(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車載充電器、DCDCコンバータ及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240905BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240905BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240905BHJP
B60L 53/22 20190101ALI20240905BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240905BHJP
【FI】
H02M3/155 P
H02J7/00 P
H02J7/02 J
B60L53/22
B60L3/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516997
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2022088912
(87)【国際公開番号】W WO2023115769
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111575228.X
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517112122
【氏名又は名称】陽光電源股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】王 昊
(72)【発明者】
【氏名】王 騰飛
(72)【発明者】
【氏名】徐 江涛
(72)【発明者】
【氏名】徐 君
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5H730
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503BB05
5G503BB06
5G503FA06
5G503GB03
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BE02
5H125EE51
5H125FF14
5H730AS05
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB57
5H730CC04
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE13
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG05
5H730XC04
5H730XC09
5H730XC14
(57)【要約】
車載充電器、DCDCコンバータ及び制御方法を提供し、以下のことを含む。高電圧直流変換回路の入力端は、力率補正回路の出力端に接続され、低電圧直流変換回路の入力端は、高電圧直流変換回路の出力端又は力率補正回路の出力端に接続され、低電圧直流変換回路の出力端は、低電圧バッテリに接続され、低電圧直流変換回路は、主電力管及び制御可能なスイッチ管を含み、コントローラは、低電圧直流変換回路の起動時に、電流ループソフトスタートを用いて主電力管の駆動信号を生成し、インダクタを流れる電流を徐々に増大させ、電流ループの電流所定値は、電圧ループから出力される電流基準値とソフトスタート関数の出力結果に依存し、低電圧直流変換回路の起動が完了した後、電圧ループと電流ループがカスケード接続されて主電力管の駆動信号を生成し、電圧ループは、電流基準値を電流ループの入力端に出力し、LVDCの起動時に主電力管に対する衝撃電流を低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載充電器であって、
力率補正回路、高電圧直流変換回路、低電圧直流変換回路、及びコントローラを含み、前記高電圧直流変換回路の入力端は、前記力率補正回路の出力端に接続され、前記低電圧直流変換回路の入力端は、前記高電圧直流変換回路の出力端又は前記力率補正回路の出力端に接続され、前記低電圧直流変換回路の出力端は、低電圧バッテリ及び低電圧負荷に接続するために使用され、前記低電圧直流変換回路は、主電力管及び制御可能なスイッチ管を含み、
前記コントローラは、前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記主電力管に直列接続されたインダクタを流れる電流を徐々に増大させるように、電流ループソフトスタートを用いて前記主電力管の駆動信号を生成し、前記電流ループの電流所定値は、電圧ループから出力される電流基準値とソフトスタート関数の出力結果に依存し、前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で前記主電力管の駆動信号を生成し、前記電圧ループは、電流基準値を前記電流ループの入力端に出力するために使用される、
ことを特徴とする車載充電器。
【請求項2】
前記電流ループの入力は、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを含み、前記電流ループは、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを比較し、比較結果に基づいて前記主電力管の駆動信号を生成するために使用され、前記小値取得ユニットは、前記電圧ループの出力結果とソフトスタート関数の出力結果のうちの小さい方の値を取るために使用され、
前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果との誤差が予め設定された範囲にある場合、前記低電圧直流変換回路の起動が完了する、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
前記電圧ループの入力は、予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧とを含み、前記電圧ループは、前記予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧に基づいて、前記電流基準値を生成して、前記電流ループの入力端に出力するために使用される、
ことを特徴とする請求項2に記載の充電器。
【請求項4】
前記ソフトスタート関数は、ソフトスタートランプ関数であり、前記ソフトスタートランプ関数の出力結果は、予め設定された電流値まで時間とともに徐々に増大する電流である、
ことを特徴とする請求項3に記載の充電器。
【請求項5】
前記コントローラはさらに、前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記制御可能なスイッチ管をオフするように制御するために使用され、前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、前記主電力管と前記制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項6】
前記コントローラは、さらに、前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記制御可能なスイッチ管を、前記主電力管のオフ時にオンし、前記制御可能なスイッチ管のデューティ比が前記主電力管のデューティ比よりも小さいように制御し、前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、前記主電力管と前記制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項7】
降圧DCDCコンバータであって、
コントローラ、主電力管、及び制御可能なスイッチ管を含み、前記主電力管に直列接続されたインダクタをさらに含み、前記降圧DCDCコンバータの出力端は、バッテリに接続するために使用され、
前記コントローラは、前記降圧DCDCコンバータの起動時に、前記インダクタを流れる電流を徐々に増大させるように、電流ループソフトスタートを用いて前記主電力管の駆動信号を生成するために使用され、前記電流ループの電流所定値は、電圧ループから出力される電流基準値とソフトスタート関数の出力結果に依存し、前記降圧DCDCコンバータの起動が完了した後、電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で前記主電力管の駆動信号を生成し、前記電圧ループは、電流基準値を前記電流ループの入力端に出力するために使用される、
ことを特徴とするコンバータ。
【請求項8】
前記電流ループの入力は、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを含み、前記電流ループは、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを比較し、比較結果に基づいて前記主電力管の駆動信号を生成するために使用され、前記小値取得ユニットは、前記電圧ループの出力結果とソフトスタート関数の出力結果のうちの小さい方の値を取るために使用される、
ことを特徴とする請求項7に記載のコンバータ。
【請求項9】
前記電圧ループの入力は、予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧とを含み、前記電圧ループは、前記予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧に基づいて、前記電流基準値を生成して、前記電流ループの入力端に出力するために使用される、
ことを特徴とする請求項8に記載のコンバータ。
【請求項10】
前記ソフトスタート関数は、ソフトスタートランプ関数であり、前記ソフトスタートランプ関数の出力結果は、予め設定された電流値まで時間とともに徐々に増大する電流である、
ことを特徴とする請求項8に記載のコンバータ。
【請求項11】
前記コントローラは、さらに、前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記制御可能なスイッチ管を、前記主電力管のオフ時にオンし、前記制御可能なスイッチ管のデューティ比が前記主電力管のデューティ比よりも小さいように制御し、前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、前記主電力管と前記制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御する、
ことを特徴とする請求項7~10のいずれか一項に記載のコンバータ。
【請求項12】
車載充電器の制御方法であって、
前記車載充電器は、力率補正回路、高電圧直流変換回路、低電圧直流変換回路、及びコントローラを含み、前記高電圧直流変換回路の入力端は、前記力率補正回路の出力端に接続され、前記低電圧直流変換回路の入力端は、前記高電圧直流変換回路の出力端に接続され、前記低電圧直流変換回路の出力端は、低電圧バッテリに接続するために使用され、前記低電圧直流変換回路は、主電力管及び制御可能なスイッチ管を含み、
当該方法は、
前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記主電力管に直列接続されたインダクタを流れる電流を徐々に増大させるように、電流ループソフトスタートを用いて前記主電力管の駆動信号を生成するステップであって、前記電流ループの電流所定値は、電圧ループから出力される電流の基準値とソフトスタート関数の出力結果に依存するステップと、
前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で前記主電力管の駆動信号を生成するステップであって、前記電圧ループは、電流基準値を前記電流ループの入力端に出力するために使用されるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記低電圧直流変換回路の起動時に、電流ループソフトスタートを用いて前記主電力管の駆動信号を生成するステップは、
前記電流ループの入力が、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを含み、前記電流ループが、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果を比較し、比較結果に基づいて前記主電力管の駆動信号を生成するために使用され、前記小値取得ユニットが、前記電圧ループの出力結果とソフトスタート関数の出力結果のうちの小さい方の値を取ること、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で前記主電力管の駆動信号を生成するステップは、
前記電圧ループの入力が、予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧とを含み、前記電圧ループが、前記予め設定された電圧基準値及び前記低電圧直流変換回路の出力電圧に基づいて、前記電流基準値を生成して前記電流ループの入力端に出力すること、
を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記制御可能なスイッチ管を、前記主電力管のオフ時にオンし、前記制御可能なスイッチ管のデューティ比が前記主電力管のデューティ比よりも小さいように制御し、前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、前記主電力管と前記制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御するステップ、
をさらに含む、ことを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ソフトスタート関数は、ソフトスタートランプ関数であり、前記ソフトスタートランプ関数の出力結果は、予め設定された電流値まで時間とともに徐々に増大する電流である、
ことを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年12月21日に中国国家知的財産権局に提出された、出願番号が202111575228.Xであって、出願の名称が「車載充電器、DCDCコンバータ、及び制御方法」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全内容を本願に参照により組み込む。
【0002】
本願は、電力電子技術分野に関し、特に車載充電器、DCDCコンバータ、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
グローバルエネルギー不足が続くにつれ、現在、新エネルギー自動車がますます注目されている。新エネルギー自動車の動力バッテリパックは一般的に充電する必要があり、多くの新エネルギー自動車は車載充電器(OBC、On Board Charger)を含み、一般的にOBCは力率補正回路(PFC、Power Factor Correction)、高電圧直流変換回路(HVDC)、及び低電圧直流変換回路(LVDC)を含み、PFCは交流電源に接続され、HVDCは高電圧バッテリに接続され、LVDCは低電圧バッテリに接続される。LVDCは、直流母線から電力を取り出して低電圧バッテリ及び低電圧用電気器具に供給することができ、例えば低電圧用電気器具は、エアコン、ポンプ、及びヘッドライトなどを含む。
【0004】
LVDCは通常、低電圧大電流の動作状態で動作するため、例えば、LVDCがBuck回路を採用している場合、通常、Buck回路におけるフライホイールダイオードをMOS管に置き換え、フライホイール(Fly-Wheel)時に電流がMOS管に流れるようにし、元のフライホイールダイオードのオンと逆回復損失をもたらす。一般的に、Buck回路における主電力管とMOS管の駆動信号は相補的な方式を採用することができる。
【0005】
しかし、現在LVDCの起動時には、主電力管が受ける衝撃電流が比較的大きく、主電力管の安全性に深刻な危険性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するために、本願は、LVDCの起動時に主電力管に対する衝撃電流を低減し、主電力管の安全を保護することができる車載充電器、DCDCコンバータ、及び制御方法と提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本願の実施例は、以下の技術案を提供する。
本願の実施例は、車載充電器を提供し、力率補正回路、高電圧直流変換回路、低電圧直流変換回路、及びコントローラを含み、前記高電圧直流変換回路の入力端は、前記力率補正回路の出力端に接続され、前記低電圧直流変換回路の入力端は、前記高電圧直流変換回路の出力端又は前記力率補正回路の出力端に接続され、前記低電圧直流変換回路の出力端は、低電圧バッテリ及び低電圧負荷に接続するために使用され、前記低電圧直流変換回路は、主電力管及び制御可能なスイッチ管を含み、
前記コントローラは、前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記主電力管に直列接続されたインダクタを流れる電流を徐々に増大させるように、電流ループソフトスタートを用いて前記主電力管の駆動信号を生成し、前記電流ループの電流所定値は、電圧ループから出力される電流基準値とソフトスタート関数の出力結果に依存し、前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で前記主電力管の駆動信号を生成し、前記電圧ループは、電流基準値を前記電流ループの入力端に出力するために使用される。
【0008】
好ましくは、前記電流ループの入力は、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを含み、前記電流ループは、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを比較し、比較結果に基づいて前記主電力管の駆動信号を生成するために使用され、前記小値取得ユニットは、前記電圧ループの出力結果とソフトスタート関数の出力結果のうちの小さい方の値を取るために使用され、
前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果との誤差が予め設定された範囲にある場合、前記低電圧直流変換回路の起動が完了する。
【0009】
好ましくは、前記電圧ループの入力は、予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧とを含み、前記電圧ループは、前記予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧に基づいて前記電流基準値を生成して、前記電流ループの入力端に出力するために使用される。
【0010】
好ましくは、前記ソフトスタート関数はソフトスタートランプ関数であり、前記ソフトスタートランプ関数の出力結果は、予め設定された電流値まで時間とともに徐々に増大する電流である。
【0011】
好ましくは、前記コントローラは、さらに、前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記制御可能なスイッチ管を、オフするように制御するために使用され、前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、前記主電力管と前記制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御する。
【0012】
好ましくは、前記コントローラは、さらに、前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記制御可能なスイッチ管を、前記主電力管のオフ時にオンし、前記制御可能なスイッチ管のデューティ比が前記主電力管のデューティ比よりも小さいように制御し、前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、前記主電力管と前記制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御する。
【0013】
本願は、降圧DCDCコンバータを提供し、コントローラ、主電力管、及び制御可能なスイッチ管を含み、前記主電力管に直列接続されたインダクタをさらに含み、前記降圧DCDCコンバータの出力端は、バッテリに接続するために使用され、
前記コントローラは、前記降圧DCDCコンバータの起動時に、前記インダクタを流れる電流を徐々に増大させるために、電流ループソフトスタートを用いて前記主電力管の駆動信号を生成し、前記電流ループの電流所定値は、電圧ループから出力される電流基準値とソフトスタート関数の出力結果に依存し、前記降圧DCDCコンバータの起動が完了した後、電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で前記主電力管の駆動信号を生成し、前記電圧ループは、電流基準値を前記電流ループの入力端に出力するために使用される。
【0014】
好ましくは、前記電流ループの入力は、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを含み、前記電流ループは、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを比較し、比較結果に基づいて前記主電力管の駆動信号を生成するために使用され、前記小値取得ユニットは、前記電圧ループの出力結果とソフトスタート関数の出力結果のうちの小さい方の値を取るために使用される。
【0015】
好ましくは、前記電圧ループの入力は、予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧とを含み、前記電圧ループは、前記予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧に基づいて前記電流基準値を生成して前記電流ループの入力端に出力するために使用される。
【0016】
好ましくは、前記ソフトスタート関数はソフトスタートランプ関数であり、前記ソフトスタートランプ関数の出力結果は、予め設定された電流値まで時間とともに徐々に増大する電流である。
【0017】
好ましくは、前記コントローラは、さらに、前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記制御可能なスイッチ管を、前記主電力管のオフ時にオンし、前記制御可能なスイッチ管のデューティ比が前記主電力管のデューティ比よりも小さいように制御し、前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、前記主電力管と前記制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御する。
【0018】
本願は、車載充電器の制御方法を提供し、車載充電器は、力率補正回路、高電圧直流変換回路、低電圧直流変換回路、及びコントローラを含み、前記高電圧直流変換回路の入力端は、前記力率補正回路の出力端に接続され、前記低電圧直流変換回路の入力端は、前記高電圧直流変換回路の出力端に接続され、前記低電圧直流変換回路の出力端は、低電圧バッテリに接続するために使用され、前記低電圧直流変換回路は、主電力管及び制御可能なスイッチ管を含み、
当該方法は、
前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記主電力管に直列接続されたインダクタを流れる電流を徐々に増大させるために、電流ループソフトスタートを用いて前記主電力管の駆動信号を生成するステップであって、前記電流ループの電流所定値は、電圧ループから出力される電流基準値とソフトスタート関数の出力結果に依存するステップと、
前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で前記主電力管の駆動信号を生成するステップであって、前記電圧ループは、電流基準値を前記電流ループの入力端に出力するために使用されるステップと、を含む。
【0019】
好ましくは、前記低電圧直流変換回路の起動時に、電流ループソフトスタートを用いて前記主電力管の駆動信号を生成するステップは、具体的には、
前記電流ループの入力が、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを含み、前記電流ループは、前記低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果を比較し、比較結果に基づいて前記主電力管の駆動信号を生成し、前記小値取得ユニットは、前記電圧ループの出力結果とソフトスタート関数の出力結果のうちの小さい方の値を取ること、を含む。
【0020】
好ましくは、前記電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で前記主電力管の駆動信号を生成するステップは、具体的には、
前記電圧ループの入力が、予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧とを含み、前記電圧ループが、前記予め設定された電圧基準値と前記低電圧直流変換回路の出力電圧に基づいて前記電流基準値を生成して前記電流ループの入力端に出力すること、を含む。
【0021】
好ましくは、前記低電圧直流変換回路の起動時に、前記制御可能なスイッチ管を、前記主電力管のオフ時にオンし、前記制御可能なスイッチ管のデューティ比が前記主電力管のデューティ比よりも小さいように制御し、前記低電圧直流変換回路の起動が完了した後、前記主電力管と前記制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御するステップをさらに含む。
【0022】
好ましくは、前記ソフトスタート関数はソフトスタートランプ関数であり、前記ソフトスタートランプ関数の出力結果は、予め設定された電流値まで時間とともに徐々に増大する電流である。
【発明の効果】
【0023】
上記の技術案により、本願は以下の有益な効果を有する。
本願により提供される技術案は、低電圧直流変換回路の起動時に、主電力管に対する電流衝撃を低減するために、電圧ループはまず機能せず、電流ループのみが機能し、電圧ループが機能しないため、電圧ソフトスタートの制御方式を採用せず、電流ソフトスタートの制御方式を採用する。電圧ループの入力パラメータは、出力電圧と予め設定された電圧基準値であり、低電圧直流変換回路の起動時に、出力電圧は比較的小さいため、電圧ループの出力結果は無効であり、即ち、電圧ループは機能せず、制御ループ全体では電流ループのみが機能する。電流ループの制御には電流ソフトスタートが含まれるため、低電圧直流変換回路の起動段階では、ソフト電流スタートの方式を採用し、主電力管を流れる電流を徐々に増大するように制御することで、主電力管に対する順方向電流の衝撃を最大限に低減させる。
本願の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明で使用される図面について簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施例である。当業者にとって、創造的な労力なしにこれらの図面から他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願の実施例により提供される車載充電器の概略図で
【
図2】本願の実施例により提供される車載充電器におけるLVDCの概略図
【
図3】本願の実施例により提供される電圧ループと電流ループがカスケード接続された二重ループ制御の概略図
【
図4】本願の実施例により提供される電流ソフトスタートの技術案
【
図5】本願の実施例により提供されるS1がオン、S2がオフの場合の等価図
【
図6】本願の実施例により提供されるS1がオフ、S2がオンの場合の等価図
【
図7】従来技術における低電圧直流変換回路の概略図
【
図8】本願の実施例により提供される車載充電器の制御方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願の実施例により提供される技術案をよりよく理解することを容易にするために、本願の実施例により提供される方法を紹介する前に、まず、本願の実施例の適用シーンを紹介する。
【0026】
車載充電器の実施例
図1を参照すると、この図は、本願の実施例により提供される車載充電器の概略図である。
【0027】
本願の実施例により提供されるOBCは、
図1に示す交流端、高電圧端、及び低電圧端の3つのポートを含む。OBCは、PFC、HVDC、及びLVDCを含み、PFCの入力端は、交流電源に接続するために使用され、HVDCの入力端は、PFCの出力端に接続され、HVDCの出力端は、高電圧バッテリに接続するために使用され、LVDCの入力端は、HVDCの出力端に接続され、LVDCの出力端は、低電圧バッテリに接続するために使用される。
【0028】
本実施例では、LVDCを降圧コンバータとし、例えばBuck回路を例として紹介する。Buck回路は、主電力管S1、インダクタ、及び制御可能なスイッチ管S2を含み、S1の第1端は、LVDCの正入力端に接続され、S1の第2端は、インダクタを介してLVDCの正出力端に接続され、S2の第1端は、S1の第2端に接続され、S2の第2端は、LVDCの負入力端に接続されるとともに、LVDCの負出力端に接続され、LVDCの出力端には、出力コンデンサが並列に接続される。制御可能なスイッチ管S2は、従来Buck回路においてフライホイールダイオードであってもよく、ダイオードによる電力消費を低減するために、ダイオードの代わりに制御可能なスイッチ管を利用して、例えば制御可能なスイッチ管はMOS管であってもよく、MOS管の導通損失及びスイッチング損失はいずれもダイオードよりも小さい。
【0029】
従来技術では、LVDC電源投入時の起動電流の衝撃が大きすぎるという問題を解決するために、常に、出力端に制御可能なスイッチを直列接続し、且つ電圧ソフトスタート制御と協動させる方法を採用するが、出力端に制御可能なスイッチを直列接続することは、ハードウェアコストを増加させる。
【0030】
本願では、LVDC起動時のS1に対する順方向電流の衝撃を解決するために、電流ソフトスタートの方式を用いて、電源投入と起動を行う。本願では、具体的には、電圧ループと電流ループがカスケード接続された形でS1の駆動信号を生成し、電圧ループの出力によって電流基準値を生成するが、LVDCの起動時に、電圧ループは機能せず、電流ループの入力端のソフトスタートを機能させ、即ち、S1の駆動信号を実現するのは、電流ループソフトスタート制御であり、即ち、S1の電流が徐々に増大することによって、S1の衝撃電流を低減させる。
【0031】
本願の上記の目的、特徴及び利点をより明確かつわかりやすくするために、以下に図面及び具体的な実施形態を結合して本願の実施例についてさらに詳細に説明する。
【0032】
図2を参照すると、この図は、本願の実施例により提供される車載充電器におけるLVDCの概略図である。
【0033】
本願により提供される車載充電器のアーキテクチャは、
図1に示すように、本願の車載充電器のLVDCの出力端に制御可能なスイッチを含まなくてもよく、即ち、インダクタLがLVDCの正出力端に直接接続されることを理解すべきである。また、車載充電器のLVDCの出力端には制御可能なスイッチが含まれてもよく、例えば、安全性を考慮して、出力端に制御可能なスイッチを追加し、非故障状態において、この制御可能なスイッチをオンに保持すればよく、電圧ループと電流ループに合わせて動作する必要がない。
【0034】
以下、
図1及び
図2を結合して本願により提供される技術案について詳細に紹介する。
【0035】
本実施例により提供される車載充電器は、力率補正回路PFC、高電圧直流変換回路HVDC、低電圧直流変換回路LVDC、及びコントローラ100を含み、高電圧直流変換回路HVDCの入力端は、力率補正回路PFCの出力端に接続され、低電圧直流変換回路LVDCの入力端は、高電圧直流変換回路HVDCの出力端に接続され、低電圧直流変換回路LVDCの出力端は、低電圧バッテリに接続するために使用され、低電圧直流変換回路LVDCは、主電力管及び制御可能なスイッチ管を含む。
【0036】
コントローラ100は、低電圧直流変換回路の起動時に、即ち、LVDCの電源投入時に、主電力管S1に直列接続されたインダクタLを流れる電流を徐々に増大させるために、電流ループソフトスタートにより主電力管S1の駆動信号を生成し、前記電流ループの電流所定値は、電圧ループから出力される電流基準値とソフトスタート関数の出力結果に依存し、低電圧直流変換回路の起動が完了した後、電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で主電力管の駆動信号を生成し、電圧ループは、電流基準値を電流ループの入力端に出力するために使用される。
【0037】
低電圧直流変換回路の起動完了とは、低電圧直流変換回路の出力電流及び小値取得ユニットの出力結果との間の誤差が予め設定された範囲内、例えば正負15%以内である場合、両者の差が正であってもよく、負であってもよいことを指す。ここで、予め設定された範囲は、回路のヒカップが繰り返されることを防止するために設定されたものである。
【0038】
具体的には
図3を参照することができ、この図は、本願の実施例により提供される電圧ループと電流ループがカスケード接続された二重ループ制御の概略図である。
【0039】
即ち、本願の実施例により提供される技術案は、LVDCの起動時に、S1に対する順方向電流の衝撃を低減するために、電圧ループLVはまず機能せず、電流ループLIのみが機能し、電圧ループLVは機能しないため、電圧ソフトスタートの制御方式を採用せず、電流ソフトスタートの制御方式を採用する。電圧ループLVの入力パラメータは出力電圧Vout及び予め設定された電圧基準値Vrefであり、LVDCの起動時に、Voutは比較的小さいため、電圧ループLVの出力結果は無効であり、即ち、電圧ループLVは機能せず、制御ループ全体では電流ループLIのみが機能する。電流ループLIの制御は電流ソフトスタートを含むため、LVDCの起動段階では、ソフト電流スタートの方式を用いて、S1を流れる電流を徐々に増大させるように制御することで、S1に対する順方向電流の衝撃を最大限に低減する。
【0040】
以下、
図4を結合して、本願の実施例により提供される電流ソフトスタートの技術案をさらに詳細に紹介する。
【0041】
図4を参照すると、この図は、本願の実施例により提供される二重ループ制御の具体的な概略図である。
【0042】
電流ループの入力は、低電圧直流変換回路の出力電流Ioutと、小値取得ユニットminの出力結果を含み、電流ループLIは、低電圧直流変換回路の出力電流Ioutと小値取得ユニットminの出力結果とを比較し、比較結果に基づいて主電力管の駆動信号を生成するために使用され、小値取得ユニットminは、電圧ループLVの出力結果及び電流ソフトスタート関数の出力結果のうちの小さい方の値を取るために使用される。即ち、LVDCの起動時に、Voutの値が小さいため、電圧ループLVがVrefとVoutを比較する時、出力結果が比較的大きく、minは、入力パラメータの小さい方の値を取るので、LVはminに対して機能せず、minは電流ソフトスタート関数の出力結果のみを出力するので、二重ループ制御ループは、LVDC起動段階では、電流ループLIのみが機能することになる。
【0043】
本願の実施例は、ソフトスタート関数の具体的な実現形態を具体的に限定せず、S1の電流が徐々に増大することを実現できればよい。例えば、1つの可能な実現方式では、ソフトスタート関数はソフトスタートランプ関数であり、ソフトスタートランプ関数の出力結果は、予め設定された電流値まで時間とともに徐々に増大する電流である。起動段階が常に継続するわけではないため、LVDCの起動時間及びソフトスタートランプ関数の傾きに応じて、起動段階の時間を決定し、傾き及び起動段階の時間に応じて、予め設定された電流値を設置することができ、電流が予め設定された電流値に達すると、ソフトスタート関数が動作を終了し、即ち、電流ソフトスタートのプロセスを完了する。LVDC起動段階では、電流ループのみが機能し、電流ループはまた電流ソフトスタートの機能を有するため、S1を流れる順方向電流は、S1に過大な衝撃を与えないように、小さいものから大きいものへと徐々に増大することが保証され、S1の安全性が保護される。また、ソフトスタート関数は、予め設定されたマップやテーブルとして表現されていてもよく、マップやテーブルのデータに従って制御すればよい。例えば、可変の他の数学関数であってもよく、例えばVoutの大きさに応じて調整してもよい。
【0044】
電圧ループLVの入力は、予め設定された電圧基準値Vrefと、低電圧直流変換回路の出力電圧Voutとを含み、電圧ループLVは、予め設定された電圧基準値Vref及び低電圧直流変換回路の出力電圧Voutに基づいて電流基準値を生成して、電流ループLIの入力端に出力するために使用される。
【0045】
LVDCの起動が完了した後、Voutが徐々に増大し、この場合、電圧ループLVの出力結果が有効であり、ひいてはminの出力結果に影響を与え、minの出力結果は電圧ループLVに影響される電流基準値であり、この場合、電流ループLIは、電圧ループLVから出力される電流基準値をIoutと比較し、比較結果に基づいてS1の駆動信号を生成する。
【0046】
また、電流ループのパラメータは可変であり、LVDCの起動前と起動後に、2セットの異なるパラメータとすることができ、異なるプロセスに対していくつかの特徴パラメータを変更することで、応答速度などを向上させることが重要である。本願により提供される充電杭は、電圧ループの電圧基準値VrefをそのままLVDCの所望の出力電圧値として与え、電圧ソフトスタート処理は行われない。電流ループの電流基準値は、電流ソフトスタートランプ関数及び電圧ループの出力によって共同で決定され、minは両者を比較して小さい方の値を取って電流ループの電流基準値とする。
【0047】
以上の制御方式により、LVDCの出力端がバッテリ類負荷に接続される場合、インダクタの電流は順方向に徐々に上昇し、出力電圧はバッテリの開放電圧から徐々に上昇し、予め設定された電流値又は所望の出力電圧値に達する場合、回路動作は定常状態に入り、起動プロセスが完了する。LVDCの出力端が抵抗性負荷に接続される場合、インダクタの電流は順方向に徐々に上昇し、同時にLVDCの出力電圧は0から徐々に上昇し、予め設定された電流値又は所望の出力電圧値に達する場合、LVDCは定常動作に入る。LVDCの出力端に、バッテリと抵抗性負荷が並列に接続された混合負荷が接続される場合、LVDCの出力電圧は、バッテリの開放電圧から徐々に上昇し、予め設定された電流値又は所望の出力電圧値に達する場合、LVDCは定常動作に入り、出力電流は、バッテリの等価内部抵抗と抵抗性負荷の比例関係に従って自動的に分配される。
【0048】
LVDCの起動直後は、電流ソフトスタートにより生成されたS1の駆動信号のデューティ比が非常に小さく、インダクタの順方向電流が非常に小さく、S2の駆動信号をS1の駆動信号と相補的なものとすると、S1の駆動信号のデューティ比が大きい。S2の駆動信号のデューティ比が比較的大きいことによる不良結果について、LVDCの出力端に接続されたバッテリのため、起動段階においてS2の長時間オンにより比較的大きい逆方向電流が発生し、即ち、インダクタ上の電流はバッテリからLVDCの入力端へ流れる。
【0049】
S1とS2の駆動信号が相補的であるか、又はS1とS2のスイッチング状態が相補的であるとは、2つのスイッチの一方がオンしているとき、他方がオフであり、同時にオンしていないことを意味することを理解すべきである。また、安全のために、S1とS2の間には一定のデッドタイムも存在する。
【0050】
本願により提供される技術案を当業者がより十分に理解するために、以下に図面を結合してLVDCの起動段階、S2のデューティが比較的大きい場合の弊害を紹介する。
【0051】
LVDCは、車載充電器の応用シーンにおいて、LVDCの出力端にバッテリが接続されているため、S2が起動段階で長時間にオンすると、インダクタに比較的大きな逆方向電流が流れることになる。
【0052】
図5を参照すると、この図は、S1がオン、S2がオフの場合の等価図である。
図6を参照すると、この図は、S1がオフ、S2がオンの場合の等価図である。
【0053】
図5から分かるように、S1がオン、S2がオフの場合、入力電源Vinは回路に接続され、
図6から分かるように、S1がオフ、S2がオンの場合、入力電源Vinは回路に接続されていない。
【0054】
従来技術では、起動時にS2が出力端バッテリの逆方向衝撃電流を受けることを回避するために、
図7に示すように、インダクタと出力端との間に第3スイッチS3が接続されている。
【0055】
図7を参照すると、この図は、低電圧直流変換回路の概略図である。
【0056】
図7において、低電圧直流変換回路の出力端に第3スイッチS3を接続し、電圧ソフトスタート方式を採用することで、インダクタ上の逆方向電流を回避することができる。具体的に、出力コンデンサVc上の電圧がバッテリ電圧Vbatに達した後に、第3スイッチS3をオンすることにより、出力コンデンサVcとバッテリとの間の電圧差による電流衝撃を低減する。しかし、
図7の技術案では、ハードウェアコストが増加し、充電杭全体の充電効率が低下する。
【0057】
ハードウェアコストを増加させず、即ち、第3スイッチS3を増加させず、また、起動時の逆方向衝撃電流を回避するために、本願により提供される技術案は、以下の2つを含む。
【0058】
第1種:
コントローラは、さらに、低電圧直流変換回路の起動時に、制御可能なスイッチ管S2をオフするように制御し、低電圧直流変換回路の起動が完了した後、主電力管と制御可能なスイッチ管S2を、相補的にスイッチング動作を行うように制御するために使用される。
【0059】
低電圧直流変換回路の起動時にバッテリから発生する逆方向衝撃電流がS1及びS2に衝撃を与えることを回避するために、起動段階では、常にS2をオフするように制御し、起動段階が終了した後にのみ、S2をスイッチング動作させるように正常に制御することができる。
【0060】
第2種:
コントローラは、さらに、低電圧直流変換回路の起動時に、制御可能なスイッチ管を、主電力管のオフ時にオンし、制御可能なスイッチ管のデューティ比が主電力管のデューティ比よりも小さいように制御し、低電圧直流変換回路の起動が完了した後、主電力管と制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御するために使用される。
【0061】
以上の第2種の方式は、大きな逆方向衝撃電流を回避するために、制御可能なスイッチ管を小さなデューティ比で動作させるように制御し、即ち、S2のオン時間を短く制御するが、S2のオンは、S1のオフ時に行う必要がある。
【0062】
大きな逆方向インダクタ電流の発生を回避するために、S2の低電圧直流変換回路の起動段階におけるデューティ比を制限し、逆方向インダクタ電流を制限する。具体的に、低電圧直流変換回路の起動段階では、S1の駆動信号は、以上の実施例で紹介した二重ループ制御によって生成し、S1の駆動信号のデューティ比に基づいて、S2は、S1と同時にオンしないことを保証しつつ、S2のデューティ比を小さいものから徐々に大きくなるように制御し、電流ソフトスタートが終了した後にのみ、S2の駆動信号のデューティ比の制御を停止し、S2とS1の相補的な動作を制御することができる。
【0063】
本願により提供される技術案は、低電圧直流変換回路の起動段階において、S1とS2は、相補的にスイッチング動作を行うものではない。S2をS1がオフする時にオンするように制御するという原則を保持する前提で、S2を制御する駆動信号はS1の駆動信号と相補的ではなく、S2のデューティ比を小さくし、S2のオン時間を短縮し、それにより、大きな逆方向インダクタ電流の発生を回避する。
【0064】
本願は、LVDC起動段階におけるS2の具体的な実現方式を具体的に限定せず、例えば、LVDCの出力電流が逆方向であることを検出した場合にS2をオフに制御する、又は電流ソフトスタート段階でS2のデューティ比を制限し、例えばS2のデューティ比を徐々に増加するように制御する。LVDC起動段階において、インダクタに大きな逆方向電流が流れないように、S2が連続的に大きなデューティ比を現れないことを保証すればよい。
【0065】
以上の実施例では、低電圧直流変換回路を含む車載充電器を紹介したが、低電圧直流変換回路が降圧DCDCコンバータであることを理解すべきであり、本願の実施例により提供される技術案は車載充電器だけでなく、出力端にバッテリを接続する降圧DCDCコンバータにも適用できるため、以上の実施例により提供される車載充電器に基づいて、次に、本願により提供されるDCDCコンバータについて紹介する。
【0066】
DCDCコンバータの実施例
本願により提供される降圧DCDCコンバータは、
図2を参照し続けることができ、以下では簡単に紹介するだけであり、詳細な動作原理は上記の車載充電器の紹介を参照することができ、ここで繰り返して説明しない。
【0067】
本実施例により提供される降圧DCDCコンバータは、コントローラ、主電力管、及び制御可能なスイッチ管を含み、主電力管に直列接続されたインダクタをさらに含み、降圧DCDCコンバータの出力端はバッテリに接続するために使用され、
コントローラは、降圧DCDCコンバータ起動時に、インダクタを流れる電流を徐々に増大させるように、電流ループソフトスタートを用いて主電力管の駆動信号を生成し、電流ループの電流所定値は、電圧ループから出力される電流基準値とソフトスタート関数の出力結果に依存し、降圧DCDCコンバータ起動が完了した後、電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で主電力管の駆動信号を生成し、電圧ループは電流基準値を電流ループの入力端に出力するために使用される。
【0068】
電流ループソフトスタートは、ソフトスタート関数を採用してもよく、例えばソフトスタート関数はソフトスタートランプ関数であり、ソフトスタートランプ関数の出力結果は、予め設定された電流値まで時間とともに徐々に増大する電流である。
【0069】
電流ループの入力は、低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを含み、電流ループは、低電圧直流変換回路の出力電流及び小値取得ユニットの出力結果を比較し、比較結果に基づいて主電力管の駆動信号を生成するために使用され、小値取得ユニットは、電圧ループの出力結果及びソフトスタート関数の出力結果のうちの小さい方の値を取るために使用される。
【0070】
電圧ループの入力は、予め設定された電圧基準値と低電圧直流変換回路の出力電圧とを含み、電圧ループは、予め設定された電圧基準値及び低電圧直流変換回路の出力電圧に基づいて電流基準値を生成して電流ループの入力端に出力する。
【0071】
コントローラは、さらに、低電圧直流変換回路の起動時に、制御可能なスイッチ管を、主電力管のオフ時にオンし、制御可能なスイッチ管のデューティ比が主電力管のデューティ比より小さいように制御し、低電圧直流変換回路の起動が完了した後、主電力管と制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御する。
【0072】
以上の実施例により提供される車載充電器に基づいて、本願は、車載充電器の制御方法をさらに提供し、以下に図面を結合して詳細に紹介する。
【0073】
方法実施例
本実施例により提供される車載充電器の制御方法であって、車載充電器は、力率補正回路、高電圧直流変換回路、低電圧直流変換回路、及びコントローラを含み、高電圧直流変換回路の入力端は、力率補正回路の出力端に接続され、低電圧直流変換回路の入力端は、高電圧直流変換回路の出力端に接続され、低電圧直流変換回路の出力端は、低電圧バッテリに接続するために使用され、低電圧直流変換回路は、主電力管及び制御可能なスイッチ管を含む。
図8を参照すると、この図は、本願により提供される車載充電器の制御方法のフローチャートである。
【0074】
当該方法は次のステップを含む。
ステップS801:低電圧直流変換回路の起動時に、主電力管に直列接続されたインダクタを流れる電流を徐々に増大させるために、電流ループソフトスタートを用いて主電力管の駆動信号を生成し、前記電流ループの電流所定値は、電圧ループから出力される電流基準値とソフトスタート関数の出力結果に依存する。
ここで、電流ループソフトスタートは、ソフトスタート関数を採用してもよく、例えばソフトスタート関数はソフトスタートランプ関数であり、ソフトスタートランプ関数の出力結果は、予め設定された電流値まで時間とともに徐々に増大する電流である。
【0075】
ステップS802:低電圧直流変換回路の起動が完了した後、電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で主電力管の駆動信号を生成し、電圧ループは、電流基準値を電流ループの入力端に出力するために使用される。
【0076】
本願の実施例により提供される制御方法では、本願により提供される技術案は、低電圧直流変換回路の起動時に、主電力管に対する順方向電流の衝撃を低減するために、電圧ループはまず機能せず、電流ループのみが機能し、電圧ループが機能しないため、電圧ソフトスタートの制御方式を採用せず、電流ソフトスタートの制御方式を採用する。電圧ループの入力パラメータは出力電圧と予め設定された電圧基準値であり、低電圧直流変換回路の起動時に、出力電圧は比較的小さいため、電圧ループの出力結果は無効であり、即ち、電圧ループは機能せず、制御ループ全体では電流ループのみが機能する。電流ループの制御には電流ソフトスタートが含まれるため、低電圧直流変換回路の起動段階では、ソフト電流スタートの方式を用いて、主電力管を流れる電流を徐々に増大するように制御することで、主電力管に対する順方向電流の衝撃を最大限に低減させる。
【0077】
低電圧直流変換回路の起動時に、電流ループソフトスタートを用いて主電力管の駆動信号を生成するステップは、具体的には、
電流ループの入力が、低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果とを含み、電流ループが、低電圧直流変換回路の出力電流と小値取得ユニットの出力結果を比較し、比較結果に基づいて主電力管の駆動信号を生成し、小値取得ユニットが、電圧ループの出力結果及びソフトスタート関数の出力結果のうちの小さい方の値を取ることを含む。
【0078】
電圧ループと電流ループがカスケード接続された形で主電力管の駆動信号を生成するステップは、具体的には、
電圧ループの入力が、予め設定された電圧基準値と低電圧直流変換回路の出力電圧とを含み、電圧ループが、予め設定された電圧基準値及び低電圧直流変換回路の出力電圧に基づいて電流基準値を生成して電流ループの入力端に出力することを含む。
【0079】
本願の実施例により提供される制御方法は、低電圧直流変換回路の起動時に、制御可能なスイッチ管を、主電力管のオフ時にオンし、制御可能なスイッチ管のデューティ比が主電力管のデューティ比よりも小さいように制御し、低電圧直流変換回路の起動が完了した後、主電力管と制御可能なスイッチ管を、相補的にスイッチング動作を行うように制御するステップをさらに含む。
【0080】
大きな逆方向インダクタ電流の発生を回避するために、制御可能なスイッチ管の低電圧直流変換回路の起動段階におけるデューティ比を制限し、逆方向インダクタ電流を制限する。具体的に、低電圧直流変換回路の起動段階において、主電力管の駆動信号は以上の実施例で紹介した二重ループ制御によって生成され、主電力管の駆動信号のデューティ比に基づいて、制御可能なスイッチ管は、主電力管と同時にオンしないことを保証しつつ、制御可能なスイッチ管のデューティ比を小さいものから徐々に大きくなるように制御し、電流ソフトスタートが終了した後にのみ、制御可能なスイッチ管の駆動信号のデューティ比の制御を停止し、制御可能なスイッチ管を主電力管と相補的に動作するように制御することができる。
【0081】
以上の実施形態の説明から分かるように、当業者であれば上記実施例の方法におけるステップの全部又は一部は、ソフトウェアに加えて必要な汎用ハードウェアプラットフォームの助けを借りて実現することができることを明確に理解することができる。このような理解に基づき、本願の技術案は、本質的に、又は従来技術に寄与する部分が、ソフトウェア製品の形態で表すことができ、当該コンピュータソフトウェア製品は、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスクなどの記憶媒体に記憶することができ、1台のコンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバー、又は例えばメディアゲートウェイなどのネットワーク通信デバイスなど)に本願の各実施例又は実施例のある一部に記載された方法を実行させるためのいくつかの命令を含む。
【0082】
なお、本明細書における各実施例は、漸進的に説明されており、各実施例の重点説明はいずれも他の実施例との相違点であり、各実施例の間の同一又は類似部分は互いに参照すればよい。実施例に開示された方法について、実施例に開示されたシステムに対応するため、説明が比較的簡単であり、関連する箇所はシステム部分の説明を参照すればよい。
【0083】
なお、本明細書では、「含む」、「有する」という用語及びそれらの任意変形は、一連の要素を含むプロセス、方法、製品又はデバイスがそれらの要素だけでなく、明示的にリストされていない他の要素、又はこのプロセス、方法、製品又はデバイスに固有の要素をさらに含むように、非排他的な包含を網羅することを意図している。これ以上の制限がない場合、「1つを含む」という文によって定義される要素は、その要素を含むプロセス、方法、製品又はデバイスにさらに他の同じ要素が存在することを排除するものではない。開示された実施例に対する上記の説明について、当業者が本願のこれらの実施例に対する様々な修正を実現又は使用できることが当業者にとって明らかであり、本明細書に定義された一般的な原理は、本願の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施例において実現されることができる。従って、本願は、本明細書に示されたこれらの実施例に限定されるものではなく、本明細書に開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲に合致する。
【国際調査報告】