下部板520との間には冷却水が内蔵されており、循環することができる。密封部540が形成された上部板510と下部板520との間には、後述する密封部材590が位置することができる。
【0063】
冷却水は、並んで位置した入口ポート532を通して供給されて、出口ポート534に排出される。冷却部材500内の冷却水は、その温度の恒常性を維持するために、入口ポート/出口ポート530と連結された外部の熱交換器に連結されて、持続的に循環するように設計できる。
【0064】
入口ポート532と出口ポート534は、冷却部材500の一端部側に平行に並んで位置することができる。これは、電池モジュール100または電池パック1000の外部から供給される冷却水の流入および排出に関する設計を単純化するためのものである。また、これは、入口ポート532の周辺と出口ポート534の周辺との温度差を最小化するためのものである。具体的には、入口ポート532に流入する冷却水は、最も低い温度を有し、出口ポート534に排出される冷却水は、最も高い温度を有することができる。したがって、入口ポート/出口ポート530が隣接して配置されれば、相互間に熱交換が現れることによって、冷却部材の内部空間を流れる全体冷却水の温度偏差が最小化できる。入口ポート/出口ポート530を並んで配置することによって、冷却部材500は、全体的に均一な放熱性能を有することができる。
【0065】
上部板510は、板状型で提供されるが、その中央部分は陥没または湾入して周縁部分と段差を有するように形成される。具体的には、上部板510は、幅方向上の断面を基準として窪み形状を有することができる。これは、上部板510が冷却水を収容するために、段差により内部空間を形成したものである。ここで、上部板510の幅方向は、上部板510の短辺と平行な方向であってもよい。
【0066】
下部板520は、上部板510と全体的に類似の形状を有することができる。下部板520も、板状型で提供されるが、その中央部分は陥没または湾入して周縁部分と段差を有するように形成される。下部板520は、幅方向上の断面を基準として窪み形状を有することによって、冷却水を収容する内部空間を形成することができる。ここで、下部板520の幅方向は、下部板520の短辺と平行な方向であってもよい。
【0067】
図2を参照すれば、下部板520は、少なくとも1つの開口部521を含むことができる。開口部521は、電池セルの内部発火時、冷却水を電池セルに投入するための通路であってもよい。開口部521は、下部板520の短辺または長辺に沿って複数提供されてもよいし、冷却部材500は、複数の開口部521を備えることによって、電池モジュール100または電池パック1000内の不特定の位置で発生する火災に対応して冷却水を投入することができる。
【0068】
冷却部材500が電池セルの上部に提供される場合、下部板520は、冷却部材500において電池セルに最も近く位置する部分であってもよい。したがって、下部板520は、電池セルの放熱が促進されるように、熱伝導率の高い素材で提供されることが好ましい。また、冷却部材500の全体的な放熱性能を向上させるために、冷却部材500の上部板510も、熱伝導率の高い素材で提供される。冷却部材500の外形を形成する上部板510および下部板520は、剛性の高い金属で製造され、その具体例としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、またはこれらを含む合金などが挙げられる。
【0069】
下部板520は、1つの素材で製造されてもよいが、2つ以上の素材で製造されてもよい。下部板520の開口部521は、内部発火が発生する前までは閉鎖されていなければならないので、下部板520の開口部521には、所定の温度以上で溶融するか、所定の圧力以上で破断する部材が詰め込まれるか、または嵌め込まれる。あるいは、これと類似の物性で製造されたフィルム状の部材が下部板520の上面に付着することによって、開口部521が閉鎖されていてもよい。
【0070】
開口部521を閉鎖するために用いられる部材は、下部板520より熱によって溶融するか、圧力によって破断しやすい素材で製造される。例えば、開口部521を閉鎖するために用いられる部材は、300℃以下の融点を有する素材で製造される。開口部521を閉鎖するために用いられる部材は、融点が200℃以下の熱可塑性の高分子樹脂で製造されてもよい。前記熱可塑性の高分子樹脂の例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンオキシド(PPO)など、融点が約100℃以上200℃以下の物質が挙げられる。
【0071】
一方、上述のように、上部板510または下部板520が2つ以上の素材で製造されることによって、冷却部材500に物性が異なる2つ以上の素材が含まれる。あるいは、上部板510と下部板520が互いに物性の異なる素材で製造されるか、上部板510および下部板520の間に物性の異なる他の部材が追加されてもよい。従来は、冷却部材500の上部板510および下部板520が主にブレージング(Brazing)またはレーザ溶接などによって結合されていたので、このように冷却部材500が2つ以上の素材を含むように設計された場合には、溶接工程中に1つの素材が変形しかねず、溶接工程が困難または不可能な問題があった。また、レーザ溶接などを利用する場合、上部板510または下部板520に局部的な温度勾配が形成されうるので、これによって上部板510または下部板520の少なくとも一部が曲がる問題があった。
【0072】
しかし、本実施例の冷却部材500は、溶接方式ではない機械的締結方式により製造されるので、従来とは異なり、2つ以上の素材を含むように製造できる。具体的には、本実施例の機械的締結方式は、熱を加えないことによって、または冷却部材500に提供される素材の融点より低い温度の熱を加えることによって、冷却部材500を形成する素材の損傷を最小化することができる。したがって、本実施例の冷却部材500には、溶接温度にこだわらず多様な素材を使用可能なため、冷却部材500の設計が容易でより多様であり得る。
【0073】
冷却部材500に使用される機械的締結方式の一例としては、締結部材を介した結合であるリベットなどが挙げられる。本実施例において、冷却部材500は、締結部560を含むことができる。締結部560は、冷却部材500においてリベットのような締結部材を介して締結される部分を称するものである。締結部560には、締結部材が挿入可能な締結具が形成される。
【0074】
冷却部材500に使用される機械的締結方式の他の例としては、クリンチング(clinching)が挙げられる。クリンチングは、パンチなどを用いて、積層された2つの板状型部材の一面を加圧してその形状を変形させることによって、2つの部材を機械的に結合させる変形接合方法である。クリンチングは、その形状を考慮して、浸透(penetration)接合と称されてもよい。クリンチングが形成された部分は、湾入部(570、図5参照)と称される。
【0075】
このように、冷却部材500の製造時に溶接結合方式の代わりに機械的締結方式を適用すれば、製造過程中に過度の熱が発生しないので、冷却部材500に意図せぬ変形が最小化可能であり、予め設計された寸法と最終製品の寸法との差が減少したことで寸法安定性が確保できる。特に、冷却部材500に主に使用されていたアルミニウム素材の場合、融点である660℃以上の温度が加えられると変形し始めることができるが、上述した機械的締結方式を適用すれば、冷却部材500に融点以上の熱が加えられないので、冷却部材500の寸法安定性がより向上できる。
【0076】
図1および図3を参照すれば、冷却部材500には複数の溝550が形成される。溝550は、密封部540の内側に位置することによって、上部板510および下部板520の結合を補完する結合溝554と、冷却水の流れを案内する流路形成溝556と、冷却水の流入による冷却部材500の変形を防止する変形防止溝558とを含むことができる。
【0077】
ここで、溝550は、上部板510に予め形成されたものであってもよい。あるいは、上部板510および下部板520が結合された後、クリンチングのような工程により形成されたものであってもよい。したがって、冷却部材500の製造時に提供される上部板510に必ずしも溝550が予め形成されるべきではない。また、ここで、溝550が上部板510に予め形成された場合にも、溝550を加圧することによってクリンチング結合が形成可能なため、上部板510に溝が予め形成されたという内容が当該部分のクリンチング結合が形成できることを排除するわけではない。
【0078】
結合溝554は、密封部540の内側に位置し、冷却水によって密封部540に過度の圧力が加えられて上部板510と下部板520との間が開放されるのを防止することができる。結合溝554は、密封部540の剛性を補完するためのものであって、過度の圧力が加えられやすい密封部540の各頂点に対応する位置に形成される。また、結合溝554は、密封部540の周縁に沿って間隔をおいて配置されてもよい。結合溝554の形状は、密封部540の形状を考慮して、中心角が90度の扇形形状または半円形状に形成されるが、必ずしもその限りではない。
【0079】
冷却部材500には流路形成溝556が形成される。冷却部材500に流路形成溝556が備えられることによって、冷却部材500に提供される冷却水の流れが決定可能である。流路形成溝556は、複数形成されてもよいし、複数の流路形成溝556は、冷却部材500の長手方向と平行な一直線に沿って位置することができる。流路形成溝556は、円形形状に形成されるが、必ずしもその限りではなく、四角形、三角形またはその他の図形形状に形成されてもよい。冷却部材500において流路形成溝556が形成された位置には、これらを連結する直線形状の溝が追加的に備えられてもよい。
【0080】
流路形成溝556は、所定の区間を除いて冷却部材500の中央において冷却部材500の長手方向に沿って引き続き形成され、これによって冷却水の流れはU字状に形成される。冷却部材500の入口ポート532を通して注入された冷却水の流れは、流路形成溝556によって制限される。冷却水がU字状に沿って流れることによって、入口ポート532を通して注入された冷却水は、入口ポート532と並んで位置した出口ポート534に排出される。具体的には、冷却水が流れるU字状流路は、入口ポート532から冷却部材500の長手方向と平行な直線に沿って延びる第1流路と、前記第1流路の末端から時計方向または反時計方向に回転する曲線に沿って延びる第2流路と、第2流路の末端から出口ポート534に向かって冷却部材500の長手方向と平行な直線に沿って延びる第3流路とを含むことができる。
【0081】
冷却部材500には変形防止溝558が形成される。冷却部材500に変形防止溝558が備えられることによって、冷却水による冷却部材500の形状の変形が防止できる。例えば、冷却水が冷却部材500に注入されると、注入された冷却水は、中央を横切る流路形成溝556によって冷却部材500の1/2の空間に集中できる。冷却水がU字状流路を通して残りの1/2の空間へ移動する前まで、当該空間には大きな圧力が作用し、これによって冷却部材500の少なくとも一部が膨張するか、または冷却部材500が破損することがある。冷却部材500の流路に変形防止溝558が形成されると、冷却水が一時的に集中したことで特定の区間に圧力が大きく作用しても、これによる変形が最小化できる。変形防止溝558は、冷却部材500において冷却水が流れるU字状流路に部分的に、間隔をおいて配置される。変形防止溝558は、冷却部材500の幅方向上、流路形成溝556と密封部540との間に位置することができる。変形防止溝558の具体的な位置は、入口ポート532を通して流入する冷却水を過度に妨げることなく、冷却水の流量および流速に対応できるように適切に設定可能である。変形防止溝558は、主に円形形状に形成されるが、必ずしもその限りではなく、四角形、三角形またはその他の図形形状に形成されてもよい。ここで、冷却部材500の幅方向は、冷却部材500の短辺と平行な方向であってもよい。また、ここで、冷却部材500の長手方向は、冷却部材500の長辺と平行な方向であってもよい。
【0082】
また、冷却部材500の周りには、冷却部材500の一辺から延び、冷却部材500の長手方向に沿って連続的に位置する突出部が形成される。突出部は、各電池セル積層体の電極リードまたは電極リードに連結されたバスバーと接触するか、または当該バスバーに近接して配置される。電池モジュール100または電池パック1000において電気的連結を提供する電極リードまたはバスバーは発熱しやすい構成であるので、上述した突出部が電極リードまたはバスバーの放熱を促進すれば、電池セルの温度上昇がより効果的に防止できる。
【0083】
締結部560は、密封部540の外側に位置し、密封部540の周縁に沿って引き続き形成されて、上部板510と下部板520との結合が強固に形成できるようにする。締結部560が密封部540の外側に位置することによって、締結部560が密封部材590を直接損傷させずに密封部540の剛性を補完することができる。締結部560の個数は、冷却部材500の大きさおよび締結部材の大きさに応じて異なって形成されてもよい。
【0084】
一方、上述とは異なり、締結部560が形成された位置に、締結部材による結合方式の代わりにクリンチング結合方式を適用することも可能である。この場合、密封部540の内側と外側にすべてクリンチング結合方式による湾入部570が形成され、2つの湾入部570によって密封部540の耐久性が補完できる。しかし、通常、湾入部570は、締結部560より大きく形成されるので、密封部540の外側に湾入部570を適用すれば、冷却水の収容空間が縮小されうる。したがって、密封部540の外側には、湾入部570を適用するよりも、締結部560を適用する方がさらに好ましい。
【0085】
図4を参照すれば、上部板510および下部板520の間の水密性をより向上させるために、上部板510および下部板520の間には密封部材590が位置することができる。従来の溶接結合方式を適用する場合には、熱にやや弱い密封部材590が上部板510および下部板520の結合時に提供されることが難しかった。したがって、溶接工程を用いる場合には、溶接面の水密性を補完するために、主に上部板510および下部板520の結合後、追加工程によりシーラント(sealant)などを塗布していた。しかし、本実施例による冷却部材500は、機械的結合方式により形成されるので、熱に弱い密封部材590を上部板510および下部板520の結合工程中に共に結合することができ、これによって製造工程の単純化および製造費用の節減などが達成できる。
【0086】
密封部材590は、密封部540に提供される。密封部材590は、上部板510と下部板520の内側面に提供され、上部板510および下部板520と接触できる。密封部材590は、上部板510と下部板520の水密性を向上させることができる。密封部材590は、上部板510と下部板520との結合時に外力によって圧縮されることによって、上部板510と下部板520との間に存在する隙間を埋めることができる。密封部材590は、前記隙間を通して冷却部材500内部の冷却水が外部に流出するのを防止することができる。ここで、密封部材590は、ウォーターパッドと称されてもよい。
【0087】
密封部材590は、弾性力のある柔軟な素材で製造される。密封部材590は、製造される素材の一例としては、シリコーン系のフォームパッド、アクリル系のフォームパッドまたはウレタン系のフォームパッドなどが挙げられる。
【0088】
図4に示されているように、密封部540には密封部材590が位置し、密封部540の外側には締結部560が、内側には結合溝554が形成されることによって、上部板510と下部板520との間の密閉力が向上できる。また、後述するが、結合溝554にクリンチング結合による湾入部570が形成される場合には、密閉力がさらに上昇できる。このように、密封部材590、結合溝554、締結部560または湾入部570により、冷却部材500の水密性が向上し、冷却水の漏れ(leak)が防止できる。
【0089】
以下、図面を通じて、冷却部材500に適用された機械的締結方式のうちクリンチング結合に関してより具体的に説明する。
【0090】
図5は、図3のB-B切断面に適用されたクリンチング結合を示す写真である。図6は、図5の断面構造が形成される過程を示す図である。図7は、本発明の一実施例による冷却部材に形成された湾入部の位置を示す上面図である。
【0091】
図5および図6を参照すれば、クリンチング結合を形成するために、対をなすパンチングとダイとが用いられる。ダイには、パンチングの外形に対応する形状を有するリセスが形成される。パンチングとダイとの間に作業物が位置すれば、パンチングがダイに向かって移動することによって、作業物の一部がパンチングおよびダイのリセス形状に合わせて変形可能である。作業物が2つ以上の層で構成される場合、上述した変形により2つ以上の層は機械的に結合できる。
【0092】
クリンチング結合により、上部板510と下部板520の一部は、一方向に湾入した湾入部570を含むことができる。湾入部570は、上部板510または下部板520の一部が加圧されることによって、その加圧方向に沿って一体として湾入した部分であってもよい。湾入部570が形成されることによって、上部板510と下部板520とは物理的に結合できる。ここで、加圧方向は、上部板510から下部板520に向かう方向であってもよく、下部板520から上部板510に向かう方向であってもよい。
【0093】
具体例として、上部板510の2面は第1面および第2面、下部板520の2面は第3面および第4面と称される。上部板510から下部板520に向かう第1方向を基準として、第1面~第4面は、第1面、第2面、第3面および第4面の順に位置することができる。上部板510の第1面と下部板520の第4面は、冷却部材500の外部面を形成することができ、上部板510の第2面と下部板520の第3面は、互いに向かい合うことができる。
【0094】
ここで、上部板510の第1面が部分的に加圧されると、第1面は、所定の深さを有するように第1方向に湾入して凹んで形成される。ここで、上部板510が加圧されることによって、上部板510の下方に位置した下部板520は共に変形し、上部板510と下部板520は加圧によって物理的に変形することによって一体として結合できる。ここで、下部板520を基準とする時、湾入部570は、突出して膨らんで形成されたものと説明されてもよい。
【0095】
図5の写真を参照する時、加圧によって上部板510および下部板520がそれぞれ湾入することができ、ここで、上部板に形成された湾入部は上部湾入部571、下部板520に形成された湾入部は下部湾入部572と称される。上部板510が加圧されると、上部湾入部571が形成され、上部湾入部571が下部板520に導入されることによって、下部湾入部572が形成される。
【0096】
湾入部570は、湾入することによって深さ値を有し、湾入部570の深さ方向は、冷却部材500の内部の冷却水が流れる方向と垂直であってもよい。ここで、深さ方向は、上述した加圧方向であってもよい。湾入部570が深さを有するように形成されることによって、上部板510と下部板520との間は強固に結合され、冷却部材500内の圧力によって上部板510と下部板520との間がやや広がることが防止できる。また、湾入部570は、上部板510と下部板520との間がやや広がる場合にも、冷却水の流れを妨げることによって、冷却水が密封部540を越えて冷却部材500の外部に流出できないようにする。
【0097】
ここで、湾入部570が形成された第1面の最低点は、湾入部570が形成されていない領域、つまり、第3面の最高点または第4面の最高点より下方に位置することができる。このように、クリンチング工程により、上部板510の上面(第1面)の一部が下部板520の上面(第3面)または下面(第4面)よりも下方に位置するように変形すれば、上部板510が下部板520に完全に導入されるので、上部板510と下部板520との間の結合はより安定的に形成できる。
【0098】
湾入部570の深さは、上部板510、下部板520、またはこれらを合わせたものの厚さより大きい。湾入部570の深さが過度に小さければ、上部板510と下部板520との間の水密性が確保されにくく、湾入部570の深さが過度に大きければ、上部板510と下部板520が過度に変形するかまたは部分的に切断されることがある。例えば、湾入部570が形成されていない部分の上部板510の厚さと下部板520の厚さとを合計した値を100とする時、湾入部570の深さは、50以上、または50~200の値を有することができる。しかし、上述した値は例示に過ぎず、本発明の湾入部570の深さを限定するものではない。ここで、湾入部570の深さは、上部湾入部571を基準としたものであってもよいし、具体的には、湾入部570が形成されていない上部板510を基準として上部湾入部571の第1面が有する深さであってもよい。
【0099】
上部湾入部571の深さは、下部湾入部572の深さより大きい。これは、第1方向に沿って加圧される場合、上部湾入部571は、下部湾入部572より湾入部570の内側に位置するので、内径を形成する上部湾入部571が外径を形成する下部湾入部572よりも多く変形しなければならないからである。加圧によって上部湾入部571と下部湾入部572が形成される過程で、加圧される上部板510および下部板520は、面積の増加に伴って厚さ値が減少するが、上部湾入部571は、上部板510および下部板520の厚さの変化をすべて収容して変形しなければならないので、深さがより大きく形成されたものであってもよい。一方、第1方向は、加圧方向を例示するためのものであることから、上部板510および下部板520が第1方向に対向する第2方向に沿って加圧される場合には、下部湾入部572が内側に位置するので、下部湾入部572の深さが上部湾入部571の深さより大きい値を有することができる。
【0100】
湾入部570は、深さ方向上、末端がやや広がった形状を有することができる。上部湾入部571の最下端部(最低端部)は、上部湾入部571の他の部分よりやや大きい直径を有することができる。下部湾入部572の最下端部(最低端部)は、下部湾入部572の他の部分よりやや大きい直径を有することができる。ここで、上部湾入部571の外径の最大値は、下部湾入部572の内径の最小値より大きく、これによって、上部湾入部571と下部湾入部572との間には係合が形成される。したがって、冷却部材500の内圧によって上部湾入部571と下部湾入部572との間に圧力が作用しても、上述した係合によって上部板510と下部板520との間が広がらない。このように、上部湾入部571と下部湾入部572の形状により、湾入部570の結合力はさらに向上できる。
【0101】
この時、パンチは、湾入部570の形状を整えるために、湾入部570を再び加圧することもできる。再加圧によって湾入部570は歪むか、または湾入部570の深さが縮小されるように変形可能である。ここで、ダイの直径は、以前に用いられたダイよりも大きい直径のリセスを有するものである。しかし、湾入部570を再加圧することは、湾入部570の損傷をもたらしうるので、上述した再加圧工程は、湾入部570の物性、大きさなどを考慮して適用されなければならない。
【0102】
湾入部570の外径、つまり、下部湾入部572の外径は、5mm~11mm、7mm~9mm、または7.5mm~8.5mmの値を有することができる。湾入部570の直径が過度に小さければ、湾入部570によって上部板510および下部板520が強固に結合されにくく、湾入部570の直径が過度に大きければ、湾入部570による上部板510および下部板520の変形が過度で、冷却部材500の寸法安定性が低下することがある。また、湾入部570の直径は、湾入部570間の間隔に応じて異なって設計されてもよい。
【0103】
この時、湾入部570の直径は、ダイの直径に応じて異なるので、上述した下部湾入部572の外径値は、ダイのリセスの内径値に対応できる。また、湾入部570の直径以外にも、湾入部570の形状は、クリンチング工程に用いられるパンチ、ダイの形状に応じて決定可能である。例えば、パンチの断面が円形の場合には、湾入部570は、全体的に管状に形成され、パンチの断面が四角形の場合には、湾入部570は、全体的に四角管状に形成される。
【0104】
以上、第1面が第1方向に加圧されることによって湾入部570が形成されることを基準として説明した。しかし、これは、湾入部570が形成される一例であって、湾入部570は、第4面が第2方向に沿って加圧されることによって形成されてもよい。湾入部570が第2方向に沿って加圧されることによって形成されるものでも上述した内容により十分に理解できることから、これに関する詳しい説明は省略する。
【0105】
一方、上述した加圧過程により、弾性体で提供される密封部材590は、圧縮されることによってその厚さが減少できる。加圧過程により、密封部材590の厚さが減少するだけでなく、上部板510および下部板520の厚さも一部変形可能である。湾入部570の最低点は、パンチによって加圧されて最も大きな圧力を受けた部分であってもよく、これによって湾入部570の最低点、つまり、最も深く湾入した部分の厚さ値は、他の部分の厚さよりも小さい。湾入部570が形成される前のパンチに対応する部分は、パンチの圧力によって押されることによって、湾入部570の最高点から最低点に至る側部を形成しなければならないので、パンチの圧力によってその面積が増加するに伴って全体的な厚さが減少できる。
【0106】
図7を参照すれば、本実施例の冷却部材500の溝550にはクリンチング締結方式が適用可能である。これは、すでに形成された溝550にクリンチング結合が適用されたものであってもよく、クリンチング結合により冷却部材500の溝550が形成されたものであってもよい。ここで、結合溝554に形成されたクリンチング結合は第1湾入部574、流路形成溝556に形成されたクリンチング結合は第2湾入部576、変形防止溝558に形成されたクリンチング結合は第3湾入部578と称される。図7には、第1湾入部574の位置が円形の図形で、第2湾入部576の位置が菱形または四角形の図形で、第3湾入部578の位置が三角の図形で示された。
【0107】
流路形成溝556および変形防止溝558を上述したクリンチング締結方式により形成する場合、従来の結合方式を用いる場合と比較して、製造工程の単純化および製造費用の節減といったメリットを有することができる。従来の溶接結合方式を適用した冷却部材500の製造方法では、流路または変形防止構造を形成するために別の製造工程を追加しなければならず、流路または変形防止構造を形成するにあたり寸法公差が発生しないように事前に精密に設計しなければならなかった。しかし、本実施例の冷却部材500には製造過程に使用されるクリンチング工程を用いて流路形成溝556または変形防止溝558を形成するので、そのための別の製造工程が省略可能であり、上部板510と下部板520を一部変形することによって結合するので、寸法公差に対してより自由であり得る。
【0108】
一方、以上に具体的に言及されていないが、本発明の一実施例による冷却部材500は、電池モジュール100または電池パック1000内に装着される。
【0109】
以下、本発明の他の実施例による冷却部材について説明する。
【0110】
図8は、本発明の他の実施例による冷却部材を示す斜視図である。図9は、図8の冷却部材における締結部の位置を例示する斜視図である。図10は、図8の冷却部材の部分拡大図である。図11は、図8の冷却部材に含まれている下部板を示す図である。図12は、図8の冷却部材に含まれている下部板とカバーフィルムとの結合を示す図である。図13は、図8の冷却部材のC-C切断面を示す図である。
【0111】
図8に示された本発明の他の実施例による冷却部材500は、冷却部材500の外面に関する図8には示さないが、図12に示されているように、カバーフィルム580を追加的に含む。図8を参照すれば、本実施例の冷却部材500は、電池セルをはじめとする電池モジュール100または電池パック1000の内部温度を下げるために提供されるものである。冷却部材500は、冷媒または冷却水が注入される水冷式冷却部材500であってもよい。冷却部材500が水冷式で提供されることによって、冷却部材500の冷却効率は均一に維持可能であり、電池モジュール100または電池パック1000内の電池セルが均等に冷却できる。この時、冷却部材500に使用される冷却水は、公知の1つまたはそれらの混合物を使用することができ、冷却部材500の内部において流路に沿って移動することによって電池セルの熱を放出できるものであれば公知のいずれを使用してもよい。
【0112】
冷却部材500は、電池セルの熱を放出するために、電池セル積層体の一面上に配置される。冷却部材500は、電池セル積層体の複数の電池セルに近く位置するように、電池セル積層体の積層方向と平行に配置される。具体的には、冷却部材500は、電池セル積層体の上部(図14の+z軸方向)に位置することができる。しかし、必ずしもその限りではなく、設計により、冷却部材500は、電池セル積層体の下部(-z軸上方向)に位置するか、または側部(+/-y軸上方向)に位置してもよい。
【0113】
冷却部材500の大きさは、冷却部材500が適用される電池セル積層体の大きさに合わされる。一例として、冷却部材500は、1つの電池セル積層体に対応するように提供され、この時、冷却部材500の長さは、前記電池セル積層体の長さに合わされるか、若干のマージンをおいて大きくまたは小さく形成され、前記冷却部材500の幅は、前記電池セル積層体の幅に合わされるか、若干のマージンをおいて大きくまたは小さく形成されてもよい。他の例として、冷却部材500は、複数の電池セル積層体に対応するように提供され、この時、冷却部材500の長さおよび幅は、複数の電池セル積層体の長さおよび幅に合わされるか、若干のマージンをおいて大きくまたは小さく形成されてもよい。ここで、冷却部材500は、電池モジュールの内部に位置することができるが、電池モジュールの外部において電池パック1000(図14参照)の内側に位置することも可能である。
【0114】
冷却部材500は、冷却部材500の外形を形成する上部板510および下部板520と、冷却部材500の内部に冷却水を注入する入口ポート/出口ポート530とを含むことができる。
【0115】
冷却部材500は、上部板510と下部板520の周縁を結合することによって形成される。冷却部材500で結合された上部板510と下部板520との間には冷却水が内蔵されており、循環することができる。冷却部材500の周縁部分には、冷却部材500の上部板510および下部板520の周縁を結合することによって形成された密封部540が位置することができる。密封部540が形成された上部板510と下部板520との間には、後述する帯状密封部材592が位置することができる。
【0116】
上部板510は、板状型で提供されるが、その中央部分は陥没または湾入して周縁部分と段差を有するように形成される。具体的には、上部板510は、幅方向上の断面を基準として窪み形状を有することができる。これは、上部板510が冷却水を収容するために、段差により内部空間を形成したものである。ここで、上部板510の幅方向は、上部板510の短辺と平行な方向であってもよい。
【0117】
下部板520は、上部板510と全体的に類似の形状を有することができる。下部板520も、板状型で提供されるが、その中央部分は陥没または湾入して周縁部分と段差を有するように形成される。下部板520は、幅方向上の断面を基準として窪み形状を有することによって、冷却水を収容する内部空間を形成することができる。ここで、下部板520の幅方向は、下部板520の短辺と平行な方向であってもよい。
【0118】
冷却部材500が電池セルの上部に提供される場合、下部板520は、冷却部材500において電池セルに最も近く位置する部分であってもよい。したがって、下部板520は、電池セルの放熱が促進されるように、熱伝導率の高い素材で提供されることが好ましい。また、冷却部材500の全体的な放熱性能を向上させるために、冷却部材500の上部板510も、熱伝導率の高い素材で提供される。冷却部材500の外形を形成する上部板510および下部板520は、剛性の高い金属で製造され、その具体例としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、またはこれらを含む合金などが挙げられる。
【0119】
冷却水は、並んで位置した入口ポート532を通して供給されて、出口ポート534に排出される。入口ポート532と出口ポート534は、冷却部材500の一端部側に平行に並んで位置することができる。これは、電池モジュール100または電池パック1000の外部から供給される冷却水の流入および排出に関する設計を単純化するためのものである。また、これは、入口ポート532の周辺と出口ポート534の周辺との温度差を最小化するためのものである。具体的には、入口ポート532に流入する冷却水は、最も低い温度を有し、出口ポート534に排出される冷却水は、最も高い温度を有することができる。したがって、入口ポート/出口ポート530が隣接して配置されれば、相互間に熱交換が現れることによって、冷却部材の内部空間を流れる全体冷却水の温度偏差が最小化できる。したがって、入口ポート/出口ポート530を並んで配置することによって、冷却部材500は、全体的に均一な放熱性能を有することができる。
【0120】
一方、冷却部材500は、上部板510および下部板520の間に素材の異なる別のカバーフィルム580を含むことができる。カバーフィルム580は、上部板510および下部板520の素材より融点の低い素材で製造される。従来は、冷却部材500の上部板510および下部板520が主にブレージング(Brazing)またはレーザ溶接などによって結合されていたので、このように冷却部材500が2つ以上の素材を含むように設計された場合には、溶接工程中に1つの素材が変形しかねず、溶接工程が困難または不可能な問題があった。また、レーザ溶接などを利用する場合、上部板510または下部板520に局部的な温度勾配が形成されうるので、これによって上部板510または下部板520の少なくとも一部が曲がる問題があった。
【0121】
しかし、本実施例の冷却部材500は、溶接方式ではない機械的締結方式により製造できる。具体的には、本実施例の機械的締結方式は、熱を加えないことによって、または冷却部材500に提供される素材の融点より低い温度の熱を加えることによって、冷却部材500を形成する素材の損傷を最小化することができる。
【0122】
冷却部材500に使用される機械的締結方式の一例としては、締結部材を介した結合であるリベットなどが挙げられる。本実施例において、冷却部材500は、複数の締結部560を含み、締結部560は、冷却部材500においてリベットのような締結部材を介して締結される部分を称するものである。締結部560には、締結部材が挿入可能な締結具が形成される。
【0123】
冷却部材500に使用される機械的締結方式の他の例としては、クリンチング(clinching)が挙げられる。クリンチングは、パンチなどを用いて、積層された2つの板状型部材の一面を加圧してその形状を変形させることによって、2つの部材を機械的に結合させる変形接合方法である。クリンチングは、その形状を考慮して、浸透(penetration)接合と称されてもよい。
【0124】
このように、冷却部材500の製造時に溶接結合方式の代わりに機械的締結方式を適用すれば、製造過程中に過度の熱が発生しないので、冷却部材500に意図せぬ変形が最小化可能であり、予め設計された寸法と最終製品の寸法との差が減少したことで寸法安定性が確保できる。特に、冷却部材500に主に使用されていたアルミニウム素材の場合、融点である660℃以上の温度が加えられると変形し始めることができるが、上述した機械的締結方式を適用すれば、冷却部材500に融点以上の熱が加えられないので、冷却部材500の寸法安定性がより向上できる。
【0125】
また、冷却部材500の製造時に機械的締結方式を適用すれば、温度に弱い特定の素材が製造過程中に変形しないので、多様な素材および形状の構造が冷却部材500に適用可能であり、冷却部材500の設計が容易でより多様であり得る。
【0126】
冷却部材500には複数の溝550が形成される。溝550は、密封部540の内側に位置することで上部板510および下部板520の結合を補完する結合溝554と、冷却水の流れを案内する流路形成溝556と、冷却水の流入による冷却部材500の変形を防止する変形防止溝558とを含むことができる。
【0127】
ここで、溝550は、上部板510に予め形成されたものであってもよく、上部板510および下部板520が結合された後、クリンチングのような工程により形成されたものであってもよい。したがって、冷却部材500の製造時に提供される上部板510に必ずしも溝550が予め形成されるべきではない。また、ここで、溝550が上部板510に予め形成された場合にも、溝550を加圧することによってクリンチング結合が形成可能なため、上部板510に溝が予め形成されたという内容が当該部分のクリンチング結合が形成できることを排除するわけではない。
【0128】
冷却部材500には複数の締結部560が形成される。締結部560は、密封部540の外側に位置する外郭締結部562を含むことができる。締結部560は、密封部540の内側に位置する結合締結部564と、流路形成締結部566と、変形防止締結部568とを含むことができる。結合溝554は、複数であってもよく、結合締結部564は、結合溝554の少なくとも一部に形成される。流路形成溝556は、複数であってもよく、流路形成締結部566は、流路形成溝556の少なくとも一部に形成される。変形防止溝558は、複数であってもよく、変形防止締結部568は、変形防止溝558の少なくとも一部に形成される。
【0129】
図9を参照すれば、本実施例の冷却部材500の溝550中において締結部560が提供された位置が例示されている。ここで、外郭締結部562および結合締結部564の位置は円形の枠で、流路形成締結部566の位置は円形で、変形防止締結部568の位置は四角の枠で例示された。
【0130】
図9には、2つの溝550の1つに実質的に締結部560が形成されたことが示されている。つまり、図9は、締結部560が形成された溝550と締結部560が形成されていない溝550とが交互に配置されるように設計された冷却部材500の例を概略的に示している。これは、締結部560が溝550に均等に形成された例であるが、本発明の溝550と締結部560の配置はこれに限定されず、より多様に設計可能である。
【0131】
図10を参照すれば、冷却部材500の密封部540の外側には外郭締結部562が形成され、内側には結合溝554および結合締結部564が形成される。
【0132】
外郭締結部562は、密封部540の外側に位置し、密封部540の周縁に沿って引き続き形成されて、上部板510と下部板520との結合が強固に形成できるようにする。外郭締結部562が密封部540の外側に位置することによって、密封部540に帯状密封部材592が位置する場合にも、外郭締結部562が帯状密封部材592を直接損傷させずに密封部540の剛性を補完することができる。外郭締結部562の個数は、冷却部材500の大きさおよび締結部材の大きさに応じて異なって形成されてもよい。
【0133】
結合溝554は、密封部540の内側に位置し、冷却水によって密封部540に過度の圧力が加えられて上部板510と下部板520との間が開放されるのを防止することができる。結合溝554は、密封部540の剛性を補完するためのものであって、過度の圧力が加えられやすい密封部540の各頂点に対応する位置に形成される。また、結合溝554は、密封部540の周縁に沿って間隔をおいて配置されてもよい。結合溝554の形状は、密封部540の形状を考慮して、中心角が90度の扇形形状または半円形状に形成されるが、必ずしもその限りではない。
【0134】
結合締結部564は、結合溝554の剛性を補完するためのものである。結合締結部564は、密封部540の内側に位置した結合溝554に形成される。結合締結部564は、すべての結合溝554に形成されてもよいが、結合溝554の一部に部分的に形成されてもよい。例えば、結合締結部564は、2つの結合溝554の1つずつ、つまり、交互に形成されてもよい。結合締結部564が結合溝554に部分的に提供される場合、結合締結部564は、密封部540の各頂点に対応する結合溝554に形成されることが好ましい。
【0135】
このように、密封部540の外側には外郭締結部562が、内側には結合締結部564が形成されることによって、上部板510と下部板520との間の密閉力が向上できる。外郭締結部562および結合締結部564により、冷却部材500の水密性が向上し、冷却水の漏れ(leak)が防止できる。
【0136】
冷却部材500には流路形成溝556が形成される。冷却部材500に流路形成溝556が備えられることによって、冷却部材500に提供される冷却水の流れが決定可能である。流路形成溝556は、複数形成されてもよいし、複数の流路形成溝556は、冷却部材500の長手方向と平行な一直線に沿って位置することができる。流路形成溝556は、主に円形形状に形成されるが、必ずしもその限りではなく、四角形、三角形またはその他の図形形状に形成されてもよい。冷却部材500において流路形成溝556が形成された位置には、これらを連結する直線状の溝が追加的に備えられてもよい。
【0137】
流路形成溝556は、所定の区間を除いて冷却部材500の中央において冷却部材500の長手方向に沿って引き続き形成され、これによって冷却水の流れはU字状に形成される。冷却部材500の入口ポート532を通して注入された冷却水の流れは、流路形成溝556によって制限される。冷却水がU字状に沿って流れることによって、入口ポート532を通して注入された冷却水は、入口ポート532と並んで位置した出口ポート534に排出される。具体的には、冷却水が流れるU字状流路は、入口ポート532から冷却部材500の長手方向と平行な直線に沿って延びる第1流路と、前記第1流路の末端から時計方向または反時計方向に回転する曲線に沿って延びる第2流路と、第2流路の末端から出口ポート534に向かって冷却部材500の長手方向と平行な直線に沿って延びる第3流路とを含むことができる。
【0138】
流路形成締結部566は、流路形成溝556に形成される。流路形成締結部566は、流路形成溝556の剛性を補完するためのものである。流路形成締結部566は、すべての流路形成溝556に形成されてもよいが、結合溝554の一部に部分的に形成されてもよい。例えば、結合締結部564は、2つの結合溝554の1つずつ、つまり、交互に形成されてもよい。
【0139】
冷却部材500には変形防止溝558が形成される。冷却部材500に変形防止溝558が備えられることによって、冷却水による冷却部材500の形状の変形が防止できる。例えば、冷却水が冷却部材500に注入されると、注入された冷却水は、中央を横切る流路形成溝556によって冷却部材500の1/2の空間に集中できる。冷却水がU字状流路を通して残りの1/2の空間へ移動する前まで、当該空間には大きな圧力が作用し、これによって冷却部材500の少なくとも一部が膨張するか、又は冷却部材500が破損することがある。冷却部材500の流路に変形防止溝558が形成されると、冷却水が一時的に集中することによって特定の区間に圧力が大きく作用しても、これによる変形が最小化できる。変形防止溝558は、冷却部材500において冷却水が流れるU字状流路に部分的に、間隔をおいて配置される。変形防止溝558は、冷却部材500の幅方向上、流路形成溝556と密封部540との間に位置することができる。変形防止溝558の具体的な位置は、入口ポート532を通して流入する冷却水を過度に妨げることなく、冷却水の流量および流速に対応できるように適切に設定可能である。変形防止溝558は、主に円形形状に形成されるが、必ずしもその限りではなく、四角形、三角形またはその他の図形形状に形成されてもよい。ここで、冷却部材500の幅方向は、冷却部材500の短辺と平行な方向であってもよい。また、ここで、冷却部材500の長手方向は、冷却部材500の長辺と平行な方向であってもよい。
【0140】
変形防止締結部568は、変形防止溝558に形成される。変形防止締結部568は、変形防止溝558の剛性を補完するためのものである。変形防止締結部568は、すべての変形防止溝558に形成されてもよいが、変形防止溝558の一部に部分的に形成されてもよい。例えば、変形防止締結部568は、2つの変形防止溝558の1つずつ、つまり、交互に形成されてもよい。
【0141】
また、冷却部材500の周りには、冷却部材500の一辺から延び、冷却部材500の長手方向に沿って連続的に位置する突出部が形成される。突出部は、後述する図14に例示されるように、各電池セル積層体の電極リードまたは電極リードに連結されたバスバーと接触するか、または当該バスバーに近接して配置される。電池モジュール100または電池パック1000において電気的連結を提供する電極リードまたはバスバーは発熱しやすい構成であるので、上述した突出部が電極リードまたはバスバーの放熱を促進すれば、電池セルの温度上昇がより効果的に防止できる。
【0142】
一方、上部板510および下部板520の間の水密性をより向上させるために、上部板510および下部板520の間には密封部材590が位置することができる。従来の溶接結合方式を適用する場合には、熱にやや弱い密封部材590が上部板510および下部板520の結合時に提供されることが難しかった。したがって、溶接工程を用いる場合には、溶接面の水密性を補完するために、主に上部板510および下部板520の結合後、追加工程によりシーラント(sealant)などを塗布していた。しかし、本実施例による冷却部材500は、機械的結合方式により形成されるので、熱に弱い密封部材590を上部板510および下部板520の結合工程中に共に結合することができ、これによって製造工程の単純化および製造費用の節減などが達成できる。
【0143】
密封部材590は、密封部540に提供される帯状密封部材592を含むことができる。帯状密封部材592は、上部板510と下部板520とが接触する面に提供され、上部板510と下部板520の水密性を向上させることができる。帯状密封部材592は、上部板510と下部板520との結合時に外力によって圧縮されることによって、上部板510と下部板520との間に存在する隙間を埋めることができる。帯状密封部材592は、前記隙間を通して冷却部材500内部の冷却水が外部に流出するのを防止することができる。ここで、帯状密封部材592は、ウォーターパッドと称されてもよい。
【0144】
密封部材590は、リング状密封部材594を含むことができる。上述した締結部560にはホールが形成され、締結部材がこれに挿入されることで部材間の結合が形成されるので、締結部560は、冷却部材500の水密性を低下させうる問題がある。しかし、本実施例の冷却部材500は、締結部560に提供されるリング状密封部材594をさらに含むことによって、水密性を補完することができる。リング状密封部材594は、カバーフィルム580上に位置し、締結部560周辺の隙間を密閉することによって、冷却部材500の水密性を向上させることができる。冷却水は主に密封部540の内側に位置するので、密封部540の外側に形成される外郭締結部562にはリング状密封部材594が提供されない。しかし、密封部540の内側に位置する結合締結部564、流路形成締結部566および変形防止締結部568にはリング状密封部材594が提供されることが好ましい。ここで、リング状密封部材594は、「ウォーターリング」と称されてもよい。
【0145】
密封部材590は、弾性力のある柔軟な素材で製造される。密封部材590は、製造される素材の一例としては、シリコーン系のフォームパッド、アクリル系のフォームパッドまたはウレタン系のフォームパッドなどが挙げられる。
【0146】
一方、電池セルに発火が発生した場合、これを効果的に鎮圧するためには、冷却水のような液体が電池モジュール100または電池パック1000内に注入されることが効果的であり得る。電池モジュール100または電池パック1000の内部に液体タンクを備えることは、電池モジュールと電池パックの体積を増加させる問題がありうるので、従来は、電池モジュールおよび電池パックの外部に別のウォータータンクを備え、センサにより電池セルの発火が確認される時にのみ、ウォータータンクから延びたノズルなどを通して電池モジュール100または電池パック1000内に冷却水などを投入していた。
【0147】
しかし、電池モジュールおよび電池パックの外部に備えられるウォータータンクは、その体積が大きいだけでなく、使用者がこれを別に管理しなければならない問題があった。また、従来の注水システムは、冷却水投入の有無を決定するための別の制御部または通信部などを備えなければならず、これらの動作にエラーが発生してはならず、正常に動作しても多数の判断過程を経なければならないので、時間が多くかかった。冷却水の投入が決定された後でも、ウォータータンクから電池モジュール100または電池パック1000内部の電池セルまでに至る経路がやや長い場合には、ウォータータンクから電池セルに冷却水が迅速に提供されにくいので、従来の注水システムが迅速に進行する連続的な熱暴走現象を抑え込みにくいのが現状であった。したがって、本実施例では、電池モジュール100または電池パック1000の内部発火時、冷却水が火災場所に直ちに供給できるように、下部板520に開口を形成することができる。
【0148】
図11を参照すれば、下部板520は、少なくとも1つの開口部521を含むことができる。開口部521は、電池セルの内部発火時、発火によって発生した熱または圧力によって内部の冷却水を電池セルに噴射するためのものである。開口部521は、下部板520の短辺または長辺に沿って複数提供されてもよいし、冷却部材500は、複数の開口部521を備えることによって、電池モジュール100または電池パック1000内の不特定の位置で発生する火災に対応して冷却水を投入することができる。
【0149】
下部板520の開口部521は、内部発火が発生する前までは閉鎖されていなければならないので、従来は、下部板520の開口部521に所定の温度または圧力以上で開放される部材を詰め込んだり、嵌め込んで下部板520の開口部521を密閉したりもしていた。しかし、このように下部板520が物性の異なる2つの素材を含むように下部板520を製造することは、複雑な製造工程が伴うので、製造時間および製造費用が増加する問題があった。また、異種接合時、接合面の耐久性に対する信頼度を確保しにくかった。しかし、本実施例の冷却部材500は、下部板520の上部に配置されるカバーフィルム580により、冷却部材500の製造時間および費用を短縮し、耐久性を向上させることができる。
【0150】
図12および図13を参照すれば、カバーフィルム580は、電池セルの発火前に下部板520の開口部521を閉鎖し、電池セルの発火時に開口部521を開放するための構成であってもよい。電池セルの発火による温度および圧力によってカバーフィルム580が破断すれば、冷却部材500内部の冷却水が電池セルに向かって投入されることによって、火災が鎮圧できる。
【0151】
カバーフィルム580は、下部板520の一面をカバーするように提供される。カバーフィルム580は、下部板520に付着できる。カバーフィルム580の外郭形状は、全体的に下部板520の外郭形状と類似または同一であってもよい。カバーフィルム580の具体的な形状は、開口部521を除いた下部板520の形状と類似または同一であってもよい。
【0152】
カバーフィルム580は、所定の圧力または熱に溶融しやすい素材で提供される。例えば、カバーフィルム580は、融点が200℃以下の熱可塑性の高分子樹脂で製造されてもよい。前記熱可塑性の高分子樹脂の例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンオキシド(PPO)など、融点が約100℃以上200℃以下の物質が挙げられる。
【0153】
カバーフィルム580は、冷却水の重量による重力および冷却水の流れによる摩擦力に耐えられるように所定の厚さ以上を有することが好ましいが、カバーフィルム580が過度に厚い場合には、冷却部材500の放熱性能を低下させうるので、適切な厚さに調節される必要がある。カバーフィルム580の厚さは、2mm以下、または1.5mm以下に製造されてもよいが、カバーフィルム580の耐久性およびカバーフィルム580による放熱性能の低下を考慮する時、0.5mm~1.0mmに製造されることが好ましい。カバーフィルム580の厚さが0.5mmより小さければ、耐久性に問題が発生し、カバーフィルム580の厚さが1.0mmより大きければ、冷却部材500の放熱性能を低下させることがある。
【0154】
カバーフィルム580は、下部板520と結合されて配置されるので、カバーフィルム580の上面と上部板510の下面との間には冷却水が流れることができる。また、カバーフィルム580が冷却部材500に付加されるとしても、入口ポート/出口ポート530による冷却水の流出入がカバーフィルム580によって制限されるものではないので、冷却部材500内の冷却水は、その温度の恒常性のために、入口ポート/出口ポート530と連結された外部の熱交換器に連結されて、持続的に循環するように設計できる。
【0155】
再び図12および図13を参照すれば、下部板520は、上述した締結部560に対応する複数の締結部を含むことができる。具体的には、下部板520は、外郭締結部562に対応する下部板外郭締結部522と、結合締結部564に対応する下部板結合締結部524と、流路形成締結部566に対応する下部板流路形成締結部526と、変形防止締結部568に対応する下部板変形防止締結部528とを含むことができる。
【0156】
カバーフィルム580は、上述した締結部560に対応する複数の締結部を含むことができる。カバーフィルム580は、外郭締結部562および下部板外郭締結部522に対応するフィルム外郭締結部582と、結合締結部564および下部板結合締結部524に対応するフィルム結合締結部584と、流路形成締結部566および下部板流路形成締結部526に対応するフィルム流路形成締結部586と、変形防止締結部568および下部板変形防止締結部528に対応するフィルム変形防止締結部588とを含むことができる。このような締結部は上部板510にも形成され、締結部材は、上部板510の締結部(図示せず)、下部板520の下部板外郭締結部522、下部板結合締結部524、下部板流路形成締結部526、下部板変形防止締結部528およびカバーフィルム580のフィルム外郭締結部582、フィルム結合締結部584、フィルム流路形成締結部586、フィルム変形防止締結部588に形成されたホールを貫通して上部板510、下部板520およびカバーフィルム580を結合することができる。
【0157】
ここで、下部板520およびカバーフィルム580に形成された締結部は、冷却部材500の組立前に予め形成されてもよいが、下部板520およびカバーフィルム580の組立後に形成されてもよい。
【0158】
カバーフィルム580にはフィルム外郭締結部582、フィルム結合締結部584、フィルム流路形成締結部586およびフィルム変形防止締結部588が形成される。帯状密封部材592は、密封部540に対応するようにフィルム外郭締結部582とフィルム結合締結部584との間に配置される。リング状密封部材594は、フィルム結合締結部584、フィルム流路形成締結部586およびフィルム変形防止締結部588に対応するように配置される。カバーフィルム580は、カバーフィルム580のフィルム外郭締結部582、フィルム結合締結部584、フィルム流路形成締結部586、フィルム変形防止締結部588と、下部板520の下部板外郭締結部522、下部板結合締結部524、下部板流路形成締結部526、下部板変形防止締結部528とが対応するように下部板520と重なることができる。カバーフィルム580と下部板520との結合後、上部板510がカバーフィルム580の上側に結合され、締結部材によって各部材が連結されることによって、本実施例の冷却部材500が製造できる。
【0159】
以上、図8の本実施例の冷却部材500に適用される機械的締結方式において締結部材による結合を中心に説明したが、以下、本実施例に適用可能なクリンチング結合に関して説明する。図8の本実施例の冷却部材500のクリンチング結合に関する図面は図5を参照する。
【0160】
他の実施例によるクリンチング結合を形成するために、対をなすパンチングとダイとが用いられる。ダイには、パンチングの外形に対応する形状を有するリセスが形成される。パンチングとダイとの間に作業物が位置すれば、パンチングがダイに向かって移動することによって、作業物の一部がパンチングおよびダイのリセス形状に合わせて変形可能である。作業物が2つ以上の層で構成される場合、上述した変形により、2つ以上の層は機械的に結合される。
【0161】
クリンチング結合により、上部板510と下部板520の一部は、一方向に湾入した湾入部570を含むことができる。湾入部570は、上部板510または下部板520の一部が加圧されることによって、その加圧方向に沿って一体として湾入した部分であってもよい。湾入部570が形成されることによって、上部板510と下部板520とは物理的に結合できる。ここで、加圧方向は、上部板510から下部板520に向かう方向であってもよく、下部板520から上部板510に向かう方向であってもよい。
【0162】
具体例として、上部板510の上面と下面は第1面および第2面、下部板520の上面と下面は第3面および第4面と称される。上部板510から下部板520に向かう第1方向を基準として、第1面~第4面は、第1面、第2面、第3面および第4面の順に位置することができる。上部板510の第1面と下部板520の第4面は、冷却部材500の外部面を形成することができ、上部板510の第2面と下部板520の第3面は、互いに向かい合うことができる。
【0163】
ここで、上部板510の第1面が部分的に加圧されると、第1面は、所定の深さを有するように第1方向に湾入して凹んで形成される。ここで、上部板510が加圧されることによって、上部板510の下方に位置した下部板520は共に変形し、上部板510と下部板520は加圧によって物理的に変形することによって一体として結合できる。ここで、下部板520を基準とする時、湾入部570は、突出して膨らんで形成されたものと説明されてもよい。
【0164】
図5を参照する時、加圧によって上部板510および下部板520がそれぞれ湾入することができ、ここで、上部板に形成された湾入部は上部湾入部571、下部板520に形成された湾入部は下部湾入部572と称される。
【0165】
湾入部570は、湾入したことで深さ値を有し、湾入部570の深さ方向は、冷却部材500の内部の冷却水が流れる方向と垂直であってもよい。ここで、深さ方向は、上述した加圧方向であってもよい。湾入部570が深さを有するように形成されることによって、上部板510と下部板520との間は強固に結合され、冷却部材500内の圧力によって上部板510と下部板520との間がやや広がることが防止できる。
【0166】
ここで、湾入部570が形成された第1面の最低点は、湾入部570が形成されていない領域、つまり、第3面の最高点または第4面の最高点より下方に位置することができる。このように、クリンチング工程により、上部板510の上面(第1面)の一部が下部板520の上面(第3面)または下面(第4面)よりも下方に位置するように変形すれば、上部板510が下部板520に完全に導入されるので、上部板510と下部板520との間の結合はより安定的に形成できる。
【0167】
湾入部570の深さは、上部板510、下部板520、またはこれらを合わせたものの厚さより大きい。湾入部570の深さが過度に小さければ、上部板510と下部板520との間の水密性が確保されにくく、湾入部570の深さが過度に大きければ、上部板510と下部板520が過度に変形するか、または部分的に切断されることがある。例えば、湾入部570が形成されていない部分の上部板510の厚さと下部板520の厚さを合計した値を100とする時、湾入部570の深さは、50以上、または50~200の値を有することができる。しかし、上述した値は例示に過ぎず、本発明の湾入部570の深さを限定するものではない。ここで、湾入部570の深さは、上部湾入部571を基準としたものであってもよいし、具体的には、湾入部570が形成されていない上部板510を基準として上部湾入部571の第1面が有する深さであってもよい。
【0168】
上部湾入部571の深さは、下部湾入部572の深さより大きい。これは、第1方向に沿って加圧される場合、上部湾入部571は、下部湾入部572より湾入部570の内側に位置するので、内径を形成する上部湾入部571が外径を形成する下部湾入部572よりも多く変形しなければならないからである。加圧過程により、上部湾入部571と下部湾入部572が形成される過程で、加圧される上部板510および下部板520は、面積の増加に伴って厚さ値が減少するが、上部湾入部571は、上部板510および下部板520の厚さの変化をすべて収容して変形しなければならないので、深さがより大きく形成されたものであってもよい。一方、第1方向は、加圧方向を例示するためのものであることから、上部板510および下部板520が第1方向に対向する第2方向に沿って加圧される場合には、下部湾入部572が内側に位置するので、下部湾入部572の深さが上部湾入部571の深さより大きい値を有することができる。
【0169】
湾入部570は、深さ方向上、末端がやや広がった形状を有することができる。上部湾入部571の最下端部(最低端部)は、上部湾入部571の他の部分よりやや大きい直径を有することができる。下部湾入部572の最下端部(最低端部)は、下部湾入部572の他の部分よりやや大きい直径を有することができる。ここで、上部湾入部571の外径の最大値は、下部湾入部572の内径の最小値より大きく、これによって、上部湾入部571と下部湾入部572との間には係合が形成される。したがって、冷却部材500の内圧によって上部湾入部571と下部湾入部572との間に圧力が作用しても、上述した係合によって上部板510と下部板520との間が広がらない。このように、上部湾入部571と下部湾入部572の形状により、湾入部570の結合力はさらに向上できる。この時、パンチは、湾入部570の形状を整えるために、湾入部570を再び加圧することもできる。
【0170】
湾入部570の外径、つまり、下部湾入部572の外径は、5mm~11mm、7mm~9mm、または7.5mm~8.5mmの値を有することができる。湾入部570の直径が過度に小さければ、湾入部570によって上部板510および下部板520が強固に結合されにくく、湾入部570の直径が過度に大きければ、湾入部570による上部板510および下部板520の変形が過度で、冷却部材500の寸法安定性が低下することがある。また、湾入部570の直径は、湾入部570間の間隔に応じて異なって設計されてもよい。
【0171】
この時、湾入部570の直径は、ダイの直径に応じて異なるので、上述した下部湾入部572の外径値は、ダイのリセスの内径値に対応できる。また、湾入部570の直径以外にも、湾入部570の形状は、クリンチング工程に用いられるパンチ、ダイの形状に応じて決定可能である。例えば、パンチの断面が円形の場合には、湾入部570は、全体的に管状に形成され、パンチの断面が四角形の場合には、湾入部570は、全体的に四角管状に形成される。
【0172】
以上、第1面が第1方向に加圧されることによって湾入部570が形成されることを基準として説明した。しかし、これは、湾入部570が形成される一例であって、湾入部570は、第4面が第2方向に沿って加圧されることによって形成されてもよい。湾入部570が第2方向に沿って加圧されることによって形成されるものでも上述した内容により十分に理解できることから、これに関する詳しい説明は省略する。
【0173】
上述した加圧過程により、弾性体で提供される密封部材590は、圧縮されることによってその厚さが減少できる。加圧過程により、密封部材590の厚さが減少するだけでなく、上部板510および下部板520の厚さも一部変形可能である。湾入部570の最低点は、パンチによって加圧されて最も大きな圧力を受けた部分であってもよく、これによって湾入部570の最低点、つまり、最も深く湾入した部分の厚さ値は、他の部分の厚さよりも小さい。湾入部570が形成される前のパンチに対応する部分は、パンチの圧力によって押されることによって、湾入部570の最高点から最低点に至る側部を形成しなければならないので、パンチの圧力によってその面積が増加するに伴って全体的な厚さが減少できる。
【0174】
上述したクリンチング結合は、本実施例の冷却部材500に適用可能である。
【0175】
例えば、クリンチング結合は、冷却部材500の溝550に全体的に適用可能である。これは、すでに形成された溝550にクリンチング結合が適用されたものであってもよく、クリンチング結合により冷却部材500の溝550が形成されたものであってもよい。
【0176】
クリンチング結合により冷却部材500に溝550が形成された場合、各溝550は、湾入部570と称されてもよい。ここで、結合溝554に形成されたクリンチング結合は第1湾入部、流路形成溝556に形成されたクリンチング結合は第2湾入部、変形防止溝558に形成されたクリンチング結合は第3湾入部と称される。
【0177】
流路形成溝556および変形防止溝558を上述したクリンチング締結方式により形成する場合、従来の結合方式を用いる場合と比較して、製造工程の単純化および製造費用の節減といったメリットを有することができる。従来の溶接結合方式を適用した冷却部材500の製造方法では、流路または変形防止構造を形成するために別の製造工程を追加しなければならず、流路または変形防止構造を形成するにあたり寸法公差が発生しないように事前に精密に設計しなければならなかった。しかし、本実施例の冷却部材500には、製造過程に使用されるクリンチング工程を用いて流路形成溝556または変形防止溝558を形成するので、そのための別の製造工程が省略可能であり、上部板510と下部板520を一部変形することによって結合するので、寸法公差に対してより自由であり得る。
【0178】
一方、上述のように、締結部560は、溝550に追加的に形成され、これによって冷却部材500の全体的な耐久性が向上できる。図9には、締結部560が2つの溝550の1つに形成されるものとして示されたが、上述のように、クリンチング結合が全体的に適用される場合には、締結部560が3つまたは4つの溝550の1つに形成されてもよいであろう。
【0179】
他の例として、クリンチング結合は、冷却部材500の溝550に部分的に適用可能である。一例として、クリンチング結合は、結合溝554、流路形成溝556および変形防止溝558の1つまたは2つにのみ適用可能である。これは、すでに形成された溝550にクリンチング結合が適用されたものであってもよく、クリンチング結合により冷却部材500の溝550が形成されたものであってもよい。他の例として、クリンチング結合は、結合溝554の一部、流路形成溝556の一部または変形防止溝558の一部に適用可能である。具体例として、図9の冷却部材500において、締結部560が形成されていない溝550にはクリンチング結合(接合)が適用可能であり、これによって全体的な冷却部材500の耐久性が向上できる。このように、クリンチング結合を冷却部材500に適用すれば、冷却部材500の耐久性を補完することができ、クリンチング結合が締結部560を代替する場合、締結部560に提供されるリング状密封部材594の使用が縮小され、締結部の形成過程などが単純化されることによって、製造工程の単純化、製造費用の節減または冷却部材500の水密性の向上といったメリットが追加的に確保できる。
【0180】
以下、上述した冷却部材を含む電池モジュール100または電池パック1000に関して説明する。
【0181】
以下説明される電池モジュール100または電池パック1000は、上述した冷却部材が提供される電池モジュール100または電池パック1000の一例に過ぎず、下記の説明が冷却部材が提供可能なすべての電池モジュール100または電池パック1000の構成および形状を制限するものではないことを予め明らかにしておく。
【0182】
図14は、本発明のさらに他の実施例による電池パックを示す分解斜視図である。図15は、図14による電池パックに含まれている電池モジュールの斜視図である。
【0183】
図14を参照すれば、本発明のさらに他の実施例による電池パック1000は、少なくとも1つの電池モジュール100と、電池モジュール100を収容するパックフレーム200と、パックフレーム200の内部面に形成された樹脂層300と、パックフレーム200の開放された面を閉鎖するエンドプレート400と、パックフレーム200と電池セル積層体120との間に配置された冷却部材500とを含むことができる。しかし、電池パック1000が含む構成要素がこれに限定されるものではなく、設計により、電池パック1000は、上述した構成要素の一部が省略された状態で提供されてもよく、言及されていない他の構成要素が追加された状態で提供されてもよい。
【0184】
図14および図15を参照すれば、本実施例に提供される電池モジュール100は、モジュールフレームが省略された形態のモジュールレス(Module-less)構造を有することができる。
【0185】
通常、従来の電池パックは、電池セル積層体およびこれに連結された様々な部品を組立てて電池モジュールを形成し、複数の電池モジュールが再び電池パックに収容される二重組立構造を有している。この時、電池モジュールは、その外面を形成するモジュールフレームなどを含むので、従来の電池セルは、電池モジュールのモジュールフレームおよび電池パックのパックフレームによって二重に保護される。しかし、このような二重組立構造は、電池パックの製造単価および製造工程を増加させるだけでなく、一部の電池セルで不良が発生した場合、再組立性が低下するというデメリットがある。また、冷却部材などが電池モジュールの外部に存在する場合、電池セルと冷却部材との間の熱伝達経路がやや複雑になる問題がある。
【0186】
そこで、本実施例の電池モジュール100は、モジュールフレームが省略された「セルブロック」の形態で提供され、セルブロックに含まれている電池セル積層体120は、電池パック1000のパックフレーム200に直接結合できる。これによって、電池パック1000の構造がより単純になり、製造単価および製造工程上の利点を得ることができ、電池パックの軽量化が達成される効果を有することができる。
【0187】
以下、モジュールフレームを有しない電池モジュール100は、モジュールフレームを有する電池モジュールとの区分のために、「セルブロック」、「開放された構造」または「モジュールレス構造」と称される。しかし、電池モジュール100は、モジュールフレームの有無に関係なく、モジュール化のために所定の単位でセグメントされた電池セル積層体120を有することを総称するものであって、電池モジュール100は、モジュールフレームを有する通常の電池モジュールおよびセルブロックをすべて含むと解釈されなければならない。
【0188】
図15を参照すれば、本実施例の電池モジュール100は、複数の電池セル110が一方向に沿って積層された電池セル積層体120と、電池セル積層体120の積層方向上の両端に位置する側面プレート130と、側面プレート130と電池セル積層体120の周りを囲んでその形態を固定するホールディングストラップ140と、電池セル積層体120の前面および後面を覆うバスバーフレーム150とを含むことができる。
【0189】
一方、図15には、セルブロックの形態で提供される電池モジュール100を示したが、このような図面の内容が本実施例の電池パック1000にモジュールフレームを有する密閉型構造の電池モジュール100が適用される場合を排除するわけではない。
【0190】
電池セル110はそれぞれ、電極組立体と、セルケースと、電極組立体から突出した電極リードとを含むことができる。電池セル110は、単位面積あたりに積層される数が最大化できるパウチ型または角型で提供される。例えば、パウチ型で提供される電池セル110は、正極、負極および分離膜を含む電極組立体をラミネートシートのセルケースに収納した後、セルケースのシーリング部を熱融着することによって製造できる。一方、図14および図15には、電池セル110の正極リードと負極リードが互いに反対方向に突出することを示したが、必ずしもその限りではなく、電池セル110の電極リードが同一の方向に突出することも可能である。
【0191】
電池セル積層体120は、電気的に連結された複数の電池セル110が一方向に沿って積層されたものであってもよい。複数の電池セル110が積層された方向(以下、「積層方向」と称される)は、図14および図15に示されているように、y軸方向(または-y軸方向であってもよいし、以下、「軸方向」という表現が+/-方向をすべて含むと解釈できる)であってもよい。
【0192】
一方、電池セル110が一方向に沿って配置されることによって、電池セル110の電極リードは、電池セル積層体120の一面、または一面および一面と向かい合う他面に位置することができる。このように、電池セル積層体120において電極リードの位置する面は、電池セル積層体120の前面または後面と称され、図14および図15にて電池セル積層体120の前面および後面はx軸上で互いに向かい合う2面として示された。
【0193】
また、電池セル積層体120において最外側の電池セル110が位置した面は、電池セル積層体120の側面と称され、図14および図15にて電池セル積層体120の側面はy軸上で互いに向かい合う2面として示された。
【0194】
側面プレート130は、電池セル積層体120の全体形状を維持するために提供されるものである。側面プレート130は、板状型部材であって、モジュールフレームの代わりにセルブロックの剛性を補完することができる。側面プレート130は、電池セル積層体120の積層方向上の両端に配置され、電池セル積層体120の両側の最外側の電池セル110と接触できる。
【0195】
側面プレート130は、多様な素材で製造され、多様な製造方法により提供できる。一例として、側面プレート130は、射出成形で製造されるプラスチック素材であってもよい。他の例として、側面プレート130は、板スプリング素材で製造されてもよい。さらに他の例として、側面プレート130は、スウェリングによる電池セル積層体120の体積変化に対応してその形状が一部変形できるように、弾性を有する物質で製造されてもよい。
【0196】
ホールディングストラップ140は、電池セル積層体120の両側端の側面プレート130の位置および形態を固定するためのものである。ホールディングストラップ140は、長さと幅を有する部材であってもよい。具体的には、電池セル積層体120は、最外側の電池セル110と接触する2つの側面プレート130の間に位置し、ホールディングストラップ140は、電池セル積層体120を横断して2つの側面プレート130を連結することができる。これによって、ホールディングストラップ140は、2つの側面プレート130の距離が一定範囲以上に増加しないようにし、これによってセルブロックの全体的な形状が一定範囲内に維持できる。
【0197】
ホールディングストラップ140は、側面プレート130との安定した結合のために、その長手方向上の両末端にフックを有することができる。フックは、ホールディングストラップ140の長手方向上の両末端が曲がることによって形成される。一方、側面プレート130には、フックに対応する位置に係止溝が形成され、フックと係止溝との結合によりホールディングストラップ140と側面プレート130とが安定的に結合できる。
【0198】
ホールディングストラップ140は、多様な素材でまたは多様な製造方法により提供できる。一例として、ホールディングストラップ140は、弾性を有する素材で製造され、これによってスウェリングによる電池セル積層体120の体積変化を一定範囲内に許容することができる。
【0199】
一方、ホールディングストラップ140は、側面プレート130と電池セル積層体120との間の相対的な位置を固定するためのものであって、「固定部材」としてのその目的が達成されるならば、図示のものと異なる形態で提供されることも可能である。例えば、固定部材は、2つの側面プレート130の間を横断できる長いボルト、つまり、ロングボルト(long bolt)の形態で提供される。側面プレート130には、ロングボルトが挿入可能な溝が備えられ、ロングボルトは、溝を介して2つの側面プレート130と同時に結合することによって、2つの側面プレート130の相対的な位置を固定することができる。ロングボルトは、側面プレート130の周縁、好ましくは、側面プレート130の頂点に近い位置に提供される。設計により、ホールディングストラップ140が上述したロングボルトに代替されることも可能であるが、ホールディングストラップ140とロングボルトともがセルブロックに提供されることも可能であろう。
【0200】
バスバーフレーム150は、電池セル積層体120の一面上に位置して、電池セル積層体120の一面をカバーすると同時に、電池セル積層体120と外部機器との連結を案内するためのものである。バスバーフレーム150は、電池セル積層体120の前面または後面上に位置することができる。バスバーフレーム150は、電池セル積層体120の前面および後面上に位置するように2つが提供される。バスバーフレーム150にはバスバーが装着され、これによって電池セル積層体120の電極リードがバスバーに連結されることによって、電池セル積層体120が外部機器と電気的に連結可能である。
【0201】
バスバーフレーム150は、電気的に絶縁の素材を含むことができる。バスバーフレーム150は、バスバーが電極リードと接合された部分以外に電池セル110の他の部分と接触することを制限することができ、電気的短絡が発生するのを防止することができる。
【0202】
パックフレーム200は、電池モジュール100およびこれに連結された電装品を外部の物理的衝撃から保護するためのものである。パックフレーム200は、電池モジュール100およびこれに連結された電装品をパックフレーム200の内部空間に収容することができる。ここで、パックフレーム200は、内部面および外部面を含み、パックフレーム200の内部空間は、内部面によって定義される。
【0203】
パックフレーム200内に収容される電池モジュール100は、複数であってもよい。複数の電池モジュール100は、「モジュールアセンブリ」と称される。モジュールアセンブリは、パックフレーム200内で行および列をなして配置される。ここで、「行」(row)とは、一方向に配列される電池モジュール100の集合を意味することができ、「列」(column)とは、前記一方向と垂直な方向に配列される電池モジュール100の集合を意味することができる。例えば、電池モジュール100は、図14のように、電池セル積層体の積層方向に沿って配置されて、1つの行または列をなしてモジュールアセンブリを形成することができる。
【0204】
パックフレーム200は、一方向に沿って開放された中空形態で提供される。例えば、図14に示されているように、複数の電池モジュール100が電池セル110の積層方向に沿って引き続き位置し、パックフレーム200は、上述した積層方向に沿って開放された中空形態を有することができる。
【0205】
パックフレーム200の構造は、多様であり得る。例えば、図14に示されているように、パックフレーム200は、下部フレーム210および上部フレーム220を含むことができる。ここで、下部フレーム210は、板形状で提供され、上部フレーム220は、U字形状で提供される。板形状の下部フレーム210には少なくとも1つの電池モジュール100が配置され、U字形状の上部フレーム220がモジュールアセンブリの上面およびx軸上の2面を囲むように提供される。
【0206】
パックフレーム200は、内部空間から発生する熱を外部に迅速に放出するために熱伝導率の高い部分を含むことができる。例えば、パックフレーム200の少なくとも一部は、熱伝導率の高い金属で製造され、その例としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、またはこれらを含む合金などであってもよい。また、パックフレーム200は、部分的に電気絶縁性を有することができ、絶縁が要求される位置には絶縁フィルムが提供されるか、絶縁性塗装が適用可能である。パックフレーム200において絶縁フィルムまたは絶縁性塗装が適用された部分は、絶縁部と称されてもよい。
【0207】
電池モジュール100とパックフレーム200の内部面との間には樹脂層300が提供される。樹脂層300は、電池モジュール100の底面と下部フレーム210との間に提供される。樹脂層300は、電池モジュール100の上面と上部フレーム220との間に提供される。ここで、具体的には、樹脂層300は、後述する冷却部材500と上部フレーム220との間に提供される。
【0208】
樹脂層300は、電池セル積層体120とパックフレーム200の内部面の一側面との間にレジンが注液されることによって形成されたものであってもよい。しかし、必ずしもその限りではなく、樹脂層300は、板状型で提供される部材であってもよい。
【0209】
樹脂層300は、多様な物質で製造され、その物質に応じて樹脂層300の機能が異なる。例えば、樹脂層300は、絶縁性物質で形成され、絶縁性を有する樹脂層300を通して電池モジュール100とパックフレーム200との間の電子移動が防止できる。他の例として、樹脂層300は、熱伝導性物質で形成される。熱伝導性物質で製造された樹脂層300は、電池セル110から発生した熱をパックフレーム200に伝達することによって、熱が外部に放出/伝達できるようにする。さらに他の例として、樹脂層300は、接着物質を含むことができ、これによって電池モジュール100とパックフレーム200とが互いに固定できる。具体例として、樹脂層300は、シリコーン(Silicone)系素材、ウレタン(Urethane)系素材およびアクリル(Acrylic)系素材の少なくとも1つを含むように提供される。
【0210】
エンドプレート400は、パックフレーム200の開放された面を密閉することによって、電池モジュール100およびこれに連結された電装品を外部の物理的衝撃から保護するためのものである。エンドプレート400の各角は、パックフレーム200の対応する角と溶接などの方法で結合できる。エンドプレート400は、パックフレーム200の開放された2面を密閉するように2つが提供され、所定の強度を有する金属物質で製造される。
【0211】
エンドプレート400には、後述する冷却部材500の入口ポート/出口ポート530を露出するための開口410が形成され、外部機器とのLV(Low voltage)連結またはHV(High voltage)連結のためのコネクタ420が装着される。
【0212】
冷却部材500は、電池セル110から発生した熱を放出することによって、電池パック1000の内部を冷却するためのものである。冷却部材500に関する説明は上述した内容を参照する。
【0213】
一方、以上、本実施例の電池パック1000がセルブロック形態の電池モジュール100を含むものと説明されたが、必ずしもその限りではなく、電池パック1000がモジュールフレームによって密閉された構造で提供される電池モジュールを含むことも可能である。
【0214】
このように電池パック1000が閉鎖された構造の電池モジュールを含む場合、冷却部材500は、電池モジュールのモジュールフレーム内に位置することができ、具体的には、電池セル積層体120とモジュールフレームとの間に位置することができる。また、これとは異なり、冷却部材500は、電池モジュールのモジュールフレームの外部に位置してもよいし、具体的には、閉鎖された構造の電池モジュールとパックフレーム200との間に位置してもよいであろう。
【0215】
一方、以上に具体的に言及されていないが、本発明の一実施例による電池パックは、電池の温度や電圧などを管理する電池管理システム(Battery Management System;BMS)および/または冷却装置などを追加的に含むことができる。
【0216】
また、本発明の一実施例による電池パックは、多様なデバイスに適用可能である。例えば、電池パックが適用されるデバイスは、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段であってもよい。しかし、上述したデバイスがこれに限定されるものではなく、上述した例示以外に多様なデバイスに本実施例による電池パックが使用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0217】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0218】
100:電池モジュール
110:電池セル
120:電池セル積層体
130:側面プレート
140:ホールディングストラップ
150:バスバーフレーム
200:パックフレーム
300:樹脂層
400:エンドプレート
500:冷却部材
510:上部板
520:下部板
521:開口部
522:下部板外郭締結部
524:下部板結合締結部
526:下部板流路形成締結部
528:下部板変形防止締結部
530:入口ポート/出口ポート
532:入口ポート
534:出口ポート
540:密封部
550:溝
554:結合溝
556:流路形成溝
558:変形防止溝
560:締結部
562:外郭締結部
564:結合締結部
566:流路形成締結部
568:変形防止締結部
570:湾入部
571:上部湾入部
572:下部湾入部
574:第1湾入部
576:第2湾入部
578:第3湾入部
580:カバーフィルム
582:フィルム外郭締結部
584:フィルム結合締結部
586:フィルム流路形成締結部
588:フィルム変形防止締結部
590:密封部材
592:帯状密封部材
594:リング状密封部材
1000:電池パック
図1
図2
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【国際調査報告】