(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】心電図信号のエラー復元方法、プログラム及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/318 20210101AFI20240905BHJP
【FI】
A61B5/318
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516591
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 KR2022014204
(87)【国際公開番号】W WO2023048486
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0126783
(32)【優先日】2021-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0118468
(32)【優先日】2022-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523010225
【氏名又は名称】メディカル・エーアイ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Medical AI Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】163, Yangjaecheon-ro Gangnam-gu Seoul 06302 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】クォン・ジュン・ミョン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ビョンタク
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127FF02
4C127GG10
(57)【要約】
本開示の一実施例によって、コンピューティング装置によって実行される心電図信号のエラー復元方法は、心電図信号を獲得する段階と、前記獲得された心電図信号を測定するためのリードの間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラーを推定する段階と、心電図信号のエラーを校正するための復元情報に基づいて、前記エラーが推定された心電図信号を復元する段階と、を含むことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサ(processor)を含むコンピューティング装置によって実行される、心電図信号のエラー復元方法であって、
心電図信号を獲得する段階と、
前記獲得された心電図信号を測定するためのリード(lead)の間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラー(error)を推定する段階と、
心電図信号のエラーを校正するための復元情報に基づいて、前記エラーが推定された心電図信号を復元する段階と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記獲得された心電図信号を測定するためのリードの間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラーを推定する段階は、
前記獲得された心電図信号に基づいて、前記リードの間の心電図信号関係を示す相関関係マトリックス(matrix)を生成する段階と、
前記相関関係マトリックスに基づいて、前記獲得された心電図信号のうちでリード逆転(reversal)が発生した心電図信号を検出する段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相関関係マトリックスに基づいて、前記獲得された心電図信号のうちでリード逆転が発生した心電図信号を検出する段階は、事前に学習された第1神経回路網モデルに前記相関関係マトリックスを入力し、前記獲得された心電図信号のうちで前記リード逆転が発生した心電図信号を分類する段階を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記獲得された心電図信号を測定するためのリードの間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラーを推定する段階は、事前に学習された第2神経回路網モデルに前記心電図信号を入力し、前記心電図信号のうちでリード逆転が発生した心電図信号を分類する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記獲得された心電図信号を測定するためのリードの間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラーを推定する段階は、バンドパスフィルター(band pass filter)を用いて、前記獲得された心電図信号から前記相関関係を分析するための対象信号を抽出する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記復元情報は、正常リードの心電図信号とリード逆転が発生した心電図信号との間の変換関係を示す復元テーブル(table)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記心電図信号を獲得するために身体に付着される電極は、四肢の末端部に付着される複数の電極、又は胸部の所定の位置に付着される複数の電極のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記獲得された心電図信号は、右腕に対応する第1電極及び左腕に対応する第2電極に基づいて生成される第1心電図信号、前記第1電極及び左脚に対応する第3電極に基づいて生成される第2心電図信号、前記第2電極及び前記第3電極に基づいて生成される第3心電図信号、又は複数の胸部電極のそれぞれに対応する胸部心電図信号のうちの一つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータ可読の保存媒体に保存されたコンピュータプログラム(program)であって、前記コンピュータプログラムは、一つ以上のプロセッサ(processor)で実行される場合、心電図信号のエラー復元のための動作を実行し、
前記動作は、
心電図信号を獲得する動作と、
前記獲得された心電図信号を測定するためのリード(lead)の間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラー(error)を推定する動作と、
心電図信号のエラーを校正するための復元情報に基づいて、前記エラーが推定された心電図信号を復元する動作と、
を含む、コンピュータプログラム。
【請求項10】
心電図信号のエラー復元のためのコンピューティング装置であって、
少なくとも一つのコア(core)を含むプロセッサ(processor)と、
前記プロセッサで実行可能なプログラムコード(code)を含むメモリ(memory)と、
心電図信号を獲得するためのネットワーク部(network unit)と、
を含み、
前記プロセッサは、心電図信号を獲得し、前記獲得された心電図信号を測定するためのリード(lead)の間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラー(error)を推定し、心電図信号のエラーを校正するための復元情報に基づいて、前記エラーが推定された心電図信号を復元することを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の内容は心電図信号のエラー復元方法に関し、具体的には心電図信号の相関関係に基づいて、心電図信号の測定過程で発生したエラーを検出し、心電図信号を復元する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の異常有無を検査するために、臨床的診察や映像検査などが用いられている。特に、心臓疾患の早期診断のために、心電図を測定し、測定された心電図信号をグラフの形態として表示し、グラフに基づいて患者の心臓の異常有無を判断する方法が広く用いられている。
【0003】
心電図(Electrocardiography、ECG)は心臓の拍動によって心筋で発生する活動電流を波長の形態として記録したものである。12リード心電図方式は、患者の身体に10個の電極を付着して信号を測定する。ここで、10個の電極のうち、胸部リード電極である6個(V1~V6)は、単極胸部誘導法によって、解剖学上特定の位置に付着される。そして、残りの4個の電極は患者の四肢、すなわち左側の手及び足と右側の手及び足にそれぞれ付着される。ただし、左側の手及び足と右側の手及び足にそれぞれ付着される電極は、場合に応じて、胸の上部の左右側及び下部の左右側に付着されることもある。
【0004】
一般的に、心電図信号を測定するためには、10個の心電図電極の付着位置を患者の人体で探していちいち付着しなければならない。しかし、患者で10個の電極を付着する正確な位置を探すことは容易でなく、医療陣のような熟練者が使用する場合にも、たびたび電極を誤って付着することにより、診断の不可能な信号が測定されるか又は誤った診断が発生することもある。
【0005】
したがって、心電図電極を付着して正しい信号を測定するために、心電図電極の位置が後先になった場合にも、これを判断してリード逆転が発生した信号を復元して正常の心電図信号を早く提供することができる方法が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は前述した背景技術に対応して案出されたものであり、心電図信号に基づいて誤って付着された心電図電極によって発生するリード逆転ケース(lead reversal case)のようなエラーを判断し、エラーが判断された信号を正しい信号に復元する方法を提供することを目的とする。
【0007】
本開示は、学習されたディープラーニングモデルを用いて、リード逆転ケースのようなエラーが発生した心電図信号を分類する方法を提供することを目的とする。
【0008】
ただし、本開示で解決しようとする課題は以上で言及した課題に限定されず、言及しなかった他の課題は下の記載から明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述したような課題を実現するための本開示の一実施例によって、コンピューティング装置によって実行される心電図信号のエラー復元方法は、心電図信号を獲得する段階と、前記獲得された心電図信号を測定するためのリード(lead)の間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラー(error)を推定する段階と、心電図信号のエラーを校正するための復元情報に基づいて、前記エラーが推定された心電図信号を復元する段階と、を含むことができる。
【0010】
代案として、前記獲得された心電図信号を測定するためのリードの間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラーを推定する段階は、前記獲得された心電図信号に基づいて、前記リードの間の心電図信号関係を示す相関関係マトリックス(matrix)を生成する段階と、前記相関関係マトリックスに基づいて、前記獲得された心電図信号のうちでリード逆転(reversal)が発生した心電図信号を検出する段階と、を含むことができる。
【0011】
代案として、前記相関関係マトリックスに基づいて、前記獲得された心電図信号のうちでリード逆転が発生した心電図信号を検出する段階は、事前に学習された第1神経回路網モデルに前記相関関係マトリックスを入力し、前記獲得された心電図信号のうちで前記リード逆転が発生した心電図信号を分類する段階を含むことができる。
【0012】
代案として、前記獲得された心電図信号を測定するためのリードの間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラーを推定する段階は、事前に学習された第2神経回路網モデルに前記心電図信号を入力し、前記心電図信号のうちでリード逆転が発生した心電図信号を分類する段階を含むことができる。
【0013】
代案として、前記獲得された心電図信号を測定するためのリードの間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラーを推定する段階は、バンドパスフィルターを用いて、前記獲得された心電図信号から前記相関関係を分析するための対象信号を抽出する段階を含むことができる。
【0014】
代案として、前記復元情報は、正常リードの心電図信号とリード逆転が発生した心電図信号との間の変換関係を示す復元テーブルを含むことができる。
【0015】
代案として、前記心電図信号を獲得するために身体に付着される電極は、四肢の末端部に付着される複数の電極、又は胸部の所定の位置に付着される複数の電極のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0016】
代案として、前記獲得された心電図信号は、右腕に対応する第1電極及び左腕に対応する第2電極に基づいて生成される第1心電図信号、前記第1電極及び左脚に対応する第3電極に基づいて生成される第2心電図信号、前記第2電極及び前記第3電極に基づいて生成される第3心電図信号、又は複数の胸部電極のそれぞれに対応する胸部心電図信号のうちの一つ以上を含むことができる。
【0017】
前述したような課題を実現するための本開示の一実施例によって、心電図信号のエラー復元のための動作を行うコンピュータプログラムは、心電図信号を獲得する動作と、前記獲得された心電図信号を測定するためのリード(lead)の間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラー(error)を推定する動作と、心電図信号のエラーを校正するための復元情報に基づいて、前記エラーが推定された心電図信号を復元する動作と、を含むことができる。
【0018】
前述したような課題を実現するための本開示の一実施例によって、心電図信号のエラー復元のためのコンピューティング装置は、少なくとも一つのコア(core)を含むプロセッサ(processor)と、前記プロセッサで実行可能なプログラムコード(code)を含むメモリ(memory)と、心電図信号を獲得するためのネットワーク部(network unit)と、を含むことができる。前記プロセッサは、心電図信号を獲得し、前記獲得された心電図信号を測定するためのリード(lead)の間の相関関係に基づいて、前記獲得された心電図信号のエラー(error)を推定し、心電図信号のエラーを校正するための復元情報に基づいて、前記エラーが推定された心電図信号を復元することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示は、心電図信号を測定するための電極を誤って付着した場合にも、リード逆転ケースを探知して正しい心電図信号に復元して使用者に提供することができる。
【0020】
本開示によって、心電図信号が誤って測定された場合、何のリード逆転ケースであるかを具体的に確認して校正することによって誤診断を防ぐことができる。
【0021】
本開示は、心電図電極が誤って付着されてリード逆転が発生した場合、追加的な測定なしに心電図信号を復元して使用者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の一実施例によるコンピューティング装置のブロック図である。
【0023】
【
図2】本開示の一実施例による心電図信号のエラー復元過程を示すブロック図である。
【0024】
【
図3】本開示の一実施例による心電図電極付着位置及びこれに対応するリードを説明する図である。
【0025】
【
図4】本開示の一実施例によるリード逆転の際に発生する信号を説明する表である。
【0026】
【
図5】本開示の一実施例による神経回路網モデルを説明する図である。
【0027】
【
図6】本開示の一実施例による心電図信号エラー復元方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付図面を参照して本開示の技術分野で通常の知識を有する者(以下、当業者という)が容易に実施することができるように本開示の実施例を詳細に説明する。本開示で提示する実施例は当業者が本開示の内容を用いるか又は実施することができるように提供する。よって、本開示の実施例に対する多様な変形は当業者に明らかであろう。すなわち、本開示は様々な相異なる形態に具現可能であり、以下の実施例に限定されない。
【0029】
本開示の明細書全般にわたって同一又は類似の図面符号は同一又は類似の構成要素を指す。また、本開示を明確に説明するために、本開示についての説明に関係ない部分の図面符号は図面から省略することができる。
【0030】
本開示で使用する「又は」という用語は排他的「又は」ではなく、内包的「又は」を意味しようとする。すなわち、本開示で、他に特定しないか又は文脈上でその意味が明確ではない場合、「XはA又はBを用いる」は自然的な内包的置換のうちの一つを意味するものと理解しなければならない。例えば、本開示で、他に特定しないか又は文脈上でその意味が明確ではない場合、「XはA又はBを用いる」はXがAを用いるか、XがBを用いるか、又はXがA及びBの両者を用いる場合のうちのいずれか一つと解釈することができる。
【0031】
本開示で使用する「及び/又は」という用語は、列挙する関連の概念のうちの一つ以上の概念の可能なすべての組合せを示しながら含むものと理解しなければならない。
【0032】
本開示で使用する「含む」及び/又は「含んでいる」という用語は、特定の特徴及び/又は構成要素が存在することを意味するものと理解しなければならない。ただし、「含む」及び/又は「含む」という用語は、一つ以上の他の特徴、他の構成要素及び/又はこれらの組合せの存在又は追加を排除しないものと理解しなければならない。
【0033】
本開示で、他に特定しないか又は単数の形態を示すものとして、文脈上明確ではない場合、単数は一般的に「一つ又はそれ以上」を含むことができるものと解釈しなければならない。
【0034】
本開示で使用する「第N(Nは自然数)」という用語は、本開示の構成要素を機能的観点、構造的観点、又は説明の便宜性などの所定の基準によって互いに区別するために使用する表現と理解することができる。例えば、本開示で、互いに異なる機能的役割を行う構成要素は第1構成要素又は第2構成要素に区別することができる。ただし、本開示の技術的思想内で実質的に同一であるが、説明の便宜のために区分しなければならない構成要素も第1構成要素又は第2構成要素に区別することもできる。
【0035】
本開示で使用する「獲得」という用語は、外部装置又はシステムに対して有無線通信ネットワークを介してデータを受信することだけでなく、オンデバイス(on-device)形態としてデータを生成することを意味するものと理解することができる。
【0036】
一方、本開示で使用する用語「モジュール(module)」、又は「部(unit)」は、コンピュータ関連エンティティー(entity)、ファームウエア(firmware)、ソフトウェア(software)又はその一部、ハードウェア(hardware)又はその一部、ソフトウェア及びハードウェアの組合せなどのようにコンピューティング資源を処理する独立的な機能単位を示す用語と理解することができる。ここで、「モジュール」、又は「部」は単一の要素で構成された単位であることもあり、複数の要素の組合せ又は集合と表現される単位であることもある。例えば、協議の概念として「モジュール」、又は「部」はコンピューティング装置のハードウェア要素又はその集合、ソフトウェアの特定の機能を果たす応用プログラム、ソフトウェアの実行によって具現される処理過程(procedure)、又はプログラムの実行のための命令語の集合などを示すことができる。また、広義の概念として「モジュール」、又は「部」はシステムを構成するコンピューティング装置自体、又はコンピューティング装置で実行されるアプリケーションなどを示すことがある。ただし、上述した概念は一例示に過ぎないので、「モジュール」、又は「部」の概念は本開示の内容に基づいて当業者が理解可能な範疇内で多様に定義可能である。
【0037】
本開示で使用する「モデル(model)」という用語は、特定の問題を解決するために、数学的概念及び言語を使用して具現するシステム、特定の問題を解決するためのソフトウェア単位の集合、又は特定の問題を解決するための処理過程に対する抽象画模型と理解することができる。例えば、神経回路網(neural network)「モデル」は学習によって問題解決能力を有する神経回路網として具現されるシステム全般を示すことができる。ここで、神経回路網は、ノード(node)又はニューロン(neuron)を連結するパラメーター(parameter)を学習によって最適化して問題解決能力を有することができる。神経回路網「モデル」は単一の神経回路網を含むこともでき、複数の神経回路網が組み合わせられた神経回路網集合を含むこともできる。
【0038】
本開示で使用する「データ」は「映像」、信号などを含むことができる。本開示で使用する「映像」という用語は、離散的イメージ要素で構成された多次元データを示し得る。言い換えれば、「映像」は人の目で見られる対象のデジタル表現物を示す用語と理解することができる。例えば、「映像」は2次元イメージにおいてピクセルに相当する要素で構成された多次元データを示し得る。「映像」は3次元イメージにおいてボクセルに相当する要素で構成された多次元データを示し得る。
【0039】
本開示で使用する「リード逆転(lead reversal)」はリードの誤った配置を意味し、心電図測定のための電極(electrode)を誤位置に付着した場合に発生し得る。例えば、四肢電極(limb electrodes)のうちで中性電極(neutral electrode)以外の電極が誤って配置されたリード逆転の場合、特定のリード信号が他のリード信号に変更されることがあり、他の特定のリード信号は反転されるか又は回転することもあり、さらに他の特定のリード信号は変更されないこともある。例えば、四肢電極のうちの中性電極を誤って配置した場合、四肢リード(limb leads)信号だけでなく、胸部リード(precordial leads)信号も歪むことがある。この場合、リード信号は他のリード信号のように見えるか又は信号の大きさがほぼ0のように縮まって見えることがある。
【0040】
前述した用語の説明は本開示の理解を手伝うためのものである。したがって、前述した用語を本開示の内容を限定する事項として明示的に記載しない場合、本開示の内容を技術的思想を限定する意味として使うものではではないことに気を付けなければならない。
【0041】
図1は本開示の一実施例によるコンピューティング装置のブロック図である。
【0042】
本開示の一実施例によるコンピューティング装置100はデータの総合的な処理及び演算を行うハードウェア装置又はハードウェア装置の一部でもあり、通信ネットワークを介して連結されるソフトウェアに基づくコンピューティング環境でもあり得る。例えば、コンピューティング装置100は集約的データ処理の機能を行い、資源を共有する主体であるサーバーでもあり、サーバーとの相互作用によって資源を共有するクライアント(client)でもあり得る。また、コンピューティング装置100は、複数のサーバー及びクライアントが互いに作用してデータを総合的に処理するクラウドシステム(cloud system)でもあり得る。上述した記載はコンピューティング装置100の種類に関連した一例示に過ぎないので、コンピューティング装置100の種類は本開示の内容に基づいて当業者が理解可能な範疇内で多様に構成可能である。
【0043】
図1を参照すると、本開示の一実施例によるコンピューティング装置100はプロセッサ(processor)110と、メモリ(memory)120と、ネットワーク部(network unit)130と、を含むことができる。ただし、
図1は一例示に過ぎないので、コンピューティング装置100は、コンピュータ環境を具現するための他の構成を含むことができる。また、前記開示した構成のうちの一部のみをコンピューティング装置100に含むこともできる。
【0044】
本開示の一実施例によるプロセッサ110はコンピューティング演算を実行するためのハードウェア及び/又はソフトウェアを含む構成単位と理解することができる。例えば、プロセッサ110は、コンピュータプログラムを読み取って機械学習のためのデータ処理を実行することができる。プロセッサ110は、機械学習のための入力データの処理、機械学習のための特徴抽出、逆伝搬(backpropagation)に基づく誤差計算などのような演算過程を処理することができる。このようなデータ処理を実行するためのプロセッサ110は、中央処理装置(CPU:central processing unit)、汎用グラフィック処理装置(GPGPU:general purpose graphics processing unit)、テンソル処理装置(TPU:tensor processing unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)などを含むことができる。上述したプロセッサ110の種類は一例示に過ぎないので、プロセッサ110の種類は本開示の内容に基づいて当業者が理解可能な範疇内で多様に構成可能である。
【0045】
プロセッサ110は、心電図測定のための電極が誤位置に置かれることによって発生する心電図信号のエラーを検出することができる。電極が誤位置に置かれるというのは、特定のリードの心電図信号を測定するための電極が正常位置を外れて置かれるものと理解することができる。電極が誤位置に置かれる場合、診断の不可能な心電図信号が測定されるか、又は測定された心電図信号によって誤診断が発生する確率が高くなる。このような問題を防止するために、プロセッサ110は、測定された心電図信号に基づいて、電極が誤位置に置かれることによって発生する心電図信号のエラーを検出することができる。
【0046】
例えば、プロセッサ110は、心電図信号を分析し、電極が誤位置に置かれることによって発生するリード逆転ケースを探知することができる。具体的には、プロセッサ110は、心電図信号に基づいて、心電図信号を測定するためのリードの間の相関関係を分析することができる。ここで、リードの間の相関関係は、測定されたリード別信号を基準にリードの間の心電図信号が何の連関性を有するかを示す分析結果と理解することができる。プロセッサ110は、測定された心電図信号に基づいて分析されたリードの間の相関関係を用いて、リード逆転ケースを探知することができる。プロセッサ110は、リードの間の相関関係に基づいて、どのリードの信号が電極が誤位置に置かれることによって逆転形態として測定されたかを検出することができる。ここで、リード逆転ケースの探知のための演算過程は、プログラムコードによって定義されたルール(rule)に基づくロジッグ(logic)によって実行することもでき、プログラムコードに基づくディープラーニングアルゴリズムに基づいて実行することもできる。このような演算過程により、プロセッサ110は、心電図信号測定のために使用されたすべてのリードに対して、どのリードの測定信号で何の逆転ケースが発生したかを容易に探知することができる。
【0047】
プロセッサ110は、心電図信号のエラーを検出することができるだけでなく、検出された心電図信号のエラーを復元することができる。プロセッサ110は、心電図信号のエラーを校正するために予め決定された復元情報に基づいて、検出された心電図信号のエラーを改善することができる。ここで、復元情報は、電極が誤位置に置かれるときに測定されるリード別信号を電極が正常位置に置かれるときに測定されるリード別信号に変換するために事前に定義された情報であり得る。すなわち、プロセッサ110は、復元情報を用い、エラーが検出された心電図信号を電極が正常位置に置かれるときに測定される信号に変換することができる。
【0048】
プロセッサ110によって実行される心電図信号のエラー検出及び復元過程は、疾患の診断などに正常に使用可能な心電図信号を確保するのに必要な病院環境のリソース(resource)を最小化することができる。例えば、心電図信号の測定のための電極設定が誤った状態で信号が測定されても、上述したエラー検出及び復元過程は、電極設定を再び行い、信号を再び測定しなければならない作業の煩わしさを最小化することができる。
【0049】
本開示の一実施例によるメモリ120はコンピューティング装置100で処理されるデータを保存して管理するためのハードウェア及び/又はソフトウェアを含む構成単位と理解することができる。すなわち、メモリ120は、プロセッサ110が生成するか又は決定した任意の形態のデータ及びネットワーク部130が受信した任意の形態のデータを保存することができる。例えば、メモリ120は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ、RAM(random access memory)、SRAM(static random access memory)、ROM(read-only memory)、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)、PROM(programmable read-only memory)、磁気メモリ、磁気ディスク、及び光ディスクのうちの少なくとも一つのタイプの保存媒体を含むことができる。また、メモリ120は、データを所定の体制で統制して管理するデータベース(database)システムを含むこともできる。上述したメモリ120の種類は一例示に過ぎないので、メモリ120の種類は本開示の内容に基づいて当業者が理解可能な範疇内で多様に構成可能である。
【0050】
メモリ120は、プロセッサ110が演算を実行するのに必要なデータ、データの組合せ、及びプロセッサ110で実行可能なプログラムコード(code)などを構造化及び組職化して管理することができる。例えば、メモリ120は、後述するネットワーク部130を介して受信した医療データを保存することができる。メモリ120は、神経回路網モデルが医療データを受けて学習を実行するように動作させるプログラムコード、神経回路網モデルが医療データを受け、コンピューティング装置100の使用目的に応じて推論を行うように動作させるプログラムコード、及びプログラムコードが実行されることによって生成された加工データなどを保存することができる。
【0051】
本開示の一実施例によるネットワーク部130は任意の形態の公知の有無線通信システムを介してデータを送受信する構成単位と理解することができる。例えば、ネットワーク部130は、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)、広帯域符号分割多重接続(WCDMA(登録商標):wideband code division multiple access)、LTE(long term evolution)、ワイブロ(WiBro:wireless broadband internet)、5世代移動通信(5G)、超広帯域無線通信(ultrawide-band)、シグビー(ZigBee(登録商標))、無線周波数(RF:radio frequency)通信、無線LAN(wireless LAN)、ワイファイ(wireless fidelity)、近距離無線通信(NFC:near field communication)、又はブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))などのような有無線通信システムを使用してデータ送受信を行うことができる。上述した通信システムは一例示に過ぎないので、ネットワーク部130のデータ送受信のための有無線通信システムは上述した例示の他に多様に適用可能である。
【0052】
ネットワーク部130は、任意のシステム又は任意のクライアントなどとの有無線通信を介して、プロセッサ110が演算を実行するのに必要なデータを受信することができる。また、ネットワーク部130は、任意のシステム又は任意のクライアントなどとの有無線通信を介して、プロセッサ110の演算によって生成されたデータを送信することができる。例えば、ネットワーク部130は、病院環境内のデータベース、医療データの標準化などの作業を行うクラウドサーバー、又はコンピューティング装置などとの通信を介して医療データを受信することができる。ネットワーク部130は、前述したデータベース、サーバー、又はコンピューティング装置などとの通信を介して、神経回路網モデルの出力データ、及びプロセッサ110の演算過程で導出される中間データ、加工データなどを送信することができる。
【0053】
図2は本開示の一実施例による心電図信号のエラー復元過程を示すブロック図である。そして、
図4は本開示の一実施例によるリード逆転の際に発生する信号を説明する表である。
【0054】
図2を参照すると、心電図信号のエラー復元のためのコンピューティング装置200は、入力データ210のエラーを検出するための逆転感知モジュール220と、入力データ210のエラーを校正するための復元モジュール230と、を含むことができる。本開示で、入力データ210は、少なくとも一つのリードに対応する心電図信号を含むことができる。入力データ210は心電図測定のための装置で生成されてコンピューティング装置200に伝達されることができる。コンピューティング装置200が心電図信号の測定のための電極を含む場合、入力データ210はコンピューティング装置200で直接生成されることもできる。
【0055】
逆転感知モジュール220は、フィルターユニット222と、相関関係分析ユニット224と、ケース分類ユニット226と、を含むことができる。
【0056】
フィルターユニット222は、入力データ210の分析が容易になるように、入力データ210のノイズをフィルタリングすることができる。例えば、フィルターユニット222は、入力データ210のうちで分析対象となる特定の周波数帯域の成分のみを通過させるバンドパスフィルター(band pass filter)を含むことができる。バンドパスフィルターは、入力データ210のうちで0.5Hz~50Hzの信号のみを通過させることができる。ただし、0.5Hz~50Hzという数値は一例示に過ぎないので、本開示はこのような数値に限定されない。フィルターユニット222は、電源ケーブルなどで発生する電源ノイズであるハム音(mains hum)を減少させるためのノッチフィルター(notch filter)などをさらに含むことができる。
【0057】
相関関係分析ユニット224は、リード別相関関係を分析することができる。相関関係分析ユニット224の相関関係分析は、入力データ210又はフィルターユニット222の出力データに基づいて実行することができる。相関関係分析ユニット224は、リードの間の心電図信号がリード別に何の関連性を有するかを分析することにより、リードの間の心電図信号関係を示すN×Nの大きさ(Nは自然数)の相関関係マトリックスを生成することができる。例えば、入力データ210が12リード心電図信号を含む場合、相関関係分析ユニット224は、12個のリードが何の形態的相関関係を有するかを分析し、12×12の大きさの相関関係マトリックスを生成することができる。12×12の大きさの相関関係マトリックスを生成するための演算過程は下記の[数1]を参照することができる。
【0058】
【0059】
前記数1で、Xは心電図信号であり、Cはチャネル又はリードであり、Tは時間であり、Aは隣接行列(Adjacency Matrix)であり得る。E[X]は確率変数Xの期待値であり得る。
【0060】
このように、相関関係分析ユニット224は、心電図信号を基準に全体リードの間の相関関係を単一のマトリックスに整理することができる。相関関係分析ユニット224は、ケース分類ユニット226が複雑な信号関係を手軽く解釈することができるように、全体リードの信号関係を相関関係マトリックスで表現することができる。すなわち、ケース分類ユニット226は、相関関係分析ユニット224によって生成されたマトリックスを用いてリード別信号の特徴解釈を容易に実行し、リード逆転を効果的に検出することができる。
【0061】
ケース分類ユニット226は、相関関係分析ユニット224で生成された相関関係マトリックス又は相関関係情報に基づいて、入力データ210に含まれた信号のリード逆転有無を判断し、リード逆転ケースを分類することができる。例えば、ケース分類ユニット226は、相関関係マトリックスに含まれた情報と事前に決定された正常ケースの間一致程度を比較することにより、リード逆転が存在するかを判断することができる。そして、ケース分類ユニット226は、判断結果に基づいて相関関係マトリックスでリード逆転ケースを分類することができる。ケース分類ユニット226は、第1神経回路網モデルを用いて相関関係マトリックスに基づいて、入力データ210に存在するリード逆転ケースを分類することもできる。第1神経回路網モデルは、視覚化したマトリックスを受けてリード逆転ケースを検出するための畳み込み(convolutional)神経回路網などを含むことができる。第1神経回路網モデルは、リード逆転が存在しない正常ケースのマトリックスをラベル(label)とする教師あり学習(supervised learning)に基づいて学習され得る。ただし、神経回路網モデルは、教師あり学習以外にも教師なし学習(unsupervised learning)、強化学習(reinforce learning)などの学習に基づいて学習され得る。
【0062】
一方、本開示の代案的実施例によれば、相関関係分析ユニット224の演算及びケース分類ユニット226の演算は第2神経回路網モデルに代替され得る。例えば、第2神経回路網モデルは、入力データ210又はフィルターユニット222の出力データを受けてリード逆転ケースを分類することができる。第2神経回路網モデルは、入力データ210又はフィルターユニット22の出力データに基づいてリード別信号の相関関係を解釈するための特徴を抽出し、特徴に基づいてリード逆転ケースを分類するように学習され得る。ここで、第2神経回路網モデルは、セルフアテンションに基づく演算を実行する神経回路網を含むことができる。
【0063】
復元モジュール230は、事前に決定された復元情報に基づいて、逆転感知モジュール220によってエラーが検出された心電図信号を復元することができる。復元モジュール230は、復元情報によって、ケース分類ユニット226によって検出されたリード逆転ケースを校正することができる。復元モジュール230は、心電図信号の復元のために、リード逆転ケース別対応信号テーブル(table)(以下、復元テーブルという)を復元情報として用いることができる。復元テーブルは、正常リードの心電図信号とリード逆転が発生した心電図信号との間の変換関係を示すテーブル形態の情報であり得る。ここで、正常とは、電極の配置が正常であるリード信号測定のために決定された位置に付着された状態と理解することができる。復元テーブルは
図4を参照することができる。例えば、
図4の復元テーブルによれば、左腕電極と右腕電極が後先になって付着されたLA/RAリードの場合、リードIは反転信号であり、リードII及びリードIIIが変更され得る。(LeadI→-(LeadI)、LeadII→LeadIII、LeadIII→LeadII)
【0064】
図4のテーブルで、「-」は極性が反転された信号を意味し、「≒」はほぼ同一の信号を意味し得る。CWはRA→LA→LL→RA方向の回転を意味し、CCWはRA→LL→LA→RA方向の回転を意味し得る。復元モジュール230は、
図4のテーブルを含む復元テーブルに基づいて、リード逆転が発生した心電図信号を正常リードの心電図信号に変換することにより、エラーが存在する心電図信号を復元することができる。一方、本開示の心電図信号エラー復元方法は12リードのうちで四肢リードを中心に説明したが、適用対象はこれに限定されず、5リード、3リード又は他のリード形態の心電図測定方式も含むことができる。
【0065】
また、
図2を参照すると、出力データ240はリード逆転が発生した心電図信号を正常リードの心電図信号に復元したデータであり得る。出力データ240は多様な形態のクライアントに伝達され、ディスプレイ装置を介して表示され得る。
【0066】
心電図信号のエラーを復元するためのコンピューティング装置200は心電図信号測定のための装置に結合された形態又は含まれた形態として使用されることもでき、別途の装置で実行されることもできる。そして、コンピューティング装置200によって実行される復元方法は心電図信号測定装置から物理的に離れた位置のサーバー又はコンピューティング装置で実施され得る。そして、コンピューティング装置200によって実行される復元方法は、測定された信号をネットワークを介して受信して分析し、分析結果を再びネットワークを介して送信する方式で実施され得る。
【0067】
図3は本開示の一実施例による心電図電極付着位置及びこれに対応するリードを説明する図である。
【0068】
図3を参照すると、標準12リード(又は12誘導)心電図は、四肢リード(Limb leads)及び胸部リード(Precordial leads)を含むことができる。四肢リードは、四肢に付着される4個の電極(以下、四肢電極という)を含むことができる。そして、胸部リードは、胸部に付着される6個の電極(以下、胸部電極という)を含むことができる。
【0069】
四肢電極は、右腕電極RA、左腕電極LA、右脚電極RL及び左脚電極LLを含むことができる。右脚電極RLは共通電極又は接地電極であり得る。四肢電極は、右腕、左腕、右脚、左脚に対応する位置にそれぞれ付着され得る。
【0070】
胸部電極(又は前胸部電極)は、第1胸部電極V1、第2胸部電極V2、第3胸部電極V3、第4胸部電極V4、第5胸部電極V5及び第6胸部電極V6を含むことができる。
【0071】
四肢リードは、標準四肢リードであるLeadI、II、II、及び増幅四肢リードであるaVR、aVL、aVFを含むことができる。四肢リードのうちで標準四肢リードは双極リードであるので、両電極間の電圧差が心電図記録計に記録された痕跡を意味し得る。例えば、第1リードL1は右腕電極RAと左腕電極LAとの間の電圧差、第2リードL2は右腕電極RAと左脚電極LLとの間の電圧差、第3リードL3は左腕電極LAと左脚電極LLとの間の電圧差を意味し得る。第1心電図信号又は第1チャネル信号は第1リードL1で生成される信号であり、第2心電図信号又は第2チャネル信号は第2リードL2で生成される信号であり、第3心電図信号又は第3チャネル信号は第3リードL3で生成される信号であり得る。四肢リードのうちで増幅四肢リードは単極リードであるので、右腕電極RA、左腕電極LA及び左脚電極LLのそれぞれに対応する第4心電図信号から第6心電図信号を生成することができる。
【0072】
胸部リードは単極リードであるので、胸部電極のそれぞれに対応する第7心電図信号から第12心電図信号を生成することができる。
【0073】
上述した説明は標準12リード心電図測定のための一例示に過ぎないので、本開示はこのような例示に限定されない。
【0074】
図5は本開示の一実施例による神経回路網モデルを説明する図である。
【0075】
図5を参照すると、リード逆転を検出するための神経回路網モデル320は、心電図信号の測定のための全体リードの関連性を示す相関関係データ310を入力として心電図信号のうちでリード逆転ケース330を分類することができる。ここで、相関関係データ310は
図2の相関関係分析ユニット224で生成された相関関係マトリックスであり得る。
【0076】
神経回路網モデル320は、リードの間の心電図信号関係を示す相関関係マトリックスを受けてリード別心電図信号関係の特徴を解釈することができる。神経回路網モデル320は、特徴解釈過程で入力に存在する信号のうちでリード逆転が存在するかを判断することができる。そして、神経回路網モデル320は、判断結果に基づいて入力信号のうちでリード逆転ケースを分類することができる。
【0077】
例えば、神経回路網モデル320は、相関関係マトリックスに基づいて12リードのうちで四肢リードに対するリード逆転ケースを分類することができる。12リードのうちで四肢リードに対するリード逆転ケースを分類するためのアルゴリズムは下記の[数2]を参照することができる。
【0078】
【0079】
Zはリード逆転を判断するための心電図信号のうちで四肢リード3個に対する相関関係マトリックスであり得る。θはリード逆転ケースを分類する神経回路網モデルのパラメーターであり得る。例えば、flatten()は多次元配列空間を1次元に平坦化する関数であり得る。
【0080】
図6は本開示の一実施例による心電図信号エラー復元方法を示すフローチャートである。
【0081】
図1及び
図6を参照すると、本開示の一実施例によるコンピューティング装置100は、心電図信号を獲得することができる(S110)。コンピューティング装置100は心電図測定装置と連結され、測定された心電図信号又はネットワークを介して伝達された心電図信号を用いることができる。ここで、コンピューティング装置100が獲得する心電図信号は、標準12リード方式で測定された心電図信号、及び5リード、3リード又は多様なリード方式で測定された心電図信号を含むことができる。
【0082】
例えば、心電図信号を獲得するために身体に付着される電極は、標準12リード方式によって四肢の末端部に付着される複数の四肢電極及び胸部の所定の位置に付着される複数の胸部電極のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0083】
例えば、心電図信号は、標準12リード方式によって、右腕に対応する第1電極及び左腕に対応する第2電極に基づいて生成される第1心電図信号、前記第1電極及び左脚に対応する第3電極に基づいて生成される第2心電図信号、又は前記第2電極及び前記第3電極に基づいて生成される第3心電図信号のうちの一つ以上を含むことができる。
【0084】
コンピューティング装置100は、リードの間の相関関係に基づいて心電図信号のエラーを推定することができる(S120)。コンピューティング装置100は、獲得された心電図信号に基づいて、リードの間の心電図信号関係を示す相関関係マトリックスを生成することができる。そして、コンピューティング装置100は、相関関係マトリックスに基づいて、獲得された心電図信号のうちでリード逆転が発生した心電図信号を検出することができる。コンピューティング装置100は、リード別心電図信号の間の相関関係を計算する過程で入力信号を前処理するか、又は加重値などを考慮して相関関係マトリックスを生成することもできる。
【0085】
コンピューティング装置100は、相関関係マトリックスに基づいて、獲得された心電図信号のうちでリード逆転が発生した心電図信号を検出する過程で、事前に学習された第1神経回路網モデルに相関関係マトリックスを入力し、獲得された心電図信号のうちで前記リード逆転が発生した心電図信号を分類することができる。コンピューティング装置100は、事前に学習されたセルフアテンションに基づく第2神経回路網モデルに前記心電図信号を入力し、前記心電図信号のうちでリード逆転が発生した心電図信号を分類することができる。
【0086】
コンピューティング装置100は、心電図信号のノイズを除去するために、バンドパスフィルターを用い、前記獲得された心電図信号から前記相関関係を分析するための対象信号を抽出することができる。
【0087】
コンピューティング装置100は、エラーが推定された心電図信号を復元して使用者に提供することができる(S130)。コンピューティング装置100は、正常リードの心電図信号とリード逆転が発生した心電図信号との間の変換関係を示す復元テーブルを活用して、リード逆転が推定された心電図信号を復元することができる。例えば、復元テーブルは
図4で説明するテーブルを含むことができる。
【0088】
本開示の一実施例による心電図信号エラー復元方法により、心電図電極が誤って付着されてリード逆転が発生した場合にも、誤って付着された電極に対する情報及びリード逆転ケースを正確に判断することができる。そして、本開示の一実施例による心電図信号エラー復元方法により、電極を再び付けるか又は信号を再測定することなしに心電図信号を迅速に提供することができる。
【0089】
前述した本開示の多様な実施例は追加の実施例と結合することができ、上述した詳細な説明から当業者が理解することができる範疇内で変更可能である。本開示の実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解しなければならない。例えば、単一型として説明したそれぞれの構成要素は分散して実施することもでき、同様に分散されたものとして説明した構成要素も結合した形態として実施することができる。よって、本開示の特許請求の範囲の意味、範囲及びその均等概念から導出されるすべての変更又は変形の形態を本開示の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0090】
22 :フィルターユニット
100 :コンピューティング装置
110 :プロセッサ
120 :メモリ
130 :ネットワーク部
200 :コンピューティング装置
210 :入力データ
220 :逆転感知モジュール
222 :フィルターユニット
224 :相関関係分析ユニット
226 :ケース分類ユニット
230 :復元モジュール
240 :出力データ
310 :相関関係データ
320 :神経回路網モデル
330 :リード逆転ケース
【国際調査報告】