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特表2024-5335713次元コンポーネントのリソグラフィ・ベースの生成的製造のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】3次元コンポーネントのリソグラフィ・ベースの生成的製造のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/124 20170101AFI20240905BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20240905BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240905BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240905BHJP
【FI】
B29C64/124
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516863
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 IB2022059236
(87)【国際公開番号】W WO2023057857
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】21020496.2
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521375977
【氏名又は名称】アップナノ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グルーバー、ペーター
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL14
4F213WL32
4F213WL43
4F213WL76
4F213WL78
(57)【要約】
3次元コンポーネントのリソグラフィ・ベースの生成的生産のための方法において、ビームが、ビーム・スプリッタ4によって複数のビームへと分けられ、それらの複数のビームは、光学イメージング・ユニット10の手段により材料2の中の焦点ポイント21に集束させられ、焦点ポイント21は、光学イメージング・ユニット10の上流に配置構成される偏向ユニットの手段により、ビーム方向において変位させられ、そのことにより、材料の体積要素が、多光子吸収の手段により、各ビームの焦点ポイント21において連続的に固化させられ、ビームの数に対応するある数の音響光学変調器モジュール11が、音響光学変調器モジュール11が各ビームのビーム経路において配置構成されるように設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元コンポーネントのリソグラフィ・ベースの生成的生産のための方法であって、電磁放射源(3)により放出されるビームが、光学イメージング・ユニット(10)の手段により材料(2)の中の焦点ポイント(21)へと集束させられ、前記焦点ポイント(21)は、前記ビーム方向において、前記光学イメージング・ユニット(10)の上流に配置構成される偏向ユニット(9)の手段により変位させられ、前記集束及び変位の結果として、前記焦点ポイント(21)において場所を定められる前記材料(2)の体積要素が、各々、多光子吸収の手段により、連続的に固化させられる、方法において、前記ビームが、ビーム・スプリッタ(4)により複数のビームへと分割され、前記複数のビームの各々は、前記偏向ユニット(9)及び前記光学イメージング・ユニット(10)の手段により前記材料(2)の中の焦点ポイント(21)に連続的に集束させられ、ビームの数に対応するある数の音響光学変調器モジュール(11)が、前記ビームを回折させる音響光学変調器モジュール(11)が各ビームのビーム経路において配置構成されるように設けられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記音響光学変調器モジュール(11)のうちの少なくとも1つは、z方向において、関連付けられる前記ビームの前記焦点ポイント(21)をシフトするために制御され、前記z方向は、前記材料(2)内へのそれぞれの前記ビームの入射の方向に対応することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記音響光学変調器モジュール(11)のうちの少なくとも1つは、x及び/又はy方向において、関連付けられる前記ビームの前記焦点ポイントを変位させるために制御され、前記x及びy方向は、それぞれの前記ビームの入射の前記方向と直角をなす平面における2つの直交方向に対応することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ビーム経路において1つが他のものの後方に配置構成される、少なくとも2つの音響光学変調器(18)が、前記音響光学変調器モジュール(11)の各々において使用され、前記少なくとも2つの音響光学変調器(18)は、好ましくは、互いと本質的に直角をなすビーム偏向の方向、又は、前記ビーム偏向の同一の向きを有することを特徴とする、請求項1、2、又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記ビームは、前記ビーム経路において前記音響光学変調器モジュール(11)の下流に配置構成される前記偏向ユニット(9)、特にガルバノメータ・スキャナの手段による、前記x及びy方向における連帯の偏向を受けることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コンポーネントは、前記x-y平面において広がる層によって層単位でビルド・アップされ、1つの層から次の層への移行は、前記z方向における、前記コンポーネントとの相対での前記光学イメージング・ユニット(10)の相対位置における変化を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記焦点ポイント(21)は、層の層厚さの中で、前記音響光学変調器モジュール(11)の手段により、前記z方向において変位させられることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記焦点ポイント(21)のうちの少なくとも1つは、前記コンポーネントの、湾曲した外方輪郭、又は、前記x、y平面との相対で斜めに伸張する外方輪郭を形成するために、前記音響光学変調器モジュール(11)の手段により、前記z方向において変位させられ、前記外方輪郭を形成する前記体積要素のサイズは、好ましくは、同じであるように選択されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
特に、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法を実行するための、3次元コンポーネントの前記リソグラフィ・ベースの生成的生産のための装置であって、固化可能材料(2)のための材料支持体(1)と、少なくとも1つのビームによる前記固化可能材料の位置選択的照射のために制御され得る照射デバイス(6)とを備える、装置において、前記照射デバイス(6)は、入力ビームを複数のビームへと分けるためのビーム・スプリッタ(4)と、前記ビーム経路において前記ビーム・スプリッタ(4)の下流に配置構成される偏向ユニットと、前記偏向ユニット(9)の下流に配置構成される光学イメージング・ユニット(10)とを、各ビームを前記材料(2)の中の焦点ポイント(21)に連続的に集束させるために備え、前記集束の結果として、前記焦点ポイント(21)において場所を定められる前記材料(2)のそれぞれの体積要素が、多光子吸収の手段により固化させられ得るものであり、ビームの数に対応するある数の音響光学変調器モジュール(11)が、少なくとも1つの音響光学変調器(18)を備える音響光学変調器モジュール(11)が各ビームの前記ビーム経路において配置構成されるように設けられることを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記音響光学変調器モジュール(11)は、z方向において、それぞれの前記焦点ポイント(21)を変位させるように設計され、前記z方向は、前記材料(2)内への前記関連付けられるビームの入射の方向に対応することを特徴とする、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの音響光学変調器(18)は、音波周波数の周期的変調のために設計される周波数発生器を備えることを特徴とする、請求項9又は10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記周波数発生器は、音波周波数勾配を変化させるように設計されることを特徴とする、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記音響光学変調器モジュール(11)は、x及び/又はy方向において、それぞれの前記焦点ポイントを変位させるように設計され、前記x及びy方向は、前記それぞれのビームの入射の前記方向と直角をなす平面における2つの直交方向に対応することを特徴とする、請求項9、10、又は11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記音響光学変調器モジュール(11)は、各々、前記ビーム経路において1つが他のものの後方に配置構成される、少なくとも2つの音響光学変調器(18)を備え、前記少なくとも2つの音響光学変調器(18)は、好ましくは、互いと本質的に直角をなす前記音響光学変調器のビーム偏向の方向、又は、前記音響光学変調器のビーム偏向の同一の向きを有することを特徴とする、請求項9から13までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記偏向ユニット(9)は、前記ビーム経路において前記音響光学変調器モジュール(11)の下流に配置構成され、特に、前記z方向に対して横手に広がるx-y平面における前記焦点ポイント(21)の共通の変位を成し遂げるように設計される、ガルバノメータ・スキャナにより形成されることを特徴とする、請求項9から14までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記照射デバイス(6)は、前記コンポーネントを、前記x-y平面において広がる層によって層単位でビルド・アップするように設計され、1つの層から次の層への前記移行は、前記z方向における、前記コンポーネントとの相対での前記光学イメージング・ユニット(10)の前記相対位置における前記変化を含むことを特徴とする、請求項9から15までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記照射デバイス(6)は、前記音響光学変調器モジュール(11)の手段による、前記z方向における前記焦点ポイント(21)の前記変位が、層の層厚さの中で起こるというような手立てにおいて設計されることを特徴とする、請求項9から16までのいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元コンポーネントのリソグラフィ・ベースの生成的生産のための方法であって、電磁放射源により放出されるビームが、光学イメージング・ユニットの手段により材料の中の焦点ポイントへと集束させられ、焦点ポイントは、ビーム方向において、光学イメージング・ユニットの上流に配置構成される偏向ユニットの手段により変位させられ、それらの集束及び変位の結果として、焦点ポイントにおいて場所を定められる材料の体積要素が、各々、多光子吸収の手段により、連続的に固化させられる、方法に関係する。
【0002】
本発明は、3次元コンポーネントのリソグラフィ・ベースの生成的製造のための装置にさらに関係する。
【背景技術】
【0003】
コンポーネントを形成するための方法であって、感光性材料の固化が多光子吸収の手段により実行される、方法が、例えばDE10111422A1から知られている。この目的のために、集束させられたレーザ・ビームが、感光性材料の槽内へと照射され、そのことにより、固化を誘発する多光子吸収プロセスのための照射条件は、焦点の隣接した近傍において満たされるのみであり、そのことによって、ビームの焦点は、生産されることになるコンポーネントの幾何学的データにしたがって、槽体積の中の固化させられることになるポイントに導かれる。
【0004】
材料の体積要素は、それぞれの焦点ポイントにおいて固化させられ、そのことにより、近隣の体積要素は、お互いに接着し、コンポーネントは、近隣の体積要素の連続的な固化によりビルド・アップされる。コンポーネントは、層をなしてビルド・アップされ得るものであり、すなわち、最初の層の体積要素は、次の層の体積要素が固化させられる前に、最初に固化させられる。
【0005】
多光子吸収方法のための照射デバイスは、レーザ・ビームを集束させるための光学システムと、レーザ・ビームを偏向させるための偏向デバイスとを含んでいる。偏向デバイスは、好ましくは材料内へのビーム入射の方向と直角をなす、全く同じ平面において配置される、材料の中の焦点ポイントに連続的にビームを集束させるように設計される。x、y、z座標系において、この平面は、さらにはx、y平面と呼ばれる。x、y平面におけるビーム偏向により創出される固化させられた体積要素が、コンポーネントの層を形成する。
【0006】
次の層をビルド・アップするために、コンポーネントとの相対での集束光学系の相対位置が、材料内への少なくとも1つのビームの入射の方向に対応する、及び、x、y平面と直角をなす、z方向において変化させられる。通常は電動である、コンポーネントとの相対で集束光学系を調整することにより、焦点ポイントは、所望される層厚さだけz方向において以前のx、y平面から間を空けられる、新しいx、y平面にシフトされる。
【0007】
多光子吸収を使用して適する材料を構造化することは、きわめて高い構造分解能の利点を供し、最高で50nm×50nm×50nmの最小構造サイズを伴う体積要素が達成可能である。しかしながら、小さい焦点ポイント体積に起因して、そのような方法のスループットは非常に低く、なぜならば、例えば1mmの体積について、10よりも多い総数のポイントが照射されなければならないからである。このことは、非常に長い構築時間につながり、そのことが、多光子吸収プロセスの低い工業的使用の主な理由である。
【0008】
高い構造的分解能の可能性を失うことなく、コンポーネント・スループットを増大するために、コンポーネントが、異なる体積の固化させられた体積要素から構築されるように、焦点ポイントの体積を、コンポーネントの構築中に少なくとも1度変動させることが、すでに提案されている。焦点ポイントの可変体積に起因して、高い分解能が(小さい焦点ポイント体積によって)可能である。同時に、高い書き込みスピード(mm/hにおいて測定される)が(大きい焦点ポイント体積によって)達成可能である。そうして、焦点ポイント体積を変動させることにより、高い分解能が、高いスループットと兼備され得る。焦点ポイント体積の変動は、例えば、大きい焦点ポイント体積が、スループットを増大するために、ビルド・アップされることになるコンポーネントの内方において使用され、より小さい焦点ポイント体積が、高い分解能を伴うコンポーネント表面を形成するために、コンポーネントの表面上で使用されるというような手立てにおいて使用され得る。焦点ポイント体積を増大することによって、より高い構造化スループットが可能となり、なぜならば、1つの照射段階において固化させられる材料の体積が増大されるからである。高いスループットにおける高い分解能を維持するために、小さい焦点ポイント体積が、より微細な構造及び表面のために使用され得るものであり、より大きい焦点ポイント体積が、粗い構造のために、及び/又は、内方空間を充填するために使用され得る。焦点ポイント体積を変化させるための方法及びデバイスが、WO2018/006108A1において説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE10111422A1
【特許文献2】WO2018/006108A1
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Zipfelら、「Nonlinear magic: multiphoton microscopy in the biosciences」、NATURE BIOTECHNOLOGY、第21巻第11号、2003年11月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、書き込みスピード(mm/hにおいて測定される)がいっそうさらに増大されるというような手立てにおいて、3次元コンポーネントのリソグラフィ・ベースの生成的生産のための方法及びデバイスをさらに発展させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この問題を解決するために、本発明は、上記で述べられたタイプの方法において、ビームが、ビーム・スプリッタにより複数のビームへと分けられ、それらの複数のビームの各々は、偏向ユニット及び光学イメージング・ユニットの手段により材料の中の焦点ポイントへと連続的に集束させられ、ビームの数に対応するある数の音響光学変調器モジュールが、ビームを回折させる音響光学変調器モジュールが各ビームのビーム経路において配置構成されるように設けられるということを規定する。
【0013】
本発明は、そうして、複数のビームによる並列書き込みを可能にし、以て、書き込みスピードは、そのことにしたがって、ビームの数を掛けた値にされる。ビーム・スプリッタは、ビームを少なくとも2つのビームへと分けるように設計される。ビーム・スプリッタは、好ましくは、ビームを2、4、8、16、32、又は64のビームへと分けるように設計される。任意の他の数のビーム、例えば、奇数のビームが、さらには可能である。
【0014】
音響光学変調器モジュールは、各ビームのビーム経路において配置構成されるので、好ましくは、それぞれのビームの焦点ポイントの位置が、他のビームの焦点ポイントに非依存的に調整され得るという、又は、それぞれのビームの放射強度が、他のビームの焦点ポイントに非依存的に調整され得るというような手立てにおいて、各ビームは、他のビームに非依存的に、影響を及ぼされ得る。
【0015】
音響光学変調器モジュールの構成に依存して、焦点ポイントは、任意の空間的方向において変位させられ得る。好ましくは、音響光学変調器モジュールのうちの少なくとも1つは、z方向において、関連付けられるビームの焦点ポイントをシフトするために制御され、そのことにおいて、z方向は、材料内へのそれぞれのビームの入射の方向に対応する。
【0016】
代わりに、又は加えて、音響光学変調器モジュールのうちの少なくとも1つは、x及び/又はy方向において、関連付けられるビームの焦点ポイントをシフトするために制御され得るものであり、x及びy方向は、それぞれのビームの入射の方向と直角をなす平面における2つの直交方向に対応する。
【0017】
少なくとも1つの音響光学変調器を各ビームのビーム経路において配置構成することにより、各焦点ポイントは、x、y、及び/又はz方向において、継続的に、及び、高いスピードにおいてシフトされ得る。このことによって、各事例において達成されることになる表面形状への最適な適合を達成するために、体積要素の位置を自由に選択すること、及び、それゆえにさらには、層平面により決められるz位置の外側の体積要素を配置構成することが可能になる。x、y、及び/又はz方向における焦点ポイントのシフティングは、コンポーネントとの相対での光学イメージング・ユニットの何らの機械的調整も要さず、それゆえに、最初の層から次の層への移行に非依存的である。特に、焦点ポイントは、可動部品によってではなく、もっぱら、前に述べられた音響光学変調器モジュールの効果に起因してシフトされ得る。
【0018】
音響光学変調器は、入射光の、周波数、及び伝搬の方向、又は強度に影響を及ぼす光学コンポーネントである。この目的のために、光学格子が、音波を使用して透明固体において創出され、その透明固体において、光ビームは回折させられる。このことは、ビーム偏向を発生させるために、音響光学偏向器として知られる構造において使用され得るものであり、そのことにより、偏向角度は、透明固体における光及び音波の相対波長に依存する。偏向角度は、音波周波数を変化させることにより調整され得る。このことは、上記で説明されたx及び/又はy方向における焦点ポイントの微細な調整のために使用され得る。
【0019】
z方向における変位は、例えば、周波数が周期的に変調される音波を音響光学偏向器において発生させることにより達成される。透明固体において発生させられる音波の周波数を周期的に変動させることにより、いわゆる「シリンドリカル・レンズ効果」が、音響光学偏向器において形成され、そのことが、シリンドリカル・レンズと同じ手立てにおいて入射光ビームを集束させる。周期的周波数変調の特異的な制御によって、シリンドリカル・レンズの焦点長(focal length)、及びそうして、音響光学偏向器から出現するビームの発散が変化させられることが可能となる。この手立てにおいてセットされた発散を伴うビームは、照射デバイスのイメージング・ユニットを通して導かれ、その照射デバイスにおいて、ビームは、レンズの手段により、集束させられた様式において材料内へと照射される。材料内へと導入されるビームの焦点ポイントは、ここでは、発散の関数としてz方向において変動する。
【0020】
ここでの好まれる設計は、音波の周波数変調が、一定の音波周波数勾配を有するということを規定する。このことは、いわゆる「シリンドリカル・レンズ効果」の創出に好都合である。
【0021】
好ましくは、焦点ポイントは、周波数変調の(一定の)音波周波数勾配における変化により変位させられるということが、さらに規定される。音波周波数勾配の変化は、例えば、周期的変調の周期期間を一定に保ちながら、周期的変調の帯域幅を変化させることにより達成され得る。代わりに、帯域幅が、一定に保たれ得るものであり、音波周波数勾配の変化は、周期期間の変化により引き起こされ得る。
【0022】
音波の基本周波数は、例えばTeOから作製される透明固体について、好ましくは50MHz以上、特に>100MHz、とりわけ100~150MHzである。例えば、基本周波数は、少なくとも±10%、好ましくは±20~30%だけ変調される。例えば110MHzの基本周波数の事例において、この基本周波数は、±25MHzだけ周期的に変調され、すなわち、周期的変調の帯域幅は50MHzであり、音波の周波数は、それゆえに、85MHzから135MHzの間で周期的に変調される。すでに述べられたように、音波周波数勾配の変化は、シリンドリカル・レンズの焦点長を決定し、そのことにより、変調周波数は、好ましくは少なくとも100kHz、特に0.1~10MHzである。
【0023】
さらにまた、音響光学変調器モジュールは、さらには、材料内へと導入されるビームの強度を変化させるために使用され得る。変化は、さらには、ビーム・スプリッタから生起するビームが、要されるように個々にオン及びオフにスイッチングされ得るように、放射強度を0に低減することを必然的に含み得る。放射強度を調整するために、音響光学変調器内へと導入される音波の振幅が変化させられる。
【0024】
音響光学変調器モジュールは、1つ、2つ、又は4つの音響光学変調器など、少なくとも1つの音響光学変調器を備える。少なくとも2つの音響光学変調器の事例において、各変調器は、別個のコンポーネントとして設計され得るものであり、そのコンポーネントを通って、それぞれのビームが連続して進む。代わりに、少なくとも2つの音響光学変調器は、対応する音が各チャネルについて入力される結晶を有する、単一の変調器コンポーネント(いわゆるマルチチャネル設計)において機能的に組み合わされ得る。
【0025】
好ましくは、ビーム経路において1つが他のものの後方に配置構成される、少なくとも2つの音響光学変調器が、音響光学変調器モジュールにおいて使用され、少なくとも2つの音響光学変調器は、好ましくは、互いと本質的に直角をなすビーム偏向の方向、又は、ビーム偏向の同じ向きを有する。好ましくは、お互いの後方に直接的に配置構成され、お互いと直角をなす、2つの音響光学変調器の組み合わせは、そうでない場合に単一の変調器によって生出することになる非点収差を消失させる。2つの音響光学変調器が1つの平面において配置構成されるならば、x及びy方向における焦点ポイントの可能な調整経路は倍にされる。さらなる好まれる実施例にしたがえば、直列に配置構成される4つの音響光学変調器が設けられ得るものであり、それらの変調器のうちの最初の2つの変調器は、第1のペアを形成し、後に続く2つの変調器は、第2のペアを形成する。ペアの中の変調器は、各々、ビーム偏向の同じ向きを伴って設計され、第1のペアの変調器は、第2のペアの変調器と直角をなすビーム偏向の方向を有する。
【0026】
音響光学変調器モジュールによる焦点ポイントのシフティングが、例えば、通常のグリッド・ポイントの外側の体積要素を固化させるために(いわゆる「グレースケール・リソグラフィ」)、焦点ポイントの微細な位置定めのために使用される一方で、書き込みビームは、音響光学変調器モジュールとは別個の偏向ユニットの手段により、x及びy方向において書き込み区域全体の至るところで動かされる。この文脈において、好まれる設計は、ビームが、ビーム経路において音響光学変調器モジュールの下流の偏向ユニット、特にガルバノメータ・スキャナの手段による、x及びy方向における連帯の偏向を受けることを規定する。偏向ユニットは、有利には、音響光学変調器モジュールと光学イメージング・ユニットとの間のビーム経路において配置構成される。2次元ビーム偏向のために、ミラーが、2つの方向において偏向させられ得るものであり、さもなければ、2つの直交的に旋回可能なミラーが、お互いに近く設置され得るものであり、そのことにより、ビームが反射される。第1のミラーの回転の軸が第2のミラー上へと突き出され、そのことにより、幾何学的イメージング・エラーを回避するように、レンズ・システム、特に4f配置構成を、ミラー同士の間に配置構成することが、さらには可能である。2つのミラーは、各々、ガルバノメータ・ドライブ又は電気モータにより駆動され得る。いずれの事例においても、ビーム・スプリッタにより発生させられ、次いで各々、音響光学変調器モジュールを通って進むすべてのビームが、全く同じ偏向ユニットの助力によって偏向させられ、次いで、全く同じ光学イメージング・ユニットによって材料内へと集束させられるということが肝要である。
【0027】
好ましくは、コンポーネントは、x-y平面において広がる層によって層単位でビルド・アップされ、そのことにおいて、1つの層から次の層への移行は、z方向において、コンポーネントとの相対での光学イメージング・ユニットの相対位置を変化させることを必然的に含む。コンポーネントとの相対での光学イメージング・ユニットの相対位置の機械的調整によって、z方向における焦点ポイントの粗い調整、つまりは、1つの層から次のものへの移行が結果的に生じる。z方向における中間ステージの調整のために、すなわち、z方向における焦点ポイントの微細な位置定めのために、焦点ポイントの位置は、前に述べられた音響光学変調器モジュールの手段により変化させられる。
【0028】
好ましくは、焦点ポイントは、層の層厚さの中で、音響光学変調器モジュールの手段により、z方向においてシフトされ得る。z方向において1つが他のものの上方に配置構成される体積要素のいくつかの副層が、さらには、コンポーネントとの相対での光学イメージング・ユニットの相対位置を機械的に調整しなければならないということなく、1つの層の中で生産され得る。
【0029】
本発明の好まれる適用にしたがえば、焦点ポイントのうちの少なくとも1つは、コンポーネントの湾曲した外方輪郭を形成するために、音響光学変調器モジュールの手段により、z方向において変位させられる。代わりに、又は加えて、焦点ポイントのうちの少なくとも1つは、x、y平面との相対で傾斜している、コンポーネントの外方輪郭を形成するために、音響光学変調器モジュールの手段により、z方向において変位させられ得る。z方向における焦点ポイントのうちの少なくとも1つの変位は、固化させられることになる体積要素の想像上の中心の、体積要素の外方表面からの距離に対応する、生産されることになるコンポーネントの表面からある距離において、コンポーネントの縁部区域における焦点ポイントの位置を定めることにより、表面形状をたどり得る。
【0030】
好まれる方法にしたがえば、材料は、トラフ内など、材料支持体上に存在し、材料の照射は、少なくとも一部の区域において放射に対して透過性である材料支持体を通して、下方から実行される。この事例において、ビルド・プラットフォームが、材料支持体からある距離において位置を定められ得るものであり、コンポーネントは、ビルド・プラットフォームと材料支持体との間に場所を定められる材料を固化させることにより、ビルド・プラットフォーム上にビルド・アップされ得る。代わりに、上方から材料に照射することが、さらには可能である。
【0031】
本発明の文脈において、コンポーネントの内方において場所を定められる層が、高い層厚さを伴って、及びそれゆえに、大きい体積を有する体積要素によってビルド・アップされ、縁部区域が、より小さい体積を有する体積要素からビルド・アップされるならば、構築時間は少なからず低減され得るものであり、縁部区域において、体積要素の位置は、加えて、表面における高い構造的分解能を獲得するために、z方向に沿って個々に調整される。
【0032】
好まれる方法において、焦点体積の変動は、コンポーネントの生産中の最も大きい焦点ポイント体積と、最も小さい焦点ポイント体積との間の体積比率が、少なくとも2、好ましくは、少なくとも5であるというようなものである。好ましくは、焦点ポイント体積の変化は、お互いと直角をなす、少なくとも1つの、好ましくは2つの、特に3つの空間的方向において起こるということが規定される。
【0033】
焦点ポイント体積における変化は、好ましくは、偏向ユニット、特にガルバノメータ・スキャナにより引き起こされる、それぞれの書き込みビームの進行の方向に対して横手の方向における、関連付けられる音響光学変調器モジュールによる個々のビームの偏向により引き起こされる。ガルバノメータ・スキャナが、例えば、x方向において1つが他のものの後方に配置される体積要素を固化させるために、x方向においてそれぞれのビームを動かすならば、関連付けられる音響光学変調器モジュールは、ビームが、そのx方向に対して横手に、例えばy方向において、高いスピードにおいて往復して動かされるというような手立てにおいて制御され得る。前に述べられた往復の動きの振幅が、体積要素の広がりを決定する。振幅を変化させることにより、焦点ポイント体積、又は、固化させられることになる体積要素の体積は変動させられ得る。往復の動きは、x方向において、偏向ユニット、特にガルバノメータ・スキャナにより引き起こされる、書き込みビームの進行の方向におけるスピードの、少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも10倍に対応するスピードにおいて起こる。固化させられることになる体積要素の体積を変化させるための、先程説明された方法は、偏向ユニットが、書き込みビーム又は焦点ポイントをさらにy方向において動かし、音響光学変調器モジュールによる急速な往復の動きが、そのy方向に対して横手である、例えば、x方向におけるものであるように、x及びy方向が逆にされた様態で実行され得るということが理解される。
【0034】
多光子吸収の原理が、感光性材料槽における光化学プロセスを開始するために、本発明の文脈において使用される。多光子吸収方法は、例えば、2光子吸収方法を含んでいる。光化学反応の結果として、典型的には光重合を結果的に生じさせる、少なくとも1つの他の状態への材料における変化が存する。多光子吸収の原理は、前に述べられた光化学プロセスが、多光子吸収のための十分な光子密度が存するビーム経路の区域においてのみ起こるという事実に基づく。最も高い光子密度は、光学イメージング・システムの焦点ポイントにおいて生出し、そのため、多光子吸収は、焦点ポイントにおいてのみ生出することの公算が十分に大きい。焦点ポイントの外側では、光子密度はより低く、そのため、焦点ポイントの外側の多光子吸収の確率は、光化学反応による材料における不可逆的変化を引き起こすには、あまりにも低い。電磁放射は、使用される波長において大部分は妨げられずに材料を通って進み得るものであり、焦点ポイントにおいてのみ、相互作用が、感光性材料と電磁放射との間で生出する。多光子吸収の原理は、例えば、Zipfelら、「Nonlinear magic: multiphoton microscopy in the biosciences」、NATURE BIOTECHNOLOGY、第21巻第11号、2003年11月において説明されている。
【0035】
電磁放射の源は、好ましくは、コリメートされたレーザ・ビームであることがある。レーザは、1つ又は複数の、固定された、又は可変の波長を放出し得る。特に、そのレーザは、持続的なレーザ、又は、ナノ秒、ピコ秒、若しくはフェムト秒範囲内のパルス長を伴うパルス化されたレーザである。パルス化されたフェムト秒レーザは、より低い平均電力が多光子吸収のために要されるという利点を供する。
【0036】
感光性材料は、ビルディング条件のもとで流動性又は固体である、及び、焦点ポイント体積における多光子吸収により - 例えば重合により、第2の状態に変化する、任意の材料と定義される。材料変化は、焦点ポイント体積、及び、その焦点ポイント体積の隣接した周辺部に制限されなければならない。物質特性における変化は、永続的であり、例えば、液体状態から固体状態への変化に本質があることがあるが、その変化は、さらには、一時的であることがある。ついでながら、永続的な変化は、さらには可逆的又は非可逆的であり得る。材料特性における変化は、必ずしも、1つの状態から他のものへの完全な遷移である必要があるのではなく、さらには、両方の状態の混合した形式として存在し得る。
【0037】
電磁放射の電力、及び露光時間は、生産されるコンポーネントの品質に影響を及ぼす。放射電力及び/又は露光時間を調整することにより、焦点ポイントの体積は、狭い範囲の中で変動させられ得る。放射電力があまりにも高いならば、コンポーネントの損傷につながり得る追加的なプロセスが生出する。放射電力があまりにも低いならば、永続的な材料特性変化は生出し得ない。各感光性材料について、それゆえに、良好なコンポーネント特性と関連付けられる典型的な構築プロセス・パラメータが存する。本発明の文脈において、コンポーネントは、好ましくは、構築プロセス全体にわたる一定の放射電力によって製造される。
【0038】
本発明の第2の態様にしたがえば、特に、本発明の第1の態様にしたがう方法を実行するための、3次元コンポーネントのリソグラフィ・ベースの生成的生産のための装置であって、固化可能材料のための材料支持体と、少なくとも1つのビームによる固化可能材料の位置選択的照射のために制御され得る照射デバイスとを備える、装置において、照射デバイスは、入力ビームを複数のビームへと分けるためのビーム・スプリッタと、ビーム経路においてビーム・スプリッタの下流に配置構成される偏向ユニットと、偏向ユニットの下流に配置構成される光学イメージング・ユニットとを、各ビームを材料の中の焦点ポイントへと連続的に集束させるために備え、その集束の結果として、各事例において、焦点ポイントにおいて場所を定められる材料の体積要素が、多光子吸収の手段により固化させられ得るものであり、ビームの数に対応するある数の音響光学変調器モジュールが、少なくとも1つの音響光学変調器を備える音響光学変調器モジュールが各ビームのビーム経路において配置構成されるように設けられることを特徴とする、装置が規定される。
【0039】
好ましくは、音響光学変調器モジュールは、z方向において、それぞれの焦点ポイントをシフトするように設計され、そのことにおいて、z方向は、材料内への関連付けられるビームの入射の方向に対応する。
【0040】
好ましくは、少なくとも1つの音響光学変調器モジュールの制御部は、音波周波数の周期的変調のために設計される周波数発生器を備える。
【0041】
好ましくは、周波数発生器は、音波周波数勾配を変化させるように設計されるということが、ここでは規定される。
【0042】
音響光学変調器モジュールは、x及び/又はy方向において、それぞれの焦点ポイントをシフトするように設計され、x及びy方向は、それぞれのビームの入射の方向と直角をなす平面における2つの直交方向に対応するということが、さらには好ましい。
【0043】
本発明にしたがう方法を巡ってすでに述べられたように、そのことは、音響光学変調器モジュールが、各々、ビーム経路において1つが他のものの後方に配置構成される、少なくとも2つの音響光学変調器を備え、少なくとも2つの音響光学変調器が、好ましくは、互いと本質的に直角をなすそれらの音響光学変調器のビーム偏向の方向、又は、それらの音響光学変調器のビーム偏向の同一の向きを有するならば有利である。
【0044】
さらにまた、偏向ユニットは、ビーム経路において音響光学変調器モジュールの下流に配置構成され、特に、z方向に対して横手に伸張するx-y平面における焦点ポイントの連帯の変位を成し遂げるように設計される、ガルバノメータ・スキャナにより形成され得る。
【0045】
特に、照射デバイスは、コンポーネントを、x-y平面において広がる層によって層単位でビルド・アップするように設計され得るものであり、1つの層から次の層への移行は、z方向における、コンポーネントとの相対での光学イメージング・ユニットの相対位置における変化を含む。
【0046】
照射デバイスは、好ましくは、z方向における焦点ポイントの微細な調整が、音響光学変調器の手段により、層の層厚さの中で起こるというような手立てにおいて設計される。
【0047】
さらにまた、材料は、トラフ内など、材料支持体上に存在し、材料の照射は、少なくとも特定の区域において放射に対して透過性である材料支持体を通して、下方から実行されるということが規定され得る。
【0048】
ビルド・プラットフォームは、好ましくは、材料支持体からある距離において位置を定められ、コンポーネントは、ビルド・プラットフォームと材料支持体との間に場所を定められる体積要素を固化させることにより、ビルド・プラットフォーム上にビルド・アップされる。
【0049】
そのことは、コンポーネントが、異なる体積の固化させられた体積要素から構築されるように、焦点ポイントの体積が、コンポーネントの構築中に少なくとも1度変動させられるならば有利である。
【0050】
イメージング・ユニットは、fシータ・レンズとして設計され得るものであり、又は好ましくは、4f配置構成における、顕微鏡法対物鏡とリレー光学系とからなり、そのことにより、偏向ユニット及び対物鏡は、対応するレンズの焦点平面において場所を定められる。
【0051】
本発明は、図面において示される実施例の概略的な実例を参照して、下記でより詳細に解説される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明にしたがうデバイスの概略的な表現を示す図である。
図2】音響光学変調器モジュールの代替的な設計の詳細な視図を示す図である。
図3】音響光学変調器モジュールの代替的な設計の詳細な視図を示す図である。
図4】音響光学変調器モジュールの代替的な設計の詳細な視図を示す図である。
図5】コンポーネントの生産中のデバイスのイメージ・フィールドにおける焦点ポイントの概略的な表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1において、支持体が1と標識付けされ、その支持体上に、コンポーネントが載せられることになる。支持体は、光重合性材料2によってコーティングされ、その光重合性材料内へと、レーザ・ビームが集束させられ、各レーザ・ビームは、光重合性材料の中の焦点ポイントに連続的に集束させられ、そのことにより、焦点ポイントにおいて場所を定められる材料の体積要素が、多光子吸収の手段により固化させられる。この目的のために、レーザ・ビームが、放射源3から放出され、パルス・コンプレッサ4を通して進まされ、ビーム・スプリッタ5において複数のビーム(この事例において、4つのビーム)へと分けられる。光線が、今から、照射デバイス6の手段により、材料2内へと照射される。この目的のために、照射デバイス6は、音響光学変調器ユニット7と、偏向ミラー8と、ガルバノメータ・スキャナ9と、光学イメージング・ユニット10とを備え、その光学イメージング・ユニットは、書き込み範囲の中で材料2内へとレーザ・ビームを導入する対物鏡を備える。
【0054】
音響光学変調器ユニット7は、ビームの数に対応するある数の音響光学変調器モジュール11を備え、それらの音響光学変調器モジュールのうちの少なくとも1つの音響光学変調器が、それぞれのビームを0次ビーム及び1次ビームへと分ける。0次ビームは、ビーム・トラップ12において収集される。1次ビームは、リレー・レンズ13及び偏向器14を経て偏向ミラー8上へと指向され、その偏向ミラーは、ビームを偏向ユニット9(例えばガルバノメータ・スキャナ)内へと導き、その偏向ユニットにおいて、ビームは、2つのミラー15により、連続的に反射される。ミラー15は、ビームがx及びyの両方の方向において偏向させられ得るように、お互いに直交する回転の軸の周りで転回するように駆動される。2つのミラー15は、各々、ガルバノメータ・ドライブ又は電気モータにより駆動され得る。偏向ユニット9から出現するビームは、好ましくは、任意選択のリレー・レンズ・システム(示されない)を経て、レンズ10に進入し、そのレンズ10は、ビームを、すでに述べられたような光重合性材料内へと集束させる。
【0055】
コンポーネントを層単位でビルド・アップするために、他の層の後に、1つの層の体積要素が、材料内で固化させられる。最初の層をビルド・アップするために、レーザ・ビームは、材料2の中の、レンズ10の焦点平面において配置構成される焦点ポイントに、1つが他のものの後に集束させられる。x、y平面におけるビームの連帯の偏向が、偏向ユニット9の助力によって実行され、そのことにより、書き込み範囲は、レンズ10により制限される。次の平面に移行するために、支持体16に取り付けられるレンズ10は、層厚さに対応する層同士の間の距離だけ、支持体1との相対でz方向において動かされる。代わりに、支持体1が、さらには、固定されたレンズ10との相対で調整され得る。
【0056】
生産されることになるコンポーネントが、レンズ10の書き込み範囲よりも、x及び/又はy方向において大きいならば、コンポーネントのサブ構造が、お互いの隣にビルド・アップされる(いわゆるスティッチング)。この目的のために、支持体1は、照射デバイス6との相対でx及び/又はy方向において動かされ得るクロス・テーブル上に配置構成される。
【0057】
音響光学変調器ユニット7と、偏向ユニット9と、高さ調整器16と、クロス・テーブルに取り付けられる支持体1とを制御する制御ユニット17が、さらには設けられる。
【0058】
図2において示されるように、音響光学変調器モジュール11は、一方が他方の後に配置構成される2つの音響光学変調器18を有し得るものであり、それらの音響光学変調器の、ビーム偏向の方向は一致する。このことには、偏向が単一の音響光学変調器と比較して2倍大きいという、並びに、x、y、及びz方向における偏向がお互いに非依存的に制御され得るという効果がある。このことは、利用可能な偏向範囲の中のいかなるポイントも制御され得るものであり、z方向における焦点ポイントの微細な調整が可能であるということを意味する。この配置構成の不利点は、音響光学変調器のシリンドリカル・レンズ効果により引き起こされる非点収差である。
【0059】
音響光学変調器11は、各々、周波数変調の音波周波数勾配に依存するシリンドリカル・レンズ効果を形成する。シリンドリカル・レンズの等価焦点長Flは、後に続くように算出され得る。
【数1】

ここで、vaは、結晶内の音響伝搬速度であり、λは、レーザ・ビームの波長であり、dFa/dtは、結晶内の音響波周波数勾配である。TeOにおいて、780nmのレーザ波長における4200m/sの伝搬スピードによって、及び、0.2μs以内に(例えば、110MHzの基本励起周波数から始めて)±25MHzの帯域幅を往来すると、音響光学シリンドリカル・レンズの焦点長は90mmである。9mmの焦点長、及び20×拡大を伴う対物鏡4について、このことによって、次式のシステム全体の新しい焦点長が結果的に生じる。
【数2】

その式は、上記で述べられたパラメータについての、±90μmの、勾配の符号に依存する、z方向における変位に対応する。音波周波数勾配を変化させることにより、体積要素のz位置は、線形的に、及び無段で調整され得る。
【0060】
図3にしたがう代替的な実施例において、音響光学変調器モジュール11は、一方が他方の後に配置構成される2つの音響光学変調器18を備え、それらの音響光学変調器のビーム偏向の方向は、互いと直角をなす。偏向させられる1次ビームに関しては、この音響光学変調器モジュール11は、調整可能な焦点長を伴うシリンドリカル・レンズとして働き、そのことによって、1次ビームは、調整可能な発散を有し、そのことは、焦点ポイントがx及びy方向において調整されることを可能とし、そのことにより、偏向ユニットの偏向方向は、自由に選択され得る。さらにまた、この配置構成は、結果的に生じる非点収差を最小限に抑え、なぜなら、2つの相互に直交するシリンドリカル・レンズが生み出されるからである。
【0061】
図4は、音響光学変調器モジュール11の修正された実施例を示し、その音響光学変調器モジュールは、音響光学変調器18の第1のペアと、音響光学変調器18の第2のペアとを有し、それらのペアの間に、リレー・レンズ19が、音響光学変調器モジュール11の入力及び出力における焦点ポイントが同じライン上に配置構成されるということを確実にするように配置構成される。各ペアの2つの音響光学変調器18は、同じ偏向方向を有する。第1のペアの変調器の偏向の方向は、第2のペアの変調器の偏向の方向と直角をなす。このことには、図2において示される設計の利点を、図3において示される設計の利点と組み合わせることの効果がある。
【0062】
図5において、光学イメージング・ユニット10の書き込み範囲又はイメージ・フィールド20が、x及びy方向において示され、そのことにおいて、この書き込み範囲は、x及びy方向における相対位置を変化させることなく、光学イメージング・ユニット10と、ビルド・アップされることになるコンポーネントとの間にビルド・アップされ得る、コンポーネントのセクションである。4つの焦点ポイント21が確認され得るものであり、それらの焦点ポイントは、コンポーネントの4つの体積要素が同時にお互いに非依存的に生産され得るように、隔たって間を空けられる。x方向における焦点ポイント21の連帯の動きは、偏向ユニット9の助力によって起こる。焦点ポイント21は、さらには、偏向ユニット9により決められるそれらの焦点ポイントの現時の基礎的位置から始めて、それぞれの音響光学変調器モジュール11の手段により、x、y、及び/又はz方向において、お互いに非依存的に微細に調整され得る。例えば、偏向ユニット9により引き起こされるx方向における焦点ポイントの動き中、「グレースケール・リソグラフィ」と同様に、体積要素の位置を、座標方向との相対での湾曲又は傾斜したコンポーネント輪郭に適合させるために、微細な調整がz方向においてなされ得る。さらにまた、偏向ユニット9により引き起こされるx方向における焦点ポイントの動き中、往復の動きの振幅に依存して、y方向において、固化させられることになる体積要素の拡大を調整することができるために、レーザ・ビームが、高いスピードにおいて往復して動かされるというような手立てにおいて、微細な調整がy方向においてなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】