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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車両ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B62D1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515818
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2022074705
(87)【国際公開番号】W WO2023041370
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】2109808
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】タルト,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ポイント,ジェレミー
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030CA01
3D030CA08
3D030DA23
3D030DA34
3D030DA35
3D030DA57
3D030DA76
3D030DA78
(57)【要約】
【解決手段】 リム(10)と、リム(10)の上又は周りに配置された少なくとも1本の可撓性電気リボンケーブル(41)を備える電気デバイスと、を備える車両ステアリングホイールであって、電気デバイスが少なくとも1つの位置決め部を備え、位置決め部がインターフェース部を備え、ステアリングホイールが、位置決め部のインターフェース部分を受容するように配置された少なくとも1つのカウンタ形状を備え、位置決め部が、可撓性電気リボンケーブル(41)の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする、車両ステアリングホイールが開示される。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
-リム(10)と、
-前記リムの上又は周りに配置された少なくとも1本の可撓性電気リボンケーブル(41)を備える電気デバイスと、
を備える車両ステアリングホイールであって、
-前記電気デバイスが、少なくとも1つの位置決め部を備え、前記位置決め部が、インターフェース部分を備え、
-前記ステアリングホイールが、前記位置決め部の前記インターフェース部分を受容するように配置された少なくとも1つのカウンタ形状を備え、
前記位置決め部が、前記可撓性電気リボンケーブル(41)の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする、車両ステアリングホイール。
【請求項2】
前記位置決め部は、好ましくはプラスチック製の位置決めシェル(43’)によって形成されている、請求項1に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項3】
前記位置決めシェル(43’)は、第1のシェル(341)と、前記電気デバイスの一部を挟むように前記第1のシェル(341)に結合された第2のシェル(342)とを含む、請求項2に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項4】
前記電気デバイスの少なくとも一部を前記位置決めシェル(43’)内に固定するために、前記位置決めシェル(43’)内に配置された締結用オーバーモールドを備える、請求項2又は3に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項5】
前記位置決め部は、位置決めオーバーモールド(43)によって形成されている、請求項1に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項6】
前記電気デバイスは、前記可撓性電気リボンケーブル(41)の少なくとも1本の電力供給ケーブル(42)を備え、前記位置決めオーバーモールドは、前記可撓性電気層(41)上に前記電力供給ケーブル(42)をドッキングするための少なくとも1つの領域を覆っている、請求項1~5に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項7】
補強材を備え、前記カウンタ形状は、前記補強材上に少なくとも部分的に設けられている、請求項1~6に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項8】
発泡体又は装飾部品などのクラッディング要素を備え、前記カウンタ形状は、前記クラッディング要素上に少なくとも部分的に設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項9】
前記位置決めオーバーモールドは、前記少なくとも1本の電力供給ケーブルの一部分を取り囲む少なくとも1つの突出部を有する、請求項6に記載の、又は請求項6に従属する場合の請求項7若しくは8に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項10】
前記位置決めオーバーモールドは、好ましくは10mm超の長さにわたって、更により好ましくは15mm超の長さにわたって前記電力供給ケーブルの一部を覆う少なくとも1つの部分(43b;43b’)を有する、請求項6に記載の、又は請求項6に従属する場合の請求項7~9のいずれか一項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項11】
前記突出部は、前記ステアリングホイールの第2のカウンタ形状に適合している、請求項9に記載の、又は請求項9に従属する場合の請求項10に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項12】
前記電気デバイスは2本の電力供給ケーブルを備え、前記位置決め部は、少なくとも1本の電力供給ケーブルの一部分をそれぞれ取り囲む2つの突出部を備え、前記2つの突出部は、ブランチ部のような前記ステアリングホイールの一部の両側に配置されている、請求項11に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項13】
前記位置決めオーバーモールド(43)は、プラスチック、好ましくは熱可塑性樹脂、好ましくはエチレン酢酸ビニル又はEVAをベースとする接着剤などの非荷電又はホットメルト接着剤熱可塑性樹脂で作られている、請求項5に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項14】
前記位置決め部又は前記カウンタ形状のうちの一方は位置決めインデックスを備え、前記位置決め部又は前記カウンタ形状のうちの他方は、前記位置決めインデックスを受容するように配置された位置決めキャビティを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項15】
前記位置決めインデックス及び/又は前記位置決めキャビティは、弾性的なインターロックを提供するように配置されている、請求項14に記載の車両ステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、車両ステアリングホイールに関し、特に、ステアリングホイールとユーザとの間の接触若しくは近接検出器などの電気デバイス、及び/又は加熱デバイスなどの電気デバイスを装備した車両ステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両ステアリングホイールの従来技術では、米国特許出願公開第20190077220号が知られており、これは、導電性要素及び電力供給ケーブルをオーバーモールドすることによって得られる加熱マットを記載したものである。一方、このシステムは、加熱マットに脆弱部を有する場合があり、容易に裂ける可能性がある。更に、一般に、このような表面マットは柔軟で可撓性があるので、製造中にこの要素をリム上に正確に位置付けることは面倒で複雑になる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの目的は、上述の従来技術の欠点に対処することであり、特に、まず第1に、リム及び可撓性電気リボンケーブルを有するが、引き裂き、機械的損傷に耐性があり、かつ/又は製造中に車両ステアリングホイール上に配置するのが容易な車両ステアリングホイールを提案することである。
【0004】
それゆえ、本発明の第1の態様は、
-リムと、
-リムの上又は周りに配置された少なくとも1本の可撓性電気リボンケーブルを備える電気デバイスと、
を備える車両ステアリングホイールであって、
-電気デバイスが、少なくとも1つの位置決めオーバーモールドを備え、当該位置決めオーバーモールドが、インターフェース部分を備え、
-ステアリングホイールが、位置決めオーバーモールドのインターフェース部分を受容するように配置された少なくとも1つのカウンタ形状を備えることを特徴とする、車両ステアリングホイールに関連し得る。
【0005】
上記の実施形態によれば、位置決めオーバーモールドは、位置決めオーバーモールドの場所、したがって可撓性電気リボンケーブルの場所を提供するために、ステアリングホイールのカウンタ形状(典型的には、ステアリングホイールのリム又はブランチ上に、あるいはこれら2つの要素間の連結部に提供される)と嵌合するように提供される。取扱い及び組立段階は、典型的には柔軟であり、折り畳まれる可能性がある可撓性電気リボンケーブルを正確に位置決めする困難さを低減することによって簡略化される。加えて、位置決めオーバーモールドは、カウンタ形状において増加した機械的抵抗を提供し、それによってオペレータは、劣化のリスクを伴わずに、可撓性電気リボンケーブルの残りの部分を引っ張り、その位置決めを正確に完了することが可能となる。
【0006】
本発明の第2の態様は、
-リムと、
-リムの上又は周りに配置された少なくとも1つの可撓性電気リボンケーブルを備える電気デバイスと、
を備える車両ステアリングホイールであって、
-電気デバイスが、少なくとも1つの位置決め部を備え、位置決め部が、インターフェース部分を備え、
-ステアリングホイールが、位置決め部のインターフェース部分を受容するように配置された少なくとも1つのカウンタ形状を備えることを特徴とする、車両ステアリングホイールに関連し得る。
【0007】
上記の実施形態によれば、位置決め部は、位置決め部の場所、したがって可撓性電気リボンケーブルの場所を提供するために、ステアリングホイールのカウンタ形状(典型的には、ステアリングホイールのリム又はブランチ上に、あるいはこれら2つの要素間の連結部に提供される)と嵌合するように提供される。取扱い及び組立段階は、典型的には柔軟であり、折り畳まれる可能性がある可撓性電気リボンケーブルを正確に位置決めする困難さを低減することによって簡略化される。加えて、位置決め部は、カウンタ形状において増加した機械的抵抗を提供し、それによってオペレータは、劣化のリスクを伴わずに、可撓性電気リボンケーブルの残りの部分を引っ張り、その位置決めを正確に完了することが可能となる。最後に、位置決め部は、ステアリングホイールとのインターフェースを形成し、その摩擦及び物理的接触を吸収することによって、電気デバイスに機械的保護を提供する。
【0008】
一実施形態によれば、位置決め部は、可撓性電気リボンケーブルの少なくとも一部を覆うことができる。したがって、可撓性電気リボンケーブルは、位置決め部によって保護される。
【0009】
一実施形態によれば、位置決め部は、電気デバイスの可撓性電気リボンケーブル及び/又は電力供給ケーブルに取り付けられた部品であっても、あるいは別個の部品であってもよい。
【0010】
一実施形態によれば、位置決め部は、好ましくはプラスチック材料で作られた位置決めシェルによって形成されてもよい。そのようなシェルは、ステアリングホイールの残りの部分との力及び物理的接触を吸収するために剛性となる(いずれの場合も、可撓性電気リボンケーブルよりも可撓性が低い)ように設けられてもよい。
【0011】
一実施形態によれば、位置決めシェルは、第1のシェルと、電気デバイスの一部を挟むように第1のシェルに結合された第2のシェルと、を備えることができる。弾性的なインターロック(クリッピング)、ねじ留めなどによって結合を提供することも可能である。いずれの場合も、位置決めシェルは、可撓性電気リボンケーブルに取り付けられた又は固定された部品であってもよく、好ましくは、可撓性電気リボンケーブルの少なくとも一部分が位置決めシェルによってクランプされるか、あるいは位置決めシェルに対して固定される。
【0012】
一実施形態によれば、ステアリングホイールは、電気デバイスの少なくとも一部を位置決めシェル内に固定するために位置決めシェル内に配置された締結用オーバーモールドを備えることができる。このような締結用オーバーモールドは、典型的には、位置決めシェルが可撓性電気リボンケーブルを挟んだ後に適用又は形成され得る。
【0013】
一実施形態によれば、位置決め部は、位置決めオーバーモールドによって形成されてもよい。
【0014】
一実施形態によれば、電気デバイスは、可撓性電気リボンケーブルの少なくとも1本の電力供給ケーブルを備えることができ、位置決めオーバーモールド又は位置決め部は、電力供給ケーブルを可撓性電気リボンケーブル上にドッキングするための少なくとも1つの領域を覆うことができる。
【0015】
上記の実施形態によれば、電気デバイスは、電力供給ケーブルと可撓性電気リボンケーブルとの間に位置決めオーバーモールドを備え、その結果、この位置決めオーバーモールドは、操作者が電力供給ケーブルのみを把持している場合であっても、可撓性電気リボンケーブルに付加的な耐性を提供する。典型的には、ドッキング領域において、可撓性電気リボンケーブルの電気回路(典型的には、可撓性基板に取り付けられた導電性トラック)への電力供給ケーブルの接続を提供することが可能である。換言すれば、ドッキング領域は、可撓性電気リボンケーブル上への電力供給ケーブルの電気的及び/又は機械的接続ゾーンであってもよい。
【0016】
一実施形態によれば、車両ステアリングホイールは、補強材を含むことができ、カウンタ形状は、少なくとも部分的に補強材に設けられる。したがって、カーカス(典型的にはマグネシウム製)を形成する補強材が基準位置を決める。
【0017】
一実施形態によれば、車両ステアリングホイールは、発泡体又は装飾部などのクラッディング要素を備えてもよく、カウンタ形状は、クラッディング要素上に少なくとも部分的に設けられる。発泡(典型的には注入ポリウレタン)又は装飾部は、特定のカウンタ形状及び/又は複雑な形状を設計することを可能にする。
【0018】
一実施形態によれば、位置決めオーバーモールド又は位置決め部は、可撓性電気リボンケーブルの一部を覆う少なくとも1つの部分を有してもよい。
【0019】
一実施形態によれば、位置決めオーバーモールド又は位置決め部は、当該少なくとも1本の電力供給ケーブルの一部分を取り囲む少なくとも1つの突出部を有してもよい。そのような突出部は、単に電力供給ケーブルを取り囲み、その機械的強度を増加させるものであるが、電力供給ケーブルに事前形状を提供することもできる。換言すれば、突出部は、ステアリングホイールの形状に対応する所定の経路に沿ってケーブルを付勢するが、これによってその位置決めが容易となる。
【0020】
一実施形態によれば、位置決めオーバーモールド又は位置決め部は、好ましくは10mmを超える長さにわたって、更により好ましくは15mmを超える長さにわたって、電力供給ケーブルの一部を覆う少なくとも1つの部分を有してもよい。
【0021】
一実施形態によれば、位置決めオーバーモールド又は位置決め部は、好ましくはケーブルの長さの50%超にわたって、更により好ましくはケーブルの長さの75%超にわたって、電力供給ケーブルの一部を覆う少なくとも1つの部分を有してもよい。
【0022】
一実施形態によれば、突出部は、ステアリングホイールの第2のカウンタ形状に適合することができる。ケーブルによって実際に取られる経路が意図された経路であることが保証されながらも、製造の容易さが更に改善される。すなわち、組立の再現性が改善され、したがって、ケーブルを覆うために追加された部分によるケーブルのあらゆる挟み込み又はジャミングが回避される。
【0023】
一実施形態によれば、電気デバイスは、2本の電力供給ケーブルを備えてもよく、位置決めオーバーモールド又は位置決め部は、少なくとも1本の電力供給ケーブルの一部分をそれぞれ囲む2つの突出部を備えてもよく、当該2つの突出部は、ブランチ部などのステアリングホイールの部品の両側に配置することができる。2つの突出部は、容易なセンタリング及び組み立てを提供するために雄形状を取り囲むことができる。
【0024】
一実施形態によれば、位置決めオーバーモールドは、プラスチック、好ましくは熱可塑性の、好ましくは非荷電の、又はエチレン酢酸ビニル又はEVAをベースとする接着剤などのホットメルト接着性熱可塑性物質で作られる。選択肢としては、ポリアミド、シリコーンなどが挙げられる。
【0025】
一実施形態によれば、位置決めオーバーモールド(又は位置決め部)又はカウンタ形状の一方は、位置決めインデックスを備え、位置決めオーバーモールド(又は位置決め部)又はカウンタ形状の他方は、位置決めインデックスを受容するように配置された位置決めキャビティを備える。このような位置決めインデックスはセンタリングピンであってもよく、位置決めキャビティは貫通孔であってもよい。
【0026】
一実施形態によれば、位置決めインデックス及び/又は位置決めキャビティは、弾性的なインターロックを提供するように配置することができる。緊密なアセンブリを提供することが可能である。
【0027】
一実施形態によれば、可撓性電気リボンケーブルは、オーバーモールド金型又は位置決め部に対して可撓性電気リボンケーブルを位置決めするように構成された少なくとも1つの位置決め穴を備えてもよい。オーバーモールド操作は容易になり、シースの残りの部分に対する位置決めオーバーモールド又は位置決め部の再現可能な位置決めが保証される。
【0028】
一実施形態によれば、可撓性電気リボンケーブルは、織物、不織布、又は鋳造、積層、若しくは注入ポリマーのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0029】
一実施形態によれば、可撓性電気リボンケーブルは、位置決めオーバーモールドの材料で充填された少なくとも1つの強化孔を備えることができる。このような強化孔は、可撓性電気リボンケーブルが封止されている場合に、オーバーモールド材料が可撓性電気リボンケーブルのいずれかの側に拡散されることを可能にする。
【0030】
一実施形態によれば、位置決めオーバーモールドは、可撓性電気リボンケーブルの単一の面、好ましくは電力供給ケーブルのドッキング面の上にある厚さを有してもよい。
【0031】
一実施形態によれば、位置決めオーバーモールド位置決め部は、好ましくはあるいは大部分が可撓性電気リボンケーブルの一方の側に又は配置されてもよく、例えば、位置決めオーバーモールド又は位置決めシェルの材料の75%、又は85%、又は更には90%が、可撓性電気リボンケーブルの同じ側に位置する。
【0032】
一実施形態によれば、車両ステアリングホイールは、ハブと、ハブをブランチに接続する少なくとも1つのブランチと、を備えることができる。
【0033】
一実施形態によれば、車両ステアリングホイールは、可撓性電気リボンケーブルを覆う天然又は人工皮革などの外側シースを備えてもよい。
【0034】
一実施形態によれば、可撓性電気リボンケーブルは、近接又は接触検出デバイスの一部であってもよく、あるいは加熱デバイスの一部であってもよい。
【0035】
一実施形態によれば、突出部は、非平面的かつ非直線的である複雑な形状の形に沿うことができる。
【0036】
本発明の第2の態様は、第1の態様による車両ステアリングホイールを備える自動車両に関する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の2つの実施形態の詳細な説明を読むと、より明らかになり、それらの実施形態は、例として提供されているが、これらになんら限定されず、添付の図面によって示されている。
図1図1は、部分的に組み立てられた、本発明による車両ステアリングホイールの上面図を示す。
図2図2は、図1の車両ステアリングホイールのリムの一部分を示す図である。
図3図3は、図1のステアリングホイールの電気デバイスの部分図を示す図である。
図4図4は、図1の軸B-Bに沿った断面図である。
図5図5は、図1の軸A-Sに沿った断面図である。
図6図6は、図3の電気デバイスの簡略図である。
図7図7は、図3のステアリングホイールの電気デバイスの代替的な実施形態の部分図である。
図8図8は、図7の電気デバイスの位置決め部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、リム10と、ハブ30と、リム10をハブ30に接続するブランチ20と、を備える車両ステアリングホイールの上面図を示す。車両ステアリングホイールは、内部構造、特に下側ブランチ20(又は6時の位置)及びリム10との連結部を示すように、部分的に組み立てられている。
【0039】
実際、図2に示すように、下側ブランチ20は、主に2つの補強ストランド21及び22によって形成される。リム10はまた、補強部分12と、補強部分12上にオーバーモールドされた発泡体11(典型的にはポリウレタン製)と、を備える。補強材(補強ストランド21及び22、補強部分12)は、車両ステアリングホイールの金属フレーム又はフレームワーク(例えば、マグネシウム製)を形成する。
【0040】
図3は、図2に示される車両ステアリングホイールの一部に配置された電気デバイスの一部を示す。電気デバイスは、ここでのように、ユーザとの接触又は近接を検出するためのセンサであってもよい。したがって、図3は、電気デバイスのみを示し、図2は、リム部10と、電気デバイスを収容するブランチ20とのその連結部と、を示す。この図3において、電気デバイスは、リム10上に被覆された最終状態で示されていることに留意されたい。被覆前に、電気デバイスは、それを生産するために使用される材料に応じて、平坦であるかあるいはわずかに付形された異なる形状を有してもよい。
【0041】
特に、可撓性電気リボンケーブル41は、リム10の一部(図3には図示せず)を覆って取り囲み、コネクタ44を有する2本の電力供給ケーブル42が、可撓性電気リボンケーブル41を車両の電気ネットワークに接続するために設けられる。
【0042】
最後に、電力供給ケーブル42が可撓性電気リボンケーブル41に取り付けられる領域に、ここでは位置決めオーバーモールド43によって形成される位置決め部が設けられる。位置決めオーバーモールド43は、可撓性電気リボンケーブル41の機械的補強が得られるように、部分43aで可撓性電気リボンケーブル41及び供給ケーブル42の一部を覆う。
【0043】
位置決めオーバーモールドは、2つの補強ストランド21及び22上の第2のカウンタ形状52の複雑な形に沿うために、各電力供給ケーブル42のみをオーバーモールドする2つの突出部43bを備えることに留意されたい。
【0044】
図4は、図1の軸B-Bに沿った断面を示し、リム(図の右部分及び左部分)において外側シース13によって覆われた可撓性電気リボンケーブル41を示す。可撓性電気リボンケーブル41は、発泡体11に対向する部分と、ブランチ20の2つの補強ストランド21及び22とを有する。更に、位置決めオーバーモールド43(部分43a)は、(発泡体11の)ステアリングホイールのこのカウンタ形状上への位置決めオーバーモールド43の位置決めを提供するために、発泡体11の外側形状に適合する下側横方向縁部を有する。
【0045】
発泡体は、ポリウレタンで作られてもよく、また第1のカウンタ形状51を形成してもよく、かつ/又はアクセス可能なままにしてもよい。以下に説明するように、補強ストランド21及び22は、第2のカウンタ形状52を形成することができる。
【0046】
第1のカウンタ形状51は、ブランチ20(発泡体11又は金属補強材によって形成される)の側面、並びに/又は図2に見られる貫通孔、並びに/又は2つの補強ストランド21及び22の2つの横方向縁部とリム10との連結部から本質的になり、第2のカウンタ形状52は、図5に見られるように、2つの補強ストランド21及び22の横方向縁部縁部によって形成される。
【0047】
更に、位置決めインデックス並びにフランジを位置決めオーバーモールド43上に設けて、第1のカウンタ形状51(ブランチ20の横方向縁部、並びに/又はリム10とブランチ20との間の接続部における補強材の孔及び/若しくは放射状縁部)との結合を提供することができる。位置決めインデックスは、第1のカウンタ形状51の孔に入るピンとすることができる。
【0048】
図5は、図1の軸A-Aに沿った断面を示し、位置決めオーバーモールド43の突出部43bを示し、突出部43bは、電力供給ケーブル42を取り囲み、更に補強ストランド21及び22を覆う発泡体11に結合されるかあるいは取り付けられている。したがって、位置決めオーバーモールド43(特に2つの突出部43b)は、付加的な位置決めを提供する。突出部43bは、ブランチ20の複雑な形状に追従し、利用可能な空間が効果的に使用されることを保証することに留意されたい。突出部43bの剛性は、電力供給ケーブル42がオーバーモールドされない状況よりも高い位置決め再現性を保証することを可能にする。オーバーモールド部43aから開始して、10mmを超える距離、更には15mmを超える距離にわたって電力供給ケーブル42をオーバーモールドするようにされてもよい。
【0049】
図6は、図3の電気デバイスの簡略図を示す。可撓性電気リボンケーブル41は、例えばろう付けによって電力供給ケーブル42の導体42aに接続された導電性トラック41cを有する。
【0050】
位置決めオーバーモールド43(部分43a)は、可撓性電気リボンケーブル41及び電力供給ケーブル42の一部を覆い、電力供給ケーブル42にのみ突出部43bを有する。
【0051】
1つ以上の位置決め穴41Aが可撓性電気リボンケーブル41に設けられて、可撓性電気リボンケーブル41をオーバーモールド金型内に位置決めして位置決めオーバーモールド43を取り付けることが可能となっている。
【0052】
可撓性電気リボンケーブル41には、位置決めオーバーモールド43からのプラスチックを収容し、したがって堅牢なリンクを提供するために、通路穴41bが設けられている。
【0053】
したがって、位置決めオーバーモールド43は、付加的な機械抵抗を提供しながら、ステアリングホイールのカウンタ形状への確実な位置決めを提供することを可能にする。
【0054】
機械的強度を更に向上させるために、供給ケーブル42を受容する可撓性電気リボンケーブル41の領域に位置決めオーバーモールド43を設けることもちろん可能であるが、これは任意である。
【0055】
また、オーバーモールド部43(突出部43b)を電力供給ケーブル42の周囲に位置決めすることは、組立の再現性や組立の容易性を向上させるもう一つのオプションである。
【0056】
所与の例では、可撓性電気リボンケーブル41上に電力供給ケーブル42をドッキングするための領域は、下側ブランチ20で実行されるが、これは任意選択である。ステアリングホイールの任意の部分にこの領域を設けることが可能である。
【0057】
補強材は、2つの補強ストランド21及び22を有するが、単一のブランチを設けることも可能である。
【0058】
位置決めオーバーモールドを受容するカウンタ形状は、この例では発泡体11及び/又は補強材によって形成されるが、トリム部(典型的にはプラスチックシェル)上にカウンタ形状を設けることも可能である。
【0059】
図7は、図3の電気デバイスの代替例を示す。特に、図7の電気デバイスは、本質的に位置決め部において図3の電気デバイスと異なる。図7の電気デバイスは、常に、可撓性電気リボンケーブル41と、コネクタ44で終端する2本の電力供給ケーブル42と、ここでは位置決めシェル43’によって形成される位置決め部とを備える。位置決めシェル43’は、可撓性電気リボンケーブル41の一部と2本の電力供給ケーブル42の一部とを覆う。
【0060】
図8に示すように、この例では、位置決めシェル43’は、第1のシェル431と第2のシェル432とを含む。しかしながら、位置決めシェル43’を形成するために、単一の部品が設けられても、3つ以上の部品が設けられてもよい。更に、第1のシェル431は、弾性係合(クリッピング)によって第2のシェル432と結合される弾性タブ431Aを備えることに留意されたい。他の結合様式(ねじ留め、溶接など)を提供することもできる。
【0061】
第1のシェル431及び/又は第2のシェル432は、充填材料を有して、あるいは有さずに、例えばポリマーなどのプラスチック材料で作製することができる。例えばポリアミドを提供することが可能である。
【0062】
図8はまた、位置決めシェル43’が、可撓性電気リボンケーブル41を覆うように配置された部分43A’と、電力供給ケーブル42のみを覆う部分43B’とを備えることを示す。また、電力供給ケーブル42を可撓性電気リボンケーブル41にドッキング又は接続するための部分も、位置決めシェル43’によって覆われることに留意されたい。
【0063】
位置決めシェル43’は、電力供給ケーブル42及び/又は可撓性電気リボンケーブル41を保持し、ステアリングホイールとの接触力を吸収するために、電力供給ケーブル42及び/又は可撓性電気リボンケーブル41を挟むかあるいはつまむように、電気デバイスにクリップ留めされる。
【0064】
位置決めシェル43’内に電気デバイスのオーバーモールドを設けることも可能である。実際には、プラスチック又は接着剤を、電気デバイスを覆う位置決めシェル内に注入して、各構成要素を一緒に固定し、ゼロ相対運動を保証し、したがって完全な嵌合を保証することができる。
【0065】
したがって、供給ケーブル42を可撓性電気リボンケーブル41にドッキング若しくは接続するための部品、並びに/又は電力供給ケーブル42及び/若しくは可撓性電気リボンケーブル41は、位置決めシェル43’と一体であり、位置決めシェル43’は、ステアリングホイール又はその任意の他の部品の補強材と相互作用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る車両ステアリングホイール及びその製造方法は、産業上利用可能である。
【0067】
本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されている本発明の種々の実施形態に対して、当業者に明白な様々な修正及び/又は改善を加えることができる点が理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-リム(10)と、
-前記リムの上又は周りに配置された少なくとも1本の可撓性電気リボンケーブル(41)を備える電気デバイスと、
を備える車両ステアリングホイールであって、
-前記電気デバイスが、少なくとも1つの位置決め部を備え、前記位置決め部が、インターフェース部分を備え、
-前記ステアリングホイールが、前記位置決め部の前記インターフェース部分を受容するように配置された少なくとも1つのカウンタ形状を備え、
前記位置決め部が、前記可撓性電気リボンケーブル(41)の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする、車両ステアリングホイール。
【請求項2】
前記位置決め部は、好ましくはプラスチック製の位置決めシェル(43’)によって形成されている、請求項1に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項3】
前記位置決めシェル(43’)は、第1のシェル(341)と、前記電気デバイスの一部を挟むように前記第1のシェル(341)に結合された第2のシェル(342)とを含む、請求項2に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項4】
前記電気デバイスの少なくとも一部を前記位置決めシェル(43’)内に固定するために、前記位置決めシェル(43’)内に配置された締結用オーバーモールドを備える、請求項2に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項5】
前記位置決め部は、位置決めオーバーモールド(43)によって形成されている、請求項1に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項6】
前記電気デバイスは、前記可撓性電気リボンケーブル(41)の少なくとも1本の電力供給ケーブル(42)を備え、前記位置決めオーバーモールドは、前記可撓性電気層(41)上に前記電力供給ケーブル(42)をドッキングするための少なくとも1つの領域を覆っている、請求項1に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項7】
補強材を備え、前記カウンタ形状は、前記補強材上に少なくとも部分的に設けられている、請求項1に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項8】
発泡体又は装飾部品などのクラッディング要素を備え、前記カウンタ形状は、前記クラッディング要素上に少なくとも部分的に設けられている、請求項1に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項9】
前記位置決めオーバーモールドは、前記少なくとも1本の電力供給ケーブルの一部分を取り囲む少なくとも1つの突出部を有する、請求項6に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項10】
前記位置決めオーバーモールドは、好ましくは10mm超の長さにわたって、更により好ましくは15mm超の長さにわたって前記電力供給ケーブルの一部を覆う少なくとも1つの部分(43b;43b’)を有する、請求項6に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項11】
前記突出部は、前記ステアリングホイールの第2のカウンタ形状に適合している、請求項9に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項12】
前記電気デバイスは2本の電力供給ケーブルを備え、前記位置決め部は、少なくとも1本の電力供給ケーブルの一部分をそれぞれ取り囲む2つの突出部を備え、前記2つの突出部は、ブランチ部のような前記ステアリングホイールの一部の両側に配置されている、請求項11に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項13】
前記位置決めオーバーモールド(43)は、プラスチック、好ましくは熱可塑性樹脂、好ましくはエチレン酢酸ビニル又はEVAをベースとする接着剤などの非荷電又はホットメルト接着剤熱可塑性樹脂で作られている、請求項5に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項14】
前記位置決め部又は前記カウンタ形状のうちの一方は位置決めインデックスを備え、前記位置決め部又は前記カウンタ形状のうちの他方は、前記位置決めインデックスを受容するように配置された位置決めキャビティを備える、請求項1に記載の車両ステアリングホイール。
【請求項15】
前記位置決めインデックス及び/又は前記位置決めキャビティは、弾性的なインターロックを提供するように配置されている、請求項14に記載の車両ステアリングホイール。
【国際調査報告】