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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】範囲検出
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515820
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 FI2022050597
(87)【国際公開番号】W WO2023037052
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】20215962
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512068592
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
【氏名又は名称原語表記】TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS VTT OY
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ピーコーネン,パシ
(72)【発明者】
【氏名】ペウッサ,ペルッチ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルタネン,アリ
(72)【発明者】
【氏名】クチラ,マッティ
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
(57)【要約】
本発明の例示的な態様によれば、少なくとも各基準エリアが位置、形状、及び地理的な大きさを有する基準エリアの組を定義する情報を記憶させ、複数のデータ項目を含み、各データ項目が位置と大きさを有する範囲検出データを取得させ、データ項目の少なくとも一部を、同じ基準エリア内の位置を有するデータ項目の大きさが合計されるように基準エリアの組に割り当てさせ、及び基準エリアの中から、閾値を超える統合された大きさを有する基準エリアの第2の組を選択する為に閾値を適用させるように構成された装置が提供される。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの処理コアと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、を備える装置であって、前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つの処理コアにより、前記装置に少なくとも、
各基準エリアが位置、形状、及び地理的な大きさを有する基準エリアの組を定義する情報を記憶させ、
複数のデータ項目を含み、各データ項目が位置を有する範囲検出データを取得させ、
前記データ項目の少なくとも一部を、同じ基準エリア内の位置を有するデータ項目が合計されるように前記基準エリアの組に割り当てさせ、
各データ項目は大きさを有し、前記データ項目を合計することはそれらの大きさを合計することを含み、前記装置は前記基準エリアの中から、閾値を超える統合された大きさを有する基準エリアの第2の組を選択する為に前記閾値を適用し、
前記第2組の基準エリアの位置を既知のランドマーク位置に一致させ、前記基準エリアの第2の組を車両のランドマークに基づくナビゲーションに採用する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記範囲検出データはレーダデータ又はライダデータであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、前記第2の組の少なくとも2つ又は3つの基準エリアの位置のパターンを、前記既知のランドマーク位置のパターンに一致させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記既知のランドマーク位置を、前記装置の外部に在るデータベースから取得するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、第2の閾値よりも小さい大きさを有する複数のデータ項目が割り当てられた前記第2の組の中から、前記基準エリアを人間の潜在的な位置として分類するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記データ項目の少なくとも一部を前記基準エリアの組に割り当てることは、大きさの閾値を使用することを含まないことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記車両のナビゲーションが自動車のナビゲーションであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記範囲検出データを取得し、衛星ナビゲーションが利用可能でないとの判断に応じて、前記基準エリアの第2の組を選択するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
方法であって、
各基準エリアが位置、形状、及び地理的な大きさを有する基準エリアの組を定義する情報を記憶する工程と、
複数のデータ項目を含み、各データ項目が位置を有する範囲検出データを取得する工程と、
前記データ項目の少なくとも一部を、同じ基準エリア内の位置を有するデータ項目が合計されるように前記基準エリアの組に割り当てる工程と、
を含み、
各データ項目は大きさを有し、前記データ項目を合計することはそれらの大きさを合計することを含み、前記方法は、前記基準エリアの中から、閾値を超える統合された大きさを有する基準エリアの第2の組を選択する為に前記閾値を適用する工程と、
前記第2組の基準エリアの位置を既知のランドマーク位置に一致させ、前記基準エリアの第2の組を車両のランドマークに基づくナビゲーションに採用する工程と、
を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記範囲検出データはレーダデータ又はライダデータであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
一致させる前記工程は、前記第2の組の少なくとも2つ又は3つの基準エリアの位置のパターンを、前記既知のランドマーク位置のパターンに一致させる工程を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記既知のランドマーク位置を、前記装置の外部に在るデータベースから取得する工程を更に含むことを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
第2の閾値より小さい大きさを有する複数のデータ項目が割り当てられた前記第2の組の中から、前記基準エリアを人間の潜在的な位置として分類する工程を更に含むことを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記データ項目の少なくとも一部を前記基準エリアの組に割り当てる前記工程は、大きさの閾値を使用することを含まないことを特徴とする請求項9乃至13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記車両のナビゲーションが自動車のナビゲーションであることを特徴とする請求項9乃至14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記範囲検出データを取得する前記工程及び前記基準エリアの前記第2の組を選択する前記工程が、衛星ナビゲーションが利用できないとの判断に応じて実行されることを特徴とする請求項9乃至15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
コンピュータ可読命令の組を記憶させた非一過性のコンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサに因って実行されると、装置に少なくとも、
各基準エリアが位置、形状、及び地理的な大きさを有する基準エリアの組を定義する情報を記憶させ、
複数のデータ項目を含み、各データ項目が位置を有する範囲検出データを取得させ、
前記データ項目の少なくとも一部を、同じ基準エリア内の位置を有するデータ項目が合計されるように前記基準エリアの組に割り当てさせ、
各データ項目は大きさを有し、前記データ項目を合計することはそれらの大きさを合計することを含み、前記コンピュータ可読命令の組は、実行されると、更に前記装置に、前記基準エリアの中から、閾値を超える統合された大きさを有する基準エリアの第2の組を選択する為に前記閾値を適用させ、前記第2組の基準エリアの位置を既知のランドマーク位置に一致させ、前記基準エリアの第2の組を車両のランドマークに基づくナビゲーションに採用させる
ことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダ、ライダ等の範囲検出データの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物の測位は、全地球航法衛星システム(GNSS)、即ちGPSやガリレオ星座等の衛星測位を用いて行われることが多い。或いは、例えば、セルラー通信ネットワークの測位機能を使用して測位を行うこともできる。
【0003】
例えば、自律走行車や半自律走行車では、そのような車両に乗っている人間や、そのような車両が通過する付近のルートの安全を確保する為に、正確な測位メカニズムが必要である。又、車両ナビゲーションアプリケーションでは、ドライバに意味のあるナビゲーションアドバイスを提供する為に、測位情報が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかの態様によれば、独立請求項の主題が提供される。幾つかの実施形態は、従属請求項に定義される。
【0005】
本開示の第1の態様によれば、少なくとも1つの処理コアと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、を備える装置であって、前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つの処理コアにより、前記装置に少なくとも、各基準エリアが位置、形状、及び地理的な大きさを有する基準エリアの組を定義する情報を記憶させ、複数のデータ項目を含み、各データ項目が位置と大きさを有する範囲検出データを取得させ、前記データ項目の少なくとも一部を、同じ基準エリア内の位置を有するデータ項目の大きさが合計されるように前記基準エリアの組に割り当てさせ、及び前記基準エリアの中から、閾値を超える統合された大きさを有する基準エリアの第2の組を選択する為に前記閾値を適用させるように構成される装置が提供される。
【0006】
本開示の第2の態様によれば、各基準エリアが位置、形状、及び地理的な大きさを有する基準エリアの組を定義する情報を記憶する工程と、複数のデータ項目を含み、各データ項目が位置と大きさを有する範囲検出データを取得する工程と、前記データ項目の少なくとも一部を、同じ基準エリア内の位置を有するデータ項目の大きさが合計されるように前記基準エリアの組に割り当てる工程と、前記基準エリアの中から、閾値を超える統合された大きさを有する基準エリアの第2の組を選択する為に前記閾値を適用する工程と、を含む方法が提供される。
【0007】
本開示の第3の態様によれば、コンピュータ可読命令の組を記憶させた非一過性のコンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサに因って実行されると、装置に少なくとも、各基準エリアが位置、形状、及び地理的な大きさを有する基準エリアの組を定義する情報を記憶させ、複数のデータ項目を含み、各データ項目が位置と大きさを有する範囲検出データを取得させ、前記データ項目の少なくとも一部を、同じ基準エリア内の位置を有するデータ項目の大きさが合計されるように前記基準エリアの組に割り当てさせ、前記基準エリアの中から、閾値を超える統合された大きさを有する基準エリアの第2の組を選択する為に前記閾値を適用させるコンピュータ可読媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に従った例示的なシステムを示す図である。
図2A】乃至
図2B】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に従ったランドマークフィッティングを示す図である。
図3】本発明の少なくとも幾つかの実施形態をサポートすることができる装置の一例を示す図である。
図4】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に従ったシグナリングを示す図である。
図5】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に従った方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
正方形や六角形のような基準エリアを含む占有グリッドは、範囲検出データにおけるランドマークとスプリアス反射の区別を支援する為に採用される。詳細には、範囲検出データの反射はグリッドの基準エリアに割り当てられ、その後、そのような反射の大きさが合計され、基準エリア又は各基準エリアの統合された反射の大きさに到達する。統合された反射の大きさは、ランドマークを基準とするナビゲーションで使用してもよく、例えば、ナビゲーションに影響を与えないスプリアス反射を無視できるように、基準エリアの統合された反射の大きさに閾値を適用してもよい。
【0010】
図1は、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に従った例示的なシステムを示す図である。範囲検出装置110は、例えばレーダ又はライダ装置であってもよく、エネルギー103を放射し、範囲検出装置110の視野内のターゲットからのエネルギー103の反射に基づいて範囲検出データを記録する。これを達成する為に、範囲検出装置110は、エネルギー103を送信する送信機と、範囲検出装置110に向かって反射して戻って来るエネルギー103の一部を検出する受信機とを有する。レーダ又はライダに代えて、又は追加して、範囲検出装置は、例えば、ソナーであってもよい。一般に、範囲検出装置110から送信されるエネルギー103の単一のパルスは、視野内の複数の物体102からの多数の区別できる反射を生じさせることがある。レーダを使用する利点は、天候の変化に強いことである。又、レーダは、反射がレーダに戻って来る方向を測定する精度も高い。
【0011】
適切なレーダは、例えば24GHz帯及び/又は77GHz帯で動作する。本明細書で使用するレーダは、2つ以上の周波数を使用してもよい。幾つかの実施形態では、ハイパースペクトル範囲検出装置110が使用される。
【0012】
範囲検出装置110は、使用時に範囲検出データを生成する。範囲検出データは複数のデータ項目を含み、各データ項目は位置と大きさを有する。各データ項目は、物体102の検出を特徴付ける。各データ項目は、範囲検出装置110で受信されるエネルギー103の検出された反射を表す。反射は、範囲検出装置110の視野内の人間や動物だけでなく、建物、車両、街灯、地上のゴミ等の対象物からも発生することがある。人間は複数の反射を発生させることがある為、範囲検出データに、地理的にクラスタ化された物体102の組として表示されることがある。
【0013】
各データ項目における位置は、適当な方法で表すことができ、例えば、範囲検出装置の視野内の座標系におけるデカルト座標x、yで表すことができる。或いは、視野内の位置は、例えば、範囲検出装置110からの距離と、対応する物体102が位置する方向を固定する掃引角度とで表現してもよい。
【0014】
各データ項目の大きさは、範囲検出装置110に記録された反射の強さを示す。範囲検出装置110がレーダである場合、大きさはレーダ断面積と呼ばれることがある。一般に、大きい反射性物体102は強い反射を生じ、従って高い大きさを示すが、物体102の形状や環境条件が正確な大きさに影響することがあり、1つの大きな物体102が2つ以上の反射を生じ、範囲検出データに2つ以上のデータ項目を生じさせることがある。
【0015】
図1のシステムでは、グリッド100が画定される。グリッド100は、図1のシステムでは正方形であるが、特定の実装形態に因っては六角形の基準エリア、又は他の形状の基準エリアであってもよい、一組の基準エリア101から構成される。図1のグリッドでは、基準エリア101は互いに隣接しており、隣接する基準エリア101の間には間隙がない。他の実施形態では、隣接する基準エリア101は、それらの間に間隙を有してもよく、これは、範囲検出装置の視野の特定の領域に対象の物体102がないことが分かっている場合の使用例において有用である。例えば、このような使用例では、基準エリア101が移動の道路又は通路をカバーするのに対し、道路に隣接する森林又は建物のブロックは基準エリア101と重なっていないことがある。グリッド100は占有グリッドと呼ばれることがある。
【0016】
各基準エリア101は、位置、形状、及び地理的な大きさを有する。基準エリアの組を定義する情報は、全ての基準エリア101が正方形であり、例えば同じ大きさであることを定義することができる。このような場合、正方形の位置はx、y座標系で定義することができる。より一般的な場合では、グリッド100の基準エリア101は、異なるサイズ及び/又は形状であってもよい。例えば、車両の真正面に在る基準エリア101は小さく、より周辺部に在る基準エリアは大きくてもよい。基準エリア101が正方形又は六角形である場合、その辺は、例えば、10、20又は30センチメートルであってもよい。場合に因っては、グリッド100の長さ及び/又は奥行きは、例えば100メートル又は200メートルであってもよい。
【0017】
範囲検出装置110が範囲検出データを取得すると、範囲検出装置、内部に範囲検出装置が構成される車両又は車両部品等の装置、又は別個の演算基板120は、範囲検出データのデータ項目、又はそれらの少なくとも一部を基準エリアに割り当てることができる。例えば、物体102の一部がグリッド100の基準エリア101にない場合、範囲検出データのデータ項目の一部のみが割り当てられてもよい。
【0018】
詳細には、割り当てられるデータ項目毎に、そのデータ項目の位置が含まれる基準エリア101を決定することを含む。実装形態に因っては、この決定には、適切な座標変換を実行する必要があってもよい。物体102が特定の基準エリア101内に在る場合、この物体102に因って生成されたエネルギー103の反射は、範囲検出装置110に因ってこの特定の基準エリア101内に在る場所に位置が特定される。この位置は、基準エリア101のどれがデータ項目の位置を含み、従ってデータ項目に対応する物体102の位置も含むかを見つける為に、基準エリア101の位置、サイズ及び形状と相関させてもよい。
【0019】
範囲検出データのデータ項目が基準エリア101に割り当てられると、又は割り当て中に、各基準エリア101のデータ項目の大きさが合計される。これに関して、合計には、その大きさが非常に小さい場合であっても、そのようにマッピングされた全てのデータ項目が含まれてもよい。幾つかの実施形態では、合計値のオーバーフローを回避する為に、0~100等の適切な範囲へのスケーリングが実行される。このようなスケーリングは、例えば、summedMagnitude=summedMagnitude+(dataItemMagnitude[i]/maxValue)100のように、iを超える和として実行することができる。ここで、maxValueは、範囲検出装置の最大出力マグニチュード値であり、dataItemMagnitudeは、データ項目に対して実際に感知された反射マグニチュードである。
【0020】
幾つかの実施形態では、合計は、範囲検出装置の2つ以上の掃引又はパルスからのデータ項目の大きさを合計することを含む。幾つかの実施形態では、合計は、範囲検出装置の2つ以上のパルスからのデータ項目の大きさを合計することを含み、範囲検出装置はレーダであり、パルスは異なる周波数である。
【0021】
大きさを合計した後、合計した大きさが閾値を超える基準エリア101の中から選択する為に、基準エリア101に閾値を適用してもよい。こうして選択された基準エリアは、基準エリアの第2の組を形成する。これらの基準エリア101、即ち基準エリアの第2の組は、図2を参照してより詳細に説明されるように、その後ランドマーク候補とみなされることがある。ランドマークに基づくナビゲーションは、例えば自動車のような自律又は半自律走行車において採用されてもよい。割り当てにおいて、データ項目は、基準エリアの組と同様の構造を有するデータ構造にリンクさせるか、又はその中に配置することに因って、基準エリアと関連付けられてもよい。或いは、割り当てを達成する為に、データ項目から基準エリアの組へのリンクを確立してもよい。
【0022】
幾つかの実施形態では、範囲検出データを用いたランドマークに基づくナビゲーションは、例えば、停電、屋内状況、電波妨害等により、衛星測位が利用できないと判断された場合の応答として採用される。
【0023】
ランドマーク認識に加えて、開示されたシステムは人間の検出にも使用できる。詳細には、人間は、レーダデータにおいて、幾つかの小さい大きさの反射の局所的な組として現れることがある。これらの反射の合計であっても、レーダ断面積が非常に高いとは限らないが、互いに近い複数の反射の存在は、人間の潜在的な検出と見なされてもよい。従って、一旦大きさが基準エリアに合計されると、別々に、基準エリア101の合計された大きさが上述したようにランドマーク検出のための閾値を超えない場合であっても、基準エリアが人間検出の閾値を超える数のデータ項目を有するかどうかが考慮されてもよい。幾つかの実施形態では、ランドマーク選択用の閾値が人間の検出にも採用され、更に別の実施形態では、より低い別の閾値が人間の検出に採用される。例えば、人間が車両に轢かれる危険性がある場合に、人間が存在するかどうかを確認するための警告がユーザに提示されてもよい。人間に因って生成された反射のクラスタは、基準エリアのサイズに因っては、隣接する幾つかの基準エリア101に亘ることがある。
【0024】
図2A及び図2Bは、本発明の少なくとも幾つかの実施形態によるランドマークフィッティングを示す図である。図2Aのグリッド100は、図1のグリッド100に対応する。物体102は図2には図示されておらず、寧ろ、ランドマーク検出閾値を超える大きさの合計を有する基準エリア101は黒く着色されている。言い換えれば、黒い基準エリア101はランドマーク候補、即ち基準エリアの第2の組である。図1のグリッドを参照することで推測できるように、第2の組のランドマーク候補の1つは、図1において4つの反射を含み、別のものは3つの反射を含み、第3のものは、単独でランドマーク検出閾値を超える大きさを有する単一の反射である。単一の反射は、例えば金属ポールからの反射であってもよい。
【0025】
このようにグリッドは、同じ対象物の重複検出を除去し、範囲検出データから検出される可能性を高める為に対象物からの反射エネルギーを蓄積することに使用される。
【0026】
図2Bは、範囲検出データが取得された領域における既知のランドマークを示す。装置110又は120が位置する大まかなエリアは、例えば、場合に因っては衛星測位が利用できなくなる前の衛星測位データと組み合わせて、慣性データから知られてもよい。ランドマークデータは、少なくとも1つのランドマークの具体的な位置を含み、任意で、ランドマークの予想される相対的な大きさも含む。ランドマークデータは、ランドマークが検出される角度の関数として、ランドマークの大きさがどのように変化するかを特徴付けることもできる。言い換えれば、幾つかのランドマークは、特定の方向において、レーダ断面積のような大きな大きさを有してもよく、これは、検出されたランドマーク候補とランドマークデータとのマッチングにおいて使用されてもよい。図2Bに示すランドマークデータでは、道路240と同様に3つのランドマーク210、220、230が存在する。
【0027】
ランドマークデータは、ランドマーク候補とランドマークデータに記録されたランドマークとの位置合わせを得る為に、検出されたランドマーク候補、即ち、例えば最小二乗法で基準エリアの第2の組にフィッティング又はマッチングさせてもよい。図2A及び図2Bの状況では、ランドマークデータがランドマーク210、220及び230に対する道路240の位置を特定している為、ランドマーク候補をランドマークデータのランドマークに位置合わせすることで、道路240を使用することが可能になる。図2Aの3つのランドマーク候補は、図2Bのランドマークとよく整合している。例えば、ランドマークとランドマーク候補の間の相対的な距離と角度は同じであり、信頼性の高い一致が得られる。
【0028】
第2の組のランドマーク候補には、例えば駐車中の車両やトラクターなどの一過性の事象によるスプリアス候補が含まれる可能性があることは強調されるべきである。同様に、視野内にランドマークが存在するにも関わらず、例えば、エネルギー吸収要素が範囲検出装置110とランドマークとの間に在り、ランドマークからの大きさの合計がランドマーク検出閾値に満たない場合、ランドマークが範囲検出データに見当たらないことがある。しかし、複数のランドマークが使用される場合、これらの問題は、候補を実際のランドマークに位置合わせることを妨げない。場合に因っては、周囲があまり乱雑でない場合には、単一のランドマークで位置合わせをしてもよい。
【0029】
ランドマークフィッティングにおける重要な例として、道路脇に設置された、電柱と電柱の間隔が一定である金属製の電柱のようなランドマークパターンがある。このような場合、ランドマークの個々のものを個々の候補に合わせることなく、ランドマークのパターンをランドマーク候補のパターンに合わせることで、例えば道路を検出してもよい。
【0030】
第2の組のランドマーク候補を既知のランドマークに適合させる際には、例えば、シンプレックス法、ニュートン法、又はレーベンバーグ・マルカート・アルゴリズム等の最適化アルゴリズムを使用してもよい。ランドマーク位置、又はランドマークパターンパラメータは、範囲検出装置110又は演算基板120の外部のデータベースから取得してもよい。
【0031】
図3は、本発明の少なくとも幾つかの実施形態をサポートすることができる例示的な装置を示す図である。図示されているのは装置300であり、これは、例えば、図1の範囲検出装置110又は演算基板120を備えてもよい。装置300に設けられているのはプロセッサ310であり、プロセッサ310は、例えば、シングルコア又はマルチコアプロセッサを備え、シングルコアプロセッサが1つの処理コアを備え、マルチコアプロセッサが2つ以上の処理コアを備えてもよい。プロセッサ310は、一般に、制御装置を備えてもよい。プロセッサ310は、2つ以上のプロセッサを備えてもよい。プロセッサ310は、制御装置であってもよい。処理コアは、例えば、ARMホールディングス社に因って製造されたCortex-A8処理コア、又はアドバンスト・マイクロ・デバイセズ社に因って設計されたZen処理コアを備えてもよい。プロセッサ310は、少なくとも1つのQualcomm Snapdragonプロセッサ及び/又はIntelCoreプロセッサを備えてもよい。プロセッサ310は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)を備えてもよい。プロセッサ310は、少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を備えてもよい。プロセッサ310は、記憶、取得、割り当て、適用等、装置300における方法の工程を実行するための手段であってもよい。プロセッサ310は、少なくとも部分的に、コンピュータの命令に因って、動作を実行するように構成されてもよい。
【0032】
装置300は、メモリ320を備えてもよい。メモリ320は、ランダムアクセスメモリ及び/又は永久メモリを備えてもよい。メモリ320は、少なくとも1つのRAMチップを備えてもよい。メモリ320は、例えば、ソリッドステートメモリ、磁気メモリ、光学メモリ及び/又はホログラフィックメモリを備えてもよい。メモリ320は、少なくとも一部がプロセッサ310にアクセス可能であってもよい。メモリ320は、少なくとも一部がプロセッサ310内に設けられていてもよい。メモリ320は、情報を記憶する手段であってもよい。メモリ320は、プロセッサ310に実行させるように構成されたコンピュータ命令を含んでいてもよい。プロセッサ310に特定の動作を実行させるように構成されたコンピュータ命令がメモリ320に格納され、装置300全体がメモリ320からのコンピュータ命令を使用してプロセッサ310の指示の下で実行されるように構成されている場合、プロセッサ310及び/又はその少なくとも1つの処理コアは、当該特定の動作を実行するように構成されていると考えられることがある。メモリ320は、少なくとも一部がプロセッサ310を備えてもよい。メモリ320は、少なくとも一部が装置300の外部にあってもよいが、装置300にアクセス可能である。
【0033】
装置300は送信機330を備えてもよい。装置300は、受信機340を備えてもよい。送信機330及び受信機340は、少なくとも1つのセルラー規格又は非セルラー規格に従って、それぞれ情報を送信及び受信するように構成されてもよい。送信機330は、2つ以上の送信機を備えてもよい。受信機340は、2つ以上の受信機を備えてもよい。送信機330及び/又は受信機340は、例えば、移動体通信用グローバルシステム(GSM)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、5G、ロングタームエボリューション(LTE)、IS-95、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、イーサネット及び/又はマイクロ波アクセスのための世界的相互運用性(WiMAX)の規格に従って動作するように構成されてもよい。
【0034】
装置300は、ユーザインタフェース(UI)360を備えてもよい。UI360は、ディスプレイ、キーボード、タッチスクリーン、装置300を振動させることに因ってユーザに信号を送るように配置されたバイブレータ、スピーカ、及びマイクロフォンの内の少なくとも1つを備えてもよい。ユーザは、例えばナビゲーションパラメータ又は閾値を設定する為に、UI360を介して装置300を操作することができてもよい。
【0035】
プロセッサ310は、プロセッサ310から装置300内部の電気リード線を介して、装置300内に設けられている他の装置に情報を出力するように配置された送信機を備えてもよい。このような送信機は、例えば、少なくとも1つの電気リード線を介して情報をメモリ320に出力し、そこに記憶させるように配置されたシリアルバス送信機を備えてもよい。シリアルバスの代わりに、送信機はパラレルバス送信機を備えてもよい。同様に、プロセッサ310は、装置300に設けられた他の装置から、装置300内部の電気リード線を介して、プロセッサ310内の情報を受信するように配置された受信機を備えてもよい。このような受信機は、例えば、プロセッサ310で処理する為に、受信機340から少なくとも1つの電気リード線を介して情報を受信するように配置されたシリアルバス受信機を備えてもよい。シリアルバスの代わりに、受信機はパラレルバス受信機を備えてもよい。装置300は、図3には図示されていない更なる装置を備えてもよい。
【0036】
プロセッサ310、メモリ320、送信機330、受信機340及び/又はUI360は、多数の異なる方法で、装置300内部の電気リード線に因って相互接続されてもよい。例えば、前述の装置の各々は、装置が情報を交換できるように、装置300の内部のマスターバスに個別に接続されてもよい。しかしながら、当業者には理解されるように、これは一例に過ぎず、実施形態に因っては、本発明の範囲から逸脱することなく、前述の装置の少なくとも2つを相互接続する様々な方法を選択してもよい。
【0037】
図4は、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に従った信号伝達を示す図である。縦軸には、左側に衛星航法コンステレーション(SAT)、中央に演算基板120、右側にランドマークデータベースDBが配置されている。時間は上から下に向かって進む。図4の実施形態では、演算基板120は車両に搭載されている。
【0038】
フェーズ410では、車両は衛星航法コンステレーション(SAT)からの測位を使用してナビゲートする。例えば、演算基板120は、旋回アドバイスと共に、図形による地図表示をドライバに提供してもよい。フェーズ420において、演算基板120は、衛星ナビゲーションから十分なデータが利用できなくなったと判断し、これに応じて演算基板120は、データベースDBからのローカルランドマーク情報を要求する。フェーズ430の要求は、例えば、衛星ナビゲーションへの接続が失われる前に衛星ナビゲーションに因って決定された演算基板120の最新の位置を含んでもよい。
【0039】
フェーズ440において、データベースDBは、これに応じて、要求されたランドマーク情報を演算基板120に提供する。その後、フェーズ450において、演算基板120は、図2A及び図2Bに関連して本明細書で上述したように、ランドマークに基づくナビゲーション方法を使用する。これを可能にする為に、車両は、図1に関連して本明細書で上述したように、範囲検出装置110も備える。
【0040】
本明細書に開示されたメカニズムにより、自律走行車等の車両は、単にレーダ探知をフィルタリングするよりも正確に測位する為にランドマークを使用することができる。大きさを蓄積することで、ランドマークが汚れたり損傷を受けたりする等して見かけの大きさが変化する環境でも、この方法を使用することができる。又、本明細書で上述したように、反射数を分析することにより、人間の検出もより信頼性の高いものになる。
【0041】
図5は、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に従った方法のフローチャートである。図示された方法のフェーズは、演算基板120、車両、又はそこに設置された場合にその機能を制御するように構成された制御装置において実行されてもよい。
【0042】
フェーズ510は、基準エリアの組を定義する情報を記憶することを含み、各基準エリアは、位置、形状、及び地理的な大きさを有する。フェーズ520は、複数のデータ項目を含む範囲検出データを取得することを含み、各データ項目は位置と大きさを有する。フェーズ530は、データ項目の少なくとも一部を、同じ基準エリア内の位置を有するデータ項目の大きさが合計されるように、基準エリアの組に割り当てることを含む。最後に、フェーズ540は、基準エリアの中から、閾値を超える統合された大きさを有する基準エリアの第2の組を選択する為に、閾値を適用することを含む。
【0043】
開示される本発明の実施形態は、本明細書に開示される特定の構造、プロセス工程、又は材料に限定されるものではなく、関連技術分野における当業者に因って認識されるそれらの均等物に拡張されることが理解されるであろう。又、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみに使用され、限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0044】
本明細書全体を通じて、一実施形態又は実施形態への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書を通じて様々な箇所で「一実施形態では」又は「実施形態では」という表現が現れるが、必ずしも全てが同じ実施形態を指す訳ではない。例えば、約、実質的に等の用語を用いて数値に言及する場合、正確な数値も開示される。
【0045】
本明細書において、複数の項目、構造要素、構成要素、及び/又は材料は、便宜上、共通のリストで示されることがある。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバーが、別個の固有のメンバーとして個々に識別されるものとして解釈されるべきである。従って、このようなリストの個々のメンバーは、反対の指示なしに、共通のグループにおけるそれらの提示にのみ基づいて、同じリストの他のメンバーの事実上の均等物として解釈されるべきではない。更に、本発明の様々な実施形態及び例が、その様々な構成要素の代替物と共に本明細書で言及される場合がある。このような実施形態、例、及び代替物は、互いの事実上の均等物とは解釈されず、本発明の別個の自律的な表現と見なされることが理解される。
【0046】
更に、記載された特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせてもよい。先の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供する為に、長さ、幅、形状等の例のような多数の具体的な詳細を提供している。しかしながら、関連技術分野の当業者であれば、本発明は、具体的な詳細の1つ以上が無くても、又は他の方法、構成要素、材料等を用いても実施できることを認識するであろう。他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避ける為に、周知の構造、材料、又は操作は示されず、又は詳細に説明されない。
【0047】
上述した実施例は、1つ又は複数の特定の用途における本発明の原理を例示するものであるが、形態、使用法、及び実装の詳細において、発明能力を行使することなく、本発明の原理及び概念から逸脱することなく、多数の改変を行うことができることは、当業者には明らかであろう。従って、以下に記載する特許請求の範囲による以外は、本発明を限定することを意図していない。
【0048】
本明細書では、「備える(comprise)」及び「含む(include)」という動詞は、引用されていない特徴の存在を排除するものでも、要求するものでもない、開かれた限定として使用される。従属請求項に記載された特徴は、特に明示しない限り、相互に自由に組み合わせることができる。更に、本書を通じて「1つの(a)」又は「1つの(an)」、即ち単数形の使用は、複数形を排除するものではないことを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、範囲検出データの管理における産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0050】
GPS 全地球測位システム
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】