(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ロボットマニピュレータのためのグリッパアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B25J15/08 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516683
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022075645
(87)【国際公開番号】W WO2023041644
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】フラス、ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ディーコン、グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ソティロポロス、パナギオティス
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS09
3C707ES03
3C707ET03
3C707EU07
3C707KS33
3C707KV06
3C707KW01
(57)【要約】
本開示は、物体の操作中にロボットマニピュレータのグリッパアセンブリのフィンガ要素に加えられた力を確認することに関する。一態様では、それは、フィンガ要素と、アクチュエータと、アクチュエータにフィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、フィンガ要素に加えられている力の結果として複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、を備えるグリッパアセンブリを開示する。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリッパアセンブリを備えるロボットマニピュレータのための制御システムであって、前記グリッパアセンブリは、
フィンガ要素と、
アクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、
前記複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、を備え、
前記制御システムは、
前記センサアセンブリによって出力された信号に基づいて、前記フィンガ要素に加えられている力の結果として前記複数のアームの各々に加えられた力成分を示す値を決定することと、
前記力成分を示す前記値に基づいて、前記複数のアームの各々に加えられた合力ベクトルを示す値を決定することと、
前記合力ベクトルを示す前記値に基づいて、前記フィンガ要素に加えられた前記力の大きさ及び方向を示す印加力ベクトルを示す値を決定することと、
を行うように構成された制御装置を備える、制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
基準座標フレームに対する前記合力ベクトルを示す前記値を決定すること
を行うように更に構成されている、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記基準座標フレーム内で、前記合力ベクトルを示す前記値の各々についての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記作用線が交差する点を決定することと、
を行うように更に構成されている、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記合力ベクトルを示す前記値の和に基づいて、前記印加力ベクトルを示す前記値を決定することと、
前記印加力ベクトルの原点が前記基準座標系内で前記交差する点と同じ座標を有するように、前記印加力ベクトルを示す前記値を修正することと、
を行うように更に構成されている、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルを示す前記値についての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルについての前記作用線と前記フィンガ要素とが交差する点を決定することと、
を行うように更に構成されている、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記リンク機構アセンブリの特性に関して前記基準座標系を決定すること
を行うように更に構成されている、請求項2~5のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項7】
ロボットマニピュレータのグリッパアセンブリのフィンガ要素に加えられた力を決定する方法であって、前記グリッパアセンブリは、
アクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、
前記複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、を備え、
前記方法は、
前記センサアセンブリによって出力された信号に基づいて、前記フィンガ要素に加えられている力の結果として前記複数のアームの各々に加えられた力成分を決定することと、
前記力成分に基づいて、前記複数のアームの各々に加えられた合力ベクトルを決定することと、
前記合力ベクトルに基づいて、前記フィンガ要素に加えられた前記力の大きさ及び方向を示す印加力ベクトルを決定することと、
を備える、方法。
【請求項8】
基準座標フレームに対する前記合力ベクトルを決定すること
を更に備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基準座標フレーム内で、前記合力ベクトルの各々についての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記作用線が交差する点を決定することと、
を更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記合力ベクトルの和に基づいて、前記印加力ベクトルを決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルの原点と前記交差する点とが一致するように、前記印加力ベクトルを変換することと、
を更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルについての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルについての前記作用線と前記フィンガ要素とが交差する点を決定することと、
を更に備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記リンク機構アセンブリの特性に関して前記基準座標系を決定すること
を更に備える、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ロボットマニピュレータのためのグリッパアセンブリであって、前記グリッパアセンブリは、
フィンガ要素と、
アクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、
使用時に、物体の操作中に前記フィンガ要素に加えられている力の結果として前記複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、
を備える、グリッパアセンブリ。
【請求項14】
前記センサアセンブリは、物体の操作中に前記リンク機構アセンブリに直接加えられた力成分を示す信号を出力するように更に構成されている、請求項13に記載のグリッパアセンブリ。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のグリッパアセンブリを備えるロボットマニピュレータを備えるロボットピッキングシステムであって、前記ロボットピッキングシステムは、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法を行うように構成されている、ロボットピッキングシステム。
【請求項16】
実行されると、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法を行うように構成されたコンピュータソフトウェア。
【請求項17】
1つ以上の電子プロセッサによって実行されると、前記1つ以上の電子プロセッサに、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体の操作中にロボットマニピュレータのグリッパアセンブリのフィンガ要素に加えられた力を確認することに関する。本発明の態様は、グリッパアセンブリ、ロボットマニピュレータのための制御システム、及びグリッパアセンブリのフィンガ要素に加えられた力を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ピッキング及び梱包プロセス中にロボットマニピュレータを使用する際の重要な側面が、取り扱われている物体又はアイテムの状態を決定することができることである。これは、物体の存在、相互作用力、接触特性、等を検出するセンサの使用を通じて行われる。既知のアプローチが、ロボットマニピュレータのフィンガ要素にセンサを直接適用することであり、これは、そこで、マニピュレータと取り扱われている物体との間の意図された相互作用が生じるからである。
【0003】
このアプローチは、DE102013113044 A1に示されており、これは、その操作中に物体に加えられた力を決定するために、力センサがフィンガ要素に組み込まれたロボット把持ハンドを開示している。段落11に記載されているように、この文献に開示された一般概念では、力センサが、物体を掴むために使用されるフィンガ要素において設けられ、これにより、掴み力が、広範囲にわたって安定して正確に検出され得る。ロボット把持ハンドの2つの実施形態が示されている。第1の実施形態では、フィンガ要素の基部に力センサが設けられ、モータと、減速ギアと、直線駆動機構と、を含むアクチュエータが、力センサを介してフィンガ要素に接続されている。第2の実施形態では、フィンガ要素は、2つのセクションをそれぞれ備え、力センサが、2つのセクションの一方に作用するトルクを検出するために、2つのセクションの間の継ぎ手において位置付けられている。
【0004】
しかしながら、このようなアプローチに関連付けられたいくつかの問題がある。第1に、センサは、多くの場合、フィンガ要素の要件(例えば、コンプライアンス、摩擦、可撓性、等)の観点から最適ではなく、従って、フィンガ要素へのそれらの組み込みは、多くの場合、何らかの形で性能を損なう。第2に、センサは、多くの場合、相互作用が生じる表面全体をカバーすることができず、結果として相互作用力を検出することができない「ブラインドスポット」がフィンガ要素上に生じる。第3に、センサは、ロボットマニピュレータ全体を通って又はそれに沿ってフィンガ要素までルーティングされる電気的接続を必要とし、マニピュレータの全体的な構造を複雑にし、フィンガ要素の交換を煩雑にする。第4に、フィンガ要素においてしばしば使用される追加の高摩擦、高コンプライアンス層は、センサの精度を潜在的に妨げる。
【0005】
本発明は、こうした背景に対して考案されたものである。
【発明の概要】
【0006】
従って、第1の態様では、ロボットマニピュレータのためのグリッパアセンブリが提供され、グリッパアセンブリは、フィンガ要素、即ち、操作されるべき物体に係合するように構成されたグリッパアセンブリの部分と、アクチュエータと、アクチュエータにフィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、フィンガ要素に加えられている力の結果として複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、を備える。次いで、力成分は、フィンガ要素に加えられている力の大きさ及び方向を決定するために使用され得る。フィンガ要素自体ではなく、リンク機構アセンブリのアームに複数のロードセル等のセンサアセンブリを計装することによって、3つの力成分全てと、力がフィンガ要素に加えられる点とを含む、フィンガ要素と操作されている物体との間の相互作用を記述する数値の数を測定することが可能になる。即ち、この新規な構成は、物体の操作中にフィンガ要素を介してリンク機構アセンブリを通じて伝達された力を確認し、次いで、リンク機構アセンブリに作用している確認された力を生じさせるために必要とされる、フィンガ要素に加えられた合力(resultant force)を計算することを可能にする。
【0007】
センサアセンブリは、リンク機構アセンブリに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成され、フィンガ要素自体には適用されないので、フィンガ要素は影響を受けず、フィンガ要素に対するいかなる修正も、印加力を計算する能力の点では重要でないことを意味する。従って、フィンガ要素は、シームレスに交換、修正、等され得る。
【0008】
オプションで、複数のアームは、フィンガ要素に接続された2つの実質的に平行な閉連鎖を画定するように配置される。
【0009】
オプションで、センサアセンブリは、物体の操作中にリンク機構アセンブリに直接加えられた力成分を示す信号を出力するように更に構成される。
【0010】
第2の態様では、グリッパアセンブリを備えるロボットマニピュレータのための制御システムが提供され、グリッパアセンブリは、フィンガ要素と、アクチュエータと、アクチュエータにフィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、を備え、制御システムは、センサアセンブリによって出力された信号に基づいて、フィンガ要素に加えられている力の結果として複数のアームの各々に加えられた力成分を示す値を決定することと、力成分を示す値に基づいて、複数のアームの各々に加えられた合力ベクトルを示す値を決定することと、合力ベクトルを示す値に基づいて、フィンガ要素に加えられた力の大きさ及び方向を示す印加力ベクトルを示す値を決定することと、を行うように構成された制御装置を備える。
【0011】
オプションで、複数のアームは、フィンガ要素に接続された2つの実質的に平行な閉連鎖を画定するように配置される。
【0012】
オプションで、制御装置は、基準座標フレームに対する合力ベクトルを示す値を決定するように更に構成される。
【0013】
オプションで、制御装置は、基準座標フレーム内で、合力ベクトルを示す値の各々についての作用線を決定することと、基準座標系内で、作用線が交差する点を決定することと、を行うように更に構成される。
【0014】
オプションで、制御装置は、合力ベクトルを示す値の和に基づいて、印加力ベクトルを示す値を決定することと、印加力ベクトルの原点が、基準座標系内で交差する点と同じ座標を有するように、印加力ベクトルを示す値を修正することと、を行うように更に構成される。
【0015】
オプションで、制御装置は、基準座標フレーム内で、印加力ベクトルを示す値についての作用線を決定することと、基準座標フレーム内で、印加力ベクトルについての作用線とフィンガ要素とが交差する点を決定することと、を行うように更に構成される。
【0016】
オプションで、制御装置は、リンク機構アセンブリの特性に関して基準座標系を決定するように更に構成される。
【0017】
第3の態様では、ロボットマニピュレータのグリッパアセンブリのフィンガ要素に加えられた力を決定する方法が提供され、グリッパアセンブリは、アクチュエータと、アクチュエータにフィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、を更に備え、方法は、センサアセンブリによって出力された信号に基づいて、フィンガ要素に加えられている力の結果として複数のアームの各々に加えられた力成分を決定することと、力成分に基づいて、複数のアームの各々に加えられた合力ベクトルを決定することと、合力ベクトルに基づいて、フィンガ要素に加えられた力の大きさ及び方向を示す印加力ベクトルを決定することと、を備える。
【0018】
オプションで、方法は、基準座標フレームに対する合力ベクトルを決定することを更に備える。
【0019】
オプションで、方法は、基準座標フレーム内で、合力ベクトルの各々についての作用線を決定することと、基準座標フレーム内で、作用線が交差する点を決定することと、を更に備える。
【0020】
オプションで、方法は、合力ベクトルの和に基づいて、印加力ベクトルを決定することと、基準座標フレーム内で、印加力ベクトルの原点と、交差する点とが一致するように、印加力ベクトルを変換することと、を更に備える。
【0021】
オプションで、方法は、基準座標フレーム内で、印加力ベクトルについての作用線を決定することと、基準座標フレーム内で、印加力ベクトルについての作用線とフィンガ要素とが交差する点を決定することと、を更に備える。
【0022】
オプションで、方法は、リンク機構アセンブリの特性に関して基準座標系を決定することを更に備える。
【0023】
第4の態様では、第4の態様によるグリッパアセンブリを備えるロボットマニピュレータを備えるロボットピッキングシステムが提供され、ロボットピッキングシステムは、第3の態様による方法を行うように構成される。
【0024】
第5の態様では、実行されると、第3の態様による方法を行うように構成されたコンピュータソフトウェアが提供される。
【0025】
第6の態様では、1つ以上の電子プロセッサによって実行されると、1つ以上の電子プロセッサに、第3の態様による方法を実行させる命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0026】
次に、本発明のこれらの態様及び他の態様が、添付の図面を参照して、単に例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による、ロボットマニピュレータを備えるロボットピッキングシステムの概略図である。
【
図2a】
図2aは、
図1のロボットマニピュレータのグリッパアセンブリの等角図である。
【
図3a】
図3aは、
図2のグリッパアセンブリのリンク機構アセンブリの一部の拡大等角図である。
【
図3b】
図3bは、
図3aのリンク機構アセンブリの能動リンクの等角図である。
【
図3c】
図3cは、
図3aのリンク機構アセンブリの受動リンクの等角図である。
【
図5a】
図5aは、
図3aのリンク機構アセンブリの一部の側面図である。
【
図5b】
図5bは、
図3aのリンク機構アセンブリの一部の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面において、同様の特徴は、必要に応じて同様の参照符号によって示される。
【0029】
以下の説明では、様々な開示される実施形態の完全な理解を提供するために、いくつかの特定の詳細が含まれる。しかしながら、当業者であれば、実施形態が、これらの特定の詳細のうちの1つ以上を伴わずに、又は他の方法、配置、構成要素、材料、等を伴って、実施され得ることを認識されよう。いくつかの事例では、開示される実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、プロセッサ、センサ、記憶デバイス、ネットワークインターフェース、ワークピース、引張部材、締結具、電気コネクタ、ミキサ、及び同様のもの等の、グリッパアセンブリ及び/又はロボットマニピュレータに関連付けられた周知の構造は、詳細には説明又は図示されない。
【0030】
文脈上別段の解釈を必要としない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲の全体を通して、「備える(comprise)」という語、並びに「備える(comprises)」及び「備えている(comprising)」等のその変形は、「限定はしないが、~を含む(including, but not limited to)」といったオープンで包括的な意味で解釈されるべきである。
【0031】
本明細書全体を通して、「実施形態」又は「例」に適用される「1つの(one)」、「一(an)」、又は「別の(another)」への言及は、実施形態、例、又は実装形態に関連して説明される特定の指示対象の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態、例、又は実装形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通して様々な箇所で「1つの実施形態では」又は同様の表現が出てきても、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態、例、又は実装形態において、任意の好適な方法で組み合わされ得る。
【0032】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、ユーザ形式「a」、「an」、及び「the」は、内容がそうでないことを明示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。従って、例えば、「フィンガ要素」を含むグリッパアセンブリへの言及は、1つのフィンガ要素、又は2つ以上のフィンガ要素を含む。また、「又は(or)」という用語は、内容がそうでないことを明示しない限り、「及び/又は」を含む意味で概して用いられることにも留意されたい。
【0033】
図1を参照すると、本アセンブリ、デバイス、及び方法と共に使用するために適合され得るような、ロボットピッキングシステム100の一例が例示されている。ロボットピッキングシステム100は、オンライン食料品小売動作等のオンライン小売動作の一部を形成し得るが、アイテムのピッキング及び/又は仕分を必要とするその他任意の動作にも適用され得るこの例では、ロボットピッキングシステム100は、第1の場所からアイテムをピッキングし、そのアイテムを第2の場所に置くように構成されたロボットマニピュレータ121を備えるマニピュレータ装置102を含む。マニピュレータ装置102は、通信インターフェース104を介して、1つ以上のオプションのオペレータインターフェース106等の、ロボットピッキングシステム100の他の構成要素に通信可能に結合され、そこから、観察者は、システム100及びマニピュレータ装置102の動作を観察又は監視し得る。観察者インターフェース106は、WIMPインターフェースと、文脈又はシナリオにおけるマニピュレータ装置102の動的表現又は説明文の出力表示と、を含み得る。例えば、マニピュレータ装置102の動的表現は、映像及び音声フィード、例えばコンピュータ生成アニメーションを含み得る。好適な通信インターフェース104の例は、ワイヤベースのネットワーク若しくは通信インターフェース、光ベースのネットワーク若しくは通信インターフェース、ワイヤレスネットワーク若しくは通信インターフェース、又は、ワイヤード、光、及び/若しくはワイヤレスネットワーク若しくは通信インターフェースの組合せを含む。
【0034】
ロボットピッキングシステム100は、通信インターフェース104を介して、マニピュレータ装置102と、ロボットピッキングシステム100の他の構成要素とに通信可能に結合された少なくとも1つの制御装置110を含む制御システム108を更に備える。制御装置110は、1つ以上の電子プロセッサを有する制御ユニット又は計算デバイスを備え、その中には、実行されると、制御装置110に、マニピュレータシステム102への作動コマンド又は制御信号を発行させ、マニピュレータ121に、例えば、アイテムの識別及び操作等の、様々な方法及びアクションを実行させる、プロセッサ実行可能データとして提供される制御命令のセットを備えるコンピュータソフトウェアが埋め込まれている。1つ以上の電子プロセッサは、1つ以上のマイクロプロセッサ、中央処理ユニット(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、プログラムド論理ユニット(PLU)、又は同様のもの等の、少なくとも1つの論理処理ユニットを含み得る。いくつかの実装形態では、制御装置110は、モバイルフォン、シングルボードコンピュータ、埋込み型コンピュータ、又は同様のもの等の、より小型のプロセッサベースのデバイスであり、これは、コンピュータ、サーバ、又はアナライザと互換的に呼ばれ得るか、又は称され得る。制御命令のセットはまた、ロボットピッキングシステム100の一部を形成し、通信インターフェース104を介して制御装置110がアクセス可能である非一時的なコンピュータ可読記憶デバイス112に含まれる、システム100及びマニピュレータ装置102の動作に関連付けられたプロセッサ実行可能データとして提供され得る。いくつかの実装形態では、記憶デバイス112は、2つ以上の個別のデバイスを含む。記憶デバイス112は、例えば、1つ以上の揮発性記憶デバイス、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、及び、1つ以上の不揮発性記憶デバイス、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、磁気ハードディスク(HDD)、光ディスク、ソリッドステートディスク(SSD)、又は同様のものを含み得る。当業者であれば、記憶装置が、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)、ネットワークドライブ、フラッシュメモリ、デジタル多用途ディスク(DVD)、その他任意の形態のコンピュータ可読及びプロセッサ可読メモリ若しくは記憶媒体、並びに/又はこれらの組合せ等の様々な方法で実装され得ることを理解されよう。記憶装置は、必要に応じて、読み取り専用であり得るか、又は読み書き可能である。
【0035】
ロボットピッキングシステム100は、マニピュレータ装置102の条件若しくは状態、及び/又はマニピュレータ121が動作する環境若しくは作業空間における条件を検出、感知、又は測定し、対応するセンサデータ又は情報を生成又は提供する1つ以上のセンサを備えるセンササブシステム114を含む。センサ情報は、マニピュレータ121の作業空間内の環境条件を表す環境センサ情報、並びに、様々なサブシステム及びその構成要素を含むマニピュレータ装置102の条件又は状態を表す情報、及び操作されるべきアイテムの特性を含む。取得されたデータは、通信インターフェース104を介して制御装置110に送信され、それに応じてマニピュレータ121に指示し得る。このような情報は、例えば、マニピュレータ装置102の条件又は状態、又はマニピュレータ121が動作する環境を診断するのに有用な診断センサ情報を含み得る。例えば、このようなセンサは、接触センサ、力センサ、歪みゲージ、振動センサ、位置センサ、姿勢センサ、加速度計、及び同様のものを含み得る。このようなセンサは、(例えば赤外線及び紫外線を含む電磁スペクトルの可視範囲及び/又は非可視範囲で応答する)カメラ又は撮像装置116、レーダ、ソナー、タッチセンサ、圧力センサ、ロードセル、マイクロホン118、気象センサ、化学センサ、又は同様のもののうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実装形態では、診断センサは、マニピュレータ装置102内のオンボード電源(例えば、バッテリアレイ、ウルトラキャパシタアレイ、燃料電池アレイ)の状態及び/又は健全性を監視するためのセンサを含む。いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサは、マニピュレータ121に関する位置及び/又は向き情報を受信するための受信機を備える。例えば、全地球測位システム(GPS)データや、飛行時間、信号強度、又は位置測定を実施するための他のデータ等の、信号内のデータに基づいて、制御装置110が位置測定を作成するための2つ以上の時間信号を受信するためのGPS受信機である。また、例えば、それもまたマニピュレータ装置102の一部を形成する1つ以上の加速度計が、マニピュレータ121上に設けられて、その移動に関して、1つ、2つ、又は3つの軸における慣性又は方向データを取得し得る。
【0036】
マニピュレータ121は、オペレータインターフェース106において、人間のオペレータによって操縦され得る。人間のオペレータによる制御又は操縦モードでは、人間のオペレータは、センサデータ、例えば、センササブシステム114の1つ以上のセンサから受信された映像、音声、又は触覚データの表現を観察する。次いで、人間のオペレータは、データの表現の知覚によって条件付けられて行動し、それに応じてマニピュレータ121に指示するための実行可能な制御命令又は情報を作成する。操縦モードでは、マニピュレータ装置102は、感知された情報に基づく他の制御命令を考慮することなく、オペレータインターフェース106から受信されるとリアルタイムで(例えば、追加の遅延なし)制御命令を実行し得る。
【0037】
いくつかの実装態様では、マニピュレータ装置102は、自律的に動作する。即ち、人間のオペレータは、マニピュレータ121に指示するための制御命令をオペレータインターフェース106において作成しない。マニピュレータ装置102は、自律制御命令を実行することによって自律制御モードで動作し得る。例えば、制御装置110は、後に使用するための自律制御命令を生成するために、センササブシステム114の1つ以上のセンサからのセンサデータを使用し得、このセンサデータは、マニピュレータ装置102が操縦モードにあった1回以上からのオペレータ生成制御命令に関連付けられている。例えば、深層学習技法を使用してセンサデータから特徴を抽出することにより、自律モードでは、マニピュレータ装置102は、その環境における特徴又は条件並びに操作されるべきアイテムを自律的に認識し、それに応じて、定義された動作、動作のセット、タスク、又はタスクのパイプライン若しくはシーケンスを行う。いくつかの実装形態では、制御装置110は、センササブシステム114からのセンサデータ及び環境に合成された1つ以上の仮想アイテムによって表されるような、マニピュレータ121を取り囲む環境における特徴及び/又は条件を自律的に認識し、表現が提示されたことに応答して、マニピュレータ装置102に制御信号を発行して、1つ以上のアクション又はタスクを行わせる。
【0038】
場合によっては、マニピュレータ装置102は、あるときは自律的に制御され得、一方、別のときは人間のオペレータによって操縦、動作、又は制御され得る。即ち、自律制御モード下で動作し、操縦モード下(即ち、非自律)で動作するように変化する。別の動作モードでは、マニピュレータ装置102は、人間のオペレータによる制御(又は操縦)モードで以前に実行された制御命令を再生又は実行し得る。即ち、マニピュレータ装置102は、再生された操縦データに基づいて、センサデータなしで動作し得る。
【0039】
マニピュレータ装置102は、バス126に通信可能に結合され、通信インターフェース104を介してシステム100の他の構成要素(例えば、制御装置110)との双方向通信を提供する、通信インターフェースサブシステム124(例えば、ネットワークインターフェースデバイス)を更に含む。通信インターフェースサブシステム124は、プロセッサ可読データ及びプロセッサ実行可能命令の双方向通信に影響を及ぼす任意の回路、例えば、無線機(例えば、無線又はマイクロ波周波数送信機、受信機、送受信機)、通信ポート、及び/又は関連付けられた制御装置であり得る。好適な通信プロトコルは、FTP、HTTP、ウェブサービス、XMLでのSOAP、WI-FI(登録商標)準拠、BLUETOOTH(登録商標)準拠、セルラ(例えば、GSM(登録商標)、CDMA)、及び同様のものを含む。
【0040】
マニピュレータ121は、ロボットアーム120等の1つ以上の付属物と、ロボットアーム120の端部に取り付けられたグリッパアセンブリ又は末端部の作動体122と、を備える電気機械マシンである。グリッパアセンブリ122は、例えば、アイテムを把持する、掴む、解放可能に係合する、又は別様に相互作用することを含む、いくつかのタスクを行うために、環境と相互作用するように構成された複雑な設計のデバイスである。マニピュレータ装置102は、ロボットアーム120及びグリッパアセンブリ122に通信可能に結合されたモーションサブシステム130を更に含み、モーションサブシステム130は、制御装置110によって発行された作動コマンド又は制御信号に従って、ロボットアーム120及び/又はグリッパアセンブリ122を可動域内で移動させるように動作可能な、1つ以上のモータ、ソレノイド、他のアクチュエータ、リンク機構、駆動ベルト、及び同様のものを備える。モーションサブシステム130は、バス126を介して、制御装置110に通信可能に結合される。
【0041】
マニピュレータ装置102はまた、例えば、オペレータ及び/又は別のマニピュレータ装置102と通信するために、マニピュレータ装置102が作業空間内に信号を送ることを可能にする、スピーカ、ライト、及びディスプレイ等の1つ以上の出力デバイスを備える出力サブシステム128を含む。
【0042】
当業者であれば、マニピュレータ装置102における構成要素は、変更され得る、組み合わされ得る、分割され得る、省略され得る、又は同様にされ得ることを理解されよう。いくつかの例では、通信インターフェースサブシステム124、出力サブシステム128、及び/又はモーションサブシステム130のうちの1つ以上が組み合わされ得る。他の例では、サブシステムのうちの1つ以上(例えば、モーションサブシステム130)が、更なるサブシステムに分割される。
【0043】
マニピュレータ121は、物品、物体、ワークピース、又はアイテムを、保管トートボックス等の第1の場所から移動させ、このアイテムを配送トートボックス等の第2の場所に置くように構成され、
図2a及び
図2bは、そのような動作を実行するのに好適なグリッパアセンブリ122の一例を示す。
【0044】
この例では、グリッパアセンブリ122は、操作されるべき物体を掴むように構成された対向する把持面133を画定する2つのフィンガ要素132を、アクチュエータの少なくとも一部が収容されるハウジング134と共に備える。グリッパアセンブリ122は、フィンガ要素132をアクチュエータに接続する、全体として136で示されるリンク機構アセンブリを更に備える。アクチュエータ及びリンク機構アセンブリ136は、使用時に、制御装置110によって発行される作動コマンド又は制御信号に従って、フィンガ要素132を、互いに向かって又は互いから離れるように、略平行な向きに移動させるように構成される。この実装形態では、リンク機構アセンブリ136は、それぞれのフィンガ要素132をアクチュエータに接続する2つのセットのリンク機構アームを備える。各セットのリンク機構アームは、アクチュエータに接続されてその動きをフィンガ要素132に伝達するための被駆動アーム又は能動アーム138と、ハウジング134に回動可能に取り付けられ、フィンガ要素132の移動を案内し、フィンガ要素132の移動中に把持面133の平行な向きを維持するために使用される受動アーム140と、を備える。能動アーム138及び受動アーム140は、それぞれ第1のコネクタ142及び第2のコネクタ144によってフィンガ要素132に接続された2つの実質的に平行な閉連鎖又はリンクを画定するように配置されている。
【0045】
図3a~
図3cを参照すると、グリッパアセンブリ122は、全体として146で示される新規なセンサアセンブリを更に備える。センサアセンブリ146は、この例では、制御装置110に、アイテムの操作中に、フィンガ要素132に加えられている力の結果として能動アーム138及び受動アーム140に加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたロードセルの構成である。アクチュエータによって能動アーム138の一端に加えられるトルクは、それぞれのフィンガ要素132を、対向するフィンガ要素132に向かって又はそれから離れるように移動させる、アーム138の他端における力をもたらす。逆に考えると、フィンガ要素132に加えられた任意の力は、能動アーム138に、従って、それがアクチュエータに接続されている回転軸に作用する曲げモーメントをもたらす。この構成の結果として、3つ全てのx、y、及びz方向の力が、能動アーム138において生成され得る。この例では、x、y、z軸又は方向は、
図3b及び
図3cに示されるように、能動アーム138及び受動アーム140に対してローカルな3次元デカルト座標系20を形成する。この座標系では、正のy軸は、アーム138、149の主軸又は長手方向軸に沿った方向において、アクチュエータ/ハウジング134に取り付けられるように構成された一端から、フィンガ要素132に接続されるように構成された他端まで延在する。正のx軸は、能動アーム138及び受動アーム140を通って、アーム138、140の上面151、181から底面まで、y軸に対して垂直に延在する。z軸は、
図3b及び
図3cにおいて配向されているように、アーム138、140の上縁から下側への一般的な方向に延在する。
【0046】
一方、受動アーム140は、その両端部において自由に回動するように構成されており、従って、ハウジング134又はフィンガ要素132へのその接続を介してトルクを伝達することはできない。このため、フィンガ要素132に加えられた任意の力は、受動アーム140においてx方向の力を生じさせず、y方向及びz方向のみで力を生じさせる。
【0047】
従って、この実装形態では、センサアセンブリ146は、5つのロードセル148、150、152、154、156を備え、それぞれが2対の歪みゲージで構成され、各対がアーム138、140上の対向する場所に位置付けられている。
【0048】
図3bを参照すると、能動アーム138は、それぞれ、x、y、z方向又は軸においてアーム138に加えられた力成分を決定するための3つのロードセル148、150、152を備える。アーム138の上面151上に位置する一対の歪みゲージ149と、アーム138の底面153上に位置する対向する一対の歪みゲージ(図示せず)と、を備えるロードセルのうちの1つ148は、z方向の力を決定するように配置されている。アーム138における横方向の切欠き157において位置する一対の歪みゲージ155と、別の横方向の切欠き159において位置する対向する一対の歪みゲージ(図示せず)と、を備えるロードセルのうちの別の1つ150は、x方向の力を決定するように配置されている。能動アーム138上の最後のロードセル152は、アーム138の一方の側面163上に位置する一対の歪みゲージ161と、アーム138の他方の側面上に位置する対向する一対の歪みゲージ(図示せず)と、を備え、y方向においてアーム138に作用する力を決定するように配置されている。
【0049】
図3cを参照すると、上述したように、グリッパアセンブリ122のこの実装形態では、フィンガ要素132に加えられた任意の力は、受動アーム140においてy方向及びz方向の力成分のみを生じさせ、x方向の力成分を生じさせない。このため、受動アーム140は、z方向及びy方向においてアーム140に加えられる力成分を決定するための2つのロードセル154、156のみを備える。一方のロードセル154は、アーム140の一方の側面167上に位置付けられた一対の歪みゲージ165と、アーム140の他方の側面上に位置する対向する一対の歪みゲージ(図示せず)と、を備え、z方向においてアーム140に作用する力を決定するように配置されている。他方のロードセル156は、アーム140における横方向の切欠き171において位置する一対の歪みゲージ169と、別の横方向の切欠き173において位置する対向する一対の歪みゲージ(図示せず)と、を含み、y方向において受動アーム140に作用する力成分を決定するように配置されている。
【0050】
フィンガ要素132に加えられた力を間接的に確認するために、リンク機構アセンブリ136上のセンサアセンブリ146を使用することに加えて、力がリンク機構アセンブリ136自体に直接加えられる場合を検出することも有利である。このような場合は、フィンガ要素132に加えられた力の間接的な測定が信頼できない可能性がある状況を強調する(highlight)ために使用され得る。例えば、物体の一部が、リンク機構アセンブリ136上に載置されるか、又はリンク機構アセンブリによって支持されるように、物体がグリッパアセンブリ122によって掴まれている場合、グリッパアセンブリ122によって物体に作用する力の全てが、フィンガ要素132を通じて加えられているわけではない。この場合、フィンガ要素132によって加えられた力を、間接的な手段を使用して決定することは、状況の信頼できない又は不完全な見通しを提供し得る。従って、オプションで、受動アーム140は、力がフィンガ要素132に加えられるときには従事(engaged)しないが、荷重が受動アーム140に直接加えられるたびに力を示すように配置された1つ以上の追加のロードセルを装備し得る。このため、この例では、受動アーム140は、フィンガ要素132に加えられたいかなる力からも隔離されているが、受動アーム140に直接加えられた荷重を記録するように好適に配置された2つの追加のロードセル175、177を備える。上述のように、力がフィンガ要素132に加えられたとき、受動アーム140においてx方向の力成分は生成されない。従って、フィンガ要素132から生じない受動アーム140上の力を検出するために、ロードセル175、177は、x方向の力成分を記録するように配置されている。一方のロードセル175は、アーム140の上面181上に位置する一対の歪みゲージ179と、アーム140の底面上に位置する対向する一対の歪みゲージ(図示せず)と、を備える。同様に、他方のロードセル177は、アーム140の上面181上に位置付けられた一対の歪みゲージ183と、アーム140の底面上に位置する対向する一対の歪みゲージ(図示せず)と、を備える。
【0051】
図4を参照すると、能動アーム138及び受動アーム140において生成された力成分を示す信号を受信すると、制御装置110は、プロセス200を実行するように構成され、これは、ステップ202において開始する。その後、ステップ204において、制御装置110は、センサアセンブリ146によって出力された信号に基づいて、能動アーム138及び受動アーム140に、それらそれぞれのフィンガ要素132に加えられている力の結果として加えられた力成分を示す値を決定するように構成される。力成分を示す値が導出されると、プロセス200は、ステップ206に進み、そこで、制御装置110は、力成分を示す値に基づいて、能動アーム138及び受動アーム140の各々に適用される合力ベクトルを示す値を決定するように構成される。次いで、制御装置110は、ステップ208において、合力ベクトルを示す値に基づいて、フィンガ要素132に加えられた力の大きさ及び方向が導出され得る印加力ベクトルを示す値を決定するように構成され、その後、プロセス200は、ステップ210において終了する。
【0052】
プロセス200が実行され得る一例の説明が、
図5a及び
図5bを参照して次に説明される。最初に、5つの独立した力成分、この例では、
図5aに示されるようなf
Y1、f
X2、及びf
Y2、並びに
図5bに示されるようなf
Z1及びf
Z2が、ロードセル148、150、152、154、156によって出力された信号に基づいて、それらそれぞれの較正係数を考慮して決定される。次いで、グローバル基準座標系10のx-y平面内の合力ベクトルf
1、f
2が、上記平面内の力成分、即ち、f
Y1、f
X2、及びf
Y2に基づいて、各アーム138、140について決定される。次いで、合力ベクトルf
1、f
2は、グローバル基準座標系10内で表され、コネクタ142、144は、それらのそれぞれの原点を形成し、これは、印加力がフィンガ要素132からリンク機構アセンブリ136に伝達されるのが、これらのコネクタ142、144を通じてであるためである。グローバル基準座標系10は、この例では、グローバル基準座標系10のy軸として定義される、共通の垂直軸に対する能動アーム138及び受動アーム140の角度α等の、リンク機構アセンブリ136の現在の状態の特性に対して決定される。次いで、合力ベクトルf
1、f
2についての作用線158、160が、グローバル基準座標系10内で決定され、作用線158、160が交差する点p
0が決定される。次いで、印加力ベクトルf
3が、合力ベクトルf
1、f
2の和に基づいて決定される。次いで、印加力ベクトルf
3は、その原点と、交差する点p
0とが一致するように、グローバル基準座標系10内で変換される。次いで、印加力ベクトルf
3についての作用線162が、グローバル基準座標系10内で決定され、印加力ベクトルf
3についての作用線162とフィンガ要素132とが交差する点p
1が決定される。次いで、印加力ベクトルf
3は、フィンガ要素132の把持面133上の点p
1に投影され、次いで、力成分f
Z1及びf
Z2が、フィンガ要素132に作用する力を決定するために、印加力ベクトルf
3に加算される。この方法300は、
図6にフローチャートとして示される。
【0053】
上記の説明は、例示のみを目的として提示されており、網羅的であること、又は本発明を開示された厳密な例に限定することを意図するものではない。修正及び変形が、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、説明された例に対して行われ得ることが理解されよう。特に、本発明は、センサアセンブリ146を標準的な平行バー機構を象徴するリンク機構アセンブリ136に適用するという文脈内で説明されているが、本発明は、他の種類のリンク機構構成と共に使用するのに等しく好適であることが想定されることに留意されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリッパアセンブリを備えるロボットマニピュレータのための制御システムであって、前記グリッパアセンブリは、
フィンガ要素と、
アクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、
前記複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、を備え、
前記制御システムは、
前記センサアセンブリによって出力された信号に基づいて、前記フィンガ要素に加えられている力の結果として前記複数のアームの各々に加えられた力成分を示す値を決定することと、
前記力成分を示す前記値に基づいて、前記複数のアームの各々に加えられた合力ベクトルを示す値を決定することと、
前記合力ベクトルを示す前記値に基づいて、前記フィンガ要素に加えられた前記力の大きさ及び方向を示す印加力ベクトルを示す値を決定することと、
を行うように構成された制御装置を備える、制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
基準座標フレームに対する前記合力ベクトルを示す前記値を決定すること
を行うように更に構成されている、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記基準座標フレーム内で、前記合力ベクトルを示す前記値の各々についての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記作用線が交差する点を決定することと、
を行うように更に構成されている、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記合力ベクトルを示す前記値の和に基づいて、前記印加力ベクトルを示す前記値を決定することと、
前記印加力ベクトルの原点が前記基準座標系内で前記交差する点と同じ座標を有するように、前記印加力ベクトルを示す前記値を修正することと、
を行うように更に構成されている、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルを示す前記値についての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルについての前記作用線と前記フィンガ要素とが交差する点を決定することと、
を行うように更に構成されている、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記リンク機構アセンブリの特性に関して前記基準座標系を決定すること
を行うように更に構成されている、請求項2~5のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項7】
ロボットマニピュレータのグリッパアセンブリのフィンガ要素に加えられた力を決定する方法であって、前記グリッパアセンブリは、
アクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、
前記複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、を備え、
前記方法は、
前記センサアセンブリによって出力された信号に基づいて、前記フィンガ要素に加えられている力の結果として前記複数のアームの各々に加えられた力成分を決定することと、
前記力成分に基づいて、前記複数のアームの各々に加えられた合力ベクトルを決定することと、
前記合力ベクトルに基づいて、前記フィンガ要素に加えられた前記力の大きさ及び方向を示す印加力ベクトルを決定することと、
を備える、方法。
【請求項8】
基準座標フレームに対する前記合力ベクトルを決定すること
を更に備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基準座標フレーム内で、前記合力ベクトルの各々についての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記作用線が交差する点を決定することと、
を更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記合力ベクトルの和に基づいて、前記印加力ベクトルを決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルの原点と前記交差する点とが一致するように、前記印加力ベクトルを変換することと、
を更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルについての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルについての前記作用線と前記フィンガ要素とが交差する点を決定することと、
を更に備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記リンク機構アセンブリの特性に関して前記基準座標系を決定すること
を更に備える、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ロボットマニピュレータのためのグリッパアセンブリであって、前記グリッパアセンブリは、
フィンガ要素と、
アクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、
使用時に、物体の操作中に前記フィンガ要素に加えられている力の結果として前記複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、
を備える、グリッパアセンブリ。
【請求項14】
前記センサアセンブリは、物体の操作中に前記リンク機構アセンブリに直接加えられた力成分を示す信号を出力するように更に構成されている、請求項13に記載のグリッパアセンブリ。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のグリッパアセンブリを備えるロボットマニピュレータを備えるロボットピッキングシステムであって、前記ロボットピッキングシステムは、請求項
7に記載の方法を行うように構成されている、ロボットピッキングシステム。
【請求項16】
実行されると、請求項7~
11のいずれか一項に記載の方法を行うように構成されたコンピュータソフトウェア。
【請求項17】
1つ以上の電子プロセッサによって実行されると、前記1つ以上の電子プロセッサに、請求項7~
11のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
上記の説明は、例示のみを目的として提示されており、網羅的であること、又は本発明を開示された厳密な例に限定することを意図するものではない。修正及び変形が、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、説明された例に対して行われ得ることが理解されよう。特に、本発明は、センサアセンブリ146を標準的な平行バー機構を象徴するリンク機構アセンブリ136に適用するという文脈内で説明されているが、本発明は、他の種類のリンク機構構成と共に使用するのに等しく好適であることが想定されることに留意されたい。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] グリッパアセンブリを備えるロボットマニピュレータのための制御システムであって、前記グリッパアセンブリは、
フィンガ要素と、
アクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、
前記複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、を備え、
前記制御システムは、
前記センサアセンブリによって出力された信号に基づいて、前記フィンガ要素に加えられている力の結果として前記複数のアームの各々に加えられた力成分を示す値を決定することと、
前記力成分を示す前記値に基づいて、前記複数のアームの各々に加えられた合力ベクトルを示す値を決定することと、
前記合力ベクトルを示す前記値に基づいて、前記フィンガ要素に加えられた前記力の大きさ及び方向を示す印加力ベクトルを示す値を決定することと、
を行うように構成された制御装置を備える、制御システム。
[2] 前記制御装置は、
基準座標フレームに対する前記合力ベクトルを示す前記値を決定すること
を行うように更に構成されている、[1]に記載の制御システム。
[3] 前記制御装置は、
前記基準座標フレーム内で、前記合力ベクトルを示す前記値の各々についての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記作用線が交差する点を決定することと、
を行うように更に構成されている、[2]に記載の制御システム。
[4] 前記制御装置は、
前記合力ベクトルを示す前記値の和に基づいて、前記印加力ベクトルを示す前記値を決定することと、
前記印加力ベクトルの原点が前記基準座標系内で前記交差する点と同じ座標を有するように、前記印加力ベクトルを示す前記値を修正することと、
を行うように更に構成されている、[3]に記載の制御システム。
[5] 前記制御装置は、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルを示す前記値についての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルについての前記作用線と前記フィンガ要素とが交差する点を決定することと、
を行うように更に構成されている、[4]に記載の制御システム。
[6] 前記制御装置は、
前記リンク機構アセンブリの特性に関して前記基準座標系を決定すること
を行うように更に構成されている、[2]~[5]のいずれか一項に記載の制御システム。
[7] ロボットマニピュレータのグリッパアセンブリのフィンガ要素に加えられた力を決定する方法であって、前記グリッパアセンブリは、
アクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、
前記複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、を備え、
前記方法は、
前記センサアセンブリによって出力された信号に基づいて、前記フィンガ要素に加えられている力の結果として前記複数のアームの各々に加えられた力成分を決定することと、
前記力成分に基づいて、前記複数のアームの各々に加えられた合力ベクトルを決定することと、
前記合力ベクトルに基づいて、前記フィンガ要素に加えられた前記力の大きさ及び方向を示す印加力ベクトルを決定することと、
を備える、方法。
[8] 基準座標フレームに対する前記合力ベクトルを決定すること
を更に備える、[7]に記載の方法。
[9] 前記基準座標フレーム内で、前記合力ベクトルの各々についての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記作用線が交差する点を決定することと、
を更に備える、[8]に記載の方法。
[10] 前記合力ベクトルの和に基づいて、前記印加力ベクトルを決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルの原点と前記交差する点とが一致するように、前記印加力ベクトルを変換することと、
を更に備える、[9]に記載の方法。
[11] 前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルについての作用線を決定することと、
前記基準座標フレーム内で、前記印加力ベクトルについての前記作用線と前記フィンガ要素とが交差する点を決定することと、
を更に備える、[10]に記載の方法。
[12] 前記リンク機構アセンブリの特性に関して前記基準座標系を決定すること
を更に備える、[8]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13] ロボットマニピュレータのためのグリッパアセンブリであって、前記グリッパアセンブリは、
フィンガ要素と、
アクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フィンガ要素を接続する複数のアームを備えるリンク機構アセンブリと、
使用時に、物体の操作中に前記フィンガ要素に加えられている力の結果として前記複数のアームに加えられた力成分を示す信号を出力するように構成されたセンサアセンブリと、
を備える、グリッパアセンブリ。
[14] 前記センサアセンブリは、物体の操作中に前記リンク機構アセンブリに直接加えられた力成分を示す信号を出力するように更に構成されている、[13]に記載のグリッパアセンブリ。
[15] [13]又は[14]に記載のグリッパアセンブリを備えるロボットマニピュレータを備えるロボットピッキングシステムであって、前記ロボットピッキングシステムは、[7]~[12]のいずれか一項に記載の方法を行うように構成されている、ロボットピッキングシステム。
[16] 実行されると、[7]~[12]のいずれか一項に記載の方法を行うように構成されたコンピュータソフトウェア。
[17] 1つ以上の電子プロセッサによって実行されると、前記1つ以上の電子プロセッサに、[7]~[12]のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】