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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】熱力学サイクル
(51)【国際特許分類】
   F01K 3/12 20060101AFI20240905BHJP
   F25B 30/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F01K3/12
F25B30/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516633
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 GB2022052346
(87)【国際公開番号】W WO2023041920
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】2113321.0
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518182689
【氏名又は名称】フェトゥ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェントン,ジョナサン
(57)【要約】
熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置を動作させる方法であって、熱力学装置は、第1の熱交換器と、膨張サブチャンバと、第2の熱交換器とを一連の流れで備え、本方法は、膨張サブチャンバの容積を増加させることにより第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で流体流れを送り込むことと、膨張サブチャンバ内の流体を第1の熱交換器から流体的に隔離することと、流体の圧力を吸入圧力から低下させるために膨張サブチャンバの容積をさらに増加させることにより、膨張サブチャンバ内の流体を膨張させることと、膨張サブチャンバを第2の熱交換器に流体的に連結することと、膨張サブチャンバの容積を減少させることにより、流体を膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送することと、により、流体を膨張サブチャンバを介して第1の熱交換器から第2の熱交換器まで移送することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置を動作させる方法であって、
熱力学装置は、第1の熱交換器と、膨張サブチャンバと、第2の熱交換器とを一連の流れで備え、方法は、
膨張サブチャンバの容積を増加させることにより、第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で流体流れを送り込むことと、
膨張サブチャンバ内の流体を第1の熱交換器から流体的に隔離することと、
流体の圧力を吸入圧力から低下させるために膨張サブチャンバの容積をさらに増加させることにより、膨張サブチャンバ内の流体を膨張させることと、
膨張サブチャンバを第2の熱交換器と流体的に連結することと、
膨張サブチャンバの容積を減少させることにより、流体を膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送することと、
により、膨張サブチャンバを介して流体を第1の熱交換器から第2の熱交換器まで移送することと、を含み、
流体流れを第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で送り込むプロセスは実質的に等圧である、方法。
【請求項2】
熱力学装置は圧縮サブチャンバを備え、方法は、
圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより、流体を、移送圧力で第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離することと、
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させることと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
圧縮サブチャンバを第1の熱交換器に流体的に連結することと、
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、流体を圧縮サブチャンバから出して第1の熱チャンバまで移送することと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
膨張サブチャンバから出て行く流体の温度は、圧縮サブチャンバから出て行く流体の温度にほぼ等しい、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
膨張サブチャンバの容積をさらに増加させることにより、膨張サブチャンバ内の流体を膨張させるプロセスは、ほぼ断熱である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
流体流れを第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送するプロセスは、実質的に等圧である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させるプロセスは、ほぼ断熱である、請求項3に従属する場合の請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
装置は膨張チャンバおよび第1のピストンを備え、膨張サブチャンバは、膨張チャンバおよび第1のピストンによって画定される可変容積の一態様である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
流体流れを第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ送り込むために膨張サブチャンバの容積が増加されるステップは、第1のピストンと膨張チャンバとの間での第1の方向における相対移動が存在する吸気行程の吸入フェーズ中に生じる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
膨張サブチャンバの容積をさらに増加させるステップは、第1のピストンと膨張サブチャンバとの間での第1の方向の連続的な相対移動が存在する吸気行程の膨張フェーズ中に生じる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
膨張サブチャンバの容積を減少させることにより、流体流れを膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送するステップは、吸気行程における相対移動の方向と反対である第2の方向における第1のピストンおよび膨張チャンバの相対移動が存在する排気行程中に生じる、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
装置は圧縮チャンバおよび第2のピストンを備え、圧縮サブチャンバは圧縮チャンバおよび第2のピストンによって画定される可変容積の一態様であり、圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより、流体流れを移送圧力で第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送するステップは、第2のピストンおよび圧縮チャンバの相対移動が存在する吸気行程中に生じる、請求項3に従属する場合の請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させるステップは、圧縮サブチャンバの吸気行程における相対移動の方向と反対である方向における第2のピストンの相対移動が存在する排気行程の圧縮フェーズ中に行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1のピストンおよび第2のピストンは互いに一体である、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
第1の熱交換器から膨張サブチャンバ内の流体が流体的に隔離されることは、吸気行程中の10%~90%の間の所定のポイントで生じる、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
膨張サブチャンバおよび圧縮サブチャンバは往復機械内の第1のピストンのいずれかの側に位置し、第1のピストンの移動は膨張サブチャンバおよび圧縮サブチャンバの容積を変化させる、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
膨張サブチャンバおよび圧縮サブチャンバは異なる往復機械内に位置する、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
熱力学装置は第2の膨張サブチャンバおよび第2の圧縮サブチャンバを備え、方法は、
流体流れが第1の膨張サブチャンバ内に送り込まれて膨張させられるにつれて、第2の膨張サブチャンバの容積を減少させることにより、流体流れを移送圧力で第2の膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送するステップを含む、請求項2~5、請求項8、あるいは請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
流体流れが第2の膨張サブチャンバから出されるように移送されるにつれて、第2の圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより、流体流れを第2の熱交換器から出して第2の圧縮サブチャンバの中へ移送するステップと、
第2の圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離するステップと、
第2の圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、第2の圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させるステップと、
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第2の圧縮サブチャンバを第1の熱交換器に流体的に連結するステップと、
第2の圧縮サブチャンバの容積を減少させることを継続することにより、前記流体流れを第2の圧縮サブチャンバから出して第1の熱交換器まで移送するステップと、
を含み、
これらのステップは、流体流れが第1の膨張サブチャンバから第2の熱交換器まで移送されるときに生じる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
装置が熱機関として稼働するように構成され、第2の熱交換器を通過するときの流体から熱が除去される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
装置はヒートポンプとして稼働するように構成され、第2の熱交換器を通過するときの流体に熱が加えられる、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置であって、
装置は膨張サブチャンバを備え、
膨張サブチャンバの容積を増加させることにより、流体流れを膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で送り込むことと、
膨張サブチャンバ内の流体を流体的に隔離することと、
流体の圧力を吸入圧力から低下させるために膨張サブチャンバの容積をさらに増加させることにより、膨張サブチャンバ内の流体を膨張させることと、
膨張サブチャンバを熱交換器と流体的に連結することと、
膨張サブチャンバの容積を減少させることにより、流体流れを膨張サブチャンバから出して前記熱交換器まで移送することと、
を行うように構成され、
第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で流体流れを送り込むプロセスは実質的に等圧となるように構成されている、熱力学装置。
【請求項25】
第1の熱交換器と、
第2の熱交換器であって、流体が第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ送り込まれ、膨張サブチャンバから第2の熱交換器まで移送される、第2の熱交換器と、
を備える、請求項24に記載の熱力学装置。
【請求項26】
熱力学装置は圧縮サブチャンバを備え、装置は、
圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより、流体流れを移送圧力で第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送するように構成されている、請求項25に記載の熱力学装置。
【請求項27】
装置は、
圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離することと、
流体の圧力を増加させるために圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、圧縮サブチャンバ内の流体を圧縮することと、を行うように構成されている、請求項26に記載の熱力学装置。
【請求項28】
装置は、
圧縮サブチャンバを第1の熱交換器に流体的に連結することと、
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、流体流れを圧縮サブチャンバから出して第1の熱チャンバまで移送することと、
を行うように構成されている、請求項27に記載の熱力学装置。
【請求項29】
装置は膨張チャンバおよび第1のピストンを備え、膨張サブチャンバは、膨張チャンバおよび第1のピストンによって画定される可変容積の一態様である、請求項24~28のいずれか一項に記載の熱力学装置。
【請求項30】
膨張サブチャンバの容積は、第1のピストンと膨張チャンバとの間での第1の方向における相対移動が存在する吸気行程の吸入フェーズ中に第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ流体流れを送り込むために増加されるように構成されている、請求項29に記載の熱力学装置。
【請求項31】
装置が、吸気行程の膨張フェーズ中に流体の圧力を低下させるために膨張サブチャンバの容積をさらに増加させるように構成され、ここでは、第1のピストンおよび膨張チャンバの相対移動が第1の方向に移動するのを継続するように構成される、請求項30に記載の熱力学装置。
【請求項32】
第1のピストンは、膨張サブチャンバの容積を減少させ、膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで流体流れを移送するために、排気行程中に膨張チャンバに対して、第1の方向と反対である第2の方向に移動するように構成されている、請求項30または31に記載の熱力学装置。
【請求項33】
装置は圧縮チャンバおよび第2のピストンを備え、圧縮サブチャンバは圧縮チャンバおよび第2のピストンによって画定された可変容積の一態様であり、圧縮サブチャンバの容積は第2のピストンおよび圧縮チャンバの相対移動が存在する吸気行程中に増加されるように構成されている、請求項27に従属する場合の請求項31または32に記載の熱力学装置。
【請求項34】
装置は、パワートレインを駆動するための、または発電のための熱機関として機能するように構成されている、請求項24~33のいずれか一項に記載の熱力学装置。
【請求項35】
装置はヒートポンプとして機能するように構成され、装置が装置を駆動するためのモータを備える、請求項24~33のいずれか一項に記載の熱力学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置を動作させる方法、および、熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱力学サイクルは、最初、19世紀初頭に、先ずは熱をパワーに変換するものとして開発されて、且つそのようなものとして分類され、次いで、冷凍およびヒートポンプシステムにおいて低い温度から高い温度へと熱を伝達するためにパワーを使用するものとしてもさらに開発された。
【0003】
熱力学サイクルは、通常、流体を圧縮したり膨張させたりするための、および、周囲環境との間で熱を伝達するための一連のプロセスから構成される。
【0004】
カルノーサイクルと名付けられた元々の理論サイクルは、ヒートシンクへ熱が伝達されるときに熱源から抽出され得る仕事の最大量を画定する。理想カルノーサイクルは、一定温度での膨張プロセスと、後続する一定エントロピーでの膨張プロセスと、後続する一定温度での圧縮プロセスと、後続する一定エントロピーでの圧縮プロセスと、を含む。これは図1に示される。
【0005】
スターリングサイクルなどの他の理論的で理想的なサイクルも説明する。スターリングサイクルは、一定温度での膨張プロセスと、後続する一定容積での膨張プロセスと、後続する一定温度での圧縮プロセスと、後続する一定容積での圧縮プロセスと、を含む。ブレイトンサイクルは、一定圧力での膨張プロセスと、後続する一定エントロピーでの膨張プロセスと、後続する一定圧力での圧縮プロセスと、後続する一定エントロピーでの圧縮プロセスと、を含む。
【0006】
これらのプロセスのさらなる改良点として、熱伝達プロセス中に相変化する作動流体の選定のタイミングがある。最も一般的な例はブレイトンサイクルの変形形態であるランキンサイクルであり、ランキンサイクルは、熱遮断プロセス中に作動流体を凝縮させることおよび、熱吸収プロセス中に作動流体を蒸発させることを組み込む。これらの圧縮プロセスおよび膨張プロセスは、名目上は一定圧力のプロセスであるが、相変化ゆえに、これらのプロセスは一定温度プロセスともなる。ランキンサイクルは、火力発電所での作動流体として水を使用する、大部分の発電システムの基礎を形成するものであり、さらには熱から電気を生成するための有機ランキンサイクルシステムのための基礎ともなっている。
【0007】
しかし、実際には、理想的な熱力学サイクルはシステム内での損失ゆえに達成され得ない。したがって、現実の熱力学サイクルは、理想的なサイクルに可能な限り近づくことを目指す。
【0008】
熱をパワーに変換するための、または熱を伝達するのにパワーの入力を利用するための実用的な機械を作ることはある程度の妥協を必要とする。これらの実用的な機械は、傾向として、閉サイクル内を循環して圧縮および/または膨張を受ける流体を含む。
【0009】
機械内の摩擦は排除され得ないものであり、これは、圧縮プロセスおよび膨張プロセスが無損失ではなく、したがって可逆でもないことを意味する。
【0010】
二相の作動流体が使用される場合、或る圧縮技術および膨張技術はプロセス中の液体浸入または液体形成の悪影響から保護されることを必要とする。例えば、或る種類のタービンは入口を乾燥ガスにする必要がある。或る種類の圧縮機は入口を完全に液体がない状態にすることを必要とし、さらには圧縮プロセス中に液体が形成されないことを必要とする。他の種類の圧縮機は入口にある霧状ミストの液滴に耐えることはできるが、高い頻度で、より大きい塊の液体に対処することはできない。これらの予防措置のすべてで機械の用途範囲が制限される可能性があり、あるいは、その複雑さが増したりまたはその熱力学的効率が低下したりする可能性がある。或る事例では、液滴は圧縮機または膨張機の深刻な物理的損傷の原因となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上で言及した欠点のうちの少なくともいくつかの欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示によれば、特許請求の範囲に記載される、熱力学装置、および、熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置として構成された熱力学装置を動作させる方法が提供される。従属請求項および以下の記述から本発明の他の特徴が明らかとなる。
【0013】
第1の態様によれば、熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置を動作させる方法が提供され、熱力学装置は、一第1の熱交換器と、膨張サブチャンバと、第2の熱交換器とを一連の流れで備え、本方法は、膨張サブチャンバの容積を増加させることにより第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で流体流れを送り込むことと、膨張サブチャンバ内の流体を第1の熱交換器から流体的に隔離することと、流体の圧力を吸入圧力から低下させるために、膨張サブチャンバの容積をさらに増加させることにより膨張サブチャンバ内の流体を膨張させることと、膨張サブチャンバを第2の熱交換器に流体的に連結することと、膨張サブチャンバの容積を減少させることにより流体を膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送することと、により、膨張サブチャンバを経て第1の熱交換器から第2の熱交換器まで流体を移送することを含む。
【0014】
上述の方法を提供することにより、第1の熱交換器と第2の熱交換器との間で膨張流体を運ぶための効率的な手法が可能となる。本方法は、必要に応じて高い仕事出力(work output)または高いエネルギー伝達を可能とし、多くの用途に跨って適用可能である。
【0015】
本熱力学装置は圧縮サブチャンバを備えることができ、本方法は、圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより、流体を移送圧力で第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送することを含む。
【0016】
本方法は、圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離することと、流体の圧力を増加させるために圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、圧縮サブチャンバ内の流体を圧縮すること、を含むことができる。言い換えると、本方法は、圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離することと、圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させることと、を含むことができる。
【0017】
本方法は、圧縮サブチャンバを第1の熱交換器に流体的に連結することと、圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、流体を圧縮サブチャンバから出して第1の熱チャンバまで移送することと、を含むことができる。
【0018】
一実施例では、膨張サブチャンバから出て行く流体の温度は、圧縮サブチャンバから出て行く流体の温度にほぼ等しい。
【0019】
第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で流体流れを送り込むプロセスは、実質的に等圧となり得る。
【0020】
膨張サブチャンバの容積をさらに増加させることにより膨張サブチャンバ内の流体を膨張させるプロセスは、ほぼ断熱となり得る。
【0021】
流体流れを第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送するプロセスは、実質的に等圧となり得る。
【0022】
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させるプロセスは、ほぼ断熱となり得る。
【0023】
本装置は膨張チャンバを備えることができ、第1のピストンを備えることができ、膨張サブチャンバは、膨張チャンバおよび第1のピストンによって画定される可変容積の一態様(aspect)となり得る。
【0024】
一実施例では、第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ流体流れを送り込むために膨張サブチャンバの容積が増加されるステップは、第1のピストンと膨張チャンバとの間での第1の方向における相対移動が存在する吸気行程の吸入フェーズ中に行われる。
【0025】
上記流体が第1の閾値圧力に達するようになる所定の体積に達するまで膨張サブチャンバの容積をさらに増加させるステップは、第1のピストンと膨張サブチャンバとの間での第1の方向の連続的な相対移動が存在する吸入行程の膨張フェーズ中に行われることができる。
【0026】
膨張サブチャンバの容積を減少させることにより流体流れを膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送するステップは、吸入行程における相対移動の方向と反対である第2の方向における第1のピストンおよび膨張チャンバの相対移動が存在する排気行程中に行われる。
【0027】
本装置は圧縮チャンバを備えることができ、第2のピストンを備えることができ、圧縮サブチャンバは圧縮チャンバおよび第2のピストンによって画定される可変容積の一態様であり、ここでは、圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより、移送圧力で流体流れを第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送するステップは、第2のピストンおよび圧縮チャンバの相対移動が存在する吸入行程中に行われる。
【0028】
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させるステップは、圧縮サブチャンバの吸入行程における相対移動の方向と反対である方向における第2のピストンの相対移動が存在する排気行程の圧縮フェーズ中に行われることができる。
【0029】
第1のピストンおよび第2のピストンは互いに一体であってよい。
【0030】
膨張サブチャンバおよび圧縮サブチャンバは往復機械内の第1のピストンのいずれかの側に位置することができ、ここでは、第1のピストンの移動は膨張サブチャンバおよび圧縮サブチャンバの容積を変化させる。
【0031】
膨張サブチャンバおよび圧縮サブチャンバは異なる往復機械内に位置することができる。
【0032】
熱力学装置は第2の膨張サブチャンバおよび第2の圧縮サブチャンバを備えることができ、本方法は、第2の膨張サブチャンバの容積を減少させることにより流体流れを移送圧力で第2の膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送することを含み、流体流れは送り込まれて第1の膨張サブチャンバ内で膨張させられる。
【0033】
本方法は、第2の圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより流体流れを第2の熱交換器から出して第2の圧縮サブチャンバの中へ移送することであって、流体流れが第2の膨張サブチャンバから出て行くように移送される、流体流れを移送することと、第2の圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離することと、流体の圧力を増加させるために第2の圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより第2の圧縮サブチャンバ内の流体を圧縮することと、を含むことができる。言い換えると、本方法は、第2の圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離するステップと、第2の圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより第2の圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させるステップと、を含む。
【0034】
本方法は、第2の圧縮サブチャンバを第1の熱交換器に流体的に連結することと、第2の圧縮サブチャンバの容積を減少させることを継続することにより前記流体流れを第2の圧縮サブチャンバから出して第1の熱交換器まで移送することと、を含むことができ、ここでは、これらのステップは、第1の膨張サブチャンバから第2の熱交換器まで流体流れが移送されるときに行われる。
【0035】
本装置は熱機関として稼働するように構成されてもよく、熱は第2の熱交換器を通過するときの流体から除去される。
【0036】
本装置はヒートポンプとして稼働するように構成されてもよく、熱は流体が第2の熱交換器を通過するときに加えられる。
【0037】
第2の実施例によれば、熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置が提供され、ここでは、装置は膨張サブチャンバを備え、膨張サブチャンバの容積を増加させることにより膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で流体流れを送り込むことと、膨張サブチャンバ内の流体を流体的に隔離することと、流体の圧力を吸入圧力から低下させるために膨張サブチャンバの容積をさらに増加させることにより、膨張サブチャンバ内の流体を膨張させることと、膨張サブチャンバを熱交換器に流体的に連結することと、膨張サブチャンバの容積を減少させることにより流体慣れを膨張サブチャンバから出して上記熱交換器まで移送することと、を行うように構成される。
【0038】
本装置は第1の熱交換器および第2の熱交換器を含むことができ、ここでは、流体は第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ送り込まれ、膨張サブチャンバから第2の熱交換器まで移送される。
【0039】
熱力学装置は圧縮サブチャンバを備え、装置は、圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより移送圧力で流体流れを第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送するように構成される。
【0040】
本装置は、圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離することと、流体の圧力を増加させるために圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、圧縮サブチャンバ内の流体を圧縮することと、を行うように構成され得る。言い換えると、本装置は、圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離することと、圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させることと、を行うように構成され得る。
【0041】
本装置は、圧縮サブチャンバを第1の熱交換器に流体的に連結することと、圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより流体流れを圧縮サブチャンバから出して第1の熱チャンバまで移送することと、を行うように構成され得る。
【0042】
本装置は膨張チャンバを備えることができ、第1のピストンを備えることができ、膨張サブチャンバは、膨張チャンバおよび第1のピストンによって画定される可変容積の一態様である。
【0043】
膨張サブチャンバの容積は、第1の方向における相対移動が存在する吸気行程の吸入フェーズ中に第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ流体流れを送り込むために増加されるように構成されてもよい。
【0044】
本装置は、第1のピストンおよび膨張チャンバの相対移動が第1の方向に移動するのを継続するように構成される吸気行程の膨張フェーズ中に膨張サブチャンバの容積をさらに増加させるように構成される。
【0045】
第1のピストンは、膨張サブチャンバの容積を減少させ、流体流れを膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送するために、排気行程中に膨張チャンバに対して、第1の方向と反対である第2の方向に移動するように構成され得る。
【0046】
本装置は圧縮チャンバおよび第2のピストンを備え、圧縮サブチャンバは圧縮チャンバおよび第2のピストンによって画定された可変容積の一態様であり、ここでは、圧縮サブチャンバの容積は、第2のピストンおよび圧縮チャンバの相対移動が存在する吸気行程中に増加されるように構成される。
【0047】
第3の態様によれば、熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置を動作させる方法が提供されてもよく、本方法は、圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより吸入圧力で第1の熱交換器から圧縮サブチャンバの中へ流体流れを誘導することと、圧縮サブチャンバ内の流体を第1の熱交換器から流体的に隔離することと、圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させることと、圧縮サブチャンバを第2の熱交換器に流体的に連結することと、膨張サブチャンバの容積をさらに減少させることにより、流体流れを圧縮サブチャンバから出して第2の熱交換器まで誘導することと、を含む。
【0048】
別の態様によれば、流体体積を変化させる方法が提供されてもよく、この方法は、流体を第1の熱交換器から膨張サブチャンバまで誘導することと、膨張サブチャンバ内の流体を第1の熱交換器から隔離することと、膨張サブチャンバ内の流体を、前記流体が第1の閾値圧力に達するまで膨張させることと、を含む。
【0049】
一実施例では、熱機関またはヒートポンプのための装置が提供され、この装置は、第1の膨張サブチャンバであって、第1の膨張サブチャンバ吸気行程および第1の膨張チャンバ排気行程を循環するように構成される、第1の膨張サブチャンバと、第1の圧縮サブチャンバであって、第1の圧縮サブチャンバ吸気行程および第1の圧縮サブチャンバ排気行程を循環するように構成されている、第1の圧縮サブチャンバと、を備え、ここでは、本装置は、膨張サブチャンバ吸気行程中に流体を膨張サブチャンバに入れるための膨張サブチャンバ入口ポートと、膨張サブチャンバ排気行程中に流体を膨張サブチャンバから出すための膨張サブチャンバ出口ポートと、圧縮サブチャンバ吸気行程中に流体を圧縮サブチャンバに入れるための圧縮サブチャンバ入口ポートと、圧縮サブチャンバ排気行程中に流体を圧縮サブチャンバから出すための圧縮サブチャンバ出口ポートと、を装備し、ここでは、本装置は、第1の膨張サブチャンバ吸気行程の第1のパート中に膨張チャンバ入口ポートを開くように、および第1の膨張サブチャンバ吸気行程の第2のパート中に膨張チャンバ入口ポートを閉じるように、構成され、ここでは、本装置は、第1の圧縮サブチャンバ排気行程の第1のパート中に圧縮サブチャンバ出口ポートを閉じるように、および第1の圧縮サブチャンバ排気行程の第2のパート中に圧縮サブチャンバ出口ポートを開くように、構成される。
【0050】
第1の膨張サブチャンバおよび第1の圧縮サブチャンバは逆位相で動作するように構成され得る。
【0051】
一実施例では、第2の膨張サブチャンバ吸気行程および第2の膨張サブチャンバ排気行程を循環するように構成された第2の膨張サブチャンバであって、第1および第2の膨張サブチャンバは逆位相で動作するように構成される、第2の膨張サブチャンバと、第2の圧縮サブチャンバ吸気行程および第2の圧縮サブチャンバ排気行程を循環するように構成された第2の圧縮サブチャンバであって、第1および第2の圧縮サブチャンバは逆位相で動作するように構成される、第2の圧縮サブチャンバと、が存在し、ここでは、それぞれの吸気行程中に流体を各膨張サブチャンバに入れるための膨張チャンバ入口ポートが提供され、それぞれの排気行程中に流体を各膨張サブチャンバから出すための膨張サブチャンバ出口ポートが提供され、圧縮サブチャンバ入口ポートは、それぞれの吸気行程中に作動流体を各圧縮サブチャンバに入れるために提供され、圧縮サブチャンバ出口ポートは、それぞれの排気行程中に流体を各圧縮サブチャンバから出すために提供され、ここでは、本装置は、各膨張サブチャンバ吸気行程の第1のパート中に膨張サブチャンバ入口ポートをそれぞれの膨張サブチャンバに対して開けるように、および各膨張サブチャンバ吸気行程の第2のパート中に膨張サブチャンバ入口ポートをそれぞれの膨張サブチャンバに対して閉じるように、構成され、本装置は、各膨張サブチャンバ排気行程の第1のパート中に圧縮サブチャンバ出口ポートをそれぞれの圧縮サブチャンバに対して閉じるように、および各圧縮サブチャンバ排気行程の第2のパート中に圧縮サブチャンバ出口ポートをそれぞれの圧縮サブチャンバに対して開けるように、構成される。
【0052】
一実施例では、本装置は、膨張サブチャンバ入口ポートが開けられるときに圧縮サブチャンバ出口ポートが閉じられることになるように、および圧縮サブチャンバ出口ポートが開けられるときに膨張チャンバ入口ポートが閉じられることになるように、構成される。
【0053】
別の態様によれば、第2の熱交換器から第1の熱交換器まで飽和流体を移送するための流体ポンプが提供され得る。流体ポンプは圧縮サブチャンバに追加されて使用され得るか、または圧縮サブチャンバに取って代わることができる。
【0054】
本開示は、性質および動作に関して通常は「容積式」と分類されるか、または称されることになる膨張設備と共に利用されるための熱力学サイクルに関連する。
【0055】
上で言及した特徴は種々の組み合わせとして一体に組み合わされる。
【0056】
次に、添付図面を参照しながら本開示の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】理想的なカルノーサイクルの圧力/容積線図を示すグラフである。
図2A】本開示による、熱機関またはヒートポンプとして構成された装置の第1の実施例を示す概略図である。
図2B】装置のサイクルを通しての圧力変化のチャート実施例を示すグラフである。
図3A】熱機関サイクル中の第1のポイントにおける図2Aの装置を示す概略図である。
図3B】熱機関サイクル中の第2のポイントにおける図2Aの装置を示す概略図である。
図3C】熱機関サイクル中の第3のポイントにおける図2Aの装置を示す概略図である。
図3D】熱機関サイクル中の第4のポイントにおける図2Aの装置を示す概略図である。
図3E】熱機関サイクル中の第5のポイントにおける図2Aの装置を示す概略図である。
図4A】サイクル中の流体の一般的な圧力/容積線図を示すグラフである。
図4B図1に示されるカルノーサイクルの圧力/容積サイクルと比較した、図4Aに示される本発明による圧力/容積サイクルを示す重ね合わせのグラフである。
図4C】サイクル中の流体の一般的な圧力/エンタルピー線図を示すグラフである。
図4D】サイクル中の流体の一般的な温度/エントロピー線図示すグラフである。
図5A】熱機関サイクル中の第1のポイントにおける、本開示による装置の第2の実施例を示す概略図である。
図5B】熱機関サイクル中の第2のポイントにおける、本開示による装置の第2の実施例を示す概略図である。
図5C】熱機関サイクル中の第3のポイントにおける、本開示による装置の第2の実施例を示す概略図である。
図5D】熱機関サイクル中の第4のポイントにおける、本開示による装置の第2の実施例を示す概略図である。
図5E】熱機関サイクル中の第5のポイントにおける、本開示による装置の第2の実施例を示す概略図である。
図5F】熱機関サイクル中の第6のポイントにおける、本開示による装置の第2の実施例を示す概略図である。
図6A】ヒートポンプサイクル中の第1のポイントにおける図2の装置を示す概略図である。
図6B】ヒートポンプサイクル中の第2のポイントにおける図2の装置を示す概略図である。
図6C】ヒートポンプサイクル中の第3のポイントにおける図2の装置を示す概略図である。
図6D】ヒートポンプサイクル中の第4のポイントにおける図2の装置を示す概略図である。
図6E】ヒートポンプサイクル中の第5のポイントにおける図2の装置を示す概略図である。
図7】本開示による、ヒートポンプとして構成された装置の第2の実施例を示す概略図である。
図8】本開示による、ヒートポンプまたは熱機関として構成された装置の第3の実施例を示す概略図である。
図9】方法のフローチャートの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、熱機関として機能する場合の理想的なカルノーサイクルの圧力/容積グラフを示す。このサイクルでは、作動流体が4つの熱力学プロセスを通過するように構成される。
【0059】
図1に示されるグラフのポイント1~ポイント2の間で、熱は一定温度Tで流体が低い温度のリザーバに等温的に伝達される。機関内の流体は温度Tで冷温リザーバに熱接触する。例えば、中に流体を収容するチャンバの容積を減少させるためにピストンを駆動することにより、周囲環境が流体に対して仕事をし、それにより熱エネルギーの量Qoutがシステムから離れて低い温度のリザーバに移り、系のエントロピーが低下する。
【0060】
図1に示されるグラフのポイント2~ポイント3の間で、流体は断熱圧縮(等エントロピー圧縮)を受ける。再び、機関内の流体は高温リザーバおよび低温リザーバから熱的に絶縁され、エンジンは無摩擦および、ひいては可逆になると仮定される。このステップ中、例えばピストンをさらに駆動して中に流体を収容するチャンバの容積をさらに減少させることにより、周囲環境が継続して流体に対して仕事をする。これは、流体内部エネルギーを増加させて、系に加えられる仕事により、その温度を再び上昇させてTにするという効果を有するが、エントロピーは変化しない状態を維持する。
【0061】
線図のポイント3では、流体は比較的小さい体積において比較的高い圧力状態にある。グラフのポイント3~ポイント4の間で、熱は一定の温度で高い温度のリザーバから可逆的に伝達される(つまり、等温加熱)。
【0062】
このステップ中、流体は膨張し、例えばピストンを押すことにより周囲環境に対して仕事をする。ポイント3~ポイント4で圧力が低下するが、流体の温度は、このプロセス中は変化しない。その理由は、流体がTで高温リザーバに熱接触して、それにより膨張が等温となるからである。熱エネルギーQinが高温のリザーバから吸収され、それにより流体のエントロピーが増加する。
【0063】
図1に示されるグラフのポイント4~ポイント1の間で、流体が高温リザーバおよび低温リザーバの両方から熱的に絶縁され、等エントロピー膨張(または、可逆断熱膨張)を受ける。流体は圧力低下により継続して膨張して、例えば継続してピストンを移動させて中に流体を収容するチャンバの容積を増加させることにより、周囲環境に対して仕事をする。流体は行われた仕事に等しい量の内部エネルギーを失うことになる。入熱のないガス膨張により、より「低温」である温度Tまで冷却されることになる。エントロピーは不変状態を維持する。
【0064】
このポイントで、流体はステップ1の開始と同じ状態に戻る。
【0065】
カルノーサイクルのこれらの4つのプロセスの各々はPV=Cのポリトロープ関係に従い、ここではnはポリトロープ指数である。
【0066】
ポリトロープ指数nが0に等しい場合、プロセスは等圧である。指数nが1に等しい場合、プロセスは等温である。これらのプロセスの両方で、熱および仕事の両方がプロセス中に伝達され得る。指数が使用される流体の比熱比(等エントロピー指数としても知られる)γと等しい場合、プロセスは等エントロピーである。指数nが増大してγを超えると、プロセスは傾向として等積に向かう(nは傾向として無限に向かう)。これは別の特別な事例であり、ここでは熱が伝達されるが周囲環境によりまたは周囲環境に対して仕事は行われない。
【0067】
上述のカルノーサイクルの例では、指数nは以下のように変化する。
ステップ1~2:-(等温圧縮):n=1
ステップ2~3:-(断熱圧縮):n=γ
ステップ3~4:-(等温膨張):n=1
ステップ4~1:-(断熱膨張):n=γ
【0068】
図2Aは、熱機関またはヒートポンプとして構成された装置100の非常に概略的な例を示す。装置100は流体の体積を変化させるように構成される。装置100は、流体を受け取るための膨張サブチャンバ102を含む。後でより詳細に説明されるように、装置100は、第1の熱交換器106と第2の熱交換器108との間で流体を受け取ったり流体を移送したりするように構成され得る。一実施例では、装置100は、第1の熱交換器106と、膨張サブチャンバ102と、第2の熱交換器108と、を一連の流れで含む。装置100は、第2の熱交換器108の後に位置する圧縮サブチャンバ104を一連の流れでさらに含むことができる。膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104は一体に流体変位装置101とみなされ得る。
【0069】
膨張サブチャンバ102は、膨張チャンバ103の一時的であるが可変サイズの一態様とみなされ得る。つまり、膨張サブチャンバ102の容積は装置100の動作を通して変化することができる。
【0070】
膨張チャンバ103は固定サイズのチャンバであってもよく、ここでは、第1のピストン112などの変位手段が膨張チャンバ103に対して移動することができ、それにより膨張サブチャンバ102の容積を変化させる。第1のピストン112は膨張チャンバ103に対して移動するように構成され、それにより膨張サブチャンバ102の容積を変化させる。第1のピストン112は、動作に応じて、膨張サブチャンバ102内の流体を圧縮するおよび/または膨張させるのに使用され得る。つまり、或る事例では、膨張チャンバ103は固定されてもよく、第1のピストン112は膨張サブチャンバ102の容積を変化させるように膨張チャンバ103を通って移動可能であってよい。他の実施例では、第1のピストン112および膨張チャンバ103の両方が膨張サブチャンバ102の容積を変化させるように移動する(例えば、第1のピストン112が単に回転することができる)。他の実施例では、第1のピストン112が固定されてもよく、膨張チャンバ103は膨張サブチャンバ102の容積を変化させるように移動することができる。これらの実施例では、第1のピストン112は膨張チャンバ103に対して移動するように構成され、それにより膨張サブチャンバ102の容積を変化させる。
【0071】
同様に、圧縮サブチャンバ104は、圧縮チャンバ105の一時的であるが可変サイズの一態様とみなされ得る。つまり、圧縮サブチャンバ104の容積は装置100の動作を通して変化することができる。圧縮チャンバ105は固定サイズのチャンバであってもよく、ここでは、第2のピストン114などの容積式手段が圧縮サブチャンバ104に対して移動することができ、それにより圧縮サブチャンバ104の容積を変化させることができる。
【0072】
圧縮チャンバ105内の第2のピストン114は、圧縮サブチャンバ104の容積を変化させるために圧縮チャンバ105をスイープするように構成され得る。第2のピストン114は、動作に応じて、圧縮サブチャンバ104内の流体を圧縮するおよび/または膨張させるのに使用され得る。つまり、或る事例では、圧縮チャンバ105は固定されるとみなされてもよく、第2のピストン114は圧縮サブチャンバ104の容積を変化させるために圧縮チャンバ105を通って移動可能であってよい。他の実施例では、第2のピストン114および圧縮チャンバ105の両方が圧縮サブチャンバ104の容積を変化させるために移動する(例えば、第2のピストン114は単純に回転することができる)。他の実施例では、第2のピストン114は固定されてもよく、圧縮チャンバ105は圧縮サブチャンバ104の容積を変化させるために移動することができる。
【0073】
ピストンは、本明細書では容積式手段を説明するのに使用されるが、任意の代替的な容積式手段も使用され得る。このような代替形態は限定しないがダイアフラムを含む。
【0074】
一実施例では、第1のピストン112および第2のピストン114は互いに一体である。例えば、第1のピストン112および第2のピストン114は、例えば図8に示されるように、1つの構成要素の上に設けられる。
【0075】
第1の熱交換器106は第1のリザーバとなり得る。或る実施例では、第1の熱交換器106は、装置100内の流体に加えられ得る熱エネルギーの供給源を提供する。
【0076】
第2の熱交換器108は第2のリザーバとなり得る。第2の熱交換器108はヒートシンクであってもよく、熱エネルギーは第2の熱交換器108を通過する流体から除去され得る。
【0077】
一実施例では、第1の熱交換器106および第2の熱交換器108の容積は膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104より桁違いに大きくなり得る。一実施例では、第1の熱交換器106および第2の熱交換器108は、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104の容積より5倍~15倍の間で大きく、好適には、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104の容積より少なくとも10倍(または、それ以上)大きい。膨張チャンバと比較してより大きい熱交換器を提供することにより、膨張プロセスおよび圧縮プロセスがチャンバ内熱伝達におけるポテンシャルを低減するために比較的迅速に進むことが可能となる。しかし、熱交換器内の熱伝達は比較的低速で進むことができる。つまり、容積のこの差は、後で説明する圧縮プロセスまたは膨張プロセスと比較して、比較的低速である熱交換プロセスを可能とする。「高速流・小容積の熱交換器(fast flowing small volume heat exchanger)」は、実在の熱機関または熱交換の用途では実用的ではなく、魅力的でもない。対照的に、本開示は、容積、表面積、および熱交換プロセス中の熱伝達を最大にすることを求める。さらに、熱交換器の容積が大きいと、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104に由来する圧力変動が低減され、圧力の任意の変化は無駄なエネルギーにしかならないことを考えると、可能な限り、実質的に等圧である流体移送プロセス中に圧力の変化をなくすことを積極的に追及する。
【0078】
或る実施例では、第1の熱交換器106および第2の熱交換器108の容積は同じにならない。
【0079】
実施例では、膨張サブチャンバ102を第1の熱交換器106および第2の熱交換器108に接続するための配管110またはダクトが存在し得る。装置100は、圧縮サブチャンバ104を第1の熱交換器106および第2の熱交換器108を接続するための配管110またはダクトをさらに含むことができる。
【0080】
一実施例では、装置100は、装置100の種々の要素の間に配置され得る複数の弁113を含む。例えば、第1の熱交換器106と膨張サブチャンバ102との間に1つ以上の弁が存在し得る。第1の熱交換器106と膨張サブチャンバ102との間の弁が閉じられていないとき、流体は第1の熱交換器106と膨張サブチャンバ102との間を流れることができる(あるいは意図される動作に応じて逆も同様である)。弁が2つの要素の間で開けられて流体がそれらの2つの要素の間で流れることができるようになると、これらの要素は流体的に一体に連結されたとみなされる。弁が閉じられると、第1の熱交換器106と膨張サブチャンバ102との間で流体が流れることが防止される(あるいは意図される動作に応じて逆も同様である)。弁が閉じられると、これらの要素は互いから流体的に隔離されたとみなされる。
【0081】
流体的に連結されるというのは、種々の要素の間で流体が流れることができることを意味する。流体的に連結される、は流体的に接続されるに類似する。
【0082】
一実施例では、膨張チャンバ103は入口ポート140を備えることができ、流体はこの入口ポート140を通って膨張サブチャンバ102の中へ流れることができる。膨張チャンバ103は出口ポート142をさらに含むことができ、流体はこの出口ポート142を通って膨張サブチャンバ102から出るように流れることができる。例えば、熱機関として動作する場合、膨張サブチャンバ102は流体を膨張チャンバ102の中へ送り込むために第1の熱交換器106と流体的に連結され、入口ポート140は開いているとみなされる。膨張サブチャンバ102が流体を第2の熱交換器108に移送するために第2の熱交換器108に流体的に連結される場合、出口ポート104は開いている。膨張サブチャンバ102が流体的に隔離される場合、入口ポート140および出口ポート142は閉じられる。圧縮チャンバ103は入口ポート144を備えることができ、流体はこの入口ポート144を通って圧縮サブチャンバ104の中へ流れることができる。圧縮チャンバ103は出口ポート146をさらに含むことができ、流体はこの出口ポート146を通って圧縮サブチャンバ104から出るように流れることができる。熱機関の実施例では、流体は、入口ポート144を通って第2の熱交換器108から流れるように、および、出口ポート146から出て第1の熱交換器106まで流れるように、構成される。
【0083】
一実施例では、ポート140、142、144、146は、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104の周りのハウジング内に配置され得る。
【0084】
第1の熱交換器106と膨張サブチャンバ102との間にある弁は、膨張チャンバ103の入口ポート140のところ、第1の熱交換器106のポートのところ、または第1の熱交換器106と膨張サブチャンバ102との間にある配管110内に、配置され得る。同様の弁が、膨張サブチャンバ102と第2の熱交換器108の間、第2の熱交換器108と圧縮サブチャンバ104との間、圧縮サブチャンバ104と第1の熱交換器106との間に存在し得る。他の実施例では、装置100は弁を含まないが、装置の配列は、必要に応じて種々の要素が流体的に隔離されることになるように/流体的に一体に連結されることになるように(例えば、装置の動作を通して、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104の相対位置によりポート140、142、144、146を開ける/閉じることにより)、設定される。
【0085】
或る実施例では、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104は単一のチャンバ内の単一のピストンのいずれかの側に位置することができる。つまり、膨張サブチャンバ102はピストンの第1の側の単一のチャンバの領域となってもよく、圧縮サブチャンバ104はピストンの第2の側の単一のチャンバの領域とみなされ得る。この実施例では、単一のピストンは、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104内の流体を圧縮する/膨張させるのに使用され得る。
【0086】
或る実施例では、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104は分離している別個のチャンバであり(つまり、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104は共通の壁もしくは境界、またはドライブトレインを共有しない)、ピストン112、114の移動はリンクされない。他の実施例では、膨張チャンバ103内のピストンおよび圧縮チャンバ105内のピストンはリンクされる。例えば、コネクティングロッドが、膨張チャンバ103内のピストン112および圧縮チャンバ105内のピストン114をフライホイール116などの移動機構に接続することができる。
【0087】
熱機関として稼働する装置100の実施例では、1つ以上のピストン112、114に対して仕事をする流体により、装置100から仕事が抽出されてもよく、それにより、或る実施例では、クランク、フライホイール、またはドライブシャフトが移動する。これらの仕事はパワートレインを駆動するのにまたは電気を生成するのに使用され得る。
【0088】
ヒートポンプとして稼働する装置100の実施例では、例えばピストンの移動により装置100に仕事が入力され得る。ピストン112、114を駆動するためにクランク付ドライブシャフトを駆動するのにモータが使用され得る。熱機関は1つの場所から別の場所に熱を伝達するのに使用され得る。
【0089】
或る実施例では、膨張サブチャンバ102の容積および圧縮サブチャンバ104の容積は実質的に等しい。他の実施例では、膨張サブチャンバ102の容積は圧縮サブチャンバの容積より大きい。或る実施例では、圧縮サブチャンバ104内にコネクティングロッドまたはピストンロッドが存在することが、膨張サブチャンバ102と圧縮サブチャンバ104との間の容積の所望の差の主要因となる。
【0090】
図2Bは、圧縮流体と併せて熱機関として構成される場合の、装置上で進む熱力学サイクル中の流体の圧力のチャート例を示す。他の実施例では、流体は部分的にまたは完全に飽和状態となってもよく、圧縮可能とならない可能性があり、第1の閾値圧力と第2の閾値圧力との間で圧送されることが必要とする可能性がある。
【0091】
x軸の角度は、1回のサイクルを通しての装置の相対位置を表す(0度はサイクルの開始であり、360度は装置がサイクルの開始と同じ位置に戻ることを表す)。
【0092】
図3A図3Eに示される装置100の種々のステップを考察する場合に図2Bを参照する。
【0093】
図3Aは、熱機関として稼働するように装置100が構成された実施形態による、装置100の実施例の初期の配置構成の概略図を示す。或る実施例では、膨張サブチャンバ102は第1のサブチャンバと称されてもよく、圧縮サブチャンバ104は第2のサブチャンバと称され得る。熱機関として稼働する装置100のこの実施例では、膨張チャンバ103の容積が圧縮チャンバ105の容積より大きくてよい。容積のこの差は、第2の熱交換器に入る熱が遮断されて第1の熱交換器106を通過する流体に熱が加えられるときの体積の減少の部分的な主要因となる。
【0094】
この概略的な実施例では、配管110は、装置の種々の要素の間を流体が流れることができるか否かを示すために(あるいは、ポートが開いているかまたは閉じているかを示すために)存在するものとしてまたは存在しないものとして示される。例えば、配管110の存在は要素の間で弁が開いていることを示すことができ、配管の不存在は、要素の間で弁が閉じていることを示すことができる。別法として、配管110の存在は、流体が流れるのを可能にするために接続された要素が互い対して開いていることになるような位置まで装置100の配列が移動したことを示すことができる。
【0095】
膨張サブチャンバ102の動作に焦点を当てると、図3Aは、最小容積にある膨張サブチャンバ102内のピストン112の初期の配置構成または開始ポイントの実施例を示している。この初期の配置構成では、膨張サブチャンバ102は第1の熱交換器106に流体的に連結される(つまり、入口ポートは開いている)。図3Aに示される初期の配置構成は図2Bのチャートのポイント200に対応する。
【0096】
図3Bはプロセス中の次のステップを示しており、ここでは、膨張サブチャンバ102内での吸気行程が開始された状態である。膨張サブチャンバ102と第1の熱交換器106との間の流体的な接続が開いている状態を維持する(例えば、入口ポートが開いている状態を維持する)。膨張サブチャンバ102の容積を増加させることにより、流体が第1の熱交換器106から膨張サブチャンバ102の中へ誘導される、または送り込まれる。一実施例では、膨張サブチャンバ102の容積を増加させるために第1のピストン112が膨張チャンバ103に対して移動することにより、流体が膨張チャンバ102の中へ送り込まれる。図3Bでは、ピストン112は吸気行程を開始しており、第1の方向に移動している。ピストン112の移動により第1の熱交換器106から膨張サブチャンバ102の中へ流体が送り込まれる。流体は吸入圧力で膨張サブチャンバ102の中へ送り込まれる。吸気行程の第1のパート(またはフェーズ)が吸入フェーズとして認識されてもよく、ここでは流体が膨張サブチャンバ102に送り込まれる。これが図2Bでステップ202のところに表される。
【0097】
図3Cはプロセス中の次のステップを示す(吸気行程の第2のパートまたは膨張フェーズ)。ピストン112の吸気行程の所定のポイントで、膨張サブチャンバ102が第1の熱交換器106から流体的に隔離される。言い換えると、膨張サブチャンバ102と第1の熱交換器106との間の流体的な接続を閉じる。つまり、入口ポートが閉じられる。これが図2Bのポイント204のところで示され、図3Cでは膨張サブチャンバ102と第1の熱交換器106との間の配管110が取り外されていることによって示される。しかし、実際には、これは、膨張サブチャンバ102と第1の熱交換器106との間の弁が閉じることによって生じる可能性があり、ならびに/あるいは、第1の熱交換器106に対して開いていない状態になるか、または流体連通されないような位置まで膨張サブチャンバ102が回転させられることにより生じる可能性がある。上で言及したように、弁は膨張チャンバもしくは第1の熱交換器(または、これらの両方)の入口ポートのところに配置され得るか、あるいは、膨張サブチャンバ102と第1の熱交換器106との間の配管内に配置され得る。
【0098】
膨張サブチャンバ102が第1の熱交換器106から流体的に隔離された後、ピストン112は、膨張サブチャンバ102の容積を増加させるように、膨張サブチャンバ102の中への流体の吸入フェーズ中と同じ方向(すなわち、第1の方向)への移動を継続する。つまり、ピストン112はその吸気行程を継続する。吸気行程のこの第2のパートは膨張フェーズとして知られており、図2Bではステップ206のところに示される。膨張サブチャンバ102の中へ送り込まれた流体が膨張フェーズの残りを通して膨張する。
【0099】
或る実施例では、膨張サブチャンバ102が流体的に隔離さされることになる吸気行程中の所定のポイントは、吸気行程の経過の50%となり得る。つまり、吸気行程の前半中、流体が膨張サブチャンバ102の中へ送り込まれる(すなわち、吸入フェーズ)。次いで、ピストン112が膨張チャンバ103の中間点を通過すると、膨張サブチャンバ102が第1の熱交換器106から流体的に隔離されることとなり、吸気行程の残りの50%が膨張サブチャンバ102内の流体を膨張させるのに使用される(すなわち、膨張フェーズ)。膨張サブチャンバ102が流体的に隔離されるとき(吸入フェーズの終わり)の吸気行程の終わりの膨張サブチャンバ102内の流体の体積と膨張サブチャンバ内の流体の体積の比は膨張比として知られている。この実施例では2:1の膨張比が存在し、流体の体積が2倍となる。この所定のポイントは、吸気行程の経過の少なくとも10%、25%、33%、40%となり得る。所定のポイントは、吸気行程の経過の最大60%、67%、75%、または90%となり得る。
【0100】
一実施例では、所定のポイントは吸気行程の経過の10%~90%の間であり、より好適には吸気行程の経過の25%~75%の間である。
【0101】
したがって、膨張サブチャンバ102の容積の増加に関連する全吸気行程は、吸入および膨張の2つのパートから構成される。それらの比較のための比率はチャンバ内体積膨張比(in-chamber volumetric expansion ratio)として知られている。或る実施例では、容積の増加中において吸入が終了して膨張が開始されるときの所定のポイントは、吸気行程の経過の50%となり得る。吸気行程が100%の容積で終了すると、この事例では、得られるチャンバ内体積膨張比は2:1となる。他の実施例では、所定のポイントは、吸気行程の10%、20%、30%、40%、60%、70%、80%、90%で生じ得る。
【0102】
膨張フェーズ中に膨張サブチャンバ内の流体の体積が増加されると、流体の圧力が低下することになり、流体の温度が低下することになる。体積の増加量ならびに圧力および温度の低下量は上述の膨張比によって決定される。膨張サブチャンバの膨張比(および、それによって、膨張サブチャンバ102が流体的に隔離されるときの所定のポイント)は、膨張フェーズの終わりに膨張サブチャンバ内の流体の圧力が第1の閾値圧力に達するのを可能にするように、設定される。第1の閾値圧力は、図2Bのステップ206に跨って示されるように吸入圧力未満である。つまり、膨張サブチャンバ102内の流体の圧力は、第1の閾値圧力に従う圧力に下がるまで低下する。
【0103】
図3Dは、膨張サブチャンバ102を最大容積にするような吸気行程の終わりにおける、膨張チャンバ103内のピストン112を示す。ピストン112が吸気行程を完了すると、膨張サブチャンバ102内の流体が第1の所定の閾値(または、最小チャンバ圧力)に達することになる。次いで、例えば膨張チャンバ出口ポートを開けることにより、膨張サブチャンバ102が第2の熱交換器108に流体的に連結される。これは図2Bのステップ208のところに示される。上述したように、この流体的な連結は、膨張サブチャンバ102と第2の熱交換器108との間の弁を開けることにより、および/または、第2の熱交換器108に対して開くことになるような位置まで膨張サブチャンバ102を移動させることにより、達成され得る。膨張サブチャンバ102は、同時に第1の熱交換器106および第2の熱交換器108のいずれにも連結されない。
【0104】
この段階で、さらに、圧縮サブチャンバ104が第2の熱交換器108に流体的に連結される。つまり、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104の両方が第2の熱交換器108に同時に連結される。
【0105】
図3Eはプロセス中の次の段階を示す。膨張サブチャンバ102の容積の減少により、流体は膨張サブチャンバ102から出されて第2の熱交換器108まで移送される。つまり、膨張チャンバ102内のピストン112が、膨張サブチャンバ102の容積を減少させるように排気行程を開始するか、または第1の方向と反対の第2の方向に移動する。排気行程は第2の熱交換器108と通して流体を効果的に移送し、これは図2Bのステップ210によって示される。
【0106】
装置100が熱機関として稼働するように構成された実施例では、第2の熱交換器108は流体から熱を受け取るように構成される。言い換えると、流体が第2の熱交換器108を通過するとき、流体のエンタルピーが低下される。第2の熱交換器108はこの実施例ではヒートシンクとも称され得る。膨張サブチャンバ102および第2の熱交換器108は、膨張サブチャンバ102の全体の排気行程中、流体的に連結され得る。
【0107】
排気行程中、膨張サブチャンバ102、第2の熱交換器108、および圧縮サブチャンバ104内の流体の圧力が実質的に同等となり得るが(例えば、第1の閾値圧力)、配管110および第2の熱交換器108を通過するときの流体に作用する摩擦力の結果として、流体の圧力が低下する可能性がある。
【0108】
排気行程の終わりで図3Aに示されるように膨張チャンバ103内でピストン112が開始位置に戻り(つまり、膨張サブチャンバ102が最大容積となる)、プロセスが再び開始される。
【0109】
次に圧縮サブチャンバ104に注目する。膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104は逆位相で動作することができる。この配置構成は図3Dに示される。つまり、膨張サブチャンバ104の容積が最小になるとき、膨張サブチャンバ102の容積が最大となり得る。
【0110】
膨張チャンバ103内のピストン112が排気行程を開始するとき、膨張チャンバ105内のピストン114が吸気行程を開始する。つまり、圧縮サブチャンバ104が第2の熱交換器108に流体的に連結され、流体が第2の熱交換器108から圧縮サブチャンバ104の中へ送り込まれる。言い換えると、圧縮サブチャンバ104の入口ポートは開く。このステップは図2Bのステップ212で示される。流体は移送圧力で第2のサブチャンバ104の中へ送り込まれ、移送圧力は上述した第1の閾値圧力と同じとなり得る。しかし、配管110および第2の熱交換器108を通過するときの流体に作用する摩擦力の結果として、圧力がわずかに低下する可能性がある。これは図3Eに示される。
【0111】
圧縮サブチャンバ104および第2の熱交換器108は、圧縮チャンバ105内のピストン114の全体の吸気行程中に流体的に連結され得る。つまり、圧縮サブチャンバの容積が最小から最大まで増加するときに、圧縮サブチャンバ104が第2の熱交換器108に流体的に連結され、流体が第2の熱交換器108から圧縮サブチャンバ104の中へ送り込まれる。
【0112】
圧縮サブチャンバ104の容積が最大に達すると、装置が図3Aに示される状態に戻る。次に、圧縮サブチャンバ104内の流体を説明する。圧縮サブチャンバ104が最大容積にあるとき、圧縮サブチャンバ104が第2の熱交換器108から流体的に隔離される。つまり、圧縮サブチャンバ104と第2の熱交換器108との間の流体的な連結が排除される。言い換えると、圧縮チャンバ入口ポートが閉じられる。これは図2Bのステップ214のところに示される。これは、弁が閉じることの結果であってもよく、ならびに/あるいは、第2の熱交換器108に対して閉じられるような位置まで圧縮サブチャンバ104が回転させられることによって生じ得る。完全性のために、この段階では圧縮サブチャンバ104は第1の熱交換器106にも流体的に連結されない。
【0113】
図3Bはプロセス中の次のステップを示す。圧縮サブチャンバ104内の第2のピストン114が排気行程を開始する。排気行程は圧縮フェーズおよび排出フェーズから構成される。圧縮フェーズは排気行程の第1のパート中に生じ、排出フェーズは排気行程の第2のパート中に生じる。圧縮フェーズでは、圧縮サブチャンバ104内の流体を圧縮するために圧縮サブチャンバ104の容積が減少される。圧縮サブチャンバ104内の流体は圧縮フェーズの終わりに第2の閾値圧力に達することができる。第2の閾値圧力は上で言及した移送圧力より大きい。圧縮フェーズは図2Bのステップ216に示される。
【0114】
図3Cはプロセス中の次のステップを示すのに使用される。所定のポイントで、圧縮サブチャンバ104は第1の熱交換器106に流体的に連結される。言い換えると、圧縮サブチャンバ104と第1の熱交換器106との間の流体接続が開く。これは、図3Cで圧縮サブチャンバ104と第1の熱交換器106との間に配管110を加えることによって表される。言い換えると、圧縮チャンバの出口ポートが開けられる。実際には、これは、圧縮サブチャンバ104と第1の熱交換器106との間の弁を開けること、および/または、第1の熱交換器106に対して開くことになるような位置まで膨張サブチャンバ104が回転させられることに起因し得る。上で言及したように、弁は圧縮サブチャンバ104のポートのところに配置され得る。
【0115】
圧縮チャンバ104が第1の熱交換器106に流体的に連結された後、排気行程は排出フェーズに入り、ここでは、圧縮サブチャンバ104の容積をさらに減少させることにより流体が圧縮サブチャンバ106から出されて第1の熱チャンバ106の中へ移送される。これは、ピストン14が継続して同じ方向に向かうことによって達成され得る。つまり、ピストン114はその排気行程を継続する。排出フェーズは図2Bのステップ220のところに示される。次いで、排気行程の圧縮フェーズ中に圧縮された流体が、排気行程の排出フェーズ中に第1の熱交換器106の中へ移送される。
【0116】
或る実施例では、排気行程中の所定のポイントは排気行程の経過の50%となり得る。つまり、ピストン114が圧縮サブチャンバ104の半分のポイントを通過するとき、圧縮サブチャンバ104が第1の熱交換器106に流体的に連結され、排気行程の残りの50%が、流体を第1の熱交換器106まで移送するのに使用される。排気行程の開始での流体の体積と、第1の熱交換器106に対して圧縮サブチャンバ104が流体連結される所定のポイントでの圧縮サブチャンバ104内の流体の体積との比は、圧縮比として知られている。この実施例では、2:1の圧縮比が存在することになり、流体の体積が半分となる。この所定のポイントは、圧縮ストロークの経過の少なくとも10%、25%、33%、40%となり得る。この所定のポイントは、圧縮ストロークの経過の最大60%、67%、75%、または90%となり得る。一実施例では、この所定のポイントは排気行程の経過の10%~90%の間であり、より好適には排気行程の経過の25%~75%の間である。
【0117】
圧縮サブチャンバ104内の流体の体積が減少されると、流体の圧力が増加することになり、流体の温度が上昇することになる。体積の減少量、圧力および温度の増加量は、圧縮サブチャンバ104の圧縮比によって決定される。圧縮サブチャンバ104の圧縮比(およびひいては、圧縮サブチャンバ104が第1の熱交換器106に流体的に連結されるときの所定のポイント)は、所定のポイントにおいて流体の圧力が第2の圧力閾値に達することになるように、設定され得る。移送圧力と比較すると第2の閾値圧力は高い。つまり、圧縮ストローク中、第2のサブチャンバ104内の流体の圧力は第2の閾値圧力に達するまで増加することになる。
【0118】
流体が第1の熱交換器106まで移送されると、フルサイクルが行われたこととなり、プロセスは図3Aに戻る。
【0119】
図に示されるように、この実施例では、同時に行われる2つ以上のプロセスが存在し得る。例えば、流体が圧縮サブチャンバ104内で圧縮されるときに、流体は膨張サブチャンバ102の中へ送り込まれ得る。流体が圧縮サブチャンバ104から第1の熱交換器106まで移送されるときに、流体が膨張サブチャンバ102内で膨張させられ得る。言い換えると、膨張サブチャンバ102内の吸気行程は、圧縮サブチャンバ104内の排気行程と同時に行われ得る。さらに、膨張サブチャンバ102内の排気行程は、圧縮サブチャンバ104内の吸気行程と同時に行われ得る。
【0120】
図4Aは、装置100が熱機関として機能するプロセスの圧力-容積線図の実施例を示す。流体が膨張サブチャンバ102の中へ引き入れられる前、流体はポイント3~ポイント4の間の状態にある。チャートのポイント4は、膨張サブチャンバ102が第1の熱交換器106から流体的に隔離されるポイントを表す。
【0121】
ポイント4~ポイント1の間で、流体は概略断熱膨張を受ける。ポイント4~ポイント1の間の流体膨張は、膨張サブチャンバ102が流体的に隔離された後の流体の膨張と相関関係がある。
【0122】
ポイント1~ポイント2の間で、流体は実質的な等圧圧縮を受ける。実質的な等圧圧縮とは、圧力が10%を超えて変化しないことを意味する。これは、第2の熱交換器108を通って圧縮サブチャンバ104まで流体が移送されることに対応する。このステップ中、流体から熱が抽出される。
【0123】
ポイント2~ポイント3の間で、圧縮サブチャンバが流体的に隔離されるときに、圧縮サブチャンバ104内で流体が圧縮される。これは、図3Bに示される圧縮サブチャンバ104内での圧縮に対応する。この段階では流体が概略断熱圧縮を受けるとみなされ得る。
【0124】
ポイント3~ポイント4の間で、流体が圧縮サブチャンバ104から出て第1の熱交換器106に入って入熱を受け取る。3~4の間の段階は、流体が圧縮サブチャンバ104から出て第1の熱交換器106内で一定時間保持されて、次いで膨張サブチャンバ102に入るときの流体状態の変化を表している、ことに留意されたい。流体は熱付加による膨張を受けるとみなされ得る。このステップは実質的に等圧となり得る。実質的な等圧膨張とは、圧力が10%を超えて変化しないことを意味する。
【0125】
ポイント1、2、3,および4は図2Bのプロセス中にも示される。
【0126】
膨張サブチャンバ102を流体的に隔離した後の流体の膨張のプロセスは、膨張ストロークを通しての所定のポイントで「ポリトロープ」指数が変化することを意味する。ポリトロープ指数は関係式PV=Cによって画定される(ここでは、nはポリトロープ指数)。
【0127】
言い換えると、第1の熱交換器106に対して膨張サブチャンバ102が流体連通される吸気行程の第1のパート(または、吸入フェーズ)中、流体は図4Aの(ポイント3~ポイント4の間の線で表される)実質的な等圧膨張に従う。実質的な等圧膨張中、ポリトロープ指数は0にほぼ等しい(つまり、PV=CまたはP=C)。同様に、実質的な等圧とは、圧力が10%を超えて変化しないことを意味する。
【0128】
膨張サブチャンバ102が流体的に隔離されるとき、流体は概略断熱膨張に従うことができる。断熱膨張中、ポリトロープ指数は比熱の比γにほぼ等しく、γは空気の場合は約1.4である。
【0129】
言い換えると、ポリトロープ指数は、膨張チャンバ102内のピストン112の膨張ストローク中の所定のポイントで変化する。
【0130】
圧縮サブチャンバ104が流体的に隔離されるときに、および、次いで圧縮チャンバ104が第1の熱交換器102に流体的に連結されるときに、圧縮サブチャンバ104内の流体を圧縮するプロセスは、ピストン114の排気行程を通る所定のポイントでポリトロープ指数が変化することを意味する。
【0131】
言い換えると、圧縮チャンバ104が流体的に隔離される排気行程の第1のパート中(つまり、排気行程の圧縮フェーズ中)、流体は概略断熱圧縮に従う。断熱圧縮中、ポリトロープ指数は比熱の比γにほぼ等しく、γは空気の場合は約1.4である。
【0132】
次いで、第1の熱交換器106に対して圧縮サブチャンバ104が流体的に連結される排気行程の第2のパート(排出フェーズ)中、流体は図4Aの(ポイント1~ポイント2の間の線で表される)実質的な等圧圧縮に従うことができる。等圧圧縮中、ポリトロープ指数は0にほぼ等しい(つまり、PV=CまたはP=C)。実質的な等圧圧縮とは、圧力が10%を超えて変化しないことを意味する。
【0133】
言い換えると、ポリトロープ指数は圧縮サブチャンバ104内での排気行程中の所定のポイント(つまり、圧縮フェーズの終わりおよび排出フェーズの開始)で変化する。
【0134】
膨張サブチャンバ102の流体膨張比、圧縮サブチャンバ104の圧縮比、ならびに、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104の相対容積を設定することにより、装置100のカルノー効率が調整され得る。
【0135】
図4Bは、カルノーサイクルの圧力/容積サイクルと比較した本発明の圧力/容積サイクルの重ね合わせを示す。カルノーサイクルを示す実線によって画定されるサイクルは、図1に示されるサイクルに等しい。図4Bの破線は、カルノーサイクルと比較される本開示サイクルの差を表す。QinおよびQoutは、本開示のサイクルにおける、流体に吸収される熱エネルギーおよび流体から放出される熱エネルギーである。本開示の3~4の間のおよび1~2の間の線は実質的に等圧である。実質的に等圧に流体流れを送り込むという使用およびその追及は、本出願人による意義のあるモデリングおよび試験の結果である。
【0136】
図4Cはプロセス中の圧力-エンタルピーグラフを示し、図4Dはプロセス中の温度-エンタルピーグラフを示す。
【0137】
一実施例では、第1の圧力閾値および第2の圧力閾値は、膨張サブチャンバ102から離れる流体の温度を圧縮サブチャンバ104から離れる流体の温度に実質的に一致させるように、設定される。膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104から離れる流体温度が実質的に等しい場合に、仕事および効率の最適なバランスが達成される。しかし、代替の流体では、または、仕事または効率のいずれかをもう一方より優先することが好ましい場合には、例外も存在する。
【0138】
一実施例では、装置100は、膨張サブチャンバおよび圧縮サブチャンバを各々備える2つの流体変位装置101を含む。2つの流体変位装置101は同一であるが、本記述の目的のため、第2の流体変位装置のサブチャンバは第2の膨張サブチャンバ102bおよび第2の圧縮サブチャンバ104bと称される。言い換えると、本装置は、第1の膨張サブチャンバ102aおよび第1の圧縮サブチャンバ104aを備える第1の流体変位装置101と、第2の膨張サブチャンバ102bおよび第2の圧縮サブチャンバ104bを備える第2の流体変位装置101と、を含む。2つの流体変位装置101を含む装置の実施例が図5A~5Eに示される。
【0139】
第2の膨張サブチャンバ102bは第1の膨張サブチャンバ102aと等しい方法で動作するが、第2の膨張サブチャンバ102bが第1の膨張サブチャンバ102aから180度で「位相がずれて」いてよいことが例外である。つまり、第1の膨張チャンバ103内のピストン112が第1の膨張サブチャンバ102aの中へ流体を送り込むための吸気行程の吸入フェーズを開始するとき、第2の膨張チャンバ内のピストン124が、第2の膨張サブチャンバ102bから第2の熱交換器108まで流体を移送するための排気行程を開始することができる。
【0140】
同様に、第2の圧縮サブチャンバ104bは第1の圧縮サブチャンバ102と同じ方法で動作するが、第2の圧縮サブチャンバ104bが第1の圧縮サブチャンバ104から180度で「位相がずれて」いてよいことが例外である。つまり、圧縮チャンバ105内のピストン114が圧縮サブチャンバ104内の流体を圧縮するための排気行程の圧縮フェーズを開始するとき、第2の圧縮チャンバ内のピストン126は、流体を第2の熱交換器108から第2の圧縮サブチャンバ104bの中へ送り込むための吸気行程を開始する。
【0141】
或る実施例では、第2の流体変位装置101は第1の流体変位装置101から90度で位相がずれていてよい。
【0142】
第2の流体変位装置101を提供することは、全体のサイクル中に熱交換器を通る一貫した流体流れが存在することを意味する。最適な流体変位装置101の計算は、非常に高い頻度で、商業的目標および効率的目標の組み合わせによって決定されることになる。通常は、タイミングに関して相補的に配置構成されたより多くのサブチャンバが、熱交換器内の流れおよび圧力の変動を安定させるように機能する。より高い頻度で流体移送ポイントの各側においてより良好に圧力を安定させて一致させることが、傾向として効率を向上させる。
【0143】
代替的実施例では、装置100はヒートポンプとして動作可能となり得る。つまり、装置100は、例えばピストン112、114を駆動する仕事の形態で仕事を受け取るように、および、低温リザーバ(例えば、第2の熱交換器108)から高温リザーバ(例えば、第1の熱交換器106)まで熱を伝達するように、構成される。
【0144】
プロセスのステップが図6~6Eに示される。ヒートポンプとして使用される装置100は、プロセスが逆であることを除いて、熱機関として使用される装置100に実質的に同一である。
【0145】
この実施例では、膨張サブチャンバ102は圧縮サブチャンバ104と比較してより小さい容積を有することができる。
【0146】
ヒートポンプとして機能する装置100の実施例では、膨張サブチャンバ102および圧縮サブチャンバ104は、熱機関として機能する装置のそれらの配置構成に対して有効に「切り換え」られる。言い換えると、ここでは、膨張サブチャンバ102は図6Aの装置の底部に示され、圧縮サブチャンバ104は図6Aの装置の頂部に示される。これはサブチャンバを説明するのに参照を容易にするためであり、実際には、膨張サブチャンバ102よび圧縮サブチャンバ104の種々の相対的配列および配置構成が可能である。
【0147】
図6A~6Eは、ヒートポンプとして稼働する装置100の動作の種々のステップを示す。これらの動作は図3A~3Eの動作と同一であるが、流体の流れが逆であることが例外である。さらに、第2の交換器108内の流体に熱が加えられ、第1の熱交換器106内の流体から熱が抽出される。
【0148】
熱機関として稼働する装置100の実施例と同様に、ヒートポンプとして稼働する装置100も、図7に示されるように第2の流体変位装置となり得る。
【0149】
流体は、限定しないが例えば、空気、エタノール、R22、過飽和CO、アンモニア(NH3)、またはプロパン(C3H8)などの、冷媒流体または他の媒体であってよい。
【0150】
一実施例では、装置は回転可能なシャフト150を備える流体変位装置を備え、回転可能なシャフト150の上に第1のピストン112が設けられる。この装置は図8に示される。シャフトは第1の軸線152を画定し、ピストンは第1の軸線152を中心として回転する。流体変位装置は第2の回転軸線154を画定する第1のアクスルをさらに含むことができ、第1のシャフトは第1のアクスルを通って延在する。第1のピストンは第1のアクスルから第1のシャフトの遠位端に向かって延在する。流体変位装置は第1のアクスル上で担持される第1のロータ156を含み、第1のロータは膨張チャンバ103を備え、第1のピストン112が膨張チャンバ103を通って延在する。膨張サブチャンバ102はピストン112の第1の側における膨張チャンバ103の、一時的であるが可変サイズの一態様とみなされ得る。この実施例では、装置は、ピストン112のいずれかの側に位置する2つの膨張サブチャンバ102を備えることができる。これらは第1の膨張サブチャンバ102aおよび第2の膨張サブチャンバ102bと称される。言い換えると、第1の膨張サブチャンバ102aおよび第2の膨張サブチャンバ102bの両方が膨張チャンバ103内に位置される。
【0151】
第1の膨張サブチャンバ102aおよび第2の膨張サブチャンバ102bは互いに180度で位相がずれた状態で動作する。つまり、第1の膨張サブチャンバ102aが吸気行程を受けるとき、ピストン112のもう一方側に位置する第2の膨張サブチャンバ102bが排気行程を受ける。加えて、第1の膨張サブチャンバ102aが排気行程を受けるとき、ピストン112のもう一方側に位置する第2の膨張サブチャンバ102bが吸気行程を受ける。
【0152】
吸気行程および排気行程の両方が、第1のピストン112と膨張チャンバ103との間での相対移動から実現される。シャフト150の一回転の全体を通して、第1および第2の膨張サブチャンバが、ちょうど180度で互いに位相がずれた状態で同じ動作を受けることになる。したがって、図8では、回転の最初の180度のみが示される。その理由は、180度~360度の間では第1の膨張サブチャンバ102aの動作が、0度~180度の間での第2の膨張サブチャンバ102bの動作と等しいからである。第2の膨張サブチャンバ102aの動作は、0度~180度における第1の膨張サブチャンバ102bの動作と等しい。
【0153】
膨張チャンバ103は、膨張チャンバ103との流体連通を実現するための第1のポートおよび第2のポートを含むことができる。膨張チャンバの第1のポートおよび第2のポートは、それぞれ、膨張チャンバ入口ポート140および出口ポート142として認識され得る。
【0154】
流体変位装置は、圧縮チャンバ105および2つの圧縮サブチャンバ104(第1の圧縮サブチャンバ104aおよび第2の圧縮サブチャンバ104bと称される)をさらに含むことができ、これらは圧縮チャンバ105に対して移動する第2のピストン114の相対移動により同様の方法で動作する。つまり、第1の圧縮サブチャンバ104aおよび第2の圧縮サブチャンバ104bは圧縮チャンバ105内に位置する。
【0155】
圧縮チャンバ105は第1のポートおよび第2のポートをさらに有することができる。圧縮チャンバの第1のポートおよび第2のポートは、それぞれ、第2のチャンバ入口ポート144および出口ポート146と認識され得る。
【0156】
この実施例では、第1のロータ156および第1のアクスルは、第1の回転軸線152周りで第1のシャフト150と共に回転可能であり、第1のロータは第2の回転軸線154周りでアクスルの周りを枢動可能であり、それにより、第1のロータが第1の回転軸線周りで回転するときに、第1のロータ156が第1のピストン112に対して枢動することが可能となる。動作中、第1の軸線152は固定されてもよく、第2の軸線154は第1の軸線周りに回転する。
【0157】
流体変位装置は、第1の軸線152周りのシャフト150の360度の回転を通して、第1の膨張サブチャンバ102aが回転中に第1の熱交換器または第2の熱交換器108にそれぞれ選定したポイントで流体的に接触することになるように、配置構成され得る。つまり、第1の膨張サブチャンバ102aは、シャフトの回転を通して、種々のタイミングで第1の熱交換器106または第2の熱交換器108に流体的に連結されることになるように、ならびに第1の熱交換器106および第2の熱交換器108から流体的に隔離されることになるように、第1の熱交換器106および第2の熱交換器108に対して配置構成され得る。第1の膨張サブチャンバ102aが、両方の熱交換器から流体的に隔離されたり、1つのみの熱交換器に連結されたり、または両方の熱交換器に流体的に連結されたりするタイミングが存在し得る。第1の圧縮サブチャンバ104aは、さらに、シャフトの回転を通した種々のタイミングで第1の熱交換器106および第2の熱交換器108に流体的に連結されたり流体的に隔離されたりするように、同様の手法で配置構成され得る。第1の圧縮サブチャンバ104aが両方の熱交換器から流体的に隔離されたり、1つのみの熱交換器に連結されたり、または両方の熱交換器に流体的に連結されたりするタイミングが存在し得る。
【0158】
或る実施例では、装置は、上述した、第1の流体変位装置および第2の流体変位装置を含む。第2の流体変位装置は第1の流体変位装置から90度または180度で位相がずれた状態とすることができる。第1の流体変位装置および第2の流体変位装置を提供することにより、商業的利点または性能的利点が得られ、多数のサブチャンバが採用され得る。これらの多数のサブチャンバは結び付けられてもよく、独立してもよく、相補的に動作するようにタイミングを考慮して変位させられてもよい。
【0159】
図8は、熱機関またはヒートポンプ内で使用されるときの装置100のサイクルの例を示す。図8の列(i)は、第1の膨張サブチャンバ102aおよび第2の膨張サブチャンバ102bに対しての膨張チャンバ103の入口ポート140および出口ポート142のアライメントを示している。
【0160】
図8の列(ii)は装置の断面を示す。
【0161】
図8の列(iii)は、第1の圧縮サブチャンバ104aおよび第2の圧縮サブチャンバ104bに対しての圧縮チャンバ105の入口ポート144および出口ポート146の位置合わせを示している。
【0162】
図8の行(a)は、ピストン112、114がサイクル中の公称の0度の角度位置にあるときの各サブチャンバ102a、102b、104a、104bの状態を示しており、ここでは、角度位置は第1の軸線152を中心とした回転に関連する。第1の膨張サブチャンバ102aおよび第2の圧縮サブチャンバ104bは最小容積にあり、各々が流体をそれらの中へ送り込むためにチャージングストロークを開始する準備が整っている。第2の膨張サブチャンバ102bおよび第1の圧縮サブチャンバ104aは最大容積にあり、各々が排気行程を開始する準備が整っている。
【0163】
サイクル中、第1の膨張サブチャンバ102aおよび第1の圧縮サブチャンバ104aは互いに逆位相で動作する。
【0164】
つまり、第1の膨張サブチャンバ102aおよび第1の圧縮サブチャンバ104aの一方がチャージングストロークを受けるとき、もう一方のチャンバが排気行程を受ける。加えて、第1の膨張サブチャンバ102aおよび第2の膨張サブチャンバ102bは互いに逆位相で動作し、第1の圧縮サブチャンバ104aおよび第2の圧縮サブチャンバ104bは互いに逆位相で動作する。
【0165】
図8の行(b)は、シャフト150(および、ひいてはピストン112、114)がサイクル中の45度の位置まで回転したときの各サブチャンバ102a、102b、104a、104bの状態を示す。
【0166】
この段階で、第1の膨張サブチャンバ102aは吸気行程の吸入フェーズを受ける。言い換えると、第1の膨張サブチャンバ102aは、流体を送り込むために第1の熱交換器に流体的に連結され得る。膨張チャンバ103の入口ポート140は開いているとみなされてもよく、流体は膨張チャンバ140の入口ポートを経て第1の膨張サブチャンバ102aの中へ流れることができる。第1の膨張サブチャンバ102aは、実質的に一定の圧力で流体を受け取ることができる。流体を送り込むために第1の膨張サブチャンバ102aの容積が増加する。
【0167】
図8の行(a)と図8の行(b)との間で、第1の圧縮サブチャンバ104aが排気行程の圧縮フェーズを開始する。つまり、第1の圧縮サブチャンバ104aの容積が減少し、第1の圧縮サブチャンバ104a内の流体が増加する。
【0168】
図8の行(b(iii))に示されるように、第1の圧縮サブチャンバ104aは排気行程の圧縮フェーズでも依然として流体的に隔離される。この実施例では、これは、圧縮チャンバ出口ポート146に対して第1の圧縮サブチャンバ104aが流体連通されていないことに起因し得る。言い換えると、圧縮チャンバ出口ポート146は閉じられている。
【0169】
したがって、第1の圧縮サブチャンバ104a内で流体が圧縮され、それにより流体の圧力を増加させて流体の温度を上昇させる。この圧縮フェーズでは、流体の圧力は第2の閾値圧力まで増加することができる。
【0170】
図8の行(b)では、膨張チャンバ出口ポート142が第2の膨張サブチャンバ102bに対して開いており、圧縮チャンバ入口ポート144が第2の圧縮サブチャンバ104bに対して開いている。流体は第2の膨張サブチャンバ102bから出て第2の熱交換器108に入り、流体は第2の熱交換器108から第2の圧縮サブチャンバ104bに入る。したがって、シャフト150が図8の行(b)に示される構成を通って回転するとき、第2の膨張サブチャンバ102bの容積が減少し、第2の圧縮サブチャンバ104bの容積が増加する。
【0171】
図8の行(c)は、サイクル中の90度の位置まで回転した各サブチャンバ102a、102b、104a、104bの状態を示す。図8の行(c)では、ここでは第1の膨張サブチャンバ102aが流体的に隔離されている。一実施例では、これは、ここでは閉じている、膨張チャンバ入口ポート140と第1の膨張サブチャンバ102aとの間の流体接続に起因する(つまり、膨張チャンバ入口ポート140は閉じている)。第2の膨張サブチャンバ102bは継続して開いており、かつ継続して第2の熱交換器108に流体的に連結されており、その結果、この段階では流体は第2の熱交換器108に移送される。
【0172】
90度進行すると、第1の圧縮サブチャンバ140aが圧縮チャンバ出口ポート146に対して開き始める。言い換えると、第1の圧縮サブチャンバ104aおよび第1の熱交換器106が90度から流体的に連結され得るようになる。言い換えると、圧縮チャンバ排出ポート146が90度から開く。
【0173】
第2の圧縮サブチャンバ104bは圧縮チャンバ入口ポート144に対して開いている状態を維持する。
【0174】
図8の行(d)は、サイクル中の135度の位置まで回転した各チャンバ102a、102b、104c、104dの状態を示す。この段階では、第1の膨張サブチャンバ102aは流体的に隔離されており、吸気行程の膨張フェーズを受ける。つまり、第1の膨張サブチャンバ102aが流体的に隔離されるとき、第1の膨張サブチャンバ102aの容積は増加する。
【0175】
第2の膨張サブチャンバ102bは依然として第2の熱交換器に流体的に連結されており、第2の熱交換器108に流体を移送するための排気行程を継続する。
【0176】
ここでは、第1の圧縮サブチャンバ104aは第1の熱交換器106に流体連通されており、したがって、排気行程の移送フェーズにある。言い換えると、第1の圧縮チャンバ104aは圧縮チャンバ出口ポート146に流体連通され得る。
【0177】
第2の圧縮サブチャンバ104bは、第2の熱交換器108から流体を受け取るために第2の熱交換器108に依然として流体連通されている。
【0178】
180度~360度の間で上記プロセスが繰り返されるが、膨張サブチャンバ104a、104bは反転され、さらに圧縮チャンバ104a、104bは反転される。
【0179】
図9は熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置100を動作させる方法のフローチャートを示しており、熱力学装置100は、第1の熱交換器106と、膨張サブチャンバ102と、第2の熱交換器108と、を一連の流れで備える。ステップ202は、膨張サブチャンバ102の容積を増加させることにより、第1の熱交換器106から膨張サブチャンバ102の中へ吸入圧力で流体流れを送り込むことに関連する。ステップ204は、膨張サブチャンバ102内の流体を第1の熱交換器106から流体的に隔離することに関連する。ステップ206は、流体が第1の閾値圧力に達するまで膨張サブチャンバ102の容積をさらに増加させることにより、膨張サブチャンバ102内の前記流体を膨張させることに関連し、第1の閾値圧力は吸入圧力未満である。ステップ208は、膨張サブチャンバ102を第2の熱交換器108に流体的に連結することに関連する。ステップ210は、膨張サブチャンバ102の容積を減少させることにより、流体流れを膨張サブチャンバ102から出して第2の熱交換器108まで移送することに関連する。
【0180】
一実施例では、圧縮サブチャンバ104内で流体は圧縮されない。例えば、第2の熱交換器から出て行く流体が液体である場合、圧縮サブチャンバ104がポンプとして機能することができるか、ポンプによって補完され得るか、または流体を移送するためにポンプに取って代わられ得る。ポンプは、圧縮を受けることなく第1の閾値圧力から第2の閾値圧力にするように液体を移送するのに使用され得る。
【0181】
一実施例では、上述の方法は、上述に対しての代替的な容積式機械でも稼働され得る。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置を動作させる方法であって、
熱力学装置は、第1の熱交換器と、膨張サブチャンバと、第2の熱交換器とを一連の流れで備え、方法は、
膨張サブチャンバの容積を増加させることにより、第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で流体流れを送り込むことと、
膨張サブチャンバ内の流体を第1の熱交換器から流体的に隔離することと、
流体の圧力を吸入圧力から低下させるために膨張サブチャンバの容積をさらに増加させることにより、膨張サブチャンバ内の流体を膨張させることと、
膨張サブチャンバを第2の熱交換器と流体的に連結することと、
膨張サブチャンバの容積を減少させることにより、流体を膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送することと、
により、膨張サブチャンバを介して流体を第1の熱交換器から第2の熱交換器まで移送することと、を含み、
流体流れを第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で送り込むプロセスは実質的に等圧である、方法。
【請求項2】
熱力学装置は圧縮サブチャンバを備え、方法は、
圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより、流体を、移送圧力で第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離することと、
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させることと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
圧縮サブチャンバを第1の熱交換器に流体的に連結することと、
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、流体を圧縮サブチャンバから出して第1の熱チャンバまで移送することと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
膨張サブチャンバから出て行く流体の温度は、圧縮サブチャンバから出て行く流体の温度にほぼ等しい、請求項3記載の方法。
【請求項6】
膨張サブチャンバの容積をさらに増加させることにより、膨張サブチャンバ内の流体を膨張させるプロセスは、ほぼ断熱である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
流体流れを第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送するプロセスは、実質的に等圧である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させるプロセスは、ほぼ断熱である、請求項3に従属する請求項4記載の方法。
【請求項9】
装置は膨張チャンバおよび第1のピストンを備え、膨張サブチャンバは、膨張チャンバおよび第1のピストンによって画定される可変容積の一態様である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
流体流れを第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ送り込むために膨張サブチャンバの容積が増加されるステップは、第1のピストンと膨張チャンバとの間での第1の方向における相対移動が存在する吸気行程の吸入フェーズ中に生じる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
膨張サブチャンバの容積をさらに増加させるステップは、第1のピストンと膨張サブチャンバとの間での第1の方向の連続的な相対移動が存在する吸気行程の膨張フェーズ中に生じる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
膨張サブチャンバの容積を減少させることにより、流体流れを膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送するステップは、吸気行程における相対移動の方向と反対である第2の方向における第1のピストンおよび膨張チャンバの相対移動が存在する排気行程中に生じる、請求項10記載の方法。
【請求項13】
装置は圧縮チャンバおよび第2のピストンを備え、圧縮サブチャンバは圧縮チャンバおよび第2のピストンによって画定される可変容積の一態様であり、圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより、流体流れを移送圧力で第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送するステップは、第2のピストンおよび圧縮チャンバの相対移動が存在する吸気行程中に生じる、請求項3に従属する請求項11記載の方法。
【請求項14】
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させるステップは、圧縮サブチャンバの吸気行程における相対移動の方向と反対である方向における第2のピストンの相対移動が存在する排気行程の圧縮フェーズ中に行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1のピストンおよび第2のピストンは互いに一体である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
膨張サブチャンバおよび圧縮サブチャンバは往復機械内の第1のピストンのいずれかの側に位置し、第1のピストンの移動は膨張サブチャンバおよび圧縮サブチャンバの容積を変化させる、請求項9記載の方法。
【請求項17】
膨張サブチャンバおよび圧縮サブチャンバは異なる往復機械内に位置する、請求項9記載の方法。
【請求項18】
熱力学装置は第2の膨張サブチャンバおよび第2の圧縮サブチャンバを備え、方法は、
流体流れが第1の膨張サブチャンバ内に送り込まれて膨張させられるにつれて、第2の膨張サブチャンバの容積を減少させることにより、流体流れを移送圧力で第2の膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで移送するステップ
を含む、請求項2~5、または請求項8いずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
流体流れが第2の膨張サブチャンバから出されるように移送されるにつれて、第2の圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより、流体流れを第2の熱交換器から出して第2の圧縮サブチャンバの中へ移送するステップと、
第2の圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離するステップと、
第2の圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、第2の圧縮サブチャンバ内の流体の圧力を増加させるステップと、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第2の圧縮サブチャンバを第1の熱交換器に流体的に連結するステップと、
第2の圧縮サブチャンバの容積を減少させることを継続することにより、前記流体流れを第2の圧縮サブチャンバから出して第1の熱交換器まで移送するステップと、
を含み、
これらのステップは、流体流れが第1の膨張サブチャンバから第2の熱交換器まで移送されるときに生じる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
装置が熱機関として稼働するように構成され、第2の熱交換器を通過するときの流体から熱が除去される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
装置はヒートポンプとして稼働するように構成され、第2の熱交換器を通過するときの流体に熱が加えられる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
熱機関またはヒートポンプとして構成された熱力学装置であって、
装置は膨張サブチャンバを備え、
膨張サブチャンバの容積を増加させることにより、流体流れを膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で送り込むことと、
膨張サブチャンバ内の流体を流体的に隔離することと、
流体の圧力を吸入圧力から低下させるために膨張サブチャンバの容積をさらに増加させることにより、膨張サブチャンバ内の流体を膨張させることと、
膨張サブチャンバを第1の熱交換器と流体的に連結することと、
膨張サブチャンバの容積を減少させることにより、流体流れを膨張サブチャンバから出して前記第1の熱交換器まで移送することと、
を行うように構成され、
第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ吸入圧力で流体流れを送り込むプロセスは実質的に等圧となるように構成されている、熱力学装置。
【請求項24】
第1の熱交換器と、
第2の熱交換器であって、流体が第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ送り込まれ、膨張サブチャンバから第2の熱交換器まで移送される、第2の熱交換器と、
を備える、請求項23に記載の熱力学装置。
【請求項25】
熱力学装置は圧縮サブチャンバを備え、装置は、
圧縮サブチャンバの容積を増加させることにより、流体流れを移送圧力で第2の熱交換器から出して圧縮サブチャンバまで移送するように構成されている、請求項24に記載の熱力学装置。
【請求項26】
装置は、
圧縮サブチャンバを第2の熱交換器から流体的に隔離することと、
流体の圧力を増加させるために圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、圧縮サブチャンバ内の流体を圧縮することと、を行うように構成されている、請求項25に記載の熱力学装置。
【請求項27】
装置は、
圧縮サブチャンバを第1の熱交換器に流体的に連結することと、
圧縮サブチャンバの容積を減少させることにより、流体流れを圧縮サブチャンバから出して第1の熱交換器まで移送することと、
を行うように構成されている、請求項26に記載の熱力学装置。
【請求項28】
装置は膨張チャンバおよび第1のピストンを備え、膨張サブチャンバは、膨張チャンバおよび第1のピストンによって画定される可変容積の一態様である、請求項23~27のいずれか一項に記載の熱力学装置。
【請求項29】
膨張サブチャンバの容積は、第1のピストンと膨張チャンバとの間での第1の方向における相対移動が存在する吸気行程の吸入フェーズ中に第1の熱交換器から膨張サブチャンバの中へ流体流れを送り込むために増加されるように構成されている、請求項28に記載の熱力学装置。
【請求項30】
装置が、吸気行程の膨張フェーズ中に流体の圧力を低下させるために膨張サブチャンバの容積をさらに増加させるように構成され、ここでは、第1のピストンおよび膨張チャンバの相対移動が第1の方向に移動するのを継続するように構成される、請求項29に記載の熱力学装置。
【請求項31】
第1のピストンは、膨張サブチャンバの容積を減少させ、膨張サブチャンバから出して第2の熱交換器まで流体流れを移送するために、排気行程中に膨張チャンバに対して、第1の方向と反対である第2の方向に移動するように構成されている、請求項29記載の熱力学装置。
【請求項32】
装置は圧縮チャンバおよび第2のピストンを備え、圧縮サブチャンバは圧縮チャンバおよび第2のピストンによって画定された可変容積の一態様であり、圧縮サブチャンバの容積は第2のピストンおよび圧縮チャンバの相対移動が存在する吸気行程中に増加されるように構成されている、請求項26に従属する請求項30に記載の熱力学装置。
【請求項33】
装置は、パワートレインを駆動するための、または発電のための熱機関として機能するように構成されている、請求項23~27のいずれか一項に記載の熱力学装置。
【請求項34】
装置はヒートポンプとして機能するように構成され、装置が装置を駆動するためのモータを備える、請求項23~27のいずれか一項に記載の熱力学装置。
【国際調査報告】