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  • 特表-ハンドル構築 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ハンドル構築
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20240905BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20240905BHJP
   C08J 9/10 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B62D1/04
C08G18/00 F
C08G18/32 006
C08G18/65
C08G18/66 003
C08G18/76 057
C08J9/10 CFF
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516846
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 US2022043440
(87)【国際公開番号】W WO2023043780
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/244,778
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サイファート, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ニスタラ, サトゥヤナラヤナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジーグワン
(72)【発明者】
【氏名】ボントーシック, ジョセフ ジェイ. ジュニア
【テーマコード(参考)】
3D030
4F074
4J034
【Fターム(参考)】
3D030CA07
3D030DA54
3D030DA67
4F074AA78
4F074BA03
4F074BA08
4F074BA13
4F074BC01
4F074DA35
4J034BA08
4J034CA04
4J034CB03
4J034CC02
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB07
4J034DC02
4J034DC43
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF03
4J034DF12
4J034DF16
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG06
4J034DH01
4J034DM01
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HA14
4J034HB12
4J034HC02
4J034HC09
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC16
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KB05
4J034KC02
4J034KD02
4J034NA01
4J034NA05
4J034QA05
4J034QB14
4J034QB15
4J034QC01
4J034QC03
4J034QD01
4J034RA11
4J034RA12
(57)【要約】
ハンドルリムと、ハブベースと、少なくとも1つのスポークと、を備え、ハブベースが、ハンドルリムの内側に配置されており、ハブベースが、少なくとも1つのスポークによってハンドルリムに接続されている、車両用ハンドルを提供する。ハンドルは、硬質の射出成形熱可塑性ポリウレタン材料から形成されている。本発明は、車両用ハンドルを提供する。例示的な一実施形態では、ハンドルが、ハンドルリムと、ハブベースと、少なくとも1つのスポークと、を備え、ハブベースが、ハンドルリムの内側に配置されており、ハブベースが、少なくとも1つのスポークによってリムに接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ハンドルであって、
(a)50,000~350,000ダルトン、又は80,000~200,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)、(b)ASTM D256に従って測定された、1.5~30ft-lb/in、又は15~30ft-lb/inのノッチ付きアイゾット衝撃強度(3.2mm/23℃)、(c)ASTM D790に従って測定された、80,000~2,300,000又は150,000~500,000の曲げ弾性率、(d)ASTM D638に従って測定された、100~900in-lbの計装化落槍衝撃(23℃での総エネルギー)、及び(e)ASTM D3763に従って測定された、80,000~2,600,000psi、又は100,000~300,000psiの引張弾性率、を有する第1の熱可塑性ポリウレタン材料を含む、ハンドルフレームを備える、車両用ハンドル。
【請求項2】
前記第1の熱可塑性ポリウレタン材料が、第1のジイソシアネート成分と、第1の鎖延長剤成分と、任意選択的に少なくとも1つの第1のポリオール成分との反応生成物を含み、前記第1のジイソシアネート成分と前記第1の鎖延長剤成分との合計重量が、前記第1の熱可塑性ポリウレタン材料のハードセグメント含有量を構成する、請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
前記第1の熱可塑性ポリウレタン材料が、少なくとも60重量%のハードセグメント含有量を含む、請求項2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記第1の熱可塑性ポリウレタン材料が、75重量%~90重量%のハードセグメント含有量を含む、請求項2又は3に記載のハンドル。
【請求項5】
前記第1のジイソシアネート成分が、芳香族ジイソシアネートである、請求項1~4のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項6】
前記第1のジイソシアネートが、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)である、請求項5に記載のハンドル。
【請求項7】
前記第1の鎖延長剤成分が、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ノナンジオール、ドデカンジオール、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項2~6のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項8】
前記第1のポリオール成分が存在し、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールを含む、請求項2~7のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項9】
前記ハンドルフレーム用の発泡体製カバーであって、(i)ゲル浸透クロマトグラフィで測定したときに50,000~350,000ダルトン又は100,000~200,000ダルトンの重量平均分子量及び1.2~3.5又は2.0~2.5の分散度(Mw/Mn)を有する第2の熱可塑性ポリウレタン材料と、(ii)及び化学発泡剤及び/又は気泡開放界面活性剤と、の組み合わせから形成されている軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を含む、発泡体製カバーを更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項10】
前記軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体が、
(i)DSCによって測定したときに25℃~205℃又は40℃~150℃の結晶化のピーク温度、
(ii)DSCによって測定したときに106℃~206℃の融解ピーク温度、及び
(iii)各々DSCによって測定したときに1~137℃の前記融解のピーク温度と前記結晶化のピーク温度との間の差、を有する、請求項9に記載のハンドル。
【請求項11】
前記軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体が、
(i)ASTM D2632によって測定したときに少なくとも30%の垂直反発弾性、
(ii)ASTM D395によって測定したときに25%以下の室温での圧縮永久歪み、
(iii)ASTM D395によって測定したときに50%以下の50℃での圧縮永久歪み、及び
(iv)ASTM D2240によって測定したときに30~65のアスカーC硬度、を有する、請求項9又は10に記載のハンドル。
【請求項12】
前記発泡剤が、化学発泡剤を含むか又はそれからなる、請求項9~11のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項13】
前記化学発泡剤が、発熱型発泡剤を含むか又はそれからなる、請求項12に記載のハンドル。
【請求項14】
前記発熱型発泡剤が、アゾジカルボンアミドを含むか又はそれからなる、請求項13に記載のハンドル。
【請求項15】
前記発泡剤が、吸熱型発泡剤を含むか又はそれからなる、請求項9~12のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項16】
前記発泡剤が、重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物を含むか又はそれからなる、請求項15に記載のハンドル。
【請求項17】
前記化学発泡剤が、ポリマー担体及び前記化学発泡剤を含むマスターバッチによって送達される、請求項9~16のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項18】
前記軟質熱可塑性ポリウレタン発泡体が、0.5重量%~10重量%又は1重量%~5重量%の前記マスターバッチと、90重量%~99.5重量%又は95重量%~99重量%の前記第2の熱可塑性ポリウレタン材料と、の組み合わせから形成される、請求項17に記載のハンドル。
【請求項19】
前記ポリマー担体が、担体熱可塑性ポリウレタン組成物を含むか、又はそれからなり、前記担体熱可塑性ポリウレタン組成物が、前記第1の熱可塑性ポリウレタン材料及び前記第2の熱可塑性ポリウレタン材料と同じであり得るか異なり得る、請求項17又は18に記載のハンドル。
【請求項20】
前記ポリマー担体が、ポリエチレンを含むか又はそれからなる、請求項17又は18に記載のハンドル。
【請求項21】
前記気泡開放界面活性剤が、1つ以上のシリコーン、シロキサンコポリマー、非シロキサンコポリマー、非シリコーン、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項9に記載のハンドル。
【請求項22】
前記第2の熱可塑性ポリウレタン材料が、(a)少なくとも1つのポリオール成分、(b)少なくとも1つのジイソシアネート成分、及び(c)少なくとも1つの鎖延長剤成分の反応生成物を含み、前記少なくとも1つのジイソシアネート成分及び前記少なくとも1つの鎖延長剤成分の合計重量が、前記熱可塑性ポリウレタン材料のハードセグメント含有量を構成し、前記熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%、又は20重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%~35重量%のハードセグメント含有量を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項23】
前記ポリオール成分が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項22に記載のハンドル。
【請求項24】
前記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むか又はそれからなる、請求項23に記載のハンドル。
【請求項25】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%又は23重量%~45重量%のハードセグメント含有量を有する、請求項24に記載のハンドル。
【請求項26】
前記ポリオール成分が、アジピン酸に由来するポリエステルポリオールを含むか又はそれからなる、請求項23に記載のハンドル。
【請求項27】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、最大50重量%、又は24重量%~50重量%、又は24重量%~30重量%のハードセグメント含有量を有する、請求項26に記載のハンドル。
【請求項28】
前記ポリオール成分が、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールを含むか又はそれからなる、請求項23に記載のハンドル。
【請求項29】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%、又は20重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%のハードセグメント含有量を有する、請求項28に記載のハンドル。
【請求項30】
前記鎖延長剤成分が、1,4-ブタンジオール、ベンゼングリコール、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項22~29のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項31】
前記ハンドルフレームが、ハンドルリムと、ハブベースと、少なくとも1つのスポークと、を備え、前記ハブベースが、前記ハンドルリムの内側に配置され、前記ハブベースが、前記少なくとも1つのスポークによって前記ハンドルリムに接続されている、請求項1~30のいずれか一項に記載のハンドル。
【請求項32】
ハンドルを作製する方法であって、
(a)50,000~350,000ダルトン、又は80,000~200,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)、(b)ASTM D256に従って測定された、1.5~30ft-lb/in、又は15~30ft-lb/inのノッチ付きアイゾット衝撃強度(3.2mm/23℃)、(c)ASTM D790に従って測定された、80,000~2,300,000又は150,000~500,000の曲げ弾性率、(d)ASTM D638に従って測定された、100~900in-lbの計装化落槍衝撃(23℃での総エネルギー)、及び(e)ASTM D3763に従って測定された、80,000~2,600,000psi、又は100,000~300,000psiの引張弾性率、を有する第1の熱可塑性ポリウレタン材料を射出成形することによってハンドルフレームを形成するステップを含む、方法。
【請求項33】
前記第1の熱可塑性ポリウレタン材料が、第1のジイソシアネート成分と、第1の鎖延長剤成分と、任意選択的に少なくとも1つの第1のポリオール成分との反応生成物を含み、前記第1のジイソシアネート成分と前記第1の鎖延長剤成分との合計重量が、前記第1の熱可塑性ポリウレタン材料のハードセグメント含有量を構成する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の熱可塑性ポリウレタン材料が、少なくとも60重量%のハードセグメント含有量を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の熱可塑性ポリウレタン材料が、75重量%~90重量%のハードセグメント含有量を含む、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のジイソシアネート成分が、芳香族ジイソシアネートを含む、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のジイソシアネート成分が、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の鎖延長剤成分が、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ノナンジオール、ドデカンジオール、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のポリオール成分が存在し、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールを含む、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記ハンドルフレーム用の気泡体製カバーを形成することを更に含む、請求項32~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
(1)(i)少なくとも1つのポリオール成分、(ii)少なくとも1つのジイソシアネート成分、及び(iii)少なくとも1つの鎖延長剤成分の反応生成物を含み、(a)20重量%~60重量%、又は20重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%のハードセグメント含有量、(b)ゲル浸透クロマトグラフィによって測定したときに50,000~350,000ダルトン又は100,000~200,000ダルトンの重量平均分子量、及び(c)1.2~3.5又は2.0~2.5の分散度(Mw/Mn)を有する第2の熱可塑性ポリウレタン材料並びに化学発泡剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡混合物を提供するステップと、
(2)前記第2の熱可塑性ポリウレタン材料と前記化学発泡剤とを混合して、発泡混合物を得るステップと、
(3)前記第2の熱可塑性ポリウレタン材料と前記化学発泡剤界面活性剤とが相互作用して、軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を形成するように、前記発泡混合物を射出成形するステップと、を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記軟質熱可塑性ポリウレタン発泡体が、
(i)DSCによって測定したときに25℃~205℃又は40℃~150℃の結晶化のピーク温度、
(ii)DSCによって測定したときに106℃~206℃の融解ピーク温度、及び
(iii)各々DSCによって測定したときに1度~137度の前記融解のピーク温度と前記結晶化のピーク温度との間の差、を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体が、
(i)ASTM D2632によって測定したときに少なくとも30%の垂直反発弾性、
(ii)ASTM D395によって測定したときに25%以下の室温での圧縮永久歪み、
(iii)ASTM D395によって測定したときに50%以下の50℃での圧縮永久歪み、及び
(iv)ASTM D2240によって測定したときに30~65のアスカーC硬度、を有する、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項44】
前記化学発泡剤が、発熱型発泡剤を含むか又はそれからなる、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記発熱型発泡剤が、アゾジカルボンアミドを含むか又はそれからなる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記発泡剤が、吸熱型発泡剤を含むか又はそれからなる、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記発泡剤が、重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物を含むか又はそれからなる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記化学発泡剤が、ポリマー担体及び前記化学発泡剤を含むマスターバッチによって送達される、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記発泡混合物が、0.5重量%~10重量%又は1重量%~5重量%の前記マスターバッチと、90重量%~99.5重量%又は95重量%~99重量%の前記第2の熱可塑性ポリウレタン材料と、を含有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ポリマー担体が、担体熱可塑性ポリウレタン組成物を含むか又はそれからなる、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項51】
前記ポリマー担体が、ポリエチレンを含むか又はそれからなる、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項52】
前記ポリオール成分が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項30~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むか又はそれからなる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%又は23重量%~45重量%のハードセグメント含有量を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ポリオール成分が、アジピン酸に由来するポリエステルポリオールを含むか又はそれからなる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、最大50重量%、又は24重量%~50重量%、又は24重量%~30重量%のハードセグメント含有量を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ポリオール成分が、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールを含むか又はそれからなる、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%、又は20重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%のハードセグメント含有量を有する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記鎖延長剤成分が、1,4-ブタンジオール、ベンゼングリコール、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項40~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記ハンドルフレームが、ハンドルリムと、ハブベースと、少なくとも1つのスポークと、を備え、前記ハブベースが、前記ハンドルリムの内側に配置されており、前記ハブベースが、前記少なくとも1つのスポークによって前記ハンドルリムに接続されている、請求項32~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記発泡混合物を射出成形する前記ステップが、密閉金型で行われる、請求項40~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記発泡混合物を射出成形する前記ステップが、前記発泡体製カバーを前記ハンドルフレームに直接成形することを含む、請求項40~60のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ハンドルに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、ハンドルフレームを含む車両用ハンドルであって、ハンドルフレームが、(a)50,000~350,000ダルトン、又は80,000~200,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)、(b)ASTM D256に従って測定された、1.5~30ft-lb/in、又は15~30ft-lb/inのノッチ付きアイゾット衝撃強度(3.2mm/23℃)、(c)ASTM D790に従って測定された、80,000~2,300,000又は150,000~500,000の曲げ弾性率、(d)ASTM D638に従って測定された、100~900in-lbの計装化落槍衝撃(Instrumented Dart Impact)(23℃での総エネルギー)、及び(e)ASTM D3763に従って測定された、80,000~2,600,000psi、又は100,000~300,000psiの引張弾性率、を有する第1の熱可塑性ポリウレタン材料を含む、車両用ハンドルを提供する。本発明はまた、第1の熱可塑性ポリウレタン組成物を射出成形してハンドルフレームを形成することによってハンドルフレームを作製する方法を含む。
【0003】
別の実施形態では、ハンドルフレームはまた、発泡体製カバーであって、(i)ゲル浸透クロマトグラフィで測定したときに50,000~350,000ダルトン又は100,000~200,000ダルトンの重量平均分子量及び1.2~3.5又は2.0~2.5の分散度(Mw/Mn)を有する第2の熱可塑性ポリウレタン材料と、(ii)及び化学発泡剤及び/又は気泡開放界面活性剤と、の組み合わせから形成される軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を含む、発泡体製カバーを含む。本発明はまた、本明細書において説明される第2の熱可塑性ポリウレタン材料と発泡剤との組み合わせを含む発泡混合物を射出成形することによって、ハンドルフレームを発泡体製カバーで部分的又は完全に被覆する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】ハンドルの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、車両用ハンドルを提供する。例示的な一実施形態では、ハンドルが、ハンドルリムと、ハブベースと、少なくとも1つのスポークと、を備え、ハブベースが、ハンドルリムの内側に配置されており、ハブベースが、少なくとも1つのスポークによってリムに接続されている。
【0006】
図1は、本発明の実施形態によるハンドルフレーム構築の例を例解する。この例示的な実施形態では、ハンドルフレームは、ハンドルリム1と、2つのサイドスポーク2と、1つの中央スポーク3と、ハブベース4とで構成されている。この例示的な実施形態では、サイドスポーク2及び中央スポーク3が、ハンドルリム1をハブベース4に接続する。ハブベース4は、1つ以上の凹部41、42が組み込まれている底面40を有する。一実施形態では、凹部のうちの1つ、例えば、凹部42は、ハンドルが用いられる車両のステアリングシャフトを受容する役割を果たし得る。
【0007】
一実施形態では、ハブベース4は、例えば、エアバッグモジュールなどの更なる車両構成部品がハブベースに挿入され得るように成形される。このような更なる部品は、当該技術分野において任意の既知の又は今後見出される手段によって組み込まれ得る。
【0008】
図1は、本発明の範囲内に含まれ得るハンドルフレームの実施形態の例を例解するが、ハンドルフレームは、当該技術分野において現在既知であるか又は今後開発される可能性のある任意のタイプの構成を有し得、但し、ハンドルフレームは、本明細書において記載されるように、熱可塑性ポリウレタン材料から作製されていることが理解されるべきである。例えば、ハンドルの構築は、米国特許出願公開第2010/0018343号、米国特許第5445048号、英国特許第2061848号、国際公開第2002006108号、及び国際公開第2008025546号に例解されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
一実施形態では、本発明のハンドルはまた、ハンドルフレーム上に発泡体製カバーを含む。本発明では、発泡体製カバーは、本明細書に記載されるように、熱可塑性ポリウレタン材料で作製されている。
【0010】
本発明では、ハンドルフレームは、熱可塑性ポリウレタン材料から構築されている。いくつかの実施形態では、ハンドルフレーム用の発泡体製カバーは、熱可塑性ポリウレタン材料も含む。熱可塑性ポリウレタン材料の組成物について、以下でより詳細に説明する。
【0011】
本発明に有用な熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic polyurethane、「TPU」)組成物は、一般に、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、及び鎖延長剤成分の反応生成物を含む。これらの実施形態については、以下でより詳細に説明する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、ポリイソシアネート成分は、1つ以上のジイソシアネートを含む。有用なポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート又は脂肪族ポリイソシアネート又はそれらの組み合わせから選択され得る。有用なポリイソシアネートの例としては、芳香族ジイソシアネート、例えば4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(methylenebis(phenyl isocyanate)、MDI)、m-キシレンジイソシアネート(xylene diisocyanate、XDI)、フェニレン-1,4-ジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(naphthalene diisocyanate、NDI)、及びトルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate、TDI)、並びに脂肪族ジイソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate、IPDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate、HDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(cyclohexyl diisocyanate、CHDI)、デカン-1,10-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート(lysine diisocyanate、LDI)、1,4-ブタンジイソシアネート(butane diisocyanate、BDI)、及びジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、2つ以上のポリイソシアネートの混合物が使用され得る。
【0013】
本発明で使用される熱可塑性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分も使用して作製される。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール、及びそれらの組み合わせを挙げられ得る。いくつかの実施形態は、ポリオール又はその成分はバイオマス資源に由来し、他の実施形態では、成分は合成であるか又は石油に由来する。
【0014】
一実施形態では、ポリオール成分は、ポリエステルポリオールであり得る。本発明で有用なポリエステルポリオールは、(1)1つ以上のグリコールと1つ以上のジカルボン酸若しくは無水物とのエステル化反応、又は(2)エステル交換反応、すなわち1つ以上のグリコールとジカルボン酸のエステルとの反応によって生成され得る。末端ヒドロキシル基が優勢な線状鎖を得るためには、一般に、グリコールの酸に対するモル比が1モルを超えることが好ましい。また、好適なポリエステル中間体としては、ε-カプロラクトン及び二官能性開始剤、例えばジエチレングリコールから典型的には作製されるポリカプロラクトン等の様々なラクトンが挙げられる。所望のポリエステルのジカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、又はそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、単独又は混合物で使用され得るジカルボン酸は、一般に、合計4~15個の炭素原子を有し、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸などの上記のジカルボン酸の無水物も使用することができる。反応して望ましいポリエステル中間体を形成するグリコールは、脂肪族、芳香族、又はそれらの組み合わせであることができ、上記の鎖延長剤のセクションで説明したグリコールのいずれかを含み、合計で2~20個又は2~12個の炭素原子を有する。好適な例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0015】
ポリエステルポリオール成分はまた、1つ以上のポリカプロラクトンポリエステルポリオールも含み得る。本明細書において説明されている技術に有用なポリカプロラクトンポリエステルポリオールには、カプロラクトンモノマーから誘導されたポリエステルジオールが含まれる。ポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、一級ヒドロキシル基で終端している。好適なポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、ε-カプロラクトン及び二官能性開始剤、例えば、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、又は本明細書中に列挙される他のグリコール及び/若しくはジオールのいずれかから作製され得る。いくつかの実施形態では、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、カプロラクトンモノマーから誘導される線状ポリエステルジオールである。
【0016】
有用な例としては、数平均分子量(Mn)2,000の線状ポリエステルジオールであるCAPA(商標)2202A、及びMn3,000の線状ポリエステルジオールであるCAPA(商標)2302Aが挙げられ、これらはいずれもPerstorp Polyols Inc.から市販されている。これらの材料はまた、2-オキセパノンと1,4-ブタンジオールとのポリマーとして説明される場合もある。
【0017】
ポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、2-オキセパノン及びジオールから調製され得、当該ジオールは、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、モノエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールを調製するために使用されるジオールは、線状である。いくつかの実施形態では、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、1,4-ブタンジオールから調製される。いくつかの実施形態では、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、500~10,000、又は500~5,000、又は1,000、若しくは更には2,000~4,000、若しくは更には3,000の数平均分子量を有する。
【0018】
一実施形態では、ポリオール成分は、ポリエーテルポリオールであり得る。好適なポリエーテルポリオール中間体としては、合計2~15個の炭素原子を有するジオール又はポリオール、いくつかの実施形態では、2~6個の炭素原子を有するアルキレンオキシド、典型的には、エチレンオキシド若しくはプロピレンオキシド又はそれらの混合物を含むエーテルと反応するアルキルジオール又はグリコールに由来するポリエーテルポリオールが挙げられる。例えば、ヒドロキシル官能性ポリエーテルは、まずプロピレングリコールをプロピレンオキシドと反応させ、続いてエチレンオキシドと反応させることによって生成することができる。エチレンオキシドから得られる一級ヒドロキシル基は、二級ヒドロキシル基よりも反応性が高いので、好ましい。有用な市販のポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコールと反応したエチレンオキシドを含むポリ(エチレングリコール)、プロピレングリコールと反応したプロピレンオキシドを含むポリ(プロピレングリコール)、テトラヒドロフランと反応した水を含むポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)(重合テトラヒドロフランとして説明される場合もあり、一般にはpolymerized tetrahydrofuran、PTMEGと称される)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリエーテル中間体は、PTMEGを含む。好適なポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキシドのポリアミド付加物も挙げられ、例えば、エチレンジアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含むエチレンジアミン付加物、ジエチレントリアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含むジエチレントリアミン付加物、及び類似のポリアミドタイプのポリエーテルポリオールを挙げることができる。コポリエーテルも、説明される組成物に利用することができる。典型的なコポリエーテルとしては、THF及びエチレンオキシド又はTHF及びプロピレンオキシドの反応生成物が挙げられる。これらは、ブロックコポリマーのPolyTHF(登録商標)B、及びランダムコポリマーのPolyTHF(登録商標)RとしてBASFから入手可能である。様々なポリエーテル中間体は、一般に、約700~約10,000、約1,000~約5,000、又は約1,000~約2,500などの約700よりも大きい平均分子量である末端官能基のアッセイによって求められる数平均分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態では、ポリエーテル中間体は、Mn2000及びMn1000のPTMEGのブレンドなどの、2つ以上の異なる分子量のポリエーテルのブレンドを含む。
【0019】
別の実施形態では、ポリオール成分は、ポリカーボネートポリオールであり得る。好適なポリカーボネートポリオールとしては、グリコールをカーボネートと反応させることによって調製されるものが挙げられる。米国特許第4,131,731号は、ヒドロキシル末端ポリカーボネート及びその調製の開示について、参照により本明細書に組み込まれる。このようなポリカーボネートは線状であり、本質的に他の末端基を除いて末端ヒドロキシル基を有する。必須の反応物質は、グリコール及びカーボネートである。好適なグリコールは、4~40個及び又は更には4~12個の炭素原子を含有する脂環式及び脂肪族ジオールから、並びに1分子当たり2~20個のアルコキシ基を含有し、各アルコキシ基が2~4個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレングリコールから選択される。好適なジオールとしては、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール、水素化ジオレイルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールなどの4~12個の炭素原子を含有する脂肪族ジオール、並びに1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジオール-、1,3-ジメチロールシクロヘキサン-、1,4-エンドメチレン-2-ヒドロキシ-5-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、及びポリアルキレングリコールなどの脂環式ジオールが挙げられる。反応において使用されるジオールは、最終生成物において所望される特性に応じて単一のジオールであってもジオールの混合物であり得る。ヒドロキシルを末端基とするポリカーボネート中間体は、一般に、当該技術分野及び文献において既知であるものである。好適なカーボネートは、5~7員環で構成されるアルキレンカーボネートから選択される。本明細書で使用するのに好適なカーボネートとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-エチレンカーボネート、1,3-ペンチレンカーボネート、1,4-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、及び2,4-ペンチレンカーボネートが挙げられる。また、ジアルキルカーボネート、脂環式カーボネート、及びジアリールカーボネートも本明細書において好適である。ジアルキルカーボネートは、各アルキル基中に2~5個の炭素原子を含有することができ、その具体例は、ジエチルカーボネート及びジプロピルカーボネートである。脂環式カーボネート、特に二環式脂肪族カーボネートは、各環状構造中に4~7個の炭素原子を含有し得、そのような構造は1つ又は2つ存在し得る。一方の基が脂環式である場合、他方はアルキル又はアリールのいずれかであり得る。他方、一方の基がアリールである場合、他方はアルキル又は脂環式であり得る。各アリール基に6~20個の炭素原子を含有し得る好適なジアリールカーボネートの例は、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、及びジナフチルカーボネートである。
【0020】
一実施形態では、ポリオール成分は、ポリシロキサンポリオールを含み得る。好適なポリシロキサンポリオールとしては、α-ω-ヒドロキシル又はアミン又はカルボン酸又はチオール又はエポキシ末端ポリシロキサンが挙げられる。例としては、ヒドロキシル又はアミン又はカルボン酸又はチオール又はエポキシ基を末端基とするポリ(ジメチルシロキサン)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリシロキサンポリオールは、ヒドロキシル末端ポリシロキサンである。いくつかの実施形態では、ポリシロキサンポリオールは、300~5,000又は400~3,000の範囲の数平均分子量を有する。
【0021】
ポリシロキサンポリオールは、ポリシロキサンヒドリドと脂肪族多価アルコール又はポリオキシアルキレンアルコールとの間の脱水素反応により、アルコール性ヒドロキシ基をポリシロキサン骨格に導入することによって得られ得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、ポリシロキサンは、以下の式を有する1つ以上の化合物によって表され得る:
【化1】
【0023】
(式中、各R1及びR2は、独立して、1~4個の炭素原子のアルキル基、ベンジル、又はフェニル基であり、各Eは、OH又はNHR(式中、Rは、水素、1~6個の炭素原子のアルキル基、又は5~8個の炭素原子のシクロアルキル基である)であり、a及びbは、各々独立して、2~8の整数であり、cは、3~50の整数である)。アミノ含有ポリシロキサンにおいて、E基のうちの少なくとも1つは、NHRである。ヒドロキシル含有ポリシロキサンにおいて、E基のうちの少なくとも1つは、OHである。いくつかの実施形態では、R及びRの両方が、メチル基である。
【0024】
好適な例としては、α,ω-ヒドロキシプロピル末端ポリ(ジメチルシロキサン)及びα,ω-アミノプロピル末端ポリ(ジメチルシロキサン)が挙げられ、これらはいずれも市販の材料である。更なる例としては、ポリ(ジメチルシロキサン)材料とポリ(アルキレンオキシド)とのコポリマーが挙げられる。
【0025】
【0026】
本明細書において説明される熱可塑性ポリウレタン組成物は、典型的には、鎖延長剤成分を使用して作製される。鎖延長剤としては、ジオール、ジアミン、及びそれらの組み合わせが挙げられ、挙げられ得る。
【0027】
好適な鎖延長剤としては、相対的に小さいポリヒドロキシ化合物、例えば、2~20個、又は2~12個、又は2~10個の炭素原子を有する低級脂肪族又は短鎖グリコールが挙げられる。好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール(BDO)、1,6-ヘキサンジオール(HDO)、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン(HEPP)、ヒドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)、ヘキサメチレンジオール、ヘプタンジオール、ノナンジオール、ドデカンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、及びヒドロキシエチルレゾルシノール(HER)など、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0028】
任意選択的な添加剤成分が重合反応中に存在し得、並びに/又は加工及び他の特性を改善するために上記のTPU組成物に組み込まれ得る。これらの添加剤としては、酸化防止剤、有機ホスファイト、ホスフィン、及びホスホナイト、ヒンダードアミン、有機アミン、有機硫黄化合物、ラクトン及びヒドロキシルアミン化合物、殺生物剤、殺菌剤、抗菌剤、相溶化剤、電気散逸性又は帯電防止添加剤、充填剤及び強化剤(例えば、二酸化チタン、アルミナ、粘土、及びカーボンブラック)、難燃剤(例えば、ホスフェート、ハロゲン化材料、及びアルキルベンゼンスルホネートの金属塩)、衝撃改質剤(例えば、メタクリレート-ブタジエン-スチレン(「methacrylate-butadiene-styrene、MBS」)及びメチルメタクリレートブチルアクリレート(「methacrylate-butadiene-styrene、MBA」))、離型剤(例えば、ワックス、脂肪及び油、顔料及び着色剤、可塑剤、ポリマー)、レオロジ改質剤(例えば、モノアミン、ポリアミドワックス、シリコーン、及びポリシロキサン)、スリップ添加剤(例えば、パラフィンワックス、炭化水素ポリオレフィン、及び/又はフッ素化ポリオレフィン)、並びにUV安定剤(ヒンダードアミン光安定剤(hindered amine light stabilizer、HALS)及び/又はUV光吸収剤(UV light absorber、UVA)タイプであり得る)が挙げられるが、これらに限定されない。TPU組成物又はブレンド生成物の性能を向上させるために、他の添加剤が使用され得る。上記の添加剤の全てが、これらの物質の慣習的な有効量で使用され得る。
【0029】
これらの追加の添加剤は、TPU組成物を調製するために又はTPU組成物を作製した後に、反応混合物の成分に又は反応混合物に組み込むことができる。別のプロセスでは、全ての材料をTPU組成物と混合し、次いで、融解させることができるか、又はそれらを、TPU組成物の融解物に直接組み込むことができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、添加剤は、充填剤又は強化剤を含み得る。充填剤としては、タルク、大理石、花崗岩、カーボンブラック、グラファイト、アラミド、シリカ-アルミナ、ジルコニア、ベントナイト、三酸化アンチモン、石炭系フライアッシュ、粘土、長石、霞石、ヒュームドシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、チタン酸塩、チョーク、粉砕ガラス、シリカ又はガラス、ガラス微小球、ガラスビーズ又はガラス繊維を含む広範な粒状材料が挙げられる。使用されるガラス繊維は、E、A、又はCガラスで作製され得、好ましくはサイズ及びカップリング剤が与えられている。それらの直径は、一般に6~20μmである。全長が1~10mm、好ましくは3~6mmである連続フィラメント繊維(ロービング)又はチョップドガラス繊維(ステープル)のいずれも使用され得る。
【0031】
充填剤はまた、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、及び三水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩;二硫化モリブデン及び硫酸バリウムなどの金属硫化物及び硫酸塩;ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩;無水アルミニウムなどの金属無水物;又はアルミニウム三水和物であり得る。
【0032】
窒化ホウ素並びに様々な再生及び再粉砕熱硬化性ポリウレタン及び/又はポリウレアポリマーもまた、使用され得る。
【0033】
代表的な充填剤としては、珪藻土、カオリン、及びモンモリロナイトなどの粘土;ハンタイト;セライト;アスベスト;グラウンドミネラル;並びにリトポンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの充填剤は、典型的には、従来の方法及び従来の量で、例えば、組成物の重量に基づいて5重量%以下から50重量%以上で使用される。
【0034】
強化剤としては、ガラス、アラミド、様々な他のポリマーなどであり得る、小板及び繊維などの高アスペクト比材料が挙げられる。使用され得る追加の材料としては、鉱物繊維、ウィスカー、アルミナ繊維、マイカ、粉末石英、金属繊維、炭素繊維、及びウォラストナイトが挙げられる。強化剤は、通常、層又は組成物全体に基づいて5~50重量%の量で使用される。
【0035】
いくつかの処方において有用である充填剤としては、酸化アンチモン、酸化デカブロモビフェニル、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩、及びハロゲン化化合物を含むことができる、耐発火性充填剤が挙げられる。
【0036】
他の雑多な充填剤としては、木材繊維/粉/チップ、ゴム粉塵、綿、デンプン、粘土、合成繊維(例えば、ポリオレフィン繊維)、及び炭素繊維が挙げられる。
【0037】
充填剤のレベルは、充填剤の密度に依存し、充填剤の密度が高いほど、その充填剤の体積分率に感知可能に影響を与えることなく、より多くの充填剤を製剤に添加することができる。したがって、充填剤のレベルは、本明細書では、全製剤重量に基づく充填剤の重量パーセントの観点で考察される。本明細書に開示される製剤において、充填剤含量は、約0.1%~約80%、好ましくは約5%~約50%(典型的には約0.1%~約5%のレベルで使用されるカーボンブラックを除く)、より好ましくは約5%~約40%、特に約8%~約30%の範囲である。
【0038】
別の実施形態では、添加剤は、難燃性添加剤を含み得る。難燃剤は、膨張性であり得るが、必ずしもそうでない場合がある。例としては、リン酸フェニルビスドデシル、リン酸フェニルビスネオペンチル、リン酸水素フェニルエチレン、リン酸フェニル-ビス-3,5,5’-トリメチルヘキシル)、リン酸エチルジフェニル、リン酸2-エチルヘキシルジ(p-トリル)、リン酸水素ジフェニル、リン酸ビス(2-エチル-ヘキシル)p-トリル、リン酸トリトリル、リン酸ビス(2-エチルヘキシル)-フェニル、リン酸トリ(ノニルフェニル)、リン酸水素フェニルメチル、リン酸ジ(ドデシル)p-トリル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル、リン酸ジブチルフェニル、リン酸p-トリルビス(2,5,5’-トリメチルヘキシル)、リン酸2-エチルヘキシルジフェニル、及びリン酸水素ジフェニルが挙げられる。好ましい難燃剤は、ビスフェノール-Aビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、及びクレゾールビス(ジフェニルホスフェート)である。
【0039】
難燃剤の更なる例としては、臭素化有機化合物、例えば、臭素化ジオールが挙げられる。それは、5~20個の炭素原子、いくつかの実施形態では5~10個、又は更には5個の炭素原子を含有し得、四級炭素原子を含有し得る。添加剤は、所望の難燃性を提供するのに十分な量で存在し得、他の実施形態では、組成物全体の0~15重量パーセント、又は更には組成物全体の0~10、0.1~7、若しくは0.2~5重量パーセントで存在し得る。
【0040】
更なる例としては、臭素化有機化合物が挙げられる。好適な例としては、臭素化ジオール、臭素化モノアルコール、臭素化エーテル、臭素化エステル、臭素化ホスフェート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な臭素化有機化合物としては、テトラブロモビスフェノール-A、ヘキサブロモシクロドデカン、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、ペンタブロモベンジルアクリレート、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、トリブロモフェノール、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチルアルコール、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、及び4,4’-イソプロピリデンビス[2-(2,6-ジブロモフェノキシ)エタノール]を挙げられ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、難燃性添加剤は、ホウ酸ハロゲンの金属塩、リン酸ハロゲンの金属塩、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、遅延剤の組み合わせが使用される。難燃性添加剤の更なる例としては、有機スルホネートの金属塩、例えば、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩が挙げられ、いくつかの実施形態では、難燃性添加剤は、窒素含有化合物を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、添加剤は、衝撃改質剤を含み得る。衝撃改質剤は、上記のTPU組成物に添加され得、ポリウレタンの耐衝撃性、特に低温靭性を改善するのに有効な量で添加される。低温靭性の改善とは、ASTM D256に従って-30℃でのアイゾット衝撃強度を改善することができることを意味する。別の改善点は、溶融加工温度が低下した結果として、ポリウレタンのせん断粘度が低減されるように、更に、加熱成形生成物上に非凝集性外皮を形成させることなくこの低減が達成されるように、溶融加工性が改善されることである。
【0043】
実施形態では、衝撃改質剤は、ゴム状成分及びグラフト化硬質相成分の両方を含有する。好ましい衝撃改質剤は、(メタ)アクリレート及び/又はビニル芳香族ポリマー(スチレン/アクリロニトリルなどのそのコポリマーを含む)を選択されたゴムにグラフトすることによって調製される。実施形態では、グラフトポリマーは、メチルメタクリレートのホモポリマー又はコポリマーである。ゴム材料は、例えば、周知のブタジエンタイプ、ブチルアクリレートタイプ、又はEPDMタイプのうちの1つ以上であり得る。様々な実施形態では、衝撃改質剤は、少なくとも約40重量パーセントのゴム材料、又は少なくとも約45重量パーセント、別の実施形態では少なくとも約60重量パーセントのゴム材料を含有する。衝撃改質剤は、最大100重量パーセントのゴム(硬質相なし)を含有することができ、実施形態では、95重量パーセント未満のゴム材料を含有し、別の実施形態では、90重量パーセント未満のゴム材料を含有し、残りは、その少なくともかなりの部分がゴム材料の周囲又はゴム材料にグラフト重合及び/又は架橋されている硬質相ポリマーである。
【0044】
衝撃改質剤の例としては、Paraloid EXL 3607などのメタクリレート-ブタジエン-スチレン(「MBS」)ゴム及びParaloid 3300などのメチルメタクリレートブチルアクリレート(「MBA」)ゴムが挙げられるが、これらに限定されず、これらのゴムは、一般に45~90重量パーセントのエラストマーを含有する。
【0045】
使用され得る別の衝撃改質剤は、ゴム材料として、共役ジエンを重合させることによって、又は共役ジエンをモノオレフィン又は極性ビニル化合物、例えばスチレン、アクリロニトリル、若しくはメチルメタクリレートと共重合させることによって作製される基材ポリマーラテックス又はコアを含有する。基材ゴムは、典型的には、約45~100パーセントの共役ジエン及び最大約55パーセントのモノオレフィン又は極性ビニル化合物で構成される。次いで、モノマーの混合物を基材ラテックスにグラフト重合させる。以下を含む様々なモノマーが、このグラフト化目的のために使用され得る:スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ナフタレンなどのビニル芳香族化合物;メタクリロニトリル若しくはα-ハロゲン化アクリロニトリルを含むアクリロニトリル;又はメチルアクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、若しくはヘキシルメタクリレートなどのC1~C8アルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸若しくはメタクリル酸;あるいは前述のもののうちの2つ以上の混合物。グラフト化の程度は、基材ラテックス粒径及びグラフト化反応条件に対して感受性があり、粒径は、数ある方法の中でも、制御された凝固技術によって影響を受け得る。硬質相は、ジビニルベンゼンなどの様々なポリビニルモノマーを組み込むことによって重合中に架橋され得る。
【0046】
衝撃改質剤(欧州特許第0353673(B1)号から)は、カルボニル修飾ポリオレフィンであり得る。より具体的には、それは、ペンダントカルボニル含有化合物と共にポリオレフィン主鎖を含有するグラフトコポリマーである。グラフトコポリマーの全重量に基づいて、ポリオレフィンの量は90~99.9重量パーセント、望ましくは93~98重量パーセント、好ましくは95~98重量パーセントである。好適なグラフトコポリマーは、1~20、別の実施形態では1~10、更に別の実施形態では1~5のメルトインデックスを有し得る。
【0047】
衝撃改質剤(すなわち、グラフトコポリマー)のポリオレフィン成分は、2~6個の炭素原子、望ましくは2又は3個の炭素原子を有する1つ以上のモノマーから作製されるホモポリマー又はコポリマーである。好適なポリオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、又はイソブチレンのホモポリマー、プロピレンとエチレンとのコポリマー、及びエチレン-プロピレン-ジエンモノマーと4~8個の炭素原子を有するジエンとのコポリマーが挙げられる。改質に好適なエチレンポリマーとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び線状低密度ポリエチレンが挙げられる。コポリマーを利用する場合、利用するエチレンモノマーの量、ひいてはコポリマー中のエチレン繰り返し単位の量は、1パーセント~50パーセント、他の場合には3パーセント~25パーセントとかなり変動し得、更に別の実施形態では約10パーセントである。
【0048】
一実施形態では、衝撃改質剤は、0.1~10重量パーセント、別の実施形態では0.2~7重量パーセント、更に別の実施形態では0.2~6重量パーセントのフマル酸、マレイン酸、又は無水マレイン酸から選択されるカルボニル化合物を含む。
【0049】
衝撃改質剤は、ポリウレタン100重量部当たり1~30重量部、いくつかの実施形態では1~20重量部、他の実施形態では5~15重量部の範囲で使用され得る。本発明の衝撃改質剤は、強化剤及び/又は充填剤を含むポリウレタンブレンドに添加される場合に特に有用である。過去には、ポリウレタンに強化剤を添加した場合、得られる複合材料の溶融加工性がそうであったのと同様に、特に低温又は室温での衝撃が劣っていた。したがって、本発明の衝撃改質剤は、耐衝撃性、溶融加工性を改善し、改善された寸法安定性を有するポリウレタン複合体を生成するために、強化ポリウレタンと共に有用である。改善された寸法安定性とは、以下の特徴:曲げ弾性率、曲げ強度、引張降伏強度、及び熱変形温度のうちの1つ以上における改善を意味する。強化ポリウレタンと共に使用される場合、衝撃改質剤の量は、非強化ポリウレタンに使用される量と同じとすることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、添加剤は、1つ以上の可塑剤を含み得る。使用される可塑剤のタイプは、TPUにおいて使用するための既知の可塑剤のいずれであり得る。使用される最も一般的な可塑剤のタイプはフタレートであり、ブチルベンジルフタレートが最も好ましい。本発明で使用される可塑剤としては、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジ-n-オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル、及びリン酸イソフタル酸ジ-2-エチルヘキシルなどのフタル酸系可塑剤;アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジ-n-デシル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、及びセバシン酸ジ-2-エチルヘキシルなどの脂肪族系可塑剤;トリメリット酸トリオクチル及びトリメリット酸トリデシルなどのトリメリット酸系可塑剤;リン酸トリブチル、リン酸トリ-2-エチルヘキシル、リン酸2-エチルヘキシルジフェニル、及びリン酸トリクレシルなどのリン酸系可塑剤;エポキシ系ダイズ油などのエポキシ系可塑剤;並びにポリエステル系ポリマー可塑剤を挙げることができる。子供用おもちゃ及び食品との接触などの毒物学的観点から感受性である用途の場合、ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(BASF製のHexamoll(登録商標)DINCH(登録商標))が可塑剤として使用され得る。単一の可塑剤が使用され得るか、又は2つ以上の可塑剤の組み合わせが使用され得る。所望の可塑剤の選択は、TPUの配合の分野の当業者によって十分に理解されるように、TPUポリマーの最終用途に依存する。
【0051】
説明される組成物は、上述のTPU材料を含み、そのようなTPU材料及び1つ以上の追加の成分を含むTPU組成物も含む。これらの追加成分としては、本明細書において説明されるTPUとブレンドされ得る他のポリマー材料が挙げられる。これらの追加成分としては、組成物の特性に影響を与えるためにTPU又はTPUを含有するブレンドに添加され得る1つ以上の添加剤が挙げられる。
【0052】
本明細書において説明されるTPUはまた、1つ以上の他のポリマーとブレンドされ得る。本明細書において説明されるTPUがブレンドされ得るポリマーは、過度に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、説明される組成物は、説明されるTPU材料のうちの2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、説明されるTPU材料のうちの少なくとも1つと、説明されるTPU材料のうちの1つではない少なくとも1つの他のポリマーとを含む。
【0053】
本明細書において説明されるTPU材料と組み合わせて使用され得るポリマーとしては、非カプロラクトンポリエステル系TPU、ポリエーテル系TPU、又は非カプロラクトンポリエステル基及びポリエーテル基の両方を含有するTPUなどのより従来的なTPU材料も挙げられる。本明細書において説明されるTPU材料とブレンドされ得る他の好適な材料としては、ポリカーボネート、ポリオレフィン、スチレンポリマー、アクリルポリマー、ポリオキシメチレンポリマー、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
本明細書において説明されるブレンドにおいて使用されるポリマーとしては、ホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。好適な例としては、(i)ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリブテン、エチレンプロピレンゴム(ethylene propylene rubber、EPR)、ポリオキシエチレン(polyoxyethylene、POE)、環状オレフィンコポリマー(cyclic olefin copolymer、COC)、又はそれらの組み合わせなどのポリオレフィン(polyolefin、PO);(ii)ポリスチレン(polystyrene、PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、スチレンアクリロニトリル(styrene acrylonitrile、SAN)、スチレンブタジエンゴム(SBR又はHIPS)、ポリ-α-メチルスチレン、スチレン無水マレイン酸(styrene maleic anhydride、SMA)、スチレン-ブタジエンコポリマー(styrene-butadiene copolymer、SBC)(例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンコポリマー(styrene-butadiene-styrene copolymer、SBS)及びスチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー(styrene-ethylene/butadiene-styrene copolymer、SEBS))、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー(styrene-ethylene/propylene-styrene copolymer、SEPS)、スチレンブタジエンラテックス(SBL)、エチレンプロピレンジエンモノマー(ethylene propylene diene monomer、EPDM)及び/若しくはアクリルエラストマー(例えば、PS-SBRコポリマー)で修飾されたSAN、又はそれらの組み合わせなどのスチレン系;(iii)上記のもの以外の熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane、TPU);(iv)ポリアミド6,6(PA66)、ポリアミド1,1(PA11)、ポリアミド1,2(PA12)、コポリアミド(copolyamide、COPA)、又はそれらの組み合わせを含む、Nylon(商標)などのポリアミド;(v)ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートスチレン(methacrylate styrene、MS)コポリマー、又はそれらの組み合わせなどのアクリルポリマー;(vi)ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride、PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル(chlorinated polyvinylchloride、CPVC)、又はそれらの組み合わせ;(vii)ポリアセタールなどのポリオキシメチレン(polyoxyemethylene);(viii)ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリエーテル-エステルブロックコポリマーを含むコポリエステル及び/又はポリエステルエラストマー(polyester elastomer、COPE)、例えば、グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PETG)、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、PLA及びPGAのコポリマー、又はそれらの組み合わせなどのポリエステル;(ix)ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリフェニレンオキシド(polyphenylene oxide、PPO)、及はそれらの組み合わせ;あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、TPU組成物は、UV安定化添加剤を含み得る。そのような添加剤は、透明性が望まれる用途、又は部品が日光若しくは他の紫外線源に曝露される用途において特に有用であり得る。好適なUV光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)及びUV光吸収剤(UVA)添加剤が挙げられる。HAL及びUVA添加剤のブレンドも有効である。
【0056】
本発明の実施において使用することができる代表的なHALSとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:立体障害アミン並びにそのN誘導体(例えば、N-アルキル、N-ヒドロキシ、N-アルコキシ、及びN-アシル)、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(2,2,6,6テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシネート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)n-ブチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート;1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ニトリロトリアセテート;テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4イル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;1,1’-(1,2エタンジイル)ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン);4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-2-n-ブチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジル)マロネート;3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)セバケート;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシネート;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ1,3,5-トリアジンとの縮合物;2-クロロ-4,6-ビス(4-nブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物;2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス-(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物;8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン;3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-1-(1-エタノイル-2,2,6,6テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-l-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4イル)ピロリジン-2,5-ジオン;4-ヘキサデシルオキシ及び4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4イル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物;1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、及び4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチルピペリジン-l-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4.5]デカンの縮合物;米国特許第5071981号に開示されているオキソ-ピペランジニル-トリアジン及び類似の物質;英国特許公開第2269819号に開示されている光結合性(photobondable)HALS及び類似の物質;並びに7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-l-オキサ-3,8-ジアザ-4オキソスピロ[4.5]デカンとエピクロロヒドリンとの反応生成物。一般に、米国特許第4619956号、同第5106891号、英国特許公開第2269819(A)号、欧州特許公開第0309400(A)号、同第0309401(A)号、同第0309402(A)号、及び同第0434608(A)号も参照されたい。HALS添加剤のいくつかの市販の例は、Tinuvin(登録商標)123、Tinuvin 123-DW、Tinuvin 144、Tinuvin 152、Tinuvin 292、Tinuvin 622-SF、Tinuvin 770-DF、Tinuvin 5100(Tinuvin(登録商標)シリーズの添加剤はBASFから入手可能)、Chimassorb(登録商標)119、Chimassorb 2020(Chimassorb(登録商標)シリーズの添加剤はBASFから入手可能)、Lowilite(登録商標)76、Lowilite 62(Lowilite(登録商標)シリーズの添加剤はAddivantから入手可能)、Uvinul(登録商標)4050FF(BASF)、LA-52、LA-576、LA-63P、68、72、77Y、77G、81、82、87、4042F、502XP(LAシリーズの添加剤はAdeka Corporationから入手可能)、Hostavin(登録商標)N30、Hostavin N845PP、Hostavin 3050、Hostavin 3051、Hostavin 3052、Hostavin 3053、Hostavin 3055、Hostavin 3058、Hostavin 3065、Hostavin PR-31(Hostavin(登録商標)シリーズの添加剤はClariantから入手可能)、及びNylostab(登録商標)S-EED(登録商標)(Clariantから入手可能)であり、更なる好ましいヒンダードアミン光安定剤は、Plastics Additives Handbook 6th Edition,Hans Zweifel,Ralph Maier,Michael Schiller (Hanser Publications,Inc.,Cincinnati,Ohio,USA,2009)に列挙されているものであり得る。存在する場合、HALSは、典型的には、組成物の重量に基づいて0超~4重量%、より典型的には0.2~3重量%、更により典型的には0.5~2重量%の量で存在する。
【0057】
理論に束縛されるものではないが、典型的には、UV安定剤は、UV光損傷によって形成されるフリーラジカル及び/又はヒドロペルオキシドを捕捉することによって機能し、一方、UV吸収剤は、UV線を吸収及び散逸させることによって機能する。好適なUV吸収剤としては、トリアジン、ベンズオキサジノン、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾエート、ホルムアミジン、シンナメート/プロペノエート、芳香族プロパンジオン、ベンズイミダゾール、脂環式ケトン、ホルムアニリド(オキサミドを含む)、シアノアクリレート、ベンゾピラノン、サリチレート、及びそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
好適なベンゾフェノンUV吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン又はスリソベンゾン、2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)-2-プロペン酸エチルエステル、4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)-2-ヒドロキシベンゾフェノンのホモポリマー、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン又はジオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-デシルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン及び2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,4,4’-トリヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(イソオクチルオキシ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-5,5’-ジスルホベンゾフェノン、二ナトリウム塩、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン又は4-ベンゾイルレゾルシノール、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン、並びにそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。MAXGARD(登録商標)300、MAXGARD(登録商標)400、MAXGARD(登録商標)500、MAXGARD(登録商標)600、MAXGARD(登録商標)700、MAXGARD(登録商標)900、MAXGARD(登録商標)1000、MAXGARD(登録商標)1800(Maxgardシリーズの化学物質はSyrgis Performance Specialtiesから入手可能)
【0059】
好適なベンゾピラノンUV吸収剤としては、3,3’,4’,5,7-ペンタヒドロキシフラボン又はケルセチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
好適なベンゾトリアゾールUV吸収剤としては、2-[2-ヒドロキシ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(2-ヒドロキシエチル))ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリリルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、1,1,1-トリス(ヒドロキシフェニル)エタンベンゾトリアゾール、5-t-ブチル-3-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸オクチルエステル及び3-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸オクチルエステル、α-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-ω-ヒドロキシポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)及びa-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-w-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロポキシ]ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3’-5’-ジ-t-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-ドデシルフェノール、ベンゼンプロパン酸の3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-1,6-ヘキサンジイルエステル及びベンゼンプロパン酸の3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-メチルエステル、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス-(1,1-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸、C7-9分岐及び直鎖アルキルエステル、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-sec-ブチル-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス[2-ヒドロキシ-3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-オクチルフェニル]メタン、並びにそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なベンゾトリアゾールUV吸収剤のいくつかの市販の例としては、TINUVIN(登録商標)99、TINUVIN 109、TINUVIN 328、TINUVIN 350、TINUVIN 360 TINUVIN 384-2、TINUVIN 571、TINUVIN 1130、及びTINUVIN Pが挙げられるが、これらに限定されない(Tinuvinシリーズの添加剤は、BASFから入手可能)。
【0061】
好適なベンゾエートUV吸収剤としては、ヘキサデシル3,5-ジt-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、3-ヒドロキシフェニルベンゾエート、エチル-4-[[(エチルフェニルアミノ)メチレン]アミノ]ベンゾエート、フェニル2-ヒドロキシベンゾエート又はフェニルサリチレート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、4-ビス(ポリエトキシ)アミノ酸ポリエトキシエチルエステル、4-t-ブチルフェニル2-ヒドロキシベンゾエート、又は4-t-ブチルフェニルサリチレート、及びそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このタイプの好適なUV吸収剤のいくつかの市販の例としては、SEESORB 300;SEESORB 201;SEESORB 202(SEESORB UV吸収剤は、Shipro Kasei Kaisha,Ltd.から入手可能);TINUVIN 120(BASFから入手可能);UVINUL(登録商標)P 25(BASFから入手可能)が挙げられるが、これに限定されない。
【0062】
好適なベンゾキサジノンUV吸収剤としては、2,2’-(p-フェニレン)ジ-3,1-ベンゾオキサジン-4-オンが挙げられるが、これらに限定されない。このタイプの好適なUV吸収剤の市販の例としては、CYASORB 3638(Cytec Industries Inc.製)が挙げられるが、これに限定されない。
【0063】
好適なシンナメート又はプロペノエートUV吸収剤としては、ジメチル(p-メトキシベンジリデン)マロネート、及び3-(4-メトキシフェニル)-2-プロペン酸2-エチルヘキシルエステル又はオクチルp-メトキシシンナメートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
好適なシアノアクリレートUV吸収剤としては、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、1,3-ビス-[(2’-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス-{[(2-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル}プロパン、及び2-シアノ-3-(2-メチルインドリニル)メチルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。このタイプの好適なUV吸収剤のいくつかの市販の例としては、UVINUL(登録商標)3030、UVINUL 3035、及びUVINUL 3039が挙げられるが、これらに限定されない。Uvinulシリーズの添加剤は、BASFから入手可能である。
【0065】
好適な脂環式ケトンUV吸収剤としては、3-(4-メチルベンジリデン)-D,L-カンファーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
好適なホルムアミジンUV吸収剤としては、エチル-4-[[(メチルフェニルアミノ)メチレン]アミノ]ベンゾエートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
好適なホルムアニリド(オキサミドを含む)UV吸収剤としては、N-(2-エトキシフェニル)-N’-(4-イソドデシルフェニル)オキサミド、N-[5-t-ブチル-2-エトキシフェニル)-N’-(2-エチルフェニル)オキサミド、N-(2-エトキシフェニル)-N’-(2-エチルフェニル)オキサミド、2H-ベンズイミダゾール-2-カルボン酸(4-エトキシフェニル)アミド、及びそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらのタイプの添加剤のいくつかの市販の例は、Clariant製のHostavin(登録商標)3206及びBASF製のTINUVIN(登録商標)312である。
【0068】
好適なトリアジンUV吸収剤としては、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-オクチルオキシフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール、2-[4-((2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシ-プロピル)オキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、及びそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。BASF製のTINUVIN(登録商標)400;TINUVIN 1577 ED;UVINUL T-150
【0069】
好適なサリチレートUV吸収剤としては、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルサリチレート又はホモメチルサリチレート、及びメンチル-o-アミノベンゾエートが挙げられるが、これらに限定されない。これらのタイプの添加剤のいくつかの市販の例は、Symrise AGから入手可能なNEO HELIOPAN(登録商標)HMS及びNEO HELIOPAN(登録商標)MAである。
【0070】
存在する場合、UV吸収剤は、典型的には、組成物の重量に基づいて0超~4重量%、より典型的には0.2~3重量%、更により典型的には0.3~2重量%の量で存在する。
【0071】
本発明の非限定的な一例では、ハンドルフレームは、熱可塑性ポリウレタン材料で構築されている。この実施形態の一例として、本発明は、ハンドルリムと、ハブベースと、少なくとも1つのスポークと、を備える、ハンドルフレームを備える、車両用ハンドルであって、ハブベースが、ハンドルリムの内側に配置されており、ハブベースが、少なくとも1つのスポークによってハンドルリムに接続されており、ハンドルフレームが、50,000~350,000ダルトン、又は80,000~200,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する熱可塑性ポリウレタン組成物から構築されており、以下の特性:(a)ASTM D256に従って測定された、1.5~30ft-lb/in、又は更には15~30ft-lb/inのノッチ付きアイゾット衝撃強度(3.2mm/23℃)、(b)ASTM D790に従って測定された、80,000~2,300,000、又は更には150,000~500,000の曲げ弾性率、(c)ASTM D638に従って測定された、100~900in-lbの計装化落槍衝撃(23℃での総エネルギー)、及び(d)ASTM D3763に従って測定された、80,000~2,600,000psi、又は更には100,000~300,000psiの引張弾性率、を有する、車両用ハンドルを備え得る。一実施形態では、ハンドルフレームを構築するために使用される熱可塑性ポリウレタン組成物は、ジイソシアネート成分、鎖延長剤成分、及び任意選択的にポリオール成分の反応生成物を含む。一実施形態では、ジイソシアネート成分は、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネートである。一実施形態では、鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ノナンジオール、ドデカンジオール、又はこれらの組み合わせから選択され得る。一実施形態では、ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールから選択され得る。一実施形態では、ハンドルフレームを構築するために使用される熱可塑性ポリウレタン組成物は、少なくとも60重量%、又は更には75重量%~90重量%のハードセグメント含有量(イソシアネート成分及び鎖延長剤成分の総重量パーセント)を有する。
【0072】
本発明のハンドルは、いくつかの実施形態では、ハンドルフレームを少なくとも部分的に、更には完全に覆う、ハンドルフレーム用の発泡体製カバーも含み得る。いくつかの実施形態では、発泡体製カバーは、軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を含み、軟質射出成形発泡体は、(a)(i)50,000~350,000ダルトン、例えば100,000~200,000ダルトン、又は更には125,000~175,000の重量平均分子量(Mw)(Mwはゲル浸透クロマトグラフィによって測定される)及び(ii)1.2~3.5、又は更には2~2.5の分散度(Mw/Mn)を有する熱可塑性ポリウレタン組成物と、(b)化学発泡剤及び/又は気泡開放界面活性剤との組み合わせから形成される。一実施形態では、軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体は、以下の特性を有する:(a)示差走査クロマトグラフィ(DSC)によって測定したときに25℃~205℃、又は更には40℃~150℃の結晶化のピーク温度、(b)DSCによって測定したときに106℃~206℃の融解のピーク温度、及び(c)1~137℃の融解のピーク温度と結晶化のピーク温度との間の差。別の実施形態では、軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体は、代替的に又は追加的に、以下の特性を示す:(a)ASTM D2632に従って測定される少なくとも30%の垂直反発弾性、(b)ASTM D395に従って測定された25%以下の室温での圧縮永久歪み、(c)ASTM D395に従って測定された50%以下の50℃での圧縮永久歪み、及び(d)ASTM D2240に従って測定された30~65のアスカーC硬度。本明細書で有用な熱可塑性ポリウレタン発泡体を作製するために使用される化学発泡剤は、発熱型発泡剤又は吸熱型発泡剤から選択され得る。発熱型発泡剤の一例は、アゾジカルボンアミドである。吸熱型発泡剤の例は、重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物である。発熱型及び吸熱型の発泡剤の混合物が使用され得る。加熱時にガスを放出する任意の既知の又は今後開発される化学発泡剤が、本発明において有用であり得る。いくつかの実施形態では、発泡剤は、化学発泡剤と共に、ポリエチレン又は熱可塑性ポリウレタン材料(発泡体に使用される熱可塑性ポリウレタンと同じ又は異なり得る)などのポリマー担体を含有するマスターバッチの形態で熱可塑性ポリウレタン組成物に添加され得る。マスターバッチを使用する実施形態では、マスターバッチは、(熱可塑性ポリウレタン組成物及びマスターバッチの総重量に基づいて)0.5重量%~10重量%、例えば1重量%~5重量%の量で添加される。他の実施形態では、熱可塑性ポリウレタン組成物は、気泡開放界面活性剤の使用によって発泡する。気泡開放界面活性剤の例としては、シリコーン、シロキサンコポリマー、非シロキサンコポリマー、非シリコーン、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。化学発泡剤に加えて、本発明のいくつかの実施形態では、発泡体を形成するための混合物は、物理発泡剤又は成核剤を更に含み得る。物理発泡剤としては、直鎖、分岐、又は環状C1~C6炭化水素、直鎖、分岐、又は環状C1~C6フルオロカーボン;N、O、アルゴン、CO、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。成核剤は、タルク又はシリカから選択され得る。本発明の発泡体の作製において有用な熱可塑性ポリウレタン組成物は、少なくとも1つのポリオール成分、少なくとも1つのジイソシアネート成分、及び少なくとも1つの鎖延長剤成分の反応生成物を含む。例示的な実施形態では、ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール(ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、ポリエステルポリオール(ブタンジオールアジペートなど)、又はポリカプロラクトンポリオールから選択され得る。一実施形態では、発泡体用の熱可塑性ポリウレタン組成物において使用される鎖延長剤は、1,4-ブタンジオール、ベンゼングリコール、又はそれらの組み合わせから選択され得る。一実施形態では、ハンドルフレームを構築するために使用される熱可塑性ポリウレタン組成物は、20重量%~60重量%、又は更には20重量%~40重量%、又は更には25重量%~35重量%のハードセグメント含量(イソシアネート成分及び鎖延長剤成分の総重量パーセント)を有する。本発明において有用であり得る熱可塑性ポリウレタン発泡体の例としては、米国特許第10973281号及び米国特許公開第20170178181号に開示されているものが挙げられ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
本発明はまた、熱可塑性ポリウレタン組成物を射出成形してハンドルフレームを形成するステップを含むハンドルを作製する方法を含む。例えば、ハンドルフレームを作製する方法は、以下の1つ以上を有する熱可塑性ポリウレタン組成物を射出成形することを含む:(1)50,000~350,000ダルトン、又は80,000~200,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)、(2)ASTM D256に従って測定された、1.5~30ft-lb/in、又は更に15~30ft-lb/inのノッチ付きアイゾット衝撃強度(3.2mm/23℃)、(3)ASTM D790に従って測定された、80,000~2,300,000、更には150,000~500,000の曲げ弾性率、(4)ASTM D638に従って測定された、100~900in-lbの計装化落槍衝撃(23℃での総エネルギー)、及び(5)ASTM D3763に従って測定された、80,000~2,600,000psi、又は更には100,000~300,000psiの引張弾性率。一実施形態では、ハンドルフレームを構築するために使用される熱可塑性ポリウレタン組成物は、ジイソシアネート成分、鎖延長剤成分、及び任意選択的にポリオール成分の反応生成物を含み、ハンドルフレームを形成するために使用される熱可塑性ポリウレタン組成物は、少なくとも60重量%、又は更には75重量%~90重量%のハードセグメント含有量(イソシアネート成分及び鎖延長剤成分の総重量%)を有する。
【0074】
別の実施形態では、本発明は、ハンドル用の発泡熱可塑性ポリウレタンカバーを作製する方法も含む。そのような方法は、(A)ハンドルフレームを提供するステップであって、ハンドルフレームが、ハンドルリム、ハブベース、及び少なくとも1つのスポークを備え、ハブベースが、ハンドルリムの内側に配置されており、ハブベースが、少なくとも1つのスポークによってハンドルリムに接続されている、提供するステップと、(B)(1)熱可塑性ポリウレタン材料及び化学発泡剤を含む可撓性熱可塑性ポリウレタン発泡混合物を提供することであって、熱可塑性ポリウレタン材料が、(i)少なくとも1つのポリオール成分、(ii)少なくとも1つのジイソシアネート成分、及び(iii)少なくとも1つの鎖延長剤成分の反応生成物を含み、熱可塑性ポリウレタンが、(a)20重量%~60重量%、又は20重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%のハードセグメント含有量、(b)ゲル浸透クロマトグラフィによって測定したときに50000~350000ダルトン又は100,000~200000ダルトンの重量平均分子量、及び(c)1.2~3.5又は2.0~2.5の分散度(Mw/Mn)を有する、提供することと、(2)熱可塑性ポリウレタン材料と化学発泡剤とを混合して、発泡混合物を得ることと、(3)第2の熱可塑性ポリウレタン材料と化学発泡剤界面活性剤とが相互作用して、軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を形成するように、発泡混合物を射出成形することと、を行うことによって、ハンドルフレーム用の発泡体製カバーを形成するステップと、を含み得る。一実施形態では、発泡混合物を射出成形するステップは、密閉金型で行われる。別の実施形態では、発泡混合物を射出成形するステップは、発泡体製カバーをハンドルフレームに直接成形することを含む。
【0075】
本発明はまた、(1)ハンドルフレームに有用な本明細書において説明されるような第1の熱可塑性ポリウレタン材料を射出成形することによって本明細書において説明されるようなハンドルフレームを形成するステップと、(2)本明細書において説明されるような第2の熱可塑性ポリウレタン組成物の組み合わせを使用してハンドル用の発泡体製カバーを形成するステップと、を含むハンドルを作製する方法を含む。
【0076】
上記で言及した文献の各々は、上記に具体的に列挙されているか否かにかかわらず、優先権が主張される任意の先行出願を含めて、参照により本明細書に組み込まれる。任意の文献の言及は、そのような文献が先行技術として適格であること、又は任意の管轄区域における当業者の一般知識を構成することを認めるものではない。実施例を除いて、又は他に明示的に示されるかどうかを除いて、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを指定する本説明における全ての数量は、「約」という語によって修飾されるものとして理解されるべきである。本明細書に記載される量、範囲、及び比の上限及び下限は、独立して組み合わされ得ることが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素についての範囲及び量は、他の要素のうちのいずれかについての範囲又は量と一緒に使用することができる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する」、又は「を特徴とする」と同義である「含む(comprising)」という移行用語は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。しかしながら、本明細書における「含む」の各記載において、この用語がまた、代替的な実施形態として、「から本質的になる」及び「からなる」という句を包含することが意図され、ここで、「からなる」は、指定されていない任意の要素又はステップを排除し、「から本質的になる」は、考慮中の組成物又は方法の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の記載されていない要素又はステップの包含を許容する。
【0078】
本発明を例解する目的で、ある特定の代表的な実施形態及び詳細を示してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行うことができることが当業者には明らかであろう。これに関して、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1
【国際調査報告】