(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】SSTR4アゴニスト塩
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20240905BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240905BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240905BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20240905BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61K31/4439
A61P29/00
A61P25/02
A61P25/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516362
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 US2022076401
(87)【国際公開番号】W WO2023044326
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】コーツ,デイビッド アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】レミック,デイビッド マイケル
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA03
4C086BC17
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA14
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA21
(57)【要約】
本発明は、(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドの特有の塩、当該塩を含む医薬組成物、生理学的障害を治療するために当該塩を使用する方法、及びこの塩の合成に有用な中間体に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物であって、
【化1】
又はその水和物を提供する、化合物。
【請求項2】
水和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
水和物であり、周囲温度での含水量が3重量%~9重量%の範囲である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物:
【化2】
【請求項5】
結晶性である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
以下である、請求項1に記載の化合物:
【化3】
【請求項7】
以下の式で表される化合物:
【化4】
【請求項8】
結晶性である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
以下の式で表される化合物:
【化5】
【請求項10】
結晶性である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
結晶性であり、15.2°の回析角2シータにおけるピークと、10.6°又は21.9°(それぞれ±0.2°)における1つ以上のピークを含む、CuKα線を使用したX線粉末回析パターンによって特徴付けられる、請求項4に記載の化合物。
【請求項12】
結晶性であり、20.8°の回析角2シータにおけるピークと、10.3°、16.2°、又は5.4°(それぞれ±0.2°)で選択される1つ以上のピークを含む、CuKα線を使用したX線粉末回析パターンによって特徴付けられる、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
結晶性であり、18.1°の回析角2シータにおけるピークと、4.9°又は17.3°(それぞれ±0.2°)における1つ以上のピークを含む、CuKα線を用いたX線粉末回析パターンによって特徴付けられる、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項15】
患者における疼痛を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項14に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
患者における慢性背部痛を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項14に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項17】
患者における神経障害疼痛を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項14に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項18】
前記神経障害疼痛が、糖尿病性末梢神経障害疼痛である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
患者における変形性関節症に関連する疼痛を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項14に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項20】
療法に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
疼痛の治療において使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
慢性背部痛の治療において使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
神経障害疼痛の治療において使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
前記神経障害疼痛が、糖尿病性末梢神経障害疼痛である、請求項23に記載の使用のための化合物。
【請求項25】
変形性関節症に関連する疼痛の治療において使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のSSTR4アゴニスト塩、この塩を含む医薬組成物、この塩を使用して生理障害を治療する方法、及びこの塩の合成に有用な中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
ソマトスタチン又はソマトトロピン放出阻害因子(SRIF)は、ヒトにおいて見出される環状ペプチドである。人体で広く産生され、全身的にも局所的にも作用して、種々のホルモン、成長因子及び神経伝達物質の分泌を阻害する。ソマトスタチンの効果は、5つのサブタイプが知られているGタンパク質共役受容体のファミリーによって媒介される。これらのサブタイプは2つのサブファミリーに分けられ、第1のサブファミリーはSSTR2、SSTR3及びSSTR5を含み、第2のサブファミリーはSSTR1及びSSTR4を含む。
【0003】
ソマトスタチンは、例えば細胞増殖、グルコース恒常性、炎症、及び疼痛などのプロセスの調節に関与する。この態様において、ソマトスタチン又はソマトスタチンペプチドファミリーの他のメンバーは、SSTR4経路を介して侵害受容プロセス及び炎症プロセスを阻害すると考えられる。SSTR4アゴニストについての多くのさらなる治療領域が議論されている(例えば、Crider,A;Mini Rev.Med.Chem.2002,7,213及びその中の参考文献、国際公開第2010/059922号及びその中の参考文献)。
【0004】
国際公開第2014/184275号は、SSTR4アゴニストであり、SSTR4に関連する医学的障害を予防又は治療するのに有用である特定の3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミド誘導体を開示している。
【0005】
活性医薬製品及び薬物製品の製造のために、賦形剤中での改善された安定性並びに好ましい流動性及びバルク特性を有する選択的SSTR4アゴニストの代替的な固体状態形態が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明は、式Iの化合物であって、
【化1】
又はその水和物を提供する。
【0007】
本発明は更に、水和物ではない、式Iの化合物を提供する。
【0008】
本発明は更に、水和物である、式Iの化合物を提供する。本発明は更に、水和物であり、周囲温度での含水量が3重量%~9重量%の範囲である式Iの化合物を提供する。
【0009】
本発明は更に、以下の式Iaの化合物を提供する。
【化2】
【0010】
本発明は更に、(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドL-酒石酸塩セスキ水和物である化合物を提供する。更に、本発明は、結晶性である、(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドL-酒石酸塩セスキ水和物である化合物を提供する
【0011】
本発明はまた、以下の式IIの化合物を提供する。
【化3】
【0012】
本発明は更に、(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドクエン酸塩である化合物を提供する。更に、本発明は、結晶性である、(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドクエン酸塩である化合物を提供する。
【0013】
本発明は更に、以下の式IIIの化合物を提供する。
【化4】
【0014】
更に、本発明は、(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドL-リンゴ酸塩である化合物を提供する。本発明は更に、結晶性である、(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドL-リンゴ酸塩である化合物を提供する。
【0015】
本発明は、15.2°の回析角2シータにおけるピーク、並びに10.6°及び21.9°(それぞれ±0.2°)における1つ以上のピークを含む、CuKα線を使用したX線粉末回析パターンによって特徴付けられる、式Iaの化合物の結晶形態を提供する。
【0016】
本発明は更に、20.8°の回析角2シータにおけるピーク、並びに10.3°、16.2°及び5.4°(それぞれ±0.2°)における1つ以上のピークを含む、CuKα線を使用したX線粉末回析パターンによって特徴付けられる、式IIの化合物の結晶形態を提供する。
【0017】
本発明は更に、18.1°の回析角2シータにおけるピーク、並びに4.9°及び17.3°(それぞれ±0.2°)における1つ以上のピークを含む、CuKα線を使用したX線粉末回析パターンによって特徴付けられる、式IIIの化合物の結晶形態を更に提供する。
【0018】
本発明は更に、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と共に、式I又はその水和物、式Ia、式II若しくは式IIIの化合物を含む、医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の治療剤を更に含む。
【0019】
本発明は、患者における疼痛を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式I若しくはその水和物、式Ia、式II若しくは式IIIの化合物、又は式I若しくはその水和物、式Ia、式II若しくは式IIIの化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と共に含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。本発明は、患者における慢性腰痛を含む慢性背部痛を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式I若しくはその水和物、式Ia、式II、若しくは式IIIの化合物又は式I若しくはその水和物、式Ia、式II、若しくは式IIIの化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と共に含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。本発明は更に、患者における神経障害疼痛を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式I若しくはその水和物、式Ia、式II若しくは式IIIの化合物、又は式I若しくはその水和物、式Ia、式II若しくは式IIIの化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と共に含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、神経障害疼痛は、糖尿病性末梢神経障害疼痛である。本発明は更に、患者における変形性関節症に関連する疼痛を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式I若しくはその水和物、式Ia、式II若しくは式IIIの化合物、又は式I若しくはその水和物、式Ia、式II若しくは式IIIの化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と共に含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0020】
更に、本発明は、療法に使用するための式Iの化合物若しくはその水和物、式Ia、式II、又は式IIIを提供する。加えて、本発明は、疼痛の治療において使用するための式Iの化合物若しくはその水和物、式Ia、式II、又は式IIIを提供する。本発明は更に、慢性腰痛を含む慢性背部痛の治療において使用するための式Iの化合物若しくはその水和物、式Ia、式II、又は式IIIを提供する。本発明は更に、神経障害疼痛の治療において使用するための式Iの化合物若しくはその水和物、式Ia、式II、又は式IIIを提供する。いくつかの実施形態において、神経障害疼痛は、糖尿病性末梢神経障害疼痛である。本発明は更に、変形性関節症に関連する疼痛の治療において使用するための式Iの化合物若しくはその水和物、式Ia、式II、又は式IIIを提供する。
【0021】
更に、本発明は、疼痛、慢性背部痛(慢性腰痛を含む)、神経障害疼痛、及び変形性関節症に関連する疼痛から選択される疾患又は状態の治療薬の製造用の、式Iの化合物若しくはその水和物、式Ia、式II、又は式IIIの使用を提供する。いくつかの実施形態において、神経障害疼痛は、糖尿病性末梢神経障害疼痛である。
【0022】
本発明は更に、式Iの化合物又はその水和物の合成用の新規中間体、並びに式Iの化合物又はその水和物、式Ia、式II、及び式IIIの合成用の新規プロセスを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で使用される場合、「水和物」という用語は、化合物又はその塩と水を含有する固体付加物であって、水分子が当該化合物又はその塩の結晶格子中に組み込まれている固体付加物を指す。本明細書で使用される場合、「セスキ水和物」という用語は、化合物又はその塩の水和物であって、水対化合物又はその塩の化学量論比が1.5:1である水和物を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「治療する」又は「治療すること」という用語は、既存の症状又は障害の進行又は重症度を抑制すること、遅延させること、止めること、又は逆転させることを含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、マウス、モルモット、ラット、イヌ、又はヒトなどの哺乳動物を指す。好ましい患者はヒトであることが理解される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、患者に単回又は複数回投与すると、診断中又は治療中の患者に所望の効果を提供する、本発明の化合物の量又は投与量を指す。
【0027】
有効量は、既知の技法を使用して当業者によって容易に決定され得る。患者の有効量を決定する際に、限定はしないが、患者の種を含むいくつかの要因が考慮される。そのサイズ、年齢、及び全般的健康状態;関連する特定の疾患又は障害;疾患又は障害の程度又は関与又は重症度;個々の患者の応答、投与される特定の化合物、投与様式;投与される調製物の生物学的利用能特性;選択された投与レジメン;併用薬の使用;並びに他の関連する状況が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明の化合物は、好ましくは、経口経路を含む、化合物を生物学的に利用可能にする任意の経路によって投与される医薬組成物として製剤化される。より好ましくは、そのような組成物は、経口投与用である。そのような医薬組成物及びそれらを調製するためのプロセスは、当該技術分野で周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,A.Adejare,Editor,23rd Edition,Elsevier Academic Press,2020を参照されたい)。
【0029】
本発明の化合物は、当該技術分野において周知であり理解される方法による以下の調製及び実施例に従って調製され得る。これらの調製及び実施例の工程に対する好適な反応条件は、当該技術分野において周知であり、溶媒及び共試薬の適切な置換は、当該技術分野の技術の範囲内である。同様に、当業者であれば、合成中間体が必要に応じて又は所望どおりに様々な周知の技法によって単離及び/又は精製され得、かつ多くの場合、様々な中間体をほとんど又は全く精製することなくその後の合成工程で直接使用することが可能であることを理解するであろう。例として、調製及び実施例の化合物は、例えば、シリカゲル精製によって単離することができ、濾過又は結晶化によって直接単離することができる。更に、当業者であれば、いくつかの状況下で、部分(moieties)が導入される順序が重要ではないことを理解するであろう。本発明の化合物を製造するのに必要な工程の特定の順序は、合成される特定の化合物、出発化合物、及び置換部分の相対的な不利益に依存し、熟練の化学者に十分に理解されている。全ての置換基は、別段示されない限り、以前に定義される通りであり、全ての試薬は、当該技術分野において周知でありかつ理解されている。
【0030】
特定の略語は以下のように定義される。「APCI」は大気圧化学イオン化を指す。「BOC」は、tert-ブチルオキシカルボニルを表す。「BSA」は、ウシ血清アルブミンを表す。「cAMP」は、環状アデノシン一リン酸を表す。「CTL」は対照を表す。「DAD」は、ダイオードアレイ検出を表す。「DCM」はジクロロメタンを表す。「DIPEA」は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを表す。「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを表す。「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを表す。「EDTA」は、エチレンジアミン四酢酸を表す。「EtOAc」は酢酸エチルを表す。「HATU」は、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシドヘキサフルオロホスフェートを表す。「HBSS」は、ハンクス平衡塩溶液を表す。「HEPES」は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸を表す。「h」は、時間/sを表す。「HPLC-MS」は、高速液体クロマトグラフィー質量分析を表す。「hSSTR」は、ヒトソマトスタチン受容体を意味する。「IPA」は、イソプロピルアルコールを表す。「min」は、分を表す。「MS」は、質量分析を表す。「IBMX」は、1-メチル-3-(2-メチルプロピル)-7H-プリン-2,6-ジオンを表す。「m/z」は、質量対電荷比を表す。「MTP」はマイクロタイタープレートを表す。「Rt」は、保持時間を表す。「NADPH」は、ジヒドロニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を表す。「RT」は、室温を表す。「rpm」は、1分当たりの回転を表す。「TRIS」は、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオールを表す。「UPLC」は、超高速液体クロマトグラフィーを表す。「v/v」は、体積対体積を表す。
【0031】
【化5】
スキーム1は、(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドの合成用の一般的方法を示す。
【0032】
工程Aにおいて、2-メチルプロパン-1-オールを、水素化ナトリウムを用いて低温で脱プロトン化する。次いで、得られたアニオンを高温で2-フルオロ-3-メチルピリジンとin situで反応させて、2-メチル-1-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]プロパン-2-アミンを得る。当業者は、多くの代替塩基が2-メチルプロパン-1-オールの脱プロトン化のために使用され得ること、及び代替的に、反応がより穏やかな塩基を使用してワンポット手順として行われ得ることを認識する。
【0033】
工程Bにおいて、2-メチル-1-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]プロパン-2-アミンを、有機塩基及びアミドカップリング試薬HATUの存在下で、(1R,5S,6r)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボン酸と反応させて、tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-((2-メチル-1-((3-メチルピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-2-イル)カルバモイル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレートを得る。当業者は、多数の異なるアミドカップリング試薬及び有機塩基が、このアミド形成を達成するために使用され得ることを認識する。
【0034】
最終工程Cにおいて、tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-((2-メチル-1-((3-メチルピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-2-イル)カルバモイル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレートを、メタノール及び水の混合物中、高温でマイクロ波照射を使用してBOC脱保護に付して、(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドを得る。当業者は、BOC脱保護を実施するための多数の代替方法を承知しているであろう。そのような方法の包括的なリストについては、以下などで閲覧し得る。Wuts,P.G.M.and Greene,T.W.(2006),Protective groups in organic synthesis,Hoboken,N.J.:Wiley。
【0035】
LC-MS方法1
機器:LC/MS Thermo Scientific(商標)Finnigan、HPLC Surveyor DAD、MSQ Plus(商標)シングル四重極。カラム:Synergi(商標)Hydro-RP 100Å、2.5μm、3×50mm。移動相:A=H2O 90%+10%CH3CN+NH4COOH 10mM、B=CH3CN 90%+H2O 10%+NH4COOH 10mM。勾配:0.0分0%B→4.00分100%B→5.30分100%B→5.50分0%B→6.00分0%B。流量:1.2mL/分。検出:UV254nm。イオン源:APCI+/APCI-。
【0036】
LC-MS方法2
LC-MS方法2:機器:LC/MS Waters Acquity(登録商標)UPLC System DAD、SQDシングル四重極。カラム:BEH C18 1.7μM 2,1×50mm、温度35℃。移動相:A=H2O 90%+10%CH3CN+NH4COOH 5mmol、B=CH3CN 90%+H2O 10%。勾配:0.0分0%B→1.20分100%B→1.45分100%B→1.55分0%B→1.75分0%B。流量:0.70mL/分。検出:UV254nm。検出:SQDシングル四重極。イオン源:ES+/ES-。スキャン範囲:90~900amu。
【0037】
調製物1
2-メチル-1-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]プロパン-2-アミン。
【化6】
【0038】
2-アミノ-2-メチル-プロパン-1-オール(11mL、118.8mmol)をジオキサン(20mL)に溶解し、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液、5.0g、124.7mmol)を0℃で少しずつ添加し、15分後、2-フルオロ-3-メチル-ピリジン(3mL、29.7mmol)を添加する。得られた混合物を100℃で1時間加熱する。反応物をDCMで希釈し、水で洗浄する。有機層を分離し、乾燥させ、減圧下で蒸発させて、表題化合物(5.1g、95%)を得、これをそのまま使用する。HPLC-MS(方法1):Rt=1.78分、MS(APCI):m/z=181(M+H)+。
【0039】
調製物2
tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-((2-メチル-1-((3-メチルピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-2-イル)カルバモイル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシラート。
【化7】
【0040】
DMF(10mL)中の(1R,5S,6r)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボン酸(6.4g、28.3mmol)(ACBR又はWuXi AppTecから市販されている)に、2-メチル-1-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]プロパン-2-アミン(5.1g、28.3mmol)、HATU(10.8g、28.3mmol)及びDIPEA(15.5g、56.589mmol)を加え、撹拌を3時間続ける。揮発物を減圧下で蒸発させる。EtOAcを添加し、反応混合物をNaHCO3飽和溶液、次いでブラインで洗浄する。有機層を相分離カートリッジによって分離し、溶媒を蒸発させて残留物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(溶離液20~50%EtOAc/シクロヘキサン)によって精製して表題化合物(8.4g、76%)を得る。HPLC-MS(方法1):Rt=3.30分、MS(APCI):m/z=390(M+H)+。
【0041】
調製物3
(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミド
【化8】
【0042】
tert-ブチル(1R,5S,6r)-6-((2-メチル-1-((3-メチルピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-2-イル)カルバモイル)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシレート(13g、33.4mmol)をメタノール/水1:1 v/v(35mL/35mL)中に懸濁させ、7つの等しいバッチに分割し、マイクロ波照射下で70分間加熱する(150℃)。溶媒を減圧下で除去して残留物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(溶離液100%DCM~93:7:0.7DCM/メタノール/NH3)により精製して表題化合物を得る(7.0g、72%)。LC-MS(方法2):Rt=0.68分、MS(ESI pos):m/z=290(M+H)+。
【0043】
調製物4
(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドL-酒石酸塩
【化9】
【0044】
(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミド(5.5g、18.4mmol)に、IPA(68mL)及び水(2ml)を加える。混合物を65℃に加熱し、その時点で溶解が起こる。次いで、IPA(34mL)及び水(1.5mL)中のL-酒石酸(2.86g、19.1mmol)を溶液に添加する。次いで、一晩溶液を室温に冷却する。得られた白色固体を真空濾過によって単離し、氷冷IPA(20mL)ですすぎ、表題化合物(5.7g、70%)を得る。
【0045】
実施例1
結晶性(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドL-酒石酸塩セスキ水和物
【化10】
【0046】
(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドL-酒石酸塩(60g、136.5mmol)を250mL反応容器に移し、THF/水95:5v/vを加えて225mLの体積にする。混合物を60℃に加熱し、水を1mLアリコートで添加して、出発物質を完全に溶解する(合計8mLの水)。反応器を自然冷却し、混合物を室温で週末にわたって撹拌する。得られた結晶を真空濾過により単離し、数日間空気乾燥する。得られた固体を篩過し、表題化合物を得る(42.3g、66%)。
【0047】
実施例2
結晶性(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドクエン酸塩
【化11】
【0048】
(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミド(10.8g、33mmol)を、60℃で300rpmで撹拌しながら無水エタノール(200mL)に溶解する。この溶液を0.65μmのナイロンフィルターで濾過して、透明な溶液を得る。溶液を5分間撹拌すると、固体沈殿が生じる。60℃で無水エタノール(60mL)に溶解したクエン酸(7.06g、36mmol)の溶液を調製する。クエン酸溶液を60℃でゆっくり添加する。混合物を、60℃に維持した0.45μmシリンジフィルターを通して濾過する。次いで加熱を停止し、混合物を500rpmで撹拌し、徐々に室温に冷却する。室温まで完全に平衡化すると、非常に濃厚な白色スラリー(ケーキ)が得られる。フラスコを無水エタノール(5×10mL)ですすぎ、ケーキをすすぐ。ケーキ固体を真空下でナイロン膜上で単離し、窒素下で乾燥させ、次いで真空下で70℃で一晩乾燥させて、表題化合物を白色固体(16.8g、98%)として得る。
【0049】
実施例3
結晶性(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミドL-リンゴ酸塩
【化12】
【0050】
(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミド(25g、88mmol)を、約400rpmで撹拌しながら100mLのイソプロパノールに添加する。試料を60℃に加熱する。次いで、14.6mLのL-リンゴ酸水溶液(109mmol)を添加する。透明な黄色がかった溶液が形成される。混合物を室温に冷却する。油状化が観察されたので、相分離を窒素流下で蒸発乾固する。固体残渣をアセトン及び水に懸濁し、55℃で再結晶化させる。25gの遊離塩基等価物質を、200mlのアセトン及び15mLの水(合計215mL溶媒)中で再結晶化する。固体を、減圧下でBuchner漏斗を使用して室温で反応容器から単離する。白色ケーキをアセトンですすぎ、真空下50℃で乾燥させて、表題化合物(21g、57%)を得る。
【0051】
X線粉末回折(XRPD)方法1
結晶性固体のXRPDパターンは、CuKα(1.5418Å)源及びLynxeye(商標)検出器を備えた、40kV及び40mAで作動している、Bruker D8 Endeavor X線粉末回折計で得られる。試料を、4~42 2θ°で、0.009 2θ°の工程サイズ及び0.5秒/工程の走査速度で、0.3°の一次スリット開口、及び3.9°の粒径分布(PSD)開口を使用して、走査する。乾燥粉末は、石英試料ホルダーに充填され、滑らかな表面は、ガラススライドを使用して得られる。結晶形態回折パターンは、周囲温度及び相対湿度で収集される。結晶ピーク位置は、8.853及び26.774 2θ°のピークを有する内部NIST 675標準に基づいて全体パターンシフト後、MDI-Jadeで決定される。結晶学の分野において、任意の所与の結晶形態に関して、結晶形態及び晶癖等の要因から生じる好ましい配向に起因して、回折ピークの相対強度が変化し得ることが周知されている。優先配向の効果が存在する場合、ピーク強度は改変されるが、多形体の特徴的なピーク位置は不変である。例えば、The United States Pharmacopeia#23,National Formulary#18,pages 1843-1844,1995を参照されたい。更に、所与の任意の結晶形態について、角ピーク位置がわずかに変化し得ることも、結晶学の分野において周知である。例えば、ピーク位置は、試料が分析される温度の変動、試料変位、又は内部標準の存在若しくは不在によってシフトすることができる。この場合、±0.2 2θ°のピーク位置変動性は、示された結晶形態の明確な同定を妨げることなく、これらの潜在的な変動を考慮に入れると推定される。結晶形態の確認を特徴的なピークの任意の固有の組み合わせに基づいて行うことができる。
【0052】
X線粉末回折(XRPD)方法2
結晶固体のXRPDパターンは、CuKα(1.5418Å)源及びVantec(商標)検出器を備えた、35kV及び50mAで動作しているBruker D4 Endeavor X線粉末回折計で得られる。試料は、0.008の2θ°の工程サイズ及び0.5秒/工程の走査速度で、1.0mmの発散スリット、6.6mmの固定散乱防止スリット、及び11.3mm検出スリットを用いて、4~40の2θ°で走査される。乾燥粉末は、石英試料ホルダーに充填され、滑らかな表面は、ガラススライドを使用して得られる。結晶形態回折パターンは、周囲温度及び相対湿度で収集される。結晶ピーク位置は、8.853及び26.774 2θ°のピークを有する内部NIST 675標準に基づいて全体パターンシフト後、MDI-Jadeで決定される。結晶学の分野において、任意の所与の結晶形態に関して、結晶形態及び晶癖などの要因から生じる好ましい配向に起因して、回折ピークの相対強度が変化し得ることは周知である。優先配向の効果が存在する場合、ピーク強度は改変されるが、多形体の特徴的なピーク位置は不変である。例えば、The United States Pharmacopeia#23,National Formulary#18,pages 1843-1844,1995を参照されたい。更に、所与の任意の結晶形態について、角ピーク位置がわずかに変化し得ることも、結晶学の分野において周知である。例えば、ピーク位置は、試料が分析される温度の変動、試料変位、又は内部標準の存在若しくは不在によってシフトすることができる。この場合、±0.2 2θ°のピーク位置変動性は、示された結晶形態の明確な同定を妨げることなく、これらの潜在的な変動を考慮に入れると推定される。結晶形態の確認を特徴的なピークの任意の固有の組み合わせに基づいて行うことができる。
【0053】
実施例1のXRPD
XRPD方法1を実施例1に使用した。実施例1の調製試料は、CuKα線を用いたXRPDパターンが、以下の表1に記載の回析ピーク(2シータ値)を含み、特に、回析角2シータが15.2°のピーク、並びに10.6°及び21.9°のピークのうちの1つ以上を含むことを特徴とする。0.2度の回折角の許容誤差を有する。
【表1】
【0054】
実施例2のXRPD
XRPD方法2を実施例2に使用した。実施例2の調製試料は、CuKα線を用いたXRPDパターンが、以下の表2に記載の回析ピーク(2シータ値)を含み、特に、回析角2シータが20.8°のピーク、並びに10.3°、16.2°、及び5.4°のピークのうちの1つ以上を含み、0.2度の回折角の許容誤差を持つことを特徴とする。
【表2】
【0055】
実施例3のXRPD
XRPD方法2を実施例3に使用した。実施例3の調製試料は、CuKα線を用いたXRPDパターンが、以下の表3に記載の回析ピーク(2シータ値)を含み、特に、回析角2シータが18.1°のピーク、並びに4.9°及び17.3°のピークのうちの1つ以上を含み、0.2度の回折角の許容誤差を持つことを特徴とする。
【表3】
【0056】
cAMPアッセイ
SSTR4受容体(G共役)の活性化は、フォルスコリンによる刺激後に細胞内cAMPの阻害を引き起こし、適切なアッセイキット及び適切なプレートリーダーの使用によって定量化することができる。この技術は、hSSTR4発現H4細胞の使用によるSSTR4受容体アゴニストの薬理学的効果を特徴付けるために使用される。化合物をDMSOに溶解し、希釈する。最終試験溶液は1%DMSOを含有する。cAMP標準(Lance(商標)cAMP 384キット、PerkinElmer、カタログ番号AD0264)を、1%DMSOを含有するアッセイ緩衝液(0.1%BSA、5mM HEPES、0.5M IBMXを含むHBSS、pH7.4)中で調製し、cAMP標準曲線を少なくとも1つのプレート上に含める。
【0057】
細胞を遠心分離し、アッセイ緩衝液(1:100希釈Alexa Fluor(登録商標)抗体を含む)中に懸濁する。アッセイのために、Alexa Fluor(登録商標)抗体(1:100希釈)を含む5μLの細胞懸濁液(およそ5000細胞/ウェル)を、標準曲線のために確保された1つの行又は列(プレートレイアウトに依存する)を除いて、384ウェルMTPマイクロタイタープレートに添加する。次いで、2μLの化合物試料を、濃度反応曲線(例えば、1e-5M~6e-10M)として、通常は三連で添加する。各アッセイは、非阻害cAMP生成の対照として化合物の代わりにビヒクル対照とのインキュベーションを含み(100%CTL、「高値」)と、完全な阻害及びバックグラウンドの対照としての1μMソマトスタチンとのインキュベーション(0%CTL、「低値」)を含む。約10~15分のインキュベーション時間後、3μLのフォルスコリン(DMSOに溶解、最終濃度15μM)を添加する。次いで、プレートを短時間振盪し、室温で60分間インキュベートする。60分後、10μLの検出混合物を全てのウェルに添加し、続いて1時間のさらなるインキュベーション期間を行う。プレートを適切なプレートリーダーで読み取る。データの分析は、ドナーフルオロフォア及びアクセプターフルオロフォアの時間分解蛍光測定の「比」に基づく(Ex:320nm、Em1:665nm、Em2:615nm、比665/615)。この比から、cAMP濃度を標準曲線から計算し、EC50を最小二乗曲線適合プログラムによって推定する。実施例1、2、及び3の遊離塩基は、主に下記のように試験された。
【0058】
【表4】
表4に示すように、実施例1、2及び3は、それらの遊離塩基形態に溶解された後、SSTR4のアゴニストである。
【0059】
選択性
競合実験では、標識されていない試験化合物が、標識リガンドの結合部位と競合する。試験化合物による標識リガンドの置換は、シグナルの減少をもたらす。結合実験のために、以下のタンパク質量のうちの1つからの膜ホモジネート200μLを使用する:hSSTR1(40μg/ウェル)、hSSTR2(25μg/ウェル)、hSSTR3(1.5μg/ウェル)、hSSTR4(0.5μg/ウェル)、hSSTR5(25μg/ウェル)。ホモジネートを、Hepes緩衝液(10mM、EDTA 1mM、MgCl2 5mM、pH7.6、BSA 0.5%、バシトラシン0.003%、DMSO 1%)を使用して、250μLの総体積中で、漸増濃度の試験化合物又はビヒクル(100%結合)に加えて、0.05nMの放射性リガンド([3-125I-Tyr]-ソマトスタチン-(1-14))と共に、室温で180分間インキュベートする。細胞ハーベスターを使用して、ポリエチレンイミン処理(0.3%)グレードGF/Bガラス繊維フィルターを通して氷冷NaCl 0.9%で濾過することによってインキュベーションを終了する。タンパク質に結合した放射活性を適切なリーダーで測定する。非特異的結合は、インキュベーション期間中に1μMソマトスタチン-14の存在下で結合した放射活性として定義される。濃度-結合曲線の分析は、1つの受容体結合部位のモデルを使用して、コンピュータ支援非線形最小二乗曲線適合法によって行う。
【0060】
【表5】
表5に示すように、実施例1、2及び3は、それらの遊離塩基形態に溶解された後、SSSTR1、SSSTR2、SSSTR3及びSSSTR5よりもSSTR4に選択的に結合する。
【0061】
安定性試験
(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミド(錠剤A)、実施例1(錠剤B)及び実施例3(錠剤C)のプロトタイプ錠剤を、それぞれ表6、表7及び表8に示す処方で調製した。
【表6】
【表7】
【表8】
【0062】
加速貯蔵条件(40℃/75%RH)を1週間、2週間、4週間、8週間及び12週間の期間)を使用して、ICHガイドラインに従って錠剤を安定性試験に供した。
【0063】
クロマトグラフィー分析のために、1つの錠剤を50/50の移動相A/移動相B(以下のHPLCクロマトグラフィー条件を参照)に溶解して、(1S,5R)-(1α,5α,6α)-N-[1,1-ジメチル-2-[(3-メチル-2-ピリジル)オキシ]エチル]-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-カルボキサミド(遊離塩基)として約0.2mg/mLの試料濃度を得る。次に、試料をHPLCクロマトグラフィーによって分析する(XBridge(商標)BEH C18,2.5μm、4.6mm×75mm I.D、移動相:A=H2O 99.9%+0.1%TFA、B=99.9%CH3CN+0.1%TFA、勾配:0.0分5%B→12.1分70%B→13.0分95%B→16.0分95%B→16.1分5%B→20.0分5%B、流量:1.5mL/分、カラム温度:30℃、検出:UV220nm、注入量:10μLオートサンプラー温度:周囲温度)。試験した各試料について、個々の標準曲線を作成した。
【0064】
表9は、安定性試験中に形成された総関連物質百分率(TRS)を示す。
【表9】
【0065】
結果は、L-酒石酸塩(実施例1、錠剤B)及びL-リンゴ酸塩(実施例3、錠剤C)が、それぞれの遊離塩基と比較して、加速貯蔵条件下で賦形剤中で改善された安定性を有することを示す。更に、結果は、L-酒石酸塩(実施例1、錠剤B)が、L-リンゴ酸塩(実施例3、錠剤C)と比較して、賦形剤中で改善された安定性を有することを示す。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物であって、
【化1】
又はその水和物を提供する、化合物。
【請求項2】
水和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
水和物であり、周囲温度での含水量が3重量%~9重量%の範囲である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
以下である、請求項1に記載の化合物:
【化2】
【請求項5】
結晶性である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
以下である、請求項1に記載の化合物:
【化3】
【請求項7】
以下の式で表される化合物:
【化4】
【請求項8】
結晶性である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
以下の式で表される化合物:
【化5】
【請求項10】
結晶性である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
結晶性であり、15.2°の回析角2シータにおけるピークと、10.6°又は21.9°(それぞれ±0.2°)における1つ以上のピークを含む、CuKα線を使用したX線粉末回析パターンによって特徴付けられる、請求項4に記載の化合物。
【請求項12】
結晶性であり、20.8°の回析角2シータにおけるピークと、10.3°、16.2°、又は5.4°(それぞれ±0.2°)で選択される1つ以上のピークを含む、CuKα線を使用したX線粉末回析パターンによって特徴付けられる、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
結晶性であり、18.1°の回析角2シータにおけるピークと、4.9°又は17.3°(それぞれ±0.2°)における1つ以上のピークを含む、CuKα線を用いたX線粉末回析パターンによって特徴付けられる、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項15】
疼痛の治療剤であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、治療剤。
【請求項16】
慢性背部痛の治療剤であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、治療剤。
【請求項17】
神経障害疼痛の治療剤であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、治療剤。
【請求項18】
前記神経障害疼痛が、糖尿病性末梢神経障害疼痛である、請求項17に記載の治療剤。
【請求項19】
変形性関節症に関連する疼痛の治療剤であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、治療剤。
【国際調査報告】