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特表2024-533462肥満細胞腫の処置におけるテルペノイドの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】肥満細胞腫の処置におけるテルペノイドの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/575 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 31/365 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 31/4162 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 36/07 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K31/575
A61K31/365
A61K31/4162
A61P35/00
A61K36/07
A61K36/53
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515895
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022076346
(87)【国際公開番号】W WO2023039595
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/243,392
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521007665
【氏名又は名称】アージル・バイオテック・ホールディング・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Arjil Biotech Holding Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100103230
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 裕貢
(72)【発明者】
【氏名】ロ,ジャー-メン
(72)【発明者】
【氏名】リアン,ホイ-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】リン,ペイ-シン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,イェー ビー
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA17
4C086CB22
4C086DA11
4C086GA17
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
4C088AA04
4C088AB38
4C088AC01
4C088AC17
4C088BA10
4C088BA11
4C088BA23
4C088BA32
4C088BA33
4C088CA06
4C088CA14
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZB26
4C088ZC75
(57)【要約】
本発明は、肥満細胞腫を処置する方法であって、有効量の組成物を対象に投与することを含み、ここで、前記組成物は、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)またはアニソメレス・インディカ(Anisomeles indica)由来のテルペノイド抽出物を含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥満細胞腫を処置する方法であって、有効量の組成物を、それを必要としている対象に投与することを含み、ここで、前記対象は非ヒト動物であり、前記組成物は、以下の式からなる群から選択される少なくとも1つの化合物およびその組み合わせを含む方法:
【化1】
【化2】
【請求項2】
前記組成物が、
(a)
【化3】
および
(b)
【化4】
またはこれらの組み合わせ、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、
【化5】
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(a)
【化6】
および
(b)
【化7】
またはこれらの組み合わせ、
を含む組成物。
【請求項5】
【化8】
を含む、請求項4に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)およびアニソメレス・インディカ(Anisomeles indica)抽出物由来の薬草テルペノイドに関し、特に、肥満細胞腫を有効に処置するための薬用および食用処方に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満細胞腫(mastocytoma)またはマスト細胞腫(mast cell tumor)は、多くの非ヒト動物種に発生する肥満細胞からなる円形細胞腫瘍の一種である。肥満細胞腫は、その大きさまたはその部位のために手術による完全な除去が不可能な場合、放射線療法または化学療法などの追加的な処置が必要になることがある。ビンブラスチンおよびロムスチンは、イヌの肥満細胞腫の処置に使用される一般的な化学療法剤である。受容体チロシンキナーゼ阻害物質の例であるトセラニブ(Toceranib)およびマシチニブ(masitinib)は、イヌ科の肥満細胞腫の処置に使用される。両方とも最近、イヌ特異的抗癌薬として米国食品医薬品局から承認された。しかし、化学療法的技術には、使用される医薬の種類に応じてさまざまな副作用が生じる。発癌プロセスを管理または阻止するための薬用植物由来の製品の使用は、疾患の処置に従来の化学薬を使用するよりも安全な選択肢を提供するものである。
【0003】
薬用真菌ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)(AC)はよく知られている中国の民間薬であり、多くの生物活性を有することが知られている。現在までに、高分子(核酸、タンパク質および多糖類)、小分子(ベンゼノイド、リグナン、ベンゾキノンおよびマレイン酸/コハク酸誘導体)、テルペノイド(ラノスタントリテルペン、エルゴスタントリテルペン、ジテルペン、モノテルペンおよびステロイド)、ヌクレオチド(核酸塩基およびヌクレオシド)、脂肪酸、および脂肪酸エステルを含む合計225の化合物が単離され、同定され、構造が解明されている。
【0004】
一般に「インディアン・キャットミント(Indian Catmint)」として知られているアニソメレス・インディカ(Anisomeles indica)は、医薬活性化合物の供給源であり、さまざまな薬理効果を有する。この植物は、伝統的には、鎮痛剤、抗炎症剤として、また皮膚疾患に使用されている。さらなる研究により、主にトリテルペン、β-シトステロール、スチグマステロール、フラボン、アピゲニンおよびオバトジオライドなど、さまざまな植物化学成分の存在が明らかになった。
【0005】
植物テルペノイドは、伝統的な薬草療法に役立っており、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)およびアニソメレス・インディカ(Anisomeles indica)にも豊富に含まれる。しかしながら、肥満細胞腫の処置におけるこれらのテルペノイドおよびそれらの組み合わせの有効性は、評価されていない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、テルペノイドの、RBL-2H3細胞の細胞生存率に対する効果およびβ-ヘキソサミニダーゼ放出に対する阻害効果を示す。
【0007】
図2図2は、RBL-2H3細胞の細胞生存率に対するテルペノイドの効果を示す。
【0008】
図3図3は、RBL-2H3細胞における細胞生存率およびβ-ヘキソサミニダーゼ放出に対するテルペノイドの効果を示す。
【0009】
図4図4は、RBL-2H3細胞における細胞生存率およびβ-ヘキソサミニダーゼ放出に対するテルペノイドの効果を示す。
【0010】
図5図5は、P815細胞生存率に対するテルペノイドを組み合わせた効果を示す。
【0011】
図6図6は、動物の体重および腫瘍体積を示す。
【0012】
図7図7は、30日目の動物の腫瘍体積を示す。
【0013】
図8図8は、30日目の動物の腫瘍重量を示す。
【0014】
図9図9は、30日目の動物の腫瘍体積を示す。
【0015】
図10図10は、23日目の腫瘍外観の写真を示す。
【0016】
図11図11は、腫瘍組織のH&E組織染色を示す。
【0017】
図12図12は、腫瘍組織(Mix-HDおよびAR-DS)のH&E組織染色を示す。
【発明の概要】
【0018】
本発明の説明の便宜上、上記の発明の概要で表現された中心的な思想は、具体的な例によって示されている。その実施態様におけるさまざまな項目は、例示に即した比率、規模、変形量、または置換で示されており、上記の実際の要素の全体像が描かれているわけではない。
【0019】
「テルペノイド」または「テルペン」という用語は、大きく多様な種類の有機化合物を意味し、その基本構造は一般原則に従っている:2-メチルブタン残基は、より正確ではないが、通常はイソプレン単位(C5)nとも称され、テルペンの炭素骨格を形成する。約30000のテルペンが現在文献で知られている。2-メチルブタン(イソプレン)サブユニットの数に応じて、ヘミ-(C5)、モノ-(C10)、セスキ-(C15)、ジ-(C20)、セスター-(C25)、トリ-(C30)およびテトラテルペン(C40)に分けられる。
【化1】
【0020】
本明細書において、「対象」、「個体」、「宿主」および「患者」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含む生きている動物を意味するために互換的に使用される。対象は、例えば、抗原刺激に応答でき、細胞表面受容体結合を介して刺激性および阻害性シグナルを伝達する免疫細胞有する生物であってもよい。対象は哺乳動物であってもよい。例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラットおよびマウス。用語「対象」は、疾患に関して全く正常な個体、または全ての点で正常な個体を排除するものではない。
【0021】
用語「処置」とは、治療的または予防的手段を意味する。処置は、医学的障害を有する対象または最終的に障害を受ける可能性のある対象に、障害または再発する障害の1つまたはそれ以上の症状を予防、治癒、遅延、重症度の軽減または改善するために、またはそのような処置がない場合に予想される生存期間を超えて対象の生存期間を延長するために、投与され得る。
【0022】
用語「治療効な量」とは、所望の応答、例えば、研究者、獣医、医師、または他の臨床医が求める組織、システムまたは動物の生物学的または医学的応答を引き出し得る対象化合物の量を意味する。
【0023】
細胞培養
【0024】
Bioresource Collection and Research Center(Hsinchu City, Taiwan)から購入したマウス肥満細胞腫細胞を、10%ウシ胎児血清(Gibco, Carlsbad, California, USA)、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンを添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco, Carlsbad, California, USA)で培養した。
【0025】
細胞生存率の細胞計数キット-8アッセイ
【0026】
1ウェルあたり1×105細胞のP815細胞をテルペノイドで18時間前処理した。各ウェルに細胞計数キット-8試薬5μLを添加し、4時間インキュベートし、次いで、マイクロプレートリーダー(Tecan Sunrise)により450nmで光学密度を測定した。指示された群の4ウェルの平均光学密度(OD、吸光度)を用いて、以下の式で細胞生存率を計算した:[(OD実験-ODブランク)/(OD対照-ODブランク)]×100%、ここで、OD実験は0.1%DMSOまたはテルペノイドで処理された細胞の吸光度であり、ODブランクは培地のみのウェルの吸光度である。OD対照は0.1%DMSOのみで処理された細胞の吸光度である。
【0027】
β-ヘキソサミニダーゼ放出アッセイ
【0028】
RBL-2H3細胞を24ウェルプレート(0.5×105細胞/0.5mL/ウェル)に播種し、薬剤処理を1日おきに24時間加えた。3日目に、500μLの抗DNP-IgE(0.1μg/mL)を一晩添加した。4日目に、各ウェルに160μLのDNP-BSA(Tyrode緩衝液中0.1μg/mL)を添加し、37℃で1時間反応させる。24ウェルの各ウェルについて、50μLの細胞上清と50μLのP-NAGと混合し(3回)、96ウェルプレートを37℃で1時間反応させた。100μLのストップ緩衝液(stop buffer)を添加し、405nmで吸光度を測定し、β-ヘキソサミニダーゼのデータとする。24ウェルプレートにおいて、各ウェルにMTT試薬(0.5mg/mL)を300μL添加し、37℃で2時間反応させ、上清を除去し、各ウェルにDMSOを300μL添加し、570nmでの吸光度を測定する。データはダネット検定による一元配置分散分析(*p<0.5、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)で計算し、Graph padでプロットした。
【0029】
動物実験
【0030】
すべての動物実験は、台湾の国立中興大学の実験動物管理倫理委員会(Laboratory Animal Management and Ethics Committee of National Chung Hsing University, Taiwan)の承認を得た。200μLの細胞外マトリックスゲル中で培養したP815細胞(0.2mLのPBS中1×105細胞)を、雌のBALB/c(6週)無胸腺ヌードマウス(体重、20±2g)の背部領域に皮下注射した。マウスを病原体のない環境で飼育し、ビヒクル対照群(10%DMSO+90%トリオクタン酸グリセリル)および薬物群といった2群(n=5)に無作為に分けた。両群のマウスには、移植後6日目に毎日強制摂取(gavage feeding)で投与した。全実験期間中、マウスの飼料摂取量および運動活動性を注意深く観察し、腫瘍の大きさを3日ごとに電子ノギスで測定し、腫瘍体積(mm3)を、式:体積=(幅2×長さ)/2に従って計算した。試験終了時(20日目)、全マウスを安楽死させ、腫瘍を迅速に回収して重量を測定した。
【0031】
組織病理学的分析
【0032】
30日目にマウスを犠牲にし、腫瘍を摘出し、10%ホルマリン、5%ギ酸で固定し、パラフィンに包埋した。簡単に述べると、腫瘍切片をヘマトキシリン-エオジン(H&E)で染色し、顕微鏡で分析した。組織切片をキシレンで脱脂し、次に、エタノール(100%、95%、75%、50%)で処理した。組織をヘマトキシリンで1分間、エオジンで5分間染色した。
【0033】
統計分析
【0034】
すべてのデータは平均値±標準偏差で示した。GraphPad Prism 5(GraphPad Software Inc., San Diego, CA, USA)を用いて、一元配置分散分析(one-way ANOVA)、次いでTukeyの事後検定により群間の統計的差異を分析し、対にならない両側t検定(two-tailed t-test)を行い、2つの独立群間の差異を分析した。p-値<0.05を統計的に有意とみなした。
【実施例
【0035】
実施例1. ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物の調製
【0036】
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の子実体100グラムをメタノールで6時間還流し、抽出液を集めて乾燥させることで、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)のメタノール抽出物を合計15グラム得る。
【0037】
実施例2. 活性成分:アントシンK、デヒドロスルフレン酸/スルフレン酸、ベルシスポン酸Dおよびデヒドロエブリコ酸の調製
【0038】
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)のメタノール抽出物を、n-ヘキサン/酢酸エチル/メタノールを溶出剤として使用するシリカカラムクロマトグラフィーでさらに分離し、画分を得る:
【表1-1】
【表1-2】
【0039】
実施例3. 活性成分:AR100-DS1、AR100-DS4~DS13の調製
【0040】
アニソメレス・インディカ(Anisomeles indica)のエタノール抽出物200gをとり、シリカ充填クロマトグラフィーカラム(10×15cm)に加え、各溶出剤:「n-ヘキサン/酢酸エチル(10/1、5/1、3/1、1/1の比率)」、「ヘキサン/酢酸エチル/メタノール(6/4/1、3/2/1の比率)」および「メタノール」1200mlで勾配溶出にかけ、140gの初分離液(initial parting liquid)を得た。
【0041】
初分離液140gを、シリカ充填クロマトグラフィーカラム(10×15cm)を用いて分離し、各溶出剤:「ジクロロメタン」、「ジクロロメタン/メタノール(10/1、5/1、7/3の比率)」及び「メタノール」1000mlで勾配溶出にかけ、一連の分離濃縮物を得た。
【表2-1】
【表2-2】
【0042】
実施例4.テルペノイドの、RBL-2H3細胞の細胞生存率に対する効果およびβ-ヘキソサミニダーゼ放出に対する阻害効果
【0043】
図1に示すように、安全用量の下、AR100-DS1処理群ではβ-ヘキソサミニダーゼ放出の有意な減少が観察された。三重測定の結果を、生存細胞のパーセンテージとして示した。統計分析は、一元配置分散分析(ダネットの多重比較検定)を用いて行った。結果を、少なくとも3回の独立した実験からの平均値±SDで示した。統計的有意性を示す(DMSOと比較して、ns:有意性なし、**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001)。
【0044】
実施例5. RBL-2H3細胞の細胞生存率に対するテルペノイドの効果
【0045】
図2に示すように、細胞生存率はMTTアッセイを用いて測定した。三重測定の結果を、生存細胞のパーセンテージで示した。統計分析は、一元配置分散分析(ダネットの多重比較検定)を用いて行った。結果を、少なくとも3回の独立した実験からの平均値±SDで示した。統計的有意性を示す(DMSOと比較して、ns:有意性なし、**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001)。
【0046】
実施例6. RBL-2H3細胞における細胞生存率およびβ-ヘキソサミニダーゼ放出に対するテルペノイドの効果
【0047】
図3に示すように、細胞生存率を、MTTアッセイを用いて測定した。三重測定の結果を、生存細胞のパーセンテージで示した。統計分析は、一元配置分散分析(ダネットの多重比較検定)を用いて行った。結果を、少なくとも3回の独立した実験からの平均値±SDで示した。統計的有意性を示す(DMSOと比較して、ns:有意性なし、**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001)。
【0048】
実施例7.RBL-2H3細胞におけるβ-ヘキソサミニダーゼ放出に対するテルペノイドの効果
【0049】
図4に示すように、三重測定の結果を、最大抗原誘導脱顆粒のパーセンテージで示した。統計分析は、一元配置分散分析(ダネットの多重比較検定)を用いて行った。結果を、少なくとも3回の独立した実験からの平均値±SDで示した。統計的有意性を示す(DMSOと比較して、ns:有意性なし、**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001)。
【0050】
実施例8. P815細胞の細胞生存率に対するテルペノイドの効果
【0051】
Bioresource Collection and Research Center(Hsinchu City, Taiwan)から購入したマウス肥満細胞腫細胞を、10%ウシ胎児血清(Gibco, Carlsbad, California, USA)、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンを添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco, Carlsbad, California, USA)で培養した。1ウェルあたり1×105個のP815細胞をテルペノイドで18時間前処理した。各ウェルに細胞計数キット-8試薬5μLを加え、4時間インキュベートし、次いで、マイクロプレートリーダー(Tecan Sunrise)により450nmで光学密度を測定した。指示された群の4ウェルの平均光学密度(OD、吸光度)を用いて、以下の式で細胞生存率を計算した:[(OD実験-ODブランク)/(OD対照-ODブランク)]×100%、ここで、OD実験は0.1%DMSO処理細胞またはテルペノイド処理細胞の吸光度であり、ODブランクは培地のみのウェルの吸光度である。OD対照は0.1%DMSOのみで処理した細胞の吸光度である。
【0052】
図5に示すように、試験結果によれば、これらのテルペノイドまたはテルペノイドで構成される組み合わせ群の効果は、特に組み合わせ群において、肥満細胞P815の有意な阻害能を示した。
【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
実施例10.ヌードマウスにおけるP815細胞の発育に対するテルペノイド投与の効果
【0056】
雄性BALB/cマウスを以下の群に分ける:
1. ビークル(10%DMSO+90%オリーブ油)
2. AR100-DS1(2mg/kg)
3. AR100-DS1(7.5mg/kg)
4. AR100-DS1(2mg/kg)+AR101-DS4(0.1mg/kg)
5. AR100-DS1(7.5mg/kg)+AR101-DS4(1mg/kg)
6. AR101-DS4(0.06mg/kg)
7. AR101-DS4(0.24mg/kg)
8. AR101-DS2(1mg/kg)
9. AR101-DS4(4mg/kg)
【0057】
マウスに100μLの試料を2日毎に静脈内投与し、30日目に犠牲にして組織病理学的検査を行った。
【0058】
図6Aに示すように、ビヒクル群のP815肥満細胞腫瘍の体積変化と比較して、以下の群では腫瘍成長の有意な減少が観察された:AR100-DS1+AR101-DS4低用量群、AR100-DS1+AR101-DS4高用量群、AR101-DS2 1mg/kg群およびAR101-DS2 4mg/kg群。
【0059】
図6Bに示すように、経時的な平均体重曲線である。本試験の全群において、動物の体重に有意な変化は示されていない。
【0060】
図7に示すように、ビヒクル群のP815肥満細胞腫瘍の体積変化と比較して、以下の群では、腫瘍成長の有意な減少が観察された:Mix低用量群、Mix高用量群、AR101-DS2 1mg/kg群およびAR101-DS2 4mg/kg群。
【0061】
図8に示すように、我々の試験結果によると、Mix HDは肥満細胞腫の成長を有意に阻害した。統計分析の結果によれば、Mix HDの標準偏差は非常に低く、これは、テルペノイドが肥満細胞癌の処置に強い可能性を示すことを意味している。
【0062】
図9に示すように、我々の試験結果によると、Mix LD、Mix HD、AR101-DS21mg/kgは、肥満細胞腫の成長を有意に阻害した。統計解析の結果によれば、Mix HDおよびAR101-DS2の標準偏差は非常に低く、これは、テルペノイドが肥満細胞癌の処置に強い可能性を示していることを意味する。
【0063】
図10に示すように、P815肥満細胞腫は、尾に近い右後部に位置していた。ビークル群の腫瘍体積変化と比較して、以下の群では、腫瘍の増殖の有意な減少が観察された:Mix LD群、Mix HD群、AR101-DS2 1mg/kg群およびAR101-DS2 4mg/kg群。
【0064】
図11に示すように、MIX-HD群、AR101-DS4 0.06mg群およびAR101-DS2 1mg群では、腫瘍細胞の増殖を阻止し、腫瘍細胞の核凝集を引き起こす能力を示している。このような状況において、これらのプロセスは細胞アポトーシスによって誘導されたのかもしれない。
【0065】
図12に示すように、Mix-HD群およびAR101DS2 1mg/kg群では、腫瘍細胞の増殖を阻止し、腫瘍細胞核の凝集を引き起こし、細胞間の連結の堅固さが失われていた。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】