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特表2024-533467時間尺度を使用して量子デバイスを動作させること
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】時間尺度を使用して量子デバイスを動作させること
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/40 20220101AFI20240905BHJP
【FI】
G06N10/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515910
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022042627
(87)【国際公開番号】W WO2023191845
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】63/243,427
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ヴィクター・クリモフ
(57)【要約】
量子コンピューティングシステムにおいて1つまたは複数のキュービットを動作させるためのシステムおよび方法が提供される。いくつかの例では、方法は、量子デバイスのキュービットの動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データを取得するステップを含み得る。方法は、時間依存の欠陥の発生の確率を下げるために、動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて、動作パラメータ値を選択するステップを含み得る。時間依存の欠陥は、時間依存の挙動を示し得る。方法は、動作パラメータ値において量子デバイスのキュービットを動作させるステップを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子デバイスのキュービットを動作させる方法であって、
量子デバイスのキュービットの動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データを取得するステップと、
時間依存の欠陥の発生の確率を下げるために、前記動作パラメータの前記時間尺度に関連する前記過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて、動作パラメータ値を選択するステップであって、前記時間依存の欠陥が、時間依存の挙動を示す、ステップと、
前記動作パラメータ値において前記量子デバイスの前記キュービットを動作させるステップと
を含む、量子デバイスのキュービットを動作させる方法。
【請求項2】
前記動作パラメータの前記時間尺度が、前記動作パラメータのエネルギー緩和時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キュービットの前記動作パラメータが、動作周波数である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記時間依存の欠陥が、二準位系欠陥との衝突である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記キュービットが、超伝導キュービットである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記動作パラメータ値を選択するステップが、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築するステップであって、前記加重コスト項のうちの少なくとも1つが、過去の時間データと関連付けられる、ステップと、
前記コスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記時間依存の欠陥が、電信性挙動を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記動作パラメータ値を選択するステップが、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築するステップであって、前記コスト関数が過去の欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項のうちの少なくとも1つが、過去の時間データと関連付けられる、ステップと、
前記コスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択するステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記時間依存の欠陥が、拡散性挙動を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記動作パラメータ値を選択するステップが、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築するステップであって、前記コスト関数が未来の予測される欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項のうちの少なくとも1つが、過去の時間データと関連付けられる、ステップと、
前記構築されたコスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記未来の予測される欠陥状態が、前記過去の時間データの外挿に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記未来の予測される欠陥状態が、機械学習モデルに少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記動作パラメータ値を選択するステップが、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築するステップであって、前記コスト関数が未来の予測される欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項が、過去の時間データに関連する第1のコスト項を備え、前記コスト関数が過去の欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項が、過去の時間データに関連する1つまたは複数の第2のコスト項を備える、ステップと、
前記構築されたコスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記コスト関数が、より最近の過去の時間データに関連するコスト項よりも、より遠い過去の時間データに関連するコスト項をより軽く重み付ける、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
複数の超伝導キュービットであって、各キュービットが、動作周波数を使用して動作させられるように構成され、各動作周波数が、エネルギー緩和時間と関連付けられる、超伝導キュービットと、
動作を実行するために1つまたは複数のメモリデバイスに記憶されたコンピュータ可読命令を実行するように構成される1つまたは複数のプロセッサと
を備え、前記動作が、
二準位状態欠陥の発生の確率を下げるために、各動作周波数に対するエネルギー緩和時間に関連する過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて、前記複数の超伝導キュービットのための動作周波数のセットを決定することと、
動作周波数の前記セットにおいて前記複数の超伝導キュービットを動作させることと
を含む、量子コンピューティングシステム。
【請求項16】
前記動作周波数が、アイドリング周波数、相互作用周波数、読み出し周波数、またはリセット周波数を含む、請求項15に記載の量子コンピューティングシステム。
【請求項17】
隣接するキュービットが、相互作用するように動作可能である、請求項15に記載の量子コンピューティングシステム。
【請求項18】
古典的処理デバイスまたは量子処理デバイスによって実行可能な命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体であって、そのような実行が、前記処理デバイスに、
量子デバイスのキュービットの動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データを取得することと、
時間依存の欠陥の発生の確率を下げるために、前記動作パラメータの前記時間尺度に関連する前記過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて、動作パラメータ値を選択することであって、前記時間依存の欠陥が、時間依存の挙動を示す、選択することと、
前記動作パラメータ値において前記量子デバイスの前記キュービットを動作させることと
を含む動作を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
動作パラメータ値を選択する前記動作が、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築することであって、前記加重コスト項のうちの少なくとも1つが、過去の時間データと関連付けられる、構築することと、
前記コスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択することと
を含む、請求項18に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
動作パラメータ値を選択する前記動作が、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築することであって、前記コスト関数が未来の予測される欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項が、過去の時間データと関連付けられる第1のコスト項を備え、前記コスト関数が過去の欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項が、過去の時間データに関連する1つまたは複数の第2のコスト項を備える、構築することと、
前記コスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択することと
を含む、請求項18に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれている、2021年9月13日に出願された、「Operating Quantum Devices Using a Temporal Metric」という名称の米国仮出願第63/243,427号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、量子コンピューティングシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
量子コンピューティングは、古典的デジタルコンピュータよりも効率的に何らかの計算を実行するために、基底状態の重ね合わせおよびもつれなどの量子効果を利用するコンピューティング方法である。ビット、たとえば「1」または「0」という形態で情報を記憶して操作するデジタルコンピュータとは対照的に、量子コンピューティングシステムは、量子ビット(「キュービット」)を使用して情報を操作することができる。キュービットは、複数の状態、たとえば「0」状態と「1」状態の両方にあるデータの重ね合わせを可能にする量子デバイス、および/または、複数の状態にあるデータの重ね合わせ自体を指し得る。従来の用語に従うと、量子システムにおける「0」状態と「1」状態との重ね合わせは、たとえば|0>+b|1>と表され得る。デジタルコンピュータの「0」状態と「1」状態とは、それぞれキュービットの|0>基底状態と|1>基底状態とに似ている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態の態様および利点は、以下の説明に一部記載され、または説明から知ることができ、または実施形態の実践を通じて知ることができる。
【0005】
本開示の1つの例示的な態様は、量子デバイスのキュービットを動作させる方法を対象とする。方法は、量子デバイスのキュービットの動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データを取得するステップを含み得る。方法は、時間依存の欠陥の発生の確率を下げるために、動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて、動作パラメータ値を選択するステップを含み得る。時間依存の欠陥は、時間依存の挙動を示し得る。方法は、動作パラメータ値において量子デバイスのキュービットを動作させるステップを含み得る。
【0006】
本開示の他の態様は、様々なシステム、方法、装置、非一時的コンピュータ可読媒体、コンピュータ可読命令、およびコンピューティングデバイスを対象とする。
【0007】
本開示の様々な実施形態のこれらおよび他の特徴、態様、ならびに利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照すると、より理解されるようになるだろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明と一緒に、関連する原理を説明する。
【0008】
当業者を対象とする実施形態の詳細な議論が、本明細書に記載され、本明細書は、添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の例示的な実施形態による例示的な量子コンピューティングシステムを示す図である。
図2】キュービットの動作周波数対エネルギー緩和時間の例示的なプロットを示す図である。
図3】キュービットのエネルギー緩和時間の例示的な経時的電信性挙動(telegraphic behavior)を示す図である。
図4】キュービットのエネルギー緩和時間の例示的な経時的拡散性挙動(diffusive behavior)を示す図である。
図5】本開示の例示的な実施形態による、量子コンピューティングシステムの1つまたは複数のキュービットの各々の動作パラメータを決定するための例示的なシステムを示す図である。
図6】本開示の例示的な実施形態による、量子コンピューティングシステムにおける1つまたは複数のキュービットの各々の動作パラメータを決定するための例示的な方法の流れ図である。
図7】本開示の例示的な実施形態による、量子コンピューティングシステムの1つまたは複数のキュービットの各々の動作パラメータを選択するための例示的な方法の流れ図である。
図8】本開示の例示的な実施形態による、動作パラメータの電信性挙動に対処するためのコスト関数を生成するための例示的な手法を示す図である。
図9】本開示の例示的な実施形態による、加重コスト項の例示的な生成を示す図である。
図10】本開示の例示的な実施形態による、動作パラメータの拡散性挙動に対処するためのコスト関数を生成するための例示的な手法を示す図である。
図11】本開示の例示的な実施形態による、動作パラメータの拡散性挙動および電信性挙動に対処するためのコスト関数を生成するための例示的な手法を示す図である。
図12】本開示の例示的な実施形態による、未来の欠陥状態を予測するための機械学習モデル(machine learned model)の例示的な訓練を示す図である。
図13】本開示の例示的な実施形態による、未来の欠陥状態を予測するための機械学習モデルの例示的な適用を示す図である。
図14】本開示の例示的な実施形態による、本開示の態様を実装するために使用され得る例示的な古典的コンピューティング環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の例示的な態様は、量子コンピューティングシステムのキュービットを動作させるためのシステムおよび方法を対象とする。量子デバイスを動作させることについての1つの問題は、キュービットがデコヒーレンスを起こす(たとえば、ディフェーズを起こすおよび/または望ましくない状態遷移を行う)ことがあるということである。計算が完了する前に発生するデコヒーレンスは、エラーにつながり得る。
【0011】
たとえば、量子コンピューティングデバイスは、複数のキュービット(たとえば、超伝導キュービット)を有する量子プロセッサを含み得る。各キュービットは、動作パラメータに従って動作させられ得る。動作パラメータの有効性は、時間尺度(たとえば、この尺度は時間とともに変化し得る)に依存し得る。時間尺度は、動作パラメータの関数として変化することがあり、経時的に変化することがある。いくつかの場合、時間尺度は、たとえば複数のキュービットを実装するために使用される材料の二準位系(TLS)欠陥などの欠陥と衝突または同時発生することに起因する、時間依存の材料欠陥と関連付けられ得る。
【0012】
たとえば、量子プロセッサは、たとえば2次元格子に並べられた複数のキュービットを含んでもよく、隣接するキュービットは相互作用することが許可される。各キュービットは、それぞれの動作周波数(たとえば、それぞれのアイドリング周波数、および/または相互作用周波数、および/または読み出し周波数、および/またはリセット周波数)を使用して動作させられ得る。動作周波数は、キュービットごとに異なり得る(たとえば、各キュービットは異なる動作周波数においてアイドリングし得る)。
【0013】
いくつかの動作周波数は他の動作周波数より良い。あるキュービットについてある特定の動作周波数を評価するための時間尺度は、動作周波数に対するエネルギー緩和時間であり得る。より短いエネルギー緩和時間はより大きい量子計算エラーにつながり得るので、エネルギー緩和時間が長い周波数においてキュービットを動作させるのが望ましいことがある。
【0014】
しかしながら、キュービットのエネルギー緩和時間は、動作周波数および時間に基づいて数桁変動し得る。これに関して、エネルギー緩和時間の時間に基づく変動は、量子コンピュータの規模拡大の障害になり得る。エネルギー緩和時間の一部の変動は、材料の二準位系欠陥の遷移がキュービットの遷移と衝突する(たとえば、共鳴状態になる、および共鳴状態から外れる)ことまたは同時発生することによって引き起こされ得る。いくつかの場合、変動は電信性挙動を示すことがあり、この場合、欠陥は複数の離散状態の間で動く。代替として、変動は拡散性挙動を示すことがあり、この場合、欠陥は半連続的に揺らぐ。さらに別の形態では、欠陥は電信性挙動および拡散性挙動の各々の一部を示すことがある。
【0015】
周波数調整可能なキュービットのアーキテクチャでは、二準位系欠陥は、単キュービットゲート、多キュービットゲート、リセット、および読み出しが起こる周波数を最適化することによって減らされ得る。しかしながら、周波数のこの最適化は、時間尺度(たとえば、エネルギー緩和時間)の時間依存の挙動、および二準位系遷移との衝突の時間依存性などの関連する時間依存の欠陥を考慮しない。
【0016】
本開示の態様は、未来の欠陥を予測して回避するために過去の時間データを活用するシステムおよび方法を説明する。過去の時間データは、キュービットのための動作パラメータを選択する際に制約を実施するために使用され得る。これらの制約は、時間依存の欠陥と同時発生するようなキュービットの動作のための動作パラメータを決定する確率を下げることができる。
【0017】
たとえば、いくつかの実施形態では、加重コスト項の合計であるコスト関数が構築され得る。加重コスト項のうちの少なくとも1つは、制約を実施するために過去の時間データと関連付けられ得る。コスト関数は、動作パラメータの動作パラメータ値を選択するために最適化され、または別様に使用され得る。量子デバイスは、性能を改善して欠陥によるエラーの発生を減らすために、キュービットの決定された動作パラメータにおいて動作させられ得る。
【0018】
いくつかの実装形態では、コスト関数が過去の欠陥状態をコスト関数へと埋め込むように、コスト関数はコスト項を含み得る。この手法は、電信性欠陥に適していることがある。いくつかの実施形態では、コスト関数は、未来の予測される欠陥状態をコスト関数へと埋め込むコスト項を含み得る。未来の予測される欠陥状態は、過去の時間データから外挿され得る。この外挿は、たとえば、多項式近似または機械学習モデル(たとえば、ニューラルネットワークを使用して実装される)を用いて果たされ得る。これは、拡散性挙動を示す欠陥に対して適切であることがある。過去の欠陥状態と過去の時間データから外挿された未来の予測される欠陥状態の両方に関連するコスト項を使用したハイブリッド手法が、電信性挙動と拡散性挙動の両方を示す欠陥などの他の事例には適切であることがある。
【0019】
本開示の例示的な態様によるシステムおよび方法は、いくつかの技術的な効果および利点を有し得る。たとえば、本開示の例示的な態様に従って動作させられる量子コンピューティングデバイスは、エラーをより少なくして正確さを高めながら計算を実行し得る。加えて、エラーの低減は、量子コンピューティングシステムのコヒーレンシーの向上、およびより多数のキュービットを含むように量子コンピューティングシステムを規模拡大する能力をもたらし得る。
【0020】
ここで図を参照すると、本開示の例示的な実施形態がさらに詳しく論じられる。本明細書で使用されるように、「約」という用語を値とともに使用することは、その値の20%以内であることを指す。
【0021】
図1は、例示的な量子コンピューティングシステム100を示す。システム100は、1つまたは複数の位置にある1つまたは複数の古典的コンピュータおよび/または量子コンピューティングデバイスのシステムの一例であり、その中で、以下で説明されるシステム、コンポーネント、および技法が実装され得る。当業者は、本明細書で与えられる開示を使用して、他の量子コンピューティングデバイスまたはシステムが本開示の範囲から逸脱することなく使用され得ることを理解するだろう。
【0022】
システム100は、1つまたは複数の古典的プロセッサ104とデータ通信している量子ハードウェア102を含む。古典的プロセッサ104は、本明細書で説明される動作のいずれかなどの動作を実行するために、1つまたは複数のメモリデバイスに記憶されているコンピュータ可読命令を実行するように構成され得る。量子ハードウェア102は、量子計算を実行するためのコンポーネントを含む。たとえば、量子ハードウェア102は、量子システム110、制御デバイス112、および読み出しデバイス114(たとえば、読み出し共振器)を含む。量子システム110は、キュービット(たとえば、キュービット120)のレジスタなどの、1つまたは複数のマルチレベル量子サブシステムを含み得る。いくつかの実装形態では、マルチレベル量子サブシステムは、フラックスキュービット、チャージキュービット、トランズモンキュービット、gmonキュービットなどの超伝導キュービットを含み得る。
【0023】
システム100が利用するマルチレベル量子サブシステムのタイプは様々であり得る。たとえば、いくつかの場合、1つまたは複数の超伝導キュービット、たとえば、トランズモンキュービット、フラックスキュービット、gmonキュービット、xmonキュービット、または他のキュービットに取り付けられた1つまたは複数の読み出しデバイス114を含むと都合がよいことがある。他の場合には、イオントラップ、フォトニックデバイス、または超伝導空洞(たとえば、それを用いるとキュービットを必要とすることなく状態が準備され得る)が使用され得る。マルチレベル量子サブシステムの実現のさらなる例には、fluxmonキュービット、シリコン量子ドット、またはリン不純物キュービットがある。
【0024】
量子回路が構築され、それは、1つまたは複数の制御デバイス112に結合される複数の制御線を介して、量子システム110に含まれるキュービットのレジスタに適用され得る。キュービットのレジスタ上で動作する例示的な制御デバイス112は、量子ゲートを、または、複数の量子ゲート、たとえば、Pauliゲート、Hadamardゲート、制御NOT(CNOT)ゲート、制御位相ゲート、Tゲート、多キュービット量子ゲート、カプラ量子ゲートなどを有する量子回路を実装するために使用され得る。1つまたは複数の制御デバイス112は、1つまたは複数のそれぞれの制御パラメータ(たとえば、1つまたは複数の物理制御パラメータ)を通じて量子システム110上で動作するように構成され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、マルチレベル量子サブシステムは超伝導キュービットであってもよく、制御デバイス112は、キュービットの周波数を調整するように磁場を生成するために、制御パルスを制御線に提供するように構成されてもよい。
【0025】
量子ハードウェア102はさらに、読み出しデバイス114(たとえば、読み出し共振器)を含み得る。測定デバイスを介して取得される測定結果108は、処理および分析のために古典的プロセッサ104に提供され得る。いくつかの実装形態では、量子ハードウェア102は量子回路を含んでもよく、制御デバイス112および読み出しデバイス114は、量子ハードウェア102に含まれるワイヤを通じて送信される物理制御パラメータ(たとえば、マイクロ波パルス)を通じて量子システム110上で動作する1つまたは複数の量子論理ゲートを実装してもよい。制御デバイスのさらなる例は任意の波形生成器を含み、デジタルアナログコンバータ(DAC)が信号を作成する。
【0026】
読み出しデバイス114は、量子システム110上で量子測定を実行し、測定結果108を古典的プロセッサ104に送信するように構成され得る。加えて、量子ハードウェア102は、物理制御キュービットパラメータ値106を指定するデータを古典的プロセッサ104から受信するように構成され得る。量子ハードウェア102は、受信された物理制御キュービットパラメータ値106を使用して、量子システム110上の制御デバイス112および読み出しデバイス114のアクションを更新し得る。たとえば、量子ハードウェア102は、制御デバイス112に含まれる1つまたは複数のDACの電圧の強さを表す新しい値を指定するデータを受信してもよく、それに従って、量子システム110上のDACのアクションを更新してもよい。古典的プロセッサ104は、たとえば、パラメータ106の初期セットを指定するデータを量子ハードウェア102に送信することによって、初期量子状態に量子システム110を初期化するように構成され得る。
【0027】
いくつかの実装形態では、読み出しデバイス114は、キュービットなどの量子システムの要素の|0>状態および|1>状態に対するインピーダンスの差を利用して、要素(たとえば、キュービット)の状態を測定することができる。たとえば、読み出し共振器の共振周波数は、キュービットの非線形性により、キュービットが状態|0>のときと状態|1>のときで異なる値をとり得る。したがって、読み出しデバイス114から反射されるマイクロ波パルスは、キュービット状態に依存する振幅および位相のずれをもつ。いくつかの実装形態では、キュービット周波数におけるマイクロ波伝播を妨げるために、Purcellフィルタが読み出しデバイス114とともに使用され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、量子システム110は、たとえば2次元格子122に並べられた複数のキュービット120を含み得る。わかりやすくするために、図1に示される2次元格子122は4×4のキュービットを含むが、いくつかの実施形態では、システム110はより少数またはより多数のキュービットを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のキュービット120は、複数のキュービットカプラ、たとえばキュービットカプラ124を通じて互いに相互作用することができる。キュービットカプラは、複数のキュービット120間の最隣接相互作用を定義することができる。いくつかの実装形態では、複数のキュービットカプラの強さは調整可能なパラメータである。いくつかの場合、量子コンピューティングシステム100に含まれる複数のキュービットカプラは、不変の結合強度をもつカプラであり得る。
【0029】
いくつかの実装形態では、複数のキュービット120は、キュービット126などのデータキュービット、およびキュービット128などの測定キュービットを含み得る。データキュービットは、システム100によって実行されている計算に参加するキュービットである。測定キュービットは、データキュービットによって実行される計算の結果を決定するために使用され得るキュービットである。すなわち、計算の間、データキュービットの未知の状態が、適切な物理的動作を使用して測定キュービットに移され、測定キュービットに対して実行される適切な測定動作を介して測定される。
【0030】
いくつかの実装形態では、複数のキュービット120の中の各キュービットは、アイドリング周波数、および/または相互作用周波数、および/または読み出し周波数、および/またはリセット周波数などの、それぞれの動作周波数を使用して動作させられ得る。動作周波数はキュービットごとに異なり得る。たとえば、各キュービットは、異なる動作周波数においてアイドリングすることができる。キュービット120の動作周波数は、計算が実行される前に選ばれ得る。
【0031】
いくつかの動作周波数は他の動作周波数より良い。ある特定のキュービットについてある特定の動作周波数がどの程度良いかを評価するための1つの尺度は、その周波数におけるそのキュービットのエネルギー緩和時間(T1)である。より短いエネルギー緩和時間は、より大きい量子計算エラーにつながり得る。その点で、エネルギー緩和時間が長い周波数においてキュービットを動作させるのが望ましいことがある。
【0032】
図2は、量子ビット周波数132とエネルギー緩和時間(T1)134との間の例示的な関係を示すプロット130を示す。理想的には、エネルギー緩和時間はキュービット周波数の関数として滑らかに変化する。しかしながら、プロット130に示されるように、現実には、エネルギー緩和時間は、下方のスパイク136により実証されるように、欠陥によりキュービット周波数の関数として散発的に変動し得る。この欠陥は、たとえば、二準位系(TLS)欠陥の遷移周波数が動作周波数と共鳴するようになることによるものであり得る。
【0033】
エネルギー緩和時間は、時間とともに変化することもある。その点で、エネルギー緩和時間は、キュービットの動作周波数の動作パラメータに関連する時間尺度である。たとえば、図3は、動作周波数142と時間146の関数としてのエネルギー緩和時間144とのプロット140を示す。プロット140におけるより暗いピクセルは、TLS欠陥との衝突などの欠陥に起因し得るエネルギー緩和時間の短縮を表す。示されるように、欠陥が生じる動作周波数は、時間とともに変化し、時間依存の挙動を示し得る。図3の例では、欠陥は複数の離散的な周波数の間を動く。この点で、図3の例では、時間依存の欠陥は電信性挙動を示している(たとえば、欠陥は複数の離散的な周波数の間を動く)。
【0034】
別の例として、図4は、動作周波数152と時間156の関数としてのエネルギー緩和時間154とのプロット150を示す。プロット150におけるより暗いピクセルは、TLS欠陥などの欠陥に起因し得るエネルギー緩和時間の短縮を表す。示されるように、欠陥が発生する動作周波数は、時間とともに変化し、時間依存の挙動を示し得る。図4の例では、欠陥は時間とともに半連続的に揺らぐ。この点で、図4の例では、時間依存の欠陥は拡散性挙動を示している(たとえば、欠陥は時間とともに揺らぐ)。
【0035】
図3および図4により実証されるように、緩和時間の短縮により実証される欠陥は、電信性挙動、拡散性挙動、または電信性挙動と拡散性挙動の両方を示し得る。本開示の態様は、TLS欠陥などの欠陥の時間依存の挙動に起因し得るエラーを減らすために、量子デバイスのキュービットを動作させることを対象とする。
【0036】
本開示の態様は、欠陥をもたらす確率の低いキュービットの動作パラメータを決定することによって、(たとえば、TLS欠陥と衝突する)時間依存の欠陥の発生を減らす方式でキュービットを動作させるシステムと方法を対象とする。たとえば、本開示の例示的な態様によるシステムおよび方法は、TLSによるエネルギー緩和時間の落ち込みを避けるキュービットの動作周波数を決定することができる。
【0037】
特定の態様では、動作パラメータは、キュービットに関連する過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて決定される。過去の時間データは、時間尺度(たとえば、エネルギー緩和時間)が時間とともにどのように変動するかを示し得る。過去の時間データは、キュービットの欠陥(たとえば、TLS欠陥と衝突する)をもたらし得る動作パラメータを選択する確率を下げるために、過去の時間データの知識を組み込む最適化問題において制約を実施するために使用され得る。
【0038】
本開示の態様は、例示および議論を目的に、2次元格子に並べられたキュービット(たとえば、超伝導キュービット)を参照して論じられる。動作パラメータはキュービット動作周波数である。時間尺度はエネルギー緩和時間であり得る。欠陥は二準位系欠陥との衝突であり得る。
【0039】
当業者は、本明細書で与えられる開示を使用して、本開示の態様が、本開示の範囲から逸脱することなく任意のタイプのキュービットおよびアーキテクチャとともに使用され得ることを理解するだろう。たとえば、キュービットは、スピンキュービット量子プロセッサにおけるスピンキュービット、またはイオントラップ型量子プロセッサにおけるイオンであり得る。
【0040】
本開示の範囲から逸脱することなく、動作パラメータは任意の調整可能なパラメータであり得る。たとえば、スピンキュービットでは、動作パラメータは外部磁場であり得る。
【0041】
本開示の範囲から逸脱することなく、任意の時間依存の挙動が示され得る。たとえば、超伝導キュービットのための動作周波数を選択する場合、時間依存の挙動は、単キュービットゲート、多キュービットゲート、リセット、および/または読み出しを実装するために使用され得る。本開示の範囲から逸脱することなく、動作パラメータ間の依存性は変化し得る。たとえば、2キュービットゲートの周波数軌跡は、単キュービットゲートの周波数軌跡に依存し得る。
【0042】
本開示の範囲から逸脱することなく、任意の時間尺度が使用され得る。たとえば、時間尺度は、単キュービットランダム化ベンチマーキング、単キュービットクロスエントロピーベンチマーキング、2キュービットランダム化ベンチマーキング、2キュービットクロスエントロピーベンチマーキング、ディフェージング時間、または他の適切な尺度に基づき得る。
【0043】
本開示の範囲から逸脱することなく、任意の欠陥が考慮され得る。たとえば、欠陥は、変化するマイクロ波モードまたは核スピンに起因し得る。
【0044】
図5は、本開示の例示的な実施形態による、1つまたは複数のキュービットの動作周波数を決定するための例示的なシステム200を示す。システム200は、1つまたは複数の位置にある1つまたは複数の量子コンピュータまたは古典的コンピュータ上で、量子コンピュータプログラムまたは古典的コンピュータプログラムとして実装されるシステムの一例であり得る。
【0045】
システム200は、計算を実行するために使用されるべき量子コンピューティングデバイスを表す入力データ、たとえば入力データ206を受信する。たとえば、入力データ206は、量子コンピューティングデバイスに含まれるキュービットのタイプ、量子コンピューティングデバイスに含まれるキュービットの数、量子コンピューティングデバイスに含まれるキュービット間の相互作用のタイプ、量子コンピューティングデバイスに含まれるキュービットのアクセス可能周波数範囲、量子コンピューティングデバイスに含まれるキュービットの予測および/もしくは測定される緩和時間ならびに/またはコヒーレンス時間などの、量子コンピューティングデバイスに含まれるキュービットの特性を表すデータを含み得る。
【0046】
入力データ206はさらに、許されるキュービット動作周波数構成の数を減らすために使用され得る最適化制約を表すデータを含み得る。最適化制約は、量子デバイス(およびその制御システム)の物理的制約および工学的制約に基づいてもよく、変化してもよい。たとえば、最適化制約は、隣接するキュービット間の周波数の差についての所定の制約、たとえば、隣接するキュービットが互いにX GHz離れてアイドリングするようにキュービット周波数を制約すること、異なるタイプの動作周波数間の関係についての所定の制約、たとえば、アイドリング周波数の概ね平均において相互作用するように隣接するキュービットを制約すること、または、受け入れられる周波数の許容誤差についての所定の制約を含み得る。
【0047】
本開示の特定の態様によれば、最適化制約は、量子デバイスにおける1つまたは複数のキュービットの時間尺度(たとえば、エネルギー緩和時間)に関連する過去の時間データに少なくとも一部基づき得る。過去の時間データは、たとえば、時間とともに変化する動作周波数において、キュービットの欠陥の電信性挙動および/または拡散性挙動を実証し得る。
【0048】
システム200は、コスト関数生成器202を含む。コスト関数生成器202は、入力データ206を受信し、入力データ206によって指定される量子デバイスの動作状態に対応するコストとキュービット動作周波数値を対応付ける第1のコスト関数を定義するように構成され得る。量子デバイスの動作状態は、量子アルゴリズムの実行の間に量子デバイスによって使用されるキュービット動作周波数のセット、たとえばアイドリング周波数および相互作用周波数として定義され得る。
【0049】
本開示の例示的な態様によれば、コスト関数は複数の加重コスト項を含み得る。加重コスト項のうちの少なくとも1つは、時間尺度に関連する過去の時間データと関連付けられ得る。そのようなコスト関数および例示的なコスト関数項を定義することは、図7から図13を参照して以下で詳しく説明される。
【0050】
システムはコスト関数調整器204を含み得る。コスト関数調整器は、1つまたは複数の最適化制約を表す入力データを受信し、調整されたコスト関数を定義するためにコスト関数生成器202によって定義される第1のコスト関数に1つまたは複数の制約を適用するように構成される。
【0051】
システムは最適化器210を含み得る。最適化器210は、入力データ206によって指定される量子デバイスの動作状態が改善されるように、たとえば、調整されたキュービット動作周波数値を使用して量子コンピューティングデバイスによって実行される計算にエラーがより生じにくいように、コスト関数調整器204によって定義される調整されたコスト関数に従ってコストを変化させるためにキュービット動作周波数値を調整するように構成され得る。最適化器210は、調整されたコスト関数に従ってコストを変化させるためにキュービット動作周波数値を調整することの一部として、様々な標準的な最適化ルーチンを実施するように構成され得る。例示的な最適化ルーチンは以下で説明される。
【0052】
システム200は、キュービット動作周波数を表すデータ、たとえば出力データ208を出力として生成する。生成された出力データ208は、キュービット/キュービットを含む量子デバイスを動作させ、計算を実行するために使用され得る。
【0053】
図6は、本開示の例示的な実施形態による、量子コンピューティングデバイスにおいて1つまたは複数のキュービットを動作させるための例示的な方法300の流れ図を示す。方法300は、図1に説明されるシステムなどの任意の適切な量子コンピューティングシステムおよび/または古典的コンピューティングシステムを使用して実装され得る。図6は、例示および議論を目的に、特定の順序で実行される動作を示す。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本明細書で説明される方法のいずれかの動作が拡張され得、示されない、省略された、並べ替えられた、および/または本開示の範囲から逸脱することなく様々な方法で改変されたステップを含み得ることを理解するだろう。
【0054】
302において、方法300は、1つまたは複数のキュービットの動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データを取得するステップを含む。いくつかの実施形態では、過去の時間データは、キュービットに関連する異なる動作周波数におけるエネルギー緩和時間と関連付けられ得る。動作周波数は、たとえば、相互作用するキュービットのネットワークにおいて最隣接の相互作用するキュービットを動作させるべきアイドリング周波数および/または相互作用周波数であり得る。エネルギー緩和時間に関連する過去の時間データの例が、図3および図4において与えられる。
【0055】
304において、方法300は、時間依存の欠陥(たとえば、TLS欠陥と衝突する)の発生の確率を下げるために、動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて、動作パラメータ値を選択するステップを含む。時間依存の欠陥は、時間依存の挙動(たとえば、電信性挙動および/または拡散性挙動)を示し得る。例示的な実施形態では、動作パラメータを選択することは、過去の時間データに基づいて制約を実施するコスト関数を制約することを含み得る。最適化動作は、動作パラメータの動作パラメータ値を選択するためにコスト関数を使用して実行され得る。コスト関数を構築して最適化動作を実行することに関する詳細は、図7から図13を参照して詳しく論じられる。
【0056】
306において、方法300は、選択された動作パラメータ値において量子デバイスのキュービットを動作させるステップを含む。たとえば、2次元格子の中の複数のキュービットは、量子動作を実行する(たとえば、量子アルゴリズムを実施する、単キュービットゲートを実装する、多キュービットゲートを実装する、読み出しを実行するなど)ために、キュービットの各々に対して決定される動作周波数において動作させられ得る。
【0057】
ここで図7から図13を参照すると、過去の時間データに基づいて動作パラメータ値を選択するステップの例示的な実装形態が記載される。図7は、本開示の例示的な実施形態による時間依存の欠陥の発生の確率を下げるために、動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて動作パラメータ値を選択するための例示的な方法400の流れ図を示す。方法400は、図1において説明されるシステムなどの、任意の適切な量子コンピューティングシステムおよび/または古典的コンピューティングシステムを使用して実装され得る。図7は、例示および議論を目的に特定の順序で実行される動作を示す。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本明細書で説明される方法のいずれかの動作が拡張され得、示されない、省略された、並べ替えられた、および/または本開示の範囲から逸脱することなく様々な方法で改変されたステップを含み得ることを理解するだろう。
【0058】
ステップ402において、方法は、複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築するステップを含む。コスト関数は、量子デバイスの状態に対応するコスト(たとえば、実数)とキュービットの動作パラメータ値(たとえば、動作周波数値)を対応付けることができる。より低いコストは、量子デバイスに対するより良い動作状態に対応し得る(たとえば、よりエラーレートの低い量子アルゴリズムを実装する)。コスト関数は複数の加重コスト項を有し得る。コスト関数項および重みは、たとえば、量子コンピューティングデバイスに含まれるキュービットの特性を表すデータに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。
【0059】
404において、方法は、過去の時間データに基づいて、コスト関数におけるコスト項を実装するステップを含む。たとえば、コスト関数における加重コスト項のうちの少なくとも1つは、過去の時間データに少なくとも一部基づき得る。過去の時間データに基づく加重コスト項は、欠陥の時間依存の挙動を考慮して構築され得る。たとえば、加重コスト項は、欠陥が電信性挙動を示すか、拡散性挙動を示すか、または電信性挙動と拡散性挙動の組合せを示すかを考慮することによって構築され得る。例示的なコスト関数に関する詳細は以下に記載される。
【0060】
406において、方法は、コスト関数に基づいて、動作パラメータ値を選択するステップを含む。たとえば、1つまたは複数のキュービットの動作パラメータ値を決定するために、最適化プロセスがコスト関数に対して実行され得る。いくつかの実施形態では、動作周波数などの動作パラメータは、2次元格子に並べられるキュービットに対して決定され得る。例示的な最適化プロセスに関する詳細が以下に記載される。
【0061】
図8は、電信性挙動を示す欠陥に対処するための加重コスト項を有するコスト関数502の例示的な構築を示す。加重コスト項は、コスト関数502が少なくとも1つの過去の欠陥状態をコスト関数へと埋め込むように、過去の時間データと関連付けられ得る。
【0062】
より具体的には、電信性欠陥状態は、複数の離散的な欠陥状態の間で突然飛ぶことがある。電信性欠陥を減らすための手法は、図8に示される現在および過去の測定された(たとえば、モデル化されていない)コスト関数の加重和であるコスト関数を構築することであり得る。より具体的には、コスト関数502は、時間t0に関連する現在のコスト関数504、ならびに時間t-1、t-2、およびt-3にそれぞれ関連する過去の測定されたコスト関数506、508、および510の加重和であり得る。このようにして、複数の過去の欠陥状態はコスト関数に埋め込まれ得る。過去の欠陥状態をコスト関数に埋め込むことによって、コスト関数は、欠陥状態が過去の測定された欠陥状態に戻ることに暗に備えることができる。
【0063】
電信性欠陥状態に対処するためにコスト関数を構築するための例示的なプロセスが以下で与えられる。
現在の時間t0におけるT1(f,t0)データをとる。
時間ti<t0に対する過去のT1(f,ti)データを引き出す。
加重緩和コスト関数を次のように構築する。
Σi wi=1となるような、C(f)=Σi≦0 wi C(f,ti|T1(f,ti))
【0064】
重みwiは、たとえばキュービット、欠陥(たとえば、TLS)、および量子プロセッサアーキテクチャに依存し得る、任意の関数によって選ばれ得る。いくつかの実施形態では、重みwiは、任意の時間定数Tcに基づいて選ばれ得る。たとえば、重みは、wi∝exp[-((t0-ti)/Tc)^2]のようにガウシアン関数を介して選ばれ得る。別の例として、重みは、wi∝exp[-(t0-ti)/Tc]のように減衰する指数関数を介して選ばれ得る。
いくつかの実施形態では、重みは、重みが現在の時間から離れた時間と関連付けられるにつれて重みを抑制する、重み関数に従って選ばれ得る。重み関数は、任意の関数であってもよく、および/または、キュービットアーキテクチャおよび軽減される欠陥のタイプに依存してもよい。図9は、現在の時間からの時間の偏差に基づいて重みを割り当てるための例示的な重み関数520を示す。いくつかの例では、重み関数は、より最近の過去の時間データに関連するコスト項よりも、より遠い過去の時間データに関連するコスト項をより軽く重み付ける。
【0065】
図10は、拡散性挙動を示す欠陥に対処するための加重コスト項を有するコスト関数532の例示的な構築を示す。コスト関数532は、未来の予測される欠陥状態をコスト関数へと埋め込むために1つまたは複数の加重コスト項を含み得る。未来の予測される欠陥状態は、(たとえば、過去の時間データの多項式近似を使用して、機械学習アルゴリズムを使用してなど)過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。
【0066】
拡散性欠陥状態は、滑らかに変化する動作パラメータを有し得る。拡散性欠陥状態を軽減するための手法は、図10に示されるように現在のコスト関数と未来のための1つまたは複数の予測されるコスト関数との加重和であるコスト関数を構築することであり得る。予測されるコスト関数は、たとえば、単純な多項式近似を介して、またはニューラルネットワークを使用して、時間尺度に関連する過去の時間データに基づいて欠陥状態を外挿することによって生成され得る。より具体的には、コスト関数532は、時間t0に関連する現在のコスト関数534とtk≧ti>t0における未来の予測されるコスト関数535との加重和であり得る。未来の予測は、多項式近似、機械学習アルゴリズム、または何らかの他の方法を介してfTLSを外挿することによって生成され得る。未来の予測されるコスト関数は、たとえば時間t-1、t-2、およびt-3それぞれにおける過去の測定された時間データ(たとえば、コスト関数536、538、および540)から決定され得る。未来の予測を埋め込むことによって、コスト関数532は、TLS欠陥が以前に移ったことのない周波数に移り得ることに備える。未来の予測されるコスト項をコスト関数に埋め込むことは、適切な外挿モデルを用いて、欠陥状態の電信性挙動に対処するためにも使用され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、図11に示されるように、現在のコスト関数、1つまたは複数の予測されるコスト関数、および1つまたは複数の過去の測定されたコスト関数を含む、コスト関数が構築され得る。このコスト関数は、たとえば、電信性挙動と拡散性挙動の両方を示す欠陥状態に対処するのに適切であり得る。たとえば、図11に示されるように、コスト関数552は、現在および過去の測定されたコスト関数555と、tk≧ti>t0における未来の予測されるコスト関数557との加重和であり得る。コスト関数555は、現在の時間t0のためのコスト関数554、ならびに、時間t-1、t-2、およびt-3にそれぞれ関連する過去の測定されたコスト関数556、558、および560と関連付けられ得る。未来の予測されるコスト関数は、たとえば時間t-1、t-2、およびt-3それぞれにおける過去の測定された時間データ(たとえば、コスト関数536、538、および540)から決定され得る。
【0068】
図11の手法のもとでコスト関数を構築するための例示的なプロセスが以下で与えられる。
現在の時間t0におけるT1(f,t0)データをとる。
時間ti<t0に対する過去のT1(f,ti)データを引き出す。
時間tk≧ti>t0に対する未来のT1(f,ti)データを予測する(たとえば、外挿、機械学習などを使用して)。
加重緩和コスト関数を次のように構築する。
Σi wi=1となるような、C(f)=Σi≦0 wi C(f,ti|T1(f,ti))+Σk≧i>0 wi C(f,ti|T1(f,ti))
【0069】
重みwiは、たとえば、キュービット、欠陥(たとえば、TLS欠陥)、および量子プロセッサアーキテクチャに依存し得る任意の関数によって選ばれ得る。いくつかの実施形態では、重みwiは任意の時間定数Tcに基づいて選ばれ得る。たとえば、重みは、wi∝exp[-((t0-ti)/Tc)^2]のようにガウシアン関数を介して選ばれ得る。別の例として、重みは、wi∝exp[-(t0-ti)/Tc]のように減衰する指数関数を介して選ばれ得る。いくつかの実施形態では、重みは、重みが現在の時間から離れた時間と関連付けられるにつれて重みを抑制する、重み関数に従って選ばれ得る(たとえば、図9に示されるように)。
【0070】
T1(f,ti)および/またはC(f,ti|T1(f,ti))コスト関数予測を生成するために、任意の適切な方法が使用され得る。1つの手法は、過去の時間データ軌跡を多項式のような何らかの関数に近似して、そして、欠陥が未来の時間においてあり得る箇所を外挿するためにその多項式を使用することである。別の手法は、ニューラルネットワークなどの機械学習(ML)モデルを使用して、欠陥の未来の位置および/または未来のT1(f,ti)スペクトルを予測することである。十分なモデル容量を仮定すると、この手法は拡散性欠陥および電信性欠陥を軽減するのに有用であり得る。
【0071】
より具体的には、図12は、教師あり学習フレームワーク内で機械学習(ML)モデル610を訓練するための1つの例示的な実施形態を示す。たとえば、モデル610は、多項式回帰モデルまたは任意のニューラルネットワークモデルであり得る。入力604は、過去の時間データおよび時間の何らかの部分であり得る。ラベル602は、入力604に関して何らかの任意の時間だけ遅れたデータの何らかの部分であり得る。
【0072】
図13は、訓練されたMLモデル610が本開示の例示的な実施形態に従ってどのように使用され得るかの一例を示す。何らかの現在の時間t0において、過去の時間データは入力614としてモデル610に供給され得る。モデル610は、予測される欠陥位置、および/または予測されるT1(f,ti)スペクトル、および/またはC(f,ti|T1(f,ti))コスト関数を生成することができる。この情報は次いで、上で論じられたように未来の予測される状態の加重コスト項を伴うコスト関数を構築するために使用され得る。MLモデル610を訓練および/または適用するために使用され得る例示的なコンピューティング環境に関する詳細は、図14を参照して論じられる。
【0073】
例示的な最適化プロセス、および例示的なコスト関数、およびコスト項に関する追加の詳細が以下に記載される。上で論じられたように、例示的なコスト項は、現在の時間、過去の測定された時間、および/または未来の予測される時間と関連付けられ得る。例示および議論を目的に、超伝導量子コンピューティングデバイスにおける最隣接の相互作用するキュービットを動作させるべきアイドリング周波数および相互作用周波数を決定するための、例示的な最適化プロセスおよび例示的なコスト項が説明されるが、以下で説明される技法は、相互作用するキュービットのネットワーク(たとえば、最隣接相互作用に限定されない)を備えるあらゆるキュービットアーキテクチャ(たとえば、量子ドット、欠陥スピン、原子)の動作パラメータを決定するために等しく適用され得る。
【0074】
より具体的には、いくつかの実装形態では(たとえば、相互作用する超伝導キュービットの2次元格子を含む量子コンピューティングデバイスでは)、動作パラメータはアイドリング周波数および相互作用周波数を含み得る。アイドリング周波数は、キュービットが計算に関与しないとき、またはキュービットが単キュービットゲートを実行するために使用されているときに、キュービットが動作させられる周波数である。対応するアイドリングキュービット周波数は、量子コンピューティングデバイスの各キュービットに対して指定され得る。相互作用周波数は、2次元格子における隣接するキュービットが2-キュービットゲートを実行するときに動作させられる、共通の周波数である。対応する相互作用周波数は、隣接するキュービットの各ペアに対して指定され得る。
【0075】
量子デバイスの動作状態に対応するコスト(たとえば、実数)とキュービットの動作周波数値(たとえば、以下で説明されるようなすべてのキュービットのアイドリング周波数)を対応付ける、コスト関数が定義され得る。たとえば、より低いコストは、量子デバイスのより良い動作状態、たとえば、他の動作状態と比較してよりエラーレートの低い任意の量子アルゴリズムを実行する動作状態に対応し得る。いくつかの場合、より良い動作状態は量子アルゴリズムに依存し得る。本開示の例示的な態様によるシステムおよび方法は、異なる最適化ルーチンにおいて異なるように個々のコスト項を重み付けることによって、そのような依存性を考慮し得る。
【0076】
コスト関数は、それぞれのコストに対応するコスト項の加重和を含む。第1のコスト関数に含まれるコスト項のタイプは変化してもよく、量子コンピューティングデバイスのタイプに依存する。いくつかのコスト項は、上で論じられたように過去の時間データおよび/または未来の予測される状態に基づき得る。一例として、コスト関数は、キュービットアイドリング周波数の望ましくない特性を不利なものとみなす、現在の時間、過去の測定された時間、および/または未来の予測される時間に対するアイドリングコスト項を含み得る。アイドリングコスト項は、低いキュービット緩和時間(T1)アイドリング周波数を不利なものとみなし得る。本開示の範囲から逸脱することなく、他のコスト項がコスト関数において使用され得る。
【0077】
図14は、本開示の例示的な実施形態による、1つまたは複数のキュービットの動作パラメータ値を決定する例示的なコンピューティングシステム700のブロック図を示す。システム700は、ユーザコンピューティングデバイス702、サーバコンピューティングデバイス730、およびネットワーク780を介して通信可能に結合される訓練コンピューティングシステム750を含む。
【0078】
ユーザコンピューティングデバイス702は、たとえば、パーソナルコンピューティングデバイス(たとえば、ラップトップまたはデスクトップ)、モバイルコンピューティングデバイス(たとえば、スマートフォンまたはタブレット)、ゲーミングコンソールもしくはコントローラ、ウェアラブルコンピューティングデバイス、組み込みコンピューティングデバイス、または任意の他のタイプのコンピューティングデバイスなどの、任意のタイプのコンピューティングデバイスであり得る。
【0079】
ユーザコンピューティングデバイス702は、1つまたは複数のプロセッサ712およびメモリ714を含む。1つまたは複数のプロセッサ712は、任意の適切な処理デバイス(たとえば、プロセッサコア、マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、コントローラ、マイクロコントローラなど)であってもよく、動作可能に接続される1つのプロセッサまたは複数のプロセッサであってもよい。メモリ714は、RAM、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスクなど、およびこれらの組合せなどの、1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。メモリ714は、データ716と、ユーザコンピューティングデバイス702に動作を実行させるようにプロセッサ712によって実行される命令718とを記憶することができる。
【0080】
いくつかの実装形態では、ユーザコンピューティングデバイス702は、1つまたは複数の予測モデル720を記憶し、または含み得る。たとえば、予測モデル720は、ニューラルネットワーク(たとえば、ディープニューラルネットワーク)、または非線形モデルおよび/もしくは線形モデルを含む他のタイプの機械学習モデルなどの、様々な機械学習モデルであってもよく、または別様にそれらを含んでもよい。ニューラルネットワークは、フィードフォワードニューラルネットワーク、再帰ニューラルネットワーク(たとえば、長短期記憶再帰ニューラルネットワーク)、畳み込みニューラルネットワーク、または他の形態のニューラルネットワークを含み得る。いくつかの例示的な機械学習モデルは、自己注意などの注意機構を活用することができる。たとえば、いくつかの例示的な機械学習モデルは、マルチヘッド自己注意モデル(たとえば、トランスフォーマーモデル)を含み得る。
【0081】
いくつかの実装形態では、1つまたは複数の予測モデル720は、ネットワーク780を介してサーバコンピューティングシステム730から受信され、ユーザコンピューティングデバイスメモリ714に記憶され、そして1つまたは複数のプロセッサ712によって使用され、または別様に実装され得る。いくつかの実装形態では、ユーザコンピューティングデバイス702は、単一の予測モデル720の複数の並列インスタンスを実装することができる。
【0082】
より具体的には、予測モデル720は、過去の時間データに基づいて未来の予測される欠陥状態に関連するコスト項を生成するために使用され得る。未来の予測される欠陥状態は、量子デバイスの1つまたは複数のキュービットを動作させるための動作パラメータ値を決定する際に考慮され得る。
【0083】
追加または代替として、1つまたは複数の予測モデル740は、クライアントサーバの関係に従って、ユーザコンピューティングデバイス702と通信するサーバコンピューティングシステム730に含まれ、または、別様にそれによって記憶されて実装され得る。したがって、1つまたは複数のモデル720はユーザコンピューティングデバイス702において記憶されて実装されてもよく、および/または、1つまたは複数のモデル740はサーバコンピューティングシステム730において記憶されて実装されてもよい。
【0084】
ユーザコンピューティングデバイス702はまた、ユーザ入力を受け取る1つまたは複数のユーザ入力コンポーネント722を含み得る。たとえば、ユーザ入力コンポーネント722は、ユーザ入力オブジェクト(たとえば、指またはスタイラス)のタッチを感知するタッチ感知コンポーネント(たとえば、タッチ感知表示画面またはタッチパッド)であり得る。タッチ感知コンポーネントは、仮想キーボードを実装する役割を果たし得る。他の例示的なユーザ入力コンポーネントは、マイクロフォン、従来のキーボード、またはユーザがそれによりユーザ入力を提供できる他の手段を含む。
【0085】
サーバコンピューティングシステム730は、1つまたは複数のプロセッサ732およびメモリ734を含む。1つまたは複数のプロセッサ732は、任意の適切な処理デバイス(たとえば、プロセッサコア、マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、コントローラ、マイクロコントローラなど)であってもよく、動作可能に接続される1つまたは複数のプロセッサであってもよい。メモリ734は、RAM、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスクなど、およびこれらの組合せなどの、1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。メモリ734は、データ736と、サーバコンピューティングシステム730に動作を実行させるようにプロセッサ732によって実行される命令738とを記憶することができる。
【0086】
いくつかの実装形態では、サーバコンピューティングシステム730は、1つまたは複数のサーバコンピューティングデバイスを含み、またはそれによって別様に実装される。サーバコンピューティングシステム730が複数のサーバコンピューティングデバイスを含む事例では、そのようなサーバコンピューティングデバイスは、逐次的なコンピューティングアーキテクチャ、並列のコンピューティングアーキテクチャ、またはこれらの何らかの組合せに従って動作することができる。
【0087】
上で説明されたように、サーバコンピューティングシステム730は、1つまたは複数の予測モデル740を記憶し、または別様に含み得る。たとえば、モデル740は、様々な機械学習モデルであってもよく、または別様にそれを含んでもよい。例示的な機械学習モデルは、ニューラルネットワークまたは他の多層非線形モデルを含む。例示的なニューラルネットワークは、フィードフォワードニューラルネットワーク、ディープニューラルネットワーク、再帰ニューラルネットワーク、および畳み込みニューラルネットワークを含む。いくつかの例示的な機械学習モデルは、自己注意などの注意機構を活用することができる。たとえば、いくつかの例示的な機械学習モデルは、マルチヘッド自己注意モデル(たとえば、トランスフォーマーモデル)を含み得る。
【0088】
ユーザコンピューティングデバイス702および/またはサーバコンピューティングシステム730は、ネットワーク780を介して通信可能に結合される訓練コンピューティングシステム750との対話を介して、モデル720および/または740を訓練することができる。訓練コンピューティングシステム750は、サーバコンピューティングシステム730とは別個であってもよく、またはサーバコンピューティングシステム730の一部であってもよい。
【0089】
訓練コンピューティングシステム750は、1つまたは複数のプロセッサ752およびメモリ754を含む。1つまたは複数のプロセッサ752は、任意の適切な処理デバイス(たとえば、プロセッサコア、マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、コントローラ、マイクロコントローラなど)であってもよく、動作可能に接続される1つまたは複数のプロセッサであってもよい。メモリ754は、RAM、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスクなど、およびそれらの組合せなどの、1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。メモリ754は、データ756と、訓練コンピューティングシステム750に動作を実行させるようにプロセッサ752によって実行される命令758とを記憶することができる。いくつかの実装形態では、訓練コンピューティングシステム750は、1つまたは複数のサーバコンピューティングデバイスを含み、またはそれによって別様に実装される。
【0090】
訓練コンピューティングシステム750は、たとえば、エラーの逆伝播などの様々な訓練技法または学習技法を使用して、ユーザコンピューティングデバイス702および/またはサーバコンピューティングシステム730に記憶されている機械学習モデル720および/または740を訓練するモデル訓練器760を含み得る。たとえば、損失関数がモデルを通じて逆伝播されて、モデルの1つまたは複数のパラメータを(たとえば、損失関数の勾配に基づいて)更新することができる。平均二乗誤差、尤度損失、クロスエントロピー損失、ヒンジ損失、および/または様々な他の損失関数などの、様々な損失関数が使用され得る。ある数の訓練の反復を介してパラメータを反復的に更新するために、勾配降下技法が使用され得る。
【0091】
いくつかの実装形態では、エラーの逆伝播を実行することは、時間を通じて打ち切り型逆伝播(truncated backpropagation)を実行することを含み得る。モデル訓練器760は、訓練されているモデルの一般化能力を改善するために、いくつかの一般化技法(たとえば、重み減衰、ドロップアウトなど)を実行することができる。
【0092】
具体的には、モデル訓練器760は、訓練データ762のセットに基づいて予測モデル720および/または740を訓練することができる。訓練データ762は、たとえば、時間尺度(たとえば、エネルギー緩和時間)に関連する過去の時間データ、および/または欠陥(たとえば、TLS欠陥)の存在を含み得る。
【0093】
モデル訓練器760は、所望の機能を提供するために利用されるコンピュータ論理を含む。モデル訓練器760は、汎用プロセッサを制御するハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアにおいて実装され得る。たとえば、いくつかの実装形態では、モデル訓練器760は、記憶デバイスに記憶され、メモリにロードされ、1つまたは複数のプロセッサによって実行される、プログラムファイルを含む。他の実装形態では、モデル訓練器760は、RAM、ハードディスク、または光媒体もしくは磁気媒体などの有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶される、コンピュータ実行可能命令の1つまたは複数のセットを含む。
【0094】
ネットワーク780は、ローカルエリアネットワーク(たとえば、イントラネット)、ワイドエリアネットワーク(たとえば、インターネット)、またはこれらの何らかの組合せなどの任意のタイプの通信ネットワークであってもよく、任意の数の有線リンクまたはワイヤレスリンクを含んでもよい。一般に、ネットワーク780を介した通信は、広範な通信プロトコル(たとえば、TCP/IP、HTTP、SMTP、FTP)、符号化もしくはフォーマット(たとえば、HTML、XML)、および/または保護方式(たとえば、VPN、セキュアHTTP、SSL)を使用して、任意のタイプの有線接続および/またはワイヤレス接続を介して搬送され得る。
【0095】
図14は、本開示を実装するために使用され得る1つの例示的なコンピューティングシステムを示す。他のコンピューティングシステムも使用され得る。たとえば、いくつかの実装形態では、ユーザコンピューティングデバイス702は、モデル訓練器760および訓練データセット762を含み得る。そのような実装形態では、モデル720は、ユーザコンピューティングデバイス702においてローカルで、訓練と使用の両方が行われ得る。
【0096】
デジタルの、古典的な、および/または量子の主題の実装形態、ならびに本明細書において説明されるデジタル機能動作および量子動作は、デジタル電子回路において、適切な量子回路もしくはより一般的には量子計算システムにおいて、有形に実装されるデジタルおよび/もしくは量子コンピュータソフトウェアまたはファームウェアにおいて、本明細書で開示される構造とその構造的な均等物を含むデジタルおよび/または量子コンピュータハードウェアにおいて、あるいは、それらのうちの1つまたは複数の組合せにおいて、実装され得る。「量子コンピューティングシステム」という用語は、限定はされないが、量子コンピュータ/コンピューティングシステム、量子情報処理システム、量子暗号システム、または量子シミュレータを含み得る。
【0097】
本明細書で説明されるデジタルおよび/または量子の主題の実装形態は、1つまたは複数のデジタルおよび/または量子のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の動作を制御するために、有形の非一時的記憶媒体に符号化されるデジタルおよび/または量子のコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実装され得る。デジタルおよび/または量子コンピュータ記憶媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリデバイス、1つまたは複数のキュービットs/キュービット構造、またはそれらのうちの1つまたは複数の組合せであり得る。代替または追加として、プログラム命令は、データ処理装置による実行のための適切な受信機装置への送信のためにデジタルおよび/または量子情報を符号化するために生成される、デジタルおよび/または量子情報を符号化することが可能な人工的に生成された伝播される信号(たとえば、機械で生成された電気信号、光信号、または電磁信号)に符号化され得る。
【0098】
量子情報および量子データという用語は、量子システムによって搬送され、保持され、もしくは量子システムに記憶される情報またはデータを指し、最小のnon-trivial系はキュービットであり、すなわち、量子情報の単位を定義する系である。「キュービット」という用語は、対応する文脈において二準位系として適切に近似され得るすべての量子系を包含することが理解される。そのような量子系は、たとえば2つ以上の準位をもつ多準位系を含み得る。例として、そのような系は、原子、電子、光子、イオン、または超伝導キュービットを含み得る。多くの実装形態において、計算基底状態は基本の最初の励起状態で特定されるが、計算状態がより高い準位の励起状態(たとえば、キューディット)を用いて特定されるような他のセットアップが可能であることが理解される。
【0099】
「デジタル処理装置」という用語は、デジタルおよび/または量子データ処理ハードウェアを指し、例として、プログラマブルデジタルプロセッサ、プログラマブル量子プロセッサ、デジタルコンピュータ、量子コンピュータ、または複数のデジタルおよび量子プロセッサまたはコンピュータ、ならびにそれらの組合せを含む、デジタルデータおよび/または量子データを処理するための、すべての種類の装置、デバイス、および機械を包含する。装置は、専用論理回路、たとえばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、もしくは特定用途向け集積回路(ASIC)、もしくは量子シミュレータ、すなわち、特定の量子系についての情報をシミュレートまたは生成するように設計される量子データ処理装置であってもよく、またはそれらをさらに含んでもよい。具体的には、量子シミュレータは、汎用の量子計算を実行する能力をもたない専用量子コンピュータである。装置は、任意選択で、ハードウェアに加えて、デジタルおよび/または量子コンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコード、たとえば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらうちの1つまたは複数の組合せを構成するコードを含み得る。
【0100】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、もしくはコードとも呼ばれ得る、またはそのように記述され得る、デジタルまたは古典的コンピュータプログラムは、コンパイル型言語もしくはインタプリタ型言語、または宣言型言語もしくは手続型言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書かれてもよく、スタンドアロンプログラムとして、または、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはデジタルコンピューティング環境において使用するのに適した他のユニットとしてを含めて、任意の形態で展開されてもよい。プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、もしくはコードとも呼ばれ得る、またはそのように記述され得る、量子コンピュータプログラムは、コンパイル型言語もしくはインタプリタ型言語、または宣言型言語もしくは手続型言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書かれ、適切な量子プログラミング言語へと翻訳されてもよく、または、量子プログラミング言語、たとえば、QCL、Quipper、Cirqなどで書かれてもよい。
【0101】
デジタルおよび/または量子コンピュータプログラムは、ファイルシステムにおけるファイルに相当し得るが、そうである必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部分、たとえば、マークアップ言語文書に記憶される1つまたは複数のスクリプトにおいて、対象のプログラムに専用の単一のファイルにおいて、または、複数の協調したファイル、たとえば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を記憶するファイルにおいて記憶され得る。デジタルおよび/または量子コンピュータプログラムは、1つのデジタルコンピュータもしくは1つの量子コンピュータ上で、あるいは、1つの箇所に位置する、または、複数の箇所に分散しておりデジタルおよび/もしくは量子データ通信ネットワークによって相互接続される、複数のデジタルおよび/もしくは量子コンピュータ上で実行されるように展開され得る。量子データ通信ネットワークは、量子システム、たとえばキュービットを使用して量子データを送信し得るネットワークであるものと理解される。一般に、デジタルデータ通信ネットワークは量子データを送信できないが、量子データ通信ネットワークは量子データとデジタルデータの両方を送信し得る。
【0102】
本明細書で説明されるプロセスおよび論理フローは、1つまたは複数のデジタルおよび/または量子プロセッサとともに適宜動作し、入力されるデジタルおよび量子データに対して作用して出力を生成することによって機能を実行するために1つまたは複数のデジタルおよび/または量子コンピュータプログラムを実行する、1つまたは複数のプログラマブルデジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータによって実行され得る。専用論理回路、たとえばFPGAもしくはASICとして、または量子シミュレータとして、または専用論理回路もしくは量子シミュレータと1つまたは複数のプログラムされたデジタルコンピュータおよび/もしくは量子コンピュータとの組合せによっても、プロセスおよび論理フローは実行されてもよく、装置は実装されてもよい。
【0103】
1つまたは複数のデジタルおよび/もしくは量子コンピュータまたはプロセッサのシステムが、特定の動作またはアクションを実行する「ように構成される」または「ように動作可能である」ことは、動作するとその動作またはアクションをシステムに実行させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せがシステムにインストールされていることを意味する。1つまたは複数のデジタルおよび/または量子コンピュータプログラムが特定の動作またはアクションを実行するように構成されることは、デジタルおよび/または量子データ処理装置によって実行されると、その動作またはアクションを装置に実行させる命令を1つまたは複数のプログラムが含むことを意味する。量子コンピュータは、量子コンピューティング装置によって実行されると、その動作またはアクションを装置に実行させる命令をデジタルコンピュータから受信し得る。
【0104】
デジタルおよび/または量子コンピュータプログラムの実行に適したデジタルおよび/または量子コンピュータは、汎用もしくは専用のデジタルマイクロプロセッサおよび/または量子マイクロプロセッサまたはその両方、あるいは、任意の他の種類の中央デジタル処理装置および/または量子処理装置に基づき得る。一般に、中央デジタル処理装置および/または量子処理装置は、読み取り専用メモリ、またはランダムアクセスメモリ、または量子データ、たとえば光子を送信するのに適した量子システム、またはこれらの組合せから、命令ならびにデジタルデータおよび/または量子データを受信する。
【0105】
デジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータのいくつかの例示的な要素は、命令を実施または実行するための中央処理装置、ならびに、命令とデジタルデータおよび/または量子データとを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。中央処理装置およびメモリは、専用論理回路もしくは量子シミュレータによって補足され、またはそれに組み込まれ得る。一般に、デジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータは、デジタルデータおよび/または量子データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶デバイス、たとえば、磁気ディスク、磁気光学ディスク、または光学ディスク、または量子情報を記憶するのに適した量子システムも含み、あるいは、それらからデジタルデータおよび/もしくは量子データを受信し、またはそれらにデジタルおよび/もしくは量子データを伝送し、または両方を行うように動作可能に結合される。しかしながら、デジタルコンピュータおよび/または量子コンピュータはそのようなデバイスを有しなくてもよい。
【0106】
デジタルおよび/または量子コンピュータプログラム命令ならびにデジタルおよび/または量子データを記憶するのに適した、デジタルおよび/または量子コンピュータ可読媒体は、例として、半導体メモリデバイス、たとえば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、たとえば内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク、磁気光学ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスク、ならびに量子系、たとえばトラップされた原子または電子を含む、すべての形態の不揮発性デジタルおよび/または量子メモリ、媒体、ならびにメモリデバイスを含む。量子メモリは、高い忠実性と効率性で長時間量子データを記憶できるデバイス、たとえば、光が送信のために使用され、重ね合わせまたは量子コヒーレンスなどの量子データの量子特徴を記憶して保つために物質が使用されるような、光物質インターフェースである。
【0107】
本明細書で説明される様々なシステム、またはそれらの部分の制御は、1つまたは複数の有形の非一時的機械可読記憶媒体に記憶され、1つまたは複数のデジタル処理デバイスおよび/または量子処理デバイス上で実行可能である命令を含む、デジタルおよび/または量子コンピュータプログラム製品において実装され得る。本明細書で説明されるシステムまたはそれらの部分は、本明細書で説明される動作を実行するための実行可能命令を記憶するために、1つまたは複数のデジタルおよび/または量子処理デバイスならびにメモリを含み得る、装置、方法、または電子システムとして各々実装され得る。
【0108】
本明細書は多くの具体的な実装の詳細を含むが、これらは特許請求され得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実装形態に特有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実装形態の文脈において本明細書で説明されるいくつかの特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実装されてもよい。逆に、単一の実装形態の文脈において説明される様々な特徴は、別々に複数の実装形態において、または任意の適切な部分組合せで実装されてもよい。その上、特徴はいくつかの組合せにおいて作用するものとして上で説明され、そのように最初に特許請求されることすらあるが、特許請求される組合せからの1つまたは複数の特徴は、いくつかの場合には組合せから削除されてもよく、特許請求される組合せは、部分組合せまたは部分組合せの変形を対象としてもよい。
【0109】
同様に、動作は特定の順序で図面において示されるが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が、示される特定の順序もしくは逐次的な順序で実行されること、またはすべての示される動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。いくつかの状況では、マルチタスキングおよび並列処理が有利であり得る。その上、上で説明された実装形態における様々なシステムモジュールとコンポーネントの分離は、すべての実装形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明されるプログラムコンポーネントおよびシステムは一般に、単一のソフトウェア製品において一緒に統合され、または複数のソフトウェア製品へとパッケージングされ得ることが理解されるべきである。
【0110】
本主題の具体的な実装形態が説明された。他の実装形態が以下の特許請求の範囲の範囲内にある。たとえば、特許請求の範囲に記載されるアクションは、異なる順序で実行され、それでも望ましい結果を達成することができる。一例として、添付の図面において示されるプロセスは、望ましい結果を達成するために、示される特定の順序または逐次的な順序を必ずしも必要としない。いくつかの場合、マルチタスキングおよび並列処理が有利であり得る。
【符号の説明】
【0111】
100 量子コンピューティングシステム、システム
102 量子ハードウェア
104 古典的プロセッサ
106 パラメータ、物理制御キュービットパラメータ値
108 測定結果
110 量子システム
112 制御デバイス
114 読み出しデバイス
120 キュービット
122 2次元格子
124 キュービットカプラ
126 キュービット
128 キュービット
132 Qbit周波数、量子ビット周波数
134 エネルギー緩和時間
136 欠陥、スパイク
142 動作周波数
144 エネルギー緩和時間
146 時間
152 動作周波数
154 エネルギー緩和時間
156 時間
200 システム
202 コスト関数生成器
204 コスト関数調整器
206 入力データ
208 出力データ
210 最適化器
502 コスト関数
504 現在のコスト関数
506 測定されたコスト関数
508 測定されたコスト関数
510 測定されたコスト関数
532 コスト関数
534 現在のコスト関数
535 予測されるコスト関数
536 コスト関数
538 コスト関数
540 コスト関数
552 コスト関数
554 コスト関数
555 測定されたコスト関数
556 測定されたコスト関数
557 予測されるコスト関数
558 測定されたコスト関数
560 測定されたコスト関数
602 ラベル
604 入力
610 機械学習(ML)モデル
614 入力
620 予測
700 コンピューティングシステム
702 ユーザコンピューティングデバイス
712 プロセッサ
714 メモリ
716 データ
718 命令
720 機械学習モデル、予測モデル
722 ユーザ入力コンポーネント
730 サーバコンピューティングシステム
732 プロセッサ
734 メモリ
736 データ
738 命令
740 機械学習モデル、予測モデル
750 訓練コンピューティングシステム
752 プロセッサ
754 メモリ
756 データ
758 命令
760 モデル訓練器
762 訓練データ、訓練データセット
780 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子デバイスのキュービットを動作させる方法であって、
量子デバイスのキュービットの動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データを取得するステップと、
時間依存の欠陥の発生の確率を下げるために、前記動作パラメータの前記時間尺度に関連する前記過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて、動作パラメータ値を選択するステップであって、前記時間依存の欠陥が、時間依存の挙動を示す、ステップと、
前記動作パラメータ値において前記量子デバイスの前記キュービットを動作させるステップと
を含む、量子デバイスのキュービットを動作させる方法。
【請求項2】
前記動作パラメータの前記時間尺度が、前記動作パラメータのエネルギー緩和時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キュービットの前記動作パラメータが、動作周波数である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記時間依存の欠陥が、二準位系欠陥との衝突である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記キュービットが、超伝導キュービットである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記動作パラメータ値を選択するステップが、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築するステップであって、前記加重コスト項のうちの少なくとも1つが、過去の時間データと関連付けられる、ステップと、
前記コスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記時間依存の欠陥が、電信性挙動を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記動作パラメータ値を選択するステップが、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築するステップであって、前記コスト関数が過去の欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項のうちの少なくとも1つが、過去の時間データと関連付けられる、ステップと、
前記コスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択するステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記時間依存の欠陥が、拡散性挙動を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記動作パラメータ値を選択するステップが、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築するステップであって、前記コスト関数が未来の予測される欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項のうちの少なくとも1つが、過去の時間データと関連付けられる、ステップと、
前記構築されたコスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記未来の予測される欠陥状態が、前記過去の時間データの外挿に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記未来の予測される欠陥状態が、機械学習モデルに少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記動作パラメータ値を選択するステップが、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築するステップであって、前記コスト関数が未来の予測される欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項が、過去の時間データに関連する第1のコスト項を備え、前記コスト関数が過去の欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項が、過去の時間データに関連する1つまたは複数の第2のコスト項を備える、ステップと、
前記構築されたコスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記コスト関数が、より最近の過去の時間データに関連するコスト項よりも、より遠い過去の時間データに関連するコスト項をより軽く重み付ける、請求項6、8、10、または13に記載の方法。
【請求項15】
複数の超伝導キュービットであって、各キュービットが、動作周波数を使用して動作させられるように構成され、各動作周波数が、エネルギー緩和時間と関連付けられる、超伝導キュービットと、
動作を実行するために1つまたは複数のメモリデバイスに記憶されたコンピュータ可読命令を実行するように構成される1つまたは複数のプロセッサと
を備え、前記動作が、
二準位状態欠陥の発生の確率を下げるために、各動作周波数に対するエネルギー緩和時間に関連する過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて、前記複数の超伝導キュービットのための動作周波数のセットを決定することと、
動作周波数の前記セットにおいて前記複数の超伝導キュービットを動作させることと
を含む、量子コンピューティングシステム。
【請求項16】
前記動作周波数が、アイドリング周波数、相互作用周波数、読み出し周波数、またはリセット周波数を含む、請求項15に記載の量子コンピューティングシステム。
【請求項17】
隣接するキュービットが、相互作用するように動作可能である、請求項15に記載の量子コンピューティングシステム。
【請求項18】
古典的処理デバイスまたは量子処理デバイスによって実行可能な命令を備えるコンピュータプログラムであって、そのような実行が、前記古典的処理デバイスまたは量子処理デバイスに、
量子デバイスのキュービットの動作パラメータの時間尺度に関連する過去の時間データを取得することと、
時間依存の欠陥の発生の確率を下げるために、前記動作パラメータの前記時間尺度に関連する前記過去の時間データに少なくとも部分的に基づいて、動作パラメータ値を選択することであって、前記時間依存の欠陥が、時間依存の挙動を示す、選択することと、
前記動作パラメータ値において前記量子デバイスの前記キュービットを動作させることと
を含む動作を実行させる、コンピュータプログラム
【請求項19】
動作パラメータ値を選択する前記動作が、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築することであって、前記加重コスト項のうちの少なくとも1つが、過去の時間データと関連付けられる、構築することと、
前記コスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択することと
を含む、請求項18に記載のコンピュータプログラム
【請求項20】
動作パラメータ値を選択する前記動作が、
複数の加重コスト項を有するコスト関数を構築することであって、前記コスト関数が未来の予測される欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項が、過去の時間データと関連付けられる第1のコスト項を備え、前記コスト関数が過去の欠陥状態を前記コスト関数へと埋め込むように、前記加重コスト項が、過去の時間データに関連する1つまたは複数の第2のコスト項を備える、構築することと、
前記コスト関数に少なくとも部分的に基づいて、前記動作パラメータ値を選択することと
を含む、請求項18に記載のコンピュータプログラム
【国際調査報告】