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特表2024-533570熱可塑性ポリウレタン発泡体製ハンドルカバー
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  • 特表-熱可塑性ポリウレタン発泡体製ハンドルカバー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリウレタン発泡体製ハンドルカバー
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20240905BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
B62D1/04
C08G18/00 H
C08G18/00 L
C08G18/42
C08G18/48
C08G18/48 054
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516847
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 US2022043439
(87)【国際公開番号】W WO2023043779
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/244,776
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サイファート, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ニスタラ, サトゥヤナラヤナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジーグワン
(72)【発明者】
【氏名】ボントーシック, ジョセフ ジェイ. ジュニア
【テーマコード(参考)】
3D030
4J034
【Fターム(参考)】
3D030CA01
3D030DA35
4J034BA03
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB07
4J034DF01
4J034DG06
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034KB05
4J034KD12
4J034NA01
4J034RA12
(57)【要約】
ハンドルのための発泡体製カバーおよび発泡体製カバーを形成する方法が提供される。発泡体製カバーは、熱可塑性ポリウレタン材料と化学発泡剤との混合物から作製される。発泡混合物は、密閉金型に射出成形されてもよく、またはハンドルフレームに直接成形されてもよい。本発明は、ハンドルフレームと、当該ハンドルフレームを部分的にまたは完全に覆う発泡体製カバーとを備える車両用ハンドルに関する。発泡体製カバーは、本明細書に記載される軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ハンドルであって、
ハンドルフレームと、
前記ハンドルフレーム用の発泡体製カバーであって、(a)ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定したときの50,000~350,000ダルトンまたは100,000~200,000ダルトンの重量平均分子量、および1.2~3.5または2.0~2.5の分散度(Mw/Mn)を有する熱可塑性ポリウレタン材料と、(b)化学発泡剤および/または気泡開放界面活性剤と、の組み合わせから形成される軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を含み、前記ハンドルフレームを少なくとも部分的にまたは完全に覆う、発泡体製カバーと、
を備える、車両用ハンドル。
【請求項2】
前記軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体が、
(i)DSCによって測定したときに、25℃~205℃または40℃~150℃の結晶化のピーク温度、
(ii)DSCによって測定したときに、106℃~206℃の融解ピーク温度、および
(iii)それぞれDSCによって測定したときに、1~137℃の前記融解のピーク温度と前記結晶化のピーク温度との間の差、
を有する、請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
前記軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体が、
(i)ASTM D2632によって測定したときに、少なくとも30%の垂直反発弾性、
(ii)ASTM D395によって測定したときに、25%以下の室温での圧縮永久歪み、
(iii)ASTM D395によって測定したときに、50%以下の50℃での圧縮永久歪み、および
(iv)ASTM D2240によって測定したときに、30~65のアスカーC硬度、
を有する、請求項1または2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記発泡剤が水を含む、請求項1~3のいずれかに記載のハンドル。
【請求項5】
前記発泡剤が、化学発泡剤を含むか、または化学発泡剤からなる、請求項1~3のいずれかに記載のハンドル。
【請求項6】
前記化学発泡剤が、発熱型発泡剤を含むか、または発熱型発泡剤からなる、請求項5に記載のハンドル。
【請求項7】
前記発熱型発泡剤が、アゾジカルボンアミドを含むか、またはアゾジカルボンアミドからなる、請求項6に記載のハンドル。
【請求項8】
前記発泡剤が、吸熱型発泡剤を含むか、または吸熱型発泡剤からなる、請求項1~3のいずれかに記載のハンドル。
【請求項9】
前記発泡剤が、重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物を含むか、または重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物からなる、請求項8に記載のハンドル。
【請求項10】
前記化学発泡剤が、ポリマー担体および前記化学発泡剤を含むマスターバッチによって送達される、請求項5~9のいずれかに記載のハンドル。
【請求項11】
前記軟質熱可塑性ポリウレタン発泡体が、0.5重量%~10重量%または1重量%~5重量%の前記マスターバッチと、90重量%~99.5重量%または95重量%~99重量%の前記熱可塑性ポリウレタン材料との組み合わせから形成されている、請求項9に記載のハンドル。
【請求項12】
前記ポリマー担体が、担体熱可塑性ポリウレタン組成物を含むか、または担体熱可塑性ポリウレタン組成物からなる、請求項10または11に記載のハンドル。
【請求項13】
前記ポリマー担体が、ポリエチレンを含むか、またはポリエチレンからなる、請求項12または13に記載のハンドル。
【請求項14】
前記気泡開放界面活性剤が、1つ以上のシリコーン、シロキサンコポリマー、非シロキサンコポリマー、非シリコーン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~4のいずれかに記載のハンドル。
【請求項15】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、(i)少なくとも1つのポリオール成分、(ii)少なくとも1つのジイソシアネート成分、および(iii)少なくとも1つの鎖延長剤成分、の反応生成物を含み、前記少なくとも1つのジイソシアネート成分および前記少なくとも1つの鎖延長剤成分の合計重量が、前記熱可塑性ポリウレタン材料のハードセグメント含量を構成し、前記熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%、または20重量%~40重量%、または25重量%~35重量%~35重量%のハードセグメント含量を有する、請求項1~14のいずれかに記載のハンドル。
【請求項16】
前記ポリオール成分が、選択されたポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、またはそれらの組み合わせである、請求項15に記載のハンドル。
【請求項17】
前記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むか、またはポリテトラメチレンエーテルグリコールからなる、請求項16に記載のハンドル。
【請求項18】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%または23重量%~45重量%のハードセグメント含量を有する、請求項17に記載のハンドル。
【請求項19】
前記ポリオール成分が、アジピン酸に由来するポリエステルポリオールを含むか、またはアジピン酸に由来するポリエステルポリオールからなる、請求項18に記載のハンドル。
【請求項20】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、最大50重量%、または24重量%~50重量%、または24重量%~30重量%のハードセグメント含量を有する、請求項19に記載のハンドル。
【請求項21】
前記ポリオール成分が、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールを含むか、またはポリカプロラクトンポリエステルポリオールからなる、請求項20に記載のハンドル。
【請求項22】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%、または20重量%~40重量%、または25重量%~35重量%のハードセグメント含量を有する、請求項21に記載のハンドル。
【請求項23】
前記鎖延長剤成分が、1,4-ブタンジオール、ベンゼングリコール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項15~22のいずれかに記載のハンドル。
【請求項24】
前記ハンドルフレームが、ハンドルリムと、ハブベースと、少なくとも1つのスポークとを備え、前記ハブベースが、前記ハンドルリムの内側に配置され、前記ハブベースが、前記少なくとも1つのスポークによって前記ハンドルリムに接続されている、請求項1~23のいずれかに記載のハンドル。
【請求項25】
ハンドルを作製する方法であって、
(A)ハンドルフレームを提供するステップと、
(B)
(1)(i)少なくとも1つのポリオール成分、(ii)少なくとも1つのジイソシアネート成分、および(iii)少なくとも1つの鎖延長剤成分、の反応生成物を含み、(a)20重量%~60重量%、または20重量%~40重量%、または25重量%~35重量%のハードセグメント含量、(b)ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定したときに50,000~350,000ダルトンまたは100,000~200,000ダルトンの重量平均分子量、および(c)1.2~3.5または2.0~2.5の分散度(Mw/Mn)、を有する熱可塑性ポリウレタン材料と、化学発泡剤とを含む熱可塑性ポリウレタン発泡混合物を提供することと、
(2)前記熱可塑性ポリウレタン材料を前記化学発泡剤と混合して発泡混合物を得ることと、
(3)第2の熱可塑性ポリウレタン材料が化学発泡剤界面活性剤と相互作用して軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を形成するように前記発泡混合物を射出成形することと、によって前記ハンドルフレーム用の発泡体製カバーを形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項26】
前記軟質熱可塑性ポリウレタン発泡体が、
(i)DSCによって測定したときに、25℃~205℃または40℃~150℃の結晶化のピーク温度、
(ii)DSCによって測定したときに、106℃~206℃の融解ピーク温度、および
(iii)それぞれDSCによって測定したときに、1~137℃の前記融解のピーク温度と前記結晶化のピーク温度との間の差、
を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体が、
(i)ASTM D2632によって測定したときに、少なくとも30%の垂直反発弾性、
(ii)ASTM D395によって測定したときに、25%以下の室温での圧縮永久歪み、
(iii)ASTM D395によって測定したときに、50%以下の50℃での圧縮永久歪み、および
(iv)ASTM D2240によって測定したときに、30~65のアスカーC硬度、
を有する、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記化学発泡剤が水を含む、請求項25~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記化学発泡剤が、発熱型発泡剤を含むか、または発熱型発泡剤からなる、請求項25~27のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記発熱型発泡剤が、アゾジカルボンアミドを含むか、またはアゾジカルボンアミドからなる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記発泡剤が、吸熱型発泡剤を含むか、または吸熱型発泡剤からなる、請求項25~27のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記発泡剤が、重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物を含むか、または重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物からなる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記化学発泡剤が、ポリマー担体および前記化学発泡剤を含むマスターバッチによって送達される、請求項29~32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記発泡混合物が、0.5重量%~10重量%または1重量%~5重量%の前記マスターバッチと、90重量%~99.5重量%または95重量%~99重量%の前記熱可塑性ポリウレタン材料とを含有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ポリマー担体が、担体熱可塑性ポリウレタン組成物を含むか、または担体熱可塑性ポリウレタン組成物からなる、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリマー担体が、ポリエチレンを含むか、またはポリエチレンからなる、請求項33または34に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリオール成分が、選択されたポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、またはそれらの組み合わせである、請求項25~36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むか、またはポリテトラメチレンエーテルグリコールからなる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%または23重量%~45重量%のハードセグメント含量を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ポリオール成分が、アジピン酸に由来するポリエステルポリオールを含むか、またはアジピン酸に由来するポリエステルポリオールからなる、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、最大50重量%、または24重量%~50重量%、または24重量%~30重量%のハードセグメント含量を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリオール成分が、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールを含むか、またはポリカプロラクトンポリエステルポリオールからなる、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%、または20重量%~40重量%、または25重量%~35重量%のハードセグメント含量を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記鎖延長剤成分が、1,4-ブタンジオール、ベンゼングリコール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項25~43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記ハンドルフレームが、ハンドルリムと、ハブベースと、少なくとも1つのスポークとを備え、前記ハブベースが、前記ハンドルリムの内側に配置され、前記ハブベースが、前記少なくとも1つのスポークによって前記ハンドルリムに接続されている、請求項25~44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記発泡混合物を射出成形するステップが、密閉金型で行われる、請求項25~45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記発泡混合物を射出成形するステップが、前記発泡体製カバーを前記ハンドルフレームに直接成形することを含む、請求項25~45のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体製の車両ハンドル用カバーに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、ハンドルフレームと、当該ハンドルフレームを部分的にまたは完全に覆う発泡体製カバーとを備える車両用ハンドルに関する。発泡体製カバーは、本明細書に記載される軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を含む。一実施形態では、軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体は、(i)DSCによって測定したときに25℃~205℃または40℃~150℃の結晶化ピーク温度、(ii)DSCによって測定したときに106℃~206℃の融解のピーク温度、および(iii)それぞれDSCによって測定したときに1~137℃の当該融解のピーク温度と当該結晶化のピーク温度との間の差を有する。別の実施形態では、軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体は、(i)ASTM D2632によって測定したときに少なくとも30%の垂直反発弾性、(ii)ASTM D395によって測定したときに25%以下の室温での圧縮永久歪み、(iii)ASTM D395によって測定したときに50%以下の50℃での圧縮永久歪み、(iv)ASTM D2240によって測定したときに30~65のアスカーC硬度、を有する。
【0003】
本発明による発泡体製ハンドル用カバーは、(i)少なくとも1つのポリオール成分、(ii)少なくとも1つのジイソシアネート成分、および(iii)少なくとも1つの鎖延長剤成分、の反応生成物である熱可塑性ポリウレタン材料を含み、当該少なくとも1つのジイソシアネート成分および当該少なくとも1つの鎖延長剤成分の合計重量が、当該熱可塑性ポリウレタン材料のハードセグメント含量を構成し、当該熱可塑性ポリウレタン材料が、20重量%~60重量%、または20重量%~40重量%、または25重量%~35重量%のハードセグメント含量を有する。軟質熱可塑性ポリウレタン発泡体は、熱可塑性ポリウレタン材料を発泡剤と組み合わせることによって作製される。いくつかの実施形態では、発泡剤は、発熱性または吸熱性であり得る熱によって活性化される化学発泡剤である。
【0004】
本発明はまた、(A)ハンドルフレームを提供するステップと、(B)(1)(i)少なくとも1つのポリオール成分、(ii)少なくとも1つのジイソシアネート成分、および(iii)少なくとも1つの鎖延長剤成分の反応生成物を含む熱可塑性ポリウレタン材料ならびに化学発泡剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡混合物を提供することと、(2)当該熱可塑性ポリウレタン材料を当該化学発泡剤と混合して発泡混合物を得ることと、(3)第2の熱可塑性ポリウレタン材料が化学発泡剤界面活性剤と相互作用して軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を形成するように当該発泡混合物を射出成形することと、によって当該ハンドルフレームの少なくとも一部用の発泡体製カバーを形成するステップと、を含むハンドルの作製方法を含む。この方法は、発泡混合物を密閉金型に射出成形すること、または発泡体製カバーをハンドルフレームに直接成形することを含み得る。
【0005】
本発明のさらなる特徴については、本明細書においてより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】ハンドルの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン発泡体製カバーによって少なくとも部分的にまたは完全に覆われたハンドルフレームを備える車両用ハンドルを提供する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態によるハンドルフレーム構造の例を示す。この例示的な実施形態では、ハンドルフレームは、ハンドルリム1と、2つのサイドスポーク2と、1つの中央スポーク3と、ハブベース4とで構成されている。この例示的な実施形態では、サイドスポーク2および中央スポーク3が、ハンドルリム1をハブベース4に接続する。ハブベース4は、1つ以上の凹部41、42が組み込まれた底面40を有する。一実施形態では、凹部のうちの1つ、例えば凹部42は、ハンドルが用いられる車両のステアリングシャフトを受け入れる役割を果たし得る。
【0009】
一実施形態では、ハブベース4は、例えばエアバッグモジュールなどのさらなる車両構成部品をハブベースに挿入することができるように成形される。このようなさらなる部品は、当該技術分野において公知のまたは今後見出される任意の手段によって組み込まれ得る。
【0010】
図1は、本発明の範囲内に含まれ得るハンドルフレームの実施形態の例を示すが、ハンドルフレームは、当該技術分野において現在知られているかまたは今後開発される可能性のある任意の種類の構成を有し得ることが理解されるべきである。加えて、ハンドルフレームは、当該技術分野において現在知られているかまたは今後開発される材料から作製され得る。例えば、ハンドルの構造は、米国特許出願公開第2010/0018343号、米国特許第5445048号、英国特許第2061848号、国際公開第2002006108号、および国際公開第2008025546号に示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
本発明の発泡体製カバーの製造に有用な熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic polyurethane、「TPU」)組成物は、概して、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、および鎖延長剤成分の反応生成物を含む。これらの実施形態については、以下でより詳細に説明する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、ポリイソシアネート成分は、1つ以上のジイソシアネートを含む。有用なポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネートまたはそれらの組み合わせから選択され得る。有用なポリイソシアネートの例としては、芳香族ジイソシアネート、例えば4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)、m-キシレンジイソシアネート(XDI)、フェニレン-1,4-ジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、およびトルエンジイソシアネート(TDI)、ならびに脂肪族ジイソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、デカン-1,10-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,4-ブタンジイソシアネート(BDI)、およびジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、2つ以上のポリイソシアネートの混合物が使用され得る。
【0013】
本発明で使用される熱可塑性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分も使用して作製される。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの実施形態は、ポリオールまたはその成分はバイオマス資源に由来し、他の実施形態では、成分は合成であるかまたは石油に由来する。
【0014】
一実施形態では、ポリオール成分は、ポリエステルポリオールであってよい。本発明で有用なポリエステルポリオールは、(1)1つ以上のグリコールと1つ以上のジカルボン酸もしくは無水物とのエステル化反応、または(2)エステル交換反応、すなわち1つ以上のグリコールとジカルボン酸のエステルとの反応、によって生成することができる。末端ヒドロキシル基が優勢な線状鎖を得るためには、一般に、グリコールの酸に対するモル比が1モルを超えることが好ましい。また、好適なポリエステル中間体としては、ε-カプロラクトンおよび二官能性開始剤、例えばジエチレングリコールから典型的には作製されるポリカプロラクトン等の様々なラクトンが挙げられる。所望のポリエステルのジカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、単独または混合物で使用され得るジカルボン酸は、一般に、合計4~15個の炭素原子を有し、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸などの上記のジカルボン酸の無水物も使用することができる。反応して望ましいポリエステル中間体を形成するグリコールは、脂肪族、芳香族、またはそれらの組み合わせであることができ、上記の鎖延長剤のセクションで説明したグリコールのいずれかを含み、合計で2~20個または2~12個の炭素原子を有する。好適な例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0015】
ポリエステルポリオール成分はまた、1つ以上のポリカプロラクトンポリエステルポリオールも含み得る。本明細書に記載されている技術に有用なポリカプロラクトンポリエステルポリオールには、カプロラクトンモノマーから誘導されたポリエステルジオールが含まれる。ポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、第一級ヒドロキシル基で終端している。好適なポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、ε-カプロラクトンおよび二官能性開始剤、例えば、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、または本明細書中に列挙される他のグリコールおよび/もしくはジオールのいずれかから作製され得る。いくつかの実施形態では、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、カプロラクトンモノマーから誘導される線状ポリエステルジオールである。
【0016】
有用な例としては、数平均分子量(Mn)2,000の線状ポリエステルジオールであるCAPA(商標)2202A、およびMn3,000の線状ポリエステルジオールであるCAPA(商標)2302Aが挙げられ、これらはいずれもPerstorp Polyols Inc.から市販されている。これらの材料は、2-オキセパノンと1,4-ブタンジオールとのポリマーとして説明される場合もある。
【0017】
ポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、2-オキセパノンおよびジオールから調製することができ、当該ジオールは、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、モノエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。いくつかの実施形態では、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールを調製するために使用されるジオールは、線状である。いくつかの実施形態では、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、1,4-ブタンジオールから調製される。いくつかの実施形態では、ポリカプロラクトンポリエステルポリオールは、500~10,000、または500~5,000、または1,000、またはさらには2,000~4,000、またはさらには3,000の数平均分子量を有する。
【0018】
一実施形態では、ポリオール成分は、ポリエーテルポリオールであってもよい。好適なポリエーテルポリオール中間体としては、合計2~15個の炭素原子を有するジオールまたはポリオール、いくつかの実施形態では、2~6個の炭素原子を有するアルキレンオキシド、典型的には、エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドまたはそれらの混合物を含むエーテルと反応するアルキルジオールまたはグリコールに由来するポリエーテルポリオールが挙げられる。例えば、ヒドロキシル官能性ポリエーテルは、まずプロピレングリコールをプロピレンオキシドと反応させ、続いてエチレンオキシドと反応させることによって生成することができる。エチレンオキシドから得られる第一級ヒドロキシル基は、第二級ヒドロキシル基よりも反応性が高いので、好ましい。有用な市販のポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコールと反応したエチレンオキシドを含むポリ(エチレングリコール)、プロピレングリコールと反応したプロピレンオキシドを含むポリ(プロピレングリコール)、テトラヒドロフランと反応した水を含むポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)(重合テトラヒドロフランと記載される場合もあり、一般にはPTMEGと称される)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリエーテル中間体は、PTMEGを含む。好適なポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキシドのポリアミド付加物も挙げられ、例えば、エチレンジアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含むエチレンジアミン付加物、ジエチレントリアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含むジエチレントリアミン付加物、および類似のポリアミドタイプのポリエーテルポリオールを挙げることができる。コポリエーテルも、記載の組成物に利用することができる。典型的なコポリエーテルとしては、THFおよびエチレンオキシドまたはTHFおよびプロピレンオキシドの反応生成物が挙げられる。これらは、ブロックコポリマーのPolyTHF(登録商標)B、およびランダムコポリマーのPolyTHF(登録商標)RとしてBASFから入手可能である。様々なポリエーテル中間体は、一般に、約700~約10,000、約1,000~約5,000、または約1,000から約2,500などの約700よりも大きな平均分子量である末端官能基のアッセイによって求められる数平均分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態では、ポリエーテル中間体は、Mn2000およびMn1000のPTMEGのブレンドなどの、2つ以上の異なる分子量のポリエーテルのブレンドを含む。
【0019】
別の実施形態では、ポリオール成分は、ポリカーボネートポリオールであってもよい。好適なポリカーボネートポリオールとしては、グリコールをカーボネートと反応させることによって調製されるものが挙げられる。米国特許第4,131,731号は、ヒドロキシル末端ポリカーボネートおよびその調製の開示について、参照により本明細書に組み込まれる。このようなポリカーボネートは線状であり、本質的に他の末端基を除いて末端ヒドロキシル基を有する。必須の反応物質は、グリコールおよびカーボネートである。好適なグリコールは、4~40個および/またはさらには4~12個の炭素原子を含有する脂環式および脂肪族ジオールから、ならびに1分子当たり2~20個のアルコキシ基を含有し、各アルコキシ基が2~4個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレングリコールから選択される。好適なジオールとしては、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール、水素化ジオレイルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールなどの4~12個の炭素原子を含有する脂肪族ジオール、ならびに1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジオール-、1,3-ジメチロールシクロヘキサン-、1,4-エンドメチレン-2-ヒドロキシ-5-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、およびポリアルキレングリコールなどの脂環式ジオールが挙げられる。反応において使用されるジオールは、最終生成物において望まれる特性に応じて単一のジオールであってもジオールの混合物であってもよい。ヒドロキシルを末端基とするポリカーボネート中間体は、一般に、当該技術分野および文献において知られているものである。好適なカーボネートは、5~7員環で構成されるアルキレンカーボネートから選択される。本明細書で使用するのに好適なカーボネートとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-エチレンカーボネート、1,3-ペンチレンカーボネート、1,4-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、および2,4-ペンチレンカーボネートが挙げられる。また、ジアルキルカーボネート、脂環式カーボネート、およびジアリールカーボネートも本明細書において好適である。ジアルキルカーボネートは、各アルキル基中に2~5個の炭素原子を含有していてよく、その具体例は、ジエチルカーボネートおよびジプロピルカーボネートである。脂環式カーボネート、特に二環式脂肪族カーボネートは、各環状構造中に4~7個の炭素原子を含有し得、そのような構造は1つまたは2つ存在し得る。一方の基が脂環式である場合、他方はアルキルまたはアリールのいずれかであり得る。他方、一方の基がアリールである場合、他方はアルキルまたは脂環式であり得る。各アリール基に6~20個の炭素原子を含有し得る好適なジアリールカーボネートの例は、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、およびジナフチルカーボネートである。
【0020】
一実施形態では、ポリオール成分は、ポリシロキサンポリオールを含み得る。好適なポリシロキサンポリオールとしては、α-ω-ヒドロキシルまたはアミンまたはカルボン酸またはチオールまたはエポキシ末端ポリシロキサンが挙げられる。例としては、ヒドロキシルまたはアミンまたはカルボン酸またはチオールまたはエポキシ基を末端基とするポリ(ジメチルシロキサン)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリシロキサンポリオールは、ヒドロキシル末端ポリシロキサンである。いくつかの実施形態では、ポリシロキサンポリオールは、300~5,000または400~3,000の範囲の数平均分子量を有する。
【0021】
ポリシロキサンポリオールは、ポリシロキサンヒドリドと脂肪族多価アルコールまたはポリオキシアルキレンアルコールとの間の脱水素反応により、アルコール性ヒドロキシ基をポリシロキサン骨格に導入することによって得ることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、ポリシロキサンは、以下の式を有する1つ以上の化合物によって表され得る:
【0023】
【化1】
【0024】
[式中、各R1およびR2は、独立して、1~4個の炭素原子のアルキル基、ベンジル、またはフェニル基であり、各Eは、OHまたはNHR(式中、Rは、水素、1~6個の炭素原子のアルキル基、または5~8個の炭素原子のシクロアルキル基である)であり、aおよびbは、それぞれ独立して、2~8の整数であり、cは、3~50の整数である]。アミノ含有ポリシロキサンにおいて、E基の少なくとも1つはNHRである。ヒドロキシル含有ポリシロキサンにおいて、E基の少なくとも1つはOHである。いくつかの実施形態では、RおよびRの両方がメチル基である。
【0025】
好適な例としては、α,ω-ヒドロキシプロピル末端ポリ(ジメチルシロキサン)およびα,ω-アミノプロピル末端ポリ(ジメチルシロキサン)が挙げられ、これらはいずれも市販の材料である。さらなる例としては、ポリ(ジメチルシロキサン)材料とポリ(アルキレンオキシド)とのコポリマーが挙げられる。
【0026】
【0027】
本明細書に記載の熱可塑性ポリウレタン組成物は、典型的には、鎖延長剤成分を使用して作製される。連鎖延長剤としては、ジオール、ジアミン、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0028】
好適な鎖延長剤としては、比較的小さなポリヒドロキシ化合物、例えば、2~20個、または2~12個、または2~10個の炭素原子を有する低級脂肪族または短鎖グリコールが挙げられる。好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール(BDO)、1,6-ヘキサンジオール(HDO)、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン(HEPP)、ヒドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)、ヘキサメチレンジオール、ヘプタンジオール、ノナンジオール、ドデカンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびヒドロキシエチルレゾルシノール(HER)など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
任意選択の添加剤成分が重合反応中に存在してもよく、ならびに/または加工特性および他の特性を改善するために上記のTPU組成物に組み込まれてもよい。これらの添加剤としては、酸化防止剤、有機ホスファイト、ホスフィン、およびホスホナイト、ヒンダードアミン、有機アミン、有機硫黄化合物、ラクトンおよびヒドロキシルアミン化合物、殺生物剤、殺菌剤、抗菌剤、相溶化剤、電気散逸性または帯電防止添加剤、充填剤および強化剤(例えば、二酸化チタン、アルミナ、粘土、およびカーボンブラック)、難燃剤(例えば、ホスフェート、ハロゲン化材料、およびアルキルベンゼンスルホネートの金属塩)、耐衝撃性改良剤(例えば、メタクリレート-ブタジエン-スチレン(「methacrylate-butadiene-styrene、MBS」)およびメチルメタクリレートブチルアクリレート(「methylmethacrylate butylacrylate、MBA」))、離型剤(例えば、ワックス、脂肪および油)、顔料および着色剤、可塑剤、ポリマー)、レオロジー改良剤(例えば、モノアミン、ポリアミドワックス、シリコーン、およびポリシロキサン)、スリップ添加剤(例えば、パラフィンワックス、炭化水素ポリオレフィン、および/またはフッ素化ポリオレフィン)、ならびにUV安定剤(ヒンダードアミン光安定剤(hindered amine light stabilizer、HALS)および/またはUV光吸収剤(UV light absorber、UVA)タイプであってよい)が挙げられるが、これらに限定されない。TPU組成物またはブレンド生成物の性能を向上させるために他の添加剤を使用してもよい。上記の添加剤は全て、これらの物質の慣習的な有効量で使用してよい。
【0030】
これらの追加の添加剤は、TPU組成物を調製するためにまたはTPU組成物を作製した後に、反応混合物の成分にまたは反応混合物に組み込むことができる。別のプロセスでは、全ての材料をTPU組成物と混合し、次いで融解させてもよく、またはTPU組成物の融解物に全ての材料を直接組み込んでもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、添加剤は、充填剤または強化剤を含み得る。充填剤としては、タルク、大理石、花崗岩、カーボンブラック、グラファイト、アラミド、シリカ-アルミナ、ジルコニア、ベントナイト、三酸化アンチモン、石炭系フライアッシュ、粘土、長石、霞石、ヒュームドシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、チタン酸塩、チョーク、粉砕ガラス、シリカまたはガラス、ガラス微小球、ガラスビーズまたはガラス繊維を含む広範な粒状材料が挙げられる。使用されるガラス繊維は、E、A、またはCガラスで作製されてもよく、好ましくはサイズおよびカップリング剤が与えられている。それらの直径は概して6~20μmである。全長が1~10mm、好ましくは3~6mmである連続フィラメント繊維(ロービング)またはチョップドガラス繊維(ステープル)のいずれを使用してもよい。
【0032】
充填剤はまた、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、および三水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩;二硫化モリブデンおよび硫酸バリウムなどの金属硫化物および硫酸塩;ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩;無水アルミニウムなどの金属無水物;またはアルミニウム三水和物であってもよい。
【0033】
窒化ホウ素ならびに様々な再生および再粉砕熱硬化性ポリウレタンおよび/またはポリウレアポリマーを使用することもできる。
【0034】
代表的な充填剤としては、珪藻土、カオリン、およびモンモリロナイトなどの粘土;ハンタイト;セライト;アスベスト;グラウンドミネラル;およびリトポンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの充填剤は、典型的には、従来の方法および従来の量で、例えば、組成物の重量に基づいて5重量%以下から50重量%以上で使用される。
【0035】
強化剤としては、ガラス、アラミド、様々な他のポリマーなどであり得る、小板および繊維などの高アスペクト比材料が挙げられる。使用することができる追加の材料としては、鉱物繊維、ウィスカー、アルミナ繊維、マイカ、粉末石英、金属繊維、炭素繊維、およびウォラストナイトが挙げられる。強化剤は、通常、層または組成物全体に基づいて5~50重量%の量で使用される。
【0036】
いくつかの配合物において有用な充填剤としては、酸化アンチモン、酸化デカブロモビフェニル、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩、およびハロゲン化化合物を含み得る耐発火性充填剤が挙げられる。
【0037】
他の雑多な充填剤としては、木材繊維/粉/チップ、ゴム粉塵、綿、デンプン、粘土、合成繊維(例えば、ポリオレフィン繊維)、および炭素繊維が挙げられる。
【0038】
充填剤のレベルは充填剤の密度に依存し、充填剤の密度が高いほど、その充填剤の体積分率に感知できるほど影響を与えることなく、より多くの充填剤を配合物に添加することができる。したがって、充填剤のレベルは、本明細書では、全配合物重量に基づく充填剤の重量パーセントの観点で論じられる。本明細書に開示される配合物において、充填剤含量は、約0.1%~約80%、好ましくは約5%~約50%(典型的には約0.1%~約5%のレベルで使用されるカーボンブラックを除く)、より好ましくは約5%~約40%、特に約8%~約30%の範囲である。
【0039】
別の実施形態では、添加剤は、難燃性添加剤を含み得る。難燃剤は、膨張性であってもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。例としては、リン酸フェニルビスドデシル、リン酸フェニルビスネオペンチル、リン酸水素フェニルエチレン、リン酸フェニル-ビス-3,5,5’-トリメチルヘキシル)、リン酸エチルジフェニル、リン酸2-エチルヘキシルジ(p-トリル)、リン酸水素ジフェニル、リン酸ビス(2-エチル-ヘキシル)p-トリル、リン酸トリトリル、リン酸ビス(2-エチルヘキシル)-フェニル、リン酸トリ(ノニルフェニル)、リン酸水素フェニルメチル、リン酸ジ(ドデシル)p-トリル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル、リン酸ジブチルフェニル、リン酸p-トリルビス(2,5,5’-トリメチルヘキシル)、リン酸2-エチルヘキシルジフェニル、およびリン酸水素ジフェニルが挙げられる。好ましい難燃剤は、ビスフェノール-Aビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、およびクレゾールビス(ジフェニルホスフェート)である。
【0040】
難燃剤のさらなる例としては、臭素化有機化合物、例えば臭素化ジオールが挙げられる。それは、5~20個の炭素原子、いくつかの実施形態では5~10個、またはさらには5個の炭素原子を含有していてよく、第四級炭素原子を含有していてよい。添加剤は、所望の難燃性を提供するのに十分な量で存在してもよく、他の実施形態では、組成物全体の0~15重量パーセント、またはさらには組成物全体の0~10重量パーセント、0.1~7重量パーセント、もしくは0.2~5重量パーセントで存在し得る。
【0041】
さらなる例としては、臭素化有機化合物が挙げられる。好適な例としては、臭素化ジオール、臭素化モノアルコール、臭素化エーテル、臭素化エステル、臭素化ホスフェート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好適な臭素化有機化合物としては、テトラブロモビスフェノール-A、ヘキサブロモシクロドデカン、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、ペンタブロモベンジルアクリレート、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、トリブロモフェノール、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチルアルコール、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、および4,4’-イソプロピリデンビス[2-(2,6-ジブロモフェノキシ)エタノール]を挙げることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、難燃性添加剤は、ホウ酸ハロゲンの金属塩、リン酸ハロゲンの金属塩、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、遅延剤の組み合わせが使用される。難燃性添加剤のさらなる例としては、有機スルホネートの金属塩、例えば、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩が挙げられ、いくつかの実施形態では、難燃性添加剤は、窒素含有化合物を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、添加剤は、耐衝撃性改良剤を含んでいてもよい。耐衝撃性改良剤は、上記のTPU組成物に添加されてもよく、ポリウレタンの耐衝撃性、特に低温靭性を改善するのに有効な量で添加される。低温靭性の改善とは、ASTM D256に従って-30℃でのアイゾット衝撃強度を改善できることを意味する。別の改良点は、溶融加工温度が低下した結果としてポリウレタンのせん断粘度が低下するように、さらに、加熱成形生成物上に非凝集性外皮を形成させることなくこの低下が達成されるように、溶融加工性が改善されることである。
【0044】
実施形態では、耐衝撃性改良剤は、ゴム状成分およびグラフト化硬質相成分の両方を含有する。好ましい耐衝撃性改良剤は、(メタ)アクリレートおよび/またはビニル芳香族ポリマー(スチレン/アクリロニトリルなどのそのコポリマーを含む)を選択されたゴムにグラフトすることによって調製される。実施形態では、グラフトポリマーは、メチルメタクリレートのホモポリマーまたはコポリマーである。ゴム材料は、例えば、周知のブタジエンタイプ、ブチルアクリレートタイプ、またはEPDMタイプのうちの1つ以上であり得る。様々な実施形態では、耐衝撃性改良剤は、少なくとも約40重量パーセントのゴム材料、または少なくとも約45重量パーセント、別の実施形態では少なくとも約60重量パーセントのゴム材料を含有する。耐衝撃性改良剤は、最大100重量パーセントのゴム(硬質相なし)を含有することができ、実施形態では、95重量パーセント未満のゴム材料を含有し、別の実施形態では、90重量パーセント未満のゴム材料を含有し、残りは、その少なくともかなりの部分がゴム材料の周囲またはゴム材料にグラフト重合および/または架橋されている硬質相ポリマーである。
【0045】
耐衝撃性改良剤の例としては、Paraloid EXL 3607などのメタクリレート-ブタジエン-スチレン(「MBS」)ゴムおよびParaloid 3300などのメチルメタクリレートブチルアクリレート(「MBA」)ゴムが挙げられるが、これらに限定されず、これらのゴムは一般に45~90重量パーセントのエラストマーを含有する。
【0046】
使用することができる別の耐衝撃性改良剤は、ゴム材料として、共役ジエンを重合させることによって、または共役ジエンをモノオレフィンまたは極性ビニル化合物、例えばスチレン、アクリロニトリル、もしくはメチルメタクリレートと共重合させることによって作製される基材ポリマーラテックスまたはコアを含有する。基材ゴムは、典型的には、約45~100パーセントの共役ジエンおよび最大約55パーセントのモノオレフィンまたは極性ビニル化合物で構成される。次いで、モノマーの混合物を基材ラテックスにグラフト重合させる。以下を含む種々のモノマーを、このグラフト化目的のために使用してよい:スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ナフタレンなどのビニル芳香族化合物;メタクリロニトリルもしくはα-ハロゲン化アクリロニトリルを含むアクリロニトリル;またはメチルアクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、もしくはヘキシルメタクリレートなどのC1~C8アルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸もしくはメタクリル酸;あるいは前述のもののうちの2つ以上の混合物。グラフト化の程度は、基材ラテックス粒径およびグラフト化反応条件に対して感受性があり、粒径は、数ある方法の中でも、制御された凝固技術によって影響を受け得る。硬質相は、ジビニルベンゼンなどの種々のポリビニルモノマーを組み込むことによって重合中に架橋され得る。
【0047】
耐衝撃性改良剤(欧州特許第0353673(B1)号明細書から)は、カルボニル変性ポリオレフィンであってもよい。より具体的には、それはペンダントカルボニル含有化合物と共にポリオレフィン主鎖を含有するグラフトコポリマーである。グラフトコポリマーの全重量に基づいて、ポリオレフィンの量は90~99.9重量パーセント、望ましくは93~98重量パーセント、好ましくは95~98重量パーセントである。好適なグラフトコポリマーは、1~20、別の実施形態では1~10、さらに別の実施形態では1~5のメルトインデックスを有し得る。
【0048】
耐衝撃性改良剤(すなわち、グラフトコポリマー)のポリオレフィン成分は、2~6個の炭素原子、望ましくは2または3個の炭素原子を有する1つ以上のモノマーから作製されるホモポリマーまたはコポリマーである。好適なポリオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、またはイソブチレンのホモポリマー、プロピレンとエチレンとのコポリマー、およびエチレン-プロピレン-ジエンモノマーと4~8個の炭素原子を有するジエンとのコポリマーが挙げられる。改良に好適なエチレンポリマーとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、および線状低密度ポリエチレンが挙げられる。コポリマーを利用する場合、利用するエチレンモノマーの量、ひいてはコポリマー中のエチレン繰り返し単位の量は、1パーセント~50パーセント、他の場合には3パーセント~25パーセントとかなり変動し得、さらに別の実施形態では約10パーセントである。
【0049】
一実施形態では、耐衝撃性改良剤は、フマル酸、マレイン酸、または無水マレイン酸から選択されるカルボニル化合物を0.1~10重量パーセント、別の実施形態では0.2~7重量パーセント、さらに別の実施形態では0.2~6重量パーセント含む。
【0050】
耐衝撃性改良剤は、ポリウレタン100重量部当たり1~30重量部、いくつかの実施形態では1~20重量部、他の実施形態では5~15重量部の範囲で使用することができる。本発明の耐衝撃性改良剤は、強化剤および/または充填剤を含むポリウレタンブレンドに添加される場合に特に有用である。過去には、ポリウレタンに強化剤を添加した場合、得られる複合材料の溶融加工性がそうであったのと同様に、特に低温または室温での耐衝撃性が劣っていた。したがって、本発明の耐衝撃性改良剤は、耐衝撃性、溶融加工性を改善し、改善された寸法安定性を有するポリウレタン複合体を生成するために、強化ポリウレタンと共に有用である。改善された寸法安定性とは、次の特徴、すなわち、曲げ弾性率、曲げ強度、引張降伏強度、および熱変形温度のうちの1つ以上における改善を意味する。強化ポリウレタンと共に使用される場合、耐衝撃性改良剤の量は、非強化ポリウレタンに使用される量と同じであってよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、添加剤は、1つ以上の可塑剤を含んでいてもよい。使用される可塑剤の種類は、TPUにおいて使用するための公知の可塑剤のいずれであってもよい。使用される最も一般的な可塑剤の種類はフタレートであり、ブチルベンジルフタレートが最も好ましい。本発明で使用される可塑剤としては、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジ-n-オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル、およびリン酸イソフタル酸ジ-2-エチルヘキシルなどのフタル酸系可塑剤;アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジ-n-デシル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、およびセバシン酸ジ-2-エチルヘキシルなどの脂肪族系エステル可塑剤;トリメリット酸トリオクチルおよびトリメリット酸トリデシルなどのピロメリテート(pyrometallitate)系可塑剤;リン酸トリブチル、リン酸トリ-2-エチルヘキシル、リン酸2-エチルヘキシルジフェニル、およびリン酸トリクレシルなどのリン酸系可塑剤;エポキシ系ダイズ油などのエポキシ系可塑剤;ならびにポリエステル系ポリマー可塑剤を挙げることができる。子供用おもちゃおよび食品との接触などの毒物学的観点から感受性である用途の場合、ジ-イソノニル-シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(BASF製のHexamoll(登録商標)DINCH(登録商標))を可塑剤として使用してよい。1種の可塑剤を用いてもよく、2種以上の可塑剤の組み合わせを使用してもよい。所望の可塑剤の選択は、TPUの配合の分野の当業者によって十分に理解されるように、TPUポリマーの最終用途に依存する。
【0052】
記載される組成物は、上述のTPU材料を含み、そのようなTPU材料および1つ以上の追加の成分を含むTPU組成物も含む。これらの追加成分としては、本明細書に記載されるTPUとブレンドすることができる他のポリマー材料が挙げられる。これらの追加成分としては、組成物の特性に影響を与えるためにTPUまたはTPUを含有するブレンドに添加され得る1つ以上の添加剤が挙げられる。
【0053】
本明細書に記載されるTPUはまた、1つ以上の他のポリマーとブレンドされてもよい。本明細書に記載されるTPUをブレンドすることができるポリマーは、過度に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、記載される組成物は、記載されるTPU材料のうちの2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、記載されるTPU材料のうちの少なくとも1つと、記載されるTPU材料のうちの1つではない少なくとも1つの他のポリマーとを含む。
【0054】
本明細書に記載のTPU材料と組み合わせて使用することができるポリマーとしては、非カプロラクトンポリエステル系TPU、ポリエーテル系TPU、または非カプロラクトンポリエステル基およびポリエーテル基の両方を含有するTPUなどのより従来的なTPU材料も挙げられる。本明細書に記載されるTPU材料とブレンドすることができる他の好適な材料としては、ポリカーボネート、ポリオレフィン、スチレンポリマー、アクリルポリマー、ポリオキシメチレンポリマー、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
本明細書に記載のブレンドにおいて使用されるポリマーとしては、ホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。好適な例としては、(i)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ポリオキシエチレン(POE)、環状オレフィンコポリマー(COC)、またはそれらの組み合わせなどのポリオレフィン(PO)、(ii)ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、スチレンブタジエンゴム(SBRまたはHIPS)、ポリ-α-メチルスチレン、スチレン無水マレイン酸(SMA)、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)(例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンコポリマー(SBS)およびスチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー(SEBS))、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー(SEPS)、スチレンブタジエンラテックス(SBL)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)および/もしくはアクリルエラストマー(例えば、PS-SBRコポリマー)で変性されたSAN、またはそれらの組み合わせなどのスチレン系、(iii)上記のもの以外の熱可塑性ポリウレタン(TPU)、(iv)ポリアミド6,6(PA66)、ポリアミド1,1(PA11)、ポリアミド1,2(PA12)、コポリアミド(COPA)、またはそれらの組み合わせを含む、Nylon(商標)などのポリアミド、(v)ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートスチレン(MS)コポリマー、またはそれらの組み合わせなどのアクリルポリマー、(vi)ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)、またはそれらの組み合わせ、(vii)ポリアセタールなどのポリオキシメチレン、(viii)ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテル-エステルブロックコポリマーを含むコポリエステルおよび/またはポリエステルエラストマー(COPE)、例えば、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、PLAおよびPGAのコポリマー、またはそれらの組み合わせなどのポリエステル、(ix)ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、またはそれらの組み合わせ、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0056】
いくつかの実施形態では、TPU組成物は、UV安定化添加剤を含み得る。そのような添加剤は、透明性が望まれる用途、または部品が日光もしくは他の紫外線源に曝露される用途において特に有用であり得る。好適なUV光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)およびUV光吸収剤(UVA)添加剤が挙げられる。HALおよびUVA添加剤のブレンドも有効である。
【0057】
本発明の実施において使用することができる代表的なHALSとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:立体障害アミンならびにそのN誘導体(例えば、N-アルキル、N-ヒドロキシ、N-アルコキシ、およびN-アシル)、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(2,2,6,6テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシネート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)n-ブチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート;1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物;トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ニトリロトリアセテート;テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4イル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;1,1’-(1,2エタンジイル)ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン);4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-2-n-ブチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジル)マロネート;3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)セバケート;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシネート;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ1,3,5-トリアジンとの縮合物;2-クロロ-4,6-ビス(4-nブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物;2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス-(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物;8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン;3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-1-(1-エタノイル-2,2,6,6テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-l-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4イル)ピロリジン-2,5-ジオン;4-ヘキサデシルオキシおよび4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4イル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物;1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、および4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピぺリジン、2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチルピぺリジン-l-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4.5]デカンの縮合物;米国特許第5071981号に開示されているオキソ-ピペランジニル-トリアジンおよび類似の物質;英国特許公開第2269819号に開示されている光結合性(photobondable)HALSおよび類似の物質;ならびに7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-l-オキサ-3,8-ジアザ-4オキソスピロ[4.5]デカンとエピクロロヒドリンとの反応生成物。一般に、米国特許第4619956号、米国特許第5106891号、英国特許公開第2269819(A)号、欧州特許公開第0309400(A)号、欧州特許公開第0309401(A)号、欧州特許公開第0309402(A)号、および欧州特許公開第0434608(A)号も参照されたい。HALS添加剤のいくつかの市販の例は、Tinuvin(登録商標)123、Tinuvin 123-DW、Tinuvin 144、Tinuvin 152、Tinuvin 292、Tinuvin 622-SF、Tinuvin 770-DF、Tinuvin 5100(Tinuvin(登録商標)シリーズの添加剤はBASFから入手可能)、Chimassorb(登録商標)119、Chimassorb 2020(Chimassorb(登録商標)シリーズの添加剤はBASFから入手可能)、Lowilite(登録商標)76、Lowilite 62(Lowilite(登録商標)シリーズの添加剤はAddivantから入手可能)、Uvinul(登録商標)4050 FF(BASF)、LA-52、LA-576、LA-63P、68、72、77Y、77G、81、82、87、4042F、502XP(LAシリーズの添加剤はAdeka Corporationから入手可能)、Hostavin(登録商標)N30、Hostavin N845PP、Hostavin 3050、Hostavin 3051、Hostavin 3052、Hostavin 3053、Hostavin 3055、Hostavin 3058、Hostavin 3065、Hostavin PR-31(Hostavin(登録商標)シリーズの添加剤はClariantから入手可能)、およびNylostab(登録商標)S-EED(登録商標)(Clariantから入手可能)であり、さらなる好ましいヒンダードアミン光安定剤は、Plastics Additives Handbook 6th Edition,Hans Zweifel,Ralph Maier,Michael Schiller(Hanser Publications,Inc.,Cincinnati,Ohio,USA,2009)に列挙されているものであってよい。存在する場合、HALSは、典型的には、組成物の重量に基づいて0超~4重量%、より典型的には0.2~3重量%、さらにより典型的には0.5~2重量%の量で存在する。
【0058】
理論に束縛されるものではないが、典型的には、UV安定剤は、UV光損傷によって形成されるフリーラジカルおよび/またはヒドロペルオキシドを捕捉することによって機能し、一方、UV吸収剤は、UV線を吸収および散逸させることによって機能する。好適なUV吸収剤としては、トリアジン、ベンズオキサジノン、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾエート、ホルムアミジン、シンナメート/プロペノエート、芳香族プロパンジオン、ベンズイミダゾール、脂環式ケトン、ホルムアニリド(オキサミドを含む)、シアノアクリレート、ベンゾピラノン、サリチレート、およびそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
好適なベンゾフェノンUV吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノンまたはスルイソベンゾン、2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)-2-プロペン酸エチルエステル、4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)-2-ヒドロキシベンゾフェノンのホモポリマー、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンまたはジオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-デシルオキシプロポキシ)ベンゾフェノンおよび2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,4,4’-トリヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(イソオクチルオキシ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-5,5’-ジスルホベンゾフェノン、二ナトリウム塩、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンまたは4-ベンゾイルレゾルシノール、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン、ならびにそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。MAXGARD(登録商標)300、MAXGARD(登録商標)400、MAXGARD(登録商標)500、MAXGARD(登録商標)600、MAXGARD(登録商標)700、MAXGARD(登録商標)900、MAXGARD(登録商標)1000、MAXGARD(登録商標)1800(Maxgardシリーズの化学物質はSyrgis Performance Specialtiesから入手可能)
【0060】
好適なベンゾピラノンUV吸収剤としては、3,3’,4’,5,7-ペンタヒドロキシフラボンまたはケルセチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
好適なベンゾトリアゾールUV吸収剤としては、2-[2-ヒドロキシ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(2-ヒドロキシエチル))ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルイルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、1,1,1-トリス(ヒドロキシフェニル)エタンベンゾトリアゾール、5-t-ブチル-3-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸オクチルエステルおよび3-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸オクチルエステル、α-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-ω-ヒドロキシポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)およびa-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-w-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロポキシ]ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3’-5’-ジ-t-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-ドデシルフェノール、ベンゼンプロパン酸の3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-1,6-ヘキサンジイルエステルおよびベンゼンプロパン酸の3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-メチルエステル、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス-(1,1-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸、C7-9分岐および直鎖アルキルエステル、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-sec-ブチル-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス[2-ヒドロキシ-3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-オクチルフェニル]メタン、ならびにそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なベンゾトリアゾールUV吸収剤のいくつかの市販の例としては、TINUVIN(登録商標)99、TINUVIN 109、TINUVIN 328、TINUVIN 350、TINUVIN 360 TINUVIN 384-2、TINUVIN 571、TINUVIN 1130、およびTINUVIN Pが挙げられるが、これらに限定されない(Tinuvinシリーズの添加剤は、BASFから入手可能)。
【0062】
好適なベンゾエートUV吸収剤としては、ヘキサデシル3,5-ジt-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、3-ヒドロキシフェニルベンゾエート、エチル-4-[[(エチルフェニルアミノ)メチレン]アミノ]ベンゾエート、フェニル2-ヒドロキシベンゾエートまたはフェニルサリチレート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、4-ビス(ポリエトキシ)アミノ酸ポリエトキシエチルエステル、4-t-ブチルフェニル2-ヒドロキシベンゾエート、または4-t-ブチルフェニルサリチレート、およびそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。この種類の好適なUV吸収剤のいくつかの市販の例としては、SEESORB 300;SEESORB 201;SEESORB 202(SEESORB UV吸収剤は、Shipro Kasei Kaisha,Ltd.から入手可能);TINUVIN 120(BASFから入手可能);UVINUL(登録商標)P 25(BASFから入手可能)が挙げられるが、これに限定されない。
【0063】
好適なベンゾキサジノンUV吸収剤としては、2,2’-(p-フェニレン)ジ-3,1-ベンゾオキサジン-4-オンが挙げられるが、これらに限定されない。このタイプの好適なUV吸収剤の市販の例としては、CYASORB 3638(Cytec Industries Inc.製)が挙げられるが、これに限定されない。
【0064】
好適なシンナメートまたはプロペノエートUV吸収剤としては、ジメチル(p-メトキシベンジリデン)マロネート、および3-(4-メトキシフェニル)-2-プロペン酸2-エチルヘキシルエステルまたはオクチルp-メトキシシンナメートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
好適なシアノアクリレートUV吸収剤としては、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、1,3-ビス-[(2’-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス-{[(2-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル}プロパン、および2-シアノ-3-(2-メチルインドリニル)メチルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。このタイプの好適なUV吸収剤のいくつかの市販の例としては、UVINUL(登録商標)3030、UVINUL 3035、およびUVINUL 3039が挙げられるが、これらに限定されない。Uvinulシリーズの添加剤は、BASFから入手可能である。
【0066】
好適な脂環式ケトンUV吸収剤としては、3-(4-メチルベンジリデン)-D,L-カンファーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
好適なホルムアミジンUV吸収剤としては、エチル-4-[[(メチルフェニルアミノ)メチレン]アミノ]ベンゾエートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
好適なホルムアニリド(オキサミドを含む)UV吸収剤としては、N-(2-エトキシフェニル)-N’-(4-イソドデシルフェニル)オキサミド、N-[5-t-ブチル-2-エトキシフェニル)-N’-(2-エチルフェニル)オキサミド、N-(2-エトキシフェニル)-N’-(2-エチルフェニル)オキサミド、2H-ベンズイミダゾール-2-カルボン酸(4-エトキシフェニル)アミド、およびそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらのタイプの添加剤のいくつかの市販の例は、Clariant製のHostavin(登録商標)3206およびBASF製のTINUVIN(登録商標)312である。
【0069】
好適なトリアジンUV吸収剤としては、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-オクチルオキシフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール、2-[4-((2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシ-プロピル)オキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、およびそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。BASF製のTINUVIN(登録商標)400;TINUVIN 1577 ED;UVINUL T-150
【0070】
好適なサリチレートUV吸収剤としては、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルサリチレートまたはホモメチルサリチレート、およびメンチル-o-アミノベンゾエートが挙げられるが、これらに限定されない。これらのタイプの添加剤のいくつかの市販の例は、Symrise AGから入手可能なNEO HELIOPAN(登録商標)HMSおよびNEO HELIOPAN(登録商標)MAである。
【0071】
存在する場合、UV吸収剤は、典型的には、組成物の重量に基づいて0超~4重量%、より典型的には0.2~3重量%、さらにより典型的には0.3~2重量%の量で存在する。
【0072】
非限定的な一例では、本発明は、フレームを少なくとも部分的にまたはさらには完全に覆う発泡体製カバーを有するハンドルフレームを含む。いくつかの実施形態では、発泡体製カバーは、軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を含み、軟質射出成形発泡体は、(a)(i)50,000~350,000ダルトン、例えば100,000~200,000ダルトン、またはさらには125,000~175,000の重量平均分子量(Mw)(Mwはゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される)、および(ii)1.2~3.5、またはさらには2~2.5の分散度(Mw/Mn)、を有する熱可塑性ポリウレタン組成物と、(b)化学発泡剤および/または気泡開放界面活性剤と、の組み合わせから形成される。一実施形態では、軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体は、以下の特性を有する:(a)示差走査クロマトグラフィー(DSC)によって測定したときに、25℃~205℃、またはさらには40℃~150℃の結晶化のピーク温度、(b)DSCによって測定したときに、106℃~206℃の融解のピーク温度、および(c)1~137℃の当該融解のピーク温度と当該結晶化のピーク温度との間の差。別の実施形態では、軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体は、代替的にまたは追加的に、以下の特性を示す:(a)ASTM D2632に従って測定された少なくとも30%の垂直反発弾性、(b)ASTM D395に従って測定された25%以下の室温での圧縮永久ひずみ、(c)ASTM D395に従って測定された50%以下の50℃での圧縮永久ひずみ、および(d)ASTM D2240に従って測定された30~65のアスカーC硬度。本明細書で有用な熱可塑性ポリウレタン発泡体を作製するために使用される化学発泡剤は、発熱型発泡剤または吸熱型発泡剤から選択してよい。発熱型発泡剤の一例は、アゾジカルボンアミドである。吸熱型発泡剤の例は、重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物である。発熱型および吸熱型の発泡剤の混合物を使用してもよい。加熱時にガスを放出する任意の既知のまたは今後開発される化学発泡剤が、本発明において有用であり得る。いくつかの実施形態では、発泡剤は、化学発泡剤と共に、ポリエチレンまたは熱可塑性ポリウレタン材料(発泡体に使用される熱可塑性ポリウレタンと同じであっても異なっていてもよい)などのポリマー担体を含有するマスターバッチの形態で熱可塑性ポリウレタン組成物に添加してよい。マスターバッチを使用する実施形態では、マスターバッチは、(熱可塑性ポリウレタン組成物およびマスターバッチの総重量に基づいて)0.5重量%~10重量%、例えば1重量%~5重量%の量で添加される。他の実施形態では、熱可塑性ポリウレタン組成物は、気泡開放界面活性剤の使用によって発泡する。気泡開放界面活性剤の例としては、シリコーン、シロキサンコポリマー、非シロキサンコポリマー、非シリコーン、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。化学発泡剤に加えて、本発明のいくつかの実施形態では、発泡体を形成するための混合物は、物理発泡剤または成核剤をさらに含んでいてもよい。物理発泡剤としては、直鎖、分岐、または環状C1~C6炭化水素、直鎖、分岐、または環状C1~C6フルオロカーボン;N、O、アルゴン、CO、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。成核剤は、タルクまたはシリカから選択され得る。本発明の発泡体の作製において有用な熱可塑性ポリウレタン組成物は、少なくとも1つのポリオール成分、少なくとも1つのジイソシアネート成分、および少なくとも1つの鎖延長剤成分の反応生成物を含む。例示的な実施形態では、ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール(ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、ポリエステルポリオール(ブタンジオールアジペートなど)、またはポリカプロラクトンポリオールから選択され得る。一実施形態では、発泡体用の熱可塑性ポリウレタン組成物において使用される鎖延長剤は、1,4-ブタンジオール、ベンゼングリコール、またはそれらの組み合わせから選択され得る。一実施形態では、ハンドルフレームを構築するために使用される熱可塑性ポリウレタン組成物は、20重量%~60重量%、またはさらには20重量%~40重量%、またはさらには25重量%~35重量%のハードセグメント含量(イソシアネート成分および鎖延長剤成分の総重量パーセント)を有する。本発明において有用であり得る熱可塑性ポリウレタン発泡体の例としては、米国特許第10973281号および米国特許出願公開第20170178181号に開示されているものが挙げられ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
本発明は、ハンドル用の発泡熱可塑性ポリウレタンカバーの作製方法も含む。このような方法は、(A)ハンドルフレームを提供するステップと、(B)(1)(i)少なくとも1つのポリオール成分、(ii)少なくとも1つのジイソシアネート成分、および(iii)少なくとも1つの鎖延長剤成分の反応生成物、を含み、(a)20重量%~60重量%、または20重量%~40重量%、または25重量%~35重量%のハードセグメント含量、(b)ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定したときに50,000~350,000ダルトンまたは100,000~200,000ダルトンの重量平均分子量、および(c)1.2~3.5または2.0~2.5の分散度(Mw/Mn)、を有する熱可塑性ポリウレタン材料ならびに化学発泡剤を含む発泡混合物を提供することと、(2)当該熱可塑性ポリウレタン材料を当該化学発泡剤と混合して発泡混合物を得ることと、(3)第2の熱可塑性ポリウレタン材料が化学発泡剤界面活性剤と相互作用して軟質射出成形熱可塑性ポリウレタン発泡体を形成するように当該発泡混合物を射出成形することと、によって当該ハンドルフレーム用の発泡体製カバーを形成するステップと、を含み得る。一実施形態では、発泡混合物を射出成形するステップは、密閉金型で行われる。別の実施形態では、発泡混合物を射出成形するステップは、発泡体製カバーをハンドルフレームに直接成形することを含む。
【0074】
上記で言及した文献の各々は、上記に具体的に列挙されているか否かにかかわらず、優先権が主張される任意の先行出願を含めて、参照により本明細書に組み込まれる。任意の文献の言及は、そのような文献が先行技術として適格であること、または任意の管轄区域における当業者の一般知識を構成することを認めるものではない。実施例を除いて、または他に明示的に示されるかどうかを除いて、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを特定する本説明における全ての数量は、「約」という語によって修飾されるものとして理解されるべきである。本明細書に記載される量、範囲、および比の上限および下限は、独立して組み合わされ得ることが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素についての範囲および量は、他の要素のうちのいずれかについての範囲または量と一緒に使用することができる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する」、または「を特徴とする」と同義である移行用語「含む(comprising)」は、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法工程を除外しない。しかしながら、本明細書における「含む」の各記載において、この用語がまた、代替的な実施形態として、「から本質的になる」および「からなる」という句を包含することが意図され、ここで、「からなる」は、特定されていない任意の要素またはステップを排除し、「から本質的になる」は、考慮中の組成物または方法の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の記載されていない要素またはステップの包含を許容する。
【0076】
本発明を例示する目的で、ある特定の代表的な実施形態および詳細を示したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行うことができることが当業者には明らかであろう。これに関して、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1
【国際調査報告】