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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】油含水性液体混合物の分離
(51)【国際特許分類】
   B04B 1/08 20060101AFI20240905BHJP
   B04B 13/00 20060101ALI20240905BHJP
   B01D 17/038 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B04B1/08
B04B13/00
B01D17/038
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516672
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2022074972
(87)【国際公開番号】W WO2023046493
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21198062.8
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド・ボーリストレーム
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AA10
4D057AB03
4D057AC01
4D057AC06
4D057AD01
4D057AE02
4D057AF07
4D057BA14
4D057BC12
4D057CA01
4D057CB01
(57)【要約】
本開示は、油含有量が5%以下の油含水性液体混合物を、分離システム(32)で水性重相と軽相とに連続的に分離する方法に関する。この方法は、
- 液体混合物をタンク(34)から入口導管(36)を介して遠心分離機(2)の入口通路(22)に導くステップと、
- 液体混合物を遠心分離機(2)で水性重相と軽相とに分離するステップと、
- 軽相の油濃度パラメーターを決定するステップと、
油濃度パラメーターが閾値を超えたことに応答して、
- 軽相を軽相出口通路(24)から軽相用の容器(38)に導くステップと、
油濃度パラメーターが閾値を下回ったことに応答して、
- 軽相出口通路(24)から入口通路(22)へ軽相を再循環させるステップと、
を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油含水性液体混合物用のタンク(34)、遠心分離機(2)、遠心分離機(2)につながる入口導管(36)、および、軽相用の容器(38)を備えた分離システム(32)で、油分含有量が5%以下の油含水性液体混合物を、水性重相と軽相とに連続的に分離する方法(100)において、
前記遠心分離機(2)は、回転軸(6)を中心に回転可能なボウル(4)と、前記ボウル(4)の本体(14)によって画定された分離空間(16)内に配置された複数の分離部材(18)と、前記入口導管(36)に接続された油含水性液体混合物の入口通路(22)と、軽相出口通路(24)と、重相出口通路(26)とを備えており、
当該方法は、
- 油含水性液体混合物を前記タンク(34)から前記入口導管(36)を介して前記遠心分離機(2)の入口通路(22)に導くステップ(102)と、
- 油含水性液体混合物を前記遠心分離機(2)で水性重相と軽相とに分離するステップ(104)と、
- 軽相の油濃度パラメーターを決定するステップ(106)と、
前記油濃度パラメーターが閾値を超えたことに応答して、
- 軽相を前記軽相出口通路(24)から軽相用の前記容器(38)に導くステップ(108)と、
前記油濃度パラメーターが閾値を下回ったことに応答して、
- 前記軽相出口通路(24)から前記遠心分離機(2)の入口通路(22)へ軽相を再循環させるステップ(110)と、
を含んでなる、分離する方法(100)。
【請求項2】
軽相を再循環させる前記ステップ(110)は、軽相を前記タンク(34)に導くステップ(112)を含む、請求項1に記載の分離する方法(100)。
【請求項3】
軽相を再循環させる前記ステップ(110)は、軽相を前記入口導管(36)に直接導くステップ(114)を含む、請求項1に記載の分離する方法(100)。
【請求項4】
油含水性液体混合物を水性重相と軽相とに分離する前記ステップ(104)において、水性重相の油含有量は15ppm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項5】
油含水性液体混合物はビルジ水である、請求項1~4のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項6】
導く前記ステップ(102)は、油含水性液体混合物を前記タンク(34)から前記遠心分離機(2)の入口通路(22)にポンプで送り出すステップ(116)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項7】
前記分離システム(32)は、前記軽相出口通路(24)に接続された軽相バルブ構成(44)を備え、
軽相を導く前記ステップ(108)は、前記軽相バルブ構成(44)を介して軽相を軽相用の前記容器(38)に導くステップ(118)を含み、
軽相を再循環する前記ステップ(110)は、軽相を、前記軽相バルブ構成(44)を介して前記遠心分離機(2)の入口通路(22)に導くステップ(120)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項8】
前記分離システム(32)は、前記重相出口通路(26)に接続された重相バルブ構成(54)を備え、
当該方法(100)は、前記重相バルブ構成(54)を介して前記重相出口通路(26)から前記タンク(34)まで水性重相を再循環するステップ(122)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項9】
前記遠心分離機(2)が、前記遠心分離機(2)のボウル(4)の分離空間(16)の周囲に配置されたスラッジ出口通路(30)を備え、
当該方法(100)は、油含水性液体混合物からスラッジ相を分離するステップ(124)と、スラッジ出口通路(30)を介してスラッジ相を断続的に排出するステップ(126)とを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項10】
油分含有量が5%以下の油含水性液体混合物を水性重相と軽相とに連続的に分離するように構成された分離システム(32)であって、油含水性液体混合物用のタンク(34)、遠心分離機(2)、前記遠心分離機(2)につながる入口導管(36)、軽相用の容器(38)、および、制御構成(40)を備えた分離システム(32)において、
前記遠心分離機(2)は、回転軸(6)を中心に回転可能なボウル(4)と、前記ボウル(4)の本体(14)によって画定される分離空間(16)内に配置された分離部材(18)と、前記分離空間(16)に通じる入口通路(22)と、前記分離空間(16)からの軽相出口通路(24)と、前記分離空間(16)からの重相出口通路(26)とを備えており、
前記制御構成(40)は、センサ(42)と制御可能な軽相バルブ構成(44)とを備えており、
前記軽相バルブ構成(44)は、軽相出口通路(24)に流体接続され、前記軽相用の容器(38)に接続された軽相導管(46)に流体接続され、並びに、遠心分離機(2)の入口通路(22)に接続された戻り導管(48)に流体接続され、
当該分離システム(32)の使用中の前記制御構成(40)は、
- 軽相の油濃度パラメーターを決定するように構成され、
前記油濃度パラメーターが閾値を超えたことに応答して、
- 前記軽相バルブ構成(44)を制御して、前記軽相出口通路(24)から前記軽相導管(46)まで軽相を導くように構成され、
前記油濃度パラメーターが閾値を下回ったことに応答して、
- 前記軽相バルブ構成(44)を制御して、前記軽相出口通路(24)から前記戻り導管(48)まで軽相を再循環させるように構成されている、分離システム(32)。
【請求項11】
前記戻り導管(48)は、油含水性液体混合物用の前記タンク(34)に接続されている、請求項10に記載の分離システム(32)。
【請求項12】
前記戻り導管(48)は前記入口導管(36)に直接接続されている、請求項10に記載の分離システム(32)。
【請求項13】
油含水性液体混合物はビルジ水である、請求項10~12のいずれか一項に記載の分離システム(32)。
【請求項14】
前記遠心分離機(2)は、前記ボウル(4)の径方向外周に配置されたスラッジ出口通路(30)を備え、前記制御構成(40)は、分離されたスラッジ相を排出するために前記スラッジ出口通路(30)を断続的に開くように構成されている、請求項10~13のいずれか一項に記載の分離システム(32)。
【請求項15】
前記分離部材(18)は分離ディスク(20)のスタックを含み、前記分離ディスク(20)には分配孔(28)が設けられており、前記分配孔(28)は、前記分離ディスク(28)の半径方向内側半分に配置されている、請求項10~14のいずれか一項に記載の分離システム(32)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油含水性液体混合物を分離するための方法、および油含水性液体混合物を分離するために構成された分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油含水性液体混合物の水性重相と油含軽相とへの分離は、高速遠心分離機で実施され得る。油含水性液体混合物の油含量が低い場合、そして、油含量が時間の経過と共に変化する場合、軽相と重相との分離において特に問題が生じる可能性がある。
【0003】
これは、例えば、船上のいわゆるビルジ水(bilgewater)の分離の場合に当てはまり得る。分離された水性重相を船外に廃棄するには、残留油分が非常に少ないことが必要である。一方、スロップ液(slop liquid)の生成とその廃棄コストを最小限に抑えるために、軽相で分離される大量の水は避けるべきである。
【0004】
米国特許出願公開第2016/0339452号(特許文献1)は、油含水性液体混合物を分離する例を開示しており、分離機を通る流れを自動的に調節するために軽相が測定される。米国特許第7635328号(特許文献2)には、油を含有する水性液体混合物を分離する例が開示されているが、この例では、軽相の再循環のための戻り導管が示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0339452号明細書
【特許文献2】米国特許第7635328号明細書
【発明の概要】
【0006】
低油分水性液体混合物を重相と軽相とに分離し、油含水性液体混合物の油分含有量の変化に対処できると有利である。
【0007】
特に、分離された軽相が液体混合物の水性重相部分の大部分も含む場合の操作条件を扱うことが望ましい。これらの問題の1つ以上にさらに良好に対処するために、独立請求項で規定された特徴を有する方法および/または分離システムが提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、油含水性液体混合物用のタンク、遠心分離機、遠心分離機につながる入口導管、および軽相用の容器を備えた分離システムで、油含有量が5%以下の含油水性液体混合物を水性重相と軽相とに連続的に分離する方法が提供されている。遠心分離機は、回転軸を中心に回転可能なボウルと、ボウルの本体によって画定される分離空間に配置された複数の分離部材と、入口導管に接続された油含水性液体混合物の入口通路と、軽相出口通路と、重相出口通路とを備えている。この方法は、
- 油含水性液体混合物をタンクから入口導管を介して遠心分離機の入口通路に供給するステップと、
- 油含水性液体混合物を遠心分離機で水性重相と軽相とに分離するステップと、
- 軽相の油濃度パラメーターを決定するステップと、
油濃度パラメーターが閾値を超えたことに応答して、
- 軽相を軽相出口通路から軽相用の容器に導くステップと、
油濃度パラメーターが閾値を下回ったことに応答して、
- 軽相を、軽相出口通路から遠心分離機の入口通路へ再循環させるステップと、
を含む。
【0009】
油含水性液体混合物を供給するステップ、油含水性液体混合物を分離するステップ、並びに、軽相を軽相出口通路から軽相用容器に導くステップは、連続的に実施され得る。
【0010】
本発明のさらなる態様によれば、油含有量が5%以下の油含水性液体混合物を水性重相と軽相とに連続的に分離するように構成された分離システムが提供される。分離システムは、油含水性液体混合物用のタンクと、遠心分離機と、遠心分離機につながる入口導管と、軽相用の容器と、制御構成とを備えている。遠心分離機は、回転軸を中心に回転可能なボウルと、ボウルの本体によって画定された分離空間に配置された分離部材と、油含水性液体混合物の分離空間に通じる入口通路と、分離空間からの軽相出口通路と、分離空間からの重相出口通路とを備えている。制御構成は、センサおよび制御可能な軽相バルブ構成を備えている。軽相バルブ構成は、軽相出口通路と、軽相用の容器に接続された軽相導管と、遠心分離機の入口通路に接続された戻り導管とに流体接続されている。制御構成は、分離システムの使用中に、
- 軽相の油濃度パラメーターを決定し、
油濃度パラメーターが閾値を超えたことに応答して、
- 軽相出口通路から軽相導管まで軽相を導くように軽相バルブ構成を制御し、
油濃度パラメーターが閾値を下回ったことに応答して、
- 軽相出口通路から戻り導管へ軽相を再循環させるために、軽相バルブ構成を制御するように構成されている。
【0011】
決定された油濃度パラメーターに応じて、軽相は、軽相用の容器に導かれるか、または遠心分離機の入口通路に再循環されるため、動作条件によって分離された軽相の目的地が決まり、これにより、方法および/または分離システムは、軽相が主に水を含む場合、軽相用の容器に水を充填することを回避する。これは、油含水性液体混合物の油含有量が0~5%の範囲内で変化する場合、そして、軽相において水性部分が多くなる危険性が高い場合に特に有利である。
【0012】
分離機内では、油と水との界面の半径方向のレベルが変化し得るので、重相出口通路に過剰な量の油が収容されることがある。これは、油含水性液体混合物が高密度の油、例えば15℃での密度が980kg/mを超える場合に特に問題となり得る。本発明は、水を常に含む十分な量の軽相流を有する分離機を提供することによって、そのリスクを低減し得る。軽相が主に水を含む場合、軽相は入口または供給タンクに戻され得る。軽相に多量の油が含まれている場合、軽相はスロップタンク(slop tank)に導かれ得る。
【0013】
最も広い意味では、この方法および/または分離システムは、低濃度の油を有するあらゆる油含水性液体混合物を連続的に分離するように構成される。特に、油含水性液体混合物中の油の濃度は時間の経過と共に変化し得。この方法および/または分離システムの応用の一例は、時間の経過と共に油含有量が0~5%、0~2%、または0~0.5%の間で変化し得る船舶上のビルジ水の処理である。この方法および/または分離システムの別の用途は、例えば、船舶または海上プラットフォーム上でのデッキドレン(deck drains)の処理、および原油生産分野における生成水の脱油(deoiling)である。
【0014】
この方法が適用されるとき、すなわち分離システムの動作中に、液体混合物の油含有量は、0~5%の範囲内で変化し得る。
【0015】
実際の操作では、液体混合物の油含有量は変動し、5%をも超え、さらにはかなり高いレベルに達し得ることに注意すべきである。このような高油分含有条件下では、分離された軽相に主に水分が含まれる危険性はない。本発明は、液体混合物の油含有量が5%以下に低下したときに再び適用される。
【0016】
パーセンテージは容積%であり得る。「油含有量」という用語は、液体混合物、軽相、および重相などに含まれる油の量、例えば油の割合または濃度に関する。水の量に関する用語「含水率」についても同様である。
【0017】
遠心分離機は、油含水性液体混合物を水性重相と軽相とに分離するように構成されている。油含水性液体混合物は、遠心分離機への供給物であり、本明細書では単に液体混合物と呼ばれることもある。液体混合物はまた、固体粒子および/または液体粒子を含み得る。
【0018】
分離された水性重相は主に水を含む。重相には、0.1%未満、50ppm未満、または15ppm未満などの少量の油のみが残り得る。ビルジ水処理の場合、分離された重相つまり水を、関連する船の船外に廃棄する場合、重相は15ppm未満を含有する必要がある。一部の地域では、5ppm以下などのさらに厳しい要件が適用され得る。
【0019】
軽相には油および/または水が含まれ得る。液体混合物の油含有量に応じて、軽相の油含有量は変化し得る。
【0020】
油濃度パラメーターの閾値によって、軽層に含まれる水の量が十分に少ないと見なされ、軽層用の容器に導かれるレベルが決定される。油濃度パラメーターの閾値は、分離される液体混合物に依存し得る。ビルジ水の洗浄などの一部の用途では、閾値は油含有量25%または50%になり得る。他の用途では、閾値は、例えば、75%のオイル含有量または90%のオイル含有量など、より高くなり得る。
【0021】
油濃度パラメーターは、軽相の油含有量に直接関係し得る。或いは、油濃度パラメーターは、軽相の油含量に間接的に関係し得る。
【0022】
油濃度パラメーターは、例えば、軽相における油の量を測定することによって、または軽相における水の量を測定することによって、或いは、例えば軽相の含水量、導電率または透明度または密度などの任意の適切な間接パラメーターを測定することによって決定され得る。オイル濃度パラメーターの決定には、測定データに関連する計算が含まれ得る。
【0023】
スラッジ相も遠心分離機で分離され得る。このようなスラッジ相は、水よりも重い固体粒子および/または液体粒子が懸濁された水を含み得る。スラッジ相は分離空間の周縁部分で分離され、公知の方法、例えば断続的に開閉可能な排出口を介して分離空間から排出され得る。
【0024】
分離は遠心分離機の分離空間内で行われる。分離空間は分離部材を備え、分離部材は回転軸の周りに半径方向または軸方向に配置されたディスクであり得る。分離ディスクは、例えば、円錐台状の分離ディスクのスタック(積層体)を含み得る。
【0025】
混合液は回転軸に沿って分離空間に導入される。分離された軽相は、回転軸に沿って、または回転軸に半径方向に近接して分離空間から導出される。分離された重相は、回転軸に沿って分離空間から導出され得るし、回転軸に半径方向に近接して導出され得る。いくつかの実施形態によれば、スラッジ相は液体混合物から分離され、ボウルの半径方向外周から排出され得る。
【0026】
遠心分離機の使用中、ボウルは3000~12000rpmなど、毎分数千回転で回転し得る。したがって、遠心分離機は高速遠心分離機であり得る。
【0027】
ボウルは、遠心分離機の固定ハウジングの内部に配置され得る。ボウルは、例えば電気モータを含む駆動装置によって垂直回転軸の周りを回転するように駆動され得る。
【0028】
ここで、軸方向、径方向、円周方向、および回転方向は、回転軸を基準として規定される。軸方向はボウルの回転軸と平行に延在し、半径方向は回転軸と垂直に延在する。円周方向および回転方向は、回転軸の周りに延在する。
【0029】
遠心分離機から軽相出口通路を経由する軽相の流れは、軽相出口通路から軽相用容器に軽相を導くステップと、軽相を軽相出口通路から遠心分離機の入口通路へ再循環させるステップとの間で異なり得る。例えば、軽相を軽相用の容器に導くステップ中、軽相の流れは、入口通路に再循環するステップ中よりも大きくなり得る。
【0030】
再循環ステップ中の軽相の流れは、軽相の油含量を測定するステップを実行するのに十分な大きさであり得る。すなわち、流量は、制御構成のセンサが軽相の油含有量に関連するパラメーターを確実に感知し得るのに十分な量を有し得る。適切な流れは、使用する特定のセンサによって異なる。しかしながら、一般に、流量が低すぎると信頼性の低い測定となる可能性があり、流量が高すぎると分離システムの能力が低下する可能性がある。
【0031】
この方法の実施形態によれば、軽相を再循環させるステップは、軽相をタンクに導くステップを含み得る。このようにして、閾値未満の油濃度を有する軽相は、タンクから遠心分離機の入口通路に再び供給されるように、タンクおよびその中の液体混合物に導かれ得る。再循環された軽相は、タンク内の液体混合物と混合され、そして/或いは、入口通路に供給される前に一定期間タンク内に保持され得る。
【0032】
同様に、分離システムの実施形態によれば、戻り導管は、油含水性液体混合物用のタンクに接続され得る。
【0033】
この方法の実施形態によれば、軽相を再循環させるステップは、軽相を入口導管に直接導くステップを含み得る。このようにして、閾値未満の油濃度を有する軽相は、タンク内に保持されることなく、入口導管内でタンクから直接供給される液体混合物と混合され得る。
【0034】
同様に、分離システムの実施形態によれば、戻り導管は入口導管に直接接続され得る。
【0035】
制御構成は、重相出口通路に接続された重相バルブ構成を備え得る。この方法の実施形態によれば、水性重相を、重相バルブ構成を介して重相出口通路からタンクまで再循環させるステップを含み得る。このようにして、水性重相の油含有量が所望のまたは必要なレベルを超える場合、水性重相は遠心分離機の入口通路の上流のタンクに戻され得る。したがって、分離システムは、油含有量が高すぎる水性重相を生成しないことが保証される。
【0036】
分離システムの制御構成は、重相バルブ構成の上流に油分計(OCM)を含み得る。したがって、重相バルブ構成を制御するために、水性重相の油含量が測定され得る。
【0037】
実施形態によれば、分離部材は分離ディスクのスタック(積層体)を備え得、分離ディスクには分配孔が設けられ、分配孔は、分離ディスクの半径方向内側半分に配置される。このように、遠心分離機は濃縮機として構成され得、したがって特に低油分水性液体混合物の分離用のために構成され得る。
【0038】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付した特許請求の範囲および以下の詳細な説明を検討すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
その特定の特徴および利点を含む本発明の様々な態様および/または実施形態は、以下の詳細な説明および添付された図面で論じられる例示的な実施形態から容易に理解されるであろう。
【0040】
図1】実施形態による遠心分離機の断面を概略的に示す。
図2a】分離システムの例示的な実施形態を概略的に示す。
図2b】分離システムの例示的な実施形態を概略的に示す。
図3】実施形態による制御構成を示す。
図4】実施形態による方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、本発明の態様および/または実施形態をさらに詳しく説明する。同様の番号は、全体を通じて同様の要素を指す。周知の機能または構造は、簡潔性および/または明確性のために必ずしも詳細に説明されるわけではない。
【0042】
図1は、実施形態による遠心分離機2の断面を概略的に示す。遠心分離機2は、本明細書で論じられる態様および/または実施形態による分離システムの一部を形成し得る。遠心分離機2は、本明細書で議論される油含水性液体混合物を分離するための方法の態様および/または実施形態で利用され得る。
【0043】
遠心分離機2は、ボウル4を備えている。ボウル4は、回転軸6を中心に回転可能である。ボウル4は、スピンドル8に吊り下げられている。スピンドル8は、回転軸6を中心にボウル4を回転させるための駆動装置の一部を形成する。スピンドル8は、例えば2つ以上のベアリングを介して遠心分離機2のハウジング10内に支持される。ハウジング10は、複数の個別の部品を備え、従って、いくつかの部品から組み立てられ得る。
【0044】
これらの実施形態では、駆動装置の電気モータ12はスピンドル8の一部を含む。つまり、スピンドル8およびボウル4は電気モータ12によって直接駆動される。代替実施形態では、駆動装置は、その代わりに、例えば歯車またはベルト駆動を含む変速機を介してスピンドルに接続された電気モータを備え得る。
【0045】
ボウル4の本体14は、その中に分離空間16を画定する。分離空間16の内部では、遠心分離機2の作動中に液体混合物の連続的な遠心分離が行われる。分離空間16の内部には、分離部材18が配置されている。図示された実施形態では、分離部材は、円錐台形の分離ディスク20のスタック(積層体)を含む。円錐台状の分離ディスク20のスタックは、中心に回転軸6と同軸に取り付けられ、ボウル4と共に回転する。
【0046】
分離部材18は、液体混合物、この場合には油含水性液体混合物を、軽相と水性重相とに効率的に分離し得る。
【0047】
遠心分離機2は、液体混合物用の入口通路22と、軽相用の軽相出口通路24と、水性重相用の重相出口通路26とを備えている。入口通路22は分離空間16に通じている。軽相出口通路24は分離空間16から通じており、重相出口通路26も分離空間16から通じている。
【0048】
図示された実施形態では、遠心分離機2の動作中、分離される液体混合物は、入口通路22を介して上部中央からボウル4内に供給され、そこから分離空間16内に分配される。分離された軽相は、分離空間16の半径方向最内部から軽相出口通路24を介して上方に導かれる。分離された水性重相は、分離空間16の最内周部よりも半径方向外側の分離空間16の部分、例えば分離空間16の周縁部または周縁に近い部分から、重相出口通路26を介して上方に導かれる。
【0049】
この種類の遠心分離機は知られており、多数の異なるタイプおよびサイズがある。本発明は一般に、この種類の異なるタイプおよびサイズの遠心分離機に適用可能である。本発明は、入口通路、軽相出口通路、重相出口通路の種類および配置に限定されない。入口通路および出口通路は、例えば、開放されていてもよく、および/または、機械的に気密シールされていてもよく、さらに/或いは、ペアリングディスクを備えていてもよい。それらは、図1に示されるようにボウルの上端に設けられ得る。或いは、それらのうちの1つまたは複数が、例えばスピンドルを介してボウルの下端に設けられ得る。
【0050】
いくつかの例を挙げる。入口通路22は、ボウル4と遠心分離機2の静止部分との間で機械的に気密シール(hermetically sealed)され得る。軽相出口通路24は、ボウル4と遠心分離機2の静止部分との間で機械的に密閉され得る。重相出口通路26は、ボウル4と遠心分離機2の静止部分との間で機械的に気密シールされ得る。機械的な気密シールは2つのシール部材を備え、1つは回転ボウル4と共に回転するように接続され、もう1つは関連する静止部分に固定して配置される。2つのシール部材は、遠心分離機の作動中に回転ボウル4と静止部分との間にシールを提供するために、互いにシール当接して配置される。重相出口通路26が機械的に気密シールされる代わりに、重相出口通路26は、固定部分に接続され、ボウル4の重相ペアリングチャンバ内に配置されるペアリングディスクを含み得る。軽相出口通路24が機械的に気密シールされる代わりに、軽相出口通路24は、固定部分に接続され、ボウル4の軽相ペアリングチャンバ内に配置されるペアリングディスクを含み得る。機械的に気密シールされた入口通路22の代替として、入口通路22は開放されていてもよく、オプションで、入口通路22には、水平に配置された堰/堰(複数)および/またはフランジ/フランジ(複数)によって形成されたいわゆる水密入口(hydrohermetic inlet)が設けられてもよい。
【0051】
上述したように、分離部材18は、分離ディスク20のスタックを含み得る。分離ディスク20には、分離ディスク20のスタックを通って実質的に垂直に延在する分配チャネルを形成する分配孔28が設けられ得る。分配チャネルを通じて、分離空間16に供給される液体混合物の少なくとも一部は、分離ディスク20のスタック内に分配される。分配孔20は、分離ディスク20の半径方向内側半分に配置され得る。このように、遠心分離機2は濃縮機として構成することができ、油分含有量が5%以下の混合物などの低油分水性液体混合物から油分を含む軽相を分離するために特に考案され得る。
【0052】
分配孔28は、円形または楕円形であり得る。分配チャネルの数は4~12の範囲内である。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、分配孔は半径方向に細長くてもよい。したがって、分離ディスクのスタックおよび分配チャネルは、5%を超える高いレベルでもさまざまな油含有量を有する液体混合物を良好に分離するために考案され得る。このような実施形態では、細長い分配孔は、分離ディスクの半径方向外側半分にも延在し得る。
【0054】
液体混合物は、水より重い固体粒子および/または液体粒子を含み、これらの粒子はスラッジ相の一部として液体混合物から分離され得る。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、遠心分離機2は、ボウル4の半径方向外周に配置されたスラッジ出口通路30を備え得る。図2a、図2bおよび分離システムの説明を参照して以下に示す制御構成は、分離されたスラッジ相を排出するためにスラッジ出口通路30を断続的に開くように構成され得る。
【0056】
図1では、1つのスラッジ出口通路30のみが示されている。ボウル4は、さらなるスラッジ出口通路30を備え得る。
【0057】
図2a、図2bは、分離システム32の例示的な実施形態を概略的に示す。通路および導管内の流れの方向は矢印で示されている。
【0058】
図2a、図2bの両方を参照すると、分離システム32は、油含有量が5%以下の油含水性液体混合物を水性重相と軽相とに分離するように構成されている。分離システム32は、油含水性液体混合物用のタンク34と、遠心分離機2と、遠心分離機2につながる入口導管36と、軽相用の容器38と、制御構成40とを備えている。入口導管36は、タンク34の下流に配置されている。
【0059】
遠心分離機2は、図1を参照して上述したような遠心分離機2であって、回転軸を中心に回転可能なボウルと、ボウルの本体によって画定された分離空間に配置された分離部材と、分離空間に通じる油含水性液体混合物の入口通路22と、分離空間からの軽相出口通路24と、分離空間からの重相出口通路26とを備え得る。
【0060】
制御構成40は、センサ42および制御可能な軽相バルブ構成44を備えている。したがって、分離システム32は、制御可能な軽相バルブ構成44を備えている。
【0061】
軽相バルブ構成44は、軽相出口通路24に、軽相用の容器38に接続された軽相導管46に、および、遠心分離機2の入口通路22に接続された戻り導管48に流体接続されている。したがって、軽相バルブ構成44を介して、軽相出口通路24からの分離された軽相を、軽相用の容器38または入口通路22に導くことができる。
【0062】
制御構成40は、分離システム32の使用中に、以下の事項を行うように構成されている。
- 軽相の油濃度パラメーターを決定する。オイル濃度パラメーターの決定は、少なくとも部分的にセンサ42によって実行され得る。制御構成の計算ユニット50は、オイル濃度パラメーターの決定に寄与し得る。
- 閾値を超える油濃度パラメーターに応答して、軽相を軽相出口通路24から軽相導管46に導くように軽相バルブ構成44を制御する。したがって、軽相が閾値を超える油濃度を有する場合、軽相は、軽相導管46を介して軽相用の容器38に導かれる。計算ユニット50は、軽相バルブ構成44を調整し得る。
- 油濃度パラメーターが閾値を下回ったことに応答して、軽相バルブ構成44を制御して、軽相を軽相出口通路24から戻り導管48に再循環させる。したがって、軽相の油濃度が閾値未満である場合、軽相は、戻り導管48を介して遠心分離機2の入口通路22に導かれる。ここでも、計算ユニット50は、軽相バルブ構成44を調整し得る。
【0063】
つまり、軽相が軽相用の容器に送られるために、一定の油濃度を有することが保証される。したがって、液体混合物の水性部分を軽相用の容器38に不必要に導くことが回避される。閾値のレベルは、軽相のために容器38に送られる水性部分の量を制御するために、制御システムに設定され得る。
【0064】
センサ42は、導電率センサ、静電容量(誘電)センサ、音響センサ、または、分離された軽相中の油含有量の決定に寄与できる他の任意の適切なセンサのうちの1つ以上を含み得る。
【0065】
戻り導管48には、流量制限、例えば、特定の流れ制限要素49が設けられ得、或いは、戻り導管48の少なくとも一部は、センサ42および計算ユニット50が油濃度パラメーターを確立し、油濃度パラメーターの閾値との比較を実行するのに適した流量を維持するために小さい直径を有する。この目的に必要な軽相よりも大量の軽相の流れは、不必要に大量の軽相を入口通路22に再循環させ得る。
【0066】
したがって、遠心分離機2から軽相出口通路24を介した軽相の流れは、分離された軽相が軽相用容器38に導かれるか、それとも入口通路22に再循環されるかに応じて異なり得る。戻り導管48を通るよりも軽相導管46を通って軽相用の容器38に至る軽相の流れが大きいことは、閾値を超える油含有量を有する分離された軽相が軽相用の容器38に容易に導かれることを確実にするために有益であり得る。
【0067】
図示された実施形態では、軽相バルブ構成44は、制御可能な三方バルブを備えている。或いは、軽相バルブ構成44は、例えば、軽相導管46および戻り導管48内にそれぞれ1つずつ配置された、2つの制御可能な2バルブを備え得る。
【0068】
実施形態によれば、油含水性液体混合物はビルジ水であり得る。
【0069】
このような実施形態によれば、油用のタンク34は、船上のビルジ水タンクであってもよく、その中に船のビルジ水が収集され、そこからビルジ水が油の除去のために、またオプションでスラッジの除去のために遠心分離機2に供給される。軽相用の容器38はスロップ油タンクであり得る。
【0070】
図2aの実施形態では、戻り導管48は入口導管36に直接接続されている。すなわち、分離システム32の動作中、油濃度パラメーターが閾値を下回るとき、軽相は、戻り導管48を介して入口導管36および入口通路22に直接再循環される。入口導管36で、再循環軽相は、タンク34から供給される液体混合物に添加される。
【0071】
図2bの実施形態では、戻り導管48は、油含水性液体混合物用のタンク34に接続されている。すなわち、分離システム32の動作中、油濃度パラメーターが閾値を下回るとき、軽相はタンク34に再循環される。タンク内で軽相は液体混合物と混合され、そのような混合物は、入口導管36を介して入口通路22に供給される。
【0072】
以下の特徴は図2bを参照して説明されるが、それらの1つ以上は図2aの実施形態にも実装され得る。
【0073】
分離システム32は、油含水性液体混合物をタンク34から遠心分離機2の入口通路22に圧送するためのポンプ52を備え得る。
【0074】
軽相通路24および重相通路26の一方または両方の下流に、制御構成40は、遠心分離機2の動作に適した背圧を提供するために、定圧弁43、45を備えることができ、例えば、機械的に気密シールされた出口通路24、26を備えた遠心分離機の場合、定圧弁43、45が必要である。定圧弁43、45は、計算ユニット50によって制御され得る。
【0075】
制御構成40、したがって分離システム32は、重相出口通路26に接続された重相バルブ構成54を備え得る。重相バルブ構成54は、遠心分離機2で分離された重相をタンク34に戻すか、分離システム32から離れた重相導管56に導くように構成されている。
【0076】
重相バルブ構成54の上流の制御構成40は、OCMまたは他の適切なセンサ58を備え得る。OCM/センサ58は、遠心分離機2で分離された水性重相の油含有量を決定し、計算ユニット50もまた、この決定に利用される。決定された油含有量は、重相バルブ構成54を制御するために利用される。
【0077】
したがって、水性重相の油含量が高すぎてシステム32から導くことができない場合、水性重相は、重相バルブ構成54を介して重相出口通路26からタンク34へ再循環され得る。水性重相はタンク34内で液体混合物と混合され、最終的に遠心分離機2の入口通路22に供給される。
【0078】
図示された実施形態では、重相バルブ構成54は、制御可能な三方弁を備えている。或いは、重相バルブ構成54は、例えば、重相導管46および戻り導管48内にそれぞれ1つずつ配置された、2つの制御可能な2弁を備え得る。
【0079】
図示された実施形態では、重相バルブ構成54は、軽相用の戻り導管48に接続されている。このような実施形態では、逆止弁(check valve)47を戻り導管48に設けて、重相が分離された軽相と混合するのが防止され得る。代替として、重相バルブ構成54は、タンク34に通じる別個の導管に接続されてもよい。
【0080】
図1に示されるように、遠心分離機2がスラッジ出口通路30を備える実施形態では、制御構成40は、スラッジ出口通路を介した分離されたスラッジ相の排出を制御するように構成され得る。
【0081】
分離システム32は、オイルフィルタ51と、分離された重相を、オイルフィルタ51を介して導くか、またはオイルフィルタ51をバイパスするように構成されたさらなるバルブ構成53とを備え得る。オイルフィルタ51は、水性重相から少量の残留油を減少/除去するための膜フィルタまたは任意の他の適切なフィルタであり得る。例えば、オイルフィルタ51は、特定の地域で船外に水を廃棄するために必要な場合に、重相の油分を例えば15ppmから5ppm以下に低減するために利用され得る。
【0082】
さらなるバルブ構成53は、計算ユニット50および/またはOCM58によって制御され得る。図示された実施形態では、さらなるバルブ構成53は2つの二方弁を備えている。或いは、さらなるバルブ構成53は三方弁を含み得る。
【0083】
図3は、実施形態による制御構成40を示す。制御構成40は、本発明の異なる態様および/または実施形態に関連して利用されるように構成されている。制御構成40は図1図2bにも示されている。
【0084】
制御構成40は、例えば デジタル信号処理用の回路(デジタル信号プロセッサ、DSP)、中央処理ユニット(CPU)、処理装置、処理回路、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、または命令を解釈して実行する可能性のあるその他の処理ロジックのような、実質的に任意の適切なタイプのプロセッサ回路またはマイクロコンピュータの形態をとることができる計算ユニット50を備えている。ここで利用される計算ユニットの表現は、例えば、上述したもののうちのいずれか、一部、またはすべてなど、複数の処理回路を備える処理回路を表し得る。制御構成40は、メモリユニット60を備え得る。計算ユニット50はメモリユニット60に接続され、メモリユニット60は、例えば、計算ユニット50が計算を実行できるようにするために必要な格納されたプログラムコードおよび/または格納データを計算ユニット50に提供する。計算ユニット50はまた、計算の部分的または最終的な結果をメモリユニット60に格納するように構成され得る。メモリユニット60は、データまたはプログラム、すなわち命令シーケンスを一時的または永続的に格納するために利用される物理デバイスを備え得る。
【0085】
制御構成40は、1つまたは複数のセンサおよび/またはメーター42、58と、1つまたは複数の制御可能なバルブ43、44、45、53、54とをさらに備えている。制御構成40は、ケーブル、データバス、例えば、CAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)バス、MOST(メディア指向システム・トランスポート)バス、またはその他のバス構成、またはワイヤレス接続のうちの1つまたは複数を介して、1つまたは複数のセンサおよび/またはメーターおよび1つまたは複数の制御可能なバルブと通信する。図示された実施形態では、1つの計算ユニット50およびメモリ60のみが示されているが、制御構成40は、2つ以上の計算ユニットおよび/またはメモリを備え得る。
【0086】
センサは、油濃度パラメーターおよび/または軽相の油含量を決定するためのデータを提供するセンサ42であってもよく、メーターは油含量メーター58であり得る。制御可能なバルブは、制御可能な軽相バルブ構成44および制御可能な重相バルブ構成54の一部を形成し得る。
【0087】
計算ユニット50は、センサ42からのデータに基づいて、分離された軽相の油濃度パラメーターおよび/または油含有量を決定するように構成され得る。計算ユニット50は、重相の油含有量を決定するか、または油含量メーター58からのデータに基づいて油含有量の数値を受領するように構成され得る。計算ユニット50は、油濃度パラメーターおよび/または油含量数値を閾値と比較するように構成され得る。
【0088】
制御構成40は、以下、図4を参照して説明するように、本明細書で説明される態様および/または実施形態のいずれか1つによる方法100を実行するように構成され得る。
【0089】
図4は、油含水性液体混合物を分離するための方法100の実施形態を示す。方法100の実行は、図3を参照して上述したように、制御構成40によって制御され得る。以下では、図1図3も参照する。
【0090】
方法100は、油含量が5%以下の油含水性液体混合物を、分離システムにおいて水性重相と軽相とに分離するために適用される。分離システムは、図2a、図2bを参照して上述したような分離システム32であり得る。したがって、分離システム32は、油含水性液体混合物用のタンク34と、遠心分離機2と、遠心分離機2につながる入口導管36と、軽相用の容器38とを備えている。遠心分離機は、図1図2bを参照して上述したような遠心分離機2であり得る。したがって、遠心分離機2は、入口導管36に接続された含油水性液体混合物の入口通路22と、軽相出口通路24と、重相出口通路26とを備えている。
【0091】
方法100は、
- 油含水性液体混合物をタンクから入口導管36を介して遠心分離機2の入口通路22に供給するステップ102と、
- 油含水性液体混合物を遠心分離機2内で水性重相と軽相に分離するステップ104と、
- 軽相の油濃度パラメーターを決定するステップ106と、
油濃度パラメーターが閾値を超えたことに応答して、
- 軽相を軽相出口通路24から軽相用の容器38に導くステップ108と、
油濃度パラメーターが閾値を下回ったことに応答して、
- 軽相を、軽相出口通路24から遠心分離機2の入口通路22へ再循環するステップ110と、
を含む。したがって、動作条件は、分離された軽相の目的地を決定し、軽相が主に水を含む場合に軽相用の容器38を水で満たすことが回避される。
【0092】
軽相の油濃度パラメーターは、軽相の油含有量の流量値である。
【0093】
軽相を再循環するステップ110は、軽相をタンク34に導くステップ112を含み得る(図2bも参照)。このようにして、分離された軽相が高い含水量を有する場合、それをタンク34に導くことができ、そこから再び入口通路22に供給し得る。
【0094】
或いは、軽相を再循環させるステップ110は、軽相を入口導管36に直接導くステップ114を含み得る(図2aも参照)。このようにして、分離された軽相が高い含水量を有する場合、それは入口導管36内でタンク34から供給される液体混合物と混合され得る。
【0095】
実施形態によれば、油含水性液体混合物はビルジ水であり得る。
【0096】
実施形態によれば、油含水性液体混合物を水性重相と軽相に分離するステップ104において、水性重相の油含有量は15ppm未満であり得る。このようにして、方法100は、ビルジ水から水性重相を分離するのに適合させることができ、この水性重相は船外に廃棄するのに適合する。
【0097】
実施形態によれば、導出するステップ102は、油含水性液体混合物をタンク34から遠心分離機2の入口通路22にポンプで送るステップ116を含み得る。このようにして、液体混合物をタンク34から遠心分離機2に移送することができる。
【0098】
上述したように、分離システム32は、軽相出口通路24に接続された軽相バルブ構成44を備え得る。方法100の実施形態によれば、軽相を導くステップ108は、軽相バルブ構成44を介して軽相を軽相用の容器38に導くステップ118を含み、軽相を再循環させるステップ110は、軽相を、軽相バルブ構成44を介して遠心分離機2の入口通路22に導くステップ120を含み得る。このようにして、分離された軽相の流れを都合よく方向付け得る。
【0099】
分離システム32は、重相出口通路26に接続された重相バルブ構成54を備え得る。実施形態によれば、方法100は、重相バルブ構成54を介して重相出口通路26からタンク34へ水性重相を再循環させるステップ122を含み得る。このようにして、水性重相の油含有量が所望のレベルまたは必要なレベルを超える場合、水性重相をタンク34に戻し得る。
【0100】
水性重相を再循環するステップ122の前に、例えば図2bを参照して上述した方法で、分離された水性重相の油分を測定するステップが実施され得る。
【0101】
上述したように、遠心分離機2は、遠心分離機2のボウル4の分離空間16の周囲に配置されたスラッジ出口通路30を備え得る。方法100は、
- 油含水性液体混合物からスラッジ相を分離するステップ124と、
- スラッジ出口通路30を介してスラッジ相を断続的に排出するステップ126と、
を含み得る。このようにして、油含水性液体混合物から、スラッジ相を含有する粒子が除去され得る。
【0102】
さらなる態様によれば、コンピュータプログラムが提供され、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、本明細書で論じられる態様および/または実施形態のいずれか1つによる方法100をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0103】
当業者であれば、油含量が5%以下の油含水性液体混合物を分離システム32内で水性重相と軽相とに分離するための方法100は、分離システム32の制御構成40内のプログラムされた命令によって実施され得ることを理解するであろう。これらのプログラムされた命令は、通常、コンピュータプログラムによって構成され、コンピュータまたは計算ユニット50で実行されると、コンピュータまたは計算ユニット50は、本発明による方法ステップ102~126などの所望の制御を実行することを保証する。コンピュータプログラムは通常、コンピュータプログラムが格納される適切なデジタル記憶媒体を含むコンピュータ可読記憶媒体の一部である。
【0104】
上記は様々な例示的な実施形態を説明するものであって、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ規定されることを理解すべきである。当業者は、添付した特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態が修正され得ること、並びに、例示的な実施形態の異なる特徴を組み合わせて、本明細書に記載されたもの以外の実施形態を作成できることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0105】
2 遠心分離機
4 回転ボウル
6 回転軸
8 スピンドル
10 ハウジング
12 電気モータ
14 本体
16 分離空間
18 分離部材
20 分離ディスク
20 分配孔
22 入口通路
24 軽相通路、軽相出口通路
25 油含有量
26 重相通路、重相出口通路
28 分離ディスク
30 スラッジ出口通路
32 分離システム
34 タンク
36 入口導管
38 軽相用容器
40 制御構成
42 メーター、センサ
43 定圧弁
44 軽相バルブ構成
45 定圧弁
46 重相導管
46 軽相導管
47 逆止弁(check valve)
48 導管
49 制限要素
50 計算ユニット
51 オイルフィルタ
52 ポンプ
53 バルブ構成
54 重相バルブ構成
56 重相導管
58 油含量メーター、センサ
60 メモリユニット
ASIC 集積回路
CPU 中央処理ユニット
OCM 油分計
図1
図2a
図2b
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油含水性液体混合物用のタンク(34)、遠心分離機(2)、遠心分離機(2)につながる入口導管(36)、および、軽相用の容器(38)を備えた分離システム(32)で、油分含有量が5%以下の油含水性液体混合物を、水性重相と軽相とに連続的に分離する方法(100)において、
前記遠心分離機(2)は、回転軸(6)を中心に回転可能なボウル(4)と、前記ボウル(4)の本体(14)によって画定された分離空間(16)内に配置された複数の分離部材(18)と、前記入口導管(36)に接続された油含水性液体混合物の入口通路(22)と、軽相出口通路(24)と、重相出口通路(26)とを備えており、
当該方法は、
- 油含水性液体混合物を前記タンク(34)から前記入口導管(36)を介して前記遠心分離機(2)の入口通路(22)に導くステップ(102)と、
- 油含水性液体混合物を前記遠心分離機(2)で水性重相と軽相とに分離するステップ(104)と、
- 軽相の油濃度パラメーターを決定するステップ(106)と、
前記油濃度パラメーターが閾値を超えたことに応答して、
- 軽相を前記軽相出口通路(24)から軽相用の前記容器(38)に導くステップ(108)と、
前記油濃度パラメーターが閾値を下回ったことに応答して、
- 前記軽相出口通路(24)から前記遠心分離機(2)の入口通路(22)へ軽相を再循環させるステップ(110)と、
を含んでなる、分離する方法(100)。
【請求項2】
軽相を再循環させる前記ステップ(110)は、軽相を前記タンク(34)に導くステップ(112)を含む、請求項1に記載の分離する方法(100)。
【請求項3】
軽相を再循環させる前記ステップ(110)は、軽相を前記入口導管(36)に直接導くステップ(114)を含む、請求項1に記載の分離する方法(100)。
【請求項4】
油含水性液体混合物を水性重相と軽相とに分離する前記ステップ(104)において、水性重相の油含有量は15ppm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項5】
油含水性液体混合物はビルジ水である、請求項1~のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項6】
導く前記ステップ(102)は、油含水性液体混合物を前記タンク(34)から前記遠心分離機(2)の入口通路(22)にポンプで送り出すステップ(116)を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項7】
前記分離システム(32)は、前記軽相出口通路(24)に接続された軽相バルブ構成(44)を備え、
軽相を導く前記ステップ(108)は、前記軽相バルブ構成(44)を介して軽相を軽相用の前記容器(38)に導くステップ(118)を含み、
軽相を再循環する前記ステップ(110)は、軽相を、前記軽相バルブ構成(44)を介して前記遠心分離機(2)の入口通路(22)に導くステップ(120)を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項8】
前記分離システム(32)は、前記重相出口通路(26)に接続された重相バルブ構成(54)を備え、
当該方法(100)は、前記重相バルブ構成(54)を介して前記重相出口通路(26)から前記タンク(34)まで水性重相を再循環するステップ(122)を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項9】
前記遠心分離機(2)が、前記遠心分離機(2)のボウル(4)の分離空間(16)の周囲に配置されたスラッジ出口通路(30)を備え、
当該方法(100)は、油含水性液体混合物からスラッジ相を分離するステップ(124)と、スラッジ出口通路(30)を介してスラッジ相を断続的に排出するステップ(126)とを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の分離する方法(100)。
【請求項10】
油分含有量が5%以下の油含水性液体混合物を水性重相と軽相とに連続的に分離するように構成された分離システム(32)であって、油含水性液体混合物用のタンク(34)、遠心分離機(2)、前記遠心分離機(2)につながる入口導管(36)、軽相用の容器(38)、および、制御構成(40)を備えた分離システム(32)において、
前記遠心分離機(2)は、回転軸(6)を中心に回転可能なボウル(4)と、前記ボウル(4)の本体(14)によって画定される分離空間(16)内に配置された分離部材(18)と、前記分離空間(16)に通じる入口通路(22)と、前記分離空間(16)からの軽相出口通路(24)と、前記分離空間(16)からの重相出口通路(26)とを備えており、
前記制御構成(40)は、センサ(42)と制御可能な軽相バルブ構成(44)とを備えており、
前記軽相バルブ構成(44)は、軽相出口通路(24)に流体接続され、前記軽相用の容器(38)に接続された軽相導管(46)に流体接続され、並びに、遠心分離機(2)の入口通路(22)に接続された戻り導管(48)に流体接続され、
当該分離システム(32)の使用中の前記制御構成(40)は、
- 軽相の油濃度パラメーターを決定するように構成され、
前記油濃度パラメーターが閾値を超えたことに応答して、
- 前記軽相バルブ構成(44)を制御して、前記軽相出口通路(24)から前記軽相導管(46)まで軽相を導くように構成され、
前記油濃度パラメーターが閾値を下回ったことに応答して、
- 前記軽相バルブ構成(44)を制御して、前記軽相出口通路(24)から前記戻り導管(48)まで軽相を再循環させるように構成されている、分離システム(32)。
【請求項11】
前記戻り導管(48)は、油含水性液体混合物用の前記タンク(34)に接続されている、請求項10に記載の分離システム(32)。
【請求項12】
前記戻り導管(48)は前記入口導管(36)に直接接続されている、請求項10に記載の分離システム(32)。
【請求項13】
油含水性液体混合物はビルジ水である、請求項10~12のいずれか一項に記載の分離システム(32)。
【請求項14】
前記遠心分離機(2)は、前記ボウル(4)の径方向外周に配置されたスラッジ出口通路(30)を備え、前記制御構成(40)は、分離されたスラッジ相を排出するために前記スラッジ出口通路(30)を断続的に開くように構成されている、請求項10~12のいずれか一項に記載の分離システム(32)。
【請求項15】
前記分離部材(18)は分離ディスク(20)のスタックを含み、前記分離ディスク(20)には分配孔(28)が設けられており、前記分配孔(28)は、前記分離ディスク(28)の半径方向内側半分に配置されている、請求項10~12のいずれか一項に記載の分離システム(32)。
【国際調査報告】