(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電極アセンブリ及びそれを含む二次電池、電池モジュール、電池パック、並びに電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20240905BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240905BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20240905BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240905BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/052
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M4/62 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516758
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2022085463
(87)【国際公開番号】W WO2023193166
(87)【国際公開日】2023-10-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 均▲グアン▼
(72)【発明者】
【氏名】程 ▲叢▼
(72)【発明者】
【氏名】裴 ▲海▼▲楽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 盛武
(72)【発明者】
【氏名】王 星会
(72)【発明者】
【氏名】李 世松
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029CJ25
5H029HJ03
5H029HJ04
5H029HJ06
5H029HJ07
5H029HJ12
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA10
5H050DA11
5H050FA15
5H050HA03
5H050HA04
5H050HA06
5H050HA07
5H050HA12
(57)【要約】
電極アセンブリ及びそれを含む二次電池、電池モジュール、電池パック並びに電力消費装置を提供する。当該電極アセンブリは、水系正極シートと負極シートとを備え、前記水系正極シートは、正極集電体と、正極活性材料を含み、前記正極集電体の少なくとも一方の表面にある正極膜層とを備え、前記負極シートは、負極集電体と、負極活性材料を含み、前記負極集電体の少なくとも一方の表面にある負極膜層とを備え、前記水系正極シートの少なくとも一部の表面に複数の第1の細孔が設けられ、且つ、0.001%≦(S
12×H
12×D
1)/(S
11×C
1×H
11)≦1%を満たし、前記負極シートの少なくとも一部の表面に複数の第2の細孔が設けられ、且つ、0<(S
22×H
22×D
2)/(S
21×C
2×H
21)≦2.5%を満たす。
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系正極シートと、負極シートとを備える電極アセンブリであって、
前記水系正極シートは、正極集電体と、正極活性材料を含み、前記正極集電体の少なくとも一方の表面にある正極膜層とを備え、
前記負極シートは、負極集電体と、負極活性材料を含み、前記負極集電体の少なくとも一方の表面にある負極膜層とを備え、
前記水系正極シートの少なくとも一部の表面に複数の第1の細孔が設けられており、且つ0.001%≦(S
12×H
12×D
1)/(S
11×C
1×H
11)≦1%を満たし、
H
11μmは、前記水系正極シートの厚さを示し、H
12μmは前記第1の細孔の深さを示し、S
11m
2は前記水系正極シートの面積を示し、S
12m
2は前記複数の第1の細孔の合計面積を示し、C
1g/ccは前記水系正極シートの圧密度を示し、D
1μmは前記正極活性材料の体積平均粒径Dv50を示し、
前記負極シートの少なくとも一部の表面に複数の第2の細孔が設けられており、且つ0<(S
22×H
22×D
2)/(S
21×C
2×H
21)≦2.5%を満たし、
H
21μmは、前記負極シートの厚さを示し、H
22μmは前記第2の細孔の深さを示し、S
21m
2は前記負極シートの面積を示し、S
22m
2は前記複数の第2の細孔の合計面積を示し、C
2g/ccは前記負極シートの圧密度を示し、D
2μmは、前記負極活性材料の体積平均粒径Dv50を示す電極アセンブリ。
【請求項2】
0.05%≦(S
12×H
12×D
1)/(S
11×C
1×H
11)≦0.5%であり、
選択可能に、0.15%≦(S
12×H
12×D
1)/(S
11×C
1×H
11)≦0.25%である請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項3】
0.2%≦(S
22×H
22×D
2)/(S
21×C
2×H
21)≦2.0%であり、
選択可能に、0.4%≦(S
22×H
22×D
2)/(S
21×C
2×H
21)≦1.0%である請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項4】
0<S
12/S
11≦2%であり、選択可能に、0.4%≦S
12/S
11≦0.6%であり、及び/又は、
30%≦H
12/H
11≦100%であり、選択可能に、60%≦H
12/H
11≦100%であり、及び/又は、
C
1が2.0~3.0であり、選択可能に、2.3~2.7であり、及び/又は、
D
1が0.5~1.5であり、選択可能に、0.8~1.3である請求項1又は2に記載の電極アセンブリ。
【請求項5】
0<S
22/S
21≦0.2%であり、選択可能に、0.04%≦S
22/S
21≦0.06%であり、及び/又は、
30%≦H
22/H
21≦100%であり、選択可能に、60%≦H
22/H
21≦100%であり、及び/又は、
C
2が1.2~2.0であり、選択可能に、1.4~1.8であり、及び/又は、
D
2が12~20であり、選択可能に、15~19である請求項1又は3に記載の電極アセンブリ。
【請求項6】
前記電極アセンブリは、0.1≦A/B≦1.0、選択可能に、0.25≦A/B≦0.50を満たし、Aは(S
12×H
12×D
1)/(S
11×C
1×H
11)を示し、Bは(S
22×H
22×D
2)/(S
21×C
2×H
21)を示す請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電極アセンブリ。
【請求項7】
前記電極アセンブリは、S
3/S
22≧5%、選択可能に、8%≦S
3/S
22≦70%を満たし、S
3m
2は、前記複数の第1の細孔と前記複数の第2の細孔との重なり面積を示す請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の細孔は、以下の条件(1)~(4)のうちの少なくとも一つを満たす請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電極アセンブリ。
(1)各第1の細孔の形態は、規則的な形状又は不規則な形状であり、選択可能に、各第1の細孔の形態は、円形、矩形又は正方形を含む。
(2)各第1の細孔の等価直径は、1μm~200μmであり、選択可能に、50μm~180μmである。
(3)隣接する前記第1の細孔の中心間距離は、1mm~10mmである。
(4)前記複数の第1の細孔は、アレイ状に分布する。
【請求項9】
前記第2の細孔は、以下の条件(1)~(4)のうちの少なくとも一つを満たす請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電極アセンブリ。
(1)各第2の細孔の形態は、規則的な形状又は不規則な形状であり、選択可能に、各第2の細孔の形態は、円形、矩形又は正方形を含む。
(2)各第2の細孔の等価直径は、1μm~200μmであり、選択可能に、50μm~150μmである。
(3)隣接する前記第2の細孔の中心間距離は、1mm~10mmである。
(4)前記複数の第2の細孔は、アレイ状に分布する。
【請求項10】
前記正極膜層は、水性接着剤、導電剤のうちの1種類又は複数種類をさらに含み、
選択可能に、前記水性接着剤は、メチルセルロース及びその塩、キサンタンガム及びその塩、キトサン及びその塩、アルギン酸及びその塩、ポリエチレンイミン及びその塩、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル-アクリル酸コポリマー及びその誘導体又はその混合物を含み、
選択可能に、前記導電剤は、導電性カーボンブラック、超伝導カーボンブラック、導電性グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブのうちの1種類又は複数種類を含む請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項11】
前記水性接着剤は、キサンタンガムとポリエチレンイミンとの複合混合物を含み、
選択可能に、前記キサンタンガムと前記ポリエチレンイミンとの質量比は、2:1~0.2:2.8であり、
選択可能に、前記キサンタンガムの数平均分子量は、300000~2000000であり、
選択可能に、前記ポリエチレンイミンの数平均分子量は、2000~50000である請求項10に記載の電極アセンブリ。
【請求項12】
前記水性接着剤は、アクリロニトリル-アクリル酸コポリマーとポリエチレンイミンとの複合混合物を含み、
選択可能に、前記アクリロニトリル-アクリル酸コポリマーと前記ポリエチレンイミンとの質量比は2:1~0.2:2.8であり、
選択可能に、前記アクリロニトリル-アクリル酸コポリマーの数平均分子量は300000~2000000であり、
選択可能に、前記ポリエチレンイミンの数平均分子量は2000~70000である請求項10に記載の電極アセンブリ。
【請求項13】
電解質と、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電極アセンブリとを含む二次電池。
【請求項14】
請求項13に記載の二次電池を含む電池モジュール。
【請求項15】
請求項13に記載の二次電池、請求項14に記載の電池モジュールのうちの一つを含む電池パック。
【請求項16】
請求項13に記載の二次電池、請求項14に記載の電池モジュール、請求項15に記載の電池パックのうちの少なくとも一つを含む電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に属し、具体的には、電極アセンブリ及びそれを含む二次電池、電池モジュール、電池パック、並びに電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池は、水力、火力、風力及び太陽光発電所などのエネルギー貯蔵電源システム、及び電動工具、電動自転車、電動オートバイ、電気自動車、軍事装置、航空宇宙等の複数の分野に広く応用されている。二次電池の応用及び普及に伴い、そのコスト問題及び環境汚染問題はますます注目されている。正極シートは、二次電池の性能を決定する重要な要素の一つである。従来の正極スラリーに用いられる溶媒は、通常、油系溶媒、例えば、N-メチルピロリドン(NMP)である。しかし、NMPは、使用量が高く、揮発しやすく、回収しにくく、毒性が高く、コストが高いという欠陥が存在し、環境に深刻な汚染を引き起こすだけでなく、人の健康にも危害を及ぼす。水を溶媒とする水系正極スラリーは、コストが低く、環境に優しいという特徴を有するため、研究者によりますます注目されている。しかし、水系正極シートは、水分含有量が高く、容量の発揮に劣るという欠点があるため、その実用化が制限されている。
【発明の概要】
【0003】
本願は、電極アセンブリ及びそれを含む二次電池、電池モジュール、電池パック、並びに電力消費装置を提供することを目的としている。それにより、水系正極シートを用いた電極アセンブリ及びそれを含む二次電池、電池モジュール、電池パック、並びに電力消費装置は、高いエネルギー密度、良好なサイクル性能、低い内部抵抗、低コスト、並びに環境に優しいという特徴を兼ね備える。
【0004】
本願の第1の態様は、
水系正極シートと、負極シートとを備える電極アセンブリであって、
前記水系正極シートは、正極集電体と、正極活性材料を含み、前記正極集電体の少なくとも一方の表面にある正極膜層とを備え、
前記負極シートは、負極集電体と、負極活性材料を含み、前記負極集電体の少なくとも一方の表面にある負極膜層とを備え、
前記水系正極シートの少なくとも一部の表面に複数の第1の細孔が設けられており、且つ0.001%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦1%を満たし、H11μmは前記水系正極シートの厚さを示し、H12μmは前記第1の細孔の深さを示し、S11m2は前記水系正極シートの面積を示し、S12m2は前記複数の第1の細孔の合計面積を示し、C1g/ccは前記水系正極シートの圧密度を示し、D1μmは前記正極活性材料の体積平均粒径Dv50を示し、
前記負極シートの少なくとも一部の表面に複数の第2の細孔が設けられており、且つ0<(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦2.5%を満たし、
H21μmは、前記負極シートの厚さを示し、H22μmは前記第2の細孔の深さを示し、S21m2は前記負極シートの面積を示し、S22m2は前記複数の第2の細孔の合計面積を示し、C2g/ccは前記負極シートの圧密度を示し、D2μmは前記負極活性材料の体積平均粒径Dv50を示す電極アセンブリを提供する。
【0005】
本願の電極アセンブリにおいて、水系正極シートが0.001%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦1%を満たし、負極シートが0<(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦2.5%を満たすことにより、電極アセンブリは低い水分含有量、高い電解液の含浸速度及び高い乾燥速度を有することができる。二次電池に適用されると、二次電池は高いエネルギー密度、良好なサイクル性能、低い内部抵抗、低コスト及び環境に優しい特徴を兼ね備えることができる。
【0006】
本願の任意の実施形態において、0.05%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.5%であり、選択可能に、0.15%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.25%である。
【0007】
(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)が上記範囲内にあると、電極アセンブリは、低い表面インピーダンスと良好な界面性能を有することができ、それにより、当該電極アセンブリを適用した二次電池は、良好な電気化学性能、例えば高いサイクル安定性、高い容量発揮、低い内部抵抗を備えることができる。また、(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)が上記範囲内にあると、水系正極シートは良好な機械的性能を維持することもできる。
【0008】
本願の任意の実施形態において、0.2%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦2.0%であり、選択可能に、0.4%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.0%である。
【0009】
(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)が上記範囲内にあると、負極シートは、高い電解液の含浸速度を有しながら、低い表面インピーダンスと良好な界面性能を有することができる。それにより、本願の電極アセンブリを適用した二次電池は、高いサイクル安定性、高い容量発揮及び低い内部抵抗を有することができる。また、(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)が上記範囲内にあると、負極シートは良好な機械的性能を維持することができる。
【0010】
本願の任意の実施形態において、0<S12/S11≦2%であり、選択可能に、0.4%≦S12/S11≦0.6%である。
【0011】
複数の第1の細孔の合計面積と水系正極シートの面積との比が上記範囲内にあると、水系正極シートは良好な機械的性能、及び適切な孔隙率を有することができるため、水分の排出及び電解液の含浸に有利である。また、水系正極シートは、適切な電子の導通通路及び活性イオンの輸送通路を有することもできる。
【0012】
本願の任意の実施形態において、30%≦H12/H11≦100%であり、選択可能に、60%≦H12/H11≦100%である。
【0013】
第1の細孔の深さと水系正極シートの厚さとの比が上記範囲内にあると、水系正極シートは、高い乾燥速度及び高い電解液の含浸速度を有するだけでなく、良好な機械的性能も有することを保証できる。
【0014】
本願の任意の実施形態において、C1は2.0~3.0であり、選択可能に、2.3~2.7である。
【0015】
水系正極シートの圧密度を適切な範囲に制御すると、正極膜層中の正極活性材料粒子を密着させ、単位体積当たりの正極活性材料の含有量を向上することができる。それにより、二次電池のエネルギー密度を向上することができる。
【0016】
本願の任意の実施形態において、D1は0.5~1.5であり、選択可能に、0.8~1.3である。
【0017】
正極活性材料の体積平均粒径Dv50が上記範囲内にあると、活性イオンの拡散経路を短くすることができ、それにより、二次電池のエネルギー密度、サイクル性能及び倍率性能をより向上することができる。
【0018】
本願の任意の実施形態において、0<S22/S21≦0.2%であり、選択可能に、0.04%≦S22/S21≦0.06%である。
【0019】
複数の第2の細孔の合計面積と負極シートの面積との比が上記範囲内にあると、負極シートは、良好な機械的性能、及び適切な孔隙率及び高容量を有することができるため、電極アセンブリの電解液の含浸速度及び容量発揮に有利である。また、負極シートは適切な電子の導通通路及び活性イオンの輸送通路を有することもできる。
【0020】
本願の任意の実施形態において、30%≦H22/H21≦100%であり、選択可能に、60%≦H22/H21≦100%である。
【0021】
第2の細孔の深さと負極シートの厚さとの比が上記範囲内にあると、負極シートは、高い電解液の含浸速度を有するだけでなく、良好な機械的性能を有することを保証できる。
【0022】
本願の任意の実施形態において、C2は、1.2~2.0であり、選択可能に、1.4~1.8である。
【0023】
負極シートの圧密度を適切な範囲内に制御すると、負極膜層における負極活性材料の粒子を密着させ、単位体積当たりの負極活性材料の含有量を向上することができ、それにより、二次電池のエネルギー密度を向上することができる。
【0024】
本願の任意の実施形態において、D2は12~20であり、選択可能に15~19である。
【0025】
負極活性材料の体積平均粒径Dv50が上記範囲内にあると、活性イオンの拡散経路を短くすることができ、それにより、二次電池のエネルギー密度、サイクル性能及び倍率性能をより向上することができる。
【0026】
本願の任意の実施形態において、電極アセンブリは、0.1≦A/B≦1.0、選択可能に、0.25≦A/B≦0.50を満たし、Aは(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)を示し、Bは(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)を示す。
【0027】
A/Bの値が上記範囲内にあると、電極アセンブリの電解液の含浸速度をさらに向上することができ、電極アセンブリの乾燥過程において残留した水分を迅速に排出することにも有利である。それにより、二次電池は、低いインピーダンス、高いエネルギー密度及び高いサイクル容量維持率を有することができる。
【0028】
本願の任意の実施形態において、電極アセンブリは、S3/S22≧5%、選択可能に、8%≦S3/S22≦70%を満たし、S3m2は、前記複数の第1の細孔と前記複数の第2の細孔との重なり面積を示す。
【0029】
水系正極シートの表面の第1の細孔と負極シートの表面の第2の細孔との重なり面積が上記範囲内にあると、第1の細孔、第2の細孔及びセパレータにおける細孔が通路を形成することに有利である。それにより、電極アセンブリに残留した水分の迅速な排出に有利であり、電極アセンブリの電解液の含浸速度を向上することができる。従って、本願の電極アセンブリを二次電池に適用すると、二次電池は、低いインピーダンス、高いエネルギー密度及び高いサイクル容量維持率を有することができる。
【0030】
本願の任意の実施形態において、各第1の細孔の形態は、規則的な形状又は不規則な形状であり、選択可能に、各第1の細孔の形態は、円形、矩形又は正方形を含む。
【0031】
本願の任意の実施形態において、各第1の細孔の等価直径は1μm~200μmであり、選択可能に、50μm~180μmである。
【0032】
第1の細孔の等価直径が上記範囲内にあると、水系正極シートが低い水分含有量、高い電解液の含浸速度及び高い乾燥速度を有することを保証する前提で、水系正極シートは、良好な機械的性能を有することができる。例えば、水系正極シートは、高い強度及び良好な柔靱性を有することができる。従って、電極アセンブリは、高い電解液の含浸速度及び良好な加工性能を有することができ、それにより、当該電極アセンブリを適用した二次電池は、良好な電気化学性能及び高い収率を有することができる。
【0033】
本願の任意の実施形態において、隣接する前記第1の細孔の中心間距離は1mm~10mmである。
【0034】
隣接する第1の細孔の中心間距離が上記範囲内にあると、第1の細孔は水系正極シートの表面に適切に分布することができる。それにより、第1の細孔の分布が密集しすぎることを回避するため、水系正極シートは良好な機械的性能を維持することができる。
【0035】
本願の任意の実施形態において、前記複数の第1の細孔は、アレイ状に分布する。
【0036】
本願の任意の実施形態において、各第2の細孔の形態は、規則的な形状又は不規則な形状であり、選択可能に、各第2の細孔の形態は、円形、矩形又は正方形を含む。
【0037】
本願の任意の実施形態において、各第2の細孔の等価直径は1μm~200μmであり、選択可能に、50μm~150μmである。
【0038】
第2の細孔の等価直径が上記範囲内にあると、負極シートが高い電解液の含浸速度を有することを保証する前提で、負極シートは良好な機械的性能を有することができる。例えば、負極シートは、高い強度と良好な柔靱性を有することができる。従って、電極アセンブリは、高い電解液の含浸速度及び良好な加工性能を有することができ、それにより、当該電極アセンブリを適用した二次電池は、良好な電気化学性能及び高い収率を有することができる。
【0039】
本願の任意の実施形態において、隣接する前記第2の細孔の中心間距離は1mm~10mmである。
【0040】
隣接する第2の細孔の中心間距離が上記範囲内にあると、第2の細孔は負極シートの表面に適切に分布することができる。それにより、第2の細孔の分布が密集しすぎることを回避するため、負極シートは良好な機械的性能を維持することができる。
【0041】
本願の任意の実施形態において、前記複数の第2の細孔は、アレイ状に分布する。
【0042】
本願の任意の実施形態において、前記正極膜層は、水性接着剤、導電剤のうちの1種類又は複数種類をさらに含む。
【0043】
本願の任意の実施形態において、前記水性接着剤は、メチルセルロース及びその塩、キサンタンガム及びその塩、キトサン及びその塩、アルギン酸及びその塩、ポリエチレンイミン及びその塩、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル-アクリル酸コポリマー及びその誘導体又はその混合物を含む。
【0044】
本願の任意の実施形態において、前記水性接着剤は、キサンタンガムとポリエチレンイミンの複合混合物を含む。選択可能に、前記キサンタンガムと前記ポリエチレンイミンとの質量比は、2:1~0.2:2.8である。選択可能に、前記キサンタンガムの数平均分子量は300000~2000000である。選択可能に、前記ポリエチレンイミンの数平均分子量は2000~50000である。
【0045】
本願の任意の実施形態において、前記水性接着剤は、アクリロニトリル-アクリル酸コポリマーとポリエチレンイミンとの複合混合物を含む。選択可能に、前記アクリロニトリル-アクリル酸コポリマーと前記ポリエチレンイミンとの質量比は、2:1~0.2:2.8である。選択可能に、前記アクリロニトリル-アクリル酸コポリマーの数平均分子量は300000~2000000である。選択可能に、前記ポリエチレンイミンの数平均分子量は2000~70000である。
【0046】
本願の任意の実施形態において、前記導電剤は、導電性カーボンブラック、超伝導カーボンブラック、導電性グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブのうちの1種類又は複数種類を含む。
【0047】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様の電極アセンブリを含む二次電池を提供する。
【0048】
本願の第3の態様は、本願の第2の態様の二次電池を含む電池モジュールを提供する。
【0049】
本願の第4の態様は、本願の第2の態様の二次電池、第3の態様の電池モジュールのうちの一つを含む電池パックを提供する。
【0050】
本願の第5の態様は、本願の第2の態様の二次電池、第3の態様の電池モジュール、第4の態様の電池パックのうちの少なくとも一つを含む電力消費装置を提供する。
【0051】
本願の二次電池は、低い水分含有量、高い電解液の含浸速度及び高い乾燥速度を有する。本願の二次電池は、高いエネルギー密度、良好なサイクル性能、低い内部抵抗、低コスト及び環境に優しいという特徴をさらに兼ね備える。本願の電池モジュール、電池パック及び電力消費装置は、本願に係る二次電池を含むため、少なくとも前記二次電池と同じ利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下は本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、以下に説明された図面は本願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、更に図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0053】
【
図1】本願の水系正極シートの一実施形態の断面模式図である。
【0054】
【
図2】本願の水系正極シートの他の実施形態の断面模式図である。
【0055】
【
図3】本願の二次電池の一実施形態の模式図である。
【0056】
【0057】
【
図5】本願の電池モジュールの一実施形態の模式図である。
【0058】
【
図6】本願の電池パックの一実施形態の模式図である。
【0059】
【
図7】
図6に示す電池パックの実施形態の分解模式図である。
【0060】
【
図8】本願の二次電池を電源として含む電力消費装置の一実施形態の模式図である。
【0061】
図面において、必ずしも実際の縮尺通りに描かれていない。ここで、符号の説明は以下のとおりである。101正極集電体、102正極膜層、1電池パック、2上筐体、3下筐体、4電池モジュール、5二次電池、51ケース、52電極アセンブリ、53カバープレート。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、図面を適切に参照しながら本願の電極アセンブリ及びそれを含む二次電池、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。ただし、不必要な詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細な説明、実際の同じ構造の重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを回避し、当業者の理解を容易にするためのものである。また、図面及び以下の説明は、当業者が本願を十分に理解するために提供されたものであり、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0063】
本願に開示された「範囲」は、下限及び上限の形式で限定され、所定の範囲は一つの下限及び一つの上限を選択することにより限定され、選択された下限及び上限は、特に範囲の境界を限定する。このような方式で限定する範囲は、端点を含み又は端点を含まず、かつ任意に組み合わせることができ、即ち任意の下限は任意の上限と組み合わせて一つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータに対し60~120及び80~110の範囲を列挙すれば、60~110及び80~120の範囲も予想されると理解される。また、最小範囲値1及び2、及び最大範囲値3、4及び5を列挙すると、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4及び2~5という範囲は全て予想される。本願において、他の説明がない限り、数値範囲「a~b」は、a~bの間の任意の実数組合せの縮約表現を示し、ここでa及びbは、いずれも実数である。例えば、数値範囲「0~5」は本明細書において全て「0~5」の間の全ての実数を示し、「0~5」はこれらの数値の組み合わせの縮約表現である。また、あるパラメータが≧2の整数であると表現する場合、該パラメータが例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12等の整数であることが開示されていることに相当する。
【0064】
特に説明しない場合、本願の全ての実施形態及び選択可能な実施形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成可能であり、かつこのような技術案は本願の開示内容に含まれると見なされるべきである。
【0065】
特に説明しない場合、本願の全ての技術的特徴及び選択可能な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成可能であり、かつこのような技術案は本願の開示内容に含まれると見なされるべきである。
【0066】
特に説明しない場合、本願の全てのステップを順に行うことができ、ランダムに行うこともでき、好ましくは順に行う。例えば、前記方法がステップ(a)及び(b)を含むとは、前記方法が順に行うステップ(a)及び(b)を含むことができ、順に行うステップ(b)及び(a)を含むこともできることを示す。例えば、前記方法が更にステップ(c)を含むことができるとは、ステップ(c)が任意の順序で前記方法に加えることができることを示す。例えば、前記方法はステップ(a)、(b)及び(c)を含むことができ、ステップ(a)、(c)及び(b)を含むこともでき、更にステップ(c)、(a)及び(b)などを含むことができる。
【0067】
特に説明しない場合、本願に言及された「有する」、「備える」及び「含む」は開放式であり、閉鎖式であってもよい。例えば、前記「有する」、「備える」及び「含む」は、列挙されない他の成分を更に有する、備えるか又は含むことができ、列挙された成分のみを有する、備えるか又は含むことができることを示す。
【0068】
特に説明しない場合、本願において、「又は」との用語は包括的である。例えば、「A又はB」とのフレーズは「A、B、又はA及びBの両方」を示す。より具体的には、以下のいずれかの条件はいずれも「A又はB」との条件を満たす。Aは真(又は存在)でありかつBは偽(又は存在しない)である条件、Aは偽(又は存在しない)でありかつBは真(又は存在)である条件、或いはAとBはいずれも真(又は存在)である条件である。
【0069】
特に説明しない限り、本願において、「第1」、「第2」などの用語は、異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序又は主従関係を説明するためのものではない。
【0070】
本願において、「約」という用語は、小さな変化を説明又は解釈するために使用されるものである。数値と組み合わせて使用した場合、用語は、前記数値の±10%以下の変化範囲を指すことができる。
【0071】
本明細書の説明において、特に断らない限り、「以上」、「以下」はその数を含む。
【0072】
本明細書の説明において、「複数種類」、「複数」は、特に断らない限り、2種類又は2つ以上を意味する。
【0073】
二次電池の応用及び普及に伴い、そのコスト問題及び環境汚染問題はますます注目されている。水を溶媒とする水系正極スラリーは、コストが低く、環境に優しいという特徴を有するため、研究者によりますます注目されている。しかし、発明者らが研究により発見した結果、水系正極スラリーは、親水基を有する接着剤を採用することが多い。これらの親水基及び溶媒水は、二次電池の性能に大きな影響を与える。水系正極スラリーを用いて製造された水系正極シートは、一部の水分が残留し、乾燥過程において除去されにくい。それにより、現在の水系正極シートが二次電池に適用される場合、残留した水分は、正極シートの含浸性に影響を及ぼすだけでなく、電池内部の電解質、電極活性材料などと副反応を起こして、活性イオンの不可逆的な損失の増加、電池のエネルギー密度の低減、容量の速すぎる減衰を引き起こすほか、電池のガス膨張、自己放電の上昇などを引き起こす。
【0074】
現在、関連技術において、正極スラリーの配合又は正極シートの製造プロセスを調整することにより、水系正極シートの水分含有量を低減することが多い。ここで、正極スラリーの配合を調整することで、例えば、水系正極スラリーに無水エタノールを加えることで、水系正極シートに残留した水分含有量をある程度低減することができる。しかし、水系正極スラリーにエタノールを加えると、導入された活性基の水酸基が二次電池の界面性能に影響を与え、例えばリチウム析出、界面のダークスポットなどの現象の発生を引き起こす。それにより、二次電池のサイクル性能が低減するだけでなく、安全上の潜在的な危険ももたらす。正極シートの製造プロセスを調整し、例えば、水系正極スラリーの固形分含有量を制御し、熱塗布、冷間圧延及び真空ベーキングを組み合わせたプロセスを採用して正極シートを製造すると、水分の揮発を効果的に加速し、水系正極シートに残留した水分を減少させることができるが、それに応じて水系正極シートの製造コストを増加させ、二次電池の収率を低下させる。
【0075】
発明者らは、鋭意検討した結果、電極アセンブリの構造から、低い水分含有量、高い電解液の含浸速度及び高い乾燥速度を有することができる電極アセンブリを設計した。電極アセンブリは、高いエネルギー密度、良好なサイクル性能、低い内部抵抗、低コスト及び環境に優しいという特徴をさらに兼ね備えることができる。
電極アセンブリ
【0076】
本願の第1の態様は、水系正極シートと負極シートとを備える電極アセンブリを提供する。
【0077】
前記水系正極シートは、正極集電体と、正極活性材料を含み、前記正極集電体の少なくとも一つの表面にある正極膜層とを備える。前記水系正極シートの少なくとも一部の表面に複数の第1の細孔が設けられており、且つ0.001%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦1%を満たし、H11μmは前記水系正極シートの厚さを示し、H12μmは前記第1の細孔の深さを示し、S11m2は前記水系正極シートの面積を示し、S12m2は前記複数の第1の細孔の合計面積を示し、C1g/ccは前記水系正極シートの圧密度を示し、D1μmは、前記正極活性材料の体積平均粒径Dv50を示す。
【0078】
前記負極シートは、負極集電体と、負極活性材料を含み、前記負極集電体の少なくとも一つの表面にある負極膜層とを備える。前記負極シートの少なくとも一部の表面に複数の第2の細孔が設けられており、且つ0<(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦2.5%を満たし、H21μmは前記負極シートの厚さを示し、H22μmは前記第2の細孔の深さを示し、S21m2は前記負極シートの面積を示し、S22m2は前記複数の第2の細孔の合計面積を示し、C2g/ccは前記負極シートの圧密度を示し、D2μmは、前記負極活性材料の体積平均粒径Dv50を示す。
【0079】
いかなる理論や解釈に限定されることを意図するものではないが、発明者らは、意外にも、水系正極シートの少なくとも一部の表面に複数の第1の細孔を設けるとともに、水系正極シートにおける(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)の値を上記範囲内とすることにより、水系正極シートに残留した水分を除去しやすくし、それにより、電極アセンブリの界面性能を改善し、電極アセンブリのガス膨張、自己放電及び腐食のリスクを低減することができる。また、水系正極シートの表面に上記第1の細孔が設けられると、正極シートの孔隙率を大きくし、電解液の含浸速度を増大するのに有利である一方、リチウムイオンの拡散距離を大幅に短縮することができ、それにより、リチウムイオンの伝達抵抗を効果的に低減し、電池の内部抵抗を低減することができる。従って、本願の電極アセンブリが二次電池に適用されると、二次電池のガス膨張、自己放電及び腐食のリスクを低減するだけでなく、二次電池のエネルギー密度、サイクル性能及び倍率性能を向上することができることを見出した。
【0080】
また、いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、本願の電極アセンブリにおいて、負極シートの少なくとも一部の表面に複数の第2の細孔を設けると共に、負極シートにおける(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)の値を上記範囲内にすることで、負極シートのリチウムイオンの輸送能力をさらに向上し、電解液の含浸速度を増大するだけでなく、正極活性材料の容量発揮にも有利である。それにより、本願の電極アセンブリを適用した二次電池は、良好な電気化学性能と高いエネルギー密度を有することができる。
【0081】
発明者らは、研究により、(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)が0.001%未満である場合、前記水系正極シートは、前記複数の第1の細孔の合計面積と水系正極シートの面積との比S12/S11が小さく、第1の細孔の深さと水系正極シートの厚さとの比H12/H11が小さく、正極活性材料の体積平均粒径D1が小さく、水系正極シートの圧密度C1が大きいという状況の少なくとも一つがある。それにより、正極活性材料粒子間の間隔が小さく、接触が緊密であるため、活性イオンの輸送通路が少なく、二次電池の内部抵抗が高く、電解液の含浸性能が悪く、電池容量の発揮に不利である。また、水系正極シートの水分の排出通路が少なく、水分が乾燥過程において迅速に排出されにくいため、水分の残留量が高く、二次電池のガス膨張、自己放電及び腐食のリスクが高いことを見出した。
【0082】
発明者らは、研究により、(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)が1%よりも大きい場合、前記水系正極シートは、前記複数の第1の細孔の合計面積と水系正極シートの面積との比S12/S11が大きく、第1の細孔の深さと水系正極シートの厚さとの比H12/H11が大きく、正極活性材料の体積平均粒径D1が大きく、水系正極シートの圧密度C1が小さいという状況の少なくとも一つがある。それにより、二次電池のエネルギー密度を著しく低減させることを見出した。
【0083】
発明者らは、研究により、(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)が2.5%よりも大きい場合、前記負極シートは、前記複数の第2の細孔の合計面積と負極シートの面積との比S22/S21が大きく、第2の細孔の深さと負極シートの厚さとの比H22/H21が大きく、負極活性材料の体積平均粒径D2が大きく、負極シートの圧密度C2が小さいという状況の少なくとも一つがある。それにより、二次電池のエネルギー密度を著しく低減させることを見出した。
【0084】
本願の電極アセンブリにおいて、水系正極シートが0.001%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦1%を満たし、負極シートが0<(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦2.5%を満たすことにより、電極アセンブリは低い水分含有量、高い電解液の含浸速度及び高い乾燥速度を有することができる。二次電池に適用されると、二次電池は、高いエネルギー密度、良好なサイクル性能、低い内部抵抗、低コスト及び環境に優しい特徴を兼ね備えることができる。
【0085】
可能な原因として、まず、水系正極シートと負極シートの表面にいずれも細孔が設けられると、二次電池の組み立て過程において、電解液が電極シート/セパレータの水平方向に沿って電極アセンブリを含浸することができるだけでなく、電極シートの垂直方向に沿って電極シートの細孔及びセパレータの細孔からなるネットワークを介して電極アセンブリを含浸することができる。次に、水系正極シートと負極シートの表面にいずれも細孔が設けられると、電極シートに残留した水分が電極アセンブリの乾燥過程において速やかに電極アセンブリの外部に排出され、それにより、電極アセンブリの水分含有量をさらに低減することができる。最後に、電極シートの表面の細孔、電極シートの圧密度及び活性材料粒子の粒径を合理的に組み合わせると、水系正極シートと負極シートが同時に適切な電子の導通通路及び活性イオンの輸送通路を有することを保証することができる。
【0086】
いくつかの実施形態において、前記水系正極シートは、0.05%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.5%、0.05%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.45%、0.05%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.4%、0.05%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.35%、0.05%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.3%、0.05%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.25%、0.05%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.2%、0.05%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.15%、0.1%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.5%、0.1%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.45%、0.1%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.4%、0.1%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.35%、0.1%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.3%、0.1%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.25%、0.1%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.2%、0.15%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.5%、0.15%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.45%、0.15%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.4%、0.15%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.35%、0.15%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.3%、0.15%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.25%、0.2%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.5%、0.2%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.45%、0.2%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.4%、0.2%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.35%、0.2%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.3%、0.25%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.5%、0.25%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.45%又は0.25%≦(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)≦0.4%を満たすことができる。
【0087】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、発明者らは、研究により、(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)が上記範囲内にあると、水系正極シートにおける水分が電極アセンブリの乾燥過程において電極アセンブリの外部に速やかに排出されることができるため、正極シートの水分含有量をさらに低減し、電極アセンブリの電解液の含浸速度及び乾燥速度を向上することができる。それにより、電極アセンブリは、低い表面インピーダンスと良好な界面性能を有し、当該電極アセンブリを適用した二次電池は、良好な電気化学性能、例えば、高いサイクル安定性、高い容量発揮及び低い内部抵抗を備えることができる。また、(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)が上記範囲内にあると、水系正極シートは、良好な機械的性能を維持することもできる。それにより、正極シートは、電極アセンブリの組立及び加工の過程において変形しにくい。従って、電極アセンブリは、加工及び組立の過程において、良好な電気化学性能を維持できるだけでなく、高い収率を有することもできることを見出した。
【0088】
いくつかの実施形態において、前記負極シートは、0.2%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦2.0%、0.2%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.8%、0.2%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.5%、0.2%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.2%、0.2%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.0%、0.2%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦0.8%、0.2%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦0.5%、0.3%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦2.0%、0.3%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.8%、0.3%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.5%、0.3%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.2%、0.3%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.0%、0.3%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦0.8%、0.3%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦0.5%、0.4%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦2.0%、0.4%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.8%、0.4%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.5%、0.4%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.2%、0.4%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.0%、0.4%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦0.8%、0.5%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦2.0%、0.5%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.8%、0.5%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.5%、0.5%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.2%、0.5%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦1.0%又は0.5%≦(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)≦0.8%を満たすことができる。
【0089】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、発明者らは、研究により、(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)が上記範囲内にあると、負極シートは、高い電解液の含浸速度を有すると共に、低い表面インピーダンスと良好な界面性能を有することができる。それにより、本願の電極アセンブリを適用した二次電池は、高いサイクル安定性、高い容量発揮及び低い内部抵抗を備えることができる。また、(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)が上記範囲内にあると、負極シートは、良好な機械的性能を維持することができる。それにより、負極シートは、電極アセンブリの組立及び加工の過程に変形しにくい。従って、電極アセンブリは、加工及び組立の過程において、良好な電気化学性能を維持できるだけでなく、高い収率を有することもできることを見出した。
【0090】
いくつかの実施形態において、複数の第1の細孔の合計面積と水系正極シートの面積との比は、0<S12/S11≦2%を満たす。例えば、0.1%≦S12/S11≦2%、0.1%≦S12/S11≦1.8%、0.1%≦S12/S11≦1.5%、0.1%≦S12/S11≦1.2%、0.1%≦S12/S11≦1%、0.1%≦S12/S11≦0.8%、0.1%≦S12/S11≦0.6%、0.2%≦S12/S11≦2%、0.2%≦S12/S11≦1.8%、0.2%≦S12/S11≦1.5%、0.2%≦S12/S11≦1.2%、0.2%≦S12/S11≦1%、0.2%≦S12/S11≦0.8%、0.2%≦S12/S11≦0.6%、0.3%≦S12/S11≦2%、0.3%≦S12/S11≦1.8%、0.3%≦S12/S11≦1.5%、0.3%≦S12/S11≦1.2%、0.3%≦S12/S11≦1%、0.3%≦S12/S11≦0.8%、0.3%≦S12/S11≦0.6%、0.4%≦S12/S11≦2%、0.4%≦S12/S11≦1.8%、0.4%≦S12/S11≦1.5%、0.4%≦S12/S11≦1.2%、0.4%≦S12/S11≦1%、0.4%≦S12/S11≦0.8%、0.4%≦S12/S11≦0.6%、0.5%≦S12/S11≦2%、0.5%≦S12/S11≦1.8%、0.5%≦S12/S11≦1.5%、0.5%≦S12/S11≦1.2%、0.5%≦S12/S11≦1%、0.5%≦S12/S11≦0.8%又は0.5%≦S12/S11≦0.6%である。
【0091】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、複数の第1の細孔の合計面積と水系正極シートの面積との比が上記範囲内にあると、水系正極シートは良好な機械的性能を有することができる。それにより、水系正極シートが加工の過程において不可逆的に変形するリスクを低減し、電極アセンブリの収率を向上することができる。複数の第1の細孔の合計面積と水系正極シートの面積との比が上記範囲内にあると、水系正極シートは適切な孔隙率を有することができるため、水分の排出及び電解液の含浸に有利である。また、複数の第1の細孔の合計面積と水系正極シートの面積との比が上記範囲内にあると、水系正極シートは適切な電子の導通通路及び活性イオンの輸送経路を有することもできる。従って、電極アセンブリを二次電池に適用すると、二次電池は、高収率、高いサイクル安定性、高い容量発揮及び低い内部抵抗を備えることができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、第1の細孔の深さと水系正極シートの厚さとの比は、30%≦H12/H11≦100%を満たす。例えば、30%≦H12/H11≦90%、30%≦H12/H11≦80%、30%≦H12/H11≦70%、30%≦H12/H11≦60%、30%≦H12/H11≦50%、30%≦H12/H11≦40%、40%≦H12/H11≦100%、40%≦H12/H11≦90%、40%≦H12/H11≦80%、40%≦H12/H11≦70%、40%≦H12/H11≦60%、40%≦H12/H11≦50%、50%≦H12/H11≦100%、50%≦H12/H11≦90%、50%≦H12/H11≦80%、50%≦H12/H11≦70%、50%≦H12/H11≦60%、60%≦H12/H11≦100%、60%≦H12/H11≦90%、60%≦H12/H11≦80%、60%≦H12/H11≦70%、70%≦H12/H11≦100%、70%≦H12/H11≦90%、70%≦H12/H11≦80%、80%≦H12/H11≦100%、80%≦H12/H11≦90%又は90%≦H12/H11≦100%である。
【0093】
本願において、第1の細孔の深さは、水系正極シートの厚さ以下であってもよい。H12/H11が100%である場合、第1の細孔は正極シートを貫通した貫通孔であってもよい。
【0094】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、第1の細孔の深さと水系正極シートの厚さとの比が上記範囲内にあると、水系正極シートは、高い乾燥速度及び高い電解液の含浸速度を有するだけでなく、良好な機械的性能を有することも保証できる。従って、本願の電極アセンブリは、良好な界面性能、低い表面インピーダンス及び高い加工効率を有することができる。二次電池に適用されると、二次電池は、良好なサイクル性能、良好な倍率性能及び高い収率を備えることができる。
【0095】
C1g/ccは、水系正極シートの圧密度を示す。いくつかの実施形態において、C1は、2.0~3.0であってもよい。例えば、C1は、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3.0又はこれらの任意の数値からなる範囲内であってもよい。いくつかの実施形態において、C1は、選択可能に2.3~2.7である。
【0096】
水系正極シートの圧密度を適切な範囲に制御すると、正極膜層における正極活性材料の粒子を密着させ、単位体積当たりの正極活性材料の含有量を向上することができ、それにより、二次電池のエネルギー密度を向上することができる。
【0097】
D1μmは、正極活性材料の体積平均粒径Dv50を示す。いくつかの実施形態において、D1は、0.5~1.5であってもよい。例えば、D1は、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5又はこれらの任意の数値からなる範囲内であってもよい。いくつかの実施形態において、D1は、選択可能に0.8~1.3である。
【0098】
正極活性材料の体積平均粒径Dv50が上記範囲内にあると、活性イオンの拡散経路を短くすることができる。従って、本願の電極アセンブリが二次電池に適用されると、二次電池のエネルギー密度、サイクル性能及び倍率性能をさらに向上することができる。
【0099】
また、電極アセンブリについて、複数の第1の細孔の合計面積と水系正極シートの面積との比S12/S11、第1の細孔の深さと水系正極シートの厚さとの比H12/H11、水系正極シートの圧密度C1、正極活性材料の体積平均粒径D1が上記範囲内にすると、(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)を本願の範囲内に制御することに有利である。従って、本願の電極アセンブリが二次電池に適用されると、二次電池のガス膨張、自己放電及び腐食のリスクを低減するだけでなく、二次電池のエネルギー密度、サイクル性能及び倍率性能を向上することができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、複数の第2の細孔の合計面積と負極シートの面積との比は、0<S22/S21≦0.2%を満たすことができる。例えば、0.02%≦S22/S21≦0.2%、0.02%≦S22/S21≦0.18%、0.02%≦S22/S21≦0.16%、0.02%≦S22/S21≦0.14%、0.02%≦S22/S21≦0.12%、0.02%≦S22/S21≦0.1%、0.02%≦S22/S21≦0.08%、0.02%≦S22/S21≦0.06%、0.02%≦S22/S21≦0.04%、0.04%≦S22/S21≦0.2%、0.04%≦S22/S21≦0.18%、0.04%≦S22/S21≦0.16%、0.04%≦S22/S21≦0.14%、0.04%≦S22/S21≦0.12%、0.04%≦S22/S21≦0.1%、0.04%≦S22/S21≦0.08%、0.04%≦S22/S21≦0.06%、0.06%≦S22/S21≦0.2%、0.06%≦S22/S21≦0.18%、0.06%≦S22/S21≦0.16%、0.06%≦S22/S21≦0.14%、0.06%≦S22/S21≦0.12%、0.06%≦S22/S21≦0.1%又は0.06%≦S22/S21≦0.08%である。
【0101】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、複数の第2の細孔の合計面積と負極シートの面積との比が上記範囲内にあると、負極シートは良好な機械的性能を備えることができる。それにより、負極シートが加工の過程において不可逆的に変形するリスクを低減し、電極アセンブリの収率を向上することができる。複数の第2の細孔の合計面積と負極シートの面積との比が上記範囲内にあると、負極シートは適切な孔隙率及び高容量を有することができ、電極アセンブリの電解液の含浸速度及び容量発揮の向上に有利である。また、複数の第2の細孔の合計面積と負極シートの面積との比が上記範囲内にあると、負極シートは適切な電子の導通通路及び活性イオンの輸送通路を有することもできる。従って、電極アセンブリを二次電池に適用すると、二次電池は高収率、高いサイクル安定性、高容量発揮及び低い内部抵抗を有することができる。
【0102】
いくつかの実施形態において、第2の細孔の深さと負極シートの厚さとの比は、30%≦H22/H21≦100%、30%≦H22/H21≦90%、30%≦H22/H21≦80%、30%≦H22/H21≦70%、30%≦H22/H21≦60%、40%≦H22/H21≦100%、40%≦H22/H21≦90%、40%≦H22/H21≦80%、40%≦H22/H21≦70%、40%≦H22/H21≦60%、50%≦H22/H21≦100%、50%≦H22/H21≦90%、50%≦H22/H21≦80%、50%≦H22/H21≦70%、60%≦H22/H21≦100%、60%≦H22/H21≦90%、60%≦H22/H21≦80%、70%≦H22/H21≦100%、70%≦H22/H21≦90%、70%≦H22/H21≦80%、80%≦H22/H21≦100%、80%≦H22/H21≦90%又は90%≦H22/H21≦100%を満たすことができる。
【0103】
本願において、第2の細孔の深さは、負極シートの厚さ以下であってもよい。H22/H21が100%である場合、第2の細孔は負極シートを貫通した貫通孔であってもよい。
【0104】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、第2の細孔の深さと負極シートの厚さとの比が上記範囲内にあると、負極シートは、高い電解液の含浸速度を有するだけでなく、良好な機械的性能を有することも保証できる。従って、本願の電極アセンブリは、良好な界面性能、低い表面インピーダンス及び高い加工効率を有することができる。二次電池に適用されると、二次電池は、良好なサイクル性能、良好な倍率性能及び高い収率を備えることができる。
【0105】
C2g/ccは、負極シートの圧密度を示す。いくつかの実施形態において、C2は、1.2~2.0であってもよい。例えば、C2は、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、又は上記の任意の数値からなる範囲内であってもよい。いくつかの実施形態において、C2は、選択可能に1.4~1.8である。
【0106】
負極シートの圧密度を適切な範囲内に制御すると、負極膜層における負極活性材料の粒子を密着させ、単位体積当たりの負極活性材料の含有量を向上することができ、それにより、二次電池のエネルギー密度を向上することができる。
【0107】
D2μmは、負極活性材料の体積平均粒径Dv50を示す。いくつかの実施形態において、D2は12~20であってもよい。例えば、D2は、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20又はこれらの任意の数値からなる範囲内であってもよい。いくつかの実施形態において、D2は、選択可能に15~19である。
【0108】
負極活性材料の体積平均粒径Dv50が上記範囲内にあると、活性イオンの拡散経路を短くすることができる。従って、本願の電極アセンブリが二次電池に適用されると、二次電池のエネルギー密度、サイクル性能及び倍率性能をさらに向上することができる。
【0109】
また、電極アセンブリについて、複数の第2の細孔の合計面積と負極シートの面積との比S22/S21、第2の細孔の深さと負極シートの厚さとの比H22/H21、負極シートの圧密度C2、負極活性材料の体積平均粒径D2が上記範囲内にすると、(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)を本願の範囲内に制御することに有利である。従って、本願の電極アセンブリが二次電池に適用されると、二次電池は良好な電気化学性能及び高いエネルギー密度を備えることができる。
【0110】
いくつかの実施形態において、前記電極アセンブリは、0.10≦A/B≦1.0を満たすことができる。Aは(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)を示し、Bは(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)を示す。例えば、0.10≦A/B≦0.75、0.10≦A/B≦0.50、0.10≦A/B≦0.50、0.10≦A/B≦0.25、0.15≦A/B≦1.0、0.15≦A/B≦0.75、0.15≦A/B≦0.50、0.15≦A/B≦0.25、0.20≦A/B≦1.0、0.20≦A/B≦0.75、0.20≦A/B≦0.50、0.20≦A/B≦0.25、0.25≦A/B≦1.0、0.25≦A/B≦0.75、0.25≦A/B≦0.50、0.30≦A/B≦1.0、0.30≦A/B≦0.75、0.30≦A/B≦0.50、0.35≦A/B≦1.0、0.35≦A/B≦0.75、0.35≦A/B≦0.50、0.40≦A/B≦1.0、0.40≦A/B≦0.75又は0.40≦A/B≦0.50である。
【0111】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、A/Bの値が上記範囲内にあると、水系正極シートと負極シートとのそれぞれの利点及び両者の間の相乗効果を十分に発揮することができ、それにより、電極アセンブリの電解液の含浸速度をさらに向上することができ、且つ電極アセンブリの乾燥過程において残留した水分を迅速に排出することにより有利である。従って、本願の電極アセンブリが二次電池に適用されると、二次電池は、低いインピーダンス、高いエネルギー密度及び高いサイクル容量維持率を有することができる。
【0112】
いくつかの実施形態において、前記電極アセンブリは、S3/S22≧5%を満たすことができる。例えば、S3/S22は、約5%、約8%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、又は上記の任意の値からなる範囲内であってもよい。ここで、S3m2は、前記複数の第1の細孔と前記複数の第2の細孔との重なり面積を示す。
【0113】
いくつかの実施形態において、前記電極アセンブリは、8%≦S3/S22≦85%、8%≦S3/S22≦80%、8%≦S3/S22≦75%、8%≦S3/S22≦70%、15%≦S3/S22≦85%、15%≦S3/S22≦80%、15%≦S3/S22≦75%、15%≦S3/S22≦70%、25%≦S3/S22≦85%、25%≦S3/S22≦80%、25%≦S3/S22≦75%、25%≦S3/S22≦70%、40%≦S3/S22≦85%、40%≦S3/S22≦80%、40%≦S3/S22≦75%又は40%≦S3/S22≦70%を満たすことができる。
【0114】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、水系正極シートの表面の第1の細孔と負極シートの表面の第2の細孔との重なり面積が上記範囲内にあると、第1の細孔、第2の細孔及びセパレータにおける細孔が通路を形成することに有利であり、それにより、電極アセンブリに残留した水分の迅速な排出に有利であり、電極アセンブリの電解液の含浸速度を向上する。従って、本願の電極アセンブリが二次電池に適用されると、低いインピーダンス、高いエネルギー密度及び高いサイクル容量維持率を有することができる。
【0115】
本願には、第1の細孔の形態が限定されず、各第1の細孔の形態は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施形態において、各第1の細孔の形態は、規則的な形状又は不規則な形状であることができる。いくつかの実施形態において、各第1の細孔の形態は、円形、矩形又は正方形を含むことができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、各第1の細孔の等価直径は、1μm~200μmであってもよく、例えば、約5μm、約10μm、約20μm、約50μm、約80μm、約100μm、約120μm、約150μm、約180μm、約200μm、又は上記の任意の数値からなる範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、各第1の細孔の等価直径は、5μm~180μm、10μm~180μm、20μm~180μm、30μm~180μm、50μm~180μm、5μm~150μm、10μm~150μm、20μm~150μm、30μm~150μm又は50μm~150μmであってもよい。
【0117】
各第1の細孔の等価直径は、各第1の細孔と等しい面積を有する円の直径であってもよい。第1の細孔の等価直径が上記範囲内にあると、水系正極シートが、低い水分含有量、高い電解液の含浸速度及び高い乾燥速度を有することを保証する前提で、良好な機械的性能、例えば、高い強度及び良好な柔靱性を有することができる。従って、電極アセンブリは、高い電解液の含浸速度及び良好な加工性能を有することができ、それにより、当該電極アセンブリを適用した二次電池も、良好な電気化学性能及び高い収率を備えることができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、隣接する前記第1の細孔の中心間距離は、1mm~10mmであってもよく、例えば、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、又は上記の任意の値からなる範囲であってもよい。
【0119】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、隣接する第1の細孔の中心間距離が上記範囲内にあると、第1の細孔が水系正極シートの表面に適切に分布することができる。それにより、第1の細孔の分布が過度に密になることを回避するため、水系正極シートが良好な機械的性能を維持することができる。
【0120】
本願は、前記複数の第1の細孔の分布形態を限定しない。いくつかの実施形態において、前記複数の第1の細孔は、アレイ状に分布されてもよい。
【0121】
本願には、第2の細孔の形態が限定されないが、各第2の細孔の形態は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施形態において、各第2の細孔の形態は、規則的な形状又は不規則な形状であることができる。いくつかの実施形態において、各第2の細孔の形態は、円形、矩形又は正方形を含むことができる。
【0122】
いくつかの実施形態において、各第2の細孔の等価直径は、1μm~200μmであってもよく、例えば、約5μm、約10μm、約20μm、約50μm、約80μm、約100μm、約120μm、約150μm、約180μm、約200μm又は上記の任意の数値からなる範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、各第2の細孔の等価直径は、5μm~180μm、10μm~180μm、20μm~180μm、30μm~180μm、50μm~180μm、5μm~150μm、10μm~150μm、20μm~150μm、30μm~150μm又は50μm~150μmであってもよい。
【0123】
各第2の細孔の等価直径は、各第2の細孔と等しい面積を有する円の直径であってよい。第2の細孔の等価直径が上記範囲内にあると、負極シートが、高い電解液の含浸速度を有することを保証する前提で、良好な機械的性能、例えば、高い強度と良好な柔靱性を有することができる。従って、電極アセンブリは、高い電解液の含浸速度及び良好な加工性能を有することができる。それにより、当該電極アセンブリを適用した二次電池も、良好な電気化学性能及び高い収率を備えることができる。
【0124】
いくつかの実施形態において、隣接する前記第2の細孔の中心間距離は、1mm~10mmであってもよく、例えば、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、又は上記の任意の値からなる範囲であってもよい。
【0125】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、隣接する第2の細孔の中心間距離が上記範囲内にあると、第2の細孔が負極シートの表面に適切に分布することができる。それにより、第2の細孔の分布が過度に密になることを回避するため、負極シートが良好な機械的性能を維持することができる。
【0126】
本願は、前記複数の第2の細孔の分布形態を限定しない。いくつかの実施形態において、前記複数の第2の細孔は、アレイ状に分布されてもよい。
【0127】
本願において、前記正極集電体は、自体の厚さ方向において対向する2つの表面を有する。前記正極膜層は、前記正極集電体の2つの対向する表面のいずれか一方又は両方に位置することができる。前記負極集電体は、自体の厚さ方向において対向する2つの表面を有する。前記負極膜層は、前記負極集電体の2つの対向する表面のいずれか一方又は両方に位置することができる。
【0128】
なお、水系正極シートの厚さH
11は、正極集電体と正極膜層との厚さの和を示す。負極シートの厚さH
21は、負極集電体と負極膜層との厚さの和を示す。
図1は、本願の水系正極シートの一部の一実施形態の断面模式図である。
図2は、本願の水系正極シートの一部の他の実施形態の断面模式図である。
図1及び
図2に示すように、正極膜層102は正極集電体101の両側に設けられている。そのうち、
図1は、第1の細孔の深さと正極シートの厚さとの比が100%よりも小さく、即ち、H
12がH
11よりも小さいことを示す。
図2は、第1の細孔が正極シートを貫通した貫通孔であることを示し、このとき、H
12はH
11に等しい。本願において、負極シートの表面の第2の細孔の設置状況は水系正極シートと類似している。
【0129】
本願の電極アセンブリにおいて、正極活性材料の種類は具体的に限定されず、当該技術分野で公知の二次電池用の正極活性材料を採用することができる。いくつかの実施形態において、前記正極活性材料は、リチウム遷移金属酸化物、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩、及びそれぞれの改質化合物のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。上記各正極活性材料の改質化合物は、正極活性材料に対してドーピング改質、表面被覆改質又はドーピング改質及び表面被覆改質の両方を行うことができる。
【0130】
例として、リチウム遷移金属酸化物は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物及びそれらの改質化合物のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。例として、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩は、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料及びそれぞれの改質化合物のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。これらの正極活性材料は、1種類のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0131】
選択可能に、前記正極活性材料は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩及びその改質化合物のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。
【0132】
いくつかの実施形態において、前記正極膜層は、水性接着剤、導電剤のうちの1種類又は複数種類をさらに含むことができる。水性接着剤は、正極活性材料、導電剤などを集電体に接着し、正極活性材料と導電剤との間、及び正極活性材料と正極集電体との間の電子の接触を強化し、正極シートの構造を安定することができる。水性接着剤は、油系接着剤、例えばポリフッ化ビニリデンなどに比べて、コストがより低く、環境により優しく、より安全に使用できる。
【0133】
前記水性接着剤は、固形分含有量5%以上の水分散液又はエマルジョンを含むことができる。前記水性接着剤は、水と固形分含有量1%以上の安定な分散液を形成可能な固体をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、前記水性接着剤は、可溶性多糖類及びその誘導体、水溶性又は水分散液の高分子ポリマー又はその混合物を含む。例えば、前記水性接着剤は、メチルセルロース及びその塩、キサンタンガム及びその塩、キトサン及びその塩、アルギン酸及びその塩、ポリエチレンイミン及びその塩、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル-アクリル酸コポリマー及びその誘導体、又はそれらの混合物を含むことができる。
【0134】
いくつかの実施形態において、前記水性接着剤は、キサンタンガムとポリエチレンイミンとの複合混合物を含むことができる。選択可能に、前記キサンタンガムと前記ポリエチレンイミンとの質量比は、2:1~0.2:2.8であってもよい。選択可能に、前記キサンタンガムの数平均分子量は300000~2000000であってもよい。選択可能に、前記ポリエチレンイミンの数平均分子量は2000~50000であってもよい。
【0135】
いくつかの実施形態において、前記水性接着剤は、アクリロニトリル-アクリル酸コポリマーとポリエチレンイミンとの複合混合物を含むことができる。選択可能に、前記アクリロニトリル-アクリル酸コポリマーと前記ポリエチレンイミンとの質量比は、2:1~0.2:2.8であってもよい。選択可能に、前記アクリロニトリル-アクリル酸コポリマーの数平均分子量は300000~2000000であってもよい。選択可能に、前記ポリエチレンイミンの数平均分子量は2000~70000であってもよい。
【0136】
いかなる理論又は解釈に限定されることを意図するものではないが、水性接着剤が上記物質から選択されると、正極活性材料と導電剤との間、及び正極活性材料と正極集電体との間の電子の接触をさらに強化するため、正極シートの構造をよりよく安定することができる。それにより、本願の電極アセンブリが二次電池に適用されると、二次電池は、高いサイクル安定性と低い内部抵抗を有することができる。
【0137】
本願は、正極膜層に用いられる導電剤の種類を特に限定しない。いくつかの実施形態において、前記導電剤は、導電性カーボンブラック、超伝導カーボンブラック、導電性グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブのうちの1種類又は複数種類を含むことができる。
【0138】
本願の電極アセンブリにおいて、正極膜層は、通常、正極スラリーを正極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスして形成されたものである。前記正極スラリーは、通常、正極活性材料、水性接着剤、導電剤及び任意の他の成分を脱イオン水に分散させ、均一に撹拌して形成されたものである。
【0139】
いくつかの実施形態において、前記正極集電体は、金属箔又は複合集電体であってもよい。金属箔の例としては、アルミニウム箔を用いることができる。複合集電体は、高分子材料基層と、高分子材料基層の少なくとも一方の表面に形成された金属材料層とを含むことができる。例として、金属材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、銀合金のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。例として、高分子材料基層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。
【0140】
本願の電極アセンブリにおいて、負極膜層は、通常、負極スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスして形成されたものである。負極スラリーは、通常、負極活性材料、選択可能な導電剤、選択可能な接着剤、他の選択可能な助剤を溶媒に分散させ、均一に撹拌して形成されたものである。溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)又は水であってもよいが、これらに限定されない。例として、負極膜層に用いられる接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水溶性不飽和樹脂SR-1B、水系アクリル樹脂(例えば、ポリアクリル酸PAA、ポリメタクリル酸PMAA、ポリアクリル酸ナトリウムPAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、カルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。例として、負極膜層に用いられる導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバーのうちの1種類又は複数種類を含むことができる。他の選択可能な助剤は、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムCMC)、PTCサーミスタ材料のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。
【0141】
負極活性材料の種類は特に限定されず、当該技術分野で公知の二次電池用負極活性材料を採用することができる。例として、負極活性材料は、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ケイ素系材料、スズ系材料、チタン酸リチウムのうちの1種類又は複数種類を含むことができる。ケイ素系材料は、ケイ素単体、ケイ素酸化物、ケイ素-炭素複合体、ケイ素-窒素複合体、ケイ素合金材料のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。スズ系材料は、スズ単体、スズ酸化物、スズ合金材料のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。本願はこれらの材料に限定されるものではなく、二次電池負極活性材料として用いられる従来公知の他の材料を用いることができる。これらの負極活性材料は、1種類のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0142】
負極集電体の種類は具体的に限定されず、実際の要求に応じて選択することができる。例えば、負極集電体は、金属箔又は複合集電体を用いることができる。金属箔の例として、負極集電体は銅箔を採用できる。複合集電体は、高分子材料基層と、高分子材料基層の少なくとも一方の表面に形成された金属材料層とを含むことができる。例として、金属材料は、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、銀合金から選ばれる1種類又は複数種類である。例として、高分子材料基層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)から選択される1種類又は複数種類であってもよい。
【0143】
また、本願の電極アセンブリにおいて、負極シートは、負極膜層以外の他の付加機能層を排除しない。例えば、いくつかの実施形態において、本願に記載の負極シートは、負極集電体と負極膜層との間に設けられる導電プライマ層(例えば、導電剤と接着剤とからなる)をさらに含むことができる。いくつかの他の実施形態において、本願に記載の負極シートは、負極膜層の表面に覆われた保護層をさらに含む。
【0144】
本願の電極アセンブリにおいて、第1の細孔及び第2の細孔の実現方式は具体的に限定されず、本分野の公知の手段を用いて実現することができる。いくつかの実施形態において、電極シートの表面に第1の細孔及び第2の細孔を設ける手段は、レーザー穿孔、機械的穿孔のいずれか一つの方式又はその組み合わせを含むことができる。例えば、レーザー穿孔を採用する場合、レーザーを上下にずらして配列させ、穿孔プロセスの要求に応じて適切な穿孔アレイを設置し、必要な細孔の深さに応じて適切なレーザーエネルギーを選択することができる。
【0145】
いくつかの実施形態において、前記電極アセンブリは、セパレータをさらに含む。前記セパレータは、前記水系正極シートと前記負極シートとの間に設けられており、主に正負極の短絡を防止する役割を果たすとともに、活性イオンを通過させることができる。本願には、前記セパレータの種類は特に限定されず、任意の公知の良好な化学的安定性及び機械的安定性を有する多孔質構造セパレータを選択することができる。
【0146】
例として、前記セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも一つを含むことができる。前記セパレータは、単層フィルムであってもよいし、多層複合フィルムであってもよい。前記セパレータが多層複合フィルムである場合、各層の材料は同一又は異なる。
【0147】
いくつかの実施形態において、前記水系正極シート、前記セパレータ及び前記負極シートは、巻回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリを製造することができる。
【0148】
本願において、膜層と電極シートの厚さは、当該技術分野で公知の意味であり、当該技術分野で公知の方法を用いて測定することができる。例えば、スパイラルマイクロメートルを用いて測定することができる。
【0149】
本願において、材料の体積平均粒径Dv50は、当該技術分野における公知の意味であり、材料の累積体積分布百分率が50%に達した時に対応する粒径を示し、当該技術分野における公知の機器及び方法で測定することができる。例えば、GB/T 19077-2016粒度分布レーザー回折法を参照し、レーザー粒度分析器、例えばイギリスマルバーン株式会社のMastersizer2000E型レーザー粒度分析器を用いて容易に測定することができる。
【0150】
本願において、電極シートの圧密度は、当該技術分野で公知の意味であり、当該技術分野で公知の方法で測定することができる。電極シートの圧密度=膜層の面密度/膜層の厚さ。膜層の面密度は、当技術分野で公知の意味であり、当該技術分野で公知の方法を採用して測定することができる。例えば、片面に塗布され且つ冷間プレスされた後の電極シート(両面に塗布された電極シートであれば、まず片面の膜層を拭いて除去することができる)を取り、小さいウェーハに打ち抜き、その重量を秤量し、そして、上記秤量された電極シートの膜層を拭いて除去し、集電体の重量を秤量する。膜層の面密度=(小さいウェーハの重量-集電体の重量)/小さいウェーハの面積。
二次電池
【0151】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様の電極アセンブリ及び電解質を含む二次電池を提供する。電解質は、正極シートと負極シートとの間で活性イオンを伝導する役割を果たす。本願では、電解質の種類は具体的に限定されず、必要に応じて選択される。例えば、電解質は、固体電解質及び液状電解質(即ち電解液)から選択される少なくとも1種類であってもよい。
【0152】
いくつかの実施形態において、電解質は電解液を用いる。電解液は、電解質塩及び溶媒を含んでいる。
【0153】
電解質塩の種類は特に限定されず、実際の要求に応じて選択される。いくつかの実施形態において、例として、電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF6)、ジフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(LiTFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS)、ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウム(LiDFOB)、ジシュウ酸ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)、ジフルオロジシュウ酸リン酸リチウム(LiDFOP)及びテトラフルオロシュウ酸リン酸リチウム(LiTFOP)から選択される1種類又は複数種類であってもよい。
【0154】
溶媒の種類は特に限定されず、実際の要求に応じて選択される。いくつかの実施形態において、例として、溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、メチルエチルスルホン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)から選択される1種類又は複数種類を含むことができる。
【0155】
いくつかの実施形態において、電解液は、選択可能に添加剤をさらに含む。例えば、添加剤は、負極成膜添加剤を含んでもよく、正極成膜添加剤を含んでもよく、電池のある性能を改善できる添加剤、例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温出力性能を改善する添加剤などを含んでもよい。
【0156】
二次電池は、外装を有していてもよい。当該外装は、上記電極アセンブリ及び電解質を封止するために用いられる。
【0157】
いくつかの実施形態において、二次電池の外装は、硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、スチールケースなどの硬質ケースであってもよい。二次電池の外装はソフトパック、例えば袋ソフトパックであってもよい。ソフトパックの材質は、プラスチック、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)などのうちの1種類又は複数種類であってもよい。
【0158】
本願では、二次電池の形状は特に限定されず、扁平体、直方体、又は他の形状であってもよい。
図3は、一例として直方体構造の二次電池5である。
【0159】
いくつかの実施形態において、
図4に示すように、外装は、ケース51とカバープレート53とを含むことができる。ケース51は、底板と、底板に接続された側板とを含み、底板と側板とが囲まれて収容キャビティが形成されている。ケース51は、前記収容キャビティに連通する開口を有し、カバープレート53は、前記開口を覆設して前記収容キャビティを密閉する。本願の実施形態の第1の態様の電極アセンブリ52は、前記収容キャビティ内に封入される。電解液は、電極アセンブリ52に含浸されている。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は、一つ又は複数であってもよく、必要に応じて調整することができる。
【0160】
本願の二次電池の製造方法は公知である。いくつかの実施形態において、電極アセンブリを外装に置き、乾燥後に電解液を注入し、真空封止、静置、化成、整形などの工程を経て、二次電池を得ることができる。
電池モジュール及び電池パック
【0161】
本願に係る二次電池は、電池モジュールに組み立てられてもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の数は複数であってもよく、具体的な数は電池モジュールの用途及び容量に応じて調整することができる。
【0162】
図5は、一例としての電池モジュール4の模式図である。
図5に示すように、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並んで設けられていてもよく、もちろん、他の任意の方式で配列されてもよい。さらに、この複数の二次電池5を締結具により固定してもよい。
【0163】
選択可能に、電池モジュール4は、複数の二次電池5が収容される収容空間を有するハウジングをさらに備えてもよい。
【0164】
いくつかの実施形態において、上記電池モジュールは、電池パックに組み立てられてもよい。電池パックに含まれる電池モジュールの数は、電池パックの用途及び容量に応じて調整することができる。
【0165】
図6及び
図7は、一例としての電池パック1の模式図である。
図6及び
図7に示すように、電池パック1に電池筐と電池筐に設置された複数の電池モジュール4とを含むことができる。電池筐は上筐体2及び下筐体3を含み、上筐体2は下筐体3を覆設し、かつ電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成するために用いられる。複数の電池モジュール4は、電池筐内に任意に配列することができる。
電力消費装置
【0166】
本願の実施形態は、本願の二次電池、電池モジュール、又は電池パックのうちの少なくとも一つを含む電力消費装置を更に提供する。前記二次電池、電池モジュール又は電池パックは、前記電力消費装置の電源として用いられてもよく、前記電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記電力消費装置は、移動機器(例えば携帯電話、ノートパソコン等)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電気トラック等)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システム等であってもよいが、これらに限定されない。
【0167】
前記電力消費装置は、その使用需要に応じて二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0168】
図8は、一例としての電力消費装置の模式図である。当該電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。当該電力消費装置の高電力及び高エネルギー密度への需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用することができる。
【0169】
他の例としての電力消費装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコン等であってもよい。当該電力消費装置は、通常薄型化が求められ、二次電池を電源として採用することができる。
実施例
【0170】
以下の実施例は、本願の開示する内容をより具体的に説明し、これらの実施例は単に説明するために用いられ、本願の開示する内容の範囲内で様々な修正及び変更を行うことは当業者にとって明らかである。特に断らない限り、以下の実施例に記載された全ての部、百分率、及び比はいずれも質量に基づいたものである。また、実施例で使用された全ての試薬を購入して取得するか又は従来の方法に従って合成して取得することができ、かつ更に処理する必要とせず直接使用可能である。また、実施例で使用された装置をいずれも購入して取得することができる。
【0171】
実施例1~25及び比較例4~10の二次電池は、以下の方法により作製した。
【0172】
(1)水系正極シートの作製
【0173】
正極活性材料であるリン酸鉄リチウムと、導電剤である導電カーボンブラックと、水性接着剤とを質量比96:1:3で均一に混合させ、適量の脱イオン水を添加し、固形分含有量が50%である正極スラリーを得、正極スラリーを正極集電体の表面に均一に塗布し、乾燥して両面に塗布された水系正極シートを得た。水性接着剤は、ポリアクリロニトリル-アクリル酸エステルコポリマーLA-133(四川茵地楽科技有限会社から購入)とポリエチレンイミンとの配合物であり、当該配合物において、LA-133とポリエチレンイミンとの質量比は1:1である。
【0174】
レーザ穿孔装置を用いて水系正極シートを穿孔することにより、水系正極シートの表面に複数の第1の細孔を設ける。第1の細孔の等価直径d1(μm)、隣接する第1の細孔の中心間距離L1(mm)、複数の第1の細孔の合計面積と水系正極シートの面積との比S12/S11、第1の細孔の深さと水系正極シートの厚さとの比H12/H11、水系正極シートの圧密度C1(g/cc)、正極活性材料の体積平均粒径D1(μm)、(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)がそれぞれ表1Aおよび表1Bに示される。
【0175】
(2)負極シートの作製
【0176】
負極活性材料である人造黒鉛、導電剤である導電カーボンブラック、接着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を質量比96.2:1.8:0.8:1.2で混合した後、適量の脱イオン水を加え、均一に混合して負極スラリーを得、負極スラリーを負極集電体の表面に均一に塗布し、乾燥して両面に塗布された負極シートを得た。
【0177】
レーザ穿孔装置を用いて負極シートを穿孔することにより、負極シートの表面に複数の第2の細孔を設ける。第2の細孔の等価直径d2(μm)、隣接する第2の細孔の中心間距離L2(mm)、複数の第2の細孔の合計面積と負極シートの面積との比S22/S21、第2の細孔の深さと負極シートの厚さとの比H22/H21、負極シートの圧密度C2(g/cc)、負極活性材料の体積平均粒径D2(μm)、(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)がそれぞれ表1Aおよび表1Bに示される。
【0178】
(3)電解液の作製
【0179】
アルゴン雰囲気のグローブ筐(H2O<0.1ppm、O2<0.1ppm)において、有機溶媒であるエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比3:7で均一に混合させ、12.5%のLiPF6を添加して有機溶媒に溶解し、均一に撹拌し、電解液を得た。
【0180】
(4)セパレータ
【0181】
ポリプロピレンフィルムをセパレータとした。
【0182】
(5)二次電池の作製
【0183】
水系正極シート、セパレータ、負極シートを順に積層して、セパレータが水系正極シートと負極シートとの間に位置するようにして、隔離の役割を果たし、積層された水系正極シート、セパレータ、負極シートを巻回して電極アセンブリを得、電極アセンブリにタブを溶接した後、電極アセンブリをアルミニウムケースに入れ、焼成して水分を除去し、アルミニウムケースに電解液を注入した後、封口して、帯電していない電池を得、帯電していない電池に対し順に静置、熱冷圧、化成、整形、容量テストなどの工程を経て、二次電池を得る。
【0184】
比較例1
【0185】
水系正極シートの作製、負極シートの作製、セパレータ、電解液の作製、二次電池の作製過程は実施例1と基本的に同じであるが、相違点は、水系正極シート及び負極シートの表面に穿孔されていないことである。
【0186】
比較例2~3
【0187】
水系正極シートの作製、負極シートの作製、セパレータ、電解液の作製、二次電池の作製過程は実施例1と基本的に同じであるが、相違点は、比較例2が負極シートの表面に穿孔されていないこと、比較例3が水系正極シートの表面に穿孔されていないことである。
テスト部分
【0188】
(1)電極アセンブリの電解液の含浸性能のテスト
【0189】
各実施例及び比較例で得られた帯電していない電池を異なる時間で静置した後、初回充電テストを行った。初回充電の電流は0.1C(51.2A)とし、充電カットオフ電圧は3.65Vとした。充電終了後、乾燥室で電池を解体し、負極シートの大面積領域にリチウム堆積後の灰白色を呈するか否かを観察した。表面に黒色領域が露出していると、電解液の含浸が不十分であることを示し、表面に黒色領域が露出していないと、電解液が負極シートを完全に含浸することを示し、電解液が負極シートを完全に含浸するのに必要な最短時間を記録した。テスト時に半時間の含浸時間を増加させるたびに一つのグループを設置し、各グループは3つの電極アセンブリを分解して判定し、3つの電極アセンブリが、電解液が負極シートを完全に含浸することを同時に満たす必要な最短時間を電極アセンブリの電解液含浸時間T1とする。
【0190】
(2)二次電池の乾燥性能のテスト
【0191】
各実施例及び比較例で得られた電池をケースに入れ、液体を注入せずに真空オーブン内に入れて乾燥性能テストを行った。オーブン温度を105℃に設定し、1hごとに取り出して電池の水分量を測定した。電池の水分量が200ppm(質量濃度)未満である場合、既に乾燥したとみなし、乾燥時間T2を記録した。
【0192】
(3)二次電池の初期容量及びサイクル性能のテスト
【0193】
二次電池について、電池テスト機を用いて充放電テストを行った。ここで、充放電電圧は2.5V~3.65V、充放電電流は1C(512A)とし、二次電池の初回サイクル後の放電容量と300回サイクル後の放電容量を読み取った。
【0194】
3つの二次電池の初回サイクル後の放電容量の平均値を二次電池の初期容量とした。
【0195】
二次電池の300回サイクル後の容量維持率=(300回サイクル後の放電容量/初回サイクル後の放電容量)×100%。
【0196】
(4)二次電池の直流抵抗インピーダンス(DCR)のテスト
【0197】
25℃で、二次電池を1/3Cの定電流で3.65Vまで充電し、さらに3.65Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、5min静置した後、その時の電圧V1を記録した。二次電池を1/3Cの定電流で30s放電し、その時の電圧V2を記録した。初回サイクル後の内部抵抗は、(V2~V1)/(1/3C)で示す。以上の手順を繰り返しながら、二次電池の300回サイクル後の内部抵抗を記録した。
【0198】
各実施例及び比較例のパラメータを表1Aおよび表1Bに示し、テスト結果を表2に示す。
【表1A】
【表1B】
【表2】
【0199】
表1A及び表1Bと表2とから分かるように、実施例1~25の電極アセンブリにおいて、水系正極シート及び負極シートが本願で限定された条件を満たすと、二次電池は、高い初期容量、高い電解液の含浸速度及び高い乾燥速度を有するとともに、高いサイクル容量維持率及び低い内部抵抗を有することができる。
【0200】
比較例1~3において、水系正極シート及び/又は負極シートの表面に細孔が設けられておらず、電極アセンブリの電解液の含浸速度及び乾燥速度が非常に小さく、且つ電極アセンブリに多くの水分が残留しやすい。それにより、当該電極アセンブリを適用した二次電池は、内部抵抗が高くなり、サーマル性能が悪くなる。比較例4~5では、水系正極シート及び負極シートの表面にいずれも細孔が設けられているが、作製された水系正極シートにおいて、(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)が0.001%未満であり、この場合、電極アセンブリの電解液の含浸速度及び乾燥速度が比較例1~3に比べてやや増加したが、改善効果が明らかではなく、さらに二次電池のサイクル性能に対する改善効果も明らかではなかった。比較例6~7では、水系正極シートと負極シートの表面にいずれも細孔が設けられているが、作製された水系正極シートにおいて、(S12×H12×D1)/(S11×C1×H11)が1%よりも大きいため、二次電池のエネルギー密度が著しく低減した。比較例8~10では、水系正極シートと負極シートの表面にいずれも細孔が設けられているが、作製した負極シートにおいて、(S22×H22×D2)/(S21×C2×H21)が2.5%よりも大きいため、二次電池のエネルギー密度が著しく低減した。
【0201】
なお、本願は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単に例示であり、本願の技術案の範囲内に技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏する実施形態は、いずれも本願の技術範囲に含まれる。また、本願の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者が想到できる各種変形を実施の形態に加えた形態、実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される他の形態も、本願の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系正極シートと、負極シートとを備える電極アセンブリであって、
前記水系正極シートは、正極集電体と、正極活性材料を含み、前記正極集電体の少なくとも一方の表面にある正極膜層とを備え、
前記負極シートは、負極集電体と、負極活性材料を含み、前記負極集電体の少なくとも一方の表面にある負極膜層とを備え、
前記水系正極シートの少なくとも一部の表面に複数の第1の細孔が設けられており、且つ0.001%≦(S
12×H
12×D
1)/(S
11×C
1×H
11)≦1%を満たし、
H
11μmは、前記水系正極シートの厚さを示し、H
12μmは前記第1の細孔の深さを示し、S
11m
2は前記水系正極シートの面積を示し、S
12m
2は前記複数の第1の細孔の合計面積を示し、C
1g/ccは前記水系正極シートの圧密度を示し、D
1μmは前記正極活性材料の体積平均粒径Dv50を示し、
前記負極シートの少なくとも一部の表面に複数の第2の細孔が設けられており、且つ0<(S
22×H
22×D
2)/(S
21×C
2×H
21)≦2.5%を満たし、
H
21μmは、前記負極シートの厚さを示し、H
22μmは前記第2の細孔の深さを示し、S
21m
2は前記負極シートの面積を示し、S
22m
2は前記複数の第2の細孔の合計面積を示し、C
2g/ccは前記負極シートの圧密度を示し、D
2μmは、前記負極活性材料の体積平均粒径Dv50を示す電極アセンブリ。
【請求項2】
0.05%≦(S
12×H
12×D
1)/(S
11×C
1×H
11)≦0.5%
である請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項3】
0.2%≦(S
22×H
22×D
2)/(S
21×C
2×H
21)≦2.0%
である請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項4】
0<S
12/S
11≦2%であり
、及び/又は、
30%≦H
12/H
11≦100%であり
、及び/又は、
C
1が2.0~3.0であり
、及び/又は、
D
1が0.5~1.5
である請求項1又は2に記載の電極アセンブリ。
【請求項5】
0<S
22/S
21≦0.2%であり
、及び/又は、
30%≦H
22/H
21≦100%であり
、及び/又は、
C
2が1.2~2.0であり
、及び/又は、
D
2が12~20
である請求項1又は3に記載の電極アセンブリ。
【請求項6】
前記電極アセンブリは、0.1≦A/B≦1.0
を満たし、Aは(S
12×H
12×D
1)/(S
11×C
1×H
11)を示し、Bは(S
22×H
22×D
2)/(S
21×C
2×H
21)を示す請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の電極アセンブリ。
【請求項7】
前記電極アセンブリは、S
3/S
22≧5%
を満たし、S
3m
2は、前記複数の第1の細孔と前記複数の第2の細孔との重なり面積を示す請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の細孔は、以下の条件(1)~(4)のうちの少なくとも一つを満たす請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の電極アセンブリ。
(1)各第1の細孔の形態は、規則的な形状又は不規則な形状であ
る。
(2)各第1の細孔の等価直径は、1μm~200μm
である。
(3)隣接する前記第1の細孔の中心間距離は、1mm~10mmである。
(4)前記複数の第1の細孔は、アレイ状に分布する。
【請求項9】
前記第2の細孔は、以下の条件(1)~(4)のうちの少なくとも一つを満たす請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の電極アセンブリ。
(1)各第2の細孔の形態は、規則的な形状又は不規則な形状であ
る。
(2)各第2の細孔の等価直径は、1μm~200μm
である。
(3)隣接する前記第2の細孔の中心間距離は、1mm~10mmである。
(4)前記複数の第2の細孔は、アレイ状に分布する。
【請求項10】
前記正極膜層は、水性接着剤、導電剤のうちの1種類又は複数種類をさらに含
む
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項11】
前記水性接着剤は、キサンタンガムとポリエチレンイミンとの複合混合物を含
む請求項10に記載の電極アセンブリ。
【請求項12】
前記水性接着剤は、アクリロニトリル-アクリル酸コポリマーとポリエチレンイミンとの複合混合物を含
む請求項10に記載の電極アセンブリ。
【請求項13】
電解質と、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の電極アセンブリとを含む二次電池。
【請求項14】
請求項13に記載の二次電池を含む電池モジュール。
【請求項15】
請求項13に記載の二次電池、請求項14に記載の電池モジュールのうちの一つを含む電池パック。
【請求項16】
請求項13に記載の二次電池、請求項14に記載の電池モジュール、請求項15に記載の電池パックのうちの少なくとも一つを含む電力消費装置。
【国際調査報告】