(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ガラスとポリマーフロントレイヤーを含む軽量な太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/042 20140101AFI20240905BHJP
【FI】
H01L31/04 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516419
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 FR2022051713
(87)【国際公開番号】W WO2023041864
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴーム,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】コモールト,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】シャンビョン,ベルトランド
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスケッティ,ヤニック
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
(57)【要約】
本発明の主要な目的は、以下を含むスタックから得られる光電変換モジュール(1)である:前面を形成する第一の透明な層(2);光電変換セル(4)の複数;セル(4)の複数を封入するアセンブリ(3);および後面を形成する第二の層(5)。第一の層(2)は、少なくとも一つのポリマー材料(2a)からなる前面層;およびインターフェース前面層(2b)と厚さが2mm以下のガラス前面層(2c)を含む少なくとも一つの前面アセンブリ(2b、2c)を含む。前述の少なくとも一つの前面アセンブリ(2b、2c)は、ポリマー前面層(2a)と封入アセンブリ(3)の間に位置し、前述の少なくとも一つの前面アセンブリ(2b、2c)のインターフェース前面層(2b)は、ポリマー前面層(2a)とガラス前面層(2c)の間に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層から得られる光起電モジュール(1)であって、
- 光束を受光するように意図された前記光起電モジュール(1)の前面を形成する透明な第1の層(2)と、
- 横並びに配設され、かつ互いに電気的に接続された複数の光電池(4)と、
- 前記複数の光電池(4)をカプセル化したアセンブリ(3)と、
- 前記光起電モジュール(1)の背面を形成する第2の層(5)と、
を含み、
前記カプセル化したアセンブリ(3)および前記複数の光電池(4)は、前記第1の層(2)と第2の層(5)の間に位置し、
前記第1の層(2)は、
- 少なくとも1つのポリマー材料から作られる表側層(2a)、いわゆる『ポリマー表側層(2a)』と、
- 界面表側層(2b;2d)およびガラス表側層(2c;2e)を包含する少なくとも1つの表側アセンブリ(2b,2c;2d,2e)と、
を含み、
前記ガラス表側層(2c;2e)は、2mm以下の厚さ(e2c;e2e)を有し、かつ前記少なくとも1つのポリマー材料から作られる表側層(2a)の寸法および前記第2の層(5)の寸法より厳密に小さい寸法を有し、前記ガラス表側層(2c;2e)のエッジと前記少なくとも1つのポリマー材料から作られる前記表側層(2a)のエッジまたは前記第2の層(5)のエッジを隔てる距離(b,b’)が厳密に1mmより大きく、
前記少なくとも1つの表側アセンブリ(2b,2c;2d,2e)は、前記ポリマー表側層(2a)と前記カプセル化したアセンブリ(3)の間に位置し、かつ前記少なくとも1つの表側アセンブリ(2b,2c;2d,2e)の前記界面表側層(2b;2d)は、前記ポリマー表側層(2a)と前記ガラス表側層(2c;2e)の間に位置する、
光起電モジュール(1)。
【請求項2】
前記ガラス表側層(2c;2e)は、非強化ガラスから作られる、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記ガラス表側層(2c;2e)のエッジと、前記ガラス表側層(2c;2e)の前記エッジに隣接する前記光電池(4)のエッジおよび/または光電池(4)を接続する接続導体(6)とのエッジの間の距離(a)が、0と15mmの間、好ましくは5mmの範囲内に含まれる、請求項1または2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記ガラス表側層(2c;2e)の全周にわたって配設されるポリマー枠(CP)を含み、前記ポリマー枠(CP)は、特に、5mmと50mmの間、好ましくは20mmと40mmの間に含まれる幅(d,d’)を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項5】
前記ガラス表側層(2c;2e)は、そのコーナに丸みを付けたエッジを、特に厳密に1mmより大きく、好ましくは厳密に25mmより小さい曲率半径(Rc)を伴うエッジを有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項6】
前記ガラス表側層(2c;2e)は、1.5mm以下の、特に500μmと1.1mmの間に含まれる、より詳細には500μmと1mmの間に含まれる、さらに詳細には300μmと700μmの間に含まれる、さらにより詳細には300μmと500μm間に含まれる厚さ(e
2c;e
2e)を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項7】
前記第2の層(5)は、電気的絶縁ポリマーに基づくポリマー構造によって形成される、先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項8】
前記第2の層(5)は、
- 背面パネル(5)のコア(9a)を形成する主副層と、それぞれが前記背面パネル(5)のプレート(9b,9c)を形成する2つの被覆副層と、を包含する複合材料から作られる背面パネル(5)を形成する裏側層を含み、前記2つのプレート(9b,9c)は、それらの間に前記コア(9a)が挟み込まれるように前記コア(9a)の両側に配設され、前記背面パネル(5)の前記コア(9a)は、セル構造(12)を含む、
先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項9】
前記第2の層(5)は、
- 少なくとも1つのポリマー材料(5a)から作られる裏側層、いわゆる『ポリマー裏側層(5a)』と、
- 界面裏側層(5b)およびガラス裏側層(5c)を包含する少なくとも1つの裏側アセンブリ(5b,5c)と、
を含み、
前記ガラス裏側層(5c)は、特に2mm以下、特に1.5mm以下の、特に500μmと1.1mmの間、より詳細には500μmと1mmの間、さらに詳細には300μmと700μmの間、さらにより詳細には300μmと500μmの間に含まれる厚さ(esc)を有し、特に非強化ガラスから作られ、かつ特に前記ポリマー裏側層(5a)の寸法より厳密に小さい、特に前記ガラス表側層(2c)と同一の寸法および特性を有し、
前記少なくとも1つの裏側アセンブリ(5b,5c)は、前記ポリマー裏側層(5a)と前記カプセル化したアセンブリ(3)の間に位置し、かつ前記少なくとも1つの裏側アセンブリ(5b,5c)の前記界面裏側層(5b)は、前記ポリマー裏側層(5a)と前記ガラス裏側層(5c)の間に位置する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項10】
前記第2の層(5)は、繊維、特にガラス、カーボン、アラミド、および/または天然の、特に麻、亜麻、および/または絹の繊維に基づく補強繊維の層を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項11】
前記ポリマー表側層(2a)および/または前記ポリマー裏側層(5a)は、15μmと300μmの間、特に20μmと50μmの間に含まれる厚さ(e
2a,e
5a)を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項12】
前記界面表側層(2b;2d)および/または前記界面裏側層(5b)が、50μmと600μmの間、特に400μmと600μmの間、特に400μmと500μmの間に含まれる厚さ(e
2b,e
2d;e
5b)を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項13】
前記ポリマー表側層(2a)および/または前記ポリマー裏側層(5a)の前記ポリマー材料は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、フッ素ポリマー、特にポリフッ化ビニル(PVF)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、および/または上述のポリマーのうちの1つ以上を包含する多層膜の中から選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項14】
前記カプセル化したアセンブリ(3)、前記界面表側層(2b;2d)、および/またはオプションの前記界面裏側層(5b)は、酸共重合体、イオノマ、ポリ(エチレン酢酸ビニル)(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)等のビニルアセタール、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、共重合体のエラストマ・ポリオレフィン、エチレン-メチルアクリレート共重合体およびエチレン-ブチルアクリレート共重合体等のエチレンカルボン酸のα-、β-エステルおよびα-オレフィンの共重合体、シリコンエラストマ、および/または交差架橋熱可塑性ポリオレフィン・ベースのエラストマの中から選択された少なくとも1つのポリマー・タイプのカプセル化材料を含む少なくとも1つの層によって形成される、先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項15】
前記第1の層(2)は、
- 界面表側層(2b)およびガラス表側層(2c)を包含する第1の表側アセンブリ(2b,2c)であって、前記ガラス表側層(2c)は2mm以下の厚さ(e
2c)を有する第1の表側アセンブリ(2b,2c)と、
- 界面表側層(2d)およびガラス表側層(2e)を包含する第2の表側アセンブリ(2d,2e)であって、前記ガラス表側層(2e)は2mm以下の厚さ(e
2e)を有する第2の表側アセンブリ(2d,2e)と、
を含み、
前記第1の表側アセンブリ(2b,2c)は、前記ポリマー表側層(2a)と、それ自体が前記第1の表側アセンブリ(2b,2c)と前記カプセル化したアセンブリ(3)の間に位置する前記第2の表側アセンブリ(2d,2e)との間に位置する、
先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項16】
前記第1の表側アセンブリ(2b,2c)の前記ガラス表側層(2c)の前記厚さ(e
2c)と前記第2の表側アセンブリ(2d,2e)の前記ガラス表側層(2e)の前記厚さ(e
2e)とが異なる、請求項15に記載のモジュール。
【請求項17】
前記第1の表側アセンブリ(2b,2c)の前記ガラス表側層(2c)の前記厚さ(e
2c)は、前記第2の表側アセンブリ(2d,2e)の前記ガラス表側層(2e)の前記厚さ(e
2e)より大きい、請求項16に記載のモジュール。
【請求項18】
前記第2の層(5)は、
- 少なくとも1つのポリマー材料(5a)から作られる裏側層、いわゆる『ポリマー裏側層(5a)』と、
- 界面裏側層(5b)およびガラス裏側層(5c)を包含する第1の裏側アセンブリ(5b,5c)であって、前記ガラス裏側層(5c)は、特に2mm以下、特に1.5mm以下、特に500μmと1.1mmの間、より詳細には500μmと1mmの間、さらに詳細には300μmと700μmの間、さらにより詳細には300μmと500μmの間に含まれる厚さ(e
5c)を有し、かつ特に非強化ガラスから作られる第1の裏側アセンブリ(5b,5c)と、
- 界面裏側層およびガラス裏側層を包含する第2の裏側アセンブリであって、前記ガラス裏側層は、特に2mm以下、特に1.5mm以下、特に500μmと1.1mmの間、より詳細には500μmと1mmの間、さらに詳細には300μmと700μmの間、さらにより詳細には300μmと500μmの間に含まれる厚さを有し、かつ特に非強化ガラスから作られる第2の裏側アセンブリと、
を含み、
前記第1の裏側アセンブリ(5b,5c)は、前記ポリマー裏側層(5a)と、それ自体が前記第1の裏側アセンブリ(5b,5c)と前記カプセル化したアセンブリ(3)との間に位置する前記第2の裏側アセンブリの間に位置する、
先行する請求項のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項19】
先行する請求項のいずれか一項に記載の光起電モジュール(1)を積層から作るための方法であって、
- 光束を受光するように意図された前記光起電モジュール(1)の前面を形成する透明な第1の層(2)と、
- 横並びに配設され、かつ互いに電気的に接続された複数の光電池(4)と、
- 前記複数の光電池(4)をカプセル化したアセンブリ(3)と、
- 第2の層(5)と、
を含み、
前記カプセル化したアセンブリ(3)および前記複数の光電池(4)が前記第1の層(2)と第2の層(5)の間に位置し、
前記第1の層(2)は、
- 少なくとも1つのポリマー材料(2a)から作られる表側層、いわゆる『ポリマー表側層(2a)』と、
- 界面表側層(2b;2d)およびガラス表側層(2c;2e)を包含する少なくとも1つの表側アセンブリ(2b,2c;2d,2e)と
を含み、
前記ガラス表側層(2c;2e)は、2mm以下の厚さ(e
2c;e
2e)を有し、かつ前記少なくとも1つのポリマー材料から作られる表側層(2a)の寸法および前記第2の層(5)の寸法より厳密に小さい寸法を有し、前記ガラス表側層(2c;2e)のエッジと前記少なくとも1つのポリマー材料から作られる前記表側層(2a)のエッジまたは前記第2の層(5)のエッジを隔てる距離(b,b’)が厳密に1mmより大きく、
前記少なくとも1つの表側アセンブリ(2b,2c;2d,2e)は、前記ポリマー表側層(2a)と前記カプセル化したアセンブリ(3)の間に位置し、かつ前記少なくとも1つの表側アセンブリ(2b,2c;2d,2e)の前記界面表側層(2b;2d)は、前記ポリマー表側層(2a)と前記ガラス表側層(2c;2e)の間に位置する、
光起電モジュール(1)を作るための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに電気的に接続された一連の太陽電池セルを含む太陽電池モジュールの分野に関連し、特にいわゆる「結晶」太陽電池セル、すなわち単結晶または多結晶シリコンに基づくものに関連する。本発明は、特に民間および/または軍事用途、例えばスタンドアロンおよび/または搭載用途、特に軽量で剛性のある太陽電池モジュールの使用を必要とする用途、特に単位面積あたりの重量が5kg/m2以下、可能ならば6kg/m2以下の用途に対して実施することができる。したがって、特に住宅や工業施設(テルシャリー、商業など)の建物、例えばその屋根を作るため、または街頭家具の設計、例えば公共照明、道路標識、電気自動車の充電などのため、また可能ならばノマド用途(ソーラーモビリティ)、特に車両、例えば自動車、バス、ボートなどの車両に組み込むために適用することができる。
【0002】
したがって、本発明は、モジュールの前面を形成する最初のガラスとポリマーレイヤーを含むスタックによって得られる軽量な太陽電池モジュール、およびそのような太陽電池モジュールを製造する方法を提供する。
【先行技術】
【0003】
太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールの前面を形成する透明な最初の層と、モジュールの後面を形成する第二の層の間に並べられた太陽電池セルの組み立てである。
【0004】
有利には、太陽電池モジュールの前面を形成する最初の層は、太陽電池セルが光束を受けることができるように透明であり、通常は特に強化ガラス、特に2~4mmの厚さ、通常は3mmの範囲の一枚のガラス板から作られる。
【0005】
逆に、太陽電池モジュールの後面を形成する第二の層は、ガラス、金属、プラスチックなどから作られることができる。それはしばしば電気絶縁ポリマー、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリアミド(PA)タイプに基づくポリマー構造によって形成され、それはフッ素化ポリマー、例えばポリビニルフルオライド(PVF)またはポリビニリデンフルオライド(PVDF)に基づく一つまたは複数の層によって保護されることができ、そして300μmの範囲の厚さを有することができる。
【0006】
太陽電池セルは、いわゆる接続導体と呼ばれる前面および後面の電気接触要素によって互いに電気的に接続されることができ、例えば錫めっき銅ストリップによって形成され、それぞれが太陽電池モジュールの前面(光束を受けることを意図した太陽電池モジュールの前面に対向する面)および後面(太陽電池モジュールの後面に対向する面)の各太陽電池セルの前面および後面に対して配置されるか、またはIBCタイプの太陽電池セル(英語で「Interdigitated Back Contact」を意味する)の後面だけに配置される。
【0007】
IBCタイプの太陽電池セル(「Interdigitated Back Contact」)は、接触がセルの後面で交互に配置された櫛の形で行われる構造であることに注意すべきである。例えば、それらは特許文献1で説明されている。
【0008】
また、太陽電池セルは、太陽電池モジュールの前面および後面をそれぞれ形成する第一および第二の層の間に位置し、カプセル化されることがある。通常、選択されたカプセラントはエラストマー(またはゴム)タイプのポリマーに対応し、例えばポリ(エチレン-ビニル酢酸エステル)(EVA)の二層(またはフィルム)の使用で構成されることがあり、その間に太陽電池セルおよびセルの接続導体が配置されます。各カプセラント層は、少なくとも0.2mmの厚さを有し、室温でのヤングの率は通常2~400MPaの範囲にある。
【0009】
したがって、結晶太陽電池セル4を含む太陽電池モジュール1の従来の例が、
図1の断面図および
図2の分解図で部分的かつ概略的に示されている。
【0010】
前述のように、太陽電池モジュール1は、通常は約3mmの厚さの透明な強化ガラスで作られた前面2と、例えばポリマー製シートによって形成された後面5を含み、後者は不透明または透明で、単層または多層で、室温でのヤングの率が400MPa以上である。
【0011】
光電変換セル4は、接続導体6によって電気的に接続され、前面3aと後面3bの2つの封止材層の間に浸漬され、これら2つの層は封止組立体3を形成している。これらは、光電変換モジュール1の前面2と後面5の間に位置している。
【0012】
図1Aには、光電変換セル4がIBCタイプで、接続導体6が光電変換セル4の後面にのみ配置されている、
図1の例の変形実施形態も示されている。
【0013】
また、
図1と
図2には、光電変換モジュール1の接続ボックス7が示されており、モジュールの動作に必要な配線を受けるためのものである。通常、この接続ボックス7はプラスチックまたはゴムで作られ、完全な密封性を確保する。
【0014】
通常、光電変換モジュール1を作る方法には、前述の異なる層を120℃以上、可能なら140℃以上、可能なら150℃以上、170℃以下、通常は145℃から165℃の間の温度で真空下でラミネートするという、いわゆるラミネーション工程が含まれる。この工程は通常、少なくとも10分間、可能なら15分間続く。
【0015】
このラミネーション工程中に、封止材の層3aと3bが溶けて光電変換セル4を包み込み、同時に、すべての界面、つまり前面2と封止材の前面層3a、封止材の前面層3aと光電変換セル4の前面4a、光電変換セル4の後面4bと封止材の後面層3b、封止材の後面層3bと光電変換モジュール1の後面5の間で接着が生じる。その後、得られた光電変換モジュール1は、通常はアルミニウムプロファイルを用いてフレーム化される。
【0016】
このような構造は、厚いガラス製の前面2とアルミニウムフレームの使用により高い機械的強度を持つため、標準となり、特にほとんどの場合、IEC 61215およびIEC 61730の規格を満たすことができる。
【0017】
それにもかかわらず、このような従来の設計に基づく光電変換モジュール1は、特に単位面積あたりの重量が約10から12kg/m2と比較的重いという欠点があり、軽量が優先される一部の用途には適していない。
【0018】
この光電変換モジュール1の大きな重量は、主に前面2を形成するための厚さ約3mmの厚いガラスの存在、実際にガラスの密度は高く、厚さ1mmあたり約2.5kg/m2であり、そしてアルミニウムフレームの存在に由来している。製造中の応力に耐えるため、また安全上の理由(例えば切断のリスクなど)から、ガラスは強化されている。しかし、熱強化の産業インフラは、少なくとも2mm厚のガラスを処理するように設定されている。さらに、ガラスの厚さを約3mmにする選択は、標準圧力5.4kPaでの機械的強度にも関連している。結局のところ、ガラスは光電変換モジュール1の重量の約70%を占め、光電変換モジュール1の周囲のアルミニウムフレームを含めると80%以上になる。
【0019】
したがって、例えば商業用屋根など、軽量性が求められる用途での使用を可能にするために、光電変換モジュールの重量を大幅に軽減するためには、モジュールの前面に厚いガラスを使用する代わりの解決策を見つける必要がある。
【0020】
一つの可能性としては、大面積の重量を減らすために、主に通常のアーキテクチャと実装方法を維持しながら、ガラスの前面をプラスチック材料で置き換えることが考えられる。したがって、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、またはフルオロエチレンプロピレン(FEP)などのポリマーシートは、ガラスの代替品となり得る。しかし、このような薄いポリマーシートによるガラスの単純な置き換えだけを考慮すると、光電変換セルは衝撃や機械的負荷、差動膨張に非常に脆弱になる。
【0021】
一つの代替案としては、特にガラス繊維、カーボン繊維、あるいは亜麻、麻などの天然繊維などの補強材を使用し、これらを標準的な封止材と組み合わせてポリマー/繊維複合体を形成し、前面にポリマー保護フィルムを結合させるというものがある。透明性が低下し、20年以上の期間にわたる性能面での不確実性があるにもかかわらず、重量の節約は大幅に可能となる。
【0022】
光電変換モジュールの前面からガラスを排除することは、既存の特許や特許出願のいくつかで対象とされてきた。この点で、特許文献2、特許文献3または特許文献4および特許文献5などが挙げられる。他の特許や特許出願では、補強材の単独使用や複合体での使用が説明されている。例えば、特許文献6または特許文献7~9などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第4478879号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2955051号
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0178428号
【特許文献4】国際公開第2008/019229号
【特許文献5】国際公開第2012/140585号
【特許文献6】欧州特許出願公開第2863443号
【特許文献7】国際公開第2018/076525号
【特許文献8】国際公開第2019/006764号
【特許文献9】国際公開第2019/006765号
【発明の開示】
【0024】
したがって、一部のアプリケーションに適応するために軽量であることを目指した代替的な光電変換モジュールの設計が必要であり、それは十分な機械的特性を持ち、衝撃や機械的負荷に耐えることができ、特にIEC 61215およびIEC 61730の基準に対応している。
【0025】
したがって、この発明は、上記のニーズと先行技術の実施形態に関連する欠点を少なくとも部分的に解決することを目指している。
【0026】
したがって、この発明の一つの側面による発明の目的は、以下を含むスタックから得られる光電変換モジュールである:
- 光束を受けることを目的とした、光電変換モジュールの前面を形成する透明な第一層、
- 並列に配置され、互いに電気的に接続された複数の光電変換セル、
- 複数の光電変換セルを包含する組立体、
- 光電変換モジュールの背面を形成する第二層、包含組立体および複数の光電変換セルは第一層と第二層の間に位置する、
特徴として、第一層には以下が含まれる:
- 少なくとも一つのポリマー材料からなる前面層、いわゆる「ポリマー前面層」、および
- インターフェース前面層とガラス前面層を含む少なくとも一つの前面組立体、ガラス前面層の厚さは2mm以下、可能ならば700μm以下である、
前述の少なくとも一つの前面組立体はポリマー前面層と包含組立体の間に位置し、前述の少なくとも一つの前面組立体のインターフェース前面層はポリマー前面層とガラス前面層の間に位置する。
【0027】
有利には、この発明は、従来の光電変換モジュールの前面で一般的に使用される約3mmの厚さの標準的な厚ガラスを、ポリマー層と薄ガラス層の組み合わせに置き換えることを可能にする。したがって、薄いガラスとポリマーの使用により、標準モジュールと同等の低質量と透明性を得ることができる。この発明を市場で利用可能な軽量モジュールと比較すると、構造中に薄いガラスが存在することにより、衝撃、熱機械的膨張、および湿気の侵入に対する抵抗力が向上する。
【0028】
さらに有利には、特に包含組立体の後部層の包含材料として、機械的特性を強化したポリマータイプの包含材料の使用は、特に雹のような衝撃に対する抵抗力をさらに向上させ、光電変換セルを可能な機械的損傷から保護することができる可能性がある。
【0029】
「透明」という用語は、光電変換モジュールの前面を形成する第一層が少なくとも部分的に可視光に透明であり、この光の少なくとも約80%を通過させることを意味する。
【0030】
特に、光電変換モジュールの前面を形成する第一層、特にポリマー前面層の光学的透明性は、300から1,200nmの間で80%以上である可能性がある。同様に、包含組立体の光学的透明性は90%以上であり、インターフェース前面層のそれと同様になる可能性がある。
【0031】
さらに、「包含」または「包含された」という用語により、複数の光電変換セルが、例えば液体から密封された体積内に配置され、少なくとも部分的には少なくとも二つの包含材料の層によって形成され、ラミネーション後に一体化して包含組立体を形成することが理解されるべきである。
【0032】
実際、初めに、つまり任意のラミネーション操作の前に、包含組立体は少なくとも二つの包含材料の層、いわゆるコア層からなり、その間に複数の光電変換セルが包含されている。しかし、層のラミネーション操作中に、包含材料の層は溶けて、ラミネーション操作後には一つの固化した層(または組立体)を形成し、その中に光電変換セルが埋め込まれる。
【0033】
さらに、本発明により、薄いガラスの使用を通じて、表面重量が6kg/m2以下、可能であれば5kg/m2以下でありながら、前面の光学的透明性を保持し、低熱機械的膨張と高耐久性を持つ光電変換モジュールの信頼性を確保する新型の軽量光電変換モジュールを得ることが可能となり得る。さらに、ポリマー前面層とインターフェース層の使用により、特に雹のような衝撃から薄いガラスを保護することができる。
【0034】
本発明による光電変換モジュールは、以下の特徴を単独または技術的に可能な組み合わせによりさらに含むことができる。
【0035】
有利には、ガラス前面層の厚さは1.5mm以下であり、好ましくは500μmから1.1mmの間、さらに好ましくは500μmから1mmの間であることができる。特定の実施形態では、ガラス前面層は300μmから700μmの間、特に300μmから500μmの間の厚さを持つこともできる。
【0036】
さらに、ガラス前面層は無調質ガラスであることが有利であり得る。無調質ガラスとは、硬化させるための製造後の化学的または化学的処理を受けていないガラスであり、いわゆる調質ガラスとは異なる。言い換えれば、ガラスは熱的または化学的な調質を受けない。実際、無調質ガラスは、特に雹の衝撃に関連する衝撃に対しては、耐性が低くなり得る。しかし、ポリマー保護層、特にポリマー前面層とインターフェース前面層の間に配置されることにより、無調質ガラスは衝撃から保護されることができる。無調質ガラスはまた、光電変換セルの湿気保護バリアを確保することも可能であり得る。調質ガラスではなく無調質ガラスの使用により、光電変換モジュールを多数のアプリケーションに適応させるためのコストを大幅に削減することが可能となり得る。
【0037】
光電変換モジュールはまた、例えばフィルムの形で、第二層と包含材料の後部層の間に位置する接着層を含むこともできる。接着層は、第二層と包含組立体との間の接着を促進することができる。接着層の厚さは20μmから100μmの間であることができる。プラズマ型の化学的または物理的処理が、接着層との接着を促進するために第二層の表面を清掃するために使用されることができる。
【0038】
第二層は、従来の背面、英語で「バックシート」とも呼ばれるものによって形成されることができる。特に、第二層は、電気絶縁ポリマーに基づくポリマー構造によって形成されることができる。特に、それは少なくとも一つのポリマー材料、特に以下から選ばれるものからなることができる:ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、フッ素化ポリマー、特にポリビニルフルオライド(PVF)またはポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)および/または上記のポリマーの一つまたはそれ以上を含む多層フィルムなどである。
【0039】
第二層がポリマー多層体の形をとる場合、一つまたはそれ以上のアルミニウム層が多層体内に位置し、後者に挟まれていることがある。
【0040】
光電変換モジュールの最終的な応用が後者を硬質の支持体上に重ねることを要求する場合、少なくとも一つのポリマー材料からなる第二層の選択が好まれるかもしれない。
【0041】
さらに、従来の光電変換モジュールの前面の厚いガラスの除去は、モジュールの機械的強度の損失を引き起こす可能性がある。また、硬質のモジュールを保持するためには、モジュールの後面が十分な機械的剛性を持つように設けられることがある。
【0042】
特に、第一の可能性によれば、第二層は以下を含むことがある:
- 主要な副層、すなわち後部パネルのコアと、各々が後部パネルのプレートを形成し、コアの両側に配置されてコアが二つのプレートの間に挟まれる二つの被覆副層を含む複合材料からなる後部パネルを形成する後部層。
【0043】
複合サンドイッチパネル型の後部面の使用は、本発明による光電変換モジュールが非常に優れた機械的および熱機械的特性を持ちながら低重量を保持することを可能にするかもしれない。
【0044】
後部パネルのコアは、例えばハニカムの形をした細胞構造を含むことがあり、特に金属、例えばアルミニウム、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)または高性能合成繊維、例えばNomex(登録商標)タイプのものからなることがある。
【0045】
あるいは、後部パネルのコアは、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルクロライド(PVC)またはポリウレタン(PU)からなる泡の形をした細胞構造を含むことがある。
【0046】
さらに、後部パネルのプレートは、例えばガラス繊維/エポキシプレプレグタイプの複合材料、特にアルミニウム、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはプレプレグからなることがある。
【0047】
必要に応じて、後部パネルのプレートは、例えばTedlar(登録商標)タイプのポリマー単層または多層フィルムで覆われることがある。
【0048】
さらに、後部パネルは、表面重量が3kg/m2以下、特に2kg/m2以下、さらに特に1kg/m2以下であることがある。
【0049】
サンドイッチパネル型の後部面を持つのではなく、第二層は、被覆副層の使用なしに、例えばセルラーポリカーボネート型の細胞構造を含む後部層を含むこともある。
【0050】
第二の可能性によれば、第二層は以下を含むことがある:
- 少なくとも一つのポリマー材料からなる後部層、いわゆる「ポリマー後部層」、および
- インターフェース後部層とガラス後部層を含む少なくとも一つの後部組立体、ガラス後部層は特に厚さが2mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下であり、可能であれば500μmから1.1mmの間、可能であれば500μmから1mmの間、可能であれば300μmから700μmの間、可能であれば300μmから500μmの間であり、特に無調質ガラスからなり、特にポリマー後部層の寸法よりも厳密に小さい寸法を持ち、特にガラス前面層と同じ寸法と特性を持つ、前述の少なくとも一つの後部組立体はポリマー後部層と包含組立体の間に位置し、前述の少なくとも一つの後部組立体のインターフェース後部層はポリマー後部層とガラス後部層の間に位置している。
【0051】
したがって、第二層は、第一層に使用された原理に似た原理によって得られることがある。特に、第二層はまた、薄いガラスとポリマーの組み合わせを含むことがある。第二層は、第一層と同一であるか、またはそうでない可能性がある。
【0052】
第三の可能性によれば、第二層は、繊維に基づく繊維補強層を含むことがある。「繊維に基づく繊維補強層」とは、主に有機および/または無機繊維を含む層を意味し、好ましくは有機および/または無機繊維からなる層を意味する。有利には、繊維に基づく繊維補強層は、光電変換モジュールを形成するための層のスタックの機械的補強を可能にする。ラミネーション前には、繊維に基づく繊維補強層の繊維は、特にポリマー材料によって、好ましくは含浸されていない。このような補強層は、いわゆる繊維化され、織られていない「乾燥」したものであることがある。特に、このような補強層は、プレプレグ層でも、複合層でもない。
【0053】
繊維に基づく繊維補強層は、織られた繊維または非織布繊維を含むことがある。また、単位面積あたりの重量は20g/m2から1,500g/m2の間、好ましくは300g/m2から800g/m2の間であることがある。それは、ガラス、炭素、アラミド繊維および/または天然の、特に麻、亜麻および/または絹の繊維などを含むことがある。
【0054】
特に、ガラス前面層および/またはガラス後部層に使用されるガラスは、シリカ、カルシウム、およびナトリウムに基づくソーダライムガラスであることがある。
【0055】
本発明による任意の実施形態に有利に適用可能な方法によれば、ガラス前面層は、特に長さおよび幅が、少なくとも一つのポリマー材料からなる前面層および第二層のそれぞれよりも厳密に小さい寸法を持つことがある。さらに、ガラス前面層の端と、少なくとも一つのポリマー材料からなる前面層の端または第二層の端との間の距離は、厳密に1mmよりも大きいことがある。
【0056】
有利には、少なくとも一つのポリマー材料からなる前面層および第二層は、特に長さおよび幅が同じ寸法を持つことがある。さらに有利には、光電変換モジュールのすべての層、ガラス層を除く、は同じ寸法、特に長さおよび幅を持つことがあり、これらはモジュールの寸法に対応し、ガラス層はモジュール内に封入される。
したがって、ガラス前面層は、特に長さおよび幅が、光電変換モジュールのそれぞれよりも厳密に小さい寸法を持つことがあり、ガラス前面層の端と光電変換モジュールの端との間の距離は厳密に1mmよりも大きいため、ガラス前面層は光電変換モジュール内に封入される。
【0057】
特に、ガラス前面層および/またはガラス後部層は、特に長さおよび幅が、スタックによって得られる光電変換モジュールの寸法よりも厳密に小さい寸法を持つことがある。
【0058】
さらに特に、ガラス前面層および/またはガラス後部層の表面の面積、すなわち積層方向に対して横断する平面で定義される面積は、積層方向に対して横断する平面におけるスタックの任意の他の層の表面の面積よりも厳密に小さいため、ガラス前面層および/またはガラス後部層は、それぞれガラス前面層および/またはガラス後部層の両側に位置する二つの層の間に封入される。
【0059】
さらに特に、スタックから得られる光電変換モジュールの端とガラス前面層および/またはガラス後部層の端との間の距離は、厳密に1mmよりも大きいことがある。
【0060】
その端部への衝撃による破壊に敏感な無調質ガラスの特定の場合には、寸法を小さくすることで、端部を含む封入により、それらを衝撃から保護することができる。
【0061】
さらに、ガラス前面層および/またはガラス後部層の端と、光電変換セルの端および/またはガラス前面層の端に隣接する光電変換セルを接続する接続導体の端との間の距離は、0から15mmの間、好ましくは5mmの範囲であることがある。
【0062】
また、ガラス前面層および/またはガラス後部層は、一つの単一のガラス層を含むか、またはガラス多層体に対応することがある。必要に応じて、二つのガラス前面層および後部層は、それぞれが別々のガラス層またはガラス多層体であり、それぞれの多層体において同じ数の層を含むかどうかを問わず、それらを構成することができる。あるいは、一方は別々のガラス層であり、他方はガラス多層体であることがある。
【0063】
特に、ガラス前面層は、その角で丸みを帯びた端を持つことがあり、特に曲率半径が厳密に1mmよりも大きく、好ましくは25mmよりも小さい。
【0064】
さらに、ガラス前面層および/またはガラス後部層は、特に四角形または長方形の形状の層の四つの角で四つの丸みを帯びた端を持つことがある。実際、機械的には、直角は応力集中を形成し、したがって非常に壊れやすい、特に無調質ガラスの場合である。したがって、角のフィレットは、角で経験する応力を減らすことができる。曲率半径は厳密に1mmよりも大きく、好ましくは5mmであることがある。曲率半径はまた、厳密に25mmよりも小さいことがある。
【0065】
さらに、スタックから得られる光電変換モジュールは、特にアルミニウム製の金属フレームを完全に欠いていることがある。端部に機械的剛性を付与し、取り扱いを容易にするために、スタックはガラス前面層および/またはガラス後部層の周囲全体に配置されたポリマー製フレームを含むことがある。
【0066】
このようなポリマーフレームは、モジュールの製造中に追加され、同じ平面内のガラス層に接触して配置されることがある。
【0067】
特に、光電変換モジュールは、ガラス前面層の周囲全体に配置されたポリマーフレームを含むことがあり、ポリマーフレームは特に幅が5mmから50mmの間、好ましくは20mmから40mmの間であることがある。
【0068】
さらに、ポリマー前面層および/またはポリマー後部層は、厚さが15μmから300μmの間、特に20μmから50μmの間であることがある。
【0069】
さらに、ポリマー前面層および/またはポリマー後部層のポリマー材料は、以下から選ばれることがある:ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、フッ素化ポリマー、特にポリビニルフルオライド(PVF)またはポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)および/または上記のポリマーの一つまたはそれ以上を含む多層フィルム等。
【0070】
さらに、ポリマー前面層および/またはポリマー後部層は、320nmから450nmの間に含まれるUVカットオフフィルター(英語で「UV cutoff」)を持つことがあり、これは伝送率が50%となる波長に対応する。このようにして、下層は紫外線(UV)放射および可能であれば加水分解からの老化から保護され、これにより光電変換モジュールの寿命が延びる。
【0071】
インターフェース前面層および/またはインターフェース後部層は、ポリマー前面層、それぞれポリマー後部層、およびガラス層、または二つのガラス層の間の接着を可能にすることがある。
【0072】
インターフェース前面層および/またはインターフェース後部層は、厚さが50μmから600μmの間、好ましくは400μmから600μmの間、可能であれば400μmから500μmの間であることがある。
【0073】
インターフェース前面層および/またはインターフェース後部層は、25℃で2から300MPaの間、好ましくは25℃で100から200MPaの間、可能であれば25℃で2から250MPaの間、可能であれば25℃で10から50Mpaの間、可能であれば25℃で2から50Mpaの間、可能であれば25℃で2から20MPaの間のヤング率を持つことがある。
【0074】
包含組立体は、光電変換セルの両側に包含材料の前部層と後部層を組み合わせることにより得られ、有利には直接後者と接触している、包含材料の前部層は第一層と光電変換セルとの間に位置している。
【0075】
包含材料の前部層は、25℃でのヤング率が厳密に50MPa未満である少なくとも一つのポリマータイプの包含材料を含む少なくとも一つの層によって形成されることがある。
【0076】
さらに、包含材料の後部層は、25℃でのヤング率が厳密に150MPaよりも高い少なくとも一つのポリマータイプの包含材料を含む少なくとも一つの層によって形成されることがある。
【0077】
有利には、機械的特性を強化したポリマータイプの包含材料の使用、特に包含組立体の包含材料の後部層に対して、光電変換モジュール上の、特に雹のような衝撃に対する抵抗力をさらに向上させ、光電変換セルを可能な機械的損傷から保護することが可能となる。
【0078】
包含材料の前部層は、25℃でのヤング率が厳密に50MPa未満である少なくとも一つのポリマータイプの包含材料を含む少なくとも一つの層によって形成されることがある、特に2MPaよりも高く50MPa未満であり、可能であれば20MPa未満であり、特に10MPaから20MPaの間である。
【0079】
さらに、包含材料の後部層は、25℃でのヤング率が厳密に200MPaよりも高い少なくとも一つのポリマータイプの包含材料を含む少なくとも一つの層によって形成されることがある、特に200MPaよりも厳密に高く500MPa未満であり、特に250MPaから350MPaの間である。
【0080】
さらに、包含材料の前部層および/または後部層の破断伸びは、有利には少なくとも200%以上である。
【0081】
高ヤング率の包含材料の後部層の使用により、雹型の衝撃に対する抵抗力を増加させることができるかもしれない。
【0082】
包含材料の前部層は、以下から選ばれる少なくとも一つのポリマータイプの包含材料を含む少なくとも一つの層によって形成されることがある:ポリ(エチレンビニルアセテート)(EVA)、ビニルアセタール、例えばポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン、シリコンエラストマ、架橋した熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーおよび/または架橋した熱可塑性ポリオレフィン(TPO)系エラストマーなど。
【0083】
包含材料の後部層は、以下から選ばれる少なくとも一つのポリマータイプの包含材料を含む少なくとも一つの層によって形成されることがある:酸共重合体、イオマー、ポリビニルクロライドおよび/またはポリエチレンなど。
【0084】
さらに、包含組立体、インターフェース前面層および/または可能なインターフェース後部層は、以下から選ばれる少なくとも一つのポリマータイプの包含材料を含む少なくとも一つの層によって形成されることがある:酸の共重合体、イオマー、ポリ(エチレン-ビニルアセテート)(EVA)、ビニルアセタール、例えばポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン、ポリビニルクロライド、ポリエチレン、例えば直鎖状低密度ポリエチレン、共重合体のエラストマー性ポリオレフィン、エチレンカルボン酸のα-,β-エステルの共重合体、例えばエチレン-メチルアクリレート共重合体およびエチレン-ブチルアクリレート共重合体、シリコンエラストマおよび/または架橋した熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーなど。
【0085】
好ましくは、包含組立体の包含材料は、インターフェース前面層の材料、および可能なインターフェース後部層の材料と同一である。このようにして、製造プロセスを容易にすることができるかもしれない。
【0086】
特定の実施形態によれば、包含組立体の包含材料の前部層および後部層のうちの一つ、特に包含材料の後部層は、インターフェース前面層の包含材料と同一の包含材料を含むことがあり、包含組立体の包含材料の前部層および後部層のうちの他方、特に包含材料の前部層は、インターフェース前面層の包含材料とは異なる包含材料を含むことがある。
【0087】
包含組立体は、厚さが200μmから600μmの間、特に400μmから600μmの間であることがある。さらに、包含組立体は、25℃で2MPaから400MPaの間、可能であれば25℃で2MPaから200MPaの間のヤング率を持つことがある。
【0088】
さらに、光電変換セルは、以下から選ばれることがある:単結晶シリコン(c-Si)および/または多結晶シリコン(mc-Si)に基づくホモ接合またはヘテロ接合光電変換セル、および/またはIBC型光電変換セル、および/またはアモルファスシリコン(a-Si)、微結晶シリコン(μC-Si)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウム/ガリウム(CIGS)、およびペロブスカイトなどの少なくとも一つの材料を含む光電変換セルなど。
【0089】
さらに、光電変換セルは、厚さが1から300μmの間、特に1から200μmの間、有利には70μmから160μmの間であることがある。
【0090】
光電変換モジュールはさらに、光電変換モジュールの動作に必要な配線を受けるための接続ボックスを含むことがあり、これはモジュールの前面または後面に配置され、好ましくは前面に配置される。
【0091】
さらに、隣接する、または連続する、または隣接する光電変換セルの間隔は、一部の構成では1mm以上、特に1mmから30mmの間、好ましくは2mmであることがある。他の構成、特に英語名の「シングル」タイプ(またはフランス語の「bardeau」)によれば、隣接する、または連続する、または隣接する光電変換セルは、重なるか、または1mm未満の間隔を持つことがある。
【0092】
特定の実施形態によれば、第一層は以下を含むことがある:
- インターフェース前面層とガラス前面層を含む第一の前面組立体、ガラス前面層の厚さは2mm以下である、
- インターフェース前面層とガラス前面層を含む第二の前面組立体、ガラス前面層の厚さは2mm以下である、
第一の前面組立体はポリマー前面層と第二の前面組立体との間に位置し、それ自体が第一の前面組立体と包含組立体との間に位置している。
【0093】
第一の前面組立体のガラス前面層の厚さと第二の前面組立体のガラス前面層の厚さは、同一または異なることがある。特に、第一の前面組立体のガラス前面層の厚さは、第二の前面組立体のガラス前面層の厚さよりも大きいことがある。
【0094】
有利には、第一の前面組立体のガラス前面層の寸法と第二の前面組立体のガラス前面層の寸法は同一であり、特にガラス前面層について前述のようなものである。
さらに、第二層は以下を含むことがある:
- 少なくとも一つのポリマー材料からなる後部層、いわゆる「ポリマー後部層」、および
- インターフェース後部層とガラス後部層を含む第一の後部組立体、ガラス後部層は特に厚さが2mm以下、特に1.5mm以下であり、可能であれば500μmから1.1mmの間、可能であれば500μmから1mmの間、可能であれば300μmから700μmの間、可能であれば300μmから500μmの間であり、特に無調質ガラスからなる、
- インターフェース後部層とガラス後部層を含む第二の後部組立体、ガラス後部層は特に厚さが2mm以下、特に1.5mm以下であり、可能であれば500μmから1.1mmの間、可能であれば500μmから1mmの間、可能であれば300μmから700μmの間、可能であれば300μmから500μmの間であり、特に無調質ガラスからなる、
前述の第一の後部組立体はポリマー後部層と第二の後部組立体との間に位置し、それ自体が第一の後部組立体と包含組立体との間に位置している。
有利には、第一の後部組立体のガラス後部層の寸法と第二の後部組立体のガラス後部層の寸法は同一であり、特にガラス前面層について前述のようなものである。
さらに、本発明の目的は、以下を含むスタックから、特に前述のように定義された光電変換モジュールを製造する方法でもある:
- 光束を受けることを目的とした、光電変換モジュールの前面を形成する透明な第一層、
- 並列に配置され、互いに電気的に接続された複数の光電変換セル、
- 複数の光電変換セルを包含する組立体、
- 第二層、包含組立体および複数の光電変換セルは第一層と第二層の間に位置している、
特徴として、第一層には以下が含まれる:
- 少なくとも一つのポリマー材料からなる前面層、いわゆる「ポリマー前面層」、および
- インターフェース前面層とガラス前面層を含む少なくとも一つの前面組立体、ガラス前面層の厚さは2mm以下である、
前述の少なくとも一つの前面組立体はポリマー前面層と包含組立体の間に位置し、前述の少なくとも一つの前面組立体のインターフェース前面層はポリマー前面層とガラス前面層の間に位置している、
そして、その方法は、スタックの構成層の真空下での熱ラミネーションのステップを含むことを特徴とする。
【0095】
特に、真空下での熱ラミネーションのステップは、温度が120℃以上、可能であれば140℃以上、可能であれば150℃以上、170℃以下、可能であれば180℃以下であり、典型的には130℃から180℃の間、可能であれば145℃から165℃の間で行われ、ラミネーションサイクルの持続時間は少なくとも5分、可能であれば10分、可能であれば15分であり、特に5分から20分の間である。
【0096】
したがって、薄いガラスの全体的な封入を得ることが可能となり、これにより衝撃から保護することができる。
【0097】
さらに、本発明の別の側面による別の目的は、以下の使用である:
- 前述のように定義された光電変換モジュール、特に後部面でサンドイッチ構造を有するタイプ、すなわち第二層が複合材料からなる後部パネルを形成する後部層を含み、主要な副層、すなわち後部パネルのコアと、各々が後部パネルのプレートを形成し、コアの両側に配置されてコアが二つのプレートの間に挟まれる二つの被覆副層を含む、後部パネルのコアが細胞構造を含む、および
- 光電変換モジュールを固定するための支持体であり、少なくとも二つの支持および固定要素、特にレールの形をしたものを含み、それらは互いに離れて配置され、好ましくは大体平行に延びている、特徴として、光電変換モジュールを前述の少なくとも二つの支持および固定要素とのみ接触させて配置し、光電変換モジュールを固定するステップを含む。
【0098】
「バックシート」タイプの従来の第二後部層を含む光電変換モジュールの場合、モジュールは有利にはその支持体、例えば屋根支持体、に直接接着される。
【0099】
本発明による光電変換モジュールおよびその製造方法は、個別にまたは他の特性との技術的に可能な組み合わせにより、前述の特性のいずれかを含むことができる。
【0100】
本発明は、以下の図面に添付された図面の、模式的で部分的な図を調査することおよび以下の実施例の詳細な説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】
図1は、結晶光電変換セルを含む光電変換モジュールの従来例を断面で示している。
【
図2】
図2は、
図1の光電変換モジュールを分解図で示している。
【
図3】
図3は、本発明に従う光電変換モジュールの第一の実施形態を透視図および分解図で示している。
【
図3A】
図3Aは、
図3に示される光電変換モジュールに使用される後部層の例を断面で示している。
【
図3B】
図3Bは、上面図により、特にIEC 61215による雹衝撃試験の機械試験設定、本発明に従う光電変換モジュールを示している。
【
図3C】
図3Cは、上面透視図により、本発明に従う光電変換モジュールの使用例を示している。
【
図3D】
図3Dは、上面透視図により、本発明に従う光電変換モジュールの別の使用例を示している。
【
図4】
図4は、本発明に従う光電変換モジュールの第二の実施形態を透視図および分解図で示している。
【
図5】
図5は、本発明に従う光電変換モジュールの第三の実施形態を透視図および分解図で示している。
【
図6】
図6は、本発明に従う光電変換モジュールの第四の実施形態を透視図および分解図で示している。
【
図7】
図7は、光電変換モジュールに対する寸法が縮小されたガラス層の原理を示す光電変換モジュールの例の部分的な上面図である。
【
図8】
図8は、その角で丸みを帯びた端を含む前面および/または後部ガラス層の例の上面図である。
【
図9A】
図9Aは、その周囲にポリマーフレームを備えたガラス層を含む光電変換モジュールの例の部分的な上面図である。
【0102】
これらの図のすべてにおいて、同一の参照番号は同一または類似の要素を示すことがある。さらに、図に示された異なる部分は、図を読みやすくするために必ずしも一様なスケールに従って表示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0103】
【0104】
図3から
図9Bは、本発明に従う光電変換モジュール1の四つの異なる実施形態を示すために使用される。
【0105】
ここでは、
図1、
図1Aおよび
図2に示されているような溶接されたスズメッキ銅ストリップによって相互接続された光電変換セル4は「結晶」セルであると考えられ、すなわち、それらは単結晶または多結晶シリコンを含み、厚さは1から250μmの間であると考えられる。
【0106】
さらに、ポリマー前面層2aは、特にエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)からなるフッ素化ポリマーフィルムであり、厚さは20μmの範囲であることがあり、例えばAmcor(登録商標) ECTFE 020タイプである。
【0107】
インターフェース層2b、2dおよび5bは、例えば熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー(TPO)によって形成されるAタイプまたはイオン性架橋熱可塑性共重合体によって形成されるBタイプのポリマー包含フィルムを含むことがある。厚さは500から600μmの間であることがある。特に、Bタイプのポリマー包含フィルムの場合、それは例えばクラボ社のKuranSeal-ES(登録商標)(PV8729D/UV CUT)であり、厚さは500μmである。
【0108】
ガラス層2c、2eおよび5cは、厚さが500から800μmの間、例えば550 μmの範囲の無調質薄ガラスを含むことがある。
【0109】
第二層5は、「バックシート」タイプのポリマー層または多層体の形をとるか、または電気絶縁ポリマーに基づくポリマー構造の形をとることがある。
【0110】
第二層5はまた、「サンドイッチ」タイプの構造を有する後部パネル5の形をとり、ポリプロピレンハニカムからなるコア9aおよびガラス強化ポリプロピレンからなる複合スキンまたはプレート9b、9cを含むことがある。厚さは例えば6から10mmの間であり、例えば厚さが10mmのNidapan(登録商標) 8 GR 600タイプである。もちろん、これらの選択は何ら制限的なものではない。
【0111】
図3から
図9Bまでの参照で説明されたすべてのスタックの例について、2Jのエネルギーレベルを代表とする雹型の機械的衝撃に関する試験が行われた。その結果、薄い無調質ガラスをモジュールに組み込むことにより、重量を減らしながら現行の基準に従った衝撃抵抗性を得ることができることが示された。
【0112】
特に、第二層5が
図3Aに示されているような「サンドイッチ」タイプの後部パネル5の形をとる光電変換モジュールの場合、機械的衝撃試験は
図3Bに示された設定に従って行われた。したがって、例えば40cm×40cmの寸法の光電変換モジュール1は、厚さ4cmの二つのアルミニウムレール12上に固定された。この固定はクランプ13を用いて行われた。光電変換モジュール1とアルミニウムレール12との接触面以外のモジュール1の残りの部分は、他の任意の面には接触していなかった。
【0113】
結果は、現行の基準に従い、700μmの範囲の非焼鈍化薄ガラスを使用することで、不連続な設置構成の光電変換モジュール1における衝撃抵抗の改善が増加したことを示している。
【0114】
異なる構成を説明するために、まず
図3を参照する。これは、発明に従う光電変換モジュール1の第一の実施形態を、透視図および分解図で示している。
【0115】
図3は、発明による方法の積層工程前の光電変換モジュール1の分解図に対応していることに注意すべきである。積層工程が完了すると、真空下での加熱とプレスを確保することで、異なる層は実際に互いに接触し、特に互いに内部に浸透する。
【0116】
したがって、光電変換モジュール1、またはより具体的には光電変換モジュール1を形成するためのスタックは、光束を受けることを意図した光電変換モジュール1の前面を形成する第一の層2、並列に配置され、電気的に互いに接続された複数の光電変換セル4、複数の光電変換セル4をカプセル化する組立体3、および光電変換モジュール1の背面を形成する第二の層5を含む。また、接続ボックス7が、
図1、1Aおよび2に示すように、光電変換モジュール1の前面または背面に配置されることもある。
【0117】
発明に従い、
図3から6の例と共通して、第一の層2は、ポリマー材料2aからなる前面層、いわゆる「ポリマー前面層2a」、およびインターフェース前面層2bおよびガラス前面層を含む第一の前面組立体2b、2cを含む。有利には、ガラス前面層2cは、厚さe2cが2mm以下、可能ならば1.5mm以下、可能ならば500μmから1.1mmの間、可能ならば500μmから1mmの間、可能ならば300μmから700μmの間、可能ならば300μmから500μmの間である。この例では、前面カプセル化層3a、背面カプセル化層3b、およびインターフェース前面層2bは、すべてタイプAのカプセル化フィルムである。
【0118】
図3から6に示すすべての例で、発明は、25℃でのヤング率が150MPaより厳密に高く、特に200MPaより厳密に高く、好ましくは200MPaより厳密に高く、可能ならば150MPa、500MPa未満、可能ならば250から350MPaの間のカプセル化材料の背面層を有することを有利に提供することができる。カプセル化材料の前面層3aは、一つの実施形態に従ってカプセル化材料の背面層3bと同一であることができる。あるいは、それは異なるものであることができ、特に25℃でのヤング率が50MPaより厳密に低く、好ましくは2MPa以上で50MPaより厳密に低く、可能ならば10から20MPaの間である。
【0119】
カプセル化材料の前面層3aは、タイプAのカプセル化フィルムであることができ、一方、カプセル化材料の背面層3bは、タイプBのカプセル化フィルムであることができる。あるいは、前面3aおよび背面3bの層は、タイプBのカプセル化フィルムであることができる。
【0120】
したがって、カプセル化材料の背面層3bのためのタイプBのカプセル化フィルムの使用を通じて、タイプAのカプセル化フィルムの使用よりも、ガラスおよび光電変換セル4の破損の現象を制限または完全に避けることが可能である。
【0121】
第二の層5は、
図3に示すように、通常の背面、すなわち英語で「バックシート」とも呼ばれるものによって形成されることがある。特に、第二の層5は、電気絶縁性ポリマーに基づくポリマー構造によって形成されることがある。特に、それは少なくとも一つのポリマー材料、特に以下から選ばれるものからなることがある:ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、フッ素化ポリマー、特にポリビニルフルオライド(PVF)またはポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)および/または前述のポリマーの一つまたはそれ以上を含む多層フィルムなどである。ポリマー多層体の形状の第二の層5の場合、一つまたはそれ以上のアルミニウム層が多層体内に位置し、後者に挟まれていることがある。
【0122】
第二の層5はまた、「サンドイッチ」型構造の形状であることもある。例えば、第二の層5は、主要な副層、すなわち背面パネル5のコア9aを形成し、およびそれぞれが背面パネル5のプレート9b、9cを形成する二つの被覆副層からなる複合材料の背面パネル5によって形成されることがある。これらの副層は、コア9aの両側に配置され、コア9aが二つのプレート9b、9cの間に挟まれるようになっている。背面パネル5のコア9aは、セル構造12を含む。
図3Aは、そのような第二の層5を、より詳細に断面で模式的に示している。
【0123】
さらに、代替的に、第二の層5は、織られているか否かにかかわらず、特にガラス、カーボン、アラミドおよび/または天然繊維、特に麻繊維、亜麻および/または絹などの繊維に基づく補強層を含むことができる。
【0124】
光電変換モジュール1は、例えば約150℃で約15分間の真空下での加熱積層の一回の工程を通じて得られる。それは、単位面積当たりの重量が4から6kg/cm2の間であることがあり、例えば「バックシート」型の層5の場合は6kg/cm2の範囲であり、「サンドイッチ」構造型の層5の場合は4kg/cm2の範囲である。
【0125】
また、カプセル化前面層3a、カプセル化背面層3bおよびインターフェース前面層2bのためにタイプBのカプセル化フィルムを使用することも可能である。その後、光電変換モジュール1の衝撃抵抗は、より高いヤング率によりさらに改善される。
【0126】
「サンドイッチ」構造の形状の第二の層5の場合、
図3Aのタイプの場合、
図3Cおよび3Dは、発明に従うそのような光電変換モジュール1の使用の設定の二つの例を示している。
【0127】
発明に従う光電変換モジュール1の使用は、モジュール1を位置決めし、それを支持および固定要素12、特に互いに平行なレール12を含み、それらの間に空間を定義する支持体M、Tに固定することである。
【0128】
したがって、
図3Cの例では、光電変換モジュール1のパネル5は、膜Mの表面とパネル5との間に分離がないことを結果とする直接シーリング膜Mに接着されていない。逆に、レール12は膜M上に配置され、互いに間隔をあけて配置され、光電変換モジュール1のパネル5は直接および唯一レール12に接触して固定される。
【0129】
さらに、
図3Dの例では、光電変換モジュール1のパネル5は、例えば鋼製のシート金属Tの、互いに平行で互いに間隔をあけたリブまたは波形、すなわちレール12に固定される。シート金属Tのレール12上の一意の接触により、湿気と潜在的な汚染の接触が回避され、パネル5の配置のためのより大きな空間が提供される。逆に、パネル5および/またはシート金属Tの寸法、シート金属Tの表面とパネル5との間の間隔、および発明の原理に関連した雹への耐性の選択に柔軟性が得られる。
【0130】
したがって、発明は、特に屋根に対する過負荷に敏感な応用に特に適した光電変換モジュール1およびその使用を提供することができ、パネル5と表面、特に屋根との間に分離を保持する。テラス型のほぼ平面の屋根の場合、
図3Cの例のように、または傾斜屋根の場合、
図3Dの例のように、発明は、モジュール1の屋根表面との接触を減らし、したがって湿気の浸透または凍結と解凍の現象の制限を可能にし、それを保護し、シーリングを保証することができる。既存のサポートまたは特定のサポートの使用が考慮されることがある。
【0131】
さらに、
図4は、発明に従う第二の実施形態を示している。
【0132】
この例では、
図3のそれとは異なり、第一の層2はまた、インターフェース前面層2dおよびガラス前面層、有利には非焼鈍化ガラス2eからなる第二の前面組立体2d、2eを含む。ガラス前面層2eは、厚さe
2eが2mm以下、可能ならば1.5mm以下、可能ならば500μmから1.1mmの間、可能ならば500μmから1mmの間、可能ならば300μmから700μmの間、可能ならば300μmから500μmの間である。言い換えれば、この実施形態は、第一の層2のガラスの厚さを二倍にすることを提供する。その結果、表面重量が6kg/cm
2の光電変換モジュール1が得られる。光電変換モジュール1の衝撃抵抗はさらに改善される。
【0133】
さらに、第一のインターフェース前面層2bおよび前面3aおよび背面3bのカプセル化層は、タイプAのカプセル化フィルムによって形成され、一方、第二のインターフェース前面層2dは、タイプBのカプセル化フィルムによって形成される。
【0134】
図4の例では、第一のガラス前面層2bと第二のガラス前面層2eは同じ厚さを有する。代替的に、ガラスの異なる厚さを使用することが可能であり、例えば厚さe
2bが500μmの範囲であり、厚さe
2eが300μmの範囲である。したがって、セル4の衝撃抵抗の必要性を満たすために800μmのガラスを使用すると考えると、例えば500μmのガラスと300μmのガラスを使用することが可能である。
【0135】
実際、エラストマー材料が振動および衝撃吸収特性を有することが知られている。したがって、硬質材料とエラストマー材料の交互の使用は、衝撃波の伝播速度を変更することを可能にする。なぜなら、衝撃波の速度は、使用される材料のヤング率とポアソン係数に直接比例するからである。したがって、より硬質な材料の層の間に柔軟なエラストマー層を挿入することにより、衝撃波の伝播を遅らせることができる。さらに、遭遇する各インターフェースで、衝撃波は部分的に伝達され、または反射される可能性がある。したがって、これらのポリマー層の交互の繰り返しは、一方で衝撃波を遅らせ、他方で光電変換セルに到達する後者の強度を減少させることを可能にする。
【0136】
また、同等量のガラスを使用する場合、一つの単一のガラス層の代わりに、少なくとも二つの異なる厚さのガラス層の間でこの量を分散することがより有利であることがある。
【0137】
さらに、
図5はまた、背面で前面と同じカプセル化アーキテクチャを対称的に使用するという原理に基づく第三の実施形態を示している。したがって、両面性および軽量の光電変換モジュール1を得ることが可能である。
【0138】
したがって、ここでの第二の層5は、ポリマー材料5aからなる背面層、いわゆる「ポリマー背面層」5a、およびインターフェース背面層5bおよびガラス背面層、好ましくは非焼鈍化5cを含む第一の背面組立体5b、5cを含む。
【0139】
ガラス背面層5cは、厚さe5cが550μmであり、ガラス前面層2cもまた厚さe2cが550μmである。
【0140】
ここでのインターフェース前面層2b、インターフェース背面層5b、前面3aおよび背面3bのカプセル化層は、タイプBのカプセル化フィルムで構成されている。
【0141】
さらに、
図6は、前面および背面での非焼鈍化薄ガラスの使用が非対称に行われる
図5の例の変形に対応する第四の実施形態を示している。
【0142】
特に、前面で二つの薄ガラス2cおよび2eを使用し、それらは同一または異なる厚さであり、背面で薄ガラス5cを使用することができる。より具体的には、ここでは、第一のガラス前面層2cは厚さe2cが500μm、第二のガラス前面層2eは厚さe2eが300μm、第一のガラス背面層5cは厚さe5cが550μmである。
【0143】
さらに、ここでの第一のインターフェース前面層2b、第二のインターフェース前面層2d、インターフェース背面層5b、前面3aおよび背面3bのカプセル化層は、タイプBのカプセル化フィルムで構成されている。
【0144】
すべての前述の例で、ポリマー前面層2aおよびポリマー背面層5aは、範囲が20μmの厚さe2a、e5aを有する。
【0145】
インターフェース前面層2b、2dおよびインターフェース背面層5bは、範囲が600μmの厚さe2b、e2d、e5bを有する。
【0146】
さらに、
図7から9Bは、すべての前述の例に適用可能な発明の他の特徴を示している。
【0147】
特に、
図7は、ガラス層、例えばガラス前面層および/またはガラス背面層、ここでは前面層2cまたは2eまたは背面層5cが、ポリマー前面層2aおよび第二の層5の寸法、特にすべての層がガラス以外のものを除いて同じ寸法、すなわち同じ長さおよび同じ幅を有するスタックによって得られる光電変換モジュール1の寸法よりも厳密に小さい寸法を有することができるという事実を示している。
【0148】
特に、そのようなガラス層の長さは、モジュールの長さよりも厳密に小さく、そのようなガラス層の幅は、モジュールの幅よりも厳密に小さい。言い換えれば、そのようなガラス層の表面の面積、積層方向に対して横断する平面で定義される、は、積層方向に対して横断する平面のスタックの他の任意の層の表面の面積よりも厳密に小さい。
【0149】
有利には、そのようなガラス層は、その後、その両側に位置する二つの層の間にカプセル化される。
【0150】
焼鈍化されていないガラスで、そのエッジに衝撃があると破損する特性がある場合、寸法を小さくしたことにより、ガラス層の全体的なカプセル化、エッジを含むことにより、それを衝撃から保護することが可能である。
【0151】
ガラスの寸法は、最後の導電要素のエッジとガラスのエッジとの間の距離、すなわちここではモジュールの側面BおよびCにおけるセル4のエッジとガラスのエッジとの間の距離a、および接続ボックス7に対向するモジュールの側面Aにおける最後のストリップ6のエッジとガラスのエッジとの間の距離aによって特徴付けられる。この距離aは、0から15mmの間であり、好ましくは5mmの範囲である。
【0152】
さらに、ガラス層のエッジとポリマー前面層2aまたは第二の層5のエッジ、特にガラス層を除くすべての層が同じ寸法を有する場合の光電変換モジュール1のエッジとの間の距離bは、1mmよりも厳密に大きいことができ、それは光電変換モジュール1の四つのエッジA、B、CおよびDすべてにあてはまる。
【0153】
さらに、接続ボックス7が存在するモジュールの側面Dでは、ガラス層は接続ボックス7の下に部分的に配置される。オーバーラップは、1から30mmの間、好ましくは1から10mmの間であることができる。
【0154】
ガラス層2c、2e、5cのエッジとポリマー前面層2aまたは第二の層5のエッジとの間の距離b’、特にガラス層を除くすべての層が同じ寸法を有する場合の光電変換モジュール1は、少なくとも5mmであり、好ましくは25mmから50mmの間であり、可能ならば37mmの範囲である。
【0155】
さらに、
図8は、ガラス層が角で丸みを帯びたエッジを有する可能性を示している。特に、四角形または長方形の形状の層の四つの角で四つの丸みを帯びたエッジを有する。
【0156】
実際、機械的には、直角は応力集中を形成し、したがって非常に壊れやすい、特に非焼鈍化ガラスの場合である。したがって、角のフィレットは、角で経験する応力を減らすことができる。曲率半径Rcは、1mmよりも厳密に大きく、好ましくは5mmである。曲率半径は、さらに25mmよりも厳密に小さいことができる。
【0157】
さらに、
図9Aおよび9Bは、モジュールに剛性を付与するために、一つまたはそれ以上のガラス層にポリマーフレームを追加する原理を示している。これは、従来のアルミニウムフレームを欠いている。
【0158】
実際、エッジに機械的な剛性を付与し、取り扱いを容易にするために、スタックは、ガラス前面層および/またはガラス背面層の周囲全体に配置されたポリマーフレームCPを含むことができる。
【0159】
そのようなポリマーフレームCPは、モジュールの製造中に追加され、同じ平面内のガラス層に接触して配置されることができる。
【0160】
ポリマーフレームCPの幅dは、モジュール1のエッジA、B、Cで1mmから30mmの間、好ましくは10mmから25mmの間であることができる。接続ボックス7の側のエッジDでは、ポリマーフレームCPの幅dは、1mmから50mmの間、好ましくは30mmから40mmの間であることができる。
【0161】
有利には、ポリマーフレームCPの厚さepは、積層工程前で0.1mmから2mmの間、好ましくは0.5mmから1mmの間である。このポリマーフレームCPの熱機械的特性は、例えば背面のカプセル化材料層3bまたはインターフェース層の一つと同一であることができる。
【0162】
もちろん、発明は、上記の実施形態に限定されない。当該技術分野の専門家によって、それに対してさまざまな修正が行われることができる。
【0163】
特に、これらの実施形態は、第一の層2および第二の層5を形成するための前述の材料の一つまたはそれ以上を使用するさまざまな変形例によって宣言されることができる。
【国際調査報告】