(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】粒度管理装置及び粒度管理方法
(51)【国際特許分類】
B07B 4/08 20060101AFI20240905BHJP
B07B 13/11 20060101ALI20240905BHJP
B07B 13/04 20060101ALI20240905BHJP
C10B 57/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B07B4/08 Z
B07B13/11 D
B07B13/04 C
C10B57/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517016
(86)(22)【出願日】2023-02-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2023002726
(87)【国際公開番号】W WO2023234521
(87)【国際公開日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0067711
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ドン ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】リム,ヒョ ジュン
【テーマコード(参考)】
4D021
4H012
【Fターム(参考)】
4D021FA09
4D021GA11
4D021GA27
4D021GB03
4D021HA01
4D021HA10
4D021JA01
4D021JA09
4D021JB02
4D021KA05
4D021LA20
4D021MA01
4D021MA06
4D021NA02
4D021NA04
4D021NA10
4H012MA01
(57)【要約】
【課題】原料の粒度を正確に分析しかつ管理することのできる粒度管理装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明は、原料を搬送するための搬送部と、原料から小粒子を選り分け、小粒子よりも大きな大粒子を残留させるための選別部と、大粒子の画像を取得するために搬送部を向くように配置される撮像部と、撮像部が取得した画像から原料の粒度分布を分析するための分析部と、を備える粒度管理装置と、該装置に適用される粒度管理方法に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を搬送するための搬送部と、
前記原料から小粒子を選り分け、前記小粒子よりも大きな大粒子を残留させるための選別部と、
前記大粒子の画像を取得するために前記搬送部を向くように配置される撮像部と、
前記撮像部が取得した画像から前記原料の粒度分布を分析するための分析部と、
を備える、ことを特徴とする粒度管理装置。
【請求項2】
前記選り分けられた小粒子を画像を取得した前記大粒子の上に戻すために前記選別部と接続され、前記搬送部の上に配置される戻し部を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の粒度管理装置。
【請求項3】
前記分析部が分析した粒度分布を用いて、前記搬送部に供給すべき後続原料の供給条件を調節するための管理部を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の粒度管理装置。
【請求項4】
前記搬送部は、
前記原料の供給を受けるホッパーと、
前記ホッパーから排出される前記原料を連続して搬送するためのベルトを有する搬送器と、
を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の粒度管理装置。
【請求項5】
前記選別部は、前記小粒子を吸い込むように前記搬送器に面する面が開口される吸込器及び前記吸込器と接続される吸込ポンプを備える、ことを特徴とする請求項4に記載の粒度管理装置。
【請求項6】
前記選別部は、前記原料から前記小粒子を吸い込むための複数の開口が形成されたふるい(sieve)を有する、ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の粒度管理装置。
【請求項7】
前記開口の目開きは、0超え、かつ、3mm未満の範囲を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の粒度管理装置。
【請求項8】
前記ふるいは、前記原料を搬送するベルトの幅の10%~90%の範囲内において前記ベルトの幅方向に連続して位置する、ことを特徴とする請求項6に記載の粒度管理装置。
【請求項9】
前記選別部は、前記原料の上部の表面から前記小粒子を前記大粒子に対して相対的に沈下させるための第1の選別器、及び前記原料の上部の表面に沿って前記小粒子を転がし落としながら前記大粒子から離隔させるための第2の選別器のうちのどちらか一方を備える、ことを特徴とする請求項4に記載の粒度管理装置。
【請求項10】
前記撮像部の撮像領域は、前記原料を搬送する前記ベルトの全体の幅を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の粒度管理装置。
【請求項11】
前記ホッパーは、複数の種類の前記原料の供給をそれぞれ受けるためにその数が複数であり、
前記搬送器は、それぞれの前記ホッパーと接続される複数の第1の搬送器及び前記複数の第1の搬送器と接続される第2の搬送器を備え、
前記選別部及び前記撮像部は、前記複数の第1の搬送器側に配置される、ことを特徴とする請求項4に記載の粒度管理装置。
【請求項12】
前記選別部は、前記複数の第1の搬送器のうちから選択された1つ以上の前記第1の搬送器側にそれぞれ配置され、
前記撮像部は、前記選別部が配置された前記第1の搬送器側にそれぞれ配置される、ことを特徴とする請求項11に記載の粒度管理装置。
【請求項13】
前記撮像部は、前記小粒子が選り分けられた前記大粒子の画像を取得し、
前記分析部は、撮像された前記画像から個別の前記大粒子を識別して粒度分布を分析し、分析された前記大粒子の粒度分布を用いて前記原料の全体の粒度分布を求める、ことを特徴とする請求項1に記載の粒度管理装置。
【請求項14】
前記分析部は、
前記識別された大粒子の面積を導き出し、面積別に互いに異なる粒径に前記大粒子を区別し、それぞれ前記区別された大粒子別に取得された画像上の総面積比を求め、人工知能が予め学習したデータに基づいて、前記それぞれ区別された大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換えて、前記それぞれ区別された大粒子別の重さ比を大粒子の粒度分布で分析し、
前記大粒子別の重さ比を用いて、選り分けられた前記小粒子の重さ比を求め、前記大粒子別の重さ比と前記小粒子の重さ比を用いて前記原料の全体の粒度分布を求める、ことを特徴とする請求項13に記載の粒度管理装置。
【請求項15】
前記分析部は、前記それぞれ区別された大粒子を粒径に応じて複数のグループに区分けしてグループ別の前記大粒子の重さ比を前記大粒子の粒度分布で分析し、前記グループ別の大粒子の重さ比と前記小粒子の重さ比を用いて前記原料の全体の粒度分布を求める、ことを特徴とする請求項14に記載の粒度管理装置。
【請求項16】
前記分析部は、複数の前記原料が有する破砕特性を用いて、選択された前記第1の搬送器に搬送される前記原料から求められた粒度分布を複数の前記原料の全体に適用する、ことを特徴とする請求項12に記載の粒度管理装置。
【請求項17】
前記管理部は、前記分析部が分析した前記原料の全体の粒度分布を予め設定された基準粒度分布と対比し、対比結果に基づいて、前記搬送部に供給すべき後続原料の破砕条件を制御して、前記後続原料の品質を管理する、ことを特徴とする請求項3に記載の粒度管理装置。
【請求項18】
原料を用意する過程と、
前記用意された原料を搬送する過程と、
前記搬送される原料を小粒子と前記小粒子よりも大きな大粒子とに選り分ける過程と、
前記大粒子を撮像して画像を取得する過程と、
撮像された前記画像から前記大粒子の粒度分布を分析する過程と、
前記大粒子の粒度分布を用いて前記原料の粒度分布を求める過程と、
を含む、ことを特徴とする粒度管理方法。
【請求項19】
前記用意された原料を搬送する過程は、
前記用意された原料を0.1~0.15m/sの範囲の速度で搬送する過程を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の粒度管理方法。
【請求項20】
前記搬送される原料を前記小粒子と前記小粒子よりも大きな前記大粒子とに選り分ける過程は、
前記原料の上部の表面から前記小粒子を吸い込み、前記大粒子を残留させる過程を含み、
前記画像を取得する過程は、
前記原料の上部の表面から前記小粒子が選り分けられた前記大粒子の画像を取得する過程を含み、
前記画像を取得する過程の後に、
前記選り分けられた小粒子を前記原料の上部の表面の前記大粒子の上に排出する過程を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の粒度管理方法。
【請求項21】
撮像された前記画像から前記大粒子の粒度分布を分析する過程は、
前記大粒子の画像から前記大粒子の面積を導き出し、面積別に互いに異なる粒径に前記大粒子を区別する過程と、
それぞれ前記区別された大粒子別に前記撮像された画像上の総面積比を求める過程と、
それぞれ区別された前記大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換える過程と、
を含む、ことを特徴とする請求項20に記載の粒度管理方法。
【請求項22】
前記面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別する過程は、
前記それぞれ区別された大粒子を粒径に応じて複数のグループに区分けする過程を含み、
前記総面積比を求める過程と前記重さ比に切り換える過程とは、それぞれ区別されたグループに対して行われる、ことを特徴とする請求項21に記載の粒度管理方法。
【請求項23】
前記大粒子の粒度分布を用いて前記原料の粒度分布を求める過程は、
前記それぞれ区別された大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換えるとき、前記選り分けられた小粒子の重さ比を求める過程と、
前記大粒子別の重さ比と前記小粒子の重さ比を用いて前記原料の全体の粒度分布を求める過程と、
を含む、ことを特徴とする請求項21に記載の粒度管理方法。
【請求項24】
前記大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換える過程は、
人工知能が予め学習したデータに基づいて生成された前記原料の粒度分布モデルを用いて、前記大粒子別に求められた総面積比に応じた前記それぞれ区別された大粒子別の重さ比を予測し、前記大粒子別に求められた総面積比を前記大粒子別に予測された重さ比に置き換える過程を含み、
前記選り分けられた小粒子の重さ比を求める過程は、
前記大粒子別に予測された重さ比を合算して前記大粒子の重さ比を求める過程と、
前記大粒子の重さ比と合算して100パーセントになるようにする重さ比を前記小粒子の重さ比にする過程と、
を含む、ことを特徴とする請求項23に記載の粒度管理方法。
【請求項25】
前記原料を用意する過程は、
ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が異なる複数の前記原料を用意する過程を含み、
前記用意された原料を搬送する過程は、
前記複数の原料をそれぞれ搬送する過程を含み、
前記搬送される原料を前記小粒子と前記小粒子よりも大きな前記大粒子とに選り分ける過程と、前記大粒子を撮像して画像を取得する過程と、前記撮像された画像から前記大粒子の粒度分布を分析する過程、及び前記大粒子の粒度分布を用いて前記原料の粒度分布を求める過程は、
前記複数の原料のうちから選択される少なくとも1種以上の前記原料に対して行う、ことを特徴とする請求項21に記載の粒度管理方法。
【請求項26】
選択された前記原料に対して前記原料の粒度分布を求める過程を行った後に、
前記複数の原料のそれぞれの前記ハードグローブ粉砕性指数を用いて、前記選択された原料の粒度分布を前記複数の原料の全体に適用する過程を含む、ことを特徴とする請求項25に記載の粒度管理方法。
【請求項27】
前記原料を用意する過程は、
前記原料を破砕する過程を含み、
前記原料の粒度分布を求める過程の後に、
求められた前記原料の粒度分布を後続原料を用意する過程に活用する過程を含む、ことを特徴とする請求項18から請求項26のいずれか一項に記載の粒度管理方法。
【請求項28】
前記後続原料を用意する過程に活用する過程は、
前記求められた原料の粒度分布を予め定められた基準粒度分布と対比する過程と、
対比結果に基づいて、前記後続原料の破砕条件を制御する過程と、
制御された破砕条件で前記後続原料を破砕する過程と、
を含む、ことを特徴とする請求項27に記載の粒度管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒度管理装置及び方法に係り、より詳細には、原料の粒度を正確に分析しかつ管理することのできる粒度管理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冶金用のコークスが製造される過程は、下記の通りである。ヤードに炭種別に野積みされた多種類の石炭を炭種別にそれぞれ破砕し、これらを予め計算された配合比で混合して配合炭を製造する。この後、配合炭をコークスオーブンに装入した後、高温で乾留してコークスを製造する。このとき、破砕された石炭の粒度分布は、コークスの品質に影響を及ぼす重要な要素である。
【0003】
すなわち、配合炭を製造するとき、破砕された石炭がそれぞれの粘結性、流動性などを考慮して計算された配合比の通りに一様に混合されなければ、コークスオーブンにおいて所望の品質のコークスを製造することができない。このとき、破砕された石炭が一様に混合されるためには、破砕された石炭の粒度が定められた一定の範囲で管理されなければならない
【0004】
従来は、破砕された石炭の粒度を管理するために、破砕された石炭から所定量のサンプルを採取して乾燥させた後、乾燥された石炭を粒度選別してその結果から粒度分布を評価していた。このような従来の方式は、サンプリングの仕方や回数に応じて評価結果が異なってきてしまうという問題がある。
【0005】
本発明の背景となる技術は、下記の特許文献に掲げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第10-1625962号
【特許文献2】大韓民国登録特許公報第10-1673273号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、原料の粒度を正確に分析しかつ管理することのできる粒度管理装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る粒度管理装置は、原料を搬送するための搬送部と、前記原料から小粒子を選り分け、前記小粒子よりも大きな大粒子を残留させるための選別部と、前記大粒子の画像を取得するために前記搬送部を向くように配置される撮像部と、前記撮像部が取得した画像から前記原料の粒度分布を分析するための分析部と、を備える。
【0009】
前記粒度管理装置は、選り分けられた小粒子を画像を取得した大粒子の上に戻すために前記選別部と接続され、前記搬送部の上に配置される戻し部を備えていてもよい。
【0010】
前記粒度管理装置は、前記分析部が分析した粒度分布を用いて、前記搬送部に供給すべき後続原料の供給条件を調節するための管理部を備えていてもよい。
【0011】
前記搬送部は、原料の供給を受けるホッパーと、前記ホッパーから排出される原料を連続して搬送するためのベルトを有する搬送器と、を備えていてもよい。
【0012】
前記選別部は、小粒子を吸い込むように前記搬送器に面する面が開口される吸込器及び前記吸込器と接続される吸込ポンプを備えていてもよい。
【0013】
前記選別部は、前記原料から小粒子を吸い込むための複数の開口が形成されたふるい(sieve)を有していてもよい。
【0014】
前記開口の目開きは、0超え、かつ、3mm未満の範囲を有していてもよい。
【0015】
前記ふるいは、前記原料を搬送する前記ベルトの幅の10%~90%の範囲内において前記ベルトの幅方向に連続して位置してもよい。
【0016】
前記選別部は、原料の上部の表面から小粒子を大粒子に対して相対的に沈下させるための第1の選別器、及び原料の上部の表面に沿って小粒子を転がし落としながら大粒子から離隔させるための第2の選別器のうちのどちらか一方を備えていてもよい。
【0017】
前記撮像部の撮像領域は、前記原料を搬送する前記ベルトの全体の幅を含んでいてもよい。
【0018】
前記ホッパーは、複数の種類の原料の供給をそれぞれ受けるためにその数が複数であり、前記搬送器は、それぞれのホッパーと接続される複数の第1の搬送器及び前記複数の第1の搬送器と接続される第2の搬送器を備え、前記選別部及び前記撮像部は、前記複数の第1の搬送器側に配置されてもよい。
【0019】
前記選別部は、前記複数の第1の搬送器のうちから選択された1つ以上の第1の搬送器側にそれぞれ配置され、前記撮像部は、前記選別部が配置された搬送器側にそれぞれ配置されてもよい。
【0020】
前記撮像部は、小粒子が選り分けられた大粒子の画像を取得し、前記分析部は、撮像された画像から個別の大粒子を識別して粒度分布を分析し、分析された大粒子の粒度分布を用いて原料の全体の粒度分布を求めてもよい。
【0021】
前記分析部は、識別された大粒子の面積を導き出し、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別し、それぞれ区別された大粒子別に取得された画像上の総面積比を求め、人工知能が予め学習したデータに基づいて、それぞれ区別された大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換えて、それぞれ区別された大粒子別の重さ比を大粒子の粒度分布で分析し、前記大粒子別の重さ比を用いて、選り分けられた小粒子の重さ比を求め、大粒子別の重さ比と小粒子の重さ比を用いて原料の全体の粒度分布を求めてもよい。
【0022】
前記分析部は、それぞれ区別された大粒子を粒径に応じて複数のグループに区分けしてグループ別の大粒子の重さ比を大粒子の粒度分布で分析し、グループ別の大粒子の重さ比と前記小粒子の重さ比を用いて原料の全体の粒度分布を求めてもよい。
【0023】
前記分析部は、複数の原料が有する破砕特性を用いて、選択された第1の搬送器に搬送される原料から求められた粒度分布を複数の原料の全体に適用してもよい。
【0024】
前記管理部は、前記分析部が分析した原料の全体の粒度分布を予め設定された基準粒度分布と対比し、対比結果に基づいて、前記搬送部に供給すべき後続原料の破砕条件を制御して、後続原料の品質を管理してもよい。
【0025】
本発明の実施形態に係る粒度管理方法は、原料を用意する過程と、用意された原料を搬送する過程と、搬送される原料を小粒子と前記小粒子よりも大きな大粒子とに選り分ける過程と、前記大粒子を撮像して画像を取得する過程と、撮像された画像から前記大粒子の粒度分布を分析する過程と、前記大粒子の粒度分布を用いて原料の粒度分布を求める過程と、を含む。
【0026】
前記用意された原料を搬送する過程は、前記用意された原料を0.1~0.15m/sの範囲の速度で搬送する過程を含んでいてもよい。
【0027】
前記搬送される原料を小粒子と前記小粒子よりも大きな大粒子とに選り分ける過程は、前記原料の上部の表面から前記小粒子を吸い込み、前記大粒子を残留させる過程を含み、前記画像を取得する過程は、前記原料の上部の表面から小粒子が選り分けられた大粒子の画像を取得する過程を含み、前記画像を取得する過程の後に、選り分けられた小粒子を前記原料の上部の表面の大粒子の上に排出する過程を含んでいてもよい。
【0028】
前記撮像された画像から前記大粒子の粒度分布を分析する過程は、大粒子の画像から大粒子の面積を導き出し、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別する過程と、それぞれ区別された大粒子別に前記撮像された画像上の総面積比を求める過程と、それぞれ区別された大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換える過程と、を含んでいてもよい。
【0029】
前記面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別する過程は、それぞれ区別された大粒子を粒径に応じて複数のグループに区分けする過程を含み、前記総面積比を求める過程と前記重さ比に切り換える過程とは、それぞれ区別されたグループに対して行われてもよい。
【0030】
前記大粒子の粒度分布を用いて原料の粒度分布を求める過程は、それぞれ区別された大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換えるとき、選り分けられた小粒子の重さ比を求める過程と、大粒子別の重さ比と小粒子の重さ比を用いて原料の全体の粒度分布を求める過程と、を含んでいてもよい。
【0031】
前記大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換える過程は、人工知能が予め学習したデータに基づいて生成された原料の粒度分布モデルを用いて、前記大粒子別に求められた総面積比に応じたそれぞれ区別された大粒子別の重さ比を予測し、前記大粒子別に求められた総面積比を大粒子別に予測された重さ比に置き換える過程を含み、前記選り分けられた小粒子の重さ比を求める過程は、前記大粒子別に予測された重さ比を合算して大粒子の重さ比を求める過程と、前記大粒子の重さ比と合算して100パーセントになるようにする重さ比を小粒子の重さ比にする過程と、を含んでいてもよい。
【0032】
前記原料を用意する過程は、ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が異なる複数の原料を用意する過程を含み、前記用意された原料を搬送する過程は、前記複数の原料をそれぞれ搬送する過程を含み、前記搬送される原料を小粒子と前記小粒子よりも大きな大粒子とに選り分ける過程と、前記大粒子を撮像して画像を取得する過程と、前記撮像された画像から前記大粒子の粒度分布を分析する過程、及び前記大粒子の粒度分布を用いて原料の粒度分布を求める過程は、前記複数の原料のうちから選択される少なくとも1種以上の原料に対して行ってもよい。
【0033】
前記粒度管理方法は、選択された原料に対して前記原料の粒度分布を求める過程を行った後に、複数の原料のそれぞれのハードグローブ粉砕性指数を用いて、選択された原料の粒度分布を複数の原料の全体に適用する過程を含んでいてもよい。
【0034】
前記原料を用意する過程は、前記原料を破砕する過程を含み、前記原料の粒度分布を求める過程の後に、求められた原料の粒度分布を後続原料を用意する過程に活用する過程を含んでいてもよい。
【0035】
前記後続原料を用意する過程に活用する過程は、前記求められた原料の粒度分布を予め定められた基準粒度分布と対比する過程と、対比結果に基づいて、前記後続原料の破砕条件を制御する過程と、制御された破砕条件で前記後続原料を破砕する過程と、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明の実施形態によれば、原料を搬送する間に原料を撮像して原料の画像を取得し、取得した画像から原料の粒度分布を分析することにより、原料を配合する前に、原料の粒度分布を速やかにリアルタイムにて分析することができる。さらに、原料を撮像する前に、小粒子による画像の誇張及び歪みを防ぐために、搬送される原料から小粒子を選り分け、大粒子を残留させ、大粒子を撮像することにより、原料の粒子同士の境界がはっきりと現れるようになり、その結果、鮮やかな画像を取得することができる。したがって、鮮やかな画像から原料の粒度分布を正確に分析することができる。
【0037】
また、粒度分布の正確な分析結果に基づいて、後続原料の粒度分布を円滑に管理することができる。したがって、原料の供給を受けて処理することを繰り返し行う間に、処理すべき後続原料の粒度分布が所望の粒度分布になるように管理し続けて、処理される原料の品質を所望の品質レベルに常に保持することができる。これにより、原料を用いた後続工程であるコークスの製造工程において製造されるコークスの品質のバラツキを極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施形態に係る粒度管理装置を備える原料処理設備を説明するための図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る粒度管理装置の側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る粒度管理装置の平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る選別部の概略図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る選別部の作動を説明するための写真である。
【
図6】本発明の実施形態に係る分析部を説明するための写真及びグラフである。
【
図7】本発明の実施形態に係る粒度管理方法の手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化される筈である。以下の実施形態は、単に本発明の開示を完全たるものにし、当該分野において通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供されるものである。本発明の実施形態を説明するために図面は誇張されて示されていてもよく、説明とは無関係な部分は図面から省略されてもよく、図中の同一の符号は、同一の要素を指す。
【0040】
本発明は、粒度管理装置及び方法に関し、以下では、粒度管理装置及び方法が製鉄操業においてコークスを製造するための原料を処理する原料処理設備に適用される場合を例示して本発明の実施形態について詳しく説明する。いうまでもなく、本発明の実施形態に係る粒度管理装置及び方法は、多種類の原料を処理する各種の原料処理設備にも適用可能である。例えば、本発明の実施形態に係る粒度管理装置及び方法は、鉄鉱石、石灰石などを処理する原料処理設備にも適用可能である。
【0041】
本発明の実施形態に係る粒度管理装置及び方法は、原料の粒度を正確に分析しかつ管理することができる。いうまでもなく、本発明の実施形態に係る粒度管理装置及び方法を原料の粒度を正確に分析することにのみ活用してもよい。このような場合、本発明の実施形態に係る粒度管理装置及び方法を、いわば、粒度分析装置及び方法と称する場合もある。
【0042】
図1は、本発明の実施形態に係る粒度管理装置及び方法が適用される原料処理設備を説明するための図である。
【0043】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る原料処理設備について簡略に説明する。
【0044】
本発明の実施形態に係る原料処理設備は、コークスを製造するための原料を処理することができる。例えば、原料は、石炭であってもよい。一方、石炭を単一炭、原料炭などと種々に称し得る。原料は、種類、例えば、炭種が様々であってもよい。たとえば、原料処理設備が処理する原料の炭種は、6~12種類であってもよい。いうまでもなく、炭種の数は多種類であってもよい。ここで、原料は、炭種に応じて、粘結性、流動性、破砕性などの特性が異なっていてもよい。
【0045】
原料は、例えば、船舶10により輸送され、炭種別にヤードに野積みされてもよい。このとき、ヤードには原料選炭設備20が配設されてもよい。原料は、原料選炭設備20を経ながら原料中の脈石などの異物が取り除かれてもよい。この後、原料は、原料処理設備に供給されてもよいし、あるいは、原料処理設備において破砕及び混合されて配合炭として製造されてもよい。
【0046】
原料処理設備は、原料を炭種別に破砕し、炭種別に破砕された原料を定められた配合比で混合して配合炭を製造するための原料処理設備であってもよい。原料処理設備は、原料破砕装置30及び粒度管理装置1000を備える。ここで、粒度管理装置1000を原料配合装置と称する場合もある。すなわち、処理は、原料の破砕及び配合を意味し得る。いうまでもなく、原料処理設備が原料を処理する方式は種々であってもよい。
【0047】
原料破砕装置30は、インパクト方式(Impact Type)の原料破砕装置30であってもよい。原料破砕装置30が原料を破砕する方式は種々であってもよい。例えば、原料破砕装置30は、ハマークラッシャー(Hammer Crusher)を備えていてもよい。このとき、ハマークラッシャーは、回転軸、ハマー及び反発板を備えていてもよい。ハマークラッシャーは、回転軸を用いてハマーを回転させつつ、ハマーと反発板との間に原料を落下させ、ハマーと反発板とを用いて原料を打撃して破砕してもよい。一方、原料は、炭種に応じて、破砕性が異なっていてもよい。また、原料は、破砕性に応じて、破砕された原料の粒度分布が異なっていてもよい。
【0048】
原料破砕装置30は、原料の供給を炭種別に交互に受けることができる。したがって、原料破砕装置30は、原料を炭種別に破砕することができる。また、原料破砕装置30において炭種別に交互に破砕される原料は、粒度管理装置1000に供給されて配合炭として製造可能である。
【0049】
原料を破砕する間にハマーと反発板が摩耗される可能性があり、衝撃によりハマーと反発板との間隔が変わってしまう可能性もある。このため、原料を破砕する間に破砕される原料の粒度分布が異なってくる虞がある。
【0050】
また、原料の粒度分布が異なってくると、粒度管理装置1000が炭種別に破砕された原料を定められた配合比で混合して配合炭を製造するとき、配合炭中の原料が一様に混合され難い。原料が一様に混合されなければ、原料処理設備の後続設備であるコークスの製造設備において配合炭を高温で乾留してコークスを製造するとき、製造されるコークスの品質が低下してしまうことが懸念される。
【0051】
したがって、本発明の実施形態によれば、粒度管理装置1000は、原料破砕装置30から炭種別に破砕された原料の供給を交互に受けながら、これらを配合して配合炭を製造する間に、原料の粒度分布を分析してその結果を原料破砕装置30にフィードバックし、原料破砕装置30から粒度管理装置1000へと供給すべき後続原料の破砕条件を制御して後続原料の品質を管理することができる。
【0052】
このとき、原料破砕装置30は、原料の破砕条件に応じて、ハマークラッシャーの作動条件を制御することができる。例えば、ハマーが回転する速度、ハマーと反発板との間隔などを制御することができる。これにより、破砕される原料の粒度を調節することができる。そのため、原料破砕装置30において破砕された後に粒度管理装置1000へと供給される後続原料の粒度分布を所望の粒度分布に管理することができる。
【0053】
一方、原料処理設備30、1000において製造された配合炭は、コークスの製造設備40、50に供給されてもよい。コークスの製造設備40、50は、コークスオーブン40及び乾式消火チャンバー50を備えていてもよい。配合炭は、コークスオーブン40に装入され、高温で乾留されて赤熱コークスとして製造されてもよい。製造された赤熱コークスは、乾式消火チャンバー50に供給されて消火されることにより、コークスになる。製造されたコークスは、溶銑の製造設備、例えば、高炉設備60に装入されて溶銑の製造に用いられてもよい。一方、コークスの製造設備40、50において生成されるコークスオーブンガスは、ガス精製設備70に供給されて精製された後、コークスの製造設備40、50及び高炉設備60に供給されて燃料として利用可能である。
【0054】
図2及び
図3は、本発明の実施形態に係る粒度管理装置の側面図及び平面図である。
【0055】
図2及び
図3を参照して、本発明の実施形態に係る粒度管理装置1000について詳しく説明する。
【0056】
本発明の実施形態に係る粒度管理装置1000は、炭種別に破砕された原料の供給を受けてこれから配合原料を製造することができ、供給を受けた原料の粒度を正確に分析することができる他、供給を受ける後続原料の供給条件を調節することができる。
【0057】
図2及び
図3を参照すると、本発明の実施形態に係る粒度管理装置1000は、原料M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8を搬送するための搬送部100と、原料から小粒子を選り分け、小粒子よりも大きな大粒子を残留させるための選別部200と、大粒子の画像を取得するために搬送部100を向くように配置される撮像部300、及び撮像部300が取得した画像から原料の粒度分布を分析するための分析部400を備える。
【0058】
また、粒度管理装置1000は、選り分けられた小粒子を画像を取得した大粒子の上に戻すために、選別部200と接続され、搬送部100の上に配置される戻し部500、及び分析部400が分析した粒度分布を用いて、搬送部100に供給すべき後続原料の供給条件を調節するための管理部600を備えていてもよい。このとき、供給条件は、破砕条件であってもよい。
【0059】
原料は、原料破砕装置30において破砕された後、粒度管理装置1000に供給される原料であって、例えば、石炭であってもよい。原料は、複数の粒子からなり得る。このとき、原料の粒子を小粒子及び大粒子に選り分けてもよい。
【0060】
具体的には、原料の粒子のうち、0超え、かつ、3mm未満の範囲の粒径を有する粒子を小粒子とし、3mm以上の範囲の粒径を有する粒子を大粒子とする。さらに詳しくは、大粒子の粒径範囲は、3mm以上、かつ、15mm以下であってもよい。
【0061】
原料には所定量の水分が含有され、水分は、原料の粒子間の凝集を引き起こす可能性がある。粒子の粒径が0超え、かつ、3mm未満であれば、水分により盛んに凝集され得る。例えば、3mm未満の粒径を有する複数の粒子が凝集されて、あたかも3mm以上の粒径を有する単一の粒子として見える可能性がある。したがって、撮像された画像において粒子の粒径が歪んでしまう虞がある。
【0062】
また、原料の色合いはほとんどの場合に黒色であり、黒色は光を吸収する特性があるため、粒子間の区別をつき難くする。このとき、粒子の粒径が3mm未満であれば、撮像された画像において粒子同士の境界を非常に区別し難い。3mm未満の粒径を有する複数の粒子が3mm以上の粒径を有する粒子の周りに位置すれば、3mm以上の粒径を有する粒子が実際の粒径よりもさらに大きく見える可能性がある。したがって、撮像された画像において粒子の粒径が誇張されてしまう可能性がある。
【0063】
したがって、原料を撮像したとき、原料の粒子の粒径を誇張させたり歪ませたりし得る粒径である0超え、かつ、3mm未満の粒径を有する粒子を小粒子と定義し、小粒子を大粒子から取り除いた後、小粒子が取り除かれた原料を撮像することにより、撮像された画像において粒子の粒径が誇張されたり歪んだりすることを防ぐことができ、粒子の粒径が明らかに撮像された鮮やかな画像を取得することができる。
【0064】
一方、大粒子の粒径の範囲を複数の区間に細分化してもよい。このとき、複数の区間は、3mm以上、かつ、5mm未満の第1の大粒区間、5mm以上、かつ、10mm未満の第2の大粒区間、10mm以上、かつ、15mm以下の第3の大粒区間を備えていてもよい。これらの複数の区間は、原料の粒度分布を分析することに活用可能である。
【0065】
搬送部100は、原料を搬送及び配合するための搬送部100であって、原料の供給を受けるホッパー110、及びホッパー110から連続して排出される原料を連続して搬送するためのベルト121を有する搬送器120、130を備えていてもよい。
【0066】
ホッパー110は、原料破砕装置30から原料の供給を受けて貯留し、貯留される原料を予め定められた排出量で搬送器120に排出することができる。ホッパー110は、複数の種類の原料の供給をそれぞれ受けるためにその数が複数であってもよい。ここで、複数の種類は、複数の炭種を意味し得る。また、ホッパー110の数は、原料の炭種数と同数であってもよい。例えば、原料の炭種の数が8種であれば、複数のホッパー110の数も8個であってもよい。このため、複数のホッパー110は、互いに異なる炭種の原料を貯留及び排出することができる。例えば、原料が強粘炭、微粘炭などを含むときに、強粘炭を貯留するホッパー110と微粘炭を貯留するホッパー110とは、互いに異なるホッパー110であってもよい。一方、複数のホッパー110のうちの少なくとも1つのホッパー110は、炭種が頻繁に変わる原料を専担して、これらの原料を交互に貯留することができる。一方、原料が単一の炭種のみを含む場合、ホッパー110の数も単一であってもよい。
【0067】
複数のホッパー110は、後述する第2の搬送器130の幅方向の両側に配置され、第2の搬送器130の長手方向に並べられてもよい。このとき、幅方向及び長手方向は、互いに交差してもよいし、あるいは、それぞれ上下方向と交差してもよい。複数のホッパー110は、複数の原料破砕装置30とそれぞれ接続されてもよい。
【0068】
それぞれのホッパー110は、その内部に原料が貯留される貯留空間を有し、下部に排出口が形成されてもよい。また、それぞれのホッパー110の排出口には、原料の排出量を調節するためのフィーダー(図示せず)が配備されてもよい。原料は、炭種別に排出量が異なっていてもよく、それぞれのホッパー110は、当該ホッパーに貯留された原料の定められた排出量に応じて、それぞれが備えるフィーダーを作動させて原料を定められた排出量で排出することができる。このとき、フィーダーは、後述する第1の搬送器120に排出された原料の上部の表面が平らになるように原料を排出してもよい。一方、原料の上部の表面を原料の上部面と称する場合もある。
【0069】
搬送器120、130は、複数のホッパー110から排出される原料をそれぞれ搬送しながら、原料の排出量を計量(weighing)し、排出量の計量された原料を定められた配合比で混合することができる。また、搬送器120、130は、複数の炭種の原料を定められた配合比で混合して製造される配合原料、例えば、配合炭をコークスオーブン40に供給することができる。搬送器120、130を連続計量フィーダー(Continuous Weighing Feeder;CWF)と称する場合もある。
【0070】
搬送器120、130は、複数のホッパー110とコークスオーブン40とを繋ぐように配設されてもよい。また、搬送器120は、それぞれのホッパー110と接続される複数の第1の搬送器120、及び複数の第1の搬送器120と接続される第2の搬送器130を備えていてもよい。一方、原料が単一の炭種のみを含み、ホッパー110の数が単一である場合、搬送器120は、第1の搬送器120のみを備えていてもよい。
【0071】
複数の第1の搬送器120は、炭種別に排出される原料をそれぞれ搬送しながら計量する役割を果たす。複数の第1の搬送器120の数は、複数のホッパー110の数と同数であってもよい。複数の第1の搬送器120は、それぞれが搬送及び計量しようとする原料が貯留されたホッパー110の下側にそれぞれ配設されてもよい。また、複数の第1の搬送器120は、第2の搬送器130に向かって延びてもよい。このとき、複数の第1の搬送器120が延びる方向は、第2の搬送器130の幅方向と並ぶような方向であってもよい。
【0072】
第1の搬送器120は、第1の搬送器120が延びた方向に並べられる複数のローラー122、及び第1の搬送器120が延びた方向に走行可能に複数のローラー122に巻き回されて配設されるベルト121を備えていてもよい。また、第1の搬送器120は、ベルト121に排出される原料の排出量を計量するためにホッパー110と選別部200との間においてベルト121と接続されるように配設されるロードセル(図示せず)を備えていてもよい。このとき、排出量は、例えば、原料が時間当たりに排出される重さのことを意味し得る。第1の搬送器120は、ロードセルにおいて計量される原料の排出量を当該原料の予め定められた排出量と対比して差が出ると、ベルト121の走行速度を調節して、第1の搬送器120から第2の搬送器130への原料の供給速度を制御して、ホッパー110の原料排出量を調節することと同一の効果を有することができる。
【0073】
一方、第1の搬送器120は、ロードセルにおいて計量される原料の排出量を当該原料の予め定められた排出量と対比して差が出ると、当該原料が貯留されたホッパー110に差分値を伝送してもよく、差分値を伝送されたホッパー110は、排出口に配備されたフィーダーの作動条件を制御して当該原料を排出量を調節してもよい。
【0074】
ベルト121が走行する速度は、0.1~0.15m/sの範囲であってもよい。このため、ベルト121が原料を0.1~0.15m/sの速度の範囲で搬送することができる。これにより、定められた排出量の原料をホッパー110からベルト121へと円滑に排出することができ、撮像部300がベルト121上の原料を撮像して鮮やかな原料の画像を取得することができる。すなわち、ベルト121が0.15m/sよりも高い速度で走行すると、ロードセルが原料の排出量を正確に計量し難い虞があり、撮像部300がベルト121上の原料を円滑に撮像し難い虞がある。また、ベルト121が0.1m/sよりも低い速度で走行すると、ホッパー110から定められた排出量で排出される原料がベルト121の上に累積されていて、ベルト121の外側に溢れ出てしまう虞がある。
【0075】
第2の搬送器130は、排出量の計量された原料の供給を連続して受けて混合しながら、配合比率に応じて均等に配合する役割を果たす。また、第2の搬送器130は、原料が混合されて製造される配合炭をコークスオーブン40に搬送する役割を果たす。第2の搬送器130は、複数の第1の搬送器120の下側に配置されてもよい。複数の第1の搬送器120のそれぞれの終端と接続されてもよい。ここで、「接続される」とは、原料が移動可能であることを意味する。すなわち、複数の第1の搬送器120のそれぞれの終端から落下する原料の落下範囲を通り過ぎるように第2の搬送器130が配置されてもよい。第2の搬送器130は、複数の第1の搬送器120が並べられた方向に延びてもよく、その終端がコークスオーブン40と接続されてもよい。
【0076】
第2の搬送器130には、第1の搬送器120の構造が略同様に適用されてもよい。すなわち、第2の搬送器130は、第2の搬送器130が延びた方向に並べられる複数の第2のローラー132と、複数の第2のローラー132に走行可能に配設される第2のベルト131と、を備えていてもよい。一方、第2のベルト131が走行する速度は、ベルト121が走行する速度よりも高いか、あるいは、それに等しくてもよい。なお、第2のベルト131の幅は、ベルト121の幅よりも広くてもよい。
【0077】
選別部200は、原料を撮像する前に原料から小粒子を選り分け、小粒子よりも大きな大粒子を残留させることができる。すなわち、選別部200が小粒子を選り分け、大粒子を残留させることにより、小粒子により撮像部300が撮像する画像が誇張されたり歪んだりすることを防ぐことができる。このため、撮像部300が原料の高品質の画像を取得することができる。
【0078】
選別部200は、搬送される原料と接触されたり、搬送される原料から所定の高さだけ離れたりするように搬送器120、130の上に配置されてもよい。このとき、具体的には、選別部200は、第1の搬送器120の上側に配置されてもよく、第1の搬送器120上の原料の上部の表面と接離されてもよい。
【0079】
選別部200が小粒子を選り分け、大粒子を残留させる方式は、種々であってもよい。例えば、選別部200は、吸い込みを用いて原料の上部の表面上の小粒子を原料から選り分け、大粒子を原料の上部の表面に残留させてもよい。このとき、「選り分け」とは、第1の搬送器120の上において原料から分離されることを意味し、「残留」とは、第1の搬送器120の上に取り残すことを意味し得る。選別部200により原料の上部の表面において、原料から小粒子が取り除かれて選別部200内に回収でき、これにより、原料の上部の表面に大粒子が残留することが可能になる。
【0080】
また、選別部200は、沈下を用いて原料の上部の表面上の小粒子を大粒子に対して相対的に沈下させ、大粒子を原料の上部の表面に残留させることができる。また、選別部200は、小粒子の落下を用いて原料の上部の表面上の小粒子を原料の上部の表面に沿って転がし落とし、大粒子を原料の上部の表面に残留させることができる。
【0081】
以下では、選別部200が吸い込みを用いて大粒子を原料の上部の表面に残留させることを基準として、本発明の実施形態について説明する。
【0082】
一方、選別部200は、複数の第1の搬送器120側に配置されてもよい。このとき、選別部200の数は1つ以上であってもよい。また、選別部200は、複数の第1の搬送器120のうちから選択された1つ以上の第1の搬送器120側に配置されてもよい。例えば、選別部200が3つであれば、3つの選別部200が複数の第1の搬送器120のうちから選択された3つの搬送器120側にそれぞれ配置されてもよい。また、選別部200の数が1つであれば、複数の第1の搬送器120のうちから選択された1つの搬送器120側に配置されてもよい。いうまでもなく、選別部200は、複数の第1の搬送器120と同数であってもよい。
【0083】
選別部200を配置すべき第1の搬送器120を選択する基準は、種々であってもよい。例えば、第1の搬送器120が搬送する原料の粘結性を基準として、強粘炭を搬送する第1の搬送器120と微粘炭を搬送する第1の搬送器120を選択してもよいし、あるいは、選択した2つの第1の搬送器120の上に2つの選別部200をそれぞれ配置してもよい。また、選別部200を配置すべき第1の搬送器120を選択する基準が1つ以上であってもよい。例えば、原料の粘結性を基準として、2つの第1の搬送器120を選択し、原料の炭種の変化の頻度を基準として、炭種が頻繁に変わる原料を搬送する第1の搬送器120を選択して、合計で3つの第1の搬送器120を選択してもよい。
【0084】
一方、選別部200は、可動式で配設されてもよい。例えば、クレーン(図示せず)や、レール(図示せず)などの搬送器を複数の第1の搬送器120側に配設し、選別部200を搬送器の上に可動となるように配設してもよい。このため、第1の搬送器120の選択基準が変更されたとき、選別部200の位置を変更することができる。一方、選別部200と同一の位置に変更されるように、撮像部300及び戻し部500も可動式で配設されてもよい。いうまでもなく、選別部200を複数の第1の搬送器120の上側にすべて配置し、選択された第1の搬送器120の上側に配置された選別部200のみを選択的に作動させてもよい。
【0085】
図4は、本発明の実施形態に係る選別部の概略図であり、
図5は、本発明の実施形態に係る選別部の作動を説明するための写真である。ここで、
図5中の「A」は、
図2に示された「A」部分を通過する原料を撮像した写真であり、
図5中の「B」は、
図2に示された「B」部分を通過する原料を撮像した写真である。
【0086】
図3及び
図4を参照すると、選別部200は、吸い込みを用いて原料の上部の表面の小粒子を吸い込み可能なように形成される選別部200であって、小粒子を吸い込むように搬送器100に面する面が開口される吸込器210と、吸込器210を戻し部500に接続するための吸込管230、及び吸込器210と接続される吸込ポンプ240を備えていてもよい。ここで、選別部200は、原料から小粒子を吸い込むための複数の開口Hが形成されたふるい(シーブ、sieve)220をさらに備えていてもよい。
【0087】
吸込器210は、小粒子を吸い込むための負圧を形成可能にする吸込空間を原料の上部の表面の上に与えるための吸込器210であって、第1の搬送器120のベルト121から上方に向かって離れ、ホッパー110と撮像部300との間に配置されてもよい。吸込器210は、原料を搬送するベルト121の幅の10%~90%の範囲内においてベルト121の幅方向に連続して位置していてもよい。すなわち、吸込器210は、ベルト121の幅方向にベルト121の両側の縁部から離れ、ベルト121の両側の縁部の間においてベルト121を幅方向に横切るように延びてもよい。これにより、吸込器210内にベルト121の両側の縁部の近傍に存在する外気が余計に流れ込んでしまうことを抑えることができる。
【0088】
吸込管230は、吸込器210に吸い込まれた原料の小粒子を戻し部500に流れ込ませる役割を果たす。吸込管230は、一方の端が吸込器210の上部と接続され、他方の端が戻し部500と接続されてもよい。また、吸込管230の一側には吸込ポンプ240が装着されてもよい。
【0089】
吸込ポンプ240は、吸込管230を介して吸込器210の内部に負圧を形成するための吸込ポンプ240であって、大気圧よりも低い所定の圧力に吸込管230の内部に負圧を形成して、吸込器210の内部に負圧を形成してもよい。また、吸込ポンプ240は、吸込管230の一方の端から他方の端へと小粒子を移送するための流れを吸込管230の内部に形成することができる。このため、吸込器210に吸い込まれた小粒子が吸込管230を通過して戻し部500に流れ込むことができる。
【0090】
ふるい220は、吸込器210の下部の開口に装着されてもよい。ふるい220は、複数の開口Hを有していてもよく、開口Hの目開きDは、0超え、かつ、3mm未満の範囲を有していてもよい。このため、0超え、かつ、3mm未満の範囲の粒径を有する小粒子は、ふるい220の開口Hを通過して吸込器210の内部に吸い込まれることができ、それよりも大きな大粒子は、ふるい200によりフィルターリングされて原料の上部の表面に残留することができる。一方、ふるい220は、原料を搬送するベルト121の幅の10%~90%の範囲においてベルト121の幅方向に連続して位置していてもよい。
【0091】
選別部200がふるい220を備えていない場合には、吸込ポンプ240を用いて吸込器210内の負圧の大きさを調節して、原料の上部の表面から小粒子のみが吸い込まれ、大粒子は残留できるようにしてもよい。
【0092】
一方、ふるい220の表面に原料の粒子が付着して開口Hが閉塞されてしまうことを防止できるように、ふるい220を震とうさせたり、ふるい220の表面に潤滑作用のための水分を供給したりしてもよい。
【0093】
図5を参照すると、選別部200の下側を通過する前に、原料の上部の表面を撮像した画像Aを見ると、小粒子により粒子間の境界を明らかに区別し難いことが確認できる。また、選別部200の下側を通過した後、原料の上部の表面を撮像した画像Bを見ると、小粒子が原料の上部の表面から取り除かれることにより、画像Bの上において粒子間の境界が明らかに区別されるということが確認できる。
【0094】
すなわち、選別部200は、原料を撮像する前に原料の上部の表面の上において大粒子を露出させることにより、分析部400が撮像された原料の上部の表面の画像内において原料の個別の粒子を手軽に把握できるようにする。
【0095】
以下では、選別部200が沈下を用いて大粒子を原料の上部の表面に残留させることを基準として、本発明の実施形態の変形例について説明する。
【0096】
本発明の変形例においては、選別部200が原料の上部の表面から小粒子を大粒子に対して相対的に沈下させるための第1の選別器(図示せず)を備えていてもよい。第1の選別器は、第1の搬送器120の幅に沿って離設される複数の鉤部材を備えていてもよい。複数の鉤部材は、曲がった個所が下方に向かって配置され、原料の上部の表面から原料内へと所定の深さだけ挿入され得る。複数の鉤部材との間に溝(furrow)が形成されてもよい。このとき、溝の上部には大粒子が載置されてもよく、溝と溝のとの間には小粒子が溜まってもよい。例えば、小粒子は、隣り合う鉤部材の間に抜け出ながら、一部は溝と溝との間に速やかに溜まることができ、残りは溝の下部を形成することができる。このとき、大粒子は、隣り合う鉤部材の間に速やかに抜け出ることができず、鉤部材の表面に沿って所定の高さだけ上昇していて、自重により落下し、一部は溝と溝との間において小粒子の上に載置でき、残りは溝の上部を形成できる。
【0097】
これにより、小粒子は、大粒子に比べて相対的に低い高さに沈下することができ、大粒子は、小粒子よりも高い高さに浮上することができる。
【0098】
以下では、選別部200が小粒子の落下を用いて大粒子を原料の上部の表面に残留させることを基準として、本発明の実施形態の他の変形例について説明する。
【0099】
本発明の他の変形例においては、選別部200が原料の上部の表面に沿って小粒子を転がし落としながら大粒子から離隔させるための第2の選別器(図示せず)を備えていてもよい。第2の選別器は、斜面形成器を備えていてもよい。斜面形成器は、ホッパー110側において第1の搬送器120の下部に配置され、第1の搬送器120のベルト121の下面を幅方向に斜めに受け止めることができる。このため、第2の選別器が位置する領域において原料がベルト121の上に幅方向に所定の角度だけ傾くように載置でき、このため、原料の上部の表面が幅方向に傾いて斜面が形成できる。この場合、ベルト120が進行する間に相対的に低い重量の小粒子は斜面に沿って転がし落ちて大粒子から離脱でき、相対的に高い重量の大粒子は斜面の上において位置が保持できる。すなわち、原料の上部の表面において小粒子の落下が生じることにより、小粒子が原料の上部の表面の斜面の上から離脱しながら大粒子から離れることができ、大粒子は、原料の上部の表面に残留することができる。以下では、引き続き、本発明の実施形態について説明する。
【0100】
図2を参照すると、撮像部300は、原料の上部の表面の画像、具体的には、原料の上部の表面の大粒子の画像を取得することができる。また、撮像部300は、小粒子の取り除かれた原料の上部の表面を連続してもしくは周期的に撮像して大粒子の画像を取得することができ、取得した大粒子の画像を分析部400に伝送することができる。
【0101】
撮像部300は、原料を撮像して3mm以上の大粒子を区別可能なレベルの解像度を有する範囲内において選択される様々な種類のカメラを備えていてもよい。撮像部300は、搬送部100を向くように配置されてもよい。具体的には、撮像部300は、複数の第1の搬送器120側に配置されてもよい。より具体的には、撮像部300は、複数の第1の搬送器120のうち、選別部200が配置された第1の搬送器120の上側において当該第1の搬送器に向かって配置されてもよい。また、撮像部300は、ベルト121が原料を搬送する方向を基準として選別部200の下流側を向くように配置されてもよい。すなわち、撮像部300は、選別部200から原料が移動する向きに離れてもよい。一方、撮像部300の撮像領域は、原料を搬送するベルト121の全体の幅を含んでいてもよい。このため、撮像部300は、撮像部300の下側を通過しながら、ベルト121により搬送される原料をベルト121の幅方向に漏れなく撮像することができ、原料の上部の表面の画像、例えば、小粒子が選り分けられた大粒子の画像を取得することができる。
【0102】
図6の(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係る分析部を説明するための写真及びグラフである。
【0103】
図2及び
図6を参照すると、分析部400は、撮像部300が撮像した画像から個別の大粒子を識別して粒度分布を分析し、分析された大粒子の粒度分布を用いて原料の全体の粒度分布を求めることができる。また、分析部400は、撮像部300及び管理部600と接続されてもよい。
【0104】
分析部400は、識別された大粒子の面積を導き出し、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別し、それぞれ区別された大粒子別に取得された画像上の総面積比を求めることができる。このとき、分析部400は、人工知能を用いてもよい。
【0105】
例えば、分析部400は、人工知能(AI)としてディープラーニング(Deep Learning)アルゴリズムを用いてもよく、中でも、U-Netアルゴリズムを用いてもよい。このとき、U-Netアルゴリズムは、画像を処理するために用いるディープラーニングアルゴリズムの一例であって、アルゴリズムの種類を限定するためのものではない。すなわち、分析部400は、セマンティック・セグメンテーション(sematic segmentation)手法を適用できることを満たす範囲内において、全層畳み込みネットワーク(Fully Convolutional Networks; FCN)、DeepLab V3+、アトラス畳み込み(Atrous Convolution)、空間ピラミッド型プーリング(spatial pyramid pooling)、エンコーダー-デコーダー、深さ単位分離可能畳み込み(depthwise separable convolution)などの種々のアルゴリズムが利用可能である。
【0106】
いうまでもなく、分析部400は、人工知能(AI)に基づく画像分析手法の他に、エントロピー、入射表面線量(ESD: Entrance Surface Dose)、相互情報量(Mutual information)などの画像分析手法を用いてもよい。また、分析部400は、エントロピー、入射表面線量(ESD: Entrance Surface Dose)、相互情報量(Mutual information)などの画像分析手法を人工知能(AI)に基づく画像分析手法と併用してもよい。
【0107】
また、分析部400は、人工知能が予め学習したデータに基づいて、それぞれ区別された大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換えて、それぞれ区別された大粒子別の重さ比を大粒子の粒度分布で分析してもよい。また、分析部400は、大粒子別の重さ比を用いて、選り分けられた小粒子の重さ比を求め、大粒子別の重さ比と小粒子の重さ比を用いて原料の全体の粒度分布を求めてもよい。
【0108】
例えば、
図6の(b)には、分析部400により求められた原料の全体の粒度分布を例示的にグラフで示している。グラフの横軸は、原料の粒子の相対粒度を示す。横軸の目盛り1は、原料の粒度のうちの最も小さな粒度に相当し、横軸の目盛り1000は、原料の粒度のうちの最も大きな粒度に相当する。グラフの左側の縦軸は、棒グラフと対応し、原料の粒度別の重量分布を示す。グラフの右側の縦軸は、線グラフと対応し、原料の粒度別の重量分布の累積分率を示す。一方、グラフに示されているように、原料の粒子の粒度分布は、正規分布特性を有し得る。
【0109】
図6の(b)に示されているように、分析部400は、人工知能が予め学習したデータに基づいて、撮像部300において撮像された画像から原料の全体の粒度分布を求めることができる。すなわち、分析部400が求める原料の粒度分布は、原料の大きさ別の重さの分布であってもよい。一方、説明の重複を避けるために、分析部400が原料の全体の粒度分布を求める方式の詳細については、以下において本発明の実施形態に係る粒度管理方法を説明しながら説明する。
【0110】
一方、分析部400は、それぞれ区別された大粒子を粒径に応じて複数のグループに区分けしてグループ別の大粒子の重さ比を大粒子の粒度分布で分析し、グループ別の大粒子の重さ比と前記小粒子の重さ比を用いて、原料の全体の粒度分布を求めることができる。また、分析部400は、複数の原料が有する破砕特性を用いて、選択された第1の搬送器120に搬送される原料から求められた粒度分布を複数の原料の全体に適用することができる。この詳細については、以下において本発明の実施形態に係る粒度管理方法を説明するときに説明する。
【0111】
図2を参照すると、戻し部500は、画像を取得した大粒子の上に小粒子を戻す役割を果たす。すなわち、戻し部500は、原料が搬送される方向を基準として、撮像部300の上流側で原料から選別部200に吸い込まれる小粒子を受け渡されて撮像部300の下流側で原料の大粒子の上に戻すことができる。
【0112】
すなわち、戻し部500は、原料を撮像する前に原料から選り分けられた小粒子を原料の撮像後に原料の上に戻すことにより、配合原料の製造のために第2の搬送器130の上に供給される原料の全体の供給量が減ることを防ぐことができる。
【0113】
戻し部500は、搬送部100の上に配置されてもよい。具体的には、戻し部500は、複数の第1の搬送器120のうち、選別部200が配置される第1の搬送器120の上に配置されてもよい。戻し部500の数は、複数であってもよい。このとき、戻し部500の数と選別部200の数とは、同数であってもよい。戻し部500は、選別部200と接続されてもよい。このとき、戻し部500は、流入口が選別部200と接続され、排出口が、原料が搬送される方向を基準として撮像部300の下流側に配置されてもよい。ここで、流入口は、原料が先に通過する開口であり、排出口は、原料が後ほどに通過する開口であってもよい。戻し部500の流入口は、選別部200の吸込管230と接続されてもよい。また、戻し部500の排出口は、戻し部500が配置された第1の搬送器120の終端側において下方に開口されてもよい。小粒子は、選別部200から戻し部500の流入口に流れ込み、戻し部500の流入口と排出口とをつなぐ通路を通過して、戻し部500の排出口から排出されて原料の大粒子の上に戻ってもよい。
【0114】
管理部600は、分析部400が分析した粒度分布を用いて、搬送部100に供給すべき後続原料の供給条件を調節することができる。管理部600は、分析部400及び原料破砕装置30の制御器と接続されてもよい。
【0115】
すなわち、管理部600は、分析部400から分析結果を入力され、分析部400が分析した原料の全体の粒度分布を予め設定された基準粒度分布と対比し、対比結果に基づいて、原料破砕装置30の制御器を制御して、搬送部に供給すべき後続原料の破砕条件を制御して、後続原料の品質を管理することができる。
【0116】
管理部600は、分析部400が分析した粒度分布が予め設定された基準粒度分布と少なくとも一部が異なっていると、搬送部100に供給すべき後続原料の供給条件として原料の破砕条件を調節することができる。例えば、分析部400が分析した粒度分布において、小粒子の粒度分布が小粒子に関する基準粒度分布よりも大きければ、後続原料の破砕に際して小粒子の量を減らし、大粒子の量を増やすために、原料の破砕条件として、ハマーと反発板との間隔条件を所定の間隔だけ増加させるように調節してもよい。また、管理部600は、調節した原料の破砕条件を原料破砕装置30の制御器に伝送してもよい。このため、原料破砕装置30は、伝送された原料の破砕条件に従って制御器を作動させて、ハマーと反発板との間隔を所定の間隔だけ広げて、破砕される原料において、小粒子の量を減らし、大粒子の量を増やすことができる。
【0117】
以下、本発明の実施形態に係る粒度管理方法について詳しく説明する。このとき、本発明の実施形態に係る粒度管理装置の前述した説明と重複する内容は簡略に説明したりその説明を省略したりする。
【0118】
図7は、本発明の実施形態に係る粒度管理方法の手順図である。
【0119】
図1から
図7を参照すると、本発明の実施形態に係る粒度管理方法は、原料を用意する過程(S100)と、用意された原料を搬送する過程(S200)と、搬送される原料を小粒子と小粒子よりも大きな大粒子とに選り分ける過程(S300)と、大粒子を撮像して画像を取得する過程(S400)と、撮像された画像から大粒子の粒度分布を分析する過程(S500)、及び大粒子の粒度分布を用いて原料の粒度分布を求める過程(S600)と、を含む。
【0120】
また、本発明の実施形態に係る粒度管理方法は、大粒子の粒度分布を用いて原料の粒度分布を求める過程の後に、求められた原料の粒度分布を後続原料を用意する過程に活用する過程(S700)を含んでいてもよい。
【0121】
本発明の実施形態に係る粒度管理方法は、原料の粒度分布を正確に分析しかつ管理することができる。したがって、原料から製造される配合原料の配合比を定められた配合比に正確に合わせることができる。さらに、配合原料から製造されるコークスの品質のバラツキを極力抑えることができる。
【0122】
原料は、コークスを製造するための石炭であってもよい。また、原料は、複数であってもよい。複数の原料は、炭種が異なっていてもよい。
【0123】
まず、原料を用意する過程(S100)を行う。原料を用意する過程(S100)は、ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が異なる複数の原料を用意する過程を含んでいてもよい。ここで、ハードグローブ粉砕性指数は、石炭の破砕性の良し悪しを示す指数であってもよい。例えば、ハードグローブ粉砕性指数は数値で表わされてもよく、数値が大きければ大きいほど、破砕性が良いといえる。原料を同一の条件下で破砕したとき、ハードグローブ粉砕性指数の数値が大きければ大きいほど、原料がさらに上手く破砕されて小粒子がさらに大量に生成可能である。原料は、炭種別にハードグローブ粉砕性指数が異なっていてもよい。すなわち、ハードグローブ粉砕性指数が異なる複数の原料は、炭種が異なる複数の原料を意味し得る。複数の原料は、ヤード20に野積みされてもよい。
【0124】
また、原料を用意する過程(S100)は、複数の原料を炭種別に破砕する過程を含んでいてもよい。このとき、ヤード20に炭種別に野積みされた原料を原料破砕装置30に供給して破砕してもよい。具体的には、複数の原料を炭種別に交互に原料破砕装置30に供給して原料を炭種別に交互に破砕してもよく、交互に破砕される複数の原料を粒度管理装置1000に供給して複数のホッパー110に炭種別に収容してもよい。
【0125】
この後、用意された原料を搬送する過程(S200)を行う。このとき、用意された原料を搬送する過程(S200)は、用意された複数の原料をそれぞれ搬送する過程と、それぞれ搬送される複数の原料を混合して搬送する過程と、を含んでいてもよい。すなわち、複数のホッパー110から複数の第1の搬送器120へと複数の原料を炭種別にそれぞれ排出しながら、複数の第1の搬送器120に複数の原料を炭種別にそれぞれ搬送してもよい。
【0126】
このとき、複数の原料を複数の第1の搬送器120に排出するとき、それぞれが排出される第1の搬送器120の上においてそれぞれの原料の上部の表面が平らになるようにして複数の原料を複数の第1の搬送器120に排出してもよい。
【0127】
また、排出された複数の原料を複数の第1の搬送器120にそれぞれ搬送するとき、搬送される原料を計量して原料の排出量を測定し、測定された排出量を各原料の定められた排出量と対比して、対比結果に基づいて、第1の搬送器120が原料を搬送する速度を調節したり、ホッパー110が原料を排出する速度を調節したりしてもよい。
【0128】
また、複数の第1の搬送器120に複数の原料のそれぞれを0.1~0.15m/sの範囲の速度にて搬送してもよい。原料の搬送速度が0.1m/sよりも低ければ、当該原料の定められた排出量に見合う分だけ原料を第1の搬送器120に排出し難い虞がある。また、原料の搬送速度が0.15m/sよりも高ければ、搬送中の原料を撮像したとき、鮮やかな画像を取得し難い虞がある。このため、後続する過程のうち、画像を取得する過程(S400)を円滑に行い難い虞がある。
【0129】
この後、複数の第1の搬送器120から第2の搬送器130へと複数の原料を排出し、第2の搬送器130の上において複数の原料を予め定められた配合比で混合して配合原料、例えば、配合炭を製造してもよく、製造される配合原料を第2の搬送器130に搬送し続けてコークスオーブン40に供給してもよい。一方、用意された原料を搬送する過程を行いながら、原料を用意する過程を繰り返し行って複数のホッパー110に原料を補充してもよい。
【0130】
用意された原料を搬送する過程(S200)を行う間に、搬送される複数の原料のうちから選択される少なくとも1つ以上の原料に対して、搬送される原料を小粒子と小粒子よりも大きな大粒子とに選り分ける過程(S300)と、大粒子を撮像して画像を取得する過程(S400)と、撮像された画像から大粒子の粒度分布を分析する過程(S500)、及び大粒子の粒度分布を用いて原料の粒度分布を求める過程(S600)を行ってもよい。
【0131】
原料を選択するとき、原料の特性のうちの粘結性に応じて、強粘炭、微粘炭及び非粘炭を選択してもよい。また、入れ替え頻度の高い炭種の原料を選択してもよい。すなわち、原料を選択する基準が様々であってもよく、選択される原料の数も様々であってもよい。いうまでもなく、複数の原料をすべて選択してもよい。
【0132】
以下、引き続き、1つの原料を選択する場合を基準として、本発明の実施形態について説明する。いうまでもなく、以下において説明される内容は、選択された原料の数が2以上の複数である場合と、すべての原料が選択された場合にも同様に適用可能である。
【0133】
用意された原料を搬送する過程を行う間に、搬送される原料を小粒子と小粒子よりも大きな大粒子とに選り分ける過程(S300)を行う。このとき、搬送される原料を小粒子と小粒子よりも大きな大粒子とに選り分ける過程(S300)は、原料の上部の表面から小粒子を吸い込み、大粒子を残留させる過程を含んでいてもよい。この過程は、第1の搬送器120の上において第1の搬送器120に沿って搬送される原料を対象として行われてもよい。すなわち、第1の搬送器120の上に設けられた選別部200を作動させて原料の上部の表面から小粒子を吸い込み、大粒子を残留させてもよい。
【0134】
このとき、小粒子が、0超え、かつ、3mm未満の粒径を有する粒子であってもよい。大粒子は、3mm以上の粒径を有する粒子であってもよい。具体的には、大粒子は、3mm以上、かつ、15mm以下の粒径を有する粒子であってもよい。小粒子と大粒子とを選り分ける粒径の基準は、撮像部300の撮像能、例えば、分解能に応じて定めてもよい。例えば、原料を撮像したとき、撮像された原料の粒子のうち、撮像部300が別個の粒子として区別可能な最小の粒子を選択して、その粒径を小粒子と大粒子とを選り分ける粒径の基準としてもよい。
【0135】
すなわち、撮像部300が個別の粒子として区別し難い粒径の小粒子を原料の上部の表面から吸い込んで取り除き、大粒子を残留させることにより、後続する過程である画像を取得する過程において鮮やかな画像を得ることができる。
【0136】
例えば、
図5の「A」写真は、小粒子を原料の上部の表面から取り除かなかったときの原料の上部の表面の写真である。また、
図5の「B」写真は、小粒子を原料の上部の表面から取り除いてから、残留する大粒子を撮像した写真である。両写真を対比すると、小粒子を取り除くことにより、原料の上部の表面の鮮やかな画像が得られるということが明らかに確認できる。
【0137】
搬送される原料を小粒子と小粒子よりも大きな大粒子とに選り分ける過程を行い、大粒子を撮像して画像を取得する過程(S400)を行う。大粒子を撮像して画像を取得する過程(S400)は、第1の搬送器120上の選別部200の下流側において、撮像部300により行われてもよい。また、この過程は、原料の上部の表面から小粒子が選り分けられた大粒子を撮像して大粒子の画像を取得する過程を含んでいてもよい。また、この過程の後に、選り分けられた小粒子を原料の上部の表面の大粒子の上に排出する過程を含んでいてもよい。
【0138】
すなわち、原料が第1の搬送器120に沿って搬送されて、選別部200を通過して上部の表面の小粒子が取り除かれると、小粒子が取り除かれた原料の上部の表面を撮像部300で撮像し、大粒子の画像を取得してもよい。この後、原料が第1の搬送器120に沿って搬送され続けて撮像部300を通過した後、原料の上部の表面の当該個所に小粒子を排出してもよい。この過程は、選別部200と接続された戻し部500を作動させて、選別部200に吸い込まれた小粒子を原料が搬送される速度と同一もしくは略同一の速度で戻し部500に沿って移動させた後、撮像部300の下流側から原料の上部の表面に排出する方式により行われてもよい。いうまでもなく、吸い込まれた小粒子を第2の搬送器130上に排出して原料に戻してもよい。この過程により、吸い込まれる小粒子により原料から製造される配合原料の配合比が異なってくることを防ぐことができる。一方、大粒子を撮像して画像を取得する過程は、連続して行われてもよいし、所定の周期をもって行われてもよく、それにより、後続する過程も連続して行われてもよいし、周期的に行われてもよい。
【0139】
大粒子を撮像して画像を取得すると、撮像された画像、例えば、大粒子の画像から大粒子の粒度分布を分析する過程(S500)を行う。この過程は、大粒子の画像から大粒子の面積を導き出し、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別する過程と、それぞれ区別された大粒子別に撮像された画像上の総面積比を求める過程と、それぞれ区別された大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換える過程と、を含んでいてもよい。このとき、これらの過程は、分析部400において行われてもよい。
【0140】
大粒子の画像から大粒子の面積を導き出し、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別する過程を行ってもよい。まず、大粒子の画像から大粒子をそれぞれ識別してもよい。このとき、例えば、人工知能(AI)に基づく画像分析手法を用いて大粒子の画像をセグメンテーション(領域分割)して大粒子の画像から大粒子をそれぞれ別々の粒子としてそれぞれ明らかに識別してもよい(
図6の(a)参照)。
【0141】
画像分析手法としてU-Netアルゴリズムを用いてもよい。いうまでもなく、画像分析手法の種類は種々であってもよい。また、人工知能に基づく画像分析手法ではなくても、例えば、エントロピー(Entropy)、入射表面線量(Entrance Surface Dose)、相互情報量(Mutual information)などの多種多様な画像分析手法を用いてもよい。
【0142】
この後、大粒子の画像から大粒子がそれぞれ別々の粒子として明らかに識別されれば、識別された大粒子の面積をそれぞれ導き出してもよい。すなわち、大粒子の画像から識別された各大粒子が占めるピクセルの面積を各大粒子の面積として導き出してもよい。いうまでもなく、大粒子の面積を導き出す方式は種々であってもよい。
【0143】
この後、識別された大粒子の面積がそれぞれ導き出されると、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別してもよい。例えば、識別された大粒子を面積別に互いに異なる粒径に区別して、1番からk番までの大粒子に区別してもよい。一方、大粒子を面積別に互いに異なる粒径に区別したため、1番の大粒子の数が1つ以上であってもよいし、k番の大粒子の数が1つ以上であってもよいし、1番のとk番のとの間に位置する少なくとも1つ以上の大粒子の数が1つ以上であってもよい。いうまでもなく、1番からk番までの大粒子のうち、その数が1つである大粒子もあり得る。
【0144】
一方、識別された大粒子の面積をそれぞれ導き出し、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別する過程は、それぞれ区別された大粒子を粒径に応じて複数のグループに区分けする過程をさらに含んでいてもよい。以下、これについて例示的に説明する。
【0145】
例えば、識別された大粒子の面積をそれぞれ導き出した後に、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別することにより、大粒子の画像から1番からk番までの大粒子が識別されたとき、識別された大粒子の面積(mm2)が3×3~15×15の大きさの範囲内に収まれれば、識別された大粒子を3×3以上、かつ、5×5未満の第1のグループ、5×5以上、かつ、10×10未満の第2のグループ、及び10×10以上、かつ、15×15以下の第3のグループに区分けすることができる。このとき、第1のグループに1番からi番までの識別された大粒子が含まれ、第2のグループにi+1番からj番までの識別された大粒子が含まれ、第3のグループにj+1番からk番までの識別された大粒子が含まれ得る。
【0146】
このような場合に、後続する過程、例えば、それぞれ区別された大粒子別に撮像された画像上の総面積比を求める過程とそれぞれ区別された大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換える過程は、それぞれ区別されたグループに対して行われてもよい。また、これと同様に、大粒子の粒度分布を用いて原料の粒度分布を求める過程と求められた原料の粒度分布を後続原料を用意する過程に活用する過程も、それぞれ区別されたグループに対して行われてもよい。
【0147】
一方、以下では、引き続き、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別する過程が、それぞれ区別された大粒子を粒径に応じて複数のグループに区分けする過程を含まない場合を基準として、本発明の実施形態について説明する。いうまでもなく、以下において説明される内容は、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別する過程が、それぞれ区別された大粒子を粒径に応じて複数のグループに区分けする過程を含む場合にも同様に適用可能である。
【0148】
上述した過程により、面積別に互いに異なる粒径に大粒子を区別すると、それぞれ区別された大粒子別に、撮像された画像(すなわち、大粒子の画像)上の総面積比を求めることができる。まず、大粒子の画像の全体の面積を求めてもよい。このとき、大粒子の画像の全体のピクセル面積を大粒子の画像の全体の面積として求めてもよい。この後、1番大きな大粒子が若しくは1番大きな大粒子等が大粒子の画像に占める総面積を求めてもよい。このとき、1番大きな大粒子がもしくは1番大きな大粒子等が大粒子の画像に占めるピクセルの面積を総面積として求めてもよい。この後、この方式と同様にして、2番めに大きな大粒子からk番の大粒子に至るまで、各番号の大粒子がもしくは各番号の大粒子等が大粒子の画像に占める総面積を求める。この後、大粒子の画像の全体の面積に対する、各番号の大粒子もしくは各番号の大粒子等が大粒子の画像に占める総面積の比をそれぞれ求めて、それぞれ区別された大粒子別に撮像された画像(大粒子の画像)上の総面積比を求めてもよい。
【0149】
大粒子別に撮像された画像上の総面積比を求めると、それぞれ区別された大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換えてもよい。大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換える過程は、人工知能が予め学習したデータに基づいて、生成された原料の粒度分布モデルを用いて、大粒子別に求められた総面積比に応じたそれぞれ区別された大粒子別の重さ比を予測し、大粒子別に求められた総面積比を大粒子別に予測された重さ比に置き換える過程を含んでいてもよい。
【0150】
原料の粒度分布モデルは、大粒子の画像の上において面積別に互いに異なる粒径に区別された大粒子の面積比が既知であるとき、これから大粒子の重さ比を予測できるように構築された数学的及び統計学的モデルであって、学習データに基づいて、人工知能により構築されたモデルであってもよい。また、学習データは、製鉄操業の実績情報から導き出される操業データ、石炭を用いた破砕実験により用意される実験データなどを含んでいてもよい。ここで、操業データ及び実験データは、破砕された石炭の写真のような非定型データと、写真とマッチングされる石炭の破砕粒度、破砕された石炭の粒度別の重さ、石炭のハードグローブ粉砕性指数などの定型データと、を含んでいてもよい。また、このような学習データは、人工知能としてのディープラーニング方式により学習されてもよい。いうまでもなく、学習データを人工知能に学習させる方式と学習に用いられる具体的なアルゴリズムは種々であってもよい。
【0151】
すなわち、1番からk番までの大粒子別の総面積比を原料の粒度分布モデルに入力して、これから1番からk番までの大粒子別の総重さ比を予測して出力してもよい。例えば、大粒子の画像の全体の面積に対する、1番大きな大粒子の面積の比率がA1%であり、2番めに大きな大粒子の面積の比率がA2%であり、K番の大粒子の面積の比率がAK%であるとき、これらの面積比を原料の粒度分布モデルに入力してもよい。また、これから原料の全体の重さに対する、1番大きな大粒子の重さ比率をB1wt%として予測することができ、2番めに大きな大粒子の重さ比率をB2wt%として予測することができ、K番の大粒子の重さ比率をBKwt%として予測することができ、予測された重さ比を出力してもよい。この後、大粒子別に求められた総面積比を大粒子別に予測された重さ比に置き換えてもよい。これらの過程を経て、原料に対してそれぞれ区別された大粒子別に予測された重さ比を大粒子の粒度分布として分析することができる。
【0152】
大粒子の粒度分布を分析して、面積別に互いに異なる粒径にそれぞれ区別された大粒子別に、原料の重さに対する大粒子別の重さ比が分析されれば、大粒子の粒度分布を用いて原料の粒度分布を求める過程(S600)を行う。この過程は、大粒子の画像を撮像する前に原料の上部の表面から選り分けられた小粒子の重さ比を求める過程と、大粒子別の重さ比と小粒子の重さ比を用いて原料の全体の粒度分布を求める過程と、を含んでいてもよい。
【0153】
まず、選り分けられた小粒子の重さ比を求める過程を行ってもよい。具体的には、それぞれ区別された大粒子別に求められた総面積比を重さ比に切り換えるとき、選り分けられた小粒子の重さ比を求める過程を行ってもよい。
【0154】
このとき、大粒子別に予測された重さ比を合算して大粒子の重さ比を求める過程と、大粒子の重さ比と合算して100パーセント、具体的には、100重量パーセントとなるようにする重さ比を小粒子の重さ比にする過程と、を経て、選り分けられた小粒子の重さ比を求めてもよい。例えば、1番からK番までの大粒子の重さ比をいずれも合算して、原料の全体の重さに対する大粒子の全体の重さ比を求めてもよい。ここで、大粒子と小粒子は、いずれも原料の粒子であって、原料の粒子は、大粒子ではなければ、小粒子に相当し、同様に、小粒子ではなければ、大粒子に相当する。すなわち、大粒子と小粒子とは、互いにに対して余集合の関係である。したがって、大粒子の重さ比と合算して100パーセント、具体的には、100重量パーセントとなるようにする重さ比が、原料の全体の重さに対する小粒子の重さ比であり得る。例えば、100重量パーセント(100wt%)から1番からK番までの大粒子の重さ比をいずれも合算した値(B1wt%+B2wt%+…+BKwt%)を差し引いて求められた値がCwt%であれば、小粒子の重さ比としてCwt%を求めてもよい。
【0155】
小粒子の重さ比を求めた後に、原料の全体の粒度分布を求める過程を行ってもよい。すなわち、大粒子別の重さ比と小粒子の重さ比を用いて原料の全体の粒度分布を求めてもよい。例えば、小粒子と1からK番までの大粒子の重さ比を原料の全体の粒度分布としてもよい。すなわち、この過程により求められる粒度分布は、それぞれ区別された粒子別の重さ分布であってもよい。
【0156】
選択された原料に対して原料の粒度分布を求めると、複数の原料のそれぞれのハードグローブ粉砕性指数を用いて、選択された原料の粒度分布を複数の原料の全体に適用する過程を行う。すなわち、複数の原料は、それぞれのハードグローブ粉砕性指数が既知であってもよい。いうまでもなく、複数の原料に対する破砕実験を行ってハードグローブ粉砕性指数を自ら求めてもよい。また、原料は、ハードグローブ粉砕性指数の変化に伴い、破砕される粒度の分布が傾向性を有しながら変わってもよい。このとき、このような原料のハードグローブ粉砕性指数の変化に伴う破砕された原料の粒度分布の変化が、小粒子とそれぞれ区別された大粒子ごとに数学的な関係式として導き出されてもよい。いうまでもなく、原料のハードグローブ粉砕性指数の変化に伴う破砕された原料の粒度分布の変化が測定されたデータから構築されるルックアップテーブルの形態にも小粒子とそれぞれ区別された大粒子ごとに導き出されてもよい。
【0157】
したがって、原料のハードグローブ粉砕性指数の変化に伴う破砕された原料の粒度分布の変化が既知になるように予め用意された関係式、ルックアップテーブルなどと複数の原料のそれぞれのハードグローブ粉砕性指数を活用して、選択された原料の粒度分布を複数の原料の全体に適用することにより、複数の原料のそれぞれの粒度分布を求めることができる。
【0158】
複数の原料のそれぞれの粒度分布を求めると、求められた原料の粒度分布を後続原料を用意する過程に活用する過程(S700)を行う。具体的には、複数の原料ごとに、求められた原料の粒度分布を予め定められた基準粒度分布と対比し、対比結果に基づいて、後続原料の破砕条件を制御し、制御された破砕条件で後続原料を破砕してもよい。ここで、基準粒度分布は、複数の原料を予め定められた配合比で配合して配合原料を製造するとき、配合原料内に各原料が一様に混合でき、製造された配合原料からコークスを製造するとき、コークスの品質が所望の品質になるようにする各原料の所望の粒度分布であって、原料の特性に応じて基準粒度分布が異なってくる可能性がある。
【0159】
例えば、複数の原料を第1の原料M1~第8の原料M8としたとき、まず、第1の原料M1の粒度分布を第1の原料M1の基準粒度分布と対比する。このとき、第1の原料M1の粒度分布のうち、小粒子の粒度分布が小粒子に対する基準粒度分布よりも大きく、それぞれ区別された大粒子のうちの少なくとも一部の粒度分布が当該大粒子に関する基準粒度分布よりも小さくてもよい。この場合、第1の原料M1が原料破砕装置30において所望の度合いよりも過剰に破砕され過ぎたものであってもよい。このため、後続する第1の原料M1が原料破砕装置30において破砕される度合いを減らすように、後続する第1の原料M1を破砕するときにはハマーの回転速度を所定の回転速度まで低め、ハマーと反発板との間隔を所定の間隔に広げるなど、後続する第1の原料M1の破砕条件を制御する。いうまでもなく、その逆の場合も可能である。また、制御された破砕条件で原料破砕装置30を制御して、原料破砕装置30において原料が破砕されるとき、制御された破砕条件で第1の原料M1を破砕してもよい。
【0160】
これと同様に、第2の原料M2から第8の原料M8まで、各原料の粒度分布を各原料の基準粒度分布と対比して、その結果に基づいて、各後続原料の破砕条件を制御し、制御された破砕条件で各後続原料を破砕してもよい。これにより、破砕された度合いが調節された後続する第1の原料M1から後続する第8の原料M8を用意し、用意された原料で、用意された原料を搬送する過程からそれ以降の過程までを行うことができる。このため、後続原料が基準粒度分布を満たすようにでき、基準粒度分布を満たす後続原料を用いて配合原料を製造し、製造された配合原料からコークスを製造することにより、配合原料及びコークスの品質のバラツキを極力抑えることができる。
【0161】
一方、本発明の実施形態の変形例によれば、用意された原料を搬送する過程を行う前に、大粒子の粒度分布を分析することに用いられる原料の粒度分布モデルの整合性を検証及び確保するための所定の実験を行い、その結果を用いて原料の粒度分布モデルを補完することができる。
【0162】
例えば、複数の原料から製造される配合原料の原料配合比率に影響を与えない分だけの少量の原料を複数のホッパーのそれぞれの複数の位置から採取する。この後、原料の粒度分布モデルの整合性を検証及び確保するための所定の実験を行うように設けられた実験室に、採取された複数の原料を搬送する。
【0163】
この後、実験室に設けられた所定のテーブルの上に、採取された複数の原料を炭種別に所定の面積及び所定の高さで積み置き、3mm未満の粒径の原料粒子を吸い込むように実験室に設けられた吸込器を用いてそれぞれ積み置かれた原料のそれぞれの上部の表面から3mm未満の粒径の原料粒子を吸い込んだ後、それぞれの上部の表面を撮像して画像を取得する。取得した画像及び人工知能(AI)に基づく画像分析手法と原料の粒度分布モデルを用いて、3mm以上の粒径の原料粒子の粒度分布を分析し、採取された原料のそれぞれの粒度分布を求める。これを分析された粒度分布と称する。
【0164】
次いで、複数の原料のそれぞれから吸い込まれた3mm未満の粒径の原料粒子をそれぞれの原料の上部の表面に戻した後、例えば、実験室に設けられたスクリーンを用いて、各原料に対して粒子の粒径に応じて粒度選別を行い、実験室に設けられた所定の重量測定器を用いて、粒子粒径別に粒度選別の行われた原料の重量を測定し、重量の測定結果を用いて各原料の粒度分布を求める。これを測定された粒度分布と称する。
【0165】
この後、複数の原料のそれぞれに対して、かつ、各原料の粒子粒径別に、分析された粒度分布と測定された粒度分布をそれぞれ対比して、その差分の最高値が、例えば、3wt%以下であれば、本発明の実施形態に係る原料の粒度分布モデルが整合性のあるものであると判断する。
【0166】
一方、対比結果において、その差分が3wt%を超える値があれば、本発明の実施形態に係る原料の粒度分布モデルを補完しなければならないと判断する。このため、原料の粒度分布モデルを補完するための所定のキャリブレーション・アルゴリズムを設計して、原料の粒度分布モデルに反映することができる。このとき、キャリブレーション・アルゴリズムを設計する方式としては種々のものが採用可能であり、これを特に限定しない。一方、前述した実験は、実験結果の信頼性を確保できるように、同一の方式により20回以上繰り返し行ってもよい。
【0167】
本発明の上記の実施形態は本発明の説明のためのものであり、本発明の制限のためのものではない。本発明の上記の実施形態に開示されている構成と方式は、互いに結合したり交差したりして種々の形態に組み合わせかつ変形される筈であり、これらによる変形例もまた、本発明の範囲に収まるものとみなせるということに留意されたい。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及びこれと均等な技術的思想の範囲内において互いに異なる種々の形態に具体化される筈であり、本発明が属する技術分野における当業者は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の実施形態が可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0168】
10 船舶
20 原料選炭設備
30 原料破砕装置
40 コークスの製造設備(コークスオーブン)
50 コークスの製造設備(乾式消火チャンバー)
60 高炉設備
70 ガス精製設備
100 搬送部
110 ホッパー
120 第1の搬送器
121 ベルト
122 ローラー
130 第2の搬送器
131 第2のベルト
132 第2のローラー
200 選別部
210 吸込器
220 ふるい
230 吸込管
240 吸込ポンプ
300 撮像部
400 分析部
500 戻し部
600 管理部
1000 粒度管理装置
【国際調査報告】