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特表2024-533530複合ジンセノシド組成物を含む抗炎症組成物
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  • 特表-複合ジンセノシド組成物を含む抗炎症組成物 図1
  • 特表-複合ジンセノシド組成物を含む抗炎症組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】複合ジンセノシド組成物を含む抗炎症組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/258 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240905BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240905BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K36/258
A61K8/9789
A61Q19/00
A61Q11/00
A61P1/02
A61P17/00
A61P29/00
A23L33/105
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516622
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 KR2021015893
(87)【国際公開番号】W WO2023042959
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122350
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514012085
【氏名又は名称】ビーティージン カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】オー、ジン‐ファン
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ユル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン-ヘ
(72)【発明者】
【氏名】リ、ヒュン-チョル
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ヨ-ジン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD64
4B018MD90
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4B018MF12
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC02
4C083CC41
4C083DD17
4C083DD23
4C083EE13
4C083EE31
4C083FF01
4C088AB18
4C088AC11
4C088BA08
4C088CA03
4C088CA25
4C088MA02
4C088MA17
4C088MA43
4C088NA14
4C088ZA67
4C088ZA89
4C088ZB11
(57)【要約】
【課題】 副作用が少ないかないと共に抗炎症活性効果を示す天然物質組成物を提供する
【解決手段】本発明者らは、溶媒を用いて紅参から複合ジンセノシドを抽出し、これを吸着樹脂に吸着させた後に溶媒で脱離させて部分精製し、紅参濃縮液を混合して抗炎症活性を試験した結果、抗炎症活性が顕著であることを確認し、これを用いて抗炎症組成物を製造した。この組成物は、食品、皮膚外用剤、化粧料組成物などに利用可能である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)紅参を抽出及び濃縮して紅参濃縮物を得る段階;
2)紅参濃縮物を溶解した後、合成吸着樹脂カラムに通過させて吸着した後にエタノールで脱離させ、ジンセノシドRb1、Rb2、Rc及びRdを含む複合ジンセノシドを得る段階;
3)複合ジンセノシドをアルファ-ガラクトシダーゼで処理して発酵複合ジンセノシドを得る段階;及び
4)前記1)段階で得た紅参濃縮物に、前記3)段階で得た発酵複合ジンセノシドを加えて複合ジンセノシド組成物を得る段階により得られ、ジンセノシド化合物K100重量部に対して、ジンセノシドRg3(R+S)、ジンセノシドF2、ジンセノシドRh2、及びジンセノシドRb1がそれぞれ7重量部以上で含まれている複合ジンセノシド組成物を有効成分として含有する抗炎症組成物。
【請求項2】
前記複合ジンセノシド組成物は、ジンセノシド化合物K100重量部に対して、ジンセノシドRg3(R+S)が20重量部以上、ジンセノシドF2が8重量部以上、ジンセノシドRh2が12重量部以上、及びジンセノシドRb1が8重量部以上含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の抗炎症組成物。
【請求項3】
前記複合ジンセノシド組成物は、ジンセノシド化合物Kが100mg/g以上、ジンセノシドRg3(R+S)、ジンセノシドF2、ジンセノシドRh2、及びジンセノシドRb1がそれぞれ8mg/g以上含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の抗炎症組成物。
【請求項4】
1)、2)及び4)段階の紅参濃縮物は、粉末状態又は液状であることを特徴とする、請求項1に記載の抗炎症組成物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項の抗炎症組成物を含む、皮膚炎症治療用の皮膚外用剤組成物。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項の抗炎症組成物を含む、化粧料組成物。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項の抗炎症組成物を含む、薬学組成物。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項の抗炎症組成物を含む、口腔内炎症予防又は改善用の歯磨き組成物。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか一項の抗炎症組成物を含む、口腔内炎症予防又は改善用の口腔清潔剤組成物。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか一項の抗炎症組成物を含む、食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紅参から抽出及び加工した複合ジンセノシド組成物を含む抗炎症組成物及びこれを含む薬学組成物、化粧料、食品、歯磨き、口腔清潔剤などに関する。
【0002】
本発明は、韓国中小ベンチャー企業部の支援によって行った課題の結果であることを明らかにする(課題固有番号:1425147780、課題名:抗ムシ歯効能を有する紅参特異サポニン抽出物の事業化及び効能検定)。
【0003】
【背景技術】
【0004】
炎症は、損傷、感染又は免疫系によって外来物質として認識された分子に対する体内反応のことをいう。炎症は、組織の疼痛、腫脹又は機能変化を特徴とする。炎症性疾患は、組織又は器官において免疫系が異常レベルに活性化されることを特徴とし、これは組織又は器官において機能異常や疾患を誘発することがある。
【0005】
炎症性疾患は全世界的に主要な死亡原因の一つである。炎症性疾患は、様々な器官及び組織、例えば、血管、心臓、脳、神経、関節、皮膚、肺、眼、胃腸管、腎臓、甲状腺、副腎、膵臓、肝及び筋肉に侵犯する。炎症性疾患の治療は、製薬会社と研究者等にとって関心の対象である。この分野における最近の多い研究にもかかわらず、現在の炎症性疾患に対する療法には、非特異的薬物によって症状を緩和させること、炎症を減少させること、及び疾病への進行を遅らせることなどがあるが、このような療法には薬物副作用及び耐性という深刻な問題がある。
【0006】
現在、抗炎症剤としては非ステロイド性消炎剤(non-steroidal anti-inflammatory drugs,NSAIDS)が広く使用されている。しかし、非ステロイド性消炎剤は、腎臓障害、胃腸管障害、肝障害などの深刻な副作用を伴うことが知られている(Rainsford KD.,Subcell biochem.,42:3-27,2007;Guruprasad P.Aithal.,Rheumatology.,7:139-150,2011;Praveen P.N.Rao et al.,Pharmaceuticals.,3:1530-1549,2010)。
【0007】
そこで、天然物質から抗炎症活性効果を示し、副作用が少ないかない新しい薬物を見出すための研究が活発に行われている。
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、副作用が少なすかないと共に抗炎症活性効果を示す天然物質組成物を提供することを目的に、人参から抽出したジンセノシド及びこれを含む混合物が抗炎症作用を示すことを究明し、これに基づいて強力な抗炎症物質を提供しようとする。
【0010】
また、本発明は、上記の抗炎症物質を用いた食品、薬品、化粧料、口腔清潔剤、歯磨きなどを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、溶媒、好ましくは食用可能な溶媒を用いて人参から複合ジンセノシドを抽出し、これを吸着樹脂に吸着させた後に溶媒で脱離させて部分精製した後、紅参抽出濃縮物を混合して複合ジンセノシド組成物を製造した後、抗炎症活性を試験した結果、抗炎症活性が顕著であることを確認した。
【0012】
この組成物は、口内炎、歯肉炎などの口腔炎症の予防又は治療剤、歯磨き組成物、皮膚外用剤、化粧料組成物、食品などに利用可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の複合ジンセノシド組成物は、NO生成抑制、親炎症性サイトカイン発現抑制、及び優れた抗炎症活性を示した。
【0014】
したがって、本発明の複合ジンセノシド組成物は、抗炎症薬学組成物、口内炎症予防又は治療用の歯磨き組成物、口腔清潔剤をはじめとする口腔用組成物、皮膚炎症治療用皮膚外用剤組成物、化粧料組成物、食品組成物などに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】BTEX-K試料を濃度別に処理した後にLPSで炎症を誘発し、48時間後にNO生成を確認した結果である(**p<0.01、***p<0.001は対照群と比較)。
【0016】
図2】BTEX-K試料を濃度別に処理した後にLPSで炎症を誘発し、48時間後に親炎症性サイトカイン生成を確認した結果である(*p<0.05、**p<0.01は対照群と比較)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、
【0018】
1)紅参を抽出及び濃縮して紅参濃縮物を得る段階;
【0019】
2)紅参濃縮物の一部を溶解させて吸着樹脂カラムに通過させて吸着させた後にエタノールで脱離させ、ジンセノシドRb1、Rb2、Rc、及びRdを含む複合ジンセノシドを得る段階;
【0020】
3)複合ジンセノシドをアルファ-ガラクトシダーゼで処理して発酵複合ジンセノシドを得る段階;及び
【0021】
4)上記の1)段階で得た紅参濃縮物に上記の3)段階で得た発酵複合ジンセノシドを加えて複合ジンセノシド組成物を得る段階;を経て得、
【0022】
ジンセノシド化合物K 100重量部に対してジンセノシドRg3(R+S)、ジンセノシドF2、ジンセノシドRh2、及びジンセノシドRb1がそれぞれ7重量部以上、好ましくは7重量部以上30重量部以下、より好ましくは10重量部以上30重量部以下で含まれている複合ジンセノシド組成物を有効成分として含有する抗炎症組成物に関する。
【0023】
上記の4)段階において、紅参濃縮物:発酵複合ジンセノシド=1~9:9~1(w/w)、好ましくは2~8:8~2、より好ましくは3~7:7~3、さらに好ましくは4~6:6~4の比率に混合し、特に好ましくはジンセノシド化合物K 100重量部に対してジンセノシドRg3(R+S)、ジンセノシドF2、ジンセノシドRh2、及びジンセノシドRb1がそれぞれ7重量部以上、とりわけ好ましくは7重量部以上30重量部以下、なかんずく好ましくは10重量部以上30重量部以下で含まれるように混合する。
【0024】
また、本発明は、前記複合ジンセノシド組成物がジンセノシド化合物K 100重量部に対してジンセノシドRg3(R+S) 20重量部以上、ジンセノシドF2 8重量部以上、ジンセノシドRh2 12重量部以上、及びジンセノシドRb1 8重量部以上が含まれていることを特徴とする抗炎症組成物に関する。
【0025】
また、本発明は、前記複合ジンセノシド組成物がジンセノシド化合物K 100mg/g以上、ジンセノシドRg3(R+S)、ジンセノシドF2、ジンセノシドRh2及びジンセノシドRb1がそれぞれ8mg/g以上、好ましくは8mg/g以上30mg/g以下、より一層好ましくは10mg/g以上30mg/g以下で含まれていることを特徴とする抗炎症組成物に関する。
【0026】
前記吸着樹脂カラムは、特に制限はないが、多孔性吸着樹脂カラムが好ましく、より好ましくはHP2MG又はHP-20のうち一つ以上であることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、上記の1)、2)及び4)段階の紅参濃縮物が粉末状態又は液状であることを特徴とする抗炎症組成物に関する。
【0028】
また、本発明は、前記抗炎症組成物を含む皮膚炎症治療用の皮膚外用剤組成物に関する。
【0029】
また、本発明は、前記抗炎症組成物を含む化粧料組成物に関する。
【0030】
また、本発明は、前記抗炎症組成物を含む炎症予防又は治療用の薬学組成物に関する。一具現例において、前記薬学組成物は、経口型剤形、外用剤、坐剤、滅菌注射溶液、及び噴霧剤からなる群から選ばれる一つ以上の剤形であってよい。
【0031】
また、本発明は、前記抗炎症組成物を含む口腔炎症予防又は改善用の歯磨き組成物に関する。
【0032】
また、本発明は、前記抗炎症組成物を含む口腔炎症予防又は改善用の口腔清潔剤組成物に関する。
【0033】
また、本発明は、前記抗炎症組成物を含む炎症予防又は改善用の食品組成物に関する。
【0034】
本発明で使われる用語「食品」とは、栄養素を1種又はそれ以上含有している天然物又は加工品を意味し、好ましくは、ある程度の加工工程を経て直接食べられるような状態のものを意味し、通常の意味として、食品、食品添加剤、機能性食品、健康機能食品、健康補助食品及び飲料などのいずれをも含んでよい。本発明の食品組成物は、非制限的な例として、各種の飲料、ガム、茶、菓子、ビタミン複合体、健康補助食品などの形態で製造されてよい。本発明の食品組成物の好ましい摂取量は、摂取者の状態、体重、症状の程度、食品形態、摂取期間によって異なり、適切に選択されてよい。本発明の食品組成物は、有効成分が1日に0.2mg/kg~200mg/kgで摂取されるようにすることが最適の効果のために好ましい。
【0035】
前記複合ジンセノシド組成物を有効成分として含有する抗炎症組成物は、薬剤学的分野において通常的に許容される担体と共に配合して通常の方法によって注射剤、経口投与、塗布剤の形態などに剤形化できる。例えば、液剤、シロップ剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末、軟膏、エマルジョン、ゲル、クリームなどに製剤化でき、それは様々な経路で投与できる。様々な剤形のうち、例えば、注射用組成物は等張性水溶液又は懸濁液が好ましく、言及した組成物は滅菌され、及び/又は補助剤(例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤又は乳化剤溶液促進剤、浸透圧調節のための塩/又は緩衝剤)を含有する。また、これらは、その他治療的に有用な物質を含有できる。薬剤学的に許容可能な担体には、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、ソルビトール、マンニトール、澱粉、ガムアカシア、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどが含まれる。前記組成物には、また、潤滑剤、潤滑剤、風味剤、乳化剤及び防腐剤などがさらに含まれてよい。本発明の組成物は、顆粒剤、散剤、液剤、錠剤、カプセル剤又は乾燥シロップ剤などの経口用製剤又は注射剤などの非経口用剤形に製剤化できるが、このような剤形に限定されるものではない。
【0036】
このように製造された薬剤学的製剤は、目的に応じて、皮下投与、筋肉投与、経口投与、静脈投与、皮膚塗布、口腔塗布、歯肉塗布などで投与でき、容量は、1日投与量0.001μg/kg~100mg/kgを1回又は数回に分けて投与できる。特定患者に対する投与容量の程度は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、投与時間、投与方法、疾患の重症度などによって変化できる。
【0037】
また、前記複合ジンセノシド組成物を有効成分として含有する抗炎症組成物は、皮膚炎症治療用の皮膚外用剤であることを特徴とする。本発明の抗炎症組成物を有効成分とする塗布剤は、通常の製造方法によっていかなる形態でも容易に製造できる。例えば、クリーム型塗布剤を製造する場合には、一般的な水中油型(O/W)又は油中水型(W/O)のクリームベースに本発明の抗炎症組成物を含有させ、ここに香料、キレート剤、色素、酸化防止剤、防腐剤などを必要によって使用する一方、物性改善を目的にタンパク質、ミネラル、ビタミンなどの合成又は天然素材を併用できる。
【0038】
また、本発明は、前記複合ジンセノシド組成物を有効成分として含有する抗炎症組成物を主成分とする化粧料組成物に関する。pH調節剤、香料、乳化剤、防腐剤などを必要によって付加し、通常の化粧料製造方法によって化粧水、ゲル、水溶性パウダー、脂溶性パウダー、水溶性リキッド、クリーム又はエッセンスなどに剤形化できる。
【0039】
また、本発明は、前記複合ジンセノシド組成物を有効成分として含有する口腔内炎症予防又は改善用の歯磨き組成物に関する。マスティックオイル、プロポリス抽出物、ピロリン酸ナトリウム、フルオロ化ナトリウム、酢酸トコフェロール、ヒドロキシアパタイト、甘味剤、粘増剤、研磨剤、湿潤剤又は界面活性剤などを必要によって付加し、通常の歯磨き組成物の製造方法によって剤形化できる。
【0040】
また、本発明は、前記複合ジンセノシド組成物を有効成分として含有する口腔内炎症予防又は改善用の口腔用組成物に関する。可溶化剤、湿潤剤、界面活性剤、潤滑剤、香料、甘味剤、防腐剤又は薬効剤などを必要によって付加し、通常の口腔用組成物の製造方法によって剤形化でき、ガム(gum)、口腔洗浄剤、口腔清潔剤、口腔用スプレー、口腔用軟膏剤、口腔用パッチ又はこれらの組合せからなる群から選ばれる剤形に製造できる。
【実施例
【0041】
以下、本発明の具体的な方法を、実施例を挙げてより詳細に説明する。ただし、本発明の範囲がこれらの実施例の記載によって限定されるものでないことは、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0042】
【0043】
実施例1:複合ジンセノシド製造
【0044】
韓国産乾燥紅参(4年根)を購入して実験原料とした(チュンチョンナムドクムサン,ドクウォン人参)。複合ジンセノシドは乾燥紅参から抽出した。乾燥紅参10kgを50%エタノールで60℃で12時間3回反復抽出及び濃縮して紅参濃縮液を得た。
【0045】
紅参濃縮液は合計5.6kg(63brix)であったし、その5.5kgを水に溶かした後、合成吸着樹脂(HP2MG,ミツビシケミカル、又はHP-20,Diaion)が充填されているカラムに通過させて吸着させた後に95%エタノールで脱離させ、ジンセノシドRb1、Rb2、Rc及びRdなどを含む複合ジンセノシド460gを得た。
【0046】
【0047】
実施例2:紅参濃縮液粉末製造
【0048】
実施例1で製造した紅参濃縮液5.6kgのうち100gを別に取って減圧濃縮し、71gの紅参濃縮液粉末を得た。
【0049】
【0050】
実施例3:発酵複合ジンセノシド製造
【0051】
上の実施例1で得た複合ジンセノシド100gを基質にして50mM酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH 4.5)でアスペルギルス属由来のアルファ-ガラクトシダーゼ(0.75g)と60℃恒温水槽で84時間以上反応させて発酵複合ジンセノシド(41g)を製造した。
【0052】
このように製造した発酵複合ジンセノシドには、ジンセノシド化合物K、ジンセノシドF2、ジンセノシドRh2などが含まれている。
【0053】
【0054】
実施例4:複合ジンセノシド組成物(以下、「BTEX-K」と混用する。)製造
【0055】
実施例3で製造した発酵複合ジンセノシド100gに、実施例2で調製した紅参濃縮液粉末40gを混合し、複合ジンセノシド組成物BTEX-Kを製造した。
【0056】
複合ジンセノシド組成物BTEX-Kには、ジンセノシド化合物K=100mg/gの他にもジンセノシドF2、ジンセノシドRh2などの様々なジンセノシドが含まれている。
【0057】
[表1]
【0058】
実験例1:細胞生存率分析(MTT assay)
【0059】
1)96ウェルプレートに細胞(Raw 264.7)をウェル当たり8×103個シードした後、CO2培養器内で24時間培養した。
【0060】
2)培地を除去し、エタノールを用いた試料抽出物が濃度別に添加された100ulの新しい培地に替えた後、24時間培養した。
【0061】
[表2]
【0062】
3)MTT溶液を添加して4時間反応させた。4)吸光度は、分光光度計を用いて450nm(420~480nm)波長で測定した(referenceは600nm)。
【0063】
【0064】
実験例2:NO生成測定
【0065】
1)細胞(Raw 264.7)を10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地に懸濁した。
【0066】
2)懸濁した細胞をウェルプレートに各ウェル当たり8×103個シードした後、CO2培養器内で24時間培養した。
【0067】
3)培養24時間後に、付着した細胞をPBSで2回洗浄した後、新しい培地を加え、下表のような濃度に希釈した試料を24時間前処理した後、100ng/ml LPS(Escherichia coli 0111;B4)を処理した。その後、48時間培養した。
【0068】
[表3]
【0069】
4)48時間後に遠心分離して上澄液を取り、グリース試薬(Griess reagent)(0.2% N-(1-ナフチル基)エチレンジアミン溶液:0.2%スルファニルアミド溶液=1:1)を用いて540nmで吸光度を測定した。
【0070】
5)検量線は、亜硝酸ナトリウム溶液を用いて作成し、吸光度によって亜硝酸塩の濃度を計算した。
【0071】
6)活性は、LPSのみを処理した群と比較する方法で評価した。
【0072】
【0073】
実験例3:サイトカイン測定(ELISA)
【0074】
1)細胞(Raw 264.7)を10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地に懸濁した。
【0075】
2)懸濁した細胞を96ウェルプレートに各ウェル当たり8×103個シードした後、CO2培養器内で24時間培養した。
【0076】
3)24時間後に、付着した細胞をPBSで2回洗浄した後、新しい培地に表3のような濃度に希釈した検索試料を24時間前処理した後、100ng/ml LPS(Escherichia coli 0111;B4)を処理し、その後、48時間を培養した。
【0077】
[表4]
【0078】
4)48時間後に遠心分離して上澄液を取り、マウスELISAキット(R&D Systemes,Inc.,USA)を用いてIL-1β、IL-6を定量した。
【0079】
【0080】
結果1:細胞生存力
【0081】
試料が溶けている溶媒がエタノールであるので、エタノールに対するRaw 264.7細胞の細胞生存力を調べた。エタノールを濃度別にRaw 264.7細胞培養液に添加して24時間培養後にMTT分析で確認した結果、2%以上のエタノール濃度から始まってRaw 264.7細胞が40%以上死ぬことを確認した。したがって、試料溶媒のエタノール濃度を1%以下に固定した。
【0082】
また、陽性対照群である濃度別ジンセノシド化合物Kに対するRaw 264.7の細胞生存力を確認した。20ug/mlのジンセノシド化合物Kの濃度から始まってRaw 264.7細胞の生存力が減少することが確認できた。したがって、ジンセノシド化合物K試料の濃度を1、5及び10ug/mlと固定して次の実験を行った。
【0083】
また、試料BTEX-Kを濃度別に投与してRaw 264.の細胞生存力を確認した。30ug/mlのBTEX-K濃度から始まってRaw 264.7細胞の生存力が減少することが確認できた。したがって、BTEX-K試料濃度を5、10及び20ug/mlと固定して次の実験を行った。
【0084】
炎症誘導試薬であるLPSを濃度別にRaw 264.7細胞に処理し、細胞生存力とNO生成を試験した。100ng/mlと200ng/mlのLPS濃度で細胞生存力が増加したし、NO生成は、100ng/mlのLPS濃度でのみ増加した。したがって、LPSの濃度を100ng/mlと確定して実験を行った。
【0085】
【0086】
結果2:酸化窒素生成
【0087】
図1のようにRaw 264.7細胞にBTEX-Kを濃度別に処理して24時間培養した後、100ng/mlのLPSを添加して48時間後にNO濃度を確認した結果、20ug/ml BTEX-Kの濃度において有意な減少を確認した(**p<0.01)。
【0088】
【0089】
結果3:親炎症性サイトカイン測定
【0090】
Raw 264.7細胞にBTEX-Kを濃度別に処理して24時間培養した後、100ng/mlのLPSを添加して48時間後にサイトカイン生産を確認した結果、20ug/ml BTEX-Kの濃度においてIL-6とIL-1βにおいて有意な減少をそれぞれ確認した(*p<0.05、**p<0.01)。
【0091】
【0092】
抗炎症実験前にジンセノシド化合物KとBTEX-Kの両試料ともエタノールに溶けているので、抗炎症実験に使用するRaw 264.7細胞のエタノールに対する細胞生存力をまず確認した。約1%エタノールまでは細胞生存力への影響が少なかったが、それ以上の濃度ではRaw 264.7細胞の生存力に影響を及ぼすことを確認した。したがって、エタノールの濃度が1%を超えることは適切でないことが分かる。
【0093】
また、ジンセノシド化合物KとBTEX-Kの濃度によるRaw 264.7細胞の生存力を確認し、実験に使用する適正濃度を決めた。その結果、ジンセノシド化合物Kは、20ug/mlの濃度においてRaw 264.7細胞の生存力が減少したし、BTEX-Kは、30ug/mlの濃度から始まってRaw 264.7細胞の生存力が減少することを確認した。したがって、後に行われる抗炎症実験の適正濃度を、ジンセノシド化合物Kは1、5、10ug/mlと、BTEX-Kは5、10、20ug/mlと固定した。
【0094】
また、LPSの炎症誘発最適濃度をNO生成によって確認した結果、LPS 100ng/mlの濃度においてNO生成が最適であった。したがって、ジンセノシド化合物KとBTEX-Kの両試料を、上で決めた濃度別にRaw 264.7細胞に処理した後、LPS 100ng/mlを処理してNO生成を確認した結果、BTEX-K20ug/mlの濃度において有意なNO生成減少を確認した。
【0095】
また、サイトカイン生成実験においてもBTEX-K 20ug/mlの処理時に、IL-6とIL-1βのサイトカインの減少が有意に確認された。しかし、ジンセノシド化合物KではNO及びサイトカインの生成がそれぞれ減少及び増加する傾向性を示し、有意性はなかった。
【0096】
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の複合ジンセノシド組成物は、抗炎症薬学組成物、口内炎症予防又は治療用歯磨き組成物、口腔清潔剤を始めとする口腔用組成物、皮膚炎症治療用の皮膚外用剤組成物、化粧料組成物、食品組成物などに応用可能である。
図1
図2
【国際調査報告】