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特表2024-533543コンプレッサオイル収容装置およびこのようなコンプレッサオイル収容装置を備えたコンプレッサシステム
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  • 特表-コンプレッサオイル収容装置およびこのようなコンプレッサオイル収容装置を備えたコンプレッサシステム 図1
  • 特表-コンプレッサオイル収容装置およびこのようなコンプレッサオイル収容装置を備えたコンプレッサシステム 図2
  • 特表-コンプレッサオイル収容装置およびこのようなコンプレッサオイル収容装置を備えたコンプレッサシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】コンプレッサオイル収容装置およびこのようなコンプレッサオイル収容装置を備えたコンプレッサシステム
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/02 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
F04B39/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516695
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2022073951
(87)【国際公開番号】W WO2023041314
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021210221.2
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80,D-80809 Muenchen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン クラムリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】コーネリア スプリングル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス キップ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング クーン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス グラウ
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AC02
3H003BD02
3H003CD01
(57)【要約】
コンプレッサシステム内にさらに案内するコンプレッサオイル(3)を充填するための、コンプレッサシステム用のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)であって:コンプレッサオイル(3)のための収容容積を形成するケーシング(1,1’)、および収容容積とは反対側にある充填開口(21,21’)と、収容容積に面した側にある出口開口(22,22’)とを備えたオイル充填管片(2,2’)を有しており、オイル充填管片(2,2’)は、コンプレッサオイル(3)を収容容積に充填するためのケーシング開口を形成しており、出口開口(22,22’)は、収容容積の充填により、一方ではケーシング(1,1’)によって、他方では充填されたコンプレッサオイル(3)によって閉じ込められる空気体積(7)が、収容容積内に形成可能に配置されている、コンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサシステム内にさらに案内するコンプレッサオイル(3)を充填するための、前記コンプレッサシステム用のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)であって、
前記コンプレッサオイル(3)のための収容容積を形成するケーシング(1,1’)と、
前記収容容積とは反対側にある充填開口(21,21’)と、前記収容容積に面した側にある出口開口(22,22’)とを備えたオイル充填管片(2,2’)と、
を有しており、
前記オイル充填管片(2,2’)は、前記コンプレッサオイル(3)を前記収容容積に充填するためのケーシング開口を形成しており、前記出口開口(22,22’)は、前記収容容積の充填により、一方では前記ケーシング(1,1’)によって、他方では充填された前記コンプレッサオイル(3)によって閉じ込められる空気体積(7)が、前記収容容積内に形成可能に配置されている、コンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項2】
前記オイル充填管片(2,2’)は、前記閉じ込められる空気体積(7)内に少なくとも部分的に延在している、請求項1記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項3】
前記充填開口(21,21’)と、前記出口開口(22,22’)とは、前記コンプレッサオイル(3)の上昇限度の方向で、前記収容容積内に異なる高さで配置されており、前記充填開口(21,21’)から、前記収容容積内の前記コンプレッサオイル(3)の各水位高さまでの間隔は、少なくとも所定の最高オイルレベル(5)に達するまでは、前記出口開口(22,22’)から前記各水位高さまでの間隔よりも大きい、請求項1または2記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項4】
前記出口開口(22,22’)の位置は、前記最高オイルレベル(5)に一致する、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項5】
前記出口開口(22’)の位置は、調節可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載のコンプレッサオイル収容装置(10’)。
【請求項6】
前記オイル充填管片(2’)は、前記コンプレッサオイル(3)の上昇限度の方向における少なくとも移動区間において、前記収容容積内で可動である、請求項5記載のコンプレッサオイル収容装置(10’)。
【請求項7】
前記オイル充填管片(2’)は、前記出口開口(22’)の位置を表示するように構成されている位置表示装置(23)を有している、請求項6記載のコンプレッサオイル収容装置(10’)。
【請求項8】
前記充填開口(21’)は、少なくとも、前記収容容積内への前記オイル充填管片(2’)の所定の移動深さに達するまで、前記ケーシング(1’)の、前記収容容積とは反対側の側面を越えて突出しており、この突出した領域で、位置表示装置(23)としての目盛り(23)を有している、請求項7記載のコンプレッサオイル収容装置(10’)。
【請求項9】
前記コンプレッサオイル収容装置(10,10’)は、少なくとも1つの最低オイルレベル(6)および/または前記最高オイルレベル(5)を表示する充填レベル表示器(4)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項10】
前記充填レベル表示器(4)は、少なくとも前記最低オイルレベル(6)および/または前記最高オイルレベル(5)の領域で、前記コンプレッサオイル(3)の上昇限度の方向で前記収容容積内に延在している少なくとも1つのオイル観察窓(4)として前記ケーシング(1,1’)内に形成されている、請求項9記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項11】
前記オイル観察窓(4)は、前記オイル観察窓(4)を介して、前記収容容積内における前記圧力管片(2,2’)の前記出口開口(22,22’)の位置も検知可能に配置されているかつ/または寸法設定されている、請求項10記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項12】
前記オイル観察窓(4)、および/または前記オイル観察窓に隣接する前記ケーシング(1,1’)の領域は、目盛り(5,6)を有している、請求項10または11記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)を備えたコンプレッサシステムであって、コンプレッサオイル(3)のための収容容積は、少なくとも部分的にコンプレッサシステムのオイルパンによって形成される、コンプレッサシステム。
【請求項14】
前記コンプレッサシステムは、スクリュコンプレッサを有している、請求項13記載のコンプレッサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサシステム内にさらに案内するコンプレッサオイルを充填するための、コンプレッサシステム用のコンプレッサオイル収容装置、ならびにこのようなコンプレッサオイル収容装置を備えたコンプレッサシステムに関する。
【0002】
例えば、オイル潤滑されるスクリュコンプレッサの場合のように、コンプレッサの形式に応じて、コンプレッサシステムの構成要素の潤滑および/または冷却がコンプレッサオイルによって行われる。メンテナンスの際に、通常、オイルレベルがチェックされ、場合によっては、新しいコンプレッサオイルが追加充填される。このために、コンプレッサオイルは、オイル充填開口から収容容積内に充填される。この場合、収容容積は、消費のために設定された最高オイルレベルよりも大きい。収容容積内に、最高オイルレベルのために設定されているよりも多くのコンプレッサオイルが充填されると、過充填が生じる場合があり、これは作動を妨げるまたは構成要素を損傷させるおそれがある。
【0003】
上述した説明を考慮して、本発明の根底にある課題は、コンプレッサオイルのための収容容積の過充填のリスクを少なくとも減じることができる、コンプレッサシステム内にさらに案内するコンプレッサオイルを充填するための、コンプレッサシステム用のコンプレッサオイル収容装置、ならびにこのようなコンプレッサオイル収容装置を備えたコンプレッサシステムを提供することである。
【0004】
この課題は、並列独立請求項によるコンプレッサオイル収容装置、ならびにこのようなコンプレッサオイル収容装置を備えたコンプレッサシステムにより解決される。本発明の有利な別の構成は、従属請求項に含まれる。
【0005】
本発明によれば、コンプレッサシステム内にさらに案内するコンプレッサオイルを充填するための、コンプレッサシステム用のコンプレッサオイル収容装置は、コンプレッサオイルのための収容容積を形成するケーシング、およびこの収容容積とは反対側にある充填開口と、この収容容積に面した側にある出口開口とを備えたオイル充填管片を有している。オイル充填管片は、コンプレッサオイルを収容容積に充填するためのケーシング開口を形成しており、出口開口は、収容容積の充填により、一方ではケーシングによって、他方では充填されたコンプレッサオイルによって閉じ込められる空気体積が、収容容積内に形成可能に配置されている。
【0006】
したがって、収容容積の過充填は、一方ではケーシングによって、他方では充填されたコンプレッサオイルによって、収容容積内に閉じ込められる空気体積が、収容容積の充填を制限するエアクッションを形成することにより阻止される。
【0007】
この場合、オイル充填管片は、ケーシングにおける開口によって形成することができ、この場合、充填開口は、収容容積とは反対側のケーシング壁によって形成されていて、出口開口は、収容容積に面したケーシング壁によって形成されている。したがって、充填開口および出口開口の開口面に対して垂直なオイル充填管片の延在は、この領域におけるケーシング壁の厚さに相当する。しかしながら好適には、オイル充填管片は、開口面に対して垂直方向でより大きな延在を有しており、これにより、コンプレッサオイルは、収容限界に達した場合に、閉じ込められた空気によって、収容容積とは反対側の側面においてオイル充填管片から直ちに流出することはない。
【0008】
オイル充填管片の出口開口は、出口開口の開口面が、収容容積内に充填されたまたは充填すべきコンプレッサオイルの液面に面して、特にこの液面に実質的に平行に配置されているように、配置されていてもよい。代替的には、出口開口は、コンプレッサオイルの上昇限度の方向に延在していてもよい。
【0009】
1つの構成では、オイル充填管片は、閉じ込められた空気体積内に少なくとも部分的に延在している。
【0010】
したがって、ケーシングの、収容容積とは反対の側で、オイル充填管片の所定の延在を、オイル充填管片による障害となる輪郭が減じられた状態で得ることができる。オイル充填管片の出口開口が、収容容積内に充填されたまたは充填すべきコンプレッサオイルの液面に対向している場合には特に、収容容積内で、一方ではケーシングによって、他方では充填されたコンプレッサオイルによって閉じ込められる空気体積を、簡単に、出口開口と、コンプレッサオイルの上昇限度の方向で出口開口に続いているケーシング領域との間に形成することができる。したがって、相応のオイル充填管片を導入することによりケーシングに簡単に後付けすることができる。
【0011】
特に、充填開口と、出口開口とは、コンプレッサオイルの上昇限度の方向で、収容容積内に異なる高さで配置されており、充填開口から、収容容積内のコンプレッサオイルの各水位高さまでの間隔は、少なくとも所定の最高オイルレベルに達するまでは、出口開口からこの各水位高さまでの間隔よりも大きい。
【0012】
したがって、重力の方向で見て、充填開口は、出口開口の上方にある。したがって充填工程は、ポンプ等のさらなる補助手段を必要としない。特に、相応に方向付けることにより、出口開口が収容容積内のコンプレッサオイルの水位によって完全に覆われるまでは、空気は引き続き逃出することができる。出口開口は、この場合、収容容積内に閉じ込められる空気体積によって覆われてもよい。
【0013】
1つの構成によれば、出口開口の位置は、最高オイルレベルに一致している。
【0014】
最高オイルレベルは、支障のない作動を支援するために、各コンプレッサ、もしくは各コンプレッサシステム、および/または各作動のために設定された最も高いオイルレベルを意味する。したがって、所定の最高オイルレベルは、ケーシングに対する出口開口の配置により直接、設定することができる。換言すると、オイル充填管片の出口開口の配置は、最大充填容積を規定するだけでなく、所定の最高オイルレベルも具体的に規定する。
【0015】
1つのさらなる構成によれば、出口開口の位置は調節可能である。
【0016】
したがって、コンプレッサオイルのための最高オイルレベルもしくは最大充填容積を適合させることもできる。例えば、ケーシングは、オイル充填管片のために複数の収容部を有することができ、これにより出口開口を様々な位置に配置することができる。それぞれ使用されない収容部は、例えば、盲栓によって閉鎖することができる。
【0017】
特にオイル充填管片は、コンプレッサオイルの上昇限度の方向における少なくとも移動区間において、収容容積内で可動である。
【0018】
例えば、オイル充填管片は、ケーシング内にねじ込み可能であってもよく、これにより、ねじ込み深さを介して、ケーシングの収容容積における出口開口の位置を、最高オイルレベルまたは最大充填容積に合わせて設定することができる。代替的または補足的に、コンプレッサオイルの上昇限度の方向で可動であるように、オイル充填管片は、充填開口から出口開口への延在方向に対して垂直、かつコンプレッサオイルの液面に対して平行な軸線を中心としても回動可能に支持されていてもよい。このような回転点は、好適には、例えば、閉じ込められる空気体積を保証するためのシールの手間が僅かであるように維持するために、実質的に、ケーシングにおけるオイル充填管片の収容部の高さに位置している。
【0019】
さらなる構成では、オイル充填管片は、出口開口の位置を表示するように構成されている位置表示装置を有している。
【0020】
位置表示装置は、出口開口の位置および/または最大充填容積、特に最高オイルレベルに関する表示および/または推測を可能にする視覚的な、音響的な、かつ/またはその他の形式の信号装置もしくは表示装置であってもよい。例えば、出口開口と、コンプレッサオイルの上昇限度方向でその反対側にあるケーシング壁またはその他の基準点との間の間隔を検出する少なくとも1つの間隔センサが出口開口に設けられていてもよい。間隔は、それぞれアナログで、すなわち例えば、それぞれ絶対値として、または所定の目標値または限界値に関して、すなわち目標値または限界値への到達もしくは目標値または限界値からの偏差に関してデジタルで示すことができる。表示は、ディスプレイおよび/または信号発光により光学的に、かつ/または信号音により、例えば距離に応じて異なる周波数で音響的に行われてもよい。代替的または補足的に、出口開口の位置が不十分な場合に、オイル充填管片を介した充填の遮断を行う、つまりオイル充填管片を例えば閉鎖し、許容可能な位置領域において初めて再び解放する遮断装置との信号技術的な接続部が設けられてもよい。
【0021】
特に、充填開口は、少なくとも、収容容積内へのオイル充填管片の所定の移動深さに達するまで、ケーシングの、収容容積とは反対側の側面を越えて突出しており、この突出した領域で、位置表示装置としての目盛りを有している。
【0022】
したがって、目盛りは、外側から読み取り可能であり、オイル充填管片の出口開口の位置の簡単な制御を可能とする。目盛りは、連続的に、または所定の段階ごとに設けられていてもよい。目盛りは例えば、直接、ねじ込み深さを、ひいては、それに対応する位置変化を表示することができ、または直接、各ケーシングもしくは収容容積に合わせて調節された充填容積を表示することができる。目盛りは、複数の目盛りを含んでいてもよく、これにより、オイル充填管片を、様々なコンプレッサシステムの様々なケーシングもしくは収容容積のために使用することができる。
【0023】
1つの構成では、コンプレッサオイル収容装置は、少なくとも1つの最低オイルレベルおよび/または最高オイルレベルを表示する充填レベル表示器を有している。
【0024】
この充填レベル表示器は、オイル充填管片の出口開口のための位置表示装置と同様に、光学的な、音響的な、かつ/またはその他の信号技術的な形式により充填レベルを示すことができる。例えば、所定の最低オイルレベルおよび/または最高オイルレベルに達した際に相応のスイッチを切り替えるフロートが設けられてもよい。スイッチの切替は、この場合、やはり、光学的かつ/または音響的な信号に変換されてもよい。代替的または補足的に、収容容積内のコンプレッサオイルの上昇限度の方向で、液面に対するまたは液面に相当するフロート体に対する間隔を検出する、間隔センサが使用されてもよい。充填レベル、特に少なくとも最低オイルレベルおよび/または最高オイルレベルの音響的かつ/または視覚的な表示は、この場合も、アナログまたはデジタルで行われてもよい。同様に、充填レベル表示器は、遮断装置に信号技術的に接続されている場合には、最高オイルレベルを検出した際に、オイル充填管片を介したさらなるオイル充填を遮断することができ、かつ/または余剰のコンプレッサオイルを排出するための排出ポンプ装置を作動させることができる。
【0025】
特に、充填レベル表示器は、少なくとも最低オイルレベルおよび/または最高オイルレベルの領域で、コンプレッサオイルの上昇限度の方向で収容容積内に延在している少なくとも1つのオイル観察窓としてケーシング内に形成されている。
【0026】
オイル観察窓を介して、最低オイルレベルおよび/または最高オイルレベルを簡単に、外側から直接読み取ることができる。特に、オイル観察窓は、コンプレッサオイルの上昇限度の方向で、最低オイルレベルから最高オイルレベルに到る全領域にわたって延在している。重力の方向で下方に向かうオイル観察窓の始端部は、この場合、例えば最低オイルレベルに一致し、重力の方向で上方に向かうオイル観察窓の終端部は、最高オイルレベルに対応する。
【0027】
さらなる構成によれば、オイル観察窓は、オイル観察窓を介して、収容容積内における圧力管片の出口開口の位置も検知可能に配置されているかつ/または寸法設定されている。
【0028】
したがって、オイル観察窓は、収容容積内のコンプレッサオイルのための充填レベル表示器として、かつ圧力管片の出口開口のための位置表示装置として利用可能である。特に、さらに、コンプレッサオイルの水位が、所定の構成に反して、オイル充填管片の出口開口を越えてさらに上昇するならば、ケーシングにおける不密性を認識することもできる。
【0029】
1つの構成では、オイル観察窓、および/またはオイル観察窓に隣接するケーシングの領域は、目盛りを有している。
【0030】
目盛りは、好適には、少なくとも最低オイルレベルおよび/または最高オイルレベルを含んでいる。好適には、相応の目盛りを備えたオイル観察窓が、コンプレッサオイルの水位の上昇限度方向で、最低オイルレベルおよび最高オイルレベルを越えて延在していて、これにより、まさに最低オイルレベルおよび最高オイルレベルの領域にある水位線を、より良好に観察することができる。
【0031】
目盛りがオイル観察窓に設けられているならば、オイル観察窓を交換することにより、目盛りを簡単に様々な状況および/または設定に適合させることができる。
【0032】
別の態様では、本発明は、上述したコンプレッサオイル収容装置を備えたコンプレッサシステムに関し、この場合、コンプレッサオイルのための収容容積は、少なくとも部分的にコンプレッサシステムのオイルパンによって形成される。
【0033】
コンプレッサオイル収容装置は、したがって、コンプレッサシステムの既存の領域に直接、取り付けることができ、これにより、コンパクトな構造が可能となる。特に、コンプレッサシステムのオイルパンには、相応のオイル充填管片を簡単に後付けすることができる。
【0034】
1つの構成では、コンプレッサシステムは、スクリュコンプレッサを有している。
【0035】
スクリュコンプレッサは、特に、オイル潤滑されるスクリュコンプレッサである。
【0036】
コンプレッサシステムのさらなる構成および利点は、コンプレッサオイル収容装置の可能な構成および利点についての説明と同様に得られる。したがって、コンプレッサオイル収容装置を使用する場合も、相応の特徴は、コンプレッサシステムに直接、転用可能である。
【0037】
以下に、本発明を、添付の図面を参照して、実施例につき詳しく説明する。図面は、詳細に示している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】例示的な従来技術によるコンプレッサオイル収容装置の概略的な断面図である。
図2】本発明の第1の例示的な実施形態によるコンプレッサオイル収容装置の概略的な断面図である。
図3】本発明の第2の例示的な実施形態によるコンプレッサオイル収容装置の概略的な断面図である。
【0039】
図1には、例示的な従来技術によるコンプレッサオイル収容装置の概略的な断面図が示されている。コンプレッサオイル収容装置は、コンプレッサオイルCのための収容容積を形成するコンプレッサケーシングAを有している。適用規定通りに使用される場合には重力の方向で上方のケーシング領域に、コンプレッサオイルCを、コンプレッサケーシングの収容容積内に充填することができるオイル充填開口Bとして、ケーシング開口が設けられている。この場合、オイル充填開口Bは、コンプレッサの適用規定通りに使用される場合には、重力の方向で、最高オイルレベルEの上方に配置されている。したがって、コンプレッサオイルが、最高オイルレベルEを超えて、収容容積内に充填される可能性もある。最高オイルレベルEを超えた充填量は、コンプレッサの作動を妨げるおそれがある。コンプレッサケーシングAの収容容積内におけるコンプレッサオイルCの水位を制御するために、コンプレッサケーシングAは、少なくとも最低オイルレベルFと最高オイルレベルEとを示す目盛りを有した充填レベル表示器としてのオイル観察窓Dを有している。したがって、過剰充填の回避には、充填工程中に、オイル観察窓Dを介して、コンプレッサケーシングAの収容容積におけるコンプレッサオイルCの水位を常に観察している必要がある。この場合、オイル観察窓の損傷および/または汚れならびに観察の際の主観的な視野角および照明条件が、読取り可能性および読取り精度に影響する可能性がある。
【0040】
過充填のリスクを減じるためにまたは回避するために、図2には、本発明の第1の例示的な実施形態によるコンプレッサオイル収容装置10の概略的な断面図が示されている。コンプレッサオイル収容装置10は、コンプレッサオイル3のための収容容積を形成するコンプレッサケーシング1を有している。さらに、コンプレッサオイル収容装置10は、コンプレッサケーシング1に一体に形成されているオイル充填管片2を有している。オイル充填管片2がコンプレッサケーシング1に一体に形成されていることにより、接続の緊密性が改善されるので、特に空気の逃出の観点で、接続部から漏れが生じるリスクは減じられるもしくは回避される。収容容積内におけるコンプレッサオイル3の上昇限度の方向で、オイル充填管片2は、コンプレッサオイル3の液面に面した出口開口22と、コンプレッサオイル3の液面とは反対側の充填開口21とを有している。この場合、充填開口21は、例えば、コンプレッサケーシング1の、コンプレッサオイル3のための収容容積とは反対側の側面と同一平面を成している。しかしながら代替的な構成では、充填開口21もしくは充填開口21を備えたオイル充填管片2の領域は、コンプレッサケーシング1の、収容容積とは反対側の側面で突出していてもよい。充填開口21は、カバー(図示せず)を介して閉鎖可能である。オイル充填管片2は、重力の方向で、もしくはコンプレッサオイル3の水位の上昇限度の方向で、コンプレッサケーシング1の収容容積内に延在している。したがって、出口開口22は、重力の方向で、充填開口21の下側に配置されている。さらに出口開口22は、重力の方向で、コンプレッサケーシング1によって形成される、コンプレッサオイル3のための収容容積の上側容積境界と下側容積境界との間に配置されている。重力の方向における出口開口22の位置は、過充填を回避するために規定されている最高オイルレベル5に一致している。コンプレッサオイル収容装置10のコンプレッサケーシング1は、さらに、収容容積内のコンプレッサオイル3の水位のための表示装置として、オイル観察窓4を有している。オイル観察窓4は、収容容積内のコンプレッサオイル3の水位の上昇限度の方向で、最低オイルレベル6および最高オイルレベル5をカバーする領域にわたって延在している。最低オイルレベル6と最高オイルレベル5とは、オイル観察窓4における相応の目盛りに対応している。代替的な実施形態では、オイル観察窓4に別の目盛り表示が設けられていてもよい。最高オイルレベル5を超えても延在しているオイル観察窓4を介して、出口開口22の位置も認めることができる。
【0041】
例えば、メンテナンス工程の範囲で、最低オイルレベルが読み取られた場合、コンプレッサオイル3は、オイル充填管片2の充填開口21を介して追加充填される。相応に、コンプレッサケーシング1の収容容積内のコンプレッサオイル3の水位が上昇する。収容容積内のコンプレッサオイル3により押しのけられた空気体積は、出口開口22がコンプレッサオイルによりカバーされる程度にコンプレッサオイル3の水位が上昇するまで、オイル充填管片を介して逃出することができる。これにより、コンプレッサケーシング1内に残っている空気体積は、出口開口22とコンプレッサケーシング1との間に閉じ込められ、エアクッション7を形成する。エアクッション7により、収容容積内のコンプレッサオイル3の水位のさらなる上昇は阻止される。この場合、出口開口22は、最高オイルレベル5の高さに配置されているので、これにより、収容容積へのコンプレッサオイル3のさらなる充填、ひいては過充填は阻止される。この場合、コンプレッサオイル3は、矢印によって示されているように、オイル充填管片2自体内でのみ上昇することができる。オイル充填管片は、充填開口21と出口開口22との間で所定の高さを有しているので、オイル充填管片2内での上昇または最高オイルレベル5への到達は、このコンプレッサオイル3が充填開口21から流出することなく、十分な許容誤差をもって検知することができる。
【0042】
図3には、本発明の第2の例示的な実施形態によるコンプレッサオイル収容装置10’の概略的な断面図が示されている。第2の実施形態は、オイル充填管片2’の構成、およびこれに対応するコンプレッサケーシング1’の構成の点で、第1の実施形態とは異なっている。その他の点では、第2の実施形態のコンプレッサオイル収容装置10’は、第1の実施形態のコンプレッサオイル収容装置10と同様に構成されているので、それについては同じ符号が使用され、第1の実施形態に関するそれについての記載は、第2の実施形態に転用可能である。
【0043】
オイル収容装置10’のオイル充填管片2’は、第2の実施形態では、コンプレッサケーシング1’に一体に形成されているのではなく、ねじ山付き結合部(図示せず)を介してコンプレッサケーシング1’にねじ込み可能である。したがって、オイル充填管片2’の出口開口22’の位置を、充填開口21’の領域で二重矢印によって示したように、ねじ込み深さを介して調節することができる。したがって、コンプレッサオイル3の最高オイルレベル5もしくは最高水位高さも、コンプレッサケーシング1’の収容容積内で調節可能である。ねじ山付き結合部は、付加的なシール手段を有していてもよく、これによって、一方のコンプレッサケーシング1’と、出口開口22’が覆われた状態で充填されているコンプレッサオイルとの間に閉じ込められた空気体積7から、空気が逃出することが阻止される。代替的な実施形態では、ねじ接続の代わりに、別の位置調節機構、例えばグリッパクランプ等が設けられてもよい。
【0044】
オイル充填管片2’は、さらに、コンプレッサケーシング1’の、収容容積とは反対側の側面に、突出した領域の位置に応じて、オイル充填管片2’のための位置表示装置としての目盛り23を有している。この場合、コンプレッサケーシング1’によってカバーされていない目盛りは、各ねじ込み深さを表示する。代替的な実施形態では、位置表示装置は、出口開口22’と、基準点、例えば上昇限度方向で出口開口に対向するコンプレッサケーシング壁との間の、水位の上昇限度方向の間隔を検出する間隔測定計を介して設けられてもよい。距離信号は、表示装置から、アナログの距離値として、または様々な色の発光表示によって示すことができる。
【0045】
本発明は、記載された実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態ではオイル充填管片がオイル水位に対して垂直に延びていたとしても、オイル充填管片は、オイル水位に対して傾斜して延びていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,1’ コンプレッサケーシング
2,2’ オイル充填管片
3 コンプレッサオイル
4 オイル観察窓(充填レベル表示器)
5 最高オイルレベル
6 最低オイルレベル
7 エアクッション(空気体積)
10,10’ コンプレッサオイル収容装置
21,21’ 充填開口(オイル充填管片)
22,22’ 出口開口(オイル充填管片)
23 目盛り(位置表示装置)
A コンプレッサケーシング
B オイル充填開口
C コンプレッサオイル
D オイル観察窓(充填レベル表示器)
E 最高オイルレベル
F 最低オイルレベル
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサシステム内にさらに案内するコンプレッサオイル(3)を充填するための、前記コンプレッサシステム用のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)であって、
前記コンプレッサオイル(3)のための収容容積を形成するケーシング(1,1’)と、
前記収容容積とは反対側にある充填開口(21,21’)と、前記収容容積に面した側にある出口開口(22,22’)とを備えたオイル充填管片(2,2’)と、
を有しており、
前記オイル充填管片(2,2’)は、前記コンプレッサオイル(3)を前記収容容積に充填するためのケーシング開口を形成しており、前記出口開口(22,22’)は、前記収容容積の充填により、一方では前記ケーシング(1,1’)によって、他方では充填された前記コンプレッサオイル(3)によって閉じ込められる空気体積(7)が、前記収容容積内に形成可能に配置されている、コンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項2】
前記オイル充填管片(2,2’)は、前記閉じ込められる空気体積(7)内に少なくとも部分的に延在している、請求項1記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項3】
前記充填開口(21,21’)と、前記出口開口(22,22’)とは、前記コンプレッサオイル(3)の上昇限度の方向で、前記収容容積内に異なる高さで配置されており、前記充填開口(21,21’)から、前記収容容積内の前記コンプレッサオイル(3)の各水位高さまでの間隔は、少なくとも所定の最高オイルレベル(5)に達するまでは、前記出口開口(22,22’)から前記各水位高さまでの間隔よりも大きい、請求項1または2記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項4】
前記出口開口(22,22’)の位置は、前記最高オイルレベル(5)に一致する、請求項記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項5】
前記出口開口(22’)の位置は、調節可能である、請求項1または2記載のコンプレッサオイル収容装置(10’)。
【請求項6】
前記オイル充填管片(2’)は、前記コンプレッサオイル(3)の上昇限度の方向における少なくとも移動区間において、前記収容容積内で可動である、請求項5記載のコンプレッサオイル収容装置(10’)。
【請求項7】
前記オイル充填管片(2’)は、前記出口開口(22’)の位置を表示するように構成されている位置表示装置(23)を有している、請求項6記載のコンプレッサオイル収容装置(10’)。
【請求項8】
前記充填開口(21’)は、少なくとも、前記収容容積内への前記オイル充填管片(2’)の所定の移動深さに達するまで、前記ケーシング(1’)の、前記収容容積とは反対側の側面を越えて突出しており、この突出した領域で、位置表示装置(23)としての目盛り(23)を有している、請求項7記載のコンプレッサオイル収容装置(10’)。
【請求項9】
前記コンプレッサオイル収容装置(10,10’)は、少なくとも1つの最低オイルレベル(6)および/または前記最高オイルレベル(5)を表示する充填レベル表示器(4)を有している、請求項1または2記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項10】
前記充填レベル表示器(4)は、少なくとも前記最低オイルレベル(6)および/または前記最高オイルレベル(5)の領域で、前記コンプレッサオイル(3)の上昇限度の方向で前記収容容積内に延在している少なくとも1つのオイル観察窓(4)として前記ケーシング(1,1’)内に形成されている、請求項9記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項11】
前記オイル観察窓(4)は、前記オイル観察窓(4)を介して、前記収容容積内における前記オイル充填管片(2,2’)の前記出口開口(22,22’)の位置も検知可能に配置されているかつ/または寸法設定されている、請求項10記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項12】
前記オイル観察窓(4)、および/または前記オイル観察窓に隣接する前記ケーシング(1,1’)の領域は、目盛り(5,6)を有している、請求項10記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)。
【請求項13】
請求項1または2記載のコンプレッサオイル収容装置(10,10’)を備えたコンプレッサシステムであって、コンプレッサオイル(3)のための収容容積は、少なくとも部分的にコンプレッサシステムのオイルパンによって形成される、コンプレッサシステム。
【請求項14】
前記コンプレッサシステムは、スクリュコンプレッサを有している、請求項13記載のコンプレッサシステム。
【国際調査報告】