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特表2024-533541未接続の解剖学的構造を取り付けるためのデバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】未接続の解剖学的構造を取り付けるためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/848 20130101AFI20240905BHJP
   A61F 2/90 20130101ALI20240905BHJP
   A61F 2/04 20130101ALI20240905BHJP
【FI】
A61F2/848
A61F2/90
A61F2/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516684
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 US2022043108
(87)【国際公開番号】W WO2023048971
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/246,376
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ギルマーティン、ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】フォラン、マーティン ジー.
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA14
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD01
4C097DD10
4C097MM02
4C267AA43
4C267AA45
4C267AA47
4C267AA53
4C267BB37
4C267BB38
4C267BB40
4C267CC07
4C267CC20
4C267CC22
4C267CC23
4C267DD10
4C267FF05
(57)【要約】
例示的なステントは、桟を備えて複数の捩れた編みステッチを形成する少なくとも1つの編み込まれたフィラメントによって形成される管状部材を含み得、桟は、半径方向に隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結された編みステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されている。管状部材は、弛緩形態と伸長形態との間で移動して、消化管内の2つの離間した解剖学的場所を接続するように埋め込まれ得る。管状部材は、弛緩形態における第1の長手方向長さと、伸長形態における第2の長手方向長さとを有し、第1の長手方向長さは、第2の長手方向長さよりも短い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの離間した解剖学的位置を接続するように構成されたステントであって、
長手方向軸を有する長尺状の管状部材を備え、前記長尺状の管状部材は、桟を備えて複数の捩れた編みステッチを形成する少なくとも1つの編み込まれたフィラメントを備えており、前記桟は、半径方向に隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結された編みステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、前記長尺状の管状部材は、弛緩形態と伸長形態との間で移動するように構成されており、
前記複数の捩れた編みステッチの各々は、ループ部分と交差したベース領域とを形成する単一のフィラメントによって形成されており、
前記長尺状の管状部材は、前記弛緩形態における第1の長手方向長さと、前記伸長形態における第2の長手方向長さとを有し、前記第1の長手方向長さは、前記第2の長手方向長さよりも短い、ステント。
【請求項2】
前記長尺状の管状部材は、前記弛緩形態における第1の外径と、前記伸長形態における第2の外径とを有し、前記第1の外径および前記第2の外径は、実質的に同じである、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1の外径および前記第2の外径は、前記桟によって規定される、請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記捩れた編みステッチのうちの少なくともいくつかの前記ループ部分が、長手方向に隣接する捩れた編みステッチの前記交差したベース領域の周りに巻き付けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のステント。
【請求項5】
前記弛緩形態にあるとき、前記桟は、前記長尺状の管状部材の外面を形成しており、各捩れた編みステッチの前記交差したベース領域は、前記外面から半径方向外向きに延在している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のステント。
【請求項6】
前記交差したベース領域は、前記弛緩形態において前記長尺状の管状部材の周りに螺旋状に延在する隆起したリッジを形成している、請求項5に記載のステント。
【請求項7】
前記少なくとも1つの編み込まれたフィラメントが、単一の編み込まれたフィラメントのみである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のステント。
【請求項8】
患者の第1の器官と第2の器官との間に人工ブリッジを提供する方法であって、
拡張可能なステントの第1端を前記第1の器官に固定し、前記ステントの第2端を前記第2の器官に固定して、前記第1の器官の内部が前記ステントを通して前記第2の器官の内部と流体連通するようにするステップを含み、前記第1の器官および前記第2の器官は、離間しており、前記第1の器官および前記第2の器官の正常機能の間、前記第1の器官および前記第2の器官のうちの少なくとも一方は、前記第1の器官および前記第2の器官のうちの他方に対して移動し、前記ステントは、
長手方向軸を有する長尺状の管状部材を備え、前記長尺状の管状部材は、桟を備えて複数の捩れた編みステッチを形成する少なくとも1つの編み込まれたフィラメントを備えており、前記桟は、円周方向に隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結された編みステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、前記長尺状の管状部材は、弛緩形態と伸長形態との間で移動するように構成されており、
前記複数の捩れた編みステッチの各々は、ループ部分と交差したベース領域とを形成する単一のフィラメントによって形成されており、
前記長尺状の管状部材は、前記弛緩形態における第1の長手方向長さと、前記伸長形態における第2の長手方向長さとを有しており、前記第1の長手方向長さは、前記第2の長手方向長さよりも短い、方法。
【請求項9】
前記第1の器官が肝管であり、前記第2の器官が患者の胃である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステントは、コーティングされていない部分とコーティングされた部分とを含み、前記コーティングされた部分は、前記ステントの長さの少なくとも70%を含み、前記コーティングされた部分は、液体不透過性コーティングを含み、前記コーティングされていない部分は、前記肝管内に延在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の器官は患者の胃であり、前記第2の器官は患者の小腸の一部である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の器官が患者の皮膚であり、前記第2の器官が患者の大腸の一部であり、前記ステントの前記第1端が前記皮膚の外面上に配置されるフランジを含み、前記ステントの前記第2端が前記大腸内に同軸に配置される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
患者の胃は、除外された胃部分から分離された胃パウチ部分と、前記胃パウチ部分を患者の小腸と接続するルー辺縁部とを含み、前記第1の器官は、前記胃パウチ部分であり、前記第2の器官は、前記除外された胃部分である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記ステントが固定された後、前記方法は、内視鏡を前記胃パウチ部分に挿入し、前記ステントを通して前記除外された胃部分に挿入し、患者の十二指腸に挿入し、その後、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)を実施することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、ERCPが完了した後に、前記ステントを取り外すステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイス、医療デバイスを製造するための方法、およびそれらの使用に関する。より具体的には、本開示は、体管腔内に埋め込むためのステント、および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋込型医療デバイス(例えば、拡張可能なステント)は、体内の様々な病状を治療するように設計され得る。例えば、いくつかの拡張可能なステントは、半径方向に拡張するとともに、体管腔を支持し、かつ/または消化された材料、血液、または他の体液が医療処置後に流動するための流体経路を提供するように設計され得る。いくつかの医療デバイスは、種々の医療デバイス送達システムによって経皮的に埋め込まれ得る半径方向拡張型ステントまたは自己拡張型ステントを含み得る。これらのステントは、冠状動脈または末梢動脈、食道、消化管(腸、胃、および結腸を含む)、気管支、尿路、胆道、血管系等の種々の体管腔内に埋め込まれ得る。
【0003】
いくつかの例では、治療部位で体管腔を開くのに十分な半径方向の力を維持しながら、十分な柔軟性を含むようにステントを設計することが望ましい場合がある。しかしながら、いくつかのステントでは、ステント送達を補助する圧縮性および柔軟性の特性により、ステントには、当初留置した位置から移動する傾向がある。例えば、消化管および胆道に配置されるように設計されたステントは、蠕動運動(即ち、胃、腸、および結腸の筋肉の不随意の収縮および弛緩)に起因して移動する傾向があり得る。さらに、胃、腸、結腸などの一般的に湿った本質的に滑らかな環境は、その中に留置されたときに、ステントが移動する傾向をさらに助長する。
【0004】
様々な医療処置は、未接続の解剖学的構造の一時的または永久的な接合を含む。いくつかの例は、肝管を排出するために肝管と胃とを接合することを含む肝胃吻合術(HGS:hepaticogastrostomy)、小腸壁と胃壁との間に吻合を形成するための胃空腸(GJ:gastrojejeneum)バイパス術、および大腸または消化管の他の領域に人工的な開口部を形成するためのストーマを含む。これらの医療処置では、接続された解剖学的構造の一方または両方における蠕動運動および巨視的な器官運動が、ステント移動に起因して、構造物を接合するためにステントを使用することを困難にし得る。
【0005】
従って、ステントが移動する傾向を低減するために、移動防止機構を備えたステントを設計することが望ましい場合がある。移動防止機構を含む医療デバイス、およびそれらを使用する方法の例が、本明細書に開示されている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、医療デバイスの設計、材料、製造方法、および使用の代替案を提供する。2つの離間した解剖学的位置を接続するように構成された例示的なステントは、長手方向軸を有する長尺状の管状部材を備えており、長尺状の管状部材は、桟(rungs)を備えて複数の捩れた編みステッチを形成する少なくとも1つの編み込まれたフィラメントを備えており、桟は、半径方向に隣接する捩れた編みステッチ(twisted knit stitches)の間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結されたステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、長尺状の管状部材は、弛緩形態と伸長形態との間で移動するように構成されており、複数の捩れた編みステッチの各々は、ループ部分および交差したベース領域を形成する単一のフィラメントによって形成されており、長尺状の管状部材は、弛緩形態における第1の長手方向長さと、伸長形態における第2の長手方向長さとを有し、第1の長手方向長さは、第2の長手方向長さよりも短い。
【0007】
上記の実施形態に対して代替的にまたは追加的に、長尺状の管状部材は、弛緩形態における第1の外径と、伸長形態における第2の外径とを有し、第1の外径および第2の外径は、実質的に同じである。
【0008】
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、第1の外径および第2の外径は、桟によって規定される。
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、捩れた編みステッチの少なくともいくつかのループ部分が、長手方向に隣接する捩れた編みステッチの交差したベース領域の周りに巻き付けられている。
【0009】
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、弛緩形態にあるとき、桟は、長尺状の管状部材の外面を形成し、各捩れた編みステッチの交差したベース領域は、外面から半径方向外向きに延在している。
【0010】
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、交差したベース領域は、弛緩形態において長尺状の管状部材の周りに螺旋状に延在する隆起したリッジを形成している。
【0011】
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの編み込まれたフィラメントは、単一の編み込まれたフィラメントのみである。
患者の第1の器官と第2の器官との間に人工ブリッジを提供する例示的な方法は、拡張可能なステントの第1端を第1の器官に固定し、ステントの第2端を第2の器官に固定して、第1の器官の内部がステントを介して第2の器官の内部と流体連通するようにするステップを含んでおり、第1の器官および第2の器官は離間しており、第1の器官および第2の器官の少なくとも一方は、第1の器官および第2の器官の正常機能の間、第1の器官および第2の器官の他方に対して移動し、ステントは、長手方向軸を有する長尺状の管状部材を備えており、長尺状の管状部材は、桟を備えて複数の捩れた編みステッチを形成する少なくとも1つの編み込まれたフィラメントを備えており、桟は、半径方向に隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結されたステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、長尺状の管状部材は、弛緩形態と伸長形態との間で移動するように構成されており、複数の捩れた編みステッチの各々は、ループ部分および交差したベース領域を形成する単一フィラメントによって形成されており、長尺状の管状部材は、弛緩形態における第1の長手方向長さと、伸長形態における第2の長手方向長さとを有しており、第1の長手方向長さは、第2の長手方向長さよりも短い。
【0012】
上記の実施形態に対して代替的にまたは追加的に、第1の器官は肝管であり、第2の器官は患者の胃である。
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、ステントは、コーティングされていない部分とコーティングされた部分とを含み、コーティングされた部分は、ステントの長さの少なくとも70%を含み、コーティングされた部分は、液体不透過性コーティングを含み、コーティングされていない部分は、肝管内に延在する。
【0013】
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、第1の器官は患者の胃であり、第2の器官は患者の小腸の一部である。
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、第1の器官は患者の皮膚であり、第2の器官は患者の大腸の一部である。
【0014】
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、ステントの第1端は、皮膚の外面上に配置されるフランジを含む。
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、ステントの第2端は、大腸内に同軸上に配置される。
【0015】
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、大腸内に同軸に配置されたステントの第2端は、外向きのフレア領域を含む。
上記の実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは追加的に、患者の胃は、除外された胃部分から分離された胃パウチ部分と、胃パウチ部分を患者の小腸と接続するルー辺縁部(Roux limb)とを含み、第1の器官は、胃パウチ部分であり、第2の器官は、除外された胃部分である。
【0016】
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、ステントが固定された後、方法は、内視鏡を胃パウチ部分に挿入し、ステントを通して除外された胃部分に挿入し、患者の十二指腸に挿入し、その後、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)を実施することをさらに含む。
【0017】
上記の実施形態のいずれか1つに対して代替的にまたは追加的に、ERCPが完了した後に、方法は、ステントを取り外すステップをさらに含む。
患者の消化管内の第1の器官から第2の器官に流体を排出する別の例示的な方法は、少なくとも1つの編み込まれたワイヤフィラメントから形成された管状部材を含む埋め込み可能なステントを患者の体内に挿入するステップであって、管状部材は、桟を備えて複数の捩れた編みステッチを形成しており、桟は、円周方向に隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、ループ部分および交差したベース領域を含んでいるとともに、一連の連結されたステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、管状部材は、第1の長手方向長さおよび第1の直径を有する弛緩形態と、第2の長手方向長さおよび第2の直径を有する伸長形態との間で移動するように構成されており、第1の長手方向長さは、第2の長手方向長さよりも短く、第1の直径および第2の直径は、実質的に同じである、ステントを挿入するステップと、管状部材の第1端を患者の第1の器官内に配置し、管状部材の第2端を患者の第2の器官内に配置するステップとを含んでおり、第1の器官および第2の器官は、互いに離間しているとともに、消化中に相対的に動く。
【0018】
上記の実施形態に対して代替的にまたは追加的に、弛緩形態にあるとき、桟は、管状部材の外面を形成し、各捩れたされた編みステッチの交差したベース領域は、外面から半径方向外向きに延在している。
【0019】
いくつかの実施態様に係る既述の概要は、本発明の開示された各実施形態または全ての具現化を説明することを意図していない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、添付の図面に関連して様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解され得る。
図1】消化管の一部を示す図である。
図2A】肝管に対する胃の動きを示す図である。
図2B】肝管に対する胃の動きを示す図である。
図3A】従来技術の編組ステントを示す図である。
図3B】従来技術の編組ステントを示す図である。
図4】従来技術の平行に編み込まれたステントのパターンの一部を示す。
図5】弛緩形態にある例示的なステントの斜視図である。
図6図5の例示的なステントの部分拡大上図である。
図7】送達シース内で伸長形態にある図5のステントの図である。
図8図7のステントの部分拡大図である。
図9図5の例示的なステントの長手方向エッジの拡大側面図である。
図10】身体器官内に配置された図5のステントの部分図である。
図11A】弛緩形態にある従来技術の編組ステントの図である。
図11B】伸長形態にある図11Aのステントの図である。
図12A】弛緩形態にある図5のステントの図である。
図12B】伸長形態にある図12Aのステントの図である。
図13】フレア端部を有する別の例示的なステントの図である。
図14】肝管と胃とを接続する例示的なステントを示す図である。
図15】胃と小腸とを接続する例示的なステントを示す図である。
図16】大腸を皮膚表面に接続する例示的なステントを示す図である。
図17】後続の内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP:endoscopic retrograde cholangiopancreatography)処置中に、内視鏡がステントを通って延在する、胃パウチを除外された胃部分に接続する例示的なステントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、様々な修正形態および代替形態が可能であるが、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明の態様を記載された特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。そうではなく、その意図は、本発明の範囲に含まれるすべての修正、均等物、および代替物を網羅することにある。
【0022】
以下の定義された用語については、請求項または本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用される。
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語で修飾されていると想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等であると考える(つまり、同じ機能または結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数値を含むことを示している場合がある。
【0023】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内の全ての数値が含まれる(例えば、1~5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5が含まれる)。
様々な構成要素、特徴および/または仕様に関連する適切な寸法、範囲、および/または、値が開示されているが、本発明によって刺激される当業者は、所望の寸法、範囲、および/または、値が明示的に開示されているものから逸脱する可能性があることを理解するであろう。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかに他に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、用語「または」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、「および/または」を含むその意味で一般に使用される。
【0025】
以下の詳細な説明は、異なる図面を通して同様の要素に同一の参照番号を付している図面を参照して読まれるべきである。詳細な説明および図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。示されている例示的な実施形態は、例示としてのみ意図されている。いずれかの例示的な実施形態の選択された特徴は、反対に明確に述べられていない限り、追加の実施形態に組み込まれ得る。
【0026】
図1は、胃150、十二指腸154、肝臓160、肝管162、胆嚢166、総胆管164、および膵臓168を含む、消化管内の種々の器官を図示する。
肝臓160で産生された胆汁は、一連の肝管162を通って流れて総胆管(CBD)164と呼ばれる1つの太い管に排出される。次いで、CBDは、十二指腸154につながり、胆汁が消化のために十二指腸に流入することができる。肝臓または胆管が閉塞されると、胆汁は正常に排出されずに、肝臓に逆流または蓄積したりする。胆管の閉塞は、黄疸、暗色尿、吐き気および食欲不振を引き起こし、潜在的に重篤な状態を引き起こし得る。
【0027】
内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、例えば、胆石、炎症性狭窄、漏出(例えば、外傷、手術等による)、および癌を含む、胆管の状態を診断および治療するために使用され得る。胆管の閉塞は、原発性硬化性胆管炎、結石形成、胆管内の瘢痕化などの肝臓の障害を含む、胆管系の多くの障害において起こり得る。胆管系で閉塞された流体を排出することは、障害を治療するために行われ得る。胆道ドレナージ方法は、閉塞を緩和するためのプラスチック製のステントまたは金属製のステントの配置を含む。管内の閉塞の原因となっている胆石の場合、ERCPによってこれを解決するための多数の製品も利用可能である。しかしながら、ERCPによる胆管へのアクセスは、通路を塞ぐ腫瘍、解剖学的変異、傍乳頭憩室等の種々の理由により、不可能な場合がある。
【0028】
ERCP法が不成功であると判明した場合、経皮的ドレナージ(PTCD:percutaneous drainage)を実施することができる。しかしながら、PTCDは、出血および胆汁漏などの合併症を伴い得る。その後の内部ドレナージを実現することができない場合、患者は長期の外部胆道ドレナージを受け入れなければならず、これは不快であり、生活の質を著しく損なう可能性がある。
【0029】
内視鏡超音波(EUS:Endoscopic Ultrasound)誘導下胆道ドレナージ(BD:biliary drainage)は、ERCPドレナージが失敗したときに閉塞性黄疸を治療するための手術および経皮的ドレナージに対する代替的な選択肢を提供する。肝管162を胃150に接合するために、肝胃吻合術(HGS)が行われ得る。これは、胆汁の蓄積が胃に流れ込むことを可能にするとともに、胆汁の蓄積によって引き起こされる症状、即ち黄疸を緩和し得る。しかしながら、肝管162および胃150は、図1の矢印によって示される距離5だけ離間している。器官間の距離5は、比較的長いステントを必要とする。加えて、胃筋が食物を攪拌するために収縮するにつれて、肝管162に対する胃150の胃壁153との間の距離5は、図2Aに示されるように胃が弛緩しているときの比較的小さい距離5から、図2Bに示されるように胃が収縮しているときのより大きい距離5まで変化する。胃壁の屈曲に加えて、胃は消化中に蠕動運動を起こす。この胃の相対的な運動性は、直線的なものだけでなく、三次元的に複雑であると理解されている。接合される標的器官間の距離、および器官のうちの少なくとも一方の相対的な移動は、ステントが移動する機会を増加させ得る。
【0030】
図3Aおよび図3Bに示すような従来技術の編組ステント170および180がHGSに使用され得る。編組ステント170、180は、近位フランジ172、182を有する自己拡張型金属ステントであり得るとともに、典型的にはステントの長さの70%にわたってコーティング174、184を有し得る。コーティングされた部分または長さ領域176、186は、胃と肝管との間の腹膜腔をまたぐように構成され、腹膜への胆汁の漏出を防止し、2つの器官の間に密閉されたチャネルを形成し得る。ステント170、180の30%のコーティングされていない遠位部分は、ステント内への胆汁の初期の急性の側枝流を許容し、急性後の状況においては、ステント内への組織の内部成長を許容して移動を低減するように構成され得る。しかしながら、おそらくは肝管に対する胃の動きのために、移動は依然として起こり得る。
【0031】
HGS患者とって、ステントの移動は、死亡を含む重篤な合併症を引き起こし得る。肝管での組織の内部成長に基づく癒着がない場合、ステントは、胃の中へ近位に移動し、胆管の内容物の腹膜への漏出を引き起こし、腹膜炎を引き起こし得る。肝管での十分または過剰な癒着がある場合、ステントが遠位に腹膜に移動し、胆汁および胃の内容物の腹膜への漏出を引き起こし、これもまた腹膜炎を引き起こし得る。加えて、移動したステントは、外側胃壁および近傍の他の器官または血管を制限を受けることなく擦過する。
【0032】
解剖学的には、ステントの移動は、図2に示すように、肝管162が概して静的な血管であるのに対して、胃150が非常に運動性の高い血管である結果として起こり得る。この動きは、胃の収縮中に胃壁がステントの近位フランジ上で摺動する/引っ張るときに、ステントの移動を引き起こす可能性がある。編組ステントは、長手方向の力が加えられると直径が減少する(収縮する)ため、移動を悪化させる可能性がある。この現象は、ステント取り外し処置中に特に顕著である。加えて、編み込まれたステントの設計によっては、ニットの直径を減少させる(収縮させる)ために、はるかに大きな力が必要とされるが、この結果、移動しやすい固定長のデバイスとなり、あまり助けとならないかぎ針編みの送達システムによって送達されるため、同様の問題が生じる可能性がある。
【0033】
図4は、従来技術の自己拡張型の編み込まれたステント90の一部を示す。従来の編み込まれた自己拡張型ステントは、一般に、自動化された横編み工程を使用して設計されており、この工程は、拡張された弛緩形態と伸長した収縮形態との両方において、ステントの長手方向軸に対して平行に延びる編みステッチの平行な列92を生成する。平行に編み込まれたステント90は、最小限の短縮性を備えつつ良好な半径方向の強度を提供する。しかしながら、この平行に編み込まれたステントのデザインは、特に同軸の送達システムにおいて収縮することが困難であり得、そのため、かぎ針編み送達システム等の、再捕捉の方法を提供し得ないシステムを使用して送達され得る。さらに、平行に編み込まれたステントのデザインは、本来の場所で移動する傾向がある。以前の平行に編み込まれたステント構成と同様の適合性および半径方向力を有しながらが、移動に対して抵抗性があり、有意なルーメン直径の減少を伴わずに、その長さを適応させて、排液のためのチャネルを無傷のまま残すことができる代替的な編み込まれた自己拡張ステントが所望されている。
【0034】
図5は、例示的なインプラントの斜視図を示し、インプラントは、限定はされないが、隣接する器官を接続するための人工ブリッジを形成するためのステント10等である。いくつかの例では、ステント10は、螺旋デザインを備える長尺状の管状部材12として形成される拡張可能なステントであり得る。ステント10は、略管状として説明されているが、ステント10は、所望の任意の断面形状をとり得ることが想定される。ステント10は、第1端(即ち、近位端)14と、第2端(即ち、遠位端)16と、近位端14と遠位端16との間に配置された中間領域18とを有し得る。ステント10は、ルーメン20を含み得、ルーメン20は、近位端14に隣接する第1の開口部から遠位端16に隣接する第2の開口部まで延在して、流体等の通過を可能にする。
【0035】
ステント10は、オープンセル25および捩れた編みステッチ22を形成する少なくとも1つのフィラメント24から作製され得る。いくつかの例では、ステント10は、オープンセル25および捩れた編みステッチ22を形成するために自身とともに織り込まれた単一のフィラメント24のみから形成され得る。いくつかの場合において、フィラメント24は、モノフィラメントであり得るが、他の場合において、フィラメント24は、巻かれた、編組された、または一緒に織られた2つ以上のフィラメントであり得る。いくつかの例では、ステント10の内面は、全体的に、実質的に、または部分的に、液体不透過性の被覆またはコーティング21で覆われ得る。他の実施形態では、コーティング21は、ステントの外面に設けられ得る。いくつかの実施形態では、被覆はポリマーであり得る。被覆またはコーティングは、フィラメント24によって形成された1つ以上または複数のオープンセル25および捩れた編みステッチ22を横切って、かつ/または閉塞して延在し得る。被覆またはコーティングは、腹膜への胆汁の漏出を防止し得る。
【0036】
ステント10は、所望に応じて、体内に正確に配置された場合にステント10を形状に合わせて拡張可能な、金属、金属合金、形状記憶合金、および/またはポリマー等であるがこれらに限定されない多くの異なる材料から作製可能であることが想定される。いくつかの例において、ステント10を比較的容易に除去できるように材料を選択し得る。例えば、ステント10は、ニチノールおよびエルジロイ(登録商標)等であるがこれらに限定されない合金から形成可能である。構築のために選択された材料に応じて、ステント10は自己拡張型であり得る(すなわち、収縮されていないときに自動的に半径方向に拡張するように構成される)。いくつかの実施形態において、繊維を使用してステント10を作製し得る。該繊維は、例えば、白金コアを有するニチノールで作られた外殻を有する複合繊維であり得る。ステント10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むがこれらに限定されないポリマーから形成され得ることがさらに想定される。ステント10は、自己拡張型であり得る。本明細書で使用される場合、「自己拡張」という用語は、外部からの付勢力(例えば、送達カテーテルまたはシースであるがこれらに限定されない)から解放されたときに、ステントが予めプログラムされた直径に戻る傾向を指す。いくつかの例では、図5に示されるような弛緩した拡張形態では、ステント10は、近位端14に近接する第1の端部領域23と、遠位端16に近接する第2の端部領域28とを含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、ステント10は、図5に示されるように、弛緩した拡張形態にあるとき、近位端14から遠位端16まで均一な外径を有し得る。いくつかの実施形態では、中間領域18の外径は、15ミリメートルから25ミリメートルまでの範囲であり得る。移動防止フレア(近位端14および/または遠位端16)の外径は、20ミリメートルから30ミリメートルまでの範囲であり得る。ステント10の外径は、所望の用途に適合するように変更され得ると想定される。
【0038】
ステント10は、所望に応じて、体内に正確に配置された場合にステント10を形状に合わせて拡張可能な、金属、金属合金、形状記憶合金、および/またはポリマー等であるがこれらに限定されない多くの異なる材料から作製可能であることが想定される。いくつかの例において、ステント10を比較的容易に除去できるように材料を選択し得る。例えば、ステント10は、ニチノールおよびエルジロイ(登録商標)等であるがこれらに限定されない合金から形成可能である。構築のために選択された材料に応じて、ステント10は、自己拡張するか、或いは、ステント10を拡張するために外力を必要とし得る。いくつかの実施形態において、ステント10を作製するために複合フィラメントを使用し得る。該複合フィラメントは、例えば、ニチノールで作られた外殻またはクラッディングと、白金または他の放射線不透過性材料で形成されたコアとを含み得る。ステント10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むがこれらに限定されないポリマーから形成され得ることがさらに想定される。いくつかの例において、ステント10のフィラメントまたはその一部は、生体吸収性または生分解性であり得る一方、他の例において、ステント10のフィラメントまたはその一部は、生体安定性であり得る。
【0039】
図6は、弛緩した拡張形態にあるときのステント10の螺旋構造の詳細を示す。図示されるようなステント10は、単一のフィラメント24から製造され得る。単一のフィラメント24は、捩れた編みステッチ22を形成しており、捩れた編みステッチ22は、円周方向に隣接する捩れた編みステッチ22の間に円周方向に延在する細長い桟26によって分離されている。図6に示されるように、各捩れた編みステッチ22は、長手方向に隣接する捩れた編みステッチ22と相互接続されて、弛緩した拡張形態にあるステントの周りに螺旋状に延在する一連の連結されたステッチを形成し得る。相互接続された捩れた編みステッチ22は、ステント10の全長に沿ってステント10の周囲に螺旋状に延在し得る。いくつかの実施形態では、ステント10が完全に弛緩した状態にあるとき、桟26は、図6に示すように、ステント10の長手方向軸x-xに対して実質的に垂直に延在し得る。いくつかの実施形態では、桟26は、弛緩した拡張形態では、長さが0.1mmから10.0mmまでの間であり得る。他の例では、桟は、1mmから5mmまでの間の長さを有し得る。さらに他の例では、桟26は、2mmから3mmまでの長さを有し得る。
【0040】
図7は、送達シース13内に配置された伸長した圧縮形態にあるステント10を示す。図7に示されるように、ステント10が、送達シース13内に挿入される際に、折り畳まれて伸長されると、螺旋状の相互接続された捩れた編みステッチ22は、真っ直ぐになって長手方向の列になる。捩れた編みステッチ22は伸長し、桟26は短くなる。伸長形態、圧縮形態、収縮形態にある捩れた編みステッチ22の構造が図8に示されている。各捩れた編みステッチ22は、ループ部分30と、交差したベース領域32とを含み得る。ループ部分30は、長手方向に隣接する捩れた編みステッチ22の交差したベース領域32の周りに巻き付けられ得る。交差したベース領域32は、図8に示されるように、ステントの遠位端16において、交差したベース領域32が非外傷性構造を形成するように、ループ部分30の遠位にある。ループ部分30は、図8に示される伸長した圧縮形態において、長尺状の形状または楕円形の形状を有しているが、ループ部分30は、図6に示されるように、弛緩した拡張形態において、ほぼ円形の形状を有し得る。いくつかの例では、ループ130は、弛緩した拡張形態において、1mmから5mmまでの間の直径を有し得る。他の例では、ループ130は、2mmから3mmまで間の直径を有し得る。
【0041】
ステント10の近位端14は、一連の自由ループ部分30によって形成され得る。いくつかの実施形態では、テザーまたは縫合糸27が、ステント10の取り外しを容易にするために、近位端にある自由ループ部分30に挿通され得る。回収縫合糸27は、必要な場合、ステント10を折り畳んで回収するために使用され得る。例えば、回収縫合糸27は、体管腔からのステント10の取り外しを容易にするべく、ステント10の近位端14を半径方向に折り畳むために、引き紐のように引っ張られ得る。近位端での自由ループ部分30の大きさは、ステント10の移植の際に達成される近位端における組織の内部成長の量をそれぞれ増加または減少させるために増加または減少され得る。
【0042】
図9に示すように、弛緩した拡張形態において、桟26はステント10の外面40を形成し、捩れた編みステッチ22の交差したベース領域32は外面40から半径方向外向きに延在する。交差したベース領域32は、ステント10の周囲に螺旋状に延在する隆起したリッジ34を形成する。いくつかの例では、螺旋状リッジ34は、近位側に向いた傾斜35と、頂部36と、長尺状の管状部材の遠位端16に面するポケット37とを有する、長手方向の断面波形状を有し得る。いくつかの例では、頂部36は、外面40から0.5mmから5.0mmまでの間で突出し得る。特定の例では、頂部36は、外面40から1.5mm突出し得る。この距離は本質的にループ部分30の直径であり、最小距離はフィラメント24の直径に依存する。フィラメント24としては、例えば、3/1000インチから14/1000インチ(0.0762mmから0.3556mm)までのワイヤを使用することができる。一例では、6/1000インチ(0.1524mm)のワイヤをフィラメント24として使用した。
【0043】
螺旋状リッジ34間の空間は、隣接するリッジ34の頂部36間に延在するチャネル38を形成し得る。チャネル38は、ステント10の排液機構を提供し得る。リッジ34は、組織壁と係合し得る一方、チャネル38の少なくとも一部を組織壁から離間させたまま、ステント10の全長に沿って体液の排出を提供し得る。ステント上またはルーメン内に配置された被覆またはグラフトは、チャネル38を形成することを補助し得る。
【0044】
図10は、器官42とともに配置されたステント10の一部を示す。リッジ34の波形状は、一方向には強い移動防止特性を提供し、反対方向にはそれよりも少ない移動防止特性を提供する。ステント10は、送達シース内に装填されるとともに、図10に示されるように、ステントへの移動力に対する抵抗を最適化するために、好ましい方向で身体の器官内に留置され得る。この独特の移動防止機構は、ステントの取り外し中にステントを移動防止特性がより少ない方向に引っ張り得るため、ステントの取り外し中にも利点を提供し得る。この機構は、ステントの全体的な強力な移動防止特性のいずれも損なうことなく、医師によるステントの取り外しを容易にし得る。
【0045】
図10に見られるように、ステントが胃または腸内に配置されたときの蠕動運動等の移動力44がステント10に対して遠位方向に作用すると、波の頂部36が器官壁46に押し込まれることによって抵抗を与え、ポケット37が器官壁46の一部に係合し、それによってステント10の移動を防止する。頂部36には、鋭いエッジ、バーブ(barb)、またはクイル(quill)のいずれもない。むしろ、図9に示すように、頂部36は、滑らかであるが明確なエッジを形成している。頂部36によって提供される移動防止は、ステント10の全長に沿って隆起した各リッジ34に対して発揮される。リッジ34の波形、特に近位側に向いた緩やかな傾斜35は、器官壁46に損傷を与えることなく、ステント10を近位方向に取り外すことを可能にする。
【0046】
捩れた編みステッチ22、特にループ部分30は、所望の組織および/または必要とされる組織の内部成長のレベルに一致するように構成され得る。例えば、組織の内部成長の増大は、ステント10の円周の周囲のループ部分30の数を増大させることによって達成され得る。螺旋のピッチおよび/または角度も増加させ得るとともに、ループ部分30の大きさを変更し得る。ループ部分30の構成は、いかなる被覆またはグラフトもない、ベアメタル組成物を有するステントにおける組織の内部成長に対して、より顕著な影響を及ぼし得る。
【0047】
腸における蠕動運動は、器官壁の長手方向の表面に沿って生じる。既存の平行に編み込まれたステントは、ステントの全長に沿って直線状に形成された隆起ループを有する。従って、蠕動運動によってそのようなステントに伝達される力は、腸壁と接触しているステントの全長にコンスタントに作用する。しかしながら、ステント10の螺旋状リッジ34により、腸壁と接触しているステントの全長に沿って力が直接伝達されることはない。代わりに、器官壁46は、ステント10の隆起したリッジ34に対して力を発揮するが、その力は、ステント10の桟26によって形成された外面40には力が伝達されないため、断続的である。
【0048】
螺旋状の特性を有する、図8に示されるような編みパターンの構成により、ステントが、規定された半径方向および軸方向の柔軟性を有する閉鎖した圧縮形態において追加のワイヤループを「収容」することが可能となり得る。これに比べて、編組編みまたは平行編み(図4)は、それらの特性を機能および発揮するために、一定量の材料で設計されている。編組された編みステントまたは平行編みステントが伸長される場合、材料は、直径、半径方向の力または軸方向の力を減少させることで対応する必要がある。図11Aおよび図11Bは、従来の編組ステント200が弛緩した拡張形態(図11A)と伸長形態(図11B)との間を移動するときの性能を示す。編組ステント200は、長さ変化に対応することができ、例えば、図11Aの50mmの初期長さから、ステントは、30mmだけ伸長され得るが、この伸長により、図11Bの伸長状態に示されるように、8mmだけ低減された直径が生じる。
【0049】
図8に示されるように、開示された編みパターンの伸長により、ステントは、直径を大幅に減少させることなく長さを変化させることができ、また、半径方向の力を維持することができるため、設計において「収容される」余剰の材料が設計の範囲全体にわたって「制限のない」編組として効果的に利用可能となる。図12Aおよび図12Bは、ステント10が弛緩した長手方向に収縮した状態(図12A)と伸長した状態(図12B)との間を移動するときのステント10における開示された編みパターン(図8)の性能を示す。編み込まれたステント10は、長さの変化に対応することができ、例えば、図12Aの50mmの初期長さから、ステント10は、図12Bに示すように、0mmの直径の変化で、85mmだけ伸長され得る。従って、ステント10は、弛緩した拡張形態(図12A)では第1の長手方向長さおよび第1の直径を有し、伸長形態(図12B)では第2の長手方向長さおよび第2の直径を有し得、第1の長手方向長さは第2の長手方向長さよりも短く、第1および第2の直径は実質的に同じであり得る。その結果、ステント10は、ステントを流通する流体の流れを可能にするルーメン直径を実質的に一定の維持しながら、2つの器官の間のより多くの動きを補償することができ、上述のHGS処置などの運動性領域においてより良好に機能し得る。ステント10は、展開形態、弛緩形態、完全拡張形態においてばねのように挙動し得る。これは、従来の平行に編み込まれた金属ステントまたは編組された金属ステントの特性にはないものである。
【0050】
図12Aに見られるように、弛緩形態では、ステント10は、捩れた編みステッチの一連の螺旋状リッジ34を有する。ステント10が部分的に伸長されると、図12Bに示されるように、螺旋状リッジ34の角度は増加する。ステント10が伸長するにつれて、ステント10はねじれてもよく、図7に示すように、螺旋状リッジ34が長手方向の柱状に真っ直ぐになるまで、螺旋状リッジ34の角度は、増加し得る。ステントが図12Bの構成から図7の構成へと伸長し続けるにつれて、外径は減少し得る。これにより、ステント10が送達シース13内に圧縮されることが可能となり得る。
【0051】
展開中、ステント10が送達シース13から解放されると、ステント10は、弛緩して、図7の送達形態から図12Bの伸長形態を経て図12Aの元の弛緩した螺旋形状に移動する際に、コークスクリューの態様で捩れ得る。展開中のこのコークスクリューのような捩り運動は、ステント10の両端が器官壁に係合するのを支援し得る。ステント10のこのばね式の拡張は、ステント10が、ステント10に作用する蠕動力に抵抗し、ステントの両端が固定された器官が消化中に互いに対して移動するにつれて、図12Bの伸長形態の間で移動し、蠕動運動および消化中に伸長が起こった後、図12Aの元の弛緩形態および/または弛緩位置に戻ることを意味する。ステント10が、ステント10に沿って押す蠕動運動を経験すると、ステント10の一部は、ばねと同様に、運動に先立って半径方向に拡張する。蠕動運動がステント10の長さを通過すると、ステント10は元の位置に戻り始める。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1の端部領域23は、図13に示されるように、中間領域18に対して拡大された直径を有する保持機構または移動防止フレア領域を含み得る。他の実施形態では、第2の端部領域28がフレア状になっている。代替的に、第1の端部領域23および第2の端部領域28の両方がフレア領域を含み得る。フレア端部領域は、図13に示されるように、外径の漸増を含み得る。他の実施形態では、中間領域18における直径と第1の端部領域23および/または第2の端部領域28における直径との間の変化は、より急勾配であり得る。移動防止フレア領域は、胃、肝管、または他の体管腔の壁の内側部分に係合するように構成され得る。中間領域18の断面エリアから保持機構すなわちフレア領域への移行は、所望に応じて、漸進的であり得、傾斜的であり得、または急激な段階的方式で生じ得ることが想定される。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の移動防止フレア領域は、第1の外径を有し得、第2の移動防止フレア領域は、第2の外径を有し得る。いくつかの例では、第1および第2の外径は、略同一であり得る一方、他の例では、第1および第2の外径は、異なり得る。いくつかの実施形態では、ステント10は、移動防止フレア領域を1つのみ含むか、または全く含まない場合がある。例えば、第1の端部領域23は、移動防止フレアを含み得る一方、第2の端部領域28は、中間領域18と同様の外径を有し得る。さらに、第2の端部領域28は、移動防止フレアを含み得る一方、第1の端部領域23は、中間領域18の外径と同様の外径を有し得ることが想定される。
【0054】
ステント10は、米国特許出願公開第2020/0214858(A1)号明細書に記載された方法に従って製造され得、この米国特許出願公開の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
図14は、胆汁を胃の中に排出するための肝胃吻合術(HGS)のために、胃150の中に埋め込まれた第1端と、肝管162の中に埋め込まれた第2端とを有する、上記で説明されるようなステント10を図示する。
【0056】
同様に、ステント10は、胃空腸(GJ)バイパス術において使用され得る。あるGJ処置は、図15に示すように、ステント10の一端を胃壁に挿入し、ステント10の他端を小腸6の遠位部分に挿入することを含む。ステント10は、図15に示されるように、小腸6と胃150との間に吻合を作成し、胃内容物を直接小腸の中へ効果的に迂回させる。胃壁および腸の両方が蠕動運動を経験するため、これは、ステント10からの利点を得ることができる運動性の高い用途であると考えられ、この場合、蠕動運動中にわたってその直径を維持する適応可能なチャネルを可能にしながら、バイパスを達成し得る。
【0057】
上述のステントは、腸管内にストーマを形成する場合にも使用され得る。ストーマは、大腸を腹部の表面上に出すために、手術中に大腸または消化管の他の領域に形成される人工的な開口部のことである。ループストーマは、大腸のループが腹壁を通して開放されて、2つの端部を露出させるときに形成される。上述のようなステント10は、皮膚表面1と大腸8とを接続するために使用され得る。ステントの使用により、体内に大腸8を残して、大腸へのより小さい開口部を必要とするという利点が提供される。さらに、ステント10は、大腸8の一部を腹壁を通して皮膚表面1まで移動させる必要性をなくすことができる。他の実施形態では、1つまたは複数のフランジ311を追加したステント300を使用し得る。図16に図示されるように、ステント300の第1の端部領域302におけるフランジ311は、皮膚表面1上に配置され得る。いくつかの実施形態では、ステント300を皮膚表面1にさらに固定するために、第2のフランジが、皮膚または腹壁の内側表面上に配置され得る。ステント300の第2の端部領域304は、大腸8内に同軸に挿入され得る。いくつかの実施形態では、ステント300の第2の端部領域304は、ステントを大腸8内にさらに固定するために、外向きのフレア領域306を含み得る。ステント300は、蠕動運動中の大腸8のあらゆる動きに対応し得る。いくつかの実施形態では、ステント300は、大腸の内容物をステント300を通して矢印7によって示される方向に指向するように、液体不透過性コーティングで被覆され得る。いくつかの実施形態では、ステント300の全体がコーティングされ得る。これは、ストーマが一時的なものであり、ステント300が一定期間後に取り外されるべきである場合に所望され得る。ストーマが恒久的なものである場合などの他の実施形態では、第2の端部領域304の一部は、組織の内部成長を可能にするために、覆われていない(むき出しの)状態であり得る。
【0058】
2つの離間した器官の間のブリッジングデバイスとしてステント10を使用するためのさらなる適用は、EDGE処置の一部として使用することであり得る。内部EDGE(EUS誘導経胃ERCP(EUS-Directed trans Gastric ERCP))処置は、ルーワイ(Roux-en-Y)胃バイパス(RYGB)患者において完全に内視鏡方式でERCPを実施するために開発された新たな技術である。RYGBでは、外科医は、胃の上部と下部とを分離する。次いで、上側部分またはパウチ152は、小腸の辺縁部158に接続される。図17を参照されたい。除外された胃部分156および十二指腸154は、消化プロセスから効果的に排除される。RYGBを受けた患者では、パウチ152を通して胆管164にもはやアクセスできないため、従来のERCPはもはや不可能である。
【0059】
現在、標準的な治療は、胆管にアクセスするために、外科的処置と内視鏡処置とを組み合わせて行うことである。この処置の外科的部分は、上述のようにステント10を使用して患者のバイパスを一時的に逆行させて、従来のERCPの実施を可能にすることによって回避し得る。ステント10は、図17に示されるように、パウチ152と除外された胃部分156との間に挿入されて、内視鏡400が、パウチ152およびステント10を通過して、除外された胃部分156および十二指腸154の中に入り、胆管164にアクセスするためのアクセスを一時的に提供するようにし得る。ERCPの必要性が完了すると、ステント10を取り外し、内視鏡的縫合によってバイパス部の解剖学的構造を復元することができる。この処置全体は全て、内視鏡を用いて体内から完全に行うことができ、外来患者ベースで行うことができる。RYGBパウチ152と除外された胃部分156との近接性および相対運動性は、ステント10によって効果的に橋渡しされ得る。
【0060】
ステント、送達システム、およびそれらの様々な構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例は以下に開示される)、金属-ポリマー複合材、セラミック、それらの組み合わせ等、または他の適切な材料から作製され得る。適切な金属および金属合金のいくつかの例には、304V、304L、および316LVステンレス鋼等のステンレス鋼と、軟鋼と、線形弾性および/または超弾性ニチノール等のニッケル-チタン合金と、ニッケル-クロム-モリブデン合金、ニッケル-銅合金、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金、ニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-クロム合金、その他のニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-コバルト合金、その他のニッケル-鉄合金、その他のニッケル-銅合金、その他のニッケル-タングステンまたはタングステン合金等のその他のニッケル合金と、コバルトクロム合金と、コバルト-クロム-モリブデン合金と、プラチナ強化ステンレス鋼と、チタンと、それらの組み合わせ等、または他の適切な材料が含まれる。
【0061】
ステントまたは送達システム用にいくつかの適切なポリマーの他の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社から入手できるDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチック社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタル酸塩および/または他のポリエステルエラストマー(デュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)等)、ポリアミド(例えば、バイヤー社から入手可能なDURETHAN(登録商標)、またはエルフ・アトケム社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカン・グリロン社から入手可能なGRILAMID(登録商標)等)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/またはSIBS50A)、ポリカーボネート、アイオノマ、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材等を含み得る。
【0062】
少なくともいくつかの実施形態において、ステントまたは送達システムの一部または全部はまた、放射線不透過性材料でドープされ、作られ、またはそうでなければそれを含み得る。放射線不透過性材料は、一般に、X線からガンマ線にまたがる波長範囲(<0.005インチ(0.127リメートル)の厚さ)でRFエネルギーに対して不透明な材料であると理解されている。これらの材料は、組織等の非放射線不透過性材料が生成する明るい画像と比較して、透視画面上に比較的暗い画像を生成することが可能である。この比較的明るい画像は、ステントまたは送達システムのユーザーがその場所を決定するのを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例には、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマー材料等が含まれ得るが、これらに限定されない。加えて、他の放射線不透過性マーカーバンドおよび/またはコイルもまた、同じ結果を達成するためにステントまたは送達システムの設計に組み込まれ得る。
【0063】
この開示は、多くの点で、単なる例示であることを理解されたい。本発明の範囲を超えることなく、詳細、特に形状、サイズ、および工程の配置に関して変更を加え得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用される1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。本発明の範囲は、もちろん、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの離間した解剖学的位置を接続するように構成されたステントであって、
長手方向軸を有する長尺状の管状部材を備え、前記長尺状の管状部材は、桟を備えて複数の捩れた編みステッチを形成する少なくとも1つの編み込まれたフィラメントを備えており、前記桟は、半径方向に隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結された編みステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、前記長尺状の管状部材は、弛緩形態と伸長形態との間で移動するように構成されており、
前記複数の捩れた編みステッチの各々は、ループ部分と交差したベース領域とを形成する単一のフィラメントによって形成されており、
前記長尺状の管状部材は、前記弛緩形態における第1の長手方向長さと、前記伸長形態における第2の長手方向長さとを有し、前記第1の長手方向長さは、前記第2の長手方向長さよりも短い、ステント。
【請求項2】
前記長尺状の管状部材は、前記弛緩形態における第1の外径と、前記伸長形態における第2の外径とを有し、前記第1の外径および前記第2の外径は、実質的に同じである、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1の外径および前記第2の外径は、前記桟によって規定される、請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記捩れた編みステッチのうちの少なくともいくつかの前記ループ部分が、長手方向に隣接する捩れた編みステッチの前記交差したベース領域の周りに巻き付けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のステント。
【請求項5】
前記弛緩形態にあるとき、前記桟は、前記長尺状の管状部材の外面を形成しており、各捩れた編みステッチの前記交差したベース領域は、前記外面から半径方向外向きに延在している、請求項1乃至のいずれか一項に記載のステント。
【請求項6】
前記交差したベース領域は、前記弛緩形態において前記長尺状の管状部材の周りに螺旋状に延在する隆起したリッジを形成している、請求項5に記載のステント。
【請求項7】
前記少なくとも1つの編み込まれたフィラメントが、単一の編み込まれたフィラメントのみである、請求項1乃至3および6のいずれか一項に記載のステント。
【請求項8】
患者の第1の器官と第2の器官との間に人工ブリッジを提供する方法であって、
拡張可能なステントの第1端を前記第1の器官に固定し、前記ステントの第2端を前記第2の器官に固定して、前記第1の器官の内部が前記ステントを通して前記第2の器官の内部と流体連通するようにするステップを含み、前記第1の器官および前記第2の器官は、離間しており、前記第1の器官および前記第2の器官の正常機能の間、前記第1の器官および前記第2の器官のうちの少なくとも一方は、前記第1の器官および前記第2の器官のうちの他方に対して移動し、前記ステントは、
長手方向軸を有する長尺状の管状部材を備え、前記長尺状の管状部材は、桟を備えて複数の捩れた編みステッチを形成する少なくとも1つの編み込まれたフィラメントを備えており、前記桟は、円周方向に隣接する捩れた編みステッチの間に円周方向に延在しており、各捩れた編みステッチは、一連の連結された編みステッチを形成する長手方向に隣接する捩れた編みステッチと相互接続されており、前記長尺状の管状部材は、弛緩形態と伸長形態との間で移動するように構成されており、
前記複数の捩れた編みステッチの各々は、ループ部分と交差したベース領域とを形成する単一のフィラメントによって形成されており、
前記長尺状の管状部材は、前記弛緩形態における第1の長手方向長さと、前記伸長形態における第2の長手方向長さとを有しており、前記第1の長手方向長さは、前記第2の長手方向長さよりも短い、方法。
【請求項9】
前記第1の器官が肝管であり、前記第2の器官が患者の胃である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステントは、コーティングされていない部分とコーティングされた部分とを含み、前記コーティングされた部分は、前記ステントの長さの少なくとも70%を含み、前記コーティングされた部分は、液体不透過性コーティングを含み、前記コーティングされていない部分は、前記肝管内に延在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の器官は患者の胃であり、前記第2の器官は患者の小腸の一部である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の器官が患者の皮膚であり、前記第2の器官が患者の大腸の一部であり、前記ステントの前記第1端が前記皮膚の外面上に配置されるフランジを含み、前記ステントの前記第2端が前記大腸内に同軸に配置される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
患者の胃は、除外された胃部分から分離された胃パウチ部分と、前記胃パウチ部分を患者の小腸と接続するルー辺縁部とを含み、前記第1の器官は、前記胃パウチ部分であり、前記第2の器官は、前記除外された胃部分である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記ステントが固定された後、前記方法は、内視鏡を前記胃パウチ部分に挿入し、前記ステントを通して前記除外された胃部分に挿入し、患者の十二指腸に挿入し、その後、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)を実施することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、ERCPが完了した後に、前記ステントを取り外すステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項7】
前記少なくとも1つの編み込まれたフィラメントが、単一の編み込まれたフィラメントのみである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のステント。
【国際調査報告】