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特表2024-533474様々な内部修飾を有するループ型プライマーおよび標的検出のためのループドループ法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】様々な内部修飾を有するループ型プライマーおよび標的検出のためのループドループ法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6876 20180101AFI20240905BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240905BHJP
   C12Q 1/689 20180101ALI20240905BHJP
   C12Q 1/6888 20180101ALI20240905BHJP
   C12Q 1/6853 20180101ALI20240905BHJP
   C12Q 1/6825 20180101ALI20240905BHJP
   C12Q 1/6816 20180101ALI20240905BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20240905BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20240905BHJP
【FI】
C12Q1/6876 Z ZNA
C12N15/11 Z
C12Q1/689 Z
C12Q1/6888 Z
C12Q1/6853 Z
C12Q1/6825 Z
C12Q1/6816 Z
C12N9/10
C12Q1/6844 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515930
(86)(22)【出願日】2022-09-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 US2022076247
(87)【国際公開番号】W WO2023039553
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/243,625
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522362257
【氏名又は名称】ユーエイチ-オーエイチ ラブス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】ボール,キャメロン スコット
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ06
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR57
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本開示は、バイオセンサー標識オリゴヌクレオチドを使用して標的核酸を検出する新規ループドループ法を提供する。本明細書においてさらに、様々な内部修飾を有するループ型プライマーおよび方法に使用するためのキットを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的配列のループドループ増幅(LdL)のためのループ型プライマーであって、5’から3’に:
第1のセンサー分子;
第1のクランピングオリゴヌクレオチド;
第1のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第2のセンサー分子、
(ここで、前記第1のセンサー分子および前記第2のセンサー分子は第1のバイオセンサーペアである);
任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第2のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、前記第2のセンサー分子、前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、前記第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);および
標的配列上の第1の結合部位と相補的な第1のプライマー配列
を含むループ型プライマー。
【請求項2】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、前記第1のクランピングオリゴヌクレオチドと相補的である、請求項1に記載のループ型プライマー。
【請求項3】
前記第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、または前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドが、ヘアピン構造において一本鎖である、請求項1または2に記載のループ型プライマー。
【請求項4】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記第1のプライマー配列が重複する、請求項1~3のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項5】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のプライマー配列が重複しない、請求項1~3のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項6】
前記第2のスペーシングオリゴヌクレオチドを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項7】
前記第1のスペーシングオリゴヌクレオチドおよび前記第2のスペーシングオリゴヌクレオチドが、前記ヘアピン構造において一本鎖である、請求項6に記載のループ型プライマー。
【請求項8】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、3~30ヌクレオチド長である、請求項1~7のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項9】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、3~15ヌクレオチド長である、請求項8に記載のループ型プライマー。
【請求項10】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、3~10ヌクレオチド長である、請求項9に記載のループ型プライマー。
【請求項11】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、3~9ヌクレオチド長である、請求項10に記載のループ型プライマー。
【請求項12】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、3~8ヌクレオチド長である、請求項11に記載のループ型プライマー。
【請求項13】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、3~7ヌクレオチド長である、請求項12に記載のループ型プライマー。
【請求項14】
前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、3~6ヌクレオチド長である、請求項13に記載のループ型プライマー。
【請求項15】
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、前記第2のセンサー分子、前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、ヘアピン構造を形成する場合、前記第1のセンサー分子および前記任意選択の第2のセンサー分子が、9~100Å離れている、請求項1~14のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項16】
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、前記第2のセンサー分子、前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、ヘアピン構造を形成する場合、前記第1のセンサー分子および前記任意選択の第2のセンサー分子が、10~50Å離れている、請求項15に記載のループ型プライマー。
【請求項17】
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記第1のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、少なくとも10ヌクレオチド長である、請求項1~16のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項18】
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記第1のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、少なくとも18ヌクレオチド長である、請求項17に記載のループ型プライマー。
【請求項19】
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記第1のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、少なくとも19ヌクレオチド長である、請求項18に記載におループ型プライマー。
【請求項20】
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび前記第1のスペーシングオリゴヌクレオチドが、合わせると、少なくとも20ヌクレオチド長である、請求項19に記載のループ型プライマー。
【請求項21】
前記第1のバイオセンサーペアが、エネルギー供与体および受容体ペアである、請求項1または20に記載のループ型プライマー。
【請求項22】
前記第1のバイオセンサーペアが、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)または生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)のエネルギー供与体および受容体ペアである。請求項21に記載のループ型プライマー。
【請求項23】
前記第1のセンサー分子がFRETフルオロフォアであり、前記第2のセンサー分子がFRETクエンチャーである、請求項21に記載のループ型プライマー。
【請求項24】
前記第1のセンサー分子がFRETクエンチャーであり、前記第2のセンサー分子がFRETフルオロフォアである。請求項21に記載のループ型プライマー。
【請求項25】
前記第1のセンサー分子がBRETエネルギー供与体であり、前記第2のセンサー(sensory)分子がBRETエネルギー受容体である、請求項21に記載のループ型プライマー。
【請求項26】
前記第1のセンサー分子がBRETエネルギー受容体であり、前記第2のセンサー(sensory)分子がBRETエネルギー供与体である、請求項21に記載のループ型プライマー。
【請求項27】
前記第1のセンサー分子および前記第2のセンサー分子が、検出可能な光シグナルを生成する複合体を形成することができる、請求項1~26のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項28】
前記第1のセンサー分子および前記第2のセンサー分子が、前記ヘアピン構造が形成された場合に有意に減損された光シグナルを生成する、請求項1~26のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項29】
前記第2のセンサー分子が、チミジン(T)またはデオキシチミジン(dT)に結合している、請求項1~27のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項30】
前記ヘアピン構造の融解温度(T)が、60℃より高い、請求1~29のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項31】
前記ヘアピン構造の融解温度(T)が、65℃より高い、請求項30に記載のループ型プライマー。
【請求項32】
前記ヘアピン構造の融解温度(T)が、70℃より高い、請求項31に記載のループ型プライマー。
【請求項33】
前記ヘアピン構造の融解温度(T)が、80℃より高い、請求項32に記載のループ型プライマー。
【請求項34】
前記ヘアピン構造の融解温度(T)が、70~80℃である、請求項32に記載のループ型プライマー。
【請求項35】
前記ヘアピン構造の融解温度(T)が、70~75℃である、請求項34に記載のループ型プライマー。
【請求項36】
前記第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)が、約72℃である、請求項35に記載のループ型プライマー。
【請求項37】
前記第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)が、60℃より低い、請求項1~29のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項38】
前記第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)が、60~65℃である、請求項1~29のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項39】
前記第1のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、前記任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および前記第2のクランピングオリゴヌクレオチドが、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’-O-メチルRNA塩基、または(vii)その組合せを含む、請求項1~38のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項40】
前記ループ型プライマーの5’末端で第1の追加のオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項1~39のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項41】
前記第1のセンサー分子および前記第1のクランピングオリゴヌクレオチドの間に第2の追加のオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項1~40のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項42】
前記第1または前記第2の追加のオリゴヌクレオチドがバーコード配列である、請求項40または41に記載のループ型プライマー。
【請求項43】
前記標的配列が病原体ゲノムに対して特異的である、請求項1~42のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項44】
前記標的配列が、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)に対して特異的である、請求項43に記載のループ型プライマー。
【請求項45】
前記標的配列が、orf8またはcds2に由来する、請求項44に記載のループ型プライマー。
【請求項46】
前記標的配列が、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に対して特異的である、請求項43に記載のループ型プライマー。
【請求項47】
前記標的配列が、porAまたはglnAに由来する、請求項43に記載のループ型プライマー。
【請求項48】
前記標的配列が、ウイルスに対して特異的である、請求項43に記載のループ型プライマー。
【請求項49】
前記ウイルスがSARS-CoV-2である、請求項48に記載のループ型プライマー。
【請求項50】
前記標的配列が、ヒト(Homo sapiens)に対して特異的である、請求項1~42のいずれか一項に記載のループ型プライマー。
【請求項51】
前記標的配列がRNA配列である、請求項50に記載のループ型プライマー。
【請求項52】
前記標的配列が、POP7bをコードするRNA配列である、請求項50に記載のループ型プライマー。
【請求項53】
前記標的配列が、tbc1d3に由来する、請求項50に記載のループ型プライマー。
【請求項54】
請求項1~53のいずれか一項に記載のループ型プライマーを含む、前記標的配列のループドループ増幅のためのプライマー混合物。
【請求項55】
(i)順方向インナープライマー(FIP)、(ii)逆方向インナープライマー(BIP)、(iii)順方向プライマー(F3)、および逆方向プライマー(B3)をさらに含み、前記FIP、前記BIP、前記F3、および前記B3が、前記標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する、請求項54に記載のプライマー混合物。
【請求項56】
(i)ループ順方向プライマー(LF)および(ii)ループ逆方向プライマー(LB)をさらに含み、前記LFおよび前記LBが、前記標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する、請求項54に記載のプライマー混合物。
【請求項57】
前記FIP、前記BIP、前記F3、前記B3、前記LF、または前記LBが、前記標的配列上の前記第1の結合部位に結合する、請求項55~56のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項58】
前記FIPが前記第1の結合部位に結合し、前記プライマー混合物中の前記FIPの量と前記ループ型プライマーの量の間の比が1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である、請求項55に記載のプライマー混合物。
【請求項59】
前記BIPが前記第1の結合部位に結合し、前記プライマー混合物中の前記BIPの量と前記ループ型プライマーの量の間の比が、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である、請求項55に記載のプライマー混合物。
【請求項60】
前記LFが前記第1の結合部位に結合し、前記プライマー混合物中のLFの量とループ型プライマーの量の間の比が、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である、請求項55に記載のプライマー混合物。
【請求項61】
前記LBが前記第1の結合部位に結合し、前記プライマー混合物中の前記LBの量と前記ループ型プライマーの量の間の比が、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である、請求項55に記載のプライマー混合物。
【請求項62】
前記F3が、配列番号1のオリゴヌクレオチドを含み、前記B3が、配列番号2のオリゴヌクレオチドを含み、前記FIPが、配列番号3のオリゴヌクレオチドを含み、前記BIPが、配列番号4のオリゴヌクレオチドを含み、前記LFが、配列番号6のオリゴヌクレオチドを含み、または前記LBが、配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む、請求項55~61のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項63】
前記F3が、配列番号1のオリゴヌクレオチドを含み、前記B3が、配列番号2のオリゴヌクレオチドを含み、前記FIPが、配列番号3のオリゴヌクレオチドを含み、前記BIPが、配列番号4のオリゴヌクレオチドを含み、前記LFが、配列番号6のオリゴヌクレオチドを含み、および前記LBが、配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む、請求項55~61のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項64】
前記F3が、配列番号9のオリゴヌクレオチドを含み、前記B3が、配列番号10のオリゴヌクレオチドを含み、前記FIPが、配列番号11のオリゴヌクレオチドを含み、前記BIPが、配列番号12のオリゴヌクレオチドを含み、前記LFが、配列番号13のオリゴヌクレオチドを含み、または前記LBが、配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む、請求項55~61のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項65】
前記F3が、配列番号9のオリゴヌクレオチドを含み、前記B3が、配列番号10のオリゴヌクレオチドを含み、前記FIPが、配列番号11のオリゴヌクレオチドを含み、前記BIPが、配列番号12のオリゴヌクレオチドを含み、前記LFが、配列番号13のオリゴヌクレオチドを含み、および前記LBが、配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む、請求項55~61のいずれか一項位記載のプライマー混合物。
【請求項66】
前記F3が、配列番号16のオリゴヌクレオチドを含み、前記B3が、配列番号17のオリゴヌクレオチドを含み、前記FIPが、配列番号18のオリゴヌクレオチドを含み、前記BIPが、配列番号19のオリゴヌクレオチドを含み、前記LFが、配列番号20のオリゴヌクレオチドを含み、または前記LBが、配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む、請求項55~61のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項67】
前記F3が、配列番号16のオリゴヌクレオチドを含み、前記B3が、配列番号17のオリゴヌクレオチドを含み、前記FIPが、配列番号18のオリゴヌクレオチドを含み、前記BIPが、配列番号19のオリゴヌクレオチドを含み、前記LFが、配列番号20のオリゴヌクレオチドを含み、および前記LBが、配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む、請求項55~61のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項68】
第2のループ型プライマーをさらに含み、前記第2のループ型プライマーが5’から3’に
第3のセンサー分子;
第3のクランピングオリゴヌクレオチド;
第3のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第4のセンサー分子、
(ここで、前記第3のセンサー分子および前記第4のセンサー分子は、第2のバイオセンサーペアであり、および前記第2のバイオセンサーペアは、前記第1のバイオセンサーペアとは異なる);
任意選択の第4のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第4のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、前記第3のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第3のスペーシングオリゴヌクレオチド、前記第4のセンサー分子、前記任意選択の第4のスペーシングオリゴヌクレオチド、および前記第4のクランピングオリゴヌクレオチドは、前記第3および前記第4のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);および
第2の標的配列上の第1の結合部位と相補的な第2のプライマー配列
を含む、請求項54~67のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項69】
前記第3のクランピングオリゴヌクレオチドが前記第4のクランピングオリゴヌクレオチドと相補的である、請求項68に記載のプライマー混合物。
【請求項70】
前記標的配列および前記第2の標的配列が同一である、請求項68または69に記載のプライマー混合物。
【請求項71】
前記標的配列および前記第2の標的配列が異なる、請求項68または69に記載のプライマー混合物。
【請求項72】
(i)第2の順方向インナープライマー(SFIP)、(ii)第2の逆方向インナープライマー(SBIP)、(iii)第2の順方向プライマー(SF3)、および(iv)第2の逆方向プライマー(SB3)をさらに含み、前記SFIP、前記SBIP、前記SF3、および前記SB3が、前記第2の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する、請求項68~71のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項73】
(i)第2のループ順方向プライマー(SLF)および(ii)第2のループ逆方向プライマー(SLB)をさらに含み、前記SLFおよび前記SLBが前記第2の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する、請求項68~69のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項74】
第3のループ型プライマーをさらに含み、前記第3のループ型プライマーが、5’から3’に:
第5のセンサー分子;
第5のクランピングオリゴヌクレオチド;
第5のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第6のセンサー分子、
(ここで、前記第5のセンサー分子および前記第6のセンサー分子は、第3のバイオセンサーペアであり、および前記第3のバイオセンサーペアは、前記第1のバイオセンサーペアおよび前記第2のバイオセンサーペアとは異なる);
任意選択の第6のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第6のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、前記第5のクランピングオリゴヌクレオチド、前記第5のスペーシングオリゴヌクレオチド、前記第6のセンサー分子、前記任意選択の第6のスペーシングオリゴヌクレオチド、および前記第6のクランピングオリゴヌクレオチドは、前記第5および前記第6のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);および
第3の標的配列上の第1の結合部位と相補的な第3のプライマー配列
を含む、請求項54~73のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項75】
前記第5のクランピングオリゴヌクレオチドが前記第6のクランピングオリゴヌクレオチドと相補的である、請求項74に記載のプライマー混合物。
【請求項76】
前記標的配列、前記第2の標的配列、および前記第3の標的配列が同一である、請求項74または75に記載のプライマー混合物。
【請求項77】
前記標的配列、前記第2の標的配列、および前記第3の標的配列が異なる、請求項74または75に記載のプライマー混合物。
【請求項78】
(i)第3の順方向インナープライマー(TFIP)、(ii)第3の逆方向インナープライマー(TBIP)、(iii)第3の順方向プライマー(TF3)、および(iv)第3の逆方向プライマー(TB3)をさらに含み、前記TFIP、前記TBIP、前記TF3、および前記TB3が、前記第3の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する、請求項74~77のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項79】
(i)第3のループ順方向プライマー(TLF)および(ii)第3のループ逆方向プライマー(TLB)をさらに含み、前記TLFおよび前記TLBが前記第3の標的配列上の2つの異なる部位に結合する、請求項74~78のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項80】
第4のループ型プライマーをさらに含む、請求項74~79のいずれか一項に記載のプライマー混合物。
【請求項81】
第5のループ型プライマーをさらに含む、請求項80に記載のプライマー混合物。
【請求項82】
請求項1~53のいずれか一項に記載のループ型プライマー、または請求項54~81のいずれか一項に記載のプライマー混合物を凍結乾燥することによって得られる乾燥プライマー混合物。
【請求項83】
標的配列のループドループ増幅のためのキットであって、
請求項1~53のいずれか一項に記載のループ型プライマー、または請求項54~81のいずれか一項に記載のプライマー混合物、または請求項80に記載の乾燥プライマー混合物を含むキット。
【請求項84】
ポリメラーゼをさらに含み、前記ポリメラーゼが、任意選択でバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)ポリメラーゼである、請求項83に記載のキット。
【請求項85】
dNTP、MgSO、および緩衝液をさらに含む、請求項83~84のいずれか一項に記載のキット。
【請求項86】
逆転写酵素をさらに含む、請求項83~85のいずれか一項に記載のキット。
【請求項87】
RNase阻害剤をさらに含む、請求項83~86のいずれか一項に記載のキット。
【請求項88】
前記RNase阻害剤が、ブタまたはマウスRNase阻害剤である、請求項87に記載のキット。
【請求項89】
試料中の標的配列を検出する方法であって、以下のステップ:
試料を提供するステップ;
(i)請求項1~53のいずれか一項に記載のプライマー、(ii)請求項54~81のいずれか一項に記載のプライマー混合物、または(iii)請求項82に記載の乾燥プライマー混合物を再水和することによって得られた復元されたプライマー混合物、およびポリメラーゼを前記試料に添加し、それによって反応混合物を生成するステップ;ならびに
前記反応混合物を50~85℃でインキュベートするステップ
を含む方法。
【請求項90】
前記インキュベーションが、50~70℃で実施される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記インキュベーションが、60~65℃で実施される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記インキュベートションが、62~65℃で実施される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記ポリメラーゼが、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)ポリメラーゼである、請求項89~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記反応混合物からのシグナルを検出するステップをさらに含む、請求項89~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記シグナルが蛍光シグナルである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記検出するステップが、インキュベーションのステップの間に実施される、請求項94~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記試料中の前記標的配列の存在または非存在を決定するステップをさらに含む、請求項89~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記試料を調製する事前のステップをさらに含む、請求項89~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記試料を調製するステップが、RNA分子を逆転写酵素と相互作用させ、それによってDNA分子を含む試料を生成するステップを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記試料を調製するステップが、前記逆転写酵素との相互作用の前または間に、前記RNA分子を事前に加熱するステップをさらに含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記反応混合物が、RNase阻害剤をさらに含む、請求項89~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記RNase阻害剤が、ブタまたはマウスRNA阻害剤である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記試料が、精製RNA、精製DNA、SARS-CoV-2ウイルス全部、ヒト細胞全部、唾液もしくは鼻スワブ、または鼻もしくは鼻咽頭スワブを含む、請求項89~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記試料が、膣スワブからのゲノムDNA、合成DNA、細菌全部またはヒト細胞全部を含む、請求項89~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記標的配列の存在または非存在を決定するステップをさらに含む、請求項89~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記第2の標的配列または前記第3の標的配列の存在または非存在を決定するステップをさらに含む、請求項105に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願への相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年9月13日に出願された米国仮特許出願第63/243,625号の優先権を主張する。
【0002】
2.配列表
本出願は、EFS-Webを介して提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、XXX配列を有する配列表を含有する。前記ASCIIコピーは、XXXXに作成され、名称は49145WO_sequencelisting.txtであり、サイズはXXXバイトである。
【背景技術】
【0003】
3.背景
核酸配列の相補性を使用して標的核酸を検出する方法は、今日まで従来のサザンハイブリダイゼーションから様々に改善または改変されている。特に、様々なin vitro核酸増幅法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅(RCA)、およびループ媒介等温増幅(LAMP)の確立により、少量の標的核酸を検出することが可能となっている。方法は、感染症の医学的診断、突然変異体遺伝子型の決定、一塩基多型(SNP)および点突然変異の検出等のための、試料中の標的核酸の配列特異的検出および定量のために使用されている。核酸増幅法は、その高い特異度および感度のために検査の至適基準となっている。
【0004】
しかし、現行の核酸増幅法は、増幅反応およびシグナル検出が、制御された環境および高価な機器による精密な測定を必要とすることから制限を有する。このため、方法は、臨床現場の状況で使用するためには膨大な費用がかかる。加えて、方法は、単一の患者試料中の多重標的を検出する場合には最適ではない。多重標的の検出は、ワンポット反応でのシグナル多重化(蛍光スペクトル多重化、電気化学検出器のアレイ)、多重反応の一意的反応容器への物理的分離、またはその組合せによって達成され得る。しかし、CLIA waived試験の場合、ユーザーが単一の患者試料を使用して核酸標的パネルを同時に問い合わせるために、必要となるのは3つ以下の単純なステップでなければならない。したがって、複雑なデバイスまたは使い捨ての自動ハンドル処理がなければ、試料を別個のチャンバーに迅速に物理的に分離することは、CLIA waived試験の場合、実行不可能となる。蛍光によるスペクトル多重化は、核酸標的のパネルを標的とするために必要な一意的反応の数を低減させることができるが、スペクトル多重化LAMP反応は、アッセイ速度またはシグナル強度の大きい犠牲を必要とし、POC試験に適用して成功する見通しが弱められる。
【0005】
したがって、低い費用で高い感度および特異度を有する、標的核酸、特に多重標的の容易な増幅および検出を可能にする新規方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
4.概要
本開示は、クローズドシステムで標的核酸の容易な検出を可能にする新規増幅法を提供する。方法は、バイオセンサーペアを有するループ型(looped)プライマーを使用することによって、高い特異度および感度で少量の標的核酸の検出を可能にする。バイオセンサーペアは、例えば蛍光/クエンチャーFRET技術を使用することによって、ループ型プライマーの立体構造の変化を検出することにより標的配列のループドループ(loop-de-loop)(「LDL」)増幅の決定を可能にする。具体的には、核酸増幅は、ループ型プライマーにおける第1および第2のクランピング配列間の相互作用と競合し、蛍光/クエンチャー対を生成するシグナルを分離させ、観察されるシグナルに測定可能な変化(例えば、蛍光)をもたらす。
【0007】
加えて、様々なバイオセンサーを有する複数のループ型プライマーの使用は、単一のチューブにおける多重化標的の検出を可能にする。ループ型プライマーは、ループ媒介等温増幅(LAMP)との組合せのみならず、鎖置換型ポリメラーゼを利用する任意の他の核酸増幅法と共に使用することができる。
【0008】
本出願人は、ループドループ増幅法が、阻害性蛍光プローブ、例えばDARQ(クエンチングの放出による増幅の検出)、およびOSD(1ステップ置換)プローブを伴う以前に公知の方法と比較して、改善された感度および特異度、より急速な反応回転(turnaround)時間で標的核酸分子の配列特異的増幅を可能にすることを実証した。さらに、ループドループ増幅法は、QUASR(取り込まれていない増幅シグナルレポーターのクエンチング)とは異なり、増幅シグナルのリアルタイム検出を可能にする。ループドループ法は未処理(crude)試料であっても強いシグナルを提供することから、方法を低コスト機器によって実施することができる。
【0009】
本開示は、ループドループ(「LDL」)増幅法に使用することができる2つのタイプのループ型プライマー、すなわちNBMループ型プライマーおよびBMループ型プライマーを提供する。NBMループ型プライマーおよびBMループ型プライマーはいずれも、蛍光/クエンチャーペア、すなわち蛍光シグナルを適切にクエンチするために互いに十分に近接しており、その相互作用が変化すると増幅シグナルを提供する第1の(外部)センサー分子および第2の(内部)センサー分子を含む。しかし、NBMループ型プライマー(図1)およびBMループ型プライマー(図23)は、内部クランピングオリゴヌクレオチドおよび標的配列と相補的なプライマー配列と比較して異なる位置に内部センサー分子を含む。NBMループ型プライマーは、内部クランピングオリゴヌクレオチドとプライマー配列との間に内部センサー分子を含むが、BMループ型プライマーは、内部クランピングオリゴヌクレオチドの5’末端に内部センサー分子を含む。
【0010】
NBMループ型プライマーは、内部クランピングオリゴヌクレオチドとプライマー配列の間に内部センサー分子を含むことから、一部の内部センサーは、図27に例証されるようにBst 2.0 WarmStart(New England Biolabs)のような鎖置換型ポリメラーゼの内部クランピングオリゴヌクレオチドへの順方向の進行を遮断または妨害し得る。
【0011】
NBMループ型プライマーとは異なり、BMループ型プライマーは、内部クランピングオリゴヌクレオチドの5’末端に内部センサー分子を含むことから、等温増幅アッセイにおける鎖置換型ポリメラーゼは、内部センサー分子に到達する前に、標的配列および内部クランピングオリゴヌクレオチドに対して相補的な連続する配列を合成することができる(図23)。このことは、たとえ内部センサー分子が、鎖置換型ポリメラーゼの進行を遮断する場合であっても、標的配列および内部クランピングオリゴヌクレオチドの増幅を可能にする。これは、その遮断効果によらず、様々な内部センサー分子の使用を可能にする。このことは、複数のループ型プライマーを、複数の標的の同時検出のために共に使用する場合、および様々なセンサー分子の使用が必要である場合には、特に重要である。
【0012】
BMループ型プライマーを使用する増幅から産生された二本鎖DNA分子は、クランピング配列より高い融解温度を有する傾向があり、したがって開いたループの立体配置はさらにより好ましい。これは、NBMループ型プライマーによって達成される蛍光と類似の明るい蛍光をもたらす。加えて、BMループ型プライマーの開いた立体配置は、室温を含む広い温度範囲にわたって安定である。この特色により、遮断性の内部修飾が存在する場合であっても、蛍光によるエンドポイント決定が許容される。
【0013】
本開示は、さらに標的ポリヌクレオチドの増幅のためのNBMループ型プライマーまたはBMループ型プライマーを使用する方法を提供する。一部の実施形態では、NMBループ型プライマーおよびBMループ型プライマーは、単一の反応で共に使用される。一部の実施形態では、NMBループ型プライマーまたはBMループ型プライマーは、単一の反応において個々に使用される。本開示はまた、増幅法のための組成物も提供する。
【0014】
したがって、本発明は、標的配列のループドループ増幅(LdL)方法のためのBMループ型プライマーを提供する。一部の実施形態では、ループ型プライマーは、5’から3’に:
第1のセンサー分子;
第1のクランピングオリゴヌクレオチド;
第1のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第2のセンサー分子、
(ここで、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は第1のバイオセンサーペアである);
任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第2のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、第2のセンサー分子、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);および
標的配列上の第1の結合部位と相補的な第1のプライマー配列
を含む。
【0015】
一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1のクランピングオリゴヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、第1のスペーシングオリゴヌクレオチドまたは任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、ヘアピン構造において一本鎖である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のプライマー配列は、重複する。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のプライマー配列は、重複しない。
【0016】
一部の実施形態では、ループ型プライマーは、第2のスペーシングオリゴヌクレオチドを含む。
【0017】
一部の実施形態では、第1のスペーシングオリゴヌクレオチドおよび第2のスペーシングオリゴヌクレオチドはいずれも、ヘアピン構造において一本鎖である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると(together)、3~30ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~15ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~10ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~9ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~8ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~7ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~6ヌクレオチド長である。
【0018】
一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、第2のセンサー分子、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成する場合、第1のセンサー分子および任意選択の第2のセンサー分子は、9~100Å離れている。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、第2のセンサー分子、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成する場合、第1のセンサー分子および任意選択の第2のセンサー分子は、10~50Å離れている。
【0019】
一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも10ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも18ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも19ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも20ヌクレオチド長である。
【0020】
一部の実施形態では、第1のバイオセンサーペアは、エネルギー供与体および受容体ペアである。一部の実施形態では、第1のバイオセンサーペアは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)または生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)のエネルギー供与体および受容体対である。
【0021】
一部の実施形態では、第1のセンサー分子はFRETフルオロフォアであり、第2のセンサー分子はFRETクエンチャーである。一部の実施形態では、第1のセンサー分子はFRETクエンチャーであり、第2のセンサー分子はFRETフルオロフォアである。一部の実施形態では、第1のセンサー分子は、BRETエネルギー供与体であり、第2のセンサー(sensory)分子はBRETエネルギー受容体である。一部の実施形態では、第1のセンサー分子はBRETエネルギー受容体であり、第2のセンサー(sensory)分子はBRETエネルギー供与体である。
【0022】
一部の実施形態では、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は、検出可能な光シグナルを生成する複合体を形成することができる。一部の実施形態では、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は、ヘアピン構造が形成された場合に有意に減損した光シグナルを生成する。
【0023】
一部の実施形態では、第2のセンサー分子は、チミジン(T)またはデオキシチミジン(dT)に結合している。
【0024】
一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(Tm)は60℃より高い。一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(Tm)は65℃より高い。一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(Tm)は70℃より高い。一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(Tm)は、80℃より高い。一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(Tm)は、70~80℃である。一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(Tm)は、70~75℃である。
【0025】
一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は約72℃である。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は60℃より低い。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)は、60~65℃である。
【0026】
一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’-O-メチルRNA塩基、または(vii)その組合せを含む。
【0027】
一部の実施形態では、ループ型プライマーは、ループ型プライマーの5’末端で第1の追加のオリゴヌクレオチドをさらに含む。一部の実施形態では、ループ型プライマーは、第1のセンサー分子および第1のクランピングオリゴヌクレオチドの間に第2の追加のオリゴヌクレオチドをさらに含む。一部の実施形態では、第1または第2の追加のオリゴヌクレオチドは、バーコード配列である。
【0028】
一部の実施形態では、標的配列は、病原体ゲノムに対して特異的である。一部の実施形態では、標的配列は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)に対して特異的である。一部の実施形態では、標的配列は、orf8またはcds2に由来する。一部の実施形態では、ループ型プライマーは、配列番号15のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、標的配列は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に対して特異的である。一部の実施形態では、標的配列は、porAまたはglnAに由来する。一部の実施形態では、ループ型プライマーは、配列番号5または7のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、標的配列は、ウイルスに対して特異的である。一部の実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV-2である。一部の実施形態では、標的配列は、ヒト(Homo sapiens)に対して特異的である。一部の実施形態では、標的配列はRNA配列である。一部の実施形態では、標的配列は、POP7bをコードするRNA配列である。一部の実施形態では、標的配列はtbc1d3に由来する。一部の実施形態では、ループ型プライマーは、配列番号22のオリゴヌクレオチドを含む。
【0029】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されるループ型プライマーを含む、標的配列のループドループ増幅のためのプライマー混合物を提供する。一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、(i)順方向(forward)インナープライマー(FIP)、(ii)逆方向(backward)インナープライマー(BIP)、(iii)順方向プライマー(F3)、および逆方向プライマー(B3)を含み、FIP、BIP、F3、およびB3は、標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。
【0030】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、(i)ループ順方向プライマー(LF)および(ii)ループ逆方向プライマー(LB)を含み、LFおよびLBは、標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。
【0031】
一部の実施形態では、FIP、BIP、F3、B3、LF、またはLBは、標的配列上の第1の結合部位に結合する。
【0032】
一部の実施形態では、FIPは、第1の結合部位に結合し、プライマー混合物中のFIPの量とループ型プライマーの量の間の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である。一部の実施形態では、BIPは、第1の結合部位に結合し、プライマー混合物中のBIPの量とループ型プライマーの量の間の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である。一部の実施形態では、LFは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物中のLFの量とループ型プライマーの量の間の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である。一部の実施形態では、LBは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物中のLBの量とループ型プライマーの量の間の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である。
【0033】
一部の実施形態では、F3は、配列番号1のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号2のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号3のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号4のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号6のオリゴヌクレオチドを含み、またはLBは、配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、F3は、配列番号1のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号2のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号3のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号4のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号6のオリゴヌクレオチドを含み、およびLBは、配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、F3は、配列番号9のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号10のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号11のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号12のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号13を含み、またはLBは、配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、F3は、配列番号9のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号10のオリゴヌクレオチドを含み、FIP は、配列番号11のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号12のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号13のオリゴヌクレオチドを含み、およびLBは、配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、F3は、配列番号16のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号17のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号18のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号19のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号20のオリゴヌクレオチドを含み、またはLBは、配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、F3は、配列番号16のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号17のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号18のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号19のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号20のオリゴヌクレオチドを含み、およびLBは、配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む。
【0034】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、第2のループ型プライマーを含み、第2のループ型プライマーは、5’から3’に:
第3のセンサー分子;
第3のクランピングオリゴヌクレオチド;
第3のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第4のセンサー分子、
(ここで、第3のセンサー分子および第4のセンサー分子は、第2のバイオセンサーペアであり、第2のバイオセンサーペアは第1のバイオセンサーペアとは異なる);
任意選択の第4のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第4のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第3のクランピングオリゴヌクレオチド、第3のスペーシングオリゴヌクレオチド、第4のセンサー分子、任意選択の第4のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第4のクランピングオリゴヌクレオチドは、第3および第4のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);および
第2の標的配列上の第1の結合部位と相補的な第2のプライマー配列
を含む。
【0035】
一部の実施形態では、第3のクランピングオリゴヌクレオチドは、第4のクランピングオリゴヌクレオチドと相補的である。
【0036】
一部の実施形態では、標的配列および第2の標的配列は同一である。一部の実施形態では、標的配列および第2の標的配列は異なる。
【0037】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、(i)第2の順方向インナープライマー(SFIP)、(ii)第2の逆方向インナープライマー(SBIP)、(iii)第2の順方向プライマー(SF3)、および(iv)第2の逆方向プライマー(SB3)を含み、SFIP、SBIP、SF3、およびSB3は第2の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。
【0038】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、(i)第2のループ順方向プライマー(SLF)および(ii)第2のループ逆方向プライマー(SLB)を含み、SLFおよびSLBは、第2の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。
【0039】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、第3のループ型プライマーを含み、第3のループ型プライマーは、5’から3’に:
第5のセンサー分子;
第5のクランピングオリゴヌクレオチド;
第5のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第6のセンサー分子、
(ここで、第5のセンサー分子および第6のセンサー分子は第3のバイオセンサーペアであり、第3のバイオセンサーペアは、第1のバイオセンサーペアおよび第2のバイオセンサーペアとは異なる);
任意選択の第6のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第6のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第5のクランピングオリゴヌクレオチド、第5のスペーシングオリゴヌクレオチド、第6のセンサー分子、任意選択の第6のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第6のクランピングオリゴヌクレオチドは、第5および第6のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);および
第3の標的配列上の第1の結合部位と相補的な第3のプライマー配列
を含む。
【0040】
一部の実施形態では、第5のクランピングオリゴヌクレオチドは、第6のクランピングオリゴヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、標的配列、第2の標的配列および第3の標的配列は同一である。一部の実施形態では、標的配列、第2の標的配列および第3の標的配列は異なる。
【0041】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、(i)第3の順方向インナープライマー(TFIP)、(ii)第3の逆方向インナープライマー(TBIP)、(iii)第3の順方向プライマー(TF3)、および(iv)第3の逆方向プライマー(TB3)を含み、TFIP、TBIP、TF3、およびTB3は、第3の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。
【0042】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、(i)第3のループ順方向プライマー(TLF)および(ii)第3のループ逆方向プライマー(TLB)を含み、TLFおよびTLBは、第3の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。
【0043】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、第4のループ型プライマーを含む。一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、第5のループ型プライマーを含む。
【0044】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されるループ型プライマーまたはプライマー混合物を凍結乾燥することによって得られた乾燥プライマー混合物を提供する。
【0045】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されるループ型プライマー、プライマー混合物、または乾燥プライマー混合物を含む、標的配列のループドループ増幅のためのキットを提供する。
【0046】
一部の実施形態では、ポリメラーゼは、任意選択でバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)ポリメラーゼである。一部の実施形態では、キットはさらに、dNTP、MgSO4、および緩衝液を含む。一部の実施形態では、キットはさらに、逆転写酵素を含む。一部の実施形態では、キットはさらに、RNase阻害剤を含む。一部の実施形態では、RNase阻害剤は、ブタまたはマウスRNase阻害剤である。
【0047】
本開示はさらに、試料中の標的配列を検出する方法であって、
試料を提供するステップ;
(i)プライマー、(ii)プライマー混合物、または(iii)その乾燥混合物を再水和すること(rehydrating)によって得られた復元された(reconstituted)プライマー混合物、およびポリメラーゼを試料に添加し、それによって反応混合物を生成するステップ;ならびに
反応混合物を50~85℃でインキュベートするステップ
を含む方法を開示する。
【0048】
一部の実施形態では、インキュベーションは、50~70℃で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、60~65℃で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、62~65℃で実施される。一部の実施形態では、ポリメラーゼは、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)ポリメラーゼである。
【0049】
一部の実施形態では、方法は、反応混合物からのシグナルを検出するステップをさらに含む。
【0050】
一部の実施形態では、シグナルは、蛍光シグナルである。一部の実施形態では、検出するステップは、インキュベーションステップの間に実施される。一部の実施形態では、方法はさらに、試料中の標的配列の存在または非存在を決定するステップを含む。
【0051】
一部の実施形態では、方法はさらに、試料を調製する事前のステップ(preceding step)を含む。一部の実施形態では、試料を調製するステップは、RNA分子を逆転写酵素と相互作用させ、それによってDNA分子を含む試料を生成するステップを含む。
【0052】
一部の実施形態では、試料を調製するステップはさらに、逆転写酵素との相互作用の前または間にRNA分子を事前に加熱する(preheating)ステップを含む。一部の実施形態では、反応混合物はさらに、RNase阻害剤を含む。一部の実施形態では、RNase阻害剤は、ブタまたはマウスRNA阻害剤である。
【0053】
一部の実施形態では、試料は、精製RNA、精製DNA、SARS-CoV-2ウイルス全部(whole)、ヒト細胞全部、唾液もしくは鼻スワブ、または鼻もしくは鼻咽頭スワブを含む。一部の実施形態では、試料は、膣スワブからのゲノムDNA、合成DNA、細菌全部またはヒト細胞全部を含む。
【0054】
一部の実施形態では、方法はさらに、標的配列の存在または非存在を決定するステップを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、第2の標的配列または第3の標的配列の存在または非存在を決定するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は、NBMループ型プライマーの構造、およびNBMループ型プライマーを使用するループドループ法においてDNA増幅がどのように進行するかを例証する。
図2図2Aは、インターカレート色素(SYTO)によって可視化した、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)(CT)および淋菌(Neisseria gonorrhoeae)(NG)のLAMPアッセイの結果を提供する。増幅は、CTに関して[DNA]の少なくとも5対数、およびNGに関して6対数にわたって急速(<30分)であった。NGアッセイ分析感度(LOD50)は、PROBIT解析によって35cp/10μL反応である。図2Bは、新規NBMループ型プライマーを使用する標的増幅からの読み出しを提供する。結果は、SYTO色素に対して最少の阻害および増強された特異度での標的の極めて明るいリアルタイム検出を示す。図2Cは、新規NBMループ型プライマーによる淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の検出を提供する。結果は、方法が反復可能で急速、強固で高いシグナル対ノイズ比の増幅を生成することを示している。プローブは、偽陽性を排除する。
図3図3は、50%置換を有するFAM標識LFプライマーによるループドループ法を使用するクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の標的核酸の増幅を示す、経時的なリアルタイム蛍光シグナルのプロットである。陽性および陰性試料の両方を、右の表に示すように試験した。y軸の各「サイクル」は、セ氏65度で30秒の経過時間を表す。
図4図4は、50%置換を有するFAM標識LFプライマーによるループドループ法を使用する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の標的核酸の増幅を示す、経時的なリアルタイム蛍光シグナルのプロットである。陽性および陰性試料の両方を、右の表に示すように試験した。y軸の各「サイクル」は、セ氏65度で30秒の経過時間を表す。
図5図5は、50%置換を有するFAM標識LFプライマーによるループドループ法を使用するヒト(Homo sapiens)の標的核酸の増幅を示す、経時的なリアルタイム蛍光シグナルのプロットである。陽性および陰性試料の両方を、右の表に示すように試験した。y軸の各「サイクル」は、セ氏65度で30秒の経過時間を表す。
図6図6は、NBMループ型プライマーによる4つの陽性(左)および4つの陰性(右)反応を含有するチューブの画像を提供する。蛍光を青色LEDで励起し、青色ゲルフィルターを通して光らせ、カメラフォンまで保持したアンバープラスチックフィルターによって放射を可視化した。
図7図7は、PCRチューブ中で凍結乾燥によって調製したクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)(上)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)(中央)、およびヒト(Homo sapiens)(下)に関するNBMループ型プライマーアッセイのための乾燥(凍結乾燥)混合物を含有するチューブの画像を提供する。
図8図8は、使用前に復元した図7の乾燥混合物を使用するループドループ反応におけるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、およびヒト(Homo sapiens)の標的核酸の増幅を示すリアルタイム蛍光シグナルを提供する。結果は、乾燥され、その後復元されたプライマーのアッセイ活性および感度が維持されたことを示す。
図9図9A(第1の試験)および9B(第2の試験)は、様々な温度でPOP7b(ヒト(H. sapiens)RNA転写物)またはORF1ab(SARS-CoV-2ゲノムRNA)プライマーセットを使用するループドループLAMP反応からの結果を得るために必要な時間をプロットする。
図10図10は、ヒト(H. Sapiens)、C.トラコマチス(C. Trachomatis)、淋菌(N. Gonorrhoeae)、またはSARS-CoV-2からのDNAを標的とするNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。NBMループ型プライマーは、反応温度65℃より約10℃上でアンフォールディングされるように設計される。曲線は、ループドループプライマーのステムループ配列が蛍光シグナルの原因であることを実証している。
図11図11は、NBMループ型プライマーを25%、50%、または100%強度で使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。この文脈において、「強度」は、プライマーがループドループ法のループ型バージョンに置換されている程度である。データは、より強いプライマーが、結果までの時間が1~2分遅れる代わりにより大きいシグナルを提供する傾向があることを示している。100%強度のループドループプライマーは、アッセイを遅らせるが、他のリアルタイムLAMP鎖置換プローブ法の程度ではない。y軸の各「サイクル」は、セ氏65度で30秒の経過時間を表す。
図12図12は、0.4μM NBMループ型プライマーおよび2μM SYTOインターカレート色素の両方を含むループドループ反応からの相対的蛍光シグナルを提供する。2チャンネル蛍光データは、インターカレート色素(SYTO)の顕色およびループドループシグナル発生のタイミングが同一であることを実証する。ループドループをインターカレート色素と比較するとシグナルの遅れはなく、ループドループ反応は、SYTOより大きいシグナルを提供した。
図13図13Aおよび13Bは、NBMループ型プライマーを使用したクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の標的配列の増幅からのリアルタイム蛍光シグナルを示す。図13Aは、新たに混合した反応混合物からの結果であり、図13Bは、フリーズドライした反応混合物からの結果である。フリーズドライしたアッセイ混合物は、3カ月より長く安定であり、良好な読み出しを提供した。アッセイを、14の反復実験で実施し、これらはアッセイ(20.7コピー/μL)のLoD95(低い陽性)での各々のCt E BOUR(クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の株)、プラス2つの鋳型なし対照(NTC)であった。新たに調製した反応混合物とフリーズドライ反応混合物の間で、感度(各々LoD95で12/14)または結果までの平均時間(16分、T検定、P値=0.66)に変化はなかった。
図14図14A、14Bおよび14Cは、NBMループ型プライマーを使用して単一チューブ反応(ワンポット)においてSARS-CoV-2およびヒト標的配列のループドループ増幅からのスペクトル二重化蛍光シグナルを示す。破線のシグナルはSARS-CoV-2(FAM)に由来し、実線のシグナルはヒト内部対照(Cy5)に由来する。3つのタイプの試料、すなわち標的配列を有しない対照(図14A)、未処理ヒト鼻スワブ(図14B)、および熱不活化SARS-CoV-2(ゲノムRNA標的配列を有するインタクトウイルス)と組み合わせた未処理ヒト鼻スワブ(図14C)を使用した。データは、標的配列の存在下に限って特異的増幅シグナルを示す。データはさらに、単一の反応容器中でのループドループ法による反応のスペクトル多重化をさらに実証する。
図15図15Aは、様々な濃度のPOP7bプライマーによるループドループ増幅からのリアルタイム蛍光シグナルを示す。シグナル強度は、POP7bプライマーの濃度が低減すると減少した(矢印)。単一反応体積中の1つより多くのプライマーセットによる多重化応用では、任意の所定のプライマーセットの濃度は、プライマーの100%が単一のセットに属する反応と比較して減少した。図15Bは、様々な濃度のPOP7bプライマーでの結果までの時間(分)をプロットする。結果までの時間は、プライマー濃度が、単一チューブ中の2つより多くの標的を多重化する利点が、臨床または市場での速度の要求を上回る多くの応用において認容される、40%未満に低下すると、影響を受けた。反応において、10-4gBlock DNAを、21μLの反応体積で使用した。
図16図16は、コロナウイルス陽性対象から得た無処理鼻スワブにおける、SARS-CoV-2(ORF1ab)に対して特異的なRNA標的配列、ヒト(Homo sapiens)に対して特異的なRNA標的配列(POP7b)、両方の標的に対して特異的なRNA標的配列、またはいずれの標的も存在しない場合のいずれかのループドループRT-LAMP増幅からのリアルタイム蛍光シグナルを示す。鼻スワブをループドループRT-LAMP試薬に直接溶出させ、反応混合物中で4つの濃度に希釈した。1×スワブは、この試験構成で使用した試料の標準濃度を、単位体積あたりに溶出したスワブの単位で表す。この例では、SARS-CoV-2およびヒトRNAプライマーセットを単一のチューブで二重化した。各プライマーセットは、1つのNBMループ型プライマーを含有し、各々は、同じフルオロフォアおよびクエンチャー対で標識された(単一の蛍光チャンネル)。結果は、SARS-CoV-2およびヒトRNAの両方を検出した反応が、二重増幅シグナルを特色としたことであった。両方の標的の検出をもたらす希釈液を、「二重陽性」と表示し、いずれかの標的の検出をもたらすものを「単一陽性」と表示し;いずれの標的の検出ももたらさないものを「二重陰性」として表示する。このデータは、このコロナウイルス陽性ボランティアのスワブ試料に関して、リアルタイムループドループRT-LAMPアッセイが、反応中の両方の標的を検出するために必要な感度より少なくとも370倍の感度であったことを実証した。
図17図17は、陰性対象から得た鼻スワブにおける、SARS-CoV-2に対して特異的な標的配列のループドループ増幅からのリアルタイム蛍光シグナルを示す。
図18図18は、SARS-CoV-2およびヒト標的配列の多重化ループドループ増幅からの蛍光シグナルを示し、ループドループ反応の特異度を実証する。SARS-CoV-2およびヒトプライマーセットの両方を、二重陽性対照が2つの増幅事象を示すように、FAM標識プライマーを使用するループドループのために修飾した。RPPOSは、22個の非標的呼吸器病原体からの遺伝子材料を含有する呼吸器病原体パネル陽性(Exact Diagnostics LLC)である。PRNEGは、核酸を有しないRPPOS産物のバックグラウンドマトリックス対照である。データは、SARS-CoV-2およびヒト標的を検出するためのループドループRT-LAMP反応が、オフターゲット核酸を増幅しないことを示している。
図19図19は、高コピー数のC.トラコマチス(C. trachomatis)(Ct)(10,000コピー当量/反応)および高コピー数の淋菌(N. gonorrhoeae)(Ng)(10,000コピー当量/反応)を含有する試料のループドループ増幅からの蛍光シグナルを示す。
図20図20は、高コピー数のC.トラコマチス(C. trachomatis)(Ct)(10,000コピー当量/反応)および低コピー数の淋菌(N. gonorrhoeae)(Ng)を含有する試料のループドループ増幅からの蛍光シグナルを示す。
図21図21は、低コピー数のC.トラコマチス(C. trachomatis)(Ct)および低コピー数の淋菌(N. gonorrhoeae)(Ng)を含有する試料のループドループ増幅からの蛍光シグナルを示す。
図22図22は、陰性対照、すなわちスワブのみの対照(左の2つのパネル)または緩衝液のみの対照(右の2つのパネル)のループドループ増幅からの蛍光シグナルを示す。
図23図23は、BMループ型プライマーの構造、およびDNA増幅が、BMループ型プライマーを使用してループドループ法においてどのように進行するかを例証する。
図24図24は、フルオレセイン(FAM)によって標識した内部dTを含むNBMループ型プライマーを使用する増幅からの融解曲線を提供する。融解曲線は、非増幅反応の場合は正の勾配(-d(RFU)/dT<0)、陽性増幅の場合は負の勾配を示す。
図25図25は、NBMループ型プライマー、ヒトPOP7b-LB-Cy5を使用する増幅からの融解曲線を提供する。内部Cy5は、鎖置換型ポリメラーゼの順方向進行を遮断し、したがって、NBMループ型プライマー構造と共に使用される遮断性内部修飾である。
図26図26は、内部Zenクエンチャーを有するNBMループ型プライマーを使用する増幅からの融解曲線を提供する。内部Zenクエンチャーは、鎖置換型ポリメラーゼの順方向進行を遮断し、したがって、NBMループ型プライマー構造と共に使用される遮断性内部修飾である。
図27図27は、非遮断性(上)または遮断性(下)修飾を有するNBMループ型プライマーを使用する鎖置換型ポリメラーゼによる増幅を例証する。
図28図28Aは、5’-FAMフルオロフォアおよびdT-QSY7クエンチャーを含有するBMまたはNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応のリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図28Bは、5’-FAMフルオロフォアおよびdT-QSY7クエンチャーを含有するBMまたはNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図29図29Aは、5’-HEXフルオロフォアおよび内部Onyx A(OQA)クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図29Bは、5’-HEXフルオロフォアおよび内部Onyx A(OQA)クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図30図30Aは、5’-VICフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するBMまたはNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図30Bは、5’-VICフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するBMまたはNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図31図31Aは、5’-ABYフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するBMまたはNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図31Bは、5’-ABYフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するBMまたはNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図32図32Aは、5’-QSY7クエンチャーおよび内部dT-TAMRAを含有するNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図32Bは、5’-QSY7クエンチャーおよび内部dT-TAMRAを含有するNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図33図33Aは、5’-JUNフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するBMまたはNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図33Bは、5’-JUNフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するBMまたはNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図34図34Aは、5’-QSY7クエンチャーおよび内部dT-FAMフルオロフォア;または5’-FAMフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図34Bは、5’-QSY7クエンチャーおよび内部dT-FAMフルオロフォア;または5’-FAMフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図35図35Aは、5’-HEXフルオロフォアおよび内部Onyx A(OQA)クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図35Bは、5’-HEXフルオロフォアおよび内部Onyx A(OQA)クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図36図36Aは、5’-VICフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図36Bは、5’-VICフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するBMまたはNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図37図37Aは、5’-ABYフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図37Bは、5’-ABYフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図38図38Aは、5’-JUNフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。図38Bは、5’-JUNフルオロフォアおよび内部dT-QSY7クエンチャーを含有するNBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。
図39図39Aは、5’-Yakima Yellow(YY)フルオロフォアおよび内部Zenクエンチャーを含有するNBMまたはBMループ型プライマーを使用するループドループ反応からのリアルタイム蛍光シグナルを提供する。BMループ型プライマーからのシグナルは、BMループ型プライマーヘアピンが、鎖置換型ポリメラーゼが第2のクランピングおよび任意選択のスペーサー配列の逆相補体を合成後に開き、図23に示される立体配置をもたらすことから、NBMループ型プライマーのシグナルより明るい。NBMループ型プライマーでは、ポリメラーゼは内部Zenクエンチャーによって遮断され、第2のクランピング配列の逆相補体を合成することができず、図27に示される立体配置をもたらす。図39Bは、5’-Yakima Yellow(YY)フルオロフォアおよび内部Zenクエンチャーを含有するNBMまたはBMループ型プライマーの融解曲線を提供する。融解曲線は、第2のセンサー分子がZenのような遮断性修飾である場合、BMループ型プライマーは、たとえ室温まで冷却した場合であっても、標的の存在下で安定なオープンプライマー立体配置を生成することを実証している。これに対し、NBMループ型プライマーは、室温に冷却された場合に、蛍光を発しない安定なヘアピン立体配置を保持する。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図面は、単なる例証目的のために本発明の様々な実施形態を示す。当業者は、本明細書に例証する構造および方法の代替の実施形態を、本明細書に記載される本発明の原理から逸脱することなく使用してもよいことを、以下の考察から容易に認識するであろう。
【0057】
6.詳細な説明
6.1.定義
特に定義していない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解される意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、以下の内容に帰する意味を有する。
【0058】
「バイオセンサーペア」という用語は、本明細書で使用される場合、2つのセンサー分子間のある特定の物理的相互作用により検出可能なシグナルを生成することができるセンサー分子のペアを指す。例えば、バイオセンサーペアは、フェルスター共鳴エネルギー移動、例えば蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のために使用される供与体分子および受容体分子のペアであり得る。この場合、蛍光シグナルは、供与体分子から受容体分子への距離依存的エネルギー移動によって生成され得る。他の実施形態では、バイオセンサーペアは、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)に使用されるセンサー分子のペアである。この場合、生物発光シグナルは、供与体分子から受容体分子への距離依存的エネルギー移動によって生成され得る。当技術分野で公知の他のバイオセンサーペアを、本開示の様々な実施形態に使用することができる。
【0059】
「ループドループ増幅」、または「LdL増幅」という用語は、本明細書で使用される場合、距離依存的エネルギー移動によって蛍光シグナルを生成することができるループ型プライマーを使用する標的核酸の増幅を指す。
【0060】
「ループ型プライマー」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書で記載されるLdL増幅に使用することができるプライマーを指す。ループ型プライマーは、距離依存的エネルギー移動によって蛍光シグナルを生成することができるバイオセンサーペアを含む。ループ型プライマーは、BMループ型プライマーまたはNBMループ型プライマーであり得る。
【0061】
「NBMループ型プライマー」という用語は、本明細書で使用される場合、5’から3’に:
第1のセンサー分子;
第1のクランピングオリゴヌクレオチド;
スペーシングオリゴヌクレオチド;
第2のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);
第2のセンサー分子
(ここで、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は第1のバイオセンサーペアである);および
標的配列上の第1の結合部位と相補的な第1のプライマー配列
を含むループ型プライマーを指す。
【0062】
NBMループ型プライマーは、非遮断性修飾と適合性であるが、遮断性修飾との適合性が低いかまたは適合性でない形態である。
【0063】
LdL増幅を、NBMループ型プライマーによって実施する場合、第2のセンサー分子は、鎖置換型ポリメラーゼの順方向進行を遮断し得る。したがって、ポリメラーゼの進行を遮断しないセンサー分子(例えば、化学結合のための骨格としてヌクレオチド塩基(例えば、dT)を利用するセンサー)を第2のバイオセンサーとして使用することは、好ましいが必要ではない。一部の実施形態では、NBMループ型プライマーは、鎖置換型ポリメラーゼの順方向の進行を部分的に遮断するセンサー分子を含む。一部の実施形態では、NBMループ型プライマーは、鎖置換型ポリメラーゼの順方向の進行を遮断しないセンサー分子を含む。
【0064】
「BMループ型プライマー」という用語は、本明細書で使用される場合、5’から3’に:
第1のセンサー分子;
第1のクランピングオリゴヌクレオチド;
第1のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第2のセンサー分子、
(ここで、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は第1のバイオセンサーペアである);
任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第2のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、第2のセンサー分子、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);および
標的配列上の第1の結合部位と相補的な第1のプライマー配列、
を含むループ型プライマーを指す。
【0065】
BMループ型プライマーは、遮断性および非遮断性修飾の両方と適合性の形態にある。したがって、一部の実施形態では、BMループ型プライマーは、遮断性修飾(例えば、ポリメラーゼの進行を遮断する第2のセンサー分子)を含む。一部の実施形態では、BMループ型プライマーは、非遮断性修飾(例えば、ポリメラーゼの進行を遮断しない第2のセンサー分子)を含む。
【0066】
「LOD」という用語は、本明細書で使用される場合、検出限界を指す。例えば、LOD95は、95パーセンタイルの検出限界である。これは、アッセイが時間の95%で陽性結果を検出することが統計学的に予想される標的の濃度である。
【0067】
6.2.他の解釈上の慣例
本明細書で列挙した範囲は、列挙された終点を含む範囲内の全ての値の省略であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50からなる群からの任意の数、数の組合せ、または部分範囲を含むと理解される。
【0068】
特に示していない限り、1つまたは複数の立体中心を有する化合物という言及は、各々の立体異性体、および立体異性体のその全ての組合せを意図する。
【0069】
6.3.ループ型プライマー
本開示は、本明細書に記載されるLdL増幅に使用することができるループ型プライマーを提供する。ループ型プライマーは、距離依存的エネルギー移動によって蛍光シグナルを生成することができるバイオセンサーペアを含む。ループ型プライマーは、BMループ型プライマーまたはNBMループ型プライマーであり得る。
【0070】
NBMループ型プライマー
一態様では、本発明は、ループドループ増幅のためのNBMループ型プライマーを提供する。NBMループ型プライマーは、5’から3’に:
第1のセンサー分子;
第1のクランピングオリゴヌクレオチド;
スペーシングオリゴヌクレオチド;
第2のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチドおよび第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);
第2のセンサー分子、
(ここで、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は第1のバイオセンサーペアである);および
標的配列上の第1の結合部位と相補的な第1のプライマー配列
を含む。
【0071】
一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1のクランピングオリゴヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1のクランピングオリゴヌクレオチドに結合することができるが、第1のクランピングオリゴヌクレオチドと完全に相補的ではない。
【0072】
第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは互いに相補的であり、そのため互いに結合することができる。第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる。
【0073】
一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、60℃より高い。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は65℃より高い。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は70℃より高い。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、80℃より高い。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、70~80℃である。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、72.5~77.5℃である。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は約75℃である。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、60℃より低い。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、60~65℃である。
【0074】
一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、鎖置換型ポリメラーゼを使用するアッセイの伸長温度より10℃高い。一部の実施形態では、融解温度は、アッセイの伸長温度より低い、それに等しい、または任意の量高い。
【0075】
が、反応の伸長温度より低い場合、リアルタイム検出を、エンドポイント検出に交換することができ(反応を、クランピング配列のT付近またはそれより下に冷却する)、完全な強度(100%置換)のNBMループ型プライマーを使用する場合であっても、反応の阻害が存在しないことがあり得る。
【0076】
が、反応の伸長温度に等しい場合、リアルタイム検出はなおも実行可能であり得るが、エンドポイント決定のために反応を冷却するまで高いバックグラウンド蛍光が存在し得る。
【0077】
が、反応の伸長温度より高い場合、リアルタイム検出は、主要な操作様式であり得て、バックグラウンド蛍光は最小である。
【0078】
一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、3~10ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、3~7ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、6ヌクレオチド長である。典型的な実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、同じ長さを有する。
【0079】
一部の実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、5~35ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、10~20ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、13~18ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、スペーシングオリゴヌクレオチドは、13ヌクレオチド長である。
【0080】
一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、合わせると、15~35ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、合わせると、20~30ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、合わせると、23~28ヌクレオチド長である。
【0081】
ループ型プライマーは、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’-O-メチルRNA塩基、または(vii)その組合せを含み得る。第1のクランピングオリゴヌクレオチド、スペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’-O-メチルRNA塩基、または(vii)その組合せを含む。
【0082】
一部の実施形態では、NBMループ型プライマーはさらに、ループ型プライマーの5’末端に第1の追加のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態ではさらに、NBMループ型プライマーは、第1のセンサー分子および第1のクランピングオリゴヌクレオチドの間に第2の追加のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、第1または第2の追加のオリゴヌクレオチドは、バーコード配列である。
【0083】
一部の実施形態では、NBMループ型プライマーは、ループ型プライマーのさらに5’末端に追加のバーコード配列、プローブ配列、または他の配列を含む。追加の配列は、核酸塩基またはその修飾を含み得る。
【0084】
一部の実施形態では、標的配列は、病原体ゲノムに対して特異的である。実施形態では、標的配列は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)に対して特異的である。一部の実施形態では、標的配列は、orf8またはcds2に由来する。具体的には、標的結合部位は、配列番号15の配列を有し得る。
【0085】
一部の実施形態では、標的配列は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に対して特異的である。一部の実施形態では、標的配列は、porAまたはglnAに由来する。具体的には、標的結合部位は、配列番号5または7の配列を有し得る。
【0086】
一部の実施形態では、標的配列は、ヒト(Homo sapiens)に対して特異的である。一部の実施形態では、標的配列は、tbc1d3に由来する。具体的には、標的結合部位は、配列番号22の配列を有し得る。
【0087】
BMループ型プライマー
別の態様では、本開示は、BMループ型プライマーを提供する。BMループ型プライマーは、5’から3’に:
第1のセンサー分子;
第1のクランピングオリゴヌクレオチド;
第1のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第2のセンサー分子、
(ここで、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は第1のバイオセンサーペアである);
任意選択で第2のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第2のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、第2のセンサー分子、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);および
標的配列上の第1の結合部位と相補的な第1のプライマー配列
を含む。
【0088】
NBMループ型プライマーおよびBMループ型プライマーは、第2のクランピングオリゴヌクレオチドと比較して異なる位置で第2のセンサー分子を含む。
【0089】
NBMループ型プライマーと比較して、BMループ型プライマーは、それらがヘアピン構造を形成する場合により離れた距離で第1のセンサー分子および第2のセンサー分子を含む。しかし、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子はなおも、蛍光シグナルを適切にクエンチするために互いに物理的に十分に近い。
【0090】
第2のセンサー分子は、第2のクランピングオリゴヌクレオチドの5’末端に存在することから、等温増幅アッセイにおける鎖置換型ポリメラーゼは、第2のセンサー分子に達する前に標的配列および第2のクランピングオリゴヌクレオチドに対して相補的な連続する配列を合成することができる。得られた二本鎖DNAの区分は、クランピング配列より高い融解温度を有し、したがって、開いたループの(非ヘアピン)立体配置はなおさら都合がよい。これは明るい蛍光を生じる。加えて、開いた立体配置は、室温を含む広い温度範囲に対して安定である。この特色により、たとえ等温増幅アッセイにおいて鎖置換型ポリメラーゼの順方向進行を遮断する第2のセンサー分子が存在する場合であっても、蛍光によってエンドポイントを決定することが許容される。
【0091】
開いたループの立体配置は、第2のセンサー分子および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの間に追加の塩基(すなわち、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド)を付加することによってさらに安定化させることができる。このように、一部の実施形態では、BMループ型プライマーは、第2のスペーシングオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、BMループ型プライマーは、第2のスペーシングオリゴヌクレオチドを含まない。
【0092】
一部の例では、BMループ型プライマーは、センサー分子間の物理的距離によって決定されるクエンチング効率(フェルスター共鳴エネルギー移動の効率)と、平衡時の開いた立体配置に存在するループ型プライマー分子の割合との間のトレードオフを特色とする。
【0093】
一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1のクランピングオリゴヌクレオチドと完全に相補的である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、第1のクランピングオリゴヌクレオチドと部分的に相補的である。
【0094】
一部の実施形態では、第1のスペーシングオリゴヌクレオチドまたは任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、ヘアピン構造において一本鎖である。
【0095】
一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のプライマー配列は重複する。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のプライマー配列は重複せず、個別の配列である。
【0096】
一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~30ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~15ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~10ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~9ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~8ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~7ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のクランピングオリゴヌクレオチドおよび任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、3~6ヌクレオチド長である。
【0097】
一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、第2のセンサー分子、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成する場合、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は、150Å未満離れている。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、第2のセンサー分子、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成する場合、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は、9~100Å離れている。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、第2のセンサー分子、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成する場合、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は、10~50Å離れている。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、第2のセンサー分子、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成する場合、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は、20~40Å離れている。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、第2のセンサー分子、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成する場合、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は、25~35Å離れている。
【0098】
一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも10ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも11ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも12ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも13、14、または15ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも16、17、または18ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも19ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第1のスペーシングオリゴヌクレオチドは、合わせると、少なくとも20ヌクレオチド長である。
【0099】
一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(T)は、60℃より高い。一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(T)は、65℃より高い。一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(T)は、70℃より高い。一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(T)は、80℃より高い。
【0100】
一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(T)は、60~80℃である。一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(T)は、70~80℃である。一部の実施形態では、ヘアピン構造の融解温度(T)は、70~75℃である。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、約72℃である。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、60~65℃でる。
【0101】
一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、60℃より低い。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、70℃より低い。一部の実施形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、80℃より低い。
【0102】
一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’-O-メチルRNA塩基、または(vii)その組合せを含む。一部の実施形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチド、第1のスペーシングオリゴヌクレオチド、任意選択の第2のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、(i)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルから選択される核酸塩基、(ii)ロックド核酸、(iii)2’O-メチルRNA塩基、(iv)ホスホロチオエート化DNA塩基、(v)ホスホロチオエート化RNA塩基、(vi)ホスホロチオエート化2’-O-メチルRNA塩基、および(vii)その組合せからなる群から選択される1つまたは複数を含む。
【0103】
一部の実施形態では、BMループ型プライマーはさらに、ループ型プライマーの5’末端に第1の追加のオリゴヌクレオチドを含む。
【0104】
一部の実施形態では、BMループ型プライマーはさらに、第1のセンサー分子と第1のクランピングオリゴヌクレオチドの間に第2の追加のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、第1または第2の追加のオリゴヌクレオチドはバーコード配列である。
【0105】
一部の実施形態では、標的配列は、病原体ゲノムに対して特異的である。一部の実施形態では、標的配列はウイルスに対して特異的である。一部の実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV-2である。一部の実施形態では、標的配列は、ヒト(Homo sapiens)に対して特異的である。一部の実施形態では、標的配列はRNA配列である。一部の実施形態では、BMループ型プライマーは、配列番号25のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、BMループ型プライマーは、配列番号26のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、標的配列は、POP7bをコードするRNA配列である。一部の実施形態では、標的配列はtbc1d3に由来する。
【0106】
センサー分子
当技術分野で公知の様々なバイオセンサーを、本明細書に記載されるNBMまたはBMループ型プライマーに組み込むことができる。例えば、非常に近位のまたは十分な距離で色を変化させるかまたは検出可能なシグナルを産生する分子ペア(例えば、発光タンパク質に基づくNanoLuc、Nanobit、NonoBRET技術)を使用することができる。
【0107】
一部の実施形態では、第1のバイオセンサーペアは、エネルギー供与体および受容体ペアである。一部の実施形態では、第1のバイオセンサーペアは、フェルスター共鳴エネルギー移動のエネルギー供与体および受容体ペアである。一部の実施形態では、第1のバイオセンサーペアは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)または生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)のエネルギー供与体および受容体ペアである。一部の実施形態では、第1のセンサー分子は、FRETフルオロフォアであり、第2のセンサー分子はFRETクエンチャーである。一部の実施形態では、第1のセンサー分子はFRETクエンチャーであり、第2のセンサー分子はFRETフルオロフォアである。一部の実施形態では、第1のセンサー分子は、BRETエネルギー供与体であり、第2のセンサー(sensory)分子はBRETエネルギー受容体である。一部の実施形態では、第1のセンサー分子はBRETエネルギー受容体であり、第2のセンサー分子はBRETエネルギー供与体である。
【0108】
一部の実施形態では、FRETクエンチャーは、商品名5’Iowa Black(登録商標)FQとしてIntegrated DNA technologiesから入手可能な5IABkFQである。5’Iowa Black(登録商標)FQは、420~620nmの範囲の広い吸収スペクトルを有し、ピーク吸光度が531nmであるFRETクエンチャーである。このクエンチャーを、フルオレセインおよび緑色からピンク色のスペクトル範囲で放射する他の蛍光色素と共に使用することができる。一部の実施形態では、クエンチャーは、Black Holeクエンチャー(登録商標)(Biosearch Technologiesから入手可能)のいずれか、Iowa Black(登録商標)クエンチャー(Integrated DNA technologiesから入手可能)のいずれか、Zen(登録商標)クエンチャー(Integrated DNA Technologiesから入手可能)、Onyx(登録商標)クエンチャー(Millipore-Sigmaから入手可能)のいずれか、またはATTO(登録商標)クエンチャー(ATTO-TEC GmbHから入手可能)のいずれかである。
【0109】
一部の実施形態では、FRETフルオロフォアは、Integrated DNA technologiesからInt6-FAM(アジド)の名称で入手可能なi6-FAMK(FAM(フルオレセイン)アジド)である。この形態のFAMを、クリックケミストリーを使用してオリゴヌクレオチドに結合させることができる。この修飾の内部版を、dT塩基を通してオリゴに結合させることができる。dTヌクレオチドを、修飾位置で付加することができる。あるいは、余分なヌクレオチドの付加を回避するために、配列中の既存のTヌクレオチドを、必要な修飾と交換することができる。一部の実施形態では、フルオロフォアは、Cy3、Cy5、TAMRA、またはYakima Yellow(登録商標)(Integrated DNA Technologiesから入手可能)である。
【0110】
一実施形態では、ループ型プライマーは、内部クエンチャー(例えば、Zen(登録商標)またはOnyx A(登録商標))および5’フルオロフォア(例えば、Yakima Yellow(登録商標)またはHEX)を含む。
【0111】
一部の実施形態では、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は、検出可能な光シグナルを生成する複合体を形成することができる。一部の実施形態では、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子は、ヘアピン構造が形成されると有意に減損した光シグナルを生成する。
【0112】
NBMループ型プライマーの様々な実施形態では、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子の間の距離は、ヘアピン構造において0である。実施形態では、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子の間のクエンチングは、「接触クエンチング」により起こり得る。
【0113】
BMループ型プライマーの様々な実施形態では、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子の間の距離は、ヘアピン構造において0より大きい。一部の実施形態では、第1のセンサー分子および第2のセンサー分子の間の距離は、接触クエンチングを確実にするには互いにかなり離れすぎている。実施形態では、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)は、クエンチングのための主要な方法であり得る。一部の実施形態では、距離は、5~200オングストロームの範囲、好ましくは10~100オングストロームの範囲である。一部の実施形態では、第1のセンサー分子と第2のセンサー分子の間の3~30塩基の距離は、クエンチング効果を提供する。
【0114】
一部の実施形態では、第2のセンサー分子は、チミン(T)に結合している。一部の実施形態では、第2のセンサー分子はチミジンに結合している。第2のセンサー分子はデオキシチミジンに結合している。
【0115】
一部の実施形態では、第2のセンサー分子は、チミン(T)以外の部位に結合している。一部の実施形態では、第2のセンサー分子は、チミジン以外の部位に結合している。一部の実施形態では、第2のセンサー分子は、デオキシチミジン以外の部位に結合している。
【0116】
一部の実施形態では、第1のセンサーおよび第2のセンサー分子は、製造効率および商業的入手可能性に基づいて選択される。一部の実施形態では、第2のセンサーは、鎖置換型ポリメラーゼのその遮断に基づいて選択される。したがって、第2のセンサーの選択は、鎖置換型ポリメラーゼに応じて変動し得る。
【0117】
例えば、製造プロセスの間、内部クエンチャーは第2のセンサー分子として好ましくなり得る。内部クエンチャーは、一般的にほとんどのオリゴヌクレオチド製造元から提供され、いかなる合成後反応もなく合成に添加することができる。これに対し、オリゴヌクレオチドの内部でdT(または別の塩基、しかし、あまり一般的ではない)に付加されるほとんどのフルオロフォアは、合成後修飾を必要とする。フルオロフォアを、遮断性修飾として内部に挿入すると、クエンチャーを5’末端でオリゴヌクレオチドに付加しなければならない。5’クエンチャー修飾は、製造元によって一般的に提供されることは少ない。これらの理由から、内部クエンチャーは、第2のセンサー分子として好ましくなり得る。これは、決して方法の必要条件ではないが、商業的検討である。
【0118】
一部の実施形態では、第2のセンサー分子は、鎖置換型ポリメラーゼを遮断することができる。一部の実施形態では、第2のセンサー分子は、鎖置換型ポリメラーゼを遮断しない。例えば、一部のセンサー分子(例えば、Thermo FisherのQSY7)は、dT塩基に事前にコンジュゲートされ、遮断しない。非遮断性センサー分子は、好ましくはNBMループ型プライマーのために使用されるが、その必要はない。BMループ型プライマーの場合、遮断性または非遮断性センサー分子のいずれかを、第2のセンサー分子として使用することができる。一部の実施形態では、BMループ型プライマーは、遮断性センサー分子を含む。一部の実施形態では、BMループ型プライマーは、非遮断性センサー分子を含む。
【0119】
一部の実施形態では、ループ型プライマーは、5’フルオロフォア(例えば、フルオレセイン型フルオロフォア、例えばYakima YellowまたはHEXのホスホラミダイト)のアミド結合を使用して生成され、これは自動オリゴヌクレオチド合成の際に産生するために十分に効率的である。
【0120】
一部の実施形態では、第2のセンサー分子は、チミンから分岐するように連結した(linked off of a thymine)TAMRA(非遮断性)である。
【0121】
一部の実施形態では、ループ型プライマーは、鎖置換型ポリメラーゼを遮断し得る第2のセンサー分子と共に5’アミダイトフルオロフォア、例えばHEX、Yakima Yellow、およびTAMRAを含む。
【0122】
6.4.ループドループ増幅のためのプライマー混合物
別の態様では、本発明は、ループドループ増幅のためのプライマー混合物を提供する。プライマー混合物は、本明細書に提供されるループ型プライマーを含む。プライマー混合物は、NBMループ型プライマー、BMループ型プライマー、または両方を含み得る。
【0123】
一部の実施形態では、プライマー混合物は、1つのループ型プライマーを含む。一部の実施形態では、プライマー混合物は、2つまたはそれより多くのループ型プライマーを含む。
【0124】
2つまたはそれより多くのループ型プライマーを含む場合、混合物中のプライマーは、単一の標的配列または複数の標的配列に結合することができる。一部の実施形態では、複数のループ型プライマーは、複数の起源からの標的配列を検出するように設計される。例えば、混合物は、複数の病原体からの標的配列を検出するように設計された複数のループ型プライマーを含み得る。一部の実施形態では、混合物は、単一の病原体からの複数の標的配列を検出するように設計された複数のループ型プライマーを含む。
【0125】
一部の実施形態では、混合物中の全てのループ型プライマーが、BMループ型プライマーである。一部の実施形態では、混合物中の全てのループ型プライマーが、NBMループ型プライマーである。一部の実施形態では、混合物は1つまたは複数のNBMループ型プライマーおよび1つまたは複数のBMループ型プライマーを含む。
【0126】
プライマー混合物はさらに、増幅反応のための追加のプライマーを含み得る。例えば、プライマー混合物はさらに、(i)順方向インナープライマー(FIP)、(ii)逆方向インナープライマー(BIP)、(iii)順方向プライマー(F3)、および逆方向プライマー(B3)を含み得て、FIP、BIP、F3、およびB3は、標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、(i)ループ順方向プライマー(LF)および(ii)ループ逆方向プライマー(LB)を含み、LFおよびLBは、標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。一部の実施形態では、追加のプライマー、例えば、FIP、BIP、F3、B3、LF、またはLBのうちの1つは、第1の結合部位、すなわちループ型プライマーと同じ、標的配列上の結合部位に結合する。
【0127】
一部の実施形態では、プライマー混合物は、1つのプライマーセットを含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、本明細書に提供されるループドループ増幅のためのループ型プライマー(BMループ型プライマーまたはNBMループ型プライマー)、(i)順方向インナープライマー(FIP)、(ii)逆方向インナープライマー(BIP)、(iii)順方向プライマー(F3)、および(iv)逆方向プライマー(B3)を含む。一部の実施形態では、プライマーセットはさらに、(i)ループ順方向プライマー(LF)および(ii)ループ逆方向プライマー(LB)を含む。
【0128】
一部の実施形態では、プライマーセットは、本明細書に提供されるループドループ増幅のためのループ型プライマー、ならびに(i)順方向インナープライマー(FIP)、(ii)逆方向インナープライマー(BIP)、(iii)順方向プライマー(F3)、および(iv)逆方向プライマー(B3)から選択される3つのプライマーを含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、ループ型プライマー、BIP、F3およびB3を含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、ループ型プライマー、FIP、F3およびB3を含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、ループ型プライマー、FIP、BIPおよびB3を含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、ループ型プライマー、FIP、BIPおよびF3を含む。
【0129】
一部の実施形態では、プライマーセットは、本明細書に提供されるループドループ増幅のためのループ型プライマー、ならびに(i)順方向インナープライマー(FIP)、(ii)逆方向インナープライマー(BIP)、(iii)順方向プライマー(F3)、(iv)逆方向プライマー(B3)、(v)ループ順方向プライマー(LF)および(vi)ループ逆方向プライマー(LB)から選択される5つのプライマーを含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、ループ型プライマー、BIP、F3、B3、LFおよびLBを含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、ループ型プライマー、FIP、F3、B3、LFおよびLBを含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、ループ型プライマー、FIP、BIP、B3、LFおよびLBを含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、ループ型プライマー、FIP、BIP、F3、LFおよびLBを含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、ループ型プライマー、FIP、BIP、F3、B3、およびLFを含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、ループ型プライマー、FIP、BIP、F3、B3およびLBを含む。
【0130】
一部の実施形態では、プライマー混合物は2つのプライマーセットを含む。一部の実施形態ではプライマー混合物は3つのプライマーセットを含む。一部の実施形態では、プライマー混合物は4つまたは5つのプライマーセットを含む。
【0131】
一部の実施形態では、各々のプライマーセットは、一意的標的配列を増幅するためである。一部の実施形態では、プライマー混合物は、同じ標的配列を増幅するために2つまたはそれより多くのプライマーセットを含む。一部の実施形態では、プライマー混合物は、同じ標的配列上の同じ結合部位に結合する2つまたはそれより多くのループ型プライマーを含む。
【0132】
ループ型プライマーを、増幅反応のために最適化された任意の比率で追加のプライマーと混合することができる。一部の実施形態では、FIPは、第1の結合部位に結合し、プライマー混合物中のFIPの量とループ型プライマーの量の間の比は、0:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である。一部の実施形態では、BIPは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物中のBIPの量とループ型プライマーの量の間の比は、0:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である。一部の実施形態では、LFは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物中のLFの量とループ型プライマーの量の間の比は、0:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である。一部の実施形態では、LBは第1の結合部位に結合し、プライマー混合物中のLBの量とループ型プライマーの量の間の比は、0:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1である。
【0133】
一部の実施形態では、プライマー混合物は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に対して特異的な標的配列を検出するように設計される。一部の実施形態では、F3は、配列番号1のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号2のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号3のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号4のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号6のオリゴヌクレオチドを含み、またはLBは、配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む。一態様では、F3は、配列番号1のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号2のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号3のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号4のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号6のオリゴヌクレオチドを含み、およびLBは、配列番号8のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ループ型プライマーは。配列番号5または7のオリゴヌクレオチドである。
【0134】
一部の実施形態では、プライマー混合物は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)に対して特異的な標的配列を検出するように設計される。一部の実施形態では、F3は、配列番号9のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号10のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号11のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号12のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号13のオリゴヌクレオチドを含み、またはLBは、配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態では、F3は、配列番号9のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号10のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号11のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号12のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号13のオリゴヌクレオチドを含み、およびLBは、配列番号14のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ループ型プライマーは、配列番号15のオリゴヌクレオチドである。
【0135】
一部の実施形態では、プライマー混合物は、ヒト(Homo sapiens)に対して特異的な標的配列を検出するように設計される。一部の実施形態では、F3は、配列番号16のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号17のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号18のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号19のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号20のオリゴヌクレオチドを含み、またはLBは、配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態では、F3は、配列番号16のオリゴヌクレオチドを含み、B3は、配列番号17のオリゴヌクレオチドを含み、FIPは、配列番号18のオリゴヌクレオチドを含み、BIPは、配列番号19のオリゴヌクレオチドを含み、LFは、配列番号20のオリゴヌクレオチドを含み、およびLBは、配列番号21のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ループ型プライマーは、配列番号22のオリゴヌクレオチドである。
【0136】
一部の実施形態では、プライマー混合物は、ウイルスに対して特異的な標的配列を検出するように設計される。一部の実施形態では、ウイルスはSARS-CoV-2である。
【0137】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるプライマー混合物を、複数の標的配列の検出のためにさらに組み合わせる。一部の実施形態では、複数の標的配列は、異なる生物に対して特異的である。例えば、複数の標的配列は、異なる病原体に対して特異的である。一部の実施形態では、複数の標的配列は、単一の生物に対して特異的である。
【0138】
したがって、一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、第2のループ型プライマーを含む。
【0139】
第2のループ型プライマーは:
第3のセンサー分子;
第3のクランピングオリゴヌクレオチド;
第3のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第4のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第3のクランピングオリゴヌクレオチド、第3のスペーシングオリゴヌクレオチドおよび第4のクランピングオリゴヌクレオチドは、第3および第4のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);
第4のセンサー分子、
(ここで、第3のセンサー分子および第4のセンサー分子は第2のバイオセンサーペアであり、および第2のバイオセンサーペアは、第1のバイオセンサーペアとは異なる);および
第2の標的配列上の第1の結合部位と相補的な第2のプライマー配列
を含むNBMループ型プライマーであり得る。
【0140】
第2のループ型プライマーは、
第3のセンサー分子;
第3のクランピングオリゴヌクレオチド;
第3のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第4のセンサー分子、
(ここで、第3のセンサー分子および第4のセンサー分子は第2のバイオセンサーペアであり、および第2のバイオセンサーペアは、第1のバイオセンサーペアとは異なる);
任意選択の第4のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第4のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第3のクランピングオリゴヌクレオチド、第3のスペーシングオリゴヌクレオチド、第4のセンサー分子、任意選択の第4のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第4のクランピングオリゴヌクレオチドは、第3および第4のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);および
第2の標的配列上の第1の結合部位と相補的な第2のプライマー配列、
を含むBMループ型プライマーであり得る。
【0141】
一部の実施形態では、第3のクランピングオリゴヌクレオチドは、第4のクランピングオリゴヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、第3のクランピングオリゴヌクレオチドは、第4のクランピングオリゴヌクレオチドに結合することができるが、第4のクランピングオリゴヌクレオチドと完全に相補的ではない。
【0142】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、(i)第2の順方向インナープライマー(SFIP)、(ii)第2の逆方向インナープライマー(SBIP)、(iii)第2の順方向プライマー(SF3)、および第2の逆方向プライマー(SB3)を含み、SFIP、SBIP、SF3、およびSB3は、第2の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、(i)第2のループ順方向プライマー(SLF)および(ii)第2のループ逆方向プライマー(SLB)を含み、SLFおよびSLBは、第2の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。
【0143】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、第3のループ型プライマーを含む。
【0144】
一部の実施形態では、第3のループ型プライマーは、
第5のセンサー分子;
第5のクランピングオリゴヌクレオチド;
第5のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第6のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第5のクランピングオリゴヌクレオチド、第5のスペーシングオリゴヌクレオチドおよび第6のクランピングオリゴヌクレオチドは、第5および第6のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);
第6のセンサー分子、
(ここで、第5のセンサー分子および第6のセンサー分子は第3のバイオセンサーペアであり、および第3のバイオセンサーペアは第1のバイオセンサーペアおよび第2のバイオセンサーペアとは異なる);および
第3の標的配列上の第1の結合部位と相補的な第2のプライマー配列
を含むNBMループ型プライマーである。
【0145】
一部の実施形態では、第3のループ型プライマーは、
第5のセンサー分子;
第5のクランピングオリゴヌクレオチド;
第5のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第6のセンサー分子、
(ここで、第5のセンサー分子および第6のセンサー分子は、第3のバイオセンサーペアであり、および第3のバイオセンサーペアは、第1のバイオセンサーペアまたは第2のバイオセンサーペアとは異なる);
任意選択の第6のスペーシングオリゴヌクレオチド;
第6のクランピングオリゴヌクレオチド、
(ここで、第5のクランピングオリゴヌクレオチド、第5のスペーシングオリゴヌクレオチド、第6のセンサー分子、任意選択の第6のスペーシングオリゴヌクレオチド、および第6のクランピングオリゴヌクレオチドは、第5および第6のクランピングオリゴヌクレオチドの融解温度(T)より低い温度でヘアピン構造を形成することができる);および
第3の標的配列上の第1の結合部位と相補的な第3のプライマー配列
を含むBMループ型プライマーである。
【0146】
一部の実施形態では、第5のクランピングオリゴヌクレオチドは、第6のクランピングオリゴヌクレオチドと相補的である。一部の実施形態では、第5のクランピングオリゴヌクレオチドは、第6のクランピングオリゴヌクレオチドに結合するが、第5のクランピングオリゴヌクレオチドは、第6のクランピングオリゴヌクレオチドと完全に相補的ではない。
【0147】
一部の実施形態では、プライマー混合物はさらに、(i)第3の順方向インナープライマー(TFIP)、(ii)第3の逆方向インナープライマー(TBIP)、(iii)第3の順方向プライマー(TF3)、および第3の逆方向プライマー(TB3)を含み、TFIP、TBIP、TF3、およびTB3は、第3の標的配列上の6つの異なる結合部位に結合する。
【0148】
一部の実施形態では、プライマー混合物は、(i)第3のループ順方向プライマー(TLF)および(ii)第3のループ逆方向プライマー(TLB)を含み、TLFおよびTLBは第3の標的配列上の2つの異なる結合部位に結合する。
【0149】
一部の実施形態では、プライマー混合物は、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのループ型プライマーを含む。プライマー混合物が2つまたはそれより多くのループ型プライマーを含む場合、各々のループ型プライマーは、各々が独自の検出シグナルを提供する一意的バイオセンサーペアを含み得る。一部の実施形態では、各々のバイオセンサーペアは、一意的な視覚的検出シグナル(例えば、一意的な色)を提供する。一部の実施形態では、各々のバイオセンサーペアは、一意的色素分子を含む。
【0150】
一部の実施形態では、プライマー混合物中の2つまたはそれより多くのループ型プライマーは、同一のバイオセンサーペアを含む。一部の実施形態では、プライマー混合物中の2つまたはそれより多くのループ型プライマーは、FAMによって標識される。一部の実施形態では、プライマー混合物中の2つの異なるループ型プライマーは、FAMによって標識される。
【0151】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるプライマー混合物は、凍結乾燥される。乾燥プライマー混合物は、本明細書に記載されるループ型プライマーまたはプライマー混合物のいずれかを含み得る。一部の実施形態では、2つまたはそれより多くのループ型プライマーを含むプライマー混合物を凍結乾燥する。一部の実施形態では、プライマー混合物は、凍結乾燥ビーズの形態にある。
【0152】
6.5.ループドループ増幅のためのキット
別の態様では、ループドループ増幅のためのキットを提供する。キットは、本明細書に提供されるループ型プライマーまたはプライマー混合物のいずれかを含み得る。
【0153】
一部の実施形態では、キットは、1つのプライマーセットを含む。一部の実施形態では、プライマーセットは、本明細書に提供されるループドループ増幅のためのループ型プライマー、(i)順方向インナープライマー(FIP)、(ii)逆方向インナープライマー(BIP)、(iii)順方向プライマー(F3)、および逆方向プライマー(B3)を含む。一部の実施形態では、プライマーセットはさらに、(i)ループ順方向プライマー(LF)および(ii)ループ逆方向プライマー(LB)を含む。
【0154】
一部の実施形態では、キットは、2つのプライマーセットを含む。一部の実施形態では、キットは、3つのプライマーセットを含む。一部の実施形態では、キットは、4つまたは5つのプライマーセットを含む。
【0155】
一部の実施形態では、キットは、単一の容器に含有される複数のプライマーセットを含む。一部の実施形態では、キットは、各々のプライマーセットが個別の容器に個々に含有される複数のプライマーセットを含む。
【0156】
一部の実施形態では、キットはさらに、ポリメラーゼを含む。一部の実施形態では、ポリメラーゼは、鎖置換型DNAポリメラーゼである。一部の実施形態では、ポリメラーゼは、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)ポリメラーゼである。一部の実施形態では、ポリメラーゼは、Bst 2.0 WarnStart(登録商標)DNAポリメラーゼ(NEBから入手可能)である。一部の実施形態では、キットは、2つまたはそれより多くのポリメラーゼを含む。
【0157】
一部の実施形態では、キットはさらに、他の反応酵素、例えば、逆転写酵素を含む。一部の実施形態では、逆転写酵素は、WarmStart(登録商標)RTx逆転写酵素(NEBから入手可能)である。一部の実施形態では、キットはさらに、RNase阻害剤を含む。一部の実施形態では、RNase阻害剤は、ブタまたはマウスRNase阻害剤である。
【0158】
一部の実施形態では、キットはさらに、増幅反応のための試薬を含む。一部の実施形態では、試薬は、dNTP、MgSO、および緩衝液を含む。一部の実施形態では、緩衝液は、界面活性剤を含む。一部の実施形態では、緩衝液は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%Tween-20を含む。一部の実施形態では、試薬はトレハロースを含む。一部の実施形態では、試薬はスクロースを含む。一部の実施形態では、試薬は安定化のためのポリマーを含む。増幅試薬は、ポリメラーゼに応じて選択および最適化することができる。
【0159】
一部の実施形態では、キットは、dNTP、MgSO、緩衝液を含む混合物、ループドループ増幅のための1つまたは複数のプライマーセット、およびポリメラーゼを含む。一部の実施形態では、キットは、dNTPを含む混合物、ループドループ増幅のための1つまたは複数のプライマーセット、ポリメラーゼ、逆転写酵素、およびRNase阻害剤を含む。
【0160】
一部の実施形態では、混合物は液体形態である。一部の実施形態では、混合物は乾燥形態である。一部の実施形態では、混合物は、凍結乾燥粉末、ビーズ、またはペレットに製剤化される。
【0161】
一部の実施形態では、キットはさらに、増幅反応のためのデバイスを含む。一部の実施形態では、キットは、ループ型プライマー媒介等温増幅のためのデバイスを含む。
【0162】
一部の実施形態では、キットはさらに、増幅反応を実行するための反応チューブを含む。一部の実施形態では、キットはさらに、増幅反応の前に試料の濾過または精製のための成分を含む。
【0163】
一部の実施形態では、キットは、感染疾患の診断のためである。一部の実施形態では、キットは、病原体、例えばクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)および淋菌(Neisseria gonorrhoeae)感染症の診断のためである。一部の実施形態では、キットは、一塩基多型(SNP)および点突然変異の決定のために使用される。一部の実施形態では、キットは、突然変異体の遺伝子型の決定のために使用される。一部の実施形態では、キットは、薬物耐性表現型に関連する突然変異体遺伝子型の決定のために使用される。例えば、薬物耐性マーカー、例えばセフトリアキゾン/セフィキシム耐性マーカー、キノロン(シプロフロキサシン)耐性マーカー、マクロライド耐性マーカー(アジスロマイシン)を検出することができる。
【0164】
6.6.ループドループ増幅法
別の態様では、ループドループ増幅法を提供する。方法は以下のステップ:
試料を提供するステップ;
(i)プライマー、プライマー混合物、または本明細書に提供される乾燥プライマー混合物を再水和することによって得られた復元されたプライマー混合物、および(ii)ポリメラーゼを試料に添加し、それによって反応混合物を生成するステップ;ならびに
反応混合物を50~85℃でインキュベートするステップ
を含み得る。
【0165】
反応温度を、ポリメラーゼおよび標的配列に応じて調節することができる。一部の実施形態では、インキュベーションは、50~70℃で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、55~70℃で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、60~65℃で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、62~65℃で実施される。一部の実施形態では、インキュベーションは、60、61、62、63、64、または65℃で実施される。
【0166】
一部の実施形態では、方法はさらに、反応混合物からシグナルを検出するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、蛍光シグナルを検出するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、色または濁度の変化を検出するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、非視覚的シグナルを検出するステップを含む。一部の実施形態では、検出するステップは、インキュベーションステップの間に実施される。一部の実施形態では、検出するステップは、インキュベーションステップの完了後に実施される。一部の実施形態では、シグナルは、リアルタイムで検出される。一部の実施形態では、シグナルは、リアルタイムで記録され、インキュベーションステップの完了後に分析される。
【0167】
一部の実施形態では、方法はさらに、ループドループ増幅のための試料を調製するステップを含む。一部の実施形態では、試料を調製するステップは、RNA分子を逆転写酵素と相互作用させて、それによってDNA分子を含む試料を生成するステップを含む。一部の実施形態では、試料を調製するステップはさらに、逆転写酵素と相互作用する前にRNA分子を含有する試料または反応混合物を事前に加熱するステップを含む。
【0168】
一部の実施形態では、ループドループ増幅のための試料は、精製ポリヌクレオチド分子を含む。一部の実施形態では、試料は、精製RNA、精製DNA、SARS-CoV-2ウイルス全部、ヒト細胞全部、唾液もしくは鼻スワブ、または鼻もしくは鼻咽頭スワブを含む。一部の実施形態では、試料は、膣スワブからのゲノムDNA、合成DNA、細菌全部、またはヒト細胞全部を含む。一部の実施形態では、ループドループ増幅のための試料は、未処理試料である。一部の実施形態では、ループドループ増幅のための試料は精製試料である。
【0169】
一部の実施形態では、1つより多くのタイプのシグナルを検出する。一部の実施形態では、複数の蛍光または他の可視シグナルを検出する。一部の実施形態では、複数のシグナルを検出して、複数の標的配列の存在または非存在を決定する。一部の実施形態では、複数のシグナルを検出して、単一の標的配列の存在または非存在を確認する。一部の実施形態では、複数のシグナルを検出して、方法に対する追加の感度および特異度を提供する。
【0170】
標的配列を増幅するため、当技術分野で公知の様々な増幅法を使用することができる。
【0171】
典型的な実施形態では、ループ媒介等温増幅(「LAMP」)を、標的核酸のループドループ増幅のために使用する。LAMPは、ヌクレオチド塩基を、伸長するDNAまたはRNA鎖に塩基特異的に付加して、相補的配列と二本鎖核酸を形成する、ポリメラーゼとして知られる酵素の鎖置換活性に依存する等温DNA増幅法である。等温増幅法では、鎖置換型ポリメラーゼ、例えばゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(GeoBacillus stearothermophilus)細菌からのポリメラーゼ(Bstポリメラーゼおよびそのバリアント)は、それらが相補鎖を重合すると二本鎖DNAの1つの鎖を置換し、それによってサーマルサイクリングを必要としない。
【0172】
LAMP法は、標的DNA配列の6つの別個の領域を認識するように特異的に設計された4つの異なるプライマー(F3、B3、順方向インナープライマーまたはFIP、および逆方向インナープライマーまたはBIP)を使用することができる。反応速度を改善するために、2つの追加の「ループ」プライマーを添加してもよい。反応混合物中のプライマーの濃度は、異なり得るが、典型的にはFIPおよびBIPプライマーに関して1.6μMに設定され、順方向および逆方向ループプライマー(LF、LB)に関しては0.8μM、ならびにF3およびB3プライマーに関して0.2μMに設定される。LAMP法の一部の実施形態では、5つのプライマーを利用してもよい(2つの可能性があるLAMPプライマーのうちの1つのみを使用する)。LAMP反応は、鎖置換反応を使用して一定の温度(およそ65℃)で進行する。標的の増幅および検出は、試料、プライマー、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、緩衝液、および基質を一定温度でインキュベートすることによって1ステップで完了し得る。LAMPのための典型的な混合物の組成物は、以下の試薬:20mM Tris-HCL、10mM(NHSO、50mM KCl、8mM MgSO、0.1% Tween(登録商標)20、1.4mM dNTP、0.32U/μL Bstポリメラーゼ、上記の濃度のプライマー、および水を含有し、pHを20℃で8.8に調節した。反応体積は、典型的に5μL~50μLの間である。反応の温度は、使用される特定の酵素およびプライマーに関して最適化され、反応は、5~60分間進行する。LAMPは、非常に感度が高く、特異的、および効率的である。
【0173】
LAMPは、特異的DNAまたはRNA標的(RNA標的は最初にDNAへの逆転写を必要とする)を増幅するために6つの標的部位(例えば、F3、B3、FIPおよびBIP)を認識する少なくとも4つのプライマーに依存する。ループプライマー(例えば、LFおよびLB)を含む場合、標的核酸における全体で8個の一意的部位が、6つのプライマーによって認識される。本明細書に提供される様々な実施形態では、全体で8個の一意的部位の1つが本明細書に記載されるループ型プライマーによって認識され得る。標的が試料に存在する場合、増幅反応が起こり得て、大量のDNAを提供し得る。
【0174】
本明細書に記載される新規ループドループ法を、LAMP以外の他の等温増幅法に適用してもよい。多数の等温増幅法が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の温度サイクリング依存性に対処するために作成されている。これらの方法は、かなり変動し得るが、それらは全て、一部の特色を共通に有する。例えば、DNA鎖は、熱変性しないことから、全ての等温法は、増幅反応のプライマー結合および開始を可能にする代替アプローチに依存する。反応が始まると、ポリメラーゼは、目的の配列になおもアニールしている鎖を置換しなければならない。等温法は、典型的に、二重鎖DNAを分離するためにDNAポリメラーゼの鎖置換活性を使用する。この能力を有するポリメラーゼは、中等度の温度反応(25~40℃)の場合はクレノウ断片(3’-5’エキソ)、Bsuラージ断片、およびphi29を含み、高温(50~65℃)の反応の場合はBst DNAポリメラーゼのラージ断片を含む。RNA種を検出するために、反応温度と適合性の逆転写酵素を添加して、増幅の等温的性質を維持する。dsDNAを分離するための鎖置換機構に加えて、等温法は、開始のために最初に変性することを避けるための酵素またはプライマーの設計を必要とし得る。
【0175】
上記のように、ループ媒介等温増幅(LAMP)は、標的DNAの6~8個の別個の領域を認識する4~6個のプライマーを使用する。鎖置換型DNAポリメラーゼが、合成を開始し、プライマーの2つがループ構造を形成して、その後の増幅ラウンドを容易にする。LAMPは、迅速で感度がよく、増幅は非常に広範囲にわたるために、LAMPは、フィールド診断にとって十分に好適である。ループドループプライマーを、インナーおよび/またはループプライマーの単一のまたは任意の組合せのために使用してもよい。
【0176】
鎖置換増幅(SDA)は、鎖置換型DNAポリメラーゼ、典型的にBst DNAポリメラーゼ、ラージ断片またはクレノウ断片(3’-5’エキソ-)に依存して、プライマーに含有される部位で鎖限定制限エンドヌクレアーゼまたはニッキング酵素によって作製されるニックで始まる。SDAは、1つのフォワードおよび1つのリバースプライマー、ならびに1つのバンピングフォワードプライマーおよび1つのバンピングリバースプライマーを必要とする。ニッキング部位は、各ポリメラーゼ置換ステップで再生され、指数的増幅をもたらす。SDAは、典型的に臨床診断において使用される。既存の蛍光モニタリング技術がSDAに関して存在するが(Nadeau et al., Real-Time, Sequence-specific detection of nucleic acids during strand displacement amplification, 276m 2 177-187 (1999))、蛍光を生成するために制限エンドヌクレアーゼ酵素の作用に依存する。フォワードまたはリバースSDAプライマーのいずれかを、ループドループ法と共に使用するために適合させることができるが、この方法ではフルオロフォアとクエンチャー対の間に切断部位が位置する必要はない。切断部位は、プライマーの3’末端に向かってループドループプライマーのクランピング配列の次に存在し、そのため、制限エンドヌクレアーゼによってプライマーが切断される前に、相補鎖上でポリメラーゼによるプライマーの5’末端の完全な伸長により、蛍光が産生される。
【0177】
ヘリカーゼ依存的増幅(HDA)は、ヘリカーゼの二本鎖DNA巻き戻し活性を使用して鎖を分離し、鎖置換型DNAポリメラーゼによるプライマーのアニーリングおよび伸長を可能にする。PCRと同様に、このシステムは2つのみのプライマー、1つのフォワードプライマーおよび1つのリバースプライマーを必要とする。HDAは、いくつかの診断デバイスおよびFDA承認試験において使用されている。HDAにおける任意のプライマーを、ループドループ法と共に使用するために適合させて、反応のリアルタイムの閉管モニタリングをリアルタイムで生じることができる。HDAでは、ヘリカーゼ酵素は、ループドループプライマーのループ構造を開くことができ、これを、一本鎖結合タンパク質によって安定化させることができ、次にDNAポリメラーゼによって二本鎖蛍光アンプリコンにすることができる。
【0178】
ニッキング酵素増幅反応(NEAR)は、鎖置換型DNAポリメラーゼを使用してニッキング酵素によって作製されたニックで始まり、標的配列からの多くの短い核酸を迅速に産生する。このプロセスは、極めて迅速かつ感度が高く、少量の標的の数分での検出を可能にする。NEARは、臨床および生体安全応用において病原体検出のために一般的に使用される。NEARのフォワードまたはリバースプライマーはいずれも、ループドループ法を使用して、鎖置換型DNAポリメラーゼによるループの伸長を介してリアルタイム蛍光を生成することができる。
【0179】
6.7.使用方法
本明細書に提供されるループドループ増幅法を使用して、様々な起源からの標的配列を検出することができる。例えばループドループ増幅法を使用して、ウイルスゲノム、細菌ゲノム、古細菌ゲノム、植物ゲノム、動物ゲノム、原生生物ゲノム、原核生物ゲノム、または真核生物ゲノムに対して特異的な標的配列を検出することができる。一部の実施形態では、方法は、RNA(例えば、ポジティブセンスRNA、ネガティブセンスRNA)、またはDNAを検出するために使用される。一部の実施形態では、方法は、合成により生成された標的配列を検出するために使用される。
【0180】
一部の実施形態では、ループドループ法は、病原体に対して特異的なDNAを検出するために使用される。一部の実施形態では、病原体はウイルス、細菌、真菌、原虫、またはワームである。一部の実施形態では、ループドループ法を使用して、STDに関連する病原体を検出する。一部の実施形態では、病原体は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)である。一部の実施形態では、病原体は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)である。一部の実施形態では、病原体はSARS-CoV-2である。
【0181】
一部の実施形態では、ループドループ法は、感染症の診断のために使用される。一部の実施形態では、ループドループ法は、突然変異体遺伝子型の決定のために使用される。一部の実施形態では、ループドループ法は、薬物耐性表現型に関連する突然変異体遺伝子型を決定するために使用される。例えば、薬物耐性マーカー、例えばセフトリアキゾン/セフィキシム耐性マーカー、キノロン(シプロフロキサシン)耐性マーカー、マクロライド耐性マーカー(アジスロマイシン)を検出することができる。
【0182】
一部の実施形態では、ループドループ法は、一塩基多型(SNP)を決定するために使用される。一部の実施形態では、ループドループ法は、突然変異を決定するために使用される。
【0183】
一部の実施形態では、ループドループ法は、単一の標的を検出するために使用される。一部の実施形態では、ループドループ法は、1つより多くの標的を検出するために使用される。一部の実施形態では、ループドループ法は、2、3、4、または5つの標的を検出するために使用される。
【0184】
一部の実施形態では、ループドループ法は、試料の分析または特徴付けのために使用される。一部の実施形態では、ループドループ法は、試料の起源を同定するために使用される。例えば、ループドループ法は、ヒト試料を同定するために使用される。
【0185】
本明細書に記載されるループドループ法を、様々な試料の分析に使用することができる。一部の実施形態では、血液、尿、精液、組織、または唾液試料を分析する。一部の実施形態では、試料を、動物またはヒト患者から収集する。一部の実施形態では、精製試料を分析する。一部の実施形態では、未処理試料を分析する。一部の実施形態では、試料は、精製RNA、精製DNA、SARS-CoV-2ウイルス全部、ヒト細胞全部、唾液もしくは鼻スワブ、または中鼻甲介もしくは鼻咽頭スワブを含む。一部の実施形態では、試料は、膣スワブからのゲノムDNA、合成DNA、細菌全部またはヒト細胞全部を含む。
【実施例
【0186】
6.8.実施例
以下の実施例は、例証のために提供され、限定ではない。
【0187】
[実施例1]
6.8.1.実施例1:インターカレート色素(SYTO)を使用したクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)および淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のLAMPアッセイ
クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)ゲノムDNAおよび淋菌(Niesseria gonorrhea)ゲノムDNAを個別に検出するために、LAMP反応混合物を調製した。反応は、10μL体積で調製され、以下の試薬:20mM Tris-HCL、10mM(NHSO、50mM KCl、8mM MgSO、0.1% Tween(登録商標)20、1.4mM dNTP、0.32U/μL Bst 2.0 WarmStart(登録商標)ポリメラーゼ、プライマー(配列番号1~4、6、8~14)のFIPおよびBIPを1.6μM、LFおよびLBを0.8μM、F3およびB3を0.2μM、2.5μM SYTO 85インターカレート色素、および水と共に含有し、pHを20℃で8.8に調整した。標的ゲノムDNAを、ATCCから購入した保存溶液からpH8.0のTris-HCL緩衝液中で10倍希釈した。標的DNA、または鋳型なし対照のためのDNAフリーの緩衝液1μLを、各PCRチューブ内の9μL溶液混合物に添加した。反応温度は65℃であり、反応を、SYTO 85蛍光を介してモニターした。リアルタイムPCR機器を、反応を加熱すると共にリアルタイムで蛍光を測定するために使用した。反応を60分間実行した。図2Aに示すデータは、各3つのゲノムDNA標的レベル、つまり、高い(保存液濃度)、低い(Ctに関してDNA保存液の10-5倍希釈液、Ngに関してDNA保存液の10-6倍希釈液)、および鋳型なし対照(DNAなし(NTC))に関する、インターカレート色素によってモニターしたクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)(緑色)および淋菌(Neisseria gonorrhoeae)(青色)のLAMP反応からの垂直軸にリアルタイム蛍光(任意の単位)および水平軸に時間をとった代表的な曲線を示す。
【0188】
[実施例2]
6.8.2.実施例2:ループドループ増幅によるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の検出
ループドループLAMP反応混合物を、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)ゲノムDNAを検出するために調製した。反応は、10μL体積で調製され、以下の試薬:20mM Tris-HCL、10mM(NHSO、50mM KCl、8mM MgSO、0.1% Tween(登録商標)20、1.4mM dNTP、0.32U/μL Bst 2.0 WarmStart(登録商標)ポリメラーゼ、プライマー(配列番号9~15)のFIPおよびBIPを1.6μM、LFおよびLF-LdLを0.4μM、LBを0.8μM、F3およびB3を0.2μM、および水と共に含有し、pHを20℃で8.8に調整した。定量した標的ゲノムDNAを、ATCCから購入した保存溶液からpH8.0のTris-HCL緩衝液中で10倍または2倍(よりよい解像度のため)に希釈した。標的DNA希釈液、または鋳型なし対照のためのDNAフリーの緩衝液1μLを、各PCRチューブ内で9μL溶液混合物に添加し、いくつかの対数濃度範囲にわたって濃度あたり最大20の反復実験を使用して、アッセイ感度を調べた。反応温度は65℃であり、反応を、ループドループプライマーから放出されたFAM蛍光を介してモニターした。リアルタイムPCR機器を使用して、反応を加熱すると共にリアルタイムで蛍光を測定した。反応を60分間実行した。図3に示すデータは、ゲノムDNA標的の10倍希釈液に関する、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)のループドループLAMP反応からの垂直軸にリアルタイム蛍光(任意の単位)および水平軸に時間(各「サイクル」は30秒間を表す)をとった代表的な曲線を示す。次に、アッセイ感度(検出限界、50%および95%確率)を、アッセイのエンドポイント決定に基づくPROBIT解析によって推定した。
【0189】
【表1】
【0190】
[実施例3]
6.8.3.実施例3:ループドループ増幅による淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の検出
ループドループLAMP反応混合物を、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)ゲノムDNAを検出するために調製した。反応は、10μL体積で調製され、以下の試薬:20mM Tris-HCL、10mM(NHSO、50mM KCl、8mM MgSO、0.1% Tween(登録商標)20、1.4mM dNTP、0.32U/μL Bst 2.0 WarmStart(登録商標)ポリメラーゼ、プライマー(配列番号1~4、6~8)のFIPおよびBIPを1.6μM、LFおよびLF-LdLを0.4μM、LBを0.8μM、F3およびB3を0.2μM、および水を含有し、pHを20℃で8.8に調整した。定量した標的ゲノムDNAを、ATCCから購入した保存溶液からpH8.0のTris-HCL緩衝液中で10倍または2倍(よりよい解像度のため)に希釈した。標的DNA希釈液、または鋳型なし対照のためのDNAフリー緩衝液1μLを、各PCRチューブ内の9μL溶液混合物に添加し、いくつかの対数濃度範囲にわたって濃度あたり最大20の反復実験を使用して、アッセイ感度を調べた。反応温度は65℃であり、反応を、ループドループプライマーから放出されたFAM蛍光を介してモニターした。リアルタイムPCR機器を使用して、反応を加熱すると共にリアルタイムで蛍光を測定した。反応を60分間実行した。図2B~2Cに示すデータは、ゲノムDNA標的の10倍希釈液に関する、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のループドループLAMP反応からの垂直軸にリアルタイム蛍光(任意の単位)および水平軸に時間とった代表的な曲線を示す。図2Bは、図2Aに示すように、ループドループアッセイからのシグナルを、ループドループプライマーの非存在下およびSYTO 85色素の存在下で実施したLAMPアッセイのシグナルと比較する。ループドループアッセイは、陽性増幅の場合にはかなり大きいシグナルを提供する。図2Cでは、ループドループアッセイの再現性を実証し、ならびにバックグラウンド蛍光は無視できる程度であり、鋳型なし対照では低減された遅い、偽の増幅産物を実証した。図4に示すデータは、ゲノムDNA標的の10倍希釈液に関する、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のループドループLAMP反応からの垂直軸にリアルタイム蛍光シグナル(任意の単位)および水平軸に時間をとった(各「サイクル」は、30秒間を表す)代表的な曲線を示す。次に、アッセイ感度(検出限界、50%および95%確率)を、アッセイのエンドポイント決定に基づくPROBIT解析によって段階希釈試験結果から推定した。
【0191】
【表2】
【0192】
[実施例4]
6.8.4.実施例4:ループドループ増幅によるヒト(Homo sapiens)の検出
ループドループLAMP反応混合物を、ヒト(Homo sapiens)ゲノムDNAを検出するために調製した。反応は、10μL体積で調製され、以下の試薬:20mM Tris-HCL、10mM(NHSO、50mM KCl、8mM MgSO、0.1% Tween(登録商標)20、1.4mM dNTP、0.32U/μL Bst 2.0 WarmStart(登録商標)ポリメラーゼ、プライマー(配列番号16~22)のFIPおよびBIPを1.6μM、LFおよびLF-LdLを0.4μM、LBを0.8μM、F3およびB3を0.2μM、ならびに水を含有し、pHを20℃で8.8に調整した。定量した標的ゲノムDNAを、ATCCから購入した保存溶液からpH8.0のTris-HCL緩衝液中で10倍または2倍(よりよい解像度のため)に希釈した。標的DNA希釈液、または鋳型なし対照のためのDNAフリー緩衝液1μLを、各PCRチューブ内の9μL溶液混合物に添加し、いくつかの対数濃度範囲にわたって濃度あたり最大20の反復実験を使用して、アッセイ感度を調べた。反応温度は65℃であり、反応を、ループドループプライマーから放出されたFAM蛍光を介してモニターした。リアルタイムPCR機器を使用して、反応を加熱すると共にリアルタイムで蛍光を測定した。反応を60分間実行した。図3に示すデータは、ゲノムDNA標的の10倍希釈液に関する、ヒト(Homo sapiens)のループドループLAMP反応からの垂直軸にリアルタイム蛍光(任意の単位)および水平軸に時間(各「サイクル」は30秒間を表す)をとった代表的な曲線を示す。次に、アッセイ感度(検出限界、50%および95%確率)を、アッセイのエンドポイント決定に基づくPROBIT解析によって推定した。
【0193】
【表3】
【0194】
[実施例5]
6.8.5.実施例5:ループドループ増幅のための乾燥プライマー混合物
フリーズドライした試薬への製剤化を、5ステップのフリーズドライプロトコールによって施設内凍結乾燥試験によって実施した。淋菌(Neisseria gonorrhoeae)を検出するように設計されたループドループLAMP反応混合物を、チューブあたり25μL体積で調製し、各チューブに分注した。凍結乾燥混合物は、以下の試薬:1.4mM dNTPs、グリセロールフリー製剤としての0.32U/μL Bst 2.0 WarmStart(登録商標)ポリメラーゼ、プライマー(配列番号1~4、6~8)のFIPおよびBIPを1.6μM、LFおよびLF-LdLを0.4μM、LBを0.8μM、F3およびB3を0.2μM、5%トレハロース、および水(反応あたり最大25μL)を含有した。チューブの蓋を凍結乾燥のために除去した。チューブ片を、製薬および生物工学産業において標準的な機器の一部である加熱棚式凍結乾燥ユニットの金属棚上に置いた。凍結乾燥器を5ステップで実行するようにプログラムした。ステップ1:コンデンサーON、真空OFF、棚および試薬を41°Fに30分間冷却。コンデンサーON、真空OFF、棚および試薬を23Fに、30分間冷却。ステップ3:コンデンサーON、真空OFF、棚および試薬を-23Fに2時間冷却。ステップ4:コンデンサーON、真空ON、棚および試薬を-23Fで10時間維持。ステップ5:コンデンサーON、真空ON、棚および試薬を77Fに5時間加熱。このプロセスの完了後、チューブを取り出して蓋をし、図7に示される産物を生じた。フリーズドライアッセイの活性を、様々な環境条件で一定期間にわたってインキュベーション後に試験した。図8は、再水和させた反応の代表的なリアルタイムループドループLAMPアッセイ活性を表す。再水和プロトコールは、再水和緩衝液24μLを、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)標的ゲノムDNA1μLと共に乾燥試薬に添加することからなった。再水和緩衝液は:20mM Tris-HCL、10mM(NHSO、50mM KCl、8mM MgSO、0.1% Tween(登録商標)20、および水で構成され、pHを20℃で8.8に調整した。緩衝液を、チューブに添加し、これを再度密封し、次にボルテックスミキサーでの攪拌または混合することなくリアルタイムqPCR機器に直接入れた。反応温度は65℃であり、反応を、およびループドループプライマーから放出されたFAM蛍光を介してモニターした。リアルタイムPCR機器を使用して、反応を加熱すると共にリアルタイムで蛍光を測定した。反応を、60分間実行した。図8に示すデータは、ゲノムDNA標的の10倍希釈液に関する、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のループドループLAMP反応からの垂直軸にリアルタイム蛍光(任意の単位)および水平軸に時間(各「サイクル」は30秒間を表す)をとった代表的な曲線を示す。凍結乾燥したループドループアッセイの速度、感度、および特異度は、新たに製剤化した場合のアッセイ速度、感度、および特異度とは差がないことが見出された。さらに、蛍光の大きさは、乾燥および再水和によって影響を受けず、ループドループ法が、病原体の検出のための貯蔵安定なin vitro診断キットを提供することができることを示す。
【0195】
[実施例6]
6.8.6.実施例6:ループドループ増幅の温度
ループドループLAMP反応混合物を、上記のように調製し、1つはORF1abプライマーセットを含み、他方はPOP7bプライマーセットを含んだ。ORF1abプライマーセットは、一本鎖ポジティブセンスRNAゲノムを有するSARS-CoV-2ウイルスに対して特異的である。POP7bプライマーセットは、DNA鋳型として天然に存在しないヒトRNA標的に対して特異的である;したがって、このプライマーセットは、試料中のヒトRNAの特異的指標として有用である。両方の例において、ループドループを使用して、LAMPのために使用される6つの構成要素プライマーの1つを修飾し、第7のループ型プライマーを作製した。ループ型プライマーは、フルオロフォアおよびクエンチャー対を利用して、観察可能なシグナルを生成した。この実験に関して、各プライマーセットに関するRNA標的の配列に対応するそのポジティブセンス鎖上の配列を含有する合成二本鎖DNA鋳型の中等度に高い濃度を、LAMP反応温度最適化のための標的として利用し、逆転写ステップによる変動または希釈した標的で起こる確率論的ノイズを最小限にした。標的DNA希釈液を、384ウェルプレート内の混合物に添加した。それらを、55~70℃の範囲の様々な温度でインキュベートし、反応を、ループドループプライマーから放出されるFAM蛍光を介してモニターした。リアルタイムPCR機器を使用して、反応を加熱すると共にリアルタイムで蛍光を測定した。反応を60分間実行した。実験を、重複する温度範囲で2回実施し(第1の試験および第2の試験)、データを図9Aおよび9Bに示す。図面は、検出にとって十分なシグナルを得るために必要な時間を示す。結果は、プライマーセットが幅広い温度範囲で活性であることを示している。例えば、POP7bおよびORF1abプライマーセットの両方に関して、約57~70℃が許容範囲であった。最適な成績は、60℃~68℃の間で達成された。
【0196】
[実施例7]
6.8.7.実施例7:精製標的および未処理標本中の標的の両方を検出するための多重化ループドループ反応
図14A、14Bおよび14Cはそれぞれ、ORF1abおよびPOP7b LdLプライマーセットによるSARS-CoV-2およびヒト標的配列のループドループ増幅からの2つの蛍光シグナルを示す。SARS-CoV-2 ORF1ab(FAM)およびPOP7bヒト内部対照(Cy5)からのシグナルを示す。3つのタイプの試料、つまり、標的配列を有しない対照試料(鋳型なし対照)(図14A)、ヒト鼻スワブ(図14B)、および熱不活化型ウイルスの形態のSARS-CoV-2標的配列と組み合わせたヒト鼻スワブ(図14C)を使用した。ヒト鼻スワブを、ボランティアから自己収集し、試料の処理または核酸抽出を行うことなく、反応に直接添加した。スワブを、数秒間ひねることによって反応混合物に溶出させた。SARS-CoV-2標的配列を、SARS-CoV-2陽性反応に添加したインタクトの熱不活化ウイルス(ATCC VR-1986HK)として反応に導入した。ORF1ab LdL-FAMおよびPOP7b LdL-Cy5プライマーセットを、反復反応体積中1:1の比で二重化した。両方のプライマーセットを、非標識プライマーアナログと比較して1:3の比でLdLプライマーを利用した(25%強度)。反応は、逆転写酵素、鎖置換型ポリメラーゼ、およびRNase阻害剤を含有した。リアルタイムPCR機器(Bio-Rad CFX-384(登録商標))を使用して、反応をセ氏55.6度で2.5分間インキュベートし、次に反応をセ氏63.5度で60分間インキュベートし、その間にFAMおよびCy5の蛍光測定を記録した。予想されたように、鋳型対照反復実験は、60分間にわたってループドループ蛍光シグナルを示さなかった。COVID-19陰性鼻スワブ試料を含有する反応は、Cy5蛍光の増加によって証明されるように、POP7bシグナルの増幅を示したが、ORF1abシグナルは、平坦(陰性)のままであった。熱不活化ウイルスを添加した試料は、単一の反応容器中で両方のRNA標的のスペクトルの二重化検出を示した。結果は、ループドループRT-LAMPが、SARS-CoV-2およびヒト標的の単一チューブスペクトル多重化を許容することを示している。
【0197】
ORF1ab LdLプライマーセットによるSARS-CoV-2の多重化ループドループ試験は、未処理試料による反応が以下の表に提供されるように良好な結果を提供したことから、PCR試験と同程度の感度であり、抽出を必要としなかった。POP7b LdLプライマーセットを、内部対照として使用した。インタクト熱不活化SARS-CoV-2ウイルス(ATCC VR-1986HK)の段階希釈液を、二重化ループドループ反応に添加し、リアルタイムのシグナル展開に関してモニターした。アッセイの検出限界を、試験キットの特定のフォーマットに関してLoD95=400cp/swab=2.7x10cp/mLとして推定した。
【0198】
【表4】
【0199】
三重化ループドループ反応もまた、単一チューブで試験した。これは、3つの標的の特異的増幅を示し、迅速な結果までの時間を維持した。SARS-CoV-2ウイルスRNAの2つの異なる標的を、FAMフルオロフォアによって標識した2つのループドループプライマーセットを使用して検出した。Cy5によって標識したヒト内部対照ループドループプライマーセットは、第3のRNA標的を検出した。内部Cy5フルオロフォアを、5’Iowa Black(登録商標)RQクエンチャーとペアにした。反応は、未処理鼻スワブ溶出液を含有し、これに熱不活化SARS-CoV-2を添加した。
【0200】
追加のループ型プライマーもまた、POP7bヒト内部対照に関してループドループプライマーセットで使用するために試験した。一例では、内部TAMRAフルオロフォア、第2のセンサー分子を、5’Iowa Black(登録商標)FQクエンチャー、第1のセンサー分子とペアにした。別の例では、5’Yakima Yellow(登録商標)(Epoch Biosciences)、第1のセンサー分子を、内部Zen(商標)(Integrated DNA Technologies)クエンチャー、第2のセンサー分子とペアにした。Yakima YellowおよびZenの構成では、ループ型プライマーの3つの変形形態を作製し、試験した。第1の変形形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドおよび第2のクランピングオリゴヌクレオチドは、完全に相補的であり、各々は6塩基長を有した。スペーシングオリゴヌクレオチドは、13塩基長であった。第2の変形形態では、第1のクランピングオリゴヌクレオチドは、その5’末端に追加の塩基を特色とし、それによって第1のクランピングオリゴヌクレオチドは、7塩基長であり、第2のクランピングオリゴヌクレオチドは6塩基長であった。第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドの間には6つの相補的塩基が存在した。スペーシングオリゴヌクレオチドは13塩基長であった。第3の変形形態では、第1および第2のクランピングオリゴヌクレオチドはいずれも、7塩基長であり、配列は完全に相補的であった。スペーシングオリゴヌクレオチドは、10塩基長であった。
【0201】
これらの追加のループ型プライマーを、LAMP反応のために使用した。反応は、標的配列の特異的増幅シグナルを提供する。
【0202】
[実施例8]
6.8.8.実施例8:ループドループ増幅によるヒト試料中のSARS-CoV-2の検出
ループドループLAMP反応混合物を、無処理ヒト唾液からSARS-CoV-2を検出するために調製した。反応を、PCRチューブにおいて凍結乾燥酵素、dNTP、およびオリゴヌクレオチドプライマー混合物を、pH緩衝塩類溶液中のヒト唾液の10体積/体積%混合物によって再水和することによって調製した。凍結乾燥プライマー混合物は、SARS-CoV-2およびヒト内部対照RNA配列のためのプライマーセットを含んだ。唾液試料によって再水和した後、反応を、事前加熱温度で既定の期間インキュベートして、ウイルスの溶解、RNase阻害、および逆転写を促進した後、LAMP DNA増幅のためにより高い反応温度でインキュベートした。温度制御およびリアルタイム蛍光データを、注文の機器を使用して収集した。
【0203】
熱不活化SARS-CoV-2を、匿名のドナーから収集した新鮮な唾液のプールに添加した。唾液の3倍段階希釈液を調製した。試料20個を、ループドループ増幅法を使用して試験した。モバイルアプリケーション、肉眼、またはリアルタイム曲線の検分による読み取りを以下に要約する。結果は、LoDが約2,500cp/mLであることを示している。
【0204】
【表5】
【0205】
自己収集鼻スワブを、ボランティア対象から得て、10回ひねることによって反応混合物に直接添加した。図16は、後にPCR検査によってCOVID陽性であることが確認された症候性のボランティアから得た鼻スワブからの増幅結果を示す。陽性/陰性対照試料からの結果もまた提供する。結果は、試料(1×スワブ)が、ループドループアッセイによって陽性試料を検出するために必要な場合より365倍高く濃縮されたことを示している。LoDは、約2,500cp/mLであると推定されることから、特定の試料は、約9.1x10cp/mLのSARS-CoV-2ウイルスRNAを含有すると推定された。
【0206】
図17は、陰性ボランティアから得た鼻スワブの増幅結果を示す。患者は、ループドループ反応およびPCR検査の両方によって陰性であると検出された。
【0207】
SARS-CoV-2を検出するための反応混合物を、ヒトゲノム配列を検出するためのプライマーと1:1の比で多重化した。多重化増幅結果を図18に提供する。結果は、交差反応性なく、2つの標的配列の特異的かつ感度のよい検出を示す。
【0208】
[実施例9]
6.8.9.実施例9:ループドループ増幅によるヒト試料中のクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)および淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の検出
3つの膣スワブ(一意的な個体ドナーを起源とする、BD BBL培養スワブ、Lee Biosolutions、MOから購入したポリウレタンフォームチップ状スワブ)を、再水和緩衝液1294μL(スワブあたり431μL)に30秒間、1Hzの回転方法(Panpradist et al., 2016)を使用して溶出した。一部の流体がスワブに消失した後、プールした膣スワブ溶出液1095μLを得た。流体回収率は85%であった。このスワブ溶出液を、ループドループLAMPのために凍結乾燥反応混合物を含有する注入成形されたプロトタイプの使い捨て商品にピペッティングした(1つはCtのため、1つはNgのため、および1つはヒト処理対照のため)。
【0209】
各反応を以下によって再水和した:
・ スワブ溶出液(再水和緩衝液中で回転させたスワブ)18μL;
・ 再水和緩衝液に懸濁した全Ct病原体1μL
・ 再水和緩衝液に懸濁させた全Ng病原体1μL。
CtおよびNg病原体試料を、使い捨ての各反応チャンバーに入れた。そのため、例えば、Ctアッセイは、Ngおよびヒト標的の同時存在下ならびにスワブ試料中に存在する任意の細菌環境でCtを検出することが作業課題であった。
【0210】
増幅結果を、図19~22に提供する。図19は、高コピー数のCt(10,000コピー当量/反応)および高コピー数のNg(10,000コピー当量/反応)を含有する試料からの蛍光シグナルを示す。図22は、陰性対照、すなわちスワブのみの対照(左の2つのパネル)または緩衝液のみの対照(右の2つのパネル)からのシグナルを示す。スワブのみの対照にはCtまたはNg増幅は認められなかったが、ヒトゲノム配列は予想されたように増幅された。緩衝液のみの対照では、Ct増幅もNg増幅も認められなかった。ヒト(H. sapiens)の増幅は、おそらくシグナルの遅延を考慮した偽性増幅により緩衝液のみの反応(試験20)において後に検出された。
【0211】
これらの結果は、アッセイがCtを約100コピー/反応で、およびNgを約>1,000コピー/反応で検出するための感度を有したことを示す。
【0212】
[実施例10]
6.8.10.実施例10:NBMループ型プライマーにおける内部センサーの遮断効果
異なる内部センサー分子を含むNBMループ型プライマーを、鎖置換型ポリメラーゼによる増幅に及ぼすその遮断効果に関して試験した。
【0213】
センサー分子(フルオロフォアまたはクエンチャーのいずれか)の化学結合のための骨格としての、ヌクレオチド塩基(例えば、dT)を利用する内部修飾を含有するNBMループ型プライマーは、ポリメラーゼを遮断しなかった。図24は、フルオレセイン(FAM)によって標識した内部dTを含むNBMループ型プライマーを使用する増幅からの融解曲線を示す。予想されるように、融解曲線は、非増幅反応に関して正の勾配(-d(RFU)/dT<0)、および陽性アンプリコンに関して負の勾配を示した。
【0214】
他方で、化学結合のための骨格としてヌクレオチド塩基(例えば、dT)を利用しない内部修飾を含有するNMBループ型プライマーは、ポリメラーゼを遮断した。ポリメラーゼ自体が、共に移動するためにDNA塩基のリン酸骨格を必要とすることは可能である。例えば、内部Cy5構造は、図25に提供されるようにこれを中断する。図25は、ヒトPOP7b-LB-Cy5の融解曲線を提供する。このプローブのTは、開始するには非常に高く、増幅が起こった場合にTは大きくシフトしなかった。したがって、65℃ではほとんどシグナルは発生しなかった。融解曲線は、正の導関数のみを示し、Cy5が伸長を遮断することを示唆した。
【0215】
同様に、内部Zenクエンチャー(IDT)を有するループ型プライマー(例えば、POP7b LB-LdL-YY-1および2)もまた、図26に提供するように酵素進行を遮断した。
【0216】
【表6】
ヘアピンのTは、70℃から63℃にシフトし、何らかのリアルタイム蛍光増加が認められた。しかし、蛍光は、ヘアピンの必ずしも100%が反応温度で開いた立体配置に存在しないことから、FAM(約25%)よりかすかであった。融解曲線は、内部ZenクエンチャーがBstポリメラーゼによる相補鎖の伸長を遮断していることを示している。
【0217】
これらの結果は、多くの内部センサー分子が伸長を遮断することができることから、NBMループ型プライマーの使用が限定的であることを示唆している。FAMまたはTAMRA(IDT)以外のdT修飾として提供される多くの内部修飾はない。
【0218】
クリックケミストリーを使用してCy3、Cy5、および他のフルオロフォアを内部修飾させて、それらを核酸塩基(dT)と連結させる方法が存在する。クリックケミストリーは効率的であるが、なおもオリゴヌクレオチド製造元にとって合成後修飾および標準ではない試薬を必要とする。
【0219】
ループ型プライマーの逆相補体の合成が第2のクランピング配列の3’末端の内部センサーの部位で停止すると、LAMPおよびRT-LAMP反応におけるリアルタイム増幅シグナルは存在しないかまたは比較的弱くなり得て、ループ型プライマーのヘアピン構造の融解温度は低くなり得る。これらの伸長遮断性ループ型プライマーは、1)それらが弱い蛍光シグナルを生成したために、2)蛍光が強く温度依存的であったために、3)蛍光のエンドポイント測定が、正の結果と負の結果の間を識別できなかったために、問題であり得る。
【0220】
[実施例11]
6.8.11.実施例11:BMおよびNBMループ型プライマーを使用するループドループ増幅
POP7bまたはCoV-11を標的化し、様々な内部修飾を含むBMおよびNBMループ型プライマーを試験した。標的ヌクレオチドの存在下(+)または非存在下(-)でのLAMP反応におけるそれらのリアルタイム増幅シグナルを、図28A、29A、30A、31A、32A、33A、34A、35A、36A、37Aおよび38Aに提供し、様々な温度での融解曲線を、図28B、29B、30B、31B、32B、33B、34B、35B、36B、37B、および38Bに提供する。POP-7bまたはCoV-11を標的化する試験したループ型プライマーを、以下の表に要約する。
【0221】
【表7-1】
【0222】
【表7-2】
【0223】
図28A~38Bは、様々な内部クエンチャー(例えば、Onyx(Millipore Sigma)、dT-TAMRAフルオロフォア、QSY7クエンチャー(Thermo Fisher Scientific))を、ループドループ増幅のためのNBMプライマーにおいて使用することができることを示している。具体的には、OnyxクエンチャーのNBM適合性は、POP7b LBまたはCoV-11 LB、5’HEXおよびポリ-ATスペーサーの両方、内部OQAクエンチャーによって実証された;dT-TAMRAフルオロフォアのNBM適合性は、5’QSY7クエンチャー、ポリ-ATスペーサー、および内部dT-TAMRAを有するPOP7b LBによって実証され;ならびにQSY7クエンチャーのNBM適合性は、5’FAM、VIC、ABY、およびJUNを使用するPOP7b LBまたはCoV-11 LBによって実証された。
【0224】
図28A~38Bはさらに、BMループ型プライマーが、実際に重合を遮断しない様々な内部クエンチャーと適合性であることを示している。例えば、5’FAM、5’VIC、5’ABY、または5’JUNと組み合わせた内部QSY7を有するPOP7b LBのリアルタイム増幅曲線は、バイオセンサーペアが、BMループ型プライマーおよび同様にNBMループ型プライマーにおいても所望の増幅反応を提供したことを示している(図28A、30A、31A、33A)。したがって、BMループ型プライマーは、重合を遮断する内部バイオセンサーと共に作用することが既に示されていることから、BMループ型プライマーは、重合を遮断または許容する内部バイオセンサーと適合性である。
【0225】
BMループ型プライマーは、その遮断効果にかかわらず、内部バイオセンサーと適合性である。遮断性修飾を有するBMループ型プライマーおよび非遮断性修飾を有するBMループ型プライマーの両方を、標的配列の増幅のために使用することができた。
【0226】
他方で、ある特定のNBMループ型プライマーは、遮断性修飾(例えば、高い遮断効果を有するバイオセンサー)と適合性ではなく、遮断効果を有しない内部バイオセンサーの使用を必要とした。例えば、配列番号23または、配列番号24のNBMループ型プライマーのいずれかをループ型プライマーとして使用するPOP7bプライマーセットによりPOP7を標的とする増幅反応は、内部Zenクエンチャーからの遮断効果を示し、5’-Yakima Yellowからの弱い蛍光シグナルの生成および陽性試料における室温でのエンドポイント蛍光の消失をもたらした。これに対し、配列番号25または配列番号26のBMループ型プライマーのいずれかをループ型プライマーとして使用するPOP7bプライマーセットによりPOP7を標的とする増幅反応は、内部Zenクエンチャーからの遮断効果にもかかわらず、5’-Yakima Yellowからの強い蛍光シグナル生成を示した。さらに、陽性試料における室温でのエンドポイント蛍光は、遮断性内部修飾(Zenクエンチャー)を有するBMループ型プライマーを使用して保存された。加えて、第1のセンサー(sensory)分子として5’-Yakima Yellowの代わりに使用した5’-HEXは、第2のセンサー(sensory)分子が同様に遮断性の内部Zenクエンチャーである配列番号27および配列番号28のBMループ型プライマー配列と適合性の結果を提供した。
【0227】
クランピング配列のTmより低い陰性反応の融解曲線は。NBMループ型プライマーのバックグラウンド/ベースライン蛍光が、一般的にBMループ型プライマーのそれより低いことを示している。これは、NBMループ型プライマーにおける接触クエンチングが、BMループ型プライマーにおけるFRETクエンチングより有効であるためであり得る。さらに、陽性反応のリアルタイム増幅曲線は、NBMループ型プライマーのエンドポイント蛍光(rxn温度で)が、BMループ型プライマーのそれより一般的に高いことを示唆した。これは、蛍光/クエンチャーペアの間の間隔がNBMループ型プライマーでは大きいためであり得る。
【0228】
ある特定の条件では、BMループ型プライマーは、比較可能なNBMループ型プライマーより良好な増幅シグナルを提供した。室温での最大の差次的シグナル(陽性マイナス陰性)は、ポリ-Tスペーサーを有するBMループ型プライマーに起因した。
【0229】
LdLクランピング配列の融解温度(Tm)は、リアルタイム増幅曲線における反応速度およびバックグラウンド/ベースライン蛍光に影響を及ぼす。Tmは、BMループ型プライマー、特にポリ-Tスペーサーを有するBMループ型プライマーに関して予測されるより低かった。
【0230】
5’-VICおよび内部dT-QSY7を有するループ型プライマー(5’-VIC-1)は、他のフルオロフォア修飾と比較してTmのわずかな(1~2℃)増加にもかかわらず、他の5’-フルオロフォア標識プライマーより有意に遅かった。このように、5’VICおよびdT-QSY7の組合せは、他の組合せよりあまり好ましくない。
【0231】
7.配列
【0232】
【表8-1】
【0233】
【表8-2】
【0234】
8.参照による組み入れ
本出願において引用した全ての刊行物、特許、特許出願、および他の文書は、全ての目的に関して、各々の個々の刊行物、特許、特許出願、または他の文書が、全ての目的に関して参照により本明細書に組み込まれることが個々に示されているのと同じ程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0235】
9.均等物
本開示は、中でもカンナビノイドの組成物および関連組成物を提供する。本開示はまた、カンナビノイドおよび関連組成物を投与することによって神経変性疾患を処置する方法も提供する。様々な特定の実施形態が例証され、記載されてきたが、上記の明細書は限定ではない。本発明(複数可)の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変化を行うことができると認識される。多くの変形形態が、本明細書を精査することによって当業者に明らかとなる。
図1
図2
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【国際調査報告】