(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】溝形成装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/364 20140101AFI20240905BHJP
B23K 26/073 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B23K26/364
B23K26/073
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516823
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 KR2022013743
(87)【国際公開番号】W WO2023043204
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0123419
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0016426
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524099371
【氏名又は名称】イーオー テクニックス カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EO TECHNICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】91, Dongpyeon-ro, Dongan-gu, Anyang-si, Gyeonggi-do 13930, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ウン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジョン レ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ビョン オ
(72)【発明者】
【氏名】イ, ドン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジュン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ, グン ヘン
(72)【発明者】
【氏名】カン, チャン ヒ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD01
4E168CB03
4E168CB07
4E168DA43
4E168EA05
4E168EA07
4E168EA12
4E168EA19
4E168JA11
4E168KA02
4E168KA04
(57)【要約】
溝形成装置は、レーザビームを放出するレーザ光源、レーザビームを複数のサブレーザビームに分割するマルチビーム生成器、複数のサブレーザビームを集光するフォーカシングレンズユニット、マルチビーム生成器とフォーカシングレンズユニットとの間に提供される第1テレセントリックレンズ、及び第1テレセントリックレンズと前記フォーカシングレンズユニットとの間に提供される第2テレセントリックレンズを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを放出するレーザ光源と、
前記レーザビームを複数のサブレーザビームに分割するマルチビーム生成器と、
前記複数のサブレーザビームを加工対象に集光するフォーカシングレンズユニットと、
前記マルチビーム生成器とフォーカシングレンズユニットとの間に提供される第1テレセントリックレンズと、
前記第1テレセントリックレンズと前記フォーカシングレンズユニットとの間に提供される第2テレセントリックレンズと、を含む、溝形成装置。
【請求項2】
前記第1テレセントリックレンズの後方焦点面、及び前記第2テレセントリックレンズの前方焦点面は、互いに重畳する、請求項1に記載の溝形成装置。
【請求項3】
前記第1テレセントリックレンズは、前記マルチビーム生成器から最大角度に分割される前記複数のサブレーザビームを収容する大きさを有する、請求項1に記載の溝形成装置。
【請求項4】
前記最大角度は、±3°である、請求項3に記載の溝形成装置。
【請求項5】
前記マルチビーム生成器は、前記加工対象上において、前記複数のサブレーザビーム間の間隔が50μm以上になるように、前記複数のサブレーザビームを分割する、請求項1に記載の溝形成装置。
【請求項6】
前記加工対象上において、前記複数のサブレーザビーム間の間隔は、互いに同一である、請求項1に記載の溝形成装置。
【請求項7】
前記加工対象上の前記複数のサブレーザビーム間の間隔のうち少なくとも二つは、互いに異なる、請求項1に記載の溝形成装置。
【請求項8】
前記加工対象上において、前記複数のサブレーザビームは、対称的に配列される、請求項1に記載の溝形成装置。
【請求項9】
前記複数のサブレーザビームは、互いに同一強度を有する、請求項1に記載の溝形成装置。
【請求項10】
前記複数のサブレーザビームのうち少なくとも二つは、互いに異なる強度を有する、請求項1に記載の溝形成装置。
【請求項11】
スキャンヘッドをさらに含むが、
前記フォーカシングレンズユニットは、前記スキャンヘッド内に配され、
前記マルチビーム生成器、前記第1テレセントリックレンズ及び前記第2テレセントリックレンズは、前記スキャンヘッドの外部に配される、請求項1に記載の溝形成装置。
【請求項12】
前記加工対象を支持するステージをさらに含むが、
前記ステージは、前記加工対象上に前記複数のサブレーザビームが集光される位置を調節する、請求項1に記載の溝形成装置。
【請求項13】
レーザビームを放出するレーザ光源と、
前記レーザビームを複数のサブレーザビームに分割するマルチビーム生成器と、
前記複数のサブレーザビームを加工対象に集光するフォーカシングレンズユニットと、を含むが、
前記フォーカシングレンズユニットは、前記マルチビーム生成器から最大角度に分割される前記複数のサブレーザビームを収容するように、前記マルチビーム生成器から離隔される、溝形成装置。
【請求項14】
前記最大角度は、±3°である、請求項13に記載の溝形成装置。
【請求項15】
前記マルチビーム生成器は、前記加工対象上において、前記複数のサブレーザビーム間の間隔が50μm以上になるように、前記複数のサブレーザビームを分割する、請求項13に記載の溝形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、レーザ加工とは、集光レンズを利用し、レーザビームを1つの焦点形態に集光させ、その焦点を加工対象の表面または内部に照射して加工する方式を言う。
【0003】
溝を形成するために、マルチビームが1つの加工経路に沿って続けて移動し、加工対象を加工する方法が利用されうる。マルチビーム間の間隔が狭ければ、溝周辺の加工対象にHAZ(heat affected zone)が生じ、溝底面が不均一になったり、過度に加工(bottom over加工)され、溝の側壁に過度な傾きが生じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、マルチビーム生成器から、最大角度に分割されるサブレーザビームを溝形成工程に利用しうる溝形成装置を提供しうる。従って、高い効率及び速度を有する溝形成工程を遂行しうる溝形成装置が提供するところにある。
【0005】
解決しようとする課題は、要求される形状(例えば、HAZが発生せず、底面が均一であり、溝の最下部幅が最上部幅の75%以上である形状)を有する溝を形成する溝形成装置を提供するところにある。
【0006】
ただし、解決しようとする課題は、前述の開示に限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、レーザビームを放出するレーザ光源と、前記レーザビームを複数のサブレーザビームに分割するマルチビーム生成器と、前記複数のサブレーザビームを加工対象に集光するフォーカシングレンズユニットと、前記マルチビーム生成器と前記フォーカシングレンズユニットとの間に提供される第1テレセントリックレンズと、前記第1テレセントリックレンズと前記フォーカシングレンズユニットとの間に提供される第2テレセントリックレンズと、を含む溝形成装置が提供されうる。
【0008】
前記第1テレセントリックレンズの後方焦点面、及び前記第2テレセントリックレンズの前方焦点面は、互いに重畳しうる。
【0009】
前記第1テレセントリックレンズは、前記マルチビーム生成器から最大角度に分割される前記複数のサブレーザビームを収容する大きさを有しうる。
【0010】
前記最大角度は、±3°でもある。
【0011】
前記マルチビーム生成器は、前記加工対象上において、前記複数のサブレーザビーム間の間隔が50μm以上になるように、前記複数のサブレーザビームを分割しうる。
【0012】
前記加工対象上において、前記複数のサブレーザビーム間の間隔は、互いに同一でもある。
【0013】
前記加工対象上の前記複数のサブレーザビーム間の間隔のうち少なくとも二つは、互いに異なりうる。
【0014】
前記加工対象上において、前記複数のサブレーザビームは、対称的に配列されうる。
【0015】
前記複数のサブレーザビームは、互いに同一強度を有しうる。
【0016】
前記複数のサブレーザビームのうち少なくとも二つは、互いに異なる強度世紀を有しうる。
【0017】
スキャンヘッドをさらに含むものの、前記フォーカシングレンズユニットは、前記スキャンヘッド内に配され、前記マルチビーム生成器、前記第1テレセントリックレンズ及び前記第2テレセントリックレンズは、前記スキャンヘッド外部に配されうる。
【0018】
前記加工対象を支持するステージをさらに含むものの、前記ステージは、前記加工対象上に前記複数のサブレーザビームが集光される位置を調節しうる。
【0019】
一態様において、レーザビームを放出するレーザ光源と、前記レーザビームを複数のサブレーザビームに分割するマルチビーム生成器と、前記複数のサブレーザビームを加工対象に集光するフォーカシングレンズユニットと、を含むものの、前記フォーカシングレンズユニットは、前記マルチビーム生成器から最大角度に分割される前記複数のサブレーザビームを収容するように、前記マルチビーム生成器から離隔される溝形成装置が提供されうる。
【0020】
前記最大角度は、±3°でもある。
【0021】
前記マルチビーム生成器は、前記加工対象上において、前記複数のサブレーザビーム間の間隔が50μm以上になるように、前記複数のサブレーザビームを分割しうる。
【発明の効果】
【0022】
本開示は、マルチビーム生成器から最大角度に分割されるサブレーザビームを溝形成工程に利用しうる溝形成装置を提供しうる。従って、高い効率及び速度を有する溝形成工程が遂行されうる。
【0023】
本開示は、要求される形状(例えば、HAZ発生が最小化され、底面が過度ではなく、均一に加工され、溝の最下部幅が最上部幅の75%以上である形状)を有する溝を形成する溝形成装置を提供しうる。
【0024】
ただし、発明の効果は、前述の開示に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】例示的な実施形態による溝形成装置の概念図である。
【
図2】
図1のフォーカシングレンズユニットの概念図である。
【
図3】例示的な実施形態による溝形成装置の概念図である。
【
図4】例示的な実施形態による、加工対象に照射されるサブレーザビームについて説明するための加工対象の平面図である。
【
図5】例示的な実施形態による、加工対象に照射されるサブレーザビームについて説明するための加工対象の平面図である。
【
図6】45μmのビーム間隔を有する5筋のサブレーザビームによって加工された溝を示す図である。
【
図7】25μmのビーム間隔を有する8筋のサブレーザビームによって加工された溝を示す図である。
【
図8】150μmのビーム間隔を有する5筋のサブレーザビームによって加工された溝を示す図である。
【
図9】200μmのビーム間隔を有する8筋のサブレーザビームによって加工された溝を示す図である。
【
図10】例示的な実施形態によるサブレーザビームの相対的な強度を示すグラフである。
【
図11】例示的な実施形態によるサブレーザビームの相対的な強度を示すグラフである。
【
図12】例示的な実施形態による、加工対象とフォーカシングレンズユニットとの位置関係について説明するための概念図である。
【
図13】例示的な実施形態による、加工対象とフォーカシングレンズユニットとの位置関係について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明する。図面において、同一参照符号は、同一構成要素を称し、各構成要素の大きさや厚みは、説明の明瞭性のために誇張されもいる。
【0027】
「第1」、「第2」のように序数を含む用語は、多様な構成要素についての説明に使用されうるが、該構成要素は、該用語によって限定されるものではない。該用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。例えば、本発明の権利範囲を外れずに、第1構成要素は、第2構成要素とも命名され、類似して、該第2構成要素も、該第1構成要素とも命名される。「及び/または」という用語は、複数の関連項目の組み合わせ、または複数の関連項目のうちいずれか1つの項目を含む。
【0028】
図1は、例示的な実施形態による溝形成装置の概念図である。
図2は、
図1のフォーカシングレンズユニットの概念図である。
【0029】
図1を参照すれば、レーザ光源110、コリメータ120、ビーム拡張器130、マルチビーム生成器140、テレセントリックレンズユニット200、フォーカシングレンズユニット150及びステージ400を含む溝形成装置10が提供されうる。レーザ光源110は、レーザビームLBを放出しうる。例えば、レーザビームLBは、パルスレーザでもある。レーザ光源110は、レーザビームLBをコリメータ120に提供しうる。レーザ光源110から放出されたレーザビームLBは、発散光でもある。例えば、レーザビームLBは、コリメータ120に逹するまで、進行方向に沿って広くなる幅を有しうる。
【0030】
コリメータ120は、レーザビームLBを平行光に変換しうる。レーザビームLBは、コリメータ120を通過した後、実質的に一定幅を有しうる。レーザビームLBの幅は、レーザビームLBの進行方向に実質的に垂直方向に沿うレーザビームLBの幅でもある。コリメータ120は、単一レンズまたは複数レンズの組み合わせを含むものでもある。コリメータ120は、平行光であるレーザビームLBをビーム拡張器130に提供しうる。
【0031】
ビーム拡張器130は、レーザビームLBの幅を拡張しうる。ビーム拡張器130は、複数レンズを含む光学系でもある。ビーム拡張器130は、拡張された幅を有するレーザビームLBを、マルチビーム生成器140に提供しうる。
【0032】
マルチビーム生成器140は、レーザビームLBを、サブレーザビームSLBに分割しうる。3筋のサブレーザビームSLBが図示されているが、それは、例示的なものである。他の例において、3筋以上のサブレーザビームSLBが提供されうる。例えば、マルチビーム生成器140は、回折光学素子(DOE:diffractive optical element)、キューブ型ビームスプリッタ及びプリズム型ビームスプリッタのうち少なくとも一つを含むものでもある。説明の簡潔さのために、以下において、マルチビーム生成器140は、回折光学素子を含むとして説明される。サブレーザビームSLBは、レーザビームLBが、マルチビーム生成器140によって回折されたものでもある。一例において、サブレーザビームSLBは、対称となりうる。例えば、中央に位置するサブレーザビームSLBは、0次回折ビームでもある。中央に位置するサブレーザビームSLBから遠くなる方向に沿って配列されるサブレーザビームSLBは、±1次回折ビーム、±2次回折ビーム、...、±n次回折ビームでもある。+と-は、中央のサブレーザビームSLBから遠くなる方向を示しうる。例えば、中央のサブレーザビームSLBの一側に、+1次次回折ビーム、+2次次回折ビーム、...、+n次回折ビームが順に配列され、他側に、-1次回折ビーム、-2次回折ビーム、...、-n次回折ビームが順に配列されうる。一例において、マルチビーム生成器140から放出されるサブレーザビームSLBが、いずれも溝形成工程に利用されうる。他の例において、マルチビーム生成器140から放出されるサブレーザビームSLBのうち、低次回折ビームが、溝形成工程に利用されうる。該低次回折ビームを溝形成工程に利用することは、後述される。
【0033】
溝形成工程に利用されるサブレーザビームSLBが、マルチビーム生成器140によって分割される分割角度142の最大値(以下、最大角度)は、約±3°でもある。該最大角度は、0次回折ビームの主光線(chief ray)と、最高次数を有するビームの主光線との角度でもある。例えば、最高次数が±3である場合、±3次回折ビームの主光線と、0次回折ビームの主光線との角度がそれぞれ±3°でもある。互いに隣接したサブレーザビームSLB間の角度は、必要によって定められうる。回折光学素子に形成されたパターンに係わる条件(例えば、パターン間の距離、パターンの配置形態、パターンの大きさなど)は、サブレーザビームSLBが要求される角度に分割されるように決定されうる。サブレーザビームSLBのそれぞれは、一定幅を有する平行光でもある。マルチビーム生成器140は、サブレーザビームSLBをテレセントリックレンズユニット200に提供しうる。
【0034】
テレセントリックレンズユニット200は、サブレーザビームSLBをフォーカシングレンズユニット150に伝達しうる。テレセントリックレンズユニット200は、光学系の長さを増大させるリレーレンズ(relay lens)の役割を行うことができる。テレセントリックレンズユニット200は、サブレーザビームSLBの光路に沿い、マルチビーム生成器140から遠くなる方向に配列される第1テレセントリックレンズ210及び第2テレセントリックレンズ220を含むものでもある。
【0035】
第1テレセントリックレンズ210は、マルチビーム生成器140側に、無限大の焦点距離を有し、第2テレセントリックレンズ220側に、第1焦点距離214を有しうる。言い換えれば、第1テレセントリックレンズ210の前方焦点距離は、無限大であり、その後方焦点距離は、第1焦点距離214でもある。第1テレセントリックレンズ210の中心から、第2テレセントリックレンズ220側に、第1焦点距離214ほど離隔された位置に、第1焦点面212が位置しうる。第1テレセントリックレンズ210は、サブレーザビームSLBを、第1焦点面212に集束しうる。一例において、第1テレセントリックレンズ210を過ぎたサブレーザビームSLBの主光線は、実質的に互いに平行でもある。
【0036】
第2テレセントリックレンズ220は、第1テレセントリックレンズ210側に、第2焦点距離224を有し、後述されるフォーカシングレンズユニット150側に、無限大の焦点距離を有しうる。言い換えれば、第2テレセントリックレンズ220の前方焦点距離は、第2焦点距離224でもあり、後方焦点距離は、無限大でもある。第2テレセントリックレンズ220の中心から、第1テレセントリックレンズ210側に、第2焦点距離224ほど離隔された位置に、第2焦点面222が位置しうる。第2焦点面222は、第1焦点面212と実質的に重畳しうる。第1テレセントリックレンズ210により、第1焦点面212(すなわち、第2焦点面222)に集束されたサブレーザビームSLBは、第1焦点面212を過ぎた後、発散されうる。言い換えれば、サブレーザビームSLBの幅は、第1テレセントリックレンズ210を過ぎ、第1焦点面212に近くなるほど狭くなり、第1焦点面212を過ぎ、第2テレセントリックレンズ220に近くなるほど広くなりうる。サブレーザビームSLBは、第2テレセントリックレンズ220により、一定幅を有する平行光に変換されうる。第2テレセントリックレンズ220は、サブレーザビームSLBを、フォーカシングレンズユニット150に提供しうる。
【0037】
一例において、第1テレセントリックレンズ210と第2テレセントリックレンズ220は、実質的に互いに同一でもある。例えば、第1焦点距離214と第2焦点距離224は、実質的に同一でもある。一例において、第1テレセントリックレンズ210と第2テレセントリックレンズ220は、互いに異なりうる。例えば、第1焦点距離214と第2焦点距離224は、異なりうる。第1テレセントリックレンズ210及び第2テレセントリックレンズ220は、単一レンズまたは複合レンズを含むものでもある。
【0038】
一例において、低次回折ビーム(例えば、0次回折ビーム、±1次回折ビーム、±2次回折ビーム、±3次回折ビーム)が、溝形成工程に選択的に利用されうる。言い換えれば、高次回折ビーム(例えば、4次以上の回折ビーム)は、溝形成工程に利用されないのである。一例において、要求されない高次回折ビームに該当するサブレーザビームSLBが溝形成工程に利用されることを防止するために、溝形成装置10は、高次回折ビームを遮断する第1マスク(図示せず)及び第2マスク(図示せず)のうち少なくとも一つをさらに含むものでもある。
【0039】
第1マスクは、マルチビーム生成器140と第1テレセントリックレンズ210との光路上に提供されうる。該第1マスクは、マルチビーム生成器140で形成されるサブレーザビームSLBのうち、溝形成工程に利用されない高次回折ビームが、第1テレセントリックレンズ210に提供されることを遮断しうる。例えば、第1マスクは、絞りでもある。
【0040】
第2マスクは、第1テレセントリックレンズ210と第2テレセントリックレンズ220との光路上に提供されうる。例えば、該第2マスクは、第1後方焦点面(または、第2前方焦点面)に位置しうる。該第2マスクは、第1テレセントリックレンズ210を通過したサブレーザビームのうち、溝形成工程に利用されない高次回折ビームが、第2テレセントリックレンズ220に提供されることを遮断しうる。例えば、該第2マスクは、空間フィルタ(spatial filter)でもある。
【0041】
第1マスクと第2マスクとが同時に提供される場合、溝形成工程に利用されない高次回折ビームを99%以上遮断しうる。
【0042】
フォーカシングレンズユニット150は、サブレーザビームSLBを加工対象300に集束しうる。フォーカシングレンズユニット150は、単一レンズまたは複合レンズを含むものでもある。例えば、フォーカシングレンズユニット150は、焦点距離が50mmであるf50テレセントリックレンズを含むものでもある。
図2に図示されているように、フォーカシングレンズユニット150は、スキャンヘッド152内に配されうる。スキャンヘッド152は、フォーカシングレンズユニット150以外の他の構成を含むものでもある。例えば、スキャンヘッド152は、テレセントリックレンズユニット200から提供されたサブレーザビームSLBをフォーカシングレンズユニット150に伝達するための鏡、及び/またはサブレーザビームSLBが照射される加工対象300上の位置を調整するガルバニックスキャナをさらに含むものでもある。加工対象300上において、サブレーザビームSLB間の間隔は、ビーム間隔とも称される。該ビーム間隔は、50μm以上でもある。例えば、ビーム間隔は、50μmないし1,000μmでもある。
【0043】
ステージ400は、フォーカシングレンズユニット150と対向しうる。ステージ400は、加工対象300を支持し、加工対象300の位置を調節しうる。ステージ400は、水平方向及び垂直方向に沿い、加工対象300を移動させることができる。例えば、該水平方向は、ステージ400の上面に平行な方向であり、該垂直方向は、ステージ400の上面に垂直方向でもある。ステージ400が加工対象300を移動する間、サブレーザビームSLBが加工対象300に照射され、溝形成工程が遂行されうる。
【0044】
必要により、前述の光学要素間に、光路を変更させる光学要素(例えば、鏡)が配されうる。
【0045】
マルチビーム生成器140によって最大角度に分割されるサブレーザビームSLBが、溝形成工程に使用される場合、該溝形成工程の効率及び速度が増大されるのである。例えば、サブレーザビームSLBが最大角度(例えば、±3°)に分割され、加工対象300上において、最も外側に位置した1対のサブレーザビームSLB間の間隔が最大4,000μmでもあり、ビーム間隔は、500μm以上であることが要求される場合、最大9筋のサブレーザビームSLBが、溝形成工程に利用されうる。このとき、マルチビーム生成器140から放出されるサブレーザビームSLBを収容する光学要素が、マルチビーム生成器140から放出されるサブレーザビームSLBをいずれも収容することができないのであるならば、9筋より少数のサブレーザビームSLBが溝形成工程に利用されうる。その場合、溝形成工程の効率及び速度が低減されてしまう。
【0046】
本開示の溝形成装置10は、マルチビーム生成器140によって最大角度に分割されるサブレーザビームSLBを溝形成工程に利用するので、溝形成工程の効率及び速度を増大させることができる。また、本開示は、第1テレセントリックレンズ210と第2テレセントリックレンズ220とを利用し、光学系構成の自由度を高めうる。
【0047】
図3は、例示的な実施形態による溝形成装置の概念図である。説明の簡潔さのために、
図1及び
図2を参照して説明されたところとの違いが説明される。
【0048】
図3を参照すれば、溝形成装置11が提供されうる。溝形成装置11のフォーカシングレンズユニット150は、
図1及び
図2を参照して説明された溝形成装置10のフォーカシングレンズユニット150と異なり、マルチビーム生成器140にすぐ隣接するように配されうる。サブレーザビームSLBは、マルチビーム生成器140から放出され、フォーカシングレンズユニット150にすぐ提供されうる。テレセントリックレンズユニット200は、提供されない。フォーカシングレンズユニット150が収容しうるサブレーザビームSLBの最大分割角度は、フォーカシングレンズユニット150とマルチビーム生成器140との離隔距離によっても異なる。フォーカシングレンズユニット150が、マルチビーム生成器140から遠く離れるほど、フォーカシングレンズユニット150が収容しうるサブレーザビームSLBの最大分割角度が小さくなるのである。フォーカシングレンズユニット150は、マルチビーム生成器140において、最大角度(例えば、±3°)に分割されるサブレーザビームSLBを全部収容することができるように、マルチビーム生成器140に隣接するように配されうる。例えば、フォーカシングレンズユニット150が、焦点距離が50mmであり、入射瞳径(EPD:entrance pupil diameter)が24mmであるf50テレセントリックレンズを含む場合、フォーカシングレンズユニット150とマルチビーム生成器140との離隔距離は、10mm以下でもある。
【0049】
本開示の溝形成装置11は、マルチビーム生成器140によって最大角度に分割されるサブレーザビームSLBを溝形成工程に利用するので、該溝形成工程の効率及び速度を増大させることができる。
【0050】
以下において、サブレーザビームSLBを利用する溝形成方法について説明される。
【0051】
図4は、例示的な実施形態による、加工対象に照射されるサブレーザビームについて説明するための加工対象の平面図である。
【0052】
図4を参照すれば、加工対象300に、7筋のサブレーザビームSLBが照射されうる。一例において、サブレーザビームSLBが照射される間、ステージ400が加工対象300を移動させることができる。例えば、ステージ400は、加工対象300を、第1方向DR1に移動させることができる。それにより、加工対象300に溝GRが形成されうる。前述のように、サブレーザビームSLBの筋数は、必要によって定められうる。7筋のサブレーザビームSLBは、0次回折ビーム、±1次回折ビーム、±2次回折ビーム、±3次回折ビームでもある。例えば、中央のサブレーザビームSLBは、0次回折ビームであり、中央のサブレーザビームSLBから第1方向DR1に沿い、+1次回折ビーム、+2次回折ビーム及び+3次回折ビームに該当するサブレーザビームSLBが順に配列され、中央のサブレーザビームSLBから第1方向DR1に反対になる第2方向DR2に沿い、-1次回折ビーム、-2次回折ビーム及び-3次回折ビームに該当するサブレーザビームSLBが順に配列されうる。一例において、サブレーザビームSLBのうち、最も外側に位置する1対のサブレーザビームSLB(すなわち、±3次回折ビーム)間の距離D
Tは、100μmないし4,000μmでもある。サブレーザビームSLBのそれぞれは、第1方向DR1及び第2方向DR2と交差する第3方向DR3に沿って延長されうる。例えば、サブレーザビームSLBの第3方向DR3に沿う長さD
Lは、30ないし200μmでもある。サブレーザビームSLBの幅D
Wは、5ないし20μmでもある。サブレーザビームSLBの幅D
Wは、第1方向DR1または第2方向DR2に沿うサブレーザビームSLBの幅でもある。
【0053】
サブレーザビームSLBは、実質的に同一間隔Dbに配列されうる。以下において、サブレーザビームSLB間の間隔は、ビーム間隔Dbと称されうる。ビーム間隔Dbが50μm未満である場合、溝GRは、要求される形状を有しえない。例えば、サブレーザビームSLBによる潜熱が累積され、溝GR周辺の加工対象300が変形されるHAZ(heat affected zone)が過度に発生し、それにより、溝GRの底面が不均一になったり、過度に加工されたりするか、あるいは溝GRの最下部幅が最上部幅の75%以下になり、テーパ比(taper ratio,steepness)が低くなってしまう。また、サブレーザビームSLBが過度に短い間隔でもって、加工対象300を加工することによって生じる粉塵が溝GRの上部周辺にたまってしまう。すなわち、溝GR加工の加工性が低くなりうる。
【0054】
本開示の溝形成装置10,11は、50μm以上のビーム間隔Dbを有するサブレーザビームSLBでもって溝GRを形成しうる。例えば、ビーム間隔Dbは、50μmないし1,000μmでもある。サブレーザビームSLB間のビーム間隔Dbが広いので、ビーム間隔Dbが50μm未満である場合と異なり、サブレーザビームSLBによる潜熱の累積が低減され、HAZ発生が最小化されうる。それにより、溝GRの底面が過度ではなく、均一に加工され、溝GRの最下部幅が最上部幅の75%以上になり、テーパ比が増大しうる。すなわち、本開示の溝形成装置10,11は、要求される形状を有する溝GRを形成しうる。
【0055】
加工対象が熱に対する反応性が互いに異なる複数の材質を含む場合、一材質に対して要求される品質の加工を遂行しうるビーム間隔を有するサブレーザビームSLBでもって、異なる材質については、要求される品質の加工が遂行されえないのである。すなわち、前述の異なる材質を加工することにより、HAZが過度に生じ、溝GRの側壁は、低いテーパ比を有し、底部は、不均一になり、過度に加工されうる。本開示の溝形成装置10は、50μm以上のビーム間隔Dbを有するサブレーザビームSLBでもって加工を行うので、熱に対する反応性が互いに異なる複数の材質につき、要求される品質の加工が行われうる。言い換えれば、本開示の溝形成装置10は、互いに異なる複数の材質につき、均質した加工性を有しうる。
【0056】
図5は、例示的な実施形態による、加工対象に照射されるサブレーザビームについて説明するための加工対象の平面図である。説明の簡潔さのために、
図4を参照して説明されたところと実質的に同一内容は、説明されないのである。
【0057】
図5を参照すれば、7筋のサブレーザビームSLBが提供されうる。ビーム間隔に係わるところを除けば、サブレーザビームSLBは、
図4を参照して説明されたサブレーザビームSLBと実質的に同一でもある。
【0058】
図4を参照して説明されたところと異なり、サブレーザビームSLBは、異なる間隔に配列されうる。サブレーザビームSLB間のビーム間隔を、それぞれ+1ビーム間隔+D
b1、+2ビーム間隔+D
b2、+3ビーム間隔+D
b3、-1ビーム間隔-D
b1、-2ビーム間隔-D
b2及び-3ビーム間隔-D
b3と称しうる。±1次回折ビーム、±2次回折ビーム、±3次回折ビームに該当するサブレーザビームSLBは、0次回折ビームに該当する中央のサブレーザビームSLBを中心に対称的に配されうる。+1ビーム間隔+D
b1、+2ビーム間隔+D
b2及び+3ビーム間隔+D
b3は、それぞれ-1ビーム間隔-D
b1、-2ビーム間隔-D
b2及び-3ビーム間隔-D
b3と実質的に同一でもある。+1ビーム間隔+D
b1、+2ビーム間隔+D
b2及び+3ビーム間隔+D
b3(または、-1ビーム間隔-D
b1、-2ビーム間隔-D
b2及び-3ビーム間隔-D
b3)のうち少なくとも二つは異なりうる。+1ビーム間隔+D
b1、+2ビーム間隔+D
b2、+3ビーム間隔+D
b3、-1ビーム間隔-D
b1、-2ビーム間隔-D
b2及び-3ビーム間隔-D
b3のそれぞれは、50μm以上でもある。例えば、+1ビーム間隔+D
b1、+2ビーム間隔+D
b2、+3ビーム間隔+D
b3、-1ビーム間隔-D
b1、-2ビーム間隔-D
b2及び-3ビーム間隔-D
b3のそれぞれは、50μmないし1,000μmでもある。+1ビーム間隔+D
b1、+2ビーム間隔+D
b2及び+3ビーム間隔+D
b3(または、-1ビーム間隔-D
b1、-2ビーム間隔-D
b2及び-3ビーム間隔-D
b3)は、必要によって定められうる。
【0059】
本開示の溝形成装置10,11は、50μm以上の値を有する+1ビーム間隔+Db1、+2ビーム間隔+Db2、+3ビーム間隔+Db3、-1ビーム間隔-Db1、-2ビーム間隔-Db2及び-3ビーム間隔-Db3を有するサブレーザビームSLBでもって、溝GRを形成するので、先に加工を行ったサブレーザビームSLBによる潜熱は、すぐに次のサブレーザビームSLBが加工を行うとき、十分に小さくなりうる。それにより、本開示の溝形成装置10,11は、要求される形状(例えば、HAZ発生が最小化され、底面が過度ではなく、均一に加工され、溝GRの最下部幅が最上部幅の75%以上である形状)を有する溝GRを形成しうる。
【0060】
一例において、溝GRは、加工対象物をカッティングするために形成されうる。溝GRの側面は、垂直に近いほど理想的であり、溝GRの上部幅と下部幅との差が大きくなるほど、溝GRの側面が緩やかな傾斜を有する。レーザを利用した溝形成(grooving加工)後、溝GRに沿い、ブレードでもって加工対象物をカッティングするが、溝GRの側面傾きが緩やかであるほど、回転するブレードが溝の下部まで挿入されている最中、溝の側壁に着いてクラックが生じる可能性が高い。従って、溝GRは、溝GRの上部幅対比で、下部幅が75%以上になるように加工されうる。または、溝GRの深さを考慮し、溝GRの両側壁の傾きの平均が2以上になるように加工されうる。両側壁の傾きの平均は、「溝の深さ/(溝の上部幅-溝の下部幅)/2」であると言える。
【0061】
本開示の溝形成装置10,11によって形成された溝GRを利用した加工対象物のカッティング工程が遂行された。本実験に使用されたブレードは、幅が30μmであり、ブレードの加工公差±5μmを勘案し、溝GRの下部幅は、40μm以下のもの、上部幅は、52μm以下のものを規格にした。そして、実験に使用された各ビームのエネルギーは、5Wであった。
【0062】
非金属パターンウェーハの加工において、ビーム間隔Db、+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が50μm以上である場合、溝GRの上部幅と下部幅との差が12μm以下であり、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が40μm以上である場合、両側壁の傾き平均が2以上である。
【0063】
また、金属パターンウェーハの加工において、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が40μm以上である場合、溝GRの上部幅と下部幅との差が12μm以下であり、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が20μm以上である場合、両側壁の傾き平均が2以上である。
【0064】
すなわち、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が50μm以上である場合、非金属パターンウェーハと金属パターンウェーハとの加工において、いずれも溝GRの上部幅対比の下部幅の比率と、両側壁の傾き平均値とを満足しうる。
【0065】
なお、HAZは、加工対象物の強度を低下させると共に、該HAZの分量が多くなり、該HAZの高さが高くなれば、溝GRの上部幅と下部幅との差が大きくなってしまう。従って、該HAZの高さは低いほど好ましい。実験結果、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が広くなるほど、該HAZの高さが低くなることを確認した。すなわち、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が広いほど、該HAZ発生防止において有利でありうる。ただし、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が40μmより狭ければ、該HAZの幅が急激に増大した。また、金属パターンウェーハにおいても、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が、40μmより大きい場合、該HAZの高さが低減されが、非金属パターンウェーハにおいては、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が40μmより大きい場合、該HAZの高さが急激に低減された。従って、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が40μm以上である場合、非金属パターンウェーハと金属パターンウェーハとにおいて、いずれも該HAZの高さと幅とにおいて、有利な加工結果を得ることができる。
【0066】
前記の実験結果を総合すれば、結論として、ビーム間隔Db,+Db1,+Db2,+Db3,-Db1,-Db2,-Db3が50μm以上である場合には、加工対象300の材料に関係なく、テーパ比、傾き、HAZの高さと幅とにおいて、いずれも満足すべき加工結果を得ることができる。
【0067】
図6は、45μmのビーム間隔を有する5筋のサブレーザビームによって加工された溝を示す図面である。
図7は、25μmのビーム間隔を有する8筋のサブレーザビームによって加工された溝を示す図面である。
【0068】
図6及び
図7を参照すれば、溝GRの平面写真と、溝GRの断面形状グラフとが重畳されて図示されている。溝GRは、大きいHAZ 1、及び過度に加工された下部領域 2を有している。溝GRの底面は、低い均一性を有している。
【0069】
図8は、150μmのビーム間隔を有する5筋のサブレーザビームによって加工された溝を示す図面である。
図9は、200μmのビーム間隔を有する8筋のサブレーザビームによって加工された溝を示す図面である。
【0070】
図8及び
図9を参照すれば、溝GRの平面写真と、溝GRの断面形状グラフとが重畳されて図示されている。溝GRは、
図6及び
図7に図示された溝GRと異なり、小さいHAZ 1を有し、過度に加工された下部領域は、有していない。溝GRは、均一に加工された底面を有している。
【0071】
図10は、例示的な実施形態によるサブレーザビームの相対的な強度を示すグラフである。
【0072】
図10を参照すれば、サブレーザビームSLBは、実質的に同一強度を有しうる。
図4及び
図5に図示された0次回折ビーム、±1次回折ビーム、±2次回折ビーム、±3次回折ビームに該当するサブレーザビームSLBは、それぞれ、0、±1、±2、±3と表示されている。サブレーザビームSLBの絶対的な強度は、必要によって定められうる。例えば、サブレーザビームSLBの絶対的な強度は、加工対象300の種類、及び/またはサブレーザビームSLB間のビーム間隔によって決定されうる。
【0073】
本開示の溝形成装置10,11は、50μm以上のビーム間隔Dbを有するサブレーザビームSLBでもって溝GRを形成するので、要求される形状(例えば、HAZ発生が最小化され、底面が過度ではなく、均一に加工され、溝の最下部幅が最上部幅の75%以上である形状)を有する溝GRが形成されうる。
【0074】
図11は、例示的な実施形態によるサブレーザビームの相対的な強度を示すグラフである。
【0075】
図11を参照すれば、サブレーザビームSLBは、互いに異なる強度を有しうる。
図4及び
図5に図示された0次回折ビーム、±1次回折ビーム、±2次回折ビーム、±3次回折ビームに該当するサブレーザビームSLBは、それぞれ0、±1、±2、±3と表示されている。0次回折ビーム及び±2次回折ビームに該当するサブレーザビームSLBの強度は、±1次回折ビーム及び±3次回折ビームに該当するサブレーザビームSLBの強度の半分でもある。ただし、サブレーザビームSLBの相対的な強度は、図示されているところに限定されるものではなく、必要によって定められうる。サブレーザビームSLBの絶対的な強度は、必要によって定められうる。例えば、サブレーザビームSLBの絶対的な強度は、加工対象300の種類、及び/またはサブレーザビームSLB間のビーム間隔によって決定されうる。
【0076】
本開示の溝形成装置10,11は、50μm以上のビーム間隔Dbを有するサブレーザビームSLBでもって溝GRを形成するので、要求される形状(例えば、HAZ発生が最小化され、底面が過度ではなく、均一に加工され、溝の最下部幅が最上部幅の75%以上である形状)を有する溝GRが形成されうる。
【0077】
図12及び
図13は、例示的な実施形態による、加工対象とフォーカシングレンズユニットとの位置関係について説明するための概念図である。説明の簡潔さのために、
図1及び
図2を参照して説明されたところ、及び
図3を参照して説明されたところと実質的に同一な内容は、説明されない。
【0078】
図12及び
図13を参照すれば、フォーカシングレンズユニット150は、ステージ400上に配された加工対象300に、サブレーザビームSLBを集束しうる。フォーカシングレンズユニット150は、焦点FPとフォーカシングレンズユニット150との間に位置する第1イメージ面IP1、及び焦点FPに対し、第1イメージ面IP1の反対側に位置する第2イメージ面IP2を有しうる。
【0079】
図12に図示されてように、フォーカシングレンズユニット150は、フォーカシングレンズユニット150の焦点が、加工対象300内に位置するように配されうる。例えば、フォーカシングレンズユニット150は、第1イメージ面IP1が加工対象300の表面に位置するように配されうる。その場合、加工対象300は、第1イメージ面IP1のサブレーザビームSLBによって加工されうる。
【0080】
図13に図示されているように、フォーカシングレンズユニット150は、フォーカシングレンズユニット150の焦点が、加工対象300とフォーカシングレンズユニット150との間に位置するように配されうる。例えば、フォーカシングレンズユニット150は、第2イメージ面IP2が、加工対象300の表面に位置するように配されうる。その場合、加工対象300は、第2イメージ面IP2のサブレーザビームSLBによって加工されうる。
【0081】
フォーカシングレンズユニット150の位置は、必要によって定められうる。
【0082】
第1イメージ面IP1のサブレーザビームSLBによって形成された溝の側壁は、第2イメージ面IP2のサブレーザビームSLBによって形成された溝の側壁よりも傾きが生じうる。溝をどのイメージ面のサブレーザビームSLBでもって形成するかということは、要求される溝の形状によって決定されうる。
【0083】
本開示の溝形成装置10,11は、50μm以上のビーム間隔Dbを有するサブレーザビームSLBでもって溝GRを形成するので、要求される形状(例えば、HAZ発生が最小化され、底面が過度ではなく、均一に加工され、溝の最下部幅が最上部幅の75%以上である形状)を有する溝GRが形成されうる。
【0084】
本発明の技術的思想の実施形態に係わる以上の説明は、本発明の技術的思想の説明のための例示を提供する。従って、本発明の技術的思想は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において、当該技術分野の通常の知識を有する者により、前述の実施形態を組み合わせて実施するというように、さまざまな多くの修正及び変更が可能であるということは、明白である。
【国際調査報告】