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特表2024-533549少なくとも1つの誤操作防止用張出部を含む差し錠を用いた、輸送手段の側面グレージングの固定システム
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  • 特表-少なくとも1つの誤操作防止用張出部を含む差し錠を用いた、輸送手段の側面グレージングの固定システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】少なくとも1つの誤操作防止用張出部を含む差し錠を用いた、輸送手段の側面グレージングの固定システム
(51)【国際特許分類】
   B61D 25/00 20060101AFI20240905BHJP
   E06B 3/54 20060101ALI20240905BHJP
   C03C 27/06 20060101ALI20240905BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B61D25/00 G
B61D25/00 A
E06B3/54 Z
C03C27/06 101Z
C03C27/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516733
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022075478
(87)【国際公開番号】W WO2023041554
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】2109782
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ガスタル,ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】シルベストリーニ,ロラン
(72)【発明者】
【氏名】グリゴ,ウーヴェ
【テーマコード(参考)】
2E016
4G061
【Fターム(参考)】
2E016AA04
2E016AA07
2E016BA03
2E016CB01
2E016CC03
2E016DA05
2E016DC01
4G061AA04
4G061AA09
4G061BA02
4G061CD18
4G061CD25
4G061CD27
(57)【要約】
本発明は、輸送手段の側面グレージング、特に列車のグレージングを周縁開口部に固定するシステムに関しており、前記グレージングは固定式の複層グレージングであり、前記開口部は前記開口部に固定された差し錠(10)を有し、前記差し錠(10)は側部翼を有し、該側部翼は、前記側部翼(12)の90°の回転によって前記引掛キャビティ(77)の内部にかつ内側窓ガラス(6)の前記中側面(61)の端部に向かい合って広がり、好ましくは中空の、外側密閉用継手(99)があり、前記外側密閉用継手(99)は内側面(99d)を有し、前記差し錠(10)は、外側空間(E)の方へ広がる少なくとも1つの張出部(10a、10b)を有し、前記外側密閉用継手(99)は、その周囲にわたって配置される、前記内側面(99d)から外側空間(E)の方へ広がる溝(99c)を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送手段の側面グレージング(1)、特に列車のグレージングを周縁開口部(9)に固定するシステムであって、前記グレージング(1)が、外側空間(E)に面する外側面(101)および内側空間(I)に面する内側面(102)を有する固定式の複層グレージングであり、グレージングの前記外側面(101)が、その全周縁にわたって前記開口部(9)の外側側面(91)との外観の継続部分にあり、前記グレージング(1)が以下、
-外側空間(E)に面する外側面(21)、周縁端面(20)、および外側面(21)の反対側にある中側面(22)を有する外側窓ガラス(2)であって、前記外側窓ガラス(2)は、好ましくは積層されており、その場合少なくとも1つの外側ガラスシート(3)、内側ガラスシート(5)、および前記外側ガラスシート(3)と前記内側ガラスシート(5)との間に位置するプラスチック材料製シート(4)を含み、前記外側窓ガラス(2)の各シート(3、4、5)は、周縁端面(30、40、50)を有している、外側窓ガラス(2)、
-内側空間(I)に面する内側面(62)、内側面の反対側にある中側面(61)、および周縁端面(60)、を有する内側窓ガラス(6)、
-それぞれ、前記外側窓ガラス(2)および前記内側窓ガラス(6)の周縁端面(20、60)よりも少なくとも部分的にグレージング(1)の中心の方にありつつ、前記外側窓ガラス(2)の内部周縁および前記内側窓ガラス(6)の内部周縁に位置する内部構造体(7)であって、グレージング(1)がこれらの2つの窓ガラス(2、6)間に位置するグレージングキャビティ(8)とともに前記外側空間(E)と前記内側空間(I)との間の仕切りを具現するように、前記窓ガラス(2、6)をともに保持する内部構造体、を含み、
前記内部構造体(7)が、求心の奥部(78)および遠心の入り口(79)を有する引掛キャビティ(77)を有し、前記開口部(9)が差し錠(10)を有し、該差し錠が前記内側窓ガラス(6)の端面(60)よりも中心から遠ざかって位置し前記開口部に固定され、前記差し錠(10)が側部翼(12)を有し、該側部翼が、前記側部翼(12)の90°の回転によって前記引掛キャビティ(77)の内部にかつ内側窓ガラス(6)の前記中側面(61)の端部に向かい合って広がり、好ましくは中空の外側密閉用継手(99)が、一方では前記外側側面(91)と他方では前記外側窓ガラス(2)の端面(20)または他方では前記外側ガラスシート(3)の端面(30)との間のブラケット空間(95)の中に位置し、前記外側密閉用継手(99)が内側面(99d)を有する、システムであって、
前記差し錠(10)が、外側空間(E)の方へ広がる少なくとも1つの張出部を有し、また好ましくは第一の張出部(10a)と第二の張出部(10b)とを有し、前記外側密閉用継手(99)が、前記内側面(99d)から外側空間(E)の方へ広がる溝(99c)を含み、
-前記単数の張出部、また好ましくは前記複数の張出部(10a、10b)が、前記側部翼(12)が前記引掛キャビティ(77)の中に配置され差し錠(10)が閉位置にあるとき前記溝(99c)の中に収容されることを意図されており、また
-前記単数の張出部、また好ましくは前記複数の張出部(10a、10b)が、差し錠(10)が閉位置以外の位置にあるとき前記外側密閉用継手(99)の前記内側面(99d)に寄りかかることを意図されている、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
外側密閉用継手(99)が、厚み(e99)を有し、前記単数の張出部、また好ましくは前記複数の張出部(10a、10b)が、前記外側密閉用継手(99)の厚み(e99)より短い長さ(L)を有することを特徴とする、請求項1に記載のグレージング(1)の固定システム。
【請求項3】
前記単数の張出部また好ましくは前記複数の張出部(10)が、前記外側密閉用継手(99)の厚み(e99)の少なくとも25%に等しい、さらには前記外側密閉用継手(99)の厚み(e99)の少なくとも50%に等しい長さ(L)を有することを特徴とする、請求項2に記載のグレージング(1)の固定システム。
【請求項4】
前記溝(99c)が、前記外側密閉用継手(99)の、その高さに沿って真ん中に配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の
グレージング(1)の固定システム。
【請求項5】
単数の張出部または各張出部(10a、10b)の端(10a’、10b’)が、丸みを帯びていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載のグレージング(1)の固定システム。
【請求項6】
前記側部翼(12)が、正面図において60°~120°、好ましくは80°~100°、さらにより好ましくは85°~95°の角度(α)を有する先の尖った端を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一つに記載のグレージング(1)の固定システム。
【請求項7】
前記溝(99c)が、幅(l99)を有し、単数の張出部または各張出部(10a、10b)が、溝(99c)の前記幅(l99)の0.8倍~1.1倍の厚み(e10)を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一つに記載のグレージング(1)の固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送手段の側面グレージング、特に列車のグレージングの、概して金属製の周縁開口部への固定に関する。グレージングの固定は、差し錠によって実現され、該差し錠は側部翼を有し、該側部翼は、前記側部翼の90°の回転によって引掛キャビティの内部に、内側窓ガラスの中側面の端部に向かい合って広がる。このタイプのグレージングは通常、垂直位置の、列車の開口部に固定される。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2021/160962号は、輸送手段の外側から接近できるそのような固定を用いたグレージングを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/160962号
【特許文献2】国際公開第2016/042270号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、差し錠の位置の確認をより容易にできるようにする固定システムを提案することによって、先行技術の不都合を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そうするために、本発明は、その最も広い意味において、請求項1に記載の、輸送手段の側面グレージング、特に列車のグレージングを周縁開口部に固定するシステムに関する。前記グレージングはこのように、外側空間に面する外側面および内側空間に面する内側面を有する固定式の複層グレージングであり、グレージングの前記外側面は、その全周縁にわたって前記開口部の外側側面との外観の継続部分にあり、前記グレージングは以下、
-外側空間に面する外側面、周縁端面、および外側面の反対側にある中側面を有する外側窓ガラスであって、前記外側窓ガラスは、好ましくは積層されており、その場合少なくとも1つの外側ガラスシート、内側ガラスシート、および前記外側ガラスシートと前記内側ガラスシートとの間に位置するプラスチック材料製シートを含み、前記外側窓ガラスの各シートは、周縁端面を有している、外側窓ガラス、
-内側空間に面する内側面、内側面の反対側にある中側面、および周縁端面、を有する内側窓ガラス、
-それぞれ、前記外側窓ガラスおよび前記内側窓ガラスの周縁端面よりも少なくとも部分的にグレージングの中心の方にありつつ、前記外側窓ガラスの内部周縁および前記内側窓ガラスの内部周縁に位置する内部構造体であって、グレージングがこれらの2つの窓ガラス間に位置するグレージングキャビティとともに前記外側空間と前記内側空間との間の仕切りを具現するように、前記2つの窓ガラスをともに保持する内部構造体、を含み、
前記内部構造体は、求心の奥部および遠心の入り口を有する引掛キャビティを有し、前記開口部は差し錠を有し、該差し錠は前記内側窓ガラスの端面よりも中心から遠ざかって位置し前記開口部に固定され、前記差し錠は側部翼を有し、該側部翼は、前記側部翼の90°の回転によって前記引掛キャビティの内部にかつ内側窓ガラスの前記中側面の端部に向かい合って広がり、好ましくは中空の外側密閉用継手は、一方では前記外側側面と他方では前記外側窓ガラスの端面または他方では前記外側ガラスシートの端面との間のブラケット空間の中に位置し、前記外側密閉用継手は内側面を有する。
【0006】
本発明による固定システムは、前記差し錠が、外側空間の方へ広がる少なくとも1つの張出部を有し、また好ましくは第一の張出部と第二の張出部とを有し、前記外側密閉用継手が、前記内側面から外側空間の方へ広がる溝を含み、
-前記単数の張出部、また好ましくは前記複数の張出部が、前記翼が前記引掛キャビティの中に配置され差し錠が閉位置にあるとき前記溝の中に収容されることを目的としており、また
-前記単数の張出部、また好ましくは前記複数の張出部が、差し錠が閉位置以外の位置にあるとき前記外側密閉用継手の前記内側面に寄りかかることを目的としている、
という点において注目されるべきである。
【0007】
本発明による固定システムは、分解、特に外側密閉用継手の分解を一切せず、差し錠の位置の確認を容易にするという利点を有する。車両の外に位置する人、例えば車両が位置する鉄道の駅のプラットホームにいる点検員は、密閉用継手が開口部と同一平面上にないことが見えると、本発明の固定システムを知らなくても、車両のグレージングに関して明らかに異常があることにすぐ気づく。本発明はさらに、グレージングに実行すべき技術的介入を簡素化するものであり、なぜなら、存在する差し錠をすべて確認する必要がなく、外側密閉用継手が同一平面上にないと特定された差し錠だけを確認すればよいからである。
【0008】
ただ1つだけの張出部が使用される場合、閉位置以外の差し錠の位置は、張出部が前記外側密閉用継手の内側面に寄りかかっている場所に、外側密閉用継手の局部的な隆起を生じさせる。
【0009】
2つの張出部が使用される場合、閉位置以外の差し錠のどんな位置も、2つの張出部が前記外側密閉用継手の内側面に寄りかかっている場所に合致した隆起を生じさせる。
【0010】
本発明の趣旨での外観の継続部分の概念は、外側空間から見て、2つの表面が互いに連続の状態にあるように見えることを指す。実際には、製作公差を考慮して、1mmまでに及ぶ高さの差を測定することがあり得る。100%のグレージングについて0.0mmの値は、望まれているとはいえ、実際には達し得ず、このことを当業者はよく知っている。
【0011】
好ましくは、外側密閉用継手は厚みを有し、前記単数の張出部、また好ましくは前記複数の張出部は、前記外側密閉用継手の厚みより短い長さを有する。
【0012】
閉位置で、前記単数の張出部また好ましくは各張出部はこのように、外側密閉用継手にある溝の中に溝の奥部にぶつかることなく入り込むものであり、奥部を動かして望まれない同一平面上にない状態を引き起こして継手を点検する人を誤った方向に導き得ることがないようになっている。
【0013】
好ましくは、前記単数の張出部またさらに好ましくは前記複数の張出部は、前記外側密閉用継手の厚みの少なくとも25%に等しい、さらには前記外側密閉用継手の厚みの少なくとも50%に等しい長さを有する。
【0014】
好ましくは、前記溝は、前記外側密閉用継手の、その高さに沿って真ん中に配置される。
【0015】
溝のこの配置は、差し錠に存在する張出部を容易に受け入れるという利点を有する。
【0016】
有利には、単数の張出部または各張出部の端は、丸みを帯びている。
【0017】
張出部の端の丸みは、外側密閉用継手の内側面との接触を、該継手を損傷することなく確立することを可能にする。実際に、密閉用継手は、張り出した形状に接触することにより容易に破損が進む可能性のあるプラスチック材料で作られている。
【0018】
好ましくは、前記側部翼は、正面図において60°~120°、好ましくは80°~100°、さらにより好ましくは85°~95°の角度を有する先の尖った端を有する。
【0019】
好ましくは、前記溝は幅を有し、単数の張出部または各張出部は、溝の前記幅の0.8倍~1.1倍の厚みを有する。
【0020】
張出部はこのように、外側密閉用継手の溝の中に容易に入り込むことができる。
【0021】
次のような添付の図面を参照して、本発明の複数の実施形態を、非制限例として、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による固定システムによって開口部に固定された複層グレージングを有する、列車の車体の開口部の外側の斜視図を示しており、システムは、外側密閉用継手なしで示されている。
図2図1によるグレージングの低部の垂直横断面図を示しており、開口部は表示されていない。
図3】本発明の好ましい実施形態による差し錠によって開口部に固定された、図1および図2による、グレージングの低部の垂直横断面図を示しており、差し錠は、閉位置にあり、全断面図で見られる。
図4図3で示されたグレージングの固定システムを概略的に図示しており、差し錠が開位置にある点が異なっている。
図5】本発明による差し錠を、側面図で概略的に示している。
図6】本発明による差し錠を、平面図で概略的に示している。
図7】本発明による差し錠を、正面図で概略的に示している。
【0023】
これらの図面において、さまざまな構成要素の寸法間の比率は、それらの読解を容易にするために尊重されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態において、窓ガラスまたはガラスシートの利用が記述されている。各窓ガラスは、一枚のガラスでできた窓ガラス、すなわち単一の材料シートで構成された窓ガラスであってもよく、または複合窓ガラス、すなわち複数の材料シートで構成された窓ガラスであってもよく、積層グレージングの場合、それらの間に、少なくとも1つの粘着材料製中間層が挿入される。単数または複数の材料シートは、無機、とりわけ、例えば焼きなましまたは焼入れを受けたガラス製であり得、または有機、とりわけ、ポリビニルブチラールのようなプラスチック材料製であり得る。中間層は好ましくは、少なくとも1つの熱可塑性プラスチック材料、好ましくはポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、および/またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。しかしながら、熱可塑性中間層は、例えばポリウレタン(PU)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリレート、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリアセテート樹脂、注型用樹脂、アクリレート、フッ素化エチレンプロピレン、フッ化ビニル樹脂および/またはエチレンテトラフルオロエチレン、またはそれらのコポリマーもしくは混合物を含むこともできる。熱可塑性中間層は、単数または複数の積み重ねられた熱可塑性フィルムで形成されることができ、熱可塑性フィルムの厚みは好ましくは1mmを超えず、とりわけ0.25mmまたは0.5mmから1mmまたは0.9mm、典型的には0.4mmまたは0.7mm前後である。
【0025】
図1は、本発明による、輸送手段の左側面グレージング1を示しており、このグレージングは、垂直に位置決めされており、またこの輸送手段の車体の開口部9に固定されている。
【0026】
それは特に、列車の側面グレージングである。
【0027】
このグレージングはこのように、列車内の内側空間Iと、列車外の外側空間Eとの間に、垂直な仕切りを具現する。図1は、外側の概略図である。
【0028】
「外側」および「内側」の概念はつまり、本明細書において、それぞれに、この外側空間E(またはこの外側空間の方へ向けられる空間)そしてこの内側空間I(またはこの内側空間の方へ向けられる空間)との関係において検討されるものである。
【0029】
それは側面グレージングであるので、該グレージングは、本質において、輸送手段の一般的に「X軸」と呼ばれる軸に沿って広がるものであり、該軸は、側面グレージング(ここでは左側の側面グレージング)として本発明によるグレージングを装備した輸送手段の前進の長手方向の中心軸であり、また図1におけるX軸に相当する。Y軸は垂直軸であり、またZ軸は横手方向軸である。
【0030】
本明細書の範囲内で、「求心」の概念および「遠心」の概念は、X軸およびY軸にしたがってグレージングの中心との関係において表される、図1のある書類の面において、またはグレージングが平らであると見なされるときのその一般的な面において、検討されるべきものである。求心方向は、この中心の方に向かった方向であり、一方、遠心方向はこの中心から遠ざかる方向である。
【0031】
図2を参照すると、部分断面で見た、図1で示されたグレージング1の低部が概略的に示されている。開口部9は表示されていない。グレージング1は、固定式である。このグレージングは、一続きの構造体であり、例えば国際公開第2016/042270号で知られているような、内開き窓を有しない。もっとも、本明細書中で詳細に記述されてはいないものの、本発明は、開閉窓を有する、そのようなグレージングに応用されることもあり得る。
【0032】
このグレージング1は、外側空間Eに面する外側面101および内側空間Iに面する内側面102を有する。
【0033】
このグレージング1は、以下を含む。
-外側空間Eに面する外側面21、外側面の反対側にある中側面22、および周縁端面20、を有する外側窓ガラス2、
-内側空間Iに面する内側面62、内側面の反対側にある中側面61、および周縁端面60、を有する内側窓ガラス6、ならびに
-グレージングが窓ガラス2、6間に位置するグレージングキャビティ8を作製しながら外側空間と内側空間との間の仕切りを具現するように、これらの2つの窓ガラスをともに保持する内部構造体7。
【0034】
内部構造体7は、「内部」と形容され、なぜなら該構造体は、少なくとも部分的に(また好ましくは完全に)、それぞれ、外側窓ガラス2および内側窓ガラス6の周縁端面20、60よりも中心の方(より求心)にありつつ、外側窓ガラス2の内部周縁および内側窓ガラス6の内部周縁に位置しているからである。すなわち、内部構造体7は、周縁端面20、60を越えて遠心方向にはみ出さない。
【0035】
グレージング1のシート3、4、5および窓ガラス2、6はそれぞれ、一続きの構造体である。
【0036】
内側窓ガラス6は、3.0mm~8.0mm例えば5.0mmである厚みを有する、一枚のガラスでできたガラスシートである。
【0037】
外側窓ガラス2は好ましくは積層されており、その場合、外側空間Eを起点として、少なくとも1つの外側ガラスシート3、内側ガラスシート5、および外側ガラスシート3と内側ガラスシート5との間に位置するプラスチック材料製シート4を含み、外側窓ガラス2の各シート3、4、5は、周縁端面30、40、50を有する。
【0038】
外側ガラスシート3は、外側空間Eの方へ向けられた外側面31、プラスチック材料製中間シート4の方へ向けられた中間面32、およびこれらの2つの面の間に位置する周縁端面30を有する。
【0039】
内側ガラスシート5は、プラスチック材料製シート4の方へ向けられた中間面51、グレージングキャビティ8の方へ向けられた内側面52、およびこれらの2つの面の間に位置する周縁端面50を有する。
【0040】
プラスチック材料製シート4は、中間面32の方へ向けられまたここではこの中間面32に接触している外側中間面41、中間面51の方へ向けられまたここではこの中間面51に接触している内側中間面42、およびこれらの2つの中間面41、42の間に位置する周縁端面40を有する。
【0041】
外側ガラスシート3は例えば、0.5mm~8.0mm、例えば6.0mmである厚みを有するガラスシートである。
【0042】
プラスチック材料製中間シート4は例えば、0.50mm~1.50mm、例えば0.76mmである厚みを有するポリビニルブチラール(PVB)製シートである。このプラスチック材料製シート4は好ましくは、内側ガラスシート5と同じ長さ寸法および高さ寸法を有する。
【0043】
内側ガラスシート5は、0.5mm~8.0mm、例えば5.0mmである厚みを有するガラスシートである。
【0044】
ここではグレージング1はこのように、26.76mmの全厚みt’を有する。
【0045】
グレージング1は、内部構造体7が、輸送手段(ここでは列車)の開口部9にグレージング1を固定することを可能にすることをさらに目的としており、開口部9との関係において動くことができないという趣旨において、固定式グレージングである。
【0046】
グレージングが、複数の窓ガラス2、6、ならびに2つの窓ガラス2、6間に位置するグレージングキャビティ8を有するという趣旨において、グレージング1は、複層グレージングであり、このキャビティは、空気またはガス、好ましくはアルゴンもしくはクリプトンのような中性ガスで満たされており、このキャビティはグレージング1によって付与される断熱に寄与する。
【0047】
内部構造体7はこうして、2つの窓ガラス2、6を、2つの窓ガラス2、6間に一定距離、ここでは10.0mmをもって、互いから離して保持することを可能にする。
【0048】
次に図3を参照すると、開口部9は、垂直に方向づけられかつ外側空間の方へ向けられた外側側面91、垂直に方向づけられかつ内側空間の方へ向けられた内側側面92、を有し、これらの2つの側面は、グレージングの水平の端部に沿って水平でかつグレージングの垂直な端部に沿って垂直な横框90によって結ばれている。説明されてはいないものの、この横框はまた、斜めであってもよいしまたは十字形であってもよい。この連結はブラケット空間95を形成し、この中に、グレージングは、位置決めされついでグレージングが閉じるべき開口部におけるその取り付けの際に固定される。
【0049】
開口部9はこのように周縁的であり、グレージング1の全体を取り囲む。
【0050】
開口部9は、差し錠10を有し、該差し錠は内側窓ガラス6の端面60よりも中心から遠ざかって位置し開口部に固定または留められている。この差し錠10は側部翼12を有し、該側部翼は、側部翼12の90°の回転によって引掛キャビティ77の内部にかつ内側窓ガラス6の中側面61の端部に向かい合って広がってグレージングを引き留める。この差し錠、または各差し錠は、グレージングを固定することを可能にすると同時に、グレージングを別のグレージングと取り替えるため交換する必要があるときに、単数または複数の差し錠を開口部に直接または間接に固定した状態に保ちつつ、このグレージングを取り出すことを可能にする。
【0051】
図2でより具体的に見ることができるように、内部構造体7は、グレージングキャビティ8の存在を作り出しかつ保持しそしてグレージングを開口部に保持するための手段を有し、内部構造体7は以下を含む。
-内側ガラスシート5と内側窓ガラス6との間に位置する、内部のスペーサー71、
-内側ガラスシート5と内側窓ガラス6との間に位置しスペーサー71よりも周縁に(より遠心に)ある、内部のパテビード76、
-中側面22の端部と中側面61の端部との間に広がる、U字型の、細長い、内部のレール75であって、引掛キャビティ77を形成するために、グレージングキャビティ8の方へ方向づけられる奥部および反対方向に方向づけられる入り口をこのように有するレール、および
-場合によっては、一方では外側窓ガラス2の中側面22にまた他方では内側窓ガラス6の中側面61にレール75を接着するための、内部の接着剤ビード。
【0052】
好ましくは、レール75またしたがって引掛キャビティ77は、中側面22の端部および面61の端部と直接接触していない。レール75は好ましくは、接着剤ビードの中に埋め込まれている。レール75は、金属製または金属合金製であり得る。
【0053】
説明されてはいないものの、グレージングの各端部にずっと沿って存在する細長いレールの代わりに、前記引掛キャビティが、各差し錠に対して位置を確定された溝によって形成されることを想定することが可能である。こうして、位置が確定された2つの溝間で、パテビード76は、一方ではスペーサー71と他方では端面20、60とそれぞれ中側面22、61との間の稜との間の空間の全体を埋める。
【0054】
スペーサー71は、内側ガラスシート5と内側窓ガラス6の端面50、60から、グレージングの中心の方へ、後退して位置しており、その際に、グレージングを横断面で見ると、内側窓ガラス6の端面60の横手方向の継続部分よりも周縁に間隔eをもって離れている。この間隔eは好ましくは、10.0mmと50.0mmとの間、またより好ましくは10.0mmと40.0mmとの間、さらには20.0mmと30.0mmとの間に含まれ、ここでは24.0mmである。このことは、満足のゆくグレージングの明るさを付与する。
【0055】
スペーサー71は例えば、プラスチック材料製かつ/または金属製かつ/または金属合金製であり得る。スペーサーは、2つの窓ガラス2、6を互いから一定の距離に保って、グレージングキャビティ8を保持することを可能にする。
【0056】
スペーサー71は、パテビード76によって、内側窓ガラス6の中側面61に対して、かつ前記内側窓ガラス5の内側面52に対して、所定位置に保持される。
【0057】
グレージング1は、窓ガラス2、6をそれぞれに外側面21のところでかつ内側面62のところで同時に保持するであろう枠、またとりわけ金属製の硬い枠を含まない。
【0058】
内側側面92は好ましくは、内側密閉用継手ビード70の存在により、内側窓ガラス6の内側面62の端部と直接接触していない。内側密閉用継手ビード70は好ましくは、一続きの構造体であり、またさらに好ましくは、内側窓ガラス6の端面60と接触していない。該ビードは好ましくは、予め製造されて、ついで内側面62の端部に接着される。
【0059】
パテビード76は好ましくは、それだけでまたは接着剤ビードとともに、内側窓ガラス6の中側面61と外側窓ガラス2の中側面22との間の横手方向における、引掛キャビティ77によって具現される空間を除いた残りの全ての空間を埋め、また好ましくは一方ではスペーサー71と他方では端面60と中側面61との間の稜との間の高さにおける空間全体を埋める。
【0060】
前記接着剤ビードは、ポリウレタンまたはシリコーンまたはMSポリマー(すなわちシラン変性ポリエーテル)またはポリスルフィドをベースとする接着剤ビードを含んでよく、またはそのような接着剤ビードであってよく、それによって、少なくとも内側窓ガラスとの化学的結合が強力になり、また好ましくはグレージングキャビティの両側の2つの窓ガラスとの化学的結合が強力になる。
【0061】
接着剤ビードは、このような接着剤ビードによってグレージングキャビティの各側面に横方向に接着される金属製の形材を含んでよく、または、このような接着剤ビードに、部分的にもしくは完全に、組み込まれてよい。
【0062】
接着剤ビードは、グレージングキャビティの少なくとも片側に横方向に接着されるケーブル、特にメタルケーブルを含むことができ、このケーブルを引っ張ることによって、窓ガラスの破砕を容易にすることが可能になる。
【0063】
外側側面91は好ましくは、外側ガラスシート3の外側面31の外観の継続部分(すなわちここでは根元)に、すなわち外側窓ガラス2の外側面21でありグレージング1の外側面101でもある面の外観の継続部分に位置する。
【0064】
好ましくは中空の、外側密閉用継手99は、ブラケット空間95の中に、
-一方では外側側面91および横框90の端部と、
-また他方では外側窓ガラス2の端面20(一枚のガラスでできた外側窓ガラスの場合)または他方ではここでは図2で示されているように外側ガラスシート3の端面30との間に、好ましくは接触を伴って、位置し、
-その際に好ましくは、外側窓ガラス2の中側面22の端部(一枚のガラスでできた外側窓ガラスの場合)と接触しているか、またはここでそうであるように、外側ガラスシート3の中間面32の端部と接触している。
【0065】
外側密閉用継手99は好ましくは、5.0mm~30.0mm、好ましくは、8.0mm~20.0mmであって、例えば18.0mmである高さhを有する。
【0066】
前記グレージングキャビティ8が一続きであり、アルゴンで満たされ、かつ一様な厚みを有するとき、適切な断熱が、図1の例に基づいて得られることが検証された。外側面101と内側面102との間の距離はこのように一定であり、またここでは26.76mmである。
【0067】
固定は好ましくは、複数の側部翼12を有し、それらはすべて求心方向に、すなわち、それらの差し錠が閉じているとき水平に広がる側部翼についてグレージングの中心の垂直軸の方へ、またそれらの差し錠が閉じているとき垂直に広がる側部翼についてグレージングの中心の水平軸の方へ広がる。
【0068】
グレージング1が160km/hで走行する列車の中に組み込まれた場合に該グレージングが受けると想定される条件に類似した条件を受けるとき、適切な機械強度が、図1の例に基づいて得られることが検証された。
【0069】
グレージング枠構造体は、外側構造体部分を有しない。グレージング枠構造体は、それぞれ、外側窓ガラス2および内側窓ガラス6の周縁端面20、60よりも中心の方に(より求心に)ありつつ、外側窓ガラス2の内部周縁および内側窓ガラス6の内部周縁に位置する内部構造体7の部分であって、グレージングが窓ガラス2、6間に位置するグレージングキャビティ8とともに外側空間Eと内側空間Iとの間の仕切りを具現するように、これらの2つの窓ガラスをともに保持する内部構造体の部分だけを有する。
【0070】
差し錠10の側部翼12は、差し錠の単純かつ直接の90°の自転によって、引掛キャビティ77の中に入り込む。
【0071】
グレージングが開口部に固定されているとき、内側側面92は、内側窓ガラス6の端面60よりも中心に向かった、求心方向において広がっており、また内側側面は、内側窓ガラス6の端面60よりも中心から遠ざかって位置する固定用孔93を有している。この固定用孔93は、前記内側窓ガラス6の端面60に平行な、すなわち水平の軸A9を有する。
【0072】
差し錠10は、例えば頭部105を有するボルトのような固定手段104によって内側側面92に直接固定されており、また内側側面92の他方ではナット106によって固定されている。ボルトは固定用孔93を通り、そして頭部105はこのようにブラケット空間95の中にある。差し錠10は、固定手段104が自由に中を通る、円筒形で、中空の、水平に方向づけられた胴部11と、側部翼12とを有しており(また好ましくはただ1つだけの側部翼を有しており)、該側部翼は、胴部11から、固定された状態のグレージングの中心に向かって、引掛キャビティ77の内部に、また内側窓ガラス6の中側面61の端部に向かい合って広がっている。
【0073】
外側密閉用継手99は好ましくは、差し錠10のボルト頭部105に接近するために容易に取り出されるように、外側側面91と外側窓ガラス2の端面20との間の全空間を埋めるものではない。
【0074】
図3で、本発明の好ましい実施形態が示されている。差し錠10は、閉位置で示されており、側部翼12はしたがって、引掛キャビティ77の中に配置されている。外側密閉用継手99は、外側空間Eの方へ向けられた外側面99a、内側空間Iの方へ向けられた内側面99dおよび厚みe99を有する。閉位置で、外側密閉用継手99の外側面99aは、外側ガラスシート3の外側面31と同一平面上にあり、この外側面31よりも外側には広がっていない。外側密閉用継手99の外側面99aと外側ガラスシート3の外側面31とが同一平面上にあることが望まれているとはいえ、しかしながらこれらの2つの面の間に0.5mm~1mmの間隔が存在することがある。外側密閉用継手99は好ましくは、一続きの構造体でありながらグレージングの全体を取り囲む。差し錠10は、第一の張出部10aおよび第二の張出部10bを含み、これらは図5図7でも見ることができ、好ましくは、差し錠10の周縁10c上に配置される。外側密閉用継手99は、好ましくはその全周囲にわたって存在する溝99cを有する。あるいは、溝99cは、外側密閉用継手99の周囲にわたって、各差し錠10に向かい合って非連続的に存在する。溝99cは、グレージングの水平の端部に沿って水平にかつグレージングの垂直な端部に沿って垂直に広がる。
【0075】
溝99cは、前記内側面99dの横断面図において、外側空間Eの方へ広がっており、奥行きp99および幅l99を有している。溝99cの奥行きp99は、外側密閉用継手99の厚みe99の50%~90%である。第一および第二の張出部10a、10bは、外側密閉用継手99の厚みe99未満の長さL(図5で見える)を有している。好ましくは、長さLは、厚みe99の少なくとも25%に等しく、さらには厚みe99の少なくとも50%に等しい。第一および第二の張出部10a、10bはさらに、幅l99の0.8倍~1.1倍の厚みe10を有する。
【0076】
「閉じられた差し錠」位置において、第一および第二の張出部10a、10bは、溝99cの中に位置が確定される。実際に、差し錠10が90°自転するとき、第一および第二の張出部10a、10bは溝99cの中に入り込む。このように、差し錠10が閉位置にあるとき、外側密閉用継手99は外側窓ガラス2の外側面21(外側ガラスシート3の外側面31)と、先に言及した間隔を伴って、同一平面上にある。本発明はしたがって、差し錠10の位置を、外部から、目視点検することを可能にする。
【0077】
図3で見ることのできる閉位置における構成と違って、開位置におけるグレージング1の固定システムの構成を、図4で見ることができる。差し錠10が開位置にあるとき、側部翼12はしたがって、差し錠10が閉位置にあるときのその位置との関係において90°のところに位置決めされている。第一の張出部10aは、その端10a’に接触表面を有し、また第二の張出部10bはどうかというと、やはり、その端10b’に接触表面を有する。好ましくは、端10a’、10b’は、丸みを帯びている。あるいは、端10a’、10b’は、平らな部分を呈している。開位置で、端10a’、10b’は、外側密閉用継手99の内側面99dと接触している。第一および第二の張出部10a、10bは、このように外側密閉用継手99に寄りかかっており、その外側面99aは、外側窓ガラス2の外側面21(外側ガラスシート3の外側面31)との関係において、外側空間Eに向かって、表に出ている。
【0078】
本発明はこのように、外側空間Eから差し錠10の位置を簡単に確認することを可能にすることを利点とする。例えば、車両がすぐ横に位置決めされるプラットホームにいる点検員は、外側密閉用継手99が、外側窓ガラス2の外側面21(外側ガラスシート3の外側面31)との関係においてはみ出ていることを目視で特定することができる。点検員は例えば、この問題を車両のメンテナンス担当チームに知らせて、該チームが介入し差し錠10の位置の確認を行い、また場合によっては必要であれば差し錠を閉位置に動かすことができる。
【0079】
開位置において、外側密閉用継手99の外側面99aと外側窓ガラス3の外側面31との間の間隔は、外側密閉用継手99の厚みの25%~50%である。この間隔は、第一および第二の張出部10a、10bの長さに、だいたい等しい。本発明において、外側密閉用継手99が外側ガラスシート3の外側面31との関係において十分に表に出て、この同一平面上にない状態が十分に目視できること、またこのように差し錠10の位置に関する問題が検出されるようにすることが望まれる。言葉を換えれば、本発明は、誤操作防止装置である。実際に、グレージング1の組立ての際に、単数さらには複数の差し錠10が、不注意から施錠されなかったということが有りうる。本発明によって、この失念に容易く気づくことができる。
【0080】
グレージング枠構造体はさらに、外部構造体7’を有し、該構造体は、窓ガラスの中心を起点として、それぞれ、外側窓ガラス2および/または内側窓ガラス6の周縁端面20、60よりも遠く(より遠心)にありつつ、外側窓ガラス2の外部周縁および/または内側窓ガラス6の外部周縁に広がる。
【0081】
ここで、外部構造体7’は、横断面においてほぼhの形を有し、胴部107と胴部からより遠心に広がる2つの脚部とを有しており、外側の脚部は、内側の脚部よりも短い。
【0082】
外部構造体7’はまた、接着剤テープ97を使った接着によって内側側面92に固定され、場合によっては、外部構造体7’の外側の脚部と外側側面91との間に位置する接着剤テープ108でまたは継手で不足部分を補う。
【0083】
図4および図5で見ることのできる外部構造体7’は、該構造体が好ましくは、窓ガラスの中心を起点として、内側窓ガラスの周縁端面60よりも遠く(より遠心)にありつつ、内側窓ガラス6の外部周縁だけに広がるという意味において、簡単な外部構造体である。該構造体はまた、窓ガラスの中心を起点として、グレージングキャビティ8の外部周縁に、このグレージングキャビティよりも遠く(より遠心)にありつつ、しかし該構造体は、窓ガラスの中心を起点として、外側窓ガラスの周縁端面20よりも遠くにありつつ外側窓ガラス2の外部周縁に広がってはいない。
【0084】
さらに、外部構造体7’は、該構造体が好ましくは、グレージングができる限り明るくなるように、スペーサー71よりも内部窓ガラス6の中心の方へ(より求心に)広がっていないという意味において、簡単な外部構造体である。
【0085】
胴部107は好ましくは、内側密閉用継手ビード70の存在により、内側窓ガラス6の内側面62の端部と直接接触していない。内側密閉用継手ビード70は好ましくは一続きの構造体であり、またさらに好ましくは、内部窓ガラス6の端面60と接触していない。
【0086】
表示されていないが、外側窓ガラス2は、軸Xに沿った長さにおいても軸Yに沿った高さにおいても、内側窓ガラス6と同じくらいの大きさであり得る。
【0087】
表示されていないが、外側窓ガラス2の端面20または内側ガラスシート5の端面50は、横框90に向かってブラケット空間95の中に広がる、プラスチック材料製の遠心の唇状部を有していてもよい。
【0088】
グレージングの固定された状態は、固定用孔93の軸を中心にした、差し錠10の90°の自転によって達成される。
【0089】
グレージングの正確な固定のために、複数の差し錠、またとりわけグレージングの各端部に沿って複数の差し錠を使用するほうがよい。隣接した2つの差し錠間の隔たりは好ましくは、100.0mm~400.0mm、さらに好ましくは200.0mm~300.0mmである。
【0090】
外側窓ガラス2は、外側窓ガラス2の周縁端部の後ろに差し錠10の一部を隠すことを可能にするために、X軸に沿った長さにおいてもY軸に沿った高さにおいても、内側窓ガラス6よりも大きい。より具体的にはここでは、外側ガラスシート3が、X軸に沿った長さにおいてもY軸に沿った高さにおいても、内側窓ガラス6よりも大きい。このことは、この外側ガラスシートの周縁端部の後ろに差し錠10の一部を隠すことを可能にする。
【0091】
このように、前記外側ガラスシート3の端面30は、前記外側ガラスシート3の端面30の長さの少なくとも一部に沿って、また好ましくは外側ガラスシート3の端面30の長さの全体に沿って(すなわち端面30の周縁の全体に沿って)、内側窓ガラス6の端面60から遠心に突出dして位置している。もし外側窓ガラス2が一枚のガラスでできた窓ガラスであったならば(そして積層されていなかったならば)、突出して位置するのは外側窓ガラスの端面20であり得ただろう。
【0092】
したがって、外側窓ガラス2が正面から観察されるとき、突出dは好ましくは、外側窓ガラス2の全周囲にある。つまり、外側ガラスシート3の端面30は、外側窓ガラス2の中心と反対の方向に向かって、内側窓ガラス6の端面60よりも遠くに広がる。この突出dは好ましくは、検討される長手方向端部または側方端部に沿って一定である。この突出は好ましくは、外側窓ガラス2の長手方向端部および側方端部のそれぞれに沿って同一である。
【0093】
突出dは好ましくは、5.0mm~30.0mm、また好ましくは8.0mmと20.0mmであって、ここでは13.0mmである。
【0094】
この突出dは、外側窓ガラスの外側面21の周囲(または外側窓ガラスが積層されている場合、それぞれに外側ガラスシートの外側面31の周囲)に位置するエナメル層によって外側空間Eの視線から隠されることができる。
【0095】
そのうえ、かつ、先の突出dとは別に、内側ガラスシート5は、X軸に沿った長さにおいてもY軸に沿った高さにおいても、内側窓ガラス6より小さい。
【0096】
積層外側窓ガラス2を断面図で検討すると、内側ガラスシート5の端面50は、内側ガラスシート5の端面50の長さの少なくとも一部にわたってまた好ましくは内側ガラスシート5の端面50の長さの全体にわたって、外側ガラスシート3の端面30から求心に後退rして位置している。
【0097】
したがって、外側窓ガラス2が正面から観察されるとき、後退rは好ましくは、外側窓ガラス2の全周囲にある。つまり、内側ガラスシート5の端面50は、内側窓ガラス6の端面60よりも、外側窓ガラス2の中心の方にある。この後退rは好ましくは、検討される長手方向端部または側方端部に沿って一定である。この後退は好ましくは、外側窓ガラス2の長手方向端部および側方端部のそれぞれに沿って同一である。
【0098】
後退rは好ましくは、1.0mm~10.0mm、また好ましくは2.0mm~8.0mmであって、ここでは5.0mmである。
【0099】
この後退rは、外側窓ガラスの外側面21の周囲(または外側窓ガラスが積層されている場合、それぞれに外側ガラスシートの外側面31の周囲)に位置するエナメル層によって外側空間Eの視線から隠されることができる。
【0100】
遠心方向における、レール75の入り口、またしたがって引掛キャビティ77の入り口は、もっぱら内側窓ガラス6の端面60の延長線上にある。
【0101】
図3および図4において、パテビード76は好ましくは、内側窓ガラス6の内側面62と内側ガラスシート5の面52との間の横手方向における全空間を埋め、その際に、この内側ガラスシート5の端面50、プラスチック材料製シート4の端面40および外側ガラスシート3の面32とそのうえ接触して広がっているが、しかし端面30にまでは広がっていない。
【0102】
これらの図3および図4で、パテビード76は好ましくは、一方ではスペーサー71と他方では端面60と面61との間の稜との間の高さにおける全空間を埋めている。
【0103】
図5および図7は、中心の合った回転式の差し錠10を示している。差し錠の胴部11は、中空の円筒であり、円筒形管で穴があいており、該円筒形管は胴部の円筒の軸と同軸であり、固定手段104が通るようになっている。
【0104】
これらの図面は特に、差し錠の側部翼12が、引掛キャビティ77の中を通ることを容易にするために、図7で示されているように、正面図で、例えば90°の角度αを有する、(胴部11の反対側にある)先の尖った端12aを有し、かつ、奥部78に接触またはほぼ接触するようになることができることを示している。
【0105】
側部翼12はさらに、図6で示されているように、平面図で、角度βを、また図7で示されているように、正面図で、角度θを有している面取りした内部面を有している。側部翼12の形状は、引掛キャビティ77の壁に接触することによって、2つの回転方向におけるその回転の阻止を容易にすることを可能にする。
【0106】
側部翼12はここでは、レール75の内部の全高にわたって、すなわちおよそ7mmの高さにわたって、引掛キャビティ77の中に入り込んでいる。
【0107】
各差し錠の側部翼12は、胴部11と一体化されて形成される。
【0108】
本発明は、上記において、例示として記述されている。当業者が、だからといって特許請求の範囲によって定義される通りの特許の範囲から逸脱することなく、本発明の多様な変形例を具現することができると理解されている。
【0109】
特に、内側窓ガラス6それ自体を積層してもよいことが、本発明中に含まれている。
【符号の説明】
【0110】
1 側面グレージング
2 外側窓ガラス
3 外側ガラスシート
4 プラスチック材料製シート
5 内側ガラスシート
6 内側窓ガラス
7 内部構造体
8 グレージングキャビティ
9 周縁開口部
10 差し錠
12 側部翼
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【国際調査報告】