(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵要素
(51)【国際特許分類】
H01M 50/531 20210101AFI20240905BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20240905BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20240905BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240905BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240905BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20240905BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240905BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20240905BHJP
【FI】
H01M50/531
H01M50/536
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M10/04 Z
H01M10/058
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/103
H01M10/052
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516527
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2022073277
(87)【国際公開番号】W WO2023041290
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502350250
【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】シュテルン ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ゾルトナー アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】エルマー マルティン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H028AA05
5H028BB05
5H028CC11
5H028CC12
5H028HH06
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029CJ05
5H029DJ05
5H029DJ07
5H029HJ04
5H043AA19
5H043BA17
5H043CA03
5H043CA04
5H043EA35
5H043HA17E
5H043JA08E
5H050HA04
(57)【要約】
本発明は、第1のアノード(101)、第2のアノード(102)、第1のカソード(103)、及び第2のカソード(104)を備えるエネルギー貯蔵要素(100)に関する。アノード(101)及び(102)、並びにカソード(103)及び(104)は、各々が、電極材料(105、106)、並びに共通アノード集電体(107)及び共通カソード集電体(108)を備える。共通集電体は各々が、第1の主領域(109、111)及び第2の主領域(110、112)を備え、これら主領域は、関連する電極材料(107、108)の層が両面に設けられており、これら主領域の間には、第1の主領域(109、111)と第2の主領域(110、112)とを接続し電極材料が設けられていない、材料のない接続部分(113、114)が存在する。アノード(101、102)及びカソード(103、104)は、第1のアノード(101)/セパレータ層(116)/第1のカソード(103)/セパレータ層(116)/第2のアノード(102)/セパレータ層(116)/第2のカソード(104)のシーケンスにてセパレータ層(116)によって分離されて提供される複合体(115)を一緒に形成する。複合体(115)内では、材料のない接続部分(113、114)がそれぞれ曲げられた形で設けられ、第1及び第2のアノード(101、102)、並びに第1及び第2のカソード(103、104)を接続する。このとき、アノード集電体(107)の曲げられた接続部分(113)は複合体(115)の一方の側部から突出し、カソード集電体(108)の曲げられた接続部分(114)は複合体(115)の他方の側部から突出している。同時に、曲げられた接続部分(113)は第1の接触プレート(117)に直接接触し、曲げられた接続部分(114)は第2の接触プレート(118)に直接接触している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵要素(100)であって、以下の特徴、
a.前記エネルギー貯蔵要素(100)は、第1のアノード(101)、第2のアノード(102)、第1のカソード(103)、及び第2のカソード(104)を備えること、
b.前記第1のアノード(101)及び前記第2のアノード(102)の各々は、負電極材料(105)及び共通アノード集電体(107)を備えること、
c.前記共通アノード集電体(107)は、
・第1の主領域(109)及び第2の主領域(110)であって、前記第1の主領域(109)は両面に前記第1のアノード(101)の前記負電極材料(105)の層が設けられ、前記第2の主領域(110)は両面に前記第2のアノード(102)の前記負電極材料(105)の層が設けられている、第1の主領域(109)及び第2の主領域(110)と、
・前記第1の主領域(109)と前記第2の主領域(110)との間において、前記第1の主領域(109)と前記第2の主領域(110)とを互いに接続し、前記電極材料(105)が設けられていない、材料のない接続セクション(113)と、を備えること、
d.前記第1のカソード(103)及び前記第2のカソード(104)の各々は、正電極材料(106)及び共通カソード集電体(108)を備えること、
e.前記共通カソード集電体(108)は、
・第1の主領域(111)及び第2の主領域(112)であって、前記第1の主領域(111)は両面に前記第1のカソード(103)の前記正電極材料(106)の層が設けられ、前記第2の主領域(112)は両面に前記第2のカソード(104)の前記正電極材料(106)の層が設けられている、第1の主領域(111)及び第2の主領域(112)と、
・前記第1の主領域(111)と前記第2の主領域(112)との間において、前記第1の主領域(111)と前記第2の主領域(112)との間に延び、前記電極材料(106)が設けられていない、材料のない接続部分(114)と、を備えること、
f.前記アノード(101)及び(102)、並びに前記カソード(103)及び(104)は、アセンブリ(115)を形成し、前記アセンブリ(115)内で、第1のアノード(101)/セパレータ層(116)/第1のカソード(103)/セパレータ層(116)/第2のアノード(102)/セパレータ層(116)/第2のカソード(104)のシーケンスにて前記セパレータ層(116)によって分離されて存在していること、
g.前記アセンブリ(115)内で、前記共通アノード集電体(107)及び前記共通カソード集電体(108)の材料のない前記接続部分(113、114)は各々が曲げられており、前記第1のアノード(101)及び前記第2のアノード(102)を接続し、並びに前記第1のカソード(103)及び前記第2のカソード(104)を接続し、前記アノード集電体(107)の曲げられた前記接続部分(113)は前記アセンブリ(115)の一方の側部(120)から突出し、前記カソード集電体(108)の曲げられた前記接続部分(114)は前記アセンブリ(115)の他方の側部(119)から突出していること、
h.前記エネルギー貯蔵要素は、前記アノード集電体(107)の曲げられた前記接続部分(113)に直接接触する第1の接触シート(117)と、前記カソード集電体(108)の曲げられた前記接続部分(114)に接触する第2の接触シート(118)とを有すること、
を有するエネルギー貯蔵要素(100)。
【請求項2】
以下の追加の特徴、
a.前記電極(101、102、103、104)及び前記集電体(107、108)、並びに前記電極材料の層(105、106)は、リボン状であること、
b.前記接続セクション(113、114)は、ストリップ状であること、
c.前記エネルギー貯蔵要素は、前記セパレータ層(116)を備える少なくとも1つのリボン状セパレータを備えること、
d.前記アセンブリ(115)は、2つの末端面及び巻回シェルを有する円筒状の巻回体の形であり、前記巻回体において前記電極(101、102、103、104)及び少なくとも1つの前記セパレータが渦巻き状に巻回されていること、
e.前記エネルギー貯蔵要素は、円周状ハウジングシェル、並びに前記端面上の円形底部及び蓋を備える、円筒状金属ハウジングを備えること、
f.前記金属ハウジング内で、巻回体の形の前記アセンブリ(115)は、前記巻回シェルが前記円周状ハウジングシェルの内側に当接するように、軸方向に整列されていること、
g.前記集電体(107、108)の曲げられた前記接続セクション(113、114)は、前記巻回体の前記末端面から突出していること、
を有する請求項1に記載のエネルギー貯蔵要素。
【請求項3】
以下の追加の特徴、
a.前記電極(101、102、103、104)及び前記集電体(107、108)、並びに前記電極材料の層(105、106)は、矩形形状であること、
b.前記接続セクション(113、114)は、ストリップ状であること、
c.前記エネルギー貯蔵要素は、前記セパレータ層(116)を備える少なくとも1つのリボン状又は矩形のセパレータを備えること、
d.前記アセンブリ(15)は、前記電極(101、102、103、104)及び前記セパレータ層(116)が積層された角柱状の積層体の形であること、
e.前記積層体は、角柱状ハウジング内に閉じ込められていること、
f.前記集電体(107、108)の曲げられた前記接続セクション(113、114)は、前記積層体の隣接する側部又は反対側の側部から突出していること、
を有する請求項1に記載のエネルギー貯蔵要素。
【請求項4】
以下の追加の特徴、
a.前記第1の接触シート金属部材(117)は前記アノード集電体(107)の曲げられた前記接続部分(113)に溶接によって接続されている、及び/又は、前記第2の接触シート金属部材(118)はカソード集電体(108)の曲げられた前記接続部分(114)に溶接によって接続されていること、
b.前記第1の接触シート金属部材(117)は前記アノード集電体(107)の曲げられた前記接続部分(113)に機械的に接続されている、及び/又は、前記第2の接触シート金属部材(118)は前記カソード集電体(108)の曲げられた前記接続部分(114)に機械的に接続されていること、
を有する請求項1に記載のエネルギー貯蔵要素。
【請求項5】
以下の追加の特徴、
a.前記電極(101、102、103、104)は、40μm~200μmの範囲の厚さを有すること、
を有する請求項2に記載のエネルギー貯蔵要素。
【請求項6】
以下の追加の特徴、
a.前記電極(101、102、103、104)は、40μm~1000μmの範囲の厚さを有すること、
を有する請求項3に記載のエネルギー貯蔵要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に大きな電流を供給するのに好適なエネルギー貯蔵要素に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学的エネルギー貯蔵要素が、貯蔵された化学エネルギーを酸化還元反応を介して電気エネルギーに変換できる。電気化学的エネルギー貯蔵要素の最も単純な形は、電気化学電池である。電気化学セルは正電極及び負電極を備え、それらはセパレータにより互いに分離されている。放電中、酸化プロセスの結果として、電子が負電極において放出される。その結果が電子流になり、電子流は外部の消費体により引き込まれ得る。電気化学電池は消費体にとってエネルギー供給源として機能する。同時に、電極反応に対応するイオン電流が電池内で生じる。このイオン電流は、セパレータを通過し、イオン導電電解質により可能になる。
【0003】
放電が可逆的な場合、すなわち、放電中の化学エネルギーから電気エネルギーへの変換を逆転させて電池を再び充電することが可能性な場合、電池は二次電池と呼ばれる。負電極をアノードと表記すること、及び正電極をカソードと表記することは、二次電池において一般に使用されており、これは電気化学電池の放電機能を指す。
【0004】
二次リチウムイオン電池は、高電流を供給することが可能であり、比較的高いエネルギー密度により特徴付けられるため、エネルギー貯蔵要素として多くの用途で使用されている。二次リチウムイオン電池は、リチウムの使用に基づいており、リチウムは電池の電極間をイオンの形で往復移動することができる。リチウムイオン電池の負電極及び正電極は一般に、いわゆる複合電極により形成され、複合電極は、電気化学的不活性成分、並びに電気化学的活性成分を含む。
【0005】
原則として、リチウムイオンを吸収及び放出できる全ての材料が、二次リチウムイオン電池用の電気化学的活性成分(活性材料)として使用できる。例えば、黒鉛炭素などの炭素ベース粒子が、負電極のために使用される。正電極用の活性材料は、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、又はそれらの誘導体であり得る。電気化学的活性材料は、通常、電極中に粒子形態で含まれる。
【0006】
電気化学的不活性成分として、複合電極は一般に、平坦な及び/又はストリップ状の集電体、例えば金属箔を備え、これは、それぞれの活性材料用のキャリアとして機能する。負電極用の集電体(アノード集電体)は、例えば銅又はニッケルから形成でき、正電極用の集電体(カソード集電体)は、例えばアルミニウムから形成できる。更には、電極は、電気化学的不活性成分として、電極結合剤(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又は別のポリマー、例えばカルボキシメチルセルロース)、導電性改善添加剤、及び他の添加剤を含むことができる。電極結合剤は、電極の機械的安定性を、更には、多くの場合、集電体への活性材料の接着を確実にする。
【0007】
リチウムイオン電池は一般に、電解質として、リチウム塩溶液、例えば、有機溶剤(例えば、炭酸エーテル及びエステル)中のヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を含む。
【0008】
リチウムイオン電池の製造中、複合電極は1つ以上のセパレータと組み合わされてアセンブリが形成される。このプロセスでは、電極及びセパレータは、多くの場合、圧力下で、また場合によりラミネーション又は接合により互いに接続される。次いで、電池の基本的機能性が、アセンブリを電解質に含浸させることにより確立できる。
【0009】
多くの実施形態では、アセンブリは、巻回体の形で形成される、又は処理されて巻回体になる。代わりに、アセンブリは、電極の積層体でもあり得る。
【0010】
自動車セクターのための用途、電動自転車のための用途、又は工具のような高エネルギー要件を伴う他の用途では、充電及び放電中に高電流に耐えることができる、可能な限り高いエネルギー密度を有するリチウムイオン電池が必要である。
【0011】
国際公開第2017/215900A1号パンフレットは、アセンブリが、リボン状電極から形成され、巻回体の形である、円筒状円形電池について記載している。電極はそれぞれ、電極材料が設けられた集電体を有する。反対の極性を有する電極が、アセンブリ内で互いにオフセットされて配置され、その結果、正電極の集電体の長手方向縁部が巻回体の一方の側部から突出し、負電極の集電体の長手方向縁部が他方の側部から突出している。集電体に電気的に接触するために、電池は接触プレートを有し、接触プレートは、巻回体の端面上に載り、溶接によって集電体の長手方向縁部に接続されている。これにより、集電体に、したがって関連する電極にも、その全長にわたって電気的に接触することが可能になる。これにより、記載されている電池内での内部抵抗は著しく低減される。その結果、大電流が発生しても、それを遥かに良好に吸収することができ、巻回体から熱をより良好に散逸させることもできる。
【0012】
ここでの潜在的課題は、接触プレートが適用されるときに、集電体の縁部が、場合によっては制御されない形で圧縮され、その結果、不確かな折り曲げがもたらされ得ることである。これは、端面と接触プレートとの間の大面積の正の接触をより困難にする。加えて、例えば電極間に位置するセパレータへの損傷の結果、端面での微細回路又は回路短絡の危険性が上昇する。
【0013】
この問題を解決するため、国際公開第2020/096973A1号パンフレットは、集電体の縁部を事前に処理すること、具体的には、集電体の縁部の一部を除去して、それらの形状が矩形となるようにすることを提案している。
【0014】
集電体の縁部の目標とする事前の変形は、米国特許出願公開第2018/0190962A1号明細書及び特開2015-149499号公報から既知である。
【0015】
既知の解決策は、集電体の縁部の事前処理が非常に複雑であるという短所を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
対照的に、本発明の目的は、電極と、前述の接触プレートを用いてより容易に接触できる1つ以上のセパレータとのアセンブリにより特徴付けられた、エネルギー貯蔵要素を提供することである。更には、エネルギー貯蔵要素はまた、改善された安全性により特徴付けられなければならない。この目的は、独立請求項1の特徴を有するエネルギー貯蔵要素により達成される。本発明の好ましい実施形態が、従属請求項にて定義される。
【0017】
本発明によるエネルギー貯蔵要素
本発明によるエネルギー貯蔵要素は、常に以下のa.~h.の特徴を有する:
a.エネルギー貯蔵要素は、アセンブリの一部であるカソード及びアノードを備え、アセンブリにおいて、それらはセパレータ又は固体電解質層によって分離され、カソード/セパレータ又は固体電解質層/アノードのシーケンスで存在する、
b.カソードはカソード集電体及び正電極材料を含む、
c.カソード集電体は、
・正電極材料の層が設けられた主領域と、
・カソード集電体の一方の縁部に沿って延び正電極材料が設けられていない自由縁部ストリップとを有する、
d.アノードは、アノード集電体及び負電極材料を含む、
e.アノード集電体は、
・負電極材料の層が設けられた主領域と、
・アノード集電体の一方の縁部に沿って延び負電極材料が設けられていない自由縁部ストリップとを有する、
f.アノード及びカソードは、アノード集電体の自由縁部ストリップがアセンブリの一方の側部から突出し、カソード集電体の自由縁部ストリップがアセンブリの他方の側部から突出するように、電極-セパレータアセンブリ内で互いに対して設計及び/又は配置されている、
g.電池は、自由縁部ストリップの一方に直接接触している第1の接触シート金属部材と、自由縁部ストリップの他方に直接接触している第2の接触シート金属部材とを備える、及び
h.接触シート金属部材のうちの1つに直接接触している縁部ストリップのうちの少なくとも1つが、曲げプロセスの結果、U字型又はV字型の断面を、したがって、一方の側部では細長い窪み又は凹みを、他方の側部では、窪みに対応する細長い隆起を有する。
【0018】
したがって、本発明によるエネルギー貯蔵要素は特に、その自由縁部ストリップが曲げプロセスを経た集電体を有するという事実によって特徴付けられる。アセンブリ内では、2つの正電極及び負電極が共通集電体を介して互いに接続されており、2つの同じ極性の接続された電極が、反対極性の電極を挟み込んでいる。
【0019】
円筒状の設計
本発明によるエネルギー貯蔵要素は、円筒状円形電池として、又は角柱としても設計できる。円筒状の実施形態では、エネルギー貯蔵要素は以下の特徴a.~g.を有する:
a.電極及び集電体、並びに電極材料の層は、リボン状である。
b.接続セクションは、ストリップ状である。
c.エネルギー貯蔵要素は、セパレータ層を備える少なくとも1つのリボン状セパレータを備える。
d.アセンブリは、2つの末端面及び巻回シェルを有する円筒状の巻回体の形であり、巻回体において電極及び少なくとも1つのセパレータが渦巻き状に巻回されている。
e.エネルギー貯蔵要素は、円周状ハウジングシェル、並びに端面上の円形底部及び蓋を備える、円筒状金属ハウジングを備える。
f.金属ハウジング内で、巻回体として設計されたアセンブリは、巻回シェルが円周状ハウジングシェルの内側に当接するように、軸方向に整列されている。
g.集電体の曲げられた接続セクションは、巻回体の末端面から突出している。
この実施形態では、アセンブリは、好ましくは、1つのリボン状セパレータ又は2つのリボン状セパレータを備え、その各々が、第1及び第2の長手方向縁部と2つの端部とを有する。
【0020】
この実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵要素は、特に好ましくは、以下の特徴a.によって特徴付けられる:
a.金属ハウジングは、カップ状の円筒状のハウジング部分を備え、ハウジング部分は、末端開口部と、カップ状ハウジング部分の末端開口部を閉じる蓋構成要素とを有する。
【0021】
好ましくは、蓋構成要素は円形の円周を有し、その縁部が円周接触ゾーンに沿ってカップ状ハウジング部分に当接するように、カップ状ハウジング部分の円形開口部内に配置され、蓋構成要素の縁部は、円周状の溶接シームを介してカップ状ハウジング部分に接続される。この場合、2つのハウジング部分は、好ましくは、同じ両極性を有する。すなわち、それらは正電極又は負電極のいずれかに電気的に結合される。この場合、ハウジングはまた、ハウジングに電気的に接続されていない電極に電気的に接触をするために使用されるポールブッシングも備える。
【0022】
代替的実施形態では、電気的に絶縁された封止部が蓋構成要素の縁部に嵌まり、蓋構成要素をカップ状ハウジング部分から電気的に分離している。この場合、ハウジングは通常、圧着閉鎖により封止される。
【0023】
円筒状円形電池として設計されるエネルギー貯蔵要素の高さは、好ましくは50mm~150mmの範囲にある。円筒状円形電池の直径は、好ましくは15mm~60mmの範囲にある。これらの形状ファクタを有する円筒状円形電池は、自動車における電気駆動部に電力供給するのに特に好適である。
【0024】
本発明による電池が円筒状円形電池である実施形態では、アノード集電体、カソード集電体、及びセパレータは、好ましくは以下の寸法を有する:
- 0.5m~25mの範囲の長さ、
- 30mm~145mmの範囲の幅。
この実施形態では、接触シート金属部材は、好ましくは円形の基本形状を有する。
【0025】
角柱状の設計
角柱状の実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵要素は、以下の特徴a.~f.を有する:
a.電極及び集電体、並びに電極材料の層は、多角形、好ましくは矩形である。
b.接続セクションは、ストリップ状である。
c.エネルギー貯蔵要素は、セパレータ層を備える少なくとも1つのリボン状又は矩形のセパレータを備える。
d.アセンブリは、電極及びセパレータ層が積層された角柱状の積層体の形である。
e.積層体は、角柱状ハウジング内に閉じ込められている。
f.集電体の曲げられた接続セクションは、積層体の隣接する側又は反対側から突出している。
【0026】
角柱状ハウジングは、好ましくは、末端開口部及び蓋構成要素を有するカップ状ハウジング部分で構成される。この実施形態では、カップ状ハウジング部分の底部及び蓋構成要素は、好ましくは、多角形の基部、特に好ましくは矩形の基部を有する。カップ状ハウジング部分の末端開口部の形状は、底部及び蓋構成要素の形状に対応する。加えて、ハウジングは、底部と蓋構成要素とを互いに接続するいくつかの、好ましくは4つの矩形の側部部品を備える。
【0027】
セパレータ層は、いくつかのセパレータにより形成でき、その各々が隣接する電極間に配置されている。しかしながら、リボン状セパレータが積層体の電極を互いに分離することも可能である。アノードとカソードとの間のいくつかのセパレータの場合、セパレータは、好ましくは、多角形の、特に矩形の基部領域も有する。この実施形態では、接触シート金属部材は、好ましくは矩形の基本形状を有する。
【0028】
好ましい電気化学的実施形態
本発明の更に特に好ましい実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵要素は、以下の特徴のうちの1つによって特徴付けられる:
a.エネルギー貯蔵要素は、リチウムイオン電池である。
b.エネルギー貯蔵要素は、リチウムイオン電池を備える。
【0029】
特徴a.は、特に、円筒状円形電池としての、本発明によるエネルギー貯蔵要素の記載された実施形態を指す。この実施形態では、エネルギー貯蔵要素は、好ましくは、厳密に1つの電気化学電池を備える。特徴b.は、特に、本発明によるエネルギー貯蔵要素の記載された角柱状の実施形態を指す。この実施形態では、エネルギー貯蔵要素は、2つ以上の電気化学電池を備える場合もある。基本的に、二次リチウムイオン電池用に知られている全ての電極材料が、エネルギー貯蔵要素用の電極のために使用できる。
【0030】
黒鉛炭素などの炭素ベースの粒子、又は、好ましくは同様に粒子形態の、リチウムをインターカレートすることが可能な非黒鉛炭素材料を、負電極中の活性材料として使用できる。代わりに又は加えて、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)又はその誘導体が、好ましくは同様に粒子形態で、負電極に含まれることも可能である。更には、負電極は、活性材料として、リチウムを可逆的に格納又は解放できる、シリコン、アルミニウム、スズ、アンチモン、又はこれら材料の化合物若しくは合金を含む群からの少なくとも1つの材料、例えば酸化ケイ素を、任意選択で炭素ベースの活性材料と組み合わせて含有することができる。スズ、アルミニウム、アンチモン、及びシリコンが、リチウムとの間で金属間相を形成できる。リチウムを吸収する容量は、特にシリコンの場合は、黒鉛又は同等の材料の容量を何倍も上回る。金属リチウムで作製された薄いアノードも可能である。
【0031】
正電極用の好適な活性材料として、リチウム金属酸化物化合物及びリチウム金属リン酸塩化合物、例えばLiCoO2及びLiFePO4が挙げられる。化学式LiNixMnyCozO2(ここで、x+y+zは典型的には1である)を有するリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、化学式LiMn2O4を有するリチウムマンガンスピネル(LMO)、又は化学式LiNixCoyAlzO2(ここで、x+y+zは典型的には1である)を有するリチウムニッケルコバルト酸化アルミニウム(NCA)も特に好適である。その誘導体、例えば、化学式Li1.11(Ni0.40Mn0.39Co0.16Al0.05)0.89O2を有するリチウムニッケルマンガンコバルト酸化アルミニウム(NMCA)、又はLi1+xM-O化合物、及び/又は上述した材料の混合物も使用できる。カソード活性材料も、好ましくは粒子形態で使用される。
【0032】
加えて、本発明によるエネルギー貯蔵要素の電極は、好ましくは、電気伝導率を改善するための電極結合剤及び/又は添加剤を含む。活性材料は、好ましくは、電極結合剤のマトリクス中に埋め込まれ、マトリクス中の隣接する粒子が、好ましくは互いに直接接触している。導電剤は、電極の電気伝導率を上昇させる機能を有する。共通電極結合剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリレート、又はカルボキシメチルセルロースを主成分とする。共通導電剤は、カーボンブラック及び金属粉末である。
【0033】
本発明によるエネルギー貯蔵要素は、好ましくは、電解質を含み、リチウムイオン電池の場合は、具体的にはヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)などの少なくとも1つのリチウム塩を主成分とする電解質を含み、リチウム塩は、有機溶剤中に(例えば、有機カーボネート、又は環状エーテル、例えばTHF又はニトリル、の混合物中に)溶解されて存在する。他の使用可能なリチウム塩は、例えば、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF4)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、及びリチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)である。
【0034】
円筒状円形電池として設計される本発明によるリチウムイオンベースのエネルギー貯蔵要素の公称容量は、好ましくは最大90000mAhである。21×70の形状ファクタの場合、リチウムイオン電池としての一実施形態におけるエネルギー貯蔵要素は、好ましくは1500mAh~7000mAhの範囲、特に好ましくは3000~5500mAhの範囲の公称容量を有する。18×65のフォームファクタの場合、リチウムイオン電池としての一実施形態における電池は、好ましくは1000mAh~5000mAhの範囲、特に好ましくは2000~4000mAhの範囲の公称容量を有する。
【0035】
欧州連合では、二次バッテリの公称容量に関する製造業者情報は厳しく規制されている。例えば、二次ニッケルカドミウム電池の公称容量に関する情報は、IEC/EN 61951-1及びIEC/EN 60622標準規格に従う測定値に基づかなければならず、二次ニッケル水素電池の公称容量に関する情報はIEC/EN 61951-2標準規格に従う測定値に基づかなければならず、二次リチウム電池の公称容量に関する情報はIEC/EN 61960標準規格に従う測定値に基づかなければならず、二次鉛蓄電池の公称容量に関する情報はIEC/EN 61056-1標準規格に従う測定値に基づかなければならない。本出願における公称容量に関するいかなる情報も、好ましくはこれらの標準規格に基づいている。
【0036】
セパレータの好ましい実施形態
好ましくは、セパレータは、電気絶縁プラスチックフィルムから形成される。電解質がセパレータを透過できることが好ましい。この目的のため、例えば、使用されるプラスチックフィルムは微細孔を有することができる。箔は、例えば、ポリオレフィン又はポリエーテルケトンで構成することができる。不織布、及びプラスチック材料又は他の電気絶縁性織物で作製された織物を、セパレータとして使用することもできる。5μm~50μmの範囲の厚さを有するセパレータが好ましい。特にエネルギー貯蔵要素の角柱状の実施形態では、アセンブリのセパレータは、固体電解質の1つ以上の層であり得る。
【0037】
巻回体として形成されるアセンブリの好ましい構造
リボン状アノード、リボン状カソード、及びリボン状セパレータは、好ましくは、巻回体として形成されるアセンブリ内で渦巻き状に巻回される。アセンブリを作製するために、リボン状電極はリボン状セパレータと一緒に巻回装置に供給され、好ましくは、巻回装置の巻回軸を中心として渦巻き状に巻回される。いくつかの実施形態では、電極及びセパレータは、この目的のために、巻回マンドレル上に載置され巻回後に巻回体内に残る円筒状又は中空円筒状の巻回コアに巻回される。巻回シェルは、例えば、プラスチックフィルム又は粘着テープにより形成できる。巻回シェルは、セパレータの1回以上の巻回により形成されることも可能である。
【0038】
集電体の好ましい実施形態
エネルギー貯蔵要素の集電体は、本発明によるセルの集電体は、対応する電極材料中に含まれる電気化学的活性成分に、可能な限り広い面積にわたって電気的に接触する機能を有する。好ましくは、集電体は、金属で構成されている、又は少なくとも表面が金属化されている。リチウムイオン技術に基づくエネルギー貯蔵要素の場合、アノード集電体用の好適な金属は、銅若しくはニッケル、又は他の導電性材料、特に銅合金及びニッケル合金、又はニッケル被覆金属を含む。ステンレス鋼もまた、選択肢である。リチウムイオン技術に基づくエネルギー貯蔵要素の場合、アルミニウム、又はアルミニウム合金を含む他の導電性材料が、カソード集電体用の金属として特に好適である。
【0039】
好ましくは、アノード集電体及び/又はカソード集電体はそれぞれ、4μm~30μmの範囲の厚さを有する金属箔であり、円筒状円形電池としてのエネルギー貯蔵要素の記載されている構成の場合、4μm~30μmの範囲の厚さを有するリボン状の金属箔である。しかしながら、箔に加えて、他のストリップ状基板、例えば、金属製の若しくは金属化された不織布、又は開放気孔金属発泡体、又はエキスパンドメタルも集電体として使用できる。
【0040】
円筒状円形電池としてのエネルギー貯蔵要素の記載されている構成の場合、巻回体として設計されているセパレータの長手方向縁部が、アセンブリの端面を形成することが好ましい。エネルギー貯蔵要素の記載されている角柱状構成の場合、セパレータの縁部が、積層体の側部を形成し、そこから、集電体の曲げられた接続部分が突出していることが好ましい。
【0041】
巻回体の末端面又は積層体の側部から突出する、集電体の曲げられた接続セクションが、端面又は側部から、5500μmを超えないこと、好ましくは4000μm以下であることが更に好ましい。特に好ましくは、アノード集電体の曲げられた接続セクションが、積層体の側部又は巻回体の端面から、3000μm以下だけ、特に好ましくは2000μm以下だけ突出する。特に好ましくは、カソード集電体の曲げられた接続セクションが、積層体の側部又は巻回体の端面から、4000μm以下だけ、特に好ましくは3000μm以下だけ突出する。
【0042】
第1の接触シート金属部材/アノード集電体への第1の接触シート金属部材の接続の好ましい実施形態
第1の接触シート金属部材は、好ましくはアノード集電体に電気的に接続されている。第1の接触シート金属部材は、特に好ましくは、アノード集電体の曲げられた接続セクションに溶接によって直接接続されている。しかしながら、代替的実施形態では、第1の接触シート金属部材は、例えば、圧接、クランプ接続、又はばね接続によって、アノード集電体の曲げられた接続セクションに機械的に接続されることもできる。
【0043】
本発明の特に好ましい実施形態では、第1の接触シート金属部材は、以下の特徴a.又はb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる:
a.接触シート金属部材は、ニッケル若しくは銅若しくはチタン、又はニッケル合金若しくは銅合金若しくはチタン合金、又はステンレス鋼から構成される。
b.接触シート金属部材は、アノード集電体と同じ材料から構成される。
直前の特徴a.及びb.は、互いに組み合わされて実現されることが好ましい。
【0044】
接触シート金属部材は、ハウジングに電気的に接続しているか、又はハウジングを通過しハウジングから電気的に絶縁された接触ポールに電気的に接続しているかのいずれかである。電気的接触は、溶接又は機械的接続により実現できる。必要に応じて、電気的接続は別個の導電体を介して行うこともできる。
【0045】
本発明の更なる特に好ましい実施形態では、第1の接触シート金属部材は、以下の特徴a.~g.のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる:
a.接触シート金属部材は、50μm~600μmの範囲の、好ましくは150μm~350μmの範囲の、好ましくは均一な厚さを有する。
b.接触シート金属部材は、2つの反対側の平坦側部を有し、基本的に1次元にだけ延びている。
c.接触シート金属部材は、円盤、又は好ましくは矩形プレートである。
d.接触シート金属部材は、側部又は端面の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%をカバーするように寸法決めされ、側部又は端面から、アノード集電体の曲げられた接続セクションが現れる。
e.接触シート金属部材は、少なくとも1つのアパーチャ、具体的には少なくとも1つの穴、及び又は少なくとも1つのスロットを有する。
f.接触シートは、少なくとも1つのビードを有し、ビードは、接触シートの一方の平坦側部において細長い窪みとして、反対側の平坦側部において細長い隆起として見え、接触シートは、アノード集電体の曲げられた接続セクション上にて、細長い隆起を有する平坦側部に接する。
g.接触シート金属部材は、特にビードに配置される1つ以上の溶接シームを介して、ビードの領域におけるアノード集電体の曲げられた接続セクションに溶接される。
直前の特徴a.及びb.及びd.は、互いに組み合わされて実現されることが特に好ましい。好ましい実施形態では、特徴a.及びb.及びd.は、特徴c.若しくはe.、又は特徴f.及びg.のうちの1つと組み合わされて実現される。特に好ましくは、全ての特徴a.~g.が互いに組み合わされて実現される。
【0046】
端面のできるだけ多くをカバーすることが、接地されたエネルギー貯蔵要素の熱管理にとって重要である。カバーが大きいほど、アノード集電体の第1の縁部に、その全長にわたって接触することが容易である。したがって、アセンブリにおいて生成された熱は、接触シート金属部材を介して良好に散逸させることができる。
【0047】
接触シート金属部材の少なくとも1つのアパーチャは、例えば、アセンブリを電解質に含浸することを可能とするには好都合であり得る。特に好ましい実施形態では、アセンブリは、アノード集電体の2つ以上の曲げられた接続セクションが突出する側部を有する。この実施形態の更なる発展形態では、曲げられた接続セクション、好ましくはいくつかの隣接する接続セクションの少なくとも2つが、互いに直接接触していることが好ましい。すなわち、第1の接触シート金属部材を介して互いに電気的に接続されているだけではない。
【0048】
第2の接触シート金属部材/カソード集電体への第2の接触シート金属部材の接続の好ましい実施形態
第2の接触シート金属部材は、好ましくはカソード集電体に電気的に接続している。第2の接触シート金属部材は、特に好ましくは、カソード集電体の曲げられた接続セクションに溶接によって直接接続されている。しかしながら、代替的実施形態では、第2の接触シート金属部材は、例えば、圧接、ばね接続、又はクランプ接続によって、カソード集電体の曲げられた接続セクションに機械的に接続されることもできる。
【0049】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵要素は、以下の特徴a.によって特徴付けられる:
a.第2の接触シート金属部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成される。
接触シート金属部材は、ハウジングに電気的に接続しているか、又はハウジングを通過しハウジングから電気的に絶縁された接触ポールに電気的に接続しているかのいずれかである。電気的接触は、溶接又は機械的接続により実現できる。必要に応じて、電気的接続は別個の導電体を介して行うこともできる。
【0050】
第2の接触シート金属部材は、好ましくは、その材料組成以外は、アノード集電体の第1の縁部上に載っている接触シート金属部材に類似している。第2の接触シート金属部材は、好ましくは、以下の特徴a.~g.のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる:
a.第2の接触シート金属部材は、50μm~600μmの範囲の、好ましくは150μm~350μmの範囲の、好ましくは均一な厚さを有する。
b.第2の接触シート金属部材は、2つの反対側の平坦側部を有し、基本的に1次元にだけ延びている。
c.第2の接触シート金属部材は、円盤、又は好ましくは矩形プレートである。
d.第2の接触シート金属部材は、側部又は端面の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%をカバーするように寸法決めされ、側部又は端面から、カソード集電体の曲げられた接続セクションが現れる。
e.第2の接触シート金属部材は、少なくとも1つのアパーチャ、具体的には少なくとも1つの穴、及び又は少なくとも1つのスロットを有する。
f.第2の接触シートは、少なくとも1つのビードを有し、ビードは、接触シートの一方の平坦側部において細長い窪みとして、反対側の平坦側部において細長い隆起として見え、接触シートは、カソード集電体の曲げられた接続セクション上にて、細長い隆起を有する平坦側部に接する。
g.第2の接触シート金属部材は、特にビードに配置される1つ以上の溶接シームを介して、ビードの領域におけるカソード集電体の曲げられた接続セクションに溶接される。
ここでも、直前の特徴a.及びb.及びd.は、互いに組み合わされて実現されることが特に好ましい。好ましい実施形態では、特徴a.及びb.及びd.は、特徴c.若しくはe.、又は特徴f.及びg.のうちの1つと組み合わされて実現される。特に好ましい実施形態では、全ての特徴a.~g.はまた、互いに組み合わせて実現される。
【0051】
第2の接触シート金属部材に対するカソード集電体の曲げられた接続セクションの接続又は溶接は、好ましくは、上述したアノード集電体の曲げられた接続セクションの接続と同じ形態で、すなわち、特に好ましくはビード領域における溶接を介して実現される。
【0052】
好ましい実施形態では、第2の接触シート金属部材は、カップ状ハウジング部分の底部に、又は底部の一部に直接溶接される。更なる好ましい実施形態では、第2の接触シート金属部材は、別々の電流導体を介してカップ状ハウジング部分の底部に接続される。後者の場合、別々の電流導体は、カップ状ハウジング部分の底部、及び第2の接触シート金属部材の両方に溶接されていることが好ましい。別々の電流導体は、好ましくはアルミニウム又はアルミニウム合金から構成される。
【0053】
特に好ましい実施形態では、アセンブリは、カソード集電体の2つ以上の曲げられた接続セクションが突出する側部を有する。この実施形態の更なる発展形態では、曲げられた接続セクション、好ましくはいくつかの隣接する接続セクションの少なくとも2つが、互いに直接接触していることが好ましい。すなわち、第2の接触シート金属部材を介して互いに電気的に接続されているだけではない。
【0054】
ハウジング部分の好ましい実施形態
本発明の更に特に好ましい実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵要素は、以下の特徴a.又はb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる:
a.カップ状ハウジング部分は、アルミニウム、ステンレス鋼又はニッケルめっき鋼から構成される。
b.蓋構成要素は、アルミニウム、ステンレス鋼又はニッケルめっき鋼から構成される。
直前の特徴a.及びb.は、特に好ましくは、組み合わされて実現される。
【0055】
いくつかの実施形態では、カソード集電体の曲げられた接続セクションをハウジングに直接接続することが望ましい。この目的のため、曲げられた接続セクションは、例えばレーザーを使用して、カップ状ハウジング部分の底部に溶接できる。この場合、カップ状ハウジング部分の底部は、第2の接触プレートとして機能する。反対に、いくつかの実施形態では、第1の接触プレートが蓋構成要素として機能すること、すなわちハウジングの一部として機能することが示され得る。
【0056】
電極の好ましい実施形態
本発明の更に特に好ましい実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵要素は、以下の特徴a.又はb.のうちの1つによって特徴付けられる:
a.本発明によるエネルギー貯蔵要素は円筒状円形電池として設計され、その電極は、40μm~300μmの範囲の、好ましくは40μm~100μmの範囲の厚さを有する。
b.本発明によるエネルギー貯蔵要素は角柱状であり、その電極は、40μm~1000μmの範囲の厚さ、好ましくは100μmを超える、最大で300μmの厚さを有する。
【0057】
円筒状構成の場合、第1及び第2のアノード、並びに第1及び第2のカソードは同時に巻回されるが、同数の巻数に対して、外側の電極は内側の電極よりも僅かに長くなければならない。課題を回避するため、円筒状構成の電極の厚さは、好ましくは非常に小さい。この態様は、角柱状構成では役割を果たさない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
本発明の更なる特徴及び効果が、図面と併せて、請求項から及び以下の本発明の好ましい実施例の説明から明らかである。個々の特徴は、個々に又は互いに組み合わせて実現されてもよい。
【
図1】集電体の突出する縁部に接触プレートが押し付けられている、従来技術の電池の断面図である。
【
図2】共通集電体を有する第1のアノード及び第2のアノードの概略図(上面図及び断面図)である。
【
図3】共通集電体を有する第1のカソード及び第2のカソードの概略図(上面図及び断面図)である。
【
図4】
図2に示すアノード及び
図3に示すカソードから形成されたアセンブリの概略図(断面図)である。
【
図5】2つの接触プレートが上に載っている、角柱状アセンブリの概略図(断面図)である。
【
図6】
図5に示すアセンブリの電極である(上面図)。
【
図7】
図5に示す角柱状複合体を備える、本発明によるエネルギー貯蔵要素、及びそのためのハウジングの概略図(断面図)である。
【
図8】電極材料の2つのストリップを有する集電体であり、2つのストリップは、構造的に脆弱化された中央ストリップにより接続されている(上からの上面図)。
【
図9】
図2及び
図3によるアノード及びカソードから形成できるアセンブリの更なる実施形態である。
【
図10】2つの接触プレートが上に載っている、角柱状アセンブリの別の実施形態(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、負電極及び正電極及びセパレータ(図面には示されず)のアセンブリ115の一方の側部から突出している、集電体の突出する縁部108に、接触プレート118を押し付けた結果を示す。押し付けている間、集電体の縁部108の制御されない圧縮が生じている。この圧縮は次いで、例えば、接触プレート118の直上の領域において明らかに分かるように、縁部の個々の方向転換が完全に異なる方向に曲げられている、部分的に不確かな折り曲げをもたらす。これは、集電体の縁部108と接触プレート118との間の大面積の正の接触をより困難にする。
【0060】
図2は、第1のストリップ状のアノード101及び第2のストリップ状のアノード102が適用されるストリップ状の集電体107を、一方では上から見た平面図で、他方では断面図(S1に沿った断面)で示す。
【0061】
第1のアノード101及び第2のアノード102は各々が、共通集電体107の両面に電極材料105のストリップ状の層を備える。ストリップ状の集電体107は、第1の主領域109及び第2の主領域110を備え、第1の主領域109には、第1のアノード101の負電極材料105のストリップ状の層が設けられ、第2の主領域110には、第2のアノード102の負電極材料105のストリップ状の層が設けられる。第1の主領域109と第2の主領域110との間に、第1の主領域109と第2の主領域110とを互いに接続し、電極材料105が設けられていない、ストリップ状の、材料のない(material-free)接続部分113が存在する。
【0062】
図3は、第1のストリップ状のカソード103及び第2のストリップ状のカソード104が適用されるストリップ状の集電体108を、一方では上から見た平面図で、他方では断面図(S2に沿った断面)で示す。
【0063】
第1のカソード103及び第2のカソード104は各々が、共通集電体108の両面に電極材料106のストリップ状の層を備える。ストリップ状の集電体108は、第1の主領域111及び第2の主領域112を備え、第1の主領域111には、第1のカソード103の正電極材料106のストリップ状の層が設けられ、第2の主領域112には、第2のカソード104の正電極材料106のストリップ状の層が設けられる。第1の主領域111と第2の主領域112との間に、第1の主領域111と第2の主領域112とを互いに接続し、電極材料106が設けられていない、ストリップ状の、材料のない接続部分114が存在する。
【0064】
図4(断面図)に示すアセンブリ115は、
図2に示すアノード101及び102、並びに
図3に示すカソード103及び104から形成される。この目的のため、リボン状のアノード101及び102、並びにカソード103及び104はそれぞれ、共通集電体107及び108を曲げることにより互いに整列され、カソード103はアノード101と102との間に同時に配置され、アノード102はカソード103と104との間に配置され、全ての隣接する電極は、それらの間に配置されたセパレータ層116によって互いに分離される。結果として得られる、アノード101/セパレータ層116/カソード103/セパレータ層116/アノード102/セパレータ層116/カソード104のシーケンスの積層体は、更なる工程において、軸を中心として渦巻き状に巻回させることができる。その時、アセンブリ115は、2つの末端面119及び120並びに巻回シェル121を有する円筒状の巻回体の形であり、巻回体では電極101、102、103、104が渦巻き状に巻回されている。図示する断面図は、そのような渦巻き状の巻回体の2つの隣接する曲げ部分を横断する断面である。
【0065】
その結果、カソード103は、巻回体においてアノード101と102との間に挟み込まれ、アノード102はカソード103と104との間に挟み込まれている。材料のない、現在は曲げられた接続セクション114だけが、アセンブリ115の左側119から突出し、材料のない、現在は曲げられた接続セクション113が、反対の右側120から突出している。
【0066】
図5は、角柱状の積層体の形のアセンブリ115を示す。電極101、102、103及び104、並びに105、106、107及び108は積層体中に積層され、各々がセパレータ層116によって分離されている。電極は、矩形の基本形を有する。電極101及び102、103及び104、105及び107、並びに106及び108は各々が、共通集電体を有し、曲げられた、材料のない接続セクション113及び114及び122及び123を介して互いに接続されている。
【0067】
正電極に結合された、材料のない接続セクション114及び122だけが積層体115の左側119から突出し、負電極に結合された、材料のない接続セクション113及び123が反対側である右側120から突出する。曲げられた接続セクション114及び122は、接触シート金属部材118に直接接触している。曲げられた接続セクション113及び123は、接触シート金属部材117に直接接触している。接触金属部材117及び118は、側部119及び120に小さな圧力で押し付けられているので、4つの接続セクション113、123、114及び123との2次元の接触が存在する。好ましくは、曲げられた接続セクション113、123、114及び123は、接触金属部材117及び118に溶接されている。
【0068】
図6は、電極101、102、103及び104、並びに105、106、107及び108の上面図を示す。材料のない接続セクション113及び114及び122及び123は明瞭に視認できる。積層体115を作製するため、接続セクションを曲げることにより、それぞれの接続セクションを介して互いに接続されている電極を、互いに整列させなければならない。反対方向に分極された電極は、次いで、一緒に挟み込まれ、その結果が
図5に示される。
【0069】
図7は、本発明によるエネルギー貯蔵要素100を示す。
図7は、
図5に示す角柱状アセンブリ115、及び角柱状ハウジングを備える。角柱状ハウジングは、カップ状ハウジング部分124及び蓋構成要素125から構成される。接触シート金属部材117に溶接により接続している接触ポール126は、蓋構成要素125を通して導かれている。接触ポール126は、絶縁要素127により、蓋構成要素125から電気的に絶縁されている。接触シート金属部材118は、ハウジング部分の底部124に溶接されている。
【0070】
図8では、構造的に脆弱化されたストリップ状の材料のない接続セクション114により接続された電極材料106の2つのストリップ状のストリップを有する集電体が示される。接続セクション114には複数の小さい切れ目128が形成されて、構造的に脆弱化されている。この切れ目は、電極を渦巻き状の巻回体に処理することを容易にする。
【0071】
図9は、集電体の接続セクション113及び114が比較的長く、したがって積層体の側部から更に突出しているという点だけが、
図4に示すアセンブリとは異なるアセンブリ115を示す。そのような実施形態は、隣接する曲げ部分の接続セクションが、接触シート金属部材を介して互いに接続されているだけでなく、互いに直接接触してもいる構成を可能にしている。
【0072】
図10は、集電体の接続セクション113及び123並びに114及び122が比較的長いという点だけが、
図5に示すアセンブリとは異なるアセンブリ115を示す。図示する実施形態では、接続セクションは、接触シート金属部材117及び118によって変形され得るほどに長く、その結果、接続セクションは、隣接する接続セクションに(ここでは、接続セクション114は接続セクション122に、接続セクション113は接続セクション123に)直接接触している。これにより、接触シート金属部材117及び118の下方に理想的にほぼ連続した導電性表面が形成され、これは、熱エネルギーの散逸、並びに接触シート金属部材へのアセンブリ115の電気的接続にとって非常に好ましい。
【国際調査報告】