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特表2024-533557電気光学変調器、その製造方法、および光通信システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電気光学変調器、その製造方法、および光通信システム
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/065 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G02F1/065
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516793
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 CN2022107354
(87)【国際公開番号】W WO2023040463
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】202111112398.4
(32)【優先日】2021-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,シーヤーン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ジャンシー
(72)【発明者】
【氏名】イン,シアーン
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102CA20
2K102CA28
2K102DA04
2K102DB04
2K102DD01
2K102EA02
2K102EA12
2K102EB22
(57)【要約】
電気光学変調器、その製造方法、および、光通信システムが提供される。電気光学変調器は、基板、および、基板の一方側に配置された誘電体層を含む。有機導波路、および、有機導波路の2つの側における電極が、誘電体層内に配置されている。有機導波路の屈折率は、誘電体層の屈折率よりも大きい。有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である。誘電体導波路は、有機導波路内に配置されている。誘電体導波路および有機導波路は、複合導波路を形成している。誘電体導波路の屈折率は、有機導波路の屈折率よりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学変調器であって
基板と、
前記基板の一方側に配置された誘電体層であり、
前記誘電体層において、有機導波路、および、前記有機導波路の2つの側における電極が配置されており、
前記有機導波路の屈折率は、前記誘電体層の屈折率よりも大きく、かつ、
前記有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である、
誘電体層と、
を含む、電気光学変調器。
【請求項2】
前記有機導波路内に誘電体導波路が配置されており、
前記誘電体導波路および前記有機導波路は、複合導波路を形成し、かつ、
前記誘電体導波路の屈折率は、前記有機導波路の屈折率よりも大きい、
請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項3】
前記誘電体導波路の材料は、窒化ケイ素、水素化アモルファスシリコン、二酸化チタンのうちの1つである、
請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項4】
前記誘電体導波路は、50ナノメートルから300ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項2または3に記載の電気光学変調器。
【請求項5】
前記電気光学変調器は、さらに、
前記誘電体層内の伝送導波路であり、
前記伝送導波路の屈折率は、前記誘電体層の屈折率よりも大きく、かつ、
前記伝送導波路は、前記複合導波路の入力端及び/又は出力端に接続されている、
請求項2乃至4いずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項6】
前記伝送導波路の材料は、前記誘電体導波路の材料と一致しており、
前記伝送導波路は、前記誘電体導波路に接続されており、かつ、
前記伝送導波路の幅は、前記誘電体導波路の幅よりも大きい、
請求項5に記載の電気光学変調器。
【請求項7】
前記伝送導波路は、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項5または6に記載の電気光学変調器。
【請求項8】
前記電気光学変調器は、さらに、結合構造体を含み、
前記結合構造体は、前記伝送導波路および前記複合導波路に接続されている、
請求項5乃至7いずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項9】
前記結合構造体は、前記有機導波路内に配置されており、かつ、前記誘電体導波路および前記伝送導波路に接続されており、
前記結合構造体の幅は、前記誘電体導波路に接続された端部から前記伝送導波路に接続された端部まで徐々に増加している、
請求項8に記載の電気光学変調器。
【請求項10】
前記結合構造体の材料は、前記誘電体導波路の材料と一致している、
請求項9に記載の電気光学変調器。
【請求項11】
前記結合構造体は、5マイクロメートルから100マイクロメートルまでの長さ範囲を有している、
請求項9または10に記載の電気光学変調器。
【請求項12】
前記電気光学変調器は、さらに、
出力端が2つの複合導波路の入力端に接続されている、第1光スプリッタと、
入力端が前記2つの複合導波路の出力端に接続されている、第2光スプリッタと、を含み、
前記第1光スプリッタおよび前記第2光スプリッタは、前記誘電体層内に配置されており、
前記第1光スプリッタの屈折率および前記第2光スプリッタの屈折率は、前記誘電体層の屈折率よりも大きい、
請求項2乃至11いずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項13】
前記第1光スプリッタの材料および前記第2光スプリッタの材料は、前記誘電体導波路の前記材料と一致しており、かつ、
前記第1光スプリッタの前記出力端の幅および前記第2光スプリッタの前記入力端の幅は、前記誘電体導波路の前記幅よりも大きい、
請求項12に記載の電気光学変調器。
【請求項14】
前記有機導波路は、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの幅範囲、および、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項1乃至13いずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項15】
前記有機導波路の前記2つの側における前記電極間の間隔は、2マイクロメートルから6マイクロメートルまでである、
請求項1乃至14いずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項16】
電気光学変調器の製造方法であって
基板を提供するステップと、
前記基板上に誘電体層を形成するステップと、
電極孔を獲得するために前記誘電体層をエッチングし、かつ、前記電極孔内に電極を形成するステップと、
導波路ウィンドウを獲得するために前記誘電体層をエッチングし、かつ、有機導波路を形成するために前記導波路ウィンドウを有機材料で充填するステップであり、
前記電極孔は、前記導波路ウィンドウの2つの側に配置されており、
前記有機導波路の屈折率は、前記誘電体層の屈折率より大きく、かつ、
前記有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である、
ステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記有機導波路内に誘電体導波路が配置されており、
前記誘電体導波路および前記有機導波路は、複合導波路を形成し、
前記誘電体層は、第1誘電体層および第2誘電体層を含み、かつ、
前記基板上に誘電体層を形成する前記ステップは、
前記基板上に前記第1誘電体層を形成するステップと、
前記第1誘電体層上に誘電体材料層を形成するステップと、
前記誘電体導波路を獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップであり、前記誘電体導波路の屈折率は、前記有機導波路の屈折率よりも大きく、かつ、前記導波路ウィンドウは、前記誘電体導波路の上面および側壁を露出させる、ステップと、
前記第1誘電体層上に、前記誘電体導波路をカバーする前記第2誘電体層を形成するステップと、を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記誘電体導波路の材料は、窒化ケイ素、水素化アモルファスシリコン、二酸化チタンのうちの1つである、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記誘電体導波路は、50ナノメートルから300ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、さらに、
伝送導波路を獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップであり、
前記伝送導波路は、前記複合導波路の入力端及び/又は出力端に接続されており、かつ、
前記伝送導波路の幅は、前記誘電体導波路の幅よりも大きい、
ステップ、を含む、
請求項17乃至19いずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記伝送導波路は、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、さらに、
結合構造体を獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップであり、
前記結合構造体は、前記伝送導波路および前記誘電体導波路に接続されており、
前記結合構造体の幅は、前記誘電体導波路に接続された端部から前記伝送導波路に接続された端部まで徐々に増加しており、かつ、
前記導波路ウィンドウは、前記結合構造体の上面および側壁を露出させる、
ステップ、を含む、
請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記結合構造体は、5マイクロメートルから100マイクロメートルまでの長さ範囲を有している、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、さらに、
第1光スプリッタおよび第2光スプリッタを獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップであり、
前記第1光スプリッタの出力端は、2つの誘電体導波路の入力端に接続されており、
前記第2光スプリッタの入力端は、前記2つの誘電体導波路の出力端に接続されており、
前記第1光スプリッタの前記出力端の幅および前記第2光スプリッタの前記入力端の幅は、前記誘電体導波路の幅よりも大きい、
ステップ、を含む、
請求項17乃至23いずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記有機導波路は、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの幅範囲、および、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項16乃至24いずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記有機導波路の前記2つの側における前記電極間の間隔は、2マイクロメートルから6マイクロメートルまでである、
請求項16乃至25いずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
光通信システムであって、
レーザ、光検出器、および、請求項1乃至15いずれか一項に記載の電気光学変調器を備え、
前記電気光学変調器は、前記レーザと前記光検出器との間に配置されており、
前記レーザは、光信号を送信するように構成されており、
前記電気光学変調器は、前記光信号に対して電気光学変調を実行するように構成されており、かつ、
前記光検出器は、前記電気光学変調を通じて獲得された光信号を検出するように構成されている、
光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、光通信技術の分野に関する。そして、特には、電気光学変調器、その製造方法、および光通信システムに関する。
本出願は、2021年9月18日に中国国家知識産権局に提出された「ELECTRO-OPTIC MODULATOR, MANUFACTURING METHOD THEREOF,AND OPTICAL COMMUNICATION SYSTEM」というタイトルの中国特許出願第202111112398.4号について優先権を主張するものであり、参照により、その全体が本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
モノのインターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、5G、等といった新たなサービスの継続的な出現および普及に伴い、データ伝送の総量は急激に増加している。その結果、既存の光通信システムは、大きな負荷に直面している。伝送システムの帯域幅および効率を、どのようにして継続的に改善するかが、光通信技術開発の焦点である。
【0003】
電気光学(electro-optic)変調器は、光集積回路(photonic integrated circuit、PIC)または電子光集積回路(electronic-photonic integrated circuit、EPIC)における主要デバイスの1つであり、導波路(waveguide)内を伝送される光に対して電気信号をロードする、すなわち、光の位相(phase)または強度(intensity)を変調するように機能する。光通信システムにおける主要デバイスとして、電気光学変調器は、また、光通信システムの帯域幅を決定する重要な要因でもある。電気光学変調器に対する要件は、高い変調帯域幅、低い変調電圧、小さい挿入損失、良好な線形性、小さい消費電力、小さいサイズ、などである。加えて、電気光学変調器は、容易に集積化されることが要求される。
【0004】
しかしながら、現在の電気光学変調器は、変調効率が低く、かつ、プロセスが複雑であり、そして、容易に集積することができない。その結果、電気光学変調器の使用シナリオが制限されている。
【発明の概要】
【0005】
この観点で、本願は、高性能であり、かつ、広く適用可能なデバイスを獲得するための、電気光学変調器、その製造方法、および光通信システムを提供する。
【0006】
上記の技術的問題を解決するために、以下の技術的ソリューションが本出願において使用される。
【0007】
本出願の第1態様は、基板と、基板の一方側に配置された誘電体層とを含む、電気光学変調器を提供する。有機導波路、および、有機導波路の2つの側における電極が誘電体層に配置されており、有機導波路の屈折率は、誘電体層の屈折率より大きく、有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である。一般的に、有機導波路の材料は、CMOSプロセスと互換性がない。従って、電極は、有機導波路の2つの側に配置されてよく、そして、有機導波路は、誘電体層内に配置されてよい。このようにして、有機導波路は、別のCMOSプロセスが完了した後に形成されてよい。従って、有機導波路は、他のCMOSプロセスと互換性があると考えられ得る。このことは、チップ集積化を容易にし、そして、より広い範囲に適用することができる。加えて、有機導波路は、広い動作波長範囲、高い線形電気光学効果、および高い変調効率を有している。すなわち、電気光学変調器は、高い電気光学変調効率を有し、集積化に役立ち、そして、より高い性能及びより広い適用範囲を有している。
【0008】
いくつかの可能な実装において、誘電体導波路は、有機導波路内に配置されており、誘電体導波路および有機導波路が、複合導波路を形成し、そして、誘電体導波路の屈折率は、有機導波路の屈折率よりも大きい。
【0009】
本出願のこの実施形態において、誘電体導波路は、有機導波路内に配置されており、誘電体導波路は、より良好にCMOSプロセスと互換性がある。加えて、誘電体導波路は、光モードを制限することができ、その結果、複合導波路は、より強いライトフィールド制限能力を有している。このことは、デバイス性能を改善するのに役立つ。
【0010】
いくつかの可能な実装において、誘電体導波路の材料は、窒化ケイ素、水素化アモルファスシリコン、二酸化チタンのうちの1つである。
【0011】
本出願のこの実施形態において、誘電体導波路の材料は、良好な光透過性を有し、かつ、その屈折率が有機導波路の屈折率よりも大きい材料であってよい。このことは、デバイス性能を改善するのに役立つ。
【0012】
いくつかの可能な実装において、誘電体導波路は、50ナノメートルから300ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまで高さ範囲を有している。
【0013】
本出願のこの実施形態において、誘電体導波路は、光モードを制限するためにサイズが小さくてよく、そして、誘電体導波路内の光モードを制限するには不十分であり、その結果、光信号は、誘電体導波路および有機導波路内を伝送される。このことは、複合導波路の変調効率を改善するのに役立つ。
【0014】
いくつかの可能な実装において、電気光学変調器は、さらに、前記誘電体層における伝送導波路を含み、ここで、前記伝送導波路の屈折率は、前記誘電体層の屈折率よりも大きく、そして、前記伝送導波路は、前記複合導波路の入力端及び/又は出力端に接続されている。
【0015】
本出願のこの実施形態において、電気光学変調器は、さらに、光信号を複合導波路に送信し、かつ、複合導波路内の信号を別の構成要素に送信するように構成された、送信導波路を含み得る。このことは、装置のパーソナライズされた設計を容易にする。
【0016】
いくつかの可能な実装において、伝送導波路の材料は、誘電体導波路の材料と一致し、伝送導波路は、誘電体導波路に接続されており、そして、伝送導波路の幅は、誘電体導波路の幅よりも大きい。
【0017】
本出願のこの実施形態において、伝送導波路の材料は、誘電体導波路の材料と一致してよく、伝送導波路は、誘電体導波路に接続されてよく、そして、伝送導波路および誘電体導波路は、同じプロセスを使用することによって形成されてよい。加えて、同一材料間の結合効率は、高い。
【0018】
いくつかの可能な実装において、伝送導波路は、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している。
【0019】
本出願のこの実施形態において、伝送導波路は、独立した導波路として使用されてよく、そして、伝送導波路の幅は、誘電体導波路の幅よりも大きい。このことは、光信号の伝送を容易にする。
【0020】
いくつかの可能な実装において、電気光学変調器は、さらに、結合構造体を含み、ここで、結合構造体は、前記伝送導波路および前記複合導波路に接続されている。
【0021】
本出願のこの実施形態において、電気光学変調器は、さらに、伝送導波路、および、複合導波路に接続されるように構成された結合構造体を含み、伝送導波路と複合導波路との間の結合の効率を改善する。
【0022】
いくつかの可能な実装において、結合構造体は、有機導波路内に配置されており、かつ、誘電体導波路および伝送導波路に接続されており、そして、結合構造体の幅は、誘電体導波路に接続された端部から伝送導波路に接続された端部まで徐々に増加している。
【0023】
本出願のこの実施形態において、結合構造体は、有機導波路内に位置してよく、そして、誘電体導波路および伝送導波路に接続されてよい。加えて、結合構造体の幅は、誘電体導波路から伝送導波路まで徐々に増加しており、その結果、伝送導波路と複合導波路との間の高い結合効率が実現され得る。
【0024】
いくつかの可能な実装において、結合構造体の材料は、誘電体導波路の材料と一致している。
【0025】
本出願のこの実施形態において、結合構造体の材料が誘電体導波路の材料と一致している場合に、結合構造体および誘電体導波路は、同じプロセスを使用することによって形成することができ、そして、同じ材料間の光結合の効率が高い。
【0026】
いくつかの可能な実装において、結合構造体は、5マイクロメートルから100マイクロメートルまでの長さ範囲を有している。
【0027】
いくつかの可能な実装において、結合構造体は、過度に短い結合構造体によって引き起こされる導波路性能の急激な変化によって引き起こされる、低い結合効率の問題を回避するために、かつ、過度に長い結合構造体によって引き起こされる過度に大きいデバイス構造の問題を回避するために、適切な長さを有する必要がある。
【0028】
いくつかの可能な実装において、電気光学変調器は、出力端が2つの複合導波路の入力端に接続された第1光スプリッタ、および、入力端が前記2つの複合導波路の出力端に接続された第2光スプリッタを備える。ここで、前記第1光スプリッタおよび前記第2光スプリッタは、前記誘電体層内に配置されており、そして、前記第1光スプリッタの屈折率および前記第2光スプリッタの屈折率は、前記誘電体層の屈折率よりも大きい。
【0029】
本出願のこの実施形態において、さらに、電気光学変調器は、第1光スプリッタおよび第2光スプリッタを含み得る。第1光スプリッタ、第2光スプリッタ、および、2つの複合導波路は、MZ干渉計を形成し得る。その結果、MZ干渉計は、高い変調効率を有している。
【0030】
いくつかの可能な実装において、第1光スプリッタの材料および第2光スプリッタの材料は、誘電体導波路の材料と一致しており、そして、第1光スプリッタの出力端の幅および第2光スプリッタの入力端の幅は、誘電体導波路の幅よりも大きい。
【0031】
本出願のこの実施形態において、第1光スプリッタおよび第2光スプリッタは、誘電体層内に配置されてよく、そして、第1光スプリッタの材料および第2光スプリッタの材料は、誘電体導波路の材料と一致してよい。このようにして、第1光スプリッタ、第2光スプリッタ、および誘電体導波路は、同じプロセスを使用することによって形成されてよく、そして、同じ材料間の結合の効率は、高い。
【0032】
いくつかの可能な実装において、有機導波路は、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの幅範囲、および、500ナノメートルから2000ナノメートルまで高さ範囲を有している。
【0033】
本出願のこの実施形態において、有機導波路の幅および高さは、誘電体導波路の幅および高さよりも大きい。このようにして、有機導波路は、誘電体導波路を完全に取り囲んでいる。誘電体導波路が誘電体導波路内の光モードを制限するのに不十分である場合に、光信号は、有機導波路内に拡散され、そして、有機導波路および誘電体導波路は、光信号を伝送するために複合導波路を共同で形成する。
【0034】
いくつかの可能な実装において、電極の材料は、アルミニウム、銅、および、タングステンのうちの少なくとも1つである。
【0035】
本出願のこの実施形態において、電極の材料は、良好な電気伝導性を有する材料であってよい。このことは、デバイス性能を改善するのに役立つ。
【0036】
いくつかの可能な実装において、有機導波路の2つの側の電極間の間隔は、2マイクロメートルから6マイクロメートルまでである。
【0037】
本出願のこの実施形態において、複合導波路は、良好な変調効率を有している。このことは、有機導波路の両側の電極の間隔を広げるのに役立ち、電極による光吸収を低減し、そして、電極の挿入損失を低減している。
【0038】
いくつかの可能な実装において、誘電体層の材料は酸化ケイ素である。
【0039】
本出願のこの実施形態において、誘電体層の材料は、酸化ケイ素であってよく、誘電体層の屈折率は、誘電体導波路の屈折率よりも小さく、かつ、また、有機導波路の屈折率よりも小さく、そして、誘電体導波路および有機導波路を保護することができる。
【0040】
いくつかの可能な実装において、電気光学変調器は、さらに、前記有機導波路をカバーしている封止層を含む。
【0041】
本出願のこの実施形態において、電気光学変調器は、さらに、有機導波路をカバーしている封止層を含み得る。封止層は、有機導波路を保護することができ、そして、また、有機導波路が硬化する前に有機材料が漏れるのを防止することもできる。
【0042】
本発明の第2態様は、電気光学変調器の製造方法を提供する。本方法は、
基板を提供するステップと、
前記基板上に誘電体層を形成するステップと、
電極孔を獲得するために前記誘電体層をエッチングし、かつ、前記電極孔内に電極を形成するステップと、
導波路ウィンドウを獲得するために前記誘電体層をエッチングし、かつ、有機導波路を形成するために前記導波路ウィンドウを有機材料で充填するステップであり、ここで、前記電極孔は、前記導波路ウィンドウの2つの側に配置されており、前記有機導波路の屈折率は、前記誘電体層の屈折率より大きく、かつ、前記有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である、ステップと、
を含む。
【0043】
いくつかの可能な実装において、前記有機導波路内に誘電体導波路が配置されており、前記誘電体導波路および前記有機導波路は、複合導波路を形成し、前記誘電体層は、第1誘電体層および第2誘電体層を含み、かつ、前記基板上に誘電体層を形成する前記ステップは、
前記基板上に前記第1誘電体層を形成するステップと、
前記第1誘電体層上に誘電体材料層を形成するステップと、
前記誘電体導波路を獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップであり、前記誘電体導波路の屈折率は、前記有機導波路の屈折率よりも大きく、かつ、前記導波路ウィンドウは、前記誘電体導波路の上面および側壁を露出させる、ステップと、
前記第1誘電体層上に、前記誘電体導波路をカバーする前記第2誘電体層を形成するステップと、
を含む。
【0044】
いくつかの可能な実装において、誘電体導波路の材料は、窒化ケイ素、水素化アモルファスシリコン、および、二酸化チタンのうちの1つである。
【0045】
いくつかの可能な実装において、誘電体導波路は、50ナノメートルから300ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している。
【0046】
いくつかの可能な実装において、本方法は、さらに、
伝送導波路を獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップであり、ここで、前記伝送導波路は、前記複合導波路の入力端及び/又は出力端に接続されており、かつ、前記伝送導波路の幅は、前記誘電体導波路の幅よりも大きい、ステップ、
を含む。
【0047】
いくつかの可能な実装において、伝送導波路は、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している。
【0048】
いくつかの可能な実装において、本方法は、さらに、
結合構造体を獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップを含み、ここで、前記結合構造体は、前記伝送導波路および前記誘電体導波路に接続されており、前記結合構造体の幅は、前記誘電体導波路に接続された端部から前記伝送導波路に接続された端部まで徐々に増加しており、かつ、前記導波路ウィンドウは、前記結合構造体の上面および側壁を露出させる。
【0049】
いくつかの可能な実装において、結合構造体は、5マイクロメートルから100マイクロメートルまでの長さ範囲を有している。
【0050】
いくつかの可能な実装において、本方法は、さらに、
第1光スプリッタおよび第2光スプリッタを獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップを含み、ここで、前記第1光スプリッタの出力端は、2つの誘電体導波路の入力端に接続されており、前記第2光スプリッタの入力端は、前記2つの誘電体導波路の出力端に接続されており、前記第1光スプリッタの前記出力端の幅および前記第2光スプリッタの前記入力端の幅は、前記誘電体導波路の幅よりも大きい。
【0051】
いくつかの可能な実装において、有機導波路は、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの幅範囲、および、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの高さ範囲を有している。
【0052】
いくつかの可能な実装において、電極の材料は、アルミニウム、銅、および、タングステンのうちの少なくとも1つである。
【0053】
いくつかの可能な実装において、有機導波路の2つの側の電極間の間隔は、2マイクロメートルから6マイクロメートルまでである。
【0054】
いくつかの可能な実装において、誘電体層の材料は、酸化ケイ素である。
【0055】
いくつかの可能な実装において、導波路ウィンドウを有機材料で充填するステップの後に、本方法は、さらに、
前記有機材料上に封止層を形成するステップと、
前記有機導波路を獲得するために前記有機材料を分極させるステップと、
を含む。
【0056】
本出願の第3態様は、レーザ、光検出器、および、本出願の第3態様において提供される電気光学変調器を含んでいる、光通信システムを提供する。本電気光学変調器は、レーザと光検出器との間に配置されており、レーザは、光信号を送信するように構成されており、電気光学変調器は、光信号に対して電気光学変調を実行するように構成されており、そして、光検出器は、電気光学変調を通じて獲得された光信号を検出するように構成されている。
【0057】
本出願の実施形態が以下の利点を有することが、前述の技術的ソリューションから分かる。
【0058】
本出願の実施形態は、電気光学変調器、その製造方法、および、光通信システムを提供する。本電気光学変調器は、基板、および、基板の一方側に配置された誘電体層を含んでいる。有機導波路、および、有機導波路の2つの側における電極が誘電体層に配置されており、有機導波路の屈折率は、誘電体層の屈折率より大きく、そして、有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である。一般的に、有機導波路の材料は、CMOSプロセスと互換性がない。従って、電極は、有機導波路の2つの側に配置されてよく、そして、有機導波路は、誘電体層内に配置されてもよい。このようにして、有機導波路は、別のCMOSプロセスが完了した後で、形成されてよい。従って、有機導波路は、他のCMOSプロセスと互換性があると考えられ得る。このことは、チップ集積化を容易にし、そして、より広い範囲に適用することができる。加えて、有機導波路は、広い動作波長範囲、高い線形電気光学効果、および、高い変調効率を有している。すなわち、電気光学変調器は、高い電気光学変調効率を有し、集積化に役立ち、そして、より高い性能及びより広い適用範囲を有している。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本出願の具体的な実装を明確に理解するために、以下では、本出願の具体的な実装を説明するために使用される添付の図面を簡単に説明する。添付の図面は、単に本出願のいくつかの実施形態を示すに過ぎないことが明らかである。
図1図1は、本出願の実施形態に従った、電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図2図2は、電気光学変調器のAA方向における断面図である。
図3図3は、本出願の実施形態に従った、別の電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図4図4は、図3に示す電気光学変調器のAA方向における断面図である。
図5図5は、本出願の実施形態に従った、さらに別の電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図6図6は、本出願の実施形態に従った、さらに別の電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図7図7は、本発明の実施例に従った、1Vの電圧が電極に印加された後の電界分布を示す図である。
図8図8は、本出願の実施形態に従った、複合光導体(composite lightguide)のシミュレーション検証の概略図である。
図9図9は、本出願の実施形態に従った、さらに別の電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図10図10は、本出願の実施形態に従った、結合領域におけるライトフィールド(light field)分布に係る概略図である。
図11図11は、本出願の実施形態に従った、さらに別の電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図12図12は、本出願の実施形態に従った、電気光学変調器の製造方法に係るフローチャートである。
図13図13は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図14図14は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図15図15は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図16図16は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図17図17は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図18図18は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図19図19は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図20図20は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図21図21は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図22図22は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図23図23は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図24図24は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本出願の実施形態は、高性能であり、かつ、広く適用可能なデバイスを獲得するために、電気光学変調器、その製造方法、および光通信システムを提供する。
【0061】
本出願の明細書、特許請求の範囲、および添付の図面において、「第1(“first”)」、「第2(“second”)」、「第3(“third”)」、「第4(“fourth”)」、などの用語(存在する場合)は、類似の物体を区別することを意図しているが、必ずしも特定の順序またはシーケンスを示すものではない。そのように呼ばれるデータは、本明細書に記載される実施形態が、本明細書で例示または説明される順序以外の順序で実施され得るように、適切な状況において交換可能であることが理解されるべきである。加えて、「含む(“include”)」および「含有する(“contain”)」という用語、並びに、任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意味している。例えば、一連のステップまたはユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、またはデバイスは、必ずしも、明示的に列挙されたステップまたはユニットに限定されえるものではなく、明示的に列挙されていない、もしくは、そうしたプロセス、方法、製品、またはデバイスに固有ではない、他のステップまたはユニットを含み得る。
【0062】
本出願は、概略図を参照して詳細に説明されている。本出願の実施形態が詳細に説明されるときには、説明を容易にするために、デバイス構造の断面図は、一般的な比率に従うのではなく、部分的に拡大されており、そして、概略図は単なる一つの例に過ぎず、そして、本出願の保護範囲を限定するべきではない。加えて、実際の生産においては、3次元空間の長さ、幅、深さが含まれるべきである。
【0063】
現在、光通信システムにおける重要なデバイスとして、電気光学変調器が広く注目されている。具体的に、電気光学変調器は、電界内に誘電体材料を含んでいる。誘電体材料は導波路として用いられ、そして、誘電体材料の屈折率は、電界の作用(action)の下で変化する。従って、誘電体を通過する光の位相が変化し、そして、導波路内で伝送される光に電気信号が載せられる。電気光学変調器は、シリコンの自由キャリア分散(free-carrier dispersion、FCD)効果に基づいて実装されてよく、または、線形電気光学効果(linear electro-optic effect or Pockels effect)に基づいて実装されてもよい。
【0064】
具体的に、シリコン光集積回路(silicon PIC)において、光変調は、一般的に、シリコンのFCDを使用することによって実施される。しかしながら、キャリア分散効果(carrier dispersion effect)はシリコンの屈折率および光吸収係数を変化させるので、シリコン材料の結晶構造は、中心反転対称性(center inversion symmetry)を有し、二次(second-order)非線形現象を発生させることができず、そして、線形電気光学効果を有していない。従って、シリコン材料のFCD効果のみを利用することができる。FCD効果は、シリコン導波路内のキャリア分布濃度を変化させ、シリコンの屈折率を変化させる。このようにして、光信号の位相が変化され、そして、電気信号が光信号へと変換される。しかしながら、シリコン材料内のキャリア移動速度は、変調帯域幅を制限し、そして、シリコン変調器(silicon modulator)の理論的な最大変調帯域幅は、概ね60GHzに過ぎない。加えて、キャリア濃度を変化させることは、シリコンの屈折率を変化させ、かつ、光吸収も、また、変化する。このことは、変調された光信号の低い消光比(extinction ratio)を生じさせる。加えて、FCD効果は非線形プロセスなので、変調の線形性は低く、そして、線形電気光学効果に基づく別の電気光学変調器の線形性よりもはるかに低い。加えて、シリコンが透過する帯域は、変調器の動作波長を制限し、その結果、変調器の動作波長は、1.1マイクロメートルよりも大きい帯域上にあり、そして、範囲は小さい。
【0065】
線形電気光学効果は、高帯域幅の電気光学変調を実施するのに非常に好適な物理的メカニズムとして広く考えられている。本効果の動作原理は、結晶の屈折率が外部電界に起因して変化し、そして、変化量が電界強度に正比例するというものである。線形電気光学効果に基づく高効率で高速な集積型電気光学変調器が、近年、広く注目されている。電気光学ポリマー(electro-optic polymer、EO polymer)材料は、非常に高い線形電気光学効果を有しており、材料のポッケルス係数(Pockels coefficient)は、一般的に、無機電気光学結晶(例えば、ニオブ酸リチウム、など)のポッケルス係数よりもはるかに大きい。従って、電気光学ポリマー材料を使用することによって、高性能かつ超小型サイズを有する有機材料電気光学変調器(シリコン有機ハイブリッド変調器(silicon-organic hybrid modulator、SOH)、または、シリコンポリマーハイブリッド変調器(silicon-polymer hybrid modulator、SPH))を製造され得る。しかしながら、EOポリマー材料は、相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide-semiconductor、CMOS)プロセスと互換性のある材料ではない。これらの材料がウェハ上にデポジットされた後で、材料は、従来のウェハダイシングプラットフォームにおいてダイシングされることができない。その結果、電気光学ポリマー材料に基づく変調器は、別のシリコンフォトニックデバイスと統合することが困難であり、そして、別のフォトニック層と統合することができず、すなわち、多層フォトニクス統合(multilayer photonics integration)を実施することができない。スケーラビリティは乏しい。その結果、電気光学変調器の使用シナリオが、制限されている。
【0066】
上記の技術的問題に基づいて、本出願の実施形態は、電気光学変調器、その製造方法、および光通信システムを提供する。電気光学変調器は、基板、および、基板の一方側に配置された誘電体層を含んでいる。有機導波路および有機導波路の両側の電極は、誘電体層に配置されており、有機導波路の屈折率は、誘電体層の屈折率より大きく、そして、有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である。一般的に、有機導波路の材料は、CMOSプロセスと互換性がない。従って、電極は、有機導波路の2つの側に配置され、そして、有機導波路は、誘電体層内に配置され得る。このようにして、有機導波路は、別のCMOSプロセスが完了した後で形成され得る。従って、有機導波路は、他のCMOSプロセスと互換性があると考えられる。このことは、チップ集積化を容易にし、そして、より広い範囲に適用することができる。加えて、有機導波路は、広い動作波長範囲、高い線形電気光学効果、および、高い変調効率を有している。すなわち、電気光学変調器は、高い電気光学変調効率を有しており、集積化に役立ち、そして、より高い性能及びより広い適用範囲を有している。
【0067】
本出願の目的、特徴、および利点をより明らかにし、かつ、理解可能にするために、以下は、添付の図面を参照して、本出願の特定の実装について詳細に説明している。
【0068】
図1から図6までは、本発明の実施形態に従った、電気光学変調器の構造に係る概略図である。図2は、図1に示される電気光学変調器のAA方向における断面図である。図4は、図3に示される電気光学変調器のAA方向における断面図である。電気光学変調器は、基板110、および、基板110の一方側に配置された誘電体層120を含み得る。有機導波路132、および、有機導波路132の2つの側の電極134は、誘電体層120内に配置されている。
【0069】
本出願のこの実施形態において、基板110は、絶縁体基板であってよく、または、半導体基板であってよく、例えば、酸化シリコン基板、シリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコン-ゲルマニウム基板、シリコンオンインシュレータ(silicon-on-insulator、SOI)基板、ゲルマニウムオンインシュレータ(Germanium-On-Insulator、GOI)基板、などであってもよい。基板110は、デバイスのための特定の支持体(support)を提供し得る。少なくとも1つのフォトニック層(図示なし)が、基板110の一方側に配置されてよい。フォトニック層は、特別な電子フォトニック機能を実装するように構成されており、そして、誘電体層120は、複数の種類の機能層の統合を実装するために、フォトニック層であり、かつ、基板110から離れた一方側に配置され得る。説明を容易にするために、基板110上に別の膜層が配置される側の表面は、上面として使用されてよく、別の膜層は、例えば、誘電体層120、フォトニック層、などであり、そして、基板110は、基板110上の別の膜層の支持構造体として使用されている。
【0070】
誘電体層120は、基板110の一方側に配置され、そして、有機導波路132は、誘電体層120内に配置されている。有機導波路132は、延在方向(extension direction)を有しており、かつ、延在方向は、光信号の伝播方向である。図1および図3を参照する。有機導波路132の延在方向は、水平方向である。図2図4図5、および図6を参照する。有機導波路132の延在方向は、紙面に垂直な方向である。説明の便宜上、基板110の表面に平行な方向を水平方向とし、そして、基板110の表面に垂直な方向を長手方向とする。有機導波路132、誘電体導波路131、および結合構造体139といった構造体のもので、かつ、基板110の表面に垂直である、サイズは、「高さ(“height”)」または「厚さ(“thickness”)」として定義される。基板110の表面に平行であり、かつ、有機導波路132の延在方向に垂直である、サイズは、「幅(“width”)」として定義される。基板110の表面に平行であり、かつ、有機導波路132の延在方向に平行である、サイズは、「長さ(“length”)」として定義されている。
【0071】
具体的に、有機導波路132の屈折率が誘電体層120の屈折率よりも大きい場合に、有機導波路132は、導波路コア(waveguide core)として使用され、そして、誘電体層120は、導波路クラッド(waveguide cladding)として使用される。ライトフィールドは、全内部反射(total internal reflection)の原理を使用することによって、有機導波路132内に限定され得る。誘電体層120の材料は、酸化ケイ素であってよい。有機導波路132の材料は、電気光学効果を有する有機材料であり、そして、高い変調効率という特徴を有している。有機導波路132は、電界内で明らかな屈折率変化を生成することができ、そして、本変化は、光信号の伝送特性を変化させ、例えば、光信号の位相を変化させて、変調を実施し得る。有機導波路132の断面は、長方形または台形であり得る。有機導波路132は、500ナノメートルから2000ナノメートル(nm)までの高さ範囲、および、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの幅範囲を有しており、その結果、有機導波路132は、シングルモード状態になるように制御される。このことは、光信号の伝播および制御を容易にする。誘電体層120の厚さは、有機導波路132の高さよりも大きくてよく、または、有機導波路132の高さに等しくてよい。
【0072】
有機導波路132の2つの側における電極134は、さらに、誘電体層120内に配置されている。電極134の延在方向は、有機導波路132の延在方向と一致している。電圧が印加されると、電極134は、光信号の伝送方向に垂直な電界を提供して、有機導波路132の屈折率を変化させ、そして、有機導波路132内の光信号の特性を調整することができる。少なくとも2つの電極134が存在している。有機導波路132の異なる側に配置された電極134に対して異なる電位(potential)が印加されて、電界を発生する。図7は、本出願の実施形態に従った、1Vの電圧が電極に印加された後の電界分布に係る概略図である。図の横座標および縦座標は位置を示しており、そして、電極134によって生成される電界の方向は、有機導波路132の延在方向に対して垂直である。電極134は、良好な導電性を有しており、かつ、金属電極であってよい。具体的に、電極134の材料は、以下のうちの少なくとも1つであり得る。銅、アルミニウム、タングステン、等である。そして、例えば、アルミニウムであってよい。電極134の、かつ、基板110から離れた一方側の表面(上面)は、誘電体層120と同一平面であってよく、その結果、電極134の引き出し構造(lead-out structure)が都合よく配置されている。電極134の、かつ、基板110から離れた一方側の表面は、代替的に、誘電体層120の、かつ、基板110から離れた一方側の表面より低くてよく、かつ、露出されてよく、その結果、電極134の引き出し構造は、電極134の、かつ、基板110から離れた側に配置されている。確かに、相互接続構造は、さらに、電極134の、かつ、基板110から離れた側に配置されてよく、その結果、電極134が引き出し構造に接続されている。このことは、本明細書では示されず、かつ、例を使用することによって説明されない。
【0073】
一般的に、電極134は、光を吸収する金属(metal absorb light)からなる。従って、電極134と有機導波路132との間の距離は、あまりに短くすることはできない。そうでなければ、深刻な光損失が生じる。しかしながら、電極134間の距離があまりに長い場合には、同じ電圧下で電極134間の電界が弱くなる。このことは、変調効率に影響を及ぼす。従って、電極134と有機導波路132との間の水平距離は、光信号損失および変調効率に対する要件に基づいて決定され得る。有機導波路132の両側に配置された2つの電極134の間の距離は、有機導波路132の幅よりも大きく、そして、2つの電極134の距離範囲は、2マイクロメートルから6マイクロメートル(μm)である。電極134および有機導波路132は、直接的に接触していてよく、または、誘電体層120を使用することによって、分離されてもよい。本出願のこの実施形態においては、誘電体導波路のサイズ、有機導波路132のサイズ、および、電極134間の距離が最適化されており、その結果、電気光学変調器の変調効率および挿入損失が、最適化され得る。
【0074】
電極134は、有機導波路132の2つの側に配置されており、そして、電極134および有機導波路132は、両方が誘電体層120内に配置されている。従って、電気光学変調器に製造においては、誘電体層120および電極134が、最初に形成され、そして、次いで、有機導波路132が充填(filling)によって形成され得る。すなわち、有機導波路132は、最後の段階で形成されてよく、そして、製造プロセスは、シリコンドーピング、等といったプロセスが不要である。従って、プロセスは、CMOSバックエンドオブライン(back-end-of-line)プロセスと互換性があると考えられてよく、確かに、また、別のシリコンフォトニックデバイスまたはCMOSデバイスとも互換性があり、そして、多層フォトニクス集積(integration)に適している。すなわち、デバイス集積が、より良好なスケーラビリティを有しており、そして、本プロセスは、複数のフォトニック層を有する3次元電気光学集積回路(3D electro-optic integrated circuit with multiple ph0tonic layers)に対して好適である。シリコン導波路と比較して、有機導波路132は、より広い動作波長範囲を有し、赤外線帯域/近赤外線帯域に対して好適であり、そして、可視光帯域に適している。加えて、有機導波路132は、広い動作波長範囲および高い線形電気光学効果を有している。従って、変調効率が高い。このようにして、電気光学変調器は、高い電気光学変調効率を有し、集積化に役立ち、そして、より高い性能及びより広い適用範囲を有している。
【0075】
本出願のこの実施形態においては、有機材料を用いて充填すること(filling)、および、有機材料を分極させること(polarizing)を通して、有機導波路132が形成され得る。封止(sealing)層13が、さらに、有機導波路132の、かつ、基板110から離れた側に形成されてよい。図5および図6を参照する。封止層133は、有機導波路132をカバーしており、そして、有機導波路132を保護し、かつ、有機導波路132の形成プロセスにおける有機材料の漏出(leakage)を防止するように構成されている。封止層133の材料は、パラフィンであってよい。封止層133は、有機導波路132のみをカバーしてよく、または、有機導波路132および誘電体層120の両方をカバーしてもよい。
【0076】
本出願のこの実施形態においては、誘電体導波路(デポジットされた誘電体導波路)131が、さらに、有機導波路132内に配置され得る。図3図4、および図6を参照する。誘電体導波路131の屈折率は、有機導波路132の屈折率よりも大きい。別の言葉で言えば、本出願のこの実施形態における導波路は、誘電体導波路131および有機導波路132を含んでいる、複合導波路であってよい。誘電体導波路131は、光モードを制限し得る。従って、図1図2、および図5の有機導波路と比較して、複合導波路は、より強いライトフィールド制限能力を有しており、その結果、光モードフィールド面積がより小さくなり、電極134による光吸収が低減される。そして、このことは、光吸収強度を増加させることなく、電極134間のより短い距離を達成するのに役立つ。従って、同一電圧条件下で、このことは、水平電界強度を向上させ、電界とライトフィールドとのオーバーラップ効率を向上させ、そして、位相シフタの変調効率を向上させる。変調のために必要な光信号位相変化を実現し、そして、変調帯域幅に対する制限を低減するために、より短い変調領域長が設計され得る。加えて、このことは、移相器(phase shifter)の小型化に寄与する。誘電体導波路131は、可視光帯域において透明であってよく、その結果、電気光学変調器の動作波長は、赤外/近赤外から可視光に拡張してよい。誘電体導波路131は、小さいサイズを有し得る。そして、誘電体導波路131内の光モードを制限するには不十分である。しかしながら、有機導波路132の存在は、有機導波路132内の光モードを制限する。具体的に、誘電体導波路131の材料は、誘電体材料であってよく、例えば、以下のうちの1つであり得る。窒化ケイ素(SiN)、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)、二酸化チタン(TiO2)、等である。
【0077】
誘電体導波路131は、電気光学効果を有していなくてもよいことが留意されるべきである。従って、誘電体導波路131のサイズが大きいほど、光信号に対する変調効果がより不十分であることを示し、そして、誘電体導波路131のサイズが小さいほど、光モードに対する制限効果がより小さいことを示している。従って、誘電体導波路131のサイズは、変調効果および光モードに対する制限効果とのバランスをとるように適切に調整され得る。誘電体導波路131は、有機導波路132内に配置されており、そして、誘電体導波路131のサイズは、有機導波路132のサイズよりも小さい。誘電体導波路131は、50ナノメートルから300ナノメートルの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルの高さ範囲を有し得る。同じ有機導波路132内に配置された誘電体導波路131の幅は、均一な幅であってよく、または、不均一な幅であってもよい。すなわち、誘電体導波路131の異なる位置の幅は、一貫性があってよく、または、一貫性がなくてもよい。誘電体導波路131の幅が一貫していない場合に、最小幅は50ナノメートル以上であり、かつ、最大幅は300ナノメートル以下である。
【0078】
図8は、本出願の実施形態に従った、複合光ガイドのシミュレーション検証の概略図である。シミュレーション動作は、2次元有限要素法(finite element method、FEM)に基づいている。図の水平座標および垂直座標は位置を示しており、そして、異なる色は異なる光の明るさを表している。シミュレーション条件下で、中央の白い領域は、ライトフィールドが配置された領域である。図から、ライトフィールドは、有機導波路132内に大部分が分布し、誘電体導波路131内に少しの部分が分布しており、そして、ライトフィールドは、有機導波路132の周囲にほとんど漏れていないことが分かる。電気光学変調器の動作波長は1550ナノメートルであり、誘電体導波路131の材料はSiNであり、誘電体導波路131の屈折率は1.98であり、そして、誘電率は7.9である。EOポリマーの屈折率は1.70であり、誘電率は2.49であり、そして、ポッケルス係数は300 pm/Vである。誘電体層120の材料はSiO2であり、SiO2の屈折率は1.44であり、そして、誘電率は3.9である。封止層133の材料はパラフィンであり、パラフィンの屈折率は1.4であり、そして、誘電率は2.2である。かつ、電極134の材料はアルミニウムであり、そして、屈折率は1.44+16iである。SiN導波路コアが400ナノメートルの高さおよび200ナノメートルの幅を有しており、かつ、EOポリマーが1.5マイクロメートルの幅および1.5マイクロメートルの高さを有する場合に、複合導波路の有効屈折率は1.62であり、アルミニウム電極134間の間隔は4マイクロメートルであり、電気光学変調器の変調効率VπLは4.3V・mmであり、そして、金属電極によって引き起こされる導波路伝送損失(金属誘起損失)は0.3dB/cmである。VπLの値は、変調領域の長さLと、πの値を有する光位相変化が導波路内で実施されるときに電極134の2つの端部に印加される必要がある電圧Vπの値との積を意味している。従って、VπLの値が小さいほど、より高い変調効率を示している。
【0079】
本出願のこの実施形態において、有機導波路132が配置されている領域は、変調領域であり、ここで、電極134は、有機導波路132の2つの側に配置されている。別の導波路が、さらに、変調領域の外側に配置されてもよく、そして、光信号を変調することなく、光信号を伝送するように構成されている。すなわち、本出願のこの実施形態における電気光学変調器は、さらに、伝送導波路138を含み得る。図9は、本出願の実施形態に従った、電気光学変調器の構造に係る概略図である。AA方向における図9の断面図については、図4を参照のこと。伝送導波路138は、シングルモード導波路であってよい。伝送導波路138は、誘電体層120内に配置され得る。伝送導波路138の屈折率は、誘電体層120の屈折率よりも大きい。誘電体層120は、伝送導波路138のクラッド(cladding)として使用されている。伝送導波路138は、有機導波路132または複合導波路の入力端及び/又は出力端に接続され得る。誘電体導波路131が有機導波路132内に配置されていない場合に、伝送導波路138および有機導波路132は、相互に接続されてよく、異なる材料で作られてもよく、そして、異なる幅を有してもよい。確かに、幅が同じであるときに、結合効率は高い。
【0080】
製造を容易にするために、伝送導波路138の材料は、誘電体導波路131の材料と一致してよく、そして、伝送導波路138および誘電体導波路131は、同時に形成されてよく、かつ、同じ高さおよび異なる幅を有してもよい。この場合に、伝送導波路138は、誘電体導波路131に接続され得る。具体的に、伝送導波路138の幅は、誘電体導波路131の幅よりも大きくてよい。伝送導波路138の幅は、伝送プロセスにおける光損失を低減するために、有機導波路132の幅よりも小さくてもよい。例えば、伝送導波路138は、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲、および、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの幅範囲を有し得る。
【0081】
本出願のこの実施形態において、電気光学変調器は、さらに、結合構造体(coupling structure)139を含み得る。図9を参照する。結合構造体139は、伝送導波路138と有機導波路132との間、または、伝送導波路138と複合導波路との間の結合の効率を改善するために、伝送導波路138と有機導波路132との間、または、伝送導波路138と複合導波路との間に配置され得る。誘電体導波路131が有機導波路132内に配置される場合に、結合構造体139は、有機導波路132内に配置され、そして、伝送導波路138および誘電体導波路131に接続され得る。加えて、結合構造体139の幅は、誘電体導波路131から伝送導波路138に向かって徐々に増加し、そして、結合構造体139の屈折率は、有機導波路132の屈折率よりも大きい。
【0082】
製造を容易にするために、結合構造体139の材料は、誘電体導波路131の材料と一致しなくてよく、また、誘電体導波路131の材料と一致(consistent)してもよい。加えて、結合構造体139の材料が誘電体導波路131の材料と一致する場合に、結合構造体139および誘電体導波路131は、同時に形成されてよく、そして、同じ高さを有してもよい。別の言葉で言えば、伝送導波路138、結合構造体139、および誘電体導波路131は、同じ材料で作られ、そして、同じ高さを有してよく、結合構造体139の、かつ、伝送導波路138に接続される端部の幅は、伝送導波路138の幅と一致してよく、そして、結合構造体139の、かつ、誘電体導波路131に接続される端部の幅は、誘電体導波路131の幅と一致してもよい。結合構造体139は、5マイクロメートルから100マイクロメートルまでの長さ範囲を有している。
【0083】
結合構造体139は、伝送導波路138に接続され、そして、誘電体導波路131に接続されている。結合構造体139、伝送導波路138、および誘電体導波路131が同じ材料で作られる場合には、明確な区別境界が存在しないことがある。すなわち、結合構造体139、伝送導波路138、および誘電体導波路131は、同じタイプの誘電体材料から作られた一体化された構造であり得る。結合構造体139と伝送導波路138との間の違いは、結合構造体139が有機導波路132内に配置されていることにあり、そして、結合構造体139と誘電体導波路131との間の違いは、誘電体導波路131が小さいサイズを有しており、かつ、光モードを制限し得ることにある。従って、集積構造の誘電体材料の、かつ、有機導波路132の外側に配置された部分が、伝送導波路として使用されてよく、有機導波路132によって囲まれ、複合導波路の中央に配置され、かつ、その幅が第1範囲内にある部分が、誘電体導波路131として使用されてよい。そして、複合導波路の2つの端部に配置され、その幅が誘電体導波路の幅より大きく、かつ、有機導波路の幅より小さい部分が、結合構造体139として使用されてよく、第1範囲は50ナノメートルから300ナノメートルであってよい。
【0084】
例えば、伝送導波路138、結合構造体139、および誘電体導波路131の材料がSiNであり、伝送導波路138の幅が1マイクロメートルであり、有機導波路132の幅が0.4マイクロメートルであり、かつ、結合構造体139の長さが20マイクロメートルである場合に、伝送導波路138と複合導波路との間の結合の効率は約98%である。図10は、本出願の実施形態に従った、結合領域におけるライトフィールド分布に係る概略図である。図の水平座標および垂直座標は位置を示しており、かつ、異なる色は異なる光の明るさを表している。シミュレーション条件下で、中央の白い領域は、ライトフィールドが配置されている領域である。図から、伝送導波路138、結合構造体139、および誘電体導波路131の間の結合の効率が高いことが分かる。
【0085】
本出願のこの実施形態において、電気光学変調器は、さらに、光スプリッタを含み、マッハツェンダー干渉計(Mach-Zehnder Interferometer、MZI)構造を形成している。図11は、本出願の実施形態に従った、電気光学変調器の構造に係る概略図である。電気光学変調器は、光入力端、1×2ビームスプリッタ、2つの変調導波路、2×1ビームコンバイナ、および、光出力端を含んでいる。光信号は、光入力端を介して進入し、そして、1×2ビームスプリッタを使用することによって2つの部分に分割され、そして、2つの部分は、MZI構造の2つのアームの2つの光路にそれぞれ案内される。変調導波路は、MZI構造の2つのアーム上に配置されており、そして、電極134は、変調導波路の2つの側に配置されている。変調導波路は、電界の作用下で、アームの光信号の位相を変化させ得る。次いで、2×1ビームコンバイナは、MZI構造の2つのアームの光信号を組み合わせるように構成されており、そして、2つのアームの光信号は互いに干渉し、その結果、結合された(combined)光信号の特徴が、光入力端における光信号の特徴と比較して変化する。例えば、光強度または光位相が変化する。結合された光信号は、光出力端によって出力される。少なくとも1つのアーム上の変調導波路は、前述の複合導波路または有機導波路132であってよく、そして、電界の作用下で、光位相を調整するように構成されており、光出力端における光信号の強度または位相を変化させる。
【0086】
具体的な実装の最中は、図9を参照のこと。電気光学変調器は、さらに、出力端が2つの複合導波路の入力端に接続される第1光スプリッタ136(すなわち、前述の1×2ビームスプリッタ)、および、入力端が2つの複合導波路の出力端に接続される第2光スプリッタ137(すなわち、前述の2×1ビームコンバイナ)含んでよく、ここで、第1光スプリッタ136および第2光スプリッタ137は、誘電体層120内に配置されており、そして、第1光スプリッタ136の屈折率および第2光スプリッタ137の屈折率は、誘電体層120の屈折率よりも大きい。MZI構造の2つのアーム上に配置された変調導波路が両方とも前述の複合導波路である場合、すなわち、誘電体導波路131が有機導波路132内に配置されている場合には、製造を容易にするために、第1光スプリッタ136の材料および第2光スプリッタ137の材料が、誘電体導波路131の材料と一致してよく、そして、第1光スプリッタ136、第2光スプリッタ137、および誘電体導波路131が、同時に形成されてよい。第1光スプリッタ136、第2光スプリッタ137、および誘電体導波路131は、同じ高さを有し得る。
【0087】
誘電体導波路131は、第1光スプリッタ136に接続されてよく、または、誘電体導波路131は、第2光スプリッタ137に接続されてよい。第1光スプリッタ136および第2光スプリッタ137は、光信号を伝送するための導波路として別々に使用される。第1光スプリッタ136の出力端の幅および第2光スプリッタ137の入力端の幅は、誘電体導波路131の幅よりも大きい。具体的に、第1光スプリッタ136の出力端および第2光スプリッタ137の入力端は、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している。
【0088】
誘電体導波路131および第1光スプリッタ136は、相互に直接的に接続されてよく、または、伝送導波路138及び/又は結合構造体139を介して相互に接続されてよい。誘電体導波路131および第2光スプリッタ137は、相互に直接的に接続されてよく、または、伝送導波路138及び/又は結合構造体139を介して、相互に接続されてよい。図7を参照する。伝送導波路138は、第1光スプリッタ136の出力端と、結合構造体139の入力端との間に配置されており、そして、結合構造体139の出力端は、誘電体導波路131の入力端に接続されている。伝送導波路138は、第2光スプリッタ137の入力端と、別の結合構造体139の出力端との間に配置されており、そして、別の結合構造体139の入力端は、誘電体導波路131の出力端に接続されている。
【0089】
本出願の実施形態は、基板、および、基板の一方側に配置された誘電体層を含んでいる、電気光学変調器を提供する。有機導波路、および、有機導波路の2つの側の電極が、誘電体層に配置されており、有機導波路の屈折率は、誘電体層の屈折率より大きく、そして、有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である。一般的に、有機導波路の材料は、CMOSプロセスと互換性がない。従って、電極は、有機導波路の2つの側に配置されてよく、そして、有機導波路は、誘電体層内に配置されてよい。このようにして、有機導波路は、別のCMOSプロセスが完了した後に形成され得る。従って、有機導波路は、他のCMOSプロセスと互換性があると考えられる。このことは、チップ集積化を容易にし、そして、より広い範囲に適用することができる。加えて、有機導波路は、広い動作波長範囲、高い線形電気光学効果、および、高い変調効率を有している。すなわち、電気光学変調器は、高い電気光学変調効率を有し、集積化に役立ち、そして、より高い性能及びより広い適用範囲を有している。
【0090】
本出願の実施形態において提供される電気光学変調器に基づいて、本出願の実施形態は、さらに、電気光学変調器の製造方法を提供する。図12は、本発明の実施形態に従った、電気光学変調器の製造方法に係るフローチャートである。図13から図24までは、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。製造方法は、以下の工程を含み得る。
【0091】
S101:図13に示されるように、基板110を提供する。
【0092】
本出願のこの実施形態において、基板110は、絶縁体基板であってよく、または、半導体基板であってよい。例えば、酸化シリコン基板、シリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコン-ゲルマニウム基板、シリコンオンインシュレータ(silicon-on-insulator、SOI)基板、ゲルマニウムオンインシュレータ(Germanium-On-Insulator、GOI)基板、などであり得る。基板110は、デバイスのための特定の支持体を提供し得る。フロントエンドオブラインプロセスが、基板110上で完了することができる。例えば、少なくとも1つのフォトニック層(図に示されていない)が、基板110上に配置されてよく、そして、フォトニック層は、特別な電子フォトニック機能(electronic-photonic function)を実装するように構成されている。
【0093】
S102:図13から図18までに示されるように、基板110上に誘電体層120を形成する。
【0094】
本出願のこの実施形態において、誘電体層120は、基板上に形成されてよく、そして、誘電体層120の材料は、酸化ケイ素であってよい。フォトニック層が基板110上に配置される場合に、誘電体層120は、複数の種類の機能層の統合を実装するために、フォトニック層上に配置され得る。
【0095】
電気光学変調器が誘電体導波路131を含む場合に、誘電体層120は、第1誘電体層121および第2誘電体層122を含み得る。基板110上に誘電体層120を形成するステップであり、具体的に、図13に示されるように、基板上に第1誘電体層121を形成するステップであり、ここで、第1誘電体層121は、デポジション(deposition)プロセスを使用することによって形成されてよく、そして、第1誘電体層121がデポジションを通して獲得された後で、第1誘電体層121は、化学機械研磨(chemical mechanical polishing、CMP)プロセスを使用することによって平坦化され得る、ステップと、図14に示されるように、第1誘電体層121上に誘電体材料層130を形成するステップと、図15図16、および図17に示されるように、誘電体導波路131を獲得するために誘電体材料層130をエッチングするステップであり、図17は、図15および図16に示す電気光学変調器のAA方向における断面図であり、誘電体材料層130のエッチング方法は、フォトエッチングおよびエッチングを含んでよく、かつ、エッチングプロセスは、異方性ドライエッチングであってよい、ステップと、図18に示されるように、第1誘電体層121上に、誘電体導波路131をカバーしている第2誘電体層122を形成するステップであり、ここで、第2誘電体層122は、デポジションプロセスを使用することによって形成されてよく、そして、第2誘電体層122がデポジションを通して獲得された後で、第2誘電体層122は、CMPプロセスを使用することによって平坦化され得る、ステップと、を含み得る。
【0096】
誘電体導波路131は延在方向を有しており、そして、延在方向は光信号の伝播方向である。説明を容易にするため、基板110の表面に平行な方向は、水平方向として使用され、そして、基板110の表面に垂直な方向は、長手方向として使用されている。有機導波路132、誘電体導波路131、および、結合構造体139等といった構造の、かつ、基板110の表面に垂直な、サイズは、「高さ(“height”)」または「厚さ(“thickness”)」として定義されている。基板110の表面に平行で、かつ、誘電体導波路131の延在方向に垂直なサイズは、「幅」として定義される。基板110の表面に平行で、かつ、誘電体導波路131の延在方向に平行なサイズは、「長さ」として定義される。
【0097】
誘電体導波路131の屈折率は、誘電体層120の屈折率よりも大きく、誘電体導波路131は、電気光学効果を有していなくてもよく、そして、誘電体導波路131は、可視光帯域に対して透明であってよい。例えば、誘電体導波路131の材料は、以下のうちの1つであり得る。窒化ケイ素、水素化アモルファスシリコン、および、二酸化チタンである。誘電体材料層130は、150ナノメートルから500ナノメートルまでの範囲の厚さを有し得る。デポジションを通じて獲得された誘電体導波路131は、150ナノメートルから500ナノメートルまでの厚さ範囲を有し、かつ、50ナノメートルから300ナノメートルまでの幅範囲を有し得る。誘電体導波路131の幅は、均一な幅であってよく、または、不均一な幅であってもよい。すなわち、誘電体導波路131の異なる位置の幅は、一致してよく、または、一致していなくてもよい。誘電体導波路131の幅が一貫していない場合に、最小幅は50ナノメートル以上であり、かつ、最大幅は300ナノメートル以下である。
【0098】
本出願のこの実施形態においては、別の導波路が、さらに、配置されてよく、そして、光信号を変調することなく、光信号を送信するように構成されている。すなわち、本出願のこの実施形態における電気光学変調器は、さらに、伝送導波路138を含み得る。伝送導波路138は、シングルモード導波路であってよい。伝送導波路138は、誘電体層120内に配置され得る。伝送導波路138の屈折率は、誘電体層120の屈折率よりも大きい。誘電体層120は、伝送導波路138のクラッドとして使用される。伝送導波路138は、誘電体導波路131の入力端及び/又は出力端に接続され得る。製造を容易にするために、伝送導波路138の材料は、誘電体導波路131の材料と一致してよく、そして、伝送導波路138および誘電体導波路131は、同時に形成されてよい。別の言葉で言えば、図16に示されるように、誘電体導波路131を獲得するために誘電体材料層130がエッチングされている一方で、伝送導波路138を獲得するために誘電体材料層130がエッチングされてよい。誘電体導波路131および伝送導波路138は、同じ高さ、および、異なる幅を有し得る。具体的に、伝送導波路138の幅は、誘電体導波路131の幅よりも大きくてよい。例えば、伝送導波路138は、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲、および、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの幅範囲を有し得る。
【0099】
本出願のこの実施形態において、電気光学変調器は、さらに、結合構造体139を含み得る。結合構造体139は、伝送導波路138と誘電体導波路131との間の結合の効率を改善するために、伝送導波路138と誘電体導波路131との間に配置され得る。結合構造体139の幅は、誘電体導波路131から伝送導波路138に向かって徐々に増加している。製造を容易にするために、結合構造体139の材料は、誘電体導波路131の材料と一致してよく、そして、結合構造体139および誘電体導波路131は同時に形成されてよい。別の言葉で言えば、図16に示されるように、誘電体導波路131を獲得するために誘電体材料層130がエッチングされている一方で、結合構造体139を獲得するために誘電体材料層130がエッチングされてよい。誘電体導波路131および結合構造体139は、同じ高さを有し得る。別の言葉で言えば、伝送導波路138、結合構造体139、および誘電体導波路131は、同じ材料で作られ、そして、同じ高さを有してよく、結合構造体139の、かつ、伝送導波路138に接続される、端部の幅は、伝送導波路138の幅と一致してよく、そして、結合構造体139の、かつ、誘電体導波路131に接続される、端部の幅は、誘電体導波路131の幅と一致してよい。具体的に、結合構造体139は、5マイクロメートルから100マイクロメートルまでの長さ範囲を有している。
【0100】
結合構造体139は、伝送導波路138に接続され、そして、誘電体導波路131に接続されている。結合構造体139、伝送導波路138、および誘電体導波路131は、明確な区別境界を有さなくてよい。すなわち、結合構造体139、伝送導波路138、および誘電体導波路131は、同じタイプの誘電体材料から作られた、一体化された構造であり得る。結合構造体139と伝送導波路138との間の違いは、結合構造体139が有機導波路132内に配置されていることにあり、そして、結合構造体139と誘電体導波路131との間の違いは、誘電体導波路131が小さいサイズを有し、かつ、光モードを制限し得ることにある。従って、集積構造の誘電体材料の、かつ、有機導波路132の外側に配置された、部分は、伝送導波路として使用されてよく、有機導波路132によって囲まれ、複合導波路の中央に配置され、かつ、その幅が第1範囲内にある、部分は、誘電体導波路131として使用されてよく、そして、複合導波路の2つの端部に配置され、かつ、その幅が誘電体導波路の幅より大きく、有機導波路の幅より小さい、部分は、結合構造体139として使用されてよく、ここで、第1範囲は、50ナノメートルから300ナノメートルであり得る。
【0101】
本出願のこの実施形態において、電気光学変調器は、さらに、光スプリッタを含み、MZI構造を形成する。具体的に、電気光学変調器は、さらに、出力端が2つの誘電体導波路131の入力端に接続された第1光スプリッタ136、および、入力端が2つの誘電体導波路131の出力端に接続された第2光スプリッタ137を含み得る。ここで、第1光スプリッタ136および第2光スプリッタ137は、誘電体層120内に配置されており、そして、第1光スプリッタ136の屈折率および第2光スプリッタ137の屈折率は、誘電体層120の屈折率よりも大きい。電気光学変調器が誘電体導波路131を含む場合には、製造を容易にするために、第1光スプリッタ136の材料および第2光スプリッタ137の材料は、誘電体導波路131の材料と一致してよく、そして、第1光スプリッタ136、第2光スプリッタ137、および誘電体導波路131は、同時に形成され得る。第1光スプリッタ136、第2光スプリッタ137、および誘電体導波路131は、同じ高さを有し得る。
【0102】
別の言葉で言えば、誘電体導波路131を獲得するために誘電体層130がエッチングされている一方で、第1光スプリッタおよび第2光スプリッタを獲得するために誘電体層130がエッチングされ得る。第1光スプリッタの出力端は、2つの誘電体導波路131の入力端に接続されており、第2光スプリッタの入力端は、2つの誘電体導波路131の出力端に接続されており、そして、第1光スプリッタの出力端の幅および第2光スプリッタの入力端の幅は、誘電体導波路131の幅よりも大きい。具体的に、第1光スプリッタ136の出力端および第2光スプリッタ137の入力端は、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している。
【0103】
誘電体導波路131および第1光スプリッタ136は、相互に直接的に接続されてよく、または、伝送導波路138及び/又は結合構造体139を介して相互に接続されてよい。誘電体導波路131および第2光スプリッタ137は、相互に直接的に接続されてよく、また、伝送導波路138及び/又は結合構造体139を介して相互に接続されてよい。図17を参照する。伝送導波路138は、第1光スプリッタ136の出力端と、結合構造体139の入力端との間に配置されており、そして、結合構造体139の出力端は、誘電体導波路131の入力端に接続されている。伝送導波路138は、第2光スプリッタ137の入力端と、別の結合構造体139の出力端との間に配置されており、そして、結合構造体139の入力端は、誘電体導波路131の出力端に接続されている。
【0104】
S103:図19から図23までに示されるように、電極孔(electrode hole)1221を獲得するために誘電体層120をエッチングし、そして、電極孔1221内に電極134を形成する。
【0105】
本出願のこの実施形態において、誘電体層120は、電極孔1221を獲得するためにエッチングされ得る。電極孔1221は、ビアホール(via hole)である。図19を参照する。電極孔1221の形成方式は、フォトエッチングおよびエッチングであってよく、そして、エッチング方法は、異方性ドライエッチングであってよい。電極134は、電極孔1221内に形成され得る。図20図21、および図22を参照する。図22は、図20および図21に示される電気光学変調器のAA方向における断面図である。電極134の材料は、良好な導電性を有する材料であり、そして、電極は、金属電極であってよい。例えば、材料は、以下のうちの少なくとも1つであってよい。アルミニウム、銅、および、タングステンである。電極134の形成プロセスは、デポジション、フォトエッチング、および、エッチングを含み得る。具体的には、電極層がデポジションされ、そして、極孔の外側の電極層を除去するために、電極層がエッチングされる。
【0106】
誘電体層120のエッチング深さは、実際の要件に基づいて決定され得る。少なくとも2つの電極134が存在している。電極134の延在方向は、誘電体導波路131の延在方向と一致している。電圧が印加されると、電極134は、光信号の伝送方向に垂直な電界を提供して、光信号が配置される導波路の屈折率を変化させ、そして、光信号の特徴を調整することができる。一般的に、金属からなる電極134は光を吸収する。従って、電極134間の距離は、あまりに短くすることはできない。そうでなければ、深刻な光損失が生じる。しかし、電極134間の距離が長すぎる場合には、同じ電圧下で、電極134間の電界が弱い。このことは、変調効率に影響を及ぼす。従って、電極134間の水平距離は、光信号損失および変調効率に対する要件に基づいて、決定され得る。具体的に、2つの電極134の距離範囲は、2マイクロメートルから6マイクロメートルである。
【0107】
本出願のこの実施形態において、誘電体層120が第2誘電体層122を含む場合に、電極134の上面は、図22に示されるように、電極134の引き出し構造を配置するために、第2誘電体層122の上面と同一平面であってよい。確かに、図23に示されるように、第3誘電体層132が、さらに、第2誘電体層122上に形成されてよく、そして、第3誘電体層123は、電極134をカバーしている。次いで、第3誘電体層123は、電極(図に示されていない)を露出させるためにエッチングされ得る。この場合に、電極134の上面は、第3誘電体層123の表面よりも低くなる。すなわち、誘電体層120は、第1誘電体層121、第2誘電体層122、および第3誘電体層123を含み、そして、電極134の上面は、誘電体層120の上面より低く形成されている。確かに、電極134が引き出し構造に接続されるように、相互接続構造が、さらに、電極134上に配置されてよい。このことは、本明細書では示されておらず、そして、例を使用することにより説明されていない。
【0108】
S104:図24図3図4図6、および図9に示されるように、導波路ウィンドウ1231を獲得するために、誘電体層120をエッチングし、そして、有機導波路132を形成するために、導波路ウィンドウ1231を有機材料で充填する。
【0109】
本出願のこの実施形態において、誘電体層120は、導波路ウィンドウ1231を獲得するために、さらに、エッチングされてよい。誘電体層120は、第1誘電体層121および第2誘電体層122を含み得るか、または、第1誘電体層121、第2誘電体層122、および第3誘電体層123を含み得る。誘電体層120は、貫通するように(in a penetrated manner)エッチングされてよく、または、部分的にエッチングされてもよい。
【0110】
導波路ウィンドウ1231は、電極孔1221間に配置されている。導波路ウィンドウ1231を有機物質で充填し、かつ、有機物質を分極させることを通じて、有機導波路132が形成され得る。形成された有機導波路132は、電極134間に配置されている。電界を発生させるために、有機導波路132の異なる側に配置された電極134に対して異なる電位が印加される。有機導波路132は、電界内に配置されており、そして、有機導波路132内の光信号を変調するために、電界の作用下で屈折率を変化させる。形成された導波路ウィンドウ1231は、電極134の側壁を露出させ得る。別の言葉で言えば、有機導波路132は、電極134と接触し得る。代替的に、形成された導波路ウィンドウ1231は、電極134の側壁を露出しなくてよく、そして、有機導波路132および電極134は、誘電体層120を使用することによって分離される。この場合に、有機導波路132の幅は、有機導波路132の2つの側において配置された2つの電極134間の距離よりも小さい。
【0111】
具体的に、有機導波路132の屈折率が誘電体層120の屈折率よりも大きい場合に、有機導波路132は、導波路コアとして使用され、そして、誘電体層120は、導波路クラッドとして使用されている。ライトフィールドは、全内部反射の原理を使用することによって、有機導波路132内に限定され得る。有機導波路132の材料は、電気光学効果を有している有機材料であり、そして、変調効率が高いという特徴を有している。有機導波路132は、電界において明らかな屈折率変化を生成することができ、そして、本変化は、光信号の伝送特性を変化させ得る。例えば、光信号の位相を変化させて、変調を実施する。
【0112】
導波路ウィンドウ1231を有機材料で充填した後で、封止層133が、さらに、有機材料上に形成されてよい。封止層133は、有機導波路132をカバーしており、そして、有機導波路132を保護し、かつ、有機導波路132の形成プロセスにおける有機材料の漏出を防止するように構成されている。次いで、有機導波路を獲得するために有機材料を分極させることができ、そして、処理プロセスの温度は380℃未満である。封止層133の材料は、パラフィンであってよい。封止層133は、有機導波路132のみをカバーしてよく、または、有機導波路132および誘電体層120の両方をカバーしてもよい。
【0113】
電気光学変調器が誘電体導波路131を含む場合に、導波路ウィンドウ1231は、誘電体導波路131の上面および側壁を露出させることができ、そして、形成された有機導波路132は、誘電体導波路131を取り囲む。加えて、有機導波路132の屈折率は、誘電体導波路131の屈折率よりも小さい。別の言葉で言えば、本出願のこの実施形態における導波路は、誘電体導波路131および有機導波路132を含んでいる複合導波路であってよい。誘電体導波路131は、光モードを制限し得る。従って、複合導波路は、より強い光フィールド制限能力を有しており、その結果、光モードフィールド面積がより小さくなり、電極134による光吸収が低減され、そして、このことは、光吸収強度を増加させることなく、電極134間のより短い距離を達成するのに役立つ。従って、同一電圧条件下で、このことは、水平電界強度を強化し、電界とライトフィールドとのオーバーラップ効率を改善し、そして、位相シフタの変調効率を改善する。変調のために必要とされる光信号位相変化を実現し、そして、変調帯域幅に対する制限を低減するために、より短い変調領域長が設計され得る。加えて、このことは、移相器のサイズの低減に寄与する。加えて、誘電体導波路131は、可視光帯域で透明であってよく、その結果、電気光学変調器の動作波長は、赤外線/近赤外線から可視光に拡張し得る。誘電体導波路131は、小さいサイズを有してよく、そして、誘電体導波路131内の光モードを制限するには不十分である。しかしながら、有機導波路132の存在は、有機導波路132における光モードを制限する。
【0114】
従って、誘電体導波路131のサイズが大きいほど、光信号に対する変調効果がより不十分であることを示し、そして、誘電体導波路131のサイズが小さいほど、光モードに対する制限効果がより小さいことを示すことが、留意されるべきである。従って、誘電体導波路131のサイズは、光モードにおける変調効果と制限効果をバランスするように、適切に調整され得る。誘電体導波路131は、有機導波路132内に配置されている。有機導波路132のサイズは、誘電体導波路131のサイズよりも大きい。有機導波路132の断面は、長方形または台形であり得る。有機導波路132は、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの高さ範囲、および、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの幅範囲を有しており、その結果、有機導波路132は、シングルモード状態になるように制御される。このことは、光信号の伝播および制御を容易にする。誘電体層120の厚さは、有機導波路132の高さより大きくてよく、または、有機導波路132の高さに等しくてよい。
【0115】
電気光学変調器が結合構造体139を含む場合に、導波路ウィンドウ1231は、さらに、結合構造体139の上面および側壁を露出させることができ、その結果、形成された有機導波路は結合構造体139を取り囲み、すなわち、結合構造体139は有機導波路132内に配置される。このようにして、結合構造体139および誘電体導波路131は両方とも、有機導波路132内に配置される。結合構造体139は、誘電体導波路131を伝送導波路138に接続するために、誘電体導波路131に対して接続され得る。結合構造体139の材料は、誘電体導波路131の材料と一致してよい。この場合に、有機導波路132の屈折率は、結合構造体139の屈折率よりも小さい。加えて、伝送導波路138の幅は、伝送プロセスにおける光損失を低減するために、有機導波路132の幅よりも小さくてよい。
【0116】
例えば、伝送導波路138、結合構造体139、および誘電体導波路131の材料がSiNであり、伝送導波路138の幅が1マイクロメートルであり、有機導波路132の幅が0.4マイクロメートルであり、そして、結合構造体139の長さが20マイクロメートルである場合に、伝送導波路138と複合導波路との間の結合の効率は、概ね98%である。
【0117】
本出願のこの実施形態においては、誘電体層120および電極134が、最初に形成され、そして、次いで、有機導波路132が充填によって形成される。すなわち、有機導波路132は、最後の段階で形成されてよく、そして、製造プロセスは、シリコンドーピング、等といったプロセスが不要である。従って、プロセスは、CMOSバックエンドオブラインプロセスと互換性があると考えられてよく、確かに、また、別のシリコンフォトニックデバイスまたはCMOSデバイスとも互換性があり、そして、多層フォトニクス集積に適している。すなわち、デバイス集積が、より良好なスケーラビリティを有しており、そして、本プロセスは、複数のフォトニック層を有する3次元電気光学集積回路に対して好適である。
【0118】
本出願の実施形態は、電気光学変調器の製造方法を提供する。本方法は、基板を提供するステップ、基板上に誘電体層を形成するステップ、電極孔を獲得するために誘電体層をエッチングし、かつ、電極孔内に電極を形成するステップ、および、導波路ウィンドウを獲得するために誘電体層をエッチングし、かつ、有機導波路を形成するために導波路ウィンドウを有機材料で充填するステップ、を含む。電極孔は、導波路ウィンドウの2つの側に配置されており、そして、従って、電極は、有機導波路の2つの側に配置されている。有機導波路の屈折率は、誘電体層の屈折率よりも大きく、そして、有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である。有機導波路の形状が、端部に設定されており、そして、有機導波路は、別のCMOSプロセスと互換性があると考えられてよい。このことは、チップ集積化が容易にし、そして、より広い範囲に適用することができる。加えて、有機導波路は、広い動作波長範囲、高い線形電気光学効果、および高い変調効率を有している。すなわち、電気光学変調器は、高い電気光学変調効率を有しており、集積化に役立ち、そして、より高い性能及びより広い適用範囲を有している。
【0119】
本出願の一つの実施形態において提供される電気光学変調器に基づいて、本出願の実施形態は、さらに、光通信システムを提供する。本光通信システムは、少なくとも1つの電気光学変調器を含み得る。一つの例において、光通信システムは、レーザ、光検出器、および、前述の電気光学変調器を含み得る。電気光学変調器は、レーザと光検出器との間に配置されており、レーザは、光信号を送信するように構成されており、電気光学変調器は、光信号に対して電気光学変調を実行するように構成されており、そして、光検出器は、電気光学変調を通じて獲得された光信号を検出するように構成されている。
【0120】
本明細書における実施形態は、全て漸進的な方法で説明されている。実施形態における同一または類似の部分については、これらの実施形態を参照することができ、そして、各実施形態は、他の実施形態との違いに焦点を当てる。特に、方法の実施形態は、装置の実施形態と基本的に同様であり、そして、従って、簡潔に説明されている。関連する部分については、装置の実施形態における部分的な説明を参照することができる。
【0121】
上記は、本出願の特定の実装を提供している。上記の実施形態は、単に本出願の技術的ソリューションを説明することを意図しているに過ぎず、本出願を限定するように意図されていないことが理解されるべきである。本出願は、前述の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者であれば、本出願の実施形態の技術的ソリューションの範囲から逸脱することなく、前述の実施形態において説明された技術的ソリューションに対して、さらに、修正を行うことができ、または、そのいくつかの技術的特徴に対して同等の置換を行うことができることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学変調器であって
基板と
前記基板の一方側に配置された誘電体層であり、
前記誘電体層において、有機導波路、および、前記有機導波路の2つの側における電極が配置されており、
前記有機導波路の屈折率は、前記誘電体層の屈折率よりも大きく、かつ、
前記有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である、
誘電体層と、
を含む、電気光学変調器。
【請求項2】
前記有機導波路内に誘電体導波路が配置されており、
前記誘電体導波路および前記有機導波路は、複合導波路を形成し、かつ、
前記誘電体導波路の屈折率は、前記有機導波路の屈折率よりも大きい、
請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項3】
前記誘電体導波路の材料は、窒化ケイ素、水素化アモルファスシリコン、二酸化チタンのうちの1つである、
請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項4】
前記誘電体導波路は、50ナノメートルから300ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項2または3に記載の電気光学変調器。
【請求項5】
前記電気光学変調器は、さらに、
前記誘電体層内の伝送導波路であり、
前記伝送導波路の屈折率は、前記誘電体層の屈折率よりも大きく、かつ、
前記伝送導波路は、前記複合導波路の入力端及び/又は出力端に接続されている、
請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項6】
前記伝送導波路の材料は、前記誘電体導波路の材料と一致しており、
前記伝送導波路は、前記誘電体導波路に接続されており、かつ、
前記伝送導波路の幅は、前記誘電体導波路の幅よりも大きい、
請求項5に記載の電気光学変調器。
【請求項7】
前記伝送導波路は、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項5に記載の電気光学変調器。
【請求項8】
前記電気光学変調器は、さらに、結合構造体を含み、
前記結合構造体は、前記伝送導波路および前記複合導波路に接続されている、
請求項5乃至7いずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項9】
前記結合構造体は、前記有機導波路内に配置されており、かつ、前記誘電体導波路および前記伝送導波路に接続されており、
前記結合構造体の幅は、前記誘電体導波路に接続された端部から前記伝送導波路に接続された端部まで徐々に増加している、
請求項8に記載の電気光学変調器。
【請求項10】
前記結合構造体の材料は、前記誘電体導波路の材料と一致している、
請求項9に記載の電気光学変調器。
【請求項11】
前記結合構造体は、5マイクロメートルから100マイクロメートルまでの長さ範囲を有している、
請求項9に記載の電気光学変調器。
【請求項12】
前記電気光学変調器は、さらに、
出力端が2つの複合導波路の入力端に接続されている、第1光スプリッタと、
入力端が前記2つの複合導波路の出力端に接続されている、第2光スプリッタと、を含み、
前記第1光スプリッタおよび前記第2光スプリッタは、前記誘電体層内に配置されており、
前記第1光スプリッタの屈折率および前記第2光スプリッタの屈折率は、前記誘電体層の屈折率よりも大きい、
請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項13】
前記第1光スプリッタの材料および前記第2光スプリッタの材料は、前記誘電体導波路の前記材料と一致しており、かつ、
前記第1光スプリッタの前記出力端の幅および前記第2光スプリッタの前記入力端の幅は、前記誘電体導波路の前記幅よりも大きい、
請求項12に記載の電気光学変調器。
【請求項14】
前記有機導波路は、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの幅範囲、および、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項1乃至いずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項15】
前記有機導波路の前記2つの側における前記電極間の間隔は、2マイクロメートルから6マイクロメートルまでである、
請求項1乃至いずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項16】
電気光学変調器の製造方法であって
基板を提供するステップと、
前記基板上に誘電体層を形成するステップと、
電極孔を獲得するために前記誘電体層をエッチングし、かつ、前記電極孔内に電極を形成するステップと、
導波路ウィンドウを獲得するために前記誘電体層をエッチングし、かつ、有機導波路を形成するために前記導波路ウィンドウを有機材料で充填するステップであり、
前記電極孔は、前記導波路ウィンドウの2つの側に配置されており、
前記有機導波路の屈折率は、前記誘電体層の屈折率より大きく、かつ、
前記有機導波路の材料は、電気光学効果を有する有機材料である、
ステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記有機導波路内に誘電体導波路が配置されており、
前記誘電体導波路および前記有機導波路は、複合導波路を形成し、
前記誘電体層は、第1誘電体層および第2誘電体層を含み、かつ、
前記基板上に誘電体層を形成する前記ステップは、
前記基板上に前記第1誘電体層を形成するステップと、
前記第1誘電体層上に誘電体材料層を形成するステップと、
前記誘電体導波路を獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップであり、前記誘電体導波路の屈折率は、前記有機導波路の屈折率よりも大きく、かつ、前記導波路ウィンドウは、前記誘電体導波路の上面および側壁を露出させる、ステップと、
前記第1誘電体層上に、前記誘電体導波路をカバーする前記第2誘電体層を形成するステップと、を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記誘電体導波路の材料は、窒化ケイ素、水素化アモルファスシリコン、二酸化チタンのうちの1つである、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記誘電体導波路は、50ナノメートルから300ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、さらに、
伝送導波路を獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップであり、
前記伝送導波路は、前記複合導波路の入力端及び/又は出力端に接続されており、かつ、
前記伝送導波路の幅は、前記誘電体導波路の幅よりも大きい、
ステップ、を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記伝送導波路は、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの幅範囲、および、150ナノメートルから500ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、さらに、
結合構造体を獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップであり、
前記結合構造体は、前記伝送導波路および前記誘電体導波路に接続されており、
前記結合構造体の幅は、前記誘電体導波路に接続された端部から前記伝送導波路に接続された端部まで徐々に増加しており、かつ、
前記導波路ウィンドウは、前記結合構造体の上面および側壁を露出させる、
ステップ、を含む、
請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記結合構造体は、5マイクロメートルから100マイクロメートルまでの長さ範囲を有している、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、さらに、
第1光スプリッタおよび第2光スプリッタを獲得するために前記誘電体材料層をエッチングするステップであり、
前記第1光スプリッタの出力端は、2つの誘電体導波路の入力端に接続されており、
前記第2光スプリッタの入力端は、前記2つの誘電体導波路の出力端に接続されており、
前記第1光スプリッタの前記出力端の幅および前記第2光スプリッタの前記入力端の幅は、前記誘電体導波路の幅よりも大きい、
ステップ、を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記有機導波路は、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの幅範囲、および、500ナノメートルから2000ナノメートルまでの高さ範囲を有している、
請求項16乃至18いずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記有機導波路の前記2つの側における前記電極間の間隔は、2マイクロメートルから6マイクロメートルまでである、
請求項16乃至18いずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
光通信システムであって、
レーザ、光検出器、および、請求項1乃至いずれか一項に記載の電気光学変調器を備え、
前記電気光学変調器は、前記レーザと前記光検出器との間に配置されており、
前記レーザは、光信号を送信するように構成されており、
前記電気光学変調器は、前記光信号に対して電気光学変調を実行するように構成されており、かつ、
前記光検出器は、前記電気光学変調を通じて獲得された光信号を検出するように構成されている、
光通信システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本出願は、光通信技術の分野に関する。そして、特には、電気光学変調器、その製造方法、および光通信システムに関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
本出願の第3態様は、レーザ、光検出器、および、本出願の第態様において提供される電気光学変調器を含んでいる、光通信システムを提供する。本電気光学変調器は、レーザと光検出器との間に配置されており、レーザは、光信号を送信するように構成されており、電気光学変調器は、光信号に対して電気光学変調を実行するように構成されており、そして、光検出器は、電気光学変調を通じて獲得された光信号を検出するように構成されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
本出願の具体的な実装を明確に理解するために、以下では、本出願の具体的な実装を説明するために使用される添付の図面を簡単に説明する。添付の図面は、単に本出願のいくつかの実施形態を示すに過ぎないことが明らかである。
図1図1は、本出願の実施形態に従った、電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図2図2は、図1に示される電気光学変調器のAA方向における断面図である。
図3図3は、本出願の実施形態に従った、別の電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図4図4は、図3に示す電気光学変調器のAA方向における断面図である。
図5図5は、本出願の実施形態に従った、さらに別の電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図6図6は、本出願の実施形態に従った、さらに別の電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図7図7は、本発明の実施例に従った、1Vの電圧が電極に印加された後の電界分布を示す図である。
図8図8は、本出願の実施形態に従った、複合光導体(composite lightguide)のシミュレーション検証の概略図である。
図9図9は、本出願の実施形態に従った、さらに別の電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図10図10は、本出願の実施形態に従った、結合領域におけるライトフィールド(light field)分布に係る概略図である。
図11図11は、本出願の実施形態に従った、さらに別の電気光学変調器の構造に係る概略図である。
図12図12は、本出願の実施形態に従った、電気光学変調器の製造方法に係るフローチャートである。
図13図13は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図14図14は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図15図15は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図16図16は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図17図17は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図18図18は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図19図19は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図20図20は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図21図21は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図22図22は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図23図23は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
図24図24は、製造過程における電気光学変調器の構造に係る模式図である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
誘電体導波路131および第1光スプリッタ136は、相互に直接的に接続されてよく、または、伝送導波路138及び/又は結合構造体139を介して相互に接続されてよい。誘電体導波路131および第2光スプリッタ137は、相互に直接的に接続されてよく、または、伝送導波路138及び/又は結合構造体139を介して、相互に接続されてよい。図9を参照する。伝送導波路138は、第1光スプリッタ136の出力端と、結合構造体139の入力端との間に配置されており、そして、結合構造体139の出力端は、誘電体導波路131の入力端に接続されている。伝送導波路138は、第2光スプリッタ137の入力端と、別の結合構造体139の出力端との間に配置されており、そして、別の結合構造体139の入力端は、誘電体導波路131の出力端に接続されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
誘電体導波路131および第1光スプリッタ136は、相互に直接的に接続されてよく、または、伝送導波路138及び/又は結合構造体139を介して相互に接続されてよい。誘電体導波路131および第2光スプリッタ137は、相互に直接的に接続されてよく、また、伝送導波路138及び/又は結合構造体139を介して相互に接続されてよい。図21を参照する。伝送導波路138は、第1光スプリッタ136の出力端と、結合構造体139の入力端との間に配置されており、そして、結合構造体139の出力端は、誘電体導波路131の入力端に接続されている。伝送導波路138は、第2光スプリッタ137の入力端と、別の結合構造体139の出力端との間に配置されており、そして、結合構造体139の入力端は、誘電体導波路131の出力端に接続されている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
本出願のこの実施形態において、誘電体層120が第2誘電体層122を含む場合に、電極134の上面は、図22に示されるように、電極134の引き出し構造を配置するために、第2誘電体層122の上面と同一平面であってよい。確かに、図23に示されるように、第3誘電体層123が、さらに、第2誘電体層122上に形成されてよく、そして、第3誘電体層123は、電極134をカバーしている。次いで、第3誘電体層123は、電極(図に示されていない)を露出させるためにエッチングされ得る。この場合に、電極134の上面は、第3誘電体層123の表面よりも低くなる。すなわち、誘電体層120は、第1誘電体層121、第2誘電体層122、および第3誘電体層123を含み、そして、電極134の上面は、誘電体層120の上面より低く形成されている。確かに、電極134が引き出し構造に接続されるように、相互接続構造が、さらに、電極134上に配置されてよい。このことは、本明細書では示されておらず、そして、例を使用することにより説明されていない。
【国際調査報告】